運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-11-20 第17回国会 参議院 人事委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十日(金曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村尾 重雄君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            溝口 三郎君            岡  三郎君            後藤 文夫君   事務局側    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    内閣官房長官 田中不破三君    人事院人事官  入江誠一郎君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給与問題に関する調査  の件  (給与ベース改訂及び勤務地手当に  関する件)  (教育職員特別俸給表に関する  件)   —————————————
  2. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 只今より人事委員会を開会いたします。  昨日に引続き、国家公務員給与問題に関する調査議題といたします。説明員として田中官房長官入江人事官が御出席になつております。先ず田中長官に対して御質疑のあるかたは御発言を願います。
  3. 千葉信

    千葉信君 田中さんにお尋ねいたします。   人事院が五月を基準にして国家公務員現行ベースを一万三千五百八十七円と計算し、これの一三・九%増の一万五千四百八十円ベース勧告したのに対し、大蔵省では十月を基準として一万三千九百円の現行ベースの約九・三%増の一万五千円ベースと算出している。これを一月分から実施する場合、財政負担は九十五億円となるが、このうち一部を地方負担として、補正予算では実際に八十五億円を措置する。但しこの実施のため来年度予算負担しわ寄せが行われるので、大蔵省では  一、明年度行政整理を断行し、一割程度人員を整理する。  一、ベース・アツプを旧軍人の恩給に跳返らせない。  一、現行の五段階地域給制度を整理して四段階にする。  の三条件の充足を閣議で申合わせることを必要としている。   三公社、五現業とも一月から実施するが、いずれも資金は各経営内部で賄い、補正では一般会計から繰入れない。このため国鉄では明年度一年間に約百六十七、八億円の赤字が見込まれるので、企業内の経費を百億円程度節約すると共に、明年四月から旅客運賃を一割程度引上げる。郵政については明年度十億円ぐらいの赤字が見込まれるので、一般の手紙や葉書に関係のない第三、四五種郵便料値上げをする。その他の企業経営内で操作する。   食管特別会計では現在三百四、五億円の黒字を残しているが、この中から農産物価安定のための赤字補填約六十五億円を除いても、明年度赤字を残さない限度の線で米価決定することとし、以上の計算上十キロ七百七十円程度にする。明年度は同特別会計健全化のため、コスト主義を考慮して、更に二段がまえの消費者米価値上げ考える。従つて補正では石当り四百円の完遂奨励金だけ一般会計から繰入れるのにとどめる。但し保利農相農林事務当局も、今年度末の食管特別会計黒字は四百億円を越える見込で、家計に及ぼす影響からみて七百七十円は高過ぎるとし、農林大蔵面当局間の事務折衝を更に要求しており、この点、政府内部の調整の必要を残している。   以上によつて第二次補正予算は、大蔵省案より公務員ベース・アツプ分の約八十五億円ふくれるが、この財源として考えているのは、勧告裁定実施による税収への跳返り約五十億円、たばこなど専売益金大蔵省案より若干上廻つて見積る、援助物資特別会計整理残十三億円を一般会計に繰入れるなどによつてまかなう。  今日閣議があつたはずです。それから昨日人事委員会を開いておりまする丁度同時刻に、政府与党との間に給与改訂の問題をめぐつていろいろ話合いをされて、一応、党の方針としては、只今読み上げた方針通り決定がなされたという話でありましたが、まあこれは公式ではありませんけれども、今日も閣議でたしかに給与改訂の問題をいろいろと審議されたはずでありますが、まあ結論に至つたか至らないかは別といたしまして、今日閣議話合をされたその話合いの対象は、以上読み上げた新聞記事と違うか違わないか違つていればどこが違うか、まずこの点から承りたいと思います。
  4. 田中不破三

    説明員田中不破三君) 政府におきましては、過般来、人事院勧告、又仲裁裁定につきまして、何とかして、ない財源を工面してでも実現を図りたいという努力をいたして参りまして、最近におきましてだんだんにその目鼻もつきかけて参つたかに思われるのであります。只今お読み上げになりました新聞記事につきましては、勿論、政府そのものとしましては直接関知をいたしてはおりません。けれども只今丁度御質問のありました通りに、そこに記事になつておりまするような種々の点につきまして、今まで数回に亘つて関係閣僚間に論議中心点としましていろいろと意見交換されておつたわけでございます。昨日午後の委員会でも福永官房長官からお話があつたかとも思うのでありまするが、只今丁度お述べになりましたような点で関係閣僚間の意見交換が行われて、それが今日の午前中の閣議ではまだそれをまとめるまでに至つておりません。今日の午後から関係閣僚懇談会が開かれることになつておりまして、これでもつぱら只今お述べになりましたような点についての意見をとりまとめられるものと思うのであります。今朝の関係閣僚の御意見としましては、今日午後に譲られておりまするために、只今お述べになりましたような各種の点について十分な意見交換というものはまだ交されておりません。午後に譲られた形になつております。
  5. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、今朝の閣議では全然取上げられないわけではなくて、成る程度閣議議題なつたことは田中長官もお認めですか。
  6. 田中不破三

    説明員田中不破三君) さようでございます。けれども、その意見を十分に交換して取運んで行くほどの時間的余裕がなかつたものでありまするから、午後に譲られておるわけであります。
  7. 千葉信

    千葉信君 私は結論がどうなつたかをお尋ねしているのではございませんので、当初から申上げておりまするように、ここに新聞に報道されました昨日の政府与党との間で出された一応の結論が、閣議でどういう方向にこれが発展し若しくは結末をつけるかということについて、重大な関心を持たざるを得ない段階なので、お尋ねしているわけなのでございまして、私は、結論ではなくて、その閣議でどういう形で論議されたかということを知る足がかりとしてお尋ねしているわけですが、従つて今朝まとまるには至らなかつたかも知れませんが、ここに読み上げました程度方針以外に、何かほかの意見なりほかの具体的な考えなりが閣議で出ましたかどうですか。この点如何ですか。
  8. 田中不破三

    説明員田中不破三君) お尋ねの中の、自由党政府との話合いという点について触れておいでになるのでございまするが、そして又政府自由党との、或いは自由党考え方がややまとまつたかのようなお話が御質問の中にありましたけれども、私の承知いたしておりまするところでは、まだ自由党におきましても、まとまつたというところまでは行つておらないように思うのでありまして、自由党としましてのそれぞれの審議に参加する方々が十分に集まつておられなかつた関係もあるかと思いますが、党としての考え方もまだあとに残されておるやに聞いております。これはまあ党の関係でございますけれども、私の承知いたしておりまするところはそうでございます。そこで大蔵大臣としては、党のほうに一応御相談にいろいろの構想を持つて行かれておりまするが、それが、党としての回答をされていまするが、党の考え方はこうだということは昨日はなかつたように思います。
  9. 千葉信

    千葉信君 党との関係の問題につきましては、今、田中さんの御答弁を聞いておりますと、大体国会答弁というか議会答弁という範疇の中でお答えになつておられるようでありまするが、併してこれは誰が考えて見ましても、もう今日の午後には大体この問題についての最終結論が出せそうだというさつきのお話もございましたし、そして又明日は閣議決定できるであろうというお話もございましたし、そういう点からいいましても、党との話合いで殆んどまだ何にもまとまらないでしまつたなどという今の答弁は、単に国会における形式的な答弁としてはわかるけれども、世間はそういう答弁を素直に受取つてそうだと思うはずがないと思うのです。まあ田中さんも答弁されていて、やはりそういう気持で答弁されているだろうと思うのですけれどもまあ併し実際上昨日党と政府との懇談会若しくは打合会の席上に有力な発言をする側近とか呼ばれているものの中の誰かがいなかつたために、最終的な結論を出せなかつたなんという事情もあるかも知れませんから、この点は実は昨日の申合せがどうだつたかということについて、これ以上お尋ねする意思はありませんが、私のお尋ねしているのは、最初からお話しているように、今日の午前中の閣議話合いをされたその経過の中に、まあ田中さんは故意に答弁を曲げて答弁されたようでありますが、こういう内容違つた意見や具体的の内容なんかを持つた構想なんぞが飛出したかどうかあつたかどうか。これをお尋ねしている。そういう点がありましたか。
  10. 田中不破三

    説明員田中不破三君) 今朝の午前中の閣議におきまする、これに関しまする質疑応答といいまするか、検討といいまするか、これは先ほどもちよつと申上げましたように、十分に行われておりませんし、又その新聞記事そのものの中に盛り込まれておりまするいろいろな諸事項というものについても、具体的に一々指摘されてのお話合いというものは進んでおりませんので、諸案件を片付けまする関係上、勿論、給与関係或いは米価問題では随分時間をとることが予想されまするので、午後に延ばされた関係上、その他の諸案件決定という方面に主力を注ぎました関係上、まあ給与関係といいますか、或いは補正予御関係については、十分の意見がたたかわされていないのでありまして從いまして、その各項目についてのお話合いというものも出ておりません。従いまして今お述べになりました各項目以外の話は出ているかということになりますると、これは一切出ておりません。
  11. 千葉信

    千葉信君 今御答弁の中で、今朝の閣議では重要な案件等がかなりあつたために、そちらのほうがいろいろ話題上つて給与問題等についてはかなり広範な影響を持つ問題なので、午後の閣僚懇談会という形になつたという御答弁でございましたが、その午前中に行われましたその他の議題というのは、例えば米の消費者価格の問題などでごございましたか。
  12. 田中不破三

    説明員田中不破三君) その件の案件と由しまするのは、今千葉委員お話では、重要なその他の案件というふうに、重要というお言葉をおつけになりましたわけでございますが、実はそうではございませんので、普通にあります案件政令案とか、その他の関係の諸事項でございまして、今重要という例の中に、米価問題等と、こういうお話でございましたが、米価等の問題と給与関係、つまりこの補正予算に関連いたしまする諸案件というものが午後に持ち越されておると、こういうことなのです。
  13. 千葉信

    千葉信君 昨日の委員会でも、福永官房長官のほうから、委員会出席された場合の官房長官以外の方々、具体的に言えば官房長官等を指しておられましたが、その方々に、委員会で行われる答弁については広範な権限と、それから実際上の管掌、仕事を分掌しておる場合にも、実際上の権限を相当持つてもらつている。從つて相当権威を持つて、自信を持つて、而も責任を持つて答弁をしてもらうはずだということは、特に昨日官房長官から強調されました。そういうつもりで一つ長官からもお答えを願う必要があると思うのですが、再々申上げることですが、これは私が申上げるまでもなく、公務員給与改訂等の問題については、総理府の所管で、而もその総理府の中で実際上この仕事を担当しておられるのは田山副長官なんです。実際上担当しておられるあなたが、もう今日の午後には閣僚懇談会で大体結論が出てきまるであろうというこの段階で、今もう午後二時ですが、こういう時期に、副長官は何にも自分で具体的な考えや、方針や或いは又意見を持たないで、一体それであなたは自分の職責な果せるおつもりでございますか、この点を先ず聞きたいと思うのですが、如何ですか。
  14. 田中不破三

    説明員田中不破三君) 最初に誠に光栄あるお言葉を頂きまして有難うございますが、まあ御承知の通りに、この大きな問題、大方針は、やはり関係閣僚といいますか、大臣方が御決定になるのでございまするから、而も丁度今お話通りに今日中或いは明日の午前中にはきまろうとしておるわけでございます。そこまで行つておりまするために、私どもにおいて只今とやかく言うことの考えを申述べましても、これは実際上果してそのときにどういうふうになつて行くものか、広汎な補正予算そのものから、全体から眺めての問題でございまするので、給与関係についてどうなるか、こう言われましても、なかなかお答えがしにくいのであります。私どもとしましては、仲裁裁定或いは人事院勧告というものを十分尊重して、これが実現を図る、それに努力をして行くということを関係閣僚にお願いをいたし、まあ関係閣僚はそれで補正予算という国の大きな方針がきめる、こういうことになるのだろうと思うのであります。従いましてなかなか十分な御答弁ができないというのは申訳ないのでありますが、努めてこれが実現を図りたいという努力においては決してやぶさかではないということを御了承願いたいと思います。
  15. 千葉信

    千葉信君 まあこれは、あなたにここでどうおきめ願わなければならないということを申上げてみても、これはあなたのおつしやる通り大きな問題ですから、これは恐らく閣僚諸君中心になつておきめになられる問題だとは思うのですが、併し何といつてもあなたはその仕事を担当しておられるという立場から、やはり今の段階において、あなたがまだその内容等も知らないなどということは、これは筋の通らない、誰も納得しない話ですし、もう恐らくあなたは知つていて、立場上言えないだけの話だろうと思うのですが、併しまあこれ以上あなたのお急ぎになつておるこの時間にこの問題を繰返してみても仕様がありませんので、私はこの際あなたに一言、この仕事を担当せられるという立場のあなたに対して御註文を申上げておく必要があろうと思うのであります。あなたは御答弁をどういうふうにされておつても、実際上今閣僚懇談会乃至は明日の閣議決定されようとしておるこの一つの具体的な内容というものは、もう大体皆は暗黙の間に推測をし、新聞記事等に対してもその信憑の度合は、これは誰でもわかつておることだろうと思うのです。そこでそういう今取上げられようとしておる内容の中で、実に大きな問題とならなければならないのは、三つの条件前提とする、例えば来年度は一割の人員整理を行うとか、或いは地域給廃止という問題、これは廃止という条件ではなくて、今具体的には四段階に圧縮するという方針のようでありますが、こういう条件前提としてきめようとしておりますなどということについては、これでは到底現在のような低い賃金で、而も切替えられようとしておる給与すらも実に甚だしい不合理で、而も極端に公務員諸君にとつては不利益な、実施の時期は今まで遅延して、而も引上げられる賃金すらも今まで自然増なつ賃金の上に上積みして、人事院勧告仲裁裁定とは似ても似つかない恰好で行われるようですけれども、而も財源問題等になりますと、例えば通貨の引上げを行うとか、郵便料引上げを行うなどといつて実際上、これは時間がありませんから詳しくは申上げるまでの暇はありませんけれども、何かこの問題を利用して公務員給与引上げると、直ちに国民の生活に圧迫を加えるとか、国民税負担しわ寄せをして行くという印象を与えるやり方に逃げ込もうとしておる。而も一方、地方財政の窮乏という問題がはつきりしておるにもかかわらず、年末手当の支給についても、或いは又今度の給与改訂という問題についても、明らかに五十六、七億円というものは地方負担で賄おうとしておる。こういう馬鹿なことをやつて一体地方財政が持つて行くか持つて行かないかということは、これははつきりしておる。従つてこういう点からも、田中さんは知つておるはずですが、知らないと言つておりますが、知つておるはずだ、その内容通り決定なんかが行われますと、決してこれは政府のほうでは、公務員諸君にこれでまあまあという恰好で引下るだろうという甘い考えを持つていたら、これは飛んでもないことになる。ですから、少くともこの仕事を担当しておられる副長官立場から、つんぼ棧敷に置かれるようなことは、まあないのでありますが、少くともその席上では、十分に田中さんの立場からも、今申上げたような条件等については、不測の事態を起らせないために、積極的な努力をしてもらわなければならない。そういうことを十分御注文申上げるのですが、田中さんは一体その御注文に対して無理とお考えですか、それとも当然だとお考えですか。
  16. 田中不破三

    説明員田中不破三君) まあ国全体の関係から論ぜられなければならん問題もありますので、ここでその問題だけについての私の考え方というものも申述べにくうございますし、又肝心の関係閣僚或いは閣議、こういう方面において、どういうふうにそれを考えられるかということもあろうと思います。いずれにいたしましても、只今の御意見につきましては拝承いたしておきます。
  17. 千葉信

    千葉信君 ちようど今も時間がなくなつて、帰る間際になつてから、これはそういう問題に対して十分意見を持つておるし、時間さえあれば述べたいのだが、述べるつもりだが、又述べる用意があるという御答弁でございましたが、そうでございましたら、又田中さん明日でも委員会出席してもらえますか。
  18. 田中不破三

    説明員田中不破三君) お答えいたしますが、別に用意があるわけじやないのでございまして、私どものほうでは述べにくいと申しましたので、時間がないから述べないのだということは一つも申上げておりません。私自身としては、なかなかそういう大きな問題については述べにくいということを申上げたのであります。
  19. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 急がれるようですから極く簡単に願います。
  20. 溝口三郎

    溝口三郎君 田中さんにちよつとお伺いしたいのですが、先ほど千葉委員に対するお答えで、大体今朝の新聞に出ておりましたような点が閣議でもお話に出た。併しその内容についてはおわかりになつておらんというのでありますが、私は今朝各新聞に出ました昨日の大蔵省案を以て党側と折衝した案について非常に疑問を持つておるのですが、それは、初めから現在の俸給に対して、過去の実例あたりから行くと、大体一割程度ベース・アツプになるのではないかというようなことを、よく行つてもその程度になるのではないかと私は想像していたのです。ところが、今朝の新聞で九・三%アツプということになつた。その理窟が昨年の給与ベース改訂の当時とは全然違つている。何ら理窟になつていない。本年の三月三十一日の公務員実態が一万三千何百円、それに対して一万五千四百何十円にベース・アツプしたのだ。その一万五千何百円の勧告通りにするなら、現在はその当時から六%くらい給与上つているから、その上つた分に対して平均九・三%であれば一万五千四百何十円になるのだ。勧告を尊重したような口吻が新聞には出ておるのです。ところが、私どもにはわからないのは、新聞によつて一万五千四百八十円になるには、現在の俸給に九・三%掛けたのか、或いは又、約九・三%掛けると一万五千円になるというようなことが出ておるのですが、一万五千四百何十円というのは、これは本年の三月三十一日頃にその程度ベースがあればいいんだ。それ以後民間給与はすでに一割五分上つておる。だからそれをやると、一年ずれて、現在改訂するなら一万五千何百円の一割五分掛けた一万八千何百円くらいやればいいのだ。併し、それは財源上止むを得ないのだから、これはできる程度やればいいのだが、理窟がそんなことじや私は臨時国会になつてもこれは納得行かないのだ。昨年十一月やつたやり方は、これは一昨年の二十六年十月一日現在の公務員給与が一万六十何円だつた。そうしてきまつたときから昨年までは、大体生計費は二割六、七分上つた。それから民間給与は一割五、六分上つたのだ。この間に米の値上りも三%くらい見なければならんから、大体一昨年から昨年までの一年間は二割五、六分上げて、そうして昨年の十月の実態の一万七百円を一万二千何百円にするのだというやり方つたのです。それはいろいろ論議があつたけれども、私どもはそのやり方なら一応筋は通るのじやないかということで私どもは承諾したのです。ところが内容号俸については、これは中だるみの問題があるから、これは中だるみの問題は、不合理の是正をしてもらいたいというような線で行くのなら、大体一割の……昨年の十一月現在の、これは公務員が一万四千円程度でありますが、それで昨年から今までに一割五分くらい生計費給与上つたんだというようにやつて行けば、大体一万五、六千円には結集的にはなる。そうしてそのベース・アツプは一割五分程度になる。裁定は全部、発表しているのを見ますと、大体一割四分から二割の裁定になつておる。やり方はみんなそうなんです。公務員は九・三%だつたというのでは、公務員には非常にアンバランスに見えるわけです。公務員がなぜそうやつたかというと、昨日のやり方ならば何も理窟がわからん。あれは大蔵省からそんなものを持つて行つたのだが、それについては、これは給与のほうから今の実態に対して昨年きめたやつから幾ら上げるべきなんです。そうして、それを上げたら一万五、六千円になるのだという理窟はつきり閣議でおきめになるのだ、明日おきめになるのだ、閣僚懇談会でもああいうわけのわからんやり方をやるならば、私は臨時国会でその理由をはつきり聞かなければならん。私は、できないなら一応そういうやり方をきめてプラス、マイナス、アルフアでやつて行くことは、これは仕方ないと思うが、よくそこらのところは理窟がつくようにして頂きたいことと、もう一つは、補正予算を出すのには、給与法改正をやつて、あの号俸は全部改正をやつて、そうして各省の公務員に皆割当てて補正予算の要求を出されるのだ。そうすると一万五千四百八十円というあのベースの、人事院勧告のあの号俸をそのままお使いになるのが、そこまできめていられるかどうかお伺いしたい。  もう一点お伺いしたいのは、今朝の新聞あたりにも出ているし、地域給の問題ですが、これは今月の初め頃、人事院は、二段階縮小、一段階縮小と、それから不均衡是正と、この三段があるような、構想としてはある。併し最近になつたら、地域給については一段階縮小、一日か二日のうちに国会政府勧告するようなことも出ていた。そうすると、この給与法改正をして、号俸改正とそれから地域給改正と、両方を急速に三十日までに用意して出されるようなことでやつておられるのか。その三点をお伺いいたしたいと思います。
  21. 田中不破三

    説明員田中不破三君) 第一点の点につきましては十分拝承いたして、その通りお伝えいたして置きます。  それから第二点の点につきましては、どういうふうなやり方で配分いたすのか、私自身もまだどういうふうな方法の配分が一番よろしいかという点については十分検討しなくちやならんと思います。(「怠慢だぞ」と呼ぶ者あり)  それから第三点につきましては、これは地域給関係につきまして、丁度この給与ベース引上げと一緒に只今話題上つてしまいまして、地域給の本来の改正と言いますか、それを十分に改正検討をするというふうな段取りまで行かないで只今の問題になつている傾向があるようですが、これも、いずれにしましても、今日明日のうちには何らかの方針決定される、このように思つております。
  22. 溝口三郎

    溝口三郎君 時間がありませんから簡単にお願いだけして置きたいと思います。  只今給与ベース改訂をやる場合には、給与法改正をするかどうかはつきりしていない。これはどうしても補正予算を出すのには給与法改正をして、号俸表も直して出さなければいけない。時間的に、一万五千四百何十円をこのままベースにとることになるのじやないかというように考えているのですが、あの号俸制について、若しもそういうものを採用なさるというときには、昨年は人事院勧告の一割ぐらいも下廻つてつたのでありますが、それと並行線でやつておられる。今度の人事院勧告した号俸制は、この前に比べると中だるみ是正ということを主眼にして頂いて、平均で一三・九%ですかの給与ベース改訂になつているのだが、中堅層のところでは一八%にしたのだということで、一応の改善には私はなつていると思いますが、中身をよく考えて見ますと、私どもの前に考えていた、もつと下の四級、五級、六級というところ、四級については九%しか引上げていない、それから五級については一三%しか引上げていない、六級については一六%、七級ぐらいのところに来て一八%、七級のところは、私は財源がないならばそんなに上げなくてもいいので、もつと五級、六級を大幅に上げてもらいたいということを要求して、不合理是正をこの前お願いした。それが人事院の今度の勧告では、私どもの思つたほどにはなつていない。もう一つは、五号俸で昨年は人事院勧告では、十八歳の成年男子が四千七百円に達した、政府のほうはそれでは足りないから四千八百円にするのだ。今度は勧告が五千三百円にした、ところが造幣の裁定等によりましても、人事院の五千三百円は大体低過ぎるのだというような裁定意見も出ているのですが、そういう意味からも、若しあの号俸をお使いになるなら、四級のところを九%なんというのはおかしいので、これを一八%くらいにして、五千三百円というのも、昨年は人事院勧告よりか政府のはうで上げた例もあるのですから、この辺を一八%くらい上げて、本当に中だるみ是正をするような号俸制は是非拵えて頂きたい。それは人事院と特に緊密な連絡の上で、あの号俸制についてはお考えをお願いいたしたいと思います。
  23. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) ほかに御質問もおありでしようが、田中長官最初から二時から所用があつて退席したいという申出もありましたので、本件についての質疑は後日に譲ることに御了承願います。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  24. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記を付けて。   —————————————
  25. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 次に教職員給与に関する人事院規制改正の件について人事院当局より御説明を願います。
  26. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 只今お話のございました教育職員に関する特別俸給表実施に関しまして御説明申上げます。  人事院といたしましては、先般成立いたしました教育職員特別俸給表実施いたしますために、この法律の精神に副いまして、今回人事院規則及び同細則の改正を行なつたのでございますが、その内容を御説明申上げますと、先ず第一には、大学、高等学校及び中小学校における改正俸給表の適用範囲を明確にいたしましたことでございます。例えば、これによりまして、附属学校、盲聾学校等におきまする適用範囲が明らかになつております。  第二には、調整号俸につきまして必要なる改正を加えたことでございまして、即ち現行の教職員に付けられておりまする調整号俸俸給表の中に組み入れられましたので、規則の改正によりましてこれを廃止いたしますると共に、ただ特殊学校の教職員につきましてなお四級から九級まで一号俸を在置することにいたしました。又、人事院細則を以て定めておりまするところの紋別資格基準表につきまして必要なる最小限度の改正を行いましたが、その内容を申上げますと、俸給表が、大学、高等学校及び中小学校の三表となりましたことに伴いましての級別資格基準表の形式を整えましたことと、第二に、高等学校教諭等の昇格し得る最高の級が一級上位となつた者につきまして、これに対応するように所要の改正を加えました。なお明年一月一日から教職員俸給の切替に伴いまするとこいの一号俸上位への切替の問題につきましては、改正法の趣旨に鑑みまして、これがまるまる一号俸上になりまするように必要の措置を講ずることにいたしております。  以上が今回の人事院規則及び同細則に改正を加えました主要な点でございます。
  27. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 本件及び給与関係全般について御質疑のあるかたの御発言を願います。なお滝本給与局長が御出席になつております。
  28. 岡三郎

    ○岡三郎君 二、三質問をしたいのですが、先般成立したこの特別俸給表に基く人事院規則の点について十六日に人事院が発表したのですが、我々が本来主張していたのは、人事院みずから勧告し、そうしてその勧告の中には給与準則というものが明確にあつたのです。併し議員提出法案として非常な横車の中にああいうふうなむちやくちやな法律が通つたと現在でも思つておるわけですが、併し政府みずから、推察するところ明年一月以降人事院勧告を尊重して給与改訂をするということになつて、そうしてそれに伴う当然な処置として給与準則の問題も検討しなくてはならない段階も来ると思うのですが、そのような角度の中で、将来人事院勧告の中の給与準則が検討されたときに、この細則というものとの関連を一つ伺いたいと思うのです。
  29. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 人事院といたしましては、先般勧告いたしました給与準則の中に、教員俸給表のことにつきましても勧告をいたしておるわけでございます。ところが、その後におきまして議員提出法律案が出まして、いわゆる教員三本立の、人事院給与準則の中で考えましたことよりもちよつと違つた要素も加わつたような形で、教員三本立の俸給表も成立したわけであります。これはまあいろいろ御批判はあろうと思いますけれども、とにかく国会でおきめになりました法律でございますので、まあ人事院といたしまして、実施官庁といたしまして、やはりこれを実施する責任があるわけであります。従いましてあの当時あの法律が通りました際に、適用範囲等につきまして、人事院に委任せられました事柄につきまして、これを明確にする必要がある、こういうことで、所要の人事院規則の改正並びに細則の改正をいたしたのであります。勿論、将来におきまして人事院給与準則が実施されることを希望いたしております。ただその給与準則が実施されることを希望いたすのでありまするが、その給与準則の中には、人事院勧告しましたものよりも違つたその後において国会でおきめになりました教員の俸給表の関係一つ考え方があるわけであります。これは給与準則が実施されます際には、人事院勧告のその部分は、やはり先般通りました給与改正の教員俸給表の趣旨が取入れられることが必要であろうかと、このように考えておるわけでありす。御存じのように、給与準則が実施されます際には級別推定表というようなものがなくなりまして、これは教員につきましては幅の広い俸給ということになるのであります。まあその暁におきましては、もう推定表なんかはございません。で、我々は今度通過いたしましたあの法律は、これを拡大もせず縮小もしないで、あのままの形で受取つて、それを実施するに必要な所要の措置を講じたのでありますが、そういうことをやりました結果、これが給与準則に非常な差障りになるのであろうかという点も一応検討いたしてみたのでありまするが、まだ十分に検討を終つておるわけではございませんが、それほど大きな支障はないだろう、というのは給与準則になりますれば、教員俸給というものは、今のような級別定数とか或いは級別資格基準表というようなことはなくて、例えば教諭でありまするならば、ずつと教諭である間一つ俸給の中でずつと昇給して行かれるというようなことになりますので、現在より大分有利になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。その点もまだ十分の検討を経ておるわけではありませんが、給与準則になりました際に大きな支障があるというふうには考えておりません。
  30. 岡三郎

    ○岡三郎君 先般通過した法律の施行は明年の一月から実施するわけですが、そうすると、その人事院細則自体も当然それに伴う措置として、まあ一月以降のそういつた実施に必要な指図だと思うんです。ということになれば、政府自体が人事院勧告を尊重してこれからやろうというふうな段階に来ているわけです。それに伴う給与準則というものを討議しようということになつておるわけですが、だから、法律が通つたからこれをやるんだということはわかるけれども実施に伴うところの措置というものは、まだ時間的にも容易に私はあると思う。だから、人事院自体がああいう準則の中に教員俸給表というものを出す、そして世論に問いながら、まだ時間的な余裕があつて政府給与に対する方針も変更されて、勧告実施しようというふうな現在の段階なつたときに、私はこんなものは邪魔だと思う。邪魔だということは、逆に言えば、人事院の精神に対して我々は或る意味においては賛同の意を表しておるというふうな解釈ができると思う。だからそういうふうな形で、もうこれを今やらなければ間に合わないというものならばいざ知らず、政府給与方針に近ずいて来ておる段階において、法律が通つたからと言つてこれをそそくさとやる、而も一月一日以降実施するというものに対して、まだ余裕があるのに、人事院勧告の中の精神が生かされる期間が十分新たに設けられて来るというときに、これが出たということについては、我々としては誠に遺憾の意を表したいと思う。そういう点については、だから人事院がその勧告したことについて、給与準則なら給与準則というものについて一体どう考えているのか。その点を一つ聞きたいと思う。
  31. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) お答え申上げますが、只今御指摘の通り給与準則が一月一日から実施されますると、今給与局長から申上げました通り、今回定めました細則関係の級別資格基準表というものも必要なくなるわけでございます。そこで給与準則が一月一日に施行されるということが明確に期待される範囲におきましては、今こういうふうな人事院規則、細則というものを作る必要はもうないじやないかという御質問も御尤もなんでございますが、我々といたしましては、最近先ほど来ここでもいろいろお話ございました通りベースそのものについて一月一日から実施されるような空気があるわけでございますけれども、又我々もその場合に給与準則によつてこれが実行されることも勿論期待しておるわけですけれども、又実施官庁といたしまして、あらゆる場合を想定して一応準備を整えておくことも必要なんでございますので、先ほど給与局長が申しました通り改正法律を何ら人事院といたしましては上廻りもせず又々下廻りもせずに、そのままの最少限度の実施に必要な規則と準則を作りまして、万全の準備を整えておるのでありまして、その点御了承願いたいと思います。
  32. 岡三郎

    ○岡三郎君 とにかく今度の臨時国会も大体十二月の上旬に想定されておるわけです。この前の国会における審議のときにも、この問題についてはいろいろと言われて来た。それで給与準則というものをどう取扱うかという点について、当時政府は、ともすれば、あの勧告というものを準則を含めて軽視して来た嫌いが十分あると私は思う。だから我々は、当時、給与準則の問題に対してだけでも検討するかというふうな問題までも話合つたこともあるのです。そういうふうな経緯を考えて見ると、政府がべースの而もごまかしの数字だけを実施して、そうして勧告中の重要なる部分が給与準則を抜きにするなんということになれば、人事院勧告なんかこれは何にも尊重されておらないと思う。当時の浅井総裁の言明をかりて言えば、準則というものと不離一体だから遅れて出したのだ、こういうことを言つておるわけだ。ということになれば、人事院自体は勧告の生みつ放しで、余りにも無責任過ぎると私は思う。そういうことで、我々としては、人事院があれを申した場合に、慎重に政府なり或いは国会にその正当なる理由をはつきりと要請し続けて、而もそれが生かされないということになるならば、人事院の誠意はわかるとしても、まだ十分人事院規則を出す期間的な余裕があると私は思う。こんなものは十二月の臨時国会が終つてからと言つても、いつでもこんなものは出せるのです。一週間も予定があれば出せるのです。そういうふうにして、みずから勧告したものを、自分たちが、まだ十分期間があるのに、法律が一応通つたからと言つたつて、その法律は明年の一月から実施をするということになれば、勧告を生かすための精神、そういつたものを堅持してやつてもらわなければ私は困ると思う。人事院細則を出してはいけないということを言つておるのじやない。出してもらつてもいいのだ。出してもらつていいけれども勧告自体に対する検討期間というものが十分あるというときにこういうものを出して来た。だから逆に言えば人事院はみずから年度内に人事院勧告検討する余裕がない、もう来年の一月一日からは人事院みずから給与ベース実施というものがないというふうな、そういう態度がこういうことに片鱗として私は見られると思う。実際問題としては、最後まで、人事院勧告したものをみずからが最後まで、最も早い時期に実施されるようにやつて、そして、つい間に合わなければ、法律に基いて人事院が細則を出すということについては、私らも何ら異論がないわけです。そういうふうに考えて来ると、私がここで怒らざるを得ないと思う。だからそういう点で、将来、今言つたように、我々は次の臨時国会給与準則を当然論ずるそのときに、もう一遍この三本建を我々は論ずるところの責任があるし、それから改正法律案を我々が出す権限もあると思つておる。それが通るか通らないかは別として、そういうときに、まあ決定的な一つのこういうようなものを出して来たことについても、私は誠に遺憾の意を表すると共に、今更これ以上言つても仕様がないから、今後ともそういう点については十分注意してもらいたいと思う。  もう一点聞きたいことは、これは十二月十日以降に出してこの規則が間に合うか間に合わぬか、それだけ聞いておきましよう。
  33. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この規則の間に合うか間に合わぬかということにつきましては、必ずしも今日施行する必要はないと思います。併しながら、やはりあらゆる場合を考えまして、事務的な準備を完全に完了しておくということも、これは当然実施官庁として努むべき任務でございます。  それから先ほど何か私たちが、べースそのものが来年一月一日或いはそれ以前に実施されることがなかろうという前提の下に、この規則なり細則を作つたようにお話がございましたが、そういうことは全然ございませんので、勿論、我々は給与準則を一日も早く施行されることを希望しておりますけれども、何といつても、このベースの問題というのは公務員のために一番大事な問題でございますから、あらゆる場合のことを考えて、この法律の実施については遺憾なきを期したいということで、この規則及び細則を制定いたしました。その点何とぞ御了承願います。
  34. 岡三郎

    ○岡三郎君 多くを言いませんが、人事院はみずから責任を以て勧告したものの精神を最後まで生かすようにあらゆる措置を講ずべきだと、私はつくづくそういうことを感ずるわけなんです。そういう点で、先ほど言つたように、少し偏狭にとれるかもわからんけれども、まだ給与の問題がこれから論ぜられ、最後までその希望を失わぬというふうな態勢の下に、現在公務員諸君努力しつつあるわけであります。そういう中において、この法律が一刻も早く出されなければ間に合わぬという問題じやないのです。そうすれば、やつぱり給与準則のうちの人事院勧告した教員俸給表というものが生かされるように、やはり我々としては善処したいと思つておるわけなんです。それを、まだ期間があるのに、これを出されて来たことに対して文句を言つたのですが、それで、考えれば、前の公務員の退職年金法の問題にしたつて、漸く出してもらつたのですけれども、まあ仕事の順序というものはいろいろあると思うけれども地域給の問題にしたつてそうなんです。だから、こういうことは、事務干渉に亘るからあえて口を開かないけれども、とにかく今後とも人事院勧告自体というものが生かされるように、もうちよつと人事院当局は、出し放しじやなくて、措置を講じてもらいたいと思うのです。それは、権限というものがおのずから限定されるとしても、そういうふうな精神の下に終始一貫やつてもらわなければ私は困る、こういう希望をしておきます。  それから、丁度あれですから、これとちよつと問題が違つて地域給のことについて聞きたいのですが……。
  35. 千葉信

    千葉信君 その前に関連質問をしたい。教員給与の三本建の規則に関連して、この機会に人事院のほうにお尋ねしておきたいのですが、不勉強だから一つ人事院のほうから明快な解釈を、三本建の給与法との関係を承わつておきたいと思います。  それは、今、岡君から質問しました事項に関連してですけれども教員給与に関する三本建の法律が、ああいう私どもの承服しがたい方法で国会を通過しましたことは誠に遺憾なことですが、併し実際問題にしてはそういう事態になつてしまつた。今の御答弁を聞いておりますと、人事院のほうでは、自分のほうで考えた、若しくは提出した給与準則の勧告等とは食い違つてつたけれども、併し何と言つて国会決定されたことであるから、実施官庁の立場から、自分たちは今度の規則及至は細則の改正を行なつた。これは一応承わつておると、人事院立場なり、人事院権限なり、人事院の責務から言うと、黙つて聞いていると、それも筋が通りそうな気持も一面にはするのですが、併し私どもは、公務員法なり若しくは又職階制に関する法律なり、或いは又給与に関する法律等を点検してみますと、どうも私ども、ああいう人事院の提出した給与準則の勧告等に少くともそぐわないような決定国会でなされたということに先ず第一の疑点を持つのです。それはどういう意味かと言いますと、公務員法によつて給与準則の制定に関する第六十三条若しくは第六十四条等の関係から言つても、御承知の通り、職階制に関する法律によると、職種の分類等については国会の承認を要する案件になつておりまするけれども、職級の明細等については、これは国会でこれを承認するとか、これに容喙するという立場には、法律上はとつておりません。ですから、この意味では人事院の専決執行ということになると思うわけでございます。そういう建前をとりましたのは、これらの問題等についてまで国会でこれを審議するとか、これを決定するとかということになりますと、非常に収拾のつかない状態になる虞れがあるというので、以上のような決定なつたわけでございます。ところが人事院のほうから出されました給与準則の勧告によりますと、この前の教員給の三本建、前の国会できめました条件とは少し食い違つておる。ところがここで私ども考えてみなければならないのは、一体、国会でああいう人事院勧告した方針に悖るような内容等決定したり、或いは又そういう問題にまで立ち入つてやることが、果して現行法によつて承服できるやり方かどうかということが問題にされなければならないと思うのです。その証拠には、給与法の節二十四条から言いましても、国会給与の問題を決定する一応の枠というものが決定されております。そうして又そういう国会の審議のための前提条件として、人事院が行うべき責務というものも、職務内容というものも、ここで明記されております。第二十四条によりますと、「国会は、給与の額又は割合の改訂が必要であるかどうかを決定するために、この法律の制定又は改正の基礎とされた経済的諸要素の変化を考慮して人事院の行つた調査に基き、定期的に給与の額及び割合の検討を行うものとする。この目的のために、人事院は、総理府統計局、労働省その他の政府機関から提供を受けた正確適切な統計資料を利用して、事実の調査を行い、給与に関する勧告を作成する。」これは国会で審議する場合の給与の額及び割合の検討についてのきめ方です。そうしてその内容としての給与準則、それから給与準則の格付をする対象としての職級、職種の分類等については、職種の分類だけは国会で一応承認するけれども、これは人事院の専決執行という形で、人事院給与に関する実施機関ばかりではなくて、総合的な而も緻密な検討をその根本において行うという条件の上に立つているはずでございます。そういたしますと、ああいう人事院調査研究によつて、そうして又国会がその調査研究を尊重するという建前をとつて現行法ができているのに、ああいう内容にまで立ち入つて、而も人事院勧告とそぐわない矛盾を来すような決定国会で行うということは、私は国会としての越権沙汰だと思うのです。そういう条件の中から出て来た教員給与に対する三本建の法律案が通つたからと言つて、私はやつぱりこの際人事院として十分考えてもらわなければならぬことは、人事院がなぜ自分たちの、今、岡君も申しましたけれども、なぜ自分たちの調査研究に基いて、そうして自信を持つてなつ勧告とそぐわないような条件国会できめられたからといつて、直ちにそれに追随して、而もまだ相当余裕があるのに、人事院として今度の規則の改正、若しくは細則の改正という手を急がなければならなかつたか。今までの人事院から言いますと、例えば恩給法の勧告にしても、前後六年を費して、やつと今日どうにかこうにか非常に割の悪い恩給法の勧告を六年もかかつてつておる。地域給改訂も然り、給与引上の勧告にしても、人事院はいつまでも慎重に……調査のために期日が遅れるかも知りませんけれども、私共の眼から見ると余りに遅れ過ぎるやり方で、そうして時間を稼いでいる人事院が、今度の場合に限つては、お先棒を担いだというような悪口を言われるような危険を冒して、来年の一月一日から教員給与の三本建の実施に対して今頃出したという、そういう点については非常に不満に思いますが、不満はともかくとして、今私が申上げたような公務員法なり、特に公務員法の中における給与準則に対する解釈なり、若しくは職階制に関する法律、給与法に関する法律の解釈等につき、私の考え、つまり国会で行うべき内容等の問題に関連して、私の考えが正しいか正しくないか。一つ人事院のほうから御教示を賜わりたいと思います。
  36. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 千葉委員は非常によく知つておられまするので、今更我々が御説明申上げるまでもないことのように思うのであります。ただ我我は給与準則が一日も早く成立することを希望いたしまして、これはまあ長年かかりましてやつと勧告した次第であります。ところが現行給与法改訂の形で、教員給与俸給表を作成するような案を議員提出法律案でお出しになつた。でまあこれは国会でおきめになつたことでございます。従いまして、国会でおきめになりました法律を実施いたしまする責務が人事院としてはあるわけでございます。それに従つてつたまで、こういうことであります。それから、勿論我々が勧告いたしました給与準則というものは、職階制に基いておりまするので、この問題になりますれば、職種の決定等が職階法の関係と勿論関係して参りまするし、それから俸給表等につきましても、公務員法に規定してありまする六十四条それから六十三条、あたりにも勿論関係いたして参るのでございまするから、現行給与法給与準則そのものでないため、やはり国会でおきめになりまする場合に、そういうことと若干は根本的精神においては関係あると思いますけれども、併しまあ法律の条文の上から申しまするならば、やはり国会でおきめになることは勿論できるものである、このように考えております。
  37. 千葉信

    千葉信君 これ以上この問題は私は深くお尋ねするつもりもないのですが、只今の御答弁の中で、ちよつとおかしいと思われる点は、成るほど今の給与法は、これは給与準則に代る暫定法律でありますことはおつしやる通りであります。そういう意味から言いますと、これは給与準則とは違うのだ、これは暫定的な政府のほうから出した給与に関する法律案だけれども只今の御説明は間違いではないと思うのですが、併し一方から言いますと、人事院のほうから出された、七月十八日に提出いたしました勧告によりますと、給与の額を一万五千四百八十円に改訂すべし、それから同時に給与準則の今度は制定を行い、そうして而も両者は不可分のものであつて、そうして速かに改訂を要するという人事院勧告になつてはおりますけれども、その基準になつております内容を見ますと、今年の三月現在を基準として、そうして三月現在一万三千五百八十七円ですか、それを切替えた場合には、四月一日現在に切替えた場合には、これが一万五千四百八十円になるのだという勧告ですが、そうして両者は不可分のものだという、これは浅井総裁の御説明通りだということになりますと、当然人事院立場からは、四月一日切替えという形で給与の割合の改訂並びに給与準則の実施ということを人事院は主張して出されておると思うのです。諸般の情勢からとうとう今日までその改訂は行われませんけれども、併しその人事院の主張しておるところは、四月一日から給与改訂を行い、四月一日から給与準則の制定を行う、ただそれを人事院らしい考え方から、人事院の態度から、速かに改訂を行うべきだという表現を用いたに過ぎないと思う。そうすれば、今の暫定法律は、残念ながら、人事院としては少くとも残念ながら施行されておるだけであつて人事院の主張から行けば、当然これは給与準則が制定されていなければならない段階のはずだ。そういう意味から言いますと、只今の滝本さんの答弁は、これは何といつても、現在こういう法律が施行されておるのだからその枠内でどういう三本建の給与法がやられても、これは人事院として直接の責任なり或いは又人事院としてこれに対してどうこうという意見を持つということはおかしいという御答弁には、そつくりそのままでは頂きかねる答弁だと思うが、その点は如何でありましようか。
  38. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 千葉委員の御指摘になりましたように、給与準則が一日も早く実施されることを希望いたしておりますし、それが又国会で御決定になりまして実施されました暁におきましては、勿論我々はこの給与準則というものを人事院が推進して参つたわけでありますから、そういうことを希望いたすわけでありますけれども、現在のところはまあ法律として給与法というのがあるわけですから、やはり実施官庁といたしましてはこれをやつて行く責任があるわけであります。
  39. 千葉信

    千葉信君 極めて遺憾でございますが、これくらにして、次に地域給の問題に入りたいと思いますが、岡委員からありますか……。
  40. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の附則並びに細則はこの程度にして、文句があるけれども次に移ります。今日の新聞地域給記事が出ておるわけです。それによると、四段階に縮小するという点が強調されておつて、参議院の人事委員会として強く要請されて来たところのでこぼこの是正といいますか、アンバランスの是正というものをどういうふうに進捗さしておられるか。それについて具体的に一つお答え願いたい。
  41. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 参議院の御決議の御趣旨は、アンバランス是正と併せて地域区分の減縮と申しますか、縮減にあることは十分拝聴いたしますが、人事院といたしましては、そのまま御決議の趣旨を尊重いたしまして目下折角作業中でございまして、アンバランスの是正につきましてもまだ成案を得ませんけれども、成案を得次第御審議を願うように段取りを進めたいと思つております。どちらにいたしましても、御存じの通り地域給の問題につきましては、或る程度の財政的措置も考えなければなりませんので、来年度の予算でいずれこれが実現して頂くという方向の下に、その時期に間に合いまするように勧告したいということで、仕事の順序を進めております。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 昨日ほぼ最終案がまとまつたので、来月早々にも政府国会に対して勧告を行う段取りになつたというふうな点から、まあ四級に縮減する記事が出ておるわけですが、勧告内容は縮減という、五級地をまあ廃止するという点と、でこぼこの調整という二つが含まれておるのですか。
  43. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 只今御指摘になりました新聞記事は、実は我々全く関知しない記事でございまして、来月早々でこぼこ調整なり、まあその他に関連して勧告をいたすということは、来月早々というのにも、早々の期日によりますけれども、実際問題として間に合わんのじやないかと、現在の段階としては私は考えております。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると大体人事院が現在想定しておる地域給勧告内容と時期はいつ頃やりますか。
  45. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 人事院といたしましては、先ほど申します通り両院の御決議の御趣旨を尊重いたしまして、最初は二段階整理し、併せてアンバランスを整理するということも考えておりましたのですが、これはまあいろいろ財政的にも困難であるというような状況でございますので、まあそうすれば、少くともアンバランスの是正をすると同時に、何と申しますか、一段階でも将来に対して漸減するような方向は希望しておるわけでございます。そこでまあ現在のところといたしましては、予算の裏付けとの問題がございますので、必ずしもどういうふうな形式で勧告いたしておるか、現在のところこれは明言いたしかねますけれども、アンバランスの是正だけをする場合、或いは併せてせめてこの一段階の級において成るべく紛糾を少くするような措置を併せて考えるというふうな線、そういうふうな線において、両方建てから研究しておわるけでございます。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、この前、通常国会までに間に合せるようにすると言つたことについて、変更があるわけですか。
  47. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) その点は人事院として只今のところこれは変更ございません。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一遍、くどいようだが、でこぼこ調整の内容を持つた勧告になるのですか。
  49. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) でこぼこ調整も、両院の御協議の御趣旨もございますので、是非実現いたしたいと思つております。
  50. 岡三郎

    ○岡三郎君 その場合、アンバランスの是正については、人口や公務員数など極力明確な外形の基準を設け、指定改訂を行いたいというような記事が出ておる。これについて、でき得る限り、一つ人事院において説明ができたらお伺いいたしたい。
  51. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 先ほども申します通り、その新聞記事は全然人事院といたしましては承知いたさない記事でございまして、仮にでこぼこ調整をいたします場合に、それは勿論このでこぼこ調整もなかなかその地域、その性質上、いろいろそこには議論があり得ることでございますから、何かの基準を設けて、これが何人にも十分御理解願えるような基準を出したいものと思つておりますけれども、この基準そのものが非常に困難でございまして、現在給与局のほうで折角検討中のようなわけでございまして、明確な基準が出し得ますかどうか、現在のところ確信はございません。これが卒直に申しまして、最初御討議になつておりましたような段階の、三級地以上となりますと、又これが、この基準が比較的作りようございますけれども、だんだん下の級になつて参りますと形式的な基準というものは非常に困難でございまして、折角給与局で検討中でございまして、必要でございますれば又給与局長から御説明申上げます。
  52. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、読売なり毎日に出ておる地域給記事は、これは嘘だと、こういうことですか。
  53. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 嘘だと申しますといろいろさし障りがあるかも知れませんけれども、少くとも人事院から発表したものでなく、又人事院がその内容について何らかの責任を負うべき立場には全然ございません。
  54. 岡三郎

    ○岡三郎君 この記事の出所について御調査なつたことがありますか。
  55. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 別に調査はいたしておりません。
  56. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、給与局長に御質問申上げますが、今入江人事官が言われた中において、今作業中であるという言明があつた。それについて給与局長のほうからお答えができるようですから、作業過程を一つ御報告願いたいと思います。
  57. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) この前もお話申上げたと思うのでありますが、先ほども入江人事官からお話がございましたが、仮に二級地、三級地、その上も勿論ありますが、これをアンバランスの是正をいたします場合、問題になりますことは、やはり明確な基準がないという場合に、どうしても問題を起しがちでございますから、我々は極力明確な基準を作りたい。このことは前々から申上げておる次第であります。最初段階縮減というような線でいろいろ御討議願つたのでありますが、その当時におきましては、勿論三級地の基準ということに主力を置きまして、作業を進めておつたわけであります。その後におきまして、二段階縮減ということは、これは事実上無理があるのではなかろうかというようになりまして、実質的にでき得れば段階を縮減して行くということと、アンバランスの是正をやるということに両院の御意向があつたように承わりまして、又人事院といたしましても、地域給を将来に向つて整理をいたしたいということもあつたわけでございます。從つて、三級地のみならず、二級地に、現行一級地から引上げますものをどういうものにいたすかということにつきまして、は、でき得る限り明確な基準を作りたいということでやつておる次第であります。この明確な基準ということはなかなか抽象的にはできがたい点もございまして、事実問題といたしましては、具体的な作業と相待ちまして、この基準を作るということにどうしてもなりがちでございますが、そういうことを事務的に今やつておりまして、作業は相当進捗はいたしておりますが、まだ現在完了という段階になつておりません、従いまして我々といたしましては、一級地の基準について、なかなかこれはむずかしいのでありますが、基準を確立したいという最後の努力をいたしておる、このような次第でございます。
  58. 岡三郎

    ○岡三郎君 明確な基準の設定を人口や公務員数等で検討してやるということはないのですか。
  59. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 先ほど入江人事官が言われましたように、我々としましてはこういう記事がどういうことで書かれたのか一切知らないのでもります。基準内容等につきましては、今しばらく時間を頂きまして機会を得まして、御審議願いたい、このように考えております。
  60. 岡三郎

    ○岡三郎君 地域給勧告というものは、従来大体尊重されてそのまま施行されておる形が主だつたと思います。そうすると、今回の地域給に関しては、人事院自体もいろいろと御検討があつたのでありますが、両院におきましても相当深い関心を持つて積極的に要望申上げ推進して来たのであります。そういう点で最近地方においても相当関心が持たれて、勧告内容等にも非常に注意しておると思うのです。そういうときでありますので、地域給勧告自体が非常に遅れておるので、明確な基準というものについて速急に御発表願えるようにして、それについて予算の裏付けをどうするかという問題も出て来ると思うのですが、そういう観点は、この前にも申上げた通り人事院の任務は任務として国会としても重大なる関心があるので、一つ十分連絡をとつてやられるように、これは要望しておきます。
  61. 千葉信

    千葉信君 今の岡君の質問に関連して、一、二点御質問申上げたいのですが、今ちよつとよそのほうの話をここでしておりましたので、全部初めから終りまで聞いておりませんでしたから、一部重複する箇所があるかも知れませんが、一つお答えを願いたいと思います。  今朝の新聞に出ました地域給段階人事院案成るという記事が、人事院のほうから出たのではないということを聞いて、これは一応安心をいたしましたが、併しその内容となつているところは、場合によると、こういうことが起るかも知れないというので、私どもが心配しておりました急所に近いものにかなり触れた部分も報道されております。御承知の通り大蔵大臣のごときは、ここに新聞記事がありますが、曾つては談話を発表して、公務員給与改訂する場合に、若しも来年首切をやるならば給与改訂をやろうとか、或いは又地域給廃止するという条件が明確に決定されるならば給与改訂をする財源も出そうではないかなどという暴言を吐いておりますし、それから又昨日の政府与党との話合い内容として報道されました記事の中にも、この内容についてはこの通りあるとかないとかいうことで、公式なこれに対する回答はなかつたのですが、併し従来の政府の態度なり、大蔵大臣の度重なる失言や暴言の状態から見ますと、これは否定できない部分がかなり含まれておる。而もその中で、一つ条件としては、現行段階地域給制度を整理して四段階にするのだ、こういうことを一つ条件として取上げられております。ところが今の人事院のほうで発表したのではないという新聞記事の中に、私どもこの四つばかりの条件の中で、どうしてもこの際人事院にお尋ねして確認しておかなければならない事項は、丁度この大蔵大臣の言明なり、若しくは党と政府との具体的な打合せの内容としての報道と関連のある事項として、第一番目の条件、「この際、現行の無給地から五級地まですべてを通じて五%程度を本俸に繰入れる。」御承知の通り、これはこの内容そのままに近いものが曾つて衆議院の人事委員会のほうでいろいろ問題になつたことがございます。当時は五%入れるというのではなくて、一〇%入れるという考えでございましたが、これに対しては、御承知の通りに、衆参同院の人事委員会の打合会の確認事項としては、現行実給額を割らないようにすると、こういう条件が一応はつきり確認されております。大蔵大臣の言明なり今までのいろいろな態度から言うと、どうもこの点が最終的には動搖する慮れがかなり出て来ておると思うのです。そこで、この際、人事院にお尋ねしておきたいことは、仮に将来この問題がどういうふうになるにしろ、本給に繰入れるにしろ、若しくは地域給の底上げで行くにしても、条件として実給額は割らないようにするのだということがはつきりしておりまするし、人事院もこの点については相当重視しておるはずだと思いますが、今地域給の問題についてはいろいろ勧告の時期も近ずいておりますし、通常国会前に勧告するということになると思うのですが、そういうことになりますと、この条件に対して、地域給の底上げで行くか、若しくは本給に繰入れるか、いずれにしても或る程度方針考えておられるでしようし、従つてその方針をとられるにしても、実給を割らないようにするということだけは、少くとも人事院としては尊重してやつてもらわなければならない。そういう点について、この際、人事院から再確認の意味において、はつきりした御答弁を承わつておきたいと思います。
  62. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 先般の両院の御決議の御趣旨は十分拝承いたしまして、勿論その線に成るべく副うように我々作業をしておるわけであります。  それから地域給そのものが、現在どうもいろいろ、一種の指定過剰と申しますか、実際問題としてなかなか合理的な区分の発見が困難で、そのために非常に人事管理上も困難を来たしておるという点から申しまして、何らか将来地域給の区分を漸減するような方向に持つて行きたいということも、これは両院の御趣旨でもありまするし、又我々も希望しておる点であります。そこで次に、只今御指摘のいわゆる底上げと申しまするか、又もう一つの方法としては本俸に繰入れるという方法、その両方の方法があるわけで、これはまあどちらによりましても地域給そのものが縮減されるという目的は達せられるのでありますが、ただ問題は、御指摘の通り、その両方の方法によつて公務員現行実支給額にどういうふうに影響を及ぼすかということが問題になるのでありますからして、勿論、人事院といたしましては、地域給の刷新ということも大事でございますし、と同時に、公務員のそのために実支給額を不利にならないようにということも衷心希望いたしておる点でありますから、その点をどういうふうに調整して行くかということが今後の問題であると思います。
  63. 千葉信

    千葉信君 そうしますると、今のところ人事院としてはまだ結論は出ないけれども、少くとも両院の申合せの確認事項については相当重視して、この意向を無視しないように最終結論を出すために現存努力中だと、こういうことですか。
  64. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 人事院といたしましては、この只今お話のような線において努力いたしております。
  65. 溝口三郎

    溝口三郎君 滝本さんにちよつとお伺いいたしたいのですが、先ほど官房長官に申上げたのですが、今度の給与ベースの算定の基礎を、昨日の新聞に出ておるようなやり方では納得が私はできないと思うのです。一応検討してみるに、方法といたしましては、現在公務員実態が幾らかということと、この前に給与ベース改訂をしたときから今まで、民間給与なりC・P・Sがどのくらい上つているかというようなことから一応検討してみる必要があると思います。そこで本年の三月三十一日は、実態は一万三千五百八十七円となつております。十一月一日頃の現在は、実態をお調べになつたのがありますかどうか。新聞に出ておりますのは、一万三千五百八十七円から現在は約六%上つていると、そこで六%上るというと一万四千四百円くらいになつていることになりますが、そういうお調べになつているのですか、お聞きしたい。
  66. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 二十八年三月現在におきましては、先ほど御指摘のように、非現業の一般職の公務員だけでございますれば、一万三千五百八十七円という数字に相成つてつただろうというふうに考えられます。その後におきまして我々のほうでいろいろ見当をつけておるのでございまするが、二十八年の八月現在でこれを推定いたしてみまするならば、一万三千九百四十六円と、このような数字に相成つておるのではなかろうかと、このように考えております。
  67. 溝口三郎

    溝口三郎君 そうすると、今別の新聞に出ております三月現在に比べて、現在の実態は六%上つているということは、どういうふうになりますか。
  68. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 新聞に出ておりました記事は、私、新聞で拝見しただけでございまして、よくわからんのでありますが、我々のほうの二十八年の三月現在から二十八年の八月現在までの平均給与上つております上り方というものは、これは公務員の異動と申しまするか、そういうこともございまするし、それから現行給与法一つの性格がございまして、昇給期ごとに一人当りの平均昇給額が担当上つているというような実情がございます。そういうふうなこともいろいろ作用いたしまして、一万三千五百八十七円が一万三千九百四十六円という数字に相成つておるのであろうと、こういうふうに考えております。
  69. 溝口三郎

    溝口三郎君 公務員給与の事態が幾らになつておるかということが、これが今度の給与ベース改訂するに私は一番重要な基礎だと考えておりますが、そこで大蔵省のほうでは三月に比べて六%上つているというと、一万四千四百円になつている。それに対して九・三%今度改訂をするのだというような時もまだはつきりはしておりませんが、昨年の十一月、給与改訂をやりましたのは一万二千八百二十円、それは公労法と皆入れてなんでございますか、今度三月になりますと、公労法は一万一千四百三十何円、それから一般公務員が一万三千五百八十七円ということに区分されたのですが、それを引直すと、昨年の一万二千八百二十円というときに引直した勘定は、これは公務員の数、それから公労法の適用者の数というようなことで按分してゆけば出ると思うのですが、昨年の十一月一日の一万二千八百二十円をこういうふうに区分ができるか。これは計算なさればできると思うので、それをこの次までに調べて頂きたい。私の希望するのは、現在の実態が、公務員の最近の給与は幾らか。昨年の八月のことをこの前にお伺いいたしたいのですが、約一万四千円になつておる。それから十月頃の給与改訂があつたり、十二月も又二百円か三百円は上がるのじやないか。それに対して一年間のC・P・Sや民間給与の値上りが一割五分くらいになつておる。そういうようなやり方で行かないというと、どうも給与改訂が私は納得ができないと思いますが、それを検討したいと思いますから、できましたら数字をこの次までに一つお調べをお願いしたいと思います。  もう一点伺いたいのですが、先ほどの教員の三本建が今度の一月一日から実施になるのです。そこで人事院の細則をお出しになつたが、この細則は、無論、今年の八月に教職員三本建の法律が可決になつたが、それに基いてできたと思いますが、その当時にこれをやりますと、国家公務員といいますか、国立学校の教職員が二万四千人くらいあつた。それを一月から三月まで実施すると、五千八百万円くらい経費が要るのです。一律に一号ベース・アツプになると……。そこで予算のほうは一千八百万円くらいしか計上してない。これは当然今度の補正で殖えると思いますが、やはり経費の関係はそういうふうに御承知になつていられるのですか。
  70. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 先般教員給与の三本建の給与法改正が行われましたときに、その給与改善費として三億六千万円というものが一応予算に計上されたというように承知いたしておりますが、その三億六千万円というものが、平衡交付金並びに国家公務員の三本建の法律の成立に伴いまして必要とする予算、それを両方含めたもののように聞いておるのでございますが、教員給与に要しまする予算の詳しいことは、私どもはよく存じておりません。御必要がございますればできるだけ調べてみたいと思います。
  71. 溝口三郎

    溝口三郎君 なお給与につきまして、これは公立学校の職員のほうが非常に数が多いので、予算関係が非常に大きくなると思います。それは公立学校では三億六千万円計上してあるのだが、これを適用してやつてゆきますと一億五千万円しか要らないのだ。だからそういうものも将来余つて来る。財源が出て来るのじやないか。そういう点も今度の予算の上では検討してみる必要があると思いますが、これに関連して経費がどうなつているかということを調べて頂きたいと思います。  それからもう一点お伺いしたいのは、先ほどの地域給の問題でございますが、十一月九日の経済新聞人事院構想ということで新聞発表があつたのですが、これを先ほど人事院とは関係がないようなお話でしたが、それに基きまして詳しく出ておるのは、五段階を四段階にすると経費が七十億要するのだ。それから五段階を三段階にして二段階分を本俸に繰入れると百五十億経費が余計かかる。それからもう一つは、各段階の不均衡の是正をやると、これは八十億かかる。その三いろのことが出ていたのです。そこで段階を整理しても経費は上るようになつておる。不均衡な是正しても上るのだ。今朝ほどの新聞等に出ておりますのは、今度の給与ベース改訂をやる場合には、来年は一割の人員整理をやるのと、地域給を整理するのだということについて、政府考えていることは、地域給を整理すれば経費が節約できるというように考えて、一段階に切るということは、そのまま切つてしまうように考えているのか、地域給を一段階整理すれば経費が上るようになるのだというのか。私どもはどつちかよくわかりません。  もう一つ関連してお伺いしたいのは、これは人事院の資料でございますが、現在ある五段階を一段階縮小すれば、国家公務員は八億二千万円要るのだ、それから公社、地方公務員をみんな入れると四十六億六千万円は経費が増になるので、二段階縮小すると百四十億増加になる、というのは、縮小した分は全部本俸へ繰入れるということで、そうして残つたものについては実給を下げないのだという構想考えていられるのですか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  72. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) お答え申上げますが、先ず第一の今月の九日頃の新聞でございますか、その新聞の問題は、実は衆議院の人事委員会でもお尋ねがございまして、これは人事院としては、実は先ほど来申上げました通り存じません問題で、いろいろ二段階、一段階或いはアンバランスの是正ということによつてそういう金額が出るかどうか、まだ作業の段階でございます。それで結局アンバランスの是正と申しましても、御存じの通りやはり段階の整理をするにいたしましても、アンバランスの是正に伴います金額がどのくらい要るかということは、結局各級におけるでこぼこの是正をどのくらいやるかということによつてきまります問題で、アンバランスの是正段階の整理というのは、非常に関係は深うございますけれども、又別個の問題でございますので、その点、御了承願いたいと思います。それから今日の新聞で発表がありました内容につきましては、実は私たちといたしましては新聞記事以上のことは存じませんので、この際お答えはいたしかねるのでございますが、只今御指摘のように、地域給を整理してその財源を以つてベースに充てるというふうな構想は成り立ち得ないのじやないかと思うのでございます。これは私の一つのまあ想像でございますけれども、結局ベースと申しますか、平均給与というものをどうきめるかということが先ずここに仮にきまりまして、そうしてここに本俸、扶養手当地域給とございますわけですから、その区分がどうなるかということは考え得る問題でございましようけれども地域給を減らして本俸に入れるということになりますと、結局、地域給、本俸、扶養手当の総額が限度額でございますから、そういうことは普通考えられぬと思いますけれども、これは私たちとしても、想像でございますから、どういうふうにお考えになつておりますか、この際、批評の限りではないと思います。  それから最後にお話がございました、仮に一段階整理いたしますと七億、或いは二段階整理しますと何億という問題につきましては、大体御指摘の通りの数字でございます。ただ平衡交付金と申しますか、域方公務員関係が、若干自治庁における平衡交付金の算定基準の変化によりまして、先般申上げましたより或いは若干減ずるかとも思いますが、国家公務員につきましては大体さような数字でございます。
  73. 溝口三郎

    溝口三郎君 入江さんのお話よくわかりましたが、新聞等を見ておりますと、地域給の縮減をするということは、給与ベース改訂をや場合に財源として何か縮減をして、そしてその財源を出したいのだというようなふうに言えるのじやないかというようなお考えがあるのじやないかと思うのですが、地域給を整理して、そして段階を縮減すれば、幾らかの経費が上つて来るのだということは当然だというように解釈して差支えないのですか。
  74. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 地域給段階を減じましてベース改訂いたします場合に、当然そのものが殖えるかどうかということは、これは又そのときの、何と申しまするか、大蔵省案考え方の如何にもよると思いますけれども、御存じの通り、何か二通り申上げますようでございますけれども、べースそのものの中に、丁度仲裁裁定においても、御存じの通り地域給と本俸と扶養手当が入つておるわけでございますから、その地域給の部分をどつちに廻しますにいたしましても、総額そのものには変化はないというふうに一応考えられます。ただ問題は、零級地の仮に段階を整理いたします場合に一部増加いたしますから、増加と申しますか、零級地の問題がその場合に起つて参りますから、その財源がどうなるかということはここに考えられる問題だと思います。
  75. 溝口三郎

    溝口三郎君 簡単にもう一つお伺いしておきたいのは、地域給の問題につきましては、今朝ほどの新聞にも出ておるように、いろいろな経費が上るのか節約になるのかわかつていないようでありますが、なお十一月十日の臨時行政改革本部でも、行政手続の簡素化要綱の中で、人事院廃止の問題もある、そのほかに予算上の問題で、地域給廃止とか整理、そうして予算上は超過勤務手当廃止するのだというようなことを政府部内でも考えておるようであります。そういうものにつきまして地域給の整理をするについては、人事院の先ほどのお考えのように、私むしろ公務員としては給与の高いほうがいいので、財源があれば今は少いから高くしてもらいたいと思いますが、いろいろの考え方があると思いますから、それについては人事院は自信のある資料を拵えておいて頂きたい。それと申しますのは、私は非常に疑問に思つております一点があるのでありますが、これはただ私の私案として、本年の九月二十一日に皆様の御参考に勤務地手当制度の改正に関する私見というものをお配りしたのであります。そのうちに、生計費の地域差の現状というものを数字の上から検討して見ますと、一般地方府県に在勤する職員の基本給は、数字の上では現在よりかも下げていいのだ、だから地域給というものを増加する必要性は確認されがたい、これはC・P・Sなどの数字から見ますとそういう数字が出たから、一応生のまま私は書いて見たのであります。ところが国鉄の裁定を見ますと、国鉄の今年の裁定もあります。昨年の八月十三日の国鉄の裁定の中にも、国鉄の職員の家計調査によりますと、三級地以下では、この際、徴底した地域の再検討か支給金額の成る程度の引下が適当であつて、今ここでは少くとも現在以上の増額はその要を認められないということが書いてあるのであります。四級、五級で青森等においては適当に増加する必要があるが、三級以下では少くとも増加する必要は認められないということを裁定では言つてつたのであります。そうして今年の国鉄の裁定でも同じようなことをやはり言つておるのであります。十八才の成年男子の東京における最低報償額を組合のほうは八千八百円を要求したところが、それを東京だけをきめましても、これは地域差、物価差、生活の様式等で、十分にこの点を検討しないと、簡単には結論が出ないのである。だからこの際には裁定では自分のほうはやれないから、なおもつと両者の間で検討を進めて行くようにしたいということが、地域給と申しますか、地域別の賃金格差というようなものについては、鉄道ではこれは結論が出ていない。そうして細かな資料を求めたのでございます。今年の三月におきまして、一級地、二級地、三級地、四級地、五級地というようなもので、世帯別に、現金収入、現金支出というような、それでやつて行きましても、零地域とか一級地域とかいうところでは黒字と申しますか、貯蓄になつているのが、一世帯で一万六千円から一万七千円になつておる。それから三級地、四級地も一万六千円から二万八千円になるのだというような資料から、国鉄の裁定では余り地域別の賃金の格差はないのだというような結論を出して、裁定を二遍に亙つてつておるのであります。そこで私はお伺いしたいのは、無論、職員の構成なり組織によつても違つておると思いますが、鉄道職員はこれは四十万人おるのであります。こういうものについて地域差というものは余り認めていないような結論がもう裁定委員会から発表になつておる。公務員だけについては零級を上げて行かなければいけないのだというようなことが、はつきりした根拠があるのかどうかということは、これは時間をかけて検討する必要があると思いますが、入江さんの鉄道の裁定に対する御意見と言いますか、簡単に感想だけをお伺いしておきたいと思います。
  76. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 非常に専門的な御質問で、或いは私のお答えで御満足が行きませんかも知れませんが、その点は又給与局長から補足させて頂きたいと思います。御存じの通り先ず国鉄の地域給そのものが一般公務員地域給の構成と若干違う点がございまして、いわゆる四級制度になつておるのでございますが、それはそれとして、やはり全国的に散らばつておるという点については大体同様でございまして、その意味における職員の配置の関係というものは余り相性がないだろうと思います。それで現在の零級地域というものが一体地域給を別に加えなければならんような生活程度か、現在の五級地に比べて困難があるかという問題になりますと、これは先般の、只今のお作りになつた資料を拝見いたしましたのでありますが、大体現在の標準生計費その他の計算の方法は、御存じの通り零級地域として一応計算しておりますから、先般もお話申上げましたが、それに若干の地域給と申しますか、地域給ベースの問題と別問題に加えますと、それだけは加わる結果になります。問題は、やはり地域給是正をいたしますときに、これ又底上げで行くかベースに繰入れるかという問題がございますがどちらにいたしましても、なかなか、これは十分御了解願えると思いますが、地域給是正をしますときに現在の地域給をとつておる公務員方々の支給額を減らすということは非常に困難でありますから、それでやはり段階を整理しますときにどうしても実際問題として低いほうを上げて行くという方法が一つとられます。それからもう一つは、実際の実情から言つて、例えば或る地方の県の隣接町村というものな比較いたしますと、もう末端の隣接町村になりますと、そこに相互の関係において、仮に零級地と一級地とあります場合、そこの差がむずかしいのでありまして、一級地を減らして零級地にするということがなかなか困難な関係上、この問題の措置はどうしても零級地が一級地になるという点もあると思います。只今お話の標準生計費或いは一つの生計の基準から御覧になつたところのお説は、十分我々としても検討する余地があると思います。
  77. 千葉信

    千葉信君 今の溝口委員質問された内容から若しも誤解が生じたり、そのために問題の動向が歪められたりすることがあれば困るので、一言この際私からも付加えて置きたいと思います。今地域給の問題について、いろいろ溝口委員から研究をされた意見等についてそれ々中心にして御質問があつたようですが、特にここではつきりお願いして置きたいことは、衆参両院の人事委員会申合せ事項として決定されました事項については、まだいろいろな意見が一方に或いは一部にあるかも知れませんが、相当な長時日を借りて、そうしてかなり熱心に協議し合つた結果得られた結論でございまするから、人事院としては当面この方針から一歩も外れるようなことのないように進んでもらわなければならん。そうして又一方からいうと、かなり遠い将来に向つて地域給の問題をどうするかという点については、これは今後の問題として又人事院としてもこの点については絶えず研究を続けて行かなければならない問題だと思いますが、ただここで誤解を生じないようにするために一言申上げて置きたいし、人事院の反省も、反省というよりも、むしろ現在の人事院方針に対して私は賛成をしておるために申上げるのですが、あの仲裁裁定内容の問題に関連して、例えば只今国鉄でとつている地域給の問題についてお話がございましたが、国鉄の場合には、御承知のような五分のものを削つて本俸の一号増俸に充当するという方法をいち早くとつてつておりましたが、併し今度の国会における結論の点から言いますと、国鉄の場合には五分の地域給の分が入つておるのではないということが明かになつて、そのために国鉄内部では騒然たる状態で、この問題がいろいろ討論されております。御承知のように国鉄の場合等には、給与の問題、地域給等の問題を含んで、給与問題等は団体交渉の対象になつております。従つてその両者の話合いによつて問題が決せられるという立場から、どうしても給与の問題については配分の問題という形になつておる点が可なり濃厚に見受けられるところでございます。そういう点は、地域給の問題だけに限らず、地域給の問題については、ついているところから五分とつて本俸に入れたというやり方でありますが、その他にも同様な問題が起つております。それはどういう点かといいますと、御承知の通り公務員に対しての法律二百号による人事院勧告通り、寒冷地手当、石炭手当が支給されておりますが、国鉄の場合には、これに対しても、たしかこれは昨年度から石炭手当、寒冷地手当を一本にして、そうして格差を設けて支給する、こういうような形をとつております。ところがそのために最近国鉄内部に大きな混乱が起つておりまして、精算をしてみると、石炭手当の分から北海道の国鉄職員に対して支給さるべき総額の中から約五千万円近い金が別の方へ配分されるという結果に陥つておる、そういう問題から可なり内部に大きな混乱が起つておるということも、これ又今日の国鉄の状態でありまするから、そういう意味からいうと、配分の問題としての考え方の場合、いろいろな問題や意見方針が出て来ることは一応私ども肯定できるのですが、現在の段階においては、まだ例えば法律二百号による寒冷地手当、石炭手当の問題にしても、或いは地域給の問題にしても、今までの状態から言いますと、人事院のとつて来た態度のほうこそ却つてむしろ望ましい方法であるということは、私はこれは否定できない点だと思うのです。そういう意味で、今度も一つ衆参両院のあの申合せの線に沿つて、できるだけ早く人事院としてもこれを尊重しつつ早急に勧告をお出しになり、而も立派な勧告をお出しになり、予算上の問題について右顧左眄したり、事前に折衝してそのために拘束を受けたり、最初人事院の意気込みに似合わないようなみすぼらしい地域級の勧告なんかを出さないように、一つこの際奮発してもらうということを御要望申上げます。
  78. 溝口三郎

    溝口三郎君 只今千葉さんから御指摘がありましたが、私は衆参両院の人事委員会申合せた趣旨を尊重することに少しも異存はないのでございます。ただ先ほどから申しますように、今朝の新聞を見ましても、私は地域給には素人でございまして、千葉さんのような専門的な意見がないから、殊にああいうものを見ますと、地域給を整理してこれを経費の財源にするんだというような印象を与えているのです。そうして臨時行政機構改革本部におきましても、超過勤務手当地域給廃止するんだというようなことまで決議しているから、だから政府のほうでは、大蔵大臣は恐らく、私は地域給を縮減して、そうしてそれを財源に持つて来ようというようなことを考えているんじやないかと私は考えますから、そこで先般衆参両院の人事委員会申合せた趣旨について人事院はできるだけこの裏付けのできるような資料をはつきり整備して頂きたい。そうでないと、鉄通の職員の問題について先ほど千葉さんからもお話がありました石炭手出や薪炭手当のことがありましたが、今年の裁定を見ましても、その問題は別に離して、地域別の賃金格差だけについて八方八千円の一人当りの独身者のその最低保証額という問題について、地域別賃金格差がはつきりしないんだというようなことを裁定に言うておりますから、これは鉄道の職員とは組織も違いますけれども、とにかく衆参両院の人事委員会申合せた趣旨は私は貫徹できるようにして頂きたいと思う。これは国家公務員のために財源があればそれで百億でも二百億でも出して頂く、これは結構なことであります。政府はそうでなくて、給与ベースを一方でやる代りに、それと同時にやつて財源を幾らか出したいのだという意図があるらしいから、私はそこで人事院も資料をこしらえて頂きたい。人事院の先ほど入江さんのお話だと、どうもはつきりしないのは、五階級を四階級くらいにすれば、そこでゼロ級の人たちは当然上るんだというようなことは、それは国家公務員として公社や地方のやつを入れると大体五十億上つて来るのだ、その間にはどうも余りはつきりしたゼロ級のところは境がないから、まあ一応上げるんだというようなふうな説明のようにとれるものですから、そこをきちつと資料をはつきりして頂きたい。ゼロ級を五%上げなきやいかんなら上げなきやいかんという資料を、数字的にはつきりしたものを用意しておいて頂きたいというだけに私は過ぎないのですから、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  79. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 溝口氏から三つほどの資料の要求がありましたが、よろしゆうございますね。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  80. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記を始めて。  ほかに御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会