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1953-12-08 第18回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月八日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 佐藤觀次郎君    理事 井上 良二君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    小西 寅松君       田中伊三次君    苫米地英俊君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       三和 精一君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       久保田鶴松君    柴田 義男君       春日 一幸君    平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君  委員外出席者         大蔵事務官         (官財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         国税庁長官   平田敬一郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月八日  委員馬場元治辞任につき、その補欠として島  村一郎君が議長の指各で委員に選任された。 同日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として田  中伊三次君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事大上司君の補欠として苫米地英俊君が理事  に当選した。 同日  理事苫米地英俊君の補欠として、黒金泰美君が  理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会中審査に関する件  租税特別措置法の一部を改正する法律案(参議  院提出参法第一号)  国有財産管理状況に関する件  中小企業年末金融並びに年末徴税に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。昨七日理事大上司君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員となつておりますが、これは先例によりまして、委員長において指名するととに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようですから、苫米地英俊君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び国有財産管理状況に関する件を一活議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。宮原幸三郎君。
  5. 宮原幸三郎

    宮原委員 国有財産国連軍施設として供与されております関係上、国連軍との行政協定調印を控えまして重大問題であると考えますので、ここに質疑をいたしたいと思います。  先月の二十八日に、主として外務省関係質問をいたしました。その際に保留しております大蔵省関係の問題について、なろべく手短かに要点だけを質問いたしたいと思います。第一に、大蔵省国連軍、ことに英連邦の双方に代表ができまして、その両代表が過去一年間折衝をせられて、日本代表では、大蔵省側の本日御出席窪谷管財局長、その前任者阪田管財局長、この御両氏が国連軍英連邦代表供与財産の問題で一年間以上折衝を続けられたようでありますが、その折衝状況を、左の緒点に触れて御報告を受けたい。  すなわち第一は、両代表はたびたび会談せられたでありましようが、その会談の回数、その日時、いつといつ会談せられたか。できればその内容。それから第二には、その会談成果についても御報告を願いたい。それから最近に、代表として国連軍との折衝をなさつた業務を、外務省移管と申しますか、返還せられましたが、それはどういうわけであるか。あるいは会談が困難な事情でもあるのか。それとも英連邦側が、何かこの折衝に応じないよう事情でもあるのか。または大蔵省が主張せられたと伝えられております、使用施設有償でなければならぬ、使用料をとろう、そういうような点から停頓を来したのであるか。あるいは他に何か理由があるのであるか。こういう点について第一にお伺いいたしたいとつ思います。
  6. 窪谷直光

    窪谷説明員 お答え申し上げます。まず大蔵省管財局長予備折衝と申しますか、そういうもの日本側の一応の代表になつておりましたのは、当時外務省仕事が、米国との間の安全保障条約に基く行政協定等事務で非常に煩雑をきわめておつたのであります。その当時におきましは、たとえば演習場の問題につきましては、農林省の農地局長が一応日本側代表者ようなかつこうになつて仕事をいたしておつたのであります。それと同様の状況にありました。外務省の方の仕事をお手伝いするというかつこうでやつてつたのであります。  まず国連軍側との会合の模様でございますが、これは昨年の八月に第一回の会合を開きまして、その後今日まで七回の会合をいたしました。日本側からは、呉市の実情等を勘案いたしまして、返還希望のものを出したのであります。それに対しまして国連軍側の方では、その研究をいたしました結果を持ち寄つて、時々会談をいたしたのでありました。ごくわずかのものが、その会談の結果として今日までに返還に相なつておりますが、その数量はきわめてわずかなものであります。私どもといたしましては、もう少し至急に返還を希望するということで、折衝を続けておる状況であります。  なお最後に、最近この折衝事務外務省に返納と申しますが、返還したのではないかというお話がございましたが、これは別に返還というふうな状況ではございませんので、最初から外務省の方の仕事をお手伝いするということになつてつたのであります。その後外務省の方の米国側との間のいろいろな事務が、国内事務だけは特別調進庁の方に移管に相なりました。従いまして、外務省の方の手が若干すいて参りました。従つて、もうそろそろ本来の姿に返す方が適当であろうというふうなことから、向うの方に主になつてつてらつてはどうだろうかというような話合いをいたしておるよう状況であります。別にこれには、特別の事由というものはございません。外務省の方の仕事が若干手がすいて参りましたので、本来の姿に返すというだけのことであります。
  7. 宮原幸三郎

    宮原委員 そこで主として国連軍、あわせて英軍の関係をも伺いたいのですが、国有財産供与使用状況ちよつと伺いたい。と申しますのは、私どもは本年の十月九日でしたかに、旧軍港市の議員連盟で各基地を一応視察したのですが、私は呉市の視察に参加いたしました。視察いたしました結果、かねて大蔵省の御認識があるかどうか疑わしいような、いろいろな事態に遭遇したのであります。それに関連して伺いたいのですが、大体英連邦がわずか四十見当の兵員でもつて、あの厖大な七十万坪以上の土地建物施設利用しておる。こういう大きな現実があるのであります。視察の途中、呉市の管財出張所長説明によりますと、旧海兵団地区、これにはわが日本海軍は、一万人の兵員を収容いたしていたのでありますが、その中に英連邦はわずかに六百人の兵員しか収容していない。こういう状態で、全体の七十万坪の使用状況というものは、その一事だけでもおよそ推測できるのであります。さて具体的に繋船堀地区という地区におきまして、税関倉庫という看板が上つておりますが、税関支署長が私に言明したところによりますと、これはまつたくの謀略であつて税関支所倉庫でも何でもない。これは英連邦が特にそういう看板をあげて、しかも内部はがらあきというようなことで、虚偽の表示をいたして、しかも未利用状態であるという現実、これは私は直接税関支署長から聞いたのです。その支署長という相手まで出してお話をいたしておりますので、荒唐無稽のことを話しているのではない。そういう状況である。また旧軍需部倉庫の大部分は未利用状態であるということをわれわれも実現いたしました。また港湾の最も重要な地域鉄条網張つてつて利用されていない。しかもその一番重要な部分を何が兵舎みたいなものに使つてつて港湾本来の使用かなされていない。そういうことをあげていても際限ありませんから、省略いたしますが、かくのごとく英連邦は本来の使用目的に使わないで、一種の濫用をいたしているように思うのであります。そこで数字についてお伺いできればけつこうでありますが、この国連軍日本国内——地域別におよそのところだけでもけつこうですが、土地建物使用いたしております面積、また施設の場合にはその件数、それが独立直後とその後半年ほどでもいいですが、それから二年半たつた今日まで増減の数字はどうなつておりますか、この異動の数字が聞きたいのであります。大体国連軍、ことに英連邦は、一々調査をしよう思つても、内情は何かのカーテンをおろしていて一向見せてくれない。外務省あたりから、中央から調査に行かれましても、これを妨害している。このことを一々ここで申し上げれば気持が悪くなるよう状態でありますから、私は申し述べませんけれども、そういう状態にあるのであります。これは大蔵省側としてもおそらく認識していらつしやることとは思いますけれども、一応この国有財産使用独立後の状況について御説明を願いたいと思います。
  8. 窪谷直光

    窪谷説明員 今国連軍使用しております土地の総体の面積は約百七十万坪でございます。そのうちの六十万坪が演習場でございます。これは広島県の呉市の付近の原村というところの演習場でございます。それから東京恵比寿に元の海軍技術研究所がございまして、これを使つておりまして、その面積が約六万坪でございます。この原村演習場東京恵比寿英濠軍キヤンプを除きまして残りは、呉市に集中をいたしております。呉は昔からの呉の地区と広の地区とにわかれておりますが、呉市に集中いたしておるわけであります。なお建物が十七万坪ございますが、これも恵比寿キヤンプが約一万坪ございまして、その差額の十六万坪程度のものが呉及び広地区に存在をいたしているという状況に相なつております。  なお、平和条約発効後の移動の状況はどうかというお話でございますが、ただいま詳細な資料を手元に持ち合せておりませんけれども、先ほども報告申し上げましたように、ごくわずかのものが、たとえば民有地あるいは民有建物で、占領中に接収いたしましたものを解除いたしたものでありますとか、国有財産のうちで、たとえば海上保安庁が海上保安大学校に使いますために、施収を返しましたものでありますとか、その他病院の敷地でありますとか、あるいは工場の敷地でありますとかいうふうなものが若干日本側返還をされたのでありますが、これは大局から見ますと、そう大きな数字にはなつておらないのであります。平和条約発効当時から、大同小異の形で現在まで国連軍使用せられているという状況に相なつております。
  9. 宮原幸三郎

    宮原委員 ただいまの御答弁でわかることでありますが、両国代表か過去一年間折衝されても、ほとんどその実績が上つておらないという結論になつておる。日米合同委員会実績といえども民有地は別として、国有財産については、それほど返還実績が上つておらないということを推測するにかたくないのであります。そこで心配のあまりにお伺いするのでありますが、最近外務省国連軍に対しまして、施設返還そのほかの折衝外務省本来の姿でなさろうとして努力なさつておるということを外務省側からも聞いておるのであります。しかし過去一年間大蔵省代表として御折衝に相なりました結果、相手方の出方というものがいかにも苛烈のために、せつかく折衝実績が上らないのですから、外務省が今ここでやつきになつて相手と取組んでみたところで、早急にその成果が上るとはわれわれ考えられないように思うのでありますが、それのよしあしは別として、それについての大蔵省側としての見込みはいかがでありますか。  それから外務省折衝するのに対して、大蔵省協力の立場にあるという御説明でありますが、ただいまの外務省折衝ぶりを拝見いたしてみますと、単独交渉ようであつて、従来大蔵省協力をなさつたものよりも後退なさつておるようにわれわれは見受けるのでありますが、それではその成果はますます期待できないのであつて、従来の通りでなくともよろしいけれども大蔵省側はその協力後退させてはならぬのじやないでしようか。外務省単独交渉ということになりますと、施設の問題なんかはしろうとがやつてはできないことであろうと思うのであります。外務省しろうとにまかせて、そうして大蔵省後退せられていて、それではたして御職責が済むのであるか、その点をお伺いいたしたいのであります。それから現段階における折衝というものがいかに重要であるかということについての御認識があるかどうかということをお伺いしたい。そんなことは間かないでもわかつておるとおつしやるかもしれませんが、やられておる実際は、その御認識があればこういうような投げやりの状態ではないはずです。  それで第一に伺いたいのは、このたびの行政協定調印というものは、すでに日睫に迫つているようでありますが、この調印をどうも非常にお急ぎになつておる。この第十八臨時国会にその批准案を一時かけられようとまでせられたことは明らかな事実です。このくらいまで外務省側では急いでいらしやるし、大蔵省側としてもこれに何らか同調していらつしやるようでありますが、この調印をなさるということになれば、国連側から言えば調印が巨的であつて施設提供とか労務間接雇用とか、そういうようなことは目的でも何でもない。ずるずると行きたいのですから、この際に調印をなさるということになれば、結局は合同委員会へ各種の問題を持ち込むことになる。号同委員会へ持ち込むということになりますと、先ほどの御説明にありますように、日米合同委員会でもすでに試験済みように、ほとんどその成果というものは上らない。過去一年間大蔵省側代表として恵比寿キヤンプ代表と御交渉なつたけれども、さらに効果が上らない。同じようなことが繰返されまして、この調印前に、またその調印の際にここに解決をなさらなければ、合同委員会に期待するというようなことは、とてもわれわれとしては不安でならないのであります。ゆえに現段階における折衝に重点を置かれまして、大蔵省側外務省単独交渉というなまぬるいことで満足せず、進んで協力して、そうして過去一年間の成果外務省によつて解決ようとせず、大蔵省其同業務として御解決なさる必要があるのではあるまいか、こういう点をお伺いいたします。
  10. 窪谷直光

    窪谷説明員 お話まことにごもつともでございまして、現在の状況におきまして、大蔵省がこの折衝について後退をしたとか、あるいは手を引いておるとかという状況はまつたくございません。外務省一緒になつて折衝いたしておるのであります。私ども職責をのがれるというふうな気分は毛頭持つておりませんので、できるだけの努力は継続いたして参りたいというふうに考考えております。  なお返還見込みはどうかということでございますが、これは過去の実積から見ますと、なかなか楽観は許さないというふうに考えられます。しかし今度は国連協定の予備的な折価外務省の最高の風任者と申しますか、事務当局責任者でありますが、その方にもこの会合には出てもらいまして、一緒にたることに相なつておりますので、何ほどかの改善は見るのではないかというふうに考えております。具体的にとの程度の効り果が出て参りますか、今日までにちよつと申し上げる段階には参つておらないのでございます。  なお国連協定施設提供の問題でございますが、施設提供を正式に決定をいたしますのは、やはり協定ができましてから、合同委員会において正式に両国関係国政府日本国政府との間に決定をされるのでございまして、国連協定が締結される前におきましては、これはあくまでも準備的な作業にすぎないのであります。もちろんこの準備的な作業段階におきましても、できるだけ多くのものを返還させろ同意をとることはもちろん重要なことでございます。その点につきましては、私ともできるだけの努力は続けて参るというふうに考えておる次第でございます。
  11. 宮原幸三郎

    宮原委員 大蔵省にお伺いしますが、この国連軍に供与せしめる施設有償にすべきか無償でよろしいか、こういう問題は、独立後今日までの懸案問題になつておるように伺つておるのでありますが、大蔵省側は、今日の段階においてもなお有償を主張せられておるのでありますか、どうでありますか。
  12. 窪谷直光

    窪谷説明員 国有財産国連軍使用させます場合に、その対価をとるかとらぬかという問題でございますが、これは若干の対価をとるべきだという考え方もございまするし、また米軍との均等待遇というふうな考え方もございますし、なかなか決定の困難な問題でございまして、この点は外務省とも連絡をとりながら研施をいたしておるというふうな状況でございます。御了承を賜わりたいと思います。
  13. 宮原幸三郎

    宮原委員 この辺で結論的な御質問を申し上げたい。いろいろ質疑応答をいたしております間に、結論は自然に定まつて来るのでありますが、この際調印をいたずらに急がれるだけでなく、むしろ大幅にこの調印が延びるとも、この際基地の要請であるところの施設の問題及び労務管理の問題をあわせて実質的の予備交渉解決をなさつてはどうか。ここが非常に重大な問題であろうと思うのであります。そうでなければ、あちらは調印目的なのであるから、調印すればまた例によつてずるずるべつたりになるのではないか。日米合同委員会なるものができていても、民有財産の方面はともかくとして、国有財産の面においてはほとんど実績があがつていないような感じを受ける。現に横須賀なんかの例から言いますと、独立後においてますます米軍施設を、しかも不当に、いりもしないところを、追浜地区なんか現に十万坪接収を増大しながら、しかも何にも使わずに放任されて、立ちのきを命ぜられたところの業者というものは非常に困つて、これが怨嗟のまととなつておるというような事実もある。こんなようなことでありまして、合同委員会に持ち込んた結果は必ずしも楽観を許されないのでありますから、この際事前に十分な御折衝が必要であろうと思うのであります。幸いに、大蔵省側後退しないで、外務省協力してこの問題を依然進めて行こうという御方針ようであります。それならばけつこうでありますから、この際予備交渉において十分の御進行をお願いしておきたいのであります。それで、このたびの行政協定なるものの成文には、かかる条項はただ合同委員会によつて処理するという規定が置かれるだけのようでありますから、その成文には、今日までの予備交渉の問題はもちろん記述せられないでありましよう。しかし会議録と申しますか、またはその付属文書には、今日までの予備交渉状況を明確かつ詳細に記述をしておかれまして、そうして自動的に成果をあげるように、これは外務省だけがなさるというようなお気持でなく、大蔵省側が断然の御主張でありますから、外務省とともに先方に交渉せられまして、このたびの行政協定の本文は日米行政協定と同じではあるが……。     〔発言する者あり〕
  14. 千葉三郎

    千葉委員長 静粛に願います。
  15. 宮原幸三郎

    宮原委員 しかもその付属文書を見るときには、なるほどりつぱなものができたと国会においても十分納得ができるように、内容を充実していただきたいと思います。大蔵省側は今外務省の方に対して、大蔵省意見回答なさる段階が来ており、そうして大蔵省回答なされて、その回答によつて外務省と協議なさるというようなふうに伝えられておるのでありますが、大蔵省回答の条件として、かくのごとき私の申し上げましたような点を十二分に、御如才もないでしようが、御確認の上で御進行あるべきもののように、私はただいままでの質疑応答結論が感ぜられるのであります。これについては実は大臣の御意見も伺いたいのでありますが、官財局長としての御意見を一応ここで伺つておきたいのであります。
  16. 窪谷直光

    窪谷説明員 非常に広汎な御質問でございまして、私から外交交渉について申し上げるのもいかがと存じますが、施設等について満足な解決がつかなければ、調印を延ばすか延ばさないかというようなことにつきましては、これは日本政府関係各国政府との間の問題でありまして、私からとやかく申し上げるべき筋合いの事柄ではないと思います。しかしながらその正式調印ができる前におきましても、当然に返還さるべきものにつきましては、その交渉を十分にやつて行くべきものであることは仰せの通りでございまして、今後におきましても、外務省と緊密な連絡をとつて十分に交渉をいたしたいというふうに考えております。     —————————————
  17. 千葉三郎

    千葉委員長 この際理事辞任補欠選任に内する件一についてお諮りいたします。  ただいま理事苫米地英俊君から理事辞任の申出がありましたが、これを許可して、その補欠として黒金泰美君を理事に指名いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、黒金泰英君を理事に指名いたします。     —————————————
  19. 千葉三郎

    千葉委員長 質疑はさらに続行いたします。福田繁芳君。
  20. 福田繁芳

    福田(繁)委員 管財局長が来られているから、この際ちよつと伺いたい。先般の委員会で、たしか大蔵当局から、例の戦争中接収したところのダイヤモンド及び貴金属、これを民間に返還するところの一つ立法化をいたしつつあるということを伺つたのでありますが、事実その後いかようになつておられるか、もう今国会はきようで終りでありますが、来国会でも御上程されるところの御意思があるかないか、簡単に伺つておきたい。
  21. 窪谷直光

    窪谷説明員 先般当委員会におきまして、若干の経過の御報告を申し上げたのでありますが、その際にも申し上げましたように、通常国会には御提案と申しますか、御立法をお願いいたしたいというふうに考えておりまして、目下研究中と申しますか、立案準備をいたしております。通常国会には御審議をいただけるものというふうに考えております。ただ行政監察委員長の御報告によりますと、議員立法にするのが適当ではないかというような御意見もございますので、その辺はなお打合せをいたしました上で決定をいたしたいと思いますが、内容につきましては、私どもとしても当然研究をし、また立案をいたすべきものと考えております。その準備をいたしております。
  22. 福田繁芳

    福田(繁)委員 管財局長の御答弁は了とするのでありますが、私も実は所管の委員諸君から大体伺つておりますので、相なるべくは早く御上程される方がすべてのためにいいと思いますので、重ねてそれを強く要望申し上げておきます。
  23. 柴田義男

    柴田委員 管財局長に伺いますが、第十六国会におきまして、国有財産の問題で一つの大きな問題をとらえて、大蔵当局にもそのことを申し上げておつたのでありましたが、一つの実例といたしまして、ニューエンパイヤモーター株式会社土地について現在どのような処置をとつておられるか。あの問題は御承知と思いまするが、決算委員会におきまして返還決定したはずであります。そして大蔵当局か、国有財産の確保のためにあの物件を取りのかせる、こういう確約を決算委員会においてやつてつたのでありましたが、その後の経過を承りたいと思います。
  24. 窪谷直光

    窪谷説明員 ただいまちつよと関係資料を持つて参りませんでしたので、日付の点はあるいは間違いがあるかもしれませんが、その後の経過を御報告申し上げたいと思います。  第十六国会におきまして、衆参両院決算委員会におきまして、あの土地政府で取返して、元の公園にするのが適当だという御決議がございました。それから大蔵省におきましても同様の方針決定いたしまして、さつそく会社側に、すでに期限も切れておるし、無契約状態にあるから、早く建物を取りのけて返すようにとの申入れをいたしたのであります。当初は口頭でもつて申入れをしたのでありますが、ややたちまして正式の文書で、しかも期限を十月三十一日と切りまして、内容証明でもつて申入れをいたしたのであります。ところがこれに対しまして会社側からは、自分は正当な権限に基いて使用しておるのだということを申しますと、さらにこれで明け渡して返さなければならぬということになれば、会社は破産をし、従業員及びその家族を含めて千四、五百名の者が路頭に迷うから、何とぞ穏便な措置と申しますか、そういうふうな詮議をしてもらいたという政府に対する申請がありました。会社側の方では、明け渡すという意思がどうも見えないのであります。そういうことでございますので、この上は訴訟によつて解決をはかる以外にはないというふうに判断をいたしまして、十月三十一日の期限前ではございましたけれども、十月十五日に法務省の方に訴訟提起の依頼をいたしております。ごく最近になりまして、やはり会社側から同様の趣旨の申請がありました。それに継続使用であるか、あるいは払下げの措置をとつてもらえないものであろうかという意味のものでありましたが、これに対しましては、政府側といたしましては、そういうことはできないということで回答をいたしております。目下法務省におきまして、私ども協力をいたしまして、訴訟提起の準備をいたしておるよう状況でございます。
  25. 柴田義男

    柴田委員 大体の様子はわかつたのでありますが、ただ私どもは、国有財産を確保する上におきまして、ああいうことは一つのケースとして取上げた問題でありますが、こういうような問題は、全国的にもまだたくさんあると私どもは考えております。大蔵当局国有財産を管理されておつて、もしもこういう問題がほかにもありといたしますならば、これは非常に不幸なことである。この年末を控えて、国民大衆の血税をいかにしておるか、きのうも大きな問題としてわれわれ論議して来ました。そういう反面、りつぱな財産を持つていながら、不当な貸付をやつてそのまま放任しておく、これは非常に遺憾な問題が起きて参ると思うのであります。ことにニューエンパイヤの問題は、今の御説明でもわかりまするが、これはまつたく大蔵省がやつた行為でなかつた。ただ大蔵省が知らないでおる間に、東京都が小公園として借りておつて、それを大蔵省には相談せずに、しかも莫大な寄付金をとつて、一営利会社にまつたく不当な安い価格で賃貸を契約しておつた。しかもその賃貸の契約はとうに期間が切れておつた、こういう問題であつたのでありますが、こういう問題はこのほかにもございませんでしようか。われわれ考えまするに、東京都内にも公園の中にりつぱな料亭ができておるのを見受けておるのでありますが、これに似通つた問題がまだありとするならば、お知りの範囲で承りたいと思います。
  26. 窪谷直光

    窪谷説明員 ほかの事例かどうかというお話でありますが、ちよつと私今記憶がございませんですが、そういう事態がありますことはきわめて不都合なことでありますので、それぞれのところで監査を今いたしております。それで当時の契約約件なり、あるいはまた無契約の状態において使用されておるというふうなものがありますれば、早急に適宜の処置を講ずべきものであるというふうにして、各関係の職員において努力をいたしておる状況でございますが、ただいま具体的な事例について、私ちよつと記憶がございませんので、申し上げかねる次第でございます。
  27. 柴田義男

    柴田委員 一つの例をとつて申し上げますが、たとえば元のドイツ大使館の場所が、ある団体——私どもか聞いておる範囲では、砂防協会という団体に不当に安く払下げをやつておる、こういう問題を聞いておりますか、こういう事実がございますか。
  28. 窪谷直光

    窪谷説明員 ドイツ大使館の跡地を砂防協会に不当に安く払い下げておるという事実は、私今承知をいたしませんので、調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。
  29. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 管財局長にお伺いするのですが、前の管財局長の時代にいろいろな問題があつて、たとえば枚方の問題がありまして、私たちも委員として実際調査して参りますと、そこに非常に手落ちがあり、あたら国の財産がみすみすと失われて行く姿を見て慄然としたわけですが、そこで一番感じますことは御承知のように現在ああいう枚方のような大きなところで、わずか十数人の人間が監視をしているというようなまことにみじめな姿でございますから、いくらあれを監査しようといつても、あれ以上の方法はないだろう。いくら盗まれてもやむを得ないじやないかというような感を深くしたのでありますが、今度管財局長がかわられて、ああいうものを保管するための予算をよけいとられたかどうか、今度の二十九年度の予算の中にそういうものを織り込んでやる意思があるかどうか、その一点からまずお伺いしたいと思います。
  30. 窪谷直光

    窪谷説明員 国有財産の残つております施設の補修、監視の要員が少いのではないかということの例といたしまして、枚方をあげてのお話でございまして、まことにごもつともでございますが、片方また政府の職員を減らせというふうなお話もございまして、二十九年度におきましては、少くとも現状維持をしてもらいたいということで、予算の要求をいたしておるのでありますが、増員というところまで行きかねたという状況でございます。なお施設が若干ずつ処分されて参りますので、そこから若干の人間が浮いて参るわけであります。それらを集中的に重要な施設に充当して参るということは、ぜひやつて参りたいというふうに考えております。
  31. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それは一般的な役所のしやくし定規でありまして、みすみすと国有財産が雨ざらしになつておるということと、そういうものが売れれば、やはり国の財産がふえるわけでございまして、そういう点で、何でも節約するからといつて、国の損を防ぐためにいる金ならば、私は請求する必要があると思う。それで、そういうようなしやくし定規じやなくて、管財局長が今度就任されたのでありますから、ひとつ責任を持つてつて、地方の財務局を通じて、それぞれについてもつと慎重にやつていただきたい、こういうことを第一に思うのであります。  それから最近、愛知県の豊川工廠の問題でありますが、豊川工廠の問題で地元からも払下げの問題もあるし、それから広いところでございますから、このまま捨てておいても困るのじやないかというよう意見もありますので、実は私も国有財産の小委員長をやらしていただいておるわけでありますから、調査をしたいと思つておりますが、一体どういうようないきさつになつておるのか、管財局長はどういうお考えを持つておるか、御説明を願いたいと思います。
  32. 窪谷直光

    窪谷説明員 豊川の工廠は、元海軍の主として飛行機に積みます機銃を製作いたしておつたところでございまして、これは御承知の通りでございます。終戦後名古屋大学の空電研究所というのがその施設の一部を使つておりまして、それから保安隊が現在一部使つて駐屯している。さらに国有鉄道の修理工場が一部使つておりまして、なお残存して未利用の区域があるのでございますが、その区域に対しては、日平産業という会社から、弾薬をつくりたいということで、貸してもらいたいという申請が出て参りました。その申請目下検討いたしておるという状況でございます。
  33. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 実はこの豊川工廠の中には、相当貴重な機械があるという話も私に聞いております。それで先ほども同僚の宮原委員から、監督が不十分じやないかという質問がございましたが、国の全体の財産でございますから、一人で責任を持つといつてもそれはむずかしいと存じます。しかし一方から考えますと、こういうよう国有財産が整理されながら、また一方においてはそのまま捨ててあるということと同時に、機械がさびついてしまうというような実態を私は枚方の工場で見たわけであります。そういう点から見て、これはひとり管財局長の責任ではないけれども、しかし少くともあなたは現在日本国有財産の取締り、あるいはその地位にあられるので、これをどのように維持されて行くか、またできる限り国の財産として正当な払い下げをするということも考えられるわけでありますが、その点についてあなたは就任早々でありますけれども、事は重大でありますし、時に日本の国は、御承知のように、戦争に敗れて、非常に貧弱な経済でありますので、できる限り国の財産はこれを保管し、またこれを有用に使うことが必要だと思います。特に民間に払い下げる場合には、当時の事情のよく勘案して、いろいろなうわさの出ぬように、われわれ大蔵委員会でこういうようなことを聞かなくともいいような態度をとつていただきたい。特にまだ終戦後八、九年でありますから、ブローカーとか、その値いろいろ悪い筋の者がありまして、そういうことでたびたびいろいろなうわさが世間に出ているわけであります。そういう取締りについては、現在あなた自身が国会において、こういう方法を講じてもらえなければ、国有財産は維持できないという意見があるのかないのか。このままで、あなたが全責任を負つて、地方の財務局を通じて今持つている国有財産の保管ができるかどうか。その一点を管財局長に御答弁願いたいと思うのです。
  34. 窪谷直光

    窪谷説明員 もちろん国有財産は、国民の血税によりでき上つた施設でございます。その保管なり、あるいはまた処分等については、慎重を期さなければならぬということはまつたくお話通りでございます。私どもも、その間に不当なこと、あるいは不正なことのないようなことにして、維持管理並びに処分をいたして参りたいと考えております。  なお、現在の人員で国有財産の管理が十分にできるかというお話でありますが、私どもとしてしては、与えられました人員でもつてこれを効率的に使つて、十全の管理をやつて参るというふうに考えて行く以外にはないかと考えておる次第であります。  国有財産の処分等につきまして、とかくのうわさが出ているというお話でございますが、私どもの不徳のいたすところでございまして、処分等につきましては、従来よりも増して慎重を期して参りたいと考えておりますので、御了承を賜わりたいと思います。
  35. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 愛知県のことでございますが、春日井の工廠は、御承知のように、ある大学の農学部に貸すとか貸さぬとかいつて、実は先日も同僚代議士から特別な質問がありましたが、その後、春日井市からぜひ払い下げてもらいたいという話がありまして、その後事情はわかつておりませんが、そのあらかたのことを、管財局長、御存じだつたらお知らせを願いたいと思います。
  36. 窪谷直光

    窪谷説明員 おそらくお話は昔の鷹来工廠といつた分ではないかと思いますが、一部は名城大学でございましたか、その大学の農学部が使つておるのであります。大部分土地は、まだそのままあいております。この土地利用につきましては、まだ具体的な計画が出て参つておらぬというふうに考えております。この前にあるいはお話が出たのかと思いますが、その後大して状況の変化にないように聞いております。
  37. 福田繁芳

    福田(繁)委員 先ほどからの同僚佐藤君の御質問に関して、国有財産の処分権をこ握られるところの、今度の新しい局長の非常に心強い答弁を聞いてわれわれとして非常に了とするのでありますが、これに関連してちよつと私率直に伺いたいと思う。これは大蔵省のみに限らない、通産省にも関連するのでありますが、あの両省が保管しております工作機械、先はど枚方の問題もありましたが、枚方にも完全に当てはまるのでありますが、まだ相当の台数を政府が持つておる。それで御承知の、ことに最近立ち上りつつあるところの日本の各地の工場経営者、事実上それを使うものがぜひともこれを払い下げてもらつて、即刻日本の出産に協力いたしたい、こういう申出で通産省なり大蔵当局に払下げ申請を堂々といたしておるのでありますけれども、どういうものか、非常にその評価の価格が高い。それかために両省が保管しておるところの工作機械というものは、今なお文字通りさびだらけの状態をさらしてあるのでありますが、最近聞くところによりますと、大蔵省はさようなことはありますまいけれども政府の持つておる工作機械をスクラツプとして払い下げるんだというような意味合いのもとにおいて、ある程度調査が進められつつあるということを私伺つて、実は唖然として、非常に嘆かわしく存じております。あの価格を少くとも町工場が立ち上るま産機械として間に合う程度の価格に引下げてもらうならば、スクラツプにしなくても、あれからどんどんと日本の産業に役に立つ。その価格を引下げないで、思いもよらない一トン一万七、八千円のスクラツプにするというようなことは、うわさかもしれませんが、そういう情報が流れておることは、とりもなおさずあなたがおつしやつたところの、国民の血税でつくつた国有財産の処理がもし通産省においてもさようなことでもあるというならば、非常に嘆かわしい重大な問題だと私は思う。そこで管財局長に伺うのでありますが、あなたの所管の工作機械に関してにさようなことはなかろうと思いますが、これの処分に対する一応の御意思を伺いたいと思う。
  38. 窪谷直光

    窪谷説明員 旧軍が持つておりました機械は、御承知のように第一段階で賠償指定に相なつたのでありまして、その賠償指定をいたしておりました間に、若干のものが解除になつたものもございますが、これは当時連合軍司令部と日本側の職員とが共同して調査して、スクラツプにいたしたのであります。これは機械としてに使えない、もうスクラツプ以外には利用の道にないというものをスクラツプにいたしたのであります。御参考までに現在までの状況を、ごく概数でございますが申し上げますと、旧軍の持つておりました機械類で、賠償指定されました台数が三十六万二千五百台でございます。そのうちで先ほど申し上げましたスクラツプ・ダウンするために解除をいたしましたのが六万六千台、これは機械とは申しましてもこおれた機械でありまして、機械という名には値しないものでありますが、それからさらに中間賠償といたしまして、国民政府でありますとか、オランダ、フイリピン等に持つて参りましたのが四万四千台ございます。従いまして、講和条約が発効いたしましたときに残存しておりましたのが二十五万二千五百台ということに相なつております。なお二十七年度中に機械として処分をいたしましたのが約二万八千九百台、従つて今年度中に残存をいたしておりましたのが二十二万三千六百台ということに相なつております。このうちでそれぞれ利用をいたしておりますものと、利用をしないで集積をいたしておるものとがございますが、駐留軍の用に供しておりますものが一万五十九百台、それから貸付契約をいたしまして、貸付料をとつて使用をさしておりますものが四万三千台ございます。それからなおそのほかに、現在貸付ないしは売払いの申請中のものが一万九千六百台ございます。  それから各省関係でございますが、これは主として文部省の関係その他の学校が多いのでございますが、それらで使つておりまして、政府といたしましては所管がえをいたすべきものか一万七百台程度ございます。それからそのほかに中小企業の交換機械といたしまして留保をいたしておるのが四万七千八百台、約五万台弱のものがございます。それからそのほかに、たとえば四日市でございますとかいうふうに、施設と一体として処理することを適当といたすもの、すなわち機械をとりはずして機械だけ持つて行くというふうな処分の仕方が適当でないと思われるものが三万一千八百台程度ございまして、それを二十二万三千六百台ということしの年度当初にありましたものから差引きますと、五万四千八百台というものが残るのでございます。この中にはある程度スクラツプ化する以外には処理の方法がないだろうと見込生れるものがございます。それで第一次補正予算の財源といたしまして、このうちの約二割五分程度は大観的にスクラップ化し得る数量であるという推定をいたしまして、一万三千台程度のものはスクラツプ化する以外には利用の道はない、どうも厳密に見ますと、もう少しあるいはあるのかとも思われますけれども、何分にも虫だ調査がそう厳密にできておりませんので、その程度に申し上げたわけでございます。  なお国有機械を全部スクラツプ化してしまつたらどうかというふうに誤解をされるような書類というものか、製鉄会社の三社から製鉄原料としてスクラツプ化して払下げをしてもらえぬかという申請が実は私の方にも参つております。これはよく聞いてみますと、若干誤解があつたようでありまして、その数量として二十五万二十台という数字をあげておるのでありますが、たまたまこれが私どもが見ております講和条約発効のときに存在しておる数量でありまして、この数字とどうもよく似通つておるので、これを全部スクラツプ化してしまうというのはあまりむちやな話ではないかという話をいたしておるのでありまして、ここれを全部スクラツプ化するというようなことはとうてい考えられない。スクラツプ化する以外に処置の方法のないものはやむを得ないけれども、いやしくも機械として使えるものは機械として使うことが適当であるというふうなことから、一応申請は出て参りましたけれども、それに対しましては、私どもは別に何らの措置を講ずる考えは今持つておりません。ただ現在スクラツプ化し得るものもあることはあるのでありまして、まだ厳密な調査ができておりませんために、やや大事をとりまして、今列挙をいたしましたような特殊の用途に供せられておるものを除きました残りの約二割五分程度、一万二千台でありますから、現在の国有機械の五%程度のものでありますが、この程度はスクラツプ化し得るであろうということから、第一次補正予算の財源に充当いたすということをいたしたよう状況でございます。全部スクラツプ化してしまうというような考えは毛頭持つておりません。  それからなお機械の払下げ値段が高過ぎるというお話でございまして、実は私どもちよちよいその話を聞かされるのでありますが、また片一方どうも安過ぎるというような御非難も承つたりいたしまして、一体どの辺が真相であるか。ことに会計検査院方面からはむしろ安いんではないかというようお話もあるようでございます。それらを勘案いたしますと、まず私どもが現在やつているような値段が適正ではなかろうかということを実は考えておるような次第であります。大体概要の御報告を申し上げる次第であります。
  39. 福田繁芳

    福田(繁)委員 実は局長御承知でもございましようが、当衆議院の内部に、われわれ議員連中で工作機械議員連盟というものを持つておる。そういつたふうな関係で、いろいろそういつたふうな資料も十分集めて、これに対しては私も、多少の意見を持つておる。しかし本日は、これはもう最終でございますから、明けまして、来議会にゆつくりとひとつ管財局長と公的の場面でいろいろ御意見を伺い、またわれわれの意見も御参考に申し上げる。それがひいては、衆議院内部にあるところの工作機械議員連盟の何らかの御参考になりはしないかと思いますので、そのときに譲ることにいたしまするが、どうぞこの処分だけは慎重にしてもらいたいと思うのであります。先ほどのお話の中で、相当詳細にわかりましたが、結論として、まだあの五万台ほどの機械の中で、約五分か一割くらいのスクラツプ化するところの余裕があるという仰せでございましたが、劈頭に大体五万台というものはスクラツプとして見ておる。このスクラツプということも、われわれ専門家から見れば、こんな上等なスクラツプはない。いいかえればもつたいない。その時分に約三万五千台から四万台をスクラツプ化しておるのだから、もうあとはそうスクラツプとして安く踏むようなものはあまりないように私たちは見ておるのです。いずれ先ほど申し上げました来国会に詳細に申し上げたいと思いますが、なおできますならば、それまで慎重に処分ということに対しては御考慮してもらうことにして、せめて管財局の所管で今なお残つております。今のお言葉で仰せられた以外の資料もわれわれの方に配付していただくと、御協力する意味合いにおいて非常によいのではないかと思いますから、同僚議員からも資料の要求がありますから、あわせて希望を附加して申し上げておきます。
  40. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま管財局長の払下げ価格に関しまして、一説には高過ぎるという非難もあり、また低過ぎるという非難もいろいろあるかと仰せられておりますが、私これに関連してお伺いしたいのは、やはりその国有機械の払下げにあたつての評価基準となるものは、たとえば昨年行われました中小企業向けの例の交換機械、こういうような政策的意図に基いて払い下げられるものは、これはやはりおのずから政策価格ということになつて来るでありましようし、当時御当局の御答弁によりましても、できるだけ古い機械と新しい機械とがパーで行けるように、すなわち中小企業者がその新しい機械を買うことによつて、大きな金を支払わなくても自分の工場の合理化がはかれるようにと、こういうような意図に基いて価格が査定されたと思うのでございまして、そういうような場合は、価格ができるだけ安いに越したことはない。それは結局中小企業対策として考えられる問題でありますから、そういうふうに期待をいたしておるわけであります。それからまた他のいろいろとコマシヤール・スケールによつて払下げを申請されたものに対しては、これまた当然コマーシヤル・ベースで評価されてしかるべきであろうと思うのでありまして、これは一概に高過ぎる、安過ぎるという一律の考え方によつて、その評価がされるべき性質のものではないように私は考えておるわけでもります。  そこで私第一番にお伺いいたしたいことは、昨年の例の中小企業向けの交換機械、これはこの四万台を対象にして、一体どの程度の本年度における歳入が見込まれておるか。これは国会が了解をいたしておりますところは、そういうような交換機械の処分によて歳入は全然期待しない、こういうぐあいに考えておりましたが、しかし先般大蔵委員会の国政調査で、地方の財務局をまわつていろいろと実情をお伺いいたしましたところ、中にはこれは相当の差益金というものをそこに見込んでおられるということでありますが、その後大体日にちも過ぎまして、全国的な集計もほぼまとまつたかと思いますが、頭現階においてはとういう状況になつておるか、この一点についてお伺いいたしたいと思います。
  41. 窪谷直光

    窪谷説明員 約四万七千台程度のものを、中小企業向けに適する機械であろうかということで留保をいたしたのであります。このうち、実際に交換される見込みのものは、実はまだはつきりしな調べができておらないのでありますが、大体一万二千台程度に上るのではながろうかという推定をいたしております。そのうちで、今年の九月までに現実に契約の済んだものでありますが、その数字ははつきりいたしておりますので、御報告を申し上げますと、交換によりまして相手方の所有になりました機械、すなわち国から交換に出した機械、これが三千六百台、それから交換によつて国有になつた機械、すなわち中小企業者の方からその交換物件として国に提供しました機械が四千五百七十九台に相なつております。交換の差金として出て参りましたのが一億六千万円程度でございます。これは別に歳入を上けるという意識的な意図があつたのではないのでありまして、当初はこの交換に出していただく機械の量を相当多くすることによつて、金を少くすることができるのではなかろうかというふうなことも考えられたのでありますが、九月までの分についてみますと、国から交換に出しましたのが三千六百台、交換で国の所有になりましたのが四千五百台でございますので、約千台程度交換に出ました方が多いのであります。ところが機械の実質から見ますと、交換差金なしにやるためには、もつと古い機会が出て参らなければうまくバランスがとれないというふうなことから、その差額を金額で決済することに相なつておりまして、そういう数字が出て参つておるのであります。その後まだ全体的な調査はまとまつておりませんが、国有機械を受取られました中小企業者の方では、非常に喜んでおられるように考えておる次第であります。
  42. 春日一幸

    ○春日委員 よくわかりました。しかし問題は、結局政府の手持ちの機械を高く評価しないと言うわれわれかねがねの要望事項は、現場においてはその通り行われなかつた。その結果が千台も余分に出して、一億何千万円もの負担をしなければならないという形になつて現われておるのでございます。やはり国会の意思というものは、それに対して当局がその都度御答弁なさつていらつしやるのでありますから、その方針通りを末端に浸透さしていたたくのでなければ、非常に困ります。あなたは計画的にそういう高い評価をしたわけではないと言われておりますが、その当時の速記録をお読みになればわかりますように、愛知大蔵政務次官の答弁も、できるだけパーになつて、現金負担のないよう努力したい。またその差金は、でき乙だけ古い機械でというようお話もありましたが、現実中小企業者が一台の機械のために三台、五台という機械をとりはすして、交換に出すということはできません。一つの機械も余分なものがあるわけがございません。従つてその機械と大体同性能の機械という形になつて参るわけであります。従つて、これはもうスクラツプ同様のがたがたの機械を新しい機械にかえる場合は、当然相当の差金が出るのは常語なんです。しかし中小企業の合理化、生産の合理化、こういう考え方から、せつかく中小企業向けにそういう機械を出すという国策が決定したのでありますから、やはり商業的な評価によつてそういう差金を見るというようなことでなくして、できるだけ安い評価、それから相手方から出る機械の高い評価というところで、そこをパーとするような技術はやはりあり得るわけなんです。それを強く主張しておりましたが、依然としてあなたの方は、とれるものはとるにしかすというようなことで、一億何千万円の差金を見る結果になつております。このことは非常に遺憾であります。ただいまの問題につきましては、なお今後の処理を通じて、未決のものについては、できるだけ今まで国会において質疑応答が行われた趣旨を十分末端に滲透させていただきまして、中小企業者の負担が加重しないように御配慮を願いたいと思います。  それからこの国有財産の管理、処分でありますが、これはただいまも同僚委員からお話がありました通り、国民のいけにえによるものであつて、大きな関心事でございます。そこでお伺いいたしますが、これらの軍工廠その他を中心とする施設並びに機械を経済化、生産化することが、もう少し能率的に行われなければならぬと思うのであります。ところがこれをはばんでおるものに何であるかということをいろいろ考えて見ますると、いろいろありましようが、第一番に考えられることは、終戦後のどさくさにまぎれて、あるいはその後いろいろな一部の策動によつて、そういう国有財産の貸す与の契約をしておられるものがあります。ところがそれらの諸君が、その事業計画をその後実施していない。借りる契約は締結しておるので、権利は持つておるけれども、その後二年も三年もたつても、現実にはその事業がまだ着手されてはいない。従いまして、そういう契約を国が行つておるのだから、第三者を対象にして新しい競争をすることができないというので、そういうような国君財産が現実に経済化されることがはばまれておるという事例が非常に多いと思います。さらにただいま佐藤君のお話がありました鷹来工廠なんか、私どもの調べたところによりますると、わずか百名にも満たない学生——これを名城大学の農科に活用するということで借り受けられた様子でありまするが、しかし付万坪というような借受地を五十名か百名程度の学生によつて専有されて、その後それが大きく拡充されるという見通しも立つていない様子であります。国民の血税によつて現在こういう状況がもたらされているところの、いろいろな国有財産と機械設備の生産化ということについては、これはだれが見ても国家的見地から、なるほどとうなずかれるような人々を対象として貸し与えるなり、あるいはこれが売却されるなりしなければならぬと私は思います。それで申請をして貸与する貸与の契約ば国と締結しておるけれども、しかしまだ現実に事業を何も始めていない、そういう状態がすでに相当長期にわたつて持続しておるというような借受け主に対しては、一応契約を解除される意思はないか、さらにはまたただいまのような厖大な敷地を借り受けておつて、実際にはそのごく一小部分しか利用していない、活用していないような財産、物件については、これを必要な範囲にとどめて、この遊休の場面についてはこれを国家へ回収する、そうしてそういうものを白紙の上に立つて適切な人々にこれを新しく貸し与えて、全体的な立場においての生産化、経済化をはかる、こういうような方向へ管理軍営を持つて行くのでなければ、運動した者が一応権利をとつておいて、その権利を売り歩くというような、そういうばかげた醜行が現在行われておる、こういうような事態に対して、管財局長はどういう対策をお考えになつておるか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  43. 窪谷直光

    窪谷説明員 当初契約をいたしましたときの事業計画が、その後の状況の変化その他によつてうまく事業が動いていない、あるいはまた相当学生を入れる見込みであつたのが、実際問題として集まらないというふうなことから、現在必要に大きな面積を借り受けておる者があるのではないかというお話でございますが、私どもが見ましても、そういうものが若干あるように見受けられるのでありまして、それらにつきましては、今お話がございましたような方向に沿つて措置をいたして参りたいということで考えておる次第であります。
  44. 春日一幸

    ○春日委員 名古屋市内に千種工廠というのがありまして、現在六万有余坪が都心に、やはり荒廃のままに捨てられております。この土地に対して、今間でやはり県市等においていろいろの事業の計画が行われておりますが、現実に行き詰まつておりまして、すでに何らかの会社が政府との間に貸与の契約をとりかわし、すでに許可を得ておるとかいうことで、何か優先権というようなものがあつて、他の者に対してはそういうものについて新しく契約を取結ぶことがはばまれておるようであります。これはもうすでに八箇年間荒れ果ててそのままになつております。少くともあの大きな生産設備か、しかも名古屋のまん中においてそういう状態に放置されておるということは、これは結局その管理の方式がそういう結果をもたらしておるのでありまして、十分ひつと御検討を願わなければならぬと思うわけであります。これはいろいろ汽車会社の計画のどのあつたそうでありますが、現実ではそういうこともできない。その後付かの事業計画で、何かしかに貸し与えられるよう方針をたどつておるそうでありますけれども現実には資金計画その他いろいろな面において、それも見通しの確立はいたしていないようにわれわれは仄聞いたしております。従つてどうかこういうような遊休施設については、ほんとうにその申請者に経演能力かあるかどうか、さらにまたその事業が全体的立場において、どういう内容と性格を持つものであるかということを十分御検討の上いろいろと処理をされるのでなければ、結局はこういうように八箇年にわたつても荒廃のままに打捨てられておるという醜態をさらす結果になるわけであります。どうか十分御注意を願いまして、ただいま申し上げましたように、必要を越えた分に対しては国家か回収するとか、すでに許可をとつておるといつても、事業に着手をししいない者はこれを取消すとか、そうして広く経済化のためにそういう事業者を募る、こういうふうに積極的にこれらの遊休設備をやはり活用することのための強力な措置を講ぜられたいと強く要難いたしまして、私の質問を終ります。
  45. 窪谷直光

    窪谷説明員 今春日委員からのお話、まことに同感でございまして、私もでき得る限り、その線に沿つて努力をいたして参りたいというふうに考えます。     —————————————
  46. 千葉三郎

    千葉委員長 この際中小企業年末金融並びに年末徴税に関しまして御協議を願いたいことがございます。それは、年末を控えての中小企業に対する金融状況並びに徴税状況にかんがみまして、本委員会としてもこれが対策を講じて来た次第でありますか、委員長といたしましては、この際決議として次の決議案を決定し、政府当局の善処方を要望してはどうかと存じております。  まず決議案文を朗読いたします。   中小企業年末金融並びに年末徴税に関する決議案  本委員会は、政府に対し次の事項について善処されることを要望する。  一、最近の不渡中形発生の状況は極めて憂慮すべき事態にあり、インフレの抑制は刻下の急務と認めるが、急激なる金融引締政策に因る資金涸渇の現状をこのまま放置するときは、多数の中小企業者が倒産を余儀なくされることは必至と思料される。    よつて政府は、年内に期限の到来する指定預金の引揚を延期し、更に必要に応じ新規預託を行われたい。  二、最近の中小企業の経営の実情にかんがみ、年末に際し徴税か強行されるときは、中小企業に対する諸般の施策の効果を抹殺し、不測の混乱を起すおそれがある、    よつて政府は、年末徴税に当つては、苛酷に亘らぬ様特に慎重を期せられたい。    右決議する。  ただいま朗読いたしました決議案を、本委員会の決議として政府当局に送付し、その善処方を要望するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。
  48. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの委員長の御発言に私は反対するのじやないのでありますが、それに関連して委員長にお尋ねいたしたい。いずれこの国会の最終には、本委員会として大体それに似通つた決議をせなければなるまいと私は思つておつた。それがために、今国会の開会の日に大蔵当局、なかんずく銀行局に対して私は資料を請求したはずなんです。井上君の質問に関連して大蔵当局、ことに銀行局と監督金融機関との人事問題の資料を請求した。この資料に関連して銀行局長並びに大蔵当局に、私は多少年末金融に関連してこういう声もあるというところの実際を講じよう思つて資料を要求した。それが一週間もたつて、ことにきようで終るのでございましよう。それなのに資料も出て来なくてそういう決議を持つて来られることはどうかと思う。今後ひとつ委員長は、われわれが資料を請求するのは、たてや道楽で請求するのじやないから、よくお考えくださつて事務当局を鞭施して、遠慮なく大蔵当局からそれを提出されるように十分注意してもらいたい。これだけのことを委員長に申し上げておいて、私は賛成いたします。
  49. 千葉三郎

    千葉委員長 福田委員の建言、まことにごもつともと思いますから、委員長においてさようとりはからいます。     —————————————
  50. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、本日の日程の租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。黒金君。
  51. 黒金泰美

    黒金委員 ただいま参議院から送付になつております租税特別措置法の一部改正につきまして、二、三の点をお尋ねいたします。  この夏の国会におきまして、租税特別措置法の改正案か通りまして、その結果輸出業者、あるいは輸出製品の製造業者、これらに対する租税の軽減措置か行われましたことは、非常に御同慶に存ずる次第でありますが、その後の実行状況におきまして、たとえば製造業者に対しましては、ことに内国において需要のある商品と同時に、輸出製品をつくつておる業者に対しましては、いかなる課税方法をしていらつしやるか。輸出製品だけにつきまして原価計算をし、あるいはまた輸出部門と内需部門とをわけて、おのおのの生産品をごらんになつて、間接経費を考えるというような方法によつてその利益計算をし、これについて租税の軽減をしていらつしやるのか、あるいはまた全体の利益を売上高その他によつて按分して、これを計算していらつしやるのか、そういう実行方法につきまして、御方針といいますか、実際にやつていらつしやるところを承りたいのです。
  52. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 結局その問題は、輸出にかかる所得の二分の一云々というあの規定に結びついてのお話だと思いますが、いろいろ検討してみましたか、実行問題といたしまして、輸出の分に関しての所得というものをこまかく計算するということは、実はほとんど不可能のようであります。従いまして、非常に便宜的な方法だとおしかりをこうむるかもしれませんが、現在やつておりますやり方は、通産当局ともいろいろ相談いたしまして、収入金按分といいますか、利益全体を収入金按分をする、これはある意味から申しまして、現在実情からいうと、課税の方からは割合に甘目の感覚を受けるのじやないかと思いますが、一応収入金按分によりまして措置をする。非常にこまかい計算をしていただきまして、このために業者の方にあまり小数をかけるということは、あの法律の趣旨からもいかかであろうか、こういうような感覚から、一口に申しますれば、今あなたがあとの方でおつしやいました収入金按分の方法で行こうという考え方で現在進んでおります。
  53. 黒金泰美

    黒金委員 ただいまの御答弁によりまして、非常に手間が省け、かつ輸出市場の競争が非常にはげしいものですから、身銭を切つてまで輸出に邁進しておる現状から見まして、非常に適切な御措置をおとりになつておるように存ずる次第でございます。  さて次に伺いたいことは、輸出製品を製造しております者におきましても、実はいろいろな部分品をよそから買つて来る、極端な場合には、それを組み立てて輸出をする輸出製品の価格の面から申しまして、むしろ下請の方にその価格か相当大きく片寄つておるというような製品も多いかと思います。こういう場合におきまして、実際輸出製品を製造しております者しかこの軽減の規定の恩典が更けられないのか、あるいはまたさかのぼつてまで受けられるものでありましようか、こういう点につきまして御所見を伺いたいと思います。
  54. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 今の点につきましては、あの規定が国会側の御修正で入りますときにおきましても、実は相当の御議論があつたわけでありまして、率直に言いますと、現在扱つておりますのは、そういう部分品を他から入れまして、それを組み立てと、製造の最終段階を経て完成品としと輸出業者に売り渡すという方に、一応ああいう恩典が行くような措置でやつております。法律もそうできておるとわれわれは考えて措置しております。そこで実はその点に議論があるわけでありまして、参議院の方でも、実はあの法案を審議した機会にいろいろな御議論かございまして、特に繊維関係の染色加工とか、そういう問題におきましては、染色の加工の段階というものは非常に重要である、従つてその分は染色加工の方に恩典が行くようにし、そのかわりに、メーカーの方の恩典はそれだけ制限してもよいのじやないかというような御議論もあつたわけでありますが、考え方といたしましては、結局最終製品をつくる人の段階において、まあ一番輸出というものに対する関心も多いだろう、二次メーカ1といいますか、加工段階とか、そういう段階におきましては、内地向けか輸出だかよくわからない、やはり製品の方で云々ということで現行法ができておるわけでありますが、しかし事柄によりましては、いやもう初めから輸出のものについての染色加工は特別扱いにしておるのだということで、参廃の方ではいろいろ御議論がありました。この経過を多少ごひろうさせていただくことをお許し願いますれば、一つは課税技術的に見まして、あまり部分品のようなものにまで入り込むことは、実行的にもむずかしいということか一点、しかし染色加工のようなものならば相当可能じやないか、また需要の面から見ても、染色加工の方は他の部分品と違つて、初めから輸出に向くであろうということがわかつている、こういうものには考えたらどうだろう、そういうようお話がりまして、いろいろわれわれとしては一応の意見はありますが、それも一つ考え方でしようが、こういうような話になりましたのですが、結論的には、今のところは部分品の方にはやらぬ、こういうふうになつております。
  55. 黒金泰美

    黒金委員 ただいまのお話でかなりわかつて参りましたが、実際問題としてはいかがでございますか。何かもどしでもして調整をとつておるものなのでしようか、一般的な場合におきまして……。
  56. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 その辺の関係につきましては、多少まだわれわれの方も始めたばかりで——まあ半年ほどになりますが、調査がほんとうによく行き届いておりません。どの程度下請の方がこれによつてめんどうを見てもらつているか、その当時の話としましては、相当輸出品というようなことがはつきりすれば、製造業者の方にそれだけ恩典が行くのだから、下請の方もある程度めんどうを見てやつてもいいじやないだろうか、われわれはそう思つておりましたし、そういうお話もしたわけですが、なかなかそれは商売の実際としていろいろ難点もあるぞ、こういうお話もあつたのです。現実の問題としてどの程度それがなされているかということにつきましては、現在のところは、遺憾ながらまだあまり調査ができておりません。
  57. 黒金泰美

    黒金委員 ただいまのお話で、下請とそれから完成品をつくります製造業者との間の話合いにまかしておきますれば、今のような経済状態の苦しい問ですから、なかなかそれは簡単にもどすことができないと思います。かりにまたもどしましたにしましても、これは利益として行くので、完全に下請会社の方は課税を受けぬという点で、よほど事態はかわつて来ると思います。従いまして私どもとしては、むしろ徴税技術上からいえば非常にむずかしい、むずかしいことではありましようけれどもせつかくできました輸出振興の恩典を、ほんとうに輸出品の部分品までつくつておるということがはつきりしておりますような下請業者にまで何とか及ぼし得るように、せめてそれぐらいはこの次の国会までに十分にお考え願うということを前提にして、この問題はこれだけ一つ取出しまして、この業者だけはとにかく技術的に簡単だからというようなことでは、ちよつとふに落ちないと思いますけれども、御当局なりあるいは皆さんのお考えが全体に及び得るようにということをひとつお考えになりまして、今後善処していたたきたいというように希望するわけです。
  58. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 参議院のいろいろな御論議の経過を多少ごひろう申し上げますと、一つの面としては、やはりそういうような扱いをすることが、輸出振興の上にほんとうに値打があるということを考える必要かあるのじやないか、これが一つ。それからやはり何と申しましても徴税上の問題もございますから、それを全然無視して無理な行政を下にしいましても、結局納税者としてもそれを十分に利用し切れない、こういうような問題も出て来るのじやないだろうか、そこでその両者か大体可能だという面は、一応染色加工とか、そうした面であるのじやないだろうか、その余のものにつきましては、これはわれわれの方は技術的に見ますと、ちよつとむずかしい画が多いように思いますが、しかしこの方はまだ可能じやないか、そうおつしやられれば、この面なら大体可能だろう。参議院のいろいろなお話は、これはこれでとにかくつて、あとはさらに検討してみたらどうだろう、こういう御意見でございまして、われわれ通産省といろいろ話合つておりますが、どうもその他の分につきましては、これでもうあとはやらないのだということをきめているわけでもございませんか、その余の分につきましては、かなりいろいろな困難かあるのじやないだろうか、こういうふうに考えております。
  59. 春日一幸

    ○春日委員 渡邊局長にお伺いをいたしますが、これは織物関係のことだけの改正法律案になつておりますが、輸出振興のためということになりますると、この取扱いの方式は、他の輸出産業に全面的に及ぼして行かなければ、これは不公平のそしりを免れません。ことに陶磁器なんというものは、二次加工、三次加工というものが非常に多いわけでありまして、白生地を買つて絵つけ工場にまわすという場合に、絵つけ工場というものは明らかに三次加工になつて、同様の取扱いを受けなければならぬと思います。私はただ単に陶磁器のことをあげておりまするけれども、二次、三次の下請ということについては、ほかの産業にも業種にも私は非常に多いと思う。それでこれとの関連性をどういうふうにお考えになつておるか、ちよつとお伺いいたします。
  60. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 参議院の方でいろいろ御論議になりましたその御議論を、ちよつとごひろう申し上げさせていただきたいのであります。今のお話の点につきましては実は大分御論議がありました。黒金委員に対する御答弁の機会にも申し上げたわけでありますが、結局現在の行き方は、とにかく輸出業者に製品を供給するその製造業者に恩典が行くようにできているわけであることは、御承知の通りでございます。それに対しまして、それではどうもうまく行かないから、やはりその分を一部、たとえば染色加工のような場合におきましては、加工業者の方に恩典をわけて行くように、そのかわり織物業者にはその分の恩典はいらぬ、こういうふうな考え方にすべきじやないかというのがこの案でございますが、その場合に、それでに織物だけに限定すべきか、さらに今のお話ように広く考えて行くべきか、こういう問題か出て来るわけでございます。そのときの一つの議論としましては、織物の中におきましても——この法文で一応読み切れると思つておりますが、いわゆる製造問屋と俗語で呼はれるものがあります。自分でもつて糸を賞つて来て、そうして織りを下請に出す、あるいはそのできたものを染色加工に出す、どうも織物問屋におきましては、その相手方が割合に小さなメーカーを中心にしてやつておる、そこでこういうような恩典か、現在のところ一応青色申告を基礎にしておりますものですから、織物問居の場合におきましては、ほかの大きな会社のように、大きな整理加工業者を机小にしておらぬから、こういうものには逆に、一律にやるとすると結局織物問屋は恩典を得ない。司時に織物問屋の相手方の連中は、青色申告がなかなかしにくいから恩典を得ない、結局恩典を消しちやうから、織物問屋は従来通り残しておいた方がいいのじやないか、こういうような配慮もなされているわけであります。そこで今の陶器のような問題が具体的にどうなるか知りません。陶器がそれに当るかどうか知りませんか、ほかの業種の中には、やはり一応加工段階は加工段階へ行くとしましても、加工段階の方か小さな加工業者でありますとなかなか受け切れまい、そうなればむしろ製造段階の方でもつて恩典を受け得ることにしておいて、あとは両者の話合いにまかした方がいいのじやないだろうか。ただ整理加工のようなものになりますと、この整理加工の業者というのはなかなかしつかりし業者であり、従つてこの業者にはこういう扱いをしたらどうだろう、こういう考え方がこの条文の裏に入つているように、御論議として伺つております。結局、それではなぜこの繊維の分だけをこういうふうに取上げたかということになりますと、これは黒金さんに御答弁申し上げたわけでございますが、一応必要性とそれから技術的な可能性、この両方から見て、まだこの分は値打がある、その余のものについては、さらに検討してみたらどうだろう、こういうふうな考え方で、参議院としてはこういう案をつくられたように思います。
  61. 春日一幸

    ○春日委員 ただお話を申し上げたいことは、愛知県並びに岐阜県等における陶磁器の絵つけ業者というものは、あたかも織物における染色業者の団体と同じように、巨大な一つの規模と組織を持つております。たから織物にこういう特例が考えられるならば、当然陶磁器、しかも陶磁器は輸出の太宗でありますから、これに対しても一視同仁の取扱いがされなければ、これは片手落ちになる。従いましてこの問題については、私はたたたくさん質問しなければならぬのでありますけれども、同僚委員がすでに昼の刻限だということで、非常に騒々しくてしようかないので、午後継続して質問することにして、一応これでとどめておきます。
  62. 千葉三郎

    千葉委員長 一時半まで休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  63. 千葉三郎

    千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。
  64. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となつております租税特別措置法の一部を改正する法律案については、大体質疑も尽されたと思われますので、この際質疑を打切り、討論に入られんことを望みます。
  65. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの浅香君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、租税特別措置法の一部を改正する法律案については、以上をもつて質疑を打切ります。  討論の通告がありますので、これを許します。春日君。
  67. 春日一幸

    ○春日委員 本租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、賛成をするのであります。しかしながら、この取扱いを受けたいという要請はひとり織物業者のみならず、同様の要請が陶磁器業者からも行われておるところであります。すなわち、あたかもここに述べられておる染色、製織に関する委託加工と同じようなぐあいに、生地の買付並びにこれに対する上絵つけの第三次加工業者への発注等、仕事のあり方がきわめて織物業の輸出品製造に関する仕事のやりぐあいと酷似しておりますので、これと同じような取扱いをひとつ陶磁器の輸出のためにもされたいということを強く要望されております。この問題は、いずれ陶磁器業者団体から意見を整理いたしまして、本委員会に後刻陳情、要請が行われると考えますので、その機会において、陶磁器に対しましても同様の特別措置を講ぜられることを強く要望し、さらにこのことを条件といたしましてこの改正法律案に対して賛成の意を表する次第であります。
  68. 千葉三郎

    千葉委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  69. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成及び提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  70. 千葉三郎

    千葉委員長 速記を初めて。閉会山審査に関する件についてお諮りいたします。本意員会におきましては、前国会よりの継続審査案件として審査中の資金運用部資金決の一部を改正する法律案、米穀の売度代金に対する所得税の特例に関する法律案、昭和二十八年における冷害等による被害農業者及び被害農業協同組合等に対する所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案、昭和二十八年における冷害による被害たばこ耕作君に対する資金の融通に関する特別措置法案の四法案につきましては、本会期中に審査を終了する見込みが立ちませんので、これを閉会中審査事件として議長のもとに申し出たいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さようとりはからいます。  第十八回国会の終りにあたりまして委員長よりごあいさつを申し上げます。  今国会は会期わずか九日間という短期国会でありましたが、継続審査法案四件、新たに付託法案四件、その他保全経済会の問題、中小企業に対する年末金融の問題、年末徴税の問題等につきまして、連日熱心に御審議をいただきまして、多大の成果をあげ得ましたことは、ひとえに委員諸君の御援助と御協力のたまものと深く感謝をいたす次第であります。  これにて散会いたします。     午後二時四十三分散会