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滝本政府委員 ただいまお示しの
人事院月報四十号に、標準
生計費の
計算方法につきましても書いておる次第であります。それで昨年は四千七百円という標準
生計費を算定したのでありますが、今年は五千三百円と
なつております。これはわれわれが標準
生計費を
計算いたしまする際には、理想を追うということでなしに、現実に
日本の
消費事情がどう
なつておるかということに着目いたしまして
計算することに
なつております。すなわち食糧費について申しまするならば、成年男子でありますれば、たとえば二千五百カロリーというものが、理想的には、軽労働に従事する際に、必要なカロリーであるというふうにいわれておりますが、現実に一般
消費事情において、成年男子がどれくらいなカロリーをと
つておるかということを厚生省の栄養調査等の結果から導きまして、われわれは二千四百六十カロリー、こういうふうに
計算いたしておるわけでございます。このカロリーは、昨年のカロリーよりいささか増したことに
なつております。それで食糧費につきましては、このカロリーを
基礎にいたしまして、そういうカロリーを攝取するために、どういう食品構成をと
つたらいいのか、その食品の割合をどういうふうにと
つたらいいかということに相なるのでございますが、この場合におきましても、いろいろ食品の組合せ、またその分量の組合せ等があるわけでありますが、その食品の組み合せ、あるいは分量の割合等におきましても、これまた統計局で行われております
消費者価格調査等における、実際
消費者が
消費しております商品の割合、また数量等をもとにいたしまして、なるべくそれに近いような
方法で、いわゆるマーケツト・バスケットを組んでおるわけであります。そのマーケツト・バスケットを組みまして、それに
価格を当てはめましてその食糧費を
計算いたしたわけでありますが、その
価格は本年三月現在における
消費者が実際に支出いたしました実効
価格、そういうものを当てはめて
計算する、そういうことに
なつております。食糧費の方はそういうふうにして
計算いたしまするが、食糧費以外の、たとえば被服費でありますとか住居費、光熱費、雑費というようなものにつきまして、マーケツト・バスケツトふ組むと同様の
方法によ
つてやりたいのでありますけれども、現在の統計の整備
状況では、なかなかそういうことを期待することがむずかしい
状況にかりますので、これは
消費者実態調査の方から、いわゆる換算常数を
計算いたしまして、
消費者実感調査のたとえば平均四・二人の世帯である、そのときに住居費がどのような
価格に
なつているということから、換算乗数を用いまして、一人当りの額に直したならばそれがどういうふうになるという
計算をいたしまして、お手元にごらん願
つております
資料のように、たとえば食糧費は二千九百三十円――これは東京都において
計算いたしたのでありますが、被服費、住居費、光熱費等は、それぞれそこに掲げておりますように、
消費者実態調査の方から導きまして、六百五十円、九百五十円、千五百四十円というような致字を導いておるわけであります。それを合計いたしまして六千七十円という
数字を出しておるのでありますが、この六千七十円の中におきまして、食糧費がどれくらいの割合に
なつておるかということを
計算いたしてみますると、四八%ということに相
なつておるのでございます。現在総理府統計局でや
つておられます
消費者価格調査等におきましては、このパーセントはごく最近の
数字でありまするが、五〇%に相
なつておると
承知いたしておるのであります。このエンゲル係数というものは普通の場合には低い方が、もちろん好ましいことにかわりはございません。でき得れば、正常なる
状態におきまして、食糧費が
生計費の中において占める割合を三五%ないし四〇%という程度に引下げることができますれば、それはまことに理想的であろうと
考えます。またそういうふうになることを
希望はいたすのでありますが、現在
人事院でや
つておりますのは、理想ということよりも、現実にこの
消費事情がどう
なつておるかという点に着目いたしまして、なるべくそれに近いような
計算をいたしておる次第であります。六千七十円というものを東京都において
計算いたし、これをさらに
勤務地手当のつかない地域に換算いたすわけでございます。
勤務地手当のつかない地域において、六千七十円に相当する手取りがあるようにするためには、一体
給与総額というものが、どのくらいに
なつていなければならないかということを
計算いたしまして、その逆算の結果、われわれは五千三百円、こういう
数字を得ておるわけでございます。従いまして将来に向
つて消費事情が好転して参りまするならば、われわれの
計算も、またそれに従
つてエンゲル係数というものも下る、こういうことになろうかと思います。