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説明員(山口酉君) 行政
管理庁で
日本国有鉄道の
調査をいたしましたのは九月以降でございますが、実はまだ全般的に
調査が終了いたしておりません。中間の段階でございますので数字等も多少最終的には変動が起るかもわかりませんですけれども、一応現在までにわか
つております概要を申上げることにいたします。
行政
管理庁のほうで
日本国有鉄道の
業務の一部につきまして
調査をいたしました
目的は、この前の十六国会で
国有鉄道の
業務運営に関する問題が論議されまして、新聞紙等にもいろいろと報道をされましたので、国民の間に相当疑惑を持たれておる虞れがある。で、それらの点につきまして、若しも
運営上遺憾があるとするならばできるだけ早い機会に直して行かなければならないというような観点から、まあ将来の
運営改善ということを目標といたしまして
調査をいたしたわけでございます。
国有鉄道の問題につきましては、非常に
業務が広汎でございますし、なかなか行政
管理庁の現在の監察
関係の職員ではそう短
期間に終了することもできませんので、当面問題にな
つておりました
国有鉄道の
財産の運用状況を主といたしまして
調査をいたしたわけでございます。その結果、まだ最終的結論に到達はいたしておりませんが、大よそ現在のところで見通しを立てております点を申上げますと、やはり現在の運用状況におきましては、かなり改善すべき余地があるということでございます。
その一つは、
国鉄用地のうちに相当無料又は無断で民間に
使用されている、成規の手続がとられていないで民間に
使用されておりますものが相当に見受けられるのであります。これは主として予定線のまだ買収をしまして線路を敷設する前の用地でありますとか、それから廃止をいたしました線路のあとの仕末でありますとかいうものがまあ面積的には多いようでございます。一部は弾丸道路の予定線などにつきましてもそういう事例がございます。
で、その次の問題といたしましては、
国鉄の用地を外郭的団体と申しますか、非常に密接な
関係のある団体などに
貸付をされてありますものが、これが多少
言葉は適当でないかも知れませんが利権化しておりまして、これらのものが中間で相当な利益を得て、これを他の民間の営利
事業などに
利用しておる、転貸をしておるというようなものがかなり出ております。そのほか当初
目的を指定して
貸付をしておるのでございますが、その
目的外の営利
事業に
利用されておるというような事例もございます。
それからもう一つの問題といたしましては、構内
営業料の算定の
基礎といたしまして、
日本国有鉄道の構内
営業の規則によりますと、料金の算定の
基礎は売上高をと
つておるのであります。一般には売上高の千分の十というようなものをと
つておりますが、この売上高が十分に把握する途が講ぜられておりませんために、相当に何と申しますか、事実よりは相当寡少の
報告をされておる。従
つて料金面におきましても、もう少し取れるものが取れていないというようなものが相当にございます。一般的に申上げますと、かように
財産運用の面につきまして疎漏と申しますか、十分でない点があるのでありますが、全般的に少し、こういう方面の
国鉄の収入のほうから申しますと、雑収入ということで整理されておるのでありますが、運輸収入から比べますと金額的に非常に少いというようなことからであろうかと思いますけれども、比較的軽視されておるのではないかと思う点がございます。それは、こういう方面を担当しております人員の配置などにつきましても、この件数からいいますと万を超える件数でございますので、それが相当公正な取扱を受けるためにはかなり人員の配置などでも配慮すべき問題であろうかと思いますけれども、比較的軽視されておるような傾向が見受けられます。こういう点につきましては、将来改善を要するのではないかと
考えております。
それから全般的の状況を申上げたいのでありますが、この前の国会で実は内閣
委員会のほうで御
発言がございまして、当時
鉄道会館の問題が出ておりましたために、
鉄道会館についても調べるようにという御
発言がございました。その
関係で
鉄道会館についての
調査もいたしておるわけでございます。その点を附け加えて申上げます。
鉄道会館と申しますのは、これは
東京駅の、恐らくもう御
調査にな
つておると思いますのて簡単に申上げますが、
東京駅八重洲口に新らしく
鉄道八十周年を記念いたしまして、首都の表玄関にふさわしい駅舎を建設するという
目的で計画されたものでございますが、これを計画するに当りましては、
国有鉄道の内部に建設
委員会を設けまして種々討議をし、そうしてこれが設けられましたのが二十七年の五月二十三日にな
つております。それから七月の三日に、当時
国有鉄道に
管理委員会がございます。現在は
性格が変りまして経営
委員会とな
つております。その前身の
管理委員会にかけて決議をされております。大体の情想といたしましては、十二階建ての駅舎を建てる。併し
国鉄といたしましては建設
関係に資金がたくさん必要でありますので、民間の資本を導入するという構想の下に特別の
会社を作りまして、そうしてその
会社と共同でその
事業を遂行するような建前にいたしたのでございます。その
関係で前
国鉄総裁の加賀山氏に依頼をいたしましていろいろの準備を進めたのでございます。
契約いたしましたのは九月の二十六日に基本
契約が成立したことにな
つております。これは
契約条件の提示を
国鉄総裁から九月二十五日にいたしまして翌日の二十六日に加賀山氏から請書を提出するという形式で、基本的なこれは極く概括的なものでございますが、その基本
契約が成立いたしたことにな
つております。で、この
契約におきましては、詳細の点がきま
つておりませんので、その後細部については協議をしてきめるということにな
つておりますので、実質的に
契約が確定して参りますのはそれぞれその項目によ
つて後日になるわけであります。外れ大きく変更いたしましたのが二回ございますが、それは駅舎の十二階建の
建物のほうの建設
工事費の負担につきまして、今年の七月十四日と、それから八月の八日と二回に亙
つて改訂をいたしております。この改訂はどういうことかと申しますと、当初は、附帯は、一階以下の
部分については、高層の
部分を附加するために、その十二階を建てますために下のほうも相当強化しなければならないわけであります。その強化される
部分の費用は
会社の負担とする、一階以下のその他は
国鉄の負担とする、それから二階以上は全額
会社の負担とするということにな
つておりましたのが当初の
契約でございます。それを本年の七月の十四日に改めまして、土工
基礎及び附帯については、採算区分による
建物の室
内容積の比率によ
つて負担を分けるということにいたしたのであります。で、この結果大よそ
国鉄のほうが三五・四二%、
会館のほうが六四・五八%というような比率にな
つたのであります。これを更に改訂いたしまして、八月の八日の、つまり現在のところではまあ最終的の改訂におきましては、土工
基礎及び附帯の
工事費は
建物の室
内容積の比率によ
つて按分するものとして、一階
部分に相当する
工事費を
国鉄の負担とし、他は
会社の負担とするということになりまして、この前の改訂のときですと、大体地下一階以下が
国鉄の負担にな
つて参るのでありますが、その
部分も
会社の負担にするということに改訂いたしました。その結果大よそ
工事費の分担比率を算定いたしてみますと、
国鉄の負担が二二・四二%、
会館のほうが八六・五八%というような比率になるようでございます。で、大分
国鉄のほうの負担
部分が軽くな
つて参
つております。
それから私どものほうの
調査で、将来
国鉄のああいう問題の取扱方としまして
如何か、将来改善する必要があるのではないかということを現在の段階で
考えておりますことを申上げますと、一つは高架下というのがございます。現在十五番線という所まで線路が敷設されておりますが、その下が高架下ということでございます。それからそこと、今度十二階建を予定いたしております場所との間が多少空いておりますが、そこに連絡上家を作ることにな
つておりますが、この二カ所が相当
部分鉄道会館側に
利用されることにな
つております。で、連絡上家のほうは現在まだ半分しかできておりませんが、この
関係について見ますと、現在までの
工事費の分担におきまして、全体の
工事費が五億五千四百七十五万八千円ほどでございます。そのうち
日本国有鉄道のほうの負担が二億五千二百八十万円、それから
鉄道会館のほうの負担が三億百九十五万七千円何がしということにな
つております。この
鉄道会館のほうの負担が三億百九十万円余でございますが、いわゆる名店街というものをあそこに作
つて、
鉄道会館の
使用をします
部分を業者に貸して
営業をさせておりますが、その人たちから前家賃という形式で、すでに三年分に相当します三億四百七十五万四千円というものを収納いたしております。従
つて大体におきまして
会館が負担いたします
工事費は、この前家賃で賄うことができるということにな
つております。現在の取扱状況で参りますと、将来年間約一億ほどの利益があそこから
鉄道会館に上る模様でございます。で、まあ非常に有利なことにな
つておりますので、これらの点につきましては、
国鉄側におきましても、雑収入部面に相当注意を払う意味から将来再検討をして何らかの改善をする必要があるのではないかということを
考えております。
それから
土地の
使用料の基準になります、現在基準といたしております地価の評価におきまして、あそこを十万円と一応評価いたしておりますが、これについては、あの近隣の売買実績等から見ますと再検討を要するのではないかと思
つております。で、今全般的にああいうふうな民間の資本を導入いたしまして駅舎を作る方式を
民衆駅という
言葉で言い現わしておるようでございますが、いわゆる
民衆駅と言われますものも、すでに全国ではかなりの数に及んでおりますが、それらの取扱をいろいろ
調査いたしまして比較してみますと、かなり取扱が区々であるようであります。で、それらの
仕事に携
つておりますものも、或る所では非常に苦しい条件を課せられ、或る所では非常に楽な経営ができるというようなことにもな
つておりますし、その
土地の
公共団体等のこれに対する
利用関係から申しましても、いろいろ違
つた状況が見受けられます。で、これらの点につきましても、相当方針としまして統一する必要があるのではないかと思うわけであります。幸いに
国有鉄道のほうでは、この
土地、
建物等の評価の問題につきまして、まあ反省と申しますか、再検討を加える必要を感じられて、十月一日から評価
委員会というものを設置いたしましてそれから
只今申上げました
民衆駅の
運営につきましても、
民衆駅の
運営委員会というものを設置することにいたしまして、広く利害
関係のあります者とか、或いは学識経験者等の意見を容れまして、将来
運営の改善をして行こうという体制が一応できておるように思
つておりますので、私どもといたしましては、その状況を暫く見守るということが適当ではないかと
考えておるわけであります。極くあらましでございますが、まだ中間でございまして、最終的な取りまとめをいたしておりませんで、一応この程度の御
報告を申上げておきます。