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1953-10-30 第17回国会 参議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十日(金曜日)    午後一時五十七分開会   —————————————  委員氏名    委員長     大矢半次郎君    理事      西川甚五郎君    理事      小林 政夫君    理事      菊川 孝夫君    理事      森下 政一君            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            松野 鶴平君            安井  謙君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            野溝  勝君            矢嶋 三義君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            平林 太一君   —————————————   委員の異動 十月二十九日委員松野鶴平君辞任につ き、その補欠として松岡平市君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            松岡 平市君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            野溝  勝君            松永 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   参考人    日本織物染色同    業会会長   大西太郎兵衞君    日本毛織物染色    整理協会会長  遠山 靜一君   —————————————   本日の会議に付した事件協同組合による金融事業に関する法  律等の一部を改正する法律案(衆議  院送付)(第十六回国会継続) ○租税特別措置法等の一部を改正する  法律案小林政夫君外十七名発議)  (第十六回国会継続) ○租税金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (報告書に関する件)  (保全経済会並びにその他の類似金  融機関に関する件) ○派遣議員報告   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 只今より第一回の大蔵委員会を開会いたします。  先ず報告書の件についてお諮りいたします。  本委員会閉会協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について継続審査を、租税金融制度及び専売事業等に関する調査について継続審査をそれぞれ行なつて参りましたが、本院規則第五十五条により、閉会中その審査又は調査を終らなかつた事件につきましては、次の合本期の初めにその旨の報告書議長に提出しなければならないことになつておりますので、只今申上げました三件につきましては、それぞれ未了の旨の報告書を提出しておきたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  なお、報告書内容等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それから本報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから順次御署名を願います。  多数意見者署名    菊川 孝夫  森下 政一    藤野 繁雄  松永 義雄    三木與吉郎  岡崎 真一    西川甚五郎  松岡 平市    木内 四郎  小林 政夫    前田 久吉  土田國太郎
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に派遣議員報告についてお諮りいたします。  本件につきましてはその内容が相当厖大になりますので、この際文書により提出し、会議録に掲載することといたし、特に口頭で報告を要するものについては、この席において御報告願うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。別に御発言ございませんか。
  7. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは次に租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、先ず発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 改正案はお手許に配付してあることでありますから、朗読を省略いたします。  この修正案を提案いたします理由は、前国会の末に衆議院側において修正をして参りました、特に輸出振興という見地から、輸出業者に対してフエーバーを与えるという趣旨から、輸出取引による収入金額の半分を最高限度として輸出取引額の、輸出業者販売業者については百分の一、メーカーについては百分の三を経費に見る、所得の計算上所得に見ない、こういう措置をとつたのでありますが、その中で下請業者の問題であります。輸出業者から直接に委託を受けた業者フエーバーを受けるが、メーカーから下請をしたものはフエーバーを受けない、こういうことになつておりますので、同じ加工をやりましても委託者輸出業者であるか或いはメーカーであるかによつて、このフエーバーが受けられる場合と、受けられない場合が出て来るということで、甚だ公平を欠くと考えられるのであります。衆議院修正案審議の際において、政府当局等質疑応答をいたしましたが、その政府当局、まあ主として主税当局意見としては、なかなかこのメーカー下請業者等については行政執行上困難な面があるというような意見でありましたが、併しそれらの点は可能なものから解決して行けばいいわけでありまして、どうしても執行上そういう取扱いができにくいというものは、これは止むを得ないといたしまして確信を以て執行当局が実行できるというものから実行して行つたらいい、こういう趣旨法律建前においては、同じ加工をやつて、相手が違うことによつて一方はフエーバーを受け、一方はフエーバーを受けないということは、法律建前上から言うならば公平を欠くので、法の建前からはいずれも同じようにフエーバーを受けられる建前にしておいて、ただ執行の面において、どうしてもできないというものだけは、これは止むを得ず執行当局がその取扱いをしないというふうにしたら如何かと思つてこの修正案を出したのであります。本来ならばこの前の衆議院送付租税特別措置法衆議院修正してこちらへ廻して来た時に、その修正点をまあ我々が修正をして衆議院へ送り返すというのが妥当でありましたけれども、何しろ会期が切迫いたしておりまして、いろいろ租税特別措置法については、当面緊急に実行しなければならん問題が多々含まれておりましたので、この修正によつて手間取る、時間を要するというようなことでは不合理でありますから、一応この修正部分は切り離したのであります。  条文的に申しますと、第七条の六、第一項各号列記以外のもの云々とこうありますのは、フエーバーを与える場合において、一次下請、二次下請、三次下請というようなことになつてフエーバーが同じ加工に対して何回もダブつて与えられるということはいけないということで、例えば百の加工といたしまして、そのうち五十の加工下請に出したという場合には、第一次メーカーに対しては百マイナス五十の五十に対してフエーバーを与える。そうしてその第二次加工業者から委託を受けた加工業者は、五十の加工をやつたとしたら、その五十に対してフエーバーを与える。更に若しその第二次加工業者が三一次の委託加工業者に出したとしたならば、その五十のうちの二十の加工をやらしたということになれば、その五十から二十を引いた三十が、いわゆる第二次加工業者フエーバーを受けるべき基本数字になり、第三次加工業者は二十に対するフエーバーを受けるということに相成るように書いたのが、この七条の六第一項云々修正条文であります。  それから第七条の六、四項中「輸出業者」の下に、「その他命令で定める者」、これが今の中心事項でありまして「輸出業者委託を受けて行う輸出のための物品の加工」、こういうふうに書いてあるのに、「その他命令で定める者」を追加いたしまして、今のメーカーから下請したものでも、メーカーから委託を受けて加工したものでも、その加工はこういうフエーバーを与えるに値する。ただこの点をその他命令で定める、その命令に委ねた点は、先ほど申上げたように執行上いろいろ問題があるので、執行上問題の残らないものから命令で定めて行く、こういう措置にしたわけであります。  次の第七条の七第一項中云々ということは、当初に御説明したと同じ趣旨による修正であります。  以上提案理由並びに修正案文についての説明を終ります。
  9. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) この際お諮りいたします。  先般来青柳委員等より御要求がありましたので、本日日本織物染色同業会会長大西太郎兵衞君、日本毛織物染色整理協会会長遠山靜一君の両名の出頭を求めましたので、両名を参考人として意見を聴取することに御異議ありませんか。
  10. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは結構で異議ございませんが、ちよつと私まだ議運がございますので、そちらへ行かなければならないので、この際二分ばかり参考人発言を求める前に発言を許して頂きたい、誠に途中で恐縮ですが。
  11. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) どうぞ。
  12. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは新聞でも皆さん承知通りに、私が当委員会におきまして何回か質疑或いは懇談の際にも申上げたのでございますが、保全経済会その他の金融機関が必ず近き将来において問題を起すだろう。これは事前において調査して防ぐべきであるということを申上げました。これは銀行局長にも何回も質問したのですが、手は打てん。打つ意思がないのか、打てないのかというようなこともそのときにまだ十分調査しなかつたのでありますけれども、これはこの国会におきまして今本当にもう問題になつてしまつた。けれどもこれを成るべく傷を小さくするために何らかの処置が必要ではなかろうかと私は思うのであります。大蔵委員会としてはこのまま、国会も開かれておりながら、こういう大きな問題が起きていながら、全然調査もしなければ又対策も講じないということは、我々としてもできないと思いますので、この国会中に、法律案余りないようでございますので、一つ大蔵省のほうの銀行金融関係の者を呼んで聞くことも必要だし、場合によりましては警視庁であるとか、或いは検事局あたりでも調査内偵をしておるだろうと思いますので、これは我々のほうでも専門委員室資料を求めましても余りない、資料は出て来ん。ところが法務省あたりでは或る程度調査をしているのじやないかと思いますので、都合によつたらこれは秘密会でも結構だと思いますが、これは或る程度突込んで検討して対策を、こんな大きな問題はすぐ立たんといたしましても、小委員会を設けてするとか、いろいろなことを一つ是非ともおやり願いたい。これを一つ提案するわけでありますが、皆さんの御賛同を得たいと思います。
  13. 森下政一

    森下政一君 只今菊川君の指摘されたことは、実は昨日この委員会理事打合会がありまして、その際に私からも発言したわけなんです。で、前国会会期中に是非大蔵当局が集めておる資料についてだけでも、この類似金融機関について説明を聞きたいと何回も要請したと思うのですけれども、遂にその機会がなくて今日に至つた。殊に私は休会中に大蔵委員として前田委員と共に東北租税並びに金融事情調査に歩いたのですが、行く先々で驚いたことは、東北方面の農村にこれが滲透しておることは驚くべきもので、正常な金融機関に対して一つの脅威を与えておるだけでなしに、やがていつの日か必ずつまずきが来るに違いない、その時に金融に対して比較的無知な農家というのは非常な深刻な打撃を受けるだろうということが恐れられているのです。これは私は十六国会において、これらについて大蔵委員会が希望を持つておりながら、手を付けることができなかつたのを非常に手遅れだと思つて残念なことだと思つたのですが、休会中にでも是非大蔵委員会を開いて何とかこれらの説明を聞きたいというふうな要望もしておつたのですが、いろいろ御都合があつたと見えて到頭その機を得なかつたのですが、これは私は只今菊川君の御発言には全然同感でございます。この何とかの処置を講ずる云々というお話がありましたが、その点は検討の上のことになると思うのですけれども、併しながらひとり保全経済会と言わず、これらの類似金融機関というものについては、一応今日までの集まつておる資料に裁いてでも検討して置く必要があるということを考えますので、是非委員長において今の御発言をお取上げになつて善処して頂きますように、切に希望いたします。
  14. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  15. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。  只今菊川君及び森下君の御発言誠に御尤もでございます。至急理事会にお諮りいたしましてこの取計らいをいたしたいと思います。さよう御承知を願います。
  16. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これから参考人のかたから意見を聴取いたします。大西太郎兵衞君。
  17. 大西太郎兵衞

    参考人大西太郎兵衞君) 私は日本織物染色同業会会長大西太郎兵衞でございます。  今回輸出振興の一助といたしまして法人税の一部が改正されまして、租税特別措置法案におきまして私ども輸出振興に携わつております染色業者にも、商社から委託されまするところのものに対しましてはこの恩典に浴することを得ましたことにつきましては、私どもに対しまする御同情に対し厚く御礼を申上げる次第でございます。併しながら染色業は、紡績はアメリカから綿を入れまして糸に紡ぎ、又これを織りまして最終仕上げをいたしましてそうして海外に出すのでございますか、その最終の工程だけに非常に責任が重いのでございまして、我が国の貿易が繊維に重点が置かれておりまする以上、その中の染色される加工のものは、繊維中の約六三%か含まれておるのでございます。その内訳といたしましては、大体二十七年度の一月から十二月中におきまして、輸出商社から私ども染色業者が受注をいたすものは、数量にいたしまして一億一千七百万ヤール、金額にいたしまして加工料金が十二億一千八百万円でありまして、総数の五五%、紡績その他のメーカーから受注いたしますものは数量が一億五百万ヤールでございまして、金額が九億九千四百万円で全体の四五%でございます。本年に入りまして一月から八月までで、輸出商社から受注いたしましたものは、数量で一億一千万ヤール、金額で十一億九千七百万円で五七%、紡績からの分が九千百万ヤールで、金額は九億六千六百万円でございます。右のごとくいたしまして、私ども染色業の者が輸出商社から発注を受けますものは、今回の御同情によりますところの租税特別措置法案によりまして輸出振興のための減税を認めて頂けるのでございますが、紡績からの発注の分に対しましてはこの恩典に浴さないという立場に相成つておるのでございます。  そこでいろいろと徴税上の技術の問題とか、いろいろな問題が言われますが、染色業界の私どもは独立した一つの形態でございまして、紡績からなま生地を受取りまして発注書をもらいまして、そうしてその指図通り色柄等にそれを染色いたしまして、そうしてそれを指図通り商社側に渡し、或いは又これを輸出検査を受けまして、而も外装検査も受けまして箱詰め、梱包、すべてをいたしまして神戸港、即ち輸出港のシツプまでも全部染色業者がこれをなすのでございます。いわばそのすべての仕事は我々業者がいたしまして、発注先紡績とは経済的にもその他の繋りは全然関係がないのでございまして、商社からのみの発注恩典を頂き、紡績からの発注に対してはその恩典が頂けないということは、甚だ不合理であるのみならず、又私ども業界輸出振興のために鋭意努力をいたしておりますが、立法の上において約半数がその恩典に浴することができないということは甚だ遺憾でございまするので、過般来皆様方にも、この紡績会社等委託加工発注に対しましても、同様の恩典に浴さして頂けるように陳情書をお手許まで差出した次第でございます。只今図解ちよつと持つて参りましたので、お手許に差出しまするが、現行法で認められておりますのは、只今申しました通りに、紡績業者から輸出業者生地を買うて、そうして輸出業者が私ども委託加工に出し、そうしてシツプするもの、そうして紡績か私ども業界発注をされまして、そうしてその製品をこしらえて、それを商社に売られて、その商社がシップするものと、この二様に分れておるのでございます。どうかこの意味におきまして、是非とも日本輸出振興のためには、私どもも非常に責任が重大であると感じますと共に、一方我々は国際水準価格に合わすために合理化をし、或いは近代設備をし、飽くまでも輸出本位に立脚をいたしておるのでございますが、一方紡績は今回綿のリンク制等におきましてドルの問題等も勘案されまして、インセンテイブ報償制度がとられるのでございまするが、私ども輸出に貢献いたしておりまする染色業者インセンテイブ恩典に浴することができない、又何らかこの方法について政府当局にいろいろと御勘案を願い、私ども陳情をいたしておりまするが、紡績のように綿をリンクするようなことは、インセンテイブの問題も取上げられるのでありますが、委託加工者立場上そういうこともできませんので、何か原材料の輸入等においてもいろいろ考究いたしまするが、それもなかなか容易なことではありません。要は租税によつて輸出奨励のために免税をして頂くところの恩典によつて、そうして輸出振興に貢献をいたしたいという立場でございますので、何とぞよろしく御了承の上、特別の御詮議を以て私ども陳情を御採択下さらんことを備えにお願い申上げる次第でございます。  なお、皆様からの御質問に対しましては、私は明快にお答えを申上げたいと存じております。
  18. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に遠山靜一君。
  19. 遠山靜一

    参考人遠山靜一君) 只今御紹介を頂きました遠山靜一でございます。  私ども七月以来下請業者が単に輸出商下請の場合のみならず、いろいろの他の場合におきましても減税を受けまして輸出増進努力ができまするように陳情をいたしましたところ、大矢委員長先生を初めといたしまして、諸先生皆様方の温い御理解を賜わりましてこの点先ず以ちまして厚く御礼申上げます。  本日お招きにあずかりましたので、実情を申述べさして頂きますのでありますが、資料に基きまして簡単に申上げさして頂きます。業態につきましては、只今大西さんからお話がございましたが、殆んど同じでございますので、その点につきましては省略をさして頂きまして、若干羊毛工業の特徴を中心といたしまして説明さして頂きたいと存じます。お手許資料として日本毛織物染色整理協会というのを出しましてございますが、私ども羊毛工業構成団体は大体三つでございます。なお、この機会織物染色整理関係におきましては、羊毛染色団体一つ、これが日本毛織物染色整理協会で、私ども団体でございます。それから羊毛工業を除きました他の一切の染色関係のものが、これが大西さんの日本織物染色同業会、全国的にはこういう二本建になつておるわけでございます。その中の羊毛工業構成団体は、紡績日本羊毛紡績会、織布が日本毛織物工業協会染色仕上げ団体只今我我協会でございます。こういうふうに三つに分れまして分業をいたしております。その中で、紡績は織布も染色も皆兼ねておるのがございまして、それを一貫会社と言つておりますが、そういうのがございます。それで私どもの会員になつておりますのは、別冊の名簿にございます通りでございます。こういうふうに大体比較的単純と申しますか、簡単な構成でございまするので、下請調査につきましては困難は多少ございましようと思いますが、極めて複雑多岐というようなことはない業態でございます。  次に、羊毛製品輸出関係について申上げたいと存じまするが、御案内のように、過去羊毛関係は極端な輸入超過でございます。二十七年の一月から十二月までの実績によりましては、羊毛輸入高が五百二億九千四百八十九万二千円、毛製品輸入高はこれは主に英国高級毛織物でございますが、十八億三千五百五十九万九千円、輸入高計が五百二十一億三千四百十九万一千円でございます。これに対しまして毛糸輸出毛織物輸出、その他毛製品輸出を入れまして十四億三百六十九万八千円でございます。英国から入ります毛織物中心といたしました輸入高だけも輸出することができない。従いまして羊毛だけは、まるまる輸入超過というような歎かわしい状態でございますが、今年の八月六日からリンク制度改正をされまして、格段に向上いたして参りました数字が次にあります通りに、大体八月には前年のほぼ八倍、九月は前年の十四倍というようなふうになつて参つたのであります。何とかして将来まだこれでは元が小さいのでありまするから、八倍、十四倍と申しましても数字は小さいのであります。余ほど更に輸出増進をいたしたい。これに対しまして是非とも輸出商下請けの場合のみならずいろいろのケースがございますので、どうか紡績から下請けをいたします場合、或いは染色業者から下請けをいたします場合、いろいろな組合せのいずれの場合でも、輸出免税を受けまして私ども下請け業者輸出に邁進をすることができまするように、特別の御詮議を以ちまして是非ともお取計い頂けますように懇請を申しげる次第であります。  この組合せの図表につきましては少しお分りにくいかと存じますが、現行法で認められております方式が(イ)でございます。次に織布機屋さんか私ども依託加工をする場合、次に紡績業者が機まで自分でやつて我々のほうへ委託加工をする場合、次に紡績業者が機も染色整理委託に出す場合、次の(ホ)は紡績業者が織布に委託を出して、織布から染色整理までさしてそのものを買取るという形を取る場合、大体こういうケースがありまして、その諸ケースによりまして輸出増進されておるのでございます。単に輸出業者のときには、輸出業者金融その他の関係で、或る点に達しまするともはや出ない場合があるとはつきりいたしておるのでありまして、特に紡績のような大資本と言いますか、輸出をするのに都合のいいものから下請けをする場合がオミツトされております場合には、将来甚だ困ることと存じまするのでございます。  右のような状態でございますから、どうぞ何分ともよろしくお願いを申上げます。
  20. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  21. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと遠山さんにお伺いいたしますが、この輸入は五百二十億、輸出が十四億ですな。非常なアンバランスというようなわけなのだが、この原因、それからこのストックはどんなふうに処理されているか。それからこれからどういうふうにしてやれば更生できるかというようなことを、要点だけで結構でございますからお聞かせ願いたいと思います。
  22. 遠山靜一

    参考人遠山靜一君) この輸入が比較的多うございましたのは、ポンドが過剰になりまして、政府のほうにおかれましても羊毛輸入につきまして比較的楽に外貨が割当てられたということと、それを十分に消化するほど内地におきまして羊毛純毛製品が非常に愛好されまして、手編毛糸におきましても、毛織物におきましても、あらゆる面におきましてそういう関係であります。昭和十二年以来混紡を強制されておりまして、非常に内地でそういうものがなくなつてしまつておりましたのが、漸く二十七年に大きな数字が許されるというので、どつと入つたわけでございます。これが殆んど内地好需要がございましたので、輸出のほうへは出ませんでした。輸出の方面は英国、イタリア、それから若干ドイツ等が輸出市場をとつておりまして、我々のほうからは出ませんでした。そのストックにつきましてはまだ向う三カ月分くらいはあると思いますが、併し外貨がポンドでございますが、ポンドのほうがいよいよないというので、将来はとてもない。外国へ輸出をしたものはリンクして入つて来るけれども、国内で消費したものはだんだん次第に細くなるということがはつきりいたしまして、最近上つたわけでございます。これは併し原毛は四十三万俵を割当てるというようなことを言つて頂きましたので、今下つている次第でございまして、どうしても私ども関係者一同できるだけコストを下げまして、紡績も機も染色整理も一斉に安くして、これは而も出血で、出血といいますかコストを下げまして、そういうことをやらして頂きたい。そういうことでいるわけでありますが、やはり私ども輸出関係から、恩典のあるのと、ないのとあるのが非常に困ると思つております。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 特に業者の代表から御説明を願いたいと思うのは、大体こういうフエーバーを与えるということは、もともと異存はないわけなので、如何にして輸出物と内需物とを区別するかという点が問題なのです。それで折角法律改正はこういうふうにやりましても、又あなた方が主税当局と折衝をされなければならない。我々が聞いても全然やはり区別をつけにくい、そういうような薄弱なことではちよつとこれは徴税というか、税の行政上実行不可能だというようなことでは改正しても意味がない。その点についてどういう御見解を持つておられるか。先ほどのお二人の説明にはその点が落ちておりましたのでお答えを願いたい。
  24. 大西太郎兵衞

    参考人大西太郎兵衞君) これは海外からLCを取ります。それで仕向地数量、単価等ははつきりと明記されます。発注書類にも明記されますし、契約書にも明記されます。それから絹に関しましては国営検査、国家の経営いたします国営検査を受けなければ船積みはできません。それから綿布に関しましては、政府が認めますところの検査機関の検査がなければ、これもシツプすることができませんから、内地へ流して内地で消費されるものと輸出物のとは数量等におきましても明瞭にこれは判別することができるのであります。これはもうはつきりいたしております。
  25. 遠山靜一

    参考人遠山靜一君) 毛のほうも輸出検査がございまして、合格、不合格をきめてやつておりますので、相当にはつきりいたすと思います。
  26. 木内四郎

    木内四郎君 小林さん、あなたの御説明だと、この前のような案で一応やりたいという理由は、区別がつかないということがその理由だというのですが、今のお話だと非常にはつきりついている、はつきりつき過ぎるほどついていると思うのだが、その点はどうですか。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 私もそのつもりでやればつけられないはずはないじやないか、今のようなお話もあつたのですけれども、私も多少ほかのことで、業種は違いますが区別はつく、トレイスできる。輸出物であるかどうかということの跡づけができるか、それはつける方法はあるということを言つたのですが、とにかく非常に御承知のごとくあの会期末の混乱状態で、大分まあとにかくこれでやらしてくれということになつたのですが、最初の御答弁はそういうことだつたのだけれども執行上困難だということが特に言われておりましたけれども、だんだん質疑応答を重ねて行つて、とにかく今ごたごたしているけれども、これももう一遍衆議院へ返すというと又揉まれる、揉まれるということはないけれども、併し租税特別措置法が所定の八月一日執行というのが遅れて七日になつたような、あの時の国会審議の模様で、もう少しとにかく切り離してもらいたいということでこういうふうになつたわけであります。それが今のトレイスの方法については、これはかなり厳密に割合商売的な、業者的な常識に、なお且つ行政技術上の問題も加味しなければいかんので、これを執行するについてはよくお打合せする必要があると思いますね。
  28. 山本米治

    山本米治君 ちよつとお伺いいたしたいのは、下請の又下請という関係は、あなたのほうの業者にはないのですか。
  29. 大西太郎兵衞

    参考人大西太郎兵衞君) 私ども輸出関係染色業者には、下請下請はございません。
  30. 山本米治

    山本米治君 この間の主税当局が、我々趣旨としては当然こうすべきであると思つたにもかかわらず、これが実現しなかつたのは、今の業種によつて輸出と内需との、区別がつきにくい、つまり租税行政上非常に困難だということが言われたので、そうであつたのですが、この毛織物その他染色加工についてはこれではつきりするということがわかつたので、あの租税特別措置法は、或いはこの業種ばかりでなく、全業種の下請関係に及ぶわけですが、ほかのものについてもこういうことが同じようにはつきりわかるかどうかということ、それから下請下請というような関係はどうするか、そういうようなことが相当程度わかれば、私はこれは当然今度改まるわけだと思つてわります。
  31. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本件につきましては、通産当局及び大蔵当局の出席を要求しまして、今山本君の御質疑の点について十分一説明をお聞きしたいと考えております。
  32. 小林政夫

    小林政夫君 これは異存ないのですけれども山本さんはちよつと僕が提案理由説明をする時におられなかつたのですが、こういう修正の仕方にするというのは、今思出しますが、主税局あたりで言つているのは、造船関係下請なんかがかなり下請下請があるということも言つておりましたが、この趣旨は要するに政令で定めることにしておるわけですから、はつきりトレイスのできるものから取上げて行く、こういう趣旨ですから、業態によつて一次、二次、三次、五次というふうに、甚だトレイスしにくいものがあれば、これはどうも止むを得ず指定を見合わしてもらいたい、はつきりしたものから取上げてもらう、その措置は挙げて執行当局に任そう、こういう修正趣旨なんです。
  33. 山本米治

    山本米治君 ついでですからちよつと遠山さんにお伺いしたいのですが、今年の八月六日からリンク制ができたために非常に輸出ができるようになつたのですが、ここではヤードである、前には金額でありますが、こちらのほうはあとのヤードだけで示してありますが、金額で行くとおよそどれだけになるか。又輸出価格と内需価格との関係を大ざつぱなところをお示し願いたい。
  34. 遠山靜一

    参考人遠山靜一君) このリンク制によりまして輸出増進いたしましたが、価格の問題におきましては輸出価格が内需価格の六乃至七割程度の二重価格という残念な状態であると存じます。ここには数字だけ、織物のヤードだけ出してございましたが、これは前年度との比較を出します場合に、数量でありますとこういう統計がございまして出しよかつたので出しました。価格につきましてもやつたのでありますが、こういう比較がはつきり出ませんでした。それで落しましたわけでございます。よく調査をいたしまして、価格も併せて後ほど提出さして頂きたいと思います。
  35. 山本米治

    山本米治君 リンク制を始めたら急に輸出ができるようになると、輸出しても何かそろばんに合うということからこういうことが出て来ると思うのですが、このリンク制はどういうふうになつておるのですか。つまり輸出したものに対して羊毛輸入権というものができるのでしようが、例えば金額はポンドで行くのかどうか知りませんが、どれだけ輸出するとどれだけ原毛の割当か来るようになつておりますか。
  36. 遠山靜一

    参考人遠山靜一君) 大体輸出をいたしますると、輸出したものに数量的に三割くらい。いろいろケースがございます、ものによりまして。大体三割くらい余分な原料が入つて来るというようなことが大綱になつておるのであります。それから全体の羊毛輸入のうちでリンクに使うのはどれだけというと、それを優先的に取つて認めてしまいますから、それが取られました残りを設備で割るということになりますから、輸出をしない場合には設備割当で内地で使えるというものは非常な勢いで減つて参る、いわゆるもう事業が成り立たんということもございませんでしようが、余ほど操業度が落ちるというものがございますので、必死に輸出をするということになつたと思いますが、それがだんだん極端になりまして、ここで申上げることはないと思うのですが、先ほど申上げましたように、二重価格という点はどうも感心しないの、じやないかと思つております。これはまあなんとか徐々に訂正されつある方向へ行つております。
  37. 山本米治

    山本米治君 このリンク制ができた以後それまで殆んど輸出のなかつたものが輸出できるようになつたのですが、今のように三割の特別割当というかリンク割当をもらつた場合には、一別とそろばん勘定では大ざつぱなところでどうなるのでございますか。
  38. 遠山靜一

    参考人遠山靜一君) これは結局そろばん勘定が日々の相場によりまして動く、例えば内地が一万円札が出るといつた頃には千七百円いたしました。こういう場合には少々輸出を安く売りましても非常にそろばんが合う、これが内地の値段が現在のように急速度に下つて参りまして現在千四百円、三百円も下つて参りますると、少しこれはそろばんが変つて参ります。日々の変化があるということになると思います。
  39. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 この休会中だと思いますが、この税率を輸出業者の一分を二分にするとか或いは率を上げまして輸出振興策を講じたいということを通産省で話しておるということを聞いておりますが、それで次の委員会におきましていつもこの委員会には通産省から課長級の人が殆んど出て参つておりまするか、ここにすべての角度から検討する上におきましては、当該の局長級の人をお呼び頂いて全体的に検討して見たいと思います。御了承願いたいと思います。
  40. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) そのように取扱います。
  41. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ほかに質疑がなければ次に協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、先ず提出されました資料について政府から説明を聴取いたします。
  42. 河野通一

    説明員(河野通一君) 先般前国会において当委員会から要求を受けました資料をお手許にお配りしてございますが、この資料について御説明を申上げます。  この資料は今年六月末にわける全国の五百六十一の信用組合、信用金庫法施行法施行の際に現存いたしました信用協同組合であつて、組合のままに残存いたしましたもの、これが七十二組合及び改正後の信用協同組合として新たに事業の認可を受けたもの、これが二百二十七組合、これらにつきましてその財政上及び都道府県別の分布状況並びに同月末現在におけるそれぞれの出資金、預金等について調査いたしたものであります。信出金庫残存組合と申しますか、要するに信用金庫法が施行されまする前から信用組合としてあつて、そのまま現在信用組合としてとどまつておるもの及び新設の信用組合について、これが資料を集計いたしましたものを、預金について申上げますと次の通りであります。  信用金庫五百六十一組合の預金の総額が千六百四十億五千五百万円、そのうち組合員の、会員の預金が八百六十八億、これが五三%ございます。総預金の五三%。それから員外預金、員外預金には御案内のようにいろいろございますが、これを合計いたしますと七百七十三億五千四百万円、四七%、こういうことになつております。それから信用金庫法施行前からありました信用組合で、信用組合として残つております七十二組合の預金総額か五十九億三千五百万円、そのうち組合員の預金が四十四億六千八百万円、七五%であります。員外の預金が二五%で金額は十四億六千七百万円、これは御案内のように信用協同組合は員外預金を扱えないことになつておりますが、残存組合につきましては、過去において員外預金も経過的には扱えることになつておりました。これが六月以降員外預金が扱えないことになりましたが、経過的に残つておりますものがあります。それから地方公共団体とか、事業協同組合の非営利法人、或いは組合員の親族等からの預金は員外でありましてもこれを認めて参つておりますので、これらの預金が今申上げましたように、合せて二五%になります。それから信用金庫法ができたのちに、府県の許可によりまして新設されました組合が二百二十七組合ありますが、これらの預金総額は百十三億五千七百万円、組合員の預金が九十九億九千百万円、パーセンテージにいたしまして八八%、員外預金は今申上げましたように非営利法人でありますとか、組合員の家族でありますとか、そういつた者からの預金、或いは地方公共団体からの預金等があるわけでありますが、これらを合せまして金額で十三億六千五百方円、パーセンテージで約二一%、こういうことに相成つておるわけであります。この数字でおわかり願えますように、残存組合の員外預金というものは、その半額は地方公共団体その他営利を目的としない法人の預金であります。これらを除いたその他の員外預金、これは預金総額の一二・五%に相成つておるわけであります。これらの中には先ほど来申上げましたように、過去において本来の員外預金を扱えることになつてつたのでありますが、この預金がまだ経過的に残つておるというようなものも若干ございます。これは六月の経過期間が残つておるわけであります。それから新設の組合の員外預金につきましては、今御説明申上げましたように、本来の員外預金というものではないわけでありまして大部分は組合と生計を同じくする親族とか、そういつた者の預金か大部分であります。そのほかに若干地方公共団体等からの預金もございますが、これは金額的にも極めて僅かであります。こういうふうな数字に相成つておるわけであります。非常に詳細な資料をお手許にさし上げましたが、却つてここに御説明申上げましても、非常に複雑かと思いますので、その集計として出て参りました数字だけを申上げておきます。
  43. 小林政夫

    小林政夫君 議員立法で提案されておるけれども趣旨は信用協同組合の員外預金も扱わそうという趣旨ではないかと思います。これに対する銀行局長の見解を承わりたい。
  44. 河野通一

    説明員(河野通一君) 前国会に提案されまして、衆議院を通過し、参議院のほうに送付されて御審議のまま継続審査ということになりまして本日に至りました信用協同組合法の改正でありますが、その趣旨は二点あると思います。  第一点は、信用協同組合にも本来の意味の無制限な員外預金を扱い得るようにするという点と、もう一点は、この監督所管を従来の県知事の下にありましたものを、大蔵大臣のほうに上げろという点と、この二点のように考えます。この問題に関する私ども意見は、先般の国会でも申上げましたことですが、第一点につきましては、信用金庫という制度ができました上におきましては、信用協同組合と信用金庫との差異は、員外預金を扱えるか扱えないかということによつてきまつているのであります。この際信用金庫の制度ができた後におきまして、信用組合につきましては員外預金をこれは認めるということでありますれば、信用金庫と信用組合とは何ら実質的に差異はない。金融制度自体として非常に妙な形に相成るわけであります。私どもといたしましては、そういつた改正には賛成をいたしかねるということであります。それから第二点の大蔵大臣の所管にこれを移すという点でございますが、この点につきましてもいろいろ御意見もあるかと思いますが、現在府県知事の監督の下にできましたものを、そのまま私どものほうで引受けますということになりますというと、なかなかその内容その他につきまして新らしい観点から検討を加えなければならんという問題もあるかと思います。これらの点につきましても今俄かに私どもとしましては賛成ができかねるという状態であります。  然らば一体大蔵省はどういうふうな対案を持つているかということに相成るかと思うのであります。私どもの考えておりますところは、現在の信用協同組合のうち内容、実質その他が相当堅実なものであつて、信用度の高いものにつきましては、これをできるだけ信用金庫に簡易に転換できるような道を開いて、差支えない限りこれを信用金庫にする、そういう道を簡易に開いてそういうことによつて内容、実質のよく整つておりますものにつきましては、員外預金を扱うことができる、つまり信用金庫となつて員外預金を扱うことができるような道を開く、こういうような立法をいたしたら如何かと考えているのであります。従来から御案内のように、信用金庫法施行前からありました信用組合につきましては、一定の期限を限つて簡易に信用金庫に転換できる便法を取つて参つたのでございますが、その便法が本年の六月で切れた。従いまして、今後あの法律改正いたすことによつて、過去の信用金庫法施行前からありました信用組合のみならず、信用金庫法施行後にできました新らしい信用協同組合につきましても、このうち只今申上げました条件を満すものにつきましては簡易に信用金庫になることができる、こういつた法律改正を御提案申上げては如何かと考えておりますが、なおこの点につきましては正式に私ども政府部内の決定を経るという段階まではまだ参つておりません。皆様方の御意見も伺わせて頂きながら、そういうことが適当であるということになりますれば、正規の手続を踏んで法律改正措置をお願いいたすことにしたいと考えている次第であります。ただ今回の国会は、私ども承知いたしておりますところでは、補正予算の関係中心とした極く短期の国会のように伺つておりますので、時期の問題といたしましては、できるならばこの短期の国会でなく、来たるべき通常国会においてそういつた措置が若し適当であるとすれば、そういう措置をとるのがいいのではないかというふうに私は考えておりますが、これらの点につきましても各委員のお考えをお聞かせ願いたい、かように私は考えておる次第であります。
  45. 森下政一

    森下政一君 今の銀行局長お話を承わつておると、信用金庫法施行前からありましたものですね、それでこの六月までの便法というものによつて金庫に転換しなかつたもののみならず、金庫法施行後において設立された信用協同組合といえども、その信用度の高い内容の整うたものについては法律改正して簡易に金庫に転換し得るような途を開くということが一つの方法のように思うというお話のように聞いたのですが、そうだとすると、取りようによつては信用度の高い内部の整うておるものは転換せしめるということになると、転換することのできなくて残るいわゆる信用協同組合なるものは、信用度の低いのだ、およそ金融機関としては甚だ頼りないものだというふうな印象を与えることになるのじやないかと思うのですね。私はその信用協同組合というものは、その信用度が高い、内部が整うておる、そういうものも信用協同組合で残存して、果すべき特殊な使命を持つておるということなら納得ができるのですね、信用度の高い内部の整うたものであるならば、これは金庫にしてやろう、それで金庫になり得ないものというものは、そうなつて来ると世間から考えてみると甚だどうも金融機関としてはおぼつかないものであるというふうな印象を受けることになつて、これは私はどうなんだろうというふうな感じがするのですね。それで信用協同組合といういわゆる従来の信用組合なるものは、或いは職域において、或いは地域において一つの組合を結成して、組合員として構成しておるものの相互援助というふうなところに主眼を置いた一つの特殊な使命を持つた金融機関なんだから、その本来の使命に向つて発展して行くべきで、その発展を助成してやるというような姿に行くのが本来じやないかという印象を受けるのですが、どうでしようか。
  46. 河野通一

    説明員(河野通一君) 私申上げましたのが少し言葉が足りませんでありましたが、私の申上げましたのは、今お話のような趣旨で実は申上げておるのであります。つまり例えば今お話のありました通り、職域の組合等につきましては、これは如何なる場合においても私は信用組合として残るべきものだと思います。これは金庫になるべきものじやないと私は思う。従つて、それは職場の人々が集まつてお互いの預金をし、それからお互いに金を借りる、こういうものがたくさんできておりますが、そういつた職域組合と申しますか、そういつたものは私はやはり組合という形で行くべきものだと思います。従いまして、これらのものは如何に信用度が厚くとも、私はやはりむしろ信用金庫になるべきものじやないと考えます。又地域組合の中におきましても、本当の意味の組合員相互の協同組織だという考え方を徹底いたして参りますものにつきましては、これは員外から預金を集めるということは必要がないと思いますから、こういうものは如何に信用があつても、私は信用組合として残りたいというかたは残さるべきものだと私は考えております。従いまして、私が今申上げましたのは、員外預金を扱うというような意味において信用金庫になりたい、こういう希望を持たれた人々については、すべての信用協同組合についてこれを信用金庫にするということはなかなかむずかしい、その場合にはやはり員外の預金も扱うということに相成るのでありますから、その内容とか、やはり資金量とか、いろいろなことをやはり見て、信用度を見て員外の預金を扱つても差支えないようなところまで来ているかどうかということを十分に見なければならん、こういうことを申上げておるのであります。併しこれも勿論程度問題でありまして、員外の預金を扱い得るだけの信用度とか、内容が整つておるかということの見方につきましては、これはいろいろな観点から見方があるのでありますけれども、方針といたしましては、やはりそういうような考え方で行くべきではないか、ただその場合の選考の基準をゆるやかにするか、厳しくするかという問題は、それは別途にいろいろ考えなければならん問題である、かように考えている次第でございます。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 この商工中金と信用協同組合とのまあつながりの現状ですが、一つアウト・ラインを話して下さい。
  48. 河野通一

    説明員(河野通一君) ちよつと手許数字を持つておりませんが、商工中金と取引を持つております信用組合の数は相当数に上つております。いくらぐらいでございましたか、百までは行つていないと思いますけれども、相当数の信用協同組合と商工中金との関係ができております。具体的にやはり商工中金を通じていろいろな貸出資金を仰いでいるとか、或いは預金も場合によつてはしておりますけれども、大体どちらかと言えば貸出資金を仰ぐというような、それから最近これらの信用組合は商工中金へ政府が指定預金をして、その指定預金の一部をこれらの信用組合に再預託をする、こういうような形をとつて商工中金と、これらの信用組合とのつながりを密にして行くような方向に指導いたしております。
  49. 松永義雄

    松永義雄君 信用組合の業務というのはどれくらいの範囲に及ぶのですか。手形の割引とか交換、貸付、どういう程度のものですか。
  50. 河野通一

    説明員(河野通一君) 融資面におきましては、信用組合と信用金庫とは殆んど変りございません。これは手形の割引とか貸付とか、担保の問題、これは一般の金融機関に通ずるのでございますが、融資面においては変りございません。資金を預ける面において先ほど申しましたように、信用金庫は員外預金の問題も自由に扱う、信用協同組合は限られた範囲しか見ない、これが信用組合と信用金庫の主たる相違でございます。
  51. 松永義雄

    松永義雄君 信用組合はやはり組合員に配当というようなことをするんですか。
  52. 河野通一

    説明員(河野通一君) 組合員は出資をいたしておりますから、これを信用金庫における会員と信用組合における組合員とは、出資者という立場は同じでございます。その組合が非常に非常と申しますか、収益を上げて参りますれば、それは営利組織ではないのですから、できるだけ出資者とか、そういうものに還元すると共に、出資者の全体の収益に寄与するようにして行く、これは私は組合員全体の利益に寄与するということは、必らずしも出資者配当を厚くするということじやないので、或いは余裕があれば貸出の利率を下げるとか、或いは割引利率を下げる、そういつた出資者全体に利益を均霑するというふうに進んだらいいのではないか。現に配当をしているものも相当ございます。
  53. 松永義雄

    松永義雄君 大体において信用組合の業績はどうですか。
  54. 河野通一

    説明員(河野通一君) 信用組合の中にもいろいろございますがまあ大部分その業績は非常に悪くて、心配だというものは先ずございませんし、その中にもやはり経営のやりかたが非常に堅くやつておりますものと、或る程度ルーズと申しますか、そういつたものもございまして、程度の差はございますけれども、今すぐ預金を払えないというような状態に追い込まれているようなものはございません。
  55. 小林政夫

    小林政夫君 この商工中金とのつながりの現状を大体の御説明があつたのですが、この員外預金を信用協同組合が無制限に扱うことによつての商工中金との利害得失、こういう点ですが、その信用協同組合が今のお話では専ら商工中金から金を流してもらうケースの話があつたが、逆に或る程度余裕金を預金して、そのためには員外預金もやつて、どんどん商工中金の手足となつて預金吸収をやる。こういうような事例はありませんか。
  56. 河野通一

    説明員(河野通一君) ちよつとその事例というお話でありますが、大体やはり借入なり、資金を商工中金から仰ぐというふうなことが、今のような経済状態から見ると、各ケースとしては多いのじやないか。併し例外的に預金をいたしておりますものが全然ないわけではございません。所属組合が、今わかりましたから数字を申上げますと、八十四組合でありまして商工中金に対する出資額四百九十万円、極く僅かな出資額であります。預金が一億二百万円、貸出金が、貸出金と申しますか、借入金つまり商工中金からの貸出金が四億五千七百万円、こういう数字になつております。この数字から御覧頂いても大体預けるよりは商工中金から借りるというほうが多いということがおわかり願えると思います。
  57. 森下政一

    森下政一君 河野さんにもう一つ。今小林さんからも似たような御質問があつたと思うのですが、銀行局長は、端的に結論を言えばこの法律には反対だということですね、員外預金を扱うということには……。ところが商工中金なんかは信用協同組合というものが商工中金の下部組織のように考えられて、取引関係がいろいろあるからかも知れませんが、員外預金をむしろ許すべきだ、扱わすべきだというふうな考え方があるやに聞いておりますが、先般銀行局長の配慮を煩わして商工中金の大阪市支所を尋ねたいと思つたのも、商工中金の考え方を質したいと思つたのだが、これに対しては信用金庫のほうではことごとく排撃しております。一貫して排撃しております。併し信用協同組合のほうは当然我々に許すべきだ、員外預金を取扱うということによつて世間に横行している闇金融というものを排除するのだ、我々の活動範囲を拡大することによつて、いかがわしい闇金融というものを撲滅することができるのだというようなことを言う、皆てんでにそれぞれのことを言うのですが、非常に奇異に感じたことは、銀行局長の考え方にもかかわらず、商工中金がむしろ許すべきだというふうな考え方をしておるというが、一体その考え方は何に発しておるのかということを私は知りたいと思う。ちよつと時間的な余裕がなくてよう確かめておらんのですが、これをどう考えておられますか、大蔵省としては……。
  58. 河野通一

    説明員(河野通一君) 商工中金が信用協同組合に員外預金を認めるべしというような意見を持つておる、少くとも商工中金全体として持つておるということは私は初耳でございまして、聞いておりません。ただ想像いたされますことは、これは今小林委員からもお話がありましたように、信用協同組合と商工中金とつながりを持つておりますから、商工中金自体がなかなか資金の集まりが悪いということは御承知通りでありまして、そういたしますと言わば一種の系統機関的につながつているものが、少しでも資金量が殖えるような仕組みになれば、勢い間接には自分のほうへ廻つて来るものも多かろうというような意味から、それは認めてもらえば、自分のほうへ上つて来るものが多いかも知れんから望ましいといつたようなことが、まあ強いて言えば想像できますが、これは商工中金全体として、個人として商工中金の個個の人の意見は知りませんが、商工中金全体としてそういう法案の解釈が望ましいということを聞いたことは全然ございません。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 次回の審議の時に、商工中金の代表者を参考人として出席してもらつて意見を聞きたい。
  60. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 承知いたしました。
  61. 松岡平市

    松岡平市君 結局金庫と組合というものは差異が少な過ぎる。すでにこれは衆議院で一応組合の員外預金と認める法律を通して来ているわけですが、今の銀行局長お話のままでは、これはいつまで経つてもその根は絶たないのだ、金庫と組合とは別だ、員外預金を認めるか認めないかがその主要な差点である、これは了承しますが、それにはやはりそのほかのことで金庫と組合とをもう少し色を変えて、金庫を、いずれも産業組合からスタートしたものですから、もう少し金融機関らしい形に変える。組合員と会員とが同じ昔のままの形であるということから変える。金庫と組合との間にもう少し明らかな差別をつけるというような意思をお持ちにならんかどうか、そういうことをしなければ、この問題はいつまで経つても繰返されて来ると思うのだが、その点について御見解を聞いておきたい。
  62. 河野通一

    説明員(河野通一君) これは松岡さんも御承知通り金融制度と申しますと、その仕組自体を制度の上に区別するということはなかなかむずかしい問題だと思います。例えば最近当委員会でもいろいろ各委員から御質問がありましたように、一体銀行と相互銀行とはどこが違うのかという議論もいろいろ出ているわけであります。更に進んでは相互銀行と信用金庫とは一体どこが違うのだという御議論もあります。これは私どももたびたび御説明申上げておりますが、相互銀行と銀行とは違う。信用組合と信用金庫とはその組織から言つても業務の内容から言つても違うという観点に立つておりますが、信用金庫と相互銀行との差は、員外預金が扱えるか扱えないかということと、それから監督権が県知事にあるか大蔵大臣にあるかという二点だと思います。後者につきましては先ほど来私の意見として余りはつきりした結論を申上げなかつたのですが、この二つは或る意味においては相互に関連している、員外からの、一般外部からの預金を集めるということになりますと、やはり程度の問題でございますけれども、やはり大蔵大臣としては見て行かなければならない。併し組合員というお互に出資をしたいわば内輪の人だけの預金を扱う、そうしてお互いの間で集つた金を貸すという仕組みなら、これはまあ程度の問題ですけれども、大蔵大臣の監督まで持つて来る必要はないのじやないかという考え方で、この二点は両者関連いたしておりますけれども、私は信用金庫と信用組合の制度は、この二点の差違によつて制度としてはかなりはつきりいたしている。それ以上に更にはつきりさせるということになりますと、ちよつと今思いつくような具体的にどういうふうなことで、仮にもう少し差異をはつきりつけることがいいといたしましても、さてどういうふうな方法で差異をつけたらいいかということは、ちよつと私にも思い浮ばないのであります。更に勉強はいたしてみたいと思いますけれども、大体金融制度というものができて参りました元から言いますと、経緯を辿りながら一つのあるべき姿にだんだん来ておるような次第でありまして大体私としては信用金庫と信用組合との間には、一つの制度として線が引かれておるものと私は解しておるのであります。
  63. 松岡平市

    松岡平市君 例えば信用金庫においては、決議権というようなものを取扱うというようなものでも、まだ考慮の余地はあると思う。組合はこれは産業組合、市街地信用組合の一番そもそもから、持分の如何にかかわらず、組合員は決議権は一票、大体信用金庫でもまだ今でもなおそういう形であろうと思いますが、そういう面においても、私は決議権というようなことについてこれはだんだん……おつしやる通り、もともとこれは初めは両方とも信用組合であつて、それが少しずつ時勢と、それからそれらの機関の性質の変化に応じて変つて来た。すでにもう信用金庫なるものは、員外預金を認めた点において、並びに今おつしやつたような大蔵省の大蔵大臣の監督下にあるということにおいて、相互扶助機関というものから一般の金融機関に大変近付いて来たということなのです。そして組合は依然として相互扶助、産業組合の一番初めの精神のところにあるというわけであります。そこで、やはりその決議権というようなもの、その他、私は御研究下さればまだあると思うのでありますが、そういう点において、もう少し片一方を金融機関らしい形に近付けて行くということで、私は区別をなさらないと、片一方が大蔵大臣の監督下にあるかどうかということを、現にこの改正案においても、大蔵大臣の監督下に移ろうということを言えば、それでいいわけであります。ですから、私は、そこのところにもう少し考慮の余地がありはせんかと思うのです。
  64. 河野通一

    説明員(河野通一君) 研究いたします。
  65. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。    午後三時二十四分速記中止    —————・—————    午後四時七分速記開始
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて。都合により本日はこれを以て散会いたします。    午後四時八分散会