運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-12-07 第18回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月七日(月曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 坊  秀男君    理事 山本 勝市君 理事 佐藤觀次郎君    理事 井上 良二君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    黒金 泰美君       小西 寅松君    苫米地英俊君       馬場 元治君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    三和 精一君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    柴田 義男君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         農林政務次官  平野 三郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         大蔵事務次官  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局)   小熊 孝次君         国税庁長官   平田敬一郎君         通商産業事務官         (企業局援助物         資課長)    若江 幾造君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十二月六日  委員三和精一辞任につき、その補欠として山  口好一君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員山口好一君、大上司君及び島村一郎辞任  につき、その補欠として三和精一君、苫米地英  俊君及び馬場元治君が議長指名委員に選任  された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る  供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第二号)  漁船保険特別会計における特殊保険及び給与  保険の再保険事業について生じた損失を補てん  するための一般会計からする繰入金に関する法  律案内閣提出第三号)  一般会計歳出財源に充てるための米国対日  援助物資等処理特別会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第四号)  税制に関する件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  前会に引続きまして、食糧管理特別会計昭和二十八年度米穀に係る供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案及び一般会計歳出財源に充てるための米国日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案の三法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。小川君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は前会に引続いてお尋ねしたいのですが、この問題は供出制度の問題だから、ほんとう農林大臣がおいでくださるとよいと思うのでありますけれども、参議院の方の都合もあると思いますから、食糧庁長官にお尋ねしますけれども、今の割当供出制度は、事実上私は崩壊しておるようなものでないか、こういうふうに考えております。政府でも知事会議を再々開かなければならぬ、あるいは農業委員会も開かなければならない、こういうことで、政府もしよつちゆう知事会議等を開催しておるけれども、その結果というものはやはり減額運動なつてしまつて、そうしてこの供出割当に要する経費というのは県等においても非常に莫大な経費がかかつている。それが別に農民のプラスになつていない。そういうところから見ると、一つ支配的思想に立つたところの供出割当というものを、契約思想に置きかえた制度に切りかえて行くべきではないか、こういうふうに考えるのですが、そういう点についてのお考え、あるいは研究する考えがおありになるか、こういう点を一点お伺いしたいと思います。  さらに価格制度についても私はそうだと思う。基本米価はもちろんですが、そのほかに超過供出だとか、供出完遂奨励金早場米奨励金各種各様の形で算出されているわけです。これはこれを受取る農民自体がわからないというような状態で、パリテイによる算出の方式も事実破綻していると思うのですが、これを別な形に置きかえて行く。もつと素朴に、農民自分供出した米価が幾らになるんだということをはつきりわかるようにすべきではないか。こういうものに対する御研究をなさる御意思があるかどうか。  それから次に、貯蔵米鼠害率というものが今まで非常に多かつたが、これは私の県などは倉庫関係で非常に多かつた。これが最近減少していると思うのですけれども、これは二十五年あたりから見ればどれくらいになつておりますか。
  4. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。第一段の割当制度の問題でございますが、御承知のようにわれわれといたしましては、割合につきまして、そのときの生産量基礎にいたしまして保有量を算定し、割当可能量というものを出しておるわけであります。御承知のように、現在生産量は各県は県全体としての生産量を算出する。県としては、具体的には町村割当をおろすために、さらに町村別生産量を算出する、こういうことになります。そこの見方等につきましていろいろ問題があることは、われわれも供出割当を行いまする場合にあたりまして、いろいろ困難な問題点があることを痛感しておるわけであります。これはもちろんただいま小川炎員の御指摘のような価格制度とも関連しております。価格制度につきましても従来から御指摘がございまして、いろいろな形におきましていろいろな奨励金が出ておる。これは今のお話のように、農家としては、どういう価格ほんとう手取り価格になるかという点が明確になつていないじやないか、こういうことがあつて、われわれもその問題についてはそういう点があるということを非常に痛感しております。これは米価制度供出割当制度につきまして、従来からもいろいろ議論がございますし、何とかわれわれも改善いたしたい。供出制度につきましては、従来個別折衝ではなくして、府県知事との一堂会議でやつてつたという経験もあるわけでございますが、一堂に寄つてやるということは、また実情を非常に無視する場合があるのではないか、こういう御意見もありまして、個別に事情を伺う、こういうことになつておるわけでございます。これは何とかわれわれといたしましても、米価の立て方の問題なり、それに合せました供出の問題なりについては、今後とも十分研究はいたしたいと考えております。ただ従来からいろいろ研究いたしましたが、俗にいう一方の利益と同町に、利害が非常に複雑になつておりまして、いい面もあり悪い面もあるということで、どういう方法が現在の状態において適当であるかということは、なかなかむづかしい問題であることは小川さんも御承知通りであります。米価問題等につきましては、二年ほど前に米価小委員会でもつていろいろ方式が出たわけでありますが、その当時における状態と現在における状態、また官観条件がかわつておりますので、この点は十分ひとつ検討をして参りたいと考えておるわけであります。検討の結果としてどういうことになるか、われわれもちよつと見通しがつきませんが、いろいろな弊害のある点について改善をする方法がないかどうかについても、考えて参りたいと思います。  第三の鼠害の問題については、従来相当倉庫設備等についての不備がありまして、相当鼠害も出ておるわけであります。だんだん倉庫設備を改善するように、新設なり補修につきましても関係当局と相談いたしまして、大量に急激にはできませんけれども、不足地帯に対する新設、ひどい地帯に対する補修をわずかながらやつております。今後その点についてはもう少し努力いたしたいと思います。ただいま正確な数字は持つておりませんが、だんだん少くなつておるというふうに承知いたしております。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 それからここにせんだつてお願いした資料が来ております。この資料を拝見しますと、これは前国会でも問題になつた点ですけれども、人の問題ではなくて制度の問題ではないかと思います。農林省の方では、金が入らなければ払下用の砕米は出せない、通産省においては、品物が入らなければ支出ができないというこの二つの形から、トンネル会社だとかいうようなものができざるを得ない、そういうふうになつて来ておるので、むしろ人の問題ではなくて制度の問題だと思います。やはりこの資料を見ますと、酒造用とかいつたようなものは通産省の方に何社かが行つておるわけですが、これはどういうことになりますか。昨年は通産省の方では、品物が入らなければ出せないということであり、農林省の方では、金が入らなければ出せないというので、やむを得ずこういうようなものをとつていたのですが、その制度が改まつていない。今年も蒸溜酒用というのは通産省の方にも行つておるように見えますが、これを改善する必要はどうしても出て来るのではないかと思いますけれども、改善なさるような御用意をしておられますか。
  6. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの蒸溜酒の問題、これは通産省でございますので、普通の酒造会社でございます。通産省アルコール関係官営工場でありまして、官営工場につきましては、ただいま小川委員お話のような点がございますので、当委員会の御決議もございましたから、今度のやり方はそういうふうにいたしたわけであります。つまり通産省特別会計食糧管理特別会計とで直接の契約をする。ただ私の方は、先ほど御指摘がありましたように、倉庫のままで渡すということにいたしたのであります。契約通産省食糧庁との間に直接売買契約をし、倉庫渡し価格をきめるわけであります。ところが通産省といたしましても、それを自分倉庫まで持つて来るための運賃その他の関係がございます。それにつきましては通産省におきまして、引取代行人として、運賃等については引取事務だけは入札によつて決定する、こういうようにしまして、価格等につきましては、直接通産省食糧特別会計との間におきまして倉庫渡し価格をきめて参り、それからの通産省工場まで運ぶ運賃は入礼によつて決定して参る、これは通産省の方で行われるわけであります。そういうふうにいたしたわけでございます。それからなお蒸溜酒等関係は、酒造会社でございまするので、それに対しまする直接契約をいたしまして、引取つてもらうというふうに改善いたしたわけでございます
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 そういうふうに改善されて行つたということは、私たいへんいいことだと思います。ぜひそういうふうに今後お願いして行きたいと思います。  そこで、これはこさまかい問題ですけれども、やはりこの表を見ますと、蒸溜酒用売却先数量があります。私は、個人会社をとやかく言う関係はないのですが、やはり去年問題になつた、黄変米払下げを受け、それをよそへ渡し、さらにそれが横流しされたというので問題になつ会社がここへ載つているのですが、これはどうでしようか。そういうことをしたら一年なり何年というものは、あなたの方で、こういうものに対する払下げを懲罰的にも反省を促す意味において、ストツプすることが必要じやないかと思うのです。千五百八十三トンというものが蒸溜酒用売却外数量なつてこの中に出ているわけですけれども、やり必要だろうとは思うのですが、前にあれだけ問題になつて、なお継続されてるということは非常に不可解に思うのですが、これはどういうことですか。
  8. 平田敬一郎

    平田説明員 酒類業者関係につきましてのお尋ねでありますから、私の方からお答え申し上げます。御指摘通り、昨年ある会社払下げになりました黄変米が一部横流しなつ事件がございましたことは、前回にも御指摘になつたのでありまして、そのような状態にございましたので、二度目の際におきましては、その酒類業者はおそらく必要性が少いのだろうという趣旨で、たしか割当から除外したかと思うのであります。ただその後いろいろ事件簿にもなりまして、検察庁あたりでも調査したらしいのでございますが、会社が直接昨年横流し事件について責任があるというところまでは至つていないようでございまして、介在したほかの者が中間におきまして横流しをしておる、それが責任を問われておるという状態でもございましたので、時期も大分たちましたし、お話のような点も確かに一つ考え方でございますが、数量も特にそれほど多いというわけでございませんので、本年といたしましては、若干の数量食糧庁にお願いすることにいたした次第でございます。御趣旨のお気持はよくわかるのでございますが、そういう事情でございますことを御了承願いたいと思います
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 それはそれでけつこうです。数量が多くないというが、この中で一番数量が多いのです。千五百八十三トンという数量が出て、これは一番多い。これは、もとより数量はきまつてしまつたことですからかまいませんが、今後そういう事件を起したところに対しては、十分反省を促すような方法でやつていただいた方がいいと思います。  その他ありますけれども、会期の迫つておることですから、またあとでお尋ねすることにいたしまして、その他の方に譲りたいと思います。
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 食糧長官供出問題を伺います。けさの毎日新聞を見ますと、割当が非常に少かつたために、非常に供出がうまく行つておるということが出ておりますが、そうすると、やみ米がたくさん出ることになる。今後食糧庁の方ではどういう方針やみ米の取締りをおやりになるか。最近の一般供出状況やみ米について、ちよつとお伺いしたいと思います。
  11. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。最近におきまする供出状況について申しますと、現在各府県集計の日数がまちまちでございますが、私のところへ集まつております十二月五日現在におきまする買入れ数量は、千四百四十四万石でございます。これを前年の十一月末の数量と比較いたしますと、十一月末が千八百四十二万石でございまして、昨年度よりは約四百万石ほど集荷が落ちているような状態でございます。割当につきましてはいろいろ御批判もあり、われわれもそういう点については十分反省しなければならないというふうに考えておりますが、特に東北北陸におきましては、割当の時期が九月十五日現在の作況によつて県交渉いたしたわけでございます。十月以降の天候の回復によりまして、十月十五日現在の作況でありますと回復をいたしておるという形になつております。御承知のように、一旦供出割当市町村別割当てますと、その後の作況の増ということによつてこれを追加割当するということは、現実の問題として非常に困難である。超過供出を期待いたしているわけでございますが、現状におきますと、大体東北北陸は現在は頭打ちでございます。今後は関東以西に期待しなければならないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、私たちも、当初のすべり出しが非常によかつたために、多少楽観をいたしておつたわけでございますが、現状は必ずしも楽観を許さない状態にあるように考えております。ただ必要量はぜひ確保いたしたいという意味におききまして、各府県にあんぎやと申しますか、いろいろ出向いてお願いをして、集荷数量の督励に当りたいと考えているわけでございます。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点外来の輸入の問題についてお伺いしたいのですが、実はアメリカへ行きますと、これはどういう搗精をやつているか知りませんが、非常に悪い安い米をどんどん買つて、そして――実際はミシシッピー、パナマの米なんか非常にいい米だそうですけれども、運賃関係上そうなつております。そういう点で外米輸入の問題などにつきましても、今年度は御承知のように食糧が足りない関係上問題が起ると思いますが、そういう点について、政府はどういう方針外米輸入割当をされるか、米の確保の問題についてお知らせ願いたい。
  13. 前谷重夫

    前谷政府委員 外米につきましてお答え申し上げます。外米につきましては、二十八年米穀年度におきまする実績を申しますと、タイは三十五万トンでございます。ビルマが二十三万トン、アメリカが十七万トンでございます。欧州が八万トン、中近東が八万トン、それから中南米その他が八万トンになつておるのであります。ビルマ米につきましては、黄変米等事情もございますので、来年の一月から六月末までに、雨期に煙しない前に積み出すということで、三十万トンを契約いたしたわけでございます。タイ米につきましては、通商協定によりまして三十万トンということになつておりますが、その際におきまして、さらにそれに附加いたしましてある数量協定できたのであります。タイ米の問題は、いわゆる割当制度をとつておりますけれども、英国との割当が中心になつております。その英国との割当一定比率でもつて公式上日本割当てるという、イギリスと日本との間におきます割当比率があるわけでございます。そういうことで一応協定上は三十万トンとなつておりまするけれども、フリー・クオーターをとる場合におきましては、それと同様の数量のGGをプラスするということを実は通商協定お話合いのときにもいろいろいたしたわけでございます。そういたしまして、大体われわれといたしましては、現在のところ五十万トン程度のものは、政府との間におきましてほとんど契約ができておるので、これの交渉社外事務所におきまして、タイ国日本大使タイ国政府との間におきまして、具体的は価格数量等についての交渉をいたしておるわけでございまして、ほぼこれは可能であると考えております。  ただいま御指摘アメリカにつきましては、従来特別の輸出割当をいたしておつたのであります。その関係上、本年度におきまして十七万トンということになつておりまするが、この十月に国際割当が廃止になりまして、相当量の追加がわれわれとしては期待し得るということになつております。現在までに、十月以降におきまして七十万トン程度の手当をいたしたわけでございます。今後これが入荷し、さらにまた状況によつて契約を進めて行くということでございます。アメリカは、現在加州米南部米と両者を買つておるわけでございますが、われわれといたしましては、アメリカ市場におきまする大手筋ということになつておりますので、この買い方につきましては、たとえば加州米買つておりまして、値段が上りそうでありますと、これをやめて南部米に転換する。南部米が上りそうになれば、加州米に転換するというふうに、今いろいろ苦心をいたしておるわけでございます。その価格の点につきましては、十分価格の上らないような買い方努力を払つております。加州米日本と同じような性質のものでありまして、南部米はやはり普通の外米と同じような性質のものでございまして、これは値段との見合い、市場状態等とあわせて買つておるわけでございますが、どうしても加州米の方が市況の関係上高くなつておる。これは品質上の関係もございますが、そういうことになつております。できるだけいいものを安く買いたいということには努力を払いたいと思います。
  14. 井上良二

    井上委員 政務次官農林大臣は見えませんか。
  15. 千葉三郎

    千葉委員長 見えることになつておるそうです。
  16. 井上良二

    井上委員 事務的な責任を負うておる食糧庁長官に伺いますが、食糧庁長官は今年当初予算をきめます場合に、今年の米価算定をいたしますときに米価審議会消費者価格は上げない、そうして基本価格は妥当な価格をきめるという線を打出され、なお国会においても、この二重米価考え方相当に重要に論議をされ、かつ本年度政府買入れの内地産米確保をはかる上からも、基本米価をできるだけ妥当な価格にきめて行く。そういうところから、改進党と自由党との間に御存じの三党協定なるものがとりかわされて、その間、党の立場から、また与党、野党的な考え方から、そこに多少の問題はあつたといたしましても、完遂奨励金を八百円に増額をいたしましたのは、政府買上げ全量にこれを適用する。従つて義務供出及び超過供出とも完遂奨励金額が支払われるということが、国会における最終的な結論になつておるのであります。しかるに、ただいま提案をされております内容を見ると、完遂奨励金義務供出だけに計算をされており、その半額が一般会計から出される、こういうことで、三党協定国会意思も全然無視した案が提出をされておるのでありますが、事務当局としては、政府の方から全然そんな申合せもそんな公文書の交換も聞いておらぬ。これはあくまで義務供出量だけに完遂奨励金を出すことにきまつておる、こうお考えなつておりますか、それを伺いたい。
  17. 前谷重夫

    前谷政府委員 先般の米価審議会におきましては、生産者価格を決定いたしまする場合におきまして、その生産者価格基礎にいたしましてコストで計算いたしますると、こういうふうな消費者価格になるということをその際御説明いたしたわけでございます。ただいまの供出完遂奨励金につきましては、私の承知いたしますところでは、前国会におきましても、供出を完遂しなかつた者に対して払うのか払わないのかというふうな点が御議論なつたように考えております。つまりその場合におきまして、個人単位供出完了者に払うのか、割当を完遂しなかつた者に対して払うか払わないかというふうな点、あるいはまた従来通りに、完遂奨励金につきましては、市町村が完遂した場合においてのみこの奨励金を払うのか、個人単位にするか、市町村単位にするのか、あるいはまた未完了者に払うのか払わないのか、こういうふうな御議論が非常にあつたように思います。当初われわれといたしましては、従来通り町村完遂をもつて支払いたいという条件考えておつたわけでございますが、国会の御意見もございましたので、支払い時期につきまして多少の違いはございますが、供出完了者及び未完了者にも払つて参るということにいたしたわけでございまして、そういう事情からいたしまして、義務供出にこれが支払われるものというふうに了解をいたしておる次第でございます。
  18. 井上良二

    井上委員 そうすると超過供出というのは、末端では県単位に、それがだれから出されようと、県から超過期待量を出してもらえばそれでいいというのであつても、県が米を持つておるわけではない。またそれが市町村割当てられた場合においても、市町村が米を持つておるわけではありません。当然生産者農民にその超過期待量政府供出割当として下りて来るのであります。そうしましならば、義務供出量がこれ、供出期待量がこれということで各県が割当てておるのであります。従つて供出はその両方をプラスしたものが個々の農家供出割当になるわけであります。従つてそれが義務供出であろうと超過供であろうと、供出にはかわりはありません。そこでその全量に対して完遂した場合石当り八百円を奨励金として出すという建前はなるのが当然でありますが、政府考えはそうじやないのですか。
  19. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは従来からも、昨年度も同様でございますが、これだけは義務供出としてお願いいたしたい、それからこれだけは超過供出期待量としてぜひひとつ確保をお願いいたしたい、かような方式でやつてつたわけであります。完遂奨励金は、昨年度義務供出について支払えたわけであります。ただ昨年度におきましては、その場合におきましても、市町村義務供出を完了した場合に市町村内の完了者に対して払うというふうな強い条件があつたわけでありますが、国会の御意見もございまして、今年度はそういう条件を取払つた次第でございます。やはり義務供出について支払いをして参つておるわけであります。ただわれわれといたしましては、集荷上はぜひひとつ期待量集荷していただきたいということを県側にも要望いたしておる次第であります。
  20. 井上良二

    井上委員 そうすると、はつきり義務供出完遂奨励金と、こう明記しておくべきでありますね。明記しておかずに、単に政治的な取扱いでそれをやるということは、法的にどこにそういうことがきめられてありますか。われわれの税金を出してやつて、それを国が使途する場合に、法文上何ら具体的にきめられておらず、この完遂奨励金は、義務供出をした農家石当り八百円渡すということが法文上どこに明記されてありますか。法文上何ら明記されてないのに、あなた方がかつて一つ事務取扱いや、あるいは政治的考慮においてやつておるとしかいえないじやありませんか。同時にまた豊凶係数の減収加算額は一体どうなつておるのですか。減収加算額もやはり義務供出だけになつておりますか。それもあわせて伺いたい。従つてもし義務供出だけに完遂奨励金をやるというならば、そういうことは明確にやはり法文上明らかにしておかなくてはならぬと思います。そうしておかないと、今申したような議論が出て参り、当然、全供出量に対して光速奨励金がもらえるという錯覚を起し得るのであります。われわれもまたそういうことが当然でないかという考え方も起つて来るのであります。そういう点が明確にされなければなりません。それからもう一点伺いますが、政府は法制上でき上つております米価審議会の決定に対して、一体どういうお考えになるのか。米価審議会なんというものは、どういうことをきめようが、これはまつたく公務員の仲裁裁定と同じようなもので、決定を実行しないというならば、そんなものは必要ありません。それならば決議権を与えて、決議権によつて拘束するより方法はありません。せつかく従来任意的にできておつた米価審議会を、一つの法制を持たしてやらせましたにいたしましても、法制的な一つの権威ある機関としてつくつて、そこに審議をお願いして、その結果きまつたことを政府が実行しないというならば、米価審議会の権威なんかないじやありませんか。その米価審議会の今後の取扱いについて、またその決定に対して尊重する意思ありやなしやということを、この際明らかに願いたい。
  21. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答えいたします。第一点の価格の問題でありますが、御承知のように食糧管理法弟三条によりまして、政府の買入れ価格を決定することになつておりますが、これは基本価格と解釈をいたしておるわけでございます。従いまして米価審議会に対しましても、基本価格のものについて御諮問を申し上げておる次第でございまして、それ以外の奨励金につきましては、この第三条の価格以外になるということに考えておるわけでございます。従いまして減収加算額は、これは基本価格決定上におきます一つの修正係数と申しますか、そういう考え方考えておりますので、これは基本価格としてその中に含めておるわけでございます。従いまして、減収加算額は基本価格でございますので、当然超過供出の場合におきましても支払われるということになるわけであります。  第二点の米価審議会の点につきましては、いろいろ米価につきましての御意見を伺つておるわけでございまして、われわれとしましてもでき得る限り尊重して参つたわけでありまして、先般の早場米奨励金の時期につきましても、また減収加算額につきましても、その御意向を尊重して決定いたして参つた次第でございます。
  22. 井上良二

    井上委員 これはもう議論になりますから申し上げませんが、問題は、今のあなたの御答弁はまつたく御都合主義の答弁であります。生産者米価を決定する場合には、食管法第三条の規定によつて基本価格をきめる。だから今の完遂奨励金においても、大体義務供出を中心にものを考えて行く、こういう一つ考え方じやないかと思う。ところが同じ第三条において消費者米価をきめる場合は、コスト主義我でもつて、御存じの通り政治的要素を多分に含んだいろいろな加算額というものが消費者の頭へぶつかけられて来ておるじやありませんか。政府集荷上の不手際によるいろいろの奨励制度を、そのままそのコスト主義によつて消費者米価に織り込もうとするのであります。生産者米価のときにはこうだ、消費者米価のときにはこうだというようなそういう割り切れぬ考え方はありませんよ。だからこれ以上は私は議論になるから申し上げませんけれども、減収加算額においてもいろいろ問題はある、問題はあろうけれども、一応農民を納得させようという政治的考慰の上に立つてやられておることは事実だ、従来そんなものは食管制度つて以来ありません。本年に限つて減収加算額なるものを加味しようとしておる。そういう政治的ないろいろな考慮が基本米価の上にはいろいろある。だから少くとも完遂奨励金というものが義務供出だけによつて支払われるということなら、法文上明らかにすべきだ。一つの解釈の相運によつて金をやるべきものではありません。われわれの税金を五十六億も使おうという場合に、事務的な操作や政治的な考慮によつてかげんされたらたまつたものではありません。だから当然食管としましては、義務供出だけに完遂奨励金を出そうとする場合は、義務供出完遂奨励金だということを法文上明らかにして、その繰入れを要求すべきであろうと思うが、これに対してあなたはどうお考えになりますか。
  23. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。第一の点につきましては、第三条の規程によりまして売渡し数量を決定して参るわけでございまして、この売渡し数量義務供出数量とわれわれは考えておるわけでございます。  それから減収加算額につきましては、これは井上さんもよく御承知のように、昨年度米価審議会におきましても、パリテイ方式一つの修正係数としてそういう点を検討すべきではなかろうかという御意見もございましたし、またそれに基きまして、豊凶係数を麦の場合におきましても取入れるということになつておるわけでございます。本年米につきまして減収が起りましたから、これについてどういう方式によつてこれを加味して参るかということを検討いたしておる次第でございます。
  24. 千葉三郎

    千葉委員長 春日町。
  25. 春日一幸

    ○春日委員 それでは国税庁長官にお伺いします。十二月六日の日本経済新聞の報ずるところによりますと、国税庁は今般滞納整理の方針を決定いたしまして、現在の滞納総額の一千十六億円の滞納処理方法といたしまして、特に新しい方針を定められたことが報道せられておりますが、それによると、本年度は滞納新規発生防止に重点を置くことを考えられておるようであります。そこでこういう滞納整理の方針がもし強行されるという形になりますと、当然滞納税金は、納期が十一月末日で終つておるという形におきまして、十二月、一月新規発生分を加えて、この年末年始にかけて強力な徴税攻勢というものが巻き起る心配が多大にあると思うのであります。     〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕 長官は御承知でありましようが、現在中小商工業者の金詰まりがどういうような状況であるかということは、本委員会におきます論議においても、さらにはまた通産委員会、本会議等におきましても、国会側の意見は、あげてこの中小企業の金詰まりを何とかするようにという痛切な要望となつて現われておるのであります。このことは、ただ単に政府が指定預金をふやすとか、あるいは日銀が日銀政策を通じて金融緩和の措置を講ずるとかいうことはもとより必要欠くべからざることではありますが、同時に並行して、与えられたところの融資が徴税強行によつて税金としてそのまま右の手から左の手へ、政府の手へ吸収されてしまうということでは、結局これは何にもならない。われわれが金融を何とかしろといつて政府に要望しておりますのは、税金の資金源を何とかしろということではなくして、彼らの経営を何とか金融の梗塞の破綻から救済すべきであるというこの必要の上に立つておるのであります。そこであなたにお伺いしたいのでありますが、こういう中小企業の金詰まりは、東京手形交換所の不渡りは十月、十一月とだんだんに高まつて来て、十二月に入つて実に一日当り千二百六十何通ということを、おとといの本会議において述べられておりますが、こういう状況下にあつて、はたしてあなたが定められたところの整理方針、すなわち年度内において滞納の発生を十分に防ぎ得るような徴税が行い得るとお考えであるかどうか。さらにはまた、そういう新しき発生を防ぐためには、どういう方法によつてこの徴税を行わんとするのであるか、その方針についてひとつお伺いをいたしたい。
  26. 平田敬一郎

    平田説明員 お尋ねの趣旨はよくわかりました。少し時間がかかるかと思いますが、滞納の今の状況と、それに対して今私どもどのように考えておるかということを、はなはだ恐縮でありますが、少し述べさせていただきたいと思う次第でございます。  十月末現在の数字でございますが、これは一番新しい数字ですが、それによりますと、十月末現在で各種の本税の中で滞納として残つておる一切のものが、件数で六百六十二万三千件、税額で九百五十億一千百万円ということになつております。そのほかに利子税、加算税等の附帯金がございまして、それを加えますと、今御指摘になりましたような金額で千十六億五千七百万円、こういう金額が税務署の台帳の上において未整理の形で載つておる総額でございます。そのうち最初に申しましたのが基本でありますが、それにつきまして、今どういうふうに整理の状況なつておるかということを、恐縮でありますがちよつと申し上げますと、この中で執行停止と称しまして、国税徴収法でどうもいろいろ状況を調べてみたがとうてい徴収の見込みが当分ない、しかし今すぐ落してしまうのにはまだ早いというので、しばらくお預けにしておく措置が認められておりますが、それをやつておりますのが件数で二百九十六万二千件、税額で二百九十四億一千四百万円でございます。それからさらに徴収法に基きまして、まだとれないわけではないが、今すぐとるということは無理であつて、いろいろな災害その他の事情で延ばさなくちやならぬ、こういう税金徴収猶予の手続をいたしたものが、件数で三十万四千件、税額で七十六億四百万円ということになつております。それからちようど中間ぐらいのものでありますが、差押えはしてあるが執行猶予をしておる、つまり公売等をするのはいかにも実情に即しないというので延ばしておりますものが、件数で十三万三千件、税額で三十九億八百万円、これは国税徴収法に基きまして一種の広い意味の猶予処分をやつております。その残りの三百二十二万四十件、税額にして五百四十億八千三百万円、これが実は滞納になつておりまして、この税額は、卒直に申し上げましてなるべく早く徴収しなければ、まじめな納税者との間に負担の均衡がとれなくて、歳入にも影響する、こういう状況なつておる次第でございます。以上十月末の滞納の基本的な数字を申し上げた次第でございますが、これは必要でございますればあとで資料としてお配りしてもよいと思いますが、そういう状況なつております。  なおそのほかに重大なものと考えておりますのは、税金の納期が参りました際に、戦前でありますと大体納期までに九〇%以上、九八%とか九九%くらい、私ども署長の時代は一〇〇%くらいのところに大体こぎ着けていたという状態でありましたが、戦後いろいろな事情がありましてなかなか思うように参らない。納期までに入つて参りますものが三〇%ないし四〇%、それから一箇月たちまして、督促を行つてやつと入りますものが六〇%ないし七〇%、こういうような状態を毎期繰返しておるわけであります。そういう状態でございますので、古い滞納は一方において残つており、また新しい滞納が次々に出て参りましてそれに加わつて来る。片づけたかと思うとまた発生するという状態を、実はここ三、四年続けて来ておるわけでありますが、これでは納税の点から行きましておもしろくないということが感じられますので、私ども基本的な考え方といたしましては、まず新しい税の滞納をできるだけ発生を少くしよう。と申しますのは、新しい税でありますと、課税標準もきわめて新しいところをとつておるわけでありまして、納税者の納税資力にも一番合致したものでありまして、ほんとうから申しますと、それは当然納めてもらつてもよい種類のものと大体言えるわけでございます。従いまして、こういう向きに対しましてはできるだけ納税宣伝もやり、あるいは督励等も加えまして新規の滞納の発生をできるだけ少くしよう。これがやはり何と申しましても滞納問題を解決する一つの重要な手がかりではなかろうかということで、新聞等にも出ておると思うのでありますが、それをひとつ強調いたしております。それではどうしてそれを防ぐかと申しますと、今申し上げましたように宣伝とか督励とかいたしまするが、恒久的には納税貯蓄組合をできるだけ普及をはかりまして、平素から納税資金を預金の形で積んでおいてもらう。それらの中から納期になりまして税金を支払つてもらうやはりその道でないとうまく行かないのではないか。源泉徴収の方は支払いの都度差引きますので、いろいろ苦しいこともあり、問題もありますが、徴税の見地から申しますと、御承知通り非常に成績がいい。反対に申告納税の方は、どうも納期が固まつて来る、あとから税金がおつかけて来る、こういう点でなかなか税が納めにくいという点がございますので、平素から貯蓄組合をつくつてもらいまして、その組合に納税資金を積み立てておいてもらう、これは恒久策として目下推進いたしております。補助金等も国会にお願いいたしまして、若干の補助金を出しておるようなわけであります。これがうまく行きますれば、よほど滞納発生の防止、納期内の税金の収納ということがそう無理なくうまく行くのではないかと考えております。私どもの賦課の方において青色申告をやつております。徴収面におきましては、納税貯蓄組合の普及、この二つを重要なる方針としてやつておるわけであります。  それからもう一つは、今までたまつておる滞納をどうするかということでありますが、今申し上げました数字の中には、ごく最近の滞納と古くからのものと両方入つております。これらにつきましては、率直に申し上げまして、古いものにつきましては、あまり一律に一ぺんに無理な措置をとるのはどうであろうか。この方は少し長い目で見て、漸進的な計画を立てまして、それにより片づけて行く、こういう方法をとる方がいいのではないか、とらざるを得ぬのではないか。あるいはさつき申し上げましたように、すでに執行停止、徴収猶予等をしておるものもあるが、そこまで至らないものにつきましてもいろいろあるようであります。先般滞納の原因調べということをいたしてみたわけでありますが、それによりますと、やはり半分くらいが、納税者は金があるときに事業の拡張、あるいは商品の仕入れ、あるいは生活の向上と申しますか、住宅を建て増ししたり改造したりしておるといつたような種類のものであるようであります。それからあとの半分が、率直に申しまして病気で納まらぬとか、あるいは商況が非常に不振になりまして、決定当時はそれでよかつたが、最近はとても納まらぬといつたようなもの、そういうようなものがあるようであります。従いまして、私ども過去の滞納につきましては、そういう納税者個々の事情をもう一ぺんこの辺でよく調べ直しまして、最近の事態に応じまして適切なる手を打つて行く、どうしてもやはり先ほど申しました執行停止にかけなければならぬものはかける、適当な分割等の処置で納まるものは納めていただくようにする。しかし今まで納税について一向誠意がなくて、少し無理していただけば納まるにもかかわらず、ずるずるしておるという方々に対しましては、やはり差押え、公売等の措置も必要に応じてとつて行く。そういうふうな、少し滞納者個々の事情に応じました処分の方法をとりまして漸進的に減らして行く、こういうことをやつたらどうであろうかということで、そういう方向につきまして、中央で一定の調査の方法等も実は目下検討し、試験的にいろいろやらせておるのでありますが、そういう方法を徐々に拡大いたしまして、税務行政の上におきまして、今非常に大きながんとして残つております滞納の問題を片づけて行きたい、こういうふうに基本的には考えております。  そこでお尋ねの十二月末から来年にかけてどうなるかという問題でございますが、これは率直に申し上げまして、申告所得税はちようど十一月に第二期目の納期が来たわけでございます。一期の納期の際にも、さつき申し上げましたような方針によりまして、まずできるだけ新しい滞納をつくらないようにしようというので、今年分の申告所得税につきましては催促をし、督励をする、あるいは宣伝もするというような方法によりまして、納期内、あるいは納期を越えたものに対しましては、納期後なるべく早い機会に納めてもらう。実はこういう方法でいたしておるわけであります。従いまして、本年度分の所得税に関しましては、少くとも十一月に二期の分は納めていただく、あるいは十二月一ぱいにできるだけ早く納めていただくようにする。私どもとしてはこういう考えでおるわけでありまして、その点は御了承いただきたいと思います。ただ御承知通り、中小企業金融対策等の関係でいろいろな問題があるのです。勤労所得税は非常に成績がいい、申告所得税はなかなか振わないというので、勤労所得者から実は私どもいつも文句を受けるのであります。新しい税でありますと、法律上一番新しい課税容体をもとにいたしまして計算いたした税額でございますので、そう無理を示すという筋合いのものはむしろ例外であつて、大体は少しくふうしてもらえれば納めてもらえるべき性質のものだと思うのでありまして、従いまして、この方について、またそういう政策的なことを孝想いたしまして適当にやるということになりますと、税法の適正な執行ということができなくなつて来る。従いまして、この方はできるだけ滞納にならぬように、新しいのが滞納になりましたならばなるべく早く片づける。この方針はぜひともひとつ続けさせていただきたい、そういうふうに考えております。申告所担税は、結果から申しましても、最近まで実は入り方が非常に少いのでありまして、滞納額から申しましても、さつきの数字の中で申告所得税が一番多い状態でありますので、御了承願いたいと思います。
  27. 春日一幸

    ○春日委員 私がお伺いしたいという問題は、今回ことさらに滞納整理の方針が決定されたが、その決定の眼目となるものは、この十一月に納税期限の到来をいたしましたもの、従つてこの税金をとろうとする期間が十二月であり、一月であろうと思うわけであります。これの対象になる金額が二百十七億という形になるわけでありますが、今回あなたの方で決定されたことをそのまま末端税務署が徴税強化をして行こうということになりますと、年末年始にかけて、とにもかくにも本年度の滞納を発生させないという方針を貫いて行けば、この税金は取立てて行かなければならぬ形になるわけであります。そこで私が申し上げたいことは、いろいろと政治的な配慮をそんなに加えて行くならば、税金はとれないという御説でありますけれども、しかしながら徴税行政ということも当然国の政治の中の重要な一つのポイントを占めるものであつて、この徴税行政だけは経済情勢、社会情勢というようなものと全然別に、これは独断で法律で定める通り執行しろ、こういうことは法律的には許しておるかもしれませんが、これはやはり総合的配慮の上に立つて処理がされなければならぬ。私が心配をしておるのはこの点であるのであります。現在私どもが強く主張いたしましたことは、昨年度の年末において政府の預託は実に四百五十億である。ところが本年度は、政府の指定預金の引揚げやその他通貨抑制等の日銀政策を通じて、この年末の中小企業のための資金源がはなはだしく減る。昨年度の四百五十億に比較いたしまして、本年度は二百億になろうとしておる。そこへ持つて来て、あなたの方からさらに二百十七億というものを徴税強行で取上げて行こうとするならば、一体この中小商工業者はどういう結果になつて来るか。このことは、やはり国税庁長官として事新しくこういう徴税強行の方針を決定される前に、この中小商工業者の立つている現情勢というものをさらに十分御勘案を願つて、そういう御方針を御決定さるべきではあるまいか、ここに私の質問の骨子があるわけであります。あなたは、いろいろ実情に即して十分配慮を加えて云々と言つておられますけれども、これは抗議書も出ておりますから、あなたもすでに十分御承知であろうが、十一月二十六日の朝日新聞の夕刊紙の報ずるところによりますと、十八歳の娘が自殺をされた。それは税務署の差押えを悲観して遂にこういうような娘さんの自殺行為となり、まことにあわれむべき悲劇であります。あなた方の徴税のやり方というものは、あなたはそういうような深い配慮の上に立つておられるかもしれないが、しかしながら末端は必ずしもあなたのようなあたたかい心や深甚なる考慮というものが払われてはおりません。先般の大蔵委員会の決議によつていろいろ御調査を願つたところによりますと、そこに本人の上申書、抗議書が出ておりまして、これは当然あなたのお手元に参つておるだろうと思うのでありますが、しかるところによりますと、本件は、福田某という署員が参られて、実際困つておるから何とか分割納税をお許し願いたい、どういうふうに納めるのだというお尋ねに対しまして、これこれに対して三万円、あとの残金は十二月末までに三万円、何とかお願いしたいと言い、福田某はそれならばそれまでといつてその日は帰つた、その後五人が大挙して来て、税金が納まつておらぬから引揚げて行くぞ、こういうことで参られた。そこで、福田さんにこういう陳情をしておりまして、御了承願つてありますから待つてくださいと本人が陳弁これに努めたのでありますけれども、参られたこの五人の整理の係の人は、福田がそういうことを言つたそうだが、しかしそんなことはわれわれは承認を与えていないのだから、認めないのだ、こういうことで差押えをして、この差押えといえども、私はあまりにも苛酷であると思う。かりそめにも同じ署の福田某がそういう了承を与えて行つたならば、一応帰つて福田氏の意見を聞いて、しかる後、これがはたしてそういうしんしやくに値するどうかをお互いに打合せをした上、そこで差押えをするのならよかろうと思う。ところが福田が何と言おうとも、おれたちはそういうことは認めていたいのだといつて差押えをして、その日が参りますと、さらに大挙してその家に参りまして、本人がいないのに、わずか、十八歳の娘さんが留守をしているところに来て、お父さんが帰つて来るまで何とか待つてください、私も留守番をしているのだからといつて、泣かんばかりに頼んだのに、その荷物を全部引掛げて行つてしまつたので、落胆のあまり遂に首をくくつて死んだのです。ところが実際問題として考えると、あなたが指令を出されると、あなたのその指令は金科玉条になる、末端税務署員はあなたのその指令によつて、徴税強行を行つて行く。たとえば、税金をとろうと思えば、国家の権力をもつて臨む、その徴税吏員がとろうと思えば、二百十七億の滞納なんてあすでもとれる、こういうようなことで、泣いておるのをかまわずトラックの上に積み上げれば、二百億だろうとも五百億だろうとも、そんなものは幾らでもとれると思う。私があなたに申し上げたいことは、今回年末に臨んで本年度分の滞納はこの期間内にとつてしまえというこの指令こそが、現在中小商一業者が――東京手形交換所によると、十二月は千二百何十通だといわれておるが、この手形の不渡りというものは、中小商工業者が自分の従業員の月給も払えないで、代金の支払いもしないで、手形の資金源を何とか労えようとしても、遂にその努力が果せないその結果が、全部不渡りになつて来るのです。こういう現状からそんたくすれば、中小商工業者がほんとうに今あなたがおつしやつたように、余裕の税金でもつて家を建てたとか、あるいはこれを運転資金の中に拡充したとかいうようなことは、私は必ずしもあなたの方の資料がずさんであると断定するわけではないけれども、現在中小企業の金詰まりと、さらに中小企業の自殺行為を意味するところのこの不渡り手形の濫発、こういう状況から考えて、私は生活費に流用されたとは思わない。これはほんとうの金詰まりが、一つは不渡りになり、一つは滞納になつて現われて来ると思つております。こういう状況下において、年末に本年度分の滞納をことさらに徴収するというやり方については、これは他において金融政策がいろいろと講ぜられておりながら、それに対して目をふさいで、あなたはあなたの方針を貫いて行くということで、あまりに苛酷な方式であり、この方式のよつてもたらすところは、さらに大きな中小企業のゼネラル・パニツク、こういう形になつて現われることを最もおそれるのであります。長官は、これに対して一体どういうふうな考え方を持つておられるか。さらにはまた、この柳本光子さんの自殺事件については、あなたのところへその当人の父親から上申書も提出されておるところであるが、この税務署員の取扱いに対して、一殺多生の剣ということもあるが、現実にいろいろ御調査になつて、あるいは落度があるならばどういう処理をされておるか。この辺の経緯てんまつ等について、この機会にひとつお聞かせを願いたいのであります。
  28. 平田敬一郎

    平田説明員 ただいま御指摘になりました事件の件は後ほど申し上げることにいたしまして、方針の問題でございますが、新聞に出ました方針というのは、実は最近あらためてきめて最近行つたわけのものではないのでございまして、本年度当初におきまして、滞納の問題をどう合理的に処理すべきかということを中心にいたしまして相談いたしたところでございます。従いまして、特に年末を期しましてそのようなことをやつたわけではないのでございまして、申告所得税につきましての第一期分の七月の際にも、同じような方針でできるだけ行きまして、その結果は、昨年よりも大分違つた結果になつて出ております。八月末におきまして、全国でその期に納むべき税金の八〇%近いものが納まつたという状態なつております。そのほかに申告所得税その他につきまして、過去からの厖滞納がありますことは、先ほど申し上げた通りでございまして、この過去からの厖大な滞納に対しましては、先ほどから申し上げましたように、これはよほど注意してやらなければならない、千編一律な方法をとつたのではえらいことになる、功を急がなくて、計画を立てて着実に行こう、こういうことにいたしているわけでございます。従いましてこの申告所得税の十一月分につきましても、そういう方針で、本年の分につきましては、全国の各税務署同じ方針で行つておると思います。この分は先ほど申し上げましたように、一番新しい課税標準に基きまして新しくきまつた税額でありまして、一番納税者の最近の状態に即応しており、しかも法律上は期限までに納めなくちやならぬということになつておるわけのものでございますから、この方はやはりできるだけ勉強しまして、法律を正しく実行するように、これは率直に申しまして当然なことでございまして、それを適当にやれということになりますと、逆にえらいことになるおそれがあるのじやなかろうかと存じておる次第でございますので、その点御了承願いたいと思います。かと申しましても、今までもいろいろありますから、全部百パーセントまで完全にというところまで行き得ないことは、私どもも承知いたしておりますが、できる限り今言つたような考え方で進むようにという趣旨でいたしておるわけでございます。税額といたしましても、予定申告に基きまする申告所得税の全税額が五百三十億くらいでございます。それを三回に分納しますので、一期分が百七、八十億くらいになります。これが中小企業者の方、農民の方々、あるいはその他一切の申告所得税を納められる方の税額の総額でございます。これが確定申告になりますと、まだ今所得を調べておりますが、今年の所得が動いて来ますと、またその辺が少しかわつて来る。予算の上では七百数十億見ておりますが、やはり本年度分を早く片づけておきませんと、あとにたまりますと、ますます納税者も納めにくくなり、また役所の方もやりにくくなり、それこそ年度末に固まりまして、一時三、四年前にありましたような情勢になつたのでは、かえつておもしろくないと思いますので、やはり税というのは納期ごとに、そのときどきに納税者もくめんをして納めてもらいますと、税務署も勉強して徴収して行く、こういう行き方の方がやはり今後出て来ます普通の税についてはいいのじやないかと実は考えておるわけでございますので、繰返して申し上げるようでございますが、特別に十二月末とかいうことでやつているわけではない、そういう全体の考え方でやつているんだということを御了承願いたいと思います。  なお御指摘事件に関する件は、これはまことに私どもも、一方におきましてはほんとうにお気の毒だと実は存じております。しかし他方におきましては、率直に申し上げまして、徴税の仕事がいかにむづかしいかということを、実はつくづく感じさせられておるわけでありまして、実は率直に申し上げまして、私どもといたしましては徴収部員だけの調査では不十分だと思いますので、仕事のやり方を監督する監督官を派遣いたしまして、調べてみたわけでございます。その詳細はあるいはここですぐ申し上げますよりも、適当な際にまた詳しく申し上げた方がいいと思いますので、こまかく申し上げることは省略いたしまして、後ほど必要がございましたら、御調査においでになつたときに私の方もいくらでも説明いたしますが、法律的には別段手落ちといつたようなことはやつていないようであります。それから今までたび重なる滞納が相当ありまして、今まで公売をやりましたこともあるようであります。それからこの税金は、二十五年分か七年分ですか、大分古い税金でありまして、とてももう納める資力はなさそうだと思つていたところが、よく調べてみたら、財産があつたといつたような事情も出て来ているようであります。それから途中におきまして、お話通り差押えに行つた場合におきまして差押えに行つた担当官に分納の申出をしている、この事実もございます。それからそれに対しまして、行きました責任者をよく調べたところによりますと、分納の承認は自分としてはしていない、聞いて来たことは事実だ、こう言つております。それから引揚げに関連しまして、最初行きました際には、本人が立会いを拒みましたので、最初の引揚げの際は引掛げをしないで来ております。その間本人と税務署との間に分納その他について話合いがあつたようでございますが、税務署の責任者は、どうも今までの状況から見まして、困るということで承諾はしていないようでございます。二度目に引掛げに行きました際に、これは本人が前回立会いを拒みました脚係もありまして、都の役所の人々を念のために立会人として連れて行つているようでありまして、その際に本人がいなかつたのが、率直に申し上げましてこういうことにたつたのではなかろうか、従いまして、役所といたしましても相当手を尽した上でやつているようでありまして、まことにどうも最後の日御本人がおられなくて、お嬢さんがおられまして、その結果こういうことになりました。まことに私ども、そのことが起りましたことに対してはお気の毒だと存ずるわけであります。同時に差押え、公売といつたようなことがどうも非常にむづかしいことでございますので、私どもも今後こういうことにつきましては、注意には注意を加えて行かなければならぬと思いますが、なかなかそうも困難なむづかしい仕事であるということは、実は率直に申し上げましてつくづく感じておるような次第でございます。なお事件に対しまして上申もございますので、私ども今申しましたようによく調べまして、お見舞いその他の点につきましてはできるだけの措置を講ずるように、当局に対しましては言つております。非常に概略でございますが、そういうのが目下の内容でございまして、調べたところによつて感じておる点でございます。
  29. 春日一幸

    ○春日委員 私が申し上げておりますのは、あなたは今申告納税であるから、昨年度の事業実績によつて年度はそれだけの税納力があるのだ、だからこれをとることはそう困難ではあるまい、こういうお説でありますけれども、この申告納税というやつが現実に法律通り行われておれば、あるいはそういうような見通しも立つかもしれない。しかしながら、現在の申告納税制度は、ほとんど有名無実になつておりまして、大体その申告の基準というものが税務署によつて最初示される、だから本人がそれを下まわつた申告をすれば、それは認められない。結局あなたの標準は、本年度の申告の基準はこれでありますといつて、税務署からお知らせというものが一応みな発せられております。従いまして、昨年度三十万であつた人も、お知らせというものを五十万であれば、五十万を下まわつた申告ををする場合は受付けてもらえない、こういう状況で、申告納税制度というものは今有名無実になつておることを、私ども先般この夏の国会休会中の国政調査によつて調べて驚いたのであります。私どもは、そのお知らせというようなものは法律で認めないから、そういう法律を越えてた執行というものは非常に重大な問題だという警告を発したところが、皆さんがめいめいかつてに申告をされると、すべて更正決定を伴つて来るので、これは相互に迷惑をして、かえつてこの方が好評だという一方的な独断で、法律がゆがめられて執行されております。そこでこの申告納税制度による申告納税額というものは、現実にはかつての天くだり的、懲罰的、見込み的、水増し課税とかわらない。従つて彼らがほんとうに担税力を持つて申告しておるというあなたの見通しは、あなたの部下たちによつてすつかりその姿が変貌されておるということを、あなたはよく認識なさらなければならない。ほんとうにみんなが、私はこれだけもうけたからこれだけ申告します、その税金額はこれだといつて、それぞれの準備がされておるならば、あるいはそういう考え方が立つかもしれませんが、現実的には三十万を申告しようと思つたところが、税務署からのお知らせで、あなたの本年度の申告基準はこれでありますといえば、それをしなければならぬ。このことは、私どもは後日の問題といたしまして、これも修正せたければならぬ問題であろうが、そういう申告によつて結局滞納になつておるのが、現在本年度には約一千十六億であります。従つてこれに対して担税力がないということは、明白であります。あれば納めるわけだ。延滞利下税や重加算税が加算されますから、当然、彼らは納めたいだろうが、納められない。だからこれも物事をよろしく処理する判断として十分お考えを願いたい。  それから今あなたは、新しく滞納の発生を防ぐことのために、新規滞納額の整理にウエートを置くという徴税方式が本年度において非常に成功した、たとえば七月において、昨年度よりも相当のパーセンテージを加えてこれを徴収することができたとあなたは言つておられるが、その結果中小企業の経理内容にどういう影響を与えておるかということもあわせてお考えになられるならば、本年度の五月から六月、七月、八月と来て、すなわちこれはあなたの方の本年度の新規滞納額の発生を防止するための徴税強行、こういう処理がとられたことと相前後をいたしまして、五月から実に日本における手形交換所が始まつて以来の不渡りのレコードを破りました。そのレコードは真夏の寒暖計のように毎月破つては破つてはピツチを上げております。そこで私は、一昨日の本会議の討論において私が聞いたところによつてさらに驚いたことは、十月はたしか九百六十何通であつたのが十一月が一千何百通になつた、これは一体どういうことになろうかと心配をいたしておつたら、十二月になると一千二百何十通というふうに、はたしてわれわれが心配した通り、これが爆発的な、とにかく悪いピツチを上げております。そこであなたの方が七月に成功されたことは、そのままこれが彼らの不渡り手形、経営困難な破綻の姿となつて現われておる。今度それをさらに成績を上げようとされておるこの魂胆は、これはただちに中小商工業者の年末破綻を意味する。私はこの点を強く主張して指摘いたしたいのであります。昨年の十二月の年末にあたりましては、各党一致で、中小企業のための年末金融対策ということでいろいろ強い要望が行われました。その結果、実に四百五千億の預託も行われ、指定預金も行われて、さらにあなたの方の徴税方式についても、私は何がしかの手心が加えられたと思うのであります。ところが本年は、さきに災害がありました。第一次臨時国会は、結局救農国会という形になつてしまつた。第二次臨時国会は、結局労働対策の国会なつたきらいがある。中小商工業の問題は、臨時国会において両度を通じてほとんど等閑に付せられ、あるいは不問に付せられたようなきらいがないわけではない。そこで中小企業に対するいろいろな危機は、あらゆる角度から、一方は金融梗塞から、一方はあなたの徴税強行から迫りつつある。日本の一千万の労働者、中小企業に携わる労働者が一千万、これは総評傘下の労働者が三百万といわれておるが、実にその三倍半だということを先般も私は申し上げたが、こういう企業体全部を襲うところのこの恐慌に対して、やはり徴税行政を通じても十二分の配慮が行われなければならないことを、私は強く主張するものであります。私はこの機会にあなたに申し上げたいことは、なるほどあなたの見通しは、十分何十年の経験の上に立つてのいろいろな策を立ててはおられるでありましようけれども、しかしその策の結果、七月においてあなたの徴税成績は上つたけれども、一方同じ国民である中小企業者が大きな苦難を受けておる。ところが今度あなたがさらに成功しようと思つておられるその考え方の陰には、当然中小企業者の大きな犠牲を伴つて来ることは、あなたにしてやはり考えてもらわなければならぬことであります。それで私がこの機会に申し上げたいことは、何も今ことさらに新しく始まつたことではないと言つておられるけれども、ここに書いてあるように、この旨全国各国税局に通達を発せられて、これが新しき方針なつて末端の徴税機関を刺激しておることは、当然あなたが期待されておるところであり、またそのことは認めていただかなければなければならぬと思う。こういうふうにことさらに、十一月、十二月で税金をうんととれという刺激を与えるようなことで、今ここに柳本親子の悲劇がありますけれども、こういう問題がやがては随所に起つて来る。そしてこれが中小商工業者の企業経営を破壊することになり、その家庭の生活を蹂躙することになり、やがては生命をも奪う形になつて来る。あなたの手を通じて、全国の徴税機関たちがどういう態度で中小企業に望むかということを考えられるときに、この新規滞納の発生を先に整理するという方針については、やはり緩急の序列があつて、とうてい耐え得られないものについては、新規発生の分といえどもやはり相当の余裕をもつてこれに望む、私はこういう態度でなければならぬと思うが、これに対して私が申し上げたそれぞれの理由をよくお考えつて、長官はこの年末、年始にかけての新規滞納整理の強硬方針について、何か再考するところはあるのかないのか、この機会にもう一ぺん御見解を伺いたいのであります。
  30. 平田敬一郎

    平田説明員 ただいま御指摘の新聞記事のことについて申し上げますが、実は私どももさきに申し上げました方針、あるいはその新聞の記事に載つております大体のことは、四月末ですか、運営方針をきめまして、これは御参考までにたしかその際も皆様に資料として御配付申し上げておると思います。税金全体の運営をどうするかということについていろいろ考えまして、大体の方針をきめて流しておるわけであります。最近いたしましたのは、むしろその中の過去の滞納者に対しまして、千編一律のことをやつてはいけない、先ほど申しましたように、納税者の実情をよく調べて、個々の実情に応ずるような措置をとるべきだ、差押えをするからといつて、何でもかでもやたらに差押えをするということは、納税思想上かえつてよくない、笑われ者になるだけで感心しない、従つてほんとうに差押えるべき人はどういう人であるか、対象をよく見てやつてもらいたい、公売についても、公売に至らずして済むものはそれによつてやるというように、納税者の個々の実情に応じた滞納の整理をやつてもらいたい。実は新規滞納の分について申したのではないのであつて、過去の整理の分について、この方針に基いて具体的にしておるわけであります。その分は、たしか最近徴収部長会議等も開いて、資力調査、納税力の調査をどういう方法でやるかということについても協議して、いろいろ指示いたしておるわけであります。繰返し申しますが、この方は千編一律に一斉に成績を上げるような考え方でやると間違うから、むしろ個々の事情に応じて気長く片づけて行く。しかしうつかりそう言うと、何でもかでもほつたらかすから、よく調べて、法律が実態に応ずるような行き方でやつてもらいたい。これは最近十一月でございましたか、相談して流したわけであります。新規の分については、実は先ほど申しましたような考え方を本年度初めから持つておるわけでありやして、私どもいかに考えましても、どなたが考えられましても、結局方針としてはそれに落ちるのではなからうか。恒久的には先ほど申しましたように、納税貯蓄組合というものの普及を大きな支柱にしておるわけでありますが、貯蓄組合に入つていただきまして、そこで積み立てていただいて、期限が来たら払い込んでもらう。この運動も、率直に申しまして、簡単ではありません。金のない金詰まりのときでありますから、そんな金があるならば使つてしまうということになりがちでありますが、それにしても、一日の売上げのうちで二百円でも別にしておいていただくと、年には七万円積つて来ることになりますので、その辺をいろいろ私どもは苦心いたしまして、あちこち説明をして、お願いもして、何とかうまく行くように努めておるわけでございます。この辺は、さらに実情等については、いくらでも私ども説明してもいいと思いますが、同時に、私どもの立場も御了解願いたいと実は存じておるわけでございます。繰返して申しますが、過去の分につきましては、率直に申しまして、見境なく取立てることはいけないということを言つておりますので、今後もそういうことについては、さらに徹底をはかつて行きたい。いかんせん先ほど申しましたように、その辺はなかなかむずかしいところでありまして、法律を知つていると同時に、健全以上の健全な常識を働かせなければならぬ。そこがむずかしいところでございますから、その辺の事情も御了察願いたいと思う次第であります。
  31. 有田二郎

    ○有田(二)委員 関連して……。春日委員からお話がありましたが、春日委員はよく勉強しておられる。特に所得税のあり方については、国税庁長官も今の春日君の話を聞いて、善処してもらいたいと思います。私は一、二例を申し上げて、この年末の徴収について十分に注意していただきたいと思うことは、これは大阪東住吉の例でありますが、先般ある喫茶店を差押えをした。喫茶店の植木は、御存じの通り植木屋から借りておる。一週間なら一週間借りて、交換して入れておる。その植木を持つてつてしまつた。実は借りておるのだから、持つてつてもらつたのでは困るといの話をしても、それを持つてつた。さらにビール会社から預かつておる看板を、これはビール会社から預かつておる看板だからという説明をしても何でも持つて帰る。そしてその植木が枯れてしまつてから、とりに来いというような非常識なやり方をしておる。さらにまた、これは昨年のことでありますが、大阪の住吉税務署管内で、入口に国税庁差押え物件、大蔵事務官何の何がしという大きな張紙を張つて、私は大蔵大臣かと思つた大蔵事務官つた。そういうように商売のできないように、入口に懲罰的に、国税庁差押え物件、何月何日、大阪国税局大蔵事務官、何の何がしという大きなものを張つてある。さらにまた、これは旧聞に属しますが、一昨年の話ですが、これは公務員法によつて処罰されましたから、長官もよく御存じでしようが、北税務署において、年末に北税務署の署員に頭割四万円ずつ税金をとつて来いという指示をして、税金を某旅舘にとりに行つた。ところがその旅館のおかみさんが、私の方も税金を納めますが、国税庁のおえら方が来てとまつて、とまり賃がまだ払つてないから、これを払つてもらつたら私も払いますという話をしたところが、結局なまいきだというので、上り込んで、その晩徹夜してたんすから何からひつくり返して税金を調べた。それは名古屋の国税局の調査課が主管であつたにもかかわらず北税務署の者がそういうことをやつておる。おそらくこの年末に、税金を集めることに徴税者も非常に御苦労なさつておることは、われわれも十二分に存じ上げておるのございますけども、しかしながらそのとり方については、昔から見れば非常によくなつておることは私もひとしく認めておる点でございますが、やはり末端の状態が、今春日君が言われたように中小企業者はかなり困つておる点があるので、十分御配慮を願いたい。さらに電話の問題でございますが、電話の差押えというのはけつこうでありますが、電話を取上げるときに、電話屋さんと納務署の徴収の係との連絡がいろいろ密である。これは国税の問題は言いませんけれども、大阪の地方税の場合には、よくあるのは、電話屋さんと飲み食いをしておるというような事態も聞いておる。それから競売の場合に、競売の業者とその徴収の係官との醜関係というものも、全国的にいろいろうわさを私は聞いておる。あるいはまた電話屋さんの場合は、簡単に電話の名前がかえられて、電話屋へ三万円やつたらかえてやる、四万円やつたらかえてやると言う。さなきだに徴税で困つておるところに、結局電話屋にもうけさせる。そのために結局国税局並びに税務署が汚名を受けなければならない。決して税務署がもうけたわけではないけれども、電話屋がもうけたその恨みを国税庁長官平田君が買わなければならぬ、こういう事態が多々あるわけです。さらに先般青森県に私が国政調査に参りましたときに、滞納が非常に多いので一軒々々調べて参りますと、仙台の国税局から調査課の人が来て、二日間で七十数件決定して帰つた。その七十数件のきめ方を聞いてみますと、実はもう初めやつて来て、帳面がないというのでずつとおとして歩いて、その次の日は手を合さぬばかりに頼んでおる。何とか考えてやるか、ことしはこれに判を押してくれと説教強盗みたいにして判を押させる。東北の人というのは重厚は人が多いので、仙台からここまで来た役人がお頼みになるので、来年は何とか考えてくださるのだろうと考えて判を押した。ところが税金はどんどん取立てられる。実際はこういう状態で税金が払えないのだということを、一軒一軒調べて参つたことがあります。これはやはり調査課というもののあり方が、できたときは非常にけつこうでありましたけれども、仙台の国税局の例をあげても、遠いところへ行つて一日や二日宿屋へとまつて、その土地の税務署とも侮ら連絡せずして頭からぽんときめるというやり方がいいか悪いかということを御検討願いたい。そういうことが今日滞納の一つの大きな原因となつている。たとえば関東信越の場合は、東京に国税局がある。そうしてその管内に各県がある。ここをまわつて調査課がきめるということもなかなかむづかしい問題である。さらに九州の熊本に例をとりましても、鹿児島あるいは宮崎に参りますのに、東京から大阪へ行くだけの距離があるわけです。従つてこういう点もよく考え制度の点も考えていただいて、滞納を少くするのにはもちろん徴収だけの力ではいけないと思う。徴税のあり方も時局に合うように根本的にかえていただくと同時に、この年末のしわ寄せについては十分配慮していただいて、今春日委員からお話なつたような、これによつて死ぬというようなことのないように、終戦直後など税金によつて自殺された方も多数ありましたけれども、今日は終戦直後から見ますと、大体世の中もおちついて参つておるのであります。そういう不祥事の起らないように、国税庁長官も十分御注意をお願いいたしたいと思うのであります。御所見をお聞きしたい。
  32. 平田敬一郎

    平田説明員 非常に実例をあげてのお話でございまして、まことにどうも私恐縮に存ずるわけでございます。私どももなるべく納税者の角を聞く方針で、実は先般大阪へ行きまして懇談会を聞いて、各層からいろいろの文句をうんと言つてくださいということで、聞いたわけであります。その中で、やはり差押えの不適正な問題が出ておりました。一つの場合は、おばあさんが出て来て、このラジオだけはかんべんしてくれと言うのを、むしろそれを選んで押えるので、ほんとうに涙が出た、こういう話を聞きまして、これはいかにも非常識だから考えなければいかぬということを、大阪の署長連中を集めまして、その場で注意をいたして来たのでありますが、その他そういうふうな類似のケースが遺憾ながら相当ありますので、ほんとうにこれは恐縮に存じます。     〔淺香委員代理退席、坊委員長代理着席〕 最近いつも私は言つているのですが、今有田委員お話のように、世の中が大分よくなつた、徴税の方も、一時と比べまして納税者の納税意識もよほどよくなつておるし、また経済的に見ても、無理をする度合いが少くなつておる。税の収入も、一時に比べますと順調に行つております。こういう際に非常識な無理をやると、かえつてそれが納税者に逆効果を来すから、手段はあくまでも慎重にやらなければならぬ、手段をあくまでも慎重にやつて、結果は税は何でもかんでも負けてもいいんだというこさとになると、これではとても税金が入つて来ませんので、最後は税金を納得して納めてもらう、この二つのことを頭に入れてしつかりやつてもらいたい、無能力で変な非常識なことをやるくらいなら、やらぬ方がいいということを言つておる。一人について変なことをやると、すぐに何百人、何千人に波及して、税務署というところはひどいところだ、あんなところに税金を納められるかということになると、かえつて納税思想を破壊するから注意してくれということを、重ね重ね言つておりますが、しかし仕事が非常に忙しかつたり、熟練者も十分いなかつたり、あるいはその場の調子によつて、いろいろな人間としての不注意があつたりしまして、お話のようなケースが絶えませんことを非常に残念に思つておりますが、私はむしろ第三者に働きかけて、何でも文句を言つてくださいということをうんとやかましく言うように財務部の者へ言つておりますが、そういう意味で、最近私も街頭に出まして宣伝しております。納税者にうんと文句を言つてもらうと、結局最後はわかるのであります。そういうことで、皆様方の方におきましてもどしどし文句を言つていただきたいと思います。そしてできるだけいい結果が生ずるように努めたい。従つて新規の成績をよくするといいましても、とことんまで無理なことをしてよくするようにということは言つておりません。その点国会の速記録は、最近は国税局長あたりに配つておりますから、この席ではつきり言明しておきます。これはただちに出しまして参考資料にしたい。基本的には、先ほどから私が申し上げましたように、行かなければ税金の病気が直らない、それは何と申されましても、根本的な点をかえるわけに行かないので、これは御了承り願います。それを運用上ある程度常識を働かせて行く、そこの点についてはよく御注意も承りまして、善処して行くようにして参りたい、かように考えております。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 関連して。平田国税庁長官はなかなか説明がうまいし、大蔵委員会などにおきましてはそう無理も言われないと思いますが、末端に参りますと、税務署の問題が一番多いのです。大体今頼まれる十のうち九まで税務署の問題で、われわれいろいろ苦労するわけです。前国会、今国会は、まず自然増収のおかげで政府はやつておるようなもので、自然増収議会みたいなものだ。そういう方面において、あなた方からも説明がありましたから、その内容はどうであるかということはわかつたおりますが、終戦この方いろいろ問題が出ておりまして、特に私たちが最近ぎりぎりのところまで考えましたところでは、末端の税務署の直税課と徴収課の問題であります。直税課はいろいろ調査の問題につきましても、まだ何といつても人間のやることでありますから、もちろん欠陥があります。いくら平田さんが申告納税制度をやつておると言いましても、実際割当制を全部やつております。これは春日委員の言われた通りなんです。そこで徴収課の課長なんかに実際に聞いてみますと、直税課のやり方はやはり無理があるという。もう一年間がまんしてやれば、小さな会社や商店は助かるのだから、そういうことが徴収課ではできないかということを、いろいろ泣言を言うわけです。とにかくせつかく卵を生む鶏が、徴税攻勢で死んでしまうような場合もあり得るというような、いろいろな事例をたくさん聞いておるわけです。  そこで国税庁長官にお尋ねするのでありますが、一体直税課が査定して、どうしても納められないような場合においては、徴収課で配慮してまける方法はないかどうか。そういう場合に便宜をはかつたら、春日委員の言われるように自殺をしたり――一ぺんに納められなければ半年納めていただく、こういうように実態を調べて、徴収課が便宜な方法をとれないか。特に今年の年末は、税金の問題で相当悲惨な状態になるような可能性の多い事態が出ておりますので、そういうような方法は何とかあなたの方でできないものかどうか、お尋ねしたいと思います。
  34. 平田敬一郎

    平田説明員 自然増収の問題でございますが、これは、実は申告所得税の徴収による自然増収にあらずして、これは毎年減るわけでありまして、勤労所得者からの勤労所得税がふえて、申告所得税が減るのはけしからぬのじやないかという批判を、私どもはたびたび受けておるわけでございます。自然増収は勤労所得税と大きな法人税でございます。ことしは、最近の会社の業績が最初予想したよりも大分かわつて参りまして、九月、十月の決算の法人は、前に予想したよりも大分よくなつて参りました。これが自然増収として出て来ております。それから一方におきまして、ベースが局間も徐々に上つておると見えまして、予想以上に上つておるところがあると思いますが、勤労所得税が相当増収になつております。それからよくいわれます一部奢侈品的なものの消費による物品税等でございます。これが主としてこの一、二年の自然増収の大部分でございます。今問題になりました申告所得税の問題は、もちろんそのようなところまで至つておりません。ことしの成績がいいと申しますが、全体としては、申告所得税の今まで徴収しておる税額はどうかということでありますが、去年に比べますと、額から言いまして大差ないという計算になつております。もとが減つておりますから、滅つたものに対して納まつた方が率がいいということになりますが、徴収しております税額は、前年に比べましてほとんど大差ないくらいなものでございます。従いまして、私ども今お話のような点をいろいろ注意してやるつもりでございますが、そういう事情にあることを御了承語いたいと思います。  なお御指摘の去年の決定に基いて、ことし納めているかどうかを最近調べてみると、なかなか納まらぬ。こういうような人の場合におきましては、実際上はむしろその辺は大分分割納付といいますか、期限が遅れましてもあまりやかましく督促を言わぬとか、あるいは状況が非常にはつきりしておる場合、災害の場合は徴収猶予をしております。商売が非常に悪くなつたという場合におきましては、実際上法律の認める範囲内におきまして、できるだけの措置はやつておりまして、おそらくそういう措置を頼んでも認められなかつたケースがお耳にときどきお入りになるのかと思います。そのほかにももつともだというようなケースにつきましては、やつておるような例も大分ありますので、その事情がまことにお気の毒だという場合におきましては、十分力づけて納税者に言つていただいて、そういう方向に行く場合も相当ございますから、その辺は運用でしかるべくやつて行くのではないか、しかし建前といたしましては、やはり税金というものは納期までに納める、これは法の義務でありまして、その建前をくずしますと、全体がくずれて参りますので、先ほどから申し上げました通りに、一般的には、どうもお尋ねを受けましても、できるだけ勉強して納めてもらうというようにせざるを得ないのでございます。その辺を御了承を願いたいと存じます。
  35. 春日一幸

    ○春日委員 それではお伺いをいたしたいのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、御答弁は非常に柔軟性に富んだ表現を用いられておりますので、あるいは相当しんしやくされる徴税方式が行われるのではないかと考えてもおりますし、そうかと思うと、だれがやつたつてこういうやり方をやるよりしようがないというような、ふてくされな表現も用いられておりますので、この点ひとつ明確にしておきたいと思うのであります。  そこで愛知政務次官にお伺いいたしたいと思うが、私が指摘いたしておりますのは、今回国税庁長官から地方の国税局長に発せられた通達は、結局本年度の滞納の新規発生防止に重点を置く、ここにあるわけです。そうすると昨年度までと違うところは、しかもたまたま年末に際会して違うところは、結局十二月と一月との間に具体的に二百十六億円をとれ、こういうことになるわけです。別の表現を用いると、そういう形になり、また国税庁長官の表現をもつてしても、結果がそういうことを指向しているわけでございます。私のおそれるのは、二百十六億円というものを指定して本年度の滞納をなくするということは、現在の年末、年始にあたつての中小企業金融の実情とどうからみ合せて行くかという問題であろうと思うのであります。実情に即して云々と言つておられるが、長官のように、経験にも人情にも富んだ人が実際その衝に当られるのだつたら、われわれはこんな心配はいたしません。しかし現実には二十二、三の若い諸君が事に当つている。しかも柳本事件のように、一家を悲惨な状態に陥れるようなことが現実に発生しているのであります。で、こういう指令を発せられること自体は大いに考えてもらわなければならぬということ、すなわち通産委員会において、あるいは大蔵委員会において、あるいは本会議において、国会の輿論は中小企業の金詰まりを何とか考えようじやないかということに帰一していると思われるのでありますが、一方国税庁長官が、これはこういう方式をとれ、それでなければ所得税法、国税徴収法という法律は一体どうなるかということで一方的に強行されて行けば、国税輿論というものは効果がない形になつて来る。しかもわれわれの数々の論述は功を奏さない。  そこで、私は愛知政務次官にお尋ねいたしたいが、これは法律で行けばそうなりましよう。国家権力でもつて滞納者に臨んで行かれれば、二百十六億でも何百億でもとつてとれないことはない。たとえば本人たちが泣いてすがるそでを振り別つて、そして一人の娘のところへ五人も行つて、トラックに物をどんどんほうり上げて行くという方法でならば、これはいくらでもとれるが、そういうことは日本国民が望んでいるか、そんな方法をとつてまでも、課税の公平ということをなおかつ強行して行かなければならないがどうかという問題。国税庁長官の指令が金科玉条になつて末端機関をやはり踊らせて行く、だから長官の指令のよつて来るところの影響を十二分に考えられて、一字一句、句読点に至るまでよく考えられて発せられなければならないと思う。この指令は、明確に法律からそのまま推して参りますれば、年度内に、十二月、一月に二百十六億円の本年度の滞納分を取上げることを強く指令するという形になつて参ると思うが、これに対して、あらためて何らかそういうような恐るべき事態を緩和することのための措置をお考えになる意思はないかどうか。この点を行政面と考え合せて、すなわち中小企業対策と考え合せて、愛知次官から含蓄に富んだ御答弁を、しかも実行の期待できるところの御答弁をお願いいたしたい。
  36. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 先般の当委員会で柳本事件をあらためて取上げられましたことについて、私も大蔵省の立場において、非常に遺憾に思つているわけでございまして、こういう事態が徴税の面から起りましたことは、全部がここに原因があつたかどうかとか、いろいろまた探求しなければならぬ点もあろうと思いますが、少くともこれが大きなきつかけとなつてかような事態になつたということは、まことに選憾でございまして、何とも申し上げようもないところでございます。これはおわびを申し上げてもあとの祭りでございますが、せめて今後の措置につきましては十分の配意をいたすように、大蔵省全体としてくふうをこらして参りたいと思います。  それから今御指摘の長官の通牒は、本年の五月に出されたものを御指摘のことと思うのでありまするが、実はこれはかねての大蔵委員会と私どもの関係に甘えて申し上げるわけではございませんが、御承知のように、今長官からもるる申し上げましたように、非常にむづかしいところで、長官としても、国税徴収の最高責任者である限りにおきましては、法律できまり、また現に決定をした税額との開きがあつた場合に、この滞納を何とか処理しなければならないという行政上の責任者でございます。それから私も、決算委員会等におきましては、逆にこの処理についてどういうくふうをしておるかというような御質疑も受けるようなわけでございまして、いろいろ見方々々によつて非常に苦しい立場に立たざるを得ないわけであります。今御指摘の通牒を、こういう形で出して下部に浸透させておるということは、長官としてはやむを得ない。よほどこれは慎重に研究した結果のものでありまして、これはもちろん大蔵省全体としても責任を負うべき通牒でございまして、大蔵省全体としてもこの通牒について、これは行き過ぎであつたとか、ここは直さなければならぬとかということは、現在考えておりません。ただその執行運営上は、今申しましたように、今度の問題をまたあらためてきつかけにして、十分注意いたします。  それからこの年末から来年にかけての問題でありますが、これは先ほども御指摘通り、実は中小金融対策等についても、見方によつては実に御不満の点が多いと思います。私もこれは率直に認めます。しかしたとえば国庫預託金の引揚げの問題などに際しましても、大銀行等は別として、庶民金融の面におきましては、できる限りの配慮をしたつもりであります。それから災害等の関係で、やむを得ず国民金融公庫その他が資金繰りに詰まりました点については、今回の補正予算でも御審議を願つたようなわけでございまして、私どもとしては、決して金融の方と徴税の方とをばらばらに考えているわけでは毛頭ございません。調整をとりながら考えておるつもりでございます。しかし何分これは生きものでございます。現実に生きておる経済の状態であり、また中小企業の現状でもございますから、今後常に注意を怠たらないで、ひとつ皆様方の御意見もわれわれとしてはすなおに受入れて、できるだけのところは行政面の上に反映して参りたいと思います。
  37. 春日一幸

    ○春日委員 大蔵省には、昔から池田イズムという一つの流れがあるわけでありまして、われわれがいろいろと苦しい面から陳弁しておりまするけれども、まともにそのまま受取つていただけないことは、非常に遺憾に思います。私の申し上げておるのは、二十七年度も二十六年度もそういう特別の措置をとらなくたつて、一応税金がとにかくとれて来たわけです。そこで本年度この新しい通牒が発せられたころを転機として、中小企業の金詰まりがさらに激化しておる。これは産業経済の諸要素がからみ合つておることではあるが、しかしながら、この国税庁長官の通牒とあたかもその時期を一つにしておる立場において、これも一つの大きな要因になつておるということをわれわれは指摘したいと思うのであります。特にわれわれは、この年末、年始の金融問題をどうするかということは、これは救農国会と、さらにはまた今回の労農問題に対する国会と、この二つの特別国会が開かれているこの趣旨にかんがみまして、同時に、あまり大きな声で叫びをあげないところの中小企業者に対しても、私はいろいろな面を通じて、金融政策あるいは徴税行政を通じて救援の手が、この年末のために差延べられるべきであるという主張を持つております。そこで私が申し上げることは、今までとにかくそういう特別の指令を発しなくても、とにもかくにも徴税の成績は曲りなりにも上つて来たのである。時あたかも中小企業者の金融危機は、さらに深刻化、激化しているのだから、こんなときに、こういうような通牒がすでに五月に発せられているとするならば、年末、年始に当つては、さらに特別の配慮を加えるという、逆の指令が発せられても私はよさそうなものだと思うわけであります。昨年末なんかは、年末に対する滞納税金猶予に関する特別法令をつくつてみてはどうか、そのことが中小企業者に対する何らかの政治的な救済の道ではないかということで、そんな論議すら国会議員仲間には輿論として高まつたほどであります。そういう状況下にあるにもかかわらず、結果的には年末、年始にかけて、こういう二百何十億という税金が、これは末端機関の総動員の形で取上げられるかもしれないという心配をはらむところの指令に対しては、これは次官通牒か、あるいは国税庁長官の何らかの通達でもつて、この中小企業者の置かれているところの窮状を救つていただくための措置がとられたいということを、強く要望しているわけであります。この問題については、さぞかし愛知さんにいたしましても、平田さんにしましても、私の真意の那辺にあるかということは、十分願つたと思いますので、十分省内において御協議の結果、とにかく年末、年始の徴税攻勢に対して手心を加え、ブレーキをかける。それが徴税行政上の大きな弊害とならない範囲において、ひとつ何とかそのブレーキをかけて、彼らの破綻を少しでも防ぐための行政的の措置がとられることを強く要望いたしまして、さらに私は後刻理事会等において、本委員会がこの問題に対して、どういう意見の表示を政府に行うべきかということについても発言いたしたいと思います。  次の問題は、実はわが党の水谷長三郎氏あてに京都の企業組合から、先般の所得税法の第三条の第二項に対して附帯決議をいたした問題について、こういう電信が昨日参りました。それは、国会決議を踏みにじる企業組合中央課税懇談会の天くだり人事、これを天くだり人事と指摘をいたして参つておりますが、これはこの附帯決議の趣旨にかんがみまして、できるだけ当該法人の所属する団体の代表者、ということは、すなわち直接関係する者の代表ということになつておりますので、この電文から推測いたしますると、彼らの代表的団体の推薦した人が、その課税懇談会の委員の中に加えられていなかつたことを意味することであろうと思いますが、本日は他の重要法案の審議もありますので、私はこの論議を後日に譲りたいと思いますが、どういう人事が行われ、しかもそういう団体からどういう人が推薦されて、こういう電文に示すような結果になつたかということを、ひとつ明日の委員会でも御報告を願いまして、その問題についてさらに検討を加えてみたいと思うのであります。  ただいま申し上げました、この年末徴税攻勢に関する問題については、ひとつ責任者におかれまして、われわれ委員側の意のあるところを、執行面を通じてひとつ顕現願うということを強く要望して、私の質問を終ります。
  38. 柴田義男

    ○柴田委員 昨日食管特別会計の問題で、大蔵当局あるいは食糧長官等にお伺いいたしましたが、食管特別会計法の六条の二の問題でございましたが、単に大蔵当局が報告を受けた、こういうようなことで、その内容をはつきりと御存じあるのかどうかという問題を御質問申したのであります。私がそう申し上げますことは、たとえば今度供出完遂奨励金の五十六億四千万円を限つて追加の案が提出されておりますが、この問題を論議いたしますにも、たとえば報告をお受けになりました場合に、内容を十分御検討なつておるのかどうか、具体的に申しますならば、二十七年度特別会計の報告を私どもは一覧いたしましても、その内容において一つの例証をあげますが、麻袋が、昭和二十七年度年度末におきまして、八億九千八百十七万四千三百七十五円七十九銭というものが残つております。この麻袋の問題が別個に決算委員会等でも論議されておりますが、私どもの調査によりますと、全然不要の麻袋を買つてつたという問題が大きな議論の焦点になつております、こういうように、御報告を受けました大蔵省は、食管特別会計の中に相当なむだがなかつたのかどうか、こういう点をまず承りたいと思います。
  39. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 私からちよつと簡単に申し上げまして、あと事務当局から詳しくお答えいたしたいと思います。  食管特別会計に限ります特別会計関係は、御承知のように申すまでもございませんが、余裕のありましたときには一般会計に繰入れることになります。さような点からのみ申しましても、大蔵省といたしましては特に関心が深いのでございまして、いわんや全体の財政計画、あるいはその予算の執行につて責任を持つ大蔵省といたしましては、重大ね関心を持つべきは今あらためて申し上げるまでもございません。それで二十七年度の具体的な食管会計における麻袋八億九千万円につきましても、私どもとしては報告を受け、そしてこれは少くとも当面のところにおきましては、二十八年度あるいはそれ以降の食管会計に対する大蔵省としての態度をきめます場合の大きな参考にしておりますことは、われわれとしては当然のことでございます。なおこの内容がどういうふうになつておるか、あるいは大蔵省の事務的な見解がどうであるかということにつきましては、事務当局からお答えをいたさせます。
  40. 柴田義男

    ○柴田委員 私が伺つておりますのは、こういう一つの例を見ますと、不要の麻袋を八億数千万を買つてつて、今日はどうかわかりませんが、八月ごろまではほとんどこれの七、八十パーセントは残つてつたのであります。そういたしまして、こういう冷害であるとか水害であるとかいうような場合には、少くもてきぱきとこれを処理されまして、たとえば冷害農村にこれを無償でくれてしまつてもいいでありましようし、あるいは水害地に対しまして、やはり救済物資として放出されてもいいと常識的には考えられるのですが、そういたしますのに、現に食糧庁は、これを民間の倉庫会社に莫大な倉庫料を支払つて長い間ほうつておる、一箇月に何百万かの倉庫料を払つておる、こういう状態でそのまま放任されておりますこことは、食糧特別会計一つの問題を論議いたしますにも大きな阻害になるではないかと考えられるのであります。こういう問題に対しまして、食料庁長官はどういうお考えをお持ちでございましようか。食糧庁長官としてのお答えを願いたいと思います。
  41. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘のように、麻袋を政府としましては外国倉糧の輸入のために持つてつたわけであります。その輸入状況の変更によりまして、そのまま手持ちをいたしておるということは御指摘通りでございます。これにつきましては、われわれといたしましても民間会社倉庫料を支払うというふうなことは、これは避くべきでございますので、政府倉庫に移管をいたしまして、倉庫料を支払わないように措置いたすようにいたしております。ただ御指摘の冷害、水害等の場合においても使つてはいかが、これはもちろんわれわれも必要があれば使いたいと思います。実は今年度の九州におきまして、水害等によりましてわら工品、かますの生産が減るということでございまするので、実はこの方面にも使いたいということを県当局とも相談をいたしておつたわけであります。これは貸付という方法でやつて行きたい、そうして代替することによつて供出の円滑化もはかりたいということも考えておつたのでありますが、具体的に打合せをいたしますと、供出用のかますも何とか間に合うから、その必要がないだろうということで、これを使わずに参つたわけでございます。われわれといたしましては、食糧管理の中におきまして極力むだのないように、またこの麻袋につきましては使用をいたしたい、と申しますのは、本年度におきまする凶作の状況によりまして、ばら積みのものが相当例年よりもふえて参つているわけでございまして、これにはどうしても麻袋が必要でございます。これにつきまして政府麻袋を使用するということになろうかと思います。御指摘の従来遺憾があつた点は、十分改善して参りたいというふうに考えております。
  42. 柴田義男

    ○柴田委員 麻袋を購入されましたのは昭和二十六年かと拝見いたしておりましたが、二十六年のその当時麻袋を一袋二百九十円かでお買いになつている、現在の市場価格は、八十円そこそこだとわれわれは調査しておりますが、そういうように非常に価格の変動が大きく開いて来ております。そういうような場合でも、二百万円も倉庫料を払つて、現につい八月までは民間倉庫にあつたのであります。現実の姿とわれわれは見て来ている。そういたしますると、政府倉庫にこれを保管がえなさいましたのは両月からでございますか。
  43. 前谷重夫

    前谷政府委員 政府倉庫に倉がえは八月以降順次やつております。
  44. 柴田義男

    ○柴田委員 価格はどうでありますか。
  45. 前谷重夫

    前谷政府委員 お話のように、その当時におきまする製造価格は二百九十円でございます。その当時におきまする状態は、御承知のように朝鮮事変の最中でございまして、年間早急に五千万枚の国内調達があるというような模様もございまして、その当時におきまする麻袋事情相当逼迫しておりまして、高くなつておりますが、その後現在におきましては、お話のような程度の時価になつているかと思います。
  46. 柴田義男

    ○柴田委員 この麻袋の問題でもう一点伺いますが、多量に麻袋を食料庁が買つてくれましたので、その麻袋業者の一会社が、当事五十円払込みの株が六百円に大暴騰いたしましたことを食糧長官御存じでございましようか。
  47. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。二十六年当時におきまする事情は、私としましてはつまびらかにいたしておりませんが、その当時の価格基礎といたしまして、その当時の市価を目安に検討いたしたものと考えているわけでございます。
  48. 柴田義男

    ○柴田委員 私が今申し上げましたのは、買つていただいたある会社が、その会社の株式の価格が五十円払込みのものが六百円に暴騰している。これはわれわれの調査であきらかになつております、こういうふうな莫大な、一ぺんに両億という麻袋を買つてもらいましたことによつて、その会社が莫大な利益を収めているという現実であります。こういう物資の購入というものが非常に――私が今指摘しておりますのは麻袋の問題でありまするが、それらの物資購入というものに対しまして、ずさんな購入を食料庁が常におやりになつているのかどうか、こういうことでございます。その大きな原因は、諸官庁が物を購入いたします場合には、競争入札で購入されることが原則だとわれわれは心得ております。こういう物資の購入で問題の起きますものは、たいてい随意契約によつて購入されるものばかりでございます。この麻袋の問題もその例に漏れないので、あります。この麻袋三百万袋かをお買いにはりますときも随意契約で、しかも生産能力の非常に相違する三つの会社から、同じ価格で員入れをいたしております。ここに問題があると思うのであります。この麻袋の問題は別個に扱うといたしましても、こういうむだな仕入れがないのかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  49. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの具体的な二十六年当時の事情は、私直接関係いたしておりませんが、われわれといたしましては、この購買にあたりましては、慎重に時価等を考えまして検討いたしてあるわけでございまして、その他の問題につきましても、十分に慎重にやつておるつもりでございますが、今後ともそういう点につきましては、さらに時価の状態、それから契約方式等についても慎重に検討して、改善するものがあれば改善して参りたいというふうに考えております。
  50. 柴田義男

    ○柴田委員 今決算書に表われおります金額は、ちようど似通つた金額でございますので、三百万袋の問題を論議いたしておりましたが、この麻袋が二十六年度以降にも相当多量に購入されそおるといううわさもございますが、そういう現実がございましようか。
  51. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。われわれの方としましては、外国食糧の、その年度輸入計側を立てるわけでございます。そういたしまして、その外国食糧輸入のうち、品種別に、ばらで来るものと、それから麻袋込み――多くの場合は、米の場合では麻袋込みで来る。加州米は別でございますが、麻袋込みが多うございます。麦につきましては、ほとんどばらでございます。そういう輸入計画と即応いたしまして、麻袋の需給計画を立てる。そういたしまして、麻袋の需給が不足する場合におきましては、これを調越するということにはつておるわけでございます。二十七年度におきましても、その後の需給状況を見まして買い入れておるわけでございます。
  52. 柴田義男

    ○柴田委員 輸入状況によつて、そういう契約が必要であることは、われわれも常識上判断はできますが、ただ二十六年度の三百万枚をお買いになる場合の政後の状況を、われわれが調査いたしまし場合には、前の持越しの分が百三十万袋かあつたはずでございます。百三十万袋あつたにかかわらず、三百万袋を購入している。しかもそれが随意契約で、しかも最高の価格で買い入れた。こういうところに疑点があつて、われわれは論議いたしているのでありますが、そういうものは、民間倉庫に莫大なる食糧料を払つていながら、また二十七年度、二十八年度という新しい年度におきましては、過去の年度の残量は幾らあつてもそれにかまわないで、二十七年度、二十八年度というものにまた麻袋の購入があつたといたしますならば、非常なむだがあるのじやないか、こう考えられます。いかがでございましようか。
  53. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。もちろんわれわれといたしましては、政府の手持ちの材料、倉庫のも入れて麻袋の需要量を計算するわけでございます。二十八年度にはもちろん購入いたしておりません。二十七年度におきましては、その当時におきまする国内の麻袋の回収が非常に不円滑でありまして、その回転が悪い。これは一般に国内の麻袋の他の用途がふえて参つたという形で輸入業者に対しまする麻袋の供給が不足するという状態にあつたわけでありまして、もちろんわれわれといたしましては、政府の在庫も中に入れて需給状況考えておるわけでございます。
  54. 柴田義男

    ○柴田委員 麻袋の問題は別といたしまして、今度は供出完遂奨励金八百円を計算なさいました根拠がどこにあつたか。もう一つは、減収加算額の五百円というものは、地方別によつてこの相違があるのかどうか、たとえば凶作が非常に強い地帯におましてては、この金額の増減があるのかどうか、この二点を承つておきたいと思います。
  55. 前谷重夫

    前谷政府委員 第一の供出完遂奨励金は、前の国会におきまして、予算修正によりまして御決定になつたわけであります。当初は供出完遂奨励金としての提出予算は、二百円ということで提出されたのでございますが、国会修正によりまして八百円ということにはつたわけであります。なお減収加算額につきましては、これは価格の面でございまするので、地方別に差違のあるというふうなことはいたしておりません。一本にして加えまして、基本価格として取扱つております。
  56. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵政務次官にお尋ねします。米国日援助物資等処理特別会計がなくなりまして、それは一般会計に繰入れることになりますが、清算事務は一体今どういうふうになつておりますか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  57. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 米国日援助物資等処理特別会計、これの清算事務の話でございますが、御承知通り、終戦後昭和二十四年四月までは、ガリオア、イロア資金によります援助物資に関する経理は、当事の貿易資金なり貿易資金特別会計において、他の一般政府輸入物資同様に取扱われておりました。その当時のことは、率直に申しまして、占領中のことでもありまするから、きわめて明確な、完全な経理ではございませんでした。そこで二十四年の五月に、まず貿易特別会計の方に援助物資勘定を設けまして、これに関する経理の区分をいたしました。さらに翌二十五年四月には、この対日援助物資勘定を独立させまして、現在の米国日援助物資等処理特別会計というものを設定いたしたわけでございまして、これ以後におきましては、その収支の経理はきわめて明確でございます。  大体の経緯を申し上げますると、この援助物資を受入れまして、国内でその物質を売却いたします。その売却代金から引き淡しましたドル金額に相当する円貨を見返り資金に繰入れまして、経理をいたすわけでございますが、その援助のやり方あるいは経理のやり方も、二十六年の六日末日をもつて援助を打切られましたので、爾来は清算関係に入つてつたわけでございます。そこでそれ以後におきましては、その援助が打切られましたその時期以来の、その当時の手持ち資産を処置いたしますることと、それから同会計としての売掛金等を清算しなければならない。その清算過程に入りまして、現在に至つておるわけでございます。  なおついでで恐縮でございますが、現状においてのこの清算状態はどういうふうに見通されるか、すなわち先ほど申しました沿革的な昭和二十四年四月以降二十八年度までの数字は、資料でもお配りいたしておるかと思いますが、通計いたしまして、収入が三千三百十八億一千万円余でございます。それに対しまする支出が、見返り資金の繰入れとして三千六十五億七百万円余になるわけでございまして、一般会計昭和二十七年度において繰入れましたものが四十億円、そのほか運営に伴う諸費が百九十九億円余りございますから、合計して余りますもので、一般会計に繰入れられるところの剰余金は十三億三千四百万円、こういうかつこうになるわけでございます。
  58. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 例の問題になつた二十三億ドルはこの中に入つておるのですか。
  59. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいま問題に提起されました佐藤さん御指摘の二十二億ドルというものは、先ほどもお断りいたしましたように、占領中の関係の問題は、実は日本政府側としては不明確な点もあるわけでございます。従つて日本の大蔵省として確定した数字というものを申し上げにくいのでございます。すなわち特別会計ができましてからあとのことははつきりわかりますか、それ以前から通じますとわからないのであります。と申しますのは、アメリカ側におきましても、私が調べましたところでも、当時の司令部、いわゆるGHQのある部局で持つております数年と、それから本国の所管の、たとえば商務省等で持つておりますものや国防省で持つております経理表には、はつきりしたことは私にもわかりませんが、多少の帳簿上の食い違いもあるように見受けられるのであります。私どもといたしましは、当時の数字としては、占領下でございますから、司令部の部局による統計を一応信用したいと思うのでありますが、それを積算いたしてみますと、大体一つの数字といたしまして、十七億三千九百五十九万四十四百八十六ドルという数字が出て参ります。それで二十二億ドルという数字が新聞等に出ますその根拠を推測いたしますと、おそらくはあの経理表によれば、大体これが二十億ドル前後というふうになるのではなかろうか。そのほかに、何かこれに類するようなものを足してみると、二十二億ドルになるのだというような数字が一応出るかと思うのでありまして、これは私の想像でございます。大体今申しましたように、一口にガリオア、イロアの関係で対日援助の額はどれくらいか、こういうことのお尋ねに対するお答えとして、われわれとしては今申しましたような根拠から、一応十七、八億ドルというふうに考えておるわけでございます。
  60. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点だけお尋ねしますが、特別会計に二十億ドルというものを引継いだというのはいつごろですか。
  61. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 先ほどお答えいたしましたように、まず第一の段階といたしましては、貿易資金特別会計に援助物資勘定を設けた、その時期が昭和二十四年五月でございます。このときから大体日本側としては経理がはつきりする建前になつて参ります。それで昭和二十五年四月、それから一年後でございますが、米国日援助物資等処理特別会計国会の承認によつて設立いたしましてからあとは、きわめて経埋は明確であり、またその後の勘定は、私どもとしては責任をもつて管理して参つたつもりでありますから、内容はきわめて明白でございます。
  62. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員  そのときは、こちらはもらつたつもりでやつたのか、それははつきりわかりませんか。
  63. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 この点は、しばしば国会でも御指摘があつた点でありますが、吉田総理大臣以下のこれに対する態度は、債務と心得ておりますということに、現在までの態度は尽きておるわけでございます。
  64. 小川豊明

    小川(豊)委員 食糧庁長官にお尋ねします。さつきの麻袋のお話と私の考えと非常に違つて来るわけですが、麻袋は、今まで輸入する米にくつついて来るのですが、なぜ内地調弁しなければならなかつたのですか。
  65. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。米につきましては、大体麻袋込みで参ります。ただ米につきましても、加州米等はばらで参ります。それから麦は全部ばらでございます。そして港におきまして麻袋詰めにするわけでございます。
  66. 井上良二

    井上委員 昨日来食管会計、一般会計から繰込みます五十六億の繰入れに関する法律案に関連して、食糧長官にいろいろ聞いておつたのでありますけれども、食糧長官はやはり何と申しましても事務的な責任者であつて、政治上の責任は、どつちかといえば政府委員であつても非常に比重は軽いのであり、政治的責任を明らかに答弁するわけには参らぬと思います。そこで政務次官にお願いをいたしましておいでを願つたわけでございますが、実は私が昨日来質問をいたしております重点は、一つは、供出完遂奨励金の八百円の、この裏づけになります対象の政府買上げ米の問題でございますが、私ども、先国会米自由、改進、鳩山自由党の三党間において、この問題が国会で取上げられました場合に、これは現在の基本米価が非常に安い、従つてこの基本米価を正確に算出いたしますまでのいろいろな諸条件がそろいますまでは、やむにやまれないからここに何かの名目をつけて基本米価の低いところを穴埋めをする、そういうことをしなければ、政府が必要とする所要量の供出農民に求めることが困難でないか、こういう考え方から、一つ消費者価格をすえ置き、一つ生産者価格をできるだけ償う価格に引上げて行く、この供出完遂奨励金を二百円から八百円に大幅に引上げました理由の根拠はそこにあろうと思つておる。そうではないのですか、その点伺いたい。当時あなたは農林委員として、自由党の農政を責任を持たれていろいろ三党間の交渉もされたことでありましようから、その間の事情一つ明確にしておいてもらいたいと思います。
  67. 平野三郎

    ○平野政府委員 まだ新任早々でございまして、正式のごあいさつも申し上げる機会がなく、たいへん恐縮いたしておる次第でございます。何分にも新任早々でありますので、まだいろいろ研究しておるような段階で、十分御満足の行くお答えができぬかもしれませんが、その点ひとつあらかじめ御了承いただきたいと存じます。  ただいまお尋ねの問題は、政治的に非常にデリケートな点であつて、その点井上さんは裏も表もよく御承知の上での御質問でありますから、その辺ひとつよく含んで御承知を願いたいと思いますが、これはもとより基本価格が安い、こういう観点から、これを上げるというような政治的な含みがあるわけでありまするけれども、いろいろな関係から、供出完遂奨励金ということで八百円を支払いする、こういうことになつたわけで、その辺をひとつよろしくお願いいたします。
  68. 井上良二

    井上委員 そういう精神で二百円を八百円に引上げたという政府考え方であることが明らかになりました。そうなりますと、この予算では、御存じのように義務供出千四百万石を見当にした予算化しかされておりません。ところが政府が本年内地産米供出を期待しておりますのは、二千百万石であります。それをどういうわけで一体義務供出十四百万石だけ供出完遂奨励金を出すことにしましたか。これが今まで事務当局の答弁によると、昨年も義務供出だけを対象にして来たからという一つの慣例的な答弁をされておる。ところが今あなたもお説明になりましたように、二百円を八百円に大幅に引上げたのは、基本米価が安いから、何とか他の方法によつてとつその安いところを償おう、こういう精神で六百円も大幅に供出完遂奨励金として出すことにしたのです。従つて政府は、義務供出超過供出との両方を農民に期待しておる以上、出ました全体量に対して、供出完遂奨励金石当り八百円出すというのが建前でなければならぬのに、どういう理由で一体義務供出だけを予算化したか、これはまた三党協定という公党の公約にも反することであり、公党の公約を裏切ることにもなるわけであります。これは政治上重大な問題になつて来るものでありますから、その点は政務次官としてひとつ政治的に責任を持つて答弁を願いたい。
  69. 平野三郎

    ○平野政府委員 先ほど基本価格が安いから、それで供出完遂奨励金という名前で出すというようなお答えをいたしたつもりではございません。いろいろ御解釈は御自由でございますけれども、もとより基本価格が安いからこれを上げよという要望は多々ありますことで、この点は政府としてもちろん承知いたしておりますけれども、この供出完遂奨励金は、あくまでも供出完遂奨励金という趣旨で計上しておるわけであり、従来も義務供出を対象として出しておるわけであります。またただいま三党協定の線に反するのではないかというお話でございますが、私どもとしては、三党協定の線に違反はしていない、かように考えておるわけでございます。
  70. 井上良二

    井上委員 えらいことを聞いたのですが、それなら伺います。基本米価が妥当な米価でないことは、平野政務次官もよく御存じのことであります。そのゆえに政府の方では、特別加算額をこれに加え、さらにその他のいろいろな奨励制度をとつて政治的に加算をして来ておるのです。もし石当り二百円の完遂奨励金を金でいいということならば、何も八百円にも引上げる必要はありません。従来二百円かそこらしか出していなかつた供出完遂奨励金を八百円にも引上げたという理由は、基本米価が低いというところから出発しておる。そういうことから考えました場合は、農民供出全体量に対してその考え方をあてはめて行くという政治的考慮が必要であります。また今あなたが御答弁にたりましたようなことは、はなはだけしからぬ答弁であつて、一体義務供出完遂奨励金というのは、法律上どこにそんなことを規定してあるのか。少くとも国の財政支出をやります場合は、法的に法文化した明文の上でなければ行われないのであります。財政法なりあるいは食管会計の規定の中に、石当り八百円は義務供出量にこれを支払うという規定がどこにあるのですか、そんな規則も法律もありませんよ。単に政府事務的な取扱いによつてそれが行われておるのではないか。あなたの方であくまで事務供出だけにやるべきものだというなら、その法文を示してください。
  71. 前谷重夫

    前谷政府委員 事務的に法文の点について申し上げます。食糧管理注第三条第二項におきまして、政府が買入れ価格を決定すると申します場合におきましては、これは基本価格でございます。その他の奨励金につきましては、国会の御協賛を得まして、予算の面におきまして、そういう基礎のもとに支出するという基礎なつているわけでございまして、予算の面から、奨励金でございますから決定されて参るわけでございます。
  72. 井上良二

    井上委員 だから基本米価の場合は、食管法第三条の規定で、そう解釈するということでいいのです。各種奨励金は、法文上期記されておらなければ、当然今の完遂奨励金全量にやるべきである。そういう精神で国公で論議をされ、三党においてもそういう話合いが進められている。それを義務供出だけに限るというのはどういうわけか。あなたの方は、どうしても義務供出よりほかには払えないという法的な明文が一体ありますか。そういうことはないではありませんか。完遂奨励金という意味は、御存じの通りそういう政治的な考慮が払われて予算化された以上は、政府が買上げます二千百万石全量に対して支払うべきが当然であろう。それをあなた方の御都合によつて、これは義務供出だけにしかやれぬのだ、そういう以上は、法文的にはつきりしておれば、法律でこうなつているということによつて言われなければならない。そんな法文は明確にないじやないか。あなたは第三条々々々と申しますが、第三条にはそんなことは書いてありませんよ。
  73. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは井上委員もよく御承知のように、奨励金につきましては、食糧管理法に規定はございません。これは一般奨励金においても同様かと存じます。これは予算の歳出におきまして奨励金の支出が決定されるわけでございます。その当時においては、作況が不明でございましたが、一応その当時におきます義務供出高は二千五百五十万石と予定されておつたわけであります。成立予算におきましては、その二千五百五十万石の義務供出量に対して、八百円で二百四億というものが予算の面において歳出をいたします場合の基礎なつているわけでございまして、その当時からもやはり義務供出量として予定された二千五日五十万石に対する量というふうに了解をいたしているわけでございます。
  74. 井上良二

    井上委員 そうすると、政府は予算的にそうなつているからという政府の一方的な解釈でそういうことを言われるのだと思いますが、もし国会で二千百万石に供出完遂奨励金を払うべしという法案が通過した場合は、政府はこれをやりますか。
  75. 平野三郎

    ○平野政府委員 それはもちろんでございます。
  76. 井上良二

    井上委員 次に伺うのですが、これも昨日来の本案審議の上でまだはつきりした政府からの答弁がございません。と申しますのは、御存じの通り本会計年度末までの食糧管理特別会計内における赤字の操作は、何とかつじつまが合うように予算的に措置がされておりますけれども、二十九米穀年度中の四月以降に出て参ります赤字については、何ら方針がきまつてないのであります。問題は、当然来米穀年度、来会計年度関係のある問題であつて一月に六百八十円を七百六十五円に上げるということは、大体予算で明らかにされておりますが、そのことから来まして、その後においてかりに七百六十五円のままで十月末まで参りますと、食管会計の中には三百億余りの赤字が出はせぬかという推定でございます。そうしますと、その三百億は食管自身にも、含み資金はほとんど本会計年度で使い果してしまつたのですから残つたとしても、あとわずか千億くらいしかないという非常にきゆうくつな状態に今会計は置かれておりますので、当然四月以降に米価を値上げするか、それともこの三百値は一般会計から繰込むかということでないと、食管の赤字をどうして穴埋めするかという問題がここに起つて来る。これは当然来年度予算に関係のあることですから、本年中に何とか結論をつけなければならぬ問題です。その見通しがはつきりしないのに、現在の米価の値上げを国会が認め、食管会計内における赤字の実情を国会が承認するわけには参りません。だからその見通しを明らかにしてもらいたい。一体米価を上げる方針か、それとも一般会計から繰入れるのか、どうするのですか。
  77. 前谷重夫

    前谷政府委員 法的に御説明申し上げますが、これは井上さんも御承知のように、大体二十八年産の米につきましては、四月以前にほとんどこれが収買されるわけでございます。それに要した支出は三月末までに全部出ているわけであります。二千百万石のうち、昨年度状況から見まして、二十五万石分が、これが二十九会計年度にずれるだけでありまして、そのほとんど全部を二十八会計年度中に政府が買うわけでございますから、先般御説明申し上げましたように、見込まれるその赤字は二百九十四億でございます。二十五万石分につきましては、約五億円程度超過供出関係、減収加算の関係で出て行くというように考えているわけでございまして、その点につきましては、先般も御説明申し上げました次第でございます。
  78. 井上良二

    井上委員  私は本年度産米の政府買入れ、また売渡し等による収支の内容を聞いているわけじやないのです。政府から出しております資料によると、四月以降二十九米穀年度中において赤字がこれこれ出るということが言われておりますが、二十九米穀年度で、四月以降十月末までの間に食管会計の赤字は何ぼ予想されておりますか。それを明らかにしてもらいたい。
  79. 平野三郎

    ○平野政府委員 来年度の食管の赤字が相当出るじやないか、それについて政府はどう処理するのか、その見通しを言え、こういうお尋ねでございますが、これはお話通り、消費者米価政府の予定しております引上げを行いましても、なお相当の赤字が出ると存ずるわけであります。目下その処理につきましては検討いたしているわけでありまして、いずれ来国会には、来年度の予算を提出いたしまして御審議を煩わすことに相なるわけであります。その中ではつきりといたすわけであります。また必要なる法律案につきましても、予算案と関連をして来国会提出をして御審議願う、こういうことで目下検討を進めているようなわけでございまして、ただいまのところ、具体的に詳細その内容をここで申し上げるという段階に至つておらぬわけでございます。ただいま御審議を煩わしておりますのは、とりあえずこの供出完遂奨励金八百円のうち、三党協定の線によります四百円を一般会計から食管に繰入れるというだけの法律案の御審議を願つているわけでありまして、どうかとりあえずこの法案は成立をさせていただきまして、いずれ井上さんの御要望の点につきましては、来国会におきまして詳しく御説明を申し上げまするから、それでひとつ御了承いただきますようにお願いするわけであります。
  80. 井上良二

    井上委員 私は、まだ政府が来年度予算を編成したものじやありませんから、そのことでとやかく議論を取越し苦労的にするわけじやありません。ただいま提案をされております一般会計から特別会計に繰込むのについて、食管会計ではかような操作をいたすけれども、なお一般会計からこれだけ繰込んでもらわぬと食管会計の操作ができない、こういうお話でございます。そこでその内容を調べて見ると、一月から消費者価格は約八十五円ほど引上ける、こういう一つの想定に立つております。八十五円ほど引上げて、本年度の会計年度末までの帳じりの審議をここに求めておるわけです。ところがその後どうなるかというと、その後やはり赤字が出て行く、それならばこの消費者米価の引上げや、あるいはまた一般会計から繰入れるという問題がこれに関連しておるのです。この会計年度だけで、来年には食管会計に全然赤字が出ないというのならば、それはあなたのおつしやるように、われわれは来年度のことまでとやかく政府の政策がまだきまらぬうちに申し上げる必要はない、必要はないですけれども、現実に政府みずから、この消費者米価を十キロで七百六十五円に上げるとひとつ想定しているだけで、はつきりこれは上げると決定したものじやありません。そういたしますと、どうしても国からの予算的措置が国難であるという見通しがあるならば、消費者米価をもつと上げるとか、それとも反対に国から財政負担が相当期待ができるというならば、消費者米価をもつと上げるとかいう根本問題が起つて来る。もしこの問題を一挙に解決せずに、来年に持ち越したという場合になつて来ますと、国家的な財政負担が食管会計においてできないということになつた場合には、再び四月一日からまた値上げをするか、そうでなかつたならば、何か他の資金的措置を講じて、食管の赤字の穴埋めして行く方針を立てなければならぬ。そういうぐあいに、この米価の値上げ問題にからみ、財政負担の問題にからむ問題は、当然予算審議に関連ありとして私は質問しておる。しかも政府は、本年度中に何とか来年度予算の骨格を明らかにせなければならぬ。その上において一番大きな問題は、消費者米価をどうするかという問題が大きな一つの問題になつて来る。それがまだ方針がきまつていない。来年の方針がきまつていないのに、今年の消費者米価をこの程度に置いておくというのがおかしいじやありませんか。全体は来年度との関連もある食糧政策であります。御存じのように、食糧年度は来年の十一月まで一定の会計のわくを持つておる。その会計のわくの中において論議をしておることを、来年に関係のある問題でも、今言うわけにいかないというわけに行きません。あなた方が今ここに出して来ておるのは、二十九米穀年度の予算と違うのですか。
  81. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話通り、まさに関連をしておりますが、関連といえばすべて関連をするわけでございまして、もちろん井上さんのおつしやる通りでございますが、しかしながら、来年度の予算につきましては、財政全体の立場から検討しておるわけでありまして、これがどういうふうになるかということは、まだ申し上げる段階に至つておりませんことは御了承いただいた通りであります。しかしながら、来年度の消費者米価がどういうふうになり、またその結果赤字がどの程度生ずるか、あるいは生じないかということのいかんにかかわらず、この法案は二十八年の分であり、これはどつちにいたしましても、やらなければならぬ。かように政府考えておるわけでありまして、この法案がどういうふうになりましても、来年度と関連はありますけれども、しかしながら、さればといつて、これはこれで独立したものであるという解釈に立つて、これはひとつ御承認を賜わりたいと重ねてお願い申し上げるわけでございます。
  82. 井上良二

    井上委員 食管の金を操作する含み資金はどのくらいあつたらいいですか、おわかりですか。
  83. 前谷重夫

    前谷政府委員 御承知のように食糧特別会計といたしましては、現金の面におきましては、売却によります収入と、それから食糧証券つによる借入れと、両方でキヤツシユの面をまかなつておるわけであります。これは井上さん御承知のように、食糧の買入れの方は、一年間のうちの前半期に集中して参ります。それからあと四月以降は、これは売却という形になつて参りまして、むしろ糧券が縮小して参るという傾向になるのであります。四月一日以降におきます、つまり三月三十一日におきまする持越しと見合いまして、食糧証券の残高を千九百五十億というふうに考えておるのであります。ピークは、もちろん法律の規定によつて二千四百億のピークはあるわけであります。これはごく短期的なものでありまして、これが回転して、年度末において千九百五十億の残高になる、これはだんだん手持ち食糧が売却されるにつれまして縮小して参る、こういう形になるわけであります。
  84. 井上良二

    井上委員 そうすると、平野政府委員に最後に伺うのですが、こういうように解釈したらいいですか。もちろんこれは一つの想定でございますけれども、四月以降において食管会計に赤字が相当出るということが予想されておる。その赤字の穴埋めについては、もし一般会計からこれが穴埋めをされることが非常に困難である――大蔵大臣の明年度予算の骨格を予算委員会で伺いましたけれども、米価値上げに伴う食管会計の一般会計からの負担という問題については触れておりません。それで三百億以上に余る赤字ということになれば、来年度の財政要求としては相当大きい金額になるものであります。だから一般会計からもしこれが補填できないということになつた場合に、四月以降に再び消費者米価は上げられるということに覚悟しておつていいですか。
  85. 平野三郎

    ○平野政府委員 今のところ政府としては、そういうことは全然想定はいたしておりません。
  86. 井上良二

    井上委員 政府は想定いたしていなくても、現実を無視するわけには参りません。今あなたはそういう御答弁であつても……。だからあなたの方は、おれたちは、今日消費者価格を上げたんでは、インフレになつて行く大きな要素になるから、少くとも農林省としては、この一月に上げる以上は、来米穀年度、すなわち二十九米穀年度の終るまでは再び消費者価格は上げぬということをここで言い切れますか。それなればわれわれ安心します。そうでない限り、どうもあなたの言うことはたよりないじやないか。だから農林省としては、少くとも消費者の家計を守つて行くという立場から、再び四月以降においてでも、二十九米穀年度の終るまでは断じて消費者米価は上げない、上げささぬようにわれわれは全力を上げるということが言い切れますか。そこをもう一ぺんはつきり御答弁を願いたい。
  87. 平野三郎

    ○平野政府委員 これは井上さん、ひとつ政治責任を追究するようなことなしに聞いていただきたいと思うのですが、これは私の個人意見と申しますか、あるいは農林省意見と申してもよろしいけれども、私どもは、今年の作況は稀有の大凶作でありまして、いわば国家が一つの病気になつたようなものであるから、従つてその場合においては、相当一般会計で負担することも、あるいはまた食管の含み資産をこの際ある程度食うということも、やむを得ない。そのためには消費者価格はできるだけ引上げないようにして行きたいという希望は持つているわけであります。しかし政府としては、まだ最終的な結論には逃しておらぬわけでありまして、十分検討した上で、また別の機会にお答えを申し上げるようにいたしたいと存じます。
  88. 坊秀男

    ○坊委員長代理 井上さん、愛知大蔵政務次官は今連絡いたしまして、連れて来るようにしておりますから……。     〔坊委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となつております三法案中、食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきましては、以上をもつて質疑を打切られんことを望みます。
  90. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、右案に関しましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。  これより食管管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるための一出会計からする繰入金に関する法律案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。佐藤觀次郎君。
  92. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 わが党は、生産者米価一万二千円、消費者価格すえ置きという立場を堅持しております。しかるに政府は、米価審議会の決議を無視し、米価を生産基本価格七千七百円という低い価格に押え、しかも消費者価格を値上げいたしました。これは明らかに米作者農民を無視すると同時に、今米価のために苦しんでおる一般消費者に対して、多大の犠牲を払うという点におきまして、本法案に反対をするものであります。
  93. 千葉三郎

    千葉委員長 井上良二君。
  94. 井上良二

    井上委員 ただいま上程されました食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に反対をいたします。  政府は、本法案によつて供出完遂奨励金石当り八百円のうち、四百円を義務供出量千四百万石に限つて、五十六億を一般会計から食管会計に繰入れんとしているのでありますが、政府の今年度産米の生産者価格の決定は、拡大再生産を償うに足る価格でなくて、生産農民の要望を踏みにじつて、単に勤労大衆の低賃金を維持するということのために、農民の手から必要量政府供出さすための低米価でありますために、われわれはこのやり方にはまつたく反対であります。しかも前国会において、二重価格の精神にのつとつて生産者価格はできるだけ生産費を償う価格に接近するという精神から、供出完遂奨励金は八百円に引上げたにかかわらず、それを単に義務供出分だけに限定して、超過供出の分についてはこれを除外いたしております。またかくのごとき現実の事態からして、この公党が国会において他党との間に協定が成立した以上は、当然政党政治の建前から、政府はこの協定の精神にのつとつた政策を打立てることが必要であるにかかわらず、まつたくこの公党の立場を蹂躙して、これと相反する予算的措置がとられておることに対して、われわれは非常に遺憾とするところであります。しかも一方政府は、低物価政策によつて貿易の振興をはかり、国際収支の均衡をはかろうとする重大なる国策に当面しておるにかかわらず、米価引上げという措置に出でようとしておるのであります。このことは、政府みずから、今度の米価改訂がごくわずかの値上げであるので、消費者家計にそう大きく響かないと申しますけれども、一方私どもの考えから申しますと、政府供出対策よろしきを得ないために、内地米の供出が意のごとくならず、年間所要量を事欠く状態となり、ために内地米の配給率はどんどん下つてつて、その反対に外米輸入を増大しておる現状であります。内地米の配給量が少くなり、米食い率が下るということは、それだけやみ米に依存する度合いを高めて参る。一方また外米が内地米にかわつて配給されるといえども、粗悪な外米では、とうてい日常必要な栄養を確保できぬ関係から、当然蛋白脂肪給源に大きな経費を費さなければならぬ関係があつて、消費者は、この政府食糧政策の結果非常に大きく負担を増大されることが見込まれる。このことは、またはね返つて給与べースの改訂の要素をつくり、物価をつり上げ、貿易を不振に陥れる要素になつて行く危険をはらんでおるのであります。一方ただいまも質疑をいたしておりましたように、本米穀年度においてさらに三百数十億の赤字が出ることを予想されておるのに、それに対して何ら予算的、財政的方針も明らかにされていない。かようなずさんきわまる法案に私どもは賛成するわけには参りませんから、ここに一応反対の意思を明確にして、本案に反対をいたしておきます。
  95. 千葉三郎

    千葉委員長 討論は終局いたしました。  これより本案の採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  96. 千葉三郎

    千葉委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に漁船再探険特別会計における特殊保険及及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。
  97. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となりました漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案につきましては、この際質疑を打切り、討論を省略してただちに採決に入られることを望みます。
  98. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、右案につきましては質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。古案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔、総員起立〕
  100. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて右案は原案の通り可決いたしました。  次に、一般会計歳出財源に充てるための米国日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。
  101. 井上良二

    井上委員 この際簡単に米国日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案について、二、三質問いたしたいと思います。一般会計に十三億三千四百六十五万円を繰入れるということでありますが、これを二十八年度予算に繰入れる、こうなつております。二十八年度予算のどの項目に一体これが繰入れてあるかということを調べてみましたけれども、十三億もの金を繰入れるのに、その予算項目が歳入の面で明らかになつておりませんが、これはこの歳入のどの部分に入つておりましようか、それを一ぺん明らかにしてください。
  102. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。雑収入の中に入つております。
  103. 井上良二

    井上委員 この会計は昭和二十四年度からできたように考えておりますが、それ以前にこの二十二億なんぼというのが出ております、それが前の引継ぎはどうなつておりますか。  それからいま一つ時間を急ぐようだから追い詰めて聞いておきますが、一体この売払いのおもなる品目、それから払下げのおもなる品目、同時にその金額を品目別に大体わかつておるなら大方説明を願いたい。
  104. 若江幾造

    ○若江説明員 お答え申し上げます。ただいまの第一点でございますが、援助物資特別会計昭和二十五年度からできまして、それまで、その前年度昭和二十四年度に貿易特別会計援助物資勘定として経理しておりました二十四億円何がしを引継ぎまして、現在まで経理して来ておる次第であります。で、二十二億と井上委員がおつしやいました金額と多少相違しておるのでございますが、二十四億円を貿易特別会計から援助物資特別会計が引継いで現在まで処理して来ておるわけであります。  その次に払下げの物資のおもな品目等でございますが、これはいわゆるガリオア、イロアでなしに、軍払下げの方を指摘しておられるようであります。
  105. 井上良二

    井上委員 こまかいものがなかつたら、資料で出してください。
  106. 若江幾造

    ○若江説明員 それでは資料として提出いたします。
  107. 井上良二

    井上委員 それでは、事務次官に一点伺つておきます。これは予算委員会でも問題にしたのでありますが、例の他出・ロバートンン会談で、対日援助の問題が取上げられて、池田さんはこれを日本の負債でと言うて承諾して帰つて来たらしい。ところが今まで政府では、これはアメリカ日本救済のための援助であつて、負債的な義務を負わされる性質のものではないが、単にああいう困つたときに助けられた恩があるから、だからそれを道義的にやはり負債として見積るかどうかというようなわけで、政府としてまだこの問題に対してはつきりこれを負債だ、いわゆる債権、債務の関係が従来明確に政治的に国会で解決されてなかつたのであります。それを池田さんは、吉田さんの個人の使いで行つて、これを債務だと言うて帰つて来るということは、どういうことです。そんなことを大蔵省はどこできめおつたのですか。そういうことをはつきり政府では方針をきめたことがありますかありませんか。それで今後かりにアメリカからそういうことを要求されても、これは道義的には、非常にお世話をかけたのでありますから、それはいろいろ御援助願つてありがとうございましたとたびたび国会でも感謝決議をやつて、マツカーサーまでにお礼の決議案を出しておるくらいである。国民の意思はすでに表示されておる。それを今ごろになつて金くれとは何ちゆうことを言うのだ。そういう点から、これは道義上の義務としてわれわれはアメリカにはお礼を申し上げるが、それを物権債権として取立てを受けるということについては、アメリカの占領政策の必要上やつたことであつて、もしアメリカがそれをやらなかつたら、日本はソ連に行つておるかわからぬ。そういうような政治上まことに重大な段階に置かれておる日本の地位をアメリカが理解をして、アメリカが助けなんだらいかぬということで占領政策上やつたことなんです。それを独立国になつた今、これだけ貸してあるから返せ、そういう言いがかりがありますか。断じて許せぬ。この点は、大蔵当局としてはどう一体解決するつもりか、そういう点、内閣に対してどう要求するつもりか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  108. 河野一之

    ○河野説明員 占領中に受けました援助というものは、これは事実行為として、食糧その他のものが援助として送られて来たわけであります。この問題をどういうふうに今後解決すべきかということについては、いろいろ考え方もありますが、これは総理も、あるいは現内閣におきましても、この援助というものは債務と心得ておるということで、はつきりこれは債務であるというふうに言つているわけではございませんが、とにかく政府としては債務と心得ておる。これを法律上の債務にしますには、憲法八十五条の規定によりまして、その国会の承認がいるわけでありまして、そういつた段階において初めて確定的な債務になるものと考えております。池田政調会長がどういうふうなことをおつしやいましたか、私は存じ上げませんので、この点につきましては私は何とも申し上げるわけには参りません。
  109. 春日一幸

    ○春日委員 これは重大問題だと思います。それは、今、政府並びに吉田総理も副総理も債務と心得ておるというふうに述べておるので、従つて池田さんがそういうふうに考えてもさしつかえあるまいという河野次官のお話でありますが、これはあなたがよく速記録を勉強なすつていないことを示すものであつて、第十六国会の決算委員会においてこの問題が大きく取上げられました。憲法八十五条は、やはり国会の議決によらなければ、国は債務を負うことができない。従つてこの債務は法律的な債務ではなく、やはりその前提条件であるところの国会の議決を経ておらないので、従つて政府がこれをいとも手軽に債務と心得ておると言うことはけしからぬという追究が行われました。その結果緒方副総理がだんだんと答弁をかえて行つて、その間には佐藤会計検査院長も意見などを述べて、やはり国が債務を負う場合には、憲法八十五条の国会の議決を必要とするが、その議決が行われていない現段階において、政府がこれを法律的な責務、物権的な債務と見ることは誤りがある、こういう指摘が行われて、そこで緒方副総理は、ならばこれは精神的な債務である、ただ何となくアメリカに負うところがあるという意味の債務、こういうぐあいには言つておる。ところが池田さんがロバートンン会談において確認されたということは、法律上の物権的債務という形になつておるので、そのことを井上委員指摘しておられる。従つて、そのことは、明らかに政府が債務と心得ておるから、この池田さんがそういうことを述べられたのであろうということは、これははなはだしき河野次官の誤解、不勉強によるものであつて、これは明らかに決算委員会において、政府責任において緒方副総理は精神的な債務と心得ておるのであつて、物権的、法律的債務ということについては訂正をする、こういうことになつておる。だからそういうような御答弁は事実にそぐわないものであつて、しかも池田さんがロバートンン会談において確認されたということは、重大な問題になつておるのでありますから、この点をひとつ認識を改めてもらつて、明らかにこれは池田さんの誤てる確認事項となつて、政治的責任が追究されることになつておる。どうかそういう御答弁は御訂正を願つておかなければならぬと思います。
  110. 河野一之

    ○河野説明員 私は池田政調会長がどういうふうに交渉されたのか、あるいはどういうお話があつたのか存じませんので、その点につきまして私とやかく申し上げる権限もありませんし、事実も存じませんので、御了承願いたいと思います。
  111. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となつております一般会計歳出財源に充てるための米国日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案につきましては、質疑も大体尽されたと思いますので、この際討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  112. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、右案につきましては質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに御採決に入ります。  右案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成著起立〕
  114. 千葉三郎

    千葉委員長 起立多数。よつて、右案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  次会は明八日午前十時から開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十七分散会      ――――◇―――――