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1953-12-08 第18回国会 衆議院 電気通信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月八日(火曜日)     午後三時十三分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君 理事 松前 重義君       菊池 義郎君    齋藤 憲三君       廣瀬 正雄君    甲斐 政治君       松井 政吉君    三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (保全局長)  米澤  滋君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 十二月八日  委員寺島隆太郎君及び庄司一郎君辞任につき、  その補欠として石井光次郎君及び田子一民君が  議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  マイクロウエーブ中継問題に関する件  電気通信行政機構に関する件     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  前会に引続きマイクロウエーブ中継問題、電気通信行政機構並びに日本電信電話公社職員給与に関し調査を進めます。貿疑の通告があります。通告順にこれを許します。齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤委員 原委員の十一月七日の御質疑に、静岡放送の問題があつたのでございますが、私も静岡放送に関しまして陳情を要けておるのでありますが、これは静岡放送中部日本放送競願をしておる問題であります。これに対してひとつ局長の御説明を願いたいと思います。
  4. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。ただいま静岡地区お話がありましたけれども、おそらく浜松の問題ではないかと存ずるのでございますが、お話よう浜松に昨年中部日本放送株式会社中継局を設けたい、引続いてその後静岡放送局からもやはり浜松中継局を置きたい、こういうような出願がございます。郵政省といたしましては、各申請者の間にできるならばお話合いができまして、ともどもに育てて行く、放送局浜松にできるようにということを望んでおつた次第でございます。
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員 大臣がお見えになりましたので、その問題は後刻局長にまた御質問申し上げます。  大臣たいへんお忙しいそうでございますが、忘れないうちに御質問を申し上げたいと思います。それは昨日マイクロウエーブ問題につきまして、正力参考人がここへおいでになりまして、マイクロウエーブの問題についていろいろお述べになつたのでありますが、私の質問いたしました中で、ただ大臣にお確めを申し上げたいのは、十一月二十六日の大臣の御答弁の中で、「ただ私がこの問題は、初めに正力社長から話を伺つたときに、アメリカ公社には貸さない、政府には貸さない、民間会社なら貸す、こう言つておる。そこで私はその民間会社なら貸すという話と、それからこういうような高度の施設というものは、日本としてはできるならば早く成就する方が一番いいのじやないか、電波というものはそれほど重要なものだ、」こういう御答弁速記録に載つておるのでありますが、正力参考人は、そういうことを言うた覚えはない。ただ大臣にはマウンテン・トツパ式というのがいいから、これを採用したらどうかということは言うた覚えがある、こういう回答なんでありますが、この点念のために伺つておきます。
  6. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは正力さんが言うた覚えがないとおつしやつても、私は確かに伺つた覚えがある。おそらく正力参考人がお忘れになつておるのだと思います。私がなぜお忘れになつておるんじやないか、私が聞いたのは確かだと申し上げるかと申しますと、私は初めからものの考え方としては、こういうものはこれは公社が、政府がやる仕事なんだ、こう思つてつたわけなんです。しかし確かに必要な施設であり、しかもできるならばなるべく早くできる方が望ましいと考えておるのでありまして、政府公社アメリカが貸さない。おれの手ならば借りられるとおつしやるなら、これはひとつ考えてみるべき理由が――そういう国家的理由が確かにあるというよう考えたのが、あの問題に対して一民間会社計画であるからそんなものは全然考えられないといつて、無条件に問題にしないという態度で臨むべきか、なお法律その他国の電波政策電波行政というものの根本に照して、一応検討して見べきであるかどうかということの判断をするのに、それは重大なポイントになつておるのであります。政府公社には貸さない、しかし民側には貸すというならば、この民間の手を通じてでも、電波法放送法、それから今まで政府のとつて来ました電波政策というものに抵触しない行き方があるならば、これを検討してみるのが国家的な見地から必要なんだ、そういうことをあるとらわれた考え方で問題にしないというようにするのは、少くとも郵政大臣判断としては誤りである、こう思つたのが、私が一応考えてみようという気持になつた原因なのでありますから、それは最も東要ポイントであり、まさに私はそのよう伺つたのであります。
  7. 齋藤憲三

    齋藤委員 惜しむらく昨日正力さんのおられるところに郵政大臣がおられなかつたことは、どうも流星光底長蛇を逸したような感があるのでありまして、ここで今のような水かけ論は私としても残念なことでありますけれども、私の癖でもございませんが、いずれ速記録ができましたならば、またそれとよく照合いたしまして、さらにこの重大なポイントを追究する必要があつたならば追究して参りたい、さように存ずるのであります。  もう一点、れは局長大臣とよく御相談の上で御答弁を願いたいことは、原委員からの御質疑答えとして、正力参考人は、電波法四条第二項の解釈から行けば、当然なしあたわざるよう計画をしておるのに、どうしてそういうふうな積極性を持たれたかという意味の御質問に対して、いや、それは当局からできるという答弁を得ているからだ。それじやだれがそういうできるという答弁当局としてなされたのかと言うたところが、それに対しては、長谷局長がそう答えられた、そこで自分としてはマイクロウエーブ施設をつくつて、それを電電公社に借すということが成り立つ、こう考えたのだというのでございます。どうもこの点私の邪推か存じませんが、従来の長谷局長は、事務当局としてそういうことはできないのだというお立場に立つておられるし、そういうことはできるのだというお立場に立つておられるのは、どうも大臣らしい。そこでどうぞひとつ御協議の上に、いずれが正しい解釈でありますか、これをはつきりさせていただきたい。
  8. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。最初に私の名前が引用されましたので、誤解があるといけないと存じまして、私から実情を申し上げます。実は正力さんのテレビジヨン及びマイクロウェーブの御計画は、正力さんもおつしやつておりますように、私ども承知しておりますのも二年ばかり前からのお話であります。テレビジョン免許を得られたのは、御承知ように昨年の七月三十一日で、その後テレビジョンに専念されると同時に、マイクロウエーブのこともいろいろ研究をされたようでありますが、私のところにお話になりまして、一体マイクロウエーブテレビジョン中継をやる一方、電信電話ファクシミリ等電気通信のことも並行してやりたいのだが、こういうことはできるかというお話でありました。その当時は電波法の第四条の二項も改正になつておりませんで、その当時の電波法四条の二項は、公衆通信業務、つまり公衆一般的利用に供する無線通信業務ということだけで、例の設備他人の用に供するという言葉が入つていなかつた時分であります。そういう状態でありますが、電信電話はもちろん公衆通信でありますから、できません。それならファクシミリはできるかというお話でありましたが、ファクシミリも、電信の一形態でありますから、これもできない。こういうお話を申し上げましたら、それなら電電公社がこれを借りる、こちらが貸すということならどうだろうかというお話でありました。それは法律上には禁止されておりません。しかしこれは全然別問題でございます。こういうお話をしたことがございますが、おそらくそのことを正力さんがお考えになつてやられたのだろうと思います。ところがその後御案内ように、去る十六国会におきまして、有線電気通信法及び公衆通信法施行法が、御審議の結果採択になりまして、八月二日以降その法律が施行されております。その法律に基きまして、電波法の第四条第二項が御案内よう改正になりまして、その他無線設備他人の用に供する業務も、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社に限るというぐあいに直されたのであります。私がそういうお話合い法律上の単なる解釈上からいたしたのは、ただいまも申し上げましたように、電波法改正前の話でございます。その点をまず申し上げたいと思います。
  9. 齋藤憲三

    齋藤委員 きのう局長出席をせられておつたのですが、かんじんのところへ行つたらば局長もおられなくなつたので、またあとでこういう質問をしなければならなくなつたのであります。そうするとただいまの御答弁は、電波法四条第二項の改正せられざる以前においては正力さんの言うたのが正しい、しかしそれが改正されてしまつたから、それはもうだめになつたのだ、こういう御答弁でございますか。
  10. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。正方さんから御質問がありまして、私が法律上の解釈を申し上げたのは、電波法改正前でございます。改正後における解釈は、これはおのずから別問題でございます。
  11. 齋藤憲三

    齋藤委員 大臣電波法改正前のことを考えておられるのですか。後のことを考えておられるのですか。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは申すまでもなく今の議論をいたしておる、現在の改正された電波法を頭に置いて私の解釈は申し上げておるわけであります。従つて私も今局長のお考え方を聞いておつたのでありますが、局長がそのように今も考えておるとすれば、今日以降は私の考え方統一をしてもらわなければならぬと考えております。私の考え方は今まですでに何べんもこの委員会皆様方に申し上げた通りでありまして、私はあの考え方からして、ただ施設をつくる、そしてそれを用いて運用して行くというところに行かない段階までは、この趣旨では禁止しておるとはどうしても解釈できない。しかしもともとそれを借りるといたしましても、だれが借りてでもやれるというわけではおのずからないのでありまして、この電波法放送法考え方、それから日本電波行政の本来のあり方からすれば、借りて運用をなし得る人も公社に限られておる、こういう考え方であることは申すまでもないわけであります。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 関適して……。大分前に何回もこの問題は大臣と押問答したわけですが、長谷局長ちよつとお伺いしたい。むしろ相談をしないでお答え願いたい。マイクロウエーブ施設なら施設を、どんな厖大なものをどんな位置にどうつくろうと、かつてでしよう。その点について……。
  14. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。電波法におきましては、施設をするということは縛られておりません。これを運用する段階になつて、初めて無線局免許がいるのでございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 大体大臣に似通つて来ました。そこが一つ疑義つたのですが、確かにそこは穴があるようです。  今度は国務大臣にお伺いしたいのです。正力さんを一応例にしますと、ああいうよう厖大計画をもつて、しかも何かうまい、手を使つて外資の導入ができた。三十数億あるいは四十数億の施設をかつてにおつくりになつた。しかもそれが今言つたようにできるまではかつてである。これを軍用するときになつて初めて電波法で取締るということになりますと、国家的見地からいつても大きなむだをそのまま見のがしたことになる。こういう点に対してはやはりただ疑義があるというだけで見のがしておると、えらいことになるのじやないか。きのう正力さんがここにおいでになつてお話をいろいろ聞いたのでありますが、帰着するところはあの怪文書が出たことは無理もないということになつた。私の考えではあの怪文書内容をむしろ逆に裏づけるよう正力さんの態度つた内容つた、こう考えております。ああいうのが出るのも無理もない。まつたく架空な、ある意味ではアメリカあたりの手先になつて動かされているとしかとれないような、怪文書が出て当然であるというよう答えしか得られなかつたわけであります。従つてああいうことが、真夏の夢みたいなものが実現した場合に、これは非常に大きなロスになることが予想されますから、これに対しては国家的な見地から大臣としてどうお考えになりますか。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ですから私が今までその不可能でないということを、どこまでも法律的解釈として申し上げておるのでありまして、従つて具体的な問題として、正力さんがああいう計画をされましたときには、私はいろいろな形においてかりに計画をされても、それがあなたの希望されるように実現するかどうか、それはわかりませんよ、あなたの計画許可できるかどうかは法律的には可能であつても、その他の行政的に検討しなければならぬ面があるのだから、その場合にノーという結論が出たときには、あなたが準備行為としてされたものは当然むだになるという前提においてのお話であつて従つて実際の問題としては具体的に建物をお建てになるとか、もうそういう金が相当いる段階になるまでには計画自体が出て参りますでしようから、もちろん政府考え方はつきりして差上げなければならぬし、そこまでの段階ではおそらくむだは出て来ないと私は思うのですが、しかし今までの段階で少くとも正力さんは、もう相当にいろいろな費用をお使いになつてつておられる。そういうことは事柄自体認許可を要する場合に、準備段階にある程度費用を使うということは、本人のリスクにおいてなさつておることですから、その意味においてはその程度はやむを得ない、こういう考え方でございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると大臣の今のお答えを集約すると、近く四条の第二項に対する大臣のお持ちになる、私どもがやはり考え得る疑義に対して、統一した見解をはつきり立てたい、こうお考えになつておるわけですが、そこでその場合に一体どんな機関を経て、どんな順序でその疑問を統一するように、はつきりきめるようになさるのか、それを伺いたい。
  18. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 まずこの問題が具体的になります前に、必ず正式の書類を出していただく、こういうものが許可に必要だと今郵政省がきめております書類を出していただく。その書類が出ましたときに、もちろん電波監理局事務当局として調べます。それから審議会も調べまして、審議会の御意見も伺います。それから従来この問題については非常に関心のある公社意見も聞かなくてはならないと思います。そういうようにしかるべく相談すべきところは相談をし、意見を徴すべきとこは徴して、具体的な計画内容を検討した上で結論を出す、こういうぐあいに考えております。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると正力さんの問題で申請が出る。その後でなければこの疑義統一ようということにならない。その前に私はそういう御計画正力さん以外にあるかもしれませんし、むだのないように、疑義があるならばこの疑義を早く解いて、統一した結論を出さなければいけないと思います。従つてそうお考えになつたときに、どういう機関に諮り、どういう順序で条文をかえて行くのかをお伺いしたい。
  20. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいまお尋ねの疑義とおつしやるのは、法文解釈意味でございましようか。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 ではないのです。
  22. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 そうではなくこの計画自体疑義ですか。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 この種類のこういう計画があつた場合にむだを起させないように、つくつたものを貸してさしつかえないかどうかということをきめておかなければならぬ。
  24. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは現在の段階では、何にしましてもこれだけ問題が重大になつておるにかかわらず、計画内容というものはほとんど私のところにわかつておらないのです。もちろん非公式に出ているものはあります。それにつきましては事務当局に検討させて、事務当局としてはこういう点とこういう点に難点があるという事務当局意見も出ております。それだけの点に難点があるならば、ちよつとこの計画では問題にならぬのではないかと私も判断をいたしております。しかし今の段階では私はそれ以上の措置が必要だとば思つておらぬのでありまして、まだ計画がその段階まで来ておらないと判断をしております。従つてまた正力社長としては計画自体も未定のまま、金が借りられるのかどうかということについて強い関心を持つておられる程度じやないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 最後にもう一つ……。今の問題で私のお尋ねしているのは、正力さんのプランにある程度疑義があるままに、むだな時間や費用をかけることは国家的な見地から避けた方がいいではないか、それは大臣も御同感だ、これが一つと、正力さんが実際にこれをお出しになるならぬは別問題として、現に今大臣も承認せられるように、四条の第二項の点に疑義があるということを前から言明しておられる。われわれもあるよう考える。今現にこの法律に対する疑義があるならば、この疑義を解こうとするのも、別な意味から当然ではないか、こうお伺いしておる。それを解くとしたら、一体どんな順序で、どういう機関を通しておやりになるのかと聞いているのです。
  26. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私は今の段階では、自分としてはあの計画許可ができるとは思わないということは、この前の委員会でも公式の席上で発表をいたしておりますし、通信機関のことでありますから、正式に私が口頭もしくは書面で回答申し上げなくとも、おそらく正力社長は御承知になつておる。従つてもしさらに自分計画を進めて行くということであれば、今出されておる、私が承知しておる計画誤りがあると思えば訂正もやりよいでありましようし、また計画自体が悪いのであれば直されるということもあるだろう。従つて今の段階では、一応この程度考え方ではちよつとむづかしゆうございますということは、すでに表明をしてあると思つておるわけであります。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 いつも大臣とぼくと話をすると、行き違いがあるんですがね。私は今の問題が一つと、もう一つは、現に四条の第二項に大臣疑義を表明しておられる。この疑義が問題にならないでいいかということです。現在正力さんの問題が出て来まして、これは解いて行くという、それまではお解きにならないという御態度ならば別問題ですが、この疑義が出ている以上はこれに対する解明を、統一したようなものを立ててしかるべきではないか、こう言つたのです。それであるならば、どういう機関を通して、どんな順序でこれを統一されるのかを聞きたい。
  28. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは解釈の上であるいは疑義があるように申し上げたかもしれませんが、私は解釈の上では自分考え方は誤つておらない、少くとも法律解釈としては誤つておらない、ただそういう法律のままで置くということは、今後も正力さんの計画よう国家的な見地から見てのいろいろなロスを生じる危険があるのでありまして、こういうぐあいな表現にしておくこと自体について、はたしていいかどうかということについては私としても疑義がある。従つてこれはもしそうではいけないということであれば、立法措置を何かしなければならないという結論になると思いますが、そういう面も今後そういう問題がたくさん出て来ると思うというおそれがあるようであれば、十分検討して、国会に御審議を願うようにしなくちやならぬ、こういう趣旨であります。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。
  30. 齋藤憲三

    齋藤委員 正力さんのきのうの参考人としての陳情は、結論として私の考えから言えば、アドバルーンだけで、中身は何もないのだということを、ぜひ大臣に聞いておいていただきたかつたと思うのであります。と申しますのは、科学技術もみなアメリカまかせである。そうしますと結論として、一体許可だけもらうのか。許可をもらうことはもらうが、あと科学技術もみなアメリカまかせだ。しかも口にするマウンテン・トップ方式というものは、だれが考えても、極超短波に指内性を持たせれば、山の上に機械をすえつけるのはあたりまえのことで、松前委員の御説明があるまでもなく、これは何も新しい方式でも何でもない。そうしますと結局問題は、電波法の第四条第二項において問題をはつきりするということ以外に、今世間で流布せられております問題に解決を与える方法はない。ただこの問題は、事務当局大臣のお考え統一結論を出すのに、今早急に出してくださいということは無理だろうと思いますから、年が明けましてからゆつくりお考え願つて、御結論をお出しくださることを私は希望するのです。ただここで私として大臣にお願いをいたしておきたいことは、昨日先輩のある代議士が、ひよつこり現わすべからざる姿をここに現わして、大いに正方激励の一こまをやつたのでありますが、その中で、憲法さえ今は改正するときなんだから、電波法ぐらいじやまになるならば、これを改正して、いいと思うことをどんどんやつたらいいじやないかという御議論があつたのであります。昨晩、私この言葉について再検討を加えてみたのでありますが、その原因那辺にあるかということ、これは私として賢明な塚田大臣にあきたらざる一つの問題は、大臣就任以来、いまだかつて一ぺんも電波に対する認識及び電波行政に対する確たる信念を御発表になつたことがない。いかに正力さんが計画をお立てになろうとも、だれが何と言われても、主管大臣たるあなたが、電波に対する確たる認識を持ち、そして日本電波行政はかくあるべきものであるという表示をされたら、こんなことは問題にならないと思う。そこが塚田大臣一つの欠点じやないか。賢明なる大臣でありますから、みずからの欠点を知れば、ただちにこれを是正されるであろうと、今までお待ちを申し上げておつたのであります。なおかつ、今日かくのごとき一箇条の条項に対する判断において、貴重なる時間を空費することは、国家のために惜しむべきものだ。だからこの点、局長以下各事務担当の方々と御相談願つて、来年早々でもけつこうですから、日本電波行政に対して、はつきりした抱負経綸をお述べになるということがしかるべきではないかと私は思う。と申しますのは、もう通産省では、テレビ工業確立対策要綱というものをつくりまして、電子管応用機器工業と申しますか、これを来年度は大幅に取上げて、ここにテレビジョンも、あるいはレーダーも、電波機器の一切の問題を大幅に取上げて、工業立国をやろうという気構えがあるのであります。またこれに即応して、来春ある新聞に発表せられる予定の通産大臣の年頭の辞の中にも、日本電波工業の動向というものはかくあるべきものであるということの示唆がもう出ておる。しかるに電波行政主管大臣であるあなが、電波に対して認識がおありかといえば、どうもしろうとで困る、それもないという。電波行政に対して確たるお見通しがあるか、信念をお持ちかといつても、それもしろうとつ困る。それは結局大臣としての職員を冒涜するものという結論になる。私は日本の前進に対して、非常に憂うべきことたと思う。私は気が短かいから、こういう問題であまり長くやりたくないのでありますが、そういうことで、ひとつはつきりした電波に対する認識と、電波行政に対する確信の持てる抱負をお述べになる御意思があるかどうか、これをひとつ承つておきたい。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは主管大臣として、御質問があれば当然お答えしなければならぬことであります。ただおそらく齋藤委員のおつしやるのは、断片的は話でなしに、総合的なものとしての意見を何か言え、こういうことでお尋ねになつておるというように感じますので、その点はなお構想をこれから新年にかけてまとめまして、もしお尋ねがあれば、適当な機会にお答え申し上げたいと存じます。
  32. 齋藤憲三

    齋藤委員 この際さらに一点、これは特に行政機構改革担当の国務大臣としてお伺いをいたしておきたいのでありますが、十一月二十六日の委員会に御出席の際に、この科学技術振興に関する問題について、大臣はかように御答弁をなさつています。「基本の考えとしては私もあえて反対はいたしておらぬわけでありまして、科学技術というものの重要性は、先般本委員会においてもお答え申し上げましたが、自分も十分了解しておるので、何らかの形で科学技術の振興が行政面において取上げられるよう措置したいと考えておるというふうにお答えしておるのです。」また「過去に技術院というものがあつてこれと同じ構想のものであつたが、ちつとも効果が上らなかつたというよう意見もあるので、なるほど問題が非常にむづかしいのであるなということを、実は自分としては今の段階では考えておるわけでありまして、従つてこの構想が、やはり最終的に一番いいものであるということになれば、こういう構想を取入れるということにあるいはなる、こういうように今の段階では考えておるわけであります。」それからもう一箇所は、十一月七日の委員会松前委員質問に対しまして、この問題に対してこういう御答弁をなすつております。「今度の行政機構の改革の際におきましても、他の部面におきましては大体整理、縮小ということが考えられておるにかかわらず、自分としては科学技術に関する面だけはこの機会においてもなお拡充、強化ということがあり得る、こういう構想で実は今度の行政整理に対処いたしておるわけであります。従つてどういう形になりますか、ただ現在あつちこつちに散らばつて非常に非能率的に運営されておりますものは、もう少し形を考えて、まとめるべきものはまとめて、そうして整備拡充して、場合によつては大蔵省の了解も得て予算面にも大幅な措置をして、今遅れておる日本技術が、一刻も早く世界のレベルにまで行くようにということを今考えております。」こういうような御答弁があるので、私は何回も読んでみたのでありますが、どの程度のことを、考えておられるか、もう少しはつきりと御構想をお述べになつていただきたいと思います。何か非常にやりたいと思つておるが、過去の技術院のことを考えると、これはだめじやないかといつてつておられるのか。しかしいやしくも今日の日本の実情というものを考えてみて、科学技術の振興以外に、日本の頽勢を挽回し、日本の再建の大業を完遂する方法はないのだ、あくまでも国務大臣の職責をかけても科学技術の振興をはかるのだという、かたい信念の上に立つておられるのでありますか。あつちを見たり、こつちを見たり、うまくすきがあつたらそこでやつつけよう、こういうふうなことを考えておられるのか。その点をもう少しはつきりとお答え願いたい。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 基本の考え方は、ただいま齋藤委員も仰せられ、それから今御引用になつた過去の二回の本委員会における答弁においても、その気持が現われておりますように、これはひとつぜひ大いに強化をしたい、こういう考え方であります。ただこれをどういう形で実現するかということについてだけ、まだ判断結論が到達していたい、こういうことであります。そこで科学技術庁というものが具体的な構想として、実は国会科学技術議員連盟といいましたか、何かそういう国会議員のお集まりで案をおつくりになつたものを参考としていただいたのであります。その案の内容を盛つた科学技術庁というものについて、先ほど申し上げましたように、これは過去の技術院と同じようなものだ、これでは能率が上らなかつたのだという意見があつて、なるほど形はもう少し検討を要するかな、こういう気持をお答え申し上げたわけであります。
  34. 齋藤憲三

    齋藤委員 この過去の技術院というものに対する批判がもし世の中にあるとすれば、それは大臣はお考えにならない方がいいのじやないか、そう思うのです。これは当時私は現職の議員として、技術院にしよつちゆう足を運んでおつたのでございますが、この間も申し上げたと思いますけれども、技術院総裁というものは、官制の上においては戦争完遂のための総理大臣の最高の技術的ブレーンであるという官制であつたのであります。しかし技術院総裁は当時閣議において発言権がなかつたのであります。しかもその下には陸軍と海軍とがありまして、それから軍需省という、いわゆる三つどもえがありまして、常にけんかをして、この統制ができなかつた。そこで私などは井上技術院総裁のところに参りまして、こういうように閣議でもつて発言ができないというような状態において、戦争完遂のための技術の総理大臣の最高のブレーンは勤まるはずはないから、あなたはしかるべく御辞職なさつた方がいいだろうということで、辞職勧告に参りまして、それが実現化したのかどうか知りませんが、井上総裁は間もなく辞職されたというような経験が私はあるのでございます。そういうような過去の失敗、陸軍省と海軍省と軍需省がけんかをしておつたようなときの技術院を見て、そうして技術院をやつてみたけれども失敗だつた科学技術の振興というものはむづかしいのだというようなお考えが、この御答弁の中にちよつとありますように、もし大臣のお考えの中にあるとするならば、私は国のために非常に不幸だと思う。それで今基本的な考えでは大臣は賛成だ、しかしどういう形においてこれをやるかということが問題になるというのでございますので大臣にもう一度お伺いいたしたいのでありますが、その基本的な考えにおいて賛成だということは、必ず大臣の職責において何らかの形において実現をするという強いお考えをお持ちになつているのですかどうか、これをもう一度伺つておきたいと思う。
  35. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私の考え方と申しましても、私がそういう問題を取上げます範囲は、今度の機構改革のときに、機構の上でそれをどういうぐあいに考えるかという面に限られるわけでありますが、その面におきましてはどういう形になるか、先ほど来申し上げますようにまだ未定でありますけれども、機構の上で相当な決意を持つてこれを取上げなければならない国策としても重大な問題である、こういうふうに考えております。
  36. 齋藤憲三

    齋藤委員 もう一点、先ほど申し上げました通産省が電子管応用の工業というものを非常に重点的に考えて、そうしてエレクトリックという、いわゆる今の最高科学水準からの工業体系というものを大きくここへ取上げて、来年度の事業に織り込もうとしておられるようでありますが、これに対しましては郵政大臣として、どういうお考えをお持ちになつておられますか。
  37. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは実は今度の機構改革におきましては、一つのものを一つの省にまとめたいという構想で、共管の体系の整理ということを検討いたしましておりますのでありますが、いろいろ検討いたしますと、なかなか難点が多くて、相当まだ、今度の改革ではそういう面におきましては、未解決で残つておる面があるわけであります。おそらく齋藤委員のお尋ねは、そいうものを郵政省にまとめる構想がないかというようなお尋ねであるのじやないかと思いますが、どうも今の段階ではまだそこにのところまで考えが進んで参らないわけであります。
  38. 齋藤憲三

    齋藤委員 これは直接今問題になつておりまするマイクロウエーブにも関係して来るわけであります。この重工業局の構想を見ますると、結局特許問題もあるし、それから生産対策としても、ブラウン管を一体どうするとかあるいはこうするとか、いろいろな資金はどうするとかいうようなことも書いてございまするが、結論においてはそういう最高度の性能を持つたものをつくつて、いわゆる、電子管科学工業の大成を期するということなんです。ですからこれを使うのは一体だれが使うかということになりますと、結局放送局とかあるいは電電公社テレビジョン関係のものである。ですから今マイクロウエーブ完成のために英国から買うとかアメリカから買うとか、そういうことが盛んに電通委員において論議されて、電波監理局長が頭を悩ましており、郵政大臣も頭を悩ましておる。しかし生産部面というものは、これはこつちの主管ではなくて、あつちの通産省の方で計画を立てられる。そういうことで一体、主管大臣として電波行政に対する確固たる抱負とか、そういうものをお立てになり得るのでありましようか。
  39. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは国の行政機構、ことに今の行政機構の根本的なあり方というものと関連をするのでありまして、同じようなことで実は自動車工業ですと運輸省でやつたらどうかということになつて、やはりあれも製造からある段階までは通産省に置いて、それから先を運輸省が扱つておる、こういうふうになつて、どこをどういうぐあいに各省の間に事務を配分して行くかということを、縦に割るか横に割るかということで非常に違うのでありまして、そういう面が、今度かなり検討しましたのですけれども、どうも自分としてそれをすつきりした形である一つの部面についてまとめあげるという自身がなかなか持てないというので、今の段階では大体その種の問題は一応現状維持で行つてようという考え方になつておる。しかし考え方としましては、確かに齋藤委員の今御指摘のよう考え方はあり得るのでありますし、そういう面に、あるいは将来なお検討を重ねた上で進むようになる時期もあるかと思うのですが、今申し上げましたようにこの問題は、現実の事態の解決として相当な問題点がたくさん残つていて、ちよつと急速に解決の見通しがつかないよう思つておるわけであります。
  40. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はこの貴重な時間をつぶして大臣に御質問申し上げておりますのは、こう申してははなはだ失礼かもしれぬけれども、大臣の感覚がもしずれておつたらそれは国家的にたいへんだから、そのずれを何とかして直したいという熱情で御質問申し上げておるのであります。ですからなるほど大臣の感覚はずれてない、これは正常な感覚を持つておるというところの得心の行くまで、私はこの質問を続けて参りますから、そのお覚悟でひといやがらずに聞いていただきたいと思うのであります。自動車工業を例にお引きになりますけれども、もし自動車工業の将来というものがありまするならば、これは動力においては原子力を用いるという以外にはないと私は思つておる。しかし電波は、電波法にも規定しております通りで、十キロサイクルから三百万メガサイクルまでの電波で、アメリカでは今どのサイクルをねらつておるかということを郵政大臣はお考えになつたことがありますか。今日本は四千メガサイクルで、その四千メガサイクルが一ぱいになつたから六千メガに飛ぼうとしておる。しかしアメリカや英国は、そんな四千メガや六千メガのことを考えておりはしませんよ。日本アメリカ製、英国製のマイクロウエーブを輸出してもいいということは、すでにその周波数は過去のものになつたという断定の上に、輸出をやろうということになつているのであります。われわれはそういうことをねらつているのじやない。電波国防というものを考えるならば、電波の急速に進展して行くその過程において、いわゆる今日の科学技術においてどれだけの高い周波数がねらわれているか。その問題をアメリカや英国等その先進国と日本が歩調を合せて解決して、初めてそこに日本の再建の大業というものがなし遂げられるのであつて、いつでもアメリカや英国のけつをおつかけているならば、これはイージー・ゴーイングではありましようけれども、これは属国の形であると私は思います。ですから大臣電波行政に対してほんとうの抱負経綸をお持ちになるというならば、いわゆる下僚官吏を全部動員されてそのメンタル・テストをやつて、その上にはつきりした日本を救うべきところの電波行政の大綱というものを発表せられなければならぬと私は思う。そういう建前から参りますと、齋藤委員のお考えようなこともあるなどという、そんな答弁というものは私は出て来ないと思う。あくまでも職を賭しても、この科学技術の建前から世界の最高をつくべきところの電波行政ということを確立する、これだけのスタツフは自分の下僚の中にあるはずだから、それをまとめて行政機構の中にこれを組み入れて、少くとも数年足らずして日本電波というものを世界の水準並に上げて行く、それだけの決意をお持ちにならないで主管大臣をお勤めになるということであるならば、それはむしろ私は国家のために不幸だと思う。こう考えているのですが、この点一体どうなんですか。
  41. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私はその面におきましては、有能なる技術者諸君が研究所その他におられて、検討しておられるはずであるというように確信をいたしております。なおそういう面において足りない面もあるかもしれないと考えるからこそ、電波技術を含めた料学技術全般についてのを行政機構をもう少し強化して行こう、こういうよう考えているのでありまして、私は現在の諸君が十分最高の技術を発揮して働いていただいていると確信しております。ただ今日の日本科学技術、そういうもの全体を通して思いますのに、戦争中の特殊の事態で、相当長く世界の知識水準から取残されておつたために遅れているので、それを急速に今とりもどしている段階にある、こういうよう考えております。
  42. 齋藤憲三

    齋藤委員 その戦争中に遅れているところのすべての科学技術の面をとりもどすということについての具体的な方法として、いわゆる行政面も生産技術の方面も一貫した行政機構におまとめになる方がいいのじやないか、私はそう考えて御質問申し上げているのでありますが、大臣がなかなかそういうことは手取り早く行かない。手取り早く行かないということで一番かんじんなところを放擲されている。その他のことはこれは枝葉末節なんです。結局今御質問申し上げました通りに、通産省として計画を立てているそのことは、やはり国家の行政機構がやつているのです。行政官庁がやつているのです。それがこういうふうに電波の主管省と関係なしに、こういう計画がどんどん推し進められている。この中には、本質的に考えて参りますと、特許の問題もありますし、資材の問題もありますし、それから資金の問題もある。こういうことがいわゆる世界的な水準において電波行政考えているものとマッチしているか、マッチしていないかということなんです。そういうことが一つの行政官庁の中に統一せられてこそ、初めて効率的にものが運行されるのであつて、そうでない部面においては効率的な運行というものはできない。行政機構の改革はそこにあるのだと私は思う。でありますから、自動車工業の例をお引きになつて電波工業と相対比させるということは、そこに時代的な感覚のずれがあると思う。そういうものではないのです。自動車工業や飛行機をつくるということではないのです。飛行機そのものの効率を発揮することは、すなわち電波の高度の活用にまつよりほか、現在ではその高率な力を出し得ざるようになつて来ているのですから、ほんとうに近代的な感覚におけるところの最も斬新なる世界の工業というものは、こんな不徹底なばらばらな行政機構の中において成就せられるものではない、私はそう思つている。そういう観点に対して、その衝に当るところの国務大臣とし、また主管の郵政大臣として、はつきりとここで御言明を願つて、ここの委員会においてのいわゆる申入れ決議もあるのだから、自分の在職中その線に沿うて自分はあらゆる努力を払つて、この電波の一層の発展のために行政機構の改革もやつて、そうして従来の通産省にばらばらになつているところの生産機構というものもとりもどして、ここに一貫したところの行政の体系を形づくるというところの御答弁がおできにならぬのでありますか。
  43. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御意見はつつしんで承りましたが、自分としては行政機構改革は、自分の力の及ぶ限り最大限の努力を払つて、正しいと思う方向に努力をいたしております。
  44. 齋藤憲三

    齋藤委員 あまり短兵急にやるとかえつてこじれますから、また機会をとらえてひとつ大臣に御質問申し上げることにいたして、私はこれで大臣に対してはやめます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 きのうの問題で公社にお伺いしたいのですが、正力さんはしやにむに物をつくつて公社にこれを貸すのだとおつしやつておりますが、公社ではこれをお借りになる気持がありますか。
  46. 靱勉

    ○靱説明員 その問題につきましては、すでに本委員会におきまして経過等を全部お話しておりますので、それで御了解願いたいのでございます。いかがでございますか。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 正力さんは公社に今持つているプランの詳細の内容を示してあると言う、それをごらんになつていますか。
  48. 靱勉

    ○靱説明員 その点もこの前の委員会で申し上げておりますが、郵政大臣がごらんになつているような資料は、公社にも正力氏より公式に御提出になつております。それでは私ども計画について十分理解できませんので、すでにこれに対しましては御質問をいたしているのであります。同時に前後二回ばかり先方の技術の方もおいでを願いまして、私どもの技術関係の人の疑問の点をただしまして、それについてはまた後刻答えるということで、現在まだ回答を頂戴してない、こういう状態になつております。この点はやはり前回委員会におきまして申し上げた通りであります。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 今のことを実は言つてもらいたかつたのですが、実は公社が一度示されたものに対して、正力さんに再度質問を出しておられるのですが、その質問をしたのに二つ動機がある。一つはことによつたらできるなら借りてもいいという考えがある。もう一つは、参考までに聞いておく、こういつたようなどちらかできつと聞かれたと思うのですが、それをお伺いしたい。
  50. 靱勉

    ○靱説明員 正力さんの案を認めるべきかどうか、これは主たる問題はやはり郵政省の問題かと思います。従つて公社当局といたしましては郵政省にも御相談いたしまして、具体的な内容を伺つた上で、公社意見をつけて郵政省の方に提出するということになつているのでございまして、ただいまのところそれ以上きまつているわけではない。目的というものが二つあるわけでなくて、私ども具体的な計画の上に立つてでなければ、意見を立てるという段階には参らぬ。従いましてただいまのところ、お借りするというお約束もできていない、こういう形であります。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 私はやりつぱなしでは気持が悪いから、きのうの締めくくりをつける意味で、二、三聞いているわけですが、本来なら郵政省から公社正力試案に対する諮問があつて後に、公社の意思表示がなさるべきであつたと思う。そういうことなく正力さんがじかに公社にある種のプランを示されて、それに対して公社の独自の立場から、郵政省の指示も受けないのに、これに対してその詳細を問い合せたり何かするということは、少しく矛盾があると思うのです。そういうことがあの怪文書の起きるような、正力さんがある種の進み進ぎるプランに熱を入れる原因にも私はなるかと考えるのですが、それをもう少しはつきりしたいと思うので今の御質問をしたのですが、お答えをいただかなくてもいいですが、できましたらひとつ……。
  52. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 お尋ねの趣旨はもつともなんでありまして、やはり私の方から話を受けて、自分の方では技術的にわからない面もあるし、なおこの問題は先ほど申し上げましたように、かりに借りるとしても、日本では公社以外には考えられないのだから、公社意見を、ある面は経理的の面から、ある面は技術的の面から、はたしてこの計画が借りるということを頭に置いても考えられるものかどうかということを、今正力さんの計画がわかつている範囲で、一応考えて検討してみてくれということを私からお願いしたのであつて、その後ただそういう私からの依頼を受けて、公社側が直接お話合いになつておる、こういうふうに思います。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 今のお答えでけつこうです。あと一点大臣にお伺いするのですが、先ほどのお話の続きで、四条の二項に関する大臣のお考えと私どもの間にいろいろ論争があつたわけですが、そのことをできるだけ近い機会に、何か必要があればその疑義を調整統一されて、もし正力さんの申請が正式に出たときには、先ほどおつしやつたよう順序を経て、四条二項に対する解釈統一して、しかる後この申請に対する許可を決定する、こう解釈してよろしゆうございますか。
  54. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 四条二項の方は、私はむしろ具体的な問題とは別個に、やはりなるべく早い機会に、国家的な立場からそういうロスが出ないようにすべきであるし、またする方途があれば考えて、法的に問題を解決して行きたい、こう考えております。
  55. 成田知巳

    成田委員長 甲斐政治君。
  56. 甲斐政治

    ○甲斐委員 昨日の委員会大臣の御出席のなかつたことは非常に残念でございます。正力参考人は一片の私心がない堂々たる意見を開陳せられたのですが、それに引続いて委員各位との質疑応答がございましたが、これを実は大臣に聞いていただきたかつたのですが、あの内容速記録についてごらんをいただきたいと思いますし、または御出席の関係担当官から親しくお聞き願いたいのですが、私どもの受けました印象では、すでにアメリカの世界銀行との交渉は長きにわたつておるにもかかわりませず、大体どういう条件を向うが持つておるか、提示しておるかという質問に対しまして、まだそれははつきりわからないというよう答弁であります。またそのほかの技術の問題、あるいは技術の問題以外についても、質問することに事ごとにそれはアメリカに聞き合せなければわからない、いやそれもここではだめだからアメリカに聞いた後だというようなことで、まつたアメリカ一辺倒というよりは、まるで主体的な計画内容も何もなくて、これアメリカの意思に従うというよう答弁であり、われわれもそういう印象を受けたのであります。従つてあの正力さんの計画というものに対しましても、われわれはもう少しはつきりした内容があるのかと考えておつたのが期待がはずれた、いわば唖然となつたような状態でございましたが。しかしこれは早晩正式の申請をせられるかもしれはい。その申請があつた場合に、この問題を取上げて、何らかの決定をするという御答弁を先ほどから委員になされましたが、私が一つお尋ね申し上げたいのは、この外資導入について、すなわち正式の申請をなす前に、おそらくは向うの要求によりまして、政府の保証なり、あるいは電電公社の何らかの保証を要求するものだと思うのであります。正式に書類を出す前にそうした要求があり、これを政府が、外資を導入するのもよろしかろうというような了解なり承認を与えられることになりますと、それによつて事実的に、電波法のいかんにかかわらず、この問題は認められたことになるわけでございますが、従つてかりにそういう場合が起つたときにどういう態度をとられるか、そ点をひとつ御説明願います。
  57. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 外資を導入する場合には、ただいま甲斐委員から御指摘のようなぐあいに大体行くらしいのであります。従つて正力社長の希望していられることは、実はあらかじめ政府考え方を何らかの形で表明してもらいたい、こういうことなのでありますが、しかし郵政大臣といたしましては、それをするのには、正式にこの申請で、この申請人で、この計画でという場合には、――と申しますのは、公社計画の場合には若干これは違うのであります。公社日本でただ一つのそういう目的のために認められておる特殊の法人でありますから、この場合には政府は若干の考え方を持つていいと思うのでありますが、こういう個人の形で出て来ました場合には、やはり具体的にはつきりして来て、公社もなるほどこの行き方でとれくらいの条件で行くならば、借りて、公社の使命を果せるという見通しも立つてからでなくてはなりません。従つて正力さんは、そういうものがはつきりしないのに、ひとつ何とか将来許可するという意思を表明してくれという御希望をお持ちのようでありますけれども、郵政大臣としてはそれはできません。そういうようにこの点はつきりとお答え申し上げます。
  58. 齋藤憲三

    齋藤委員 局長に伺います。さつきの浜松放送ですが、この放送局許可するについて、――これは中継放送だと思いますが、静岡県は静岡放送というふうな優先的な考えはないのですか。
  59. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。御案内よう日本放送局をどういうふうに設置するかは、今年の春に各方面の方々の御意見もいただきまして、いわゆるチャンネル・プランというものをつくりまして、これに基いて局を設置して行つておるわけでありますが、浜松につきましても、やはり電波一つ割当になつおるわけであります。これは先ほど御紹介いたしましたように、名古屋の中部日本放送中継局として許すか、あるいは静岡にあります静岡放送局の申継局として許すか、こういうような問題になるわけでありますが、これは放送局開設の根本的基準がございまして、その基準によりますれば、公共の福祉に適合する度合いの高いと認められるものから順次免許して行く、こういう考え方になつているわけであります。ただいまお話ように、行政区域というものも確かに免許審査上の一つの重要な要素になつておることは、私どももその通り考えておりますが、必ずしも、いつも、これが決定的な要素とは考えられないと思うのであります。要するに具体的にどこの町にどういう形の放送局免許するかということは、その土地におきますところのいろいろな条件と、たとえて申し上げますと経済面あるいは産業、交通、文化あるいはその他者からのそこのいろいろ風習、人情等の点もできるだけ考えまして、どちらに許可をするのが最も公共の福祉、その土地に基盤を置いた意味の公共の福祉に適合するかということを考えてきめなければいかぬ、こういうふうに実は考えておるのであります。
  60. 齋藤憲三

    齋藤委員 公共の福祉に適合する条件というものは、いろいろフアクターがあると思うのであります。これはどういうところでそういうファクターを審議して決定するのですか。
  61. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。いろいろ競願がありまして、その判定が非常にむづかしい場合には公聴会を開きまして、利害関係者にそれぞれの主張をしていただくと同時に、公平な方々の御意見もいただきまして、それの順位の決定は審理官という聴聞を開く特別の職務を持つた者が郵政省におりまして、それが裁判の第一審的な考え方をもつて、公平な観点から順位をきめました例もかつてございます。そういう方法もあると思うのです。それからまた御案内よう電波監理審議会というものがありまして、これは郵政省大臣の諮問機関になつておりますが、そういう方々に私どもが調べました事務的な資料も参考にしていただきまして、きめていただくこともあると思います。
  62. 齋藤憲三

    齋藤委員 今回のこの浜松競願に対しましては、局長としてはどういうふうにして御決定になる御構想でございますか。もし何か御構想をお持ちでしたら、それをお知らせ願いたいと思います。
  63. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。実はまだはつきりこうやつたら一番うまいという方法は見出しておりませんので、はつきりしたことを申し上げかねることを遺憾と存じますが、実を申しますと先ほど申し上げましたように中部日本が一足先に中継局の設置を申し出ており、その後に静岡の方から出て来たわけであります。しかし必ずしも先願主義をとつておるわけでもございませんし、先ほど申し上げましたように、その土地の方々に将来とも有益と思われるような形になることを私ども望んでおりましたので、先般申し上げましたように両社の方々のお話合いで、円満に、両方ともどもに手をつないで行かれる形が一番いいんじやないかということで、そういうことを期待したこともございます。そういう話合いも数回なさつたようでありますが、そういう結果には遺憾ながらならなかつたようであります。ところが最近になりましてから、その辺の事情も多少からんでおると思いますけれども、浜松の土地の方々が静岡と名古屋に関係なしに、一応浜松に独立に放送局をつくりたい、そうしてプログラムの面その他については静岡や名古屋に御相談の上で協力を願つた形をとつて行きたい、こういうような名乗りを上げられておるのが現状でございます。私どもはそのあとから出て来た形のものがいいかどうかということも、今後検討してみまして、結局実は三社競願の形になつたのでございますので、その辺も十分考えて処置をしたいと思つております。
  64. 齋藤憲三

    齋藤委員 米澤さんにお伺いしたいと思いますが、この間の御説明の中で、「四千メガと六千メガの原委員の御質問に対しまして、四千メガ帯において多重電話をとれるバンドが七ハンドあります。ですから東京・大阪は現在七システムでありますから、一システムで四百八十とれるとしますと、結局四百八十かける七ということになります。ですからテレビジョンなら七系統でありますが、そういう範囲におきまして四千メガで東京・大阪をやりたいと思つております。しかし七で一ぱいになつてしまつたということになりますれば、さらに六千まで上げて行くということになりますが、」こういうお話でございますが、これはこの間局長質問を申し上げましたら、東京では大体テレビが三つですね。名古屋に二つです。大阪は二つです。そして今の公社でお考えになつておりますチャンネル四千メガサイクルの計画は七ハンドとれる。そうしますと、かりにこれは二バンド、テレビの放送に使つてあとの五バンドを電話に使う、その場合これは一緒に四千メガに乗せられるのですか。
  65. 米澤滋

    ○米澤説明員 今の七バンドといいますのは、結局テレビジョンに使つてもよろしいし、それから電話の四百八十になつてもどちらでも使える。ですから七バンドありまして、五つを電話に使いまして、それから二つをテレビジヨンに使つてもよろしいし、あるいはそれが逆になつてもよろしい。要するにただ一つの機械の中にテレビジョンを送り、同時に音声も送るということは困難であります。その七バンドの中で配列することは、それはどちらでもできるわけでございます。
  66. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと、今の公社の御計画になつておりますマイクロウエーブ網というものはどんどん延びて行けば、実質論としては正力構想なんというのは消えてなくなつてしまうということになると思うのですが、それは技術的にどうでございましようか。
  67. 米澤滋

    ○米澤説明員 結局東京・大阪で七バンドとれる。そのうち三つだけがテレビジヨンにまわつたとしまして、電話が四バンド、そうすると四百八十とれるか、あるいは百二十どまりになるかは、これからの研究問題だとこの前申し上げたのですが、かりに四百八十とすれば、結局四百八十かける四というものが電話になる。それからテレビジョンが三つ、そういうふうになる。それと同じものが大阪・福岡まで行けば、チャンネルとしては相当十分ではないかというふうに考えられます。しかし今の電話のチャンネルの問題は、技術的には研究問題としてなお残されております。
  68. 齋藤憲三

    齋藤委員 昨日マウンテン・トップ式というのとベル・システムというものが問題になりましたが、これは一体どうなんですか。
  69. 米澤滋

    ○米澤説明員 マウンテン・トップというのは、私が了解しておるのは山の上にいろいろ無線局を置く。それでその一つ無線局から次の中継局の間を山の上を使うので、なるべく遠く延ばして行くという意味であります。それからベル、システムというのは、何もペル・システムに限定されているのではないのですが、電波伝幡の上から、たとえば四千メガで行きますと五十キロメートル程度を限度にしましてやつておる。たとえばニューヨークとボストンの間など見ましても、大体五十キロぐらいが一番長いのでありまして、短いところは、四十キロというところもありますが、問題はそれを延ばして百キロにしたらどうかといいますと、電波伝播上、一日のうちの特に日の暮れるようなときには、フェーディングが起るおそれがあるのであります。電波が強くなつたり弱くなつたりします。ですからそういう時期を除いて、たとえば日中だけ使うのならばあるいはできるかもしれない。しかし二十四時間確実に通信するという建前から行きますと、百キロおきに中継するということは事実上相当むづかしいのではないかと思います。ことに多重電話にいたしますと、テレビジヨンと違つてフエーデイングの関係が非常に問題でありまして、今東京、大阪で盛んにやつております電話がいわゆる周波数変調、四千メガで周波数を減らす方法を使つておりますので、フエーデイングがただちに漏話の影響を持つて参ります。そういう意味で非常に確実な方法として考えるならば、やはり中継局は五十キロないし六十キロぐらいで押えて行くのが、技術上最も適当ではないか、そういうふうに考えております。
  70. 齋藤憲三

    齋藤委員 世界的に見て四百六十ですか四百八十ですか、現在多重通信についてそれは最高ですか。もつと将来研究して行けば八百にあるいは千にふえるようないわゆる四十メガサイクル、これは周波数をうんと上げればどうかわかりませんが、そういうお目通しはどうですか。
  71. 米澤滋

    ○米澤説明員 これはバンドの方から行きますと、電話の場合には普通三百から二千七百サイクルをとつております。最近は二百サイクルから三千四百サイクルという広いバンドもありますが、どちらにいたしましても一つ電話をとるためには四KCのバンドを与える。四KCの中で今の二千七百で切れるか三千で切れるかという方式がありますが大体四KC、それで四KCを重ねて行くわけですが、技術が進歩して行けば四百八十よりももつととり得るということは考えられる。六百とれるかとれないかといえば、それはとれるかもしれない。しかし現在では四百八十辺が技術士マキシマムじやないかというように想像しております。私まだ実際に最近の外国に行つたわけじやありませんからわかりませんが、文献なんかによりますと、四百八十辺がマキシマムじやないか、しかし事実上は六百でもとれるのじやないかと思います。
  72. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうすると、この間私が拝見いたしました委員会マイクロウエーブのシステムというものは、今のところ実際問題としてやつてみないと幾らとれるかわからないわけですか。ただやつてみてだんだん改良を加えて行くと四百以上とれるという見通しがある、そういうものが一応成功いたしますれば、現段階においてはマイクロウエーブ綱というのはその方式でどんどんやつて行く、ほかによけいなマイクロウエーブなんというものはつくらなくてもいい、NHKははずしてしまえばいい、ほかのは全然いらぬ、電電公社一本で行ける、それが日本の体系として最も充実し、最も経済的なやり方だということになるのですか。政策的にじやなく技術的にどうなんですか。
  73. 米澤滋

    ○米澤説明員 今の四百八十チャンネル、これがもし一つの機械でとれるようになれば、あのアンテナに電波レンズを使いますと少くとも六は入りますから、端の方は落ちるかもしれません。しかし大体四百八十かける何がしというものはとれる。今後チャンネルとして東京、大阪で見た場合には十分なのではないかというふうに考えております。
  74. 齋藤憲三

    齋藤委員 局長どうですか。今の技術的なことから言つて四条第二項の法文の解釈だと思いますけれども、実際問題として日本の現状及び日本の将来を考えて、正力構想というような、マイクロウエーブを完成するのに、外国の金を持つて来て、外国の技術を持つて来て、実際に日本マイクロウエーブ網を完成しなければ、いわゆるテレビジヨンも多重通信もやれないというふうにお考えになりますか。そんなものは何らの必要はないのだ。今の計画が推し進められて行つて、そこに技術的な改良が加えられて行けば、日本としてはそれで世界の水準に達し得られる十分な見通しがあるのだというふうにお考えになりますか、お尋ねいたします。
  75. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。現在日本電電公社でお考えになつておりますマイクロウエーブ計画については、電電公社の副総裁なりほかの方々からお話があつたように存じますので、それで御了承願いたいと思うのでございます。
  76. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもかんじんのところで責任を回避される手を知つておられますが、これは副総裁として御答弁になりましようか。
  77. 靱勉

    ○靱説明員 これは速記録をごらんになりますとよくわかりますが、なぜ電電公社は外国の技術を導入しなければならぬかという点につきましては、何と申しましても、わが国の特にマイクロウエーブ技術は通信研究所で十分研究して参つて、その成果を上げて来ておりますが、世界特に英米に比べましてまだ遜色がある。ことに最も経済的に運用して行くためには、中継所を無人化するということもわれわれは考えて行かなければならぬ、そういう意味合いにおきましては、現在最高のと申しますか、わが国より発達したところのものをモデルとしてでもサンプルとしてでも最小限度入れて、わが国の技術をさらに躍進されたい、こういう趣旨で外国の器材を実は今求めておるという点を、本委員会において御説明申し上げたのでございます。
  78. 齋藤憲三

    齋藤委員 副総裁としてものの考え方をどうお持ちになるかということは、日本の通信に対しまして非常に大きな影響があると私は思うのであります。おそらくこれはサンプル・ケースとしておとりになるということについては、別段私は反対をするわけではありませんが、先ほどもちよつと触れたのでございますけれども、アメリカ及びイギリスがサンプル・ケースとして輸出してもいいということは、それはすでにアメリカ、英国では過去のものであるという前提に立つて輸出するのではないか、こう私は思うのです。しからざれば、アメリカ、英国がそこに持つところの発明の機微というものは、絶対に外国に知らさないのが常識であります。それでなくてさえ米国がジエツト機をどんどん外国に輸出しておるというので、日本でもつてジエツト機のサンプルをとつてみたところが、どうしてそういうものが組み立てられておるのか、手もつけられないということを私は聞いておるのでありまして、現に世界を風靡しつつあるところの発明の機微というものは、これはその民族、国家の繁栄においては最も重要な問題でありまして、これを他国に教えるなんという、そんなばかな国はどこにもないと私は思う。そこで私は、サンプル・ケースとしておとりになつてごらんになるのはそれはいいでしよう日本はどうしてもそういう癖なんですから、何とかしてイージー・ゴーイングにおいてやりたい。ライク・モンキーと申します。さるみたいに人のまねをするのが日本人の癖なんですから、それはおやりになるのはけつこうでありましよう。しかし私は副総裁にお願いを申し上げておきたいことは、この間見せていただいたあの委員会マイクロウエーブのシステム、あれをやつてみて日本という国はあくまでもバイ・ステツプでもつて、急速に上昇カーブをたどることができると思つております。そこで副総裁並びに局長にも御質問申し上げたいのですが、通産省でもつてこういう計画を立てておる。マイクロウエーブを中心としてここに大きな電子管工業の大計画を立てておる。これと電電公社とどういう関係があるか。これと電波監理局と一体どういう関係があるか。それをひとつ御説明願いたい。
  79. 靱勉

    ○靱説明員 今齋藤委員のおつしやる点は私どもまつたく同感でありまして、たださる式にまねればいいというような観点で、公社が外国の進んだ器材を輸入しようというのではないのであります。ことに前提条件としまして、わが国の技術の向上に役立たないものを、何でもいいから取つて来て早く施設するというよう考えを持つているのではないのでありまして、従いまして私の方で輸入しようとする器材につきましては、通信研究所ともよく相談いたしまして、こういうものが手に手れば、通信研究所の研究に非常にプラスになるという点をよく見きわめまして、特定の機械を得たい、こういうような観点に立つておるのであります。と同時にまた、わが国の通信網の整備ということは、私たちこれは急速にやらなければならぬという二つの要請を考えまして、先ほど申したようになるのでありまして、あるいは外国は隠しておつて、さらに進んだものは提供しないだろうと思う。しかしながら現在実損に供されている高周波通信の施設といたしましては、現在英国並びにアメリカにあるものを、われわれとしてもぜひそれを手に入れまして、それから先は自己の力によつても発展して行かなければならぬ。その距離を――過去の知識の蓄積を利用して行くことによりまして、早くある意味においては他国よりもさらにまさつたような研究もできる、完成もできるというところをねらつておるのであります。まつたく他の国の知識の結果というものを利用しないということであつては、やはりわが国の科学技術の発展というものはないのじやないかというふうに考えます。私はそう考えておりますが、しかしながら齋藤委員のおつしやる趣旨は、自分もまつたく同感であります。そこで通産省の問題云々ということを言われておりますが、私ども通産省とも十分連絡をとりまして、ことに外国の器材を入れることにつきましても、わが国の通信工業、あるいは通信技術の観点から、よく両者とも意見を一致させまして、その問題についても処理いたして参るつもりであります。
  80. 齋藤憲三

    齋藤委員 英国ないしはアメリカからの一つのサンプル・ケースを輸入するということについて、総裁は大分努力をしておられることと思いますが、何かそれに対して見通しがありますか。私の想像からいたしますると、これはアメリカからそういうものを輸入するということになりますれば、行政協定ないしはMSAというものを通してなら、あるいはそういうものを軍機保持と申しますか、機密保持というものの前提の上においては、アメリカないしはイギリスというものは――そういう古くさいものなら別ですが、今電電公社が他山の石として、日本の通信工業というものを発展せしめたいというサンプル・ケース、こういうものは日本ような国情にあるところのものへどんどん輸出なんかしはせぬ。それは必ずMSAとかあるいは行政協定によるところの軍の機密保持の上において、サンプル・ケースとして輸出するかもしれない。そういうことを考えますと、総裁が外国に行つてそういうことにあつせんされましても、これはちよつと見通しがつかないのじやないか、そういうふうに想像しておるのでありますが、この点何か御報告がございましたか。お漏らしになれる程度でけつこうでございます。
  81. 靱勉

    ○靱説明員 英国の方は、単にわが国だけではなくして、他の国にも輸出されておるのであります。その他欧州におきまして、あるいドイツ、フランス等におきましても、この問題は相当進んでおるようであります。というのは、技術の実施が進んでおるという意味で、私どもが話し合つておるということではございません。それからアメリカにつきましては、先ほど申したよう意味合いにおきまして、私どもの役に立つ器械を輸入いたしたいという考えで、若干サウンドした場合におきましては、さらに技術の改良を加えなければならぬということと、これは責任ある答弁ではありませんが、軍需関係等もあつて、私どもの期待するものを今ただちに輸出はできない、こういうような状況にあつたのであります。その後若干技術の改良も行われ、場合によつては輸出してもいいのだというような情勢にもなりつつあるということでありますが、これはまだ十分総裁から、この点については御連絡を得ておりません。もう今月中には帰つて来られるだろうと思いますから、その際にはつきりいたすことではないか、こういうよう考えられます。それ以上のことは存じておりません。
  82. 齋藤憲三

    齋藤委員 この点は、総裁がお帰りになりましてからお伺いする方が適当であると思いますから、一切保留いたしますが、ただついでと申してははなはだ失礼でございますけれども、大体二十九年度の予算編成というものもやらなければならぬ。そのときに副総裁としてのお考えで、今度はどれくらいの研究費をお使いになるつもりでありますか、これをお伺いしたいと思います。
  83. 靱勉

    ○靱説明員 大体におきまして、本年度におきましては七億程度の研究所の経費になつております。これがさらに若干上まわるものという計画にいたしておりますが、ただいまのところさらに御承知ように補正予算等も、本日あるいは両院を通るのではないかと思います。それに基きまして、さらに大蔵省との問に、あるいは郵政省との問に、在来考えておりました予算につきまして、その後の経過等によつて若干の修正を加えたいと思つておりますが、通信研究につきましては、私どもも相当大きな重点を置いておるのでありまして、七億以上のものになるかと考えます。
  84. 齋藤憲三

    齋藤委員 私の最も心配いたしておりますことは、先ほど来郵政大臣質問いたしましても、行政機構というものに対してもはつきりした見通しがない。ことに科学技術の振興対策というものは、なかなか今日の吉田内閣の閣僚には、私は期待できないのじやないかという心配を持つておるのでございます。もし非常に近代的な感覚を持ち、日本の生産というものはどの点を握つてつたならば、今日の日本が一番困難を感じておるところの十億ドルというものをかせぎ出せるかというような、近代感覚に立つた生産行政というものを計画的にやるだけの、ほんとうにしつかりした大臣がおるなら、これは別でありますけれども、ひな壇に並んでおる顔を見ますと、そういうことはなかなか期待できないのじやないか、そういうことを私はおそれておるのであります。それでこれは全般的のことでございますが、この電波を取扱います電通委員会といたしましての私の希望は、これは郵政大臣を一生懸命になつてつつついてみたつてうまく行かないし、そんな力があるかどうかもわからないし、行政機構を本式にそのときにやるのかどうかもわからないし、科学技術の振興ということは、口には言うけれども、はたしていかなる方向に向つて思いをいたしたならば、日本科学技術というものが進歩するかということの焦点をつかむことは困難じやないか。しかし私は望みは捨てません。あくまでも、委員会の開かれるたびにその点を追究したいと思つておるのでありますけれども、現実にマイクロウエーブあるいはその他の問題に直面して、日本の通信界をある意味においては全責任を持つて掌握をしておる電電公社として、アメリカ式にいわゆる研究は資本であるというような大英断の上に立つて電気通信研究所の予算というものを思い切つて増額をして、これでもつて日本のいわゆる電波界の危機を救つて、世界の水準並に引上げるのだというような御構想のもとに、その点に対して重点的な予算を組むというようなお気持は、副総裁はお持ちでないかどうか、これを承りたいのです。
  85. 靱勉

    ○靱説明員 ただいまも申し上げました通り、私どもとしましては、電気通信の事業の経営といたしましては独占的な形態になつておる。従いまして電気通信技術の研究、発達ということについては、最も大きな責任を持つておる次第であります。そこでこ電気通信研究所の機能の拡充につきましては、私ども積極的な観念を持つておりますし、また研究所の研究に従事する人たちも優秀な人を集めまして、最も効果的な研究、発達をいたしたいということで進んでおりますので、公社としましても、まつたく今齋藤委員のおつしやつたよう意味合いにおきまして、いやしくも消極的な観念をもつて対処しているのではなくて、これをもつてわが国のいろいろな利益の増進をいたしたい、こういう考えで、予算等をただ形式的に節約するとかなんとかいう考えでなく、もちろんむだなものは徹底的に排除しなければなりませんが、やり得ることを単に予算がないからやれないという状態には少くとも置きたくないという考えで、研究所の予算等につきましては実行上十分考慮いたしておるような次第であります。
  86. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいま副総裁から御回答をちようだいいたしまして、私も非常に満足に存ずるものであります。この電電公社電話五箇年拡充計画二千八百億円でありますか、これが通りましたときも、世間ではいろいろな批判をこれに加えたのであります。しかし私から考えてみますと、これはある過程における一つ計画であつて、もしも電電公社技術陣営というものがほんとうに思い切つた研究に精進をいたしまして、通信界に幾多の新しい発明を完成せられるということになりますれば、この二千八百億の五箇年拡充計画というものは、さらに飛躍的な効果をもたらすものであろうということを私は考えて、世間の批判に対してはちつとも耳をかさないのであります。またそうあつてしかるべきだと私は考えておる。今日日進月歩の発明と申しますけれども、電波界くらい急速な道をたどり、発展的過程をたどつておるものはないと私は思う。申すまでもなくもう防衛態勢といつても兵隊の数ではない、軍艦のトン数ではない、飛行機の数ではないので、優秀なレーダーが一つあるかないかということが、その全国民を兵隊にかえるよりも防衛態勢においては貴重である。今日ではもうすでに科学界におけるところの質が問題であつて、量というものは付随するものだと私は考えておる。そういう意味におきまして、電気通信研究所というものに重点的な施策を行つて、予算をうんと持つて、ここに画期的な一つの発明を生み出させるということが、日本を救う根底にあるところの大きな力ではないか、そう思うのであります。でありますから、私はいつでもそういう観点から御質問申し上げておるのでありますが、日本のごとき現状において何が一番不自由かというと、アメリカの占領政策の形でありましようアメリカの進駐軍が日本に来て一番最初にこわしたものは、サイクロトロンであるのであります。かくのごときサイクロトロンを一番初めに破壊したというようアメリカの占領政策の考え方というものは、日本の最も痛い科学的な弱体化をはかつたことは、疑う余地がないと私は思う。従つて今日日本の態勢を確立せんとするならば、まず第一にこの科学技術の総合的な力を発揮する組織を持たなければならないと私は思う。そういう観点から日本を見ますと、電気通信研究所のごとき充実した体系を持ち、しかも予算をとり得る組織になつておるところはほかにないと私は思う。そこで私は副総裁にお願いいたしたいことは、単に電電公社がもうかるとかもうからないとかいうことではない。もし電電公社がもうかるとかもうからないことによつてのみ左右されるものであつたならば、私は公共企業体というものの本質はそこで喪失されるものだと思う。いやしくも公共企業体というものはそういうものじやない。官庁のごとき弾力性のないものではない。企業的に弾力性があり、しかもそれが国家の意図をくんで国家の隆昌に寄与するものである、これが私は公共企業体の本質でなければならないと思います。それでありますから、公共企業体であるところの電電公社がもうかつたならば、それをベース・アップでやつても期末手当でやつてもよろしいということになる。ただそこに重点的に課されておるところの職責というものは、あくまでも電電公社の職責において、この通信界というものを世界的に飛躍させるということでなければならないと思うのであります。これはもう釈迦に説法になりますからやめますが、とにかくそういうお気持でこの電電公社電気通信研究所だけは、総裁、副総裁の情熱においてひとつもり立てていただいて、ここから世界的なレベルに到達するところの偉大なる研究の結果が生れ出るように御配慮願いたいというふうに思うのであります。これに対して簡単でよろしゆうございますから御決意を伺いたいと思います。
  87. 靱勉

    ○靱説明員 齋藤委員の今おつしやる点はまつたく同感でありますので、十分その御趣旨を了知いたしまして、それが実現に着々と努めて行きたい、こう考えております。公社の使命達成と申しますか、わが国電気通信の飛躍的な発展のために、この研究機関の充実ということにつきましては、さらに努力して実現いたして参りたいと考えております。
  88. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもありがとうございました。
  89. 成田知巳

    成田委員長 原君。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に副総裁にちよつとお伺いしておきたいのでありますが、今行革本部で考えておるような機構改革、あるいは建前、制度のごときものを、公社でもそれに準じて採用して考えようにとか、そういう指示を受けておるか、また別な立場でお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。
  91. 靱勉

    ○靱説明員 まだ一般政府機関におきましても、行革の結論はないというよう承知いたしております。従いまして公社に対しても何らの指示もいただいておりません。しかしながらすでに前会か前々会でありましたか申し上げた通り、私どもといたしましては、さらに経営の合理化というものにつきまして常にこれを推進して行かなければならない、そういう意味合いにおきまして、資材、資金、また人間の力も経済的、能率的にこれを使用して行くという観点に立ちまして、機構につきましても拡張すべきものは拡張し、あるいは縮小すべきものは縮小するということで、公社になりました関係上、法律によりまして組織が決定されておらないので、私ども公社の事業の発達のためにほんとうに役立つように、機構を適時改正できるのであります。御承知ように戦争の末期から終戦後にかけて電気通信の機構がしばしば変更されておるが、このために事業の実行上におきまして能率を悪くしておる点もあるわけであります。また職員の気分というものも安定しないというようなことでは非常なマイナスになりますので、ただいまのところ私どもも大きな機構改革については考えておりませんが、先ほど来齋藤委員からお話がございました通信技術の研究を充実するということは、ただいまも申した通りであります。さらに、経営の合理化という面におきまして、最近におきましても東京付近の各大学の専門教授に御依頼いたしまして、経営合理化の問題について単に委員会とかいう問題ではなくて、継続的に真剣に御検討願うというようなことで、機構上には大した変化はございませんが、内容の充実ということで現在経営調査塾というものが総裁室にございますが、それの充実強化をすでに行いつつあります。同時に地方の機関等におきましてあまり組分しているような点のあるものにつきまして、これをもつと統一した方がいいものにつきましては、さらにこれを統一して行くというような方向で、若干の機構の改正等も行いつつありますし、今後もなお検討して行くものもありますが、大きな機構の改革というものはただいまのところまつた考えていないのであります。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一つお伺いいたしたいのですが、国際電信電話株式会社の分離してからの職員の待遇が、公社の場合と大分今日までに差がつき始めているわけであります。いろいろ原因はあると思うのですが、今の副総裁のお考え、現実の問題について何か関係してお答え願つてけつこうなんでけれども、この国際は一緒の仲間の者がわかれて行つて、待遇に二割なり三割の差が何がしかのことからついて行くとするならば、それに対して将来足並をそろえて行く、そういうような努力をしてやるお考えがあるかどうか。
  93. 靱勉

    ○靱説明員 給与につきましては、すでに料金値上げの際にもお答えを申し上げておつたのでございますが、私どもはさらに経営能率を上げる、また労働生産性も終戦の当時から比べまして、本年に至りましてはさらに上つておる、あるいは戦前を若干上まわるのではないかというような計算もいたしておりますし、仲裁裁定の理由書の中にもその点は具体的にうたわれておるようであります。従いまして事業の合理化を行い、さらに一方におきましては、五箇年計画を拡大して実施して行くというようなことによりまして、収益性も出て来る。その際におきましては、もちろん職員の給与の改善につきましても、十分重点を置いて考慮して行く。何と申しましてもわれわれの事業は人によつて運営される点が非常に多いのであります。さらにますます拡張をして行かなければならぬものであるというような点から、職員の能率の向上、さらに給与の改善につきましては、常に経営者としては頭に置いておる。ただその目標をただちに国際と同じにするかどうかというようなことを考えてはおりませんが、やはり通信事業を経営しておるという点におきましては、明らかに一つの比較にはなるわけであります。私どももその間職員におきまして不満がないように解決をいたして行きたいという考えを持つております。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 長谷局長にお伺いしたいのですが、巷間伝えられておりますのは、今度の行政機構改革に伴つて、地方の電波監理局を地方の郵政局の下に統合して行くというような案が流布されたのです。先日大臣にこの点を強くお願いしておきました。当委員会の決議もありまして、この電波行政は拡充強化すべきものであるから、間違つても郵政局の下に電波監理局を統合するようなことのないようにという含みを持つたお願いをしておつたのです。その後この行革が今進んでいるようですが、今局長の手元に大臣ないし行革本部長としての立場からこの機構改革に伴つて、何か統合をするような種類のことが話されておるかどうか。
  95. 長谷慎一

    長谷説明員 お答えを申し上げます。まだ郵政省として正式に行政管理庁から組織の変更につきましての何は受取つておりません。従いましてまだ大臣からそれに対する考え方についての御諮問を受けておりません。ただ私どもとしては、巷間伝えられるようなことがもしもありました場合には、電波行政というものと、郵政省の中にありますところの一般の郵政事業との関連等も十分考えまして、かくあるべきだということは十分大臣に申し上げたいと思つておりますが、今申しましたようにまだそういう段階に至つておりませんので、具体的にお話申し上げかねております。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 もしその案が出ましたら、今御答弁になつたよう趣旨でひとつがんばつていただきたいと思います。当委員会におきましては、その点に対して大きな関心を持つておりますから、もちろんバツク・アツプするだろうと思いますが、縮小することのないように、局長が中心でひとつ強い信念でやつていただきたいと思います。次にお伺いしたいのは、地方に電波監視部がございます。監視部に勤めておられる職員というのには、何か特別な待遇上の優遇をしておりますか。していましたらどんな点ですか。
  97. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。実は以前には地方の組織において電波監理局、それに上下の関係は別といたしまして、電波監視局を一応独立した形で持つたことがあつたわけでありますが、その後いろいろ部内の仕事の関係上から、ただいま御指摘になりましたように、地方の監理局の中の一つの部というぐあいに統合いたしまして結局地方における電波監理局でございます。その局員と監視の仕事に従事している者との待遇上の差がないようにということで、実は内部の組織にいたしました。なおただいま原委員から御指摘の点は、監視部の人間はとかく辺鄙なところで二十四時間、いわゆる現業と同じような仕事をしている、そういう点を特に考えているか、こういう御趣旨だろうと存ずるのでありますが、実は電波監理職員はいわゆる公企労法の適用を受けている者とは違いまして、たとえて申しますと、日本電信電話公社の従業員の方とか、あるいは国際電信電話会社の従業員の方と似たような仕事を現実にしている人たちもいるわけであります。しかしこういう職員は一様に一般公務員でございますので、それらと真正面から同じような待遇はできないのであります。しかし私どもといたしましては先ほど申し上げましたように、非常に辺鄙なところにいる者が多いのでございますから、いろいろ上司の方と御相談をし、部内でも研究いたしまして、特に厚生面その他についてはできるだけのことをいたそう、できるだけの範囲内で現在までいたして来たわけですが、なお電波監視職員につきましては、今後とも研究をして行かなければならぬ問題だと私は考えている次第でございます。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 今局長のおつしやる通りで待遇に差がございませんし、公務員のために特別な手当等が行われていないようでありますが、もうずいぶん長い間の職員の強い要求でもございますから、そう長く研究されないように、毎日人間は食つていますし、冬になりますと雪の中にとじ込められてえらい苦労な生活をしているわけです。この人たちに、また来年春までも研究したり、一年、二年でも研究されるのでは割に合わないと思いますから、今のせつかく愛情のある考えをひとつ早急にやつていただきたい。本来ですと裁定勧告などが起きたとき、ベース・アップの起きたときに、局長あたりからこの問題に対して強く何かの形で進言したという御答弁があるかと思つて実はお伺いをしたのですが、それがなかつたわけです。ぜひそういう形で何か次の早い機会に特別に勘考してやるという努力をもう少ししていただきたい。購買組合といいますか、何か物を買うにいたしましても、ある現状のままでは非常に気の毒です。物を買いに行くのに四時間も五時間も赤ちやんをおぶつて奥さんが出て行く。これは軽い方なんです。そういうことないように、十二分に日用品などは手近から買えるよう施設をしてやる。特別にそこへ送つてやるとか、いろいろなやり方があると思いますが、早急に考えていただきたい。  その次にお伺いしたいのは、この電波監視に関して、今日固定したままでこれを監視することが、もう実情に沿つていないことは御存じだろうと思います従つて移動監視ということが相当強く要望されて、局長もこの必要を認めておられる。これに対して何か今案を持ち、それを実現するよう措置を請じておられるかどうか。
  99. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。最初に電波監視の職員の待遇につきまして、なお一層努力して改善に努めるように、こういう御趣旨は私どもその意を体しまして、できるだけの努力を進めて行きたいと思います。  第二点の移動監視の問題でありますが、これは御指摘の通り私どもといたしまして現在持つておる固定的な施設だけでは十二分なことができない、こう思つております。過去におきましても多少移動監視施策設を設けたところもございますけれども、とうていまだ不十分でございますので、来年度以降の予算においては、具体的な点は大蔵省当局との折衝もございますので、その程度等はまだ未定でございますが、私どもの大きな課題として、来年度予算以降において充実して行きたいということで折衝をいたしておるのでございます。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点お伺いしたいのですが、地方電波監理局が実質上の局の開設申請を受けたときに、それの適格を審査するために、想定した地点において監理局自体がその電波の発射たどをして試験をしてみたいというようなときに、今日はすぐそれがかつてにできないようになつておると思うのですが、その点どうでしようか。
  101. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。御指摘のように地方の電波監理局といえども、またお話はございませんでしたが、私らの中央におきましても、やはり電波法と同じ手続で免許を得なければ、発射はできないことになつております。
  102. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで今のよう無線局が数多く、あるいは移動無線等が申請され、あるいは許可されて、これが非常な趨勢で発能して行くわけですが、管理局の仕事を考えたときに、現状のままで行つてはたしてほんとうに効率的な仕事ができるかどうか。大分ロスがありますし、実際には、御存じかどうかしりませんけれども、警察無線などをわざわざ借りて、非常に不自由な思いをしてこの電波の仕事をやつておる。これは何か特別な措置を請じて、その場合には簡単な一箇所だけの認可によつてこれがすぐにできるようにするとか、そういうことをすべきだと思いますが、何かお考えになつておりませんか。
  103. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。非常時におきまして認可を得ております各種の無線局が非常通信の態勢に入つた場合には、相互に通信ができるようになつております。従いましてたとえて申し上げますと、かりに電電公社のお持ちになつておる無線局が、何らかの原因で非常時の場合に、天災地変等によつて機能を停止した場合には、公衆電報も警察無線を通じて疎通できるようにいろいろ措置がされております。従いまして電波監視上の仕事につきましても、平生は電電公社の通信線をお借りいたしまして、事務上の連絡はいたしておりますけれども、何らかの非常時の場合にうまく行かない場合は、警察なりそういうところを通ずる場合もあるわけでございます。しかしただいまお話の点は、あるいは電波監視の上等において即刻緊急な通信連絡をする場合に現状ではどうか、こういうことであるかとも思うのでございますが、その点は実は電波監視者相互間に専用の電波を持つて現在事務的な連絡をしておりますが、ややその点は不十分なように思われますので、これも拡充して行きたい、こういうふうに実は考えております。なお電波監理局そのものの事務的な連絡は、できるならば一般の官庁と同じ式に電電公社の通信をお借りして行きたい、こういうふうに考えておりますが、それも需要供給の関係によつてまた御相談をしなければいかぬと考えております。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 今広汎なお答えがあつたのですが、もう少し焦点をしぼりますと、試験発射をするとか、電波の通路の調査をするとか、監理局では特に申請があるとその必要が非常に起きて参ります。そういう場合に一体どこへ申請してどこの許可を得ることになつておるのでしようか。現在許可をするところはどこなのでしようか。
  105. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。今御質問になりました対象いかんに実はあるのでございまして、船舶とかあるいは小規模なもの等は、現在地方の電波監理局に許認可権を全部委譲してございます。ですからそういう範囲のものは地方電波監理局に御連絡願えれば、試験電波の発射その他の試験もできるようになつております。しかし一般の国外通信とか、あるいは国内の主要な通信とか、あるいは放送とかいうのは、現在中央で総括的に考えなければならぬ点から中央で全部取扱つておりますので、そういう点は郵政省の方に御連絡願わなければいかぬことにはつております。  なお補足的に御参考に申し上げますと、試験電波の発射は、免許を受けた者が、大体工事が全部でき上つて、検査官の検査を得る前に試みに電波を出してみたい、こういうことは電波法上も許されております。但しそれには所定の通信の仕方がございます。これは試験の発射であるということを電波の上におきましても明らかにして行えば、そのための試験はやつてもいいことになるわけであります。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 今の御答弁の例で言いますと、まだ工事ができていないんです。ここに工事をしたいという場合に、地方電波監理局がここに局を置くこと、あるいは工事を施行して申請通りに電波が発射できるかどうか、申請通りの目的が達せられるかどうかということを電波監理局が調査したい……。
  107. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。御質問趣旨ちよつと取違えたのでございますが。今御指摘のように、ある申請者がこういう目的で電波の利用をはかりたい、それならばそれはこういうふうにやつたらよかろう、そういう考え方から、電波監理局が積極的に試験電波でも発射をして、結果をよく教えてやるような方法はどうだろうか、こういう御趣旨だろうと思いますが、実はそういう点が現在行われていないわけでございます。御指摘のように今後電波の開発を積極的にやるためには、そういう点もよく考えて行かなければならぬと思います。これは電波法の大きな改正点にもなると思います。現行の電波法ではどうしてもそれはできないような形になつておりますので、御指摘の点は十分考えまして立案を得たいと思います。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 それでけつこうなのですが、たとえば一例をあげますと、郵政大臣がその場合に許可を与えればよろしいといつたような、簡単にそれのできるようにすることが、この拡充発展を期するもとになる、こう考えますので、早期にこれも研究、実施していただきたい、こう考えるわけです。
  109. 塩原時三郎

    ○塩原委員 靱副総裁に伺いたいと思います。さつき齋藤委員から質問があつた電気通信研究所のことで、今の予算の規模ではとても十分なことはできないだろうから、拡張して十分な経費を盛つてやる必要はないかということでございますが、この問題についてほんとうに理想的に言えばどこまで一体拡張して、どれだけの予算を使いたいのか、また使い得るか、また非常に予算が今の公社の収入ではまかなえないようなときには、どういうところに収入を求めるか、場合によつては値上げをしてもいいかという点について、そう四角ばつて、初めから政府の案として出さないで、この委員会に持つて来て、しんみりと齋藤委員でも中心にしてひとつ相談して見る気はありますか。それをやつたらよほどおもしろいだろうと私は思う。
  110. 靱勉

    ○靱説明員 急激に増加すると申しましても、これは人の問題もありますし、現在各研究機関もわかれており、これを統一してやるということになりますれば、急速にはちよつと行きません。それから齋藤委員の御趣旨に非常に反したことになつたかもしれませんが、国際分離に伴いまして、国際通信に直接関係のある電気通信技術の研究は、別に国際通信が研究しておる。これは国際通信による収入というのも非常にありますし、単に会社が研究はよそにまかして事業経営だけではいかぬというので、研究所もまた別にできたわけであります。通信研究所としましては、その分はむしろマイナスになつたとも考えられるわけであります。それから人の問題につきましても、ただちにこれを倍にするといつても、そう人がむやみにおるわけではないのでありまして、やはりその方面のほんとうの天才的であり、また秀才的な人でなければできない面もあります。そこで塩原委員の御質問でございますが、どのくらいあつたら理想かというのでございますが、現在七億と申しますと、電信電話の収入の一%にも当つていないのであります。私ども研究費のめどをどこに求めるかという点につきまして、当時通信研究所をつくりました際におきましても、あるいはベル会社の研究所はどういうふうになつておるか、またその財源というものはどうなつておるということを検討したのですが、あそこは大体三%くらいになつておるのじやないか。当時のことは記憶がございませんが、とにかく公社で出しておるより高いことは事実であります。これは研究機関だけでなく、訓練の問題につきましてもそういう問題がありまして、やはり教育訓練の問題も私どもは重視しております。先ほど申し忘れましたが、これらの充実も最近はむしろ拡張と申しますか、あまり用のない面は、たとえば大船渡の学園を仙台に合併したということがありますが、さらに中央学園は長期の訓練をするために科を増設した、こういうようなこともやつております。これらの経費も直接的に出ていないで、間接費と申しますか、収入の何パーセントかをこれに支出した方が、一つのめどができるのじやないかというようなことも検討いたしておるのでありますが、ただいまのところ、ただいま申しましたように一%にも達していない。私どもいろいろさらにこれは検討を進めますが、何パーセント程度にするのがいいのか、これらにつきましてもさらに検討を進めたいと思います。先ほどお答えしましたのは、今具体的に何十億ということを申し上げておるのじやなく、やはり研究の分野というものについて、これなら大丈夫だという点まで、即座々々で過すことは困るという意味合いで、もちろんその必要な経費というものは重点的に支出いたしますということを申し上げたのであります。なお機会がありますれば、それらにつきましても、また委員の皆様の御指導も得たい、こういうふうに考えております。
  111. 塩原時三郎

    ○塩原委員 今度は問題は別ですが、私の選挙区の隣の選挙区であるところの浜松放送局、このことについては今齋藤委員からも質問があり、それから原委員からもこの前質問があつたのであります。長谷局長は旅行中でいなかつたと思うのでありますが、同じ趣旨ようであります。それから今私が質問するのですから、これで全国会質問することと同じことになるわけだけれども、いつまでもほつておくと、だんだんたけのこが出るよう競願というものが出て来て、それをみな考慮する気になつたら、お役所の方もたいへんだと思います。いいかげんなところで打切つて、きめていただくのがいいと思いますが、同時にまた電波は空の上のことであつて、地上の行政とは必ずしも関係がないとはいうものの、しかしそれを聞く人たちは昔からの行政区画にとらわれて、一つのなわ張り意識というか、そういう気持を持つておるのであります。静岡放送局の延長でできるものを、無理に名古屋へ持つてつたということになれば、なかなか人心の上にも大きな影響があるし、だいいち県知事以下あの立場の者は困るということになると思います。技術上どうしてもできないことならしようがないですけれども、できることなら、普通常識の示すように決定していただくのがいいと思うのです。従つてその線でなるべく早く、いろいろ競願が出て来てますます混乱しないうちに決定していただくのが私は必要だと思つております。多分原委員齋藤委員もその意味質問せられたことだと思いますが、これは質問だか要求だかわからなくなつてしまつたけれども、ぜひお願いします。もし反対の意見があるなら御答弁願いたい。
  112. 長谷慎一

    長谷説明員 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、行政区画区域を考慮に入れることは、確かにいろいろ審査する場合の一つの大きな重要な要素でございます。しかしそのほかにもいろいろ考えなければならぬ点もございますので、総合的に考えまして、ただいま塩原委員からお話もありましたように、私どもといたしましてもなるべく早くこれを決定したい、こういうよう考えております。実は今日まで多少日にちが延びてしまいましたのは、両者の間でお話合いをしてみよう、されたがいいというようなことで、そのために相当長くかかつたのでありますけれども、最近一応その辺のところも事情がかわつて来たようでありますから、お話の通りなるべく早く決定いたしたい、こういうふうに考えております。
  113. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいま塩原委員から最も適切な御質問がございまして、私の先ほどから電電公社に対する質問も、静岡放送に対する質問も、まつたく塩原委員のおつしやる通りの意味でございます。従いましてどうかひとつ電電公社におかれましても、電波監理局長におかれましても、本日の塩原委員の御質問趣旨を実現せられるように、特段の御配意をお願いいたしたいと思います。
  114. 成田知巳

    成田委員長 暫時休憩いたします。     午後四時三十九分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は開会に至らなかつた