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国務大臣(
岡野清豪君) お答え申上げます。まあ年末
金融は、無論我々これから大いに
状況、
現状を研究しまして具体的な
対策をしなければならんと思いますが、それのみならず
中小企業というものはもう
皆さん御
承知の
通りに、まあいわば弱体なもの、併し弱体であるけれども
日本の
経済上に占める
企業計数の点から行きますと、これ又我々が非常に尊重して、
日本の
経済の向上というのは
中小企業が発展するかせんかという点にかか
つておるという
考えを持
つております。そういう
意味で
事業そのものもそうでございましようし、社会問題としても非常に従事している人間が多いものですから、これは我々としても
相当注視しておらなきやならん。で、今、年末
金融の問題が出ましたものですから一応私の所見を申上げて御批判を頂きたいとこう思いますが、まあ概括的に申しますれば
大蔵大臣もこの間の
説明で言
つておりまするように、
日本の今置かれておる
現状は
インフレが再燃しやせんかとこういうような心配が、懸念がまだたくさんあるのですから、これに対処するための
財政金融政策というものはしつかりと握
つて行かなきやならん、こういうふうに
考えるということで、我々もそれには
異論はございません。そこにまあ我々もいろいろ
政府の
指定預金も
引揚げるとか、
日本銀行では
高率適用をするとか、又は
スタンプ手形の
制度とか、別口の
外貨貸付の
制度を縮減するとかいうような一般的な
方策がとられているわけです。そこで我々が、殊に
通産省といたしまして
考えなきやならんことは、成るほどその大
原則をそのまま適用して行くということになりますと、得てして
中小企業に
しわ寄せをせられるので、
中小企業は困難の
地位に陥るだろうということはこれはもう想像ができるわけです。そこで一般的にはそういうような
政策をとりましても、
中小企業に対しては又別な
観点から、殊に
通産大臣といたしましては
相当に考慮しなきやならんとこう
考えておりまして、平生から
中小企業の
金融につきましてはいろいろ
皆様がたの御協力を得ましてできるだけの
努力をして来ておるわけでございます。そこでこの圧力が成るべくかからないように
一つや
つて行きたい。併しそれかといいましても、
インフレを促進するようなことに
なつても困る、こう
考えます。併し私どもは
インフレを促進したいでも而も
中小企業が
金融に余り困らないように、又同時に年末に際しましても何のこともなしに円満なる年越しができるとこういうような調子にや
つて行かなきやならん、こういうように思いまして、まあ
政府指定預金は
原則としては
引揚げるという
方向で進んでおりまするけれども、併し
中小企業の
情勢如何によりましては、やはりこの
引揚げというものを中止してもらう。又中止するばかりでなくて、即ち残しておくばかりでなく、必要があれば新らしく
中小企業方面に廻るように
指定預金も
一つ考えて見たい、こういうことを
中小企業庁長官初め我々のスタッフのほうで
いろいろ案を練り検討しておるわけでございます。ただ問題は年末
金融にまだ少し時間がございますので具体的の何はできておりません。それからもう
一つ大きな問題は、よく
下請工場、
中小企業というものは
下請工場なるものが多いのでございますが 大きな
企業から
支払をするのがこの
支払がどうも悪い。そのために
中小企業金融が非常に困
つて行く、こういうことを常に耳にするわけでございます。これは大分前から
相当その
方面に対しては
努力をしておるのでありまして、昨年の十二月二十二日に各省の
次官会議を開きましてその決定の
趣旨に副いまして
政府が大
企業に払うところの
お金、
支払資金というものをこれはできるだけ早く
下請業者に廻るようにすることを
努力する。これは極端に言いまするといつそのこと
中小企業業者に
政府から大
企業がもらうところの
お金の受領の
委任状をとらして、そうしてその
委任状を持
つて行きますと
政府が直接これを払
つてしまう、こうすればますます
支払が早くできる、こういうことにしたいと
思つてそれも
只今のところやらしております。それからもう
一つは
中小企業庁、
公正取引委員会においてもこれは
法的根拠があるわけでございますから大きな
企業の
下請に対する
支払が
本当にうまく円滑に
行つておるだろうかどうだろうかということをよく
調査し精査し、そして不当に長引くとか、おかしなものが出て来るという場合には、これは
一つ公取委員会あたりからこれに対して警告を発するというような
措置もすることにしております。それから又一面
日本銀行とか
市中金融機関に対しましても、そういうふうに
下請に金が手に入るということに御協力願うようにいろいろ手を打
つております。それから先般できましたところの
中小企業金融公庫でございますが、これは第三・
四半期に対して
只今割当をしておるので枠を持
つておるのでございますが、併し丁度これは年末にかかりますものですから、これに対してはほかの半期よりも余計にその枠を拡げて行きたい、こういうような
措置も今
考えております。
それからこれは初めから
考えておることでございますが、今まで
設備資金ばかりにそういうような金が
廻つてお
つたのでございますが、
中小企業金融公庫といたしましては、
長期の
運転資金は非常に長くなりますので、これは
市中銀行あたりは余り興味を持たないし、又貸しもしませんが、
中小企業金融公庫はこれをや
つてい
つてそうして
相当の助けになるだろうということを
考えております。なんかがございましたので今枠が非常に狭められて窮屈に
なつておるようですから、これは
資金運用部から
一つ借入額を
増加してもらいたいということを今
大蔵省との間に我々は
努力しております。
それから、もう
一つ、これはまだ出ていないことなのでございますが、こうしたらいいだろうという
考えがございますので、今
一つ何んとかしてもらいたいと、こう
思つて努力中でございますが、
信用保証協会の出しますところの
保証手形をこれを
日本銀行の見返
担保……、見返
担保というのは
適格性を持
つた手形ということですが、私の
手形に対する知識は古いのですが、昔見返品と言
つたものです。
保証手形を
日本銀行に持
つて行つて、そうしてこれを再割してもらう、こういうような
適格性を与えたら
金融がなだらかに行くのではないか、こういうようなことを
考えております。これは今
事務当局で
大蔵省、
日銀あたりにそういう
趣旨の
方策をや
つて頂きたいということで
考えておる次第でございます。
そこで年末
金融の点でございますが、これは今まで常時、ふだんから
考えておりますことですけれども、
本当を申しますると九月の
全国の
銀行の
決算を見まして、それから出せば割合的確な
趨勢即ち年末
金融の
方向がわかるのじやないかと思いまして、近々九月末の
銀行決算の
状況の発表が出るはずでございますから、それが出ましてから改めて検討しなければならんと思いますが、併しそれよりも
只今までに検討しました
一つの態勢でものを
考えさして頂きますならば三十七年の八月、八月の
決算しかございませんので八月をと
つておるのでございますが、二十七年の八月来の
全国の
銀行の
貸出総額を見ますと一兆八千八百三十九億円に
なつております。それがその年末の十三月になりますと
幾ら貸出が
増加しておるかと、こう見ますというと、二兆一千百五億円になりましてその
増加額即ち八月末から十二月末までの間の、即ち我々の狙
つておる年末
金融にどのくらい
貸出が殖えたかということを見てみますというと、二千二百六十六億円
増加しておるわけであります。これは丁度一二%の
増加に
なつております。そこで私は先ほど申上げましたよに、八月末では……的確な成るべく年末に近い
数字をと
つて比較したほうが的確な測量ができますものですから、九月も間近と思いますけれども、
只今わか
つております二十八年の八月末の
銀行貸出高というものを見ますというと二兆四千六百五十四億という
数字に
なつておりますが、これを昨年の暮と同じ比率で八月から十二月末に殖える
金額を一応予想して見ますと、そういたしますと丁度一二%殖えておるのでございますから、十二月末の予想は二兆七千六百十八億に、これは
架空の
数字でございますがなるだろう。そうすれば八月末から年末までに二千九百六十四億円ぐらい殖えるだろう、こう
我我は
考える。そこでこの
貸出の中に
中小企業向けの
金額がどのくらい含まれておるかということを見ますると、二十七年の八月の
残高では、総
貸出が一兆八千八百三十九億に
なつておりますけれども、そのうち
中小企業向けが四千七百九十五億に
なつております。ところがその四千七百九十五億円の八月末までの
残高が十二月末までに
幾らに
なつておるかと、昨年度を見ますというと、五千六百四十三億円ということになりますので差引この期間に八百五十億円殖えておるようです。これを
パーセンテージにして見ますというと、一七%七約一八%殖えておるわけでございます。そこでこれによりまして今年末の八月以降の
中小企業向けの
主要貸出総額がどのくらいになるかということも、これも
架空でございまして想像して見ますと、八月末の
中小企業向けの
金額即ち
総額二兆四千六百五十四億のうち八千九百九十八億という
貸出に
なつおる。これは
現実の
数字でございます。これを昨年の同期と同じ率即ち一七・七%で殖えるものとしたならば、一体二十八年十二月までには
幾らになるかと、こういう算盤を出して見ますと、一兆五百九十八億円になります。一兆五百九十八億円になりますというと、
金額で言いますというと、千六百億になる。そこでこれだけの金が恐らく去年と同じ
情勢なら
中小企業に対して
貸出が
増加しなければならない、こう
考える。ところがその
資金源はどうなるか、これも
預金の面から
一つ考えて見ますると、二十七年の八月末の
預金は、これは
一般預金でございますが、これは一兆六千六百五十五億円、こういうものが二十七年の十二月には二兆億円
なつておる。そうしますと、その
増加額が三千三百四十五億円ということになる。これを
パーセンテージにしますと
預金は二〇%殖えておるということでございます。そこで二十八年の八月末の
預金の
残高は二兆千億円でございますから、これは
現実の
数字でございますから、この八月末の
預金の二兆一千億円に対して年末までに
預金が昨年とほぼ同じ
パーセンテージで殖えるものと予想いたしますれば、四千二百億円
増加の三兆五千二百億円ということになる。そこで
預金が四千三百億円殖えるということになりますれば、大体去年と同じような年末の
金融で過して行けるのじやないか、こういう今の
架空の
考え方でございます。併しこれにつきましては、
預金の利益とか何とかいうものが果してどうなるかということはよくわかりませんので、今度は
預金の
方面の殖え方を別の
観点から見てみますと、そういたしますと今年の六、七、八という三カ月間に対して
預金が殖えた額と、昨年の六、七、八という三カ月の殖えた額を比べて見ますというと、昨年の六月には二百八十七億殖えておりますが、今年は三百三十四億殖えております。七月は昨年三百三十五億殖えておりますのが、今年は少し上廻りまして二百七十四億殖えております。併し八月に至りまして、昨年は六百五十九億殖えておりますけれども、今年は四百五十五億しか殖えていない。こういうことになりまして、この
預金の超勢は年末に近づけば近づくほど的確な動向がわかるはずでございますから、私は希望的に今九月の
情勢を待
つておる次第でございます。こういたしまするというと、結局町年よりは
預金の
伸びが少いのじやないかという
おぼろげな
趨勢が出て来る。而もほかの
方面でいろいろ
経審あたりで調べますと、
産業活動あたりの
計数を調べて見ますというと、昨年よりは
産業活動は
相当上
廻つておりますものですから、
資金の需要は余計に要るということになりはせんか、こう
考えます。そういたしますというと、
只今の
預金の
伸びから見まして
資金源が昨年ほど
伸び方がないのだ、そうして
資金の要り方というものはむしろ今年のほうが余計要るという
考えが先ず的確であるとするならば、私はやはり
政府資金とか
日銀の
貸出金とかいうようなもので
幾らか補いをつけなければ
いかん、こう
考えております。その辺のところはまだ詳しい的確な断案を下すまでの最近の
数字を持
つておりません。併し近日のうちに九月のものが出ますから、その九月の
決算期における
情勢をよく検討しました上で
市中銀行の
預金貸出の
趨勢と引き比べまして、そうして
あと指定預金であるとか、又は先ほど申上げました
国民公庫とか、
中小企業金融公庫とかいうようなものに適当な
措置をして、波乱なく今年の年末の
金融がスムースに行くというようにいろいろの
措置をしたい、こう
考えておる次第でございます。大体そういうようでございます。