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小笠原国務大臣 昭和二十九年度
予算編成の
骨格を示されたいという御要望でございますが、明年度
予算につきましては目下鋭意検討小でございまして、まだ具体的に詳しく数字を申し上げる段階には達していないので、この際としては、私の大体の心組みを申し上げまして御参考に供したいと存ずるのであります。
まず
昭和二十九年度一般会計歳入の見積りにつきましては、
国民所得をどの
程度に見るかという点が問題でございますが、本年度に比べまして約六%
程度増加するものと見込まれるのでありまして、約六兆二千億見当ではないかと見込んでおります。この場合に租税の自然増収をどれくらいに見積るかという問題が起るのでございます。これは目下慎重に検討しておりますが、直接税、間接税及び専売の益金を通じまして大体七%
程度の増加が見込まれるのじやないかと思われるのでありまして、そういたしますと、
昭和二十八年度当初
予算に比べまして一千億円を若干上まわる金額が見積られるのではないかと
考えております。その結果、明年度の財源総額は一兆七百億円
程度となるのであります。本年度の
予算補正後の
予算額が一兆二百七十二億円であることは、昨日申し述べた通りでございます。
それから明年度一般会計の歳出
予算の各省各庁からの要求額でございます。これは防衛関係費、対外債務処理費の二つを除きまして合計いたしますと一兆八千七百億円にな
つておるのでありまして、これに防衛関係費とか対外債務処理費をかりに本年度と同額として加えましても、二兆円以上に達しておるのであります。そこで目下これを鋭意検討しておりまして、事務当局で日夜作業を続けておる最中でございますが、私の心組みといたしましては、できれば本年度補正
予算後の規模
程度にいたしたいと
考えておるのでありまして、このことは昨日も本年度の補正
予算後の規模
程度にとどめたいという
お話を申し上げた通りであります。かようにいたしますと、若干の
減税を行い得ることにも相なりますので、税制調査会の答申にもこたえ得るかと
考えておるのでございます。但し一部、たとえば源泉所得者とかあるいは小額所得者あるいは法人等に対する
減税等を行いますれば、他方新しい税を盛るとか、奢侈税、消費税で若干増税を見るものもあろうかと思いますが、通じましては、若干減るくらいに
考えておるのであります。
それから達観的にこれもひ
とつ申し上げますと、明年度において当然増加を予想される経費がございます。確定的なもので申しますと、恩給費が二百二十億円ぐらいふえると思います。それから連合国財産補償費が百億円、給与改善費が四百四十億円
程度になります。但しこれは昨日ちよつと申し上げましたが、ほかの方の分の所得税のはね返り等が見込まれますので、純増としては大体二百億円
程度でございます。それから外航船の利子補給額が五十億円、こういうものは確定的でございます。そのほか防衛費も若干増加いたしましよう。賠慣費も、話合いによりますが、少し増加するのではないかと思います。それから災害復旧費、治山治水費、これは公共事業費等とあわせて
判断いたさなければなりませんのでどの
程度かわかりませんが、こういうもの等をいろいろ達観しますと、大体一千億円以上に達するというごく達観的な見通しが出て来るのであります。以上のうち、防衛関係の諦費用につきましては、基本となる諸条件について鋭意検討中でございますが、その決定と並行いたしまして明年度
予算の具体的内容を定めて参りたい、かように
考えておる次第でございます。いずれにいたしましても歳出総額を本年度補正後の規模
程度に圧縮するためには、既定経費につきましても相当思い切
つた削減を必要とする次第でございまして、これがために中央、地方を通ずる行財政の整理、公共事業費及び補助金等につきまして根本的再検討をすること、財政投融資の効率化によりまして財政投融資を若干節減する、そのほか一般諸経費の節約、こういうことを強力に実行いたしたい
考えでございます。
なお経費の配分についてもその
骨格を示せという
お話が昨日ございましたが、以上申し上げたような次第で、まだ各費目の具体的数字を申し上げる段階に至
つておりませんので、ただいままでのところにつきまして、御参考までにこのことを申し上げた次第でございます。
なおごく概括的に
昭和二十八年度はどうな
つておるかということをあわせて御参考までに申し添えておきますと、
予算規模が一兆二百七十二億円、歳出の防衛費が一千二百三十三億円、社会保障費が七百三十六億円、公共事業費が六百八十四億円、食糧増産費三百六十一億円、災害復旧費が八百三億円、教育文化費が一千三十億円、これには義務教育費の国庫食担金五百九十四億円を含んであります。
〔
小峯委員長代理退席、
委員長着席〕
民生安定費が軍人恩給を含めまして六百九十六億円、地方財政費が義務教育費の五百九十四億円を含めまして一千九百七十億円、財政投融資が一般会計の分四百七十一億円を含めまして三千三百八十九億円、一般行政費が二千七百三十二億円でございます。そのうち人件費が千百七十九億円と相な
つております。それから歳入の部について申しますと、租税又び印紙収入が七千五百六十七億円、専売納付金が一千五百八億円、その他が一千百九十七億円、これが補正後の
昭和二十八年度の
予算の
骨格でございます。御参考までに申し上げておきます。