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齋藤委員 ただいま副総裁から御回答を
ちようだいいたしまして、私も非常に満足に存ずるものであります。この
電電公社の
電話五箇年拡充
計画二千八百億円でありますか、これが通りましたときも、世間ではいろいろな批判をこれに加えたのであります。しかし私から
考えてみますと、これはある過程における
一つの
計画であ
つて、もしも
電電公社の
技術陣営というものがほんとうに思い切
つた研究に精進をいたしまして、通信界に幾多の新しい発明を完成せられるということになりますれば、この二千八百億の五箇年拡充
計画というものは、さらに飛躍的な効果をもたらすものであろうということを私は
考えて、世間の批判に対してはちつとも耳をかさないのであります。またそうあ
つてしかるべきだと私は
考えておる。今日日進月歩の発明と申しますけれども、
電波界くらい急速な道をたどり、発展的過程をたど
つておるものはないと私は思う。申すまでもなくもう防衛態勢とい
つても兵隊の数ではない、軍艦のトン数ではない、飛行機の数ではないので、優秀なレーダーが
一つあるかないかということが、その全国民を兵隊にかえるよりも防衛態勢においては貴重である。今日ではもうすでに
科学界におけるところの質が問題であ
つて、量というものは付随するものだと私は
考えておる。そういう
意味におきまして、
電気通信研究所というものに重点的な施策を行
つて、予算をうんと持
つて、ここに画期的な
一つの発明を生み出させるということが、
日本を救う根底にあるところの大きな力ではないか、そう思うのであります。でありますから、私はいつでもそういう観点から御
質問申し上げておるのでありますが、
日本のごとき現状において何が一番不自由かというと、
アメリカの占領政策の形でありまし
よう。
アメリカの進駐軍が
日本に来て一番最初にこわしたものは、サイクロトロンであるのであります。かくのごときサイクロトロンを一番初めに破壊したという
ような
アメリカの占領政策の
考え方というものは、
日本の最も痛い
科学的な弱体化をはか
つたことは、疑う余地がないと私は思う。
従つて今日
日本の態勢を確立せんとするならば、まず第一にこの
科学技術の総合的な力を発揮する組織を持たなければならないと私は思う。そういう観点から
日本を見ますと、
電気通信研究所のごとき充実した体系を持ち、しかも予算をとり得る組織にな
つておるところはほかにないと私は思う。そこで私は副総裁にお願いいたしたいことは、単に
電電公社がもうかるとかもうからないとかいうことではない。もし
電電公社がもうかるとかもうからないことによ
つてのみ左右されるものであ
つたならば、私は公共企業体というものの本質はそこで喪失されるものだと思う。いやしくも公共企業体というものはそういうものじやない。官庁のごとき弾力性のないものではない。企業的に弾力性があり、しかもそれが
国家の意図をくんで
国家の隆昌に寄与するものである、これが私は公共企業体の本質でなければならないと思います。それでありますから、公共企業体であるところの
電電公社がもうか
つたならば、それをベース・アップでや
つても期末手当でや
つてもよろしいということになる。ただそこに重点的に課されておるところの職責というものは、あくまでも
電電公社の職責において、この通信界というものを世界的に飛躍させるということでなければならないと思うのであります。これはもう釈迦に説法になりますからやめますが、とにかくそういうお気持でこの
電電公社の
電気通信研究所だけは、総裁、副総裁の情熱においてひとつもり立てていただいて、ここから世界的なレベルに到達するところの偉大なる研究の結果が生れ出る
ように御配慮願いたいというふうに思うのであります。これに対して簡単でよろしゆうございますから御決意を伺いたいと思います。