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1953-12-03 第18回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月三日(木曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 本間 俊一君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 中村 梅吉君       相川 勝六君    植木庚子郎君       尾崎 末吉君    尾関 義一君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       富田 健治君    中村  清君       西村 久之君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    船越  弘君       森 幸太郎君    八木 一郎君       山崎  巖君    山本 勝市君       稻葉  修君    小山倉之助君       河野 金昇君    河本 敏夫君       中曽根康弘君    中村三之丞君       古井 喜實君    青野 武一君       伊藤 好道君    上林與市郎君       福田 昌子君    武藤運十郎君       横路 節雄君    井上 良二君       河野  密君    小平  忠君       中村 高一君    吉川 兼光君       三宅 正一君    黒田 寿男君       福田 赳夫君    三木 武吉君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  岡野 清豪君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         郵 政 大 臣 塚田十一郎君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         建設政務次官  南  好雄君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十二月三日  委員石橋湛山君及び加藤鐐造君辞任につき、そ  の補欠として山本勝市君及び中村高一君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)  昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)  昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1  号)     —————————————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長代理 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1号)を一括議題にし、昨日に引続き質疑に入ります。  中曽根康弘君。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 きのうに引続きまして、吉田内閣総理大臣以下各大臣に御質問申し上げます。  きのう外務大臣に承りますと、新木大使から帰朝申出を受けた、こういうお話でありましたが、新木大使辞任申出をやられた場合に、外務大臣はこれをお受けになりますか、いかがですか。
  4. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういうことはまだ話が出ておりませんし、それは外務省で適当に処置いたします。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 おそらく今までの大使帰朝の例から見ると、そういうことが起り得ると思うのであります。おそらくその場合外務大臣は受けるとわれわれは予想しておる。これはあとでまた申し上げたいと思います。  その次に吉田総理大臣にお伺いいたしますが、池田特使を御派遣になりましたが、その御派遣になりましたことは成功でありましたでしようか。吉田さんがお送りになる御趣旨に沿つて十分やつて来たとお思いでいらつしやいますか、お尋ねいたします。
  6. 吉田茂

    吉田国務大臣 十分やつて来てくれたことと思います。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 十分やつて来たという意味がどういう意味であるか私はわかりませんが、私の判断によりますと、池田さんは成功なさらなかつたと思うのであります。それはなぜかと申しますと、吉田総理大臣の対米情勢判断が誤つてつたから、池田氏は十分働けなかつたということが一つ、もう一つ池田使節団準備といいますか、構成というものはきわめて不十分であつた、この二つから、各国使節ワシントンへ来ていろいろ使命を果すのに比べてみると、はるかに成功しなかつたといわざるを得ないと思います。  そこで吉田総理大臣の対米情勢判断についてお伺いしたいと思いますが、吉田総理大臣が今まで国民の前に見せられた対米態度というものは、要するに軍備の問題についてはなるたけこれを回避しよう。そうしてこれに触れないようにしながら、うまく言つて経済援助をとろう、こういう御態度を今までおとりになつていたように思います。この態度で今般池田さんはワシントンへ行かれて、ダレス氏以下ロバートソン氏等と折衝なさいましたが、この基本的態度池田さんというものを失敗に終らせたと思うのです。なぜかと申しますと、アメリカ側日本態度だけ見ているのではない。日本と対蹄的なドイツ態度を見ておる。ところがドイツ総理大臣アデナウワーは、吉田総理大臣とは対蹄的に、決して逃げたり隠れたりしないで、堂々と国民に訴えて、自衛の必要を説き、国の体制を国民意思において固めておるのであります。ところが日本におきましては、吉田総理大臣は、国民にこのものを見せないで、政治家間の取引とか、戦力なき軍隊とか、そういう姑息な言葉の魔術によつて逃げようとしておる。アメリカは、御存じのようにガヅアメント・バイ・ザ・ピープルという民主主義の国であります。従つて国民意思というものから出て来ないやり方については、一向取上げる必要がないのであります。アメリカ側議員にしてみれば、一日も早くアメリカ軍日本から引きたいでしよう。アメリカの母親は子供にそれを願つておる。従つて政治家戦力なき軍隊という言葉を吐くよりも、国民全般自分の国を自分で守つてくれ、その決意を表明してくれることを希離しておるわけであります。その線に吉田内閣指導は行かないで、政治は行かないで、いたずらに戦力なき軍隊であるとか、何々会談と称する二、三の取引に終始しておる。これがアメリカ側のやり口と合うはずがないのであります。従つて池田さんが先般参りました際も、第一回会談には、向うロバートソン氏のみならず、ダレス氏あるいは陸軍省海軍省、三軍の中将クラス首脳者が来ておる。あるいは国務省、国防省の首脳者が来て二十二人も並んだ。こちらはわずかに池田氏以下六、七人の大蔵省主計局出張員みたいなものだ。この両方の陣営を見てすでに彼我の力の差は歴然と出ておる。そこで二回目から向うもあきれてしまつて日本の代表もはずかしかろうというので、その数を減らして来たという話である。第三回目の会見になつてからは、池田さんはメイフラワー・ホテルで、この経済援助をとることには壁があるということがつくづくわかつた言つて、ため息を漏らしておる。そのころから池田さんはやけつばちのような気持になつて新聞記者に当り散らしておつた。それは事実である。なぜこういうことになつたかといえば、これは国民意思を盛り上げてアメリカに対するというやり方でなくて、こそこそと姑息な手段で逃げまわろうとする態度からこういうものが来ていると判断する。先方は決して無理を言つておりません。日本経済状態が苦しいことはよく知つておる。池田さんが今までがんばつアメリカに説いて来た、これは吉田内閣アメリカに対する唯一の功績であると認めて私はよろしいと思う。向うはそれくらいの友好の態度を持つている。たとえばニクソン氏がこの間来てああいう発言をする程度まで下つて来ている。向うがそういう態度で来ておるのに対して、日本が姑息な逃げまわるような態度でいるから、向うとしては気に入るわけがない。一方西の方のドイツは何をやつておるかといえば、二年前からアデナウアーが国民に訴えて、ECAにサインして、自分の国を自分で守るということを全国民に表明しているわけです。これがアメリカ人の気に入つておるから、向うは相当の援助ドイツにやつておる。各国の例を見ると、日本とその他の国との差は歴然と出ておる。調べてみますと、大体イギリスに対しては六十五億五千万ドル援助行つておる。それからフランスに対しては四十六億三千万ドル、ドイツに対しては三十七億一千八百万ドル行つております。イタリアに対してすらも二十四億七千八百万ドル行つておる。こういうふうに西欧諸国アメリカに呼吸を合せて、軍事援助の形において経済援助をかなりとつておる。二年前にドイツはこれをやつて、その間に労働者の住宅をつくり、工作機械を入れて、遂に台湾や朝鮮においてまで日本激安を駆逐するというまでに国力が回復しておる。しかるに吉田内閣は、この二年間アメリカから逃げるに汲々としておつて、堂々と対抗してドイツやあるいはイタリアがやつているように、向うとかけひきあるいは交渉をして援助をとるということには何ら手を打つていない。これが今日のドイツ日本の差を歴然とつけたのだと私は思う。従つて池田さんが前と同じ線でやつたつて話が合うわけがない。波長が合わないからダイヤルをまわしてもラジオの音が出ない。これが今日の結果であると思います。池田ロバートソン会談共同声明の結果を見てごらんなさい。御存じのように大体三つのことをみやげにしておる。まず第一は小麦の五千万ドル援助です。これは何であるかといえば、今年の六月からすでに日本向うと話し合つて話が大体できておつた。九月十七日の新聞にちやんと出ておる。大使館との間に話ができておる。池田さんが行つてできて来たものではない。六月から話が始まつて、何回も再三催促して九月に話がまとまつて来たものではないか。決して池田さんがやつたのではない。しかし池田さんが行つてみやげがないから、あれができておるからあれをおれのみやげによこせと言つて横取りした。これが小麦の結果です。あるいは火力借款の問題にしても、ああいう屈辱的な条件をのまざるを得ないという情勢になつておる。あるいは綿花借款の問題にしても、これも毎年やることで大したことではない。現にアメリカではすでにグレインが一千万トン余つておる。綿は一千万トン余つてつてやり場がない。こんなものが来るのはあたりまえだ。わが方が獲得したというものはその程度のものです。そのかわりに二十億ドルの勘定書が突きつけられておる。これで成功したとは私は思えない。外国の例を見てみますと歴然とわかる。日本人は外のことはわからないから、スペインがどうした、イタリアがどうした、ドイツがどうした、フランスがどうした、そういう国際的水準でこれを見なければならぬが、この点からいえば明らかに失敗である。特にMSAの問題についてみますれば、大体本年度英国がどれくらいとつておるかといえば二億九千五百万ドル、フランスでは三億一千七百万ドル、イタリアですら三億七千五百万ドル、ドイツは三億一千六百万ドル、スペインですらも、特にジブラルタルその他の問題で協定をやつて九千百万ドル、約一億ドルのものを今年とつておる。日本は何ですか。日本はまだこれからMSA協定をつくつてやろうとしておるが、かりに一月、二月にできても、日本会計年度は三月しか残つていないじやないか。とても三億ドルとるなんてとれるものではない。二、三千万ドルだつてとれるものではないと考える。こういうふうな各国水準から見ますれば、わが日本やり方各国からはるかに遅れておるかということがわかると思います。  もう一つ大事な問題は、準備不足です。大体ワシントンにおる各国在外公館は、こういう目的のために全力を振つて活動しておる。そのことは愛知大蔵政務次官がちやんと新聞でこう言つておる。「これらの援助を受けている国々は、ちようど地方公共団体が東京に出張所を設け、陳情や予算編成にいろいろ動いていると同じように、ワシントンに出先を設けて、MSA援助をめぐる折衝に頭を痛めておる」と言つておる。まさに大蔵省に対する予算ぶんどり要求と同じなんだ。一番働いておるのはだれか。朝鮮大使である。彼はロバートソンと同級生で、そうしてあらゆる活躍をしております。たとえば軍資金として相当のプレゼントをしても、一億ドルとれば得だということを公然と言つておる。某国の大使は、軍人の奥さんの誕生日を調べておいて、前の日にちやんとダイヤやプラチナの指輪を持つて行つて、そういう奢侈品まで出してやつておる。しかし日本はどうかといえば、何もしておらない。何もしておらぬどころではない。アメリカが予定をしてわくをとつておいたにかかわらず、やらないという状態になつておる。MSA経済援助がいらぬというのなら別ですよ。社会党左派の諸君みたいにいらないというなら別だ。しかしあなたは軍事援助は別にして、少くとも経済援助は必要だと言つておる。必要だというなら全力を尽すことが国民に対する責任です。やつてないじやないか。池田さんにしても、大蔵大臣として昨年メキシコシティの会議行つてこういう状態を知つておる。彼がほんとうの愛国者なら、帰つて来て吉田さんに国策の転換を説いてやらなければならぬ。それをやらなかつたということは自分の地位がほしいから、ワンマンに怒られるのがこわいからやらなかつたのかもしれない。吉田さんもそういう報告を聞いたかどうか知らないが、ここにそういうような問題がある。経済援助予算をもらいに行つても今年はもうない。すでに二、三年前からとつておるが、日本が申し出たときはない。池田さんが行つたのは来年の問題でしよう。来年はどうかといえば、アメリカ経済は全部下降です。自動車は余つて来ておるし、月賦信用は最大限まで出ておるし、小麦その他も余つておる。来年の国会議員の選挙で共和党は何で闘うかといえば、減税で闘う。減税で最初に切るのは軍事援助費である。海外援助費内政費は切れるものではない。そうすれば今ごろ池田さんが行つたところで何ら成果がないということは当然予見されておる。今日吉田内閣がこういう状態に陥つたということは、まつたく対米情勢判断誤りから来ていると私は思う。この責任はきわめて重大です。吉田総理大臣は対米情勢判断誤りがなかつたかどうか、この責任をいかに思うか、お答え願いたいと思います。
  8. 吉田茂

    吉田国務大臣 私の対米判断間違つておるか間違つておらないかは、これは今後が証明すると思います。私の対米情勢判断間違つたというあなたの御意見は、かつてにお考えになればいい。
  9. 中曽根康弘

    中曽根委員 なぜ間違つていないかということをあなたはここでお答え願いたい。私は以上のような理由を申し上げて、間違つておるのじやありませんかとあなたにお尋ねしている。間違つていないという理由をここでどうぞお答えください。そうすればはつきりいたします。
  10. 吉田茂

    吉田国務大臣 間違つておるかおらないかは、今後の事実が証明いたします。ここでもつて口先で議論すべきものではありません。問題は事実であります。今後の事実がどうなるか、それでわかります。
  11. 中曽根康弘

    中曽根委員 それでは今後の事実はいかなる事実が起るか、ここでお答え願いたい。
  12. 吉田茂

    吉田国務大臣 事実が現われた上であなたの納得の行くような事実が必ず出ると思います。
  13. 中曽根康弘

    中曽根委員 ではいつその事実が現われるのですか。
  14. 吉田茂

    吉田国務大臣 そんなことはわかりません。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員 私はそういう無責任言葉を一国の総理大臣からお聞きすることを、日本国民の名前においてきわめて遺憾に思います。ところがふしぎなことには池田さんはこういう発言をまたしておる。ニューヨーク日本人商工会議所のパーテイで、池田さんはバトラーにも匹敵すべき人だと実際言われた。そうすると、私はバトラーより俸いのだ、日本のインフレを収めたのは私であつてバトラーは私に聞いたくらいである。そのときに実際こう言つている。実は今度は何ら外資導入とかそういうことはできなかつたけれども、日本は今十億ドルの手持ちの外貨を持つているのであつて、いまさら外資なんてそうはいらないのです。吉田総理は四年前に私の言つてつたことをまだ言つているだけなのです。こういう恐るべきごとを言つた。ところがまた愛知大蔵政務次官はどうであるかといえば、この程度援助では予算会議におもしろくないと言つてMSAなどいらないというような口吻を漏らしておる。外資導入ということは吉田内閣の一枚看板であつた。しかしこの一枚看板に対して前大蔵大臣たる者が、こういう発言をして吉田内閣政策に対して混迷疑惑を与えておるのです。吉田内閣総理大臣はこの事実を知つておられますか、いかがでありますか。
  16. 吉田茂

    吉田国務大臣 新聞報道については私は責任を持ちません。
  17. 中曽根康弘

    中曽根委員 新聞報道ではない。ニューヨーク日本人商工会議所歓迎パーティでそれを言つたのです。私は出席した人から直接聞いたのです。従つてあなたは当然池田大蔵大臣を召喚してお取調べください。もしそうだとしたら吉田内閣政策に反することを堂々と言つたのでありますから、厳重に自由党内で処罰すべきであります。このことをぜひ私に対してお約束願いたい。もししないと言うならば、今までの一枚看板がうそであつたということになりますが、いかがでありますか。
  18. 吉田茂

    吉田国務大臣 池田君の話を聞いてからお答えいたします。
  19. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま総理大臣がお答えになりましたように、対米情勢判断誤りがあつたその結果、日本ドイツその他と比べて二、三年遅れてしまつた。しかも前閣僚が海外行つてこのような無責任な放言をして、内閣の一枚看板というものに国民疑惑を持たせるようなことをしておる。これが今日の吉田内閣の結果であります。そういう中にあつてどうして新木大使が動けますか。各国大使は、国策が確立しておつてその国民の支持を得て、従つてあらゆる機能を勅員してMSAその他の外交活動をやつておる。日本国策がきまらない、何回電級を打つたつて返事が来ない。従つて在外機構というものは麻痺しておる。その中で新木大使は動けるはずがないではありませんか。国策を確立して、ああせい、こうせいというならばやれる。それもやらないで新木大使を無能呼ばわりして、本人が帰つて来て辞表を出すというときに、岡崎外務大臣は一体その辞表を受取る資格があるのですか。辞表を出すべき者は岡崎さんであつて新木大使ではありません。国民の前に対してあなたは辞表を出すべきである。岡崎外務大臣はそんなめがねなんかいじつていないで、まじめに聞きなさい。どうか私のこの所見に対して、いかなる答弁をするか、お答え願いたいと思います。
  20. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 日本国策はいろいろありますが、お話のような点については、防衛力の漸増ということについてはもうはつきりした政策を打出して、これを在外公館にも知らしてあります。御心配のようなことはちつともありません。
  21. 中曽根康弘

    中曽根委員 在外公館に知らしてあるなら、なぜ新木大使は活動しないのですか。なぜ池田さんなんかやる必要があるのですか。やつていないからこそ池田さんをやつておるのではないか。新木大使が無能で使いものにならぬというのでやらせないというのならこれは別です。しかし総理大臣が選任されてアメリカ派遣した人でありますから、そんな無能な人とは思わぬ。結局自分責任というものをすべて新木大使に帰せしめて逃げようというきわめて遺憾な態度であります。  私はいろいろと申し上げたいと思いますが、時間が来ましたから最後に一点だけ総理大臣に伺いたいと思います。今のような状態で今日の政局の混迷日本の行き詰まりというものは、吉田さんの責任に帰するところがきわめて大きいと思うのであります。先般来見ますれば、救農国会でもあれだけの冷害を受けた農民を救うことすら気がつかないで、野党から言われて初めて政府が腰を上げる。これは国民の生活を見ておる政治指導者である総理大臣の大いに恥としなければならないところであると私は思う。災害の問題でもそうです。いわんやこの自衛軍をつくつて憲法問題を乗り切つて国民の意気を沸き立たせて対米交渉をやるなんということは並々ならぬ努力を要します。私は自衛軍をつくるということは、単に自衛軍をつくることだとは思わない。今までわれわれはアメリカから保護されていたから、沖繩の問題も、戦犯の問題も文句は言えなかつたかもしれぬ。しかし自分自分自衛軍をつくつて自分で守るということを言い出した瞬間に、戦犯はすみやかに釈放さるべきである。沖繩の問題も解決さるべきである。そういうふうに日本が今までポツダム宣言やあるいはサンフランシスコ条約下の制約から解き放たるべきチャンスに——アメリカはその潮どきに来ておる。ニクソンをしてあれだけの発言をさせておる。そういう意味においては、私は一つの転換期だと思う。だからこそ昨日申し上げた。従つてそういう重大なる時期に、今のような吉田総理大臣態度をとつて事態を前進せしめないならば、日本は永久に韓国の李承晩大統領からばかにされ、四等国に沈淪しなければならぬ。これは日本民族の名において私は吉田内閣総理大臣に厳重に申し上げなければならぬことです。このような大事業を控えて、吉田さんにこれを乗り切るだけの体力、気力があるか。私は遺憾ながらないと思うのです。今こそ吉田さんは、自分で仕事をやるというお考えのほかに、各政党の力を結集するということをまず第一にお考えになるべきです。吉田さんは力のある愛国者であります。しかし個人の力には限度がある。各政党政派の力を結集するという方がはるかに大きな力になるのです。そういう意味において吉田さんは、今や外遊でもなさつて各党各派の結集をする捨石になる時期が来ておると思うのでありますが、そのような御意思はありませんですか。
  22. 吉田茂

    吉田国務大臣 保守政党は結集いたしまして、改進党も加えて結集して、この時局を乗り切ろうと考えております。
  23. 中曽根康弘

    中曽根委員 吉田総理大臣がそういう言葉でやつておるうちは、断じてわれわれはそのようなことはやらない、断じてやらないと思う。もう一回吉田総理大臣に伺いますが、しからば吉田総理大臣はこの時局を収拾するために、自分捨石になる御意思は全然ないと解釈してよろしゆうございますか。
  24. 吉田茂

    吉田国務大臣 御解釈は自由であります。
  25. 小峯柳多

    小峯委員長代理 中曽根君、もう申合せの時間であります。
  26. 中曽根康弘

    中曽根委員 吉田総理大臣がそういうふうに強気で、おれがいなければ日本はだめなんだ、おれがいなければとこうお考えになること自体が、もう年をとつた証拠です。日本は生成発展しなければならぬ。まわりの国を見れば、ニクソンは四十歳です。マグサイサイ・フイリピン大統領は四十五歳です。毛沢東は幾つですか。日本を取巻くあらゆる国々は若々しい国になつておる。日本だけは七十四、五歳の老宰相をかかえてまだ沈淪しておる状態である。私は今こそ吉田総理国民のために善処することを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  27. 小峯柳多

    小峯委員長代理 昨日の改進党及び日本自由党委員、並びに社会党両派委員よりそれぞれ政府に対して、昭和二十九年度予算骨格を示すよう中入計委員長を通じて提出されましたが、これに関し政府より発言を求められております。この際これを許します。小笠原大蔵大臣
  28. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 昭和二十九年度予算編成骨格を示されたいという御要望でございますが、明年度予算につきましては目下鋭意検討小でございまして、まだ具体的に詳しく数字を申し上げる段階には達していないので、この際としては、私の大体の心組みを申し上げまして御参考に供したいと存ずるのであります。  まず昭和二十九年度一般会計歳入の見積りにつきましては、国民所得をどの程度に見るかという点が問題でございますが、本年度に比べまして約六%程度増加するものと見込まれるのでありまして、約六兆二千億見当ではないかと見込んでおります。この場合に租税の自然増収をどれくらいに見積るかという問題が起るのでございます。これは目下慎重に検討しておりますが、直接税、間接税及び専売の益金を通じまして大体七%程度の増加が見込まれるのじやないかと思われるのでありまして、そういたしますと、昭和二十八年度当初予算に比べまして一千億円を若干上まわる金額が見積られるのではないかと考えております。その結果、明年度の財源総額は一兆七百億円程度となるのであります。本年度の予算補正後の予算額が一兆二百七十二億円であることは、昨日申し述べた通りでございます。  それから明年度一般会計の歳出予算の各省各庁からの要求額でございます。これは防衛関係費、対外債務処理費の二つを除きまして合計いたしますと一兆八千七百億円になつておるのでありまして、これに防衛関係費とか対外債務処理費をかりに本年度と同額として加えましても、二兆円以上に達しておるのであります。そこで目下これを鋭意検討しておりまして、事務当局で日夜作業を続けておる最中でございますが、私の心組みといたしましては、できれば本年度補正予算後の規模程度にいたしたいと考えておるのでありまして、このことは昨日も本年度の補正予算後の規模程度にとどめたいというお話を申し上げた通りであります。かようにいたしますと、若干の減税を行い得ることにも相なりますので、税制調査会の答申にもこたえ得るかと考えておるのでございます。但し一部、たとえば源泉所得者とかあるいは小額所得者あるいは法人等に対する減税等を行いますれば、他方新しい税を盛るとか、奢侈税、消費税で若干増税を見るものもあろうかと思いますが、通じましては、若干減るくらいに考えておるのであります。  それから達観的にこれもひとつ申し上げますと、明年度において当然増加を予想される経費がございます。確定的なもので申しますと、恩給費が二百二十億円ぐらいふえると思います。それから連合国財産補償費が百億円、給与改善費が四百四十億円程度になります。但しこれは昨日ちよつと申し上げましたが、ほかの方の分の所得税のはね返り等が見込まれますので、純増としては大体二百億円程度でございます。それから外航船の利子補給額が五十億円、こういうものは確定的でございます。そのほか防衛費も若干増加いたしましよう。賠慣費も、話合いによりますが、少し増加するのではないかと思います。それから災害復旧費、治山治水費、これは公共事業費等とあわせて判断いたさなければなりませんのでどの程度かわかりませんが、こういうもの等をいろいろ達観しますと、大体一千億円以上に達するというごく達観的な見通しが出て来るのであります。以上のうち、防衛関係の諦費用につきましては、基本となる諸条件について鋭意検討中でございますが、その決定と並行いたしまして明年度予算の具体的内容を定めて参りたい、かように考えておる次第でございます。いずれにいたしましても歳出総額を本年度補正後の規模程度に圧縮するためには、既定経費につきましても相当思い切つた削減を必要とする次第でございまして、これがために中央、地方を通ずる行財政の整理、公共事業費及び補助金等につきまして根本的再検討をすること、財政投融資の効率化によりまして財政投融資を若干節減する、そのほか一般諸経費の節約、こういうことを強力に実行いたしたい考えでございます。  なお経費の配分についてもその骨格を示せというお話が昨日ございましたが、以上申し上げたような次第で、まだ各費目の具体的数字を申し上げる段階に至つておりませんので、ただいままでのところにつきまして、御参考までにこのことを申し上げた次第でございます。  なおごく概括的に昭和二十八年度はどうなつておるかということをあわせて御参考までに申し添えておきますと、予算規模が一兆二百七十二億円、歳出の防衛費が一千二百三十三億円、社会保障費が七百三十六億円、公共事業費が六百八十四億円、食糧増産費三百六十一億円、災害復旧費が八百三億円、教育文化費が一千三十億円、これには義務教育費の国庫食担金五百九十四億円を含んであります。     〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕 民生安定費が軍人恩給を含めまして六百九十六億円、地方財政費が義務教育費の五百九十四億円を含めまして一千九百七十億円、財政投融資が一般会計の分四百七十一億円を含めまして三千三百八十九億円、一般行政費が二千七百三十二億円でございます。そのうち人件費が千百七十九億円と相なつております。それから歳入の部について申しますと、租税又び印紙収入が七千五百六十七億円、専売納付金が一千五百八億円、その他が一千百九十七億円、これが補正後の昭和二十八年度の予算骨格でございます。御参考までに申し上げておきます。
  29. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 青野武一君。
  30. 青野武一

    ○青野委員 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和二十八年度の第二補正の内容について質問したいと思うのであります。  最初に総理大臣にお尋ね申し上げたいと思いますが、三公社五現業の仲裁裁定に端を発して、今日非常に緊急な事態を招集しております。第十七臨時国会は御承知の通り十日間開かれたのでありますが、ちようど本日から三十一日前の十一月二日の臨時国会の本会議に仲裁裁定が提案をせられまして、その節は裁定を実施することが不可能である、公労法第十六条によつて資金上予算上支出不可能という立場をとつて、不承認の議決を求めて参りました。そのときは財源が全然なかつたのかどうか。ところが一箇月たつて、今開かれておる臨時国会では、八月から裁定の実施をするのを五箇月ずらして、来年の一月からこれを実施するという予算措置が三百五億のこの補正予算の中に出されて来たのでありますが、前の臨時国会のときには財源の見通しが全然なかつたので、予算上あるいは公社の資金上見込みが全然なかつたという立場をとつて不承認の議決を臨時国会に求められたのかどうか、この点がいまだに私どもは疑問のままに残つておりますので、これをひとつ最初にお聞きしたいと思います。
  31. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 かわつてお答えを申し上げます。ただいまお話の十七臨時国会の際に三公社五現業の仲裁裁定につきまして、予算上資金上不可能であるという理由でもつて国会の御議決を求めたという点について、いささか誤解があるようでございますから、この際明らかにしておきたいと思います。  あの際青野さんは不承認の議決を求めたとおつしやいましたが、そうではないのでありまして、あの際の予算総則におきまして、給与総額が第八条に書いてございます金額を上まわる、従つてあの予算上はできない、従つて国家の最高機関であるところの国会の御審議を煩わしたい、こういう意味で提出したのでございます。しかし提出はいたしますが、政府といたしましては仲裁裁定を尊重いたしますから、その建前上できる限りの努力をいたしたい、こういうことを申し上げておつたのであります。その政府といたしまして鋭意努力いたしました結果、今回予算に、ただいまお述べになりましたような、一月から裁定を実施する、あるいは人事院勧告を一月から実施するという内害の補正予算を提出いたしまして、その範囲において政府予算上資金上可能と考え従つてこの点について御議決を賜わりたい、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  32. 青野武一

    ○青野委員 私は昭和二十四年の第一回の国鉄あるいは全専売の裁定のときから多少関係を持つておりますので、いまだに記憶をしております。今労働大臣の答弁によりますと、予算総則の給与総額が上まわるからいけない、こういうことで出したが、では昭和二十四年やはり吉田内閣のときですが、昭和二十四年の第一回の仲裁裁定のときには、この予算総則の給与総額というものは全然決定されておりません。そのときはそういうものがない、いわゆる給与総額を上まわるという口実を最近の仲裁裁定では常に政府側は使われておりますが、一番最初の裁定のときにはこういうものがなかつた、そこで公労法第十六条の予算上質金上支出不可能である、この一点張りで多数決で押して参りまして、いまだかつて完全実施をしたことは今日までありません。ところが今度はそれも口実になりますが、予算総則給与総額を上まわるということを口実にして、遂に今回も五箇月間のずれができたのですが、これは各公社の経理内容を詳細に検討して、五箇月間はどうしても出せないという結論に到達したのであるかどうか、これを重ねて聞いておきたい。
  33. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 従来からこの問題について深い御造詣のある青野さんでありますが、この公労法というものの建前からいたしまして、現在のような立場をとる方がよかろうという国会のお考えもあり、公労法がそのようにかわつて来たのであります。従いまして政府としましては、公労法に忠実な建前をとりますれば、御承知のように裁定がありまして十日以内、あるいは国会が開かれておりましたら国会開会後五日以内に、国会に提案しなければならないのであります。しかるに印刷、造幣等につきましては、前国会の開かれる直前に裁定が下つたような次第でございます。そこで前段に申し上げたような国会の御審議を賜わりたい、こういうことで先般は出しておつたのでありますが、その後検討いたしまして、政府から進んで補正予算を組みまして、仲裁裁定の内容につきまして、現状において可能なる限りの最大限の努力を払いまして、ここに内容の御審議を煩わしておるわけなのであります。今回のように政府が率先してこういう裁定の予算を組みましたことは従来の例ではないと思います。また今回が初めての例ではなかろうかと思います。なお従来全然裁定を実施したことがないというお話でございましたが、御承知のように、ただいままで十回裁定が出ております。そのうち一回は団体交渉に関するものでございましたが、他の金額に関する九回のうち五回は完全に実施いたしております。
  34. 青野武一

    ○青野委員 私は不幸にして今まで完全に実施されたことは記憶しておりません。それは意見の違いでありますが、私はここでもう一ぺんお聞きしたいと思いますことは、国鉄とか、郵政関係は来年運賃や料金の値上げをすることを前提にして、まだ詳細な具体的なものは発表されておりませんが、そういう含みで国鉄とか、郵政はやはりこの裁定ににらみ合せてこの程度にきめられたのかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  35. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 これは財政当局あるいは所管大臣からお答え願つた方が適当ではなかろうかと存じますが、私の承知いたしております限りにおきましては、やはりこの一月からの裁定の実施ということに伴いまして、国鉄あるいは郵政等におきましては非常に経験が困難になる。しかしそれをどう持つて行くかということにつきましては、でき得る限り値上げというものは避ける方向に持つて行きたいが、植上げもあるいは予想せられるほどに会計が困難ではなかろうか、こういうふうに承知をいたしております。
  36. 青野武一

    ○青野委員 私は重ねてお尋ね申しますが、内閣統計局の本年七月の勤労者世帯家計調査というものを見てみますと、世帯主の大体の平均の収入は二万六千二百十九円。その二万六千二百十九円に対して支出が三万一千四百五十円、差引赤字が五千二百三十一円、これは政府機関の発表であります。昨年の七月に比べて収入の点で五千八百四十二円はふえる、しかしこれに伴つて支出が同じく八千九百八十一円ふえる、だからその間はやはり三千円ほどの開きがある、従つて赤字が三千百三十九円に増加しておる、これは内閣統計局の本年の七月の勤労者世帯家計調査である。こういう点から考えてみますと、消費物価は非常に上昇しておることはこの数字をもつても明らかであります。この今度の人事院の勧告の給与もまた三公社五現業の裁定も、これは八月から実施しなければ、物価引下げの対策も何もなつておらない、私どもはこの三公社五現業及び公務員の仲裁裁定と人事院の勧告を、完全に八月から実施することを当然と考えておりますから、この政府の不誠意に対して、私どもは多少不満を持つておるのであります。今問題になつて新聞をにぎわしております労働攻勢の結果、実力行使を含む遵法闘争あるいは現整闘争、賜暇戦術、おととい、きのう、きようで三日三割の賜暇戦術をとつておりますが、責任者の発表を新聞で見ますと、本部指令は三割の賜暇戦術を指令したが、実際は下部においては一割五分程度しかやつておらない、こういうことを言つておるのであります。また本日の毎日新聞を見ますと、行き過ぎは断平取締る、これは最高検の方針でありますが、小坂労働大臣はこれは明白な公労法違反であると言つております。私は公労法違反であるかどうかは、これはその筋におまかせいたしますが、小坂労働大臣が公労法の違反だということをここに言つておることは事実であります。私はむしろ政府側が公労法を蹂躪して来ておるから問題が起つて来たのだと考える。この点どうですか。
  37. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 消費支出の増加等についてのお話がございましたが、これは毎勤の統計で見ますと、実質賃金は昨年の九月の統計で見ますと、昨年の九月に比べて一二・三%増加しております。政府といたしましても、でき得る限り公務員の諸君の生活の内容をゆたかにするということにつきまして、意を用いておるつもりでありますが、はたまた減税等の措置を、ただいま大蔵大臣が二十九年度の予算に関連して話されましたように、措置をいたし、またインフレを防止するという観点から非常な努力を傾けておる際であります。ただいま後段にお話のございました公労法の扱い方についての所管大臣としての私の談話でございますが、これは法律がどこまでが適法であり、どこまでが非合法であるかということを明瞭にいたしておきますことは私の責任であると考えます。すなわち新聞等において御承知のようなピケ・ラインを張るということは、これは争議行為の一手段としてのピケ・ラインでありまして、このピケ・ラインを張るということは、すでに公労法におきまして争議行為を禁止されておるのでありまして、それを御存じなくて張つておられる方があると思いますから、これは非合法、不当である、こういうことを申しておるのであります。また賜暇戦術等につきましても、御承知のように業務の正常な運営を国民の信託を受けてしておられるのが公労法の諸君でありますから、当然上長の許可を受けて、業務の正常な運営に支障を来さざる程度の賜暇を与えられるべきものでありまして、それを越えて、不当に国民の信託にそむくような行為をなすことは非合法である、こういう私の見解を申し上げたのでありまして、このことにつきまして良識ある組合員各位の御協力を期待しておる次第であります。それから政府が公労法に違反しておるじやないかというお話でございますが、これはもう委員会におきましても、あるいはまた本会議におきましても、たびたび申し上げておりますように、政府は公労法の十六条並びに三十五条の解釈におきまして、適法に適正に措置をいたしておるのでありまして、こうも法律に違反しておるという事実はございません。
  38. 青野武一

    ○青野委員 私はずつと以前の労働委員会で、まだ小坂氏が労働大臣になつておらぬときでありましたが、こういう意見を申し上げました。公共企業体等労働関係法というのは、日本の公務員はまむしではないか、こういうものを野放しに置いておつたのでは、占領政策が十分に行かないというので、総司令部の諸君がいやおうなしに日本に書簡を送つてこれをつくつた。いわばこれは占領政策の遺物であります。少くとも日本の行政の重要な箇所を担当しておるこの三公社五現業、国家公務員の諸君が無理解な行動をとるはずはございません。これは占領政策の遺物であるから、独立を形だけ闘い取つた今日、いさぎよくこれを廃案にしたらどうか。そうして憲法で保障せられておる団体交渉権、罷業権を適用して、そしてそこは平和的に話し合つて、賃金問題その他労働問題解決のために双方が努力して行けば、こういうものは無用の長物ではないかと言つた。しかも争議権を憲法で認めて、外国の口添えで、命令で単独立法でこれを押えつけて、しかも争議権を奪う。争議権のない団体交渉権なんというものはバケツに穴の明いたようなものであります。こんな団体交渉権なんというものは意味がありません。特に経団連を主軸とする日本の産業資本家なんかは、最後のとことんまで力と力の争議行為をやらなければ負金問題というものは片づきません。それを一方では公労法によつて争議権を奪つてこれを縛り上げておいて、政府は強力な力によつて常にこれを拘束している。公労法の三十五条は、明らかに仲裁裁定が下つたときは、これは最終決定として当事者双方は無条件に服従すべしということが書いてある。この三十五条は争議権を奪つたかわりの条文なんです。仲裁裁定で決定したものは争議によつて闘い取つたものと同じである。それを仲裁裁定が出ると、今までの全専売にしても、国鉄にしても完全に実施せられたことを私は記憶しておりません。今度もひどい。この前もそうだ。八月からの実施を三箇月ずらして十一月から、こういうことをこの前もきめられた。今度は五箇月ずらしておる。三十五条が公労法の精神である。それを無視し、自分たちの内閣でつくつた公共企業体等労働関係法を蹂躪し、自分たちが法を無視しておいて、三日の賜暇戦術、この遵法闘争が何が悪いのか。自分たちのつくつた法律を無視し、裁定を全然無視しておいて、こういうようなかつてなことを書くから、問題は紛糾して行く。鏡のように澄み切つている池の上に石ころをほうり込んでごらんなさい。大きな波紋を描く。食われないから日本の公務員の諸君も、三公社五現業の諸君も、自分たちの生活権防衛のためにやつておる。私どもはそのやつておることが法律に違反する点については賛成することはできませんけれども、この心情は同情すべき点があると思う。それを頭から公労法違反である、禁止条項があるのだ。自分たちは何だ。裁定を完全に実施しないじやありませんか。私はこの点についてもう一ぺん労働大臣のお答えを願いたいと思います。
  39. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 先ほどのお話の中に、またただいまのお話の中に食えないというお話がございました。数字をあげて言われましたので、私も数字をもつてお答えいたします。これはやはり総理府統計局の家計調査によるものであります。本年の七月におきまして、労働者の家計は実収入二万三千二百十四円、実支出二万一千六百六十七円……。     〔発言する者多し〕
  40. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 静粛に願います。
  41. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 すなわち千五百四十七円の黒字になつております。職員の場合は一千匹百八十四円の黒字、総平均で見ましても一千五百十円の黒字になつておりまして、赤字であるというのは何かのお間違いではなかろうかと思います。  なおこの公労法の解釈についていろいろお話がございましたが、公労法の三十五条を非常におつしやつたのでありますが、法律の各条章というものは、御承知のように独立して存在するものでありまして、十六条にもまた三十五条にも、いずれを重しとし、いずれを軽しとする径庭の根拠はないと思うのであります。政府といたしましては公労法の全体を平明に、お話の池の面のごとく澄み切つた気持で読んで、その通りにやつております。  なお憲法の保障する労働基本権のお話もございましたが、二十八条にございます労働基本権は、それと同時に、先般も申し上げたことでございますが、十二条、十三条もやはりお考えになつていただきたいと思うのであります。すなわちそうした争議行為というものも、やはり単独に無制限に存在するものでなくて、公共の福祉を擁護するために存在する、また公共の福祉に反してはならないということでございまして、こうしたものはすべて全体を読んで、その中にある意味を平明にくみとつて、特殊の目的のために利用して法を読むということは、私どもとしてとらないところでございます。
  42. 青野武一

    ○青野委員 私は憲法抵触、公労法の三十五条について特に力説しておりますが、これはスト規制法の際に、日本でも有名な労働学の大家、各大学の先生あたりが言つておる事柄の中に、労働はその個人の自由意思である。公共の福祉であろうとなかろうと、民主主義の基本理念は、子供でも、今生れた人でも、八十の年寄りでも、生きている人間の基本的人権を尊重するところに民主主義の礎がある。そうすると、生きている人間が生活のために自分が労働するという意思があるから働くのである。意思のないところにそれを強制する力は、民主主義の時代には大体にないのです。そういうことで私どもは、この公労法が常に争議権を奪つて、一方的に裁定を無視している、こういう点が不可解であります。  そこで私は一言ここに——運輸大臣おいでになりましたか——。長崎総裁おいでになりますか。
  43. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 おります。
  44. 青野武一

    ○青野委員 私は一応裁定のうちの国鉄に関することをお尋ね申し上げたい。  国鉄の経理内容が非常に弱体化しておる原因は、終戦後八年間に私の記憶するところでも約九回値上げが行われたと記憶しておるのでありますが、この国鉄の経理内容が何のためにこんなに弱くなつておるか、働いておる四十五万の職長諸君の裁定を実施することもできないような経理の内容は、一体どういうところに理由と原因があつたか、これを私は聞きたいと思う。
  45. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 お答えします。国鉄が今収入と支出とを比べまして非常に苦しい状態であるというのはどこから来るかと申しますと、こういう公共企業体の性質からいたしまして、通貨の値上げをできるだけ押えて来たということが、一つのはつきりした大きな問題だと思います。物価指数の上り方等を見ましても、またほかのいろいろな物資では、世界の先進国と比べまして、大概日本の方が高いというようなくらいの状態になつておりますが、運賃だけは日本が世界で先進国に比べて一番安いと思います。昨年も二割五分くらいな通貨の仕上げを国鉄は求めておりました。ベース・アップにその中から出すのであるし、また改良工事もいたしたいというようなこと等のために、二割五分を求めておつたのでありますが、これは経済、社会に及ぼすいろいろな影響を考えまして一割にとどめたというようなことが、非常に苦しくなつて来ておる原因でございます。
  46. 青野武一

    ○青野委員 重ねて石井運輸大臣にお尋ねいたしますが、その苦しいのは独立採算制になつたから苦しいというのではなくて、特にアメリカの飛行機によつて爆撃を受けて日本の鉄道は非常にいたんだ。それを国家がほかの補助金のように補助をせずに、国鉄の自己資金でこれをまかなわしておる。たとえば最近十三号台風その他風水害によつて国鉄全体は——個人の被害は別です。施設、鉄道その他重要な国有鉄道関係で約九十億円の損害を受けたが、これは四十五万の国鉄の職員が働いてせり出して来る収入でまかなえ、ほかの補助金は政府がまかなう、国鉄の風水害による損得九十億は、お前たちがかつてに働いてもうけた金でそれを支払つて自分で復旧して行け、こういうところに私は無理があるのじやないかと思うが、これは事実ですか。
  47. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今度の予算書をごらんくださいますとそれがわかると思うのでありますが、災害が百億以上に及び、本年度支払うべきものが八十数億に上るのでありますが、これらのもののためには、かねて災害が起つた場合のために予備金というものがあるが、予備金の中から一部出し、鉄道新線の建設を多少繰延べまして、そこから一部の金を出し、昨年ベース・アップと運賃値上げとの間に時間的ずれがありましたために、三十億円の政府の金を借りておるのであります。これを今年払うことになつておりましたものを、今度は繰延べさしてもらつて払わないというようなこと等によりまして、災害の費用は出すことになつておるのであります。一方自然増の利益がありました。これは従業員の働きもその中に多分に含まれておると思うのであります。この金と、それから節約をいたしましたものが相当あります。石炭代が安くなつた等々であります。そのほかの収入等を合せまして、これらのものでベース・アップの問題、年末手当の増というようなものをまかなうというような手順に考えておりますので、決して今度の災害はみんなの働きの中の渡すべきものを取上げてやるというような形にはなつていないのであります。
  48. 青野武一

    ○青野委員 運輸大臣は世界の文明国でも日本の鉄道が一番旅客運賃が安いと言われた。あるいはそうかもわかりません。私は国鉄の運賃を昭和十一年に基準をとつて資料を集めてみましたが、これはあるいは正確でないかもわかりませんが、戦後の物価の騰貴率が大体三百二十一倍。この三百二十一倍に対して国鉄の一般の旅客は百三十五倍になつておる。最高の貨物でさえ百六十二倍で、物価の騰貴率に比べて約半分であるという点は、数字の上で証明されております。それから国鉄の資産が大体一兆五千億円、それから軌道の日本内地全体の総延長が三万四千キロ、国鉄の営業キロが、本年八月現在で、鉄道、自動車、船舶三つを合計して二万八千七十六キロ、そういう経理と実際の運転をやつておるのでございますが、その旅客だけについて見ますと、乗車人員は、この統計から見ますと、昭和十一年当時に比べて大体三・三倍に増加しておりまして、一般物価の騰貴率をはるかに凌駕する数字が出ております。ところが施設の面においては、線路延長その他で二割五分程度の増加。設備は二割五分程度昭和十一年に比べてできておるが、人間を乗せるのは三・三倍乗せておる。その証拠にはごらんなさい、汽車の中はすし詰めだ。そうして車両も、大体終戦時に比べて非常に減少しておる。二十七年度の廃車が五千百七十両、そうして新しくつくつた車が二千二百五十両、半分にも満ちません。車を酷使をしてどうにもならなくなつた車に、幾ら新しくつくつても追いつかない。人間はたくさん乗る。そうしてすし詰めなのである。料金はなるほど安いかわからないけれども、サービスは三分の一なのである。結果から計算してみると、やはり日本は世界のうちで相当高い汽車賃を国民は払つておるという結果になるのであります。乗客は三・三倍、施設が二割五分、この程度の拡充では正常なる運営はできません。水害の費用を自己資本でまかなう、そうして苛酷な一つのわくの中にはめ込む、すべて働いてやれ、公務員その他の諸君は政府がこれをまかなうけれども、国鉄あたりはそういう形をとつておるところに不合理な経理面がある。そうかと思うと、鉄道会館の事件を引起して社会の疑惑を招くようなことをしておる。国鉄に密接な関係を持つておる者が参議院、衆議院に出るときには、陰で莫大な資金がこれに投入されておる。いろいろな経理面に対して疑惑の目が向けられておる。私は時が来れは行政監察委員会でこういう問題を取上げてみたいと思つておりますが、こういうところに無理があるから、今度の裁定が八月から完全に実施せられない原因があるのではないかと私は思うのです。この点について、長崎総裁は、こういうだらしのない経理面を責任を持つてつて行く当の責任者である。そうして一たび自分の使つておる従業員の諸君が、完全裁定を要求して三日間の賜暇戦術をとると、もう目をまわして、そうしてあつちこつち走りまわつて自分責任はそつちのけにしておいて、厳重に処罰する、今日一日は大目に見る、何を言つておるかわからない。私の調べたただいま申し上げましたこういう不合理な点だけでも、あなたの責任でこれを是正して行く義務があると思う。それができないからこういう問題を引起しておる、あなたの責任なのです、これはどうお考えになりますか。
  49. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 お答え申し上げます。国有鉄道の財政の面が、収支の間に非常にバランスを失つて行くようなかつこうになつているという点は、その通りでございますが、しかしやはり運賃はなるべく安くて、そしてサービスはいいサービスということがわれわれの責任だと考えます。ただしかし、それが極端になりますとやはりいけないのでありまして、ほどほどの運賃というのでなければならぬと考えております。また経営の面につきましても、とかく今までは国鉄というものは、独占事業であるというふうに言われて参つたのでございますけれども、今日は皆さん御承知のようにバス、トラックが非常に発達して参りましたので、決して独占ではなくなつてつております。従いましてこのバス、トラック等ほかの運輸機関とわれわれの方のやつている仕事というものは、ややバランスがとれなくなつて来た。たとえばバス、トラックでございますと、バス、トラック業者は、バスとトラックを持つておりさえすれば、その通行をする道路は全部ほかの方がつくつておるのであります。修理面もほかの人がやつておるのであります。しかるに私のところは、線路から車両から全部自分の力でまかなわなければならぬというような点において、今後私どもは大いに研究もし、また皆様方の御意見も伺いまして、それらの調整と申しますか、負担の公正と申しますか、そういう点も考えて参りたいと思つております。  なお経営の合理化についてはますます努めて行かなければならぬ点が多々あるということを私は痛感しております。
  50. 青野武一

    ○青野委員 長崎総裁にお尋ねいたします。そういう無理なことも全部私たちは自己資本の中でまかなわなければなりませんと言つておりますが、何も自己資本でまかなわなければならないことはない。緊急の場合は政府から補助金をもらつてもやれないことはない。たとえば大きな爆撃を受けたとか風水害でやられたとかいうときは、これは特別な方法で政府の補助を求めるために長崎総裁は努力すべきである。努力を怠つて泣きごとを言つても追いつきません。  最後にもう一つお聞きしますが、蒸気機関車、車両、レール、まくら木、橋梁などは、今耐用年数を越えたものが何割くらいあつて、それを金額にすると一体どれくらいになるか。こういうのもあなたたちがまかなわなければならぬことになると思いますが、それはどれくらいあるのですか。
  51. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 お答えします。これは去年の調べでございますが、蒸気機関車は大体耐用命数を二十五年と見ておりますが、四十年ないし五十年のものが全部で八%くらいあります。それから電気機関車は二十年以上が二九%、客車が三十年以上のものが一二%、電車が二十年以上ものが三二%、貨車が三十年以上のものが一九%ということになつております。この金額につきましては、古いものでございますから、いろいろ計算がめんどうでございますので、私まだ調べてございませんが、大体はさようなことになつております。
  52. 青野武一

    ○青野委員 重ねて長崎総裁に申しますが、その金額が今のところでは資料が古いからわからないということですが、これはできれば全部ひとつ書類にして、予算委員の諸君に配付してもらいたいと思います。  もう一つお尋ねしたいのは、私どもが九州から二十四時間かかつて東京まで乗つて来るのに、いつも痛感することは、非常に線路がいたんでいるということであります。それで調べてみますと、大体この線路に至つては、危険な状態にさらされているものが実に全体で一割六分に上つている。その復旧費が、大体くろうと筋に聞いてみると一千八百六十九億円を必要とする。こういうものがやはり国鉄公社のまかないとして将来に残されている。そうするとこの次に物価が騰貴した、裁定が下つたで、この裁定が出るたびに、やはり同じことばかり繰返さざるを得ない。特に経理面で私どもが疑念を持つているものは、新線の建設であります。本年度に二百五十億円の借入金を、新しく線路をつくるために投入する。ところが聞いてみると、二百五十億円の金を投じて新線をつくるのに、でき上ると一年間三十一億円の赤字が待つている。それはもうけるところばかりではないでしよう。今のような経理が弱体化しているときに、二百五十億の借入金をもつて新線建設をして、でき上つたあかつきに一年間三十三億円ずつの赤字が出て来るといつたようなばかな計画は一体だれがしたのか、この点どうなつておるか伺いたい。
  53. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 お答え申し上げます。線路のいたんでいることも御指摘の通りです。新線のお話もございましたが、私はかように考えております。なるほどヨーロッパ等の先進国におきましては、新線の建設というものは全然ございません。これは私今年の正月向うに参りまして親しく見て参り、また聞いて参つたのでありますが、ヨーロツパにおいてはもはや新線建設の必要はないのであります。しかしながらわが日本におきましては、今日なお電源の開発あるいは国土の開発というような面におきまして、鉄道を必要とする面があると私は考えております。ただその際に、国鉄はなるほど仰せの通り今の三十線が完成したあかつきにおきましては、年間三十何億ではなくて、四十億ないし五十億の損失になります。しかしながらこれは国鉄が損をするというのでありまして、日本全体としてはどつかで非常な利益があるのではないかと私は考えております。従いましてこの新線の建設ということは必要である、しかしながらこれを全部国鉄にしわ寄せをすべきであるかどうか、その点について私は今後いろいろと考えまして、また皆さんに御相談申し上げたいと考えております。
  54. 青野武一

    ○青野委員 これは吉田総理大臣にお脅ねいたしますが、今長崎総裁が御答弁になつておりますように、いろいろ国鉄の運営の上に非常な無理がある、この無理が積み重なつて、国鉄四十五万の諸君の仲裁裁定がこういうように問題を引起して来る。このまま行くと物価騰貴によつて、仲裁委員会がまた来年裁定を出しても同じことを繰返します。その翌年も同じことである。これは全専売とちよつと経理の内容が異なつている。そこでせめて六十年ぶりとか言われておる台風、その他水害によつて受けた九十億円ぐらいの打撃、九十億円ぐらいな金は政府が特別支出をして、そしてこの弱くなつている国鉄の経理を一時的に救済あるいは補助して行くというような態度をとつて行けば、この仲裁裁定のむずかしい問題を起さなくて済むのではないか。将来に大きな問題が数多く取残されている国鉄に関する限りは、仲裁裁定は三年たつても五年たつても、常に完全に実施されないという運命が横たわつておると思いますが、この点について総理大臣はどういうお考えを持つておられるか、お伺い申し上げたいと思います。
  55. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大蔵大臣からお答え申し上げておきます。本年のごとく異常な災害で、御承知のごとくに災害対策費等非常な巨額な支出を要します際でございますので、そういつた特に独立採算を企図している国鉄の方面までさような措置をとり得る財源的な余裕が全然ないのであります。しかしながら三十億ばかり預金部で融資しておりますが、その分はその返還方については、期限が来ておりますけれども、返還をお待ちする、こういう措置はとつております。
  56. 青野武一

    ○青野委員 私は国鉄の問題を一応この程度にとどめまして、ひとつ別に仲裁裁定でちよつと経理の内容がかわつております全専売の例をとつて申し上げます。全専売はバランスをとるために政府がかなり無理をしておるように思いますが、予算面ではあるいは政府がかなり困難を感じておられるかもわかりませんが、二十八年度の専売から国庫に納入いたしました予定額は、一千四百三十三億円であります。今度の第二補正で七十億円を加えて、合計一千五百三億円になります。いわゆる全専売の労働組合の三万八千人の諸君が、非常な努力と苦しみの上にこの実績を上げておる。これにいる今度の裁定の完全実施の必要額はどれくらいかと申しますと、大体完全実施の必要額が一口に言つて六億、年末の手当が一・五箇月の要求でありますから四億三千万円、生産報奨金を加えて二億二千万円、合計十二億五千万円になります。そうするとほかは別として、この専売に関する限りは、これは八月から完全実施できないと大蔵大臣は言えないと思います。これはどうでありますか。
  57. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 そういうふうに見えぬこともございませんが、一方タバコ専売等のごときは、むしろそういうものがあるなら、一層納付金を増加すべきである、こういう考え方もございます。しかし私どもの方では、その業績についての事柄は、来年度になつてから例年の例によつて考慮いたしたいと考えております。なお三公社五現業にはやはり全般的な立場から行政措置をとる必要がございまして、予算としてはどれに厚くどれに薄くということではなく、一月から裁定を全部実施する、こういうことにいたした次第でございます。
  58. 青野武一

    ○青野委員 もう一点お尋ねしますが、本年の四月から九月まで、この半年の間にタバコ販売の状況は非常に成績がよい。この間の実績を調べてみますと、販売予定額に対して約四・四%の売上げの増加になつておる。金額にして、予定額が九百九十六億二千二百万円に対して、実績は一千三十九億七千六百万円、差引四十三億五千四百万円予定額を超過しておる。四十三億五千四百万円の増収になつております。しかも年内のタバコの売上高が大体二千七億八千九百万円と予定されておる。これに対して専売労組の諸君が自分たちの過去数年間の実績によつて割出してみると、ことし一ぱい、十二月の末までにこの四十三億五千四百万円に加えて、合計八十八億の売上げ超過は確実にできると主張しておる。三万八千人の諸君がこれだけの売上げ超過をやつてみせる、現在約四十四億ある、それがかりに八十八億になると、今度の第二補正で七十億円を専売益金から繰入れを行つても、あとに十八億円という金が残る。そうすると、資金上予算上何もさしつかえない。ほかは別です。全専売に関する限りは、十八億から十二億五千万円とつて来れば、まだ金が余ります。この専売公社の二十八年度の成立予算中の予備費十四億五千九百八十一万円から、適当な費用を引いても九億円の金が残る。予備費が九億あつて、売上げ超過が八十八億のうち七十億、差引しても十八億残つている。どうしてこれで予算上質金上支出不可能であるか。八月からやらないで、一月からやるんだ。専売公社に関する限りは何といつてもこの数字が明瞭に物語つておる。これはどういうわけで専売を三公社五現業並に持つて行くか、それが私はわからない。
  59. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 先ほども申しました通り、専売局の収入等は、主として言えば消費の増加から来るものである。これに伴つての専売局員諸君の努力であります。努力については、その翌年に至つて業績等についての賞与の問題も考えられます。しかしながら三公社五現業とも行政的措置として、私どもは同様に扱うことが適切であると考えておるので、さような措置をとつておるのであります。
  60. 青野武一

    ○青野委員 国鉄、全電通、全専売の三公社、造幣、全逓、全印刷、全林野、アルコール売専、これの現行ベースと、組合の要求と、勧告ないし裁定の内容と、幾ら増額したかということを調べてみますと、五現業のうちの全逓が二千八十七円で最高であります。そのほか一千五百円が一番下でありますが、国鉄あたりは一千九百七十円上つておることになつておる。けれどもこの差額を調べてみると、相当段々がついており、非常に隔たりがあります。これをなるべく一本にまとめて並行線に持つて行こうとする小笠原大蔵大臣の御意見はわかりますが、実際はそうなつておらない。実際がそうなつておらなければ、全専売のごときは、特殊な経理内容として、ほかのものの犠牲にしなくても、当然八月から完全実施していいと考える。この程度で、不満ではあるが、三公社、五現業の組合の諸君は、大体この裁定を承認してやつている。相当開きがあります。一番小さいのが一万三千三百五十円で、相当開きがある。これはどうですか。
  61. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは業務の内容とか、またこれに関係している職員の構成とか、職員の家族構成とか、年齢その他によつても差を生じているのでありまして、この差があるのは私どもは当然と思いますが、しかし大体において同じ歩調で行くべきであるという考えのもとに、私どもは今回一月以後裁定を実施することといたした次第でございます。
  62. 青野武一

    ○青野委員 それでは公務員の給与改訂について、私は順次大蔵大臣にお尋ねをいたします。政府は、今度の予算書の中を見てみますと、今まで五段階になつておりました五級、四級、三級、二級、一級、それを一級つぶして四級制度にして地域給五分を本俸に繰入れたと言つておりますが、大体一人平均どれくらいになるか、それをどこへ繰入れておるか、これをまずお聞きしたい。
  63. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 一人平均の数字は私ちよつと記憶しておりませんが、あとでまた調べさして政府委員から答弁させます。大体におきまして私どもは現在の日本の財政でなし得る最大限をする、こういう考え方でやつたのであります。しかしかねて衆議院の方におきましても、人事委員会御決議の次第もあつて、現在無紋地であるところの地方が多いが、これを一級を上げて本俸に繰入れろという意味の御決議がございました。そういう衆議院における決議の趣旨も盛り込みまして、それで上の方は五分減るわけでありますが、五段階を四段階にする。なおあわせて申し上げますと、かねての予算書のいつもわき書のところに中だるみを早く是正しろということを書いてありましたけれども、これを単独に是正すると三十五億円ほど金がいるのでありますが、ちようどこの機会にこれを是正することといたしたのでありまして、公務員に対しては、ちようど明年一月一日のベースで見ると実質的に九・三%の給与引上げをする、こういうことに相なつておるのであります。
  64. 青野武一

    ○青野委員 御説明によると、この資料の別表に載つております大体五級で六千円、それが六千六百円に上つておる。調べてみると六千六百円に上つておるけれども、実際は四百二十円くらいしか上つていない。これは六百円は上つていないのです。それから七千六百五十円というのが六級、七級が九千二百五十円、八級となると、これは各省の係長級で率がいい、二千円くらい上つておる。一万一千百円、ところが私がお尋ねいたしたいと思いますのは、ベース・アツプによる今の問題はあとから書類で御答弁願いますが、そうせぬと数字が出て参りません。その繰入れた分だけの予算総額は大体幾らになるか、今政府は地域給五分を本俸に入れたと言つておるが、一人平均幾らになるか、どこに繰入れたか、その繰入れた部分だけの予算総額は幾らになるか、これはおわかりになつておるはずです。おわかりにならなければ大蔵大臣として御答弁ができないはずです。
  65. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 政府委員をして答弁いたさせます。ただ今度の給与につきましての増加額というものは、これに書いてあります通り、一般の公務員及び地方公務員を含めたものその他を入れまして、この資料に書いてあるものはお手元にあるので、これはおわかりになつておることでありますが、それ以外のものの内容についてのお話でございますから、これについては今政府委員をして答弁いたさせます。もし政府委員が手元に資料がございませんでしたら、あとから資料をもつて御答弁いたさせます。
  66. 原純夫

    ○原政府委員 お答え申し上げます。勤務地手当を減いたしました額は、四億三千四百万円を一般会計で減いたしております。これを本俸に繰入れたわけであります。なおわかりやすいように一人当り計算して申し上げますと、二十九年の一月にそれまでの昇給等を考えまして、なるであろうと推定されまず一人当りの勤務地手当の額が千九百十一円であります。それを今回のお顧いいたしております改訂によりまして千六百十五円に総平均では相なる。差引きまして三百円ちよつと切れます三百九十六円でございますかが勤務地手当の一人当りの平均から減つて参る。その分はもちろん本俸に入るということに相なるわけであります。
  67. 青野武一

    ○青野委員 そうすると、このベース・アップによつて平均の所得税が一箇月どれくらい増額になるか、これは私の推定ですが、二人世帯百七十円くらいが結局はね返つてとられる。そうするとここに私は——ちよつと私がそろばんをはじいて計算をしたのでございますが、人事院の勧告が二十七年七月十八日に出た。ところがこれは三月現在の平均給与で一万三千五百八十七円であつた、この書類にも書いてございますが十三・九%を上げた、その上げた金が一千八百九十三円で、一万五千四百八十円が人事院勧告の給与になつておる。一万五千四百八十円は三月の平均給与である一万三千五百八十七円に対する一三・九%の値上げだ、ところが八月に定期昇給によつて大体に公務員の諸君は一万三千九百四十六円、この基準になつた給与よりも三百五十九円がすでに八月に増額しておる。来年の一月から実施するということになれば、大体の定期昇給によつて今年の十二月末の現在では一万四千百六十二円くらいになる。ところが今度の勧告は一万三千五百八十七月が基準になつておるが、十二月末では一万四千百六十二円になる。これに一三・九%をかけた千九百六十八円五十一銭というものを加えますと、大体百万六千百三十一円なる、これがあたりまえなんた。三月の給与の基準をとるところに勧告そのものも無理がある。私は十二月末現在は八月末現在よりも大体の定期昇給として二百十六円程度上るものと推定をしておる。そこで十二月末現在の一万四千百六十二円にこの地域給の五分、これがどのくらい含まつておるかというと、金額にして私の推定では六百五十一円入つておる。この六百五十一円に結局国家公務員数四十五万人をかけることになるのでありますが、そうして見ると、大体今度の勧告給与一万五千四百八十円から含まつておる五分の地域給を金に直した六百五十一円を引きますと、一万四千八百二十九円、これが実際のベース・アップの総額になる。数字上は一万五千四百八十円に上げてやつたのだ、ニュースで宣伝する、新聞で宣伝する、政府が先頭になつて鐘やたいこでやつておるが、実質的にはここに相当の開きができておる。しかも一万四千八百二十九円、今申しました給与勧告によつて決定したものに五分の地域給が含まつておるから、これを引いてみますと、一万四千八百二十九円、これに十二月末現在の一万四千百六十二円を引いてみると、私の考えでは実際は全官公労は千八百九十三円上つたと宣伝されておるが差引してみると、実際は六百六十七円しか上つていない。給料袋には金があるが、計算してみるとこれだけである。しかも二人世帯で所得税のはね返りが一箇月百七十円とすると、六百六十七円から百七十円引いて、実際四十五万の公務員を平均すると、千八百九十三円上つたのじやない、実際は四百九十七円しか上つていない勘定になる。それは人事院の勧告に無理があり、政府の扱い方に無理があるからである。十二月末において実際の給与を中心にして計算をしていないからそういうからくりとインチキがあるということを私どもが計算の上からはつきりしたのでございますが、これに対して大蔵大臣はどうお考えになるか。
  68. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これはからくりをしたのでも、インチキをしたのでも、何でもないのでありまして、そこにはつきり予算書にも書いてあります通り、またたびたび私が説明いたしております通り、人事院が三月のときの勧告である一万五千四百八十円ベースを一月から実施する。しかしそのときに地域給の一部を本俸に織り込むということもちやんと書いてある。書いたものがインチキだということはありません。はつきり一部に織り込んであると書いてある。こういうことがちやんと書いてあるのでありまして、この点は明瞭であると思います。ただ私どもとしては財源の関係上なし得る最大限を尽した、こういうことだけを申し上げれば足りるのではないかと思います。
  69. 青野武一

    ○青野委員 私は何もインチキということをはつきり申し上げたわけではございません。大体こういう数字上のからくりはすでに大蔵省当局も御存じで、もう二、三日前からばたばたあわてておるはずです。ぼんやりしておるうちにこういうものをつかまされて、そしてこれを押し出してみたが、実際においてなるほど五分の地域給が入つておるということは書いてありましても、だれが見ても、表高は過去の組合員の諸君でもこまかされておる。一千八百九十三円のベース・アツプ、一三・九%のアップである。それが現行一万二千五百八十七円——組合要求は一万八千八日円、それを一万五千四百八十円に上げたのだ、上げたのだと言つておるけれども、実際は四百九十七円、それに年末の定期昇給を加えて二割といたしまして、それを計算すれば、やはりここにもからくりがあつて、私の計算によりますと、実際に給料が上つた平均というものは、これは国家公務員の諸君が給料をもらつて、金額は多いが、実際に計算をしてごらんなさい。実際は二百十三円しか上つていない勘定になる。これが間違いならいつでも私は大蔵大臣のところに参りまして、ひとつ話合いをいたしましよう。ここでやると、非常にこまかい数字になつて、ほかの委員の方に非常に御迷惑と思いますから……。結局は政府は人事院の勧告にしても、仲裁裁定にしても完全にこれを実施しない。数字上の魔術を使う。裁定の方では八月からの実施をサボつて、来年の一月に持つて来る。誠意がないか、怠慢かどちらかだと私は考えるのでございますが、そういうことが原因になつて事態は非常に急迫しております。私どもの聞いております範囲では、おととい、きのう、きようの三日の賜暇戦術が非常に問題になつて、最高検察庁あたりでも相当関心を持つておられる。小坂労働大臣は、これは公労法の違反であると言う。ピクも違反だと言う。しかし自分たちが公労法の精神を蹂躪し、仲裁裁定を否定しておる態度はたなに上げておいて、そうして問題が起る。これらの諸君が完全実施を要求して自己の生活を守らなければ、だれが守るか。そういう立場に立つて悲壮な決意のもとにやつておるのを、常に宣伝機関を利用し、権力をもつてこれを押えようとしておる。スト規制法がこれを明瞭に物語つておる。万一の場合には破防法という伝家の宝刀を抜こうとして、ああいうむちやくちやな法律をつくつている。それではまじめに職域で労働意欲を旺盛にして、国家再建と日本産業再建のために働く気持が労働者には生れて来ません。もつとあたたかい気持で、もつと理解をもつて、もつと誠意をもつて政府が努力するなら、この問題はこんなに紛糾しなかつた。一にこれは政府責任だと思う。そこで私はこの事態をいかに収拾するかという点について、一言総理大臣にお尋ねしたいと思いますのは、この国家公務員のベース・アップの問題について、公務員の諸君、いわゆる組合の代表者、三公社五現業、それぞれのいろいろな立場もありましようが、それらの諸君と政府の関係者が至急に寄つて、かたい言葉でいえば団交になると思いますが、各公社の責任者と政府の関係者が寄つて、事態収拾、円満なる方法によつてこれを解決つけるために、もつとおおらかな気持で、もつと理解のある気持で、この問題処理のために一種の団交のようなものをお開きになる御意思があるかどうか。社会党は三回も、四回も緒方副総理に代表者を送つて交渉しておりますが、今日まで政府は何らの誠意を示しておりません。この点についていかなるお考えを持つておられますか、責任を持たなければならない政府考えを聞きます。     〔「総理大臣」「総理大臣」と呼ぶ者あり〕
  70. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 一言お答え申し上げます。なお先ほどのお言葉のうちにありましたから……。人事委員がこういう決議をされておるのであります。衆議院の人事委員会であります。「本委員会は、先般勤務地手当制度の合理的改訂についての方針を定めているが、今回の給与改訂を機会として、現行無級地を一級地に引上げ、一級地の勤務地手当相当額を本俸に組入れるよう、政府は措置すべきである。」こういう決議をしておりまして、この通りに実ははからつておる次第でございます。  なお今日、裁定及び公務員のベース引上げにつきましては、多数の方々は、政府の財政事情から見てよくやつてくれたというふうな——私どももこのごろ初めて感謝の手紙をたくさん受取つておるような次第でありまして、従つて私どもは、多数の方々は十分な理解のもとに政府の施策に御協力くださることをかたく信じて疑わざるものでございます。
  71. 青野武一

    ○青野委員 大蔵大臣は何かお考え違いをしておると思います。何も人事委員会で決議したのが悪いとかいいとかいうことを私は言つておるのではありません。そういう点ではなくて、それは五級地制度が四級地制度になつて、そうして五分が本俸に組入れられることは何も私は反対ではない。けれども人事院の勧告通りになつておらない、数字上に非常に疑問の点がある、こういうことが問題になる。そうして八月から実施すべき裁定が一月に延びておるというような点から、完全実施を叫んでこういう事態が生じておる。この事態を引起したのは何と申しましてもこれは政府責任だと私は考える。そこで政府は、折れるとか折れぬとかでなくして、国民が有形無形に影響を受けておるこの国鉄の三日間の賜暇戦術あるいはその他の闘争に対して、いち早くこれを解決づけるために、政府も誠意をもつてこれら関係者と膝を突き合して話し合う意思があるかないかということを総理大臣に聞いたのでありまして、人事委員会の決議がどうの、地域給を本俸に組入れたのがどうのという質問をしたわけではございません。どうぞひとつ勘違いをなさらないようにお願いいたします。
  72. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 この際青野君の御発言に関連いたしまして、横路節雄君から質疑を申し入れておられますが、これを許します。     〔「総理に答えてもらつてから」と呼ぶ者あり〕
  73. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 小笠原大蔵大臣の御答弁に対して関連のようですから、横路君どうぞ。
  74. 横路節雄

    ○横路委員 小笠原大蔵大臣に今の点に関連してお尋ねしますが、衆議院の人事委員会における地域給の決議は大蔵大臣はまつたくそれは勘違いなさつております。衆議院の人事委員会における地域給に関する決議は五%、五級地、四級地、三級地、二級地、一級地の占めている割合は全体の八八%、従つて零級地に関しては一二%である。従つて衆議院の人事委員会におけるいわゆる零級地相当額を本俸に組入れてということは、いわゆる俸給表については大臣がおつしやるように一万五千四百八十円ベースのときの俸給表をそのまま採用しておる。そうして零級地に関する分を入れることは、一万五十四百十八円ベースのときの俸給表に零級地を一級地に引上げた分に相当する額をさらにプラスして上げることなんである。だから衆議院の人事委員会の決議は大臣のお考えとはまつたく違う。一万五千四百八十円ベースの俸給表に対して一級地相当額、五%であるが、総体から行けばこれに対して四・三%、今政府が出された俸級表に対してかけるということを、衆議院の人事委員会では決定されておるのであつて大臣の言うように、俸級表だけは一万五千四百八十円ベースのときの俸級表を採用したのであつて、地域給は頭から五%落すなんということは、衆議院の人事委員会ではきめてはおりません。衆議院の人事委員会は大体与党の自由党委員長だが、与野党ひつくるめて超党派的に決定している。これは大臣は完全に間違いである。
  75. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私はさように解しております。この文字をそのまま読みますと、「一級地の勤務地手当相当額を本俸に組入れるよう、政府は措置すべきである。」こういうのでありまして、私どもが解しておるのは、今の一万五千四百八十円ベースのうちにこれを組入れるべきである、こういうふうに解しておるのであります。従いまして実質的には先ほども申した通り九・三%の引上げになつておる、こういうことを申しておるのであります。
  76. 横路節雄

    ○横路委員 大臣、今あなたがお読みになつた文章の通りなんである。一万五千四百八十円ベースのときの俸給表に対して、一級地相当額を組入れるべきである。大臣が国会にお出しになつた俸給表というのは、人事院が勧告したときの一万五千四百八十円ベースのときの俸給表だ。いわゆる級別、号俸、それなんである。それに対して人事委員会においては一級地相当額をその俸給表に対して繰入れる、政府は何も繰入れていないではありませんか。この一万五千四百八十円ベースのときの俸給表を採用しただけであつて、地域給は落している。大臣は衆議院の人事委員会の決議というものをまつたく誤解されている。全然違います。その文章の通りなんです。だからそういうことで大臣がその通りであると思つて会議並びに予算委員会において人事院勧告について提案したというのであるならば明らかにやり直しをして、一万五千四百八十円ベースの俸給表に対して、一級地相当額の五%をアップしたものをあらためて提案しなければならぬ。それが人事委員会の決議なんだ。そういうふうになさつた方がいい。大臣とつ御答弁願います。
  77. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私はさように解しておりません。なお私どもとしては財政上措置をすべき最大限度を尽しているのでありまして、今日これ以上の財源はございませんから、たといほかの方法をとろうとしてもとる道はございません。
  78. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣、今あなたが人事委員会の決議を尊重しておやりになつていると言うから私は聞いたのです。決議を尊重してないで、別な考えでおやりになつていると言うのであるならば私は聞かない。財政上の措置でやつたと言うのであるならば聞かないのだが、人事委員会の決議通りやりましたと言うから聞いたのです。あなたの意見、違うではありませんか、そういうふうに食言をなさらない方がいい。違いますよ。
  79. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は人事委員会の何をそうとつたのであるが、もしあなたが言うような御解釈もあるならば、それでは政府の独自の立場において財政上最善を尽したのである、とお答えいたします。
  80. 青野武一

    ○青野委員 私はほかの問題で質問いたしたいと思いますが、一つ最後にあまり時間がありませんので、公務員の期末手当一・二五、これが至急に決定をして八十八億の予算が計上されておりますが、いわゆる公社、現業の一箇月の期末手当、これは大体三公社五現業を平均地ならしをしてバランスをとることに政府が相当苦慮して、全専売あたりをかなり犠牲にしておりますが、この点についてここに〇・一五の開きがある。これはどうなるつもりであるか、これはやはり予算措置をやらないのですか。
  81. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点につきましては、しばしば申しました通り一般公務員等の人事院の勧告なりまた時期なりあるいは家族の構成なり各種のものが違つておりますので、また昨年の実際の例も違つておりますので、その方がむしろ実情に合つているのじやないかと私ども考えておりますから、これについての特別な措置をとることをいたしません。
  82. 青野武一

    ○青野委員 私はまだ質問をするのが大分残つておりますが、ここで吉田総理にきわめて重大な点を御質問したいと思いますのは、今非常に世間で問題になつて、近く行政監察委員会で取上げられるであろうと想像されております保全経済会、この問題がうやむやのうちに疑惑のうちに興り去られて行く形勢にありますが、これは巷間伝えるところによりますと、一億五千万円程度の金がいろいろな方面で九十名ばかりの人にばらまかれた、政府は十億か十五億の金を融資をするのが当然であるといつたようなことを、事実であるか事実でないか知りませんが、伊藤斗福という人が発表しているのを私は新聞で見たように思いますが、これは確かに月に二分の金利に迷うて小金やなけなしの金をとられて困つている人は実に気の毒だ、けれどもおれがどろぼうをして何十万円か損害を人にかけたから、親戚中寄つてたかつて金を集めて被害者に払つておけ、というのと同じである。政府はこれに対して融資をするのかしないのか。これは大蔵大臣ではだめです。総理大臣の立場から、これははつり国民的に大きな問題として疑惑に包まれているから、融資をするのかしないのか、もちろんしないと私は信じておりますが、これは総理の口から聞いておきたい。
  83. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは大蔵大臣より政府責任をもつて答弁いたします。この保全経済会の問題は第一に今お話になつたような二分とか三分とかの配当をやるとかいうような、何といいますか出資者に対して配当をするようなものが今日の社会情勢経済情勢において存続する見込みのあるものでもございません。それからまた法の盲点に乗じて不特定多数の人々ともいうべきものを匿名組合という名のもとにああやつておりますが、こういうことで多数の人々に損害をこうむらしめるということは私ども許しがたいことだと思います。いわんやそれらに対して国家がどうこうするといえば、お互いの血税をもつてすることでありますから、これは先回の国会でも申しましたが、さようなものを政府国民の血税をもつて救助すべきまた援助すべき何らの考えを持つておりません。このことをはつきり申し上げておきます。
  84. 青野武一

    ○青野委員 私の質問に吉田総理はなかなか答弁をいたしませんが、先ほど申しましたこの裁定や人事院の勧告によつて非常な事態を惹起しておりますこの問題収拾のために、先ほど私が質問いたしました団交について総理の御答弁を私は再び要求するものであります。
  85. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 政府責任において御答弁いたします。本問題につきましては先般来からいろいろ閣内でも話をいたしておりますが、副総理あるいは官房長官を通して労組の各位にも申しましたように、弾力条項あるいは業績賞与等の点について種々話をすべきであろう、従つて各公企体の長におきまして、各組合との間に団交を行う用意があるから、できるだけ団体交渉の形において得心の行く解決点を見出してもらいたいという方針でおりまして、そのように労組側に常に申し、ある組合においてはそれに応じて話合いを進めているという状態であります。
  86. 青野武一

    ○青野委員 私は労働大臣政府責任において今御答弁になりましたことは御答弁としてはわかりますけれども、労働大臣として考えてもらわなければなりませんことは、閣僚は総理以下十七名、けれども労働省設置の目的はこれは日本労働者のサービス省であるという目的のもとにつくられたのであつて、いわばこれは十七名の吉田内閣の閣僚でも特殊な立場に労働大臣は立つておらなければならない。労働者の利益、労働者の生活を守ること、労働条件の向上、そういう点について特別な考え方と立場をとつて行かなければならないものが、浅草六区の活動館に行つて看板をてれつと口をあけて見ているようなかつこうで紛糾している事態をじつと見送つておいて、政府責任において御答弁するのあるいは公労法違反であるのと言つておりますが、もつと積極的に飛び込んで行つて、私が質問するまでもない、政府を代表するならば政府を代表していいから、各関係労組の幹部、各公社の経営者側と話し合つて、そうしてこの問題解決のために、ここで思いつきの答弁をするひまがあれば、そういう方面に私は昼夜兼行で走りまわるべきであると思う。この点についてあなたの御意見はよくわかりました。しかし私はそういう見解を持つている。  それから労働大臣についででありますからお尋ねをいたしますが、昨年の衆議院の労働委員会で各派満場一致二十五名全部そろつて決議をいたしまして、労働省の既定予算の中から日本の気の毒な自由労働者、日雇い労務者、登録されております人が当時三十二万人おつたのでありますが、それらの人に大体全員平均、三億二千万円という金を年末賞与、もち代という形式で差上げようではないか、今まではアメリカ側からとめられておつたが、独立したのたからひとつやろうということで決定をいたしましたが、ことしはそれがまだ出ておりません。当時の労働大臣とは違いまして小坂さんは若くはあるし、そうしてこういう内容についてお知りになりますまいが、自由労働者くらい気の気な人はありません。一箇月のうちにひどい人は十五日、よく働いても二十日、六、七千円程度で辛うじて生活をしている人に、向うから要求せられることなくして、昨年の例をとつて少くとも来年からは夏季手当も一部出すように、少くとも十日分くらい。十日分出しても三十二万人としてわずかに十億。これは奄美大島の復帰の事務費に相当する金である。こういう点について大臣はどういうことをお考えになつているか。これを私はお聞きいたしたい。
  87. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私の立場におきまして、いかなることをすべきかということはよく存じておるつもりであります。しかるがゆえに今回の裁定あるいは勧告につきましても、個人的には皆さんからよくできたと言つていただくくらいに努力したつもりであります。今後の事態の収拾につきましても、できる限りの努力をいたすつもりでありますから、御了承を願いたいと思います。  なお後段にお尋ねの、日雇い関係の方々についての問題でございますが、これは御承知のように、この七月には昨年はそういうことはしなかつたのでございますが、私の方から率先して三日分の就労日数の増加をいたしたのであります。なおこの暮れのものにつきましても、昨年は御決議の次第もあつて出したのでありますが、私ともの方としては当然に昨年くらいのものはするように用意しておりますし、できる限りのことはしたいと考えておりますが、なお最終的な決定につきましては、ただいまここで言明すべき段階ではない、こう考えておるのであります。
  88. 青野武一

    ○青野委員 大蔵大臣にひとつお尋ねいたしますが、これは行政監察委員会でいまだ結論が出ておりません。大蔵当局を呼んで大体の事情を聴取した程度にとどまつておりますが、これは私は金額ははつきり知りません。戦時中に接収された金、銀、白金、宝石が、私どものしろうと考えの推定で一千三百億ないし一千七百億程度日本銀行の地下室、大阪支店、一部造幣局にあるということでございますが、この接収解除の金、銀、白金、宝類石を、次から次に災害が起つて来る、ベース・アップで問題が起る、いくらやりくりしても予算が足らないときに、日本銀行の倉庫の中にうつちやつておかないで、一定の量くらいは何とかさばいて、そうして緊急やむを得ないところにこれをまわして行く。日本銀行の地下室の中に宝石が千何百億眠つてつても、それでは日本国民の腹は大きくならないのでありますから、この点はどう処分するか。これはどうせ行政監察委員会においても問題にはなつて参りますが、おおらかな大体の方針をひとつつておきたいと思います。
  89. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この問題については、前国会でもお答え申し上げておきましたが、この通常国会には法律を出しまして、処分し得ることにいたそうと考えております。しかし実は私どもが見ておるところは、そういう大きな数字ではございません。たとえばダイヤモンドについて調べましても、大体六、七十億見当のものであります。それからさらに金とか銀とかについても、千数百億というような大きな金額には達しておりませんが、いずれにいたしましても、非常に歳入を欲するときでありますので、この通常国会にはそういう措置をとりまして、二十九年度予算の歳入の一つといたしたい所存でございます。
  90. 青野武一

    ○青野委員 これは厚生大臣犬養法務大臣にお尋ねいたしますが、私どもは十一月の六日に行政監察委員会を代表いたしまして、各派の委員諸君が、横浜、羽田、立川飛行場の三班にわかれて行きまして、麻薬興奮剤の密輸その他の関係で、正式に委員会を代表して行つたのでございます。行つて実態を調べてみると、取締りが非常に緩慢であるということ。それから立川飛行場の例をとりましても、あの付近に三千名の夜の女の諸君がおる。これが説明を聞いても、半分の千五百名が大体半身不随、麻薬の注射が切れると、口からよだれを出してみたり、からだが一人前に動かない。それがアメリカの軍人の手を通じ、夜の女の手を通じ、外国から横浜に入る。また羽田の飛行場を通つて来る、別のルートを通つて来る。そうして日本に着くと一グラムが一万五千円、立川飛行場に着いて約三万円、北海道千歳飛行場に行けば三倍の四万五千円で羽がはえて飛ぶ。そうして軍事基地の周辺の日本の青年男女は、次から次に麻薬中毒に侵されて行くということは、日本の将来を考えても重大な問題である。聞くところによれば、全国にアメリカの軍事基地がいろいろな形で七百箇所以上もあるとすれば、その軍事基地の周辺には麻薬あるいは興奮剤というものが相当頻繁に流れて来るが、これを厳重に取締つて、虫ばまれて行こうとするそれらの青年諸君の健康をいかに保つて行くか。それから中毒患者の予防対策について、法務大臣及び厚生大臣は具体的に何か手を打とうとお考えになつておるか。アメリカの空軍兵站司令官の何とかいう少将の意見を聞いてみると、私の方は発見次第厳罰に処しておるが、日本の官憲は次から次に検挙をするが、いつの間にかだらだらで、わからなくやりつぱなしてしまう、私の方は厳格にやつておるが、日本の官憲が片手落ちなことをやつて困る、しかし協力はします、と言つておりました。私はその点について多少意見があつて申し上げて来たのでありますが、これが取締り強化の具体的な方針、それから中毒患者の防止対策について厚生大臣としてどういうことを考えておるれるか。この二点をお聞きしたい。
  91. 犬養健

    犬養国務大臣 私より最初にお答え申し上げます。お話の通りでありまして、麻薬問題と青少年の関係というものは、日本民族に対する大きい脅威ともいうべきものであります。私どもの方といたしましては、各検察庁別に特に麻薬係検事というものを置いておりまして、高等検察庁別に種々会議をやつております。御指摘のように、入つて来る径路は、香港その他の方面から船員に委託して入つて来るルートと、もう一つは、空港に商品見本のような形で入つて来る、ことに米軍基地周辺において、これがいろいろ濫用されておるということは今御指摘の通りであります。ただいまのお話で、アメリカの何とかいう司令官がそういうことを申したということでありますが、もし事実とすれば、それは事実と大分違います。私どもは鋭意米軍とも連絡をしておりますし、また大口の取扱者、ボスというようなものの分布図をつくりまして、ねらい撃ちをしているのでございます。これらの犯罪に対しては、原則として起訴をし、かつ体刑を求刑することになつております。御参考までに申し上げますならば、昨年中に各検察庁において受理されました件数は、員勢にして二千三百九十一人、そのうち千百八十七人を起訴しておりまして、起訴、不起訴の割合における起訴率は、昨年が六七%、本年一月から十月までに受理いたしましたのは千八百八人でありまして、九百四十二人を起訴しております。この起訴率は六八%でありまして、普通の一般事件の起訴率四〇%台から見ますと、はるかに厳罰に処しておりまして、懲りるような方針をとつている次第でございます。ただ御指摘のように空港、港などに対する要員の人数が足りませんので、大分苦しい思いをしていることは事実でございますが、御注意のこともありましたから、なおさら一段と厳重な連絡及び監視をいたしたいと考えております。
  92. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 お答えを申し上げます。ただいま法務大臣から大体の御答弁がございましたが、この問題ば何といつてもただ取締るだけではいけないと考えるのでありまして、どうしても麻薬あるいは覚醒剤の使用に関して、一般ことに青少年等のそういうことに陥らないような施策が必要でないか。従つて御承知の通り前月は、青少年問題協議会等が小心になりまして、不良化防止の月間をつくつて、この方面に関して強力な運動を展開いたしておるのであります。厚生省といたしましては、まずもつてこの麻薬の製造あるいは輸入、これらの面においてこういうふうな社会悪を除去するという点に力を用いる、従つて麻薬と申しましても——その前に申し上げますと、ただいま法務大臣から検挙を中心にして数を申し上げましたが、これははつきりわかりませんが、私の数は大体今推定いたしておりますのは三万くらいあるのではないか、そのうち明確に判明いたしておりますのは、ことしの六月三十日現在において六千六百二十一名、そのうち四割二分が麻薬等を不当に入手する、やみ入手する中毒患者であります。従つて正規の製造業者あるいはそういう機関に対しましては、法律その他によつて厚生省は薬事監視員がおりますから、これらをして製造あるいはその他に対して監視をする、ことに一番問題は中毒患者等の例を見ましても、やみで人手するとか、いわゆる密造、密売あるいは不当の処理、これらの面の施策が必要でありますから、ことに密造、密売、不当処理に対しては厳格な方法をとる、これは国警とも連絡をとつてつております。なお輸入の問題については、ただいま法務大臣お話にありましたが、従来は末端における取締りにやや手落ちがあつたのではないかという点で、これは法務省とも連絡をとつて厳重にやつております。なおまた米軍とは緊密な連携をとつて現在やつております。  なおただいまお話の中冬患者等の今後の治療あるいは予防、これらに対しましてはどうしても隔離が必要でありますから、これらの中毒患者を収容隔離することについて、何らか予算的措置をしなければいけないのではないかということも考慮いたしまして、各面からこの社会悪を除去するように全力をあげて各省と連絡をとつて行きたいと考えている次第でございます。
  93. 青野武一

    ○青野委員 時間がありませんから私は各関係大臣の方に一括して御質問をいたしますので、さよう御承知を願つておきます。  まず第一に山縣厚生大臣にお尋ねいたしますが、私が仄聞するところによれば、これは大体緒方副総理に御了解していただいたというようなことも聞いておりますが、事実であるかないかわかりませんのでお尋ねいたしますが、あの長い間の戦争中は、内地に勤務しておる人も数百万おつたのでありますが、それらの諸君が、やはり飛行機の爆撃があれば高射砲でこれに対応して行く、しかし日本内地で勤務しておる当時の軍人で、戦いつつ病気で倒れた人が遺家族援護法から除外せられておるということは不合理であるから、何とかひとつ改正をしてそれを決定してもらいたいというのが、該当者のほとんど全部の今までの陳情でございましたが、やはり財政的措置その他外岡関係等を考慮して、今日まで実現をしておりません。それがそのままになつておりますが、こうした気の毒な戦傷病した人たちが遺家族援護法の適用を受けるため、この法律を改正する御意思があるかどうか。  それからもう一つ、広島市の当局が調査をしてことしの春に発表したのを私は手に入れましたが、大体原爆傷害者が広島だけで三十二万人あつた、そのうち至急治療をしなければならぬ、たとえばやけどで顔がふた目と見られない、からだが非常に痛んでおる、そういう人たちを今治療をすれば一人一万五千円程度で、約五千人おるんだ、特に年ごろの娘なんかはこのまま捨てておいては非常に大きな社会問題になるというので、これが問題になつたということを聞いております。そこで私はこういう急治療患者五千名に対して、わずか一万五千円合計七千五百万円あれば事足りるのだから、これは二十九年度あたり厚生大臣が努力をして、これらの諸君にこういう金を補助金の形でやつて、適当な病院に入院をさせて元のからだにしてやるような方法をとれば、私は非常に幸いであると思いますが、こういう御意思があるかないか、やろうと思えはできぬことはございません。昨日の新聞を見ると——ここに保安庁長官はおりませんが、再軍備ばしておりません、保安隊は軍隊ではありません、軍隊でないということをしきりにいつの国会でも言つておるが、御存じの通り大分県で十一月の十五日の朝演習をやりました。速見郡に進駐した第一攻撃隊第十一混成部隊が行動を開始した、普通科を主軸にして特科(砲)施設(工)を配置した、総勢三千五百名で大型のジープ、一〇五ミリの榴弾砲(重砲)九門、一五五ミリ六門、特車五両、浜松飛行隊から十六日、二機参加してはなばなしい立体演習をやつたといつている。わずか一日半ばかりで八千万円がふつと飛んでいる。八千万円もいらぬことに使わなくてもいい。八千万円の金があつたら五千人の原爆で顔のくずれた人を救つたがいい。保安庁長官はここにおりませんから、私は質問をいたしませんが、こういうむたづかいをしてアメリカの傭兵制度を確立したり、軍備はしないのだ、しないのた、しないのだどいつて、とうとう十一万をつくり上げてしまうて、すなわちこういう大砲を持ち、飛行機を持ち、戦車を持つて、人殺しの練習ばかりをやつている、こんなところにむだ金を使つている。私はこういう点について、どういう考えを持つているかということをお尋ねいたします。  そうして私は念のためにこの予算委員会を通じて厚生大臣に聞いておきたいと思いますのは、昭和二十年八月六日広島に投下せられました原爆のために死亡した者が二十六万人、ほんとうに大きな負傷をした者が十六万三千二百九十三人、引続き長崎に投下されました原爆によつて死亡した者が七万三千八百八十四人、負傷した者が七万四千九百四人、こう発表せられているけれども、どこに行つてもまちまちである。私はこれは的確だとは申しません、これも相当権威あるところから手に入れたものでございますが、あの日本歴史始まつて初めての、戦争歴史の上に一つの記録を残しました、痛ましい惨害を残しました長崎と広島の爆撃で——原爆を落されて、しかも非戦闘員を大部分含んで、これが原爆の犠牲になつた諸君の数字くらいは政府の手ではつきりまとめて保管すベきである。私の言つた数字が間違いないか、間違つておればこうでありますということを、この機会にひとつ知らせていたたきたい。
  94. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 青野君、御発言中でありますが、簡明に願います。
  95. 青野武一

    ○青野委員 最後に、いやでも吉田総理大臣に御答弁願いたいと思いますのは、私どもの同志が本会議で質問して、大層腹を立てて御答弁なさつたということが新聞記事に見えております。私はいまさらむし返して、二番せんじの、アメリカニクソン副大統領の日本に来た目的は何か、再軍備を強化せよという話に来たのか、あるいは日韓問題にひとつ口を添えてやろうというので来たのかというようなことはお尋ねしない。そういう形勢もなしに日韓問題はそのままに行つてしまわれる、しかし再軍備の問題については多少何か話があつたと思いますが、今も私は広島、長崎の原爆によつて大きな犠牲を受けたことを申し上げましたが、ここで私は吉田総理大臣に最後にお尋ねを申し上げたい。これは確かに言いにくいことだと思いますけれども、独立した日本の八千四百万人の国民の代表者として、どういう考えを持つているくらいのことは言えないはずはないと思いますが、それはこの広島と長崎に原爆を落してこの大きな歴史的な惨禍を与えた、世界の人道を無視し、毒ガスでも国際的に禁止せられているときに、あの爆発力の強いものを無警告のままに落したアメリカの司令官、関係をしてB二九を飛ばさした諸君、みずからB二九のバンドルを握つて原子爆弾を落したこれらの諸君を、時来れば中立国を中心に組織する国際裁判にかけて、世界人道の罪なりとしてこれを法廷に引出して、そうして国際的な一つの審判のもとにこの結論をつけるのが私は当然だと思う。そうでなければ将来の戦争に、水爆だ、水爆だと、持つているものはどこでも無差別に落される。敗戦国といえども独立国である以上は、日本人意思を代表してそういう程度の悲壮なる決意を声明しても私はさしつかえないと思う。これは党を代表して言つているのではありません。青野個人としてそういう考えです。爆撃を受けた者の一人として、終戦後八年間常に考えておりますが、この問題において吉田総理大臣は、私の今申しましたことについて、どのようなお考えを持つておられるか、これをひとつお尋ねをいたしまして私の質問を終ることにいたします。(「答弁によつては終るのだろう」と呼ぶ者あり)答弁によつては終ります。
  96. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 お答え申し上げます。第一に、内地における戦争による傷病者あるいは死亡者に対して援護法が適用ないがどうであるかというお話であります。これは御承知の通り援護法は内地であろうと戦地であろうと、公務による傷病死に対しては適用いたしております。ただ内地におきましては、戦地におけるがごとく、すべての傷病による死亡が公務によるものと認定されない場合もあるので、あるいは一部において、内地においてはさような法律は通用ないということでありますが、さようなことはございませんで、現に内地においても適用いたしております。なおただいまお話の原爆による傷を受けた方々に対しましては、これはただいま予算的にどうこうということは別にいたしておりませんけれども、予研等の出張員等がせつかく原爆による傷病に対しては研究をいたして、その治療に資しております。なお原爆の死亡者の数の把握につきましては、従来通り今後も努力いたして参る所存であります。
  97. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それでは午後一時三十分より再開することといたしまして暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十分開議
  98. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。井上良二君。
  99. 井上良二

    ○井上委員 私社会党右派を代表しまして総理大臣及び関係大臣に質問するにあたりまして、特に総理大臣に一言申し上げておきたいのでありますが、私はあなたとは主義、政策、歴史観は異なつておりますが、個人的にはあなたと同郷の者でございまして、あなたが常に政治に筋を通そうとする、その努力に対しては敬意を表しております。ところが最近あなたの主張の中には、国民から見ましてどうも筋の通らないことがいろいろ多いので、一般国民疑惑を持つ点が多いのであります。そこであなたの土佐人的な筋を通すといいますか、特に政治に筋を通すという意味から、国民が聞かんとするところをひとつ率直に親切に御答弁が願いたいのであります。  最初に憲法改正と再軍備問題に関して二、三伺いたいのでありますが、総理はたびたび、自衛力の漸増はするが、戦力を持つ軍備は持たないと言明して来ております。従来国内治安を維持するために保安隊を持ち、さらに最近外敵の侵入に対してもこれと対抗し得るために保安庁法の改正をやりまして、外敵の侵入に対抗する自衛隊といいますが、その自衛隊は一つ戦力を持つ自衛力ということであろうと思いますが、そうなつて参りますと、この外敵の侵入に対抗するための保安庁法の改正、その結果できるところの自衛隊、戦力というものは、憲法の規定から見てどう一体総理は解釈されておりますか。これをまず伺いたい。
  100. 吉田茂

    吉田国務大臣 私の主張は今お話の通りであります。再軍備はいたさない。しかし漸増はする。その結果保安隊を増強して遂に戦力に至つた場合には——むろん憲法を改正せざる限りはできないのであるから、それはいたさない。そこで保安庁法改正の趣意は何かというお尋ねであると思いますが、保安隊が防衛にあたつて、あるいは治安維持の衝に当る、あるいは国内の防衛に当る、その場合に、外敵が直接侵入、攻撃を加えた場合には、常識から申せば保安隊であろうがなかろうが、あるいはいかなる国民といえども、これに対して防衛に当るということは当然なことであると私は思うのでありますが、しかし保安隊は直接防衛に当らないというような気持を持つておる者がないとも言えないから、その意味を明らかにしただけの話で、私の趣意は少しもかわつておらないのであります。
  101. 井上良二

    ○井上委員 外敵の侵入に対して対抗する戦力といいますか、武力といいますか、自衛力といいますか、名前はいろいろかわつておりますが、少くとも日本に攻め寄せて来る外敵に対して対抗し得る実力を持とうとしておることは事実であります。その外敵に対抗し得るいわゆる自衛力というものは、具体的にどう総理はお考えになつておりますか。
  102. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本の防衛あるいは外敵に対する場合の手段としては日米安全保障条約があるのであります。原則としては米国軍及び日本軍といいますか、日本軍を加えた——日本警察であろうが消防隊であろうが、これが国防に当る。しかしながら今日までの保安隊は、そういうことはしないというような間違つた考え方がなきにしもあらずであるから明瞭にいたしたのであります。そうして保安隊が——自衛隊というか、名前はいずれにしても、外敵に当る。当ることを主にするのではないのであります。想像いたせば、外敵が侵入した場合には、結局米軍と一緒になつて外敵に当るということになりましようが、しかし保安隊は国内の秩序だけである、直接侵入を受けた場合にあつけらかんとしていていいのだというような間違つた考え方をもしすれば、これは間違いであるから、直接防衛にも当り得るんだ、すなわち第一次の攻撃に対しては、いわゆる自衛措置として保安隊も銃をとつて当る、その意味合いを明らかにしただけであります。
  103. 井上良二

    ○井上委員 外敵が侵入した場合は、当然これに対抗し得るのには、今総理もお話の日米安全保障条約に規定してあります米軍によつて外敵に対抗するというのが本筋の建前のように国民は承知いたしております。それに総理みずからわが国の経済力の現状、わが国の国民経済の現状から、とうてい外敵に対抗し得る武力を持ち得ないということは御存じの通りであります。そうなつておりますときに、ことさらMSA交渉に応じ、かつ保安庁法を改正して、いかにも外敵と、アメリカ軍の足らぬところを補う意味で、対抗する戦力を持つような考え方が非常に強く国民に響いておりますが、外敵と対抗し得る戦力を持つことにはなりませんか、これを伺いたい。
  104. 吉田茂

    吉田国務大臣 戦力のいかなるものかということは問題でありますが、戦力を持つということは憲法が禁じておるのでありますから、これは持つことはいたさないつもりでありますが、しかし外敵が優人した場合にあつけらかんとしてこれを傍観するというようなことは考えてはいけないのでありますから、外敵といえども、いわゆる自衛の範囲において対抗するという心構えは、自衛隊、保安隊といえども持たなければならない。しかし終始外敵に対抗する主力として保安隊あるいは自衛隊を組織するという考えはないのであります。一時の手段として防衛の第一線に当るというか、直接侵略に対応するけれども、これが主力になつて——これは外敵の力にもよりますけれども、保安隊が主力になつて外敵に終始当る戦力を持つという考えは毛頭ありません。
  105. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺いますが、アメリカMSA日本協定さそう——その目的は日本の国土防御は日本人自身がやるべきである、アメリカの犠牲をできるだけ少くしたい、そのことから日本国民に武器を提供して、そしてアメリカと共同防衛に立つ約束をせしめて、アメリカの人的被害を少くしようという考え方が、非常に強くこのMSA交渉には働いておるような印象を私ども受けております。さような考え方から、アメリカはできれば自国の軍隊を撤退さして、その穴埋めに日本自衛隊を強化し軍隊化して、これをアメリカの東亜における前線基地の防備隊に使いたいというのがアメリカの本筋ではないかと見ておりますが、そういうようにわれわれ国民に非常に強く響いて参りますこのアメリカ日本との関係に対して、政府また保安庁法を改正して、従来は国土防衛という国内治安を中心にした保安隊が自衛隊に発展し、さらに外敵の侵入にまで共同対抗でき得る力を持つような自衛隊をつくるということは、明らかにこれは戦力でありまして、戦力のない軍隊をつくる、戦力のない自衛隊をつくるということに国民は莫大な経費を重たい税金の中から出しませんぞ。わら人形のような自衛隊をつくつて一体どうしますか。それはちよつと筋が通らないじやありませんか。総理、そこのところはどうです。ひとつそこを説明願いたい。
  106. 吉田茂

    吉田国務大臣 安全保障条約にも保安隊は漸増するといい、米国軍は漸次引揚げるということがちやんと規定いたしてあるのであります。また米国としては今日なるべく軍事費は節約いたしたい、歳出はなるべく節約いたしたいという考えを持つておるのであります。ゆえに日本の防衛を危うくせざる限りにおいて、なるべくアメリカ軍は早く引揚げたい、しかしただちに撤退するという考えはないのでありますが、撤退ができるものならば、漸減ができるものならば、一人といえどもよけい減らしたいというのが向うの希望であります。またわれわれとしても日本の防備、日本自衛日本国民みずからの手においてなすべきである、これはわれわれの原則として守つておるところであります。しかしながら今日は国力これを許さないゆえに、しばらく日米安全保障条約によつて国防を充実せしめる、このくらいで行つておるのであります。米国軍が減つただけそれだけをわれわれが補充する、また補充する義務を持つておると思います。しからば今ただちに補充できるか、それはできませんからいたしません。漸増いたすつもりでありますが、漸増いたしたものが戦力になるかならぬか、戦力程度にもよりますが、いずれにしてもいかに漸増いたしても日本の国力の耐え得ないような漸増はいたさないつもりである。のみならず、そうすれば外敵に対応するだけの戦力を備え得るかといえば、現在は設け得ない状態にあるのでありまして、内外の事情からただちにもつて再軍備するということは、あるいは戦力を備えたものを持つ考えはないのであります。
  107. 井上良二

    ○井上委員 次に総理に伺いたいですが、総理は先般アメリカ側の要請によつてMSA交渉の前提として、総理の率いる自由党が国会に過半数を占めていない。そういう不安定の内閣のもとに交渉を進めてもアメリカ側も信用しないだろうし、またこちらからも力強い発言もできないだろうというところから、重光改進党総裁を訪問をして、自衛力漸増の問題を中心にし、防衛の問題を中心にして了解があつた新聞には発表されております。その結果池田特使アメリカに行かれたように国民は了解をしております。また先般臨時国会の開会を前にして、かつて自由党におりました鳩山氏を中心にする分自党の復党にあたつて、鳩山氏をみずから訪問をして、そこで鳩山氏とのいろいろな会見の結果三条件が——その三条件というのは秘密外交の廃止、一つは憲法を改正して再軍備をやる、そのための憲法調査会というか研究会を設ける。さらにいま一つございますが、このうちの一つであるいわゆる分自党が従来国民に強く主張して来た再軍備のための憲法改正をする、こういうことを大体了解をされた。その三条件が吉田氏によつて了解をされた以上は、分自党はこの際潔く復党すべきである、こういうことが鳩山氏の口からたびたび新聞を通して伝えられおります。この重光改進党総裁との間にどういう具体的の話が一体なされたか。また総理と鳩山氏との間にいかなるお話をされたか、この三条件について話をしたのかしないのか、このことは憲法改正、再軍備の問題に重大なる関係を政治的に生んでおりますから、ここでひとつ率直に御答弁を願いたい。
  108. 吉田茂

    吉田国務大臣 重光改進党総裁との話の内容は共同声命と申しますか、とにかく声明に明らかにいたしております。また鳩山氏との関係は、鳩山氏が自由党の創立者であり、そうしてわれわれはその復党を希望しておつた。鳩山氏とわれわれとの間においてはお話のようなむずかしい三条件を議定いたしたわけではありません。鳩山君が復党する、けつこうな話だというわけだけであります。しかしながら鳩山君の考えているところはむろん尊重いたしますが、それを条件として復党をいたしたわけではありません。
  109. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、総理と鳩山氏の会見直後、当時新聞談話として発表され、また分自党党員に対して声明された三条件が了解された以上は、復党をしなければならぬというその三条件の了解は、鳩山氏との会見においては全然触れておりませんか。
  110. 吉田茂

    吉田国務大臣 触れておりません。
  111. 井上良二

    ○井上委員 そうすると対外的に非常に大きな誤解を生んでおります。このことは他党のことでありますから私はとやかく問題を申し上げませんが、そういたしますと、政界の混迷、非常な疑惑によけい拍車をかけた結果を与えたことは非常は私ども遺憾に存じます。  いま一つ伺いたいのは、昨日中曽根君の質問のうちに、クラーク大将と日本政府代表木村長官との間に話がありましたときに、アメリカ側から日本防衛計画に対しての一つの試案が提案された、こういうことでございますが、総理はこのクラーク大将が提案をいたしました防衛計画の内容を御存じでありますか。もし御存じならばここでそれを御発表願いたい。
  112. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたしますが私は存じません。
  113. 井上良二

    ○井上委員 委員長、木村大臣の出席を要求いたします。
  114. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ただいま要求しております。
  115. 井上良二

    ○井上委員 木村大臣政府を代表してクラーク大将に会つたのと違うのでございましようか。それともこれは個人的な会談でございましようか。事日本の防衛計画に関する重大な会談をいたします場合は、当然政府代表として会談をされたことであろうし、その会談の内容が総理大臣に報告されてないということでいいでありましようか。そういうことで内閣の首班者として一体内閣の統一の具体的なことが行えますか。それを伺いたい。
  116. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 井上君に申し上げますが、木村国務大臣はあと二、三分で到着いたします。
  117. 吉田茂

    吉田国務大臣 クラーク大将あるいは保安長官として互いに立場を話合うことによつて結論に到達する、これは当然の処置でありまして、これが結論があれば私に報告があるはずであります。
  118. 井上良二

    ○井上委員 もう一度総理に伺いますが、総理は、MSA協定を受け入れる、そのMSA協定というものが一体何を意味するものか。また保安庁法を改正して自衛隊を漸増する、こういうことは現実に日本をとりまく国際情勢が非常に緊迫化して、日本の自主独立をはかる上において非常に危険な情勢の中に日本が置かれておるということが具体的に国際的に現われているということでなければなりません。ところが今世界は平和への努力が非常にされております。平和への努力が非常にされておるときに、日本自身が、この貧乏国でもつてMSA協定を受入れ、かつまたこれに対応する自衛力を漸増する。日本をとりまく国際的な諸情勢の危機について具体的に総理から説明を願いたい。
  119. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたします。今日日本をとりまく情勢が危機なりと断定せられますが、私は危機が差迫つておるとは感じないのであります。またMSAの関係でありますが、これは日本の防備体制は日本みずからが決定するところであります。これだけの体制を整える、これについてアメリカがどう考えるかあとはすなわちMSAの問題になるわけであります。
  120. 井上良二

    ○井上委員 日本をとりまく国際情勢が非常に重要な段階に迫つておるということならば、これはみずからの祖国を守るということから、それに備えるということは自然発生的になつて参りましよう。しかしながら総理みずから日本をとりまく国際情勢は危機が迫つておるとは自分考えてない、こういうならば、何ゆえに一体自衛力を漸増し、かつまた外敵の侵入に対する保安庁法の改正をやらなければなりませんか、それを伺いたい。
  121. 吉田茂

    吉田国務大臣 保安庁法の改正の趣旨は、先ほど申した通りであります。しかして、今回国際情勢が迫つておるから保安隊を増強するのではないのであります。国際情勢は、今日ではかつて緊迫した危険が去つたということはだれも認めておるところであります。チャーチルその他においても認めておるところであります。しかしながら国際情勢は変転きわまりないものでありますから、日本としては防衛体制を整えておくことを考えるのは当然であります。大体日本をとりまく危機いかんにかかわらず、日本としては万一の場合に対処するだけの防衛計画を立てて行くべきが国としてのなすべき義務でありますから、自衛隊といいますか防衛体制は漸増する、この方針で行きたいと思います。
  122. 井上良二

    ○井上委員 木村保安庁長官が参りましたらやはり質問をいたしますが、最初に総理にもう一度確めておきたいと思います。総理は、自衛力の漸増はするが憲法を改正して再軍備をしないということを一つ覚えに繰返しております。しからば、自衛力が漸増する一定の限度というか、憲法を改正しなければならぬ限度、また軍備を持たなければならない限度、それを軍備と称する限度というものは、国民はどう理解したらよいか。現在の保安隊は十二万五千ですが、これが十五万になりあるいは二十万になつた場合、いわゆる武力というか、これに伴う装備ができた場合、憲法の改正はやむを得ないと考えておりますか。三十万になつても三十五万になつても、それに関連する装備ができても、外敵の侵入する場合対抗する戦力を持つても、まだそれは戦力だとも言わなければ、軍隊とも言わぬ、従つて憲法を改正する必要はない、こういうことになりますか。その限度を国民が理解するように具体的にひとつ御説明願いたい。
  123. 吉田茂

    吉田国務大臣 これは常識の問題でありまして、何万であるから戦力でない、あるいは戦力だというようなことは、これはいわゆる常識論でありまして、三十万持つていて戦力でないと申したらおかしいかもしれませんが、万か一万持つていてもこれは戦力を持つておらないと言つてもだれも疑う者はない。しかして来年度の予算において保安隊の増強をするのがただちに戦力なりと国民の常識が判断するような増強はいたしません。予算の数字によつて考えになつてもわかりましようが、さらに何方持てば戦力であり、何万持たなければ戦力といえないというような数字的な判断はできないのがほんとうであると私は思います。
  124. 井上良二

    ○井上委員 MSA協定を受入れてアメリカと共同防衛の責任を負わされて、それで外敵、侵入軍に対して対抗する武力を持つても、これがなおまだ戦力でない、一体そういう常識がありますか。あなたは一体国民に何と説明します。あなたはいつも政治の筋を通すと言われるが、それでは筋が通らないじやありませんか。あなたの方はMSAを受入れる腹で臨んでおる。そうすれば、当然アメリカ軍と共同の防衛に日本自衛隊は立たなければならぬことになるのです。それで外敵と戦争をやらなければならぬことになつてしまう。それでもなおかつこれは軍隊にあらず、こんなことで国民は承知しますか、それはあなたの従来言われる筋を通す、筋を通すという。一向通りませんぞ、これは……。そこはあなたの頑固じやありませんか。頑固がそう言わすのじやないですか。そこのところを、もう少し国民が納得するように言わぬといかぬ。われわれはMSA協定を受入れなければいいのだ。受入れて来ると共同防衛で日本人が外敵と戦争しなければならぬ立場に立つときに、それをなおかつ戦力にあらず、軍隊にあらず、従つて憲法を改正する必要はないと、一体どうしてそんなことが言えますか。それはあなたの頑固一徹がそういうことを言わせるのだ。そこをひとつ吉田さんに伺いたい。
  125. 吉田茂

    吉田国務大臣 それはどつちが頑固か、私はその頑固の程度については判定に苦しみますが、私の考え方は筋が通つておると思つております。保安隊は増強する、しかしながらもつて戦力に至らしめない、これは頑固でも何でもない、筋を通して申すのであります。しこうしてその増強の程度が、いわゆる国民の常識から見て戦力でない、再軍備でない、常識に反するような増強は考えていないことはしばしば申しておる通りであります。井上君はともかくとして、私本人としてはまことに筋が通つておると存じております。
  126. 井上良二

    ○井上委員 木村保安庁長官が見えたから伺いますが、あなたは先般クラーク大将と会談をしたときに、クラーク大将から一つの防衛計画というものを示されたそうですが、その防衛計画の内容をひとつ御説明を願いたいし、同時にそのときに大臣は、この計画に対して日本は財政的にそういう大きな計画をただちに受入れるわけには行かない、また憲法の規定によつてそういうことはできないと断つたそうでありますが、その通りでありますか、それを一応伺いたい。
  127. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。クラーク大将から防衛計画を示された事実はありません。どちらからも示しません。ただ概括的の会談にすぎないのであります。これは、私は何かの間違いであろうと考えます。その際の問答といたしましては、ただ日本ではただいま厖大な軍備を持つことはできないのだ、それは二つの面からの制約を受けておる、一つは憲法の問題、一つは財政の問題、こういう話はあつたのであります。繰返して申しますが、どちらからも防衛計画は示しません。
  128. 井上良二

    ○井上委員 昨日中曽根君の質問に対してあなたは、防衛計画は示されたけれども自分は断つたということを答弁されたように存じましたが、ただ問題は、そういうわけで日本としては財政的見地から厖大な防衛計画は現実にできない、また憲法の規定するところによつて戦力意味するがごとき自衛力は持てないということでありますが、そういたしますと、一体財政的限度の防衛計画はどこまで進んでおりますか。現在わが国の財政負担に耐え得る防衛計画の最高限度は、予算のどの程度のものであつたら持てると保安庁長官はお思いになりますか。それといま一つは、その場合に一体それが戦力でないのか。戦力でないような、武力でないような自衛力を、大きな負担をかけてやる必要が一体どこにありますか。烏合の衆のごとき自衛隊は何の必要もありません。そこにいつも問題が堂々めぐりをしておる原因があるのです。だからそこをひとつ、あなたの男らしいところですつぱり言つてください。
  129. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。ただいま井上君から保安隊を鳥合の衆というような言葉を承つたが、私は断じてそういうことはないと思います。おそらく十一万の保安隊員、一方の警備隊員はこの言葉を聞いたら憤慨するだろうと私は思います。決して烏合の衆じやありません。彼らは日本の国内の治安と平和を維持すべく黙々としてやつております。彼らは大いに、祖国の防衛をいかにすべきかということについて、日夜苦心をしておるのであります。これは私がここで、あらためて保安庁長官としてあなたに申し上げたい。  次にいかなる点まで日本の財政面に相当した防衛計画を立てておるかという御疑問でありますが、それについてはわれわれは苦慮しておるのであります。われわれといたしましては、まず第一に国民の生活の安定ということを頭に置かなくちやならぬ。しからばその安定とこの防衛の増強とをいかにマッチすべきか、ここに重点を置いております。そこでわれわれといたしましては、現在の段階において日本の財政面については大蔵省の意見々聞き、防衛計画についてはわれわれが立てて、お互いに相より相助けてこの防衛計画を今立案申であります。近くその成案を得るに至るであろうと私は確信しております。
  130. 井上良二

    ○井上委員 私は保安隊員が烏合の衆とは言うておりません。烏合の衆のごとき戦力のないようなものではいかぬと言うておるのです。あなたはみずから自衛隊員は志気旺盛にしてと言うて、非常に活発なお言葉をお使いになりますが、その志気いかに旺盛なりといえども、その志気を具体的に実力に移す全体の装備が伴わなければ、その志気は何にもなりませんぞ。そんなことは一つの迷信にすぎませんぞ。そこをあなたはどうお考えになつておりますか。従つてその志気をして十分八方活用でき得る装備、戦力というものがそれに伴わなければ、何の役にも立たないじやないか。あなたは霊友会の顧問をやつておるそうだが、神がかりではそう言うておつたらいいかもしれませんけれども、そんな神がかり的なことに厖大な経費を使うわけには参りません。やはりこの国土を守つてもらいたい。守るには、必要なやはりそれだけの装備というものを持たなければならぬ。問題はそこにあるのです。それをあなた方、口のここまで出ておつて言わぬようにしておるのじやないか。言いたいでしよう、やはり。言いなさい、言いなさい。
  131. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 保安隊においては、日本のただいまの内地の治安と平和を維持すべき十分なる装備を持つております。しかしながら将来これを外敵侵略に対して対処し得るようにするについては、われわれはなおよき装備を持たせたいと思つておるのであります。現在の段階においては、保安隊は内地の治安と平和を維持すべき十分なる精神力と、しこうして装備を持つておるということを断言いたします。
  132. 井上良二

    ○井上委員 それが発展して外敵に対抗し得る、いわゆる戦力を持つことになりませんか。外敵が侵入する場合もやはり精神力ですか。どうですか、そこのところは……。
  133. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 井上君も御承知の通り、ものは精神力で行かぬのです。物もこれに伴わなければいかぬことは、万々御承知のことだろうと思う。そういう議論は私はここでしません。将来外敵に対して対処し得るについては、それ相当の装備を持つことは当然のことであります。しかしこれが戦力に至るかどうか、これはしばしば申し上げておるのであります。こういうことは再び繰返さない。われわれは、憲法九条の二項に規定された戦力というものはそんなものじやないと思う。これは戦力論を私は繰返す必要はない。しばしば御答弁をした私の速記録を見れば、きわめて明白なことだと私は思います。
  134. 井上良二

    ○井上委員 この問題は、おそらくそう思つているのは木村保安庁長官と総理ぐらいでしよう。日本国民はそう思うておりませんよ。そこにあなた方のものの見方の大きな違いがあります。この違いを何ぼ言うたつて、紙の表や裏やと言うておるだけで、同じ紙に違いはない。裏や表というだけで……。あなたのような頑固な人に私はこれ以上言いません。  次に伺いたいのは、先般外務大臣は東南アジアの各国に訪問をされまして、特にフィリピン、インドネシア、インドシナ、ビルマの諸国との外交調整を行うための親善訪問をされたのでありますが、これらの諸国に訪問をしまして、帰つて参りまして、これら諸国との間の賠償問題について話を具体的に進める。これらの諸国から全体でもつて三百億ドルくらいの要求があるのではないかと想像いたしておりますが、これは邦貨に直しますと、全体でもつて相当大きな金額になりますが、さらにこれを政府の方では全体を譲歩願つて、四、五億ドルくらいで何とか解決したい、こういうことのようでございますが、相手方が三百億ドルも要求しておるものを四、五億ドルくらいで解決する自信が一体ありますか、これを伺いたい。
  135. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはいろいろうわさされておりますが、第一相手国が三百億ドルとか、そういう要求をしておるという事実はないのです。それはおそらく戦争被害として計上された額が、たとえば八十億であるとか、あるいは百億であるとかいうものを合算されたものと思うのでありますが、戦争被害の額と賠償額とはおのずから違いがあるのであります。また賠償額となりますれば、日本の支払い能力に適応したものでなければ実際上お話にならないわけでありますから、賠償額はおのずから違いがあります。そこでただわれわれの方としてはできるだけ相手方とよく話をいたしまして、両方の理解の合つた基礎において適当なところにとりまとめたいと思つておりますが、まだ具体的にそういう額の協議までには至つておりませんから、従いまして五億ドルとか六億ドルとかいう数字も、これは何ら根拠のない数字であります。新聞等に出ておるのは私も承知しておりますが、これは想像にすぎない数字であります今後だんだんと話が進むでありましよう。その間におきましては、たとえば中間賠償というような形で、沈船引揚げだとかその他のものもいたしましようし、だんだん今後解きほぐれて来るようにいたしたいと考えております。
  136. 井上良二

    ○井上委員 大体全体の賠償額の見通しがつかないと、来年度予算にこれを計上します場合、およその具体的な計数が出て来ないのじやないですか。全体の話を一応見通しをつけて、そこで今後これを何年間に払つて行く、その当初年度としてはこれだけ予算に組むということになるんじやないですか、これをひとつ御説明願いたい。
  137. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういうふうに、おつしやるようにできますれば、これはもちろん理想的であります。しかしたとえばある国とは来年度中に、あるいは今年度内にも話がまとまるかもしれませんからして、これば腰ためでとうしても予算は組まざるを得ない。たとえば平和回復処理費のようにいろいろの項目がありまして、これは出るか出ないかわからないけれども、一応用心のためには出しておく。しかし、たとえば話がついてから支払いに至るまでの期間もありまするから、必ずしも全部を一年分計上しなくても初めの年はいいという場合もありましようから、これらを勘案しまして、適当な額を計上してもらうように大蔵省と話をしておりますが、万一これが実際上不足するような場合には、また予備費なりあるいは補正なりをいたしてもらわなければならぬ場合があるかもしれませんけれども、そういう意味である程度の額は今交渉中でございます。
  138. 井上良二

    ○井上委員 次に対米債務の問題について伺いたいのですが、占領行政が行われておりましたときに、アメリカからわが国に与えられましたガリオア、イロア資金による援助に対して、総理は、この援助が債務にあらざることをたびたび言明をして来たようにわれわれは聞いております。しかるに吉田総理の個人的な特使と称する池田氏が、今般MSA交渉において、ワシントンでのロバートソン氏との会談において、ガリオア、イロアを債務としてこれを認め、東京会談で返済方法を折衝するということを確認して来たように伝えられておりますが、その事実は御存じでありますか。
  139. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはたびたび前にも当委員会等で申し上げました通り、政府としては債務と心得てはおりまするけれども、その額だとか支払い方法だとかは何らきまつておりませんから、債務自体にはなつておりません。今後話合いをいたしまして、額がきまり、支払い方法がきまり、それが国会で承認を得ましたときに債務と決定するわけであります。ガリオア、イロア等の資金についての清算をして、そうしてそのどれだけが日本の債務となるか、これを決定したいということが、アメリカ側でも前からの希望であるということは、従来申しておる通りであります。今回も同様の話があつたのであります。そこで政府といたしましても、これはたとえば二十億という説もありあるいは二十三億という説もあり、十八億という説もあり、いろいろありまするから、その中のどれだけが認め得べき額であろうか、またそれを日本の財力に比べてどういう方法なら支払い得るかというようなことにつきましては、今後話合いをいたして結論を得たい、こう考えておりますが、ただいまのところは従いまして債務とはなつておりません。政府としてただ全体を債務と心得ておるだけのことであります。
  140. 井上良二

    ○井上委員 そこのところが非常にややこしいので、政府は債務とは考えてない。債務とは考えてないものを債務と考えるがごとき政治的考慮を払つて、それが債務ならばどう支払うかということをこれから話をする、こういうことですね。そうすると何もそんな思いやりをしてやらぬでもいいじやないか。現実は御存じの通り日本は戦争に破れて、独立するまでアメリカの占領下に置かれておつたアメリカの軍政下に世かれておつた。そのために必要なものが足らぬから向うが持つて来て、それを使つたたけの話で、日本政府が何もこれをかつてに注文して、かつてに買うて来てやつたのじやないんです。向うの軍政の必要からやつたことなんです。それを何で一体債務と心得てやらなければならぬほどアメリカに義理合いがあるのか。現実に池田さんにアメリカまで御足労を願つて、何とか経済援助や技術援助をお願いをしたが、そのこともさつぱりうまく行かずに、帰りには借金まで背負つてつて来ているじやないか。これを借金と認めて帰つて来ているような報道がされております。これはたいへんな特使を総理は出したものですね。これをもし借金として交渉するというようなことになりますならば、われわれは占領下における国民としてこの代金を支払つているわけです。アメリカに代金を払つたことになつている。われわれはただでもらつたんじやない。それで向う援助や贈与やというて、いかにも助けてやつたようなことを言うておいて、今になつて金をくれとは何ということを言うのか。国会ではたびたび感謝決議をやつているじやないか。各地方団体ともたびたび、まるつきりおいなりさんか何かを拝むようなつもりで向うの司令官を呼んで来て感謝決議をしておる。それがMSA交渉がうまく行かない今ごろになつて、これを持ち出したら日本は多少アメリカの言うことを聞くと思つてそんなものを持ち出しておるのかもしれないけれども、これはアメリカの御都合でやつておることなんだから、こつちがアメリカ政治に干渉する必要はありません。これははつきり断りなさい。断るたけの自信がありますか。それを伺いたい。
  141. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは井上君多少誤解がおありのようでありますが、占領行政と申しますものは、過去の歴史を見ますと、これは相当苛酷なものでありまして、また占領に要する費用は、その占領軍の軍人の被服や給与までをその国から坂上げた例が幾多あるのであります。従いまして、占領行政のもとにおいては、非常に苦しいような国民生活の場合もあり、そうでない場合もあるのであります。われわれは食糧の困難なときその他のときに、アメリカ側に要請をしまして、いろいろな援助を求めたのは事実であります。また同様のことはドイツでも行われておりますが、ドイツではすでに協定を結びまして、債務の一部を返還いたしております。従いまして、当時感謝決議等はもちろんありましたが、これはたとえば、かりにただでもらうものでなくしても、当時ほかの国からわれわれのところへ食糧の来る見込みはなかつたのであります。金を出そうが出すまいが、要するに、あの困難な食糧危機を切り抜け得ましたことは、私はアメリカ援助のためだと考えております。その意味ではそれが債務であろうとなかろうと、とにかくその苦しいところを経過し得たことについては、感謝の値打ちは当然あると考えております。また今までの慣例等から見ましても、ドイツの例から見ましても、これはある程度の債務と心得てその返済をいたすべきは至当なことだと考えております。総理もすでに申されております通りに、よその国からただで物をもらうよりは、むしろ能力の範囲内で返済するのが国として当然のことであろう、こう考えておりますが、まだその額等はもちろんきまつておりません。日本の財力等に比例しまして、適当なところで適当な方法できめ得るならばけつこうであろう、こう思つて将来の方針にまつておるのであります。
  142. 井上良二

    ○井上委員 次に、国際収支のアンバランスの改善について伺いたいのですが、政府はこのアンバランスを改善するため必要な予算的、資金的措置を講じまして、貿易の輸出振興に非常な努力を払つて来ており、国民もまた輸出振興が日本の生きる唯一の血路であるとして、このことに全力を上げておりますのに、政府の発表します国際収支のバランスを見ますと、輸人は年々増大をしており、反対に輸出は最近非常に悪くなりつつある。一体政府はこれをどう具体的に改善しようとするか。このことについて御説明を願いたい。
  143. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。まことに残念なことでございますが、英仏独とかいう方面では、朝鮮動乱後三割くらいしかしりませんが、日本では五割くらいの物価騰貴になつておりますので、そういうこと等のために、実のところ外国への輸出がなかなかできません。ことしわれわれといたしましては相当輸出を望んでおつたのでありますが、その輸出の伸びない原因は、これは申し上げれば長くなりますけれども、結局物価の高いということが一つの原因であります。それからまたスターリング地域におきまして輸入制限をしたこと、また東南アジア方面をわれわれは非常によい市場と考えておりましたけれども、世界的の物価の低落のために、その地方で産出する原料の値段が下りまして、その購買力が非常に落ちたということで、かたがた輸出というものが振興しない、こういうようなことになつております。ところが一面輸入はどうかと申しますと、日本で物価が非常に高いということを結局大きな原因といたしまして、外国から物を輸入すればもうかる、こういうことでございまして、どんどん輸入がふえて来ておる。そうして今日われわれが心配しておりますことは、輸出が進展しないで輸入が非常にふえて来ることで、戦後初めて一億ドルの輸入超過というような情勢になつて来ておる次第であります。われわれいつも考えておりますのは、内地の物価を下げる方法を考えて行くと同時に、輸出の市場を開拓し、輸出を進展させて行く、こういうことでありますが、ただいまのところいろいろ案は練つておりますけれども、速急に効果を上げ得ないということは事実であります。
  144. 井上良二

    ○井上委員 輸出の振興が思うように行かないというのは、一つ経済的外交の非常に不手ぎわな点にありはしないか。いま一つは、従来日本の商品市場でありました相手国かそれぞれ近代化して参りまして、経済関係の非常な変化がそこにあること、第三は、今御説明になりました輸出商品の非常に割高であるということ、ところが輸出商品の割高について、単に二重価格による輸出を考えるだけでなく、本質的に原料価格をどうして下げるか。金利や運賃や電力料金等の引下げについて積極的な政府の不動の態勢というものを確立せずに、どうして逆に物価のつり上げをするような要素を非常にたくさん準備されておるのか。たとえば鉄道運賃の値上げ、あるいは郵便料金の引上げ、あるいはまた電力料金の引上げが予想されておる。さらにまたその上に米の値段も引上げようとしておる。全体の物価を引下げなければならぬときに、重要な物価の要素になつておるものを反対に政府政策ではつり上げるような形が出ておるのじやないか。これを通産大臣はどうお思いになりますか。
  145. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。物価が高いにかかわらず、米の値段を上げてみたり、運賃を上げたり何かして、物価を下げる方向に逆行しておるのじやないかというような御説でございました。これはむろん形式から申しますとそうなるのでありますが、しかしベース・アップにいたしましても、鉄道関係にいたしましても、これは法律上井上さん十分御承知の通りの事情で、ああいう勧告なり裁定が出ております。われわれはこれを法律的な形式論から申しましても何とかしなければならぬというふうにも感じますし、同時に実質的に見ましても、やはり裁定とか勧告というものにつきましては、ほかの企業などと比べてつり合いを保つという意味におきまして、これ一つ考えましても、ただいまの状態といたしましてはやむを得ない処置でございます。しかしやむを得ない処置でございますけれども、この点におきまして、私どもがなぜ米の消費者価格を上げなければならないかということは、これは御承知の通り、物価政策といたしましては、個々の商品の価格の引下げに努力することももちろんでございますけれども、インフレを押えますにつきましては、全般の資金量、財政力というようなものに大局から考えを及ぼさなければならぬのでありまして、生産者米価というものはうんと高くなりました。しかし生産者米価というものが高くなつたのを、それを消費者米価をかりにそのままとしておきますと、これは何にしわ寄せするかということになると、結局財政資金にしわ寄せせざるを得ない。財政資金にしわ寄せをするということは、大きな立場からインフレ高進になる。こういうことになるわけであります。この点につきましては、政府といたしましては、どちらがインフレを押え、同時に物価を引下げる方向に持つて行けるか、少くとも維持して行くというようなことに役立つかと申しますれば、財政のインフレを防ぐ力がよほど効果が多いという面におきまして、一面におきましてはやむを得ざる上昇を認めなければならぬ。そのやむを得ざる上昇というものは、必要最小限度にとどめておいて、そうして一面におきまして財政の緊縮をはかつて、大きな波の来ることを防ぐ、こういう意味におきまして、われわれといたしましては今回の措置をとつた次第でございます。
  146. 井上良二

    ○井上委員 輸出の振興が日本の悪条件の中から、経済関係の中からただちに改善ができぬとなれば、最も手取り早いアンバランスを解決する方法は、輸入を極力圧縮する、輸入を防遏するという手を積極的に打たなければならぬ。そのために、最もわれわれが遺憾に思いますのは、年々輸入が増大をして来ておる。特に食糧の輸入が最近非常にふえておるということであります。これは政府御存じでございましようけれども、ここ数年来食糧の輸入は恐ろしい勢いでもつてふえております。一体これは何を意味するのか、わずか年間十二億ドル余りの輸出しかないのに、そのうちで食糧関係の輸入は五億ドルを突破しておりますぞ。十二億ドルの輸出しかないのに、五億ドルの食べたらなくなる米を買うて来ておるのです。これを一体政府は何と考えるか。特にわれわれ遺憾に存じますのは、政府みずからが農業政策に対して必要な手を打ち、必要な対策を講ずるならば、もつと国内の食糧の増産は確保され、供出は増大をして参ります。しかるに政府のやつておることはまつたくなつていない。われわれの見るところによりましても、現実にこの二、三年の間に約二百万トンから食糧の輸入はふえておりますぞ。もちろんそこには人口の多少の増加があり、そして耕地その他の災害による流失、埋没があるといえども、わずかの間に、ここに二百万トンも多く輸入せなければならぬという一体そういうべらぼうな輸入依存の政策がありますか。何ゆえに一体この食糧の輸入を防遏することに積極的な手を打たないのか。問題は、私はこれが一番手取り早いやり方——、食糧の輸入をどうして食いとめるか、それからいま一つ大きなものは、衣料原料であります。いわゆる羊毛、綿花であります。この羊毛縮化と食糧が輸入の過半を占めているということであります。しかもこの羊毛、綿花はいわゆる合成繊維の発展によつて相当防遏はできる。だからこの二つとも国内産業によつて、国内産業に積極的な手を打てば相当輸入が防遏でき得る。一向その輸入防遏の実績が上らないのはどういうことから来ておるのか、それをひとつ関係大臣から説明を願いたい。
  147. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今食糧のために御説の通りに五億ドルぐらい使つております。この点は非常に措しいことだと私は思つております。しかし一面考えてみますと、食生活というものは、これはすべての根源でございまして、これがなければわれわれは何らの活動もできない。その意味におきまして、食糧を確保することだけは、どんなに苦労をしましてもしなければならぬ、こう考えております。それからなぜ国内でこれを増産しないか。これにつきましては、井上さん御承知の通りに、食糧増産につきましては、農林関係におきまして非常な努力をしておりまして、政府資金もこれに相当多額の投資をしております。それなら投資をしてもちつとも実効は上らぬじやないかと仰せになるかもしれませんが、しかしああいうふうな食糧増産対策というものは、すぐ目に見えるものじやございません。長年かかつてできるものでございます。そしてわれわれが見ておりまするただいまのところでは、農地の改良とか何とかいうことによりまして、ただいま二〇%くらいは増産が戦前に比べてふえておるように見えます。そういたしますと、食糧の増産の戦前に比して二〇%もふえているということだけでも、はつきり数字上、これだけの投資をしたからこれだけ出て来たということはわかりませんけれども、全体においてふえておることは一面の証明がつくわけであります。それから今年の冷害にいたしましても、これは昭和九年の冷害よりによほど強かつたはずでございます。しかし昭和九年にできた米の収量よりは今年の収量の方が多いということ、これもやはり、戦後いろいろ農林当局において食糧増産に努められた結果だろうと思います。私どもは御説の通りに、食つてしまうものだから、そんなものを入れることはなるべくやめて、そうして内地でつくることを増加したらいいじやないか、御説の通りに考えまして、着々努力をしておりますけれども、結果といたしましては、先ほど申し上げましたような程度の証明しかできないことになつております。  また衣料の問題にしましても、これは御承知の通りに戦時中、あの空爆によりまして国民はみな衣料は失つてしまつております。そこで大衆に対してはどうしても、いくら金がかかりましても原綿、羊毛を入れて、そうして日本の衣生活を少しでも満足させなければならぬという意味で入れておるわけでございまして、これはむろんこれがそのまま現実にいいとは申せませんけれども、一応そうしておるのでありまして、一面合成繊維、人絹というものに非常に努力いたしまして、先般も申し上げました通りに、合成繊維は今七百万ポンドか八百万ポンドしかないときに、これを五年先には一億五千万ポンドにもしたいという努力をして、今着着と成功いたしておるのであります。速記に効果があげられませんが、計画だけはできて、着々と成果をあげておることだけは御了承願いたいと思います。
  148. 井上良二

    ○井上委員 御承知の通り、わずかここ数年において二百万トンも輸入食糧がふえた。特に本年は、政府は国内の産米の生産高の把握、それから供出に対する対策、そういうものに積極的な農民の協力を求め得る対策を講ぜずに、逆に政府から放送しますのは、今年は未曽有の凶作だ、米が足らぬぞ、こういうことを宣伝をして、そうしてそのためにいたずらにやみ値を高くして、やみの値上りというものは恐ろしい勢いで暴騰した。そうして東京ではやみ値が一升百四、五十円であつたものが二百五十円も三百円もし出した。こういうこと米どころの農民の耳に吹き込んで、そうして供出の割当に対してはできるだけ本年の収穫を低く押えて、その収穫に基く割当はできるだけ勘案してやる。勘案してやらなければ基本米価は安いし、そこにもつて来てやみで売ればこれで売れるという一つの印象が農民にあり、またやみで売らなければ農家経済が立つて行かないような農業経済の中に置いておいて、また都会においてはいわゆる内地米の米食い率を引下げておるのでありますから、そうなればやみ米を買わなければならぬ現状に追い込められる。そういう状態国民を追い込んで、そこで米食い率十五日を維持し、年間三千五百万石の米を確保するためには、どうしてもここに百万トンの米を輸入せなければならぬ。百万トンの米を輸入するのには、去年の百万トンからさらに六十万トンの輸入をふやさなければならぬ、こういうことに結果はなつて来ている。農林大臣は本年の産米の収穫高を五千三百四十五万石に押えておりますが、五千三百四十五万石というこの数字は一体科学的な具体的調査によつて出した数字か。この数字の裏には政治的な要素が多分に含まれておるとわれわれにらんでおるが、かようなことは全然ないと言い切れる、この点を御説明願いたい。
  149. 保利茂

    ○保利国務大臣 私どもが先頭に立つて米が足りない、凶作だと言うようなことは、これはもう絶対に慎まなければならぬ、むしろ私は逆の態度をとつてつたことに批判を受けておつたようなものであります。五千三百四十万石というのは科学的な基礎の上に立つての数字であるか、これはあなた御承知のように、いわゆる農林統計のとり方によつて国家でやつておりまする作報調査によつて全国から集めました数字でございまして、これは政治的に何らの作為を施したものでないということは、また施せないものであるということは、あなたの御承知の通りであります。ただいかにも私ら政府が、ことしの米はこんなに少いのだ、少いように押えたようなお話でございますけれども、これはとんでもないことでございまして、井上さんも御経験があつてよく御承知のように、この五千三百四十万石は、県側からいたしますれば、ずいぶん無理だ、そういう米はできない、供出割当折衝に当りまして、これはあなたも経験されている通りであります。県側の申しておりまする作況を集計いたしますならば、四千四百万石、ちよつと千万石からの開きが生じておるわけであります。この五千三百四十万石というものを国家の調査機関によつて押えておりますればこそ、供米折衝もできるわけでございます。県側の四千四百万石というこれとの開きをごらんいただいただけで、私は大体今年の作況の姿がおわかり願えるのじやないか、こういうふうに考えております。
  150. 井上良二

    ○井上委員 いま一つ伺いたいのですが、一体政府は、今日まで食糧増産のためにここに数年来、今岡野大臣お話になりました通り、国費をつぎ込んで来ております。私の調べたところでも、昨年度までの予算において、本年度の予算を入れますと約千億からも食糧増産だけにつぎ込まれております。しかるに食糧増産の経済的効果は、全然供出に現われて来てない。これは一体どういうことでございましようか。少くとも国会に食糧増産費を要求いたします場合は、これだけの増産対策をやれば、これだけ米がよけいとれるという、そこに経済的効果が説明されてあるのであります。現にあなたの方の当局においてお立てになつております十年計画、五年計画において、これだけの国費を投ずれば、五年後には千七百万石、十年後には二千数百万石とれるということが説明されておる。それと同じように、各年度の予算要求においても、これだけの土地改良、これだけの耕種改善、これだけの耕地拡張をやれば、これだけの増産になるという経済的効果が明らかに示されておる。これはまた当然一つの事業をやる場合、経済的効果を見込まない経済計画はあり得ないのですから、経済計画を立てて、その効果を明確にして予算要求をしておりながら、毎年供出の割当は減つているじやないか、これは一体どういうわけですか。その責任はだれが負うんですか。今公共事業費その他が乱雑に使われていることが指摘されて、ずいぶんやかましい問題になつているが、予算をとるときには、これだけできるといつて予算をとつておきながら、割当するときには米が出ないということは、どういうことです。どういう責任をあなたはとるんですか。国会を欺くんですか。ひとつそれをはつきり答弁してもらいたい。
  151. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほど経審長官からもお話ございましたように、増産の効果は、これだけやれば、これだけの効果があつて来るという計画のもとに、増産計画は進めているのでございます。しかし実情は、増産計画、その事業というものは、あなた御承知のように、かなり大規模な事業にとりかかつているわけであります。それがどの事業も完成したあかつきにおきましては、これは現実に私は増産の効果が上つて来る、ダムの建設をします、あるいは灌漑排水をつくりかけて、まだ水の通らないうちは増産効果が上りようはずはない。それを、しかも大規模なものを取上げてやつて来ているわけでございますから、従つてこれらがみな完成すれば必ず増産効果があがつて来ることは、これはもうよく御承知の通りで、戦前の反当収量が一石八斗、今日では少くとも一石一斗、反当収量にして三、四斗の増産が現実にされているということでございますから、これはどうしても増産計画は推進して行かなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。  ただ供出量がだんだん減つて来るじやないか、これは確かに私もそうだと思います。大東亜戦争中は、勝つための供出、長い間の占領中は、いわば強権供出をやつて来ている。それが昨年来独立して、純然たるむしろ経済行為としての供出になつて来ております。先ほど申し上げましたように、県側では、四千四百万石という米しかとれていない、従つてそんなには出せないというように、供出制度の様相がかなりかわつて来た。そういうところに困難があるわけであります。従つて今後食糧管理制度を強化して行く。強化して行くというのは、つまり供出を多く確保して行きまするためには、相当の検討を要するのではないかと私自身も考えております。十分検討いたしております。
  152. 井上良二

    ○井上委員 次に、本年度の食糧の需給計画について伺いたいのですが、農林大臣が本国会において、十五日の米食い率は引下げない、これを維持するということをたびたび言われております。ところが現実に政府が本年内地米を買上げますのは、義務供出と超過供出と合せて二千百万石であります。これに古米九十方石を加え、さらに二十九年度産米の百五十万石を予想して、内地米の米食い率を維持しようということであります。ところがこの計画の上には、非常に大きな困難が横たわつておると考えます。問題は、一つは質の問題、一つは全国不均等の米食い率の問題でございます。そこでこの際もう一応確かめますが、農林大臣は今の需給計画でもつて——内地米二千百万石の供出、外米百万トンの輸入、これと来年度の百五十万石と古米を加えたものでもつて、これから来年の十月までの年間の米食い率は、遅配欠配なしに行けるという自信をお持ちですか、それを簡単にお知らせ願いたい。
  153. 保利茂

    ○保利国務大臣 政府責任において、何とかこれをやつて行きたいという私の決心を申し上げます。
  154. 井上良二

    ○井上委員 私どもの推定いたしますところによると、年間の需要は米でもつて三千五百万石、そのうち、主食としてどうしても見当てなければならぬものが三千二百万石と押えております。この三千二百万石の需要に対して、ただいま申しましたように、内地米全体を加えてみても、ここに非常に不足が生じまして、どうしても四月から先となりますと、——内地米は現在消費地においては十日分が一日切られて、九日か八日になつておりますが、これがさらに二、三日切られることになりはせぬか。内地米の米食い率は、実際は六日分になりはせぬかと、私どもこういう計算をいたしております。そうなつて参りますと、あと逆に十日近いものが外米で配給されることになろうかと思います。そこでこの外米の輸入が、一体正当な買付方法によつて、必要なときに必要な量が完全に輸入されるかどうかという大きな問題がございます。なるほど、本年は米の輸出国がそれぞれ豊作その他の好条件が報道されておりまして、いろいろ輸入に都合のいい条件が出て来ておるようでありますけれども、二十七米穀年度においても、御存じの通り約百万トンの外米を輸入した。この外米を輸入するのについて、政府の方ではこの買付に非常に努力をざれた。その結果、そのまま人間が食うことのできないような、例の黄変米を中心にした砕米が相当抱き合せて買わされております。しかも最近入つて来ております外米は、ほとんどこのくず米まじりのものが非常に多いのです。百万トンを買うのにさえ、一万数千トンの黄変米と抱き合されて、さらにその上に数万トンに上る砕け米を抱き合されて、そうして精米として買うたものにさえ、非常に悪質な米が多量に入つたものを買わされておる現状であります。それを本年は、さらに六十万トン、六割も上まわつて買おうというのですが、一体どこの国からそれを買おうというのですか。多分これはアメリカか、あるいはその他の本年たくさんとれておるところから買おうとするのじやないかと思いますけれども、これは非常な困難な実情になつておりはせぬかと思う。政府ははたして四月以降において完全に外米の輸入が行われて、米食い率の引下げはしないというだけの確信があなたにはありますか。もしそうなつて遅配、欠配が起り出したら、その責任をおとりになりますか、それを伺いたい。
  155. 保利茂

    ○保利国務大臣 内地米の二千百万石を確保いたしますことは、さらに一段の努力を要すると思います。努力はいたします。さらにまた外地米につきましては、百六十万トンの輸入計画を立てております。今日まですでに買付済みのものが七十万トンばかりできております。これば例年に見ない非常な好調でございます。価格の点におきましても、従前よりもずつといい条件になつて来ております。しからば百六十万トンの買付はどこでやるのか。これは大体あなた御承知のように、アメリカでありますとか、タイでありますとか、ビルマであるとか、こういうふうな主要な余剰国になると思います。
  156. 井上良二

    ○井上委員 次に、消費者米価の値上げについて二、三伺いたいのですが、一つは、政府は今回の値上げは、家計米価のはねかえりの上から考えても、そう大して家計には響かない、こういうことでありますが、現実に政府みずからの操作の悪いといいますか、いろいろな点から、内地米の米食い率が下つておる。そうすると、当然やみ米というものに目が向いて参ります。ところがやみ米の価格が非常に暴騰しており、それが一向に下らない。消費者米価はある程度上げたが、これは家計にそう響がないとしても、内地米の不足をやみによつて補わなければならぬところの、ほんように働く人々の家計を見た場合、やみ米の暴騰による家計への影響というものは重大であります。この点をこの際農林大臣はどうお考えになりますか、これを伺いたい。
  157. 保利茂

    ○保利国務大臣 内地米の作柄が悪うございましたために、従つてこれも一応表面的なことになるかも存じませんけれども、昨年の統計に現われておりまする六千六百万石、本年の実績に幸いなりますれば五千三百万石、すでに一千三百万石に近い穴がそこにあるわけでございます。それだけは内地米の供給がどうしても足りなくなる。配給に乗つて来るものも、あるいはそうでないものも、全体の出まわりからいえば、それだけとにかく大幅な内地米の供給減を来すわけでございます。従つて昨年度と同じように米を食べて行こうということになれば、これはどうしても家計上無理をしなければならぬことになる。これは当然だと思います。そこでこういう凶作飢饉の年にあたつては、やはり家庭におかれましても、何とか米以外のものを——これは食べざるを得ないわけでございますから、ごくふうを願つて、家計上影響を及ぼさないような消費者のくふうが望ましいわけでございます。そこに粉食奨励ということが当然要請されて来るわけでございます。私どもといたしましては、この十五日の配給は確保いたしますが、あとの十五日については、どうしても麦を中心とした食生活をやつていただかなければならぬわけであります。従つて麦の価格が上らないようにするためには、さらに一段の努力を費すわけでございます。幸いに麦の価格並びに麦製品の価格は安定をいたして参つております。さらに必要に応じて、これは暴騰を押えるような手段をとつて、食生活の安定をはかつて参りたい、こういうように考えております。
  158. 井上良二

    ○井上委員 時間がありませんからこれで終りますが、最後に、政府は今度の予算に十キロ六百八十円のものを七百六十五円の値上げの予算を出して来ておりますが、これは三月末までの限度であろうと思うのです。そうすると、三月から先一体消費者米価はこの価格をあくまで維持するつもりか。それとも新しい二十九年度予算において再び消費者米価を上げなければ、いわゆるコスト計算といわれる政府考え方から行くならば、十キロ八百九十円ぐらいにつきますから、当然六百八十円と八百九十円との開きは、それが七百六十五円になりましてもあと相当食管の会計に赤字が出て参るのであります。この赤字を穴埋めするために、財政的な負担をするのか、消費者にこれをぶつかけるのか、どうするかという問題がここに一つある。この点について御答弁を願いたい。  なおいま一つ非常にわれわれ遺憾に思いますのは、御存じの通り米が非常に足らぬ。特に内地米が不足する。この足らないものに対しわれわれは文句を言うておるわけではない。やむを得ない。ただこれを公平にわけるということが必要なんだ。ところが現に政府のやつております食糧の配給の実態を見てみますと、一箇月十五日配給を受けておるのは全国で二十一県であります。消費府県として二十一県。あと中間府県として十幾県が十六日から十九日の配給を受けている。最後に米の一番よけい出ております生産県が、生産県に住んでおるがゆえに二十日分の内地米の配給を受けております。最近は米食率の内容は大分かわつておりますけれども、それでもなおかつ二十日分を依然として維持しておる県がある。同じ日本国民ですよ。一体どういうわけで十五日しか米を食わせないで、片方は二十日も食わせるのか。どういうことですか。それはいろいろ輸送その他の関係があつてどうにもならぬというが、どうにもならぬということはありません。やり方によつたらどうにもなるのです。どういうわけで十県の者には二十日間米を食わせて、二十一県の者には十五日しか配給をしないのですか。われわれは足らないことに文句を言うてない。公平にやらぬことに文句を言うておるのですから、そこの点をどうぞひとつ公平に行くように努力を願いたいと思います。できますか。これを伺いたい。
  159. 保利茂

    ○保利国務大臣 消費米価の問題でありますが、二十八年産米の全体を通じまして、食管会計及び一般会計で負担しておりますのが二百七十六億になるわけであります。これは昭和二十九米穀年度を見越しての建前でございますから、一応は未確定要素として凶作係数の問題が一つつておるわけであります。その他の問題につきましては、一応これで処理済みになるわけでございます。新たに加わることはなかろうが、今後の経済情勢いかんによつて考えなければならぬ、こう考えております。  それから配給のアンバランスにつきましては、これはもう単に井上さんのみならずみなが感じておる矛盾であります。非常に不自然な状態でありますが、これはまつたく供出を確保いたして参る手段としてかような矛盾が今日まで続いておるわけであります。本年生産県から消費県に転落をいたしましたものにつきましては、これはまた消費県並の配給をいたすが、何とかひとつこの矛盾を解決するようにしなければならぬという考えは強く持つております。
  160. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 河本敏夫君。
  161. 河本敏夫

    ○河本委員 私は、主として大蔵大臣に対しまして、今度の補正予算及び今日午前中御説明になりました来年度予算骨格につきましてお尋ねしたいと思いますが、その前に岡野経審長官にそれらの前提となると思われる現在の経済情勢及び今後の見通しにつきまして二、三お伺いしてみたいと思います。  政府は、これまで機会あるごとに低物価政策を堅持するということをしばしば言明いたして参つたのでございますが、この低物価政策ということは、物価を現在以上に上げないという意味であるか、それとも現在日本の物価は外国の物価に比べまして二、三割高いが、その高い日本の物価を積極的に引下げて外国の水準に近づける、こういう意味であるか、そのいずれであるかを明らかにしてもらいたいと思うのでございます。
  162. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。低物価政策と一概にいわれておりますけれども、物価を引下げることはなかなか困難であります。一番の問題点としては、外国に比べて非常に日本の物価が高くて、輸出を振興しようと思いましてもうまく行かない。いろいろほかに輸出を阻害しておる原因はたくさんありますけれども、その一番大きなものがやはり物価が高いということでございます。これを下げることにつきましては箱当われわれも努力いたしたいと考えております。
  163. 河本敏夫

    ○河本委員 ただいまの御答弁でははつきりしないのでございますが、遠い将来の目標としては、積極的に物価を引下げて外国の水準に近づけるのだ、しかし現在の状態においてはなかなかそれが困難である、従つて当面の目標としては現在以上に物価を上げない、こういうことが精一ぱいである、このように理解してさしつかえございませんか。
  164. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいまのところはその通りでございます。
  165. 河本敏夫

    ○河本委員 ところが、そのような政府の目標というものは、最近少しも実効を現わしておらないのでございます。御承知のように、朝鮮休戦直後の物価は、これは岡野さんのところで発表せられました数字によると、英国、フランスの物価は、動乱直前に比べて約三割高くなつておる。米国、カナダは約一割高くなつておる。西独は約二割強高くなつておる。ところがわが国では、朝鮮の休戦直後におきまして約五割三分高くなつておるというのが、経審の発表でございます。しかしながら、その後二、三箇月間の推移を調べてみますると、外国ではその間に約一割近く下つておりますが、日本におきましては、逆に数パーセント上昇いたしまして、最近では動乱直前に比べまして、一五九ないし一六〇の線を維持しておるのが現状でございます。それでありますから、先ほど岡野さんの言われた、少くとも物価を引上げないようにするという線は、現在の政府の努力にもかかわらず、現実においてくずれておる。こういう事実がございまするが、これはお認めになりますか。
  166. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 経審で差上げた数字を取上げたと思いますが、その通りであります。
  167. 河本敏夫

    ○河本委員 岡野経審長官は、朝鮮休戦後におきましても外国の物価の大勢に逆行して日本だけが上つておる、こういうことをお認めになつたのであります。  それで問題を次に転じまして、生産、貿易及び国民所得に関しまして簡単に御質問を申し上げます。本日午前中の大蔵大臣お話では、来年度の国民所得は、本年度は五兆八千二百億であるが、約六%増加して六兆二千億くらいになるであろう、こういうことを言われました。この作業は多分経審でやられたのだろうと思いますが、それの基礎になるおもな数字を御発表願いたいと思うのでございます。
  168. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 お答えいたします。今朝の数字は、私ともの方で租税その他の面からずつと法人税その他各種のものを調べております、そういつたものの面から見ましても大体六%上るだろう、六兆二千億になるだろう。これは最初申し上げた通り、まだ実は経審でも数字が出そろつておりませんので、大よその見込みを申し上げた次第であります。
  169. 河本敏夫

    ○河本委員 経審の本年度初頭の見込みでは、ことしの鉱工業生産の水準は多分横ばいを続けて、昨年度見当である、こういうお見通しを発表になつてつたわけでありますが、最上の数字は昨年に比べて約二割増し見当の数字がずつと続いております。こういうふうな大きな見込み違いが出て参りましたおもな原因はとういう点にございましようか。
  170. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これは見込み違いと申しまするけれども、それだけ国内需要が非常に旺盛でございまして、生産がふえていることになります。それから国民所得のことでありますが、経審といたしましては、当初に本年度の見込みを五兆八千二百億と見ておりました。しかしことしの生産高は今仰せのように非常に伸びたものでございますから、多少動きまして、修正を今検討しておるのであります。それによりますと、大体今の見込みでは五兆九千五百億円くらいの国民所得になるのではないか、こういうことであります。これはいつも毎年当初の数字を、その年度の経済界の進行ぐあいによりまして補正しているわけでございます。多分ただいまの見込みでは二十八年度は五兆九千五百億くらいになる見込であります。二十九年度につきましてはまだ検討しておりまして、二十八年度がかたまらないと同じように、二十九年度も私の口からは申し上げられない立場にあります。
  171. 河本敏夫

    ○河本委員 そこで大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、先ほど岡野経審長官の御答弁並びに私の調べたところによりますると、このように生産が昨年度に比べまして飛躍的に増加いたしましたおもな原因は、財政の散超によるところの投資の増大、それから滞貨金融、消費景気、これらが生産を上昇させたおもな原因であろうと思うのであります。従つて現在の生産上昇というものは基礎がきわめて薄弱なものである、こういうふうに私たちは理解しておるのでございます。しかもすでに消費景気は低落傾向にございます。また滞貨金融も、日銀の高率適用の強化等によりまして限界が来ておるわけでございます。しかも貿易は予定通り伸びない。こういう状態であるならば、先ほど岡野経審長官は、ことしの国民所得は多分五兆九千五百億くらいになるであろうと言われましたが、大蔵大臣の六兆二千億という来年度の推定は、先ほど申しましたようないろんな諸要素を勘案いたしますときに、少し過大に失するのではないか。従つて一千億という自然増収にも多少過大な見込みがあるのではないかという気がするのでございますが、どんなものでございましようか。
  172. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 先ごろ税制調査会で答申案が出まして、河本さんごらんくださつたことと思いますが、あの当時いろいろな諸材料を取調べましたが、その後の鉱工業生産等でも別に減じておりませんし、全般から見て、河本さんが言われる通りのこともございましようが、たとえば会社の利益率を見ると、率はなるほど減つております。これは増資が行われたりいろいろいたしておりますので減つておりますが、利益の総額はと申しますと、これは二割以上ふえております。法人税等についてみましてもそういうふうに相なつております。そのほか今度のベース・アップとかああいうものも、若干でも国民所得がふえて行く元になります。その他農産物の価格等から見てもそうでございまして、一面悲観ということは悪いかもしれませんが、そういうふうに所得の減る分も見受けられますが、やはり全般から見れば、所得は私どもはその程度ふえて行くものである。なお今の税制をそのままやつて行くとするなれば、自然増収が一千億くらいに達するということは、これは過去の、たとえば法人で見ますれば、三月の決算、引続いての九月の決算等から見て、来年度もそういうふうに想定し得るのであります。
  173. 河本敏夫

    ○河本委員 委員長にお願いいたしますが、出席要求をいたしておきました各大臣に順次質問いたしたいと思いますので、早く御出席になりますように督促していただきたいと思います。  私は、先ほど大蔵大臣の言われました来年度の国民所得に対する見通しに対しましては、先ほど申し上げましたような理由によりまして、多少見解を異にするものでございます。しかしながら時間の関係でこれ以上深くは申し上げません。  続きまして大蔵大臣に質問したい点は、大蔵大臣は数日来本会議の答弁あるいは本委員会の答弁あるいはけさほどの御説明、こういうものを通じまして、来年度の予算骨格を大よそ明らかにせられました。その明らかにせられました要点は、第一に、一般会計の規模は補正予算を入れた一兆三百億円見当におおむねとどめたいということ。第二には、国民所得の増大から自然増収が約一千億あるということ。第三には、新規事業は一切やらぬ。しかしながら本年度程度の仕事をやつても自然にふえる要素が約一千億ある、さらにまた歳入の面では、来年度は公債を一切発行しないのだ、過去の蓄積も一切これを使用しない、こういうことを言明せられております。それから税制調査会の答申はできるだけこれを尊重して減税する、特に低額所得者に対しては調整的にこれを減税するように持つて行く、しかしながら以上のようなことではなお均衡を保持することができないので、行政及び財政の整理を徹底的に行う、同時にまた公共事業費、災害対策費等に対して十分検討を加えて行く、各種の補助金はこれを整理する、そのほかいろいろ節約をやつて、そうして完全な均衡予算を一兆三百億の以内においてこれを編成するのだ、こういう意味のことを言われたと思うのでございますが、さように了解してさしつかえございませんでしようか。
  174. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 河本さんの仰せの通りと思います。但し以内という言葉程度と申しましたぐらいで、もちろん以内にとどめたいと考えるのでございますが、言葉としては程度、本年度の補正予算を込めた一般予算程度にとどめたい、こういうふうに申したほかは、全部仰せになつた通りに申しております。
  175. 河本敏夫

    ○河本委員 なお昨日及び本日大蔵大臣が明らかにせられました来年度当然増加すると思われる歳出は、確定したものは、給与ベースの改訂分は税のはね返りを考慮するならば、二百億ないし二百五十億、それから軍人恩給が、今年は九箇月だつたのが来年は十二箇月になるから、自然に二百二十億増加する。それから連合国の財産補償費が百億ふえる、それから農業共済保険は五十億ないし百億ふえる、それから船舶関係が約五十億ふえる。約七百億円見当に関しましては自然に増加するということを明らかにせられておるのでございますが、そのほかのかんじんの外交関係の経費、防衛関係費、それから災害対策費、社会保障費等に関しましては、別に明らかにせられておらないのでございまして、これらの点に関しまして具体的な数字をお聞きしたいと思うのでございます。  そこでまず外務大臣はおられますか。
  176. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 外務大臣は今出席を要求しております。
  177. 河本敏夫

    ○河本委員 それでは外務大臣にかわりまして、大蔵大臣にお尋ねいたします。大蔵大臣は連合国財産補償費が約百億増加すると言われましたほか、賠償関係の経費においてある程度増加するであろう、こういうお話かござしました。ある程度増加するであろうという数字は大体どの程度でございましようか。
  178. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと最初にお断りしておきますが、給与改善費の二百億ないし二百五十億、大体私は二百億と申し上げておるように思つております。あれは、御参考のために申し上げますと、四百四十億ほど一般公務員の方に参りますが、そのほかに御承知の公社その他のベース・アップ等のいろいろな関係もありまして、それのはね返りがありまするから——大体税のはね返りが相当なものに上ります、従いまして大体二百億ちよつと以内じやないかと思われます。全体を通じまして今年の全体を見ると、いろいろなものを合せますると、八百億円ぐらいの給与の改善になるのじやないかと思われまするので、大体これがはね返つて参るのがありますから、三割はね返つて来ると見ると、大体二百億か、あるいはちよつと以内になるかと思います。このことは数字のことでありますからちよつと申し上げておきます。  その次に賠償の問題でありますが、これは私ここで申し上げるのはちよつといかがかと思います。と申し上げるのは、河本さんもよく御承知だが、かりにこつちがよけい見るとすれば、そう見てあるのだから出せというぐあいに外交交渉においてもなるのじやないかと思う。さればといつてあまりちよつとしか見ないとまことに誠意がないじやないかということにもなるのじやないかと思います。昨年は御承知の通り対日援助費とかいろいろなもので賠慣に百億、全体で見てございました。それは一つも賠償としては払つてございませんが、そういうふうに見てございました。本年は沈船引揚げ等の——これは当然賠償になりましよう、これは大体数字がきまつておりますが、あとはきまつておりませんので、むしろ賠償について今日どのくらい見込むかということは申し上げない方が実際じやないか、かように考えますので、私もまだちよつと見当がつきませんし、外交の上のこともございましようから差控えたいと存じます。
  179. 河本敏夫

    ○河本委員 私は委員長に、八人の大臣に出席を要求しておきました。見たところ三人しかおられませんが、あと五人の大臣は出席せられないのでございますか。
  180. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 河本さんの御要求はよく承知しておりまして、事務当局に今連絡をとらしております。
  181. 河本敏夫

    ○河本委員 それではもう少し質問を進めまして、大臣がお見えにならぬときには私は延期したいと思います。  そこで大蔵大臣に重ねてお伺いしたいのでございますが、新聞紙の伝えるところによりますと、先般岡崎外務大臣が東南アジアを旅行せられましてそうして日本の貿易を進めるためにも、東南アジアどの賠償問題及び外交問題を解決しなければならぬ、最低五億ドル見当のものを七年ないし十年くらいで払うように話をまとめたい、こういうことを申されておるということが新聞に述べられておつたのでございます。そういう点を考慮いたしまするならば、五億ドルというふうな数字で話が友好的にまとまるかどうかということは非常な疑問でございます。私はおそらく不可能ではなかろうかと思うのてございます。しかしながらいやしくも一国の外務大臣が、この問題のために相手国を訪問せられまして、そうして何らか具体的の措置をとるべく努力せられておるのでありまするから、私は数字は明らかではないけれども、少くとも今年より百億ないし二百億見当はふえるのじやないかと、常識上このように解釈いたしておるのでございますが、いかがなものでございましよう。
  182. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 数字につきましてはただいま申し上げましたような関係がございまするから、まだただいまのところ差控えさせていただきたいと存じまするが、ただ河本さんも御承知のように、今言われた金額は少し大きいように私は思います。ただ日本の賠償問題はサンフランシスコの条約等で役務賠償が主となつてつて、しかも日本国民生活の程度を下げないこと、さらに言葉をかえて言えば、日本経済に大きな影響を及ぼさざること、こういうことが前提に相なつておりまするので、従つてたとえば金額がきまります場合でも、それが十年になるか十五年になるか、年賦によつて支払う金額も違つて参ります。また同じ年賦でも、たとえば初年度に大きく、二年度、三年度、四年度、五年度とだんだんと累進的になつて行くという支払方もありましようし、均分的な支払方もあろうと思います。ただあくまで今の日本の財政経済の実情以上には、これはいかに誠意をもつてもやれません。この点についての話等をまだ何も聞いておりませんから、ただいまのところ今申し上げた外交交渉の関係もございましようし、また実際どれだけのものを払わなければならぬことになるかもわかりませんので、ちよつと数字的にはお答え申し上げがたい次第でございます。
  183. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 河本さん外務大臣出席いたしました。
  184. 河本敏夫

    ○河本委員 外務大臣がお見えになりましたので重ねてお伺いいたしますが、先ほど大蔵大臣にお尋ねいたしておりましたことは、外務大臣は先般の東南アジアを旅行せられまして、東南アジアとの外交貿易を促進するためにはまず賠償問題の解決が先決である、であるからどうしてもこれを急いで解決する必要がある、そうしてその目標は大体それぞれの関係国に対して約五億ドル見当のものを七年ないし十年くらいで払うようにして円満妥結したい、こういう意味のことが新聞に報ぜられておつたのでございますが、大体そのような目標のもとに現在外交交渉をやつておられるか、あるいはその準備をしておられるのでございますか。
  185. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は向うへ参りましていろいろ話をいたしましたが、額については全然触れておりません。ただ日本予算とかあるいは今後数年間における対外支払い状況とか、そういう点は詳細に説明いたしまして、日本の支払い能力にはおのずから限度があるということは、数字をもつて十分説明したつもりであります。先ほど申しました通り、先方も戦争被害としてはずいぶん大きな額を計上しておりますが、賠償額としての幾らということについては、やはりこれも慎重を期しておるのでありましよう、話がありませんでした。従いまして五億とかいう新聞に出た数字は、私ども見ましたけれども、まつたく根拠のない数字であります。われわれの方としては必ずしも五億でなければならぬ、六億でなければならぬということもないし、また年限により、たとえば五年のときと十年のときと十五年のときとは違いましよう。支払い方法が、毎年どういうふうになつて払えるかによつても違いましようが、いろいろの条件がからみ合いますので、どういう額になるかということは申してもおりませんし、まだきまつてもおりません。要するにだんたん実際的にいろいろのサービス、たとえば沈船引揚げだとかあるいはその他病院の建設とか、いろいろなことがだんだん行われますれば、それによつてだんだん具体的になつて来るであろう、従つてまだ多少時日がかかるのはやむを得ぬと思つておりますが、総額を幾らというふうにきめる段階には残念ながらまだ至つておらない状況でございます。
  186. 河本敏夫

    ○河本委員 建設大臣がおりませんので大蔵大臣に続いてお尋ねいたしますが、昨日来防衛関係の費用については、目下防衛計画を検討中であるから、その計画が明確にならない限りはつきりしない、こういうことをおつしやつたのでございますが、これは当然だろうと思います。ただしかしここではつきり言い得ることは、本年度の予算におきまして、予算外国庫契約は約百三十億ばかりございますが、これは当然来年度の予算で出て来る数字でございます。従つて本年度見当の防衛費がかりに計上せられるといたしましても、その分だけは少くとも増加する、こういうふうに了解してさしつかえございませんか。
  187. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 予算がもし明年度限りでありますと、そういうふうにおつしやつていただいてもけつこうでございますが、御指摘のごとくまた明年度にも次の予算外契約に残されるものも相当ございましようから、それだけがただちに来年度の予算にプラスするものとは言いにくいのではないかと思われます。
  188. 河本敏夫

    ○河本委員 しかしながら予算外国庫契約にまわされた分の防衛関係費の内容を検討してみますならば、そう遠い将来において現われて来る数字ではございません。当初の保安庁の計画では今年予算に組んでもらいたい、こういうふうな要求のものを、特にいろいろな事情を考慮して来年度にまわした分でありますから、これがさ来年以降に現われるということは当然予想せられないのであります。少くとも来年に全部現われる、こういうふうにわれわれは予想するのでございます。この点いかがでありましよう。
  189. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいま河本さんのおつしやつたのはその通りなんです。その通りなんですが、たとえば来年度の予算というものについてのわくはまだちよつと申す段階に行つておりませんが、来年度の予算のうちでもたとえば船その他のものを注文いたすとすれば、これはいつも予算外契約をとつておかぬとやれませんので、内容がはつきりしませんと、来年度の予算についてもどの程度までそういうことになるかということは言えませんから、つまり来年度の予算が今よりもそれだけふえる、こういうことは言いにくいのではないか、こう申す次第でございます。
  190. 河本敏夫

    ○河本委員 建設大臣がお見えになりましたならばお伺いする予定であつたのでありますが、まだお見えにならないようでありますから詳細は後ほどお伺いすることにいたしまして、大蔵大臣にごく大要だけお伺いいたします。それは災害関係の経費でございます。御承知のようにことしの災害関係の経費は昭和二十七年度以前のものが三百億、農地関係のものが百億、それから本年度の災害のものが三百数十億になりまして、約八百億になつておるのでございます。ところが先般の臨時国会において本年度の災害千五百六十五億のうち来年はその五割に相当する部分をやる、こういうことを決定いたしまして、大蔵大臣もその原則は、了承せられておるはずでございます。なおそのほかに金融措置でもつて本年度着工する予定になつておるものがその約一割百五十億前後あるはずでございます。従つて来年度の災害対策費は、ことしのものだけでも千五百六十五億の約六割、九百数十億は必要と思われます。なおそのほかに二十七年度以前の分を昨年度及び本年度同様にやりまするならば、約四百億を必要とする。従つて千三百億円見当のものが必要と思われるのでございます。本年に比べて約五百億以上の増加になるものだと私は解釈しておりまするが、その点間違いありませんか。
  191. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 本年の災害復旧費は合計して八百三億になることは仰せの通りでありまして、私も先ほど申し上げたところであります。但し過年度災害についてどうやるか。本年は過年度災害を四百四十五億組んでおりますが、これをどういう操作をやるかという問題がまだ未決定であります。それからまた今の三・五・二ということは、原則は認め得たのでありますが、すでに御承知と思いますが、本年八百何億の人夫賃でも人夫がいない。現に九州の災害地では人夫賃が一日千円に達しておるような状況であります。また東北の冷害地等でもほかの県から持つて来なければ人夫がいないという現状であります。そこで私の方でも資金の効率的使用の面から今調査をしております。全財務局を動員しまして調査をしておりますが、日本でこういう大きな予算を組んで、一体どれだけの人間をそれに振り向け得るかということになりますと、現実問題としては容易ならぬことになつて行くのです。また資材の面その他から見ましても、これだけやるとセメントがどれだけふえるか、あるいは木材がどれだけふえるか。セメントも増産計画をやるにはこれだけのものが必要なのでありましよう。それから木材等は非常な値上りを来しておるような状況であります。そういうような点につきまして今実情を取調べております。それからまた現に私どものところへ正確な数字を持つて来ておる分に、たとえば本年度災害だといつて来た分に昨年の災害の写真を張りつけて来ておる水増しの分もあります。水増しではない、これはむしろうそでありますが、私どもが調べると、ある実例では九十数億を出して来たのに両方で立ち合つて調べたら四十億で足りた、こういう実例もあるのでありまして、おそらく千三百六十五億といわれておるのは、だんだんお互いが冷静になつて調べてみると相当減額するのじやないか、こういうふうに見られるのであります。従いましてただいままでのところは、今までの数字で見れば一応河本さんのお話のような数字が出ますが、今厳格に調べておりますから、その数字に基いて資金を重点的に使い、効率的に使うことにすれば相当違つた数字が出て来るように私ども考えておるのであります。
  192. 河本敏夫

    ○河本委員 先ほど大蔵大臣のお述べになりましたような点が問題になつておりますので、私は建設大臣にはたしてそういう事実があるかどうかということにつきましてお伺いしたいのであります。でありますからこの問題は後ほどに持ち越しまして、つい一箇月足らず前に決定せられたあの補正予算が著しく不当なものである。あるいはまた相当な不正が盛られておるものであるというふうなことが、はたしてあるのかどうかということにつきまして、私は後ほど御質問したいと思います。  しかしながら少くとも本年度及び昨年度同様に過年度の災害をやり、先般の国会できまつた本年度の災害に対するところの原則を実行しようと思えば、私の申し上げましたように、少くとも本年度よりは五百億ふえるという数字は明らかに出て参るのでございます。なおそのほかに来年度自然に増加すると思われる経費は、こまかいものでございますが、義務教育学童の増加によりまして、やはり私は三、四十億ふえると思う。それから医療費の高騰によるところの生活保護費の増加、これなんかもやはり四、五十億見なければならない。社会保障費関係におきまして百五十億見当のものは私は増加するのではないか、こういうふうに考えるのであります。そこで本日午前中までに大蔵大臣の具体的に明らかにせられました来年度ふえるといわれる数字七百億に、先ほど来お聞きいたしました外交関係の費用、それから防衛関係の費用、それから災害対策費あるいは社会保障費、こういうものを加えますならば、私は千五、六百億の線を、新規事業を一切やらないで本年度同様の仕事をやりましても、自然に増加して来る要素が少くともこの見当であろうと存ずるのでございます。従いまして大蔵大臣は千億ぐらいだろうと言つておられましたが、私は大蔵大臣言つておられる千億という数字は、すでに頭の中で何らかの経費を大幅に削減せられた経費であつて、この点に相当な食い食いがあろうと存ずるのであります。この点いかがでございますか。
  193. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 公共事業費、災害対策費あるいは過年度災害、こういうものはやはり一括して見るべきところが相当たくさんございますし、これらについては、ただいま申し上げましたような一種の物動計画といいますか、やはりそれに伴わぬというような——今のたとえば災害地方に災害ブームが起つて、人夫賃が一人千円を呼んでおるような実情、あるいは人夫が全然いないから、違隔の地方まで今人夫を集めに行つておるというような実情、そういうこと等は、やはり一種の物動計画というか、それとマッチしていない点があるからそういうことになるのじやないかというふうにも考えられますので、この点等につきましては、少し根本的に私の方は実情に合うように、しかもこの資金は効率的に使えるようにやつてみたいとも考えておりますので、これはどの程度の数字になるかはわかりません。しかし国会での御希望のある点はよくこれを尊重して行くことは当然であります。ただ私は今朝申しました通り、それは中央、地方を通ずるいわゆる行財政の整理、これはあくまで徹底してやるべきであると考えておりますし、また財政投融資の点でも、少しこの事態に応じてかえて行くことが必要じやないか、ある点から見れば効率化によつて節減をする必要が非常にあるのじやないか、こういうふうにも考えておりますし、それから各種の補助金については、各方面からも——、税制調査会で、長く地方その他のことに携わつておられた方が、自分の試案というものを提出されたのでありますが、その方の言によると三分の一以上はむしろもらわぬ方がいいのだということをはつきり言つておられるのであります。はたしてそれが適切かどうかということも調べておりますが、補助金については相当大幅に、俗な言葉でいうと、斧鉞を振いたい、こういうふうに考えておるのであります。また一般諸経費についても在来などの考え方でなくて、やはり日本を何としてもインフレに持つて行かないように阻止するためには、一方で今仰せになつたようなふえて行く部分がありますから、ふえて行く部分はどこかの点で圧縮しなければならぬので、今朝も申し上げました通り相当思い切つたことをやらなければならぬから特に御協力を賜わりたい、こう申し上げたのはその点でございます。
  194. 河本敏夫

    ○河本委員 先ほど大蔵大臣お話の点は後ほど重ねてお伺いいたします。しかしながら大蔵大臣の強調せられるように、先般の災害予算がきまつたのは、ただいまからわずか三週間ばかり前でございます。わずか三週間ばかり前にきまつた予算に対しまして、大蔵大臣がそういうふうな無責任予算を組まれたと私は思わない。大蔵大臣はこれに対して直接の責任があるはずでございます。はたしてそういうことがあるならば当然そのときからそういうことは予想せられておつたところでございます。しかしながらこの点は建設大臣との関係もございますので、後ほどお伺いしたいと思います。  次にけさほど御説明になりました来年度予算の大綱のうち、歳入の面につきまして御質問したいと思いますが、公債を一切発行しないのだ、こういうお話がございました。減税公債を発行しないということは既定の事実でございますが、電話公債あるいは鉄道公債、こういうものに対する取扱いはどういうふうになるのでございますか。
  195. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは金額も大した問題ではありませんし、実情に基いて判断してみたいと考えております。
  196. 河本敏夫

    ○河本委員 減税国債は当然中止になる、そうなつて来ますと、産業投資特別会計から日本重要産業投資のために開発銀行に出資された二百億という財源が減少することは明らかでございます。従つてこれらに対する対策を何らか立てなければならぬ、同時に昨年度の予算を調べてみますと、見返資金特別会計からやはり産業投資に百八十五億振り向けられております。ところが見返資金特別会計は現在のところ産業投資特別会計に吸収せられまして、財源がもはや残つておらない。であるから来年度やはり一般会計においてこれらの不足分に対する考慮をしなければならない。それからなお本年のごとくこれまでの蓄積財政資金は一切食わぬ、使用しないということを強調せられておりましたが、本年度の予算におきまして過去の蓄積財政資金が五百三十二億使われておるのでございます。すなわち見返資金特別会計において保有しておつたところの公債が約百九十億、資金運用部において持つておりました国債が約百八十億、合計四百億近い過去の国債が売却せられておる。そのほかの蓄積資金を合せまして五百三十数億というものが出されておるのでございます。これらも一切出さないということになりますならば、やはり別途の対策を立てなければならない。大蔵大臣はあるいはこれは別会計であるから、資金運用部の資金なんかが今年以上に伸びるであろうから、その方を使うのだ、こういうふうなお見込みであろうかと思いまするけれども、私はすでに資金運用部資金というものは非常にきゆうくつである。来年度へ繰越されるのは百億前後になつておる、しかも国民所得の現状から考えまして、そう大幅な増加期待というものはすることができぬ、こういうふうに考えて行きました場合に、この五百数十億の過去の蓄積資金にかわるべき何らかの対策というものを一般会計でしなければならぬ、こういうふうに考え合せますときに、減税国債、見返資金特別会計の枯渇した分、それから過去の蓄積資金九百億という今年の財源は来年はなくなるわけでございます。なおそのほかに大蔵大臣は明らかにせられておりまするが、先般の税制調査会の答申は、これを国民所得の現状から見て妥当な点が多いからできるだけこの線に沿つてやりたい。特に低額所得の者に対しては調整的にこれを減税するように持つて行きたい、こういう意味のことを言つておられるのでございます。従いまして自然増収一千億は別問題といたしまして、現実に歳入の面におきまして約九百億前後のものと、それから減税すべきプラス・アルフア、こういうものが当然現われて来るわけでありますが、そういうふうに了解してさしつかえございませんか。
  197. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 二十九年度予算のことはまだ実は閣議でも何も決定していないので、今二十九年度予算についていろいろお尋ねがありましても、ほんの試案しか申し上げられません。ですからこれは最初からお断わり申し上げておるので、こういう骨格で私だけの考えを申し上げるわけであります。それを一々つかまえて、ああでもないこうでもないと今二十九年度予算論をやられたのでは——これは正直のところを申し上げますと、来年一月に出しますから、そのときにおいてひとつ二十九年度の予算についての御判断をお願い申し上げたい。ただ私が今申し上げておるのは、大体こういう方角に行つておる、こういうことで実は申し上げておるのでありまして、閣議の了承も得ていないものを、私個人がここでこれについてはこうする、あれについてはどうすると言うことは、少しくこれは越権かもしれませんから差控えたいと思います。
  198. 河本敏夫

    ○河本委員 私は特にそういうような御説明がありましたので、質問しておるのでございます。それと同時に大蔵大臣に御注意願いたいのは、ただいま提出されておりまする補正予算でございます。これまでであるならば、昨年までは当然十五箇月予算の一部として審議をせられておつたのであります。そういうふうなことがここ数年間続いておつたのであります。従つてこの三箇月だけの臨時の予算は、来年度の予算の骨絡がわからぬという、こういうような形では私は補正予算の審議はできないと思います。けさほど大蔵大臣も御説明になりましたが、どうしても来年度予算骨格、少くとも現在大蔵大臣の予想しておられる骨格とにらみ合せて、ただいまの補正予算を審議する、こういう方法は当然私は正しいのじやないか、こういうふうに考えるのでございます。それでありますから、そういう意味からできるだけわかりやすく御答弁をお願いしたいのでございます。それで先ほど来繰返し申し上げておりまするように、大蔵大臣が明確にされた来年度の歳出増が、具体的数字をあげられた七百億というもののほかに防衛関係費あるいは賠償関係の費用、社会保障費関係の費用、それから災害対策費、こういうものを合せますると、大蔵大臣言つておられる一千億以上ではなしに千五百億以上、それに防衛関係費のプラス・アルフアがある、こういうふうにわれわれは了解するのでございます。それと同時に歳入面におきましては、先ほど申し上げましたような減税国債の中止分あるいは見返資金特別会計の財源のなくなつた分あるいは蓄積資金を使わぬというこの数字、こういうものを合せて九百億、それにプラス減税することを言明せられましたアルフアが加わつた、こというふうに大体私はなると思うのでございます。そうした場合にそのプラスとマイナスの差は合計二千五百億プラス・アルフア、こういう数字がおおむねわれわれがただいままでの大蔵大臣の御説明から考えられる妥当な数字ではないか、こういうふうに考えるのでございます。このために大蔵大臣は先般来たびたび繰返されまして、行政整理をやるとかあるいは補助金を整理するとか、こういうことを言つておられるのだろうと思う。  そこでこの行政整理の問題につきまして塚田国務大臣にお伺いいたしまするが、新聞の伝えるところによりますと、政府は先般の閣議において来年度約一割の行政整理をする、七万三千人の役人の首を切る、こういうことを決定せられたということを報ぜられておるのでございまするが、そういうことは事実であるかどうか、それにつきましてお伺いしたいと思います。
  199. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 大体一割程度を目安にして二十九年度にということは、閣議において一応話合いになつておるわけでありますけれども、この一割というものがはたして七万三千人になるかどうかということは、非常にまだ問題があるのでありまして、実は今の行政整理の作業の進捗状況を簡単に申し上げますと、第一段に事務整理を検討いたしまして、第二段に機構の改革を検討し、そうして事務整理、機構改革、それにさらに委曲を考えてできるだけ能率を上げて仕事を片づけるというように、能率も上げるという考慮を加えて、当然減員できるべき数というものをただいま検討いたしておる。しかし個々に検討いたしてみますと、とうてい一割は整理できないと考えられるものもありますし、またものによつては、部署によつては一割以上を考えられるものもありますので、まだ正確な数字は出ておりません。しかし大体一割というところを目安に少くとも二十九年度の予算に織り込めるということを目標に作業いたしておるということは事実でございます。
  200. 河本敏夫

    ○河本委員 一割、約七万三千人の人員整理をするならば、人件費、物件費を合せまして約百九十億円見当の節約ができるだろう、こういうことがやはり新聞に報ぜられております。しかしながら、そういうふうな行政整理をやることの善悪は別といたしまして、かりにやるといたしましても、来年度は退職資金であるとか、そういうふうなものに相当の金がかかる。であるから、それらが実際上財政面の余裕となつて現われて来るのは明後年以降のことである。来年度にはかえつてマイナスになるくらいであつて、決してプラスにはならぬ、こういうふうに考えますが、いかがなものでありましようか。
  201. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 総額においてどれくらいのものがということはまだお答え申し上げる段階に来ておらぬのでありますけれども、しかしかりに公務員を一人整理することができるとすれば、どういうぐあいになるかということでありますが、ただいまの予算の上では大体一人について給与、事務費を含めて二十三万円、こういうことになつておるわけであります。しかし御指摘のように退職されるならば退職金を出さなくちやならぬ。しかも行政整理による退職金は一般の退職金よりも率をよくいたしておりますので、相当な金がかかるということも御想像の通りでございます。但しこれも勤続年限によつてまちまちでありますので、一人が退職された場合はたしてどれくらいの退職金が予定されるかということも、はつきりした数字は申し上げられないのでありますけれども、過去の幾たびかの行政整理の実績などを頭に置いて検討いたしますと、大体一人について退職金が十万円前後平均くらいにつくのではないかという過去の数字にもなつておる。従つて現実に整理人員が二十九年の年度の当初からしてすぐに予算面からはずすことができるといたしますならば退職金をかりに考慮いたしましても十二万円ぐらいの節約になるかという一応の計算をいたしてみたわけでございます。
  202. 河本敏夫

    ○河本委員 建設大臣はお見えになりましたか。
  203. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 河本君に申し上げますが、建設大臣は千葉県の地理調査所に行つておられまして、もうとうに出発して、約三十分ほどかかる予定でありますが、もう間もなく到着すると思いますが、建設政務次官が見えておりますので、政務次官に答弁いたさせましようか
  204. 河本敏夫

    ○河本委員 それではお伺いいたします。先ほど大蔵大臣は、ことしの災害対策費は相当な不正がある、それから不当な支出が行われておる、こういうふうなお話がございましたが、われわれは、なるほど部分的にはそういうものが多小あるかもわからぬ、しかしながら、それは部分的なことであつて大勢を制するものではない、こういうふうに考えておるのでございますが、その点いかがでございましようか。
  205. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと私から申し上げます。不正があるとか何とか特に申し上げるわけではありませんが、こういうものがあるという実例を一つあげたのであります。けれどもあのほかにも相当実例がありますから、近くいわゆる実例集というものができたらごらんに入れたいと考えておるのでございます。ただ今私どもの方では約一週間ほど前に財務局長会議をやりまして、五、六各財務局について、いかにも目に余るというようなものを書き出して来てくれということを今言つております。そうすれば今の実例集というものをお目にかけることができると思うのでありますが、一般的に見て何も不正があり、どうこうということではございません。ただ言われておることは、これは河本さんの耳にもよく入つていましよう。水増しは相当多い、三割も五割も水増しするのはあたりまえです。これは私が耳にしているだけではあるまいと思う。多数の方がそういうことを耳にしておる。そういうことでありますので、一ぺん厳重にここで査定をしてみたい。言いかえますれば、あの当時は災害早々で、そうたくさんの土地は見られませんから、大ざつぱに査定をしたのであるから、厳密に査定をしてみたい。厳密に査定をすれば、相当災害額が減つて来るであろう、こういうことを申したわけで、不正だからというような意味は全然ありません。誤解があつて不正呼ばわりをしたということでは、たいへんそれらの方に相済まぬことでありますので、この点は御了承願つておきます。
  206. 南好雄

    ○南政府委員 お答えいたします。私たち建設者といたしましては、建設省の査定について水増しとか不正があつたというようなことは、まだ聞いたことがありません。但し御承知の通り、災害は府県から報告いたします。この報告があとで災害査定官と申すものが参りまして、その報告についていろいろ調査し、実地に審査をいたしまして、査定を決定するのでありますが、そのいわゆる決定せられたる査定について水増しがあるとか、そういうようなことはまだ聞いておりません。ただ新聞紙その他に報道されますのは、各府県の報告官から、二割ないし二割三分というようなものが内輪に査定されるものですから、そういう点をあるいは水増しの報告があつたというふうに報道するのでありまして、現実に建設省が参りまして査定したものにつきましては、相当自信を持つてつておるつもりでございます。
  207. 河本敏夫

    ○河本委員 そうすると、大蔵大臣の話と少し食い違いがありまして、水増しというのは大蔵省が辛く査定するから水増しのように見える。こういうことであつて、非は大蔵省の方にある、こういう説明をせられておるのでございます。私は時間の関係でこの問題は深く追究する意思はありませんけれども、しかしながら部分的にこういうことがかりにあつたとしても、大勢を制すほど大きなものでなかろう、私はこういうふうに思うのでございます。  なお、この点に関連いたしまして、農林大臣にお伺いいたしますが、農林大臣の所管においても、やはり公共事業費、あるいは災害復旧費、こういう予算が相当あります。農林大臣は、農林省の所管において不正であるとか、あるいは水増しであるとか、こういうものがおありになると考えられておりますかどうか、この点について質問したいと思います。
  208. 保利茂

    ○保利国務大臣 災害復旧事業につきましては、事業量が増大して参りますし、かたがた査定の審査能力というものが、非常に乏しいのでございますから、全体として見て、一つ一つの事業処理について、全部本省職員が査定をいたすというわけではございませんから、間違いないということは私は絶対に申し上げ得ない。会計検査院の検査報告にもかなりの不当支出が摘発せられておるわけでございます。従いまして私どもとしましては、できるだけひとつこの査定を厳重に行つて行くように努めておるわけでございます。ただ私が、ぜひ御理解をいただきたいのは、災害復旧にはどうしても不当支出が伴うようでございます。しかし食糧増産対策費を往々にして災害復旧費と混同せられて非難を受ける向きがございますけれども、食糧増産計画の方は、相当の調査と計画をもつて、そして予算の査定もしてやつておりますから、この面につきまして非難をせられるということはほとんどないと私は確信をいたしております。また、そうでなければならないと思つております。災害復旧の方につきましては、今後さらにそういう非難を受けることのないように督励をいたして参るつもりであります。
  209. 河本敏夫

    ○河本委員 農林大臣に、ついででありますから、お伺いいたしますが、この問題と少し離れまして横道にそれますけれども、米価の問題でございます。本年夏の三党共同修正によるところの予算修正に際しまして、完遂奨励金というものが、石当り八百円出されることになつたのであります。そのときの三党間の話合いでは、完遂奨励金というものは、これは名前は完遂奨励金であるけれども、基本米価引上げの変形である、であるから単に義務供出によつて出されたものに限らず、超過供出によるもの全部のものに対してこれは支払われるものである、こういうふうにわれわれは了解し、政府自由党も私は了解しておつたと思うのであります。しかるに今度の予算を見ますと、義務供出の分に対してだけ完遂奨励金を支払われて、超過供出の分に対してはこれが計上せられておらぬ。これはいかなる理由に基くものでございますか。
  210. 保利茂

    ○保利国務大臣 供出完遂奨励金は義務供出の分についてお支払いをいたすということは、衆議院において予算が修正せられた後に、参議院におきまして、審議の過程において相当御論議がありまして、三党の折衝せられました委員の方も、参議院の予算委員会に御出席になつて御説明をされたのでございますが、この点につきましては、食い違いはなかつたようでございます。私どもは義務供出、すなわち供出完遂をいたして参りますために、義務供出の分について石八百円の奨励金を付するというように了解をいたしております。
  211. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 河本君、保安庁長官が出席しております。
  212. 河本敏夫

    ○河本委員 防衛関係の問題につきましては、先ほど大蔵大臣にお伺いいたしましたので、保安庁長官は御退席願つてもけつこうであります。  続いて大蔵大臣にお伺いいたします。大蔵大臣は各種の補助金を削減するということを言われておりますが、本年度はなるほど千七百億円見当の補助金がいろいろな形で出されております。しかしながら大蔵大臣の整理したいといわれている数字というものは、私は多分零細な補助金、これを対象にして言われているのであろうと思うのであります。そうしますると、この整理の対象になるであろうと思われるところの補助金というものは、わずかに二百億円見当である。であるから、私は現在出されているところの千七百億円見当の各種の補助金を検討してみましても、整理し得ると思われる補助金というものは、せいぜい百億か二百億で、大蔵大臣の期待せられる大きな数字は現われて来ないと思う。この点はいかがでしようか。
  213. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 補助金の点は目下それぞれ検討中でございますから、ただいまのところ、これについて私ははつきり結論を得ているわけでございません。従つてどの程度かということは、私はここで申し上げることはできません。できるだけ補助金についても整理を行いたい、かように考えております。  なお先ほど、非は大蔵省にあるじやないかと言われたが、非は大蔵省にない、こういうことをはつきり申し上げておきます。大蔵省はいつも厳重に査定をしているのであつて、現に過年度災害等は、これは実例が示している。過年度災害等で、すでに二割五分も二割も過去において水増しされておつたという事実は、建設省の方に幾らも出ておるのでありまして、こういうことは大蔵省は国庫の金を預かつているのだから、一文といえども厳重に出したい、こういう考えでやつているので、非だとか是だとかいうことを私は考えてやつておりません。国務に忠実な結果がどうなるかということは、批判を求めるのでありますが、非は大蔵省にあるという言葉をお取消しを願います。
  214. 河本敏夫

    ○河本委員 非は大蔵省になければ、非は建設省にあるわけです。先ほどからの質疑応答をごらんになれば明らかだ。どちらかにあるはずなんだ。いずれにいたしましても政府責任だ。大蔵省か建設省か、どちらかに非がなければこういうことにならぬはずです。これは内閣責任である。だから私は大蔵省であろうが建設省であろうが、それはさしつかえないと思う。  続いて本論にもどりまして、時間も参りましたので結論を急ぎたいと思います。それで先ほど来いろいろ大蔵大臣の御説明をお伺いいたしましたその結論は、なるほど自然増収はあるいは大蔵大臣の希望的に予期せられるごとく一千億見当あるかもわからぬ。しかしながら新規事業を一切やらなくても当然増加せられると思うところの自然の予算の増加が千五百億プラス・アルフア、すなわちアルフアとは防衛費であります。それだけある。なお減少すると思われるところの財源が九百億プラス・アルフア、そうなつて来まして、それの差別が二千数百億に相なるわけでございます。一方先ほど農林大臣あるいは建設政務次官、塚田国務大臣、こういうふうな関係の方々からこれまでの予算の使い方、こういうことにつきましてお伺いいたしましたが、そう私は大幅にこれを減少することは不可能である、またかりに行政整理をやつても来年度これが予算上の余裕になつて現われるところの数字というものはきめて少額である、こういうふうに思うのでございます。従つて私は来年度予算編成大蔵大臣言つておられるごとく、一兆三百億前後という線で押えるということが不可能であるばかりではなしに、社会保障費であるとか、あるいは財政投資であるとか、その他当然出さなければならぬものを相当大幅にこれを削減しない以上私は編成が不可能である、こういうふうに考えるのでございます。ただひとつ、私はここでいかにすれば来年度の予算編成が可能であるかという点について検討を加えてみましたが、それは結局現在の物価水準を少くとも一割見当引下げる、こういうふうな政策を強力に政府がやられるならば、そしてそれが実効をあげるならば、その場合に限つてのみ私は来年度の予算編成というものは可能になる、こういうふうに考えるのでございます。それで私は大蔵大臣にお伺いしたいことは、そのような来年度の予算編成の見込みも立たない現在において、しかも一割の物価引下げの見込みも立たない現在において、岡野経審長官は物価を引上げないように努力しておる、しかしながらだんだん上つて行くのが現状である、こういうふうにただいま言つておられます。そこへ持つて来まして、賃金ベースの引上げであるとか、あるいは消費者米価の引上げ、あるいは国鉄、郵便料金の値上げ、あるいは電気料金の値上げ、こういうふうな基本になるところの物価をここで引上げるならば、今でさえだんだん上つておるところの物価というものは、私はさらに一層その騰勢が拍車をかけられると思うのであります。従つてますます来年度の予算編成というものは現実に不可能である、こういうふうに考える。この点いかがでございますか。
  215. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 来年度の骨格予算の概要と、これに対する政府の心構えにつきましては、一応私の所見として申し述べておいて、私としてはこれをもつて予算を編成すると申し上げておるのでありますから、この出て来たものについての御批判をお願いしたい。しかし自分が見るところではできぬじやないか、一割物価がどうこうとか、一割の物価が下るか下らぬか。これはどういう方法でお下げになるか、私はよく存じませんが、私どもは、たとえば個々の物価についてそれが幾らかすつかりに上るものがあつても、しかしそれは大きな財政支出について、いはゆるインフレを促進する場合に比べれば、はるかに少いものがある、かように考えておりますので、この点についてはやむを得ざるものについて必要最小限度の措置をとることは、これは財政当局として当然のことと考えておるのであります。さらに、自分の見るところでは、こうふえるが、それではかりにあなたの方が、ふやして予算を編成するなら、これはきわめて楽でありましよう。しかしもしさようなことをやつたならば、日本が大きなインフレに向うことは当然でありますから、従つて私は来年度の予算については、思い切つた処置をとらなければならぬということで、るる先ほどから申したのでありますから、私どもは二十九年度予算については、さような決意のもとに、日本をインフレに持つて行かぬように、日本の現在とり得る最善の予算を編成いたしたいと考えておる次第でございます。
  216. 河本敏夫

    ○河本委員 私は大蔵大臣に対しまして、インフレ的な予算をやれ、こういうふうなことを申し上げたのではない、大蔵大臣がやろうと思つておられるところの超均衡予算というものは、私は双手をあげて賛成なんです。非常にけつこうだと思う。思うが、しかし現在の日本の財政の現状からいつて、なかなかむずかしい点があるではないか、少くとも物価が一割くらい下る、こういうふうな見込みでも立てば編成可能であるけれども、そうでなければ大蔵大臣がけさほど御説明のいろいろな点は楽観に過ぎて、現実にこれが不可能である、であるから私はここで申し上げたいことは、来年度の予算編成に関連いたしまして申し上げたいことは……     〔発言する者多し〕
  217. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 静粛に願います。
  218. 河本敏夫

    ○河本委員 この際公務員給与の引下げであるとか、あるいは消費者米価の引上げであるとか、公共料金の値上げであるとか、電気料金の引上げであるとか、こういうふうな基本物価の引上げというものは、来年度の予算と並行してこれを慎重に検討せられたい。しかしながらそうしますと、ベース・アップは延びますから、この間先般の税制調査会の答申を尊重いたしまして、この所得税を中心とするところの減税案を中心に、これを繰上げて一月から実行する、こういう線を私は勇敢に実行せられまして、そうして私は今度の補正予算に出されて参つたようないろいろな問題は、来年度予算と関連して慎重に検討せらるべきが、私は現在の財政事情から見て正しい方向ではないか、こういうふうに確信するものでございます。重ねてこの点につきまして大蔵大臣の御所信を明らかにしていただきまして、私の質問を終りたいと思います。
  219. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御意見の点はよく承つて参考といたします。
  220. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は明四日午前十時より開会いたしまして質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十八分散会