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1953-11-07 第17回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)    午前十一時五十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六号   昭和二十八年十一月七日    午前十時開議  第一 社会保険審査委員長及び同審査会委員任命に関する件  第二 日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 市町村農業委員会委員及び都道府県農業委員会委員任期延長に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 奄美群島の復帰に伴う法令の適用暫定措置等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 愛知県大治村の地域給に関する請願委員長報告)  第八 宮城県塩釜市の地域給に関する請願委員長報告)  第九 長崎県小浜町の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇 岡山県倉敷市の地域給に関する請願委員長報告)  第一一 岡山県三石町の地域給に関する請願委員長報告)  第一二 岡山県勝山町の地域給に関する請願委員長報告)  第一三 岡山県美作町の地域給に関する請願委員長報告)  第一四 岡山県備前町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五 岡山県高梁町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六 岡山県美川、木山両村の地域給に関する請願委員長報告)  第一七 岡山県大崎村の地域給に関する請願委員長報告)  第一八 岡山伊里町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九 岡山県玉島市の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇 岡山県宇戸村の地域給に関する請願委員長報告)  第二一 岡山手荘町の地域給に関する請願委員長報告)  第二二 岡山県邑久町の地域給に関する請願委員長報告)  第二三 岡山県笠岡市の地域給に関する請願委員長報告)  第二四 栃木県宇都宮市の地域給に関する請願委員長報告)  第二五 静岡富士宮市外二箇市町の地域給に関する請願委員長報告)  第二六 岡山県吉永町の地域給に関する請願委員長報告)  第二七 岡山県山陽町の地域給に関する請願委員長報告)  第二八 岡山雄神村地域給に関する請願委員長報告)  第二九 埼玉県原市場村の地域給に関する請願委員長報告)  第三〇 岡山県西大寺市の地域給に関する請願委員長報告)  第三一 愛知県西枇杷島町の地域給に関する請願委員長報告)  第三二 岡山県高倉村の地域給に関する請願委員長報告)  第三三 愛媛県豊岡村の地域給に関する請願委員長報告)  第三四 熊本市の地域給に関する請願委員長報告)  第三五 熊本県五名町の地域給に関する請願委員長報告)  第三六 熊本県大津町の地域給に関する請願委員長報告)  第三七 熊本県宇土町の地域給に関する請願委員長報告)  第三八 熊本県山鹿町周辺地域地域給に関する請願委員長報告)  第三九 熊本県六嘉村の地域給に関する請願委員長報告)  第四〇 大分県八坂村の地域給に関する請願委員長報告)  第四一 静岡県曾我村の地域給に関する請願委員長報告)  第四二 秋田県船川港町の地域給に関する請願委員長報告)  第四三 岡山県湯原町の地域給に関する請願委員長報告)  第四四 岡山県郷内村の地域給に関する請願委員長報告)  第四五 栃木県阿久津町の地域給に関する請願委員長報告)  第四六 福島県の地域給に関する請願委員長報告)  第四七 国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律中一部改正の請願(二件)(委員長報告)  第四八 寒冷地手当等に関する請願委員長報告)  第四九 茨城県水戸市の地域給に関する請願委員長報告)  第五〇 千葉県豊海町の地域給に関する請願委員長報告)  第五一 愛知県御油町の地域給に関する請願委員長報告)  第五二 愛知県御津町の地域給に関する請願委員長報告)  第五三 愛知県新城町の地域給に関する請願委員長報告)  第五四 愛知県稲武町の地域給に関する請願委員長報告)  第五五 愛知神戸村の地域給に関する請願委員長報告)  第五六 愛知高豊村の地域給に関する請願委員長報告)  第五七 愛知県大塚村の地域給に関する請願委員長報告)  第五八 愛知県伊良湖岬村の地域給に関する請願委員長報告)  第五九 愛知県泉村の地域給に関する請願委員長報告)  第六〇 静岡県伊豆長岡町外二箇町の地域給に関する請願委員長報告)  第六一 埼玉豊岡町の地域給に関する請願委員長報告)  第六二 埼玉県片柳村の地域給に関する請願委員長報告)  第六三 長崎県北高来郡の地域給に関する請願委員長報告)  第六四 茨城県鉾田町の地域給に関する請願委員長報告)  第六五 茨城県牛久村の地域給に関する請願委員長報告)  第六六 千葉県金田村の地域給に関する請願委員長報告)  第六七 岐阜県高山市の地域給に関する請願委員長報告)  第六八 三重県木曾岬村の地域給に関する請願委員長報告)  第六九 福岡県泉村の地域給に関する請願委員長報告)  第七〇 長崎市の地域給に関する請願委員長報告)  第七一 鹿児島市の地域給に関する請願委員長報告)  第七二 大分県竹田町の地域給に関する請願委員長報告)  第七三 岐阜神戸町の地域給に関する請願委員長報告)  第七四 岐阜県陶町の地域給に関する請願委員長報告)  第七五 茨城県潮来町の地域給に関する請願委員長報告)  第七六 秋田県の薪炭手当に関する請願委員長報告)  第七七 茨城県大宮町の地域給に関する請願委員長報告)  第七八 茨城県谷田部町の地域給に関する請願委員長報告)  第七九 静岡富士宮市の地域給に関する請願委員長報告)  第八〇 静岡県島田市の地域給に関する請願委員長報告)  第八一 奈良県二上村の地域給に関する請願委員長報告)  第八二 岡山県藤戸町の地域給に関する請願委員長報告)  第八三 神奈川県鳥屋村外七箇村の地域給に関する請願委員長報告)  第八四 秋田県大湯町の地域給に関する請願委員長報告)  第八五 秋田県小坂町の地域給に関する請願委員長報告)  第八六 秋田錦木村地域給に関する請願委員長報告)  第八七 岐阜大八賀外八箇村の地域給に関する請願委員長報告)  第八八 広島県呉市旧軍施設返還に関する請願委員長報告)  第八九 岡山日本原陸軍演習場接収反対に関する請願委員長報告)  第九〇 未帰還抑留胞引揚促進等に関する請願(二件)(委員長報告)  第九一 岡山日本原陸軍演習場払下げに関する請願委員長報告)  第九二 兵庫県尼崎港を開港場に指定するの請願委員長報告)  第九三 冷害地課税特別措置に関する請願委員長報告)  第九四 へき地教育振興促進に関する請願委員長報告)  第九五 へき地教育振興に関する請願委員長報告)  第九六 戦傷病者援護に関する請願(四件)(委員長報告)  第九七 新潟東頸城郡国民健康保険事業救済に関する請願委員長報告)  第九八 元満蒙開拓青少年義勇隊員の待遇に関する請願委員長報告)  第九九 戦傷病者戦没者遺族等援護法適用範囲拡大に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇〇 社会保険入院料是正に関する請願委員長報告)  第一〇一 元満洲開拓犠牲者遺族援護に関する請願委員長報告)  第一〇二 地盤変動による下水道対策請願委員長報告)  第一〇三 健康保険療養給付期間延長に関する請願委員長報告)  第一〇四 国立療養所看護婦増員に関する請願委員長報告)  第一〇五 香川県国立療養所大島青松園整備に関する請願委員長報告)  第一〇六 北海道引揚無縁故者集団収容施設疎開住宅建設促進に開ける請願委員長報告)  第一〇七 保育所に対する国庫補助増額請願委員長報告)  第一〇八 南方地域戦没軍属遺族援護に関する請願委員長報告)  第一〇九 消費者米価すえ置に関する請願委員長報告)  第一一〇 農家冷害対策に関する請願委員長報告)  第一一一 開拓農家冷害対策に関する請願委員長報告)  第一一二 新潟東頸城郡冷害地編入に関する請願委員長報告)  第一一三 兇作対策に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一四 岡山宮浦地内金上池決壊による災害復旧事業費国庫補助請願委員長報告)  第一一五 岡山小坂部川ダム留倉間道路開設に関する請願委員長報告)  第一一六 冷害対策に関する請願(四件)(委員長報告)  第一一七 農業団体の行う土地改良事業機械化に関する請願委員長報告)  第一一八 いもち病異常発生に対する緊急措置請願委員長報告)  第一一九 昭和二十八年産米対策に関する請願委員長報告)  第一二〇 国有林野払下げ促進に関する請願委員長報告)  第一二一 冷害凶作対策に関する請願(三件)(委員長報告)  第一二二 台風等による被害農家救済対策請願委員長報告)  第一二三 凶作緊急対策に関する請願委員長報告)  第一二四 ねずみこん虫駆除法制定等に関する請願委員長報告)  第一二五 肥料価格引下げに関する請願委員長報告)  第一二六 自作農創設維持資金増額に関する請願委員長報告)  第一二七 冷水害対策に関する請願委員長報告)  第一二八 林業技術普及事業拡充に関する請願委員長報告)  第一二九 中白下羽に対する植物防疫法適用等請願委員長報告)  第一三〇 台風第十二号による被害農家救済対策請願(三件)(委員長報告)  第一三二 和歌山県下の水害地救済等に関する請願委員長報告)  第一三二 長崎江上湾埋立工事費全額国庫負担に関する請願委員長報告)  第一三三 昭和二十八年産米供出割当適正化に関する請願委員長報告)  第一三四 冷害対策に関する特別措置法制定請願委員長報告)  第一三五 福島相馬地方干拓地電力料等全額国庫負担に関する請願委員長報告)  第一三六 貯蔵穀物に対する害虫防除対策請願委員長報告)  第一三七 鉱毒対策費国庫負担に関する請願委員長報告)  第一三八 岐阜県大垣市三城簡易郵便局昇格に関する請願委員長報告)  第一三九 茨城県大田村西方に特定郵便局設置請願委員長報告)  第一四〇 静岡県新野村簡易郵便局昇格に関する請願委員長報告)  第一四一 身体障害者完全雇ように関する請願委員長報告)  第一四二 広島県呉地区英連邦軍関係日本人労務者の取扱に関する請願委員長報告)  第一四三 埼玉県桜井村の地域給に関する陳情委員長報告)  第一四四 広島東高屋、小谷両村の地域給に関する陳情委員長報告)  第一四五 栃木県矢板町の地域給に関する陳情委員長報告)  第一四六 長崎県高浜村の地域給に関する陳情委員長報告)  第一四七 福井県若狭湾上空米空軍飛行演習場化反対に関する陳情委員長報告)  第一四八 岡山日本原陸軍演習場払下げに関する陳情委員長報告)  第一四九 母子福祉総合法制定等に関する陳情委員長報告)  第一五〇 中共地区帰還者援護に関する陳情委員長報告)  第一五一 ねずみこん虫駆除法制定等に関する陳情委員長報告)  第一五二 凶作対策に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一五三 林業改良普及事業拡充に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、社会保険審査会委員長及び同審査会委員任命に関する件を議題といたします。  去る十月二十九日、内閣総理大臣から、社会保険審査官及び社会保険審査会法第二十二条第三項の規定により、川西実三君を社会保険審査会委員長に、藤田宗一君、簗誠君を同審査会委員任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件承認することに決しました。      ——————————
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 参事報告をいたさせます。    〔参事朗読本官議員秋山俊一郎君外二十名から委員会審査省略要求書を附して左の議案を提出した。  日韓問題解決促進に関する決議案      ——————————
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、日韓問題解決促進に関する決議案秋山俊一郎君外二十名発議)、(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  本決議案につきましては、秋山俊一郎君外二十名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の衆議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨弁明発言を許します。秋山俊一郎君。    〔秋山俊一郎登壇拍手
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今議題となりました日韓問題解決促進に関する決議案について、提案趣旨を御説明申上げます。  先ず決議案朗読いたします。本決議案の印刷御配付申上げてあるうち字句の訂正をお願いしたい点がございます。本文の四行目の「漁船四十一隻」とありますのを「四十二隻」、それから「乗組員五百四十一名」とありますのを「五百十六名」と御訂正を願いたいと存じます。    日韓問題解決促進に関する決議    昨年一月、突如一方的宣言を発して、極めて明白なる公海自由の原則を無視し、不当に領海を拡張し、而も歴史的に立証されたるわが国土竹島をも不法占拠せる韓国政府暴挙は、われら日本国民の遺憾に堪えないところである。同国政府暴挙は更に募り、本年九月以来いわゆる李承晩ライン侵犯理由により、政府公船を含めて漁船四十二隻を拿捕乗組員五百十六名を拉致し、国内法により苛酷なる処罰を科しつつある暴状は、最早われわれの黙過し能わざるところである。   よつて本院は、政府に対し、世界の公正なる世論を喚起するとともに、速やかにいわゆる李承晩ラインの撤廃を期する一方、当面急を要する被抑留者釈放漁船返還及び留守家族援護、更に漁期を目前にして待機する多数漁業者出漁安全確保に急速且つ適切なる外交的措置を講ずるよう要望する。   右決議する。  以上であります。  次に提案理由を申上げます。海洋資源開発利用は、いわゆる公海自由の原則に基き、全世界国民に許容せられた自由にして平等の権利であります。いやしくも或る一国が自国の利益を目的としてこれを独占し、他国の自由を排撃するがごとき行為は、国際法を蹂躙する不法行為でありまして、若しこれが許されるといたしましたならば、世界の海はいずれも分割領有するところとなり、国際平和は根底より覆えされることになるでありましよう。第一次大戦後、平和会議において海洋の自由が強く叫ばれましたゆえんもここにあるのでありまして、我らの断じて容認し得ざるところであります。  然るに、韓国李承晩大統領は、昨年一月十八日突如として、朝鮮周辺の広汎なる公海に対し、日本領土竹島を含むいわゆる李承晩ラインなるものを設定いたしまして主権行使の宣言を行い、同海域における日本漁船操業を禁止するの挙に出でたのであります。この海域は距岸数十浬に及ぶ広大なる水面でありまして、古来より「あじ」、「さば」及び底魚等の好漁場として日本漁船の重要なる操業海面でありますが故に、この国際法を無視したる一方的にして不法なる措置に対し、日本政府は直ちに厳重なる抗議を提出し、その反省を促したのでありますが、韓国政府は何ら顧みるところなく、ますますこれを強化し、同年十月更に海洋侵犯取締令及び捕獲審判令等の法規を制定し、李承晩ライン侵犯者に対する処罰等を規定いたしまして、日本漁船操業を圧迫し、或いは不法臨検拿捕抑留等暴挙をあえてするに至つたのであります。日本政府事態を重視し、隣邦友好の精神より公正妥当なる解決を図るべく、日韓会談を開きまして、協議を行いましたが、何らの効果を見ることができなかつたであります。而して同年九月二十七日、クラー国連軍司令官は、朝鮮戦争遂行の必要上、朝鮮周辺防衛水域を設定したのでありますが、この水域李承晩ラインに比べまして遥かに狭い範囲のものであつたであります。本措置に関しましても、当時とかくの論議はありましたが、日本国民としては、その趣旨を諒といたしまして、全面的に協力して、その指示に従つて行動したのでありました。併しながら、不法なる李承晩ラインに対しましては飽くまでもこれを容認せず、日本漁船操業を継続しつつあつたのでありますが、韓国政府不法行為はますます募りまして、本年二月四日に至り、日本漁船二隻に対し銃撃を加えてこれを拿捕し、而もその乗組員を射殺したるいわゆる第二大邦丸事件を惹起いたしまして、日本国民憤激を買つたことは、なお諸君の記憶に新たなところであります。当時本院においては、事の重大性に鑑みまして、帰還船員を喚問いたしましてその真相を調査し、日本政府に対しこれが善後措置を強く申入れたのでありますが、この日本政府要求に対しましても、韓国政府に何らの誠意を示さざるのみか、却つて日本漁船不法を誣うるの態度に出ておるのであります。殊に、歴史的に明白なる日本領土竹島韓国領土なりとして、出漁したる日本漁船及び巡視中の日本国公船に対し銃火を浴びせて撃退し占拠する等の暴挙は、実に言語道断と言わざるを得ないのであります。更に本年八月朝鮮休戦に従い、クラーク司令官朝鮮防衛水域の停止を発表するや、韓国政府はこれに対し不満の意を表明すると共に、李承晩ライン取締強化を発表いたしました。爾来、同水域出漁する日本漁船に対し、実力を以てライン外への撤退を強要するのみか、海軍艦艇を以て何ら防禦の術なき無辜の漁船をほしいままに臨検拿捕、抑留し、甚だしきは、臨検に際し、漁獲物及び船員の私物までも掠奪するがごとき暴虐なる海賊的行為をあえてしまして、遂には日本官船までも拿捕抑留するに至つております。同水域は、前にも述べました通り、古くから日本漁業者の開拓した漁場でありまして、「さば」のはね釣りを初めといたまして、延縄、旋網、底曳漁業等の年々千数百艘の漁船出漁によりまして、二十数万トン、百三、四十億円に達する漁獲を挙げ来たりまして、国民蛋白給源として、はた又国民経済の上に、その影響するところは極めて重大でありますが、今やこの暴挙に会いましてこれらの漁業壊滅的打撃をこうむるに至つております。九月以降拿捕抑留せられました漁船および乗組員は、官船を含めまして四十二隻、五百十六名に達し、これら船員に対しては一方的裁判によりまして不当苛酷なる刑罰を科し、あまつさえ、漁獲物は勿論、漁船漁具等までもこれを没収するの判決を下したと伝えられております。  我がほうといたしましては、この緊迫せる事態平和的解決を図るべく、十月六日第三回の日韓会談を開いたのでありますが、韓国政府代表は当初より会談継続誠意を持たなかつたのでありましようか、僅か旬日を出でずして、言を構えて、遂に会談を停頓せしめるに至りましたことは、誠に遺憾に堪えないところでありまして、この会談に大きな望みを嘱しておりました全国民期待は、とりわけ関係漁民期待は遂に裏切られまして、失望と憤激は今や最高調に達せんとしつつあるのであります。これら拿捕せられた漁船の多くは極めて零細な漁民でありまして、非常な苦心の下に資金を持ち寄つて、辛うじて漁船を建造し、出漁したものでありますが、今回の拿捕抑留により、船主たちは破産の状態に陥つております。又その多数の家族は、俄かに一家の支柱を失いまして、生活の途を断たれた惨状は、各地に開かれておりますところの国民大会に血の叫びとなつて訴えられておりますことは御承知の通りであります。追々と寒冷の募る朝鮮の地に罪人の処遇を受けておる乗組員と、飢に泣く多数の留守家族の身の上を思いますときに、誠に同情に堪えないものがあるのであります。これら拿捕船返還抑留者即時釈放及び留守家族に対する援護措置は最も緊急を要する問題でありまして、強くこれを政府に要望するものであります。  最後に、我々の重大関心を持つておることは、今後の出漁に対する安全保護の問題であります。この水域における底曳漁業漁期は間近に迫つて参りました。我が漁業者といたしましては、権益擁護の立場から、又将来の悪例を断つためにも、更に直接的には生活のためにも、出漁を強行せざるを得ないと強い決意を持つておるのであります。この場合、政府は、事故を未然に防止するため、速かに有効適切なるあらゆる措置を講ずべきであると信じます。若しこのまま荏苒日を過ごすにおきましては、国民感情のほとばしるところ如何なる事象を惹起せぬとも測りがたい状態にあります。  以上私は提案理由の主なる点を簡単に申述べましたが、本問題は我が国の当面せる極めて重大なる問題でありまして、これが解決の如何は将来の我が国運の伸張の上にも影響するところ甚大であると思います。よつて政府は、この点を十分考慮し、これが解決に最善を尽されんことを要求するものであります。  以上提案理由説明を申上げました。何とぞ満場の御賛成を切望いたします。(拍手
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて決議案全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。    〔佐藤尚武登壇拍手
  13. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 只今議題となりました日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書締結について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申上げます。  政府説明によりますと、我が国は、日米安全保障条約署名の際に行われた吉田・アチソン交換公文によつて朝鮮における軍事行動に従事する国連加盟国がその軍隊日本国内及びその附近において支持することを許し、且つ容易にすることを約し、これに基いて現に若干の国連軍我が国に滞留しているのであります。政府は、国連軍我が国における地位を規定する全般的協定締結するため、昨年七月関係国政府と交渉を開始したのでありまするが、刑事裁判権問題及び若干の財政経済問題等について双方の主張が対立し、今日まで妥結に至らなかつた次第であります。ところが幸い、北大西洋条約即ちNATOに基く軍隊地位に関する北大西洋条約当事国間の協定が本年八月二十三日に発効し、それに伴つて日米行政協定刑事裁判権条項がいわゆるNATO方式に改訂されましたので、右改訂後直ちに、政府は、国連軍協定刑事裁判権条項の問題についてもNATO方式の採用により解決することとしたい旨を国連軍側に申入れたのであります。而して国連軍地位に関する全般的な協定の妥結には、なお多少の時日を要する半面、日米行政協定刑事裁判権条項の改訂は十月二十九日から実施されまするので、我が方にとつて有利なこの条項の下におけると同様の刑事裁判権国連軍についても速かに獲得し、且つ又、米軍の取扱と国連軍の取扱との間に不均衡の生ずることを防止するために、他の懸案とは切離して刑事裁判権に関する議定書締結し、これを行政協定の改訂実施と同時に発効させることとし、後日、全般的な協定の妥結をみた場合にはこれに包含させることについて、国連軍側と折衝の結果、先方もこれに同意しましたので、張る十月二十六日に、我が国と、統一司令部としての米国政府並びに英国、カナダ、オーストラリア及びニユージーランドの四カ国政府との間に、この議定書に署名を行うに至つたのであります。従つて、この議定書は、これらの国について、十月二十九日から効力を生じたわけであります。ついては、右の事情御諒察の上、本件につき国会の承認を求めたいという政府説明でありました。  この議定書は、議定書本書と刑事裁判権に関する条項を記載した附属書一通から成つておりまして、ほかに附属書に記載された条項について、交渉の当事者がその解釈に関し合意したところの議事録があるのであります。  次に、この議定書の内容についてその主要な点を要約いたしますると、刑事裁判権の実質的内容を定めている附属書は十一項の規定から成り、その第一項は、日本国及び派遣国の軍当局の有する裁判権についてその原則を掲げ、第二項は、おのおのが専属的裁判権を行使する権利を有する場合について規定しております。第三項は、一つの犯罪行為に関し、日本国と当該派遣国双方の裁判権が競合する場合についての規定でありまして、第一に、派遣国の軍人若しくは軍属の犯した犯罪が、当該国の財産若しくは安全のみに対するものである場合、及びその被害者が当該国の軍人軍属若しくは家族である場合、並びに公務執行に伴つて行われた場合、即ち、この三つの場合を除き、その他の犯罪については、日本国が裁判権を行使する第一次の権利を有することを定め、第二には、前記の除外される犯罪については、派遣国の軍当局が裁判権を行使する第一次の権利を有する旨を規定し、第三には、裁判権を行使する第一次の権利を有する国がその権利を放棄した場合の通告の義務と、第一次の裁判権放棄の要請に対し好意的考慮を払う義務とを規定しております。第四項は、日本国民や通常の在留者は、派遣国軍隊の構成員にならない限り、軍当局の裁判に付せられないことを保障しており、第五項以下におきましては、司法警察権、裁判における被告の権利の保障、刑の執行、軍事警察活動について規定しております。なお、その他詳細はお手許の資料を御参照願いたいと存じます。  外務委員会は十一月二日、四日、五日及び六日の四回に亘つて開会し、本件の審議を行いました。  次に質疑の主なる点を簡単に御報告いたします。  先ず「この議定書について憲法第七十三条の事後承認の形をとつた理由如何」、又、「この議定書の基準となつた日米間の刑事裁判権条項改訂については、国会に承認を求めない理由は何か」との質問に対し、「国連軍との刑事裁判権の問題をNATO方式によつて解決することは我が方にとり利益であり、又、つとに国会側にもその意向があつたし、一方、米軍との刑事裁判権条項は十月二十九日から実施されるので、両者の取扱に不均衡を生じないほうがよいとの考え方から、議定書調印後事後承諾を求める形になつた。勿論、政府としては事前承認を求める方針には変りはなく、今回のことは異例であるが、前述の理由により例外的措置として止むを得ず取計らつた次第であるから、右事情を御了承願いたい」とのことでありました。「又、米軍との関係は、先に議会の承認を得た安保条約第三条に基く行政協定第十七条の改訂であるので、政府限りで改訂し得るという考え方で行なつた」との答弁でありました。  次に、国連軍との全般的協定が妥結しない理由と経緯についての質問に対し、「妥結に至らない事項は、主として財政及び経済問題である。例えば施設の使用料、関税、消費税、公用の電気ガスに関する税金等の問題であつて、先方は米軍との均等待遇を要求しており、当方は、国連軍は日本防衛の任務を有する米軍とは駐留の性格の相違もあり、同一には待遇しない方針で対立して来たのである。併し朝鮮戦乱も休戦となり、国連軍の滞留も先が見えているということもあり、且つ又、国連協力にはできるだけ誠意を示すべきであるので、財政負担が過大でなければ米軍と同一待遇にしてもよいではないかとの意見もあり、要は財政問題であつて、目下研究中」とのことであります。  次に「朝鮮に派兵している国連軍構成国でこの議定書に未署名の国があるが、それらに対してはNATO方式適用されないのか。派兵国全部が署名する見込か」との質問に対しまして、「未署名国中には、国内法上の手続等の関係で遅れている国もあるが、追々に署名するものと思う。署名した四カ国は、軍隊としての組織を持ち、公務の範囲がはつきりしているので、これら四カ国との間に協定締結を急いだわけである。未署名国のものは大体休暇などのために来ている軍人等であつて、これらに対しては一般国際法原則適用されるのであるが、NATO方式がこの一般原則に則つたものであることは各国とも認めているし、且つこれ以上有利な取扱を受けようとは期待していないから、実際上問題は起らないと考える」との答弁でありました。  委員会は十一月六日質疑を了し、引続き討論に入りましたところ、先ず佐多委員より、「本件につき日本社会党を代表し、反対を表明する。理由は、第一に、国連軍の駐留すること自体に反対だからである。同軍隊の駐留に反対するのは、日本を戦争の巷にしてはならないからであつて朝鮮の休戦がなつた今日は駐留に反対せざるを得ないのである。国連軍の存在は占領の継続であり、我が国が依然外国軍隊の制圧下にあるものと言わざるを得ない。第二に、この議定書締結は、無条約のときに比べ、我が国に有利ではなく、むしろ不利である。即ち、無条約のときは、国際法原則によつて属地主義がとられたのであるが、この協定によれば、属地主義の代償としていろいろな制約を受ける。第三の理由は、締結の手続の点である。万止むを得ざる場合とは認められない本件について、国会の事後承認を求めたことは、国会を無視するものである」と述べて、本件に反対され、次に杉原委員は、「内容はおおむね妥当である、事後承認ではあるが、本件協定会談の際、日本側より先方に対し、手続上憲法の精神を遵守する旨を明らかにし、憲法の精神から逸脱しないよう配慮しているから、これに賛成する。但し本議定書締結は、時期として遅きに過ぎ、且つ残余の懸案が未解決であることは遺憾であり、速やかにこれが妥結に努めるよう希望する」と述べられました。次に曾祢委員は、「日本社会党を代表し、賛成の意見を述べたい。国連軍を平和維持機構として高く評価している社会党としては、国連の朝鮮における警察行為に対し、日本として援助するのは当然であり、従つて、これに伴い国連軍の日本駐留を認めることには賛成である。このため国連軍との間に速かに新たな協定締結し、内容をNATO方式とすべきことは、かねてよりの主張であつたので、政府に怠慢の点はあつたが、本件は内容的にも賛成である。但し事後承認の異例的措置は、断じてルーズに行うべきでなく、これが憲法軽視の前例となつてはならないことを警告しておきたい。そして他の一般協定を速かに妥結し、事前に国会の承認を求むることを要望する」と述べられました。最後に梶原委員より、「日米間の行政協定第十七条は有利に改訂されているので、これに関連して作られた本議定書賛成する。但し本体と見るべき日米協定政府限りで取扱われ、それの附随的のものと認められる本議定書のみについて承認を求められたのは不合理であるから、今後は篤と考慮せられたい」との意見を付せられました。  以上を以て討論を終了し、次いで採決を行いましたところ、本件承認すべきものと多数を以て決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本件に対し討論の通告がございます。発言を許します。佐多忠隆君。    〔佐多忠隆君登壇拍手
  15. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 只今議題となりました日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、私は日本社会党を代表して反対の意を表明いたします。  反対の第一の理由は、我が日本社会党は国際連合軍隊我が国に駐留すること自体について反対だからであります。我が国は、日米安全保障条約署名の際に行われた吉田・アチソン交換公文において、朝鮮における軍事行動に従事する国連加盟国が、その軍隊日本国内とその附近において支持することを許し、且つ容易にすることを約したために、これに基いて現に若干の国連軍我が国に滞留をいたしております。あの当時、日本社会党は、日本が国際連合の行動に援助を与えるとしても、日本の非武装、平和主義を堅持して、軍事的援助を与うべきではない。従つて軍隊の駐留を認めたり、軍事基地を提供したりすべきでないと主張をいたしたのであります。これはひとえに日本を戦争の巷に化してはならんという念願によつたものであります。あの当時においてさえ国連軍の駐留に反対いたしました我々は、朝鮮休戦が成立を、国際連合軍隊朝鮮における軍事行動に従事する必要のなくなつた現在、国連軍が依然として我が国内に駐留をしておることに対しては、強く反対をせざるを得ません。国連軍の駐留を今もなお認めることは、対日平和条約の第六条「連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない」というあの条項を全く抹殺するものであります。これでは独立の面目は丸潰れ、未だに占領治下にあるとしか言えません。今こそ国連軍の撤退を強く主張し、交渉しなければなりません。実際、政府はこのことを少しも考えないで、逆に国連軍我が国における地位を規定する協定締結に憂身をやつし、その第一歩としてこの議定書締結したのであります。占領状態、軍事的隷属から脱却して、我が国を完全に独立させることを念願する者であるならば、この議定書締結に反対すべきことは余りにも明白であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  反対の第二の理由は、国連軍に対する我が国地位が、これによつて有利になるどころか、むしろ不利になるからであります。仮に国連軍我が国における地位を規定する協定がなく、無協約状態にあるといたしましても、刑事裁判権については、国際法の一般原則に従つて、いわゆる属地主義を貫き得るのであつて、この議定書に定められたことはむしろ当然であつて、今更事新らしく議定するまでもないことであります。これまで我が国がこの属地主義を十分に貫き得ないで、いろいろ紛争を醸し出したものは、政府が従来の占領時代の卑屈さから脱け切らないで、独立国の体面を毅然として堅持しなかつたからであります。而もこの議定書によつて属地主義を確立した代償として、これまでの国際法の一般原則には見られなかつたいろいろな制約を受けております。無協約状態よりも不利になるというゆえんがここにあるのであります。  更にこの協定を契機といたしまして、政府国連軍にアメリカ駐留軍と同等の地位を与え、均等待遇を与えるように方針を変更して参りました。元来、御承知の通り国連軍は単に吉田・アチソン交換公文によつて滞留するものであつて、日米安全保障条約に基き、日米行政協定によつて律せられるアメリカ駐留軍とは、その地位がおのずから異なることは論を待ちません。さればこそ、政府は、これまで国連軍地位に関する全般的な協定の交渉に当つては、異なる待遇を与える方針で臨んだのであります。財政、経済条項について双方の主張が対立をし、今日まで妥結できぬ一半の理由も又ここにあると思われます。然るにこの刑事裁判権条項における均等待遇を契機といたしまして、政府は今や全面的に均等主義に転換したようであります。この議定書のゆえに、日本としてはむしろより不利になつたというゆえんがここにもあります。  反対の第三の理由は、この議定書締結の手続についてであります。御承知の通り、憲法第七十三条の規定によれば、内閣が条約を締結するときは、原則としては事前に国会の承認を必要とすることになつております。然るにこの議定書は、十月二十三日に開かれた協定交渉正式会議において採択をされ、同じく二十六日に我が国と関係諸国との間で調印をされ、すでに十月二十九日から効力を発生をいたしております。国会は単に事後承諾を受けているに過ぎません。成るほど憲法は時宜によつては国会の事後承認を認めてはおりますが、それは異例的措置として万止むを得ない場合に限るべきであります。この議定書は、その内容から言つても、成立の経緯から見ても、決して異例的措置をとるべきものではありません。近く開かれることが確定をしておる国会日程と調子を合せて、先ず国会の審議決定を経てから調印又は発効をさしても何ら差支えありません。若しそれほど急を要するならば、一両日の国会を臨時に開くべきであります。政府がこれを無視いたしたのは、国会を軽視し、憲法を蹂躙することを意に介しないからであります。政府はこの議定書の前提として、日米安全保障条約第三条に基く行政協定第十七条を改正する議定書締結いたしました。この協定行政協定の改正条項として、国会の審議をもぐることをしないで、むしろ新らしい協定の形式にして国会の審議を経べきであつたのに、それをやつておりません。我々は国会の名において、政府のかかる非民主的な態度に強く警告をせざるを得ません。若し国会の承認を求めたいならば、少くともその議定書類の一切を政府が自発的に国会に提出をして、詳しく説明をすべきであります。それにもかかわらず、そのことすらいたしておりません。私の要求によつて、漸く行政協定第十七条改正に関する議定書その他を提出したのでありますが、政府のかかる態度は国会を全く無視した傍若無人の態度と言わざるを得ません。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は国民の名において政府のかかる非民主的態度を徹底的に糾弾をいたします。  以上の理由によつて本件に反対であることを重ねて表明いたします。(拍手
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告通り本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件承認することに決しました。      ——————————
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の一部を改正する法律案  日程第四、日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます先ず委員長報告を求めます。法務委員長郡祐一君。    〔郡祐一君登壇拍手
  20. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今上程の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法は、日米安全保障条約に基いて日本国及びその附近に配備された合衆国軍隊に関して、行政協定趣旨に則り、刑事上の実体法及び手続法についての特別規定を定めたものでありまするが、今般発効を見るに至りました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第十七条を改正する議定書によりまして、同軍隊に対する刑事裁判権行使に関する事項が北大西洋条約にならつて改正され、その範囲が大幅に拡張されましたので、これに伴い、刑事特別法中の手続規定につき、その一部を改正する必要を生じた次第であります。  改正の主なる点を御説明いたしますると、その第一点は、現行法では、合衆国軍隊の使用する施設又は区域内における逮捕等につきましては、合衆国軍隊の権限ある者の承認を受けるか、又はこれに嘱託して行わなければならないことになつておりますが、これを改めまして、合衆国軍隊がその権限に基いて警備している施設又は区域内において逮捕等を行う場合に限ることとし、而もこの場合、合衆国軍隊の権限ある者の承認を受ける必要はなく、単にその同意を得れば足るものとすると共に、重大な犯罪に係る現行犯人を逮捕する場合におきましては、かかる施設又は区域内におきましても、この同意を得ることを要しないこととした点であります。第二点は、現行法では、検察官又は司法警察員は、我がほうにおいて逮捕した者が、合衆国軍隊の構成員、軍属又はその家族であることを確認したときには、直ちにその者を合衆国軍隊に引渡さなければならないことになつているのでありますが、これを改めまして、同軍隊の構成員又は軍属が、改正された行政協定第十七条第三項の(a)に掲げる合衆国が第一次裁判権を行使する限られた犯罪、即ち専ら合衆国の財産又は安全のみに対する罪や公務執行中に犯した罪などによつて逮捕されたものである場合に限り、これを引渡すこととし、その他の場合及びその家族については、すべて我がほうにおいてその身柄を処置できるものとした点であります。改正の第三点は、現行法では、合衆国軍隊の使用する施設又は区域内において、又は合衆国軍隊の財産について、捜索、差押などを行うには、同軍隊の権限ある者の承認を受けるか又はこれに嘱託しなければならないことになつており、更に合衆国軍隊の構成員、軍属又は家族の身体又は財産に対してこれを行う場合においても、ほぼ同様の制約がなされているのでありますが、これを改めまして、合衆国軍隊がその権限に基いて警備している施設又は区域内で行う場合と、同軍隊の財産について行う場合とに限ることとし、これ又承認ではなく同意を得れば足るものとした点であります。  以上がこの法律案の改正の要点であります。  委員会におきましては慎重に審議を重ね、各委員より適切な質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  討論に入りまして、亀田委員より社会党第四控室を代表して、日米安全保障条約及び行政協定に反対であるが故にそれに基くこの法律案にも反対である旨の意見が述べられました。次に楠見委員より緑風会を代表して、駐留軍に対する刑事裁判権行使については、北大西洋条約の方式によることをかねて希望していたのであるが、本法律案はこの希望に副つたものであるから賛成であるという発言がありました。  討論を終結し、採決の結果は、多数を以てこの法律案を可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法案につきまして、委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書の発効に伴いまして、国際連合安全保障理事会並びに国際連合総会の決議に従つて朝鮮軍隊を派遣したアメリカ合衆国以下の国で、この議定書に調印し、その効力を受けることとなつた国より朝鮮に派遣された陸海空軍に関して、その我が国内に在留中、これに対する刑事手続につきまして、右議定書趣旨に則り、若干の特則を設ける必要がありますので、この法律案提案された次第であります。これらの軍隊の構成員、軍属又は家族に対しましても、我が国の現行法令は原則として適用されることになつているのでありますから、この法律案に特別に規定していない事項につきましては、当然現行諸法令が適用されるわけであります。  この法律案は、第一章総則、第二章刑事手続の二章十二カ条と附則からなつておるのでありますが、その内容は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の総則及び刑事手続に規定する条文と殆んど同一でありまして、第一章総則は、この法律において使用する語の定義を定める一カ条を設けているのであります。第二章刑事手続は、国際連合軍の構成員又は軍属について、議定書に基き連合軍側が第一次的に裁判権を行使することができる場合におけるその身柄の引渡、国際連合軍の施設内における逮捕その他の強制処分、その施設内において連合軍側によつて逮捕された者の受領手続、連合軍又はその軍事裁判所の刑事手続に対する我がほうの協力、連合軍側によつて抑留又は拘禁された者に対する刑事補償法等の適用等、いずれも刑事手続に関する現行諸法令を以てしては処理できない問題に限りまして、十一カ条の特別規定を設けているのであります。  委員会におきましては慎重に審議を重ね、各委員より適切な質疑が行われましたが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  討論に入りまして、先ず亀田委員より社会党第四控室を代表して、この法律案に反対する旨の意見が述べられました。その理由とするところは、第一に、国連軍の日本駐留は有害であり、駐留を前提とするこの法律案には賛成しがたいこと。第二に、政府は、この法律案の基礎となる議定書を、国会の開会を目前にしながら、その承認前に発効させたが、これは憲法の精神に反すること。第三に、国連軍との間に未だ一般的協定が結ばれていないにもかかわらず、刑事裁判権についてのみ協定したことは、本末を顛倒するものであり、今後における一般的協定の交渉にも影響を与える虞れがあると認められること。以上の三点であります。次に一松委員より改進党を代表して、この法律案賛成であるが、議定書について事前に国会の承認を受けなかつたことは遺憾であつて政府は将来注意すべきである。又一般的協定との関係については、亀田委員の意見に反対であつて、一般的協定の取極がなくとも、我が国にとつて利益のあることならば、部分的な事項について協定しても差支えないという趣旨の意見が述べられ、楠見委員より緑風会を代表して、国連軍との刑事裁判権行使について明確に規定するこの法律案賛成するが、議定書の国会承認の問題については一松委員と同意見であり、一般的協定の問題については、できる限り早く、而も明確な協定締結することを希望する旨の意見が述べられました。  討論を終結し、採決をいたしましたところ、多数を以てこの法律案を可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上御報告いたします。(拍手
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  23. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第五、市町村農業委員会委員及び都道府県農業委員会委員任期延長に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇拍手
  24. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました市町村農業委員会委員及び都道府県農業委員会委員任期延長に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  現在その任にある市町村農業委員会及び都道府県農業委員会委員の任期は、いわゆる農業団体再編成の関係法案が前国会において審議未了となりましたため、それぞれ明年一月十九日及び二月二十日に満了することとなり、法律上、任期満了前三十日以内、即ち本年十二月二十日から明年一月十八日及び明年一月二十一日から二月十九日までの間に選挙を行わなければならないことになつておりまして、かくしまするときは、本年産米の供出などの事務処理の中途において農業委員が交代することとなりますので、特に本年のような稲の異常な不作による困難なる供出事情下においてかような事態を避けるため、この際、両委員会の委員の任期をそれぞれ六カ月延長せんとするものであります。  委員会におきましては、提案理由について重大な関心が払われ、即ち、第十六回国会に任期延長提案された際は、農業委員会制度の改正に関する方策が決定されるまでの取りあえずの措置であると述べられ、今回は供米に支障を来たさないためであると説かれているところに問題が残され、供米事務は農業委員会の所掌する事務の一部であつて、かかる一部の事務の都合のために他を顧みることなく、神聖なるべき選挙を個々の問題にとらわれて軽々に処理することは妥当を失するものであつて、この際、選挙を行い、農民の意思による新らしい委員を以て時局に対処せしむべきであるとの所論もあり、或いは又、任期の延長を供米事務の渋滞防止に籍口し、実は農業委員会制度の改正を予定し、やがては政府の企図する農業委員会制度改正の伏線となるようなことがありとすれば、これ又看過し得ないことであるとの所説もありまして、政府当局の意思が確かめられましたところ、保利農林大臣から、今回の提案は全く稀有の不作に当面する食糧事情の重大性に対処して供米事務の渋滞を憂慮するためによるものであり、いわゆる農業団体再編成については、問題は重要であつて、目下考究中である、成案が得られれば国会に提案して審議を得たい所存であつて、今後現制度においてはこれ以上の任期延長は絶対に行わない趣旨の答弁がなされたのであります。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、北委員から、本法案に対しては農業団体再編成の問題と切離して賛成する旨の発言があり、河野委員からは、農業委員会の使命は単に供米事務だけでなく、他にも重要な任務があるので、供米問題だけで任期を延長することは神聖なるべき選挙を軽視するものであつて、本来反対すべであるが、農林大臣の言明もあり、更に再び延長することなきよう政府に警告して賛成する旨の発言があり、清澤委員は、本法がいわゆる農業団体再編成を強行するための暴力にならないようにという条件を付け、この際、食糧事情に対処する止むを得ない措置として、いたし方なく賛成する旨述べられ、森田委員からは、再び任期を延長しないという政府の言明を了承して賛成するとの発言があり、最後に松浦委員から、政府は農民の代表機関として農業委員会を尊重するという農林大臣の言明を確認して賛成する旨述べられました。  かくて討論を終り、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第六、奄美群島の復帰に伴う法令の適用暫定措置等に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長内村清次君。    〔内村清次君登壇拍手
  28. 内村清次

    ○内村清次君 只今議題となりました奄美群島の復帰に伴う法令の適用暫定措置等に関する法律案の地方行政委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  奄美群島は、昭和二十一年一月二十九日付連合軍最高司令官総司令部覚書により、日本政府の行政権行使が禁止せられ、米国の単独占領下に置かれ、昭和二十七年四月二十八日平和条約の発効により、同条約第三条後段の規定により、沖縄、小笠原等と共に、引続き米国の立法、司法及び行政の権力の行使下に置かれることになつたのでありますが、本年八月八日のダレス米国国務長官の東京における声明により、日本に返還する旨の米国政府の意向が表明せられたのであります。  我が国といたしましては、平和条約において奄美群島と同様に取扱われている沖縄、小笠原諸島等についても、一日も速かなる返還を図るため、万全の努力を傾倒しなければならないことは申すまでもないところであります。従つて、今回の奄美群島の復帰は、我が国の主権が潜在せしめられている地域の我が国への復帰の先例ともなるべき重要なる意義を持つておるのでありまして、今回奄美群島の復帰の受入れに当り、我が国が如何にこれを措置するかは、ひとり同群島住民の多大の関心事たるのみならず、国際的にもその意義極めて重大であります。従つて委員会におきましては、本法案の重要性に鑑み、前後五回に亘つて慎重審議をいたしたのであります。先ず塚田国務大臣より提案理由説明を、政府委員より逐条説明及び占領より今日に至るまでの経過を聴取いたしました後、現地の実情を詳細に承知するために、去る九月政府より派遣せられました調査団の団長、南方連絡事務局長石井通則君より調査報告を聞き、引続いて、参考人として、鹿児島県知事代理同県総務部長三ツ井卯三男君、奄美群島復興促進会総本部委員長奥六郎君、奄美大島名瀬市長泉芳朗君、及び喜界島早町村長岡林寛義君等よりそれぞれ詳細なる現地の実情についての公述を聴取いたしました。以上の説明又は公述により明らかになりましたことは、現地の荒廃と疲弊は実に甚だしく、例えば住民の年収のごときは内地の三分の二程度、要救護者は累年増加し、現地二十万人口中八千人を遙かに超え、又校舎は大部分が掘立小屋か仮小屋であり、本校舎面積は、高等学校においては全然なく、中学校七%余り、小学校五%余りを占むるに過ぎない現状であります。産業につきましてこれを見ても、同島名産の大島紬はその生産量戦前の二〇%、黒砂糖は二七%、米は六七%であつて、僅かに林業と畜産業において戦前を上廻つておるに過ぎません。かくのごとき状況の下において、現地住民の内地復帰の熱望は誠に熱烈でありまして、まさに大旱に雲霓を望むがごときものがあるのであります。然るに一般に期待せられていた十一月一日に返還が実現せられなかつたため、その後は実質的には現地軍も琉球政府も本群島を手放しているような状況であつて、現地行政に空白を生じ、政府事業の打切り、金融の停止等により、民心の不安動揺と生活の困窮は極度に達し、一日も速かなる返還は同島民の死活問題ともいうべく、すべての問題の前提要件であるとの痛切なる訴えがなされたのであります。  同群島の一日も速かなる返還は、同島民とひとしく、国民の熱望おかざるところであります。従つて委員会におきましては、本法案審議の前提要件として、政府の外交交渉の経過、返還の遅延いたしておる理由、現地行政の空白による住民の困窮に対する対策等について、岡崎外務大臣に対し、苫米地、若木、田畑、秋山、加瀬の各委員から熱烈なる質問がなされたのであります。これに対しまして岡崎外務大臣より、返還が遅れておるのは、政策的の問題ではなくて、事務的処理の問題である。奄美群島範囲、米国側において保有すべき施設並びに将来拡張を要する場合の措置、通貨の措置、沖縄在住の本群島民の取扱、沖縄との交通、米軍により刑の判決を受けた者の処遇等についての話合いのためである。返還に至るまでの救済等の措置は米国側で処理してもらうほかはない。十一月一日返還ということについては関知しない。十二月一日を目途とすることは米国側も了解している。この目途に対しては十分努力する旨の答弁がありました。右のうち、返還期日の問題につきましては、重要問題であり、十月五日の当院議院運営委員会における十一月一日の返還期待する旨の緒方副総理の発言とも食い違う点がありますので、更に緒方副総理に対し、右の点及び返還期日についての見通し、返還を促進するためには事務的折衝だけでは駄目であつて政府の強い政治的折衝が必要ではないか。現地の空白の措置を如何にするか等の点について、加瀬、若木、秋山、田畑の各委員から種々質疑を重ねました。これに対し緒方副総理から、十月五日の議運の発言は現地の情報等により十一月一日を期待したのであつて政府の方針としてきめたことでなく、政府としては別に食い違いはない。十二月一日の返還を目途として極力努力する。遅延していることについてはよく調査して、太い線の外交が必要であればその手を打つ。遅延による現地の窮状に対する措置については研究する旨の言明がありました。  次に、本法案の内容及び奄美群島復帰善後処理費として本年度補正予算に大蔵省所管として一括計上せられておる奄美群島復帰善後処理費十億円の内容について、塚田国務大臣及び政府委員と、島村、伊能、若木、田畑、小林の各委員との間に熱心なる質疑が行われました。本法案は、差当り同群島を以て一つの選挙区として、一人の衆議院議員を選挙し得ること、当分の間、同群島における国の行政事務は原則として鹿児島県知事又は同県の現地機関をして行わしめるということ、従来の市町村は地方自治法の規定による市町村となり、その議会の議員、長その他の職員は、当該市町村の議会の議員、長その他の相当の職員となるものとすること、現地裁判所の設置及び民事訴訟の引継を定めたこと等のほかは、その表題の示す如く、復帰と同時に本来当然に同地域にも適用せらるべき内地の諸法令及び現在同群島に施行せられている諸法令について、必要な経過措置、暫定措置を定むることを主たる内容とするものでありまして、現地の事情に即応し、機宜の措置をとり得るよう、大部分を政令に委任していることは、事情止むを得ないことと存ずるのでありますが、右の質疑の結果明らかになりました点は、裁判、検察等、真に止むを得ない事務のほかは、鹿児島県の大島支庁をして行わしむること、職員は原則としてこれを引継ぐこと、その身分については、我が国の行政分離前の採用者については、琉球政府の時代も通じてこれを保障し、恩給は継続すること、警察は国警一本でやること、食糧管理法は、供出のほか、配給のこともあるので、これを適用すること、市町村財政の窮迫、校舎の復旧、職員の給与、困窮者の生活保護、道路橋梁の修築等についても、本年度は十億の予算で賄い得ること、振興計画の樹立は必要であり、その実施も成るべく短期間に行う必要があること、そのために特別法の制定についても考えねばならぬこと等であります。  かくて質疑を打切り、次いで討論を省略いたしまして採決を行いましたところ、本法案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  続いて委員長より附帯決議案提案いたしましたところ、これ又全会一致を以て提案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右附帯決議の内容は次の通りであります。    附帯決議   奄美群島の復帰は、平和条約第三条の規定により、我が国の主権を潜在せしめられている沖縄、小笠原等の復帰の先例ともなるべき重要な意義を有するものなるに鑑み、政府はその受入れに万全を期すると共に、特に左の事項の実現を期せられたい。  一、奄美群島復帰の遅延により、現地行政に空白を生じ、現地政府事業、金融停止等と相まつて、民心の不安と生活の窮乏は甚しきものがある。政府は積極的に外交折衝を行い、一日も速かにその復帰を図ること。  二、奄美群島に対する施策は民心の安定と産業の復興に重点をおくとともに、振興事業を総合的且つ強力に実施するため、政府の各種出先機関の濫立を抑制して、法第四条の規定による鹿児島県の現地機関において一元的に振興事業を行うものとすること。なお中央においても、振興計画の樹立及び実施に関する事務を一元化すること。  三、奄美群島の特殊性と疲弊の現状に鑑み、速かに綜合的な振興計画を樹立し、その強力な実施を期すること。そのため必要な特別法を制定するとともに、十分な財政的措置を講ずること。  以上御報告をいたします。(拍手
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 参事報告いたさせます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案可決報告書  昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案可決報告書      ——————————
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、  農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案、  昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  34. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今議題となりました二法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案について申上げます。  御承知のごとく、昭和二十八年度におきまして、風水害、冷害等が異常に発生したのでありますが、このために、農業共済再保険特別会計の農業勘定においては、再保険金の支払が著しく増加し、昭和二十八年度において多額の歳入不足を生ずることと相成りますので、本案は、この補填のため昭和二十八年度において八十五億円を農業勘定に繰入れることができることとし、且つ農業勘定の積立金についても、昭和二十八年度における同勘定の歳出財源に充てるため、歳入に組入れることができることにしようとするものであります。  なお、一般会計からの繰入金については、将来、農業勘定において、決算上の剰余を生じ、再保険金支払基金勘定に繰入れる金額を控除し、なお残余がある場合は、当該繰入金に相当する金額に達するまでの金額を一般会計に繰入れることとし、これに伴い、昭和二十四年法律第三十一号、昭和二十五年法律第二十九号及び昭和二十七年法律第五十七号についても同様の改正をしようとするものであります。  本案につきましては、農林委員会農業災害補償制度に関る小委員長松浦定義君より、農業災害補償制度に関する研究の経過等につき説明を求める等、慎重に審議いたしたのであります。  次に質疑応答の主なるものを申上げますと、「農業共済保険特別会計の歳入不足を補填するため一般会計から繰入金をする措置はしばしば講じておるが、計画自体に杜撰な点があるのではないか」との質疑に対し、「自然災害を対象とするので困難な問題であるが、昭和二十七年度においては、料率が改訂されたことと災害が比較的少かつたために黒字を出しており、長期的には均衡が得られると考えている」との答弁がありました。又、「資料によると、特別会計の不足金は百八十五億と推計されており、この不足金の補填として、再保険金支払基金から二十五億円、農業勘定積立金から五億円、一般会計からの繰入八十五億円、別途手当を要する金額は七十億円と説明されており、又一般会計よりの繰入金として当初予定された百三十億円と、本案による八十五億円との差額四十五億円は、少くとも絶対必要な要手当金額とも考えられるが、この要手当金額はこれを如何に調達するか。又借入金をする場合は、その利子負担は如何に処理されるか」との質疑に対し、「当初予定された一般会計よりの繰入金額は財源の振合上八十五億円に削減されたのであるが、手当を要する金額については別途借入金等によつて資金措置を考えたい。借入金をする場合は一応資金運用部資金が考えられるが、同資金は殆んど余裕がないので、勢い市中金融機関から借入れることとなろうが、その場合、農林中央金庫等が予定される。借入金の利子については災害対策予備費で負担することとなる。なお詳細については目下鋭意検討中である」との答弁がなされたのであります。  その他詳細については速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、小林委員より、政府の認定によつても少くとも四十五億円は別途補填されなければならないものと考えるから、責任を以て速かに資金措置を講ずることを条件として、本案に賛成するとの意見が述べられ、森下委員より、一般会計からの繰入金の最低見込額を当初百三十億円と言明しながら、今回八十五億円にしたことは、単に三党協定に基く予算案修正に係る不確実な措置であるから本案に反対するとの意見が述べられ、野溝委員より、本年度は未曾有の凶作とも申すべきであり、この際、生産者である農家に善政を施すことが先決問題と考える。然るところ、一般会計よりの繰入金を四十五億円削減したことは全く心外に堪えないところであつて、本案に反対するとの意見が述べられ、次いで平林委員より、資金繰りについては広く本年度の財政投融資計画の再検討によりこれを求むべきであり、且つ農業災害補償制度も全額国庫負担とすべきであつて、今後十分検討をされることを条件として本案に賛成するとの意見が述べられたのであります。  討論を終了し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、昭和二十八年度における特別鉱宝石旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案について申上げます。  本案は、特別鉱害復旧臨時措置法の規定に基き、すでに特別鉱害の認定を受けた家屋のうち、昭和二十八年六月及び七月の大水害により速かに復旧を要するものについては、本年度内に鉱害復旧工事を実施することとし、その財源として、特別鉱害復旧特別会計の負担において資金運用部から一億二千万円を借入れようとするものであります。  本案審議においては、資金運用部の運用状況、特別鉱害の発生経過、借入金の償還計画等について、種々熱心なる質疑応答が交わされたのでありますが、その詳細は速記録に譲ることといたしたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  先ず農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第七より第八十七までの請願及び日程第百四十三より第百四十六までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。人事委員会理事宮田重文君。    〔宮田重文君登壇拍手
  41. 宮田重文

    ○宮田重文君 只今議題となりました請願八十二件及び陳情四件につきまして、人事委員会における審査の結果を御報告申上げます。  先ず公務員の地域給に関するものは、請願七十八件、陳情四件でありますが、これらは、それぞれの地域における物価、生計費、その他の事情から、現行支給割合を引上げ、又は新たに指定されたいとの要望であります。地域給の制度については、人事委員会におきまして合理的解決を図るため努力いたしている次第であります。委員会におきましては、これらの願意はいずれもおおむね妥当なるものであり、政府をして十分に調査研究の上、所要の措置を講ぜしめる必要があるものと認め、一括してこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  次に、寒冷地手当等に関する請願三件、薪炭手当に関する請願一件でありますが、寒冷地手当等に関する請願については、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律等について改正を加え、その支給率を増加すると共に、その支給地域の勧告は従来内閣のみになされていたものを国会にも併せて勧告することとし、又その適用範囲についても公共企業体職員等にも及ぼすように措置せられたいとの要望であり、薪炭手当に関する請願は、秋田県に在勤する公務員に速かに薪炭手当を制度化して支給の実現を図られたいとの要望であります。人事委員会といたしましては、これらの願意はいずれもおおむね妥当なるものと認め、これらの請願を採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第八十八より第九十までの請願及び日程第百四十七の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員長佐藤尚武君。    〔佐藤尚武登壇拍手
  46. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 只今議題となりました請願四件及び陳情一件につきまして、外務委員会における審議の結果を御報告いたします。  先ず日程第八十八広島県呉市における旧軍施設返還に関する請願は、広島県呉市は、旧軍港市転換法の制定により、平和産業港湾都市として、旧軍施設跡に着々大工場の進出を見ましたが、現在国連軍の駐留により、これ以上工場誘致の余地がない状況であります。ところが現在国連軍に雇用されている者は約一万三百余名ありまして、これらの者は、若し国連軍引揚げという事態に直面する場合には、いずれも失業者となりますので、この事態に備え、工場誘致に必要な旧軍施設をでき得る限り早期に返還されたいとの趣旨であります。  次に、駐留軍演習場設定に反対の請願陳情各一件のうち、日程第八十九、岡山日本原陸軍演習場接収反対に関する請願は、目下接収問題について政府当局及び日米合同委員会において検討中の日本原地帯は、県の農業行政の見地から見ますと、県北部唯一の農適地であり、これを総合的に高度利用して農民生活の安定を図るべきであること、本地帯の活用により農業零細化の防止ができること、又、本地域は早生地農業として酪農を導入し、以て農家経済の安定度を高めることができる等の理由により、日本原全域を開放せられたいとの趣旨であります。次に、日程第百四十七の福井県若狭湾上空米空軍飛行演習場化反対に関する陳情は、右の若狭湾は日本海における最優秀の漁場で、福井県にとつては県の漁業が挙げて本海区の宝庫に依存し、本県漁民の生命線となつていまするので、若し若狭湾上空が米空軍の飛行演習場となれば、本県漁民の物心両面に受ける影響は甚大でありますから、かかることにならないよう格別の考慮を払われたいとの趣旨であります。  最後に、日程第九十、未帰還抑留胞引揚促進等に関する請願二件は、いずれも、終戦以来すでに八年を経過した今日、未だ数万の同胞が海外に抑留され、又消息不明であることは遺憾に堪えない。又肉親の堪え得ないところでありますから、抑留同胞の帰還及び消息不明の同胞に対する調査究明につき、速かにその対策を確立実行し、又巣鴨に拘置されている戦犯者の釈放にも万全を期せられたいとの趣旨であります。  以上の各件は十一月六日の委員会において審査いたしましたが、いずれもその願意を理由あるものと認め、これらを議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定いたした次第でおります。  以上御報告申上げます。(拍手
  47. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  48. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  49. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第九十一より第九十三までの請願及び日程第百四十八の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  51. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今上程せられました大蔵委員会付託の請願並びに陳情につきまして御報告申上げます。  本委員会におきましては、名案についてそれぞれ政府の見解を聽取しまして、質疑応答を重ね、慎重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。  請願第六十六号、陳情第三号は、岡山日本原旧陸軍演習場を、今日検討されつつある演習場に指定することなく、総合開発計画を実施し、岡山県農業の宝庫とならしめるため、速かに払下げられたいとの趣旨であり、請願第百二号は、尼崎港が未開港のため、同港出入船舶が多大の不便をこうむり、必然的に、大阪、神戸両港に依存する結果、中間経費が割高となつてへ各種企業の合理化が阻まれておるから、本港を開港場に指定せられたいとの趣旨であり、請願第百四十五号は、本件冷害による極端な減収は、単に本年だけでなく、今後数年間深刻な影響を関係農家に及ぼすことは明白であるから、その救済処置として、青色申告者以外の農家に対しても、収支計算上生じた超過経費について、青色申告者同様、繰越控除の臨時特例措置を講ずると共に、地方税法中特に固定資産税及び住民税の均等割について減免の措置等を講ぜられたいとの趣旨であり、いずれも妥当と考えられます。よつて以上の請願三件、陳情一件は、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  52. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採決し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採決し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  54. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第九十四及び第九十五の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文部委員会理事剱木亨弘君。    〔剱木亨弘君登壇拍手
  56. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 只今上程されました請願第五十一号及び請願第百六十一号に関する文部委員会の審議の経過並びに結果を御報告申します。  右の請願二件は、いずれも僻地教育の振興促進を趣旨といたしておるものでありまして、経済的文化的に立遅れた僻地の学校教育、社会教育の充実を期するため、国と地方公共団体との責任による僻地教育振興の根本方策を樹立し、これに必要な経費の負担及び補助制度を確立する立法措置の実現を願意とするものでございます。文部委員会におきましては、慎重審議の結果、右二件の願意はいずれも妥当と認めて、これを採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  58. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  59. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第九十六より第百八までの請願及び日程第百四十九及び百五十の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇拍手
  61. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 只今上程せられました請願十七件、陳情二件につきましての厚生委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  これらの請願陳情を大別いたしますると、医療及び公衆衛生に関するもの三件、社会福祉に関するもの十三件、並びに社会保険に関するものが三件でありまして、医療及び公衆衛生に関するものは、下水道対策国立療養所の整備、看護婦の増員等のものであります。社会福祉に関するものは、戦傷病者並びに戦没者遺族に対する援護、母子福祉対策、引揚者の援護等に関するものであります。社会保険につきましては、健康保険療養給付期間の延長、国民健康保険事業に対する国庫補助の増額等に関するものでありますが、この種の請願陳情は、毎国会院議に付して内閣に送付し、その実現を促進しておるのでありまするが、今回におきましても重ねて政府当局より実情を聽取し、慎重に審議いたしました結果、以上の請願陳情十九件は、いずれも願意は妥当なるものと認め、院議に付して内閣に送付を要すべきものと決定いたしました次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  62. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  63. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  64. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第百九より第百二十六までの請願及び日程第百五十一より第百五十三までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員会理事白井勇君。    〔白井勇君登壇拍手
  66. 白井勇

    ○白井勇君 農林委員会に付託されました請願三十六件、陳情五件につきまして、このほど審査を完了しましたので、その経過及び結果の概要を御報告いたします。  右の請願及び陳情趣旨は甚だ多様でありますが、これを大別いたしますと、本年は御承知の通り数十年来曾つてない災害がありましたので、この関係のものが最も多いのでありまして、凶作対策に関するものが十七件、次いで十三号台風等の災害復旧に関するものが六件、いもち等病害虫の防除に関するもの五件、本年産米価及び供出に関するもの三件、土地改良、溜池、干拓、農道等、農地に関するもの四件、林業改良普及事業等、林業関係のもの三件及び肥料価格、自作農維持資金及び人造米に関するものがそれぞれ一件であります。  委員会におきましては、これからの諸件につき政府当局の意見をも徴しまして慎重審議をいたしました結果、未だ結論に達し得ない人造米推進等に関する陳情一件を除きまして、只今議題となりました請願三十六件、陳情四件は、いずれも全会一致を以て議院の会議に付し、採択の上、内閣に送付し、政府を促しまして、速かにこれが実現を期すべきものと決定いたしました次第であります。(拍手)  右御報告を申上げます。
  67. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もかければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  68. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  69. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第百三十七、鉱毒対策費国庫負担に関する請願議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。通商産業委員会理事松平勇雄君。    〔松平勇雄君登壇拍手
  70. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 只今議題となりました請願第三十二号鉱毒対策費国庫負担に関する請願につきまして、通商産業委員会の審議の結果につきまして、極く簡単に御報告いたします。  本請願趣旨は、本邦一の硫黄、硫化鉱を生産する松尾鉱山の鉱毒対策について、従来の被害防止策としてとつて来た鉱毒水処理の方法を脱し、新しい研究調査による鉱毒水完全処理の実施について国庫支弁による促進を要望しているもので、委員会は、その趣旨は妥当なるものと認め、採択し、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  71. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願は、委員長報告通りに採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  72. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこの請願は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  73. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第百三十八より第百四十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。郵政委員長池田宇右衞門君。    〔池田宇右衞門君登壇拍手
  75. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今議題となりました請願につきまして、郵政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  これらの請願は、岐阜県大垣市玉城簡易郵便局昇格に関する請願茨城県大田村西方に特定郵便局設置請願静岡県新野村簡易郵便局昇格に関する請願の三件でありまして、これらはいずれも関係地域の発展に伴う郵便施設の改善方につき郵政省の措置を要望するものであります。これに対しまして郵政当局より、三城簡易郵便局昇格については、取扱数も少く、郵政省において定めておる特定局設置標準には達せず、又、新野村簡易郵便局昇格については、設置標準には達しておるが、取扱数も少く、他との振合い上ずれも困難である。次に、大田村西方に特定局設置の件は、設置標準には達しているが、定員及び他との振合上急に設置は困難であるが、簡易郵便局の設置なら考慮する旨の答弁があつたのであります。  委員会におきましては、以上申述べました諸件につき、慎重審議の結果、いずれも願意妥当と認めて、これを採択し、議院の会議に付して、内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  76. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  77. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午後一時四十九分休憩      ——————————    午後七時四十三分開議
  78. 河井彌八

    議長河井彌八君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事報告いたさせます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案修正議決報告書  昭和二十八年台風第十三号による被害農地の除塩事業に対する特別措置法案可決報告書  昭和二十八年六月から九月までの風水害地域におけるモーターボート競走法の特例に関する法律案可決報告書本日議員から左の修正案を提出した。  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案(石川清一君発議)本日委員長から左の報告書を提出した。  昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案可決報告書  昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案可決報告書  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案可決報告書  昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)可決報告書  昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)可決報告書      ——————————
  79. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  昭和二十八年台風第十三号による被害農地の除塩事業に対する特別措置件案、  昭和二十八年六月から九月までの風水害地域におけるモーターボート競争法の特例に関する法律案(いずれも衆議院提出)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。風水害緊急対策特別委員長矢嶋三義君。    〔矢嶋三義君登壇拍手
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案について、本委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  去る六月及び七月に、西日本、南近畿等に生じた大水害に対しましては、被害の激甚さに鑑み、その復旧促進と民生の安定を図るため、各般の特別措置を講ずるよう、二十四件に及ぶ特別措置法が制定されたのでありますが、御承知のようにその後更に八月には、京都、三重、滋賀等に豪雨による大水害が発生し、又九月には、近畿、中部地方を中心として多数の府県に台風第十三号による風水害が発生いたしました。政府は、これら八月及び九月の風水害につきましても、六月及び七月の大水害に対する復旧等に関する各般の特別措置と同様の措置を講ずることが必要であると考え、これを現行の特別措置法の一部改正の形で行うこととしまして、本案が提出された次第でありますが、更に衆議院において後に申述べますような修正議決が行われて本院に送付されております。  次に本案の内容について申上げます。  第一条から第九条までの各条におきましては、昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律昭和二十八年六月及び七月の大水害による公立教育施設の災害の復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法、昭和二十八年六月及び七月の大水害による私立学校施設の災害の復旧に関する特別措置法、昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた学校給食用の小麦粉等の損失補償に関する特別措置法、昭和二十八年六月及び七月における大水害による地方鉄道等の災害の復旧のための特別措置に関する法律昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害地域における失業対策事業に関する特別措置法、昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域にある事業所に雇用されている労働者に対する失業保険法の適用の特例に関する法律昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害の復旧等に関する特別措置法、及び昭和二十八年六月及び七月の大水害による災害地域内のたい積土砂の排除に関する特別措置法の九法律について、おのおのその一部を改正して、各法律に定められた特別措置を、八月及び九月の風水害についても適用するように規定いたしております。又附則におきましては、現行の各特別措置法と同様に、この法律の施行前に施行された災害復旧事業等についても、この法律適用するための必要な規定を設けております。  なお本法案につきましては、衆議院において次の通り修正されまして本院に送付されております。  即ち内閣提出原案の第八条並びに第九条に関する二点でありまして、先ず第八条の公共土木施設等の災害復旧に関する特別措置法の改正に対しましては、内閣提出の原案に、『第五条中「大水害」の下に「又は風水害」を加える。』とありますのを、『「又は風水害」を加え、同条の次に次の一条を加える。』といたしまして、新たに第五条の二を設け、その第一項として、「地方公共団体若しくはその機関又は土地改良区が、政令で指定する地域において、八月及び九月の風水害により著しい災害を受けた海岸(海岸に接続する湖岸を含む。)及びこれに接続し、且つ、その効用を同じくする海岸について、災害防止事業を施行する場合は、災害復旧に関する分を除いて、国が、政令の定めるところにより、その事業費の十分の八を補助する」旨を規定し、且つ第二項として、「災害復旧事業並びに前項の事業は、昭和二十九年度までに完成するように政府が必要措置を講ずることに努めなければならない」としております。次に、内閣提出の原案第九条、即ち、「たい積土砂の排除に関する特別措置法」の改正に対しては、新たに現行法の第九条の見出し中「たい積土砂」とあるのを「たい積土砂等」に改め、同条の適用事業として「災害地域内に存する農地に水害等のため停滞している政令で定める共進以上の滞水の排除事業をも含ましめることとしているものであります。又その他、附則についても必要な修正を行なつております。  以上が衆議院より送付された本法律案の内容でございます。  本委員会としましては、すでに特別措置法の改正問題に関しましては特に小委員会を設置して検討し、又しばしば委員会或いは懇談会において種々論議を尽して来たのでありますが、更に去る十一月二日、本法律案提案理由説明を聞いた後、連日に亘り委員会を開催し、衆議院修正提案者並びに関係政府当局との間に熱心な質疑が行われたのであります。  本法律案のうち、内閣提出の原案に盛られております内容、即ち八、九月の風水害に対して、六、七月の大水害と同様な特別措置を講ずるという改正点については、すでに本委員会においても意見の一致をみていたところであります。又衆議院の修正に関する点については多々論議が尽されたのでありまして、以下その二、三の点について申述べることといたします。  先ず本法律案第八条に関する修正点につきましては、第一点として、「国庫補助率を如何なる理由を以て十分の八ときめたか、又かかる高率の補助を行う場合、却つて事業量を減少して事業の進捗を害するのみならず、河川法による河川事業等の補助率と比較してバランスを失し、公平を欠く虞れはないか」。第二点として、「仮に十分の八の補助率が決定した場合には、現行法による補助率との差額を第二次補正予算として措置することが考慮されているか」。第三点として、「海岸に接続する湖岸を含めたにかかわらず、同様の状態にあると考えられる琵琶湖等の湖岸を考慮しないのは如何なる理由によるか」等の質疑があつたのでありますが、これに対して衆議院修正提案者より、第一点については、「愛知、三重等の海岸は、過去の地震による地盤沈下の影響に加えて今回の高潮災害をこうむり、且つその被害の甚大さにおいて特異なる性格を有しているので、一応河川等の災害についても考慮したのであるが、特に高率補助を行なつても妥当であると認めたものであり、当初十分の九の補助率の案も出たが、種々意見の調整を図つた結果十分の八と決定したこと」。第二点については、「第二次予算補正の問題はまだ話合いをしたわけではないが、大蔵大臣の言明を信頼して、当然今後何らかの措置が講ぜられるものと考えていること」。第三点については、「建設省が設置する臨時海岸堤防建設部が行う事業に該当する区域として浜名湖を考えて、海岸に接続する湖岸を含めたのであるが、その他の干拓堤防等は、農林省当局の意見も聞き、単独立法によるほうが事業効果を挙げ得ると考えて含めなかつたのである」旨の答弁がありました。又建設省当局からは、事業量の厖大なる実情に鑑み、種々の見地より高率補助には疑点があり、むしろ起債、融資等の措置により事業の進捗を図るべきではなかろうか」との意見が述べられたのであります。なおこの問題に関しては、又、建設委員長より、建設委員会の多数の意見として、補助率を十分の八以内と改め、且つ地域を伊勢湾を中心とする愛知、三重の地域並びに浜名湖の入口に限定されたい旨の申入れが本委員会になされたのであります。  次に第九条の修正部分に関しましては、衆議院の修正提案者より、琵琶湖周辺、巨椋池附近その他の地域における長期の滞水による被害状況について説明があり、これらはいずれも自然排水が不可能であるため、少からざる費用を以て人工排水したものであつて、当然農地に堆積した土砂の排除と同一の考慮をなすべきであると考えて提案したとの趣旨を明らかにされた後、政令で定める基準を如何に考えるかとの質疑に対し、「明確な線を農林省と協議したわけではないが、一応、人工排水をしなければならない地域で、且つ相当の面積と水量の個所に限定して考えている」旨の答弁がなされたのであります。更に、排水事業は農地の災害復旧事業の中に含めて取扱い得るのではないかという点については、大蔵省及び農林省当局より、「現行政令第百四十六号第二条第二号の規定を適用して、長期且つ異常なる量の滞水に限り、農林大臣が特に必要と認めた場合、排水に要する諸器材の損料、燃料、電力等の消耗資材及び特定労務費等を対象として、災害復旧事業の応急工事として認め、国の補助を行うことに話合いがついている」旨の答弁がありました。又補助率については、委員のうちから、農地の災害復旧事業と同様十分の九とするのが妥当ではないかとの意見も述べられたのであります。  なお、以上のほか、地方公共団体の起債の特例の法律の第一条の一項二号にいう「その他これらに類する命令で定める災害対策に通常要する費用」とは如何なるものを考えているか。或いは地すべりを起し、被害を生ずる危険のある地域において、地方長官が家屋の移転を勧告した場合の補償措置を国の補助によるべきか等の点についても、それぞれ関係政府当局の意見を聞き、慎重なる審議を行なつたのでありますが、これら審議の経過の詳細につきましては一々申述べることを省略し、速記録により御承知願いたいと存じます。  かくして質疑を終了し、討論に入りましたところ、三浦委員より、先ず「地すべり等の防止事業並びに堆積土砂の排除事業を国が直接施行する場合の当該事業の地方負担率は、現行特別措置法の規定にある、国以外の者が施行上る場合の国庫補助に対する地方負担率と同一でなければならぬもので、国の直接施行に関する規定を補完する必要があるとの理由を以て、地すべり等の防止事業に対しては、第八桑中第五条の改正規定を改め、新たに第五条の二項として、「国が、政令で指定する地域において、地すべり等の防止事業を施行する場合、当該事業費についての地方公共団体の負担の割合を十分の一とする。」旨を規定し、更に第十条の次に第十条の二を設けて、「国がたい積土砂の排除事業を施行する場合、当該排除事業費については国がその全額を負担する」旨を規定すること。次に第八桑中衆議院の修正に係る第五条の二の規定については、八月及び九月の風水害のみならず、六月及び七月の大水害をも含ましめるほうが、一連の特別措置法と法文体系を合致させるゆえんであるので、同条規定中「風水害により」とあるのを「大水害又は風水害により」と改正すること。及び海岸を考慮するならば、当然同様の状態にある湖岸をも含ましめるのが妥当であるとの理由を以て、同規定中に、背後に農地を有する湖岸を入れること。並びに、その補助率については、他の河川等における改良事業の補助率又は地方負担率とのバランスを考え、且つ限られた国の財政面より事業の進捗を極力図ることが必要であるとの理由を以て、「その事業費の十分の八を補助する。」とあるのを、「その事業費のうち堤防等の施設につき被害のあつた個所に係る部分についてはその十分の八を、その他の個所に係る部分についてはその三分の二を補助する。」と改めること。更に農地の排水事業については、先に質疑の過程において明らかにされたごとく、農地の災害復旧事業として現行政令の適用により補助し得るので、特に立法の必要がないとの理由を以て、第九桑中第九条の改正規定及び第十条の改正規定を削ること、並びに以上に附随する必要条項を改正する」旨の修正案が提出されたのであります。  かくて討論を打切り、採決に入り、先ず三浦委員提出の修正案を、次いでこの修正に係る部分を除く衆議院送付案の全部を、それぞれ多数を以て可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申上げます。  次に、只今議題となりました昭和二十八年台風第十三号による被害農地の除塩事業に対する特別措置法案について、風水害緊急対策特別委員会における審議の状況及びその結果について御報告申上げます。  去る九月、近畿中部地方を中心として各地を襲いました台風第十三号による被害は激甚を極めたのでありまするが、そのうち、静岡愛知、三重、和歌山等、各県下の海岸地方におきましては、海水の浸入のために生じた農地の被害は甚大なものがありますので、これら被害農地の除塩事業を速かに行い、以て農業経営の維持安定を図る必要を認め、衆議院水害地緊急対策特別委員会提出の法律案として本案を提出されたものであります。  先ず本法律案の概要について申上げます。第一に、除塩事業の定義でありますが、台風第十三号によつて生じた農地の塩害を除去するために行う灌漑排水施設の設置及び管理、客土又は石灰等の施用の事業であります。第二に、国の補助につきましては、政令で指定する地域内の除塩事業を施行する地方公共団体又は土地改良区に対し、予算の範囲内で、灌漑排水施設の設置に要する経費、揚排機に必要なる動力費、客土に要する経費、石灰等の施用に要する経費等を補助ずることとし、国の行う補助の比率を十分の九といたしております。第三に、除塩事業に対する政府措置につきましては、昭和三十年度中に完成することができるように必要なる措置を講じなければならないことといたしております。その他へ事業計画の承認、監督、補助金の返還、実施規定等、所要の規定を設けると共に、本法施行前に行なつた除塩事業についても本法を適用することといたしております。  本法案は、十一月七日、提案者を代表して衆議院水害地緊急対策特別委員八木一郎君より提案理由説明を聴取し、慎重審議をいたしました。その内容については委員会の会議録を御覧願います。  かくて質疑を終り、討論を省略し、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。  最後に、只今議題となりました昭和二十八年六月から九月までの風水害地域におけるモーターボート競走法の特例に関する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法律案は、衆議院議員の提案のものでありまして、本委員会には本月四日に本付託となつたものであります。委員会におきましては、本日の委員会において提出議員より提案理由説明を聞きましたところ、その内容は、前国会で成立いたしました大水害地域における自転車競技法の特例法に関する法律の例に倣い、最初の十二日間に限つて、当該競走に係る納付金を免除して、六月から九月までの風水害によつて被害を受けた地方公共団体の財政の窮迫を緩和しようとするものであります。  本法律案について各委員より熱心な質疑が行われ、殊に三浦委員よりは、免除された国庫納付金の使途についての質問がありましたが、これに対し政府より、その使途は風水害の復旧費に充当するものである旨の答弁がありました。次いで討論に入りましたところ、一委員より討論省略の動議が提出されましたので、討論を省略して採決に入りましたところ、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  82. 河井彌八

    議長河井彌八君) 昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、石川清一君より成規の賛成者を得て修正案が提出されております。  この際、修正案の趣旨説明を求めます。石川清一君。    〔石川清一君登壇拍手
  83. 石川清一

    ○石川清一君 私はこの際、只今上程になりました昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由につきまして御説明申上げたいと存じます。  修正案文はお手許に配付された通りであります。  只今の委員長の御報告によりますと、この法律案の第八条関係の改正として、衆議院における修正により第五条の二として加えられました海岸についての災害防止のために必要な事業の補助に関する規定を更に修正して、背後に農地を有する湖岸をも海岸同様その災害防止のために必要な事業について補助することといたしております。この背後に農地を有する湖岸についての災害防止のために必要な事業について、その実施を促進する必要のあることは、私もこれを認めるにやぶさかではありませんが、この湖岸につきましてはなお若干検討を要する点もあり、今後引続き調査研究の暁において、適当な成案を得、法制化することが、この際、諸般の事情をも考慮して適当であると存じます。従つてこの修正案におきましては、委員会の修正に対し、右の背後に農地を有する湖岸についての事業を第五条の二の補助の対象から除外いたした内容のものでありまして、その他の点は委員会修正通りのものであります。  以上を以て本修正案の提案理由説明といたします。(拍手
  84. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより三案の採決をいたします。  先ず昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  先ず石川清一君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  85. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて石川清一君提出の修正案は可決せられました。      ——————————
  86. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、只今可決せられました修正部分を除く委員会修正案を含む本案全部を問題に供します。可決せられました修正を除いた部分は委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  87. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて石川清一君発議に係る修正を除く部分は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。よつて昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案は修正議決せられました。      ——————————
  88. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、昭和二十八年台風第十三号による被害農地の除塩事業に対する特別措置法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  89. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  90. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、昭和二十八年六月から九月までの風水害地域におけるモーターボート競走法の特例に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  91. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めすす。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  92. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、  昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇拍手
  94. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました冷害等関係三法律案につきまして、農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  先ず、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案について申上げます。  本法律案は、本年の冷害並びに冷害による病虫害によつて損失を受けた農業者に対する資金の融通を円滑にして、その経営の安定に資するため提案せられたものでありまして、その内容は、過ぐる第十六回特別国会において、西日本を主とする水害に対処して成立を見ました、昭和二十八年六月及び七月の水害による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法に準ずるものでありまして、その大要は次のようであります。  即ち、この法律案による融資の対象となる農家は、本年の冷害及び冷害による病虫害のため、本年八月から十二月までの間において収穫される農作物又は繭につきまして、平年作に比べて三割以上の減収をこうむつた者でありまして、資金は、種苗、肥料、飼料等の購入に必要なものを初め、副業その他農業経営を維持するため必要なもので、昭和二十九年五月三十一日までに貸付けられ、貸付金額は被害農家一戸当り北海道では二十万円、その他の地方では十五万円の範囲内、償還期間は五年以内、利率は、一般は年六分五厘、開拓者に対しては五分五厘でありまして、被害の特に甚だしい町村又は開拓地区における被害農家に対しましては年三分五厘とし、資金の貸付は農業協同組合又は金融機関によつて行われ、農業協同組合はその資金源を都道府県信用農業協同組合連合会又は農林中央金庫に求めることができるのであります。而して都道府県又は市町村がこれらの金融機関に対して利子補給及び損失補償を行う場合、国はその経費の一部について都道府県に対して補助することとなし、利子補給につきましては、都道府県又は市町村が年五分乃至八分を補給した場合、国はそのうち年二分五厘乃至五分五厘に相当する額を補助し、損失補償につきましては、都道府県又は市町村が融資総額の百分の四十まで補償した場合、国がその二分の一を補助することとし、これらの国の補助の対象となる融資は総額百五十億円限度となつておりまして、右の政府原案に対しまして、衆議院におきまして、  (一) 融資取扱機関として、薪炭原木購入資金及び炭がま構築資金についてほ森林組合においてもこれを取扱うこととすること。  (二) 融資の対象に家畜維持資金をも明文化すること。  (三) 貸付金額について政令で定めることになつているところを法律の規定によつて明文化して、その基準を緩和すると共に、牛又は馬を所有する被害農家に貸付けられる場合は更に三万円を加算すること。  (四) 被害激甚の認定基準に改訂を加え、適用区域を拡大すること。  (五) 前に述べましたように、融資取扱機関として特定の場合においては森林組合をも追加したことに従つて、国庫補助の取扱をこれに即応せしめること。  (六) 国の補助の対象となる経営資金の総額の限度を百五十億円から二百二十億円に増加すること。  等の修正を加えて議決して、本院に送付して来たのであります。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申上げます。  本法律案は、今次の冷害に処する対策の一環として、冷害地帯に新たに土地改良その他の救農土木事業を起し、これらの事業による労賃収入によつて被害農家の現金収入の補いとすることを所期し、而してこれらの事業の事業費の地元負担分に対して、農林漁業金融公庫において融資することとし、これが資金に充てるための公庫の資本金を——これは当初は十億円でありましたが、補正予算修正に伴つて二十五億円に改められたのでありまするが——二十五億円に増額するため、公庫に対して政府から追加出資を行うため提出されたものであります。  次に、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案について申上げます。  本法案も又第十六回特別国会において成立いたしました昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律に準ずるものでありまして、ただこの法律におきましては、生産農家が水害によつて、その生産して所有していた米麦が流失、埋没或いは腐敗のため著しい被害を受け、飯用食糧に不足を来たした農家を対象としておるのに対しまして、本法律案は、昭和二十八年に政令で定める地域内において生じた冷害及び昭和二十八年六月から九月までの間に同じく政令で定める地域内において生じた風水害によつて、米麦又は雑穀を生産する農家が、著しい減収をこうむり、これがためその生産した米麦又は雑穀が自家飯用に著しく不足する旨、都道府県知事の認定を受けた農家に対して、一定の数量の米麦を生産者価格程度の特別価格で都道府県及び市町村を通じて売渡し、被災農家の食糧の不足を補い、その救済に役立たせようとするものであります。  委員会におきましては、以上三法案とも極めて熱心な審議が行われたのでありまして、その詳細につきましては、時間の関係上、ここに、これを省略して、会議録に譲りたいと存じます。  かくして三法律案とも質疑を終り、三法律案を一括して討論に入りましたところ、北委員から、以上冷害関係三法律案の施行に当つて政府におけるこれが実施に遺憾なきを期するため、附帯決議の動議が提出されたのでありまして、この際、右附帯決議案朗読いたします。   政府冷害関係これら三法律案の施行に当り、次の事項について遺憾なく措置すべきである。  (一) 被害農家に対する融資の資金源は、専ら農業協同組合系統金融機関等の金融機関の自己資金が対象となつていて、これら金融機関に対する災害金融の期待は、本年春の凍霜害以来今回の冷害を加えて数百億円の多額に達している。然るに打続く災害によつて農家における貯金の引出し或いは不作による収入減等のため、これら金融機関における資金の蓄積は楽観を許さないものがあり、又、本融資は五年以内に中期金融に属するものであつて、これにのみ融資をするときは、六、七月の候、資金の端境期において組合金融に梗塞を来たす虞れがある。かかる情勢に対処して、融資に対して、これら金融機関の完全な協力を期待するため、政府は今後におけるあらゆる事態に備えて、これら金融機関における資金繰りに支障を来さないよう、これが資金源の確保に対して財政資金の投入等遺憾なく措置すること。  (二) 政府は被災農家の需要する資金の供給に万全を期するとともに、地方被災農家の営農並びに生計上における必需物資の供給の確保及び価格の適正等、物の面における対策についても遺憾なく措置すること。  (三) 冷害対策救農土木事業における団体営灌漑排水事業、土地改良事業及び温水施設事業等に対する補助率を五割以上に引上げ、且つ対象面積を一団地三町歩以上に引下げること。  (四) 農林漁業金融公庫における被災地に対する貸付金の利率、据置期間及び償還期限等の貸付条件を極力緩和すること。  (五) 被害農家に対する米麦の特別売渡に当り、米麦の売渡数量の算出につき、従来、供出農家であつて、たまたま今次の冷害等によつて非供出農家に転落した農家に対する米麦の売渡数量の算出に当つては、当該農家の従来の米の保有量を十分に考慮すること。  (六) 米の生産についてみても、農林省発表による十月五日現在の試算収穫高に対して、十月十五日現在の予想収穫高は、僅々十日間に約百万石、約百億円の被害が拡大しているのであつて、思いを今後に寄せるとき、甚だ憂慮に堪えないものがある。かかる情勢に対処して政府冷害対策の完璧を期し、これがため必要とする経費を第二次補正予算に遺憾なく計上すること。  (七) 冷害対策実施に必要な経費を賄うため、食糧増産対策費等の既定予算を削減せざるは勿論、今次の冷害にかんがみ、食糧増産に対する施設の拡充を図ること。  (八) 政府は今国会に提出せられた農林関係冷害対策関係法律案に関連する政令について事前に当委員会に内示すること。   右決議する。  以上であります。  その他には別に発言もなく、続いて三法律案を順次採決に付しましたところ、いずれも全会一致を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次いで北委員の動議による附帯決議につきましても、提案通り全会一致を以て可決せられたのであります。なお、これら附帯決議については、政府において誠意を以てこれが実行に当られることを期待いたしまして、報告を終ります。(拍手
  95. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  96. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  97. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、  昭和二十八年度一般会計予算補正、(第1号)  昭和二十八年度特別会計予算補正、(特第1号)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。予算委員長青木一男君。    〔青木一男君登壇拍手
  99. 青木一男

    ○青木一男君 只今議題となりました昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  今回の補正予算は、主として本年度の異常なる風水害並びに冷害に対処するため、特に緊要と認められる災害対策費等に限定して編成の上、去る十月二十九日国会に提出されたのでありますが、その後、政府は、災害予算に関する三党協定成立に伴う諸般の事情を考慮し、国会法第五十九条の規定に基き、衆議院の承諾を得てこれを修正いたしたのであります。政府原案は、当初に比し若干その内容に変更を来たしたのであります。即ち、その修正の要点は、農業保険費を四十五億円減額して、冷害等対策費を四十五億円増額したことであります。併しながらこれによつて補正予算の歳入歳出総額には何り異同を生じなかつたのであります。  以下簡単に補正予算の内容を申上げます。  第一に風水害対策費であります。当初予算におきまする当年発生災害のための予備費は百億円でありまするが、去る六月の西日本水害を初め累次の風水害により、公共土木施設、農地等の被害が甚大であつた上に、前国会で成立した特別措置法による国庫負担の増加もありますので、今回の補正において、災害予備費の追加十五億円を含めて風水害対策のための経費として三百億円が追加計上されました。  第二は冷害等対策費であります。冷害地等の深刻な実情に鑑み、この際、特に土地改良、開拓その他の救農土木事業の実施、補助率の引上げ、営農資金の利子補給、種籾の確保、罹災農家に対する米麦の廉売、延納、生活保護費の追加等、各般の臨時救済措置を講ずることとし、農林漁業金融公庫の出資の増加二十五億円、災害対策予備費の追加三十億円を含め、冷害等対策のための経費として百十五億円が追加計上されました。  第三は農業保険費であります。今春の麦及び蚕繭の被害により農業共済再保険特別会計において約四十億円の赤字を生じておりますが、その後の災害により水稲の被害巨額に達する見込みでありますので、この際一般会計より八十五億円の繰入れを行い、基金二十五億円、積立金五億円と合せて再保険金の支払に充てることにいたしております。  第四に奄美群島復帰善後処理費であります。奄美群島復帰に伴う琉球政府諸機関の引継、運営、公共施設の整備、産業の振興等、その他受入措置に必要な経費として十億円計上されております。  以上今回の補正による歳出追加額は合計五百十億円でありまして、そのうち五百億円が広義の災害対策費であります。  次に、これらの歳出に対する財源について申上げますと、専ら租税等の自然増収と既定経費の節減を以て賄つているのであります。先ず既定経費の節減につきましては、公共事業費、食糧増産対策費につき、災害復旧費を除き、新規事業の抑制、既定計画の重点化等により、当初予算額より五十九億円の歳出の節約をいたしておりますほか、平和回復善後処理費において七十億円、住宅金融公庫の出資において二十二億円、特定道路整備事業特別会計への繰入れにおいて十五億円の減額を実施し、歳出の節約総額は百六十六億円となります。一方、歳入の増加につきましては、租税及び印紙収入におきまして三百億円の自然増収を、又政府資産整理収入、雑収入におきまして四十四億円の増収を見込んでおり、歳入の増加額は合計三百四十四億円となり、結局補正額は歳入歳出ともに三百四十四億円となり、補正後の昭和二十八年度一般会計予算総額は歳入歳出とも九千九百九十九億円と相成るのでございます。  なお、特別会計におきましても、災害対策と関連しまして、農業共済再保険、特別鉱害復旧、特定道路整備の各会計におきまして、それぞれ予算の補正をいたしております。以上が昭和二十八年度補正予算の概要であります。  さて、本件は十一月三日衆議院を通過し、本院に送付され、十一月四日より審議を始めたのでありますが、審議に入るに先立ち矢嶋風水害緊急対策特別委員長より特に発言要求がありまして、同委員会における審議の状況を報告されました。  以下当委員会において委員政府当局との間に交わされました質疑応答の主なるものについて申述べます。先ず「今年の水害に対しその対策費を三百億円としたところの根拠はどうか。冷害対策を含めて五百億円というのは、本年の異常災害に対する予算として少な過ぎるのではないか。更に災害対策のため第二次予算補正をなす意思はないか。今回計上されてある予算以外に地方公共団体に災害費の融資を行うよう三党申合せがあるというがどうか」というような諸点でありました。これらの点につきまして政府は、「風水害対策費三百億円としたのは財政事情によるものであり、二十八年発生災害復旧事業費としては二百四十三億円であるが、そのほかにすでに災害予備費として支出済みの三十一億円、予備費の残り十六億円、今回追加計上した予備費十億円がある。なお冷害対策費の中にも農林と建設の関係の災害復旧費があるので、合計して三百十二億円で、これにより本年度発生災害の二割は復旧工事が施行できる。国費負担となる災害復旧費の総額は、純然たる災害復旧公共事業としては、過去三カ年の実績に基き事業別に査定した結果、国の負担分は千五百六十五億円となつたのである。これが年次割については、政府は三党申合せの趣旨を尊重し、工事量として三割、五割、二割の比率となるよう努力する所存であるが、今次予算に計上してある二割との差一割分即ち百五十七億円については、今後工事の進捗状況を睨み合せ、真に緊急なるものについては、資金運用部等の資金融通で実施せしめる方針である」と説明されました。  次に、「政府が一度確信を以て国会へ提出した予算案を、政府与党を含めた三派の協定により修正せしめられたことについての政府の責任をどう思うか。百五十七億円の融資は財政的裏付けが不十分で、実際には出ないのではないか。現在のつなぎ融資百八億円及びこの百五十七億円の融資につき利子補給の措置が講ぜらるべきではないか」等の質問がなされました。これに対し政府は、「予算の修正はもとより好ましいことではないが、少数内閣として予算の一日も早い成立を望むためとつた止むを得ぬ措置であつた。地方融資は百五十七億円を最高限度として、進捗状況と必要性を見て出すが、その財源は、資金運用部資金のみでは、今回の予算補正に伴う運用計画の変更により余力が十分でないから、不足であれば地方銀行の資金を利用することなども考慮せねばならない。これらのつなぎ融資は、市中融資であれば利子補給も考えねばならぬが、大部分は資金運用部分であるから、目下研究中である」と答えられました。  次に冷害対策費については、「冷害対策を講ずる上の政府の基本的考え方はどうか。今回の冷害は地域により非常な差等があるので、冷害対策費の使用に当つて、真に困窮している地方に金が出るような特別の考慮を払うべきだと思うがどうか。農業保険から四十五億円を削つたが、共済金の支払に支障はないかどうか。冷害対策予備費に三十億円も計上しているのは不適当ではないか」等の質疑がありました。これに対し政府は、「今年の異常な冷害に対しては速かに農業共済金を支払い、救農土木等により被害地農民の手に賃金の落ちる方策を講ずること、食糧不足農家には食糧の廉価配給を行い、且つ営農賃金の確保を図ることにより明年の再生産に支障ないようにする。而して冷害対策費の配分に当つては、冷害が非常に不均衡に発生している事実に即応し、町村ごとに検討し、被害の最大な個所から着工されるよう措置する。共済金の支払は農林中金の資金で十分賄い得る」と答弁されました。又「冷害対策予備費については、救農土木に二十億円、保温苗代助成費五億円、一般補助費の増加五億円という工合に、大体の使途はきまつている」と説明されました。  なお、予算全般の問題としては、「今回の補正予算の財源捻出のためとられた措置について、政府はインフレになる虞れがあるから、災害対策費を殖やせないと言うが、住宅対策費や、食糧増産費や、公共事業費を削りながら、一方に防衛関係のごとき不生産的支出に手を触れないのは矛盾ではないか」という意見がありました。又、「第二次災害対策費を計上する意思はないか。今回の補正に漏れた一般補正予算はいつ国会へ提出されるか」という質問に対しましては、「政府としては、今年度内に災害対策費の第二次補正は行わないこと、一般補正の分は通常国会の初めに提出する」と答弁されました。  更に二十九年度の予算の見通しでありますが、これについては大蔵大臣も非常に編成難であることを認めました。併しその中においても、防衛力漸増の方針に基く保安庁費の増額と、災害復旧費と、砂防を中心とする治山治水の恒久対策等を重点的に取上げたいと述べられました。  このほか、予算とも関連する重要な問題として質疑を重ねたものに、人事院勧告、公企労法に基く仲裁裁定、食糧需給並びに米価問題等がありました。前者については、人事院勧告を実施することは、今年度は財政事情から至難であること、公社並びに現業公務員の仲裁裁定も、ベース・アップを行うことは、今年の資金繰りのみならず、明年以降の収支と更に一般公務員との均衡なども考えねばならず、その実施は容易でないというのが政府の見解でありました。これについては、政府のこのような態度に公企労法を骨抜きにするものであり、重大な結果が起るのではないかという質疑がありましたが、緒方国務大臣より、政府は今後国民も公務員も納得するような解決が得られるよう努力したいと答弁されました。食糧問題についても熱心な論議が交わされましたが、その中で、「先に決定を見た豊凶係数による引上額石当り五百円のほうは別として、その後の推定により更に大幅の引上げが考えられるかどうか。若しその場合これを財政負担でやるとするならば、その分は米価に織込まないで凶作対策費に廻したほうがよいと思うがどうか」との質疑に対し、「豊凶係数の計算方式はまだ米価審議会より答申を得ていないので未定であること、この加算額は理論上からは消費者米価に入れるべきと思うが、消費者米価にそのまま一度にかぶせることは適当でないと思うから、数年に分けて負担してもらうのがいいのではないかとも考えている」との答弁がありました。又、「政府は米食率は確保すると言明しているにかかわらず、地方においてはすでに米食率が引下げられているのではないか」との質疑に対しては、政府が米食率を確保するという意味は、消費地の最低米食率はこれ以上下げないということであり、生産県より移入県に転落した府県の米食率は消費地並みに引下げることはこれは止むを得ない」と答弁されました。  次に防衛問題その他重要な国際関係の諸問題でありますが、先ず前者につきましては、「最近、政府は防衛問題に関し、従来よりも更に一歩前進し、防衛力漸増の義務を認め、保安隊が直接侵略にも当ることを認め、更に保安隊が軍隊であることを認める等、防衛の基本方針に重大な変更を加えたのではないか」との質疑に対し、政府側より、「何ら根本的に変つた点はなく、日本が自国の独立をみずからの手で守るために、駐留軍の漸減に備え防衛力を漸増すべきは当然であり、又我が国が直接侵略を受けた場合、保安隊が武器を取つてこれに当るのも当然であり、更に保安庁法を改正して、外敵の侵入に対抗し得るものにしたとしても、保安隊は法的意味の軍隊ではあり得ないが、通俗的に軍隊と称しても差支えはない。而して自衛力を漸増して遂に戦力に至つたときには憲法改正の必要があるが、併し今日再軍備は考えていない」との答弁がありました。  中共貿易の問題でありますが、「第十六国会の日中貿易促進に関する決議趣旨に基いて、日中貿易促進議員連盟は、去る十月二十九日、中国との新らしい貿易協定締結して来たが、これに対する政府の見解はどうか。又、中国政治協商会議の代表者を我が国に迎えることについてどのように考えるか。又一般的に日中関係についての所見如何」との質疑に対しましては、「日中貿易の振興にはできるだけ努力するが、国交未だ回復しておらず、我が国としては国連協力の要もあるので、協定が十分実行せられるかどうかについては疑問がある。又、中国政治協商会議の代表者を受入れることについては、政府としては慎重な考慮を要すると思う。日中国交の回復については、それを実現する手段がないから、いたし方がない」という答弁がありました。  最後に、池田・ロバートソン会談について熱心なる質疑応答がありました。先ず「吉田首相が、池田特使は首相の個人的特使であり、その声明は首相個人を拘束するが、政府を拘束するものではないとし、国会でその内容を説明することを避けているが、憲法上、政治上、納得しがたい。又新聞の報道するところによると、日本政府は右日米共同声明の内容を全面的に確認する旨駐米大使を通じて米国に通告したとのことであるが、果して事実かどうか」との質疑に対し、「池田・ロバートソン会談は双方の意見を互いに開陳したにとどまり、何らの協定もしていないので、これを政府が確認するというような問題は生じない。ただ同会談で、日本の防衛力、MSA及びガリオア等の諸問題について近く東京で協議を行うことに意見の一致をみているので、東京で会議を開くことに同意しただけで、共同声明の内容を確認したわけではない」との答弁があり、更に「この会談で一般的了解に達した防衛力増強、中共貿易の高度統制、その他いずれも日本の運命に重大な関係のある事項であるから、政府会談の経過を国会に報告すべきであると思うがその意思はないか」との質疑に対し、吉田内閣総理大臣より、「会談の成果は共同声明に集約されているので、それ以上国会に対して報告することもない」との答弁がありました。  以上は委員会における質疑応答の主なるものでありますが、その他詳細につきましてはこれを速記録に譲りたいと思います。  かくして質疑を終局し、討論に入りましたところ、先ず日本社会党第四控室を代表して三橋委員より、本予算は相変らず再軍備費を含み、国土と国民生活を破壊するものであるとの理由で反対。自由党を代表して高橋委員より、本補正予算は災害予算として早急成立を希望して賛成。日本社会党第二控室を代表して松澤委員より、本補正予算は災害予算として不適当であり、組替えるべきであるとの立場から反対。緑風会を代表して森委員より、災害予算の早期成立を希望する国民的要請に応え、運用上の要請を付して賛成。無所属クラブを代表して木村委員より、災害予算として貧弱、不十分であり、防衛費のために民生費、建設費を犠牲にしているという理由で反対。改進党を代表して堀木委員より、一日も早く政府をして応急の措置をとることを可能ならしめるため希望を付して賛成。純無所属クラブを代表して三浦委員より、災害対策を早急に実施するため、希望を付して賛成の旨を述べられました。  かくて討論を終局し、採決の結果、予算委員会に付託せられました昭和二十八年度予算補正二案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお最後に、森委員から、予算の不正不当支出防止に関する決議案が提出せられ、採決の結果、全会一致を以て可決せられました。  その決議は次の通りであります。    予算の不正不当支出防止に関する決議   国民の血税を以て編成される予算は、厘毛たりといえども、これが不正不当に支出されるが如きは、許すべからざる所であるにも拘らず、会計検査院の年次報告に見れば、年々その件数を累加しつつあるは誠に遺憾の極である。未曾有の大災害に際し、之が復旧に関し、苟くも斯くの如き事態の発生せざる様、政府は速に具体的な措置を講じ、万全を期すべきである。   右決議する。  右に対し小笠原大蔵大臣より発言を求められ、政府を代表して次のように所信を表明せられました。  「只今の御決議に基き、政府においては、御趣旨を体し法令の制定等具体的な方法を講ずることとし、仰せのごとく国民の血税を以て編成される歳出予算は最も効率的な運用を図ると共に、かりそめにも不正不当に支出せられざるよう厳に措置することといたします。」  以上御報告申上げます。(拍手
  100. 河井彌八

    議長河井彌八君) 両案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。藤原道子君。    〔藤原道子君登壇拍手
  101. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は日本社会党を代表いたしまして只今上程になりました昭和二十八年度一般会計補正予算並びに特別会計補正予算案に対し、反対の意思を表明いたすものであります。  政府は今国会の召集に当つて救農国会と称し、予算も災害、冷害対策に限定し、これによつて罹災者に緊急処置の温情を匂わせ、あたかも異常なる災害に悩む人々に大きな希望と期待を持たせ得るかのように装つておるのでありますが、果してこの予算案が救農一枚看板で貫かれた国会にふさわしい内容を持つた補正予算案でありましようか。私は、政府のその誠意の微塵をも見出だすことができないのでございます。而も大蔵大臣が責任を以て提出したと称する予算案を、大蔵大臣が両院本会議において説明をし、その舌の根も乾かないうちに、保守三党の楽屋裏の取引によりまして修正が加えられ、政府は当初の大言壮語にもかかわらず、みずから修正予算案を提出いたしたのであります。保守三党が予算委員会において修正を行わず、楽屋裏の取引に終始したことは、みずから国会の審議権を軽視し、国会の威信を傷つけたものであり、これをそのまま呑んだ吉田内閣の態度も又少数内閣の弱さのためとは言え無責任も甚だしく、民主主義政治の正常なる運営上甚だ遺憾であると言わなければなりません。保守三党がかかることを平然と行い、将来に対して悪例を残すならば、やがて国民の信頼は国会を離れて行くでありましよう。而もかかる楽屋裏の取引によつて修正されました補正予算案によつて果して罹災者が救われるでありましようか。災害が復旧し、或いは不安なき国民生活が保障されるでございましようか。断じてそうとは考えられません。  先ず第一に指摘いたしたい点は、今年の災害は、前国会の開会中の六、七月に起つた未曾有の暴風雨による九州、和歌山の災害以来、数次に亘るものであり、その被害の規模も全く異常に深刻なものであります。従いまして、第十六回国会におきましては、衆参両院に水害地緊急対策特別委員会が設置され、又政府といたしましても対策本部を設け、災害者の救済と災害復旧のための努力を国民に誓われたはずであります。爾来、特別委員会は涙ぐましいまでの活動を行い、休会中といえども休むことなく、実情調査に、その対策に腐心されたことに対しまして、我々は心からなる敬意を表する次第であります。而して委員会は超党派的な努力によりまして二十四の特別立法を行い、又復旧事業費の国庫負担分につきましては満場一致千八百億円としたのであります。従いまして、これを三・五・二の比率で支出いたしますならば、本年度といたしましては当然五百四十億円を補正予算に計上しなければならなかつたはずであります。然るに政府は無慈悲にも、先ず総額を千五百六十五億円に削減し、予算にはその二割にも足りない僅か三百億を計上したに過ぎないのであります。政府は本年度はこれで足りるとうそぶいているのでありますが、政府が今回この種予算の三割の原則を二割に切下げられましたその真意はいずこにあるのでありましようか。口に災害対策、救農を叫ばれる政府並びに自由党、改進党の皆さんは、今度の災害がそんなに軽微なものとお考えでありましようか。現在なおその家は潮水に洗われ、水田の海水は未だに引かず、一年の努力による収穫を根こそぎ失い、その飯米にも窮している人々は、罹災半年を経過してなお住う家もできず、十一月のこの寒空に学校の教室に震えている人々の暗澹たる希望なき姿は見るに忍びないものがあるのであります。又冷害対策にいたしましても、政府及び保守三党によつて作られました修正予算案においては、農業保険費不足補填百三十億円のうち四十五億円を削つて冷害対策費、農林漁業金融公庫出資の増加に廻して、辛うじて百五十億と辻褄を合したのであります。又財源といたしましては、既定経費削減分を計上しておりますが、そのうち、公共事業費、食糧増産対策費の削減、住宅公庫出資の二十二億円等、民生安定費を削減したのでございますが、これ又我々の認め得ない点であります。なお大蔵大臣は、復旧事業の進行によつて資金運用部資金の融資を図ると言つておりますが、その数字的な裏付けはなく、従来の例や大蔵当局の言から見まするならば甚だ心許ない次第であります。殊に、実際には出さない肚が見え透いているよりに思えるのでございます。  第二に、政府は、インフレの危険あるが故に補正予算総額をこの程度で抑え、インフレ要因の排除に努めると自讃しているのであります。併しながら、ワシントン政府や財界の要望に従つて、インフレを口実にして、災害の復旧や冷害に悩む農民の生活に金を出し惜しみをしているのであります。これに対して、我が党は衆議院におきまして、両社共同組替案といたしまして、災害復旧事業費を六百億、凶作対策費といたしましては、冷害対策費百三十億、農業共済保険繰入百五十億を計上し、政府の救農予算計上額五百億に対し計八百八十億といたしたのであります。なお、このほかに、農業金融公庫出資、つなぎ融資の利子補給等、合せて九百一億を計上いたしております。ところが、これに対して保守党の諸君は経済破壊のインフレ案であると言うのでありますが、私は、今日再軍備を推進し国民生活を圧迫しつつある防衛費こそがインフレの要因であると(拍手)断ぜざるを得ないのであります。このたびの補正予算の問題は、防衛関係費の削減なしには解決は絶対にできないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)財界を初め政府与党は、口を揃えて、インフレを防ぐためにこれだけしか出せないのだと言われますが、不思議にも現在使い残されておる一千二百億に余る防衛関係費には一口も触れないのであります。災害復旧のために使う予算がインフレを起し、防衛費がインフレ要因には関係がないというがごとき財界、政府与党の考え方こそ、耳を掩うて鈴を盗むがごときやり方であると言わなければなりません。毎年の災害復旧が次年度へ次年度へと繰越されるために、年と共にその災害は増大し、いよいよ多くの尊い人命が失われ、一年の汗の結晶の収穫は一夜にして一物をも余さず奪い去られ、ただでさえ不足の食糧がいやが上にも不足となり、なけなしのドルで、而も頭を下げ、高いまずいお米を、外米をますます多く輸入しなければなりません。そうしてそのために貴重なる外貨を使い果しておる。半面、罹災者の生活を地獄へ突き落しておる。この悲劇を思えば、今こそ過去の惰性を一擲いたしまして、抜本的対策を樹て、再び災害をこうむらざるよう災害復旧を完全にいたし、且つ治山治水の政治を起し、以て民生の安定と食糧の増産の擁立を図る積極的な政策の樹立こそ急ぐべきであると信ずるのであります。(拍手)曾つては食糧難、或いは洪水、乞食、餓死者等々で有名でありました中国におきまして、今日革命後四年にいたしまして、すでにこれらの災害を完全に除去し、建設的事業が着々と進行しておるということは、以て政府は大いに参考とすべきものであろうと思うのであります。  以上が救農国会における補正予算の実体でありますが、その他の国民のことは全然考慮せず、中小企業はつぶれても死んでも仕方がない、貧乏人は麦を食え、金持が米を食うのが経済の法則だという自由党一流の考え方に終始いたしておるのであります。今日中小企業の困窮は想像以上のものがありますが、不況の深刻化につれて大銀行の金融の引締めはいよいよ厳しく、窮迫の度は今やその年の瀬を控えてまさに絶頂に達しておるのであります。併しながら、政府は、今回の補正予算ではこれに対し何らの予算をも計上いたしてはおりません。我が党といたしましては、これが救済のために百億を計上いたしております。又公務員に対する人事院のベース・アップにいたしましても、すでに四カ月前に勧告されているにもかかわらず、政府は今回全く予算的措置をせずに放置しております。又国鉄、専売、電通、逓信、林野、印刷、造幣、アルコール等々の公共企業体に対しましては、すでに仲裁裁定が出ておるにもかかわらず、そして又当局は予算上措置可能であると言明しているにもかかわらず、政府はなおこれを無視して、それが予算的措置を講ぜず、これら公共企業体、現業官庁の従業員の権利を全く無視いたしました暴挙をあえて強行いたしたのであります。我が党は、仲裁裁定を完全に実施すると共に、公務員の給与ベースの引上げは勧告通り八月よわ実施し、苦しい年の瀬を迎えての期末手当一カ月分の支給、地域給寒冷地手当の是正を主張しているのであります。負けた国で経済の破壊の建直しの急務の時、そんな贅沢なことを言うなと言われるかも知れないが、我々は乏しきならば共に乏しきを分つ政治を欲する国民感情を知らなければならないのであります。第十六国会において違憲論まで出た予算編成のことを思い出したい。少数党内閣の政権維持の念願から、本予算審議の過程に、改進党との野合修正によつて公党としての面目を丸つぶれにしてまでその延命を図つたことは、つい三カ月前のことでありました。驚いたことは、そのとき政府案は、船舶会社に対しましてその利子補給を二十八年度からとして十三億計上されていたのが一躍百六十七億、そうして二十五年度遡及が決定した点であります。このことは、昨年炭鉱資本家に対し炭住融資の利子引下げを二十三年に遡つてなしたこと等、曰く何会社、曰く何々と、洗つてみれば政党献金のある会社ばかり、こういうことは平気で行える政府が、事、民生安定のためとなりますると、言を左右にして拒否しておるのであります。住むに家なく、食うに糧なく、働きたくても仕事のない失業者が巷に溢れております時、大衆はその住宅難なるがために、三畳に、四畳に、或いは六畳に五人、八人、十人ひしめき台つて暮らしておりますときに、なおこれらを顧みず、補正予算におきまして二十二億を削減した政府、大銀行、大会社のビルはどしどし建設され、高級料理屋に高級自動車が列をなし、歓楽街は大繁昌、通勤電車は定員の二・六倍くらいで大衆が苦しんでおりまする時、乗用車は戦前の七万台が二十七年にはすでに十六万八千台で二倍半、而も殆んどはアメリカ製の高級自動車で、大衆には全く縁のない代物でございます。国民に耐乏生活を求める前に、道義の高揚を説く前に、みずから守るべきことを私どもは強く要望せざるを得ないのでございます。  今や真実、我々はバターか大砲かの二者択一の段階に立つております。改進党は再軍備と社会保障は両立するとの主張でありますが、今どきそのような理屈は通らないのであります。防衛費が如何に莫大な予算を必要とするかということは、すでに諸兄の頭には判然といたしておると信じます。国民の前に真実を知らせること、真実を知りたいというのが、今の国民の一人々々の欲するところでありましよう。昨日の予算委員会におきまして、中田委員が、信を失うことはすべての終りであると、切々として政府に真実の答弁を求められましたが、まさにその通りで、最近の国民の政治に対する不信は、まさにその限度に達しているのであります。吉田総理は、二十一年六月、第九十回国会におきましての憲法審議のとき、戦争放棄に関する本案の規定は、直接には自衛権を否定していないが、第二項において、一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も又交戦権も放棄したものであると答弁しております。又、今日までの戦争は、多くは自衛権の名によつて始められた。自衛権による交戦権と侵略による交戦権とを分けることが有害であるとも答えて、全面的に戦争の放棄を言い切つておるのであります。ところが今日、再軍備はしないしないと口にされながら、事実は既定の事実を積み重ねられておることを考えてみて、国内治安のための警察予備隊が保安隊と変り、MSA援助の問題から起つて、近く自衛軍となるとやら。岡崎外相は、保安隊が直接侵略に対抗する任務を与えられてさえ憲法違反ではないと言明し、MSA協定の内容次第で保安隊の任務は変り得るものと、木村保安庁長官は言明をし、再軍備は今の国内経済力ではできない、又する段階ではないとしばしば繰返していたと思うと、自衛隊と呼んでも軍隊と呼んでもよいというような意見も飛び出して来ておるのであります。何を信じてよいやら、お先真暗で、手探りの状態に置かれておるのが現在の国民であります。まあ私ども国会議員の国会審議においてすら何事も知らされず、殆んど外国通信によつて知らされる実情であります。今回の池田特使の問題などは、余りにも国民を愚弄するやり方と言わざるを得ません。如何に黒を白とごまかすかということに、全努力、全智能を搾つておられる様は、全く見てはいられないというのが、現吉田政府の姿でございます。国民いわく、主権在米、まさに至言と言わざるを得ないと思います。而も保安隊という、私生児だか混血児だかわからない集団のために、苦しい国民の血税がふんだんに使われて、国民生活を圧迫しております。  今回の災害予算にいたしましても、その予算がないことの理由で、千二百億を越す防衛関係未使用費がありながら、緊急を要する国民生活のためには使用できないのは一体なぜでありましよう。而もこの防衛関係費こそが、明らかに平和憲法を蹂躪し、日本国民のささやかなる生活を根底から壊滅させ、破壊、荒廃せしめる再軍備の根源をなすものであります。従いまして、国民的災難である今期災害対策が軽んじられ、これが予算はインフレ要因となり、防衛費はインフレを来たさないという政府の考え方に反省を求め、今や世界情勢は戦争の危機は遠ざかつたと首相自身が言明されておるときに、何のために、誰のために、再軍備を急がなければならないか。平和な生活を求めてやまない国民の悲願を代表し、又、巷間、子供の遊びの中においてさえ、その言葉に、相手が嘘を言つたときには、「何だ、おまえは嘘を言つている。やあい政府だ、政府だ」と、嘘の代名詞を政府だなどといつている。(拍手政府の不信が童心にまで植え込まれることのないよう、この際、政府に猛省を促したいのであります。苦しくとも真実を国民に訴える、その上に立つて国民の判断力により事が決せられる政治こそ、すべての国民が求めてやまないということを強く主張し、これらに対し全然正反対の方向へ導く政府の施策に反対し、且つ救農予算の名をなさざる本補正予算案に対し絶対に反対をいたし、討論を終る次第であります。(拍手)     —————————————
  102. 河井彌八

    議長河井彌八君) 森八三一君。    〔森八三一君登壇拍手
  103. 森八三一

    ○森八三一君 私は緑風会の議員総会の決定に基きまして、只今議題となつておりまする昭和二十八年度の補正予算に対しまして、政府提出の原案に賛成をいたすものであります。  私どもがこの原案に賛成を表しまするゆえんは、去る六月、西日本を襲いました大水害を初め、近畿地方の災害、更に第十三号台風と、相次いで未曾有の大災害によりまして、多数の被災者はその日の生活にも困窮をいたしておりまするのみならず、北海道、東北を初めといたしまして、冷害地の惨状はまさに言語に絶するものがあると思うのであります。かような状況のために、国土の大半はまさに荒廃の中にさらされておりますことは極めて遺憾なことでございまして、速かにこれが復旧復興を図らなければなりません。こういりような関係のために、私どもは先に第十六特別国会におきまして二十有余の特別立法を行い、本国会におきましても、更にこれが補完的な意味からいたしまして、数種の立法をいたしたのでありますが、これが実施に必要な予算的措置が講ぜられておりませんために、未だ以て計画的な復旧の作業が進展をみておりません。これがためにいろいろの問題が巻き起つておるという実情でありまして、被災者は勿論、国民こぞつて予算の早期成立を熱望いたしておる実情に鑑みまして、提案せられました予算の具体的な個々の内容について見ますれば必ずしも十分とは申しがたいものもございまするが、災害対策を速かに実施しなければならんという国民的要望に応えなければならん趣旨によるのであります。  私はこの際、以下申述べまする諸点につきまして、政府の深い反省と注意を喚起いたしたい次第であります。  その第一は、本予算案が国会に提出せられまして、まだ実質上の審議に入りませんうちに、修正を見たことであります。勿論、各政党、各会派が政策上の協議をやつたり、その間に調整を図りますることに対して、何らの異議を持つものではありません。併し政府が確信を以て国会に提案せられましたものが議会のそとで協議せられ、いろいろな含みを持ちつつ修正を施されるというようなことは、見方によりましては、まさに議会の審議を軽視するということにも相成るのでありまして、今回のようなこの取運びが慣例となりますることは悪例と申さなければなりません。将来かようなことが前例となりませんことを強く望むものであります。例えば予算に具体化されていない事業が融資というような方法で国会の内容審議を待たずして推進され、それが次の年度における予算を拘束するというような結果が生れますることであります。即ち、災害復旧の年次計画、初年度二という計画を三に承認せられたということからいたしまして、百五十七億円の融資を以て処置をするというがごときことであります。  第二に申上げたいことは、政府説明されておりまするごとく、我が国最近の経済実情はインフレの傾向を否定するわけには参りかねるというのであります。これがために、財政規模の圧縮など万全の処置を講じてインフレを排除し、経済の自立を達成しよう、こう述べられておる。この基本的態度に対しましては全く同感でありまして、日本経済の安定、日本経済自立のために懸命の努力をしなければならんことは同感であります。といつて、それがために緊急に対処しなければなりません災害の善後処理が制約を受けて放置せられまするということも、これ又許されるべきことではないと存じます。極めてむずかしい問題ではありまするが、この両面は決して対立するものではなく、両立し得るものと存ずる次第であります。これがためには、ただ単に財政規模の圧縮ということを以て臨むべきではなく、産業の進展に必要な生産増強の経費は惜し気もなく出すべきであろうと思います。ただ不要のもの、不急のもの、或いは不生産的な経費の節減にこそ全力が指向せられなければならんと存ずるのであります。こういう意味におきまして、公共事業費、特に食糧増産経費を節減したことは、私どものとらざるところでありまして、甚だ遺憾に存ずる次第であります。第二次補正並びに明年度予算の編成に当つては、この点に十分留意せられまして、遺憾なきを期せられたいと存ずる次第であります。  第三に、今回の補正予算に示されました五百億円と別途融資で措置せられまする百五十七億円、合せまして七百億円前後になろうと思いまするが、この程度の額では災害の復旧や冷害の対策に十分であるとは申上げかねるのでありまして、勿論、資材や労力や時間などの関係もありまするが、国民の復興復旧意欲と関係者の努力によりまして事業の進展が図られまするような場合においては、ここに成立いたしまする予算というものに限定されることなく、第二次補正予算を行う等の決意を以て対処せられたいことであります。大蔵大臣も、私の予算委員会における質問に対し、かような場合においては財源を勘案しつつ善処したいと述べられておりまするが、すでに昨日発表せられました十月十五日現在によりまする作況によりますれば、十月五日現在のそのものに比べまして、その生産見込量約百万石の減収となつておるのであります。なお本予算には計上されておりません新しく立法せられました海岸堤防の修復とか除塩の関係等の新らしい法律に関連いたしまして、どうしても第二次補正は必至の状況にあると存ずるのでありまして、必要に応じまして第二次補正をされますることを特に申添えたいと存じます。  次に、百五十七億円の融資を初め、四十五億円の農災融資等、具体的に予算に計上されておりません部分を融資の措置に求められておるのであります。そうしてこれを資金運用部資金等がその原資として挙げられておるのでありまするが、資金運用部資金の実情は、殆んど新規の需要に応えるような余裕は持つておらないように存じます。ただ単に気安め的な融資措置を講ずるということでは事態解決にはなりません。いやしくも議場を通じて約束せられました融資が円滑を欠くがごときことがありましては、大変なことになる次第でありまするので、格段の留意をこの点に期待いたしまするのであります。更にこれが金利の補給に対する予算的措置を希望いたすものであります。  更に営農資金は、主として農林中央金庫の余裕金を以て充てるということに相成つておりまするが、年末から年始にかけまして、供米時期において農林中央金庫の余裕金が増加いたしますることは、農林金融の特異性と申しまするが、季節性に基くものでありまして、これに依存をいたしますることは甚だ危険と申さなければなりません。当面、余裕金を運用することは、これは止むを得ないことでございますが、農林金融に支障が巻き起りませんように対策を樹立せられたいのであります。  最後に、会計検査院の報告に見ましても、災害関係におきましては、県によつては九〇%以上の不正不当が指摘されております。その他、大なり小なり、各府県にかくのごとき批難がなされておる次第でありまして、誠に遺憾の極みであります。今年の異常災害を受けまして行われまする災害復旧事業が、従来のようなことで取り進められるといたしますれば、恐らく数百億円にも上る不正不当が行われるのではなかろうかと懸念に堪えません。これが防止のために万全の措置がとられなければならんと存ずるのでありまして、いやしくも不正が行われたり不当がありまするような府県に対しましては、将来一切の助成を打切るとか、監察制度を確立するとか、入札制度の改善を行うとか、或いは助成などに特に関係の多い官吏の立候補制限など、いろいろ対策として考えられるものがあろうと思います。この際、政府は異常な決意を以て不正の絶滅を期せられたいのであります。  以上を以ちまして私の賛成討論といたします。(拍手)     —————————————
  104. 河井彌八

    議長河井彌八君) 森下政一君。    〔森下政一君登壇拍手
  105. 森下政一

    ○森下政一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、政府提出の補正予算原案に対して反対をいたします。  政府は、今国会を救農国会と唱え、その提出いたしました補正予算を災害予算と呼んでおるようであります。このことは、六月以来、累次に発生いたしました水害並びに第十三号台風による災害、さては東日本一帯に亘る冷害、これらによる未曾有の厖大なる被害、これに万全の対策を講じ、又財政的に十分の措置を講ずるかのごとき印象を与えるのでありまするが、さて一たびその補正予算を取上げて内容を検討するに及んで、私どもは甚大なる失望を感ぜざるを得なかつたと共に、恐らくそのことの内容が明白になるに従いまして、被災農民、被災国民は申すまでもなく、恐らくは全国民も多大の落胆を禁じ得ないものがあるであろうと考えるのであります。政府は今国会召集のその当日補正予算を提出いたしたのでありまして、大蔵大臣は自信を以てこれの説明の任に当られた。而も二百を出ずしてこの補正予算案を修正再提出するの醜態を露呈いたしたのでありますが、これは申すまでもなく、保守三派の協定による、予算審議の場を離れての協定による申合せ、馴れ合い、これを突きつけられて、その前に腐し、これに迎合いたしましての修正案再提出となつたものでありまして、このこと自体は、保守三党並びに政府みずからが国会の威信を傷つけたものと言わざるを得ないので、この点、先ず第一に私どもとしては到底容認しがたいものを感ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)  同時に又、今次の災害が未曾有のものであり、そのよつてこうむりました損失が恐らくは数千億を上廻るものであろうことは、何人もこれを否定せざるところでございますが、これに対応いたします補正予算に盛られた災害対策費は三百億円、冷害対策費が百十五億円、農業共済再保険費の一般会計よりの補填八十五億円、合計五百億と、これが即ち今次災害に対応せんとする補正予算の全貌なのであります。果してこれでこの未曾有の災害に対する初年度の対策が完全に実施されると言い得るでありましようか。又これに信頼を国民がかけ得るでありましようか。今や被災地におきましては、殊に被災農民は、その生活が困窮のどん底に陥りまして、聞くがごとくんば、子女を売るの止むなきに陥つておる者があり、或いは弁当を持たずして学校に通わなければならんような子弟が漸く数多きを加えつつあると伝えられておりますが、果して政府は、哀れにも気の毒なるこれらの罹災農民、罹災民の姿が、真に目に映じておるでありましようか。私は誠に疑なきを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)同時に又、今回の補正予算修正再提出に当りまして、災害対策費三百億円として、当初の年度割に足らざる分百五十七億は資金運用部資金の融資に待ち、或いは又当初提案いたしました予算の説明によると、農業共済再保険費の補填は、これは今次の災害に鑑みまして恐らく支出が厖大になることを考え、百三十億は必要不可欠のものであつて、ぎりぎりの必要の最低費である。最低所要額である。かように予算説明書に明示しておりながら、三党協定を突きつけられると、忽ちにして四十五億を削減いたしまして八十五億円に切下げ、その削減いたしました四十五億もこれ又資金運用部の資金に依存しようということを明らかにいたしておるのであります。大蔵委員会におきましては、果してさようなことが可能であるか、資金運用部資金の金繰りの状態がどうなつておるかを知りたいと考えまして、大蔵当局についてこれを質してみましたところが、年末を差控えて、その生活の窮乏、経済不振のために悩んでおります中小企業が必然的に要請する年末融資、それにすら十分を期することができないほどの哀れ貧弱なる状態であるということが明らかで、政府説明するがごとくに、災害対策費に、或いは農業共済再保険費の充足のために、この資金を多分に充当するということは、到底不可能であるということが明らかに察知せられるのでありまして、若しかくのごときとするならば、この百五十七億、或いは四十五億というものは、只今の緑風会代表が万全を期するようにという注文を付けられたけれども、恐らくは単なる各目に終る闇予算に過ぎないと私は考えるのであります。(拍手)  同時に又、今回の災害対策がこれきりのものでなくして、ほんのちよつぴり頭を出しただけに過ぎないということは、これは何人も認めるところであります。やがて次年度におきましては、この頭より、より厖大な胴体が現われて来ることを考えなければならん。やがて手足が現われて来ることを考えなければならん。その胴体、その手足が現われたときに、これを一体どうして賄おうとせんとするものであるか。即ち、頭から、胴体から、手足、すべて一貫したところの災害対策の方針を確立いたしまして、これに対する確固不動の、納得し得る財政処置というものを説明することなしに、単にこの頭に対する賄いだけを承認せよということは、甚だ私は政府は無理を国会に強いておると考えるのであります。(拍手)両度に亘りまして、大蔵大臣はこの壇上から補正予算の説明をされましたけれども、胴体にも手足にも一言も触れることがなかつた。(「幽霊だ」と呼ぶ者あり)誠にこの点におきましても私どもは多くの不満を感ずるのでありまするが、恐らくは、胴体が現われたとき、或いは手足が現われましたときは、今回の補正予算のように、税の自然増収、而もその大部分は勤労大衆の犠牲による自然増収だと思われるが、さようなものを似ては到底賄い切れるものでないということは極めて明瞭でありまして、その際一体如何なる財政措置を講ぜんとするものであるか。少くとも、今回の補正予算の審議に当つて、その根本的なる方針を明示するところがなければならなかつたと思うのでありますが、(拍手)その点においても甚だ政府の態度は欠けるものがあつたと、私はかように感ずるものであります。  更に又、インフレの防止、更に通貨の安定、これをすべての施策中核となすと大蔵大臣は声明いたしまして、その美名の下に極力予算の膨脹を阻止したい。従つて災害対策費等につきましても成るべく枠の拡大を来たさないことに努めたと申すのであります。これに経費をより多く投ずることが直ちにインフレを高進するもののごとく、或いは通貨の安定をみだるもののごとくに説明されたのでありまするけれども、思うに、災害対策、救農のために支出しますところの金というものは、農業生産力の復興、さてはその増強、やがてその結果、食糧増産に寄与するものであり、遠い将来を考えますならば、資本蓄積の源をなすものであることを考え、さような裏付けがあるものだということを考えるときに、ただ徒らにその支出を以て、直ちにインフレを高進せしめ、通貨安定をみだるものと断ずるのは、これは私は国民を愚弄するものであると考えるのであります。(拍手)而も又その財源措置に鑑みましても私どもの到底容認することのできないのは、公共事業費を削減し、甚だしきは食糧増産対策費、これらを合せて五十九億を削減し、或いは住宅金融公庫支出を二十二億削減しておる。而もこれらをその財源に充当しておる点であります。今次の災害は天災にあらずして人災であると世間で批判されているのは何がゆえであるか。恐らくは、恒久的な治山治水に対策を怠つて来たということが今回の災害の遠因をなしておるということを指摘しておるものでございまして、この点につきましては私どもも大いに政府と共に反省するところがなければならんと考えるのであります。然るに、その肝腎の公共事業費を削減しようとする。或いは現下の食糧事情に鑑みましても、食糧増産対策費のごときが必要欠くべからざるものであると考えるのに、それを削減して今回の災害対策に充てんとしておる。或いは本予算成立の場合には大いに得意がつて吹聴しました住宅公庫に対する出資の増額、即ち今もなお家なくして悩みつつある戦争犠牲者を救済するものであるがごとくに吹聴しましたものの、本年度においては必要ないと唱えて、二十二億を削減して今回の財源に充当せんとするがごときは、戦災の犠牲者を曾つて喜ばしたものを削つて、今度又災害に悩む者にぬか喜びを与えんとする虞れがあるのでありまして、この点、私どもが到底容認しがたしとする点なのであります。(拍手)先刻藤原議員から指摘されましたが、一体何がゆえに防衛費の削減に手をつけないのであるか。何がゆえに防衛費の削減をためらうのであるか。何に気がねしての躊躇であるのか。私は了解に苦しむのであります。(拍手)防衛支出金、安全保障費、保安庁費、平和回復善後処理費、連合国財産補償費等、これらの昨年度からの未使用分、更に本年度に入りまして七月頃の残額を推計いたしますると、恐らく千九百億になんなんとする金額であると考えるのでありまするが、試みに保安庁費について見ましても、当初予算の八百億のうち六百十六億も未使用分を残しておるという状態である。これらのいわゆる既定経費でありましても不急不要と思われるものを、なぜ削減するの勇気を起さないのであるか。(拍手)誰に一体気がねしておるのであるか。私は、かようなものに手を着けることなくして、先刻申しまするように、或いは公共事業費を削減し、食糧増産対策費を削減し、住宅公庫に対する出資を削減せんとするがごときは、誠に本末を転倒する措置と考えるのでありまして、承服しがたい点であるのであります。若し国会が国の重要施策を論議する場であるといたしますならば、私は、現下、国の内外に山積いたしておりますところの緊要なる課題について、国会がこれを取上げて政府の態度を明らかにせんと要請するのは当然であると思うのであります。MSAの折衝の経過がどうなつたであろうか。人事院の勧告はいつ政府はどういう形でこれを採択して実施し、国家公務員並びに地方公務員の生活を守らんとするものであるか。これらに対しても政府の意向を質したい。或いはやがて年末も間近に迫つておることを思いますならば、これらの勤労者に対するところの年末手当を如何に予算化する考えを持つておるのであろうか。物価騰貴は大蔵大臣みずから認められておるところである。その情勢の下において、経済的に窮乏する年末を差控えて、年末手当を如何にこれらに支給せんとするのであるか。政府は進んでその態度を明快にすべきであると考える。さては又、公共企業体関係の労務者の仲裁裁定、これは当事者たちの言うところによりまするならば、資金上決して実施が困難でないと申しておるが、これらを果して実施する意図があるのであろうかどうか。或いは経済不況のしわ寄せを今や一身に受けて悩んでおりますところの中小企業者、これらに対する切実なる要求である年末融資の問題を如何に解決せんとするのであるか。かように、山積しております問題に対して、国会みずからがこれを取上げて、政府の態度を明快に知らんとすることは、理の当然であり、むしろ務めであると、こう考えるのでありますが、政府があえて今国会を救農国会と呼び、提出いたしました補正予算を災害予算と銘打ちまして、国会の論議をこれのみに限定して、他のすべての問題に対して言葉を封じようと考えたと思われますことは、罹災農民を救うことに急であり熱意があるためでなくして、実は根本的にその方針もきまつていない、(拍手)財政処理もきまつていないこれらの山積する問題に国会の論議の触れることを恐れて、これを回避せんとしたものと私は考えるのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)  皆さん、昨日の新聞は、十月十五日現在における本年産米の収穫予想を農林省が五千三百四十七万石と抑えたと発表いたしております。岡野通産相は通産委員会におきまして、電力会社の増資要求が多くて、恐らくは明年度におきましては一般需用者に対する電燈料の値上げは回避することができないであろう、必至の情勢であると答弁したと、これ又昨日の新聞が伝えております。右を向いても左を向いても、誠に国民生活に対しては暗い報道と言わざるを得ないのであります。かてて加えて、吉田総理みずからその資格を質されたのに対して、池田特使は個人的な使節である、こう言われておりましたものが、池田・ロバートソン共同声明を政府承認したことを、駐米大使をして米側に申入れをせしめたということも、昨日の新聞報道で初めて知つたのでございまするが、これに対して、今日の国会における各委員会での論議におきましては、政府はただ、池田・ロバートソン会談の結果、話合いの大体わかつたことについて、やがて東京で会談することを承認せしめたというに過ぎないと弁解されておりますけれども、私どもの受けます印象、恐らくは大多数の国民の受けます印象は、首相みずから国会においてみずからを偽わり、国民を欺瞞したというふうな印象の払拭しがたいものがあるのでありまして、(拍手)かくのごとく、誠意に欠け、欺瞞に満ち、災害対策に熱意も気魄もない政府の編成いたしましたこの粗雑な予算に対しては、この公式予算に対しては、私どもは反対せざるを得ないのでありまして、数多く不満を投げかけまして私の反対論議の結びといたします。(拍手)     —————————————
  106. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  107. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私はこのいわゆる災害予算に反対いたすものであります。  私は日中貿易促進議員連盟の派遣議員といたしまして、約一カ月新らしい中国の偉大なる建設の実情を視察いたしまして、去る三日帰つて参りました。そうしてこのいわゆる災害予算と取組んだのであります。私たち議員団一行は、中国の非常に大きな建設の一つである、永定河の官庁ダムを視察したのであります。この視察に当りましては、中国側はわざわざ北京から寝台付きの三両編成の特別列車を我々議員のために提供されまして、殆んど国賓待遇のような形で、我々は厚遇を受けたのであります。その官庁ダムの建設は、幅三百六十メートル、長さ二百九十メートル、そうしてその貯水量は二十二億四千万立方メートル、非常に大きな建設なのであります。そうしてその説明によれば、このいわゆる官庁水湖は、過去における最大の水害、一九三九年の最大の水害、これは天津にも水が来たわけであります。そのときの水量は、一秒間四千立方メートルの水量である。その過去の最大の大洪水、その倍の洪水を防ぎ得るだけの高さのダムであつたのであります。このダムの建設に当つては、これは二カ年間で完成したのでありますが、二年の冬を迎え、零下二十度の寒さの中でこの建設を完成したと言われたのであります。この結果、本年、中国においても相当の雨量があつた。洪水もあつたのであります。併しこのダム建設によつて洪水を食いとめた。そのために、非常に中国においては、本年は洪水はあつたのでありますが、全体として、昨年度は一億五千万トンの食糧生産、今年は一億六千万トンの食糧生産を確保し得ると言われておるのであります。増産になるのであります。こういう実情。淮河その他の建設については御承知の通りであります。水害も食いとめておる。食糧も増産になつておるのであります。こういう実情を、我々はこの目で見、この耳で聞いて帰つて来て、この災害予算と取組んだのであります。  ところがどうでありますか、只今森下君も言われました。他の議員も言われましたように、日本では前古未曾有のこの水害、冷害によつて、食糧の生産は六千万石を遥かに割る、供出は二千万石を遥かに割る、重大な食糧の危機を来たしているわけであります。この原因は一体どこにあるのか。私はこの予算と取組んで、実際感慨無量なんです。そうしてこの五百十億の予算を眺めて、財源がないわけではないのであります。而も五百十億で、こんな貧困な災害予算で、どうして日本の国土の荒廃を防止することができるのでありましようか。実際感慨無量の感なきを得ないのであります。この原因は何であるか。これまでも各議員が予算委員会又この本会議で十分論じ尽しました問題は、民生費或いは国土建設費が防衛費に食われておるということです。もう結論はこれであります。問題は、従つてこの防衛費を削減して、そうして災害費或いは日本の国土の建設費に割くことができるかできないか、民生費にこれを振り向けることができないかどうか、この点にかかつているのであります。(「中共の貿易とは違う」と呼ぶ者あり)少し冷静に皆様方新らしい中国を見ていらつしやい、失礼でありますけれども。(「中共から教わつて来たのか」と呼ぶ者あり)あなた方は失礼ですが見てはおられないのでしよう。このためにどういう結果が起つているか。この五百十億の災害予算の特徴として、第一に、被害総額が政府報告では二千六百二十億、そうしてこの国費所要額は一千五百六十四億と言われていますが、これに対して五百億の災害予算であります。併しこれは、実情を調査すれば、時がたつに従つてもつと被害総額は大きくなる公算が大きいのであります。従つて政府の所要額も多くなるでありましよう。そうすれば、この五百億の、この程度の予算でこの災害対策になるということは到底考えられない。非常な不十分な予算になつて来る。而もこの不十分な予算で、これではますます国土が荒廃することは必然でありますが、而もこの予算を賄うこの程度の予算の賄い方でさえ、その財源対策を見ますと、先ほども藤原君や或いは森下君も言われたように、これは民生費を削つているのです。食糧増産対策費或いは又公共事業費、或いは住宅金融公庫に対する出資二十二億、こういうものを削つている。更に又政府は、自然増収百七十億、こういうものに財源を求めておりますが、この結果、本年度の税金負担というものは著しく不均衡になつていることは御承知の通りです。すでに第一次の補正の時でさえ勤労所得税と申告納税との不均衡は甚だしいものです。而もなお今度の自然増収は全部これは勤労所得税の自然増収であつて、申告納税はむしろ自然減収になつている。従つてこういう財源の賄い方、これは実に不均衡になつているのであります。更に又、人事院の勧告は無視され、仲裁裁定も無視されているのです。こういう形で財源が賄われている。これは一体どういうところから来ているか、池田・ロバートソンの会談、これを見れば明らかであるように、来年度は防衛費が膨脹して来ます。大蔵大臣もこれは認めております。二十九年度の予算編成は、これは大変であります。従つて、すでに防衛費の膨脹によるインフレを回避するそのために、インフレを防止するために、災害予算を削減し、圧縮し、そうしてその財源が民生費の削減、或いは又国土建設費の削減になつておる。食糧増産対策費と公共事業費を削減している。ここに「しわ」が寄つて来ておるわけです。結局、結論から言えば、アメリカの要請による防衛費が殖える。即ちアメリカ国民の防衛負担を軽減するために、日本の国民が、生活の犠牲において、又国土建設の犠牲においてアメリカの防衛費を負担する、肩替りする、そういうことになるわけであります。この方針を今度の災害予算は貫いておると思うのです。冷静に考えればはつきりとそのことは看取されるはずであります。従つて、もう問題は、はつきりしているのであつて、防衛費を削らないで、防衛費をも削らないで、民生費も或いは災害復旧費も捻出できない日本の財政は、ここに今度の災害予算に直面して重大な危機にあるということは、これではつきりと、もうわかつたと思うのです。  それでは今防衛費を殖やさなければならない情勢になつているのでありましようか、世界の情勢はどうでありますか、むしろ朝鮮休戦後平和の段階に入つて来ている。平和の公算のほうが大きいのです。又中国が日本に攻めて来るという宣伝もありますが、実際中国においでになつて見れば、我々は各学校を見ました。大学、師範学校、小学校或いは又託児所、こういうところを見せてもらいました。(「軍隊はどうだ」と呼ぶ者あり)ところが、そこでは徹底的な平和教育をやつております。私は、その教育をやつている、その教授をやつているところを見たのだ。見せてもらつたのであります。(「軍隊は」と呼ぶ者あり)日本は自衛のためと言つているが、まだ独立しておらない。従つて中国の独立している軍隊とは違うのです。(「どこが違う」と呼ぶ者あり)従つて、こういう情勢の下において中国が日本に侵略して来る危険はない。ちつともそういう、秋毫もそういう危険はない。行つて御覧になればわかります。(笑声)それだのに、どうして防衛費を殖やさなければならないか。どうして防衛費を殖やさなければならないか。冷静に考えれば、皆さん方も殖やさなくてもいいとお考えになつているに違いない。ところが、どうしてそう思つているのにできないのであるか、独立しておらないからである。アメリカの要請によつて殖やされている。ここに問題があると思う。従つて、どうしても独立下にないから、日本の民族がみずから自分の運命を決定できない、こういう情勢に置かれている。そういう悲しむべき状態に置かれていることが、この貧困なる災害対策費として現われて来ている。結論は私はここであります。勿論この災害対策費は緊急を要しますけれども、緊急の名に隠れて、そうして、今、日本の財政経済は重大なる危機に直面しているのであつて、この根本的な対策と睨み合せてこの予算を組まなければ意味はないと思う。緊急の名によつて、基本的な今重大な段階であるところの日本財政経済の基本対策を、これを怠つてはならないと思う。そういう意味で、ただ緊急の名によつて、このような杜撰な、そうして又実効の上らないこういう予算を、我々は認めることはできないのであります。  私は、以上申述べました理由によりまして、この予算に反対し、そうして世界の情勢に即した平和的な予算にこれを切り替えるべきである、そうして防衛費を、これを削減して、そうしてこれを災害予算或いは民生安定費に向けるべきだと思う。(笑声)皆さん方はお笑いになつておりますが、笑うことは、最後に笑う者が最もよく笑うであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手
  108. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案の表決は記名投票を以て行います。両案に賛成諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  109. 河井彌八

    議長河井彌八君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  110. 河井彌八

    議長河井彌八君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百九十九票。  白色票 百三十七票。  青色票  六十二票。  よつて両案は可決せられました。(拍手)      ——————————    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名 百三十七名            河野 謙三君            佐藤 尚武君            高良 とみ君            小林 武治君            小林 政夫君            楠見 義男君            岸  良一君            北 勝太郎君            上林 忠次君            加藤 正人君            片柳 眞吉君            梶原 茂嘉君            柏木 庫治君            加賀山之雄君            井野 碩哉君            石黒 忠篤君            飯島連次郎君            赤木 正雄君            森田 義衞君            森 八三一君            村上 義一君            溝口 三郎君            三浦 辰雄君            前田  穰君            前田 久吉君            廣瀬 久忠君            林   了君            早川 愼一君            豊田 雅孝君            田村 文吉君            館  哲二君            竹下 豐次君            高橋 道男君            高瀬荘太郎君            杉山 昌作君            新谷寅三郎君            島村 軍次君            深水 六郎君            横川 信夫君            雨森 常夫君            安井  謙君            伊能 芳雄君            青柳 秀夫君            高野 一夫君            西川彌平治君            石井  桂君            井上 清一君            関根 久藏君            川口爲之助君            吉田 萬次君            酒井 利雄君            佐藤清一郎君            剱木 亨弘君            森田 豊籌君            宮本 邦彦君            長谷山行毅君            宮田 重文君            瀧井治三郎君            田中 啓一君            大矢半次郎君            石川 榮一君            岡崎 真一君            松本  昇君            石原幹市郎君            植竹 春彦君            岡田 信次君            松岡 平市君            大谷 瑩潤君            一松 政二君            西郷吉之助君            中川 幸平君            左藤 義詮君            寺尾  豊君            中山 籌彦君            中川 以良君            山縣 勝見君            吉野 信次君            重宗 雄三君            大屋 晋三君            大達 茂雄君            青木 一男君           大野木秀次郎君            小滝  彬君            古池 信三君            榊原  亨君            大谷 贇雄君            高橋  衞君            横山 フク君            西岡 ハル君            重政 庸徳君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            石村 幸作君            青山 正一君            秋山俊一郎君            入交 太藏君            高橋進太郎君            仁田 竹一君            加藤 武徳君            上原 正吉君            郡  祐一君            山本 米治君            西川甚五郎君            小野 義夫君            平井 太郎君            堀  末治君           池田宇右衞門君            島津 忠彦君            松野 鶴平君            小林 英三君            草葉 隆圓君            泉山 三六君            黒川 武雄君            石坂 豊一君            井上 知治君            岩沢 忠恭君            後藤 文夫君            木村篤太郎君            野本 品吉君            最上 英子君            三浦 義男君            三好 英之君            深川タマヱ君            武藤 常介君            寺本 広作君            團  伊能君            紅露 みつ君            八木 幸吉君            有馬 英二君            堀木 鎌三君            松浦 定義君            菊田 七平君            鶴見 祐輔君            一松 定吉君            松原 一彦君     —————————————  反対者(青色票)氏名  六十二名            近藤 信一君            永岡 光治君            藤田  進君            大和 与一君            湯山  勇君            栗山 良夫君            秋山 長造君            阿具根 登君            永井純一郎君            大倉 精一君            河合 義一君            岡  三郎君            亀田 得治君            田中  一君            白井  勇君            竹中 勝男君            清澤 俊英君            成瀬 幡治君            小林 亦治君            森下 政一君            小酒井義男君            佐多 忠隆君            重盛 壽治君            江田 三郎君            小林 孝平君            久保  等君            田畑 金光君            松澤 兼人君            森崎  隆君            高田なほ子君            安部キミ子君            矢嶋 三義君            三輪 貞治君            岡田 宗司君            中田 吉雄君            藤原 道子君           小笠原二三男君            菊川 孝夫君            若木 勝藏君            山田 節男君            東   隆君            内村 清次君            三橋八次郎君            羽生 三七君            千葉  信君            三木 治朗君            山下 義信君            加藤シヅエ君            市川 房枝君            戸叶  武君            曾祢  益君            松永 義雄君            鈴木  一君            加瀬  完君            千田  正君            天田 勝正君            長谷部ひろ君            木村禧八郎君            上條 愛一君            松浦 清一君            棚橋 小虎君            堀  眞琴君      ——————————
  111. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第百四十一及び第百四十二の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。労働委員長栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇拍手
  113. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今議題となりました請願の労働委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告いたします。  請願第九十号、身体障害者完全雇ように関する請願は、結核回復者の就職、復職については、未だ社会は十分な理解がないため、療養者は前途に希望が持てないから、これら身体障害者に対し、国家的施策による完全雇用を実現することを要請しておるのであります。次に、請願第百七十五号、広島県呉地区英連邦軍関係日本人労務者の取扱に関する請願は、国連協定締結時に、英連邦軍関係労務者の労務管理方式を、米国駐留軍労務者と同様、日本政府雇用とすること、及び雇用関係切替えの際にも全員引続き雇用を継続することを要請しておるのであります。  以上請願二件は、いずれもその願意おおむね妥当なるものと認めてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  114. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  115. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  116. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  内閣委員長から、行政機構の整備等に関する調査、  人事委員長から、国家公務員の給与問題に関する調査、  地方行政委員長から、地方行政の改革に関する調査、  法務委員長から、検察及び裁判の運営等に関する調査、  外務委員長から、国際情勢等に関する調査、  大蔵委員長から、協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業)、同(日本専売公社)、同(造幣事業)の審査、並びに租税、金融制度及び専売事業等に関する調査、  文部委員長から、勤労青年教育振興法案の審査、並びに教育、文化及び学術に関する一般調査、  厚生委員長から、社会保障制度に関する調査、  農林委員長から、臨時硫安需給安定法案及び公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有林野事業)の審査、並びに農林政策に関する調査及び食糧政策に関する調査、  水産委員長から、水産政策に関する調査、  通商産業委員長から硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案及び公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(アルコール専売事業)の審査、並びに通商及び産業一般に関する調査、  運輸委員長から、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(日本国有鉄道)の審査、並びに運輸一般事情に関する調査、  郵政委員長から、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(郵政事業)の審査、並びに郵政事業の運営実情に関する調査、  電気通信委員長から、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(日本電信電話公社)の審査、並びに電波行政に関する調査及び電気通信事業運営状況に関する調査、  労働委員長から、けい肺法案及び労働基準法の一部を改正する法律案の審査並びに労働情勢一般に関する調査、  建設委員長から、建設行政に関する調査、  経済安定委員長から、日本経済の安定と復興に関する調査、  予算委員長から、昭和二十八年度予算の執行状況に関する調査、  決算委員長から、昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算、昭和二十六年度政府関係機関決算報告書の審査、並びに国家財産の経理及び国有財産の管理に関する調査、  議院運営委員長から、議院の運営に関する件の審査、  図書館運営委員長から、国会図書館の運営に関する件の審査、  について、それぞれ継続審査及び継続調査の要求書が提出されております。各委員長要求通り委員会の審査及び調査を閉会中も継続することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求通り委員会の審査及び調査を閉会中も継続することに決しました。  これにて散会いたします。    午後十時二十七分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 社会保険審査会委員長及び同審査会委員任命に関する件  一、日韓問題解決促進に関する決議案  一、日程第二 日本国における国際連合軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書締結について承認を求めるの件  一、日程第三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の一部を改正する法律案  一、日程第四 日本国における酷さ連合の軍隊に対する刑事裁判権行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法案  一、日程第五 市町村農業委員会委員及び都道府県農業委員会委員の人気延長に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第六 奄美群島の復帰に伴う法令の適用暫定措置等に関する法律案  一、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案  一、昭和二十八年度における特別鉱害復旧特別会計の交付金の支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案  一、日程第七乃至第八十七の請願  一、日程第百四十三乃至第百四十六の陳情  一、日程第八十九乃至第九十の請願  一、日程第百四十七の陳情  一、日程第九十一乃至第九十三の請願  一、日程第百四十八の陳情  一、日程第九十四及び第九十五の請願  一、日程第九十六乃至第百八の請願  一、日程第百四十九及び第百五十の陳情  一、日程第百九乃至第百三十六の請願  一、日程第百五十一乃至第百五十三の陳情  一、日程第百三十七の陳情  一、日程第百三十八乃至第百四十の請願  一、昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律等の一部を改正する法律案  一、昭和二十八年台風第十三号による被害農地の除塩事業に対する特別措置法案  一、昭和二十八年六月から九月までの風水害地域におけるモーターボート競争法の特例に関する法律案  一、昭和二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案  一、昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案  一、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  一、昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)  一、日程第百四十一尾第百四十二の請願  一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの権