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1953-11-06 第17回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十時十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十一月五日委員曾祢益辞任につき、 その補欠として棚橋小虎君を議長にお いて指名した。 本日井野碩哉君佐多忠隆君及び藤原 道子君辞任につき、その補欠として梶 原茂嘉君、永岡光治君及び菊川孝夫君 を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            伊能 芳雄君            小野 義夫君            鹿島守之助君            小林 英三君            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            高野 一夫君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            藤野 繁雄君            宮本 邦彦君            吉田 萬次君            梶原 茂嘉君            岸  良一君            北 勝太郎君            河野 謙三君            新谷寅三郎君            田村 文吉君            高木 正夫君            江田 三郎君            亀田 得治君            菊川 孝夫君            小林 孝平君            永岡 光治君            三橋八次郎君            湯山  勇君            加藤シヅエ君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            永井純一郎君            一松 定吉君            松浦 定義君            千田  正君   国務大臣    法 務 大 臣 犬養  健君    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    文 部 大 臣 大達 茂雄君    厚 生 大 臣 山縣 勝見君    農 林 大 臣 保利  茂君    通商産業大臣  岡野 清豪君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    郵 政 大 臣 塚田十一郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    南方連絡事務局    長       石井 通則君    保安庁次長   増原 恵吉君    経済審議庁次長 平井富三郎君    大蔵事務次官  河野 一之君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    文部省管理局長 近藤 直人君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    食糧庁長官   前谷 重夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君    建設政務次官  南  好雄君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    総理府保安庁経    理局長     石原 周夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十八年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出、衆議院  送付)   ―――――――――――――
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  質疑を継続いたします。松澤君。
  3. 松澤兼人

    松澤兼人君 第一に大蔵大臣にお伺いいたしたい。  これは各議員からも、又私からもすでにお伺いした点であるのでありますが、まだ十分に納得の行かない点がありますので、改めてお伺いいたしたいと存じます。と申しますことは、我々が現在審蔵しておりますものは、いわゆる水害冷害予算でありまして、枠から申しますと、五百十億という、金額から申しますとさほど大きい金額でもないのであります。併し、我々が最も考えなければならないのは、本年の予算は御存じのように最初からこま切れ的な予算でありまして、その都度その都度の予算はわかるのでありますけれども、併し全体を把握することが非常に困難であります。二十八年度予算が八月から実施せられることになつたのでありますが、それに第一次補正予算化されまして、それに更に修正が加わつたわけであります。又来るべき第二次補正ということも当然考えられるのでありまして、一体性を欠いておりまして、予算審議というものは非常に我々が全体を把握する上から言つて困難を感ずるのであります。勿論この第一補正から第二補正及び二十九年度予算というものは一体として把握されなければならないのでありまして、そこで私どもが心配いたしますことは、二十九年度予算というものがどの程度規模になるかということであります。これを総合して判断することが妥当である、こう考えるのであります。併し二十九年度予算に入りますまでに第二次補正というものがどのくらいの規模であるか、如何なる予算費目というものを考えておられるのか、差当り必要であると考えられておるところの第二次補正に組まれる経費というものはどういうものであるか、この点をお話願いたいと存じます。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は、補正予算はその性質上成るべく一体として出したいという希望を持つてつたのでございましたが、今度水害冷害等の分がこれはとり急いで出す必要があるから、ほかに問題のないように、これだけをということでございましたので、水害冷害のみの予算を計上して第一次の御審議を願つておる次第でございます。ほかにはまだ、第二次の一応のめどは立てておるのでございまするが、御承知のごとく、この前の米の完遂奨励金八百円のうち石四百円というものを一般会計で見るということになつておりまして、これはそういうことをお約束申上げておるのでございまするから、仮にそれを千八百万石とみますると、石四百円で七十二億円というようなものはこれは見なければならんであろうと考えております。更にこれも決定したわけでは、ございませんが、極く常識的に考えまして、手当〇・五というものは、これはどうしても見なければなるまいと考えております。これが地かの公務員の分を仮に半額地方で負担するといたしまして、約八十八億これに要るかと存じております。大体国家公務員の方は十二億くらいでございます。地方の分が九十二億ほどで、その半額四十六債とみますると、八十八億ほど要するかと考えております。そのほか、御承知通りにいろいろ災害等が起つて参りましたので、税金を戻さなければならん分がございます。そんなものが三十億くらいは一応見通されるのであります。その他郵政関係等ざつといろいろまあ合せましてかれこれ十億くらいのものが出るかと思うのでありまするが、まあそこらを一応今考えております。ただ補正予算性質上できるだけ最小限度にとどめたい、かように考えております。そういうものをかれこれ合せまして、大体二百十億か、二百二十億になるじやないかと、かように考えております。これが一応今の考え方でありまするが、状況に応じまして、又いろいろこれは財源措置が、実は財源の点からみますると、そういうふうになるのでございますが、そのほかにもいろいろ又考えることもあるとしますれば、第二次補正予算の内容をきめておるわけでも、ございませんので、一応考えておりまするところを先ず初めにお答え申上げる、こういう次第であります。
  5. 松澤兼人

    松澤兼人君 大体の構想はわかりました。併し私どもがこれまで聞いておりますもので、例えば富袷府県に対する法律或いは政令による平衡交付金減額措置というものも、法律がああいうふうに流れてしまいましたものが大体四十八億くらいあるということも聞いておるのでありまするが、この点はどうなさるおつもりでございますか。計上されるのでありますか、されないのでありますか。伺いたいと思いますが、二百十億或いは二百二十億という大体の枠でありますが、恐らくはこの程度では納まらなくなるだろうと思うのであります。現在の国の予算は全く底の浅い鍋に極めて少量の食物が入つていて、先に食べた者が勝ちで、あとから食べる者は残つたものしか食べられないと、こういう状態になつておるのじやないかと、こう思うのであります。  そこで私最初に申しましたように、分割的なこま切れ予算編成というような方式をとつておりますと、あとからの者がだんだんつまらない、目を目なければならないという結果になると思うのでありますが、こういう点は甚だ我々としましては遺憾であると存じております。そこでお伺いいたしたいことは、この第三補正審議でありますが、これは第二次臨時国会という永のは一時非常にはなばなしく論蔵されておりましたが、最近はやや下火に九つた。政府はそういたしますと、期末手当等早急に審議成立を必要とするところの予算は改めて臨時国会を開くことなくして、通常国会劈頭に切離して予算を拠出し、これを切離して成立をしてもらいたいという、そういう考えを持つていらつしやるのでありますか。臨特国会に対するお考えを承わりたい。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 臨時国会につきましては、まだ閣議で決定したわけではございませんが、ただ私ども今まで考えておりまするところは、ちよつと今お話の出ましたような期末手当の問題につきましても、通常国会日劈頭出せば間に合うことでもございまするし、又今の米のいわゆる完遂奨励金とい今するか、これの四百円の分も……今超過供出と言つたら間違いであります。完遂奨励金であります。完遂奨励金四百円の分も、これは年度内にやればよろしいというようなことでもございますので、大体今申上げた費目はいずれも十二月初旬に開かれるべき通常国会劈頭に出せば十分間に合うように存じますので、今のところ第二次臨時国会というようなことについては考えておらないということでございまするが、事情によつて更に又相談することにいたしたいと存じております。
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 今回の災害予算を含めまして、本年度予算は九千九百九十九億という数字になつていると言われておりますが、併し三党勢定その他を考えて見ますと、現在の第一補正を含めまして九千九百九十九億という数字をはみ出しているのではないか、こう考えるのであります。そこでお伺いいたしたいことは、この五百十億の枠、或いは総額におきまして九千九百九十九億という枠の中からみ出して、三党協定その他の関係から資金措置をしなければならない金額は大体どのくらいございますか。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実はたびたび申上げました通り、私はその兆という数字に捉われておるのではなくて、これは財源関係からたまたま偶然の暗合で九千九百九十九億になつた次第であります。これは偶然な暗合でありまして、何らそういう数字を出すために考えたものではなくて、これは財源及び歳出等の点から偶然そういう数字が出て来た次第であります。それで今おつしやいました点につきましては、大体申しますると、或いは災害対策費工事が本年度三・五・二でやるということになつておりますので、三・五・二でやるといたしますと、三百億及び十二億等の冷害対策費に含まれておる分でありますが、それを差引きますと、先ほどここにちよつと申上げました数字の百五十七億になるかと存じます。この百五十七億は工事進捗状況に応じ個々の実情を調査いたしまして、そこまでお出しする、融資をするということになつております。従つて最高限はそういうことになるのでありまするが、実際の問題はどういうふうになるか、すべてが先ほど申上げた通り三〇%、三割殖えるとこういうふうに常識上考えられますので、これは一応最高限を申上げた次第であります。なおそのほかに今回、先ほど申上げましたように、共済保険の分百三十億最初取りました。これは念のために申上げておきますが、共済保険は百三十億円のほかに基金二十二億円及び別に御協賛を願つておる積立金取崩し五億円等で百五十七億、そのうち四十五億円をこの冷害対策費のほうに向けましたので、それが四十五億円資金措置を必要とするようになつて参ります。そのほかには別に資金措置融資等措置を要するものはないと存じております。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 この百五十七億という資金でありますが、これは地方行政その他におきまして、新聞にも出ております通り資金運用部資金から金繰りをするということが期待されておるようでありますが、理財局長の話によりますと、すでに百一億ほどしがなくて、この百五十七億というものの資金は極めて困難である。或いは不可能であると言うようなことがいわれておるのでありますが、これは大蔵大臣が言われるように一時に百五十七億という金が要るものではないと思いますが、併し本年度内にこれだけの用意をしておかなければ工事進捗状況等から考えて、或いは資金繰りが困難になるということも予想されるわけでありまして、この資金運用部資金等資金状態は果して百五十七億というものを若し本年度内に要するような場合になつた場合に、資金繰りができるというお見通しでございますか。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは本会議でたしか御説明申上げたかと思つておりますが、実は百五十七億を現在の資金運用部資金ではそれだけの余裕はございませんけれども資金運用部のほうにおきましても、丁度御承知のごとく大体日本の上半期というものは第二・四半期くらいまでは資金吸上げ超過のときでございまして、第三・四半期以後が撒布超過になる、元の状況ですと二千百億円の撒布超過になるのではないかと言われておるくらいでありまして従つて預金の伸びも節三・四半期以後は相当多いわけであります。現在のところはもう少し今までよりは余力を生ずるかも知れませんが、いずれにしてもそれは別途のものでありまして、現在の計画の下ではそれだけのものは出て参りません。余力は三月末百七億円、それを超過する。それではできませんので、それにありますように、資金運用部などより、例えば地方銀行等に起債された場合、地方で公募されるという場合にそれの斡旋をするというようなことをいたしたい。資金起用部では百七億よりないことは御承知通りであります。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 資金運用部資金で全額これを引受けるということは非常に困難である、或いは不可能に近いような状態であるというお話でありますが、市中銀行等においてこれを引受けるということになれば年度末までにこれは不可能ではないということになるわけであります。この点は財源としては非常に不確実のものがあとに残されておるという感じがするのであります。この前の修正のときもそうでありますが、結局修正いたしまして、政府の面子も立てるということから不確実の財源あとに残したり、或いは又予算上の裏付けを非常にあとに残したりすることになりまして、これは非常に私は悪い癖である、問題をはつきりときめてしまわないで、例えば供米完遂奨励金の問題につきましても、次の国会においてこれを考えるというような形をとりましたり、或いは百五十七億というものが資金上或いは予算上の措置が講ぜられないであとに残される、そしてこのあとに残されたものが余り確実でないということで、最終的な決定がいつなされるかということは、非常にあいまいな点が残されておるということは甚だ遺憾なことであります。そこで次にお伺いいたしたいことは、大体第二補正というものの構想がわかつたのでありますが、更にこれに引続いて二十九年度予算の大綱と申しますか、見通しにつきまして、もう一度具体的な数字を挙げて、これこれのことは是非考えなければならないというような点をお示し願えれば結構だと思います。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は二十九年度予算は、丁度保安庁費といつたようなものを仮に動かないものとして、ああいつたものが千三百億円ほどあります。それを動かないものとして各省から要求しておるものが二兆円をちよつと上廻つておる、こういう数字であります。そういうものは予算化できないことは、これは申上げるまでもございません。ところで一応考えられるものについて申上げますると、例えば恩給というものは平年度化しますので二百億ほどどうしても増加いたします。それから過年度災害というものがありまして、これが今度四日四十五億二十八年度で見ておるのでございますが、これも仮に二十八年度と同様に見ますれば四百四十五億を要するわけであります。それから更に今度の災害につきましての分を仮に五を見ると、昨日もちよつと話があつて資金措置を見て行くと、これも又来年予算化しなければならん。そうすると六見なければいけないのじやないか。これは仮定でありますが、仮に同じような融資をして五だけを見るといたしましても、これはちよつとかれこれ七百七、八十億に上るのじやないかと思います。そういうような工合で、一応考えられるのは、相当大きいものがあり、又防衛諸費も果して現在より殖えるか減るかという問題について、私も率直に申上げれば、減るという公算よりも若干殖えるという公算のほうが大きい一のじやないか、こう私ども考えるのであります。さような見当から実は二十九年度予算を如何にすべきかということには非常に目下苦心いたしておるのでございます。ただ私どもといたしましては、この災害につきましての対策は、これは怠るわけには行きませんから、災害対策というものは最も重点的に考えなければならないと思います。同時に災害対策伴つてその基本になる基を立てなければ何にもなりませんから、言われておる治山治水といつたものも、これは少くとも重点的に取上げることでなければならない、かように考えておるのであります。従つて或いは今までの比較的補助の必要ない補助金制度といつたものについて根本的に少し考え直すべきじやないかというふうにも考えております。只今のところ、予算に対する根本方針もまだ閣議その他できめておりませんので、私の仮に今考え方を申上げただけでございますが、さような点でいずれにいたしましても、併し財政面から若し財政資金撒布超過によつてインフレが来るということになりますれば、これ又非常な惨害を国民に及ぼすごとになりますので、これはどうしても阻止しなければならない。従つて財源の点からそのものの重要度に応じてこれを配分して行くということにしなければならない、かように考て今折角いろいろな資料を集めておる最中でございます。
  13. 永井純一郎

    永井純一郎君 君ちよつと関連して大蔵大臣にお尋ねしますが、私昨日個わなかつたので話ができなかつたのでありますが、今補正予算と、それから第三次補正予算と、それから三十九年度予算規模について大体お話がありましたが、そこで私が大体お伺いしたいと思いますのは、今度の補正予算に何らその説明が載つておらないのですが、この対国民所得との比率の問題ですが、これは従来大蔵大臣国民所得との対比漸減方針を堅持して行きたい、堅持して行くということをいつも言つて来られた。で御承知のように先月の二十九日に経済審議庁は二十七年度国民所得の額を決定して発表しております。それは五兆二千八百二十四億円という数字経済審表庁が発表しました。でこれは予算編成当時推測した数字の五兆三千八百五十億円と比べて十億円以上の減になつておる。従つて国民所得との比率の〇、一七三という数字はこれはずつと大きい実績になつて来たわけです。この傾向は二十八年度予算を出したときに、政府自民所得推計を五兆六千七百四十億円という数字で我々に説明をいたしましたが、この二十八年度国民所得は、私は当然災害を中心にして、或いはその他の事業資金、今日の中小企業実情から言つて非常に所得が減つて来る。そこで一面には今大蔵大臣が言われるように、今度の補正予算で大体一兆億円、それから二十九年度は更に膨脹するというよう話でありましたですね。私は当然この対国民所行についての対比漸減方針というものは堅持できない。そうして順次々々恐らく三十九年度においては、二十四年度頃の二割以上に逆転してて行くことは明らかであります。この点は非常に重大であつて、そういう点から考えましても到底日本財政規模の中では、もはや軍事的な経費を維持して行くことはできないと思う。政府は従来国民所得対比漸減方針を堅持して行くと言つて、毎年少しずつ減らした数字を示しておりましたが、今度の補正予算では明らかにこれは〇一八以上になつておると思う。この対比国民所得との対比漸減方針一体今後どうするのか、伺いたいと思います。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今永井議員が言われたように、若干この補正予算等で殖えておることはこれは事実であります。併しながら只今経済寒威庁発表についての話がありまして、これは米の今年は収穫が減つておりますから、そういう点は減ると見られますが、鉱工業生産は引続き伸びておりまして、只今どもが提案しておる経済審表庁改訂国民所得でございますと、五兆九千三百億円というのを私ども受取つておるのでありまして、それでこれはまだ発表されておりませんが、これによりますると、まあ大体財政規模がそう補正予算を加えたものよりも殖えていないと考えておるのであります。但しこういう方針を今後堅持して行くかどうか、これはできるだけ私どもも堅持するというのが当然のことと思うのでございまするが、併し国際情勢その他の問題点があつて、多少変れば別といたしまして、できるだけこの方針は堅持して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 永井純一郎

    永井純一郎君 もう一つちよつと。それはその経済審議庁言つておる五兆九千億というのは推計数字なんです。それで私が一番初めに申上げましたように、二十七年度推計費と、それから先月二十九日に経済審議庁が発表した数字とを比べ合せると、一千億くらい実績が減つて来ておる。この二十八年度実績はもつと減る。その上になお且つ実質額換算指数というものを出しております。経済審議庁のそれで行けは、なお更もつと対国民所得比率というものは、実質的には御承知のようにインフレ傾向にありまするから、その上に災害を含めての非常な不況が全体的に来ておりますから、これはもう非常に実質的にはもつと減つて行くと思う。その実績経済審議庁が言つたところのものより二十七年度で非常に減つている。従つてその傾向は二十八年度、二十九年度はもつと著増して行くと思うのです。ですからそういう点から言つて国民所得との考え方をどういうふうな考え方で第二次補正並びに二十九年度予算編成して行くか、漸減方針を果して今まで育つたように堅持し得るのか、或いはそれは対国民所得比率は殖やして行つても止むを得ないという考え方か、こういうことを伺いたい。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちつと私ここに数字を持ち合しておりませんが、今のような工合只今申上げたように、これは私ども国民所得に対する国税の負担国民負担漸減方針を堅持して行きたいということはこれは衷心から念じておりまするが、実際問題としてこういう災害その他が起つて参りまして、非常な費用を要する場合に、多少のことは凌ぎ堪えなければならんこともあるのじやないか、こう思うのであります。但し今のようなそういう方針を持つて行くというのは当然でありまするが、今永井さんが堅持という、堅くそれではその通りつて行くかと仰せになると、どうも多少そこにゆとりを見て頂かなければいかんのじやないか、これは余り率直な返事でありますが、そう考えております。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 只今永井君からお話がありましたどうも堅持はできないというお話でありますが、この点は私たちの基本的な態度としてやはりいわゆる防衛費、再軍備的な予算というものが、民生なり或いは国土保全なりというものを圧迫しつつあるということが最近に、余つて顕著に殖えて来たと思うのであります、先に申しましたように、底の浅い小さな鍋からまあ再年端的な予算を先にとつてしまえば、災害費が少くなつて来る。災害のところまでどうにか食物があつたといたしましても、それから先は食べ物がなくなつてしまうというような状態が現在の日本の財政の状態じやないかと思うのであります。そこで、先ほど来年度予算の大枠というものをお話になつたのでありますが、肝腎の一つのことがやはり忘れられているのか、或いはどういうのかわかりませんけれども、当然来年度予算にはベース・アツプなり、或いは仲裁裁定の実施なりということは議題に上つて来るわけです。で、大枠とすれば、それも随分大枠だろうと思うのであります。これを故意に落されておるのか、或いはまだそこまできまつてないからわざと話をしなかつたのだとおつしやるのか、この点は重大な問題だと思うのであります。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは、仰せの通りのベース・アツプの問題を仮に人事院勧告通りやりますと、中央地方公務員は丁度かれこれ七百三十億円ぐらいほど要する問題と相成るので、勿論一つの大きな問題でございます。併しこの問題は私どもも人事院の勧告、或いは仲裁裁定は勿論尊重しなければならんと思つておりますが、今どの程度に私ども予算化し得るか、或いは仲裁裁定に対して予算的に資金的に処し得るか、例えば仲裁裁定に対しましても、今年はできるが来年はもう価上げをしなければいかん、賃上げというのは運賃を引上げる、例えば鉄道で言えば運賃の値上げをしなければならん、郵政でありますと料金値上げをしなければならん。こういうふうな問題であつて、それは延いて又インフレの一つの原因を成すのじやないかということにも考えられる等の問題があるので、いろいろの点から一方にこれらの勧告なり裁定なりを尊重しつつ、他方にこれをどういうふうに予算で処置し得るかということを実は検討中でございまして、はつきりまだこの方針がきまつておらんものですから、それでお尋ねはあるかと思つたのですが、これは申上げなかつた次第でございます。それは今折角私どもでも検討いたしております。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 現在本年度災害ということを中心にいたしまして、だんだんと、いわゆる健全財政というような形のものが崩れて来ておる。特にそれは昭和二十七年度補正予算から大体においてこれまで堅持されて来た健全財政と申しますか、或いは均衡財政というものが崩れつつある。それに来年は先ほどお示しになりましたような重要な経費を組まなければならないし、更に保安庁経費は増額するかも知れない。ベース・アツプは或る程度は行わなければならないということになると、相当財政の見模が大きくなりますし、国民負担もそれだけ大きくなつて来ると考えるのであります。従つてここでいわゆる健全財政とか或いは均衡予算とかというような形のものが崩れて来る可能性と言いますか、或いは危険性というものは非常に大きくなつて来ると思うのであります。本年の補正におきましても、税の自然増収が三百四十億ほど計上されておりますが、こういうことが自然増収を財源にして財政規模を大きくして行く。大きくして行つたものが又自然増収として返つて来るといういわゆるインフレーシヨン的な傾向が漸次財政の面に出て来ていると思うのであります。一般は又朝鮮の休戦以来の不景気を打開する意味においてインフレーシヨンを待望するという向きもあるようであります。このインフレーシヨンを抑えて、そうして健全財政或いは日本の経済の自立を打ち立てて行くということは大きな課題であろうと考えるのであります。単に金融的な措置だけで果してインフレ気構えというものが抑えられるかどうか、このインフレーシヨンに対する大蔵大臣のお考えを承わりたいと思います。
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは松澤議員もお考えのように、日本インフレーシヨンは何としても抑えなければなりません。又阻止しなければなりません。従いまして日本の二十九年度財政規模におきましても或る程度の或いは普通に言えば削減する余地のないものも削減を忍んでもらわなければならんことも起つて参ると存じております。よく釣合いがとれたところの規模の下にこれはやる。そうして飽くまで財政面から起つて来る資金撒布超過がないようにこれはやらなければならんと思つております。いわゆる如何なる場合でも赤字公債とか、赤字公債類似のものをやるべきではない、かように考えております。更にお話がございました自然増収、自然増収は廻り廻つて一つのインフレ的なものではないか、こういうことでございますが、この点はそういうふうにも理論付けられることも私はよく承知しておりますが、まあ自然増収のほうは或いは収入増加とか賃金の増加とかいうようなことで、所得の増加等で起つて来る分も相当ありますので、このほうはまあ或る程度まではそうインフレ的に考えないでもよいのではないかと思つております。ただ今松澤議員から仰せになつたように、もう金融措置では困難ではないかという点は私も全く同感でありまして、この点は昨日どなたかからのお尋ねに対して申しましたが、やはり三十八年度までは財政、金融一体化ということで処置し得て行くと思いますが、これが二十九年度も同じということですと、もう金融措置の及ばんことが出て参ります。従いまして金融についてはインフレ防止の役割をしてもらわなければならんことは勿論であり、インフレ要因になるものも勿論断たなければならないことは申上げるまでもございませんが、元となる財政資金の支払超過等によつてインフレが起る、こういうようなことはこれは是非とも阻止しなければならん、こういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 まだお聞きしたいことがございますが、時間の関係から他の問題に移りたいと存じます。只今大蔵大臣からも御説明がありました仲裁裁定、或いは人事院の勧告の実施ということが非常に困難であるというお話を承わつたのであります。併し仲裁裁定の問題について水わりたい点は、御承知のように公共企木体の職員というものが、ストライキ権その他の憲法で保障されておりますところの労働の基本的な権利を制限せられた、この代償として公労法によつて仲裁裁定は両者を拘束する最終的な決定である。こういうことになつているのでありまして、これは尊重する尊重しないということは国のいわゆる基本的な政策であると考えるのであります。従いまして、現在三公社八現業に対してそれぞれ仲裁裁定が出ておりまして、この問題は本年の四月以降の懸案でありまして、最終的に最近八裁定が順次に出て、最終段階に到達したわけであります。これについて裁定の理由言によりますというと、十分資金上の措置がその経理の中においてできるというものがあるのであります。資金上は可能であるけれども予算上実施ができないということで、仲裁裁定の問題が国会の承認を得るという段階になつて来ておるのであります。そこでお伺いいたしたいことは、国鉄におきまして、べースが一万五千三百七十円、これに要する予算額は期末手当を含めて百四十七億、こういうことになつておりますが、ここでは国鉄の災害復旧というものに必要であるところの経費が八十九億というものが計上されておりますために、運賃値上等のことも考えなければ実施が困難であるというようなことが言われているのであります。併しこれに対処する別の財源というものも公社の内部においては考えられないことはないのであります。そこで運輸大臣がこの国鉄の仲裁裁定に対してはどういうお考えを持つているのか、この点を承わりたいと存じます。  電電公社におきましては、ベースが一万五千円、これに要する経費期末手当を含めて六十五億であるというのであります。これは理由書によりますというと、必ずしも不可能ではない。資金上或る程度まで予算の流用等の措置をすれば必ずしも不・可、能でないという結論が出ているのであります。この点につきまして、郵政大臣は如何にお考えになりますか。又郵政の現業におきましても、同様に必ずしも仲裁裁定が不可能であるという結論は出ていないのでありますが、この点について郵政大垣のお考えを賜りたいと存じます。  更に大蔵省におきましては、印刷、造幣、それから専売、これらの問題におきましては、それぞれ経理の内容でどうにかできるという結論が裁定理由書に載つているのであります。資金上或る程度までできるということになつているにかかわらず、予算的に不可能であるという理由は、恐らく予算の枠というものが最初予算決定のときになされているから、その予算上の枠を越えるものについては予算上実施が不可能である、こういう点であろうと考えるのであります。或いは農林省における林野庁の現業におきましてもそうであります。或いは通産省におけるアルコール専売におきましても、不可能でないという仲裁理由書というものが出ているのであります。これらの点を一貫して考えて見ますと、それぞれ公社なり或いは現業における予算の枠があつて、例えば賃金なら賃金に枠があつて、これを超えるものは資金的に可能でも予算上困るということが不承認の原因であろうこう考えるのであります。果してそういう意味の予算上不可能であるということでありますならば、これはもうすべて年度内における変更というものは予算上不可能であるということになるのであります。併しその予算上不可能ということは、資金的な裏付があれば不可能が可能になるのでありまして、この点は政府の努力如何によつてそれぞれ解決のできる方途があると思うのであります。政府にその熱意がなく、或いは努力する意思がなければ予算上不可能ということになります。併し問題はその経理のうちにおいて資金繰りができるということが根本的でありまして、その根本的なものがある以上においては政府はよろしく予算的な措置を講ずべきものである、それがいわゆる公労法の精神であると、こう考えるのであります。それぞれ所管の大臣からその経理の内容なり、或いは予算上不可能としたところの理由を承わりたいと思います。
  22. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お尋ねの国鉄の裁定に関する点だけ私からお答え申上げます。お説のように仲裁裁定、年末手当等いろいろなことを考えますと、相当大きな額に上るのでございますが、裁定だけにいたしましても本年度に約八十億の金が、要るのでございます。これは給与総額の範囲を出ますので、公労法十六条で停止したのは御承知通りでございますが、私ども裁定を尊重いたしまして、実施できるかどうかということが大きな問題でございますが、本年度お話のように未曾有の災害を受けましたために、これらの支出がひどく膨大になりまして、経営の合理化、経費の節約、或いは増収の見込み、或いは予備幾等を収入のほうに立てて考えてみましても、裁定の実施は当面極めて困難に考えられるのでございます。これは本年度だけの問題ではないのでありまして、ずつとこれから続く問題でありますから、さて来年は更にどうするかというような問題まで併せて私ども考えて行かなければならないのでございますが、来年度の平年の場合を考えますると、どうしても運賃の改訂まで行かなければならないではないかと今考えておるのでございますが、いろいり裁定書の中にはこういう財源がある、こういうが法をやつたらどうだというようないろいろな示唆を受けております。その中にやれるものがありまするし、又実際上折衝いたしましてもできかねるものもあるように思いますが、それらのものと併せているいろいろ考えましても、どうしても運賃改訂というような問題になるのじやないかと、今のところでは考えておるのでございます。併し運賃の改訂をいたしましても、値上げをいたすといたしますと、本年の二月に運賃改訂をしたばかりでございます。あの時に一割の値上げをいたしたものでございますが、ものによりましては一割より低いものがあつたために、ものによりますと二割以上にも及んでおるものがある実情でございますが、成るべくこれは改訂いたしたくないという心持でおりますが、さて改訂しなければならんといたしますると、どういうふうな程度に、どういう種類のものに改訂をするかというふうな問題等を十分考慮いたさなければ、経済界に及ぼす影響も非常に大きいし、我々の生活上に及ぼす影響も大きいというようなこと等も考えてみまして、これらのものを併せまして目下いろいろ研究いたしておるわけでございます。同時に又ほかの公共企業体、或いは公務員の問題というようなものもこれは関連するものでございますが、これらと併せて今政府部内において話合いをいたしておりますが、まだはつきりした結論に到達いたしていないのでございます。この仲裁裁定によりまする裁定を尊重する意味において、どうやつて行くかということを研究しております。
  23. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) お答え申上げます。  実はこの郵政と電通の関係の裁定でありますが、裁定が政府を最終的に拘束するという考え方には勿論異議はないのでありまするけれども、公労法第十六条の資金上、予算上可能か不可能かという問題につきまして、いろいろ考え方はあるようでございまして、一つの考え方只今松澤委員から御指摘がありましたように、資金上可能であれば、予算に組んでなければ政府予算に組んで出すべきじやないかという考え方は確かに一つあると思います。併しこの点は先般本院の本会議において労働大臣からも御説明申上げましたように、政府の解釈は、結局公労法十六条の資金上というものも、今の公労法それから日本予算全体の考え方の建前からいたしますと、予算において益金を動かせるようになつておらない限りはこれは資金上不可能なのだ、従つて予算にないという場合には全然政府としては手の打ちようがないのであり、従つて仲裁裁定が出ました時には国会に御判断を願つて国会の御判断の過程において現実に資金上余裕があるかどうかということを政府も一緒に考えて、国会の御判断を待つて処置すべきものである、こういうように実はなつておる。こういうことでありまして、従つてそれでは私の所管の電通及び郵政の事実上のそういう措置をする資金的の余裕があるかどうかという見通しについてお答え申上げますならば、只今も御指摘のように、電通のほうは世間一般には割にゆとりがある、こういうふうに伝えられておるわけであります。そうして又仲裁裁定にもそのように言われておるのでありますけれども、私の見ますところでは、そのように言われておるほど簡単なものではない、こういうふうに実は見ておるのであります。仲裁裁定には、昨年は予算と決算の間に四十一億くらいの剰余が出た、今年はどんなに辛く見積つても三十億くらいは出るだろう、こういうふうに書いておるのでありますが、あの資料の物の考え方の基礎がどこから出たのか、ちよつと私には呑込みかねますので、いろいろ公社当局を呼びまして検討いたしましたところでは、現在のことろ電通と郵政と同じように今の裁定を受けるといたしまして、従つて、旧道が郵政に対して負担しなければならない分を除きますと、電造だけでは六億くらいのゆとりしか本年度分はない、こういうことになつております。勿論昨年からの繰越の二十四億というものは使える、こういうふうに公社側でも一応考えておるようでありますけれども、この点につきまして、私は実は必ずしも意見が同じでないのでありまして、それはどういう理由かと申しますと、賃金を値上げするためのゆとりというものは、今金が都合つくからということではいけないのであつて、公社経理の上でそれだけの賃金というもの、従つて賃金を値上げいたします場合には、今年値上げすれば来年度はその新しいベースに従つて一年間支出しなければなりませんものでありますから、そういう点を考慮いたしまして今年も可能である、来年以後も可能である、こういうふうに考えて十分見通しがつくのでなければなかなかできない。而も今申げました六億というものには、年末に考慮しなければならない、或いは〇・五になりますか、それ以上になりますか、そういうものは全然考慮しておらんのでありまして、これだけ出しますのにも十六億くらいは要ると一応言われておるのでありまするから、そういう面を一応いろいろ検討いたしてみますと、今日見通し得る公社の経理状況では今年も必ずしも可能ではない。又来年はどうかということでありますが、来年は実は今年二割の値上げを先国会において御承認願つておりますので、この二割の値上というものの結果を織込んで考えますと、若干考え方が違うようでありますけれども、ただ私といたしましては、この間の二割値上げは相当に世間及び国会筋にも御反対があつたのであるけれども、あれは設備の改良拡充というものをして、今日の日本の遅れている、電信電話の状態を一刻も早く復旧し、そうして加入者の便益に応ずるという意味において値上を御承認願つたものであつて、賃上げのベース、賃上げの基礎の貸金としてはあれは一応別にして考えなければならない。こういうような考え方をいたしておりまするので、そういう観点に立つて検討いたしますと、明年度以降も必ずしも楽であるとは考えられない。そこで今折角公社側と検討を続けておる段階であります。  それから郵政のほうでありますが、郵政のほうは郵便事業だけについて考えますと、若干増収が期待される状態になつておることは事実のようであります。併し郵政関係のものはそのほかに幾つかの特別会計がありまして、例えば貯金でありますとか、それから簡易保険でありますとか、そういうものがありまして、従つて一般会計からも繰入を願わなければならん、それから公社あたりの特別会計から繰入を願わなければならん、そういうように非常に資金源が雑多になつておるわけです。そこで郵政が賃上げをいたしますために必要な資金を他の会計から仰ぐという場合には、他の会計も同じように、同じ考え方で賃上げが行われるということを前提に考えませんと、他の会計は据置く、併し郵政だけは賃上げをするから資金をもらいたいということでは、なかなか了解が得にくいというような関係になつておりまして、郵政の場合には他の会計とやはり歩調を揃えてでないと問題が考えられにくいという非常に相関的なむずかしい問題がありますので、今年の状態でも非常に困難がある、まして郵政の場合には来年以降には非常な困難がありますので、併せてこれもなかなかそう容易に賃上げができるという現実の資金源の状態一でもない、こういうように考えて、両方とも折角検討を続けておる段階でございます。
  24. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大蔵省所管のほうで申上げます。造幣について申しますると、平年度で六千四百万円、印刷について見ますると一億九百万円ほど、それから専売について見ますると十一億九千三百万円ほどを要するのであります。それでこのほうは財源の繰入とかその他で一般会計と密接な関係もございまするし、それから一般国家公務員、各企業体同士相互間の釣合いというような問題もありまするので、目下これらの点を勘案しまして、非常に熱心に検討しておるところでございます。
  25. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  アルコール専売につきましては約二千万円の金が要るのでございますが、十月末の期末手当とか、超勤手当の残高が約二千五百万ございますから、これを振替えれば二千万円に行くという勘定になりますが、併しこれは当然又期末手当とか超勤手当というものを国会に御審議を願つて増して頂かなければいかんということです。  それから予備費が四千五百万ほどございますが、まだ期の途中でございまして、これをすぐ使つてしまうというわけにも参らない次第でございます。要しますのに、二千万円をこれを如何にするかと申しますると、先ず法律の建前から申しますれば、予算総則の第八条に、専売の給与総額が三億二百三十八万七千円とならておりまして、これを動かしまするわけには参りません。これを動かすのが一つの問題、ところが我々のやつておりますアルコール専売事業の特別会計法によります、と、一般職の職員の給与とやはり釣合をとつて給与問題を解決しようという法律の厳然たる規定がございますので、そういたしますと、只今人事院勧告も出ておりまするし、又一般のいろいろの可能、不可能の情勢にありますところの名付の状態ともよく振合いをみまして、そうしてそれと相共に歩調を合せなければ、特別会計法の給与準則の精神に合わない、こう考えまして政府部内におきましてはお互いに何とかしたいということで、今頻りに検討中でございますから、暫くお待ちを願いたいと存じます。
  26. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 林野庁の職員の関係でございますが、林野庁の特別会計は、本年の御承知のような数次に亘ります災害によりまして、木材の生産事業にも相当の支障を生じておりますし、その面からの収入減も予想せられますと共に、その復旧事業に対しても相当の経費を見込まざるを得ない。更に又今回の冷害地方が国有林の周辺にありますために、冷害対策としても相当検討をしなくちやならん、対策を講じなければならん面もございますので、只今特別会計の見通しにつきまして検討を加えている段階でございます。一般論といたしましては、関係大臣から申上げた通り考えておるのであります。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 只今承わりましたところは、いずれも資金上可能であるというところでも予算の総枠が抑えられているから、どうにもならないという結論であるように考えます。これは人事院勧告にも関連し、結局政府予算的に非常に困難な状態でもあるし、上げたくないという方針であるようにも承わりました。ところが昨日官公労といたしましては、この期末手当及びベース・アツプの問題について、相当重要な会議を開いて結論を得ているのであります。最初全逓を主軸とする闘争が始まつて、その後次々に各官庁にこれが及んで行くと、場合によつては郵便電信等、或いは国鉄の運転等にも重大な支障があるやにも考えられるのであります。恐らくこれはこの十二月初旬から次々に各闘争が展開せられますと、政府も又ここで重大な段階に逢着しなければならないと思うのであります。この官公労の共同闘争が盛り上つて来た場合に政府としては如何なるお考えをお持ちでありますか。ベース・アツプ全体として緒方副総理に政府の所信を承わりたい。
  28. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 先ほど来各公社を所管に持つておりまする大臣からそれぞれ答弁申上げた通りでありまして、それに附加えることは、ございませんが、国家公務員の給与につきましても、いずれいろいろ強い御要求があると考えます。その点につきましては国家財政と睨み合せまして、又仲裁裁定との関連もよく見まして、仲裁裁定の公労法の精神も尊重いたしますし、又人事院勧告を尊重いたすことも申すまでもないので、政府といたして十分善処いたすつもりでございます。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 最後の問題といたしまして、奄美大島の復帰の実現の問題について外務大臣にお伺いいたしたいと思います。昨日も参議院の地方行政委員会におきまして御発言があつたようでございますが、十一月一日に復帰ができるのかどうか、或いはいつ頃になるかという商売につきましては、大島在住のかたがたは非常に心配をされて事実上商売も手につかないという状態であるようであります。公務員につきましては、沖縄政府がすでに給料も支払わない。それは当然日本政府が引取つてくれるのだから、日本政府から給料をもらつたらいいじやないかというようなことらしいのであります。十二月一日復帰ができないとすれば、いつになつたら確実に復帰ができるかというその見通しだけをはつきりさせてもらいたい。どこにその障害があるのか、いつまで待てば日本に復帰できるのかということを痛切に考えているらしいのであります。この点につきまして、確実なる復帰の期日というものがどういうものであるか、或いは何か兵の障害になつているのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 我々は目下十二月一日を目標として話を進めております。アメリカ側も十二月一日ということを了承してやつておりますが、引継ぎということはいろいろな問題がたくさんありまして、例えば今あそこで行われている通貨をどういうふうに処分するか、或いは沖縄における奄美大島出身者をどう取扱うか、今までは同じような一つの行政区画の中に入つてつたのですが、今度はこれが日本側に帰りますと、一体外国人並みにするのかどうかという問題も起つて来る。従つて、例えば沖縄で生れた子供が一体どういう国籍になるのか。まあいろいろなそういうことがたくさんあるのでありまして、我々が奄美大島の返還ということが一つのテストケースになつて、これがうまく行くか行かないかということが、将来ほかの島嶼の返還問題にも大きな影響を及ぼすものだと思いますから、できるだけ円滑にすらつと行きたい。あとで混乱の起るようなことが絶対にないようにいたしたい、こう思つております。従つて、奄美大島の人たちが早く復帰を確定してくれという気持はよくわかりますし、又財政的に或いはその他の問題で困難しておることもよくわかりますのでできるだけ急いでやりたいと思いまするが、そういう引継条項をいろいろな問題を討議いたしますのは、なかなかこの沖繩の行政とアメリカの本国の関係、大使館の関係、そうして日本側でも鹿児島県と地方庁と両方ありまして、いろいろ時間もかかることもあるわけでございます。従つてこれが多少遅延するということはあり得るとも考えますけれども、できるだけ早くやるつもりで今急いでおります。
  31. 青木一男

    委員長青木一男君) 松澤君簡単に……。
  32. 松澤兼人

    松澤兼人君 本年の補正予算に十億奄美大島復帰に対する予算が計上されております。併し地元では相当大きな金額、百三十億程度のいわゆる振興計画というものを持つておるのでありますが、この千億というものはどういう目的に使われるのか、或いは今後極めて短期間において大島の後進性、或いは経済の遅滞性というものを克服して本土並みの経済の状態に持つて行くためには、地元で言つておりますところの百三十億程度の振興経費というものをお出しになるお考えがありますか。或いは復帰に関する暫定措置法の第九条におきましては、特別の国庫補助なり或いは交付金を与えるという規定があるのでありますが、どの程度のいわゆる振興計画というものを大蔵省においてお持ちであるか、これを承わりたい。
  33. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大島の復興につきましては、道路も港湾も学校も戦時中殆んど放擲して顧られなかつた。こういうような状況でございますので、今後やはり相当財政資金の支出を要すると考えておるのでございますが、何分にも短期間に具体的な復興計画を立てる時間的な余裕がないということのために、取あえず本年度内の四月分として十億円を計上して必要な措置を講ずることとしたような次第であります。長期の復興計画につきましては、今後の具体的な、又専門的な調査に基きまして、これを具体的に計画して参りたいと考えておる次第でございます。計画を具体化して参りたいと考えておる次第であります。なお、十億円の一応の内容はこんなふうに考えております。裁判所その他の国において引継ぐ司法行政機関の経費約一億円、鹿児島県大島支庁、これを新設する経費約一億円市町村に対する交付金約七千万円、教職員費約四千万円、その他生活保護、失業対策、道路、湾岸などの公共事業費、教育施設の整備、産業の振興、その他選挙住民登録等の経費、こういうものであと六億九千万円、人吉計十億円を一応計上しておる次第であります。
  34. 青木一男

    委員長青木一男君) まだありますか……簡単に。
  35. 松澤兼人

    松澤兼人君 最後に、緒方国務大臣及び南方連絡事務局のかたに承りたいことは、恩給の問題でございますが、この恩給の問題につきましては、十六国会におきまして、元南西諸島官公務職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律というものが成立しているのであります。ところが実際にこれが適用されますと、内地から大鳥にその後転じて行つた人であるとか、或いはその出入りについて非常に不利益な取扱を受けることになつて行くのであります。この法律は復帰ということを必ずしも前提としないときにおいてできた分離の状態における暫定的な措置でありまして、復帰が実現されるとなりますと、当然この暫定措置法というものが変えられるのではないかと、こう思うのであります。若し復帰が実現した場合に、これらの大岳に在住し、或いは官公署にもつて勤務した、或いはその後採用されて勤務しているというような人の身分及び恩給の制度に対しては別個に考えなければならないと思うのでありますが、この点十六国会成立いたしました元南西諸島の官公署職員に関する、特別措置法というものと別個に、日本の官公吏に対して適用されている恩給法の適用をそのまま適用するか、或いはその経過的な措置を含めて内地の官公署職員と同様の取扱いをするか、この点について大岳の官公署の職員は非常に心配をして、陳情書も寄こしているわけでありますが、この点につきましてどういうふうなお考えを持つていらつしやるか、明らかにして頂きたいと思います。
  36. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつとこの際申上げますが、国務大臣及び政府委員の答弁をもう少し高声に願いたいという希望がありますから、さようにお願いいたします。
  37. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) この点は政府委員から答弁申上げます。
  38. 石井通則

    政府委員石井通則君) 先般国会で御可決頂きました南西諸島の恩給等の法律におきましては、一応行政分離前に日本政府或いは鹿児島県の公務員であつた者につきましては、或いは個々別々に日本政府の職員になつたり都道府県の職員になつたり、或いは又今回復帰のような集団的に日本政府の職員或いは都道府県の職員になる場合を一応予想して法律案を検討いたしたのでございます。ただ問題になりまするのは、日本政府の職員であつた者が琉球政府時代に琉球政府の職員になつた場合につきましては、実は殆んどそういう者がないように思われましたので、その点は措置いたしておりません。それからなお琉球政府で行政分離後新たに採用されました者については措置いたしていないのでございます。で琉球政府になつてから新たに採用した人についての恩給法上の思想を与えてもらいたいという現地の要望につきましては、御尤もと思うのでございまするが、理窟といたしましては、アメリカの行政管轄下にありました琉球政府で新たに採用した者でございまするので、この点は恩給法上継続することは理論上困難ではなかろうかと思うのでございます。又先例といたしましても、一昨年の十二月五日に復帰いたしました本店村についての恩給法上の特例の場合におきましても、行政分離前国家公務員又は地方公務員であつた者の恩給法上の継続はいたしておるのでございますけれども、新たに琉球政府公務員に採用された者については、恩給法上の措置をとつていないのでごごいます。併し今は相当多数新たに採用された人もございまするので、これは恩給ばかりじやなく、退職金、或いは又共済組合等の継続に関しまして、目下関係者で協議いたしておりますけれども、今日まだ結論に至つていないような次第でございます。今後十分検討いたしたいと、こういうように考えております。
  39. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 議事進行……、この議場においては大臣各位の答弁は真実を語つてもらわねば困ると思う。それは曾祢、佐多一両氏から池田ロバートソーン会談について、池田氏の性格はどういうものであるか、これはその共同コミュニケの結果は日本政府を拘束するものであるか、従つて吉田内閣を代表する特使かという質問に対して、吉田、総理は両氏に対して、或いはその後の答弁におきまして、これは吉田個人の特使であつて何ら政府を拘束するものでないと、こういう答弁をされて今日に、充つています。ところが衆議院の予算委員会におきまして討論採決され、本会議予算が通過しました後においては、吉田内閣はこの共同声明に対して重大な決定をされて新木駐米大使に指令されて、そしてこの予算並びに日本の国の運命を拘束するような重大な決定をなされていることを私たちは知つています。特に昨日新木大使に対してこの池田。ロバートソン会談の共同声明を吉田内閣は確認すると、こういう指令を出して、そして新木大使はアメリカ政府に対してガット仮加入に対するアメリカの援助を感謝し、そして先に申しましたような重大な報告を吉川内閣としていたしているという私たちは信ずべきニユースを持つています。これではです、私は非常に衆参面院の予算通過を容易ならしめるような措置をとつたのちにおいて、全国民の関心を持つている問題について、この国民代表である国会を欺くような措置は甚だ不当だと思いますが、吉田総理がおられませんから、岡崎外務大臣にお伺いいたしますが、池田ロバートソンのあの声明にありました決定に対して、日本政府は確認するという措置を新木大使を通じましてとられたかどうか、こういうことについて外務大臣の御答弁をお願いしたいと思うわけである。更に青木委員長とされては栄誉ある委員長として、これは党派を超越して議事事を進行する上から言いましても、そういう答弁技術で事態を糊塗することのないように、委員長の権威において指令されんことを要求するものである。
  40. 青木一男

    委員長青木一男君) 中田君に申上げますが、御質問の点は私も重要だと思います。これは議事進行でなく、質疑で一つ確めて頂きたいと私は思います。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはあとでもたくさんのかたがこの日程を見ますといろいろ御質問されるようになつていますが、やはりこのことを確認しておくことは今後の議事進行についても非常に重要だと思いますので、這般の消息について是非一つ委員長に適当な措置をお願いいたしたいと思います。
  42. 青木一男

    委員長青木一男君) 委員長としては、今の中田君の御発言については、他の質疑のとき或いは関連質問として質疑されることを希望いたします。高橋君。
  43. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は冷害地選出の一議員といたしまして、主として冷害対策費について、冷害地住民の抱いておる考え方を基礎にして、それぞれ所管大臣に本補正予算の内容をお伺いし、まさに向うところの冷害地住民が安心してその生活を営み、且つ今後の再生産への途の指標といたしたいと存じましすので、十分丁寧な御答弁をお願いしたいと存ずるものであります。最初大蔵大臣に先ずお伺いしたいと存じますが、今回の冷害地におきます冷害は、昭和九年以来の未曾有の冷害でございます。従つてその影響するところは極めて甚大であり、その実態は誠に悲惨なるものがあるのでございます。而して冷害対策そのものを要約いたしますれば、要するに冷害地の農民が安心してその生活が保障せられ、且つ再生産への途を歩み続けることができるような措置をして頂くことが、これが冷害対策の基本であると考えるものであります。曾つて大蔵大臣冷害対策委員会におきまして、昭和九年の冷害当時一の対策を要約し、要するに冷害対策といたしましては救農土木事業と共済保険制度を主眼とし、そしてその昭和九年の冷害の実態から見て共済保険制度が創設せられたのである。従つて保険制度ができることによつて、創設せられることによつて相当冷害対策に対する措置がせられたのであるというようなお話があつたのでございますが、昭和九年の当時におきまする冷害対策と今回の冷害対策と根本的に違いまするのは、昭和九年時代は御承知通りなお農村におきましては地主制度が厳存しておつたのであります。従つて地主制度そのもののよしあしは別といたしまして、冷害地におきましては取りあえず住民がその食べる米は地主から借りると、或いは再生産については地主が一切の責任を持つていろいろな手配をしたと、こういうような措置がなされたのであります。勿論その半面におきまして、東北におけるがごとく冷害によつて土地の収奪が悲惨な状態において行われたことはこれは御承知通りでございまするが、目前の措置としてはこの地主制度というものが相当活用されたことは御承知通りであります。そしてその昭和九年の当時の冷害を見ますると、当時は日本は食糧が不十分だと言つても朝鮮、台湾等より二千五、六百万石の食糧が供給せられ、従つてそう食糧自体については今日ほど深刻なものがあるとは考えられないのであります。且つ又飯米等につきましても、村々には郷倉が、ございまして、取りあえずの措置がなされたのであります。それで要するに今回の冷害におきましては、私業に昭和九年とは事情の違つたものがあるのでありまして、そういう観点から見まするならば、その頼るものは政府そのものであり、而して又地主制度のなくなつた今日において町村なり農業組合日なりが相当の役割は演じてはおりますものの、これ又終戦後町村におきましては、相当の地方財政の貧困と且つ又発足後間もない農業協同組合でございまするから、その機能を十分これは果すということは困難な状態であります。従つて政府対策か今回の冷害地の住民の死活を握つておる鍵であると申さねばならんのであります。従つて私の申上げたい、且つ又お伺いしたいのは、今回の冷害予算におきまして、約三十億という予備費が大蔵省の所管に載つており、且つ又冷害の今度の対策から見ますれば、こういうような形で予算措置がせられたということは適当であると思いまするが、要は先ほど申上げましたような観点から、よほど温いところの心を以て冷害対策というものを実施して頂かなければ死金となると思いますので、そういう観点から予備費の使途につきましては、従来の予備費の支出に当りましては相当事務的に煩瑣なものがあるのであります。併しながら寒さに向うところの冷害地におきましては、非常に待望しておりまするので、その辺の大蔵大臣の心構えと、今後の予備費の使途につきましては、そういう煩瑣な行政的手続というものを成るべく避けて、大胆果敢にやつて頂けるところのお考えがあるかどうか、その辺のところを大蔵大臣に開きたいと思います。
  44. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 高橋議員冷害に対するお考えは、私ども誠に御同感ができるのであります。実は私が先般申上げましたのは、この共済保険ができたのは昭和九年の冷害のときに、ただそのときだけの対策ではいかんから、やはりこういう恒久対策は必要だというところから、ああいう共済保険ができております。これで今度も一応見て、おるのが百六十六億ほどになつておるのであるが、併し今仰せになつたように、当時と地主関係等も変つて来ておりまして、やはり国のほうで相当なことをしなければいかんので、その点から私ども冷害対策費を特に今の財政としての許すだけを計上したということを申上げたのでございましたが、これは私ども冷害地方、特に北海道等におきましては、仰せのようなよほど政府として温い心持ちでこれに対処することが必要であると考えておるのであります。それで今お話になりました実は三十億は予算修正しまして、政府提案となすべく便宜上ああいうふうにいたしましたが、実はこのうち二十億円は救農土木事業の追加に使うのでありまして、それからその五億円は保温折衷苗代及び温冷床苗代の奨励に使うのであります。更に五億円は一般補助費等の増加のために充当いたしたいと考えておるのであります。それでは二十億の救農土木事業にはどういうふうに使うか、こうなりますると、これは大体小規模土地改良事業に七億円追加することにいたしまして、従いまして前の分が一億九千七百万円ございますから、小規模土地改良がこれで八億九千七百万円できることに相成るのであります。更に開拓事業に四億円を追加いたしますので、前に六億円ございますからこれで十億できることになるのでありますが、なお臨時救農施設、これに八億を追加いたしまして、四億五千万円に八億追加いたしまするから十二億五千万円となる、それから温水溜池等は一億円追加いたしまして元の二千八百万円と合せて一億二千八百万円にする、かような工合に実は考えておる。一般補助金等の五億円の使途につきましては、これは農薬代の補助とか、或いはいろいろ御要望の点を実は自作農資金などについての御要望もありますが、このあとの五億円につきましては、今後まあ十分に検討した上で一番実情に適する方面にお出ししたい、かように考える次第でありますが、残りの五億円は検討しております。あとの二十五億の分は、只今説明申上げましたようにもう決定いたしておりまするので、仰せのごとくにこれを通切に早くお出ししたいと、かように考えておる次第でございます。
  45. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 次に、農林大臣にお伺いいたしたいと存じます。今回の冷対策に当りましては、農林省がいち早く冷害対策要綱をきめられまして、冷害住民の向うべき方途を与えられたということにつきましては、深く冷害地住民としては、感謝しておるものでございまするが、要はこの寒さに向いまして、これらの予算が一日も早く末端を通じて、それぞれ、先ほどの大蔵大臣お話のように、温い親心を以て末端の隅々まで実施されるということが、かかつてその要諦でございまするが、これに対してどういうような手配をせられておるか、それらについて農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
  46. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 冷害地の特に被害の甚しい農家に対しまして、できるだけ早くこの現金収入の手段をその地その地に適切な計画の上にできるだけ速かに講じたい。農林省の中にも冷害対策班を特に設けまして、関係各省とも緊密な連絡をとり、一方関係の府県とも密接な連絡をとりまして、できればとにかくこの救農土木事業にいたしましても、余り資材費をしない、もう極端に言えば土と人力で事ができるような仕事をできるだけ取上げてやつて行くように、これは成るべくならば村自体で一つ計画を立てて頂いて、適応した事業を取上げて行きたい。一日も早く今日の自体から、冷害地の実情からいたしまして手段を講ずる必要があると存じますので、今月中に予算成立いたしますれば、予算配布をいたしたいという方針只今検討いたしておる次第であります。
  47. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 冷害対策要綱につきましては、農林省の御方針は要綱等において大体のことがわかりますので、これは省略いたしたいと存じますが、ただ開拓地におきましては、御承知通り開拓民の作つておりまする作物は、現在の共済保険制度の対象にはならない作物であります。而して今回の冷害の最も悲惨であり激甚であつたのは、これら開拓地を含むところの高原地帯であることは御承知通りであります。従つて開拓地におきまするその惨状は極めて悲惨なるものがあり、且つ又開拓民はその土地と大部分は縁故がございません。従つて他の住民と異りまして、その縁故者から飯米その他いろいろな点において援助を求めるということは不可能な状態にあるのでございますが、こういう開拓民の一方においては共済保険制度の恩沢に浴しないこういうようなアンバランス、そういうような点において特に開拓民につきましては特別の考慮を冷害対策に当つては払わなければならんと考えるものでございますが、この点に対する農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
  48. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 冷害地のうち特にこの開拓地の実情については、もう高橋さんのお話通りだと私も承知をいたしております。修正予算冷害対策としては相当に修正を受けておりますけれども、それにいたしましても決してこれで十分とは申上げるわけにいかんわけですから、この冷害対策で行います事業を関係各省とも御連絡をいたしまして、村々の現金収入の手段が或る所には重複し、或る所には一つも行かないというようなことのないように特別の注意を払う必要があろうと存じますが、併しこの開拓地はおおむね御承知のようにまあ山地帯でございますし、冷害地帯の山地帯は国有林の周辺でもあるわけでございます。開拓地に予定しております予算の像かに特にこの国有林の活用と申しますか、これによりまして、この地帯には二重、三重になる事業を進めるというようなことを計画的にいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  49. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 只今農林大臣のお話の中に、開拓地については特に考える而も国有林の払下げ等については特別の措置考えるというお話がございましたが、従来ややともいたしますれば国有林の払下げというのが従来の縁故者に払下げる例があるのでございますが、今回はその払下げについては特別な枠を設定してせられるのか、或いは又その代金等についても延納を認めるとか、そういう点についての御所見を伺いたいと思います。
  50. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私もこの間関係地帯を廻つて参りましたときにいろいろ現地のお話も伺い、考えますと、やはりこの町村で以て責任を持つて頂くことが最も妥当じやないか、そこでまあ町村を対象として今度の場合は考えて行く、町村で一つ事業計画も立ててもらつたらどうか、それを営林署が取次をして営林局で措置をするように、これは各県側とも秋田や青森の営林局、東京営林局とすでに話をいたしておるわけでございます。代金につきましては、まあ大体六カ月ぐらいの延納措置を講じて参りたい、こういうふうに考えております。
  51. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 先ほどお話ありました共済保険制度でございまするが、只今申上げました通り、現行の共済保険制度では「おかぼ」であるとか、雑穀であるとか、相当広範囲に共済保険の対象にならないものがあるのであります。且つ又共済保険金額が二割程度は地元負担であるというような関係上、仮に今回の場合の冷害のような場合において、仮に反当六千円というような補償費が計上されましても、地元負担の部分はこれはその総会の決議によつて負担しない、支払わないというような形になりまして、結果的には定められた補償金というものがもらえず、従つて再生産等にも支障を来たすというような現行の共済保険制度については、相当いろいろなこれは是正しなければならんものがあると考えられるのでございまするが、現行の共済保険制度について再検討せらるるお考えがあるかどうか、その辺をお伺いしたいと存じます。
  52. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答えいたします。農業共済制度につきましては、前国会でも両院におきまして相当論議が、ございました。結論的には農業共済の果しつつある役割は相当重要な意義を持つということは両院におきましても御異存のない点でございますけれども只今お話のような次第も、ございまして、これはもう少し根本的に検討する必要かある。数年の実績あとを振り返つていろいろ又各地事情が違いますだけに、実績経験によるいろいろの意見も出て参つておるわけであります。これは実際上いろいろあるわけでございます。各両院の農林常任委員会でそれぞれ根本的な御検討も願い、政府側もこれに御協力をいたし、又政府政府としても検討いたしておるわけでございます。両院で折角御検討頂いておりますから、この御検討をできるだけ速かに一つ進めて頂き、考えて行きたい、こういうふうに考えます。
  53. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 次に農林省関係の救農土木事業でございますが、これが実施に当りまして、是非バランスを考えて頂きたいと思うのであります。と申しますのは、水産、林野、それぞれの分野に亘つて所定の経費があるようでございますが、必ずしも平地の農地、或いは溜池、或いは農道というようなところだけの仕事というわけでございませんので、海岸地方及び山林部につきましては相当林野関係においてお考えを願わなければならんと思うのでありますが、それにつきましては、従来の仮に林道なら林道につきましても、いろいろな制限があるのであります。例えばそのキロ数において短いところは駄目であるとか、或いは又場所によつてはそれの実施が不可能であるというような点でいろいろの現在の規定においては、特に小規模のものについてはそういうような支障があるのですが、今岡の救農土木につきましては、救農の名にふさわしく兵にその目的を達成し得るように措置せられるものと考えますが、その辺のところを農林大臣にお伺いいたしたいと存じます。
  54. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) その点はそういうふうに考えておりまして、今回の冷害予算の中に臨時救農施設ということで、これは根本的にはかなりまだ問題を残しておるわけでございますけれども、この際臨時的に、只今お話のような要請に応える意味におきましても計上いたしている十二億五千万円でございますか、そういう趣意でこの予算を実行いたして行きたいと思います。
  55. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一点お伺いいたしたいと思いますが、今回の冷害地を農林大臣も親しくご覧になつて痛感せられたことであり、特に農林大臣は昭和九年の冷害のときに東北地方を直接視察せられまして、その体験等から見られましてお考えになられたと存じますが、要するに冷害の根本的な対策というのは、その営農形態にまで立ち、至らなければこれが根本的な解決にはならないと考えるのであります。特に東北地方のごときはいわゆる五反百姓と申しますか、極めて零細なる農民でありまして、従つて少々米価が高くても売る米は極めて少い。その高米価には殆んど影響せられることがないのであり、且つ又単作地帯という宿命的なる営農形態に追いやられておるのであります。今回冷害地等を見ましても、或いは有畜農業をやるものであるとか、或いは他作物とのコンビネーシヨンを考えておるものとか、或いは一部林野に依存しておるものとか、そういうような形態のものは比較的その生活は安定しておりまするが、これらとも関係いたしまして、冷害地に対する恐らく来年度予算の本予算に計上せられることと存じますが、若し冷害対策のそういう面に対する根本的な考え方について、この際、農林大臣からその一端をお伺いすることができれは幸いと思います。
  56. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 高橋委員長お話のように米一本だけでなしに、いろいろなものを取入れている農家が、非常につまつておる中にも幾らかそこに裕りが生じておるということは全くその通りであります。特に東北地帯の実状に鑑み、又我が国の食糧事情から行きまして、私は東北地方にはもつともつと酪農事業を振興して、農家の経営に密着して振興して行く必要を痛感いたしておるわけであります。そういう点においては努力いたしております。
  57. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 これは冷害と直接関係ないんですが、この際、最後に農林大臣にお伺いしたいと思います。もう一つは、この冷害関係を迅速に行いますためには、農業土木技術者を相当動員する必要があり、又今後とも農林省としてはこれらの充足に努力しなければならんと考えるのであります。一方又なかなか農業土木者の設計等が間に合わないと思いますので、そういう点については簡易な方法等によつて仕事を取運ばなければならんと思うのでございますが、その点について最後に農林大臣にお伺いします。
  58. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) その点につきましては先ほど申しますように、今回の救農土木事業はこれはどうしても小規模な事業にならざるを得ない。又なるのが本当だと思います。従いまして一応簡易な計画でございますから、県庁の技術員のほうで以て大体私はやつて行けるのじやないかと…思いますけれども、これは西日本災害のときにもそういう措置を講じましたが、農地事務局の技術者を動員しまして、各県の要請に応えましたこともやつておりましたわけであります。今回もそういうことで、県庁の技術者だけで間に合わないというような地帯につきましては、農地事務局の技術者を応援せしめるとかいうような措置を講じて参りたい、こういうふうに考えております。
  59. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 農林大臣にちよつとお伺いいたしますが、これは冷害の問題と関係ございませんが、現在問題になつております、李承晩ラインによつて捕獲されたところの船員の留守家族の援護措置はどうなつておりますか。この際御所見を伺いたいと思います。
  60. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 只今韓国に不当拿捕を受けて抑留せられている漁船の数は、一昨日又一隻拿捕せられましたというようなことで、四十九隻に上つております。船員、漁夫が五百三十六名という数に達しておるわけであります。この五百三十六名の中には漁船乗組員給与保険に加入いたしておるものが百八十四人、これは無論こういう事故の生じた場合における保護ということでその保険ができておるわけであります。問題は未加入の三百五十二名の処置でございます。先般来両院におきましても要請があり、又政府といたしまして協議をいたしておりましたのでありますが、大体今度差入れなんかを冬場に向つてしなければならん、そういうふうな差入れ補助といいますか、そういうものについて一人当り一万円、これは加入者、未加入者にかかわらず全体にいたす。それから保険未加入者につきましては一人当り五万二千円、そういう措置を数日中に請じ、予備金から支出したいと考えております。
  61. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 自治庁長官がおられませんので、私は大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の救農土木その他におきましても、成るほど補助率は高められましたものの、相当程度までやはり地方財政の負担になる部分があるのでございまして、従つてこの部分については恐らく起債その他によつていろいろ御面倒頂くものと考えますけれども冷害地の町村におきましては、到底それらの補助率、即ち、五割乃至六割のものを起債によつても、将来禍根を残すというような観点からこれを引受けるのに躊躇いたすものもあり、亘り又それらが転稼されて、仮に二百五十円の賃金が住民の負担になつて、実際では百二十五円きり払われないというような、救農が却つて賦役になるというようなものがままあるのでございしますが、こうした町村財政の負担については、将来特別平衡交付金その他においてお考え頂かなければ、地方財政の負担、特に冷害地のごとき貧弱町村においては負担し切れないと思いますが、この点について大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  62. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今回の分で起債を伴いますものは起債を見ておりまして、百八億の起債のうち八十三億は今度の災に対する起債を見込んでおります。なお将来のことにつきましては、更に実情を調査しまして検討することにいたします。
  63. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 次に、厚生大臣にお伺いしたいと存じますが、今回の冷害関係対策費の中に生活保護法に要する費用が若干計上されておるようであります。ところが生活保護法の実施の実態を見ますると、法そのものの精神が末端に参りますと、やや民生委員その他によりましてこれが躊躇され、誤解され、それが迅速に行われない例があるのであります。先般も遺家族援護法の規定によつて扶助料をもらつたところの小供を持つた未亡人がそのために生活保護法の停止があつた。そのために入水自殺をした等の新聞記事等がございましたが、冷害地におきましては、これはやはり生活保護法の本来の趣旨に則りまして、よほどこれが適用について温い心を以て行なわれなければ、予算は計上したけれども、末端に行つては単にそれは絵に描いた餅に終るという場合があるのでございますが、その点についての厚生大臣の御所見を承わりたい。同時に、なお冷害地等におきましては、相当遺家族もございますが、この際冷害地における遺家族については、先般来の交付になりました公債については特別の買取り措置を講じて頂けるかどうか、その辺のところをお伺いしたいと存じます。
  64. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。冷害地に対しましては、この補正予算で七億の予算を取つております。併しこれは一応基準がありますから、今仰せのような措置によつて、できるだけ温い保護を加えたいと思つております。例えば今の生活保護法によりますれば、大体基準が、ございまして、そうしてその基準に照し合せて適用するのでありますけれども、殊に冷害の対象になつております農家につきましては、例えば土地を持つておる、その土地を売り、その資金で以て一応応急の措置の講じられたのちにおいて法を適用するということもあり得るのでありますけれども、それらの点につきましてはできるだけ善処をいたして、勿論生活保護法は無差別平等に最低生活を保護するのでありまするから、濫りに法を紊すことはできません。その点については十分努力いたしたいと思つております。なお冷害地における遺家族に対する、弔慰金の買上げの問題につきましては、御承知通り年度は二十億、本年度三十億、多少本年度はまだ残つておりますから、その趣旨によつて善処いたしたいと思つております。
  65. 千田正

    ○千田正君 関連して厚生大臣にお伺いしますが、冷害災害地における先般来中共地区から引揚げて来た引揚者に対する就労の面、並びに最近更にソ連地区から引揚げられる一千数百名の戦犯の人たちは、やがてやはり冷害地、災害地に帰られると思いますが、こういうような人たちに対してはどういうふうな措置を講ずるお考えでありますか、一応伺つておきたいと思います。
  66. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。先般来中共地区から帰つて来られたがたに対する就労の問題、住宅の問題等につきましては、かねて報告いたしておる通りでありますが、就労状況はその後労働省においても相当諸官庁を通じて努力をされまして、最近の状況はまだ万全でありませんけれども、大体その後従来よりも率も上り、数字只今手許にありませんが、その後就労の状況も好転をいたしております。なお今回ソ連地区から引揚のかたに対する援護の措置については、できれば中京地区から引揚げられたかたと同様のこの援護措置をとりたいと思つて只今大蔵省と折衝いたしておるのであります。なお今後善処いたしたいと思つております。
  67. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一点厚生大臣にお伺いしますが、先般来水害地等による災害地等につきましては、災害地にあるところの町村その他の公営による病院、或いは診療所というものが流失したのでございますが、これらはいずれも曾つて国庫の補助によつて建設いたしたのでございますが、現在の町村財政から見ますると、なかなかこれが復興につきましては単独の力を以ては実現できないのでございますが、これに対して政府補助或いは措置、そういうものについての所見を伺いたいと思います。
  68. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げますが、只今お尋ねの病院、診療所等は、補助による公立のものに対するお尋ねと了承いたしてよろしゆうございますか。
  69. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 結構であります。
  70. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) これに対しては、実は今回の特例法については公立の病院、診療所に対する災復旧に対する融資に関する特例法に出ております。これは法律上は補助による公立のものも、補助の対象になつていない一般の民間の病院、診療所も全部含まれておりますから、法律の解釈といたしましては、融資の特例法にかかるのでありますけれども、法の精神から、立法趣旨から申しますれば、主としてこれらは民間のものに対する特例法であつて、仰せのような病院、診療所に対しましては、できれば起債の面においてその復旧に対して旧としても援助を与えたい。但し現在報告を受けております数字冷害によるものは少いのでありますが、災害による病院、診療所の被害の状況の各府県からの報告もそうたくさんございません。これらは起債の面その他によつて大体善処し得ると思つております。
  71. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 先ほど自治庁長官がおいでにならないので、実は大蔵大臣にお伺いしたのですが、今回の救農土木などによりまして、冷害地におきまする土木事業というものは相当の額に上るのであります。成るほどその補助の額は従来の二割を四割に高めるとか或いは三割が五割になり六割になるというような状況でございますけれども、相当程度これは町村において負担せざるを得ないのでありますが、これに対して先ほどの大蔵大臣お話では、その部分は十分起債等によつて考えるという、活でございますが、問題はその起債が仮に許可になりましても、貧弱町村等においては将来禍根に残る起債、即ち返済能力等から見て極力これを回避するのであります。或いは地元住民にそれを転嫁して、先ほども申上げました通り、救農が却つて賦役になるというような状況になるのでございますが、これに対してはどうしても将来その町村の実態に応じて特別平衡交付金等によつてその利子なり元金なりについて十分考慮を払わなければ、今回の救農土木事業が末端において結局は実施されない。或いはゆがめられて実施するというような形になると思いますが、この点に対する自治庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  72. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 今般のこの災害のうち冷害の分に伴う地方負担でありますが、これは先般本会議において申し上げました百八十六億の所有財源のうち冷害の分が十三億四千三百万円ほどあるのであります。これに対一しましては、只今御指摘のように一応起債で以つて面倒を見ることになつておりますが、将来の元利負担というものが非常にまあ問題になるわけであります。これは御指摘のように平衡交付金、その場合には恐らく普通交付金で面倒を見ることができるようになると思います。次年度以降におきまして、そのような処置によつてそういう地元負担が累加されないように処置をいたしたいと思つております。
  73. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 法務大臣にお伺いいたしたいと存じますが、昭和九年の冷害、特に東北におきましても、この冷害のときにおきましては、いわゆる家畜、馬なり牛なりを売る前に先ず娘を売るという噂にもあります通り昭和九年当時は冷害の激しかつた村におきましては僅かに娘が二人か三人きり残らずに、あとは全部身売りをしたというような悲惨の実情もあるのであります。今回の冷害に当りましても、そういうような事態がまま見受けられ、特に冷害地には相当そうしたもののブロカーがもう入りつつあるのであります。こういうような点につきまして、よく人権擁護であるとか、或いは人権保護であるとかいうようなことは品にせられておりますけれども、こういう身売の問題につきましては、どうも従来の取締が私は不十分でなかろうかと思われるのであります。特にこれらの媒介するところのブローカーのごときは許すべからざるものであると考えるのでございますが、これらに対して法務大臣がどういうふうなこれに対する取締方法なり、或いは防止方法なりについて御努力頂けるのか、その取締方針について特にお伺いしたいと存じます。
  74. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えをいたします。仰せの通り冷害地で人身売買のことが大分目に立つてつております。大体凶作地のみならず、ふだんから単作地帯に人身売買の傾向が多いのでありまして、二毛作又は多角経営的農村よりも単作地帯に多い、それと今度の凶作とからまつておるのでございます。これらに対しまして先月の十九日、二十日、二十九日、三十日、検察庁では全国の次席検事会同、それから公安経済係検事会同をやりまして、特にこの点を強く指摘してあります。又国警のほうでも東北管区本部長が非常に熱心にこの問題に当つておりまして、特別な指令を出しております。過般農林大臣が東北地方に行かれましたときも、農林大臣とこれについて打合せております。もう一つは国警で警察大学校の少年警察の資料のような形で、こういう人身売買の穴を突いた虎の巻みたいなものを書きまして、これを配つて資料にさしております。大体二十六年、二十七年を比べますと、二十六年が検挙いたしました件数が五千七百件ほどあります。それから二十七年は一万一千件になつております。これは人身売買の傾向が殖えたと同時に、警察が今高橋さんの仰せられましたようないわゆるボス、それから仲買、仲介者の穴をつかむことができたために検挙の件数が殖えて参つておるのでございます。大体人の娘を売りとばすことを商売にしておるというのは村でも顔触れがきまつていますので、それらを注目いたしますと同時に、都会地の特飲街と連絡しまして、特飲街を管轄しております警察と連絡しまして双方で挙げて行く、こういうふうにやつておるのでございます。そこで問題はそれでは警察だけで済むかという問題なんでございますが、一つは経済的要因がありまして、例えば紡績地帯で操短をやりますと、人身売買のほうにすぐ影響して参ります。ですから只今申上げましたように、単作地帯における貧弱な農家経営というものをやはり根本的には我々が人身売買の問題とからんで考慮する必要があると思います。もう一つは思想問題でございまして、輿論を過般調査して見ますると、前借を受取つて娘を売ることをそう悪く思つていない、むしろ是認しておるというのが一〇〇のうち九、即ち一割くらいあります。それから本人が幸福になるならば、その幸福というのはいい着物を着たり花やかな都会を見たりする意味の幸福でありますが、本人が幸福になるならばそう悪いことではないじやないかという考え方をする人が一〇○のうち五一%であります。絶対悪いと思う人が一四%くらいしかない。中には警察がいろいろ言うと迷惑だというようなふうの農村もあるというふうでございましてこれは結局警察だけの仕事でなくて、私は今お話のありましたような人権擁護委員のような、或いは母子保護委員のような一つの政府から委嘱をされて、而も法律的な根拠に立つておる民間人の委員のようなものを作りまして、家庭調査をやつたり、職業紹介所に廻したり、或いは今労働省で考えておられますように、娘を売らなければならん本当のぎりぎりの事情がその委員によつてわかつたときは、その県で、当座の融資をするというような、いろいろな多角的な設備が必要じやないかと思つております。私の考え方としてはそこまで警官が立入るということは、非常に熱心にやつても弊害が起りますので、今申上げましたような委員というものを作りたい、こういうふうに考えております。これは併し法務省の範囲から少しはみ出すので、厚生省或いは労働省と十分に連絡をいたしたいと思つておりますし、今朝も労働省の婦人少年局長とこの問題で実は打合したばかりのところでございます。以上お答え申上げます。
  75. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 法務大臣のお話を聞きますと、だんだん結局どうも思想的にそういうことを悪いと思わん者が大部分であるというようなことになりまして、結局これは文部大臣の所管になるのかとも思いますが、それはそれとして、これは十分やはり取締つて頂き、特に私はその人身、売買のブローカーはやはり法務省といたしましては十分これは厳罰の方針を以て臨んで頂くということも、非常にこの問題に対する私はポイントであると思うのであります。人を殺した者については極めて厳罰でありますが、人の一生をそうした形において殺すことにつきましては非常に手ぬるいのじやないかという感じを深くするものであります。あえてこれは答弁をお求めいたしません。次に文部大臣にお伺いいたしたいのでありますが、今回の冷害に当りまして、相当僻陬の土地その他において欠食児童なり、或いは冷害地児童の育英等において相当の問題があるのでございますが、これらに対する対策なり或いは施策なりについて文部大臣のお考えを承わりたい。
  76. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 冷害地においてだんだん欠食児童が出て来る傾向のようであります。これにつきましては、実は急速に事情を今調べておりまして、そうして給食或いはその他の面におきまして適当な対策を講じて参りたいと、かように考えております給食につきましては、これはひとり僻地に限らんことですが、只今大蔵省と実は折衝を重ねておるのでありまして、大体この給食の設備がない学校が多いのでありまして、給食をいたしたくも設備に要する経費が出ないというような所も大分あるようでありますから、給食設備の国庫補助の途をこれは予備費を出してもらうことにしてこれをやりたい、これは金額は水書地と合せて約五千万円で、ほぼ給食ができ上る見込みであります。それから欠食児童つまり貧困な家庭における欠食児童でありますが、これを無償で給食をするということにつきましては、これもいろいろ何とかいい考えをというので、関係の方面に折衝をしておるのでありますが、先ほど厚生大臣からお話になりました今度の補正予算で七億円の、これは厚生省所管として生活保証費が計上してあります。その中で大体四千万円程度のものを生活保護費の一つの内訳として欠食児童と申しますから、これは欠食児童必ずしも生活保護法の適用を受けるとは限りませんが、併し大部分これが重なるのが多いと思いますから、そのほうで救済の途を講じて参りたい。それから、ミルク等につきましては、これはユニセフの寄贈によりましてこれは無料で配りたい、こういうふうに考えております。  それから僻地教育につきまして、これは御承知通り従来とも比較的に閑却されておつて、現に今年度予算におきましても極めて微々たる経費しか計上されておりません。これは前国会におきまして、衆参両院ともその振興についての決議がありましたことは御承知通りでありまして、私どもといたしましては、この決議の趣旨に副うて、二十九年度におきましてはとにかくこの僻地教育振興というものが一応計画的な軌道に乗りますように相当な予算を計上したい、こういう気持で折角大蔵省と交渉を進めている次第であります。
  77. 青木一男

    委員長青木一男君) 犬養法務大臣から補足答弁を求められております。
  78. 犬養健

    国務大臣犬養健君) ちよつと簡単に補足さして頂きます。お話通りブローカーというものには仮借する必要がないと思いまして、厳罰主義で臨んでおります。原則として懲役刑を求刑する建前をとつております。なお第一線の数の多いことでございますので、若しなまぬるいという感じが仮にございましたら、どうか御注意願うことを当局として希望しておきます。
  79. 千田正

    ○千田正君 只今高橋委員のお尋ねに対して、文部大臣から欠食児童の給食設備その他に対する説明がありましたが、御承知通り冷害地或いは災害の町村は非常に負担が苦しい、そういう場合でありますので、その補助というような意味よりもむしろ全額国庫負担をそういう意味で見てやるという親心があるかどうか。若しそうじやなくて、補助を見て行くとするならば、一体どのくらいの。パーセンテージの案を持つておられるか、その点をお伺いしたい。
  80. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) お答え申上げます。この冷害地につきましては、これは特別立法で御承知通り学校の給食物資が流出した部分につきましては、これは国で全額補償するということになつております。当時これは予算は別といたしまして、急速に現物を現地に送りまして、そうして今度の補正予算にそれに必要な全額補償としての経費が計上してあります。これはただ流出した物資の無償補給ということにとどめていますが、その後の水害地並びに冷害地についても私どもといたしましては、少くとも当分の間できることならば無償で給食を実行したい。こういう考えの下に実はいろいろ心配をしておるのでありますが、西日本災害のありました当時御承知のユニセフに対してミルクの無償の寄贈を要求いたしました。これは幸いに向うの承諾を得まして相当量のミルクが来ることになつております。これを品物を一時立替えまして、九月中旬頃から災害地においては漸を追うてミルクの無償給食ということを始めております。それから引続いて13号台風が起りましたので、これに対しても同様の措置を講じたいというので、又申入れをいたしましてこれもまあ幸いに、これは近頃でありますが、承諾を得ました。更に学校における欠食その他の関係はどうもこの頃の事情を見ますというと、災害地よりもむしろ冷害地のほうに余計現れておる、こういうふうに私どもは思つておりますが、さようなことで更に又冷害地に対してもこれはまあ非常に図々しいようなことでありますが、冷害地に対しても一つ何とかミルクの心配をして欲しいということを申入れをしております。これは併しまだ、返事はもらえないのでありますが、災害地のほうについてのものが実は相当のミルクの量でありまして、来年の七月ぐらいまでは少くともミルクに関する限り無償で交付するということができるだけの数量でありますので、これもユニセフの承認を前提にしなければなりませんが、これも若し冷害地について特にそういうことができないとするならば、災害地についてもらうことになつておる分を冷害地にも廻して、まあ来年四月或いは四月末まで年度いつぱいぐらいまではミルクについては、大体手当がついておるわけであります。そこであと残り給食、パンでありますが、これは何とか無償ということで、実は私どもといたしましては大体対象になる児童数をまあ一定の基準で算定をいたしまして、実は相当な金額に上るのでありますが、今日まで実は大蔵省方面と折衝をして参つております。この補正予算にはそれは特別立法外でありますから、補正予算にはそれは出ておりませんので、何とか予備費を都合してもらいたいということで実は折衝を重ねておりますが、実はこれは只今こうと申上げるようなはつきりした見通しはありません、そこで仮に従来の通り麦については半額の値段で供給するということになりましても、給食設備が先ず一校当り、これははつきりわかりませんが十万円から二十万円はかかる。でこの給食の設備がないために、まあミルクが無償、それから麦食が従来のように半額で給食に廻すということになつても設備がないためにそれが行えない。欠食児童が非常に出まして、冷害地においては急速に給食に対する、要望が高まつております関係もありますので、とにかく設備費については先ほど申上げましたように、大体関係省の方面との今日までの話合いでは五千万円程度冷害地について四千万円、それから災害地について一千万円、これだけの経費が出してもらえることに大体話合いがついております。あとは先ほど申上げましたようなことでありまして、この多数の児童に一律に無償で給食をする、これはミルクは別でありますが、無償で給食をするということが実はまだ今日までのところはつきりした見通しが立つておりません。さような実情になつております。
  81. 千田正

    ○千田正君 冷害地、殊に北海道、東北或いはその他の冷害地はこの冬を控えして殊に次の国民であるところの児童に対する問題は非常に重大な問題だと私は考えます。でありまするから速急にこの問題の解決促進のために特段の大臣の御努力をお願いいたします。
  82. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私も、今千田君から発言がありましたように、先ほど申上げた通り東北地方では先般の冷害におきましては、やはり従来郷倉の制度がありまして、その郷倉から優先的にこういう欠食児童等についてはお粥その他の措置をしたのであります。現在は供米制度の下でこの郷倉の制度が廃止されたのでございますから、これは一つ特段の御高配を頂きまして、先ほど大蔵大臣お話にもなお設備費の中に五億円程度は、なおその他の経費等もあるようでありますから、これは一つとくと文部大臣から御交渉頂きまして、先ほどのお話通り無償で欠食児童については措置して頂くようにお願いをいたしたいと存じます。  最後に、先ほど文部大臣から僻陬の地における教育の問題がございましたが、僻陬地における教育は極めて深刻なるものがございまして、例えば或る部落におきましては子供を新制中学にやるためにその母親がその食事のために二時か三時に起きて、そして四時か五時には子供は出掛けなければならん、そして四里、五里の道を歩いて学校に通わなければならんというような実情にあるのであります。従つてこういうような地方については共同のトラツクを買つて、そうして子供をその学校まで送つてやるとか、或いはその他何らかの方途を講ぜられまして、この僻陬地におきまする教育というものを振興させて頂きたいと思うのであります。且つ又僻陬地におきまする教育の実態を見ますと、その設備或いは教職員につきましての待遇等におきまして、極めて冷遇されておるような状態でございます。終戦後国家が義務教育につきまして負担をし、その義務教育のいわゆる万人平等の教育の制度が確立いたしたのでございまするから、どうしても僻陬地につきましては特段のこれはお考えを願わなければならんと思いますが、来年度予算においてこれらについて十分お考え頂いておることと思いいますが、改めてこの問題について文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  83. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 先ほど答弁のほうが先走つたようなことになりましたが、お話通り僻陬地の教育に対しては従来まあ何と言いますか、比較的閑却せられておりまして、このままで放置しておけない状態であると思います。第一に僻陬地においては学校の先生を得られない。得られない又理由としては住宅が全然ないというようなこともありまして、今まで学校の教員住宅、これは同時に殆んど学校の校舎と併用する場合が非常に多い。子供が五人とか十人とかいうような所では先生の住宅であり又教室である、こういうようなことでありまして、これに対する補助の施策として昭和二十八年度予算におきましては、御承知通り一千万円計上してあります。その他学校の先生が得られん関係で特殊な養成をしなければならんということで、そのための経費が三百万円、合計してまあ十三百万円から四百万円という極めて微々たる経費であります。かような僅かな経費では到底この僻地教育の振興ということには恰好がつかないのでありますから、前国会における決議の趣旨もあることであるし、文部省といたしましては、是非とも一定の計画下に僻地教育が遅れながらでもほかだんだん追つ付いて行けるようにしたい、こういう考えの下に二十九年度予算において是非或る程度目鼻のついた予算が計上できるようにいたしたい、かように考えております。できるならば今の給食の問題もありますし、これはいろいろな問題がありますが、できるならば僻地における社会教育の面までも取上げてとにかく一時に画期的のことができないまでも、計画だけは将来を見通した計画が立ち得るだけの予算を計上するようにいたしたい、こういう気持で折角努力して参つておる次第であります。
  84. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。    午後零時四十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時六分開会
  85. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。
  86. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は先ず大蔵大臣に御質問をいたしたいと思います。今回の補正予算で五百十億を上廻ることはインフレの要因になるということで政府は阻止しておられるのでありますが、風水害並びに冷害等対策といたしましては十分であるとお考えになつておるかどうか。更に五百十億の予算では被害実態に即しないとしても、インフレになるから増額は認めない、そういうようなお考えに立つて予算編成をしておられるのかどうか。只今も農林委員会で農林大臣は現在の被害に対してこの予算は十分でない、こういうような発言をされておるようでありまするが、大蔵大臣の御見解を承わりたいと思います。
  87. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私所もこの予算を以て十分であるとは思つておりません。併しながら財源関係もございまして、若しその結果延いてインフレになるようなことでもございますると、結局この予算行つても、それだけの仕事の進行ができない、こういうことになるので、これらの点を勘案いたしまして財源の許す範囲で計上いたした、これが実情でございます。
  88. 松浦定義

    ○松浦定義君 只今大蔵大臣の御答弁は一方的な見解でありまして、我々冷害等地帯の住民のことを考えますと、到底承服はできないのであります。そこで冷害につきましても、恐らく十二月一ぱいいたしますと、その全貌が明確になつて参ると思いまするが、その際には第二次補正等をなされる御用意があるかどうか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
  89. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 冷害につきましては、実は御承知のごとく損害が起つて来るものに対するものは農業共済保険でやるのでありまして、損害ということでなくて、その地方に対する実情に合うように如何にして農村のかたに現金収入が得られるようにするか、又如何にしてそれらの土地に適切ないわゆる農業救済的な仕事をするか、こういう点に重きを置いておるのでございまするから、只今損害がこうなるということだけでは第二次の補正予算を組むというまでにはなりにくいと存じます。
  90. 松浦定義

    ○松浦定義君 先ほど予算の面からも非常にこの点は面倒だというようなお話がありましたが、災害の実態に即応いたしまして予算上に措置して行くというのが私は本筋だと、かように考えるのであります。従いましてそういう面を考慮し、更に又大蔵大臣がお考えになつておるようなことを併せて考えまするならば、被害を受けない地帯に対しましては若干の負担の増加もこういう緊急の場合には万事止むを得んじやないか、こういうようなことも一応考えられます。従つてこの意味からいたしまして既定経費の節減を相当大幅になされておるようでありまするが、災害地に対しましても、それを一律に行うということは、特に冷害地、東北、北海道のごとき寒冷地の特殊性というものを無視するのではないかと、まあこういうような考えでありまするが、こうした特殊地帯に対しましては何とか別途の方法を考慮されてのことであるか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  91. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは公共事業費等から実は大体このくらいのものをということでやつてもらつたのでありまして、これは私どもが大蔵省として直接一々を査定するわけに参りかねますので、従つて予算面からはそういうふうにいたしますが、個々の事情での斟酌、査定等は、これはそれぞれ建設省なり、農林省などでやつてもらつておる次第であります。  なお、今お話になりましたように、そのいわゆる損害がどういうふうであるということもこれは勿論対策を講ずる談合にも一つの目安になるということは当然でございまするが、ただ私どもが今申上げておるのは、今度のまあ主として冷害対策に向けられておるものは、御承知のごとく予算として百十五億、それから農業のものとして、資金繰り措置まで加えますると百六十億となつて参りまするので、尤も措置をとつたのは今度でございますると八十五億、資金繰りから来るものが四十五億の百三十億でございますが、そのほか基金で二十五億、或いは積立金の取崩し五億、こんな工合になつておりますが、そういうものを一つの全体としての冷害対策として考えておる。尤も保険金はこれは当然のことでございまするけれども、まあそれらを今度やつぱり一般会計から出しまするので、そこで今度のいわゆる災害冷害対策五百億品を計上したと、こういう次第でございます。
  92. 松浦定義

    ○松浦定義君 政府は今回冷害地の営農資金といたしまして、被十農家に対し北海道に二十万、その他は十五万と、総額百五十億円を限定しておるようでありまするが、このような少額で以ていたしましては、現在町長林省が考えておりまする被害農家約三十万戸と仮定いたしましても平均五万足らずでありまして、先ほど大蔵大臣が申されましたその実態にも私は即し得ないと、かように思うのであります。従つてその他自作農の維持資金とか、或いは又別途農地金融制度等も考えなければならない事態に直面して参つておるとかように考えまして、現在の実態に即応いたしまするならば、最小限度二百二十五億は必要だと、かように考えておるのでありまするが、その点について大蔵大臣は、若しその点が必要だという結果が出て参りました場合には、それらに対する御用意をなさる意思があるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  93. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今のところ実は私どもは百五十億で足りるのじやないかと思つております。これは凍霜害等の実例から見ましても、融資額を決定いたしましたが、融資額を全部お借りになりませんのみならず、例えば、これは県の名前を挙げることはちよつと差控えますが、或る県等では誰も借り手がなくて、知事が借りないかと言つて歩いたいというような実情で、ございまして、損害融資額というものは損害額とは違うものが出て来るのであります。従いまして仰せになるような果して融資が起るかどうかということについては、これは私どもが今後の実際に徴するほかございません。それならそれについて考えるかということでございまするが、これはまあそのときの実情に応じて考えさせてもらう、こういうことにいたしたいと思うのであります。
  94. 松浦定義

    ○松浦定義君 只今大蔵大臣お話を聞きますと、凍霜害にそういう前例があると、まあこれは私は非常に認識不足だと、かように申上げたいのであります。実際末端に参りますと、借りたくても借りられないものがある。これはいろいろまあそれぞれの手続き等が余り厳重でありまするので、こういう緊急な事態に即応するような組織が講ぜられておりませんので、どうしても借りたいものが借りられない。結果がそういうことになるのでありまして、僅か五十数億におきまする凍霜害の場合のものですら、そういう結果が出ました場合におきましては、今回のこの大搬出に対しましては恐らくそれ以上の大きな被害が出て参ると思います。これらの点につきましては十二分に当局をして末端の調弁を徹底的になされて、この百五十価で十分であるというふうな処置をとられるか、或いは又今お話のようにその結果が百五十億では足らない、即ち結果二百二十五億というものは最小限度必要だということの実態が出て参りました場合には、大蔵大臣が今お話のようにその意思に副うとこういうふうに解釈してよろしうございますかどうか。
  95. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この問題はそのときに考えさせて頂くことにいたしますが、私が申したのは、これは借りられないのじやない。さつき申した例などは、凍霜害の例などは、これはもう知事が借りてくれと言つてそこらを歩いている、それでも借りない、という実情です。これは借りる手続ではありません。私はまああなたもよく御存じだが、農村の人は金を借りるのを余り好まないという点もあつたのじやないかと思いますが、そういう工合で、当初予定した金額は出ておりません。従つて凍霜害の例をとつて、今度の一層深刻な冷害にそういうことを申すわけではありませんが、これは実情を見た上で判断したいと考えておる次第であります。
  96. 松浦定義

    ○松浦定義君 次に、現在の農家は政府に青田売をいたしておるのでありまして、それが農手制度として大体三百億を借金しておるのであります。特に冷害地一道十九県を合せますと百八十億になると思いますが、この、返済は恐らく容易ではないのでありまして、大体三分の一はどうしてもこれが、返済不能だと考えるのであります。従つてこのような場合にはどういうような措置をとられようとしておられますのか。更に又水害関係の不足額は百、五十七億、更に又農業共済保険の保険金の不足額といたしまして四十五億、これらの支出につきましては万遺憾なき措置をされておりますか明らかにされたいと思うのであります。
  97. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 百五十七億の問題については過日来もたびたび申上げました通り、必要に応じまして実情をよく調査の上、個々の実情を調査しまして、必要に応じて出す次第で、ございまして、若し資金がその通り全部必要になつて来ると私も考えませんが、全部必要である、工事の進捗上それが是非とも出す必要があればそういうことになります。そのときは資金運用部等、或いはそのほかのほうからも資金の斡旋をするということで実情に即したものを出したいと、いうことは繰返して申しておる通りであります。四十五億の農業保険の分につきましては、これは農林中金等でこれは手配をいたしまして、又農林中金は丁度今だんだん金の受入期ございますので、これは資金措置が十分とれますので、融資等措置を講ずる所存である。これは何ら手違いを生ずるということはありません。があとの問題につきましては、これはよく実情について考えました上で農林当局ともよく打合せの上でないと……私から農業手形がどうなつているかというようなことは、これは実は農林当局の報告に基いていろいろ考える次第でございますので、農林当局から相談を受けましたら、よく実情を取調べまして処理するようにいたしたいと考えております。
  98. 松浦定義

    ○松浦定義君 最後に大蔵大臣にお尋ねいたしますが、農業共済保険金に対しましての課税を従来行なつておるのでありますが、今回の災害実情に即しまして特例を以てこれを免税措置を講ずるべきである、かように考えておりますが、この点についてはどのようにお考えになつておりますか。
  99. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 収入が減つて参りますから、実際問題としては余り税の問題は起らんのじやないかとこう思いますが、特例については法律は実は出しておりません。
  100. 松浦定義

    ○松浦定義君 重ねてこの問題は再開いたしますが、従来農家の課税はこうしたものまで加算をいたしまして、累進的な税が出て参つておるのでありますが、折角こうした特例的な措置というようなことで若しこれが十二分に農家の収入に役立つようなものとなるといたしましても、その大半が課税の対象として差引かれ、更にその他によつて受けておりまする農家の収入にこれが加算されることによりまして、非常な課税の対象が殖えるわけでありますが、こういう点につきましては、今後一つ十分な御検討を願いたい、かように考えるのであります。  続いて建設大臣にお尋ねいたしたいと思いまするが、累積いたしまする今次災害の復旧につきましては、なかなか容易なものでないということは、従来からもいろいろ御説明にもなつておりまするし、名委員からの御質問に対しましてもそういうような御意見が出ておるようであります。特にまあ最近の第十三号台風によりまする三重、或いは愛知両県下等におきまする高潮による海岸堤防の決壊等の被害というものは、今日なお見るに忍びない惨状を呈しておるのが実情であります。政府は初年度三の割合で適切なる工事の施行ができる、或いは来年度再生産等に対する応急並びに恒久的対策として万全が期せられるとお考えになつておるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  101. 青木一男

    委員長青木一男君) 建設大臣は病気でございますから、政務次官より答弁いたします。
  102. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。台風十三号によりまして愛知県や三市県並びに福岡県が受けました災害は、御承知通り総計約二百億を超過するような損害でございます。この復旧につきましては、大体三カ年計画を以て進んでおりまして、本年度におきましては、只今審議をお願いしておりまする予算にも相当、十四、五億ございまするし、更に工事の進捗状態によりまして、只今大蔵大臣からお話がありましたように、それ以上経費を必要とするものにつきましては、融資等の方法によりまして大体来年の三月までには約二割五分から三割程度補助をやつて参るつもりでおります。で、御承知通り、愛知、三重等につきましては、建設省と公共団体との間に話をいたしまして、工事量の約六割近いものを建設省が委託によつて工事をする、残り四割は三重、愛知、静岡等の県が直接これをやるというようなことにいたしまして、目下盛んにその処置を進めておるような状態であります。で、これがために、すでに御審議をお願いいたしましたように、中部地建におきまして海岸堤防に関係する特別の部を設けまして、これが衝に当らせるというように参つております。大体必要な程度経費も大蔵省あたりの協力によりまして本年度は十分に見通しを立てておりますので、一年計画の下に所期通り工事が進捗するものと考えておるような次第であります。
  103. 松浦定義

    ○松浦定義君 只今次官の御説明によりますと、二割五分乃至は三割というようなお話でありますが、この点我々は三割が当然であるというふうに考えておりますので、この点を一つ明確にして頂きたいと思いますことと、更に現在過年度災害が四百四十五億も残つておるというようなことから考えまして、これらに対しましては、一般的ないろいろな事情等もあるでありましようが、特に今度の冷害地帯におきましては、救農土木工事というものを起す必要があるというので、これらに対しましてはいろいろ御検討になつておるようでありまするが、この救農土木工事の性格に最も適し得るような工事が、各市町村段階或いは府県段階等にありまするなら、は、この過年度災害も合せてこの際少しでも救農の意義に即しますように工事の進捗を図られる意思があるかないか、それを一つ伺いたいと思います。
  104. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。先ほどの十三号台風によりまする愛知、三重、静岡の本年度工事の見込額でございますが、鋭意やつておりまするから、場合によりましては、部分的に考えますると三割以上行く所もございましようし、又それ以下になる所も出て参ると思うのであります。要するに、一生懸命にやりまして、工事の進捗状態に応じまして、必要経費は、大蔵大臣もここで言明、しておいでになりまするように、現地側に御迷惑をかけないようにやつて下さるというので、大体三割見当を目標といたしまして本年度工事を進めておる、こう申上げたのであります。なお、冷についての建設省所管につきましては、御承知通り、本年度は十億の経費予算補正に計上されております。大体の見込みは、河川関係五億、道路関係五億ということになつておりまするが、只今御腰間ありましたように、過年度災害につきましても、本当に救農の目的を注し得られるような仕事につきましては、過年度災害の申から拾いましてその仕事をやつて参るという方針を立てまして、只今関係公共団体とそれぞれ連絡をとつておるという状態でございます。
  105. 江田三郎

    ○江田三郎君 先ほどの政務次官のお答えの中には、二割五分乃至三割という言葉が出ておるわけで、これは今それをちよつと弁明しておられましたけれども、私はこれはちよつと簡単な問題じやないと思うのです。大体昨日同僚の小林議員から大蔵大臣に尋ねたときにも、どうもあとの復旧事業の進行に伴い、その必要に応じというところで非常にあいまいな答弁をしておられました。災害復旧は仮に国庫負担分は千五百六十五億としても、三割では実は足らないわけです。ただ、これを我我としては一応三党協定で三・五・二というものが出ておるから、一応三割というものを百認めておるけれども、その三側が更に減るのじやないかというようなことがいろいろ言われておるわけなんです。そこで、小林委員があなたにお尋ねしたときに、あなたの御答弁も何かあいまい模糊としておるわけなんで、この文章を、小林君がいうように、率直に読むと、三割は基準として認める、その三割の出し方が、事業の進行に伴つて瞬間的に、どう配分されるかということがわからんというだけであつて、三割ということははつきりしておると思う。それが今の政務次官の答弁のように、二割五分乃至三割ということが出て来ると、もう一遍我々は疑いを深くしなければならんので、どうなるか非常に心配になつて来る。ここをはつきりして頂きたい。三割は出すのだ、但しその出し方は事業の進行に伴つてその必要に応じて時間的にいろいろ違つて来るのだ、年度内には三割は全部出るのだ、この文章を読むとそうしか読めない。それを大蔵大臣も政務次官も、何か聞いておると、怪しげに答弁しておられるので、これをはつきり答弁して頂きたい。
  106. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは昨日も申しました通り、残余と言われる百五十七億は復旧の進行に伴つて出すのであります。その必要に応じてということは、その必要に応じて出すのであります。実情調査の上、これは実情を調査して出すのでありまして、従つてこの文章そのまま読みまして私どもは三を基準としてこの何をお出しすることに努めるけれども、併し必要が起らんと思つていたものが起つて来るものもありましようし、実情を調査の上、もう少しまだ仕手が遅れていいものも出て参りましよう。復旧事業の進行の程度の問題もありましよう。いろいろ時期の問題もありまするから、従つて私の申しておるのは、百五十七億は最高限で、ここまでは運用部資金などより融資するということを申しておるのであります。
  107. 江田三郎

    ○江田三郎君 必要に応じ……、進行に伴いはいいですね。そうして問題になるのは必要に応じて実情調査の上というのだけれども、必要に応じは三割では足らんというのが水害対策特別委員会の結論じやないですか。三割じや困る。もつと出してくれなければならんかというのを、あなたがたはそれを五割に抑えようとしておるのであつて、三割以上の必要はあつて、三側以下にとまつてもいいというような必要に応じてという条件は出て来ないはずです。少くとも風水害対策委員会で論議されておるところ、或いは本委員会で論議されておるところでは、これを三割を割つてもいいというような必要に応じてという条件は全然ないものと見なければならん。実情調査の上というのは、これは一つも弁明にならんと思います。事業の三側を出すということがきまつて、進行に伴つてというのは時間的な問題、必要に応じては、誰でもそれ以上の必要に応じは認めるけれども、それ以下でいいという必要に応じは誰も認めないのだから、これは必要に応じ三割を出す。但しこの時間的に、十二月は幾ら、一月は幾ら、二月は幾らはわからんが、三月までには三割くらい出すのだということをはつきりとおつしやつて頂きたいと思います。これは建設委員会で聞きましても、仮に三割出てどれだけのことができるかというと、せいぜい川の堤防の切れたのが直るのだ、或いは道に石ころが来ているやつをそれをのけるのだ、或いは海岸堤防もあやしげなものしかできない。ひよつとするとこれもできないかも知れない。三割じや非常にあぶない。ごまかす必要はない、ごまかす条件は又ないと思います。
  108. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは何らごまかすのじやなくて、私どもはこれが最高限だと言つておるので、最高限必要に応じて実情調査の上必要ならばそれは出すのです。併しそれが最高限の事業の進行上、復旧の進行がそこまで行つておるかどうか実情を調査してみなければわからんので、最高限はそこまでと申しておるのであります。
  109. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連質問はその程度でとどめておいて下さい。松浦君。
  110. 江田三郎

    ○江田三郎君 一言、もう一つはつきり……これははつきりして下さい。今私のような進行に伴う時間的な問題、三割は出すのだそれが十二月に何ぼになり、二月に何ぼ、三月に何ぼということはわからんが、トータルにおいては三割出すんだというようなことは、この幸ではそうしか読めないじやないか。何でそれをこまかすのだ。
  111. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私はさように読みません。
  112. 松浦定義

    ○松浦定義君 今いろいろ江田委員から御指摘になつております。ように、まあ建設政務次官は二割五分乃至三割というのを、三割五分を取消して、三割と、こういうふうに私のほうは了承して差支えないか、この点だけお伺いしておきます。
  113. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。三割で結構でございます。
  114. 松浦定義

    ○松浦定義君 次に建設省が実施されております国土総合開発促進のための産業開発青年隊というものが昨年から発足をいたしておるように聞いております。恐らくこの正体なるものは、いろいろ批判も出て参つておりまするが、まあその問題は別といたしまして、災害地におきまする青年対策として、これらの行年隊というものをどういうふうに運用をしようとお考えになつておるのか、全然そういうことは考えていないというのでありますか。その点につきましていろいろお伺いいたしたい点がありまするので、先ず大体におき議して現在考えておられまする、或いは実行しておられまするところの本隊の特別方針予算措置等につきまして詳細な御説明を願いたいと思います。
  115. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。只今御質問ございました開発青年隊は昨年から予算に計上せられておりまして、これは土木事業に活躍するという意向を以てやつておるのでございまして、現在一道十県に亘つて二十キヤンプ、総隊員約五百名ほどで、昼間は建設工事に従事しておりまして、夜間は技術を中心とした教育を実地に各地にやつておりまして、相当好成績を上げておることは御承知通りでございます。でこの青年隊を救農土木事業に活用する又したいというのも建設当局の希望でございまして、今後この線に沿つて十分努力いたしまして、救農事業等にこれを活用して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  116. 松浦定義

    ○松浦定義君 今お伺いいたしますと一道十県、合せて五百名、一キヤンプ二十五名といつたようなそういう方針で以ておやりになつておるように考えますが、恐らく青年隊という名を使う上におきましては、全国の青年、恐らく数百万を擁すると思うのでありますが、僅かにこの程度のものを以ていたしまして、青年隊と名を打つて、これが政府がやつておる事業として、而も全国の数百万に及ぶ青年の全体に対して全然こういう内容を知らしめない、中にはいろいろな形でこれが促進されるということは、今一面から非難されておりますこの青年隊は、或いは例えば電源開発とか或いは又主要道路等に使用される場合におきましては、これが再軍備等との関連があるとかなんとかというような批判も出ておるのであります。そういうことの起る中に、私はこの際、今次官がお話になりましたように、災害地帯を中心といたしましたる農村二、三男の対策としては、こうしたものをもつと拡充強化いたしまして、青年が自主的に燃え上るところの百年隊を以ちまして、そうして私の考えといたしましては、これが食糧増産或いは開発、入植とか、土地改良、こうしたような方面に運用されるような一方向に変えられるべきが至当だと、かように考えるのでありますが、大体今の次官のお話ですと、そういうようにありたいというような御意見でありまするから、そうするといたしまするならば、恐らく現在のような少額な予算では到底これは実現不可能だと思いますが、本年度どの程度の拡充的な予算措置を講じようとしておられますのか。更に、又大蔵大臣はこういう問題について、積極的にこの際冷害地帯の農村の二、三男を対象として多くは将来は全国の二、三男の問題解消運動。人口過剰に対する解消運動を進めるための予算は適当な措置を講ずると、こういうようなお考えであるか、この点を伺いたいと思います。
  117. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。この青年隊の効果につきましては、最近漸く注目され始め、且つ非常に役立つておることは非常に私たちも喜んでおる次第であります。御趣旨のようにそういう農村における二、三男対策或いは過剰人口の一つのこなし方というふうに考えて参りますると現在の予算は仰せの通り誠に過少で、ございまして、二十九年度予算といたしまして建設当局といたしましても、この方面にもつと力を入れまして、現在挙つている効果をもつと強く推進させて行きたい、こういうふうに考えまして、財務当局にはすでに或る程度予算折衝を開始しておるような状態でございます。
  118. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 人口問題の解決上二、三男対策は特に必要であることは誠に御同感でございます。これについてはほかの財政問題もございますので、よく検討いたします。
  119. 松浦定義

    ○松浦定義君 農林大臣がまだお見えになつておらないようでありますので、厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。先ほど高橋委員からもいろいろ詳細な御質問がありましたし、お答えがあつたようでありますが、戦死者に対するところの一時金の公債は政府が必要に応じまして買上げをなされておるようであり、従つて予算は昨年が二十億、本年が三十億といつたように計上されているようでありまするが、この際冷害地帯におきまして、これら該当者に対しましては優先的に買上げを行うようなお考えがあるかどうか、この点をお伺いいたします。
  120. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) 御指摘の通り遺族国庫債券は本年度は三十億、昨年度は二十億でありまして、昨年度の二十億はもうすでに勿論買上げをいたしております。本年度のうち大体二十五億ほど今買上げをいたしておりますが先般の風水害に対しては三億四千六百万円買入をいたしておるのであります。冷害地の問題に対しましては、まだ本当は生活保護の関係等も実情がつまびらかでありません。今回の補正予算では七億取つておりますが、まだこの三十億のうち若干残つておりまするから、御指摘の点もありまするから、今後これらの点を実情を調査して善処をいたしたいと思つております。  なお、申添えておきまするが、風水害等の罹災者に対しましては従来の買上げの基準を緩めまして、従来は厳格に生活保護法にかかりますものに対して買上げをいたしておりましたが、その点は若干緩めまして適用いたしております。冷害地に対しましてもそれらの点を勘案いたしまして善処いたしたいと考えております。
  121. 松浦定義

    ○松浦定義君 更に冷害地におきましても、生活困窮によりまして、止むを得ず最後の手段として人身売買等が行われるのは午前にもいろいろお話があつたようであります。従来におきましてもそうでありましたが、特に本年はこの問題が非常に深刻なものが出て参ると思うのであります。従いまして現在特に基地附近におきまするところの風紀の紊乱と申しまするか、これらは非常に目に余るものがありまして、基地を取巻く農村の青年は、非常に婦女子に対して冷やかな眼を以て見ている。そういうことが農村におきまする将来の農業経営、或いは又いろいろな問題について問題になつて参ると思います。従いまして厚生省といたしましては、従来でありますると娘たちが売られて参りまするのは、親孝行といつたような感覚で出て参つたのでありますが、最近は先ほどの法務大臣のお話がありましたように、五〇%までが自発的に出て行くといつたようなことから考えまして、未然にこれを防止するといつたような点についての何かお考えがありまするか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  122. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) この点は従来とも、今回の風水害冷害によりまする災害のありまする以前から心配をいたしておりまする点でございまして、例えば基地の問題等につきましては、これはなかなか底の深い問題であります。単に人身売買に関する一片の法律を以て禁止しましてもなかなかできない問題でありますから、これはいろいろな面からこの問題を解決いたしたい。例えば児童に対しましては、これは本年度も既定予算の中から主としてこの基地附近の児童に対する措置を講じて参つております。例えば保育所を作りますとか、或いはその他の児童に対する措置予算を取つて参りまして、この基地附近だけでも本年度は大体十八、九カ所そういう意味の保育所を設けております。なお又これは単に児童に対する教育だけではなくて、いわゆる成人教育と申しますか、そういう面で児童に対する考え方、いわゆる成人の側におけると申しますか、措置も必要でありまするから、これに対しても婦人会を中心にいたし、或いはその他のいろいろな機関を中心にしてそういう面からこの面の解決を図つて行く。なお又御承知通りこれは主として駐留軍との願係でございまするから、日米合同委員会の末端である地方の連絡協議会等が主としてこの問題を取上げていろいろな面において解決を図つておりますことは御承知通りであります。なお又一面、そういうふうな特殊婦人に対しましてはいろいろな価からその更生を図り、或いは又それらの婦人の自覚を促して参つておりまするが、例えばこの更生施設は只今十七カ所ありますが、来年度においてはこの数を殖やしたいと思つております。但しこれらの方策だけではなかなか行きませんので、問題は只今の御指摘の冷害地等におきましては今後こういうふうな人身売買の懸念も濃化いたしますから、先ず以て例えば農林或いは建設、これらの血におきまして救農事業を起しますとか、そういうふうな方面においてできるだけいわゆる救貧の対策をとる。なお青少年問題協議会等においてもこの問題を大きく取上げておりまするから、或いは又我々のほうでは民生委員とか或いは児童委員等の全国的の活動を促して、これらの問題を解決するとか、あらゆる面からこういうような問題を解決して行きたい。殊に人身売買につきましては、午前中法務大臣も答えられたのでありますが、悪質ブローカーに対する取締りを今後強化する。法務大臣も大体ルートがわかつておるというお話でございまするが、只今申上げましたようないろいろな文教の面、或いは施設の面、或いは又そういう悪質者に対する措置等各方面の両々相待つてお説のような対策を図つて行きたいと考えます。
  123. 松浦定義

    ○松浦定義君 次に文部大臣にちよつとお伺いいたしますが、学校給食の問題で午前中も御答弁ありましたが、特に冷害地、北海道或いは東北のごとき非常に積雪が多く、冬期零下三十度以下に下るといつたようなそういう地帯におきましては、同じ給食でありましても特別な給食の必要があると思うのでありまするが、この際そうした面について詳細な御計画等がありましたら御教示願いたいと思います。
  124. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 冷害地に対する学校給食のことにつきましては、午前中大体申上げた通りでありますが、文部省として考えておりますのは、ミルクについては何か特殊の方法を講じてこれを無償で配付することにいたしたい。それから小麦、麦でありまするが、これにつきましてはでき得れば無償で配付することといたしたいという気持で関係の方面と折衝しておりますけれども、これは見通しとして実は相当むずかしいように思われます。それからそのほかに午前中に申上げましたように、給食をしたいけれども、給食設備のないためにそれができないということが相当あるようでありまするから、給食設備について助成をしたい。無償で一般的に学校給食をするということが若しできない場合におきましては、生活保護費として今回の補正予算に厚生省において七億円の経費を計上されておりまして、その中に約四千万円が学校関係のほうの費用となつております。これは一般的な欠食児童、或いは殊にもつと範囲を拡げた給食ということにはなりませんけれども、大体欠食児童とそれから生活の保護を受けなければならん困つている家庭の児童、これは大体重り合うことが多いのでありますから、この厚生省によつて計上せられておりますこれによりまして、貧しい家庭の、つまり生活保護を受けておる家庭の児童に対しましては、大体その父兄の負担なしに給食ができる、こういうふうに考えております。
  125. 松浦定義

    ○松浦定義君 農林大臣は…。
  126. 青木一男

    委員長青木一男君) 農林大臣は農林委員会に出ておりますから……。
  127. 松浦定義

    ○松浦定義君 保留いたします。
  128. 青木一男

    委員長青木一男君) 保留を認めます。
  129. 千田正

    ○千田正君 農林大臣はまだ見えないのですか。
  130. 青木一男

    委員長青木一男君) 農林委員会に出ておりまして……。
  131. 千田正

    ○千田正君 それじや大蔵大臣にお尋ねいたします。災害冷害対策につきましては同僚議員からいろいろお尋ねがありまして、それぞれのお答えを得ておりますのですが、今朝の新聞によりまするというと、昨日衆議院におきまして食糧庁の次官が自家保有米に対して担保融資の方策をとつてもいい。そういう融資をするような通達の準備をしておる、こういうことを新聞で発表されておりまするが、果してこの自家保有米に対するところの担保融資に対する大蔵省としての考え方はどうなつておるか、その点を一応先ずお伺いしておきたいと思います。
  132. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちよつと農林大臣おりませんのでまだ私はつきり協議しておりませんから……。
  133. 千田正

    ○千田正君 それでは農林大臣が来られてから更にお伺いいたします。特に大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、この本国会は勿論救農国会として冷害災害対策を慎重審議をすることになつております。一応外貨予算についてのお考えを伺いたいと思うのであります。昭和二十七年度一月から六月の輸出額は七億三千二百万ドル、ところが本年の同期におけるところの輸出額は五億五千七百万ドルに過ぎないような状態になつておる。殊にポンド地域への輸出は昨年度は一月から六月までは三億八千万ドル、本年の同期間の輸出は僅かに一億五千万ドルに減少して来たのであります。逆に輸入は昨年の一月―六月の輸入の総額八億二千三百万ドルに比して本年は同じ期間の輸入は十億四千九百万ドルに上つておる状況であります。昭和二十七年度の一月六月は三億二千四百万ドルの受超に対して本年同期は一億三千九百万ドルの払い超過である。このような外貨収支のバランスは悪化の一路を辿つておる状態であつて一体政府のほうとしましては、この貿易政策を新たに転換しなかつたならば、日本のいわゆるインフレ抑止ということはでき得ない。こういう問題に対しまして外貨予算並びにその運用について大蔵大臣はどういうふうな所信を持つておられまするか、その点を明らかにして頂きたいと思います。
  134. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 外貨予算につきましては、それぞれ年初においても計画を立てますが、この頃は多少事情の変更によりまして毎月一度づつその調整等を行なつております。大体から申しまして今千田さんお話のごとくにポンドが一番逆調にあるのであります。ところでボンドはもとの日英支払協定によりますと、ポンド地域に対して大体前年度は非常にポンド関係はよかつたものですから、輸入は二億三千万ポンドほど、それからこちらから出すのは一億九千数百万ポンド、そういう工合の協定ができておりましたが、その後なかなか思う任せません。従いましてポンドの輸入状況が非常に思わしく行つておりません。大体におきましてこの上期は非常に成績が悪かつたので、絶えず向うに、全イギリスのポンド地域の領域に向いまして、できるだけ日本の輸入制限等や関税措置等をいたしておりますので、そういう措置を解くようにという交渉をやつております。今も日英支払いにつきましては絶えず話を進めておるのでございますが、なかなか思うように参つておりません。ただ最近やや上期に比べますると持直つております。全体から見まして本年は大体食糧等の輸入が相当増加いたしまするので、先ず只今の見込みではいわゆる貿易外の特需その他を含めて各種の受取勘定を皆加えまして差引き八千万ドル見当の赤字になるのじやないかとかように考えておる次第であります。それで一方には食糧その他のもの或いは原材料は必要なものはこれは何といたしましても、綿花その他各種の原材料等はこれは十分調達しなければなりませんので、さような措置をとつておりまするが、他方できるだけなくて済む不用不急品殊に奢侈品の輸入は最近非常に抑圧しておるのであります。これは御承知でもございましようが、高級自動車とか外国製日用品、殊に外国製日用品等は殆んど割当てをいたしておりません。ただよく言われるのは、それでもバナナが入つて来たりいろいろなものが来るじやないかと言われるのでありますが、実はそれは向うとの貿易関係でもうそれ以外に取る品物がないものがございます。そんなことでお互いに協定品目の中に入つておるものに若干そういうものがございますけれども、それ以外には現に奢侈的なもの、不用不急品の輸入は抑圧しておる、こういう次第でございます。日本貿易の全体を直すためにはこれは千田さん御承知のように非常に何と言つても早く、外交関係の設定が最初に来ますので、これは過日来外務大臣が南の地方一帯を廻つて参りまして、これらもいろいろ手がかりとなつて今後はまあ賠償問題等が一つの手がかりとなつて、まあ通常な貿易外交関係が結ばれるようになつて来るだろうと考えております。併し一方国内では何と申しましても、でき得るだけ国内の品物を安く造る、即ち生産コストを下げることが必要なので、これは一時に急速に参りませんから、基幹産業等には相当大幅の財政投融資を行いますると共に、産業の合現化近代化を行うために昨年も約五千万ドルほど優良機械等を入れましたが、そういうことについては引続きこれを怠らずやつて行くつもりであります。火力発電機械の輸入などもこれは来年でなければ入りませんが、その一つの現われであります。今後ともこれにつきましては全力を尽して参りたい。そうやつてできるだけ早くいわゆる正常貿易だけでやつて参りたいと考えておるのでありますが、これはなかなか容易なことではございません。なおいわゆる特需その他の受取勘定というものから見ますると、これは現在のところ二十九年度も二十八年度も、二十七年度より減少することはない、二十八年度は二十七年度より殖えるのじやないかと思つております。二十九年度も減少するとは思つておりませんが、併しこういうものに依存しては困るので、その点からあくまで正常貿易中心の考え方ですべての対策を立てて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  135. 千田正

    ○千田正君 上期において輸出入銀行の資金が二百億だぶついておる。こういうような状況であつたのでありますが、そういう方面の手続をもう少し合理化をして、そうして東南アジア方面の。ポンド・エリヤに対する輸出、その他に対するコスト高を或る程度緩和しつつ、この輸出入銀行は折角輸出入のために作つておるのでありますから、この資金の運用の仕方について合理化して、できるだけやれるような一体方策を大蔵大臣考えておられるかどうかということと、先般国会からでありますが、中共に議員の諸君が視察に行つて参りまして、向うでいわゆる三千万ポンドの仮契約をして来た。昨年度における状況を見ましても大体中共貿易というものは殆んど香港、上海の銀行その他英国系の銀行で操作されておるのであります。折角そういう新らしい途も開けたのでありますから、日本の金融機関もそういう面に門戸を開いてもいいのではないか、我々はそう考えるのですが、大蔵大臣のお考えはどうでありますか。
  136. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 輸出入銀行につきましては、千田さんも御承知のようにその後金利の引下げを行いまして相当活発に動くような措置をとつております。それと前議会の協賛を経まして海外に対する投資もできることに相成つております。これは例えば機械等を輸出しました場合、向うに相当長期に亘つて投資等ができることになつておりますから、今後は相当活溌にこれが働けるものと私は期待いたしておる次第でございます。なお金利の引下げのほうは、相当業者のほうに対して刺激的に相成つておることは各方面から私は聞いておるわけでございます。中共貿易について今為替銀行の話が出ておりましたが、大体実は日本は今専門の為替銀行を持つておりません。この点は昔はやはり為替銀行があつて、これは正金銀行をはじめとしていろいろ為替銀行がありまして、相当活躍したのでありますから、日本もやはり為替専門銀行が要るのではないか、但し一行とは申しません。数行の為替専門銀行が要るのではないかという点から、実は通常国会等にはそういつた丁度長期信用金庫というような専門の為替銀行法というものを出すようにしたらどうかということを一つ検討いたしております。そういうことで為替の方面で国際的に外の国と同じような立場で行けるようにしたらどうか、一言換えれば今日では多少今のところ外貨を持つております。来年度も私は同様の外貨は持てるのじやないかと一応見通されますので、その際にそういつた将来に対する措置をとることがいいのじやないかと思つておりますが、大体通常国会には為替専門銀行等について御審議を願う運びにいたしたいと考えておる次第でございます。
  137. 千田正

    ○千田正君 農林大臣が見えてから農林関係をお尋ねいたすことにして……。
  138. 青木一男

    委員長青木一男君) 只今見えました農林大臣の御質問なり前の松浦委員の留保を認めておりますから…。
  139. 松浦定義

    ○松浦定義君 農林大臣にお伺いいたしますが、食糧問題の重要性は今日始まつたものではありませんの外れ我が国の食糧不足の実情からいたしまして、非常な重要な問題であるのであります。終戦後五次に亘る吉田内閣は毎年毎年同じようなことを繰返して、少しも私は解決も進歩もしていない、かように思うのであります。輸入は増大するために七百億以上の補給金を支出をいたしております。現在は低米価で非常に農民は農奴的な犠牲を強いられておる。併し本年のようにこうした冷害、つまりこれは天災であると、かようなふうに考えることは私は当らないと思う。従つて若しこれが天災であるとお考えでありまするならば、この際吉田内閣が今日までとつて参りました治山治水或いは農業政策、特に食糧の自給対策についてどのような成果を挙げて来られましたか、この点について御方針を承わりたいと思うのであります。
  140. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 食糧増産の必要なゆえんはひとり吉田内閣のみならず、これは今日終戦以来日本の全国民の要請になつておると思います。そこで領土を失つて狭隘なる国土の上に多数の国民が将来立つて行く、多々ますます増加して行く国民の食糧を確保して行くためには、相当大がかりな食糧増産をやらなければならんのじやないか。そういうことで増産計画は今日進行を或る程度しておるわけであります。それがまだ一向実を結ばんじやないか、私は必ずしもそうは思わないのでございまして、若し今年相次ぐ災害或いは冷害なかりせば、相当の効果を納め挙げておると思うのであります。不幸にして今年は災害に次ぐ災害、最後に十三号台風というような徹底的な不幸な事態が起りまして、凶作を見ておるわけであります。併し政府といたしましては、どこまでもこの食糧自給度を高めて行くと同時に、食生活の改憲によつて米食偏重の食生活を粉食も取入れて、合理的な改善を行なつて行くということに従来尽くして参つて来ております。今年のような凶作を迎えまして、更にその切実なことを考えております。今後とも食糧増産、食生活改善には努力を払つて参るつもりであります。併し如何せん、どうもこれは松浦さんに余計なことを申上げるまでもなく、相当辛抱強くこの計画は進めて行かなければならんということを特にこれは御了解願いたいと思います。
  141. 松浦定義

    ○松浦定義君 大臣は今年のような冷害がなかりせばというお話でありますが、今年のような災害は、これはもう大なり小なり再々繰返されておるのでありまして、そういうために、私は天災でなく或いは人災だ、政災だという非難を受けておると思いますので、こういう点も十分一つ御検討願いたいと思うのであります。なお、今次の冷害による被害農家は、救農土木工事の実施によりまして、来年度の再生産資金を確保しなければならないのでありますのに、現在今雪を目前に見ておりまする地帯におきまする農家は、その工事がいつ着手されるか、或いは又どのような仕事が決定されるかということについて、非常に不安の念を抱いておるのでありませが、この工事の着手の時期はいつ頃であるか、更に又非常に着工が遅れますので、恐らくこの工事の完了は年度を繰越さざるを得ないと考えるのでありますが、この点についてもどういうような御見解に立つて工事を進めようとされるのか、お伺いしたいと思います。
  142. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) これは松浦委員お話通り、とにかくできるだけ速かに被害の激しい地帯の農家のために現金収入の手段を講じなければならない。私はここで特にお願いいたしたいのは、町村長はよほどふん張つてもらいたいということをお願いいたしておるわけであります。農林省といたしましては、冷害対策班を作りまして各県庁と連絡をすでにとつております。できるだけこの事業の予算が執行できるようになりましたならば、すぐにでも始めてもらいたい。そうして先ほども申上げましたように、極端に申しますれば、道路等の人力でやれる仕事をその村は村でやつてもらいたい、できるだけ労賃収入にそれが転化して行くようにやつて頂きたいという趣意で指導いたしておるわけであります。私どものほうといたしましては、これを上のほうで至上的な計画を立てて押付けるというようなやり方でなしに、村のほうから、一つ地元のほうから計画を立てて押上げて来てもらいたい。予算の配分も今月中にはいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。更にそういう積雪単作地帯が多うございますから、どうしても雪を被つてそれで用仕事ができない。どうしても翌年に繰越さざるを得ないという場合も、これは必ず起きると思います。予算措置にいたしましても、来年引続いてそれが使われるように繰越明許のお願いをいたしておるわけであります。これはさように御了承願いたいと思います。
  143. 松浦定義

    ○松浦定義君 先ほど大臣は米食偏重を是正いたしまして、粉食を奨励したいというお話でありましたが、この線に副いますると、現在政府は食糧不足というものに名を借りてか、人造米の製造に吉田首相みずから先頭に立つておられるような感を呈した奨励方式をとられようとしておるのでありますが、聞くところによりますと、閣議ではその育成要綱等が決定をしたというふうに聞いておりますが、その要綱なるものの全貌と、更にこの製造機の使用に対しまする特許権借上料年間二千五百万円というようなことも聞いておるのでありますが、こういうような点について一つ詳細な御説明を願いたいと思います。
  144. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 人造米につきましては、随分これは批判も多うございます。私は就任いたしましてから、我々国民が如何に無駄な外国米に多くの経済力を消費しているかということを第一番に痛感したのであります。たまたま食糧庁で人造米の研究も相当進んでおるという話を聞きまして、私自身いろいろ作られているその現物を試食をいたし、私のこういうところで失礼でございますけれども、家族並びに近い者にも実際使つてもらつてどうであるか、結構だというように私自身考えましたので、本来申しますれば、如何にもこう凶作対策の苦しまぎれの邪道だというように見えるかも存じませんけれども、私としましては、とにかく外米というものは相当無駄だ、何とかこの外米を節約して行く方策をとつて行かなければならない。それには無論申上げるまでもなく麦を多くのかたがたに愛好をして頂くということにならなければ、米の供給力というものは幾ら食糧増産とがんばつて見ましても、おのずから限度があるわけでございます。麦が原形のままで用いて頂くということは最も望ましいことでありますが、それもかなわなければ、粉食或いは。パンなりうどんなりにして愛好して頂く。それでも併し人造米の関係を見ますると、市中に必ずしも上等でないものも相当数、今日の消費者の一面闇米価の高騰等によりまして、家庭の食生活の非常に困難なところを物語つているわけでもありますけれども、人造米も消費をされておる。私といたしましてはそういう実際の消費家庭の台所の上に立つて、そういう人造米でも召上るというようなかたにもう少し品質をよくして、そうして価格ももう少し勉強できる手段がないものかということを考えたわけでございます。そこで障害になつているのは特許権である。特許権の実施である。それが非常に障害になつておるようでございますから、それがとにかく国民の好き嫌いもありますから、どなたこなたというわけには参りませんけれども、人造米でも食べようというかたも相当あるわけでございますから、そういう主食の代りに用いられる家庭のことも考えれば、そういうことで障害になつておるなら、その障害を除去しなければいかんじやないかということで、特許権の問題は今松浦委員お話通り、食糧庁でいろいろ苦労いたしまして、年間二千五百万で借上げる、そうしてややこしくなつております実施権とかいうものを千二百五十万円で補償するというような措置をとつて、一応その面における障害を解消して、同時に農林物資規格でございますか、品質の検査をいたしまして、そうしてそれが市中にできるだけ安く、そうして上質のものが出廻る、それを消費して頂けばそれも結構、こういうふうな窮屈な際でございますから、それも結構だというふうに持つて行きたいというふうに考えておるわけでございます。まあ食糧の政策の本筋といたしましてはどこまでも麦の原形のまま、或いは第一次加工と申しますか、押麦等によつて消費せられることが第一に願わしきことであり、第二は無論粉食でございますけれども、粉食はどうしても昨日来も問題がございましたバターの問題にすぐぶち当る、そういう乳製品でありますので、畜産振興と相待つて漸次普及を強力にやつて行かなければならん、こういうふうに考えております。
  145. 松浦定義

    ○松浦定義君 多額の資金の斡旋或いは又利子の問題についてもいろいろお考えになつておるようでありますが、これは結果的に見まして、若し来年豊作になりますと、こういうものは国民は希望しない。従つてこの責任は政府にあるという意味合から、利子の補給等の、ごとき問題が出て参ると思いますので、こういうことにつきましても今から十分御配属をして預けることのほうがいいのじやないかと、かように考えておるのであります。なお、災害補償法によりますると保険金の支払が非常に遅れておる。従つて何とか前渡金の形で半額でも至急出してもらいたいという要望が出ておりますが、この点についてお伺いいたします。同時に農薬につきましては畑作地帯の農作物は補助の対象になつておらないのでありますが、本年の実情から考えまして、畑作地帯の農薬に対しましても、米麦同様な措置が当然だと考えられますが、この点についてお伺いいたします。
  146. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 人造米の事後処置につきましては、十分注意をいたして参りたいと思います。農業共済保険の支払につきましては大水害から風水害に至ります分は十一月中には概算払を終りたい、水稲災害に関しましては只今損害評価を急いでもらつておりますが、できるだけ岐阜以東の早場地帯は十二月中に支払を終るように、以西の西日本関係は遅くも旧正月までには、支払を終るように只今努力いたしております。できるであろうと思つております。農薬関係は御承知のように米麦のような非常な伝染力の強いと申しますか、そういうところに只今実施をいたしておるわけでございます。畑作につきましても例えば大豆の黒痘病でございますとか、そういう伝染性のひどいものにつきましてはいささかの助成金を考えておるわけでございます。これは今後まだ十分研究して行かなければならんと思つております。
  147. 松浦定義

    ○松浦定義君 最後にもう一点だけお伺いいたしたいと思いまするが、食糧の増産が国家的に重要な問題であるということは、これは申すまでもないのでありまして、あらゆる災害を未然に防ぐということが、これが大きな一つの政府に責任がある問題だと思うのであります。従いましてこうした問題を未然に防ぐ処置としては、現在あらゆる研究機関、即ち各種の農林漁業等におきます試験研究機関だと思うのでありまするが、政府はこれらの機関に対しまして現在万全な処置を講じておると考えておられるのかどうか。我々が今回各地を見ました場合におきましては、口を揃えて試験場関係におられる諸君はもう少し予算があつたらというようなことを痛切に言つておられるのであります。さような意味合いから、今後これらに対しましては十分に一つ予算措置を話せられまして拡充強化いたして頂きたい。現在の予算がありますると、五千数百万くらいの程度しか見ていないのでありますが、これらは全く二階から目薬的なものだとかように考えますので、この点を特にお伺いいたしたいと思います。と同時に、今回私どもが東北を廻り、更に又大臣もお廻りになつて痛切にお感じになつたと思いますが、今回の冷害最小限度に食いとめた、その実績の顕著なものが私は一つあると思うのであります。即ち東北の各地で栽培されておりますところの藤坂五号という有料品種があるのでありますが、若し本年この品種が現存していなかつたということを考えまするならば、恐らく東北一帯の被害というものは一層深刻なものがあつたのじやなかろうかと、かように考えておるのであります。青森県の農業試験場藤坂試験地におきまして、昭和十八年以来から研究を続けて参つておるのであります。現在青森県下だけでも約二百万町歩を作付いたしておりまして、岩手その他を合せまするならば相当な面積になつておるのであります。従つて、この品種の改良につきましては、昭和十四年以来から研究を重ねておられるのでありまして、すでにこの完成までに至りますには、先ず人工交配の域から四代までの間は仙台の農地事務局の柿崎洋一氏がこれに当つておられる。更に五代以後は青森農業試験場長の田中稔氏が献身的な努力をされて、その結果今日その効果を発したというのであります。私どもといたしましても、これにつきましては心から感謝いたしておるのでありまするが、そのほか保温折衷育成法の普及ということにつきましても長野県の軽井沢町の荻原豊次氏、或いは長野県農業試験場の岡村勝政氏、更に又農業改良局の研究部の近藤頼已氏、これらをはじめといたしまして、その他各地にこうした功績のあるものは私は少なくないと思うのでありまするが、この機会に、政府はかかる功労者に対しまして適当なる方法を以て、感謝の意を表するといつたような御意思があつて然るべきだと思うのでありまするが、農林大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。
  148. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私も東北のほうに参りましたときに、青森の藤坂の試験場長の御説明を伺い、或いは御案内書を頂いたわけでございますが、全く御所論の通りの感じを深くして参つております。田中場長といい、或いは柿崎氏といい、とにかく耐寒耐冷の品種を生み出すために、非常な長い年月に亘つて研究を積んで頂き、それが非常な威力を発揮いたしまして、周期的に襲うといいますか、冷寒地帯の人々に対して非常な大きな光明を与えておるということを痛切に感じた、その功績というものは、けだしもう図るべからざるものがあると存じます。是非私どもとしては、今日許されます最高の表彰をいたさなければならんという考え只今進めておるわけであります。天災か人災か、これはもう天災でもあり、人災でもあると私は思います。それが本当だと思います。併し更にこの試験研究のために国はもつと力を入れなければならんということも同町に痛感をいたしております。例えば、藤坂試験地におきましても耐冷性の品種を作る研究をするにしましても、ガラス張りの温室も持たない、僅かに冷水によつて研究をいたしておるというような、実際これは捨ておきがたい状態であると思います。田中場長の御意見もありまして、今回の予算に、それも甚だ少ないことではありますけれども、場長の希望に副うようにいたしまして、なお今後とも試験研究のためにはもう少し力を入れなければならんと考えております。
  149. 千田正

    ○千田正君 農林大臣にお伺いしたいのは、昨日同僚の小林委員から外米の百六十万トンの輸入に対してのいろいろ御質問がありましたが、私はこの百六十万トンの外米の輸入が果して大臣の考えておるように順調に入るか、どうか昨日もお答が十分ではなかつた。この点をもう一回確かめておきたいと思うのであります。それにつきましては、特に外米の買入先であるところの東南アジア方面においても、いわゆる一例を申しまするというと、タイ国あたりの米は政府米と称して、日本政府とタイの政府との間に話合がついた価格で買上げる米というものは余りいい米ではない。内地へ持つて参りましても、いわゆるにがい米、臭い米と言うて、国民は余りこれに手をかけたがらない。外地において売買されておる、自由米即ち自由市場におけるところの米のほうが非常に優秀なものが出ておる。かような状況の下に、果して所期のいわゆる輸入ができるかどうか、その点について二言お伺いしたいと思うのであります。
  150. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 外米一般の供給状況を推定いたしますと、とにかく米作地帯がおおむね豊作であつたということは、これは既定の事実になつておるわけであります。例えば、従来相当の供給を仰いでおつた韓国は供給余力を持つて来たので、最早外から入れる必要は今年はない。従つてそこで従来供給せられておつたところは、これはアメリカでございましようが、アメリカから朝鮮に米を送る必要はないというような米作地帯の農作と合せまして、外米需要をしておつた地帯がむしろ需要が減つて来ておるという二重のプラスがそこに入つて来ておるようでございますから、私は百六十万トンの輸入計画は、これは無論今日どんなに私が大きいことを申上げましても、実際入れてみなければどう言われましてもいたし方ございませんけれども、必ず入れ得るという確信を持つて進めておるわけでございます。今お話のタイ米の政府米という政府間の契約でいたしておりますその分は米が悪いので、それじやとても間に合わんじやないかというお話であります。今年タイから二十五万トンのタイ米を入れておりますけれども、大部分やはりおつしやいます政府米でございます。自由米というのはもち米の五万トンでございます。ビルマといいタイといい、いずれも米の輸出については政府の統制にあるようでございまして、自由米だから物がいい、政府米だから物が悪いというようには私は聞いてはいないのでございますけれども、なお併し非常に重要な問題でございますから、この外米につきましては私自身も食糧庁を督励いたしましてできるだけ御非難のないような工夫をいたして参らなければならんと考えておる次第であります。
  151. 千田正

    ○千田正君 そこで手持外貨の少い日本が、輸入食糧に多くの金を出して行かなければならんということを考え合せまして、むしろ国内におけるところの農民の供出意欲を増進させる意味において、そういう金があつたならば、むしろ国内に対しての供出補償を幅広く高率にやつたほうがいいのじやないか、私はそういうふうに考えることと、先ほど大蔵大臣にお尋ねしましたけれども、農林大臣から伺わなければお答えができないという一つの問題が本日の新聞に出ておりました。それは昨日衆議院におきまして食糧庁の次長から衆議院の議員の質問に対しまして、自家保有米に対するところの担保融資をする準備がある、食糧庁としては、これを通達する用意をしている。こういうことを新聞に発表されておりまするが、果してそういうような対策ができるとするならば、現在の冷害地或いはその他に対しては非常に不憫であると同町に果してそういうことが予算上大蔵省にそれだけの金が、あるのかどうか、この点を伺いたいのであります。
  152. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 外米に対して多額の外貨を支払つて行くということは賛成できないと、これは私も実際そう思つておりますことは先ほど来申上げておる通りでございます。食糧増産の必要なるゆえんはそこにあると考えておるわけであります。只今のこの自家保有米を担保として金融をやるということは、実は私はまだその話は食糧庁の当局者から相談を受けておりませんし、私のほうからも何事も指示していないわけであります。恐らくこの自家用米今農家はいろいろな面で窮迫をして来るわけです。それに営農資金なり国でお世話する以外に、やはり農家として必要なものがあるわけでございます。それで一番手つ取り早いのは、自家米を担保として融資をして行く途を開くことができるかどうかということに帰すると思いますが、而もそれは決してそういうことをして供出にむりをするというような形であれば、私はもう賛成いたしかねると思いますけれども、そうでなしに、自家保有米を一応とにかくぎりぎり切詰めて頂いて、或いは麦等を買つて頂くことによつて切詰めて頂いてそれを一応農業倉庫に納めて頂くというならば、まあ昔のような形でなしに、一応政府に買取らして頂く、そうして代金を取つて頂く、その代金が又ほかのほうで御工面ができれば、それを買戻しをされるというよなことは考えられないことではなかろうかと思いますけれども、何かそういうことをして随分むりなことをして供出を取上げるというような印象を若し与えるというようなことになれば、決してこれも又当を得たことではございませんから、実際の必要は恐らくあるのじやないかと思いますが、十分その辺を研究いたします。併しこれは大蔵省に御迷惑をかける予算上の問題ではなかろうかと存じますから、研究いたしまして又お話を直接伺いましていたしたいと思います。
  153. 千田正

    ○千田正君 午前高橋同僚議員の質問に対しまして、この韓国に不法監禁されておるところの漁船の乗組員の家族に対して五万円の、何といいますか、生活補助を出してやるということを農林大臣が申されましたが、誠にこれは結構なことでありますが、今後ともそういう問題が起きたならば、一体そういう方法をとるのかどうか。単に韓国の水域ばかりではなく、或いは北洋の問題にしても、或いは南太平洋の問題にしてもこういう問題が起きて来ます。そういうような場合においてもやはりこうした不幸な目にあつたものの家族に対しては出される意思があるのか、どうか、この点を一つよく伺つておきたいということと、今朝の新聞を見ますというと、兵庫県の香住いわゆる但馬地方の漁船、三十トン以上の漁船が約七十隻、この十二月一日を期して一軒に韓国の東海岸に漁業に出かける。これをやらんというと、我々はも生死の問題である、どういうことがあつてもこの李承晩ラインを突破してこの漁業に出かけるという固い決意を示したということが新聞に出ております。そうなれば当然重大な問題がそこに起きて来ると思いますが、それに対処して一体どういう方針を持つておらるるか。又そういう事態が生じたならば一体どういう方向に向つてこの問題を解決して行くか。この点は農林大臣並びに外務大臣からその方針を承わつておきたいと思うのであります。
  154. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 不法抑留を受けておられるこの人々の家族保護という上から、先ほどお答えをいたしましたように、漁船の乗組員給与保険という特殊なこの特殊保険の制度があるわけでございます。今日抑留を受けておる人々の多くは小型の漁船の人々で、その保険にまだ加入していない。若し保険に加入をいたしておられれば、そいうための制度でございますから、この問題は起きなかつたわけでございますけれども、それがまだ徹底していない関係もございまして、保険に入つておられない。五百一三十六名の中で入つておる君は百八十四名ということになつております。それで保険に入つていないかたに対しては保険同様とは参りませんけれども、できるだけその趣意に副うて、一人四万二千円ずつの給付をいたし、そして入つておられるかた、入つておられないかたを通じて、これはこの冬を目指して寒さに向つておるわけでございますから、差入れの補助ということで、全体に二万円ずつの支給をいたしたい、こういうことでございますから、私どもといたしましては、こういう危険がいつまでもあつては困るのでございますけれども、とにかく現実は現実でございますから、そういう未加入者に対しては是非加入をいたすように強力にこれは指導して参るつもりでございます。これが全部加入して頂ければ、おのずから問題はその面だけは解決ができるわけでございますから、そういうふうな措置も講じて参りたい。お話の山陰の漁業者が朝鮮の以東底引に強行出漁をするということの情報は、私どもも得ておるわけであります。出漁いたしまする以上は、私どもといたしましては、どうしてもこの漁民の保護、漁船の保護をいたさなければならん。只今海上保安庁や或いは保安庁、水産庁で協議をいたしておるわけでございます、保護につきましては、万全と申しましてもおのずから限度もございますけれども、できるだけ出漁するとすれば、保護をしなければならんという考えを以て協議をいたしております。
  155. 千田正

    ○千田正君 外務大臣にお答えを願う前に一つ伺つておきたい。只今の農林大臣のお話の、山陰の漁船が出漁する、百七十隻出漁するということに対し、万全の保護を加えようと言われた。ところが一昨日は日本水産の羽衣丸が拿捕されたときは、向う側のいわゆる駆逐艦程度の大きな船がやつて来て、日本の海上保安庁の監視船が中に入つて拿捕を断わろうとしたけれども、どうしても発砲をされて、そうしてとうとう拿捕されてしまつた。現実においては、保護しようと思つても、保護しきれないような状況にあるのじやないかと私は思います。こういう問題が、今後恐らく次々と起つて来るだろと思うのでありますが、過去の問題に遡つても、只今五百三十何名という乗組員が不法監禁をされておる。これに対して、外務大臣としましては、現在抑留されておる人たちに対しては、どういう手を打つておられるか。或いは第三国を通じてその釈放方を要請しておるのかどうか。この点と、更に只今申上げました通り、十二月一日と言えば間もなくでありまするが、こうした多数の漁船が、生活上止むを得ず、やはり同じ水域のほうに行くとしますというと、海上保安庁の船も役に立たない。農林省の指導船も役に立たない。こういうような場合に、又同じような不幸な事態が生ずる虞れがある。これに対してはどういう一体方策を取つているのか。こういう点につきまして、外務大臣の所信を承わりたいと思うのであります。
  156. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 第一に抑留された人及び船につきましては、これは早急に帰つて来るように努力をしなければならんのは当然でありまして、これはまあいろいろまだ韓国側の感情もありまするしいたしますから、もう暫く詳細なことは申上げることを差控えますけれども、いろいろまあ努力はいたしております。近くその効果が現われることを期待しておりますが、併しそれ以外に今後の問題もあるわけであります。これにつきましては、やはり我々としては、根本的には平和的に話合ができて、そして心配なく出漁ができるということが一番眼目であります。保護をしながら漸くにしてやれるとか、或いはそれでも掴まるとかいうようなことでないのが、勿論必要でありますので、これにつきましては、直接、間接、いろいろ方法を講じております。又これがどれだけ効果を挙げるか、まだわかりませんけれども、できるだけの努力をいたすつもりでおります。
  157. 千田正

    ○千田正君 なかなかこの問題はここで論議しても解決する問題ではないのでありますけれども、実際の状況は、生活苦に喘ぐ漁民は、どうしても食つて行かなければならん。不法監禁、或いは拿捕されることがわかつていても、悲壮な覚悟をして出て行く。政府はこの問題に対しては、一刻も早く善処する方法を取つてもらいたい。これは強く要望しておきます。  もう一つ、外務大臣に伺いたいのは、トルーマン宣言に基く国連国際法の委員会で、現在作りつつあるところのいわゆる「大陸棚とその関連事項」という法案が、現在国連の国際法委員会において修正案を作りつつあるように我々は聞いておりますが、これに基くというと、日本のいわゆる漁業者が活動するところの水域というものは、やがてその国々の独自の宣言によつて、例えば李承晩ラインの宣言であるとか、或いは濠洲の宣言であるとか、或いは南米の各地の宣言であるとかのごとく、各々の国の沿岸に属するところの大陸棚を自分の国の領土の如く宣言されると、この日本の漁業というものは進展できない。進展の途を開かれようとしておるこの国際法の設定を目前に控えて、日本の漁業進出のために、外務大臣といたしましては、この問題をどういうふうにお考えになつておられますか。その点を承わりたいと思うのであります。
  158. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 国連の特別委員会で大陸棚の問題についての審議を進めていることは承知いたしております。併しその内容は必ずしも今韓国が主張しておるような種類のものではなさそうには考えておりますが、まだ結論がはつきり出ておるわけではないようであります。又仮にその結論が出まして、国連の総会に付議されましても、総会の中にはいろいろな意見の国がありまして、これが採択されるかどうかはまだ予言はできないと思います。更に我々はまだ、国連の憲章に従つて行動するという根本精神は持つておりますけれども、国連に加入をいたしておりませんし、そういうものに自然拘束されるということも法理上はないわけであります。併しいずれにしましても、そういうものができますれば、これは国際法の解釈の一つの根拠にはなり得るものと思いまするけれども、その内容が必ずしもいろいろの国が主張しているようなものでなさそうにも考えるのであります。これにつきましては、我々としても注意いたしまして、国連に派遣いたしておりまする大使等からも情報を入手しつつ、各国の意向等もさぐつて注意はいたしております。
  159. 千田正

    ○千田正君 若し仮にそういう問題がはつきりして来て、日本の漁業の曾つて実績が阻害されるというような場合があつた場合に、ヘーグの国際裁判に仮に提訴されるような事態が起きる場合においては、日本は提訴権を持ち得るかどうか、提訴した場合における裁判は、勿論公平であろうと思いますが、こういう問題に対しては、どういう考えを持つておられますか。この点をよく伺つておきたいと思います。
  160. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 国際司法裁判所につきましては、国連に加入していない国がこれを行う場合には、相手国の承諾を要することは、これは事実であります。併し例えば濠洲の問題につきましては、濠洲政府も、この国際司法裁判所に提訴するという日本側の申出に対して、これを応諾したようであります。従いまして只今国際司法裁判所に非加盟国としても加入する手続きを進めておりますが、それは恐らく問題なく、この総会で通過するものと期待をいたしております。従つてそれが濠洲の問題にしましても、司法裁判所に提訴しまして、これが公平な裁判を受けますれば、これは両方の国を拘束いたします。それが一つの前例ともなるものと考えておりますが、我々としては公海の自由ということは当然認められるものと考えて、只今いろいろ準備を進めております。
  161. 千田正

    ○千田正君 東南アジア特にスターリングエーリアにおけるところの日本の貿易が、昨年当初の英国のいわゆる対日輸入制限という問題の抵抗に会つて、なかなかうまい工合日本の進出ができない。併しながら逞しい商魂を以て多くの日本の、自社が現地に進出しておりまするが、未だに条約を結ばれない結果、いわゆる二重課税をこうむつて相当苦しんでおる。そういう状況にある東南アジアの将来というものに対して、我々の初め期待したほどの結果は得られない。この現実をオペレーシヨンする意味からいいまして、外務大臣は一日も速かに輸入制限の撤廃、それから二重課税等に悩むところの日本の商社の進出に対して、何らの手を打つ方法を持つておられるかどうか。一日も早く条約を結ぶ用意を持つておるかどうか。この点を伺いたいのであります。
  162. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 賠償の問題が解決しないために、まだ条約もできておらない国、これは賠償の問題が解決しないのは、インドシナをまぜて四カ国あるわけでありますが、インドシナは条約関係ができております。で、インドシナを除きまして、他の三国はまだ条約関係はできておりません。先般の旅行の結果、或る程度まで、これはなかなかむずかしいことでありまするが、日本のほうでも努力いたしまして、賠償の問題を解決することにしますれば、条約改訂は勿論できるわけであります。今後ともこの方面に向つてでき得る限りの努力をいたすつもりで、その意味で私も参つたのでありますが、併しその前にも、参りました結果と申すのはおかしいのでありますが、併しその前にも、参りました結果と申すのはおかしいのでありますが、例えば先般の日本のガツト加入につきましても、初め条約関係のない国国は棄権をするということにきまつておつたようであります。ところがその後投票の間際になりまして、棄権をやめまして、いずれも日本のガット加入に東南アジアの無条約国も賛成してくれました。これなども一つの非常に力強い現われと考えております。又ビルマにおきましては、十月一日を期して、今までほかの特殊の、インドとかその他英本国とかに対する特殊の関税をやめまして、日本もこれらの円も同等の関税を適用する。こういうことになりましたので、最近現実に日本の貿易はビルマについては相当伸びておるようであります。ガツトの協定も、ビルマとは只今米の問題について交渉いたしておりますが、これが解決いたしますれば、ビルマ等は日本に対してガツトの特恵を供与するということになるのじやないかと考えております。こういうわけで条約前におきましても、或る程度貿易の伸張並びに日本の商社の人々の進出等についても、好意的考慮が払われつつあるように私は考えております。併し何といつても、根本的には条約ができることでありますから、その方面に極力努力いたすつもりでおります。
  163. 千田正

    ○千田正君 最後に経済審議庁長官にお伺いいたしますが、吉田内閣の貿易政策としては、東南アジアヘのいわゆる輸出入の振興であつたのであります。今縷々申し上げた通りなかなか容易に進まない。外務大臣のお答えがあつたように、そう簡単にはゆきませんが、この面を見ますると、例えばボンベーあたりにおいては、イタリア、ドイツ、こういう国々の商社が進出して来て、いわゆる現地におけるコーポレーシヨンを結成させて、日本の商品の輸出入に対する厳重なる対抗政策をとつておる。マイナスになつた分は、その祖国において、ドイツなりイタリアなりの本国において保護政策をとる。逆に日本の商社は自由競争に任しておるために、自由競争の結果は、いわゆる輸出或いは輸入に対しても共同の行動がとれない。こういうようなことであつて、到底日本の東南アジア貿易の進出というものは、我々は前途暗澹たるものと見て参つたのでありますが、こうしたことを考えて、日本の貿易政策というものに対するいわゆる政策転換というものを必要とされるのでありますが、経済審議庁長官としては、貿易政策に対してどう考えておられるかという点と、もう一つはコスト高を考えながら、国内におけるところの今度のいわゆる災害対策冷害対策というような面に相当の予算を組まなければならない。併し長い間の吉田内閣の政策としていうて来たところの国土総合計画、こういうものは、この冷害或いは災害のために一頓挫を来すのじやないかとさえ危ぶまれるふしがありますが、こうした点につきましては、一体今後どういう所信を以て政策を実行してゆかれるかという点につきまして、審議庁長官から一応御所信を伺つておきたいと思います。
  164. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。お説のように只今日本の商社といたしましては、私どもいろいろのところから聞きましてもそうでありますが、やはり国内の商社同士が非常な激烈な競争をして対外的に、不利をこうむつておる。外国ではこれが一本になつて、そうして当つておる。この点は見逃すべからざる、今月の外国貿易において我々が何とかしなければならんと行えておるところでございます。私どもといたしましては、商社というものが戦後非常に小さくなつておりまして、有力なる商社が少いということ、又場当りにたくさんできて来ておるものが、そのまま昔から信用を幾らか持つておる、若しくは実力も少し備わつて来ておるものに伍しまして、無用の競争をしておる。その結果が丁度向うで安く買えるものが、輸入品において非常に高くなるというようなことがいろいろな点で現われております。これは私どもといたしましても、今後日本が外国に対して貿易をいたしまするにつきましては、やはり西独あたりのやり方を十分見ならつて、今後商社の強化並びに輸出組合などの強化というものに努力をして行かなければならんと思うのであります。  それから国土総合開発のことでありますが、御承知通りに、我々は国土総合開発に非常な努力を払つておりますが、今私の所管でありまする国土総合開発法によるところの開発計画は、どうなつているかという現状を申上げますと、只今閣議が決定いたしておるものが、今年の二月六日だつたと思いますが、北上川の特別地域が決定しました。これは二十八年度予算といたしまして三十六億とつておるわけであります。ただ今回の補正予算におきまして、農林省関係が約七%、建設省関係が約五%くらい減ることになつておりますので、まだ細かい数字の整理はいたしておりませんけれども、大掴みのところで、或いは一億八千万か二億くらい節約をしなければならんのじやないかと思つております。この点は私どもほかの方面と特別扱いをするわけに参りませんから、このまま受入れて、又明年度から、取返さなければならんと思いますが、その後今年の十月十六日の閣議におきまして阿仁田沢、最上というものが決定になつております。これはまだ予算はとつてございませんが、明年度は若しい財政の中からでも、やはり予算を組みましてやつて行かなければならんと思います。又今年度内に利根あたりも、やはり閣議決定をしようと思つております。そういたしますというと、財政的にみますと、非常に窮屈な、苦しい立場ではございますけれども、その窮屈、苦しいという立場は、やはり逆に申しますれば、国土開発を早くよくして行くということも又必要でございますから、その辺のところはいろいろ勘案いたしまして、明年度以降、相当にこの国土開発には力を入れてやつて行きたいと、こう考えておる次第であります。
  165. 三浦義男

    ○三浦義男君 大蔵大臣と、運輸大臣と、郵政大臣に御質問申上げたいと思います。  本年度災害復旧につきまして、一般会計で賄われております以外に大きな災害は国有鉄道と電々公社と二つだつたと思います。今国会におきまして、これらのものについてまだ何ら予算的の処置がとられておりませんが、恐らくこれは国有鉄道におきましても、又電々公社におきましても、手持ちの資金で以て或る程度のことはやつておられる、こう思うのでありますが、併し、その大体進捗状態がどういう程度まで進んでおりますか。又何らこれから予算的処置をやりませんで、これを賄つて行けるというようなことになつておりますか。その辺の経過を承わりたいのであります。又そのほかに、この前の国会で以て電々公社につきましては二十五億のまだ穴がありまして、それが何ら予算的に補充されておりません。この点の経過につきましても、一つお伺いしたいと思うのであります。
  166. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。百億をちよつと出まする災害を受けたのでございますが、その中で本年度に支払うことが予想される金額が、仕事がやつて行ける金額が約八十九億と只今見積つております。これに対しまして損益勘定から西日本災害に三十四億、それから南山城に――和歌山方面です――に対しまして三億、それから十三号台風の関係で十七億、合せまして五十四億、そのほかに一般工事費から、又別に十億の復旧予算を内示いたしております。それで六十四億ということになつておるのでございます。それで、これのうちに応急費が五三%になるのでございます。それから復旧費が四七%という見込みでやつております。で、このうちどれだけぐらい進行しておるかということは、応急費のほうは応急の問題でございますから、殆んど皆やつておると思いますが、復旧費のほうはまだどの程度まで……配付いたしたままで、まだはつきりしたところはわかりません。
  167. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) お尋ねの電々関係の分は、九州、和歌山、台風十三号を含めまして、当面の復旧で、どうしてもすぐにやらなければならない分は約十五億三千七百万円ほどあつたわけで、これは予備費とそれから一部節約その他で、大体もう解決をいたしております。その被害を受けたもので、原形復旧だけでなしに、若干改良を加えなければならない面がありますので、これは今計画では十億ちよつと余必要になる見通しになつております。これは併しどちらにいたしましても、補正予算の際に考慮しなければならないと、こういうふうに考えております。  なお、お尋ねの二十五億でありますが、これは御指摘のように今度の補正予算の際に考慮しなければならない問題であると思つておりますが、果して借入金で賄う必要があるか。それとも公社になりましてからの第一年度におきまして、約二十四億の剰余金ができて、これを積み立てておりますので、場合によつてはその二十四億をこれに振替えてもいいのじやないかと、こういうふうに考えております。いずれにしても、予算処置を必要とすると、こういうふうに考えております。
  168. 三浦義男

    ○三浦義男君 次にこのたび仲裁が出ました問題及び年末手当の問題につきまして、私は災害の被害が特に多かつた国鉄、電々公社に限つてお聞き申したいのであります。と申しますのは、午前中に松澤委員からその他の部分につきましては詳細にお聞きになりましたし、又お返事もあつたのでありますから、時間の都合上それは省きまして、国鉄と電々公社の関係につきましてお尋ね申上げたいのであります。年末手当とそれから裁定の実行が、この両機関がまあ節約もやり、又職員の勉強もし、いろいろの面で以て増収を上げたり或いは節約をなされたとしても、この災害の復旧にこの金を廻したがために、突然この資金がなくなつたというようなことがありまして、この問題の実現が若しできないようなふうになるというようなことになりますというと、誠に職員に対しても気の毒なことでもございますし、又国鉄が去年の暮に起しましたような非常にいやな問題が起らないとも限らないのです。で、こういう問題につきまして、今度の補正予算を組まれますときに十分お考えになるつもりでありますか、又それとも先ほど来もお話がございましたように、もう金はないのだというようなことで、一切これを蹴飛ばすつもりでありますか。
  169. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今さつき説明いたしました、金を出しましたのは予備費とそれから本年度の収益が相当上がる、利益が上つたのが四十数億あります。予備費が五十六億というものが上つております。予備費は御承知のように、こういうふうな災害のような特別な場合の起つた場合を予想されて組まれておるのでございますが、これらの中から出せるので今のは出したのでございます。ところが年末の手当の増額の問題もありますし、それから裁定があつたという問題もあります。これらを併せてこれは考えなければならない問題だと思うのであります。さつき申上げましたのは、取りあえず、この災に対しまして、これだけの費用が要る、こういう方法で出したいということを申上げました。これとベース・アツプの問題とは関連性を持つもので、それでこれらは今如何なる方法によつて全体の経理が立つかということにつきまして、資源その他につきましても検討中でございます、併せて考えて行きたいと思います。
  170. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) お尋ねの電々公社の問題でありますが、これは私は公社の考え方といたしましては、年末手当の問題はいずれにしても、国の方針が或る程度きまりますれば、それと歩調を合せて優先的に考えて行かなければならないと思います。仮に〇・五という考え方にいたしますと、約十一億ぐらいになるように思うのでありますが、なかなかそれだけのものを出すということも、今の状態では相当困難を伴つて来る状態であります。併し何とかすれば、これは何とか行く可能性があるが、それを出してしまいますと、ますます仲裁裁定に対する資金手当というものが殆ど見込みがない、こういうことになつて、なお、仲裁の問題は、今国会に折角御意見を伺つておるのでがざいますから、国会の御審議と併行いたしましても、公社側の経理内容を十分検討いたしまして、節約その他でそれらの給与の引上げ、その他に廻せる面がないかということも併せて折角検討中であります。どうぞ御了承をお願いいたします。
  171. 三浦義男

    ○三浦義男君 私はこれから運輸大臣にお伺いいたしたいのでありますが、農林建設の関係におきまして、不十分ではございましたが冷害地区に救農土木事業が行われるが、その額は至つて少額であるという不満の声が多分にございます。つきましては、この冷害地におきまして、建設、農林と同じような考えで、救農土木工事をおやりになる考えはございませんかということが先ず一つ。例えばこの土木工事は相当たくさん運輸省関係としてはお持ちだと思いますが、例えば鉄道で申しますというと、建設線の工事とか或いは線路の増設の工事というような輸送力の増強に役立つものがたくさんあると思いますが、これを繰上又は他の災害のない所から差繰りしておやりになる考えはがざいませんか。これは昭和九年に西日本におきまする旱害、それから東北、北海道におきます冷害におきましてはこういう仕事が十年、十一年と続きまして行われたのであります。今度の冷害につきまして、そういうお考えはございませんか、どうですか、お尋ねいたします。
  172. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 昭和九年の東北の冷害の際におきまして、只今お示しのような救済の工事がいろいろ鉄道においても行われたということを私ども承知いたしております。今度の災害の場合に当たりましても、救農の立場から私どものほうの関係考えました問題は、港湾の関係で仕事を、例えば砂利を運んでいるとかいうような仕事等を、その中へ織込んだらどうであろうかというようなことで、予算を一応立てたのでございましたが、いろいろほかの釣合上、これは認められなかつたので、提出の運びに至りませんでした。国鉄のほうといたしましては、御承知のように建設線がきまつておりましるし、それの修復の問題とか、大よその方向がきまつておりますので、この仕事自体といたしまして、来年度のものを繰上げて大体仕事をやるというようなことは繰上の、これは継続費が十分認められておりませんので、ちよつとそれはすぐにはむずかしいと思います。では本年度の仕事の中からやり繰りができるか、又そういうものに使えるかという問題が多少残ります。これらにつきましては、まだはつきりした案が私どものほうとしては承知いたしておりませんが、多少でもそういうふうなことに運び得るように考えられれば考えて行きたいと思います。来年度予算には新線建設の今まできまりましたものを遂行して行くにつきましても、私どもの予定しておりますのは、先ず新線を今年一本も新しくしないでも百二十億くらいな金が欲しいいのでございます。本年度は百十億の金を欲しいということを希望いたしまして、九十億認められました。そういう情勢からいたしますと、来年の百二十億は又相当査定を受けるのじやないかということを虞れています。そういたしますると、更に本年これから、鉄道建設の審議会はまだ答申をもらつておりませんが、幾らか新線をやりたいというような問題等が起こりますると、更に窮屈になる状態でございまして、御希望のようなことがそううまくやれるかどうかということを虞れますが、できるだけそういう問題を考慮いたしたいと思います。
  173. 三浦義男

    ○三浦義男君 重ねてお伺いしたいのでありますが、例えば現在東北線の線路増設がなされております。こういうものにつきましては、私は予算のやり繰りだけで、恐らくもつと大規模な仕事ができると思うのでありますが、どうでしようか。東北線の線路増設がもうすでに行われております、本年度……。
  174. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 同じ工事のために使いまする金、そのほうに使う予算措置として、その予算措置の範囲内でやれることは、できるだけやりたいと思つております。
  175. 三浦義男

    ○三浦義男君 次は建設大臣にお伺いしたいのでありますが、愛知、三重、静岡におきまする海岸堤防の災害復旧に対して、復旧事務を取扱うために臨時的に海岸堤防建設部を設けるというようなことが、只今国会で論議されておるのであります。まあかくのごとく役所を作るということはよろしいとしまして、そのほかに災害の種類とか或いは災害規模によりまして、相当広範囲に人或いはその工事に要しまする器具、機械、そういうものの配置変更が必要じやないかと思うのであります。で、いわゆる私どもの言葉でいいますというと、技術の動員と申しますか、そういうようなものが絶対こういう際に必要であると思いますが、かくのごとき御計画があるか。又実際もうすでにそれはやつていなければならない問題だと思いますので、若しございますならば、具体的に例を挙げて一つお示しを願いたいのであります。
  176. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。従来からも災害復旧につきましては、各地が建設局の人員を一時的配置換えをいたしまして、速やかなる復旧に努力して参つたのでございますが、今回の、愛知、三重、静岡三県にまたがる海岸堤防決壊事業と申しますのは、御承知通り非常に厖大な数量に上つております。建設省が委託を受けます工下全額だけでも約一億を突破することになる関係上、中部地方建設局におきまして、海岸堤防建設部という部を設置いたしまして、人員は増加いたしませんが、本省地方建設局の人間をやりくりいたしまして、この衝に当らせたいという案を、只今審議つておることは、御承知通りであります。若しも将来といえども、こういう問題が起つて参りますならば、目下問題になつております行政簡素化の線も考えなければならんのでありますが、それこれ勘案いたしまして善処いたしたい、こういうふうに考えております。
  177. 三浦義男

    ○三浦義男君 今の海岸堤防建設部のお話はそれでわかりますが、その他の地方でやはりそういうことをおやりになつておりますか、役所は作りませんで……。
  178. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。本年の北九州の災害におきましても、いろいろ災害工事の仮工事につきましては、これが速やかなる復旧を図るために、地方建設局の人間を臨時に動員いたしまして、九州地方建設局に持つて参りまして災害に当らせたことは、もうすでに御承知通りであります。本年のみならずときどき起つて参りまする大きな災につきましては、こういう措置も従来からとつて参つたような次第でございます。
  179. 三浦義男

    ○三浦義男君 私はこの問題につきまして、農林大臣にちよつと伺いますが、農林関係におきましては、私農林土木の手が相当手薄いのだということを、かねがね認識しておるのであります。で、この手薄な人間を或いは器具なり機材なりを動員なさることは非常にむずかしい問題だと思いますが、これは現在相当な程度におやりになつておりますか。又将来何らかの方法でこれを補強し又この動員態勢を整えるというお考えがございますか、どうですか。
  180. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 機械、器具につきましては先般の西日本水害当時にもいたしましたように、やはり相当大きな災害に備えて、例えばブルトーザーでありますとか或いは揚水機でありますとか、排水機でありますとか、そういうものを国なり県なりにおいて用意をいたしておかなければならんというような措置は、一時作りましたわけであります。ただこの技術者の関係はもう御指摘の通りで、業者のほうは私も手薄だということをよく聞いております。これをどう高率的に少ければ少いだけで対応するようにするか、まあ先般の水害実績からいたしますと、先ほどちよつと申上げたかと存じますが、西日本水害でかなり農業土木の災害を受けた、熊本の事務局だけでは手が廻らない、岡山の農地局から応援に出動させるというような措置をとつてしのいで参つたのであります。
  181. 三浦義男

    ○三浦義男君 そこで、私は今度は保安庁のいわゆる技術部隊について伺いたいのであります。私は保安庁には相当な技術の陣営があり、又土耕機械なんかにつきましては、相当な多量なものを持つておられるということを、この前の国会のときにお開きしたのであります。保安庁法の六十六条は天災、地変のときに、人命、財産を保護するために、保安庁長官の申請によつて、これを動かすことができるというようなふうに書いてありますが、過般の災害に当りましては、大いにこの条項を活かされまして、御活動になつたことについては敬服申上げるのであります。併しもう復旧の段階になりますというと、そういうことはおやりにならないように聞き及んではおるのでありますが、私はこの保安庁の技術、機械、器具というものを、復旧にも、又平時の大きな土木事業、例えばアメリカでは盛んに工兵隊を使つてダムの建設なんかをやつておるという実例もありますので、今度の保安庁法の改正には、是非平時にも特別にそういうふうなものがございましたときには使える、又差当つては今度の災害の復旧に、そういうものが使えるのだというような改正を願いたいのでありますが、長官は如何考えられますか。
  182. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。只今お話に保安庁法改正の際には、そういう規定を設けたらどうかという御意見のようでございます。現在の保安庁法第八十一条におきまして、長官は訓練の目的に適合するような場合には、国又は地方公共団体の土木工事を引受け又それを実施することができるという規定を設けておるわけであります。この規定を活用いたしますれば、成る程度のことはできるのじやないかと、こう考えておる次第であります。できるだけ私は国家公共団体のために、これらの施設部隊を十分活用いたしたいとこう考えて、おる次第であります。
  183. 三浦義男

    ○三浦義男君 只今お話では訓練のために、そういうことができるのだというお話でございますならば、勿論災害の復旧なんかには、そういうようなお考えで動員は、できると思います。つきましては、先ほどお話申上げましたこの海岸堤防の復旧工事のような、これは非常にむずかしいものと思うのであります。こういうものは又とない機会でありますから、一つ建設省と御相談なさつて、その一部でもいいからおやりになつては如何かと思います。如何でございますか。
  184. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。実は施設部隊のほうでは、相当な器具、機材を持つておることは御承知通りであります。ただ如何せんいわゆる技術者の点において、まだどうかと思う点があるのでありまして、これらの点につきまして十分考慮して、建設省が実際にこれをどういう工合に使いたいというような点の申出でがありますると、十分御協議に応ずる用意を持つておる次第であります。
  185. 三浦義男

    ○三浦義男君 それから建設大臣に申上げますが、今保安庁の長官のお話もございましたので、是非こういう問題につきましては、一つ両者で以て御協議を願いたいと思います。
  186. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます目下のところはそこまでは考えていなかつたのでありまするが、御趣旨もございますので、保安隊の技術陣に助けて頂くような工事がございますならば、緊密に連絡をとつて御趣旨を逸するようにして参りたいと考えております。
  187. 三浦義男

    ○三浦義男君 次に建設大臣にお伺いしたいのでありますが、砂防でも或いは堤防の工事でも、何でも、建設工事に従事したその人は、大体この工事については、こういう所に弱点があるのだということを知つております。又その工事が完成したあとでも、そういうところには非常に愛着を打つておるのであります。例えば馬鹿な子を非常に親が可愛いがると同じように、こういうところについては非常な愛着の念を持つておるのでありまして、こういう人が若しそういう地方に住んでおるならば、恐らく朝晩それを見廻つておる人もあるだろうと思うのであります。こういうような昔のつわもの、ベテランを御利用なさつて、そうしていろいろなことについて御相談相手として、これを御活用なさるようなお考えはございませんでしようか。これは私は是非こういう人の意見を取入れて、その弱点をよく把握されることが必要だと思いますが、如何でございましようか。
  188. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。三浦委員のお言葉の通りのことが技術者にはあるのでございます。現在におきましても、地方の方々の御意見を十分拝聴しまして、建設工手の何と申しますか、完璧を期して参つておる次第でございます。
  189. 三浦義男

    ○三浦義男君 時間が余りありませんようですから、これを最後に農林大臣に一つ伺いたいと思います。このたびの冷害は、まあ非常に異常なものであつたということは、よく認識されておるのでありますが、この冷害が大体東北、北海道、関東の北部というふうに、我我も考え、恐らく御当局も初めは考えておられたのだろうと思うのであります。その後冷害地と申しますものがだんだん殖えて参りまして、只今では二十府県を越すような状態なつたということを開いておるのであります。勿論その二十府県におきましても、地域的にも冷害のその程度の差がございましようが、あつたことはあつたのでございましようが、併し予算に組まれておりまする百十五億の冷害対策費をこの二十府県に分けるといたしますと、非常に少い額に相成るだろうと思うのであります。でございますので、この冷害対策費の分配をなさるにつきましては、勿論違算はないと思いますが、この府県はA、この府県はBだ、この府県はCだというふうに、何かそういう分類の方法を考えられて、本当に実状に適したような、そういう配分方法を考えるのでありますか。又それとも面積がこれだから、これだけのものをやるのだ、この面積にはそれに当る金をくれるのだというようなお考えがございますか。実際に即応した分配の方法を私は是非考えて頂きたいと思うのでありますが、その点につきましては、農林大臣如何お考えでございますか。
  190. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 全く御趣意と同様に私は考えております。この相当修正をせられました予算でございますけれども、これは余ほど効率的に用いないと、十分その目的を達成することはできないと考えておりますから、私の考えとしましては、大まかな予算配分でなしに、実際この被害の度合の高い町村を基準にしまして、そうしてこれは窮迫農家に本当に地についた、現金収入に転嫁して行くように用いなきやならんと存じますから、この使い方につきましては、全く御趣意のように私考えます。町村を基準において考えて行きたい、而もそれは最も被害率の高いところから、順次及ぼして行くという方法でやつて参る、是非これは実行いたしたいと思います。
  191. 三浦義男

    ○三浦義男君 お答の中に、この二十府県が今後どう殖える見込みがあるかどうかということがなかつたと思うのでありますが、或いは私は申し忘れたかも知れませんが、この二十府県を越すというようなことになつておりますが、これ以上殖える見込みはございますか。
  192. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 二十府県、これは県のほうでも私のほうでも調査をいたしておりますから、殖えましても減りましても、とに角県の数はどうありましようとも、冷害対策の趣意に副いまして、冷害の被害を受けて、それが非常に農家を窮迫せしめているという町村に浸透するようにいたして参る、殖えるか減るか、ちよつとそこのところは、どういうふうになりますか……。
  193. 河野謙三

    河野謙三君 農林大臣に伺いますが、一昨日総理に米食率の問題について、私がお尋ねいたしましたところ、総理に代つて農林大臣は現行の米食率を維持すべき責任を持ちたいという御答弁がありましたが、これは総理のお答えと私は受取つておりますが、従つて政府の答であり、言葉を換えれば、閣議の決定にもひとしい政府の言明である、こう私は受取つたのでありますが、重大な問題ですから、重ねてどなたでもよろしゆうございますから、政府から御答弁願いたい。
  194. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 一昨日の河野委員のご質問に対しまして、私からお答えをいたしました。或いは私の申上げようが悪かつたかと存じますが、最低の配給基準量は確保して参りたい、こういう趣意を申上げておりました。最低の配給基準量と申しますれば、今日まあ一番大きい消費地でございまする東京が十五日分、この十五日の配給は何としても確保をいたして参りたい、こういう趣意で申上げておつたわけでございます。
  195. 河野謙三

    河野謙三君 いや、私が何つているのは、それは農林大臣の私は答弁として受取つたのでなくて、総理大臣の答弁として今あなたがおつしやつたようなことを受取つたと、私は承知しております。そういうふうに政府の答弁であり、閣議の決定にもひとしい政府の御意見と伺つていいのですかどうですかを伺つておる。
  196. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私が御答弁申上げることは、どういうことでございましようか、適当であるかどうかは存じませんけれども、私はそういう考えを持つているわけであります。そう御理解を頂いて結構だと思います。
  197. 河野謙三

    河野謙三君 次に農林大臣に伺いますが、政府は本年の米食率を維持するために、外米の百六十万トンの輸入を決定し発表されております。そこで外米が百六十万トン入り、その場合には内地米の集荷可能量というものを幾らに抑えておるか、これを伺います。
  198. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 先日も申上げておりまするように、いずれ需給計画は、これは数字が皆予想が固まつて、然る上において需給計画を新たに数字的に組立てなければならんことは申上げるまでもないわけでございます。私どもといたしましては、内地米のそれにいたしましても、内地米の供出確保が何をおいても第一のことでございます。できるだけこれを多量にと考えますけれども、今年の作況の下におきましては、専門家である河野さんに申上げるまでもなく、おのずから限度があるわけであります。少くとも百六十万トンの外米は最低限としても確保しなければならんのじやないか、こういう上で百六十万トンということを一応出しているわけでございます。
  199. 河野謙三

    河野謙三君 私は具体的に数字を伺いたいのです。一方において外米の要輸入量は百六十万トンという数字を出すまでには、その前提に政府は内地米の集荷可能量を幾らという数字がなければ、百六十万トンという数字が出て来ない。私は裏から聞いておる。二千万石の集荷可能工というものが前提であるか、二千三百万石の集荷可能量が前提であるか、この前提に立つて外米の百六十万トンというものが出て来た、そこで百六十万トン前提には、内地米の集荷可能量が幾らであるか、このの数字がなければ、あなたが幾ら内地米の、食糧の米食率を維持するとかしないと言つたつて、この数字がなければ駄目なんだ。でありますから、内地米の集荷可能量は、外米の百六十万トンに対して二千何百万石という前提か、それを伺いたい。
  200. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 百六十万トンは一トンも下へ行つてもいかん、上へ行つてもいかんというような考えは持つていないのであります。まあ差当り今年の作況の下におきましては、大まかに厳密な需給計画は、いずれまあこれは御批判を仰がなければならん、御報告をしなければならんと思つておりますけれども、まだそこまで行つていないわけでございます。それにとに角内地米の確保に応じて、この外米で最低の配給量を確保して参る処置を講じて行くほかは、ほかに手はございませんのですから、先ず内地米の確保に全力を尽くしまして、そして然る上において外米の最終的な計画も立てなければならん、大よその目安は百六十万トンと置いておるわけでございます。
  201. 河野謙三

    河野謙三君 どうも私は時間の制限があるので、もつとまともに答弁してもらわないと困るのです。若しその数字の点において大臣が細かいことについて御記憶がなければ、私は細かいとは思つていない、若し御記憶がなければ、官房長官からでも百六十万トンという大米の要輸入量を弾き出す前提になつた、その当時の内地米の集荷見込量というものは幾らであつたか、重ねて一つ御答弁を願いたい。私の伺つていることはわかつておると思う。何も私は農林大臣に、今のあなたが非常に供米について苦心されているのはわかつておる。私は人に倍してあなたに同情している。そんなことを私はどうこう言うのじやない。ただその数字の基準を一応伺いたい。
  202. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 内地米の確保と言いましても、これは実際これだけ確保を目標におけば、それだけカチンと入つて来るということならば、それもよろしゆうございますけれども、それだけでは、数字だけではとにかく配給量を確保して参るわけにも参りませんし、とにかく第一段において内地米をできるだけ多量に確保する、併しこれはもう私が申上げなくても、河野さん御承知通り、大よそのところはもう本年の作況でございますから、誰が考えてみても、そう余計なものが期待できるわけでもございませんし、さればとて今日苦労をいたしておりますのも、又何とかそういう中であるけれども、一石でも余計確保いたしたいということで努力をいたしておるわけです。御承知通りでございますから……。
  203. 河野謙三

    河野謙三君 どうも併し私はあなたが集荷見込量を仮りに二十三百万石とここで言われても、今後の供米の状況で、それが二千万石になつたからと言つて、あんたの責任を追求するのじやありませんよ。そういうことじやないのです。私のほうから伺いますが、仮に今の供米の各府県との交渉の進捗状況から言つて、私が承知しておるところで、農林省の事務当局の部でも言つておりますが、供米は千三百万石くらいであろう。或いは千五百万石くらいだろう。超過供出は当初あなたが予定されました仮に四百五十万石にいたしましても、双方合せて、二千万石に満たない。そうでしよう。二千万石に仮に満たないとすれば、これは仮定です。仮にそういう数字なつた場合には、百六十万トンの外米輸入計画を立てられたときよりは、更に外米の輸入量を殖やさなければならんということになる。殖やさなければ米食率が下るでしよう。そこで米食率を維持するための外米の百六十万トンの輸入量というものは、これは今後殖えることがあつても減ることはないと思うのですが、百六十万トンが百七十万トン、百八十万トンになるということはあり得ると思うのですが、そういうことは前提としてお考えになつておりませんか。
  204. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 事務当局から私はまだそういうふうなお話を、報告を受けたことはございませんけれども、その外米の百六十万トンというのは、申上げておつた頃からの状況によつて、少くともこのくらいはなければ最低配給量を確保するということは困難じやないか。従いまして、最低配給量を確保いたして参りますために、これは不経済なことであり、好ましくないことではあるけれども、このくらいは止むを得ないじやないかという、一応の計画の、下にやつておるわけでございますから、従つて内地米の確保が更に悪化をするというようなことになれば、これはどうしても弾力をつけざるを得ないという考えを、私は持つておるわけでございます。
  205. 河野謙三

    河野謙三君 そこで私はこの際、大蔵大臣に一つ伺つておきたいのですが、今農林大臣がおつしやつたように、外米の現在きまつております要輸入量の百六十万トンでさえも、場合によると本年の作況から、言つて不足するかも知れない、少くとも百六十万トンというものは、米食率を維持するための絶対量です。これに対しての外貨の割当てというものは決定しておりますか。
  206. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 外貨の割当はそれについては手配いたしております。なお、若し今御懸念のごとく更に増加するというような場合がありましても、丁度幸いに外貨はまだ相当余力がございまするから、これは必要なだけ割当てすることにいたします。
  207. 河野謙三

    河野謙三君 重ねて大蔵大臣に伺いたいのですが、今後仮に殖えました場合に、勿論外貨の予備はありますけれども、予備費のみならず、既往の外貨の割当の変更をされるような事態が起ると思うのですが、そういうことはお考えになりませんか。
  208. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 一応の外貨の割当は、大体年度の初めにやつて四半期ごと、最近は毎月調整を加えておる次第であります。今日のところ今の百六十万トン、或いは百八十万トンに対しては私はむしろ小麦その他の買付のほうが殖えるのではないか、こういうふうに見ておるのでございますが、それらに対する手当はいたしております。併し外米の買付等が殖えることに相成りますれば、これに対する手当をいたします。
  209. 河野謙三

    河野謙三君 くどいようでありますが、そうしますと、今後外貨の面におきましては、外米輸入に対しましては、あらゆる割当に優先して外貨の別当をする、こういうふうに心得えてよろしうございますか。
  210. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私の希望を率直に申上げますれば、米よりも成るべく麦をたくさん入れて頂きたいのであります。米を入れまする場合におきましても、食糧は何よりも民生安定の先決問題であるからこれは十分外貨の割当をいたす所存でございます。
  211. 河野謙三

    河野謙三君 時間がありませんから、次に米の消費者価格の問題で伺いたいのですが、大蔵大臣がたしかワシントンに出発される九月四日でしたか、あの午前中に農林大臣と大蔵大臣で両省の了解事項として、米の消費者価格につきましては、今後原価主義で行つて、若し原価が上る場合には、すべてこれを消費者の価格に加えるというようなことを、お二人でおきめになつたように私は承知しております。これは今日もなお変りませんか。
  212. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) これはもう本会議で申上げておりますように、私ども考え方としてはその通りでございますけれども、ただ今年のこの食料事情或いはその他関連する諸般の事情からいたして、これだけ抜駈けして、すつとやるかどうかということについては、これは相当研究しなければならんということで、慎重に研究をいたしております。
  213. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、九月四日に農林大臣と大蔵大臣と大急ぎで打合せられた原価主義で、今後の負担は消費者価格に加える、こういうことは、一応それは御破算になつたわけですか。
  214. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 大蔵大臣と御相談いたしますのみならず、これは閣議でもそういう方針で、そしてまあ一応米価審議会に改訂の米価のたて方の時期と方法について御諮問を申したわけであります。その米価審議会に対する諮問を決定いたしまするために、先ほどのお話のような御相談をいたしたわけであります。その結果、米価審議会においては差当り消費者米価を上げないように、上げるときには改めて米価審議会の意見の答申を求めるようにという決議も尊重いたし、又政府自身といたしましても、その後の状況から判断いたしまして、慎重に検討をいたしておるところでございます。
  215. 河野謙三

    河野謙三君 この問題は勿論私は何も他意はない。今全国の国民が一番の関心を持つておるのは、来年の一月から米が一体幾らになるだろう、政府が上げやしないか、又米の配給率が下りはしないか、この二点が一番大きな台所の問題です。そこで私は伺つているのですから、率直に御答弁願いたいと思います。国民が来年から米が上りはしないかという懸念がたくさんある。例えば現在までに供出完遂奨励金の八百出品のうちの四百円は、食糧庁の負担で出すことになつたでしよう、これが七十二億、その後において凶作係数で概算五百円、これはもう現に支払つておる、これも米価に加わつて来ている、こういうふうな問題があつて、原価主義で行けば、これが次から次に、あなたがすでに発表された七正二十五円に、更に十円、十五円、二十円とプラスされる、これがプラスされるのじやないかということを国民は心配しておる、これは一体どういうことなんですか、これを伺つているのです。
  216. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 消費者米価につきましては、できればこの国会政府考えを具体的に申上げるようにと思つておりましたけれども、そういう研究、検討が整いませんで、今申します通り状況でございます積極的にも消極的にも、現在は検討をいたしておるという以上には申上げ得ないわけでございます。ただ七百三十五円にいたしたい、およそいたしたいではなく、米価審議会の説明資料として作りました七百三十五円の場合におきましては、供出完遂奨励金の八百円については、この二十八年産米の消費者価格には織込まないというのが三党協定の趣旨であつたわけであります。従つてこれは全然抜く、それと豊凶係数、凶作係数につきましても、私ども当初考えておりました一月からの消費者価格には織込まないという考えでその他の所要の経費を織込むという考えでおりましたわけでございます。それは前のときの考え方でございます。
  217. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、凶作係数が大分変つて参りましたね、今日政府が十月十五日の作況の発表をされましたが、それによると八二%、石数にして約百万石の減収になつております。そうしますと、この凶作係数で弾き出しますと、現存決定しております五百円のほかに、更に八百円ぐらいは追加しなければいかん。即ち合計千三百円ぐらいのものは凶作係数として米に加えて行かなければならない、これも消費者米価には加えない、こういうことでありますね。
  218. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) とにかく消費者米価が、若し当初の考え通りに一月からという場合には、一月からのには凶作係数は織込まないという考え方でおりましたわけですから、これはまあ若し動かす場合といえども、私はその方針でおります。なお、この凶作係数がどうなるか、どれだけの追加になつて来るかということにつきましては、御承知のように米価審議会の、これはこういう場合が今日までございませんでしたものですから、従つてその凶作係数をどう扱うかということについての算定方式というのがきまつていないわけなんです。その算定方式については、米価審議会の意見を聞けというのが、米価審議会の御意見であつたわけです。そこで米価審議会の議長に対しまして、算定方式をきめてもらいたい、意見をまとめてもらいたいということをお願いをいたしておるわけでありますで、これは非常に専門的なことでございますし、審議会の議長とされましても、委員会の意思によつて、専門的な小委員会を作られて検討を頂いておるようでございます。昨日もお目にかかりまして、成るべく早くこの算定方式をきめて頂きたい、それでどうなりますか、その委員会議長の意見をよく伺いました上で、政府で決定いたしたいこう考えております。
  219. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、凶作係数は上つておるのでありますから、五百円にとにかく相当プラスされることは間違いありません。これは消費者価格には加わらない、こういうことにおおむね決定しておるのでありますから、それは了解いたします。ただ食管の特別会計で、その他の経費、その他の経費というので、ちよつと私は考えますのは、本年は当初は二千五百五十万石の集荷目標で、すべての作業をされた。ところが先ほど申上げますように、多く見ましても供出できるものは千五百万乃至千六百万石、それに超過供出が四百万石乃至四百五十万石、こういうことになりますと、食管の算盤が非常に変つて来る、いわゆる食管から見れば、安い供米が二千五百万石から千五百万石に下つて、高い超過供出の分は依然として四百万石から四百五十万石ということで、非常に違つて来る、これは私の概算では大体六、七十億になる。これはあなたが言うところのその他経費に入つて来るわけです。こういうふうに出て来る。私は六、七十億だと思いますが、これは消費者米価に加わるのですか、これを伺いたいと思います。
  220. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) かたくなのようでございますけれども、私どもとしましては、例えば凶作係数にいたしましても、先般大蔵大臣と御相談いたしましたときは、これは無論私ども考えでは、消費者に持つてもらわなければならん金である、併しながらその他に今年は相当そうでなくても上る要素があるわけだから、この部分は後年度に譲ることにして、一月からの分には織込まない、あとで負担をしてもらうというような考えでおつたわけでございます。凶作係数の部分は、全部もう消費者に持つてもらわんという考えでは、無論ないわけであります。ただ今年はそういうふうにいろいろありますから、一遍に何もかも消費者にどかんと持つてもらうといつても、実際これは無理でございますから、そういうところを勘案して、一応この分は先廻りにしようというようなことであつたわけであります。尤もお話のように。米価審議会に諮問いたしました説明資料としましては、お話通りでございます。それからずつと二千五百にかかつて来るとき、二千にかかつて来るとき、或いは二千三百にかかつて来るときとは、当然移動を生じておることは計算の上からも明らかでございます。
  221. 河野謙三

    河野謙三君 それでは食管の特別会計の含み資産と申しますか、この問題で伺いたいんですが、たしか本年の四月一日の繰越益は三百四十七億あつたと思います。そのうちのすでに完遂奨励金のうちの半分、四百円を持つことによつて七十二億はもうこれは飛んでおる、それから元ほど申しました凶作系数による五百円ということは、これは当然今あなたのお話ならば、食管の含み資産でこれは打つよりしようがない。そうすると、今残つておる、五百円というものは百億円になります。そうでしよう。それから更に凶作系数が上つたことによつて追加されるものは、私は八百円と思いますが、仮にこれを今まで同様に五百円として見ましても、更に五百円追加される、合計しても、そうすると、ここに又追加された凶作系数によるところの五百円というものは百億になる、それですでに二百七十億というものは含み資産で持つて行かなければならん、そのほかに今私が申上げました二千五百五十万石の集荷目標が二千万石に下ることによつて、そこに六、七十億というものを更に又持たなければならん。そうすると、どう少く見ましても、丁度食管の特別会計の含み資産の三百四十七億というものが、この一年間に飛ぶことになりますが、そういう計算を農林大臣しておられますか。
  222. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 計算上は消費者価格を若し据置くというようなことになれば、食管は当然赤字になるのだと私は思つております。
  223. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、それによつて起る処置として、食糧証券の私は発行荷の引上げという問題が起つて来ると思う。仮に凶作係数の二百億という問題、これは非常に食糧証券の引上げによつてやるより仕方がないと思う。大蔵大臣もそういうふうに了解されますか。
  224. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まだ農林大臣と実ははよくその点について十分の打合せを終つておりませんが、十分打合せました上、そういう場合には、そういう措置をとらなければならんかどうか検討して見ます。
  225. 河野謙三

    河野謙三君 大蔵大臣は今度九千九百九十九億というようなことで非常に御苦心された。インフレを非常に恐れている。私は非常にあなたの心事を察しているのです。ところがそれとは別に食管のほうで二十億や三十億じやないのですよ。四百億というものはすぽんと出て来る。これはインフレ要因になりませんか。私はそれは辿つて農林大臣と相談してというようなことではない。すでにあなたのお耳に入つて検討されているものですよ。あなたはどうしますか。
  226. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは勿論インフレ要因になると思います。従いましてどういう数字が出て来るか。これについての処置をとりたいと考えております。
  227. 河野謙三

    河野謙三君 時間がないようでありますから、次に、米が何としても窮屈なんです。そこで農林大臣は、しばしば粉食の奨励、麦類製品の奨励ということを言つておられますが、口では言つておられるけれども、具体的には何にもしていない。むしろ逆なんですよ。今麦が幾らしていますか。粉食の奨励ということは口や宣伝では駄目なんです。麦類の価格を下げるということなんですよ。然るに粉の値が上つている。又粉の副産物であるところのふすまの値が上つている。麦ぬかの値が上つている。麦類型品の値段を上げておいて、粉食の奨励なんてことはおかしいですよ。而もこれは単なる雑穀ではない。麦は間接統制でありますから、麦の価格につきましては農林大臣の責任ですよ。あなたのほうでは麦類の価格、払下げの価格を決定する場合に、小麦の場合には粉では幾らでなければならん、押麦については幾らでなければならんという基準価格があるはずです。この基準価格を守らせる、守るということはあなたの権限内においてできることです。而もそれがあたかも自由製品のように、或る場合には九百五十円にもなれば、或る場合には百円になるのですよ。現在粉は千百円ですよ。こういう高騰です。而もこういうことは粉をあなたが引下げるべく非常に努力された。最近小麦の払下げを非常にやられた。従つて製粉工場の稼動率が三割から四割上つております。この稼動率が三割、四割上つたということは、製粉価格の原価が下つているということですよ。原価が引下つたにもかかわらず、製品の市場価格が高いというのは一体どういうことですか。これを農林大臣は何と思いますか。如何に粉食奨励の立場に立つて、麦類製品の価格について具体的指導されるか伺いたいと思う。
  228. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私はむしろ考え方としては、まあ麦に二重価格というものが当るかどうかわかりませんけれども、麦のほうこそ二重価格をとるべきじやないかという考えを持つております。今年のような食糧事情、特にそういう先ほど来お話のような、無理算段して外米を確保いたしてみましたところで十五日分、あと十五日分は麦とか粉を食つて頂かなければならん。そこで実際の消費家庭の負担を考えてみまする場合に、今若し麦の価格まで暴騰するというようなことになれば、それこそ私は家庭の食糧不安というものは大変だと思う。そういうわけで、麦につきましては、どうしても価格を上げないように、できれば引下げるようにという考え方で、この場合特に麦の加工業者、或いは製粉業者等に対しても、このときこの際こそ、真に国民の食糧を扱つている崇高な業務を達成するために、協力をしてやつてもらいたいということを強く要請をいたし、そうしておおむね又業者も協力いたしてくれておるわけでございます。この点につきましては、麦及び麦製品の価格を維持いたしまするについては、これはもうどういう処置でもとらなければならん、こういうふうに考えております。
  229. 河野謙三

    河野謙三君 時間が来ておるようですから、最後に農林大臣、今私はあなたに一体案を聞いておる。麦を農林省が定めるところの適正なる価格に安定させるために、一体あなたはどういう指導をされるか、こういうことを開いておる。ところがあなたのほうでお考えになつておる価格よりも一側五分も二割も高いところの千百円というものが、すでに市場価格なんです。左は補給金がついているんですよ。補給金がついておる麦製品が一割五分も二割も高い。その補給金は取りも直さず製粉資本が泥棒しているのです。一品も黙過してはいけませんよ、これは。つきましては、麦の価格につきましては、やはり政府が出しておるところの基準価格を中心にして上下に成る程度価格の幅を置いて、一に製粉会社の自粛を求める、若し製粉会社が自粛しない場合は、そのときには公にする。こういうことをおやりになりませんか。私はやるべきだと思います。どうです、この点。
  230. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 麦の価格が上つて行くというようなことになりますと、先ほど申上げまする通りでございますから、お話のようなことが適切な措置としてできれば、私は実行することに少しも躊躇いたしません。十分研究いたしましてやれることはやります。
  231. 河野謙三

    河野謙三君 これは私は御答弁は求めません。ただ参考に一つ町の台所の話をします。今あなたもうどんを食つていると思う。うどんは今二十五円、高いところが三十円、私がいます田舎へ行きまして二十円。ところがうどんの玉一つ作るためには、粉は今申上げた千百円の粉にいたしましても、四円か四円三十銭あれば、うどんの玉が一つできる。うどんの原価の中に占める粉代というものは四円か四円三十銭です。それからおつゆとか鰹節、加工費というものを加えましても、当然うどんは十五円でいいはずです。十五円にしてこらんなさい。そうしたら、あなたが何も苦労しないつたつて、みんなが粉食になりますよ。米が浮いて来ますよ。麺食なんか簡単にできますよ。私は参考に申上げておく、今の二十五円、あなたは二十五円は安いと思つてつているかも知れませんが、あの二十五円といううどんは高いんですよ。粉一袋で二百四十うどんの玉ができる。そういう計算で行けは、だから粉が安いとか、うどんが安いというのは大きな間違い。そういうところにあなたが感覚がにぶいからなんですよ。粉食奨励なら、先ずうどんの玉を下げて粉食奨励をやつてもらいたい。私はこれで終ります。
  232. 亀田得治

    ○亀田得治君 今回の補正予算案で質したいことがたくさんございますが、重複を避けて保安庁関係を中心にお聞きしたいと思います。最初に長官から一つお答えを願いたいのですが、保安庁関係経費の今年度に入つてからの使用の状況は、どういうふうになつておるかお尋ねいたします。
  233. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 亀田委員にお答えいたします。二十八年度予算執行状況でありますが、予算全額約で九百億円に対しまして、十月二十日現在におきまして、支払負担行為金額が約三百九十四億円であります。支払済額が約二百七十八億円となつております。大体予算の執行状況につきましては昭和二十七年度予算のほぼ同時期におきまする消化状況に比べまして、極めて順調に行つておる次第であります。詳細は経理局長から申上げます。
  234. 亀田得治

    ○亀田得治君 十月二十日現在の残りは幾らですか。
  235. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 便宜私よりお答え申上げます。先般この資料はお配りをいたしてあると思うのでありますが、予算全額は只今長官のお答えになりましたように九百二億です。それに対しまして支出負担行為金額が三百九十三億、支出済額が二百七十七億八千九百万円、差引きまして、使用残額とおつしやいまするのは、支出負担行為の未済、それが五百九億円、現金の出ておりません支出の未済が六百二十五億、そういうことに相成つております。
  236. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、この四月から十月までの使用状況は、只今数字から行きますと、一カ月に割当てますと、大体四十億前後ですか。そんなものですね。
  237. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 四月から十月の二十日まででございまするが、大体支出負担行為について申しますれば、月割にいたしまして支出負担行為約四十億円。それから支出済のほうは二百六十億でございますから、大体四、五十億になりますね、そういうことでございます。
  238. 亀田得治

    ○亀田得治君 その毎月の支出はまあ一カ月約四、五十億ですが、大体平均にこれは出ておりますか。どうなつておりますか。むらがありますか。
  239. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 只今月別の数字を手許に持つておりませんので、詳細は又調べて申上げまするが、大体から申上げますると、御承知のように七月の末に本年度予算成立いたしましたので、それまでは暫定予算でございまするから、大体におきましては、年度の初めにおきましては、そういうふうな支出負担行為にいたしましても、現金の支出にいたしましても遅れ勝ちであるという状況にあつたというふうに考えております。
  240. 亀田得治

    ○亀田得治君 私の計算で、只今の概略の数字を基礎にして計算いたしますと、今までと同じような調子で十一月以降来年の三月まで毎月使つて行くといたしまして、大体三百億余りは現金が残る、こういう計算に大体のところなりますが、これはどういうふうにお考えですか。
  241. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 先ほど申上げましたように、御承知のように今年の七月一ぱいまで暫定予算でありまして、これには経営費、大体経営的な経費しか見てございません。従いまして、物件の購入でありますとか、そういうような実質的に大きな金が八月以降に初めて国会審議を終了いたしましたのであります。従いまして従来の支出三組行為の同月割り或いは従来の支出済みの月割ということで御計算頂きますと、それはいささかと申しまするか、相当月割金額におきまして少いものとお考え頂きたい。
  242. 亀田得治

    ○亀田得治君 あなたのほうの見込みでは、それでは私の三百億は残るという見込が少し多すぎるということであれば、あなたの見込みはどういう状況でございますか。
  243. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) この大体の状状況は、最初に長官が申上げましたように、十月二十日現在におきまして、支出負担行為といたしましては大体四四%弱のものを費つておるわけでございます。御参考までに前年度数字を申上げますと、前年度数字と今年の数字を比較して申上げますと、前年度は十月末でございますが、十日間の違いがございますが、十月二十日現在の本年、十月末の昨年ということを申上げますと、今年は支出負担行為が三百九十四億、パーセンテージにいたしまして、四三%半、前年が二百五十九億円、これは十月末現在、パーセンテージにいたしまして三十五%、支出済額が先ほど長官のおつしやいましたような二百七十八億、予算額に対しまして三一%、前年度はそれが二百十二億で二九%、そういうような状況にまあなつておりまして、本年は大分長官の申されましたように消化の状況は進んでおるわけです。そこで一体どの程度まで繰越しが出るだろうというお尋ねでありますが、    〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕 これは今申上げましたように、本年の七月末になりまして、やつと本年度予算成立をいたしたということのために、それの実行計画というようなものも逐次進んでおります。従いましてこれがどういうふうに参りまするかは、もう少し時間が経たなければわかりませんが、目下私ども考えておりまするところでは、引続き努力をいたしまして、新年度の本予算成立いたしまして以来、計画を進め、その後着々実行に行つておりますので、繰越の全額は非常に少いものに相成るだろうということでございます。
  244. 亀田得治

    ○亀田得治君 十月二十日現在と昨年の十月末とを比較しても、すでに現金の出たものは昨年は二九%、本年は三一%と、こういうわけですから、大した違いはこれはないのです。で、なるほど七月末までは今年は暫定予算であつたという関係はあるでございましようが、すでに八月から本予算になつて、七月まで幾らか圧縮されていたもの、そういうものが出されておる。これはほかの各省だつてそうだと思うのです。本予算成立した直後には追越すために出ておる。だから大体もうその辺が平均がとれておるのじやないか。こういうふうに考えるわけですね。そういうところから推定して行きますと、同じような順序で行くものとすれば、どうしても三百億くらい私のほうの計算では残ることになるのですね。それであなたのほうも幾らか残ることについてはお認めになつておるようですが、もう少しそこを具体的な見通しをですね、まあそれが結果において来年の三月少々違つて来たということになつても、それで別に責任をどうこうということは、補正予算審議するについて今お聞きしておるわけです。
  245. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 先ほど私の言葉の使い方が多少不注意でありましたために、すでに繰越を予想しておるかのように申上げたのでありまするが、現在私どもといたしましては繰越を予想しておるわけではございません。今申上げましたことに若干附け加えて申上げますれば、御承知のように本年度予算国会におきまして相当な、修正を受けております。従いまして当初政府の提出いたしました予算、    〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕 それでの内訳はその機会におきまして御説別申上げた通りでありまするが、それに対しまする節約をどういうふうに織込んで実行に移すかということにつきましての、一つ若干の時間が要るということを御承知を願いたい。従いまして予算成立いたしましたら、打ちに経営的経費以外の経費につきまして、すぐに八月早々から着手するという状況にございませんで、そのために相当やりくりをいたしまして当初の計画を圧縮し、どういうふうな実行をいたすかということにつきましてのいろいろ工夫をいたし、研究をする時間があつたということを先ず御承知を願います。第二の点でありまするが、それは只今申上げましたようなところでスタートいたしましたわけでありますが、なかんずく船舶でありますとか航空機でありますとか、そういうようななかなか事前の準備と申しますか計画の立て方につきましていろいろなむずかしい問題があるのでありまするので、そういうような分につきましては、今申上げた一般論のほかに又具体的な計画の樹立、従つてその実施ということにつきましての時間のかかるものがございます。なお船舶につきましては、御承知のように相当な大きな割合を来年度におきまして出すような債務負担行為をいたしておりますから、その点の或る程度見通しはありまするが、そういうような大きなもので特に企画立案につきましての慎重なる審議をしてみたいというようなものもありましたことを重ねて申上げておきます。
  246. 亀田得治

    ○亀田得治君 只今お話からいきますと、どうも過去七カ年で大体現金を出したものが三分の一、残りの五カ月間で三分の二の金を全部使つてしまつた、こういうように推測されるのでございますが、そういう金の使い方こそ大蔵大臣がいつも言われるように、これもやはりインフレの一つの原因になるのではないか。大蔵大臣は二言目には、どうも今度の災害予算は少いけれども併しまあこれで或る意味ではまあ何とかやつてもらいたい、その一つは余り一時にたくさんやるとそれがやはりインフレに悪い影響を及ぼす場合もある、こういうことをまあ言われる。或る程度その意味はわかる。併し只今の保安庁の経費関係から見ますと、やはり同じことを考慮してもらわなければならないと私考える。  なおこの三分の二全部を使つたあと足らないところはどうも船とかそういうものについては、百何億という債務負担行為が別個にありますが何かそれにも手をつける、こういうふうな御計画のようにちよつと聞いたのですが、さようでしようか。
  247. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 最初の点は私からお答えをいたすのは適当でないかと存じます。大蔵省のほうでいろいろ御心配になりまするようにできるだけ支払或いは債務負担行為というものが下半期に片寄らないという点は、十分に努力すべきだという点はおつしやる通りであります。私どももその意味におきまして極力努力をいたしたのでありまするが、ただこれは大蔵省のほうから申上げるべきでありましようが、いろいろな努力をいたしましても各四半期に半分をいたしますような実施の仕方というものは、甚だ率直なことを申上げて恐縮でありますが困難ではないかと考えております。累年の各四半期の支出の割合を見ましても、それがよろしいというわけじや勿論ございませんが、或る程度まで第一四半期、第二四半期あたりには支出が少くとも九割或いは七割ということにしか参らんということは一般的な事情かと思うのであります。  お尋ねの後半の点は本年度国庫債務負担行為がございまして、その国庫債務負担行為は本年度中に契約することを予想しております。従いまして物が全部でき上りませんので支払は部分的な払いの部分しか計上してございません。従いまして当初から考えておりましたように契約は本年度中にいたす、併しながら船は部分的にしかできませんので、部分払いの分だけが現金の支出として予算に組んでございます。その趣旨を御承知願いたい。
  248. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは現実に債務負担行為のやつは金は出さないということがあつても、その影響力というものは相当あると私ども考えて、これは大変だと実は思います。これだけの大きな金を五ケ月間にともかく全部消化してしまう、そういうふうなどうもお考えのように拝聴するのですが、一応そういうふうに承わつておくことにいたします。  そこでこれは長官におお聞きいたしますが、大変国民としては金がなくて困つておる。保安庁では相当たくさんお使いになります。これは十分注意してお使いになりませんといろいろな問題がやはり起る虞れがある。そこで私は時間がないので具体的に一つお聞きしたいのですが、先般から新聞に出ております松井課長を中心にした汚職事件、こはれ長官としても大変町節柄心痛されておると思いますが、一つこれの全貌をお聞きしたい。
  249. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつとそれに関連しまして木村保安庁長官にお尋ねいたします。過般の国会におきまして、増原次長の奥さんのさとから大量な綿製品が保安隊に納められておるということについて御賛同いたしました際に、長官は色をなされまして激しく私に、反発して参られましたが、その質問をやりましたその日に、実は保安庁から私に投書でなしに直接書類を持つて参りましていろいろな事情を言つて来ておるわけであります。その中に増原保安庁次長の奥さんは愛媛県八幡浜市の酒六の大綿布工場の御出身である、かねて愛媛県下では長い間警察予備隊との綿製品の納入関係についていろいろな風聞がある。これについては愛媛県とは申しませんが自由党の某代儀士その他の名も挙げてあります。そうしてその代議士の下請としまして、今治市のこれも名前もはつきり書いてありますが、仮に〇君としよう住所も電話番号もはつきり書いてある。これが下請して納めた。そうして納めたら幾ら利益をやると言つて配分を約束してやつたが、それについて約束通りに代議士からもらわなんだので喧嘩分れになつておる。だからこの事態を究明するにはその〇君を証人として召喚すれば事態の全貌ははつきりする。こういうふうに言つておつたと、保安庁の某職員からじかにその晩私の所に持つて来たわけであります。保安庁長官はその後全然そういうスキヤンダルは別にしまして酒大工場から保安隊に綿製品が納入されるようなことはなかつたかどうか、そういう御調査をされたか、その点も一つ関連してお伺いしたいと思います。  更にもう一つ、これは緒方副総理にお伺いしたいと思いますが、只今同僚亀田委員から御質問がありまして、保安庁当局の御答弁ではかなり膨大な、使い切れない経費があるようであります。こういう経費があるにもかかわりませず、これらについては削減のメスを加えずに、食糧増産対策費或いは災復旧費等に手を加えられていますが、そこで私は論語を引用しまして、政治の要諦について緒方副総理にお尋ねしたい。孔子の弟子であります子貢が孔子に対しての政治の要諦は何であるかという質問に対して、先ず食を足らしめよ、その次に兵を足らしめよ、民をして信あらしめよという答弁をしている。更に子貢が、やむを得ずして事態が切迫してその三つのうちからどれを選ばなくてはならないかという質問に対して、先ず兵を捨てなさい、更にあとに残つた食と信とのうちそのいずれを捨つべきかという質問に対して、孔子は曰く(笑声)先ず食を捨てなさい。最後に政治に対する信を失つたら国が立たない、こういうことを言つて政治の基本的な要諦にしているわけであります。私はこれは今の政治にとつても十分に心すべき政治の要諦ではないかと思いますが、吉田内閣のとられました予算的な措置は、孔子の教えとは去ること甚だ遠いと思いますが、こうしたことは非常に問題ではないかと思いますが、来年度予算にも鑑みて孔子の教えと比較対象として所信をお伺いしたいと思います。
  250. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 亀田君に先ずお答えいたします。御承知通り保安庁というのは膨大な予算を持つております。この金の使い方は極めて厳正でなくてはいかん。いやしくもこの間に不正な行為があると保安隊自体が国民の信頼を失うのである。これは気を付けなくてはいかんぞと私は就任の第一日に幹部を集めまして厳にこの点を戒めておるのであります。大体保安庁の金遣いの機構といたしましたは不正なことができないような仕組になつているわけであります。(「冗談言うな」と呼ぶ者あり)十分に私はこれを警告しおるのであります。たまたま今度松井某かの問題が起つたのであります。これは現在警視庁において厳重に取調べております。只今、身柄を警視庁に留置いたしておりましてどういう事情であるか詳細に調べておりまして、その内容は近く判明することであろうと、こう考えております。我々の手許にはどういう事情になつているか本人が只今拘留中でありますからわかつておりません。警視庁において全貌を近く明らかにすることであろうと考えておる次第であります。  それから中田さんにお答えいたします。今増原次長のことについて御質問がありました。私は増原次長を全面的に信頼しております。彼の生い立ち、彼の今までの経験、彼の行動に臨みまして、私は少くとも全幅の信頼をおいております。そうして次長の夫人の実家の取引云々は現在私の調べたところではありません、従来は仮にさような取引が夫人の実家にあつたといたしましても、その間において何らの不正行為のないということは私は十分に推測し得るのであります。併しその点についてはなおよく調査することにいたします。(「霊友会はどうだ」と呼ぶ者あり)
  251. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も人格高潔な増原次長にそういうことはないと思いますが、併し保安庁の要職にあるということをだしに使つて、本人とは関係なしにそういうこと可やり得ることがまああるわけですね。私は増原氏の名誉のためにも、こういう事態ははつきり一つされたほうがいいと思うわけであります。これは今治市の某氏を喚び出せばよくわかる。あとから名前も報告しますが、一つ増原氏は関係なくてもそれをだしに、おとりに使えば、保安庁の要職にあるからまあそういうふうにして行けば、いろいろというようなことで、納品の思ずしも便宜が図られなかつたことはないと思うわけですから、一つその辺をやつて頂かんと、むしろ危機は外ではなしにそういう中から起ると思いますので、特に松井厚生課長の問題もありますし、一点疑惑のないような措置を希望しておきます。
  252. 亀田得治

    ○亀田得治君 副総理が答弁される前に、私からも、これはのちほどお聞きしたいと思つておつた点ですから、併せて一つ申上げて御答弁願いたいと思います。それはあなたが以前から関係されております朝日新聞の世論調査、九月二十九日です、あなたの立場からしてもこれは十分尊重される世論調査だと思います。それによりますと、再軍備か生活安定か、こういう項目の世論調査がございます。その結論によりますと、全体の六一%が先ず生活安定をこの際はお願いしたい、それから全体の一三%が保安隊をふやす、こういうふうに出ておる。この比率が三対一なんです。国民考え方は、この大きな災害に直面して、先ほど中田委員が古来の政治の要道を説かれたように、もうここにもはつきり国民の声は現われている。こういう点を一つどのようにお考えになるか、お答え願いたい。
  253. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 中田君から孔子の言葉を引いて政治の要道をお示しになりましたが、さすがに孔子でその子貢に説かれた食と兵と信というものについて示された言葉は、今日といえどもそのまま政治の第一要件であると考えます。政府におきましても今日一番の趣旨としておりまするところは、国民生活の安定充実というところにあるのでありまして、信は勿論でありますが兵よりも食を尊ぶのであります。ただどつちを先にするか、こういう場合に兵を減ずべきではないかという御趣旨のようにも承わつたのでありまするが、まだ今日のところ日本の自衛力というものは漸増の階程にありまして、今日それを減すまでの段階に行つておりません。戦力とか軍備とかいろいろ議論がありまするが、いずれにしましても日本の自衛権と名付けておりまする自衛力というものはまだ減し得る階程にまで行つておりません。そういう意味で論語にありますところは勿論政治の要諦として十分尊重いたしておりまするけれども、今ここで保安隊の経費をうんと削つてこれを災復旧費へ持つて行くということはないように考えます。  それから亀田君からお示しになりました、朝日新聞で行いました世論の動向というものも、私新聞を見てよく承知をしておりまするが、今日日本の内外の事情から言うて今の政府のとつておりまする方針は、私どもとしては止むを得ざる最低限度であると、かように考えております。
  254. 亀田得治

    ○亀田得治君 保安庁長官にお聞きしますが、松井課長の汚職事件が警視庁の某方面からの伝えるところによりますと、相当横それから下のほうに拡がるやに私は聞いておるのですが、長官はどのように考えておられますか。
  255. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今申上げました通り、警視庁で折角捜査中であります。警視庁から我々の手許にまだ報告も何も来ておりません。又改善すべき事柄ではなかろうかと思います。警視庁は独自の立場をもつて厳正にこれを取調べることかと考えております。私の予想では、彼が、どういうことをやつておるかまだわかりませんが、これは余り波及しないものであろうとそう考えております。併し今申上げました通りに警視庁で糺明中であります。近く全貌は判明することでもろうと考えております。
  256. 亀田得治

    ○亀田得治君 何か警視庁でお調べになつておるからそれを待つておるのだというようなお考えのようですが、重大な問題ですから恐らく長官或いはその代りの者が行つて、全貌が現在の段階においてどのようになつておるか、これは当然お調べになつておられると私ども考えておる。でこういう問題が起きますと、どうも上のほうに拡がる、こういうことについて世間の人はややもするとこの抑えにかかるのじやないかと、こういうことを想像するものです。先ほどの長官の言からいたしますと、どうも警視庁にも行つたことがないというようなふうにもとれるのですが、そういうことをおつしやるとますます何か上部への波及を抑えておられるのじやないかと、こういうふうに邪推もしたくなる。警視庁にこの出題についてあなたはお聞きに行かれたことはないのですか。
  257. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。却つてそういうことになると、私は警視庁を或いは掣肘するとか何とかいうような疑惑を招く虞れがあるのじやないかと思います。警視庁は独自の立場でやるのでありまするから、警視庁は公正な立場においてこれを取調べられることが私はよいのだろうと思います。これはなまじつかどうなつておるとかこうなつておるとかいうことを言うのが、却つて世間の疑惑を招き、又警視庁の立場を悪くするのじやないかと、私はこう考えておる次第であります。
  258. 亀田得治

    ○亀田得治君 時間がないので次に移りますが、先立つてから自衛力の漸増ということが随分問題になり、国民もこれには非常に関心を持つておる。これは結局は抽象論をやつていても我々としては納得ができない、又国民自身の知りたがつておることは、兵力の増強があつた場合に具体的にどのような負担がかかつて来るのか、こういうことなんです。そこで、いつ頃どうなつてどうなるのかというような質問をすると、いつもぼけますから、仮に一万人の保安隊をあなたが今増員されるという仮定をいたしたといたしますると、現在の計算では財政の負担がどれくらいふえることになるのか、一万人について。こういうふうに一つお尋ねしたほうが却つて端的でいいと思います。
  259. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現在保安隊の使用しておる武器は米軍から借受けておりますので、これに要します費用を除きます保安官一人当りの諸度費は約七十万円、一万人分の諸度費は約七十一億六千万円になつております。維持費につきましては弾薬が米軍から給与されます。又貸与武器の修理、変更は米軍に依存しておりまするので、これらに要する経費を除いた保安官一人当りの年間維持費は約三十万円でありまして、一万人分としては約三十億円となるのであります。さような次第であります。
  260. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連して。これは日本の保安隊としての経費であるかどうか、この部隊編成を伺いたい。と申しますのは、これまで経費を節減できるとかできないとか、或いは又今後保安隊を増強するとかしないとかといつておりますが、一体今の日本の保安隊の部隊編成日本独自の編成になつているかどうか。従つてこの具体的な部隊編成を伺いたい。更に付け加えれば今の保安隊は大体一管区にしますと約三万人ぐらいになります。十一万ですから四管区としてそれで大体三万人ぐらいになる、それより少し少い。併しそれは戦時の部隊編成だと思う。平時の部隊編成というものはそんなに多いものではないと思う。これは辻代議士あたりの意見では大体一管区一師団とすれば七、八千ぐらい。更に又これはアメリカの大陸作戦から言うと前戦部隊と補給部隊は一対一と言われております。前戦一万として後方一万と言われております。併しそれはアメリカの大陸作戦であつて、前の関東軍の編成は前線一万、後方七千、こう言われている。日本の島を護る場合の部隊編成ならば、これは大陸じやありませんから補給部隊はそんなに多くなくていいはずだと思うのであります。大陸作戦であるから補給の後方部隊が多いのであつて従つて前線一万なら後方一万になる。更に又聞くところによるとこの部隊編成の中には日本においては必要のないような部隊があると聞いております。例えば冷凍部隊、冷凍隊というのはアメリカにはあります。
  261. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 冷凍隊というのは。
  262. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 死体を冷凍にして送る、そういうようなものが若しあるとすればこれは調べて頂きたい。又。D隊とかいろいろあると思うのです。それがアメリカ式部隊編成であると我々は聞いておるのでありますが。ですから今の例えば一万人ふやすのに経費が幾ら要るかという場合に、具体的にその一万人の部隊編成について我々前線と後方との比率関係をどう見ておるか。それから平時的な部隊編成なのか、戦時的部隊編成なのか、今のは一管区約三万とすればこれは平時的な部隊編成ではない。それは今までアメリカ軍が朝鮮で戦争しておつたから、そしてそれとの関連において編成されたと思われるから、そういう編成になるのではないか。前に保安庁長官がよく言われた日本独自のいわゆる自衛隊、自衛軍ならば自衛軍を作りたいということを言つておられたと思うのです。今のは日本独自ではないと思うのです。日本独自の仮に日本の自衛軍を作つて行くという前提を一応置くと非常な無駄な使い方をしていると思う。又それから、弾の使い方を御覧なさい。弾の使い方はアメリカ式使い方ですよ。
  263. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君若し長いようでしたならばあなたの時間のときに…。
  264. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この貧乏な国で弾を使うならばもつと節約して使うべきです。そういう意味で私は今亀田さんが質問せられたこの一万の経費の前提となる部隊編成というものを具体的に伺いたい。
  265. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 極く簡単に申上げますが、あとで次長から申上げることにしまして。これはアメリカ式の編成じやないか、こういう御質問のようでありますが、旧軍隊にありましては約一個師団の編成は大体一万三千から一万五千と見ておるのであります。これに対して後備を持つておるのであります。更に戦時の編成はどうなりますか、今木村君が仰せになつたように約三万ぐらいになりましようか、戦時の編成になつて来ると。そこで現在保安隊におきましては昔と違いましていろいろの施設部隊があるのであります。さような次第で必ずしも現在の一管区の三万というのは私は多きに失するとは考えておりません。併しながら今後の私は編成配置については再検討する要はあると考えております。現在よりより検討中であります。必ずしも現在の編成配置はいいと考えておりません。だんだん日本式に、より日本式に(笑声)十分な研究を進めて参りたいと考えております。
  266. 亀田得治

    ○亀田得治君 どうも時間の計り方がおかしいようですが。そうするとともかく一万人増員すると百億とこういうことが普通に言われているのですが、これが長官によつて裏書されたわけですが、そういう前提に立ちますと、日本が今うわさされておるような再軍備を推進した場合にどういうことになるか、こういうことをいろんな角度からやはり諸外国も注目をして見ております。そういう意味で一つこれは外務大にに簡単に伺いたいのですが、その一つの問題は最近のマニラからの報道によりますと、外務大臣が先達つて賠償問題でフイリピンに行かれた。そうしてこちらにお偏りになつた後に、この日本の一再軍備が池田・ロバートソン会談なんかに関連して進むのではないか、これは当然支払を受けるべき賠償なんかについて影響して来るのじやないか、こういう立場かららの報道を私どもは聞いておるわけです。  そこで先ず先にお伺いしたいことは平和回復善後処理費、これを百億今年は当初予算で要求されたわけですが、この際における賠償その他の内容につき予算を請求されたときの予定、これはどういう状況かを先ず一つ外務大臣にお伺いいたします。
  267. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) その費目は賠償だけには限つておらないのであります。併し賠償につきましては各国のいろいろなお話合もございましてどうなるか勿論わかりませんけれども、併し仮に本年度中に話合がついて国会の承認を得られた場合には実行しなければなりませんから、その場合でもなかなか時間がかかりますから仮に総額がどれだけときまつても、そのうちの本年度にどれほど払われるかということは比較的少い額になりましようけれども、そういう場合を考えましてどこに幾らどこに幾らというふうな今正確な数字はありませんけれども、とにかくそういうものを一応入れておいて、話がついて足りなければ又補正なり予備なりの支出も待たなければならん場合がありましようけれども、とにかく項目をはつきり入れておくことが必要であろうと思いまして、それでいろいろ予算上のほかの問題と関連して大蔵省はこれだけを計上してくれたわけです。
  268. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは勿論そういうはつきりしたものでないですから今外務大臣がいうような話でいいのですが、当初予算成立するときの予算説明によりますと、この百億を請求する根拠として賠償の支払その他云々と、こう書いてあるわけです。で合計が百億くらいの見当であろうということは一応納得できますが、それにしても百億が出るためには大体今年いろいろやればそのうちどの程度が賠償関係になるのか、こういうことは一応確実なところはわからないでも見当をつけて請求されたものだと思うのです。そういう意味でおおよそ考えておられた見当というものをお伺いしておるのです。全然見当なしでやられた、そんなことは私なかろうと思う。若しそうならそうで御答弁願つてよいのです。
  269. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 今年の予算は、本予算は御承知のように少し遅れてできましたので大体今と余り考えは逢わないのですが、当時の考えとしましてもフイリピンとの間の沈船引揚協定に基く沈船引揚の実行はいたさなければならないと考えております。これに二十億なり三十億なりというものは必要であろうと思つております。それからヴエトナム、つまりインドシナ三国との関係でこれ又沈船引揚が起るかも知れない。これは比較的少い額でありましようけれどもが或る程度必要であろう、こう思います。それからその当時はインドシナにも沈船引揚の間の問題があります。これはまあどうなるか時間的にむずかしいかも知れないと思いましたが、それも予定しましたから大体四、五十億程度あればよかろうと思いましたが、これはまあもつとふえるかも知れないし或いは減るかも知れない。
  270. 亀田得治

    ○亀田得治君 四、五十億というのは賠償でしようか。
  271. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 賠償だけそういうふうな考え方を持つております。勿論これは四、五十億でいいというわけではありません。もつと普通賠償が実行されればもつと非常に余計要るだろうと思います。併し一応そういうようなことも考えるわけです。
  272. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこで私は更にお聞きしますが、賠償問題は外務大臣が東南アジア諸国へ行かれましたが、余り進展しておらないようです、そういう問題には只今触れませんが、若しあれが進展しておれば私はこの予算では少し不足するのじやないかと思いますが、それはどうですか、その点は。
  273. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 仮に進展をしましても只今若し話合いが根本的に付くとすればそれによつて協定を作らなければなりませんが、沈船引揚のような簡単な協定でもこれは数カ月かかつたのであります。賠償の勿論これは総額にもよりましようが、話合いがきまりましてもそれの具体的な協定というものは、これは一番初めての試みでもありますから相当かかるのじやないかと思います。そうしてそれを国会へ提出しまして両院の承認を求めるということになりますと、恐らく今年中には間に合わないで来年に持越される可能性が非常にあるだろうと思います。というのは今年は恐らく十二月というような予定に一応なつておるようにも聞いておりますので、従いまして今度実行に移す場合にはそれに基いて年度末の一、二カ月は必要になる。まあこれは仮定の問題ですが、ありましようが、これも今でも或いはそういうことが起り得るかと思つております。進展はなかなかむずかしいが、或いは今年度内に話合いが付いて国会の承認が得られて本格的な賠償の実行に移る場合もあり得るかと考えておりますが、その場合でも著しく今の予算で足りないということがありますかどうか、主として来年度からの予算になるんじやないかと思つております。
  274. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは私非常にこういう費目を削る場合には実は重要だと考えておるんです。外国では何といつたつて日本予算を見る場合に、アメリカが見る場合にはインフレになるかならんか、そういう立場から見るでしよう、併し日本とまだ国交を回復しておらない国は、おれのほうの平和回復善後処理費の関係がどうなるんだ、こういう立場からやはり関心を以て見ておると思う。それを賠償問題その他東南アジアとの関係がむずかしいときに、これを先に削つてしまつたんではもうその数字、七十億を今度は削つたわけですね、削つただけでも日本は誠意はないんだ、そういうふうに受取りますよ。それから私外務省の若い人たちからこういうものは削らんでももつとほかに何とか考え方があるんじやないが、というふうなことも聞きましたが、これは私非常にまずい削り方だと思う。たとえこれが二、三十億或いは四、五十億余るといたしましても、話が付けばいつか出さなければならない費用なんです。そうすればそこにもう少し慎重なやり方があるんじやないか、こういうふうに私は考えておる。そういう点は外務大臣としてはこれは削られたのは不本意でしようが、そういう立場から見てどういうふうにお考えになりましようか。
  275. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 勿論私から言えば削られないに越したことはありませんが、諸般の事情から見まして財源の捻出が必要であり、私の考えではこれは削られても、今おつしやつたような東南アジア諸国には最近の旅行の経験から見まして誤解を与える心配はないこう考えましたので、削ることに同意をいたしました。なお尤も大蔵大臣からは来年度等において必要な場合には必ず必要の経費は計上するというお話でありますのでますます安心しておるわけであります。
  276. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは懸念はないとおつしやいますが、あなたが東南アジアをお廻りになつて、そうして日本予算がきまつたのちのマニラの情報というものが私どもに伝わるところによると、日本の再軍備で賠償への影響を懸念している。これはフイリピン全体の意向かどうかわかりません。 併しこおいうことは必ず私どもとしては予想される決してそお簡単に楽観はしてはならない問題だと実は考える。持時間がないのでそこでなにしますが、最後に副総理にまあ全般的な問題になりますが、先だつてからのずつと予算委員会における論議を振返つてみますると、例えば国内関係経費では住宅費を削るといつたようなことをやつたり、相当この民生安定の関係の費用を削つている。でこういうことは論ぜられ尽しておりますから申上げませんが、それから国際的な関係を見ると、今申上げたような非常に下手な削り方をやつている。金さえ出して来ればいいというものじやないと思う。私は国際間の問題はそういう意味で、この補正予算案を見るとこれはどうしても、先ほど私は保安庁からの経費の残りの説明を聞いたのですが、あれは納得が行かない。年度の七カ月間終つたところで三分の一費用を使つていて、あとの五カ月間で三分の二使うことはとてもできないと思う。若しそんな使い方をしたら又何か事件が起るのじやないか。これはもう来年の三月に解決しましよう。併しこの問題は誰が常識的に考えても考えられることだ。一方ではこういう国際的な関係で無理しながら、なぜもう少しこの保安庁関係経費というものを検討しないのか、これが一つ。  それからもう一つは、時間がもうないですから終りますが、安全保障諸費すね。この中でまだ使途のきまつておらないものが、政府の資料にもありますように八十一億円ある。これは緒方副総理も水害委員会で考慮しましようと、で、どうもその考慮の意味がはつきりしなかつた。私どもとしては恐らくこれはこれを使う主体である駐留軍関係と何か折衝したのだろう。こういうふうに解釈していたわけなんですが、これは政府も手をつけられないで今日こう出て来ている、この点がどうなつているか。こういう二つの点について一つ最後に水害対策本部長としてのあなたの御所見を聞いておきます。
  277. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今回の補正予算財源につきましては、御承知のような財政状態でありますし、総体から申しましてかなり無理をして捻出していることは事実でございます。でありますが、先般来予算委員会で御質問に対し繰返し繰返し大蔵当局からお話申しておりまするように、今年中に明らかに使い切れないものから捻出するほかなかつた。実を申しますと予算の中で一番大きいのは公共事業費、食糧増産費でありますが、この補正予算編成しまして二十八年度予算全体からインフレの危険をできるだけ避けようとしますれば、既定経費の中からしぼり出す以外に道がないのでありまして、その既定経費の中におきまして、今申上げるように比較的金額のある、そうして明らかに見通しとして使い切れないというものを、この災害復旧の財源に用いるほかない、それほど実は財源に困窮いたした結果だつたのであります。これはいつでもたびたびこの席で大蔵大臣からも御説明があつただろうと思いますが、その大蔵大臣の答弁を繰返す以外に御答弁のしようがないのであります。それから安全保障諸費八十一億、これをどういうわけでこういう場合に使わなかつたかということにつきましては、これもたびたび説明があつたと思いまするが、今政府は防衛軍漸増を考えておりまして、そういう方面の見通しから先ずほかのほうの既定経費に手をつけたというだけのことでありまして、別に或る方面との折衝というようなことではございません。
  278. 亀田得治

    ○亀田得治君 只今の答弁は甚だ不満足です。先ほど或る程度災害という問題について考慮されておるようにも言われたんですが、結論としては何らの考慮が払われておらん。私どもはそういうふうに理解いたします。時間がないのでこれで終ります。
  279. 戸叶武

    戸叶武君 今回の国会は救農国会と呼ばれ、風水害冷害に打ちひしがれている農民を救うための国民的要望に応えなければならない性質国会です。ところが政府は今までの答弁において示されているように、インフレの抑制を名といたしまして救農予算をも圧縮して、徒らに財界の申入れに忠実振りを発揮しておるのでありますが、この態度は今の緒方副総理の即ちあらゆる余つているところの金を防衛力の漸層のほうに使いたいから、災害関係や救農関係には使えないのだという率直な表現においてもわかるように、私たちとしては非常に残念だと思つておるのであります。今までも我々、この国会が開かれている裏において、実際アメリカにおける池田・ロバートソン会談によつてとんでもないほうに持つて行かれるのではないかということが非常に心配でならなかつたのです。そこで我々の国会におけるところの議員諸公というものがたびたびこの会談の成行きに対して尋ねましたときも、吉田首相は池田特使は単なる自分の個人の使節なんだといつてごまかしておつたのでありますが、共同声明が発表されてもなお且つそういうことを強弁しておつた。ところが今日の夕刊を見ると、新木駐米大使は、日本政府からの訓令によつて米国側に日本政府は同意を申入れることになつたと発表しております。これによると池田・ロバートソン共同声明というものが明らかに日本政府を拘束することになつているのです。こういう池田・ロバートソン共同声明に基くところの拘束による軍事費の拡大というものが、いやおうなしに我々が事実上、地道に今までやつて来たところのこの救農国会における我我の総意というものを完全に拘束してしまつているのであります。私たちが要求しているところの救農対策費というものは非生産的な軍事費とは異なりまして、農業再生産に必要なところの資金であります。この営農資金或いは生産資金というものを得られなければ、農民というものは窮乏化して食糧増産というものは非常に減退して行くと思うのであります。前の犬養法相の御説明によりますると、即ちこの冷害地帯におけるところの娘売りの現象に対して、それはブローカーが悪いのであつてブローカーに厳罰を加えなければならないというようなことに、与党の人々の質問戦において結論づけられたようでありますが、私の栃木県は新聞の伝えるところによると娘売りにおいて百二十六名、全国の筆頭になつております。誰が好んでブローカーの手にかかり、或いは犬養法相が説明したと思われるような形において、娘たちが喜んでこの娘売りのブローカーの手に乗つて行くというような事実があるでしようか。これは全くこういう農民を絶望的なところにまで追込んでいるのは政府の施策がよろしきを得ないのです。こういうふうに国民に残酷な目を与えてそれで何らの恥ずるところがないようでありますが、私たちはこの小笠原大蔵大臣に対しては、今までわりに生まじめな人であつたから、今回の予算措置においては不十分であつても第二次補正においてもつと良心的なことをやるのではないかと思つておりましたが、今日のアメリカから伝えられて来たところの報道を見て、ますますこの日本の財閥と外的勢力にのみ忠実なこの吉田内閣の下における大蔵大臣によつては、日本の農民はひどい目にあつて行くのじやないか。そういう印象が強くしか与えられないのでありますが、それに対して小笠原大蔵大臣は今後の第二次補正においても、今のような方式でやつているかどうか、これを具体的に明言してもらいたいと思うのです。
  280. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 冷害に対しましては私どもできるだけの財政措置を講じたわけでございます。ただ財源等の関係がありまして思うに任せなかつた点もございまするが、同時に又私どもはいろいろな財政負担が一時にふえる結果、又財政支出が一町にふえる結果、例えば人においても或いは資材との他においてもそういつた点からインフレが起つては困る、こういうような考え方からああいう措置をいたした次第でございます。私ども心からこれらの冷害地方の方々、災害地方の方方に御同情申上げておりますが、併し若し過つてインフレにでもなりますれば、これはもう八千五百万の国民の全部に対し、又高いお店から低い台所まで全部及んで来るのでありますから、さようなことにしては相成らんので、その点において財政措置を厳格にいたしたような次第であります。従つて第二次のこの問題についての予算を組むかと仰せになれば、只今のところはさように考えておりません。あれで一つ忍んで頂きたいと考えているのでございます。
  281. 戸叶武

    戸叶武君 今の小笠原大蔵大臣の御答弁は極めて私たちにとつて不満であります。いつでもインフレ抑制というものを救農予算の圧縮のほうにだけ用いておつて、この軍事予算の徒らな拡大の圧縮のほうには持つて行つていないところにその特徴があると思うのでありまするが、我々は今六十年或いは七十年に一回というような日本国民にとつての大きな災難であり試練を切抜けなければならないときに、食糧増産に新らしい活を入れなければならないときに、そのほうを萎縮させて再軍備に夢中になつて行くところの吉田内閣の閣僚諸君の言動というものは、私たちは非常に信用できないのです。特にこの点に関して緒方副総理は二日の本院の本会議において我が党の松澤氏の質問に答えるのに、再軍備予算が我が国の財政を圧迫していると思う、これは何がしか圧迫しておることは事実である。これは極めて率直に答えているのであります。もはや保安隊を軍隊と言つてもよろしいというような捨てぜりふを言うところの木村保安庁長官あり、又かくのごとく極めて慎重にものを、言わるる緒方副総理にしても、速記録においてもすでに残つておるのでありまするが自衛力の漸増などということではない、再軍備予算が我が国の財政を圧迫していると、明らかにそのことを認めておるのであります。先ほどの言動においてもそうでありますが、こういう言動を以てするならば小笠原大蔵大臣のいわゆるインフレ抑制論というようなものとここに食い違いが明確に出ていると思うのでありますが、この点に関して思う副総理の答弁をお願いいたします。
  282. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) ちよつと私に対する御質問の要点がはつきりしなかつたのでありますが、甚だ失礼ですけれども……。
  283. 戸叶武

    戸叶武君 それは小笠原大蔵大臣に対する質問と関連があるのでありますが、大蔵大臣日本インフレを抑制するために今の救農予算災害予算というようなものを圧縮しているのだと言うが、事実上において今日のインフレの危険性は軍事予算の拡大の面から起きておるのであります。そういうばかげた議論をしている一方、政府においてはどしどし自衛力の漸増などということをしてこの軍事予算を増大しているのであります。池田・ロバートソン会談においても明らかにそれがわかるのでありますが、木村保安庁長官は保安隊を軍隊と言つてよいというような放言をし、又緒方副総理は二日の参議院の本会議の席上において、我が党の松澤氏の質問に対して、再軍備予算が我が国の財政を圧迫していると思う、これは何がしか圧迫していることは事実である、極めてあなたらしく率直に認めておるのであります。この事実を率直に認めておることは極めて正直で結構だと思いますが、すでに吉田内閣においてはかくのごとく軍隊と呼び、或いは再軍備予算が我が国におけるところのこの冷害対策なり、冷害対策に必要な費用を圧迫しておる事実というものを認めながら、その上に立つて軍事予算の拡大を強行しようとしているかどうか、その点を一つ明確にお答え願いたいと思います。
  284. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 日本の防御費が何がしか予算を圧迫しておることは、私は事実と認めざるを得ない。併しながら国としまして防衛力を持たざるを得ないのと、又日米安全保障条約にありまして漸増して行く、これは約束ということはできませんかも知れませんが相手方が期待しておる、それに対して漸増して行くのが今日の国際情勢日本の立場として止むを得ないところであると考えます。
  285. 戸叶武

    戸叶武君 私は別に言葉尻をつかまえるのではありませんが、もう吉田内閣においては緒方副総理の使つたように、再軍備予算という形において明確にその軍事費の拡張というものを当然なこととして容認し、いわゆる防衛力の増強というようなことよりは、そういう言葉の上においても明確な言葉で打出すことになつたのですか、どうですか。それは速記録にも残つておること、でありますから、これは緒方副総理の失言であつたのか、それとも本音であつたのか、それともそれが閣議において大体再軍備の意向を徐々に浸透させる目的によつてきめられた言葉の表現であるか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
  286. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) これは私の言葉の使いそこないであります。
  287. 戸叶武

    戸叶武君 私はこれ以上別に追及する必要はないと思いますが、こういうふうに吉田内閣における人々の、吉田総理大臣にしても比較的信用のある緒方副総理にしても、皆言つた言葉に信用が置けない。こういうところに政治の上における誠実性というものがなくてこまかしであつて、徐々にこの再軍備を拡大して行こうという態度でありまして、これは全く日本の民主主義を蹂躙するものであると思うのであります。我々は国会において明確に意見を発表して、その討議を経てこの事実を作り上ぐべきであつて、既成事実を作つてからいや応なしに国民に承認させるというような行き方、暗夜に霜が降るようなこのやり方というものは、全く私は日本の今後におけるところの民主政治の上に暗影を投じていると思うのであります。  それはそれとして農林大臣にお伺いいたしますが、この風水害に対するところの災害千五百六十五億の査定を基準といたしまして、三・五・二の比率で三カ年間に復旧工事を行うと品つておりますが、冷害のほうはどうなるか。先ほども質問がありましたけれども農林大臣は明確に答えなかつたようでありますが、答えられないのは当然であると思うのであります。今日発表になりましたところの数字によりますると、農林省は十月十五日現在の予想収穫高を五千三百四十七万石と発表し、これは十月五日現在に比べて百万石減、平年作より一千万石下廻つておると言つておりまするが、すでにこの五日から極めて短い間に百万石減にもなつておるのでありまして、この凶年における稲作は検見よりも坪刈り、脱穀よりも調製段階に進むに従つて深刻化されるということは通例になつております。従つて冷害の被害高というものは、今日の新聞の農林省あたりで宣伝していると見られるような何とか立ち直つて来るというようなことは、今頃になつては絶対にあり得ないで、もつと私は減収になつて行くと思うのであります。そうだとするならば、この現段階におけるところの処置以外に第二次補正というものにおけるところの予算措置というものが極めて重要であると思うのでありまするが、大蔵大臣からの答弁によると非常に心もとないものがあるのであります。農林大臣といたしましてはこの供米の対策について、如何なる態度でこの次の予算措置に対応して行くのか、もつと明確にしてもらいたいとこう考えております。
  288. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 冷害に対しましては私も現地をできるだけ多く見まして、且つ又十月五日の米作に対する中間調査等を資料にいたしまして、冷害による減収見込四百万石前後と推定せられておつたわけでありますけれども、併しながら冷害性質上それは更に悪くはなつてもよくはならないという想定の下に、今回の冷害対策を講じておるわけでございます。もとよりこれで十分だということはもう何人も申し得ないわけでありますけれども、併し今日の財政状況の下におきましては、私はこの予算或いは法律等御審議つておりますものをもつてできるだけ効率的に被害の甚だしい地域に実際地についた救済の措置をとるように、できるだけ措置をして行きたいと考えておるわけでございます。
  289. 戸叶武

    戸叶武君 今農家が欲しておるのは営農資金と生活資金の現金を握らせることだと思うのであります。これが握れなければ立ち上ることはできません。ところが凶作地帯における農村においては、農協その他における貯金は集らず預金の大部分は引き出されておる。農民の借金に対して農協その他の金融機関が応じきれないような弱体ぶりになつております。これに対して政府は裏付けを行わなければ、農協や或いは信連、特に地方における農協というものが全然立ち行かなくなつてくると思うのであります。来年の端境期の切り抜けをどうするかというのが、農林中金あたりにおいても又伊達あたりにおいても大きな悩みだと思うのでありますが、このことに対しましては絶対に心配がないというだけの確言を以て保証することが大蔵大臣においてはできるかどうか、それを大蔵大臣から承わりたいと思います。
  290. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 先ほども申したごとく冷害地方のかたに対しては心から御同情申上げておりますが、ただ冷害というものは災害と違いまして、例えば河川堤防或いは海岸堤防が切れたということと違いまして一年だけの問題です。土地がどうなつたんでも田がどうなつたんでも畑がどうなつたんでもないのでありまして、その年限りのものであります。従いましてその土地に対して成るべく現金収入を選ぶ道を講じて差上げる。こういうことと、又災害に対して、特に農業保険等の金を迅速に切上げするということで忍んで頂く、私どもは現在のところはこれで十分とは申しませんけれども忍んで頂きたい、かように考えておる次第でございます。
  291. 戸叶武

    戸叶武君 農林大臣にお願いいたします。合成米、人造米の問題が先ほども取上げられておりまするが、私は長野、新潟、群馬、栃木等の冷害地帯というものをつぶさに調査して歩きましたが、農村等においてはこういうものよりも麦や或いは粉をもらいたいという要望が強いのであります。日本人が米食に馴れておるからというので、だまし物程度の合成米、人造米というようなものを政府は非常に奨励しておるようでありますが、それらの工場も私は見て参りましたけれども、世間一般が疑惑の眼を以て見ているのと同じようにしか私たちの眼にはうつらないのであります。特に国民すべてがこの冷害災害等によつて苦しんでいるときに、特許だ何だといつても、子供だましのようなあの発明がばかげた値段によつて政府によつて借りられて、それに如何にも恩をつけてそうして貸し与えるというようなやりかたがなされている非人情的な発明家の行動。或いはこの人造米、合成米といわれるものの製造業者というものは皆言つている、この一年間のきわ物だから何とか政府から金を借りて、この一年間の勝負で全部儲けてしまわなければならない。これがこの投機的な形において今日の人造米景気というものを私は作つているのだと思うんです。而もその人造米のでき上りかたというものは、これは不徳な業者によるならば如何なるこまかしでもできるのであります。そのごまかしをやつてもそれをはつきりと監督するなり或いは押えることができないような機構の下において、国家の援助は一方においてこの業者に続々与えられ、消費者は非常に迷惑をするというような羽目に陥ることは明らかでありまするが、農林大臣はこれに対して具体的には如何なる対策を持つておられますか。
  292. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 人造米のことについては先ほど縷々申上げた通りでございます。決してこの人造米を何かやみくもに奨励して、それを消費者に押しつけるというような考えは毛頭持ちません。ただ実際の何から言いますと、恐らく戸叶さん召上つていらつしやつておらないからだと思うのでありますけれども、これは主として東京とか大阪とか都会の消費者のことでございまして、田舎のほうはむしろそういうものよりもいもとか或いはうどんとか、だんごとかいうようなものを簡単にやられるわけですから、ただ都会の消費者の中には実際この人造米に対してむしろ反対もあり賛成のかたもあるわけですが、現実に消費家庭に相当用いられている。それであるからそれをできるだけ安く、そうして品質もできるだけ上等のものができるようにするということが当面大事じやないかという考えでやつているわけでございます。
  293. 戸叶武

    戸叶武君 私は人造米を幾多試食に応じております。併し私たちに持つて来る人造米は一番上等なやつを持つて来るのであつて、大臣に持つて来るのなんかは恐らくそれは上等なやつであつて、それにごまかしがきくような生産様式になつておるからそこを気をつけなさいと私は言つたまでで、これは農林大臣が今後の実績において責任を持つて一つ監督して下されば結構だと思いまするが、私は時間がもう参りましたから結論を急ぎますが、大蔵大臣の政治的な欲求と、緒方副総理の、ちよつと気がつかなかつたので、余計な時間を私は空費させられましたので、その時間だけを簡単に結論的に述べますが、実は一昨日東京裁判で日本無罪論を敢然として説かれたインドのパール博士から言われました。私はインドに行きましたときにカルカツタにおいてパール博士から非常な激励を受けたこともあるのでありますが、あの人が日本を今度離るるに際して私たちにこういう警告をなしているのであります。武装弾薬を以て戦う武力戦の最大な犠牲者は日本である。最も勇敢な最もいい軍隊、武器を持つて戦つたが遂に自分を護り得なかつた、その日本が同じ方法で安全保障を求むることは愚かなことである。日本の軍隊は防御軍で侵略軍でないと言う者があるのにはびつくりした。曾つてアメリカの大統領が枢軸国の三国同盟に反対したときに、防衛は自分の足下だけでなくどこでも防衛せねばならんと叫んだが、ロシヤを叩くことも防衛の一種だという叫び声が上がるときに、それが防衛かはた侵略か何と解釈し得るか。独立を守るにはひもじくしている民衆を如何に食べさせるかが問題である。貿易、人口問題の解決の場所も与えないで日本に真の独立があるか。西洋人の考えている平和は、戦争から次の戦争に至るまでの平和しか考えていないのだ。彼らの平和に対するところのこの考え方と、即ち相手が恐ろしい易くだけには平和であつて相手が弱くなれば叩く、こんな平和に対するものの考え方日本が打つとは自分は信じられない。と言つてパール博士は日本みずからが日本の体験を通じ、日本の民族の新らしい燃え上つた叡智を通じて日本が自分の長所を発見し、自分の長所を活かすことができないことをなげいておりました。  私はこれは何もパール博士の言葉を引用するまでもないと思うのですが、日本はアジアにおける主力的な存在であります。これをアジアの貧困を根絶するための方向へ向けられて行くならばよいが、再軍備の方向へぐんぐんと引つぱられて行くことは非常に残念だと思いますが、こういう点特は緒方副総理あたりは、日本が一番の屈辱を受けているときに、帰国の際に日本の独立の精神を訴えたパール博士すら今日こういう心配をされているのでございますが、こういうアジアの友の警告に対しては、日本はそういうことに耳をかすことなく真つしぐらに、この救農予算も何も削減し踏みにじつてこの軍事予算のほうに向つて突入していることについて、本当に吉田内閣を代表して緒方副総理から自分の心境をお答えして頂きたいと思います。
  294. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたします。  私先ほどから防衛予算はやむを得ないと申上げましたが、日本を軍国的な方向にみちびく、それによつて不必要な本式の軍備をするというようなことには、今の政府の存在する限り絶対に私はないと申上げてよいと思うのであります。
  295. 高野一夫

    ○高野一夫君 時間がたちましたので簡単に大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  今回の災害復旧に対しまして、政府考えておられる国庫負担額とそれに地方負担額を加えますと、相当な金額に上ります。千八百億乃至千九百億になるかと思います。ところでこの大部分は復旧工事費に使われると思いますが、これは私が申上げるまでもなく金だけで工事ができるものではないことは何人にもわかることだと思うのでありますが、そこで水害対策委員会におきましては政府の当局から種々資料を集めまして一応の推定をいたしましたところが、一応人的動員或いは資材、そういう面におきまして人的のほうは別にしまして、資材の鋼材、セメント、木材について所要額を調べてみた。ところが鋼材は大体現在の日本の生産量で間に合うように思います。セメントが少くとも総額三百万トン以上必要であるかと思うのです。木材が九百万石乃至一千万石前後必要であろうかと思います。ところで現在のセメントの生産量は全部行き所がきまつておりまして、そうむやみに削減することはできなかろうかと思いますが、これも通産関係で調べてみましたところが、現在の生産能力を多少上げることによつて年増産十二カ月かかつて七十万トンの増産ができるこういうことでございます。そこで七十万トンの増産で三百万トン以上のセメントを応一賄うというそろばんをはじいてみますと、実に三年計画ではこの工事はできない勘定になろうかと思います。そこで木材においても同様でございますが、こういう点について本年度補正予算に現れたる災害復旧工事についてもそうでありますが、来年、再来年度についてもなおこの点は慎重に考えなければならないかと思いまするけれども予算編成に当つて大蔵大臣はどういう点においてこういう資材の問題を勘案されたか。一応簡単で結構でございますが、御説明を願いたいと思います。
  296. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 高野さんの今のお話なつ数字は、私は実はいろいろなものについてよく検討いたしておりませんが、ただ私がここでたびたび申したごとく、本年度災害過年度災害を合せると約一千億になんなんとする実は費用が要る。従つて人件費だけこれを見ても、仮にその五百億が人件費に向けられるとすれば何と一億人の延人員が要るのだ。従つて口では何百億々々々と言われているが実は甚だ用意でない。特に日本でセメントなどは御指摘の通りだと思います。例えば今八割五分までやつていると思いますが、これか九割以上の増産をすることは新施設を要しましよう。従つてこれも又なかなか難問題である。鉄鋼のほうは御指摘のごとく処理し得ましようが、木材は又乱伐に陥る、こういうこともあると思います。私どもこのいたしたのであります。  今度の補正予算につきましては過日来申上げましたごとく、やはり財源が主たる点でありまするけれども、併し同時に私は本会議でしばしば議員の質問に答えたときには、一時にこれから四月までの間にこういう巨額の金がこれ以上に出るということは、ひいてはインフレになるということを申上げたのは、けだし資材物資の関係も考慮したから申上げたのでございまして、今御指摘の点は皆さまと共に冷静に今後判断して行かなければならない問題であると考えております。
  297. 高野一夫

    ○高野一夫君 農林大臣がおいでになりますから農林大臣に簡単に伺います。  只今お聞きになつたと思いますが、大体一千万石前後の木材が災害復旧工事だけに必要であるというようなときに、現在の日本の一般用材の需給関係から見まして、これがどういうふうに供給されるものであるかどうか。只今大蔵大臣がお答えになりました通り植林もしなければならない、乱伐も阻止しなければならない。治山治水対策も重要な問題である。そういうことが取上げられている現在において、かように多量の木材をどういうふうにして賄うことができるか。或いは輸入ができるか。こういう点について農林大臣のお見通しについてお考えを伺います。
  298. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 今回の全国的な大水害災害の復旧につきましては、相当厖大な木材を要する見込を持つております。西日本水害当時のあとを見ましても林道その他の破壊で木材の搬出が遅れる、一時に木材価格が騰貴するというような状態を呈しておつたのでございますけれども、その秩序の回復と同時に国有林からできるだけ多く供給いたしましてだんだん安定の方向をとつております。今後の復旧の需要に応じまするためには、それだけでは到底供給が困難であろうと存じます。もとより国有林、奥地林等の伐り出しによりましてできるだけ需要に応えなきやならんのでございますけれども、一面又治山治水を強く要請せられる今日、乱伐に陥らないようにやらなければなりません。或る程度の外材に期待をいたさざるを得ない。従いまして、この外材輸入につきましても、只今その準備を進めておるわけでございます。
  299. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう一点大蔵大臣に伺います。とかくこういう災害が起りますと地方の事情等に見ましても、すでに我々の考え方でもそうでございますが、予算を増額し金さえできれば立ちに工事に着手ができて、短年月の間に完成ができるもののようにとかく錯覚に陥るのでございます。そこでこれについて私は、予算編成のときにその説明に当られるのに、この人的動員とか或いは物的の増加計画とかいう点についての御説明が現在までは極めて不十分なのではないかと、こう思つております。そこで次には二十九年度予算においても、非常に重要なる部分として、災害復旧の予算等がとり上げられるわけでございましようが、どうかこの二十九年度予算編成に当つて且つその説明に当つては、人的の動員と物動計画について数字を挙げて十分、財政面だけでなくて皆が納得するような併せて十分の説明をして頂きたい。こういうふうに私は希望するのでございますが、大蔵大臣のお考えを一応お尋ねいたしたい。
  300. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 誠に御尤もでございまして、私どもその点に  ついては今後十分に注意をいたし、又それが延いてこの財政的措置からインフレ等を起さないように十分配慮いたしたい。それには何と申しましても日本の現状から見て、その資材関係がどうなるか、人的関係がどうなるか等をよく検討を要すると思いますので、今後その面につきましてもつぶさに調査いたしまして、この二十九年度予算、而もこのときが最も多く、いわゆる災害対策を見込まれるときでございますので、物的関係、資材的関係等非常に重大と考えまするから、そのときには十分な御説明をいたすように、これからこの資料等を集めまして努力いたします。
  301. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は先ず初めに通産大臣に御質問いたします。それは先に衆参両院で満場一致で通過いたしました中国貿易促進決議の趣旨に基きまして、我々中国通商視察団は北京に参り十月二十八日に新らしい貿易協定に調印して来たわけであります。今災害予算を見ましても日本の経済は重大の段階に立至つておると思うのです。防衛費と民生費との矛盾を見ても日本経済は重大なる段階になつております。又それと関連して日本経済の全体が再生産規模を拡大して行く上に貿易というものは又重大なる意義を持つておりますが、その貿易が非常なる悲観的な状態になつておりますので、この日中貿易というものは特に今の段階において重要であろうかと思う。そこで我々中国通商視察議員団は新しい貿易協定を結んだのでありますが、通産大臣はこの協定をどういうふうに見られておるか。前の一九五二年六月の協定と精神は同じでありますが、内容的には一段とこれは我々発展したものと考えております。具体的内容を見ましても相当貿易量もふえるような協定になつておる。努力如何で相当これはふえる見通しを我々持つて来ております。この点について先ず通産大臣に御見解を伺いたい。大体その内容は新聞等で御承知と思いますので率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
  302. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先般の国会で中共貿易について御決議がありまして、その当時私もこれに対していいことだということを表明しておいたのでございますが、先般皆様方が中共においでになつて相当広範な協定をきめられて参りました。これは私、通商産業大臣として非常に喜ばしいとこう考えます。ただ問題は御承知通り日本の立場といたしましては、まだ国交も回復しておりませんし、それから国連協力の立場というものがあります。そういうことに制限されまして、十分にあの協定が実行せられるかどうかということについて私は幾分の懸念を持つております。併し政府といたしましては、従来とも中共との間にバーター・システイムで現に貿易をやつておるものでありますから、皆様方のお力によつてその貿易がますます発展するということになれば、政府といたしましてはできるだけの推進力になりたいとこう考えております。
  303. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 通産大臣は従来から日中貿易については積極的な御意見を持つておられまして、我々も非常にその点については心強く一つておるのですが、いつでもこの問題はアメリカとの関係において日本の自由貿易が制限されておるというところに大きな問題があるわけであります。この協定を結ぶに当りまして平等互利の原則を我々確認したわけであります。平等互利の原則とは何であるかということが非常に長い間討議されたのであります。結局それは一九五二年六月協定が十分な満足な効果を挙げなかつた原因を両方でどこにあるか研究したわけであります。いろいろ原因がありますが、結局よその国の干渉によつて日本の貿易が制限されておるというところにある。これを何とかして緩和し、或いは廃して行かなければならない。そこに問題がありましてこれを確認したのであります。その通りである。これに努力するということになつた。これに努力する以上はどうしても我々国会で決議をした以上は我々も努力し、又国民全体も努力し、政府もこれに協力してもらわなければならんのですが、今お話のような問題もあり、日本の置かれておる実情はなかなかなまやさしいものではない。まだ国交も回復しておりません。併し中国側はこの国交の回復されていない段階においてもやはり貿易を希望し又交流を欲しておるのです。  そこで一番我々はあそこで感じたことは、やはり行つて見なければわからん。業者のかたも行つて見ていろいろ話ができたんです。仮契約も一応できましてすぐ貿易が一応はできたのです。行つて見るといろいろな誤解が解けると思うのです。そこで又我々を中国側はまるで国賓待遇をしてくれました。そういう事情もあり、どうしてもやはり人が往き来して話合つてみなければわからんので、その意味ではどうしても中国の政治協商会議の代表の人たちを我々はお迎えしなければならん、こう思うのです。そこで我々、中国人民政治協商会議の代表のかたがたも、向うの業者のかたがたも迎える。我々が仮に決議をし、又そういうことを国会でも通るという場合、政府はこれを入国を許す意思があるかどうか。この点私は緒方副総理を要求しておりましたが、緒方副総理と外務大臣にこの点お伺いいたしたい。
  304. 青木一男

    委員長青木一男君) 今外務大臣は外務委員会で答弁をしておりますから済み次第……。
  305. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点はそれじや見えてからにします。その点はあとで答弁して頂くことにします。それでは副総理と外務大臣にあと主としてお尋ねいたしますが、通産大臣に、特にこの点これは実に通産大臣よく事情を御了解と思いますが、重ねて御努力をお願いしたいと思います。それから、外務大臣、副総理が来ら参れるまでに農林大臣に質問したいと思います……。
  306. 青木一男

    委員長青木一男君) 農林大臣今呼びに行つておりますから。(「暫時休憩」「食事したらどうですか」と呼ぶ者あり)このまま終りたいということをさつき打合会で申合せたのですが、暫らく御辛抱をお願いします。(「辛抱しましよう」と呼ぶ者あり)
  307. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ではちよつと、ついでにその間に通産大臣に、今後やはり、相当通産省も努力されておられる点は我々了承しております。大分向うへ行つている間にも輸出許可品目の拡大が行われて、これは業者も非常に喜びました。又そのことも今度の仮契約やなんかやる場合に非常に役に立つております。実際に、今後通産大臣としてやはりその品目の許可の拡大について御努力願いたいのですが、そういう点についてはどういう御方針でおられるか。
  308. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  私就任以来、できるだけのことをしたいと思いまして禁輸品目の解除をたくさんしたことは、これはお認めと存じますが、あれ以来と申しますかあの過去、現在、将来ともああいう方向にどんどん進んで行きたいと思います。只今では大体西欧なみになつたはずでございますけれども、併しこちらは又特殊な地域でございまして、同じ東洋にありまして地理的にも近いし少しよそより便宜を図つてもらつてもいいんじやないかということで、そんなことはずつと引続き努力は継続してやつておる次第でございますが、まあできるだけ自分の力の及ぶ限りは一つそういう方向に従来の方針通りつて行きたい、こう考えております。
  309. 青木一男

    委員長青木一男君) 今呼びにやつておりますから……。(「こういうことでは審議できない」「休憩々々」と呼ぶ者あり)
  310. 松澤兼人

    松澤兼人君 休憩になつてなかつたら議事進行。
  311. 青木一男

    委員長青木一男君) 七時半まで休憩いたします。七時半に正確に始めます。    午後七時六分休憩    ―――――・―――――    午後七時三十六分開会
  312. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。木村君。
  313. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 緒方副総理に質問いたします。  衆参両院の満場一致の議決に基いて、即ち中共貿易促進の満場一致の決議に基いて、中国通商視察団は北京に参りまして、視察をし、又新らしい貿易協定を結んだわけです。それは御承知通りだと思います。我々現実に言えば、まだ中国との間に国交を回復しておりません。従つて交戦状態にあるわけですけれども、中国側は非常に日中友好の精神に基いて、我々を殆んど国賓待遇のような好遇を与えてくれました。これはただ我々一行に対する好遇とは考えておりません。日本国民全体に対する好遇であると我々考えておるのであります。又貿易協定の精神からみましても、互利平等の精神から参りましても、そういう点から見ましても、是非我々は中国の人民政治協商会議の代表のかたがた或いは又向うの実業家のかたぞれをこちらへ是非お呼びしなければならない義務があるわけであります。通商議員団もそのことは向うに参る場合にそういう約束をして参り、又南漢宸さんからも重ねてそういう御要望がございました。従つて我我は国民とともにこれは実現することに努力しなければならない。そういう場合に、政府は果して入国を許される意思があるかどうか、その点について先ずお伺いいたしたいと思います。
  314. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたしますが、中国及び中国人というものに対しまして、私は人一倍関心を持つているつもりでありまするし、又今回木村君初め議員団の人が行かれたときの状況も新聞紙等で承知しております。でありまするが、何と申しましても中共と日本との間にまだ国交も回復されておりませんし、日本は国連と共同の歩みをしておりまする関係から、今お話の問題も、向うが日本を受入れたからすぐ義務を感ずる、或いはそれに照応して向う側の代表者を迎え入れるということは簡単にきめられないように考える。これは将来ともたびたび起つて来る問題だろうと思いまするが、今の日本の立場といたしましては向うの人が来る場合には余ほど慎重に考えたいと思つております。
  315. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際あちらに参りましていろいろ話合いをしてみますと、お互いに会つて話すれば非常に又円満にことが運ぶのであります。これは一緒に参りました業者のかたがたも痛感しております。やはり日中友好を発展せしめるためには、こちらの人も向うへ行き、向うの人もこちらへ来られる、これは政治的でなく純経済的にそういう貿易をやる人が来られるということが非常に望ましい、これはもう業者のかたがたも痛感されております。一応仮協定なんかできましたのも、向うへ行つて現実に話したものですから、岡崎さんがやはり関係しておられるという日米自転車の方も行かれましたが、やはり向うへ行つて菊池さんという方もそういうことは痛感しておられました。やはりこちらへ来て専門家とよく話してみると、外国からどういう自転車が来るか、中共の国産自転車はどういうものであるか、日本の自転車はどういうものであるかいとうこともよく比較もでき、話合いもできて非常に参考になつたと言われております。勿論すぐ明日からそういう代表を呼ぶから認めろ、こう言われてもこれは余り急かも知れません。中国ではすべて穏歩漸進ということですね、決して無理をしないでものをやつておる。これは非常に感心しましたが、とにかく我々は努力しなければならん、政府もこれは余ほど、私たちこの目で見、この耳で聞いてみましたが、実に平和を熱愛し、祖国を熱愛し、我々学ぶ点はたくさんございます。やはりこれは一般に言われておるものとよほど実態は違います。それでやはりこの認識を新たにして中国を正しく理解しないと日本は大変なことになる。本当にアジアから孤立すると大変なことになると私は率直に思つたのであります。これは政治的な立場とか、そういうものではございません。自由党のかたがたもやはり思いをひとしくされたと思うのであります。そこで今後の日中関係について副総理はどういうふうにお考えであるか。中国のほうは我々帰るときに郭沫若氏が中国から見た日中関係について詳しく話されました。そこで私は副総理に、今後国際収支も日本は大変なことになると思いますが、余ほど我々はそういう点について具体的に案を立ててやらなければならんと思います。そうなると日中貿易もこれはただ他の国に干渉されるからできないのだでは済まされないと思うのです。やはり我々は正しいことは正しいこととして努力して行かなければならない。そういう意味でどうしても日中関係について政府がもつと自主的に私は考えて頂きたい、そういうふうに思うのです。そういう意味でその日中関係に対する御見解を承わりたいと思うのです。
  316. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私は私自身が最近の大陸中国を見ておりませんから、その点認識を欠いておるかも知れませんが、昨年私が香港に参りまして香港で決して偏つていない方面の情報を聞いたつもりでありまするが、私が当時聞いた情報ではまだなかなか中共と日本との間の友好というものはむずかしいのじやないかということを感じたのであります。今の郭沫若氏があなた方の行かれたときに示した態度等も想像がつきますが、同じ郭沫若氏もかなり日本国民感情を無視した発言をしておつた時代もありまするし、昨日を以て今日を律することは無論できませんけれども、私自身として中共の実態というものをもう少し研究してみたいと思つております。そういう意味で今ここで直ちに向う側の代表者を受入れるというようなことも、これは相当慎重にすべきではないか。例えば引揚者の扱い等につきましても、政府を相手にしない一種の人民管理的なやり方でやつておる。これも共産主義社会と即しての一応の建前があるのでありましようが、そういう点からも、もう少し私自身としても中共というものの実態をよく見極めてみたいと考えておるわけであります。
  317. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは甚だ失礼ですが、緒方副総理は中国側から考えておる日中関係というものをやはりよく御理解にならないと思うのです。中国側は日本の人民と、それから日本政府、特にアメリカの支配下にある日本政府とはつきり区別しております。ですから、我々が行つても何ら心配はないのです。危害もなんにもありません。実に友好的なんです。従つて政府の立場にあられるからそういうふうにお考えでしようが、人民の立場に立つて考えになれば実に友好的で、ですから我々の入国も許され、あちらへ行つても、もう大衆の中に入つても危険もなんにもなく、日中友好を実に望んでおります。向うの民衆もです。又最近日本国民もそれを望んでおるのです。何が妨げておるかといえば、もうはつきりとしておると思うのです。いわゆる他国の干渉によつて日本は独立的な意識は持てないし、独立的な行動ができない、ここにあると思うのです。貿易でもそうです。他国の干渉が排除されて自由な貿易をやるとすれば、日中貿易は相当盛んになる。これはもう明かなんです。これを如何にして排除するかということが、日本の祖国を愛し、日本の祖国の独立を獲得するゆえんだと思うのです。これが本当に偏しないでこのことを考えないと、本当に私は日本は大変なことになると思うのです。どうか緒方副総理も今度自由党の方も行かれましたから、保守党の方からもよく実情を伺つて頂きたいと思うのです。ただ、共産主義と言われましたが、中国は共産主義の経済じやありません。その過渡期の経済であつて、民族資本家もおるのです。利潤もやはり与えておるのです。そうして国営の企業と純然たる民営企業と半官半民の企業とありまして、皆渾然一体になつて動いております。それで政府もやはり政府の政策に協力する民族資本家には金融もいたし、金利も下げ、資材も与え、そうして動いておるのです。最近の民族資本家は喜んで協力しておるのです。これは事実なんです。従つてやはり行つて見なければわからない。どうか日本の祖国を本当に緒方副総理が愛されるならば、私は本当に日本の祖国を皆愛しておるかどうか疑問に思います。愛し方というものが私はもう疑問に思つたのです。そういう意味で、これは率直に私は訴えたいのです。どうかこの点他国の干渉下にあるから、支配下にあるから曲つた解釈をせずに、やはり独立不覊の祖国を愛する、そういう信念から今後日中貿易というものを私は考えて頂きたい。そうしてやはり日中の友好を深めることこそが日本がアジアから孤立せず、日本の百年千年の将来を考えたら、どうしても中国との友好関係を深めなければいけませんし、日本の経済自立にとつても又日本のこういう災害復旧をするについても、予算上にも大きな影響が来ると思いますので、この点は私御答弁は煩しませんが、率直にこれは私は希望しておきます。  それから外務大臣にこの点についてやはり御見解を承わりたいのです。外務大臣は、今緒方副総理の御答弁もありましたが、政治協商会議の代表を迎える問題、それから更にあちらに参りましたらば、日本では引揚げの問題について代表が行つたりなんかしましたが、向うでは紅十字の関係ですね、紅十字の代表をこちらに迎えるという約束をしましたがどういたしましたか、そういう質問もありました。それから遺骨の送還についてどうでありますかという質問もあつたのであります。従つてそういう点について政治協商会議の代表を迎えること、紅十字の代表を迎えること、或いは遺骨送還の問題こういう問題について外務大臣の御見解を承わりたい。又外務大臣は将来の日中関係について外務大臣としてどういうようにお考えであるか、この点併せてお伺いいたしたい。
  318. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私は中共の人たちがまじめにいろいろ考えているということは疑いませんが、それはあなたは今民族資本を受入れるとか何とか言つておられますが、窮極の目的はやはり共産主義を実行することにあるのだから、過渡的だからそういうことをやつているので、最終的にはそこへ行く、今民族資本を受入れておるからと言つて、永久にこれは民族資本を受入れる、そういう議論にはならんと思います。従いましてこれは中共の終極的目的を考えて、それに対して日本方針はどうであるか、今現在が或いは統一戦線の時代であるか何か知りませんが、それだけで以て中共というものはこういうものだという判断はいたさないつもりでおります。そういうようなことで考えますと、向うの人はまじめにそう考えておりましようが、併しそれは常に経済の問題でも、文化の問題でも、結局は共産主義なり、或いは社会主義なりの強力な実行に役に立つようにしようしておるとしか私には考えられません。従つて只今諸般の関係から先方の使節団を日本に受入れるということは私は好みません。そこで先般日本議員団等が行かれる前にも、議員団が行くことが交換条件となつて、先方の人が来るというのならば私はお断りする、こちらだけが行くというのならそれはお断りしない、こういうことをはつきり申上げております。なお赤十字、中国の紅十字ですかの代表が来られるということも、これは若し引揚等のために非常に努力してくれたお礼であるという意味ならば、お礼の方法はほかにもあろうかと思います。で、私は人を招待するということは目下賛成できないと思います。
  319. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 終極の目標が共産主義であるというが、それはもう社会主義の社会建設に努力していることは事実です。併し中国は日本を侵略しようとか、そういうことは毛頭考えていないことは、行つて御覧になればわかります。小学校の教育から平和教育をやつているのですから、侵略なんか絶対に教育しておりません。従つて社会主義の国であつて日本との国交については、やはり外務大臣は今アメリカの支配下に、アメリカの影響下にあるからそういう自主的な考えがなかなか起らない、我々に率直な答弁ができないのかと思います。従つてこれは将来すぐじやなくてよろしい、穏歩漸進的に外務大臣の自主的な外交ができるように努力されることを私は希望しておきます。  それから最後に農林大臣にこれはお願いしておいたのですが、今度の災害の農村購買力に及ぼした影響ですね、これは相当なものであろうと思う。米或いは麦その他養蚕、そういうものの減収ですね、相当の金額に上るのではないかと思います。そこでまあ詳しくは困難でしようが、概算でよろしいのです、と申しますのは、それが今後の財政経済にどういう影響があるかということを私は考えてみたい。その点おわかりでしたら御報告願います。
  320. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) この春以来の農作物の災害が度重なつて、遂に冷害というような最悪の災害まで出しました。これも極めて大ざつぱでございますから、そのなんで、二十七年度の、昨年度の全農家の諸生産額が一兆一千二百七十百五億、それは農家全体の所得生産でございますが、販売額にしますれば、五十九百八十億くらいが販売する面、それが今年度は請生産額が納品兆二十億、販売額におきまして四千九百八十五億、そのうち冷害によります関係が、従いまして昨年度と今年度の比較をいたしますれば、諸生産額におきまして一千二百五十億程度の減、販売額におきまして約一千億の減となるわけであります。それでこのうち冷害地の関係が諸生産額におきまして七百九十億、そのうち米のみによる減収四百三十億、これが販売額のほうにつきましては全体としまして六百五十億、米のみにつきまして三百十億くらいじやないか、大掴みなところでそういうことです。
  321. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは冷害水害全部入れてですか。
  322. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 全部入れてです。
  323. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体の見当はつきましたが、併しよく災害があつたときは、調査してみるとだんだんあとでその被害が大きくて影響が末広がりになるということを言われておる。政府でも今後だんだん実態を調査するに従つてこれより又少くなるより多くそれは金額はわかりませんがなるように我々も考えられるのです。これだけでも、これは日本の経済にとつて相当大きい影響だと思います。これだけ農村の購買力が、やはり収入が減ると、こういうことを意味すると思う。農村が販売から言いますとこれだけの一千億近い収入の減となる。そうすると商人の売れ高なんかも影響が来て、これは中小企業に対してもやはり相当影響があると思う、相当農村関係都市の、そうしますとやはりこれは税収関係にも影響があると思います。商人などの申告の納税なんかにも。ですからこの冷害水害日本の財政経済に及ぼす影響というものはこれはやはり相当財政上も真剣に考えてみなければならん問題である。今度の災害予算を組む場合にやはり自然増収を相当政府も見積つております。勿論源泉所得のほうが多いのでありますが、申告納税は自然減収がもつと多くなると思うのですよ。自然減収が予想よりはきつと多くなると思う。そうなりますとやはり今後一応これでは、今度の出された補正のあれではバランスが合つておるように見えますが、よく大蔵大臣はこういう災害予算をたくさん組むとインフレになる、インフレになると、言つておりますが、この前提において考えますと、この購買力関係から行くと、相当これはデフレ要因になるのじやないか、そういうように私は考えられるのですよ。尤も資材関係から行けば、セメント、木材、その他が災害復旧のほうに使われますから、建設資材は上がるでしよう。そうしますと一方の農村購買力の減退、いわゆるデフレ的要因とそういう資材関係が上がるという要素が両方出て来ると思う。経済は相当跛行性が強くなつて来る、これはやはり税収なんかにも相当影響がある。大蔵大臣はそういう読みをやられておるかどうか、この補正予算を作る場合に又これは二十九年度予算編成の際にやはり重大な影響があると思う。そういうことが日本の景気にも相当影響すると思う、こういう点、大蔵大臣は今後の税収の見込、或いは二十九年度予算編成と併せてこの冷害災害による農村の購買力減退の問題をどういうようにとらえておるか、この点伺つておきたいと思います。
  324. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 申告所得税は減ずるということはこの間すでによそで申しました。実は申告所得税は多少の減収を見込んでおる。併し源泉所得税は引続き相当殖えて行くであろう、そのほかのものは例えばたばこ、専売局の収入なんか妙なもので、災害地は五十億の収入増が見込まれておるような状況になつてつて、これはちよつと妙な現象だけれども、そういうふうな現象で、私どもは一応の考え方としては申告所得以外のものは増加する、こういうふうに見ておるのですから、併しまあ二十九年度予算についてはこの間ちよつとあなたいられなかつたかも知れませんが、税制調査会あたりからまだ私どものほうへ正式な答申はありませんが、現在のままですと一千億の増収が見込まれるが、どういう根拠で一千億の自然増収を見込んだかわかりませんが、そういう見方もあるくらいだということは言えるのでありまして、私どもはさように考えておりますが、従つて年度について私どもは今検討はしておりますが、それはデフレ要因もどうせ広い日本の中ですから、デフレ要因もありますが、インフレ要因も相当あるので、まあ今の税収は特別な措置をとらなければ今年度くらいの税収額は確保できる、こういうふうに考えております。
  325. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実は先ほど、約一千億の農家収入の減少というものを今度補正予算を組まれるときに織込んで考えておられるかということです。それはここで大蔵大臣がどう答弁されてもいいのです。これはあとでわかる、あとになるとわかります。形式的に起つて来ますから、税収やなんかを見れば。間違つて御答弁をされれば結果があとで証明するのですから、あとでその点を。
  326. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは織込み済みであつて、そこで源泉所得税の中で申告所得税は減るということはこの間から申上げている、これはあなたはおられなかつたけれども、はつきり申上げている。併しほかのものが殖えるから、三百億の増収を見込むことは実際から見て何ら余計見ているのではないということを詳しく申上げております。速記録を見ればよくわかると思いますが、あとは実際を御覧下さればなおよくわかります。(笑声)
  327. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは私も大蔵省の出されたこれを見れば、ちやんと源泉申告納税が自然減収になつているというのは数字が出ているからわかつています。併し災予算を多く組むとインフレになる、インフレになるということをあまり言われるからです。それとあまりに違つた減少が起る。千億も、今農林大臣が明らかに計数的に言われている千億も農村購買力が減るのですよ。減るから、それに対してあとは大きなデフレ要因ですよ。インフレになる、インフレになる、そこで災害予算インフレになるから殖やせない殖やせないと言つておるのです。私はその点は少し認識不足ではないかと思う。片つ方にそういう大きなデフレ要因があるということを忘れているのではないか、こう思うのです。
  328. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) くどいようですが、もう一度申上げます。千億は減りますけれども、いろいろな対策工事やなんかでお金がたくさん出ておることは御承知通りです。従つて千億減ることばかり御なさつては聞違います。
  329. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それを前提にして言つている。
  330. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) さような前提が誤つております。(笑声)
  331. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は勝手に喋られて、こつちは時間がないから、これで。
  332. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は冷害関係につきまして、食糧計画の問題に関連しまして二、三農林大臣と大蔵大臣に質問いたしたいと思います。  先ず冷害関係でありますが、只今木村委員の御質問に対して農林大臣から、冷害による被害見込の御答弁があつたのです。今回のこの補正予算案の編成の基礎になつておりまする冷害関係の被害の範囲が、減収量被害額等のこの計算がどうなるか、この点をはつきり説明して頂きたい。冷害関係の被害を把握することは私相当困難であろうと思うのであります。殊に冷害に基きます農地その他の病虫害等の被害を、どういうふうに算定して行くか。平年も勿論こういう病虫害は少くないのであります。これを予算編成の基礎にどういうふうに取上げたかということをお伺いしたいのであります。このことは恐らくこれは十月初めの状況が基礎になつておつたと思うのであります。そのうちいろいろ変化もあるのであります。第二次補正の問題とも関連するかと思うのでありますが、その点を先ずお伺いいたします。
  333. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答えいたします。冷害によりまする今回の冷害対策の基礎にいたしました根拠は、どういうふうになつておるかという御質問でございますが、計数的には只今木村さんの御質問にお答えいたした通りでございます。先ほどもお答え申上げましたように、十月五日の中間調査として示された調査いたしましたところによりますれば、冷害による減収が約四百万石と見込んであつたわけですね。実際現地の状況をその後私も出掛けて見てみますと、冷害性質上これはもつと悪くなつてもよくなる気遣いはないというそういう認識の下に冷害対策を講じなければならない。併しこれはもう梶原さん御承知のように、この県の被害はこうであると、従つてその上にその県でこういうことを実施する、その予算がどうだと、それを積上げてやる邊がなかつたことはもう御理解頂けると思う。そういうわけでカチンとした計数的の基礎を示すということは、実際これは不可能でございまして、およそのところは実際の、又各被害村の実情からいたしまして、全般的には今回の冷害が相当深刻に又広範囲に及んでいるという上に立脚をいたしまして対策を講じたのであります。
  334. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 冷害の本補正予算に盛られておりまする各種の方策、特に融資関係も含めてでありますが、それが実施される上においてどういうふうに実施されるかということが私非常に問題であろうと思うのであります。ということは、只今農林大臣のお話にありましたように、今回の冷害の実態を見ますると、非常に所によつて差違があるのであります。県内においても非常に差違がある。冷害のひどい所は本当にひどい。併し半面において平坦地帯においては必ずしも大きな影響がない。むしろ平年作近い所も少くないのであります。こういう事態でありまするから、そういう事態に対して各種の補助、援助の施策が行われるのであります。先ほどの大臣のお話によりますと約四百万石、木村さんに対する御答弁によりますと。金にしますと三百五十億から四百三、四十億円という見当に今なろうと、ところが融資関係も含めて今回の補正予算に含めております金額はかれこれ五百億に近いかと私は思うのであります。相当の金がいろいろの形において出るわけであります。水書関係の場合におきましては御承知のように補助金等の交付の基準、こういうものにつきましては相当真剣な且つ盛んな論議が行われ、一応基準等がはつきりしておるのであります。この冷害関係におけるそういう助成金その他が出て行きまする基準をどういうふうに立てておられるかということであります。これはうまく行きませんと、私は極度に冷害で苦しんでおるところが必ずしも救われない半面において、さほど冷害の影響がないところが却つていろいろの恩恵が反射的に来るということも心配されるのであります。こうなりますると折角の施策というものがそれらの地方に対しては人為的の禍いを惹き起すという懸念もないでもないと思うのであります。大臣とされましてはどういう基準その他についての御用意があるかということを一つお伺いしたいと思います。
  335. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私も全く同様の点を憂えておるわけでありまして、この米価の問題にも関連いたしまして、今年は凶作係数を加算するようにいたしております。これは一部では冷害といいますか、凶作の対策にそれを考えて行くかのごとき又明解を持たれる向きもあるわけですけれども、いずれにいたしましても災害によつて非常な凶作が来る、凶作が来たから凶作係数が加算されるとしますと、只今お話のように比較的まあ凶作ながらも恵まれた地帯はそれによつて非常なゆとりを生じて来る、一方凶作地市は何らそれによつて救われるところがないようなことになるわけでございますから、率直に申しますれば、私は例えば収穫皆無地帯、或いは二分作三分作の地帯、これを町村ごとに抜き上げまして、そうして第一ブロツクは収穫皆無地帯、第二ブロツクは二分作三分作地帯というように、この窮屈な予算が先ず以て最も被害を多く受けたところから仕事に取りかかれるように、そうして漸次その余力があれば及ぼすという方法でやつて参りたいというように考えておるわけでございます。それからこれはもう申上げることはないと思いますけれども、諸般の救農土木に対する助成は、今回は農道は四割にいたしますが、そのほかは全部五割の補助でやつております。而も地元負担につきましては、農林漁業組合金融公庫の融資を以ちまして、無論町村起債の面にかかる分も三、四億あろうかと思いますが、大体そういうことで賄つて行きたいと思います。
  336. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 いま少し具体的に伺いたいのでありますが控えまして、ともいたしますると、こういう種類の金は万遍なくと申しますか、便乗的、普遍的になる傾向があると思うのであります。冷害に対する対策という趣旨から是非公正にされることを希望いたします。  それから大蔵大臣に伺いたいのでありますが、例の三党協定ですか、それによつて冷害関係に三十億円の予備費が入つたわけであります。予備費の性質というものは、これは申すまでもなく予見し得ざる予算の不足に対して充当するための費用と思うのであります。百十五億のこの冷害対策費と見合つて三十億円の予備費というものは極めて稀薄であります。而も予見し得ざるということは、これは言い得ない。すでに農林大臣とせられましても、この予算が余ればすぐにも実行されると思うのであります。そういうものをいろいろの形でまとめて一まとめに押込んでしまうということは、これは決して健全な予算編成とは言い得ないことであります。  水害関係の例の百五十七億円の融資についても同様であります。来年度の、予算をあらかじめ組み上げて、まあはつきりしない状況において使うということについては、これ又健全な財政法の運用から見て極めて不適正だという感じを強くするのであります。大蔵大臣のお言葉を拝借すれば、これは不健全な予算編成ではなかろうかという感じがするのであります。大蔵大臣の御所見を一つお伺いしたいと思います。
  337. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは梶原委員承知のように、当時予備費三十億円を見ましたのは、これは予算編成を早からしめて、一日も早く国会にいわゆる修正原案を提出したい、こういうところから起つたのでありまして、当時も事柄としては、はつきり大体しておつたのでございまするが、多少微細な点ではつきりしていなかつたのでございます。このうち二十億円を救農土木事業の追加に充てるのでありまするが、この救農土木事業の追加も、それをいろいろ農林省と打合せまして、丁度小規模土地改良事業のほうへ七億円追加するとか或いは開拓事業のほうへ四億円追加する、まあそういうようないろいろな措置をとることにしたような次第で、一応の見通しはありましたけれども、細かい項目でずつとやりますことがちよつと急の間に合わなかつた。それから更にこの三十億円のうち五億円は保温折衷苗代、温冷苗代への補助に廻す、こういうことに予定しており、残りの五億円をその他の補助金に充当するということにしたのでありまして、一口に申せばこの予備費の三十億円は全部農林関係のほうに振り向けることになつてつたのでありますが、ただ御承知通りそこにお配りしてある書類を御覧下さるとわかりますが、印刷物が微細に互つてやらなければならんので、少くともこれを全部に互つてやりますると印刷その他に少くとも丸二日以上かかるので、それでは予算審議を遅らすといつたこと等も考慮いたしまして、こういう措置をとつた次第でこれはこういう余裕のあるときはもう少し日にちをとつてやるがよかろうと思いましたが、会期等の都合でかように急いだ、これはまあ併し正直のところをそのまま申上げておきます。それから更にこういう今の百五十七億の残余は三・五・二のこの三について、このことについては、しばしば申し上げました通り、実は復旧事業の進行にも伴いまして、まあその必要に応じてよく実情を徴して出す、こういうことにいたしましたので、実はこれはできるだけ私ども誠意を持つてやる考えでございまするけれども、どの程度にこれが出せるかということ等の問題もありましたので、一応融資の形をとつたのでありますが、又予算を替えますると、これはちよつといろいろな点で予算を替えてやることはでき得なかつたので、三党協定にもありまする通り年度分は予算では三百億を計上する、こういうふうにいたしましたが、あとの百五十七億円は今申上げましたような条件で資金運用部資金運用部も前の説明に申上げましたように実は三月末現在のままで行くと百二億円ぐらいしか、ございませんので、或いは農林中金その他いろいろございますが、そういつたような、これは中金でありません、このほかのところでございますが、いろいろ銀行等から、市中銀行或いは公募起債等の関係、そういうようなことからでもこれの融資をする、こういう考え方をしておるのであります。
  338. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 事情は私よく了とするのでございます。私のただ言わんとしたところは予算編成の方法から見て適正ではあるまいということを申上げたに過ぎない。それから先ほど農林大臣が触れられました今年の米価の問題でございます。豊凶係数が過半加味されて石当り五百円の一応増加がされた。最近の状況によつて更に五百円乃至一千円の増加が論議されておるように聞いております。現在米は厳重な統制下にあるのであります。凶作に対しては別途いろいろな施策が行われておる。いろいろの状況から考えまして勿論これは消費者負担の問題、財政負担の問題とも関連することではありまするが、今後凶作関係も五百円以上増加するとすれば、これは生産者価格として米価を上げずに、むしろその分は冷害関係の応急又は恒久対策に振向けるというほうが私は本当じやなかろうか、米価を上げましても、うるおうところは比較的作のよかつた所であります。冷害地帯には、うるおわないのであります。而も五百円上げるとしましても、仮に二千万石政府が確保するとしますると、かれこれやはり百億円見当一の金になるのであります。むしろそれは消費者価格の先般来大臣のお話のように財政負担で行くか消費者価格の引上げで行くか、極めて微妙なのであります。殊にこれが財政負担になるというふうな場合においてはむしろこれは米価を上げずに別途処理するということが適当であろうと私は思うのであります。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  339. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 凶作係数の扱い方につきましては、先刻も申上げましたように、米価決定の諮問機関でございます米価審議会の御意見もございまして、一応基本価格に五百円の加算をいたしておるわけでございます。なおこの算定方式につきましては、米価審議会の議長においてその意見取りまとめのことを努力して頂いておりますから、その算定方式に待ちまして、政府としても考えたいと考えておるわけであります。併しこの扱いにつきましては、率直に申しまして、私は同様の実は感じを持つておりますけれども、併しそれはそれとして、それだけにまあ冷害対策が財政的にも必要であるという感じを一層深くいたしたわけでございます。建前といたしましては、一応方針をとつておりますから、この方針を以て進みたいと思います。  なお凶作係数による加算額は、私ども考えでは、やはりその年の凶作の結果米価が上らざるを得ない要素になつておるから、従つてこれは消費者に持つてもらうということが妥当であると思いますけれども、今度のような非常に幅の広い形になりますと、それをその年度で一遍に消費者が持つということは、それは事実上そうまでやらなくてもいいのじやなかろうか。仮にやりますといたしましても、これはやはり数年度に亘るなり、或いは若し食管会計に余裕があるならば、或を程度はやはり会計の負担に吸収するなりというようなことも考えなければならんじやないか。彼此、只今は消費者米価のほうの関係は、先刻も申上げまする通り、米だけの問題で消費者米価を決定することは必ずしも妥当でないといういろいろな事情が今年は特にからまつて来ているように考えておりますので、慎重に検討いたしておる次第でございます。
  340. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 先般承わつた凶作係数の五百円、これはもうすでにきまつたことでありますし、今後更に五百円乃至千円見当ですか、これを附加えるという点については、米価審議会の権威も私承知いたしておりまするけれども、格段の一つこれは御検討をお願いいたしたいと思います。  それから今年の作柄は、本日も発表がありまして、五千三百四十万石見当ということでありますが、私は最近の農林統計が漸次改善されておるということについては認めるのでありますけれども、併し実際において統計面が実際よりやや下廻つつておるということは、これは一般に言われておるのであります。私もそういう感じがするのであります。従いまして、今年の供出の割当等につきまして実態を見ますると、実際よりも相当下廻つた結果になつておる感を深く受けるのであります。その結果、所によりましては相当の余裕の米がある地も少くないように思うのであります。今年はこういう状況でありまするから、集荷等については真剣に且つ地についた努力が必要と思われるのであります。その点についての農林大臣のお考え方。  それから米食率の問題でありますが、昨日もここで質疑応答があつたのであります。私は都会、農村を通じ、今一国を通じて米食率が実際に即しながらでき得る限り均衡のとれた方向に進むことが肝要と思うのであります。現在の通りで行きますると、農村地帯においては内地米が二十日であり、都会においては内地米が十日、八日、七日、というようなことになつておりまして、都市と農村の対立が食糧の面で相当強く出ている。これは食糧政策上極めて遺憾と思います。米食率の均衡は、単に数量だけでなしに、外米、内地米を合わして、質の問題も加味して、これは均衡のとれた方向に持つて行くべきではなからうかと思うのであります。その点が一つと、それから闇の問題でありますが、闇が非常に巨額に動いておることはこれは申すまでもありません。恐らくは百六十万トンの外米を農林大臣は輸入すると言われておりますけれども、それとかれこれ同じような程度の闇が流れておるわけであります。これはすべて警察の取締に任されておるのであつて、食糧政策の責任者である農林大臣は一指も染めない現状であります。これは私現在の食糧管理政策の根本的な欠陥だと思うのです。どうしてもこれは食糧管理政策の内部において、この問題を解決する努力が払われなければならんと思います。私は取締を強化すること賛成でありますが、取締の強化によつて、この問題を解決することはできない。又現在の管理方式を強化することによつて解決することも不可能であります。新らしい何らかの施策をそこに持ち込むことが必要と思うのであります。これは努力と検討すれば実現できると思うのであります。農林大臣の御所見を伺いたい。  それから最後に、現在の米を中心にする食糧管理政策は、私大体もう行き詰りに来ておると思うのであります。昨年麦類の統制が撤廃になつて、現在の米の管理政策の実態を見ますると、実に終戦直後そのままなのであります。非常に無理がある。供出制度はこれを強化することは殆んどこれはできない。毎年供出量は漸減していくという半面、闇は比例して殖えて行く。こういう状況にあります。農政の上においても好ましい影響は及ぼしておらない。消費者も納得しておらない。生産者のためにも必ずしもなつておらない。私はいろいろほかの産業面において重要な問題については、それぞれ民合同の審査会或いは調査会等が開かれていろいろ検討され、審議されておるのですが、大事な主要食糧、米を中心にする主要食糧、粉食問題もそれに関連するのであります。この食糧政策について、適当な審議会と申しますか、調査会、そういうものをお聞きになつて、根本的に再検討をする段階ではなかろうかと思うのであります。そういうことについて考慮される気持があるかどうか。その点をお伺いいたします。
  341. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 食糧の最も困難な時代に、この食糧管理を苦労された梶原さんの御意見で、農林省の統計が少し甘過ぎるということは、恐らく当時も体験されておつつたと思います。これは大方の御意見もそうでございますが、同時に今年は又随分その辛過ぎるという批判も、意見も出ております。併し実際問題としては、これはもう一粒一粒集めてなにしているわけじやありませんから、私は相当の潜在余力はあるのじやないかということは、これは腰溜めでは言えますけれども、併し何らよるべき根拠に別にございませんので、すでに御承知のように、毎日々々その闇米列車に何十俵、何十俵というのが出て来ておりますが、あれは恐らく統計の上に出ているものじやないだろうと思うわけです。そういう潜在余力があることはこれはもう否めない事実であろうと存じます。ところで米食率の問題は御指摘のように生産地は、生産地の消費者は内地米で二十日、東京あたりは内地米は九日、あとは外米というような極めて消費者から言えば、特に大都市の消費者から言えば、非常に割切れないものがあるわけでございます。私どもも従来ともここに改善を加えなければならないということで、食糧当局も苦心をいたしておるようでございますけれども、なかなか供出とからみ合つている問題でございますので、よほど生産県の本当に大消費地の消費者に対する関係から御協力を頂かないと、なかなかこれがむずかしい。ただ今度の凶作でかなり多くの県が消費県に転落をいたしておる。こういう際に県側の協力を頂いて、従来の消費県並みの扱い方をして、それでもなお外米を、やはり内地米の配給率は高いわけでございますから、そこにまだ割切つた形にはなつていないわけです。今後もこれは努力をいたして参るつもりでおります。闇の、先ほども申上げますように、やはり潜在余力は、やはり闇は防ごうとしても防ぎ切れない。お説の通りでございます。まさにこの強権的な管理時代からかなり緩んだ管理になつております。これを又引締めて強権的にということは、事実なかなか、これは又やるべきことでもなかろうと考えます。そうすればどうしてもこの闇を伝わつて来るものを表へ出して扱つて行く工夫がとれないかどうか、ここに私はまあ問題があろうかと存ずるわけであります。今後も一つ十分御意見を伺つてできるだけ一つこう明朗な形において、そういお潜在余力が消費者に供給できるように工夫をして行かなければならんのじやないか。大きな課題であるかと存じます。そうしまして持論的な御意見でございますが、私も現行の供出管理制度というものはどたんばへ来ていると、これはもう実際正に申上げざるを得ないと思うわけであります。或いは又米価の問題におきましても随分ちぐはぐの米価になつております。米の問題、供出の問題、配給管理の問題、米価の問題、これは只今お話のように、少し権威を持つた形において検討して頂く必要があるのじやないか。私は先般来副総理にもその意見を申上げて、一つそういう権威ある形において、これらの問題を検討して頂くように御相談をいたしているわけであります。できましたらそういうふうにいたしたい、こういうふうに考えております。
  342. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 関連して。只今農林大臣から闇米の問題その他の御発言があつたのでございますが、今日お米の問題で家庭の主婦が非常に悩んでおりますときに、政府は酒造米につきまして、今度はこういうような事情ですから減らそうというようなことを考えていらつしやらないのでございましようか。今まで随分たくさんお米の問題で質問が出ましたけれども、やはり男性方のうちからは、酒造米を減らしたいというような言葉が一言も出なかつたことは非常に遺憾だと思います。私はたくさんの主婦の方たちの要求といたしまして、こういうような場合には徹底的に酒造米は減らすべきだという主婦の声を代表してこの質問をいたしたいのでございます。殊に岡崎外務大臣も最近東南アジア諸地域の御旅行をなさつたのでよく御承知だと思いますけれども日本と同じように米を主食にしております国で、お酒をふんだんに飲んで、欲しくないと言つても、あとからあとからつがせるような習慣を少しも改めないような宴会を毎日続けているような国だの、それから又僅かな月給をかこちながら、その月給を家へ持つて帰らないでどこかで飲んで、帰りに駅の隅へ大事な食べ物をみんなそこへ御披露に及ぶというような、こういう醜態になつている国は日本以外に私は知らないのでございます。こういうようなときに農林大臣としては確固なる信念をもつて酒造米をもう少し減らすというような意見をお述べになつて然るべきだと私は考えますので、農林大臣の御所見を伺いたい。又、大蔵大臣はここにおいでになるのですが、いつもこの問題が出ますと、お酒場による税金の問題の収入のほうで大蔵大臣は非常に一生懸命におなりになるので、只今大蔵大臣のお立場としては誠に御尤もなことだと思いますけれども、国家全体の風紀、道義の問題から考えましたら、僅かのお酒の税金なんかにそんなにお頼りになる必要はないかと思います。殊に人造米なんかに二百五十万円の特許権のお金とか、百二十万円の設備資金とか、そういうようなお金なんかお出しになることを思つたら、もつともつと酒造米に対して対策があつて然るべきだと思いますので、この問題で農林大臣の御所見と、大蔵大臣がこの税金をどんなに当てにしていらつしやるかどうか。この両大臣からの御答弁を伺いたいと思います。
  343. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 今年度の需給計画をもう少したちまして、きちんとしたものを作り上げて御報告申上げたいと思つておりますが、加工用といたしまして、昨二十八年度には九十四万石から使つております。そのうち酒造加工用として九十万石くらい使つております。これは加藤さんお話のように、大蔵財政当局ではかなり手痛いことだとは存じますけれども、今年の事情からいたしまして、どうしても相当の減らし方をしなければならないので、二、三十万石は少くとも液汁米を減らしたいという考えでおります。
  344. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 酒について、私ども税金のみを考えているだけではございません。御指摘のような点はございましようが、あれくらいの税収とおつしやいますが、税収としては千四百億円からございまして、ちよつとこれに、他に代るようなものはございません。但し米が少々減りましても、近頃は醸造法が進歩しまして、いわゆる三倍醸造、三倍に醸造するということができることになりましたので、従つて米のほうを少し減らしましても、もつと非常に減ると別ですが、少々減りましても、まあ税収にはさまで変らないように措置して参れると考えております。
  345. 湯山勇

    ○湯山勇君 労働大臣がお見えになつていないので、非常に残念でございますが、御病気ということでいたし方ございません。私は仲裁裁定及び人事院勧告につきまして御質問申上げたいと思います。今日まで本会議並びに本委員会において明らかにせられたことは、仲裁裁定並びに人事院勧告は尊重するというような抽象的な御言明があつたわけですけれども。その尊重するということの内容が明らかにいたされておりません。尊重するという言葉は、単に考慮するとか、或いは善処するとかいうことと違つて、もつと積極的な意味を含んでおると思うのでございます。従つて、もはや本委員県会も最終的な段階でございますから、どうかそのおつもりで、尊重するということの内容を具体的に一応大蔵大臣から御説明頂きたいと思います。
  346. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 人事院の勧告及び仲裁裁定につきましては、これは私どもは今お話通りの、尊重するという考えであるわけであります。但しこの予算措置をとりますることはなかなか容易な問題ではございません。先ず人事院の勧告について申しますると、これを全部に及ぼしますれば年間七百三十億円くらいの財政支出になるので、ございまして、この点甚だ容易ならんものがあります。それから又裁定について申しますると、これは私どもいわゆる三公社、五現業のそれぞれの経理内容が多少違いまするが、例えば鉄道、郵政のごときものについて見ますると、来年度に、至ると、鉄道は約一割運賃の値上げをやらなければならん。又郵政のほうも料金の引上げをやらなければならんというような工合であります。で、現在の予算の、今ある予算の枠の中ではこれは実行不可能でございまするが、然らばそれに副う補正予算等予算措置をとるか、こういうことになりますると、実は他の公務員へのいろいろ関係もございまして、又他の現業との関係もございます。それから又今申上げた運賃の値上げとか或いは料金の値上げ等の問題もからんで参ります。更に又それぞれの一般会計との関連等の問題もございまするので、只今のところは、各方面からこれを検討しておるところでございまして、まだ実は結論に達しておらん次第でございます。
  347. 湯山勇

    ○湯山勇君 只今のでは尊重するということの意味には触れておられないと思うのです。ただ併し、今おつしやつたような点から考えてみますと、例えは仲裁裁定の実施ということは、仲裁裁定がある以前に、すでに仲裁裁定のあることを見越してその費目予算化されている場合以外には、今の大蔵大臣お話では、実施できないというようにとれるのですが、そうなんでございますか。
  348. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは公社その他皆いずれもそれぞれ予算が立つておりまして、その予算の枠というものの中では、今の仲裁裁定はむずかしいと存じます。従つて私はこれに対して、やるとすれば予算措置を別にとらなければならん、こう考えておるのでございます。
  349. 湯山勇

    ○湯山勇君 つまり大蔵大臣がおつしやるような考え方に立つ場合には、仲裁裁定がある以前に、すでにその予算費目に計上されていなければ、仲裁裁定の実施はできないのだということになりますが、そうだとすると、現在の予算編成の仕方から、前以て仲裁裁定に必要な予算を組んでおく、そういう予算を組むという可能性がおありになるでしようか。そういう場合があるでしようか。それは如何でしようか。
  350. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは私どももそういう場合があるかないかというふうに理論的におつしやいますと、あるとも言え、ないとも言えますが、併し事実問題として、そういう裁定は恐らくいついつかから実行するというふうな工合に、大体裁定の日付等がきまつて参りますので、その点からということになりますから、多くの場合に、別に予算措置を講じて国会等の、今のすでに国会のほうへ裁定についての議案をお出ししまして、国会の御意向を伺つているのでございまするが、それに基きましてやることはできると思うのであります。但し、この問題は、実は私ども予算措置をとることだけについて大蔵省は実は担当しているのでございまして、そういつた事柄の根本は、これは労働省がやつているところでございますので、その法規の解釈とか、その他については、そういうふうな御解釈はお尋ね下さるのがいいと思います。ただ私どもは、それについて予算関係はどうなるか、予算措置はどうかと、こういうことについては只今申上げた遮りでございます。
  351. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のような情勢では、恐らく当初予算においては、その現在の状態に有るぎりぎりの予算しか組んでないと思うのです。そういう場合、今のように、その後において裁定が出た場合には、それを見越して予算修正をしない限りは、実施はできないと思うのです、とするならば、この公労法というものは無意味なものになつてしまうのではないかと思いますが、労働政務次官、どうお考えになられましようか
  352. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 大臣がおりませんので、大変失礼ですが、代つてお答え申上げます。あらかじめ仲裁裁定を予定して予算を組むということは、これは恐らく不可能だろうと存ずるのでありますが、大体仲裁裁定は、三十五条で言つております通りに、最後的決定として極力尊重しなくちやいかんということも事実でございますので、これと予算との関係とを如何にして噛み合し得るかということにつきまして、十分関係の各省で研究中の次第でございます。ただ政府といたしましては、国会開会開会後五日以内に取りあえずこの裁定案を国会へ提出する義務がございますので、差当り出して御検討を願つている次第でございます。
  353. 永岡光治

    永岡光治君 関連して質問。只今の答弁によりますと、これは各公企体等労働関係法を適用されているいわゆる三公社、五現業に対して、政府の公企労法十六条二項の規定に基いての国会に対る議決を求める件として出されている事由、第三項目に明確にこういうことが謳つてある。  いずれも昭和二十八年度特別会計予算の歳入歳出予算に含まれておらない。従つてその給与総額については、予算総則第八条の金額を超過することは明らかです。これだから不可能である。こういう理由であります。だとするならば、今までの質問でも明確にされましたように、余裕のある恐らく給与予算を組んでいないと私は考えるのであります。従つて予算総則におきましても、きめられた人員に対して、きめられたベースで算定されたものしか組んでいないのでありますから、直ちに予算成立した後において、仲裁裁定が出された場合において、いつもこのような理由によつて絶対に、呑むということはできないということになると私は解釈するのでありますが。その点が先ず一点。  そうしてこのようなことがあるからこそ、政府国会が開かれておれば、いやしくもこの三公社及び五現業の中に、資金上差繰りできることが明確になつておる所がたくさんあるのです。臨時国会を何のために開くかと言えば、これらのものを組替えてやろうとすればできる。やろうとすればできるのですから、そのためにこそ国会が開かれておるのですから、なぜ政府は、そのような資金が余つておるならば、予算を組替えて出さないのかということを言いたいのであります。なぜこれをやらないのかということが節二点。  それからこれと関連いたしまして、労働大臣はいないようでありますが、政務次官でも一応止むを得ません。臨めて又別の機会に労働大臣の答弁を求めたいと思いますが、幸いにして緒方副総理がおりますから、副総理から政府の責任者として御答弁を併せて願いたいと思うのでありますが、本日の読売新聞に、仲裁裁定についての統制をしようということで、公企労法の改正を考えておるということが載つております。その要点は、物価の上昇が或る率に達するまでには仲裁ができないということが第一点、それから現行の、現在ある調停委員会或いは仲裁委員会を一本にまとめて労働委員会と同じような制度にしたいという考え、それから委員の任命方式を現在より改悪いたしまして、総理大臣が任命する形式を、今までと違いまして、今までは組合、公益代表、こういうものをそれぞれ推薦をして選ぶことになつておりますが、実際上それが殆んど認められたと思うのでありますが、政府の任命権を非常に強化したい、こういう考えがあるようでありますが、そうして又交渉体制等においても考えられておりますけれども、いずれにしても今度の言われておるところのこの内容というものは、政府が仲裁裁定についてにつちもさつちも行かなくなつて、その裁定をどうしたらば尊重しなくても間に合うかという点についての改悪を企図されておると私は考えるのでありますが、このような考えを現在政府は持つておるのかどうなのか。この点を、重大な問題でありますので、併せて三点についてお尋ねいたします。
  354. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 第一点の、予算上組まれていないのは当り前だから、当然仲裁裁定は実施できないじやないかという御質問でございますが、おおむねそのようになりますのでその予算のままではできない。併しこれを十分検討いたしまして、若し変える余地があればこれを変更いたしまして、国会の御承認を得るように今後努力をいたしたいと、こういうことでございます。  それからただ附言いたしますと、同じ給与総額の中でも、内部のやりくりによりまして或いは仲裁裁定をそのまま実施し得る場合もないではございませんので、従来もそういつたことを実施した例もある次第でございます。第二点の、資金で十分余裕がありながら、予算上実施不可能とはおかしいじやないかというお説でございますが、御存じの通りの十六条一項におきまして、資金上或いは予算上不可能な内容の支出はこれは政府はできないと、こう十分締められておりますので、これは手続をやはりやりません限り、やることができないということに相成ろうかと思います。  それから公労法の改正につきまして、本日極く一部の新聞に出ておりましたことは事実でございますが、これは政府はいろいろこの問題、殊に労働法の問題につきまして、平素からいろいろな角度からの検討はいたしておりますが、決してきまつた内容、或いはこういつた目標で直そうというような具体的なまだ決定を見ておるものでは全然ございませんので、御了承頂きます。
  355. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 只今安井政務次官からお答え申したことに附加えることはないのでございますが、公労法の改正につきましては、まだ各所管の各大臣においてそれぞれ研究をされておることと思いまするが、私のところにはまだ何にもその結果についての話を承わつておりませんし、閣議に上ぼしたこともございません。
  356. 永岡光治

    永岡光治君 重ねて。只今労働政務次官の答弁によりますと、二つのことがちよつと問題になつておる。一つは、今の答弁では、内部の差繰りでやれるものは予想しておるということになると、今度の場合では、内部の差繰りでやれるものはやつてよろしいという見解を持つておるかどうか、それが第一点、もう一つは、予算上、資金上というから二つ重ねて考えておるのか。その二つ一緒になつて許されなければこのことができないから駄目だということでありますが、資金上が許せば、今臨時国会が開かれておるのでありますから、なぜ補正しないかということ、そのことを私は聞いておるのであります。補正すればできるじやないか、資金があるのだから。そのための折角の臨時国会であつて、なぜやらないか。それは理由にならないではないか。こういうことを言つておるわけです。この点について、もう一度重ねて答弁を願います。
  357. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 予算の内部のやりくりと申しますのは、給与総額をきめられました給与総額の内部でのやりくりは、これを実施した場合は過去にもあるのであります。今度の場合は、それは予算上なかなか遂行困難と思われておりますので、折角只今検討中のところでございます。  それから資金上やりくりできる場合でありましても、予算上やりくりできない場合は、これはどうしても実行不可能ということになるわけであります。それからこれは理論的な問題でありまするが、予算上やりくりができても資金上やりくりができないという場合も、これは仮定としてはあり得るかと存じております。
  358. 永岡光治

    永岡光治君 なぜ補正予算を出さないのか。とにかく資金はあるのだから、予算上できるということが成り立つ解釈ができるじやないか。
  359. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 資金上やる場合に、いろいろな事情がございまして、これは増収による資金の余裕がある場合も、ございましようし或いは又一時債券等を募集する場合もございまして、資金上は必ずしもその経営体の収支に十分合つておる資金繰りである場合ばかりもないと存じます。その点を今日予算の面と睨み合せまして、各省で目下検討中でございますが、労働省といたしましても、でき得る限り仲裁の線に趣旨を生かし得るようにしたいと努力をいたしておりますので御了承頂きたい。
  360. 湯山勇

    ○湯山勇君 政務次官にお尋ねします。今政務次官は、私の賛同に対して、あらかじめ裁定実施の予算を組むことはないというように御答弁になりました。そうすると公労法というのは、そういうあり得ない場合を一般的な場合として規定して、あり得る場合というものは極めて特殊な場合ですから、あり得ない場合を規定してもつまり全く骨抜きになつた無意味な法律である、こういうふうに判断されるのでございましようか。
  361. 安井謙

    政府委員(安井謙君) あらかじめどういう裁定が下されますかは、これはちよつと予想が困難だと思いますので、それを織込んで予算を組むということは通例ないであろうと存じますが、その裁定の種類につきましては、或いは予算の流用も比較的やりやすいような性質の場合もあり得るかと思います。そういつた場合には比較的やりやすいと思います。そうでない場合には、どうしても予算上の手続が所要になるかと存じます。
  362. 湯山勇

    ○湯山勇君 次に、それでは大蔵大臣にお尋ねいたします。財政法の三十三条によつて、一部の流用は大蔵大臣の権限にあると思います。更に又財政法三十五条によれば、予備費の流用は内閣において決定することができるようになつております。こういう措置をとるならば、あえて今回のように十六条に該当するというので、国会に出さなくても、内閣の責任において処置できるのではないか。こういうことが考えられるのですが、如何でございますか。
  363. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 法律上のことはあと政府委員より答弁いたします。ただ私が申しますのは、先ほども申上げました通り、その三公社、五現業につい一つ一つ見にくい。他の公社とか他の現業との関係も考慮しなければならず、又一般公務員との関係も考慮しなければならず、又例えば国鉄法とかああいうものをずつと見ますると、それぞれをきめるときには、そういう給与などをきめることが書いてありますから、或いは給与準則にもそういうことが出ておりますが、やはり他の公務員とか民間会社の給与関係とか、その他各種の事情を考慮して云々ということがございまするので、そういつた点等を考慮しなければなりません。又今お話が出ましたが、例えば資金上の問題も、そのために一時益金のやりくりができましても、全体の面でやれない面がございますので、そこで予算措置をとる場合には、少し長い眼で予算措置をとつてもらわなければならんのであります。只今も国鉄、電電等につきまして、今年では或いはできるというような解釈をされる方もあつたのでありまするが、過日郵政大臣の答弁では、郵政関係、電電関係では今年でも困難だということでございますから、やはりこれは年間を通じますると、郵政につきましては、どうしても来年予算になれば料金を上げなきやならない。又鉄道などになりますると、運賃を一割ぐらい上げなきやならんのであります。そういうことが果して今こういう場合適当かどうかと、こういうような問題等も併せ考えなきやならんので、そのことを私は先刻来申上げました次第であります。  なお、法律上の解釈については政府委員から答弁いたさせます。
  364. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 財政法規上の問題につきましてお答え申上げます。各公共企業体法の中に、給与準則は、給与総額の範囲内できめなくちやならんという規定がございます。その給与総額は、各企業体の予算総則でこれをきめておるわけでございまして、その額は、予算費等の支出をいたしましても殖やすことができないわけでございます。従いまして行政権の範囲内におきましては予算を変えることができませんために、行政措置によりましては如何とも措置しがたい。そういう法的な関係に相成つております。
  365. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の三十三条、三十五条との関連はどうなります。
  366. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 三十三条、三十五条によりまして予備費を支出いたしましても、各公社予算予算総額できまつておりまする給与総額を殖やすことができないわけでございます。
  367. 湯山勇

    ○湯山勇君 次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。大蔵大臣は先ほど、他の公務員関係とか、或いは年商の賃金とかいうことをおつしやいましたが、前国会におきまして人事院励行が出たあとで、私が大蔵大臣にこのことについて質問いたしましたときに、大蔵大臣は、物価の横這いとか或いはCPS、CPIに触れられました。そのときに、生活費の大部分を占める食費の関係についての大蔵大臣のお考えの足りないところを私が申上げまして、大蔵大臣もそれをお認めになつて再検討を大体御承認になつたと思うのです。更に本日見ますと、内閣統計局から出ております七月の勤労者の生活実態を見ますと、三月に比べまして赤字が二千一百円の増加になつております。そのことは、赤字全体から見ますと、勤労者七月の生活では五千二百三十一円平均の赤字が出ている。このようにだんだん赤字が増加して来ている実態を大蔵大臣はどうお考えになり、又これに対してどのような措置をおとりになろうとしていらつしやるか。
  368. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は実はまだ数字を見ておりませんが、よく検討いたしまして、これは実情に即するように一遍よく考えてみたいと思います。
  369. 永岡光治

    永岡光治君 これは只今の御質問の中にありましたが、明らかに総理府です、総理府の統計資料で、すでに経済審議庁から出ておりますが、日本経済指標というものの中に出ております。人事院の勧告が今年の三月を基準にして勧告されておりますが、今年八月の給与の指数は、総合で六八%この人事院が勧告した、一月に比べてすでに上つておるわけです。私はここで大臣に一つお尋ねしたいと思うのでありますが、給与を上げると物価が上るということをよく言うのです。給与は上げておりません、公務員は。にもかかわらず、こうして物価はどんどん上昇しております。非常に公務員は苦しくなつて来ております。税金は容赦なく、取り立てられ、滞納も何もできない。どんどん取り立てられて行く、こういう状況でありますが、今公務員が一番望んでおることは、やはり給与を引上げてくれるより物価が安くなることを恐らく私は望んでおるだろうと思いますが、これに併せて、政府一体物価を下げる自信を持つておるのか。具体的にどういう計画を持つておるのか。どういう見通しを持つておるのか。その点も併せてお尋ねしたいと思います。
  370. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) その数字は一つ見ました上で私も検討してみます。それから物価に対することでございまするが、これは私どもが過日来特に政府の政策として通貨価値の維持、通貨価値安定ということをその前現内閣の大きい方策として打出しておる。従あります。即ち言葉を換えて言いますな物価の騰貴をなからしめること、或いは金融の措置の上から来る物価の騰貴をなからしめること、更に国際収支の均衡を得るために、日本の物価は国際的に割高であるから、それを引き下げなければ到底国際収支の均衡を得ることはむずかしいから、そこで例えば基本産業にも財政投融資をするとか、或いは又合理化、近代化等に必要な機械を入れたり、又そられの方法を促進するとかいたしておりまして、これら物価引下げに対する努力をいたしておるのであります。更に食糧その他につきましては、(「自信は持つているか」と呼ぶ者あり)自身は持つております。
  371. 永岡光治

    永岡光治君 具体的に下がる見通しですか。具体的に物価は下がりますか。
  372. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 具体的に申しますると、物価は漸次今より下つて参ると思いまするが、(笑声、「上つているじやないか」と呼ぶ者あり)併しそれについてはあなた方の御協力が十何よりも必要であります。御協力がなくしては、国民各位の協力なくしては、これは物価というものは容易に下るものではございません。それは政府が如何なる努力をしても、例えばもつとこちらへ金を出せ、あちらへ金を使えというようなことでは、これはなかなか物価は下るものではございません。国民各位の心からなる協力が何よりも物価を下げる根本であります。
  373. 湯山勇

    ○湯山勇君 今たまたま物価の問題に触れられましたが、大蔵大臣がどのようにおつしやいましても、現在の物価は下る見込はないと思います。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)そういたしますと、又来年も仲裁裁定をめぐつて労働組各との対立が予想される。そこで、仲裁裁定の法律というものは、そのような事態を平和的に解決するための手段であると思うのです。併し今政府がとつておるような措置をとられるならば、労働者は、或いはこの公企業関係の従業員たちは、先ず予算獲得の闘争を当初においてやらなくちやならない。更に裁定が出るまでに有利の裁定をとるような努力をしなければならない。今度は裁定が出たあとでは、裁定を実施するための又闘争をしなくちやならない。更にそれを政府が実施しない場合においては、現に国鉄がやつておるように法的闘争をやらなくちやならない。外国の例では裁定が出るまでを一応闘争の段階として、裁定が出れば政府も誠意を以て実施する。そこでこれで大体終りですけれども日本の場合は、その四倍の闘争が考えられるのです。これでは全く(「効率的じやない」と呼ぶ者あり)企公労法の趣旨にも反しますし、又一層事態を混乱させる、これらについて緒方副総理はどのようにお考えになられますか。
  374. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 先ほども申上げましたように、この公労法を実際に更に適切にやることにつきましては、主管省におきまして研究中であろうと思いますが、その研究の成果を見まして、政府としても慎重に適当の措置をとりたいと思います。
  375. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は副総理も御存じのように、現在の事態はもはや相当重大な段階に来ておると思います。この際政府国会にああいうような提案をいたしまして、そのことを直ちに実施するという誠意を示さないということは、政府が平和的に解決するという、そういう手段を放棄したのではないかというように判断いたします。そうして又先ほどから質問いたしておりますように、これらの公共企業体の中には、内部操作において、三十三条、三十五条の適用によつて大蔵大臣或いは内閣自体において解決できるものもある。それらのものを大蔵大臣の自由裁量、或いは政治的配慮によつて拒否するということは一体どういうことなのか。そういうことをしておいて、而もこの裁定実施を拒否した責任を国会の決議だといつて国会に持つて行く。こういうことが果たしていい方法かどうか。このことについての所見を、これも副総理からお願いしたいのであります。
  376. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 労働政務次官からお答えいたさせます。
  377. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 今回の場合は、いずれもあの裁定の内容が予算自体の変更を要するように存じます。これは大蔵大臣の先決ででき得ないものが大部分であるように存じております。
  378. 湯山勇

    ○湯山勇君 政務次官は、先ほどは内部の操作によつてやつた場合もあるとおつしやいました。昨年は電電公社の場合に、調停の段階においてすでにこいう措置を講じておるのです。又本年の場合におきましても、例えばアルコールにつきましては、当初政府が出して来た予算においては、三千万円の予備費が計上されておりましたのが、修正によつて千五百万追加されまして四千五百万になつている。この予備費の約半分を廻せば、十分実施されるようになつているはずです。聞くところによりますと、これを追加した場合には、裁定がいずれ出ることだから、その実施を考慮してこれをこれだけに殖やしたということを聞いております。そうすれば、全く今回国会の責任においてこれを実施しないというような措置に出ておりますけれども、これは政府がみずからの責任を国会へ、肩替りさせるというようにしか考えられないのですが、如何ですか。
  379. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 先ほど大蔵省からも御答弁がありましたように、給与準則を変更しないで、単なる一時金のようなもので、予算費目流用でやつた実績はあるのでございます。べース・アツプを伴います今度の裁定につきましては、大部分のものがこれは国会会の御承認を得なければできないような性質のものであろうと考えております。
  380. 湯山勇

    ○湯山勇君 資金上は十分ありますし、それから予備費の流用は、予算の変更につきましては、閣議決定を以てやることができるようになつておるのですが、そうすれば閣議で以てそのことを決定すれば、当然この予算外における措置ができるということになるはずです。その点については如何ですか。
  381. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほども申上げましたのでございますが、三十三条の流用、或いは二十五条の予備費の支出、これは大蔵大臣が承認すればできるわけでございますけれども、併し予備費にいたしましてもいろいろな用途がございますし、又、他の経費にいたしましても、必要を予定されて入つておるわけでございますから、実質的にそう流用ができるわけのものではないわけでございます。のみならず、本件につきましては、予算総則に給与総額がきめられておりまして、その予算総則の給与総額は、たとえ大蔵大臣が予備費の支出なり、或いは流用を認めましても、給与総額を変更することができないわけでございます。予算を行政権で以て変えるわけには参らないわけでございます。従いまして予算によつてその給与総額が変更にならない限りは、実行ができないわけでございまして、閣議決定とか何とかというような行政権の範囲内の問題では処理できないわけでございます。
  382. 湯山勇

    ○湯山勇君 その解釈には非常に問題がありますけれども、一応これで打切りまして、現在の事態は非常に重要な事態になつておりますが、而もそれを平和的に解決する手段がこのような仲裁裁定ということになつている。でこれを実施しないために、つまり政府は当然この予算措置をしなければならないにもかかわらず、それをしないために起るあらゆる事態に対する責任は政府でお持ちになるのですか。この点は緒方副総理から御答弁頂きたいと思います。
  383. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) すべての場合におきまして、すべての政治上の責任は政府が持ちます。
  384. 永岡光治

    永岡光治君 関連して、只今、主計局長から、予算総則で給与総額がきめられておるからどうしようもないということでございますが、予算総則には、こういう但書が書いてございます。「前項の規定にかかわらず造幣局、印刷局、国有林野事業、アルコール専売事業及び郵政卒業の各特別会計において、職員の能率向上による企業経営の改善によつて収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減したときは、大蔵大臣の承認を経て、収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する、金額昭和二十八年度において公共企業体等労働関係法の適用を受ける職員に対し、特別の給与として支給するため前項に定める給与総額を変更することができる。」、給与総額を変更することができる。なお又第九条以下においても、これに相当する経費の支出を認めております。これは私は只今つている問題については当然できるものと考えるのでありますが、この点はどうでありますか。
  385. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 問題を複雑化しないために、その点に触れなかつたのでございますが、只今お話のような但書が確かに付いております。これはいわゆる業種賞与とも称すべきものでございまして、或る企業体におきまして非常に能率が上つた、職員の企業努力によりまして非常に成績が上つたというような場合に、給与総額を変更して、その職員の企業努力に扱いる途を開いておるわけでございまして、今回の裁定のような、ベースそのものを改訂するというような場合は、それには該当しないわけでございます。
  386. 永岡光治

    永岡光治君 今までの答弁を集約して見ますと、これは本会議におけるこの仲裁裁定に対する政府の提案理由を聞き、それに対する質問の要旨を集約いたします、と尊重はいたしたい。尊重はしたいが、現在のきめられておる予算ではどうしようもない。従つて慎重に取扱いをいたしたい。なお又官房長官等の発言からすれば、十二月の早早には国会も早期に開会いたしたい。そのときにこの裁定についても審議をお願いしたい。要約すればこういうような私は結論になるのではないかと思うのでありますが、そうしますと、ここに出しておりますこの公共企業体等労働関係法第十六条第二項に基き、国会の議決を求めるの件というのは、これを政府は拒否した、根本的に全部拒否したという解釈に私はなるような気もするわけです。ただ公企労法できめられて、国会が開かれて五日以内に態度をきめなければならんということで出されたような気もするのでありますが、そうするともう一度申上げますが、政府は今はできないが、十分検討してこれは何とか具現するように努力したい、こういうふうに解釈されるのでありますが、そういう結論に解釈してよろしうございますか。副総理でも大蔵大臣でもどつちでもいいです。
  387. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは十分検討いたしまして、各種の条件を勘案した上、予算措置をとり得るようでございますれば、そのようにいたしたいと考えております。(「関連質問が長すぎるぞ」と呼ぶ者あり)    〔永岡光治君発言の許可を求む〕
  388. 青木一男

    委員長青木一男君) 湯山君に発言を許します。    〔亀田得治君「議事進行」と呼ぶ〕
  389. 青木一男

    委員長青木一男君) 亀田君。
  390. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは非常に重大な問題ですから、それで永岡委員が我が党の専門家でありますので、それでこの点を確かめたいと思つて聞いているのであります。夜遅くなつてもそういうことを言うなら、君らのほうは何だ。与党のほうの席が殆んど空いているじやないか。(「関係なし」「大臣がおらんから遅れたのじやないか」「そんなら委員長議席を数えてやつて下さい」と呼ぶ者あり)こういうように遅くなつて何のためにやつているんだ。重要な問題だからやつているのじやないですか。どういう関連質問でも私らが言つておるのじやないのです。今当面問題になつておるから言つておるのです。そういう場合には何もほかのことを言つているのじやないのですから、(「もう少し参議院の性格を考えろ」と呼ぶ者あり)そういう意味で議事進行をお願いいたします。それは要らない関連質問ならやりませんよ。
  391. 青木一男

    委員長青木一男君) 亀田君にお答えします。永岡委員の質問を決して私は軽視いたしません。併し、時間がまたあなたのほうの党派のかたにある間は、その持時間の間でやつて頂くのが私は適当と思うのです。関連質問でありますから私は制限するのであります。
  392. 亀田得治

    ○亀田得治君 その委員長の答弁に対してちよつと……私が申上げたのは、あなたが永岡君に発言を許そうとした、ところがあちらから注文が入つて、それによつてほかに持つて行きましたから、そういうことで動かされるようなことでは困るということで委員長に一言したわけなんです。
  393. 青木一男

    委員長青木一男君) そういうことはございません。
  394. 湯山勇

    ○湯山勇君 副総理の只今の御答弁に対して重ねて御質問いたします。副総理は現在の段階においては政府国会にあのような提案をしている、そのことは平和的な解決の方法を政府は放棄したというふうに判断してよろしいのかどうか。私はそのようには解釈したくないのですが、はつきりお答えを頂きたいと思います。
  395. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私は今おつしやつたような答弁をいたしておりませんが、但しどこまでも政府は平和的に処理したいと考えております。
  396. 湯山勇

    ○湯山勇君 副総理はこのことによつて起る一切の事態に政府が責任を持つと、こうおつしやつたわけであります。それに対してその御答弁は、一切の事態というのは大体予想されると思いますので、そういうことを予想して今のような御答弁ならば、平和的な解決の方法を放棄したというふうにとられるのだが、私はそう考えたくないのです。
  397. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) いえ、それは起り得る如何なる事態に対しても政府は責任をとらなければならんと考えますけれども政府としてはどこまでも平和的に処理したいと考えておるのでございます。
  398. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは最後に私は副総理並びに大蔵大臣から御言明頂きたいと思うのです。私どももこのことを平和的に解決されることを望んでおります。そうして繰返しおつしやいましたように、この裁定並びに勧告は尊重するということをおつしやつております。従つて速かにこれを本当に実質的に尊重されまして、平和的に解決するということについては相当期間的な制約があると思いますので、その実現に誠意を以て努力されるかどうか、簡単に明瞭に御言明頂きたいと思います。
  399. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 人事院の勧告につきましては、その勧告を尊重すると共に、たださつき申上げました通り、相当巨額に達する国費を要するので、それらの点について十分検討いたしたいと、かように考えておる次第であります。仲裁裁定につきましては、その裁定を尊重いたしまするが、同時に公務員との関係及びその他の三公社、五現業等のそれぞれの釣合い、及び資金予算等の関係を考慮しまして、善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  400. 湯山勇

    ○湯山勇君 只今のはつまり平和的解決の誠意を示すという御答弁ではないと思うのです。大体目途とか或いはともかくもそういう目途がなければとにかく誠心誠意努力するのだというような意味の御言明が頂きたいのです。
  401. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもが裁定の下つたときより、勧告のあつたときより、これは誠意を打つてつておるのであります。ただ非常に本年は異常なこういう災害等が起りまして、予算措置がとりにくい事情は、これは私が申上げないでも湯山委員も御了承のことだと思うのであります。
  402. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういうふうにおつしやると又聞かなければならなくなつて来るが、大蔵大臣は明確に防衛関係費は本年は削らない、来年はこれより減らさない、漸増というようなことを言てております。一方においてはそういうことをはつきり申しておきながら、今日緊急なこのような事態に至つておるものについて今のような御答弁は納得しかねるのです。もう一度その点について明確にして頂きたい。
  403. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 防衛費はこれは自衛力漸増ということを条約で約束しおるのであるから国際信義の上からやるまいと、こういうことを私は申したのであつて従つて保安庁費等も来年は、今は削るわけに行かないということを申したのであつてそれがためにそういうことをこちらでそれがためにそういうことをこちらでの点のいわゆる勧告、裁定等については私ども最初からできるだけのことをする考えで臨んでおるのでありますけれども、こういう異常災害の起つたときであるから予算措置がとれない、予算資金上の措置がとれない、こういうことを申上げておる次第であります。    〔永岡光治君、発言の許可を求む〕
  404. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連ですか、極く簡単に……。
  405. 永岡光治

    永岡光治君 第二次補正においてこの公務員の給与ベース改訂及び仲裁裁定についての結論を出して、その第二次補正で組む考えがあるかどうか、その点を極く簡単でよろしうございますが、あるかないか。
  406. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) その点は検討いたしておりますが、まだ結論を得ておりません。
  407. 湯山勇

    ○湯山勇君 大蔵大臣がおつしやつたことは大体そういうふうにおつしやるだろうと思つておりましたが、いよいよ最後の最後ですから、このことについては只今おつしやつたような言い方でなくて、第二次補正に組むか組まないかを検討するではなく、組むべく努力するというような御言明は頂けないか、組むべく努力する…。
  408. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 先ほど申上げました通り、この異常なる災害に対する対策費すら、実は思うに任せなかつたようなときでございまするので、今仰せになつたような言葉で申上
  409. 湯山勇

    ○湯山勇君 簡単に、今度は副総理にお尋ねいたします。副総理は平和的解決の努力を続けるとおつしやいましたが、平和的解決の努力というのはこれを実現すべく誠心誠意を以て当る以外にないと思うのです。そういう御努力をなさるかどうか、副総理から御言明頂きたいと思います。
  410. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 国の良識が認めるような、公務員のかたも納得して預けるような解決の方法を見出したいと思つております。
  411. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 本年の凶作と甘藷、馬鈴薯並びに澱粉の価格について農林大臣に伺いたいと思います。農産物価格安定法の示すところによりますと、この価格の決定に当つては学識経験者の意見を徴し、生産者団体の意見を尊重するとあるのでありますが。今回の決定に当つてはそのいずれも軽視し過ぎたかの感があるのであります。農相は人造米を安く作らせるために努力をせられておることを私は諒とするのでありますが、ただそれを生産者の犠牲においてその目的を果そうとせられるならば、それは農民の迷惑であるばかりでなく、将来の原料生産に直ちに響くのでありまして、食糧危機の伝えられておる今日におきまして、誠に食糧政策上拙劣極まるものだと思うのであります。私は決してひがみで申上げるのではないのでありますが、今回の価格決定のいきさつからどうしてもそうとしか考えられないのであります。御承知のごとく甘藷、馬鈴薯は米に次ぐ炭水化物、カロリーの非常に多い作物でありまして、食糧政策上その耕作奨励は誠に急なるものがあるのでありますが、そういう場合であるにかかわらずこの価格では耕作者の生産意欲を非常に殺ぐ結果になつて来ると思うのであります。而も本年のいもの作況はいずれも凶作であるのでありますが、その価格を昨年より低くきめるというような考え方というものは実は農林当局の常識をさえ疑わざるを得ないのであります。甘藷、馬鈴薯を下げた理由についてどういうわけであるか、農林大臣から承わつておきたいと思います。
  412. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 価格安定法に基きまして、本年産の甘藷価格は貫当り三十八円、馬鈴薯価格は貫当り二十二円という価格を決定いたしましたが、勿論これは生産者団体の御意見も伺い、学識経験者の御意見も伺つたのでございますが、総じて、昨年よりも下げないようにという御意見であつたのでございますが、無論この価格の決定は、基準年次の価格にパリテイ指数を乗じて算定をいたしておるのでございます。御承知のように、この価格は、いわゆる支持価格でございますから、今年の需給関係から申しまして、市場価格におきましては、これを上廻るであろうという期待を持つておるわけでございます。従いまして、爾後の再生産に支障があるようには私は考えていないわけでございます。
  413. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 生産者の生産意欲をこの値は殺ぎはせんか私は必ず殺ぐと考えておるのでありまして、その点に行きますと、農林大臣とは意見が違うのであります。  その次に承わりたいことは、馬鈴薯澱粉と甘藷澱粉との価格差であります。この価格差につきましては、従来五百円から千円くらいの差があつたのでありまして平均して約七百円くらいの差があつたと思うのであります。本年はその価格の差が僅かに百六十円、これは全くお話にならないのであります。馬鈴藷澱粉はその品質が極めて優良で、甘藷澱粉のような來雑物もなく、又医薬品の混合物にさえ二百万石も使われておるのであります。或いはオブラート或いはかまぼこ、羽二重の糊等には是非なければならんものとして需要があるのであります。更に最近人造米の主成分としてこれは欠くことができんものであります。人造米は馬鈴薯澱粉なしには立派なものができないのでありまして、その将来は実に明るいのであります。にもかかわらず、農林省は頗る悲観的な観測をしておるのであります。又馬鈴薯澱粉は火力乾燥でなければならん、それから甘藷澱粉は天日乾燥でいいのでありまして、その間に乾燥費だけでも十二貫一袋について三百円の差があるのであります。ところが私ども農林省に追及して、この間委員会で聞いて見ますると、馬鈴薯澱粉は四百三十六円、甘藷澱粉製造費は四百六円、僅か三十円の差である。これは恐らく火力乾燥費の三百円と三十円と算盤違いではないかとこの間聞いたのでありますが、ところがこれに答えられない。当局は答えられないというような状況でありまして、今なおその回答が来ておらんのであります。更に又奇怪なことは、今年の原料の需給推算の中には、政府がすでに買上げてしまつて棚上げになつておるところの澱粉或いは切干、これらのものを今年の需給の中に入れてしまつておる、こういうようなことまでして、如何にして馬鈴薯澱粉の価格を安くしようかということに懸命の努力をしておる、この事実は非常に困つたことであると思うのであります。農林大臣は正当ないろいろな資料に基いて速かに価格の改訂をなさる御意思がないか、これを伺つておきたい。
  414. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 甘藷澱粉と馬鈴薯澱粉の価格差でございますが、これは基準年次の市場の価格差を標準として決定をいたしたわけでございますが、昨年と比較いたしますればこれはもう北さん御承知のように今年は六十円の幅を拡げております。昨年は百円であつたのを今年はまあ百六十円に拡げておるわけでございます。なおこれで以ては馬鈴薯澱粉のほうにまだ辛いというお考え、御不満が多かろうかとも思いますけれども、大体におきましては妥当を得ておるのじやないかと存じますが、なお今後におきましても十分気を付けて参るようにいたしたいと思います。
  415. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 実はまだもう少し申上げたいのですが、時間が終了したというから遺憾ながらこれで質問を終ります。
  416. 青木一男

    委員長青木一男君) 今外務大臣を呼んでおりますから……。
  417. 江田三郎

    ○江田三郎君 外務大臣が来られる前にちよつと議事進行の立場でお聞きをするのですが、私御質問したいのは例の池田・ロバートソン会談、中田君が午前中話した問題なんですが、この問題に進むのに議運の委員長のほうから委員長のほうに何かこの問題について連絡かお話がございましたか。委員長のほうに何かございませんか。
  418. 青木一男

    委員長青木一男君) 当委員会において質疑応答があつたかどうかということは聞いて参りました。
  419. 江田三郎

    ○江田三郎君 明日の本会議を進める関係から、この問題について、この委員会で十分に質して置くようにという連絡はなかつたわけですか。
  420. 青木一男

    委員長青木一男君) この委員会で質疑応答があつたかということは聞いて参りましたが、それ以上私は聞いて参りませんでした。
  421. 江田三郎

    ○江田三郎君 今日の午前中に同僚の中田委員から新木大使がロバートソン次官補に対しまして池田・ロバートソン共同声明の内容を日本政府は全面的にこれを認める、同意する、こういうようなことを伝えた。この点についてお尋ねいたしたわけですが、議事の進行上答えがあと廻しになりました。この際岡崎国務大臣に改めてお聞きいたしますが、こういう通達を新木大使はしておるのかどうか。
  422. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私としてはあの共同声明を見まして大体池田特使の考えておる思想については別に問題はないわけだと思いますが、要するにあの中で具体的の事項としてまあいろいろ問題がありますが、要するにこれを今後東京で会談をして具体的にきめる、こういう点が政府としては取上くべき問題で、これについてそれは反対であるとか、それは結構であるという意思表示をいたして置くことが適当であろうと考えまして、関係の閣僚とも相談の上東京で会談することには異議がないということを先方に申出でさせました。その結果が本日の新聞に出たことと考えております。
  423. 江田三郎

    ○江田三郎君 これは東京で会談をするということだけでなしに、少くとも共同声明の内容について日本政府が全一面的に同意したということなんでありますから、この共同声明の内容にはただ東京で会談をするということだけでなしにほかの数々の問題があるわけであります。そういう数々の問題について、この共同声明に書かれてあることを政府は追認なさつたわけでありますか。
  424. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 共同声明の中には例えば小麦を買うことについて五千万ドルなんという数字が上つております。上つておりますが、これにしましても両者と言いますか、池田特使とロバートソン次官補との間で五千万ドルを目途とすることが適当と思うことを、両者の間に同意したということでありまして、これはまあ目途でありまして、それで要するに今後の話合いをして見なければその条件もどうであるか、又値段その他の点でそれが五千万ドルがいいのか、三千万ドルがいいのか、或いはもつと少いほうがいいのか、多いほうがいいのか、これはわかりません。でこの共同声明の内容を御覧になれば、要するにこれを追認するとか追認しないとかいう問題は出て来ないのであります。両方の初めに書いてある通り、両方の意見を検討、何と言いますか双方の意見を何とか、要するに検討とありましたが、要するに協定には達していないで、両方の意見を開陳し合つたということでありますから、その意見を確認するということは、それは両方の意見がそこに並んでおるのですから、私の考えではそういうことは結局事実において確認するとか、確認でないとかいうようなことは言えないので、要するに問題は東京で会談するするかどうか、こういう点でありますから、それについては異存がない、こういうことを申上げたのであります。
  425. 江田三郎

    ○江田三郎君 でたらめを言つてもらつては困ると思うのですけれども国会は何もとんち教室の明答場じやないのです。少くとも共同声明に、我々が見た共同声明によるというと、一般的了解に達した事項のうち若干のものを挙げれば左の通りであると、こう言つて若干のものについては一般的了解に達したとはつきり書いてあるじやありませんか。
  426. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私は決してでたらめを言つておりません。その前に何と書いてありますか、何ら協定には到達してないと書いてあります。
  427. 江田三郎

    ○江田三郎君 一般的了解に達して、そうして更にその内容においては自衛力の強化を認めておる、そうしてMSAの五百五十条によるところの援助五千万ドルということ、これについて必要な取極をするということ、中共貿易については高度の統制を維持する、これもはつきり一致している、ガリオアの解決のために近く東京で会談を開き、外資の導入のために好ましい状態を開く、このことは具体的にはつきりきまつているじやありませんか。
  428. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) MSAの問題については現に東京で話をしております。又小麦の買入の問題についても東京で話をいたしております。併しながらそういう点について更に池田特使が行きまして、双方でこちらの意見はこうである、向うの意見はごうであるということを聞いて、お互いに話合つたのであります。そこで要するにその大前提として、これは双方の見解の開陳であつて、協定に到達したものでないということが書いてある、要するに両者の間で以て成るほどそれはいい考えだと言つたことはありますが、それは協定でも何でもありません。要するにアンダスタンデイングである。そこでそれをどうこうすると言つても、この小麦の買付をやるのは両者の間で意見が一致してもちつとも差支えないので、我々も小麦の買付をやろうとしてここで話している。又そのことは国会でも説明をしております。防御力を増強するということも、池田特使の行く前から国会でも説明をいたしております。だからその考え方において私は違いはないと思うけれども、協定に到注したかどうか。話合いがこうなるということがきまつたのならば、それを結構であるとか何とかいう言いようはありますが、その話合いを東京でして具体的にきめようという内容でありますから東京で具体的な話をしよう、これが政府としては東京でしたくなければ別でありますが、東京でしたほうが適当と思えばそれを東京でやろうということを申入れるのであります。
  429. 江田三郎

    ○江田三郎君 東京で話をするところの前提というものを池田・ロバートソン会談でなさつたのでしよう。そうして而も勝手なことじやなしに共同声明として最初日本側の草案が出て、アメリカ側の草案が出て、そうして共同声明で以てまとめたのであります。一般的了解ということは何ですか。而もなお実体はなしに、ただ今まで政府言つておつたことと何ら変りはないのだ、そうして東京で話をすることだけをきめたのだというそんなごまかしはやめてもらいたいと思います。
  430. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私は決してごまかしておりません。その中に然らば新らしく協定なり話合いなりで以て新らしいことがあるかというとそうじやないのです。それはいろいろの問題がありますが、こちらの意見はこうであるということを池田特使は十分に説明いたしたでありましよう。そうして向う側は向う側で向うの考えはこうであるということを十分説明をいたしたでありましよう。それで一般的了解というのは要するに具体的の問題じやなくて、一般的な、例えば日本は防衛力を増強しよう、先方はこれに対して援助しよう、これは一般的な了解であります。
  431. 江田三郎

    ○江田三郎君 常識で考えてあなたがたはそういうことを言われますが、今度の池田・ロバートソン会談の声明というものは我々は政府になんぼ聞いても政府のほうでは言われない、ただ我我は外国電報だけを見ていなければならん。そうして本会議で質問しても本委員会において他の委員から質問があつてもこれはただ首相個人の、吉田さん個人の特使であつて、それについては政府は拘束されないのだ、従つてその内容については発表はする必要はないのだ、こういうことを言つておきながら片方ではこの殆んどその答えをしておると同じような暗闘にあなたがたのほうは、新木大使のほうに訓令を出されてやつておられるのであります。これは全く国会軽視も甚だしいと思うのです。これはあなたは大したことはないと言いますけれどもこの一つ一つは皆いずれも大したことじやないですか。外資導入一つにしても大したことじやないですか。外資の導入に好ましい条件を作る、好ましい条件というのは有利な条件でしよう。それは一体日本の資本にとつてどういう影響を及ぼすか大変な問題じやないですか。ガリオアの問題だつてそうじやないです。か中共貿易の高度の統制を維持する、大変な問題じやないですか。そういうようこなとを話合つて共同コミユニケを作るまでに一般的了解に達した。それで東京会談をこれから開くというのに、これをただ何でもない東京会談するということだけを同意したのだと一いうようなことはごまかしも甚しいと言うのも当り前じやないですか。
  432. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) それは少しあなたの誤解が過ぎると思います。例えば中共貿易について高度の統制を行うということにつきましても、例えばこれはまあ高度と言えば高度でありましようが、例えば政府としては最近において数回において統制品目の緩和をやつております。又ガリオアにつきましてもこれは前回の国会でも談論がありましたが、政府としては債務と心得ておるけれども、まだ債務となるべき条件を話したことはないのであります。併し四千万ドル余りのその対米債権、いわゆる対米債権に関連してガリオア等も早く話をつけてさつぱりと負うべきものは負う、負わざるものは負わずというふうにすべきじやないかと、いうふうな国会の議論もあるのであります。政府としてはこれは東京で会談することは異存はないのであります。又外資導入はあなたのお考えではこれは日本経済に非常な悪影響を及ぼすとお考えになるかも知れない。政府としてはしばしば外資の導入を図ることを国会でも言つておりまして、むしろ政府としては外資の導入を言いながら一向外資が入つて来ないじやないかということを国会で攻撃されておる。従いまして政府としては外資の導入に都合のいいような条件、勿論これは日本の経済も考えてのことでありまするが外資の導入に都合のいいような条件を加えて、成るべく速かにたくさん入つて来るように努力をするのはこれは当り前でありますが、その中に、それじやどういうふうな外資の導入についてのいい条件を作るのかということはないのであります。これは原則としてそういう方法で政府考えると、こういうことであります。
  433. 江田三郎

    ○江田三郎君 あなたは今いろんなことを言われますが、ここに共同声明に書いてあることは、中共貿易について高度統制を維持するということを書いてあるのです。我々はそれに非常に不満を持つのであります。我々だけでなしに、国民全部が不満を持つでしよう。高度の統制というのは何のことを意味するのか。而もこれは一般的了解に達しているのでしよう。その問題と、或いは外資導入について、外資導入に好ましい条件を作る。先般の火力発電の借款以上になお好ましい条件を外資のために作るということは一体どうなるのかという不安を当然持つ。そういうことを向うとはいろいろ具体的に話をされる。国会に来るというと、そういうことは発表できないと、そうして勝手に知らん間にこういうような共同コミュニケを作る。片方でそういうことは知らん、知らん、発表できない発表できないと言いながら、それと同じ時間に新木大使に訓令を発してちやんとこの共同声明を全面的に同意するということは、全く国会軽視である。ただ東京で会議をするということだけではないじやないですか。
  434. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私にはどうも江田君のおつしやることはよくわかりませんが、外資の導入に対していい条件を作るという一般的了解に達して、具体的な問題があるのではないのです。その具体的にどうやるかということは政府がきめるので、これはアメリカ政府と相談をするよりも、政府がきめるべき事項である。これについては東京会談ということはありませんが……、それから中共貿易についても、今までもヨーロツパ並みにするという政府方針で、西欧並みにするという方針でやつておる。それをただ高度の統制を持続する、これは西欧並みにするということは、国連の決議もあります現在において異論はないのです。が、それが又従来の政府のやり方であります。そこでそのコミユニケ以外に何か秘密の約束でもあるようなお考えでありましたら、それは非常な間違いでありまして、それ以外の約束は全然ありません。て新らしく我々の予期しない形で出て来た問題なのでして、私自身も予算委員会で質問することはほかの問題を考えておつたわけです。全く新らしい事態が起きたわけですから、従つてこの新らしい事態をはつきりと糺明するために、これは委員長として私の持時間を延長して頂きたいと思う。
  435. 青木一男

    委員長青木一男君) 委員長において然るべく取計らいます。
  436. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと関連して……、緒方副総理にお尋ねいたしますが、只今岡崎大臣が申されたように、成るほど一般的な了解に達して、今後の具体的な問題については東京で会談されて最終的な決定になると思うのですが、併し何と言つても日米両国が会談するところの大きな枠がこれははめられたと思うのです。今の国際情勢を見て、このような大きな枠をはめられたということは、これはアメリカが持つておる中ソ同国に対する極東戦略の一環として大きな枠をはめて、その中で泳がせるという重大な決定をしておるわけです。そういう際に、国際情勢とは全く逆な方向をとられておることは、極めて遺憾と言えなくてはなりません。申すまでもなく、冷戦は緩和しまして、平和への大きな方向を働いております。例えば自由世界の動向を見ても、イギリスは三カ年間に四十七億ポンドの再軍備計画を五カ年に延長し、再軍備よりかも基礎産業の合理化をして来るべき国際競争に堪えようとしておる。更に又フランスは、十一月の四日に軍事予算一割五分の削減を閣議で決定いたしておる。更に又日本に高度な再軍備を要請しますアメリカ自身が昨年は四百四十四億ドルの軍事予算であつたものを、三百四十三億ドルと一億ドルの軍事費の削減をして、世界情勢は変つているのです。そういう情勢に対して、アメリカが、自分の国ははこのまま行つたならば、本年度は少くとも六十億ドルの赤字が出る。それをアイクが声明したような、均衡予算を作るために赤字を外国に転嫁するために、再軍備にしわ寄せしようとするということは明らかです。こういうアメリカの世界政策は、国際的にも大きな批判を受けて殆んど孤立無援の状態であります。そして又最近ソヴイエトが原爆だけでなしに、水爆を持つて、そしてアメリカの対ソ封じ込め政策というものは、原爆や水爆をアメリカが独占するということによつてのみ初めてできるコンテイソメント・ポリシイであり、ロールバツク・ポリシイです。そういうようなために、アメリカは今ソヴイエトが水素爆弾を持つたから、アメリカの世界戦略を大転換しなくてはいけないというので、今世界中にリツジウエイや、或いはスミスや或いはニクソン、その他を出して、アメリカの世界戦略の大転換をする、そういう準備をしてそういう一環としてやつておる。而もそういうアイクの政策というものは、国内においても厳しい批判を受けている。ニユーヨークの市長選挙にも完敗している。或いはニユージヤーシー、或いは、ヴアージニア、その他の補欠選挙にも完敗して、アメリカの世界政策というものは完全に失敗している。今日本がとるべき措置というものは、占領下のために余儀なくされたそういうアメリカの対日政策を修正するという、そういう重大な段階に、いわば第二の対日講和、第二の日米安保条約に匹敵するような、こういう措置をとつて、ずるずると入つて行かれることは、私は太平洋戦争の最中に近衞総理の下におりましたが、吉田総理がこのような措置をとられることは、第二の近衛さんのような悲劇的な運命を私はとると思う。なぜこういうような原爆や水爆の時代に日本の地上軍を十八万も作るという、そして期限は切つていないが、実際は三十二万五千の軍隊を作るということに了解したとすら、アメリカの情報は伝えている。なぜそういう原爆や水爆の時代に、役にも立たない地上軍を作り、そしてそれらを償うことに値いしないような僅かな小麦や、借款等で、どうしてこういう措置をされるか。なぜそういう世界情勢の大きな転換にもかかわらず、再び講和、安保両条約のような大きな過ちをされようとするか。国際情勢見通し、そういうことについてお伺いしたいと思う。   更にそれに関連して……、
  437. 青木一男

    委員長青木一男君) 中田君、簡単に…。関連質問ですから。(笑声)
  438. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 池田総理は……。(笑声)(「いいぞ、頑張れ」と呼ぶ者あり)池田勇人氏はアメリカに行つた際、五つの資料を持つていたということが言われています。昭和二十八年度予算を中心とする日本経済の実情の解明、明年度予算編成方針を中核とする財政金融総合計画の提示、防衛計画案策定の基礎事情の究明、電源、道路、農耕等の外資導入に関する資料、ガリオア、イロアなどの債権債務の確認等の五つの、厖大な資料をアメリカに携行したということであります。外国人のアメリカに示すくらいなら、自民の代表である国会に……、今日は出せないかも知れませんが、明日は必ずこの五つの資料を国会に提示されたいと思うわけであります。  更にお伺いしたい点は、池田勇人氏がアメリカに参る際に、防衛隊の基本構想を改進党と事前に打合せをしてそれを持つていたということが話されて、いますが、それは真実であるかどうか。改進党が明日どういう態度をとるかということは、それによつてわかると思うわけである。若し改進党が明日徹底的にこの問題を、国会を無視したことを、糾弾しなかつたならば、或いは巷間伝えられているとことろの防衛隊の基本構想をひそかに提示して了解を求めているのではないかと思うわけですが、その点更に政府とされましては総理もこの問題に対して殆んど国会において口を緘して語らなんだわけですが、日本の運命にかかわる重大な問題ですから、或いは会期を延長するなり、又は早期に国会を開かれて、この事態を国会を通じて国民に発表されるような意思はないかどうか。更にもしう一つお尋ねしたいことは、池田氏はこの会談を終りまして三十日に共同声明を発表して、翌日アメリカにいます日本の大使館の諸氏の労を多とする慰労の晩餐会を開いた際に、吉田総理はこれをきつかけにして内閣総理大臣を辞職するということをはつきり言つていますが、そういうことが真実であるかどうか、その点もはつきりされたいと思うわけであります。いろいろまだ聞きたいことがありますが、先ずその点を聞いておきます。
  439. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 日本が池田・ロバートソン会談の結果何らか国際的に新らしい拘束を受けたようなお話でありましたけれども、そういうことは私の知つておる限り、又あのコミュニケを通して何ら感じられません。(「おかしいな」と呼ぶ者あり)日本は平和条約によつて一つの国際的の立場を与えられましたけれども、それ以上には何ら変つたものはないのでありまして、今回のこともコミユニケにありまする項目は少しも新らいことじやない。のみならず池田勇人氏が参りましたのは、アメリカの招請によつたのでもなければ、アメリカの示唆によつてつたのでもない。ただ日本とアメリカとの間に、まだ十分に説明のつかんものがありますので、説明資料を打つて参りました。その説明資料によつて日本の事情を説明し、アメリカ側からもアメリカの見るところを説明したのであろうと考えます。それが大体の了解に達したという意味のコミニユケが出されている。  それから出発前に池田君が改進党との間に防御力増強の計画の打合せをして、それを持つて行つた事実があるかないか、それははつきり申上げますが、ありません。政府としてはまだそういう計画は研究中でありまして、改進党との間にそんな話ができるわけもない。   それから(「吉田総理引退」と呼ぶ者あり)会期の延長云々とありますが、政府としては最も望ましくありません。(笑声)  それから(「吉田総理」と呼ぶ者あり)吉田総理辞職云々ということは、私は初耳であります。(笑声)
  440. 江田三郎

    ○江田三郎君 今緒方副総理の、いろいろ答弁はされましたが、あなたはそういう答弁が、この国会では数の力でどうなるかわかりませんが、少くとも世界の常識ある人々を、納得させるとお考えでありますか。外電はこの池田・ロバートソン会談は、殆んど一致して日米会談と伝えている。又この共同コミユニケが出たときに、各国の反響が出ている。今のような御答弁で、世界の各国の常識ある人々を納得させると、こうお考えでありますか、世界の信頼を失なつ日本の外交がどうなるかお考えでありますか。
  441. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) あのコミユニケに関する限り、私の説明に少しも不都合なことはないと思います。
  442. 江田三郎

    ○江田三郎君 この共同コミユニケに至るまでの日本側の草案というものの要旨が新聞に出たわけです。そこに書かれてあつた日本側の見解と、そうしてこの最終の共同コミユニケとは多くの点について内容が違つた点があるわけであります。例えば経済援助の問題につきましても、或いは海外買付の問題につきましても草案に書かれてあつた日本の池田特使の希望的な意見というものが殆んど最終の共同声明には書かれていないわけなんです。そういう一つ一つのことはいずれも日本の将来について大変な深い影響を及ぼすことなのでありまして、国民は誰しもこの内容というものをはつきりと知りたいわけなんです。あなたがたは、ただ何も変つたことはないのだ、東京で会談をすることをきめただけだというだけでお過ごしになろうというのか、もつとこういう内容について、明日のこの委員会におきまして吉田総理の口を通じてでも、もつと国民に知らすべきことは知らせようという御意思はございませんか。
  443. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたしますが、何かコミユニケに隠されたものがあるようにおつしやいますけれども、それは私はお疑いになることはないのじやないかと思います。新聞の報道もいろいろありますが、私も見ましたが、私も長い間新聞記者の経験を持つておりますが、なかなかああいう会議、特に二人の会談というものの内容はわからないのであります。又池田さんにしてもロバートソンにしても、それを新聞紙に発表するわけもありません。その点につきましては、コミユニケを今度のこの問題に対する批判の対象となさるだけでいいのじやないかと私は考えます。
  444. 江田三郎

    ○江田三郎君 今少くとも我々は政府のほうで何も説明をされん限りは、この会談に当つてのアメリカ側の主張というものは、新聞に報道されることを頼りにしなければならないわけなのです。それを読む限りにおいては我々としまして、日本の将来について非常に大きな不安を持たざるを得ないわけなのです。この気持は私一人じやないと思います。誰しもそうだと思います。それを放つて置いて、ただこれは東京で会談をするということをきめただけだというようなことは、国会を軽視するだけではなく、全く民主政治を冒涜するものだといつてもいいと思うのであります。そういう点今緒方副総理なり、岡崎外務大臣にお尋ねしましても、これ以上はつきりできないかもわかりません。本来こういうような重大な会談というものは、誰が考えても伺うがロバートソンのごとく国務次官補であつたならば、こちらも当然公式の代表が行くべきはずなんだ、それを公式な代表も行かない。総理大臣が故障があるならば、副総理と外務大臣がおられる、大蔵大臣もおられる、そういう人が行かないで、この池田特使というような、資格のあいまいな者が行かれるということは、岡崎外務大臣なり、緒方副総理が全くその交渉の任に非ざる人のような我々は印象を受けるわけです。そういう人々がありながら、なぜ特定のそういう人が行くのか、あなたがたの面目はどこにあるのか。そこであなたがたは返事ができない。  それならばそれで私は委員長にお願いいたします。明日の予算委員会で私はこの問題について改めて吉田総理にお伺いしたいと思いますから、総理にはつきりこの問題について、我々なり国民を納得せしめるに足るだけの答弁を用意されて出席されるように、委員長としても参議院の権威のために、国会の権威のためにそれだけをお取計らい願いたいと思います。
  445. 青木一男

    委員長青木一男君) 江田君のお話ですが、明日あなたのほうの会派において、この問題を取上げられることに関して委員長は少しも異議ございません。  本日はこれにて散会いたします。  明日は午前十時より開会いたします。    午後十時十一分散会