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1953-12-05 第18回国会 衆議院 文部委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月五日(土曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 辻  寛一君    理事 天野 公義君 理事 伊藤 郷一君    理事 原田  憲君 理事 田中 久雄君    理事 高津 正道君 理事 前田榮之助君       尾関 義一君    岸田 正記君       竹尾  弌君    坂田 道太君       山中 貞則君    安井 大吉君       町村 金五君    辻原 弘市君       野原  覺君    山崎 始男君       大西 正道君    松平 忠久君       小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁次         長)      大野木克彦君  委員外出席者         人事院事務官         (給与局給与第         三課長)    中田 正一君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 十二月四日  委員大西正道辞任につき、その補欠として長  正路君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員長正路辞任につき、その補欠として大西  正道君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月三十日  義務教育費国庫負担法臨時特例に関する法律  案(内閣提出第五号) 十二月四日  義務教育費国庫負担法臨時特例に関する法律  の制定反対に関する請願(福田篤泰紹介)(  第一三五号)  同(松原喜之次紹介)(第一三六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  文部行政に関する説明聴取の件     ―――――――――――――
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求の件を議題といたします。本会期中も前会期中と同様に、文部行政に関して調査承認要求書議長に提出しておきたいと存じます。ただいまその承認要求書を読み上げます。   国政調査承認要求書  一、調査する事項 学校教育社会教育教育施設教育委員会制度及び文化財保護に関する事項  二、調査の目的 文部行政の実情を調査し、その適正を期するため  三、調査方法 関係方面より意見の聴取、報告及び参考資料要求等  四、調査の期間 本会期中ただいま読み上げました承認要求書議長に提出することに御異議ございま   せんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
  4. 辻寛一

    辻委員長 次に文部行政に関する説明聴取議題とし、質疑を許します。坂田道太君。
  5. 坂田道太

    坂田(道)委員 この際大臣にお伺いいたしたいのは、前国会に本委員会におきまして、来年度の中小学校児童異常増加について、政府は何らかの措置をするということを言明されたようであります。そのときの答弁の中で、大体五大都市においては公募債によつてこれをまかない、中小都市においてはなかなか公募債の消化も困難のようであるから、預金部資金でもつてこれを見る、そういうようなつもりで折衝しておるというような言明をいただいたのでありますが、はたしてどういうふうになつておるか、本委員会において御発表をいただきたいと存じます。
  6. 大達茂雄

    大達国務大臣 この異常増加関係いたしまして、この前に申し上げましたように、関係の省と折衝いたしたのでありますが、結局結論を申し上げますと、公募債で十億、それから政府資金で五億、こういうことで合せて十五億ということで話合いができました。これはむろん十分な数字ではありませんが、しかし何分早々なことでちりましたから、どうもこれ以上は困難であろうと思います。それからなお実際について大体の推定によつて計算いたしますと、どうにかこれで一応何とか間に合うのじやないか、こういうふうに思つております。ただ幾らか地方団体自己資金によつてまかなわなければならぬという面が出て来るのではないかと思いますが、二十八年度予算に見てあります公立学校施設単価は、つまりあれは木造が二万四千円で、鉄筋が幾ら、こういうふうになつておりますが、あの単価によつてかりに計算すれば、一応それで自然増というものの焦眉の急には間に合うのじやないか、こういうふうに思つております。ただあの単価では無理でありますし、今日建築費が上つておりますから、その点だけあるいは自己資金によつて何とか見なければなるまい、こういうふうに思つております。
  7. 坂田道太

    坂田(道)委員 ただいまの大臣の御答弁で了承いたしますが、重ねてお伺いいたしたいのは、ももろん大蔵省自治庁と完全な了解のもとに御決定になつておると思いますが、そういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  8. 大達茂雄

    大達国務大臣 さよう承知いただいてけつこうであります。実は多少自治庁方面に、つい両三日前までちよつと食い違いがあつたようでありましたが、しかし大体さよう関係省の方でも了解していただいております。
  9. 坂田道太

    坂田(道)委員 最後にお尋ねいたしたいのですが、とにかくもう時間も三箇月ぐらいしかございませんし、早急にこれは配分していただかなければならないと思うのですが、そういうふうな配分計画についてどういうふうにお考えになつておるか、すでにもう御決定になつておるか、あるいはいつころ御決定になるか、その点ひとつ委員会において明らかにしていただきたいと思います。
  10. 内藤譽三郎

    内藤説明員 具体的な数字につきましては、今こまかい資料調査しておりますので、いましばらく待つていただきたいと思います。
  11. 坂田道太

    坂田(道)委員 今会計課長からお答えになつた、いましばらくというのは、いつごろのことですか。
  12. 内藤譽三郎

    内藤説明員 各町村の大きな都市が中心でございますが、大都市につきましてはある程度資料はございますけれども、その他の団体についてはまだ資料が整つておりませんので、十五億をいかに配分するかということでございますので、今せつかく調査中でございますから今月一ぱいはかかると思つております。
  13. 辻寛一

    辻委員長 辻原弘市君。
  14. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま坂田委員からお話があらました自然増に対する十五億の配分方法についてでありますが、ただいまお話がありましたけれども、問題は四月の新学期から少くとも現実に収容をしなければならないという問題からこれは派生をいたしておるのであります。従つて財政に国が措置をいたしましても、地方が三月末までにその措置によつて校舎増築するということが見きわめられなければ、せつかく財源措置意味がないということになると思う。地方状況考えてみますと、大体地方議会等においてはこれらの予算を計上する時期は十二月の都道府県議会であろうと思います。そういたしますると、すでに十二月の半ばに入つて行こうという折でありますので、ただいまどれどれの額が行くかということの大よそのめどを地方に対して通達内示をしてやらなければ、これは事実上来年度にまわつて行くという結果になるのじやないかと私は思いますが、その点についてどういうふうな見通しを持つておられるか。せつかくここまで財源措置をやられたのでありますから、地方先金に間に合うような適当な措置をとつて行かなければならぬと思います。それについて大臣は間に合うような適当な措置をおとりくださつておるのか、どうかこの点をお伺いしたいと思います。
  15. 大達茂雄

    大達国務大臣 今申し上げますように、この話は実は非常に差迫つてやかましくなつたことでありまして、従つて大蔵省あるいは自治庁におきましても、急に横から飛び出したかつこうになつておるものですから、その措置についてはよほど苦慮いたしました。ようやくごく最近になつて話合いがついたという状態でありますので、できるだけすみやかに、せつかく無理をしてさよう措置が講ぜられたのでありますから、実際の需要に応じますよう措置したいと思つておりますが、これは実際単純に増加した児童数で、かりに五十人で割つてこれだけの学級がふえる、こう簡単に行かない。実際いうとそう行かないのでありまして、これは既設の学校に収容し得るものはそれでいいわけで、それだけがすぐ増築になるという関係でもありませんから、相当実地に当つてみなければならぬと思います。それでこれは取急いで間に合うようにしたい、こういうのでせつかく事務当局を督励しておる次第であります。さよう承知を願います。
  16. 辻原弘市

    辻原委員 せつかくお急ぎになつてやられるというお話でありまするので、それでいいのでありますが、ひとつ地方におけるこの問題を処理して行く段階をよくお考えいただいて、さつきも申し上げましたように、十二日の県会に間に合わなければ大体二月になると思います。二月になればこれは当初予算と一緒の問題になりますから、勢い翌年度に繰越される、いわゆる二十九年度でもつて処理をされるというふうなことにもなりかねない状況にあると思うし、また実際それを議会が議決をいたしましても、設計その地諸準備はやはり一、二箇月は要するということになれば、四月の早々に間に合わない、四月に間に合わなければ非常にこれは意味合いが、意味合いというかせつかく措置の効果が半減いたしますので、早急におそくも十二月の中旬までには各府県においての予算措置がとり得られるような、そういう国からの内示通達をぜひやつていただきたい、こういうふうに思つております、この点は御答弁はいらないのでありますが、要望いたしておきたいと思います。  もう一点は公募公債の十億、それから運用部が五億、このお話でありまするが、その配分考え方は、十億の公募は大体地方財政力考えられて、六大都市富裕府県に対してこれはあてがわれ、五億をその他の府県にあてがわれるという考え方ではないかと思いますが、そうお考えになつておられるのですか。そこは事情を勘案されてそうして、こみにして配分されるという考えに立つておられるか。この点をお伺いいたします。
  17. 大達茂雄

    大達国務大臣 十五億の数字を出しました考え方を申し上げますと、大体人口五万以上の都市ということを対象といたしまして、五万以下の都市では、児童数はふえましても、一応何とか間に合うであろう、五万以上の都市増築の問題が大体起るのではないかという考え方で、五万以上の都市対象として、そうしてただいまお話になりましたような、六大都市に対して交付公債、あとの五億円というものは中小都市に対して手当をしたい、こういう考え方で実は数字が出ております。しかし実際にあたつつてどうなりますか、大体それで行けると思いますけれども、交付公債でどうしてもいけないというところができるかもしれません。そういう場合には、実際のわく範囲内において、できるだけさしつかえのないよう措置したい。こう思つております。
  18. 辻原弘市

    辻原委員 五万未満のところに対しては、今回の措置は全然及んでおらないということでありますが、大体この十五億の金額でもつては、当然全部の自然増に対してまかない切れぬことは明らかであります。私は、都市における自然増の問題は非常に顕著でありますので、早急に手を打つということは当然だと思うのでありますが、同時に残された五万以下の農山村における自然増の問題も、これは看過できない重要な問題だと思います。なおこの範囲金額でもつては、自然増全部も埋まりきらないというふうに考えまするので、問題はやはり二十九年度に大きく持ち越されておる、こういうよう考えるのでありますが、その点に対しまして、先般の委員会でも御質問を申し上げ、要望をいたしたのでありますが、やはり基準引上げ根本策であろうと思いますので、この点について、ぜひとも二十九年度に再び便宜の処置をあわててとらなければならぬというようなことのなきよう、ひとつ二十九年度予算編成にあたつて、少くとも中学校においては一・二六程度基準引上げをぜひ最低として断行いただきたい。この点についての当初予算編成の経過は、この臨時措置と相まつて、どういうふうにおとり運びになつておるのか、また解決見通しは立つておるか、この点をこの機会にお伺いいたしたいと思います。
  19. 大達茂雄

    大達国務大臣 お答えいたします。ただいま申し上げましたように、今回の臨時措置というものは、大体人口五万以上の都市対象としてあるのでありますが、これは実際にあたつてみないと、むろん五万以上の都市でも必要のないところもたくさんありましようし、それからまた五万以下のところでも、どうしても困るというところができるかもしれません。そこで十五億円という数字は、一応そういうことを基準にはしておりますけれども、これは何もしいて無理にとらわれる必要もないと思いますので、特別の事情のありますところには、財源関係で許す限り、これで解決をして行きたい、こう思つております。それから来年度の問題でありますが、これはこの前、この委員会でも申し上げたかと記憶しておりますが、ただいま大蔵省に対して折衝しておりますことは従来のような〇・七とかいうよう数字でなしに、これば非常にきゆうくつな数字でありますから、いつまでもこれでやつてつたのでは、問題はいつまでも解決しないのでありますから、ぜひこの基準坪数というものの引上げをしたい、こういうことで、一・〇八というべースで、それに児童数によつて一定補正係数をかけますが、とにかくそういうことで今大蔵省折御中であります。これはただいま見通しを申し上げるまでに行つておりませんが、全然見込みがないということではないので、これはひとつできるだけ大蔵省にも了解してもらつて、ここまでは引上げをしたい、この引上げがもしできますれば、これは決して自然増に対するものではありませんが、児童一人当りの坪数引上げるのでありますから、教育施設そのものを完備したいという意味でありますけれども、目前の急に備える意味ではよほど役に立つ、自然増というものにも対処し得る、こういう考えを持つております。今一・〇八ということでせつかく交渉を進めております。
  20. 辻原弘市

    辻原委員 この点は深くは御質問いたしません。次のそれに関連しての問題は、やはり中学校自然増を含んでの施設建築に対処する方法でありますが、臨時措置でもつて一応やり、さらに全体の基準引上げで努力を下る、これが確定すれば相当私は問題は解決できると思うのですが、もちろん一・〇八という基準は、現状から見ればさらに低いことは当然であります。そこでいま一つ、中学校施設問題でお聞きしたい。小学校の場合には、今年度から危険校舎国庫福助が確定いたしまして、これで相当量推進されておりますが、同時に中学校の場合を考えてみましても、中学校の建設は、地方によつて学校施設拡充のために非常に時期を悪いで、そのためにところによつて校舎施設としては比較的不適当なようなものが、ただいまから見れば相当存在しているということを、私も地方調査の際に見て参つたのであります。それらの建物は、あるいは旧軍用建物を転用したり、あるいは他の施設をそのまま借り受けて使用したり、こういつたものが相当残つておるように私も考えておりますが、そういたしますると、当然これらのいわばちやちな建物に対して何とか考えてやらなければならぬ段階にやはり来ている。そういたしますと、小学校ようにこれを危険校舎というように認定して行けば、これらの校舎の補修あるいは改築というものを片づけられ得るのではないか。ところが現在危険校舎小学校のみに限定せられておりますので、同じよう建物が並んでおりましても、いわゆる老朽という名前には当らないけれども、これらの危険校舎には全然手がつけられないで地方では困つておる。そこでこの危険校舎対象をやはり中学校にも及ぼして行く、そうしてたとえば小学校の場合には、耐用年数の長いものほど現在危険な状態にあるわけでありますが、中学校の場合には、耐用年数の短かいものであつても、今言つたよう意味合いで非常に危険合いが高いものを救済する道がないか。この点について研究を進められておるかということをひとつお伺いいたしたいと思います。
  21. 近藤直人

    近藤説明員 お答えいたします。危険校舎につきましては、当初想定いたしまして、全体の坪数を百六十五万坪、そのうち最も危険の迫つておりますものが四十八万坪ということになつておりますので、それを約二箇年間で解消するということにいたしまして、今年度二十二万坪に対しまして二十二億予算が認められているわけでございます。この危険校舎に対しましてはただ年齢が古くなりまして老朽になつているというもののみではございませんので、弱朽のものもこの対象になつております。これは戦後急につくりまして非常に素材が粗末であつために早く朽ちている、というようなものも対象に取上げておりますので、ただいまお話の旧軍用建物というようなものは、あるいは弱朽の部類に入るのではないかというふうに考えられますが、なお今後の問題につきましてはよく御相談申し上げまして、御考慮申し上げたい、かよう考えております。
  22. 辻原弘市

    辻原委員 ただいまのお話をこう承つてよろしゆうございますか。中学校の場合であつても。危険度合いの高いものと認定すれば老朽危険校舎として対象にして行く、こういうふうに受取つてさしつかえないですか。
  23. 近藤直人

    近藤説明員 さようでございます。
  24. 辻原弘市

    辻原委員 施設の問題は母上でおきます。  次に大臣にお伺いをいたしたのでありますが、ただいま予算委員会あるいは人事委員会等において非常な問題になつている今回の給与ベース・アツプ並びに年末手当に関する点でありますが、本来国が定める問題は、御承知の通りこれは国家公務員対象にしてきめるのであります。同時にこれは地方公務員並びに教職員に対しても同様の措置をなすということが根本的な方針として定まつておるのでありますけれども、例年の例を見てみますと、国家公務員措置された場合といえども、地方公務員あるいは教職員に対してはその後において実際上の措置が遅れたり、あるいは実施せられなかつたりした例が相当見受けられるのでありまして、この点に対しては特に五十数万地方教職員を持つている文部省と、しては非常に責任は大きいと考えておのまますが、今回のべース・アツプにあたつて、また年末手当措置にあたつて大臣はこれら地方教職員に対して確実に国家公務員と同様の措置がとられるというお見通しを持つておられるか。先ほど申しましたように、当然とる建前であるということはわかりきつた話でありますが、支給の朝日並びに財源措置という点について確信を持つておられるのかどうか、この点をひとつ大臣から承りたい。
  25. 大達茂雄

    大達国務大臣 昨年末におきましては、国家公務員に対して国がとつ給与措置が、地方において同様に行われなかつたところが多少あるやに聞いております。昨年は、これも私あるいは間違つているかもしれませんが、聞いているところでは、財源措置において十分でなかつた点があつたように聞いております。今回の期末手当並びに給与の改善につきましは、義務教育費国庫負担金として半額を計上してある、これは当然なことであのます。そのほかに地方において支出するものにつきましては、平衡交付金制度におきましてそれぞれ財源措置が構じてありますので、その点から申しますと昨年よりは財源措置の点でできちんとしておりますから、それがほかに使われて教職員給与の方にまわらないというような事例はおそらくないものであろう、こういうふうに私は考えております。なおそれを出さなければ、やはりその出さない部分については国庫負担金の二分の一支出というものも自然ないわけでありますから、地方としてはどうしてもそれは出していただけるものだこういうふうに考えております。国といたしましては、財源措置を講ずる以外に地方にこれを強制る道はない、これは御存じの過りでありまして、一面において財源措置を講ずるとともに、他の一面におきましてそれぞれ地方通達を出すなり何なりの方法によりまして、ぜひとも国考えているよう給与処置をとつてもらいたい、こういう勧奨をするつもりでおります。おそらくは昨年のような事態を見ることなしに、地方においてもそれぞれ国家公務員に準じて給与処置が行れれるものと、こういうふうに今見通している次第であります。
  26. 辻原弘市

    辻原委員 わずかの親心でもつて解決する問題が、それを怠つたために地方においては当然同時に措置されるものが措置されないという例があつたということを私は申し上げました。地方に対して国が強制する力は、財源措置をする以上の方法はないと大臣は仰せられるわけでありますが、これは昨年までの文部省の立場は、確かに財瀕措置においても、その所管自治庁所管であり、直接金の面においても建前として地方に指示する権限は法制的に何らなかつたかと思うのでありますか、国庫負担法が実施された以上、その国庫負担金支出取扱いについては、文部省はやはり権限と同時に責任を持つていると思います。従来これは自治庁等においては、必ず国か措置された場合においては、かくかく財源措置をしているから地方においては同様の取扱いをされたいというような、そういう旨の通達を発しておつたように私は記憶いたすのでありますが、やはりこれと同様平衡交付金に対しては自治庁国庫負担金に対しては文部省でありますから、従つてかくかく財源措置をした以上、当然国と同様の担置ができるのだから、そういう措置を必ずとつてもらいたいというふうな意味合い地方に対する通達は可能であると思いますが、この点についての大臣の御所見はどうでございますか。
  27. 大達茂雄

    大達国務大臣 先ほどの答弁でも申し上げましたように、さよう意味通達は出すつもりでおります。この予算が成立いたしますれば、それに伴つてよう通達を出したいと思つておりますが、その通達は決して命令するとか指揮するとかいうよう関係にはならないで、やはりそれを希望するとか勧告するとかいうことになると思います。  それから義務教育費国庫負担という制度が実施せられておるからということでありますが、これも実際支出額の二分の一、こういうことになつておるのでありまして、それを実際どの程度支出するか、あるいは国が考えているよりも非常に高い待遇をされるかもしれません、あるいは国が考えているよりも低い待遇をするかもしれません。いずれの場合におきましても、何と申しますか、その教職員に対する給与の実体をきめる主導権というものは、負担は国が半分持ちますけれども、しかしそれをきめるリーダー・シツプというものは地方にある。そこでそういう関係からきわめて少数の富裕な、非常に高い待遇をしている府県に対しては、御承知ように政令というものを出さざるを得ない。国は地方でよけい出せば半分は出す、少く出しても半分は出す、こういう建前でありますから、この制度をたてにして、一応地方でこれくらい出すであろうという見込みのもとに予算を出しております。もし地方がよけい出せば追加してでも予備金から出つしてもこれは追随して行かなければならない。出さなければ、それだけ予算に残額を生ずる。こういう関係のものでありまして、いわば国庫負担金については、中央において指導権を持たない関係でありますから、こういう趣旨で予算が盛り込んであるのだから、ひとつようにとりはからつてもらいたい、こういう意味通達は、これは自治庁平衝交付金その他財源措置についてする過差と同じ意味において、私どもとしてはあわせて地方にそういう通達を、この予算か成立すれば出すつもりでおります。
  28. 辻原弘市

    辻原委員 お説のように、給与決定権については、これは地方にありますので、その点についての拘束はもちろんできないと思いますが、ただしかし国がした財源措置というものは、国家公務員について措置をし、その全体の必要額だけの半額はこれは保証しておるのであります。従つて地方においては、もらえる財源というのは、それを最低として、一応いわゆる実施さえすれば、そこまでは、国家公務員のところまではもらえるということになるのでありますから、従つて地方に対しては国家公務員同様ということは、これは理論上も申し伝えることができるのであります。そこでそういう意味合いにおいて、要はさきにも申しましたように、これは文部大臣としての大きな親心がこもれば、その意味は私は地方に十分通ずると思う。従つて一緒にぜひやつてもらいたいというような親心をその通達に込められて、それを感受して地方が安心して実施できるように、ひとつこれはただいまは通達を出される心組みを持つておられるということを聞まして、安心をいたしたのでありますが、ぜひとも予算成立のあかつきにおきましては、すみやかにこれを地方に発して、そうして年末不要な摩擦の起こさざるよう、特に文部大臣としての配意をお願いいたしたいと思います。  次にその点に関して、これは参考に承つておきたいのでありますが、財源措置で絶えず問題になつておりす。これは私は自治庁に尋ねるのが至当でありますが、今度のべースアツプそれから年末手当に対して、全体額を見る場合に、富裕府県の問題が非常に問題となると思うのですが、これについては国庫負担の面においては見込んでおるのか、おらないのか。  いま一つ、これは自治庁の問題でありますが、しかしおそらく残る半額の問題につきましても、文部省としては折衝もせられ、責任もあることでありますので、存じておられると思うので、質問いたしたいのでありますがこの残る半額の平衝交付金措置について、それの財源を修正財政計画等において出されておりますが、その中で地方負担に所属するその財源として、富裕府県の税収を見込んで、そうしてこの残り半額を平衡交付金に盛り込まれる地方負担分の国から措置する財源として充てられておるのか、おらぬのか、この点をひとつ。多少ややこしくなりましたが、第一点は、国庫負担金富裕府県分を含んでおるのか、おらぬのか、残る地方平衡交付金の中に地方負担分として国が財源措置としてやつた分、この中にいわゆる富裕府県の税収というものを見込んで考えておるのか、おらぬのか、これを除いておるのが私は当然だと思いますが、それはどうなんですか。
  29. 大達茂雄

    大達国務大臣 前段御希望の点につきましては、了承いたしました。それから義務教育費の国庫負担に計上しておるうちに、富裕府県分を含んでおるのか、いないのかこの点でありますが、これは別途義務教育費国庫負担関係する法律の特例法案というものを提案してありますが、従つてこの提案によつて、これに該当する府県に対する分は、具体的に申しますと、十一月分までがすでに概算支払いをしておりますから、十二月以降分については、予算に計上してありません。従つて期末手当等については計上してない。今回の予算にある負担分としては計上されておりません。  それから平衡交付金のことでありますが、これは平衡交付金制度の財政計画の立て方、これは実は自治庁のまつたく事務的な、法律によつて定められたことでありますから私から、答弁をするのはちよつと差控えさしていただきます。平衡交付金制度にちやんと定められた事務的な算定方法で算出されておると思いますが、私よく存じませんので、まつた自治庁の事務的な関係でありますから、あるいはそちらの人で知つている人があれば答弁してもらいます。もし間違うと悪いですから。
  30. 辻原弘市

    辻原委員 前段の十一月以降分については、措置されておらぬという問題でありますが、これはそういう法律を出しておるからといえば、それだけの話でありますけれども、しかしながら問題は法律がかりに通る、通らないとしましてもその措置というものは差迫つておるのであります。そういたしますと一体これは塙方においてどうしていいのか、おそらく私は非常にむずかしい問題だと思います。だから法律は出したから、予算も十一月以降は計上しておりませんということで、はたして年末の問題が片づくかいなか、いささかこれは自信のほどが持てないのでありますが、大臣は、先ほど私が申しましたように、国家公務員措置したと同じように、りつぱに地方措置できる、こういうふうにお考えになつておられますけれども、富裕府県も同様に間違いなくそれは実施できるというふうにお考えになつておられるかどうか、この点について大臣の御所見を伺います。
  31. 大達茂雄

    大達国務大臣 その点はいずれにいたしましても、平衡交付金等は、これは国庫負担の方は、別といたしまして、富裕府県には参らないのであります。これらの府県、具体的に申しますと、東京、大阪等でありますが、これは財的に実力のあるところでありまして、国家公務員に少くとも準じて、地方の公務員の待遇をこれにならして行く、こういうことになつておりますから、昨年におきましても皆その通り、昨年は国庫からいわば何らの財源措置なくしてこれが行われたのであります。これらの県におきましては、その財政的な力から見て、当然同様な給与措置ができるこう考えております。
  32. 辻原弘市

    辻原委員 非常に心配されておる向きもございますが、この問題はそれくらいにとどめまして、後段の問題でありますが、これは大臣お話では、平衡交付金法に基いてやつておるということでありますので、はたしてそうであるのかどうか、ここらを自治庁に伺いたいのですが、自治庁の方はお見えになつておりますか。
  33. 辻寛一

    辻委員長 自治庁はまだ来ておりません、おつて参ります。実は他の質問通告者からの出席要求もあります。それで他省の政府委員、説明員が出て来ておりますので、自治庁が来たらまた続けてやることにいたしまして、もうそのあたりでおかわり願いたいと思います。
  34. 辻原弘市

    辻原委員 それではひとつ会計課長が見えておりますので、会計課長にその辺のところを一つお尋ねいたしたい。一体残る半額の分については平衡交付金で、いわゆる国の責任で保証できておるのかどうか、ここらあたりを簡単に説明していただきたいと思います。
  35. 内藤譽三郎

    内藤説明員 残りの半額につきましては、税収の分は五十数億見込んでございますが、七十六億の平衡交付金を見込んでおります。義務教育費の分はべース・アツプと年末手当を含めまして約三十億でございます。そのほかに七十六億の平衡交付金が参りますので、残りの半額につきましては、自治庁の見解では支障がないと考えております。  それからなお先ほどお話のありました東京、大阪、神奈川につきましてはべース・アツプとそれから期末手当等を見込んでもなお余裕があるという計算にはなつてんおります。
  36. 辻原弘市

    辻原委員 地方税五十四億の中に、富裕府県の中に自然増が入つておるのかどうかという単純な質問をしておる。
  37. 内藤譽三郎

    内藤説明員 今お話の税収の点については、富裕府県の分は省いてございます。
  38. 辻原弘市

    辻原委員 間違いございませんね。
  39. 内藤譽三郎

    内藤説明員 はい。
  40. 辻寛一

  41. 大西正道

    大西(正)委員 十六特別国会で、学校図書館法が各派の共同提案で通過成立をしたわけでありますが、これは教育界は言うに及ばず、これに関係のある方々が非常な喜びと期待を持つてその実施を待つておるわけであります。ところが去る二十三日だと思いますが、毎日新聞の記事によりますと、行革本部では今回これの廃止というようなことが論議され、あるいはそれが決定されたとか何とかいうようなことが出ておるわけであります。これは議員立法が、政府提案と違つてどうだこうだとかいうようなことも間いておるのでありますが、この点につきましてどのよう話合いがあつたのかということを、行革本部の方からひとつ聞きたいと思います。
  42. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 行政改革本部におきまして、行政改革を行うにつきまして、事務の整理ということを問題といたしまして、その際事務を整理するにつきましては、それに関係しております法律の整理も考えかければならぬということで、いろいろ法律を検討したことがございます。しかしそれはまつたく事務的にやつたことでございますが、そのうちに率直に申し上げますと、今の学校図書館法も検討はいたしたのでございますけれども、しかしそれを今少くとも行革本部のただいまの段階におきまして、廃止するというようなことは考えておりません。
  43. 大西正道

    大西(正)委員 その論議の過程においても、廃止、整理するというようなことについて、何か政府提案によるところのものと、議員提案によるものとが、その間に軽重をつけたりするようなことが話合いの中で出たかどうかということをちよつと聞きたい。
  44. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 もとより法律の改廃につきましては、その案をつくりましたそれぞれの主管省において提案されなければならないことでございます。そういう運びになるのでございますが、ただいまの問題につきまして、議員立法によるものにつきましては、政府提案よりもさらに慎重な取扱いをしなければならないということは、本部におきましても話合つておる次第でございます。     〔発言する者あり〕
  45. 大西正道

    大西(正)委員 今こちらからヤジが出ておつたようですが、慎重というのはどういう意味なんですか。私どもはもちろんこの議員立法の権威というものを非常に強く信じておるものであります。しかしその議員立法であるとか政府提案であるとかいうような、そういういききさつを、法が成立した以上どちらを整理するとか、どちらを尊重するとかいうようなことを考えておるのはおかしいのじやないかと私は思うのです。もし今言つた意味で、慎重ということが学校図書館法に限つては他のいろいろな法律よりもより尊重するという意味かどうか。おそらくそういう意味で言われたのだろうと思うのですが、一応聞いておきたい。
  46. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 それは特に学校図書館法だげに限つたわけではございませんけれども、議員提案によります法律取扱いについては、全体として慎重な扱いをしなければならぬ。その方法をどうするかということは、まだ今後の問題として残つておるわけであります。
  47. 大西正道

    大西(正)委員 少しあなたの今の答弁はふまじめだと思うのです。そこで特に尊重するという見方をとりまして、どうぞそういう意味でひとつ厳重に考えてもらいたい。そこでそういう議論が出たというのだが、その理由は何ですか。ただ今あなたがおつしやつたような、形式的な理由だけではなしに、学校図書館法が問題になつたというその理由は何ですか。
  48. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 これはきわめて事務的な話合いなのでございますけれども、そういうものを検討いたしましたのは、一般に今日非常に法律が多くなつておりますので、すべて法律によらなければならないかどうか。必ずしも法律を要しないものも、今の法律の中にあるのではないかというような観点からの検討をいたしましたので、そういう際に一つの例といたしまして検討されたという程度でございます。
  49. 大西正道

    大西(正)委員 法律を要しないもので、これはやれるのじやないかというような検討だつたというわけですね。そうすると一体今あなたが言われた議員立法というものを尊重する、こういうことと矛盾するように思うのだがどうですか。一体、各派の共同提案で、これは委員会の審議も省略して、満場一致で可決したものだ、これは然立法の必要があるからそういうことになつたのですよ。今あなたの言われる法律を要しないで、何か財政面だけで解決できるというように、この学校図書館法の趣旨を考えておられるのかどうか、そのようにしかとれないじやないか。
  50. 大達茂雄

    大達国務大臣 私も行事に多少関係がありますから、私からお答えいたしまするが、行革本部では、あらかじめ結論を出すということでなしに、万般の機構あるいは制度あるいは法律、そういうものについて一応検討を加えて行く、こういうことで今まで会議が続けられておつたようであります。私は毎回その会議に出るというわけではありませんので、その間の図書館法についての事情はよく知りませんけれども、しかしあらかじめ結論を出して、そうしてねらい打ちにその問題だけを取上げて検討しておる、こういうことではないので、全般の制度、機構についてとにかく一応検討して、そうして結論を出そう、こういうことと承知しております。従つて図書館法が会議の場合に論議されておつたということはありましても、それをすぐ廃止するとかどうとかいう結論を先に出しての話ではないと承知しておりますので、まだそこまでは行つておりませんので、大西さんの今非常に心配されるほどのことはないんじやないか、こう思いますからどうぞ。
  51. 大西正道

    大西(正)委員 いろいろな問題について検討した、こういうことなんです。その通りでありましよう。ところがそのいろいろ検討した中で、特にジヤーナリズムがこの学校図誤館法だけを取上げたということですね。これは私から言わせるならば、その中での論議が図書館法の問題についてはかなり形勢が不利であつた決定的なような話が出たんじやないかというような心配をしておるのであります。もう一つは、この報が伝わりますと、いろいろな文化団体あるいはこれに関係のある人々が、この法がそのような運命になることについて非常な反対をしておるということは、あなた御存じですか。これはすでに子供を守る会とかあるいはその他の人々から新聞その他で、もしそういう運命にこの学校図書館法が陥ることになれば、これは日本の教育の進展のために非常にマイナスになる、こういうことが言われておるのであります。あなたは教育界以外の方だろうと思うけれども、この教育というものの趣旨は、従来の詰め込みと違つて、生徒の自発活動というものを中心にしなければならない、それには今のような貧弱な図書ではとうてい新教育の充実ということはできない、そういう意味から豊富な図書を備えて、子供の学習活動を十分にさせたい、こういう念願から文部委員会こぞつてこれを制定したのです。いわば新教育の骨髄ともいうべきものがこの学校図書館法の実現であると思うのです。それを軽々しく、今言われたよう意味で取扱われるということは、もう国の行政改革というものが、文化国家というよう建前を無視した一つの萠芽ではないかということを私は非常に危惧するわけです。私はあとで質問しようと思つたのですが、幸い文部大臣が早く買つて出られたので、そこまで追究しませんが、これには文部省側も文部大臣が出ておられる――この場合の会議大臣は欠席しておられたようでありますが、この問題についてそのあとから会議か持たれたと思うのですが、こういういろいろなことか話合いなつたということに対して、申入れと申しましようか、意見をお述べくださつたのでしようか、いかがです。
  52. 大達茂雄

    大達国務大臣 実は最近国会も始まつておりまして、文部省の方の仕事が非常に忙しいのでありまして、私は打ち明けて申しますと実はあまり近ごろは出ておりません。しかし今会議されておりますことは、塚田長官を中心にいわゆる事務関係の方たちが集まつて、事務的にいろいろ綿密な調査をしておられるのでありまして、いずれ何らかの一応の結論が出ますれば、私も行革関係者として副総理と御一緒に御相談があるものと思つております。その場合に、これはひとり図書館法の問題だけではございませんが、私としては意見を申し述ぶべき点が相当あろうかと思つております。そういうわけで、特に図書館法についてすぐ申入れをしたということはありません。文部省の機構あるいは文部省関係の事柄につきましても、新聞によつて見ますと、やはり行革本部はいろいろの意見がとにかく話題として出たようでありますが、これらについても、私ただいま特に申入れをしておるのではないのでありまして、これは文部大臣として、もしくは行革本部の副本部長として私の意見を申し述べる機会があるのであろう、かように存じております。
  53. 大西正道

    大西(正)委員 事務的にいろいろ検討しておる、それの一応の結論が出たら行革の副本部長としての大臣もまた見解を述べる機会もあろう、こういうお話でありますが、事務的な手続というものも、これは実は私は非常に危険だと思うのです。事務的なことでやるとすれば、教育問題なんというものはこれは最もあとまわしにされることは当法なんです。だから事務的な手続というようなこの段階にひとつ大臣から、そういう事務的な手続でこれが悲運に際会するようなことのないように、はつきりとした意見を述べておいていただきたいと思うのです。それの御答弁と、これに対する大臣の決意をもう一回はつきりとお伺いして、私のこの点についての質問を終りたいと思います。
  54. 大達茂雄

    大達国務大臣 私の承知しておりますところでは、行革本部においていろいろ討議をされておるその内容はきわめて厳重に秘密に付せられておるはずであります。ところがそれが新聞にしばしばいろいろなことが出るのでありまして、これは新聞の方のいろいろ想像した報道等も相当入つておるのではないか、本部としては非常に厳重に秘密が守られておるよう承知しております。むろんこれは秘密にしなければほんとうの結論でないものがどんどん新聞に出るというと、至るところにいろいろ衝動を起したり動揺を与えたり、行政改革そのものを円滑に遂行する上においても非常に支障のあることは明瞭でありますから、これは非常に秘密が厳守せられておるので、あります。従つて新聞の記事は必ずしもそれでもつてどうこうというものではないのでありまして、現に先ほど申し上げましたように、私の直接担当しております文部省の機構につきましても、あるいは文部省関係の重要な、今度の学校図書館法もその一つでありますが、あるいは地方教育委員会の廃止であるとか、その他きわめて重要な問題がたくさん取上げられておるやに新聞紙等においては伝えられておるのであります。これらにつきましては私として意見を申し述べる機会があろうと思いますので、この点は私は十分決心を持つてそれに臨むつもりでありますから、さよう御了承いただきたいと思います。
  55. 竹尾弌

    ○竹尾委員 関連して。私は、この学校図書館法だけの問題ではございませんが、次長がお見えになつておるので、これは行革に至大な影響を及ぼすからちよつとお尋ねいたします。どうも、行政改革は特にそうかもしれませんが、政府はいつも弱いところげかり突いて、強いところには一つも手をつけない。いろいろのあれがあつたかもしれませんが、もし学校図書館法などをつぶそうというお考があつたとすれば、これは文部関係法律なんか弱いから、こういうものは一応おざなり式に面子を立てるために、弱いところだけをひとつやろうというようにしか私にはとれないこんなことをしたらたいへんですよ。文部委員会はそんな弱いものではない。文部省はそんな弱いものではありませんよ。ところが一審行政改革の本旨としては、これはま著な例だけれども、各省の縄張り争いをやめなければ行政改革もへちまもないのだ。いいですか。その一番問題は、たとえば農林省と建設省あたりのあの繩張り争いでわれわれがどれだけ苦労しているか。これは国土省をつくつて農林関係の建設課あたりを持つて来ればどれだけ仕事が進むかわからない。B案と称しましてちよつと出たけれども、こういう大事なところには一つも手をつけない。こんなことは非常に問題だけれども、こういうところに手をつけてこそほんとうに行政改革の実が上る。それをこれからほんとうに大いに盛り立ててやろうという図書館法などをつぶそうというのはもつてのほかである。これらについて行政改革の首脳者としてひとつあなたの意見を聞きたい。どういう方針であるか。ほんとうに一番中心に向つてやるのか、いいかげんなことをするのか、そういう点を一応お尋ねしておきたい。
  56. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 これは私から申し上げるのが適当であるがどうかはわかりませんけれども、私どもといたしましても共管事項その他についていろいろな難点があることをよく承知いたしております。しかし今日残つておりますいろいろな共管事項というのはなかなかむずかしい問題ばかりでございますので、そういう点をできるだけ解決して行きたいということでただいま努力いたしている次第でございます。
  57. 野原覺

    ○野原委員 私はただいま竹尾委員から関連質問のありました大西委員の図書館法のお尋ねに関連すると思うのでございますが、今行革本部の次長のものの考え方について一、二お尋ねいたしたい。竹尾委員も指摘をしておりましたが、私どもが問題にするのは、議員立法というものは今日の情勢においては政府が怠慢であるから議員がやむなく法律をつくるわけなんです。学校図書館法にしても理科教育振興法にしても、文部省責任をもつて提案をすベきなのにそれをやつておらないので、私どもが超党派的に第十六特別国会においてこの法律をつくつた。しかも学校図書館法は来年四月からの実施で、まだこの法律はできたばかりで一度も実施せられていないものを、これを爼上に上せて廃止するとか廃止上ないとかいうことは、明らかに文部委員会を無視した、ばかにしたやり方であると私は考える。このことについてはどうしても私は納得できませんので、実施もしない法律をこの俎上に上せて審議を審議をしたということは、文部委員会の無視ではございませんという御見解があるならば承りたい。あなたの方で文部委員会を無視していないというお考えがあるならばここでおつしやつていただきたい。
  58. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 それは、文部委員し会を無視しているというよう考え方をいたしているわけでは決してございません。ただ先ほども申し上げましたように、事務的に全体の法律をながめたということでございまして、決して文部委員会法律だけを扱つて、これを無視したという考え方ではございません。
  59. 野原覺

    ○野原委員 最初次長はこの議員立法に対しては慎重に扱う、こう申されましたが、質問者はどのように受取つたか知りませんけれども、私の受取り方は、慎重というのはこれは議員諸君が立法したのであるから下手に扱うというとうるさい、横やりか出て来て困るというよう考え方を、行政改革本部のあなた方は持つていると私はこのように受取つているのです。そこでついでに申しておきますか、これは質問ではないので、要望なんですけれども、議員立法の実施もしないよう法律についてとかくの批判をされるということは越権ざたもはなはだしい。特に従来の政府文部行政に対する考え方というものが、竹尾委員も指摘したように、はつきり言つたらなめているのです。文部委員会というものは何とでもなるというよう考え方を持つて、行政改革本部がこの文部委員会において立法した事項、あるいは文部行政その他について教育を軽視するかのような方針を持つて来るということは断じて了解できないということを、これはおそらく自由党の諸君も賛成でございましようから、行政改革本部にお伝えを願いたい。このことを要望しておきます。
  60. 大西正道

    大西(正)委員 学校図書館法の問題につきましてはよくおわかりになつたと思いますが、ひとつ善処されるというような御意向でございますので、何とかその点は慎重に考えていただきたい。  次に大臣にお尋ねしたいのですが、この前にどなたか質問をなさつたと思うのでありますが、地公法の二十二条の条件つき採州の問題ですね。これは非常に学年末も終りになつて参りますと、実際これにのつとつて人事の問題を扱う人たちも扱われる方も非常に緊切感を感じて来ているのであります。これについての文部省としての何か法政正ということの御配慮があると聞いておつたのですか、どの程度まで今進めておられるか。
  61. 大達茂雄

    大達国務大臣 この問題は教職員が普遍の地方公務員と非常に違う点がありますので、いわゆる条件つき採用という制度があつては人事の運営の面において非常に困る、こういうことを私ども思いまして、この点についてはかねてから文部省としては地方にそれぞれ通達を発しまして、濫用の起らぬようにということを申して参つたのであります。しかしなおこれを制度の上ではつきり保障するということも必要であろうと存じますので、これは自治庁の方と連絡をいたさなければなりません。一般の地方公務員のつまり地公法の一種の特例になるわけでありますが、さようなことで自治庁の方にも実は前から交渉をいたしているのでありまして、了解を得ますれけ立法措置をしてもよろしい、立法措置をしたい、こういうふうに実は考えております。
  62. 大西正道

    大西(正)委員 その方向とお考えはわかつたのですが、どの程度に自活庁と話合いがつき、いつごろそういう成案を得られるのか、一応この際聞いておく必要があろうと思います。
  63. 大達茂雄

    大達国務大臣 大体自治庁の方も御異存がないようでありますから、この通常国会において提案をしたい、さように今考えております。
  64. 大西正道

    大西(正)委員 これに関連して、これと何かからめて他の問題が考えられているような風説も実は出ているのでありますが、この点は、ほんとうに純粋な意味地方の教育行政のかんでありますから、それはそれとして早急に御処置願いたいということを要望しておきます。それからえらいいろいろ申すようでありますが、学校給食法のことについて私はひとつお尋ねしたいと思うのであります。この前議員の方で提案になつて、審議未了になつた際には、政府側からこれを提案するということの話合いなつたと思うのでありますか、その構想は予算面におきまして、あるいは実施の面におきましてどの程度の構想をお持ちかちよつと聞きたいのです。
  65. 大達茂雄

    大達国務大臣 学校給食につきましては実は関係方面にただいま折衝しております。これも大体話合いができますれば給食法を提案いたしたい、かように存じております。ただいまこれは関係方面にいろいろ議論がありますので、結果としてはたしてどういうことにおちつくかということは、あるいははつきりした見通しのもとには申し上げられないかもしれませんが、大体麦半額、ミルクも半額、こういうことでやつて行きたい。もちろん各学校に強制あるいは義務としてやらせるということは私どもとしては考えておりません。やはりそういうことを希望してやるところに、さうな半額負担ということで実施をしたい。どれだけの予算がいりますか、この点はいろいろよけい金がいるという見通しもありますし、あるいはそれほどでもなかろうという見通しもあります。これは要するに各学校任意にやるという建前をとりますから、おのずからそこは腰だめとなるわけでありますが、詳しいことはもし御必要があれば所管局長から申し上げます。
  66. 大西正道

    大西(正)委員 大体の構想は麦の半額その他ということなんですが、この際今お考えになつておるのは、従来の学校給食法の延長と申しますか、その規模を少し拡大するという意味だと思うのです。それはもつぱら教育的な子供の保健問題が中心になつて考えられておる。ところが一方今年の食糧の非常な逼迫した状況を見まして、この際日本の食糧問題の解決のためには、米食偏重を是正して、粉食すなわちパン食にたよらなければならぬ、そういうふうな食糧問題の観点から、この学校給食法というものをもう少し徹底してはどうかと思うのであります。たとえば今外米を輸入しておる。この外米は非常な高い金を払つて輸入しておりますが、これを全部麦に切りかえるといたしますと、私どもの計算では、その価格の差とそれに要する補給金とを合せますと、約五百億くらいの金が浮くように私は計算しておる。そういうことになりますと、この際今のごく限られた地域だけでなしに、小学校中学校、それから定時制の高等学校約千八百万人ほどおるのですが、これを全部含めまして、一週間大体五日くらい金額無償で完全な給食をやるためには、あまり財源の措置は必要じやなかろうと思う。私どもの計算では、大体それだけやるといたしますと、六百二三十億かかるように計算しておる。そうすると今言いましたところの米を麦に切りかえることにおいて、その価格の差と補給金を入れまして、五百億の金が浮く、そうするわずかあと百二三十億の財源をどこからか持つて来れば、この学校給食というものが理想的な形で実施されると思う。そこで私の考えるのは、パンのほかにミルクを飲まさなければなりませんけれども、これを今の日本の農業経営は、今のままではとうてい将来発展の見通しはありませんから、これを酪農中心の農業経営に切りかえるということが関係方面では始終いわれておる。ところが酪農をやつてみても、飼料が高くなる、牛乳がすぐ下る。これは需要の面ですぐ降路に突き当る。この際この学校給食の中にパンと生牛乳というものを与えるということにして、消費の面から、需要の面からこの酪農中心の農業経営の方に規制して行けば、この方面も非常によくなるのじやないか、こういうように私は考えておる。設備の面なんかは、今ある設備にこれも百二、三十億の金を入れれば、全学校にこの設備が行き渡ると思うのであります。これは従来の学校給食法の考え方とは違つた、さらに徹底的な大規模なものであります。これをやりますことにおいて、日本の食生活の改善、それから隘路に行き当つた日本の農業経営の酪農中心への切りかえがここに私は実現する端緒を持つものではないか、こういうよう考える。今私の知つておる範囲では、各党で、こういうことにつきまして関係のある方々が話合いを進めておられる向きもあるのであります。今文部省考えられております案よりもさらに一歩を進めて、この際に文部省がこのよう考え方についてひとつ考慮をしてみよう、こういうお考えはございませんでしようか。
  67. 大達茂雄

    大達国務大臣 お話ような点は、これは学校給食というよりも、むしろ今年の食糧事情に対処するというだけでなしに、さらに将来久しきにわたつての日本の食糧問題を解決し、いわゆる自立経済の達成の基礎をここに築く非常に大きな問題でありまして、私どもとして簡単にそれについて――大体それができれは私それは非常にけつこうだと思います。しかしながらそれについて簡単に私どもとしての意見を今申し上げることは困難であろうと思います。これはよほど慎重に、またよほど細密な計画のもとに進められなければ、場合によつてはまた非常な混乱をまき起す。要するに国民の食糧としての米の供給というものを、いやおうなしに大幅に削つて、そうしてこれを小麦あるいは大麦――麦というものに置きかえるとう問題であります。これは国民の長い間の食生活どの関係において、また今の牛乳、酪農の問題がありますが、これも少くとも並行的に進まなければならぬ問題である。今一挙に大量な麦食あるいは粉食という方向に向いて行つて、そうして酪農の事業の発達ということは、これは一朝にはなかなかできまい。さようなことでありますから、これは私どもの関係する範囲外でありまして、私どもとしては国の大きな政策としてこれがきまつて、そうしてその方途が確率されれば、それに策応して学校給食の問題をその意味において取上げて行かなければならぬ、こう思いますけれども、本日ただちにさような観点に立つて学校給食だけの問題を切り離して、その観点からやつて行くということは、今日まだその段階ではないのじやないか。少くともその前提としては大きな政策が打立てられ、それが国民各層、あるいは各党の強力な支持によつて、わが国の当面する根本的な問題の解決に歩を進めて行く、こういうことでありますから、それがまず前提として打ち立てられなければ、ただ学校給食の面で、すぐその問題を取上げて行くということは、ちよつと私は困難であると思う。私どもといたしましては、さような将来計画の場合にも、その下準備にもなる、また従来考えられておつたような少しでも食生活の改善、あるいは児童の栄養の補給、あるいはまた教育上の効果、やはりそういう線で学校給食の問題を取扱いたいと現在の状態では思つております。しかしこれが今お話になりますような非常に大きな経論のもとに国策というものが策定せられて、そうして国民上下の協力一致によつてこの大問題が解決せられるという、そういう筋になつて来れば、この学校給食の問題はそれに大きな役割を来すものである、かよう考えます。
  68. 大西正道

    大西(正)委員 学童というものは五年の後、十年の後に役に立つものだというふうな考えで、今はもつばらこれに金を与え、消費面の存在だ、こういうよう考えることをこの際少し考え直してみたらどうか。これは例がとつびになるかもしれませんが、今子供銀行というようなものが盛んにやられておる、これについて統計を見ますと、大体今でも六十億ぐらいの金が子供銀行の名のもとに貯蓄されておる。零細でありますけれどもこれはかたい金なんです。これがどこに預けられておるかということを考えることは、案外教育関係のものがやつていない、ただ生活改善だとかあるいは貯蓄心を養成するのだとかいうような、金を預けるということだけにこの子供銀行を価値づけておるのであります。ところがこの六十億という金がどういうふうに預けられておるかと、私ちよつと調べてみましたら、十何億という金が一般の市中銀行に預けられておる。この市中銀行に預けられた金は、どういうふうに使われようが、これば預けた学校の子供根行としてはあまり関心を持つていない。私どもとしましては、今の日本の教育問題のやはり一つの問題は、教育財政の貧因であろうと思う。これを一般の市中銀行に預けて、これがカフエーに出たり、キヤバレーに出たりそれから不要不急の消費面に流れておつても、これには何ら関係しないといえばそれまででありましよう。しかし私はこの六十億という金を、これはひとつ子供の純真な預けた意思を生かして、やはり先輩の学費のないものに対して奨学の金を低利貸し与えるとかいうようなことを考えるとか、あるいは一般教職員に何らかの便宜を与えるとか、あるいはまたその一部をさいて教育の施設の面に何らかの便宜を与えるというようなこがあれば、私はこの子供銀行というものの意義はもつともつと価値があるものだと思うのであります。こういうふうに考えまして、この子供というものの意味を五年後、十年後の何かに期待するというのでなしに、今もつぱらこの消費の面においての大きな役割を果しておる―毎日飯を食つているのです。ですからひとつこの線に沿つて抜本的な一つの対策を立てれば、私は同じような意義があることだと思うのであります。今食糧問題の解決のために、人造米なんというものを政府も奨励しておるのでありますが、粉食を再びあんな米の形にするということはまつたく時代逆行です。大臣お話にもありましたように、長い間の食生生活慣習ということを言われますけれども、これは年寄りに粉食をやらせようとするからああいうおかしなこつけいなことをしなければならぬ。だから私はかなりの年輩の米食を偏重しておるものに対して、この際それをむりやりにかえて、食生活の改善から食糧問題の解決というようなコースをたどるよりも、数多い集団的に実施されるところの学童に対して、二千万にわたるところのこの学童に対してパン食を与えて行くということ、しかも今のようなまずいパンでなしに、このパンの製造の機構にも何らかの国家的な一つの援助をやる。やれば何ら矛盾なしに私はパン生活になり得ると思う。そういう面から、教育面で子供というものを今現実の政治経済の問題と直結するような、大きな影響を与えるような、そういう考え方にひとつこの学校給食を、私の今申し上げましたような構想を契機にして、御検討を進めていただければ私は非常に仕合せだと思うのであります。
  69. 大達茂雄

    大達国務大臣 御意見の点は、篤と傾聴いたしました。もしそういうことが行われれは非常にけつこうであると思います。今日の学校給食の問題につきましても、早晩強い力で解決せられなければならぬ日本の食糧問題、それに対応し、策応のできるような時勢において、この問題は扱つて行きたい、かよう考えております。
  70. 辻寛一

    辻委員長 きようは定刻一時より本会議が開かれる予定になつでおります。と同時に散会いたしましてから理事会をちよつと開きたいと思つておりまするので、もう時間がございませんが、松平若御通告になつておりまして、人事院からも出ておりまするが、時間は十分か十五分しかございませんが、次会になさいますか、きようなさいますか。
  71. 松平忠久

    ○松平委員 それでは次会にいたします。
  72. 小林信一

    ○小林(信)委員 ちよつと関連して。     〔「打切り打切り」と呼ぶ者あり〕
  73. 辻寛一

    辻委員長 それでは簡単にやつてください。
  74. 小林信一

    ○小林(信)委員 給食問題で大臣考えておられるという話なんですが、問題は今のような趣旨で持つて行く面と、もう一つは、水害とか冷害とか、欠食児童が出て来るこういう問題をどうするかということをその中にとり入れてあるかどうかということを聞きたいのです。今非常に先を急がれておる方たちはお年寄りが多いのですが、(「先が短いからな」と呼ぶ者あり)そうそう。――その点は今お聞きしませんが、さしあたつての冷害地あるいは水害地における欠食児童の問題について、この前の国会のときた大臣にお伺いしましたら、大臣はやはりこれに対てこういう措置があるというお話を承つて、何かそういうことができるだろうかと思つて実はいろいろとやつてみたんですが、ところが大臣のおつしやるように厚生省の方に何億か行つておるその中に、欠食児童に対するところの給食費も、あるいは学用品に事欠くものに対するところの問題も解決するように出ておる。また文部省自体においても付らか考慮するというようお話もちよつと承つたのですが、現にそういうところからいろんな要望が来まして、厚生省にも文部省にも行きました。現にその顧問は現地においては深刻化しておる。PTAや父兄はこれに対して非常に苦慮しておるわけです。私の県でも先日の県議会で、もうどうすることもできないから、やむを得ず四百万の金を支出してこれに対策を講ずるというよう状態になつておるのですが、厚生省に参りますと保護課では、あなたのおつしやるようなことはできません、こうはつきり言つております。というのは生活保護法が適用されなければ、いかに欠食状態にあつてもその子供を救済すること三はできない。ところが冷害農家の現状は、耕作反別もあるのです。家屋もある。一応生活保護法なんか適用されないような条件を持つておるわけなのです。ところがそういうところは供出代金が一年中の現金収入の大部分なのです。それがとれないのですから、従つて学用品にも事欠く。食う物がないからて欠食児童として昼飯なんかはまことに悲惨な状態に置かれているわけなのですから、弁当を持つて来たり、弁当を持つて来ないで食いに行くようなかつこうをして途中から帰つて来て昼食を抜きにするような現状があるわけなのです。これに対して何とかこの際文部省が対策を講じなければ、今のままの制度では救済することはできないのです。だからそのための対策費が何億計上されても、実際に困つておる。そういうものを救う道がないのです。管理局長さんも非常に心配していただきまして、ああいう見通しを述べられたようなのですが、しかし現にこの問題が解決されないよう状態なのです。大臣としまして、将来の問題、現在の問題につきましても御考慮なさつておるようなものがありましたら、この際お聞かせ願いたいし、そういうものはただちに実行していただかなければ、ならぬわけですが、その点をお伺いいたします。
  75. 大達茂雄

    大達国務大臣 この点申し上げました意味は、厚生省において七億円でしなか、生活保護に要する費用を今度の冷害水害の関係で計上して、この前の第一次補正予算に経費を計上したわけです。それをもつて四千万円ありましたが、場合によつては厚生省がもつと都合してもよろしいということでありましたが、その程度のものが生活保護を受ける家庭の児童学校関係の経費として見てあるのでありまして、この前申し上げましたのは、今おつしやいましたように全体の欠食児童ということでなしに、保護を受けている家庭の児童についてはそういう措置が講ぜられることになつておる。給食児童全体につきましてはそうでなしに、一般にしばらくの間無償給付ということでやりたいということで、いろいろ折衝しなけれどもどうしても、関係方面の了解を得るに至りませんで、結局施設の経費について補助をしようこういうことで五千万円程度のものを予備費でもつて出してもらえることに、この前申し上げたよう話合いがついております。実際給食をまだ開始していないと思いますけれども、あるいは開始しているところもあるかもしれませんが、行き渡つておらぬかと思いますが、さようなわけで冷害関係に対する給食の措置というものは、私どもといたしましてはきわめて不十分な、満足のできない状態でありますが、たださようなわけでそれ以上の措置を講じ得なかつたということは、まことに遺憾に考えております。  なおミルクにつきまして、やはり水害地と同じように冷害地についてもユニセフに寄贈をしてもらいたい、こういうことで、東京におられるアメリカ人のユニセフ関係の人と一緒に冷害地方面へ行かれまして、そうして現場の模様も見てもらいましたので、これは私どもといたしましてはユニセフの方でも、必要なミルクは無償で寄付してもらえるものと、こういうふうに思つておりますが、主食の麦につきましては、ただいま申し上げたようにはなはだ不十分でありますけれども、それ以上の措置を講じ得なかつた。この点はなはだ遺憾でありますが、やむを得ないと存じております。
  76. 小林信一

    ○小林(信)委員 やむを得ないということだけで終つていただいては困ると思うのです。というのは、今よりももつと末に至つて深刻化して来るわけですが、そういう場合に先ほど申しましたように、現行制度においてはほんとうに欠食児童を救うという私たちの気もちというものは解決できない。これに対して大臣の将来のお考えをお聞きしたいのが私の念願でありますが、それはともかくとしまして、今施設費の問題がございましたが、施設費がこの水害、冷害の対策費として計上されたということは、いいようでもあるのですが、非常に矛着していることだと思うのです。パン焼き機を国庫補助でもつて施設したところで、それをつくるところの原料がなけれげ何にもならない。今因つているのはその原料なのです。だからそういう費用なんかも私は何とかならぬものか、大体冷害地なんかはそういう状態なんですから、たくさんとれるときにはやはり給食設備というものは必要なくなるような傾向があるが、趣旨からすれば先ほどの大西委員の言つたように、食生活の改善というかそういう施設をすることによりて、将来の問題は希望が持てるわけなのですが、それよりもこれはさしあたつての問題なんで、四千万円、五千万円こういうものをなぜまわさなかつたか。私こういうふうに非常に遺憾に思つておりますが、いろいろ厚生省、文部省との関係においてなされる支出というものは、私たちの者えておるものとやはり趣旨が違つて来る点が多い。そういうような点もこれだけ切つていただくのではなく、今後の問題もあると思いますから、十分考慮を願いたいという希望を申し上げまして本日は終ります。
  77. 辻寛一

    辻委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十三分散会