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1953-11-06 第17回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十一時十分開会   —————————————   委員の異動 十一月五日委員矢嶋三義君辞任につ き、その補欠として永岡光治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            松永 義雄君            平林 太一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   参考人    日本絹人繊織物    工業会会長   岸 加八郎君    日本絹人絹商協    会専務理事   沼田 義雄君    日本化学繊維協    会理事長    川口 一郎君    日本毛織工業会    常務理事    高好  一君    日本羊毛紡績会    専務理事    酒井  弘君    綿、スフ織物工    業連合会業務部    業務第一課長  田中  實君    日本紡績協会専    務理事     田和 安夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案小林政夫君外十七名発議)  (第十六回国会継続)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会開会いたします。速記をとめて下さい。    午前十一時十一分速記中止    ——————————    午後零時二十九分速記開始
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは速記を始めて下さい。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩    ——————————    午後二時五分開会
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、参考人各位から御意見を承わり、質疑をいたしたいと存じます。  参考人各位には御多忙中わわわざ当委員会のために御出店下さいまして厚く御礼を申上げます。  前国会において租税特別措置法改正せられまして、青色申告をする個人又は法人が輸出した場合において、輸出業者に対しては一%、製造業者等に対しては三%の所得控除減税措置が講ぜられたのであります。御承知のように、輸出品の品種、製造加工の工程が多種多様でありますので、主として租税技術上の観点から、その適用範囲を限定せられておるのであります。その後当委員会小林委員ほか十七名の発議によりまして、政令の定むるところにより適用範囲を拡張でき得るようにしようとする改正法案が提出せられまして、目下当委員会において審議中でございます。  織物関係について申上げますと、現行法によりますと、染物業者輸出業者から受注した場合は減税を受けますが、メーカーから受注した場合は減税を受けないことになつております。これでメーカーから受注した場合には、三%の減税メーカー染物業者との間に分け合うようにしてはどうかということが問題になつておるのであります。念のために申上げますが、この場合はメーカー減税額を減じて染物業者に与えるという意味でありまして、両者の分を累積して減税する意味ではありませんので、誤解のないようにお願いいたします。つきましては、メーカー側として、メーカー織物業者との間に減税を分け合うようにすることがよいのか悪いのか、よいとして、技術的に可能かどうか等につきまして、率直に御意見の開陳をお願いし、又委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。参考人のどなたから御発言を願います。
  5. 岸加八郎

    参考人岸加八郎君) 日本絹人繊織物工業会会長の岸であります。  その結論を出す前に、一応現在の絹人繊織物製造家としての状態ちよつと掻い摘んでお話し申上げたいと思います。朝鮮ブームのあの反動から大暴落を受けて、絹人繊織物生産業者は非常な苦境に立至りまして、その後引続き不況が累積しておる状態です。そういうような状態で、而も我々のほうは中小機業者団体でございまして、全国に二万ほど業者がおる状態です。全部が輸出しておるという意味ではありません。そういうような状態で、非常に不況が累積していまして、これではたまらんというので、昨年調整組合を結成させてて頂いた。調整組合臨時措置として安定法で議会に決議して頂いた次第であります。ところが今なおそれらがその法の不備でうまく行かないというので、昨年又一部改正して頂いたが、第一調整措置ができないという工合で、今実は二十九条の発動を政府のほうに頻りにお願いしておる状態です。政府のほうではその費用がないとかというような工合で逡巡しておりますが、これは大蔵委員会のほうで又いろいろ御配慮願いたいと思います。そういうようなことで今我々のほうでは一昨年か業者が相寄りましていろいろ協議をいたしましたが、これはやはり賃織、つまり委託加工を一部するほうが、業界資金難或いは金融難というようなことを打開するのに一番近道であろうというので、人絹糸製造会社であるメーカーのほうへも依頼して委託加工を一部始めました。又産地の産物と申しまして、産地問屋業者のほうへもそういうものを廻しました。又輸出貿易業者のほうからも委託加工を受けまして、今、現在の状態では全体の輸出の二割ほどが人絹糸製造メーカーの賃織であり、二割ほどが産地問屋の賃織であり、一割ほどが輸出業者注文であるという状態です。そしてあと五割ほどは製造業者みずからが、原料を買い、製品を売るという方法でやつております。ところが現在、昨年のこの租税特別措置法というようなものが出まして、これはつまりこの恩典を受けるのは我々のほうは三割であるが、今の青色申告或いはその工場が儲からねば、その恩典が均霑できないというような工合で、先ほど申しましたように、現在の業界業者いずれも非常に困つておる状態で、この恩典が果して幾ばく受けられるかというようなことも、まあ心配しておるような状態です。そういうような意味合からやはりこのすべての、この法の適用はせいぜい寛大にして頂いて、つまりその適用範囲をせいぜい寛大にして頂いて、業界に関連した業者にせいぜい恩典を蒙らして頂くということが最もよかろうという工合に我々のほうの考えをまとめた次第であります。そういう工合に、今一部改正法も結構だとい工合に考える次第です。こういう工合ですが、又何か御質問があればお答えします。
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 沼田さん。
  7. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 日本絹人絹織物協会と申しますのは、全国輸出絹人絹織物並びに内地の絹、人絹織物卸商社全国的なものであります。先ほどお尋ねになりました生産者の、生産者と申しますか、織物製造業者賃加工に対してというお話でございましたが、輸出品染加工につきましては、この卸商社の面におきまして加工をいたします分が相当にございます。従つて、私はその面について公述をいたしたいと思うのでございます。  由来輸出絹織物並びに人絹織物は、問屋業者卸商社生産者に対して賃織をさせ、若しくはこれを買取りまして、そして輸出商社の指図、或いは自己考え方という面から先ず図案を考え、それから型紙を作り、色を指定し、そうしてそれを染業者にこの通り染めてくれということを賃加工委託をいたします。従つて、その加工中におきまして相場のフラクチユエーシヨンによるところの損害、或いは流行の変遷によるところの一切のリスク卸商社がこれを負担いたします。従つて加工業者に対して、只今お話のございました千分の三という問題は少くとも卸商社の面におきましては極めて合法的でない、妥当でない、こういうふうに考えるのです。今度の措置法の一部改正によりますと、生産部門と、それから輸出部門のみがその対象になつておるように拝見いたします。更に今度の改正によりまして、染色業者もその一端を担い得る形になつておりまするけれども、輸出のこの絹人絹のごときものの特殊の事情といたしまして、輸出振興のために非常な貢献をいたしておりますのも、輸出商社がその一端を担いでおるということを一つ御理解を頂きたいと思います。かき分けて申上げますと、輸出商社と申しますものは、由来大体専門商社でございまして、アメリカ向輸出商社、或いは濠洲向輸出商社、或いはヨーロツパ向輸出商社という工合に地域的に専門化されております。勿論全世界を相手とする輸出商社もあることはありまするが、全輸出商社の面から見ますると、この数量は非常に少いものであります。ところがこの卸商社は各方面輸出をいたしておりまする輸出商社を歴訪いたしまして、海外の動向であるとか、或いは流行であるとかいうことを種々耳にし、或いは自分自身海外からサンプルを取寄せたりして、そうして海外流行にマツチするようなものを生産いたしまして、そうしてそれによつてサンプルを作製して輸出商社に対して、これを海外に送つてみてくれ、これをどこそこへ宣伝してみてくれということを申しまして、むしろ輸出商社の、ざつくばらんにお話申上げますれば、尻を叩いておる、推進をしておるというのが、輸出織物を扱つておりますところの内地商社の実態なのであります。輸出振興の面におきまして、今度の新らしい措置法によつて恩典を与えようとする面が生産部門と、ただ品もと輸出部門とにだけ留まるということは、甚だ私といたしましては妥当でない、こう考えるのでございます。従つてその面におきましても御拡張を願いたいということを、この機会に申上げることは妥当でないかも知れませんが、その面におきましては、大蔵省並び通産省方面に今日まで運動を続けて参つたのであります。  それからお尋ねになりました染加工賃加工に対しまして、これは当然染業者は単なる賃加工業者であつて、ただ指定された柄、指定された色、指定された型に染めるだけでございます。その間の一切の負担販売をいたしまするところの商社負担をいたします。従つて千分の三の恩典取扱商社に渡されて然るべきだと、こう私は考えます。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 沼田さんにちよつと御質問しますが、あなたのほうはこの輸出業者染色加工業者中間、又絹織物等はやはりどこかのメーカーからお買いになると思うのですが、そうすると、あなたの説を敷衍すると、今問題になつているこの二次加工メーカーに対してやはり百分の三なんですか、百分の三のフエーバーを与えるということも適当でないということになるわけで、ひとり染め加工業者のみならず、お隣りの岸さんのほうの団体織物製造絹織物ですね、絹織物を製造する業者も、図案等についてはあなたのほうがイニシアテイブをとつてやるのだから、やる必要はない。要するに、あなたのほうの問屋へ百分の三のフエーバーをよこせ、こういう主張になるわけですね。
  9. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 織物生産者の分につきましては、賃織加工をいたしましたものにつきましては、賃織を委託いたしましたものに百分の三の恩典を与えて頂きたい。あらゆる商品についてではございません。つまり生産者リスクにおいて、危険負担において染色をいたします。卸商社がそれを買い取りましたものにつきましては、私はさような百分の三の恩典までは申上げませんが、賃織をいたしまして、大体染めの場合におきましては賃加工をいたしまして、それについては一切のリスク卸売業者負担をしているのだからして、卸売業者にその恩典を与えて然るべきではないか、こう申すのであります。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 あなたのほうはこの輸出業者メーカー、いわゆるメーカーの間にあるわけですね。
  11. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) そうでございます。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 それで、あなたのほうは、場合によつて織物業者から織物買つてそうして染色賃加工委託される場合もあるし、又あなたのほうが糸を買つて、その織物会社に賃織をしてもらつて、その賃織りを引揚げて更に染色加工業者賃加工に出す、これはすべてあなたのほうでイニシアテイブをとつてやられる場合と、半分イニシアテイブをとられる場合、あなたのほうでとにかく糸を買つてでイシアテイブをとつたものについてはあなたのほうへフエーバーをよこす、こういうことになるわけですね。
  13. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) もう一回敷衍して申しますが、織物生産業者委託加工を依頼いたしました場合には、その卸売業者織物生産者立場に立つわけでございます。それからその織物を、或いは賃織りしましたか或いは買い取りましたかしました織物を、染め業者に対して賃加工を依頼いたします場合は、染色加工品生産業者になるという考え方でございます。
  14. 森下政一

    森下政一君 どうも素人臭い質問をしますが、何しろ商売人じやないので説明してもらわんとわかりませんが、そうすると、つまり織物を織つて、その染色加工を、そのメーカーが独創的にこういうふうに染色して欲しいと言うておつて染色加工賃加工をさせて、それを今度は卸売商社に、こういうものがありますが、というふうに売りつけて来るメーカーもあるわけなんですか。
  15. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) ございます。
  16. 森下政一

    森下政一君 それもある、そうすると、ただ織つて生地のままであと商社にお好みのように染めなり加工なりして売りなさいというものもあるわけなんですね。
  17. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) そうでございます。
  18. 森下政一

    森下政一君 いろいろなケースがあるわけだな。
  19. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) ええ。
  20. 森下政一

    森下政一君 そうすると、あなたの説によると、染色加工をなさしめる、染色加工をする人がメーカーから生地のままで品物を買うて、自分が勝手に染色加工をして、今度は卸売商社にこれはどうだといつてつて来るものもあるのですか。
  21. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) そういうものも中には例外としてあるかも知れませんが、染屋さんが生地買つて自分染め輸出物を売るというようなことは恐らくございません。
  22. 森下政一

    森下政一君 そうすると、染色加工ということは、メーカーに頼まれるか、卸売業者に頼まれるか、輸出商社に頼まれるかわからないが、誰かの委託によらなければ染色加工はしない、大体こういうのが通例になるわけですね。そうするとあなたの説明によると、みずからがイニシアテイブをとつて、そうして独創的に、こういう図案で以てこういうものを一つ染め上げて、これなら海外へ売れるだろうというリスク負担してイニシアテイブとつたものにフエーバーを与えよ、こういうことなんだな。
  23. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) そうでございます。
  24. 小林政夫

    小林政夫君 それを敷衍すると、輸出業者というもののほうがフ工ーバーが多くなるようなことにもなる。敷衍して行くとこれはイニシアテイブのとり方なんです。で、この法律によると、租税特別措置法の第七条の六の第一項の第三号に、「輸出業者に対する物品販売を業とする者への販売を含む。」という表現が使つてありますね。その「輸出業者に対する物品販売を業とする者」というのは、これはこの法律ではあなた方の存在は認めるけれども、フエーバー治は与えないということがはつきりしているんですね。
  25. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) そういうことなんです。それで実は大蔵省通産省のほうへは是非同列に扱つて頂きたいということで先ほど申上げました、輸出推進力をなしておるということを強く申上げまして、お願いして廻つておるわけであります。
  26. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 輸出する時の輸出検査ですね、これはどちらが……。
  27. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) それは輸出商の名においていたします。その持込み等は染工場が持つて参ります場合もございましようし、併しその検査もいろいろございまして、染色検査の場合におきましては染工場検査を受けるわけです。それから輸出検査の場合におきましては、染工場が持込みはいたしますけれども、その場合には輸出商ということになります。
  28. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 川口君。
  29. 川口一郎

    参考人川口一郎君) 日本化学繊維協会理事長川口一郎でございます。発言をお許し頂きます。  化学繊維製品輸出につきまして、全般的、特に人絹糸並びにその織物でございます人絹糸使つた織物を、特に中心といたしまして申上げたいと思います。  先ほど岸さんから御説明がありました通り、最近人絹糸製造会社が、大体まあはつきりした数字は、これは今私持ち合せておりませんが、まあ大体国内に廻しております人絹糸の二割程度を賃織り、と申しますと、従来は糸を織屋さんにお売りして、機屋さん御自身計算織物を作つておられたのですが、昨年来先ほど岸さんのお話もありました通り、相当織業界がいろいろ困難な事情に当面しておられたものでございまして、それがために特にその糸の事業というものが非常に悪化いたしまして、いろいろその事業の悪化を如何にして是正するかということについて、我々人絹製造者、無論織物業者のほうとも御相談をいたしまして、日本織物業界なり皆さんの御希望としてできるだけ賃織を殖やしてくれないか、こういうお話でありました。賃織りを殖やしますということは、これは申上げるまでもなく、織物段階に至るまでの金融面負担、それから織物製品価格の上下、高下いたしますその危険、この二つを負担してやつて行かなければならんわけでございますから、人絹糸生産会社としては相当なこれは重い責任になるわけでございます。併しながら業界の全体の利益のために、又当時そのままでおいておきますと、織物の品質が非常に低下するという心配もございます。やがては輸出自体を非常に危いところへ落す、こういう心配もあつたものですから、今申上げましたいろいろの生産会社としては、全然従来予期しておりませんでした織物段階までの危険を負担するという方針をとりまして進んで参つたのでございます。幸いに、その他のいろいろな施策も功を奏しまして、非常に悪化いたしておりました人絹市場が、本年の春頃から相場見直して参つたことは、これは岸さんも御承知だと思うのでございます。  そこで今度の、この問題になつております措置法改正の御意見なんでございますが、百分の三の減税の御措置は、これは要するは輸出振興を如何にするかという狙い一つであると私は承知しておるのでございまするが、賃織りの制度は、機屋さんの立場から見ますれば、これは私は最も安全な仕事である。相場の危険、それから糸を織物に作り上げますまでの、この間の金融面負担、これは全部人絹生産会社がやるわけでございます。機屋さんは完全に仕事の量、加工賃を確保する。ですから今度の案のように、若し三%の恩典を、いわゆる加工してやる加工賃に及ぼすということは、加工賃を上げるということになれば、それは輸出の力が弱ることは当然です。ですから私は賃織のことに対しては反対をいたします。
  30. 小林政夫

    小林政夫君 今のフエーバーを与えることが加工賃を上げることだと言われれば、実質的な加工料収入というものを上げるわけになるわけですね。政府がこういう措置を講ずる趣旨は、まあ今の原価高日本輸出商品のコストの引下ということにあるわけでありますから、それだけの余裕が経常的に出れば、設備の改善をするとか、或いは工賃引下ということも考えられる。むしろ大蔵当局の当初の見解は、同じ加工をやつて輸出業者からの下請ならば、百分の三のフエーバーが得られる、メーカーからの下請ならば得られないということは不公平じやないか、そういう質問に対しては、工賃調整をしてもらいたい、したらいいじやないか、だから輸出業者から、例えば百円で賃織りの注文をとるならば、同様の下請加工ならば、メーカーからもらうときには、そのフエーバー分をプラスした工賃をもらえばよいと、こういうような主張も出たわけなんです。ですから本来それを裏へひつくり返すと、これだけのフエーバーは無論実際的に仕事をやるものにやるのだという趣旨なんで、川口さんのお説だと、実際に仕事をやつておるのは危険負担をしておる一次メーカーだと、こう言われるわけでしようけれども、実際の生産担当者の助成、こういうところに私は狙いがあると思うのですが、そういう意味においては輸出業者には百分の一しかフエーバーを与えない、メーカーのほうは百分の三と、こういうふうなそこににはつきりした区別が出て来る、そういうふうな点から考えても、立法趣旨が、川口さんの趣旨から行くと全然駄目だということになれば別なんですけれども、本来こういうフエーバーを与える趣旨の点から行くと、実際の生産担当者に渡すべきじやないか、こういうふうに我々は考えるのですけれどもね。
  31. 川口一郎

    参考人川口一郎君) 只今お話フエーバーとおつしやるのでございますが、これは輸出競争が非常に熾烈で、なかなか相場変動から受ける非常な脅威だけでなくて、常に各国の烈しい競争に打ち勝たなければならん。それには最終的な製品価格に対してその責任を負わなければならん。それから必ずしもこれは人絹メーカーと限らないと思う。先ほど沼田さんからお話のありました通り輸出業者織物最終段階まで責任を負う場合は、これは当然輸出業者がやるべきだと思う。私は全般としての織物或いは染色加工の問題には触れておるのではございませんので、賃織という形体をとつておる場合の織物に対することに限定いたしたいと思いますが、その点誤解ないようにお願いいたします。  それから先ほど私ちよつと申し遅れましたが、これはフエーバーでなくて飽くまで事実上起る非常な輸出競争力を作るというわけでございますから、先ほど岸さんからお話がありました織物業界が非常に改善されるということにつきましての措置は、これは政府が当然考えらるべきだと思う。輸出を如何にして競争力を持たせるかということでございますから、そういう方面に話を持つて行きますと、これは結論といたしましては折角の輸出振興のこの措置が骨抜きになつてしまうと思うのでございます。もう一つ加工賃を確保しておるのでございますから、これはこれ以上のフエーバーはないと思います。その他の不当な相場変動から起つて来る非常に大きな、どれくらいな損害を含まなければならないかわからない場合も、これは誰も補償する人はない、その生産者としての責任負担する。それが輸出業者であろうと、或いは中間機屋さんであろうと……。若しその危険を冒して、或いはそれから来るかも知れない利益を得ようとすれば、機屋さんは賃織りをやらないで、自己計算でおやりになればいい。だからこの立法趣旨を根本的にお考え願いまして、どこに減税措置を講ずべきか、こういうことは極めて明瞭な問題であります。
  32. 松永義雄

    松永義雄君 たつた一つ聞きたいのですが、筋を離た話ですけれども、染物屋さんが頼まれて仕事をしても、金の支払いが非常に遅くて弱るというお話なんですが、そういうことはないのですか。
  33. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) それは併しそのときどきによつてそういうふうな面はあるかも知れません。絶対にないとは申しませんけれども、併しその輸出の物につきましては、これはLCその他によつて代金収入を確保されておりますから、そうした面におきますところのケースというものは比較的少いのじやないか、こう思われます。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 毎日々々のように新聞に出ておるのですけれども、下請のほうにしわ寄せが行つて、そうして下請を犠牲にして、そうして造船業にしても、その他の大企業が経営を行なつておる、こういうことを言われておる。ところが私のは大分前の話ですけれども、偶然に或る大きな染物屋さんから聞いた話なんですけれども、どうも金がなくて困る、払いが遅くて実際困つてしまう、金を借りるにも……。その際かなりひどいことを言つてつたですけれども、非常に困難です、こういうことを言われておつた。あなたがおつしやることは理論的には筋が立つておるが、実際面において輸出ばかりやつておるわけでもないでしよう。内需物もやつておるわけでしよう。だからやはり苦しくなれば下にしわ寄せをするという傾向がある。
  35. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 併し率の面から言いますと、染賃なんというものは輸出の場合は、染にやると物によつて織物生地以上の染賃という場合もありますけれども、大体において他の産業で新聞に載つておりますようなひどいことは余り……繊維に関する限りは……。口を開けば金がなくて困りますというのは、これは人情でして、或いはそういうふうなお話じやなかつたかと思いますが、少くとも繊維に関する限りは他の産業に見るような、我々が新聞の面で知つておる程度のようなひどいことはないように思います。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 つまり紡績屋さんの支払が遅れる、こういうことを言つているわけです。
  37. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) その他の部門においては知りませんが、問屋部門におきましては私の申上げた通りであります。
  38. 川口一郎

    参考人川口一郎君) 只今下請業者の支払が遅れるというようなお話がございましたが、ほかの産業はどうかわかりませんが、化学繊維関係におきましては、常に先ほどお話がございましたように、糸が次の機屋さんに流れております関係で、さよなことをいたしておりますと、だんだんそのいい連繋を持つた機屋さんから敬遠される、こういうことになります。これは結局自滅の状態になるわけでございまして、少くとも私どもの承知いたしております範囲では、賃加工を願つた先で加工賃の支払が遅れておるというような実例を塁は聞いておりませんわけでございますから、この点一つ御了承願いたいと思います。
  39. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 お伺いしたいのですけれども、例えば造船のような話のときは、日本の船と外国の船との競争は、結局日本のほうがコストが高いというのはいろいろまあ事情があつて、その部分品なり下請なりの原価が高いからなかなか競争ができない。全体が安くなれば競争ができます。こういうような意味で、やはり輸出増進というのは全体を公平に見て結局海外に勝てばいいというまあ考え方が出て来るわけです。どなたに一番それが行けばいいかということは、これは業界の実情によつてきまると思うのでございますけれども、繊維界においては今お話を伺うと、どうも下請のほうは余り重要性はない、そこはむしろもうちやんと賃金がきまつておるのだから、それでいいのじやないかというようなふうに伺うのでございますけれども、その点はそれで大丈夫なんでございますか。
  40. 川口一郎

    参考人川口一郎君) 私言葉が足りませんでしたかもわかりませんが、下請はそれでいいのじやないかという感じは全然持つておりません。機屋さんのいろいろの困難な御事情も十分承知しております。恐らく岸さんも御同意願えると思うのでありますが、あらゆる面で御協力を申上げることはいたしております。ただ申上げました通り人絹会社が糸を従来長い間殆んど、人絹工業が興りましてから以来、糸は糸で問屋さん或いは機屋さんにお買い取り願つて、それで一応仕事が終つてつたのでございますが、昨年来二割程度の織糸を賃織の契約の形で皆さんにお渡しするという新らしい制度を実施いたしまして、その範囲において下請のような形に今機屋さんがなつておるわけです。少くともその範囲の賃織契約の間におきましては、機屋さんがどうでもいいという意味じやなくて、機屋さんに対しましてできるだけ公正な織賃を差上げおる、こういうことを申上げたいと思います。
  41. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 人絹を拵える場合ですね。この糸を輸出用として特にお拵えになることがございますか。
  42. 川口一郎

    参考人川口一郎君) ございません。もうとにかく現在の人絹会社の人絹糸の造り方は極力いい品物を造るという建前で、これは国内向けだ、これは輸出向だという隔てはやつておりません。
  43. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に毛織関係についてどなたか御発言願います。
  44. 高好一

    参考人(高好一君) 私日本毛織工業会の高好でございます。  毛のほうにおきましては、これが実際にお取上げになります場合に、いわゆる委託加工の中に、賃織と、それから賃加工、賃染色というのがございますので、これを平等にお取扱い願えるならば、この際何も申上げることはございません。
  45. 酒井弘

    参考人(酒井弘君) 私日本羊毛紡績会専務理事の酒井でございますが、遅れて参りましたので実は質問の点もちよつとわかりませんですが、染色整理に関して、この租税特別措置法適用することの可否についての御意見でございますか。
  46. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) さようです。
  47. 酒井弘

    参考人(酒井弘君) それについては紡績会して別段異議はございません。
  48. 高好一

    参考人(高好一君) 今酒井さんのほうから御質問がありましたのですが、染色加工だけでございましようか。
  49. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 賃加工も一緒でございます。
  50. 酒井弘

    参考人(酒井弘君) 賃加工というのは染色賃加工ではなくて、機屋賃加工も全部入る、こういう意味ですか。
  51. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) その通りです。  次に綿織物関係で、原君の代りに出られました田中君に願います。
  52. 田中實

    参考人(田中實君) 私綿、スフ織物工業連合会の田中でございます。原専務が出るはずでございましたが、ちよつと用事のために急に出られなくなりましたので、代つて申上げます。  私どもは綿織物染業者でありまして、全国約一万の工場がございますが、そのうち輸出をやつている工場は二、三千ありますのですが、現在の輸出の生産機構は、大体において紡績会社の賃加工が殆んど大部分でありまして、多少商社賃加工もあるような状態になつております。今度の措置法に上つて減税制度が認められるに際しまして、商社賃加工の場合には三%の減税が認められる。併しメーカーのほうの賃加工は認められないということでありましたので、これは非常に賃織を奨励するようなことになるというので、是非ともそのメーカーの賃織の場合も入れて欲しいということを大いにお願いして参つております。先ほどの委員長お話ですと、染色加工ということだけを取り上げておられましたのですが、いろいろ聞いて見すと、織布の加工も入るということで非常に安心しておるわけであります。是非ともこれは織染業者メーカーからの賃加工のものについても、三%の減税措置適用して頂きたいと思うわけです。それからよく賃織は非常に金もかからずに非常にいいんじやないかと言われますですが、これは賃織の場合にも賃織業者は全然危険負担をしないということではないのでありまして、現実にいろいろなその負担をしているわけであります。昨年ですか、いわゆるキヤンセルの非常に多くあつた場合なんかも、キヤンセルがありますと、いわゆる賃加工の契約まで破棄されまして、機屋も非常に苦い目に会つているわけでありまして、決して賃織だから全然危険負担はないということはありませんから、そういう面も御考慮に入れて頂いて、是非とも賃織の場合にも適用して頂きたいと思うわけであります。  それから賃織の場合には、それが輸出されたかどうかということが掴めるかどうかということをよく言われるわけでありますが、これは少くとも綿織物に関する限り、十分大蔵省なり税務当局の要求されるようなものが出し得るようになつております。これは組織的にもそういう制度でありますので、十分この点は心配なくやれるという自信を持つております。どうぞよろしくお願い申上げます。
  53. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後二時五十三分速記中止    ——————————    午後三時二十一分速記開始
  54. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは速記をつけて下さい。
  55. 田和安夫

    参考人(田和安夫君) この法律趣旨からいたしまして、輸出振興に関係ある産業はすべてこの法律に均霑できるようにすることが望ましいことであると考えるのであります。ただその場合に、その実施一、二注意せねばならん点があると考えます。と申しますのは、産業によりまして必ずしも輸出と内需というようなものの区別がはつきりいたしませんものもありますものですから、従つて趣旨としてはせいぜいその範囲を拡げて輸出に関係ある産業が均霑することは結構であるが、実施面においてはそれが重復することのないように、又内需と輸出の区別のはつきりするような、技術的に特に考慮を払つて、それが可能ならば可能なる限りその範囲を拡げるということについては、我々としても異議がございません。ただすでに八月から実施されておりまして、今日までにおきまして一応それが範囲の適用の外にあるものとして、すでに加工賃なんかにそれを織込んだものもあるやに考えられますものですから、若しそういう範囲を拡げられる場合にいたしましても、過去に遡つてやられるということについては、よほどその当事者間において話のつくことの可能なような方法も考えなければならんのじやないか。そういうふうな点を考慮しておやり願えるのだつたら、あえて我々としても異議ないところでございます。  以上簡単でございますが……。
  56. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 今のお話では、業態によつて可能なものはやつていいではなかろうかというようなお話のように伺いましたが、紡績関係で染色業者或いは賃織業者等に出した場合に実行可能でしようか、その点はつきり伺いたい。
  57. 田和安夫

    参考人(田和安夫君) 大体実行可能だろうと考えます。ただ織物の場合でございますが、織物の場合では、例えば染糸なんかを使いますような場合には、又機屋さんから、糸を染めるのだつた染屋のほうに移り、又撚糸を撚るのだつたら撚糸屋のほうに頼むというように、だんだん次から次へと追つて行きますと、その辺の区分けが非常にむずかしいことになるのではなかろうかというように考えられますので、その案施面においては先ほど申しましたように、先ず実施可能なものをよほどよくお選びになる必要があるのではなかろうかということを考えるだけであります。
  58. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 今の染糸ですね、糸をすでに染めてある場合ですね。そういつたような場合、輸出用として染めてある糸じやなしに、そうでなく内地向けに行くかもわからないというようなものは……。
  59. 田和安夫

    参考人(田和安夫君) そういうような意味ではございません。例えば紡績屋が織物賃加工に頼む。そうすると、それが糸染め綿花というような場合には、その機屋さんで全部糸から染めて織つてしまえば、そこで話が一段階済みます。又その機屋さんは染屋に出し糸染めを頼む。又そこから下りて撚糸を頼むとしたら、又撚糸屋さんは機屋さんに又同じようなことを頼むというようなことになつて来はしないかというように、だんだん先へ先へと同じようなことを繰返して行つて、つまりだんだん範囲が広くなつて、薄いものが非常に拡がつて行くようになりはしないかというようなことも考えられるのであります。
  60. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 今のように非常に範囲が広くなるケースは多いのですか、割合にして。
  61. 田和安夫

    参考人(田和安夫君) そう広くはありませんけれども、理窟にして言えばそういうことも考えられる場合もあるということであります。
  62. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 一応参考人のかたがたから御意見を伺つたのですが、締括りといたしまして化繊関係及び問屋関係以外は、大体この範囲を拡張しても支障がない、こういうふうに承知してよろしうございますか。
  63. 田和安夫

    参考人(田和安夫君) よろしうございます。
  64. 森下政一

    森下政一君 いろいろと御意見つたのですが、要するに前国会改正が決定しまして施行されておる租税特別措置法の一部改正ですね、輸出奨励ということに重点が置いてあつたはずなんです。それを今御覧になつて、これは要らんものじやないか、こういうことは。こういうところにこういうふうな租税上の措置を考える必要はないのじやないか。何の輸出奨励になつておるかというふうな御意見のある面もあつたように思うのですが、現行法に何か御意見があつて批判してみたい、これは輸出奨励とは無関係なものだというような点があつたら、端的に一つ皆さんどなたでもいいですからおつしやつて頂きたいと思うのですが。
  65. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 只今の御質問と逆になるかも知れませんが、只今の施行されております法令はやはり輸出振興のために非常に必要だと存じます。むしろ拡張して頂きたいと思います。私の先ほど申上げました問屋部門染色加工の問題につきましても、実はこの第四条の輸出業者の下に、その他命令によつて定めるもの、ということをお入れになることになるようでございますが、この現行法で拝見いたしますると、輸出業者賃加工をいたします染織業者に三%は今日でも交付されることになつておるということは、私はこれを裏から考えますと、輸出業者輸出金額に対して一%与えられる、これは勿論すでに既得権を与えられたことなんだから……、そのどこか宙に迷うものを染色業者に与えるのだというふうに、私案は自分自身で解釈いたしております。そこで、従つてそういうふうな考え方でゆとりのあるものならば、染色業者と又同様に輸出推進をいたしております問屋業者にも与えて欲しいということをお願いするわけでございます。それをやることによつて実際輸出振興になるだろう、こう考えます。  それからいま一つこの機会に、先ほど御質問になりました現行法輸出振興のためには、どこか抜いてもいいのじやないかということの御質問に対しまして、私は抜くところはないが、むしろつぎ足して欲しい、こういうことを申上げたいのであります。特にこの機会に申上げておきたいと存じますことは、賃加工の場合におきまして、この法文によりますと、輸出商或いは化繊メーカー等が、機屋さんに対して賃加工をいたしました場合に、その化繊メーカー若しくは輸出商生産者立場に立つて、そうして三%の恩典に浴するわけでございます。但し輸出商の場合におきましては、輸出の面においての恩典がありますから、それはないことになつているようでございます炉、ただここで特にお取上げを願いたいと思いますことは、御参考に申上げておきたいと思いますことは、この賃織の面におきまして、先ほど岸さんから最初に申上げましたように、絹、人絹織物の現在の賃織の状態が、化繊メーカーの賃織いたしまするものが大体二〇%、それから産地問屋さんが賃織をいたしまするものが二〇%、それから輸出商の賃織が一〇%、あとの五〇%は機屋さんが自分で糸を買つて自分危険負担において、自分計算において織物を織つておるというのが現在の情況なんであります。そこで大体私どもが当該官庁と折衝をし、お話を伺いました結果によりますると、化繊メーカーの分につきましては、その二〇%の分については、化繊メーカー織物生産者立場に立つて三%の恩典に浴されるということなんです。ただ問題は問屋が賃織をいたします場合にはこれは認められない、こういうことなんであります。ただその理由はどうかと申上げますと、完全賃織と申しますのは、申上げるまでもなく賃織を委託いたします者が、自分で糸を買うか或いは自分が生産をいたしまして、自分の糸を機屋にいい条件で渡して、そうしてこれこれの糸をいつ何日までに織つて来い、そうして織り上つて参りましたならば、それに対してあらかじめきめた織賃を与える、これがいわゆる賃織でございます。又そうでなければならないはずでございます。ところが最近特に終戦後、最近の状態におきましては、いろいろな金融の面におきまして、又機屋さんの信用状態等の面におきまして、ただ黙つて目をつぶつて糸を渡して、そうして織上つて来るのを目をつぶつてつているというようなことが必ずしも許されない場合がある。従つて自分が賃織をいたします委託者の立場におきまして、糸を機屋さんに渡します場合、保証金の形でその糸代に該当する手形を受取つております。そうして織り上りましたらばその手形に織賃を加えたものをすぐこちらから代金を決済をするというのが、現在の賃織と称しますものの実情でございます。それは表面から見ますると糸売り織物買いという形にはなつております。形にはなつておりますが、そういう形を取らないで完全賃織をし得られるような只今社会情勢でないものですから、止むを得ずそういう方法を取つておりますが、その間における先ほど申上げました問屋若しくは輸出商、或いは織物生産者染屋さんに染めを依頼する場合と同様に、その間におけるそこのフラクチユエーシヨンによるところの、或いはいろいろな関係による例えば流行の変遷等による危険負担は、全部委託者が負担をしております。従つて、化繊メーカーの場合と産地問屋委託加工賃織の場合も同じケースを辿つておりますので、これも同様に見て頂くことによつて輸出振興には更に寄与するのではないか、こう考えます。
  66. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどのお話、丁度本会議で失礼しましたが、今のあなたのお話問屋メーカーだという立場を取られておるわけですから、先ほどの話のように百分の三のフエーバー自分にだけくれればいいのだ、染色業者とか或いはあなたのほうが糸を買つて織物委託した賃織業者にはやる必要はないのだという主張ではなしに、向うにもやれ、私にもくれ、こういうことならまだ考えられる。だから図で書くと、いわゆる製品の全仕事の量を百とする。輸出業者はこれを百十で売るとすれば、この百十かける百分の一のフエーバーメーカーのほうは百分の三、これが仕事の量の全量です。生産者価格。そうすると、これをあなたのほうは今の問屋立場で言われると、これで輸出業者が行かれるわけです。ところがこの中にはあなたのほうにはいろいろ図案料とか、糸の危険負担をしているとかということで、百の中で二十分を負担されている。そうして賃織業者が五十を負担しておる。染色業者が三十ですか、こういう、比率は悪いかも知れませんが、これで合せて百になる。そうするとあなたのほうは二十分の生産寄与をやつている。この二十分に対して百分の三は当然よこす。織物に対しては五十が百分の三、染色業者は三十に対する百分の三、この二十をオミツトするのはけしからんという回答はわかるけれども、これらは自分の工夫によつて、生産指導によつて全部指導をしたのだから、五十や三十にやる必要はなくて、俺に全部これをよこせというのなら欲張り過ぎている。こういうわけです。
  67. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) それは私の言葉が足りなかつたのであります。今の染屋さんが三十である場合なら、問屋は四十か四十五であるはずなんです。染屋さんが三十である場合なら問屋はその染賃……その比率は別といたしまして、そこで私が最初に申上げたいと思いましたことは、染屋さんにも又我々のほうにもその恩典を浴さして頂きたい。併しながらこの法律の建前はダブルことは許されないという建前のように伺つておりましたから、その前提の下において申上げたいのであります。若し両方に分け合うか或いは両方がそれに均霑し得られるならば、我々はそれを望外の仕合せに思うのであります。
  68. 小林政夫

    小林政夫君 それは私の今の改正案を提案しておる趣旨は、全部の人がそれぞれ生産に寄与した度合によつて分け合うという趣旨です。全体のフエーバーの百分の三というものを掛ける基本数字というものは、如何なる段階を経ようとも変りはないんです。そういうのが一方に書いてある。
  69. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 勿論分け合うということにおいて、今日ここまでの話合いになりますれば、私は分け合うことは私は非常によろしいと思います。御提案になつておるこの法案によりますと、何もかも一切が染屋さんに行くように出ておりましたので、又ダブルことが許されないような前提の考え方で申上げたのであります。どうぞよろしく一つ御了承を願います。
  70. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ほかに御質疑ありませんですか。  別に質疑はないようですから、参考人のかたには誠に御苦労様でございました。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十二分散会