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1953-12-02 第18回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月二日(水曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 關谷 勝利君    理事 岡田 五郎君 理事 鈴木 仙八君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君       岡本 忠雄君    木村 俊夫君       徳安 實藏君    臼井 莊一君       岡部 得三君    正木  清君       山口丈太郎君    中居英太郎君       館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道局長)  植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 十一月二十八日  委員中居英太郎辞任につき、その補欠として  小林進君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小林進辞任につき、その補欠として中居  英太郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十一月三十日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(参議  院提出、第十六回国会参法第七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  運輸行政に関する説明聴取     —————————————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長代理 これより開会いたします。  委員長が都合により欠席いたしましたので、理事の私が委員長の職務を行います。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。陸運、海運・空運及び観光に関し、国政調査承認要求書議長提出いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關谷勝利

    關谷委員長代理 御異議なければ、さように決定いたします。     —————————————
  4. 關谷勝利

    關谷委員長代理 運輸行政一般に関して質疑の通告があります。これを許します。楯兼次郎君。
  5. 楯兼次郎

    楯委員 大臣に御質問いたしたいと思います。過日国鉄仲裁裁定めぐつてわれわれは連合審査会を開催いたしたのでありますが、いろいろな所用のために大臣が御出席にならなかつたので、この委員会において質問をいたしたいと思います。  仲裁裁定については、運輸大臣立場から、これが実施のために非常にお骨折りをいただいておるという点を、私ども認めるにやぶさかでないわけでありますが、われわれが考えまして、政府公労法に対する運用の仕方について非常に疑義がございますので、その点を二、三お伺いし、かつ今日いろいろな紛争が現場において行われておりますので、その点についての御解釈伺いたいと思います。  私ども国会においても、政府裁定に対する取扱い方について、非常に不可解にたえないのは、まず国会にこれを提案する提案の仕方が間違つておるのではないか、こういうふうに考えております。それは裁定が出る。三十五条において最終的決定としてこれは当事者双方ともがこれに拘束されるということになつておるわけでありますが、ただ十六条において予算資金上これが不可能の場合は、国会承認を得なければならない、こういうような三十五条、十六条の精神から行きますならば、全然可能な部分がない、こういうことは私はあり得ないのではないかというふうに考えます。まず運輸大臣裁定が出て、そのうちの幾分かの部分についてこれだけは可能であるけれども完全実施をするために、残りの部分については予算上あるいは資金上金がないので、その分について何とかひとつ財源を捻出をして国会承認を求める、そういうふうな提案の仕方が、これはすなおに公労法解釈いたしまして当然とるべき措置であるというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、主管大臣としてこの三十五条、十六条の解釈について、今政府提案をいたしておりまする取扱い方は正当であるやいなや、どういうふうに御解釈になつておいでになりますか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  6. 石井光次郎

    石井国務大臣 この問題は昨年の仲裁裁定が下つたとき、それを議会に私ども提案したときも同じようなことが論議されました。私はそのときにどうもこういう提案の仕方はふしぎな形に思うのだがというようなことを申し上げたように思うのでありますが、国鉄の中の予算また資金の方で、何がしか出せるというような場合は、その何がしかでも出してということも言えますけれども、その何がしかというものが非常にわずかな金額であれば、これはもつと何とかしてやりたいと思うておるのに、予算上これだけしかないからといつて出すのもどうかと私は思うのであります。それから予算をどういうふうな形で議会に出すかという問題もありますので、これと仲裁裁定の下つた場合の扱い方規定等に、ちよつとそこに時間的なずれが生ずるのであります。仲裁の下つた五日以内でありましたか、提出しなければならないというので、仲裁をそのまま提出いたしまして、皆さん方の御審議をお願いするその道程において、予算資金上の方法を講じてこれを予算案として別に出して、そして結局はあわせて審議していただこうというような形にずつとこれまでやつて来ておるのでありまして私ども予算が多少あり、あるいは資金繰りが多少あるというので、それだけしかないからもうこれ以上はできませんというのでは、ちよつと心持にそぐわぬものもあります。かといつてそれが全体出せるかというと、出せない状態である。そのときの予算資金状態を見ますと、裁定そのままを実施することはできない、こういうことでありますから、一応皆さん方審議に出す。同時にできるだけ早い機会予算を出すということで調子を合せて行く、こういうことでこの法の精神を生かして行きまして、これで今日までは通常がされた、そういうふうなならわしになつて来ておるように思います。これがいいかどうかということは相当私は議論もあるだろうと思いますが、今の問題ではそういうふうなことによつて仲裁裁定予算提出ということに調子を合せて行きたいというふうに考えております。
  7. 楯兼次郎

    楯委員 私は非常に逼迫をいたしました国鉄の現在の状態においてこういう法文解釈論争をしている時期ではないと思うのであります。これはやはりこういうような機会はつきりと政府の方でも解釈をきめておかないと、来る年も年もこの提案の仕方あるいは解釈をめぐつて、いろいろないらざる日時を費す紛争が起ると思いますが、その片鱗として少しお伺いするわけであります。運輸大臣解釈では、政府提案の仕方についても疑義があるというふうに私ども受取れるわけでありますが、この点について政府の方次期仲裁裁定国会提案するときには、ひとつ確固たる解釈のもとに立つて提案をしていただきたいと思います。  次にお伺いをいたしますのは、今政府提案の仕方を百歩譲つて認めましても、われわれが国会において議をする材料がないということであります。給与総額を上まわるからこれは不可能である、国会はよろしくひとつ承認か不承認かやつていただきたい、こういうような提案の仕方をいたしておるわけでありますが、予算編成権政府にあつて、われわれ国会にはないのです。しかも不可能ならなぜ不可能であるかという材料もついておらない。あるいはおととい提案されましたように、一部実施でありますか、一部は承認をしてもらいたいというような提案についても、やはり今日まではそれの材料がついておらない。国会にほうり出されましても、勢い法文解釈をめぐつて論議を闘わしておるにすぎないわけであります。今日政府提案をいたしておりますあの提案の仕方について、予算編成権とそれに伴うところの資料というような面についての、運輸大臣としての解釈を承つておきたいと思います。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 初めの方の御注意をなさつたところは、ちよつと私の言つた趣旨と違うのであります。政府解釈がきまつていないのでまちまちだということはないのでありまして、今の法律のもとにおいては、今の提案の仕方に意見も一致し、実際もその通り扱われたと思つております。ただこういう行き方、こういう法律のきめ方がいいかどうかということに私は疑義がある。これは問題にすれば問題になる。たとえば五日とか六日とか、議会が始まつたらすぐ出せということでありますと、なかなかそれに沿うて予算というものが組み得ない場合があると思います。そういう場合になるべく予算を同時に出す。たとえば今度の裁定のこれを前に臨時国会提出したときは、予算がどうしてもいろいろ話合いがつかなかつた。それで今度の臨時国会では、予算だけが出たというようなことがないように、なるべく一致して一緒に歩調を合せて審議していただくようになつておりますが、それは今の法のもとでは少し無理が起るのではないかというように思つておるわけであります。
  9. 楯兼次郎

    楯委員 私が言つておるのは、これは大臣御記憶がないだろうと思いますが、十六条に事由を付して国会議決を求めるという字句があるわけであります。この事由を付してというのは、やはり何らかの資料なりあるいは私の方の解釈で行けば、たとい不可能であつてもこういうような状態であるから不可能である、あるいはこういう状態であるからこれだけしか実施できないというような資料をつけなければ、われわれの審議の仕方がないのではないかということを私ども言つておるわけであります。その十六条の事由を付してという字句解釈は、どういうふうな解釈大臣はお考えになつておりますか。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは法を制定されまするときに相当御議論があつたのでございます。理由を付してとせずに、事由を付してという言葉だつたと思いますが、なつておると思います。なぜそういう事由理由と違うかというと、事由予算資金上これは今のところはその通りやれないということが事由である、それまでのものを出すのだというふうに私ども解釈が一致しておるということに了解しております。しかしこの問題はちようどあなたが今言われるようなことを、昨年も参議院でも衆議院でも私はいろいろ話し合つて、どうもおかしい、理由を付してちやんとやるべきものじやないかというようなお話でございましたが、法をこしらえたときの話合いはそういうふうなことだつたと了解いたしております。
  11. 楯兼次郎

    楯委員 それから今のに関連して一つ伺いしておきたいのでありますが、国鉄労働組合はいわゆる団体交渉権を認められておるわけです。今政府の方の頭の中には、結局給与の改訂というような問題は、ただちに裁定を川されて裁定国会に付議をするということで、これは当然であるというふうのお考えの方が私は多いと思います。そういたしますと、反面解釈をいたしますと、労働組合経営者である総裁との団体交渉においては、給与の問題についてはこれはもう団体交渉——私は否認ということを言つておりますが、能力がない、こういうふうに常に言つておるわけでありまするが、この点についてはどういうふうにお考えになるか。たとえば給与の問題で団体交渉をやる。公社側は、私の方は政府拘束されておるので、その団体交渉にはこれはとても応じることができない。団体交渉そのものには応じても、内容については少しも進まない。従つて調停委員会に入る。調停結論が出ても当事者能力がないので、仲裁委員会に行く。そして仲裁裁定が出てから、さてこれを実施してもらいたい、いやできないと言つて、そこで初めて仲裁裁定をめぐつて紛争が起きて来る。これは公労法精神から行くと私は反対であると思います。給与の問題をめぐつて組合公社紛争が起きた。それは最終的にこの紛争を解決するのが仲裁委員会の存在するゆえんである、こういうふうに考えておるわけでありまするが、政府の今日の取扱い方は、公労法精神を逆転をさしてしまつて給与問題についてはもう団体交渉能力はない。従つて仲裁委員会に持つて行つて裁定が出る。さあこれを実施せよ、いや実施をしない、こう言つて仲裁裁定をめぐつて労使紛争出発点となる、こういうようなことでは私は公労法運用を全然誤つておる、こういうふうに考えるのでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  12. 石井光次郎

    石井国務大臣 賃金値上げにつきまして団体交渉のできるのは、お説の中にもありましたが、当然でありまして、まず団体交渉でやる。わずかな金額問題等につきまして、またあるいは地域給でありますような式のもの、地方的なもの等につきましての交渉等は、それによつて妥結された例もあるように承知いたしております。但しこのようなベースアップの大きな金額になりますと、なかなか経営全体からにらみ合して要求と、またしてもいいという範囲等の一致ができないで、調停を経、仲裁に入つて来るのはやむを得ぬことであります。そういう手順を経てできるだけその線に沿つた答えを実際に取上げて行くということが願わしいことなのであります。団体交渉の力を無視するわけではありませんので、団体交渉というものでできることが一群願わしいことでありますが、そう行かないのでそれがだんだんと仲裁になるというのも、これはやむを得ぬことだと思つております。その仲裁になつたものを政府は必ず逃げるということは、何もそういうふうな方針がきまつておるわけでもありませんし、そのときの情勢によつて判断をして行くのでございます。私どもはできるだけこの仲裁裁定精神を尊重いたすことには、努力をしなくてはならぬということも十分承知いたしております。それで今年の問題といたしましても、私は初めこの問題が取上げられて、労組の諸君と会いましたときには、われわれは仲裁裁定を尊重して、できれば完全実施が望ましいが、それができなくても、できるだけそれに近いものをやれぬかということで、われわれはそういう心持を持つておるのであります。昨年のような平年のときにおいてさえ、八月に裁定が下つたものが十一月に実施されておるのであります。六年は昨年よりもあらゆる災害にぶつかつて国鉄は非常に苦しい状態であるから、昨年よりは悪い状態にあることは当然考えなくてはならぬ。しかしできるだけ裁定精神を尊重するようにしようということで、今日に至つたもけでございます。そういうわけでありますから、決して団体交渉精神を無視しているわけではないのでございます。
  13. 楯兼次郎

    楯委員 いろいろ運輸大臣は言い訳をされているわけでございますが、本年は例外である、今まで三回か四回裁定が出たわけでありますが、裁定通り実施されたことは私はほとんどないと記憶いたしております。本年度もまた例外ではあり得ないというふうに解釈をいたしておるわけでありますが、私が先ほどお伺いをいたしましたのは、公労法の今の政府運用の仕方では、公労法特異性といいますか、存在価値がないではないか、こういうことを言つているわけであります。  もう一回繰返しますが、紛争が起きて、紛争を最終的に解決するのが仲裁委員会である、こういうふうに解釈をし、そういう精神に立つて制定をされているのが、いわゆる公労法であると私ども考えているわけであります。ところがあの公労法制定をされましてから今日までの歴史を見ますると、いわゆる仲裁裁定が出た。そこから労使紛争が起きて来るわけであります。こういうことでは私は公労法存在価値がない。われわれ社会党としても、民間企業と同じように公労法を廃止してしまつて、今の労働組合法によつて労使関係を規正をして行けばいい、こういうふうに考えているわけでありまするが、その点について重複になりますが、もう一回、大臣公労法運用を誤つてはおらないか、今の政府は誤つてはおらないかという点についての御見解を承りたいと思います。
  14. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は今の政府のとつておりまする態度は、公労法のきめる仲裁裁定精神を誤つておると思いません。仲裁裁定はいろいろな場合を考慮いたしまして、このくらいまではやるべきものであつて、こういう時期からやるべきものであろうということをきめてありまして、それは国鉄従業員生活状態、それから日本の現在の経済生活状態というものとをあわせて考えてあることは事実であります。これを尊重することももちろんでありますが、きまつたものがすべて政府拘束するということになりますと、そのときの予算資金上と申しますか、財政上非常に苦しいときに必ず縛られなくちやならぬというと、日本財政の運営に支障を生ずるのではないか、そういう場合にはやむを得ずその一部分が実行されない場合も起つて来るというものだと思うのであります。それで私の考え方では、本年のような場合にはいろいろな面で財政上苦しいために、あるいは裁定金額も多少いじると申しますか、まけてもらうというようなことも、一つ考えとして話に出たこともあるのでありますが、私はこの裁定金額というものはどうしても尊重してそのままやらなければならない、ただやる時期において本年のいろいろな資金繰りその他ほかの比例等考えまして、仲裁裁定通りに行かないことになつても、金額をそのまま認めておくということは、すなわちその認めた月からずつとそれが生活給になるわけであります。生活給与にずつと続くわけであります。私はそういう線でこの仲裁を尊重して行くということでやりて来たわけでございます。
  15. 楯兼次郎

    楯委員 いろいろ運輸大臣は答弁をされておるのでありますが、私ども連合審査関係政府委員のいろいろな説明を聞いた上の判断から行けば、今の運輸大臣立場としてはそう言わざるを得ないかと思いますけれども、必ずしも私は当を得ておらないと思います。まず仲裁裁定を出しました仲裁委員長見解を聞きましても、仲裁委員会賃金委員会ではない、理論的に国鉄の職員の賃金はこうあるべきだという委員会ではないので、いわゆる公社経理能力その他支払能力十分勘案をして、その上に立つてこの結論を出した、こういうことを今井仲裁委員長はつきり言明いたしております。また公労法のいわゆる三十五条、十六条について日本の各学者の意見を聞きましても、政府の取扱い方は違法である。裁定というものは当然三十五条において裁判所の判決と同じ性質のものであるから、当然これを実施して行かなくてはならない、そのためには十六条において金がなければこれは支払えませんので、そのために政府が金の捻出の用意をして、そうして国会議決を求めてこれを実施して行くのが法の精神である、こういうことをはつきり言つておりますし、今資金上これの支払いができないにいたしましても、これは当然労働協約と同じような性質のものであるので、債権債務残つて当事者両方を将来までも拘束をして行く、こういうことをはつきりと言つておるわけであります。それからいま一つ大臣はいろいろ国家財政の面から云々ということを言われますが、私は非常に口の悪いことを言うようでありますが、国鉄労働者政府考えておりますようなことは考えておりません。いわゆる立場が違うわけであります。それは一生懸命働いて能率を上げれば、われわれの要求というものは公労法が守つてくれる、従つて公労法唯一のたよりにして懸命な努力をして、さて仲裁委員会裁定が出た、これを政府実施してくれるであろう、こういう唯一の望みる、あるいはインフレになる、あるいはどうだこうだというようなことをあなた方が説明をしても、それは無理であります。もしこの裁定実施することにおいて、インフレになつたり、あるいは国家財政の面のどこかに欠陥があるとするならば、これははなはだ残念なこと——口の悪いことを申し上げるようでありますが、これは私は政府経済政策が悪い、政府政策が悪い、こういうことに帰結せざるを得ないと思います。従つて大臣のおつしやるように、公労法はあるけれども裁定はあるけれども国家財政の面からこれは実施することができないというようなことでは、組合は納得いたさないと思うわけであります。その点ひとつ十分お考えになりまして、やはりこの裁定というものは組合員立場になつても、ひとつ今後がんばつていただきたいと思います。  次に私がお伺いいたしたいのは、支出可能であるか、不可能であるかという認定であります。先日来、だれが一体支出可能であるか不可能であるか認定をするのかという点についていろいろ論争が行われ、私も非常に疑義を持つておるわけでありますが、だれが一体この裁定実施することができる、公社からこれだけの金を支出することができるという認定をされるのであるか、運輸大臣としてはどういうふうに考えておられるか。私は、この公社経営を担当いたしておりまする総裁が、当然この認定中心となつて行かなくてはならない、運輸大臣なりあるいは政府はこれを調整をする、そうを持つて働いておると思います。それを国家財政の面からいつて不可能であいうことが法のすなおな解釈であるというふうに思つておるわけでありますが、この認定の基幹といいますか、中心はどこにあるか、運輸大臣はどういうふうに考えるか、御回答を願いたいと思います。
  16. 石井光次郎

    石井国務大臣 それは今お話のように、国鉄総裁経営経理内容を示して、それでできるかできぬかということを示すものだと思つております。私どもはそれが適当か適当でないかということによつて方針をきめるということになるかと思います。
  17. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、私過日連合審査会において総裁にお伺いしたのでありますが、これは当然総裁拘束をするので、これが完全実施のための予算を組んで政府に要請をしてある、こういうことで組まれた予算の控えをここにいただいておるわけでありますが、当然政府はこの予算書を尊重をして、この裁定の取扱いを慎重に撮んで行かなくてはならないというふうに私ども思うのでありますけれども政府の今日までの動きについて観察をいたしますると、総裁からの補正予算提出書というものは、全然重視をされておらないというふうに考えられるのでありますが、この点について運輸大臣はどういうふうにお考えになつておるか。
  18. 石井光次郎

    石井国務大臣 国鉄総裁が出しております数字をごらんになるとわかりますように、そのためには借金をしなければやつて行けないということにたつておるわけであります。災害をいろいろ出したということをよく言われますが、ついでに申し上げますと、そのためには予備費を組んでおつたし、それから政府から借りておる——昨年度べース・アップ運賃値上げとの間に開きがありましたので、そのために三十億ほど政府から借りたものを本年は返すべきである、それも返さないでそのまま待つてもらうということにいたしまして、そういうこと等によつて大体災害の復旧の費用を出す。一方利益も上ります。これからの推定でありますが、上つておりまするし、経費の節約等、こういうものをベースアップ並びに手当増の方にまわすということに考えますと、私どもの今提案いたしておるところが一ぱいのところだと思うのであります。それ以上のことをやろうとすれば、借金をして労銀を上げなければならぬということで、これは私どものとらなかつた方策でございます。
  19. 楯兼次郎

    楯委員 ちよつとあとの方がわからなかつたのですが、借金をするからいけないというふうに私受取れたわけであります。しかし実際総裁国鉄経営を委嘱されまして、自己の責任において、いわゆる経営者責任において、借金をしてもこれを実施して行く、そういう党悟に立つてこの補正予算を編成されたと私は思います。それを門外漢といつてはどうかと思いまするが、責任当事者でない人たちが、ある程度は私もいろいろな面からやむを得ないと思いますが、全然無視をして行くというようなやり方は、私は非常に不可解に思うわけでありますが、もう一回この補正予算がどのように審議をされたか、簡単でけつこうでございますから、御回答願いたいと思います。
  20. 石井光次郎

    石井国務大臣 この国鉄総裁から出された書類を無視しておるのではありません。それを十分検討いたしたわけであります。この上に、政府に返すべき約束のものも返さず、さらにここに借入れをするという案でありまするが、第一政府資金は今度全体の予算でごらんいただき、またその説明でお聞き願うと思うのでありますが、そんなに金が政府に余裕があるわけでもないのであります。かりに金そのものは余裕がありましても、全体の財政のかくらみと申しますか、そういうことが及ぼす影響の方が非常に大きいものがあるということは御想像できると思います。私どもはそういう各般の情勢を考えまして、今の私どもが行つた予算提出をいたしております。来年の一月からというのは、非常に裁定を尊重して、そしていろいろな財政の状況、それからほかの公務員、公共企業体との振合いを考えて、適当なものだと私ども考えておるわけであります。それから裁定はさつきも申しますようにことしだけのものではないのでありまして、ずつと引続いて行く。来年度の予算にははつきりとそれが全額現われて来るわけであります。それについてどうするかという問題も相当これから研究もいたし、皆さん方と御相談をしてきめることになると思うのでありますが、その負担は全部責任を負うのであります。本年度の分についてどうなるかというだけのことでありまして、裁定そのものをひどく無視しておるということはないと私どもは思つております。
  21. 楯兼次郎

    楯委員 どういう面から質問をいたしましても、同じような回答しかいただけません。まだたくさん聞くことがありますので、飛んで行きたいと思いますが、こういうことをお聞きしたいと思います。それは政府のいろいろな説明を聞いたわけでありますが、予算総則を上まわるから不可能である、これは全部の各公社理由書についておるありますが、私この点について、今の裁定と切り離して法文解釈でありますが、非常におかしく感じられますのは、予算総則を上まわるから実施できない、不可能である、こういうことを言つております。では予算総則を上まわつた場合には全然不可能か、そういう面になりますと、いやそうじやない。たとえば一つの例を申し上げてみますると、増収がある。増収に必要なる経費はほかの経費の流用あるいは予備費の流用によつて予算総則を上まわつてもいい。——いいとは書いてありませんが、上まわつて主管大臣の行政措置によつてやれる、こういうふうに予算総則に書いてあります。いわゆる特別の給与として支給する場合には移流用もさしつかえはないということが書いてありまするが、この特別の給与の中にはこれこれであるという具体的なことは指示をしておらないわけです。従つて給与改訂であるから特別の給与の中には入らない、賞与であるから特別の給与とみなす、こういうことは書いてございません。規定がないから、当然私ども給与改訂でも特別の給与の中に含めて、金がある場合には、主管大臣の行政措置によつて給与総額を上まわつてもさしつかえない、こういうふうに解釈いたしておりまするが、運輸大臣はその点どういうふうにお考えになるか。
  22. 石井光次郎

    石井国務大臣 ベースアップみたいなものは、給与総額をひどく上まわるわけでありますが、そういうのは資金上かりに余裕があつたからといつて運輸大臣がかつてにやれるかどうか、私は非常に難問に思うのでありますが、少し法律がかつておりますので、私よくわからないから、鉄監局長からお答えいたします。
  23. 植田純一

    ○植田説明員 ただいまお話がありました給与総額を上まわつた給与は出せないということは原則でございまして、ただ、ただいま御指摘がありましたように、特別の給与として支給する場合には、一定の条件がありましたならば、特に認可を受けて出せることになつております。ただその特別の給与と申しますのは、あくまでも臨時的な給与でありまして、恒久的ないわゆる給与ベースアップというのは含まれておらないというのが解釈であります。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 私はそういうふうな断定をあなたができるかどうかということに疑問を持つております。なるほど予算総則に特別の給与とはこれこれだ。たとえば臨時的云々という字句があるのですが、私は一読いたしましたので今記憶はございませんが、そういうものはない。そういう点から行けば、ただ特別の給与というだけであつて、その内容については予算総則は拘束しておらぬ、こういうふうに考えております。今植田局長の言われましたのは、そういうふうに定義をして、予算総則の正当なる解釈である、こういうふうに私どもは受取つてもいいかどうか、もう一回お読みになつて回答していただきたいと思います。
  25. 植田純一

    ○植田説明員 特別の給与という意味は、あくまでも一般的な給与に対しまして特別の給与ということを表現しておるのでございまして、これがどういうものであるかということは具体的には明示しておりませんが、一般的の給与に対しましての特別の給与という意味におきまして、臨時的な一時的な給与であることが法の精神であるということを、政府としてはきまつた考え方としております。
  26. 楯兼次郎

    楯委員 私はそれはちよつと行き過ぎた解釈ではないかと思います。それはなるほど法文上現われておらないところの解釈が行われたと仮定をしても、予算総則から受ける解釈は、私はそのようにはならぬと思います。どういうふうな解釈の註といいまするか、あるいは細則といいまするか、そういうものによつてそういうことが規制されておるのかどうか。
  27. 植田純一

    ○植田説明員 先ほど御指摘がございましたように、給与というものは、この給与総額を越えてはいかぬというのが原則でありまして、この給与総額というものが予算総則におきましてきめられております趣旨から申しまして、ベースアップがこの四十四条の第二項の規定によつてできるということでは、給与総額をきめた意味がなくなるのじやないか。さらにこの四十四条の第二項は、その能率の向上によつて収入が予定より増加した、あるいはまた経費を予定より節減した、そういう前提におきまして、許す範囲内においての特別の給与でございまして、これが将来にわたつて国鉄財政の負担になるということは考えられないのであります。法の精神から見まして考えられないのでありまして、その年々のいわゆる成績によつて生じたものを特別の給与として出す、こういう趣旨でございまして、そういう趣旨から申しまして、あくまでもそれは一時的、臨時的の給与に限定すべきものであるという解釈をとつております。
  28. 楯兼次郎

    楯委員 私たちはそういうふうに解釈をいたしておりませんし、学者の意見を聞きましてもそういうふうには解釈をいたしておりません。それは今私とあなたとこの論議を繰返しても結論は出ないと思いますのでやめたいと思いますが、あなたの解釈で行けば、私は公労法が死んでしまうということを申し上げたいわけであります。いわゆる団体交渉の意義がなくなつて来る、こういうふうにあなたもお考えになつておられると思いまするが、この点をひとつ申し上げてこの問題については私は質問を打切りたいと思います。  次に大臣にお聞きしたいのでありますが、あなたは裁定を尊重する、こういうふうにおつしやいます。裁定を尊重するという建前で行きますると、一昨日政府提案をなさいました年末手当、公務員は一・二五箇月であります。公社の職員は一箇月であります。その中で夏期手当で〇・二五を繰上げておるので、〇・二五を年末手当の中に加算をして一箇月、こういうことになるように私は承知しておるわけでありますが、もし政府がほんとうに裁定を尊重されるならば、こういう〇・二五というような余裕のある金があつたならば、当然裁定を十二月なり、あるいは十一月にさかのぼるという精神があつてこそ、ほんとうに裁定を尊重するという意義が出て来るのではないかと思うのでありますが、なぜ年末手当にこれらの金を加算されて、裁定を一月から、こういうふうにやられたのであるか、これでは裁定尊重という精神が生きて来ないではないかというふうに考えますが、この点についてどうお考えになりますか。
  29. 石井光次郎

    石井国務大臣 裁定を尊重する精神に私はかわりはないのでございますが、たとえば〇・二五はいらない、それで一月からやるのを十二月からやれ、あるいは十一月の半ばからやればちようど同じことになるとかいうようなこと等も言えるわけであります。が同時に私どもはそうやつたところが、やはり裁定のおりました八月というものからはどうしても離れるのでございます。そういうことを考えますと、ほかの方でも一箇月あるいは一箇月越すだけの年末のものが出るならば、ちようど年末の際でありまするし、年末の金がほしい、年末の金がほしいということが盛んにいわれるのであります。それを幾らかでも増すということによつて、みんなの心持に沿うことができるのじやないかというのでありまして、裁定の尊重あるいはそれをするという問題とは少し離れると思つております。
  30. 楯兼次郎

    楯委員 それで運輸大臣は年末の金がいるからということをおつしやいまするが、私はこれはりくつになつておらぬと思います。たとえば十一月から——金額は私こまかいのは知りませんが、その金額実施することができると仮定をいたしまするならば、裁定実施という面からいつても、やはり年末に金の入る点においてはかわりがないわけであります。こういうような点を考えると、裁定を尊重するという政府の意気は、ただ品だけであつて生きておらない、そういうふうに私ども受取れるわけでありますが、その点は重複をいたしますので質問をいたしません。  今、年末手当について私申し上げましたが、国鉄労働組合組合員を一番激怒させておりますのは、年末手当の問題ではないかと思います。裁定完全実施しなければならないということはもちろんでありまするが、特に激怒させておるのは、年末手当が公務員は一・二五であり、公社職員は一箇月である。ところが政府は常に、いや公社の職員だけ特別なる給与実施することはできない、やはり公務員とバランスをとつてつて行かなくては困る、こういうことを機会あるごとにおつしやつておるわけでございまするが、年末手当においては〇・二五の差額をつけた、非常に政府給与問題に対する見解というものは統一をされておらない。都合のいい場合には、いやお前たちだけ上つたつて公務員をほうつておくわけには行かない、これは同じように均衡をとつて行かなくてはいけない、そういうことを言いつつ、片方ではそういう差額をつけるというこの取扱い方について非常に私は不可解を感ずるわけでありますが、なぜこういうことをされたか、またされて運輸大臣として確認をされておるか、この点について御回答を願いたいと思います。
  31. 石井光次郎

    石井国務大臣 〇・二五という差の起りましたのは、官公吏の方では勧告を受けたのが裁定よりも早いということ、それからいろいろな計算をいたしますると、官公吏の方には公共企業体の者よりも不利な計算がいろいろ出て来るのであります。これは私はここに書いたものを持つて参りませんでしたが、大蔵省の人からも説明を聞いたのでありまして、できれば同じことにしたいのでありまするがそういうふうな理由もあり、またわれわれの方といたしましては、働きによつて利益を上げ余剰を生んだものを、さつきも話しておりましたように何らかの形で給与にまわすことができるというのがありまするから、これらの点によつてできるだけのことをいたして、そうしてそこらの差を埋めることができるということをあわせ考えまして、このくらいな官公吏と公共企業体の差がよろしかろうということに、閣内で一致したわけでございます。
  32. 關谷勝利

    關谷委員長代理 質疑を一時中止いたしまして、国鉄総裁が見えましたので、現在行われております国鉄労組の闘争に関し、総裁より経過報告を求めます。
  33. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 国鉄労働組合におきましては、いろいろな点でいわゆる闘争と申しますか、最初は二十日から二十五日までの遵法闘争、それから今やつております一日から二日、三日ということだそうでありますが、それは賜暇戦術ということでございます。このいずれも、組合としては全面的にわたつてということではなくて部分々々を指定して、そうしてその職場内においての遵法闘争あるいは三割賜暇闘争ということをやつておるのであります。しかし御承知のように、国鉄は長いつながりを持つずつと連絡がある仕事でございますから、たといそれが一部分でありましても、全体に大きな影響を及ぼすことは明らかであります。今行われておりますものを見ますと、最もはげしいのは広島と東京でございます。広島は広島の駅、車掌区というところにピケラインを張りまして、賜暇の完全実施というようなかつこうになつておりましてそれがやや行き過ぎたと申しますか、賜暇闘争それ自体が非常に問題になるわけでありますが、その三割という概念がさらに大きくなつたようなかつこうでありまして山陽線における貨物列車はほとんど半分以下に低下いたしております。これは非常に大きな事態であります。この繁忙時に貨物列車がとまつておるということは、これは今すぐには結果は現われませんが、やがてこれが一週間なり二週間なりたつて参りますと、その影響が相当大きく私は響いて来て、やがては国民の生活の土にも大きな影響を及ぼすのではないかということを非常に憂慮いたしております。その次に大きいのは東京でございます。東京の機関区においての賜暇戦術、これによつて非常な遅れはございますけれども、今、のところ数本の旅客列車を取消しただけで、旅客列車については今日までのところそう大した影響なしに本数だけは出しております。けれども御承知のように非常に遅れて、ある列車によつては二時間も遅れるというふうな状況でございまして、非常にこれもお客様方に御迷惑をかけておる次第でございます。その結果、東海道線、東京方面においてはどういう影響があるかと申しますと、貨物列車を多数運転休止いたしまして、旅客列車を動かしておるというふうな状況でございます。昨日までの状況はそういうことでございますが、今日もやはりそのような状況が続いて行くのではないかという見通しでございます。明日も、これが好転してくれればよろしいのですが、あるいはそうでなくて、だらだらと行つてしまうのではないかというふうなことを非常に心配いたしておる状況でございますので、私どもとしてはあらゆる面で、この闘争に入ります前に団体交渉を持ちまして、そうしてこういう非常な混乱を来すおそれがあるような事態に入らないようにできないかということを考えたのであります。  それについては、今私どもの口からそういうことを言えるかどうかわかりませんが、思い切つて言いますと、年末手当というようなものは団交をもつてきめるのであるから、諸君の働き、これからの増収、いろいろな面でできるだけの財源をかき集めて、公務員と同じようなラインに近づけて行こうじやないかというような話で話を進めましたけれども組合側としては、仲裁裁定完全実施というラインが貫徹されない以上は、絶対に応じられないというような言い分でありましたので、それではそういう裁定の問題は目下政府においても案を練り、さらに国会審議にもかかることであるから、その模様を見てまた新しい戦術に入つたらどうかという意味で、少し賜暇闘争を実施する時期を先に延ばしたらどうかということも申しましたけれども、これにも応ぜず、そこで私は、こうなればやむを得ないが、しかし世間にあまり迷惑をかけない程度でやらなければいけない。いわゆる合法的な方法で進んでもらいたいということを要望いたしまして、実は団体交渉はそれでおしまいになつたのであます。その後いろいろ政府の方、運輸大臣等にも御相談申し上げましたが、私は昨日までの状況、それから今日の状況を見ると、非常に憂慮すべき状態にある、どうかひとつ職員の各位がこの状態をもう一ぺん見直してあまり迷惑をかけないように、早く思いとどまつてもらいたいという趣旨の言葉を述べておるわけであります。そしてこれにも応ぜられないということになると、事の重大性にかんが会して、われわれとしても相当の決意をする以外に方法はないというふうに申しておるような状況でございます。  非常に簡単でございますが、大体そういうことでございまして、たいへんな迷惑をおかけいたしまして、まことに遺憾でございます。
  34. 關谷勝利

    關谷委員長代理 続いて質疑に入ります。楯兼次郎君。
  35. 楯兼次郎

    楯委員 先ほどとめられたので非常にぼけて参りましたが、今の国鉄総裁の御説明にも関係いたしますので、この点もう一回質問いたしたいと思います。そうすると大蔵省の方では、はつきりとはわからないけれども公社職員については公務員とは別に見て行こう、そういつたものを織り込んで行つた場合には大体同じになる、こういうふうに受取られるわけであります。こういうことになりますと、もう公共企業体として区別をして存在させる必要はないのじやないか、こう考えられるわけであります。公共企業体としての特殊性があるからこそ、そういう手当なりいろいろなものがついおるのである。せめて異なつた点はこれのみだと考えておつたわけでありますが、それさえ今年末手当の勘定の中に繰入れられてしまつておる。これでは公社従業員が非常にかわいそうだ、こういうふうに考えるわけでありますので、運輸大臣としてもそういうお考えをひとつお改めになつてやはり公社公社としての特殊性を、せめて年末手当のこの条項だけにでも生かしていただかなくてはならないと考えますので、ひとつこの点を大蔵大臣の方に要望をしていただきたいと思います。  それから年末手当に関連して申し上げたいのでありますが、たしか昨年の年末は、大体十一月からのベースアップでありましたので、手取り二万円平均になつてつたと記憶いたしております。ところが一昨日の政府提案によりますと、年末には一万四千円くらいしか入らない。それならば一体物価がそれだけ下つておるか、生活状態はどうかという点を勘案いたしますと、今仲裁裁定に出ておりまするのは、八月以前の物価指数であると私ども解釈をいたしております。従つて八月以降の物価の上昇はきわめて目ざましいものがあるのでございますが、これらはこのベースアップの要素に入つておらない、こういう点を考えますと、昨年の年末二万円、本年は一万四千円というのでは、国鉄従業員の年末における生活があまりにも苦しい。これらの比較について、運輸大臣としてはどういうふうに考えておるか、この点ひとつあなたの御見解を承つておきたい。
  36. 石井光次郎

    石井国務大臣 ちようど年末に際会して同じような問題が起つたから、そういうような比較が出ますし、また実際私さつき年末手当の問題で申したように、年末の収入が少くなるのはつらいでありましよう。それは実際その通りだと思います。しかしこの裁定実施期が遅れるという理由がどこにあるかと申しますと、日本の今年の大きな災害が、財政全体に及ぼしたのが根本になつておるわけでありまして、みんなで一部ずつ災害にぶつかつたのだという形にこれが現われて来たわけであります。昨年通りあるいは昨年以上にあるべきだという見方は、普通状態においてそうだと思います。そうありたいのでありますけれども、さつき申しましたように、非常な苦しい財政状況でありますので、これはごしんぼう願うよりしかたがないと思つておるわけであります。
  37. 楯兼次郎

    楯委員 そういう論議では、この問題を解決する糸口にはならないと思います。といいますのは、現在の全産業の平均賃金を見ましても、たしか一万七千円ぐらい、国鉄と同一企業を見ましても一万六千円くらいになるのではないかと思います。労働省あたりで発表いたしております統計を見ましても、相当上まわつております。しかも各民間企業の年末手当を見ましても、大体一箇月半というところで支給をされておるというふうに私は記憶をいたしております。それから水害があるから、お前たちだけずつと下まわつてもいい、しんぼうせよ、こういうことでは論議になつて行かないと思います。だから関連産業、あるいは全国のそれらの企業に対する比較をごらんになつて、ひとつ検討をお願いしたいと思います。あと質問者がたくさんおると思いますので、二、三点聞きたいと思います。  これは国鉄総裁にもお伺いをしたわけでありますが、当運輸委員会において、運賃の値上げその他が問題になりましたときに、いつも私ども社会党が主張をいたしておりましたのは、何かあれば運賃の値上げをやる、そういうことでは、恒久的な国鉄の運営はできない。いろいろな新線建設であるとか、あるいは社会政策上より来るところの運賃の設定があります。しかも本年度の水害百五億円と記憶いたしておりますが、これらを全部国鉄の職員が汗水たらしてつくり出したところの金によつてまかなつて行くということは、あまりにも不当ではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。こういうような問題については、諸外国では公益命令というような制度を設けて、政府の方から補助をするなり、あるいはその他の方法によつて国鉄経理をまかなつておるというふうに聞いておるわけでございますが、今この段階において、将来国鉄の企業を円満に運営して行くためには、根本的な対策が必要であるというふうに考えるわけでありますが、この点について簡単でけつこうでありますから、運輸大臣見解をお聞きしておきたいと思います。
  38. 石井光次郎

    石井国務大臣 今度の災害の費用を全部、国鉄の上げた努力によつて得た利益からまかなうというわけでもないのであります。予備費でありますとか、借入金の延期であるとかいうようなものが主要な部分になつておるのは、これは御承知の通りであります。それで大体これから先の問題といたしまして、来年は、ちようど今年のベースアップしたのが来年になりますと相当、百何十億という額が出て参ると思いますけれども、これを左右に鉄道の運賃に行かなくちやならないかどうかということにつきまして、国鉄半島においていろいろと研究をされておるのであります。私どもベースアップをやればただちに運賃値上げということになるのは、好ましいこととは考えておりません。全体の経営の行き方をどういうふうにしたらいいかという根本の問題は、いろいろ考えなければならぬものがあると思うのであります。さてどうしたらいいかということになりますと、まだはつきりした成案も得ないのでありますが、政府がどれだけかの支出の部分において、この国鉄部分の何かを負担するというようなことも、一応議論としてはされるのでありますが、実際の問題として、なかなかそれの実現は今までもできなかつたように、今後もできるかどうかわからないと思いますが、数字をいろいろ立て話合いをする問題はいろいろある思います。たとえば新線に対する利子補給の問題というものは前にも問題がある。前から建設審議会の方からも、この建設中並びにその後何年かの間は、金利は政府でもつてやるべきではないかということでありました。これは昨年の予算のときもいろいろ話し合つてみたのでありますが、なかなか実現が困難でありました。そういうふうな問題が、理論としては一応成り立つものが幾つもあると思いますが、実際上の予算の編成のときに、正直申しますと、財政全体の方が苦しいものでありますから、ついまあひとつそちらの方で何とかしておいてくれと、平たく言えばそういうふうな形になつて来ておるものもなきにしもあらずと思うのであります。そういう問題についても、十分なお研究してみたいと思います。
  39. 楯兼次郎

    楯委員 それでは質問者が大分あるようでありますので、端的にお聞きしたいと思いますが、過日連合審査会において公務員のベースアツプと引きかえに、来年度から一割行政整理をやる、こういうことを政府は発表いたしましたが、われわれが国鉄に従事ずるところの職員を、仕事量その他から比較をしてみました場合には、とても人員削減の余地はない、こういうふうに感じられるわけであります。この点について総裁に念を押しましたところが、現在の状態ではそういう余地はない、むしろ前年度はわれわれ予算案審議のときにも承知をしておりますが、一万六千人の増員の要求さえ出しておる、こういうような点を勘案いたしまして、とても削減をする余地はない、こういうふうにおつしやつたわけでありますが、運輸大臣は、この総裁の言明を確認をされるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  40. 石井光次郎

    石井国務大臣 大体来年度の予算において、約一割くらいの人員の整理をするような話があるわけであります。その際に、国鉄の問題も私は話を持出したのであります。国鉄のような現業に従事するところにおいて、これが一割の減をしていいような状態にはないはずだ。一箇々々の場合、私はそこに説明材料を持たないが、デスク・ワークをするということは、まるで違うということを頭に入れておかなければならないというような話をいたしましたときに、この方針であるというような意味に説明がありましたが、方針にしても国鉄の方はそういうことに異議があるということを申しておきました。またそれについて、国鉄は非常に人の管理がよく行き届いておつて、そうむだなものはなかなか出ないであろうということを、そのときに言うた人もあつた状態であります。この問題は含んでおいてよく折衝いたしたいと思つております。
  41. 楯兼次郎

    楯委員 今度の政府が発表した一月から裁定実施のうちに、これは大臣以外の方でけつこうであると思いますが、いつも定期昇給は一月からであるということを聞いております。私どもは定期昇給の資金というものは含んでおらない、こういうふうに解釈をいたしておるのでありますが、国鉄当局としてはどういうふうにお考えになりますか。
  42. 植田純一

    ○植田説明員 一月からの実施に際しまして昇給の金額というものは各公社、現業とも含んでおりません。認めておりません。
  43. 楯兼次郎

    楯委員 昇給資金ベース資金の中には入つておらない、そういうぐあいに確認をしておいていいわけですね。
  44. 植田純一

    ○植田説明員 予算のうちに入つておりません。
  45. 楯兼次郎

    楯委員 今度は総裁にひとつお聞きしたいと思いますが、どうもきのう、きようの新聞においては、国鉄労働組合は行き過ぎがあるのではないか、あるとははつきりと言明をされておりませんが、あるのではないか、総裁としては厳重に処罰をもつて臨む、こういうような言明をなさつておりますが、われわれがこういう新聞を見ますと、非常に不可解に感じるわけであります。それは当てはまるかどうか知りませんが、裁定というものは、やはり完全実施をして行かなければならない。おそらく大臣その他の自由党の議員の方でも、裁定だけはこれを実施しなければいけない、こういうふうに腹の中ではお考えになつておるであろうというふうに、私は解釈をいたしております。しかしこの裁定というものをあなた方の政策によつて完全実施できない、こういうような現段階にある以上、国鉄労働組合としては、やはり完全実施をされるまでは、法を守る建前に立つても、これはあらゆる方法で政府に反省を促すということは当然であるというふうに、私ども解釈をいたしております。ただ運輸大臣と私の先ほどからの議論によつてどもが受ける感じは、しかし国家財政の面を考えてもらいたい、繰返すようでありますが、そういう立場に立つて完全実施ができないのであるから、こういう点を了解してもらいたい、こういうことを繰返して申しておられるわけであります。しかし国鉄従業員立場に立てば、やはり国会におけるところのこの国家財政とか、そういう大きい問題を国鉄紛争に対比さして考えさして行くことは、私は無理であろうと思います。ただ従業員は一生懸命に働いて、われわれの給与改訂の望みを、唯一の望みを、この公共企業体等労働関係法の仲裁委員会裁定にかけて働いておるのでございますから、それを守つてもらえばいい、そういう立場に立つてつておると思います。それを国家財政の面からどうだこうだというようなことは、これは当てはまらないわけでありまして、かつ現在ある法律に基いたところの裁定実施をして、それでインフレになる、あるいけ国家財政の不都合が生じるとするならば、繰返して言うようでありますが、これは政府政策が悪い、そういうふうに帰結せざるを得ないと思います。こういうような点を考えてみますと、今日国鉄労働組合がとつております行動というものは、政府のとつております行動に比べれば、私はまだ非常に謙遜的な行動であるというふうに解釈をいたしておるのでありますが、きのう、きようの総裁の言明について、前途に危惧を生ずるわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えになつておりますか、はつきりとここでひとつ御回答を願いたいと思います。
  46. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 問題の起つた原因は、それは仲裁裁定というところにございます。これははつきりいたしております。そうしてこの仲裁裁定というものは、組合員をも拘束いたしまするし、当局たるわれわれ経営者をも拘束するのであります。その点においては、両者とも私は何も異議はないのでありますが、ただわれわれは一方におい国民の鉄道の経営を委任されております。この委任の責任というものも果さなければならぬのでありますが、まず第一にその委任の責任を果すことが、私は一番大きな本務であろうと思います。その観点に立ちますと、一々例をあげませんが、機関車が庫から出て来ることを妨げるとか、あるいは運転台にありまするハンドルを持つて行くとかいうようなことになりますと、これは行き過ぎではないかと言わざるを得ないのであります。そういう事態もありますので、私は争議行為それ自体についても非常に疑問を持つておりますが、やはりそういう業務の面からそれをながめるということも、われわれとしての責任であるから、そういう批判をいたしたわけであります。
  47. 楯兼次郎

    楯委員 どういうふうに政府なり、あるいは当局者が解釈をいたしましても、組合の方では、われわれもそうでございますが、いわゆる争議権にかわるものとしての仲裁委員会であり、仲裁裁定である、こういうふうに考えておるわけであります。これは私はまた当然の解釈であろうと思います。その裁定が完全に実施をされない以上、いろいろな紛争が起きて来るのもやむを得ない。もし政府が、そういうことは困る、今のようにハンドルを持つて行くとか、何とかは困るということをおつしやるならば、裁定実施をしていただければ、あすから円滑に列車が動きますし、そういう不安もない。自分の方の不履行はたな上げにしておきまして組合にのみ完全なる行為を望むということは、私は非常に片手落ちであると思います。総裁国鉄労働組合組合員に対してそういうことをおつしやらずに、政府に対して、実施をしてもらえないから、こういうことが起きる、その責任はあなた方であるというふうに、政府に要請すべきである、私はこういうふうに考えておるわけであります。どうかそういう観点に立つて、ひとつやつてつていただきたい。長くなりますので、私の質問はこれで打切ります。
  48. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 運輸大臣に問いたいのですが、さつきから楯委員の質問で、どうも公労法精神からいいますと、国鉄の職員とか、公社の職員の団体交渉は、さつきからの質問応答から児ますと、何をやつているのか、さつぱり意味がわからなくなるのですが、これは何のための団体交渉をやるのですか。公労法仲裁裁定が出て、それを政府が実際に実行するために努力をして予算を組んで、仲裁裁定が出てから、その裁定実施せよといつていくら総裁団体交渉をやつても、政府がそれを国会へ出して承認を求めるようにしなければ、これは団体交渉をやつていても何の意味もないし、またその仲裁裁定実施すると給与総額で上まわるから、これは出せぬのだ、こういうことになりますと、これは裁定というものはさつぱり何のことかわけがわからぬ。それなら、その仲裁委員というものは何のために日を費し、経費をかけて努力しているのか、これはわけのわからぬことになりますが、私はこのような矛盾したもので、労使間の問題が滞りなく解決できて、業務の運営が円満にできるとは考えないのですが、これは真剣に私は考えるべき重大問題だと思いますが、一体公労法予算総則、給与総額、これとの関連はどのように、正直にすなおに当局としては解釈をされておるのか、はつきりとしていただきたいと思います。
  49. 石井光次郎

    石井国務大臣 ちよつと御質問の御趣旨がはつきりしないのですが、団体交渉は、今裁定について団体交渉をしておるわけではないのです。団体交渉をして話がつかないから調停に移し、それから仲裁裁定を願つたわけでございまして、その点においては、国鉄も労組も両方縛られて、それをまだどうとかこうとか言う筋合いではないと思いますので、その点は交渉になつていないと思います。ただ今お話の点は、年末手当の問題が折衝の余地があるということだと思うのであります。
  50. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そうすると今総裁の言われたのは、団体交渉を持とうとしたけれども、この仲裁裁定実施されぬから、されるということが前提でなければ団体交渉ができぬというふうに組合に言つた、こういう報告を今受けたように私は思うのですが、総裁どうですか。
  51. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 はつきりとそうは申しませんが、われわれの目的とするところは仲裁裁定完全実施である。そのほかにも交渉に値する問題があるのじやないかと思つて団体交渉をやつたわけであります。
  52. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それはおかしいではないですか。はつきりとは申さないが、そういう意味のことで団体交渉をしなかつた。しかしはつきりとしない推測をあなたはここへ持ち出して、われわれに判断しろというのはどういう意味ですか。おかしいではないですか。あなたの推測でわれわれは論議するわけには参らない。あなた方が現場で実際に交渉され、そしてその結論を報告されたとするならば、これは推測ではないはずです。それを今あなたが推測で報告されるということは市大問題だと思いますが、どうですか。
  53. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 われわれの目的は仲裁裁定完全実施にある。それをまずきめてもらいたい。年末手当の話はいずれまたそういうことでお話をしましようということで、団体交渉に入つたのでありますが、そういうことでものわかれになつて、この上話をしてもしようがないからというので、両方がわかれたのであります。
  54. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 もちろん組合としては裁定実施ということが、大きな一つの目標だと思います。これは運輸大臣はお見えにならなかつたのでお聞きになつていないと思いますが、私は公聴会に出た公述者にもいろいろその見解をただしてみたのでありますが、この仲裁裁定が出てから、このように組合が賜暇戦術をとり、あるいは合法闘争にしても闘争をやるということは、実際には変則なんですね。そういうことをやらないために仲裁裁定というものが出て、そしてそれが経営者も縛り、組合も縛る。そしてこれが最終的なものとして拘束されるのだということになつておる。そのまま政府の方で仲裁裁定をすなおに公労法精神に基いてやればよい。私はこの公労法精神に基いて出された仲裁裁定なるものは、いわゆる予算総則に基く給与総額を上まわるものであつても、給与総額を訂正するというところに問題を持つて行けば、解決するのではないかと思います。ところがそれを絶対不動のものとすれば、何のために仲裁裁定をやつたかわからぬことになる。むしろあなた方は、他産業に及ぼす影響なり何なり、そういうふうな政治的含みを持つて、何かそこを汗やかそうとしておるのではないですか。水害のときにも、国鉄の職員諸君は、自分の家族が水に流されて死んでおる。あるいは家が流されて住むところもなくなつておるというように、実際に生活の根拠を失つたような人々までが、昼夜をわかたずあれだけの努力をして、総裁みずから表彰状を手渡しておるではないですか。これはあなた方が確認されていることだ。しかも企業努力の結果、年間三十五億にも及ぶ経費の節減もされている。そうすれば、この仲裁裁定が出てから、こんなものを実施せいとかせぬとかいうことを言うこと自体おかしいし、要求させるような措置をとること自体も、私はこれは政府当事者公労法をすなおに解釈しないところに原因があると思う。むしろ経営者側といいますか、そのときの時局を担当している政府責任が、何か政治的にぼやかされて、そして何かごまかしをやつて、ああ給与総額だ、いや予算総額だ、何だかんだと言つてこの問題を解決しようとするところに、今総裁が言われるように、団体交渉を持とうとしても、団体交渉を持つ目標すら失つておる。そして何かわからぬトラブルが起きているということになるのではないかと思いますが、運輸大臣としてはこれについて、どういうすなおな公労法に対する見解をお持ちになるのですか。私どもは今までの答弁では、何を言われておるのか、また何を目標にされるのか、絶対に目標すらわからないという状態ですが、これはひとつすつきりとした答弁をしてもらいたいと思います。
  55. 石井光次郎

    石井国務大臣 ずいぶん詳しく私の心持を申し上げたつもりなんですが、おわかりにならなくてまことに残念です。仲裁裁定政府がそのままどんな場合でもすぐ予算の面に現わしてしまえば、それは問題がないことは御承知の通りであります。しかし国鉄裁定は、国鉄経営状況によつて、こうしたら、ああしたらということで、財源も一応裁定の中に考えられておりまするが、なかなかその通りに行かないものもあるわけでございます。しかしその裁定精神を生かさなくてはならないというので、金額はそのままにして来年一月からやることになつたのでありまするが、これは来年度から平年並になります。今年度数箇月というものが仲裁裁定通りにならないのでありますが、これは公労法の関係の企業体が幾つももあり、現業官庁があり、それから政府の役人というようなものの給与の上りもある。この全体というものをまた見て、財政上にどう影響するか、国民生活にどう影響するかということを考えることも、また非常に大事なことだと私は思うのであります。その意味におきまして、十六条にその規定があつて、そして政府は、仲裁裁定そのものを尊重すべきことはもちろんでありますが、これこれの理由——今申しました財政上の理由、また国民生活の経済の状況からいたしましては、それにその通り従わぬでもいいというのは、そういう場合を心配してこしらえた規定だと私は思つております。この規定のよしあしは別問題でありますが、精神はそうだと思う。そういう全体の振り合いを見てきめたものでありましてそれから先は意見の差になりますが、私どもとしては、仲裁裁定を無視する心持のないことだけは、この際にもその金額をそのままあげたことで御了承願いたい、こういうふうに思うのであります。
  56. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この無視する、せぬというのは、そういうことではなくて、尊重しなければならぬことはもうきまつておるのですから、これは当然の話だと思うのですが、しかし国民経済とかいう非常に大きな投網を打たれますと、公社として今度勧告されておりまする仲裁裁定は、三企業五現業にわたつておるのでありますが、その中には、実際国鉄は非常な努力はしたが、しかし本年度の水害などがあつて、困難な面もあろうとは思いますが、しからば専売公社にいたしましても、あるいはアルコールにいたしましても、その他の現業にいたしましても、そう画一的に一月からでなければ実施できないという理由のない企業もたくさんある。その企業でもつていたしましても、万人が見てもまかない得ると思われる企業は幾らでもあるにかかわらず、これを画一的にやろうということは、これは政府の態度として公労法精神を尊重していると私ども解釈することはどうもできない。これは何ですか、少しでも困難な面があるからといつて、何もかも困難な面の方にしわ寄せすることが、政府公労法の尊重という意味ですか、ひとつその点はつきりしてもらいたい。
  57. 石井光次郎

    石井国務大臣 そういうことはございません。
  58. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういうことがないとすれば、今申したような仲裁裁定が出たときに、十分にまかなえるようなものも、少しもその誠意が示されないのです。これはやはり国鉄でも予算資金上困難であるということが理由でありますが、予算上質金上困難だということは、一体どういう意味かといえば、予算総則があり、給与総額があつて、これを上まわるから困難だ、こういうことが今までその主たる原因としてあげられたものであつて、それ以外に私どもには何らの具体性も示されていないのです。これでは私どもは具体性を承知しないのでありますから、組合の方でもそれはよけいわからぬはずだと思うのです。それならばこの仲裁裁定が示しておるそのままが実施してもらいたい目標だ、こういうように思うのは少しも不合理な点はないと思うのです。特にこの前の国会のときにも私は申したのでありますが、仲裁裁定を実行するにあたつて、これを言いのがれるために、非常に大きな水害があつた、その災害などに捻出すべき予算労働者の方にしわ寄せをして、そうしてこの仲裁裁定を渋るのではないかという質問を発しておりますが、決してそうじやないということを運輸大臣のあなたもおつしやつたのですが、今日では実際に見てみますると、そういうことが如実に現われて、実施が困難であるという理由を付せられておるのではないかと思いますが、いかがでしようか。これは前の国会で御答弁をいただきましたのと、大きな食い違いを見せておるのではないかと思いますが、相違ありませんか。
  59. 石井光次郎

    石井国務大臣 災害の復旧に多額の金のいることは御承知の通りでありまするが、先ほどからも申し上げました通りに、それは大体におきまして、予備費または政府からの借入金の支払い延期というようなものが大宗をなして、これでまかなつておるわけでありまして、利益の上つておるもの、節約によつて経費を残したもの等をいろいろ勘案いたしまして、裁定並びに年末手当の増額をしたいと考えております。
  60. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の御答弁をそのままに信じて行きますと、私はこの裁定実施いたしましても、決して実施が困難でないというふうに考えるわけです。今大臣から御答弁をいただきましたのと、この裁定実施に対する政府提出されております承認議案とを照してみますと、まつたく矛盾した提案の仕方だと思います。実際問題としてこの水害に要した費用というものは、御承知のように水害立法等によりまして、民間のいろいろの復旧経費についても、政府はこれを補助するという措置を講ぜられておるのでありますから、いわんやこの国鉄の水害などに至りましては、当然政府の方においてしかるべき補助をやつてそして労働者の企業努力に対してそれらの犠牲をしわ寄せしないように、防止することが私は政治の妙諦だと存じます。それらの措置さえとれば、私はこの実施は決して困難ではないというふうに考えるわけですが、所見はいかがでしようか。
  61. 石井光次郎

    石井国務大臣 災害の費用は今も申し上げましたように、大体におきまして利益の方面からはまわさぬでもいいような状態にあります。それは借入金の延期とか、仕事の一部延期であるとか、予備金を使うとかいつたようなことで、利益の方はほとんど仲裁裁定三箇月間の実施、それと年末の手当というものにまわすのであります。それでは災害復旧の方は、公共事業なんかのものは政府から出すのだから出したらという考え方も一つの行き方だと思います。しかしそういうふうな災害も、全国的に網を張つております鉄道としてあり得るというので、予備費もそういうことのために設けておるのであります。ことしのような非常な異例の場合でなければ、その予備費の中でまかない得たと思うのでありますが、それで足りないのでさつき申しました借入金あるいは事業の繰延べというようなことでまかなうのであります。民間の方に援助するのではないかというお話でありますが、これはあなた方も一番よく御承知でありますが、二割ほど復旧を補助いたす道がありますけれども、これは大きな会社の経営に対しては建前としてはないということになつております。私ども国鉄がそれだけの仕事を持つておりまして、その中に起つたものは一々公共事業と同じような扱いをせぬでやれるものはやるというふうにいたしております。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 総裁にひとつお尋ねいたしますが、政府はこの裁定をそのまま承認するのではなくて、これは一部承認の形で出した。そして理由としては、国鉄財政上から見て予算資金上困難である、だから出せないのだ、こういうことであります。また総裁みずからの報告によりますと、この黒字はわずかに一割程度で、あとは全部赤字だという報告であります。しかし前国会から問題になつておりますように、国鉄自身がもう少し、民間の鉄道業者がやつておるように企業努力を払えば、立ちどころに収益を増加することができるということを私どもは指摘をいたしておきました。たとえば鉄道会館などもその一つの現われでありますが、私どもが申しておりました鉄道の運営上の操作によつても、相当大きな収益を見込むことができるという考えに立つていろいろ御質問もし、意見も申しておいたのでありますが、この裁定が出されるということは前々から御承知のはずであります。従つてこの裁定実施するにあたつて国鉄当事者として、最も善良な経営責任者として、どれだけ企業努力による収益を見込んで、政府にその実施に対する要求をなさつておるか、一応お聞かせ願いたい。
  63. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 最初の予算の問題になりますが、そのときは、増収による純益と申しますか、増収いたしますればやはりそれだけ仕事がふえますから、経費もかかるわけです。それがたしか三十四億になつております。それから石炭その他の節約努力によつて十四、五億ですか、さらにそれだけでは足りませんので、予備費が節約されて三十五億ありますから、それをまわす。進んでは建設線の一部繰延べというふうなことも考える。そうして裁定完全実施と水害の経費を見込みますと、結局ここに大きな穴が明きまして、どうしてもしようがないので、三十億の返還すべき金はことしはどうぞ延ばしていただきたい、そしてさらに六十数億に上る借入れをさせていただきたい、こういうことであります。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 非常に努力をされておるようでありますが、それではなお私どもの満足行かない点があるわけです。というのは、前々国会から問題になつております国鉄諸施設の運用に一大改革を加えれば、これによつても相当額の収入増を見込むことができる、私はこういうふうに指摘をいたしておきました。これはたとえば高架下の問題や、その他付属諸施設の運用の問題であります。これについても具体的にその運用に改善を加え、または合理的な運営にして収益を上げるということは、今の総裁のお言葉では承ることができないのでありますが、一体それらに対してはどのような努力をお払いになつておるか、もう一度お聞かせ願いたい。
  65. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 国鉄が持つておりますいわゆる固定財産というものの本来の運用についても、それぞれ非常に努力をしなければならぬのでありますが、本来の使用でない、部外に貸すとか、あるいは部外に利用さすということの努力が少し欠けておつたということについては、当委員会においても私は明白に申し上げたのであります。本来の使用、つまり輸送に使う、そして安全なる輸送をやるということ自体、あるいは国民各位にサービスを提供するということ自体が、本線においてはやや見るべきものが現われて参りましたけれども、ローカル線等に参りますと、今日なお山口委員ごらんの通りであります。これはまことに申訳ないことで、その方に非常に気をとられておりました関係上、ただいま申し上げましたような本来の使用でない部分についての取扱いがおろそかになつてつたということは、まことに遺憾でございます。当委員会の中間報告等のこともございましたので、大阪と東京の二地方はそういう財産の特殊な使用のものが非常に多いのでありますから、今度そこに土地建物等の評価委員会というものをつくり、公正な評価をいたすよう、民間の専門の方々の力を借りまして是正して参りたい、こういうことでそういう措置をいたしました。なお民衆駅等運営委員会というものをつくりまして、そういう特殊な使用についての基本の考え方、あるいはそれを律しますところの規則等について、やはりこれも非常に古いようなかつこうをいたしておりますから、近代化とでも申しますか、そういう規程を今の状態によく合せるようにしたいと思いまして、そういう委員会もつくりました。なおさらに最近に至りましては臨時財産管理部というものを部内に設けまして、これを漸次そういう規程の整備あるいは法制の研究等に当らせることにいたした次第でございます。
  66. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 総裁が今言明された、いろいろな方法による謹上の管理の構想は非常に敬服に値しますが、しかし私の申すのは、そういうものをもつていたしましても、国鉄の諸施設を利用いたしまして、実際には国鉄に納めます金の数倍あるいは何十倍にも値するようなものが、各所のトンネル会社に吸収されて、実際にはそれらを利用いたしております人々は苦しい負担金をかけられておる実情があります。大阪においても、たとえば私設弘済会なるもののごときは、まつた国鉄の施設を運用いたしまして、そうして実際にはそれを借りていろいろの営業をやつておる人は、非常に大きな負担をかけられ、おどかされて、そうしていろいろの面で兼ねをしぼり上げられている実に気の毒な状態にあります。これらを国鉄が直接に管理をして、面接に国鉄が何らかの形において契約をすれば、利用する人々は非常に安く、安心をして利用することができ、しかも国鉄においてはそれらのトンネル会社を通ずるより以上の収益を上げることができるのであります。今評価委員会を設けられ、あるいは民間のそういう委員会をお持ちになりまして評価をされましても、それはその賃貸契約者との間における直接のものではありませんから、従つてそれらを利用いたしております者は、依然として高額のトンネル営利に苦しまなければならぬことになるのであります。これは全国にわたつて、いつかの新聞紙上にも指摘いたしておりましたが、枚挙にいとまがない厖大なものであるということをはつきりと言つているのであります。私どもはこれをぜひとも国鉄の直営にして、そのためには百人や二百人の国鉄職員をそこに転勤させて、国鉄の職員として直接の管理をするようにいたしますならば、私はこのような給与の問題などの予算の裏づけも、相当多額のものが予算の裏づけとして政府にこれだけあるから実施ができるというふうに、労働者に対しての満足な給与もできる結果になり、ひいてはこれは国鉄の職員諸君の給与にも大きく影響するものだと思いますが、将来これらに対して今までの努力以上に、直接すべての財産を管理する機構に改められる意思はないか。またそういうことを目標にして予算を組まれる意思はないか。ひとつ総裁のお腹をお聞かせ願いたいと存じます。
  67. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 まことに貴重な御意見でございますが、実は国鉄が直接に管理、運営に当ることがいいか悪いか、そういう能力があるかないかという点につきましても、将来とも臨時財産管理部でありますとか、あるいは運営委員会等の意見を聞いて、その上で善処したいと思つております。御承知のようになかなかこまかい仕事でもあり、われわれのようないわゆる鉄道屋にそういうことがはたして十分できるかどうか。実際は今でもそういうつもりでおるのです。それで転貸を禁止するとか何とか言つておりますけれども、事実は転貸横行でございまして、それは率直に認めます。そういうわけでありますから、それを追つかけまわして行くだけの力がはたして国鉄にあるかないかというような点、いろいろ専門の方々の御意見も拝聴いたしまして、今の山口さんの御意見もむろん非常にいい御意見でございますから、これらを参考にして将来善処して参りたいと存じます。
  68. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この管理については一つのテスト・ケースも試みずに、ただそういうひつ込み思案をしていたのでは、改革はできないと思います。これに対しては相当の決意、勇断がいるということは、私もよく承知をいたしております。しかしその決意と努力がいるから、まず直接管理にはちよつと手が出ないということでほつておくことは、国民に対しても相済まぬ。先ほど国民の鉄道を預かつて、そして今日の状態に追い込まれることは、まことに遺憾であるというお言葉がありました。私はこれに対しては、実際にあなた方の様子を見て胸の迫る思いがするのであります。しかしそれだけの御決意があれば、あなたはこまかいとおつしやいますけれども、決してこれはこまかいものではありません。非常に厖大なものと考えるのであります。その厖大なものを見のがしておくということでは、私は善良な経営責任を遂行することはできないと思う。従つてこれについては、あなた方はぜひとも善良な経営者としての措置をとられることが必要である。一つ経営をいたしますには、私どもが申さなくともすでに御承知のように、いくら大きな堤防でもありの一穴からくずれるということもあります。私どもが見ておりまする今日の鉄道の経営におきましては、穴だらけである。でありますから、前々からの国会でもこれを指摘いたしまして、いろいろ協力あるいは努力をしていただくようにお願いをしておる。これはよくそろばんをおはじきになれば、今度の年末資金くらいのものは、全体的な運用の方法いかんによつてもすぐ出て来ると思いますし、また国鉄の今の赤字線路とおつしやる線路におきましても、われわれが私営よつて行うような方法をもつてすれば、少くともほんとうの赤字路線などというものは数えるほどしかないということは、私は確信が持てると思います。どうかそういう意味におきまして一層の努力をしていただきたいことを、特に強く総裁に申し上げたいと存じます。  また運輸大臣といたしましても、先ほど私の申した点について多少誤解されておるのじやないかと思いますから申し上げたいと思いますが、それはこういう鉄道、軌道の常業というものが非常な公益性を持つものであることは、大臣もたびたび申されておる通りであります。従つてたといそれが私企業でありましても、それらが沿線の産業開発に、あるいはその沿線の民生の安定に至大の影響を持つものとすれば、それらが再起不能に陥るような災害をこうむれば、国の政治力によつてこれを救済し、正常なる運行をなさしめる措置をとることは、当然の政治上の責任であると思うのであります。従つて私は先ほど申したように、私企業などでも補助をしておるのに、国鉄災害をそのまま見のがしておくということはないのではないかというふうに受取られたかもしれませんが、決してそういう意味ではないのであります。私鉄においても、あるいは私企業においても、ただ交通機関だけでなく、他の部分においてもそういう災害については、政治責任を帯びて処理して行くということが政治である。従つて国鉄の方においても、当然その措置をとつてもらいたいということをその趣旨といたしたのであります。でありますから、その意味から申しますと、今裁定が出されておりますが、前からの言明によりますと、決してこの水害等の結果から裁定実施できないというのではない、そういうことは理由にしないということを言明されておりまして、私どもはそれを信じておつたのであります。ところが大臣の言明では、今日においてはいろいろの手段を尽して、これはしない、そういうことではないということでありますけれども、しかし実際に見てみますと、私はもし裁定がそのまま国鉄においても実施できない、そういう理由が見当らない——これだけの企業努力をなして、職員は一生懸命になつておるのであります。特に本年度は逆に申せば、この水害等によりますあの献身的な復旧作業、これらに報いるためにも当然公労法精神をそのまま本年度だけでも実施してもらいたい。また財源措置というものは完全にできると思いますが、どうでしようか。実際には今までは水害等には関係しないという言明をなさつたが、その言明と違つた方向に政治的に押えられるのではないか。また他の産業、すなわち民間産業に、仲裁裁定実施することによつて、またまた賃上げ等の円題が起きるというような政治的含みをもつて、この裁定実施することを渋られるのではないかという気配が非常に強く感ぜられるのであります。一体運輸大臣民間企業の今日の給与ベースの状況、そうして国鉄の職員諸君に現在行われております給与ベースの状況とを比較されてどういう結論をお持ちになつておるか、一応その見方についてお尋ねをいたしたいと存じます。
  69. 石井光次郎

    石井国務大臣 それに対するお答えは、さつきから楯君初めあなたに申し上げたものの中にあつたと思いますが、今度の災害復旧の費用は再三申し上げます通り、利益の勘定の中からは出してないのであります。利益の勘定をそのまま出しましても、裁定が完全に実施できないという勘定に相なるのであります。それはさつき総裁から予算を出した内容についてお話があつたので、御了承願いたいと思つております。だから私がこういうふうな仕事に従事しておる人たちの労苦、努力というものを認めないというのでは決してありませんし、またそれによつて得たものを政府でやらなければならぬ方面にまわしたというようなやりくり算段をする意思は、私は持つておりません。
  70. 楯兼次郎

    楯委員 関連質問で一つ伺いしたいと思いますが、裁定以外の年末手当については、裁定書からはずれておるわけでありますから、残される道は、年末手当の団体交渉という線に来るかと私は思つておるのであります。先ほども私は、公務員一・二五、国鉄識量一・〇、これがそもそも不合理であるというふうに御質問したわけでありますが、この点について大臣としては、今日の段階において公務員並に年末手当を出される御意思があるのか、あるいは年末手当についてどういうふうに考えておられるか、ひとつ簡単に承りたいと思います。
  71. 石井光次郎

    石井国務大臣 それは国鉄総裁からしばしばあらゆる機会において申し上げておるようでありますが、私どもは、予算の上においては〇・二五を加えた一箇月分になつておりますが、公務員と大体同じ辺に、経理の都合で出すことができるものであるならば、出してもらいたいということを思い、また国鉄総裁もそのつもりでいろいろと今計数をいじつておられると了承しております。私もそういうことになることが願わしいと思つております。
  72. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、今一・二五という線ははつきり出さないのだが、しかしそれだけのものは当然出すべきである、こういうふうに運輸大臣はおつしやつておられるのかどうか。
  73. 石井光次郎

    石井国務大臣 当然出すべきということよりは、私がさつきから申し上げますように、働いたものによつて出せるものがあれば出してもいいという線に沿いまして、少くとも公務員に負けないところまで出してもらいたいということを思つております。それが数字がどう出て来るかということは、私は今はつきりわかりません。私はそういう線をなるべく出してもらいたいと思つております。
  74. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私尋ねようと思つてつたのでありますが、この年末手当の問題につきましては、公務員と国鉄職員との間には開きがあるが、それについては運輸大臣は、今の答弁によりますと、なるべく官公労の方と同じように出してもらうようにしたい、こういうことでありますが、またなるべく努力したがどうもいかぬというようなことになりますと、当てにならないと思いますが、総裁どうですか。この点はあなたの責任においても、考慮するのではなくて将来の団体交渉においては、当然出し得るものという確信を持つているとお考えになるかどうか、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  75. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 年末手当の問題は、今年度は仲裁裁定の中に入つておりません。昨年は入つておりましたが、やはり団体交渉によつてこれを取扱うということでございました。本年は仲裁裁定に入つておりませんから、当然これは団体交渉の問題になります。その際にどういうところで妥結をいたしますか、これはやはり交渉の経緯でございますから、ここで私がどういうふうなことになるかということを申し上げかねますし、また予算もまだきまつておりません。また今日の予算の全貌を見ました際に、それは非常に苦しいことであると思いますが、これはやはり今後の増収見込みによることでございまして、労働組合の方々にも言つておりますが、私一人がいくら予算の数字をいじくつてもだめでありまして、従業員職員諸君の努力というものが一番根幹をなすのであります。そういう意味合いにおいて、私は今後いよいよ職員諸君に努力をしてもらいたい、こういうことを要望しておるわけであります。さらに一言加えますれば、一箇月のものを幾分でも多くしたいという希望と念願は持つております。
  76. 館俊三

    ○館委員 年末手当のことに関連してですが、さつき石井国務大臣は、国家公務員の場合には一・二五箇月、ところが公企体の場合には一箇月ということはふしぎだということを楯兼次郎君が尋ねたのに対して、国家公務員の場合には歩が非常に悪くなつている。それで一・二五箇月を出しているのである。公企体の方は非常に条件がよいので、そこで一箇月でもよろしい、全体的には調整されておるのだという御判断を発表されておつた。そういう態度を閣僚諸君が持つておられたと私は思う。それが確信に満ちたものであるならば、今日この事態になつて来て団体交渉とか何とかいろいろな話が出まして、公務員並にこぎつけるというようなお話が出て来ましたが、そういたしますと、公務員並に年末手当が公企体の場合もなりますというと、政府が堅持しておられるはずの公務員と公企体との全体的なつり合いがまたくずれてしまうことになるのでありまして、この点に非常に私は疑問を持つておるのであります。そういう立場にならざるを得ないことに当局はなるのではないか。それでもかまわずにやつておられるのかどうか。そういうことをお考えになると、このごろのはやり言葉ではありませんが、場当り的な政策をとり、そのときどきの情勢によつて変更をされて行くという形が歴然と見えて参りまして、従つてまた政府の今日の施策については、一般的に不信頼の感を持たざるを得ない。そのときどきの形勢によつて物事を変更されておる。そういう意味から、今極力公務員並に年末手当を増額をするという努力をしましようという言葉を、信用できない言葉として受取らざるを得ないのでありますが、御意見を承りたいと思います。
  77. 石井光次郎

    石井国務大臣 さつき私が申上げたことを十分お聞きになつておると、そういう御心配はないと思うのであります。私がさつき申し上げたのは、公務員がわれわれの国鉄の場合とだけ比較いたしますと、国鉄が八月で、公務員はそれより前にあつた。何箇月か前に公務員の方の勧告が実施するようになつておるというようなこと等において、実際的にそこに差がある、また加うるに今私が申しましたような公務員の方にはそれがもうそれつきりで何もないが、われわれの方には働くことによつて増すものがある。それだからそれは増すことができるのだ、そういうふうなものもあるから、あわせてこれの差ができておるのだという説明を申し上げたつもりでありまして、決してこれはそれを加えたわけではないのであります。それも含まれて公務員との差はやむを得ぬ、一・二五と一というものがあるが、それから先は各企業体の利益のいかんにより増すことができる。それでわれわれの方としては、なるべく国鉄総裁に一・二五にしていただくということは、初めから思つてつたことであります。
  78. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は一般運輸行政あるいは将来想定されます運輸省の機構の問題等につきまして、なお運輸大臣に所信をただしたいと思つておる次第でありますが、今日は時間も差迫つておるようでございますので、その点委員長に保留を確認していただきますならば、本日は質問を差控えたいと思います。
  79. 關谷勝利

    關谷委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十二分散会