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1953-11-04 第17回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)    午後二時二十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四号   昭和二十八年十一月四日    午前十時開議  第一 商品取引所審議会会長及び同審議会委員任命に関する件  第二 社会保険審査会委員長及び同審査会委員任命に関する件  第三 中央更生保護審査会委員任命に関する件  第四 公正取引委員会委員任命に関する件  第五 文化財保護委員会委員任命に関する件     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りをいたします。会期延長の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  議長は、衆議院議長と協議の結果、国会会期を十一月七日まで三日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて会期は十一月七日まで三日間延長することに決しました。      ——————————
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、商品取引所審議会会長及び同審議会委員任命に関する件を議題といたします。  去る十月二十九日、内閣総理大臣から、商品取引所法第百三十九条第四項の規定により、向井鹿松君を商品取引所審議会会長柿沼松蔵君、島剛君、藤田国之助君、南正樹君を同審議会委員任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件承認することに決しました。      ——————————
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二は議事の都合によりこれを後に廻したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、中央更生保護審査会委員任命に関する件を議題といたします。  去る十月二十九日、内閣総理大臣から、犯罪者予防更生法第五条第三項の規定により、白根松介君を中央更生保護審査会委員任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件承認することに決しました。      ——————————
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、公正取引委員会委員任命に関する件を議題といたします。  去る十月二十九日、内閣総理大臣から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第三十条第四項の規定により、山本茂君を公正取引委員会委員任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て承認することに決しました。      ——————————
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第五、文化財保護委員会委員任命に関する件を議題といたします。  去る十月三十日、内閣総理大臣から、文化財保護法第九条第一項の規定により、高橋誠一郎君、矢代幸雄君を文化財保護委員会委員任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て同意することに決しました。      ——————————
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 緒方国務大臣から、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件について、発言を求められました。この際、発言を許します。緒方国務大臣。    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  17. 緒方竹虎

    国協大臣緒方竹虎君) 総理大臣予算委員会出席答弁中でありまするので、私から、日本国有鉄道ほか七公共企業体等にかかる仲裁裁定に対する公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件について申上げます。  先ず仲裁裁定がなされるまでの経過につきまして申上げます。本年二月二十三日、国有林野事業において、職員側林野庁長官に対し、賃金改訂及び増額の要求を提出いたしましたのを初めといたしまして、三月十日専売、三月十八日国鉄、三月二十日電信電話公社、四月十日印刷、四月三十日アルコール専売、五月十二日郵政、五月十八日造幣職員側から、それぞれ当局側に対して賃金改訂に関する要求が提出され、当事者間において団体交渉を重ねたのでありまするが、ついに団体交渉は妥結いたしませんでしたので、逐次調停段階に入つたのであります。公共企業体等中央調停委員会は、六月二十六日国有林野事業及び印刷事業に、七月十五日日本専売公社日本電信電話公社及び日本国有鉄道に、七月十六日造幣事業に、翌七月十七日アルコール専売事業に、又七月二十五日郵政事業に対しまして、それぞれ調停案を提出いたしましたが、いずれも調停は成立するに至らず、仲裁手続に移行いたしたのであります。  以上の経過を経まして仲裁を開始いたしました公共企業体等仲裁委員会は、九月二十九日、仲裁裁定第十一号といたしまして印刷に、裁定第十二号といたしましてアルコール専売事業に、十月十日裁定第十三号といたしまして日本専売公社に、又十月十三日裁定第十四号といたしまして日本国有鉄道に、裁定第十五号といたしまして日本電信電話公社に対しまして、最後に十月二十七日裁定第十六号といたしまして造幣事業に、裁定第十七号といたしまして郵政事業に、裁定第十八号といたしまして国有林野事業に対しまして、それぞれこれから御審議を頂きます仲裁裁定を行なつた次第であります。  右の裁定給与に関する事項の実施及びこれに関連いたします追加経費としましては、印刷事業におきましては、裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費として約九千万円、アルコール専売事業におきましては、裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費として約二千万円、日本専売公社におきましては、裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費といたしまして約五億九千万円、日本電信電話公社におきましては、裁定第一項及び第三項の実施並びにこれに関連する追加経費といたしまして約二十七億二千万円、日本国有鉄道におきましては、裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費といたしまして約八十数億円、造幣事業におきましては裁定第一項の実施及びこれに関連する追加経費といたしまして約三千万円、郵政事業におきましては、裁定第一項及び第二項の実施並びにこれに関連する追加経費といたしまして約四十億円、最後国有林野事業におきましては、裁定第一項、第三項及び第五項の実施並びにこれに関連する追加経費といたしまして約八億七千万円を必要といたすのであります。  併しながら、これらの追加経費は、日本国有鉄道日本電信電話公社及び日本専売公社につきましては、昭和二十八年度政府関係機関予算収入支出予算に含まれておりませず、給与総額につきましては、予算総則給与総額を超過いたし、又郵政事業国有林野事業印刷事業造幣事業及びアルコール専売事業につきましては、昭和二十八年度特別会計予算歳入歳出予算に含まれておらず、給与総額につきましては、予算総則給与総額を超過いたしますことは明らかでありまして、以上の裁定はいずれも公共企業体等の現在の予算上不可能な支出内容とするものと認められるのであります。よつてここに公共企業体等労働関係法第十六条所定の手続を以ちまして、裁定について国会議決を求める案件を提出いたした次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに国会の御意思の御表明をお願いいたしたいと存ずる次第であります。(拍手
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 只今の国務大臣趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次質疑を許します。大和与一君。    〔大和与一登壇拍手
  19. 大和与一

    大和与一君 社会党第四控室を代表いたしまして、裁定問題に対する御質問をいたしたいと思います。貫録のある議員であると、この辺で首相が出なければ発言もしない、こういうふうな駄々をこねるところでありますが、その点は、初めてであるから、先ず副総理初め各大臣答弁の機会を差上げたことについて光栄と存じます。(拍手)  日本憲法には主権在民と、まあこういうふうな言葉があります。最近どうもこれは違う、主権在米ではないかと、こういうような声が国民大衆の中に澎湃として疾風枯葉を巻く勢いで流行つておることを御存じでありましようか。日本占領政策下におきまして、公共企業体等労働関係法、マッカーサー書簡によつてそれができました。で、我々はその公共企業体等労働関係法、この法律によつて憲法に反してまでストライキ権を奪つておる。これはもう明らかに憲法違反であると思いますが、これに対して副総理はどのようにお考えになつておるか、御回答頂きたいと思います。  又公務員ストライキ権がない。まあこういうふうなことは或いは考えられるところであるかもしれません。併し公労法に示された公共企業体組合は、企業体そのもの事業体であつて、会社である、生産をしておる、こういうふうに生産をしておるそういう事業に対して、その団体交渉をする場合にストライキ権がない。こういうふうなことは全くナンセンスであると思う。これはもう如何なる場合においても、事業として生産をしておる場合に、これに対しては当然団体交渉権の裏付けとしてストライキ権を持たなければいけないと思いますが、これに対して罷業権を復活するお考えがあるかどうか。こういうことを質問いたします。  又仲裁裁定の問題にしても、今まで一度も完全に実施されたことはない。諸外国の例を見ますと、殆んど仲裁裁定の問題は、それを完全に実施されておる、こういうふうに聞いております。これに対して裁定日本においては一度も実行されていない。こういうことは副総理として実際にどのように考えておるか。実行しないことは明らかに憲法違反であるとも思うが、その点についてはどのように考えておるか、御回答願いたいと思います。  次に大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、今回の裁定が大体一万五千円見当出ております。この裁定ではとても労働者最低生活は保障されない。まあこういうふうに考えます。米価も来年の一月から改訂をされるというふうにきめられておりますが、これによつて労働者だけがひどい目に会う。或いは国民大衆の多くの者が非常な生活の苦労をする。まあこういうふうなアンバランスが起ると思うのであります。物価においても、昭和十一年を大体水準にして三百十倍、賃金においては二百七十六倍、まあこういうふうに殖えております。併しこの賃金アンバランスについて、今の生活保障の面から言つて、この程度裁定では困る。併しそのことすらも実施しないということでは、とても生活は安定をしないのではないかと、まあこういうふうに考えられるが、大蔵大臣所見を承わりたいと思います。  従つてこの裁定——労働組合要求というものは、大体戦前の生活水準に戻したい、こういう極めてささやかな気持で要求を出したのであります。仲裁裁定内容も、何遍も出ておりますけれども、いつもどうもこれでは本当に労働階級生活は安定をしない。しないかも知らんけれども、政府財政上の問題その他のことを十分に考慮に入れて、そうしてまあ裁定を出しておる。こういうことは、この前の国鉄裁定にも明瞭に書かれておつたところであります。従つて今回の一万五千円見当の裁定は、必ず実施をしてもらわなければならない。それは又仲裁裁定を守るゆえんである。又、公労法を守り、憲法を守るという法治国としての必ずやらなければならない政府の責任と義務であると我々は思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それで第二次補正予算に、大蔵大臣は、この一万五千円、各八公社裁定について補正予算に組むということを確言をしてもらえるかどうか。又それを組むにしても、一部をちよつとやる、こういうふうなことでなくて、完全実施をする、こういうふうな組み方をするということを、ここで言明できるかどうか。言明をしてもらいたい。こういうふうに御質問をいたします。又、例えば国鉄裁定内容を見ますと、今回の国鉄裁定では、内容的に言つて水害の被害が大変大きい。約九十億くらいある。その大きなお金を政府国鉄自体で賄え、こういうことを言つておられる。これを、若しこの水害の費用を国庫で負担をしてもらえれば、国鉄自体自己資金として賄うことができる、こういうふうに言つております。これに対して、国鉄が特に一番大きな災害を受け、又その支出も莫大でありますが、これに対して大蔵大臣は、この水害資金に対しては政府が面倒を見る、支出をする、こういうふうにお考えになつておるかどうか。この点、御質問いたします。(拍手)或いは今回の八公社裁定問題について、そのうちの六公社自己資金で賄える、こういうふうに裁定理由書にも明確に書いてある。それだのに、今回の出された内容を見れば、全部駄目だ。こういうふうに簡単に打つちやりを食わしておりますけれども、これは大蔵大臣として、できるところはやつて行く、こういうふうなお考えがあるかどうか。若しもそういうふうなことを考えないで、一つでもできないなら全部やらない、こういうふうな考えでは、まさに、全部の労働階級というか、勤労大衆を侮辱するも甚だしいと言わなければならないと思います。政府は、又これを国会に提出する場合に、予算を付してから提案をする。こういうふうなのが公労法十六条の精神、正確な解釈であると思いますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)これに対してはどのように考えておられるか。できもせぬのにそういうものを提案をする、そういうことじや、やらんほうがいい。仲裁委員会が、我々からストライキ権を奪つて、そうして裁定を出して、これを実行しない。そういうことを当り前の慣例として、そうして今後もやるのだつたら、仲裁委員会なんか解散したらいい。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうして解散をして、ストライキ権を復活して、そうしてもう一遍改めて公平に考えて行く。こういうふうな考え方なら、わけがわかるけれども、金縛りに縛つておいて、そうして勝手に、たつた八つの公社があつて、そのうちの六つの公社自己資金で賄える、こういうふうに当局も言い、又仲裁委員会もこれを理由付けておるのに、なおこれを無視して、そうして全部いけない。こういうことは誠に言語道断の処置であると言わなければならないと思います。若しも逆説的に言えば、いつも裁定というものは上廻つて出るものじやない。若しも政府がデフレーシヨンでもやる場合においては、これは下つて出る場合、低い場合は、ただ黙つて予算上、資金上、可能だから、どこにも相談をしないでやる。こういうべらぼうなことはない。それを下げる場合には、国民大衆実情をよく考えて、その実情に即して適切なことを処置してやつてもらわなければならない。こういうふうに考えるが、その点は一体どのようにお考えになつているか。以上の点を大蔵大臣に御質問いたしたいと思います。  次に、労働大臣に御質問いたします。公労法十六条によると、予算上、資金上に、不可能な場合には拘束されない、こういうふうに書いてある。予算上、資金上、可能な場合には、当然拘束をされる。資金上可能な場合、これは当然どこにも相談なく、政府に特別にかかわりなく、これはもう支出をすればいい。こういうふうに考えわけです。労働組合法の十四条によつて労働協約が結ばれる。そうして裁定が出る。如何なる場合でも、公労法の十六条というものは、即ち、組合法労働協約の効力、或いは裁定そのものを、決して拘束とか、干渉とか、介入とか、こういうことは絶対にしないものであると私は考えます。これに対して明確な御回答を頂きたい。従つて、そういうふうになれば、当然、資金上可能な場合には、何も国会に出さなくても、政府相談をしなくても、裁定実施をすればいい。こういうふうに考えるが、その点どのように考えるか。これをお尋ねいたします。これは丁度、例えば不当労働行為なんかあつた場合に裁定が出る。それがその通りどんどん実行されて行く。これと同じことであつて、十六条は労働関係法法律ではあるけれども、極めて例外的な、会計法というか、財政法というか、そういうふうな恰好のものが非常に妙な恰好で入つておると思います。従つて、今申上げたように、資金上可能な場合、これはもう明らかに、国会に出さなくても、政府相談をしなくても、その通りつて行く。こういうふうに私は考えます。そうでないと、例えば一部の実施、こういうふうなことを言つておる。或いは出された法案は不承認承認、こういうふうなわけのわからん語呂が出ている。こんなものはもう理由も何もないと思う。一部の実施というようなことは、実際には、資金上可能な場合には、それぞれ勝手にやつておる。不可能な場合には追加支出だけをこの国会承認を求める。そういうことである。こういうふうに解釈をいたします。そうでないと法律の根拠が崩れてしまつて、それだからこそ又政府は、年末手当、こういうふうなものも皆ひつくるめて考えておる。そうして何となくわけのわからんような措置をする。こういうようなことが今までの態度であつたと思います。これは一部実施ということはあり得ない。資金上可能な場合には、当然そのまま行われる。不可能な場合には、その不可能の部分だけ追加支出として行われる。こういうふうに解釈をしますが、それに対して労働大臣はどのように考えているか。御回答を頂きたいと思います。それは、例えば裁定が出た場合に、それを実行するのに、承認をされたら日付に遡つてやられる。こういうふうになつておる。開会中は十日以内、閉会中は開会後五日以内、こういうふうになつております。従つて、そういうことをいろいろ考えても、当然、政府としては一部不履行というようなことはないので、必ずやるか、やらんか。そのやらんということは、追加支出をやるかどうか。このことだけに尽きると思います。もう一つは、今までも随分問題が残つておりますが、実際に債務が実行されていない。こういうふうな借金が大分残つておる。これに対して、その借金はその都度御破算になつてしまつて、そうして裁判で一々その判決を求めなければ、さつぱり実行しない。こういうふうになつておりますが、この点は当然今の話からいつて債務が履行されるのが当り前だ。若しも追加支出が一部しかできなかつた場合には、その残余については、それぞれの企業体で、その後余裕ができてから当然支払われて行く。これはいわゆる支払の延期、繰延べだ。こういうふうに考えられるが、その点についてはどのようにお考えになつておるか。御回答を頂きたいと思います。  労働組合のこの裁定問題に対する闘争について、外国では、裁定がきまるまで猛烈な闘争をする。裁定がきまつたらこれはもう一応従わざるを得ない。こういうふうなのが諸外国労働組合運動裁定問題に対する闘争の実態であると思います。ところが、日本においては妙なことで、裁定が出てから組合が大いに猛烈に反撥をする。これはなぜかというと、政府がいつも裁定実施しないからだ。憲法違反してまでストライキ権を奪つた。そうしてその代りに、吉田内閣が、自由党諸君が、当時、公務員法公労法を作つた。あなた方自身が認めたその法律できめた仲裁裁定をも実行しない。こういうことになつたら一体誰が憲法を本当に守るか。法律を守るか。組合は、或いは我々社会党は、飽くまでも憲法を守り、法律を守るために、徹底的に皆さんの間違いを指摘しておる。こういうふうに断言をしておるわけであります。従つて日本労働運動が、裁定が出てからいろいろな問題が起る、こういうことは、すべて政府裁定不履行、或いは公労法違反憲法違反、こういう間違つた法治国としてあるまじきあなた方の処置によつて闘争が激化しておる。(拍手)こういうことを十分に認識をしておちれるかどうか。又その闘争は飽くまでも合法闘争の建前で努力をしておるわけですが、それに対してあなた方はこの労働運動を弾圧をする。制約をする。事実上そういうふうな態度を今日までとつて来たけれども、今後それに対してどういうふうな考えを持つているか。一つ明確な御回答を頂きたいと思います。(拍手最後運輸大臣にお尋ねいたします。運輸大臣が今度の国鉄法の改正によつて予算調整権を持つた、こういうふうに言われております。これに対して国鉄当局裁定完全実施ができるように組立ててお手許に差上げてあると思います。これに対して、これを実施するために、今までは大蔵大臣が一喝すればみな黙つちやつたのを、今度はどの程度あなたは自信と勇気を以てこの裁定実施する確信ありや、それに対する所信を承わりたいと思います。又、組合運動の中で公労法十八条の問題があります。昨年の年末にいわゆる国鉄の三役が不当馘首に会つた。これに対しては公労法十八条違反でないと私は考えております。何となれば、公労法十八条の立法の精神は、憲法違反してまでストライキ権を奪つたということは、マツカーサー書簡にも明らかにあつたように、若しも列車をとめる、こういうふうなことがあつたことによつて、或いは国民大衆に非常な迷惑をかける或いは日本経済機構が即座に破壊をする、こういうふうになつて社会上重大な問題を起す、こういう場合には、成るほど公労法十八条の適用が或いは考えられるかも知れん。併しながら、昨年の国鉄労働組合闘争は、すべてあらゆる面において、運転保安要員は全部出勤をさせ、そうして列車運転には一点支障のないように正常なダイヤ通り運転をし、国民大衆に全然迷惑をかけていない。こういう理由だのに、なぜ一体公労法十八条によつて処分することができたか。或いは衆議院労働委員会においては、自由党すら含めて満場一致、馘首ということは適当でない、こういうふうな決議がなされた。或いは当時労働省の所見としては、逃げてしまつて明確な回答をしない。公労法十八条違反とは断定をしない、併しそれは国鉄のほうで何とかしたらいいだろう、こういうふうに逃げてしまつた。こういうふうなことがあつた今言つたようなことを考えると、今年又、合法闘争が行われると思いますが、それに対して又去年と同じように、或いは国鉄その他の労働組合に対して、この合法闘争国民大衆に全然迷惑をかけないこの闘争に対して、公労法十八条違反で首を切るということを考えておるかどうか。この点、明確に御回答を頂きたいと思います。以上で私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  20. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えいたします。  公企業等について争議行為を禁止しておりますのは、公共の福祉を擁護するためのものでありまして、何ら憲法違反するものではないと解しております。それから仲裁裁定については、従来も政府は極力これを尊重しておるのでありまして、今日まで仲裁裁定が十回行われたと存じまするが、そのうち五回は完全に実施いたしております。以上お答え申上げます。(「憲法違反」「人事院の勧告はどうするのだ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手〕    〔「不渡手形ばかりじやないか」と呼ぶ者あり〕
  21. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。  三公社、五現業の従業員の現在の給与をどう見るかということでございまするが、これは私ども決して十分手厚いものとは思つておりませんが、現在のところこれで忍んで頂いておるのが止むを得ん事情だと思つておるのでございます。然らば第二次補正予算にこれを組むか、又、完全実施をするか、こういうことのお話でございますが、只今のところ、実は公共企業体仲裁裁定につきましては、私どももこれを法の建前上尊重すべきものであると考えておりますけれども、現在の予算一の下におきましては、実は予算上そのことが不可能でございまするので、然らば新しくどうするかということになりまするが、これは国鉄法やその他の諸法律給与準則等によりまして国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の条件について考慮いたし、これについて目下検討中であります。(「答弁にならん」「何を答弁しているんだ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  22. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。  公労法第十六条第一項の規定によりまして、予算上、資金上不可能な支出内容とする如何なる協定も政府拘束しないとしてあるけれども、予算上不可能でも、資金上可能な場合には、これを国会承認を経ずして裁定の履行ができるのではないかという御意見でありまするが、公企体等の資金支出はすべて国会議決を経た予算に則つてなさるべきものでありまして、たとえ資金的にやりくりが付きましても、予算上認められていない支出は行えないと考えます。従いまして公労法第十六条の予算上又は資金上不可能な資金支出内容とする裁定政府拘束せず、又、国会承認があつて初めて遡つて効力を発生すると規定しているのでございます。従いまして今次の裁定につきまして、資金のやりくりがたとえ付いたといたしましても、予算上不可能な裁定は直ちに履行することはできないものと考えております。  又裁定の一部実施ということはないというお考えのようでございまするが、私どもの考えといたしましては、予算上不可能な内容を持つ裁定は、国会承認があつた部分についてのみこれを支払い得るのでありまして、部分的な実施ということは当然あるものと考えます。  裁定実行をなしていない分は、その後に余裕ができたら支払うべきではないかという御意見でございますが、承認がなかつた裁定は効力発生に由なきものとなるのでありまして、債務がいつまでも存続するということはあり得ないことと考えております。(「公労法が何のためにあるかわからんじやないか」「やる気があるのかないのか」「実施しないための理屈だ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  23. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。  今度の仲裁裁定実施についてどういう心持を持つてこれに向つているかということでございます。今日ここに説明されましたものは、現在の予算の状況でございます。これから果してどういうふうな金のやりくり等によりまして支出することができるか、どれだけ出せるか、どういう方法にやれるかというような問題等を目下研究中でございます。国鉄のほうから一つのきまつた案が出ているんじやないかというような意味のお話もありましたが、まだはつきりしたものは出ていないのでございます。私といたしましては、さつきもそれぞれ副総理、又大蔵大臣から申しました、この仲裁裁定精神を尊重する意味におきましてどういうことがやつていけるか、実際上の問題について十分検討いたしたいと思つております。  第二のお尋ねの、公労法十八条違反で、昨年から今年にかけましての賃金値上げの際の犠牲者を出した問題でございますが、これはお話の通り労働委員会におきましても、非常に同情あるいろいろな意見がございまして、そういう問題を国鉄においても十分考慮をいたしまして併し法の尊厳を保つという意味におきまして、(「片手落ちだよ」と呼ぶ者あり)国鉄解釈といたしましては、十七条に違反するものである、それによつて十八条によつて解雇をいたしたということになつております。(「片一方だけやつて片一方をやらない」と呼ぶ者あり)それが、只今この問題については訴訟になつておりましていずれこれが明白になるだろうと思います。  今年の問題はどうだということでありまするが、今年の問題……合法的なる行動でありますれば勿論問題はないのでございます。合法か非合法かの解釈の差は、又昨年と同じような状況が起りますると、十七条違反になるというような解釈をとられることもあるだろうと思いますから、お互いに十分注意してやつて行きたいと思います。(拍手、「薄情だからだよ」「親心がないじやないか」「やる意思がないのだ」「こうやつて見たけれどもできないということを言つたらいい」と呼ぶ者あり)     —————————————    〔上條愛一君登壇拍手
  24. 上條愛一

    ○上條愛一君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、只今の緒方副総理仲裁裁定の御説明に対して若干の御質問をいたします。  御承知のごとく、公共企業体の労務者に対しましては、憲法第二十八条に明記されておりまするストライキその他の争議行為を禁止いたしまして、その代償といたしまして公労法第二十条の調停委員会並びに第二十六条の仲裁委員会が設置せられまして、その第三十五条にあるがごとく、仲裁委員会裁定に対しては当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならないとなつておりまするが、政府はこの第三十五条による裁定に服従する意思があるかどうか。そしてこれを予算化する決意を持つておるかどうか。お伺いいたしたいのであります。従来、吉田内閣社会保障制度審議会を設置しまして、すでにその勧告は吉田首相の手許に提出せられてあるにかかわらず、今日まで実施の準備すら行なつていない実情であります。又過去において、人事院勧告もこれを実施せず無視し来たつたのでありまするが、これは明らかに政府みずから法律を蹂躪するものであつて、かかる政府態度が、今日国民が政治に対して不信を強めつつある最大原因と思われますが、今回も又この仲裁裁定完全実施を避けんとするのであるかどうか、承わりたいのであります。  次に、労働大臣にお尋ねするのでありまするが、先般労働委員会における今井仲裁委員長の説明によりますると、この仲裁裁定は大体において調停委員会の決定と同様となつたと述べられております。調停委員会の調停案は、労働者側と企業当局との主張を調整したものと言われておるのであります。従来、中央労働委員会等における調停の実際を見ると、労使の主張を聞いて、その中間をとつて調停案を作るのを常例としておるのでありまするが、これでは中央労働委員会調停仲裁裁定も権威のないものと思われるのであるが、労働大臣は、将来これらの機関の拡充を図つて、企業の内容をよく検討し、更に広く我が国全労働者賃金の権威ある統計を準備しつつ、これを参考とし、又物価及び労働者生活実情に即応した、労使双方を納得せしめ得るところの独自の調停裁定をなし得る方途を講ずる意思があるかどうか。所管大臣である労相の所信を承わりたいのであります。  次に、それぞれの所管大臣にお尋ねいたしますが、国鉄においては裁定のベース金額は一万五千三百七十円でありまして、これに要する予算額は概算で期末手当を含めて百四十七億でありまするが、国鉄は他に比較して最も経理上困難を伴うことは認められているのでありまするが、今回の国鉄水害復旧に要する経費八十九億を国又は借入金によつて賄うことができますならば……この点につきましては先ほど同僚大和議員が大蔵大臣にお尋ねいたしたのでありまするが、この八十九億を国が支出するかどうかという御回答がなかつたのでありまするが、若しこれを国或いは借入金で賄うことができますならば、国鉄資金面は、収入純増の見込みが三十四億三千万円、動力節約が十四億三千万円、建設繰延が十九億八千万円、借入金返済延期が三十億、予備費削減が三十六億でありまして、合計百三十四億三千万円となるのでありまして、ほぼ資金上は支出可能であると認められるのでありまするが、これに対する運輸大臣所見を承わりたいのであります。  次に、電通裁定はべース金額が一万五千円でありましてこれに要する経費は期末手当も含めまして六十五億九千万円となつております。裁定資金面における意見といたしましては、追加を要する経費二十四億から二十五億であつて、これの財源といたしましては、前年度利益金四十三億、今年度増収が三十億と見込まれているのでありまして、又或る程度の予備費の流用も可能であり、且つ節約による剰費も考えられるので、全く資金面の心配はないと述べられているのであります。当局側も、この点については、仲裁裁定内容実施することは資金上の十分なる可能性があると述べております。これを認めないことは、電通当局が、資金上、仲裁裁定実施する意思を以てこの裁定を呑むことになりますならば、これが突破口となりまして、他の公共企業体にも波及し、一般公務員給与改訂を行わなければならなくなることを恐れて、故意に予算上の措置をなすことを避けているものと思われるのでありまするが、塚田郵政大臣は、電々公社当局でも認めておるこの裁定を、何故に尊重してこれが予算化のための努力をしないのか。御所見を伺いたいと思います。  次に、印刷庁においては、裁定は一万三千五百円でありまして所要経費は僅か一億三千九百八十万円でありましてこれも経費節約、益金流用等によりまして、資金面は支出可能であると裁定理由書は明記しているのであります。この点は当局も十分承認している点でありまして何ら困難な問題はないと信ずるのであります。  更に専売公社においては、ベース一万四千八百五十円でありまして追加予算は六億乃至七億程度に過ぎません。増収、予備費の流用、労使の協力によつて資金は可能であると裁定理由書は述べております。又組合側においては、今年度の増収のみで資金上は可能であるとの意見を持つているのでありまして、これも実施は容易なる経理状態であるのであります。  又造幣局関係においては、べース一万四千四百五十円で、必要経費僅か三千万円でありまして、仲裁裁定理由書によれば、資金上可能であると述べられております。造幣局関係は最も実施容易なる企業であると思われますが、何故かかる容易なる仲裁裁定すらも予算的措置をとることをあえてしないのでありましようか。その理由を承わりたいと存ずるのであります。  次に、アルコール関係においてはべース一万四千二百円でありまして、所要経費二千万円であります。裁定理由書においては、従来の実績に徴して資金は可能であると示されております。通産大臣はアルコールの仲裁裁定実施に関してどのような所見を持つておられるか、伺いたいのであります。次に、林野庁においては一万三千三百五十円べースでありまして、これの必要経費は三十三億であつて、自然増収二十八億が見込まれている今日、資金上は当然容易であると認められており、当局においても裁定理由書と同一意見であると述べられているのであります。農林大臣は林野庁職員の仲裁裁定実施に関してどのような御意見であるか承わりたいのであります。  次に、郵政現業においては、裁定一万四千二百円でありましてこれの必要経費約四十億であり、これに関しては多少資金上に困難な点がある模様であるとしておるのでありまして、料金値上げ等の点も裁定理由書では述べておるのでありますが、組合側の意見によれば、値上げをしないでも実施は可能であると述べられておるのであります。塚田郵政大臣は、所管の郵政現業の裁定に対して、どのような御意見と、今後態度をとられるか、お伺いいたしたいのであります。  最後に、大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありまするが、以上のごとく、今回の裁定は、その労働生産性も戦前に復旧し、企業内容から見ましても、いずれも実質的にはその実施の上に支障がなく又資金面の障害もないと認められるのでありまするが、蔵相はこれに対する予算措置を行う意思であるかどうか。裁定実施を蹂躪するとすれば、これは要するに、この裁定実施する場合は、当然、国家公務員、地方公務員に対する人事院勧告をも実施することになるのを考慮した結果と思われるのでありまするが、我々は、この裁定と共に、公務員に対する人事院勧告も実施することが当然であると考えるのでありますが、大蔵大臣は以上の裁定勧告はいつ実施せんとするのか、その予算的措置をどうするお考えか、具体的の御意見を承わりたいのであります。  なお最後に、この裁定実施しない場合におきましては……以上のような資金面において当然実施し得るものでありまして、而も労働組合側の要望とは、非常な低い限度の裁定であるのであります。而もこれすら政府実施する意思がなく、これを予算化する熱意がないといたしまする場合においては、不測の事態が起きないとも限らないのでありまするが、そのような場合における責任は当然政府が負うべきものであると我々は信ずるのでありまするが、これに対する政府当局の所信を承わつておきたいと存ずるのであります。  以上を以て私の質問を終ることにいたします。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  25. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。  三公社、五現業に対する仲裁裁定につきましては、公労法精神に鑑みまして、政府はどこまでもこれを尊重いたしたい所存でありまするが、今後の各企業の経理面、又予算の編成等と関連いたしまして、当然これが実施は非常に困難であろうと思いまするが、なお慎重に検討をいたします。  それから人事院の勧告につきましては、これは御承知のように、本年は災害又災害で、これが復旧につきましても莫大な国費を要する際、七百三十億に上る人事院勧告をそのまま実施することは勿論不可能でありますから、これにつきましても更に検討をするつもりであります。    〔国務大臣小笠原九郎登壇
  26. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。  この公共企業体裁定に服するかどうか——これは先ほども申上げました通り、私どもも裁定を尊重すべきは勿論であると考えておりまするが、現在の予算の下ではこの予算上の措置がとれない、こういうことを申しておるのであります。(「嘘を言うな、嘘を」と呼ぶ者あり)  然らば、これを今度予算化する意思があるかどうかということについては、国鉄法その他の法律できめてあつたり或いは給与準則できめてあるように、国家公務員の関係とか或いは民間事業の関係とか、その他諸般の条件等を検討いたしまして、実は目下それらの点を考慮して、いろいろ検討を加えておる次第でございます。それから国鉄について八十九億円不足するが、それについて一般会計から繰入れるかというお話でございましたが、これは、特別会計の性質に鑑みて、一般会計より繰入れるということは考えておりません。  なお国鉄郵政等は、私どもが今まで承知しておるところでは、相当、賃金、料金とも値上げをやらなければ、これはやれぬように承知しておるのでありまするが、併しそれらにつきましても目下詳細に検討中であると思いまするので、その結論を得れば、適当の措置をとりたいと考えております。(「いつ結論が出るのだ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  27. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。  公共企業体等の職員につきましては、その特性上、争議権は許されておらず、それに代えて、労使間の紛争の解決方法として仲裁制度を設けておるのでありまするから、仲裁裁定は、もとよりこれを極力尊重すべきものであると考えます。併しながら、如何に裁定を尊重するといたしましても、国会予算審議権を侵すことは民主政治の建前から到底許されないところでありまするので、現行予算支出可能なものにつきましては国会の御審議を願うべきことは、公企労法第十六条できめておるのでありまして今回もこの規定によりまして手続をとつた次第でございます。  なお、賃金につきまして権威ある統計を以て労使双方を納得せしめるよう計らつては如何という御意見がありましたが、統計に関しましては、私も就任以来、特にその拡充強化に意を用いて参つておるのでございますが、委員会の機能強化につきましては、各方面の御意見もありまして、御趣旨には賛成をいたして、慎重にこの問題については検討をいたしたいと考えております。    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  28. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) お答えをいたします。  国鉄のべース・アップは、これこれの方法によればできるじやないかと言つて、数字をお挙げになりましたのでありますが、それはべース・アップだけをやつて、そのほかの仕事を、例えば水害費等は、今のお話のように全部(「会館問題はどうした」と呼ぶ者あり)ほかのほうから持つて来ればできるというだけの話でございます。(「金があるじやないか」と呼ぶ者あり)そろばんとしては出ますが、水害費にいたしましても、予備費に相当多額の金額を見積つておりまする等は、こういう災害の場合の費用をカバーするために見積つておるのでありますから、こういうものは当然そのほうに入るべきものだと思います。  又国鉄の建設費のほうを節約すれば、それをそのほうに廻したらどうかというお話がありますが、こういう問題は、仕事をやめて、そうして給与のほうに廻すというのは少し……、直接にこれを廻すというのであれば少し無理だろうと思います。いずれにいたしましても、本年度の剰余その他の問題と、この水害並びにベース・アップ問題と、いろいろ併せ考えまして、如何にしたならばこの裁定を尊重する趣旨に副つてやれるかということを、目下私どもは研究をしておるところでございます。本年は仮にどれだけかのものが出ましても、仮に出るといたしましても、来年からどうするかという問題を考えずにきめるべき問題ではないと思うのであります。そうすれば、いろいろ裁定の中にも、こういうことから財源を出したらどうだと、いろいろ出ております。それは勿論やるべき問題もあると思うのでありまするが、その通りだけでは恐らく平年時この裁定通りの支払をやつて行けないと思うのであります。そうすると、そこに起つて来るものは、運賃の値上げという問題でありますが、これは極力、成るべく避けたいし、やるにしても、成るべくあとのほうにしたいし、金額を少くしたいというようなこと等を考えまして目下いろいろと研究をいたしております。(「船会社に百六十億もやつているではないか、しつかりしろ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  29. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  仲裁裁定実施につきましては、その精神を十分尊重いたしまして、(笑声)目下慎重に検討中でございます。    〔国務大臣塚田十一郎君登壇拍手
  30. 塚田十一郎

    国務大臣(塚田十一郎君) お答え申上げます。  仲裁裁定に対して政府がとるべき態度、つまり公労法十六条の解釈につきましては、労働大臣から政府の見解をまとめて申上げましたので、私といたしましてはあの見解に立つて国会の御意思が明らかになつた場合に考えるという立場であります。  そこで、国会が御審議下さる場合に、果して電通及び郵政資金的にそういう余裕があるかどうかという判断でありますが、仲裁裁定書に書いてありますいろいろな意見も、それも十分検討いたしたのでありますけれども、必ずしもあの通りではないということは一言ここで申上げておきたいと思うのであります。仲裁裁定に、電通の場合には昨年は決算と予算の間に四十三億の剰余が出ている、従つて今年は三十億ぐらい出るだろうという漠然とした御推定になつておりますけれども、現在の相当確かな見通しに立つて推算をいたしましても、このような残余は出て参らないということになつております。なお年末手当のことも考えなければなりませんし、更に、賃金を上げます場合には、只今運輸大臣からも御説明のありましたように、今年の予算においてだけ余裕があるということだけでは経営の健全性というものは損うことになりますので、次年度以降というものも併せて考えて、果して資金的に余裕があるかどうかということを考えるときには、かなり問題が困難であるというように考えております。  郵政の場合には、只今御質問の方々からも御意見がありましたように、電通の場合より更に一層困難であります。殊に郵政の収入は他会計からの繰入の分がありますから、他の会計において同じような歩調で賃上げができると言つても、なかなか自分のものを他会計に要求するということは困難なことでありますので、結局、他の会計、殊に電通などとの調子を合せた上で問題を判断しなければならないというように考えております。なお私の郵政の場合には、料金の値上げ、殊に郵便料金の場合には一層慎重に考えて行わないと、国の物価政策それから大衆の生活の上に及ぼす影響が重大であると考えますので慎重検討いたしたいと考えるのであります。(拍手、「少し良心的だ」と呼ぶ者あり)
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 堀眞琴君。    〔堀眞琴君登壇拍手
  32. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は無所属クラブを代表いたしまして次に述べる三点について質問いたしたいと思うのであります。  先ず第一には、人事院の勧告、並びに只今議題となつておりまするところの仲裁裁定に関連する政府の基本的な給与政策、賃金政策に関する問題であります。御承知のように、日本の資本主義は、低賃金の上に、それを基礎として構築され、而も最近の特に第二次大戦後の危機の段階におきましてはそれが一層推進され、他方、資本の集中と集積の過程から中小企業の崩壊を招きまして、ますます賃金は低下いたしているのであります。物価はこれに反しましてますます騰貴いたしているのであります。最近の物価の騰貴の状況を例えば消費者の物価指数について見ましても、昨年に比べますというと、今年の八月、九月は、大体昨年の同期に比較しまして一割前後の騰貴となつております。更に今後の情勢等を見まするならば、この物価の上昇は一割五、六分にも上るのではないかと想像されるのであります。ところが、このような物価の騰貴に当面いたしまして一体、給与乃至は賃金というものはどのようになつているか。民間産業に比べますならば、公務員や或いは公社関係の職員の給与賃金は極めて低位にあるのであります。例えば一般産業におきまする給与月額を本年の八月で見まするというと一万六千七百円となつております。昨年の同期においては一万四千四百円であります。ところが公務員は今日依然として一万二千何がし、国鉄等においては一万三千何がし、一般産業と比べて公務員乃至公社等の職員の給与が極めて低位にあるということは、今申上げた数字から大体推察がつくのであります。このような給与なり賃金なりが極めて低いということが、恐らくは日本の資本主義の特徴を現わすばかりでなく、日本政治機構の特徴をも現わすのではないかと思うのでありまするが、これに対して果して、政府、特に首相並びに大蔵大臣はどのように考えられておるか。  これに関連してもう一つ。今日、国会が災害対策をその緊急的な課題として取上げて今日まで開会して参つておるのでありまするが、我々も災害の緊急性は認め、これが対策を早急に出さなければならんのでありまするが、併しながら、同時に、公務員並びに公社等の職員に対する給与に対して十分の考慮を払う、具体的には、裁定に対してこれを即時実施するという熱意があることが要請されておると考えることができると思うのであります。つまり災害の緊急性並びに給与に対する緊急性というものを政府はどのように考えておるかということの二点、給与対策、賃金対策としてお尋ねいたしたいと思うのであります。  第二にお尋ねいたしたいのは、公共企業体におけるところの労働者の地位であります。これまで同僚議員諸君からすでに質問が出たことでありまするが、公共企業ということで以てその従業員に対して争議権特に罷業権を禁止いたしたのであります。そして、その代償として仲裁委員会を設け、その裁定を最終的な決定として労使双方ともこれに服従しなければならないということを規定いたしておるのであります。只今の小坂労働大臣答弁によりまするというと、「確かにそうである。併しながら十六条の規定により予算上、資金上不可能なものについては、政府は何ら拘束を受けることがないと規定してあるからして、政府としてはその趣旨は尊重するが、予算上の措置を伴うものについて国会に付議をしておるのだ。」こういう答弁であります。十六条第二項の規定は三十五条の規定のいわば留保条件的な規定でありまして、決してこれを以てその本来的な規定と見ることはできないのであります。若しそうとするならば、十六条第二項に該当するという理由を以て政府がこの裁定を軽視する、乃至は等閑視するということになるならば、みずから法を破る者は政府ではないか、こう言わざるを得ないと思うのであります。この公共企業体におけるところの労働者の地位ということを、一体、労働大臣はどのように考えていられるか、この点についてお尋ねいたしたいのであります。  第三にお尋ねいたしたいのは、この仲裁裁定の即時実施に関する問題であります。勿論この裁定に盛られた給与額は一万五千円前後であり、今日の物価騰貴の状況、労働者自身がぎりぎりの生活において要求しておるところの一万八千円何がしと比べるならば極めて低い、而も極めて慎ましい額であります。而もそれにもかかわらず、労働者が、組合の側がこれを即時実施することをきめて要求しているというのは、要するに仲裁裁定法律的な規定を尊重する、その権威を尊重するというところにその主意が置かれているものと申さなければなりません。勿論、公共事業に奉仕しているという職員としての本来の任務を自覚しているからではありまするが、ともかく労働組合側が極めて慎ましい態度をとつてこの裁定に臨んでいるということは、我々としても十分銘記しなければならんと思うのであります。併しながら政府当局においては、財源の問題をこれまでしばしば問題にして参つております。只今までの大和君並びに上條君の質問に対しましても、政府の側の答弁は、財源の問題をその主要なる拒否の理由といたしているのでありまするが、成るほど財源の問題は問題に違いない。併しこれも上條君が繰返し質問いたしておりまするように、国鉄郵政等については成るほど問題はあるが、併しその他の公社乃至は現業庁については、何ら資金上の問題はないということが、当局側においても言明せられており、仲裁委員会においてもそれを理由の中に挙げているのであります。このような事情にある五現業乃至は公社、それから、それとは少し経営上の問題から困難を予想されるところの国鉄等の場合、若干そこに開きはあると思いますが、併しながら仲裁委員会が、国鉄等の場合についても、その理由書の中に、これが運営の合理性を確立するならば、十分これを確保し得るということを述べているのでありまして、これらの点については、国鉄当局、運輸省当局においても十分これを考慮すべきではないかということを感ずるのであります。これらの点に関しまして、果して裁定の即時実施に関して、政府としてはどういう意思を持つているか。この点を大蔵大臣並びに労働大臣にお尋ねいたしたいのであります。  私の質問はこれで終ることにします。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  33. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 堀さんにお答えいたします。  人事院の勧告或いは仲裁裁定政府実施しないその半面に資本主義的な心理が動いているのではないかという意味の御質問であつたように存じまするが、人事院の勧告、民間給与或いは生計指数等を公正に考えて作りましたその勧告というものに対しては十分尊重しておりまするし、仲裁裁定もこれを一つの最終決定といたしまして、政府としてはできるだけ尊重する意思でおるのでありまするが、それは一に財政の関係でありまして、資本主義的な心理からそれを尊重すまいとしているような考えは少しも動いていないのであります。  それから、災害の復旧も重要であろうが、給与というものに対して政府は一体どういう熱意を持つているのかというお尋ねでありまするが、政府といたしましても、公務員給与というものに対しましては、官界の情実腐敗を防ぐ意味から申しまして、又国家公務員の能率を高めまする意味から言いましても、できるだけ給与をよくしたいという考えは十分に持つておるのでありまするが、先ほど申上げましたように、いろいろ財政上の事情で、とかくそのまま実施し得ないことを遺憾と思つているのでありまして、これは一口に申しますれば、国家財政の事情止むを得ないという以外に申上げようがないのであります。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  34. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申上げます。  今回提出された仲裁裁定は、公労法三十五条によつて最終的な拘束力を有すると思うから、政府は当然これに服従しなけばならんと考えるがという趣旨の御意見でございましたが、私どもといたしましては、仲裁裁定は、原則として最終的決定として労使当事者双方を拘束するものでありますが、併し国会審議権を侵すことは許されませんので、公労法の第三十五条の但書がございます。及び第十六条において、予算資金上不可能な裁定は、国会に提出して、その意思によつて効力を発生せしめるか否かを定めているものであつて政府としては、この公労法規定従つて、所定の手続を経て、本案件を提出した次第でございますので、御了承願いたいと思います。  なお、先ほど申上げました通り仲裁裁定は極力これを尊重すべきものであると考えまするが、御承知のように、又只今も副総理からも話がありましたように、国家財政は極めて窮乏している現状にございますので、政府といたしましてはこれらの事情を考慮いたしまして、目下慎重に検討中でございます。私といたしましても、関係各省と十分に連絡をとつて検討して参りたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  35. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この裁定について、予算をどうするかというお尋ねでございまするが、又お尋ねの中に、完全に実施するか、或いは財源の許す範囲内で一部でもやるのかというふうな意味のお尋ねでございましたが、只今のところ、私どもも先ほど来申上げている通り、この仲裁裁定をできるだけ尊重するという考え方でおりまするけれども、現在のところ、国家公務員との関係、いろいろそういうような関係もございまするので、それらの諸般の点を考慮していろいろ検討を加えております。又その結果、財源等が許せばできるだけさような措置をとりたいと考えておりまするが、目下検討中でございますので、判然たるお答えはここでいたしかねます。(拍手
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  議事の都合によつて本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した事件  一、会期延長の件  一、日程第一 商品取引所審議会会長及び同審議会委員任命に関する件  一、日程第三 中央更生保護審査会委員任命に関する件  一、日程第四 公正取引委員会委員任命に関する件  一、日程第五 文化財保護委員会委員任命に関する件  一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件の趣旨説明