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1953-11-06 第17回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            長谷山行毅君            小林 武治君            秋山 長造君            田畑 金光君            苫米地義三君            加瀬  完君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    内閣法制局次長 林  修三君    南方連絡事務局    長       石井 通則君    自治庁選挙部長 金丸 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁行政部長 小林與三次君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    大蔵省主計局主    計官      鳩山威一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○奄美郡島の復帰に伴う法令適用の  暫定措置等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○合併町村において郵便局集配区域  及び電話の加入区域に関する陳情の  件   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) これから地方行政委員会を開会いたします。  それでは只今から奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を議題に供します。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 昨日外務大臣のこの問題についての御説明を伺つたわけでありますが、残されているのは事務折衝だけであるので、十二月一日を目途として交渉をしている、こういうお話でありましたが、事務折衝だけであるなら簡単に行くはずではないかという質問に対しましては、相手のあることであるので、そうも行かない。十二月一日というのは延びても、それに近い日で確実かという問いに対しましては、それを目途としているということで明言を避けているわけであります。又政府の今までの言明と、外務大臣との説明にも若干食い違いがあるようにも思われますので、どうもそういう点明確を欠きますので、次の四点をお伺いいたします。  第一点は、副総理は十一月一日か、幾らか遅れるにいたしましても、それに近い日に復帰できるということは、議院運営委員会で御明言なさつたそうでありまするが、外務大臣は、政府は初めから十二月一日を目途としているんだ、こう答えております。ここに食違いがあります。この点が一つ。  第二点は、十二月一日には必ず措置し得るのか、現交渉段階からの見通し。  三点は、外務大臣事務折衝だと言いますけれども、事務折衝だけで政治折衝をしないで解決し得るか。  四点、奄美住民は、行政的にも、経済的にも琉球政府から実質的には切離されたような状態に置かれております。この現実の救済を即刻やらなければならないと思いますが、復帰期日が延びても、早急にこの措置をとるという考え政府におありか。以上四点お伺いいたします。
  4. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私が議院運営委員会で、奄美大島引継ぎの時期を十一月初め頃と申したことのあるのは、今御指摘になりましたように事実であります。それは当時臨時国会召集についての御意見が議運で出ておりまして、当時の政府予算編成事情から、十月末より早くは開き得る見通しがないけれども、十一月になると、奄美大島引継ぎの問題もあるので、十一月の中旬より後になつて不都合を生じそうだからということを言うたような記憶がするのでございますが、その十一月云々と申上げましたよりどころは、これは政府期日をきめたわけでも何でもないので、ダレス国務長官が、日時を忘れましたが、東京奄美大島返還声明をした後、現地において直ちにそれの反響がありまして、これは現地事情を私はよく知りませんが、現地でもつばら十一月初めには日本復帰できるんだという噂が頻りでありました。それが東京に響いて来ておつたことと思います。そういう点から政府としましても、奄美大島復帰の問題の性質から、この引継ぎに関連するいろいろな措置を少しでも遅れないように、当時は私ども気持の上でそういう考えをしておつたのでありまするが、東京アメリカ大使館等との連絡で、そういう日を公けにきめられておつたわけじやない。ただそういう若し十一月にでもなれば手遅れにならんようにという気持を申上げたのであります。従いまして外務大臣が十二月一日を目標としてということの間には食い違いはないのでありまして、外務省としましては、アメリカ側と打合せをしまして、初めから十二月一日を目標として交渉をしておつたようであります。  それから第二の十二月一日を目標にしてできる見通しはつきりしないかという意味の御質問つたように思いまするが、この点は政府としましても、奄美大島の人々の感情も考えまして、極力十二月一日を目標で仕上げたいとやつております。でありまするが、昨日も外務大臣と話をしたのでありますが、いろいろな事項が、これはどうも、こちら側の何といいますか、不準備ではなくて、すぐ渉りそうなことも渉つていないこともありまして、外務大臣としても、十二月一日必ずということを言明し得なかつたのではないかと思いますが、併し十二月一日を目標で極力やつておることはここではつきり申上げていいと存じます。  それから三番目の事務的折衝に任せておいていいかということは、私も一々報告を受けておりませんが、外務大臣から聞いたところでは、今の問題は事務的折衝がいいように考えるのであります。  それから第四番目の問題につきましては、引継ぎ後に不都合のないように、すでに四カ月分といたしまして十億を補正予算に計上いたしておるのでありまするが、その後も事情に応じまして不都合のないように現地事情を十分に検討いたしまして措置をいたすつもりでございます。
  5. 加瀬完

    加瀬完君 昨日も外務大臣国務大臣としても何もかにも知らないと、こういう発言があつたわけであります。只今総理は自分はそういうふうに確かに言つた記憶がある。併し外務大臣アメリカ交渉しておるのであるから、その間には食違いがないというお言葉でありますが、この問題に対して閣議なり或いは政府自体なりで、復帰受入態勢というものを確立されておらないという印象を、我々はそのお言葉から受けるのであります。少くとも確立されておらないという言葉が言い過ぎでありましたならば、現地と同じような熱情を以て受入準備に万全を期しておるとは思われないのでありますが、この点。  もう一つはいろいろな事項を、これも先方都合で渉つておらない、こういうのでありますが、先方都合で渉つておらないのを事務折衝だけに任せておいて、十二月一日というものは確実に期待できるか、この二点お伺いいたします。
  6. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 奄美大島引継ぎにつきましては、政府といたしましても十分の熱情をもつてこの処理に当つておるつもりでございます。私が十月の初め頃十一月云々といつたのは、これはまだ具体的の折衝に入つていない時でありまして、その時期の申し方があやふやであつたから、政府熱意が疑わしいという若し御懸念がありますならば、事情はそういうことで決して政府の根本の態度に不明確を表しておるものではないということを御了承願いたい。  それから事務折衝の点は、これは私現地事情をつき合せてやつているのでありまして、この点十二月一日を目途としておりまするだけに、時々こちらのほうから事情を究明いたしまして、そうして督促するというようなことはやつていいと思いまするが、事情現地でないとわからんことが多いようでございますので、こつちのほうで十分に連絡をしておれば、先ず間違いないと考えております。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 最後一つ事情現地でないとわからないと言いますけれども、現地における事務的折衝ということだけでは、十一月一日という一応の予想が十二月一日を目途とするというふうに変つて来ている。こういうことでは政府自体がもつと本腰を入れて、事務折衝を円滑にし得るような政治条件というものを作らなければ、十二月一日も危いのではないかという当然疑問を持つと思う。そこで十二月一日ということは確実かということだけを伺います。
  8. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今のところ先ほど最後に申上げました通り、十二月一日に是非実現いたしたいと思つてつております。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は簡単に明確に一つ答弁してもらいたいと思います。昨日来の外相の答弁では、甚だ我々にははつきりと把握することができない。今も加瀬委員からの質問があつた点でありますが、先ず十二月一日の期日の問題ですね。これはダレスが八月の八日にああいうふうな南明をした以上は、この期日をきめて引継ぎをはつきりするところのイニシアはこちらにあると思う。日本にあると思う。ところが相手のあることだから、十二月一日ということを目標とするという一応希望の線は出すけれども、これはずれるかも知らんと、こういうふうな極めて何と言いますか、弱い、熱意のない答弁が多いのであります。全く事務的な答弁に過ぎない。本当日本としてこれはイニシアをとつて、十二月一日なら一日の目標実現できると思う。政府にその熱意並びに強力な折衝考えがあるのかどうか、この点を伺いたい。
  10. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 先ほど申上げましたように熱意をもつてつております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは熱意があるとかないとかという簡単な答弁では済まない問題である。私はイニシアをとつてやるかと言うのです。その点をはつきりしたい。どうなんです。  それから若しそこにどうしても期日がずれるかも知らんという障害があるならば、その障害の具体的な事項はどうなんですか、その点を伺いたい。
  12. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 具体的の今どこに障害があるという現在の事情を十分承知いたしておりませんので、政府委員からお答えいたします。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではイニシアをとつてやるかという問題についてお伺いしたい。
  14. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今後のことでございますか。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 この十二月一日の実現に対して、日本はどうしても主導的な立場をもつて行くものかどうか。向うに押されて、相手があることだからといつて、いつまでもずらす……。
  16. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) それは私の承知しているところでは押されるというような問題ではなくして、何か細かい事務折衝がなかなか頭に入りにくかつたり、何かして遅れているように思いますが、それはイニシアをとるということよりも、こつちのほうで熱情をもつて督促して参るということであります。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 私はどうも昨日来の外務大臣の御答弁なり、只今の副総理の御答弁を聞きまして承服できない点は、昨日外務大臣の御答弁によりますと、八月八日にダレス声明があつた直後から、外務省としては、政府としては具体的な交渉に入つて、そうして先ず第一に問題になつた点は、奄美群島の範囲をどうするかという点であつたけれども、それも大体八月一杯に片付いた。そうして九月からは更に軍事施設の留保乃至今後の拡張の問題だとか、更に又通貨の問題、或いは沖繩在住民の取扱いをどうするかというような問題、更に又刑を受けておる受刑者の受渡しをどうするかというような事務的な問題に手間取つておるために、未だはつきりした目途が立たないというようなお話であつた。ところが只今総理お話によりますと、十月の五日に運営委員会で、十一月一日を目標とするという言明をしたときは、まだ政府としても具体的な折衝に入つてなかつたので、そのときの希望的な観測を個人的に述べたにすぎないというような答弁なんですが、これは同じ政府の中で非常に方針が食違つておると思う。すでに副総理お話になつたときには、政府としては具体的な折衝にすでに入つてもう数十日間を経過しておるときです。従いまして副総理言明なさつたときには、まだ具体的な折衝に入つてなかつたというようなことは、少くとも外務大臣の御答弁本当であるならば、副総理の御答弁は極めて不用意な御答弁であり御発言ではないかと思うのでありますが、更に又この間から自治庁長官にも、この問題についていろいろ質したんですが、どうも同じ政府で、こういう重大な国家的な而も内外の非常な影響を持つておる問題、又現地二十万の住民本当に夜の目も寝ない気持内地復帰の一日も早からんことをこい願つておる。で、副総理言明等現地には相当大きく響きまして、十一月一日に必ず復帰できるという期待を持つてつただけに、現在の状態は非常に不安と焦躁のどん底に陥れられているような悲惨なる状態、経済的にも悲惨な状態なんですが、そういう状態を知りながら、同じ政府で、そういうようにはつきりした方針がとられておらない。そうして又自治庁自治庁のほうで、自治庁限りのことだけやつて外交交渉のことは一切知らないとおつしやる。外務大臣に聞けば、その島内の実情がどうなつておるかというようなことは、それは自治庁関係であつて、我々はただ外交交渉をやるだけが任務だというようなことで、外務省の殻に閉じこもつたよう答弁をなさる。どうしても一国の政府の代表としての御答弁が聞けないからというので、特に副総理の御出席願つて政府としての本当はつきりした方針熱意とをお伺いしたい、こういう気持で、我々は副総理の御出席を待つてつたんですが、只今のようなちぐはぐな御答弁になりますと、一体我々として、政府本当にこの奄美大島受入れの問題について、誠意熱意をもつてつておられるのかどうか、全く疑わざるを得ない。それらの点についてもう少し政府としての熱意も、ただ腹の中に持つておるとおつしやるだけでなしに、具体的な行動によつて政府熱意誠意とを示してもらいたい。又今後同時に、そこで復帰期日が延びる間のブランク予算なんかも十月一杯で打切られてしまつておるようですが、そのブランクから生ずるところのいろいろな問題について、責任ある政府として、どういう処置をおとりになるのか、それらの点について、もう一度はつきり政府としてのまとまつた方針をお聞かせ願いたいと思う。
  18. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私先ほど来申上げたことの中にちぐはぐはございません。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 ちぐはぐがある……。
  20. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) どういうことですか。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの加瀬君への御答弁では、十月の五日の運営委員会で十一月一日の復帰目途とすると言明したときは、まだ政府として具体的な交渉に入つていない段階つたから、そういう希望的な観測言つたに過ぎなかつたのだという御答弁をなすつた。ところが昨日外務大臣から聞いたところによりますと、ダレス声明直後から具体的な折衝政府として入つておるのだと……。
  22. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私のお尋ねするのは、私の申上げておる中にちぐはぐがございますかと言うのです。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 そうではない。
  24. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) それならわかります。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 外務大臣の御答弁とあなたの御答弁との間に、そういう大きな食い違いがあるようなことでは、なかなかこの問題がスムースに行かないのが当り前だという感じを受けるから、もう一度はつきり政府方針を聞いておる。
  26. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私はでたらめを言つているつもりは少しもないのですが、八月八日ですか、ダレス長官奄美大島返還声明東京でいたしたのち、二日目くらいに外務省からその引継ぎ措置について、アメリカ大使館を通して交渉を始めたことは事実なんです。でありまするが、私はつきり覚えておりませんが、まだ国務長官声明をされたときには、アメリカ現地関係にも連絡があつてなかつたのじやないかと思いまするが、軍関係のほうでございましよう。そういうことで、すぐにレスポンスもなかつたことも事実でございます。期日につきましての折衝はその後で、私が議院運営委員会で申上げたときには、これは政府でそういう方針はきめた、まだ日本政府アメリカとの間にそういう期日をきめておつたのじやないのです。ただ我々といたしましても、そういう措置現地においてきまれば、折角現地できまつたのに、こつちの中央措置ができんようなことがあつてはいけんから、それで臨時国会を開くにつきまして、不都合のないように十一月の初めにそういうことがありそうな噂が専らでありますので、十一月中頃までには明らかになるまいか、ということを申上げておつたので、その点につきましては私は十月の初めと言いますと、違つたことを申しておるわけでは少しもございません。あと十二月の一日を目標にやるということにつきましては、先ほど申上げたように、政府といたしましては、十分に熱意をもつてつておるつもりで、事務上の小さいことに引つかかつたりなんかしているようなことがあるようでございますが、それは現地話合いをつけて行く以外にやり方がないので、それが遅れないようにするために、十分に中央で気をつけるつもりであります。
  27. 田畑金光

    田畑金光君 副総理に二、三の点についてお尋ねしておきたいと思いまするが、私今回日本社会党を代表して奄美大島現地を視察し、並びに八年間の長い間民族的な悲劇を嘗めた現地人がたの激励をやつて来たわけであります。そういう点におきましては、少くとも政府当局より真剣であり、誠意をもつておるつもりでおります。十月五日の参議院議院運営委員会におきまして、私自身が副総理に対しまして、今の臨時国会においては奄美大島の問題についての受入れ法律等が提案されるのかどうか。この質問に対しまして、初めて政府当局といたしましても、この臨時国会奄美大島の問題も立法措置をやろうと考えておる、こういうような御答弁があつたわけであります。その答弁或いは雰囲気から見ましても、当時において政府当局から、奄美大島問題に関する限り、積極的な意欲を私は酌み取ることができなかつたわけであります。そうして当日実は返還の問題が十一月の一日が延びそうな状況にあるのはどういうわけだと、こうお尋ねいたしましたところが、現地における事務折衝がはかばかしくないために、十一月一日から若干遅れるような見通しである、こう緒方総理並びに稲永官房長官お話になりまして、翌る日の新聞には、福永官房長官の談話として、奄美大島返還は十一月一日から若干遅れる見通しである、こういうことになつたわけであります。実は私一週間現地を廻つて見まして、民心の動きというものを一応見て来たのでありまするが、現地に出発する前に、外務省アジア局第五課長をやつておられる鶴見さんにお会いいたしましたところ、漸く十月の十二、三日頃、沖縄現地当局の、アメリカ側意見もまとまつて本国政府に伝達された、こういうお話を承わつたわけであります。そうして外務省といたしましても一応十二月の一日を目途にしておる。そういうふうな、私は十二月の一日が一応目標であろうと、こう思つて現地に参りましたところ、十月二十六日の情報では、政府の一部筋から来年になるかも知れん、こういうような情報等が伝わつて現地民心極度の不安と動揺を極めておる。これが実情であります。そこで私いろいろ緒方総理の本日の答弁と、昨日の外務大臣答弁内容とを見まするときに、答弁内容において食い違いがありまするが、そういう問題はもう触れたくあくありませんが、ただ私が特に政府当局にお尋ねいたしたいことは、外務大臣お話によりますると、一番困難な問題であつた奄美群島という、この群島領域関係、地域をどうするかという問題、これについても一応話合いがまとまつた。更に今後アメリカ側奄美群島軍事基地施設を持つような問題についても、日米行政協定によつて日本政府は喜んで応ずる。こういう態度をとつたので、アメリカ側も了承した。こういうお話を承わつたわけであります。この二つの問題こそ最も私は困難にして、重大な問題だと考えまするが、少くとも日米外交当局においては、この問題に関する話合いはついたということを明言せられたわけであります。残された問題は、勿論日本の諸官庁の所管事項でもありましようが、引継ぎに伴う諸問題、技術的な問題が残されておるわけであります。そこで私たち特に念を押してお尋ねしておきたいことは、十一月あの声明発表後、すでに日米両国間、外務省アメリカ大使館事務当局相互においては、引継ぎ話合いは進めておるのが現実の姿であります。更に十一月一ぱい継続される。そうして単なる事務引続ぎのために、更に十二月一日が若干延びるかも知れんというようなことでは、日本政府誠意那辺にありやと私は聞いたいのであります。そういう技術的な問題に関する限り、先ほど加瀬君からお話がありましたが、日本政府が或いは指導的な立場に立つと申しまするか、積極的な誠意をもつて当りまするならば、私は十一月一ぱいにおいて必ず処理できる問題だと察せられるのでありまするが、この点につきまして政府といたしましては、一外務省の問題ではなくて、政府全体として統一ある意見を持つて、これに当つておられるかどうか、この点が先ずお伺いいたしたいのであります。  第二に、私はもはや問題は返還期日になつて参りますると、先ほどお話のように現地アメリカ軍政部当局においては、いろいろこの問題に関しては、何と申しまするか、軍事基地として、或いは施設として保留したい気持もあろうと思います。そこでこれはどうしても私はこの段階になつて参りますると、最後は大きな政治折衝であり、外交折衝であろうと存じます。そうなつて参りまするならば、アジア局の一課長に委ねるというような、こういう態度でなくして、飽くまでも日米間の外交折衝として外務大臣総理大臣が取上げて、これはやるべき問題だと思います。我々は日韓会談の失敗を見ましたときに、勿論李承晩の一方的な態度も糾明しなくちやなりませんが、同時に日本政府の、日本外務省のとつた単なる一外交官に、事務官交渉の全権を委ねておるというような、こういうようなところに、私は今日の外交の貧困があると考えております。少くとも日韓会談に示されたような、ああいうぶざまな恰好であつては九仭の功を一簣に欠く憂えがありまするが、この段階においては、日米外交折衝において、MSAに払う努力の万分の一でもよろしいから、この返還の問題に政府当局本腰を入れてやつて頂いて、十二月一日の実現を期してやつてもらいたいと思うのですが、こういう大局に立つ方針をお進めになる御意思があるかどうか、これが第二点。  第三の問題といたしましては、すでに沖縄軍政部司令官から奄美大畠に関する予算措置は十一月末日を以て打切るべし、こういう措置がとられまして、現実奄美大島市町村行政等を見ますると、十月末までの人件費は来ておるけれども、一九五三会計年度に属する七月以降の事業費等は殆んど来ておりません。一方琉球銀行は貸付を引締め回収に乗出しております。そうして又一般の経済取引においてもB円日本円との兌換を目の前にいたしまして、これが日本円三に対してB円一の割合でありますから、経済界は非常な混乱を来たしておる。財政資金は引締められて撒布されない。極度の経済的な混乱を来たしております。従いまして十一月、この一カ月間をどうするかというような地方財政の大きな問題が起つております。更にこれが十二月に延びて参りましたならば、どうなるかの問題、少くともこの空白期間については日本政府が責任を以てこれの善後措置を図るべきであると私は考えますが、こういう点について政府当局一つの明確な方針を打出す気がまえを持つておられるのかどうかというのが第三点。  第四点に私のお尋ねしたいことは、この点は或いはまだ考えておられないかも知れませんが、現地には約四千の公務員がおります。学校の教職員、官公署、自治団体の職員を入れますと約四千人の公務員がおります。そうしてこの中には、勿論昭和二十一年二月一日の行政分離時当時の日本政府に雇用されて、引続き今日まで雇用されている者と、その後、現地の官公署において採用された者があるわけであります。ただこれらの人々の身分取扱いの問題が、恩給におきましても、給与問題におきましても、将来問題が残ると思いますが、少くとも行政分離以後、現地において採用された職員も、その採用された人は、日本返還された以上は、日本政府においてこれが採用された、こういう前提の下に身分を保障せらるべきであると考えられております。奄美大島或いは琉球、小笠原或いは南千島にある同胞こそ、この戦争の最大の犠牲者であり、最大の犠牲を私たちはこれらの現地の人々に負わしておるという、この事実を考えましたときに、これらの問題についても、政府当局においては、当然これらの労苦に報いる措置つて然るべきであると考えまするが、この点につきまして、政府当局の所信を承わつておきたいと存じます。
  28. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 最初の第一の御質問でありますが、私一々報告も受けておりませんけれども、今まで聞いておりますところ、例えば国籍の問題は、今御指摘になりましたように、そう時間をかけなくても、準備を以て折衝に臨めば、解決がつく問題であろうと考えるのであります。何故これが今日まで荏苒としておるかということにつきましては、更によく調査をいたしまして、今お話のありましたような、線の太い外交折衝を要するものがあれば、怠らずその方針をとつて参りたいと考えます。それから予算の問題につきましては、私は実は十月以降の予算も出ておるものと承知しておつたのですが、今現地を実際に御視察になつた意見によつて人件費が出ていない。これは重大な問題でありますので、どういうふうに措置するか、直ちに研究いたします。それから公務員の身分保障等の問題につきましては、政府委員から御説明いたします。
  29. 石井通則

    政府委員(石井通則君) 只今の、現地の公務員の身分に関する取扱いでございまするが、御承知のごとく、先般の議会で御可決頂きました南西諸島の恩給等の特例の法律におきましては、行政分離前に日本政府又は鹿児島県の公務員であつたものにつきましては、琉球政府の時代又今度復帰されたあとにおきましても、身分が継続して行くという措置をとつておるのでございますが、琉球政府で新たに採用されたものにつきましては、理論上から考えますると、これは日本政府又は都道府県の職員として採用したものでありませんので、身分の継続ができない建前になろうかと思います。一昨年十三月の五日に復帰しました十島村の恩給等の特例におきましても、行政分離前の恩給法上の公務員は、引続いて恩給の措置をとつておりますが、新たに琉球政府の職員として採用されたものにつきましては、十島村の場合におきましては、その恩給上の措置をとつていないのであります。この問題は、今回新しく相当多数の新規採用の方々が、復帰後、身分を引継がれるわけでありますので、或いは退職手当、共済組合等の問題と一緒に検討すべき事項であると思います。目下関係省と協議はいたしておりまするが、現在のところまだ結論に至るまで達しておりません。
  30. 田畑金光

    田畑金光君 副総理の御答弁中、更に不明確であり、答弁として不満な点についてお尋ねしたいと思うのでありまするが、鶴の一声という言葉があります。最近吉田内閣の状況を見ておりますると、吉田総理から一声がありますと、各閣僚とも拳々服膺して直ちにこれが具体化のために努力をされる情勢にありまするが、少くとも私は、奄美大局の二十余万の同胞の血の叫びである、而も奄美大島返還の問題、今後の復興の問題ということは、平和条約第三条にあるその他の我が国旧来の領土の返還の問題にとりまして、重大な影響を持つものであると考えております。こういう重大な問題は、副総理といたしましても、政府全体を一つ叱咤激励して、少くとも鶴の一声同様に、現地の声も国民の声にもよく耳を傾けて処理なされるのが、けだし政治であると考えまするが、この点について如何ようにお考になるのか、これが第一点。  第二点は、予算措置の問題につきまして、副総理はそのような実情があるならば、早急に研究しようと、こういうお話でありまするが、その研究は至極結構であります。昨日も外務大臣にお尋ねいたしましたところ、東南アジアに旅行する際、泊縄の飛行場に立寄つたところ、軍司令官が迎えに出ていて、そうしてそういうような心配はないような話だつたと、こういうような至極楽観された気持でありまするが、何事も下僚に任されておる。そこにいつも重大な政治的な問題が災いしておるのであります。この際、若しそのような事実があるとするならば、政府当局はこの空白期間について具体的な解決のために早速手を打つということを、副総理としてお約束ができるかどうか、これが第二点。  第三点は、今石井南方連絡事務局長からの御答弁がありましたが、この際、事務当局では今言つたような研究をしている段階であります。そこで私のお尋ねしたいことは、少くとも行政分離後琉球政府の下において雇用された公務員であつても、これは必要な国家事務、地方行政事務のために止むを得ない採用された人員であります。こういう人がおつたればこそ、戦争犠牲を担わされたものであるということを考えましたときに、これは大きな政治問題として、政府当局は、緒方総理は、少くとも日本政府としては、このような公務員についても、日本政府において採用されたと同様な取扱いをなすべきであるという、これは民族的な共感として当然に持つべきものであると考えまするが、この点について緒方総理としての所見を承わつておきたいと思います。
  31. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私は鶴の一声になりませんけれども、今お話になつた趣旨はよくわかりまするから、何の一声にしても、よく御趣旨の通りにはいたします。  それから第二番目の問題でありまするが、これは引渡前で、現実にどういう方法によるかわかりませんが、これは事実そういう投げやりのことになつておるようでしたならば、折衝間におきましても、アメリカ大使館を通してやれることだと考えます。  それから第三の公務員のことにつきましては、私は十分ここで返答するだけの用意を持つておりませんから、よく事情を調べまして適切な措置を講じます。
  32. 秋山長造

    秋山長造君 これは別な問題になるのですが、丁度副総理がお出でになつた機会をつかまえまして、政府のお考えを質してみたいと思います。  副総理を御承知のように、今日の地方行政は、非常に厖大な地方財政の赤字の問題、又更に当面問題になつておりまする地方制度改革の問題、こういう重大な問題を抱えまして、我々地方行政委員会といたしましても、去る十六特別国会以来、真剣にこれらの問題と取組んで来たわけでございますが、ただ遺憾なことは、この当面の責任者であります塚田自治庁長官が、ただ自治庁長官だけでなしに、郵政大臣でありますとか、或いは行政管理庁の長官でありますとか、更にその後は政府の行政改革本部の事実上の責任者だというような、非常に多忙な仕事を兼ねて持つておられますために、この重大な委員会に御出席をなさる機会が至つて少い。そのために、ただ我々委員会だけでなしに、我々の背後にありますところの地方行政関係の全国の団体、すべて非常に不満と迷惑を感じておることは、御承知の通りなのであります。塚田長官御自身も地方制度の問題については非常に御熱心にやつておられることは、我々も承知しておるのでありますけれども、何分にもさつき申上げましたような多忙な身体でありまして、一つの身体を三つにも四つにもお使いにならなければならないようなことでは、甚だ御本人にも御迷惑だと思う。併し、御迷惑なのは、御本人よりも、更に我々が迷惑なんです。我々委員会としても、非常にこの問題は運営上困つた問題として、かねがねお互に何とか政府として考えてもらわにやいかんという気持を持つて来ております。この臨時国会はすぐ済むにいたしましても、当面の地方制度の重大な課題を控えておりますために、どうしてもこの際、若し政府にして地方自治の問題について積極的な御熱意と責任を持たれるならば、是非専任の自治庁長官を置いて頂きたい。これは強いそういう希望を我々持つておるわけでございますが、政府におかれましては、この問題について何とか善処される御意思がありや否や、その点お尋ねをいたしたい。
  33. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 政府でも、塚田自治庁長官が忙し過ぎるということは感じております。いろいろな事情がありまして、兼任のままになつておりまするが、御質問を承わりながら、すぐ右から左に方法がないかとは考えておりまするが、なかなかむずかしい事情がありまするけれども、御発言の点は誠に御尤であると思いますから、よく研究いたしてみます。
  34. 秋山長造

    秋山長造君 是非何とか専任を置いて頂きたいと思います。
  35. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは午前中はこれを以て休憩をいたします。午後は二時から開会をいたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————     午後二時五十分開会
  36. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続いて委員会を開会いたします。  奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を議題に供します。法案の逐条審議にはいります前に、政府のほうで予算措置説明して頂きます。……それでは逐条説明も併せて進めて行きたいと思います。(「必要なし」と呼ぶ者あり)それでは質疑に入ります。
  37. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 この選挙の問題ですが、国会議員は臨時に定員より殖やす、それから市町村会議員は一応このままと今もなつておるのですが、県会議員のことは何にも謳つてないのですが、必要ないとお考えなんでしようか、それとも政令のほうに譲るというお考えでしようか。
  38. 林修三

    政府委員(林修三君) これは結局この第十条に基きます政令で必要な措置を講じたいという考えでおります。御承知のように地方自治法上この県議会の議員の定数の制限についての規定がございます。これで鹿児島県の人口増加と、この法律の規定で計算いたしました数字では、やはり問題がございますので、多少この自治法上の制限を増加するということを大体政令で書きたい、その範囲において結局県できめるということに政令で書きたい、かように今のところでは予定されております。
  39. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 国会議員も市町村の議員も、一応これはこの次の選挙までの暫定的措置ということになつておるのですから、今、沖繩の立法院議員にこの群島では八人出ておりますが、少し多いかも知れないけれども、丁度県会議員の数がそれに近い、大体六、七人くらいに恐らくなるだろうと思うのですが、そうすると、暫定的にはそれを利用しておつたら選挙を一回省けたのじやないかと思うのですが、どうでしようか。
  40. 林修三

    政府委員(林修三君) やはりこの沖縄の市町村の議会の議員は、これは大体向うにも市町村自治法というのがございまして、大体本土の地方自治法と同様な規定になつております。同様な方法で選挙をし、同様な職能を持つておるわけであります。従いましてこれは大体そのまま引継ぎましても、さほど問題はないのではないかと思います。御承知のような琉球政府の立法院の議員をそのまま県議会の議員にするということは、これは相当制度の違いをそのまま持つて来るということにも相成るかと存ぜられますので、やはり県議会のほうにつきましては、別にやはり定員の増加について選挙をいたすということのほうがいいのじやなかろうか、大体かように考えておるわけであります。
  41. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 警察のことはこの前余り説明がなかつたのですが、警察制度は大体国警か何かに吸収して今のままで吸収できるようになつておるでしようか。
  42. 林修三

    政府委員(林修三君) 大体只今のところの予定では、御承知のように向うの警察制度は琉球の政府の警察局の支部と申しますか、いわゆる本土で申せば国警的な警察に全部がなつておるようでございます。大体において当分の間は少くともそれを引継いで国警としてやつて行きたい。警察法の建前から申せば、市には向うの公安委員会を置くという建前でございますので、警察法でも一部の例外はございますが、少くとも暫定的には今の警察制度をそのまま引継いで行くほうがいいのではないか、大体かように考えております。
  43. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 地元では食糧管理法の施行を暫く延ばしてくれという希望を出しておりますが、恐らく供出やなんかを暫く免除して、今のような程度でやつてくれということではないかと思いますが、大体政府として政令の準備には食糧については何も不安はないでしようか。
  44. 林修三

    政府委員(林修三君) これは或いは農林省からお答えすべきことかと存じますけれども、食糧管理法の施行を延期せよというような御希望が地元からあつたことは承知いたしております。これは併し食糧管理法は供出の面だけでなく、配給の面についても相当規制いたしておりますので、むしろやはり食糧管理法は施行したほうがいいのではなかろうか、その中で多少現地事情に合わない、例えば供出等の点につきましても、仮に現地事情に合わない点がありますれば、それは暫定措置でやるほうがいいではないか、そういう方針ではなかろうかと実は思つております。具体的な政令の内容につきましては、まだ農林省と打合せておりませんですが、大体の考え方はそういうことです。
  45. 若木勝藏

    若木勝藏君 長官に伺いたいのでありますが、この暫定措置等に関るすという法律は、先ず今度返還される場合の善後処置というような面が主になつておると思うのであります。それで八年も遅れて本国に帰つて来たというような実情から見れば、相当これは先般来の現地の方々のお話を通じてみましても、荒れ果てておるということで、それでこの法律にかかわりなく、特に奄美群島を振興するとか或いは復興するとかいうふうな、そういう法律などを今後出すところの御意思があるのかどうか、この点。
  46. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは御指摘の点、御尤もだと思いますので、何らかそういう趣旨のものを考えなければならんのじやないか、こういうふうに思つております。
  47. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは次に二、三伺いたいと思うのでありますが、逐条になるかも知れませんけれども、第二条につきましてそれぞれ政令で定める日まで施行しない、それでまあ二十六号がここに出ておるのでありますが、これらは政令のほうによるとして出ておりますけれども、結局は六カ月を経過しないうちにやるということについては、現地実情等から考えまして、そこに無理の起るような場合がないかどうかということについて……。
  48. 林修三

    政府委員(林修三君) この本土の法令で、二条の一項に掲げておりますものの施工につきまして、成るべく現地事情に併せて極力これを施行してもらいたいという御要望も現地のほうであるわけであります。当然こういうことは盛り込まなければいけないと思うわけでございます。ここで一応六カ月というふうに限りましたのは、これはやはり何と申しましても、本土の一部になりまして、行政、司法、立法の権限が変つて来ました以上は、そこに特別な法地域を長く置くということはやはりどうかと思われますので、やはり或る程度恒久的な制度として、特別な措置を必要とするものについては、特別な別の恒久的な立法をするほうがいいのではなかろうか、大体かように考えまして、これは一応六カ月を目標にいたしております。  それから、ここで更に六カ月以前に施行するものがあるのではないか、それは適当かどうかという御質問だと存じますが、只今のところでは、第二条の一項に掲げてあります法令のうち、大体税法が主でございます。税法の中の直接税に関するものにつきましては、これは大体におきまして琉球で行われております直接税の法律よりも、本土のほうの直接税の法律が相当税率なんかは軽いのでございます。従いまして、そういう意味から言えば、又年度の区分の問題もございますし、例えば所得税なんかは一月一日から適用するというので一番区切りがいいというような、そういうところから、只今のところ大蔵省では直接税に関する法律は二十九年の一月一日を目途として施行するようにしたらどうかということを考えておられるようであります。勿論これは現地事情等或いは要果等に応じて、確定的なものではないと存じますが、一応直接税に関するものは多少早目に施行したいという気持を持つておられるのじやないかと思います。
  49. 若木勝藏

    若木勝藏君 もう一点伺いたいと思いますが、第三条の第二項ですね。これは議員の定員について暫定的な措置とも考えられるのでありますが、これは将来鹿児島県のいわゆる第三区になりますか、そういう方面の定員を増すところの御意思があるかどうか、いつまでもこの暫定のような措置が行かれるのか、これらについて伺いたいと思います。その方針を伺いたい。
  50. 金丸三郎

    政府委員(金丸三郎君) 全く暫定的措置考えでございます
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 私の質問が明瞭でなかつたかも知れませんが、今後鹿児島県の第三区の定員を増して、この方面を選挙区の中に入れるところの方針があるかどうか、その点を伺いたい。
  52. 金丸三郎

    政府委員(金丸三郎君) 別表が改正されます際に、どういうふうになりますか、その点はわかりません。別表の改正は昭和三十年が予定されておりますが、その際に、直前に行われた国勢調査人口に基きまして、各府県別に衆議院議員の定数を配当して、それを且つ又選挙区に配当すると、こういうやり方を従来とつております。従いまして国勢調査の結果がどうなりますか、それによつて変るかもわかりません。現在の公職選挙法の基礎になつておりますのは、昭和二十一年の国勢調査人口でございます。これで鹿児島県の人口に大島郡の人口を入れて配当をいたしますと、十二名になつて参ります。現在より本当は二名多かつたということが言えます。現在一番新らしいのは昭和二十五年の国勢調査人口でございます。これは公職選挙の別表ができます際には、まだ行われておりませんでしたから、これは基礎になつておりませんが、これで府県別に議員定数を配当いたしてみますと、鹿児島県は十一名になつて参ります。御参考までに申上げておきます。
  53. 田畑金光

    田畑金光君 ちよつと二、三お尋ねいたしたいのでありますが、現地地方財政を見ますると、内地と大分様子が違つて住民の税負担というのが殆んど市町村財政の六〇乃至七〇%を占めており、内地においては平衡交付金、国庫補助金が主たるものであり、正にその逆の状況にあるわけであります。おまけに琉球教育法に基いて教育税というものが負担されておる。この教育税等は、殆んど市町村が徴収するにも徴収の方法がない始末に今日になつておるわけであります。そういたしますと、受入後の市町村財政の問題でありまするが、相当額の滞納があるという状況であります。こういうような問題につきまして、受入れた場合には、例えば地方税法等は据置きと、こういうことになつているようでありまするが、この変化に伴う当時における市町村財政の困窮、こういうような問題について、自治庁としてはどういう対策を以て処理されて行こうとする方針か、先ず第一点、この点についてお尋ねいたします。
  54. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはいろいろ検討いたして見ました結果、非常にこの財政力が弱いということがわかつておりますので、勿論個人の生活の面におきましても、生活保護法その他で以て相当救済をしなければならん部分が多いようでありますが、自治体の財政につきましても、同じような今の考え方で、果して今の税法で以て立ち行く程度であるか。若し立ち行かない程度であるというならば、税法も考えなければならんと思つております。勿論国の税法に歩調を合せて行かなければなりませんが、その場合に、御指摘のようにそれだけ税が収まらないということであれば、それに対してはやはり適当な措置を講じて、何とかして最小限度には、これが内地の市町村なみに町村の運営ができるようにして差上げなければならん、こういうふうに考えております。従つて具体的の内容としては、平衡交付金も相当額出す必要があろう、こういうふうに思つております。
  55. 田畑金光

    田畑金光君 更に関連いたしますが、現在の現地の市町村財政というものは、内地の市町村財政の規模に比較いたしますと、四分の一乃至酷いところは五分の一、こういう財政規模で賄われております。戦争前に比較いたしますと、やはり四分の一前後になつて縮小されているわけであります。そういうような財政の中で、而も税源が六〇乃至七〇%を占めている。従つて滞納が出て来る。こういうような状況でありますると、勢い役場の人件費を賄うのが精一ぱいで、積極的な出資者がない、こういうような状態で、従つて返還なされますと、当然に内地の市町村と同じような平衡交付金とか或いは又国庫補助金というものが、殊に強くこれは考慮願わなくちやならんと思うのでありますが、そういうような点が、今回の十億予算で賄うというお考えで、この予算は組まれているのかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  56. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今お尋ねの点につきましては、年度内町村には相当金はやらねばならんことは、今長官も申された通りでありまして、それに必要な金額は十分に入つているはずでございます。
  57. 田畑金光

    田畑金光君 先ず、お答によると十分に賄えるというようなお話でありまするので、これはまあ後日又この問題に関連いたして何いたしますが、例えば公務員の給与を見ますると、中学校の先生方の最高が大体六千百円程度です。それから小学校の最高が五千百円程度、大体それを三倍すれば日本の貨幣水準でありますから、非常に低いわけであります。そういたしますと、公務員等の給与ベースというものは、当然に日本円に換算すると三倍にしなければなりませんが、こういう公務員の給与ベース等については、どう考えておられるかという問題、同時に関連いたしますが、先ほどの食糧の配給の問題等がありましたがね。現在の配給でも配給辞退するものが五〇%に上つておる。これは買えないのですね。買いたくても、配給は有難いが買いたくても買えない。そこでこの民力が非常に低下しておるという状況において、比較的復帰後恵まれておるものは俸給取じやないか、こう思つておりますが、その俸給取がそういうような低いベースである。勢いこれは消費者価格という問題等についても、内地並の生活水準をもつてすると、消費者価格の悩みについては問題がある。こういうような状況において、こういうような消費者価格等について政府は特別措置考えているかどうか。それともう一つは内地においては十五日分大体米の配給を受けておると、こういうことですが、総体量の食糧が向うにおいてはない、絶対量の食糧かない、そこで単なる内地並の米の配給のみ考えては、主食の維持が困難だが、この際、例えば麦なら麦も準配給というような考え方で措置するという考えがあるかどうか、この点について一つ
  58. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 私のほうから公務員の給与についての御答弁だけを申上げたいと思います。公務員の給与は、今お話がありました通り、これは琉球政府の公務員並びに市町村の公務員を通じて頭は確かに押えられております。内地より低いようでございます。併し下のほうを見ると、内地より高いものもおるようでございます。いずれにいたしましても、内地に入つて来れば、内地の一般公務員並に成るべく速かに調整すべきは当り前でございまして、そういう措置もとり得るように今度の予算においても考慮されておるのでございます。
  59. 小林武治

    小林武治君 郵便電信電話はどういうふうになりますか。
  60. 石井通則

    政府委員(石井通則君) 郵便電信電話の引継に関しましては、大体現在向うにある機構をそのまま引継ぐということでいいのではなかろうかと考えております。これは郵政省からお答えされるのが、適当かと思いますけれども、一応一般的な方針としまして、現在それぞれ琉球政府の職員として勤務をしておりますものは、国の出先としてきまりますものは国の出先の機関として、その他の機構、職員は大畠支庁に引継ぐ、こういう方針でありますので、郵便関係、電信関係はそのまま引継がれる、こういうふうに考えております。
  61. 小林武治

    小林武治君 長官に伺いたいのですが、これらは郵政直轄でなさいますか。
  62. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはいろいろ考えましたのでありまして、郵政省の仕事あたりは、割りに直轄にしたほうがいいのではないかということも考えて見たことがあるのでございますけれども、先般この委員会で申上げませんでしたが、引継を受けたあとの当面の行政機構をどういう工合にするかということは、先般閣議においての総理発言もあつて、国の行政機構の改革と歩調を合せるようにということで、そのために今引継を受けて、現在の国の行政機構と同じように処置してしまうと、もう一度又もとへ戻さなければならんという面倒が起つて混乱が二重になるからして、取りあえずは最小限度のものだけ、裁判所関係は、これは行政機関と別でありますから、当然分れると思うのですが、そのほかには、検察事務程度ぐらいは裁判と密接な関係があるので、特別の指図を受けるということにして、あとは只今石井局長からも話がありましたように、大体奄美支庁に一本にまとめて、暫くの間面倒を見てもらう、こういう考え方にしたいと、今考えておるわけであります。
  63. 小林武治

    小林武治君 これは郵便関係はもともと熊本逓信局の所管でずつとやつておりましたし、それから従つて又これを内地に移管するにしましても、一番簡単明瞭に行くのじやないか、そのまま私は行き得る、又その仕事の運営の上から言つても、そのほうがよいのじやないか、こういうふうに思いますし、それから貯金、保険などは相当の問題があると思うのですが、これはどういうふうになさるか。或いは保険などは相当の加入者があるのだろうと思うのですが、これらの仕事は支庁ではとてもできない。そこで通信連絡でやるからして、私は熊本郵政局直轄でおやりになるのが一番適当ではないか、こういうふうに思つておりまするし、それからもう一つ今お尋ねしたいのは、郵便貯金などはどういうふうになさるか。これらも支庁の扱いでは殆んどできません。又為替関係も直ぐ起きまするし、ですから他のものとは別途にお扱いなさるほうが適当ではないか、こういうふうに考えます。
  64. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この大体の考え方は、先ほど申上げましたように、原則として一本にまとめて行きたいという考えでいるわけでありますが、併しそれをいたします場合に、法的にいろいろな問題がありはしないか、更に又今御指摘のように技術上非常に無理がありはしないかということも併せて考えて、最終結論を出したいと思つているわけでありますが、併し多少の無理はどの仕事についてもあるのでありまして、その程度の多少の無理で以て、何とか短期間のことであるから凌いで行ける程度のものであれば、先ほど申上げましたような考え方で、国の行政機構のあり方が本ぎまりになるというときに一緒に、一気になおしてしまいたい、こういう考え方であります。
  65. 小林武治

    小林武治君 今のお話ですが、殊に名瀬はもとからいわゆる直轄局がありまして、あれが統轄すれば、支庁長に統轄させるということでよほどそのほうが便利だ、これが名瀬の局長が郵政省と直結すれば、これは殆んど関係の郵便の交換、或いは電信電話の交換、或いは貯金の金の原資を送るとか、或いは過越金を送るとか、こういうことはとても他の行政機関に任してはできない。従つて名瀬の郵便局長にこれを統轄させれば、極めて私は円滑に運ぶ、こういうふうに思つておりますので、特に一つ考えを願いたい。そのことが結局郵便業務或いは為替貯金業務ということを非常に順調にさせるゆえんで、すぐにこれはできると思いまするから、一つ是非そういうふうにお願いしたらどうか、こういうふうに考えております。  それからもう一つ伺いたいのですが、今通信連絡が非常に悪い、こういうことでありまするが、これは元は鹿児島から有線で、海底電線を繋いでおりましたが、今どんなふうになつておりますか。何か電報が途絶えたり、非常に内地との通信連絡が悪い、こういうことでありますが、私どもはこの通信連絡を敏速に回復することが、やつぱり奄美大島の復興のために必要だと思います。そういうふうな点は或いは大臣おわかりにならんかも知れませんが、若しおわかりになりますれば一つ
  66. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私もそのように承知しております、又公社側もよく事情がわかつておるというので、今度の補正予算の機会には、どうしてもこれに対しては何らか手を打つように予算措置をしなくちやならん。早急に通信連絡が円滑に行くように公社側にも計画があるように承知いたしております。
  67. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの質問に継続するわけですが、十億の予算で十分間に合うような御答弁ですけれども、例えば民生の安定の問題等を見ますると、要援護者というものが相当に多いわけなんです。統計上から見ましても、現実に生活保護法というものが適用されていない。こういう要援護者等についても、返還と同時に内地並みの手続き等運営をなされる御方針であるかどうか。更に又教育施設等を見ますると、荒廃その極に達しておる。私、高等学校の寄宿者を見せてもらつたのですが、勿論ガラスなんかないが、畳は生徒自身各自が一畳持つて来るとか二畳持つて来て敷いておるという始末で、こういうような当面やらねばならん学校の教育施設の問題等、当面の応急整理というような問題があると思います。こういうような問題。或いは河川等を見ましても、御承知のように、奄美大島は非常に雨量が多い、氾濫する、荒れるままに任せておる、こういうような応急補修等をやらなくちやならん。こういうことを見て来たとき、十億で一体間に合うのかどうか。鹿児島県のほうから、十一月返還になるものとして来年三月までの応急復興計画として、取りあえず政府予算二十六億、国庫負担二十三億、こういうようなものを提案しておりまするが、当局としては十億で間に合うというのだが、それは成るほど人件費を出すぐらいは間に合うかも知らんが、応急の、こういうようなものの施設を復旧して行くためには、到底これは間に合いつこないと思う。で、そうなれば仮に十二月に返還になつたとした場合に、来年三月末までの不足予算については、補正予算等において考慮する肚をもつて、この予算を組まれているかどうか。この点について責任ある答弁を求めます。
  68. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは私どもといたしましては、各省が皆揃つて現地へ行つてつぶさに事情を調べた結果、この際必要な予算措置全部を検討いたしましてきまつた予算でありまするので、先ほども私が申上げましたように、生活保護などの面については可なり面倒を見なくちやならない。そういうことを頭において必要な予算を組んであるつもりであります。なお、のちほど大蔵省が参りますれば、詳細御説明申上げると思うのでありますが、大体何とか足りる程度のものじやないか。勿論一番最初に問題になりました今後の本格的な立直りのための相当長期に亘つた復興計画については、勿論これでは、来年この程度の予算規模ではできるとは思わないのでありますが、取りあえず来年の三月までは最小限度のものという考え方でおりまするので、そういう意味におきましては、十分やつて行けるのじやないか、こういうように考えております。それからして、そういうように想像されますが、一つの資料といたしまして、アメリカ側琉球政府予算として、一九五〇年の七月から五五年の六月までの予算として組んでおるのを見ましても、総額十七億のうち奄美群島関係のものとしては、二億五千二百万円程度しか組んでいない。これも仮に三倍といたしましても、七億四、五千万円という程度のものであると思います。そういたしますと、十億みているならば、かなりこれは、この数字は年間予算で、日本の円に換算いたしましても、我々が今度十二、一、二、三月と四カ月分に十億組んでおりますから、この数字に当るものとして三倍の七億四千万円に対しては、四倍の四十億という数字が比較検討される対象の数字であります。かなり大きく、還つてくれば面倒を見られるように予算措置ができております。こういうように今一応の資料として考えておるわけであります。
  69. 田畑金光

    田畑金光君 琉球政府の、アメリカ軍側で組んだ予算措置であるという話でありますが、私はそれを見ておりませんので、ただ例えば一九四六年以降の軍政府に入つてからの奄美大島に対する施策のあとを振り返つてみると、殺さず生かさずという限度のことしかやつていない。例えば一九四六年から一九五二年までの輸出入関係においてみると、二十三億の輸入超過になつておる。その間にどの程度アメリカは、軍は支出をやつているのか、補助金をやつているのかといわれると、六億乃至七億程度、結局そのあとのものは民間資本吸収とか、或いはその他の畜産、木材の輸出によつてやりくりをして、島内は資金枯渇を来しておる。これは非常に惨憺たるものがあるわけなのです。現実奄美大島には軍事施設、基地があるのかと行つてみると、何らない。殆んど、沖縄に集中されており、ドルも沖縄に落ちている。こういう始末で、そのような計算で以て今後の奄美の問題を見られたら、大きな錯誤が起きはすまいか、こう思うわけです。大蔵省を中心といたしまして、各事務当局が現地を視察されたのも結構でありますが、その報告に基いて、この十億で間に合うというような考えでおられたら、私は大きな齟齬を来し、少くとも先ほど申上げましたような民生安定とか、沖縄には五万の労働者が出稼ぎに行つている。これは復帰すれば、当然向うから帰つて来なければならない。こういう失業対策のような問題とか、そういうことを考えてみたとき、相当の予算の膨脹を必要とするだろう、こう思うわけです。そのような場合において当局として、政府といたしましては、実情に即して予算措置等を施すだけの肚構えがあるかどうかということを、重ねてお尋ねしてみます。
  70. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 勿論これはやつてみて、本当に足りないということであれば、補正予算も組まなければならんと思つておるのでありますが、今申上げましたように、私どもの今度組みました十億の予算というものは、現地事情をよく調査した上での、この程度ならば十分足りるのではないかというように考え予算であります。今のところは一応これでやつて行けるという自信を持つておるわけであります。  なお、アメリカの統治下において非常な困難をしておつたということは、誠に私どもその通りだと想像されますので、その端的な現われが今申上げるように小さな予算措置になつておる、この数字からいたしますれば、約四倍近い費用をみており、相当程度のものが、還つてくればできるのではないか、かように考えます。
  71. 田畑金光

    田畑金光君 それから話は移りますが、裁判所の問題でありまするが、あの裁判所の例えば裁判官等にいたしましても、或いは検察官にいたしましても、現地の軍命令によつて、或いは判事或いは検察官というものが任命されておるのですが、こういうまあ内地におると当然に有資格者を以て充当するという、これらの問題について、引継ぎに伴つてどういうことになつて来るか、これらの点について……。
  72. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) 只今の点についてお答えいたします。今お述べになりましたように、向うの裁判官、検察官は向うで資格を特に与えられた人たちばかりであります。これを今度受入れるに際しましては、どういうふうにするかということを、我々といたしましても、非常に慎重に検討いたしたのでありますが、何と言いましても、裁判官、検察官というのは、国民の権利義務に直接影響する重要な職責を持つておりますので、内地の法令から申しましても、非常に厳重な資格の制限があるわけであります。これに外れるような人がそのまま持つて来るということは、これは好ましくないというので、これは止むを得ず、やはり新らしくこちらの資格を持つておる人を、新たにあちらに派遣して仕事をしてもらうということを考えております。但し向うにおるかたも、これはできるだけ優遇して、例えば裁判官なりは、現在の法令から申しましても、簡易裁判所の裁判官とかいうふうなものに選考をする余地が十分あるわけでありまして、そういうふうな方法で、できるかぎりの優遇をして、これを受入れしたい、こういうふうな方針であります。
  73. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 今回予算に計上いたしました十億円の内容について御説明さして頂きます。今般十億円を、予算内容を細分して予算に計上いたしませんで、一括いたしまして大蔵省所管に十億円という金額を計上いたしましたのでありますが、これは現在奄美群島復帰につきまして、アメリカ政府当局と目下交渉中でございまして、いろいろな条件が明瞭になつてない面がございますのと、それから時期的な関係といたしまして、なお現地のいろいろな細かい資料が入手できないというような事情もございまして、時期的な関係から大蔵省所管に一応予備費的な意味におきまして、善後処理費として計上いたしたわけでございます。これは専らこのたびの特別な便法でございまして、明年度予算からは各担当の省におきまして計上いたします方針でございます。  次にそれではこの十億円というのを、どういうふうにして計算したかということでございますが、私どもといたしましては、一応先ほどの調査団のいろいろな持つて来られました資料に基きまして、一応現在の職員を全部引取るという想定の下に、人件費その他所要の経費を計算いたしまして、なお現地のいろいろ立遅れている状況を一刻も早く復旧いたさねばならんというようなことから、振興費といたしまして、相当大きな額を留保する必要があるのではないかと、こう考えた次第でございます。大体大まかな内訳といたしますと、現地の機関をどういうふうに受入れるかという方針について、未だ未決定な面がございますが、一応政府の機関と、そうでないものは大島支庁の傘下に引取るという計画で、両方の人件、事務費が約二億円程度と推定いたしております。それから現地の学校関係人件費等につきまして約一億円程度要るのではないか。それからあとはいろいろ現地の引取りにつきまして臨時的に必要な、例えば現地の通貨の切換えに要します経費とか、或いは衆議院並びに県会議員の選挙等に要する経費その他臨時の経費といたしまして約一億円程度リザーブする必要があるのではないか、残りの約六億円程度のものを以ちまして、いろいろな厚生事業とか、教育施設の復旧とか、土木関係或いは航路上の整備或いは名瀬港の浚渫とか、その他緊急なものにこの経費を充当したらいいのではないか、ただ何分にも現在のところまだ細かい点が不明確な点もございまして、どういうことを真先にすべきかということにつきまして、今後なお検討の必要がございますので、これらは早急に検討いたしまして、至急所管の各省に予算の移し換えを行いまして、支出に遺憾のないよう努力いたしますもりでございます。  以上簡単でございますが、十億円の内容を御説明いたしました。
  74. 田畑金光

    田畑金光君 大臣に一つ承わつておきたいのですが、只今十億の予算内容についての説明がありましたが、この説明は一応了承するわけです。先ほどの大臣のお話にもありましたように、今後の本格的な復興計画の問題ですが、この問題が私、どういう構想で進んで行くかということが最も重大な問題じやないかと思うのであります。御承知のように奄美大島は、戦争前においても奄美群島復興計画というものが立てられた、例えば昭和十二年に十年復興計画が立てられた。併し昭和二十九年度以降、引継ぎになつてから来年度以降の復興計画が、戦争前のような十年復興計画というような、こういう考え方でやるということは、私は少しその基盤が異つていやせんかとこう思うのです。戦争前においては奄美大島が非常に辺鄙だということと或いは恵まれていないというような、いろいろな条件から振興計画というものが、十年計画が立てられましたが、現在の奄美大島はそういう貧困な群島が、更に八年間の空白期で更に困窮を深刻化しておる。従つて今後の復興計画というものが戦争前のような十年計画というような悠長なものであつてはいかん。少くとも数年間に内地人並に住民の生活水準或いはその他の産業、文化、教育施設等を引上げることは早急を要すると思います。従つて十年計画というような考え方ではなくして、この問題については恐らく現地の市町村長或いは鹿児島県のほうにおきまして、復興計画を作案して持つておられると思いまするが、三年復興計画、こういうことを当面打出しているわけであります。こういうような三年の短期において速かに奄美大島を引上げて行くのだ、こういうような御方針こそ現実の大鳥にとつて適切な措置であると考えますが、大臣はどうこの問題と今後取組んで行かれる御方針か、この際一つその御構想を承つておきたいと思います。
  75. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは本来まだ日本領土でありました時分の奄美も、御指摘のように十カ年計画を以て復興措置考えなければならないほど、豊かでなかつた状態であつたということでありますし、更にその後、今御指摘の通り、八年もの長い間全く日本の手を離れて放つておかれたという事態に見ざるを得ません状態でありますので、私といたしましても、復帰しました暁には、成るべく早い機会に内地と同じレベルに戻せるようにということを考えておる次第であります。それを三年で以て目的を達するか、五年で以て目的を達するかは、おのずから計画の大きさによると思うのでありますが、併し考え方としては御指摘の通り全く同じでございますので、更にこの機会に考えられますことは、少くとも戦争前と戦争後では市町村などのあり方に対して、国の面倒のみ方というものは非常に変つておりますので、平衡交付金制度などを通して非常に貧弱な町村にも或る程度のレベルのものは面倒をみるという考え方になつておりますので、今我が国に行われておりますこの地方財政の制度を奄美群帰にも適用しますならば、その面からもかなりの利益を受ける面があるのじやないか。そういうことを総合勘案いたしまして、適切な計画を立て、成るべく内地を歩調を揃える程度にまで持つて行きたいと考えております。
  76. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかに御質疑ございませんか。……別に御発言もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  78. 石村幸作

    ○石村幸作君 討論省略の動議を提出いたします。
  79. 内村清次

    委員長内村清次君) 討論省略の動議が出ましたが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御意見もないようでございまするから、討論は終局したものと認めます。  それでは奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案について採決いたします。奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  81. 内村清次

    委員長内村清次君) 全員一致でございます。よつて奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承知願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本法律案を可とせられるかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     館  哲二  西郷吉之助     長谷山行毅  小林 武治     秋山 長造  若木 勝藏     加瀬  完   —————————————
  83. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今可決せられました法律案につきましては、これを施行するに当つては、是非考慮を払うべきことが必要とされるので、この際以下朗読いたしまするような附帯決議を本法律案に付したいと存じます。案文を朗読いたします。    附帯決議   奄美群島復帰は平和条約第三条の規定により、我国の主権を潜在せしめられている沖繩、小笠原等の復帰の先例ともなるべき重要な意義を有するものなるに鑑み、政府はその受入れに万全を期するとともに、特に左の事項実現を期せられたい。  一、奄美群島復帰の遅延により、現地行政に空白を生じ、現地政府事業、金融の停止等と相俟つて民心の不安と生活の窮乏は甚しきものがある。政府は積極的に外交折衝を行い、一日も速かにその復帰を図ること。  二、奄美群島に対する施策は民心の安定と産業の復興に重点をおくとともに、振興事業を綜合的且つ強力に実施するため、政府の各種出先機関の濫立を抑制して、法第四条の規定による鹿児島県の現地機関において、一元的に振興事業を行うものとすること。なお中央においても、振興計画の樹立及び実施に関する事務を一元化すること。  三、奄美群島の特殊性と疲弊の現状に鑑み、速かに綜合的な振興計画を樹立し、その強力な実施を期すること。そのため必要な特別法を制定するとともに、十分な財政的措置を講ずること      (参議院地方行政委員会)  では只今朗読いたしました附帯決議案を議題として、採決することにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは右附帯決議案に御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  85. 内村清次

    委員長内村清次君) 全員一致でございます。よつて奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に対しまする附帯決議案は全会一致を以て可決せられ、本委員会の附帯決議とすることと決定いたしました。   —————————————
  86. 秋山長造

    秋山長造君 長官へちよつとお伺いしたいのですが、町村合併の問題ですがね、合併町村において郵便局集配区域だとか、或いは電話の加入区域というものが、今まで通りになつて、なかなかこれが改善されない。そのために、これは恐らく全国的に合併町村の悩みになつておると思う。又合併町村の一体性を非常に阻害しておると思うのですが、この問題について郵政省のほうで速急に何か具体的な手を打つて頂かないと、非常にこれは困つておる問題だと思うのですが、何かお考えになつておるのですか。
  87. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 秋山委員のお尋ねは、現在までに合併したものについてそういう事情があると、こういうふうにおつしやるのですか……。具体的な話は私も承知いたしておらんのでありますが、個々にそういう問題でぼつぼつ陳情を受けたものがあつて、それぞれ事務当局において善処するようにということは言うておる実例はあるのですが、具体的に今どこの村ということは記憶がないのでありますが、ただこれから行われようとしておる合併に、そういう問題が非常に出て来るであろうということは考えられますので、これは合併の実情と睨み合せて、要するにそれぞれの町村の方々の最も便益になるように、最大限に郵政省としては集配の局の再調整、そういうものを善意考慮いたしたいと、こういうように考えております。若し何か現在までにすでにそういうものがあつて、まだ措置されていないものがありますれば、具体的な問題としてお聞かせ願えればできるだけ善処いたしたいと考えます。
  88. 小林武治

    小林武治君 今の問題の関連ですが、これは大臣もよくお心ずきと思いますが、今現に同一行政区画内で市外通話をしている所がたくさんありますから、これは特に督励をして、こういうものをできるだけ早くなくすように改めて一つ御努力をして頂きたいと思います。
  89. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 今度相当大がかりな五カ年計画による整備拡充計画がありますので、その一環として、そういう面もできるだけ処置いたしたいと考えております。
  90. 秋山長造

    秋山長造君 この問題は、実は言葉を返すようですが、今の御答弁だと、我々も非常に満足なんですけれども、従来の実情を見ますと、こういう小さい行政区域の中で幾つにも分かれておりまして、非常に困つておる所が多いのです。それを国会なんかへ陳情書を出したり或いは郵政局あたりへ陳情書を出したりしても、結局そのままになつている例が非常に多いんです。やはりこれは町村合併を非常に阻害する大きな要因になると思うので、是非一つ早急に現地、地方の郵政局あたりに対して、町村合併なんかの場合には、特にこの点は優先的に改善をしてもらいたいという、通牒か何か具体的な処置をして頂きたいと思うのです。
  91. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは善処いたしたいと考えるわけでありますが、ただ市外区域をどうするかという問題は、恐らく現地の処分ではなしに、本省の処分になつておると思う。ですからして現地は恐らく今までの長年のしきたりやなんかからして、郵便局都合ということでなかなか聞かないということもあるのかも知れませんが、御質問の趣旨、御希望の趣旨はよくわかりました。私はこの問題を解決する場合に、郵便局立場というものを考えずに、現地のそれぞれの土地の住民立場というものを考えて、十分善処いたしたいと、こういうふうに考えます。
  92. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 今の問題は各地にそういう問題があるようですが、つまり郵便局都合で、そういう合併には困るというようなことが諸所に出て来る。この点一つ長官において郵政大臣としてこの促進に御協力願いたいと思います。(笑声)
  93. 石村幸作

    ○石村幸作君 会期も切迫して明日一日になつております。そこで請願陳情が相当あるのじやないかと思うのでありますが、公報に出ているのもあつたが、これを一つやはり明日の本会議にでも上程しないと紹介議員さんたちの何もありますしするから、一つ今日でもここで扱つて頂きたい。  それからもう一つは、本委員会で奄美大島実情をよく調査するというので委員会から派遣という話が出ているように聞いておりまして、そこで、これは結構なことなんですが、丁度今日今やつていますが、議運の理事会で数日前から問題になつているのですが、各委員会として行かずに、参議院、院として行こうじやないか、それには構成メンバーも各会派から、それから各関係の深い委員会から、こういうふうなので、院として行こうじやないかという話が進んで、今現にそれが具体的に下で相談が始まりつつあるところでありますが、そこでこの委員会としての意向を、委員会として派遣を主張するという意が強かつたならば、この際、議運のほうへ一つ申入れてもらつて、私も議運のほうに行つておりますから……。  この二つの点を……。
  94. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今石村委員から申されました請願が四件ございます。これを極く件数も少うございますので、ちよつと諮つて頂きます。  それから今の委員会の奄美大島派遣の問題でありますが、これはちよつと先ほど委員長からも御相談申上げまして、結論はついておりませんが、その後事務局で接触しました過程が、只今石村委員の言われましたような状況で、議運のほうでもその問題が出ておるらしうございます。そこで参議院としての代表者派遣の中に、地方行政委員の人たちを余計に入れてもらいたいというのが大体の御希望でございましたから、それを石村委員にお願いしたわけでございますが、別に委員会として派遣を希望するかどうか、この点を……、ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  95. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは本日はこれにて委員会を散会いたします。    午後四時十九分散会