○一松政二君 御苦心のほどは私もおよそ想像がつくし、大体憂いを同じくしておるものでございます。これは
日本の国全体について私最も憂えておる点なのであります。今日のような無責任な、殆んど国民全体の個人々々に至るまでが非常に無責任に亙るような
考え方に大体な
つておる。そうしてもう或る
意味においては国民的に或いは麻ましておる。保全
経済会みたいなものが起
つても、他人に金を任しておいても、そいつに何ら危険を感じない人が国民の中にたくさんいる。類似の金融機関な
ども随分たくさんあるのですが、昔なら取付けが必ず起
つておる。それがさほどに感じないほど殆んど自分の財産を擁護するすべも、何か他人がしてくれる、自分自身の財産についても無責任にな
つておるような私は気がしておる。従
つて日本の国民
経済自身の行方を非常に私は心配しているんだけれ
ども、どうにもならんで、まあ我々もその水に押し流されて、場合によ
つたら或る
意味においては絶望感を抱きながらもその日を過しておるというようなことを言わない限りでもない。みずから恥ずるわけなんですが、これは
国鉄の問題ですけれ
ども、私は裁定に特に関心を持
つておるのは、
日本国民
経済自身の行き方に問題があろうと思う。その縮図が
国鉄へ来ておる。それは
一つや二つの
企業は、或いは公共
企業なら
公共企業体で
一つや二つ或いは三つや四つは、ただそれの
経済の取り方
如何によ
つては、そういうことはできるでしようけれ
ども、
日本国全体としたら
日本国の
経済に裁定を下すものはいないんだ、
日本の国はこれだけの賃金をその国民に与えて、これだけの標準によ
つて生活をすべしという裁定を下して下さる世界の法廷はどこにもないし、その財源を
日本に恵んで下さる篤志家も世界にはないわけです。それだが国の中には法律があ
つて、そうしてそういうことを言えばまあ何とかせなければならんということになるが、併しそれはやがては国全体に及んでしまう。そうすると、国全体に及んでしま
つて、そうして国が貧乏をして、戦争に敗けてこれはもう貧乏にな
つておるのですから、国全体の我々の
考え方が、戦前の生活の水準が、許されるはずはない。これを許そうとすればそれに
相当するだけ我々は働くか、働いて物を作り出すか、或いは生活程度を切下げて戦前一人で食
つていたものを戦後は敗けて貧乏にな
つたから二人で分けて食うか、積極的に行くか消極的に行くかどつちかでなければ、この解決方法はないと思います。それで一番これは気の毒だけれ
ども、国の資源というものはそいつはどうにもしようがないですから、人間が一応凌ぐよりほかに私は方法がないと思う。従
つて国鉄のような問題の場合には、やはりその難関を切抜ける期間というものは、この従業員が
知つておる。
経営の合理化その他できるだけのことは無論やらなければならないけれ
ども、それから生まれて来る給料が思うように取れないということは、これは私は或る程度ひとり
国鉄の従業員だけでありません。
日本国民全体がこれを忍ばなければ私は解決はつかんものだと思うのです。その縮図がすでに
国鉄に来ておる。従
つて国鉄を五年か十年でこれを食い潰そうと思えば食潰せる。やりたいことをやらずに、そうして食
つて行けば、何年かにはなるけれ
ども、先ほど申したようにそれは恐ろしいことなんであ
つて、どうにもこうにもならんようになる。私はまあ
日本国がそうなりはしないかと心配しておるんですが。そこでまあ私は今さつきのあなたのお
考えのように、これはやはり早く、できるだけ早く、もつと抜本的に
考えなければならんと思う。この
企業体のあり方、及び今後の又今までの
新線その他
国鉄の
経営状態からい
つて、それと
日本の財政も今日まで来ればもう糸を引張
つたように
なつちま
つて、今までは個人が貧乏して国が税金をとり上げても、幾らかゆとりがあ
つたけれ
ども、それも食い潰してしま
つた今日なんですから、過去二、三年の行き方は将来二、三年はこれをや
つて行けない実情にあると思うんです。従
つてこういう
国鉄の苦しい状態に追い込まれて買いたい品物も買えない、修繕も繰延べなければならん、従業員は従業員で裁定の問題にぶつか
つておる。そうして前途は私は決して明るいと思いません。むしろ暗いと思いますから、やはりこれをそのまま行な
つておることは、やりたいことをやらずにそうして食
つて行けば何年かにはなるけれ
ども、先程申したようにそれは恐ろしいことなんであ
つて、どうにもこう無責任のことなんです。これは私がさつきから言
つておる
通り、国全体が恥じるほど国全体が無責任にな
つておる。やはりこういう機会を捉えて、長崎さんはまあ
国鉄の
関係に立
つてどうしたらいいだろう、このまま行けばこう行詰る、こういう状態にな
つておると、声を大にして
関係当局者或いは
国会に、私は近頃流行の白書でなくて——白書ではなかなか読むだけではぴんと来ないものなんです、やはり党派を超越して、こういう問題を、このままその場さえ過ぎればいいという行き方が、今までの無責任な……私もその無責任の一人に数えられるわけですが、お互いに無責任にな
つておるが、どこからかこういう問題は
一つほごして行く努力がお互いに必要なんじやなかろうかと、まあ
考えるわけなんです。先ほどそういう問題で触れられましたから、私はそういう機会をおこしらえにな
つて、できるだけそういう問題をこういう機会にさらけ出して国民の前に私は訴えてもらいたい。そうして今の
電化の問題、その他についてもこれは非常に国内で
資金の捻出方法がなければ外資によるなり、何なりしてそうして金がないから仕事をしない、仕事をしないと失業者が起るが失業手当は出さなければならん、遊んでお
つて食わせなければならん、国民が遊んでお
つて食うほど馬鹿らしいことはないわけなんです。お互いに何らかの形においてこれは親類縁者でもあれば個人が負担するか、国が負担するか、社会が負担するかしてやはり何らかお互いに餓死させてはならんのですから食
つて生きているわけです。その間に遊んでる人があ
つてそうしてやるべき仕事は山ほどあるのにやらないでいるほど
国家経済として私は一番不
経済なことはないと思う。
国鉄な
ども私は
新線の問題などについても四国にこの間
行つたときに自分自身の
考えをぶちまけて、そうしてあなたがた自分で
線路を造るだけの勇気を出しなさいと言
つて話して来たこともあるのですが、何らかこれはお互いにただその場限りの財源を捻出すればそれで事足れりと……それでと
つて見て仮に十円の価格でも搾りと
つて見ても搾り滓がなければもう搾れないのです。今のような状態で行けば何年かどころかもうた
つた今でも搾れなくなります。でありますからもう三年も五年もこういう状態をずつと毎年々々続けて行けば
国家財政にもそういうゆとりがない、
鉄道もそういう状態にな
つて来ております。どうか
一つそういう私は裁定を
考えるのにもう一歩掘り下げてそういう、これはあなたじやございませんが、仲裁
委員にこういう裁定をなさるその前提に立
つて私はものをお聞きしたいと思
つているけれ
ども今日はまああなたがその席に坐
つていらつしやるから
国鉄に限
つておりますけれ
ども、どうか
一つそういう機会にその熱意を持
つて一つ緒をできればほぐす、或いは緒を与えて皆に重大なる関心を持たせるように呼びかけて頂きいと思います。以上の質問を以ちまして今日のところはこれで私の質疑を打切
つておきます。