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1953-11-26 第17回国会 参議院 農林委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十六日(木曜 日)    午後一時五十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月十六日委員赤松常子君辞任につ き、その補欠として小林亦治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            松浦 定義君            鈴木  一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    林野庁長官   柴田  栄君    林野庁林政部職    員課長     丹羽雅次郎君    林野庁業務部業    務課長     山崎  斉君    林野庁業務部経    理課長補佐   槇  重博君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (冷害対策に関する調査の件) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会の議決を求  めるの件(国有林野事業)(内閣送  付)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。  最初に、この前の国会で当委員会冷害関係法律案の採決の際行われました附帯決議に従いまして、冷害関係法律政令内容及び冷害関係予算配分なり、営農資金等配分内容等について農林当局説明を求めることにいたします。
  3. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) それでは御説明申上げます。  先ず先般の国会で通りました冷害関係法律政令でありますが、先ず第一に、二十八年における冷害等による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律適用地域はお手許に配付してあります各都道府県であります。これは私のほうで指定いたしましたのは、府県の中で処置できるというものは府県にお願いしまして、府県から出してくれというものは全部掲げたのであります。それからなおこの法律だけは何というか、不作による飯米の不足というのでありまして、冷害だけではな病虫害、風水害というものを全部含めておるのであります。従いまして、先の西日本の水害の場合のように流れたもの、こういうことになつております。  それから第二に、二十八年における冷害による被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法施行令であります。これは償還期限を定めておるのであります。償還期限はこれは法律できまているものでありますが、五年以内で、程度の低いやつが二年、開拓者が三年ということになつております。利子延滞利子は、原資が日歩三銭二厘になつておるということに基きまして三銭二厘ということになつているのであります。  それからもう一つ農林漁業出資増法律であります。これはこういう方針でやつております。自己負担分の二十二億の分は十年以内で五分で貸す、こういうふうになつております。そして据置期間は二年乃至三年、こういうふうになております。  その次に予算配分でありますが、これはお手許に配付いたしておるのを一応第一次配分として先週内に出しました。更に一般補助金の分が未定でありましたが、これは別の紙で二十八年度災害対策予備費冷害対策に使用する件という一枚の紙でありますが、十億の割当をいたしたのであります。横書の表の中で冷害対策関係従つてこのプラスの分が入てないと思います。先ず項目別に申上げます。救農土木事業費関係臨時救農施設は十二億五千ということになておりますが、第一次配分では十億を割当てました。従つて二億五千のリザーヴになつております。それから土地改良関係であります。これは二十八億を割当てまして四億八千弱をリザーヴしております。それから林野は二億四千を全部割当てております。それから水産は一億二千としてありますが、これも全部割当てております。従いまして土木関係では五十億を予定しておるうち四十三億余り割当てまして、七億余りを第二次の配分に回した、こういうふうになつております。  それからこれの配分の方法でありますが、これは縦書救農土木関係の第一次配分方針というので御覧願います。これはこれを読みながら御説明申上げますと、被害状況が県の市町村別に非常に違いますので、市町村別単位市町村単位被害に基いて配分することにした。配分対象としましては、原則として五割以上の被害市町村を先ず第一にやつたのであります。この被害程度をどういうふうに見るかということは、農林省統計事務所調査都道府県調査した調査と、そのほか米以外のものにつきまして雑穀、養蚕その他の被害状況を勘案して決定するということにしております。この文章が少し足りませんが、町村選定は県にお願いすることにしておるのであります。具体的な町村選定は県にお願いすることにして……。なお減収が五割に達しない市町村でありましても、おおむね過半の部落が五割以上の減収を受けておる場合には、その部落事業を行うことを条件としまして配分対象として選ぶというふうにしております。  第三は都道府県別配分は、水陸稲雑穀蚕繭減収量、それから被害農家戸数被害面積単作率を勘案いたしました総合指数を作りまして、これを基準にしてやつております。なおこの指数実収高調査がまだきまつておりませんが、これがきまりましたらもう一逼算定し直しまして、リザーヴの分を以て補正を行いたい、こういうふうに考えております。この総合指数はどういうふうにして計算したかと申上げますと、水陸稲減収冷害病虫害に基く減収率三割以上のものを選んだのであります。雑穀はどういうものを取上げたかと申上げますと、大豆、「とうもろこし」、小豆、「いんげん」豆、粟、「ひえ」、「きび」、「そば」で、それで減収の三割以上のものを取上げたのであります。で、これは統計調査部のほうで一応調べて頂いたのをとつております。それから蚕繭減収量冷害による減収量で、減収率の三割以上のものをとております。それから被害農家戸数専業農家及び第一種兼業農家のうち減収率三割以上のものを推定いたしましてとたのであります。それから被害面積水陸稲雑穀作付面積減収三割以上のものをとつております。単作率と申しますのは、耕地面積に対する作付割合呈を出しましてとておるのであります。これは但し永年作物の作付面積は除いております。  そうしまして第四を御覧願いますと、むしろ逆に第五からお願いいたしますと先ほどの表で御覧賀になりますように、各費目ついていろいろ配分をやつております。都道府県営灌漑排水のものは必ずしも被害町村だけに限定したのでは規模が相当大きいので拾えませんので、五割以上の被害をこうむつた市町村、即ちそれを含むところを優先的にとつたのであります。なお且つ継続地区を優先的にとることにして、これは具体的に県と相談して地区を先ずとつたのであります。それから団体営灌漑排水小規模土地改良は、先ほど申上げました三の総合指数によつて府県別に按分しました。それから温水施設の分は過年度災害を当年災とを合せまして、おおむね総合指数によつて配分しました。これは温水施設金額は少ないし、これはで送るところと、できないところと今までのを先ずとつたのであります。合計して割るときには災害復旧費と合せて総合指数で按分したと、こういうのであります。  開拓事業はこれは全然別個考え方で分けておるのであります。これは入殖戸数、それから入殖の地区数被害面積被害金額集団開拓地における単作率、そういうものを考えて配分いたしております。それから治山事業海岸砂地造林だけに限定しております。そうして割り方は総合指数都道府県における事業計画を参配して配分してあるのであります。それで林道は総合指数と、民有林山林面積総合指数で一応平均してあります。漁港は、これは漁港のあるところの県を拾いました。その県の間では総合指数によつて按分しております。これはまあ全額は少いものです。そういたしまして全体の配分から五、六、七、八、九のそれぞれ出て来たものの合計額を差引いたものを臨時救農施設というものに按分する考え方です。但し開拓は全然別個の分け方でありますので、救農事業予備を除いた分及び開拓事業費を除いた分を総合指数で各府県別に按分して配当額を出しました。そうして開拓を除く各事業費都道府県別金額合計額を考慮した金額臨時救農施設に当てると、こういう原則を立てたのであります。そうして実際のやり方としては、先ず従来ある助成費目を行える町村から先に決定いたしまして、そうして臨時救農施設はそういつた金が使えない村にとつておく、こういうことにしておるのであります。  それから臨時救農施設内容であります。これは別に冷害地緊急救農対策資料要覧というのを、まだ資料は届いてないそうでありますが、あとですぐお届けしますが、こういうのを拾つておるのであります。項目はいわゆる従来の助成対象にならなかつた小規模のものを拾ておるのであります。例えて申上げますと農道は従来は一千メートル以上は対象になつておらなかつたのを二百メートル以上千メートルにする。或いは客土は三十町歩以上に限つてつたのを二町歩から二十町歩にする。床締、暗渠排水、溜池、頭首工用排水路区画整理堤防護岸畦畔改良水温上昇施設畑地灌漑増反開墾農用小橋梁、小さい橋です。それから牧道或いは牛馬道木馬道簡易索道共同貯木工場雪害防止施設山地防災施設漁港局部改良漁港施設防災、そういつたところで、従来の補助対象にならない小規模のものを全部拾うことにいたしておるのであります。このほうはすぐ資料で差上げます。  更に一市町村当り国庫補助額は、各種事業を通じまして、総合計のおおむね六割が労銀収入になるものと前提しまして、その村の五割以上の被害農家戸数、但しこれには第二種兼業農家を除きます。一戸当り労銀収入二万円を確保できるような金額の範囲内とすること。ちよつとよくお話にならないとわからないと思いますがこういうことであります。五割以上の被害農家掛ける二万円、で、それが総事業費の六割に相当する、従つて事業費は、被害農家掛ける二万円の六分の十になるわけです。それに対応して、それぞれの事業によつて補助率が出ますので、その総事業を基にした補助金の行くようにするのを最高限にする、つまり或る村に集中的にとられまして、被害がひどい村に行かないことのないようにしてくれ、こういう最高限をとつたのであります。  それから都道府県は、市町村別補助金配当額をきめましたら農林大臣承認を受けてもらいたい、こういうのであります。これは報告だけをとればいいじやないか、こういうふうに考えておつたのでありますが、県内のいろいろな事情がありまして、一応最後のきめは農林省でやつてくれと、こういう要望が強いのでございます。こういうふうにしております。但し大部分は、これは報告を受けるだけということになりまして、いろいろ県で、町村選定等で問題があるところだけを協議を受ける、こういうことになつております。  それから十二は、こうやつて県に各事業別費目を渡しますが、必ずしも県で或いは町村で希望する事業とこの配当額が合わない場合が出て来ると思うのであります。その場合には、それぞれの費目をその県内の他の事業に流用を考えたいと、こういうのであります。なお救農土木事業繰越明許がついておりますので、来年の耕作時期までこの事業をやつて行ける、そういう法律上の関係になつて耕作時期に間に合わすために、来年度以降も使つてもいいと、こういうことになつております。念のために申上げておきます。  それから今資料をお配りしたいと思いますが、その最後のところに予算総額が書いてあります。資料要覧最後であります。そこで冷害等対策諸費の中で十億が未定になつたのでありますが、これが先ほど申上げました一枚紙の金額に分れたのであります。それで前きまつてつた予算合計して御覧願いたいと思います。これは資料を  一緒にすればよかつたのでありますが、閣議がなくて持廻り閣議でやつておりますので、それまで印刷をとめられておつたものですから、別の紙になつたのでありますが、大体私のほうで、今作業の進捗状況はそういうことになつております。先週の終りに内示しましたから、大体今週の終りから来週の初めになつて順次府県の、町村配当がきまつて、上へ上つて来るのじやないか、こういうふうに考えております。
  4. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと救農土木関係第一次配分方針に当つて示されたこの三についてもう少し詳しく説明してもらいたいのですが、救農資金を出す場合に、総合減収量それから被害農家戸数、それから単作率、こういうのが出ていますが、これのそれぞれの持つウエートは一体どういうふうになつておりますか。
  5. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これはいろいろな試算をやつてみているのですが、この配分をやるときに考えましたのは、二つの案を参照しております。それによりますと、水陸稲減収量ウエートを六〇でみた場合と、五〇でみた場合、それから雑穀減収量は五です。それから単作率を一〇、被害面積を五、それから被害農家戸数は、六〇で水稲減収率をみた場合に二〇、五〇でみた場合三〇、被害農家減収量ウエートちよつ書いてみたのですが、それを睨みながら出しております。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 この六〇と五〇の場合、最終はどちらをとられたのですか。
  7. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 両方を睨んでおります。というのは、私のほうではリザーヴをとつておりますので、それと今の水稲減収量最終的に出ておりませんから、この際一つでやるよりも、多少幅があつたほうがいいのじやないかという考え方で、きちつとその総額を出して、それから差引をやらないで、多少幅を持たしてやつております。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 それからこの数字は各県単位に、例えば単作面積とか、被害面積とか、農家戸数は、県単位のデーターですか。
  9. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 県単位をとつていると思います。県単位であります。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、そこで私非常に不思議に思うのは、この配分基準原則として市町村単位にする、こういうことにしておつて、今の三のそれぞれの要素を県単位にとつて行かれるということですが、総合指数というのでは非常に府県の色が強く出ているということになると、そうすると、原則として市町村単位に分けるというこの原則が非常に私は崩れて来ている、こう思うのですが、もつと具体的に言うならば、県境によつてよく農業共済で問題になりますように、村が違つたために、隣りの村と次の村との間に、村が違つたという単なるそれだけの理由によつて非常に数字が違つて来た、こういう例がありますが、こういうふうなことになりますと、府県単位の色が強くなりますと、県境において非常に大きなそこに私は開きが出て来る、こう思うのですが、これは繰返して申しますが、原則市町村単位というこのアイデアを非常に私は薄くしていると思うのですが、そういう結果は出ませんか。
  11. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは予算配分基準は、その県の被害状況でまあ持分をきめたと、こういうことになつております。これを実施する場合に、お話のように実情に合わんといけませんので、まあ行政の最小単位である町村別にやつて行くということは、例えば県の報告等を前にお配りしたと思いますが、これではちよつとわかりにくいのですが、図面に引いてみますと、A県B県と、もう隣りでがたつと作況の違うような報告が出ておりますが、そういうことがないように、配分では町村別によく気を付けてもらいたい。それと同時にそういうことを防止するために一応農林省のほうへ出して頂いて、そこのバランスを私のほうでも見たい、こういうので十一項により承認を受ける、こういう用意をしているのであります。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 この計算の仕方によると、府県別にも非常に大きな開きが出て来るし、更にもつと大きく地方別に見まして、例えば東北地区関東地区というようなところに非常に私は大逆なギヤツブが出て来ると、こう思うのです。私は何もあえて一地方を代弁しようとは思いません。又そんなことは慎まなければならんと思いますが、ただ今度のこの農林省配分基準によりますと、東北方面は非常にこの恩典に厚く、関東地区が非常に薄いと、こういうような結果になると思います。この総合指数の出し方によると……。そういう点につきましては、今後第二次補正等によりまして補止される用意があるかないか。それなくしてこれを最終のものとするというふうなことであるならば、私は非常に納得の行かない配分だと思うのです。併しあなたのほうでは、それに備えて保留分がある、こう言われますけれども、先ほど御説明程度の僅かな保留分では、私が今指摘したところのギヤツプというものは当然埋まらない。当然これは第二次補正の問題にかかつて来ると思うのですが、その第二次補正用意があつて一応こういうことをやられたのか、そこを一つ官房長に御説明願いたい。
  13. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 総合指数は先ほど申上げましたように、実収高を待つて当然訂正いたします。なおその上にそれに基いて補正を行なつた場合に、今までの先ほど私が説明申上げたリザーヴ分で足りるかどうかという問題であります。私のほうではいろいろ検討を加えまして、この程度あればいいと、こういうふうに思つておりますが、とにかくまだ未確定数字を相手にしておりますので、これはできれば年内に総合指数の改訂を決定したいと思いますが、或いは来年になるのかも知れませんが、その上で対策を考える以外にはないのじやないか。これは内輪のことになりますが、もう少しリザーヴを余計にしたら、こういうふうな意見が、これは一番強かつたのでありますが、ありましたけれども、先ず一割、これで大体通じて五分余りになると思いますから、この程度は穏当でないか、殊に救農施設は二割五分をとつているから相当総合指数変化、その変化の予想はいろんな見方があります。その見方をいろいろ検討した上でこの程度つておけば賄えるのじやないか、こういうふうに考えます。従つて第二次補正要求をこのものについてやるという考えは現在のところは持つておりません。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 まあ官房長、ここまで成案を得られるまでには非常な御苦心があつたことは私はよくわかるのですが、もう一つですね。第二のところで配分対象原則として五割以上の被害面積を持つ、五割以上の被害ということになつておりますのですが、我々から見れば突如として五割というものが出たと思いますが、我々今まで三割ということを基準にしておつたのですが、この五割というものは何かよりどころがあるのですか。
  15. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 五割にいたしましたのは、第一順位七割以上の被害、第二順位五割以上の被害、第三順位三割以上の被害、こういうふうなことでいろいろ検討を加えて来ておつたのであります。その検討をしております際に、統計調査部で一方ではこの程度別町村調をやつて頂いております。それからも一つはだんだんこの提出割当がきまりまして、府県の見た作況程度別町村が出て来たのであります。それがまだ全部は出ておりませんが、実は割当の済むまでに全部を出すようにという意見にしておつたのでありますが、間に合はない県もありましたが、それをみますと相当開きがあるのであります。従つて私どもが従来三割以上の被害の中に当然入るものというふうに見ておつた村が、県の調査では五割以上の村に相当数つて来ると思います。従いまして第一次の配分としましては、昭和九年の冷害対策のときに救農土木をやつた例もありますし、そのときやはり五割以上の被害町村対象としてやつておりました。あとは第二の末項にありますように、平均は五割以上ではないけれども、その村の相当数部落が非常な被害を受けておるものは同じ待遇にすることによつて被害程度の順序が順次に拾つて行けるのではないか、その模様をみまして第二次の配分をどういうふうにするかということをきめたいのであります。ざつくばらんに申上げまして、先ほど申上げましたように、府県被害程度別町村と、農林省被害程度別では町村の数が余りにも開き過ぎますので、そうかといつてこれを農林省町村別調査も県全体の作況調査でありますと、これは大数観察、少しの誤差で済むと思いますが、町村別となりますと、そういうふうな統計事務所事務になつておりませんので、私のほうでも府県全体の作況農林省が主張するだけの強い根拠を持ち得ないのであります。従いまして、ここに書いておりますように、この意味反対側からみますと、五割以上拾うときには大体府県で見たやつを拾う。但しこういうことは万々ないだろうけれども、統計調査部統計で見ると五割以上になつているのに、府県では五割以上には出ないということはないという程度になると思いますが、そういうことをやれば被害程度の著しいものは救える。こういうふうな見地から五割以上の被害ということにしたのであります。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 ざつくばらんに申しますが、各府県から来る数字は非常に常識的にはふくらんでおりまするそこで今お話のように、この各府県数字対象にしてやつてつたけれどもとても収拾つかない。そこで農林省自体が持つている統計調査数字をいろいろ参配してみると、大体ここに言う五割というのは農林省統計調査数字による三割を意味すると、こういうことなんですが、各府県の言うところの三割という数字は、非常にこれは尨大なものになる。ところが農林省自体が調べた数字によりますと、大体各府県の五割というものは農林省の三割というところで収まる、こういうふうな意味のものなのかどうか。それともう一つ、ついでに伺いますが、いずれにしましても、この五割で切つてあとは見ないということはそういう乱暴なことは私は言えないと思います。だから予算の絶対額の関係から一応五割で切つたものの、三割、四割、五割、つまり三割から五割の間の線のものは、続いて然るべき時期に、これ又第二次補正との関係もありますが、面倒を見てやる、こういうことなのですか。それともこの五割はどこまでも最終のもので、これで切つてしまうこういうことですか、これを一つ伺いたい。
  17. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) お話のように、第一点は農林省で三割乃至五割の被害程度である。即ち作況指数が五乃至七であるという町村が、県では三乃至五の作況指数である、つまり五割乃至七割の被害である、こういうふうに見ているのであります。言葉を換えて言えば、農林省で第三順位に予定しておつたものが府県の五割以上の被害程度を見れば相当数つて行く、こういうふうに見ているわけであります。なおそれで金が十分賄えるかどうかという点でありますが、私のほうでは、最初農林省町村別までにきめて行つてやろうというので、いろいろやつてつたのでありますが、これは今の統計調査事務所調査能力から言つても、とてもできないということになりましたので、一応こういうふうなきめにしたのでありまして、これで府県で実際に配分して頂いて、その結果を見て、リザーヴあとの漏れを拾つて頂く。それで大体賄えるのじやないか、こういうふうな考え方をしているわけであります。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 私は今までの御説明を伺いまして或る程度納得いたしましたが、ただここに私自体考え方を申上げて御参考願いたいと思いますが、それはこの三の総合指数を出す場合のそれぞれが持つウエートというものが、これは単作に十を掛けるとか、その他被害農家戸数にたしか二十、若しくは三十を掛けるとかということは、これは非常に多きに失して、むしろこのほうのウエートを引下げて、最初減収量、これにより、私はもう少しウエートを余計持つて行くということによつて、私は或る程度私が考えろところの公平な数字が出て来るのじやないかと、こう思うのです。示されましたところのこの各それぞれが持つウエートというものは少し私は不満足であります。それからこの五割で打切つたことにつきましては、私は各府県がそれぞれ尨大数字を出すので、それをそのままとるわけに行かん、これは私も納得いたします。併しさらばと言つて余り自信を持てないのであります。農林省統計調査数字そのままで押上切るということにもこれは少し私は疑義がある。これらにつきましては今お話のように、いずれにいたしましても次の機会において十分これらの持つ欠陥というものを補うように御再考頂きたいと、こう私は希望いたしまして、一応私のこの問題に対する質疑を終ります。
  19. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質問ありませんか。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 他に御質問もないようですから、私はもう一つ官房長に、この機会に、直接この問題ではありませんけれども、こういうふうな問題にぶつかつて農林省がもつと確信を持てる基礎数字を持たなきやいかんということを私は痛感されると思うのです。たまたまこの統計調査等の問題は、常に問題になりますが、私は決して統計調査を徒らに尨大なものにしようというようなことを希望するものじやありませんけれども、もう少し統計調査のあり方というものを考えまして、この被害の問題に限らず、あとで御質問いたしますが、農村課税等の問題におきましても、大蔵省と農林省と常にごたごたするということは、結局農林省の持つ数字そのものに自信がないということなんです。これにつきまして今度の災害を契機にいたしまして、農林省が……、私は何も統計調査のことに限つたことはないと思う。もう少し根本的に農林行政の基礎になる数字を出すために、    〔委員長退席、理事白井勇君着席〕  何か官房長、この機会に私は一つの構想を持つて出られることが非常に私はいい機会でもあるし、又必要でもあると思うのですが、何かお考えになつていることがありましたら、一つお示し願いたいと思います。
  21. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) お話私ども全く同感でありまして、今度のような災害のときに、若し今まで程度統計調査でもなければ、供米割当等は全然尺度を失つて、まあ割当せずに自由販売にする、こういうことになればいいのですが、そういう制度がすぐとれないとした場合に路頭に迷うというような状態になつただろうと思うのです。殊にいわゆる民主主義が発達しまして、結局データーに基いて行う施策でなければ、得心して農家が生業を営むということはできないのじやないか。成る勢力でちよつとこう振れるというようなことになれば、金を効率的に使うという狙いからは随分違つて来るかと思います。今一番問題になつております。のは、私のほうでは基本の耕地面積すらまだ正確に掴めておらないのであります。これは最近アメリカ等でやつております航空写真による耕地の確定、これは正確には使えなかつたのでありますが、特殊立法、急傾斜とか、或いはそういうところの法律を施行するとき、アメリカが調べたやつを使つて非常に問題をはつきり……、参謀本部の地図と航空写真を合わすとびたつと出て来るわけです。どうしてもそういうところまで持つて行かなければいけないのじやないか、こういうふうに考えます。更に今度の災害の調査であります。災害の調査につきましては、ここ両三年以来毎回統計調査部調査一つ事業に加えるということで、加えるというよりか拡大するというのでやつておりますが、まだうまく行つておらないのであります。こういう際に、はつきりしたこの災害調査制度も確立して行きたい、こういうふうに考えております。これは併し農林省だけでできない部面が相当あります。そこで農林省の中といたしましては、現在問題点を拾いまして、来年度の十算に間に合えば、間に合う分から追加して要求すると、こういうふうな形で今内部的に協議を進めております。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと議事進行で…。若しこの問題でほかに御質問がなければ、私は被害の問題と絡んで、農村課税の問題でちよつと官房長に聞きたいのですが、ほかの委員のかたに直接この問題で御質疑があれば私は遠慮いたしますが、なければ続けて質問をさせて頂きたいと思います。
  23. 白井勇

    ○理事(白井勇君) 皆さん、何かございませんか。
  24. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この問題にこれは関連した問題ですが、冷害予算、二十八年度の冷害並びに水害復旧補正予算が、二十八年度の農林省予算を節約して相当廻しているのでありますが、私は節約よりもしわ寄せをやつたというように考えるのであります。これは私暫らくこの委員会を休んだんだから、その間に資料が出ておればそれでいいのですが、若し出ておらなかつたらば、特にこの農林省の増産予算をどのくらいとつたか、どういう方法でとつたかというのを、私は或いは土地改良、農業水利事業、或いは小設備事業とか、事業を分けて一つ資料を出して頂きたい。なおついでに林道及び漁港等、そういう方面の事業を分けて一つ出して頂きたいと思うのであります。    〔理事白井勇君退席、委員長着席〕
  25. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 総体の資料ですね。総体でいいのですか。
  26. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 総体じやないこまかい事業別の……。
  27. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 事業別ですね。承知いたしました。
  28. 白井勇

    ○白井勇君 官房長、私今の質問に関連しまして、この前の委員会で実は改良局長が見えましたので、やはり同じようなことをお順いしておつたのですが、予算を大体頂いたわけですが、ところが今重政委員のおつしやる通り、食糧増産につきまして、一体どれだけ組んで、そのことによつてどれだけ来年増産になるのだというような具体的の案というものがあるんじやなかろうか。丁度改良局長は手持がないからということで、それはあとで延期になつているのですが、私からも特にお願いをいたします。
  29. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 増産量とからみ合せてですか。
  30. 白井勇

    ○白井勇君 ええ。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 農村が非常な被害を受けて、救農国会まで開いてそれぞれの予算対策も立てて、又営農資金等も一方に出しているかと思うと、一方において大蔵当局のほうでは課税につきまして何らの手心を加えていない事実が最近問題になつているわけで、具体的に申上げますと、御承知のように農村といえども六月に予定申告をいたしまして、今月一杯で更に修正申告をするわけです。当然六月の当時の予定申告後におけるところの冷害、災害、これらにおきまして農村の収支は非常に変つて来ておりますから、当然ここで大きな修正申告が行われるわけで、これは当然の権利であります。然るに具体的の問題として、もう殆んど農家全員がそれぞれ予定申告、修正申告を出すということになると、税務当局はこの事務処理がなかなかできかねるというわけで、これを拒んでおります。そうして税務当局の言うのは一応とにかくやつておいて、そうしてあとでそれぞれ調査の結果払戻すべきものは払戻すから、こういうふうなことを言つているわけです。併しこれは丁度去る国会で問題になつたように、救農国会だと、いろいろ救済施設を一方で出すかと思うと、いろいろ政府の懐ろを洗つて見れば、一方において既定予算を削つて、そうして片つ方のほうで救災の手を差延べている。差引洗つて見れば何のことはない。大した変つたことはない。これと私は同じような類いのものだと思う。農林当局が一生懸命で農村に資金を流しているかと思うと、一方においては災害前の予定申告そのままで税金を一応納める、取上げる、こういうふうなことをやつているわけです。この事実は農林省でも御承知のはずだと思うのですが、こういう問題は少くとも一地方の税務担当者の問題ではなくて、大蔵省と農林省の間で、本省と本省の間で大きくこの問題はこれは解決しなければならん問題だと、こう思うのです。私の結論としては、少くともこういう事態でありますから、税務当局が一々修正申告をとつて、これを事務処理す不在とはなかなか困難でしよう。でありますから、特例として、少くとも次の納税につきましてはニカ月なり、三カ月一つ延納を認めるということにするか、さもなければ天引二割なり、三割の課税の一応内払をさせるとか、何とかいう特例を一つ設けないと、これは大変な地方としては大きな問題になろと思う。それでこれらの点につきまして何かお耳に入つておる点があつたらばお知らせ願いたいと思うしまた大蔵省といろいろ折衝された点があつたらば一つの経過をお話し願いたいと思うのです。
  32. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 只今の申告替の問題でありますが、それはほかの県でもいろいろありまして、私国税庁の長官に掛合いましたが、特殊の税務署の特殊の人の感じで、国税庁の長官の意図が十分徹していないようなものが出ておるようであります。一番早く起つたのは福島でございます。すぐ掛合つてもつと延せということでやつたのであります。そこでは結局福島県庁と福島の税務署で話合を付けたと私は聞いております。ほかの県でもそういう悶着の起らんようにしてくれということを国税庁のかたがたにお願いして置きました。そこで具体的な問題として、私掛合つたときに抽象的な問題でやつたので、あまり下によく徹底していないということで、徹底漏れになつておるのじやないかと思いますので、今の問題が起つた税務署、それから問題の案件、そいつをお知らせ願いたいのであります。具体的な問題として処理しないと、抽象的にはまあまあということで、ところが農民のほうは得心ができない、というのは、根本的には農業収入だけで税を納めておる人ならば、さつさとその申告替をしているのじやないか、こういうことを言つているわけです。というのは、相当大規模の農家でなければ予定申告もしないのであつて、だからそう問題じやないかということで、併し今度の場合は相当被害も深刻でありますから、或る局部の地方によつては税務署と一括交渉して、お話のように修正のあつたものとして取扱つて、その納税の仕方に特例を設けるということも掛合えるのじやないかと思いますので、あとで結構ですから、具体的にお知らせ願いたいと思います。掛合いますから……。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 私はここで単に福島県だけの問題じやなくて、災害地共通の問題で、今各地ともこの十一月の末に、今私が申上げました問題は全部に私は起つておるのじやないかと思うのです。これはもう地区別にそれぞれの特殊の問題ではなくて、共通の問題ですから、そこでこの災害対策の一環として私は大蔵省と農林省と、災害農家の納税についての大綱だけは一つおきめ願う、そうしてそれ以外に例外的に地区によつて異る問題があれば、それは今お話のように、具体的に我々がここで提示して一つ解決への御助力を願うということになると思いますが、とにかく今申上げましたように、六月申告したときと今とは非常にその事情が変つておるのでありますから、又この変つた事情は農林省も認めて、先ず冷害、災害対策をやつておられるのでありますから、その数字ももうすでに掴んでいるのでありますから、でありますから、勿論各県ごとに県庁と税務担当者とやるということにはなるでありましようけれども、その上で一つ農林省と大蔵省の間で問題の処理の大綱だけは私はきめて頂くということで、而も非常に時間的に切迫しておる問題でありますから、私は御解決願いたい、こう思うのです。
  34. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは最初に問題が起つたのは福島で、ほかの県でも起つたのであります。それは十月の十日前後だつたと思います。そこでそのときにそういう問題が起らんように下部に徹底してくれということを頼んでおるのであります。なおその上に起つておるというのでありますから、国税庁の長官の趣旨が徹底していないのじやないかと思いますので、どういう点で徹底していないかということを、もう少し私のほうでデーターをつかまえないと第二段の掛合に入るのはちよつと自信がない、こういうのであります。重ねてお知らせを願いたいと思います。
  35. 河野謙三

    河野謙三君 もう一つ、国税庁の長官から福島の問題のときに一つ指示をされた、その指示の内容を具体的に何かお聞きできますか、どういう指示をされたか。
  36. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) それは今のような悶着になつておるのを杓子定規に扱うな、被害を受けているのですから、ゆとりを以て取扱え、こういう抽象的な指示と思つております。これは文書で出したから文書の写しをくれというふうな駄目を押しておりません。長官、この前の水害のときでしたか、ぴしつとやつてくれましたので、それに信頼してそのままにしておりますが、なおどういうふうにやつているかよく取調べたいと思います。
  37. 河野謙三

    河野謙三君 農林省でいろいろ大蔵省に御折衝願わなければなりませんが、私は現在考えておりますことは、少くとも修正申告は農家は当然出す権利があるから出す、それが非常に数が多いものになりますから、調査に暇取りますので、その期間私は来年の二月一杯ぐらいまで、この納税は一時大蔵省の側の都合によつて遅れるのでありますから、その間の事務処理ができ上るまでの期間だけ一時この納税を延期する、これを認めるということが一番私は妥当じやないか、こう思うのですが、そういう方向で私は大蔵省と折衝ができれば、これは農民のほうも納得して行けるのじやないか、こう思うのですが、ただ先ほど申上げましたような県は、例えば私の耳に入つている県では、とにかく納めろ、納めなければ承知しない、そうして返すものは追つて返せばいいじやないか、おれのほうは取上げるというのじやないのだから、こういうことで自分のほうの事務の処理の都合のいいように、自分の都合一点張りで農民を或る場合には威嚇して取上げる、こういうような態度だ、これは絶対に我々としても承服できない問題であつて余り事が紛糾しないように事前に一つ御処置を願います。
  38. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今の件は官房長でよく大蔵省と交渉し、その経過を適当な機会にもう一遍一つはつきり重ねて御説明を願つたらどうでしよう。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  39. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  次に公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。  本日は本件の前提でありまする国有林野事業特別会計の経理状況及び国有林野事業従業員の雇用状況について審議をすることにいたします。なおこの件につきまして、先般の決議に従いまして明二十七日は林野庁当局と全林野労働組合当局から管理者側と従業員側との意見を聞き、明後二十八日は国民経済研究協会理事長稲葉秀三君の意見を聞くことにいたしまするから、お含みおきを願いたいと思います。  それでは国有林野事業特別会計の経理状況及び国有林野事業従業員の雇用状況につきまして当局の説明を伺います。なお、本日は林野庁長官林野庁業務課長及び殖林課長が見えております。では、経理状況は経理課の槙事務官から説明を願います。
  40. 槇重博

    説明員(槇重博君) 国有林野事業特別会計の経理状況を御説明を申上げます。  国有林野会計は、御承知のように国有林の生産されます木材を伐採して、これを売つた収入が歳入の規模を大体決定しております。国有林の場合には、大体生産保続の趣旨からいたしまして、年々生長いたします森林の生長量相当の木を伐つて、伐つたあとに生長量を維持するだけの造林を行うということを建前としております。従いまして、そのときの木材価格と、その年度の生長量の量、質というものによりまして予算規模がきまつて参ります。この現在までの歩みを簡単に申上げますと、この会計が始まりましたのが昭和二十二年の四月一日でございますが、この当時は固定資産が百四十四億、流動資産が十億程度合計百五十億程度のものを資本といたしまして始められたわけであります。二十五年までは木材統制が行われておりましたために非常に収入の状況も悪く、支出のほうは急激に上昇するインフレによりまして膨脹の一途を迫るという状況でございました。二十五年の一月に木材の統制が撤廃され、その三月に木炭の統制が撤廃されましたが、有効需要はその当時依然として低くて、二十六年の朝鮮事変の影響が現われますまでの経理は非常に窮屈であつたわけであります。従いまして二十二年、二十三年にはそれぞれ八億九千万、十四億六千六百万という借入金をいたしまして、苦労して経営を続けて来た。二十五年は米国の対日援助見返資金特別会計から三十億の繰入をいたしまして、これを資本に繰入れて事業施設を行い、その当時から戦後の秩序も追々回復いたしましたので、造林事業なども軌道に乗つて、国有林の荒廃がだんだん復興に向いて来た。現在までの経過を申上げますと、二十二年は利益が六千万円、二十三年に二億六千万円、二十四年は利益一千万円、二十五年が利益十四億一千二百万円、二十六年がこれが朝鮮事変の影響が強く現われた年でありますが、利益九十三億四千七百万円、二十六年が五十五億三千九百万円、二十七年度の利益は五十億八千七百万円になつております。今年の四月一日現在におきますこの会計の資産状態は、流動資産で二百五十五億、固定資産で二百九十七億、合計五百五十二億の資産を持つております。それに対しまして、資本の構成は保有資本が百七十三億に、損失補填の積立金、これは今までの利益の累積額でございますが、これが百六十六億円、それから減価償却引当金が百七十九億円、二十八年度、本年度の経理の状況でございますが、本年度は当初の予定が歳入を三百六億、これに対しまして歳出は一般会計に本年度から初めて利益金を繰入れることにいたしまして、二十二億の繰入をみまして、予備費九億ばかりをとつて、歳出はやはり合計三百六億という規模で今年度の予算は編成してございます。只今問題になつております補正予算におきましては、その後の木材の値上りなどからいたしまして一部に或る程度の増収が期待される。他面引続きました災害によりまして収入の減少を来たす面もありますが、合計で二十五億ほどの歳入増加が期待できる。勿論それにはそれに伴う災害復旧をやらなければならないのでありますが、いずれにいたしましても、二十五億程度の歳入の増加が予定できるようでございます。それに一般会計と同じような節約で三億三千万円ばかりの既定経費の節約をいたしまして、合計二十八億ばかりの財源を以ちまして、冷害対策費として八億円、それから災害復旧、それから今問題になつております公労法関係の給与改訂、仲裁裁定の一部実施というような経費を以て目下大蔵省と折衝中でございます。  大体以上のような状況でございます。
  41. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは今の経理状況につきましては、やや簡単に過ぎたきらいがありますが、あとでこれは御質問によつて更に内容を伺うことにして、続きまして雇用状況につきまして職員課長から説明を伺います。
  42. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 林野庁に属しますところの職員の実態を見てみますと、二万二千百人というものが林野庁におきますところの全体の定員でございます。この二万二千百人のうち、二万一千百十名というものが只今説明のありました国有林野事業特別会計に属するものでございます。従つてその残りの九百九十名、約千名弱のものが一般会計並びに森林火災特別会計に属しておるわけでございます。今回の調停なり、仲裁なり或いは団体交渉権等の公労法の対象になります人々は、これらの全職員のうち、先ほど申しましたところの特別会計に属しますところの二万一千百十名の問題でございます。なお二万一千百十名のうち、千四百名は組合に入つてはならない管理運営の事務に属しまして、いわば俗に申しますれば、当局側に立つ人々でございまして、それを差引きました残りの一万九千七百十名というものが、今回国会で御審議を願いますところの仲裁裁定その他に関しまするところの対象になる人々でございます。  以上が定員でございますが、林野庁の雇用条件は非常に複雑でございまして、これは定員内に属しますところの人間が更に多くの人間と使用いたしまして……使用するという言葉はよくございませんが、これらの人々のほかに、定員外の職員がなお非希にたくさんおるわけでございます。この定員外、一万九千七百十名の定員にすぐ続きますものといたしましては、九千名の常勤労務者というグループがあるわけでございます。資料といたしましてお配りしておると思いますが、「定員外労務者の概要」という資料をお配りいたしました。その二枚目の左の端にございますように、定員のほかでは常勤労務者といたしまして、定数で九千三百八十五名、現在員で八千二百六十三名が常勤労務者としてこれに引続いておるわけでございます。それから常用の年雇いの形式をとつておりますが、給与の支払形態が出来高制をとつておる、木を伐ります場合に一石幾らというふうな単価をきめまして、伐つた量によりまして賃金が支払われるという出来高給労務者というものが定数で四千三百四十四、現在員で二千九百六十九、それからその次に期間労務者という職分がございます。これは年間の雇用契約ではございませんで、一年間におきまして一定の月ぎめで、月をきめまして雇用をいたす形の雇用形態に入つておるものでございます。これが同じように日給制と出来高制に分れまして、七月一日現在で出来高労務者が一万七千二百二十九名、それから期間の雇用契約によりまして、支給形態が日給であるものが一万百四十五名、更にそのほかに日雇いの形式におきまして雇用せられる職員が、同じく給与の支給形態としては日給制のもので五万二千二百十六名、それから出来高制によつて賃金を支払われますものが一万三千十一名、以上を合計いたしますと、その次に書いてありますように、九万八千人近い数になるのでございます。  なおこの常軌労務者と常用出来高労務者を除きました職員は、時期的に非常に、事業の最盛期におきまして九月が一番多いのでございますが、数が殖えまして、一番少い時期と比べますと四万から七万ぐらいの幅におきまして時期的に差が生ずるわけでございます。で、御承知の通り公務員法はこれらの職員を全部一般公務員と規定いたしておりますので、公企労法は同時にこれらの全職員に適用になると、こういう形でございます。  なお、そういうそれぞれの労務者の何と申しますか、どういうものをこういうふうなものにするのかというような点は、刷り物でやや詳しく書いておきましたので、御質問等ございますれば、御説明申上げたいと思います。一応御説明終ります。
  43. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) もう一つ国有林野特別会計の性格と言いますか、これができた由来、それが今説明を聞きますと、一時は見返資金から援助を受けて、最近は逆に一般会計に入れておるということで、特別会計の性格というものがまあ私にははつきりしないのですが、この特別会計のできた由来、それから一体はつきりした独立採算性か、或いは専売公社のような、或る意味で一般会計に寄与するという性格まで持つておるか、これが要するに特別会計の発生した由来なり、沿革、現在の性格というものを、これを一つお知らせを願いたいと思います。
  44. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 国有林野事業特別会計で、独立採算によつて計画的に保続的に経営しなければならない、こういう考え方は随分古くからあつたわけでございます。と申しまするのは、従来国有林野事業が一般会計に属して経世をいたして参りました時代におきましては、国家財政の全般的な影響から、非常に年によりまして収入の増を割当てられる、その場合に折鶴林野の経営は御承知の通り計画的に保続的に行わなければ、一面におきまして国土保全の重要な役割を果し得ないというにもかかわらず、計画を乱して急激な過伐を招来する、その結果は国有林経営という目的に副い得ないというようなことを繰返して参りまするので、これを独立採算による特別会計として果して経理できるかどうかということにつきまして、随分長い間検討をいたして参つたのでありまするが、当時の木材、薪炭等の林産物の価格の状況事業費構成の各因子等々を睨み合せますると、なかなかその見通しが立たない時代があつたということで、その当時におきましては一定額を一般会計から繰入れて頂いて、特別会計によつて経営、経理をしなきやならんというような考え方も持つたのでございまするが、終戦後、戦争によりまして非常な林野の荒廃を招来し、国有林野につきましても、戦争のために非常に無理な過伐を繰返して参つた。この際これを放置いたすことは、国土保全或いは将来の資源の保続という面から非常な危険を招来するということで、総司令部等の強力な推進もございまして、非常に実は林業経世といたしましては不法正な状態の山を引受けて、併しながらこれを何とか特別会計で独立採算によつて経営しなければならないということでこの会計が創設せられた次第でございます。  従いまして先刻御説明申上げました通り、特別会計発足当時は林産物自体が統制経済下にありまして、収入の見通しは一応確定する、而も労賃、諸物価等は時々高騰するというようなことで非常な難儀をいたしましたが、一応長期借入資金或いは見返資金等の導入によりまして、これを維持して参つたというような状況にあるのでございまして、その影響が誠に遺憾な話でありまするが、なかなか戦争中の営業上のアンバランスを取返し得ないという状況で参つておるのでございまして、従来の経過から見ますると、独立採算制による特別会計によつて実は精一ぱい、これを国土保全、林産物の保続、増殖という両面に寄与いたして参りたいという考えでおりまするし、さような性格のものであろうと私どもは考えておるのでございまするが、非常に本特別会計として仕合せなことには、統制撤廃後、昭和二十六年度中頃の朝鮮事変のブームの影響以来、林産物が予期以上に騰貴して参りました結果、現在最低剰余金を百七億程度保持しておるということでございまして、引続いて二十八年度においても比較的収入は順調に参つておるということなのでございまするが、本特別会計といたしましては、将来の正常な保続経営をいたしまするために、損失補填のための相当程度の積立を保有しなければならないと、かように考えておりまして、或る程度特別会計運営のための基金を持たなければならん、こういう考え方を以て、今その限度をどの程度まで確保すれば本特別会計が将来に亘つて保続経営をいたして、国土保全の基盤と林産物需給の調整の基盤を持ち得るかという検討をいたしておる次第でございまして、本来から申しますれば、本特別会計によつて収入を挙げて、他の一般会計その他への繰入を期待し得る内容ではないと私どもは考えている次第であります。
  45. 白井勇

    ○白井勇君 私もこの間ちよつと山を見ただけでよくわからんのですが、先ほどの特別会計に対しましてのお話によりますれば、剰余金ですね。今のお話のように、まあ二十六年の朝鮮事変以来というお言葉のようですが、更にこれがただそれのみによつてこういう剰余金がうんと出ているものか、どういうところにこの原因があるかということにつきまして更に詳しい分析をやつていらつしやいますか、どうか。と申しますことは、これは勿論朝鮮事変の関係があると思いますけれども、やはり山に対しまする仕事というものは、これはまあ我々素人ですけれども、むしろ子孫のために美田を買わずということがありますけれども、この山につきましては子孫のためにやはり美林というものを準備するという、つまり投資の面が多いのじやないかと私は思いますが、そういう方面から、例えば経費を絞つているのでありますが、やはり現業職員になりますれば、伐つてすぐ売買をして行くということのほうが、これはすぐ目に付く仕事ですが、そういうような面において抜かつている点があるのか、或いは支払うべき合理的な賃金も払わずに働かしてやつているというような面があるのか、そういうようなことにつきまして何か詳しい分析はないのですか。
  46. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 只今お尋ねの点は、私どもといたしましても早く本特別会計の内容の明確な分析をいたしまして、経理内容といたしましても的確な損益計算をいたす、と同時に、伐採によりまする資産の減と、投資によりまする資産の増等々を的確に経理内容に反映させなければならないということで、只今これが調査を進めておりまするが、現状におきましては、誠に申訳ないのでありますが、まだそこまで参つておりません。一番大きな問題は資産評価の点におきまして、本来は樹種別に、内容別に資産を的確に評価し、これの増減と将来の投資或いはこれによる収益というようなものを睨み合せて、果してこの経営が保続的に、自主的に可能かどうかという点まで出さないとはつきりしたことは申上げられないと思うのでございます。現在のところ先ほど固定資産、流動資本等を合計して五百五十数億という資産を以て経常に当つていると申上げましたが、この内容自体は実は私ども考えましても非常に不的確なものであろと考えておりますので、これが早急に明確化をいたして、近い将来に本特別会計としても的確且つ合理的な経営の基盤を確立いたさなければならないと、かように考えている次第でございます。
  47. 河野謙三

    河野謙三君 今白井さんから経理内容の分析のお話がありましたが、私もそれに関連して、いわゆる原価計算的なことはできておりますか。例えば年間四千五百万石の木材の売却をやる、それに要する民間で言う営業費と申しますか、あなたのほうの業務費と申しますか、こういうようなものの原価計算はできておりますか。
  48. 槇重博

    説明員(槇重博君) この会計もやはり特別会計令の政令の規定を以て原価計算をやることになつておりまして、直営事業といたしまして、こちらで伐木事業をやつたり、或ついは製材事業を行い、或いは木炭を作るという面におきましては原価計算をやつております。全体についての原価計算と申しますか、損益の種目というものは、損益計算書を作ります場合に掲益種目別調査書というものを作りまして、その中で経営の分析であるとか、或いは資産維持の分析というものをやつております。
  49. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、製炭であるとか、製材であるとか、それぞれ事業別に原価計算ができていると、こういうことでありますから、これを一つ早急に資料として頂戴したいと思います。ただ私はこの機会に申上げてみたいと思うのは、例によつて悪口になりますけれども、私たちのような役所の飯を食わない人から見ると、民間の小さな資本で小さな事業の経営をやつた経験の者から見ると、どうも役所の事業というものは外に向つて利益を追求するということは非常に急であるし、非常に上手である。ところが外に向て利益を求める前に、先ず内部的な利益を求めるということが、これが事業の先ず出発点でなければならん、その点が私は非常に欠けていると思います。例えば少し収支が合わなくなると、結果から見て手数料を値上するとか、その他予算を要求するとかいうようなことになりますが、そうでなくて、やはりこの収支のバランスというものは、先ず内に利益を求めて、然る後に私は外に向つて利益を求めるということでなければいかんと思います。そういう原則論に立つて私たちはものを考えるのですが、そういう原則論に立つた場合に、この間も製材事業なんかやめたらいいじやないかと、こういう話をしたあとで、原価計算をしてもらえば私の考え方が間違つているかいないかははつきりわかるわけでありますけれども、私は非常にあなたのほうのやつておられる製材事業も、他に多少の意味は持つておられますけれども、これを原価計算的に見たら非常に私は非能率のものであると断定しているわけであります。もつと更に突つ込んで考えました場合に、どうして林野庁が木材の売却を立木でやらないか、何で素材までしなつければならん必要があるか、私は立木で原則はやつて、それで成る特殊な地帯の特殊な事情に関してのみ素材でやる、更に又特殊な場合に製材でやるという、この例外としての素材なり、製材の売却は私はわかりますけれども、原則が素材の原則になつて、殆んど立木の売却というものが私はないように聞いておりますが、一体四千五百万石なり、六百万石のうち、素材の売却、立木の売却、又製材の売却、この比率は一体どうなておるか、私はこれを御説明願うと同時に、どうして立木で売却ができないのか、この理由を私は伺いたい、こう思います。
  50. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 国有林野事業特別会計で二十八年度伐採します木材の量は、全体で四千六百万石程度のものであるのであります。そのうち立木のまま売払いますものが、用材におきまして千百四十二万石、薪炭林におきまして千二百五十万石、合計いたしまして二千三百九十万石、約半分は立木のまま売払いするという計画になつておるのであります。一方直営生産によりまして丸太として売払いますものが千四百五十万石あるのでありまして、そのほかに製材しまして売払いますものが二十五万石になつておるのであります。木炭として売払いますものが八万トンとつなておりますし、それから、みずから薪に作りまして売払うものが五百五十万束という形態になつておるのであります。
  51. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、今の原価計算は、これは素材としての原価計算と、立木としての原価計算がそれぞれできておりますか。
  52. 槇重博

    説明員(槇重博君) 只今のお尋ねの素材の正原価計算はやつておりますが、立木としての原価計算というのはできておりません。これは実は国有林の経営のほうでは立木を固定資産という扱いにしておりまして、立木を年々四千六百万石伐るといたしますと、四千六百一万石に相当する原価に当るものが、造林費とその年度の生長価が立木資材価であるという見方をとつております。ですから原価計算に入つて参りました立木資材価というのは、市場価格から逆算して立木処分のときの単価を立木資材価格に一応仮定いたしまして、損益計算に載せております。
  53. 河野謙三

    河野謙三君 併し原価計算はできていないけれども、これは不可能なものじやございませんね。立木の原価計算は立ちますつね、立てようによつて……。一応それを立てて一つ示して下さい。それからもう一つ伺いたいのは、今伺いますと、相当量の立木の売却もやつておられるようでありますが、その立木なり、素材として払下げておられます、過去長いことは要りませんが、終戦後のそれぞれの払下げの比率ですね、一体長官の方針として漸次立木の払下に重点を持つてつておるのか、それとも素材のほうに重点を持つてつておるのか、この点を私は知りたい、その意味合において、終戦後のそれぞれの立木なり、素材又は薪炭なり、製材なり、これらの品種別の売却比率を一つお示し願いたい、私はこう思うのです。なお私はさつきお尋ねした、どういうわけでそんなに大量の素材の払下をしなければならんのか、どうしてもつと原価計算的に見て、私の断定でありますけれども、能率的な立木の払下をなぜやらないのか、そこにどういう根拠があるのか、これを私は一つ長官に伺いたいと思います。
  54. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 経過的に申上げますと、直営伐採の仕事が始まりましたのは、各地域とも当時国有林材が非常に販売に苦労をいたしまして、新らしい用途を国で切り開いて行かなければならないという時代、丁度明治三十九年、日露戦争直後あたりから出発いたしておりますが、そういうために立木で売りましてもなかなか消化できない、而も有利消化できないというような関係一つございまして、直営で伐採をし、更に丸太で消化できないというので、官営の大規模な製材工場を各地に設置いたしまして、新らしい用途を開拓いたして、それが一応見通しが付いて製材事業を漸次民間事業に移して行つたと、こういう経過が一つあるわけであります。なお昭和四年から殆んど国有林全般に亘りまして、従来の皆伐人工植栽という方針を全部について行えば非常に国土保全上危険が多い、従つて国有林については天然林については特に択伐いたして天然更新を主体とする伐採方法によつて更新を図らなければならない、こういう画期的な一つの大きな方針が立ちまして、択伐をいたしまする場合には択伐木を立木処分いたしましても、多少金はかかりましても、相当技術的な伐採方法をとらないと係木を多くし或いは損を多くするというために本当に更新の目的を達しない、或いは択伐をいたし出すると、善意の場合或いは悪意の場合等によりまして、折角技術的に選木いたしましたものが伐採によつて撹乱される、これはどうしても自分の手で切つて運び出してもらわなければならないということで、これが一つの契機となりまして直営伐採が非常に増加いたして参た、こういう次第であります。なお最近におきまして、北海道等で一部直営伐採を加えて参つておりますのは、従来御承知の通り、北海道は年期特売によりまして相当面積を長期に亘って特定の利用者に年期で払下げておる。このために殆んど独占資本の資本というような傾向が非常に強くなつておるだんだん資材を合理的に利用しなければならないという場合に、全林に且つて長い期間の特売をするということは適正な配分上面白くないということで直営伐採をいたしまして、それぞれの用途に適する材の配分をするという必要が生じて直営伐採をされるところもあるわけでございますが、現在といたしましては、一応搬出施設を国営において整備いたしまして、極力民間にお任せできるように、伐採書をとれるところは立木処分に移行して差支えない、こういう考えで今後はできる限り立木処分によつて直営量を減少いたして参るというような考えで行きたいと考えております。ただここで一つ特に非常に大きな問題になりますのは、従来立木処分によりまして、大資本が入つて参りまする場合には、恐らく現場を御覧になり、現地で働いておる人たちの意向を直接御聴取頂けばわかると存じますが、山の仕事はとかくボス化するという危険が非常に多いのであります。そのために働く人たちが伐木業者等のために非常に搾取されるという傾向がありますので、これを救済しつつ技術的に山を扱つて行く、山の作業を妥当に民主化して参りたいというような場面も相当出て参るというために、安定して山で地元のかたたちに働いてもらうために、形態を急激に変えるということは相当問題があり、又逆行し、複雑化する危険があると思われますので、それらの点を十分に勘案しつつ妥当な方向に進めなければならないと私どもは考えておる次第でございます。
  55. 河野謙三

    河野謙三君 一々理由を付けて立木の払下が一直線に行かないという御説明がありましたが、これは私がここで討論する時間もありませんし、又討論の機会じやありませんから、一々反撥はいたしませんけれども、必ずしも長官の説明を全部納得するものでない、ただ結論として、長官の御方針として一時に画期的に素材の払下をやめろというのじやありませんが、方向として立木の払下に重点を置きつつ林野庁の特別会計の運営をやつて行くと、この方向には間違いないのでしようか。それとも逆に立木の払下を、あと数字をもらえばわかりますけれども、立木の払下は今申上げたような理由によつて順次素材のほうの払下に重点を置き換えるという方向になされるのですか、この考え方の方向を一つお聞きしたいのです。
  56. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 只今も申上げました通り、現在までは特に北海道等が新しく私どもの管理下に入りましたので、一時的には直営伐採が増加いたして参つておると存じまするが、今後におきましては、御説の通り民間に移し得るものについては立木で払下をする方向にしたいという考え方は、先生のお考え方と同じであると御了承願つて差支えないと思います。
  57. 白井勇

    ○白井勇君 ちよつと私もう一遍お尋ねしたいのですが、先ほどお話がありましたが、その年の伐採量というのは生長量の範囲内でやつておるのですね、それを算定されます場合にどういうようなことでやられますか、ちよつと私ども素人が考えますと、価値の全然違つた石数のようなものじやないかという懸念を抱くのであります。と申しますのは、伐採されるのは、非常に便利な市価の商いものが出て来て、生長量として計算されておりますものは、山奥の非常にコストの高くかからなければならないような生長石数であつて、石数で行けば内容は殆んど違うのだというものが、実際上これは生長石数の範囲内で伐採されておるのだという恰好になつておるのだという気がするのですが、これはどうですか。
  58. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) お答えいたしますが、これは国有林の植伐を計画いたしております経営案を御覧頂きますとわかると思いますが、全林を調査いたしまして、施業対象外を除きまして、普通施業地、それから施策を制限いたしますものは、又独立の経営という関係で全林に亘ります利用、それから更新を考えて場所を決定いたして参りますので、一定のローテイシヨンを以て全林を伐り、且つ植えて行くということになるので、只今御指摘のような便利なところだけに集中して伐つて奥のほうの生長量を伐ると、こういうことはいたしておりませんし、さようなことでは経営案は編成できないと、こういう状況になつております。ただ全経営区を更に細分いたしまして、伐採列区を置きまして、それぞれの小さな列区によつてローテイシヨンを考えて行くということになりますので、大体一伐採列区、天然林でありますならば二十年乃至三十年でローテイシヨンする、人工植栽林ならば輪伐期六十年なり、八十年なり、百二十年なりという程度でローテイシヨンして更新を考えて全林を利用すると、こういうことにいたしておりますので、全体を通じますると、常に非常に便利なところ、或いは不便なところ等も入つて、一時に便利なところだけに集中されるということにはならないという仕組になつておりますが、これは場合によりましたら一つ経営案を御覧頂けば明確になると思います。
  59. 白井勇

    ○白井勇君 当初の私のお尋ねに関連いたします。が、先ほどのお話で、現在の剰余金が出ておりますが、内容につきましては詳しい分析は非常に困難であろというお話でありましたが、現在問題になつております仲裁裁定は、そういう分析が困難であるという実情でありましても、あの程度のものはいずれの面から見ましても、完全実施いたしましても、これはこの特別会計には何らの支障がないのだと、こういうお見通しでありますか、どうか。
  60. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 実は経理内容分析等からいたしまする収支ということになりますると、相当問題はまだ残されておるわけでございまするが、一応従来のような収支決算をいたし、損益計算をいたすという形におきましては、現状におきまして裁定を実施することは可能である。なお引続きまして二十九年度以降についてもこの情勢が急激に変化しない限りは一応事業計画は立ち得ると、かように考えておる次第でございます。
  61. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではなお御質疑があると思いますが、今日はこれで散会いたします。    午後三時五十六分散会