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1953-10-30 第17回国会 参議院 通商産業委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十日(金曜日)    午後二時十二分開会   —————————————  委員氏名    委員長     中川 以良君    理事      松平 勇雄君    理事      加藤 正人君    理事      海野 三朗君    理事      小松 正雄君            石原幹市郎君            黒川 武雄君            小林 英三君            西川平治君            酒井 利雄君            松本  昇君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            三輪 貞治君            山口 重彦君            武藤 常介君            團  伊能君            白川 一雄君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            西川平治君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            三輪 貞治君            武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (火力外資借款に関する件)  (中小企業金融対策に関する件)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  本日は先般来調査中でございまする火力借款に対しまする問題を先ず議題といたします。お手許只今新たなる資料通産省から出て来ておりまするので、この資料に基きまして、先ず公益事業局長より説明を聴取いたします。
  3. 藤田進

    藤田進君 議事進行ですが、火力借款について今私の手許いろいろ別資料をとつておりますので、もう一日、二日すれば完成するのです。それで若干の質問皆さんもありましようし、私としてもありますけれども、できれば本日はまあ説明を主に聞きたいと思います。火力借款に対する……。本当質問は私よく調べた上で、聞かなくてもいいことを聞く必要はないので……。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。それでは資料に基いて中島局長より説明を聴取いたします。
  6. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 火力借款対象事業計画、この資料を先ず御説明申上げます。
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) 局長ちよつと大臣が見えましたので……、ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。只今金融の問題につきまして日銀金融引き緊めに伴いまして、殊に我々が憂いますことは、この年末に際しましての中小企業金融は一層どうも困難なる状態に陥るのではないか、殊に大企業しわ寄せがことごとく中小企業に寄つて参るのではないかというような問題が懸念されるわけですし、先般来通産省におきましてもこの年末金融、殊に中小企業金融問題に対しましては、いろいろと御配慮をされておるように承わりますので、一応この問題につきまして通産大臣より一つ御構想につきましてこの委員会を通じてお漏らしを頂きたいと思います。
  9. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。まあ年末金融は、無論我々これから大いに状況現状を研究しまして具体的な対策をしなければならんと思いますが、それのみならず中小企業というものはもう皆さん承知通りに、まあいわば弱体なもの、併し弱体であるけれども日本経済上に占める企業計数の点から行きますと、これ又我々が非常に尊重して、日本経済の向上というのは中小企業が発展するかせんかという点にかかつておるという考えを持つております。そういう意味事業そのものもそうでございましようし、社会問題としても非常に従事している人間が多いものですから、これは我々としても相当注視しておらなきやならん。で、今、年末金融の問題が出ましたものですから一応私の所見を申上げて御批判を頂きたいとこう思いますが、まあ概括的に申しますれば大蔵大臣もこの間の説明で言つておりまするように、日本の今置かれておる現状インフレが再燃しやせんかとこういうような心配が、懸念がまだたくさんあるのですから、これに対処するための財政金融政策というものはしつかりと握つて行かなきやならん、こういうふうに考えるということで、我々もそれには異論はございません。そこにまあ我々もいろいろ政府指定預金引揚げるとか、日本銀行では高率適用をするとか、又はスタンプ手形制度とか、別口の外貨貸付制度を縮減するとかいうような一般的な方策がとられているわけです。そこで我々が、殊に通産省といたしまして考えなきやならんことは、成るほどその大原則をそのまま適用して行くということになりますと、得てして中小企業しわ寄せをせられるので、中小企業は困難の地位に陥るだろうということはこれはもう想像ができるわけです。そこで一般的にはそういうような政策をとりましても、中小企業に対しては又別な観点から、殊に通産大臣といたしましては相当に考慮しなきやならんとこう考えておりまして、平生から中小企業金融につきましてはいろいろ皆様がたの御協力を得ましてできるだけの努力をして来ておるわけでございます。そこでこの圧力が成るべくかからないように一つつて行きたい。併しそれかといいましても、インフレを促進するようなことになつても困る、こう考えます。併し私どもはインフレを促進したいでも而も中小企業金融に余り困らないように、又同時に年末に際しましても何のこともなしに円満なる年越しができるとこういうような調子にやつて行かなきやならん、こういうように思いまして、まあ政府指定預金原則としては引揚げるという方向で進んでおりまするけれども、併し中小企業情勢如何によりましては、やはりこの引揚げというものを中止してもらう。又中止するばかりでなくて、即ち残しておくばかりでなく、必要があれば新らしく中小企業方面に廻るように指定預金一つ考えて見たい、こういうことを中小企業庁長官初め我々のスタッフのほうでいろいろ案を練り検討しておるわけでございます。ただ問題は年末金融にまだ少し時間がございますので具体的の何はできておりません。それからもう一つ大きな問題は、よく下請工場中小企業というものは下請工場なるものが多いのでございますが 大きな企業から支払をするのがこの支払がどうも悪い。そのために中小企業金融が非常に困つて行く、こういうことを常に耳にするわけでございます。これは大分前から相当その方面に対しては努力をしておるのでありまして、昨年の十二月二十二日に各省の次官会議を開きましてその決定の趣旨に副いまして政府が大企業に払うところのお金支払資金というものをこれはできるだけ早く下請業者に廻るようにすることを努力する。これは極端に言いまするといつそのこと中小企業業者政府から大企業がもらうところのお金の受領の委任状をとらして、そうしてその委任状を持つて行きますと政府が直接これを払つてしまう、こうすればますます支払が早くできる、こういうことにしたいと思つてそれも只今のところやらしております。それからもう一つ中小企業庁公正取引委員会においてもこれは法的根拠があるわけでございますから大きな企業下請に対する支払本当にうまく円滑に行つておるだろうかどうだろうかということをよく調査し精査し、そして不当に長引くとか、おかしなものが出て来るという場合には、これは一つ公取委員会あたりからこれに対して警告を発するというような措置もすることにしております。それから又一面日本銀行とか市中金融機関に対しましても、そういうふうに下請に金が手に入るということに御協力願うようにいろいろ手を打つております。それから先般できましたところの中小企業金融公庫でございますが、これは第三・四半期に対して只今割当をしておるので枠を持つておるのでございますが、併し丁度これは年末にかかりますものですから、これに対してはほかの半期よりも余計にその枠を拡げて行きたい、こういうような措置も今考えております。  それからこれは初めから考えておることでございますが、今まで設備資金ばかりにそういうような金が廻つてつたのでございますが、中小企業金融公庫といたしましては、長期運転資金は非常に長くなりますので、これは市中銀行あたりは余り興味を持たないし、又貸しもしませんが、中小企業金融公庫はこれをやつてつてそうして相当の助けになるだろうということを考えております。なんかがございましたので今枠が非常に狭められて窮屈になつておるようですから、これは資金運用部から一つ借入額増加してもらいたいということを今大蔵省との間に我々は努力しております。  それから、もう一つ、これはまだ出ていないことなのでございますが、こうしたらいいだろうという考えがございますので、今一つ何んとかしてもらいたいと、こう思つて努力中でございますが、信用保証協会の出しますところの保証手形をこれを日本銀行の見返担保……、見返担保というのは適格性を持つた手形ということですが、私の手形に対する知識は古いのですが、昔見返品と言つたものです。保証手形日本銀行に持つて行つて、そうしてこれを再割してもらう、こういうような適格性を与えたら金融がなだらかに行くのではないか、こういうようなことを考えております。これは今事務当局大蔵省日銀あたりにそういう趣旨方策をやつて頂きたいということで考えておる次第でございます。  そこで年末金融の点でございますが、これは今まで常時、ふだんから考えておりますことですけれども、本当を申しますると九月の全国銀行決算を見まして、それから出せば割合的確な趨勢即ち年末金融方向がわかるのじやないかと思いまして、近々九月末の銀行決算状況の発表が出るはずでございますから、それが出ましてから改めて検討しなければならんと思いますが、併しそれよりも只今までに検討しました一つの態勢でものを考えさして頂きますならば三十七年の八月、八月の決算しかございませんので八月をとつておるのでございますが、二十七年の八月来の全国銀行貸出総額を見ますと一兆八千八百三十九億円になつております。それがその年末の十三月になりますと幾ら貸出増加しておるかと、こう見ますというと、二兆一千百五億円になりましてその増加額即ち八月末から十二月末までの間の、即ち我々の狙つておる年末金融にどのくらい貸出が殖えたかということを見てみますというと、二千二百六十六億円増加しておるわけであります。これは丁度一二%の増加なつております。そこで私は先ほど申上げましたよに、八月末では……的確な成るべく年末に近い数字をとつて比較したほうが的確な測量ができますものですから、九月も間近と思いますけれども、只今わかつております二十八年の八月末の銀行貸出高というものを見ますというと二兆四千六百五十四億という数字なつておりますが、これを昨年の暮と同じ比率で八月から十二月末に殖える金額を一応予想して見ますと、そういたしますと丁度一二%殖えておるのでございますから、十二月末の予想は二兆七千六百十八億に、これは架空数字でございますがなるだろう。そうすれば八月末から年末までに二千九百六十四億円ぐらい殖えるだろう、こう我我考える。そこでこの貸出の中に中小企業向け金額がどのくらい含まれておるかということを見ますると、二十七年の八月の残高では、総貸出が一兆八千八百三十九億になつておりますけれども、そのうち中小企業向けが四千七百九十五億になつております。ところがその四千七百九十五億円の八月末までの残高が十二月末までに幾らなつておるかと、昨年度を見ますというと、五千六百四十三億円ということになりますので差引この期間に八百五十億円殖えておるようです。これをパーセンテージにして見ますというと、一七%七約一八%殖えておるわけでございます。そこでこれによりまして今年末の八月以降の中小企業向け主要貸出総額がどのくらいになるかということも、これも架空でございまして想像して見ますと、八月末の中小企業向け金額即ち総額二兆四千六百五十四億のうち八千九百九十八億という貸出なつおる。これは現実数字でございます。これを昨年の同期と同じ率即ち一七・七%で殖えるものとしたならば、一体二十八年十二月までには幾らになるかと、こういう算盤を出して見ますと、一兆五百九十八億円になります。一兆五百九十八億円になりますというと、金額で言いますというと、千六百億になる。そこでこれだけの金が恐らく去年と同じ情勢なら中小企業に対して貸出増加しなければならない、こう考える。ところがその資金源はどうなるか、これも預金の面から一つ考えて見ますると、二十七年の八月末の預金は、これは一般預金でございますが、これは一兆六千六百五十五億円、こういうものが二十七年の十二月には二兆億円なつておる。そうしますと、その増加額が三千三百四十五億円ということになる。これをパーセンテージにしますと預金は二〇%殖えておるということでございます。そこで二十八年の八月末の預金残高は二兆千億円でございますから、これは現実数字でございますから、この八月末の預金の二兆一千億円に対して年末までに預金が昨年とほぼ同じパーセンテージで殖えるものと予想いたしますれば、四千二百億円増加の三兆五千二百億円ということになる。そこで預金が四千三百億円殖えるということになりますれば、大体去年と同じような年末の金融で過して行けるのじやないか、こういう今の架空考え方でございます。併しこれにつきましては、預金の利益とか何とかいうものが果してどうなるかということはよくわかりませんので、今度は預金方面の殖え方を別の観点から見てみますと、そういたしますと今年の六、七、八という三カ月間に対して預金が殖えた額と、昨年の六、七、八という三カ月の殖えた額を比べて見ますというと、昨年の六月には二百八十七億殖えておりますが、今年は三百三十四億殖えております。七月は昨年三百三十五億殖えておりますのが、今年は少し上廻りまして二百七十四億殖えております。併し八月に至りまして、昨年は六百五十九億殖えておりますけれども、今年は四百五十五億しか殖えていない。こういうことになりまして、この預金の超勢は年末に近づけば近づくほど的確な動向がわかるはずでございますから、私は希望的に今九月の情勢を待つておる次第でございます。こういたしまするというと、結局町年よりは預金伸びが少いのじやないかというおぼろげ趨勢が出て来る。而もほかの方面でいろいろ経審あたりで調べますと、産業活動あたり計数を調べて見ますというと、昨年よりは産業活動相当廻つておりますものですから、資金の需要は余計に要るということになりはせんか、こう考えます。そういたしますというと、只今預金伸びから見まして資金源が昨年ほど伸び方がないのだ、そうして資金の要り方というものはむしろ今年のほうが余計要るという考えが先ず的確であるとするならば、私はやはり政府資金とか日銀貸出金とかいうようなもので幾らか補いをつけなければいかん、こう考えております。その辺のところはまだ詳しい的確な断案を下すまでの最近の数字を持つておりません。併し近日のうちに九月のものが出ますから、その九月の決算期における情勢をよく検討しました上で市中銀行預金貸出趨勢と引き比べまして、そうしてあと指定預金であるとか、又は先ほど申上げました国民公庫とか、中小企業金融公庫とかいうようなものに適当な措置をして、波乱なく今年の年末の金融がスムースに行くというようにいろいろの措置をしたい、こう考えておる次第でございます。大体そういうようでございます。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今の御説明に対しまする質疑を行いま豊田君より発言を求められておりますので、これを許します。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今いろいろ大臣からお話伺つたのでありますが、今回予算の厖大化に伴いまして何としてもこの際インフレを抑えなければいかんという見地を政府が強くとられておるのは御犬もでありますが、その選を非常に強く堅持せられておる関係からいたしまして、お話指定預金をこの際引揚げるのだ、更に又高率適用日銀は強化するのだ、又この線に伴ないまして一般市中金融機関選別融資をいよいよ強化しておるという状態でありまして、今これがしわ寄せはだんだん中小企業界に押寄せておるわけでありますが、特に私が関心を寄せますのは、先般新聞紙上に伝えるところによりますと、日銀総裁がもう中小企業しわ寄せの来ることは確実だ、こうはつきり言つておるのでありまして、日銀総裁するが、今用意がないというと、金融機関におきましてはどうしても入るやら入らんやらわからんという前提の下にこれは引締めて行くよりほかはないんだろうと思うのでありまして、今からの交渉だということになると、私はもう年末の迫つて来ることは非常に明白なことじやないかと思うのでありまして、まあそれだからこそ日銀総裁はつきりそういうことを言つておるということになる、ここは非常に問題があると思うのでありまして、結論的にはこれはもう指定預金引揚げを延期するとか、或いは引揚げるのは引揚げるけれども、大幅な新規預託をするとかいうことにならざるを得ないと思うのでありますが、どの程度この際指定預金を延期するのか、又新規預託をするのかという点をこの際はつきり大蔵当局と折衝せられまして、この臨時国会の間くらいにはこれが明らかになる必要があるだろうと私は考えるのであります。この中小企業に対するしわ寄せ意味が二つあると思うのでありますが、一つは弱体なる経済力中小企業しわ寄せが来るという意味の問題が一つと、それからもう一つは、この普通の金融機関が今まで中小企業に貸しておつたが、只今申しまするようないろいろな金融引締めから、普通金融則つた中小企業があぶれて来る、それが特殊の金融機関へどんどん押し寄せて来るという問題の二つあると思うのでありますが、商工中金には只今六一線の営業所から、どうしても貸出をしなければならんという目途のものだけですでに百二十億あるそうであります。その百二十億のうち、どんなに固く見積つて貸出をしなければならんものは八十三億乃至は百億にはなるだろうという見込のように聞くのでありますが、これに対する資金対策はあらゆる方法を講じましても、具体的に言いますと第二次の高率適用を受けるまでやるというようなことをいたしましても、洗いざらい資金繰りをいたしましても、只今申しまするこの指定預金引揚げ、これは第三・四半期に二十五億あるようでありますが、この二十五億を引揚げられると、最小限度四十億の不足がこの年末金融に現われる、これは従来から貸出しておるものに強く当つて行くか、或いは新規貸出で当然出さなければならんものを切つて行くか、いずれかになつて来るという状態にあるわけでありまして、よほど深刻な状態に相成つておると考えるのであります。これに対しましてどの程度指定預金引揚延期、又新規預託というものがいつ行われるかということが非常な問題になると考えるのであります。この点について具体的に御意見を伺いたいと思うことが一点でありまして、もう一点は、国民金融公庫の問題でありますが、国民金融公庫も大体資金難におおわれて来ておるのでありまするけれども、特に先般の風水害に対しまして、すでに十数億支出をいたしておるのでありまして、この結果予定の資金計画に十数億の穴がはつきりあいて来ておるわけでありまして、これがこの年末の金融に対して又非常に大きな影響零細金融に対して与えると思うのであります。これに対して、これも同様どの程度資金をいつ頃までになし得るかということがはつきりいたしませんと、年末の金融に非常に大きな影響を及ぼして来るというふうに考えるのであります。これにつきまして、先ず具体的に御意見を伺えればと思うのであります。  もう一点は、中小企業金融公庫の問題でありますが、今回運転資金にも及び得る、勿論長期運転資金だと思いますが、長期運転資金に及び得ることになつたことは、これは一つのプラスになると考えるのでありますが、それに対してこの年末金融関係がやはり引つかかつて来るだろううと思うのでありますが、勿論年末金融が短期の資金ではありまするけれども、そこに相互の関係が出て来るのでありまして、長期運転資金に対してどの程度廻すかというような、そういう枠があるかどうかという点について伺いたいのであります。  それからその次には中小企業金融に対する金利が非常に高いという問題でありまして、これは特にいわゆるこの補完的な金融機関なつておりまする特殊金融機関、これが政府資金を元にしておるだけに非常に金利が高い。指定預金でありましても一銭六厘になつておるようでありますが、これは普通のこの金融機関預金貸出す場合のコストに比べますると倍ぐらい高いわけでありまして、こういう高い資金を運用しては、殊に債券を発行してそれによる資金貸出す場合から見ますると、コストは二銭三、四厘にもなる、普通の預金コストの三倍ぐらいの高いものを貸出をしておるということになるわけでありまして、この際政府資金を大幅に放出、活用するということと同時に、この際においては金利引下げがどうしても必要であるというふうに考えるのでありまして、この点について指定預金の今回の引揚げをして新規放出をするというような場合に、この金利引下げをどういうふうに具現化するかということについて御意見を伺いたいと思うのであります。まだ二、三あと申上げますけれども、一応これだけ……。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私はこのインフレ防止のために日銀あたり考えておること、これはまあこの金融政策の面、いわゆる純金融政策の面から考えておるのであります。無論それは総合的の純経済問題でございますが、併しこれをよく私は分析しますというと、純金融機関の立場から言えば、或いは日銀総裁がどういうことを言われたかは私はよく新聞承知しておりませんけれども、いろいろな説が立つだろうと思います。併し我々が見ております中小企業に対する金融の面から見ますというと、これは純金融政策だけで割切つて行くということはこれは間違つているんです。これは御承知通り中小企業というものは、所属施設人口は二千万でございますか、まあ人口としましても二千万か三千万くらいな大量な人がそれに従事しておるということと、もう一つは、その中小企業日本経済活動に占める地位というものは相当高く評価していいと思います。そうしますというと純金融政策だけでものを割切つて、これをひどく一律にやつて行くということには私は異論を持つておる。中小企業に対する態度は純金融政策の範疇に入らなければならないけれども、併し社会問題とも考えられ、又日本の大きな経済活動の面から判断しまして特殊の取扱をすべきものだとこう私は考えていますから、その点は我々いつもそういう心がまえで中小企業に対する金融考えております。それから商工中金とか、国民金融公庫とか中小企業の今の金の資金源でございますが、これにつきましては私大体商工中金も詰まつている、国民公庫も詰まつているというようなことを伺つておりますけれども、詳しいことは数字を覚えておりませんからこれは中小企業庁長官に御説明願うことにしまして、いずれにいたしましても今年は特殊の年であるということを頭に置かなければならん。と申しますことは、これは本当か嘘か知りませんけれども、六十年に一遍の大災害の年であつたとか、又凶作も非常な何十年来にない凶作であつたとかいうような特殊の社会事情が起きておりますから、その事情を頭に入れないで、今まで通り安易な、去年がこうであつたからこうであるという調子には行かないと思います。これもやはり考慮に入れて行くべきだろうと思います。中小企業金融公庫は新らしくできましたものですからますますこれを充実して行きたいと思いますが、この資金につきましては只今よく存じませんので、これは中小企業庁長官から御説明させて頂きたいと思います。そうしてそれに対して今から手を打たなければ遅いじやないか、こういうようなことを仰せでございますが、先ほども申しましたように我々といたしましては、中小企業に対する金融には常時関心を持つて見ておりまして、災害が起きましたときには非常に努力しまして、御満足がいつたかどうかわかりませんけれども、国民金融公庫とか、そういう方面政府機関に対する資金の補充というものに対しては、かなりの努力をした次第でございます。年末金融につきましては無論考えなければなりませんが、これをいつどのくらいの程度にするかということは、まだもう少し推移を見て十分なことはしなければならんと思います。と同時にこれは政府資金のことでございますから、預金市中銀行が操手をしてあつちこつちから集めて行くと時間がかかるからというような問題があるということじやなくて、事情がはつきりいたしますれば、政府部内のことでございますから、そう手間もとらずに資金の補充はできると考えております。  それから金利の点でございますが、これはもう仰せまでもなく日本金利というものは戦後もう非常に高くなつておりまして、単に中小企業ばかりでなくて、一般の金融というものもやはりこれは利下げをして行くべきものだと、こう大勢から判断しますると考えております。そうしませんというと、すべてのコストがやはり金利の点において諸外国と太刀打のできないようなことになるということを恐れておりますので、この点は無論全般的原則論としても金利は外国並みにすぐ持つて行くというわけにも参りますまいけれども、重点主義で下げて行かなければならん。その重点主義のうちには、中小企業というものもやはりそのうちに入るわけでございますから、中小企業に対する金利というものも下げて行く方向に向わなければならん。お説のように国家資金によつてやれば、その点幾らか下げやすい、こう考えますから今後いろいろ企業庁あたりで考えまして、その方向に進んで参りたい、こう考えております。それでは中小企業庁長官からお答えいたします。
  13. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 大臣お話の点を若干数字的に補足して申させて頂きたいと思うのであります。具体的に申上げまして指定預金の操作をどういうふうにするか、具体的な数字を出せという点につきましては、大臣からお答えになりましたように、我々といたしましても諸般の情勢を見ながら指定預金につきましてはこの年末に際して従来の引揚計画その他に対し或る程度の操作を加えなければなるまいという見解を持つておるのでございまして、目下大蔵省数字について突合せ中でございます。今具体的に数字を出すことのできませんことは遺憾でありまするが、先ほど大臣からお答えいたしましたように年末の中小企業金融に特別な支障の起きませんような工合に時期も見計らいまして操作をいたしたい、かように考えておるのでございます。多少の時間をお与え願いたいとかように存ずる次第でございます。  商中につきましては昨年の十月——十二月の貸出の増が大体八十三億くらいからありまして、それに対しまして今年の十月——十二月でどの程度貸出増を見込むかということは、これは絶対的な数字はなかなかむずかしいのでございまするが、仮に若干の増加を見込みまして、商工中金等におきましては百億程度増加をいたしたい、かような希望を持つておるようでございます。その百億程度増加を実現するといたしまして、いろいろの資金操作をやつて見ますると、商工中金につきましては三十億見当の不足ということに相成るのでございます。これらを如何ようにして操作するかというふうな問題につきましても、やはり先ほど申しました指定預金の操作というふうなことが最も具体的な方法であろうと存じておるのでありまして、商工中金等も含めまして考えて参りたい、かように考えておるのであります。国民金融公庫につきましてもお説の通りでございまして、目下年末を控えまして極めて資金繰りが窮屈な状況に相成つておるのでございます。これに対しましてどういうふうな補充の方法をとるかということは、所管から申しますければ大蔵省の所管でございますけれども、我々といたしましても重大なる関心を持つておる次第でございます。大蔵省と随時交渉いたしまして、少くとも資金運用部から或る程度の金をこの年末に際しまして国民金融公庫に投入するということにいたしたいということで今固めをいたしておる状況でございます。中小企業金融公庫につきまして、今般長期運転資金につきましても、かねてお約束いたしておりましたように実行に移す段取りに相成つたのでございまするが、設備資金長期運転資金との間において公庫の枠の中に更に内訳をいたすかどうかということにつきましては、具体的に内訳はまだ作つておりません。ただ長期運転資金が非常に伸び過ぎます結果、設備資金貸出がそれによつて重大なる影響を受けるということのないようにいたしたいという程度で、まだ貸出を始めましたばかりでございますので、もう少し祥子を見ませんと、その辺のところの具体的な段取りまでにはならんかと存じておるのであります。金利の点につきましても、これは中小企業金融問題としてかねて論ぜられておる点でございます。特に一番論議の対象となりまするものが商工中金の金利が高いという点でございましよう。確かに商工中金につきましては、長期の金におきまして、市中の長期のものがおおむね一割二分に対して一割三分、年において一分高い、短期におきましては三銭乃至二銭七、八厘、市中に比べますると五厘程度高いというふうな状態に相伐つておるのでございまして、これを何とか市中並みにせめて引下げるようにいたしたいというのは私どもも同様の念願でございます。これの最も大きな欠陥といたしましては、預金がなかなかとれない。これは機構の関係、業務運用の範囲が限定されておる点等から来る制約があるわけでございますが、一方におきまして商工中金とやや類似の営業方針をとつておりまするところの日本興業銀行の例をとつて見ますると、これは預金が大体貸出の三〇%程度に相成つておるのでありまするが、商工中金におきましては一割二分程度預金伸びでございます。日本興業銀行と全く同様ではございませんから、これを興業銀行も三割だから商中も三割までやれということは或いは無理と存じます。ただ併し、預金を無理やりにという無理をせずに、自然な姿におきましていま少しく預金増加努力する余地があるかないかというふうな点も商中側自体として多少勉強をしてもらいたいというのが私どもの一つの希望でございます。それと併せまして政府側といたしましても政府資金の投入等につきましてお説のありましたような点を、何らか商中の金利引下げ方向に役立つような努力をいたしたいということにつきましては、人後に落ちないものでございます。大体補足的な説明ちよつと申上げたわけでございます。
  14. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとお諮りいたしまするが、岡田長官はまだ時間は十分ございまするが、大臣は衆議院の本会議の都合で途中で退席されまするので、先ず大臣に対する質問を重点的に御継続を願いたいと思います。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大蔵当局がこの中小企業金融の問題であるにもかかわらず一向来ておらんようでありますが、これはどういうものでしようか。通産当局で責任を持つてつて下されば別に強いてとは申上げませんけれども……。
  16. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今銀行局長も出席を求めておりまするが、銀行局長と特殊金融課長は衆議院の委員会のほうに出席をして、只今その審議中でこちらのほうへ来れないそうでございます。そこで特殊金融課長補佐が今参ることになつております。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 続いて伺いますが、一つの問題は、この風水害関係に対する金融措置に関する法律の特例の問題なんでありますが、信用保険については九割を政府が填補をするという法律案が前国会で通つたわけでありますが、これは九州水害を対象にしたものでありまして、その後のこの十三号台風関係、これに均霑せしめる必要があるだろうと思うのでありますが、この法律改正がどういうふうになつておるか。  それから同じく水害地の小企業に対する利子補給の法律がまだ実施になつておらんのでありますが、これは誠に遺憾だと思うのでありますが、これが実施になつておらん経緯、それから又今日まで折衝せられた経過等を伺いたいのであります。更に御了知のように北海道、青森方面で冷害が非常にひどいのでありまして、冷害地に対する農家への売掛金、これは未回収に今なつて来ておりまして、これは非常な問題になつておるようであります。北海道方面で具体的に申しますると、肥料であるとか飼料であるとか、或いは農機具、薬剤その他衣料品等でありまして、これの売掛金が一般商業者関係が約五十億、農協が売上げておりますものが約百十億、合計いたしまして百六十億でありますが、農協関係は別といたしまして、一般商業者の売掛金五十億、このうち冷害の関係から来まする皆無作の地域などに対しましては恐らく八割まで売掛金は回収ができないのじやないかというような今状態でありまして、少くともその損害は約十億に上るだろうと、これが被害を受ける小売商の数は五万七千軒くらいになるわけでありまして、これに対して特別の融資或いは更に低利の融資、或いはそれが不可能ならば利子の補給というようなことが必要になつて来るだろうと思うのでありまして、これに対して政府ではどういうふうにお考えなつておるかという点が一つであります。  もう一つは今申しまするように、信用保険なり或いは利子補給につきまして風水害関係につきましては特別の措置中小企業等にも講ぜられたのでありますが、冷害のごとき、直接の関係ではないけれども、冷害地の売掛金が回収できないというようなものに対する措置というものは風水害の場合に準じて特別措置の中へ附加える必要があるのじやないかというふうに考えるのでありますが、この点について御意見を伺いたい。
  18. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 信用保険の問題を十三号台風にどうするかというお話でございます。これは政府が、議員立法であつたのですが、今度は政府提案で十三号台風も加えることにして提案をしたが、法案だけ見たのですが、たしか提案をしておるはずでございますから、ほどなく御決定を頂けることとなつております。それから中小企業の利子補給は同じような状態なつております。指定地の問題が大分やかましい問題になりまして、それで遅れておるわけです。それから売掛金の問題につきましては今実は咄嗟に伺いました数字を検討しておりませんので、若し中小企業庁のほうで調べておりますならばそれを一つ調べて対策考えたいと思いますが、大体におきまして今度の場合におきましてはいろいろな農林対策ができておりますから、その方面から結果的に間接的に救済がされるかと思いますけれども、只今つたことをよく存じませんものですから、中小企業庁長官ちよつと聞いて見ますから……。
  19. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと申上げまするが、只今衆議院の本会議のほうから大臣に出席を求めに来ておりますので、誠に遺憾でございまするが、本日はこれで御退席をお願いをいたすことにいたします。御了承を願います。
  20. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 十三号台風に関連いたしまして、去る十六回国会において議決されました法案は、私どもの関係といたしましては、信用保険の特例とそれから小口貸出に対しますところの利子補給の関係と、国有機械の交換乃至払下げに関しまする特例と、この三つの法案に相成つておるようでございます。信用保険の関係につきましては、差当り予算的措置を伴わないものでございまするから、法案の施行になりますと同時に政令を出しましてすでに施行済でございます。その他の二つの法案につきましては、全部で二十数個の法案と一緒に適用地域をどういうふうにやるかということにつきまして、両院の水害対策委員会大蔵省側とにおきまして総括的な折衝が重ねられたようでございます。極く最近大体の見当がつきまして政令が出るという段取に相成つておるようなことでございます。かような三つの我々に関係をいたしまする法案につきましては、今度の十三号台風につきましても同一の取扱をする趣旨におきましてこの国会に御提案を申上げる予定に相成つておるのであります。  冷害の関係につきましては、確かにお話通り冷害を受けました農村に対する商工業者の売掛金が回収困難な状態になるという点は予想される次第でございまするが、直接これに対しまして私どものほうで予算的措置というものをとるということは目下のところいたしておりませんのでございまするが、冷害対策といたしまして各般の直接の対策が講ぜられますることと相待ちまして、一方において今般中小企業金融公庫において長期運転資金を出すということにいたしましたのも、多少はかような方面にも御利用願えるかとも存ずるのでありまして、その辺で一応の状況をまあ見て参りたいというのが現段階でございます。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 信用保険関係について特別の法令、これを十三号台風にまで拡大するということ、これは誠に結構であります。はつきりいたしましたと同時に、只今お話しましたこの冷害による米回収の甚だしいような中小企業者に対する融資の場合などは、信用力が低下する関係上、金融も非常に実際問題として厄介なことになるかと思うのでありますが、そういう場合に、やはりこの風水害の直接被害を受けたものに準ずるような信用保険の特殊の填補率を認めると、又保険料の引下げを認めるというようなことが必要だろうと思うのでありまして、それと同時にこの中小企業者に対する利子補給も均霑させる必要がだんだん私ははつきり出て来るのじやないか、この点については北海道、青森方面の事情を具体的に今後御研究願いまして、風水害に準ずるような必要があるという場合においてはこれを追加するという扱いをしてもらうように一つ御研究を願いたいと思います。
  22. 西川彌平治

    西川平治君 この中小企業金融金庫でございますが、九月発足いたしましてまだ日がないことでございますから、はつきりといたしました数字が皆様の手に入つているかどうかは知りませんが、最近私が聞き得ました点について一つ質問を申上げるわけでありますが、中小企業といたしましては非常にこの金庫の発足を待望しておつたのであります。従つて、もう直ちに借入をいたしたいというふうに考えておつたのでありまするけれども、その対象となつておりまする銀行でありまするとか、相互銀行とか、或いは信用金庫とかというような、その対象になつておるところの金融関係が、いわゆる打てば響くというような態勢に相成つておらんように私は見受けるのであります。特に私は、これは私が聞いたことでございませんので、私はその借入れたいという人からつい最近聞いたことでございますが、地方の某有力なる銀行におきまして、而もその借りたいという人も相当信用のある人でありますけれども、どうも割当になつて来ておる金額が非常に少いと、その金額はつきり申上げますと、どうも私は間違つておると思うのですけれども、五百万円しか私の銀行に割当がございませんので、折角のお申入でありますけれども、御要望に応ずるわけには参りませんというようなお断りの言葉も頂戴しておるということでありましたから、私はそれは何かの間違いであろうと言つておりましたけれども、果して一体この金庫から預託といいますか、業務を委託いたしまする銀行に対して金額の割当を一体しておるのであるかどうか、それらの点について第一に伺いたいと思います。
  23. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) お答え申上げます。中小企業金融公庫は去る九月の十一日にまあ開店をいたしたのでございますが、大体はこの者の国会に衆議院のほうで御審議を願いまして、今にも通過しそうな情勢でございましたのが解散で延びたというふうな特殊な事情もございまして、非常に全国にこの公庫ができるということが普及宣伝がきいておりましたために、開店を待ち構えるという気持が非常に強かつたのでございます。それだけにいろいろと御不満な声も私どものほうにもかなり来ておるのであります。業務開店早々のことではございますが、逐次これが改善に努力をいたしたいと努力中でございます。特にこの代理店の関係でございますが、公庫法が通りましたのが八月の一日、通りましたというよりは、公布施行いたしましたのが八月の一日でございます。爾来さような先ほど申しましたように、非常に皆さんの御期待が強いという関係から拙速を旨といたしまして、多少準備不十分ではございましたけれども、九月の十一日に開店とすることにいたしたのであります。従いまして、代理店にいたしましても、全国金融機関をあまねく当りまして代理店になつて頂くか頂かないかということをいたす余裕もございませなんだので、先ず当初日本開発銀行中小企業向け貸出をやつておりました当時の代理店の中から衆議院の附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、大銀行を除きました百六十九の金融機関と提携して契約をいたしたのでございます。その後本当意味におきます公庫自体の選定準備を進めておりまして、第一次に十月の一日に先ほど申しました開発銀行の代理店を選定いたしますときに漏れておりました十三の金融金庫と契約をいたし、次いで十月の二十六日に大幅に百八十の金融機関と契約をいたしましたのでございまして、現在代理店が三百六十余という状態に相成つておるのであります。この代理店の選定のやり方といたしましては、先ず第一にはあまねく日本国中の中小企業の便利を図るという趣旨から申しますれば、成るべく多数の代理店を、全国津々浦々に設けるということが望ましいのであります。一方におきまして、併しながら一つの代理店当りに対しまするところの公庫からの資金の枠が非常に小さくなりますると、只今御指摘になりましたように資金効率の上から申しましても、又代理金融機関の営業の点から見ましても、又受ける中小企業者の立場から考えましても、公庫として望ましからざる状況が出て参るのでございまして、その点から言えば余りこの数を殖やしてはならんという制約があるわけでございます。この両者のつまり相反する要求をどの辺でうまく調和を図るかということが非常に困難なのでございます。又金融機関とされましては、今までにない熱意でございまして、極端なところになりますると、看板さえもらえば金の配当はもう要らんというふうな極端なる話までされまして、この公庫の代理店になりたいという強い熱意を表されるような工合の運動もございまして、なかなかこの選定には苦労いたしたのでございます。それらのことを勘案いたしまして、差当りまあ三百六十二というものを選定し、その内訳と申しましては商工中金が一つ、これはまあ全国一つでございます。銀行が六十七、相互銀行六十六、信用金庫二百三十、信用組合七つ、農林中金が一というふうな内容になつておるのでございます。個々の金融機関に対しまして、公庫がどれだけの枠を与えておるかということは、これは私どもといたしましても存じませんでございまするし、又個々の金融機関の信用にも影響のありますることでございまするからこれは申上げることを控えさして頂きたいのでございまするが、要するにこの特殊の金融機関の持ちまする中小企業金融上の特色というもの、乃至は長期金融上におきまする経験の関係、過去の中小企業金融に対する熱意の表現がどの程度であつたかというふうな物差等を勘案いたしまして、それぞれの金融機関の枠を一応きめまして、そしてその内訳として各金融機関に出しておるわけでございまして、お話になりました金融機関がどの程度のものであつて、その枠が果して五百万円であるかどうかということにつきましては私といたしましてもちよつと判断いたしかねる状態でございまするが、私どもといたしましても、徒らに資金を細分作いたしまして、お説のような非常に資金効率の悪い結果になりませんように、一方においてはブレーキをかけますと共に、又一方では窓口が少な過ぎて、中小企業者としてはえらい遠方のほうまで行かんというと公庫の金が借りられんという不平が出ませんようにも考えねばなりませんので、実は代理店問題につきましては、非常に板挾みの苦労をいたしておるのでございます。お説の点につきましては公庫の運用上、十分なお考慮に入れまして運用に努めたいと、かように考えます。
  24. 西川彌平治

    西川平治君 実は私は非常にこの代理店がもう細分されたために、非常に私は折角の中小企業に対する金融が殆んどこれは問題にならなくなつてしまつておるのではないかという考えか持つておるのであります。この信用金庫に対して、二百三十という信用金庫を御指定になつたというような只今説明がございましたが、もう信用金庫に対しましては申込が殺到しておるのでありますけれども、殆んどその枠が私申上げてもいいのでありますが、問題になりません。でありまするから、折角立てましたものが何にもならなくなつておるのであります。それからもう一つ、この六十七の銀行とそれから六十六の相互銀行関係でありますが、これに対しては銀行と相互銀行の間に、この中小金融公庫というものの創設の際の、何と申しますかいろいろのいきさつと申しますか、一体銀行は余りこれに対して好感を持つておらないと、私の想像でありますが、私は思つておるために銀行というものは本当にこの問題には熱意がないと見ておる、これに対しては何らかの銀行に対して手を打つて頂かなければならんと考えております。  それから今まで日が浅いのでありますが、一体何件貸出をしたか、それから何千万円か何億か貸付をしたかということがおわかりでございましたらお知らせを願いたいし、今おわかりにならなかつたら、あとから一つお知らせを頂きたいと思います。
  25. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 銀行についての御警告を拝聴いたしたのでございまするが、私どもといたしましてももとよりさような心持ちで銀行にはいろいろと申しておるのでございます。ただ中小企業金融公庫の発足前公庫と類似の業務をやつておりましたところの日本開発銀行中小企業向け貸出の場合におきましても、この銀行貸出残というものは相当伸びております。今後とも中小金融公庫の代理店といたしまして銀行が十分サービスのよろしい運営をやつてくれまするように、全銀協等にも十分の申入をいたしておるのであります。銀行がこの公庫に対しまして好意を持つておらんという点につきましては、これは私はさようではないように思うのでございまして、なかなか私どものほうに対しましては相当の熱意を表現して参つておるのでございます。それが中小企業者に対して熱意が若しないといたしますれば、それは遺憾でありまするから、十分の注意を持つて今後の運営を図つて参りたい、かように思います。  数字の点につきましては十月の中旬締切りの数字といたしまして、申込の受理を受けましたものが六百十三件、金額にいたしまして十七億一千八百万円というものでございます。貸付の決定をいたしましたものが二百二十三件、金額にいたしまして六億三千四百万円という程度の貸付決定をいたしておるのでございます。まあ開店早々事務所も狭隘であり、又事務所を移転いたしましたり、非常に混乱をいたしておりまする状況におきましては、先ず先ず公庫としてはかなりの事務処理能力を示しておるものと思つておるのでございまするが、なお年末を控えておりますることでもございまするし、中小企業者の公庫の資金に対する熱意にも応えまして、一層の努力を傾倒いたしまするように督励をいたしておるような状況でございます。
  26. 西川彌平治

    西川平治君 何でしようかな、この予算で決定をいたしておりまする金額の割当は、その額を私は聞く必要はございませんが、それを小出しに一期、二期、三期というように分けて銀行なり信用金庫なりにその割当をしておるのでありまするか、その総枠、これだけお前のところに割当をするが逐次これだけの金をやるというようにいたしておりまするか、その点を一つ伺いたいということと、いま一つ運転資金に貸すということは非常に私は結構なことでありまするが、今の場合なかなか設備資金にすらも、これは六百十三件という御数字をお出しになつておりますが、私はこれは恐らく倍くらい出ておるのではないかと、私の調べによりますると出ております。それは恐らくこのこちらに廻つて来たのがそうなんでありまして、途中に引つかかつておるのはこの倍くらいあると私はまだ思つておるのであります。でありまするから、さようなふうで、設備資金のほうの問題がいま少しくめどがつかないと、運転資金なんというものを伸ばして頂きますとますます混乱するのじやないか、かようなことを考えておりますが、この点如何でしよう。
  27. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 資金の枠の問題でございまするが、公庫といたしましては発足当初九月に関しましては特に枠をつけませんで、大体開発銀行が月五億出しておりましたので、五億に相当いたしまする枠がそれぞれの金融機関に従来あつたわけでございます。と申しますのは、先ほども申上げましたように、発足当初におきましては、公庫は日本開発銀行の代理店でありました金融機関を差当り代理店に選定をいたしました関係上、九月に関する限りにおきましては、開発銀行の代理店として動いておりました金融機関が同時に公庫の代理店という関係になつたのでございまして、従つて、開発銀行の月五億の枠がそれぞれ金融機関にあつたわけでございます。それの三倍程度のものをプラスして極力貸出を推進するようにというふうな大まかなことでやつたのでございます。十月から十二月までの関係につきましては、これは三カ月間として枠を出しておるのでございます。大体公庫の今後の運用といたしまして、四半期ごとに代理店に対しまして枠を与えまして、その状況を見ながら次の四半期におきまする枠の設定をやつて行くという段取りで進んで参りたいとかように考えておるのでございます。なお設備資金運転資金との関係につきましてお話がございましたのでありますが、私どもといたしましても、公庫発足当初におきましては、今も繰返して申上げましたように、代理店自身が開発銀行の代理店であつたという関係から、設備資金関係についてはかなり経験がありましたけれども、長期の長い運転資金というものにつきましては一般に経験が少い、なお長期運転資金というものは果して何か、短期のものが溜まり溜まつて長くなつたというものではなくて、当初から本来長期であるべき運転資金というものはどういうものかということのなかなかけじめというものも困難でございます。さような意味合いから、先ず差当りといたしましては設備資金並びにそれに関連する資金に一応限定をいたしまして、公庫の運営を図つてつた次第でございまするが、中小企業金融の現段階といたしまして、公庫が非常に熱望されておりますところの一つの理由は、やはりこの設備資金のほかに長期運転資金貸出す、つまり開発銀行と比べまして長期運転資金が新たに加わるということが一番その魅力であるというふうな意味合いの要望が強かつたのでございます。従いまして、お説ではございましたけれども、設備資金関係だけに公庫の活動を長い間限定して置くということは、どうしてもこの中小企業の要望に応えるゆえんではなかろう、こう考えまして、爾来研究を積みました結果約二カ月程度の後最近この長期運転資金につきましても或る程度の成案を以ちまして業務を開始するということにいたしたのでございます。私ども最も心配をいたしておりまするのは、先ほど御指摘ございましたように、代理店の数がかなり多くございます。従つて末端の窓口が十分にこの長期運転資金というものの考え方をこなして実際に運用して頂けるかどうかという点は確かに懸念いたしておるのでございますけれども、これは新らしい金融機関ができました当初としての悩みでございますので、これをまあ解消しながら、設備資金と並びまして長期運転資金の円滑なる貸付ということに邁進をいたしたいというふうに考えておるのでございまして、混乱を来たしませんように十分の注意を払いながらも、やはり私は長期運転資金というものも出されなければならない。特に年末を控えまして長期運転資金は或る程度でも出まするならば、延いては短期運転資金として最も需要の外いこの年末金融にそれだけのやはり間接的ではございましようが、潤いを来たすということも考えられまするので、特に年末に際して長期運転資金の業務開始を始めさすことにいたした次第でございます。
  28. 西川彌平治

    西川平治君 私はこの長期運転資金に反対するものではございませんが、一つこれに対して是非御注意を喚起して頂きたいと思いますることは、今銀行におきましてこの運転資金が非常に焦付いているというものが多いのであります。その焦付きを耐ちに長期運転資金に変る虞れが多分にあると私は思うのであります。この点一つ十分警告を発して頂きたいと思いますし、それからいま一つこれもお願い申上げたいことは、この指定をされました六十七の銀行並びに六十六の相互銀行にはそれぞれの支店が相当ございますが、その支店は全くこういうものに対して徹底をしておりません。徹底を欠いておりますから、どうか一つ末端に徹底させる意味において支店の徹底方を銀行並びに相互銀行に対して十分一つ申入をお願いいたします。以上でございます。
  29. 海野三朗

    海野三朗君 中小企業庁長官に伺いますが、地方で公庫から金を借りたいという申出の件数と、それに対して貸出した件数と金高と枠の資料の提出をお願いしたいと思います。これをお願いをしておきまして、只今の十月末までの申込は六百十三件、うち貸出したものが二百二十三件、約三分の一になつております。十七億に対しまして六億、誠にたくさんのお金でもう少しこのお金、これはこの六億きり枠がないのでありますか、これが一つと、東北地方の山形県のことでありますが、山形県全体に何でも聞くところによると五千四百万円きり枠が行つていない、それに対しての要求額が五億数千万円になつておる、十分の一の枠きり行つていない。そこで何を基準にして中小企業庁はその枠をきめておるのであるか、その枠を承知いたしたいと存ずるのであります。先ほどのお話ではこの枠は何か秘密にでも属しているかのごときお話でありましたが、正しくあるならば何もその枠を隠す必要は私はないと思いますから、この枠をきめられたその枠は何によつてきめたか、それをお伺いいたしたいと思います。
  30. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 只今資料の提出の御要望がございましたので、勿論御要望の提出はいたすわけでございまするが、最後の御質問とも関連して申上げたいのでございます。個々の金融機関に対しまする何金融金庫、何銀行に何ぼの枠というやつは、これは従来の金融界のしきたりといたしまして発表いたさんことにいたしておるのでございまして、個々の金融機関別の枠につきましては御勘弁を願いたいのでございます。大きな枠といたしまして商工中金に何ぼ、商工中金は一つしかございませんから止むを得んのでございますが、銀行全体に何ぼ、相互銀行全体として幾らというふうな程度でございますれば、これは御提出を申上げたいと存ずるのであります。  それからなお山形県につきましてのお話があつたのでありまするが、公庫の資金の枠の決定につきましては地域的に幾ら出すというふうな意味におきましての枠は出しておらないのでございまして、それぞれの代理店になつておりますところの金融機関の力の関係とか、或いは又過去におきまする中小企業金融に対して努力をいたしておるその程度でございますとか、いろいろな点を勘案いたしまして公庫のほうで一応やつておるのであります。先ほども申しましたように、一・四半期ごと枠をつけて参りますので、金融機関の公庫の趣旨に則りまするところの活躍が非常にまじめに十分できておりまする点につきましては今後の枠の設定について考慮をするということに相成ろうかと思うのでございます。  それから先ほど私が申請の受理をいたしましたものが六百十三件、そのうち貸出の決定をいたしましたのが二百二十三件ということを申上げましたのは、公庫の事務処理が或る程度勉強しておるというここも附加えて申したのでございまして、二百二十三件、六億という決定は、枠が六億しかないから六億しか出さなかつたということではございませんで、六百十三件、十七億の申請が各地の代理店から公庫に対して出て参りました。それを公庫が受理いたしましてその出て参りました書類を公庫の運営上間違つた申請があるかないかというふうなこと等について審査をいたしまして、その上で決定をいたすのであります。つまり申請を受理いたしましたもののうち審査いたしました結果現在までに貸出をいたそうと決定したものが二百二十三あるという金額が六億あるということでございまして、六億以上金がないから出さんという趣旨ではないのでございます。
  31. 海野三朗

    海野三朗君 個々の十月までの枠は幾らあるのでありますか。それから各県に対しての私が枠をお聞きしたいと言いましたのは、一つ銀行についての枠ではなしに、山形県なら山形県に何ぼ、宮城県なら宮城県に何ぼ、その割当の枠をお聞きしたのであります。ここの六億というのはもうみんな全部貸出されたものでありますか、まだ残つておるのでありますか、それをお伺いしたい。
  32. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 先ほど申上げましたように、公庫といたしましては地域別、地域別と申しますことは府県別を意味するのであります。地域別の枠は設定いたしておりませんので、山形県に何ぼということは申上げようと思つても申上げようがないのでございます。それからなお先ほど申しましたように、貸出の決定が六億と申しましたのは、申請を受理いたしましたもののうちから審査が済んで貸すことにきめたものが六億という意味でございまして、枠が六億しかないということではないのでございます。第三四半期といたしましては公庫は全国金融機関に六十億の枠を出しておるのでございまして、枠があるとかないとかいうことと、この六億の貸出の決定をいたしたということとは直接の関係はございません。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、六十億は予定しておられたわけでありますか。
  34. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 第三四半期、十月から十二月まで各金融機関全部で六十億までは貸出してよろしいという枠を金融機関別に細分して出してあるわけでございます。
  35. 海野三朗

    海野三朗君 今資料の提出をお願いしましたほかに、只今まで各金融機関に対するその枠はお話できないということでありましたが、そういたしますとその方法は納得の行かざる方法をおやりになつておるもの、こう私どもが考えてよろしうございますか。そこをもう少し御説明を願いたい。
  36. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 納得の行く、行かんというふうにおつしやいますと甚だ私も困るのでございまするが、個個の金融機関幾ら枠をつけたということを出しますことは、それぞれの金融機関の営業上の問題に非常に影響がございまするので、金融界の慣例といたしまして個々の金融機関銀行で申しますれば例えば日本興業銀行に何ぼの枠、或いは山形県の何々信用金庫に何百万円の枠をつけたという個々の枠は申さないことになつておるのでございます。これを発表いたしますることは、私どもが金融機関の営業上に或いは間接的に援助を与えたり或いは妨害を与えたりするような結果になりますので、個々の金融機関についての枠は発表をいたさないということになつておるのでございます。先ほど申しましたように分類別の枠につきましては御要求によりまして全国の相互銀行全部で何ぼ、全国の信用金庫全部で何ぼという程度資料でございますれば提出をいたさして頂きたい、かように申しておるわけでございます。
  37. 海野三朗

    海野三朗君 只今の御説明でわかりました。私は先に申しました山形県のほうの申出に対しまして、借りられることになつたのは丁度十分の一にも満つか満たないというような状態でありまして、私のほうでは中小企業金融公庫なんというものは非常にいかがわしいものというような感じを以て眺めておるのが非常に多いのです。その理由は何遍申込んだつて、長くじらせておつて、そうしてあとから結局駄目だ、枠がなかつた、こう断わられておるものが非常に多いので、そういうことを私が耳にしておるものでありますから、山形県に対しましては幾らの枠があるかということ、又どうしてもこの件数から申しましても、もう少し枠を拡大してもらわなければいけないというふうに私は考えます。その半面においては闇金融が非常に横行しておるのである、そうしてこういう方面の、中小工業方面を救おうという政府のお考えに潤うていないのでありまして、東北地方につきましては中小企業庁長官としてどういうふうに御覧になつておるのでありますか、その御所見をちよつと承わりたいと思います。
  38. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 東北地方についてどう考えておるかという御質問でございまするが、私どもといたしましては、何地方については特に余計金を出すとか、どこの地方に対しては金の枠を特に減らすとかいうふうな作業は全然いたしておらんのであります。先ほど来申しまするように、それぞれの金融機関中小企業に対しまする過去における努力の結果でありまするとか、或いはその他金融機関の中身の問題でありまするとか、いろいろの点を勘案いたしまして決定をいたしておる次第でございまして、東北地方は特に意識的に資金の枠を減らすというふうなことはもう毛頭ないのであります。お説の中にございました申込に対してなかなかその金が足らんという点につきましては誠に御同感でございまして、私どもといたしましては、本年度の出資金百三十億円、資金運用部からの借入金二十億円、計百五十億円、その他過去の回収金等若干でございまするが、大体この百五十億円で公庫の店開きをいたしたわけでございまするが、これでは不十分であるという見解から、明年度の公庫の運用資金といたしましては、少くとも二百億円程度資金を確保して、更にこの公庫の扱つておりまするような種類の資金を渇望されておる中小企業者がたに対しまして、できるだけ多く金を流すようにいたしたいというつもりで目下努力をいたしておるのでございます。公庫の資金が逐次充実するに伴いまして、さような状況もだんだんと緩和されるものと期待いたしておるのであります。  なおその他の点につきましては、公庫の運営上、十分注意をいたして参りたいと思います。
  39. 海野三朗

    海野三朗君 それでは資料の御提出は近々中お願いできますか、臨時国会の開会中、勿論……。
  40. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 先ほど申上げました金融機関の大分類別のものでございますればすぐでも御提出を申上げます。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 成るべく早くお願いいたします。
  42. 小松正雄

    小松正雄君 長官にお尋ねいたしますが、この金融公庫の予算総額百三十億と私は考えておりますが、そうでありますか。
  43. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 只今、先ほど申上げましたように出資金百三十億、資金運用部からの借入二十億、この百五十億が根幹でございまして、なお公庫が開発銀行から引継ぐ予定になつておりまする過去の中小企業向けの債権からの上り高まあ十億くらいあるかと思つておりますが、これは多少未確定な分がございますが、これを仮に十億と予定いたしますれば、本年度公庫の運用資金量としてよていされておりましたものは百五、六十億ということに相成るわけでございます。
  44. 小松正雄

    小松正雄君 そういたしますると、この百五、六十億の金を四・四半期で割ることにいたします。残り三・四・四とこう残るわけでございますね。そうすると、現在六十億は三・四・四半期に割当てたということですね。そうすると四・四半期の三月三十一日までに残りの百億は全部貸出してしまうというお考えはありますか。
  45. 岡田秀男

    説明員(岡田秀雄君) この点につきましては、去る国会におきましてもいろいろと申上げたのでございまするが、九州、山口、和歌山、奈良等におきまして水害が起りましたのでありまして、そのために日本開発銀行を通じまして十一億五千万円という金を六分五厘の金利で災害の復旧資金として出したのでございます。日本開発銀行は昨年末三月三十一日まで毎月五億程度中小企業向け貸出をやつておりましたのでございまして、この公庫が本来一般的には本年度当初から業務の開始をいたすであろうと、こう予算当初は予定をいたしておりましたために、この予算を組みますときに、日本開発銀行はこの三月三十一日で業務を停止いたしまして、四月一日からは公庫に仕事を譲る、若しその間に開店準備等のギヤツプがございまする場合には日本開発銀行が引続いて仕事はしまするけれども、四月一日以降に日本開発銀行が出しました金は公庫がこの債権を現金で買取るという仕組みで大体の予算、法律ができておるのでございますが、従いましてこの六月、七月の水害に関して出しました日本開発銀行の金十一億五千万円というものは公庫ができ上りましたら現金で買取らねばならんことに相成るわけでございます。それから又出資金百三十億円のうち二十億円は商工組合中央金庫に今年の初めに一般会計から貸出した金を振替えて出資に向けておりまするのでございまして、これも実際の運用量からは差引かねば相成らんわけでございます。そういたしますと、商中の二十億と、それから九州等におきますところの災害資金として出しました十一億五千万円と合せますると三十一億五千万円というものがなくなるわけであります。  それから自転車等の関係におきまして、従来競輪から上りました金を自転車産業の振興に使つてつたわけでございまするが、その使つてつたもののうち四億というものが一般会計から自転車産業関係貸出すという関係なつておつたのであります。これを公庫のほうへ一緒にいたしました関係上、この四億の金は紐付で別枠扱いで出すということにいたさねばならんのであります。それから十三号台風が起きまして、これ又この前の九州方面の災害と劣らざる相当の災害でございましたので、これに対しましても或る程度資金を出さねばならんというわけで、七億の資金を九州方面と同様の条件で貸出しておるのでございます。さような意味、それから日本開発銀行が災害関係を抜きにいたしまして四月一日から毎月五億ずつ出しておりましたものは九月一ぱいで三十億出るわけでございます。さようなものを一切合切引いてしまいまするというと、九月以降で大体百億見当の金が残るのでございまして、九月店開き以後百億見当の金を流す、そのうち六十億のものを十月——十二月に出しまして、一月——三月に対しましては約四十億前後の金を出すというふうな段取りに相成るわけでございます。
  46. 小松正雄

    小松正雄君 数学的には大体にわかりましたが、この金を借入れるために、例えば商工中金を通じて、或いは金融公庫を通じて借款をしようという業者が書類を提出、まあ例えばここに出ておりまする書類を受付けたというのが六百八十件か、要するにこれだけある、二百二十件は審査されて金は貸された、残りのほうが三分の二もある、只今でもそういうことですが、これらに対して審査をした結果でなくては金は渡されない、こういうことですか。
  47. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 公庫といたしましては、大体代理店との関係におきまして二つの方式を持つておるのであります。これを俗に甲方式、乙方式と申しております。甲方式におきましては代理店において申請を受理いたしまして、その審査決定までをいたして、このお客様に対しましてはこれだけの金を貸すことに自分としてはきめたという決定の意思表示を付けまして公庫に上げて来るのでございます。従いまして公庫としてはその審査の内容まで立ち入つて詳細にこれを再審査する必要はないのでございまするが、その中には中小企業者にあらざる者に貸出すようなことを言うて来る代理店はありはしないか、或いは計算間違いの書類があることはないか、或いは公庫として貸出すべき業種にあらざる業種に貸出すということにして来るものはないかというふうな、書面上におきまするところの形式的審査はどうしてもこれをやらねばならんわけでございます。それから第二の乙方式といたしましては、代理店が申込を受付けまして審査をいたしまして、自分の意見を付して貸出の決定をきめずに公庫に持つて参る場合があるわけでございます。この場合におきましては公庫は自己の責任におきまして審査をして、貸出すべきや否やの決定をいたすわけでございます。この場合の審査は前に申しました甲方式の場合における審査と事違いまして、内容に入つてまでの審査になるわけでございます。先ほども申上げましたように、九月の十一日に店開きをいたしまして、十月の中旬、つまり三十日までに受付けましたものが六百十三、その間に審査をして貸出決定をいたしたものが二百二十三でございまするから、これは私は公庫としては或る程度勉強をいたしておるものと見てよろしいかと思うのでございます。
  48. 小松正雄

    小松正雄君 然らば代理店と称するのには商工中金も入つておるわけですね。
  49. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) さようでございます。
  50. 小松正雄

    小松正雄君 そういたしますと、この商工中金が受付けて、そうして商工中金で一応調査した結果を具申と言いますか、付けて公庫のほうに廻して来た場合には甲式と認めて或る程度そのまま貸出して行くことに相成るのでありますか。
  51. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 先ほど申しましたように商工組合中央金庫が出して参りまする書類の出し方が、甲式と申しまする、全部商工中金に決定までを任した形の分でございますれば、公庫といたしましてはその書類が形式上の所要の条件を具備しておるかどうかということを審査した上で商工中金のほうへよろしいという通知を出すわけでございまして、それが乙方式の形のように自分で可否の決定をせずに公庫へ書類を廻して参りました場合には、その内、容に入つてまでの審査をいたすわけでございまするから、中金の意見通りに必ずしも決定を見るとは限りません。
  52. 小松正雄

    小松正雄君 この風水害が九州に起りまして、それらの関係が金を借入れるというために商工中金を通じて書類を提出しておる、而も七月初めから書類を出して今日までまだその代理店である商工中金のほうにとどまつておるという実情があるわけでありまするが、これは今長官のおつしやるように、ただ単に貸すことのみが目的であつても、又その間実際に貸さなくちやならないが、或いは貸した金が又取立てができるかというような内容的に調べるために幾らかの時日は要すると言いましても、余りにも長期なつておるという現状が多々あるのでありまするが、これらに対して私考えますることは、少くともこういつた風水害が、そういう災害等によつて金を貸さなくちやならない、緊急措置をとられることにあるにもかかわらずそれができない、できないという対象はどこにあるかといつたらやはり人員が足らない。調べてそういうふうにスムースに次から次へと調査が終つて、そうして本社のほうに廻すという機構に相成ることにはなかなか人員が少いためにできない、こういうことが一つと、なお又中小企業公庫の金の預託であるために、何と言いますか、中小商工中金直接の金貸しと違つて代行的なことであるために、それらから僅かな利潤をもらつてその仕事をやるのに人員を増してまでやつたのでは計算が立たないという、こういうような関係に立つて人員を入れない、貸付けないと、こういうことがあると思うのですが、どうでございますか。
  53. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 具体的なケースといたしまして私そこまで、中小商工中金の九州でございますか、どこか水害地の窓口でどの程度にとどまつておるか十分存じませんが、さような点がございますれば、中金のほうは大いに勉強して速かに書類を提出いたしますように督励をいたしたいと存ずるのであります。公庫の代理店であつて、手数料が少いから云々の点は、これはさようなことはないと存ずるのであります。相当の手数料が各窓口に参りますように仕組んでございます。ただ金融機関の職員と申しますものは、ただその辺から人をかき集めて殖やしさえすればすぐ役に立つというのではございませんので、商工中金におきましても本年度の学校の卒業生を百人くらい採つております。これは各就職戦線から申しますれば極めて大口のところでございます。若手をできるだけ多く採用してこれを訓練いたしまして、それが役に立つようになりますれば、極力忙しい店舗のほうへ廻そうという心組みで努力をいたしておるのであります。成るべくさようなことのありませんようにこの上とも督励をいたして参りたいと存じます。
  54. 小松正雄

    小松正雄君 そこで私は長官に対して特にお願い申上げるわけでありますが、少くとも長官は金融をすることを目的としておられると私は考えるのであります。そういたしますならば、自分の管轄内のこの金融処置がどういうふうに円滑に進んでおるかということを先ずお考えになる必要があると思いますが、どうでございますか。
  55. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 御説の通りでございます。
  56. 小松正雄

    小松正雄君 本委員会でも年末も迫つておりまするし、これは毎年のことでありますが、先輩等からも種々さつきも御覧間があつたのでありまするが、これに関連いたしましてでも少くとも長官は年末を控えて、そうしてその金融をどうするかということについては、質問を受ける前に、今申上げましたように、そういう責任ある観点から各銀行に対してどういうふうな仕方のあり方にあるか、申出はどのくらいあつて、どのくらいまだ調査が未了であるかとか、こういうことを一つ率直にお問いなさつて、そうして私はこの金融が円滑に一日も早くあなたの希望のように相成るように全国内の金融機関に関してそういう通達をしてもらいたいということをお願いしたいと思いますが、どうでございましようか。
  57. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) かねがねそれさような趣旨におきまして督励をいたしておるのでございまして、私の努力の至らざる点がございますれば申訳のないことでございます。今後ともさような努力を一層重ねまして、中小企業関係金融が円滑に参りますようにあらゆる手を講じて参りたいと存じます。
  58. 小松正雄

    小松正雄君 すでに正月も目前に控えておりまして風水害があつて、そうしてそれによつて金が借り得るものなりと中小企業者の人々は考えておる、それがすでに半年にもなんなんとする日になつておつて、そうして最後の段階であなたの今おつしやるように、甲式というか乙式というか、公庫でお調べになつて、これはどうもいけないということで若しそれが却下されるというようなことがあるといたしまするならば、それを当てにしておる中小企業者というものは首を縊つて死ぬ以外に私はないと思います。そういう観点に立つて、少くともあなたは是非ともここ数日のうちに事なきために善処方を通達されんことを特にお願いを申上げておきます。終り。
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) 何か御質疑ございませんでしようか。
  60. 海野三朗

    海野三朗君 只今の問題よりもちよつとズレたことを一つ申上げておきます。前国会におきまして大蔵省銀行券の発行高について質問を発しましたのがそれなりになつておりまするから、この席上で大蔵当局銀行券の発行高、それについていろいろ質問したいのでありますから、銀行側を呼んで頂きたいと思います。この次なりにそれを委員長にお願いいたしておきます。
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) 海野君に申上げます。さつきからやかましく出席を求めておりまするが、衆議院の委員会がまだ審議中でありまして来られんそうでありまするが、済んだらすぐ特殊金融課長がこちらへ参るという通知を先ほど来受けております。もう暫らくお待ちを願います。若しも今日来れなかつたら次回に是非やることにいたします。  なお、私からちよつと長官に伺いたいんですが、例の中小企業金融公庫の窓口は、十一大銀行は一応衆議院の附帯決議に則つてまあやらないことにしておつたのでありますが、その後いろいろ諸般の情勢から、やはり都市における中小企業のためにはやつたほうがいいだろうというようなことで、衆議院のほうにおいてもそういうような意向を表明されたかのように伺つておるのでありまするが、ところがそれより先中小企業金融公庫の坂口総裁の談でございまするか、或いは公式声明か、新聞等に出ておるのでありまするが、これはどういう経緯になつておるのでございましようか。
  62. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 特に大銀行関係についてお答え申上げます。私どもといたしましては、この中小企業金融公庫法案が去る第十六回国会において御審議を願います過程において、衆議院におきまして、この公庫の窓口に当分の間してはならんという附帯決議を付けられた際に、大銀行について中小企業金融に対する熱意が不十分であるなどの改善を要望すべき点が多々あることは、私といたしましても、少くともその中小企業に対しまする貸付額の絶対額においては非常に大きな割合を占めておるのでございますから、これを窓口から締出してしまうということは如何なものであろうか、改善要望ということと窓口から締めてしまうということと直接結付けることはどんなものでありましようかということを、いろいろと数字等を並べまして御参考に供したのでございまするが、衆議院の通産委員会におかれましては、ともかく当分の間大銀行は公庫の窓口から締出すことにするんだという意味の附帯決議をお付けになつたのでございます。ところがその後特に大銀行の締出しによりまして、大都会におきまするところの中小企業者が特に弱つた、例えば名古屋等の例をとつて見まするというと、中小企業向け貸出の約九割強のものがいわゆる十一大銀行貸出なつておる。然るにその九割を占める金融機関が公庫の窓口にならないということは、東海地区としてはもう辛抱できない、同様の事例が神戸、やや数字は下りますけれども、劣らざる状況が東京、大阪等いわゆる大都会に非常に強かつたのでございます。これらの実情が逐次判明いたしまするにつれまして、通産委員会委員の方々におかれましては、あれを余り長くやつておくことは、やはり中小企業金融のためにどうであろうとかいうようなふうなことについて考えをお変え願うような方々が殖えて参つたのでございます。私どもの関係並びに中小企業金融公庫の坂口総裁の談話等、多少新聞紙上に現われましたところにおきましては、語路の強過ぎたような新聞面の現われ方があつたかとも思うのでありますが、坂口総裁の気持は、私自身が承知いたしておりまする限度におきましては、要するに大銀行といえども中小企業金融に今後とも大いに働いてもらう、又公庫の金を中小企業者に渡す窓口としても十分活用いたしたいという、つまりできるならば大銀行もできるだけ早目に公庫の窓口に入れてもらうように、したいものだという希望を強く言つておられたに過ぎないのでございます。その後この十三日でございましたか、国会の閉会中に通産委員会の集まりがございまして、私どもも公庫の総裁もお呼出しによりまして出まして、そうして委員会終了後理事会で懇談をされたのでございまするが、その際大銀行を締出すということはできるだけ早い時期に一つ解除しようじやないか、併し衆議院として通産委員会の全会一致できめたことであり、本会議できめたことでもあるから、休会中にこれを引つくり返すということは多少穏当を欠くから、臨時国会が開かれたならばできるだけ速い機会に、この当分の間というものは、もう十一大銀行に限定いたしませんが、大銀行については済んだんだということを確認して行こうじやないか、それまでの間は大銀行につきましても公庫の窓口にするように準備を進めたらよかろうというふうな意味の申合せともうしまするか、ご懇談ができ上がつたのでございます。この国会におきまして、恐らく衆議院の通産委員会におかれましては、そのご懇談の結果に基きまして、正式にこの大銀行を公庫の窓口にしてもよろしいような御決定があるものであろうと私どもは期待をいたしておるような現状でございます
  63. 中川以良

    委員長中川以良君) それからう一遍私から伺いたいのですが、公庫のできまする際に従来長期運転資金中小企業ではなかつた。そこで長期運転資金を出すということが、これはまあ確認をされて公庫法も通つたわけでありあすが、然るに当初はいわゆる設備資金しか出さないというのがもうはつきり言われた。私どもその前に各地において説明をし、または遊説の際にも、中小企業のために今度は中小企業金融公庫を作ると、而も従来出し得なかつた長期運転資金を出しますということをはつきり言明をしました。然るに最初においてこれが出なかつたことは、これは非常に遺憾だつたのでありますが、まあ幸いに長期運転資金が出るように最近具体的になりましたことは喜ばしいのでありますが、この長期運転資金が大体一件百万円を限度とするというようなことが新聞に出ておつたのでありますが、そういう何か方針がきまつておるのでありまするかどうか、その点を一つ承わりたい。
  64. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 公庫の関係、つまり中小企業金融公庫法の建前から申しますれば、一件当りの貸出金額は普通の場合は一千万円まで、協同組合でございますれば三千万円、こういうことに相成つておるのでございまして、その間何らの制限もないわけであります。ところが、衆議院の附帯決議におきまして、この公庫の資金量と睨み合せまして、余り大口の資金貸出が偏在することを避けねばいかんという意味合いから、大体まあ三百万円程度のところで一応考えたらどうだと、それ以上のやつはよくよく必要の場合には出してもいいが、一応はまあ三百万円程度のところを標準にして考えて行つたらいいじやないかというふうな、まあ御趣旨が附帯決議に盛られておるのでありまして、その三百万円がいいか悪いかということは別といたしまして、この公庫の金が或る一つ貸出品に偏在をしないように、一千万円の貸出が仮に一千件ございますれば百億に相成るわけでございまして、さように偏在を示してはどうもならんから成るべくまあ多少薄くとも広く貸すような努力をせよというふうな御趣旨と私どもは解しまして、公庫発足と同時に業務方法書等を作ります場合にも一応三百万円を境として上下の手数料の扱い方を変えますとか、或いは貸出申請の場合に特に三百万円を超します場合には、超す理由について記載を求めるというふうな措置を一応とつておるようなわけでございます。これが運転資金になりまするというと、特に長期運転資金として、本来長期であるべき運転資金として如何なるものが該当するかというふうなことの研究に時間がかかつたのでございまするが、運転資金の要望というものは、これは設備資金の問題より更に数が多かろうと思うのであります。従つて、これを一カ所に集中せしめず、或る程度分散をして皆さんに均霑を願うと同時に、大体余り一件当りの金額が非常に少な過ぎて、貸してもらつて意味がないということでも困るというので、大体運転資金でございますれば、百万円程度あれば概括論として或る程度の効用を発揮するであろう。併し特に必要がございますれば百万円以上でもかまわないのだという点で百万円という数字一つの目安として、代理店に指示をいたしておる次第でございます。要は当該中小企業者の資金の需要する程度というものと公庫の懐ろ工合とを睨み合せまして、一つの妥協点のような意味合いにおいて目安を代理店に示してやるというふうにお考えを頂きたいと存ずるのであります。
  65. 中川以良

    委員長中川以良君) 最後にもう一点伺いたいのでありますが、どうも各代理店の出先では、この手続その他が周知徹底をしておりませんので、先ほど来皆さんの御質問の中にもあつたのでございますが、非常にどうも指導をされる金融機関が借りようとする者に指導する態度と申しまするか、その手段と申しまするものが誠に不徹底であり、而も懇切丁寧にやつていないという面が随分あるのでございます。そういうことを各地方を廻りまして随分聞くのでありますが、この点まだ初めだから仕方ないのでありますが、一瞬努力をして頂かなければならんと私は思うのであります。而も今の運転資金のごとき、今日でも、極く最近の話てございますが、地方銀行の窓口へ行つた運転資金は絶対に出さないということをはつきり言明しておるのであります。こういうような点もあるのであります。そういうようなことがあるためか中小企業金融公庫においてはどうも今のような自分らが直接手足を持たなければどうもうまく周知徹底をしないというような考え方からややもすると従来私どもは余計に中小企業金融公庫の出店というものは出さないということにこの法案審議の際にもきめておつたのでございますが、各地にそういつた手足を直接持とうというような考え方が擡頭して来たかのように窺われるのでありますが、この点はどういうふうに長官として考えられておられるでしようか。又如何にこれを御指導なさるということでありましようか、その辺の御所見を伺いたいと思います。
  66. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) その点は私どもも同様にその欠陥を痛感いたしておるのございまして、一日も早く趣旨の徹底ができますように更に努力いたしたいと存じておるのであります。  公庫の関係につきましては中小企業庁自身といたしましても各ブロック別に金融機関を集めまして説明会を催し、そのときには公庫の人も来てもらい、又公庫の理事その他の職員、高級職員におきましてもほうぼう旅行して歩きまして、その説明を縷々やつておるのであります。更に相互銀行協会、或いは信用金庫協会等それぞれの代理機関の団体に頼みまして最近の機会に各ブロック別にそれらの窓口になつておりまするものの参集を願いまして、更に詳しく、中小企業庁的な説明ではござませんで、本当金融事務に即した細かい説明会も更にやろうというふうなことでございまして、趣旨の徹底を図りたい。その意味から申しまして公庫側におきましても東京から一々出向いおつたのではなかなか趣旨の徹底を期しがたい。又只公庫並びに公庫の代理店に関しましての苦情と申しますか、希望と申しますか、さようなものの受付、その公庫への滲透というようなものも不十分な点があるのじやないか、或いは又質疑応答をいたすにいたしましても東京からではなかなかむずかしい。又代理店から書類を東京まで持つて来て不備であつた、それを更に返すというのではなかなか手数がかかるというふうな意味合いから、いわゆる直接貸しというような意味合いにおきます店舗ではございませんけれども、今申上げましたような機能を営み得る人間を要所々々に常駐させまして、公庫の運用を更に全きを期したいというふうな希望が強いのでございます。私どものほうといたしましても、その趣旨の希望は至極尤もな点があろうと思いまするので、簡素な形を維持しながらも、さような趣旨のものを設けることにつきましては賛成の意を表しておるのでございまして、ただ物事を実情に即して処理し得ない人間を常駐させましたのでは無意味でございますので、さような点を睨み合せまして、徒らに機構の厖大を避けながらさようなものを実現さしたならばよろしいのじやないかと、目下段取りをつけつつあるような段階でございます。
  67. 中川以良

    委員長中川以良君) そうすると、その問題はまあ各所に店舗を出すという意味でございまするが、当初この法案審議中においては、飽くまで簡素強力なものにして機構の複雑化を避けて、従来の金融機構を飽くまで追放するという趣旨であつたのでありますが、そういう指導員をどこかに置くとか、或いはそういう或る程度責任の持てる者を配置するという意味合いからならまだ話はわかるのでありますが、店舗を持つてそこで営業をするというようなことになりますと、どうも初めのところ我々のいわゆる特別会計に代つての機関として考えられた趣旨と大分変つた性格になるのじやないかということを恐れるのでありますが、その辺はどうですか。
  68. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) その点は先ほども私申上げたと思うのですが、貸出業務をやるという趣旨ではございませんで、公庫と代理店との間乃至は公庫を利用せんとせられてまするところの中小企業者との間の情報の交換、質疑応答、希望の受入れ、或いは東京で審査をしてつき返すための時間的ロスを要所々々で一応下見をして、それ以上の欠陥を是正する機関を作るというふうな意味合いにおきまするサービスの延長としての駐在員制度というものを考えたら如何かと考えておるのでありまして、これは公庫の機能が結局は中小企業者に対しまするサービスの徹底ということにあろうという観点からいたしますれば最小限度必要なことではなかろうかと考えておるわけでありまして、繰返し申上げましたように、機構の重複、機構の煩雑さというものを避けながら、サービス上必要なる最小限度のものを考えたいと思つております。
  69. 中川以良

    委員長中川以良君) 直接営業の店舗を設けることじやないというふうに解釈して差支えないのでございますね。
  70. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) さようでございます。
  71. 中川以良

    委員長中川以良君) そういう意味から申しますと、従来の商工中金等を活用して、そういうようなところに成る程度責任ある人を配置するということに具体的にはなるわけでございますか。
  72. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 日本開発銀行が曾つて中小企業向け貸出をやつておりました場合には自分の支店を持つておりましたのでありますが、支店のない所では興業銀行の中に開発銀行の人間を置いて、足らんものは当該日本興業銀行の職員を開発銀行の兼務みたいな形で仕事をさしておつたというような例もあるのであります。それから又私どもの借用保険特別会計におきましては、その実務を商工中金に委託をいたしましてこれにやらしておる、この場合には役人は商工中金のほうは一つ行つておりませんけれども、実際上商工中金に国の事務を委託してやつておるという実例もございます。さような趣旨でございまして、直接公庫のささやかな店舗を作るという必要が果してあるかないかということも十分考えねばなりませんし、公庫自身の人間が何人くらい必要かということともこれは関係をいたすと思うのであります。中金の店舗等において場所的な余裕がございますればそこの一隅を貸りまして公庫の人間がいる、そうして人間がおらん場合には、中金の人を兼務のような形で手伝つてもらうというようなことも考えられましよう。或いは中金のほうで受入れが不可能な場合におきましては、又別途な方法を考えなければなりますまいが、要するに実効を挙げて、形式は極く簡素にやるという形でものを進めて参りたい、こう考えております。
  73. 西川彌平治

    西川平治君 今日はこの程度でどうですか。
  74. 武藤常介

    武藤常介君 只今質疑応答を伺つておりまするというと、なかなか、折角の金庫も趣旨が徹底しないところがあるのではないかというようなことも想像されるのでありまするが、さりとて我々はどの程度にこの趣旨が徹底し運用されておるか、実際にわはかりませんから、各県別にでも……、各金融機関というと秘密に付すということがあるかも知れませんが、各県ごとの実績だけでも、何か表でも頂載すれば大変参考になると思います。
  75. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) その点につきましては、先ほど来申上げておりまするように、公庫の業務の単位といたしまして、地域別なことは一切加味しておらないのであります。従いまして、金融機関の種類別の数字は簡単に差上げることができると思いまするが、地域的な数字と申しまするものは、これは出しようがないのであります。例えて申しますれば、金融機関、当該県に本店を持つておりまするところの金融機関数字を集計すればそれは出るかもわかりませんが、これはいささか私どもは金融上の慣例から申しましてどうかと思いまするし、仮にそれを出したといたしましても、他の府県にありまする金融機関が当該府県へ支店を出しておるのであります、その支店の扱う金額はどうかというようなことはこれはなかなか押えられんのでございます。従いまして、府県別に公庫の金がどう流れるかということにつきましては、これは資料ちよつと作りかねる次第でございまして御勘弁を願いたいのでございます。
  76. 武藤常介

    武藤常介君 只今の長官の御答弁ですが、これは極めて簡単だろうと私は思う。府県別に調べるということは、只今の件数にしても約二百件ですから、極めてまだ件数が少いのですから、その調査は簡単にできようと思います。それから余り公開しちやいかん、こういうことならば、これは我々はあえて公開する考えは持つておりません。であるけれどもが、折角我々が作り上げた金庫が如何に活用されておるか、全くわからん状態であるということも面白くないし、今度の金庫の性質から言つて、比較的金融に恵まれない方面の人の状態がどういうふうになつておるか、こういうことも調べて見たいと思うのであります。それができないということはなかろうと思いますが。
  77. 岡田秀男

    説明員(岡田秀男君) 私が答弁申上げましたのは、多少筋違いであつたと思うのでありまして、御質問趣旨を取り違えて御答弁申上げておりました。現在申込のあつたものがどこから申込んでおるかという意味の地域別な件数なり金額でございますれば、これは作つて御提出申上げます。私が申上げましたのは、府県別の枠の資料は御勘辨願いたいということを申上げたのでございまして、何府県から何件、どの程度の申込があつて決定をいたしましたものがどのくらいかということの地域別な数字でございますればこれは作成いたしまして御提出申上げます。
  78. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは中小企業庁に対する質疑は本日はこの程度で打切りたいと存じます。なお公益事業局長が最初御説明をしようとされたところで大臣が参られましたので待つておりますので、これは極めて簡単に短時間に済むと思いますので、出ております二つの書類につきましての御説明を聞きまして、それで本日は散会したいと思いますので、もう暫らく御辛抱願いたいと思います。
  79. 小松正雄

    小松正雄君 こんなことを言うとおかしいとお考えになるか知れませんが、当の資料を出せという藤田さんがおられんですね。これを聞こうとしておつたわけですけれども、一緒に聞こうという考え方でないかと思いますが、如何ですか。
  80. 中川以良

    委員長中川以良君) それではこの次にいたしましようか。ほかの資料も出るそうですから。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会