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1953-11-06 第17回国会 参議院 郵政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午後二時三分開会   —————————————  委員氏名    委員長    池田宇右衞門君    理事      柏木 庫治君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            深水 六郎君            村上 義一君            永岡 光治君            三木 治朗君            最上 英子君            宇垣 一成君   —————————————   委員の異動 十一月五日委員永岡光治辞任につ き、その補欠として矢嶋三義君を議長 において指名した。 本日委員矢嶋三義辞任につき、その 補欠として永岡光治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長    池田宇右衞門君    理事            柏木 庫治君    委員            瀧井治三郎君            中川 幸平君            村上 義一君            永岡 光治君            三木 治朗君   政府委員    郵政政務次官  飯塚 定輔君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政大臣官房人    事部長     八藤 東禧君    郵政省郵務局服    務課長     渡辺 秀一君    郵政省経理局長 中村 俊一君    労働省労働基    準局監督課長  和田 勝美君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(郵政事業)(内閣送付)   —————————————
  2. 柏木庫治

    理事柏木庫治君) 只今より郵政委員会を開会いたします。  本日は先ず請願の御審査を願いまして、そのあと公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件の提出理由政府より願いまして、そのあと断続勤務の問題に入りたいと思います。  先ず請願審査をいたします。ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時四分速記中止    ——————————    午後二時五十三分速記開始
  3. 柏木庫治

    理事柏木庫治君) 速記を始めて。  次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題に供します。  なお仲裁裁定について、仲裁裁定委員長出席を要求しておるのでありますが、今井委員長社会制度審議会出席して会議を行うことになつておりますので、本日は出席ができかねるとのことであります。  なお労働大臣並びに労政局長衆議院労働委員会裁定問題に出席途中ですので、本日は提出理由説明政府に聞くことぐらいにとどめたらと思うのですが如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 永岡光治

    永岡光治君 説明はいいのですが、説明だけじやなしに、やつぱり聞きたいこともありますので、いずれ休会中の継続審議になると思いますが、衆議院と違いまして、労働委員会所管でなくて、それぞれの常任委員会所管になつておりますので、聞きつ放しということになると困るので、郵政大臣だとか委員長は又別の機会に聞くことにして、政務次官もおいでになることだから、そういう点一、二御質問を許して頂きたいと思います。
  5. 柏木庫治

    理事柏木庫治君) 先ず提出理由説明政府に求めます。
  6. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) 只今大臣がやむなく委員会に出ておりますので、私から申上げることといたします。  去る十月二十七日に、公共企業体等仲裁委員会が、郵政職員賃金改訂に関する紛争について下しました裁定国会に上程いたし、御審議をお願いすることとなりました事由につきまして、簡単に御説明申上げます。  本年五月十二日に全逓信従業員組合は、郵政職員基準賃金改訂に関する要求を郵政省に対し提出し、両当事者間におきまして団体交渉を重ねましたが、郵政省はこれを拒否いたしましたので調停段階に入り、七月二十五日に公共企業体等中央調停委員会調停案を提示いたしました。これに対しまして組合は、八月十二日に受諾しがたい旨を回答いたしましたために、同委員会調停が成立しなかつたので、公共企業体等仲裁委員会仲裁手続に移行し、同委員会は十月三十七日に仲裁裁定第十七号を行なつたのであります。  この裁定によりますと、その第一項及び第二項の実施並びにこれらに関連する追加経費といたしまして、昭和二十八年度予算に対しまして、更に約四十億円を必要とするのであります。これらの経費は、昭和二十八年度特別会計予算歳入歳出予算に含まれておりませんので、給与総額につきましては、予算総則第八条の金額を超過いたしますことは明らかでありますから、これを支出することは予算上不可能であります。  以上の事由によりまして、本裁定公共企業体等労働関係法第十六条に該当するものと認められますので、所定の手続を以ちまして、裁定国会に上程いたした次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、国会の御意志を表明頂きますよう、お願い申上げます。
  7. 永岡光治

    永岡光治君 実はこれで問題になりますのは、この国会に提案になつております理由の第三項です。同じくこの今説明されました十六行目のところにありますが、これらの経費は、昭和二十八年度特別会計予算歳入歳出予算に含まれておりませんので、給与総額につきましては、予算総則第八条の金額を超過いたしますことは明らかである、こういう理由だから予算上不可能だと、こういうこと、これを裁定が実施できないという理由に挙げております。然らば私はお尋ねいたしたいのでありまするが、予算はその年度当初きまるわけであります。余裕あるようなものは組んでいないと考えるものでありますが、だとするならば、一年間予算がきまりましたならば、その間にどのような裁定が出ても、このことを理由にするなら、一切裁定は実施できないと見ざるを得ないと思うのでありますが、その点はどのように解釈されておりますか。
  8. 八藤東禧

    説明員(八藤東禧君) この国会に御審議を願います議案につきましては、事実ありのままそこにおける状態においての次第でございます。お話のように如何なる場合においてもそうではないかというふうなことになりますというと、事少し政策の問題になつて来るのじやないかと思いますので、私から申上げるのは不適当と思います。
  9. 永岡光治

    永岡光治君 政務次官如何ですか。
  10. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) この予算に組む、組まないということによつてあとはそれが釘付けにされておるのかどうかという御質問でありますけれども只今裁定の問題につきましては、それが一つ理由であるということについては変りはありません。ただ予算上の措置等につきましては、大臣とも相談の上でなければ申上げられないことと存じますので、その点を御了承願いたいと思います。
  11. 永岡光治

    永岡光治君 私の質問を大分誤解されておるのじやないかと思うのですが、予算歳入歳出の中に含まれていないから実施できない、こういうことなんですね。二十八年度の予算に含まれていないから、だとすればですね、或るときには予算にはその給与予算には巾があるものを組むような考えを持つておるのかどうかということです。毎年々々私は余裕のある給与予算は組まないだろうと思うのです。だからそうするならば、毎年予算が通過した限りにおいては、いつ裁定が出てもこの理由と同じようなことで、裁定はいつも実施できないというようなことになりはしないか。この点はどうお考えになりますか、ということを申上げておるのです。
  12. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) これは、只今説明の際に申上げたのは、永岡委員のおつしやることも考えられますけれども、この四十億円を必要とするという点から考えて、今年度の予算上の措置が非常に困難になつて来ることと考えて、こういう結論に達したと私は考えております。
  13. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、今言われているこの理由、或いはこの提案されておる理由で第三項の理由というのは大した理由じやないけれども現実予算が出せないから、組めないから困難だと、こういう趣旨に解してよろしうございますか。だとすれば第三項はこれは本質的な異議はない。ただつけ足りの、言つて見ればこういうことも考えられんでもない、非常に軽い意味だと、こういうふうに解釈してよろしうございますか。  これは実はなぜ私がこのことを固執するかと言いますと、若しこのことが是認される限りにおいて、私は仲裁裁定というものの権威が、今後意味がないということになると思うのですが、予算がきまつておるのだからその予算を超えたものは一切だめだということになれば、いつの勧告においても予算はもうすでにきまつているのですから、余分の予算を組まない限り、又組まないだろうと思うのでありますが、そうすれば仲裁はだめだということになるわけであります。そういう考えを持つて政府は臨んでおるかどうかということが、やはり私仲裁裁定に対する政府の態度の本質として聞いておかなければならんと考えるので尋ねるわけです。
  14. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) この問題に関して決してこれは責任を回避する意味で申上げるのではありませんけれども、先ほども大臣出席等についてのお話も出ましたので、この説明する本旨は大臣のお考えに待たねばならないと私は考えます。併し私の只今予算歳入歳出の点から考えて困難であるのではないかという私の考えを申上げたのは、今年の夏の電々とのアンバランスの是正に関して我々が味いましたあの苦い体験から申上げた点でありますから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
  15. 永岡光治

    永岡光治君 それからこの仲裁裁定が出ましたその経過の説明をここに謳つてあるわけでありますが、それにはその郵政関係予算の問題において、実は郵便貯金保険、その他委託業務等いろいろ事業が多岐に亘つておるけれども郵便を除いては大体他会計からの繰入れになつておるのだ。併しそ郵政そのものが面倒を見るべき性質のものでないから、特に委託業務においては電々公社からのものもあることだから、そう問題にすべき経費ではない。問題は郵政省自体で面倒を見る経費としては郵便事業経費がある。併しこれも災害等の出資や為替の減収を見ても、なお且つ二十億を超える自然増収が大体考えられるという趣旨説明がありましたが、この裁定を出すに当つて私は相当郵政当局のほうの意向も仲裁委員会において聴取されたであろうと想像するのでありますが、その聴取した上でこの数字が出たということになれば、一応この郵便関係については財源的には実施できるという見方をしてよろしいのでありますか。それともこの言われておる説明は誤つておるのであるか。その点を一つお尋ねします。
  16. 八藤東禧

    説明員(八藤東禧君) 財源的に関しましては、のちほど経理局長から御説明申上げたいと思います。  最初に一言申上げておきたいのは、そこにお読みになりましたのは仲裁委員会の御判断でありまして、仲裁委員会審議過程において私どもにいろいろお尋ねなつたことは事実であります。又私のほうからもいろいろと資料を提出したことも事実でございます。併しその御解釈が必ずしも私たち考えをそう考えておるということを出しておるのではなくて、仲裁委員会でそう考えるということを申上げておるのであります。私たち考えを出しておるわけではないのであります。
  17. 中村俊一

    説明員中村俊一君) お答えいたします。仲裁委員会結論というものは、私どもが討議をいたしましたものの極めて一部分であるということ、更に私どもが主張いたしましたことで、その中に出ておらないことも多々あるのでございます。そこでそういうことは別といたしまして、郵政省の現在の財政状況につきまして申上げますならば、今永岡委員からお話がございましたように、郵政省財政負担関係は非常に他の裁定の今回出たものとは違いまして、郵便並びに為替振替この三つのものにつきましては、これは郵政省自体自分料金収入を以て負担をしなければならない、これが約十六億余でありまして、これはもうどこにも尻を持つて行くことのできない自己財源で以て賄わなければならない問題であります。この問題につきまして今お話によりますというと、相当増収もあるので大丈夫であるのではないか、こういうお話がございましたが、実はこれにつきましても非常に問題があるのでございまして、申上げるまでもなく、この仲裁裁定を仮に実施いたしましても、現在の増収状況というのは三十八年度の増収でございまして、三十九年度に至つて果してこの仲裁裁定を実施いたした場合に財源として郵便為替振替が持てるかどうかと、こういう先のことを少くとも考慮に入れなければ結論が出ないわけであります。その点で実は仲裁裁定だけをとらまえまして、そのほかのこと一切やらないということでありますならば、これ又大分考え方が変りますけれども、二十九年度予算におきましても相当事業増に伴う施設の増もいたさなければなりませんし、二十八年度におきましても、災害関係或いは事業増に伴う経費であるとかいつたようなもの、更にもう一つ大きな要素といたしましては、二万一千余人に上りますところの公労法非適用者に対する人事院勧告の問題がございまして、この方面にやはり相当財源を必要とする。更に又期末手当をどの程度予算上見なければならないか。こういうようななことも財源としては非常に大きな問題でありますので、これらの諸般の状況か勘案した上で、果してこの仲裁裁定が実施できるかどうかということを検討いたしまして、相当困難性がありますよ、ということを仲裁裁定委員会におきましては私ども申上げたわけであります。その結果でありましようか、郵政財源につきましては、料金等にも相当考慮を払わなければならんのではないかといつたような趣旨のことがこの仲裁裁定の中にも調われている。そういつたこともお取上げ願いたいと思うのであります。更に他の会計に依存するもののうち、先般の給与体系是正のときにも問題になりましたように、郵便貯金関係必要経費として一般会計から郵政会計へ頂かなければならないものが、今回の裁定を実施いたしますといたしましても、約八億に近いものが出て参るのであります。一般会計状況は今回の補正予算審議過程を私ども拝見いたしておりましても、なかなか生やさしいものではないようにも存ぜられまして、かたがたそのほか電電公社、或いは簡易生命保険会計、その他雑多の特別会計等から繰入を受けます財源につきましても、私どものほうだけでこれができるできないかという判断はできないのでありまして、それぞれの会計の御都合もよく伺つた上で、調整のとれた上でなければ結論も出ないのでありまして、そういう意味におきまして、財政上、予算上この裁定案にはにわかに同調することができない。そういう結論に達しましたので、そこにおいて今回の国会に御審議を煩した次第であります。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 これは政務次官お尋ねするのでありますが、大体政府は現在裁定案に対しては慎重に取扱を研究している、十二月の早々には国会を開いてこの点を審議して頂きたいと思うのでございます、こういう答弁に終始している。この裁定を尊重するということも言つたのであります。これは直接大臣のほうがいいかとも思うのでありますが、若し政務次官で答えられるならば、明日で国会は切れますから、尊重するということは何か具体的に或ることを考えているのかどうか。そうして又更に十二月早々国会審議をしてくれということに、而もそのときのそれまでの間の措置として慎重に取扱いを考えておるであろうかということですが、その裏は具体的にどういうことを考えておられるのか、実施しようという考えでやつておられるのか、どうですか。
  19. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) 只今お尋ねの尊重するという趣旨は、あなたのおつしやる通りに尊重するという意思は、できるだけ私の考えではその趣旨を尊重するということで、軽視するということは私はないことを考えております。特に民主政治でありまして、そういう信頼のできないようなことを政府としても尊重するという言葉で逆のことをやるというようなことは私は考えておりませんが、政府の方針としてはこれは閣議の決定により、或いは当該大臣等の折衝によつて、その趣旨を尊重して考えるということであると私は信じております。従いまして、私としてはその尊重という趣旨は決して私の考えでこれは申上げる意味のものではないと信じております。
  20. 永岡光治

    永岡光治君 この問題はそういうことになりますと、やはり先ず当面の最高責任者にやはり承わらなければ、問題の回答にはならないと思いますので、一応私は質問は次の郵政大臣出席機会に留保いたしたいと思つております。
  21. 柏木庫治

    理事柏木庫治君) 別に御質疑ございませんか……それでは労働省から和田労働基準局監督課長が見えております。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 労働省一つお伺いいたしますが、今特定局電信電話業務に従事する職員勤務時間について、これを断続勤務とみなすかどうかという問題について、すでに国会の中に取り上げられております。ということは衆議院郵政委員会において取り上げられ、小委員会において今その研究が進められておるのでありますが、先ず冒頭お尋ねいたしたいのでありますが、早急に断続勤務を、このことを何か規定付けなければ非常に支障があるのかないのか、その支障があるとすればどういうことで支障があるのか、そういう点をお伺いいたしたい。
  23. 和田勝美

    説明員和田勝美君) お答えいたします。労働省といたしましては、今年の初めから郵政事業労働基準法適用を受けるようになりまして、そのためにまだ郵政事業全体として労働基準法適用を受けるいろいろの措置について準備ができておらないわけであります。その中の一つ労働時間に関連をする断続労働の問題があるわけでございます。そういう意味で私どものほうで郵政事業の中にあるいろいろの問題について検討を続けておりまして、その結論が出ますと、今度は労働基準法に定められました通りに私ども監督を実施いたして参りたい。そういう意味からできるだけ早く郵政事業労働基準法を遵守をして行く態勢を整えて行く、そういう意味で今御指摘のありました断続労働について労働省としてはできるだけ早くその態勢を整えたいということで、研究をいたしておるわけでございます。
  24. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、郵政当局からの申請があつたので、その申請に対する措置を行わなければならんということで急いでおるということに解釈してよろしうございますか。
  25. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 御趣旨通りであります。
  26. 永岡光治

    永岡光治君 それでは郵政当局から、若しそのような問題について郵政当局自身の問題として解決をするということであれば、あえて労働省としてはその点については特段にどうこうという考えは今直ちには持つていないと解釈されるのでありますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  27. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 実は四十一条は申請がありまして、それに基いて許可をするということになつております。従いまして申請のほうがなくなりますれば、私どものほうで積極的に許可をするということはできない法律建前になつております。郵政当局のほうで現在一応基準についてどうこうという問合せがございますが、そういうものが全然なくなりますれば、労働省ではこれをどう考慮するということもないと思います。
  28. 永岡光治

    永岡光治君 そうしますと、基準をきめる際には、基準と言いますと、いよいよ現実断続勤務をそれぞれの職場に乱す場合には、個々の職場についてその地方を所管するところの監督署署長許可するという建前であろうと思うのでありますが、その建前はやつぱりとるわけでありますか。それとも何か抽象的に一つ基準を定めてこれでやるということになるのですか、実情に副うようにということだろうと私は思いますが、いずれの方法によろうとしておるのか、伺います。
  29. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私どものほうといたしましては、許可をする主体は労働基準監督署長がいたします。従いまして、どこまでも各郵便局ごと一定実情に合つたものをば許可するわけでございます。ただ郵政事業は全国的な事業でございますし、一応国がこの事業をやつております関係上画一的なものが必要である。そういう意味監督署長がおのおの勝手にやりまして、ばらばらに許可をするということがあつては、法律の公正な適用という意味からいつて妥当を欠くと思う。従いまして、労働省としましては全国的に一応の基準を抽象的に作りまして、その基準に該当するか否かの判断を各監督署長にさせまして、各監督署長許可をする、こういう態勢を整えたいと思つております。
  30. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、私は労働省認定は非常に重要になつて来ると思います。一つ基準をきめられて、それに該当するかどうか、認定のみを任されるということになると、その基準が無理だと思つてつてもそれに従わざるを得ないという実情に副わない結果が出て参ると思います。非常に重要なことになると思いますので、続けてお尋ねしたいと思いますが、この断続勤務というものを作られた趣旨は、もともとどういうところにあるのか、その点を先ず念のために聞いておきたいと思います。
  31. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 御承知のように、基準は一日八時間、一週四十八時間制を原則といたしております。これは国際労働条約に定めております基準と合致をしております。ただこれが実際労働時間でございまして、拘束時間を意味しておるわけではございません。そうしますと、拘束時間は非常に長くてもそんなに働いておる時間がないというようなものに対して八時間というような制限をかけるのは、却つて拘束時間を非常に長くする、そういう虞れもあるわけでございます。又その拘束時間は成る一定の限度に止めると、実労働がないというときに八時間という問題を持込みますことは、労働の密度という問題、労働者の疲労という問題が労働時間の何と言いましても根幹をなしております。そういう例外に該当するような労働実態があるときには、その労働時間の制約、或いは一週一日の休日の制約、それから休憇時間制約というものを外すのが当を得ておるという趣旨から、労働基準法の四十一条におきまして一定の業種につきましては、或いは事務に従事する者につきましては、労働時間の枠を外すという措置がとられておるものと考えております。
  32. 永岡光治

    永岡光治君 そこでそういう意味でのことであれば、手明き時間というものに対する考え方ですね。労働省としては手明き時間についてはそれは本人の自由になる時間であるのかどうか、ということも観念的に聞いてもまあはつきりしないかもわかりませんが、例えば特定局における電話交換、或いは電報の発信受信に携わる従業員手明き時間と認められるその時間には、その席におらなくてもいいと私は解釈せざるを得ないのでありますが、そういうふうに解釈してもよろしゆうございますか。
  33. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私どものほうで手待ち時間、今永岡委員の御指摘手明き時間という考え方は、労働が全くないということだけではございません。労働が全くなくて自分が自由に行動できるのはこれはまあ休憩という概念の中に入れておりまして、或る程度拘束的なものはありますが、併しまあ見ておりますと、例えば或る所へ坐つてはいますが、現実に何もやつているわけではない、まあ極端なことを言いますれば、その間に勝手にまあ小説も読める、或いは人と雑談もしておれるというようなそういう労働実態があるようなのを、これはまあ手待ち時間というような言葉で私どもでは表現をいたしております。    〔理事柏木庫治君退席、委員長着席
  34. 永岡光治

    永岡光治君 そうしますと、この手明き時間の場合には一応今説明員の言われておるような、まあ雑誌を読んだり何か雑談をしておるというこのことは勤務の態様としては認められると、こういうことになるわけですね。念を押しておきます、この点は。
  35. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私どものほうでは勤務がそうなつておるかどうかと言いますよりも、労働実態がそういう態様になつておるかどうかということでありまして、規則上どうこうというのは実は私どものほうではそれほど重点を置いておるわけではありません。規則上もそれがいいということになりますれば、なお更のことでございますが、規則上にある一つ制約がございましても、実際の労働がそういうことではない、それがもう事実慣習的にすでに認められておるというような場合には、その実態をつかまえまして、物事を判断して参るというのが私ども考え方でございます。
  36. 永岡光治

    永岡光治君 実は非常に何かわかつたようでわからないようでありますが、その手明き時間と認定されるものはそういう態様であるものを認めるというのであれば、そういうことをしてもいいということを是認しなければその態様を是認するというわけに行かんだろうと思う。そういうことをしてはいけないという勤務であれば、それはそのような勤務でないのだから手明き時間として計算してはいけないことになる。ですから、いやしくも手明き時間として計算する限りにおいてはその態様は許されるという認定に立たなければだめじやないか、こう思うのですがね。その点はどうですか。
  37. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 先ほど私が例として引きましたのが妥当を欠いたかと存じますが、まあ一例を挙げれば、先ほどもお答えしましたように極言すればという言葉を使つたのでありますが、一例を挙げますればそういうことを放任されておるような態様、だから雑誌を読んでいけないということがありましても、併し実態を見ますると、まあ雑誌も読めそうな段階、そういうような労働というような場合も入るだろうと思います。併し私どもはそういう規則をそれほど何いたしませんで、現実に使用従属関係でどういう労働をやつておるかというのが私どもの重点でございます。
  38. 永岡光治

    永岡光治君 そうしますと、いやしくも座席にかけて、いつ通信があるかも知れないということで注意をしておる、これは手明き時間と認めないものと解釈すべきだと思うのですが、今説明された考え方からすれば、そういうように解釈するのですが、そういうように解釈してよろしゆうございますか。
  39. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私どものほうでは一応特定局のほうへ参りまして、労働実態の調査をいたしまして、この労働実態の調査は当局側と一緒に参りましていたしました調査と、それから全逓の組合のほうの要請に従いまして全逓の組合の方と一緒に参りました調査と、両方をやりまして、まあ確かに一応どうも坐つておられるのが規則的のようであります、併し必ずしも坐つておるばかりでもないようでございます。そういう労働のある、私ども考えております手待ち時間考えられるような労働態様が実際に調査の中にあつたわけであります。そういうことのないような局も勿論ございます。私どもとして見ますると、そういうように私ども考えておる手待ち時間というような労働実態特定局の中にはある。然らばそういうようなのがどういうようなところで線を引けるのかというのが現在の私ども研究課題でございます。併しあつたことだけは調査に参りましたとき、私自身は参りませんでしたが、私の課の者が参りましたときにはあつたようであります。
  40. 永岡光治

    永岡光治君 私はそれをあつたないということを問題にするのじやなくて、労働省手明き時間と認定されるその手明き時間の態様です態様はですね、それはその席におろうとおるまいと、とにかく一応注意の神経をそこに注がなくてもよろしいという時間じやないかと思うのですがね。そういうように解していいのかどうか。つまり従つて通信があるかも知らんということでそれに注意を注ぐ態勢で休んでおつてもそれは手明き時間と認められないではないか。この問題についてのみ一つお答え頂きたいと思う。
  41. 和田勝美

    説明員和田勝美君) その点につきましては、これは実はどうお答えをしたらいいか知りませんが、私どものほうでは従来は断続労働については五〇%・五〇%、五〇%が働いておつて五〇%が働いていない、その場合におきます手待ち時間は、今永岡委員が御指摘になりましたように、全く労働というものがない、職場を自由に離れ得るというようなのが一応の前提になつておる。併し電信電話業務についてそういうようにはつきり五〇・五〇というような線で言い得るかどうかについては多少観点を異にして考えなければならんではないか。併し全体を通じて見ておりますと、拘束時間の中で実労働時間が非常に極端に短かい所があるようでございます。現実電話交換をおやりになつておるかたと一日一緒におりますと、どうも如何にもひまだというかたもありまして、それともう一つは一応の熟練度を持つておられますと、通常人では若干拘束的に考えられることも一応熟練度をお持ちになつておれば、通常人が全く労働していないと同じような感覚がどうもあるようにも見られるのでございます。そこらあたりなかなか微妙なところがございますので、私どものほうでも現在折角研究を続けておる次第であります。
  42. 永岡光治

    永岡光治君 どうもちよつと観点を変えて何か答弁されておるようですが、注意を喚起しなければならなくてその座席におるその職務は仕事をしていなくてもそれは手明き時間と見るのか、見ないのかイエスかノーか、これだけでよろしうございます。
  43. 和田勝美

    説明員和田勝美君) その点は先ほどお答えしました最後のところで申上げましたように、労働一定の熟練度というものとの相関関係相当にあると思うのでありまして、直ちにここでどうということをお答えできないのであります。
  44. 永岡光治

    永岡光治君 その熟練度というのはどういうのですか、よくわからないのですがね。その熟練をした者はそれは手明き時間にもなろうし、熟練しなければ勤務時間にもなると、こういう解釈ですか。個々の職場に働いておられる人の職場でやるのでなくて個人についての認定断続勤務であるかどうかということをきめるというのですか。
  45. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私どものほうでは、電話の交換業務に従事をしておるという職種で一応やりたいと思つております。その職種の中で、通常例えば特定局郵政当局、或いは組合のほうでお考えになつておる一応の技倆熟練度というものがあろうと思います。それは非常に高い熟練度ではなくて、平均化されたもの、或いは平均化されたものよりも低いかもわかりませんが、そういうものを持つておれば、殆んど何と申しますか労働していないと同じことだというようなものが考えられやしないだろうか、というのでありまして、まだ結論を出しておりませんので、どうもにわかにここでどうこうということは申上げられません。
  46. 永岡光治

    永岡光治君 それではまだこれは結論は出ていないということですが、併し基本の考えとして、通信がいつかかつて来るかも知れないということで、座席に着いてそれを待機しておる時間とみなされるものは私は空白の時間ではないと、手明きの時間ではないと、こういうふうに思う。このことは否定できないと思うのですが、どうですか。できるかできないかを聞いておるので、わかつたようなわからないようなことばかり答弁されるので……。
  47. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私ども非常に失礼ですが、永岡委員質問に先ほどからお答えしておる以外にちよつと附加えることはございませんのですが、それを全部除いてしまつてイエスかノーかと言われると、ちよつとつらいのです。
  48. 永岡光治

    永岡光治君 それではこの問題は、どうやら一応理窟では手明き時間とはやはり認められんけれども、何か多少でも手明き時間とみなされるようなものも加味しなければならんではないかという考えで検討しておるやに受取れるのでありますが、実はこの電信電話という事業は、これはもういつかかつて来るかわかりませんし、特に郵政当局から労働省に対して申請をされておると言われておるその内容について見ますと、この前の委員会において郵政当局から答弁がありました、電話においては加入者が二百五十以下、これは相当大きな局だと思うのですが、交換座席が五つ以下、又一日の電話効率が八百九十回以下、それから一カ月の取扱数が電報においては三千通以下、このようなものは一応断続勤務の指定になる対象となる局であるということで申請されておるようでありますが、若しこのようなことになりますと、只今労働省政府委員から言われておる答弁を以てすれば、そのような恐らく待機時間はないと断定するものでありますが、これは私の職場の経験に基いてそう申上げるのであります。なぜならば、これは局を見ましても、この取扱局全国七千二百八十局ありますが、そのうちこれに該当するものは七千八十局、つまり九六%になつております。或いは又座席五以下の局を見ますと、これも取扱局は七千十一局のうち六千七百六十七局、これも九六%に達しております。殆んど特定局というものは大体全部が対象になるということになつて参るのでありますが、果して若しこの考えが許されるとすれば、一応電報或いは電話という仕事は断続勤務なりという原則として九六%該当するということになるわけですが、これはもう非常な無謀な私は考えではないかと思うのでありますが、労働省はこれについてどのような考えを持つておりますか。現在研究中とは言つておりますが、現在までの段階においてこのようなことについてどのような見解を持つておるか、その点を伺いたい。現在の段階でよろしゆうございます。
  49. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 私どものほうでは、郵政当局からは、今御指摘のように詳しい文面は私覚えておりませんが、申請がありました。併し私どもといたしましては、断続労働で根幹をなしますのは、労働の密度が根幹でございますので、その労働の密度が、今御指摘のように二百五十加入、五座席ということで押えられるかどうかということについては疑問を持つております。従いまして、全く別の角度から、その申請書にこだわらず私どもが実態調査をいたしました経験によりまして、それを基礎といたしまして、一応別の角度から只今検討いたしておりますので、必ずしも申請書に拘束されるというようには考えておりません。
  50. 永岡光治

    永岡光治君 それでは郵政当局お尋ねいたしますが、只今労働省説明によりますと、一応この郵政省から申請があつたからやるのであつて申請がなければあえて取扱う考えはないということになりますと、何か郵政当局のほうで特にこの申請されたということが、増員でもしてやろうという考えでもおありでその申請をされておるのがどうなのか、その点を先ず聞きたい。
  51. 八藤東禧

    説明員(八藤東禧君) 私のほうは増員しよう、減員しよう、さような角度から申請は毛頭いたしておりません。ただ労働基準法によつて規定せられておるところの断続服務なるものが、郵政省所管電信電話業務であると一応考えられましたので、私どもとして考えました基準でその許可申請をしたのでありまして、増員したいために申請したのでもなければ、減員したいために申請したのでもございません。
  52. 永岡光治

    永岡光治君 先ず一応の答弁としてはそういうことになるかと思うのでありますが、更に断続勤務の問題について触れたいと思うのでありますが、この普通の局におけるところの勤務の態様は、先ほどちよつと問題になりました、普通局と特定局とでは総合服務と断続服務と違つておりますし、特定局の場合は管理者が少いために、電信電話に対する責任というものが普通局の場合における電話交換手乃至は電報の取扱者とは違つた責任を持たされておることは、郵政当局も認められると思うのであります。そうしますと、同じ一通話でも、普通局の交換手が取扱う責任の度合と、特定局の場合に自分より責任を持たされている者がいないという一応の建前から、つまり責任の度合の強い特定局勤務とでは、おのずから私は違うだろうと思うのであります。従つて、この通信そのものの基準の見方についても普通局の場合と違つた、従つて特定局には甘いと言われておるそのことが、実は質の内容から見て量を補うものがあると考えているのであります。大体特定局の仕事というものはそういうものではないかと思うのでありますが、この点は郵政省当局のほうとしてはどのように考えられておるのでございましようか。
  53. 八藤東禧

    説明員(八藤東禧君) 特定局の服務状態及び普通局の服務状態、その両者につきまして専ら専門的にその衝に当つております渡辺服務課長からその実情に即して郵政省の特扱いを説明いたします。
  54. 渡辺秀一

    説明員(渡辺秀一君) 今永岡委員から御質問がありましたが、確かに普通局と特定局と現段階におきましては監督者の配置が変つております。ただ一般的に申しまして、普通局は事務量が多いと、特定局は比較的少いというような関係で、結局監督者は違いますが、非常に事務量が少いので、そう特別に監督者を置くほどの必要がないというふうに我々は考えております。ただお話になりましたように、総合服務の建前をとつております関係上、共通的な監督者といたしまして、大部分の特定局におきましては、主事というものがおりまして、これがそれぞれの担当を持ちましていわゆる監督の任に当つておるわけであります。従つて普通局と特定局といわゆる作業に対する何と言いますか、いわゆる事務量に対する基準というものは、監督者が少いから余分にかかるのじやないかというようなお尋ねのようですが、そういうふうに我々は従来の経験から見ておらないのであります。
  55. 永岡光治

    永岡光治君 その点は実に私たちの見解とは違うわけであります。責任の度合の強い内容が特定局だと私たち考えておりますが、これは郵政当局は別に考えておらない。これは見解の相違ということになろうと思いますが、いずれこれは別の機会で問題になろうかと思うのでありますが、ただ勤務間間について、特定局の管理者、又特定局長ですか、局長は断続勤務とみなされる局についてもたしか私は四十二時間か四十四時間かで、四十八時間勤務じやないと思つておりますが、全部忙しい特定局であろうと断続勤務まで認定しなければならん、つまり七十二時間と換算されるような局についても四十四時間しか勤務していないと思うのですが、何か特定局長はこの責任の衝に当る意味勤務時間を長くされておることがありましようか。
  56. 渡辺秀一

    説明員(渡辺秀一君) 特定局長が勤務時間を長くするようなことがあるかというお尋ね、ちよつと私理解しかねるのですが、恐縮ですがもう一度……。
  57. 永岡光治

    永岡光治君 特定局長の勤務時間は現在何時間になつておるのですか。
  58. 渡辺秀一

    説明員(渡辺秀一君) 特定局長の勤務時間は普通の四十八時間なら四十八時間ということになつておりまして、実は局長の勤務時間については……。
  59. 永岡光治

    永岡光治君 これはこういうことなんです。勤務時間は短いです、特定局長は。従つてこういう実は矛盾があるので、これは継続勤務とも関連するわけですが、例えば土曜日でお昼で退けるわけですが、二時まで残れば超過勤務かつき、こういう断続勤務にある職員は二時まで残ろうと四時まで残ろうとつかない。監督者の地位にある人は超過勤務がつくが、こういう現場に働いている人には超過勤務がつかない。そういうところになお、断続勤務をやろうという気持が私には、わからないのです。
  60. 渡辺秀一

    説明員(渡辺秀一君) 勤務時間につきましては、今の特定局長が一週四十四時間、そのほかの従業員につきましてはこれは一様でないのでありまして、御承知かと思いますが、二十四年十二月に人事院のほうから勤務時間についての勧告が出まして、これは実は全逓が提訴したのでありますが、勧告が出まして、その勧告に基いて組合と官側と協議いたしまして、現在の勤務時間を実施いたしております。その概略を申上げますと、三十人以上の局は全くほかの普通の局と同じように、特定局であつても同じような勤務態様をとつております。三十人未満の局につきましては、つまり宿直、宿あけの勤務、或いは交代制勤務の中で宿直、宿あけを含む勤務については、宿直、宿あけは二十四時間、そのほかの勤務については内勤定員が十一人——二十九人は四十四時間で、十人未満の局は四十八時間、そういうふうな勤務態様になつております。
  61. 永岡光治

    永岡光治君 ですから私の言うのは、今の答弁を以てもそれは違うわけです。大分違うからそういうところに断続的勤務しなければならんということは非常に無理だということを申上げているのでありますが、これは只今労働省の答弁でありましても、目下研究中であるし、それから郵政省としては一応手を離れたという形になつておりますので、これはまあ労働省のほうの認定に待たなければならない段階であると思うのですが、この前の委員会で衆参両院で合同の打合会でもやろうということも決定いたしておりますし、大体今日としては要望はこの程度に差控えまして、質問としては一応断続勤務についてはこれで終りたいと思つております。
  62. 池田宇右衞門

    委員長池田宇右衞門君) 他に御発言もなければ、本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後三時五十六会散会