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1953-11-06 第17回国会 参議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十一時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堂森 芳夫君    理事            大谷 瑩潤君            常岡 一郎君            藤原 道子君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            中山 壽彦君            横山 フク君            林   了君            廣瀬 久忠君            竹中 勝男君            山下 義信君            有馬 英二君   政府委員    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省児童局長 太宰 博邦君   事務局長    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁巳君   説明員    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁人事局衛    生課長     須江杢二郎君    厚生省医務局長 曾田 長宗君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (保安隊医療に関する件)  (病院診療所貸付金に関する件)  (生活保護法実施状況に関する  件)  (報告書に関する件) ○継続調査要求の件 ○派遣議員報告   —————————————
  2. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今から厚生委員会を開会いたします。  先ず保安隊医療問題についてを議題といたします。
  3. 榊原亨

    榊原亨君 保安隊もだんだんその機構が大きくなつて来るようでありますが、保安隊内におきますところの医療施設と申しますか、そういう方面に対しましては現在如何ようになつておりますのでありますか。その点を先ずお尋ねいたしたいと存じます。
  4. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) お答えを申上げます。御承知通り保安隊隊員につきましては、国のほうで医療をするようになつております。現在私どものほうで持つております医療施設といたしましては、広島県の福山の近郷に福山地区病院というのが一つ、これは二百床を持つております。それから長崎県の針尾というところに針尾地区病院というのがございまして、そこに百床ございます。そのほかに各駐屯地ごとに若干のベットを持つております医務室というものを持つておりまして、この医務室におきまして隊員の平素の健康管理、簡単なる治療をいたしております。施設といたしましてはそのほかに衛生学校というのが神奈川県の久里浜に建つておりまして、衛生方面の幹部並びにその下のクラスの諸君教育をいたしております。又衛生資材補給廠というのが立川市にございまして、ここにおきまして必要なる衛生資材を補給する、こういう仕組みになつております。
  5. 榊原亨

    榊原亨君 この夏私は北海道の千歳の一保安隊に参りまして、その医療施設現実に拝見させて頂いたのでありますが、そういたしますると随分多数隊員がおられますのに、そこにおきますところの医療施設と申しますのは盲腸炎手術さえできない施設でありまして、その薬局を拝見いたしましたが、大体保健所におきます施設よりもなお低級な施設でありまして、かすり傷ぐらいの処置をするというにとどまつておりまするし、そこに入院しております人たちに対しますところの治療も、熟練したと申しますか、熟練したどころではありません、殆んど医師としては最低級に属する医官と申しますか、医員と申しますか、のかたしかおられないのであります。なお私はその医員について直接承わりましたところが、私は或る医学専門学校を卒業したらすぐここに来ました。そして保安隊に入りました何か研究させてもらうというようなことであつたので、私はここに来たのでありますが、一向毎日風邪引きの患者ようなものを看ているのでありまして、技術向上するどころではない。ただ看護婦の役目をしているようなところだろうというようお話を承わつたのであります。事実盲腸炎ような簡単な外科手術でも、全部千歳の町の病院に運んで治療を受けている状態でありますが、まあ保安隊がどんな機構であるかというようなことは別でありますが、少くとも保安隊ような多人数のかたがお集まりになつておられるところにおきまして、一一それを町の医療機関に持つて行かなければ治療ができないというよう状態でございまするならば、まあ外敵は論外でありますが、直接保安業務に携わるというような場合でも、一体怪我人処置さえできないじやないかというようなことを私目の前に見て参りまして、非常に奇異の感に打たれたのでありますが、その点のお考え如何でございましようか。
  6. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 只今千歳の駐屯基地につきましてお話がございましたが、新らしい駐屯地を作ります場合におきましては、医務室等も相当整備したものを考えていたしております。併しながらまだまだ十分でないところが多いのでございます。本年度におきまして、先般国会の御協讃を得まして、新たに東京中央病院として五百床のベッド病院作つている。又北海道におきましては札幌に三百床の病院を作り、福岡におきまして二百床のベッドを作る、こういうふうに着々と施設の面におきましても改良を加えつつあるのでございます。併しまだまだお述べになりました通り十分でない点が多いのでございまして、私どもといたしましては御指摘ような点につきましては、十分に保安隊で相当のことまでできるという線まで持つて行きたいと思つているのであります。医官の点につきましても御指摘がございましたように、私ども全く同様に感じているのでありまして、非常に苦慮いたしております。と申しますのは、保安隊といたしまして、大体医官として必要なる数が四百五十名ぐらいでございます。ところが現在医官として採用しておりますものが、インターン中のものを含めまして百九十名くらいと承知しておるのであります。当初医科の学校を出ました諸君を採用いたします際には、研究もさせてやりたいというよう希望も十分持つていたのであります。ただ何分にも、只今申上げました通り医官の絶対数が不足でありますので、そのキヤンプから離すということがなかなかできにくいのでございます。医官がなかなか採用しにくいということは、これはほかの国立病院等におかれましてはこれほどひどくありませんでしようけれども、同じ事情があるかと思いますが、保安隊におきましても非常に苦慮しております。ただ若い職員一つ希望は、やはり保安隊に入りましてからも研究したいということにあるであろうと思うのでありまして、この点は、病院でもできまして、だんだんと施設が整備せられて参りますると、若干新らしい職員を補充するにつきましても好条件になるのではなかろうかというように思つております。さよう状態でございまして、医者の免許状を持ちました者は、只今のところ研究させる余裕もなく一応キャンプに出しております。これはいつまでもこういう状態を続けておきましてはいけませんので、成るべく早い機会におきまして必要な研究を済ませ、医官として完成するよう方向で使つて行きたい、さよう考えております。
  7. 榊原亨

    榊原亨君 先ほどからたびたび病床の数の問題をいろいろお挙げになつておられるのでありますが、この医術向上いたしますということは、数の問題ではないのであります。御承知でございましようが、曾つて陸海軍我が国にございましたときに、その軍医学校において遠心沈澱機と申しまして、電気で沈澱する機械があるのでありますが、その機械を、或る医療機械屋に向いまして十六台遠心沈澱機をくれというような発注をいたしまして、私ども専門家には物笑いになつた例があるのでございます。従いまして、医療内容向上というようなことを申しますと、只今お話になりましたように、いやベッドをたくさん殖やします。いや設備を完備いたしますということをすぐ頭にお考えなんでありますが、そういうことだけではこの医術向上ということはできないのであります。先ほどから医官技術内容向上というようなことにつきましても、或いは医官になりてがないのだというようなことも、これはそのほうの施設を先にお考えになりますから、そこに矛盾があるのでありまして、これはやはり指導するものを委嘱させますとかいうような、人的なことによつて或る程度十分解消ができる面も私はあると思うのであります。  そこで私次にお尋ねいたしたいのは、先ほどお話になりました、どこどこに二百床作ります。五百床作るというお話でございますが、それはなにか病院を又新設されるというようなお考えように私は承わつたのでありますが、何ぼぴかぴかな病院を作りましても、先ほどお話いたしましたようなところの内容でございますならば、この保安隊衛生状態というものは実に憂うべき結果になると私は思うのでありまして、これは今まで陸軍使いましたところの陸軍病院或いは海軍病院という、今は国立病院になつておりますが、そういう建物をできるだけ利用して、そうして国の財源というものをできるだけ高率にお使いになることが一番大切なことだと私は思うのであります。すぐに外国、アメリカがどうか知りませんが、施設のぴかぴかした病院作つて、これについて何万円かかかる病院作つて、ああこれで保安隊医療内容向上するのだ、又そういう立派な病院を作らなければ保安隊衛生状態は保てん、そういうようなお考えでございますならば、これはとんでもない話でございます。このお金のない我が国といたしましては、各地にあります国立病院になつておりますところの陸海軍病院というものを元に戻して、その施設をお使いになるということが最も効率的であると私は考えるのでありますが、その点についてのお考えは如何でございましようか。
  8. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 只今病院の点についてお尋ねがございましたが、おつしやるところは私どもも同様に考えているのでありまして、成るべく今までありました陸海軍病院等使いまして、新らしく国費を費すことは避けたいという気持でおつたのでございます。併し御承知だと思いまするが、従前の軍の病院は全部厚生省のほうに転換になりまして、只今陸軍病院は第一国立病院東京にありました海軍病院は第二国立病院としてそれぞれ一般医療の用に供せられているのでありまして、それを又保安隊のほうにどうということはなかなか困難でございます。大蔵省との折衝の過程におきましても、そういう点は十分私ども相談をいたしまして、結局そういう問題が困難でございまして、新らしく二十八年度の予算において先ほど申上げましたよう病院新築費を御協賛頂いた、こういうふうになつたのでございます。又病院を作ることだけでは勿論これでは足りないのでありまして、私の申上げましたのは、そういうふうな施設を改善することによりましてほかのことも併せてやるのでありまするが、追々に保安隊衛生関係業務向上させて行きたい、こういうふうに申したのでございます。
  9. 榊原亨

    榊原亨君 只今厚生省から移管されることが困難だとおつしやいましたが、どういう点が困難なんでございましようか。
  10. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 頂きますことにつきまして難色があつたのでございます。
  11. 榊原亨

    榊原亨君 その難色というのは、厚生省のほうでやることはできんということを言われるから困るというふうなのでございましようか、難色というのは一体どこが難色なんですか。国の財産を右から左に渡すのにどこが難色なんです。
  12. 須江杢二郎

    説明員須江杢二郎君) ちよつと私から御説明申上げます。今の御質問につきまして一つ。今の保安隊が仮に東京国立病院を使わして頂くといたしますと、現在の保安隊の建前といたしますと、隊員専用という形になります。もう一つは、職員保安隊職員であることが要求されるのでございます。そういう点。それから現在入つておられる患者の問題、そういう点から考えますと、国立病院をそのまま保安隊専用に頂くということは、一般国民診療を圧迫することにもなるのではないかという問題が一つございます。言い換えますと、国立病院を都道府県に移されるということと、保安隊に移管するということとでは中身が違つて来るということ、中身の問題がございまして、なかなかそれは今厚生省の面から申しますと、結核対策としても、国全般病床数を或る程度殖やしたいという方向に進んでおられる。それに対して、保安隊収容病院だけ専用病院病院を移管して頂くということに、そこに問題があるような、いろいろな点で議論が出まして、そこでなかなか早急に保安庁関係国立病院を移管するということはむずかしいのではなかろうかというようなことに研究の結果なつたのでございます。
  13. 榊原亨

    榊原亨君 只今お話ような点が難点というのはおかしな話でありまして、職員がどうであるとか、国民医療を圧迫するとか、いろいろなことを、今条件をお述べになりましたけれども、そんなことは少しも難点と私は思わんのであります。恐らくこれは新らしい病院を建てたほうが気持がいいし、又いいから、一つそれはそれとして、新らしいこの予算をとつてやろうというような、そういうお気持としか私どもは思わんのでありますが、もつとはつきりどこが難点であるか、厚生省はどこが難点でそれを譲ることができないと言つたか、或いは現に国立病院でも、まだどこにも移管し切れない国立病院もたくさんあると思うのでありますが、そういう状態で、国民診療を圧迫するとか何とか言つて、恐らくはぴかぴかの病院を建てて、そして保安隊が金がないと言つているということはとんでもない話だと思うのですが、一体それはどういうことですか。
  14. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 当時第一国立病院につきましては、厚生省と話をしたそうでございますが、話が不調に終つたということに聞いております。
  15. 榊原亨

    榊原亨君 只今の点について、厚生省側の御意見を承わりたいと思うのであります。
  16. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 只今の問題につきましては、私どもも全国的に個々の病院について十分検討をしたというわけには参らないのでございますが、全般的に考えますれば、この軍病院厚生省で引受けまして、今日国立病院、或いは療養所として運営しておるわけでございます。戦前においてこれが軍に経営されておつたというだけで、戦後においてこれを又元に帰すということは、非常に事情としては私ども困難ではないかというふうに考えておるのでありまして、その後はすでに国立病院として厚生省に所管が移りましたからは、勿論軍関係人たちも、残つておるかたがたが、今でも極めて少数ではございますけれども、大部分が国民一般診療に供されておるのでありまして、勿論その病院によりましては、必ずしもフルに動いてはおらんというところもございましようけれども、相当な程度一般の民衆に利用されておりますので、これを保安庁なら保安隊関係診療にだけ又帰されるということにつきましては、私どもとしては直ちに御賛成申上げるわけにはいかんのでありまして、ただ従来の施設をそのまま持つている必要はないか、むしろそれは保安隊のほうに差上げて、そして一般診療にも事を欠かないような方策を別に立てろということで、その案が立ちますれば、場所によりましてはお譲りしてもよいものがあろうかと思うのでありますが、全般的に申せば、今のよう事情がありまして、簡単に国立病院をそのままお譲りするというわけには行きかねる事情があると考えます。
  17. 榊原亨

    榊原亨君 一度自分のものにしたのだからもう手放すことができないということは、心理状態として普通そういうこともあろうかと思うのでありますが、そういうことでなしに、国の財産を効率的に使うという面につきまして、このセクシヨナリズムという考えを捨てられまして、そうしてできるだけ今までの施設を効率的に使うというようなお考えでなければ、保安庁保安庁で、今度病院を建てなければならないから新らしくやるんだと言う。厚生省厚生省で、今までの国立病院がやつと返つたのだから、これで以てやつて行くのだというようなことでは、私ども納得できないのであります。事実国立病院の中においても、どうしようか、廃止しようか、どうしようかというようなことで、迷つておられるところもたくさんあると私は見ておるのでありまして、先ほど第一国立病院のことだけをおつしやつたのでありますが、第一陸軍病院だけをどうこうすると私は申上げておるのではない。これは全国的に散在いたしておりますところの在来のものを、陸軍病院海軍病院というものを、この際利用するということが、ただでさえも国の財源が少い今といたしましては、適当であると、こう申しておるのであります。むしろそういう金が保安隊にございますならば、その金はこれを効率的に使う意味から申しまして、医官教育、或いは医官技術向上という点について、重点的にこれを使用されるということが一番いいのじやないかと思うのであります。只今お話によりますと、急には賛成できないというお話でありますから、これはもう一つ皆様方でもう一度お考え直して頂きまして、そして只今私が申上げた趣旨を十分御参酌の上、適当に措置されんことをお願いいたします。
  18. 竹中勝男

    竹中勝男君 私遅れて参りましたのですが、尊敬する榊原博士の、榊原委員の御発言に対して、私はその目的、動機、或いはそういう点については、私は又同感ですが、ただ私は厚生委員として、この点に多少誤解を国民が持たないようにと思つて発言するのですが、それは旧陸海軍病院保安隊が又復旧して、保安隊の手に戻すという原則については、私は榊原委員とは多少考えを異にしておるということをはつきりしておきたいと思うのです。で、これは国民医療にすでに切替えておるということが一つの点、即ち国民医療の急速な拡充という必要に迫られておるという現実を、我々は見なければならないということが一つの点と、第二の点は、旧日本の陸海軍規模に対してできたところの陸海軍病院を、保安隊が再び厚生省から保安隊のほうに移管するような措置をとるということについては、その規模から言うても巨大過ぎると私は考えます。で、こういう二つの点を総合して考えますと、保安隊医療内容の充実という点について榊原委員は非常に心配しておられる点であつて、私はその点については榊原委員と全く同感なんですが、併しながら国の政策として旧陸海軍病院国民医療のために切替えたということについては私は非常に賛成であつて従つてこれを再び保安隊施設として利用するということについては私は反対なんです。で、そういう点については厚生省の現在持つておられる政策というものを私は心から支持しておるものでございます。併しながら榊原委員が御心配になるように、国の財政が豊かでない極めて困難なときに、新らしい病院を建てるということが、保安隊の何と言いますか、医療に関する進歩だと私も考えておりません。何とかして優秀な医官を養成されるということについては全く榊原委員と同じ考えを持つております。私はそういう意味で一言私の考え方、即ち旧陸海軍病院保安隊に対する移管という、そういう原則については私が反対意見を持つておるということをやはり私は私の立場から申上げておかなくちやならないと思いまして発言したんです。
  19. 藤原道子

    藤原道子君 この際ちよつとお伺いしたいのは、保安隊医療ということは大変重大な問題でございますが、ちよつと明確にして頂きたいと思いますのは、今保安隊病気の中でどういう病気が、病気の順位ですね、これを一つ伺いたいと思います。
  20. 須江杢二郎

    説明員須江杢二郎君) 概略申上げますと、これは昨年度の線でございますが、発生率から申しますと、全体で一番多いのは呼吸器病関係でございます。それが三六%になります、約三六%。百分率で申上げます。その次が消化器関係が二五・三%になります。それから伝染病寄生虫関係、そういうものが一二・八%、これが多いほうでございます。大体保安隊がそう特別な患者率とは私ども考えておりません。大体普通のところと同じような率だというふうに思つております。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 性病関係はどうなつておりますか。
  22. 須江杢二郎

    説明員須江杢二郎君) 性病は全部で〇・六%でございます。患者数の全数です。
  23. 藤原道子

    藤原道子君 私最近ちよつと耳にしたことでございますが、この保安隊の使用する薬でございますね。これが購入等はどういうふうな方法でやつておられるか知りませんけれども、非常に濫費されているのじやないかという感じがするのでございますね。まあ予算がたくさんあるからたくさんお使いになるか知りませんけれども、我々民間ではなかなか手に入らないいわゆる高価薬というようなものが非常にふんだんに使われておる。そのために期限のきれた薬がまあ相当出ておるやに聞いておるのでございますが、それと同時に民間では重病でも使うことのできないよう高価薬が実にふんだんに性病関係に使われておる。これはその性病を扱つておる病院の院長が、実に驚いたものだということを洩らしていられたというのでございますが。
  24. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今高価薬がふんだんに使われているというお話でございましたが、私どもといたしましては薬の使用につきましては適切でなければならないということはつねづね申しておるのでございまして、どういうところからそういうお話が出るようになりましたか、よく調べてみたいと思います。又薬の点につきましては当初二十五年に警察予備隊ができました当時、予備隊のほうの人員というものも調達関係人員というものも揃つておりませんでした。衛生関係のものも少い当時におきまして薬品等調達をしたものがあるのでありまして、これらの点につきましては会計検査院等の検査の際も少し買過ぎていやしないか。病院ができるつもりで買つたものがなかなかできないというふうなことで、余つておるものがあるというふうな御指摘を受けたことがございます。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 いろいろもう少し突込んで伺いたいのですが、今日はほかの予定の議案もありますので多くは触れませんけれどもアメリカの兵器を借りているからといつて保安隊の性行為までアメリカ真似をされちや困るのです。保安隊の風紀の問題について申上げたいことは多々ある、これに対して厳重なる一つ方針を立てて、折角優秀な青年を堕落させないように、十分監督して頂きたいと思う。  それから性病等に罹つた場合にこれに対しての処罰ということもあれですけれども、何か身分上とか何かに影響するような仕組になつておりますか、そういう点はどうなんですか。
  26. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 保安隊規律の問題については、私どもは決して等閑に附しておりません。非常に厳重にやつておるつもりでございます。アメリカの兵隊の真似をするようなことはどういう点からそういう話が出て来たのかわかりませんが、私は規律の面におきましては日本独自の考えでやつておるというふうに考えております。その性病に罹つた者の扱いでありますが、これは只今のところはそのことだけによつては、どういう事情で感染したのかわかりませんが、そのことだけでは特別の処分ということは考えておりません。これに随伴して規律違反ようなことがあれば、その観点からこれを規律するということはいたしております。
  27. 藤原道子

    藤原道子君 規律はやかましくしていると、アメリカ真似はしていないというお言葉でありますが、なお実際に一つあの状態を今少しく実地に御覧になる必要がある、ここで言えと申されれば申上げます。とにかく顰蹙すべき状態が随所に起つておる、それから保安隊転勤等がございますために今ここに書類を忘れて来たが、女性から随分涙の訴えが来ておる、独身のようなことを言つておるので、つい信用してそして良家の子女を妊娠させて転勤して知らん顔をしている。そのために自殺を図つたというような例が各地で起きておるので規律の点をもう少し厳重にして頂きたいと思う。
  28. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 只今保安隊性病の問題がございましたが、実際上保安隊を調べてみるというと、同じ保安隊でございましても、隊によつてその性病の予防の方法が違つておる、或る隊においては全然放置しておる、或る隊においてはそのための器具、薬というものを使わせておるようであるが、一致しておらない。勿論その治療については規格もなんにもない、ただ指導もなんにもない、その医官々々によつて自分の思うままにやつておる実情で、これはお調べになれば分る、さきに藤原委員のおつしやるようなことがわかるのでありますが、少くともこの性病予防についても保安隊は一定の方法によつて方針をおきめになつて保安隊性病予防についてはこういうふうに行くのだということをおきめになる必要がある、又その治療についてはこうやるのだということをおきめになる必要がある。これは保安隊ができてまだ間もないことであるからそこまで手が届かないということはまあ私どもわかるのであるが、一応私どもが申上げますことも実際上現われておることでありますから、お調べの上適当なる処置をお講じになることが必要だと思うのです。
  29. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 他にございませんか。あれですが、保安隊病院について、丁度予算審議があつて、私は予算委員をしておつたものですから、保安庁長官に一時間ぐらいいろいろ質問したのですが、別に保安隊病院を作る必要はないじやないか。だから国立病院が非常に汚ないものが多いのだから、それを立派にして国民に開放して、その一部を保安隊が使う。これがどうしてできないのか、こういうふうに申したのですけれども、頑として聞かない。我々が反対したのですけれども、もう予算は通つてしまう。こういうことなんですが、今からでも、今災害の予算がたくさんいるときですけれども一つ儉約して、国立病院を立派にして、そして共同で使う。これは諸外国でやつております。日本のよう海軍病院だの陸軍病院だの、こんな立派な病院を持つている国は余りないと思われる。そういう意味国民医療が第一なんです。そこの一部を昔なら陸軍病院海軍病院、今の保安隊病院というようなことでやり得ると私は思うのですがね、そういうお考え保安庁諸君はどうしてならないのか、私は了解できないのです。竹中先生の御意見と同じなんです。保安庁に移管することは反対。併し国民医療機関でそういうふうにやつていけないという考え方は私はどうしても理解できない。今からでも遅くないのだから、節約予算でやつてもらつたらいいと思うのですが、どうですか。
  30. 藤原道子

    藤原道子君 委員長の言うことに同感ですよ。この頃保安隊が又特権階級意識を持つて一般国民の窮乏生活を無視して、保安隊なるが故に、何でもかんでも立派にしなければ気が済まないというやり方では、ますます国民感情を離れて行くということになる。別箇のあれだというような特権意識を持つておる。  それから街を歩いても全く、あなたがたもう少し、その係の者からだけの報告を受けて、それを了承するというのでは古いんです。実地に保安隊の基地のある所の国民感情を私はよくお調べ願わなければ由々しき問題が起きると私は思いますが、警告を発しておきます。
  31. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 保安隊が特権階級であるということは、これは私はそう思つては当らないと思つております。ただ私の知つておる範囲だけのことを申上げておるのでございますが、御警告として承わつておきます。
  32. 藤原道子

    藤原道子君 私は歯に衣を着せないから卒直に言いますけれども、事実そうですよ。本当によく見て下さい。重大な問題だと思いますので。大変失礼いたしました。
  33. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それでは保安隊医療問題についての質疑はこれで終ります。  前回の委員会で保留しておきました病院診療所貸付金について林委員からの質疑の、何か要求……、継続でございますか、お願いいたします。
  34. 林了

    ○林了君 病院診療所が政府のほうからの出資を受けてやるということ、殊にこれはこの病院診療所というのは国立を除いた私的医療機関の問題でありますが、その私的医療機関が融資を金融業者から受けて施設の改善をするということがなかなかできないというので、先の国会で取上げてもらつて五億の枠を大蔵省のほうでとつてもらつたのですが、これについて国民金融公庫とそれから中小企業金融公庫にそれを預託して、それから貸出すということになつておりまするが、この国民金融公庫のほうの状態を調べて見ると、もうすでに医療機関には相当に貸出してあるために、枠というものを今から言われるということは却つて医療機関のかたにとつては不利じやないかという意見がありましたが、これはその当時医療金融公庫というものを我々が政府に何とか考えてくれということを要求いたしましたが、予算関係、財政の状態からできないというので、この問題は今まで貸付けたもの以外のこれは枠としてとつたということに私は記憶しているのですが、この問題が先ず一つ。  それから次は、中小企業金融公庫ができまして、貸付ができるという枠がとれましたが、実情を調べて見ると、この取扱い金融機関は市中銀行でなくて、相互銀行或いは又信用金庫の二つの種類に限られたのでありますが、その取扱い機関に行つて融資を求めて見ると、実績がなければ貸せない。実績がないからこそ、預金をするような実績のあるものについてはこれは別にそういうことを政府に頼み或いは国会を通じてこういうことを頼まなくてもよかつたのでありますが、その当時の状況は全く現在もそうでありますが、できないもののためにそれをやつてもらいたいのだ。殊に最近の社会保険医療が非常に盛んになつて参りましたために、医療から得るところの利潤というか、それによつて施設の改善ができないということの趣旨であつたのであります。これが先ず現在の状況はこの金融機関のほうで頑としてその問題に対してはなかなか要求通りな話どころか、実績を以てこれに対して応えるということが、先ず現状の実情、これが第二。  それから第三の点でございますが、今度災害に対して二十四の立法をいたしました中に、我々の流された或いは又破壊された病院診療所について特別の融資の途を講じてくれということについての立法をいたしましたが、その中で特に一般のこの貸付よりも条件を有利にして貸付けてもらう。これが政府の斡旋をしてやるようにということで、ちよつとその文句を読みますが、第一条「この法律は、昭和二十八年六月及び七月の大水害(以下「水害」という。)を受けた政令で指定する地域(以下「被害地域」という。)において水害によつて生じた病院及び診療所の災害の復旧に関し特別の措置を講じ、もつて被害地域における医療の確保に資することを目的とする。」これが目的でありますが、第二条でこの貸付に対する条件と言いまするか、「国は、第一項に規定する金融機関に対して、政令の定めるところにより、同項に規定する資金の貸付に必要な資金を貸し付けることができる。」ということであります。  聞くところによりますと、この「できる」というところの立法が、できてもできなくてもいいんだということを、大蔵省で厚生省のどなたか係官の人に言われたという事実と、それから又この問題について中小企業金融公庫がこの貸出に当りますので、中小企業庁でこの問題に対しては最初要求いたしました枠が四億ということでありましたが、この枠をきめられるのは困ると。それは今申上げました国民金融公庫で先ほどそれ以外にも少し貸出してあるんだから、そういう枠を作つてもらつちや困るというよう意見を出しておるんでありますが、我々の立法いたしました趣旨というのは、枠をちやんととつてそれだけは確保したい、絶対に確保したいという趣旨でやつたので、それが若しそういうものを我々が要求しないということであるならば、この中小企業金融公庫の貸付けの条件では誰でもその該当するものは貸出せるということになつておりますので、特別な立法を講じなくてもいいということが先ず一つ。  それからその中で有利な貸付条件というものが年六分五厘であるということ、それから二年据置でございますか、十カ年の償却になつております。ところが聞くところによりますと、こういう長い期間ではとても困る。五年くらいにしてくれというような話も聞いております。この事実がどういうふうになつておりますか。  約五日間くらい前に大阪に参りましたところ、和歌山県を中心とするところの被害地域の医療関係者、特に歯科の診療所の被害を受けた代表が参りまして、この問題についてどういうふうになつておるかということを特に又至急これについての県で査定いたしました。これは病院及びこの診療所に対する額について果して厚生省がこれをどういうふうに考え、或いは大蔵省がどんな査定をされているか、それについては今度の国会で話がきまるでありましようが、一応これについての回答をしてもらうというよう意見も出ておるわけであります。以上の点について政府当局の答弁を一つお開きしたいと思います。
  35. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 只今の御質問に対しましてお答えを申上げます。第一番目に御質問になりました、この本年度の予算のうちに中小企業金融公庫を通じまして四億、それから国民金融公庫を通じて一億というものを医療関係方面に融資をするという途が講ぜられたのでありますが、この合計五億というものにつきましては、大体の目標といたしまして、これだけの額を医療関係に流そうということになつておるわけでありますが、これが従来におきましても国民金融公庫を通じてすでに相当額が出ておつたのであろう、そのほかにこの五億を確保するという点につきましては、必ずしも明確ではないのでありまして、と申しますのは、従来においても国民金融公庫を通じて相当額のものが出ておつたと申しましても、その額が明確につかまれてはおらないのでありまして、ただ了解といたしまして、この五億に限らず、特に国民金融公庫といたしましては、一億というものに限らず、それ以上従来の実績もあることでありますから、それを超えて融資をして頂きたいのであるが、最小限この本年定められた一億というものはこれは是非確保して頂きたいということで、私どものほうもいろいろお話をしておわけでありまして、大体国民金融公庫のほうでもそのように御了解下さつておると私ども交渉いたしました範囲では了解できるのでありまして、只今お話もございましたように、すでに一億を恐らく突破するであろう金額が国民金融公庫を通じて融資されておるということも私どもは聞いておるのでありますが、であるから、すでにもう絶対に出さないというふうには申しておられないのでありまして、私どももそうではないと了解しておるのであります。すでに一億も超えてもおるようなことであるから、これを今強いて一億の枠をはつきりさせてくれということを申しましても、これを従来から出ておつたものと新たに一億予定したものとそのいずれであるかということの区別がつきません以上、この一億の枠ということを余りに強調されても、自分たちのほうでは却つてそれを窮屈に解釈すれば不利におなりにはなりませんかというようなことも言われまして、私どもとしては、これまで出ました一億のほかに更に本年は新たに一億の枠というものが定められたものであるから、その一億を超えてもできるだけ医療方面に融資して頂きたいというふうに話しておるよう事情でございまして、一億になつたからこれで以て出さないというふうにはならないもの、又そういうふうに行かないように私どもも更に連絡をとつて参りたいというふうに考えております。  次に中小企業金融公庫を通じましての四億の融資という問題につきましては、これは事業がこの九月に始められたような状況でございますので、どれぐらいのものが本年度に融資いたされますか、これは今のところはつきりとしためどはつかないのでありますけれども、一月ほど前に伺いましたところによると、大体七千万程度のものの融資を少くとも決定しておるというふうに申しておるわけであります。この方面につきましても、枠を四億というふうにはつきりきめる、これは中央としては大体の目標額として了承はできるけれども、これを各出先の金融機関に対しまして県別とか或いは業態別に余り細かい枠をきめるということは運用上非常に困る、だからそういうものを一々末端にまで細かく個々の地方において、個々の業態で幾らくらいの枠を出すということを言うことは困る。併し総額において四億というものが予定されておるのであるから、目標額としてそれに達するように努力はいたそうというふうに了解して頂いておるわけであります。私どもといたしましても、でありますから、必要とされる方面におきましては十分資料を整えまして、そうして出先の個々の機関に申込みをされまして、若しもその際にいろいろと故障がございますればその故障を具体的にお伺いして、そうしてさような故障を除くように更に中小金融公庫或いは中小企業庁のほうに折衝申したいというふうに考えておるのでありまして、その旨は各都道府県の、府県にもそのことを伝えまして、それぞれ管内の医師、歯科医師の関係のかたがたにその旨をお伝えするよう、又その団体であります医師会、歯科医師会にもその旨を連絡するよう、そうして協力いたすように通知をしてある次第であります。  それからその次に第二番目の御質問でございますが、実績によらなければ貸出さないというような窮屈なことを言つておるという話を伺いましたが、これは御意見通り、特に中小企業金融公庫は実績というようなものがあるはずではないのであります。で、そういうような点から、さようなことを言つておるところがございますれば、さようなことがないように中央のほうにも私ども連絡いたしますし、又地方におきましてもよく事情調査いたしまして、さようなことがあるならば考え方を改めて頂くようにいたしたいと考えます。  それから最後に災害復旧の問題でございますが、これは御意見通り、すでに定められました両金融公庫を通じて五億の枠というもののほかに、この災害のために特に融資の途を考えなければならんというふうに考えておりますので、この点も大蔵省、中小企業庁、或いは中小企業金融公庫及び国民金融公庫にいろいろ連絡をしておるのでありますが、これは只今の五億の枠のほかにそのような措置を講ずるということで了解を得ておるのであります。ただこの点につきましても、私ども大体地方から集めました資料に基きますと、大体四億程度の復旧融資が必要であろうというふうに考えておるのでありますけれども、この点については必ずしも十分にこの関係方面の了解が得られたとは申上げかねるのでありまして、その四億というものが少しふくらんでおるのではないか、もう少し少額でもいいのではないかというようなことを申しておるのでありますが、併し或る程度こういう五億のほかに、こういう措置を講じなければならんということは了解して頂いておりますが、まだ政令等も出ておりませんので、具体的に動いてはおらないかも知れませんですが、近く政令も出まして、それによつて先ほど意見通り普通の従前からの金融措置に比べますれば、前より有利な条件でこの災害復旧のために必要な融資をいたしたいというふうに考えておるのであります。例えばおおむね一割の利率になつておりますけれども、六割五分にいたそうというようなことは確定いたしております。又償還の期間というような、償還期間につきましてはまだ最後的な結論に到達しておりませんが、この点についても幾分有利な長期の定めをいたしたいというふうに言つております。かような工合でありまして、私どもも必ずしも十分満足できる状態ではないと思いますけれども、それに近付けますように努力をいたしている状況です。
  36. 林了

    ○林了君 只今曾田局長の大体御答弁で了解はいたしましたが、特に私から要望いたしますことは、中小企業金融公庫の貸出でありまするが、その中に医療機関に貸出得るようになつておりますけれども、御承知ように他の中小企業金融公庫の貸出得るというところの範囲と言うか、それが非常に広いので、私が今四億というものを災害に対して特にどうなつておりますかということを御質問申上げたのは、この災害復旧に対して農林或いは又建設あたりの状況は誠にその要求が強いのであります。文部、厚生は、文部大臣の第一番の文部省の査定の五十一億五千万円というものが最後には十六億二千万、而も二カ年でこれが処理されて行くというに至つては、一体文部大臣は文部行政をどういうふうにお考えか円いうような質問も出たのでありますが、厚生省と文部省が今度の本会議でも報告があつたように、両方の削減すべきものを削減して一千五百六十五億になつたというその結論を大蔵大臣が報告しておりましたが、特に私はこの中小企業金融公庫の貸出得るところの枠の中で、厚生省がこの点についてはほかの点から金が出し得る途がないこの医療機関に対して是非一つ強力に指導して頂きたいということを要望するのであります。   それからこの前の委員会で私が資料を要求しておきました。それはこの災害の繰越になつておりまする厚生省の分がどのくらいあるかということをお願いしておいたのでありますが、その資料ができておりますかどうか。
  37. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 只今の資料のお話につきましては会計課長が承わつてつたようでございます。用意しているものと思いますけれども、早速連絡をして整えてお届けいたします。
  38. 林了

    ○林了君 了承いたしました。私は保険局長にちよつと質問がありますけれども、一応医務局関係はこれで終ります。
  39. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) それでは如何ですか、もう十二時半でもありますし、一旦休憩いたしまして午後開くようにいたすようにしたらどうですか。山下委員からもまた質問が出ておりますし、如何でしよう。  それでは暫時休憩いたしまして一時半から再開いたすことにいたします。    午後零時二十八分休憩    —————・—————    午後二時十五分開会
  40. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。災害地の生活保護適用についてを議題といたいます。
  41. 山下義信

    ○山下義信君 今回の冷害予算に生活保護が七億円計上せられてある点につきまして、前回会計課長から災害予算全般について厚生省関係の御説明を受けました際に若干のお尋ねをいたしましたのですが、そのとき要領を得ませなんだので、本日改めてその内容を承わりたいと思うのです。丁度予算委員会のほうでも審議中なので、或いは予算委員会で十分審議されておりますれば、当委員会では重複になりますから省略してよろしいのでありますが、併し当委員会は当委員会といたしまして承わつておきたいとも思いまするので、若し重複いたしておりますれば、重ねて御説明を煩わす次第なんであります。  前回お尋ねをしたのは七億という生活保護費が今回の予算に組まれてあつて、而もそれが冷害対策費の中に組まれてあるので、恐らく冷害に対してのこれだけの費用が要るという見込みで組まれたものであろうと思う。それでどういう見込みを立てられたのか、七億円要すると考えられたその冷害地対策の生活保護法関係について内容を承わりたい、こういうことであつたのです。そうしましたら会計課長は詳しいことは又社会局長から聞いてもらいたい、こういうことでありましたので、本日その点を伺いたいと思うのです。たまたま午前に我々に数字についての資料を配付下さつたので、この資料について一応七億円のいわゆる使い途について御説明を先ず願いたいと思う。
  42. 安田巖

    政府委員(安田巖君) それじやお答えいたします。資料をお手許にお配りしてありますが、これはこういう趣旨のことの御要求があつたということでございましたので、急いで作つて参りましたので大変不十分なものでございますけれども、その第一頁にあります冷害地域における生活保護の現況はどうかということであつたので、現在の北海道東京都ほか十九県の冷害地域における被保護世帯総数と、そのうち農家世帯数が幾らあるというような調べをここへ出したわけでございます。それから第二頁には、これは今度の二十一都道府県におきますところの冷害によりまして、生活保護を受けるに至るであろうと予想される農家を五万世帯と見たわけでございますが、その内訳をここに示したものでございます。それからその次に第三頁にありますのは風水害のほうはどうだというお話があつたそうでございますので、風水害では六月水害七月、八月、九月の十三号台風を含ませて大体ここに掲げましたように四万七千五百五十六人になるだろう、こういう数字をお目にかけたわけでございます。それで今山下委員から御質問の冷害地における生活保護分といたしましての七億円その内訳はどうだということでございますが、実は五万世帯を出しますのにも、なかなか冷害直後ではありますし、農林省にも資料がないわけでございますし、私どもも苦心いたしたのでありますけれども、一応考え方といたしましてはこういうふうにいたしたわけでございます。北海道その他の冷害地域におけるところの農家戸数を出したわけでございます。それでその農家戸数の中から収穫が七〇%以下のものを農林省の資料によつて調べ出しました。それから更にその中で農業専業でやつているものと兼業でやつているものがございます。つまり冷害で生活上影響を受けるのはやはり農業を専業でやつているもの及び第一種兼業と申しまして、主として農業をやつているものがありますが、それを拾い出したわけでございます。これらはいずれも農林水産統計月報というのがございますが、それによつたものでございますが、そうしておいて更にそういつた地方におきまして、生活保護法に規定いたしますような最低の生活を営むためには農家収入からいつて何反歩の耕地が必要であるがということを出しまして、その必要反別以下のものを拾つてみますと四万六千九百三十六戸という数字ができて来たわけです。これはまあ予算でございますので、まるめまして五万戸といたしました。そうして従来のそういつた農家で以て、生活保護を受けておりますところの、一人当りの生活保護費をそれにかけて行きましたのが配付いたした資料であります。その中で、継続とそれから新規となつておりますのは、従来もすでに生活保護を受けておつたものが継続と、それから新規というのは、新らしく持ち込むだろう、これも過去の実績の割合いをそこに振り分けた次第でございます。それでまあ七億円という数字を出したわけでございますが、併しいずれにいたしましても、御承知ように生活保護のこういつた金は、従来の二百五十三億何がしに七億円が加わつたということでありまして、この七億を直ぐ各地の被害状況によりまして分配して行く性質のものじやございませんで、一つの見積りとしてそれだけ補正予算に計上する。こういう次第であります。
  43. 山下義信

    ○山下義信君 その点はつきりいたしたのですが、我々は七億の生活保護費は、冷害対策として組まれて、ただ生活保護法を離れてばらまくという意味にはもとより解釈しないのですけれども、冷害の凶作地方には、生活保護法の対象者が近く増加するだろうという見込みの下に、それだけの予算を増加されたんだ、要求されたんだと解釈した。併しそういうふうには考えないで、やはりまあ同じよう考え方であるけれども、冷害凶作地方に特別に考慮を払うという意味はないのであつて、若し殖えたらば、今の二百五十億では足りないから、用心のために取つておこう、こういう意味ですか。
  44. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 用心のためといいますか、どうせ殖えますからして、殖えればどれだけの金が必要かということを補正予算に組まなければならない。それをまあ大体今のように弾き出したということであります。
  45. 山下義信

    ○山下義信君 ですから、まあ特別に生活保護費を支出しようというのでなくて、当然そういう対象が増加するという見込みでということで、まあいいといたしまして、今の数字の御説明を承わつたのですが、四万四千百四十六世帯新たにその対象者が増加すると見込んでおいでになる。これをもう一度おつしやつて見てもらいたいのですがね。
  46. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 北海道東京ほか十九県というのが一応冷害地帯になつておるわけです。その中で農家の総数を拾つたわけであります。農家総数、それから更に七〇%以下の収穫のところを拾つたわけです。そうしますと、いわゆる冷害農家が出て来るわけでございますけれども、更にそのうちで農業によつて生活をしておるという専業農家と、それから第一種兼業と申しまして、農業を主として、あと炭焼きとか或いは日傭をしているというのがございますが、その一種兼業と専業農家の割合を取りまして、それだけを拾いまして、それから更にそういうものの中にも、一町歩も二町歩も持つておるものもございますから、その中で、例えば北海道ならば一町二反歩くらいは最低生活をするのに必要であるというような数字が出て来るわけでございますが、これを生活保護法の生活基準を営むためには、北海道においては何反歩いる。それをまあ私たちのほうで計算したわけです、農林省の資料で。
  47. 山下義信

    ○山下義信君 専業農家と、第一種兼業農家を分けると、今の専業農家のうちで……。
  48. 安田巖

    政府委員(安田巖君) そうじやないのでございます。専業と第一種兼業を拾い出したわけです。そのほかのものは一応抜けた。こういうわけです。
  49. 山下義信

    ○山下義信君 そういたしますと、七〇%以下のものであつて、そして専業で所要反別が北海道は……。
  50. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 専業で以て第一称兼業というのがございます。更にそれを振い落す基準といたしまして、所要反別が必要反別以下であるもの、というものを拾い出したわけです、困るだろうというので。それ以上のものはいろいろ手だてができやしないかという、これ見方であります。そういたしますと今の数字が出て行くわけでございます。それで継続と新規の分け方は、現在のすでに生活保護を受けているものの数を出しまして、それを継続にして、その他を新規にした。こういう数字でございます。それでちよつと申し添えさせて頂きますが、これはそういうふうな純理論的に統計数字から出したわけでございますが、ただ承知ように、生活保護というのは、例えば水害にいたしましても、冷害にいたしましても、或いはその他の場合でも同じでございますが、政府のそういつた冷害なり水害なりに対する、それぞれの行政府における特別な対策が立てられまして、そうしてなお且つうまく行かんというものがここに落ちて来るわけでございます。今申しました中には、例えば農民の救農土木事業でありますとか、或いは建設の救農土木事業でありますとか、或いは失業対策でありますとか、或いは又国有林野事業でありますとか、或いはそういうふうなことで賃金が落ちて参りますし、それから或いは又土地を担保にして金を借るという人も出て参りますし、或いは又飯米等を安く払い下げるという措置をとられましよう、或いは今日あたり新聞で見ますると、何か保有米を担保にして金を貸すということも考えるということがありますが、そういうようなものを考えると大体これで行きやしないだろうかというふうに考えております。
  51. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。著しく相違するのは北海道だろうと思います。北海道の所要反別はおよそどのくらい。
  52. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 北海道が一町二反三畝ぐらいです。
  53. 山下義信

    ○山下義信君 これこれなければ食つて行けないというのですね、他府県のほうは。
  54. 安田巖

    政府委員(安田巖君) これは東北地方は大体四反六畝に、それで全部平均いたしますと、丁度五反になります。併し東海あたりはもう少し低いのでございまして、三反くらいしかありません。
  55. 山下義信

    ○山下義信君 よくわかりました。これは一応の推定の数字的な基礎をお求めになりましたわけでありますから、必ずしもこれがそのまま実情というわけには参らんことでありまして、まだしつかりと凶作状況の資料が農林省でも、まとまつていない場合に、いろいろ御苦心になつたことだろうと思いまして、その点は了承するのでありますが、この今数字の中で継続の分の保護費の単価というところに、実績の四五%という意味は、これはどういう意味ですか、継続の分の。
  56. 安田巖

    政府委員(安田巖君) これはつまり今までもらつてつたものですね、これは同時に新規のものでございますけれども、四五%増額するというわけです。それだけ見込んだわけです。
  57. 山下義信

    ○山下義信君 それで数字のほうから伺うとして、継続の分を増額ということはよくわかるのです。成るほどそれが尤もだと思います。そうすると新規の分の単価は、いろいろあそこにずつと単価が出ているんですが、これも一応の御計算上のものでしようか。全くこれが実施の基準になるのでございましようか。
  58. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 予算を取りますのに、そういつた地方におけるところの今までの農家で以て生活保護を受けておりますところの単価を拾つたわけでございます、平均を。従いまして今の御質問でございますと、将来それで行くのかということでございましようと思いますけれども、将来は一個一個違いますし……。
  59. 山下義信

    ○山下義信君 一個々々違いますが、継続の分には大体において四五%増しをすると同じように、新規の分の単位というものもその地方の平均の扶助額に、やはり継続と同じように或る四五%の増を見込んでのあれは、例えば生活扶助費で言えば七百十一円七十八銭という単価は、これは増を見込んであるものですか。
  60. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 増を見込んであるものでございます。
  61. 山下義信

    ○山下義信君 増が入つておるのですね。
  62. 安田巖

    政府委員(安田巖君) これは御承知よう予算を弾き出すときの計算でございますから、でありますから実際に渡すときには、その家庭々々に家族構成がどうであるとか、性別、年齢別を弾き出しまして、それからお前のところは幾ら収入があるじやないかというやり方で行きますから、この通り行くかどうかわかりません。これより殖えるか減るか平均してみて最後に……、一応やり方がないものでありますからそういう形をとつておるのであります。
  63. 山下義信

    ○山下義信君 四五%の増をされるということは一応肯けるのでありますが、新たに生活保護の対象者になるものが、この新規増加分というものが従来の生活保護の基準でなくして、四五%増の基準で新たなる対象者には扶助額を支給しようとする理由はどういう理由ですか。
  64. 安田巖

    政府委員(安田巖君) これは今の新規分が例えば五千円なければ生活できないという場合に、それじや新規分は五千円やるとしますと、そうしますと継続もそれの四五%分だと考えると、これは今おつしやるような疑問が出て来るわけでありますが、併し今までの生活保護を受けます場合も、それはもう二千円か三千円平均になつておるわけであります。それぞれ少しずつ収入があるから、或いは農業をやつておるから二千円なり三千円の平均になつておるわけであります。それが、そういうものが更に冷害を受けますと自分の収入が減るわけであります。だから収入皆無と考えましてまるまるもらうといたしますと、四五%だけ高い基準というとおかしいですけれども、そうでなくて今申しましたように、基準があるけれども実際はそれより差引かれておりますから、そこで収入が減るということが冷害保護見込みと、こういうことになります。
  65. 山下義信

    ○山下義信君 そういたしますとこの冷害地に対しての一応数字を、四万四千百四十六世帯の出し方の根拠はよくわかりましたのですが、今先ほどの説明の後段でお話になりました他のいろいろ行政施策等々と関連して、そうしてやはり生活保護法の対象になるものに適用するのであるから、実情はまあこの通りの数字になるかどうかわからんけれども、そういう考えだということであります。そこで本日私が承わりたいと思う点は主としてその点なんですね。それでそれは大体どういう見込みでおいででしようかね。それで今凶作地帯の二十一府県の俗に言う零細農家であつて、而も収穫が七〇%以下と見込まれるものはこれこれの世帯だということをここへ出して、そうしてその一世帯当りには、一帯に凶作不景気地帯だから収入減を見込んで、従来支給しておつた基準よりは収入の差引額が少くなるから保護の支出額が四五%多くなるものとしてこういう計算をした、こういう数字が出て来たのですが、併しながら真に対象者を捕捉しようとする場合に、他の凶作対策の種々なる今挙げられたような行政施策があるので、それとの関連性があるので、実際にやつて見なければ、どの程度本当に困る世帯ができるかということはやつて見なければわからんということでありまするが、問題はまあその点なんですね。その点どういうふうに考えておられましようか。考えておられましようかという質問は漠としておりますが、例えばですよ、救農土木事業をやると言う、救農土木事業をやるといつてもそれはいつからやるか。実際に工事が始まつて、実際にその農家が雇われて行つて賃金を取得する時期はいつからかということを考えたらば、予算は参議院で明日成立いたしましても実際の事業が施行されるまでには時間的ずれがある。その点、これはまあ私は百姓のことはよくわからんが、而も早場米を主とする東北の今回の冷害地方から言えば金に困つているのは今日である。金に困つているのは今日すでに困つてつて、これが当り前の作況ならばもうすでに供出米の金が入るときに、今困つておる。然るに今回の予算で救農土木事業が行われて、雇われて労働賃金が入るのはずつと先のことだ。困るのはその間の生活が困る。それから今おつしやつたのですが、その間の生活費のいろいろ貸付の施策も行われるだろうと、私はこれがあるならば生活保護費は要らない。生活費を貸す制度というものはどこにあるか。恐らく、私も農林委員諸君に二、三日前に聞いてみたのですけれども、生活費を借りるという制度がないようです。例えば農協組合あたりで借りるとしたつて生活費などはとても貸付はしない。貸さない。それですから困るのはそういう土木事業を行われたり、いろいろな今回の予算によつての救農的な施策が行われるまでの間の繋ぎか恐らく一カ月も二カ月もかかることでありましようし、殊にもう来月の中旬以降になりますと、いわゆる主として積雪寒冷地帯でありますから、なかなか仕事が運ばなかつたり、いろいろそういう困る農民に金が落ちるまでの間が本当に困窮者ができて来る。娘を売ろうか、子供を売ろうかというのは今なんです。それでそういう状態に対しまして生活保護法をいわゆる公式に杓子定規にずつと施行して行つて、収入の非常に、皆無とは言わぬけれども、従来の生活保護法に杓子定規に合うまで状態を見届けるというようなことになつて来たり、その状態に陥つてからということになれば今日や明日のことじやない。生活保護法予算は今日七億もらつても実際にそれが生活保護法の対象の枠に嵌る状態を待つているということになれば、他の行政施策の金が廻り廻つてつたかどうかということまで見届けて来ることになれば、すでに金の入ることが一月も六十日も先のことであつて、そういうことを見届けて七億取つた冷害対策の保護費を、これをいよいよ認定して、対象者として認定して支出すると言えばいつのことかわからん。折角の善政が殆んどもう死物化してしまう、手遅れになつてしまうということに、私は素人で考えられるのでありまして、そういうやりかたならば果してそれが冷害対策と言えるか。凶作対策の生活保護対策と言えるかどうか。当り前の生活保護法の対象者の状態、表から言えばそういうことになりましようが、それでは冷害対策にも凶作対策にもならんので、その生活保護法を適用するという、この地方に冷害対策としての即ち大きな意味の災害対策の困窮農家ができる、而もその困窮は一時的の困窮なんです。他の困窮者の対象のごとくその困窮状態がずつと行くというのでなくして、今回の凶作によるところの一時的の困窮であるから、若し救うならば早く救つて行かなければならんので、この際私は生活保護を適用される行政当局にはいろいろその対象者の選定に機を失せずにその救済に当るというような、何というか機動力があるというか、生活保護法を活かして、一〇〇%有効に、而も予算を七億もらつた以上はそれが残つて、案外やつてみましたら凶作地帯には更に生活保護の適用者はここに出した数字の十分の一もありませんと言つて金が三億残つたとか、四億残つたという状態に下手するとなる、一面には東北凶作地帯から続々と悲惨な事例が起きて来たというようなことに結果から言うとなることを恐れるので、その凶作対策としての生活保護法を、凶作地方であろうと言つても当り前の生活保護法のあの基準でやるのでございますと言つたんじや話にならんので、私は厚生省当局には凶作対策として七億円の予算を計上し、この予算を獲得した上にはその対策について何らか当面生きた、血の通うた一つの方針をとつて対策を講ぜられるのであるかどうか、こういう点を私は承わりたいと思います。
  66. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 生活保護法を運用いたします場合に、機を逸せずやらなければならんということは、これは仰せの通りでございまして、これを私どものほうは冷害であろうと水害であろうと、或いは火災であろうと、どういう場合にもやつぱりそういうふうに生活が困つて来たというときには、機を逸せずやるという建前におるわけですが、ただ私が先ほど御説明申上げましたのは、七億の冷害の予算は補正予算に組まなくても我々はやらなくてはならんのでありますが、それを組んだ予算は今申上げましたような零細農であつて、七〇%以下の収入のものがそれに落ちるだろうという根拠で組んだと、そこでこれは四カ月分も組んであるのですが、今の生活保護以外の冷害対策が、当初あれは七十億でございまして、そのうち十億が生活保護と失業救済、それが又殖えて百十億くらいになつたと思いますが、そういう金はおつしやるように機を逸せず、そういうふうな仕事が与えられて、そうして賃金収入があるかどうかということがわからないことでもありまするし、又同時にそういう賃金収入を得る人は生活保護の対象になるような人ばかりでもないのでありまするし、我々の対象とした五万戸以外にもそういう人がある、なお又そういうような土木工事をやりましても、それがどの程度に賃金収入として効率的に使われるかどうかということはやはり問題でありますから、そういう意味で七億という計算をいたします場合に、たとえ今時期が遅れたりいろいろありましようが、他のそういつた冷害対策の予算というものが使われまするならば、それはやつぱり七億という生活保護費の補正には悪い影響を与えるのじやなくて、いい影響を与えると、こういうことを申上げたのでありまして、仰せのように遺憾のないよう処置いたしたいと思います。
  67. 山下義信

    ○山下義信君 実はもう国会の会期も少い場合でありますから、もつと早くから問題にすればよかつたのでありますが、いろいろ他の委員会等でも御心配下さるわけですから、特別委員会もできておりますることですし、予算委員会もありまするから、余り愚知を言うといかんと思つて控えておつたのでありますが、一応厚生委員会としても災害関係予算的関連性のあるところは承知しておきたいと思いまして伺つておるうちに、この七億の生活保護費の使途というものがまだ確たる方針が立つていないと、だんだん聞いてみるというと、他の委員会等におきましてもはつきりこういうことがまだきまつていない、一体に今回の予算のことですが、災害予算のその内容、使途等については実に生ぬるい予算作つてあるのでありまして、お願いするのは今の時機よりほかにない。私どもは何も予算の審議をここでやるわけではありませんけれども厚生委員会として要望いたしておきたいと思うのです。それで、いわゆる極めて冷酷に表向きのことを言うならば、何もあの七億というのは冷害地に必ず使うというので予算に計上したのじやないのだと、二百五十億今年の予算の中から出していいんだ、生活保護費の関係予算は、対象者が増加すれば幾らでも出すことにきまつているのだから、大蔵省も何もこのたびの予算に組まなくても、二十万の罹災者ができれば入れておけば自然と殖えるのだから、この予算に組まなくてもいいのだから、けれども一応七億という予算を計上しておいてとつておいたのだ、こういうことを言つたのでは、これは事務的にはその通りでありましよう。併し政治的には許せぬ、百十億であつたかの災害対策費として、而も予算説明書の中には、冷害地の生活保護法の対象者の増加を見込んでこの七億の予算を計上するものであると、予算説明書に書き上げて、いわゆる冷害地の凶作地帯に対して一つの前提として、生活保護の手がのべられるのだ、それのみが農民の生活を救うのだということの費目を掲げておいて、そうして実際は何も冷害地に対して特別の研究も、特別の生きた手も使おうという考えはない。やはり一定の範疇に入つた、枠に入つた対象者ができればそれに当てがうのだ、それがなかつたらば当てがわんのだというようなことでは、これはいわゆる本当に羊頭を掲げて狗肉を売るどころじやない、狗肉も何もやらんで、羊頭を掲げておくだけ、ただ中は空つぽだ。私はやはり一つの冷害対策としてこの生活保護費は、わざわざ七億、そういう対象者の増加を見込んで、冷害地に対して救済の手を差延べるということの看板を掲げた以上は、私は厚生省当局は、やはりそれに即応したような対策を種々に考究して頂いて、そうして二十一都道府県の凶作農家に迅速に、遺漏のないような手を打たるべきではないかと思うのです。それで、それはすべての結果が、やつて見てそうしてその足らざるところを補うのであると言えばそれまででありますが、やはり救済をするのには言うまでもなく救済の時機がある、時機を失したのでは何にもならんので、いろいろと当局においては御心配だろうと思いますけれども、やはり一定の、凶作地方に対して、冷害地方に対して一段とこの生活保護法の適用について万遺漏のない準備を、私はなさるべきだと思う。実情の調査はもとよりのこと、そうしてあらゆる基準を縦横無尽に研究されて、或いは研究されておられるかも知れませんが、研究せられて、そうして早くから打合せなり会合なり、関係都道府県のほうなり御所管の厚生省の民生部長といいますか、当該部課長等参集せられ、あらゆる対策を十分研究せられて御準備相成るべきであろう、私はこう思うのであります。要するに今凶作によつて収入がなくなつちやつて、そうして困つている農家には、速かに生活保護の手が延びるような態勢が、私は政府当局にあるべきだと思うのです。一方はそういう対策を着々として進めつつ、一方はこの予算の積算を基礎にせられた予算の要求をなされ、予算が通ればもう迅速に実施ができるように御準備がお進みになつていることだろうと思う。そういうことに対しまして当局はどういうふうなお考えを持つておられるかということを聞きたいのであります。
  68. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 冷害地における生活保護の適用でございますけれども、ほかの委員会あたりで、よく冷害対策費の中に七億円生活保護費が入つているじやないか。そうすると、これを各府県に分けて一種の補助のよう気持でおられるところがありまするが、そういうものでないということは、まあ厚生委員会では皆様おわかり頂いておりまして、大変有難いのでありますが、この冷害によつて収穫が七〇%以下に減つたとか、或いは五〇%以下に減つたとか、或いは皆無になつたということだけから、冷害対策としてすぐに生活保護をかけるということは、やはりこの生活保護法の建前から言うと、どうしてもできない。その点はやはり同じじやないだろうか。併し水害であるとか冷害であるとかいうふうな、同じような状況になつたものが集団的に発生いたしておるのでありますからして、そこでおのずから生活保護法の運用という面におきまして特色が出て来るのだろうと思う。まあ、そういう点はよく我々は考えて遺憾のないようにしたいと思います。併し飽くまでやはりこれは最低生活の保障であつて、他の国民政策が優先すべきであり、而も又個人が資力を持つておりますならば、その資力のために先ず頼るべきだということだけは、これはやはり変えられないと思います。そういうようなことを前提にいたしまして最善を尽して行きたいと、こういうよう考えでございます。
  69. 山下義信

    ○山下義信君 この委員会に関する限りは今局長の言われましたように、この七億の生活保護費をばら撒くと考えておるものは一人もいない。これはもう生活保護の建前をよく知つておりますからね。それですから冷害地であるから、もう目をつぶつてばら撒くということを今私も言つているんじやない。併しながらその困窮の状態を、実情を把握して、それから他の一般府県において現に実施しておる保護費の決定支給と同じような手続処理状況、そういうよう考え方で行こうとするならば、恐らく真に冷害凶作地帯に対象者が発生した場合には私はその救済が手遅れになるだろうということを言つておる。ですから、これはこの冷害による凶作によるところの困窮農家の発生は、現に発生しつつあることでありまするから、その状態調査、補足対策、用意というものは今立てなければ、恐らく公式の生活保護法論を以て言うならば、この七億の予算の一割も私は使う必要はないだろう。使うという結果に終らんだろうということを私はここで明言をしておく。ですから凶作は凶作、稲はとれなかつた。七割以下の収穫農家が非常に多いということは事実であつても、その今年限りの凶作によつて生活保護法の基準に合致するような農家が何世帯出るかというようなことを巖密なことを言つてつたならば、この四万世帯、果してこれだけのものが出て来るか。この一割か二割に足りんようなものが出て来るか、私は非常に疑問だろうと思う。で、迅速にこれを当局ではおやりになる考えがあるかどうか。これにはもうすでに実情調査をなされつつあるのか。当該地方に厚生省の所管関係のかたがたが実情調査にもう行かれておるか。或いは実情を聴取されつつあるか。報告がどんどんお手許に届きつつあるかどうか。例えば今救農土木事業、これはまめなものしか働けませんよ、年寄りや子供や病人は。救農土木事業で一日二百五十円、まあ幾らになつてつたか、僅から賃金でありますが、それを働くことによつてもらえる。併しそれは壮健なものしか行かれやしません。絶体病人があつたり老幼婦女子で、女は行けますけれども、子供だけの世帯などは行かれやしません。でありますから生活費の貸与というような制度もありやしません。いろいろなものが金が廻つて来るように見えておりましても、農家のほうは皆生活費のほうにそれが廻されるかどうかということは多大の疑問なんです。そういう点に対しまして厚生省は何か特別に御勉強下さるお考えがあるかどうか。
  70. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 水害につきましては報告を現にとつておるわけでありますし、冷害についても現在調査をいたしております。併しいずれにいたしましても、まあ各府町が私のところは何万戸殖える、私のところは幾ら殖えると言つて来るわけでありますが、いずれにいたしましても、その調査だけでは直ぐに生活保護法を適用するわけに行かん。現実の問題として、今山下委員の御指摘なつように、現実に食えないものを対象にしなければならんということが要諦なんでございますから、これはやはり各県におきますところの福祉事務所が、そういうふうな人を早く発見するということ、同時に民生委員等がそれに協力いたしまして、そういう人を早く福祉事務所に報告をいたしまして、そうしてその人の資力調査を早くやつて、そうして救うべきは救うということをやらなければいかんと思うのであります。今のお言葉至極御尤もでございますので、そういう実施につきましても遺憾のないようにいたしたいと思います。
  71. 山下義信

    ○山下義信君 私は当局に一つ十分に御努力願いたいと思うのですが、今福祉事務所とおつしやつたが、福祉事務所の活動はもとより、民生委員の活動も、この際私は大いに督励して頂いて、まあ社会局長から御通牒でも出して頂いて、万遺漏のないような対策を立てて頂きたい。殊に生活保護法は、私の記憶するところでは、本人の申告制になつてつたようにも思うのです。恐らく北海道、東北のあの農民諸君は、私が同僚議員などから伝え聞くところによりますと、生活保護を受くるのを恥として、どちらかと言えば逃げるというような傾向が非常に強いということなんです。ですから、私も数年前に当委員会から派遣せられまして、東北数県の貧農の状態を見たことがありますが、非常に惨憺たる状態のところしか適用がされていないので、これはまあ全国的に実情云々と言いますけれども、関西方面からみますとレベルが違う。それで生活保護法の適用率を見るというと、各府県の中でも東北は幾らか高い、高いけれども東北のほうで、東北各冷害地方で受けておる生活保護の対象者の、との貧困の程度と、関西地方の生活保護を受けている者との貧困の程度は格段の差がある。でありまするから、恐らく私は関西地方で受けておる程度の貧困を若し今の凶作冷害地方に適用したら、恐らく数倍に上るだろうと思う。もう惨憺たる状態です。例えば児童の人身売買という、あの人身売買をやつておる所帯を我々は数年前に十数所帯歩いてみるというと、そのうちに生活保護を受けているというものは極めて稀である。子供を売つているような極めて惨憺たる家庭ですらも生活保護を受けていない、そういう状態です、あちらのほうはずつと。でありまするから、私は本人にも十分申告をさせるように、生活保護法に申告の本人から要求する規定がちやんとあるのでありますから、あらゆる規定を適用せられまして遺漏のないように御処理を願いたい、かよう考えるのであります。殊に私がお願いしておきますのは、それで児童局長も或いは関連してお願いしたいと思つておいでを願つてつたような次第でありますけれども、これはあとで藤原委員から御質疑があるかも知れませんけれども、いわゆる凶作に伴うところの児童の売買、これはもう絶対的に生活保護関係のあなたのほうの社会局で措置して頂かなければならん。私はそう思う。それで私の話ばつかりしておつたんじや質疑になりませんからやめますが、昭和九年の凶作のときに青森県の一県下だけで売られた児童が九千五百人ですかね、あつたという。それでその時分にその困窮農家が家畜を手放したのが三千五百、家畜を手放すよりはより以上に児童を手放した。それがみな売られて行つたということを私は数日前に文献で見たのです。今度でもすでに数日前の新聞に早やそういう傾向が現われつつあるという。殊に一番児童が売られて行く時期が三月だという丁度学校のお終いなんでしよう。折角学校を済まして、親心でしよう。済んだらすぐ手放すというのでしよう。ですから私は生活保護法の適用でもそういう多子家庭、そういう児童のあるのじやなかろうかと思われるような世帯については、もう万全の手配をしなければならん。こういうことになりますと児童局とあなたのほうとが、例えば民生委員兼児童福祉員だというようなことになるというようなことでありまして、密接な関係がありまして、この凶作農家から一人も児童を売らしちやならん。それは職業補導や就職はよろしい。又賃金形態や雇用形態のいろいろ問題はありましようけれども、非常によい意味のそういうふうな出稼ぎは結構でありますけれども、いたいけな女の子等がどんどん売られて行くということを一人もなからしめるということを今日から厚生省当局は覚悟してやつてもらわなければならない。七億の予算をとつて七億の予算をばらまくという誤解はしませんけれども、七億の生活保護費ということになりますと一万円ずつこの生活扶助を与えるといたしましても何ぼ救われますかね。一万円ずつということになりますと恐らく七万人でしよう。如何に冷害地の児童の人身売買が行われるとしましても七億の生活保護、そういうことの出ないようにそういう貧しい実庭に、す早く手を打つたなら、私は一人もこの凶作地帯から女の子を売るというようなことは今年は防げたというようなことができると思う。あとからじや始末がつかん。私はそういう点に厚生省は十分やつて……。一体冷害対策本部というものができているんですか、どうですかね。災害対策本部というのはあるわけなんですが、冷害地の凶作地帯に対しまする諸般の施策というものについてはどういうふうに政府が統一的な対策本部を持つているのか存じませんけれども、今私がいろいろ申上げましたことについて社会局長、丁度児童局長見えておりますから児童局長、私は今日大臣に来てもらつて今年はもう凶作地帯から一人も児童を売るというような悲惨な子弟の出ないようにするという確約を求めようとしたが、出席を拒否して来ました。私は強いて出席を求めようとはしません、しませんが、両局長から私はこの凶作地帯から児童の人身売買のようなことの出ないような、悲惨な農家のもう、一家がみな一家心中をしたという悲惨な農家が出ないように十分な一つ完璧の陣を布いて頂きたい。それにはこの凶作地帯の、冷害地帯の生活困窮の、この困窮農家のあり方というもの、基準といいますか、見当といいますか、調査の大体の方針をきめて、すぐそれをやるというわけじやないが、少くとも水も洩らさんよう調査が、私は児童局なりあなたのほうなり厚生省を挙げて御準備ができておることであろうと思う。予算は明日通ります。予算が明日通つたらばその日からあなた方の手によつて直ちにそれが生きた金が使えるのだ、善政が直ちに現われます。十数万の、何十万というこの二十一都道府県の凶作農家は実にその金をもらわなくても非常に心丈夫な感じがするだろうと思う。心配するな、子供を売るのではないぞ、一家心中をするのではない、いざというときには生活保護を出してやるぞということの、私はそれが凶作地帯の二十一府県の隅から隅までそういう農家に伝わつたならば、ちよつと待て、死ぬる前にちよつと待て、というような、非常に心丈夫なものを与えるということが政治だろうと思いまするので、当局でそういうことに対して十分、民政部長を結集するなりなんなり、もうなさつておると思う。現地に所管課長の会議を開かれるか、丁度十二月の極月にも迫つて来ておりますので、万般の御準備を頂きますかどうかということを両局長から御答弁を承わつておきたいと思う。
  72. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 児童の売買の問題についていろいろ注意を頂いたのでありますが、生活保護法を適用した場合に、丁度児童委員と、民生委員が同じ人であるというようなことから、何かとそういう点では好都合と思います。よく児童局と連絡して遺憾のないことを期したいと思います。  それから凶作地帯の児童の人身売買の件でございますが、先般来特に東北方面の状況を係員をして視察せしめ、又現地の部長を招集して話を聞いておりますが、このまま放つて置けば本格的にそういうような売買という問題が起きる危険性が非常に濃厚になつて参ると思う。それで私どもは昨年に私ども作りました人身売買防止についての要綱というものがございますので、大体そういうものなどを例にして御指摘通りそういう事態の起きないように手を打つ覚悟をしておる次第でございます。  それで私ども考え方といたしましては人身売買の問題は非常に、これというきめ手がないというところにむずかしい点があるのでございます。先ず農家が子供を売るというのはその農家が本当に経済的に困つてそういうことをやるものであるから、さような農家に困らせないような収入の道を与える、これが今度の国会にも御審議を煩わしておる農林系統の救農土木事業等その他一連の施策、これによつてやる、労働省でやつておる失業対策事業とか、こういうようなもので収入の道を与えると、かような施策は当然である、それと同時に社会局において設けた家庭のあの係の人に家庭に対する生活保護の適用を十分にやつて頂くようにお願いしたいと、私ども関係としては大体困つておるという面のみならず、従来の例からいたしますると、その子供の親などの間に子供を売ることが悪いという、そういう気持が徹底していないようなきらいもある。そういう地方にはございますので、又子供自身も間違つた考えから親孝行、或いは家族の口減らしというよう意味から、さほどこれを嫌がらずに出て行く、かような傾向もございます。かような点につきましてはただ生活の資を与えるということだけではなしに、さような概念を打破して人権の尊重と児童の福祉というものを更に強調する必要があろうと存じております。で、これについて私どもの今の考え方では県庁の者が行つて話をするとか何とかいうよりも、各全国の村々には民生委員兼児童福祉委員がおりますので、このかたを中心にいたしまして特に活動させまして、さような危険性のある、封建的な思想の残つておりまする所には特に重点を置いて、さような児童を売つたりするようなことは非常に悪いことであるというようなことで啓蒙宣伝に努めてみたいと思つております。それと同時に、さような農家の弱点につけこんで跳梁いたしまするいわゆるブローカーというものの摘発につきましては、これは警察当局に連絡いたしまして、さようなことのないように十分に取締まつてもらう。又農家の子供の、そういうものを発見いたしますためには教育委員会などとも連絡いたしまして、学校の長欠児童などというものも早く調べて、そうしてさようなことを事前に防ぐ、かような手を打ちたいと思つております。申上げましたように、非常に各省にも亘る事柄であります。問題は各省が歩調を一にしてこれをやらなければ所期の効果を上げるわけに参りませんので、幸い内閣に各省の連絡機関として青少年問題協議会というのがございまするので、そこで各省寄りまして歩調を一にしてやろうというようなことになつて、青少年問題協議会からも各地方の青少年問題協議会を通じて出先機関にも通牒を流し、各省も歩調を一にしてやる、かような態勢を今とつておるわけであります。
  73. 山下義信

    ○山下義信君 冷害対策に対しまする質疑は私は終ります。他の委員がおありになるかもわかりませんから。  ただ最後に一つ社会局長にお願いしておくことは、北海道の、有馬君おられますから北海道は有馬君に譲りますけれども、承わるところによりますと、北海道の開拓農家などというものは、非常に悲惨なものだということであります。漏給のないように御留意を願いたいと思う。  それから農林委員諸君に聞いてみますというと、この生活保護法の御適用について特に御留意願いたいのは、山間僻地の農家を一つ十分落ちのないように御調査を願いたい。谷底、山の合間合間におる農家などに悲惨なのがあつて、そういうところに非常に手が延びかねているということであります。そこでまあ今回の凶作によつて新規に対象になるというよりは、むしろ従来ややもするとこの線はちよつとボーダー・ラインの線と言いますか、そういうもの等に対して一つ十分御調査に与りたいという希望が農林関係諸君に多いようでありますから、この際是非一つ御留意願いたいと思いますからよろしくお願いいたします。  冷害関係でなくて、社会局長が見えたついでに私は他の議員から依頼されておるのでありますが、遺家族の弔慰金の引き方ですね、これはしばしば問題になつておることであつて、当局は実情に即応するように善処するという答弁が大臣、局長等からしばしばあつたわけなんですが、私の控室の加藤シヅエ議員から是非聞いてもらいたいと、委員外議員の代りに私依頼を受けたのですが、先般東京都内で遺家族で自殺をして、これは新聞に出ておつて社会局長談というのもあつて、実情に即応するように注意してあるのですが、というあなたの話が出ておつたわけですが、そこで弔慰金の東京都内にありました事件は、ともかくも新聞の表面に出た記事等からすれば、生活保護費から差引かれて子供四人でありますか、あの未亡人が死んだわけなんでありますが、あれは何と何を差引いちやならんというようなふうにしてありますのですかな。
  74. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 生活保護を受けている家庭で遺族年金をもらいました場合に、それを収入として見込むかどうかという問題は、これは遺家族等援護法ができたときにいろいろ御議論のあつたところであります。一時金の弔慰金は差引かないということで、これはいわば国がお弔いやいろいろやるべきことをやらなかつたためだという意味で差引かないことになつたのでありますが、年金のほうはこれは直ぐに又恩給に変わるわけでありますが、同じことなのであります。収入として全然見込まないということは今の生活保護法の建前から言つてできないことであります。併し何と申しましても生活保護の現在の基準というものは非面に低いものでございますから、殊に今お話なつような子供を四人も抱えて長い間苦労をして来た、そういう最低生活をして来た場合には、そういう金が入りますというと砂地に水の染み込むようになくなつて来る、それを全部差引くということは忍びないものでございますから、生活保護に一時扶助というのがございます。これは普通の五人世帯なら幾らという基準がございますが、そのほかに一年も二年も経ちますというと布団もぼろぼろになつてどうにもならないというのがあるのです。それで子供の着物も年に一回や二回の被服費ではどうにもならなくてぼろぼろになつてしまつてつてやらなければならない。それから屋根も修繕しなければならない、漏つている。併し生活保護にはそういう金はないから、放つておるということで、それを一時扶助を認めようということで通牒を出しているのであります。  それで江東区のこの事件が出ましたときに、私もその話を直ぐ聞きまして非常に暗い気持なつたわけでありまして、直ぐ東京都にいつて調べさせたわけであります。一体どういうふうな差引き方をしているのかと、そういたしますと、確か私の記憶は間違つていないと思いますが、三万円の年金のうちで二万は使うことを認めて一万円を引いたというふうなケースなんでございます。それで取扱いとしてはむしろ我々が言つているよりか緩い取扱いをいたしておりますので、私はそのくらいならば無理ではないのじやないかというふうに感ずるわけでありますが、併し何と申しましても子供四人抱えて戦争中からずつと今日までやつて来たのです。ですから女の人の体も弱つておりましよう、神経も非常に弱まつているのでありますから、そういう場合のケース・ワーカーの言葉の使い方、或いは応待の仕方というものはよほど気をつけなければならない。だからその取扱自体には間違いないとしても、その方法については反省すべきものがあるのじやないかというふうに感ずるわけでありまして、そういう点については十分注意をして行きたいと思います。
  75. 山下義信

    ○山下義信君 この援護法ができるときに私はお願いして置いたのでありますが、生活保護法との問題もいろいろ関連して来て、いろいろ変化も生じて来るであろうということを当時申したこともあつたと思うのでありますが、すでに前の援護法が実施されてあの一万五千円の年金は大体一通り支給しているわけなんです。今度は恩給法に変つたわけでありますが、この援護法施行後の、いわゆる戦争遺家族の生活保護関係の影響状況といいますか、変化状況といいますか、若し当局のほうで、資料がおまとめのものがありましたら一つお示しを願いたいと思います。
  76. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 承知しました。
  77. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  78. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記を始めて。  次に社会保障制度に関する調査が完了いたしませんので、未了報告書を提出することとし、文案の作成その他の手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。よつて未了報告書を提出することに決定いたしました。  なお報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、御異議のないかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     大谷 瑩潤  藤原 道子     高野 一夫  中山 壽彦     横山 フク  廣瀬 久忠     山下 義信  有馬 英二
  80. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないものと認めます。  次に本調査は今期国会閉会中においても継続して調査することとし、議長宛て要求書を提出することといたしまして、文案その他の手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。よつて社会保障制度に関する調査の閉会中継続調査要求書を議長宛て提出することに決定いたしました。  なお本調査が継続の許可になりました場合、国民生活改善についての部門を調査せしむるため、現在設置してあります国民生活改善に関する小委員会はこれを閉会中も存続することといたしまして、その数、小委員の指名、正副小委員長の指名は現在の小委員と同様として調査を行うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それではそのように決定いたしました。   —————————————
  83. 藤原道子

    藤原道子君 山下先生からすでに御質問があつたかと思うのでありますが、この最近の生活保護法の適用がどうもだんだん厳しくなつて来ているということは、いつも私毎回申上げる通りなんでございますが、今度冷害に行われる生活保護法は冷害による収入皆無等によつて転落する人が多いと思うのです。これに適用するときは無論今までのような厳しい査定でなくおやりになることと理解しておるんでございますが、その点についての一つ御方針を伺いたい。
  84. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 厳しくやるかやらんかというような、こう御質問ですと、私どもちよつと困るのでございますけれども、また冷害農家だから全部適用するというわけに行かんことは一つ御了承願いたいのでございまして、やはりミーンズ・テスト、資力調査ということはやる必要があると思う。ただ併し冷害地特有な現象というものもございましようから、今もいろいろと山下委員から御注意を承わつたのでありますが、そういう点につきましては十分一つ気をつけて時機を失しないようにやるように注意いたしたいと思つております。
  85. 藤原道子

    藤原道子君 時機を失しないと同時に、無論お話があつた、重複かも知れませんけれども、今までの生活保護法の適用はやはり、ラジオがあるからいけないとか、こういうものがあるからいけないとか、家があるからいけないとかいうようなことの条件が非常に厳しかつたのです。ところが今度はそうでなく、今までどうやらやつていた人が災害によつて生活ができなくなつた、であるけれども、ここ一、二年たてば又何とかなろうという人でありますから、とことんまで赤貧洗うがごとくならずとも無論これは保護を受ける資格ありと私は考えるのでございますが、その点如何でございましようか。
  86. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 抽象的にお話をいたしますると、結局まあその人がどういう資力を持つているかということを調べた上でやるということになるわけなんで、今まで収入があつたのがなくなつたのだから、それでやれと言われると、例えばこうです、一町歩持つてつても収入がなければやるのか、こういうことになつて来る。それで結局その辺は運用のときによく資力調査などをいたしまして、他のいろいろ今度の冷害対策等もございますから、そういうものとよく見合つてつて行きたいと思つております。
  87. 藤原道子

    藤原道子君 今までの生活保護法の適用が非常にまあ少いのですね、いつもの質問に対しては。労働再生産費というものが、含まれていないからこの基準でいいんだ、こういう御答弁なんですね、ところが東京の今の生活保護法の適用をみても、一食当り副食費を入れても十六円くらいになつているんですね、たしか。まあ或いはそれが労働の再生産費を含まない基準でございますから非常に低いんですよ。ところが今度の災害地のは労働再生産費をみてもらわなければ困るわけなんです。そういう点においてどういうお考えを持つておいでになるか。
  88. 安田巖

    政府委員(安田巖君) この食費の関係はやはり男女別、年齢別でございますね、男女別年齢別でカロリー計算をいたします。そのときに今の労働再生産費とか、こういうようお話でございますけれども、例えばその人の労働の程度によりまして、或いは軽労働であるとか重労働であるとかいうことでカロリーを計算いたしますから、それで一応うまく行くんじやないか、十六円なり或いは二十円が、これが低いじやないか、こう言われますと困りますけれども、そういうふうに段階はくつ付けてあつて、重い労働をする人にはそれだけのカロリー、軽い労働をする人にはそれでいいんじやないかというようなカロリーを出す、こういう計算になつております。
  89. 藤原道子

    藤原道子君 併し農村のことでございますから、大体重労働なんですよ。たけれども、どうも今までのようなきびしい扱い方で、赤貧洗うがごとくならなければ受けられないというようなやり方ですと、これは問題が起きるということを一つ考えになつて、適正な運営をお願いしたいのです。  それからいま一つは、農村においてすでに山下先生が子供を売るなといつて下さつたそうですが、馬を売るか、豚を売るか、子供を売るかということになれば結局子供を売るんです。そういう事例がどんどん起つて来ておりますので、本当に緊急を要するのであつて、温かい気持一つ適用をお願いいたしたいということを強く要望いたしておきます。  それから今の、いつも問題になりますところの、何というのですか、少し収入があれば全部むごく引いてしまうという点を、やはり運営よろしきを得て頂かなければ、この頃社会に非常な問題が起きている。大森の殺人事件にしても、あれなんかも要保護者の家庭においては何と申しますか、やつと子供が収入があり出すと、今まで衣服費も何にもないからぼろぼろなのを着ているにもかかわらず全部引いてしまえるわけですね、五百円か六百円はあれですけれども。そうすると結局社会生活するに必要なこともできないわけですね、夜学へ行こうと思つてもその費用もないということになりますので、内職、或いはそうした子供が辛うじて得る僅かな収入をも全部引去るということが結局自暴自棄を起させたり、暗い生活に陥れるという結果になりますので、その点も十分お考えを願いたい。今あなたのほうはどういうふうな方法で行つておられるか。
  90. 安田巖

    政府委員(安田巖君) この収入があつた場合に差引く問題というものは、これは非常にむずかしい問題でございまして、今お話ように被保護者が働いて立上ろうという意欲を失わせるんじやないかという問題は非常に根本的な問題なんです。それでいろいろ私ども工夫はいたしてはおるのでありますけれども、例えば未亡人家庭でもつて稼働力がないという家庭が隣りにあつて、その隣りはたまたま子供が大きいものだからその未亡人は働けるんだ、月に二千円も収入があるじやないかということになりますと、稼働力のないものは国としては五千円の生活保障をやる、稼働力のあるものは七千円の生活保障をしてやるということになるものですから、その不均衡の問題をどういうふうに割切るかということでいろいろ頭を痛めております。併し取扱いといたしましては先生のおつしやるようなことを成るべく実現したいと思いまして、最近は働きます場合にいろいろ交通費が要る、被服費が要るということがございますね、そういうものはみてやる。それからそのほかに東京あたりですというと勤労控除で六百円までは見るということに引上げたのであります。それで多少そういう私ども常常の御注意もそういうところに実現したわけなんでございますけれども、根本的な問題になりますと、どうもやはり割切れないで困つております。
  91. 藤原道子

    藤原道子君 それからいま一つ庶民住宅のことでございますが、これはどんなふうに。
  92. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 庶民住宅の問題はこれは今第二種公営住宅、第一種公営住宅というのがありまして、第二種のほうが八坪、九坪とかいう小さいものなんですが、これは今権限から言いますと建設大臣のほうに行つておりまして、昔はまあ御承知のふうにそういう住宅行政というものは厚生省にあつた時代があつたのでありますが、それで厚生省と共管になつております事項はその管理なんですね、例えば入居基準というものをどういうふうにきめるかというような場合に厚生省に内示が来るとか、或いは家賃をどうきめるかという場合に厚生省に内示が来る、我々はそういうときに貧乏人だけにやれというように主張をいたしますし、家賃はできるだけ低く低くというのでやつておるわけなんです。同時に第一種公営住宅と第二種公営住宅の場合もできるだけ第二種を多くしろという主張をいたしておるわけでありますが、それだけのことなんです。そこで結局予算をとつてたくさんやるとかどうとかいうようなことは、結局建設省のほうでおやりになつておるわけでございまして、なかなか今のところでは建設省も十分努力はされますけれども、御期待に副うほどの戸数が建たないという事情にあります。
  93. 藤原道子

    藤原道子君 この問題の起つたときに厚生省所管でやるべきのが建設省にああいう事情で移つたわけなんです。そのときに相当こちらで厚生省関係に権力があるというようなふうに伺つていたのですが、今では全然建設省の一方的な運営ということになつたのですか、家賃をきめたりするだけしかあなたのほうにはないのですか。
  94. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 私が今申しましたように管理する面で共管なんでございますが、併しこの公営住宅の住宅建設計画というものは御承知ように住宅審議会というのがありまして、そこに私ども出ておりますが、国会に諮る、この計画はそういうよう程度で私どもは関与しておるのであります。
  95. 藤原道子

    藤原道子君 誠に心細いわけですね、それじや引揚者の住宅が相当御心配をかけませんというような初めあれだつたのですが、聞くところによるとなかなか心配かけませんじや済まないらしいのですが、この暮にかかつて非常に心配すべき状態にある、こういうふうに伺つておりますが、その点はどうなつておりますか。
  96. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 引揚者の住宅のことは私ちよつと存じておりませんので、又あとでよく申しておきます。
  97. 藤原道子

    藤原道子君 児童局長にちよつとお伺いいたしたいのでございますが、最近ヒロポンの問題が非常にやかましくいわれて非常な社会に害毒を流しておる、その中に非常に年少者が多い、こういうことに対して児童局としては何らかこれに対して保護を、そういうことに転落しないように、或いは身体的に精神的に非常な害毒を受けた子供たちに対してどう保護するか、又どうされておるかというようなことをお伺いさして頂きたいと思います。
  98. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) この問題は青少年の不良化の防止対策というようなものの一つに入ると思うのでありまして、不良化防止については従来いろいろ工夫を凝らしておりますが、これはなかなか率直に申しますと極め手がないのでございます。御承知通りに今の社会情勢から申しますると、まあ街頭に出ますと面白くない風景がたくさんある。家庭に帰りましても、住宅が先ほどお話ように十分でないために、この大人と子供が一緒に寝ているというようなところもございます。さような点からいたしまして、この青少年が不良化するということは皆が恐れておりながら、さてそれじやと言つてどういう手を打てばぴたつととまるというような、いはゆる極め手がないのが私どもの一番の悩んでいる点なのであります。ヒロポンだけの例を取上げて考えますと、まあこのヒロポンに子供たちが染りましたには、まあいろいろそういう好奇心から入つたのもありましようし、又友達の相手の誘惑というものもございましよう。いずれにしましてもヒロポン自身についてはすでに覚醒剤取締法で以て取締根拠ができているのであります。併しながらなかなかそれも思うように行かない状況であります。私どもといたしましては、これを防止するためには只今実施しておりまする青少年保護育成運動、これは年に二度実施しておりますが、かような機会に今回は特にヒロポン等による青少年の害悪防止ということを一つ取上げまして、まあ全国的にこのヒロポンの害というものをよく子供たち及びその子供たちを監督する親たちにも知らせようというような手を打つております。卒直に申しましてかような運動をひと月間やつたからこれで終りというようなことは思つておりません。かような点はやはり大きな青少年の不良化を如何にして防止するかという見地から解決して行かなければならない問題だと思つております。さてそういう問題になりますると、先ほど申上げましたように、これ又一つの極め手のない大きな問題でございます。まあ結論といたしましてはこれは皆んなが児童を健全に守るということに協力するというこの協力態勢に持つて行くことが先ず第一歩でございまして、さような面から例えば経済生活が楽になるように、又道義の高揚ということも必要でありましよう。児童福祉の思想の高揚ということも必要であると思います。又不良化防止というやりかたにつきましても、ただ街頭にさまよつている子供をとつつかまえて、いかんいかんというばかりじやなしに、子供にもそういうものに染らなくても済むような健全な一つの娯楽と申しますか、遊びと申しますか、或いはそういう子供のクラブ活動というような積極面を子供に与えてやらなければいかんのではないか、かようなことでやつております。お答えにならないかも知れませんけれども、ヒロポン対策として法務局で覚醒剤取締法を強行してもらうと同時に、私のほうで青少年保護育成運動を利用しまして、保護育成運動を実施しまして、こういうものの害悪を防止する、かような形にしておりますが、やはり同時に大きな青少年不良化防止という一環から今後も施策を続けて行きたい、かよう考えております。
  99. 藤原道子

    藤原道子君 この問題は極め手はないということはわかつているんですが、だからといつて誠に心細い状態にありすぎると思うんです。この問題について今言われました内容方法をお取りになることも結構だと思うのですけれども、この子供の福祉に関係のある人々、つまりなんですか、文部省関係であるとか、或いは薬務関係であるとか、法務関係、こういうところと厚生省で真剣に御相談なさつてその対策について討議されたことがおありになるかどうか。
  100. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 青少年の問題につきましては御承知だと存じますが、内閣に青少年問題協議会、これはやはり青少年に関する問題は当然一つの省だけで解決できる問題ではない、各省に関連する問題である、各省が歩調を一つにしてこの問題に当らなければ解決しない問題である、さよう意味から内閣に連絡協議会として青少年問題協議会をおいて、今回の青少年保護育成運動の際にも関係各省集まりまして、この協議会において、このヒロポン等による覚醒剤による被害を防止することを一つの大きな看板に掲げてやろうということに話がきまりまして、只今つているようなわけでございます。
  101. 藤原道子

    藤原道子君 これは内閣直属のその青少年問題協議会ですか、ここで取上げて、ヒロポンもその中の運動の一つとして取上げてやつて行くわけなんですね、この協議会のほうで。これは非常に子供を蝕むことが激しいと思いますので、是非とも、もつと真剣にやつて頂かなければならないと思うのです。そのために児童局としていつも私憎まれ口ばかり聞いているのですけれども、非常に弱いと思うのですね。今度も今の保育所関係のいろいろとお話を伺つたのでございますけれども、児童福祉法の精神はどこに行つたかというような感じを深うするのです。全国の保育所等を廻つて見ましても、厚生省の措置すべき児童の対象ですか、これが三〇%というふうに抑えられているのですね。ここに一つの問題がある。それならば措置される子供はそれくらいで済むのかというと、これはいろいろ聞くと、昭和二十四年のデータから割出して今年も要求したのだ、こういうことになるのです。けれどもこれは災害復旧のときの原形復旧というのと同じことであつて、それでは解決はできないと思うのです。だんだん御承知ようにボーダー・ラインの人が、生活保護法のすれすれの人が殖えて来ている。ですからその人たちの家庭の子供ほど預かつてやりたいと思うのに、家庭負担というのですか、そういう金をとれということが随分指示されている、だんだんそれが出せなくなる、そうして保護されていた子供も結局行けなくなつて来て、今まで、昨日まで通つていた保育所の周囲で友だちを羨ましそうに眺めながら保育所に行くこともできないというような傾向のものが非常に殖えて来ているのですね。どこの保育所でも申込の四分の一くらいしか入れることができない。措置すべき家庭の子供は街頭に放り出されていて、そうしてどうやら負担のできる家庭の子供たちが保育所の多くを占めるというような結果になるということはどうも納得できないのでございますが、ところが今年の昭和二十九年度の予算要求もやはり非常に低い線で要求されているやに聞くのでございますが、一体街頭に放置されているこれらの子供、母の足手まといになつて働くことのできない子供、こういう子供に対して局長はどういうふうに処置されようとお考えになつておられるか。
  102. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 保育所のことでありますが、現在約五千六百数十カ所の保育所と、六十一万人の児童が保育所に通つております。お話ようにその保育所に通います原因の六五%くらいというものは、その親が稼ぎに出るためにうちで子供を見守る人がいないから保育所に通うというようなのが多いわけであります。かよう意味から私たちはこの保育所の担つております社会的使命というものは非常に大きいと考えて、これを伸ばして参りたいと、こういうふうな気持は持つているわけでございます。問題はその場合の財源措置の関係でございますが、御承知通りあらゆる他の児童福祉施設と同様に、保育所もそこに通つております子供の保護者からその費用を分担できる限度においては分担してもらう。そうしてその分担できないところだけを公けの費用で見る、こういう建前になつております。それでその分担できる限度というものにつきましては、これを甘くするか、或いは厳正にするかという問題になりますれば、人情としては何人もこの子供のことでありまするから、できるだけ楽にしてやりたい、この気持は誰も持つていると思いますが、併しさような場合には国庫負担が、それだけ公費負担が殖えるわけです。その公費負担の八割は実に国庫が出すわけです。国庫負担がその中でも一番大きな影響を受けるわけです。国の負担と申しましても、これは御承知通り国民の税金でございます。私ども行政当局といたしましては、そう国庫負担を無制限にするわけにも参りません。そこで筋の通つたところでやらねばなりませんので、この児童の家庭から負担してもらえるだけは負担してもらう、この点については決して甘くは、甘いという意味は誤解が出るかも知れませんが、決して子供だからといつてルーズにしてもらつては、これはいかん。やはり適正な限度においては適正にやつてもらわなければ困る、その代りそういう適正にやつてなお且つできないところは、私どもは必ず、赤字の分でございます、これは私どもは見る覚悟をしております。それで先ほど御質問の三割の率、援護率と申しておりますが、これは赤字の分ですが、これはそもそもこの児童福祉法が発足いたしました際にこの調査をいたしました結果が三割であつたということで、一応三割で国の予算を組んだわけでございます。その後の実績によりましてこれを是正するというのが筋でございますが、たまたまこれがその実績を見るまでの間に平衡交付金制度に切換えられたのです。そうして平衡交付金制度に入りますと、その実績というものがなかなか掴めなくなつて来たわけです。それで問題がそのままに、解決しないまま今日に至りました。今年度から昨年いろいろ御心配頂いた結果によつて児童の措置費が平衡交付金制度から補助金制度に戻りましたために、今年この問題が出て来たわけです。今年度の予算を私ども組みます際に大蔵省に折衝いたしたのでございますが、その際にはやはりそのデータが出なかつたものでありますから、遺憾ながら大蔵省としては三割という従来の案を踏襲するということにならざるを得なかつたわけであります。その後この問題が非常に大きくなつて参りまして、私どももこの保育所が担つておる使命が大きいだけに、これを健全に育つて行きますためには、やはりこれを十分国も、出すべきものは出さねばいけないということで検討いたしました結果、明年度予算につきましては、相当高い率の国庫負担が必要である、こういうことで明年度は高い率で要求してございます。
  103. 藤原道子

    藤原道子君 高い率とおつしやいますとどのくらいで。
  104. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 現在の援護率が三割、明年度は私ども実は五割で要求してございます。
  105. 藤原道子

    藤原道子君 併しその対象児童はどのくらいの人数を見込んでおいでになるのですか。
  106. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これはちよつと今記憶はございませんが、やはり従来の例によりまして保育所が年々非常に増設になつております。その増設されて行く数を考慮いたしまして、そうしてその児童の増加率を見てそれでもつて要求してございます。
  107. 藤原道子

    藤原道子君 私も局長が言われるように、何も甘くしろとかいう考えは持つておりません。御承知ように災害で非常に目下予算も要るわけでございますから、それはそういうわけでないのです。ところが一昨年は三百円、それが五百円になり七百円になる、家庭負担分がですね。この頃千円くらいです。これはどういうわけでそこまでのして来たか伺いたい。
  108. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 一昨年は何百円だつたちよつと存じませんが、これも現在全国を見渡してみますと、保育所に子供を入れます場合にかかる経費は大体八百円くらいから千円くらいの間でございます。これは主に保育所の保姆さん、これが最低基準というものがございまして、児童三十人について保姆一人というような基準がございます。その基準によつて弾きます。そしてその保姆さん、それからその他の事務員の人件費、これが主なものでございます。そのほかに保育所では子供に補食程度の給食をいたしております。さような給食の費用、それからその他の保育所の運営に必要な費用、こういうものを実は予算で積算して参りますと、どうしても一人頭約八百円から千円くらいのものになるわけでございます。それだけの費用というものは一応弾かれまして、それを国から、地方に流します地方は又地方のおのおの地域の問題がございます。それから保姆さんの給料などの現実の問題もございます。さような点を考慮いたしまして、各施設ごとに、お前のほうは一人当り幾らかかるという額を示しまして、これを私どもは限度額と申しております。そういう額を示す、その額について取れる家庭から取る、併しながら取れない家庭がございます、取れない家庭につきましては一部負担できれば一部を負担する、その一部すらできないというところにつきましては全額免除、こういうふうに全額取れるところから全額免除までの幾多の段階がございまして、そういうようなものでやつておるわけでございます。
  109. 藤原道子

    藤原道子君 一応それは誠に筋が通つているんです。ところが今まで仮に一万円のペースだつた人が一万二千円に金が、収入が上つたような場合、これが直ちに家庭負担が上げられて来るんですね。ところがベース・アップは生活が非常に困るから、物価が高くなつたからベース・アップされるわけですね。家庭生活、我々の場合に、ところがそれがすぐ今まで三百円だつたものが八百円というふうに上げられて来るんですね。そうすると都なら都からそういうふうに来ると、どうしてもその家庭では出されないといつて泣きついて来るわけです、だけれども取らなければ困るから、それを持つて来いということになると翌月から子供が保育所へ来なくなる。それから又千八百円取るべきところも乳児の場合千八百円は取れないので千円ぐらいにしてあつても、今度は調べに来た社会福祉司がそういう人たちがそれじや困るから実質は千円しか取つてなくても、五百円しか取つてなくても千円取つたことに書いてくれ、或いは千五百円取つたことに書いてくれ、そうしなければ都合が悪いからということで書かしておる例が多々あるのです。そうすると厚生省はその上に立つてそろばんを弾いておるわけです、実際は。ということが一つですね。それから急速に家庭負担金が殖えて来たということはどこに原因があるかということについて一つお聞きしたいと同時に、僅かな金のために措置されるべき子供が来にくくなつて来なくなるというような例が多々あることに対して局長はどういうふうにお考えになるか、そういう来られなくなるのは社会に放り出しておいてもいいんだというお考えで、これをきびしく査定しておられるのかどうか。
  110. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) この保育所をめぐりましていろいろ問題が出ておりますが、私どもはやはりその問題をだんだん拾い上げてみまするというと、先ず一番大きな原因は、先ほどからお話がありましたように、保育所の経費について赤字分、つまり公費で負担する分について一体国が三割の予算であるが、これが果して三割でちよつてしまうつもりか、それともかかつて来るだけは見てくれるつもりかという不安が地方にあります。この不安が何といつても一番大きな問題の原因でありまして、これからいろいろな点について派生的な問題が出て来ている。で、私ども只今のところは、先ずこの根本的な問題に取つ組んでこれから解決して行こう、こういうことでありますから、この問題が解決しますと、あとの派生的な問題は大半は私は解決して来るんじやないか、こういう見通しの下においてやつております。で、収入の認定とか何とかいうお話でございましたが、これも実は地方で以てやはり国がどれだけの面倒を見てくれるかということに対する懸念から、所によつてはそういうきつくしている所が或いはあるのかも知れません。併し勿論申すまでもなく私どもが見込みがないからきつくやれとか、苛斂誅求せよとかいうようなことは申したことは一回もございません。又その気持もございません。ただ先ほど申上げましたように、人情としてはみんな甘くしてやりたいのが人情ですけれども、やはりこういう国家財政の下ですから、やはりお互いに適切な所は適切にやつてもらわなければならんということなんです。地方の実情は私どももこれはやはり重要視しておりますので人にも聞き、又私自身も行つて見ておるのでありますが、まあ率直に申しまするというと、従来のやり方というものはいろいろ必らずしも厳重でなかつたと思われる節もあります。又中には誤解がありまして、今度は補助金に戻る、つまりかかつた費用の全部の八割は国がくれるんだというふうに、もうばかに今度はうまいことになつて来たという気持でやつておる所もなきにしもあらず、これが実はそういう所があるというので、実は私どももびつくりした始末なんです。これは勿論非常な誤解なんです。こういううまい話が世の中にあるはずはないんですけれども、そういうような誤解も現実にあつた所もある。これは府県庁がよく地方へ徹底させるときに誤解を招いたという点もある。さような点からいたしまして、今度それを適正にいたします際に、少なくとも従来の分よりも締められる。締められるということは即ちひどく取り過ぎるんだ、取るんだと、こういう印象をその家庭に与えたかと思うのであります。かような点はよくやはりその係のものが、この制度の趣旨、それから今現状ではかくあるべきものだということを納得させるように話す努力にまだ欠けたものがあるだろうかと思います。で、これは私ども努力がまだ足らんと言われれば、私どもの努力も足りないでありましよう。併し先ず根本は、やはり私ども現実にもう国のほうではこういう態勢になつているのだから、あなたがた心配しないで、かかつただけは必ずみんな見てやるから、どうぞその趣旨で、その前提として適正なものはとると、こうやつてくれと言うて先ず地方の府県庁のものを納得させることをしませんと、私どもは幾ら掛声だけ大きくしても、府県庁のものが何を言つてやがるんだということになりますれば効果がないと思つて、私どもも今のところは歯を食いしばつて、とにかく地方の問題を解決するようにやつているような状況でございます。それからその家庭が、負担が殖えますれば、まあ御家庭から来にくくなるということは、これは当然だと思います。これもやはり趣旨を十分徹底させなければいけないのです。現に私ども或る県の話でございまするけれども、とにかくこれは理論的に申しますると、非常にきつくなければいかんということで、少し締め過ぎたのです。締め過ぎましたところが、保育所に子供が来なくなつたという事例も私どもは聞いております。これは明らかに行過ぎの例でございます。納得をさせるさせないで、ぱかつと頭からやつたのでは、こういう結果も出るのでございます。かような点については、保育所に子供が出来なくなれば、もうこれは保育所として失敗でございますから、さようなことをやつたのでは申訳ない。私どもの今の苦労は、この保育所には子供は進んで寄越してもらう。それから又同時にこの制度の趣旨もよく徹底してもらつて、各家庭においても、それはまあ裕福な生活をしているものは一人もおらんわけですから、成るべくならば取らんほうがいいのですが、折角こういう制度ができているのです、それに応分の負担はこれはいたし方ないと納得してやつてもらうようにいたしませんと、結論においてこの制度が失敗に終る。甘やかしましてもこの制度が失敗に終る。きつくしましても失敗に終る。将来のこの制度の発展を希いますために、この間の調節を図り、同時に納得してもらうようにやる、こんなことを苦労しているわけです。
  111. 藤原道子

    藤原道子君 わかりました。それならば適正なる徴収をしているのであつて、今までは少し行過ぎの点があつたことはお認めになつているわけですね。この締めるときにおいて、地方においてあなたの趣旨が十分徹底しないで、機械的に締めて来た点があつたということは、あなたはお認めになつているわけですね。
  112. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 私ども実は府県から諦め過ぎて非常な非難をこうむつているという話は、今まで聞いておらないのです。今申しましたのは、或る県で一度この春にやつて、そうしましたところが、先ほど申上げた子供が来なくなつたので戻したということは、これは聞いておりますけれども、そのほかに府県がもう締め過ぎてどうこういうものが全国的に起きているということは私は聞いておらない、どちらかと申しますと、今の府県はなお本省、中央の態度が、態度と申しますか、中央のほうで十分赤字の裏付をしてくれるというしつかりしたものを示してくれるまでは、自分のほうで積極的に動くのをむしろ躊躇しているようなきらいがある。私どもは何遍会議を開いてみましても、やはり府県ではそこまで補償してもらえないことには、現実にそういう恰好が出ないうちは、安んじてやれないというのがあるのでございまして、中にはままお話ようなものが、それはあるかも知れませんが、私どもとしては大観して見ますと、むしろ今のところでは府県も日和見的な態度であるというように感じておるわけでございます。
  113. 藤原道子

    藤原道子君 私も今日は皆さんのお時間のこともありましようから何ですが、ただ一点お伺いしたいことは、そういう行きすぎがあつた場合には、そういう点は十分指導して頂きたいということが一点、それから赤字があつた、適正にやつてもなお且つ足りないという場合には、あなたがたのほうでそういう補いというか、徹底的に指導して頂きたい。  それから現在毎年百五十人ぐらい申込んでも三十人くらいしか入れない。百人申込んで二十人しか入れないというような例があつて、それでなお且つ不幸な環境の下に放置されておるという子供に対して至急に保育所の増設をするなり、或いはどうしても増設ができない場合には、今の基準の、この〇・六坪ですか、ああいうものを少し緩めても、現実に街頭に放り出されている子供を何とかしようというようなお考えがあられるかどうか。この基準をはつきり守つてつて、そうして新たなる施設をお建てになるかどうか。この子供に対する根本的な対策を私は一つ最後にお伺いしておきたいと思う。
  114. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 御注意のありました点は十分注意して参りたいと思います。最後の今非常に放置されておる子供が多いんだから、今の基準を緩めるとか、或いは増設のお話でございますが、これは保育所はいろいろ御支援も頂きまして年々非常に伸びております。予算的にも今年は昨年の倍以上に殖えております。併しそれでもなお且つ全国の需要には満たない状況であります。この点は今後一層努力いたしまして殖やして参りたいとは存じます。併しその間に、今度はそれまでの間、この今の最低基準というものを無視して入れるという問題になりますと、これはちよつと問題が実はあるわけです。保育所には御承知通り、やはり他の児童福祉施設と同じく最低基準というものがあります。これはそこの保育所の運営がうまく行くために作られたぎりぎりの最低基準なんでございまして、これを無視してやりますと、最低基準というものの意味をなさなくなるわけでございます。同時に財政当局から、最低基準というものはそれなら要らないじやないか、予算の範囲内でうんと無理してもやつてくれ、こういうことになりますると、従来は財政当局も最低基準を尊重して、それにかかる経費を見てくれたものが又とんでもないことに発展する虞れもございます。  それからもう一つ、最低基準のこの〇・六坪というのは、それは私どもはその問題よりも、保母さんが今幼児については三十人に一人という基準がございます。この基準は施設長などに言わせますと、もう少し無理してもできる、こう言うのであります。併し肝心の働く保母のほうに開いてみますと、自分たちはこれよりも楽にこそなれ、決して切下げるようなことは困るという意見が多いのです。それでこの保母の気持というものは私は実は尊重して行きたいと思うわけです。で、街頭に入りたくても入れない人がおるからこれを救つてやるために余り無理をいたしますと、今度はそこに働く保母の連中のオーバー・ワークになります。それは施設によりましては子供の数が殖えただけそれに応じた保母を又入れてくれますが、やはりそれにいたしましても、この保母さんに言わせますと、適当なスペースの下に子供を取扱うのと、或いは狭苦しいところにごちやごちや入れられて取扱うのとではとても違う、疲労の程度が違う。こういう問題もございますし、それから中には保母さんの増員をしないで子供だけ殖やすというようなところもあるので、ですから一概に最低基準というものを、今街頭になお入れたい子供がいるからといつてこれを無視してやるということになりますと、私どもはそのために却つてこの働く者、職員等に迷惑をかけることも起きてはいかんというふうな気持もしておるわけでございます。で、この問題につきましては、この夏石川県に開かれました保育事業大会においても、決議としてこれを検討してくれということが出ております。それで私はその際に、検討してくれというのは、いつでも検討しておりますけれども、やはり検討してくれというだけの理由を明示してもらいたい、その理由を伺つた上で私どももこれを十分検討するからと、そういうことでいたしております。又その理由を衝いた文書が私のところへもうじき来ると思います。その上で十分に検討してみたいと思います。そのようないきさつがございまするので、この最低基準を無視してやるということは、私どもとしてはこれはそう簡単に行けないというふうないろいろな点を考えて参りたいと、かように思つております。
  115. 山下義信

    ○山下義信君 まだ藤原委員の御質疑があるかも知れませんが、ちよつと私は中間でお願いしておきたいんですが、今問題になつておる保育所は言うまでもなく児童行政の中の一部分でありまして、これは大切なことでありますが、私は今藤原委員の児童福祉行政の強化について御心配下さつておることは我々も同感です。ここに皆さん、この質疑応答を辛抱して謹聴しているのも児童福祉行政に非常に熱意のあるゆえんなんです。それで厚生省のほうで児童局長さんが今回更迭されたので、従つて来る二十九年度の予算に大蔵省のほうに要求されたものは児童局長としての抱負がそこに初めて盛られるものなんですね。それで省議でどういうふうになつたか知りませんが、私は席を改めて頂いて、児童局長は一体児童福祉行政にどういう抱負を持つておるか、二十九年度には児童福祉関係でどういう要求をしておるか、我々において大いに援助すべき点があれば、どういうことをお手伝いしたらよいか、そういう国会に対して要望なり何なり思い切つて一つ話して頂いて、今日の児童福祉関係の白書というか、いろいろなことも資料を取まとめて委員会へお話つて、我々もお手伝いするところは十分お手伝いしますから、それで根本的には児童福祉行政を強化するゆえんはここで実は今言つたつてつまらんことであつて、例えば根本的には児童委員の選任の制度、或いは児童の厚生施設の積極的施策とか、或いはこの間児童局長の腹案として新聞に示された、私は大賛成しておるあの地域活動ですね、児童を愛護するためにそういうものがその地域において連繋してこれを包括的に一つ保護して行こうという地域活動、私は大賛成、ああいうことを進めて行くのにはどうするか、その他従来我々信じているのは児童福祉関係についての外郭団体を強力にしなければならないんですね、それを結成するというか、全国民に呼びかけて大きな国民運動にするのにはどうするか、いろいろ抜本塞源的なあなたの御構想があろうと思う。私はだから児童局長に期待しておる。おべんちやら言うんでなく私は期待しておる。あなたにも相当の抱負があろうと思いますから、これは席を改めて頂いて児童福祉行政全般について、我々も勉強して参りますから、改めて一つ児童局の全般的な将来の構想等も資料と一緒に話して頂いて、私どもお手伝いして、国会として大蔵当局のほうへ予算の編成中ですから要望することがありましたらお伝いして行くということにして頂いて、これは一つ児童福祉関係を全面的に委員会が取上げて論議する日を他日に一つ作つて頂いたらどうかと思いまするが、如何でございましようか。
  116. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 勿論賛成でございます。
  117. 山下義信

    ○山下義信君 ですから、要すれば休会中このために一つ特に委員会を開くように御配慮願いたいと思います。
  118. 藤原道子

    藤原道子君 委員長にお願いしますが、今日は本会議もあることですから、山下先生の御都合もおありでございましようから、私もこの程度にいたしますけれども、必ず審議ができるようにお手配願いたいと思います。その日時等については事前においてお打合せ願えれば、この休会中はいろいろそれぞれ用事がございますので、是非ともこれはやつて頂きたいと思います。
  119. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 実は理事会と委員会は明日開くことにいたしておきまして、議題がないようなものですから、朝からはどうかと思いますから、午後一時から理事会を開き、そして委員会を開く、こういうことにしておきまして只今理事打合せをしておく、そうして明日そんなこともいろいろと御相談申上げることにしたら如何でしようか。今日は大分時間も遅くなりましたから、それではもうちよつとでございますから。   —————————————
  120. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 次に派遣議員報告を議題といたします。これはもう報告書が出ておりますからこれをそのまま速記に載せることにいたしまして省略いたします。各班の報告及び要望事項等については政府において十分考慮せられたいと希望いたします。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会