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1953-11-02 第17回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二日(月曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            藤野 繁雄君            松岡 平市君            土田國太郎君            三木與吉郎君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    通産省企業局長 記内 角一君    農林省農業経済   局農業保険課長  久宗  高君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案小林政夫君外十七名発議)  (第十六回国会継続) ○参考人の出頭に関する件 ○農業共済保険特別会計歳入下足  を補てんするための財源措置に関す  る法律案内閣送付) ○昭和二十八年度における特別鉱害復  旧特別会計交付金支払財源に充  てるための資金運用部からする借入  金に関する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二回の大蔵委員会を開会いたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。通商産業省から記内企業局長が見えております。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 私が提案者租税特別措置法の一部を改正する法律案を出しております。この法案内容は記内さんは御承知願つておると思いますが、多少字句においてミスプリントがあるので、あとで正誤表を出しますが、趣旨を一応まあ記内さんに了解してもらうために説明をします。  前国会の最後に改進党の人が主となつて修正されたようでありますが、要するに衆議院修正案として輸出業者及び輸出物メーカーに対してフエーバーを与える。その際にその輸出物加工をしたものに対しても同様にフエーバーを与えるのですけれども輸出業者からの下請加工に対してはトレイスはつきりできるからやる。ところがメーカーからの下請に対してはちよつとトレイスがしにくいからやらないという法案書き方になつておる。これでは同じ加工をし、特に中小企業の問題になるわけでありますが、同じ加工をやつたものが貿易業者からの加工ならばフエーバーがもらえる。メーカーからの加工ならばフエーバーをもらえないということは公平の原則を欠くのであります。従つて貿易業者であろうとメーカーであろうと、同じ輸出物加工をしたならば同様のフエーバーがもらえるということに法律建前においてはやりたい。併しトレイスがなかなかむずかしいということであれば止むを得ずトレイスのできるものからそういうフエーバーを与えて行くことにしよう、これは一つ行政当局へ一任して、主税局とあなたのほうと相談して、これは大丈夫だというものか一ら逐次政令で指定して行つてフエーバーを与える、ただもう一点は単に加工業者フエーバーを与えるということになると、同じ物品の加工製造についてフエーバーがダブるということがありますから、総体の仕事の量というものを一〇〇と見て、そのうち第一次のメーカーを第一次メーカーとし、その第一次メーカーから第二次メーカー加工に出す、その加工量が一〇〇のうち五〇であるという場合においては、第一次メーカーのこうむるべきフエーバー基礎となる数字は一〇〇マイナス五〇、五〇の加工を引受けた第二次メーカーが更に第三次メーカー下請けに出すその下請料が三十であるという場合には、その二次メーカーフエーバーを受ける基礎となる数字は五十マイナスの三十なり二十、そういうふうな構想でおるわけです。これについて通産当局の御意見を伺えれば幸いです。
  4. 松永義雄

    松永義雄君 希望を申上げたいのですが、何にも知らない者に話せるように、一つ順序を立てて詳しくお話願いたい。
  5. 記内角一

    説明員記内角一君) 只今お話でございましたが、私ども確かに今御説明がありましたように、輸出業者に直結いたしておりまするメーカー、或いは輸出業者からの下請加工業の形で参りますものは合同の措置恩恵を受けますが、その直結いたさない業者にとつては、その恩恵が与えられないということにつきましては、同じような仕事をやつておりながら片つ方は恩恵があり、片つ方は恩恵がないということになるのは、建前として面白くないという意味合いにおきまして、御提案趣旨には全く同感でございます。ただ実際問題といたしまして、下請業者が果して自分加工しておりますものがその輸出になるものかどうか。或いは輸出なつたものかどうかということについては、認定することが相当困難な場合があるわけでございます。今御提案者からはわかるものから順次実行するというお話でございましたが、そういうことでやつて参るのであればできますが、そうでないで一律にやるということになりますと、その辺の判別がなかなかむずかしいということになろうかと思うのであります。尤も与えられまする恩恵が第一次のメーカーについては全額であり、第二次の分については更に加えて、その加工部門についてだけプラスして免税の恩典に浴するということになりますれば、まあ第一次の加工業者と第二次の加工業者との間に利害の相反するということもございますので、その辺は一種の証明制度というふうなことで可能になつて来るかと思われるのであります。若しお話のように両者が分け合うということになりますと、第一次の分と第二次の業者との間に利害が必ずしも一致いたしませんので、その間に若干問題が起きる。又そうなりますと、税務当局としてこれを判定するのに事務上にもいろいろな支障があるというふうなことが想像されるわけであります。併し、いずれにいたしましても、今お話のようにできるものからやつて行くという趣旨でございますれば、この点については我々としてもできる限り税務当局とも話合いまして、御趣旨のような方向で運用するようにやつて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  6. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 ちよつと小林さんに先ず質問したいと思いますが、小林さんはこの問題について大変に……実は、この法案は私も発議者になつておりますが、甚だ申訳ない次第でございますが、生にこれは小林さんにおやり頂いておるので、私皆さんの前ではありますが、質問させて頂きたいと思います。実はこの問題につきましては、小林さんは長期間に慎重に御研究をなさつておるのでありまするからお伺いするのでありまするが、只今企業局長が言われましたごとく、この法案を実施する場合にでき得るものからやつたらいいだろうというお話でありまするが、小林君の頭の構想の中に、どういう企業ができるものか、できるものに入るという業界の分野ですね。これをちよつと聞かせて頂きたいと思います。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 私もまだ的確にどの企業、どの企業ということは指定はできませんが、まあ金曜日の日に参考人に出られた団体、即ち染色同業会であるとか、或いは毛織染色整理関係、或いはその織物業者あたりは入るのじやないかというふうに考えます。それから、そのまあ私の接触しておる範囲においては、そういう点、又金属工業においても余りにもこの加工段階がたくさんあつて、今の二次加工、三次加工、四次、五次というふうなのはむずかしいのでありますが、まあ二段階くらいだつたらできる。まあ造船造機関係には相当加工段階があるようであるが、これも一段階くらいまでは入れ得る。今企業局長の話のあつた第一次メーカーと第二次メーカーとの間に利害が一致しない点が起つて参りますが、どうしても一次メーカーとしては自分のところで全部やつたのだ、一〇〇%仕事をした、そうすればフエーバーがもらえるわけでありますから、そういう点は起つて来るでしようが、併しその二次メーカー下請加工業者加工料をこぶ付きにしてフエーバーを与えるということになれは、税収もそれだけ余計に減つて来るし、のみならず、第一次メーカーから第二次メーカーに対して証明をしなければならん、これははつきり輸出物仕事であるという証明を一次メーカーから二次メーカーに与えるというようなことでないと、第三者的に納得し得る跡づけにはならないのじやないか、そういうことになるとそれがこぶ付にはならないのじやないか、自分の一〇〇%の中から或る程度フエーバーを割くということになると、一次メーカーのほうも慎重になりますので、はつきり第三者的に納得のできる証明が、むしろそういう意味においては正確な証明が得られないというふうにも考えられるのであります。
  8. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そこを懸念するのでありますが、現在小林さんのお話によりますと、この問題は即ち繊維関係の一部にのみ今お考えのようでありますが、もう少し大きなお考え方をお持ち願つて御指導願いたいと思うのですが。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 何も繊維だけに適用するという考えでなくて、いやしくも法律だからすべての企業で該当するものについては適用して行こう、と言つて何も繊維に特定な書き方をちつともしておるわけではないので、政令で指定すれば、すべての企業が取上げられるわけでありますから、その法の建前はただこういうことをこの改正をせずに今まで通り輸出業者下請け、いわゆる商社下請けならばフエーバーがもらえる、そうでないものは全然もらえないという建前よりは、法の建前から言つてこの私の改正しようとする趣旨のほうが公正な、公平という原則から行けば、このほうが途を開いている、極端に言えば今の企業局長の心配されるようないわゆる指示当局もそういう心配をしておると思いますが、はつきり第三者的な、成るほどこれは輸出物加工だというフレーズができるかできないかということが問題なんで、極端にそういうことで指示当局あたりが間違いないという確信が持てなくて、折角こういうふうな改正をして、全然適用業態がないと仮定して零であつたとしても、ちつとも問題ない、今までの法律フエーバーを受ける人は受けるのですから、これを作つかたらといつて、今までの人が困るという、困るじやない今までの与えらるべきフエーバーには関係はないのでありまして、ですから窓口を開いたけれどもその実行ができなければ、場合によつたら全然指定しないという方法もあろう、それならば何も指定しないということが明らかならば指定する必要はないという御議論もあると思うのでありますが、併し私は少くとも二、三の業者は、業態は指定し得るものがあるというふうに考えております。一つでも二つでも拾い上げればそれだけ均霑を受ける、延いてはこういうフエーバーを与えて輸出振興をやろうという輸出振興の一助になると思います。
  10. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 企業局長に伺いますが、今私が小林君に質問したしましたですね、でき得るというふうな企業はほかに相当あるのですか。
  11. 記内角一

    説明員記内角一君) いろいろ検討いたしておるわけでございますが、実際問題といたしまして証明することが相当むずかしいものが多いわけでございまして、只今小林委員から御指摘になりました染色整理という方面は、大体これはできるかと思うわけでありますが、織物になりますと若干問題があるのであります。そのほか例えばこれはまだ検討いたしておりますけれどもクリスマス用のいろいろな電球だとか或いは造花だとかというふうなデコレーシヨンを専ら輸出専門にやつている物を作りますものの下請加工あたりに、或いはこれの適用ができるものがあろうかとも思うのでありますが、この業態あたりは非常に下請の更に下請になるというふうな恰好にもなつておりますし、相手がいろいろな零細な業者或いは家内工業にも近いようなものが相当ありますので、織物染色整理のように、はつきりまだ確信を得ておらないというものでございますか、併し場合によりましてはできるものもあろうかと思われるのであります。
  12. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 もう一つ局長に伺いますが、そうすると染色関係であればこの法案がうまく合うということでありますか。
  13. 記内角一

    説明員記内角一君) 今までの例といたしまして、大体輸出品は結局染色整理をした上で輸出するというものも相当ございますが、その場合には染色整理業者のところで梱包荷造りいたしまして、仕向先マークまで附して引渡しをするというのが大部分になつております。先ずそこに来たものは大部分輸出に振向けられるということにはなろうと思うのであります。勿論事情によりましては相手キヤンセル等によつて輸出向けに準備したのに輸出できなくて、内地に振向けるということもあり得ると思いますけれども、併し一応輸出用のものとして加工業者のところで梱包或いはさつき申上げました宛名まで印刷して、もう船積みまで持つて行くというふうな態勢をとつておりますので、この辺になりますと大体はつきりして参るというふうに考えております。
  14. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 私は毛織染色整理につきましては、愛知県におりますので、比較的業者にも密接な関係がございますので、一応状況を申上げまして、皆様方の御認識を得ると同時に、企業局長の特段の御配慮を願いたいと思います。只今お話しのございましたように、毛織関係というのは大体工程三つになつておりまして、もう御承知のことと思いますけれども、第一は濠州から輸入されました毛を糸にする工程でございます。第三には、それを織ることでございます。第三は染色整理と申しますか、これを仕上げをるる工程でございまして、この三つはつきり分れておるのでございます。それで、愛知県における生産状況全国の八割程度に及んでおりますが、殊に染色整理は殆んど愛知県でやつておると言つても差支えない。織るほうは小型の織機で織りますので、業者農村にもたくさんございまして、愛知県の農村と言えば殆んど中島郡、尾張部のほうでは、毛織業者農村の中に点在して半分工業であるというふうな状況を示しておりますが、そういう毛織業者染色整理はできないのであります。染色整理というのは相当の規模を持つた業者でないと完全に参りません。例えば私どもが着ております服でも、出来上りというものは極めて粗雑なものでございまして、見たところ何といいますか、全く取引にはならないようなものであります。毛布のようなものでも、まるで麻で織りました何といいますか非常に見たところの悪いものでありますけれども、一旦これを、染色整理いたしますると、非常に立派になりまして、これが内地向き或いは輸出に向く立派なものになるわけでありまして、染色整理業者というのは相当資力のあるものがやつております。先日、ここに名簿がございますけれども全国でこれだけの人が染色整理専門にやつておる会社でありまして、これは相当資力のある方面であります。それでありますから、この問題が細かい業者一般が、取締りといいますか、その対象になるのでは大変でありますけれども、これは一つの協会を作つておりますし、日本の経済力貿易振興ということにも非常に関心を持つておる組合でございますから、私はもつとよく話合いをすれば非常に向うも喜んでやりますし、弊害はないのじやないかと、かように思います。それから重点が大体染色整理の如何でも毛織物出来工合ヨーロツパ物に負けないか、アメリカ物に負けないかという点に非常に関係があるのでありまして、染色整理がよくできませんと、たとえ如何によい柄で織りましても出来上りが悪いのであります。そういう意味で私は染色整理業者希望というものを相当政府でも聞いて、これを推進することが必要であるということを、愛知県におりますので特に痛感いたしておるわけであります。そういうわけでございますので、是非一つほかの業態も全体からいいますれば、西川さんの御承知のようにだんだんに触れて、すべてに恩典が行くことを望みますけれども、それだからといつてこの織物関係、殊に毛織関係重点染色整理にあることは、若しできましたら実際に工場の御視察もお願いしたいのでありますけれども、非常にこれは重要でございます。それゆえに是非私ども提案いたしましたこの法案が何とか御理解の下に通ることを切にお願いをするものでございます。企業局長もすでにすべての状況を御承知のことと思いますけれども、又一つ毛織染色整理につきましては何かいい法を作つて、この恩典業者に行渡りますように御配慮をお順いしたいわけでございます。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと線が外れますのですが、染色業者紡績業者との関係をお尋ねしたいのですが、染色業者というのは現在その業態はどうなつておるのですか、成績は……。
  16. 記内角一

    説明員記内角一君) 紡績業者染色業者と申しましても、綿と絹、人絹あたりのものと、それから毛織物とは若干内容が異なつております。綿のほうにつきましては、綿紡績のほうで自分で糸を紡ぎ機を織り、染色工場を持つて染色整理をしておるというのが相当多いわけでございます。併しこの綿紡績といいましても大量品自分のところでやります。が、特殊な加工をしますとか、或いは特殊な染色をするというふうなものになりましては、自分のところで工場を持つてつても外に出すというものも相当あるわけでございます。そうしてその際におきましても染色整理業者加工したものについては、そこで荷作りをして、マークを付けて出しておるという実情でございます。それから毛のほうにつきましては、糸のほうは、漸次綿のほうに一貫して参る傾向にはございますけれども、まだ糸ばかりでやつておるというものも相当あるわけでございます。そういう際には織機屋のほうで糸を買つて来て、輸出商社注文を受けて染色業者に出す、そうして更にそれを整理のほうに出しておるというものもございますし、又毛の紡績業者自分のところで染色整理工場を持たないで下請織機屋に出し、更にそれを引取つて賃加工をさせるという仕事相当しておるわけでございます。今青柳委員からお話がございましたように、いずれにいたしましても毛につきましては、全部染色整理をしなければ、先に染めるものもございますけれども、いずれにしても整理をしなければ出せないという実情にございます。従いまして、そういう面におきましては、今申上げたようにいずれの段階輸出の検査も染色整理業者のところで受けております。それを荷造りして、宛先まで印刷して発送しておるというふうな実情にあるわけでございます。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 染色業者は今儲かつておるか、損しておるか。輸出関係しているばかりでなく、どういう状態にありますか。
  18. 記内角一

    説明員記内角一君) 的確に儲かつておるかどうかということになりますと、私どもも的確には申上げかねますが、業界のそれぞれの意向としましては、いつも紡績に食われて染色整理業者は痛めつけられておるというふうなことを申しておりますが、結局染色整理業者は独特の技術を持つておりますれば自然非常に有力になつております。一概には申上げかねると思いますが……。従いまして、その辺になりますと力関係になつて参りまして、或る優秀な整理加工技術を持つておりますものは、そこを通らなければ信用がないとか、或いはそこのものが余計に売れるとかいうようなことによつて相当儲かつておるというふうに思われる工場もございます。ですから一般的にはいわゆる紡績ほど儲かつていないということが窺われるかとも思いますが、個々のケースにつきましては、それぞれの技術に応じて優劣があるように感じております。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 紡績業者染色業者に対する支払いが余りよくないというようなお話、事実はないですか。
  20. 記内角一

    説明員記内角一君) これは時期によつていろいろあるようでございまして、一つはこういう加工業者の、まあ紡績一般的に見まして、いわゆる大資本を擁して而も数が比較的少いというのでございますが、加工業者紡績に比べますれば、資本力も比較的少い、それから又業者の数が非常に多いというような関係で、競争関係相当激しいというふうなことから、加工賃相当勉強しなければなかなか注文がとれないというふうな実情にあるように思われまするし、自然そういう関係支払いが必ずしも円滑に行かないというふうな面もあるやに見受けられる向きもあるわけでございますが併しそれもすべてがそうというわけでもないわけでありまして、必ずしも賃加工支払いが滞つておるとも申しかねるのじやないか。ただいずれにしましても、賃加工のことでありますので、支払いがむしろ資金繰り関係上、若しどこかに支払いを遅らせなければならんというふうなことになりますれば、こういう方面を第一に遅らせるというふうな手を打ちたがる傾向にはあろうかと思います。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 紡績業者染色業者に出す手間とか代金の支払いは、即時でなくて相当長期に亘つて行くというような、そういうようなことはないのですか。
  22. 記内角一

    説明員記内角一君) そういう噂もぼつぼつ聞きますけれども、的確に承知いたしておりません。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 先ほどお話があつたのですが、造船関係で、まあ殊に下請業者、結局労働者に支払う賃金の問題に響いて来る。造船会社下請会社に対して支払う時期が非常に長い、そのために下請が非常に困つている。そのことはもう新聞にも書いてあるし、実際にほうぼうにあるのですが、染色業者が今言つたようにいいにもかかわらず、支払いが非常に遅れる。染色業者はお得意さんだからそう怨みもできないでしよう。そういつたような現象が非常に多いのじやないか、どうなんでしようか。
  24. 記内角一

    説明員記内角一君) 一応予想せられますし、そういう話も聞きますけれども、具体的にそれではどうかということになりますと、これは時期にもよりまして非常に資金繰り一般的に詰つて来るような場合には、紡績が非常に不況なような場合にはそういう声が非常に強くなつておりますが、最近のように紡績も非常に好調だと言われるとぎには、そういう声も比較的薄くなつて来るということで、的確なことは時期によつていろいろ変つて来るということでありますが、一般傾向としては今お話しのような傾向にあるかと思うのであります。  それから、なお今造船お話がありましたが……。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 造船のことはいい。ただ例を引いただけで……。
  26. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと伺いますが、このフエーバー恩典に浴するものが、記内さんのお見込みで大体全輸出の何%ぐらいになり得るものか、わからんければしようがありませんが、そういうような見当はつきませんか。それと、実際において不明というか、どういうものが輸出されていないというようなものですね、見当がつかんようなものも大分あるのでございましようか。そういうものは仮にどういうものかということをお気付きの点があつたらちよつと聞かして頂きたいです。
  27. 記内角一

    説明員記内角一君) 繊維関係は全体の輸出の三割五分から四割近かつたと存じておりますが、そのうちで染色整理部門がどのくらいかと申しますと、大部分が綿が中心でありますが、これまでは加工賃が一割乃至せいぜい二割ぐらいかと思つております。而も大部分が……、大部分じやありませんが、相当部分整理加工しないで出しておるものもございますので、実際の全輸出に対する割合ということになりますと、比較的小さいものになつて来るかと思つております。それから繊維以外のものにつきましては、いろいろ調べておるのでございますが、例えば金属メツキ薄板亜鉛鉄板あたり輸出するというふうなことを考えますと、薄板業者メツキ業者賃加工に出すという場合は比較的少くて、メツキ業者自分で板を買つて来て輸出商に売つておるというのが比較的多いようでございます。艀板業者賃加工に出します際は、それをもう一回自分のところに引取つて輸出しておるようでございます。そうなりますと、果して輸出に向けられるものか或いは内需に向けられるものかということの内容がつかみにくいという場合が相当あろうかと思うのでございます。勿論国内向けよりも輸出向けのものを慎重にいいものを出そうという努力の傾向が見られますので、或る程度輸出物じやないかという推測は付こうかと思うのでありますが、果して実際の取引になつてそのものが輸出に向けられたということを申請いたします場合に、税務署のほうでそれを確認する方法がどういう方法でやつて参りますか、一番いい方法は、その第一次の加工に出した第一次メーカーから、この分はこのメツキによつたものであるということの証明を出してもらうのか一番いいわけでございまして、最初に申上げましたように、そういたしますとその分だけ第一次メーカーの売上高から差引かれることになりまして、まあそれだけ第一次メーカーとしては損をするというふうな恰好にもなります。従いまして、この辺の証明関係あたりは的確につかめるかどうかという点が若干問題じやないかと存じておるわけでございます。  そのほかにつきましては、例えば先ほども申上げました輸出専門に使うクリスマス用の商品というふうなものにつきましては、まあ輸出商が製造問屋に注文し、製造問屋が更に下請に出しておるというふうな関係に相成つておるわけでございますが、製造問屋までは現在の法律恩恵を受けることになつておりますが、それから下の加工業者になつて参りますというと、これが場合によりまして相当もう一回、問屋式な加工業者の場合もありましようし、それからその加工業者自体が比較的小さくて、それから更に下に出すものは内職に近いものが相当あるように思われる。そういたしますと、この制度をいたしましても三%、いわゆる青色申告でもやつていない限りこういう制度をおきましても、実際上実行し得ないという問題にもなつて参ります。併し又今申上げたような証明関係あたりも若干問題になるのであります。従いまして、この制度の恩典を受けます際には、加工業者が或る程度経理関係もしつかりしておる、こういう記帳或いは収支の関係あたりがはつきりしておるような、或る程度企業形態を備えたものでなければこの恩典を受けることもむずかしいのじやないかという問題もありまして、従いまして一般業界につきましては、第二次、第一次の加工業者相当零細なものが多いというふうな関係から、実際上指定をいたしましても実効が上らないという面も予想されるわけでございます。従いまして、今染色賃加工に類するようなものをいろいろ検討いたしておるわけでありますが、まあこのほかに例えば陶磁器の絵付け業者というふうなものは、或いは若干出て来るかというふうなことを考えておりますけれども、まだ的確なところまでつかんでおらないような次第でございます。
  28. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) この法律案につきまして大蔵当局の意見を伺いたいと思います。
  29. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この法律案に対する意見につきましては、前国会におきましても我々の考えておることを申上げていたつもりでございますが、一応それを繰返させて頂きたいと思つております。  我々のほうの立場からいたしますと、どういうふうな恰好をとることが一番輸出奨励として効果が上るかという点が一つ、それから同時にそういうことをする場合に、果して事務的によくこれを消化できるかどうか、又同時にそれによつて本当に業者のかたにうまくそのフエーバーが行渡り得るだろうか、こういつた問題を順次考えて行かなければならないかと、こういうふうに思います。染色加工のかたが輸出の場合におきましては、注文主であります製造業者のほうにフエーバーが行つてしまいまして、我々のところには来ないから、従つて我々のほうにフエーバーが来るように措置をしてほしいという御要求は、それ自体としては我々も一応御尤もだと思うのでございますが、併し先だつての公聴会のいろいろなお話を伺つておりますと、染色業者の立場としては何とか輸出のほうはわかるのではないかというふうな公述があつたようでございますが、メーカーのかたのほうの御意見として、果してそれがわかり得るということになるかどうかということについても一応意見を聞いて頂きたい、どうも我々のほうの立場からいたしますと、その辺がどうもまだはつきりしておりません。一応加工業者のほうでは輸出のつもりということでありましても、果してそれが的確に輸出されるかどうかという点などにつきまして自信がまた持てません。そんなような意味においてこういう措置をとることが果してどうだろうかという点について未だに多分の疑いを持つております。結局現在の制度でございますと、加工業者におきまするフエーバーをも合せまして、メーカーフエーバーが行つておるわけでございまして、或る意味から行きますとフエーバーのほうも、本来加工業者が受くべきフエーバーを受けておるということも言えないことはないと思います。結局輸出を一番熱心にやつて、同時に輸出市場の開拓ということになりますと、何と申しましても輸出業者のかたの御努力を願う、及び輸出業者のかたと直接結び付いておるメーカーの努力、こういうことにやはり重点が置かれなければならないのではないか、こういうことも一応考えられるわけでありまして、そういたしますと間接的なことになつて加工業者は直接には行きませんが、全体といたしましてフエーバーが与えられるならば、現在の行き力も一つの方法ではないだろうか、こういうふうな考え方も持つております。同時に問題が染色加工といつたような狭い範囲でとどまつておりますれば、これも一つ考え方でありますが、その論理を追つて参りますと、どうも一般下請業者、或いは更にその論理を追つて参りますと、原料供給者といつたようなところまで問題がだんだん拡がつて行くのではないだろうか、そういたしますと、そういうふうに極端に拡がつて参りますと、これはもう事務的にもとてもこなし切れないと思つております。そうした場合に一体どの段階まではそれを認めるけれども、どの段階から先は認めない、この線が非常に恐らく引きにくいわけでございまして、なかなかそういう点におきまして、まだこの問題は我々のほうとしまして簡単に事務的にこなし得るという自信を持つておりませんので、折角の御修正でありますが、我々のほうとしましては、まだこれを実行に移し、十分効果を挙げるという自信を持つまでに至つておらないということだけを申上げさせて頂きたいと思います。
  30. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 主税局長に申上げたいのでありますけれども、先ほど企業局長お話を申上げたのでありますけれども、ほかの業態については私詳しく存じませんから、これはまあ自分としては不適当で何とも言えませんけれども毛織物についてでございますが、毛織物というのは、日本でも戦前におきましては、むしろ綿を凌駕するくらいの輸出を日本がやつておつたことは御承知通りであります。その商圏というのも単に日本内地でなしに、満州からインド、或いはヨーロツパまでも、毛織輸出が及んだということは事実でございます。国策としても、これはイギリスの品物に負けないように、日本の毛織加工と言いますか、織物を盛大にいたしまして、輸出増進に当てることを国策として私ははつきりきめなければならないと思います。非常に今では消極的な考えで、何か外国に押されて、極く僅かな地歩を築いておるように思いまするけれども、これは私は根本的に今の繊維状況から言いまして、或いは化繊のようなものが出て来ましたから、業体は違つておりますけれども、併しやはり日本の伝統的な技術を活かしまして、これで内地は勿論、海外に向つても、毛織の品物を広く輸出することが、貿易増進の一つの根幹であるというふうに確信しております。その意味におきまして、毛織業態を検討いたしますると、ほかの業態とは違つて、先ほど申上げましたように、羊毛を糸にいたしまして、次にこれを織る。次に染色加工する。その染色加工というのも、毛織においては特殊な技術でありまして、この表にもありまするように、殆んど八割程度愛知県でやつておるわけであります。これは糸にするのは大企業家でありまして、それから織るのは極く小規模でもできるわけであります。柄等いろいろ変化いたしますので、愛知県では大都市でなしに、農村でも極く五台十台でやつております。又相当いい柄と言いますか、いろいろその時に合うものを作つておりますが、加工する、染色するという点が、毛織の結局海外と競争するそれをきめる極めて重大なところでありますけれども、これは業者の数が少いのであります。これはほかの業態と違いまして、立派な技術が要りますために、中でもつやきんというのが日本で一番であります。つやきんのマークの入つた毛織物というのは、どこでも第一等品として全然問題なしに取扱われております。つやきん以外のところがそれに準じておりますけれども、こころが、まあ例を申しますると、ちよつとおかしくなりますが、女がお化粧するようなものでありまして、そのお化粧如何によつて、非常に立派になるのであります。織物というのは如何に柄が良くても、極めて毛織というものは妙なものでありますけれども、これを整理いたしまするときれいになりまして、いわゆるロンドン・シユランクと言いますか、全くどこへ出しても恥しくないような、立派に収縮して伸び縮みがないようになつて参りまするし、すべてが取扱貿易業者についても安心してやれる。又それを需要する個々の消費者においても、この種のものなら大丈夫であるというところにまで至るわけでありますけれども、それがやはり全国どこでもできるかというと、やはり一つ技術がありますので、ここにあります業者が大体やつているわけであります。そういうわけでありますので、いろいろの関連はありますし、殊にこれは織物だけでなしに、ほかの造船なり幅は拡がりますけれども、併し織物、殊に毛織を日本の貿易として振興させるには是非一つ染色加工業者にも思典を与えて頂きたい。この恩典がありませんと、染色加工の人のいろいろな点が非常に不利になると思います。工場に行つて見ますると、そこで加工しているのに少しの傷がありましても、ちよつとした傷があつても、それはオミツトしなければならない。丁度紙の工場に行きますと、少しの傷があつても、大きな紙をそのまま捨てております。王子製紙の工場でもそうであります。それは一つ傷がありますとクレームがつきまして、全体でこんな厚い品物が全部クレームで、非常に取引がむずかしくなると同様に、非常に綿密に女の工員が細かい点まで注意してやつております。これは御覧になつたかと思いますけれども、そういうふうにやつて日本の信用を高めて行くにはどうしてもこの染色加工業者というものを十分に政府でも御指導願いますと同時に、一面これに対する奨励ということが必要であります。それ故に私は今度の法案が非常に幅の広い法案でございますので、大蔵御当局としては他の関係からいたしまして、今お話の点もよくわかるのでありますけれども、何とか積極的にこの織物、殊に毛織については御考慮を願つて、これなら尤もである、又ほかの輸出業者との関係も円満に行く、これは話合がつくと思うのであります。輸出業者染色加工のほうがうまく行かなければ輸出が実際できないのであります。そういう点から言いまして、何とかこれを取上げて頂きたいというのが私の希望であり、又特に御考慮を願いたい点でございまするので、どうか非常にこの法案は幅は広くなつておりますけれども小林さんのお説のように一つ一つ具体的に取上げて検討してお進めを願うことが貿易増進になるのじやないか、私はかように思いますので、特に御配慮を願いたくお願い申上げたのでございます。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 私も趣旨青柳委員と同様の趣旨で、やはり染色加工というものは毛織或いは綿織物、絹織物における輸出の死命を制するものである。このできばえによつて輸出が出るか出ないかというようなことになる。それから主税局長にはこの前の国会においていろいろ質疑応答をし、とにかく研究をさせてくれということで別れたのでありますが、恐らく私は今の答弁だとその後研究しておらん、税制調査会等があつて忙しかつたかも知らんが、研究しておらん。言われることは全く一歩もこの前から出ておらん。一つ企業局長とも十分打合せられて、今の青柳さんの最後の結論のように踏切つてもらいたい、やるということでやる方法を研究されれはいいので、とやかく申しませんが、智恵は出ますから、どうぞ踏切るということにお願いをしたい。
  32. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 企業局長にお伺いしますが、先ほど主税局長が染色加工業者の意見を当委員会で開かれたが、一方においてメーカーのほうの意見も聞いてもらいたい、こういうことでしたが、企業局長メーカー側についてはどういうふうなお考えを持つておりますか。
  33. 記内角一

    説明員記内角一君) 紡績側としても恐らく余り好んでいないだろうと思いますが、先ほど申上げておりますように一応立証し得る、加工業者としては自分のところで注文を受けたものを輸出検査を受け、更にこれを包装して輸出先のマークまで打つて港まで発送するというような事務をやつておりますので、そういうものは大体輸出し得るものだということを立証し得る根拠を持つておるわけでございます。従いまして、第一次メーカーに対しましてこれに対する証明書を要求し得る立場にあるというふうなことで、更にそれがあと輸出に向ける予定であつたが、それを国内に振り向けたいということになりますと、今度は第一次メーカーがそれを立証するような立証責任を持つというふうな立場になつて参りますので、染色業者についてはこの辺のほうのいさかいは比較的少いのではないかということが考えられるわけでございます。そういう意味合で第一次メーカーには又いろいろ意見もあるようでありますが、この辺までは一応証明自体としてはでき得るのじやないかという感じがいたす次第でございます。
  34. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 自転車とかミシンについては、どういうふうになつておりましようか。
  35. 記内角一

    説明員記内角一君) この法律案はいわゆるそのものを加工に出すということになつておりまして、いわゆる加工されるものを第一次メーカーから第二次メーカーに渡しまして、それに或る工作を加えるということになつております。自転車とか、ミシンは大部分がいわゆる下請と申しますか、外注と申しますか、下請業者自分で材料を買つて来て造つたものを、第一次メーカーが買い集めてこれを組立てるという作業をいたしておるわけでございます。勿論中には第一次メーカーが鋼材その他を手に入れましてこれを支給して賃加工させる部分もございますけれども、例外でございまして、大部分下請業者自身が製造してそのものを製造したものを第一次メーカーに売り渡すというふうなことに相成つております。従いまして今度の法律内容につきましては、このものは入らないことになつておるわけでございます。ただそこまで拡げたらどうかという御意見ならばこれは又別でございますけれども、現在の建前から参りますと、そういういわゆる普通の下請というものにつきましては、実は下請と言いながら注文生産という恰好になつておりまして、売買の関係でございまして、加工という関係にはならないかと思います。
  36. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  37. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて下さい。  本法案につきまして適当な機会にメーカー参考人として呼んで意見を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  なお人選、日時等は委員長に御一任願います。  なお、森下委員からの申出もありまするので、株主相互金融について民間側の意見を聴取したいと思いますが、御異存ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。これも又人選、日時等は委員長に御一任願います。   —————————————
  40. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、農業共済保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案(予備審査)及び昭和二十八年度における特別鉱害復特別会計交付金支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案(予備審査)、右二案について提案理由の説明を聴取いたします。
  41. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今議題となりました「農業共済保険特別会計の歳入不足を補てんするための財源措置等に関する法律案」につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。  昭和二十八年度におきましては、御承知通り風水害、冷害等が相次いで異常に発生いたしましたため、農業共済保険特別会計の農業勘定における再保険金の支払が増加いたし、多額の歳入不足を生ずることが予想されるのであります。これがため、昭和二十八年度において一般会計から差当り八十五億円をこの会計の農業勘定に繰入れることができることとし、又、農業勘定の積立金を昭和二十八年度における同勘定の歳出の財源に充てるため、その歳入に組入れることができることとしようとするものであります。  なお、一般会計からの繰入金につきましては、将来、この会計の農業勘定において決算上の剰余を生じた場合には、再保険金支払基金勘定に繰入れるべき金額を除き、残額を一般会計に繰戻さなければならないことといたしております。  以上が、この法律案の提出の理由であります。  次に、昭和二十八年度における特別鉱害復特別会計交付金支払財源に充てるための資金運用部からする借入金に関する法律案について申上げます。  特別鉱害復旧臨時措置法の規定に基きましてすでに特別鉱害の認定をいたしました家屋のうち、本年六月及び七月の大水害により緊急に復旧する必要が生じたものにつきましては、本年度内に鉱害の復旧工事を実施いたすこととし、これがため、その財源といたしまして、この会計の負担において資金運用部から一億二千万円を借り入れようとするものであります。これが、この法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ両案について御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  42. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  43. 松永義雄

    松永義雄君 資料をお願いしたいのですが、今度の農業共済についてどれくらいの被害面積があつたか、それからその被害の原因、冷害とか或いはいもち乃至二化螟虫であるとか、それからそれに必要なる防除機具に対する補助金はどれくらい必要であるか、現在それがどれくらい用意されているか。  それから二十八年度予算における農薬及び防除機具に対する補助金額及び補助率、これを一つ提出して頂きたいと思います。説明でもいいし、資料として皆さんに配つて頂いたらなお結構だと思います。
  44. 久宗高

    説明員(久宗高君) 只今の資料の御要求でございますが、取りあえずお手許に配つておりますのは、面積、原因を除きまして、金額の面でどのくらいになるかというものをお配りしてございます。昭和三十八年度農業共済保険特別会計農業勘定収支推定額調というのがそれでございまして、これに書いてございますのは、金額から見ましたそれぞれの段階の支払がどうなるか、又政府の推定基準見込がどのくらいになるかという資料でございます。お尋ねの面積は別にございますので、これはすぐ調製いたしましてお手許にお配りいたしますが、原因別のほうにつきましては最終の評価がきまつて参りません。現在見ておりますのは、各種の原因が競合いたしました被害の面に現われた数を捉えておりますので、原因別だけは最終支払ができませんと正確なものはお手許にお配りできないと思います。なお防除関係の資料の御要求があつたわけでございますが、私担当でございませんがすぐ御連絡いたしまして、その関係の資料をお配りするようにいたしたいと思います。
  45. 松永義雄

    松永義雄君 その面積について原因が競合しておるからはつきりわからない、こういうお話なんですが、少くとも八月末現在とか九月十五日現在とか、どのくらい病虫害によつて水稲なり陸稲なら陸稲が侵害されておるか、その面積はわかつているのじやないですか。わかつていなければ予算面に結論が出て来ないわけです。この点についてもあとで資料の御提出を願いたい。その上で又質問をいたしたいと思います。
  46. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 今配付されました資料を見ておりますと、毎年不足金が出て、その処置をいろいろ一般会計でやつているということですが、そうすると収支バランスを毎年おきめになるときに、バランスの見通しにすでに杜撰があるのじやないかと思うのですが、その見込金額の検討については勿論大蔵委員会ではなく、予算委員会の関係で検討をしていられるのでしようが、そういうことについてその計画自体の杜撰性が見られる、今年のように特別の災害があつたから、これだけのものをあらかじめ用意しておこうというようなことであれば、それは保険じやない、明らかな補償金というものがその名前の下に行われておるというような考え方もできるのじやないかと思いますが、それについて当局のお考え方は、どうなんですか。
  47. 久宗高

    説明員(久宗高君) 二十二年にこの制度が発足いたしまして以来、累年赤字が出まして、丁度二十七年度が料率改訂期でございましたので、そういう問題も織込みまして二十七年度以降の料率をきめたわけでございます。只今お話の出ましたような問題につきましては、この制度全般につきましていろいろ問題がございますので、衆参両院の農林委員会に小委員会ができまして、根本的な検討を今並行してやつて頂いておるわけでございますが、ただ計画そのものが自然災害を対象にいたしますので、これを端的に計画化するということは非常に困難でございますが、たまたま二十二年以降不足金が累積いたしましたのは、御承知のようないろいろな異常災害が累年重なりまして、ここに掲げましたような数字になつておりますが、二十七年度分を見て頂きますと、特別会計におきましても約三十億近い黒が出ておるわけでございまして、相当大きくバランスをここで回復しておるわけでございます。たまたま本年度はそれこそ十以上の災害にぶつかつたわけでありますが、一応これでは二十年間の均衡を予定して組んでございますので、建前から申しますと一応長期のバランスがとり得るという見込を持つておるわけでございます。なお料率そのものに関しましての内容につきましては、過去に出ました不足金の要因も分析いたしまして、更に精密な検討をいたしたいと考えております。
  48. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 二十七年度はどこに出ておるのですか。
  49. 久宗高

    説明員(久宗高君) お手許に差上げておりますこれでございます。二十七年度分のところで二十八億ほどの黒字が出ておるわけであります。
  50. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 そうですが。料率を改訂をなすつたのですが、保険料はそれで出たんですか。それとも災害が少なかつたというのですか。
  51. 久宗高

    説明員(久宗高君) 料率改訂は毎五年ごとにやつておりますが、二十七年度は丁度料率改訂期であつたわけであります。料率も改訂いたしましたと同時に、一般に被害が御承知通り非常に少かつたので、特別会計のほうでは二十八億の黒字が出たわけであります。
  52. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 それでは今のお話は、幸いにして両方から鞘寄せしてこういうものが出たということですか。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 私も岡崎さんと同じような疑問を持つておるのです。地方に行つても殆んど災害のないところはもうこの保険に入らないと言つているし、今その農林委員会のほうで検討されている方向といいますか、あなたの承知しておられる範囲においてどういう方向で改正しようとしておられるか、それを承わりたい。
  54. 久宗高

    説明員(久宗高君) 農民のかたから出ております一般的な非難といたしましては、まあ掛金が高いという問題があつたわけであります。この点につきましては二十八年度予算におきまして相当国庫負担を更に殖やして頂きましたので、一応解決がついたわけでございますが、もう一つの大きな問題といたしましては、災害が若干片寄るわけでございます。勿論長期に見ますと全然災害がないとは言い切れないのでありますが、農家のかたから見ました場合に、どうも災害を受けないにかかわらず払わせられるといつたような非難があつたわけでございます。これも本年のような殆んど万べんなく特殊の災害がございまして、……考えて頂きますと、相当農家のかたの感じも違つて参ると考えております。ただ一番根本的な問題といたしましては、やはり補償の内容が乏しい。それをもつと充実いたそうといたします場合に、農家負担なり国家負担のどつちをどう増すかという問題が非常にむずかしい問題のように考えられるわけでございます。なお、衆議院並びに参議院のほうで小委員会で御検討になつております問題は、それらの問題を全部一応総合いたしまして、この制度のあり方について、丁度五年前の料率改訂期までの実績もだんだん固まつてつておりますので、そういう問題から行きまして、農家の非難している事項を、この程度でどこまでこなし得るかという問題を検討いたしたいということで検討しておられるわけでございますが、いろいろ仕組みが非常に複雑でございますので、個々にはいろいろな考え方ができるわけでございますが、それを如何に体系付けるかというところで作業が若干停滞いたしております。ただ両小委員会におかれましても、最終的な結論という形のものでなしに、どういう問題を先ず問題にすべきかというところの段階にまだとどまつているように考えられるわけでございます。
  55. 小林政夫

    小林政夫君 一遍参議院の農林委員会で検討されておる点も直接聞きたいと思いますが、農林委員会の小委員会で、この共済保険の問題について検討されておるのはどういうことか聞かして頂きたいと思います。小委員会を作つて検討をやつている、今の研究がどういうふうに進んでおるか聞きたいのです。それが一点。  それから直接この問題ですが、要手当七十億というのはどういうふうに手当をするつもりであるか。
  56. 久宗高

    説明員(久宗高君) ここに掲げました数字はまだ水稲、陸稲、夏秋蚕につきましては現在災害農家が進行中でありますので、決定的な数字ではないわけであります。そこで現在入手し得る限りの客観的な資料から推計いたしまして、大体この程度支払いになるのじやないか、その場合どの程度政府の再保険金支払いに下足が出るかという数字を出したわけでございまして、勿論最終的なものではござまいせんから、上下に若干のズレが出るわけでございます。そこで一応百八十五億と推定いたしました場合に、特別会計の基金が二十五億ございまして、昨年度の剰余の残りが積み立てられております。それが五億ございますので、それも充当できるといたしますと、そこに八十五億入れて頂ければあと七十億というものが要手当ということになるわけでございます。これはいろいろ財源の関係もございましようと思いますので、結局融資によつて賄われるという見通しの下にこの数字が組まれておるわけでございます。
  57. 小林政夫

    小林政夫君 これは大蔵省主計局のほうにお尋ねするのですが、先ほどちよつと聞いていなかつたので、松永さんの質問がどうだつたか知りませんが、今まで百三十億を入れると言いながら、四十五億削つて八十五億で、これを見ても七十億に足らない、これを保険なんだから、計算をされて、ちやんと出れば必ず払わなければならない、そうすると支払保険金というものの算定が今、久宗さんの言うようにまだ固つたものでないにしても、当初少くとも百三十億の予算を組んでおつたのが三、三百のうちに八十五億になつた、その差額については七十億まではできないにしても、少くとも四十五億については何とかしなければならない、これはどうやるつもりか。
  58. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 小林委員の御質問の通り原案は百三十億を一般会計から繰入ることになつておつたのでありますが、諸般の事情によりましてこれが八十五億に削られるようになつた、法律建前から言いまして、これはいずれ繰入れなければならんことは明白でございます。問題はその時期でございますが、これはできるだけ早く一般会計から繰入れることが正しい方法であろうと考えておるのでございます。併し差し詰めとにかく金融措置ということでございますので、私どもといたしましてはやはりこの保険の性質上できる限り預金部資金等で先ず金融の途を付けるべきであるという考えを持つているわけでございます。預金部資金の問題につきましては、このほかに御承知のように災害の融資の問題もございますので、これは別に理財局長あたりは只今その検討に当つておられるわけであります。場合によりましては、理財局長から申上げると思いますが、いずれにいたしましても、先ず預金部資金が一番優先的に考えられるのでありますが、なおいろいろこの保険の金融の方法は考えられると思うのでありまして、この点につきましては、農林当局とも十分打合せをいたしまして、今後この円滑迅速な支払いに遺憾なきを期して行またい、かように考えておるのであります。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 支払いはまあ何とかやられると私は想像するのでありますが、これは少し予算委員会の論議のようになつて参りますが、まあこれのみならず、ほかのほうでも災害復旧費か足らない起債で賄う、結局、財源は資金運用部資金……どうも資金運用部資金の金繰りを見ないので、そうそう余裕があるわけではなかろうかと思います。それからこのほか補填するにしても資金運用部資金に対して金利を払わなければならない、只というわけではないでしよう。やつぱり四分五厘ですか、払わなければならない、そういうふうな利子支払能力がこの特別会計にあるのかどうか、委員長さんから理財局長を呼んで資金運用部資金の金繰りを最近のところを中心として聞きたいと思います。やりくりをどうやるのですか。
  60. 久宗高

    説明員(久宗高君) 財源をどうするかという問題については、只今大蔵当局のほうからお話があつたような進行になつておりますが、それとの関連で利子の問題につきましては一応予備金の中でその利子を組むように考えております。その場合に財源をどこに求めるかという問題と直接関連があるわけでございますが、どうなりましても一応この数字につきましての処置がつきますように、財源がどうきまるかと関連いたしまして、予備金の使用の中にその額を組みたいと考えておるわけでございます。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 その予備金というのは、これで見ると三十六億八百九十一万四千円、これに相当するというわけですか。
  62. 久宗高

    説明員(久宗高君) 今の利子のほうは災害関係の予備費のほうであります。あれの中で組むわけでございます。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 全体の、大蔵省の所管の……そうですか、主計局次長。
  64. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 小林委員の御質問二つあるかと思うのでありますが、一つは預金部から借入れるにしても利子が要るのじやないか、これが第一点であつたのでありますが、この点につきましては一応特別会計で利子を負担すれば、それだけ特別会計の営業費が殖えるわけであります。  第二段は別途の金融措置を講じた場合その金利負担をどうするかという問題と二つあるわけでありますが、保険課長がお答え申上げたのはあとのほうをお答えしたように私は思つておる。即ち仮にいろいろやり繰りをやつていますが、ぎりぎりのところを市中金融に頼らざるを得ないという場合に、その金利の負担をどうするかという問題になつて参りますと、只今保険課長が申しましたように、災害対策予備費を御承知のように今度殖やすことになつておりますが、従いまして、この予備費を充てるということもまあ考えられなくはない、こういう意味で申上げたのだろうと思います。その場合には無論別途法律措置を要するわけであります。  それから前のほうの問題は、これはまあ農業保険のコスト計算をして見ましての上でないとわかりませんが、大体私は従来の予備金から借入れておるのでありますから、その率は普通のいわゆる業務勘定のほうの経費として消化できるのじやないか、こういうふうに一応考えます。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 ボリユームの問題なんですけれども、まあ今日は突然だから、あとで計算して見ましよう。
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御質疑がなければ本日はこの程度にいたしまして、明日は祭日でありますからして、委員会は休みたいと思います。明後日四日は午前十時から続行いたしたいと思います。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時三十四分散会