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1953-12-08 第18回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月八日(火曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    河原田稼吉君       前尾繁三郎君    三浦寅之助君       山本 友一君    吉田 重延君       橋本 清吉君    藤田 義光君       北山 愛郎君    滝井 義高君       横路 節雄君    大石ヨシエ君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君  委員外出席者         参議院議員   石村 幸作君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         保安庁局長         (経理局長)  石原 周夫君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十二月八日  委員江藤夏雄君、北れい吉君及び高田弥市君辞  任につき、その補欠として熊谷憲一君、佐藤親  弘君及び三浦寅之助君が議長の指名で委員に選  任された。     ――――――――――――― 十二月七日  地方公務員給与並びに期末手当に関する陳情  書  (第八四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件  町村合併促進法の一部を改正する法律案(参議  院提出参法第二号)  地方財政に関する件   請願  一 瑞浪土岐自治体警察国家地方警察に移    管の請願平野三郎紹介)(第三六四    号)  二 土岐津町自治体警察国家地方警察移管    の請願平野三郎紹介)(第三六五号)  三 泉町自治体警察国家地方警察移管の請    願(平野三郎紹介)(第三六六号)  四 駄知町自治体警察国家地方警察移管の    請願平野三郎紹介)(第三六七号)   陳情書  一 補正予算における平衡交付金増額並びに    起債わくの拡大に関する陳情書    (第七二号)   追加日程  一 地方公務員給与並びに期末手当に関する    陳情書    (第八四号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会をいたします。  地方財政の問題につき調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。横路君。
  3. 横路節雄

    横路委員 私は保安庁経理局長お尋ねいたしますが、八月の十日に終つた第十六臨時国会が、終りました後に、地方行政委員会といたしましてはそれぞれ委員が各地の地方財政の実態について調査のため本委員会から国会の承認を得て派遣をされたわけです。そのときに北海道、東北を私たちはまわつたわけでありますが、その場合に保安隊があるところのそれぞれの当該市町村長は私たち地方行政委員会の視察に参りました委員に、異口同音にお話がありましたことは、どうも現在のいわゆる保安隊員から徴収する市町村民税については、まつたく徴収ができない。たとえばその保安隊行つてみると、いや部隊移動したと言う。そこで二万円くらい出張旅費を持たしてそれぞれ役場の者をやると、いやあの者は向うの部隊移動してしまつた、あの者はあちらの部隊移動してしまつたということで、また追つかけて行つてみて、やつとわかつて、二万円くらいの出張旅費を持つて行つて七千円か八十円の市町村民税しかもらつて来ない。これはまつたく困つたものだ。こういうように全部が話されていましたが、この点につきましては、私たちもできるだけ早い機会に、国会においてどういうような状況になつているのかということをお聞きしようと思つておつたのですが、きのう私は自治庁税務部長にお聞きしましたところ、この地方税法のうちの第三百二十一条の四、特別徴収義務者指定のところに、それぞれの市町村におきましては、いわゆる給与所得者については、それぞれ給与支払いをしている者のうちから、御承知のように、所得税法第三十八条第一項の規定によつて当該市町村の条例によつて特別徴収義務者として指定して、これに徴収させなければならない。こうなつているのですから、当然私どもはその現地の保安隊のそれぞれの責任者に、いわゆる特別徴収義務者としてやらせなければならぬのではないだろうか。こういうので、きのう自治庁税務部長にお聞きしましたら、実際はそうしたいのだけれども保安庁の方で何とかそういうことをしないでくれ、こういうように覆われたので、実は市町村長にそういうことをしないでくれという通達を出した。この通達法律でもなければ政令でもございませんから、従つて拘束するものではないのでありますけれども、実際に市町村としては自治庁に来て起債をもらうとか、平衡交付金をよけいもらうとかいうことがあるものですから、ただ一片の通達であつても、それは非常に大きな拘束力を持つているわけです。その点についてはきのう自治庁の方でも、保安庁責任者との間に話合いをしなければどうにもわからない、こういうわけでありまして、この点については、現状のままでは私はまつたくおかしい状態だと思うのであります。きのうも御承知のように、衆議院の本会議で、いわゆる保安庁に勤務している職員についてのベース・アツプについて、それぞれ一般国家公務員地方公務員公労法適用職員と同じようにベース・アツプしたのであります。これらの職員に関してのみ市町村民税を払われないということは、少くともいわゆる保安隊員というものが、徴兵制度を実施されているのであつたならとにかく、そうでない現状においては、当然これは納入する責任があると思うのであります。この点私はきのう自治庁税務部長に、そういう通達は撤回することが望ましい。こういうようにお話しましたら、自分らの方では撤回したいのだけれども、どうも保安庁の方であまりいい顔をしない、こう言うのであります。やはり一般の国の費用を受けている者ですから、法律できめて、一般国家公務員と同様の待遇を受けているのでありますから、従つてこれについてどうなさるのか。これは全国的な問題でありますから、この点についてまず現状はどうなつているのか、現状のままでは実際に市町村財政は困つているので、通達に対してどうなさるのか、お尋ねいたします。
  4. 石原周夫

    石原説明員 ただいま横路委員お話になりましたような経緯に相なつておりまして、これは保安庁発足以前、警察予備隊の当時から、今お話のような特別徴収の方法によりませんで、普通徴収というようなことに相なりまして、先ほどお話のような通達自治庁の方から出ているわけであります。その間の事情は私つまびらかにしないのでありますが、部隊移動いたすとかいうようなことがございまして、当時地方財政委員会ですか、その方とお話をいたしまして、今のような通達が出ておるのであります。それで保安庁といたしましては、普通徴収という手段の範囲内におきましては、できるだけの御協力を申し存まして、しばしば各部隊には通達を発しているのであります。しかしながら一面個人間の異動、将校以上になりますと、あるいは士補クラスでもそうでありますが、幹部の者になりますと、相当異動もございますが、それよりもお示しの点が主として生ずるのは、部隊があげて動くという問題であります。またその動きました者が、さらにそれよりやや小さい範囲内においてほかの方へ動くというような問題がございまして、お示しのようないろいろめんどうな問題が起り、結論といたしまして、なかなか成績が上らないという実情になつております。そこで、それでは今お示し地方税法強制徴収適用をいたせばどうかという問題でありますが、結論から申しますと、保安庁といたしましては、そういうふうにやつていただくことに対しまして異存は、ございません。ただ一、二お断りを申し上げておきたいと思いますことは、一つ部隊移動いたしますと、現在のところ保安隊は、御承知であろうと思いますが、駐屯地業務——当然会計も含むのでありますが、これは駐留をいたしております部隊組織と一応別の系統になつております。中央に支出官がおりまして、管区主任資金渡官吏、各キャンプごとに分任官がおりまして、これは会計隊分遣隊ということになつております。従いまして、部隊移動すると申しましても、全部移動しているわけではないのでありまして、割合から申しますれば、比較的小さい割合移動いたします。従いましてそういうような移動のないところにつきましては、大体において所期の目的をあげることができると思いますが、部隊をあげて移動しあるいはその中の相当大きな範囲をもちまして動きました場合においては、分任官というものはそのまま残つておるのでありまして、いわばそれはサービス部隊と申しますか、いれものみたいなものであります。中身がかわりましても分任官はかわらない。従いまして、今移動いたしました場合におきまして、これを後々までト  レースをして参るという点につきましては、現在の組織をもちましてはなかなか困難であります。従つて強制徴収ということになりましても、今のような場合におきましては、従来通りできるだけこれをトレースし、これに対して御協力を申し上げるということに相なるのだろうと思います。もう一つお断わりしておきたいと思いますのは、私どもいろいろ御陳情がございますし、いろいろな数字をあげての御指示もあるのでございますが、御承知のように隊員士補以下のクラスは二年をもつて退職する。退職いたしました後の隊員に対しましては、これはとり得なくなつた分が相当ございます。強制徴収ということに相なりますと、在職中の分につきましてはもちろんとれますが、ただ退職した後におきましては、こちらとしてはどういう所に参つたかということについてお示しすることはできぬのではないか、これは当然のことでありますが、従来の御陳情のうちには相当その退職になりました分につきましても教字がある、その点をちよつと御注意申し上げます。
  5. 横路節雄

    横路委員 そうすると今経理局長お話で、地方税法の第三百三十一条の四の特別徴収義務者指定について、自治庁保安庁の方へ要請して特別徴収義務者については指定しないでくれという通達をして、地方自治庁との話合いの上で撤回してもよろしい、こういうお話に承つたわけですが、そこで委員長税務部長に出てもらつて——税務部長はきのうも保安庁に話してもこの通達を撤回するということはなかなか困難ある、こう答弁しているわけです。この点は今経理局長から撤回してもよろしいですということの御回答、保安庁の意向をここで承つたわけです。これは自治庁の今までの話の行き方とは非常に違うわけであります。この点はぜひ税務部長にすぐ出てもらつていただきたい。これは委員長、どうなつていますか。
  6. 中井一夫

    中井委員長 お答えいたします。ただいま出席を要求しております。実は今会議をやつておるのだそうで、それを繰合せて来るという返事であります  からもうしばらくしたら見えると思います。
  7. 横路節雄

    横路委員 そこで私は経理局長にさらにお尋ねをしたいのですが、今お話隊員のうちで二箇年で退職する、これは一般の応募といいますか、そういう形でやつておる、現在保安庁法に定められたいわゆる定員が十一万幾らになつておりましようが、その定員が実際にどうなつているか、この点が一つ。それから今のお話で二箇年で退職する応募した一般隊員とそうでないもの、いわゆる恒久的にといいますか、勤務しているもの、その人員の差は一体どうなつておりますか。その点についてお尋ねいたします。
  8. 石原周夫

    石原説明員 先ほどの答弁ちよつと補足させていただきますと、実は今朝ここへ参ります前に自治庁連絡をとりかねましたので、ただいま御指摘のような、答弁に食い違つた点があるといたしますれば、それははなはだ自治庁に対して恐縮でありますが、今のような考え方で自治庁と相談をし、その上で結論を申し上げることになつておりますが、その点はちよつと時間がありませんですから、事務当局相互連絡に欠けておる点をちよつとおわび申し上げます。  それからただいまのお尋ね人員の第一の点は欠員の点かと存ずるのでありますが、大体現在におきまして十一万人のうち五千人程度欠員を持つております。これは御承知のように、先ごろ試験をいたしまして一月一日をもちまして充員をいたすつもりであります。従いましてその五千人という数字は今ちよつと正確には覚えておりませんが、大体五十何百人。それから第二のお尋ねの点は、私ちよつと意味をとりかねたのでありますが、いわゆる隊員と下士と申しますか、士補と申しますか、それ以上のクラスの人間の割合がどういう割合かというお尋ねかと思いますが、私正確な数字はちよつと今手元にありませんので大ざつぱな観念で申し上げますと、三十と申しまする幹部以上のものがおおむね一割程度、それから士補クラス当りますものが二割弱であります。大ざつぱな数字見当で申しますれば今のようなことであります。
  9. 横路節雄

    横路委員 そうすると十一万のうち五千幾ら欠員である、従つて一月一日にこれを充当するための募集をして、昭和二十八年度の定められた定員は来年一月一日で初めて満了になる。予算上私たちちよつと五千人余の欠員ということになりますと、これは莫大の費用が残つて来るのではないか、こう思うのでありまして、これは五十人の欠員ということになると、四月一日から十二月三十一日までですから延べにして九箇月分ですから四万五千人の人員——四万五千人ということになりますといわゆる食費俸給その他を入れてこれは約七億ないし八億、ひよつとすると十億円程度のものは人件費事務費をへれて残るということになりますね。これは容易ならぬ数字と思いますので、そういうことになつておりますかもう一ぺん伺いたい。
  10. 石原周夫

    石原説明員 補正予算機会に御説明申し上げる機会がなかつたかと思いまするが、御承知のような、今衆議院を通りまして現在参議院にかかつております予算におきましては、予算書でごらんだと思いまするが、保安庁予算におきまして減と増と両方うたつてありまして、増の方が二億七千万円、減が三億二千万円、それはどういうことかと申し上げますると、ただいま御指摘になりましたような欠員がございまするので、本年度におきまする人件費不要見込額六億何がし、ところが御承知のように勤勉手当及び期末手当、それの増額関係上三億何がしを充当いたしまして、その差額、今申し上げた減、増額の方はここで御審議御議決を願いましたいわゆる給与ベース・アップ、これに充てまする金額であります。これはよけいなことでありまするが、食費の点も御指摘がございましたけれども——よけいなことというより今の給与以外のことでありますが、食費のことにつきましては、消費者米価を改訂する関係でかれこれを大体まかなつて不要額を見ていない、こういうことであります。
  11. 横路節雄

    横路委員 そこで私は今の市町村民税のこととあわせてお尋ねしたいのですが、当然隊員は前の居住地から転出届といいますか。普通の言葉で言えば移動証明書を持つてそれぞれの隊で米の配給を受けることになると思うのです。この点につきましては、この移動証明書と合せてお米の配給は当然その移動証明書で総括してもらつているのだろうと思うのですが、経理局長さんですからそういう点にまで詳細に御存じだろうと思うのでありますが、今普通一般家庭内地米が十二日、外米が三日、こういうわけで、そうすると保安隊の方にはどうなつているのでしよう、一般炭鉱労働者には主食配給加配ということがあるのですが、保安隊の場合は月十五日だけの主食配給であつて、残りの十五日は何を食べているのでしようかね。これは先般予算委員会でもうちの同僚の上林委員から質問がありましたけれども、ほとんどお答えがなかつたのであります。農林大臣質問があつたので、農林大臣そこまで御存じなくて答弁がなかつたと思うのでありますが、この点一体どうなつていらつしやるものか、これとの関連お尋ねいたします。
  12. 石原周夫

    石原説明員 米の配給の点は今正確な数字は記憶いたしておりませんので、大ざつぱなことを申し上げて大体の御理解を願いたいと思うのであります。保安隊は今ちよつと数を忘れたのでありますが、若干の加配をいただいております。それからその加配のほかに、御承知のように、麦はすでに自由販売でございまので、これは全都につきまして一律かどうか存じませんが、三割見当の麦をまぜております。それと今申し上げました若干の加配というものを合せまして食事をいたしておるわけであります。その方の数字は今正確に記憶しておりませんが、今申し上げたようなわけで飯を食つておるわけであります。
  13. 横路節雄

    横路委員 そこで私はお尋ねしたい点は、麦を三割入れて日に三度である、それに若干の加配というのですが、この点はどの程度加配か、これはやはりお調べになつてひとつお答えをいただきたいのですが、大体この保安隊の諸君に関する一日分の食費ですね、純然たる食費というものは一体どれだけ見込んで計算をされていらつしやるのですか。
  14. 石原周夫

    石原説明員 主食、副食を合せまして一日九十三円ということになつております。これは現行の消費者米価におきましての話であります。
  15. 横路節雄

    横路委員 そうすると、九十三円ですから、三十日分として月二千七百九十円ということになるわけですね。
  16. 石原周夫

    石原説明員 そうです。
  17. 横路節雄

    横路委員 それから一番最初にもどりまして、この特別徴収義務者として三百二十一条を適用される場合におきましては、先ほどお話がありましたように、それぞれ北海道なら北海道では管区本部がありますね。そこには経理に関する主計官がおります。それがいろいろ恵庭だ、いや恵庭だ、何だという場合には、そうすると先ほどのお話で、どうも私は実際に保安庁のそういう経理の担当の内容がはつきりしておりませんので、従つてこの三百二十一条の特別徴収義務者ということになりますと、先ほどのように部隊移動するということが出て参りますけれども、私たちの了承しているところでは、たとえば美幌だ、それから留萌だ、あるいは旭川だ、札幌だ、あるいは恵庭だ、何々だと、こうなつておりますが、その場合のあなたの方で指定されて来るところの特別徴収義務者というものは実際の場合にはだれになるわけですか。
  18. 石原周夫

    石原説明員 それは先ほど申し上げましたように、部隊というものに対しまして、そういう駐屯地業務と申しますか、いろいろなキヤンプ維持修繕ということとか、あるいは今申し上げた会計ということで、駐屯地には業務隊というものと会計隊というものがあります。これは、たとえば普通科の何何大隊とか、特科の何々大隊とかいうことでなく一応別の建前になつておりますが、ただ、全体を通じましては部隊長というものがおりまして、この部隊全体の事務を管理いたしております。会計事務につきましては、今申し上げたように、おのおの会議分遣隊というものがありまして、そこに主任官吏を置き分任官吏がおりましてその管理をしております。これらの点につきましてだれを指定するかということにつきましては、これはまた自治省とご相談いなければならぬのでありますが、私どもの常識と申しまするか、今の運営のやり方から申しますると、そのキヤンプごとにおる分任資金渡官吏、この者がそれになるかと思います。と申しますのは、俸給支払いをいたしましたり、そういうような金の関係はその者が扱つておりますので、これも同じく金の関係でありまするから、その者が一緒に扱うのが筋だろうかと思います。     〔委員長退席床次委員長代理着席
  19. 横路節雄

    横路委員 委員長にもう一ぺんお願いいたしますが、どうしても今の件は税務部長をやはり早く呼んでいただいて、経理部長税務部長の間で交互に聞きたいと思うのです。きのうあんなに保安庁の方からあまりやかましく言うからできないとこぼしていたのですが、今経理部長はいともあつさりと撤回してもよろしいというふうに親切にお話があつたようなわけですから、この機会にやはり来てもらつて聞きたいと思います。  それからもう一つお尋ねしたい点は、先ほどの点とちよつと関連をしているのですが、被服につきましては、あれは貸与ということになつているわけですか。それとも、二箇年間勤務すればそれでくれてやるというのでございますか。その点が一つと、それから、年間に見ている被服代というのは、被服くつ等を入れまして一人当り一体どの程度なつおるものか。先ほど食事お話がありましたが、この点もあわせてお尋ねをいたします。
  20. 石原周夫

    石原説明員 被服貸与ということに相なつておりまするが、お話のように被服は消耗いたしまするので更新をいたさなければなりません。従いまして、この更新をいたしまする費用というものは当然維持費の中に入るわけであります。被服維持更新に要しまする費用というものは、今の耐用年数を前提といたしまして、年額が大体一万三、四千円であります。
  21. 横路節雄

    横路委員 今の耐用年数制度年額一万、三、四千円の程度、こうおつしやつておるわけですが、そうすると、二箇年間でこれが完全に消耗される、すり切れて使えなくなるのだというわけですね。一般俸給生活者はなかなか大事に使いますからまだ十分使えるわけであります。それで、除隊する場合には本人にくれてやることになつていのでしようか、どうでしようか。消耗品であるから更新するのだという意味はどうなんですか。
  22. 石原周夫

    石原説明員 更新をいたしますということは、すり切れてだめになつたものを更新するのでありまして、くれてしまうのでなくなるものは計算しておりません。今申し上げました被服というのは、当然、くつだとか外套だとか、そういうような広い意味被服でありますから、その点もあわせてお考えを願いたいのでありますが、大体一人当り被服が、初度費として四万円見当になつておりますから、従いまして、初度費と年々の更新をお考え願いますと、平均の耐用年数というものは大体見当がつくかと思います。夏服が何年、靴が何年という精細な資料を今私ここに持つていないのでありますが、大ざつぱな見当をおつけになるには大体そういうことかと思います。
  23. 横路節雄

    横路委員 経理局長お尋ねいたします。今、保安隊キヤンプ地演習地の問題をめぐりまして、それぞれの市町村では、ぜい来てもらいたいという所もありましようが、絶対に来てもらつては困るという反対の所も実際あるわけであります。この反対の理由としているところを聞きますと、それぞれの町村で、産業五箇年計画とか経済十箇年計画とかいうふうにして計画を立てている。ある地点では電源の開発をやり、そこで発電施設をする、そうしてある所では、戦争中に休鉱していた金山を再開する。あるいは、開拓地などで、今まで電化施設のなかつた所にそれをやつて農村工業を盛んにする。こういうふうにいろいろ考えておるときに、いきなり保安庁の力からこれは演習地なんだというぐあいに指定されると、もちろんそれぞれの市町村自治体都道府県知事を通していろいろ折衝なさると思うのでありますが、この場合には自治庁とは何ら会議はしないのでしようか。私どもは、やはり市町村のそれぞれの財政計画の上に大きな変革を来しますので、当然これは自治庁との間に会議をしなければならぬではないかと思うが、その点はたしか今まで保安庁の方としましては、いわわる国有未墾地その他の国有林等関係におきまして、農林省あたりとはそれぞれお話はなさるでしようが、自治庁との間にはお話をなすつてない。従つて私はその関連において、そういう演習地管区地を設定する。場合に、どういう会議の過程を通つておきめになつておるのか、その二つの点についてお尋ねいたします。自治庁会議をなすつておるのかどうか。それからもしもなすつてないとすれば、保安庁演習地管区地の設定は何省との間でそういう、ふうにきめて、最終的には何とおきめになつておるか、その点について承りたい。
  24. 石原周夫

    石原説明員 演習地をきめまする場合に、国有地でありまする場合、民有地でありまする場合、いろいろあるわけでありまして、国有地でございますると、当然第一には国有財産の管理事務を扱つておりまする大蔵省の管財局が一つ中心になる。これは御承知のように、地方に財務局というものを持つておりまして、これが現場でのいろいろな意見を申し、管理の実際に当つておるわけであります。それからお話に相なりまするように、相当開拓農地というような関係が伴いますので、これは国有地でありましても現に開拓が進行いたしておるときには、全部というわけではありませんが、ほとんど全都の場合におきまして農林省と——国有林野もございますので、その林野の意味も含めまして、農林省が関係が非常に深い。あとは、これは必ずしも多い場合ではないと思いますが、山の関係、工場、そういうような関係が伴います場合におきましては、当然通商産業省でありますが、具体的な例といたしましては、通商産業省の例はちよつと記憶にありません。ただ当然あるだろうと思います。お話のように、地方財政関係におきまして関連が当然あるのであります。地方におきまして地方の地元の町村のみならず県あるいは道というようなものにつきましては、当然密接な連絡と申しまするか、そこの方のいろいろ意見をまちまして処理いたしておるのであります。中央官庁といたしましての自治庁には、私の記憶いたしまするところでは、一々御相談に上つていないと存じます。ただ例外的に何らか御相談申し上げる例があるかもしれませんが、原則的には御相談していないのであります。
  25. 横路節雄

    横路委員 私は今の問題については、お話の通り、国の財産等に関しては管財局、地方の財務局に話をすればいいだろう、それからいわゆる国有林あるいはその他の問題もありまするから農林省でいいだろう、こういう点は、なるほど形式的にはそうだろうと思うのでありますが、実際にはこの開拓地へもうすでに開拓者が百五十戸あるいは三百戸入つておる、そういうような場合に、市町村としては非常な打撃を受けるわけですね。こういう点につきまして、何らかの方法で、これはやはり実際に市町村自治体というものとの中央における連絡自治庁がやつておるわけですから、そういう意味で、地方の実際の財政というような問題あるいは地方自治という問題から、私は今後自治庁との間にも会議することが望ましいと思うのであります。こういう点については考慮なさる余地がおありかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  26. 石原周夫

    石原説明員 今までのところ、先ほど申し上げましたように、相談をいたしていないかと思つておりまするが、おつしやるように、地方財政関係の深い面もございまするし、自治庁が全国一万何がしの町村につきましての事務を一応やつておる関係もございまするので、いかがなとりはからいをいたすようにいたしますか、自治庁の方と相談はしてみていいと考えております。
  27. 横路節雄

    横路委員 この点は委員長にもう一度、これはお尋ねといいますか、私経理局長に対する質問は私がきのうからお話申し上げております市町村民税との関係におきましては、やはり税務部長に来てもらつて御一緒の席で重ねてお聞きしたいと思いますから、経理局長にしばらくこのままいてもらつて税務部長が出て来られたら両者の関連質問したいと思いますので、おいでになるまで質問を留保したいと思います。
  28. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと関連して聞きたいのでありますが、きのうからの答弁と今の答弁との間に食い違いがある、これを聞きたいという横路君の意見でありますが、その前にちよつと私聞きたい。大体あなたの方としては隊員市町村民税というものは納めるという御解釈だけははつきりされておるのですかね。
  29. 石原周夫

    石原説明員 市町村民税を納めますことは、当該市町村に住居を持つております以上当然のことだと思います。
  30. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこれらの隊員は納税の形から言えば個々に納めるのが当然である。しかしそういう場合を大体予測して特別徴税義務者というものができております。そうしてたとえば市町村が違つても、前年度の、当該年度の当初におつたところでとることのできる税金は、やはり当然これを納めるようになつておる。さらにその次には特別徴税義務者に対しては多少義務づけられておる点もないわけではない。 従つて私は誠意があるならこういう問題は起らぬはずだと思う。ことに政府の一つの系統の中にある団体でありまして、これが営利団体か何かで支払つた給与自体がもう住民の意思でなければどうしても動かすことができないというようなものについても、今日市町村民税はやはり源泉徴収をいたしておるのでありまして、従つて政府の同一機関であるものを、さつきのお話のように、納税はすべきものであるという観念があるなら、これはこういう世話をやかせないで、ひとつあなたの方で納めるということにしてもらつた方が一番いい。その方法を自治庁とお打合せになることが私は一番いいと思う。通牒を出してとるとかとらぬというようなことは、これはもう議論の余地はない。だからそういう処置をとつていただいて、あなたの方の隊員市町村民税というものは、必ず法律に規定された通りに納めるのだということになつておるなら、これは当然納まらなければならぬと私は思う。何も税務吏員が出張旅費をもらつてあとから追つかけて行つてとりに行かなければならぬような世話をやかせなくてもいいのじやないかと思う。この点は経理の面でどうなりますか。そういうことはで弐ないものですか。
  31. 石原周夫

    石原説明員 先ほど申しましたように、予備隊発足当時以来自治庁とお話合いをいたしまして、今お話の通牒を出しておるわけであります。しかしながらその当時からわれわれの方といたしましては、数次にわたつて部隊長に通知を出しまして、これに協力してもらつておるのでありますが、先ほど来申し上げておりますように部隊移動というようなものが相当頻繁に行われておるとか、いろいろな関係から必ずしもその成績が上つておらぬということは、その通りだというふうに私ども承知をいたしておるわけであります。従いまして自治庁と十分に相談をいたしました上で、私どもの方といたしましては強制徴収という方法を考えてもそういう点で非常に困るというようなことはなかろうということを先ほど申し上げたわけであります。
  32. 門司亮

    ○門司委員 これはこういうことなんです。今市町村の要求しておるのは、部隊が非常に動く、そこで保安庁の本部で一括して払えぬかということなんです。この徴税義務者といいますか、これには支払いをするものとこう誓いてあるのであつて支払いをするものにはいろいろあります。出先で支払つておるものもある。しかし実際上の支払いというものは本部が支払つた方が間違いがないから、従つて私は本部が支払つても法に触れるようなこともないし、またやれるのじやないか、市町村はそういうことを望んでおるのであります。移動する先に追つかけて行つたり何かすることよりも、むしろ本部に市町村から依頼状を出して、依頼状を受けた市町村に対しては、本部がこれを支払うということにしてもらえば、これは非常に簡単であります。あとはあなたの方の事務上の問題だけであります。これは本部が一括して支払うわけに行かぬのですか。
  33. 石原周夫

    石原説明員 ちようど部内で、これは自治庁との御相談を特にその点でいたしておるとも承知しておりませんが、ただいまのようなことは、いろいろ考えているのであります。ただその際におきまして、今各市町村の課率というものが非常に違うのでありますから、従つてもし何らかの調整方法がございまして、これをわれわれの方で全国一率の率でかけるということになりますと、おそらくは事態はきわめて簡単だと思います。ただ市町村は、おのおの財政の状況も違いまするし、現在そういうわけで違つた税率ができておるわけであります。今申し上げたようなことは、技術的には非常に簡単に相なりますが、しかしおそらくそれはむずかしいのではないかというふうに考えております。そこで今度は、現在あります違つた税率でやるかということに相なりますと、これは先ほど申し上げましたような部隊の間の移動もありますし、非常に動きが多いのでございますから、これを一括して源泉徴収をいたすことは困難であります。
  34. 門司亮

    ○門司委員 今のお考えですが、これは当然各市町村で違うことはわかつております。また同時に法の建出から言いましても、やはり市町村の条例でこれをきめてお願いをしなければできないことになつておりますので、一律一体にやろうということも、あなたの方からすれば一つの方法かもしれないが、市町村がそれを依頼しなければ何もやる必要はない。それで今日の状態は、そういうことでありませんで、むろん個々別々の財政状態であります関係から、税率にも多少の違いがあることはわかり切つたことであります。しかしその問題につきましても、私はそうむずかしい問題じやないのではないかと思います。あなたの方では、部隊はたこの足みたいなものだから、頭からおのおのの出先にそうしてやれという命令さえ行けば、それで済むのじやないですか。そしてその書類が本部に入つて来ることも、大して困難じやないのではないか。今の地方税法の中には、いろいろそういうものがたくさんあります。固定費産税の船舶などに関する条文では、また問題がある。これらも是正をしなければなりませんが、その一つとして、こういう問題が起つておる。ですから今のようなお考えだとすると、なかなか簡単にものが片づかなくなる。これは法にきめておりますように、市町村の依頼があつたら、それに本部で支払うということでありませんと——これは国でありまして、営利会社でも何でもない。国の一つの機関なんだから、そういう地方の自治体に対して、やはりそのくらいの親切ができないとは私には考えられない。従つてそういうことをぜひひとつやつてもらいたいと思う。そうしませんと、自治庁との間にどんな通知をとりかわされても、なかなか徴収は困難だと思います。そういうことはどうしてもできませんか。やれぬというなら、やれぬでいいのです。
  35. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して……。先ほど門司委員が、保安隊では市町村民税を納めるのが正しいと考えるかどうかという、とつぴのようないやがらせのような質問をなさいましたが、それにつけて思い出すこは、私今夏北海道に参りまして、地方行政関係の視察をやつた場合に、保安隊の所在する地方当局の言い分では、市町村民税の問題でその部隊の当事者に話をすると、お前らが来てくれぐれ言つたから、来てやつたのだ、今そういう人はいないから、やれない。おれの分は、来てくれと言つたから来たのでむしろ郷土から言えばプラスになつているのだから、まけろ、こういうことを言う。それで非常に弱つている。そしてそういうことのために、先ほど横路委員が言われたようなぐあいに、往復に費用をかけて、税金をもらいに遠くまで飛んで行かなければならぬ。こういうことになつておる、こういう陳情があつたのです。それについては、税金が納まらないで、地方財政が窮境に陥るというばかりでなく、そういう態度そのものに、私は非常な危険を感ずるのです。そういう点は、民主化されたと言うか、新しく生まれた保安隊の精神からは、おそらくはずれておるだろうと私は思う。幹部の人々が、そういうおもしろくない方向に向いておるという現状においては、ただいま門司委員指摘されたようなぐあいに、ほんとうに誠意をもつて、何らかこの問題を早急に解決されるべき道を見出すのが、幹部諸公の務めではないか、かように考えられるのであります。そういうこともありますので、ただいま門司委員質問に対する御答弁を、私からもお願い申し上げたいと思う。     〔床次委員長代理退席、中井委員長着席〕
  36. 石原周夫

    石原説明員 前の方の強制徴収の点につきましては、私が先ほど申し上げましたように、部隊移動しないものが、もちろん割合からいつて多いわけでございますので、強制徴収の方法をもつていたしますれば、部隊の中の大部分はおそらく御希望のような結果になるのじやないかと思います。しかもその場合におきましては、当該分任資金渡官吏が、その市町村におきまする住民税の課率をもつて計算いたしますので、その内容につましては、現在持つております能力の範囲内において処理いたし得る問題であります。ただ問題は、移動をいたしました場合に、どういうふうに、これをトレースいたすかという点であります。この点につきましては、先ほども申し上げましたように、移動は数から申し上げますと、みんながみんな決して動くわけではないのでありますが、それはいろいろ課率も違いますし、現在相当の部隊の配置がえもあり、幹部が学校に入つて出て来るというような関係もある。そういうような関係になりますために、それを課率の違う率をもつておつかけて参るということは、現在の仕組みとしては困難であろうということを申し上げたのであります。なお後の方のお話のございました、部隊あるいは隊員そのものの地方の住民税を納めます点、これの必要性と申しますか、これは実は当然なのでありますが、そういう納税の意識を高揚するという点につきましては、先ほど申し上げましたように、随時通牒を出しまして、特に部隊長につきましては、内務関係の成績の一つの資料にいたすというような通知を流して、督励をいたしておるわけであり事。この点は自治庁ともいろいろ御相談をいたしまして、できるだけ現在のやり方の上においてその趣旨の徹底をはかつております。結論におきまして、先ほど申し上げたように、必ずしも十分であるとは思つておりません。従いまして自治庁と御相談をしました上に、強制徴収ということをやつてみても、われわれの方でできることではないというふうに考えております。
  37. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私ちよつと途中からですが、実は福知山及び自分の郷里の舞鶴に、御承知の通り保安隊がございます。その保安隊の人はどういうことを言うか。わざわざ来てやつたのだ、舞鶴あるいは福知山に金を落すのであつて、それで官舎を建てよ、道をよくせよと言うて、非常に地元では困つております。あなたは市町村が非常に赤字に悩んでおるということを御承知でございましようか。まずこれを私は聞きたい。今市町村は赤字財政のために非常に悩んでおる。ところが官舎を建てることはあなたの方がお建てするのがあたりまえです。それにこの普請をせい、この道をよくせい、こういうことをおつしやる。そして税金を納めろ、税金はあなたの方で差引かれたらいい。何人移動しても移動したということですぐ自治庁と相談する必要がない。それをどうするかここではつきり言うてちようだい。うそを言うたら私は承知せぬ。はつきり言うてちようだい。地方財政がかくのごとく困つておるということをあなたはよく御承知ですか。その点の説明を聞きたい。     〔委員長退席、加藤(精)委員長代理着席〕
  38. 石原周夫

    石原説明員 地方財政のなかなか苦しいということは、私ども承知をいたしておるつもりであります。御指摘の福知山あるいは舞鶴におきまする事実は、私は今精細には承知いたしておりませんが、場所によりまして道路あるいは官舎を建てまする条件、というと語弊がございますが、そういうようなことでキヤンプを設置いたした例が若干あつたかと思います。従つて指摘のようなことは今正確に存じませんが、そういうような場合におきましては、地方自治体におきまして、創設当時の約束と申しますか、そういうようなものを実行いたしていただいている例があるかと思います。ただそのために地方財政が著しく困ることがないようにということは、私どもも十分考えて参らなければならぬかと思います。それから強制徴収という方法を採用いたしますれば、移動するまでの分はこれは問題なく源泉徴収でとれる。問題は移動した後におきまする問題でありますが、移動する前にとりました分は、当該市町村に行くわけであります。
  39. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私の尋ねておるのは市町村は赤字財政で困つておる。それなのにあなたはすぐ若干々々というが、あなたは軍人ですか。今どき若干なんという言葉を使う者はおらぬ。若干とは過去の軍人の遺物です。そういう言葉をこの民主国会で言うてもらつたら困ります。また移動々々とおつしやいますが、移動したつて、人数がわかつてつて、何日から何日、どこへどうしたということもわかつておる。その移動した分はどこへでもちやんとはつきりできるじやありませんか。その計数の頭があなたはないのですか。ちやんとそうしてやつたらいいじやないですか。このごろは非常に赤字財政で困つておるのです。私たちの郷里は保安隊に来たもらつた。それがために官舎を建てたり、道をよくせい、またこうせいということで非常に赤字で困つております。この税金は自治庁と相談する必要はないのです。あなたの方で出してください。できるでしよう。横路さんもここではつきりさしたらどうですか。移動したものの地方税を責任を持つて払わすようにここで言明してちようだい。私の選挙区にあるから私は困る。はつきり言うてください。それを聞いているのです。
  40. 石原周夫

    石原説明員 移動後におきますキャンプの所在地におります隊員に対しまして、それの督促でありますか、あるいは差押え令書の通知が参りました場合は、俸給月額の二割五分でありますか、その範囲内における徴収の規定があるのでありますが、そういう点につきましては現在も御協力申し上げ、今後におきましても十分に御協力をいたすつもりであります。
  41. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それでは私に対する答えにはなつておらぬ。
  42. 加藤精三

    ○加藤(精)委員長代理 ちよつと大石さん、お待ちください。今のは地方自治体保安庁との関係がしつくり行くように、互いに地方行政に協力するとともに、保安隊の運営にも協力するようにしてもらいたいという多分に精神的な面を大石さんは強調しておられるのですから、そういうふうな意味で御答弁願えば非常によいと思います。
  43. 石原周夫

    石原説明員 できる限りの御協力を申し上げるつもりであります。
  44. 横路節雄

    横路委員 私は税務部長お尋ねいたしたい。きのうも問題になつておりました保安隊市町村民税については、地方税法三百二十一条四の点については、前にあなたの方で通達を出してお願いしておるが、これは今経理局長に聞いたら、保安庁の方でこれは撤回してよいのだ、こういうとでいともあつさりあなたの方で御心配になりましたような根拠はないことがはつきりしましたので、いつお出しになるのか聞きたい。三百二十一条四の規定によつて特別徴収義務者として指定しないという点については、本委員会において経理局長から撤回しますという申出があつたから、撤回するならするとはつきりしてもらいたいということが一つであります。  第二番目の問題は、そういうふうにしても、今大石委員その他からお話がありましたように、部隊移動に伴つてなかなか困難である。全国の保安隊所在地の市町村長といたしましては、その人数がきまつておるから、この市町村民税の中の適当な標準課率を保安庁で一括してとつて配分してもらいたいという要請があるわけです。そうなると、今大石委員その他からお話がありました部隊移動に伴うところの徴収困難だということは解消しますので、この点について私はぜひそうするようにしなければならぬと思う。そういう場合には一体どの程度の課率が妥当なのか。そういう点についてもしも地方税法の中で特別条文を追加したり、改正しなければならぬような点があれば、そうしなければならぬが、その点についてはどうなつておりますか。第一番目として通達は撤回してよろしいというのか。第二番目として一定の標準課率で保安庁でとつてもらえば、これは部隊移動とは関係なしにやれるのか。この三点を伺います。
  45. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 通達はたしか二、三年前に出しておると思います。この数箇月来あの通途を撤回したということで保安隊の方に交渉をしておつたわけであります。幸いにして石原さんが経理局長になられたし、皆さん方のお考えが非常にはつきりして来たので、こういう形になつて来たのかと思つております。私としては非常に喜ばしいと思つております。実はきのう第一幕僚監部の会計課長をお呼びになつたのだろうと思います。私は電話をしたのでありますが、国会でもやはり通達は撤回したいと思つておるのだということを答えたと思います。非常に強い反対の意向を表明せられた石原さんでありますので、たいへんわかつていただいて喜んでおりますが、細部の問題についてはよく話合いをいたしたい。なお市町村民税でありますので、税率は個々の市町村によつてつております。従いまして国の所得税の源泉徴収とは偉いまして、個々の納税義務者につきまして、徴収すべき税額が何円であるかということを、それぞれ給与支払い者に対しまして通知するわけであります。その通知に基きまして、毎月給料を支払います際に差引いて行きますので、差引くべき額というものは、給料を支払います者が自分で計算するのではなしに、市町村から通知を受けた額に基いて差引いて参るわけでございます。  なお移動の場合につきましても、一般には同じ部内でありますならば、関係先へおつかけて同じように源泉徴収してもうという建前になつておるわけでございます。この辺の問題につきましては、なお保安庁でも見解を同じくしていただくそうでありますから、よく御相談をしてみたいと思います。
  46. 横路節雄

    横路委員 今のお答えで非常にはつきりしたことは、お話がございました第一幕僚監部の会計課長がだめだといつたのが、経理局長はいいといつたということですが、これは地方財政の上からいつて非常にけつこうなことで、われわれ当委員会としても非常に喜ぶべきごとだと思うのですが、この点はひとつ早急に通知を出してもらいたい。なお出しましたものについては、これは資料としてあわせて本委員会に通牒の写しを出してもらいいたい。  第二番目の点は、やはり一番問題となるのは部隊移動した場合で、部隊移動するとなぜとれないかということが了解できない。部隊移動しても当然その本拠というのがあるはずです。そういう住所不定の者はないはずだと思うのです。(笑声)これは言葉が違うかもしれませんが、私は部隊移動していてもとれると思うので、この点あなたは実際地方自治体の税を担当なさつておるのですから、もう少し本委員会に、部隊移動してもこうやつたらとれるではないかということを言つていただき、はつきり会議録に残したいと思いますので、あなたのお考えを述べていただきたい。
  47. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 政府部内で話し合つておりますやさきにこういう問題になつたわけでありまして、話合いがきまらぬうちにいろいろ先走つて申し上げるのもいささかおこがましい感じがするのでございます。しかしながら私は部隊移動しても特別徴収は可能ではないか、そういう意味で二、三年以前に出されました通達をなお今日維持して行く理由はどうも発見に苦しむのであります。だから部隊所在の市町村の非常に困つておる様子を聞きまして、この通達を撤回したいという決心をいたしまして交渉いたしております。従つて特別徴収をされますのは、保安庁よりは市町村にありますところの部隊がよろしい。またその部隊に勤務している者がかわつて行く、あるいは部隊全体がかわつて行きました場合は、おつかけてそちらに通達して行けばよろしい、こういう考えを持つております。しかし保安隊のお考えがいろいろございましようから、これはやはり事情をお伺いしまして、どちらにも円滑に行くような方法を研究したいと思います。
  48. 横路節雄

    横路委員 経理局長部隊移動の点についてお尋ねします。今の特別徴収義務者の点について通達を撤回すればできると思うのです。それでこれは一つの例ですが、たとえば美幌なら美幌の保安隊移動する。しかし移動しても、それぞれの市町村でそれぞれの特別徴収義務者を現地の部隊のだれかに指定すれば、当然その責任においてとれるのじやないでしようか。この点がどうして困難なのか、もしもどうしてもそれが困難だということになると、一番最初に言いましたように、これは全国一定の標準課率で、保安庁で勤労所得税の源泉徴収をやられるのであるから、どうも私は今の税務部長のように、特別徴収義務者指定した場合も、なお部隊移動があつて徴収困難だという点は理解できない。その点がやはり特別徴収義務者指定された人の誠意いかんではないかと思う。そこが西村委員からも門司委員からも指摘されているところなのです。その点はどうでしようか。
  49. 石原周夫

    石原説明員 先ほど横路委員よりのお尋ね、二つの点かと思いますが、先ほど仕組みの点を申しましたが、若干それに関連があるかもしれません。さつき申しましたように、会計とか業務というものはいわばどんぶりみたいなものでありまして、その中にいろいろ入つて来るのであります。従つて名寄の部隊が留萌に行くという場合があります。そのかわりほかの部隊が名寄に来る。留萌にはもちろん新しいものが参るわけでありますが、従来おりました部隊会計業務はそのまま残つております。だれが来ましても……。住所不定ということをおつしやいましたが、多少それと似たような感じがあるのであります。実はそういつた業務というものは、サービス・グループと申しますか、そういう会計隊業務隊がやる。そうしますと、先ほど申ましたように、分任官というものを徴収義務者指定をいたします。その人間は今度は新しくそのキヤンプに入つて来た人間のことをやるわけであります。しかしその場合にももし一つキヤンプがそのままそつくり移動して、ただ甲のものが乙にかわつたということでありますから、御指摘のような場合に比較的物事は簡単だと思います。そういう場合が絶無だとは申しません。ただ、今のキヤンプはおいでになりますとおわかりだと思いますが、これは主として今あります施設をできるだけ利用するという建前でやつております関係上、数種の部隊が一個のキヤンプに入つておるのが、非常に多い。またキャンプも非常に狭隘でありますから、従つてそのうちの、たとえば五分の一なら五分の一が動きますと、こちらにあります三分の一なら三分の一をもつて埋めるということをやつております。従いまして、その間が一体となつて動いておれば、大体御指摘のようにお考えになるのは当然だと思います。私たちの場合には、そういうふうにあいたところに埋めて行く、そういう関係がありますので、一つのどんぶりの中にはいろいろな種類の飯が入つておるのだというふうにお考えになつて、そのうちの一部分が抜けたら、ほかのものがまた入つて来るということになりますので、そこのところはなお自治庁と相談をしなければならぬと思いますが、私どものところでは相当にむずかしいということを考えておるわけであります。そのいろいろなものが、甲の町から来たもの、乙の町から来たものが事実入るということがありまして、それがあつちこつち移つて行く、そういうような部隊一つの単位として、そういう会計業務の関係も含めて、一切をあげて右に左に動くということは簡単でありますが、現実にはそういういささか複雑な動き方をいたしておるということであります。
  50. 門司亮

    ○門司委員 せつかくの御答弁ですが、やることはいいが、実際にはできないであろうということは困る、実際にやつてもらわないとこつちが困る。非常に問題を複雑のように考えておられるようですが、この問題はそんなに複雑じやないじやないですか。これは御存じのように、市町村の条例で特別徴収義務者に御依頼することができるようになつておる。その市町村が依頼状を出すわけであります。従つて市町村が、何のなにがしにこれだけの税金を徴収してもらいたいということを御依頼するわけでありますから、その依頼されたものに対する処置をしていただけばいいのであります。部隊自身がこの税金を取ろうというお考えであつては間違いである。部隊はただその依頼を受けた者の徴税をするだけであります。従つてどもから考えてみますと、保安隊という一つの系統立つた団体であり、ことにどこに行つたかわかうぬということのない団体である。だからいかように錯綜いたして参りましても、単なるこれは一つ事務の整理で片づくのではないか。なるほど、保安隊でこのものにどれだけの税金をかけなければならないかということを計算されるということになると、めんどうかもしれません。しかし徴収すべき町村の方から、何のなにがしについては幾らの税金を取つてもらいたいという通牒が参るわけであります。従つて保安隊における単なる事務処理であると考える。何もはつきりした業務というところまで考えていないのじやないか、単なる事務処理で片づくのではないかというふうに考える。そうすれば、そうきゆうくつにお考えにならなくてもやれるのじやないか。たとえば神奈川県の者が福岡県に参りましても、神奈川県のAという村から神奈川県の隊に、こういう者が私の村に納める義務になつておるから、これをとつてもらいたいという通牒が参れば、その通牒はただちに福岡県に行つて、福岡県に行つております者の給料の中から差引いてもらうということは容易にできる、そう困難なことではないと思う。だから今のようにむずかしくものを考えないで行けるのじやないか、私はこう考えるのだが、あなた方はそれでもいけないという何か議論がありますか。
  51. 石原周夫

    石原説明員 事柄の性質は、おつしやいますように何か非常に根本の建前に反するとかなんとかいうことでありまするよりは、事務の量の問題であろうかと思います。現在、申し上げましたように、会計隊というものの構成を今の事務量で考えておりまして、今の会計隊というものの取扱つておりまする事務のさばき方から申しますると、非常に幾つもの違うものがあつて、おつしやるように市町村側からのお話があつて、それを引受けて計算いたすことにいたしましても、相当複雑なる計算の過程に相なるものと考えるのであります。それが現在の事務処理の関係から申しまして、なかなか容易ではあるまいということを申し上げておるのであります。
  52. 門司亮

    ○門司委員 今のお話ですが、大分話がわかつて来たような気がする。もう少しお考えを願えればわかると思う。なるほど一応そういう人間の問題も言えるかもしれません。われわれもそれを考えないわけではない。しかし事柄といたしましては、さつきから申し上げておりますように、実際は市町村かうきめられて行くわけですから、ただ伝票のやりとりというと少し語弊があるかもしれませんが、どこの何の何がしがどれだけの税金を納めなければならぬというその額の計算をするわけではありませんし、同時に部隊におる者は限られた人員であります。従つてその町村といたしましては限られた人員である。その人員以外に出ないのであります。従つて部隊の中では、あるいは部隊の構成上ABCというようなたくさんの人が一つ部隊にまとまることがあるかもしれない。そこでいろいろなそういう問題が起ることがあるかもしれない。起るかもしれないが、しかしこれもそうたくさんな人間じやありませんし、同時に私はそんなに輻輳したほどの問題ではないと考えておる。従つてさつき変な御質問をいたしたように、保安隊がどうしても納めなければならないものだというようなことの親切なお考えがあるならば、こんな問題は大してむずかしい問題ではない。一体経理にどれだけの人間がかかるかということは、一つ部隊について考えますとそう大きな問題ではないと思う。これが市町村の場合、おつかけて行くということになると、出張の旅費なんかも払わなければなりませんし、非常に困る問題だ。同時に先ほど横路君から申し上げておりましたが、課率を一定にするというようなことになると、保安隊を特別のものと認めることは私はできません。どこまでも保安隊というやつは——やつというと怒られるかもしれませんが、保安隊現状では志願者であり、一つの職業であることに間違いがない。従つてそれに特別の取扱いをするわけには毛頭参りません。  この際私ははつきりしておきたいと思いますことは、町村側はそういうことで非常に弱つておるのであります。たとえば税金をとらなくてもいいという筋合いのものではございませんから、徴税した税金よりもまごまごするとよけい徴税費にかかるというような愚なことをあえてしなければならないというようなことも起らないとも限らないのであります。そういうことを私はおそれるのであります。そうかといつて税金をとらないでいいという筋合いのものではないのであります。町村では非常に困るのであります。国の一つの機関としての保安隊の納税の率が非常に悪いということになると、保安隊の名誉になりませんし、その点は非常にくどく申し上げておるようでありますが、これはあなた方の裁量でやれると思いますから、やれるという御答弁をしていただくことがいいと思います。
  53. 石原周夫

    石原説明員 先ほど来申し上げておりますように、私どもの方にも若干事務関連もございまするので、その他の点もあわせまして御趣旨のことはよくわかつておりますから、できるだけ御趣旨の意に沿うようにしたいと思います。そこら辺の現実の解決をどうするかということは、自治庁と相談をいたしまして決定して参りたと思つております。
  54. 滝井義高

    ○滝井委員 ちよつと関連して奥野税務部長お尋ねしますが、保安隊の問題と非常に似ておる事態があるのです。それはたとえば筑豊炭田における炭鉱地帯の問題です。これはたとえばAならAという市に、四つぐらいの炭鉱があるとします。炭住の移動というものは実にはげしいのです。月に五十人、百人移動することは珍上くない。そういうふうに非常に移動がはげしいところにおいては、いわゆる一括納入の形が行われておる。炭住の社宅の内部に一々徴税吏員が人づて行つても、前の月におつた人が、今月はどこに移動したかわからない。あるいは他県に転出しておりまして、そのあとには他県から違つたものが入つて来ておる。こういうことでちようど保安隊と同じ状態が炭鉱地帯の市民税の徴税の上において現われておる。ところがこれは現在それぞれ各自治体においては、それぞれの炭鉱徴収義務者として労働組合あるいはその他の加勢を願つてけつこうやつておるわけなんです。これはもちろんそこには還付金の問題が幾分問題として残つております。これは保安隊にしても、今の人員の問題その他がありまするが、保安隊の出先において、これを納めてくれといつて、一括納入ができるということになれば、これは還付金の五%か八%ぐらいはやることができるわけなんです。そういう点であんなに複雑な炭鉱においてもできておるのだから、それよりも命令系統がはつきりしておる、しかも人員の把握がいわゆる浮浪者みたいな状態ではない。不特定の住所ということがないわけではないが、行き先がはつきりしておるのだから炭鉱の方がむしろ個人の意思によつて、Aの炭鉱からBの炭鉱にどんどん移動して行くのですから、もつと複雑なんです。それが現在還付金の問題だけでうまく行つているのですから、保安隊ができないはずはないと思う。保安隊は炭鉱よりももつと単純なものだと思う。そういう点で炭鉱がやつているのですから、もつと命令系統のはつきりしている保安隊はやれないことはないと思います。その点について自治庁はどうお考えになりますか。
  55. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 お話のような方向で保安隊とよく話をして、早急にこの問題を解決したいと思つております。
  56. 横路節雄

    横路委員 私は経理局長に特にお考えをいただきたいと思いますことは、私たちの見込みでは、来年度おそらく一万ないし四万、その翌年度についても同様三万ないし四万、ここ二、三年のうちに大体十八万あるいは二十四、五万、だんだんこれは今の国会でも問題になつておりますように、三十二万五千、三十五万というところまで来ると思うのです。そうなりますと、非常に町村財政にとつて重大な問題なんで、この点につきましては、税務部長とぜひお話の上で、保安隊員が一人でも市町村民税を納めないものがないようにしていただかないと、実際現地においては、保安隊員市町村民税は納めなくてもいいのだ、こういうことになるとこれは非常な問題になると思う。この点はぜひ税務部長の方でもよく話をしてやつてもらいたい。特に御承知のように、一月一日で該当者については、きちつときまるわけでありますから、この点は一月の通常国会などということを言わないで、ぜひ十二月二十七日のこの年末までの間にきちつと話合いをつけて、それぞれ当該の市町町に、きまつた点の通達を出していただきたいと思います。この点を要望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  57. 加藤精三

    ○加藤(精)委員長代理 町村合併促進法の一部を改正する法律案を議題としてこれより質疑に入ります。御質疑の方は御発言を願います。
  58. 滝井義高

    ○滝井委員 条文の質疑に入る前に、ちよつと予算上の問題を一、二当局の方に質問いたしておきたいのですが、先般来閣議決定によりまして、町村合併促進の基本計画ができたわけであります。その基本計画によりますと、三箇年間に町村数を現在のおおむね三分の一に減少することを目途として、閣議の決定で基本計画の決定を見ております。それによりますと、二十八年度中に現在の町村の少くとも一五%を減らす、こういう計画であつたと記憶いたしております。その当時自治庁が私の質問に対してお答えをいただいた予算上の問題は、三十八年度において一五%の減少を来すためには、三十七億の金がいる、こういうことであつたのでございます。その三十七億の予算を執行するためには、自治庁において少くとも六千七百十六万三十円くらいの経費が必要だ、こう計上をされておつたと記憶いたしております。ところが、今度第三次補正予算が内閣から提出されております。予算の説明書によりますと、自治庁事務費が五百二十四万四十円ということになつておるわけです。計画というものは今まで通り一五%減らすと、大蔵省から出ておる説明書にも書いてある。一五%やるのに自治庁事務費が六千七百十六万もいるといつておつたのが、今度は五百二十四万四千円でけつこうだ、こういうことになつておる。十分の一以下でできるということなんです。自治庁のこういう大きな態度の変更というものは、一切の都道府県の補助費、市町村の補助費というものが、三十七億のわくから考えて見ると、やつぱりこれと同じように十分の一くらいで全部やつてしまうという形になつておると思う。せつかく参議院でああいう町村合併促進の法案をつくつていただいて、われわれもこれに賛同し、閣議もまた基本計画を決定をして堂々と天下に発表したものが、わずかに二箇月しかたたない現在において、十分の一の計画に縮小されて実行ができる。こういうことはどうもわれわれとしては納得が行かない。はたして自治庁責任を持つて一五%減少したこれだけの予算でできるかどうか、この点まず御答弁願いたい。
  59. 小林與三次

    ○小林説明員 お答えいたします。予算上の問題につきましては、実はこの前の臨時国会のときに、われわれの方で大蔵省に出します要求額についての御説明を申し上げたのでありますが、そのときの金額は、今お話の三十数値だつたのでございます。そこでその後大蔵省といろいろ折衝の過程におきまして論議を重ねたのでありますが、実は十七億——この金額は多ければ多いほどわれわれといたしましては、仕事がやりやすいのは申すまでもないのですが、あの三十七億のときの金額におきましては、本年度やる一五%分以外の一般的な啓蒙宣伝として、全市町村を対象とする経費を組みましたり、あるいは府県に対する金額は全額、これを計上したりしておりまして、多少重複するような経費も相当あつたのでございます。そこで本年度一五%やるためのぎりぎりの経費といたしまして——あのとき計上しておつたもとは、一府県ないし一市町村に行く金額の土台が根本でございまして、この金額に影響を来さないような考え方でその後予算を調整いたしまして、大体最小限度十億の金額があれば、おおむね曲りなりにも目的を達するのじやないかという結論に達しまして、そういう見当で大蔵省と最後の折衝を重ねて、今度提案になつたような数字で話がついたのでございます。そこでそういたしますと、正直に申しまして七億では足らないのでございまして、あとどうしても一、三億の金額が必要でありまして、この金額につきましては、従来も特別交付金から合併について経費を出し薫りましたので、われわれといたしましては、従来出しておつた程度の金額を特別交付金から出す、その他不足分を予算の方でまかなつてもらう、こういう考え方で、最後にこの補助金七億ということで話合いをつけたわけでございます。それでわれわれといたしましては、この金額によりますと、大体一府県平均三百万円、それから合併に関係する町村平均六十万円ということを最低の線として折衝いたしたような次第でありまして、この予算と一部特別交付金を合せまして、今のような金額を確保いたすことができたわけでございます。それでわれわれといたしましては、この程度でおおむね目的を達し得るのじやないかと考えております。ちようどきのうも全国の地方課長の諸君に来てもらいまして、この数字示して地方の実情等も聞いたのでありますが、各府県におきます町村の合併の空気の盛り上る状況等から実際の実施状況を見まして、何とかこれで目的を達し得るような報告を実は聞いておるのでございます。
  60. 滝井義高

    ○滝井委員 三十七億のものが十億以下でやれる、こういうお話であるならば、初めからはつきりしておくべきであつて、どうも最近の行き方としては、自治庁がそういう場合に大きく輪をかけた予算を請求しておる。従つて地方公共団体もまた災害その他輪をかけてやる、こういう上それをなし、下これをならうという実に悪弊が現在出ておる。そういう悪弊が実際出ておるために、実際の災害を受けて災害の金が必要であるというのでも、大蔵省あたりは、これは山があるとして、初めから二割、三割天引きしてやつておる。災害の予算がきまらぬうちに今度は行政監察を持つてつて、どんどんまじめなところまでつつき上げて、そうして一つか二つふまじめなところがあると、それを高らかに新聞に発表して行くという、行政にとつてはきわめて致命的な状態が現在出て来ておるのです。そこで今自治庁町村合併というような経費を減らさなければならない予算の組み方に対しても、水ぶくれの予算を組んで、そうしてそれが最後には五分の一の七億でもいい、それで目的を達します、こういうことは明らかに地方自治を指導する自治庁のとるべき態度でないと思う。そこでそういう態度であるならば、これは当然二十九年度に予定されておる百三億の中にもそういう水増しがあると考えられます。そこでわれわれは、今後地方自治体において合併を促進する上において、予算の上では百三億だ、三十七億だということでつられてやつてみたが、これはまつたく言われたときとは違つておつたということで、合併しなければよかつたという気分を地方自治体に起させてはまつたく相済まぬと思う。そこでこの七億もおそらく繰越し明許ということになつておりますので、これは二十九年度までだんだん使われて行くと思いますが、あの当初の計画の三十九年度の百三億というようなものは、大体どの程度あつたならばあなた方の二十九年度の六五%の目的を達することができますか。これは一応今年度の七億と来年度の百三億、こういう形で出て来るわけなんですが、これはおそらく百三億よりもつと、低くていいでしよう。しかし自治庁はおそらくことし一五%と二十九年度六五%すなわち約八〇%というものは二箇年でやるというおつもりだろうと思いますから、ぎりぎり最低限度の予算はどの程度大蔵省に要求しなければならぬものなのか、この点をひとつはつきりしていただきたいと思います。今後われわれもぜひこの問題を推進いたしたいので、そういう最低の限度をお聞きいたしたいと思います。
  61. 小林與三次

    ○小林説明員 これはまことにごもつともでございまして、予算を要求する金額と予算の確定金額との開きがすこぶる多い結論になつておるのであります。非常に申訳ないことでありますが、実際予算を要求いたします立場と、予算を査定する立場との間の調整の問題が、事実問題としてどうしても残らざるを得ないので、この点はお許しを願いたいと思うのでございます。われわれといたしましては、お話のごとく特にこの経費は投資的な経費でもありますので、多ければ多いほど仕事が円滑に行くであろうということはあるのでございますが、国の財政の立場も考えて、最小限度ぎりぎりのところで最後の予算の決着を見ざるを得ない、こういう結果になつておるのでございます。それで明年度の予算の問題になりますれば、これはこれから明年度予算の折衝が本格的に始まることになると思うのでありますが、われわれといたしましては少くともこの本年度の予算というものを前提にして、明年度六五%を遂行するにふさわしい予算は絶対的に確保していただかなければならないと考えておるのであります。つまりこの単価を落すわけには参らぬのでございます。それでこれを引伸ばした金額の六五%というものはどうしても来年度確保いたしたい、こういう考え方でおるのでございます。実際自治庁の経費の問題を一つ例にとりましても、われわれといたしましてはたとえばいろいろな啓蒙宣伝のために映画をとつたりするような経費も考えておつたのでありますが、そういう経費はあるに越したことはないが、なくてもかまわぬとされ得る面もある、こういうようなことで予算の実際の決定が行われるわけでございまして、この点は御了承をお願いいたしたいと思うのでございます。     〔加藤(精)委員長代理退席、灘尾委員長代理着席〕  そういうことで、来年度につきましてはまだ正確な数字は出しておりませんが、少くともこの七億の四倍以上の金額はどうしたつているだけでなしに、それだと一部特別交付金を食い込む計算になりまして、それ以上食い込ますことは特別交付金のわくを狭めるゆえんになりますので、それもわれわれとしてはがまんがならぬことになるのでありまして、どうしたつて四、五十億の金額が実は出て来るのであります。それで問題は、そうした金額をどうしても確保いたしたいと考えておりますが、四、五十億というのが非常に大きな山になるものでありますから、かねがね大蔵省の方でもその山をならすことができないかということが、実はこの補正予算をきめる場合におきましても大問題になつておつた次第でございます。これにつきましては、今後の折衝によつて計画は目的通り達し得るように、少くとも各町村への単価は一文も減らさずに来年度の目的を達し得るようなことで、予算を確保いたしたいと考えておるのでございます。
  62. 滝井義高

    ○滝井委員 一応来年度も四、五十億、こういう見通しでございますが、問題はむしろ来年度の予算の橋頭堡と申しますか、足がためというものは、当然この七億の予算の獲得のときにおいてきめておかなければならぬ問題じやなかつたかと私は思うのです。これは改進党の十五箇月予算の思想じやありませんが、もうすでに予算委員会等で大蔵大臣の説明があつた通り、来二十九年度の予算の組み方というものは、今までの二十七、八年度の実績から考えて、六兆二千億の国民所得の大体一割七分六厘程度がそのわくになつているようであります。そうしますと一兆七百億前後になる。そこで来年度は防衛費、恩給その他ふえる要素が非常に多いのです。しかも予算のわくというものはわずかにしかふえないということになりますと、やはり一番圧迫されて来るものは厚生費、文教費、地方公共団体のこういう費用なんです。従つてこれは来年度に問題を残しておいて、四十億ないし五十億をとるのだということは、私は今の見通しでは不可能ではないかと思います。そういう点で、これは自治庁の方で二十九年度六五%、今年度の一五%、計八〇%確実に推進して行くという自信でもおありの上で、今の四十億ないし五十億は見通しを立てたと思うのですが、そういう確信を持つての上の御答弁でしようか、それともただまあそれぐらいで折衝して入ようというようなあいまいな御態度なんですか、その点をはつきりしておいていただきたい。確信のあるところを御答弁願いたい。
  63. 小林與三次

    ○小林説明員 その明年度のこともありますので、われわれといたしましては、本年度の予算の基礎だけははつきりさしておくということで最後までがんばつて、結局今申しました通り一府県平均三百万——これは一府県につきましては、これから数箇月の問題でありますが、来年度は一年間の問題でありますから、三百万では足らぬと思います。それと一関係町村六十万円、これは従来の経費から考えても絶対に削ることはできない、こういう一町村六十万という数字を基礎にして、そうしてこの予算を本年度限りとして立てたのでございまして、来年度は基礎を動かさずに、結局関係町村の数をふやすということで話が進められると思うのでございます。それで結局六五%の基本計画いうものは、われわれとしてはかえるわけには行かない、これはすでに閣議でもきまつておりますし、大蔵省もすでに十分承知しているわけでございますから、六五%の計画を進めるのと、この一府県ないし一町村の単価というものに影響を及ぼさないように予算はどうしても計上されなければならない、こういうように考えているのでございます。それでありますから、これはこれからの予算の折衝の問題として、われわれはその線で折衝しますし、大蔵省も大体そういう前提で今年の金額をきめていると思います。ただ問題は、本年度の予算でも繰越し明許にしておりますと同様に、来年度中といいましても、たとえば三月ぎりぎりに合併が行われる件数が相当多いと思います。今度も四月一日施行というものが多いのでございますが、そのものは来年度に繰越しても支障がない、善後処理費のように事後にやる金につきましては、合併後交付してもいいのでありますから、そういうものの経費をどういうふうにあんばいをして見て行くかということが、私は最後の具体的の折衝の線になるのではないかと思つております。計画といたしましては、動かせない計画としてわれわれはやるつもりでおりますし、大蔵省もある程度腹をきめてこの金額をきめたものだと考えているのでございます。
  64. 滝井義高

    ○滝井委員 大体今の説明で、ある程度自治庁も腹をきめているし、大蔵省もある程度了解しているということを了解したのですが、現在私一、二の県を当つてみたのですが、県そのものは現在財政が非常に逼迫しているのだ、だから国から来た費用だけで、その上に財源までつぎ込んで町村の合併を促進するだけの余裕がないという県が多いのです。現在自治庁に入つております情報によつて、大体今会計年度内にどの程度町村の合併が推進されるお見通しですか。一五%そのままとは行かぬと思いますが、どの程度のお見通しがありますか。
  65. 小林與三次

    ○小林説明員 先ほどちよつと申しました通り、各県の地方課長に、各県別に見通しを聞いたのでありますが、正直に申しまして県によつて山があるのでございます。ある県はずいぶん進んでおるし、ある数県は多少本年度においては調子が上つていないという傾向の県もございますが、その数字を集計いたしてみますと、大体われわれが考えておつた線に、その数字が偶然にも出ておるのでございます。またその中には、今申しました通り、四月十一日施行というものが少しあるのではないかと思つております。これは四月に施行でも一向にかまわぬのですが、大体あり得ると思います。さらにいま一つは市の設置の問題がこれにからんでおりまして、市の設置が容易になれば合併がずいぶん促進されるということが全国的な空気でございますので、われわれとしては町村合併という大目的も考え、市の設置は法律上許容され得る範囲ならば運用上実情に合うように考えるということを考えておりまして、昨日もその旨を地方課長の諸君に申したのでありますが、その結果市の設置によつて合併がきわめてふえるという見通しを持つておるのでございます。そういうことをかれこれ勘案いたしまして、今のところではおおむねこの目的を達し得るのではないかと考えておるのでございます。しかし、これはこれから数箇月の問題でありますので、われわれも力を注ぎますが、また皆さん方の格別の御協力をお願いいたす次第でございます。
  66. 滝井義高

    ○滝井委員 そういう場合に、合併がある程度目的を達成して行きますと、やはりいろいろ地理的な関係その他で、八千以下の人口の町村が相当数残つて来る可能性ができて来ると思うのです。そうしますと、そういう町村に対する今後の取扱いなんですが、大体そういう町村は非常に僻陬の地、あるいは交通その他の合併の条件の成立しないところだと思いますが、そういう町村の今後の取扱い、これはやはり当然今から考えておかなければならない問題だと思いますが、それをどうお考えですか。  それからいま一つ伺います。それはこの法案を通すときに愛知大蔵政務次官がここに参りまして全面的に協力するということを言われたわけです、今後当然これは自治庁だけでなくして各省の協力がなければ成果は上らないと思うのです。各省のこれに対する見通しと申しますか、協力の度合い、こういうものを大体どう自治庁は観察されておるか、この二点を伺いたい。
  67. 小林與三次

    ○小林説明員 まず第一点の問題でございますが、地理的その他の事情でどうしても合併が不可能であるという町村が当然あると思うのであります。われわれといたしましても、最初からその数字を一応五%くらいあるのではないかというので予定をしておつたのでありますが、これも昨日その実情を聞いて、大体その程度数字はどうしても行かないというものが残ると考えております。それで、そういうものの始末をどうするかという問題になりますが、絶対に合併が不可能な町村につきましては、小さいものは小さいながらも団体として仕事ができ得るような方策も当然に考えるべきでありまして、現に現在の平衡交付金というものはそういう趣旨でできておるものでございますが、われわれとして現在の段階におきましては、ともかくも全部合併できるもの全部やるという前提でものを考えて、そうして一応地ならしが終つたあとでその後の町村自治体というものを考えまして、そうしてそこで残つた、どうしても不可能なものと、でき上つたものとの均衡を考えて遺憾のない措置をしたいと思う次第でございます。ただ今日におきましては促進している段階でありますから、どうしてもできないものばかりを前提にしてものを言うことはなるべく差控えておるのでありまして、ともかくもできるものはこの際合併していただくという大目的で、一応ここ二、三年の間つき進んで行きたいと思うのであります。絶対不可能なものにつきましては、もちろん町村として行くべき道は当然補償することを考えなくちやならぬことはしごくあたりまえのことでございます。それからこの仕事は自治庁だけの問題でなしに、各省全体の協力がいることはまことにごもつともであります。われわれといたしましても、これを特に政府の方針としてきめてもらい、政府に合併推進本部をつくりましたゆえんも、関係各省の全面的な協力を得て仕事を進めたいと思うからにほかならないのでありまして、それぞれ各省におきましてはわれわれの趣旨に対しまして御協力を願うことになつておるのでございますが、なおいろいろ現地に問題が起ると思うのでございます。そういう際にはなるべく早くわれわれの方に御連絡を願つて、具体的の問題の解決についても円満に行くように処理いたしたいと考えておるのでございます。各省ではまたこの予算もきまりましたので、最近推進本部を開いて新町村建設計画の扱いなどにつきましても協議をするつもりでありまして、趣旨におきましてはみな異存がないところでありますから、それぞれできるだけの協力を期待してよいと考えておりますし、われわれも一層その方向に力をいたしたいと存じておるのでございます。
  68. 北山愛郎

    ○北山委員 この町村合併促進法が行われまして、各府県においてもある程度の機運が強くなつておる、こういう情勢は認めるわけでありますが、しかし私らの方の県な、どの例を見ますと、合併の話が出ておるのは、この促進法がねらつておるところの八千以下の小さい町村が一緒になるということよりも、むしろある地方の中小都市が周辺の町村を合併して市をつくるという場合の方が多いわけです。それは私どもの方の県の特殊事情によるのだろうと思うのですが、これを全国的に見ましても、合併促進の話合いの機運が、所によつていろいろな動機でいろいろな態様で行われているのじやないか、そういう動きがいろいろな形をとつているのじやないか、従つてこの促進法の結果として出て来ますところのものは、いろいろな新しい要求を含んでいるのじやないかと考えられるわけです。まずその一つの問題は、われわれが市という名前におきましていう、市街地を中心とするというほんとうの都市を逸脱して、たくさんの農村を含んだ、どちらかといえば農村都市というような新しい形態の市が生れて来ているのじやないか、そういう現象もおそらくたくさん出て来るのじやないかと思われるわけであります。そういう状況がないかどうか。  それからまた現在全国の各地方に行われておる町村合併の話合いを、ひとつその態様によつていろいろ整理されて、資料でも出していただきたい。そしてこの合併促進の方向かどんな方向に向いて、どんな問題が出て来るだろう、そういうことを測定したいと考えるわけであります。それらの点につきまして自治庁はどういうふうにお考えになつておるか。またその資料は今相当整理されておるかどうか、整理されておるならさつそく出していただきたいと思います。
  69. 小林與三次

    ○小林説明員 ただいまの御質問の御趣旨はしごくごもつともでございます。県によりましていろいろ事情は違うのでありますが、一つはそうした中心の町を中心にして市の設置という形で合併が進んでおる地点も全国に少くないのでございます。まあそういうのも一部にあります。それからそうでない、やはり市の設置を伴わずに町村をそれぞれ町村として合併するというのもきわめて多いのでございます。何分にもやはり市ということになれば、人口三万で、ある程度の市街地を形成するということが実質上の要件になつておりますので、全部が全部そういうわけでもないのでございます。しかしこれは、そうした意味の市の設置の気運が非常に多いということだけは事実でございます。それとともに、今お話の通り、特に岩手県の地方でありますが、山間地帯になつて来ると、これは地勢上、交通上いろいろ困難な事情があ得りるわけでございまして、現に全国的にそういう空気が盛り上つておりますが、県として、地方として割と調子が遅れておる方は現在東北地方なのでございます。東北地方は全体としてまだ必ずしも調子が出ておりませんが、そういうのは、そうした地勢という特殊事情も原因しておると考えざるを得ないのであります。そういういろいろな問題は、われわれの方といたしましてもできるだけ考えながら進んでおるのでありますが、実際問題としては、各県における具体的な合併計画の策定によつて現実的にわれわれの力に浮び上つて参るのでありまして、その際われわれといたしましても、できるだけの知恵をしぼつてそれぞれ実際に合うように物を考えて行きたいと思うのであります。そういう意味の必要な資料も整い次第おわけいたすつもりでございます。また現在の段階におきましてあります資料はまだ形式的な資料でありまして、従来の合併の各府県における進行状況とか、そうした人口がある程度まとまつた一万五千以上ぐらいの町村の状況とか、そういう程度の資料しかありませんが、逐次合併計画が進むとともにいろいろな資料ができると思いますから、これは即刻皆さんに御報告申し上げたいと存じております。
  70. 北山愛郎

    ○北山委員 それではもう一つ、これはあるいはほかの委員質問したかもしれませんが、先ほどの合併促進の予算の問題であります。予算総額が当初の三十七億から七億円に減つたということはまことに残念でありますが、特に先ほどの御説明では、合併関係町村町村当り六十万円というふうに合併関係の経費を見ておるというお話でございました。しかし私どもは、当初自治庁の方から説明をいただき、また大いに期待しておつたものは、それは少くとも一町村当り百万円ぐらいは必要じやないかということです。今まででも、特別平衡交付金でもつて合併の際には五十万円ぐらいのものは出ておつたわけであります。そういたしますと、先ほどの御説明のように六十万円ということになりますと、わずかに従来との違いは十万円しかない。この合併促進の予算的措置としての重要な点は、その以外の事務費であるとか、あるいは宣伝費であるとか、そういうものは、これはいろいろ伸縮自在といいますかそういうことができますけれども、実際に当該の関係町村の合併を促進して行くというのには、そのさしあたりの経費というものをふやして見てやるということにあるのだと思うのです。そういたしますと、従来の五十万円がわずか十万円ふえて六十万円になつたというだけでは、たつた十万円の促進とでも言いましようか、とにかく初めのお話とは非常に違うのでありまして、私どもはその点非常に残念である。従つて予算上の説明としては予算単価といいますか、それを六十万円に見ておるけれども、しかしこれを実際実施する場合には百万円でやつて行くというようなことができないかどうか。これは関係団体の方からも、その単価というものが六十万円では非常に少い、従来と大差ないということで非常に不満を訴えておるようなわけでありますが、もう六十万円に承認してしまつて、今後来年度もずつとその六十万円で行くということであるのか。しかしそれではなかなか私はこの合併は促進できないと思う。それを何とか単価というものを上げて行くような努力を講ずる道がないかどうか。これは一番大事な点だと思うのです。実際問題として合併促進のためには一番必要だし、合併の際には非常な経費がかかりますからしてそれを見てやる、その点についてお伺いいたします。
  71. 小林與三次

    ○小林説明員 今の御意見はしごくごもつともでございまして、われわれといたしましても、先ほど来申し上げております通り、一町村当りの経費をできるだけ増高したいという気持で参つたのでございますが、いろいろな関係でこういう結果になつたのでございます。これにつきましては、従来特別交付金で考えておつた金額より減らしたことはないのであります。それから、従来は特別交付金は二、三年間にわけてやつたものを今度は一度でやる関係もあります。それから、平衡交付金は五年間は絶対数字を動かさないというような措置、その他いろいろな措置も講ぜられましたので、まずまず最小限度やむを得ないのではないかということにいたしたのであります。ただこれとともにその経費は、各府県におきましても——全部の府県というわけでありませんが、実は、府県も、促進法の定むるところによりまして、この仕事を促進するためにできるだけ協力すべきことになつておりまして、府県によりましては、県単の事業なり補助なりというものを相当出している県もあるのであります。われわれはこの金額とそうしてあらゆる面の金額を結び合せ、またその他合併に伴う大きな事業については、これは起債の問題が大きな問題になりますので起債の運用等も全部総合いたしまして、できるだけ合併町村の需要に応ずるようにして事をはかつて行きたいと考えておるのでございます。
  72. 西村力弥

    ○西村(力)委員 青木政務次官にお伺いしたいのですが、この町村合併の善後処理費的な費用を特別交付金から従来出しておつた、このたびもそれを出した、こういうことは、従前の例によつてそれを計上したのだという軽い意味でございますか。私としましては、特別に合併促進をやる現段階においては、特別平衡交付金には一切手をつけないで別個の予算で全部やるべきである、来年度のその合併に関する費用予算折衝などについても相当困難を予想せられるときにあたつて、特別平衡交付金にたよるというこういう考え方が残つておれば、どんどんとそつちの方にしりが持つて行かれるのではないか、かように思われる。だからこの際は、この合併促進法に基く合併を促進する場合においては、特別平衡交付金には絶対手をつけないのだという立場で行つてもらいたい、ぜひ今後はそうしてもらいたい。特に特別平衡交代金は、今年度のように特に必要に迫られているときにそつちの方から特によけい支出するということになれば困るのではないかと思うのでありますから、それにはよらないものでやるという立場をぜひとつてもらいたいが、これについてのお考えを聞きたい。
  73. 青木正

    ○青木政府委員 まことにごもつともでありまして、交渉の経過について率直に申し上げます。  私が大蔵省の当局、また大臣等にお願いをいたしましたのは、従来町村合併について特別交付金から出ていることは承知しておりますが、しかし、新しく法律ができた以上は、その金が陰に隠れているというあり方でなしに、町村合併促進のために特に予算を計上するという形にすることが望ましいことであり、またそうすべきである、こういうことで当初から大蔵当局ともいろいろ話して参つたのでありますが、そのことにつきまして、そういうものの考え方については大蔵省側におきましても大体同じような考えであつたとは私は思うのであります。補正予算の折衝の過程に起きまして、いろいろ財源等の関係から今回の場合は、第一次補正として特計するのはどうしても七億程度しか困難だということでありますので、私どもといたしましては、先ほど行政部長も申し上げましたごとく、どうしても単価だけは現在はつきりしておかなければならない、財源が七億だけしかないからというので市価を下げられましては困るので、どうしても単価だけは確保したいということで、足りないところはやむを得ず平衡交付金ということになつたのであります。明年度予算折衝におきましては、先ほど行政部長も申しておりますごとく、この単価をあくまでも確保して、そうして平衡交付金ということでなしにできるだけはつきりした予算で確保したい、かように考えておるわけであります。
  74. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ちよつと関連して実は私三月ほど郷里を留守にしておつたのです。そうしたところが京都の私の選挙区はもう水災害で全滅になつてしまつて、今まで道だつたところが川になり、川のところが道になる、こういうふうになつておる。そこでそうした荒れ果てたところで町村を合併せい、こう言われましても、それはどういうふうな適性をもつて合併するか、その財源はどこから出してくださるのでしようか。実はもう大きな家がくずれ、人が死ぬ、たいへんなことなんです。それで合併せい合併せいと言われたつて合併する金がないのですが、こういうところは合併するのにどういう、ふうな特別の措置を講じてくれるのか。そうして京都府はどことどことが特別指定指定地になつておるか、その点私ちよつとわかりませんから、詳細に説明してください。
  75. 小林與三次

    ○小林説明員 実はこのたびの災害で至るところ非常な悲惨な事態が起つておるのでありますが、それと合併との関係の問題でございます。それで合併につきましては、先ほど申しました通り、合併に直接必要な経費で国として見なくちやならない金額を一市町村当り六十万円、この予算並びに特別平衡交付金の運用によつて支出することにいたしておるのでございます。それから今の問題は、もちろん災害そのものの始末の問題が根本問題であろうと思うのでございますが、これはそれぞれ災害関係の特別立法等の運用によつてできるだけの措置が講ぜられることになると存ずるのでございます。それで合併と災害との関係につきましては地方によつていろいろ事情もありましようが、特にその災害を受けた農家が立ち直るためにいろいろな施設を合理的に能率的に遂行するため、また町村財政力を強化するために、この際合併をして新しい建設をやろうという方が話がうまく行くという地方もあることを、われわれは聞いて折るのでございます。これは地方によつていろいろ事情が異なるとは存じておりますが、そういうところもあるのでございます。ただいま申しました通り直接必要な全額といたしましては、今度の予算である程度の措置を講じておるわけでございます。
  76. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると復旧費、起債などは災害地には特例法があるのですね。十分京都府は復旧費をもらえますね。私の選挙区ですから、もらえないとどうもならぬ。特別頼みますよ。
  77. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 それでは暫時休憩いたします。二時から審議を続行いたします。時間の御励行をお願いいたします。     午後一時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  78. 中井一夫

    中井委員長 再開いたします。  休憩前に引続き、町村合併促進法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。これより便宜逐条審議に入りたいと存じます。第十の一条三、第一項、第二項、第三項、第四項、第五項、第六項、第七項、第八項、御質疑はございませんか。     〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 中井一夫

    中井委員長 それでは都道府県の議会の議員の選挙区に関する特例、十一条の三、第一項、第三項、第三項。     〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中井一夫

    中井委員長 それでは第二十条の二、財政援助に関する特例。
  81. 床次徳二

    床次委員 自治庁お尋ねしたいのですが、合併促進に関しましては、いろいろの財政的な援助が規定せられまして、十分ではありませんが、相当役に立つておると思います。承りたいのは、その標準規模よりも小さい市町村というものが存立して参ります場合、小さいままにあつた場合に、いかなる損を受けるかということを承りたいのであります。いろいろ運営その他におきまして、数の小さいもが損をするということは当然でありますが、しかしある程度まで小さい町村が、ことさら一時的の利益のために小さいままに存続したいという場合も、実際上においてなきにしもあらずと思います。その場合において、標準規模よりも小さいものは、平衡交付金その他におきまして、ある程度まで不利益を受けるという措置が考慮せられておるかどうかとこうことを承りたいのであります。この点自治庁の方で現行法上において何かそういうふうな差をつけたものがあるかどうか承りたい。
  82. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 政府委員現行制度の上におきまして人口八千という標準規模以下の場合に特に不利益を受けるというようなものは、私どもないのではないかと考えております。ただ特別平衡交付金の配分基準の中に、昨年度までは町村の数が多いということが、特別平衡交付金の算定の基準の一つに定めておりました。これは少町村がたくさんあれば、それだけ通信費などかかるであろうというようなことであつたのでありますが、そういうものは本年からはやめたいというふうに考えております。しかし直接人口の少い町村について、平衡交付金の上では別にございませんし、事務の配分の上におきまして、御承知のように、社会福祉主事設置基準でありますとか、そういつたところで多いものと少いものをわけておりますけれども、八千以下というところで押えておるものはあまりないように考えております。
  83. 床次徳二

    床次委員 適正規模というものを考えて奨励せられます場合におきまして、実際問題におきましては、やはり適正規模以下のものが非常に損をするということを十分に徹底させることが、合併奨励上非常に大きな要点に実はなつている。合併すれば得になるという若干の利益もさることながら、合併しなければ損が生ずるということを徹底せしむることが必要である。この反面におきましては、当然地方のいわゆる自治事務が将来相当増大して、市町村民の負担が現状のままではとどまらない。もつと多くの負担がかかる。それによつていろいろ多くの仕事をするんだという前提を徹底させなければ、合併したために得を生ずるという考え方が比較的少い。一時の補助金その他によりまして合併を促進するというような結果になるだけではいけない。この点適正規模ということを考えられる以上は、ある程度まで考慮の必要があるのじやないか。私はそのように考えます。もとより離島とかあるいは著しい僻陬の地にありましては、大きな区域に改めると申しましても事実上不可能であります。こういうものに対しましては、特別な交付金その他によりまして財政の欠陥を補う必要はありまするが、非常に便利のいいところにありながら、ことさら一時特別な財源が入つているというような理由によつて、依然として小さい世帯でもつて満足しようという非常に消極的な自治団体も今日少くないと思います。こういうものに対しても今日特に啓蒙を必要とするのではないか。その場合におきましては、先ほど申しましたように、適正規模以下もののがことさら維持しておることは、ある程度不経済になるということを現実にわかることの方がいいのじやないか。もとより適正規模を出されました場合におきまして、これぐらいのものは財政面から見ましても経済的に運営できるのだという一つの基準はあつたと思いまするが、この点は割合一般に強く響いて来ない。今後の指導におきましては、こういうこともひとつ御考慮をいただきたいと思います。
  84. 門司亮

    ○門司委員 直接この二十条の関係ではないのでありますが、財政の方で聞あておきたいと思うのです。  町村合併の促進の問題で、公共の土木事業というようなもの、それからさらに公共事業に関係した事業を起そうとするようなことが考えられておる。一例をあげてみますなら、町村が合併することによつて水道を引くことができる。要するにそれに対しては起債を特別に認可することを規定してあつた方が、町村合併がスムーズに行くのではないか、そして事業というものにはやはり人情というようなものがありますから、かなり大きくそういう心理が作用して来るのではないかというふうに考えられるのですが、こういう点は一体法律の上で認められるかどうか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。
  85. 小林與三次

    ○小林説明員 ただいまお尋ねの点は非常にごもつともでございます。これはすでに成立しております町村合併促進法の運用で相当考えられておるところでございます。たとえば第二十九条をごらん願いますと、新町村建設計画の実施促進のために国の行う措置といたしまして、学校その他の校舎の新築改修、あるいは病院、水道施設その他の衛生施設の整備、その他土木施設の整備と合併町村の永久の利益となるべき建設事業について、国は法令及び予算範囲内においてできるだけの優先的な措置を講ずる、こういうふうな規定があるのでありまして、起債につきましてもできるだけ——その三項をごらん願いますと、合併町村を最優先的に扱つて国全体としてこれを推進する、こういう精神になつておりまして、大体各省ともこの基本方針を尊重して、できるだけ努力願うように考えておるのでございます。
  86. 門司亮

    ○門司委員 私が今心配しますのは、起債問題についての条項についても財源はわくをきめておりまして、そのわく外の起債を認めることがなかなか困難になつておる。他の公共団体の起債を圧迫することがあつては、これは何にもなりません。従つてやはりこの場合は、政府としては起債のわくをそういう場合に限つてある程度特別の認可ができるのだということに解釈しておいてさしつかえございませんか。
  87. 小林與三次

    ○小林説明員 ただいまの起債の問題でございますが、起債は御承知の通り全体のわくがありまして、結局その総わくをいかに定めるかという基本的な問題がございます。できるだけ広範囲に定まつた結局わく内における運用上は、合併町村というものを最優先に扱うわけでございます。現に自治庁といたしましてはそういう方針で起債の詮議をいたしておるのでございます。
  88. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ念を押しておきたいのは、処置をするということでなく、特別のわくがもらえるかどうかということなんです。これはこの前に学校の費用で十億を公募債でやるといつて、あと三億を道路費にとられるとかいうことを言つているのですが、そういうわく外になるか。私はやはりそういうことを明確に規定しておいた方が安心してやれるのじやないか、こういうふうに考えているのです。
  89. 小林與三次

    ○小林説明員 お尋ねは、起債で合併のための特別わくをいかにしてつくるか、つくつた方がいいのじやないかという点でございます。これも一つのお考え方でありますが、結局これはそれぞれの水道なり道路の起債の総わくの問題でありまして、そのうちで合併町村幾ら、その他は幾らという式に区別をするのがよいのか、むしろ全体の水道のわくなり、道路のわくを、合併町村を優先的に考えて運用する、そうた方しがいいのか、こういう問題になりまして、かえつてわくをつくりますと結局先ほど床次委員お尋ねになりましたように、合併しなくてもある程度のものはもらえるというふうな形にもなるのでございまして、これはむしろ総合的な運用で、全体として合併を優先的に考えて措置するという方針の方が適当ではないだろうかということを考えておるのでございます。なおこれは研究を要する問題でありますが、さしあたりそういうことで運用をいたしたいと存じておるのでございます。
  90. 門司亮

    ○門司委員 よくわからぬのじやないかなあ。あまりやかましく言う必要もないことなんたが、ただこういうことを言いますのは、御承知のように水道を引く仕事なんというものは、大体事業自体は厚生省が主管しておる。それから建設省もこれに関係を持つておる。金の出るところは結局起債でやるということなら自治庁にお願いをしなければならぬ、こういうことになつております。そこで町村がそういう事業を起そうとすれば、やはり資金の目途といいますか、そういうものをつけることは非常に重大なのです。許可だけ得てもなかなか資金がうまく入らないということになると、非常にめんどうな問題を起しやすい。従つて事業自体の計画は単に市町村で行われて、そうしてそれを自治庁が認めるのだという程度なら大したことはありませんけれども、ことに水道なんというのはややこしい形を持つておりまして、起債の目途がはつきりつかないと、事業計画なんというものもそう簡単には行かない。従つてただ優先的にこれを取扱うのだと言うだけでは、私は問題を起すと思う。これらについては、全部の町村が水道をこしらえるといえばたいへんな金がいるでしようけれども、そういうことは何も予測する必要はありませんし、少くとも私がこの機会に政府にはつきりしておいていただきたいと思うことは、もし政府のお考え通りいたしましても、大体町村合併については、そういう事業計画に対して支障のないように起債その他を取扱うというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  91. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 起債関係についてだんだんお尋ねございますが、起債の中に合併用の特別なわくを設けるということにつきましても、今小林君から功罪について申し上げた通りであります。今日におきましても、自治庁起債計画の中におきましては御承知のごとく水道その他公営企業と一般会計については公共なり災害なり、それぞれ振りわけをいたしておるわけでありますが、その既定の各項目のわくの中で個々の案件を見て参ります場合に合併の関係、新町村、あるいは新市町村建設というようなことで必要な起債については、もしも同じような条件の事情のものが二つありました場合におきましては、それはやはり合併関係の方を重視する、こういう考え方で、今年度あたりもやつて参つたのでありますが、明年以後におきましてもそのような考え方をさらに強く持つて運営して行きたいというふうに考えておるのであります。もちろん合併ということの関連において、普通ならばこれだけの水道の起債のわくであるが、それをさらにこれだけにふやす、こういうことが可能でありますれば一番けつこうでありますが、それは結局資金の総わくの問題になるわけでありまして、資金のわく全体を拡げることにつきましては、なお私ども十分に努力いたしたいと思いますが、さような総わくの上でゆとりをつけておいて、運営の上では合併を重視するような考え方で行きたいと思つております。
  92. 門司亮

    ○門司委員 私が心配いたしておりますのはそのことなんです。たとえば現在下水を施しておるところがあります。それが年次計画従つて起債おお願いしなければならぬところができておる。しかも片方に町村の合併ができたから、そこに優先的に与えられるということになると、せつかく今やつておるところ1場所を言えということなら私言つてもよいですが、そういう町村があるのです。町村自体の財政から考えれば相当大きな起債と思われるものをやつておるところもある。町村としてはそれがなければ事業が年次計画の通りにはかどらない。そうしますと、そこに起債をめぐつてそういう一つの争奪戦とまで言えなくても、ある程度優先的にこつちにやつたために事業計画の変更をしなければならぬというような矛盾が出て来ると思う。私どもはそういうものを非常におそれるのであります。従つてさつきから聞いておりますように、そういう場合には何か特別の方法があるのだというならばそれはけつこうなのです。新しい事業計画ならばこれは別でありますが、水道などというものは年次計画を持つておりまして、現在やつておるものがあります。そういう今やつておるものの起債がかりに削られるということになると非常に一つの問題を起す。従つてそういう支障のないようにすることのためにはさつきから言つておりますように特別の処置ができるのだ、わく外の処置ができるのだということが考えられるならばそれでけつこうですが、今の御答弁のようにあるわくがあつて、そのわく以上に出られないということでは、片方にあまり優先的にやり過ぎたことのために今までのものが遅れるというようなこともあつて、あまり当を得た策ではないのではないか、従つてそういうきゆうくつたことでなくて、新しい町村の分はやはり何らか特別の形でできるかどうかということでありますが、それはどうしてもできないというのでありますか。
  93. 鈴木俊一

    ○鈴木政府委員 ただいま御懸念の点はまことに、ごもつともであります。自治庁の実際の運用におきましても、いわゆる継続事業、数年にわたりまして水道をやるというものにつきましては、年度割の事業計画をとりましてそれを起債台帳としてそれぞれ用意いたしております。そしてたとえば一千万の起債については今年は二割やる、来年は三割ということを事業全体として、いわば内承認をしたような形にしておりますので、さような継続工事につきましては年度割に従いまして、これは現にやるようにいたしておるのであります。先ほど申し上げましたものは、新たなる起債の承認の際においては、同様な条件のものは町村合併に関連するものを優先する、こういう考え方でございます。
  94. 西村力弥

    ○西村(力)委員 第十一条の三でございますが、これは郡の区域の変更を生ずる合併の場合、県会議員の反対という障害を排除するために設けられた条項だと思うのですが、こういうぐあいにして選挙をやつてしまえば、当選した議員はどう考えるかというと選挙された母体のことよりも、この次の選挙にはどこを基盤にするかということを考えるようになつて来るものと思うのであります。そうなつて来ると全然別・個の万に力を注がなければならない。そういうことが行く先として明瞭であるとするならば、こういう暫定措置をつくつて選挙させられる選挙民からいいますと、選挙をやつたつてこの次はおれたちが選挙ができないとすれば、おれたちのことを考えないだろう。あんなものをなげることはできないというので、むしろ不利な結果が出て来ないかということがちよつと案じられるのでありますが、そういう点についての御検討はいかがでありますか。
  95. 石村幸作

    ○石村参議院議員 これは二つの道が講ぜられておるわけでありまして、従来通りの選挙一凶で一期間だけはやるのとそれから後段に書いてあります合併の区域が従前属していた郡の区域を合せて一選挙区にするというようにもなつておりますので、今お尋ねの取越苦労も確かにあるかもわかりませんが、大体においてこれでよいのではないかと実は考えておるわけであります。
  96. 中井一夫

    中井委員長 それでは次に進みます。町村合併による都道府県の境界にわたる町村の設置に関する内閣総理大臣の処分第三十三条の二、これについて御説明願います。
  97. 石村幸作

    ○石村参議院議員 これは都道府県の境界にわたる町村の配当合併を行い得る道を開いたのでありまして、この際の処分並びに所属都道府県及び郡の決定は、関係地方公共団体の申請に基いて総理大臣が行うということをここにうたつてあるわけであります。それからなお都道府県の境界にわたる町村の廃置分合または境界の変更について関係町村の申請後一定期間までに関係都道府県の申請がなかつた場合に、本法の第三十三条と同様の手続によつて内閣総理大臣がみずから処分をする。こういうことをこの中に入れてあるのでありまして、以上の規定を条文にしたわけであります。
  98. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと聞いておきたいのですが、三十三条の二の第三項、「第一項の申請については、当該町村又は当該都道府県の議会の議決を経なければならない。」こう書いてありますが、この都道府県議会の議決というのはこの場合困難ではないかと思いますが、その見通しはどうですか。
  99. 小林與三次

    ○小林説明員 実は今門司委員のおつしやいましたように、非常に困難な場合があるのであります。一般の場合には関係都道府県と市町村の申請でやつて関係町村だけ意見がまとまつて都道府県の意見がない場合があり得る。これが四項以下に書いてあります。四項に、「第一項の規定による町村の設置に関する関係町村の申請があつた日から四箇月以内に関係のある都道府県の当該町村合併に関する申請がないときは、自治庁長官は、期限を定めて関係のある都道府県の意見を求めるとともに、参与の意見を聴いた後その意見を附してこれを内閣総理大臣に上申するものとする。」とあつて、総理大臣は五項によつてこの合併が適当だと認めたときには処分する、こういうことになるのでございます。
  100. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、先に処置がしてあるからいいということですが、実際問題としては、ここに「第一項の申請については、当該町村又は当該都道府県の議会の議決を経なければならない。」と書いてある事項は、自治法の第七条の規定とほとんど触れ合う関係を持つております。自治法の第七条には、明らかにこの町村合併については、都道府県議会の議決を経なければならないように書いてある。この両方にまたがる場合は——おそらく私は両方だろうと思いますが、両方の都道府県が議決しなければならぬとありますが、そうなつて参りますと、この取扱いの上から行けば、この条項はいらないじやないかというような気がするわけでありますが、ことさらにこれを書いておくということについては、やはり何か問題を紛糾させるようなことになりはしないか。同時にこの促進法案自体が都道府県のおのおの議決を経なければならぬようになつておりまして、七条は生きているのであります。これは特例法になつておりますけれども、七条は抹殺されておらない。七条はどこまでもやるようになつている。七条は生きている。ここへ持つて来てまた七条を生かすということは、法律の体裁の上からいつてどうなんですか。
  101. 小林與三次

    ○小林説明員 便宜私から御答弁申し上げますが、実はこの七条には、今おつしやいました通り、一つの規定があるのでございますが、これは解釈上都道府県の境界にわたる市町村の境界の変更について規定しておりまして、新設合併をやつた場合においては、これには当てはまらない、実はこういう解釈になつております。そこでここに新設の規定を置きまして、それに伴う手続は七条に合せてあるわけであります。ただ七条では今お話の通り、地元の町村は話がつくが、県の段階で話がつかぬ場合があり得るから、その場合の処置を三十三条の二に書きました。第八項をごらん願いますと、「前四項の規定は、都道府県の境界にわたる町村の境界の変更に関し地方自治法第七条第三項の規定による」云々という規定を入れましたのは、第七条の本則通りに動かない場合があり得るので、それを予想してこの規定を設けたのであります。それまでの数項は、第七条が面接規定しておると考えておらない新設合併の場合に、その町村をどうするかという手続をここに設けられたのでございます。
  102. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、少しりくつを言い過ぎるようですが、第七条の解釈は、今の解釈と違うような気がする。境界の変更ということはそう簡単にできるものではない。おそらくそういうように単に境界の変更と書いたということは、たまたま町村の合併という文字を使わなかつたというだけでありまして、大体本質的には同じだと思う。また同じでなければならぬと思う。従つて重複しておつてもさしつかえないというなら別に大してさしつかえないのでありますけれども、片方に、そういう処置を上なかつた場合は、内閣総理大臣がこれをきめることができるということを明確に書いてある。ただこの場合は府県をまたがつた場合についてどうするかという処置であつて、私はこれは非常にむずかしいと思う。府県をまたがつたものをどうするかということについては、選挙区の関係が行政上あるたけであつて、私は自治法の建前から行けば、府県は市町村を包括した一つの団体であるかどうかということに疑問があると思う。府県というものは、必ずそうでなければならぬという規定はどこにもないと思う。たまたま市町村の区域と府県の区域とが境界を同じくしているということは言えるかもしれない。しかしその点は行政の根本の解釈がどうなるかということも議論のあるところだと思いますが、そう考えて参りますと、府県の境界を越えてといつても、それほどこだわらなくてもいいのじやないかというような考え方を私はする。しかし行政区画の中に一応県というものがあつて、それから出て来るものの中に面接関係のあるものは選挙区等があるので、非常に大きな問題になるとは思いますけれども、これをただちに府県の境界を越えるものについて、これが普通の市町村の合併とは違うのだという解釈をすることは、どうかと私は考える。こういう議論をしていると長くなつて、そう簡単には議論の終る筋合いじやないと思いますから、ここであまり議論はいたしませんが、しかし実際上の問題としては、前条に規定があるから、この三項というものはほとんどいらないので、ただちに府県の境界を越える場合には、自治庁の長官が内閣総理大臣に申請して、内閣総理大臣がきめるというようにしておいた方が、法の取扱いが便利じやないか。ここに書いておきますと、そうでなくても七条は生きているのでありますから、ことさらに七条をもう一つここで持ち申して来ると、これはなかなか合併が困難じやないですか。それから少し高圧的と言えば高圧的と言えるかもしれみいが、こういうややこしいものはで出るだけ除いて、そして府県の境界を越える場合には、自治庁の長官が内閣松理大臣に申請してそれできめる。府県の意見を聞く方がいいかもしれないが、むしろここでは触れない方がいいじやないか。触れるなら前条で触れた方がいいじやないか。前にこういう組定があるから、これを準用するのだという形の解釈の方が、私はいいじやないかというように考えるのですが、これは解釈の違いですから強く請求はいたしませんが、そういう取扱いはできないのですか。
  103. 小林與三次

    ○小林説明員 今のお話でございますが、実は解釈の問題は、われわれの解釈が違つているということになればたいへんでございますが、この境界の変更は、御案内の通りたいていの場合は分合が行われているのでありますが、隣の県にある村がこちらの県の区域に入るというのは、この境界の変更で全部読んでおるのであります。そうでたしに、両県にまたがつた両方の村を廃止して新しい村を置くというのは、従来七条の解釈の境界の変更には実は入らない。そうすると、その町村を一体どこの県の町村として置くか、あるいはどの郡の町村にして置くかという問題も、あわせて決定する必要がございますし、そういう問題は現行法の七峯では無理だろう。そういうので、ここで新設に関するだけの規定を一応設ける必要があるのじやないかというので規定が設けられたのでございます。それでその場合に、町村の意思だけで、府県はそれに従属するようにという御意見もごもつともでございまして、一般の場合は、市町村の境界の変更があつたときには、都道府県の境界もおのずから変更するという自治法第六条の規定が働くのでございますが、今の場合に、両県にまたがつて新しい町を置くということになると、その規定は働きようがないので、どこかの県へ所属するということを、やはりだれかきめる必要がないかというので、この規定が設けられたのでございます。
  104. 石村幸作

    ○石村参議院議員 私の観念だけを申し上げますが、この両県にまたがつた場合に、合併される方の町村を持つている県、これはおそらくこれに賛成しないので、今おつしやつた三項の議決等はできないと思いますが、またときによると、話合いでできるかもわからない。そこでこういうのをここへ入れてあるのでありまして、この四項以下の下の方に書いてあるように、強制的と申しますか、二つの県で、一つの方の県は順調にいろいろの手続きできるが、持つて行かれる方の県は、必ずこれに同訓しない。そういうふうな措置をここに書いたのでありまして、特に例の七条の問題ですが、あれには都道府県の境界にわたる場合は規定してありませんので、この程度の規定を設ければいずれの場合もやつて行けるのじやないか、こう考えて条文を整理したわけであります。
  105. 滝井義高

    ○滝井委員 次の条項ですが、どうもちよつとうかつでわからぬところがあるのですが、「参与の意見を聴いた後その意見を附してこれを内閣理大臣に上申するものとする。」この参与というのは、自治庁設置法か何かにあるわけですか。役割その他——おそらく諮問的な役割を演ずるものだと思いますが、御説明願いたいと思います。うつかりしてちよつと調べて来なかつたものですから……。
  106. 小林與三次

    ○小林説明員 今の参与は自治庁設置法に置かれておる参与のことをいつておるのでございまして、これは地方自治に関する重要問題について、自治庁長官に対して詰問に応じていろいろ意見を述べる自治庁における諮問機関になつておるものであります。この規定は、ちようど現行の合併促進法の三十五条の二項にも規定がございます。普通一般町村の合併の場合に、見解が一致しない場合には総理大臣のところに行く。そのときと同じこととしてここに設けられたのであります。
  107. 中井一夫

    中井委員長 それでは次に進みます。附則。公布の日の問題と、町村職員恩給組合法に関する問題であります。
  108. 石村幸作

    ○石村参議院議員 ちよつと簡単に説明いたします。これは町村合併に伴いまして町村職員の恩給組合法を現在通りにしておきますと、ここに非常な支障を来す。それに気づきまして改正をいたしたいと思うのでありまして、附則としてこの恒久法である市町村職員恩給組合法を直す、こういうことであります。すなわち町村職員恩給組合の事務または規約の変更等に関する事項、町村職員恩給組合に属する町村の廃置分合が行われた場合におきまして、すなわち町村合併等が行われた場合に、何らの手続をしないで組合町村となることができる。これに伴う組合町村の増減、組合規約の変更等の手続を簡易にすることとして、なおこれに関連して組合事務の変更及び組合町村の数の増減の手続に関する等の手続規定を整備したものであります。  次が町村の合併によりまして、設置された市の町村職員恩給組合への加入等に関する事項でありまして、町村職員恩給組合に属する町村の合併によりまして、市が新しく設置され、またこれらの町村が市となつた場合には、市は特に反対の申出をしないときは組合に加入するものとし、もし組合に加入しないときには、関係町村等の職員であつた者にかかる退職年金及び退職一時金に関する事務を承継して在職期間を通算するものとする。この場合における資金の引継ぎに関する規定を設けたのであります。  なお右に伴いまして、一般の市についても組合に対して加入することができる道を開いたのであります。これをこの条文に整理したのであります。
  109. 中井一夫

    中井委員長 これにつきまして別に御質疑はございませんか。
  110. 門司亮

    ○門司委員 この附則ではなく、さつきの問題ですが、どうもちよつとわからぬところがあるのですが、そうなると例の六条との関係ですが、この法律は六条にいう結局法律で定めると書いてあるものと解釈していいかどうかということです。一応この法律が特例法でありますから、従つて六条にいう法律というようにこれを解釈していいかどうか。
  111. 小林與三次

    ○小林説明員 この法律は、要するに地方自治法でまかないのついていない事項についてだけプラスして規定を設けておるわけでございます。ただそれともう一つは、地方自治法の七条では関係団体が全部話がととのつた場合の措置しか書いていないので、そういう府県の意見がまとまらなかつた場合においても、総理大臣がやり得るという道を開いたのが一つ、それと、現行の地方自治法では、その場合までを予想していない。新しい両県の県界にわたつて町を設置する場合を予想しておらないとわれわれは解釈しおり事ので、その場合の手続だけを書いたことになつておるのでございます。
  112. 門司亮

    ○門司委員 予測していないというが、予測してこの六条は明らかにそれをきめておりますよ。要するに府県の境界、府県の廃置分合、境界の変更のときは別に法律で定めると書いてある。従つて法律が当然出さるべきである。その法律を出すということは、結局だれの行為になるかということになれば、これは総理大臣の行為だと私は考える。従つて国の行為であります以上は、この規定というものは六条の規定と同じようなものであるというように解釈して、同時にこの規定は単に特例法であるから、これだけにそれを用いるのであつて従つて六条の規定とは関係がないのだというように解釈していいかどうかということです。
  113. 小林與三次

    ○小林説明員 今門司委員のおつしやつた通りに解釈していいと考えております。
  114. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この条項でない一般的なお伺いになつてよろしゆうございますか。
  115. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとお待ちください。  それではこの逐条についての御質疑はございませんか。——それでは御質疑がないようでありますから、逐条の御質疑は一応これで終つたことにいたします。そこで西村君。
  116. 西村力弥

    ○西村(力)委員 町村合併促進法が施行になつて、そのために発生したいろいろな問題を取上げられまして、この改正法律案が仕組まれて来たわけでございますけれども、問題になつたすべてをここに包含せられたかどうか。問題になつてつて、まだ結論に至らないでここに載せられないで、今後の検討の結論を得たら入れなければならぬと、考えられた問題点がありましたら、それをお知らせ願いたい。なおまた今後もずつと強力にこれを推進して行く場合において発生することも予想できるわけですが、そういう懸案として残つた問題を、今後発生するそういう障害となるものを一排除する問題を、また通常国会などにおいて措置せられるようにお考えかどうか、なおもう一つは貧弱町村を解消するという建前で、町村の合併を主にしておつた従来の考え方が市をも含めたそういう考え方、現実に一つの生活圏というものを持つ市の方に合併、吸収されて来るという姿が大きくなつて来つつある現実に即応して、この促進そのものの根本的な考え方が以前の考え方と相当違つた形になつておるような印象を私は受けるのです。そのようなことは考えられてありましたかどうか、この一点についてお伺いをしたいと思います。
  117. 石村幸作

    ○石村参議院議員 この法律が施行されてまだ日も浅いのでありますが、にもかかわらず全国的に町村の合併ということは非常に促進して来つつある。そこで実際にあたつて、いろいろな、改正案に出ておりますような問題が起つたのでありますが、どうしても改正が必要だということに気づいたのであります。そこで、実はいろいろな問題等もゆつくり多岐にわたつて研究してこの改正案をつくればよかつたのでありますが、会期も非常に短かかつた。特に現地においてはどんどん話が進んでおるというので、特に緊急を要する、また事実に直面してこういうものが必要だというのを拾い集めて急速につくりましたのがこの内容であります。そこで今後なお研究し、なお事実にぶつかつて、いろいろな問題が起る場合に一部を改正する立法をするか、こういう御質問と存じますが、今さしあたりこの問題あの問題というのを具体的にまだ持ち合せておりませんので、そういう事態が起り、またそういう問題を発見した場合には、とくと皆さんと相談して善処した方がよろしいのじやないか、こう考えております。  それから今の、都市に周辺の町村が合併される、そういう傾向に移りつつある、こういうお言葉でありました。事実そういうこともあり得ると思いますが、それについてもなお今後研究してみなければならない、こう考えております。
  118. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとこの機会に政府当局にお尋ねしたいと思いますが、町村合併促進法がしかれてまだ日が浅うございます。そこでただいま西村委員からもお尋ねがあつたのでありますが、大体その後の合併促進に関する各地方の動きは、全般的に見てどういう状態に進んでおりましようか、おわかりになる程度御報告をいただきたい。またこれについて予算措置と申しますか、合併促進に関する政府の援助の方策が不徹底である、不十分であるというような声が聞こえるのであります。それについて政府の予算では七億、さらに三億平衡交付金の上に出ておるように存じますが、合計十億程度で政府は十分なりとしておられるのでありましようか、もし不十分なりと思われるならば、さらに増額をして一層促進せしめるということが必要でないかと思うのでありますが、この点について御意見伺いたいと思います。
  119. 小林與三次

    ○小林説明員 町村合併促進法ができましてからまだ日も浅いのでありますが、同法の制定によりまして、とみに合併の機運が全国的に高まりつつあるのでありまして、現在の段階はとりあえず各県におきまして合併計画をつくるという実情であります。もうすでに県によりましては全県下の合併計画を正式に決定しておるところも現にあるのでございます。その他の県におきましても、逐次その計画作成の準備段階でございます。それと併行いたしまして合併もかなり行われておるのでありまして、ただいま手元にあります資料によりますと、今年の一月から九月三十日、この法律が出るまでの間において減少いたしました町村数が全国で百五十九あるのでございます。ところがその十月一日から十二月一日までの間に減少した数は二百十四に上つております。十月、十一月二箇月で二百十四の数がもう減少いたしておるのでございます。それから、先ほどもちよつと申しましたが、昨日各県の地方課長に実情を聞きますと、これからもずいぶん進捗の傾向にあります。大体今年度一ぱい、三月一ぱいというとちよつと語弊がありますが、四月一日施行を前提にした町村の合併の準備は、おおむねわれわれの予定しております一五%は達成するのじやないかという各地方の見込みの数字を昨日認めておる状況でございます。ともかくもこの法律制定のおかげによりましてきわめて仕事が円滑に進んでおる実情にございます。  なおこの補助金の問題につきましては、これは正直に申しまして、地方では多ければ多いほどよいという要求がございまして、各団体、たとえば全国町村議長会あたりにおきましても、一町村百万円あまりの金額が何とかできないかという要望も、あるいは国会の方にも参つておるかと思うのであります。そういう要望ももちろんございますが、われわれの見通しとしては、さしあたり予算七億、特別交付金三億、合せて千億の金額があれば本年度の計画はおおむね達成し得るのじやないかと考えておるのでございます。
  120. 中井一夫

    中井委員長 ほかに御質疑はありませんか。——それでは本案に対する質疑はこれにて終了いたすごとにいたしたいと存じますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、質疑は終了いたしました。  これより討論に入りたいと存じますが、討論はなさらずに進めてよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 中井一夫

    中井委員長 それではさように決定をいたします。  これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  123. 中井一夫

    中井委員長 起立総員。本案は満場  一致をもつて原案の通り可決されました。  この際お諮りをいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条による報告書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。さように決定をいたします。     —————————————
  125. 中井一夫

    中井委員長 次に請願の審査に入ります。本委員会に付託されました請願は全部で四件であります。これらはいずれも岐阜県土岐郡の瑞浪土岐町、土岐津町、泉町及び駄知町の各自治体警察を早急に国警に移管したいので、昭和二十九年一月一日に切りかえができるよう特例法を制定されたいというのであります。本委員会におきましては、すでにこれに関する法律案を審査いたしましたので、議決を要しないものと議決するに御異議は、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     —————————————
  127. 中井一夫

    中井委員長 次に陳情書について審査することにいたします。まず補正予算における平衡交付金増額並び起債わくの拡大に関する陳情書について審査いたします。  まずその趣旨について申し上げますと、現下の府県財政は、積年の財源貧困に加え、経済情勢の変化とさらに相次ぐ災害のため極度に窮乏しているので、地方公務員に対する給与ベースの引上げ、年末給与金の増額に要する経費等は、補正予算において平衡交付金増額または地方起債わくの拡大等によりその十分なる財源措置を講じられたいというのであります。これは趣旨妥当と認み、本陳情書を本委員会において了承することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     —————————————
  129. 中井一夫

    中井委員長 次に地方公務員給与並びに期末手当に関する陳情書が去る七日送付されましたので、日程を追加して審査することにいたしたいと思いますが御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決します。  本陳情書の趣旨は、地方公務員給与改訂を早急に実施し得るための予算措置を行うとともに、年末手当支給に要する不足分を予算化されたいというのであります。本陳情書も了承するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  132. 中井一夫

    中井委員長 この際質疑があるそうでありますから、これを許します。西村委員
  133. 西村力弥

    ○西村(力)委員 政務次官にちよつとお尋ねしたいのですが、きようですか、労働委員会で日雇い労務者に対する年末のもち代ですか、あれは五日分を支給する、このように決定になりましたが、三分の二は国で見るといいましても、三分の一は地方で見なければならぬということであります。これは金額にすれば割と少ないのでございますが、大体日雇い労務者に対する考え方が、日雇い労務・者を少し優遇するとそこに腰をすえてしまつてしようがなくなるから、まあ生かさず殺さずみたいにしておけというのが政府の考え方なんです。これはまことに私たちとしてはけしからぬ話だと思つているのですが、いずれにいたしましても、三分の三は政府で出す。去年も三日分出したけれども、三分の二の二日は政府が出して、あとの一日の負担は県の力で見る、ところが県の方ではできない、こういうふうにしてつつぱねる。そのわずかの一日の問題で生きるか死ぬかの抗争が府県において日雇い労務者との間に行われている、そういうことになつております。ことしはせつかく政府でも、少いといいながらも五日分出そうというぐあいにお考えになつたのですから、三分の一の分、府県の財政の分を十分に措置できるようなぐあいに自治庁としてはこの財政計画では見ておるのだ、こういうように措置したというぐあいにはつきりした措置をやつてもらいたい。この点ひとつ政務次官に明確なる答弁を私は求めたいわけなんです。  なお、第二点は、まだ未定でありまするけれども参議院の人事委員会において、公共企業体が一・二五になつた、またこれにプラス・アルフアも、その公共企業体の内部の話合いによつてプラスしてもよろしいというぐあいになつて来ておる。そうなりますと、国家公務員の方が非常に歩が悪くなるというわけで、国家公務員の場合は、超過勤務手当なんかの繰上げ支給かなんかの措置で幾らかプラスしたい、こういうふうになつて来ておる。それはできるかできないかは今後の問題ですが、それをやられれは、やはり地方においてもそういう措置が具体的に一つの要求となり、また理事者としても、地方公務員も同様にしたいという立場から何とか努力したいという気持になるだろうと思うのであります。今後の問題として、そのような場合においては昨年と同様にそういう財源措置を十分考慮してもらわなければならぬと思うが、その二点について、事務的な答弁よりも政治的な答弁を願いたいわけなんです。
  134. 青木正

    ○青木政府委員 労働委員会における審議の経過等を私は十分詳しく承知していないのでありますが、お話の日雇い労務者の年末のもち代の問題は、あるいはこれは事業費の中から支弁する性格のものじやないかとも思われるのであります。そうであるとしますれば、当然その方の財源から出るわけでありますが、それでなしに、府県の一般財源の方から出るということになりますと、その額がごく軽少でありますれば財政のうちでやりくりできると思いますが、もしそれが非常に多額になるということになりまして、府県の財政に支障を来すというようなことになりますれば、これは当然その事態に応じて特別にもち代の問題等も考えなければならないと思うのであります。しかしその内容をよく承知いたしておりませんので、おそらく事業費で支弁できる性格のものじやないかと、こうも考えられるのであります。  それから第二点の問題の御質問のことでありますが、これにつきましても昨年のことのお話しもありましたが、それはまた各府県における公営企業の関係になつて来るかと思うのであります。私の方としましても、国の方針に基きまして、地方の方に重大な支障を来すということになりますれば当然考えなければならぬ、かように思つております。
  135. 西村力弥

    ○西村(力)委員 第一点でございますが、事業費からやられたのでは一月の稼働日数がそれだけ減らされるだけなんです。それでは意味がない、そんなことでは問題にならぬ。このたびは、はつきり別に三分の二政府で出し、三分の一を地方でやれ、三分の一は平衡交付金で見てやるのだと労働委員会答弁して、この件は自治庁とも連絡があるということになつているのですよ。労働委員会では、平衡交付金とかなんとかがわからないから、それでは問題ないだろうと思つているらしいですが、今お聞きします通り、実はわからぬ、初めて聞いたというぐあいになつている。だからやはり府県に行くとてんやわんやの騒ぎが起きてしまうのですよ。その根本は、やはり日雇い労務者側に対する政府の考え方がいけないと私は思うのです。失業者をつくつておいて、ここにすわらせておけないのだからというようなぐあいにして、ほんとうに食えないような賃金で、そうして稼働日数もうんと少くしてやるということになつているが、そういうことでなく、もう少し温情をもつてつてもらいたい。わからないならばしかたがありませんが、自治庁当局としましては、こういう事情であるから、地方でそういうトラブルが起きないように財源措置を十分にやつて措置するという言明をひとついただきたい。この金額は割合少いのですよ、大した金ではないのです。その点はつきりした言明をいただいておきたいと思います。
  136. 青木正

    ○青木政府委員 労働委員会における労働省側の答弁等についてもよく承りまして、御質問の趣旨に沿いまして、私ども自治庁といたしましても最善の努力をいたすようにいたしたいと思います。
  137. 滝井義高

    ○滝井委員 関連して……。現在地方自治体におきましては、自由労務者の問題というものは非常に重大な問題になつて来ている。たとえば九州におきましては、至るところの市町村において盆と年度末には自由労務者の人たちのすわり込みが行われているのです。失業保険が切れて後に入つて行くところは自由労務者以外にはないわけであります。現在では自由労務者というのは、ただ失業の間の一個の足がかり的な職業ではなくして、すでに一つの自由労務職業という恒久的な職業になつているということは、今度自由労務者に対して健康保険ができたことでもはつきりと裏打ちされているわけであります。そうすると、今後私たちがこれを厚生委員会とかあるいは労働委員会だけの問題としてではなくて、やはり地方自治体における一つの大きな問題として取上げて行かなければならない段階がすでに現在来ているわけであります。今度ああして健康保険ができたために、毎月健康保険料を百九十日から三百二、三十円、これは各地のまちまちの賃金ですが、その中から六円とか七円とか引かれるわけです。そうしますと、六円か七円——十円以内の金でも、自由労務者にとつては実に命の綱なのです。従つて政府は近く三%くらい保険料に見合うものを引上げるらしいのですが、そうしますと、賃金が上れは、当然これは地方負担の分、労務費、資材費、事務費等のものにおいても、何分の一か負担が出て来るわけです。こういう点から考えてみますと、単に緊急的な失業対策のみの予算を国が考えておれは、あとはどうでもいいというわけには行かない段階がだんだん出て来ております。たとえばわれわれの筑豊地帯における都市においては、炭鉱地帯における首切りのために、何千という人が職業安定所に列をなしている。これが六箇月は毎日列をなしますけれども、六箇月を過ぎた後においては、すべてこれはそれぞれの市町村における緊急失業対策事業の中におんぶして行くという形になつて来るわけです。ぜひ今度自治庁においても、今の西村さんの意見にもありましたように、自由労務者の問題というのは、地方自治体が厚生省、大蔵省にまかせるだけでなくして、自治庁一つの問題として考えていただきたいということを、あわせてお願いいたいたいと思います。
  138. 青木正

    ○青木政府委員 私先ほど事業費関係と申し上げましたが、おそらく失業対策関係の仕事の関連の問題もあるのじやないか、そういうことで申し上げみのであります。自治体の労務者の関係でありますと、やはりその方の経理竹支出する面も出て来る、かように私考えております。  それから先ほど滝井さんのお話の炭鉱における失業者の問題、またそれに伴う日雇い労務者の問題でありますが、これは労務者の方々の救済と申しますか、就業の問題等につきましても、当然国として考えなければならぬと思いますし、同時にまた私どもつておりますところによりますと、その結果として、地元の市町村財政的に非常に負担を受ける。こういう問題も私ども耳にしておるのでありまして、あわせてできるだけのことは私ども最善を尽して参りたい、かように考えております。
  139. 門司亮

    ○門司委員 これは大臣に聞くことがいいと思いますけれども、大臣がおいでになりませんから、政務次官から所感だけ聞いておきたい。それは、今文部委員会へ出しております例の義務教育費国庫負担法の特例というか、改正法案でありますが、これについて自治庁としましてはどういう御見解をおとりになつておるのか、そのことをちよつと聞かせていただきたいと思います。
  140. 青木正

    ○青木政府委員 自治庁といたしましても、所府が現在提案しておりますように、法律上の解釈から言えば、義務教育費の国庫の支弁の建前から、富裕府県といえども、国が出すというのが、理論的にはそう言い得ると思うのであります。しかしながら実際問題といたしまして、超過財源のある府県の方におきましては、他に非常に困つておる府県ありますので、そこはひとつごしんぼう願つて一般の方に均霑でき参るように御協力願いたい、こういう政府の考えに立つておるわけであります、
  141. 門司亮

    ○門司委員 もう少し率直な、ほんとうの意見を聞かせていただきたいと思います。自治庁は富裕府県であるとかなんとか言つているが、富裕府県の定義というものはどこにあるか。教育行政をごらんなさい。今削られようとしているところの府県が、一番悪いのです。もしあなたの方で必要ならば、一一話してもよいと思いますが、二部教授というか、不正規授業がどのくらい行われておるか。これらの問題を解消しないで、しかも国は憲法で定めた教育の機会均等を与えておりません。東京都においては、中学校ですら、四百あるいは五百くらい二部教授をやつておるのです。教育の機会均等を与えないでおいて、そうしてなおかつその上に、富裕府県だからといつて義務教育費を削ろうとすることは、まつたく憲法の精神を無視した考え方だと思う。大蔵省はどういうお考えを持つておるか知らぬが、やはり自治庁としては、地方行政を十分に見るという建前で、確固としてやつてもらわれければならぬと思う。これは政府部内の意見が統一されていないので、どうもぐあいが悪いということがあるかもしれない。しかしそういうことでは、これは地方の自治体は伸びません。これははつきり申し上げておきますが、富裕府県の定義なんていうものは、どこにもはつきりしたものがないのであります。従つて自治庁としては、今のような御見解であるとするならば、一体自治庁というものは何のためにあるかわからぬ。大蔵省の一つの機関みたいなもので、大蔵省自治課くらいのものです。(笑声)とにかく自治庁としてこの問題については、やはりもう少し自治体というものを正確に見ていただいて、そうしてできるだけそういうことのないようにやつてもらいたい。従つて私は最後にお認めを願つておきたいと思いますことは、富裕府県の教育行政というものは、憲法に定めた教育行政が行われていない。これは日本の教育行政というものが、必ずしも機会均等を与えておらないというように自治庁は解釈されておるかどうか、そういう見解をお持ちになつておるかどうか。
  142. 青木正

    ○青木政府委員 富裕府県と申しますか、超過財源のあるところ、これはお話のごとく、たとえば東京にしても、横浜にしても、あるいは京都等においても、教育施設等が決して私ども十分とは存じておりません。また考え方といたしまして、決して現在それほど余裕があるのではないのでありますから、上のものを下げるという考え方でなく、下のものを上げる、こういう考え方でありまして、これは地方の公共団体を育成するというか、守る立場から申し上げますと、当然そうでなけばばならぬと思います。上を切つて下げるよりは、むしろ下を上げるという考えに立つべきことは、当然だと思うのであります。ただ現在の状態におきましては、下を上げることももちろんいたさなければなりませんが、財政の状態等から見まして、現在の段階では、超過財源のあるところはごしんぼうを願つて、他のより以上非常にお困りになつておる地方の力に幾分でもまわすよりほかないのではないか、こう考えて、政府側としては今回の義務教育費特例法を出したわけであります。しかし考え方といたしましては、富裕府県の教育施設が現在もう十分である、やる必要はないのだ、こういう考えで決定しておるのでないことだけは、申し上げておきます。
  143. 門司亮

    ○門司委員 もう少しそう先を聞かしていただきたい、もう一つ聞いておきたいと思いますのは、今の政府のとつておりますそういう制度というものは、いわゆる国が当然支出しなければならない教育費の半額を、地方財政によつてこれを穴埋めをして行こうというような、きわめてずるい考えであります。これは何も地方財政関係のないことであります。従つて国が出すものさえ出せば、何も地方財政に対してそれがアンバランスになるとかならぬとかいうことを考えなくてもいいわけである。ことに教育という一つのひものついた財源でありまして、これは一般財源と違うと思います。従つて私の聞いておきたいと思いますことは、国が今行つておりますように、当然国において措置すべきことを措置しないで、財政的な負担を地方に負わせるといいますか、地方の財源で地方の自治体の財源の均衡化をはかろうとするものの考え方であります。これはきわめてずるいものの考え方である。当然国が措置すべきことを措置しないで、地方で偏在を是正しようとしておる。これは平衡交付金の趣旨から行きましても間違いである。従つてこういう大蔵省のものの考え方といいますか、私はむしろ政府のものの考え方といつていいと思いますが、この政府のものの考え方というものは、地方財政をいたずらにというよりも、むしろ今日より以上に地方財政をきゆうくつなところに追い追む、一つの国家集権的な財政措置の現われだと考えております。この点について、自治庁はどう考えておられますか。
  144. 青木正

    ○青木政府委員 基本的には、お話のごとく、これは義務教育費国庫負担のものを減らすという考え方でなくて、むしろ根本的に税の偏在というような問題を解決して、やはり義務教育は義務教育としての筋を通すというのが、本来のあり方だと思います。かような見地に立ちまして、十分とは申されませんが、御承知のように、地方制度調査会の結果において、私どもはできるだけそうした基本の点についてまず改善を加えたい。地方公共団体の税収入の偏在、その偏在の是正を義務教育の特例法によつて直すという考えが、ほんとうの筋でないということは、私どもその通りと思うのであります。しかし現段階におきましては、財政現状、また現在の地方財政における偏在ということから考えまして、ああした特例の処置を諮るほかないじやないか、かように考えるのであります。
  145. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 この際門司さんの御質問関連いたしまして、義務教育についての行政的な考え方について行政部長に一言だけ承つておきたいと思います。一体義務教育というものは、国の委任事務なのかあるいは地方の固有事務なるかという点について最近の自治庁の定説をひとつお聞かせいただきたい。この問題は重要な問題でありますので、御見解をお聞きして私たちも研究して行きたいと思いますが、一体義務教育は、高等学校の教育、大学の教育というものとちよつと意味が違うと私たちは考えておるのでございまして、その根本のいわゆる定説を行政部長さんから知らしていただきたいと思います。
  146. 小林與三次

    ○小林説明員 義務教育の定説についてというお尋ねでございますが、何を目して定説と申し上げたらいいのか、これは相当困難な学問上の問題と思うのでございます。終戦後は教育制度がかわりまして、教育基本法なり学校教育法、教育委員会法等の建前と、前の小学校令、中学校令等の建前と考え方が相当かわつているのじやないかと考えられるのであります。そういうことから見て、それが委任事務と目するか、自治事務と目するかということになるのでありますが、委任事務か固有事務かという議論が実は従来からありまして、この議論のわかれ目というか立て方自体について、そういう議論が根本的にいつてどこまでできるかということは相当議論があるんじやないかと思う。たとえば機関委任事務というなら話がはつきりしておりまして、国の事務市町村の機関にやらせることになつておりますが、そうではなくて団体の事務にしてしまいますと、いわゆる団体の委任事務と団体の固有事務とをどうして区別をするのか、そういう区別は、私自身の考え方をもつてすれば、理論上成り立つのか成り立たぬのか相当疑問があるのではないかと思います。何がそもそも国の事務であるかということは、どこにも、法規にも必ずしも書いてないのでありまして、結局法律の建前で、実際の仕事を市町村にまかせるものなら市町村事務として行われる、こういうことに考えるよりほかにないのではないかと思つておるのであります。ただそれにつきましては、憲法に国家の責任を明らかにしておりますので、その意味におきまして、国は憲法上当然の責任を背負つておる、こういうふうにむしろ自治庁的に考えて行く方がよいのではないかと思います。これはお尋ねに対する答弁になるかならないか知りませんが、私は従来のそうした議論には、もう少し考えてみるべき点があるのではないかと考えております。定説というわけではありません。
  147. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 私の考えておるのは、もう少し広い意味のむしろ将来の立法上どうしたらよいかということを考えておるのでありまして、府県が今教員の給料を払つておるようなことは、国の事務を代行するような立場でなさつておるのではないか、むしろ国費で全額を払うことが根本ではないかというような考えもあつてお聞きしておるのでありますが、非常にお話が混雑して来ましたので、なお十分研究することにいたしまして、これでもう質問を打切ります。     —————————————
  148. 中井一夫

    中井委員長 この際閉会中継続審査に関する件についてお諮りいたします。すなわち今国会も本日をもつて終了いたすことになりますので、地方自治法の一部を改正する法律案地方財政再建整備法案、昭和二十八年における冷害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律案の三案を閉会中も継続して審査することにいたしたいと存じますが、この旨議長に申出たいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十六分散会