○
国務大臣(
岡崎勝男君) これは一番初めは
奄美大島群島というものの
範囲が
ダレスさんにも
はつきりわからなか
つたし、
アメリカ政府も
はつきりした観念がたか
つたものですから、この点で大分時間がかか
つたわけです。それで向うでは、ただそういうふうに緯度とか経度とかいう
考えでや
つておりましたが、こちら側はもとの
鹿児島県の
行政区画に入るものという
工合で、そこがでこぼこする場合があるものですから、それをいろいろ
説明しましてかなり時間がかか
つたのであります。
それからその次には、これはそう時間がかかりませんでしたが、今持
つておる
アメリカの軍事的な施設が二、三あるのでありますが、これは留保したい。これは我々も異存はないのですが、それについてはもう
日本側に
行つてしまうのならば、今まではいつでも拡張できると
思つて放
つて置いたのだが、今すぐに要るというわけじやないのだが、将来要る場合に拡張しなければならん場合のことも
考えて、今からそういう拡張をしたいというような話もありました。それは我々のほうとしては、いずれ
行政協定の
趣旨によ
つてきめられるのだから、決して意地悪をするわけでも何でもないのですが、今要らないものをあらかじめそういうふうにや
つておいても、時間がかかるばかりで仕方がないからという話で、だんだん話をして、今これは大体わか
つたように思いますが、まだその点は実は話を一部続けておるような次第でございます。つまり将来例えばほかの、今使
つておるものを拡張する、これはわかるけれども、そうでない別なものが要るときにはどうするか。これも我々は現に
内地といいますか、今の
領土内においても、要るものは喜んで差出しておるのだから、もつとも
心配は要らないのだという
説明をしておるわけです。先方としてはそれはわかるけれども、将来こういうものが要るかも知らんということだけはあらかじめ
日本側も知
つておいてもらいたい、今は要らんかも知らんけれども、というので、それは聞いておこうと
言つたところが、今度はそれを
アメリカの国内では、やはり
海軍側はこれが要ると言うし、
陸軍側はこれは要らん、こつちが要るのだとかいうような議論がございまして、まだどういうものが将来要るかも知らんということについても、
余り話が
はつきりしたことはありませんが、これはそう大したことはないと思います。我々は喜んで必要なものなら、殊に
安保条約によ
つて日本を守るために必要ということならば、これは喜んで要るものは出すということで、これはほかの点が片付けば大したことはないだろうと思います。そういうふうなことがありましたのと、それから
日本側としてはいろいろな、将来
移つたあとで問題とな
つて、そのときにこれは知らなか
つたが、そんなことがあ
つたのかということではいかんというので、非常な注意を以てそういうあり得べき問題を
考えて、それは一体
アメリカ側で実際そういう
ケースがあるのかどうかといういろいろなことがあるのです。例えばあそこの通貨をどうするか、それから
沖縄に現におる
奄美大島の出身の人をどうするか、これは法律的の問題もあり、それから解雇されたりなんかしたときに、
一体沖縄でそれを世話してくれるのか。
奄美大島へ連れて来られてしまうのかというような実際上の問題もあります。それから例えば
アメリカ当局から刑の判決を受けた者の取扱をどうするか。要するに
引継事項としてのいろいろな、それに準じた細かいものがたくさんありますが、そういうものを
一つ一つ想定しが、実際こういう
ケースがあるかないて。なければ問題はないのですが、あればこれをどう取扱うかというようなことが九月頃からの
研究課題にな
つておりました。それを今
いろいろ話をいたしておるわけでございます。それであれやこれやでも
つて、はじめは簡単に行くだろうと
思つておりましたところが、案外時間がかか
つて延び延びになつてしまつたのであります。