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1953-12-08 第18回国会 衆議院 通商産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月八日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君       小川 平二君    小金 義照君       田中 龍夫君    柳原 三郎君       長谷川四郎君    加藤 清二君       齋木 重一君    帆足  計君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   廣瀬 駿二君         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      稻田 耕作君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         工業技術院地質         調査所長    兼子  勝君         参  考  人         (九州鉱害復旧         事業団理事)  坂木  繁君         参  考  人         (九州山口鉱         業関係市町村連         盟会長)    行實重十郎君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十二月七日  委員高橋英吉辞任につき、その補欠として田  中龍夫君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として馬  場元治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出の件  地下資源に関する件  アルコール工業に関する件  鉱害に関する件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず地下資源に関し調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 前国会から引続いて、従つて大蔵大臣通商産業大臣に在任中からこの問題を申し上げておるのでございまして、その問題がどの辺まで進んで行つておるか、ぜひきようは承りたいと思うのであります。 御承知のごとく今は国内石油製品使用することは非常に厖大なものになつております。何ゆえかくのごとく使用が多くなつたかということは、効率的な点といおうか、科学的な点といおうか、こういうような点から非常に有利であると考えまして、国民全般石油というものを多く使用して来ておると思うのであります。しかるに石油というものは、その需要供給バランスがとれておるのか、いないのか、現在では市中においてはほとんど石油の販売を停止しておるというようなありさまであります。それではこれだけ厖大な千二百億というような金を出して輸入したものが、どこへ、だれが、どういうふうに貯蔵して思惑をやつておるのか、まずこの問題から承りたいのであります。従いまして、次官は御承知でございましようが、石油がこれだけ逼迫した理由はどこに原因があるかということをお聞かせ願います。
  4. 古池信三

    古池政府委員 ただいまお尋ねのございましたように、最近わが国石油需給状態が著しくきゆうくつになつてつておることはお話通りであります。これは一面におきましては、最近石炭から油に転換するような問題が相当進みましたようなこと、その他一般家庭にまで石油利用が盛んになつて参りましたような関係から、非常に需要の方がふえて参つた。これに対応してわが国の現在の国際収支の面から非常に外貨が不足しておりますので、輸入による供給がマッチしないというような点に根本の原因があろうかと思うのであります。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 次官お答えとして非常に満足できません。要するに外油をこれだけ入れて、日本国内消費バランスがとれていないということ、これは製油会社一つ思惑をやつて逼迫感を与えて、価格高騰をみずから彼らは望んでおります。これを政府が自由の経済だからといつて見のがすということになるならば、国民経済をどういうふうに見るかということでございます。ただ外泊の輸入バランスがとれないから、かくのごとく国民全般逼迫感を与えているんだ。そうだとすると、また観点は違います。しかし私の調査したところでは、そうではありません。製油会社そのもの価格高騰を望んでやつているんだといつても過言でないと思う。これに対してどういうような考え方をお持ちでございますか、それを承りましよう。
  6. 川上為治

    川上説明員 精製業者思惑で現在市中になかなか製品がなくて、それが値段が高くなつておる大きな原因であるとおつしやいましたが、この点につきましては、私どもの方としましてもいろいろ調査いたしておりますし、中にはそういうものもあるかと思うのでありますけれども、全部が全部必ずしもそうじやないと思うのでありまして、現に精製業者及び輸入業者の手持ちを見ますと、大体十月末で、二十日分くらいというような状態になつております。十一月末におきましても、それよりも若干ふえてはおると思いますが、大体おつつかつつだというような状況になつております。正常時で申しますと、大体一月以上ということになつておりまして、二十日というのはこれは相当余裕がないというような状態でありますので、そういう状態を見込んで、あるいは市中の問屋あるいは一般消費者、そういう方面から将来の品がすれというものを見込んでの現在の価格高騰というようなことが問題になつておるのではないか、私どもの方ではそういうように考えております。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 見解の相違がありまして、その問題は一応お預けをいたします。そこで年間千二百万ドルという外油輸入をしなければならない日本であるが、昭和二十七年に幾ら輸入をしたでしようか。昭和二十七年の輸入が四千万円、二十八年度になつて幾らしているか。年々輸入が多くなつて行つている。それはひとり日本のみではなくて、世界の人類をあげて、石油使用というものは拡大されて行つておるのであります。それに伴つて各国がどのような方策をとつているかということであります。かつてわが国におきましても、四十数万トンという数字が現われたときがあります。現在わが国生産は三十四万トン強といつております。振り返つて目を国外へ向けてドイツイタリア、これらの国を一応見る必要もあると思うのであります。これらの国々の貿易は、先般来よくお話を申し上げた通り、一六〇、一四〇を突破をしている。戦前に比較してそのような成績を上げておる。ところが逆に日本の輸出はわずか三〇何ぼというようなところでございます。逆に輸入かくのごとくなつて来ております。ドイツのヒトラーが直属の科学の粋を集めた当時には幾ら石油が出ていたか、現在はそのときの十倍と予想をされている。またイタリアもしかりである。各国がみなそのような状態にあるのでございまして、こういうときにわが日本だけが最高よりドロップをしたということには、いかなる原因があるか。国民消費が今申し上げたように緊迫をして、それが全部輸入にまたなければならない。それでは日本国内には石油資源というものがないのかあるのかということを承らなければなりません。そこで本日は地下資源所長さんが来ておりますので承るのでありますが、日本の国には、あなたが調査した結果、石油資源はございませんか、承りたい。
  8. 兼子勝

    兼子説明員 わが国には石油はたくさんあると信じております。これにつきましては、しからばどの程度にあるかということでありますが、私ども最近の新しい科学によりまして、どんどんいい油田を見つけようとしております。ごく最近の例を申しますと、直江津の在に四十万立方メートルのガスが見つかつております。四十万立方メートルのガスを一本の井戸で出すと申しますと、これはたいへんなものであります。この御説明をちよつとさせていただきます。今一立方メートルのガスは五円であります。これは一日にいたしますと二百万円であります。一日二百万円の生産のあるものをどうして見つけたか、どれくらいのお金をかけて見つけたかと申しますと、この地の調査だけで大体八百万円を使つております。そして井戸を掘るのに一千万円使つております。一千八百万円を使いまして、一日二百万円のものを私どもは掘り出しております。九日分でその費用だけはとり上げることになります。ところがこれは一つの結果でありまして、これまでには実はおおむねこれの五倍以上のお金がかかつておるのであります。今までは大体十箇所の区域で一つ油田が見つかつております。私どもは内地にはまだ百五十六箇所の試掘すべきところがあると存じております。そしてこの百五十六箇所からおおむね九百万キロリットルの油を得る見込みを立てております。なぜこういつたところが開発されないのか、私どもは非常に残念に思つております。言いかえれはお金が足りないのであります。私ども地下資源を探究して、国民生活に寄与せしめたいという欲望には非常に燃えておるのでありますが、悲しいかな私ども技術を振うすべがないのであります。科学技術の発達は無限であります。私どもはこの科学技術を駆使し、そして日本産業の復興に努力したいと思うのであります。この点よろしく御了察を願いたいと思うのであります。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 地球上の人類ひとしく秒分争つて生成発展をしておる。すなわち要は人類の幸福のためでございます。フランスは戦争前には、自分の国には石油は全然ないのだという仮定に立つておつた。しかしフランスは、現在では石油が四十万トン強出ておる、天然ガスが二億立方メートル出ておるという話でございます。ドイツ戦前三十万トンが今では百六十万トン強で、来年度はこれを二百万トンにいたすと言つております。日本生産は、先ほど申し上げた通り逆に下つておる。国民消費はますます拡大をされているというのが現況でありまして、こういうような観点に立つて、先般来石油資源総合開発に関する答申というものが提出されております。こういう面から見ましても、日本には石油があるのだということを結論づけてあります。早急にこれをなさなければならない、なぜならば、国内資源を生かさなければ自立経済はとうてい望まれるものではないという観点で、同感でございます。従つてこういうような点とあわせて、石油開発をしなければならないという一つ計画がもたらされて法文化されておるのでございます。今所長さんがおつしやる通り、しろうとが考えてさえも日本国内で一千万トン年間に出るのではないかと私は考えます。こういうときにあたつて日本国内消費はますますふえて行つている。このふえて行くべきものをどういうふうに押えて行くか。半面日本政府政策として、外貨をいかに節約しなければならないかという点綿花、羊毛に次いで石油が多く輸入をされております。こういうことに対して、次官はあなたの現在の政策としてどういうふうにお考えになつておられるか、次官の行う政治をひとつ聞かせていただきたい。
  10. 古池信三

    古池政府委員 ただいまお話のございましたように、どうしてもわが国自立経済をすみやかに確立して行かなければならぬ、そのためには国際収支の面においてできる限り輸入を抑制して行く、まつたく御同感に存じます。特に油につきましては、できる限り輸入を抑制し、ただいま地質調査所長からも説明がありましたように、開発あやり方によつて相当に将来期待のできる資源国内にあるのでありまするから、これにわれわれとしては十分に努力を傾けて、できるだけ早く開発いたして、輸入に依存する程度を年々低めて行かなければならぬ、かように考えまして、現在国内石油資源開発五箇年計画を樹立いたしておる次第でございます。これはそのために相当資金もいることでございまするので、大蔵省とも交渉を進め、おそくとも明年度からは予算化してどんどん実行に移して参りたい、かように考えておる次第であります。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 次官が今お話通り熱意を持つてこの政策に当るということでございますので、鉱山局長に伺います。あなたの書かれている本を見ますると、私はまつたく同感であります。こういうときにあたつて、あなたから大臣または次官に、早急にこれをやらなければならぬ、こういうふうにせよという何かの御計画を話し、また資金面等についてはつきりした御答弁を得ているかいなかをお伺いいたします。
  12. 川上為治

    川上説明員 この五箇年計画の案につきましては、通産大臣諮問機関として石油及び可燃性ガス審議会がありまして、その審議会におきましてこの道の専門家ばかりで検討をいたしました結果、こういう計画ができまして、それが通産大臣に九月の初めに答申になつております。私どもの方としましては、そういう専門家方々相当長期にわたりまして綿密に調べました結果でありますので、この計画は必ず技術的にも完全なものだと私ども考えまして、この点について大臣にも十分お話申し上げ、またこの開発審議会会長その他の方々大臣にこの問題をよくお話をされました結果、通産省の省議におきましても、通産省一つの大きな問題としてぜひとも来年度からこれを案現することに努力しようではないかということになりまして、現在大蔵省と予算の折衝をいろいろやつているわけでありまして、大臣次官もこの問題につきましては先ほど次官からお話がありましたように、何とかしてこれをひとつやろうじやないかというようなお気持であることは間違いないと思うのであります。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 過日来私がたびたび地下資源の問題に関連して質問をいたしておるのでありますが、政府お答えは口を開けばインフレ云々ということを申しております。しからばインフレ云々ということになりますと、政府一つ計画を持つて行わんとすることに対して、これらの財政投資といい、また補助といい、どのように考えるかという質問をしますと、そういう面に対しても幾分これらをカットして行かなければならないというお答えでございますが、次官はこういうような国民に重要な関連を持つことについてどういう考え方を持つておられるか伺いたい。たとえば石油五箇年計画で行きまして、六十億ありさえすれば五箇年間に百万トン日本も出るという確信を持つて答申しておる。こういう面からいつてわずか一箇年十億ぐらいのものが次官は出せないなどといつて心配しているのではないだろうか。これに対して私は大いに疑問を持つております。よその国々の話を聞いてみてもわかるように、よその国々ではすべて国費をもつてこれに当つている。すでにアメリカでさえも外油に対しては消費税は高まつている。こういうような点から考えて、すなわち日本のガソリン税なるものが百八十億見積られております。こういうものは大蔵省で一応は取上げても、これは道路の方の修理にまわることになつておるけれども、いずれにしても百八十億というものが上つて来ている。それから原油の輸入課税というものを年間一割認めている。この認めた額が七十億でございます。ところが七十億は認めたけれども、今はとつておりません。それほど国内では税金の必要性は認めていないわけであります。であるから、年間十億、五年間六十億くらいのものは出せるとか、出せないという問題ではない。政府に現在の日本資源をいかに活用するかという熱意さえあれば、こんなことは朝飯前の問題です。こんなことは何も大臣各位が集まつて会議するとか、次官会議をするとか、そんな問題は抜きでよい。一人の大臣のその独創性だけによつてこれらはでき得る問題でございます。こういう点から考えてみて、どういうふうに次官はこれを出して行く、そうして与える考えでございますか、承りたいのでございます。
  14. 古池信三

    古池政府委員 最初にお話になりましたように、わが国民経済インフレ化というようなことは十分に留意をして、あくまでも防いで参らねばならぬと考えます。従つてその見地から申せば、今後の財政計画はいわゆる健全財政の線を堅持しなければならぬということは申し上げるまでもないと存ずるのでありますが、しからばその場合には、かような国費の支出について相当選別をせねばならぬ、総花式ということはいけないのであつて、むしろかような場合にこそ重点主義国費を使つて行かなければならぬ、まつたく私も御同感に存じます。しからばその場合に、この石油資源開発に要する経費はどうかといえば、私どもといたしましては、最も重点的な範疇に入るべきもの、かように固く信じておりまするので、その線に沿つて、今後政府部内におきましても、十分折衝を続けて参りたいと考えております。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大蔵大臣も呼びに行つておりますから、大蔵大臣の御意見も伺わなければなりませんが、冒頭に申し上げたごとく、当時私が申し上げたときには、大蔵大臣は、まことにごもつともだからぜひ推進したいと言つている。次官が今おつしやる通り、この基幹産業、すべての産業のエネルギー、これを安らかに与えて、そうしてインフレ防止をして行かなければならぬ、あのインフレ防止をして行かなければならぬというのは、ただ一律一体に、今大蔵省考えているように、何でも金さえ出さなければインフレ防止ができるのだという考え方は、まつたく私は大きなあやまちがあるのじやないかと思う。昨日も日本銀行あたりからも来て言うには、基地経済だとか消費経済だとか――基本的なものを何も与えないでおいて、そしてただ民間産業を圧迫したらそれでインフレ防止になるなどということは笑止のさたであります。今次宮のおつしやる通り、重点的にものをなし、これを行つて、そしてすべての面の解決に当らなければならないと信じてやみません。  そこで伺いたいのでございますが、所長さんに伺いますが、今ほど申し上げたのは石油の問題でございます。これに関連をいたしまして、地下資源という点でございます。たとえば日本合成繊維の件でありますが、すべて今の日本合成繊維などというものは無限に資源がある、決してよその国から一つ資源を持つて来なくても、どんな厖大合成繊維をつくることもでき得ると思います。従つてこれに関連して鉄鉱の件であります。たとえば磁硫鉄鉱件等に関しまして、磁硫鉄鉱は、たとえば不二越ともう一つ、二箇所でやつている成績はどの程度までになつているか、これを局長所長さんに伺います。
  16. 川上為治

    川上説明員 磁硫鉄鉱鉄源として活用できますと、これは非常に大きな問題になると私どもの方としましては考えまして、不二越鉱業株式会社の敦賀の工場におきまして、現在この磁硫鉄鉱完全利用ということを試験的にやつております。それからもう一つは、同和鉱業の岡山の工場におきまして、同じく同様の試験をやつております。これは両方とも方法は違うのでありまして、不二越の方におきましては、ドイツ技術をもつてつております。それから同和鉱業の方におきましては、アメリカフリユオ・ソリツド法という方法によつてつております。いずれがいいか悪いかということは、今後の成績で見なければいけませんけれども、現在におきましては、磁硫鉄鉱を焙焼して硫酸をとるところまでは成功いたしております。それから先の残滓についての脱銅というところが問題になつておりまして、現在まだ大丈夫だというところまで実は行つておりません。しかしながらこの問題につきましては、アメリカにおきましても、ドイツにおきましても、成功して、現に企業化され、ドイツにおいては相当生産されておる問題でありますので、日本におきましても、不日必ず技術的には成功すると考えております。脱銅しまして、そうしてその鉄は相当多量に有効に使えるということになりますので、これは国内鉄源をこちらの方に相当期待できるんじやないかというようなふうに考えております。なおそれから先の、たとえばニツケルでありますとか、コバルトでありますとか、そういうものをさらに相当含んでおるのですが、こういうものも、ドイツにおきましては完全にとれておりますので、日本におきましても、不日これも完全にとれるような状況になると思うのです。ただこの問題につきましては、まだ試験最中でありまして、この試験に対しましては、通産省から工業化助成金をいずれも一千万円以上出しておりますが、まだ試験最中でありますので、今ただちに企業化というところまでに行つていない状況であります。
  17. 兼子勝

    兼子説明員 ただいまお尋ね試験のことにつきましてお答え申し上げたいと思います。私ども地質調査所あり方、あるいは私ども技術屋あり方というものを簡単に申し上げますと、わが国地下資源地質というものを明らかにして、特に地下資源というものを明らかにする、そうして地下に埋もれているものをできるだけとり出して、私ともの生活の安定に資したいという念願に燃えておるのであります。 磁硫鉄鉱のことについて申し上げます。磁硫鉄鉱資源につきましては、実ははなはだ残念ながら、私どもとしてはまだ十分な調査がついておらないのであります。一応の目算は立つておりますが、私どもまじめに純科学的に考えますと、まだ不十分なのであります。なぜこうであるかと申しますと、ああいつた金属調査のことでありまするが、私どもわずか十数名の技術宮でやつております。しかもその十数名の技術官で、鉄鉱、マンガンあるいはその他の非鉄金属鉱物硫化物、硫黄、こういつた相当多い鉱石について手を広げなければならないのであります。各民間会社におきましては、そういつた技術屋を持つてはおりますが、私ども政府の立場としましては、まだ隠れているものをたくさん探し出すことこそ、私ども政府技術屋あり方考えておりますので、どんどん手を伸ばして、そして一歩世の中に先んじて、その開発にまで持つて行く資料を与えたいという念願なのでありますが、はなはだ申し上げにくいことでありますが、それまでお金がなくて手が出ないのであります。磁硫鉄鉱につきましては、大体そんなような状況であります。  それから合成繊維の最も新しい材料であるところの天然ガスについて申し上げます。先ほどもちよつと、ごく最近発見されました天然ガスのことにつきましては申し上げましたが、天然ガスというものはまだ幾らでも日本にあるのであります。しかもその調査が行き届かないというのであります。天然ガス調査するには、まず大きな井戸を掘らなければなりません。この井戸が非常にお金がかかります。一本の井戸について一千万円以上かかりますが、こういつたお金がないのであります。しかもその天然ガスたるや、きわめて有効でありまして、これを一立方メーター出せば、ガスタービンで大いにからくりまして、大体一キロワツト発電になります。先ほど申し上げました新潟縣直江津のものでも、四十万立方メーターでありますから、ガスタービンによると四十万キロワツト発電ができるのであります。昨日の朝日新聞に大きくこのガスタービンのことが出ておりますが、今後はああいつたものにどんどん天然ガスは使えるのであります。新潟に参りますと、天然ガスがただちにメタノール、すなわちアルコールになつて、六インチ管の中をどんどん流れております。石油と同じように、この天然ガス調査と探鉱がまだまだ不十分でありまして、私ども石油と同じように天然ガス幾らでもあると思つているのでありますが、悲しいかな実際にそれをプルーヴすることはできないのであります。
  18. 山手滿男

    山手委員 磁硫鉄鋼なんかに話が飛びましたが、私はその前に関連質問をしようと思うのです。それは石油の問題ですが、さつき次官鉱山局長から御説明がありましたが、ちよつと私了解の行かない点があるのです。というのは、できるだけ外貨を節約しなければならぬということは今日の至上命令なんですが、石油については、つい先般重油転換を積極的に政府は推進をして参つておりまして、これがある程度需要があるということは当然の前提に立つております。石油資源開発をしなくちやいかぬということはもちろんで、大いにやつてもらわなければなりませんが、これには相当の日数がかかる。今日片一方では石油が非常に高騰いたしておる、ところが国内地下資源である石油開発するためには相当の日数がいる。そこで外貨を節約するために、この石油外貨をつけることを削つたりいたしますと、これはまたいろいろ問題が起きて参るのでありますが、さつきの次官の御説明では、ちよつとふに落ちぬ点もあつたと思つております。その点、次官及び局長からもう少し政府の所信をお聞きしておきたい。そうしませんと、これはきようも長谷川君から問題になりましたが、先般の委員会でもバター、砂糖と並んで石油の問題が論議をされておりまして、今日冬季を迎えて燃料の問題は非常に重要でありますから、特に御答弁を願いたいと思います。
  19. 古池信三

    古池政府委員 先ほど私が申し上げましたことは、わが国としまして、将来相当長期にわたつて考えた場合に、漸次そういう方向に持つて行かなければならぬということであります。ただいま御指摘のように、石油開発と申しましても、半年や一年ですぐに莫大な量が出るものではございませんから、その間の内地の需給の調節ということにつきましは、ある程度輸入は当然やらなければならぬということは申すまでもないのであります。そこで、しからば将来外貨の節約をしながらどの程度石油輸入を認めて行くかということが問題になつて参りますが、その数字的な計画については鉱山局長からお答え申し上げます。
  20. 川上為治

    川上説明員 現在石油の手持ちがどれくらいあるかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、十月末で、石油会社及び大口供給者を合せまして、ガソリン、重油というようなものが大体二十日分程度、ところが燈油、軽油につきましては、その点は非常に少いのでありまして、十一月におきましても大体そういう在庫の状態だと考えております。特に軽油、燈油が非常に不足している、これが現在市場におきましていろいろ問題を起していると思うのですが、これは十月以降の外貨の決定が少し遅れましたので、そのために輸入が遅れたということが、この不足の大きな原因ではないかというふうに考えておりまして、現在繰上げ輸入を盛んにやつております。そして、精製会社におきましても、日産九万二千バーレルという最初の計画を、十万くらいの計画でフルにまわしておりますので、現在の危機につきましては、これは緩和されて行くじやないかというふうに考えております。ただ問題になりますのは、二月、三月ごろの外貨の問題が十分組まれておりませんので、二月、三月になりますと問題が非常に起きるおそれがありますので、やはりこの際ある程度外貨をふやしまして輸入をしなければいけないじやないかというようなことで、通商局ともいろいろ相談をしまして、数字の点について打合せをしております。この問題については何とかして調整をして行きたいというふうに考えております。
  21. 山手滿男

    山手委員 今の局長お話は実際と違うように私は思います。十月以降の外貨の決定が遅れたというお話でありますが、これは精製会社として相当山をかけて七、八、九月ごろまで入れておつたのを、あなたの方か、どこからか知りませんけれども相当きつく言われて、厳重に繰上げ輸入をさせないように――今まで繰上げ輸入をやり過ぎておつた、それをその都度その都度きちつとそれ以上のものを絶対に輸入してはならぬということを厳重に申し渡されて、その結果が現在の品不足になつたというふうに、精製会社は弁解をしているようであります。それがまた聞いてみるとどうも事実のようであります。精製会社も手持ちがそうあるわけでもないようでありますが、今の局長お話は、どんどん繰上げ輸入をやらしているという話でございますが、繰上げ輸入をさせないということが原則であり、それを十月ごろからあなたは励行さしておられるという話を私は聞いております。今の話とは逆のようでございます。そのために原油の輸入量が、実際の外貨の割当は同じであるかもしれませんが、もう先に石油会社が食つているから、最近減つたというのが、今日冬季を迎えてこの石油源の涸渇の大きな原因である、私どもはこういうふうに聞いているのでありまして、鉱山局長はちよつと逆を御説明になつているようであります。
  22. 川上為治

    川上説明員 実は今おつしやいましたように、八月ころ盛んに販売の分野を拡げるために精製業者がいろいろやりまして、そしてじやんじやん繰上げ輸入を、私の方から見ますと、より以上にやつているじやないかというふうに考えましたので、あまり繰上げ輸入をやると、外貨の問題もあるので、もう少し緩和してやるべきじやないかというようなことを言つたことはございます。それに基いて、精製業者の方におきましてもある程度繰上げ輸入については緩和してやつたと思うのでありますが、その後需要の方が非常に伸びて参りましたので、どうしてもこれでは繰上げ輸入をやることを認めないわけには行かないというようなことで、私どもの方としましては、その問題については黙認をして、むしろ急場に間に合うようにしなければならぬというふうに、最近におきましてはかわつて来ております。
  23. 山手滿男

    山手委員 それは私はここで聞きますのが初めてであります。一、二陳情も受けましたけれども、事実と相違いたしております。最近は政府外貨割当に対して、繰上げ輸入は絶対にしちやいかぬ、そういうふうな態度で臨んだために、十二月、一月やはり原油が相当苦しくなるだろう、そういうことのために、各製油会社相当自重をして来ておる。私はこういうふうなことを聞いております。特に冬季を迎えて電力なんかも相当不足をするし、薪炭類も相当需要が旺盛になつて来ると思います。そういう需要供給関係が混乱をするということは、国民生活にとつてきわめて私は重大事であろうと思うのでありまして、現在燈油あたりが非常に高騰をしておる。政府はこの間まで積極的に重油転換を推進し、奨励をしておられたのですから、需要がふえるということは当然のことです。当然のことであるにもかかわらず、需要がふえたからというので、びつくりおつかながつて、これをまた引締めるようなかつこうをするということは、政策の矛盾であろうと思う。これは通産省において需要の測定を誤つておられたことにも理由があるかもしらぬ。私ども石油の統制については最後まで残すべしという議論をしておつたのを、自由にされた。国内ではわずか一割か一割二、三分しか出ないのですから、こんなに価格高騰した以上は、当然もつともつと積極的に外貨をつけて、繰上げ輸入はもちろん、外貨をふやして、輸入を盛んにしなければいかぬ。それをやらなければ、政府の施策は前後撞着、矛盾もはなはだしいと私は思うのであります。これは政府の責任です。重油転換をやれ、自由にしてやる、それで需要が旺盛になつたら、今度は繰上げ輸入がどうだとかこうだとか、今鉱山局長はそういう説明をされますが、長いことそれと逆の方向をとつております。これははつきり今の答弁と矛盾をしたことであります。そうしてこういうところで政府がそういう答弁をすると、すぐ新聞に出る。それがすぐあすの石油価格に影響して来る。思惑の対象になるのでありまして、やるならやる、重油をもつと積極的に入れるなら入れる、夏季は節約しても冬季だけでも入れるというのかどうか、その点をもう少しはつきりしておいていただきたい。
  24. 川上為治

    川上説明員 重油につきましては、先ほど申し上げましたように、二月、三月が非常に問題になるおそれがあると考えますので、従来の計画は、私どもの方としまして若干やはり足りなかつたんじやないかというふうに考えますので、ある程度この際輸入をしなければいけないということで、その数字あるいは輸入方法等について、今いろいろその相談をいたしております。従いまして輸入不足につきましては、ある程度緩和できると思うのですが、ただ問題になりますのは、あまりに重油をじやんじやん入れますと、石炭とのかみ合いがありますので、この石炭とのかみ合いをいかに調整するかということを、今さらにまた検討をしておる次第であります。
  25. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石油の問題は大蔵大臣が来てから申し上げます。続いて伺います。そこで敦賀の不二越のほか月産どのくらいのものが生産されているかということが一点。そこで次官に伺いますが、前国会におきまして地質調査所の前所長であつた三上さんにおいでを願つて、しからば日本国内はどの程度まで調査ができているかということを問いました。北海道を除いて、大体三分の一くらいだろうというお話でございます。それでは日本国内を全般にわたつて調査を進めるということになると、どのくらいの費用がかかるかということ、従つて最も世界の粋を集めてつくり上げたところの近代的な調査機械を一切買い入れて、どのくらいの金額かと問いましたところ、資料を出しまして、ヘリコプターから船一そうまで入つて調査する一切のものが五億円だと言うておりました。年間どのくらいかかるかというと、一億二千七百万円かければ、十年少したてば内地だけの調査は済むというお話でございました。当時大臣に、あなたはどういう考え方を持つているかと言いましたところが、大臣は、本国会では間に合わないから、来国会には――というのは通常国会でございますが、来国会には何とか方針を立てて、これが確立を望むという御答弁でございました。従つていよいよ次期国会は通常国会でございます。そこで予算の中にその点のものが織り込まれてあるかいなかという点、これをひとつ次官にお伺いをいたします。
  26. 古池信三

    古池政府委員 御説のように、年間一億内外の資金というものは、考えようによつては大きいようでありますけれども、しかしわが国の包蔵しております地下資源をすみやかに開発するために必要なる調査費として考える場合には、必ずしもそれほど大きい額とも言えないかと存じます。従いまして、明年度の予算の中にも、ただいま当省として要求をしておりますのは、約七千万円と記憶しております。
  27. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 これはたいへんな違いです。五億円と一億二千七百万円というものに対して、七千万円くらいの要求をしていたんじや約束が違いやしませんか。
  28. 川上為治

    川上説明員 磁硫鉄鉱につきましては、先ほどの御質問通り、いろいろ研究をやつたのですが、その鉄分の回収について、脱硫問題が研究課題でありまして、そのためにりつぱな鉄がまだ取れていない。しかも今試験的にやつているというわけで、数量につきましては微々たるものであります。ほとんど問題にする程度のものではありません。この二会社において取つております鉄分についても、大した量ではありません。それから今お話がありました磁硫鉄鉱調査について、どの程度の予算を考えておるかという問題でありますが、私の方としまして、鉄源調査といたしまして、これは磁硫鉄鉱だけじやないですが、磁硫鉄鉱と砂鉄、この二つを合せまして、大体調査費用として、三箇年計画で、その来年度の分が七千万円程度というふうに考えておりますが、これは一種の企業化調査でありまして、特別な調査、非常に精密にわたつて調査をやる予定でありまして、これ以外に実は地下資源調査会の方からいろいろ地下資源調査について相当の予算の要求があるものと考えております。
  29. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それは実にふしぎなことで、磁硫鉄鉱のみが日本地下資源ではございません。要は地質調査所として、日本国土全般にわたつて地質調査しなければならないということです。その上に立つたる日本産業構造でなければならないということです。日本という国は資源が何もないのだというこの観念を一掃すべきときが今ではないか。今こそそれに政治を傾けなければならない。そういう点からいつて、私は議論をしようとしているのではない、私はりくつを言うのではない。要は政府が、われわれの考えていること、日本国民考えている点に関心を持つて、それに熱意が示してもらえるかもらえないかということを問いただしているのであつて、決して議論を申し上げようとしているのではない。磁硫鉄鉱の問題は、ただその程度でやむを得ないじやないか。私は別にこれに対して不服でもなければ、不満でもありません。要は日本が一歩を踏み出さんとするときであるから、その点に対してのことは当然だと私は思います。そこで日本国土全般にわたつて地質調査を徹底的にやらなければならないのだ。日本地質調査所は明治十五年に誕生をしていて、明治十五年から今日に至るまで地質調査所はあるけれども、その使命を全からしめていないというのが現実の姿ではないか。どうしてこれを動かさないのだ。終戦後今日に至るまで、また今の自由党が政権をとつて今日に至るまでの輸出入のバランスを見ても、どうだ。どこに欠陥があるのだ。欠陥はすなわち国内資源を生かさないところにあるのではないか。しかも近代的な調査機械一切を買い入れるのに五億、年間一億二千七百万円、十箇年で幾らかかるか。一つの鉱脈、一つ地下資源に当つたとしたならば、そんなものは何の金だ。そういう点についてもう少し熱意を持とうではないか。これをやるのはわれわれ委員会の責任だから、そこに政治を結集して、日本国民の幸福を求めようではないかということをわれわれは唱えているのであつて、りくつを言おうと思つて来ているのではない。  そこで局長に伺いますが、たとえば日本の砂鉄にしても、百億万トンと言う人もある。チタンがそのうちの一〇%と言う人もある。従つて砂鉄からばかり出るのではない。さらに鉱脈にしてもある。そういう点について試掘権の問題がそこに展開されて来る。そういう場合に、チタンの試掘権をあなたのところへ提出すれば、そういうものはありませんといつて返してよこすんだ。そういう点はどうなつているか、その点を明らかにしなさい。
  30. 川上為治

    川上説明員 私はこれは実例はまだよく知つてないのでありますが、この前東北に行きまして、その話をちよつと聞いたのでありますが、現在の鉱業法におきましては、チタン鉱石というものを見ておりませんので、現在の法律によりましてはその鉱業権を設定することはむずかしいのだ、ただ日本におけるチタンというのはほとんど砂鉄の中に入つておりますので、そつちの方の鉱業権は従来ともずつと設定をされております。砂鉄の中に入っておるチタン分については、これは鉱業権の設定については問題はないと思います。ただチタン鉱石という特別の鉱石につきましては、現在のところ法律の不備と申しますか、そういう点から言いましてまだ鉱業権の設定というところまで行つておりませんが、これは十分研究しまして早急に法律を改正したいというふうに考えております。
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 局長にしても日本局長である。これだけの厖大地下資源を持つておるところのわが国局長が、三千年の歴史を持つ観念にとらわれておるから、そういうことになつておる。急速にこれらの法律を、改正すべきものは改正しなければならない。従つてゲルマニウムにおいてもその通りであろうと思います。あなたのところでどうか譲つて行つて――あなたのところから返さないで、同時にはたしてあるかないかということを早急に検討すべきがあなたの責任でなければなりません。私たちが再三申し上げる通り、決して日本という国は貧乏な国ではない、地下資源はあるのだという観点に立つてあなた方にぜひともやつてもらいたいと申し上げておるのであります。こういうような点をよく了解してもらわなければなりません。――大蔵大臣は来ておりますか。
  32. 大西禎夫

    大西委員長 大月説明員が来ておりますから、がまんしてやつてください。
  33. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それでは私が呼んで来る……。
  34. 大西禎夫

  35. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 一つ関連してお尋ねいたします。先ほど重油の問題が出ておりましたが、次官鉱山局長もおられますが、大体重油の輸入総数量とそのドルの金額をちよつとお知らせいただきたい。
  36. 川上為治

    川上説明員 重油につきましては、二十五年度の外貨資金といたしまして、FOB建で六百七十二万ドル、二十六年度が千二百九万ドル、二十七年度が千四十万ドル、それから二十八年度におきましては、上期において千五百九十七万ドル、それから下期におきましては千八百八十四万トル、これは計画であります。二十五年、二十六年、二十七年は一月から十二月までの実績でありまして、二十八年度の計画は実はまことに申訳ないのでありますが、四月から来年の三月までの間の半期分の割当の計画ということになつております。
  37. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そのリツトルの数は幾らですか。
  38. 川上為治

    川上説明員 数量につきましては、実は二十五年度は五十三万八千キロリツトル、二十六年度は九十六万七千キロリットル、二十七年度は八十三万二千キロリットル、それから二十八年度は二百二万四千キロリツトルということになつておりますが、これは製品の重油の輸入でありますので、輸入原油から精製しましてつくる重油と輸入重油とは大体数最が同じくらいでありますから、この倍とお考えになつてさしつかえないというふうに考えます。
  39. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大体リツトルにして四百六十万キロリツトル入つておる、こう思うのですが、それで今度さらにまた四十万キロリツトル業界からの要請で入れようとしておるようでありますが、そうですか。
  40. 川上為治

    川上説明員 四十万という数字は別にきまつておりませんが、二月、三月ごろの状況を今から判断しまして、ある程度やはり輸入しなければ非常に問題が起るかもしれないというふうに考えておりますので、ある程度余裕を持ちまして若干入れたいというふうに考えております。その数字については現在いろいろ検討いたしております。
  41. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 入れなければ問題が起りそうだと言われておるが、入れた方が問題が起るということをお考えになりませんか。それはきよう私はそのことを議論になるから言いませんけれども、入れた方が必ず大きな問題が起つて来ることをあなたは曲解しておられる。  それからさらに聞きたいのは、なぜこれを無税で入れなければならぬのか。昨年以来日本は独立国家になつてつて日本からアメリカや、イギリスに入れるのはみなだんだん非常に高い関税障壁を設けられて、日本商品は市場競争ができないというところに追い詰められておる。しかるに日本産業、特に石炭などの日本産業を圧迫する油をなぜ無税で入れなければならぬか。日本が財政難で困つておることは御承知でありましよう。なぜこの油を無税で入れなければならぬか、その理由をひとつ説明していただきたい。
  42. 川上為治

    川上説明員 重油を無税で入れなければならぬ。一割の関税をかけることになつていながら、今日まで実はいろいろな事情がありまして延期になつておるのですが、これはやはり高い油を使いますよりも、安い油を使つて産業の合理化をこの際早急に進める必要から、本年度におきましても一割の関税をかけることを延期していると考えられます。ただ、来年度におきまして一割の関税をかけるかかけぬかという問題については、最近におけるいろいろな情勢、財政の問題等も考えてきめなければならぬと考えております。
  43. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 非常に矛盾することがありますね。安く入れなければならぬから輸入関税をとらないのだ、財政難で苦しいけれども無税で行くのだと言われるが、それなら今度一キロリツトル五百円値上げをしたのを黙つて見ておられるのはどういうのですか。
  44. 川上為治

    川上説明員 値段の問題につきましては、これは需給の関係できまることもありましようし、そういう関係から、若干上ることについては、現在何ら統制もありませんので、私どもの方でこれを押えて下げろということはできないと思うのであります。  なお五百円程度上つたという問題につきましては、最近外国におきまして原油が若干上つたというような関係もあるんじやないかというふうに考えておりますが、あるいは需給の関係から業者の方が若干上げたのが最大の理由かもしれません。私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたように、現在抑制する方法はございませんが、これが不当に高くなるというような場合におきましては、いろいろな方法を講じて下げるように持つて行かなければならぬというふうに考えます。
  45. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 従来の値段でも、調べてみると、御承知のように、大体アメリカの油資本とイギリスのシエール油資本とによつておるのですが、従来の単価でも大体三割くらいを利益金として本国に持つて行きつつあるということがいわれておる。日本輸入関税をとらなくて安いからというので、さらにその上五百円今度値上げをしております。この事案が現われておるのに、何で一体輸入関税をとらないのであるか。安くしなければならぬから輸入関税をとらないというのなら、何で値上げを抑制しないのですか。そういうやり方で、一体独立国家の政府の権威というものがあるかどうか、この点をどのようにお考えになつておるか、政務次官とつ御答弁を願いたい。
  46. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお話でございますが、確かにそういうふうな感じがいたすのでございます。しかし実際の経済としては、かつてのような物価統制は行つておらぬわけでありますから、どうしても需給のバランスによつて価格がおのずから決定されて行く、これはやむを得ないだろうと思います。なお関税問題につきましては、十分検討してみたいと思います。
  47. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは長谷川君が質問を続行中でありますから、私の石油問題に対する質問は、長谷川君が一応終られてから関連して申し上げますが、今政務次官が答弁されたことでは了解できません。私が聞いておるのは国策の問題になり、あるいは大蔵大臣から通産大臣に聞かなければ、政務次官だけでもちよつと御答弁に困られるだろうと思うから、私もひとつ御同情申し上げてあまりつつ込みません。これは大臣がお見えになつてから論議をいたしますが、お考えつておきたいと思います。今私がお話をしたように、自由経済であるから抑制ができないというなら、なせ関税をとらないのか。これは関税をとつていい。なるほどガツトに加入しておらぬから云々といろいろなりくつを言われるかもれないけれども、向うは日本の商品に御承知のようにどんどん関税をかけておる。さつき申し上げたように、従来の単価でさえもべらぼうな利益金を本国に持て行きつつある。これらを抑制するために、独立国家として輸入関税をとるという自由がある。これをとつて、財政の潤いと日本国内産業の保護をはかるということが重大な国策でなければなりません。さらにあとで質問しますが、国内石油資源開発をほとんど等閑視しておる。結局国内産業国内資源というものを等閑視して、外国から入つて来る油を無税で入れる。それで一体日本の独立国家の権威がありますか。吉田内閣の権威が一体ありますか。自由党の皆さんもおられるけれども、私はこれにはきつと賛成されるだろうと思う。これはあとに質問することを留保して一応終ります。
  48. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大蔵政務次官が参議院の予算委員会の最終に臨んでいるところをわざわざ迎えに行つて、おいでになつたのでごく簡単に御質問を申し上げます。簡単に申し上げるからといつて、あなたも簡単はけつこうだけれども政府の方針だけは明らかにしてもらわなければなりません。  ただいまお話をちよつと聞いただけでも、石油インフレで、日本国内石油需要は急速に高まつて来ていることがわかります。日本の国に石油がないかというと、あることが明らかになつているのに、外国の石油を入れて、昭和二十七年度の消費量が五百七十万トン、二十八年度は八百万トン、こういうふうに毎年高まつて、一、二年のうちに一千万トン以上の国内消費ということになる。そうすると、今申し上げたように、必然的に、いやがおうでも統制をやらなければならないことになる。あなたの政府において石油開発の五箇年計画を立てており、五箇年間に六十億の金が必要で、本年度は十億いるということでございます。そうして五箇年間に百万トンを突破できる確信をもつて、しかも答申まで出ております。でありますから、これに対して国の考え方、しかも政務次官考え方として、この六十億を認めて、本年十億出すか出さないか。そうして出して国民生活を安定させ、幸福に導くというような考えがあるかないか、こういう点を伺います。  さらに日本地下資源をどうしても開発しなければならない。その上に立つて日本の国土を全部調査しなければならない。北海道を除いてまだ三分の一しか調査ができていないということであります。それを調査するための近代的な器具一切を買い入れるのに五億かかる。年間一億二千七百万円あればその全部の調査ができ上るということであります。従つて私は閉会中も、ぜひこれだけはやらなければならないということを再三申し上げております。でありますから、おそらくその案ができておると思うのでございますが、この二つの点をあなたはどのように考え、どのような政策を行う考えであるか。財源は幾らでもある。たとえば今伊藤さんが御質問したように、油の輸入関税を一割とると年間七十億になる。これをとらずにいるのです。こういう面からも捻出面というものは幾らでもあるのではないか、私は簡単にできるというふうに考えますが、あなたのお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  49. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいま御指摘の点は私も一々ごもつともと存じます。実は率直に申しますが、昭和二十八年度の予算編成の際に、ちようど昨年の今ごろでございますが、この石油の問題に対しまして、財政計画をどうするかということは、私どもといたしましても非常に大きな問題の一つであつたのでありますが、その当時におきましても、まことに遺憾でございますが、通産省当局のお考えになつておりまするような線を十分に盛り込むことができなかつたのであります。爾来引続きただいま御指摘の通り五箇年計画も存じておりますし、また先ほど関税の問題その他の御意見も承りましたが、これらの面を総合いたしまして、私は一つはやはり国内資源開発ということが最大の問題であると存じます。ただこれから二十九年度の予算の編成をいよいよ本格的にやる時期でございますが、昨年の経験にもかんがみまして、今側はその後の政府部内の調査をも十分取入れまして、でき得る限り財政計画の上にも織り込みたいと存じております。ただこの五箇五計画の問題でございますが、何分六十億円で、初年度十億円内外のものがいるということになつておりますが、はたしてこの金額が総体の予算の計画から申しまして、これをお約束でき得るかどうかということは、ただいま簡単に申し上げられませんが、お話の御趣旨は十分に取入れて参りたいと存じます。  また第二の調査費の問題についても同様でございまして、これがむしろ前提となるものであると考えられますので、この点につきまして、も十分御意見を尊重して参りたいと考えます。
  50. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこでインフレ防止のために一律一体の引締めはいい、また政府財政投資という点についても考え得られるわけでございますが、しかし申し上げたようなこういう面だけは国策として最も重要性を保つておるのでございまして、その点を十分御理解していただきたい。従つて申し上げたような点につきましては、ぜひとも今年度から実施でき得るように御努力をお願い申し上げて、私の質問を打切ります。
  51. 大西禎夫

    大西委員長 加藤清二君。
  52. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はすべての物価の中心をなすところの日本の産金の状況それからこれを材料として輸出しようとしておる水金の問題について、二、三御質問いたしますから、簡単にお答え願えればけつこうであります。  世界の金の値段がずつと下りつつある今日、ひとり日本の金だけが高値を続けており、一層高くなろうとしておりまするが、これについて一体どうお考えでございまするか、またこれに対する対処がすでに行われておるものかおらないものか、まず次官さんにお尋ねいたします。
  53. 古池信三

    古池政府委員 御承知のように、わが国の金山は戦争中、特にその末期におきましてすつかり荒廃をいたしたのであります。従つて終戦後にこれを復興いたそうとしました場合には非常な金がかかり、またその後の作業につきましても、わが国の金山としては当時の政府買上げの金額以上に行つたのであります。従つてわが国の金産業を発展せしめようとする場合においては、金の買上げ価格をとうしても改訂せねばならぬというような立場になりまして、先般も御審議を願つておきめ願つたようなわけであります。今のところ大体そういうような状況になつておりまして、その詳しい数字につきましては、鉱山局長からお答えを申し上げます。
  54. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこで、それではこれに対して日本政府が与えている今年度の補助金と、それから政府が買い上げている量についてお伺いいたします。
  55. 川上為治

    川上説明員 本年度助成金としましては一億を出すことになつております。それから買い上げは産金量の三分の一ということになつておりますから、六トン出せば二トンということになります。
  56. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ところで、この金管理法が行われます折に、われわれもこれに賛成したのでございますが、附帯決議がついておつたはずです。と申しますのは、金を自由販売にしたら必ず内地の消費値段が上る、そのために輸出振興に阻害あつては相ならない。そこで輸出用に使う場合にはこれを上げないというかたい約束のもとにあの金管理法が行われ、この補助金にも賛成したはずです。その当時はそれが守られておりました。ところがきようこのごろになりますと、またぞろ水金の値上げということが業界の問題になつているようでございますが、これについては一体どうなさろうとしておられるのですか。
  57. 川上為治

    川上説明員 加藤さんが今おつしやいましたように、当時の事情としましては、輸出用のものについては、これは広いのでありまして、当時の了解としましては、輸出用陶磁器用の原材料の金としましては、ということになつておりまして、陶磁器だけに限定をしているわけなんですが、それにつきましては、当分の間そのときの価格を維持して、高く売らせないように行政指導するということになつておりました。その後最近におきまして若干上るというふうに聞いておりますが、これは最近のいろいろな事情をもつと調べた上で、私どもの方としましては、若干上げることについていいか悪いかということを判断したいと考えおります。
  58. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 この問題についてはさきの国会でも私再三論議したことでございますが、内地の金液の値段が高くなることについて私は云々するわけじやございません。高くしなければ、産金業者がやつて行けないとか、水金業者が仕事が成り立たないというなら、これはやむを得ない。ところがこの金液が高くなることによつて、せつかくの陶器の輸出が阻害されるということをおそれるものでございます。日本の内地の金液とアメリカの金液ないしはドイツの金液と比べてみますれば、すでにコストの上において二割違う、内地の方が二割高い、おまけに二割伸びが違う、これははつきりした事実なんです。その上またぞろ値上げをされたならば、これは日本の陶器はいかにコストを下げて行つても、アメリカ市場ではチエコあたりととうていけんかにならない、そこでかま元も、完成部も、輸出組合も、それから絵つけ組合までが一致結束してこれのために陳情に来たことを次官さんはよく御存じのはずであります。次官さんの部屋でこの会議が行われたはずでございますから、よく御存じと思う。そこで、今後この値段については上げてもろうては困る、どうしても上げなければならぬような事態が起きれば、わずか年間六百キロなんだから、そのくらいのものは、日米経済協力の立場から、アメリカの方は売りたい売りたいと言うておるのだから、買つたらどうだ、輸入させたらどうだ。これが内地で消化してしまうようなぜいたく品であるとか、あるいはぜいたく品でなくても、内地で使つてしまうようなものであれば別ですが、これが輸出の基であつて日本のはげ山の土がドルにかわるのであるから、その手助けとしてぜひこれを入れたらどうだ、こういうことに相なつているわけなんですが、この点について何か会議が行われたとかいうことでございますが、その間の模様、あるいは将来どうするかという点についてお答え願いたいと思う。
  59. 川上為治

    川上説明員 輸出用の陶磁器原材料の金の価格につきましては、金だけでこの問題は判定すべき問題ではないと考えるのでありまして、ただ金だけを押えろということは、これは現在の経済情勢から見まして非常に無理なことでないかというふうに考えるのであります。従いまして陶磁器の輸出ということはもちろん大事でありますが、これがコストの関係からなかなか輸出ができないということでありますれば、単に金の価格だけでなくて、全体の、たとえば燃料の問題とか、いろいろな問題からこの問題は総合的に考えて対策をとるべき問題でありまして、金だけを押えるというようなことはいかがかと私は思うのであります。ただ従来の経緯がありますので、現在までは従来の価格で販売することになつております。けれども、この際若干上げたいというような問題がありますことにつきましては、先ほど申し上げましたほかの原材料の問題ともにらみ合せて、総合的な立場からこの問題は決定すべきじやないかと私は考えます。
  60. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はきようは金液のことについて質問をしているから金液のことを言うのであつて、もちろん陶器の輸出ということから考えれば、コスト全体を考えなければならぬことは、そんなことは理の当然なんです。それは石炭が高い、電気が高い、火力の電力が高いから、深夜の電気でなければならぬ、そういうことを言いかけたら、きようだけでは済まされないのです。委員長が短い時間で金液のことだけやれということでありますから、金液のことを言つているのであつて、ほかに話をそうしてもらつては困ります。私は金液をどうするかということを言つているのである。
  61. 川上為治

    川上説明員 金液の輸入の問題につきましても、この前御答弁申し上げましたように、これはやはり国産の金液を使うべきであつて、金の価格をそれほど上げないのであるから、国産の金液をなるべく使うようにすべきであつて、特別の事情のある場合に限りまして私どもの方といたしましては金液の輸入は認めたい。その特別な場合というのは、技術的に見まして日本の金液が外国の金液よりも非常に劣つているというような問題がありまして、日本の金液業者に対しまして外国の技術そのものを相当研究し、指導して行かなければならぬというような特別な場合におきましては、若干の金液を輸入することはさしつかえないんじやないかというようなことで私どもの方は現在において考えておりますが、この点につきましては現在まつたく同じであります。
  62. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 アメリカのハンノーバーと、日本の浪速金液にしろ、あるいは日本金液にしろ、成績が同じだとおつしやるのですか。
  63. 川上為治

    川上説明員 実は加藤さんから先般要請がありまして、先ほどおつしやいました会議を開いたわけであります。その会議は、陶磁器業者の代表者も来ておりますし、金液業者の代表者も来ております。私の方といたしましては、その代表者はほんとうにその方の代表者と考えているわけです。加藤さんの方では、いや、それは代表者でないとおつしやるかもしれませんが、私の方は代表者と考えているのですが、実はそのときの話合いの記録を見ますと、日本の金は非常に色がいい。その点ではむしろ外国の金よりもよろしい。ただ伸びの点については若干悪い、こういう結論になつておりまして、どちらがよいか技術的には日本の金液もまんざら捨てたものではない、非常によろしい。外国の方も伸びがあるからよろしいというようなことで、そのときのお話合いでは、特別に金液を入れてくれというようなことは全然要求がありませんでした。
  64. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君に申し上げますが、なるべく簡潔にお願いいたします。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 集まつて来る人でございますが、集まつて来た顔ぶれを見ますと、これは金液業者なんです。もう一つはどうかと言うと、金液を使用する側ではあるけれども、それは自己につくつている会社なんです。ノリタケ・チャイナや鳴海陶器、これが金液を買つて加工する業者なんだと考えたら、とんでもない大間違いである。自分のところで地金を買つてつくつている。ところが問題が起きているのはそうではなくて、地金は買えない、自己では金液をつくることもできない、でき上つた金液を買うところの完成部の問題なんです。そこを誤解なさつてはいかぬ。何か私が間違つたことを言うようにお考えだつたら、私は輸出組合を連れて来ます。東京に本部がありますから、今電話をかけたらすぐ来ます。とかくそういう大企業の連中ばかりを集めて御相談なさるものだから、そんなことは好まぬけれども、とかく強いデモをかけなければならぬということになるのです。すでにこの間次官さんの部屋に大勢やつて来られたのです。瀬戸の人も、多治見の人も、完成部の主体である名古屋の陶器、この方方も皆来られて、ぜひこれは何とかしてもらいたいということを、そのときに名古屋の代議士も、二区の代議士も、岐阜の代議士も皆呼びつけられて、そこでいろいろ陳情があつたのです。このことは、かつて通産局長をやつていらした今の次官さんがよく御存じのはずなんです。私の言うことはうそじやない。それらの代表が言うて来ることなんです。それらの連中が実際に毎日自分のやつているところを見ますと、伸びが二割悪い。もう一つは焼き切れがするのです。そうするとこれがロスになつてしまう。そんな日本金液とか浪速金液とか、自分の会社のものを持つて来てここで審議するときに、悪いとだれが言いますか。じようだんじやありません。それでロスになつてしまうから損だ。そうするとこれを輸出するには、もう一度これを焼かなければならぬようになる。ところが二度焼いたものでは困るから、それが内地に向けて使われるようになる。結局せつかく輸出できるものが輸出できなくなる。つまり質が悪い、伸びが悪い、コストが高い、こういう点でどうしても日本の金液業者ないしは産金業者を救うということならば、安くしてもらいたい。それができなくて、たつた六百キロだけの問題だから、よそへ高く売れるというなら売つてもらつて、金液だけは日米経済協力の立場から、アメリカから買つてもらつたらどうだ、こういうことなんです。この点は誤解のないようもう一度慎重に御研究が願いたいものだ、こう思うわけです。おわかりになりましたか。
  66. 川上為治

    川上説明員 よくわかりました。実は先般もそういうことをおつしやいましたので、私どもの方としては、一ぺん会合を開いて十分検討するということで検討したのですが、私の方といたしましては、特に加藤さんから話がありましたので、中小業者の代表者といつて、非常にやかましく言つて来てもらつたのですが、出て来た人が中小業者の代表者でなかつたということでありますれば、あるいは何べんでもこの会合は開いて検討してもさしつかえないと思つております。
  67. 大西禎夫

  68. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 委員長の再三の御注意もあり、それから鉱害問題で、お忙しいときにわざわざ参考人にも来ていただいておりますから、いろいろ質問したい点がありますが、これはいずれ通常国会等に入りましてから行うことにしまして、きようは急ぎます点と思うのを一、二点だけお尋ねしておきたいと思います。  先ほどから石油問題で論議されました点で重要な点は、この地下資源審議委員会、いわゆる石油開発等の委員会の答申案が出ておるのです。この答申案に基いて通産省はどのような計画をお立てになろうとするのか。その計画書ができていたら、ひとつわれわれに資料としてできるだけ早く提出を願いたい。それからそれに伴うところの大蔵省の補助額というか、いわゆるその答申案に伴うところの開発計画、これに伴うところの国家資金の投入の形及び補助金というか、そういうようなものをどのような形で行おうとすることが、その後答申案に基いて大体つくられてあるか、その点をひとつ率直に承りたい。
  69. 古池信三

    古池政府委員 ただいま御要求になりました、われわれの考えておりまする開発計画の資料につきましては、後ほどお配りいたして御検討願いたいと存じます。  大体のことを申し上げますると、明年から五箇年の計画を立てまして、探鉱及び二次採取法補助金として五年間に約六十億円の交付、それから設備に要する資金といたしまして、十六億を開発銀行から融資をいたすことにしたいという希望を持ちまして、ただいま大蔵省等と交渉を進めておるようなわけであります。従つてさしあたり明年度の予算としては十億円余りを支出してもらうようにしたい、かように考えております。
  70. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は非常に賛成です。ひとつぜひ勇気を出してやつていただきたい。それは外貨節約の上から見ても、日本の将来の再建の基礎をつくる上について、重大な基本的問題の解決の道だと存じますから、政務次官鉱山局長も元気を出してやつていただきたい。ついてはこの厖大な金を投入するのでありますから、この主体をどこに置いてやらす考えでしようか。帝石ですか、その辺もひとつ……。
  71. 川上為治

    川上説明員 実はどういう機構を通じてこれをやるかという問題につきましては、今後の問題としまして、大体この助成金を出すというようなことになりますれば、私の方としましてはその問題を十分検討して行きたいと考えております。現在のところでは、一応これは試案でありますけれども、帝石の中に特別会計制度を赴きまして、法律によりましてこれを相当監督してやらせたいというような気持でおります。いかなる機構になりましても、現在の帝石の技術あるいは機械設備、あるいは技術者というようなものを相当活用しないわけには行きませんので、その点をやはりわれわれとしましては考慮に入れておくべきじやないかと考えております。
  72. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 帝石に対する政府の持株は何割になつておりますか。
  73. 川上為治

    川上説明員 たしか二割三分と考えております。
  74. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 帝石の中にとかくの問題の起つておることは御承知だと思いますが、これは新聞雑誌、世論に相当やかましく出ているが、いわゆる経営支配権をだれが奪いとるか、株主と経営陣の間において、相当民間資本力にものを言わしてこれらの帝石のお家騒動が起つておることは御承知と思いますが、このままの形で今のような厖大な金を投入されるということになつて来ると、後日非常な政治問題になつて来ます。それからまた許しがたい事態が起る。そこでこれらのお家騒動等の問題について、これをどのように感じ、これらを解決してその政府投入を扱わせようとしておられるか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  75. 川上為治

    川上説明員 帝石の内部におきまして、いろいろ重役の問題で紛争があることは事実であるのですが、最近におきましては大体話合いもついておるように聞いております。しかしそういうようなことがありましたので、世間におきましては、この五箇年計画を遂行するにあたりまして、こういうような機関にまかせることは非常に問題ではないかというようなことも大分聞かれておりまするし、私どもの方としましても、そういうような問題があれば、この五箇年計画を遂行する場合におきましては、帝石に対しましては相当これを考えて行かなければならぬというふうに考えておりますので、先ほども申し上げましたように、特別会計制度とか、あるいは法律によつて特別な措置を講ずるとか、いろいろなことを現在研究いたしております。
  76. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そういう点に気づかれて、たぶんに憂慮されて、いろいろな点をお考えになつておることは、私も敬意を表します。そこで政府も株主であるし、国民の金をそれだけ投入するわけでありますから、その形態は国家管理のような強い形態を、その法律をつくられる場合におつくりになつて、それで人的な構成の上においても、政府もこの株主として、新たな資金の投入者として、そういう権利と責任があるわけであるから、こういう点に対してはひとつ積極的に介入して問題を解決する。ただそういうものに介入することは、とかくいずれからか悪く言われるからというようなことで、従来役所の人たちがそういうものにはあまり深入りしないようにして、この問題を解決しないために、ずるずるべつたりにして、政府の方針がしばしば行われぬことがあります。これは明年から非常に重大な問題として出発するわけであるから、これらに対しては、この重役陣の人的構成の上に、決してそういう話題を後日に残さないように、疑惑を受けないように政府が積極的な介入をして、問題を是なりとする点において勇気を振つてこの問題の解決をしてもらいたい。そうしてあくまでもこの事業を国策として、国家の力としてみずからがやるという見地に立つて、法律をつくるなり、人的構成なり、その形態を国家管理であるというほどの強力なものとしてこれをやつていただきたい。そういう具体的なものができたら、ひとつそれらをできるだけ早い機会にこの委員会を通じてわれわれに御発表願いたい。私はそれを見た上でまた御注意も申し上げ、質問もすることにして、本日はこの点を強く希望して質問を一応打切つておきます。     ―――――――――――――
  77. 大西禎夫

    大西委員長 次に鉱害に関して調査を進めます。  この際お諮りいたします。まず決定いたしました参考人田口良明君は所用のため出席できませんので、坂本繁君を参考人といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさよう決定いたします。  それではまず本日御出席の参考人行實重十郎君及び坂本繁君よりそれぞれ意見を求めます。時間の関係がありますのでなるべく御簡潔に願います。それでは行實重十郎君。
  79. 行實重十郎

    行實参考人 私は福岡県直方市長の行實重十郎でございます。私は全国の鉱業市町村連盟会長として、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本各県の鉱害関係市町村を代表いたしまして、先生方に感謝の言葉とともに陳情を申し述べさせていただきます機会を与えていただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  先生方には国政のため日夜御精励せられ、なかんずく通商産業委員として御活躍に相なり、お忙しいところを特に鉱害復旧問題について日ごろより非常な御関心をお持ちいただき、しばしば現地を御視察になり、また親しく耳を傾けられまして、さきには特別鉱害及び一般鉱害復旧の二つの法律を制定され、これによつて一応複雑多岐にわたる問題の救済に当つていただいたことは、鉱害をこうむつております地元民としてまことに感謝にたえないところであります。全国の市町村が一万の多数を算するに対しまして、鉱害のありまする市町村は百にも満たないで、全体から見れば一%に及ばない少数である。しかも狭い地域に偏重しておる問題でありまして、風水害のごとく全国の輿論を巻き起し、国家緊急の問題として取上げていただくには、あまりにも条件が悪いのでありまして、それでも現存する鉱害は実に三百億を算し、その被害の深刻なことは、とうてい筆舌には尽し得られないのであります。現地御視察の先生方には、よくこの実情を認識していただいておることと思いまするが、地盤の陥落に伴うて、田畑、道路、河川等は沈降または水没し、家屋は傾斜して危険にさらされ、また井水は枯渇してその日の炊さんに事欠くありさまで、各所にぼた山はそびえ、水たまりは広がり、国土の様相は、あまりにもみにくく変貌して行くはかりでございます。私が郷里をたつて参りますとき、県下の某炭坑で、たいへんな事故が起りました。それは炭坑が一切の保安条件を無視して、無謀にも堤の下を濫掘したために、堤の水が落ち込み、坑内は水没し、採炭中の七人の犠牲者を出しましたが、これを目撃しました地方民は、不安にかられまして、識者は炭坑の濫掘は悪いが、これを監督すべきお役所があまりにも無責任であると非難しており、まことに悲惨のきわみでございます。右は一つの例にすぎませんが、筑豊炭田地方には、このような事態がときどき発生するのでありますが、国土保全の建前から見ましても、実に慨歎にたえない次第でございます。私といたしましては、この崩壊に画せる鉱害地帯を根本的に復旧して、民生の安定を確保するためには、現行の法令では満足ができません。由来私権は憲法において保障されておるはずであるにもかかわりませず、炭鉱地帯の住民の生活と権利は、何らの保護を受けておらないのであります。鉱害賠償の要求は、法的には認められておるが、弱小の被害者には事実上これを訴うるの力がない。現に石炭採掘によつて発生した被害は歴然たるものがあるにかかわらず、正当の復旧を講ぜられず、泣き寝入りの状態であります。この不満の現実は、国政上から放置できないことだと思うのであります。現行鉱業法の基本原則である金銭賠償主義にもさらに検討を加え、将来にわたる抜本最善の構想を打立てたいという理想を有するものであります。このことは次の機会に譲り、今日の段階におきましては、特別鉱害復旧臨時措置法並びに臨時石炭鉱害復旧法の二つの法律に絶大の期待をかけておるのであります。特別鉱害におきましては、法律の寿命はあますところ一年有半であるにもかかわらず、この事業の進捗率は、ようやく五〇%にすぎないのであります。現に過般の風水害でも特鉱が予定通りに進行していなかつたために災害度が加重されたことはいなめない事実であります。しかしながら幸いに政府当局におきまして特鉱法の強化につきまして、せつかく御考慮を願つておるやに聞き及びますので、さらに全幅の信頼と期待をかける次第でございます。  次に、一般鉱害の場合は、そのすべり出しにおいて、すでにつまずいた感があるのでありまして、なかんずくそのおもなるものには、臨鉱法の適用を受ける土木箇所の復旧に対する国庫補助金の交付に関する件であるのでございます。鉱害土木箇所は、県営土木箇所と市町村営土木箇所とに区分されますが、大蔵省の取扱いといたしましては、県営土木箇所の復旧に対しては、国庫補助金を交付するが、市町村営土木箇所については補助金を交付しないということであります。臨時石炭鉱害復旧法第九十四条、同法施行令第一条の規定には、これら地方公共団体が維持管理する道路、河川、堤防等の公共施設の復旧については、県営土木箇所、市町村営土木箇所の区別なく、国庫補助金を交付して復旧を促進することになつておるにもかかわらず、大蔵省がこのような取扱いをされますことは、きわめて了解しがたいのでございます。しかもこの問題につきましては政府部内においても、大蔵、建設、通産各省の取扱いについて、はなはだ矛盾があるのでございます。一例をあげますと、昭和二十八年度分については、すでに県及び市町村分を含めて、所要補助金四千万円を予算面に計上されているのでありまして、予算措置はなされており、かつ建設省は関係知事へ県と市町村分とに区分して予算割当の内示をされておるほどであります。前に申し述べました特別鉱害と臨時鉱害復旧との二つの法律は、まつたく同じ性格同じ目的を有するものであり、いわば姉妹法律で、ただ異なるところは、特別鉱害が戦時中の鉱害を対象とするのに対し、臨時鉱害の方は戦前戦後の鉱害を対象とするものであります。しかるにプール資金制度及び特別鉱害による復旧では、市町村官土木箇所も県営土木箇所並の取扱いをしておるのに対し、臨時鉱害の場合は県営土木箇所のみに限定し、市町村宮土木箇所を認めないというのでは、国の行政の矛盾もあまりにもはなはだしいのではないでしようか。道路、河川等の公共的施設は、県営、市町村営の土木箇所が相互に交錯関連しておりますので、これを切り離しまたは単独に復旧をしようとしても絶対にできないのでありま     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕 かりに県道だけを復旧しても、これに交錯関連する市町村道がそのままでは、かえつて条件が悪くなります。特に炭鉱地方における市町村道は、石炭、米麦、肥料等の重要物資の運搬には欠くことのできない緊要な使命を有するもので、決して県道に劣るものではございません。特に長崎県のごときは、市町村道が普及整備しているので、一層にこの必要を痛感しております。以上は炭鉱地方市町村の共通した悩みでありますので、市町村営の土木箇所の復旧に対しても、ぜひとも補助金の交付をしていただくようにお願いを申したいのであります。  昭和二十五年十二月、鉱業法制定の際の通産委員会の附帯決議にも、「政府ば、国庫の負担において、鉱害地の原状回復を断行すべく」と書いてありますが、幸いに二つの要望を実現さしていただきましても、いまさら法令改正の必要もございません。また予算を補正していただく必要もありません。どうぞ皆様におきましても、われわれの悲願を達成さしていただくように、ひとえに懇願をいたす次第であります。  次に資金運用部資金の借入れについてでありますが、このことにつきましては、別の公述人から詳しく陳述があると思いますので、私はごく簡単に申し上げます。鉱害復旧事業団は、御承知のごとく、基金を全然持たない特殊法人でありますがゆえに、公共事業の鉱害復旧を実施する責任を有する同事業団が、必要ある場合は借入金をもつてこれを運営して行くことを法は認めているのでありまして、この借入金は、その性格からして、資金運用部資金のごとき低利資金を予期しているのでございます。また一方非公共の家屋等の復旧については、同法は、被害者が通商産業局長に協議あつせんの申出または裁定の申請をなすことができるにとどまり、その場合は、賠償義務者たる炭鉱側は、鉱害復旧事業団にその復旧費の借入れを申し出ることができることになつているのであります。すなわち特別鉱害における家屋は完全復旧がなされているのに対し、一般鉱害における家屋は、ただ事業団が賠償義務者にその復旧費を貸し付けることによつてのみ救済されておるにすぎないのであります。この借入金の性格も、公共事業の場合と同様に資金運用部資金を期待しているのであります。家屋等の被害者は農地の場合とは異なりまして、年々の賠償をも受けず、ただ黙黙として一日も早く復旧ができ得るようにこそ待望いたしておるのでございまして、かくのごとく被害者は、加害炭鉱に対して、賠償要求のために、今では集団的に要求をすることは日常のことでございまして、現在ではハン・ストによりこの問題を解決せんとする事件が、もうすでに本年におきましても二、三回にわたつてあつたのでございます。近時炭界がきわめて不況でありますので、鉱害復旧が遅延がちになつていることはまことに遺憾でありまして、これが対象として、政府はすみやかに鉱害復旧事業団に資金運用部資金を二億七千万円貸し付けていただくことを念願する次第でございます。  以上二つのお願いを申し述べさしていただきまして、私の公述を終りたいと存じます。
  80. 福田一

    ○福田委員長代理 次に坂本繁君。
  81. 坂木繁

    ○坂木参考人 私は九州鉱害復旧事業団の理事坂本であります。本日このところにおきまして、この鉱害問題に関連して、資金の関係について陳述をさせていただく機会を得ましたことをまことにありがたく存じます。  この鉱害には、特別鉱害、いわゆる戦時中に発生した特別鉱害、その他これを除いたその他の鉱害、一般鉱害、この一般鉱害を処理するために、昨年臨時石炭鉱害復旧法を制定していただき、これによりまして鉱害復旧団ができて、この鉱害復旧団は総合的な鉱害の復旧計画をいたしまして、これに基いて所要の経費を鉱業権者から取立て、施工者にこれを支払う、こういう事業が重要な業務になつております。復旧事業を大体大別いたしますと、道路、河川、水道というような公共性のもの及びこの公共事業にならつて取扱いをしております鉱害農地の復旧、農地に関連をいたしております。溜池とか井堰とかいうような施設、こういうようなこの臨鉱法の対象になつておりますものか、約二百三十億はかりになつておりますけれども、この臨鉱法において、十箇年間にわたつて復旧を継続施工するという、この十箇年間の復旧事業の対象は、一応百六億、一般鉱害の全被害量の約半分、約百六億が対象になつて計画を進めております。なおこれ以外に家屋とか宅地、基地というような資金に属しますものを、私どもの方では公共事業に対して非公共事業と言うておりますが、非公共事業の臨鉱法によります復旧の方法、これは公共事業のようにあまり強く取上げられておりません。原則として被害を与えました鉱業権者と被害者との間において協定して復旧をやつて行く、この両者の協定ができなかつた場合には通産局長の裁定を受けて復旧する、こういうことになつております。  まず年間の復旧事業量の問題でありますが、昨年二十七年度は、年度も半端でありまして、国庫の補助予算も一億五百万円程度つけていただいたのでありますが、二十八年度からは本格的にこの計画を進めておりますが、それにいたしましても国庫の補助金は僅々二億一千万円程度を計上していただいたにすぎないのであります。大体当初の計画といたしましては、公共事業だけでも百六億を十箇年間としますと、一箇年間十億以上の一般鉱害の復旧をやつて行くということを考えなければなりませんが、二十八年度に計上していただきました二億一千万円程度の補助金では、五億八千万円程度の事業しかできないことになります。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕 大体予定しております半分程度の事業しかできないことになるのであります。  この復旧事業団の大体構想から申し上げますと、現在この復旧事業団は、九州鉱害復旧事業団、中国鉱害復旧事業団と、全国に二箇所あるのでございますが、この両方の事業団の年間の経費は、大体三千五百万円程度を必要とするのであります。この三千五百万円程度の経費を考えます財源といたしましては、どういたしましても年間十億以上の復旧事業をやらなければ、復旧事業団は立ち行きができない、こういう状況になるのであります。  この一十八年度の一般鉱害の復旧に際しまして、私ども非常に支障を来しておりますのは、御承知のように今夏の稀有の水害に遭遇いたしまして、鉱業関係者といたしましても、これによる被害約四十億ということを聞いております。なお別な方面から考えましても、石炭の炭況が非常によくない。従つて復旧事業かなかなか軌道に乗らない。と申しますのは、特別鉱害の復旧でありますれば、これはかなり高率の国庫補助金を出していただいております。これに比べて一般鉱害は補助率が非常に低い。のみならず農地の復旧以外の公共施設の復旧につきましては、一応国庫補助金は出すけれども、後ほどその関係鉱業権者は、この補助金を返さなければならぬのじやないかというような考え方を持つようにこの法律ができております。  以上申し述べましたような原因によりまして、二十八年度に一応予定されております五億八千万円程度の事業すら事業計画がなかなか進まない。この復旧基本計画をつくりまして、通商産業大臣の認可を受けます条件といたしましては、関係鉱業権者の復旧事業をするについての同意というものが絶対条件になつております。従つて関係鉱業権者にこの復旧を施工することについて同意を求めますと、復旧をしなければならないことはよくわかつておるが、資金の関係でどうも今すぐというわけにも行かないから、当分待つてほしいというような理由が多数ありまして、どうも復旧が意のように進行いたしません。まして補助の関係のない非公共事業、いわゆる家屋の復旧というようなものにつきましては、現在といたしましては、鉱業権者と被害者との間の協調が資金のためにとれませず、復旧は遅々として進んでおりません。 以上のような理由によりまして、この難局を切り抜けますためには、どうしても政府におすがりをいたしまして、運用部資金を事業団に貸していただきたい、こういうお願いを続けておるのであります。事業団といたしましては、運用部資金のような低利の金をぜひ貸してもらいまして、これを鉱業権者に立てかえ、そうして復旧事業を促進して行く。また非公共事業、いわゆる家屋等の復旧につきましては、幸いに鉱業権者と被害者との間に資金繰りがつきまして、復旧ができるものがあるにいたしましても、それはきわめて少いものであつて、その大部分は資金等の関係で鉱業権者と被害者との間の話がつかない。これはすべて通産局長に裁定を申し込む。そうすると、通産局長が裁定いたしましても、資金の関係で復旧が遷延するというようなことに必ずなるであろうということを私どもは杞憂しております。従いまして、私どもはこの低利の資金をまず公共施設を復旧いたします方の分に一億五千万円、家屋等の非公共事業の復旧の分につきまして、一億二千万円、合計二億七千万円程度を本年度に貸し付けていただきたい、これが私どもの悲願であります。幸いにしてそういうことになりますれば、事業団といたしましては貸し付けます、あるいは立てかえます当該炭鉱について、厳正にその資格条件等調査をいたしまして、確実に回収のできますものに限り、立てかえ、貸付をするこういうふうに考えておりますしもともとこのことは鉱業権者の非常な希望によつてわれわれがお願いしておるのでありますから、こちらに出ます前に鉱業権者と数回にわたつて懇談をいたし、鉱業権者も確実に償還をするということを言うております。万一これが不可能であつたというような、いろいろな事情でできなかつたというようなことになりましても、臨時石炭鉱害復旧法によりまして、こういうものの回収については強制徴収ができるということになつておりますので、私どもといたしましては、この貸付については絶対に不安はないということを確信いたしております。  非常に時間がないようでございますから、これで陳述を終りますが、申し上げましたような苦衷に御同情いただきまして、早急に復旧資金を二億七千万円程度お貸し付けくださるよう、ひたすらお願い申し上げます。
  82. 大西禎夫

    大西委員長 次に政府より意見を求めます。御簡略に願います。佐久石炭局長
  83. 佐久洋

    ○佐久説明員 ただいま両参考人から鉱害の現実の状況、それに対する資金面の手当、補助金の交付の要望というようなことを詳細説明がありましたが、通産省はこの鉱害復旧についての当面の責任官庁でありますし、なおこの鉱害復旧事業団の事業の運営については、監督者の立場にありますので、この問題については相当大きな関心を従来からも払つておる次第であります。 第一の、一般市町村道路工事について国庫補助を出すという問題につきましては、現在の法律の建前から申しますると、出し得る建前になつております。ただそれが現実の予算の面になりますると、一般鉱害という特別のものに限定して市町村道路に補助々出すということが、行政面として非常に困難があるということで、従来相当長い期間大蔵当局と相談をして参つたのでありますが、まだ結論に達していなかつたのであります。これは先ほど参考人からのお話がありましたので、詳しく申し上げる必要もありませんが、この予算そのものは建設省の予算に組まれておるという見解を私どもはとつております。これについては大蔵省はまた別な見解を持つておるのであります。それからなおこの市町村道路について一国庫補助が全然出された例がないということについても、私どもはまた違つた見解を待つておるのでありまして、産業道路あるいは観光道路というようなものについて現実に補助金が出た例があるというふうに私どもは見ております。そこで大局的な見地から見まして、この補助金の金額自体としては、そう大きな金額ではございません。鉱害の復旧ということが一つの大きな社会問題であり、最近におきましては、これを利用する政治的な運動にまで展開するというような状況でありまして、この復旧によつて一般の住民は非常に安らかな生活ができ、農地の復旧によつて食糧の増産に寄与し、また社会問題全体の解決によつて平和な村ができるというような大局的な見地に立てば、是が非でもこの復旧工事を進捗させたいというのが私ども念願でありまして、今日まで大蔵省にその点を長い期間にわたつてお願いをして来た問題であります。なおもう一つの借入金の問題でありますが、これだけ先ほど参考人からもお話がありましたが、何と申しましても、この鉱害の復旧というのは、問題の解決当体として社会的に大きな問題でありますが、一面において現在石炭業者が攻められておる問題は、高次価の問題であります。そこで合理化によつて炭価を下げようという努力にほとんど全神経を集中しており、全力を集中しておる状態でありまして、鉱害の復旧に出す金の点になりますと、炭価引下げという点についてはいささかもプラスにならぬということが言えるのであります。そういう関係と、もう一つは先般の水害によつて石炭鉱業権者の資金繰りが非常に困難になつてつております。そこでこの復旧兼本計画になかなか同意しないというのは、これは一応やむを得ない事情と思われます。その結果本年度の復旧計画が非常に進捗がはばまれる。と申しますのは、鉱害の復旧計画を立てます場合には、その地区の通路、農地、橋梁すべての施設を総合して計画を立てるわけでありまして、そのうちの一部の道路を陥落したままにしておくとか、あるいは橋梁を傾いたままにしておくというわけには参りません。ところがたまたまその橋梁に被害を与えた鉱業権者が復旧計画に同意をしないということになりますと、全体の復旧計画が成り立たないという結果になります。これは非常に大きな問題でありますので、事業団が借入金をいたしまして、一時立てかえ払いをして基本計画のき行だけは計画通り円滑に進めるということが必要であろうと思いまして、その点につきましても、大蔵当局と階入金の問題についていろいろお話合いをいたし、今日に至つておるのでありますが、大蔵省の見解といたしましては、事情はいろいろあろうと思いますが、資金が足りないという点あるいは鉱害復旧事業団というものが貸付の対象として適当であるかどうかという点、さらにまたその貸し付けた金が確実に回収できるかどうかというような点について、まだ疑念を持つておられるようでありまして、この点についても解決を見ていないのであります。私どもとしてはこの二つの問題を解決することによつて、せつかく国会において鉱害の復旧を円滑に進める趣旨のもとにつくられました法律の施行を一刻も早く行いたい、それによつて民生の安定あるいは国土の利用ということを一刻も早く期待したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  84. 大西禎夫

    大西委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありまするから、これを順次許します。田中龍夫君。
  85. 田中龍夫

    ○田中(龍)委員 私は一般鉱害の復旧促進に関する問題につきまして大蔵省の当局に質問いたします。一般鉱害の復旧工事は、その進捗が停頓の状態にございます。そうしてその原因は事業資金不足にあるのであつて、これが救済策といたしましては、まず資金運用部の資金を鉱害復旧事業団へ貸し付ける。第二は市町村の土木工事に対しまして、国庫補助金を交付する。この二つの措置をこの際至急講ずべきである、かように存ずるのであります。先般来通産省当局あるいはまた復旧事業団その他関係者が大蔵当局と折衝を重ねまして、ただいま局長の言われまするようにいろいろと紆余曲折を経たのでありますが、さらにまた多数の方にも陳情を繰返しておられると思いますが、不幸今日まで何らまだ解決を見るに至つておらないのであります。わが党におきましても、さきにこの問題は非常に重視いたしまして政務調査会を開きまして、鋭意検討を加えつつありますことは、大蔵当局もすでに御承知通りであります。なお本委員理事会におきましても、最近数回にわたりまして、本件について関係当局と懇談を重ねたことは御承知通りでありますが、本件の実施につきましては、まず資金源の問題、次は法律に違反いたしはせぬかという問題、さらにまたこれが他にも波及するおそれがありはせぬか、また経済的効果がどうであるか、こういつたようないろいろの問題があるのでありますが、ついては順序といたしまして、一応これらの問題に関しまする見解を申し上げますと、まず法律違反の問題でございまするが、第一の事業団への貸付につきましては、公法人である事業団に運用部資金を貸し付けることの合法性はいまさら申すまでもないことであります。現に臨鉱法第三十四条には、業務を行うため必要があるときは、通産大臣の認可を受けて借受金をなすことができるとはつきりとしるされているのであります。第二の市町村営土木工事への国庫補助につきましては、臨鉱法第九十四条に公共施設の復旧工事には国が補助金を交付することができるとございまして、そしてその公共施設というのは同法第二条並びに同施行令の第一条によりまして、河川法第一条の河川、道路法第二条、第四条の市町村道並びに付属施設などを指すことは明白であります。要するに市町村道等に対しまして、国庫補助をいたしますことは、法律上何らここに問題はないと信ずるものであります。次に、経済的の効果についてでありますが、臨鉱法が鉱山地方を総合的、計画的に復旧いたしますためのものであるという点からいたしましても、ことに道路のごときは、県道を復旧しても、これと連接一体をなしておりまする市町村道が復旧せられないために、道路全体としての効用を発揮し得ない、かような問題が考えられます。ただ資金源の問題は、すなわち財政窮乏の折から、それだけの財源があるかどうか。特に市町村道の国庫補助につきましては、他への波及すなわち鉄道、軌道あるいは学校等の公共施設へ波及するおそれがないかどうかという点につきまして、一応考慮しなければならないと考えるのであります。しかしながらこれらにつきましては、本件の特殊性にかんがみまして、特別の考慮を払いましてしかるべきではないか、かように考えます。そもそもこの臨鉱法というものは、去る三十五年十二月の第九臨時国会におきましてこういう法案可決の際になされました国庫の負担において鉱害地の原状回復を断行すべく審議会を設けて必要なる法律の立案をせよ、かような本院の附帯決議に基きましてなされたものであります。累積いたしました鉱害の復旧が、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定をはかりまする見地から必要であり、かつまたその経費の負担につきましては、鉱業権者がすでに限度一ぱいの負担をしておりまする関係上、不足分は国庫の補助によることとして、もつて鉱害復旧を促進しようという趣旨のものにほかならないのであります。従いましてこの特殊性にかんがみまして、以上の立法の精神を生かしまするために特別の考慮を払われてしかるべきではないかと考えます。ことに第一の資金運用部資金の貸付は、補助金ではなくて文字通り貸付であります関係上、当然利子を払つて返済すべきものであります。なおこの貸付は、回収につきまして大蔵当局が何の御不安をも要しないことは、ただいま参考人も申されたごとく復旧事業団理事がはつきり申しておるところであります。  第二の市町村営の土木事業への補助金は、金額から申しましても大したものではございません。市町村土木工事費の総額は十三億円でありますから、県道同様五割の補助率といたしましても六億五千万円、これが十箇年計画でありますから、年間六千五百万円にすぎない。しかもこれらの補助金も、金額補助をするのではなくて、自然破損その他鉱害以外の原因によります損傷などの関係ども考慮いたしまして、復旧工事完了のあかつきは、政令の定めるところによりまして適宜返還せしめることは、臨鉱法第九十五条に明らかな通りであります。なおこの際大蔵御当局に対しまして特に一言申し上げたいことは、終戦後これらの種類の土木工事等に対しまして、多額の国庫補助が行われまして、もちろん市町村道だけではなくて、県道その他をも含んでおりますが、少くとも市町村道に対しましては国庫補助が行われるということは確実であります。すなわち福岡縣だけでも昭和二十二年行政措置によりまして、千七百十九万二千二百二十三円、昭和二十三年度及び二十四年度におきましては、これは当時のプール資金制度に対しますものでありますが、それぞれ七千万円及び七千九十六万二千円が補助されておりまして、しかもその補助率たるやいずれも六六%というような高率のものであつたのであります。そこで大蔵当局に一言特に御注意を申し上げたいと思いますことは、従来のままでは鉱害の復旧が毫もはかどらない、累積の一途をたどるのみでありまして、国庫の補助によりましてその復旧を促進せしめるという趣旨のもとに政府みずから提案なされ、国会がこれを可決いたしましたところの臨鉱法の精神をばくつがえされまして、その逆をお行きになるようなことを大蔵御当局があえてするようなことのないように善処を願いたいのであります。  以上で私の質問を終りますが、第一の問題につきましては、どうぞ理財局から、第二の問題につきましては主計局から御答弁をいただきたいと思います。
  86. 稻田耕作

    ○稻田説明員 ただいまお尋ねの臨時鉱害に対する融資につきましてお答えいたしたいと思います。御承知のように鉱害につきましては、特別鉱害、一般鉱害、そのうちでも臨時鉱害が重要な問題になつておるということであります。特別鉱害につきましては、この前の国会におきまして法律の改正を願いまして、資金運用部資金といたしまして、一億二千万円御融資申し上げましたことは、御承知通りかと思うのでありますが、臨時鉱害につきましては、前から通産の御当局からお話があつたのでありますが、ただいま局長からお話になりましたような点、復旧事業団の性格、また具体的に申し上げますと、鉱業権者の納付金を政府資金でつなぐということは、前例のなかつたことであります。また御承知のように、資金部資金の源泉といたしましては、国民大衆の非常に零細な貯蓄のたまものをお預りしておるのでありまして、その管理者といたしまして、確実に償還をしていただかなければならないという一つの大きな要請がありまするので、その点に疑問がありました関係上、今まで延び延びになつておつたのであります。また一面、資金面からいたしましても、御承知のように累次にわたりまする災害の結果、これに対しまする復旧資金というものが本年は例年になく出たような状況がありまして、また前の国会におきまして、いわゆる百五十七億といわれまする追加融資というものを、われわれお預かりしております資金部資金等からできるだけ多額に融資するというような事情にありまするので、資金面も非常に窮迫いたしております関係上十新たなる貸付、いわゆる間口を拡げるというにとは、この際できるだけ避けたいというわれわれの悲願もございまして、お断りをずつと続けて参つておつたのでございます。本日ただいまの各参考人からの御説明も前々から承つておりますし、また本委員会といたしまして、種々われわれの意見を御聴取願つていただいたのでありますが、この臨時鉱害につきまして、何らかわれわれもできるだけのことをいたしたいという考えでおります。ただいまの実情といたしまして、この基本計画が一件だけ御認可になつたような状況でございます。もう少し具体的な計画が進みましたときにおきましては、個々の計画をよく検討いたしまして、それに所要の金額、またはその融資方法につきまして考えて参りたいとこう思つておりますが、ただいまの段階におきましては、どれにどのくらいということは、まだはつきりした金額を申し上げることはちよつとできないのでありますが、個々の実施計画を十分見まして、その所要金額及びその納付金の徴収状況、あるいはその融資の方法ということの具体的な方法につきまして、なお関係御当局と協議いたしまして、十分特別立法の趣旨に沿いたい、資金の面からだけこの立法の趣旨がくずれないように、十分考慮を払つて行きたいと、こう考えております。
  87. 廣瀬駿二

    ○廣瀬説明員 私大蔵省主計官の横瀬でございます。ただいまお尋ねになりました後段の問題、市町村道に対して補助をすべきではないかというお尋ねに対しましてお答え申し上げます。臨時石炭鉱害復旧法の公共施設につきまして、国がどういうような補助をするかということにつきましては、ただいま田中先生からもお話がございましたこの法律の二条に、公共施設というものはこういうものであると、河川以下十一にわたつて書いてありますが、これにつきまして、予算上どこまで補助をいたしますかということにつきまして、大蔵省は従来の公共事業費の建前から補助せられるものを取上げて補助をするように予算を計上いたして参つたわけでございます。そこで公共事業費の対象となります道路は、原則といたしましては、府県道に限られておりますので、われわれといたしましては、この法律に基く補助は府県道だけであつて、市町村道は除かれる、こういう態度を従来持して参つたわけでございます。でございますが、ただいま参考人からのお話もございましたような実情等につきまして、通産省からも、あるいは鉱害地の皆様からも、いろいろと陳情を承りまして、このままではなかなかこの事業は進展しないということにつきまして、われわれも十分了解いたしましたから、道路に対します公共事業費の建前は、府県道ではございますが、例外的には、産業道路とか観光道路とか、こういつたものにつきましては、市町村道の場合も補助をしておるような例もございますので、この法律の精神を勘案いたしまして、そういつたような公共事業費として支出されておる産業道路等との均衡を十分考慮いたしまして、これらの市町村道についても、今後補助をするようにいたしたい、こう考えております。ただこの市町村道に補助をいたしましたために、そのほかの補助を出されておりません、先ほど御指摘のありました鉄道軌道でありますとか、あるいは公会堂とか市役所、町役場、こういつたような建物、これは法律の建前では補助で、きることになつておりますが、こういつたものは従来も補助がございませんので、市町村道について補助をしたからこういうものについても補助をするようにしたいというようなことになりますと、財政の建前から行きまして、できるだけ財政にしぼつて行きたい、財政規模は圧縮したいという輿論のございます際に、いかがかと思われますので、こういつたものに波及することは避けてもらいたい。そういうふうに考えております。  それからもう一つは、この補助の性質でございまするが、この補助の性質を明らかにするために、先ほども御指摘のございました九十五条の政令を出していただきたいと、こう考えております。これは私から申すまでもございませんが、鉱業権者の負担能力というものを考えまして、一時に大きな負担を鉱害のために鉱業権者にしいるということは困難である、そういう実情がございますので、国が一応公共事業の補助の例にならつて支出いたしまして、将来返還していただくという建前を九十五条は明らかにしておりますが、この九十五条を発動していただきまして、政令でもつて返還するという建前を明らかにしていただこう、こういつたような考え方のもとに、先ほども申し上げました趣旨で、市町村道に対して補助をいたしたい。二十八年度予算につきましては、現在三十五百万円の予算が出ております。これは大蔵省といたしましては、府県道に対する補助という意味で計上いたしたのでございますが、すでに三・四半期も終ろうとしておるときに、ほとんど事業も進んでありませんので、予算の余裕がございますから、この中から市町村道に対してもまわしまして、事業が円満に遂行するよういたしたい、そういうふうに考えております。
  88. 田中龍夫

    ○田中(龍)委員 大体御了承をいただいたようでありましてまことにありがとうございますが、さきの理財局のお話のように、事業団と申しまするものの公共性をどうぞ明確にお認めいただきますと同時に、かつまたその信頼につきましても、どうぞよろしくお願いいたします。  なおまた補助金の返還でございますが、御承知通りに炭鉱がまことに不況な折からであります。できるだけ返還は少くいたすことが補助金を出す趣旨を生かすゆえんでもございますが、鉱害復旧という社会的な問題を解決いたしますことになりますので、どうぞ十分と御善処をいただきたいと思います。  もう一つは主計局の方のお話の、市町村道路に対する点でございますが、これに御承知通りに今日の地方自治体の財政の非常な窮乏、なかんずく町村財政の窮迫しておりまする現状にかんがみまして、どうかできるだけ御高配をいただきまして、補助率も高率にしていただきまするように、特によろしくお願いを申し上げたいと思います。  なおまたあくまでもこれは補助金として出していただきたい。つまり特別平衡交付金で見ることがないように、特に今後の通産省大蔵省両当局の御折衝に万事おまかせいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  89. 大西禎夫

  90. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 われわれ側としてこの市町村道路の復旧並びにこの臨時鉱害の耕地、住宅等の借入金の問題の合法性、必要性については、田中委員から詳細にわたつて質問しましたので、私はもはや時間の関係もありますから、蛇足を加える必要もないと思います。  ただ二、三点この際明らかに伺つておきたいことは、道路の点は今おつしやつた通りでけつこうですが、建設省関係の指示の上においても、また関係被害市町村側においても、道路は河川も伴つておるものでありますから、河川を含んでおるものであるということを、これは全体がその解釈するのでありますが、そういう解釈であることは間違つておらないであろうということを、ここにひとつ明らかにしておきたいと思うのであります。  それからいま一点は、資金運用部資金の問題の貸付でありますが、これは通産省側からも、大蔵省側と相当長期にわたつて解決のために折衝されていたことも御承知通り、またわれわれ委員会側としても、相当深入りをしてこの問題の解決に当つたことも御承知通り、そこで問題の妥結点が見出されて来たことをわれわれは深く喜んでおるのでありますが、さて具体的に事業の遂行上においてこの貸付金の問題を明らかにしておきたいと思うことは、通産省側が借入金の返済計画等を伴つて事業計画が明らかになれば、この明らかになつたものに対して通産省大蔵省の事務当局の間でこれらの解決がされて、計画事業に支障なくそれらの金が貸し付けらつれて行くものであるかどうか、この点が十分明らかになつておらぬといかぬと思いますので、こういう点の通産省大蔵省側の責任者の考え方についてもう少し明らかにしてもらいたいと存じます。
  91. 廣瀬駿二

    ○廣瀬説明員 ただいまお尋ねの第一点の河川を補助の対象に含まれるかということでございますが、これは含まれます。
  92. 佐久洋

    ○佐久説明員 資金の貸付につきましては、先ほど稲田資金課長から非常に御同情のあるお言葉をいただいたのでございますが、先ほどのお話通りに、基本計画が大分集まつて来ておりますので、それを詳細検討いたしますると、どの程度の不足金額が出るか、それを融資する必要があるかどうかということがはつきりいたします。それがはつきりいたしますれば、事業の進行に支障のないように大蔵当局とよく話をしたい、こういうふうに考えております。
  93. 稻田耕作

    ○稻田説明員 ただいまのお尋ねお答えいたします。ただいまの段階におきましては、基本計画が一件きまりました程度でございまして、これから実施計画といたしまして河川、道路その他計面が具体的に各主管官庁別にきまつて参ると思います。その具体的な計画に従いまして、また鉱業権者に対しまする納付金の令書というものが発せられるというふうに了解しております。その具体的な計画に基きまして、補助金が幾らその計画に出るか、また納付金または負担金がどのくらいになつて来るかという具体的な問題がきまつて参るのでありまして、そのときにおきまして通産御当局とその所要金額については協議をいたし、またその方法につきましてもこまかい条件なりいろいろ通産省と十分協議して参りたいと存ずる次第であります。
  94. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大体お考えの点等も明らかなりましたので了解できます。そこで業者側ももちろんみずから負担すべき負担というものがあるのであります。ただその場合にお聞きの通りの炭価の状況とか経営の状態、そういう点で納付が遅れる、あるいはできないもの、さらに繰延べてもらいたいものがあることも明らかなんであります。そういう場合に事業上必要なるところのいわゆる資金計画を完遂して行く上について足らざる分の必要なるものは資金部の金を貸し与えて事業が時間的に完全に遂行されるというように解釈をしてよろしゆうございますか。それと同時に、その点について、これは石炭局長も当然主管庁として責任を持たれなければならぬのであるが、通産、大蔵両省の間においてその事業完遂の時間的な上において地元側に不安を与えない、再び政府なり国会側に、この問題に関する限り陳情をさすようなことのないように責任をもつて完遂して行くということについて、十分責任を持つてもらえるものとわれわれは信じておるが、この点は大丈夫ですか。もう一ぺん明らかにしておきたいと思います。
  95. 佐久洋

    ○佐久説明員 ただいまの伊藤委員の御心配は非常にありがたい御心配でありますが、公務員としましては、やたらむやみに陳情を受けるということは、実は恥ずべきことでありまして、本来公務員の努力が十分であり、能力が十分であり、従つて筋道の通つたことが円滑に進むということであれば、いたずらな陳情というものはないはずなんであります。ただいま伊藤委員の御発言で、いささか私はみずから顧みて恥ずべき感じがいたしておるのでありますが、今後はそういう信念のもとに、再びこういう陳情を大きくしなければ解決ができないというような事態には持つて行かない、こういう覚悟でおります。
  96. 稻田耕作

    ○稻田説明員 お答えいたします。ただいまの御意見に沿うて、十分努力して参りたいと思います。ただ資金の面からいたしまして、御承知のように、ことしはたいへん私のお預りしております資金運用部資金が窮迫を告げておりますので、参考人からるる述べられました総額の二億七千万円につきまして、全額どうだということになりますとお答えができないのでありますが、仕事の進め方といたしましては地方財務局、ことに北九州財務局、中国財務局に対しまして十分連絡をとりましてできるだけ、東京にお越しにならなくても現地で解決ができるように連絡いたしたい、こう存じております。
  97. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 通産、大蔵両係官の御答弁を聞きまして、私は非常に尊敬し、信頼いたします。従つて耕地ならびに住宅等々に要する二億七千万円という――これがいわゆる事業計画に伴つてどれだけいるものであるかということは、通産省側でつくられる計画書に具体的に出て来るものと私は信じますから、事業に支障のない、今石炭局長が言われたことを、私は今後役所側の皆さんがそういう気持で行政等に当つていただくならば、政府に対する信頼は非常に高まるだろうと思います。従つてこの解決せんとする問題は、ある意味において試金石でございます。ひとつ十分われわれの期待を裏切らないようにやつていただくよう、強く希望を申し上げておいて、私の質問を終ります。     ―――――――――――――
  98. 大西禎夫

    大西委員長 次にアルコール事業に関し調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。齋木重一君。
  99. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいま非常に世の中を騒がせております三公社五現業の一つでありまするところのアルコール専売事業の従業員に対する期末手当の問題に対して、非常に紛糾をいたしております。これらに対して、当局はいかなるあたたかい心持をもつて全従業員に対して対処せんとするかということを、まず局長お尋ねいたします。
  100. 中村辰五郎

    中村説明員 三公社五現業の仲裁裁定に関しましては、先般来本国会において御審議を煩わしておりまするが、特に仲裁裁定の実施につきましては、先般衆議院におきまして、一月一日より実施するということに衆議院側の御意見の御表明がございました。政府におきましても、この線で実施をするつもりでございます。なお仲裁裁定のほかに、目下年末を控えまして、年末手当の問題が、われわれ現業において目下団体交渉中でございまして、御承知通り、八現業のそれぞれの団体交渉は、おおむね当アルコール事業と同様に継続中でございます。私といたしまして、アルコール事業の性格また現にアルコール事業に携わります職員の現状等から考えまして、他の現業との均衡を失しないような方針のもとに、関係職員の日ごろの努力に報いたい、こういう考えで目下団体交渉を継続中でございます。
  101. 齋木重一

    ○齋木委員 他の現業のことは、私どもつまびらかでありません。また労働委員会その他がありますから、本通産委員会における関係アルコール専売に対する問題としては、従業員といたしましても精魂を尽して、やはり生産の能率また価格の低下等に対するところの採算上に対して、非常に努力いたしておると思います。本年度におきましても、製品価格の引下げ等は三回にもわたつてその需要に応じて、一般大衆に及ぼすところの影響の大きい努力がなされておる。また燃料その他の点においても、非常に従業員みずからがくふう、あんばいをして生産向上、コスト引下げのために努力いたしており、その代償といたしましても、当然これは期末手当等におきましては、他のこともそれは公共企業体といたしましても考えざるを得ないかも存じませんが、これらに対する原資確保という点においては、十分あるはずです。また独立採算制をとつておるアルコール専売といたしましても、十分に考えて、組合の要求を施行いたしましても、なおかつ余るところの財源は確保されておる。これらを十分に考える必要があると思うのであります。私はまたこれを、局長初め通産大臣等がうまく実行しない。従業員諸君に対して、十分なる給与及び期末手当等を与えぬということについては、まだまだ大きなものを腐らしておる。今ここに私はその事実を発表することは遠慮していたしませんけれども、これらのものを腐らせないようにすれば、従業員諸君の手当などは朝飯前にできると思うのであります。これらに対しては十分善処していただきたいと思いますが、その心構えがおありかどうか、お聞かせ願いたい。
  102. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問にもございましたが、アルコール専売事業は、特にここ一年間におきまして非常に企業努力その他の関係もございまして、価格引下を三度にわたつて実行いたしました。これはもとより関係産業に対し非常な好影響をもたらしますと同時に、今後のアルコール事業の経営に対しても、非常に効果的な結果をもたらすものと思います。これらのコスト引下げに関連いたしまして、ただいま御指摘の点につきましては、お説まことにごもつともでございまして、この点にかんがみまして、目下他の現業等の団交の情勢等をもにらみ合せまして、これら現業と均衡を失しないような年末手当の支給を誠心誠意実現いたしたいと存じまして、目下努力中でございます。
  103. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいま局長は均衡を失しないようにと言われましたが、均衡を上まわる待遇なり、処置を講じてもらわぬと、均衡を失しないということでは、ちよぼちよぼになるおそれもあるので、それに対する努力いかんは、局長の手腕にまつところ大なるものがあると私は存じております。これらに対しては十分なる善処をしていただきたい。
  104. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 御趣旨まことにごもつともでございまして、本問題につきましては、一政府委員であります。私ももちろんでございますが、大臣におかれましても、非常に関心を持つておられまするので、この問題につきましては、齋木委員の御趣旨の点については、最善の努力をいたす所有でございます。
  105. 大西禎夫

    大西委員長 この際閉会中審査の中出の件についてお諮りいたします。中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案の両案について、継続審査をいたしたい旨議長に申出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。  大分時間も経過いたしましたので、本日はこの程度といたし、これにて散会いたします。     午後一時五十四分散会