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1953-11-13 第17回国会 参議院 農林委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月十三日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月十二日委員小林亦治君辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            赤松 常子君            松浦 定義君            鈴木  一君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林大臣官房総    務課長補佐   吉岡  茂君    農林大臣官房総    合開発課長   庵原 文二君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済   局肥料課長補佐  立川  基君    農林省農地局か   んがい排水課長  小川  孝君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    食糧庁長官   前谷 重夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農林関係昭和二十九年度予算要求  額に関する件)  (冷害対策に関する件)  (肥料問題に関する件) ○参考人の出頭に関する件 ○政府に対する申入れの件   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。  最初にお諮りいたしたいのでありますが、河野委員から最近の肥料事情について、いろいろな情勢の変化が起きておるということであります。そういう意味で午後の委員会に全購連理事又は肥料部長参考人として出席を求め参考意見を聞くことにいたしたいと思いまするが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さように取計らいたいと思います。なお農林省側からは局長が来られないそうでありますから、肥料課長出席を求めております。   —————————————
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、昨日に引続きまして昭和二十九年度農林関係予算の件を議題といたします。昨日説明がありましたので、本日は直ちに質疑に入りたいと存じます。只今農業改良局長が見えておりまするから、農業改良局関係につきまして御質疑を願いたいと思います。
  5. 白井勇

    白井勇君 ちよつと議事の進行について……。昨日会計課長から大体の御説明があつたのですが、それで食糧増産五カ年計画の一つの線に沿いましておつしやつたのですけれども、今日改良局長がいらつしやるし、何かそういう来年度食糧増産対策というもので具体的にどんなことを特にお考えになつていらつしやるのか。大体どのくらいの予算で、どのくらい来年は増産するという目標でやつておるか、承わりたいと思いますが、或いはそういうことは、いずれ次の機会でもいいと思いますが。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今白井委員の御発言の点は、只今ちよつと資料を持合わしておらんそうですから、後ほどそれはやることにいたします。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 改良局長さんにちよつと伺いたいのですけれども、大体昨日三十九年度予算要求額についての大綱は会計課長から説明を聞いたのですが、私はこの改良局に限らず、全体的に知りたいのは予算の中で、今日は改良局長さんだけですから、改良局予算の中で私は伺いたいと思うのですが、予算の中で純然たる事業費として使い得る分と、最近非常に人件費事務費が膨脹しておりますから、これを今すぐでなくてもいいのですが、私は頂きたいと思うのです。例えば、なぜそういうことを伺うかというと、我々が非常に期待をしておる試験場等予算を見ます。と、たしか昔は試験場予算人件費というものは三割か、三割五分程度にとどまつてあとの六割五分なり、七割というものはいわゆる本当意味事業費として私は使えたと思うのです。ところが最近は試験場予算と一口に言いましても、そのうちの五割五分乃至六割というものは人件費であつて本当事業費に使われる金というものは非常に少いわけです。でありますから、我々は一見すると非常に予算が殖えて、試験研究のほうに非常に力が入つておるように思つておるのだが、内容においてはそういうことであつて、手も足も出ないということに私はなつておると思う。そういう点について今度の予算において、あなたの関係するところだけでも、一体人件費、いわゆる事務費というものと純然たる事業費、この区分を私はもう少し我々にわかるようにして頂きたい、こう思つておるのです。なおそれにつけましても、この数字あとで頂くにしても、大体今どういうことになつておるかということがわかつておれば、おつしやつて頂きたいと思います。
  8. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 只今の点は、資料等は後ほど提出いたすことにいたしまして、大体おつしやる通り、最も甚しいときは人件費が七に近いくらいな数字になつておりました。最近だんだんと六、五というふうに近付いて参りましたが、併し昔のように逆な比率で、人件費は三乃至三・五というくらいなところで、事業費のほうがむしろ大半を占めるという形に行くのが試験場としてはおつしやる通り健全な姿であります。それでまあこの点につきましては、大蔵省とこの折衝が始まる前から改良局の基本の方針としましては、その点をどうしても修正してもらいたいと、こうことを春頃から詳しく説明をいたしておりまして、その点については大蔵省のほうとできるだけのことは考えるというふうなことに、大綱はなつておるのでございますけれども、具体的にどこまで事業費のほうの比率をするかというふうなことにつきましては、今後の折衝に待つわけです。これにつきましては、農林省試験場以外のその他のほうの農林省所管試験場としても、ほかの各試験場がございます。それからその他の各省の試験場とも見合わなければならないというのが大蔵省考えのようらしいのでございますが、私らとしましては、他省のことまで一々詳しく調べるわけに参りませんけれども、農林省関係、殊に農業関係試験研究については、これは自然的な条件がいろいろと違つて来るに従つて試験をしなければならないし、場所相当広く農地等を利用して耕作をしてみなければ試験にならないというふうな関係からして、その人夫賃であるとか、その他いろいろな経費というものが非常に多くかかるのでございまして、そういうふうな意味からいつてどうしても今のままでは試験は十分にできない。折角人がおりましても、それが本当にフルに活用されておらない。そういうふうな状態のように見えますので、その点については特に考慮を促しております。そのほかになお設備等につきましても、殆んど余り充実されておりませんような状態で、設備についてはできるだけのことはやりたい、殊に今般の補正予算につきましては、そういうふうな点について、冷害関係ありますものについても相当量増額してもらいまして、設備のほうの充実によつて試験場のほうの研究相当スムースに行くと思いますので、人件費事業費、そのほか一般の設備費というふうな点についても均衡がとれるように努力をいたして参るつもりでございます。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 同じことを繰返すようですが、我々が予算増額を我々の手で政府要求する場合の内容は、事業費をもつと殖やせということが内容なんです。勿論事業費が殖えれば、それに比例して幾分の人件費が殖えることは、それはやむを得ませんけれども、ところが最近の傾向は殖えた分は殆んどが人件費増額であつて事業費増額というものは殆んどそれに伴わないというような予算内容というものが非常にあることを私は承知しておるので、特にこれは改良局の問題だけでありませんが、農林省予算全般を通じて私はこの予算分析をして、この分析目的事業費正味幾らこれが増額されておるか、人件費事務費というものがどうであるかということを私は知りたいと思う。特に私は改良局長に申上げたいのは、今までの予算というものは、大体農林行政主客顛倒をして、むしろ食糧の分配のほうの予算重点があつて本当農林行政本来の試験研究指導という方面に非常に私は農林予算重点が欠けておつたと思う。そういうことをいつまでやつておるから食糧増産が片付かんのであるから、そういう面から見て私は改良局予算を思い切つて殖やすことは賛成なんだ、又殖やすべきなんです。ところがその殖やすに当つての殖やす目的事業費そのもの、例えば試験場で今私が申上げるように、試験場予算分析してみれば、その中の人件費が五割五分なり、六割なんで、事業費そのものは三割か、四割しかないということであるならば、そういうことをいつまでもやつておるならば本当改良局の本来の使命を果す、目的を達することはできないと思う。そういう意味においてこれは、今官房長も見えましたけれども、我々頂いたこの予算の中で本当事業費に幾ら投入されるのだ。人件費はどうなつておるのだ。事業費の殖えた率、人件費の殖えた率、事務費の殖えた率、これを今度はそういう意味合から分析したものを私は各局に当つて頂きたいと、こう思う。それから立つたついでに改良局所管でお尋ねしたいのは、来年度予算病虫害の駆除について非常に力を入れておられることはわかりますけれども、その中の例の農薬備蓄ですね。これにつきましては従来私は失敗された点もあると思う。これを来年度においてどういうように改良されるか、農薬備蓄についての一つの御方針を伺いたいと思います。
  10. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農薬の問題は、本年度は非常に、例年になく稲につきまして「いもち」及び「めい」虫の発生等が激しかつたので、いろいろな方面において農薬適期に入手できなかつたという事情にあつたことは非常に遺憾だと思つております。そういうふうな点に鑑みまして、やはりこれは一つ暫定予算関係からして各府県のほうの予算の割振りが決定いたしかねたものですから、各府県のほうで平常防除などについての補助金はつきりと確立しないために手当が非常に遅れたというふうな点が一つございまして、そういうふうな点について平常防除においても相当量増額をやるというふうなことが、これがやはり農薬生産をスムースにし、又適期に必要な向きに農薬を入手できるような制度にするために一つは必要なわけでございまして、そういうふうな点についてやはり或る程度増額要求しております。そのほかに備蓄につきましては全購連等において農薬の金利、倉敷等を補助いたしまして、それで一定量のものを備蓄してもらつておるわけでございます。その額が前年度予算では二十六頁にございますが、農薬管理費補助としまして二千四百九十八万八千円というふうになつておりますが、これを四千二百六十八万一千円というところまで増額いたしたいというふうに考えております。これにつきましては、かなりな程度年度において特に農家のほうの要求も大きく、試験成績相当よかつたところのセレサン石灰というふうなものについて特に増強内容的にして参りたい。こう考えておるわけであります。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 農薬保管補助金は三倍くらいになつておりますな。これは要するに量的にも大体本年度よりも三倍くらいの備蓄をするということですか。それかな備蓄の量と共に大事なことは備蓄方法ですね。どういう場所にやるか。今まで私は災害というのは非常に地域性の強いものでありますけれども、災害地域性の強いということを考慮に入れられないで、比較的機械的に私は備蓄をされておつたと思う。その点にも今まで非常に欠陥があつたと思う。それから備蓄を誰がするかという問題で、私は長年の持論でありますけれども、農薬のようなものを全部これを農薬会社から買つて購連に持たせるなり、その他消費者団体に持たせるということは私はこれは非常な不経済だと思う。農薬そのものの性質からいつて或る一定の時期が来ればそれは使えなくなります。むしろ農薬会社自体に、政府が買上げた数量のうちの全部とは申しませんけれども、相当農薬会社責任において私は保管維持させるべきだと、こう思うのです。特に本年のような、非常に農薬会社には恵まれた年であつて農家は非常に今度の災害でひどい目に遭いましたけれども、おかげで農薬会社非難に今年は景気がいいわけです。でありますから、そういう意味合からいつても私は来年度におきましては農薬会社責任において、負担において、或る程度政府備蓄せんとする数量を持たせるべきだと思う。そういうことによつて国負担を払は軽減すべきであると、こう思うのですが、それらにつきまして何か来年度は今までと違つた備蓄方法、手段というものをお考えになつておりますか。
  12. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農薬農薬会社に持たせるというふうなことは、趣旨としてはいいわけでございますが、その量次第では、これは病虫害発生状態次第で以てそれだけの量を使用できないというふうなことになつたときに、やはり農薬会社相当な損失を負担させることになるわけでございまして、それらについては現在の法律の下では、これを一定量備蓄を強制するというわけには参らないわけでございまして、それについては法的な根拠でも持ちませんことには手が出ないのでございます。現在のところはできるだけ全国的なそういう被害発生状態の予察と見込等によつて、大体政府のほうで農薬会社に勧奨して進めまして、それでこの程度のものを持つようにというふうな指導をやる以上のことはいたしかねるわけでございます。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 くどいようですけれども、払は農薬会社に持たせる場合に、いつかも改良局長に非公式に言つたんですが、先ず原料の形で持たせることがあると思う。半製品の形で持たせる方法もあると思う。製品の形でも持たせる方法がある。そういうふうな、製品原料、半製品、こういうふうに区分することによつて相当量のものを私は農薬会社に持たせることができると思う。今までのやり方で行くと、全部製品そのもの買取つて、そうして消費者団体負担させて、たまたま今年は災害がひどかつたから、その保管した農薬が全部処分できたけれども、逆な場合の被害が非常に少なかつた年には、それらの買取つた農薬のうち相当部分が今度は全然効力を失つたものになつてしまう、こういうふうなことは過去においてあるんです。そういう逆に被害が非常に少なかつた場合に、一体備蓄した農薬がどうなるかということを考えると、私はどうしても、全部とは申しませんけれども、農薬会社にできるだけ多くのものを農薬会社責任において持たせるということが、国の負担の軽減となつて、私は同時に非常に効果的であると、こう思うのですが、非常にしつこいようでありますけれども、私は過去の経験に徴してそうではないかと思うのですが、どうでしよう。
  14. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 河野委員からお話のありました通りでございます。本年度は非常な不足を告げました。これは去年から試験的にやらせ始めまして非常に成績がよかつたので、今年度非常に使用量の殖えましたセレサン石灰等分につきまして考えました場合に、セレサンを持たせるというふうなことが非常に大事なわけでございまして、必ずしもセレサン石灰まで行つておらなくても、セレサン一定量備蓄があれば、セレサン石灰に持つて行く場合には大して障害を生じない。こういう状態にもありますので、そういうふうなことについては、必ずしも製品のみでなくて、半製品というふうな点において備蓄する必要もあろう、こう考えておりますので、来年度においてはそういう点も備蓄につきましては考慮して参るつもりでおります。
  15. 片柳眞吉

  16. 白井勇

    白井勇君 改良局長にお尋ねしたいと思うのですが、今年は統計調査部費用は非常に殖えておりまして、例えば作物調査関係のものはまあ倍になつておるようですが、この予算によりますと、今度今までの調査と非常に違つたようなものはどういうふうに出て参りますか。それからセンサスですね。これは八億円も来年使うという予算のようですが、まあ災害あとであるし、生産増強に同じ金を使うなら使つて差当り一年繰延べるというふうな操作ができ得るものかどうかという点。それから統計調査関係で人の増員も考えていらつしやるのかというふうな点についてお伺いいたします。
  17. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 統計で殖えておるのはセンサス関係であります。これを繰延べられるか、繰延べることができないか、こういう問題はこれは条約上のあれもありますので、今すぐここで繰延べることができるというようなことは申上げられませんが、今後よくお話もありますので、ほうぼう当つてみたいと思います。それから人員を増したいというのは、これは非常勤労務者の恰好になつているのが相当多いのでございまして、いろいろ実際上困る問題があると同時に、来年はたしか災害被害調査のやつを本格的にやろうと、こういうつもりになつていると思います。その部分が或る程度これは去年からいろいろやつておるのですが、去年ではできなかつたようですけれども、今年要求していると思います。
  18. 白井勇

    白井勇君 これは今お話のやつは農業センサス約九億ですか、八億ですか。
  19. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 八億ぐらいです。
  20. 白井勇

    白井勇君 二十億ぐらい殖えているのですな、調査関係で前年度から見ますと……。ですから今まで例えば地区的にわかつたものが、今度は町村は勿論のこと、個人別数字がわかつて来た、こういうような恰好になつておりますものかどうか。一挙に二十億も殖やす。これは勿論調査も大事なわけですが、むしろやはり生産増強そのものにうんと金をつぎ込んだほうが経済的じやないかというような感じもあるわけですが、これは調査の面で二十億も違つて来るというのはどういうことが主に変つているわけですか。
  21. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは今度殖えたものはセンサスと、それから被害調査のやつが項目的には殖えておるのでありまして、あとは毎年これだけの費用を使わなければ皆さんの満足の行ける調査はできないのだ、こういう何というか、或る程度調査部のほうで自信を持つて事業が遂行できるのにはこれだけ費用が要るという手ならしのあれがあるわけです。今のやつでありますと、例えば今年などでもまあ特別でありますが、いろいろの批評が出ております。併し結局においてはせんじ詰めたところ統計調査部があるので、相当なふれはあるけれども、一応の基準がまあ安心して持てるというのが大方だろうと思います。具体的に例えば県別とか、或いは町村別の問題になると、統計では不十分であるということは皆さん認めますけれども、大づかみのところでは、今の県の統計をそのまま御覧になつたんでは、これは大変なことになるというところまではできておりません。そうなるともう少し、折角統計調査部仕事をおやりなら、今まで非難のあつた各事項を少しずつ整備して行つたらどうか、こういう考えを実は持つております。それから例えば今の制度で行きますと超勤でありますとか、旅費でありますとか、非常に何というかやかましい問題になつているわけであります。つまり働らかしても払うものを払つていない、それを規則通りに流すだけでも相当金額が殖えるのであります。
  22. 白井勇

    白井勇君 そうしますと、それは私は抽象的にはそういう話はわかるのですが、例えば農業共済関係で今のようなでたらめな数字ではどうにもならんから、この統計調査部関係を充実して、かつきり出すとか、何かそういうことがあるのじやないかと思う。それはいずれあとからお尋ねいたしますが、取りあえず今の行政整理なんかでいろいろ問題になつているわけですが、今朝の新聞なんかを見ますと、食糧事務所統計というものを一本にしちやつて、そこでできるだけ仕事を地方に委譲してしまつて三万人渡すのだということが伝えられておりますが、そのことにつきましては、農林省としましてはどういう考えでいらつしやいますか。
  23. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 農林省としましては現在の段階ではそういうことは不可能だ。殊に統計調査部のまだ何と言うか本当の力が出ない先にそういつた判断を下すことは早過ぎる。やはり日本農業はつきりして行くためには今の技術の研究、普及と、やはりそれを使う元である統計数字はつきりしておらなければ、日本国民経済を運行して行く上に損であるという確信を農林省としては持つております。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 私官房長一つ資料をお願いしたいのですが、予算が組めないだろうというほど非常に苦しくなつて来たときに、方において我々が非常に事業費増額要求するわけだ。ところが今の予算内容を見ると事業費相当食つているところの、いわゆる我々から見れば中間搾取的な団体が非常に多いと思うのです。それについて例えば農林省におきまして食糧庁の中においてだけでも、食糧輸入協会を初めとして、やれ保管協会であるとか、やれ検定協会であるとか、そういうものがたくさんありますね。それは農林省のほうから見れば不要な中間団体ではないと言われるかも知れませんが、その要、不要は別問題といたしまして、その種のものを農林省予算の中に書出して置いて、而もその団体別にどれだけの要するに経費を払つているか。農地局の中でもそれは仕事はしておるのでありましようが、砂防協会とか、土地改良協会であるとか、やれ森林協会だとか、そういうのがたくさんあると思う。これらを団体名別に、どういうふうな比率経費をとつているか、これを払はこの際に御提出願いたい、こう思うのです。それから資料要求じやありませんけれども、金額は小さいのですが、払は非常に腑に落ちないので伺いたいと思うのでありますが、今度の予算要求の中に、この間不成立になつ農業団体編成をそのまま再び通常国会に提出するかの備えで予算を組んでおりますが、これはどういういきさつですか。この間農林大臣説明では、まだ農業団体編成については成案さえ出ていない、従つて農林大臣の口吻から行けば、通常国 会に再編成の案を提出するような意思はないのでありますが、然るに予算面にはあの八千万と六百万がそのまま出ておりますが、これはどういういきさつであるか、伺いたい。
  25. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 団体編成の問題は、農林省としてはまだ方針がきまつておらないのであります。併しこの前の案がありますので、これをそのままやるのか、新らしいのでやるのか、或いは全然出さないのか、それのきまらないうちは要求としては一応要求しておこうじやないか、これは要求に掲げるか掲げないかということで、中でいろいろ議論はあつたのですが、いろいろ何かやらなければいかん羽目に陥る、そうなれば卑俗な言葉で申上げれば、つばをつけて置こう、こういう程度で出しておるのでございまして、これは併し本予算を組むまでにははつきり、今要求だからここに書くことはいいけれども、予算の最後の決定には落すか、或いははつきり方針をきめて入れるか、どちらかをきめなければならない、こういうふうに思つております。そういう恰好で出ていると思います。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 それはまあどうも私はよくわかつたようなわからないような、官房長自体もわかつたようなわからないようなことだと思います。今の再編成の問題は……。今当初にお願いした各団体のデーターですね、これはここ一週間くらいのうちにお出しになれますか、各局別に……。非常に多いと思うのですが、それを一つ団体名別に……。
  27. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) できると思います。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 附帯して……。今河野さんの言われたことは団体だけだと、こう言つているけれども、実際問題としては団体でない補助金のようなものが出ているのが相当あると思います。団体でなく何かの方法で……。この間食管で供米督励か何か三億四千万円から出ているというのがぼつぼつあるだろうと思うのです。そういうものをまぜて一つ資料を出して頂きたい。
  29. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) それはできるのはできるのですが、今の河野さんの言われるのだと、関係団体予算でいいのですが、清潔委員の供米奨励金というのをどの程度に出すという問題になると、これは府県から出しているのがありますから、団体名を出すということになると決算がわからないとできないわけです。今河野先生の言つている関係団体のやつは、何々協会とか、何々組合とかいうので、それ自体の事業でやつておる、これはすぐわかるのです。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 いずれこれは農林省ばかりでなく、各省のやつを決算委員のほうで要求をして出るだろうと思うのです。だからどうせ作るついでですから、御迷惑でも作つて頂いて資料を頂戴したほうが早廻しになつていいんじやないかと、こう思うのですが、それをお願いします。
  31. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) どの範囲まででございまか、例えばいろいろなも院のが出ているのです。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 極く細かいものまで出ている……。
  33. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 細かく出ているのです。例えば応用研究費というようなことになりますと、やはり一億くらいのやつが、これは研究所のいろいろな項目の研究費の中にも項目十五万円とか、主として紙代とか、現地調査の旅費くらいのものしかやつていない。それもやはり団体の金になりますが、そういう趣旨じやないのですか。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か名目は付いているのでしようけれどもね。
  35. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) いや、それは研究費で出しているわけです。そうでなしに一般的な団体活動として出しているものだけに限つて頂くほうがいいと思います。
  36. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 払は改良局長もおられるし、官房長もおられるので、ちよつと今までの話と違うかも知れませんけれども、一、二伺つておきたいことがあるのですが、実は河野さんがさつき肥料の問題を大分言われた。いずれにしても今度の凶作対策なんかの問題の一番の重点はどこにあるかというと、気象なんですね。農業気象の問題を技術的に農林省ではどういうふうに扱つておられるか、これは改良局長あたりによほど何か御腹案がおありになるのではないかというような気もするのですが、御意見を承わりたいと思います。
  37. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 気象につきましては、大体農林省のほうでは農業気象の研究、これは作物との関連において見ている部分相当つているわけです、各試験機関において……。併しながら気象独自の問題になりますと、これは気象台のほうに任しているわけでございまして、農林省のほうにはそれについての専門家を持つておりませんし、本省のほうにもそれを所管するあれはないわけでございます。それで私らのほうとしましては、殊に今年のような冷害につきましては相当問題は多いわけでございまして、それで過去においては昭和九年、十年の冷害あと調査費を組みまして、それで気象台その他のほうにも委嘱しまして気象のいろいろ観測、データーの整理等をやつてつたのでありますけれども、戦時中にそれがいわゆる船がない関係からして、北のほうの気象の調査その他が廃れまして、それから終戦後それが全然なくなりまして、それで今日に至つているわけでありまして、気象については、それに関係するところの気象台とか、水路部であるとか、そういうふうな関係機関と協議いたしまして、向うでやつてもらうものは向うでやつてもらう、その結果を整理して我々のほうでは知らしてもらう、こういうような形で農業上手を打たなければならない部分には手を打つて行く、こういう態勢で行かざるを得ないと考えております。今までにも会議は関係機関のほうとやつております。殊に今年は冷害ちよつと危険性が感じられた。西日本水害の直後に向うから帰つて来まして、七月に視察をやりまして、東北、北海道の各県を見まして、気象台のほうから気象の予測を話してもらい、それに基いて冷害の虞れもあるわけで、今後打てる手はどうやつて打つかというような打合せを一日やりまして、そうして準備したわけでありますけれども、何せやはり気象については十分な予算を気象台のほうでは持つておらないようであります。その後も気象台、水路部等々と打合をやつております。本年度補正予算につきましては、先般五百万円ほど大体入れて頂きまして、かなりのデーターがその後ずつと集積されてはいるわけです、冷害関係等に役に立つようなのは……。併しながらそれの整理は殆んどできておらないのであります。その整理を取りあえずこの三月までにやつておいてもらうというので、予算を五百万円だけ組んで頂きましたが、来年度についてはどの程度のことをやるかというふうなことについては、気象台、水路部、水産庁も関係いたしますが、そういうふうなところ、或いは林野庁のほうで積雪量の調査というふたものをやるとしますれば、やはり営林局署を持つておりますから、殊にそういう点で協力してもらうのが一番いいのじやないか、こう考えております。それらとの打合をやつて来年の予算は追加で要求いたしたいと、こう考えておりますが、改良局予算になりますか、それとも各関係機関の予算になりますか、これはそのときにきめたいと思つております。数日後に最後的な打合をやることにして関係機関のほうに招請をいたしております。我々のほうではそういう専門的な人間は持つておらないし、所管も直接はないわけでございまするが、要求は我々のほうから一番強く出るわけなんです。それでそういう形において幹事役を勤めながら、各省で組んでもらうものは組んでもらう、我々のほうで組んで応援すべきものは応援して行くというふうな形態でやつて参りたい、こう考えております。大体今までの気象の関係者の見方としましては、大体私が聞いておりまするのは、五日であるとか、或いは一週間くらいの気象の予報というふうなものは、これは物理学的な、気象学的と言いますか、根拠を持つて大体予報し得る。併しながら一カ月予報であるとか、三カ月予報であるとか、それ以上の予報というものは物理学的な根拠があるとは言えない。どうしてもそれは単純な統計的な、数字の上での大体推察で、確率論的にこうなるんじやないか、台風が今年八月に二回ぐらい来るんじやないか、いや今年は九月に台風が来るんじやないかといういろいろな統計的なデーターが、まあ推測しまして、気象学的な根拠なしに推定したという以外の方法ではあり得ない。こういう状態にあるわけです。そういうものを推論して行くところのいろいろな根拠として、殊に冬害についての問題になりますのは、いろいろな一つの臆説でございますから、あるわけでございます。例えば大火山の爆発によつて、それで成層圏のほうに非常に噴出物の細かい粒子が上つて、これが成層圏でぐるぐる廻るというふうな形からして、それが太陽光線を遮断しまして、それによつて、これは局地的とは必ずしも考えられないのですけれども、全世界的に日照不足を生ずる。これは現にクラカ島火山の爆発等においてその結果が出ております。これは全世界的であつたのです。それから磐梯山その他についても或る程度の日照不足が起つたというデーターがあるようなことも言われておるわけですが、はつきりいたしません。浅間の爆発によつて天明の飢饉も出たとか、こういうふうなことも出ておりまするし、まあそこらは一つの臆説でございます。それからもう一つは、オホーツク海の結氷が非常に大きくなりますと、そうすると、北氷洋でできましたところの高気圧がオホーツク海に南下して参りまするときに、それが勢いを増して、本年と同じようにそれが非常に強くなつて来る。オホーツク海で弱まりませんで、そういう形で小笠原の高気圧のほうが来て押切つて行けば梅雨が逃げる。梅雨が晴れて夏型の気象に入りまして、そうして日照りがずつと続くようになる。それはこつちの高気圧が強いものですから、その間に停滞して非常に豪雨を降らしますし、又日照不足を来たして今年のように西のほうで豪雨が起る。片つ方のほうで日照不足が起る。この北方の高気圧が強くなるというのが一番大きい原因でございまして、その点にオホーツク海の結氷状態関係があるんじやないかという推測、これはかなり強い推測ですけれども、これがあるわけでございます。この結氷状況の調査というものが或る程度冷害については相当の問題を提供している。これは過去においては結氷の調査を船を出してやつたり、飛行機を飛ばして観察したということが行われておつたわけですけれども、戦時中にやめられまして、それで戦後もずつとそのままになつておるわけですけれども、これらについて何らかの手を打つ必要があるというのが一つの問題でございます。それからもう一つは、やはり親潮、べーリング海のほうからずつと流れ出して来ますところの寒流でございますが、北海道から東北の沿岸を洗いますところのこれが相当冷害の原因、いつでも冷害は表東北のほうは裏東北よりひどい。これはやはり表東北における「やませ」の原因になつておるわけでございます。それも問題が相当あるわけでございますが、その親潮が冷えることが非常に問題でございまして、親潮が温かければいいのであります。むしろ冷えることが問題である。親潮の冷めたさの問題ではあるかも知れないけれども、冷える原因は、オホーツク海の結氷が激しいとその氷の解けた水の冷めたさが親潮の冷めたさを増して来て、それが東北における「やませ」の原因を作るんじやないか。殊に今年のような福島県の浜通りにおける冷害というような、これは寒流の関係の「やませ」だと、こう見られるわけでございまして、その問題が一つあるわけです。それにつきましては、水産庁において、本年とそれから昨年、二カ年間北洋漁業をやりましたので北洋漁業の調査船を出しております。その調査船の調査の結果にかなり面白いものが出ておりまして、それでオホーツク海の氷のとけた水がうんと親潮に入つて来るか入るか来ないかということはかなり、コマンドルスキーの南のほうを通りまして暖流がカムチヤツカの南岸に寄せるわけですけれども、それがむしろ今までの定説とは逆ですが、それがベーリング海から出て来る水を遮断するんじやないか。暖流が突切りまして遮断されると、オホーツク海の水がうんと流れ出て来るというところに原因があるんじやないかというふうなことも出て来ております。これは相当有力な説でございまして、これは九年、十年、ずつと以降、そういう方面の海洋学のほうの調査をやつておりますところの責任者は、最近二年の成績からそういうことを臆説として出して来ているようでございます。それが若しその通りであるとすれば、やはり冷害に対する予測というのはかなりな予測ができるかもわからない、こういう例があります。まあその暖流の強さということになりますと、まあ三月、四月ぐらいに至れば大よその見当が付くと、冷害予測が若しそれでできれば相当な効果が上り得る。こういうふうな見込も立ちますのですけれども、これは何せ十分なる調査がなくて、水温、「さけ」の移動状態というふうなものと比べての調査でございますから、それと親潮の冷めたさというものがどういう関係になつて来るかというのは、今後各地点に調査所を設けまして、その関係を見定めた上でないと的確なことは言えないのでございますけれども、そういう問題も出て来るわけでございます。なお過去においてはオホーツク海の結氷が激しかつたその年の夏ではなくて、その翌年の夏に非常に流氷が多いというふうな関係数字が気象台のほうでは出ております。これも根拠が余りはつきりいたしませんが、そういう問題が一つあると思うのです。  もう一つは、よく取上げられますところの太陽黒点数の極大値が出て来る年が一番冷害になりやすいということであります。これは完全に物理学的な根拠は必ずしもないわけでございまするが、まあ大体前にも安藤広太郎先生あたりが意見として出されたもので、かなり強く問題にされておるわけであります。藤原博士あたりも問題にしております。で過般新聞に出ましたが、一九五七年あたりがその極大値に当ると、これは完全に気象学的な根拠はございませんが、完全に数学的な、確率論的な根拠で以て言われておるわけです。ただそれが殆んど一〇〇%くらいの確率を持つて来ているというところに相当問題があると言われておるわけです。これらの臆説がある。なおそのほかにも、やはり東北としましては、積雪量が非常に多うございますと、どうしても雪どけ水が多くなり、そのためにその水害の原因になることもありましようが、やはり雪どけ水が多いものだから冷水の害がどうしても起つて来る、そのために冷水そのものの関係からしての冷害というのが起つて来る。これは場所々々によりまして相当温水溜池とか、客土とかしてあつて、そういう冷水に対する準備がしてありますところでは或る程度被害は軽減されますが、そうでないところでは相当な大きい影響を持つて来るんじやないか。これは非常に直接的な関係が、局部的ではありまするが相当ある。殊に山間部等につきましては相当関係は深いと見られるわけでございます。これらの資料相当資料があるわけでございます。まだ十分に整理されておらないのですが、気象台関係のほうはどちらかというと平坦部に多い。どうしても本式に積雪量調査等をやりますと、林野庁、殊に営林局長あたりの協力を得まして、その調査をやるという必要があるんじやないかと、こういうふうに考えられるのであります。これはいろいろ臆説があるわけでございまして、その関係はどれもこれも幾分は関係ありと見られるわけですけれども、どれが決定的かということは言われませんし、まあどれによつてはつきりとした予測ができるということは言えないわけでございます。それらを総合した結果としまして、今年は相当危険がありそうだとか、なさそうだとかいうふうな判断を下しまして、その程度の判断で以て冷害に対して或る程度の手を打つて行くということが差当り望ましいわけでございます。それらについては相当我々のほうとしましても気象学的な方面との連関を十分に勉強をやりながら、そういう点について、まあ確信的なことは言えないわけですけれども、或る程度参考にしながら手を打つて行く必要があろう、こう考えておるわけであります。予算等につきましては追加として持出したいと考えております。
  38. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 改良局長の該博な講義を拝聴したわけですが、実は僕は講義を拝聴するんじやなくて、今お話のように、各省ばらばらでやつて行くと、而も大した成果が今まで上つていないということを実は承わつておるのです。で、払中央気象台の農業気象の中原君から聞いたのですが、中原君は相当に準備をして、そうして専門的に、自分たちの考え方から行けば相当な信用を持つてこの農業気象の長期予報が或る程度までできるということを言つているのです。ところが中央気象台には、そういう予算が実はとれないのだということを言つているのです。実際この長期予報で一等大きな関係があるのは何かというと、これは農村なんです。はつきり言えば農業というのはこれは全く投機なんです。天候による投機事業なんだ、はつきり言うと……。その気象を今改良局長の言われるように、まあ各方面でやつても、なかなか該博な知識で以て講義は聞いたのですけれども、問題はそんなことじやないのです、問題は払はこういつた長期予報というものはよくできるというような見通しの付いておる仕事に、凶作対策なんというときに、一等本気にならなければならん問題は、そういうところにあるのじやないか。それを農林省として、よその省の仕事だと思わずに、結果的には農村の問題なんだから、本気になつて考えて頂いているかどうか。そういう対策か、何かお考えなつたかどうかということを実は承わつているので、丁度官房長がおられるので、私は承わつたので、実は講義を聞く意味じやなかつたのです。非常にまあ改良局長の講義は敬服はしました。けれどもそういうことじやなくて、そういうような、何か行政局な新らしい分野を考えておいでになるか、私はその点を実は承わりたかつた。これはしばしば私気が付いていることなんです。例えば農村工業課で以て小水力をやる。ところがこの小水力をやつておる水力というものは何かというと、これは水力発電なんですよ、はつきり申上げると……。ところがこの水力発電をやつておる水を扱つておる所はどこかというと、農地局の、丁度ここにかんがい排水課長が来ておられる。丁度いいから私申上げますが、かんがい排水課が水力になるような水を殆んど全国的に扱つているのです。ところがかんがい排水課へ行つて小水力の話をすると誰も知らない。農地局へ行つても聞いてみた。計画部でも小水力のことは私どもの所管でありませんから存じませんと、こう言つておる。すべてこれは具体的に申上げてもいい。長野県で以て、県営の鳥川の発電所を実はやりたいと言つておる。ここには落差があつてしようがない。二十メーターの落差が丁度よく、最もいい水路をとるというと、二十メートルの落差がある。ところがかんがい排水課では、それを扱つていない。農村工業課で扱つている。その設計、調査なんか東京の計画部でやつておる。ところが、小水力の問題は、農村工業課、農地事務局なんていう所はさつと素通りしてしまつておる。直接県庁の農政課なんかへ行つてつている。従つて誰かよほど農政の該博な知識を持つている人がいて指導しない限り、そういうものは皆落つことされちやう。そういうようなふうにばらばらに技術が動いているのです。実は大きな問題じやないかと私は思うのです、はつきり言うと……。この間私ちよつと開いたのですが、烏川の長野県の県営の発電所一つの工事費が一億何千万円とかかかるそうです。この水力が利用されるかされないかによつて、二千キロの発電所ができるかできないかというほどの大きな問題にこれはぶつかつているのです。ところが実際は、それを素通りしてしまつているからわからない。技術というものをもう少し総合的に大きく考えて、そして農政をやるというようなことが、これは官房長あたり最も大きな役目じやないかという気がするのですがね。そこで農業気象の問題を、実はそういう意味で以て大きく、農林省は大きな農林省一つの課題として取上げておいでになるかどうかということを実は私は承わつているのです。何かこれに対してお考えがおありかどうか。中央気象台ははつきり言つていました。予算もとれないし、どうにもならん。その点を実は若し考えておいでにならないようなら、今後この点考えて頂きたいと、こういうことなんです。
  39. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) お話の点は尤もでありますが、改良局長講釈したら、宮本先生に又講釈受けた。これは気象台の人には、農林省としてはずつと接触しておるわけです。これは御承知のように、先ず第一に大陸のデーターが一つも寄らない。これは毎日の新聞に出ておる。それから先ほどお話があつた海洋気象ですね、これは理論的にはできることが実際には力が及ばない、こういうことでありまして、私のほうで関心がないのではなくて、中原先生が言われたこと、恐らく可能の限界を越えて相当の希望図が入つているのではないかと思います。併しながら、これはお話の各方面が、何というか一つの分業を集中することに、或いは気象なら気象、農業なら農業で、集中的にみて行かなければならんということはお話通りでありますが、それができる可能な限界点はあるのでありますから、この可能の限界をできるだけ拡げて行くということについて絶えず努力を払つて行くというのが現在の段階じやないかと思います。なおそういうお気付の点はどしどし、これはしよつちゆうお目にかかるのでありますから、私よりも国会の先生方のほうが地方を廻られるのでありますから、そういうふうに願いたいと思います。少くとも先ほど又別の例で承わりました小水力の点等丈、これは例えばあそこの島々のその上でしたか、下でしたか、灌漑発電等、これは恐らく先生のお力があつたのではないかと思いますが、そういうものはほうぼう出ておるのであります。やはり誰かがやかましく、何をぼやぼやしているんだと言つてくれないと、こぼれがときどき出て来るのではないかと思います。ここらの点は十分注意しておきたいと思います。
  40. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 二十九年度予算要求のこの説明を昨日官房長のところの会計課長から承わりました、この項目を眺めましても新規の項目は何もない、而も説明の中に予算新項目はないが、その内容は充実させたつもりであるというような話があつたのであります。私は今日農林行政の重要でありますることは今更申上げるまでもないのでありますが、ここに講和後における日本農業の根本的な建直しをしなければならん時期におきまして、農林省所管におきます予算中、新らしい何か画期的な一つの案があの農林省の一母体の中で総合的に考えられないということはないように私は考えるのでありまして、内容を充実したと言いますけれども、拝見いたしますると、やむを得ない経費が増して来たから経費を増したぐらいの程度でありまして、事業的に見たときに内容が充実したとは思えない。ただ予算計数の上に充実したに過ぎないと私は拝見します。この点に関しまして、何か新らしい事業をやるつもりであるけれども、総合的な我が国の経済が許さないで、予算面上やむを得ないというならやむを得ないが、今後はこういうことも考えているということが何かなくちやならんと思うのですが、この点について一つ第一番に御回答を願いたいと思う。第二番目は、我々はこの委員会を休会中に聞きまして、最もここで聞きたいことは、何と申しましても、災害によりますところの営農資金の融資の問題であります。いわゆる災害者の復旧を図るために営農資金が必要であるということは、議会におきまして誰しもひとしく叫んだところである、この営農資金の割当はどういうふうに決定されておりますか。その営農資金の割当をここで御発表を願いたい。恐らく官房長におきましては、これはおわかりになつておると私は推測するのでありますが、この際それを承わりたい。第三番目に、私はこの災害によりますいわゆる六、七月の災害、或いは冷害、最後に台風第十三号によりますところの災害が起きましたことは御承知の通りであります。この台風十三号があとでできたものだから、これに対する労農資金方面におきましては、それぞれお考えになつておることとは存じますけれども、併しながらこれに対しまして土地改良という最も重要な、食糧増産上最も重要な跡始末の方面におきまして、一刻も早く塩が入つたところとか、或いは特別の風水害をこうむつたところとか、そういうところに対しましては土地改良こそ必要であろう。このことに対して台風十三号による災害に対しては、どういうふうにお考えになつておるか、又その場合の資金はどういう方面から出るか、その点も地三番目に承わりたいと思うのであります。この三点をお聞きしておきたいと思います。
  41. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 二十九年度予算に新味がないじやないかというお話でありますが、これは非常にむづかしい問題でありまして、予算をとる技術上、少くとも私個人は一年間で予算をとれる、そのような予算はないのであります。少くとも予算をやるのには三年間かからなければ本当予算にならないというので、こういうことを皆関係者に言つておるのであります。ちよつと顔を出しておつて、それをふくらまして行くということは最もステツデイな予算のとり方ではないかと、こういうふうに考えておるのであります。そういう見地からみますと、顔を出しかかつておるのはなきにしもあらずでありまして、これは追々の実績で御批判を願いたいと思います。又もつと根本的な問題になりまして、革命的な予算ということになりますと、一つは技術の問題と、一つは経営の問題でありますが、技術の問題は私が申上げましたように、例えば工場でもラヴオラトリー・パイロット・プラン、それから工場、こういうことになるのであります。農業のやつはもつとむづかしいのでありまして、例えば稲の蓬来米を台湾から持つて来て本当に確立したのは十五年であります。従つて今度の出ておりますものも、西南暖地の水稲作の改善を図つて、台風と病虫害を避けて行く、そういつた品種的な栽培方法或いは経営、これを包んで行くとか、或いは大規模な土地改良、或いは両総用水の跡とか、そういうものの経営を一毛作の湿田から乾田にどうやつて行くか、これらはやはり相当の年数をかけて行かなければ、ぐつと予算的に出して行くということはできないのであります。現在顔を出しておるのは、そういつた頭が出ております。併しこれらは相当日本農業の将来に対して私どものほうでは非常な期待を持つている項目であります。農業経営の面から行けば、例えば現在の過小農業をどういうふうにして解決するか、こういう問題でありまして、これを農業人口をどこへ持つて行くのか、このほうも一つ。それから農業人口を持つて行くとしても、その限界というものは非常に小さいし、従つて農業の中で解決するとなれば、農業経営の方法について更に一歩踏み込んで農民自身の考え方をもつと変えなければならんというところまで入つて行くだろうと思います。併しそういうことは一朝一夕にはできないのでありまして、例えば絹を作つている、或いは綿糸紡績からナイロンとか、塩化ビニールというような人造繊維までぼつととんで行くということは農業では期待できないのではないか。或いは又経営的に集団の経営をやる、共同経営をやることがでできなければ、農村にももつと社会保障の制度を取入れなければならん、こういうようなこともありますけれども、これも一挙に入つて行けない、こういうわけなのでありまして、外から、外からと申しますか、国の力で農業の足らないところを補うという面は財政的或いは他の産業との関係等からして簡単にはできない。従つて革命的に農業或いは農村或いは農家をぐつと水準を上げるということはできないので、やはり現在の段階においては農業技術或いは個々の農家の経営を一歩々々拡げて行くということよりほか仕方がないのではないかと、こういうふうに考えます。なおその問題につきましては、私のほうでも絶えず検討をしております。又はかの諸先生方におきましても、いろいろなお智慧を拝借したいと思います。それから次に営農資金の配分でありますが、これは一応案を作りまして、金融課のほうで関係官を呼んで一両日各県と交渉しているところであります。まだその結果は私のほうに来ておりませんので、まだ発表できる段階にまでは行つていないわけですが、今まだ作業中であります。恐らくお尋ねの趣旨は、静岡、愛知等の白穂地帯に対して冷害地の救農土木施設と同じようなものを及ぼせ、こういうお話だと思いますが、その点は現在冷害地と同じような基礎調査町村別にいたしておりますので、これは今後考えてみたいと、こういうふうに考えております。
  42. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 第一の一番大きな問題が頭を少しずつ出して、スロー・アンド・ステツデイであるかも知れませんが、ゆつくり而も確実にやるのだという御説明でありましたが、これはどういう項目がそうであるのか、その項百を言つて頂きたかつた。その話のうちに例えば人口が多いからその人口の移民計画を立てる。成るほど昨日の何にも、南米へ千七百六十戸やるのだというお話を記憶しておりますが、それは併し外務省関係である、外務省の関係が非常にある。成るほどそれに違いないと思います。外務省にやつてもらうにも農林省がそういう計画をお立てになりましてやるべき問題であることは言うまでもありませんが、そういう問題が、千七百六十戸という数は、日本農業の移民計画のまあスローでステツデイにだんだん移して行くのだという段ならば、それは考えられるわけでありますが、これはどうしても、非常に明るい向うの了解を得てやつたということは前途に光明を見出したと言えるでありましよう。併しまあ今後におきまして、なお十分な折衝をして頂きまして、できるだけ多くのものが移民できまするようにやつて頂かなければならん。まあこれらは昨日の説明でも幾らかわかつたわけですが、一体そのほかどういうものが項目のうちに出ておりますか、頭を出したとおつしやいますが、頭を出したものはどういうのですか。昨日はその説明がなかつた内容を充実したと言訳をしておりますが、言訳じやございません。説明をしておりますが、我々質問したのじやありませんが、そういう説明でありますが、その顔を出したものの主なるもので結構であります。
  43. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 予算をお持ちでございますか。一頁の農林漁業試験研究一億五千万円、これはいわゆる応用研究費と申しまして、技術を、何というか試験室から実際に移す、まあ中洲農林漁業試験という程度でのものであります。これは相当の数で、各地方の試験所であるとか、或いは大学の先生であるとか、或いは特別な人というようなものになつております。それから五頁の農林漁業人材育成事業、これは農村に教育のある子弟を保持して行こう、奨学資金を出して保持して行こう、こういうものであります。それからお話のありました農地局関係の移民の点であります。それから改良局関係で、十八頁の甘藷の原々種圃の関係、それから北海道の農業振興等にも新らしいいろいろな農機具を入れるとかというのがあります。それから二十二頁、西南地方における水田生産増強、先ほど私が申上げました両両暖地の農業技術の飛躍的増産、これはちよつと申上げますと、例えば九月の二百十日前後に出穂期になつていつも被害をこうむつておる。これをもう少し早く収穫ができるようにして、台風をよける。それは例えば保温折衷苗代と品種等を噛み合わせて、一例を申上げますと、七月末に一期をとる。そうして三期を植える。そういう二期作がいいか、ほかの作物を入れて、三回転をなすがいいか、こういうことをやつて行くのでありますが、これは一方では九州地方において「めい」虫の発生を今逃れるために非常に栽培を遅らしている。そういうものを農薬のあれによつてもつと適期に、適期にというか、農業経営の作業との関係において適期に遅らさずに早く植えて早く次の麦をよくとる。そういつた立場を総合的にやつて行こうというので、これは二十八年度予算ちよつと顔を出しておりますが、その意味においては純然たる新規ではありませんが、去年三千町歩と言つてつたのを、一万三十町歩に伸ばしておるのであります。これらは恐らく十年後には刮目して期待すべき効果が得られると思つております。それから先ほど申上げました土地改良の跡地の関係の改善です。これはこの前の前の議会でありましたか、いわゆる新潟の亀田郷事件というのがありまして、亀田郷の土地改良をやつたけれども収量が落ちた。これは農業朝日とか、或いはそのほかでもポピユラーに取上げられましたが、というのは、湿田が乾田になりまして、同じ農法をやつておりますために、例えばもう肥料をやらないでもいいのに肥料を同じようにやつて収量が落ちた。或いは土壌の分解或いは品種を変えなければいかん。そこに例えば千原のようなところでも全然湿田でありますから、家畜が入つてないとか、或いは農機具が全然様式を変えなければならんという、そういう問題が起つて来るのであります。その他この二十三頁の十一と二十九頁の土地改良区試験地補助、これは基礎調査と、それから試験地の補助と一緒に包んでおるのであります。そういうことをやつて行く。これによつて土地改良の効果を十全を期する。そういうことを考えております。まあ生活改善等についても、もつと農村にも普及せしめて行こう。それから畜産の製品の販売の改善ですね。そういうものについての……。
  44. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 ちよつともう一つ…。この輸出農産物に対しまする問題につきまして、まあ何と言いましても生糸とお茶ということになりますが、生糸の問題におきましては相当長期計画も出ておるようであります。実は特産課長に来て頂きまして質問しようといたしましたが、今日来られませんでしたので、又その折もありませんので、この際にお願いを申上げたいと思うのです。二十四頁ですか、農産物の輸出振興という項目で出ておりますが、この問題につきましては大分前年度よりも殖やしましたが、茶業の取引というものに対しては官房長もよく御承知のことと思いますが、これくらい取引のややこしい問題は日本における農産物といたしましてはないと思います。まあこの輸出に対する振興を相当、盲貿易でありますか、何でありますか、今の内地需要と比較対照をいたしますれば、輸出というものは如何なる場合においても必ずマイナスになつておる。輸出業者というものは、輸出商というものは必ず損をしてやつておるという状態にあるのであります。この問題に対しましては根本的な問題を、我が国の総合的な輸出振興を図る上におきまして、経済自立をする上におきまして非常に必要な問題だと思うのであります。私が静岡県の者であるから言うのでなくして、この輸出農産物に対しまする措置をして頂くことは、日本経済の上におきましても非常な重要な問題だと思うのであります。従いまして輸出茶というものに対しましては、玉露茶を初めといたしまして、すべてこういうものに対しましての特別の措置をして頂くことが重要な問題だと私は考えておるのであります。ただそれがために静岡県の産地が救われるという考え方でなく、この取引が正常な取引に行くということが必要だと思うのであります。これは今の状態では正常な取引でないことは御承知の通りでありまするから、これに対しまする我々も始終研究をいたしておるのでありますが、本省におきましても、この輸出に対しまする考え方を十分にやつて頂かなければならん、これ以外にまだ何か、これは先ほどのお話のように、一時頭を出しているのだ、今後はこういう方針があるというお考えがあるならば、頭を出して、予算相当つて頂きまして、これは結構でありまするが、金利、倉敷、倉敷が二分の一だとここに書いてありますが、その程度のものでありましたならば、まあ結構なんでありまするけれども、まだ根本的ではないと私は思うわけであります。まあ徐々に出すというお話でありまするから、殊にこの点は一つつておきたいと思います。
  45. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 輸出振興の問題は私どものほうでも一生懸命でやつておるのでありますが、なかなかうまく今まだ行つていないのであります。今後とも十分やるつもりであります。
  46. 戸叶武

    戸叶武君 土地改良の問題で、今年の冷害というものからいろいろな参考になる問題が上つて来ていると思いますが、それは一つは気温の問題をめぐつての例えば冷水の問題もそうでありますけれども、私のほうの山間部においては、特に低温と共に冷水の問題が非常に大きな打撃を与えているので、今一番問題になつているのは、鬼怒川沿岸序における中部地区の土地改良に関連した灌漑用水の問題と水力発電の結び付きの問題なんです。先ほどもどなたか長野県の例を挙げて問題にいたしましたが、今鬼怒川沿岸における農民がこの問題をめぐつて騒ぎ出しておりますのも、要するに灌漑用水の名の下に、事実上は農林省から予算を引張り出して、水力発電というところに狙いがあつて、水力電気を起そうというほうの人たちが中心になつてそれを推進しており、その関係上、鬼怒川の非常に冷たい水が直ちに運ばれて来て、その冷水によつてつて収穫高というものを減じて行くような悪結果を導くのではないかというのが反対者の主張になつておるのでありますが、この嘆願或いは請願等が来ておりますけれども、一応実地に我々は踏査してみてから、この問題も取上げようと思つておりますけれども、そういう問題がこれは栃木県だけでなく随所に起ると、掘り下げて行くとあると思うのですけれども、農林省といたしまして、こういうような問題は、一つの問題を中心として附随していろいろ起きるということを考慮して、そういうことにとりかかる前に、あらかじめいろいろな角度から調査を行うものと当然私たちは信じておりますけれども、そういう今までに問題があつたかどうか、それからそういう問題に対してどういう対策を持つか、これはこの問題だけでなくして、例えば畑地灌漑などにおきましても、神奈川県なんかを見て来て好結果の点も見ておりましたけれども、とにかく湧き水なり或いは地下水なり、或いは川の水をいろいろ利用する場合において、その冷水の温度というようなことも非常に関連のある問題でありますが、農林省としてそういうことに対して十分考慮を払つておるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  47. 小川孝

    説明員(小川孝君) 只今お話の水温の問題でございますが、これは最近総合開発というようなことから、電源と農業と共に水を利用いたしますような場合には特に大きな問題となつて参りますので、私どもといたしまして、総合計画の実施或いは計画に当りましては、特にこの点を留意をいたしておるわけであります。最初にお話のございました鬼怒川の問題につきましては、私まだ内容も十分承知いたしておりませんが、多分これは計画のほうで具体的に今考えておる問題だと思います。過去における実例はどういうふうに考えておるか、こういうことでございますと、静岡県の大井川で、国営事業といたしまして水を取入れる計画を実施中でございますが、その上流に発電所がございますので、それの水温に対する影響がどうか、なお大井川の計画を申しますと、一番上流の井川という所に大きなダムを造りますが、このダムの水温に対する影響がどうか、こういうことで現在現実の状態調査いたしております。なお農業といたしまして池を造ります場合にも、御承知の通り池の水面は温度が上昇をいたしますけれども、水深が深くなるに従いまして温度が下る、こういうふうな実情にございますので、灌漑用の水はすべて表面からとる、こういうふうな設備をここ数年造ることに努力をいたしております。最近完成いたしました岩手県の山王海という灌漑用水専門のダムでございますが、これは水を表面からとるという設備をいたしましたために、本年も非常に暖かい水を供給することができまして、まあこれは反対の現象にもなるかと思いまするが、農民がこぞつて池から来る暖かい水を争つてつた、こういうような実例もございますが、縷々申上げましたように、水温の問題につきましては、ここ数年水を暖かくする方法についていろいろ努力をいたしておるわけであります。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 改良局長に……。いろいろのまあお話の中に、西南地方の試験地の問題など大分お話をお伺いしておりますが、昭和九年の冷害後、東北地方の冷害が周期的に参ります。従つてこれに対して大分冷害対策として試験場等の拡充が行われて現在もある。最近世界戦争以来、これの活用が停止せられて殆んどそのままになつておるんじやないか、更にその試験場を有効に使われておると思いませんか。この予算の中には今年の冷害に鑑みて相当そういう面に積極性を持つて出ておられるのですか。どうですか。
  49. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 冷害に対する試験地は過去において相当数あつたわけですけれども、それは終戦後における試験場の整理で全部なくなつております、殆んどが……。それで指定試験場として二カ所だけ、青森県の藤坂と、岩手の遠野という所だけが使われておる、こういう状態になつておりますが、今度の冷害の結果に鑑みまして、その前にありましたようなもので十分使えるような所とか、新らしく又必要が起つた所とかいうふうなところについて、冷害試験地を全部設けることになつて、先般の補正予算においてそれの施設のほうの経費は計上いたしました。これは九月に刷りました中には、この当時の要求には載つておりませんが、それの運営等につきましては、これは当然来年度予算に追加して要求することになつて大蔵省と話合つております。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは当然今までのうちに復活し、考えられておらなければならん。冷害に会つて大騒ぎして、でんぐり返して初めて補正予算に載せるというようなことでは私は非常に遅いと思つている。旧来我々の聞く範囲においては、多くの政治家が南方地方から出ておるために、常に東北地方は冷遇せられておる。従つて冷害が起きるのだ。こういうことは東北人一般はこれは考えておるところでありまして、而も最近は緒方副総理を初めとし、総理、副総理もそうでありますし、保利というような人たちを中心にして、全部が南方でありまするから、南方の西南地方の試験場はこの二、三年うまく行つているが、北方のものは困つておるわけです。こういう感じはもう恐らく東北地方の人が一様に考えておる実例だと思うのであります。従つて補正予算でと、こうおつしやいますが、この予算を見ましても、二十七年度の当初要求予算が二千四百四十二億何がし、こうなつている。本年の要求予算が二千三百四十九億、こうなつてはおりますが、昨年度のこれが成立予算としては先ず七割くらいと思うのですが、千四百四十五億、これはどうせ減らされるに違いない予算面になつているので、補正予算ができるか、できないかわからん、補正というような話ではどうも甚だ心許ありませんので、従つて改良局長、もつと冷害というときどき起きて来る重大な問題に対して、殊に今年青森の藤坂の試験場における藤坂五号の活躍なんというものは、これはもう冷害地を視察しましたものは一様に認めている、偉大な功績だと思うのでありまして、従つて東北地方といえども品種の改良により、或いはバクテリアの撲滅によつて、雪中といえども麦は育つということを技術家が証明している。然るに堀ノ内の試験場に行つて見ますれば、たつた年間予算二十万円で、給料を払つてあとは何にもない。三千円のフレーム一つ買えない。こんな試験場なら潰したほうがいいのじやないか。こういうことは一つすつぱり改善して頂いて、只今あなたがおつしやつたように、補正予算にはうんと冷害を征伐する予算要求して頂いて、我々も全面的にそれに協力して一つ通るようにいたしますから、一つ思い切り御考慮をお願いいたします。
  51. 鈴木一

    ○鈴木一君 昨日説明があつたのですが、はつきりした説明はなかつたのですが、十九頁の(7)の水稲健苗育成費が二十九年度予算には出ておるわけでありますが、今度の補正予算では大体五億が組まれておりますが、それの関係はどうなつておりますか。
  52. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) これにつきましては、保温折衷苗代或いは温冷床苗代の油紙代金の補助が主体になつておりまするが、例年四月には、遅くも五月には農家が現実に使用するというふうな形のものをその年の予算で組んでいたのでは、メーカーのほうも非常に不安定になりますし、それから購買者から来るところの要求というものも非常に反映が遅くなるというふうな点で、非常に不安定な形で進められておる。こういう状態になつておりまするので、今年の冷害というものを好機会といたしまして、前の準備期間の年に、その予算を組んでしまうというふうな形にしますれば、県或いはメーカー、或いは消費者の団体、それらの連繋が非常によく行きまして、スムーズに資料生産される仕組みになつております。農家がもう四月には使わなければならんというものは、その前に手配が計画的にできると考えて、今年に繰上げてもらつたわけでありますが、これは来年度においても私どものほうは同様な方針で組んでもらう、こういう考えを持つておりますが、大蔵省筋におきましては難色はあるようでございますが、私のほうはそれはそういう形で、同じ組むのならば、前以て計画的に準備できるように組んでおきたい、こう考えております。
  53. 鈴木一

    ○鈴木一君 そうしますと、これは非常にいいやり方だと思うわけでありますけれども、二千万坪、大体今年予定しているのは……、その二千万坪は大体そういう需要があるものだというふうに農林省ではお考えになつておりますか。
  54. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) そう考えております。二千万坪をちよつと切ります、五億円となりましたので……。千九百万坪くらいになるかと思いますが。
  55. 鈴木一

    ○鈴木一君 そうしますと、現在全購連のほうで手当しているのは大体一千二、三百万坪を目標にしてやつて来たわけです。それに対する資金の手当も、御承知のようにメーカーは非常に弱体で、みずからの資本ではどうにもならない。従つて消費者団体のほうから前渡金なんかをもらつてつておるわけでありますけれども、今のところ手当しているのは千二百万坪程度なんですが、若し二千万坪どうしても作らせようということであるならば、もう少し農林省のほうとしてもそういつたものに対する対策をお立てにならないと時期に間に合わない。折角助成金があるけれども品物は間に合わない。そこへ弱体メーカーと言いますか、製品の質の非常に悪いようなメーカーがはびこつて、結果的にはまずかつたというようなことが必ず起るだろうと思いますが、その点に対してはどういうふうに考えておりますか。
  56. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その点につきましては、例年と違いまして、先ほど申上げましたように、数ヵ月間前からの準備期間がございます。例年と比べますと、予算が内定すると慌てて手配するというような必要はなくて、今から来年の四月までの準備を進められるわけでありますから、数量の点におきましては、北海道における温冷床苗代の点も含めまして進められますから、その点につきまして、私のほうとしては資金的に、又質的に十分その期間において手を打つておきたいと、こう考えております。
  57. 鈴木一

    ○鈴木一君 要するに農林省のほうでは二千万坪をどうしても作らせたいということであるならば、要するに中金なり、全購連あたりにハツパをかけないと、作つてしまつて余ることを恐れてなかなか積極的な手を打てないから、どうしても二千万坪使わせたいという意図なら、今までとは違つた積極的な政府指導監督が必要だと思います。それからもう一つ官房長にお伺いしたいのであります。先ほど森田委員からの質問に対して、まだ融資の枠はわからない、きまつていない、まとまつていないというようなお話であつたのでありますが、大体私どもの承知するところでは、大方の枠はもうきまつておるのだろうと思います。この際東北地方の、殊に奥羽山脈を中心として常習的な冷害地帯があるわけですね。そこの平年作というものは、普通の平坦部から比べれば、例年でもすでに二割から三割くらい減収しておると思う。そういう所が今回の冷害で更に二割くらい減つたというような場合、今度の融資の措置に入つて来ないのですが、そういうような常習的な冷害地帯に対するお考えはどうなのか。たまたま関東のほうで三割も四割も減つたという所が融資の恩恵に浴して、毎年毎年苦しんでおる所が受けないというようなことがあつては非常に矛盾があると思うのですが、その点どうですか。
  58. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) そういうことはありますが、一応そういう地帯では、従来から準備ができ、或いはできていないと、こう言われるかも知れませんが、常習的な地方では常習的な対策があるはずでありますから、その上に今度のプラスでありますから、恐らく常習的な冷害地は今年も非常に普段の年と違つて大きく結果的には出て来ておると思いますが、若し普通の考え方でいかなければ再調をやると、こういう考え方でやつております。従いまして、まだきまらん、きまらんと、こう言うのでありますが、私のほうはそういうのがありますので、今までのいろいろなデーターで一遍にはじいて渡してしまうと、あとでそういう手廻しができませんので、一応我々の手許でやつたデーターで府県別の数字をはじきまして、これをもう一遍県と相談をし直して、そういつた県の特殊事情が織り込めるようなことも考えておるのであります。従いまして遅れておりますけれども、まだそれでは全部救い切れないと思いますので、やはりリザーヴをとつてあります。そうしてそういうところの落ちのないようにしております。
  59. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) まだ大分あれば、もうここで休憩いたします。どうせ午後もやる予定ですから。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  60. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。それでは予算だけに限定いたしまして、一時までに終りたいと思いますから……。
  61. 白井勇

    白井勇君 簡単に改良局長にお尋ねしますが、生活政善普及員を大幅に増員されますが、あれはただ人が足りないから殖やされるのか、或いは仕事を新らしくお考えになつて殖やされるのかという点。それからそれに関連いたしまして、私やはり地方に行きますと、今の普及員が非常に活動しておる、今年の凶作に当つても……。むしろああいうものを大幅に増員し、或いは質的に改善を図つて行くという方法をとつて、あれを強く農林省がもつと握るようなことを考えてみたらどうかというような感じがするのですが、それに対してどういうようにお考えになりますか。もう一つ時間がありませんから官房長にお尋ねしますが、先ほど私お尋ねいたしましたのとちよつと関連をいたしますが、先ほど河野委員がおつしやつたように、やはり農林行政というものは、私も同じ意見を持つておるのでありまして、今のようにとつたものを右から左へ処理しまするのに食糧の売買取引が重点になつて動いておるということでは、やはりいつまでたつてもこれはいかんのであつて、どうしても農林省あたりでも改良局あたりがもつと重点的に動いて行くという恰好にならなければ、農林行政は本筋に乗つて来ないと私は思つている。先ほどの統計調査部仕事も、これは大いに重視しなければならんということは我々もよくわかる。ただ併しながら、あういうものに幾ら金を注ぎ込んでみたつてこれは程度の問題で、而も片一方では今行政整理の問題も上つている。とにかく農林統計に新たに二十億の金を増加している。そういう金があれば、農業改良局自体の行政にもつと金を注ぎ込んで、急を要する来年度生産増強を図るというような予算の立て方のほうが、官房長のような予算の玄人に私ども素人が申上げてもしようがないけれども、重点が違うのじやないかという感じを私は持ちます。その辺に対する御感想と、それからもう一つは、食糧庁関係の検査は別といたしまして、農林省にいろいろな検査がありますが、あれに対しましても、今の行政整理関係でどうのこうので問題があるわけですが、あれに対して農林省といたしまして、今どういうようにお考えになつていますか、どういう手を打てばよいとお考えになつていますか、併せて伺いたい。
  62. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 生活改善のほうは、事業のほうも、三十一頁にございますように、農家燃焼設備の改善或いは食生活改善等において、具体的な内容を持つた指導に入ります。仕事のほうも殖えます。そのほかに普及事務所に、大体一普及事務所一人というのが各県からの要求でございますが、今二普及事務所に一人くらいしかいない。こういう状態で、非常にその点に手不足なので、二重の意味から要求するというような形になつています。それから改良普及員につきましては、これは県の職員でございますので、県のほうで直接的に把握するという、指導普及のほうに活動させるというふうな形はとれませんが、これにつきましても、従来のやり方は何となく食糧の増産区であるとか、その他国策的に大事な部分内容を必らずしも持たずに、ただ改良普及というふうなことを先ず各県々々でばらばらに考えておる、こういう形態が強かつたわけでありますが、それにはやはり国立の試験場或いは県の試験場冷害試験地等との関連もやはり十分に付けまして、内容的なものを持つて普及指導に当るという点に更に重点を置きたい、その内容を持つてというふうな点について、国としてはできるだけ国の試験機関或いはその技術というふうのものを生かしましてそうして県のほうで、そういう方向で普及負を活動してもらうように、一応こういう形態で進めて行きたい、こういうふうに考えております。
  63. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 事業費をもつと増したらいいじやないかという説は、私のほうでもそういうふうに考えております。併しこれは何と言いますか、食糧庁或いは検査或いは統計調査、こういうのは一つの何と言いますか、ビジネスでありますので、これをどういうふうに管理するか、マネージにするかという問題、普通の今の会社の経理ならば、恐らくこれは言葉が過ぎるかも知れませんが、相当な人数が整理されるべきじやないかと思います。併しそれは単純に会社の配当を多くするという狙いだけでは行政庁のほうは行かない点もあるので非常に苦慮しておるわけです。併しやはり会社の決算を見て人員の配置或いは仕事のやり方をやるということを今の現業方面でも考えて行かない限りはうまく行かんじやないかと思つておりますが、まだはつきりした結論は出ておりません。それからなお米の検査以外の検査をどうするかというのでありますが、現在のところ、これは先生の御専門になりますが、紆余曲折を経た結果、結局農産物の取引の円滑或いは信用を増すのには、やつぱり権威ある検査がなければいけないということは、そういう方法で国が検査をやることになつておる、その建前を変える考えは今全然持つておりません。これもやはり行政整理の問題では又問題になると思いますが、ああやつたり、こうやつたりするのは御免こうむる、こういう感じであります。
  64. 白井勇

    白井勇君 一言申上げたいことは、誤解してはいけませんから申上げますが、何も今の統計関係を縮小し、或いは簡易化するのがいいのじやないかということを申上げたのではありません。少くとも私は同じ四十六億なり、その金を使うならば、むしろそういうものはこういう場合なんだから、多少調査は不十分であつてもその程度にしておいて、むしろ改良自体の業務の予算を余計とつたほうがいいのではないかという感じで申上げたわけです。それからなお細かいことですが、繭の集荷費なんということは、これはむしろそういう事態であれば、これは予備費か何かでとれる筋合いのもので、こういう予算に組んで置く必要はないのじやないかという感じもするのです。それから最後の検査の問題は、これはいずれゆつくり御相談する時期があると思いますけれども、ただ検査という形ではない、やつぱり農林省の機構ということもよくお考え願いたいと思います。
  65. 松浦定義

    ○松浦定義君 時間がありませんから、総括的に一つお尋ねいたしますから、それぞれ御回答を願いたいと思うのですが、先ず第一に農山漁村の電気導入の推進でありますが、これは農山漁村電気導入促進法に基いてのあれでございますか、そうしますと、最近各地で非常に熱望しておりますが、なかほかその予算ができないのでそれが促進できない。そこで、特にこの数字等から見ますると、北海道等では非常に、御承知の通りもう小水力と称するようなものを行う地帯がなくなつてしまつておる、非常に平坦地が多い関係で、そこで既設の配電会社或いは買電等によつてそういう線に方向を変えてもらわなければ、この促進法に基く恩典を受けられないと、こういう実体になつて来ておるわけなんですが、そこで是非本予算等をもつと増加して頂きまして、その買電等についても、これが大いに北海道のようにそういう適地がない、而も需要は三分の一以上まだ残つておる現状等から見ましても、こういう点についてどういうふうにお考えになつておるか、ここの予算から見ますと、そうしたものについての要求がないようでありますので、こういう点を一つお伺いいたしたいことと、次に農村建設青年隊というのがあるようですが、これを我々は余り承知していないのでありますが、相当本年は拡大しようという御計画のようでありますが、聞くところによりますと、建設省がやつておりまする国土総合開発促進のための産業開発青年隊、こういうものも本年からは二、三億の予算要求して拡大したい。これはただ農村ばかりに限らずに、一般の青年を対象にして大きな問題、例えば電源開発のようなところへ入れようというようなふうらしいのですが、これでは今農林省考えておられる入植を目的としたものとは全然別でありますが、併しそれにいたしましても、青年対策としては当然これはもう相協力して実施して頂かなければいけない、こういう意味合から、こういう点については建設省の青年隊と、農林省考えておる青年隊との性格上から行きましても、大いに協調してできるだけ農村青年の期待に副うようにされるような予算要求されるようなお考えがあるかないか、こういう点をお伺いいたしたいと思います。それからもう一つは、これは余り大きな問題でありませんけれども、農産物取引所指導監督費というものがありますが、これは非常に我々農村として関係が深い問題であります。促つて私のお尋ねいたしますのは、全国で数カ所でありますが、特に北海道におきまして最近問題になつておりまする小樽にあります穀物取引所を帯広、即ち生産現地へこれを設置しようというような運動があるかのように聞いておりますが、こういう点につきましては、これは若し帯広に新設するということになると、両立するかしないかという問題になると思うので、今農林省考えで、全国には僅か五つぐらいしかないが、北海道において特に必要であれば二つ設置するような意思があつて、こういう問題を今お取上げになつておるのかどうか、こういう点を一つお伺いいたしたいと思います。それからもう一つは、昨日の御説明でありますと、人道米の奨励及び普及の問題については、これは新らしい項目でありますが、予算の額が掲示してない。従つて説明でありますと、二十八年度の予備費で要求する考えであるということでありますが、若し要求されるとするならば、どのくらいの額を要求するのであるか、これは額だけはおわかりになつておると思いますのでお示しを願いたい。それからもう一つは、先ほど森田委員から新らしい問題について何かないかということでいろいろ御説明がありましたが、その新らしい問題の一つとして出ておりまする北海道の畜産振興の問題で三千九十八万何がしを要求されておるようでありますが、これは私は余り多い額ではない、こういうふうに思うのですが、先ほどお話のようにだんだん額を出しておいて強化するということであるならば、この額でもやむを得んと思うのですが、そういう点について大蔵省としてはどういうような考え方を持つておるか、この新規事業に対するお考え方と併せて予算上の額について大蔵省等の意見がおわかりになりましたならば、お伺いいたしたいと思います。
  66. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 第一の電気導入のやつも買電のやつも考えております。ただこの予算に出ておるのは電気導入の関係は農林漁業金融公庫の金でありますので、それの何と申しますか、うまく行くようにならんだけであります。それからもう一つのやつは離島振興であります。離島のほうは初めて、でありますから、その分は本島でありますと、或る程度調査ができておりますが、離島のほうは調査ができておらないので調査しようと、こういうのであります。それから第二点の青年隊、これは農林省のやつと建設省のやつは全然趣旨が違うのでありまして、農林省のやつは主として開拓地等に行つて二、三男がその開発の手助けによつて自分が入植する、一つの勉強をする、こういう趣旨が主であります。建設省のほうはダム工事とか、大規模の土木工事のほうにそれを動員しよう、こういう考えでおりまして、今までのいろいろな話しを聞いてみますと、そこへ行つて勉強するという余裕はとても出ないというふうな説をなすものもあります。いろいろ問題がありますので、農林省が取上げるとすれば、それらの二、三男の将来の生活の手助けになるような方向でないと工合が悪いのではないか、こういうふうな考え方であります。なかなか問題があるのではないかと思います。それから取引所の監督官の問題は、これは取引所を設置しますと、それの監督官が一取引所について何名という大体の官庁間の申合せがありますので、今まで農林省ではまだ不足でありますので、それをどうしようという考えであります。帯広に置いたらどうかということは、これは取引所が成立つだけの取扱いがあるかないかということできまりますので、それは現在検討をしております。それから北海道の畜産運動の点はこれはいろいろ議論がありまして、今更畜産振興の予算を北海道に出すのはおかしいじやないか、こういうふうな、いわゆる日本の酪農地帯が又出すのはおかしいじやないかという議論がありましたけれども、ますます畜産の振興を図る必要がありますので出しておるのであります。初めて今度顔を出したのでありますが、北海道の特殊事情というものをもう少しはつきりする必要がある、そうしなければ今の深土耕、混層耕というような北海道の耕作に対する助成と同じに末広がりに行くか行かんかということは、これ又大いに今後努力しなければならんと考えております。
  67. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答え申上げますが、本年度の特許料と、それからその他事務的なものといたしまして、来年の三月までの分を予備費において要求いたしたいと考えまして、折衝中でございます。
  68. 松浦定義

    ○松浦定義君 どのくらいか額を聞きたいのです。
  69. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 大体三月までに特許権関係では二千万円くらいになるかと思います。これは実施の時期との関連でございますが、そのほか当初の事務費等を、これは又我々所要の費用として要求いたしております。まだ全然大蔵省のほうでは具体的に話が進んでおらないわけであります。
  70. 松浦定義

    ○松浦定義君 ちよつと一点だけ、今お話のありました農村建設青年隊の問題と産業開発青年隊の問題と全然性格が違うと、こういうお話でありましたが、性格が違いましても、農村における青年がそこに就労するということになれば、それに応ずる人間が同じであるわけですが、それが本当に農村のためになるかならんかということは、これは国で考えてもらわなければならんと思うのです。最近この問題で建設省の考えておるのは、北海道の受入体制が整わない、こういう意味合からいろいろ私も青年の気持を聞きましたところ、若し我々が今農林省考えておるようは青年隊の性格で以てこれをやるならば、建設省の考えておる問題についても受入をしよう、こういう空気になつて来たわけです。従つて最近建設省の係官との話合では、例えば北海道の糠平の電源開発計画で立てておりましたが、これが不調に終つておりますので、これを同じ糠平の電源開発を上士幌原野の無水地帯、つまり四十から五千町歩に及びます無水地帯の開発に対してこれを導入すれば要求に応じようと、こういうことでありますので、建設省としては大体それでもいいと、こういうような考えに立つておるわけでありますが、若しそうだとすれば、これは農林省の青年隊がやらなければならん問題になると思いますので、若しこういう問題が両省で話合が付くならば、これはこういう点で農村青年を対象とした問題に当然方向を変えて頂く必要がある、或いは又協力して頂く必要があると思いますので、この点は今日はこれ以上申上げませんが、この点は一つ十分御検討を願いたいと思います。
  71. 河野謙三

    河野謙三君 時間もありませんから、簡単にお尋ねしますが、私は今ここに両三年来の農村事情から行きまして、一番大事な問題は自作農特別融資の問題、現在農林省が特別会計で僅か五億か六億の金でやつておりますが、これを一般会計簿から繰入れまして、特別立法いたしまして、そうしてこの資金に対処する御意向はありませんか。
  72. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) それは農林省でも研究をいたしておるのであります。ところが現在の特別会計のあれで行きますと、融資期間が長期、利率が五分五厘というふうになつてつたのであります。そこで一反の担保価値が全国平均で五千ということになつております。ところが今年は三分五厘で五カ年で四割の補償が付いている金が出たのであります。それがある場合に果してもう少し担保価値でも実際のいわゆる土地の価格、これは離作料を含めた価格に近い金を倍してくれるのであれば、土地を担保に入れることも非常にいい案ではないかと思いますが、少くとも現在では三分五厘で殆んど災害地には営農資金が行きますから、この際これを拡張するのについてはいろいろ議論がありまして、一応更にこの制度を、担保価格をどうするか、或いは融資期間或いは融資利率、又これを今の償還金八億を基礎にしてやつておりますが、その程度でやるのであれば、現在の特別会計でやつていいけれども、これを大規模に三十億、五十億でやるとすれば、現在の機構のままでいいかどうか、こういう問題も併せて検討したいと思いまして、この間の補正予算のときにでも、改進党等から非常にやかましく言われたのでありまして、そういつた方面事情を再検討して、通常国会までに案を出すように努力しようではないか、こういうことになつておりますので、従つてもう暫らくお待ち願いたい。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、今の程度の問題ではいけない、三十億なり四十億の規模にして対処しなければいけない、こういう必要は農林省は感じておられるのですが、ただそれに対して財政当局との関係で問題が延び延びになつておる。私は今申上げたことこそ、今度の農林省の新規事業で真先に行くべきものと思う。農村の事情から行きましても、最近の自作農特別融資の必要性、これは少しく農村に入つて行かれると、これはすぐわかることだ、これを今のような五億や八億のちやちな特別会計で対処できるものじやない。これは単に災害地だけの問題じやなく、全国一般農家の問題であつて、これは是非私は具体化して頂かなければならんと思います。又大蔵省にその理解がなければ、理解せしめるように我々は政府と議会と協力してやらなければいかんと思います。これは私の意見でありますから……。次にもう一つ伺いたいのは、今の農村の事情から言つて第二に大事なことは、販売改善と購買改善が非常に大事な問題だと思う。特に最近のように非常に農産物の中間搾取というものがひどい。これは農村自体の協同組合化によつての問題もありますけれども、同時にこれには相当政府が力を貸さなければいかんと思いますが、こういう販売改善、又購買改善、こういつた問題について政府は今度の予算で特別これに考慮を払つておられないと思います。従来のお座なりをそのまま踏襲されておると思いますが、これについて官房長の御答弁を伺いたいと思います。
  74. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 自作農の問題は単に大蔵省の問題ではなくて、農林省の中の今の農地制度の維持との関係になつておるわけなんです。つまり一つの自己矛盾に陥つておるわけです。それは必要であるけれども、それでは現在いわゆる一反三万円とか、五万円で売れているものを五千円の損保価値で貸していいのかどうか、ところが一方それを現在のいわゆる市場価格並の或いはその半分近い担保価値を与えれば、結局それによつてもともとの自作農制度が破れてしもうじやないか、それを破れんようにするには、その使い方を制度的に何かしておかなければいかんが、そういう結論が出て来ないのであります。ただ単に五千円でいいんだ、こういうのであれば、それでいいのだけれども、それではいかん、二万円貸せ、こういう議論が非常に強いので、その線が越せないので農林省の中でまだ踏み切つていないのであります。これは併し先ほど申上げましたように、少くとも今度の通常国会までに導入しようというので検討いたしております。それから販売改善のことはお話通りであります。併しこれは協同組合の建前からいつて少くとも今までは財政当局というか、これは占領当時からのものでありまして全然話になりません、というのは、戦争前の協同組合は一つの行政機関的に働いておつた、従つて国の助成もうんとやつてつた、今度そういう性格は全然ゼロなのでありまして、行政庁が検査をするのはいかんと占領当局は言つておりまして、検査はその後法律を作つてつておりますが、そういうのでありますから、協同組合に対する根本的な考え方を変えなければ、必要は必要であるけれども、財政的な裏付によつて販売改善の費用を増加するということは、まだすぐ跳び切れないのじやないかと思います。これはやはり団体編成の問題と、そういうところは何というか、中の意味において絡んでいるのじやないかと思うのです。
  75. 河野謙三

    河野謙三君 この予算に粉食じやなく、人造米のあれが出ていますが、私はこの機会に食糧庁長官に一言伺いたいのだが、なぜもつと一直線に粉食奨励のほうに私は進まないのかと思う。戸惑いして又逆戻りをするようなことをなぜやるのか、私はこの人造米の奨励に二千万も三千万も使うならどうでしよう、各府県一つ「うどん」の直営店でも作つて、それにでも補助金を出して今の二十円の「うどん」を十五円で食わして下さい。私は結局なけなしの米で苦慮するよりは、もつと安い粉を食わしたらいいと思う。私はこの間も予算委員会で言つたのだが、今の「うどん」は長官は二十円を安いと思つておられるかも知れないが、東京で三十円で食わしておる、仮に二十円で食わしておつても、その「うどん」の原価は粉一袋で「うどん」というものは昔のように大きい東でも二百五十とれますよ。今のいんちきな「うどん」は大体一袋三百とれますよ。そうすると、非常に細かい話になりますけれども、粉代というものは「うどん」一ぱいの粉代というものは四円に満たないと思う。四円にも満たない、仮に四円にいたしましても、それに加工をして、そうしておつゆを作つて、井に入れて食わすまでに二十円はちよつと私は高いのじやないかと思います。だから仮に商人は商人の採算があるでしようから、それは仕方がないといたしましても、少くとも人造栄の奨励に二千万円、この冬は五千万円も使うでしよう。それなら各府県なり、又農林省自体で食堂でも作つたらどうでしよう。私はそれに直営のうどん屋の、「うどん」、コツペ・パンを売つて、今の二割なり、三割で私は販売すれば、そのほうが私はよほど大きな食糧対策になるのじやないか、今後の進むべき途はもう粉食にきまつておる。私はそれについてどうもこの頃は人造米に力を入れ過ぎやしないか、私はこの点について伺いたいのです。
  76. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 河野委員お話の中の粉食の問題につきましては、我々勿論従来ともに努力しておるわけでございます。ただ御承知のように粉食は一応いろいろな形態といたしまして、勿論麺とパンとございますが、日本一つの面といたしましては、企業と申しますか、一つの経営として、すでにもう固定したと申しますか、でき上つたものでございます。パンにつきましては殆んどこれが企業なり経営としてはでき上つておる。これに対して政府としてどういうふうな粉食についての助成をと言いますか、普及と申しますか、そういうことをすべきか、これはまあいろいろ我々も検討しておるのですが、いい知恵がないわけです、現在は展示会をやつてみたり、それから献立を募集してこれを放送してみたり、そういう副食物の献立をやつたり、一時はチキン・カーのようなものを考えてみたことがございましたが、これは予算がとれなくて実施になりませんでしたが、これをすでに具体的に政府が手を貸して、どういうことをやればということがすでに長い期間の普及によつてやられておるわけでございます。この考えを助長いたしたいと思いますが、政府としてこれをどうやるかということについては、相当安定した経営なり、企業なり、又消費の段階がございますので、大きな方面としては、御承知のように学校給食をやつて行く、これに附随して先ほど申上げたような展示会なり、何なりで以て一応やつて行く、特にお話の価格の問題につきましては、何か標準店のようなもので進めて行きたいということで当局と連絡をいたしておるわけであります。その考え方は或る一定の何百世帯かに一つ標準店を指定いたしまして、それに対しては食糧庁といたしましては、食糧庁が予定しておりまするコストの小麦粉を数量的には約束する。都におきましては、それに対して税の点或いは償却の点か何か、そういうような点で、そういう粉食店の標準店で一定の価格を守るものに対しましては、そういう何らかの措置を講じてもらうという形でやつて参りたいというふうなことをいろいろ考えているわけでございます。人造米の問題につきましては、我々といたしましても、この粉食の問題と同時にやはり日本人というものの過去の実績から申しまして、粒食に対する希望が非常に強い。そこへ日本としては利用されない澱粉がある。それから今後の情勢からいたしましても、麦の入手が非常に簡単になります国際的にも……。そういう意味から小麦粉の消費を粉食で進めますと同時に、又或る程度そういう粒食の形で利用できるものならこれを進めて行つて悪くないのじやなかろうか、かように考えております。
  77. 河野謙三

    河野謙三君 私は人造米がいけないというのじやない。人造米そのものが補助金まで考えるなら、どうせこれからの一年は米が足りない、高いというようなことで大騒ぎをやるし、各府県においてもそれぞれこれに対しては考慮しているわけです。そうすると、私は今言うように「うどん」を十五円で食わせなさい。粉食奨励をやつたつて「うどん」の二十円は米の二百八十円よりも高い。米は高くない、粉は高い、今のところでは……。だから二千万円も五千万円もの予算を組むなら、それを各府県に配付して、今おつしやるような標準店でも何でも結構ですから、そのほうに一直線に進まれたらどうですか。これは私は来年度予算に生かしてもらいたいということなんです。希望意見です。
  78. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私から官房長に一点だけ申上げておきたいのです。それはさつき鈴木委員の御質問に対して、例の三割以上の減収率でなければ営農資金とか、或いは救農土木工事はやらない、そういうことでなければやらないというような規格になつているが、それは考慮するというような御答弁でしたが、これはこの間清澤委員の質問に対して農林大臣はつきりそういう形式上の規格だけではなく、或いは三割以下の減収であつても一応考慮するということをはつきり言つておりますが、重ねて私からその点十分考慮されるように言つておきます。
  79. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 今の点は私のほうは作業を急ぎますので、もう誰が見ても問題のないとこころを先に拾つてつて、順次そういつた開拓地であるとか、平坦地と山地の被害が同一町村内ではつきりと分れている村、そういうものはやはりもう一度県の意見をよく聞かなければ私のほうでわからん部分がありますので、そういうものを考えて配当の場合に保留をとつておいて、そういうのを拾つて行こう、こういうのであります。
  80. 赤松常子

    赤松常子君 ちよつと私人造米のことで一点お聞きしたいのでございますが、食糧庁長官は人造米の生産を積極的にお進めになるつもりですか、なお又しようがないからという程度でしようか、これが一点。それから現在までの人造米の生産政府補助金をお出しになつているのでございましようか、今度予算をお組みになるのが初めてでございましようか、その二つをお伺いしたい。
  81. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 先ほども河野委員に申上げましたように、我々といたしましては、やはり日本に存在いたしております澱粉の利用も考えなければいかんし、又日本の食生活といたしましての米食への執着性、これもやはり考えなければならない。勿論粉食についても十分我々は考えなければいかん。併し人造米につきましても、現に需要がある限りにおきましては、この生産を進めて行くことは必要じやないか、かように考えるわけであります。ただその需要がどの程度の需要になるかということは今後の状態を待たなければなりませんが、余りに企業が濫立しまして過剰投資になるようなことは避けなければいけない、かように考えておるわけであります。それからもう一点の補助金の問題は、これは考え方としましては、補助金という考え方は我々いたしておらないのであります。ただ現在の人造米の特許権の使用状況だけから行きますと、非常に高い特許料をとつている、そして特許料を元にいたしまして、いろいろな販売の委託なり、一種の独占的な形態が起りつつある、こういう弊害が看取せられまするので、この特許権を政府が借りまして、そうして無償で使わすことが結局必要じやなかろうか、そうすればコストも下り、高い権利金を払わなくても済む、こういう考え方でおるわけでございます。ですから直接的に個々の補助をするということは考えておりません。ただ勿論融資につきましては斡旋をいたしたい、かように考えております。
  82. 赤松常子

    赤松常子君 斡旋していらつしやる例があるんでございますか、どのくらいそのお世話を焼いていらつしやいますんですか。
  83. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 融資につきましては、具体的には政府といたしましては開発銀行なり、中小金融公庫なりにいろいろ事情説明しまして折衝いたしておりまするが、まだこれは御承知のように一定の銀行との協調融資のような形になりますので、銀行を通じて申請をするわけでございまして、現在までに融資が実現したというものはございません。
  84. 鈴木一

    ○鈴木一君 先ほどの委員長が確認した問題なんですが、確かにあの当時やつてもらえば文句はないわけなんですけれども、大体国会が終つた頃にああいつた重要問題を皆さつときめられてしまつて、後の祭だというふうなことが非常に多いんだろうと思いますが、きまつてしまうと、今度もう地元のほうは陳情だとか、何とかいつて大騒ぎをして無駄な金を使い、必要でない混乱もすると思いますので、十分一つ考慮願いたいと思うのですが、官房長の話では何か考えるような、考えないようなさつぱりわけがわからなかつたような気がするのですが、その点だけははつきりしてもらいたいと思うのです。
  85. 白井勇

    白井勇君 長官は人造米々々々で米とおつしやいますけれども、私たちは「うどん」か澱粉と考えておるのです、あれは……。今河野さんがおつしやるように、「うどん」は非常に結構なものだと思うのです。ただ最近ああいう時代になりましてから非常に悪いのです。うどん屋へ行きましても、長官なんか雲の上だから御存じないかも知れませんけれども、うどん屋へ行つて種物でなきや出さないとか、「うどん」そのものが悪くなつていますね。これは是非パンでも、「うどん」でも優秀なものに政府の保証するような、例えば旅館に優秀な所がありますな。ああいうことが簡単に行きますれば……。「うどん」というものはこういうものだという認識をしない者があるのです。ただ色が白ければいいとか、戦争中の黒いものを知つていますから、これは本当に「うどん」というものはこういうものだということを承知したいと思うのです。それは希望の表示をやつてあるのです。バンでもそうです。そういうふうにしまして、いいものはどんどん伸びて行くようはことをして行きますれば、そう人造米にこびりつく必要はないのです。それは精麦にしても同じことですよ。それはもう是非やつてもらいたいと思うですな、僕は……。これはお願いです。
  86. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これで休憩をいたします。午後は正確に二時から開会いたします。    午後一時二十四分休憩    —————・—————    午後二時二十九分開会
  87. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 委員会を再開をいたします。最初に冷害対策の実施要領ですか、そういう点につきまして農林当局から説明を聞きまして御質疑をお願いいたします。
  88. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 冷害対策につきましてアウト・ラインを御説明申上げます。
  89. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) お手許に冷害地帯緊急救農対策要綱というのがお配りしてあるわけです。
  90. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 二十八年十一月十日閣議決定になりました冷害地帯緊急救農対策要綱、これにつきまして概略御説明いたします。方針につきましては、要するに北海道、東北その他の地方におきまして、冷害並びにそれに伴いました病虫害等によりまして、農作物の被害が非常にありまして、水稲で全国平均作況数が七二%、十月十五日現在の水陸稲の予想収穫高は五千三百万石、こういうような実情に鑑みまして、農林省といたしましては、冷害地帯緊急救農対策要綱、こういうものを決定いたしまして、冷害等によります被害地の農業の再生産の確保を図りたいと、こういう考えでございます。その意味におきまして、中央におきましては農林省と、それから建設、厚生、関係各省が連繋をいたしまして、総合的な対策を作り、被害地の営農資金の確保なり、米麦の売渡しなり、緊急土木事業によりまする賃金収入の確保と、こういうものを図りたいと、こういう考えでございます。以下各項目ごとにアウト・ラインにつきまして御説明を申上げます。第一の救農土木事業でございますが、この救農土木事業につきましては、開拓、土地改良、治山、林道、そういう関係につきまして被害地の賃金収入を確保すると、こういう目的から農林土木事業を実施するわけでございますが、その方針といたしましては、そこに書いてありますように、一枚めくつたその次の1に書いてございますように、「事業費の大半が労賃であつて、概ね被害農民の労力を以て実施しうるもの」、こういうものを標準といたしまして、地域的配分につきましては今農林省考えておりますのは、各市町村別にランクを付けまして、作況数を元にしましてグループ分けをいたしまして、減収率の多いところから優先的にやつて行くと、そういうような考えでございます。今考えておるのは一応三段階くらいに分けまして、一番減収率の多いところから優先的に市町村を基準としてやつて行こうと、こういうような考えでございます。それでこの冷害地帯緊急の細かい実施要領は、大体今のあれでは今日午後の農林省省議にかけまして方針を出す予定でございますが、大体今のところ考えておりますのは、減収率が七割以上の市町村を第一順位といたしまして、それから五割以上七割未満の市町村を第二順位と、三割以上五割未満の市町村を一応第三順位と、こういうふうな方針で検討いたしております。そうして事業費の配分につきましては、その4にありますように、十一月中に完了することを目途として事務手続を進めておるわけでございます。それからその次の営農維持確保施設につきましては、種子確保、耕土培養、こういうような施策と相待ちまして、飯米の確保、食生活の改善、副業の奨励、そういうようなことをやるつもりでございます。国有林野事業においても薪炭林を、今のところ大体三百五十万石くらいの払下の考えでございます。共済金の支払いにつきましては、冷害地における共済金の推定は一応百七十億乃至百八十億、これは作況に基いて百七十億乃至百八十億の見当でございますが、冷害地につきましては年内に支払いができるような方針で今事務を進めております。それから営農資金につきましては、特別の市川村は三分五厘、開拓地は五分五厘、その他は六分五厘でございますが、今一応事務的に検討いたしております。それから失業対策事業でございますが、農林省といたしましては、被害地の救済は一応再生産の確保なり、或いは救農土木なり、営農資金の確保なり、国有林野事業なり、そういう事業によつて一応救済する、そういう方針で進んでいるわけでございますが、それによつてもなお取残しと言いますか、就労の機会を得られない、そういうような被害農民に対しましては失業対策事業考える。こういうような考えでおります。その次の生活保護につきましては、そういう以上の事業によつてもなお生活に困窮する、そういうものについては、生活保護法によつて保護を行う。そういう考えでおります。従いまして農林省考えといたしましては、先ず救農土木事業なり、営農資金なり、共済金の支払いなりによりまして、被害農民の賃金収入の確保をするなり、営農資金を確保するなりいたしまして、それによつてまだ残つている、どうしても残つたやむを得ない分は失業対策による、そうしてそれによつてもやはり残つた分は、最後のあれとして生活保護の対策をする、そういうような考えでございます。
  91. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 大体今言つた減収率七割以上とか、五割以上七割未満とか、その三階級で現在のところ町村の概数がわかつておれば併せて御説明つたらばどうかと思います。概数わかりませんか。
  92. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 町村の数というのはまだ出した資料はないのでございますが、大体何町歩以上がどのくらいというような資料は一応作つているわけでございますが、これは十月五日現在のやつに基きまして……。
  93. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 官房長は大体大ざつぱな数字を言つてつたのですがね、大体説明はそれだけですかな。
  94. 河野謙三

    河野謙三君 被害調査は誰がやるのですか、町村長がやるのですか、国が直接やるのですか、調査並びに査定、これは誰がやるのですか。
  95. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 一応農林省といたしましては、農林省統計調査部、それから統計調査事務所、その出張所の組織を通じてやるという考えであります。そして今のところは予想収穫高で最終的には推定、例えば水稲につきましては一応十二月二十五日の公表と、こういうことになつております。従いまして予想収穫高なら予想収穫高のやつで一応事務的に準備を進めて行くと、こういう考え方であります。
  96. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、統計調査部でしたか、官房の調査課でしたか、全国の各市町村の米に関しては作況の数字が出ておりますね、あれが最終の数字ですか、その後の作況の悪化の数字というものはもう織込まないのですか、今後の場合は……。
  97. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 農林省といたしましては、前申上げましたように十二月の二十五日にはこれは推定実収高の一番最終のやつが出るわけでございます。その中間には一月ごとに予想収穫高なり、概況調査、こういうような調査をやつておるわけでございます。只今出ております一番新らしいのは十月十五日現在の調査が一番新らしいわけでございますが、それで調査がずつと進んで行くにつれまして、それを補正して新らしい資料を入れて行く、こういう考えでございます。
  98. 河野謙三

    河野謙三君 それでまあこの要項によりますと、今月一ぱいにこれの数字を固めるということになつておりますね。ところが実際は米などの場合は十二月の二十五日ですか、これが実収の調査の最終になるんですね。その間にいろいろ数字が変化したのはあとで調整して行くと、こういうことですか、それとも予算には一応或る程度の保留分を置くと、こういうことですか。
  99. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 今のところ保留分をやるか、それとも一応若干の保留をとつておきまして、それでどうしても足らない分はこの予算の中の災害対策予備費と、それの請求、例えば作況が非常に悪化いたしまして、どうしてもやれないというところでは災害対策予備費と、その前には若干の予備費をとつて予備費と言いますか、保留分をとるということはやむを得ないのじやないかと思つております。
  100. 河野謙三

    河野謙三君 これはまあ私どもは将来非常に問題の種になると思いますから、はつきり伺つておきたいのですが、どこまでも一応今月一ぱいで数字はまとめるけれども、それはまだ最終のものではない、その後においての変化によつて補正はして行く、これがその一点、それから調査農林省統計調査部がやる。そうしてこの統計調査数字というものは各府県等からのいろいろな災害調査数字が出ますね。そういうものには一切牽制を受けない。もう農林省独自の統計調査数字が最終的なものである、こういうことですか。
  101. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 一応今のところは統計調査部資料によつてやりたいと、こういう考えを持つております。
  102. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、統計調査のほうは今の事務の仕組は各市町村では出ていないですよ。これは市町村単位になつておりますね。ところが統計調査のほうは市町村は出してはいないでしよう。ところがあなたのほうでは数字統計調査数字でとるのだ、統計調査は今までとは数字の出し方を変えて、今度の場合は市町村まで統計調査が改めて出すようなことにするのですか。
  103. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私も今のそれと関連しているのですがね。河野委員の言われた点で、これはあなたが答弁できなければもう一遍よく確めてもらつたらばいいと思いますがね。町村別でないということ、それから今陳情を受けまして、要するに食糧庁で極く最近に供出別当をやつてつて、その際には農林省と各府県当局とやはり生産見込みについて具体的な話合ができたのだ。そのベースの上で今年の供出数量がきまつているのだ。これは極く最近の両者の意見の一致した数字である。むしろこれを重点に見て欲しいという陳情なんです。私今官房長に電話したのですが、こういう陳情もあつて私も一応尤ものように思うがどうかというような電話で、照会したのですが、やはり両方見て行きたい。一本ではやつて行けないだろうということになつた。この辺は一つの大きな問題であるから、若しここですぐ御答弁ができなければ、むしろあとで保留しておいて、よく照会した上で答弁されたほうがいいと思います。ちよつと速記を止めて下さい、    午後二時四十七分速記中止    —————・—————    午後三時九分速記開始
  104. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  冷害対策の件はあとへ廻しまして、肥料の問題。
  105. 河野謙三

    河野謙三君 農林省に肥料の問題について聞きたいのですが、保利農林大臣はしばしば、而も力強く肥料は内需優先であると、こう言つております。要するに輸出の問題等が起りましても、内地の需要というものは優先的に確保して、然る後に余剰分を輸出する、こう言つておりますが、内需優先というものをあなたのほうから具体的に数字を以て示してもらいたいと思います。内需優先というものは具体的にはどういう数字になりましようか。これを一つ教えてもらいたいと思います。
  106. 立川基

    説明員(立川基君) 只今の点でございますが、この前の国会におきまして、例の需給調整法案その他がこの本委員会に予備審査としてかかりました場合に、私どものところの局長から御説明申上げましたように、大体従来の考え方といたしましては、年間の総生産量の中から、過去三カ年間の平均の内需の数量と、それに食糧増産に要します数量というものを合計いたしまして、その総生産童からそれだけの需要量というものを差引きまして、あとの残高を輸出余力、そういうふうに考えて一応の試算をしておつたわけであります。それにつきましては、この前の国会に一覧表を出しておりますので、一応了承済みのことと考えております。勿論いろいろ内需も当初の計画から、だんだん八、九月なり、十月に実績がいろいろと現れておりますので、若干ずつの変動はあると思いますけれども、現在までのところ大体そういうふうな考え方で来ております。
  107. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、じや一つ硫安の場合で私伺いますが、硫安の内需というものは、需要量は過去三カ年間の実需の平均、こういうことですね。
  108. 立川基

    説明員(立川基君) そうでございます。
  109. 河野謙三

    河野謙三君 そういたしますと、それは百七十万トンくらいになると思う。それに対しまして、本年度におきまして百七十万トンの需要に対して、供給量が一体幾ら見込まれていますか。これは私は見込みは困難だと思います。特にこれからの渇水期を控えて、家庭電力でも十六日から停電を一つ忍んでくれ、こういうふうなことを言つておるのでありまして、これは当然渇水期には相当工業電力の削減もあると思いますが、それらは当然これに織込んでおられると思いますが、いずれにしても政府が見込まれる一体供給量は幾らですか、百七十万トンの需要量に対して供給量は幾らですか。それからもう一つ今までにきまつた輸出は幾らでございますか。それから今輸出で話題に上つておるものがあれば、それも私は聞かしてもらいたいと思います。
  110. 立川基

    説明員(立川基君) 供給の点でございますが、この前の国会に御報告申上げた供給量は……、勿論供給は生産関係でございますので、所管は通産省だと思いますが、一応両省の間で協定と申しますか、現在の電力その他の割当の関係から考えましての、一応の内需の百七十万トンに相当いたしますものは二百三十万トン、そういうふうに考えておつたわけでございます。それから現在までの輸出でございますけれども、それはこの前御報告したと思いますが、大体台湾向の例の年内の十二万トンのうちの、実績といたしましては、ちよつとその数字はつきり覚えておりませんが、大体十月におきまして四万八千トンが現在までの実績でございます。その他につきましては八月に四千トン、十月に三千トン、そういう数字に一応なつております。それから引合の関係でございますが、これも通商の関係は通産省関係でございますけれども、中共なり、或いはその他の国について若干の引合があるということは聞いておりますが、最近の事情は私ちよつとよく存じませんので申上げかねます。
  111. 河野謙三

    河野謙三君 いや、輸出の実績も結構ですけれども、今まできまつたものが二十数万トンあるでしよう、台湾、朝鮮で……。
  112. 立川基

    説明員(立川基君) はい。
  113. 河野謙三

    河野謙三君 それを引きまして、あと輸出の引合はたくさんあるでしようけれども、今まできまりました二十数万トンのほかに、更に何万トンの輸出の余力がありますか、これはすぐおわかりでしよう。
  114. 立川基

    説明員(立川基君) 輸出余力の問題につきましては、今の生産なり、供給なり、いろいろな事情もございますので、この前の要するに内需を幾らに見込むかということと、供給量を幾らに見込むか、こういう問題になると思いますので、その点につきましては後ほど局長が参ると思いますので、そのときに御答弁いたしたいと思います。
  115. 河野謙三

    河野謙三君 いや、局長が来たら私は又別に尋ねることがあるのですが、あなたからは数字を聞きたいのですよ、数字を……。それは需要量が百七十万トンと出ていますね。これはあなたのほうで、法案は通つておらんけれども、需給調整法の基礎になる数字というものは、過去三カ年間の実績の平均百七十万トン、これはもう出ている。供給量においても大体これは他産業と違つて、硫安工業の場合には、渇水期等においては或る程度狂いますけれども、その他は狂わないのだから、これも私は或る程度数字が出ていると思う。そうしてあと輸出が今二十数万トンきまつている。そのほかにあと、これから引合があつた場合に何万トン出せるのですか。私は要するに数字上の一つのあれを、あなたのほうの需給バランスを伺いたい。
  116. 立川基

    説明員(立川基君) この前も国会で御報告申上げました点につきましては、先ほど申上げましたように、二百三十万トンの供給量につきまして、大よそ一応内需を百七十万トンに見込みますれば、その残高については輸出余力である、そういうふうに考えておつたわけでございます。そのうちで、一応この前御報告いたしましたような杉ですでにきまつておりますのが、台湾向の二十五万トンというものと、先ほども申上げました、その他の地域に対しますものと、更に最近お話があります二万トン、こういうものが一応輸出余力というふうに、従来の計算からいたしますと、そういう計算になるわけでございます。
  117. 河野謙三

    河野謙三君 どうも立川さんは少し僕を警戒しているのじやないかと思いますが、僕は何もあなたの揚足をとるわけじやなくて、もつとざつくばらんに話をされたらいいのです。それじや僕が自分で審査したやつを申上げますから、間違つたのがあつたら言つて下さい。供給量が二百二十万トンでしよう。大体内地需要量は百七十万トンでしよう。そのほかに農林省の肥料政策から行けば、内地の需要量に対して、大方一割前後のものを、今度の法律によると全購連に持たしておこうという、まあ法律は通つておりませんけれども、当然それくらいのものはリザーヴしておかなければならんが、それが少く見ても十五万トン、すると内需並びに保留分で百八十五万トンでしよう。そうすると、あと残る分が三十五万トンですか、三十五万トンしかないでしよう。それに対して二十数万トンの、もう輸出の引合が決定しておる、こうなると輸出余力は私はないと思うのですが、あと僅かに数万トンのものはありますけれども、これは渇水期等を控えて、仮に出すにしても、今ここで十二月や、一月にきめるべきものじやないと思う。少くとも渇水期のあとの三月、四月に行つてあとできめるべきものだと思うのですが、結論として私は輸出余力というものはないと思いますが、それは違いますか。
  118. 立川基

    説明員(立川基君) この前御報告いたしました昭和二十八年度硫安需給見込の表によりますと、大体河野先生の言われましたような供給量及び需要量という数字になるわけでございます。ただ今後の輸出余力の問題になり、その他につきましては、我々の御答弁申上げている点、というよりも、むしろ先ほどから繰返しますが、局長が参りますので、詳しくお聞き願いたいと思います。
  119. 河野謙三

    河野謙三君 局長が来たら勿論伺いますけれども、ただ私はその数字上どうなるということを聞いているので、この数字を基礎にして今度はどういう措置をとるかというのは、これは局長仕事なんで、それを私は聞くのじやない。数字上は一体プラス、マイナスどういうものが出て来るかということを聞いている。私の申上げたように、需給バランスがよく整わないから、数万トンしか輸出余力はないと思うのですが、それを重ねて一つ。決してあなたのおつしやつたことに責任を問うわけじやありませんから、一つ御答弁願いたい。それから私は次に、昨日全購連から聞いたのです。これはあなたのほうで、何か最近朝鮮に又相当大きな、十数万トンの輸出の話があるということを聞いたのですが、こういうことはあなたのお耳に入つていますか、私はこれが若し事実とすれば大変な問題だと思う。これからあなたのほうでは来年の春の硫安なり、過燐酸の価格を農民に代つてきめなきやならん。いわゆる法律はありませんけれども、安定した価格をきめなきやならん。又来年の春の価格をあなたたちがきめなきやならん、その矢先に、若しそういう大きな硫安の輸出を更にプラスするというようなことになれば、硫安の足らない形において、如何に農林省が安定した価格をきめましても、価格について責任をとると言いましても、ないものはこれは上げるよりしようがない。そこで私は農林省に聞きたい。秋の肥料なんて大したことはない。春の肥料は一体どうなるのか。一方において私はこの間も大臣に言つたのですけれども、営農資金の十五万や、二十万出しても、片一方において農業施策の価格政策に大いなる間違いが起つて硫安が暴騰し、餌が暴騰すれば何にもならない。だから半端な採農資金を出すよりは、むしろ農林省で肥料なり、餌なり、そういうものに対しての価格についての徹底的な措置をとられ、補償をしてくれるほうがもつと私は効果的だと思う。そういう矢先きに一方で営農資金を出して農家救済の措置をとつているかと思うと、一方においては硫安値上に賛成するような、そういうような措置をとつてつたら大変な間違いだと思う。そういう意味で、私は後段に申上げましたようなことは改めて局長に伺いますが、輸出余力があるかどうかという数字を、一つ立川さんから御説明願いたいと思います。
  120. 立川基

    説明員(立川基君) 只今の点でございますが、要するに輸出余力と申しますのは御存じのように供給量を、而も今後の問題として幾らに見込むかという問題と、それから需要量を今後の問題として幾らに見込むかという問題でございます。従いましていろいろな事情によつて変更すると思うのでありますが、この前の本委員会において御報告いたしました点は、先ほど申上げた通りでありまして、今後の問題をどういうふうに見込んで行くかという問題は今後の問題だと考えます。
  121. 河野謙三

    河野謙三君 立川さんね、一応の試算ですよ。あなたのほうで試算を持つておらなければ肥料行政はできないでしよう。あなたのほうで肥料行政をやられる場合の試算は、この間のあなたたちが本委員会に提出された硫安需給調整法の中に盛つておるあの精神が、あなたのほうの肥料行政の精神でしよう。それは即ち先ほどから繰返して申上げるように、需要量は過去三年間の平均であり、それに一割相当分をリザーヴする、これが需要量です。供給量は月々の硫安の生産計画があります。この試算に基いてあなたのほうは肥料行政をやつておられるのでしよう。そうじやありませんか。それ以外に何か別の試算を持つておられますか。はつきりと議会に硫安需給調整法という法律を出して今継続審議になつておる、その需給調整法の精神というものは、今申上げたことに間違いないと思う。だからこれから幾らできるか、百姓が幾ら買うか、会社が幾ら作るかということはわからないと言えばわからない。それは私だつてわからない。併しわからないうちにも、農林省が肥料行政をやる場合には、こういう基礎になる数字を以てやるのだ、こういう試算表を常に出しておられるのです、我々のところに……。私が何も試算表を出したのじやありません。あなたのほうの試算表はこうじやありませんかと聞いておるのです。その試算表によつて差引きすると、今までの輸出を差引きすると、あと数万トンの輸出余力しかないと思うのですが、そうじやありませんか。
  122. 立川基

    説明員(立川基君) 先ほど申上げましたように、前提といたしまして現在の供給量を電力の割当の現在までの計画ということに見まして、それから内需を過去三カ年の平均にプラスすることの食糧増産分、それから調整を一割基準に近いものに考えますと、そういう計画を立てますと、数字上はこの前から申上げておるように、それから差引きの、更に台湾向なり、その他現在既定になつておるものを差引きますと、只今先生の言われましたように、あとの残額というものは僅少なものになるということは、数字的にはそういうことになると思います。
  123. 河野謙三

    河野謙三君 それでいいのです。
  124. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    午後三時二十九分速記中止    —————・—————    午後四時十一分速記開始
  125. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。冷害対策の審議を続行いたします。庵原総合開発課長が見えております。
  126. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど他の事務官のかたからいろいろ御説明を伺つたのですが、重複するかも知れませんけれども、改めて伺います。今度の冷害対策の一番基礎になる数字の問題なんですが、一体被害状況はいつ現在の調査によるものだか、それを先ず伺いたいことと、それから被害状況はどこで誰が一体調査したものが基礎になるか、これを先ず伺いたいと思います。
  127. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) お答え申上げます。統計の基礎といたしましては、農林省統計調査及び府県調査の両方を参酌して用いるつもりでございます。それで農林省統計としましては、十月十五日現在におきます最も新らしい資料を用いる、それから県の資料では十月五日現在の各県調査による資料を現在用いておりますが、更に各県でその後いろいろ作況の変化等に伴いまして数字が変更になりましたり、或いは更に精密な調査を行われておりますので、それを只今取りまとめて作報調査等を補正して参りたい、かように考えております。
  128. 河野謙三

    河野謙三君 農林省のほうとしては統計調査数字を基礎にする、それに各府県被害調査数字を勘案する、こういうことでありますが、これは現実の問題をすると非常に農林省自体の数字が弱いじやないですか。統計調査そのものは先ほども申上げましたが、今度の被害調査の基礎になる町村別被害調査をやつておりませんね。でありますから、建前から言えば農林省には町村別被害数字がないということですよ。それで急拵えに何かでつち上げる、それからみれば府県のほうが町村数字はやや従来から詳細に調査が亘つておる、ただ府県数字調査は詳細であるけれども、府県はそれに政治的要素を入れてふくらますという危険がある。そういうことで、統計調査数字を基礎にして府県数字を勘案するというけれども、具体的には統計調査そのものは町村数字は持たない、従つて府県の政治的に作り上げたところの数字というものが殆んど大部分の要素になるという危険はございませんか、それを私は非常に心配しているのです。
  129. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 建前から申しますと、御指摘のように現在の農林省統計のシステムは町村別にやるということになつておりません。併し今回の冷害に伴いまして、緊急に各統計調査事務所を末端に至るまで動員いたしまして、できる限りの町村別資料只今調製をいたしております。それから各県の資料は勿論非常に詳しい調べもございますが、ただ私ども見まして、各県間の不均衡が相当あるように見受けられます。それを各県間の不均衡がないように、第三者と申しますか、そういう立場から見た統計資料によつてそういう不均衡をなくすように補正して参りたい、こういう考えであります。
  130. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、統計調査のほうでこの際に町村別数字を出す、こういうことでありますが、これはすでに出ておるじやないかと思いますが、その町村別統計調査数字は我々の手許へ届けますか。
  131. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 緊急にやりました関係で今まとまつておりませんが、続々と集まりつつある状態でございます。
  132. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、その数字は我々の手許にいつ頃頂戴できますか、これは我々是非頂かなければいかん数字だと思いますが。
  133. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) これはいろいろな資料をとつておりますので、まとまりますのに相当日にちがかかりますのと、それから最初お話のありましたように、建前といたしまして一〇〇%の確定性を持つというわけに参りませんので、私どもは統計調査調査といたしましても、これは参照してやつて参りたい、公表できるものがあれば勿論公表いたします。その辺は統計調査部となおよく打合せまして処置いたしたいと思います。
  134. 河野謙三

    河野謙三君 これはこの数字予算の伴うものでありますから、我々にこの数字の公表を拒む理由は何もない。ですから私たちは少くともこの数字はどうしても頂かなければいかん、そこで当委員会としては、次の臨時国会前にもう一度休会中に委員会を開くということに今委員長の計らいできまりましたから、それは多分二十六日になると思いますが、それまでには当然に数字が出ると思いますが、遅くともそれまでにその数字を頂きたいと思いますが、もう一遍その点を伺いたい。それから今十月十五日現在の被害状況を基礎にして一応数字を弾き出す、十月十五日以降においての被害状況の変化、これは当然織込まれると思いますが、先ほどの御説明では、当然それは織込まれるということでありますが、もう一度これは大事なことでありますから伺いたい。なおそれを織込む場合にはどういうふうな予算的の措置をとられるか、これも一つ併せて御説明頂きたい。
  135. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 十月十五日以降におきます作況の変化等につきましては、只今私どものところで各県の供米割当に用いました町村別資料がございます。各県にございますので、それを取寄せてはおりますが、これは大体県によつて違いますが、十一月一日現在の資料ができておるように承知いたしております。それによつて十月十五日現在の調査を補正して参りたいということに考えております。それから予算的措置につきましては、十月十五日現在の資料によつて一度に放出するということをいたしませんで、相当額の保留分を残しまして、最後的な調整を図つて行きたいと考えております。
  136. 河野謙三

    河野謙三君 最後に私は一つ御注意申上げておきたいのだが、今まで一番大事な被害調査数字が個々別々に出されて、例えば救農土木の場合の基礎になる被害調査数字、そうかと思うと供米の場合は又別の数字、営農資金を出す場合の数字は又別の数字、こういう矛盾したことは私はあり得ないと思う。ところがこれが平気で今まで行われておる。そういう点からいたしまして、今後今あなたの御説明のように統計調査によつて困難ではあるけれども、一応市町村数字を出す。それに閣府県のいろいろ実情を或い程度勘案する、それならそれで仕方ありません。今の段階ではそれ以外に方法ないでしよう。そうして出た数字は、少くともその数字があらゆる場合に一本でなければならんと思う。そういう点から申しまして、もう現に数字が出てもう実行に移つちやつたこの供米の数字ですね。この数字と矛盾が起つて来た場合どうなりますか。これを一つつておきたい。将来は勿論これじやいけない。今までのすでに出ました供米の割当の場合の基礎になつておる被害、各県の被害数字、これと今後今あなたのおつしやるようにして出された数字との間に矛盾が私は当然起ると思う。この場合にはどうされますか、その場合には……。
  137. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 供米の場合の基礎として用いました数字は、直接にはそれをそのまま冷害対策予算配分等の基礎資料とはいたさないつもりでございます。従いまして、すでに供米の割当等の完了いたしております際に使つた数字相当に古いものもございます。私どものほうといたしましては、その後になお正確な数字の出て参りましたものは、それをとつて参るという方針でおります。
  138. 河野謙三

    河野謙三君 それは農林省の一方的の理窟であつて、供米の数字というのは将来も使うつもりはない。それはまあ我々の供米の基礎になつておる数字というものは非常に政治的な数字であるから、こういうものを使われては困ると思うのですね。併しこれは各府県のほうから見れば決して今農林省がおつしやるように、あの数字は供米だけの数字であつて、将来の災害対策の基礎の数字にはならんということは、これは農林省の一方的な理窟であつて、各県から見ればその数字で以て将来すべて冷害対策、救農土木、これをやるということが出て来ると思う。要求があると思う。こういうふうな場合に一体どういうふうな処置をされるか。今あなたのおつしやるように、敢然として供米は供米だけの問題であつて、これからの救農土木、営農資金、冷害対策、こういつたものはそれとは別に、今あなたのおつしやるような統計調査並びに各舞の数字を勘案してやる、こういうことに一本に統一するということでどこまでも切離して行かれますか。
  139. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 供米の数字を全然用いないということを申上げたのではないのでございまして、例えて申しますと、各県から十月五日現在の被害状況調査を徴しております。併し十一月一日現在のなお詳細な資料が市町村別に県のほうでございますので、そういう場合には前の資料よりも供米のときに使つた十一月一日現在の資料のほうがなお信頼性がおける。そういうものにつきましては十一月一日現在の資料を参酌して参りたい。こういう意味でございます。
  140. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの供米の数字を使うべきだという主張ではないのです。ただそういう矛盾が起つたときに困るじやないかということを前以て申上げておるのです。私は供米の数字、ああいう政治的な数字を、私個人の意見としては、これからのいろいろな救農土木その他救済の資金配分の場合の基礎に使われると非常に私は弊害があると思うので、これは供米の数字は過去のものは過去のものとして捨てなければいかんと思う。そういうことをしなければいかんと思う。併しいかんと思うけれども、各府県から供米の数字を云々と言われた場合にどうするか。農林省が一体どうするか、こういうことを聞かれた場合に、供米の数字を或る程度勘案すると言うのですが、それは供米の数字に勘案されるのですか。こういう正式予算に組まれると、そうすると、私は非常に大きな予算になると思うのです。供米の数字を或る程度勘案するということは非常に大きな予算になると思うのですよ。それは覚悟の上ですか。
  141. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 私が申上げましたのは、県で供米の割当を各市町村別に行う場合に、更に県自体におきまして町村別被害状況調査というようなものをやり直しておるところがございます。で、これは供米割当のときに農林省との折衝等に使つた数字そのままでないことがございますが、そういうものは県内におけるいろいろなバランス等については、やはり貴重な資料でございます。そういう場合には十分参照してやつて参りたいと思つております。
  142. 松浦定義

    ○松浦定義君 今農林省統計調査に基いて、まあ重点的に考えたいが、市町村のそうした数字についても十一月一日現在の最も新らしいものによつて勘案したいという御意見でありますが、私は北海道の雑穀地帯の問題でお伺いしたいと思うのですが、今河野委員から御指摘があつたように、水田地帯でありますと、或る程度供米というものの数字というものは、これは場合によつては非常に不均衡なものになるとしても一応の基礎になると思うのですが、全然そういう対象でない雑穀地帯の数字というものは、やはりその統計調査部数字だけではこれは徹底したものではない。例えば一例を申上げますと、私の村は大体雑穀中心の地帯で、一つの村ですが、一応耕地が一万一千町歩ある。そこで水田は僅か十六七、町歩しかありませんので問題ないのですが、一万一千町歩に亘るところの広範囲な地帯を調査するのは恐らく現在の統計調査部で行われる機構の中で行きますると、殆んど二、三名の人しかこれに当れないという実態である、そういうような人で調査したものが果してこれが適正なものであるかどうかということになりまして、その基準に基いて救農土木工事をやり、或いは融資の問題等も考えられるということになりますと、特に山村地帯である雑穀地帯の救農土木の実施の期間もずれると同時に、それらに対する農家の対策としての営農資金の配分についても適切な時期に行われないということになりますと、今度折角救農国会としてこうした予算が、例えば通つたにいたしましても、これが非常に適切な配分が行われないということになりますので、やはり町村が従来から持つて参りました統計に基いて適切な資料を出したものについては相当これは重点的に考えて頂かなければならんと思うのですが、こういう雑穀地帯に対する調査は現状の調査で十分であるかどうか、更に又そうでないとするならば現在どのような調査をしておるか。それからなお今まだ各町村のほうは続々と集まつておるというようなお話でありまして、二十六日の日に何とか資料は御提供願えると思うのですが、そうした雑穀地帯における、特に北海道を中心としたような資料はどの程度来ておるか、若し今度の救農或いは融資の点についてああいう寒い地帯の最も必要と思うような地帯に対する処置が遅れるのでないかというようなことを心配するのですが、幸い自分は明日帰りますので、道庁にも寄り或いは町村地帯にも寄りまして、どの程度資料ができてどうした手続をとつておるかということは伺うからわかりますが、勿論こちらと向うとの見解の相違がありまして、非常に困るのは被害農家でありますので、こうした点についてどのような現状であるかということをお伺いしたいと思います。
  143. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 先ほど申上げましたのは、水稲、陸稲の被害状況についての御説明を申上げたわけでありますが、雑穀につきましても、勿論これは冷害地帯についてはやらなければいけないと思います。で、私のほうといたしましては、雑穀につきましては御指摘のように非常に現在の統計調査では不備でございまして、細部の点までは掴みにくい情勢でございますけれども、大体今まで毎年実施しております収獲高調査、それから先般公表になりました雑穀予想収穫高、そういうものを調べまして、大体雑穀の平年収穫高、それから本年の雑穀の予想収穫高というものはわかりますので、その比較をいたしまして、本年の雑穀の減収量というものを算出いたしたい、これをいろいろ米及び雑穀等について噛合せて被害程度をみたいと考えております。
  144. 松浦定義

    ○松浦定義君 大変調査部がはつきり十分意を尽しておるようなお話でございますが、今私が申上げましたのは、例えば一例として申上げました一万一千町歩に亘るところに、僅か数名の人を以てしか調査に当れないということは、過去の調査成績或いは又最近における報告ということを申されますけれども、その報告自体の調査が徹底を欠いているのじやないかと、こういうふうに申上げるのでありまして、例えばそういう場合にどういうような調査をされておるか、若し私の考え方が間違つてつたら別でありますが、恐らく町村の例えば農業委員会なら農業委員会が作付から収穫までの間にいろいろ犠牲を払つて調査しておりますが、そういうものを或る程度重点的に採択されての調査の上であるか、或いは又更にそうでなくて、調査員自体の方々も走り廻つて歩いて、そういう数字を実質的につかまれたものであるか、そういう点に非常に今ここで取上げる場合に、町村数字或いは又統計調査部数字というものが、末端においては結果において同じであるというような事態でありながら、上に行きますと違つておるということでは非常にその点が困るという点もありますのでお伺いするのですが、末端における調査については、まあどういうような調査で今お話なつたような数字を把握しておられるのか、その点を一つ……。
  145. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 雑穀につきましては、非常に私統計調査機構としては現在は不備であるというふうに申上げたのであります。それで現在農林省がやつております雑穀についての調査は、大体作付面積、それから収穫高につきまして十種類でありましたか、大豆、「いんげん」小豆、「あわ」、「ひえ」、「そば」、「とうもろこし」といろいろございますが、そういうものについての作付面積及び収穫高というものを作報機関を通じまして調査をいたしております。それのみでは私どももなお不十分と思いますので、県からいろいろ資料の提供を受けまして、両方噛合せてみたい、かように考えております。
  146. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 先ほどの河野委員の御質問にちよつと関連してですけれども、作報町村別数字ですね、それと県の供出割当の場合の最近の新らしく出ております町村数字と二つを勘案しまして、その勘案の仕方ですね、これはただ算術平均をやるのですか、或いは割合に何と言いますか、軽く見ておりますものをずつと拾つて行くということにするのですか、二つ並べてただ鉛筆をなめて行くというような考え方ではなくて、どういうふうにやつて行くのですか。
  147. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 作報数字と県の数字が非常に似通つております場合には、これはできるだけ地元の数字で行きたいと思います。それから非常にかけ離れております場合には、これは更に県に再調をお願いしてみるなり、或いは場合によつては特定の場所についての現地調査を行いたい、そういうように考えております。
  148. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうしますと、その例えば二割か三割かというような場合に、県は仮に三割といつた、作報のそれは二割と見ていた場合にどちらをとるのですか。
  149. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) その勘案の仕方はどちらをとるというふうに割切らずに、いろいろ計算の仕方はあろうと思いますが、例えば作報を半分に、県のほうも半分に見るとか、或いは八割見るとか片つ方は……。
  150. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうすると、あなたのところで鉛筆をなめるということですね。
  151. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 鉛筆をなめるというのじやありませんけれども…。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 労働省では、今日頂いた資料では失業対策の救農に使う。それから建設省では災害豊をやはり冷害の救農に使う、農林省では救農工事を行う、こう三つありますが、この調整が一つ間違いますと、一村に二、三カ所集まる場合も考えられますので、そういう事業分布の公平な調整を図つて行くには大体どういう機構でその調整をとつておられますか、おわかりになつたらちよつと教えて頂きたい。
  153. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 冷害対策に関しまする所管省といたしまして、農林蔵、建設省、労働省、厚生省があるわけでございます、これは相五に密接な関係を持つて配分等について不均衡のないようにいたしたいという趣旨から、農林省が中心になりまして各省の連絡官会議というものを設けまして、すでに数回協議いたしておりますが、具体的な方策といたしましては、各省で配分案のようなものを作りまして、それを持ち寄りまして、できれば地図の上に落としてみる、そうして非常に重なつたら、或いは偏頗ができる、或いは空隙ができるようなところは、それを直して参るというような方法でやつておりますが、ただ飽くまでも主になるものは農林省所管の救農土木事業とか、それから建設省所管の救農土木事業というようなものでございまして、厚生省、労働省等の失業対策とか、或いは生活保護というのは、一番あとに穴埋め的にやつてもらうというふうな方針で行きたいと思つております。
  154. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体この所管はあなたのはうですか。
  155. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 農林省内部の機構といたしまして、冷害対策班というものを省内に設けまして、私が担当いたしておるわけでございます。そこで省内におきまして各局との調整を図りますと共に、他の各省との調整も私のところで図つております。
  156. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから今一つは、これは先ほども鈴木君が質問して重要な問題になつておりますが、先般来農林大臣にも官房長にも質問しておりますが、ということは、減収率だけでなく、実際収穫の非常に下つておる場所は、減収率が仮に一五%と同じ率がありましても、甲の村落では反収二石一斗で一五%、乙の村落では反収一石五斗で一五%、六斗も違う、こういうような県に対しては十分実情を調査し、考えて減収率の決定と、冷害地帯の種子に対しては考えてもらいたいんですが、先ほども官房長は、それは一つ実態は十分考えますと答えられた。現実に冷害指定地としてお考えになるとき、どういうふうな取扱いで現在やつておられるか、一つお伺いしてみたいと思います。何か知らん先ほどからの鈴木君に対する質問のあと、その後の御答弁などを聞いておりますと、こういうことは考えるが、考える気持だけで、実際の取扱いは今申しまする通り被害実態を出すだけが非常にむずかしいものですから、それに忙殺されてそういうところに手が延びないで、思いながらそれに押つつけられてしまうのではないか、こういうような危惧がありますので、どういうふうな御考慮でそれが実体的に取扱われているか、お伺いしておきたいと思います。と同時に、甚しいそういうところがあれば、どういうふうな手続きをとつたらそういう御考慮に与られる方法が付くか、何か確実な資料をこういうふうに持つて来ればこれは一つ考えようじやないか、こういうようなお考えがあるならば併せてお伺いしたいと思います。
  157. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) この事業の配分につきましては、大体農林省といたしましては、救農土木事業等を例にとりますと、先ず第一優先順位といたしまして、七割以上の減収のあつた村、第二順位といたしまして五割以上の減収があつた村、第三順位として三割以上の減収があつた村というふうに順位を付けまして、ひどいところ、ひどいところから事業の配分を行なつて行くというふうに考えております。その場合ただ見かけの減収率だけをとりますと、大部分が耕地が非常に狭くて見かけの減収率は大きいけれども、減収量においては大したことがないというような関係もございますので、減収率、それから減収の量、そういうものを両方を睨みまして、ひどいところから実施して参る、併し予算の枠に縛られるわけでございますけれども、できるだけ広汎にひどい被害をこうむつた村に広汎に及ぶように処置して参りたい、かように考えております。
  158. 清澤俊英

    清澤俊英君 非常に親切な御答弁で有難うございました。まあ現在毎日新聞に出ている人身売買などは、えて疲弊農村とでも言いますか、常に反収率の少ない場所が、平年でも最近は人身売買がはやる。いわんやそこに僅かな減収を来たしまして、同時に他の農作物も又まずく行つた、こういうことになりますれば、当然新聞に言われておるようなあの悲惨事がそういう場所に起きておるのでありますから、この点は一つくどいようでありますが、折角そういう点をお考えになつて頂いておるのでありますから、一つ是非御迷惑でも骨を折つてつて頂きたいと、こうお願いしておきます。
  159. 松浦定義

    ○松浦定義君 今の問題に関連して、今減収率とか、量とかということについて勘案する、こういうようなお話ですが、面積とか、戸数というようなことについては何か御考慮なつたことはないのですか。
  160. 庵原文二

    説明員(庵原文二君) 被害面積、これは土木事業等をやります場合には耕地の拡がりということも当然考えなければいけませんので、これも被害程度を算定する場合に入れたいと思います。それから被害農家戸数、これも勿論帰するところは農家の救済でございますので、被害農家戸数ということも参酌して参りたいと考えております。
  161. 河野謙三

    河野謙三君 私は経済局長一つ伺いたいのですが、先に救農国会が開かれ、本日も又この災害のいろいろ問題を討議しておるのは、これの結論は一口に言えば罹災者の生活資金の問題と併せて食糧増産に事欠かないように、明年採農資金を十分政府が見てやろう、こういうことです。これはしばしば私は去る国会の委員会でも申上げたのだが、問題は一応手段として金の問題を話しておるけれども、農家自体から見れば如何にして来年肥料を買うか、餌を買うか、こういう問題です。これは間違いないのです。そこで伺いたいのは、もう肥料の場合で申すならば、今年の秋肥は終つた、来年の春肥を如何にして被害農家は勿論のこと、全国の六百万の農家に低廉にして而も豊富に与えるかということが経済局長考えておる肥料政策の私は最終の目的になると思う。そこで明年の肥料につきまして、豊富にして而も低廉に農民の手へ届けるために如何なるあなたは今構想を抱いておられるか、私は先ずこれを伺いたいのです。
  162. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 御承知の通り、肥料の特に硫安等に対しまする対策につきましては法案を御審議願つておりまするので、成立の暁はその趣旨によつて処置をいたして参りたいと、かように存じておつたのであります。ところが法案がなお審議中でございまするので、法律によつて来春の肥料についてどうするということは、ちよつと今のところ困難ではないか、かように思つておるのであります。従いまして法律の制定ということと離れまして、現在我々が行政的にできる範囲において春肥の対策を講じたい、かように存じておりまして、只今折角検討中であります。
  163. 河野謙三

    河野謙三君 政府の肥料に対する方策というものは、今継続審議されております肥料法案そのものが、あなたの肥料行政を行われて行く指針であるとこう思う。そこで法律はまだ成立しておりませんけれども、成立の日までにあなたが行くところの肥料行政というものは、やはり法律の内容そのものがあなたの肥料行政の指針である、こういうふうに解釈していいのですか。
  164. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) そこが非常にむずかしいところだと私思うのです。と申しまするのは、この春肥が実は時期が非常に切迫しておりまして、具体的処置はもう今月から来月の初めにかけましてきめなければならん段階に来ておるわけですが、一方法案を御審議願つておるその場合に、まだ成立してない法案の趣旨で以て一体やることが認められるかどうかということについて若干疑念があるわけなんです。これは勿論この議会で以て成立しないとか、するとかいつたようなことを予想しての話でもありますけれども、まだ成立していない法案に則つてやるということについて若干如何かと、こういうふうに思われるのであります。それは何も役人としてのことばかりでなくして、あの法案を実施いたしまする場合には、相当経済的な負担関係、金融の問題なり、或いは場合によれば損失の問題なりが生じて参ります。価格の問題についてはこれは只今までやつて参りましたような安定帯価格でありますとか、或いは最高を抑えるとか、基準を抑えるとかいつたようなことによつて行政的に或る程度の措置もできまするけれども、その他の点につきましては、そうでない部分もございまするので、行政的な措置としてやつて私どもが処置をいたしました場合に、一般輿論から申しましても、或いは対国会関係においても果して妥当かどうかという点が心配なのであります。勿論法案は審議中でございまするので、その準備、法案が成立の暁に必要な準備を整えて置くということならば、これは勿論私どももやつて差支えないし、又やるべきだと思いますが、実施に近いようなことまで一体やり得るかどうかということについては若干疑念を持つておるのであります。ただ法案の趣旨は我々も現在においても変りございませんので、でき得べくんば行政的にできる範囲においては法案の趣旨をできるだけ尊重して実施したい、かようなつもりでおるわけであります。
  165. 河野謙三

    河野謙三君 法案が通過していない現在において、法案が通過したときに行える問題が通過してないために行えないという点は、例の一割前後の保有の問題だと思う。その問題でしよう。その問題であれば、これは経済局長少し、あなたは通産省でないのだから、経済局長経済局長としての一つ見解を持つてもらわなければ困ると思う。今は肥料は自由販売だ、そうでしよう。自由販売ならば昔の自由販売のときを考えれば、肥料には需要期、不需要期があつて、硫安のメーカーにしろ、過燐酸のメーカーにしろ、不需要期には二カ月なり、三カ月なり、場合によれば四カ月ものストツクというものはメーカーのリスクにおいて貯蔵するということは自由販売下におけるところの肥料資本の当然の使命です。又それであるからして御承知のように肥料会社というものはどこの会社も厖大な肥料の倉庫を持つておるわけです。でありますから、そういうことで全購連をして買わしめるようにまだ法律が通過していないから、その間の金利、倉敷というようなものをメーカーに負担させるのは、法律が通過していない現在では酷だというような考えを若しあなたがお持ちになつておるなら非常に間違いですよ。統制中はできたものは右から左にどんどん政府責任においてとつてつた。そうして肥料資本に金融してやつた。今は統制でないのだから、同時に統制でないために値段も今公定価格でないために、あなたのほうでいろいろ御心配を願い、安定帯価格というものもあるけれども、安定帯価格も非常にこれも上下の幅があり、決して一本の値段ではない。それを若しあなたが通産省的な考えを持つて肥料メーカーに、僅か一カ月か、一カ月半のストツクができればもう肥料会社がかわいそうだ、金融措置をしてやらなければいかんという考えを持つていれば非常に間違いです。当然持つべきものを持たして置いてそこに何の支障があるか、それを一カ月か、一カ月半のストツクができれば、これはすぐ輸出によつて助けてやろう、これは通産省ならそういうことをやるかも知れないが、小倉さん自体もそういうようなお考えを持つておるかどうか、それを伺いたいと思う。
  166. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) これは御指摘によりますまでもなく、メーカーといたしまして或る程度の在庫を自分の負担において持つておるということは、これは当然でございます。ただその量をどの程度が適当と認めるかということになりますると、そこにいろいろ見解の相違が生れて来るのであります。のみならず、或る面度の義務といたしまして相当量のものを持てと、こういうことになりまするというと、そこにやはり損失負担の問題が、これはメーカー負担が妥当かどうかという点についてやはり相当問題が生じて参ろうかと思います。正常な在庫でございますれば、その点は勿論メーカーの負担と、こういうことになりまするが、役所のほうで国内の需給といつたような面から特別の数量を保有させるということになりますると、そこに負担関係が生じて参るのであります。勿論自由経済でございまするから、自由に一カ月なり、或いは二カ月なり在庫ができるということであれば、これはそう問題が生じませんが、自由と申しましても、只今のところ御承知の通りの輸出についてはまあ管理をいたしておるわけでございまするので、輸出の認め方如何、国内の出荷の如何によりまして在庫量が動くということでございまするというと、ただメーカーの在庫につきまして野放しにメーカー負担であるというわけにも、これはなかなか参らんかと思います。併し私どもといたしましては、国内の出荷のために必要な在庫、正常な在庫、これは当然メーカーが自己負担で持つべきものであるという見解を持つております。だがその正常な在庫というものがどの程度のものであるかということになりますと、これ又なかなかむづかしい問題になります。特にその時期によつても、その持つ正常な在庫というものが違つて参りまするので、その辺になりまするというと、抽象的な理窟としては納得がお互いに行きましても、現実のその数量をどの程度にするかということになりますると、いろいろそこに異論が生じて参ろうかと思うのであります。そういう点について実は只今検討いたしております。
  167. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの機会に他の委員のかたにも一つよく御理解願いたいと思うのですが、私は肥料のことは知り過ぎるほど知つております。経済局長がいつでも苦境に立つておられる。それは肥料資本というものはバツクに非常に政治的な勢力を持つている。この政治勢力による圧力によつて、その板狭きになるのが経済局長であることを私はよく知つておる。これは皆様も大体御理解になつておることと思う。そこでここでの肥料資本がバツクにしておる政治勢力は何をやるかというと、常に輸出の問題を取上げる。そこで私は来年の春の肥料を如何に扱うかという問題は、今後の輸出の問題をどこまで政治勢力なり、肥料資本と対抗して農林省がこれを抑えるかということで来年の春の肥料というものの勝負がきまると思う。そこで私は一つ具体的に伺いたいのですが、先ほどもちよつとあなたのほうの立川さんに申しましたが、私は来年の春の肥料を考えましたときに、現在ここで今後の輸出を全部ストツプしても非常に来年の春の硫安というものは危機に追い込まれるのではないかと心配しておる。その基礎は、需要量が一応需給調整法に盛られておるように過去三年間の平均が百七十万トン、それに一割前後のアローアンスを認める。そういうことにいたしますと、そこに大ざつぱにみて百八十五万トンというものを年間の需要量とみておかなければならん。それに対しまして、あなたのほうで出しておる供給量は二百二十万トン、これも本年まだ渇水期にも入らないのに、すでに今日電気の供給をとめる、各家庭においての停電を覚悟しろというようなことを言つておる。そんなことを考えますと、この二百二十万トンの供給量も必ずしもあなのほうでは自信がないと思う。一応二百二十万トンにして需要量の百八十五万トンを引きますと、そこに三十五万トンしか残らないことになります。然るにこの三十五万トンの中には、すでに今まで政治的圧力によつてあなたが泣く泣く判を押させられた三十万トン前後があるでしよう。そうなると残るものは僅かに五、六万ドンじやありませんか。ところが肥料は、私は非常に講釈するようでありますけれども、年間通じてのバランスは合いましても、これは肥料として意味がない。非常に私は需要期、不需要期がありますから、需要期のピークというものを考えました場合に、年間を通じて需給のバランスが合つたということは、必ずしも各月別にすれば肥料が足りたことにはならないのでありますから、こういう点から通常は五、六万トンのものが残つておるということにいたしますれば、これを四月、五月のピークを考えますと、そこに大きな穴があく、穴があくということは、そこに品がすれができ、硫安が暴騰するということになる。現在でもそういうふうな、私が自分の手許で弾きました算盤から言えば、そういう危機に追込まれておるにもかかわらず、昨日私は全購連に聞きますと、誰がそういうことを言い出したか知らんけれども、ここ数日のうちに又農林省が十数万トンの朝鮮への輸出をやるかのように聞いたのですが、これは事実ですか、事実とすれば、それに対して経済局長は、圧力は圧力で別の問題にして、あなた自身としてそういうことは判が押せますか、私はそれを伺いたい。
  168. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) お話の点は、韓国向の十四万トンにつきまして、最近入札があるということに関してのお話だと思うのでありますが、農林省といたしまして、この輸出を見込めるかどうかということについてはまだ決定はいたしておりません。御指摘のようないろいろ困難な事情がございまするので、慎重になお考究いたして態度をきめたい、かように存じておるのであります。
  169. 河野謙三

    河野謙三君 勿論慎重でなければなりませんけれども、今私が申上げた数字は嘘ですか、本当ですか、あなたのお持ちになつておる数字と私の持つておる数字と違いますか、私の申上げた数字が同時にあなたの持つておる数字であるならば、もう慎重も慎重でないもない、押せないということになる。問題は数字の問題なんです。数字があなたと私と違いますか。
  170. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 先ほど河野委員がおつしやられた数字は、私どもの出しておる数字と距たりございません。ございませんが、こういう問題が私はまだあると思うのでありますが、これは本当はやはり法案の関係になると思うのです。法案の趣旨でそれを遵守してやるということになりますると、特に現在の実情がどうであるか、どうなるかということは、法案を通じて考えますと、現在の需要からいつて、国内の需要がどうなるかということは再検討されるべき時期じやないかと思うのです。例えば百七十万トンという数字がございまするが、これもその後の月別の出荷の状況或いは本年のいろいろの災害の実情から見て、これが妥当かどうか、又供給の面から見ましても、御指摘のような電力の事情であつて減産するという慮れがある、他方又増産という、今御指摘の数字以上に増産しようという意向も一部には見受けられるのでございまするが、なお検討の余地はあろうと思うのであります、それからもう一つの点は、調整法によるというものはどういうふうに理解するかという問題でございまするが、これが内需用に向けるということでございますれば、その点についても大きな又関連を持つて参ります。さような関係でございまするので、百七十万トン、それから二百二十万トン、調整数量といつた全体を勘案した場合にどうかということになりますると、計画自体として法案の趣旨から言いますると、こういう数字で行くということになりまするけれども、現実の実情というものをもつと反映させるということになりますると、或いはまだ輸出力があるのではないかという所論も出て参るかと思うのであります。私ども必ずしも韓国向の十四万トンを輸出できる能力が現在あるとは決して思つておりませんけれども、それは先ほど申上げましたような、今後の生産の見込、殊に増産計画がどういうことになるか、或いは消費の見込を立てるかということによりまして、若干数字が動いて参るということになろうかと存じておるのであります。
  171. 河野謙三

    河野謙三君 これは経済局長、少しあなた自身がふらふらしておるのじやないか、ふらふらさせられちやうと思うのですが、今頃過去三年の平均の百七十万トンが見ようによつては多いとも考えられるしということを私は言われては困るのです。それは一応の数字であります。それは勿論やつて見れば百七十万トンが百六十万トンになるかも知れません。一方において二百二十万トンが二百十万トンになるかも知れませんよ。併し少くとも肥料のような、農林から見れば一番の必需資材である肥料について、あなたのおつしやるように慎重にやらなければいけません。慎重にやるということは幾らか数字をたつぷり見るということですよ。それ以外に慎重という意味はない。慎重にやるということはたつぷり見ることです。だからそこで私は何も余つたものを輸出していけないというのじやないけれども、仮にあなたのおつしやるように、場合によつては余るかも知れんからということを考えるのは、それは来年の雪どけになつての三月の話ですよ。渇水期を越えての話ですよ。而も今あなたから十四万トンという話を聞きましたが、十数万トンということを私聞きました。十四万トンを朝鮮に出すということですが、朝鮮では十二月や一月に田植をするのでしようか、朝鮮の農家は一体いつ肥料を使うのですか、輸出するなら、買うほうも施肥期というのがありますから、朝鮮がどうしても一月か二月でなければ施肥期に間に合わないというのですか、朝鮮では一月や二月に田植をする話を聞かないのですが、そうすると、日本と朝鮮では施肥期が相前後しておるのだけれども、渇水期が経過した三月か四月に行つて、そこまで行けば生産量の見込もややはつきり付くし、需要の見込もはつきり付くし、そこで私は輸出がきめられる、たとえ五千や一万トンのものが外貨を獲得するならやつてもいい、近隣の国との外交上の一つの手段になるならやつてもいい、これに反対するのじやない。ただ併し今頃そういう危険なことを言われることは、どこをさして慎重だというのですか、あなたの言う慎重という意味は大事をとるというのじやないのですか。それとも大胆果敢にやることが慎重ですか、博打を打つことが慎重ですか、私は今輸出の肥料の話を出すことは大きな博打だと思う。そこでもう時間もありませんから、最後に私は申上げますけれども、ここで輸出についてあなたは同意されますか、されませんか、これは農林大臣もおられることでありますから、あなた一人のお考えじやないでしよう、ときどき吉田さんまで肥料の問題について口を出すようです。ここあたり政治的圧力が加わるとどうにもならないでしよう、あなたのおつしやつたことが政府の意見とは考えられません。それほどあなたに責任を追及しようとは思いません。併し今あなたとして、肥料の直接の担当者として、今の輸出の問題は一体どう扱われるか、あなた個人の御意見を伺いたい。若し余り乱暴なことをするならば、私は政府に向つてこの委員会として、来年の春の肥料に対して十分私は本日このあとで警告を発しておく必要がある、こう考えるのです。あなたの個人的の見解でも結構です。場合によつては速記を止めてもらつても結構ですから、率直な御意見を伺いたいと思います。
  172. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 輸出の問題につきましては、これを考える場合に、量的な問題のほかにまあ価格の問題があると思うのであります。外国に向います場合は、国内の春肥の供給に遺憾がないかどうか、それから価格について遺憾がないかどうか、こういう二点から私は考慮したい、かように存じております。只今のところ、十四万トンを言われるごとく国内から輸出するということは、私どもとしては非常に困難である、かように考えております。
  173. 河野謙三

    河野謙三君 私はどうも根性が曲つたせいか、少しひがみが強いかも知れませんが、どうもこの肥料の輸出の問題の過去を考えますと、いつでも国会が休会になると輸出の問題が始まつて来る、いつでも留守になると空巣狙いをやる、でありますから、恐らく又この輸出の問題も、たまたま私は昨日全購連から聞いたのでありますが、これからこの三十日の臨時国会開会までの間に相当のことを私は通産省はやると思う。でありますから、この機会に当委員会において来年の肥料を如何に扱うべきかということで、はつきりと政府委員会の意思を私は表明するという措置をとつて頂きたいと、こういうふうに私は思うのです。そうでないと又空巣狙いをやられて、三十日にのこのこ国会に出て来て見ると、韓国へ硫安が十万トンとか、十五万トン輸出がきまつたというようなふうになる、これは是非一つ委員のかたの御意向を伺つて、この委員会として肥料に対する措置をとつて頂きたいと、こう思います。
  174. 松浦定義

    ○松浦定義君 関連して……。今韓国向の輸出の問題が大体事実かのような表現で出て参つておるのですが、私はまあ直接聞いたわけじやないのですけれども、今年の冷害によつて、或いは又水害等によつて非常に米が減収だというので、聞くところによりますと、朝鮮は相当豊作だというので、米の輸入等を考えてのバーター制でも実施するという意味合でそういうことを御計画になつておるのではないかと思うのですが、そういう点については全然考えておられないかどうか。
  175. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) そういう関連はございません。
  176. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ或いは所管違いだから、そういうふうになつておるかと思いますが、全然ないと私は一応承知いたしておきます。それからもう一つこの際ちよつとお尋ねしたいのですが、現在農村電化促進法に基きまして電化の事業をやつておるのですが、これらが冷害地帯において行なつております関係から、恐らく資金の偏在等につきましては非常に支障を来たしておる。まあ返すどころか借りなければならんという実情でありますので困つておると思いますが、そういう問題については、今年に限つて一カ年その返済期間を延長するとか、或いは又その他何かの便法を講ずるというようなお考えがあるかどうか、その点を一つ承わりたいと思います。
  177. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 公庫からの融資のことであると思いますが、これはそういう冷害等の影響によりまして償還の困難となつた協同組合等は、府県なり或いは中金の支所なりを通じてお申込みになれば、具体的に公庫で御相談に応ずる、できるだけの措置は講じたいと、かような方針を立てておりまして、公庫のほうもそういう趣旨で関係方面に通達をしておるようであります。
  178. 清澤俊英

    清澤俊英君 十一月十二日の日経に「肥料の生産順調農林省発表」というのが出ておりますが、御覧になりましたかどうかわかりませんが、農林省発表として出ております。これを見ましても、電力の需給計画の決定に当つて増加が要請されて、これこれの増産が見込まれるとか、或いは九月中から輸出分と出荷量とが見合つていたが、過燐酸石灰などはなお不足が予想されるので、十月には一万一千トンの増加を図つたため需給関係に支障はないと見られるというような工合で、こういう条件を付して漸くまあ間に合うか合わんか、こういうような記事が出ております。これは勿論御承知のことだと思いますが、そのあとで「硫安の中共輸出で農林省と懇談」という記事がありまして、日中貿易促進議員連盟が五万トンの硫安の契約をして来たが、これは非常に割高なものであるが、農林省ではこれは受入れられない、まあ国内が今年は一杯であるから硫安輸出余力はない、こういう御意見を発表せられておりますのに、朝鮮輸出の十四万トンが話題になるというようなことは、これはどうも私どもとしては考えられないので、只今経済局長の答弁で非常につらい様子を見ますので、局長を追及することは何かしら私はどうも忸怩たるものがありますので、従つて只今河野さんの言われた決議等を一応政府に出すことも非常に妥当的なものであると思いますが、経済局長一つこの発表に対しての御意見を実際知られたのかどうか、こういう状況であるのかどうかということも、これは簡単でよろしいんですが、御答弁願いたいと思います。
  179. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 清澤委員からお話の点は、過燐酸肥料と硫安肥料と両方に亘つておられたようでありまするが、もう一つあとの石灰窒素、過燐酸等につきましては、これは私どもの見解と大体同じような発表だと思います。硫安の中共輸出につきましては、私ども非公式と申しまするかに、そういう五万トン輸出というお話を聞いておりますが、これはどの程度のものか十分内容は承知しておりません。輸出につきまして、輸出余力はないだろうという農林省の見解だという記事でございまするが、これも恐らく部内の者がそういう見解を非公式にでも出したものだろうと思うのであります。勿論輸出につきましては、中共向、韓国向、或いは台湾向、全体としまして輸出力がどの程度あるかということを見て考えなければなりませんので一概にどこ向はいけないということは言いがたいのでありまするが、これまで私どもが作業いたして参りました筋から言いまするというと、今後河野委員が申されましたように、来年の四月乃至五月以降でなければ特別の多量の輸出力があるというふうに見ておらなかつたのであります。
  180. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  181. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。先ほどの河野委員の動議で、国内向の春肥の供給の確保に関しての申入をしたらどうかという動議がございましたが、その申入をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではさように申入をいたすことに決定いたします。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  183. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。それでは申入の文案の字句は委員長にお任せを願うことにして、趣旨を申上げまして御了解願いたいのですが、政府は国内における来春肥の供給を確保するため需給関係を具体的に再検討すると共に、輸出可能であつたとしても、具体的に供給力の見通しの付いた時期においてこれを行うこと、こういうような趣旨で、文案の字句はお任せ願いたいと思います。
  184. 河野謙三

    河野謙三君 結局それでよく我々の言わんとするところは尽しておりますけれども、もつとそれを具体的に言うと、本年の三月以前においての輸出の取扱いは不当であるということですから、そういう意味合一つ強くできるだけ具体的に織込んでもらいたい。
  185. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは河野委員の御意見も取入れまして、具体的な文案は委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。   —————————————
  187. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次にお諮りいたしますが、先刻懇談中にお話のありました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き国会の議決を求めるの件、国有林野事業につきまして、月末開催予定の委員会において国有林野の管理者側、組合側及び学識経験者の参考意見を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  次にその人選及び日時は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認め、さよう取計らいいたします。速記を止めて。    〔速記中止〕
  190. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。本日はこれで散会いたします。    午後五時二十九分散会