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1953-12-03 第18回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月三日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 大上  司君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 佐藤觀次郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    黒金 泰美君       島村 一郎君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    三和 精一君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    久保田鶴松君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君  委員外出席者         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         検     事         (参事官)   吉田  昂君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         参  考  人         (保全経済会理         事長)     伊藤 斗福君         参  考  人         (保全経済理事         証券部長)   牧原 四郎君         参  考  人         (保全経済会理         事長室長)   松本 辰雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  金融に関する件(保全経済会に関する件)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず御報告いたしておきます。昨日の委員会におきまして、国政調査のための小委員会を四つ設置いたしまして、その小委員会及び委員長選任につきましては委員長に御一任を願つた次第でありますが、本日決定いたしましたので、この際御報告をいたします。すなわち税制に関する小委員長として淺香忠雄君、金融に関する小委員長として内藤友明君、専売事業に関する小委員長として井上良二君、国有財産に関する小委員長として佐藤觀次郎君にそれぞれお願いいたします。なお各委員につきましては、公報においてこれを発表いたします。     —————————————
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、金融に関する件を議題といたします。本件に関しましては、最近休業のため問題となりました保全経済会の問題につきまして、責任者である伊藤斗福君並びに業務執行責任者として、同会の理事であり証券部長である牧原四郎君及び理事長室長松本辰雄君の三名を参考人として出席を求めておりまするので、これから三君の意見を拝聴いたしたいと存じますが、三君に対しましては、保全経済会の問題につきまして忌憚のない意見を開陳せられるようお願いいたしますと同時に、議事進行衆議院規則趣旨に従いまして、発言は本委員会におきまして意見を聞こうとする問題の範囲を越えないよう、また発言の際は、委員長の許可を受けられるよう御注意を申し上げておきます。なお御意見聴取方法といたしましては、問題の性質上質疑応答の形をもつて進めて参りたいと存じますので、この点を御了承願います。  それではまず委員長の私から、参考人方々に本日当委員会に御出席を願いました趣旨について簡単に御説明を申し上げた上で、質疑に入りたいと存じます。  当大蔵委員会は、立法府であるこの国会におきまして、政府金融行政面を監督する立場にある委員会でありますが、保全経済会が去る十月二十四日突如として休業を声明し、組合員出資に対して支払いを停止して以来、全国各地出資者の動揺はことのほかはなはだしく、国会に対しましても毎日のごとく善処方を要望する旨の書面が参つており、または口頭をもつて陳情される方々相当数に上つておる次第でありまして、大蔵委員会といたしてはこれを放置するに忍びず、先国会以来その実情を調査して参つた次第であります。一体保全経済会事業は私企業であり、いわば純然たる自由営業とも言うべきものでありますから、われわれはその事業自体に干渉する考えも、またその理由もありません。従つて損害をこうむつた出資者に対してはまことにお気の毒ではありますが、これを救済したり保護したりするよう考えは毛頭持つておりませんが、しかし保全経済会理事長である伊藤君にしてみれば、誠心誠意、全カを尽して出資者損害を少しでも少くしようとしておられる気持はわかりますし、またこれは当然の責任かと考える次第であります。大蔵委員会といたしましては、今後再びこのよう善意大衆不測損害をこうむることの絶対にないよう、この際実情を十分調査いたしまして将来に備えることが必要であり、かつ適切な措置であると考えたことが、参考人として御出席願つた第一の理由であります。  次に第二の理由といたしましては、去る十一月の一日の法務委員会におきまして、法務委員古屋貞雄君が、第十三国会のときに、大蔵委員会保全経済会から委員が招待を受けたときに、莫大な現金をおみやげにもらつてつて来たということを、そのときの友人である大蔵委員の一人——深澤義守君のことを言うのでありますが、その人から、そういう事実があつたかどうか知らないが、承つたという発言をしておるのであります。深澤義守君を当委員会に証人として喚問いたし、その真相をただしましたところ、同君はまつこうからそういう事実を否定しておられるのであります。そこでこのことは、一応当事者である保全経済会理事長である伊藤君から直接そういう事実の有無をお尋ねする方が、事態を明瞭にする上におきましてきわめて必要なことであると考えまして、御出席願つた次第であります。  以上の理由によりまして参考人出席を求めた次第でありまして、これから質疑に入りたいと存じます。まず委員長の私から総括的な質問をいたしまして、その上で各委員方々から補足的な質疑をしていただくことにいたしたいと存じます。  第一に、保全経済会性格について伊藤君にお尋ねいたします。保全経済会定款によりますと、その第一条に、「本会保全経済会と称し、商法第五三五条乃至第五四二条の規定に基き設立する。」とありまして、一応商法匿名組合規定によつて設立したものであることを明らかにしておるのでありますが、当委員会といたしましては、この点非常に疑問を持つておる次第でありまして、去る十一月十七日の当委員会におきましては、犬養法務大臣出席を求め、保全経済会がはたして匿合組合であるかどうかをただしましたところ、法務大臣は、保全経済会なるものは厳密なる匿名組合ではないと明言せられておるのであります。あなたは商法上にいう匿名組合なるものをどういうふうにお考えになつておられるのであるか、また保全経済会がはたして商法上にいう匿名組合であるとお考えになつておるかどうか、この点についてまず御答弁を願います。
  4. 伊藤斗福

    伊藤参考人 ただいまの質問に対して答弁いたします。それに先だちまして、今般かよう事態を招来させて、本委員会を煩わしたことを深く恐縮に存ずるものであります。どうぞ今後とも私の意のあるところをおくみとりいただきまして、多くの出資者のために御協力あらんことを切にお願いいたします。  さて本問題の答弁でありますが、商法上の匿合組合有無とありますが、もとより私といたしましては、商法上に出ておりますところの匿名組合だと存じております。ただ違うという点がどこにあるか私にはわかりませんので、その点をおつしやつていただければ、私の知つている範囲内でお答えできると思います。
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 これは後ほど補足いたします。  第二に保全経済会休業によりまして、現在全国各地の十数万に達する出資者のこうむる影響は、社会的に見て実にゆゆしい問題であると考えておるのでありまして、われわれのところにも、毎日のよう救済のための陳情が参つておりますが、伊藤君はこれが善後処置をいかに考えておられるか、また現在の心境につきまして、率直なる気持を披露していただきたいと思います。
  6. 伊藤斗福

    伊藤参考人 出資者に対しましては、まことに申訳ない仕儀に至つておると恐縮に存ずるわけでありますが、今後はしからぱどのようにするつもりであるか。これはもとより不肖伊藤の一身上のことにつきましては顧みる余裕はないと、今まで思い、かつ今日までひたすらに全出資者をいかにして今日の状態から一日も早く救うようにするかしか考えておりません。今後どういうようにしてしからば救うかということになりますと、ひたすら皆様方の賢明なる御判断と熱烈なる御援助によりましてお救い申し上げたいと、ただ今後は一身を今まで同様なげうちまして、皆様方にお願い申し上げたいと存じております。
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 第三点は、新聞、ラジオの報ずるところによりますと、あなたは出資者に対しまして、政府救済融資ができるとか、あるいはこれを保護する法的措置、すなわち立法化の実現が近いとかいうようなことを言つておられますが、一体これは何を根拠としてそういうことを言つておられるのであるか、この点の御答弁を願います。
  8. 伊藤斗福

    伊藤参考人 第一の質問政府救済云々でありますが、もとより私自身自分の不始末をたなに上げまして、ひたすら政府当局にその責任を嫁そうとは思つておりません。私が一日も早く救いたいという気持が、また必ずや皆様方がこの問題を——今日いろいろデマが飛んでおります。一例を申し上げますと、やれ怪文書事件のごとく、ただ何かしら献金とかなんとかあるから、思うよう当局ができないんじやないかとかなんとか言われております。かようなことは全然私のあずかつて知らぬところであります。さようなことが大きくじやまをしているんじやないかと思います。さような問題がなくなりさえするならば、これがはつきりさえするならば、おそらく国会の多くの賢明な諸氏といえども、何らか出資者立場でものを考えてくださるだろう、さよう考えておることが、たまたま表現上のあやまちでなかつたかと思います。どうぞその点を、この席上を通しまして明らかにいたしますから、皆様方もさように御処置いただきまして、より一層の御支援をお願い申し上げたいと存じます。  次に、立法化の問題であります。これは大分さかのぼりますが、私自身がそもそも保全経済会を設立いたしました当時の心境を申し上げてみたいと思います。それは当時は、御案内通り日本占領国家でありまして、すべてのものが占領国意思によつて左右されておりました。文化にしても経済にしても、なかんずく教育方面まで、御案内通り戸籍までもかえられたのが当時の状況であります。それだけに、私自身生国生国でありますだけに、当然これは戦勝国の意のままにされてしまうんだと考えますときに、たまたま終戦前におきまして、私自身アメリカ投資銀行法なるものをいろいろ勉強しておりまた。それをあわせて考えてみますと、当然日本の今後の経済界は、アメリカ経済と同じようにされるのではなかろうかというところから、日本にも何とか投資銀行なるものをつくつてみたい。ところがかわいそうなことに、何としましても日本には法律がございません。自分がやりたいと思つてもどうにも手も足も出ません。そこで最もやりやすいと思う方法——今日の状態でやがて投資銀行ができるであろう時期に、何とか投資銀行をやつてみたい、やつてみるには、その基礎をまず固めなければならぬ。そのために、さしあたりありますところの匿名組合法によりまして、先ほど申し上げましたように、将来投資銀行なるものがアメリカの命令によつて日本金融経済に入りました場合に、横すべりしたい、さよう考えておりました。それがたまたま立法化根拠ような形になりました。ところが御案内通り、思いのほか占領期間が短かく、また同時に私の想像しておりました方向も大分不利になつて参ると同時に、違つて参りました。がしかし、一たびつくつたからには、またその方向が違つたからというて責任を回避できるようなものではございません。それだけに、何とか立法化しなければいかぬというのが、私の今日までの心境であります。どうぞその点も御参働いただけるならば、非常に出資者のためにも仕合せかと存じております。
  9. 千葉三郎

    千葉委員長 第四点は、第十三国会、すなわち昭和二十六年十二月の十日から二十七年の七月三十一日まででありますが、そのときに大蔵委員が熱海に招待されたということがいわれておりますが、こういう事実がほんとうにあつたのかどうか。この点について御答弁を願います。
  10. 伊藤斗福

    伊藤参考人 いわゆる世間に出ております単なるデマにしかすぎませんことを、神明に誓つて申上げます。
  11. 千葉三郎

    千葉委員長 以上をもちまして委員長総括質問は終ります。  これより委員各位質疑をお許しいたします。質疑は通告順によつてこれを許します。まず内藤友明君。
  12. 内藤友明

    内藤委員 伊藤さんは参考人としてお出ましいただきましたので、議論したり質問したりすることは許されておりません。ただありのままをお尋ねいたしたいと思うのであります。  まず大蔵委員会立場でありますが、大蔵委員会が初めて保全経済会の問題を論議いたしましたのは、昭和二十六年の七月二十八日のことであります。すなわち第十国会のすぐあとで、国政調査で私どもが七月十日から約十日間、四国地方に出かけたのであります。そのとき初めて保全経済会なるものがあるということを知りました。本店が東京にありまして、四国四県に四つの支店と十八の出張所を設けられて、堂々たる店舗と奨学資金などの支給、あるいは街路樹の寄付などと、大きな新聞広告をお出しになつて一般大衆から月三分の配当、期限三箇月という条件で、多額の資金を集めておられまして、これを株価の工作に運用しておるということがわかつたのであります。行きました先々の金融機関から、しきりに苦情が訴えられまして、また出資者の中にも心配のあまり、わざわざ私どもの宿屋をたずねられまして、保全経済会なるものの事業内容はどうかなどという質問を受けたのであります。そこでこのよう類似金融機関跋巵を放置するこことは、正常な金融機関の発煙の支障となるばかりでございません。一たび破綻に瀕しますれば、善意出資者大衆不測損害を与えることになりますので、七月二十八日大蔵委員会が開かれまして、まず私から、おそらくこれは今日の法律制度の盲点だと思うが、これに対して大蔵当局はどう考えているか、率直に述べられたいと申しましたところ、河野銀行局長はこれに対しまして、保全経済会は約十億の資金を集めていると思われる、不特定多数の個人からこのような形で資金を集めていることが、一体銀行法第一条にいつている預金の受入れになるかならないかということについて、目下法務府といろいろ研究中だ、しかし現行の法律でもし縛られないようなことであつたとしても、新しくこれに対する取締りの法規をつくることは、事実上監督する事務的能力がないのでというきわめて不安な答弁があつたのであります。そこで私ども大蔵委員会では、このような大蔵省の態度をきわめて遺憾といたしまして、その後も引続き特に大蔵大臣出席を求めて、ほとんど毎国会といつてもいいくらいこの問題を議論し、一日も早くこれに関する政府善処を要望し、また去る十六国会におきましては、金融小委員会を設けまして、不特定多数の者からの金銭による出資受入れの制限に関する法律案なるものを実は審議いたしたのであります。私どもは不特定多数の若からの金銭による出資受入れを行うことは、法律上明確な規定のある場合を除き、これを禁止すべきであるという見解を持つているのであります。はたせるかな、二年有余を経たる今日、われわれの危惧したことが現実事態となつて現われて来たのであります。政府当局の怠慢に対しまして、実は私どもは憤懣禁じ得ないものを感ずるのであります。  そこで私は伊藤さんにお尋ねしたいのでありますが、第一に、先ほど委員長質問に対しましてお答えになつ保全経済会性格を、ひとつお尋ねしたいのであります。あなたの定款の第一条に「本会保全経済会と称し、商法第五三五条乃至第五四二条の規定に基き設立する。」、とこう書いたあります。これは商法規定に基き設立された匿名組合であると書いてないのでありますが、これはどういう意味でありますが、匿名組合なのでありますか、それともただ商法規定によつてつくつた一つの団体か、その点をまずお伺いしたいのであります。
  13. 伊藤斗福

    伊藤参考人 何か専門的なことになるそうで、私にわからぬのでございますが、私はしごく単純でございまして、自分では匿名組合だと思つております。匿名組合によつておるのか、匿合組合なのかというと、さあどつちを言うた方が自分に有利であろうかということを実は考えたのでございます。私は法律の方はあまり詳しくありません。と同時に、先ほど法律論をここで論議するのじやない、議論するのじやないとおつしやつておりますが、匿名組合であると申し上げたい。
  14. 内藤友明

    内藤委員 匿名組合であるということをお聞きしまして、はつきりいたしました。そこであなたの定款の第六条であります。第六条によりますと「組合員規定従つて営業より生ずる利益分配をうく。但し商法第五三八条は之によつて妨げられない。」こう書いてあります。商法規定によりますと、決算したあと出資者利益をわける、こういう規定になつておるのであります。ところがあなたのこの規定は、両建であります。そうでない場合もそうである場合もやるということで、ただいま商法匿名組合とおつしやつたのであるけれども、この商法匿名組合適用をきわめてあいまいにされておられると私は判断するのであります。この商法の五百三十八条を排除しておるとは私は決して申しません。もし排除しておりますならば、これは銀行法適用を受けるのでありますが、それは排除してありませんが、両建になつておる。そこに実は問題を私どもは感ずるのでありますが、あなたの御意思は両建でありますかどうか、これをひとつはつきりお答えいただきたいと思うのであります。
  15. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今の質問事項は、まことに僣越でありますが、私自身のつまらない著書にも明らかにいたしております。ただ私がここで特に申し述べたいことが一つございます。それは商法上の匿名組合は、非常に経営者に一方的な法律になつております。国民の一人としまして、法律で許されるからというて、いわゆる法律上の処罰を受けなければいかようなことをしてもいいのだという人種を、最も私は軽蔑する一人であります。であるがゆえに、かような、言いかえれば少くとも何世紀か前の時代には最もふさわしかつたであろうけれども、今日のよう日本文化水準から行くと、最も悪法に近いものが残されておるものを、そのまま適用したくなかつたのであります。これは私の道義心が許さなかつた。それがために、最も出資者側に有利な点を、あえて私は自分の方で保証するということを確約したまでであります。そのために法律上どのよう見解をとられるか、その点は私は知りません。
  16. 内藤友明

    内藤委員 今のことは、あなたの気持はわかるのですが、商法によりますと両建では相ならぬのであります。これは一方だけなのであります。五百三十八条だけによらなければならぬのであります。ところが、あなたのお考えはそれはいかようにあろうとも、五百三十八条の適用というものは但書なんだ、付随なんだ、あなたの本旨は毎月定まつた利息を払うということを、うたつておられるのです。それは本末はいずれでもよろしいと思うのですが、そこで両建であるのかどうか、イエスかノーか、それをひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  17. 伊藤斗福

    伊藤参考人 その点は、私はつきりした商法上の規定を、今日記憶しておりません。ですからここでどういうふりに答えていいかわかりません。
  18. 内藤友明

    内藤委員 いや、商法上の規定じやないのでございますよ。これはあなたの定款なんです。それには、もう一ぺん読み上げましようか。あなたも御存じだろうと思うのですが、「組合員規定従つて営業より生ずる利益分配を受く。」これはあなたの原則なのです。「但し商法第五三八条は之によつて妨げられない。」そこでこの第五百三十八条というものを否定なさつておられるのではないかと、私はこの条文を見て解釈しておるのであります。そこであなたにお尋ねするのは、両建かどうか。つまり毎月利息はお払いになつておる。それから第十九条によりますと、五月末と十一月末が決算期になつております。商法規定を見ますと、五月末と十一月末に、利益があればみんなにわけてやるということでなければならぬのでありますが、しからば裏返してお尋ねいたしますが、五月末、十一月末に利益があつた場合、その利益出資者にわけておられますかどうか、お尋ねしたい。
  19. 伊藤斗福

    伊藤参考人 決算期ごとにはしておりません。
  20. 内藤友明

    内藤委員 それでは重ねてお尋ねいたします。ちよつとくどいようでありますが、お許しいただきたいと思います。そうしますと、現実には但書適用なすつておらない、こういうことですね。
  21. 伊藤斗福

    伊藤参考人 委員長、あまり複雑になりまして、さつぱり意味がわからないのです。何条々々ということは、私覚えておりませんので……。
  22. 内藤友明

    内藤委員 それではこの商法を差上げますから、ひとつ読んでみてください。
  23. 伊藤斗福

    伊藤参考人 たいへんどうも長くなりまして、恐縮でございます。やつと五百三十八条の意味がわかりました。これには——匿名組合あとの方でございますね。「組合員ハ利益配当請求スルコトヲ得ス」となつております。つまり、出資者配当を請求してはいかぬということになつております。ところがこちらは、もう配当すると約束してしまつておるのです。それでよろしいですか。
  24. 内藤友明

    内藤委員 そこで、しておるかおらぬかを尋ねたので、あなたは五月末、十一月末にしておらないということをお話になつたのでありますが、それでもういいのです。そこが大事なところなんです。  そこであなたに一つお尋ねしたいのですが、毎月三分の利息出資者出しておられます。そうすると、ここにこういう問題が起きて何るのではないかと心配しましてお尋ねするのですが、決算期が五月末、十一月末で、利益があるかどうかわからない。その途中に、そういう約束はどういうふうにしてなさるのか。利益があるのかないのかわからぬのに、その途中で、三分やるとか二分やるとか約束なさるのは、どういうところから約束なさるのか、それをひとつお尋ねしたいのであります。
  25. 伊藤斗福

    伊藤参考人 その点は、その決算期配当しないかわりに、月々に分割配当するわけです。しからば分割配当するとして、その利益が上るか上らぬかまだ未知数のものに対して、なぜ約束するのか、かよう質問かと思います。これはくだけて言えば、今日日本でも大分そうそうたる会社がありますが、まるつきり赤字だらけ会社が相当利益配当をしているかのように存じております。現実利益の上つていないものを、やるという場合もあるのです。これなどは非常にけしからぬのではないかと思いますが、しからばその人たちは、あとぶつつぶしてしまうつもりでやつておられるのかどうか、一度私聞いてから、私の方の考えも申し上げてみたいと思います。
  26. 内藤友明

    内藤委員 私はほかの会社のことをお尋ねするのではないのであつて、あなたが現実に毎月お出しになつておられる。——つておられるかどうか知らぬが、出すということを約束しておられる。これは、ほかの会社のことはどうでもいいのです。たこ配しているところがあるかもしれませんが、そんなことはどうでもよい。あなたが月三分利息をやるから出資しろ、こう言つておられるのだが、それは一体どういうことなのかを聞いておる。よそのことを聞いておるのではないのです。
  27. 伊藤斗福

    伊藤参考人 まことに質問の矢が急激でございまて、ちよつとたじたじというところでございます。何かうつかりしたことを言うと、また何か出て来そうでございますから……。もとよりよその会社のことを申し上げるのは、非常に手前がつてな言い分でございましたが、やはりその点は先ほど申し上げましたように、他の事業体はことさら言うほどのことはありません。もちろん自分ではそれだけの配当は確実にできるという気持がある。配当をするということは、これはやはり主観でございまして、第三者が違うじやないかと言うたつて、やはり財閥にならぬと言つたつてなつちやつたものもあるのです。とうていそんな商売はだめだからやめておけと言つたが、偉くなつちやつた、あのとき貸しておけばよかつたというのと同じで、私の方はできると思うから、やりました。
  28. 内藤友明

    内藤委員 それは、それ以上決してあとから鬼も何も出ませんから、安心してお答えいただきたい。そこで先ほど来私のお尋ねしたことに対するお答えによりまして、こういうことが言えるようになつて来たと私は思うのであります。すなわち匿名組合である。但し商法の要求しておる五月末、十一月末には配当しておらぬ。毎月配当しておる。こういうことになつて来ますと、そこがいわゆる匿名組合というものは擬装である、こういう感じがにじみ出て来るのであります。これはもう少しいろいろとお尋ねもし、何したいと思いますが、議論にわたりますから、その点はこの程度でやめておきます。どこからたたいても、擬装しておるというにおいが出て来ると私は思うのでありますが、それでもあなたはこれが匿名組合なりとしておられるのかどうか、それを伺いたい。
  29. 伊藤斗福

    伊藤参考人 それは内藤さんの主観でございまして、私の主観はやはり毅然としたものでございます。
  30. 内藤友明

    内藤委員 ただいまの問題は、一応私が疑問にしておりますことがはつきりいたしました。あとで速記録を整理いたしまして、私どもの参考にいたしたいと思います。わかつておらなかつたことが、よくわかりました。まことにその点ありがとうございました。  それから次にお尋ねいたしたいのは、十月二十四日に臨時休業なさいまして、預金者の大勢の方々から、委員長初め私どものところに毎日のようにたくさんのいろいろな手紙が実は舞い込んで来るのでありまして、これは私どもも非常に大きな関心を持つておるのであります。そこであなたにお尋ねしたいのは、休業を発表せられました当時の出資者の数は幾らおりましたか、それをひとつ……。
  31. 伊藤斗福

    伊藤参考人 十五万人ほどおりました。
  32. 内藤友明

    内藤委員 それから出資金総額は幾らになつておりましたか、十月二十四日現在において……。
  33. 伊藤斗福

    伊藤参考人 二十四日現在では四十四億六千万円くらいだそうでございます。
  34. 内藤友明

    内藤委員 実はその資産内容をもお聞きしたいのでありますが。同僚諸君もいろいろお尋ねなさることでありますから、これはひとつ私は省いておきまして、もし何か資料でもありますればいただきたいと思います。つまり不動産、証券、現金、そういうものについて……、  それからその次にお尋ねしたいのは、仏教保全経済会との関係であります。これは別個の人格のようにいろいろ定款の上から見られまするが、それはどういう関係になつておるのでありますか、それをひとつお聞かせいただきたい。
  35. 伊藤斗福

    伊藤参考人 私一人で立つたり、すわつたりで疲れますが……。
  36. 内藤友明

    内藤委員 済みませんな。
  37. 伊藤斗福

    伊藤参考人 でもしんぼういたします。これは性格が別と言われますが、扱い店は同じでございます。どこまでも性格は違いますが、扱い店は同じでございます。それと仏教信者のためにという意味合いで申し込まれた方には、マル仏という特別な扱いをしております。それに対して仏教保全会へ何がしかのコミツシヨンを出す。同時に仏教保全会はその費用によつて仏教教化運動の一部にする、こういう形でございます。
  38. 内藤友明

    内藤委員 それから仏教保全経済会資金の交流と申しますか、そちらの方で集めた金を保全経済会に持つて来るというような関係があるのかないのか、その関係はどうなのか、それもひとつ……。再々お立ちいただいてはなはだ恐縮でございますが……。
  39. 伊藤斗福

    伊藤参考人 仏教保全会というものは、新たに別個に店舗を持つておりません。ですから、直接金銭の授受はいたしておりません。保全会の店舗がたまたま帳簿上に区わけをしているだけでございます。ですから仏保の方では、直接に金銭の授受はしておらぬ、かように申し上げられると思います。
  40. 内藤友明

    内藤委員 そうすると、仏教保全会との貸借関係はないのでございますね。
  41. 伊藤斗福

    伊藤参考人 ございません。
  42. 内藤友明

    内藤委員 それからその次にお尋ねしたいのは、資産、負債のバランスでありますが、何か千億ほどの赤字になつておると聞いておるのであります。資産が三十五億で、負債が——負債というのは出資だろうと思うのですが、四十五億。不動産、証券のごときは、換価処分いたしますれば、これはどこでもまた減価するものと思うのでありますが、一体出資元金をどういうふうに返済なさるおつもりなのか。先ほど委員長のお尋ねに対して、誠心誠意やるとおつしやつたのでありますが、誠心誠意というのは、これは現実の金でも何でもないのであつて、どうなさるのか。現実に三十五億とか四十五億という数字が出ておるのでありますが、その操作をどうなさるのか。あまりほうつておきますと、これは経費がかかりますので、だんだんと誠心誠意が薄らいで来るのじやないかと思うのでありますが、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  43. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今の御質問は、赤字をいかにして返済するかということかと思いますが、さようでございましようか。
  44. 内藤友明

    内藤委員 そういうことですね。結局は……。
  45. 伊藤斗福

    伊藤参考人 これは再開しない限り、何十年かかつてもだめでございますね。
  46. 内藤友明

    内藤委員 その点については、同僚からいろいろお尋ねがあると思いますので、私は遠慮しておきますが、何か休業中にビルの建築をやられたそうですが、そういうものは一体どこから金が出るのですか。
  47. 伊藤斗福

    伊藤参考人 ビルの建築は、確かに中のものはございます。ただこれは、私としましては商売人でございますから、休業しておるというても、再開を考えないで休業しているのじやないだけに、何とか出資者方々に一応、なるほどあそこは大丈夫だなという安心感を与えること、もう一つは騒ぎを大きくさせぬ上にも必要だ、その意味で実質的な支払いはしておりません。それがために何か先方で大分困つているらしいんですが、まだ一度も支払つたこともありません。中には、わしの方へやらせろ、あれをつくつてやるから。支払いは再開後してもいいという話もありますが、それは実は断つておる状態であります。支払いはしておりません。
  48. 内藤友明

    内藤委員 その内容のことはいずれあとの人がお尋ねになると思います。そこで一つお尋ねしたいのは、この間新聞で見たのですが、何か出資者の二、三の人が裁判所の許可を得て、あなたの方の経理内容を検査するというので出かけたのでありますが、みごとにけんつくを食らつた、こういうことが新聞に出ておりましたが、これはどういうことか、ひとつ真相をお聞かせいただきたい。
  49. 伊藤斗福

    伊藤参考人 みごとにけんつくを食らわしたというのは、これは新聞社の方々がいますので、御忠告即し上げたい。どうかさような書き方を今後できたらしないでいただきたい。これはみごとにけんつくというと、何か知らん、傲慢無礼な態度のように見えるのでございます。それはもう真剣なものでございました。おだやかに、ここのところは何とか忍んでもらえぬだろうか、その理由はと申しますと、何分にも少人数でなく、十五万人からの財産であります。営業中であるならば、それは一人であつても見せてしかるべきかと思うのでありますが、何分にも休業中でもある、休業中というのは、ちようど私どもは被告台に立たされたよう考えておるのであります。その間に、少くとも全体の十五万の方々の財産をごく少数の人のために不見識にも見したりして、それが十五万の大多数のために不利益になるようなことがあつては相済まぬじやないかという気持から、全体の方がもし希望されるならばお見せもしましようと言うたわけであります。それともう一つ、こういう問題があるのであります。それは、前日に全国の出資者方々がちようど東京にお集まりくださつておりますが、その席上でも同じよう質問が出ておりました。われわれに資産内容を見せろ——まことにごもつともな話です。無理からぬことであります。ただその席上で私が申し上げましたことは、今申し上げました通りのこととあわせて、これはお見せもしましよう。但し、お見せするのは一向やぶさかではないのですが、皆様方がそれを写して帰られるなり刷りものにしたならば、必ず他の方にお見せするでしよう。次々とまわつているうちに、世間は広いもので、ためにしようとする方が悪用などされると、せつかく皆様方気持もとんだ方向に行つてしまう。財産がとんだ方向に行くおそれがあるから、全部の方に見せるということは無理だ。といつて逃げるのではないという証拠として、この際皆さん方の中から何人か選んでくれ、選ばれた方は財産管理委員会というものがございますが、その委員にしようじやないか。しかも選ぶのは、対外的にも、あそこはさくらを打つかなどと言われたくないので、皆様方に一任すると言いました。ただ、できるだけ少人数にしてほしい。きようここには、うしろの方に出資者の代表の方が何人かちらほら見えておるようでございます。そこで私どもつておりましたところが、翌朝リストを出してくれました。それはちようど全国で九地区でございますが、一地区から一人ずつ選任してくれました。なお理事長はごく少人数にしてくれという希望だから、われわれは理事長を信任する、だからこの中から何人か今度保全会の方で選んでくれ、こういう申出でありました。ちようどその日の午後に、たまたまああいう新聞出たような申入がありましたので、かような説明なども加えて、ここは何とか忍んでもらえぬだろうか、同時に裁判所としても、何分にもこういう際であるから、側とか慎重にひとつはかつてもらえぬだろうかというようなことを言いました。さりとて、いやしくも法治国家の国民として、裁判所が決定したものをむげに拒否するということは、とうていできるものじやないというような、自分気持の一端を披瀝しておいた次第です。
  50. 内藤友明

    内藤委員 その点はまた他の委員あとから御質面すると思いますが、そこでひとつ最後に伊藤さんに御心境を伺いたいのでございますが、実は毎日のように私どもの方に大勢の出資者の皆様から、いろいろな手紙が来るわけです。これは実はまことに重大な問題で、ひとり保全経済会の問題ではないと私ども考えておるのであります。従いまして、金融小委員会がこの委員会にも設けられまして、この問題につきましては善処して行きたいと思いますが、とにかく十億なら十億という数字が出ておる。これは一種の蹉跌であります。こういう事業に蹉跌した者のとるべき最善の処置というものは、一体どういうことでありますか。先ほど来あなたといろいろお話合いをしておりますと、どうも私どもは、あなたの良心の中には、ほんとうにまじめに、この十五万の債権者のために何とかしなければならぬという、心の底からあふれるものが何も悠じられなかつた。これだけは私はあなたにはつきり申し上げておく。それで私どもは、こういう類似金融がこれかれ続出することを考えますと、おのずから立法府としてわれわれがとるべき一つの考えがここにはつきり出て来ると思うのですが、どうもそういう点において遺憾千万であつたということを申し上げて、事態収拾に対して全責任者である伊藤理事長は、今日どういう御心境であるか、あくまでも、何年かかつてもという御心境でますます事態を悪くせられるのであるかどうか、それをひとつ最後にお伺いいたしたいと思うのであります。
  51. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今のお言葉は、ただ顧みて不徳のいたすところであると存じます。さりとてまことに心外でございます。この伊藤の態度に、また答弁に、何ら全出資者の深刻な気持をくみとることができぬと言われるならば、しからばいかようにしたら皆様方はくみとつてもらえるか。もしもここで、くみとるにはこうしろとおつしやるならば、即刻そのようにいたしても一向うろたえるものではありません。ただ、たまたまこういうことがございます。今の私の場合は、昔の古武士で参りますならば、腰を切つて見せることが一番よろしいように思われるかもしれません。ただ私は、自分が腹を切つただけで、差引計算出資者損害がゼロになるわけではないということを考えるならば、やはり自分が起した不始末というものは、自分がどこまでも責任を持つて、ちやんと建直してから幾らでもできることじやないかと存じております。ですから、もとより私自身は一身上のことはみじんも考えておりません。私自身は、これ自体が再建されるならば、いつ何どきでも潔く身を引く。幸い女房も内職などした経験もあります。子供らも裏長屋のつらさを味わつております。私もその方はなれております。ただ古巣へ帰れる喜びを持つているだけであります。古巣へ帰ることはちつとも恐れておりません。どのようにしたら皆様方が了解していただけますか。自分ではまないたの上のこいになつたつもりでおります。もしもお曲の態度が悪い、お前の態度を直すならばわれわれしてやろうじやないかとおつしやるならば、どういう方法でもいたします。
  52. 千葉三郎

  53. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 伊藤理事長にお尋ねいたしますが、われわれ大蔵委員会がこういう問題を取上げましたのは、御承知のように多くの出資者があり、しかもこれと関連したいろいろな事業がありまして、そういう問題についてどういう方法をとるかということが、非常に重大な問題でございまして、その辺について参考人としてお呼びしたわけでありますが、あなたは現在の保全経済会をどのよう方法で更生する策があるか、そういうお考えについて率直にお述べいただきたいと思います。それが第一点であります。
  54. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今のお答えをします前に、実は一昨日出資者代表の方々から、どうか委員会に出たらすべて謙虚にしてくれと、こんこんと頼まれております。どういう腹の立つことがあつても、こらえるつもりで参りました。ところが先ほどのような言葉がありますと、これ以上どういうようにしたら一体皆様方に了解してもらえるか。それがなければ、今後幾ら話をしても、出資者のためにならぬことだつたら、やつてもしようがないと思います。たまたまごく少数の方々がさよう思つておられるならけつこうでございますが、大多数の方が、なるほどあいつはちつとも責任を感じておらぬというふうにおつしやり、また考えておられるのでしたらば、幾ら説明しても、これは何ら出資者の役に立たぬ。出資者の役に立たぬ時間はつくりたくないと思います。
  55. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私は伊藤理事長に、心境のどうこうを聞いているわけではございません。今問題になつておりますように、十五万の出資者がありますが、この出資済のために、どういう方法でこれを救済されるかということを聞いているのでございまして、そのほかのことを私は聞いているわけではございません。はつきりしたあなたの、どういう方法救済されるかということをお聞きしているのです。
  56. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今の御質問に対しましては、幸いに私の方でもかねがねいろいろ研究しておりまして、ようやく試案というものができております。それなどももし御参考にしていただけるならば、提出してもけつこうだと思います。ただ今持つてはおりません。後日お届けしてもけつこうでございます。
  57. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それではあとで参考にいただきたいと思います。それから先ほど伊藤理事長から保全経済会ようなものを立法化するというようなお託がございましたが、どういう手段で、どういう方法でこれを立法化するようにお考えなつたか、その点お伺いしたいと思います。
  58. 伊藤斗福

    伊藤参考人 先ほどちよつと申し上げておきましたが、それでなお足りぬ点は、私自身当時少くとも戦後極端なインフレにあつて、国民が苦しんでおる、自分自身も苦しい、これを何とかみんなも一緒によくなるならばということ、それともう一つは、私は長い間保険界の外交をやつておりました関係上、いろいろ従来の資本家が一方的な方法をとつておる、いわゆる日本の資本主義のあり方について若干矛盾を感じたのです。もとより資本主義は私自身絶対に支持いたしますが、いかにせん資本の利益大衆に還元しない。私はどこまでも大衆に還元したい、少しでも多く大衆に還元したい。
  59. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大分私の質問と話が違つておりますけれども……。それから休業されましてから今日まで具体的にどういう処置をとられたのであるか、こまかいことはいりません。大きなところでこういう処置をとつた、あるいは政府救済方をお願いしたとか、そういう具体的な方法がおありであるかどうか、伊藤理事長にお答えを願いたいと思います。
  60. 千葉三郎

    千葉委員長 いいですか、お答えできますか。
  61. 伊藤斗福

    伊藤参考人 よくわかりません。
  62. 千葉三郎

    千葉委員長 佐藤さんもう一ぺんお願いします。
  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 休業されてから今日まで、保全経済会の更生策について、こういうことをやれば自分の仕事ができるとか、あるいは出資金を返せるというようなために、資金をどこかからお貸し願おうとかいうようなことをおやりになつたかどうか。
  64. 千葉三郎

    千葉委員長 いわば休業後のあなた方のとつた行動ですね、それを簡略に述べてほしいという意味です。
  65. 伊藤斗福

    伊藤参考人 具体的な方法ということになりますと、いろいろさしさわりもあるかと思いますので、御容赦願います。
  66. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 伊藤理事長は保全経百済会を今休業されておりますが、これを清算されるつもりであるか、それともまだこれを続けてやつて行かれる意思があるか、その点をひとつはつきりお答え願いたい。
  67. 伊藤斗福

    伊藤参考人 清算は考えておりません。それは出資者に一番不利益方法であるからです。
  68. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうすれば、先ほど同僚内藤委員からお話がありましたように、現在十億からの赤年があるのですが、これをどういう方法であなたは埋め合せるか、その点をひとつ承りたいと思います。
  69. 伊藤斗福

    伊藤参考人 十億の赤字の埋め方は、これは再開以外にございません。ただそこで再開としてどういう方法があるかということは、先ほど申し上げましたように、私どもにも試案がございます。それを皆様方に御一読願つて御検討いただけるなら、仕合せだと思つてあります。
  70. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今日私たちのところへ、出資者と思われるような人からたくさん、出資金を返してくれというようなことでいろいろ投書が来ておるわけでございます。そういうようなさ中において、今後保全経済会を助けて行こうというようなことは、御承知のように今の新聞や雑誌では相当強く批判をしております。そういうことは不可能と私は考えておりますが、あなたはほかにまだ違つた出資が何か出るというようにお考えになつておられますか。
  71. 伊藤斗福

    伊藤参考人 何が不可能とおつしやるのかよくわからない。
  72. 千葉三郎

    千葉委員長 佐藤さんもう一ぺん……。
  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今でさえ出資者出資金を返してくれというよう意見が全国にみなぎつておるわけです。ところが、これからまたあなたが休業せぬで新しくやるということになれば、新しい出資者を求めなければならぬが、しかし実際の現状から見れば、新しい出資者はできないとわれわれは予想されるのです。それでもどういう方法でその出資者を求められるかということのあなたの考え方をお聞きしたいわけです。
  74. 伊藤斗福

    伊藤参考人 これは私としては、楽に求められると思います。一つ、まず今後は今までと違つた形で再開する以外に再開の方法はない、現在のままをずつとやつて行くとなつたら、おそらく不可能であると思います。けれども違つた形なら、その違つた形が出た上で、それで今私の持つております試案というもので行くならば、十二分に大丈夫だと思います。それは、私の試案というものは一応立法化されるということになつております。
  75. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 立法化するといいましても、これは国会でやるのでありまして、われわれ大蔵委員会でこういう問題を法律化するかどうかということが問題でありまして、私たちは、今そういう意思もまだ私個人としてはありませんし、おそらく委員会ではそういうことはないと思いますが、そういうことはどうもわれわれ納得が行かないので、まるで天に向つて鉄砲を撃つているようなやり方、こういうやり方では、おそらく一般の人は信用しないと思うのです。そういう点で、あなたが立法化すると言つたつて、これは国会でやるよりほかはないのですから、従つてどういう方法であなたが立法化されるか、あなたの御趣旨を先ほどから聞いているのですが、あなたはどういう方法立法化されるのですか。
  76. 伊藤斗福

    伊藤参考人 先ほど頭が悪いと言われましたが、確かにピントがはずれているようでございます。どうも意味がよくわかりません。(「精神鑑定を要する」と呼ぶ者あり)精神鑑定の必要はなかろうと思うのです。もう少し、同じことをぐるぐぐる言われぬように、ひとつお願いしたいのです。
  77. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 伊藤理事長の頭が悪いのか、私の頭が悪いのかわかりませんが、とにかく焦点はいつもそれられて、われわれの聞かんとするところをおはずしになつていると思う。そういう点で、私たちは多くの出資者のこともあるし、現に日本金融界にも影響あるこういう問題を、こういう国会大蔵委員会において、伊藤さんがそういうよう立場であられるならば、やはり私たちも、先ほど内藤君が申したように、あなたは保全経済会出資者を助けるという御意思がないように見受けられると思うのです。あなたが私たちの尋ねることを誠意をもつて答えられないということになれば、当然私どもはそういう結論を考えざるを得ないのであります。そういう点で、立法化するとか、あるいはこういう方法があると言われても、われわれはこれを善意に解釈することはできないわけです。そういう点で、あなたは今度の保全経済会につきましても、伊藤理事長個人を信用してたくさんの出資者ができたわけですが、そういう点についてどんな責任をお考えになつておられるのか、この点を私は最後に御質問したい。自分心境の中にどういう責任を強く感ぜられるか、この点だけをお聞きして私の質問を終りたいと思います。
  78. 伊藤斗福

    伊藤参考人 出資者を救うためにどういう責任を感じているかということですね。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうです。
  80. 伊藤斗福

    伊藤参考人 いかなる責任をとれといわれてもとります。やぶさかではありません。——もつと違つた言い方でなければいかぬのですか。
  81. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 一番いいことは、出資者の金を返してもらうことです。そういう意思はありますか。
  82. 伊藤斗福

    伊藤参考人 もとより返すつもりでおります。
  83. 千葉三郎

    千葉委員長 春日一幸君。
  84. 春日一幸

    ○春日委員 本日この委員会において、議案としてわれわれが審議しております問題は、きわめて重要な問題でありまして、全国十数万に及ぶ多くの被害を受けておられる人々の立場考えて、これが善後策について当事者であるあなたの御意見を徴しているわけであります。あなたはかかる事態を起したところの責任者として、これに対する応答は、あなたがほんとうに責任を感じて、できることならば、古武士のように腹かき切つて相果てたいとする言つておられる、ところがその言葉の下から、あなたの言つておられることは、立つたりすわつたり、非常に疲れるが、しかししんぼうしましようとか、あるいはまるでせせら笑つているような、まことに不謹慎な態度をとつておられることは、まことに遺憾である。あなたが全国十数万に及ぶ多くの被害者に与えている苦痛に比べれば、この質疑に応答するのに立つたりすわつたり云々というような、そのようなじようだんまじりの言葉で表現できるものではない。あなたは心の中でほんとうに切腹してでも相果てたいというよう責任感があるならば、われわれがこれからお伺いすることに対しては、誠実、謙虚、真摯な気持でひとつお答えを願いたいと思うのであります。  第一番にお伺いいたしたいことは、これに対するあなたの今後の対策についてでありますが、朝日新聞その他読売、毎日等の記事を総合してみますると、あなたがこの事業の行詰まりを打開するの方法として考えられていることは、結局政府あるいは日銀の救済融資にまつ、大体このことに帰着するかと思われるのであります。これはあなたに御記憶がないといけませんので、この機会にちよつと読み上げてみます。十月二十五日の朝日の報道によりますと、当面の対策はという質問に対して、あなたは、まず政府救済融資を頼みます。約五億円は必要で、これが実現すればすぐに営業を再開することができる、こう述べて、その見通しいかん、こういう質問に対して、これが実現をはかるため、政府金融機関を走りまわるつもりですと、ここで言つておられるが、読売の記者との質疑応答によりますと、解散か持ち直しか、これはもちろん持ち直す、それは政府の救援があるからだ、その時期は通常国会中だ、保護立法と並行して、必ず救援が来ると信じている、こういうぐあいにあなたは述べている。ところが本委員会において、銀行当局その他政府関係責任者にわれわれが、はたして保全経済会救済する意思があるかどうか、こういうことを質問いたしましたところ、これに対して、よしや出資者に対して払いもどしをすることができなくなる場合があつたとしても、政府はこの際これに対して救済する意思はないと、はつきり断言をいたしたのでありまして、これは屡次新聞記事によつて報道されている、あなたのお目にもとまつているはずだと思うのであります。しかるにあなたが今なお政府並びに国会において立法を期待しておられるというのは、一体それは何を根拠としてそういう期待を持つておられるのであるか、そういう根拠があれば、この機会にお示しを願いたいのであります。
  85. 伊藤斗福

    伊藤参考人 先ほど来大分いろいろ言われております。特にもつと誠実であり、古武士のように腹を切る気持があるならばと言われるのですが、感情の動物は感情に動かされやすいものであります。一々感情を刺激するよう質問をやつぎばやに出しておいて、あとで違う意味で答えろということはどうかと思います。ただ私にしても、どんなかた苦しい話の中にでも、大体私の人生観は明るくやつて行きたい、かた苦しい話だから四角四面な顔をしなければ話せとぬは思つておりません。それを本委員会の侮辱だなどと言つて、わざわざ刺激するようなことになつては、非常に恐縮でございます。  それで今の質問でございますが、今のところ私の誠実をもつて必ずやりとげてみせるつもりでございます。これという具体的な何はございません。
  86. 春日一幸

    ○春日委員 それでは理事長にお伺いいたしますが、この新聞に報道されているところの、政府から必ず救援の手が差延べられるであろうということは、根も葉もないうそであるか、それともあなたが政府に対してそういう救援が来るであろうという確実な確信のある運動をされて、しかもそれに対して相当成功の見通しがあるのであるか、その二つの一つ、い、ずれであるか、御返答願います。
  87. 伊藤斗福

    伊藤参考人 私は経済人のつもりでおります。経済は今日の段階では並々ならぬ事態に来ていると思います。いたずらにこの暮れを控えて、局面を悪化させるようなことはしたくないと思います。ということは、保全会の問題は、一保全会の問題でなく、私の責任は、保全会の十五万人だけではないと思つております。もつと広範囲な、類似事業などの出資者の問題だと思います。それだけに、必ずや当局ばかりでなく、すべての識者は、経済的な面において再考されて来ると考えております。
  88. 春日一幸

    ○春日委員 私はそういうあいまい模糊とした御答弁によつて満足することはできません。私があなたに申し上げているのは、この新聞報道陣の事態収拾策いかんという質問に対して、あなたが答えられておることは、政府から救援の手が差延べられるであろう、一つは資金の融通、一つは立法化、この二つのことが行われるであろうということを、いずれの新聞にも伊藤理事長談として、あなたが発表されておる。ところがわれわれは大蔵委員会であるが、この所管当委員会において、一度もあなたの方から運動も陳情も受けたことはない。また他の委員会にしても、あつたとすれば、一体どういう方法によつてあなたがその運動をされ、しかもその運動たるや、今いかなる経過にあるかということをわれわれは承知したいと思う。なお政府の方にあなたが融資を申請されたならば、それは銀行局に申請されたのであるか、あるいは日銀に申請されたのであるか、どういう融資を受けるための運動をされたのであるか。これはこの間新聞報道陣に対して言明されておることからかんがみて、その裏づけのために御答弁を願いたいのであつて、そういう申請も運動もしたことはないということならば、ないという御答弁を願います。あるいはただあれは言葉のあやとして、新聞報道陣に当座のいいかげんなことを言つたとおつしやるならば、それでもよろしい。ただこの機会に、真相をひとつお話願いたい。事柄は、全国の十五万の被害着たちが、あなたが政府並びに当局に対して、そういう融資あるいは救援の申請をしておるから、必ず来るからということで、それらの出資者たちが、あるいはそれを頼みにしておるかもしれない。あなたはいろいろと人間味を説かれておるが、こういう機会に臨んでは、あなたもほんとうに心を開いて、真実を語る義務があると思う。だから、ほんとうに政府に対してこういうふうに運動をしておるから、全国の出資者よ期待してもらいたいとか、あるいは、実はこういうことを言つたが、その場の苦しまぎれにでたらめのことを言つて、まことに申しわけないとか、何でもいいから、ほんとうのことを言つて、物事を明らかにしてもらわなければならぬと思う。ひとつこの機会に、私の質問に対して具体的に、率直に、ありのままの御答弁を願いたい。
  89. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今の質問救済融資云々は、休業後の話ですか、休業前のことをお聞きでございますか。
  90. 春日一幸

    ○春日委員 休業前でも休業後でもよろしいから、とにかくあなたが事業再開に要するところの政府並びに国会に対する運動の経過並びにその顛末をお伺いしたい。
  91. 伊藤斗福

    伊藤参考人 休業前には、先ほど申し上げましたように、私自身の記憶では、すでに二年くらい前から、各党の政調会へ立法化してくれという書面を送つたことを覚えております。それは各党の政調会長あてであります。それだけ事前にしておることでありますから、当然休業前には何らかの方法をとつてくれるのではないか、もしくは立法化してくれるのではないか。これは単なる救済であつて、これに物がないのではなく、あるのですから、このあるものに対して救済をしてくれぬかというのです。もし日本の銀行に、不動産を対象にする銀行が一つでもあれば、私はここへは頼みに来なかつたろう、来なくても済むだろうということまで申しました。それと、その次には、今日あつたとしても、既成金融機関がことごとく目の上のこぶにしておるために、私が頼みに行つても貸してくれぬ状態である。だからほかに頼むところがない、これだけの財産があるし、わずか三億かそこらであるから、何とかしてくれということを頼みに参りました。ところが休業後、怪文書とかいろいろじやまが入りまして、私自身が面会を申し込みましても、先方さんは対外的な気づかいがあつて、会おうとしません。私自身もその点を考えてみますと、先方さんに迷惑をかけるのが能でない。自分責任を感ずれば、自分考えをどこまでも押し通すために、相手の迷惑を顧みず押しかけて行くことはできるだけ遠慮しなければならぬという気持で、実は十二分なことは何もできずにおる状態であります。
  92. 春日一幸

    ○春日委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、政府並びに国会に対して走りまわつて運動をするということ、それからさらには、その時期は通常国会中に救援の手が届くであろう、それから保護立法と並行して、必ず救援が来ると確信しておる、しこうしてこの五億円の金ですぐにも営業を開始する、こういうことは根も葉もないうそであつた。このことをひとつ御答弁を願いたい。
  93. 伊藤斗福

    伊藤参考人 根も葉もないうそというと、非常に苦しい立場に立たされるのであります。(「実際その通りじやないか」と呼ぶ者あり)まつたくその通りでございます。(笑声)     〔「十五万人の生死の問題だぞ」と呼ぶ者あり〕
  94. 千葉三郎

    千葉委員長 静粛に願います。
  95. 伊藤斗福

    伊藤参考人 それなんでございます。腹を立てるなということを今また思い出しました。陳情に来たいというても、ずいぶんじやまをされておるのが現状でございます。
  96. 春日一幸

    ○春日委員 少くとも一つの単独法律をつくり上げようというような場合に、各政調会長に一片の陳情書を郵送して、それできつと法案ができると期待するなどということは、これは誇大な妄想もはなはだしいものであると思う。少くともあなたは、一ころには何十億という巨大な出資を集めこ、それで全国何百箇所といわれた事業を主宰したところの責任者である。そうしてそういう世故にもたけ、しかも国会の内部がどういう状態であり、大蔵当局がどういう見解を持つておるかということは、知らないはずはない。しかるに一片の陳情書をもつて、必ずこれによつて立法化できるであろう、こういう過信と申しましようか、これでもつて出資者に対して弁解にならないということがわかつておりながら——あなたがそれがわからないはずはない。一片の陳情書を郵送して、それでそういう立法ができるなどということを、あなたがお考えになるはずはない。にもかかわらず、できると言つてそういう宣伝をされた事柄、さらにはまた、あなたの事業が破綻をした直後において、少くとも言論報道機関に対して、次期国会においてそういう立法と資金がここへ来るであろうという虚報を流布された事柄、これはきわめて重大なことであります。あなたはよくこの問の経緯をお考えになつて責任を痛感されて、今後新聞なり、あるいはまた出資者会議なりを通じて、事の真相をつまびらかにされて、すべて物事を事実の上に立つて処理するという態度に立ちもどることを、強く要望いたします。次にお伺いをいたしますが、それで休業されております現在、一体今何をなされておるのであるか。従つてあなたは再開の方向へと努力を試みられておるだろうと思うが、その一つの手段としては、結局政策的に援助してもらうという考え方が一つと、もう一つは、経済的な努力によつて事業の再開をはかるという、この二つの方向しかないと思う。そこで、融資も受けられないということである。これは銀行局長が明確に言つておるようである。よしや出資者に対して金を払いもどすことができないとしても、大蔵当局としては、これに対して政策融資をする意図は断じてないということを明言している以上、もはや十億も五億も一億も五千万円も、びた一文も融資されないということが明確になつた。従つてあなたは自力更生の経済的手段によつて再起の道をはからなければならないと思うが、これに対して今あなたは具体的にどういう努力をされつつあつて、しかもその見通しはいかがであるか、この機会にお示しを願いたい。
  97. 伊藤斗福

    伊藤参考人 私自身はまことに無能な人間でありますが、幸い周囲には大分賢明な方もおられますので、それぞれ出資者の間でも、真剣に自分立場を擁証する意味で、今一片の陳情書云云と言われましたが、やつております。また私自身は、これは一保全会だけの融資とか、あるいは保全会だけの立法とかではなくて、類似事業全体の問題だと思いまして、近いうちに——七日でございますが、第一回の業者の合同会議を開く運びになつております。それらを通しまして、やはり国会ないし政府当局に、この業者全体の今日の苦しみというものを訴えまして、御了解を得たいと思つております。
  98. 春日一幸

    ○春日委員 あなたは、この問題の破綻は伊藤斗福主宰にかかる保全経済会だけの問題ではなくて、一般問題であるといわれて、しかもそういうような全国的な規模においてやろうとしておるということであるが、私はそんなことを聞いているのではない。とにかくあなた自身が破綻の責任者であり、いずれにしてもそういう十五万の被害者、といつては語弊があるかもしれないが、そういう人々に対して、いかにこの損失を償うかという重大責任の当事者である。従つてあなたが下の方や他のことを弁ずる前に、まずみずからの処理を完全にされる必要がある。私が今お伺いしておることは、政府並びに国会救済も、全然見込みのないことである。そのことは、銀行当局国会で明確に言つておる。そうすると、経済的手段によつてのみ再起の手段を講じなければなるまいと思う。そこであなたはその幕僚諸君を動員して、経済的努力をしておられることと思うが、それははたして可能であるかどうかということ、すなわち、あなたの自力更生がはたして見込みのあることであるかどうか、このことをお伺いいたしたいのであります。すなわち、政策による援助を受けることなくしては立ち上れないのか、それともあなた自体の経済力をもつて立ちしたるのであるか、あるいはもはやこれは投げ出すのほかないものであるか、このことをこの機会にお伺いをいたしたいのであります。
  99. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今の場合は、自力で立ち上るといつても、裏づけという立法なくしては立ち上れません。(「立法なんかできやせぬよ」と呼ぶ者あり)また立ち上つても、出資者にいたずらに迷惑をかける結果に終ります。ですから、私自身はどこまでも政治的配慮によつて救済したいと思つております。
  100. 春日一幸

    ○春日委員 ちよつとお伺いをいたしますが、あなたは同僚内藤委員質問に対して、あなたの事業は匿名組名なりと確信すると言つておられるが、さすれば匿名組合の条章の範囲内において、やはり責任を負つて、その事業を収拾しなければならぬ。それなのに、今やこれが広汎な破綻の姿となつて現われるや、政府並びに国会において、それを全体的問題として処理する義務があるかのごとくに、すなわち責任を第三者に転嫁しておられる言動である。このことは十分慎まなければならない。あなたが匿名組合だという確信の上に立つてやられたならば、なぜこの匿名組合の条章の範囲においてその事業の収拾の道を講じられないのであるか、はみ出した面をただちに国会が処理するであろうなどという言動をして、そこでしやあしやあとしておられるということは、また不謹慎のはなはだしきものである。この点を私はよく御注意を願いたいと思つておる。  次に、私はお伺いしたいことは、業務停止の原因について、あなたの声明されておるところによりますと、これはいろいろな事情をあげて、そこで農村経済の悪化にありといつておられる。そこで私が考えられることは、農村経済圏は、あなたの投資対象ではなくして、資金獲得の対象である。農村経済圏は、あなたの資金源であつたと思うのであります。この資金源の悪化があなたの事業の行き詰まりを来したということは、これは換言すれば、新しい出資によつて古い資金の償還、それから利払いの財源としていたとみなされる向きが多いのであるが、真相はどうであるか、これをお伺いしたい。わかりやすく申しますと、あなたはこの事業の行き詰まりが、農村経済の行き詰まりであると言つておられるけれども、あなたの投資対象は農村経済ではない。農村経済方面から資金を集めて、そうして証券投資や都市における不動産投資、こういうことを主としておやりになつておつたとわれわれは承知しておるが、従つてこの資金源が行き詰つたから事業が行き詰まつたということは、すなわち新しい金をとつて古い金を渡しておる。すなわち、これは俗に言えば自転車経営といわれております。とにかく回転しておるうちは何とか資金繰りができるであろうが、一旦とまれば必ず倒れる。これは必至のことである。すなわちとまれば必ず破綻をするということがわかつておりながら、なおかつあなたがこの事業を続けられて来たのではないかと思われる節がある。これについてあなたの声明は、農村経済の行き詰まりがあなたの事業の破綻になつて来たということは、すなわち投資対象の行き詰まりではなくして、資金源の行詰まりである。資金源の行き詰まりということは、その資金を旧出資者に対する償還並びに利払いの財源として活用されておつたと思われる向きがある。これに対しての真相をお伺いいたしたいのであります。
  101. 伊藤斗福

    伊藤参考人 だんだんよくなるのではなくして、だんだん悪くなつて来ております。ただ今声明書の中に農村の不況が大きく休業理由になつておつたという話でございます。それは、今の農村経済の行き詰まりが必ずしも君のところの経済の行き詰まりであり、休業ではないのじやないかとおつしやいますが、もとより四割を占めておりまして、ただ受入れだけが少くなるだけならば、その通りであります。ところが半面払出しが多くなりますと、——農村が新規の預け入れを少くしておることは事実であります。それで私自身先ほど立法化のことを申し上げたところが、皆さんから大分いろいろなやじをちようだいしましたが、この声明書にあります通り、事実源泉課税というものは、少くとも私自身は、源泉課税をするからには、当然業法として認めるところまで行つたのだ、かよう考えますから、全幅的に協力いたしました。(「そんなばかなことはない」と呼ぶ者あり)それで私自身二〇%の源泉には、国民の一人として全幅的に率先して協力いたしました。ところがこの二〇%が非常に影響しました。二〇%の影響のために、高額の出資者が相当減つたことも事実でございます。     〔「けしからぬ」「どうかしている」と呼ぶ者あり〕
  102. 春日一幸

    ○春日委員 さらに続けてお伺いいたしたいが、あなたの事業の行詰まりは、地方経済の不振、すなわち風水害、冷害などによる農村経済の悪化にあると言つておられるわけです。風水害その他地方のいろいろな災害は、六、七月ごろから起きて参つております。こういう悪化の傾向というものは、大体あなたの方の経理の面にいつごろからそのきざしを示し始めたのであるか、このことをちよつとお伺いをいたしたいと思います。
  103. 伊藤斗福

    伊藤参考人 大体休業の四、五箇月前ごろから現われた、かのように思われます。特にはげしくなつたのは二箇月くらい前からです。何分にも急激に受入れが減り、支払いが多くなつたわけでございます。
  104. 春日一幸

    ○春日委員 そうしますと、あなたの事業が左前になつて来たということは、あなたの事業が破綻をしたのが十月二十五日ごろであるから、大体四、五月ごろからもうすでに左前の兆候が現われて来た、こういうふうに私は考えるのであります。そうすると、これはあなたが匿名組合であるということを確信しておると言つておられるが、匿名組合規定というものは、利益があつたときにはその利益配当をする、損失があつた場合にはその損失を控除してから出資金を支払う、こういうことがはつきりしたのが匿名組合のあり方なんです。ところが現実に左前になつてつて、もうすでに損が見えておりながら、なおかつ二分の配当をしておられるということは、すなわちこういう二分の配当をすることによつて、新しき出資者を募つて、さらに資金を得んとする手段として、そういう事業を継続されたのであつて、これは明らかに真実を欺瞞して新しき出資者を募集されたような気配が濃厚である。現実には損をしておりながら、なおかつ配当をしておられる。しかも左前になつておるのに、どんどん新しい出資者を募つて行かれたこのこと、これは一体どういう理由、どういう意図に基くものであるか、この機会にあわせてお伺いいたしたい。
  105. 伊藤斗福

    伊藤参考人 事業家は、一度約束したものが違つたからといつて、それも見込みが全然立たなくなればもとより利下げする必要もありますが、まだ絶対にこれで見通しがないとは思つておりませんでした。
  106. 千葉三郎

    千葉委員長 大上君。
  107. 大上司

    ○大上委員 さいぜんより同僚委員から、それぞれの立場において真剣に伊藤さんに御質問をし、なおその御答弁を拝聴しておりましたが、私は一点だけお尋ねしたいと思います。いろいろな面からこうじつと問い答えを聞いておりますと、要はこの保全経済会なるものの破綻、あるいは収拾策が、いわゆる政府または国会等にどうもしわ寄せがせられているように聞き取れました。そこで、春日君の質問に対しての最後の言葉で、これを救済する意思なりお気持はある程度わかりますが、要は立法化にほかならないということが、最後の結びのように私は受取つたのですが、これも非常に至難でございます。だから特に伊藤さんに申し上げておきたいのは、あなた方の事業の今日の破綻が、われわれ国会の方にしわ寄せされることは断じて困る。そこでお尋ねしたいことは、要は、これがこのまま立法も不可能に陥つたということになれば、一体投資者はどうなつて行くか、すなわちそれによつて経済的、または金融的に、または社会的にどのような混乱が越きて行くかということは、あなたは経験者として大体おわかりだろうと思いますが、その点を特にお尋ね申し上げます。
  108. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今の質問ような結果になりますと、もとより私の不徳でありますが、まことに重大な問題になるかと考えられます。今日すでに相当離婚をされたとか、あるいは自殺をしたとか、あるいは争いのためにけがをされたとか、あるいは今ほとんど生活の道がなく、ある人は国家の補助を受けて生活している状態であります。それだけに、このままになりますと、おそらくは保全会の十五万人だけの問題でなく、数百万人が相当たいへんなことになるのじやないかと思います。(「お前が悪いじやないか」と呼ぶ者あり)もとより自分の悪いことは十分責任を感じます。
  109. 千葉三郎

    千葉委員長 小川君。
  110. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 伊藤さんにお尋ねしますが、先ほど春日委員質問に対して、休業する四箇月前から資金が集まらなくなつて来た、こういうお話であつた。そうすると、これは四箇月前、大体このまま行けば破綻するということはわかつておられた、こういうふうに解釈するのであります。それならば、そのときに早くしまえばいいのに、なおかつその後においてもあなたは経営を続けられ、基集をされておつたということは、これは非常に重大な問題になつて来るのですが、どういうお考えであなたはこれの経営を続けて来たのか。これがあなた自身にとつてたいへんな問題になつて来るのじやないかと思うが、そう固くならず、その真相をお聞かせ願いたい。
  111. 伊藤斗福

    伊藤参考人 四箇月前から、ほとんど見込みが立たなかつたというふうに解釈されますと、私自身答弁が非常にまずかつたと思います。もとよりさようなことはありません。さあどうしたもんかという深刻な気持なつたのが、大体一箇月前でございます。これは何とかせにやいかぬというわけで、方々飛びまわつたわけです。ただ四箇月前からそろそろ兆候が見えたということは、結果から見まして、ちようどあの時分からかなあということがわかるので、四簡月前と申し上げただけでございます。
  112. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、四箇月前からそういう傾向が出て来た、そのために方々飛びまわつて、これに対する策を講じられたと言いますが、方々飛びまわつたというのは、これを立法化するために飛びまわつたのか、それとも募集するために飛びまわられたのか、それはどちらのために飛びまわられたのか。
  113. 伊藤斗福

    伊藤参考人 それはもとより立法化ではありません。自分の起した不始末でありますから、自分自身が刈りとらなければならぬと思いますから、純経済的に何とか金策をつけなければいかぬと思いました。
  114. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 その金策をつけるためにあなたが歩かれたというが、それたらばぜひこの点は率直にお答え願いたいのです。どういう金策をつけるために、どういう措置をとられたか。これはあなたが先ほどから皆さんにたいへんおしかりを受けているようだが、あなたがどれだけ誠意を持つてこれのために尽されたかということが、ここでわかつて来る。従つてあなたはどういう金策をつけるために努力されたか、ただ金策をつけるために方々飛びまわつたのではなく、どういうことをされたか、具体的にひとつお聞かせ願いたい。
  115. 伊藤斗福

    伊藤参考人 もちろん一般金融方面には、たとえば一例を申しますと、テレビの株のようなものを持ちまわりました。あるいは不動産を対象に銀行などにも参りました。ところが、どうしてもそれがつかない状態で、見込みが立たない。先ほど申し上げたように、保全会であれば金策をせぬという状態が今日までの状態でございました。
  116. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それならば、四箇月前からそういう事態が来たのに対して、あなたは飛びまわつたが、金融機関はこれに対して融通等はされなかつた、非常に遺憾である、こういうことですね。そこでそういう事態が出て来てから、あなたが契約されたというのがあると思うが、それはどのくらい四箇月後にあなたはおやりになつたか。
  117. 伊藤斗福

    伊藤参考人 今も四箇月がたいへんだたつておるようでございますが、もう一度申し上げます。四箇月は、結果から見て四箇月前からそろそろしわが出始めたということでございます。ですから私自身、先ほど申し上げましたように、実質的に、これは相当うつちやつておけぬ、もうこのままの状態で行くと、足元に火がつきそうだというふうになつたのは、一箇月前でございます。
  118. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そういうことでない。あえてとらわれるわけではないが、あなたが感じられたのは四箇月前だから、その四箇月後にあなたは金額、人員等においてどのくらいの契約をなさつたかということをお聞きしているのです。それから一箇月前にはほとんど見通しがなくなつたのだが、その一箇月後にはどのくらいの人員で、どのくらいの金額か、これだけをお聞きします。
  119. 千葉三郎

    千葉委員長 松本君にかわつて答弁させます。
  120. 松本辰雄

    松本参考人 ただいまの御質問の件、約一箇月間の契約は、休業時までの一箇月岡と見まして、新しく入つた額が三億。
  121. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 人員は……。
  122. 松本辰雄

    松本参考人 事務の人員ですか。
  123. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 契約者数……。
  124. 松本辰雄

    松本参考人 契約者数が約一万人。
  125. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今のは最後の一箇月ですね。
  126. 松本辰雄

    松本参考人 それは新しく入つた者が一箇月……。
  127. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 新しく入つた者というのは、あなたがだめになるということの確信を持つてから契約なさつた人が、一万人の三億円ということですね。間違いありませんね。
  128. 松本辰雄

    松本参考人 ……。
  129. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 では四箇月前からは……。   (「推して知るべし」「委員長」と呼   び、その他発言する者多し〕
  130. 千葉三郎

    千葉委員長 発言中ですから……。
  131. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは重大なことだと思うからお聞きする。だから今あなたの言われたのは一箇月前。そこで今度あなたが危険だと感じられたのは四箇月前だ、四箇月前から今日までに何億の契約であつて、何万人くらいの人ですか、これを聞きたい。
  132. 松本辰雄

    松本参考人 契約期間は三箇月で、三箇月ごとに大体更新いたしますから、四箇月前からといたしますと、現在の出資額の大体全額くらいになります。それは四十三億……。
  133. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、こう解釈してよろしゆうございますか。三月目に更改して行くんだから、四十五億というような金が、四箇月前に契約をなされた、こう解釈していいですね。
  134. 松本辰雄

    松本参考人 その期間中にでございます。
  135. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 最後の四箇月……。
  136. 松本辰雄

    松本参考人 そうです。
  137. 千葉三郎

    千葉委員長 有田二郎君。
  138. 有田二郎

    ○有田(二)委員 伊藤君にお尋ねしたいんですが、かりに今解散をなさるというようなことになつた場合に、今お持ちになつておる資産を整理して、投資者に大体何割くらい返金ができるか。大体でけつこうですから、伺つておきます。
  139. 伊藤斗福

    伊藤参考人 不動産だけで、当会が大体踏みました金額で言いいますと、二十七億になります。不動産は年に十割くらいの率で上つておりますが、今かりにそれを売る場合に、どういう方法で売るか、普通の売りに出しますと、これはたたかれて、三分の一になると思つてよろしい。だけれども、保全会のよう休業状態に入つて売りにかけますと、もつとひどくなります。ですから二十七億が——あとのものは別にしまして、とりあえず不動産だけでやつた方がよろしいかと思いますが、ここで計算とか何とかすると、どのくらいになるかということでございます。
  140. 有田二郎

    ○有田(二)委員 実はこれは今のお話を聞いて——初めから各委員質問を聞いていると、大体最初から、わかりやすく言えば、インチキだ、詐欺だ、当然こういうことになることはわかり切つているわけだ。そうして今日こういう事態なつたら、今春日委員その他から言われたように、国会なりあるいは大蔵省にしわ寄せをして、何とかその方面から助けがあるだろう、こういうような話であるけれども、最初からよく冷静に考えてみれば、ここへ来ることははつきりしているわけだ。このことのために、十五万人という人に非常な迷惑をかけている。これはだれがやつたところで、伊藤さんでなくとも、保全経済会ようなやり方でやれば、こういう破綻が来ることはあたりまえだ。しかもそれを国会で何とか立法化してくれるだろうとか、あるいは単に一枚の陳情書を手紙で送つておいて、それに大きな期待をかけておるとかいうようなこと、しかもこれに対して何とか大蔵省方面でも措置をしてくれるだろうというようなことは、まつたく私は国民を愚弄し、過去においても例のないあり方だと思う。しかも大阪の北浜の土地を——私の選挙区は大阪ですが、一坪百万円くらいに評価されておるようでありますが、これは、売ると買うのとではもちろん非常に値段が違うわけです。これは御承知の通り。しかしながら、いやしくもこういう事態になることは、賢明な伊藤君にはおそらくわかつておつたろうと思います。そうすると、これは詐欺ということになる。結局、それによつて投資者に非常な迷惑をかけたのみならず、日本経済の混乱は一にあなたによつて起されたものである、こう断ぜざるを得ない。そこで私は、罪をすみやかに天下に謝して、男らしくこの問題に対処すべきであつて、あなたのように、議会が何とか立法化するだろうとか、金融の面が何とかなるだろうとかいうようなものの考え方は、国民を愚弄ずるのみならず、まことにけしからぬことだと思う。あなたの御所見を承りたい。
  141. 伊藤斗福

    伊藤参考人 大分辛辣な話で、当然こうなるだろうということは、何か皆さんが先ほど来感違いをしていると思います。私の言葉じりをとらえて、それを無理に押しつけられるように思う、なぜならば、これがだめになるとおつしやいますが、それならば、今日までよくもこの長い期間持つたなあということです。皆さんの言葉をかりて言うなら、そういう言葉に尽きます。たまたま二、三億の金が足りないばかりで、しかも資産がこれだけ残されております。お言葉のようならば、とうの昔につぶれていなければならぬと思います。ですから、先ほど来の話が、一々一つの言葉をしいて悪意に取上げようというよう考えられます。ただ君自身責任をとれというなら、先ほど来申し上げた通り、いかなる責任でもとります。     〔「それじやまつたく詐欺じやないか。」「お前には良心なんかないんだ。」と呼び、その他発言する者多し〕
  142. 千葉三郎

    千葉委員長 お静かに願います。
  143. 春日一幸

    ○春日委員 一点お伺いをいたします。あなたは、あなたの事業自体匿名組合であることを確信を持つておらられるわけです。そこであなたは、匿名組合規定は十分尊重し、これを遵守しなければならぬと思う。そこでお伺いをしたいことは、この匿名組合において、出資者保護の規定というものはただ一つしかない。それはすなわち合資会社規定を準用して、出資者が裁判所の許可を得て、相手の財産及び業務の状況を検査する、この権限しか与えられてはいないのであります。これが匿名組合における出資者に与えられておるたつた一つの保護規定である。従つて、あなたはこれを尊重しなければならぬ。ところが昨日の新聞報道によりますと、昨日出資者代表が東京裁判所の会計の書類の検査の仮処分の判決を持つて、その書類検査に何だものを、あなたは拒否された、このことは私が思うのに、これはあなた自体がみずから匿名組合であることを否定しておられるものではないかと思うのであります。これはただいまの御答弁によりますと、中味を見せることは、全部の業者に不利益になるというような、一方的な独断によつて言いのがれようとしておられますけれども、とにもかくにも、当事者のそういう一方的独断によつてこれを拒否するということを認めてはいない。出資者は裁判所の判決があれば、あなたの事業を検査するという権限が匿名組合法律によつて認められておる。あなたは匿名組合であるということを確信を持つておると言つておりながら、みずからその匿名組合法律を無視しておるということは、一体どういうことであるか、一ぺんこの点についてお伺いをいたします。
  144. 伊藤斗福

    伊藤参考人 それは私自身参考人としてここに呼ばれない状態でしたら、もとよりさようでございます。またそれをとやかく言う筋合いのものでもないと存じます。ただ現在の状態は、すでに参考人として呼ばれるほどの問題で、特定人たちの、しかも少人数のものではないという事態であることを極力説明いたしまして、何とかならんものじやろうかと頼んだ次第であります。
  145. 春日一幸

    ○春日委員 われわれがここで取扱つておるのは、政治問題として、立法に関する参考の問題として論議しておるのであつて、すなわち法律が認めておる出資者の権利は、われわれとは何ら関係を持つものではありません。従つて匿名組合法律によつて認められておる出資者の権利は、当事者であるあなたによつて当然尊重されなければならない。あなたがみずから唐名組合でないということであるならば、これはまた別であります。しかしながら、あなたがこれは匿名組合であるという確信の上に立つて事業を行つておられるならば、あなたはその出資者の権利を無視することは許されない。しかも伝えられるところによりますと、三十万円罰金を払えばよいだろう、こういうような放言をされておるということでありますが、両名組合があなたの事業にとつて便利なときには、匿名組合であると言つて匿名組合の法網の陰に隠れ、もしそれがあなたにとつて利益である場合においては、これが他の出資者に対して損害を与える云々と遮辞をもうけてこれを退ける、あなたのやり方はまるでめちやくやではないか。ただいま同僚有田議員があなたに適切なる形容詞を呈上したが、まつたく匿名組合であると言いながら、あなたの不利益なことは全然これを蹂躙して顧みない。こんなことでは物事の筋が通りません。と申し上げたところで、あなたの答弁はひようたんなまずみたいなことで、それを貫く誠意は一片も見受けられません。私はこれ以上質問いたしません。
  146. 千葉三郎

    千葉委員長 最後に福田繁若君。
  147. 福田繁芳

    福田(繁)委員 先ほどから私は、同僚議員が伊藤理事長ですか、責任者に対し御質問をいたした、それのお答えを静かに伺つておつたのですが、これから残された二、三の点に対して私は質問してみようと思うのです。その前提として伊藤さんに申し上げたいと思う。あなたの先ほどからの答弁によりますと、これがひとり保全経済会に関する問題でなくして、類似の多数のものの利害関係であるということを強調されておつたのであります。さすれば、本日あなたが来られてここにおいて答弁されることは、非常な責任がある重大なことであろうと私は考える。そこで、先ほどからのあなたの答弁と、またわれわれの手元にありますあらゆる材料と、この内容を両方比較検討して見ますときに、少くとも私はうなづけぬのであります。今日は大蔵委員会でありまして、法務委員会でもなければ、行政監察委員会でもない、ここに傍聴人も組合員もいないつもりで、秘密会議のつもりで、だれにも遠慮も気がねもなく、これから私が尋ねることに対して率直に責任を持つて答えてもらいたいと思う。先ほどから申されるところの保全経済会並びに多数の類似のものの重大な問題でありますから、敬虔なる態度をもつて正直に、率直に答弁してもらいたい。  まず第一番にあなたに伺いたいのでありますが、この匿合組合法律にのつとつておる保全経済会並びにこれに類似する会社は、大体幾らくらいあるか、同時にまたあなたとして推定するところ、この全預金と申しますか、何というのですか、その金額が幾らになるか、これを一応伺いたい。
  148. 伊藤斗福

    伊藤参考人 大体二百社くらい、もうちよつとあるかと思います。現在私のところの手元でわかつておりますのは、三百二十何社あります。それと人員は約六百万。
  149. 福田繁芳

    福田(繁)委員 それはわかりました。次に伺いたいのでありますが、今度はあなたの会に関する問題であります。先ほどから伺つておりますと、休業する三、四箇月前に、あるいは休業せざるを得ないということを予見できたそうでありますが、われわれ第三者が見ておるときに、厖大なるこういつた広告なりその他から見て、まさかそういつた状態でなかつたと、実は私たちしろうと考えで見ておつたわけなんですが、こういつた莫大な広告を出して、いかにも正常そのものであるように装うておりましたところのあなたの会社が、何がゆえに十月中旬に突如として休業せなくてはいけないはめに陥つたか、これを簡単に答えてもらいたい。
  150. 伊藤斗福

    伊藤参考人 先ほど来いろいろ言葉じりをとらえられて大分いじめられてしまいました。私の申し上げておることがことごとく曲解されたように思います。もとより四箇月前に休業せざるを得なくなつたということは、全然ございません。休業ということはほとんど寸前に、いよいよどうにもだめだという気持のときに、初めて休業せなきやならなくなるということなんです。事前に何を苦しんで——休業するくらいでしたらば、もとより第二会社などつくつてしまいます。
  151. 福田繁芳

    福田(繁)委員 今の私の質問に対するお答えが、先ほどの同僚議員に対するお答えといささか違うように思いますが、この点はこれ以上あなたを追究しても益するところはないので、幸いに速記録に記録が残つておりますから、それを見た上でよく私も考慮したいと思います。  その次にあなたに伺いたいのでありますが、この新聞、雑誌によりますと、休業したのは十月の二十四日、その三、四日前に経済保全会の全国の支店長会議というものを本店で催されている。そうして二十四日には休業するという前提のもとに、可及的すみやかに大量に出資を増強せよというところの指令を出されたということは、これは新聞に載つておるのですが、さような事実はございますか。
  152. 伊藤斗福

    伊藤参考人 これは意外でございます。私新聞も見ませんし、もとよりさようなことはございません。全然指令などというものはございません。
  153. 福田繁芳

    福田(繁)委員 支店長会議を開いて、支店長に指令を出した事実はないということを、あなたは神仏に誓約して申されますか。
  154. 伊藤斗福

    伊藤参考人 お答えできます。
  155. 福田繁芳

    福田(繁)委員 もう一点伺いますが、休業を宣告いたしましてから、この出資者に対しては元金も利子も支払いを停止しておる。しかるにもかかわらず、経済保全会の本店と称するところの厖大な建築を今なお継続しておるということが、これまた新聞、雑誌に出ておりますが、こさの金はどこからどういう名目で支払いしておるか、これを伺いたい。
  156. 伊藤斗福

    伊藤参考人 休業後一銭も払うておりません。
  157. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そうすると、今度は建築業者に当然建築代金を支払いせなければならないにもかかわりませず、それも一銭も払つていない。しかるに建築業者は建築を今日続行してやつている、こうおつしやるのですか。
  158. 伊藤斗福

    伊藤参考人 それはほとんどやるというても——あれは外におおいがかかつております。見ますと、非常にやつておるように見えますが、それほどやつておりません。それでほとんど手をあげておるのです。前から再三再四幾らか入れてくれ——前の残り金が幾らかあるから、その分を向うでやつてくれておるのです。あとのは今から支払い見込みが立たないので、支払うてくれと言つておるが、その会社あと続きそうもないといつて、悲鳴をあげておるのです。
  159. 福田繁芳

    福田(繁)委員 先ほど春日君が伺つたのでありますが、どうも私要領を得なかつた。と申しますのは、あなたが休業した時分に堂々と各種の新聞、雑誌に発表しておる内容、また最近われわれの手元に配付されたところのいわゆる怪文書、こういう点から考えましても、どうしましても、休業とたんにあなたが声明されたことには、相当な根拠があつて私は声明されたと思う。言いかえれば、休業はしたけれども、近いうちに政府から融資があるのだ、また立法をある筋で確約しておるのだ、これは間違いないということを、その当時諸般のものにあなたは声明されておる。しかるにきよう委員会の同僚委員答弁にも、われわれ政治家を上まわるような政治家的ゼスチユアで、(笑声)どうも私たち要領を得ない。これを簡単に、率直に要点を正直に申してもらいたい。
  160. 伊藤斗福

    伊藤参考人 まだ申し上げる時期に立ち至つておりません。
  161. 福田繁芳

    福田(繁)委員 非常にこれは重大な問題でありますが、これは当大蔵委員会の線から逸脱するように思いますので、辛いに行政監察委員の諸君も、法務委員会の諸君もありますから、その点はあくまでも事の真偽を正しくしてもらわないと、大蔵委員会のみならず、国会全体、政党政治の威信にかかわるような問題でありますから、大蔵委員会としてはこれは除外しておきますが、両常任委員会においては十分と御審議されんことを同僚諸君に申し上げておいて、私は一応打切ります。
  162. 春日一幸

    ○春日委員 私に対する御答弁では、国会立法化の運動については、二年前に陳情書を各党の政調会長にお送りを申し上げている、これが政党に対する運動である、こういうふうに言つておられる。ただいまの福田委員に対する御答弁によると、今申し上げる段階に至つていないと、歯に衣をかぶせておつしやつている。内部には何か相当なものがあるけれども、今は言うことができないという御答弁である。私に対しては、ほかには何もないけれども、思い起せば、二年前に政調会長に対して陳情書を出したことがある。それ以外はない、こういうふうに言つておられる。一体どちらがほんとうであるか。これは一つ明確にしておいてもらいたい。中に何か相当のものがあるけれども、今一言う時期ではないというのか。それとも私に御答弁なつように、この陳情書の範囲において国会に対して意見を申し述べ、陳情したことがあるというのであるかどうか。この点は一つ開確にしておいていただきたい。
  163. 伊藤斗福

    伊藤参考人 前に申し述べましたことも事実でございます。あとに申し述べましたこともその通りでございます。
  164. 千葉三郎

    千葉委員長 伊藤斗福君に関する質疑はまだまだあると思いますが、なお御質疑の上でも疑念の点も多数あります。しかしながら大蔵委員会といたしましては、これ以上御質疑することはかえつて時間的に意味がないように思いますから、この程度で打切りたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 千葉三郎

    千葉委員長 さようにとりはからいまして、委員会は明四日の午前十時に開きまして、その際今日の質疑応答に関する結論を得たいと思つております。  本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十九分散会