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1953-11-24 第17回国会 参議院 内閣委員会行政機構の整備等に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十四日(火曜 日)    午前十時三十分開会   ————————————— 昭和二十八年十一月六日内閣委員長に おいて本委員を左の通り指名した。            小酒井義男君            竹下 豐次君            白波瀬米吉君            天田 勝正君            松原 一彦君            野本 品吉君 同日委員長互選の結果左の通り決定し た。    委員長     小酒井義男君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    委員            竹下 豐次君            白波瀬米吉君            天田 勝正君            松原 一彦君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    地方制度調査会    会長      前田 多聞君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機構改革問題の現状に関する件 ○本委員会運営に関する件 ○地方制度調査会答申に関する件   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会行政機権整備等に関する小委員会を開会いたします。  地方制度調査会答申に関する件を議題といたしますが、それに先立つて杉田専門員より行政機構改革の問題の現状及び本日より五日間開きますところの当小委員会日程について説明を受けることといたします。
  3. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) 今日から五日間開かれまするこの小委員会は、行政機構整備等に関する小委員会でございまして、先ずその行政機構改革問題の現在の状況がどうなつておるかということの概略を御説明申上げまして、次いで今日から開かれまする小委員会日程につきまして御説明申上げまして、この委員会調査の御参考に資したいと存ずるのでございます。  政府におきましては、御承知でありましようが、新聞などで出ておりますから……。一方におきましては、行政制度審議会行政機構改革問題に関して諮問いたしまして、この審議会はすでに政府に対しまして答申をいたしておるのでございます。この答申内容につきましては、過般この委員会におきまして、村瀬会長から説明がなされたのでございますが、政府臨時行政改革本部を設けまして、本月に入りましてたびたび会議を裏まして、この答申参考として具体的な国の行政機構改革の案を目下練りつつあるというように承知しておるのでございます。新聞の伝うるところによりますれば、政府は近い機会にこの成案を得る段階に逃しておるということでございます。そこでこの行政機構改革の問題は、御承知のごとく、その問題点が頗る多岐に亘つておりまするが、これを要約いたしますると、大体次に述べますような数点に帰着するのではないかと思うのでございます。  その第一点は、国の中央行政機構即ら総理府各省機構改革に関する点でございまして、省の新設或いは廃止統合というような問題、或いは各省内におかれておりまする外局の庁、内局の局の新設廃止統合等の問題とか、或いは総理府内にありまする外局の庁又は内局の同じく新設廃止統合の問題、こういう問題に関する点が第一点でございましよう。  それから第二点は、国の中央行政機構ではありまするが、総理府なり或いは各省におかれておりまする主として試験研究機関のような、いわゆる附属機関廃止統合の問題でございます。  その第三点は、公共企業体、即ちその公社制度に関する問題でありまして、従前官営の事業として官庁の手によつて運営されておりました鉄道、塩、たばこ、しようのうの専売電信電話の業務が昭和二十四年と昭和二十七年と両度の機構改革によりまして、これらがいずれも公共企業体、即ち日本国有鉄道日本専売公社日本電信電話公社の手によつて今日運営せられておることになつておるのでございます。これらの公社が今日官業当時と比較いたしまして、機構改革当時に一般に期待せられておりました通りの果して成績を挙げておるかどうか、これらの公社機構改革すべき点があるのではないかどうか、こういうような問題がその第三点でございましよう。  その又第四点は、国の地方出先機関整備統合等に関する問題でありまして、国の出先機関は御承知のごとく終戦後殊に都道府県知事の選挙が公選となりまして以来、その数が急激に増加いたしまして、現在出先機関に置かれておりまする国家公務員の数は、一般職国家公務員総数の約八〇%強を占めておるというような厖大な数となつておるのでございます。そこでこの出先機関改革に関する問題は、行政機構改革の中心問題の一つであろうかと思うのであります。  その第五点は、国の行政機構改革が実現いたしました場合に、当然それに伴うて発生して参りまするところの人員整理の問題でございます。昨日の新聞紙の伝うるところによりますれば、行政管理庁の案として、政府は三ヵ年計画で約十四万人の政府職員整理を図る計画であつて、初年度はそのうち現在の一般職国家公務員総数、これは約七十三万人でございまするが、その七十三万人の一割に当る七万三千人を目標として整理を行いたいということが伝えられております。  昭和年代になつて今日まで、歴代の内閣によつて行われて参りました行政機構改革に際しまして、最も政府の従来悩んだ問題は、この人員整理の問題であることは申すまでもないことであります。政府行政機構改革の具体的な案は、まだ成案が出来上つていないとのことでありまして、当委員会におきましては、これらの資料さえ入手することができない現状でございまするが、過般来、臨時行政改革本部会議が開かれました都度、東京朝日であるとか、東京毎日であるとかいうような、都下の各新聞は、一斉にその会議で討議されました問題点記事として紙上に載せておりまして、いずれの新聞記事を見ましても、大体その内容が同一でございまするところを以て見れば、これらの記事によつて臨時行政改革本部における行政機構改革構想の大体全貌が窺い知ることができるのではないかと思うのでございまするので、私どもの部屋で、これらの記事整理いたしまして印刷に付しまして、先ほどお手許にお届けいたしまして、調査の御参考に資したいと存じた次第でございます。  それから、今日から五日間開かれまする小委員会日程についてちよつと御説明申しておきますが、本日は地方制度調査会答申についての前田会長から御説明を承わることになつております。第二日、第三日、明日と明後日の両日は公社制度に関する調査をいたすことになつておりまして、日本専売公社総裁日本電公社の副総裁から、これらの公社制度現状などについて説明を承わることに予定しております。それから第四日目の二十七日には、日本学術会議会長の御出席を願いまして、日本学術会議現状事務運営現状についての御説明を承わり、最後の二十八日には科学技術行政協議会の、同じように事務運営現状について局長から御説明を承わることに予定いたしております。この科学技術行政協議会日本学術会議と密接な関係がございまして、日本学術会議研究調査行政面の上において、果してどれだけ寄与しておるかというようなことについて説明があろうかと予定しております。  それから本日から四日間、各日とも午後は各施設を実地について視察するという予定にいたしてございます。  以上を以ちまして一応説明を終りたいと思います。   —————————————
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは地方制度調査会答申に関する調査議題といたします。地方制度調査会におきましては、去る十月十六日に前田会長より吉田総理大臣に対して地方制度改革に関する答申が提出されまして、そのうち地方制度改革に関する事項答申は、国の行政制度改革とも極めて密接な関係を持つております。国の出先行政機関を如何に整理統合するか、又この国の出先機関で現在取扱つておる国の行政事務の中で、如何なる種類範囲のものを地方公共団体へ委譲すべきかという問題は、国の行政機構改革におきまして検討せらるべき大きな問題の一つであろうと考えられます。つきましては、本日当委員会においてこれらの点につきまして答申に現れておる点、又調査会会議におきまして論議されました中心点等につきまして、前田会長から御説明を承わることにいたします。
  5. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 只今示し事項に関しまして地方制度調査会答申に現れておりまする点を申上げたいと存じます。又委員長のお示し通りに、如何にしてそういうような答申ができるようになつたかという点につきましての私の存じておりまする限りを申上げることにいたしたいと存じます。  主として出先機関関係でよろしうございますね。それでございますと、この答申の中の(六)でございますが、(六)に「地方公共団体地方における国の出先機関との関係に関する事項」というのがございます。これに尽きておるわけでございます。元来の調査会構想といたしましては、先刻専門員からお話のございました通りに、終戦後非常に中央出先機関が激増いたしまして、一つ只今お話通りに、知事公選ということに刺戟せられた点もございましようし、又いろいろの戦後の統制を必要とするような事項が頻出いたしましたのもございましようし又占領軍のいはゆるGHQのほうの要請によりまして、直接にそれぞれの事項関係いたしまする中央官庁が、地方におのれの出先機関を持つていなきやならんという関係もございましたものと思います。いろいろの原因からいたしまして、非常に出先機関が数も多く、煩雑になつておりますので、地方制度調査会答申といたしましては、これは御承知通りに、取りあえず当面の問題についてというので、今度切離して答申をいたしたわけでございますが、その答申の中にやはりこれを含ませないわけに行かないという皆さんの御意見でございまして、或いは警察制度に関して、或いは教育制度に関しまして、それぞれ研究をいたしましたのみならず、この権限再分配のことにつきましても研究をいたしたわけでございます。その結果、先ず第一、   1 国の地方出先機関はできるだけ整理し、地方公共団体に統合するものとすること。   2 イ府県区域又はそれ以下を管轄区域とするものについては、原則としてこれを廃止し、その事務府県又は市町村に統合するものとして検討するものとすること。   例えば、財務部公共職業安定所労働基準局労働基準監督署を含む。)、婦人少年室食糧事務所統計調査事務所陸運事務所地方行政監察局調達局出張所地方法務局ついでにロを申上げますが、   ロ府県区域を超える管轄区域を有するものについても、その事務をできる限り府県に移譲し簡素化するものとして検討するものとすること。   例えば、財務局、通商産業局陸運局海運局農地事務局地方建設局地方調達局法務局地区麻薬取締官事務所  地方制度調査会といたしましては、その「地方制度調査」という観点からいたしまして出先機関整理考えた次第でございまして、要は民主主義の根本の法則を傷けざる限りにおいて、能率を上げ、国費、地方費の冗費を省きたい、こういう観点からいたしまして、研究をいたしまして、例示約に、只今申上げましたようなものを、「例えば」と申しまして挙げたのでございまして、もとよりこれに尽きておるという意味ではないのでございます。  ところが、この案はこの起草委員におきまして大体骨組みを起草いたしたのでございまして、その当時新聞紙にも現われたのでございますが、例示的に揚げましたこれらの官庁出先機関の名前を見まして、俄然各方面からこれに対しましていろいろの反応がございました。殊にこれらの事務所の所管でございまする各省方面から非常に強い御反対がございまして、その理由といたしましては、或いはこの仕事というものは一つ広域的に広く見て考えなければならないものであつて、一地域限つてその地域の職権を持つておる人がきめては、全国に亘つてちぐはぐになる虞れがある。全国的に、国家的に把握しなければならないという必要があるから、どうしてもこれを地方庁に譲ることができないというので、非常に強い御反対がありまして、そのために、地方制度調査会に発言の機会を与えまするために、政府では急に数種の官庁の次官を臨時委員として任命したくらいなことでございました。これは起草委員会におきましても、又部会におきましても、いろいろとその当局者検討を重ねたことでございまするけれども地方制度調査会といたしましては、もとよりこれらのそれぞれの、或いは財務部職業安定所労働基準局などの仕事の末端までを十分研究するということは、地方制度調査会としての権限の外にもございまするし、又時日が許しませんから、その詳しいことを一々調べることはできませんけれども地方制度という観点からいたしまして、少くともこういう種類のものはこれは整理すべきであつて、こういうものが整理できないようであつては、これはとても出先機関整理というものはできないのだ、こういう観点に立ちまして、しばしば意見を交換いたしたわけでございます。併しながら、前に申上げまする通りに、それらの一つ一つについてつぶさに研究をするということは、これは又別にその機関のあることでもございまするので、結局部会であつたと思いますが、部会で折り合いまして、ここへ「検討」という字を付けたのでございます。最初は「府県又は市町村に統合するものとする」という結論を出したいのが起草委員会意見であつたのでございまするけれども、更に又それらの問題について今後大いに検討してみるのがよろしい、併しながら地方制度調査会意向としては、こういうものは統合すべきだという考えがここに含まれておるわけでございます。併しながら断言をいたしませんで、「検討するものとする」ということで漸くその各省から出ておられまする臨時委員も納得せられたようなわけで、若干の例外がございまするけれども、それらの点につきましては、この点は全員一致決議を見るように至つた次第でございます。  大体この答申内容及び審議経過はさようなことでございますが、何か御質問がございまして、私が存じておりますれば申上げます。
  6. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今説明願つたこの答申経過について御質問がございましたら一つ
  7. 天田勝正

    天田勝正君 ちよつと一点だけ御質問申上げますが、この例示の中にいろいろありますけれども、そのうち統計調査事務所食糧事務所、こういうものにつきでましては我々関心を持つて、実は地方制度調査会答申を見守つてつたわけですが、と言うのは何と言いますか、日本統計事務というものは非常に粗雑でおる。諸外国の例を見ましても、まあいろいろな行政上の意見に賛否はありましようとも、その根拠とするところは統計数字、これに対しては非常な権威があり、且つ信頼を寄せておつて意見のいずれを問わず、数字はそれらを用いるというくらい信頼されているのは御承知通りなんです。ところが日本ではそういうわけに行つておらない。そこで県のほうでも、統計課を大抵持つておりますし、国のほうでも、まあ農林省では作報というような出先機関でやつておる。このことはむしろどこへ整理をするかということになれば、私はこの段階では逆に国のほうへ整理方向を持つて行つて、県の統計も何も一切国の一本の統計のところから、それ内閣にするか、他の機構にするかは別といたしまして、そうした余り県意見と、出先きの意見と、市町村意見等に左右されないところの権威ある機関を作る必要があるのではなかろうか。これは私の私見でありますけれども、こういう事柄について一体統計事務をどうするかということについて、地方制度調査会におきましての議論と言いますか、結論では、これはないようでありますから、議論の主なるものが、県のほうへやるという大体の御意向であつたのか、或いは今私が指摘申上げましたように、むしろこれは中央機関に一本にまとめるという方向お話があつたのでありましようか、その点一つお伺いいたします。
  8. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 私も実はこの答申を作りまする起草委員会に全部出席いたしておりるわけじやございません。ときどき所用のため欠席いたしたこともございますから、私の聞き漏らしの点もあるかも知れませんが、私が傍聴いたし、又総合的に報告を受けました範囲内におきましては、只今統計調査事務について、特に本質的に委員会検討したということは、これはないと考えております。大体概観いたしまして、こういう種類のものは、これは府県に統合していいのじやないか。殊に府県は今回の答申にございまする通りに、自治体ではございまするけれども国家的性格を有する事務を処理することを任務とするということをはつきり謳いまして、その問題については、国家指揮監督権を認めることを答申いたしておりますので、かれこれ考えまして、地方自治体機関ではございますけれども、適当に国家監督をいたして参れば、これはできるのではないか、こういうふうに考えております。特にこの統計調査事務の本質について、只今示しのように、これはもつと国家が集中的にやらなきやならんというような意見委員からは出なかつたよう考えております。
  9. 竹下豐次

    竹下豐次君 この出先機関を、府県のほうに委譲すると申しますか、そういうことになりますというと、その身分はどういうことに、都道府県知事の下におつて地方公務員と、こういうわけだろうと思いますが、そうでございますか。
  10. 前田多聞

    説明員前田多聞君) そういうようになつております。
  11. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと、地方財政との関係、その点は調査会ではどういうふうの論議が出ておりますか。財政関係等と直接の関係があるのではないかと思いますが……。
  12. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 地方吏員として事務を執りますのでありますが、財政関係からして、例えばこの吏員を減らすとか何とかいう問題がある場合はどうだろうか、こういうようなお含みの御質問でございましようか。
  13. 竹下豐次

    竹下豐次君 もう一ぺん申しますと、国の出先機関つまり国家公務員地方吏員になるということになると、国家のほうは財政が少くてすむということになりますが、定員が減りますから、地方のほうは殖える、結局地方のほうは費用は余計かかるということになる。それを今の地方財政の状態から見るというと、早急に増員するというようなことになりましては、大抵の府県は困るのではないか。そこはどういうふうにして賄うということになりますか、税制のほうとの関連において……。
  14. 前田多聞

    説明員前田多聞君) お答えいたします。これは財政の部のほうの答申にございますけれども、そういうように出先機関整理いたしまして、地方権限を委譲いたしまする関係、それから殊に大きな問題につきましては、警察は今度国家警察市町村自治体警察とを廃止して、府県一本で行こうというような案にもなつております。そういうような関係で、その事務の移りますに従いまして費用がそれぞれ移動いたしますので、これについては財政部部会のかたは非常に熱心に御研究になりまして、それらの点につきましては、大体一つ一つ当りまして、必要なる財源をその委付せられた地方に与えるような案を講じたわけでございます。そのために御覧になります通りに、財政の部におきまするこの答申におきましては相当思い切つた、或いはたばこ消費税地方団体に委付いたしますとか、一ぺん遊興飲食税入場税のごときでは府県から国のほうに吸い上げますけれども、その吸い上げましたのは更に人口割りによつて分けるとか、いろいろ苦心をいたした方法をとりまして、それぞれの財源は責任を持つて計算をいたしまして、そうしてこの財政の都のほうの答申ができておるわけであります。
  15. 竹下豐次

    竹下豐次君 只今警察の話がございまして、もう国家地方の区別もなく、府県単位ということに、自治警察になるだろうと思つておりますが、よく大都市警察だけは自治体警察として残したほうがいいのではないかという議論が、或る方面に強く主張されておつたようでありますが、調査会でもその論議が相当に闘かわされたことではないかと思いますが、そのほうの主張の主な点を、つまり大都市たけ自治体警察を置いたほうがいいという主張があつたといたしますと、その論拠としては、どういうことが主張されたものでありますか。
  16. 前田多聞

    説明員前田多聞君) これはそのありのままを申上げますと、起草委員会では全部府県に一本にやろうということであつたのでございますけれども、総会におきまして大都市側から強い意見がありまして、そうしてこれは過半数を得まして、僅かの数の差でございましたが、過半数を得まして、大都市はやはり警察を自分で持ち得るという例外的の結論なつた次第でございます。それに至りますまでには、いろいろの紆余曲折がありましたけれども大都市警察事故等が直接に自治体に近接して起つておることでございまするし、大都市自身がそれに対して警察統制権限を持つていないということは諸般の不都合を生ずる。犯罪等が激増する場合において、或いは交通の問題その他の点について、全然大都市自身警察的の統制権を持たないということは、非常に不都合だという点を縷々述べられました結果でございましよう。結論におきましては、大都市例外で、つまり結局道府県及び大都市ということになつたわけでございます。ただ大都市ということにつきまして、然らば今日の大都市だけにするのであるか、或いは大都市という定義の下において如何なる都市が今後入るのであるかということについては、これは非常にむずかしい議論があつたのでございますが、結局社会通念によるということになりまして、社会通念は今日のところでは、つまり五大都市ということになつておりますので、財源その他の計算におきましては、只今府県及び五大都市警察権を持つと、こういうことになつております。
  17. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちよつと私の私見みたいな形になつて恐縮ですけれども五大都市とその周辺との関係、これはまあ非常に密接な関係がありまして、五大都市こそその周辺と一緒になつ府県単位と申しましようか、ということにしなければ、非常に運営上、操作の上につきましても困ることがときに多いのじやないかというような気持も持つておるのでありますが、それに対して……。
  18. 前田多聞

    説明員前田多聞君) それが非常に出たのです。つまり起草委員会原案府県にしましたのは、五大都市重要性というものを決して認めないわけではないのですけれどもお話通り大都市の附近と大都市とは一体になつておりながら、これが二つの大きな警察の力によつて統制せられるということになると、何というか太陽が二つあるというような結果を起す。だからむしろこれは大都市が譲られて、そうしてやはり警察権は大府県にあるようにしたほうがいいのではないか。警察事故というものは流動性を持つているのだから、その大都市区域の外と内とにじつとしていないものだ。教育のほうは五大都市に認める、大都市に認めるということは最初から起草委員の案になつておるのでございますが、このほうは定着的のものでございますから、その問題は起りませんが、警察は鋤を主としますから、お話のようにこれはむしろ一つのほうがいいではないかという起草委員考えでありまして、原案はそうでございます。ところが、大都市側から非常な御議論がございまして、数をとりました結果、過半数大都市案が認められるということになつたのでございます。
  19. 竹下豐次

    竹下豐次君 小さい都市でございましたならは分けましても大した支障はないのですけれども大都市周辺とはどうしても、分けられない関係にあると、逆に私ども考えているのでございます。
  20. 前田多聞

    説明員前田多聞君) その考えはやはり審議の場合に継続的に考慮に上つて来るのではないかと、これは私自身としては考えておるわけでございます。委員会としては大都市が包含されることになつております。
  21. 竹下豐次

    竹下豐次君 もう一つお尋ねいたします。地方制度の問題に関連して、知事公選制度、それから府県自治体に関する根本的の議論はなかつたのですか。
  22. 前田多聞

    説明員前田多聞君) この問題は、もう昨年十二月調査会が設定されましてから以後、常に繰返された問題でございまして、又そのことが憲法違反をするかしないかということで、長い開議論があつたのでございます。ところが政府からの要望もあり、我々のほうからも考えて、当の問題を今度答申する場合に、その根本的の府県公選の問題等を只今いろいろやつてみましたところが、来年度の予算には間に合うはずでもないので、これは先に一つ延ばそうじやないかということになりました。取りあえず現在の地方自治体を眼目に入れて権限の分配を考えよう、権限の分配をいたしまするのに、最小限度必要なだけの府県の性格を謳おうというので、府県の性格がここに出ておるのですが、これが最終的の結論ではないのでございます。
  23. 松原一彦

    松原一彦君 会長にお伺いしたいのですが、道州制といつたようなものに対して、何か意見は出なかつたのですか。
  24. 前田多聞

    説明員前田多聞君) これも盛んに最初出たのです。けれども只今申上げましたように、主として来年度の予算に政府が間に合わせるのに適当なものを答申しようということにして、道州制というものは余りに問題が大き過ぎるので、これは先に延べようということになつたのでございますが、この答申をいたしまして、当面の急に応ずる答申をいたしましてから後、調査会といたしましては特別委員会を作りまして、今後原則的な問題で以て調査会がもつと根本的に研究すべき題目を拾い上げようというので、この間集会をいたしたのでありますが、まだこれは総会に掛けておりませんけれども、その特別委員会の拾い上げました題目の中には、この道州制というようなものも一つ研究しようということになつております。
  25. 松原一彦

    松原一彦君 もう一つお伺いいたしますが、行政整理で一番私ども取組まなければならない問題ですけれども中央機構はもとよりでございますけれども、人員、人数の点から言いますというと、出先は一番多いし、更に地方公共団体地方公務員が非常に増大いたしておるという事実はお認めになると思うが、特に最近著しい傾向は、府県出先機関と言いますか、府県が却つて中央事務所を持つておる。その事務所の数は四十六に及んで、神奈川県、埼玉県までが東京に事務所を持つておる。そしてそこに多数の地方公務員が常駐いたしておる。従つて中央出張というのが最近非常な数に上つておる。先般町村君が北海道の議員としての報告によるというと、昨年が最近の一ヵ年における北海道の道会議員八十人が、中央並びに地方に出張したる出張費の総額は、一人平均百万円、八千万円に及んでおる。府県会議員が常に東京に出張いたしておる。又町村吏員、町村会議員に至るまでが災害復旧その他の補助の申請を、県を通さずして、県に監督権はないものですから、それで一にも二にもなく東京に駈け付けるという事実が非常に多いのであります。これに対しては根本的にメスを入れるべきものがあるのではないかという意見が出ております。こういう点につきまして、何かお考えはなかつたのでございましようか。
  26. 前田多聞

    説明員前田多聞君) お答えいたします。そういう御指摘のような点につきましても、殊にこれは学識経験者から委員に出ております人たちの中に相当議論がございます。国に対してもいろいろ要求すべきことがあるけれども地方団体それ自身が随分自粛しなければならない、経費の節減について努めなければならない点があるということは、相当議論が出た次第でございます。そこで財政の部でございます。財政の点につきましても、大体まあ今日では地方財政が三百億円足りないということになつておるわけでありますが、これについては地方団体から申しますと、いやそれどころではない、六百億円乃至七百億円足りないと申すのでございます。大蔵省は一文も足りなくないと、こういうのでございまして、零と六、七百億円との間には非常な開きがあつて、相当論争があつたのでございますが、この調査会といたしましては、三百億円足りないという結論に達したわけございます。併しその中で、三百億円程度の財源地方自身が一つ出さなけれげならない。足りないから中央にくれるというのじやなしに、諸種の方法で、法令の改廃も必要でございましよう。行政機構の改正も必要でございましようが、やはり人員、事務の節減をして二百億円程度の財源を捻出することが可能である、こういう結論を出しておるわけでございます、これについては、地方団体におきましては又それぞれいろいろ御議論もあるようでありますけれども調査会といたしましては、そういう結論に産しております。
  27. 松原一彦

    松原一彦君 御承知通りに、各府県は独立の財源を持つておりませんので、一にこの平衡交付金に頼つておるので、予算の建て方も頗る不安で困難を極めておる。実際の財源は二割内外しかない。八割は中央の平衡交付金その他によるほかないという実情にあるので、先ず地方財源を確立しなければならない。先般北村氏がヨーロッパから帰つての報告では、スエーデンでは先ず地方自治体に課税権を認めて、その残りを、つまり国が課税します所得の標準は、地方の課税を差引いたる残りに課税する、国のほうが第二次的にその残りから課税する。今のは国の課税が先であつて、二重課税になつておる部分もある、所得税などにおいては……。地方自治体自身が立つて行ける、自治の行われるだけの税源を与えるということについての御苦心が随分あると思うが、私はまだ一々拝見していないのですけれども、そういう点についての何か根本的な建直しの御考慮はなかつたものでしようか。
  28. 前田多聞

    説明員前田多聞君) もとより当分のことでございますから、非常に根本的なものはございませんけれども、やはり税源を与えるということについては非常な苦心をしたわけでありまして、今お示し府県税のごときも、まあ新たに府県民税を置いたらどうだろうか、そうすると市町村民税のほうと住民税と重複してはいけませんが、市町村のほうの住民税の中の半分を府県のほうに譲らせまして府県税というものを拵える。何となれば、只今府県税というものは、御承知通り都会に偏在しておつて、都会に住んでおるものが府県税を納めて、府県仕事というものは、大体農業国でございますから、農業地方にも及ぶのですけれども、そしいうところに及ぶ事業の費用を支出するものが今日の税制では主として都会から出て行く。そういうことのためにまあ負担分任というような気持が府県民に起つておらない。これは自治の観念から言つても不都合であるというので、まあ新たに府県民税を作ろうというようなことになりました。  それからこれは多少他動的ではございましようけれども、このたばこ消費税のごときはです。やはり一遍国が取り——国の収益の中から取るものでありますけれども、それはやはり税として見る、それから地方交付金のごときも、只今のところでは足りない部分を中央にお願いをして、そうして出してもらうと、中央財政が足りないときには遺憾ながら出せないというようなことになつて、非常に自主性がございませんが、交付金制度を、大体の割りかたについての、技術上の割当方は、今まで通りの方法を踏襲いたしますけれども、建前といたしましては、これを地方交付税というものに名を改めまして、そうして特別会計を設けて、足りないときには、まあ一口に言いますると、足りないときには借入金をし、余つているときには特別会計に積立をして、それ自身の会計として地方交付税というものを付けて行く。自分たちのものにする。そういうふうにいたしまして、まあやりくりをして、できるだけ地方団体を主体とした税にしたい。そういう建前にしておつたのです。
  29. 松原一彦

    松原一彦君 御苦心の方向にどうか進めるように私ども希望いたしますが、更にこの災害復旧等に関する今日の国の負担補助関係が、府県知事の、公選による府県知事監督が行われる。又はこれに対する査定が権威を持たない結果、直接の国との間に交渉が行われておる。そうしてその監督も非常に不行届であるために、会計検査院の報告によるというと、平均六割が不正であるという手厳しい報告が昨年来この委員会にはずつと参つております。まるで四、五割から食われておるような実情であつて、災害の報告も水増しが多くて正確性を欠いておる。従つてそこから生ずる補助とか負担とかいつたものにも、非常に無駄があるということが頻りに称せられておる。結果としては復旧が復旧になつておらんということを言われておるのでありますが、その辺に制度上の欠陥を何かお認めになりませんですか。
  30. 前田多聞

    説明員前田多聞君) お示しのような弊害は相当あるように考えられますので、それは一つは主として余り中央依存の度がすぎるために、中央のその係のものと地方との間にいろいろの弊害等も起るんだろうと思います。従つて地方制度調査会といたしましては、でき得る限りこの中央依存のやむを得ないものは、これは仕方ございませんが、国家的の性質を持つておるものは仕方がございませんけれども、殊に地方の起債の問題につきましては、もつと手続を簡易化いたしまして、ひどく中央の一顰一笑によつて動かされないようにしたい。それから論ぜられました弊害の非常に大きいものは、只今示しの点と合致するわけでございましようが、いろいろの国庫から補助いたします補助金制度に、非常に弊害が見受けられるのであります。省によりますというと、少額の金を、一人の技術官がみんなこれを各府県に少額ずつ分けて、自分の分身を各府県に作るというような弊害が、これはどうも実に耐えられないものがあるようでございます。そういうような点につきましても、相当突込んだ論議が闘わされまして、国庫の補助金については、できるだけ大きな、或る事項を選んで、特に大きなものについては思い切つて補助金を出すというようにするが、いろいろの名目をつけて、些細な、複雑な問題について補助金等をやつて、その補助金で釣つて地方仕事をさせるとか、それに釣られていろいろの仕事をする、その背後にいろいろの面白くないことが起るとかというような禍根を絶たなければならないと、こういうような趣旨で以て、国庫補助金につきましても、それに該当いたしまする結論を出しておるわけでございます。
  31. 竹下豐次

    竹下豐次君 国の出山先機関地方に委譲するということになりますと、そうするとそれに伴う欠陥もあるかも知れませんが、利点も多いだろうと思います。利点の一つとして、いくらか人員の節約ができると、こうも考えるわけでありますが、出先機関府県のほうに委譲した、併し人員は従来通りの数が要るんだということになりましては、行政機構改革整理というような点につきましても、その目的の大きな部分が失われるということになりますので、大方どのぐらいの割合で人を減らしても間に合うというような御調査がありましたら一つ……。
  32. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 申上げます。一つ一つについてはちよつとよく承知いたしておりませんが、財政部会の起草委員のかたは、やはりそういう点も考慮せられまして、相当計算をせられたことと思います。一例を挙げますると、今度警察が一木になりまして、国家警察、それから市町村警察府県のほうに委譲せられる。及び大都市に委譲せられるわけでございますが、その際には二割を減員するということを原則として計算いたしております。そういうように、全部眼が届いておりますか、私確言できませんけれども、相当大きな問題については、減らすということを、適当に縮減させるということを前提といたしております。
  33. 竹下豐次

    竹下豐次君 その資料を調査会でお持ちでありましようから、専門員からでも頂くことができましたら、これは非常に参考になるかと思つております。
  34. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御資料をお出し願えますか。
  35. 前田多聞

    説明員前田多聞君) そう申しておきましよう。
  36. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほどちよつと松原さんから触れたことでありますが、綱紀粛正の問題につきましては、調査会では、御議論は如何でありましようか。何か具体的な案でも出ましたら、それがどういう結論なつたかは別といたしましてお聞かせ願いたい。
  37. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 特に綱紀粛正、只今申上げましたような、今の中央依存のために起りますいろいろな弊害、そういうようなことについては、あそこにここにと、ときどき議論も出たわけでありますが、綱紀粛正という問題に集中して、特にいろいろ強い議論があつたとは、私の記憶ではなかつたよう考えております。
  38. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 私から前田さんに一、二点ちよつとお尋ねしたいのですが、お出しになつているのが、検討する、という文句がありますので、これから検討すればいいのじやないかということになると思うのですが、例えば閉会中、地方に帰つてつて、いろいろ関係のところを調査して見ると、例えば災害復旧などについて現地の写真をつけて申請を出しますですね。そうすると、写真だけで建設省が査定をして、それが認可になる。ところが違つた立場から、それを調査しておると、実際違つたところを、写真をつけてそうしてその補助金をとつておる。そういう例を私は最近知つたわけなんですが、そういうなぞが、例えば地方行政監察局などがあつて、現地にあるからそういうものを調べると、そういうことがわかるわけなんです。それが出先機関がなかつたり、或いは地方にそういう機関を委譲してしまつたら、そういう事故に対する誰が発見するかということになるのですが、そういう役所を廃止することによつて得られる国費の節約と、役所があることによつて得られる国費の節約と、これはどちらが大きいかということもやはり考えなければならんと思うのです。ここらで事例に上げられておる行政機関意見ですね、地方自治体ではなしに、例として上げられておる役所の意見というようなものも、調査会のほうではお聞きになつて御判断になつた結果が答申されておるのか、そういうところの意見というものは別に聞かなくて答申されておるのかという点なんでございますが……。
  39. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 各省の総務課区長級の人は皆幹事になつておりまして、これらの問題に、各省の問題に触れるときにおいては、幹事も協力をいたさなければならんことになつておりますし、それから先刻申しましたけれども、今の例示的にこれらの整理すべきものを掲げましたやいなや、各省においては相当反撃がありましたので、各省事務次官を臨時委員にいたしたくらいなわけでございますから、調査会におきましては、それぞれの各省の立場、言い分聞き得る態勢をもつてつたわけでございますけれども、先刻申上げます通りに、実は相当急ぎますことでございます。一つ一つを仔細に検討するということは困難でございますので、地方制度観点から見まして、冗費を節する、事務整理をするという観点からして、例えばこういうものを是非真つ先に考えなければならんであろうということで上げたわけでありまして、そこで検討するという字が加わつたわけでございます。それぞれの出先機関の存置の必要につきましては、省によつていろいろ違いますけれども、相当執拗に会議において説明せられたかたもございましたし、あつさり、案外御説明にならんかたもあつたようでございます。
  40. 天田勝正

    天田勝正君 もう一点お伺いいたしたいのですが、この答申案によりますと、地方自治体の中で府県というものにはかなりの財源を与える、その与える内容はそれは国かつら要するに委譲させるという形のものもありますけれども、今まで市町村が収入を得ておつた面から、これを県のほうへ与える、こういう部分が出て来るのです。そうすると、市町村のほうの仕事の量は何か減るというようなことがあるのか、警察などは殆んど廃止されておりますから、これは大したことばなかろうと思うのですけれども、何かそういう市町村のほうの財源は少くなつてもよろしいという根拠があつたのでございましようか。
  41. 前田多聞

    説明員前田多聞君) いいえ、決してそういうことでございませんで、市町村に対しましては、例えばたばこ消費税のごときは二〇%を市町村のほうにやつて、一〇%を府県に持つて行く、これは相当の巨額でありますが、それを新たに市町村のほうへ求めようというようなわけでございます。詳しく記憶いたしておりませんけれども、その答申案の通りにすると、どうなるかという何を見ますというと、町村は多少窮屈ですけれども、市殊に大都市などは非常にこの結果余裕がついて来ているように考えております。府県のほうはむしろ非常に不満を抱いておるというような現況にあるわけでございます。
  42. 竹下豐次

    竹下豐次君 これはむずかしいことですけれども、どうも近頃知事の行動、態度というようなことについて余り芳しからん噂があるわけでございます。選挙に絡むというようなことなどで、今委員長からちよつとお話がありました地方の公共事業等に関しましても、或るところでは、不正な書類を作つて政府から不当な補助金をもらつて、不当な使い方をしておる。而もそのうしろには、知事自身ではないでありましようけれども、県庁側からまあやれやれというようなことで、むしろ煽てられ智恵をつけられている町村があるように思います。現に会計検査院から或る程度の返納を命ぜられている村などで、どうも県庁のものが教えてくれるのですからねというようなことを、私自身聞いたこともあるので、これは決して珍らしい例じやないと思うのであります。先ほども例示になりました監察官みたような人を、査察官みたような人を今の府県知事の、何と申しますか、態度が改まらない今日において、そういう制度まで移してしまうということになりましたならば、ちよつと委員長がさつき言われましたように、さつぱりこれは取締りができない地方ができて来るのじやないかというような心配が起つて来るわけなんですが、その辺のことも相当に論議されたあとの御決定であろうとは思いますけれども……。
  43. 前田多聞

    説明員前田多聞君) 監査機構に関する事項というのがございまして、監査におきましてはやつぱり一層正確に厳重にやらなければならんというような点も謳つておるわけでございますが、何といたしましても、やつぱり問題は信用で、地方団体行政運営する人に信用がおけなければ、到底出先機関整理も何もできない。一応或る点まで公職におるんですから、やつぱり信用するという建前が前提となつておるわけでございます。殊に御諒察を願いたいと思いますことは、地方制度調査会はただ第三者の学識経験者だけが寄つて構成しておるのではございませんで、それらのほかに議員からも委員が出ておられまするし、又相当多数地方公共団体の代表者が出ておられるわけでございます。お話知事さん、市長さん、町村長さんそれ自身の代表者が出ていらつしやるわけでございます。会議の席上、余りそういうかたが、信用できないというような口調はちよつと出ないのでございまして、そういう結果、皆さんから御覧になると、少し手温いとお考えになる点もあるかも知れません。これは大局全体を御覧下さつた上で、適当に御判断を願いたいと思います。
  44. 竹下豐次

    竹下豐次君 その点が一番心配でございます。一番最初にお尋ねしたわけでありますが、知事公選問題につきましてもむずかしい問題でありまして、御苦心のほどは十分お察しすることができます。
  45. 前田多聞

    説明員前田多聞君) この調査会はど困難な調査はないのでありまして、もう実に議論百出いたしまして、およそ調査会でこのくらい結論に達するまでにいろいろ困難な階梯を踏んだのはないのですが、地方公共団体の代表者として出ていらつしやるかたは、背後に勢力を持つていらつしやるし、背後でおきめになつたことを言わば代表してお出でになつているのですから、いろいろ話合いをいたしました結果、妥協点に達するというようなことについては、非常に困難があるのです。そういう点で難産の結果出たものであるということを御了承願いたいのであります。
  46. 竹下豐次

    竹下豐次君 たまたま監察制度の話に入りましたから、参考のために申しますが、長い間の国会におきまして、監察制度という、ああいううるさいことはやめてしまえというような議論が一部には相当強かつたのであります。非常に、やめるというところまで行きませんでも、或る所に縮少しようという意見が相当にあつた。この委員会でそれを引つくり返したような事例もあるわけであります。私もこの委員会では特にそういう点で重く心配しているわけでありまして、やめたほうがいいという議論も、私ともから見ても理窟としては正しいところがあるようでありますけれども、又逆に何を考えてそういうことを言い出しておるのかわからないというような筋も、なきにしもあらずという疑いを持つた向きも実はございまして、今でも実はその心配が私どもの頭から全く消えていないのであります。殊に調査会あたりで、そのほうの関係自治体の人たちがどういうつもりでどういう議論をされるかということはわかりませんけれども、若し私などが疑いを持つような気持で議論されたような人があつたら、非常に困つた問題であると思います。大変廻りくどい申上げ方をしましたけれども、どうぞお含み願いまして、今後とも一つよろしく御審議を願いたいと思います。
  47. 天田勝正

    天田勝正君 談たまたま竹下委員が非常にむずかしい問題を持ち出されて、結局これはまあ各委員ともそのことは皆肚に考えていると思うのですよ。何をいたしましても道義の問題で、最後は……。
  48. 前田多聞

    説明員前田多聞君) そうでございます。
  49. 天田勝正

    天田勝正君 そこで監察制度を如何に強化しようとも、今度は監察すべき人たちを又更に監察しなければならんような始末になつて、そこで結局やめてしまえというような極端な議論にも一つ発展しているのです。私もそういう事例を幾度か見ますものですから、これは非常に心痛しているわけなんですね。特によく新聞等でも騒がれるし、国会でもしばしば話題に上るのは、単に平衡交付金にしましても、或いは公共事業費の配分等の問題にいたしましても、曾つての天狗橋事件のような工合で、わざわざ橋を落して、そうして災害復旧どころか、これですつかり新しい橋にする、こういうようなことが発見された場合に、要するに懲罰とでもいいますか、そういうような意味で、誰に、又どの機関に責任を負わせるかは別として、責任を負わせて、あとの国費の配分をやめるとか、そういう御議論はなかつたのでしようか。まあそういうことでもないと、いつでもいろいろ不在が指摘されるけれども、終いには責任者はいつでもないのですね。私は、少し余談ですが、話が長くなりますけれども、曾つての空気木炭事件だつて、あれだけ五十四億も国費が何処かへ行つてしまつた。ところが早船事件のように、たとえ氷上の一角であつても、その責任者が明らかになつたのならいいけれども、全く責任者がいない。そこがどうも空気木炭事件ということなんでしようが、とにかくそういう始末です。いつでも国若しくは地方公共団体の不始末の跡を顧みますと、責任者はどこにもいない。たまたま公共団体は同じだけれども知事がそうでないところへ移るくらいで、今度復活するときには、やつぱり元のところにさつと戻つて来るというようなことで、何らそういうところはかまわない。こういう現状なのですが、私は、自分の私見ですけれども、今度いろいろな行事をやりますけれども、これは例を挙げますと、私は言いにくいのですが、埼玉県庁なんかだつて、あの通り第一期、第二期、第三期の工事のありますたび毎にお祝いをやつておる。私は馬鹿々々しいから行かないけれども、第三期だから、終つたときだからと思つて行つて見ますと、第一、第二は、確かに選挙目当と思われるけれども、いろいろな豪華なものを配る。第三期工事は選挙に遠いものだから、今度は何もない。(笑声)そこで、その何もないとき、こつちは行つたわけだが、そうしたら、今度更に議事堂を新らしく造り直す、第四期工事が済んで、本当のお祝いだというようなことで、実に馬鹿げた費用が出ておる。こういう例を挙げれば、各委員とも随分御承知通りだと思いますけれども、とにかく道義の問題なのです。その道義の問題は、やはりただ刑法ということだけでなく、さつき言う次の国費の配分について、何か按配する、こういうようなことでもしなければ処置がないのではなかろうか、こういうようなことにも考えられるのですが、それらの点でどうなんです。少数意見なんか見てみましても、別にそういう意見は出ておらない。まあこれは機構の問題でやつているのですから、出ておらないのは無理もないのですが、学識経験者のほうからは何かそういうような指摘がありましたですか。これは機構とはちよつと違うですが。
  50. 前田多聞

    説明員前田多聞君) まあ全体に、中央地方を通じて、政治道徳が大体低下しているような感じがせられるのでありますが、それらの問題につきましては、問題に触れ、事に応じて無論学識経験者のみならず、他の委員の方方からもいろいろお話がございました。けれども御指摘になりましたような事柄について、特に制裁を厳重にするとか、処罰しなければならんかというようなところまでは、まだ研究が進んでおりません。まあ根本はやはり政治道徳をもう少し高揚するということをしなければ、どうにもこれは権限を与えても削つても、どうにもならないことになると、日夜憂慮している次第でございます。
  51. 天田勝正

    天田勝正君 まあこれは記録に止めるのも実は恥づかしいような問題でしてね、実を言うと……。
  52. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  53. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて、それでは本日の午前の会議はこれにて散会をいたします。    午前十一時五十七分散会