運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-12-03 第18回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月三日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 富田 健治君 理事 福田 篤泰君    理事 並木 芳雄君 理事 穗積 七郎君    理事 戸叶 里子君       麻生太賀吉君    金光 庸夫君       北 れい吉君    喜多壯一郎君       須磨吉郎君    神近 市子君       田中 稔男君    加藤 勘十君       西尾 末廣君    大橋 忠一君  出席政府委員         外務政務次官  小滝  彬君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君  委員外出席者         議     員 池田 勇人君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 十一月三十日  委員帆足計君辞任につき、その補欠として田中  稔男君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月三十日  日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海  条約第八条2についての留保に関する公文の交  換について承認を求めるの件(条約第一号) 十二月二日  関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と  日本国との通商関係規制に関する宣言への職  名について承認を求めるの件(条約第二号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国勢調査承認要求に関する件  日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海  条約第八条2についての留保に関する公文の交  換について承認を求めるの件(条約第一号)  関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と  日本国との通商関係規制に関する宣言への署  名について承認を求めるの件(条約第二号)  外交に関する件     ―――――――――――――
  2. 上塚司

    上塚委員長 これより会議を開きます。  まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては、本会期の国政調査として調賛する裏項を、一、外交に関する事項、二、移民に関する事項、三、行政協定実施に関する事項とし、調査の自的を一、外交方針を検討しわが国対外政策確立に資する、二、わが国の人口問題にかんがみ、移民対策確立に資する、三、行政協定実施に関する状況調査し、国民生活に及ぼす影響等を検討することとし、調査の方法を関係各方面よりの意見の聴取及び資料の要求調査期間本会期中といたしまして、ただいまの国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上塚司

    上塚委員長 御異議なければさようとりはからいます。     ―――――――――――――
  4. 上塚司

    上塚委員長 議員池田勇人君は、去る九月末日、吉田首相個人的代表として渡米せられ、ワシントンにおいて国務省ロバートソン国務次官補との間に、前後四週間にわたり、日本防衛力増強とこれに対するアメリカ援助問題その他に関し会談を遂げられ、その成果は、十月三十日の共同コミユニケにて発表せられたるがごとく、自衛力増強並びに憲法改正の前途に横たわる難点について、日本側事情アメリカ側に強く認識せしめ、MSA交渉の上に有力なる示唆を与えられたるばかりでなく、MSA援助資金による農産物の買入れ、同じくMSA援助資金海外買付及び投資の形による日本防衛生産及び工業力増強、さらにガリオア資金返済問題等、広汎にわたりて協議せられました。しこうして池田特使のこの交渉の経過は、わが国民がひとしく聞かんと欲するところであります。委員長は、理事会要求に従いまして、池田議員出席報告をお願いいたしましたところ、快く承諾せられて、ここに御出席に相なりました。池田議員に対して厚く御礼を申し上げます。  これよりただいまの件に関し、池田議員より御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上塚司

    上塚委員長 御異議がなければさように決定いたします。  それでは池田議員の御報告をお願いいたします。
  6. 池田勇人

    池田勇人君 ただいま委員長から申されましたように、去る九月末日アメリカに渡りました。資格は吉田茂氏の個人的代表と申しますか、パーソナル・レプリゼンタテイヴとして参りました。そうして向う関係当局、またときには財界の方、あるいはまたコングレスの方々とひざを交えましていろいろ現在の日本財政経済事情を話し、そして理解を求め、また機会をとらえまして、アメリカのこういう問題に対しまする考え方を聴取して参つたのであります。従いまして、政府代表でも何でもございませんので、ざつくばらんないろいろな話をして参りました。せつかく参りまして、四週間にわたつて話をいたしましたので、一応双方で考えたこと、並びにわれわれがアメリカで知り得たこと、そうしてまた向うの方が一応了解してくれたことを、コミユニケと申しますよりもプレス・リリースと申しますか、一応ここで書き上げてみようというので書き上げまして、これを新聞に出した次第でございます。われわれの会談の結果はこの十月三十日の新聞発表に尽きておるのであります。なお、この発表以外のことは、お互いに言うまいと申しますか、あまりないのでございます。こういうことでわかれて参りました。その後イギリスにおきましては、バトラー大蔵大臣、あるいはまた国務大臣であつて大蔵省の顧問、名前はちよつと忘れましたが、そういう方と会い、またドイツにおきましても、大蔵大臣その他と会つて、欧米の事情を視察して来る、こういうのが目的であつたのであります。新聞発表につきまして御質問がございますれば、同僚の皆様方でありますから、私の言い得る程度発表し得る程度は申し上げまして、皆様方の御参者に供したい、こういうつもりで上つた次第でございます。
  7. 上塚司

    上塚委員長 これより質疑を許します。通告順によつて質疑を許します。福田篤泰君。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)委員 私は今委員長の言われた通り、今回の池田特使の渡米につきまして、非常にその労を多とするのでありますが、いろいろな意味で巷間にはデマも流れ、また事実に近いような説も論議されている次第でありますので、今池田議員の言われましたように、国際信義にもとらない、さしつかえない範囲では、できるだけ本委員会を尊重していただきまして、具体的な事案をさしつかえない範囲で、本委員会を通じて国民に周知せしめた方が、政府としても、また国会としても正しい道ではないかと思うのであります。それでいろいろ問題になつた諸点につきまして、御答弁ないし御説明をいただきたいと思います。  初めに池田特使が行かれまして、向うへ着きまして、国務省のそのときのプレスに対する発表では、一切アメリ労政府側として発表しない、プレスの会見もしないというようなことを言われたようでありますか、その後今言われたよう共同コミユニケ発表せられた。これはどういう変化があつたのか、この点につきまして御説明いただきたいと思います。
  9. 池田勇人

    池田勇人君 到着いたしまして、翌日ロハートソンと会いましたとき、会談内容は一切発表しないということにしたわけではないのであります。こうこういう問題について、お互いにエキスパートリーに話をするのだ、腹の探り合いをこういう問題でやるんだということは、最初会見したときにも発表いたしております。発表し得ることはお互いの間で会談都度話し合いまして、適当なときに、外国記者団もそうでございますが、在米日本人記者団とも会談都度話はしておつたのであります。ただ発表し得べきことと発表しないことということを、俄然とわけたわけではありませんが、きよう会談においてはこういう話をしたというのは、その都度発表いたしております。
  10. 福田篤泰

    福田(篤)委員 これはもう新聞にも出ました通り共同コミユニケ発表せられたあとで、岡崎外務大臣が訓令を出して、共同コミユニケについては政府は賛成だということを、現地で大使が日本政府の代理としてアメリカ政府に申し入れた。その後どういう事情が、東京会絞に対する申入れをしたのだというような、少しその間、われわれには納得できない筋がございますが、この点につきまして、側人的特使で行かれたということは、よく了解いたしますが、この間政府との関係につきまして、当事者としてどういうお考えを持つているか、一応お伺いいたしたいと思います。
  11. 池田勇人

    池田勇人君 私は三十日に発表が済みまして、ただちにワシントンから三十一日の夕方ロンドンに向いました。そして十九日に帰りましたので、その間の事情をよく存じません。そういう問題は私に関する問題ではないと思いますので、外務大臣その他からお聞き願いたいと思います。
  12. 福田篤泰

    福田(篤)委員 特使が出発される前に交渉といいますか、話合いの大きな基礎的条件として、いわゆる吉田重光会談の行われたことは御承知通りであります。これが重要な一つ材料になるわけでありますが、これについて当然いろいろあつせんせられました特使といたしましても、古田重光会談内容を十分御承知であり、また吉田総理ともお打合せの上で渡米されたと思いますが、さしつかえない範囲でぜひこの点だけはお伺いしたいと思うことは、おそらくいわゆる池田ロバートソン会談の最も大きな議題になりました防衛力の問題につきまして、どういう形で古田・電光両総裁の間で話合いがきまつたか。たとえば防衛力増強に関する自由党の今の態勢を改進党の総裁重光さんかお認めになるのか、あるいは今後の交渉の発展を見通して、憲法改正についての何らかの話合いをするのか、その点について基礎的な問題でございますので十分御承知だろうと思いますからお伺いいたしたいと思います。
  13. 池田勇人

    池田勇人君 私はただいまの国際情勢、ことに国内の問題から考えまして、政局の安定がぜひ必要である。こういう考えのもとに意見吉田総理政調会池田として申し述べたのであります。お二人の会談につきましては新聞に出ておつたの承知いたしております。私はあの線でお会いになつたということは、国内的にも、ことに国際的にも非常によかつたと私は考えておるのであります。このことは向うへ渡りましても、アメリカ当局の方、特にダレス氏等は政局の安定の一歩を進めたこと、そうしてまた自衛力漸増に筋金を入れたことというので樽ばれておつたと私は感じております。
  14. 福田篤泰

    福田(篤)委員 日本政局の安定、特に保守陣営の提携ないし結合というものは、国際的に見て大きなプラスであることは御説の通りでありますが、私の申し上げたいのは今度の会談の大きな問題になつ自衛力の問題、あるいは防衛力の問題について、どういう話合いをされたかをあなたが了解して行かれたか、どうか、この点をもう一度お聞きしたいと思います。
  15. 池田勇人

    池田勇人君 新聞発表なつたところでございまして、会談内容のこまかい点につきましては両君から承つておりません。どういうお話をなさいましたか、私の知つておるところはあの新聞発表だけでございます。
  16. 福田篤泰

    福田(篤)委員 池田ロバートソン会談の大きな問題になりましたいわゆる日本防衛力の問題ですが、伝えられておるところによりますと、十一月八日分先方との会談においてナツシユ国防次官補は、三十二万五千から二十五万くらいやるべきだという、非常に一方的と申しますか、強い主張を席上でされたということが相当伝わつておりますが、これに対する真偽の問題、またいわゆる池田案と伝えられるものは十八万で五年計画であり、また保安庁案は二十二万という説も相当伝わつておるのでありますが、これらの人数の問題はやはり今後の大きな研究課題でありますので、さしつかえない範囲でお答えを願いたいと思います。
  17. 池田勇人

    池田勇人君 先ほど申し上げましたように、会談内容につきましては発表しないということにいたしておりますので、信義の問題としまして遠慮いたしたいと思います。委員長ちよつと速記をとめてくたさい。
  18. 上塚司

    上塚委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  19. 上塚司

    上塚委員長 速記を始めて。
  20. 池田勇人

    池田勇人君 池田がどういう防衛計画を持つておるかということにつきまして申し上げますが、私が出発する以前から日本国内におきましても何々案、何々案といろいろな案がございました。私も不敏でございますが、できるだけの研究はいたしておりました。しかし問題はそういう案を研究することよりも、私は日本防衛を財政的に見てどれだけが可能であるか、そうしてまたその防衛の問題を陸海空と申しまするか、海の面はどういうことを主眼として行くべきか、空の問題は日本技術あるいは乗員の訓練のところから言つていつごろになつたらできるか、いつころになつたら飛行機を自分で製作できるか、その間においてアメリカがどれだけの飛行機をくれるか、しかもその飛行機維持にどれだけの命がいるか、維持費をどういうふうな割合で分担するか、こういう問題のグルントを研究して行つたのであります。向うが案を出したときには向うの案に対して、こちらも相当の意見を申し述べ得られるような基本的のことを研究して行つたのであります。たとえば海軍で申しますと、空母を持つか、持たぬか、あるいは沿岸防備、湾港防備の問題にどれだけの掃海艇がいるか、食糧を有事の際に運ぶときにどういう程度船団にするか、二船団にするか三船団にするか、あるいはこれを守るのに何昼夜の間守るか、こういうふうな基礎的のことを研究する。空軍においてもそうであります。たとえばジエツト戦闘機を一台持ちますのに、製造費が一億九千万円かかりますが、維持費がそれの半分の八千万円かかる、こういうことからずつと割出して研究して行つたのであります。従いまして池田案というものはございません。何ぼでも案はございます。向うの出ようによつてどれだけでも案はつくれるのであります。だから私はいかなる場合における、どういう程度のものならどう、陸海空の割当をこういうよう研究はいたしておりましたが、確定的の案というものはないのでございます。ことに問題は陸上部隊にもデイヴイジヨソ・ストレングス――師団編成の問題でございますが、これもやはり地形その他によりましてよほど違つて来る。私が申し上げられることは、各国によつて師団編成が違つております。またその国によりましても作戦の遠い近い、あるいは補給関係でよほど構成が違つております。アメリカにおきましても六万五千のデイヴイジヨン・ストレングスもあります。また三万五千もあります。またNATOの方では一個師団一万八千でやつておりますし、フランスは一万二千でやつておる。日本よう地形から考えまして、また道路の問題から考えデイヴイジヨン・ストレングスというのか一審問題であるのであります。そういう点を研究して参つたのでありますが、どれだけにするかということにつきましては、これもやはり瀬踏み的でいろいろな考えを言うだけで結論は由ないのであります。
  21. 福田篤泰

    福田(篤)委員 よくわかりましたが、滞米中の会談の御努力の結果と申しますか、一つの収穫としては予備会談的な性格を持つて、近く東京会談が行われるのであります。これについて本委員会としましてもいろいろな意味で、今から十分研究する必要があると思うのでありますが、一体どういう点が来るべき東京会談ポイントになるか、これについてお話を伺えれば幸いに存じます。大体伝えられるところは、防衛計画を一体年次計画の長期の計画に取上げるか、あるいはさしあたりここ一年間どうするかというような応急的な一つの案を出すか、またガリオヤ資金について、西独並にこれを切り捨てるのかどうか、また防衛分担金はどうかというようなことが論議される、たろうと伝えられているのでありますが、御専門立場から、東京会議内容ポイントにつきましてお話を伺えれば、けつこうと存じます。
  22. 池田勇人

    池田勇人君 私が向うで話をいたしましたのは、東京会談予備会談という意味ではございません。国務省その他関係当局に、日本国民は、また日本国会議員の一人は、どういう意見を持つているかという考え方を、向うに話をいたしたにすぎなのいのであります。そしてまた、向う考え方が那辺にあり、どの程度のものなりやということを、知り得た分だけは吉田さんに報告をいたしてあります。東京会談につきましては、私はこれは政府がおやりになることだと思います。それの材料として心得べき点につきましては、吉田総理報告をいたした次第でございます。問題は御承知通り防衛力漸増の問題、そして防衛力漸増によりましてのアメリカ軍日本からの撤退の問題、その他防衛力漸増に伴います日本防衛分担金の減額の問題、これは新聞発表いたしましたごとく、両者の意見が大体きまつたのであります。われわれは漸増して行く、その際においては防衛分担金情勢によつて減らして行く、またアメリカ軍も徐々にその状況とにらみ合せて撤退する、こういうことは新聞発表通りであります。  それからガリオアの問題につきましても、今お話通りドイツは先年、一九五年六月を時期といたしまして、ガリオアその他の援助物資に対する措置をきめました。そうして私がアメリカにおりますときに第一回の利払いをいたしました。こういう関係で、向うガリオアの問題を片づけようといたしております。私もその気持はわかります。ガリオアの問題を片づけようとする気持を私は知つただけであつて、この問題についてどうする、こうするという意見は申し述べません。これは政府でおやりになることであると考えておるのであります。  その次にまた防衛力漸増に伴いまして経済援助の問題があります。私がこちらにおりますときは、MSA協定を結びますと、即経済援助あるいは技術援助あるいは防衛支持援助があるやに誤解しておる向きがあつたのであります。今――今と申しますか、ここに数箇月前のMSA交渉につきましては、私が知るところでは軍事援助をやつておる。軍事援助に関する協定主力が注がれておつたと私は想像しておるのであります。すなわちMSAにつきしては、御承知通りマーシヤル・プランECA、それからMSA、それからFOAというふうにかわつて来つつあるのでありますが、問題のMSA中心軍事援助するわち完成兵器完成弾薬援助ということに主力が注がれておるということを私は察知したのでありますが、われわれの見るところでは軍事援助だけでは足りないのです。いわゆる防衛支持援助あるいは経済技術援助をほしいのだ。そこでMSAの方の構成から考えまして、私は完成兵器援助以外にECA協定を結びたいという考えのもとにいろいろ案をめぐらしまして、どこからこれに入つて行つたがいいかということに腐心いたしたのであります。御承知通り、先般スペインがアメリカとの協約をいたしましたときに、安全保障協定と、軍事援助協定と、ECA協定と、三つを内容といたしておるのであります。軍事援助のみならず、経済援助にどちらから入つて行くかということに、私は五百五十条の小麦協定余剰農産物を買い入れることによりまして、ECA協定に入り込もうと努力いたしたのであります。  ちよつと速記をとめていただきたい。
  23. 上塚司

    上塚委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  24. 上塚司

    上塚委員長 速記を始めてください。
  25. 福田篤泰

    福田(篤)委員 最後にもう一点。今東京会談が開催された場合には、あくまで日本政府の本筋を通し、いわゆる外務省が中心になつてやるということは、日本外交一元化のためにも私は非常にけつこうだと思つて喜んでおりますが、ただいまのお話の五千万ドルの問題につきまして、御専門立場から最後にもう一言御説明願いたいと思いますことは、円を積み立てられますために、これが一つインフレ要因になりはしないかということが一つ。もう一つは、いわゆる四千万ドルの特需的な性格につきまして、これはむしろ本来ならばドルをかせげるものが円で決済されるというよう心配はないか。今の御説明によりますと、従来の特需的た外貨獲得の上に、さらにサープラスなものとして、これがまたつけ加わるのだというお税でありましたが、インフレ要因の問題とこの外貨獲得の裏づけがはたして御説明通りの形で行くかどうか。すなわち円決済でされるために、特需的な外貨をもうけるものが、むしろそれだけ減るといつては何でありますが、切りかえられる心配はないか。この二点だけをひとつ伺いたい。
  26. 池田勇人

    池田勇人君 私は先ほど申し上げましたように、想像ということでなしに確信を持つておりますと申し上げたのは、従来の予算に組んでおりました五千五百万ドルに加うるの四千万ドル余りで、一億ドルのオフシヨア・プロキユアメントがあると確信いたしております。だからこれで外貨獲得減つたというのではないのであつて外貨の捜得五千五百万ドルを確保した上に、なお四千万ドル余りサープラスのプロキユアメントかある、こうお考えくたさればいい。私はこれには確信を持つております。  次にインフレの問題でございますが、これは私は物を入れまして、それを売つて、その金で外国は物を買つてくれるということになればインフレの懸念はない。そしてまた一千万トルの――少くとも一千万ドルと申しておきます。私はこの一千万トルをもつとふやしてもらいたいという気持を持つております。またそれを強く要求しておりましたが、少くとも一千万トルの分につきましても、小麦その他のものを売つて政府が民間から金を引揚げる。それを特殊の軍需関係、あるいはできれば基幹産業にもと思いますが、それに放出するのでありますから、これによつてインフレが起るということは私はないものと確信いたしております。
  27. 上塚司

    上塚委員長 次は須磨吉郎君。
  28. 須磨彌吉郎

    須磨委員 先般のロバートソン会談発表の中にございました中共貿易でございますが、中共貿易の問題はまつたくやかましくなつて来つつあるのであります。私どもの見ておりますところでは、アメリカ考え方が、朝鮮休戦以来、中共というものに対してはよほどかわつて来ておるようにも思われるのでございます。休戦条約休戦会議の捕虜の問題等の扱い方等につきましても、よほど緩和と申しましては行き過ぎかもしれませんが、考え方が実際に即して来つつある。他面また英国を初めといたしますヨーロツパ各国アメリカと違いまする見解にも対処して、だんだんとアメリカ考え方もかわつて来なければならぬというのが私は大勢ではないかと思うのであります。さよう大勢から見ますと、あの御会談の中の発表によりますと、日本との中共貿易については、何と申しますか、ハイ・レベルオブ・コントロールと申しますか、相当これから強くこれを進めて行くというような言葉が使われておつたようでございますが、その間何となく私には矛盾が感ぜられるのでありますが、おさしつかえなき範囲において、中共貿易に歯しまする問題を御説明願いたいと思います。
  29. 池田勇人

    池田勇人君 中共貿易の問題につきましてまず第一に考えなければならぬ問題は、今度の休戦政治会議だと思います。私は一にかかつてこれにある、これがどういう見通しになるかというのが問題であつて、ただいまの状態といたしましては、須磨先生御存じ通りに、アメリカにおきましては国務省あるいは国防省の考え方もさることながら、コングレス考え方というものか非常に強いのであります。それに持つて行つてまた輿論の考え方もありまして、三つどもえのよう状態でございます。従いましてはつきりした見通しはつけにくいと私は思いますか、政治会議は一応おいたにいたしましても、私はやはり中共に対しての考え方はあまりかわつていないと見ております。従いまして、われわれの努力は微力ではございましたが、とにかくそういうアンノーン・フアクターかたくさんございますので、今までのような高度の統制は加えなければならぬということは、これは自由国家群の一員として、ことに朝鮮特需によつて相当潤つておる日本としてはこれは一応認めるか、ヨーロツパ並あるいはできれば日本経済状態から見てそれ以上にしてもらいたいというわれわれの気持は、これはもう動かすべからざるものでございます。一応まず高度の統制は続けなければならぬけれども、しかし今後の情勢によつて、随時この禁止品目を縮小して行くということについて協議をしようということが、精一ぱいのところであつたのであります。どうぞお詳しいあなたでございますから御了承願いたいと思います。
  30. 須磨彌吉郎

    須磨委員 それに関連いたしまして、いわゆるロバートソン会談発表とは直接関係はありませんが、今の朝鮮休戦問題とも関係があるわけでありますが、この朝鮮の問題についてのアメリカの輿論と申しますか、ことにアメリカ政府当局の考えカというものは、これは非常に問題になるのではないかと私は思うのでございます。先般も私は本会議の質問演説のときにおきまして述べましたが、アメリカはどうしても日韓関係の調整に努めることが、アメリカの一方の義務であるというようなことを私は感じたのであります。それがアメリカの方の当局にはしみ込んでおるたろうと考えておるのでございますが、御接触の間におけるそれについての御感想を承れば、特に日韓問題はわが国の非常な緊急を要する問題でございますから、その点もお漏らしを願いたいと存じます。
  31. 池田勇人

    池田勇人君 この問題は非常にデリケートな問題でございます。しかもわれわれにとりましては最も重大な問題であるのであります。折に触れないこともないではございませんか、先ほど申上げましたように最も重大な問題であり、最もデリケートな問題である。しかもロバートソンは朝鮮問題につきましてはエキスパートでございます。いろいろな点から考慮いたしまして、これに対しまするお答えは御遠慮さしていただきたいと思います。
  32. 須磨彌吉郎

    須磨委員 それでは防衛の問題でございますか、最初に私が伺いたいと思いますことは、あの発表の中にもございましたが、アメリカ陸海空にわたるいろいろな施設、装備について日本を助ける所存もあるというようなことは、むろんしみ出て来ておるわけでございますが、何と申しましても防衛の武器と装備につきましては、進みました科学を利用し、ことにアメリカの今盛んに進んでおります電気の仕掛を用いまするものが非常に大きいと思うのでございますが、さようなことについてはわが日本はよほど遅れておるわけでございますか、こういうよう意味でのお話も出たものでございましようか。単なるあそこには何とかイクイツプメントと書いてあるわけでございますが、そういうものがありませんと、これからの防衛というものを考えますときには、非常に手落ちになるわけでありますから、その辺のところを承りたいと思います。
  33. 池田勇人

    池田勇人君 私はあまり専門家でないのでございますが、それは御想像の通りで、私は今の日本の保安隊の機構その他の持つております兵器、武器については十分存じておりませんか、ほのかに聞くところによりますと、あの秘匿のものはほんとうの兵器ではないというふうによそから聞いております。従いまして日本防衛力を漸増するとすれば、私は打つてかわつた矢掛その他の援助が、やはりイクイツプメントがあるのじやないかと想像しております。
  34. 須磨彌吉郎

    須磨委員 これは防衛に関する一般の問題でございますが、私どもがアメリカ防衛問題の論議等を新聞その他によつて承知いたしておりますところによりますと、アメリカは、まずもつて日本は自分の力で自分の国土を防衛するという決意を示すことが先であつて、それからアメリカの方が援助をすることが非常にぞうさなくなる。従つて日本の行き方がどうも非常に緩慢であり、あるいは場合によつてはかえつてアメリカの希果に対してレジスタンスを示しておるようなことを、あまり愉快に思つていないというような言論もある様子でありますが、さようなわれわれの一般的考え方が、当局との御接触によつてどういうように映つてつたものでございましようか、その点も承りたいと思います。
  35. 池田勇人

    池田勇人君 今までいろいろ議論はございましたが、昨年の七月十八日と心得えておりますか、この委員会におきまして須磨先生のお考え、岡崎君のお考えがだんだん実現いたしまして、両党総裁の申合せにもその点が載つておりますことは、アメリカに対しまして、先ほど申し上げましたように好感をもつて迎えられたと思います。四週間の会談のうちに、ワシントン・ポストあるいはまたニユーヨーク・タイムズはわれわれの態度につきまして報告し、社説を掲げておる。また帰りましても、十一月二日のニユーヨーク・タイムズは社説にわれわれの態度について述べております。私はレジスタンスをやつたというのでなしに、アメリカ政府並びに民間の方々がわれわれの気持をわかつてくれたと自分は思つておるのであります。私は、自分の思いますことは、数、字的にもまた理論的にも全部言つてつたつもりでおります。また知り得るだけのことは知つてつたつもりであります。私の心配したのは、須磨さんの御心配になつておるようにレジスタンスにとられては困る、こういうことは常に考えておりまして、私はその点は新聞の論調からいつて、そういうふうなことはなかつたとひそかに喜んでおる状態でございます。
  36. 須磨彌吉郎

    須磨委員 先ほどの稻田委員に対するお答えの中にもございましたが、スペインが今回アメリカと結びました三つの協定の中に、ECAに関する協定もあつたのでありますが、あの協定によりますと、これからきわめて広汎なものが展開し得るようなことになつておりますが、先ほどの御口吻の中には多少察せられる点もありますが、わが日本に対しましても、あの程度ようなことがこれから話合いができるようなお見込みがあつたものでございましようか、承りたい。
  37. 池田勇人

    池田勇人君 御承知通りアメリカは今財政的にかなり苦しい立場におり、先月も二千七百五十億円の国債の発行限度は四億円しか残りがないというので、予算局並びに財務長官も非常に苦しい立場にあつた。そうしてまた御承知の大統領選挙の公約もあります。朝鮮事変に伴う増税分は今度減税して行かけなればいかぬ、こういうので、政策といたしましては、将来ECA援助を切ろうという強い決心をしておるようでございます。そういう情勢のもとで、今までECA協定をやつていない日本が、ECA協定を結ぶということは、かなりの問題があるのであります。先ほど申し上げましたように、私は兵器援助のみではなかなか行かない。やはりヨーロツパ並ECA援助も入り込まなければならぬ、こういう気持で入り込み得るような素地といいますか、考え方になつてもらつたとぼくは想像いたしておるのであります。今後外務省、政府当局の御努力にまつほかはございませんが、そういう今の情勢でございますので、私は金額の多寡を言わずに、この問題をまず解決して道を開かなければならぬ、こういうのが私の念願であるのであります。道を開いておけば、やはりヨーロツパの情勢、東亜の情勢から見まして、いかにアメリカ政府ECAは今後予算を盛らないのだといつても、昨年は十八億、本年も十数億になんなんとするものをぴしやつと切るわけには行きますまい。そこで額の多い少いは別問題として、何か道だけは開こうというのでやつて来たつもりでおるのでございます。この額の問題は、今後世界の情勢の変化、またアメリカ国内情勢によりましてかわつて来ると思いますが、われわれはやはり誠意をもつて日米協力、そうしてアジアの平和に貢献する、こういう態度をはつきりきめておけば、その道がおのずから広くなつて来るのじやないか、こういう考えを持つております。
  38. 須磨彌吉郎

    須磨委員 それに関連をいたすのでございますが、つまり外国援助をだんだん詰めて行くという今の共和党の政府立場は、私どももある意味においては非常に憂慮をいたしておるわけでありますが、またもう一つその逆を申しますと、それであるから、ほかの全体のフオーリン・エイドというものはだんだん詰めましても今の焦点となつておるアジア並びに太平洋地域に関しますことは、大いにやらなければならぬという考え方が一方においてあると私は考えられるのでございます。すでに一月二十日の就任演説におきましても、アイゼンハウアー大統領はそのことを九項目のうちの第七項にうたつておるわけでございますから、そのフオーリン・エイドという一般的のものは減るといたしましても、東洋地域に関することにつきましては別段の考慮が、共産主義に対抗するために、これは起つて来るのではなかろうか。これに関連しまして今起つて来ております問題は、つまりこれはトルーマン大統領が対日条約に調印するときにも申しておりました太平洋全体の安全保障のことをだんだんやつて行かなければならぬというのが、今アメリカの強い熱望たと思いますが、その方向に今共和党政府考え方が向いて来ておるのじやなかろうか。そうしますと、アメリカ考え方というものは、そこに行きますと、日本に関することは、何も日本を助けるということではありませんので、太平洋において共産主義に対抗する障壁となることを考え、この点はこの間ニクソン副大統領も演説の中にはつきり申しておることであり、またニクソン副大統領の日本の非武装化は間違いであつたというようなことも、そういう意味においてのみ解釈さるべきものだと思いますから、その点の考え方からいたしますと、そういう空気がロバートソン会談等においても、みなぎつてつたものではないのでございましようかどうか、伺いたい。
  39. 池田勇人

    池田勇人君 そういう空気がみなぎるとまでは参りませんか、アイクの声明でも、お話にあります通りに民主党時代と違いまして、ヨーロツパ優先ということは改められた、両者同様か、また同様になれば、これは東亜の方に実質的には刀を持たしておる、こういうことになるので、私はそういう空気かみなぎつておるとまでは御報告申し上げられませんか、そういう空気は今の政府にはあると想像いたしております。そういう意味におきましても、私はこの際やはりECA協定を結んでおかなければならないという気持でおるのであります。
  40. 須磨彌吉郎

    須磨委員 この間私はスミス上院議に会う機会を持つたのでありますが、そのときも私は同じことを尋ねて見ましたところが、アメリカの方では太平洋地域に関する問題は、これからの共和党政府としては一番先にかつ一番カを入れてやつて行かなければならぬ問題である、こういうことを申しておつたのでありますが、そういう意味ではお話を承りまして、符合する点々私はきわめて喜びとするわけでありますが、そういう点から考えまして、最後に伺いたいのは、今のMSA交渉でございます。これはすでに九月以来調印を待たれておつて、きのうの答弁によりますと、本年中に調印するのはむずかしい、こういうようなことにもなつてつたよりでありますが、アメリカに御滞在中の電話か、何かの新聞に出ておつたのかもしれませんか、それを読みました私の印象では、MSA交渉は人体できる、その時期は本年中にならないで来年にまたがるかもしれない、そういうようお話もあつたようでございますが、これに対する大体の御感想とお見通しを伺いたいと思います。
  41. 池田勇人

    池田勇人君 私は外務当局でございませんので、見通しはここではつきり申し上げられませんが、MSA交渉なりECA協定を含めてからの問題は、大体の原則はやはり早くきめた方がいいのではないかと思います。何分にも日本にも予算の関係もございます。ことにアメリカにおきましてもその関係がございますので、私は両政府当局間におきまして十分の意見の交換はしなければなりませんが、できれば早いことを、日米国交のために、そして国交によりまするお互いの内政の上におきましても望んでおる一人であります。
  42. 上塚司

    上塚委員長 次は神近市子君。
  43. 神近市子

    ○神近委員 私がお尋ねしようと思つていたことは、今の福田さん、須磨さんの御質問と重複しそうでございますから、それを除きました部分で、中共問題について関連したことを伺いたいと思います。イギリスにまわつてお帰りになつたとかいうことでございますけれども、私どもが今ちよつと気になることは、アメリカが一九三〇年代ではないけれども、多少恐慌あるいは経済的に下り坂だという、さつき池田さんのお話でもちよつとそれが感じられましたのですけれども、そういう通信か幾つか人づて来ているのでございます。そういうふうなことはどういうふうにごらんになつたでしようか。
  44. 池田勇人

    池田勇人君 今アメリカで最も多数の人か心配と申しますか関心を持つておる問題は、アメリカの景気がどうなるだろう、こういうことのようでございます。私はニユーヨークにおきまして、銀行中の専門家に二、三当りましたが、大体の見るところは、上り坂ではもちろんないけれども、そう急激に下り坂にはない、従つて一九三二、三年のあの恐慌というようなことはほとんど全部の人が考えていないようでございます。これは意見でございますから、中に百人に一人や二人は違つた意見もございましようが、全体の空気といたしまして恐慌を考える人はないように認められます。ただ今丘での上り坂が横ばいかあるいは一時ちよつと下降ぎみになるのではないかということを言つておりますが、その下降も、非常に伸びた生産と消費の間ですから、大した影響はないというのが通説であると私は感じて参つたのであります。
  45. 神近市子

    ○神近委員 そういうようなお考えならばそれでいいと思いますけれども、もし変動が――上り詰めたということはもうみな信じられております。もしそれか事実であるとすれば、日本状態として国民の生き得る道をほかに求めなければならない。もうイギリスはそれに対する対策を考えているという状態のところに、私どもはさしあたり明年度の一億ドルという赤字をかかえて、二、三年たては日本の手持ちのトルがなくなるというようなことを考えると、共同声明にございました中共との問題をもう少し努力していたたきたかつたと思うのですけれども、それはどういうふうにお考えになつて衝にお当りになつたのでしようか。
  46. 池田勇人

    池田勇人君 洲界各国は、最近の国際情勢を見まして、その国の通貨の安定に非常な努力を払つております。数箇月前はフランは弱い、切下げ必至だという一般世界人の見方でございました。行つて参りますと、今の大蔵大臣経済大臣その他を兼ねまして、強力なフランの安定政策をやつております。従いまして町でドルをもつて買いましても、ほとんどやみは通用いたしません。また赤字を出しておりますイタリアのリラも六百二十リラを原則といたしまして、それで売買をしておる。各国とも非常な努力を結集してやつておるのであります。最近数箇月におきますポンドの状況は、ごらんの通り強くなつて参りましたが、ひとり円を考えますとなかなか心細いのであります。従いまして私は日米協力につきましても、どうしても日本インフレから防止して、円の力を強くすることが必要だということを力説して、向うも共鳴しておるわけであります。こういうことがぜひとも日本に必要なのであります。私は今後の財政経済政策におきましても、国際収支の均衡、円を強くすることに国民が全力を集中しなければならぬ最も大事なときだと考えておるのであります。従いましてそれの手段として中共貿易をおあげになつたのでありますが、私は中共貿易につきましては実はあまり期待を持つていないのであります。なぜかと申しますと、戦前の中共貿易、いわゆる支那貿易、満州あるいは関東州その他を加えました中共貿易のウエートからいつて、またあのときには数十万あるいは百数十万の日本人があそこにおつて、数十年にわたるいわゆる政治権益を持つてつてつたときのあの状態と今の中共状態と比べまして、あまり多くを期待できないと考えておるのであります。しかもまた自由国家群の一員としてこれに主力を注ぐことよりも、今の場合におきましては英米ことに英国と協定して、東南アジアに進んで行くこと、また一方、ドル収入を減らさないことに力を注いで行くのが、私は円を強くするゆえんたと考えておるのであります。従いまして中共貿易につきましては、先ほど来お答えしたように、多くなることを黒むことは人後に落ちません。しかし主力をどこに置くかということになれば、やはり東南アジアの開発と、そうしてドル収入を減さぬこと、これに私は主力を注いだのであります。私の想像では、昨年度はドル収入全体を加えて大体七億七、八千万ドル、八億足らずでございますが、来年度におきましては、これよりも多くなることを私は期待し得るという考えを持つております。再来年度におきましても、ふえるとも減らないということをやつて行きたいというのか、今度私が向う行つて朝野の人と会つた目的の一つでございます。私は今年の七億八千万ドル、あるいは八億足らずの全体のドル収入と、今後の一年間のドル収入を比較したならば、ふえるとも減らないということをここに申し上げ得ると考えるのであります。
  47. 神近市子

    ○神近委員 ついででございますから、経済の方面にたいへんエキスパートでいうつしやるので、ちよつと伺いたいのは、その御決心はたいへんけつこうだと思いますけれども、どういう方法でドル収入をふやすお考えでございましようか。ごくざつとしたアウト・ラインでもけつこうですから、お伺いしたいと思います。
  48. 池田勇人

    池田勇人君 これはドル収入にいたしましても、ポンド収入にいたしましても、要は日本経済が強くなることであります。強くなるということは、いい品物をつくつて外国へ安く売る、これに尽きるのであります。それならばいい品物を安くつくるにはどういうようにするかというと、イノフレを起さないことは当然でありますか、各人がおのおのその生業に励んで、そうして能率を上げて行くことに尽ぎると思うのであります。能率の上げ方につきましては、いろいろな施策がございましようが、私は自由党の政調会の一人として、今後その想を練りたいと考えております。いずれ機会がございましたら、天下に出したいという気持を持つております。
  49. 田中稔男

    田中(稔)委員 神近委員の賛同に関連いたしまして、池田さんにちよつとお伺いしたいと思います。池田さんは中共貿易にはあまり多くを期待していないというお話がありました。私は先般中国通商視察団の一員として中国に参つて貿易協定締結その他に関係して帰つて来たのですか、私ども社会党左派の立場としては、池田さんとはその点において見解を異にしております。なるほど戦前におきましては、満州その他に甘木の利権もあり、事業もあつた、また数十万の日本人が中国に住んでおつたというよう事情があつて、今日それは一変しております。しかし戦前における日本の対華貿易といえども、何もそう数十万の在華同胞だけを相手にした消費財の輸出ではなかつた。また満州における日本の権益というものはなくなりましたが、今日は中国の東北となつて、この地域には非常に大規模な工業の建設が進行しております。そうしてこのことは、ただに東北だけではなく、西北におきましても、さらに中岡全土について言えることであります。中国はそのために必要な建設資材の輸入を日本に切実に要求しておる。ところがその建設資材でありますとか、鉄鋼製品でありますとか機械類でありますとか、そういうものがバトル法の関係その他で出せない。バーター貿易の原則をとつておりますので、日本からやはり大量に多額の物資か中国へ出京せんと、また向うから大星に輸入するわけには行かない。しかもわれわれが中国に期待するものは、鉄鉱石あり粘結炭あり、工業塩あり大豆あり、その他いろいろのものがあると思います。そういう工業の原材料日本に輸入することこそ、日本の製品のコスト荷を下げることに非常に役立つと思うのであります。
  50. 上塚司

    上塚委員長 田中君、今日は池田特使アメリカ報告を承ることになつてつて意見のやりとりということでないのでございますから、その主題を離れない程度において、簡単に御質問を願います。
  51. 田中稔男

    田中(稔)委員 主題を離れてはおりません。説明の便宜上若干私の意見も加わつておる。こいうふうな関係におきまして、中国貿易に多くを期待できないとおつしやるが、つまり日本の方で建設資材の輸出の禁止を解きますならば、私は中国との貿易はバーター貿易として非常に発展すると思うのでありますが、池田さんのこの点についての御見解をこの際はつきり承つておきたいと思います。
  52. 池田勇人

    池田勇人君 御意見は承つておきます。また中共貿易に多くを期待できないということもはつきり申し上げました。と同時に中共貿易の盛んになることにつきまして、これを望むことは人後に落ちないということも申し上げておるのであります。しこうして日本の今置かれた地位から申しまして、当座はドルをかせぎ、そうして東南アジア開発をして、ポンドを確保することに主力を置きたい。こう申し上げておるのであります。
  53. 上塚司

    上塚委員長 神近君もうございませんか。――次は加藤勘十君。
  54. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 先ほど来、池田さんのアメリカにおいでになりました模様につきましては、一通りの御報告を承つたのであります。結局御報告範囲では、先般新聞発表されたコミユニケ以上のものは何もないという点でありますが、それはしかし当然でありましよう。ただ問題は先ほど福田さんからもお聞きになりまして、ほぼ明らかになつたようでございますが、しかし私どものふに落ちない点は、御承知ように、MSA東京会談というものが、池田さんのおいでになる前に十一回か十二回か開かれておりまして、ちよつと中断された形になつておる、どういう事情で中断になつたか、それは知りませんが、その後池田さんが向うにおいでになりまして、いよいよ共同コミユニケ発表された後に、日本政府の訓令で、新木大使がアメリカ国務省に、東京会談の点は了承したというて、東京会議が再開されることになつたわけでありますが、そうすると、池田さんが単に吉田総理の個人的な特使という性格を持つておいでになりましたけれども、日本政府がたといコミユニケの一部にしろ、東京会談というものを池田さんがお約束なすつたことをあらためて承認して、アメリカ国務省に正式に通達をしたということになると、池田さんの特使としての性格もそこに多少違つて来るのではないかと思うのですが、この点は池田さんはどのようにお感じになつておいでになりますか。
  55. 池田勇人

    池田勇人君 先ほど来申し上げましたごとく、私は吉田さんの特使として参りまして、日本の議員の一人として、また吉田さんの気持、また私の知り得た国民考え方を言つただけなのです。その話合いにつきましては、いろいろ注意いたしまして、日本側とかなんとか言わずに会議列席者というのでほんとうに非公式のあれにいたしております。その新聞に出しましたことにつきましての確認の問題につきましては、私の領域外でございます。この点は総理あるいは岡崎君にお聞きくださるのが適当かと考えております。
  56. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 池田さんの性格の問題は、それはもうおつしやる通り日本政府に関する問題ですから、外務大臣なり総理なりにお伺いする機会を持つことにいたしまして、実際問題に入りまして、先ほど福田さんの御質問で大体お答えになつたと思いますけれども、もう一つふに落ちない点は、MSA五百五十条による小麦協定の問題と経済援助関係とについての点がはつきりしなかつたのであります。この点は経済援助じやないということははつきりしておるが、将来経済援助に道を開くために五百五十条の小麦協定というものが結ばれるようになつたのかどうかということがはつきりしなかつたのですが、この点をはつきりしておいていただきたい。
  57. 池田勇人

    池田勇人君 これが問題でございまして、五百五十条からは、いわゆるMSAのうちの防衛支持援助経済援助技術援助には直接に来ないのであります。従いまして小麦を買つて円を積み立て、その円でもつて今の防衛支持援助経済援助の方に道を開こうというのが、私の念願です。その交渉は外務省がアメリカ政府とおやりになるのであります。先ほど来申し上げましたように、今ただちにもう安全保障条約を結んでおる日本といたしまして、経済援助をやることはアメリカはなかなか承知しませんから、こういうところに突破口を開いて行つたならばやりいいのではないかという念願でやつて来ておるのであります。小麦協定と――ほかにも世界の小麦協定がございますが、あの五百五十条による余剰農産物小麦についての協定ともう一つ別に私は協定を結ぶことが、そしてそれをMSAに入り込むことが得策だ、こう考えまして、あの新聞発表にも諸措置と――措置だけでなくて、諸措置と複数にしておるのはそういう意味であるのであります。
  58. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 池田さんが御苦心なさつたそういうこまかい点はよくわかります。ただ池田さんの切なる御希望であるということと現実の問題とは違いますから、御希望は御希望として、そういうお考えを持つてお話なつたということは、われわれはよくわかりました。  それからインフレとの関係の問題ですが、先ほどこの点も福田さんからお聞きになつたようでありますが、どうもわれわれにもまだお答えだけではふに落ちなかつたのです。この小麦買付が円でなされる、そうしますと、MSA軍事援助範囲内で、ほかに五千五百万ドルくらいのものはドルで支払われる分があり、そのほかに五千万ドル分を小麦買付に充てるのだ、こういうことでございますね。それからそのうちの四千万トル分が、東南アジア諸地域への兵器を日本で買いつける場合の支払いに充てられる。この勘定は当然日本の予算には上らない、特別会計になるわけですね。
  59. 池田勇人

    池田勇人君 具体的の問題は今後の交渉になると思いますが、一応はその会計を置いてやりますか、あるいは直接向うの勘定に円を渡しまして、小麦を売つた金を食管から向うの会計に円を渡しまして、向うがそれを買つて行くか、その問題はございますか、多分この四千万ドルにつきましてはこつちの予算はつくらなくていいのではないかと思います。しこうしてこの残りの少くとも一千万ドルの特需権業あるいは関連産業への融資でございます。これは世界各国の分は見返り資金というものを置きまして、それから出しております。前の見返り資金と性質は違いますが、ドイツその他におきましても、経済援助防衛支持援助になる分は見返り資金としてこつちの会計に積み立てて、それを貸しつけることになつております。この分はアメリカに払うことはいうない、こう考えておるのであります。
  60. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 そうするとその四千万ドル分の円貨の問題は、日本の勘定科目には入らぬわけですね。
  61. 池田勇人

    池田勇人君 先ほど申し上げましたように、日本が特別会計を置きまして、この五百五十条による小麦の分は、その特別会計に入れてアメリカに渡して、アメリカがその金で兵器を買うか、あるいは特別会計に入れず、食管会計から直接アメリカにやるか、これをきめればどちらでもいいと思います。ただ少くとも一千万ドルの分はグラントになつて日本政府がもらうのですから、この分はやはり各国は見返資金特別会計として処理しております。これは会計を設けなければならぬと思います。
  62. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 そうしますと、その一千万ドル分のものはもう確実に日本経済活動の中に流入されることになるのですね。そうするとそれの分はどうなりますか。これは日本の予算とは別個の特別会計になるわけですからして、それが散超されるということになると、勢いインフレを高進するような原因をつくることになるのじやないですか。
  63. 池田勇人

    池田勇人君 この見返資金特別会計を政府側がおやりになるか、ほかの名前でおやりになるかしりませんが、私の考えているところは、世界各国の例を見てみると、政府がそういうようなことをおつくりになつておやりになつているのが普通のやり方でございます。しこうしてこのインフレの問題でございますが、小麦アメリカから来まして、これを民間に売つて、その売上げ代金をもらうわけです。それを今度民間に貸付金として流すのですから、新たに信用は増加いたしません。
  64. 上塚司

    上塚委員長 次は大橋忠一君。
  65. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員 アメリカ日本に対して防衛力増強を、しかも陸上兵力を非常に多く望んでいるのはどういうわけでありますかお尋ねしたい。と申しますのは、兵器の発達によりまして、今までの陸上兵力あるいは海上兵力のごときものはひつきよう補助兵力になつてしまう。従いましてアメリカにおいても、陸上兵力、海上兵力は一割減らすというようなことが新聞に出ております。従いまして私は日本自衛力にいたしましても、現在の十一万程度で人数はよろしい。ただそれをもつと役に立つ精鋭なものにすればそれで十分じやないか。それを何がゆえに三十何万人という大きな兵力に増す必要があるのか。どういう戦略上の理由からそういう要求をしているのか。そういう点について、アメリカ側と接触されたうちにおわかりになつた点を御説明願いたいと思います。
  66. 池田勇人

    池田勇人君 私はそういうふうな数字を耳にしたことはございますが、あまりせんさくいたしません。なぜかと申しますと、私はそういうようなことを考えていないのでございます。これは軍事専門家あるいは軍に関係のある人は、昔から日本にもありましたことく、非常に厖大な自分らの理想案を議論することが常でございます。私はそういうふうに心得ましてあまり議論はいたしません。ただ日本防衛計画をつくります上におきまして、やはり財政的によほど考えなければならぬ。もちろん将来は飛行機が、必要でございましよう。そうして沿岸防備、あるいは食糧その他必需品の輸送船団も必要でございましよう。しかしこれはやはり金との相談でございます。先ほど申しましたようにジエツト機一機をつくりますと、二億円近くの金がいる、それを一年間維持いたします金が八千万円いります。ジエツト機は大体二年とか二年半ぐらい持ちますが、とにかく半分に近い金が維持費に使われる。プロペラ機は三分の一近くが維持費にいるのであります。こういうことを考えますと、持てる国がそういうふうなものを援助して、持たざる国はなるべく先にしようというのか普通の考え方ではございますまいか。私はそういうふうに想像をいたしております。日本もできれば、そして国民が全部それを望むならば、それは早く自分の国を自分だけで守るという基本をまず立てて、それに加うるに各国が手を握り合つて行くという方法に行くのが望ましいかもわかりません。今の状態といたしましてはなかなか私は困難じやないかと考えております。
  67. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員 私がお伺いしたいと思うことは、アメリカが現在よりも非常な多数の陸上兵力を要求しておるよう新聞で見ておるのでありますが、その陸上兵力をふやさす魂胆、政策的理由、その点については向うにお確かめにたらなかつたのでありますか、その点だけちよつと……。
  68. 池田勇人

    池田勇人君 日本防衛は原則として日本かきめるのでございます。参考として承つておきましたか、私はあまり議論はいたしませんでした。
  69. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員 その点は私の質問せんとするところとちよつと食い違つておりますが、これ以上申しません。  いま一つお尋ねしたいことは、新聞により求すと、MSAを受けると非常な国内干渉になる、予算を組むたびにあつちと相談せんならぬ、主計局の出張所をワシントンに置かなくてはならぬということになるかもしれぬということが、吉田特使の方から出た話としてどこかで出ていたようでありますか、ヨーロツパの国も非常にそれがために困つておる。私はMSA援助を受けることには反対ではないのでありますが、ただ国内政治に対する干渉、これを非常におそれるのであります。この点に関して御研究なつた結論、結果はどんなものでありますか。
  70. 池田勇人

    池田勇人君 アメリカの予算局あるいは国防省が心計局に入り込むというようなことは、私は毛頭考えておりません。独立国でございます。われわれ軍事あるいは経済援助をもらう場合においてどのくらいくれるのかという話はいたしますが、それによつてわれわれの独自の考えで予算を組んで行つた、こう考えております。
  71. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員 それではそういう点についての懸念はないというお考えと了承します。  最後一つお尋ねしますが、私は日米親善ということも非常に重要でありますが、日英の関係を改善せぬことにはいかぬ、それがために帰りに英国に寄られたことは非常にけつこうたと思うのであります。商売上において今英国と日本は非常な競争をしておる、そうしてガツト加入問題その他についてしつくり行つておらない、革国の方も日本に対して冷淡な態度をとつておる、この状態は非常に悪いというので最近のエコノミストでも論じておるのでありますが、今チヤーチル曽和を中心にして何とかして米ソの緊張を緩和して世界戦争の危機を避けたいというので、挙国的の努力を払つておる英国と、それと同じ立場にある日本が、もつと緊密なる関係に人らなければいかぬという考えを私は持つておるのであります。それがためにはまず経済的にも英国と緊密なる提携をしなければいけない、商売がたきの点においてはこれはなかなか緩和することはむずかしいかもしれませんか、英国はまだ各地に厖大なる未開拓の領域がある、従いましてこういうところにおいてわが日本人の労力をもつて、そうして開拓に従事せしめて、日英ともに得をするというような点に協力する方向に進めるべきものだというので、私は在野中にも向うにおる友人と連絡したことがあるのでありますが、日英の経済提携の問題などについて、付か英国におられるうちにお話なつたことがあるでありましようか。またこれに対する御所見があつたらお伺いしたいと思います。
  72. 池田勇人

    池田勇人君 大橋先生の御意見まことにごもつともでございまして、われわれは、少くとも私は日ころからそういう気持を持つておるのであります。これはアメリカとの緊密関係を増進することもちろん必要でございますか、日本の置かれました地理的条件から申しまして、英国が今ではドミニオンではございませんが、経済的にはまだ相当の力を持つております。こういうイギリスと手を握つて行くということは、明治時代からの日本外交の基本であり、私は非常に学ぶべき点かあると思うのでございます。それで短期間でございましたが、バトラー蔵相に会見を申し込みました。夕べ帰つてあした開院式でとてもひまがないと言つておりましたが、特にわけてくれまして四十分ばかり話して参りました。イギリスにおきましても昔の日英関係の方方が中心になりまして同じような御意見努力しておられます。また識者の間におきましてもそういう考え方が強いのでございます。しかし何と申しましても貿易立国の国でございます。しかも今保守党と労働党との差が非常に少い、こういう場合におきまするランカシアの声というものはかなり強く響くのであります。従いまして早急には望み得られませんが、また困難でございましようが、バトラー氏と会いましたゆえんのものも私はその点にあつたのでございます。今日英支払協定についてロンドンでやつておりますが、われわれとしてはあなたのようなお考えで進んで行きたい、またそれに向つてこちらで相当の努力を払い、また向うからも払つてもらうようにしなければならぬと私は考えておるのであります。
  73. 上塚司

    上塚委員長 これにて各党一人当りの質問を終了いたしましたが、なお質問者は三名を残しております。先ほど申しました通り池田議員はきよう発熱を押して特に出席しておられますので、きわめて簡単に、でき得れば十分間程度において質問を終了せられんことをお願いいたします。並木芳雄君。
  74. 並木芳雄

    ○並木委員 池田特使日本の財政経済を了承してもらうためにと言われました。しかしあのときはちようMSA交渉が進行中でして、九月の末には調印に至る、こういうふうに外務大臣言つておる最中だつたのです。それで私はやはり特使がおいでになつたの防衛計画に関連して、アメリカの方の案に対してこれをもつと小さくしてもらいたい、つまり日本の財政としては苦しいから縮めてもらいたい、そういう了承をとりに行くのがおもな目的ではなかつたかと思うのでありますけれども、その点いかがですか。
  75. 池田勇人

    池田勇人君 私は立ちます前に、正式にアメリカからこれたけの自衛力を持てということの要求があつたといことを承つておりません。従いまして、減らしてくれという根本がないのです。だから私は防衛問題につきましても、財政経済上の問題ももちろんでございますが、憲法その他国民感情の問題、占領中におきます日本人に対しての教育の問題等につきまして、やはり国民の一人として述べて来たわけでございます。従いまして、具体的の数学についてこうこうということにつきましてはあまり議論はしなかつたのであります。またしない方かいいと考えたのであります。
  76. 並木芳雄

    ○並木委員 ただいま憲法と教育のお話が出ましたが、そうすると、憲法については先方はどういうふうに特使説明を了承されたのですか。また教育上の問題もなかなか大きな問題で、アメリカの占領政策とも関連して来るわけですが、この点については特使はどういうふうに先方に申出をし、先方はこれに対して、どのような了承を与えましたか、この点をお尋ねしたいと思います。
  77. 池田勇人

    池田勇人君 これは新聞発表にもあるのでございまして、この程度でございます。ちよつと読んでみましようか。「両国会議出席者は、日本を侵略の危険より守り、かつ日本防衛についての米国側の負担を軽減するため、日本自衛力を強化する必要があることについて意見の一致を見た。しかしながら、日本の現状においては憲法上の問題、経済上及び予算上その他の制約があり、従つてただちに日本防衛に十分な自衛力の増強をはかることは許されぬことが認められた。」これでございます。ただちに十分な自衛力の増強をはかることは許されないということは、憲法上、経済上、予算上、その他の制約というのは、八年間におけるアメリカの占領当局のいろいろな方面の施策でございます。で、「ただちに十分な自衛力の増強をはかることは許されぬことが認められた。日本側においてはこれらの制約を十分に考慮しつつ今後とも宿衛力の増強を促進するための努力を続けるであろう。これに対し米国は米国議会の承認を条件として、日本陸海空の部隊の装備に要する主要品目を提供し、その編成援助すべきことを米国側会議出席者は申し出た。」これに尽きるのであります。
  78. 並木芳雄

    ○並木委員 自衛力漸増の限界でありますが、その場合に特使としては日本経済自立のめどをどの辺に置いて行かれたのですか。つまり防衛力漸増ではありますが、日本として支出し縛る可能の限度を国民所得の何パーセントとか、特使のことでありますから、数伊的に検討して行かれたと思うのです。大体の目標をどの辺に置いて折衝せられましたか、お尋ねしたいと思います。
  79. 池田勇人

    池田勇人君 これはなかなか困難な問題でございまして、われわれは国民生活の安定向上を第一にいたしておりますが、この自衛力漸増ということも考えなければなりません。また賠償問題も考えなければならぬし、ガリオアの問題も考えなければならぬ。そしてまた積極的に日本の国土開発と東南アジアの開発等も考えなければならぬ問題がみんな一つに固まつておるのであります。従いまして、今防衛力の増強たけを、国民所得の何パーセントなんということは私は意味をなさぬことたと思います。そういう調べはアメリカ側もいたしておりました。われわれももう数年前からいたしておりますが、イタアリアはこうだという話を聞きました。イタリアは地震はあつても災害はないのです。日本に今年の災害がなければ千数百億の金が助かるのであります。災害のある国と災害のない国、地震のない国とある国、これなんかを考えなければ、国民所得の何パーセントなんということは、これは初歩の財政学者の言うことで、こういう数字は出べきものではない、これははつきり私は言つておきます。
  80. 並木芳雄

    ○並木委員 初歩の財政学者かどうか知りませんか、しかしどこかへめどを置かなければ、日本としてはこれ以上は支出できません、そういうことが言えないと思うのです。現に共同声明のなかにもアメリカ側の負担をだんだんと軽減して行く、それから同時に日本としても在日米軍支持のための日本側負担を軽減して行くのだということがちやんと触れてあるわけです。たた抽象的にこういうことを言つてつても、やはりこれは説明材料にはならない。ただいまの池田特使説明は、従来の大蔵大臣時代の面影がどこかへ消えちやつたように私は思うのです。しからばお尋ねしますけれども、特使はどういうものを標準として日本経済の限度、目立の限度はこうだ、ここまでは防衛に支出ができます、その負担力がありますということが言えるのですか。
  81. 池田勇人

    池田勇人君 私が大蔵大臣ならば、自分の抱負を申し述べる機会もありましよう。私は一学徒として、一党員といたしまして世界の情勢を見、ことにアメリカ、イギリス等の考え方を聞いたり見て帰つたのであります。一党員としまして、今後そういう問題につきまして政府を督励鞭撻する気持は持つております。ここでどの程度が適当かということは、た体国民所得がどうなり、予算のわくがどうなり、こうして社会保障制度その他の問題をどう片づけて行く、災害の問題をどう片づけて行く等々を見なければいけないのであります。従つて軽々しく私は今申し述べる段階でないと思います。そういうことをこれから研究ようというので向う行つてつたのであります。
  82. 並木芳雄

    ○並木委員 日本陸海空の部隊の装備に要する主要品目を提供する、これは双方の了解事項でございます。そうすると、日本の陸軍、海軍のみならず空軍、つまり三軍を整備するということは、両者の間で了解が成立した。これにのつとつてこれからの東京会談その他の交渉が行われて行くというふうには了解できるわけでしようか。
  83. 池田勇人

    池田勇人君 その通りでございます。
  84. 並木芳雄

    ○並木委員 そうすると主要品目というものには、いかなる品目があげられると特使はお考えになりますか。
  85. 池田勇人

    池田勇人君 私の領分はそれだけでございます。そのいかなる品目等につきましては、これは政府でお考えくださることと考えております。
  86. 並木芳雄

    ○並木委員 先ほどの報告の中にも、先方で極東情勢説明があつたとのことでありますが、特に国防省及び国務省の当局では、極東情勢の分析をどういうふうに見ておられましたか。私が聞きたいと思いますことは、かりに朝鮮休戦が何らかの形で成立をいたしましても、なおその後に日本防衛力を強めて行かなければならないということの理由を知りたいわけであります。先方が言つておる理由を知りたいと思うのであります。
  87. 池田勇人

    池田勇人君 まことに遺憾でございますが、この点につきましてはお答えを遠慮いたしたいと思います。
  88. 並木芳雄

    ○並木委員 同町に池田特使は、MSAの金額について、さしあたり本年度はどのくらい受けることができるかということを熱心に申し出られておつたと聞いております。大体本年度の日本が受け得られるMSAの金額は示されなかつたのかどうか、見当もつかなかつたのかどうか、どのくらいの金額が大体受けられるか、もしわかりましたらお知らせ願いたい。
  89. 池田勇人

    池田勇人君 私はMSAの金額につきましては要求いたしません。これは御存じと思いますが、オリジナル・コストとブツク・ヴアリユー、飛行機なら飛行機をつくりまして、原価はこれだけかかりますが、向うが持つておるときにはこれは償却しております。これは兵器の器種によつて、その償却の仕方が違います。だから償却したものか、償却しないものかということは、個々の問題について計算しなければいけないのであります。従つてMSAについてどれだけの金が日本に来るかということは、これは私は質問にならぬと思いますから質問いたしませんでした。
  90. 上塚司

    上塚委員長 並木君時間が大体来ましたから……。
  91. 並木芳雄

    ○並木委員 MSA協定を結んで援助を受ける場合に、さしあたり日本防衛計画は、本年度及び昭和二十九年度だけで、それから先のことは先のことということでいいかどうか。つまりこの際五年計画なり七年計画なり、そういう完全なものを日本がつくらなくても、本年度、少くとも来年度―二十九年度だけの防衛計画でもできれば、MSAのこのたびの協定を締結する上には事を欠かないものであるかどうか、この点について当時の符使はどういうふうにお感じになりましたか。
  92. 池田勇人

    池田勇人君 この問題につきましては、私は答えましても有権的なものではない、外務大臣あるいは保安庁長官が御計画なさることだと思います。私は保安庁長官からいろいろな計画を前後一回も聞いたことはありません。私はそういう問題に触れたくないのであります。それよりも先ほど来申し上げますように、主としてMSAにつきましてもECAを入れたいということでやつたわけであります。今御質問の点は、今後東京会談お話になることだと考えます。それは五年計画、七年計画をみな望みましよう。しかしなかなか日本の国情というものは先ほど来申し上げましたよう計画通りに行くものではありません。だから一応の計画をつくりましても、これは今後変更することあるべしというのでは、力がなくなります。しかし今後そういう具体的な折衝につきましては、外務大臣政府要路者がおやりになることで、私はあまり触れたくないのであります。
  93. 並木芳雄

    ○並木委員 東京会談ではアメリカ本国からたれか見えますか。それとともに、先方も池田さんにやはり参加してもらいたいというような希望がおつたのじやないかと想いますが、その点はいかがでしよう
  94. 池田勇人

    池田勇人君 向うから来られるかどうかは存じませんが、今一人、ずつと数箇月府からパーソンという人が来ているようであります。新たに来られるかどうかは知りませんが、相当の陣容があり、向うは常に電話、電報の連絡があるのでありますから、どうなりますか、向うさんのことでございますから、ここでお答えはできません。私は東京会談についてはタツチいたしません。それは自由党内閣のおやりになることでございますから、政調会長としての私には御相談になりますかもわかりませんが、東京会談そのものには私はタツチできない。私は役人ではございません。
  95. 並木芳雄

    ○並木委員 この前の国会の終りに、当時の池田特使の共同声明を政府承認するしないで、すつたもんだのやりとりをやつたのです。それでとどのつまり、政府としては現地の新木大使にただいま電報を打つて聞いている最中であるということで幕切れになつてしまいました。その点は小滝次官も御存じだと思います。要するに東京会談の点だけを承認したにすぎないのだと政府は言つた。われわれとしては東京会談だけを承認するということはおかしい、東京会談承認するということは、池田さんが行つていろいろの会談を行つた、その交渉全体を承認することを前提としているのだということで議論したわけなのです。その返事はもう来たと思いますから、次官にお尋ねをしたいのですが、政府が聞いてやつたことに対して、新木大使の方からどういうような返事が来たか、この際御説明を願いたいと思います。
  96. 小滝彬

    ○小滝政府委員 この前の議会で大臣から再三述べられました通り、これは東京会談を開くことについて意思表示をしたのでありまして、池田さんの使節の目的はあくまで意向を打診し、お互い意見の交換をするということで、これは「別段のとりきめは結ばなかつた」と書いてある通りでありまして、それを承認するとかしたいとかいう問題ではなかつたのであります。
  97. 上塚司

    上塚委員長 並木君、今は池田議員に対する質問を許しているので、関連をしておると時間をとるばかりですから、それならばあとでひとつお願いしたい。
  98. 並木芳雄

    ○並木委員 ちよつと続けてこれだけ……。私はさつきから池田さんの資格について問題になつているからお聞きしているわけです。あのとき岡崎外務大臣は、新木大使がアメリカの方に伝えたのは、東京会談の」とだけを伝えたのである、池田さんがやつた交渉自体を承認したのでも何でもない、もしそうたとすれば間違いたから、念のためワシントンへ電報で聞いてあります、こういう答弁で幕が切れちやつたのです。だからその返事はどういうふうに現地から来ましたか、どう解決しましたかと聞いているのです。
  99. 小滝彬

    ○小滝政府委員 肯定的な返事が参りました。その通りである、すなわち東京会談についてのこちら側の意向を伝えたにすぎないということを言つてつただけであります。
  100. 並木芳雄

    ○並木委員 そうすると新木さんは間違つたことをやつたわけですか。
  101. 小滝彬

    ○小滝政府委員 それは言葉の行き違いか何かで、あるいはああいうふうに新聞会見のときに出たかもしれませんが、内容は先ほど申し上げた通りです。
  102. 上塚司

    上塚委員長 穂積君。
  103. 穗積七郎

    穗積委員 私は簡単に二、三の点についてお尋ねしたいのですが、あなたの交渉に当られた相手のロバートソン並びに共同輝明を出したロバートソンの資格は、有権的なものでございますか。プライヴエートなものでございますか。
  104. 池田勇人

    池田勇人君 ロバートソン氏と私とでやつたのであります。有権的かどうかということは、その人の資格でなしに、出したものについては、これを非公式のエキスプロラトリイのものであります。
  105. 穗積七郎

    穗積委員 それについて、あなた方がお出しになりました共同声明の内容についてはタツチしない、ただ東京会談を開くことについてはこれを認める、こういう形であなたのプライヴエートの立場日本政府関係は結びついておられたわけですが、アメリカ側はどういうことになつてつたのですか。
  106. 池田勇人

    池田勇人君 アメリカ側も常にそれを心配いたしまして、政府代表ではない、こういうのでやつておりました。従いまして日本側アメリカ側と書かずに、会議出席者はとこういうよりにやつております。
  107. 穗積七郎

    穗積委員 そうしますと、アメリカ側東京会談を開くことにつきましての政府の責任、これはどこでだれが承認したわけですか。
  108. 池田勇人

    池田勇人君 その問題は私に関することでございませんで、私は非公式に、総理のプライヴエートな特使として、向う国務省並びにコングレスの人あるいは民間の人等と話し合つただけで、これについてどれだけのオーソリテイを持たすかということは、吉田総理のお考えによつてきまることと思います。
  109. 穗積七郎

    穗積委員 ついでにお尋ねいたしますが、あなた方の声明を両国政府が認める認めないは別といたしまして、あなたがお出しになりました声明によつて、東京会読というものは日本のあれによつてオーソライズされたわけです。そういうきつかけがこの声明から出て来たのですが、東京会談で未討議の問題については続けてやろうということを声明の中にうたいますときのあなたのお気持はどうでしたか。今までロバートソンとお話になりました交渉内容、あるいは最後的な決定までは行きませんでしたが、大体お互いの間で了承し合う、たとえば小麦のことについても、これはさまつたことなのかきまらぬことなのか、これはごくプライヴエートなものであつて、両国政府間で政府小麦の買付を主張しましても、あれは個人的なものであつて何らオブリゲーシヨンを感じないと言われればてれだけのことである。あなたは小麦を五千万ドル買つて来たと言つていばつておられるけれども、あれは池田・ロバートソンの個人的な見解であつて、こつちでは了承していないということになればそれきりになつてしまう。それ以外にもいろいろあると思いますが、話をされた内容について、あなたはさつきから確信を持つて言うというように言われておりますが、それは一般的な見通しでございますか、会談内容として政府がこれを実行するということの了承を求められておられるわけでございましようか、どうでございましようか。
  110. 池田勇人

    池田勇人君 いろいろな腹の探り合いで、そういう見通しだげでございます。だからこれによつて政府がどうなさいますか、私が小麦五千万ドルとこう申しましても、四千万ドルになるかもしれませんし、あるいは七千万ドルになるかもしれません。ただそういうところがお互い気持のあつたところだ、こういうのでございます。
  111. 穗積七郎

    穗積委員 そこで日本側といたしましては、あなた方の交渉あるいはコミユニケに対して、東京会談を開くことだけを承認しておる。そのほかのことについてはまだ承認しておりません。そこで東京会談が始まりまして、あなたがいろいろロバートソンだ承認を与えたことについて、日本政府がこれを否定いたしました場合には、その間の責任問題はどうなりましようか。
  112. 池田勇人

    池田勇人君 だれに責任を持つのでございましようか。私は総理にこういう気持であつたらしい。そうしてロバートソンも、一池田はこういうふうな気持であつたらしい、こういうことだけであります。これがかわりましても、私は吉田総理報告しただけでありまして、責任がだれにあるか今のところ私にはわかりませんか、私は単なる特使として、エキスプロラトリイに、非公式に腹の探り合いをして一応意見のまとまつたものを新聞に出しただけであります。だから今言つたように、何ら政府を拘束するものではないと考えております。
  113. 穗積七郎

    穗積委員 その間の事情は大事なことでございますか、時間がありませんので、東京会談でも始まりまして、あなた方がお話になりました内容について、政府がどういう態度をとつて行くか、その報告を聞いたとぎにまたあらためて参考人として御意見を伺うこともあるかと思いますのできようは割愛いたしておきます。  次にちよつとお尋ねいたしたいのは、先ほどお話のありました中に、両者の間におきまして、日本防衛力を増強することについては了承した、しかしながら憲法問題、財政上の問題、あるいは輿論、その他の日本の再軍備、防衛力増強について困難、支障になるような条件があるので、そこで、それを十分アメリカ側も了承して、すぐこういうことをやれとは言わない、しかし日本側としては向うの意向を十分尊重して、その障害を除去してこれに協力するような含みの話合いがあつたように受取れました。そこで問題は、憲法の問題がまつ先に出て参りますが、憲法問題については、日本の憲法は戦争と軍備を禁止しておるということを向うは了承したということたけでなしに――そんなことはわかり切つております、向う側が大いに発言した憲法ですから。ところがそれに対してこちら側が、それを緩和する、すなわち向う希望するような兵力増強を可能ならしめる条件に切りかえて行く。すなわち憲法改正その他でございまして、具体的に申しますと憲法改正だけに限りませんが、一番大きな防衛力増強の障害になつておる憲法改正につきまして何か向うの希梁があり、あなたがまたそれに対して何かの意思表示をなすつたかどうか、その点をお伺いいたしておきます。
  114. 池田勇人

    池田勇人君 将来の問題につきましては、自衛力の増強をやつて行くということたけで、ほかの問題については触れておりません。
  115. 穗積七郎

    穗積委員 そうしますと、さつきの、これを阻止している条件については日本側も十分考慮して云々という言葉はどういう意味でございますか。
  116. 池田勇人

    池田勇人君 経済力の増強とかその他の問題でございます。
  117. 穗積七郎

    穗積委員 その中に憲法の問題は含まれませんか。
  118. 池田勇人

    池田勇人君 憲法の問題は国内情勢によることでございまして、その間には触れませんでした。全体をすらつとお読みくださればわかると思います。
  119. 穗積七郎

    穗積委員 なおちよつとついでにお尋ねいたしますが、先ほど、会談の最初にアメリカ側日本防衛力の問題についていろいろな希望的な意見を述べて、その中で、アジアにおける軍事的な諸情勢について向うから説明があつたという御報告がございましたが、それに関連しまして、そこでアジア全体の防衛計画というものがアメリカ側にあろうと思います。そういう情勢判断のもとにあつて、そういう情勢判断をあなたが認めるか認めないかは別でございますが、アメリカ側としては、あなたと多少ずれのあるアジアの軍事的な情勢判断をしておられて、それをあなたに参考として意見を申し述べられた。そうであるならば、情勢判断だけでなしに、それに対応するところの何かの対策がアメリカ側にあるだろうと思いますが、防衛計画といいますか、作戦方針といいますか、そういうようなものについては向う説明はございましたでしようか。
  120. 池田勇人

    池田勇人君 アメリカは、東南アジアあるいはまた中部アジアについての防衛計画は、私には話をしませんでした。
  121. 穗積七郎

    穗積委員 そうしますと、ここでお尋ねいたしておきますが、アメリカ側の人々が、日本防衛力は、自国だけでなしに太平洋全体の防衛に対して責任を持つて云々というようなことをよく談話その他で言つておられるようですが、そういう問題につきましては何らの意思表示もあなたに対してございませんでしたでしようか。
  122. 池田勇人

    池田勇人君 防衛計画について何らの、とこう申しましても、防衙計画自体の範囲の問題がございます。だから、全然防衛計画について触れへかつたとも言えますまい。しかし、主目的としてはそういうことは議論しなかつた、こういうことでございます。
  123. 穗積七郎

    穗積委員 あなたはさつきは、今のアメリカ側要求に対して、おれは聞いたたけであつて、黙認だというような印象を何ら相手に与えなかつたというようお話になりました。特に防衛計画の問題については、非常に重要だというので、そういうことについては全然触れなかつた、批判もしなかつたと、こういう御趣旨でごいました。ところがアメリカ側の理解におきましては、実は池田アメリカ側防衛計画についてこれを黙認し、または憲法改正問題についてもある程度黙認をして、了承をして帰つたという印象を向うは持つているようでございます。これは外電の報ずるところですからあなたの責任ではないと思うが、しかしこのことは――あなたはそういうふうに言つておられるけれども、交渉の衝に当つた向うの人々並びに向う側の政府か、アメリカ要求する防衛計画並びに憲法改正についてあなたが黙認をした、はつきりした意思表示はしなかつたが了承したと、こういうような印象を持つているといたしますと、今後の交渉に大きな影響を与えるわけでございますが、その間のことにつきましてはあなたは一体どういう観測をしておられましようか、その点が一点。  それから、委員長からおしかりを受けますからその次の質問を一括してお伺いしておきますが、第二の、もう一つの点は、例のガリオアの返済要求の問題でございますが、こちら側の資料と、あなたが携行なさいました資料と、それから向う要求内容と、また、あなたがそれに対してどういうお答えをなさつたか、今のところどういう交渉の段階に来ているのか、こういうことに嘱して、ガリオアの返済の交渉の過程をもう少し詳しく御説明をいただきたい。その二点をお願いいたします。
  124. 池田勇人

    池田勇人君 どんな外電が来ているか知りませんが、私とロバートソンとの話のことは新聞発表に尽きるのでございます。私の見るところでは、十月の中ごろでございましたか、二十日過ぎでございましたかのワシントン・ポスト、また二十日のヘラルト・トリビユーソ、あるいはニユーヨーク・タイムズ、また十一月二日のニユーヨーク・タイムズをお読みくだされば、私が憲法改正を黙認したとかいうようなことはとんでもない話だということがわかると自分は考えます。また国務省もそんな気持は持つていないと私は確信しています。それからガリオアの問題につきましては……。
  125. 穗積七郎

    穗積委員 だれが持つていたいと確信するというのですか。
  126. 池田勇人

    池田勇人君 私が憲法を改正するとかなんとかいうことを黙認したという考えは全然持つていない。
  127. 穗積七郎

    穗積委員 あなたですか。向う側はどうですか。
  128. 池田勇人

    池田勇人君 向うも持つていない。私が黙認したというよう考えをロバートソン以下国務省の人は一人も持つていないと確信いたします。また輿論も、ニユーヨーク・タイムズだとか、あるいはワシントン・ポストとか、ヘラルド・トリビユーンをお読みくださればわかると思います。  それからガリオアの問題につきましては、一九四六年の六月までを区切りといたしまして、そうしてああいうふうにガリオア二十数億トルと、余剰物資の二億ドルを加えまして、三十三、四億ドルのところからドイツの債権を引きまして、大体三十億ドルというものを、三分の一の十億ドル程度にいたしたのであります。そういう関係がございまして、アメリカ政府当局あるいは国会の方では早く片づけたいという気持があることは十分察知せられましたが、私といたしましては、ガリオアの問題は賠償の問題、国内防衛体制の増強の問題、あるいは経済自立等の問題と一緒に考えなければならぬ問題であつて、努めて触れないようにいたしたのでありますが、あの程度のことを新聞発表いたしたのであります。これ以上のことはありません。
  129. 上塚司

    上塚委員長 戸叶里子君。
  130. 戸叶里子

    戸叶委員 時間がありませんから節単に一、二点伺いたいと思います。愛知大蔵政務次官が帰られましてからの新聞発表を見ますと、今まで政府MSAに対して考えていられたような積極的な態度というよりも、何か帰られてからの発表が消極的な考え方にかわられて来ているように私どもは伺つたのですけれども、池田さんが特使としてアメリカへいうつしやいまして、いろいろな方とお話合いをなさり、また防衛計画等についての腹蔵ない意見お話になつてみた、その結果として得た結論は、MSA政府考えているような積極的に飛びついて行ける甘いものでないというよう考え方をお持ちになられはしなかつたかどうか。いろいろ折衝してみた上で、前に考えていうつしやつたのと、何かかわられたようなところはないかどうかを承りたいと思います。
  131. 池田勇人

    池田勇人君 前に考えておつたことを戸叶先生に申し上げたことがないので、かわるとか、かわらぬとかいつても、変な話ですが、私は愛知君がどういう発表をいたしましたか存じませんが、今回アメリカ、ヨーロツパをまわりまして、とにかく日本の国を自立し、もつとりつぱな国にしなければならぬということを非常に強く感じたのであります。しこうして、具体的の防衛計画の問題につきましても、先ほど来、申し上げましたように、私は何万とかいうことよりも、ほかの問題と華ね合せて考えなければならぬ、アメリカはどういう考えを持つておられるかわかりませんが、これは日本の国土防衛でございますからわれわれがイーシアチーヴをとるべきであります。MSAが甘いとか辛いとかいつても、MSA自体がまだはつきりとどんなものであるかわからない――内容はわかつております。軍事援助とか経済援助とか、防衛支持援助とかありますが、このMSA援助でも、軍事援助に限つてはならぬ、どうしてもECAの方へ入り込まなければならぬという考えでやつて来た。その分だけは大体道が通じそうであります。こういうもので、甘いものとも辛いものとも考えていない。ただ日本をよりよくするためには、これは甘いものじやないぞということを感じて来たのでございます。従いまして、防衛の漸増計画をどういうふうにやられますか、政府がとくと御研究になると思います。われわれはわが党の政府でございますから、それは入れ知忠はいたしたいと思いますが、今ごうあるべきたという考え方は、はつきりきめておりません。甘くもありませんし、辛くもない、われわれがうまくのめる案にしなければならぬと思います。
  132. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると大体御折衝で、ECAの面さえよく行けばMSA日本にとつて受けた方がよいという感じを持たれたことは確かでございますね。
  133. 池田勇人

    池田勇人君 私は日本の国力から申しまして、そうして日本の置かれた立場から申しまして、MSAを受けるか、受けないかということは、議論の余地はないと思います。MSAの受け方をどうするか、MSAの受け方につきましては、軍事援助だけではいかぬ、経済援助も受けなければいかぬ、これで大体行けそうでございますから、受ける受けぬの問題は私にはありません。受けるべきであります。そうして、それにはECAも一緒に受けた方がベターだ、こういうことです。MSAしかなくて軍事援助を受けるかということになると、受けないよりは受けた方がいいと思います。ECAがあつた方が、ベターになり得ると私は考えております。
  134. 戸叶里子

    戸叶委員 それでECAなんですけれども、先ほどから幾たびか池田特使が御説明になりましたが、私がどうしてもふに落ちない点がございますので、その点を伺いたいと思います。ECA日本の場合にはこれは軍需産業に対して、経済的なり何なりの援助を与えるということが、大体根本になつているようなんです。そうしますと、ほかの国のECAの場合と、その内容なり性質が、日本の場合には非常に狭められて違つているということが言えるんじやないかと思いますが、その点はどうなんでしよう
  135. 池田勇人

    池田勇人君 その点でございますが、御承知通りこの問題は、先ほども触れましたように、マーシヤル・プランからECAMSAそしてFOAになりつつあるのであります。しこうして軍事援助と先ほど来申し上げた防衛支持援助、さらには経済援助技術援助、こういうふうに行つております。この防衛支持援助経済援助技術援助というものは大体同じなのです。前は軍事援助といつておりましたが、ヨーロツパの一等国が、軍事援助以外に経済援助という名前でもらうということは、いかにもその国の自尊心を害する、こういうところから先進国は経済援助技術援助ということでなしに、防衛支持の援助だとしておるのであります。従いまして、昨年の十八億ドル、今年の十数億ドルの中には、小麦もございますし、石油もございますし、工作機械もございます。あるいは、はなはだしきに至つては砂糖もタバコもある。タバコは、ドイツとデンマークがもらつている、そういうふうにいろいろありますが、先進国というものは、経済援助でなく、原則としては防衛支持援助でもらつている、それから後進国は、経済援助あるいは技術援助ということでもらつております。私はドイツに参りまして、ドイツはそれでは防衛支持援助だけかと申しますと、まだ正確なところは申し上げられませんが、ドイツは先進国でありながら、経済援助の中の技術援助をもらつているよりであります。こういうようにありまして、各国によつて違います。従つて、もらうものも、その国の国防費の額によつて、これだけ国防費を出したならば、どういうふうに経済が運営されるか、どういうようなところに困つて来るかということで、小麦とか石油、石炭、あるいは工作機械までやつているわけです。そうしてまた、イギリスとかフランスのごときは、今の軍事援助あるいは防衛支持援助のカテゴリー以外に八千五百万ドルずつもらつております。これはフランスの方におきましては、工作機械の研究費、あるいはイギリスにおきましては、ジエツトの研究費として別のカテゴリーから出ておるのであります。しこうして日本におきましては、今までマーシヤル・プランもなかつたし、ECAもなかつた安全保障条約はあります。しかも安全保障条約によつては、日本は兵器を借りておる。もらつておるのではありません。グラントじやない。そこで今度日本防衛力の漸増に対処して、アメリカMSAのうちの軍事援助をやろうとしておる。この軍事援助の分は、MSA協定が結ばれて、これは貸与でなしにグラントになる。そうして軍年援助だけではいかぬのじやないか、やはりこの際日本としては、ECAも入つておく必要がある。入つておけば、今のアメリカの輿論としては、経済援助というものは財政上むずかしいから切るとは言つておりますが、四囲の状況からして、なかなか切りにくい。そこで今後共和党政府はアジアの方面に力を入れるというのだから、この値をつけなければいかぬというのが、私の考えであつたのであります。できることと思いますが、またでかさなければいかぬ。これは外務省の努力も必要でありましようが、国会その他の方々の非常な御後援がいることと思います。その道をつけておいて、たとい金額が多かろうが、少かろうが、あるいは今の予算上載つていないからゼロであつても、御承知通り、六十五億ドルのあの対外援助のうちの一側のやりくりはできるのであります。道だけとにかくつけて、そうして今後の折衝に待とう、こういうことにいたしておるのであります。だから各国そのおのおの例が違つております。われわれは、今の一千万ドルはこれは特需関係あるいは関連関係に出すたけでつまらぬじやないかと言われますが、これが呼び承になればいい。ECA協定が結ばれれば、これはベターである。そうしてその道路を広げていいものにしようということは先ほどお答えした通りでございます。これはあまり漏れ過ぎていかぬかもしれませんが、私の気持はそれで、これに向つてわれわれは努力しなければならぬという気持でおります。
  136. 戸叶里子

    戸叶委員 池田特使の新しい日本に対する経済的な援助の道をつけようとなされた御努力のほどはわかるのですが、今度の場合には少くとも他の先進国のように、たとえば日本の農村の合理化のための耕作機械を買いたいとか、そういうふうなことを申し出ても、全然それは、今度の場合はできないというふうに了承していいんでしようね。それが第一点。それからもう一つ見通しとして、きつとほかのヨーロツパの先進国と同じよう経済的な援助協定になり得るというふうなお考えをお持ちのようですけれども、私どもから見るとちよつとそれが甘くないかと思いますが、お話中においてそれの確信が得られたかどうかということをもう一度伺いたいと思います。
  137. 池田勇人

    池田勇人君 こういう問題を、これができるとかできないとかいう結論は、公開の席上で出すことはよくないと思います。これはできるといつたなら、なに、そんなものはできるものじやない、こうコングレスの人は言うかもわかりません。私がなかなかむずかしいと言つたら、池田はそんなことを言つておるけれどもできるのじやないか。私はこういうことはわれわれの努力目標としてやるべきであつて、結論を今出すべきではないと思う。ヨーロツパの問題もそうでございます。ことにアメリカは先ほど申し上げましたようECAはもう切つて行こう、こういう立場をとつております。そこに今までの会談ECA協定のむずかしさがあつた。幸いにスペインにおきましては、一挙に軍事協定あるいは防衛支持協定、そしてECA協定等を結んだのを利用いたしまして、とにかく入り込んでおこうというのに――入り込んだあとの効果がどうあるか、こうあるかということは、今度は外務省、あるいは日本国アメリカ国との折衝、その緊密化によつて支配されるものである、こう私は考えておるのであります。
  138. 戸叶里子

    戸叶委員 この問題についてはまた岡崎外務大臣に伺いたいと思いますので打切りますが、一点ちよつとした事務的なことですが、今度の池田さんとロバートソンさんとの会談のこの共同コミユニケを拝見しますと、たくさんの向うの方の政府からの代表、オフイシヤルと書いておりますが、そういう方たちが出ておられたようでありますけれども、日本の大使館からはオブザーヴアーとしてどなたか出ておられたのか、それからまたオブザーヴアーでなくて、正式の代表としてどなたか出られたのかどうか、その点を伺いたい。
  139. 池田勇人

    池田勇人君 これは単に非公式でございます。そして会議出席者というようなことは、私はいろいろな衆知を集めた方がいいと思います。愛知君もおりましたので愛知君も入れました。大蔵省の財務官もおりましたので入つて来ました。ことにこれは今後の問題としてアメリカ日本大使館の人にも努めて出てもらわなければいかぬ。武内公使、田中参事官も常に入つて来ております。そうしてまた私は直接にロバートソンと会うよりも、武内公使を使いにした方がよいという場合には、武内公使一人を行かしたり、いろいろな人を使いまして意思の疏通と申しますか、お互いの腹の探り合いをいたしたのでございます。
  140. 上塚司

    上塚委員長 池田議員には発熱中を押して長時間にわたつて説明をいただきまして、まことにありがとうございました。  これにて暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。     午後一時三分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十九分開議
  141. 上塚司

    上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定のある締約国日本国との通商関係規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件を一括議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。下田条約局長。     ―――――――――――――
  142. 下田武三

    ○下田政府委員 ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。  日米友好通商航海条約の批准につきましては、さきに第十六国会による御承認を得た次第でありますが、あたかも同国会における御審議中、米国上院においては、条約第八条2の自由職業に関する規定につき留保を付することを条件として、本年七月二十一日にこの条約の批准に承認を与えたことが判明いたしました。しかし、同国会の閉会までには、米国政府から留保を付する旨の正式な申入れはなかつたのでありますが、政府といたしましては、米国政府が同国上院の決議に従つて留保を付するものと予想し、米国側の留保及びわが方の対策について研究を進めるとともに、当時衆参両院の外務委員会において右の事情をただちに御報告申し上げましたところ、両院本会議及び外務委員会におかれましても、米国がこの第八条2の規定に留保を付する場合には、わが国もこれに対応する留保を付することを希望する旨の御発言がございました。その後、米国政府から同国上院の決議に従つて留保を付する旨の正式な申入れがございましたので、政府は、これに対応する留保を付することとし、外務省と米国大使館との間で交渉を行つた上で、本年八月二十九日に岡崎外務大臣とアリソン米国大使との間で右留保に関する公文交換を行つたのであります。  米国側の留保は、この条約の第八条2の規定及び最恵国待遇の規定は、自由職業で公共の福祉のため州による許可を要し、かつ、法令または憲法によつてもつぱら米国市民にのみ留保されるものには適用されない旨を定めることを趣旨とし、これに対応するわが国留保は、米国のある州で日本人がある自由職業に従事することについて禁止または制限が加えられている場合には、わが国は、その州出身の米国人に対し、当該自由職業に従事することについて同様の禁止または綱限を加える権利を留保する旨を定めることを趣旨としております。  これらの留保は、条約第八条2の規定を実質的に修正することとなるものでありますから、本来なら当然この条約の批准前にこれについて国会承認を仰ぐべき筋合いでございましたが、政府としては、この条約の効力を一刻も早く生ぜしめることがわが国にとつてきわめて重要であると判断いたし、また、他方すでに第十六国会において本件経緯を御説明いたしその御了承を得ている次第もございますので、この留保を付しての批准の手続を急ぎまして、本年九月三十日にワシントンで新木駐米大使とダレス米国国務長官との間で批准書の交換を行つた次第でございます。  つきましては、右の事情を御了承くたされ、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。  次にただいま第二に議題となりました関税及び貿易に関する一般協定のある締約国日本国との通商関係規制に関する宣言につきして、提案理由を御説明いたします。  わが国は、かねてからガツトに加入することにより、わが国の通商を振興することを希望して参りましたが、一昨年九月ジユネーヴで開かれましたガツト締約国団の第六回会期でガツトヘの簡易加入手続が採択されましたので、政府は、昨年七月十八日付をもつて、この簡易手続に基づいて、ガツトへの加入の前提たる関税交渉開始方の申請を行いました。この申請は、種々の経緯を経て、締約国団の特別会期において審議される運びになつておりましたが、米国は共和党新政権による対外経済政策全般の再検討が終るまでは、大規模な関税交渉を行わないとの方針を決定し、他の締約国も米国を除いた関税交渉意味がないとの態度をとるに至りましたため、この特別会期は開かれず、従つてわが国の加入はさらに延期される形勢になつたのであります。  そこで、政府におきましては、右困難を打開するため、関税交渉なしで実質上ガツトに加入したと同様の利益に均霑する道を開くことに努めることとし、去る九月十七日からジユネーヴで開かれました第八回会期において、会議における折衝と並行して関係国に対し種々交渉を行いました結果、幸いにして十月二十三日、賛成投票二十七、反対投票なし、棄権六で、わが国の仮加入が認められ、わが方の希望を満足せしめる文書が作成されるに至つたのであります。  わが国の仮加入に関しては、二つの文書が作成されたのであります。すなわち、ただいま議題となりました間税及び貿易に関する一般協定のある締約国日本国との通商関係規制に関する宣言と、ガツト締約国団の決定とがそれであります。  宣言の方は、わが国とガツト締約国中の希星国との共同宣言の形をとつておりまして、それにより、わが国のガツトヘの正式加入まで、または明後年六月末日までの間、これらの国とわが国との通商関係をガツトの規定に基いて規制ようとするものであります。また、決定の方は、ガツト締約国団の決定でありまして、これにより、宣言と同一期間中、わが国のガツト締約国樹及びその補助機関の会期への参加を認めようとするものであります。  わが国は、この宣言によりまして、宣言に参加するガツト締約国から関税事項に関する最恵国待遇を受ける権利を得、また、これと関連して採択された決定によりまして、関税及び貿易に関し国際的な発言権を獲得し、わが国の利益を保護し増進する足がかりを得ることとなつたわけであります。  よつて、これらの利益を考慮しまして、また、これらの文書は、もともとわが国の要請に基き、かつ、わが国の署名を前提として作成されたものであるにもかんがみまして、政府は、その責任におきまして、本件宣言の作成されました十月二十四日にただちにこれに署名し、国会承認は、憲法第七十三条三項但書の規定に従い、事後に求めることといたした次第であります。  以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。
  143. 上塚司

    上塚委員長 ただいまの両件につきましては、次会に審議をいたすことといたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時四十九分散会