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1953-12-05 第18回国会 衆議院 通商産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月五日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君       小川 平二君    小金 義照君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    中崎  敏君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      鵜川 益男君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 東辻 正夫君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (企業局長)  記内 角一君         通商産業事務官         (繊維局繊政課         長)      杉村正一郎君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  繊維に関する件  貿易に関する件  電気事業に関する件
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日はまず繊維に関する件及び貿易に関する件について調査を進めます。質疑通告がありますから順次これを許します。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はさきの質問がこま切れになつておりましたので、それに引続きまして、きようは主としてこの繊維を中心に価格の安定及びコスト引下げ、ひいてはこれが輸出振興という現在の大目的について、いろいろその行われている施策についてお尋ねしたいと存じます。それから時間が許されましたならば、近ごろ盛んに宣伝されておりまする繊維課税の問題について二、三お尋ねしてみたいと存ずるわけでございます。  まず第一段に、去年もさようでございましたが、年の瀬が迫るにつれまして、倒産商社が続出しているようでございます。聞くところによりますと、ことしの正月から七月までに倒れた商社だけですでに百二十商社余ございます。九月、十月、十一月と経るに従いまして、この十一月の倒産商社は五十商社余出ております。東京不渡り手形だけでも日に千三百枚余出ている。その内訳が、どうも金額がだんだん小口になりつつある。こういう点にかんがみまして、倒産商社がこの七月、夏ごろまではバランスが、数億というものが倒れておりましたが、今日ではだんだんこれがこま切れ、小きざみになりまして、中小の小の方へと移行しつつあるようでございます。これにつきましていろいろ政府の方でも御調査を進めていらつしやるでございましようし、またこれに対してどうしたならば救うことができるかという、その対策についてもお考えでございましよう倒産商社、ことにその多くが繊維関係を持つたもののようでございます。これについてどう年の瀬を越さしたならばいいか、すでに倒れたものについてはどうするか、まさに倒れんとするものについてはどうするか、いやこれらのものを将来安定させるにはどうするかという諸点について、まず政府の御答弁お願いいたします。
  4. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお尋ねはまことにわれわれも心配をしておるのであります。何と申しましてもお話のように繊維産業はわが国といたしまして重要なる産業一つであります。またこの業務に携わつておられるメーカーにしても、あるいは商社にしても、その数も非常に多いわけであります。しかも中小に属する業者が比較的多数であることはお説の通りであります。そこでこの一昨年あたり以来、繊維関係価格変動その他の原因から業績が悪化して、お話のように非常に苦しい立場に立たれておる人たちの多いことは、まことにわれわれも心配にたえないのであります。しかしそれかといつて、今ここにただちにこれらの方々を一挙にどうするという、いわゆる特効薬もなかなかないわけでありますが、差向き年末を迎えて困つておられる方々に対しましては、政府としてはできる限り金融面等においてお手助けをして参る。そうしてこの年の瀬を切り抜けていただく。また来年になりましたなら、また来年としての方策を立ててしていただくということが、われわれとしましては現在とり得る最も大事な方策ではないかと考えておるのであります。もちろん価格の安定、さらに根本的に申せば輸出振興ということにつながつておることは申し上げるまでもないわけでありますが、これはただいままでも大臣その他から御説明申し上げておりますように、この輸出振興は非常に大事な問題でありますと同時に、現在の客観情勢から見まして、はなはだ困難なる問題を多分に含んでおりますので、これが打開につきましては一に通産省といわず関係各省が協力しまして、また民間の御協力を得て、大きな国策として将来推進して参らなければならぬ、かように考えておるような次第であります。
  5. 加藤清二

    加藤(清)委員 まことにけつこうなお考えでございまして、それについてとやこう言うわけではございませんが、せつかく政府の方がそのようにりつぱなことをお考えになり、その価格の安定をさせるとか、コスト引下げをさせるとかあるいは輸出振興だとかおつしやいますけれども、さしあたつて今倒れて行こうとしておる連中に対しては、何としてもこれは融資の面で救うよりほかに手がないと思う。なせ倒れるかといえば、不渡りが出て来るからです。そこで内整理に入らなければならない、こういうことでございますが、私が見まするに、せつかく政府の方がそのように融資の面を努力すると、一昨日の大臣言葉の中にもそういう言葉がございましたけれども、実際に窓口行つた場合に、はたしてそれが行われているやいなやという問題でございます。十一月中だけでも名古屋と、それにまつわるところの名古屋一円の倒れた業者だけで十二商社余ございます。これが全部銀行からいびり出されたものばかりでございます。なぜそうなつたかというと、これにはいろいろ原因がございますけれども、むしろ今次官さんのおつしやつた言葉とは、まるで反対なことを銀行からやられておる。銀行行つてその理由を尋ねてみますと、これは高率適用強化日銀から命ぜられておるからやむを得ないということをはつきり言つております。この事実に対してどのような施策とつたらいいのかということについては、私は過ぐる国会の折に、大蔵省当局にも、ここへ来ていただいて、そうして話しましたところ、さような事実はないという御答弁であつた。そこで私はそんなことを言つてつたら、今月中にばたばた倒れますよ、それでもよろしゆうございますかと言つたら、いやそんなことはないと思うからあと調べるということでありました。そして東海財務局あと調べたというのですが、実に快な話ですが、どこで調べたかというと東海銀行窓口調べた。東海銀行にそんなことを尋ねても、私のところは私の系列以外のものは、いびり殺しましたというようなそんなあほうな答弁をするばかなところがありますか。さような事実はございませんと答弁しておる。それで今度はやむを得ないから別な金融機関調べたが、どこの金融機関つて東海地方へ行けば東海銀行へ右へならえをして、さような事実はないと言うにきまつておる。ところが手形交換所へ行きますと、毎日ぶつ倒れておる。そこでさような事実がもしないとおつしやるならば、私はここに材料をうんと持つて来ておりますが、その材料一つ二つはあまりにも系列融資がはなはだしいし、それのみか大企業の圧迫によつてこれが起きたということがはつきりしている事実になつています。これはやがて公取委で取上げられる問題になるだろうと思つておりますが、その折になつてから、通産省はそれは知らないでは通りませんよ。そこで年末にあたつて、あなたのおつしやるように、ぶつ倒れたりするのはかわいそうだというお考えはまことにけつこうでありますが、その精神がほんとうに窓口に具体的事実となつて現われるようにするには一体どうしたらいいか。これは早急を要する問題です。ここ一週間か二週間が山でございますが、それについてお尋ねいたします。
  6. 古池信三

    古池政府委員 ただいま加藤さんから御指摘のような事実もあつたかとも存じまするが、ただ大蔵省の方でどういうお調べをなさつたか、それは私ども存じませんが、いずれにしても、年末の金融が非常に大問題であり、また中小企業方々がお困りであるという事実は、これはだれしも否定のできないことであります。そこでわれわれの立場といたしましては、年末に際しましては、できるだけ大企業の方からしわ寄せが最後に中小企業者の方に集まつて来るという弊害最小限度にとどめたい、さような考えで極力努力はいたして来ておるようなわけであります。そこでどういうふうな具体的な処置を講じつつあるかという問題につきましては、それを申し上げて御説明をいたしてもよろしいのでありますが……。
  7. 加藤清二

    加藤(清)委員 概略でけつこうです。次官さんからそうこまかいことは聞かなくてよろしい。
  8. 古池信三

    古池政府委員 それではごく概要について申し上げたいと思います。第一は、政府からの指定預金の新規の預託あるいは引揚げるべき予定のものを延期するという問題でございます。これは指定預金引揚げが十一月三十日に百九億円行われまして、そのうちで商工中金相互銀行信用金庫などのような中小金融専門機関に対しましての分が三十七億円、従つて十一月の残高は調べてみますと、二百八億円となるのであります。そこであらたに今度は中小企業金融専門機関のために十一月の本に五十五億を預託したような次第であります。その内訳は、商工中金に対しまして二十億円、相互銀行に対しましては十六億五千万円、信用金庫は十四億五千万円、長期信用金庫及び新設銀行に対して四億円、かような割合で配分をいたしたのであります。それから十二月中に指定預金引揚げ予定は、約六十億円となつておるのでありますが、そのうちで中小企業金融専門機関に対する分として四十六億円という数字になつておりますけれども、ただいまのような事情でありますから、できればこの四十六億円の引揚げは延期をするようにいたしたいと考えております。  それから政府機関としての国民金融公庫中小企業金融公庫並びに商工中金の年末資金手当としましては、大体次に申し上げるような措置を講じておるのであります。まず国民金融公庫につきましては、昨年の十一月及び十二月におきまする融資実績がそれぞれ十五億円及び四十五億円でありました。これにかんがみまして、本年におきましても少くとも昨年と同額以上の融資を行い得るように考えておるのでありまして、先般の災害関係融資のために十六億円の特別のわくを設けたのでありますが、そのために資金の圧迫をされることをできるだけ緩和したいという目的をもちまして、新たに資金運用部から十六億円の借入れを行うこととしたのであります。これによりまして十一月及び十二月におきます融資予想額は、回収金等を考慮に入れまして、大体二十八億円並びに四十六億円程度になると考えておるのであります。  第二に中小企業金融公庫につきましては、既往の災害関係融資わく十八億五千万円を補完いたしまするために、開発銀行に対する承継債権の買取りの予定が三十八億円でありますが、その半額の十九億円の支払いを明年の三月以降に繰延べることといたしまして、それだけ今回緩和されるわけであります。そうしてさらに年末対策といたしまして、十億円を追加配分をするということに決定をしたのであります。これによりまして第四・四半期分としましては、二十二億程度資金が残されることになるのでありますが、回収金貸付金利息等約十億円を第四・四半期に利用できまするから、大体月十億円程度以上は確保できると考えておるのであります。それから中小企業金融公庫の年末対策一つといたしましては、従来主として長期設備資金に貸付けましたのを、今回運転資金の方にもまわすことにいたしました。しかしこれもなるべくたくさんの人たちに利用してもらいたいという意味合いから、限度を一件について百万円というにとに一応いたしておるのであります。これらは中小企業者に対しては相当に役立つのではないかと考えております。  第三番目に、商工中金につきまして申し上げれば、特に協同組合等におきまして年未資金の需要が増大すると考えられます関係上、昨年の実績を見ますと、ちようど十月から十二月までの三箇月間に約八十三億円増加いたしておるのであります。そこで今年度におきましては、十月、十一月とも大体十五億円程度の純増にとどまりまして、昨年に比べると若干減少をしておるのであります。そこで十二月においてはそれらの関係から五十億円を越えるものではないかという予想が立つのであります。そこで先ほど申しました指定預金をまた新たに二十億円預託する、それから中小企業金融公庫よりの配分わく九億円の活用をはかる、それから指定預金の十二月の十億円の引揚げを延期するというようなことで、十二月を何とかまかなつて参りたい、かように考えておる次第であります。  次に信用保証協会が保証いたしまする手形は、必要に応じて日本銀行貸出担保に供するというようなぐあいに、中小企業に対します信用補完制度活用を十分にはかつて参りたいと思つております。  それから市中金融につきましては、中小企業者年未決済資金融通について、特に十分に配慮をしてもらうように大蔵省にもお願いをいたしますとともに、ただいまお話のような、大企業者から下請中小企業に対しての支払いが遅れるというようなことのないように、関係方面にもこの点は御配慮を願つておるようなわけであります。その方法といたしましては、政府及び地方公共団体からの支払い促進、並びにこれに関連をいたしまする下請中小企業に受取り委任を行うように勧奨をするというような方法で、できる限り下請企業に対する支払いの遅延を除き、これを迅速化するようにして参りたいと存じておるのであります。  それからただいまもお話がありました公正取引委員会でありますが、これは下請企業者に対して支払いを不当に遅延しておるような大企業者に対しましては、公取委から警告措置をとつてもらう。また日本根行におきましても、下請企業に対する支払い促進方について、市中銀行に対して十分に、有効に指導してもらうようにお願いをする。またさらに全国銀行協会といたしましても、金融措置を通じて下請支払い促進をはかるというような各般の手段を講じて、できるだけただいまのような弊害を除きたい、かように考えておるわけであります。  さらに中小企業信用保険制度活用の問題でありますが、年末における小口ないし零細資金融通を円滑にいたしまするために、一件十万円以下の小口金融につきましては、特に保険制度の利用を促進するように保険填補率の引上げ、保険料率引下げ等については、ただいま大蔵省と折衝いたしておるようなわけであります。  それから中小企業金融公庫国民金融公庫等代理貸付にあたりまして、代理店保証責任分保険する保証保険の契約のわく、ただいま二十四億円になつているのでありますが、さらにこれを十億円増加することとして、両公庫からの融資円滑化を一層はかつて参りたい。ただいまかように考えているようなわけであります。
  9. 中崎敏

    中崎委員 議事進行について……。こういう金融問題を論議する際において大蔵省責任者出席を求めなければ十分に論議はできないと思うのです。そこで先般この問題にも一部の関連があるのですが、大蔵大臣並びに日銀総裁出席を要求しておるのでありますが、いまだに実現をしないわけであります。そういう根本問題を離れて枝葉末節の問題を論議しても十分には行かぬ。そこで委員長の名において、すみやかに大蔵大臣並びに銀行局等直接その衝に当つているような立場にある人々、それから日銀総裁出席を要求するように委員長お願いしておきたいのです。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 月曜日に大蔵大臣、それから日銀その他の公庫人たち出席を求めているわけです。それで今大蔵大臣は御承知のように予算案関係が参議院に移りまして、もし出られなければ政務次官とでも思つておりますが、応われわれといたしましては、ぜひ大臣に来てもらいたいという要求をいたしております。加藤君。
  11. 加藤清二

    加藤(清)委員 次官さんの御説明はだんだんごもつともなお話で、それについてとやこう言うわけではございませんけれども、せつかくのその精神がどういうふうに御指令をなさつても、どういうように御注意あそばされても、実際に窓口へ行きますと、行われていないという具体的事実が幾らもある。かりにそれが行われたとしても、系列融資が行われているあなたは倒れた商社がどういうわけで倒れたかということをお調べなつたことがあるでございましようか。いわゆる聞くも涙、語るも涙という、るる訴えることを事実この目で見て来ているのであります。その全部、ほとんどが系列融資強化――高率適用という無上命法を具体的に表わすには、窓口では系列融資ということをやる。その系列をはずれたものがほとんど倒れているということなんです。そうなりますと、せつかく政府善処方も一部には行われても、一部には行われないということになつて来る。もつともそれは金のほしい人がたくさんあつて政府の与える金が少いから、どこかでずれが出て来るのは当然でございますが、そのずれが片一方に片寄つてしまうというところに、何らかの処置に出ていただかなければならぬ点があるのではないかと思うわけであります。それからもつと手取り早く通産省でやれることがある。それはほかでもございませんが、これはさきにも私こういうことを言つたのですが、日銀総裁は、徹底的に強化せよ、関西へ行つた東京にいるときよりもつといい気分になつて徹底的に強化を叫んでおられる。それはけつこうです。自分がつてな手前みそなら、どんなことを言つてもいいけれども、銀行窓口を集めて逆ざやになつてもやれ、こういうことを言つておられる。今逆ざやになつてもやれと言われたことが、私はうそだ、はつたりだと思つてつたら、十一月のあの統計によつて、手前の銀行はけしからぬといつて、事実罰則の金利を課しておられる。それが手形交換所帳じりが合わされておる。そういう事実を御存じでしよう。これに対してどうなさるのですか。これだつたら今度十二月にはぶつ倒れて行く商社がもつとふえますよ。きようわれわれがこうやつてしやべつている間にも倒れて行きますよ。全国では日に二商社ずつ倒れる。中京地区だけで二日に一商社倒れている。きのうの手形交換所帳じり調べてみてごらんなさい。千二百六十万余の不渡りが出ている。これをどうします。名古屋で三百万余出ていますよ。きのうの調べです。うそだと思つたらあなた調べてみてください。これに対してどうなさいますか。
  12. 古池信三

    古池政府委員 手形交換実績を私は調べておりませんが、ただいまの加藤さんのお調べなつたことは、その通りであろうと思います。そこで、今すぐこれをどうしろと言われましても、これはたいへん困難な問題であります。日銀総裁としてはまた総裁としての全体の大きな金融立場からのお考えもあろうと思うのであります。たとえば第三・四半期におきましては、相当政府資金が散布されておる。これに対してインフレの傾向を是正して行こうというような、いろいろな根本的な御方針によつてそういうことを言われたのではないかと私は想像しておるのでありまするが、われわれの立場としては、特にこの年末に際して引締め方があまりに行過ぎになつては困る、特に中小企業関係については、何とか年越しができるようにさせてあげたい、こういう気持は十分に持つておるのでありまして、そのために、ただいまるる申し上げましたよう方策をとつておるようなわけであります。銀行窓口が一向われわれの希望するように動いておらぬではないかというお尋ねでありますが、これはなかなかむずかしいので、通産省から大蔵省に話をして、大蔵省から監督の立場銀行指令をしてもらうという方法しか今ないのでありまして、そういうことは、われわれとしては十分大蔵省お願いをしておるわけであります。なお徹底しておらぬ向きがありましたならば、今後さらに大蔵省にもお願いをして、早く十分に徹底するようにしていただきたい、かように考えております。
  13. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君に申し上げますが、他に質疑通告者もありまするので、その点ひとつお含みの上でお願いいたします。
  14. 中崎敏

    中崎委員 議事進行について。実は会期が切迫して、余すところ幾らもないにかかわらず、通産省の行政に関しては相当広汎な問題が論議されないままになつておるわけなのです。そこで金融の問題が非常に重要だということはわかつておるのですが、月曜日にも関係者を呼んで、やるというのですから、きようはこの程度にして、次の方に進んでもらうように希望いたします。
  15. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは通産省みずからの手だけでできることを申し上げます。この商社がぶつ倒れて行く、いや、中小企業がぶつ倒れて行くということを皆さんどのように考えるかしらぬけれども、私はこれは重大な問題だと思うのです。皆さんは目に見えないからそのようなことが言えるでしようが、あらしがあつた、そうしたら国中あげて国会をやつた。賃金が足らぬといつたら、また国印あげて国会をやる。中小企業がぶつ倒れて行つたつて、目に見えないからといつてほうつておくという手はないと思う。そこで今のような施策をとられることはけつこうで、賛成です。ところがこれが大蔵省関係でできないというならば、通産省みずからの手でできることを申し上げます。それが行われていない。はつきり申し上げますと、原料高製品安ということ、これは言いかえれば価格変動ということでございますけれども、この価格変動が何がゆえに来ているか。これを中小企業に置きかえてみると、大紡績なんかは価格変動でもうける一方だからよいけれども、中小企業立場に立ては、これは原料高製品安ということなんだ。これについて一体どうされようとしているのか。私はこの際特にここで申し上げておかなければならぬことがあります。あなたたち紡績にどれだけ警告を発したところで何ともならぬ。ところが通産省のとる態度だけで是正される点がたくさんあるのです。にもかかわらず、その手が打たれていない。やれることを一つだけ申し上げます。一番簡単にやれることを。安くなるとか高くなるとかということを通産省が新聞に発表します時期を考えてもらいたいということであります。昔からそうですが、公団の物件を抱えて商社が困つた。去年のプラノ旋風でもこれまた商社機場が困つた。どうしてそうなるか。今年の例をとつてみてもそうです初めに外貨理当てを少くするすると言つたものだから、それに乗つて、それ高くなるといつて紡績がばばつと値をつり上げて行つた。これが七月ごろの話です。ところで、いや外貨割当てはたくさんやるから安くなるのだ、安くなるのだということをおつしやつた。だから機場通産省とけんかになつたことを御存じでございましよう。ところがおつしやる時期が悪いのだ。そのおかげで安くなつたらけつこうでございます、消費者が助かるから。ところが紡績機場糸商との値ぎめが済んで、もう紡績が間違いない折れて折れてまだ負かるというような――高い値で払うころになつてから、安くなる安くなると言うものだから、この高い材料を買つた機場はみな困つてしまつた。そのおかげで商社のぶつ倒れている数が幾らあると思いますか。これは責任をとつてもらいたい。通産大臣あるいは繊維局長の発言が国内の価格に及ぼすに影響は甚大で、きようおつしやつたことがきようの後場に大きな影響を及ぼすということを御存じでしよう。あなたの言葉一つで後場の三品がひつくり返りますよ。経験者ですからよく御存じでしよう。にもかかわらず、それを承知の万々が、何がゆえに値ぎめが済んでからそういうことを言わなければならぬのですか。糸の値段が三・六・九でかわるくらいのことはよく御存じでしよう。一体それで中小企業を助けるなんということが言えますか。価格の安定なんて空念仏に終るではございませんか。これに対してどうなさるのですか。倒れて行つている商社の身になつてごらんなさいよ。
  16. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのおしかり、私はお答えするのが非常につらいのであります。確かに政府で発表したりあるいはお話をすることが、ただちに業界に甚大なる影響を与えるであろうということは当然予期されることであります。従つて、今後さような発言をするような場合には、政府としても十分に注意をいたしたいと考えておりますので、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  17. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君に申し上げますが、時間が少いからそのつもりでお願いいたします。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの問題については、十分に注意するというだけでは納得できません。さきの公団の物件のときもそう、フラノ旋風の場合もそう、もう通産省はこの点については再三経験済みのはずである。にもかかわらず、紡績だけが守られて、他のものがその犠牲にさせられている。そのしわ寄せで倒産商社続出、こういう点についはて承知がならぬのです。これは以後気をつけるだけではいかぬ。今後慎重に計画を立てて、私は何を言えとは言いません。ただ発表なさる時期、ちようど商売に商機があるのと同じように、あなたの方でも時期を考えてやつてもらわぬと、相手はときによつて死ぬか生きるかの大勝負をやつているのですから、ここをよく心得てもらいたい。心得るだけでなしに、具体的にこの方策あとで述べていただきたいと存じます。それで次に移ります。
  19. 中崎敏

    中崎委員 関連質問ですが、今加藤君のような事実があるとすれば、政府の側においても責任は重大だと思うのです。そこでこれによつて迷惑を受けた中小企業者をすみやかに調査をして、どの程度に被害を受けたか、それについて適正な措置政府側において講じられる責任があると思うのです。だからその点についてはひとつ政府側において責任をもつてこの問題について対処するということを、この際明らかにしていただきたいと思います。当時の局長がどうであつたか、あるいはだれがどういう発表をしたか私は知らないのですが、そういう点は一応調査、されて、今後のこともあるし、現実にそれによつて被害を受けておるということになれば問題は簡単でないわけです。そこでこの点一応政府側においてすみやかに調査して、そうして適正な措置を講ずるということをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  20. 古池信三

    古池政府委員 私は政府の当局がどういうことをいつ言つたかということを今ここで記憶いたしておりませんが、しかし少くとも政府の要路にある者が、あるいは紡績を保護し、機屋を困らせるということを意識的に考えて発言をしたとは私は絶対に信じません。今後とももちろんそういうようなことはあるべきことではないと思います。ただたまたま新聞記者諸君と語り合つたというようなことが新聞に掲載される。また業者としてはそういうことを常に注意をして商売をやつていることはこれは立場上当然のことであります。また業界におきましては、いろいろ思惑というようなこともありまするし、何かの材料をつかまえてそれを思惑の材料にしようということも、これは商売としては当然あることであります。少くとも通産省としましては、全体の価格の安定ということを庶幾してすべて発言はやつておると思うのでありますが、ただいま御指摘のようなその発言の時期が悪かつたようなことがあるとしますれば、これははなはだ遺憾なことで、その点については将来十分に注意をいたして参りたい、かように考えます。
  21. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは具体的事実を調査までもなく、すでに毛織業界から通産省へは両三その話合いがあつたはずです。それですからよく御存じのはずです。また今思惑とおつしやいましたが、こんなことをやつておると時間が長くなりまするからいずれ後に譲りますが、思惑のことじやないのですよ。私は三品市場のことを言うておるのではございません。通産省が外貨割当を多くするかしないかという問題と、それから安くなるとか高くなるとかいう発言の時期ですね。それに気をつけてもらいたい、こういうことを言うておるのです。思惑のことじやない。これは真剣勝負なのです。このために倒産して行つた商社が、今数をあげろとおつしやつたが、幾らでもあります。ここに頼まれて持つて来ているのです。それは事実です。もうそれは別にしましよう。  そこでそういうようにやられておるやさきに、またぞろ困つた材料一つ出て来る。それは繊維製品に対する課税の問題でございます。これはおそらく次の国会では論議されることでありましようけれども、この点について通産大臣は、この間大衆課税はさせない。業界がそれによつて非常に困るようだつたらさせないのだという根本趣旨を簡単にお述べになつたわけでございますけれども、具体的事実として、税制の調査会の方ですでに答申案ができて、ここから二百億とるのだということをはつきり言うておる。私はこれでおそれるのは、このおかげで、事実これをやつたならばどういう結果が生じて来るか。毎日あなたたちが、いや国民全体が考えているところの繊維輸出振興ということはゼロになります。ことに毛織物の輸出ということは全然できなくなります。繊政課長さんがここにいらつしやるし、専門家がたくさんいらつしやるからよくおわかりでしよう。今輸出については出血輸出をやつておることはよく御存じでしようこれに半年余から一年余は一五%から二十%に至るところの税を負担させなければならぬという結果が生じて来る。ところがここから得られるところの利益はわずか二%か三%です。だから香港のああいうオーバ一・プライスの問題が出て来るということなんです。かてて加えてここで税金をやつて二〇%も三〇%も一年間も抱きかかえるだけの余裕がありますか。輸出振興は口だけのから念仏に終つてしまいます。そこで私は輸出振興立場に立つてこれをながめた場合に、通産省としてはどのようなお考えを持つていらつしやるか。またこれに対してどのような手だてをしてこの税制調査全会の案に対抗なさろうとするのか。反対であるという意味のことだけ通産大臣からお答えいただきましたので、具体的方策をここで承りたいと存じます。
  22. 古池信三

    古池政府委員 繊維の消費税はかつて存在したのをとりやめた歴史があるのであります。今回また織物消費税をつくるということにつきましては、私どもとしてはできるならばとりやめてほしいという希望は持つております。しかしこれは国家全体の歳入の問題になつて参りますから、一通産省だけの意見でどうこうというわけには参らぬと思いますが、どうしてもこういう税をつくらなければならぬといたしましても、これが国民生活の上に非常に大きな影響を与えるものでありますから、なるべく大衆的な課税の形はとりたくないということはかねて大臣からもお答え申し上げたと存じます。しからば今どういうふうな方法を講ずるかというお尋ねでありますが、これはいずれ国会皆さんの御意見も伺つたり、また政府部内でも十分にこの問題については討議をして、できるだけ妥当なところにおちつくように持つて行きたい。今かように考えておる段階でございます。
  23. 加藤清二

    加藤(清)委員 あともう一点でおしまいにします。  この際どうしても申し上げておかなければならぬことは、輸出振興立場からこれは不当であるという一点と、もう一つは、それでは事実行うとして織物にかけるか、糸にかけるかという問題がございます。まだきまつていないようでございます。織物にかけようが、糸にかけようが、今日政府は合成繊維の奨励ということをおつしやつていらつしやいます。そうなりますと、おかしなことに、全部にかけるということならこれは何をか言わんやでございますが、絹と毛糸、麻だけにかけるということなんです。そうするとどうしても品質の表示をしなければならぬということになつて来る。この前の国会に品質表示を出すといつて準備しながらもおやめになつた経験をお持ちでございます。理由はよくおわかりのはずでございます。とうてい品質を表示せずにはできません。なぜならば混綿されておる。混紡されておる。混織されておるから、その混合物を一体だれがどこでどうやつて調べるのですか。それをわかるお方が何人いらつしやいます。失礼ながら通産省の中に何人いらしやいますか。ちよいとつまんで何パーセント入つておるかということがわかる人がどれだけありますか。そうなりますと、具体的にこれを行うにあたつては、しろうとの、知らぬ人が検査官になる、こういうことになつて来る。化学検査したらいいじやないかというけれども、一つ一つでき上つた糸を化学検査されておつてはたまつたものじやない。今だつてスムーズに出ないからといつてつておるのに、それを一々ストップされて、試験管の中に入れて振つてつたらたまつたものではない。マツチですつたくらいではわかりません。わかる人があつたら手を上げてもらいたい。こんなものが手で握つてわかるくらいの人が何人おるか。それは一〇〇%か五〇%ならだれでも知つております。しかし毛七とも八とどうやつてわかりますか。そういう方が何人いらつしやいますか。失礼ながらこんなものは大学の教授でもできませんよ。業界の混綿部の連中しかわかりません。そのときに一体どうやつて正擁に税金を取立てられますか。そういうあほうなことは考えない方がいい。これはもう休むに似たりです。そんなあほうなことをやつてできるとお思いになつたらとんでもない大間違いです。もしやるとするならば、この混綿、混紡、混織、このものからいかようにしてとるか、これをはつきり明示されぬことには、業界はてんやわんやになります。それから荷が遅れてかないません。契約時期に荷は納まりません。こういう問題についてよくお考えの上、実行に移していただきたいものだ。実行に移す前に、そういうむずかしいことはあつても、この方法をとればばつさりと短かい時間に荷が遅れないようにスムーズに出せるのだという方法を明示していただきたいものだと思います。その方法が今ここにございましたら、はつきり言うていただきたいと思います。
  24. 古池信三

    古池政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この問題は目下検討中でありまして、できる限り最小限度にしたいという考えでおりまするので、ただいま御指摘になりましたような問題、すなわち課税上の方法の問題、あるいは一体徴税技術としてどういうようなことをするかというようなところまでまだ進んでおらぬのでありまするが、当然今お話のあつたようなことは、非常に困難な課税上の問題だと思います。でありまするから、かりに織物消費税というものをつくるといたしましても、そういうようなむずかしいことのないようにして行きたい、かように考えております。
  25. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではもうこれで私は終りですが、委員長さん、せつかく大蔵省から来て見えますので、通産省として、専門家でさえ困つておるというが、そこで税を取立てる方の大蔵省としてはどうやつておとりになろうとするのか、とるという以上は、具体的な方策があるでございましようから、それをちよつと承りたい。何でしたら、私はここへ見本を持つて来てもいいです。どうやつて見わけられるか。
  26. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 ただいま政務次官がおつしやられましたように、現在繊維課税の問題については最終的な結論を出しておりません。現在検討中でございます。その方式につきましては、税制調査会も非常に技術的な難点があるということを、理由及び説明書にも書いてあります通り、触れておるわけであります。非常に難点があるということを明示いたしております。それらにつきましても、私どもも各界の意見を聞きながら考えております。ただ過去にありました織物消費税にありましては、その非難が割合に少かつた。たとえば混紡の問題、混織の問題は非難は少かつたわけであります。これに課税いたしますれば、そこらあたりをどういたしますか。たとえば税務官吏だけが検査して参り得るものかどうか。たとえば再生毛を五〇%使つた場合、その再生毛にどんな糸を使つたか、こういう検査方式につきましては、非常にむずかしい問題がございまするが、今これをやるかやらないかにつきましても、まだ未定でございますし、やるという場合には、どういうふうにやつたらいいかという点につきましても、今後慎重に検討いたして参りたい、かように考えております。  それからもう一つ転嫁の問題につきまして、ただいまお話がございましたように、たとえば毛糸羊毛業界から二百億税金をとる、そのために羊毛業界が非常に苦難に立ち至る、こういうお話でございました。私どももこういう感がないでもございませんが、私どもの考えておりますのは、消費税としてやつて参りたい、かように考えて、やるといたしますれば、消費税ではなかろうか、こういうように考えております。これは税の前転、後転とかあるいは償却とかいうような問題もございますけれども、今回直接税の軽減をカバーする意味での間接税といたしますれば、何といつてもそれが直接税の形で業界の負担になつてはならないのだ、私どもはこういう大前提を立てておるわけでございまして、何とかこれは、消費税といたしますれば、消費者から税金をとつてこそ消費税になるわけでございますから、そこらあたりにつきましては、たとえば税率の問題、あるいはかける企業の強さの問題、そこらあたりを考慮いたしまして、検討すべきじやなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。
  27. 中崎敏

    中崎委員 先般の通産大臣並びに先ほどの政務次官及び今の大蔵省の税制課長の話の間の食い違いがある。というのは、通産省側においては大衆課税は避けたい、税制全体から見れば、状況によつて税金としてはとらなければならぬかもしれぬけれども、大衆課税だけは避けたいという意向のようです。ところが片方では、大衆課税にならざるを得ないというふうな印象を持つたので、その間に重大な食い違いがあるように思うのですが、それをひとつ明らかにしてもらいたい。
  28. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 私の説明が不十分であ  つたかもわかりませんが、私通産省のその当時の御答弁を聞いておりませんでしたが、若干食い違いがあるようにお聞きとりになられたかもしれません。ただいま申し上げましたように、今回の税制調査会の、われわれがとつておりまする精神と申しますか、最近非常に強くいわれておりますことは、直接税が非常に重い、ことに勤労所得税におきましてよくいわれるわけでございますが、急激な累進税率を取入れまして、生活費まで食い込むような累進税率、これあたりはぜひ直してもらいたい。それからまた中小企業からは、御承知のように中小企業の負担がきわめて重い、ことに事業税におきましては、一二%の、相当高率の税金だ、それからまた非課税範囲その他において相当の不公平もある。こんなような空気が支配的でございます。ことに法人税におきましては、資本蓄積を相当阻害しておる、というようなわけで、直接税につきまして、若干シヤウプ勧告による行き過ぎた面の是正の声が非常に強いようでございます。そこで最近そのために直接税の減税を間接税で補えという声が強いわけでございます。しかし直接税の減税を補うといたしまして、現行の間接税ではなかなかうまく参らない。そういたしますれば、何らかひとつ新しい間接税と申しますか――古い間接税ももちろんでき得る限り奢侈的なものを上げるということをいたすのでございまするけれども、それだけではなかなか収入の面がうまくカバーできないだろうというわけで、新しい税金の話がぼつぼつ持ち上るわけで、私ども研究いたしておるわけでございます。そういたしまするならば、相当収入を上げなければならぬ、しかし収入を上げるにいたしましても、できるだけ大衆課税的な色彩を避けながらやつたらどうであろうか。技術的な見地でできる限り大衆課税的な色彩を避けてはどうだろうというような意見が、税制調査会あたりでは出たわけでございます。私どもこれがどの程度できるかどうかわからないのでございますが、私どもといたしましても、たとえば綿布、綿製品などにつきましては、過去におきまして織物消費税をやつてつた時代におきましても、非課税であつた時代があつたわけでございます。こんな関係を考慮いたしまして、課税しない方がいいのではなかろうかというような意見が出ておるのではなかろうか、いづれ聞接税の性格といたしまして、ある程庭の大衆課税的な色彩はあるわけでございますが、物品税におきまして段階税率を設けておりますように、何らかの形で、設けます際には、大衆課税的な色彩は避けて参りたい、こういうように考えておるわけであります。
  29. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君、簡単に願います。
  30. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではこれでやめます。ただ、この問題はこの次の国会にやればいいことですからやめますが、今、目下慎重検討中だとおつしやるが、その大蔵省側の考え方に誤謬があるから、それだけをひとつ直しておいてもらいたい。それはほかでもございませんが、繊維課税は前にもあつた、その通りです。四〇%あつた。ところがそのときにはあまり反対がなかつたというお話でございますが、それはその通りですよ。大蔵省までそんなことは響いて来ませんが、今やつたらものすごい反対が起きます。それはどういうことかというと、あの当時は全部チヶツト制だつた。統制なんです。統制というたら、神様に参ることはやめても通産省参りをやつた時代なんです。そういう恐しい人に向つては何ら文句は言いません。そのかわり正直に言いますと、ごまかしをたくさんやります。もうごまかしてごまかして、ごまかし抜く。そうして穴埋めをやりました。ところが今は統制でないからごまかしをやらぬようになつて来ておる。糸がチケット制でない。そこでこういうやさきに、前に反対がなかつたからというて、今度やられたらこれは角をためて牛を殺すということになります。しかしその角をために行つた人が、角で突き殺される場合もあるということをよく承知してやらないと、これはとんだことになります。もうそういう具体的事実があるのです。そこで前に反対がなかつたから、今度もないだろう。時期が違つておるにもかかわらず、同じ条件だなんてお考えなつたら、これはとんでもないことになりますから、角をためて牛を殺さぬようによくお願いします。
  31. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 私が申し上げました表現が悪かつたのでありますが、繊維消費税につきましては、非常な反対があることは私もつとに存じておりますし、二十四年にやめましてから、ときどきちらほら話が出るのであります。反対が非常に熾列なことはよく存じております。ただこの際直接税の減収をカバーする意味におきまして、税制調査会で答申したわけでございます。それに応じまして、私ども検討しておりますので、これにつきましては相当の反対のあることは重々存じております。ただこれがもしもできない場合には、直接税の減税というものはある程度できないということが言えるのではなかろうか、こんな感じはいたしておるのであります。この点だけつけ加えておきます。
  32. 大西禎夫

    大西委員長 齋木重一君。
  33. 齋木重一

    ○齋木委員 私は先輩の加藤君の御意見には及びませんが、時間もありませんから、一、二点御質問いたします。それは先般の委員会におきまして、通商易の次長にもよく質問したのでありますが、国民生活に重大な関係があり、年末に差迫つておる問題として、政府においてはインフレを防止するために、金融引締めだとかいろいろなことを言つておりますけれども、大衆の生活に非常な影響のあるところの砂糖の問題であります。これらをまだ放任しておいて、末端におきましては、一斤今八十円くらいにまで高騰を来し、年末に差迫るに従つて百円くらいになるだろうという予想をもつてきようきようとしております。その反面におきまして、製糖会社その他は売惜しみを強化しておる。非常な恐慌を来しておる。こういうことに対して、通商局といたしまして、ないしは通産省はどう対処されておるかということをまず一点お聞きいたしたい。  それともう一つはバターの問題であります。バターも今日東京都内は申すに及びませず、全国においても影をひそめておる。これはどんどんと高くなつておるのであります。これらは非幣、に国民生活に大きなピンチを来しており、脅威を感じておる。こういう問題に対して、通産当局は、これは農林省もきようは来ていただいておりますので、はつきりと農林省の考え方と、通産省とが一致して対処することを――加藤さんの言葉じやないけれども、時期を失しないようにやるについての心構え、どう対処をするかということについてお聞きいたしたいのであります。
  34. 古池信三

    古池政府委員 砂糖につきましてもバターにつきましても、これは御承知のように農林省の主管になつております。われわれといたしましては、農林省と十分に協議をし、その意見を尊重しつつ、輸入すべきものは輸入するという建前になつておりますが、ただいまお話のように、できるだけ時期を失しないようにしたいということはもちろん考えております。本日は農林省からも御出席になつておりますから、その点はひとつ農林省から御答弁お願いしたいと思います。
  35. 東辻正夫

    ○東辻説明員 砂糖について御説明申し上げます。砂糖の需給の問題でございますが、砂糖は昨年大体年間七十六万トンくらいの消費をいたしたわけでございますが、今年度におきましてはそれに約十万トンくらいの消費増を見込みまして、約百万トン近くの需要を想定いたしまして需給推算を立てまして、それについての輸入を通産省とも協議して手続をとつてつております。本年度当初におきましては、昨年度下期におきまする買付が一時に集中いたしまして、四月現在で大体八十万トンくらいのものがすでに手配済みとなつていたわけでありますが、その後本年下期におきましては大体粗糖で四十六万トンの輸入を計画いたしまして、そのうちすでに二十六万トンにつきましては輸入の手当を一応終つたわけでございます。あと二十万トンにつきましては、一月から三月までの間に予定をいたしておりますが、二十六万トンのつ輸入の手配の関係につきましても、外貨の事情あるいは配船、積込みの事情その他等によりまして、こちらの考えておりますような計画的な輸入が必ずしもその通りならないといつたような事情にもありまして、価格はある程度漸騰をいたしておつたわけでございますが、最近年末の需要期を控えまして、若干上昇ぎみでございます。私どもといたしましては、できるだけ安定した、しかも安い価格で国民が消費される砂糖が流通するように、輸入の問題につきましても通産省と十分連絡をとりまして手続を進めて参りたい、かように考えておるわけでございます。
  36. 鵜川益男

    ○鵜川説明員 バターにつきまして簡単に申し上げます。ただいまおつしやいましたように、東京都内でもちらほらとバターが見えないという話も出ておりますが、大体昨年度輸入いたしました数字は駐留軍の電納入を含めまして、約百万ポンド近い九十八万四千ポンド何がしでありまして、本年一月から七月までに、これは軍の関係も含めまして九十二万ポンド何がしか入つております。それで現在われわれといたしましては、通産省と話し合いまして、二十八年の四月――九月に約八方五千ドル何がし、ほかに大体ホテル用としまして九万ドル何がし、約十七、八万ドルの割当があつたわけでございます。そういうような実績を見まして、後半期の十月――三月には雑の方のわくの中で十万ドルというわくが決定になり、たしかきのうか一昨日に輸入の公表があつて、今後に輸入が期待される、かように聞いております。国内の生産の方も乳牛の頭数もふえ、牛乳の生産量もふえて来ておりますので、同様の足取りをもちましてバターの生産も二十六年度六百万ポンド、二十七年度八百八十万ポンド、二十八年度は、これは推定でありますが、前年に対比いたしまして一七%増の一千三十万ポンドの見通しをつけております。従つてわれわれといたしましては十万ドル、約二十万ポンド近いものが近く入つて来ます。その状況を見まして、それが食生活の改善の面とにらみ合せまして、さらに一般の市況を見てその後を考えたい、かように考えております。
  37. 齋木重一

    ○齋木委員 えらい数字を羅列して何とかかとか言われるが、現実において皆さんバターを買いに東京市内を歩いて、あるかどうかという問題です。御説明になるあなたが、バターを買いにお歩きになつて、どれだけ高くなつて、こうだということがはつきりおわかりになつているか。数学的にいろいろ言うてごまかしただけでは、現実はやつて行けない。これは一部は政治的に動いているでしよう。輸入その他の画において阻止しておいて、そうして利潤追求のためにやつている。某代議士のごときは、私の先般の質問に対して、きりきり舞いをしてまわつて歩いたというようなことも聞いている。これは何を意味するかということも私どもは考えなければならぬと思うのであります。それに対して農林省でも通産省でもちとぼんやりしているんじやないか。国民生活に及ぼすところの影響をどう考えているか。こういうこともまず考える必要があると思う。バターの問題、砂糖の問題について、数字的に十万ドルとか十七万ドルとか、割当をもらうとか、もらわぬとかいう机上の空論でなくして、実際においてそれを輸入するなら輸入して市価の安定をはかり、国民生活の上昇に対する物資の円滑化をやらなければならないと思う。これは一つの例をもつて申し上げますと、アルコールも、見ていると、今精密糖を使つてアルコール製造をやつている。アルコールも私は折があつたら一大爆発をやらなければならぬと思うのですが、アルコール専売等についても通産省は何をやつているか。監督などというても。腐敗その極に達している。こういう問題に対して私はちやんと材料を持つている。アルコールをなめているどころの騒ぎじやない。非常な問題がある。これらについて通産省は一指も染められない。昭和二十六年から今日まで、ただ臭いものにはふたをしておけという主義でやつているんじやないか。これは決算委員会等にも持ち込んで徹底的に究明しなければならぬ大きな問題がある。官紀粛正の意味からも――吉田総理大臣も官紀粛正を非常に言うておるが、末端においては少しもやつていない。こういうことについてわれわれは材料を待つているのである。砂糖と、当面したバターの問題について、早く市価を安定するという措置を――十万ドルとか何とかいうんじやなくて、通産省もそれに対して呼応して早くやるということをここで言明していただきたいと思う。
  38. 古池信三

    古池政府委員 主管省の農林省と十分に協議いたしまして、御期待に沿うように早急に措置を講じます。
  39. 中崎敏

    中崎委員 バターでも砂糖でも昨年に比べて非常に輸入計画の数字が多いということはわかるのですが、それにもかかわらず、需要の自然増はあるでしようが、バターにしても砂糖にしてもこれだけ値段が上るというそ原因、理由はどこにあるのか、それをひとつ納得の行くように御説明願いたいと思います。
  40. 東辻正夫

    ○東辻説明員 砂糖について御説明いたします。砂糖は、先ほど申し上げましたように、大体私ども百万トン程度の需要を見込んでおるわけでございますが、国内生産は、大ざつぱに申し上げまして約五万トンでございます。差引きいたしまして九十五、六万トンのものを輸入しなければならない実情になつております。従いまして国内の糖価の関係も、大体輸入の数量あるいは輸入の時期等によつて価格変動するわけでございますが、できるだけ計画的な輸入をいたしまして、そして価格をできるだけ安定させたいということで、通産省とも十分連絡をとつてつておるわけでございますが、ただ外貨の事情あるいは海外の相場の変動等もありまして、われわれが期待するような時期に船が到着しなかつたり、そういつたような事情からいたしまして、また一方時期的に砂糖が集中して入るというような場合におきましては、多少変動するようなこともありまして、できるだけそういうことのないように十分注意はいたしておりますが、本年の当初等におきましては、先ほど申し上げましたように非常に買付のものが集中した関係で、一時的に供給が過多になつたというような現象からいたしまして、大幅に動いたわけでございますが、現在は大体海外の相場も比較的安定して参つたようでございますので、今後は大体安定した価格でもつて供給できるのではないか、かように考えております。なお最近の傾向等につきましても、通産省とも十分打合せをいたしまして、一月――三月に輸入を考えておりますもの等も、できるだけ早く方針をきめて計画を進めて参りたい、かように考えております。
  41. 中崎敏

    中崎委員 抽象的な説明ではちよつとわからないのです。それで海外相場の変動の状況をグラフにしたものと、岡内の砂糖の市場価格変動をグラフにしたものと、さらにそれだけでは十分納得が行かぬ面があるがら、今度は輸入の手当がどういうふうな状態においてどういうふうに価格に影響しておるかというふなものの、数字的根拠を明らかにしたものを、ひとつ資料として出してもらいたいと思います。
  42. 山手滿男

    ○山手委員 今砂糖の話とかバターの話が出たのですが、結局これは輸入物資であるし、外貨の割当の問題が当然からんで来ておるわけでありますが、さつきからのお話のように、非常に計画性がない。政府が朝令暮改をやるということがこういう原因になつていると私は思う。砂糖の話がありましたが、今冬を控えて非常に大きな問題になつておるのは石油の問題です。これは私は見のがすことができないと思うのですが、昭和二十六年の暮れごろから政府は率先して、熱源を電力や石炭から切りかえて重油転換をやれというので国会においても重油転換の必要性を政府が説き、かつそれに応じていろいろな施策をし、石油の供給についても十二分に確保するという建前でやつて来ておられる。ところが最近この冬になつて参りまして、電力の問題やなんかが非常にやかましいさ中に、石油が非常に払底をいたして、熱源として一番需要の旺盛のときに足りない、そのために市価は高騰をしておる。私はこれは時期を失した政治のやり方である。産業界にとつても国民生活にとつても非常に大きな問題でありまして、今砂糖あるいはバターの話が出ましたが、こういう石油のようなものは、これも動力源になつておるわけでありまして、見のがすことのできない問題である。それをやるなら豊水期あたりにおやりなさい、夏分からお始めなさい、私はこういうことを言いたいのでありますが、むしろこの際は思い切つて石油を入れて物価を引下げ、熱源を国民のために確保するということが緊急の施策である。やるのなら春時分におやりになつたらいいと私は思うのでありますが、そういう点についてどうお考えになりますか。
  43. 永井勝次郎

    ○永井委員 関連して……。山手委員から石油の問題についてお話がありましたが、これはほんとうに石油と国民生活あるいは国内産業、こういうものを結びつけてまじめに考えているのではなくて、私は今度の石油の対策については謀略があると考えます。それは国内における石炭資本を擁護するために石油を入れないで、最も石油の需要期にこれを抑えて、重油燃料あるいは石油の需要を石炭に切りかえて貯炭を処理して行く、こういう一つの謀略からすれば、まさに適期に適当な手を打つて来たものだ、こういうふうに私は考えるので、山手委員は国民生活の立場から時期を失したと言うが、石炭資本擁護の立場から言えば、適当な時期を選んでおると私は考えるのでありますが、これはそういう擁護の立場からこういう手を打つて来ているのじやないか、こういうように考えます。あわせて御答弁を願いたい。
  44. 岩武照彦

    ○岩武説明員 お二人の御質問の趣旨を要約いたしますと、石油の輸入を的確な時期に確保して、国民生活並びに産業上遺憾なきを期せという御趣旨と存じております。実は石油の需要につきましては、当初年間の需給推算並びに上期の外貨予算を組みます際に、相当大きくなるだろうと思いまして、相当見たのであります。それにつきまして、所要の外貨も裏づけしておるわけでございますが、その後ますます石油の需要が伸びまして、特に重油関係並びに燈油関係の需要が相当増加しております。実は私たち予想外であつたわけであります。そこで、この冬の問題がございますし、また今後のこともございますので、とりあえずこの冬場をしのぐために、どうしたらいいか、輸入をどういうふうな形でどの程度したらいいかということを、目下検討しております。至急結論を得て手当をやつて行きたいと思つております。もちろん石炭鉱業によります影響もございますが、これは石炭鉱業の方もいろいろな手を打ちましてコストを下げまして、石油の輸入によります影響が致命的にならないように、いろいろの手段を講じております。もちろん御指摘のような石炭資本擁護ということは、毛頭ございません。ただ御指摘のように、需要も夏場は相当減少して参りまして、ある程度中小炭鉱等におきましては、苦境に立つておることも、これまた御承知の通りだと思います。その点を考え合せまして、石炭鉱業の健全なる発展、また石油による動力源の円滑なる代替、両方にらみ合せまして、的確な手を打ちたいと存じております。
  45. 中崎敏

    中崎委員 石油の問題に関連しているのですが、石油の値段が全体として非常に最近は上る傾向にある。また条件が非常に酷である。たとえばサイドのごときも、非常に短かくなつており、相当強力な担保を持つて行かなければならぬとか、非常にきゆうくつな上に、一つは品物が払底しておるのですが、これは輸入の数量が需要とマッチしていないということもその原因かもしれませんが、一つにはいわゆる英米石油カルテル、そういうものが、猛威を発揮しているのじやないか。もしそうであるなら、問題であります。この点について、そういう関連性があるかどうかということをあなたの方で調査しておるかどうか、そういうことに気づいておられるかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
  46. 岩武照彦

    ○岩武説明員 本日ちようど主管の局長が参つておりませんで、そういう事実がありますかどうか、私自身は存じておりませんが、至急取調べたいと存じます。ただ御承知のように石油の販売系統は英米系の販売系統もございますが、なおそういうような外国資本の入らない販売系統もございますから、その辺もどうなつておりますか、あわせて調べたいと存じます。     ―――――――――――――
  47. 大西禎夫

    大西委員長 次に電気事業に関する件について調査を進めます。質疑通告がありますからこれを許します。永井勝次郎君。
  48. 永井勝次郎

    ○永井委員 局長にお尋ねいたしますが、電気料金の値上げが問題になつておると考えるのでありますが、この電気料金値上げについて、当局はどういう取扱いをする考えであるか、値上げの必要を認めるか認めないか、認めるとすればその時期はいつごろと考えておるか、そうして値上げをする根拠はどこにあるか、その値上率はどういう程度であるか、会社の経営に対して原価計算に基く赤字を埋めるという限度にこれを上げるのか、もつとそれぞれ、の会社の利潤を増すために、値上げをこの機会にしようとするのか、それらの電気料金値上げの問題を中心にして、当局の取扱い態度を詳しく伺いたいと考えます。
  49. 中島征帆

    ○中島説明員 料金問題でございますが、これは前提といたしまして、昨年来非常に進歩しております電源開発事業がだんだん完成いたしまして、新しい発電が追加されることになりますと、新規の発電原価というものは、特に水力の面におきまして、現在の原価に含まれております水力原価に比べますと非常に高いわけであります。従つて新しい水力発電が追加されますと、その分だけ原価が高くなることは否定できない事実でございます。そういう面がだんだん今年あたりから現われて来つつある。これが値上げ問題が起きる根拠でございます。そこで、現在の料金は昭和二十七年の五月に改訂をされまして今日まで一年半経過しておりますが、当時は二十七年度の需給推算等の数字を元にして策定した料金でございます。従つて現在の発電原価に対しまして、これは適当でないということを言わざるを得ないのでございます。電力の料金はすべて原価主義でございますが、一定の想定のもとに行われますので、たとえば炭価の値上り、値下り、あるいは出水の状況等によりまして、実際の経理はこれと異なつた姿になるのであります。また当時想定しました各部門別の需用構成そのものが変化することによつて会社の経理が違つて来る、こういう複雑な姿になるわけでありますが、そういうふうな関係から、新しい高い原価が現在追加されておるにもかかわらず、今日まで昨年の原価で持ちこたえて来たという実情でございます。そこで一応いわゆる平水的な考え方をとりますと、来年度におきましては、現在の値段では少し無理が行くのだということが一応言えるのでございまして、そういう意思味から現在の料金のあり方を検討しておるわけでございます。従つてこれがいつどの程度上るか、あるいは上らないかということは、現在の時期におきましてはまだ申し上げる段階に至つておりませんが、ただいま検討しておりますおもな点は、かりに料金を改訂した場合には、まず現在の料金制度そのものがどういうふうにあるべきか、制度自体のことにつきまして今検討いたしております。幾ら上るかということは、原価計算をすると出るのでありますが、原価計算をやりますときに現行の実績というもの――むろんこれは査定を加えますけれども、それで将来、たとえば来年度でありますと、来年度の需用がどうなるか、あるいは供給がどうなるか、この需給計画を立てて、両方をにらみ合せまして、最後に原価なりあるいは料金というものが出て来るわけでございまして、その計算は計数的に出て来るわけでございますが、その一つ手前の問題といたしまして料金の制度の問題がございます。その制度の問題とはどういうことであるかと申しますと、現在三千五百キロワット以上の大口電力につきましては割当制度を行つております。割当を行つたものに対しましては、安い電力料金を適用する、こういう趣旨で割当制度を行つておりますが、この割当制度自体が、今日の状況におきまして必ずしも適当でない。ことに電力量を幾ら割当をもらうかということが、結局安い料金の電力をどれだけ使えるかということでありまして、いわば電力の割当制度でありながら、実際的には場合によつて は補助金的な役割をし、あるいは逆の場合もあり得るというような結果をもたらしますので、できればこういう割当制度はできるだけ早く撤廃したい。しかし一挙に割当制度を撤廃し、あるいは現在行われております二段料金制度を一挙に廃止するということは、必ずしも容易でございませんので、その中間段階としてどういうふうな形が一審理想的であるかというようなことを、今いろいろなデータを集めまして研究しておる最中でございます。従つて改計する場合におきます料金制度そのものの姿というものは、まだ結論が出ておりませんので、従つて料金そのもののベースをどうするかということにつきましても、まだそこに手をつけていない、こういうふうな段階でございます。ただ全般的な料金問題が出て来る。情勢は先ほど申し上げましたように、原価がともかくも高くなりつつある、こういうところからそういう研究、検討を始めておる、こういうことを申し上げます。
  50. 永井勝次郎

    ○永井委員 局長は電気料金は原価計算に基くというお説でありますが、これは原価計算で一貫しておるかどうか、こういうことは明らかだろうと思います。私企業としての立場において各九会社がそれぞれの正しい原価計算をやつて、それをそれぞれの会社の原価計算として承認されておるなら別でございますが、そういうことはされておらない。しかも料金に対しては当局の査定が原価計算主義によつて今後の料金制度を確立して行こうと考えるのか、あるいはそれに対する査定がなされるとすれば、その査定の基準はどういう因子でこれを査定するのか、電気料金制度の一つの基準を明らかにしていただきたいと思います。今のところは原価計算ではない、原価計算で一貫しておらないとわれわれは見るのでありますが、この点についてそれぞれの会社から持ち上つて来る原価計算に対する査定の基準を明確にしてもらいたいと思います。
  51. 中島征帆

    ○中島説明員 電力料金は現在では明確に原価計算主義をとつておりまして、原価をペイする料金を総括的にきめる、こういう方針をとつております。ただその場合に個々の原価費をどう見るかということにつきまして、やはり査定という観念が人り得るわけでありますけれども、今日まで電気事業につきましては、会計制度等につきまして長年の間こまかい監督もいたしておりますし、帳簿上の規定もございますので、その査定をやるにつきまして、ことに官庁側の方とそれから需用者の方との数字が食い違うということは、比較的ほかの産業に比べては少いのでございます。問題になりますのは大体経費の問題でありますが、これはいろいろな考え方がございまして、たとえば昨年度の実績はこれだけであり、将来の物価の見通しはこうなる。そうするとその見通しの分だけ経費を除去するというふうな考え方も起り得ますが、また昨年度の実績そのものがそこに浪費があつたかどうかという点につきましての考慮も加える余地がございますけれども、大体において現在のところでは経費は実績をそのままとるというふうな考え方で、物価等をここで考えないという行き方がいいのじやないかというふうに考えておりますが、この点につきましてはなお検討を要すると思います。  それから、たとえば先ほどちよつとお話がございましたが、配当の問題でございます。現在の原価には、配当は当時の資本金と、それから予定されております有償の増資に対しまして、一割五分の配当を見込んでおります。その後相当に増資も行われ、かつ無償抱合せの増資も行われておりますので、将来原価が上るという場合におきましては、必ずしも一割五分をここで維持する必要はなく、一割二分でもいいのではないか。一割二分にする場合には無償増資の分に対しましてもそれだけのものはいわゆる資本に対する報酬として与えるのが必要ではないかというふうな考え方をしておるわけであります。そういう細目の点につきましては、なお内部的に上司とも十分な了解を得なければなりませんので、明確なことは申し上げられませんけれども、一応公益事業局の見方としては、そういうようなことを考えております。またそれ以外にたとえば内部留保あるいはその他の積立金等に対しましてどういうふうな報酬を認めるか、いわゆるアメリカにおきまするフエア・リターンの考え方を入れるかどうかということにつきましては問題があるのでありますが、その点は現在資本に対しまして払います報酬が少な過ぎるために、いつまでたつても自己資本がふえない、借金ばかりかさむという関係で、資本構成がきわめて不健全であるというふうな見方もございますので、資本に対する正常報酬というふうな、そういう意味の考え方を今取入れた方がいいかどうかという点につきましての問題もございます。こういうことも一挙にやりますと、それだけまた原価の値上りになりますし、この点についての見方はいろいろまた理論的に意見があるところでございますので、この点はわれわれ一挙にそこまで行き得ないと思いますけれども、将来やはりそういう方向に行くべきではないかという考え方を持つておりまして、そういつた点につきまして原価主議とは申しましても、原価の算定につきましていろいろな問題があるということを申し上げておきます。
  52. 永井勝次郎

    ○永井委員 当局が電力料金について原価計算主議をとるということになれば、これは料金の九分割ということが出て来ます。そういう水火調整等を今後どういうふうに取扱うのですか。料金は九つの会社の原価計算によつてそういう方向に持つて行くということになれば、水火調整その他料金の地域差は非常に顕著に出て来る、こういうことが判断されるのでありますが、当局はそういうふうな形における原価計算主義、そうして水火調整は漸進的にこれをなくして行く、こういうふうな方針である、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  53. 中島征帆

    ○中島説明員 現在の料金も九会社別にそれぞれ別個に原価に計算されておりますが、今後もやはり別々に原価計算をいたします。そこで地域差調整の問題でございますが、これを将来はなくする方針になておるわけでございますが、今一挙にこれをやめることは適当でないということは、先般の法令改正審議会の答申にもございましたし、またわれわれもかなり現在開いております料金差を一李に縮めてしまうということは、これは時期としては早いと考えますが、だんだん年とともにできる範囲内において縮めて行くということはやるべきではないか。またこれに対しましても、火力地帯からは逆の反対意見もございますけれども、電力料金の性質上は、やはり初めに予想されておりました通り、地域差調整というものは将来においてだんだんなくす方向に向つて行くべきではないかと考えております。
  54. 永井勝次郎

    ○永井委員 それからたとえば今の料金はアメリカ式の料金制度になつておると思いますが、たとえば早取遅収の場合、あるいは夏と冬との違い、あるいは力率条項、負荷率条項あるいは燃料調整、こういうようないろいろな計算方式によつて非常な料金差が出て参る。日本の現在の電気に対する知識の状況、それから電気と生活の内容等から比べて、一般的には一般家庭における電気の消費というものと現在の料金制度というものとは、ななかそういうふうな合理的な消費の段階まで行つておらないと考えるのでありますが、今後これらの問題を検討される考えであるか、こういう方式をなお持続される考えであるか、この点をお伺いします。
  55. 中島征帆

    ○中島説明員 そういつた点もむろん今度の研究の対象になつておりますが、ただ夏冬の、特に電燈に関しまして夏冬の料金の区別を設けるということは、やはり今回も必要ではないか。それから力率あるいは負荷率、燃料の調整等の問題は、これは電燈には関係ございませんけれども、やはりこういつたような条項も今後は継続して行くべきではないかというふうに現在の段階ではわれわれは考えております。
  56. 永井勝次郎

    ○永井委員 料金を原価計算主義で行くということになれば、電力量の割当というようなことはこれはできなくなると思うのでありますが、電力量の割当は今後漸次しないで、会社の自主的な企業方針にまかして行く、こういうようなお考えであるかどうか。
  57. 中島征帆

    ○中島説明員 割当制度と原価主義とは別に関係はないのでありますが、現在でも原価主義をとつておりながら割当は行つておるわけであります。しかし先ほども申しました通りに、割当そのものにつきましていろいろな欠陥がございますので、できるだけこれは早急に廃したい。しかしこれを廃した場合には、結局ある一定の基準に基く一定の料金が課せられることになりますので、現在割当制度によつて非常に特典を受けている部門につきましては、急に料金が高くなるという結果にもなると考えますし、そういう影響等も考えまして、できるだけ割当制度を廃止の方に向いながら、影響は合理的に少くするというような方向で、どういう制度があるかということを考えておるわけでありまして、どういうふうに料金制度を考えても、どうも公平に行かないという場合には、ある程度割当制度が残ることもあり得ることでございますけれども、現在はまず割当制度を廃止するためにどういう方法があるかということを研究しておる段階でございます。
  58. 永井勝次郎

    ○永井委員 原価計算と電力量の割当とは違うというが、これは大口の割当に対しては料金が安くなるのでございますから、会社がそういう政府の割当によつて強制されて、それだけの値引きをしておる。料金差を付しているというところで、原価計算に基く会社の自主的な経営が制限を受けているという点において、企業経宮の上に大きな影響があるので、やはりこれは料金の内容に入つて来ると思うのであります。局長の考えは、性質は違うが、会社の経営においては、それは制限を受けるという点において同様であるとわれわれは考えるのであります。そこでこういうような考え方を、料金の問題を通じてこれを現在の公共企業的な性格から私企業的な性格へ転換して行く、そういう私企業的な方向へこれを解放して行くということになれば、料金差はおのずから大きく出て来る。そうすると日本の産業構造は、少くとも地域的に電力を中心として大きくそういう点においてかわつて来なければならない、こう思うのでありますが、そうするとこの電力料金の私企業的な性格への解放とともに、産業構造の転換というような地域的な一つの立地条件の上からおのずからきまつて来ると思うのでありますが、その過程におけるいろいろな混乱及びそういう産業の安定ということに対しては、どういうような計画的な措置をとり、どういうふうな考えを持つていられるか、これをひとつ……。
  59. 中島征帆

    ○中島説明員 割当制度を撤廃することによりまして、会社が自主的に料金を適用するというふうになるのが一番いけないわけであります。そういうことは絶対にさせないような方法をとらねばならぬと思います。そのためには、現在割当制度によりましていろいろと融通をきかせておりますものを、今後はそういうふうなことなしに、一定の基準に基きまして、すべて計算式でもつて出されるようにする。そうすれば、ある一定の計算の式で出されるわけでありますから、会社としてある特殊の需用家に対しまして値下げをするとか、あるいは特に高くする、そういうことをする余地はなくなるわけであります。そういう計算式であれば公平に行くような方法があるかないかということを今研究しておるわけであります。  それから産業構造の問題でございますが、これはむろん電源地帯と火力地帯というものは現在でも相当な地域差がございまして、これがいいか悪いか、もつと広げるべきかどうかということにつきましては、これは根本的な問題があるわけでございまするが、この点につきましては、今度料金の改訂をいたしましても、全般的にはかわらないわけであります。ただ料金制度の改訂によりまして、先ほど申しました通りに現在割当によつて優遇をされておる産業が、割当がなくなつて一律に一定の方式でやられるために不利益をこうむる、そういう変化があるわけでございまして、そういう結果としまして、ある種の事業部門、産業等につきましては相当の影響が生じ得る。ですからそういうものをどういう手段でもつて合理的に救済できるかという点を今いろいろ研究しておるわけであります。
  60. 永井勝次郎

    ○永井委員 本年、二十八年度におきましては、上期が豊水のために黒字になつておる。下期は相当の赤字である。こういうことでありますが、今政府は料金の値上げについて考えていない、いつやるのか。といつてつてもすぐやるかもしれませんが、とにかく考えていないということになれば、今の計算に基けば、本年度の今の見通しとしては百億内外の赤字は出ると考えるのでありますが、この赤字について原価計算主義に基いて私企業的な運営の方向にこれを解放して行こうという政府考え方からするならば、この赤字補填については当然国がこれを見なければならない。料金の値上りを押えるというからにはそれに対する裏づけがなければならぬと思うのでありますが、それに対して本年の見通しとしての百億内外の赤字に対してどう考えるか。
  61. 中島征帆

    ○中島説明員 当初の想定に基きます下期百億の赤字が、その後上期の豊水によりまして相当カバーされておるわけでありますが、そのほか新規水力の追加でありまとか、いろいろなことを想定いたしますと、下期を通じて平水であります場合には、全国的には下期も赤字を出さないで行き得る。ある程度の配当はなし得る、こういう見通しを立てておるわけであります。ただその場合におきまして、上期においてはいずれの会社もすべて黒字でありましたけれども、下期はわれわれの想定によりますと、二、三の会社はやはり若干の赤になるようなところもございまして、それをどうするかという問題がございますが、その程度いかんによりましては、下期はともかくも大体経理的に何とかして過し得るのではないか、こういうふうに一応考えておるわけであります。ただこれはあくまで平水の前提のもとにおける想定でありますから、水が若干出れば、いずれの会社も若干心配がなくなりますし、また平水を下まわるということになりますと、下期全体を通じてそのまま行けるかどうかということについても問題が起きますが、今の予想では大体下期も現在の料金で行き得るのではないかというような期待を半分持つておるわけでございます。
  62. 永井勝次郎

    ○永井委員 最後に一点。きようは電気事業全般に対する問題には触れないで、料金の問題だけ一応伺つたのでありますが、われわれ電気事業のような基礎産業は、これは私企業的な性格、私企業としての条件を拡大するということではなくて、公益的な性格に強めて行かなければならない。政府考えておることはとんでもない間違いであるし、九分割したそれ自体が大きな間違いであると思うのでありますが、そのためにいろいろな摩擦ができ、企業の合理化ができない。そういうところから各地域における料金差がだんだんできて来た。産業構造が地帯別におのずから制限されるというような変革が当然起つて来なければならない。しかも電気料金の問題は電気事業自体の負担ではなくして、その多くの新設の水力発電は、これは六十何パーセントが金利であるというような電気事業を通してわれわれは金融資本の金利を働き出しておるという結果になり、火力の方面においてはその経費の大部分が燃料費であるというような形を通して、われわれは石炭資本に奉仕しなければならないというような、こういうばかげた事柄になつて来る。そうしてその結果として料金の値上げが大きく行われて、そうでなくても国際競争の強化をはかるために、われわれは貿易産業の面におけるコスト引下げということが、今日国民的な課題であるにかかわらす、逆な方向にこれが発展する、しかもそれを私企正業としての利益を確保するような政策の方向へ進めて行く、政府のやつておることは、口ではコスト引下げるのだ、そうして貿易振興するのだと言いながら、事実現実のいろいろな動きは、少数の電気資本を擁護し、石炭資本を擁護し、金融資本を擁護する、そういう形において日本の産業を窒息させるような、そういう逆の方向をとつておることに対しては、われわれはこれは承認しがたいところでありまして、いずれこれらの問題はさらに取上げまして、各般にわたつて十分追究するとともに、いずれ電気事業法その他の提案がなされる予定のようでありますから、その場合においてはこれらの問題を十分論議したいと思いますが、日本の今後の産業経済が、資本主義の基盤にあろうと何であろうと、少くとも自由放任から計画化して行かなければならないというような方向にあるときに、その逆の方向へ動いて行くという、こういう当局の考え方に対しては、われわれは断固反対せざるを得ないのであります。この点に対して、こういうことが日本の産業振興になるのだ、これがコスト引下げになるのだという根拠、その点一点だけ伺つておきたいと思います。
  63. 中島征帆

    ○中島説明員 割当制度を撤廃いたしますことが、電気事業を私企業化することにはならないとわれわれは考えておりますが、現在でも公共事業令がございまして、経理その他万般の監督をいたしております。ただ電気につきましては、安い電気を適用し得る電力量というものを、ある一定限度以上の需用者に対しまして国が割当をしているというだけでありまして、その点を除きましたならば、要するに、国が割当についての権限を持つているということ以外につきましては、割当を撤廃しても撤廃しないでも、電気事業者に対する監督は全然同様でありまして、今後かりに割当制度を撤廃いたしましても、経理上あるいはそのサービス上につきましては、法令に基くところの十分な監督はしなければならぬわけであります。  将来これをさらに計画化すべきであるかどうかということにつきましては、これは根本問題として議論のあるところであると思いますが、現在におきましては、電気を除きましてはすべて統制が撤廃されておりまして、事情が許せば――その体制を容認するならば、電気も早急に統制を撤廃すべきだという原則には当然われわれは追従せざるを得ないわけであります。そういう意味におきまして、現在のわれわれの当面の問題としましては、こういつたような割当制度は可能な限りやめて行きたい、かように考えております。
  64. 中崎敏

    中崎委員 関連して。私は電気料金の値上げを極力避けたいという考え方に立つておるのですが、大体電気料金は原価主義によるという方針だと承つたのであります。それと関連して、来年度等には電源の開発等のために所要の資金がいる。そこで原価が上つて、電力料が上る一つの理由になるのだというふうにちよつと承つたのですが、そうすれば、建設費並びに利息のことが大体考えられるのです。それはやはり払たち考えでは、国の予算として、将来これが開発されて、いよいよ発電が始まつたとき以後において順次この経費としても出して行かれるのではないかと思いますが、あなたの先ほど言われたお考えによると、そういう利息並びに建設費の元になるそういうものも当面の経費の一部分として原価の中に織り込んで行かれるというお考えに立つておるのかどうか、それを伺いたいと思います。
  65. 中島征帆

    ○中島説明員 その点はそうでないのでありまして、建設中のものは建設勘定で全然原価を別個に取扱つております。実際に開発されて、電気が出て来て、それで初めて建設費を全部コストに入れて計算する、こういう考え方をとつております。
  66. 中崎敏

    中崎委員 そうすると、電源の開発によつてコストが上つて、値上げの原因になるということとどういう関連性があるのか伺いたいと思います。
  67. 中島征帆

    ○中島説明員 それは現在方々で非常に大規模に進行しております開発事業のうち一部分が逐次完成しまして、たとえば今年度に非常に大きな電力が開発されて、実際に発電が行われ始めたという時期におきまして、発電を開始した発電所の建設費なりコストが実際の原価に入りますので、そういうふうな、実際に発電所が完成した年が原価的に非常に大きく響いて来る、その年に今年、来年、再来年あたりが当る、こういうことであります。      ――――◇―――――
  68. 大西禎夫

    大西委員長 次に、財政投資に関し質疑通告がありますからこれを許します。山手滿男君。
  69. 山手滿男

    ○山手委員 先般来私が政府側に要求をしておきました二十九年の財政投資について政府考えていることをプリントにしてもらうように話していただいたわけでありますが、これは要は現政府の日本の産業に対する一つの設計図である、こういうふうに私どもは受取つてこれに対処をして行かなければいかぬと考えております。いろいろ政治的な問題は、私は大臣出席の上で論議をしたいと思いますが、きようは事務的に官房長から、この財政投資の構想、明年度の予算における産業界に対する政府投資の構想について御説明を、事務的でけつこうですからまず最初にしていただきたい。
  70. 岩武照彦

    ○岩武説明員 財政投資、ことに産業方面に対する財政投資につきましては、通産省所管の産業が大部分を占めておりまして、そのほかにも運輸省あるいは農林省等一部他省にわたつている部分がございますので、便宜私のところの通産省所管の問題につきまして明年度この程度のことを考えているということを御説明いたしたいと思います。通産省関係のは主として開発銀行を通じまして融資の財源を確保するということにあるのでありますが、そのほかにも公庫等もございますので、それは追つて申し上げたいと思います。  まず開発銀行関係につきましては、電力につきまして本年度は開発銀行からの融資四百億を予定しておりますが、明年度も設備資金の所要量が千百六十億を越えますので、本年度同様四百億程度確保したいと存じております。この使途につきましては、大部分は二十七年あるいは今年度からの継続工事でございますが、一部には新規の電源開発関係も入つております。それからなお電力につきましては自家発の関係がございまして、これも両三年来鋭意主張して参つておりますが、明年度へ繰り越します若干の繰越しがございますし、数箇所の新規着工地点等もございますので、これも明年度三十億程度必要かと存じております。なおこの電力につきましては、ほかに例の電源開発会社の問題がございまして、これは明年度あたりにおきましていよいよ工事が最盛期に入りますので、明年度は一般会計の方といたしまして三百二十億程度のものが必要と存じております。なおこれらの財源につきましてはまたあとからまとめて申し上げたいと思います。  それから鉄鋼でございますが、鉄鋼は御承知のように、いわゆる第一次の合理化政策と申しますのが少し延びまして、明年度に一部資金的なしわ寄せが来まして、これを明年度手当いたしますれば、大体完了に近づきますので、あと若干の補完的といいますか、手直しといいますか、一次計画の足らなかつたところを補うというのが幾つがございますので、そういう計画を重点的に取上げることといたしたいと思います。第二次計画でやれますものの全般につきましては、これはいろいろな角度から検討しておりまするが、まだ全般的な結論を得ておりません。従つて明年度は、大体鉄鉱関係は五十億程度資金でまかないたいと考えております。  それから石炭でございますが、これは明年度設備資金といたしまして、大体二百六十億程度資金が必要かと存じております。これは御承知のように増資、社債その他の自己調達等もございますが、なお前年度から続けております縦坑の開発をもう小し急ピッチで行いませんと、コストのむしろ上昇を阻止する、あるいは下げるという効果がありませんので、これはもう少し急ピッチでやる必要があるだろうと思いまして、明年度以降五箇年間に七十九本の縦坑を起しまして、コストの上昇阻止、並びに引下げに資じたいと考えております。その関係につきましては、相当巨額な金がいりますのと、もう一つは、長期の計画に相なりますので、一部は一般会計の方から助成金というような形で見ることも必要じやないかと考えております。もちろん助成金と申してもこれは放出しつぱなしではございませんので、長期にわたつて返済するという形の助成金を考えてみたらと思つております。とりあえず開発銀行の方に対しましては、それらの縦坑関係あるいは新鉱開発、あるいは中小炭鉱の合理化等の資金考えまして、七十億程度要望しておるわけであります。  それから合成繊維でございますが、これは御案内のように五箇年後に五千万ポンド、全繊維の生産量の約一割程度をこれによつてまかなうようにしたいということで、現在企業化されつつあります。ナイロン系あるいは醋酸ビ二―ル系あるいは塩化ビニリデン系の製法のものを一応技術的な目安もつきましたので、これを積極的に助成したいと考えております。昨年末の設備能力は日産二十七トン程度でございますが、本年末には日産約四十八トン程度に相なるかと思いますが、一億五千万ポンドは大体二百トン程度の設備がいりますので、これを助成して参りたいと思つております。とりあえず明年度開発銀行に対しましては約四十億程度お願いしたいと思います。なお類似の繊維でありますが、アセテートと申しますか醋酸人絹につきましては若干の融資を希望しております。  それから硫安でございますが、これは硫安対策委員会でいろいろ検討いたしました結果、これも五箇年間に二百億程度資金と思いますが、コストの低下約一割が見込める状況でございますので、現在の輸出価格の状況並びに内地価格引下げに資しますために、ぜひともやりたいと考えております。これも明年度といたしまして、開発銀行に対して約二十五億円程度必要と考えております。  その他機械関係の設備の近代化、合理化、あるいは輸出振興に直接関係あります生産関係、あるいは鉱山関係あるいはガス関係、あるいは化学工業等いろいろございます。なおまたいろいろ新しい技術の工業化というものもございますので、これらを合せまして本年度は八十五億程度でございましたが、明年度は百億程度必要かと存じております。合計しまして通産省関係だけで七百二十五億、本年度は通産関係で六百四十億弱でございますが、明年度はもう少し増加いたしたいと考えております。ただ問題は、御案内のように財源の問題でございまして、昨年は財政投資全般を通じまして三千三百八十九億の調達源がございました。このうち外から公募債の形で調達しましたものの三百九十五億を除きまして、約三千億弱のものが一般会計、資金運用部、簡保資金あるいは産業投資特別会計等から出ております。その方も見ますと、本年度は減税国債二百億をその財源にとつておりますために、二十七年度以前の蓄積資本を食いつぶしておりましたその額が五百六十億程度ございました。合計しまして七百六十億程度のものがいわばプラス・アルフアの形で出ましたが、明年度はそれが全部なくなりましたので、その辺の資金の調達がいかが相なりますか、実はわれわれもその点につきましては見通しがつきませんので困つております。  以上大体開発銀行関係でございますが、この開発銀行のほかに中小企業金融公庫もございます。これに対しましても明年度二百億円程度の出資を期待いたしております。それから一般会計からの直接投資に相なりますが、石油資源の開発のために五箇年計画で約百万トンを目標としまして、積極的な試掘助成並びに採油促進をはかつて参りたい、これに対しても所要の助成金を要求しております。その他の鉱山関係につきましても、いろいろな形で補助金等の措置によりまして新しい資源の開発を促進して参りたい。  それからこれは開発銀行融資関連がございますが、機械工業について本年度も国産機械の試作補助金という形のもので新しいタイプの機械を国産化することに努力しておりますが、これも明年度はもう少し範囲を広げまして、本年度は大体工作機械でございますが、明年度はその他の鋳鍛造機械あるいは試験機関につきましてもこの範囲を広げて参りたいと思います。もう一つは機械工業の致命的な問題であります、設備してある機械年齢が古くなつて、精度あるいは能率等が非常に劣つておるという問題であります。これにつきましてはいろいろ輸入等も行われておりますが、それでは足りませんので、もう少し計画的に設備更新をはかつたらどうかということで、目下三箇年程度の計画をもちまして、そういうふうな設備機械の更新をやりたいと考えております。それにつきましてもある程度の助成措置を講じたいと考えております。  大体以上簡単でございましたが、開発銀行関係並びにこれに対しまして一般会計からの財政投資につきまして、通産省が目下大蔵省に要求しておるものの内容でございます。
  71. 山手滿男

    ○山手委員 時間がありませんから私は私どもの意見を述べることは今日は差控えますが、今の御説明を聞いてわれわれは失望せざるを得ない。大臣は本会議の席上においても、どんどんやつているんだというふうな答弁をしておられましたけれども、これじや何にも新味はない。日本に希望の持てるような、産業を近代化して、海外との競争力を増強して、抜本的に日本を救つて行くという本命の推進者としては、こんなことで何をやる、私は非常に失望をいたします。今説明を聞いた程度のことをやるのなら、今までと何らかわりはないのであつて、この経済的に非常な危機に立つておる日本に対処するのにはあまりにも貧弱である。これは官房長を責めるのは無理かと思いますが、一ぺん大臣にぜひこの席に来てもらつて、この産業の構造をどうするのか、産業の近代化をどうするのか、これを本質的にこの委員会で掘り下げて、ぜひ来年度から片づけるものは一つ一つ片づけて行く、そして国内に雇用力を増して、経済界を安定さして行くということに鷹進をしてもらう、私はこれが非常に大切であると思います。それでひとつ通産省の中でも事務当房の方でもつともつと熱を入れてこの問題に対処していただきたいし、これは開発銀行関係のものだけが出ておりますが、一般会計についても、私だけではなしに各委員がこれをよくのみ込んで、みんなで一致してやれるように、もう少し書類も整備してこの委員、会に来週出て来てもらいたい、私はそれだけ要望いたしておきます。大蔵省なんかに対して気がねをする必要はない。大蔵省通産省は対立して堂々とおやりになつた方がいいと思います。
  72. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 関連して……。今御説明なつたことや先般大臣説明されたことは、後日質問いたしますが、ちよつと疑問の点があるので一点伺います。この春の通常国会のときに、今の炭鉱の縦坑開発の問題について、二十八年度に五十億投資をするということを言われておりましたが、この投資がどれだけ消化されて、どれだけ縦坑が掘られておるかをちよつとお知らせ願いたい。
  73. 記内角一

    ○記内説明員 お答え申し上げます。ただいまお配りいたしました資料では、二十八年度の石炭向けの予算は四十億というふうになつておりますが、実はそのかわりに鉄綱が六十億というふうになつておりますが、鉄綱の方がいろいろ工事の関係その第で、まだ相当手持ち資金あるいは金融機関からの調達というふうな関係が有利にはかどつておりますので、これが若干減りまして、そのかわりに石炭がふえるというふうな経過をたどりまして、石炭といたしましてはおそらく五十億を越えるのではないかというふうな現在の見通しを持つております。
  74. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私の知るところではそんなに消化されてないように思うのですが、五十億を二十八年度に突破しているというなら、どこどこの炭鉱が縦坑を開発しているのかをきよう説明ができなければ、明後日でもその翌日でもよろしゆうございますが、資料としてひとつ出していただきたい、どうも私の考えとかなり食い違いがあるようだから……。
  75. 記内角一

    ○記内説明員 私も開銀の方と折衝いたしておるわけでありまして、大体の見通しとして、今申し上げたように五十億が年度内に出る見込みで、目下具体的に査定をしているようでございます。
  76. 佐久洋

    ○佐久説明員 大体資金については今企業局長からお話がありました通りでありますが、具体的に着手いたしました山の名前は、ちよつと私記憶しておりませんので、これは調査して御報告申し上げます。本年度に大体確実に着手できると思われるものは十二本今のところ見通されております。
  77. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今石炭局長から言われたことは、今まではそうはなつておりませんけれども、本年度はまだ今後もございますから、多分そういうものも含んでおるのであろうと思いますが、それは資料として後日出してください。  それからさらにいま一点伺いたいのは、本年度五十億、さらに五箇年計画として四十九億を投資して、七十何本縦坑を開発するということを政府の方針として発表されてあつたが、今度は資金計画が相当かわつて、明年度に二百六十億ですか、そういうように馬力をかけようということになられたようであるが、その辺、資金上変更されたという点は、どういう点からそのように変更されたかをちよつとお聞かせ願いたい。
  78. 岩武照彦

    ○岩武説明員 資金上の変更と申すことでございませんで、縦坑七十九本を掘りますに必要な資金は、五箇年間で四百九十億、先ほど私が申し上げました二百六十億でございますか、この数字はこれは縦坑の経費以外の新鉱の開発でありますとか、あるいはいろいろな合理化工事でありますとかいうものを含めましての明年度分のものでございます。変更はございません。
  79. 大西禎夫

    大西委員長 大分時間も経過いたしましたので、本日はこの程度にいたし、次会は明後日午前九時半より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十八分散会