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1953-11-11 第17回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月十一日(水曜日)    午後一時五十分開会   —————————————   委員の異動 十一月九日委員田中一君辞任につき、 その補欠として片岡文重君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            木島 虎藏君   委員外議員            海野 三朗君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道電    気局長     並木  裕君    日本国有鉄道経    理局主計課長  長尾 頼隆君   —————————————   本日の会議に付した事件運輸一般事情に関する調査の件  (国鉄一般問題に関する件)  (私鉄一般問題に関する件) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会の議決を求  めるの件(日本国有鉄道)(内閣送  付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず運輸一般事情に関する調査を議題といたします。  只今の件に関しまして委員外議員として電化問題について海野三朗君から発言を許可せられたいとの申出がございますが、委員外議員として発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。海野君。
  4. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 国鉄当局に対しましてお伺いいたしたいと思いますことが二、三あります。  その先ず第一段といたしまして人事問題についてであります。これは地方の或る一人事でありまするが、小さい問題のようであつて全体を推すことができるのであります。一昨年山形におきまして職員が保険金の費消をした事件がございました。そのときにおける国鉄当局としての裁断の仕方、そのことについてお伺いいたしたいと思います。当時私が山形におりまして警察当局のほうとよく知つてつたものでありまするから、その事件を私がよく知つてつたのであります。これを消費した人間は勿論収監されましたが、その上の係長も引つ張つて行つたのである。そうして罪を犯した者がいずれ刑に処せられたのでありましようが、その監督の任に当つておる人たちは頬かむりして知らないふうをしておる。私は非常に嘆かわしいことであると考えておつた一人でありますが、世間の評判もそういうふうでした。国鉄という所は元来伏魔殿である、こういう地方評判である。そのときのこの人事如何にして裁かれたか、そういうことを私はお伺いしたいと思うのであります。
  5. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 実は非常に我々の事業も区域が広いのでございまして、只今お話については、詳細については私、恐らく報告を受けたと思いますが、明確に記憶いたしておりません。従いましてその内容等については後日調査いたしましてお答えいたしたいと存じます。併しながら事の次第によりましてはやはり監督の責にある者も当然私は何らかの処分をされるべきものであり、又すべきものである、かように考えます。そういう点で間違いがございますれば今後是正して参りたいと存じます。
  6. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この問題は後日重ねて御報告をお願いしたいと思います。  次に管理部の問題でありまするが、山形から管理部秋田に移管されました。それによつて山形県の農民たちがどれほど困つておるか。山形県から産する洋梨のごときは一人で十万、二十万という洋梨を皆腐らしておる。それは貨車の配給が円滑に行かないからであります。秋田管理部を移転することにつきましてはGHQ相当な人が山形に置くべきものである、山形に置くのが当然であるとその当時述べられておつたのでありまするが、いつの間にか秋田管理部が持つて行かれたのであります。これは地勢上から考えて、当然であると考えておられるのでありましようが、昨年の十月の選挙に当りまして、秋田県においては、山形から強引に管理部を奪い去つて来たところの殊勲甲候補者であるから、これに投票せよと、これで以て選挙の武器にしておつた者があるのであります。又秋田に移転するにつきましては、かなりな芳しからざる風評を私は知つておりますし、又事実も知つているのであります。私はこの管理部秋田に持つて行つたその結果について国鉄当局がどれほどの利益を挙げているか、過去三、四年前からの仙台鉄道管理局新潟鉄道管理局、それに比較して秋田鉄道管理局がどれだけの利益を挙げているか、その資料の提出をお願いしたいと思います。この移転によつてども山形県民は非常なる不利益をこうむつているのでありまするが、これに対しましては、国鉄当局におかれても東北地方開発、これが叫ばれていることは御承知通りであると思うのでありますが、交通地方文化開発に絶大なる役割を演じているものであつて管理部管理局にして秋田に持つて行つたということが、果して東北開発ということに対してこれでよろしいのでありましようか、私は非常な疑いなきを得ないのであります。国鉄当局の御所見を伺いたいと存じます。
  7. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 鉄道管理機構をどういうふうにするのが一番いいかという問題は、これは非常に研究に値いする問題でございます。私はその当時追放中でございまして、一向その間の経緯は存じません。存じませんが、曾つて本省があり、その下に地方鉄道局があり、その下に管理部があるというふうに、三段制の監督組織になつてつたわけであります。これでは余り複雑過ぎるじやないかというような意味合いであつたろうと私は存じますが、もう少し簡素にして重点を置かれるような組織にしたらいいじやないか、その結果、その中間の管理部という組織をやめまして、そうして只今で申しますと本省管理局という二段制に持つて行つたほうが、簡易にして明瞭な経営組織になるのじやないかというふうな考え方から実行されたものと存じます。この組織が果して効果を挙げているかどうかという点については今なお我々は非常に注目をして、考究をいたしているわけであります。私どものように古く国鉄に御厄介になりました者にとりましては、何だか昔の三段制のほうがいいようにも考えます。併しながらこれ又昔の三段制ということは少し複雑過ぎやせんかというような議論もあつたのでありまして、この問題については、今後とも十分なる注意を払い、改善する方向に私は進んで行かなければならん、かように考えております。
  8. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 東北の住民の所得水準が全国の平均を一〇〇といたしますと六六にしか所得水準が達していないのであります。天然資源東北が乏しいかと申しますると決してそうではない。あらゆる点について底力を持つておるのでありまするが、交通の点から考えますと、山形県内におきまして、県内を旅行するのに三度も乗換えなければならない。又山形県内におりながらも一日で山形県庁行つて仕事をして帰ることができないのであります。例えば鶴岡のごとき、山形県庁に来て用事を果してその日のうちに帰れない。こういうふうなことが地方文化に対しまして、非常な悪影響と申しましようか、非常に不利益な大なるフアクターになつておると私は考えるのでありまするが、国鉄当局におかれましては如何ようにお考えになつておるのでございましようか。
  9. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 御承知のように、従来の、と申しますよりも、戦前の日本経済というものは、ほぼ南方に向つて依存しておつたと私は考えるのであります。例えば朝鮮或いは台湾或いは中華民国というふうな方向に、取引と申しまするか、交通と申しますか、そういうような方向に流れておつたように私は考えるのであります。然るに戦後におきましては、そういう南方に向つて依存性というようなものはことごとく断ち切られまして、今度は北海道乃至は東北方面に向つておる。従いまして東北方面或いは北海道に向つて交通路が非常に狭隘になつておるということは事実でございます。従いましてこれが改善については今後格段の努力をいたして参るつもりでございます。ただ遺憾ながら資金その他の制約を受けまするので、急速なる実現ということは非常に困難だろうと存じますけれども、とにかく一定の計画の下にそういう方向に進んで参りたい、かように考えておる次第であります。又ローカルのサービスというような点につきましては、これも又デイーゼル・カーその他の運転によりましてできるだけの改善を加えて参りたい、かような考えを持つております。
  10. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 釜石及び塩釜貿易港であります。このことは申すまでもない。そうしてこの裏日本と表日本とは、これを繋いでおりますところのこの仙山線というもの、この仙山線がフルに動くか動かないかは釜石貿易港が働く働かないか、そういうことに重大なる関係を持つておるので、山形地方の産物がこの仙山線塩釜を通さないで皆東京、横浜のほうにたくさん流れておるという現状を、国鉄では如何ようにお考えになつておるでありましようか。この表日本裏日本との文化を結ぶということは、今日何よりも大切なることではないかと、こういうように私ども考えるのでありまするが、国鉄当局におかれましては如何ようにこの仙山線をフルに動かすということをお考えになつておるのでありましようか。現在はこの仙山線は途中一部分だけが電化されまして、その電化たるや、或いは過去においては国鉄がちよつとおもちやにあそこをおやりになつたのではないでありましようが、あたかも山形から仙台まで行きまするのに、途中山寺機関車電気機関車に替えて、作並行つて電気機関車蒸気機関車に替えて、そうして仙台に行くということになつておりまするので、これが十分働くか、働かないかは塩釜貿易港となり、釜石貿易港となり、それがこの裏日本の発展上如何なる地位を占めておるとお考えになつておるのでありまするか、この当局の御所見を承わりたいと存じます。
  11. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 表日本裏日本とを結ぶということにつきましては、これはやはり重要なる一つ交通路として考えなくちやならんということは申すまでもないのであります。ただ御承知のように日本地勢が丁度真中に連綿たる山脈が連なつております。この山脈を横断するということは非常に困難なことでございまして、従いまして線路も必ずしも良好なる線路じやない。勾配が多い、或いはトンネルが多いというふうな次第であります。仙山線電化も当初はあの長大なる隧道の煤煙を避けるというような意味或いは牽引力をつけるというような意味電化されたものでございます。  なお塩釜の問題につきましては、私どもは戦争中海運から陸に上つて来た荷物は、できるだけ海のほうに持つて行きたい、そうして昔のやはり自然の姿、海運によるべきものは海運により、鉄道によるべきものは鉄道によるというふうな姿に持つて行かなければならんと考えておりますけれども、通貨その他の関係からいたしまして、なかなか一旦陸上に上りました荷物は、船舶のほうに行かないというのが実際の状況ではないかと思います。
  12. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この仙山線電化につきましては、御当局においては如何ようにお考えになつておるのでありましようか。この仙山線電化は、昨年も、一昨年も地方関係町村挙つて陳情に及んでおるのでありまするが、国鉄当局におかれましては如何なる御所見を持つておられるのでありましようか。
  13. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 電化只今非常に流行でございまして、あすこも電化ここも電化と申すのでございますが、電化については又電化についてのサービスの上の問題だけでなしに、経営の面から一つの何と申しますか、基準と申しますか、方向と申しますか、そういうものがあるのでございます。電化をすれば、只今のところでは国鉄経営はよくなります。併しそのよくなると言いますことは、電気機関車の走る距離が非常に長くなる、一遍に走る距離がずつと長くなります。蒸気機関車よりずつと長い距離を走るという点、或いは石炭の節約になるという点、そういう点から見まして、鉄道経営もよくなり、同時に又国家経済の上からも利益になる、そのためには短い区間ではこれは余り面白くないのであります。やはり長い幹線区間を先ず先に私は電化をすべきものではないかと考えております。なお仙山線あと作並から仙台までの極く短距離或いは山寺から山形までの短距離ということで完成はいたしますが、それによつて挙げる効果というものは、旅客サービスの上から参りますと非常に結構でございますけれども、それよりも先になすべき幹線電化東海道本線或いは東北本線常盤線電化ということを先ず先にするべきものではないかと考えております。
  14. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 只今仙山線のことを申しましたが、この仙山線山形から続いて米沢まではもう電化されておるのでありますから、この板谷は電化されておりますし、米沢から山形山形を通してやるということは、やはり相当な長距離になつて、その得るところの利益相当なものであると、私は考えておるのでありますが、米沢から以後のことはお考えになつていないのでありますか。
  15. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今どもの立てておりまする計画、これはやがて二十九年度の予算として、いわゆる継続費予算として現われて参るのでありますが、その研究をいたしておりまする計画案の中には、お説の電化ということはまだ考えておりません。
  16. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この東北電化のことを私は申したのでありますが、東海道線とかそのほかの電化よりも利益が挙らないから、それで考えていないというお考えなのですか。
  17. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 我々はますます電化の範囲を拡充して参りたいのでありますけれども資金その他の面、或いは線路重要度輸送力の点いろいろな点を勘案いたしまして、先ず私は東海道線、それから東北本線或いは常磐線という方向に進むのが順序ではないかと考えております。
  18. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 今のお話を伺つておりますと、効果のある方面から先に手を着けようというお考えであると私は存ずるのでありますが、東北が今日まで何故生活水準に達していないのであるかということを申しますと、根本は取残されておつたからであると私は思うのであります。こういうふうに天然資源に恵まれておる、そうして而もこの下積みになつておるこの地方開発して行くということが、民主主義国家建設見地から見まして最も大切なことではないかと考えるのであります。この点につきましては、国鉄当局如何にお考えになつておりますか。とにかく儲けが挙がるほうを先にやろうという、単なるそういう見地からのお考えであるかどうか、それをお伺いしたい。
  19. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私どもは必ずしも利益追求ばかりをいたしておるわけではございません。公共企業体といたしましては、独立採算でなければならんという面においては、やはり営業として、商業として、企業としての経営をいたさねばなりませんが、同時に私ども一般国民の福祉の増進、いわゆる公共性という見地から、新線建設新線建設のごときは、殆んど利益の挙がる見込は、ここ十年やそこらはないのであります。併しながらそれらもあえてなお行なつて行くと、従つて国土開発電気開発に御協力申上げるという建前でおりますから、決して儲かるとか、或いは利益になるという企業体自体利益だけを考えておるわけではございません。国家全体の利益をも私は勘案して行かなければならんと考えております。
  20. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 仙山線、それから米沢線電化、そういうものは後廻しにしようというお考えでいらつしやるのでありますか。
  21. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) あえて後廻しということではございませんが、恐らくそういうふうなことになるのじやないか、それはやはり資金その他の制約を受けるからであります。
  22. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この電化につきましては、交流直流とあることは御承知通り直流でやつた場合と、交流でやりました場合には、経費の点において相当の開きがあるように思うのでありますが、この仙山線電化につきましては、どれほどの経費がかかるとお考えになつておるのでありましようか、大体の御見当を伺いたい。
  23. 並木裕

    説明員並木裕君) 只今仙山線電化には、どれくらいの費用がかかるかというような御質問でございますが、今仙山線といたしまして取残されておる区間は、仙台作並間約二八・八キロでございます。それから山寺山形間が十四・一キロになつております。合計四十三キロになつておりますが、これに対して九億三千七百万ぐらいの大体費用がかかるというふうになつております。
  24. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) これは直流ですか、交流ですか。
  25. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これは直流でございます。
  26. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) もう一つお伺いをいたしたいと思うのでありますが、この車輪でありますが、チルド車輪は、日本ではまだお使いになつていないのじやないかと思うのでありますが、この車輪如何なものでございましようか。アメリカあたりでは殆んどチルド車輪でありますが、日本では何故チルド車輪を使つていないのか、その点をお伺いいたしたい。
  27. 並木裕

    説明員並木裕君) 今のお話は、恐らく車輪のあのタイヤのことであろうと思います。そのキヤステイングを使つていないというのは、日本キャスティング工業の進歩というものと並行して行くものだと思います。これは私技術屋でございませんから、よくあとで調べてお答えいたしますが、恐らくそういう結果日本では使つていないのではないか、かように考えます。
  28. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) チルド車輪にいたしますと、材料の点からして非常な節約ができるのでありまして、今日八割以上は、アメリカはことごとくこのチルド車輪を使つております。更にGHQからもその調査を命じられたことがあるはずでありまするが、国鉄ではどういう関係にあるか判然いたしませんけれども、このチルド車輪を使わないで、在来鋼車輪を使つているのであります。このチルド車輪を使うようになりましたならば非常なこの材料の点において利益があり、又耐久力において相当効果がある。その技術につきましては満鉄におりました相当権威者がいるのでありますけれども、その方面に対しましては昭和二十一年に私が国会に出ました当時運輸省に参りましてこのチルド車輪を使うということについての利益を私は述べたことがあります。その当時結局するところ、在来チルド車輪でないところの工場に紐付になつているからという結論でありましたが、今世界の情勢ではこのチルド車輪を使うことになつて来ているのであるから、どうしてもそうしなければならんのではないかということを私は申したことがあるのでありますが、その後国鉄当局におきましてはそういう方面の御研究はなさつているのでありましようか、なさつていないのでありましようか。それをお伺いいたしたいと思いさす。
  29. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 今私精細なことを承知いたしておりません。併し鋳鋼によつてのいろいろな利用ということは大分進めて参つております。この車輪の問題でなしにそれ以外のキヤステイングのほうは大分やつていると思います。
  30. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) このチルド車輪につきましてはお伺いすることは私は後日に残します。又更にこの山形における犯罪の件につきましてもこれはよく御調査を願いたいと思います。私は結論といたしましてこの仙山線電化するというお考えがあるのか、ないのかそれを率直に私は伺つておきたいと思うのであります。
  31. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私ども只今今後の五カ年計画を立てておりますが、その五カ年計画の中におきましては、遺憾ながらそこまで手が伸びない。結局東北本線或いは常磐線、つまり北に向つて北海道或いは東北と四のほうとを結ぶ幹線を先ず強化しなければならんという考えでおりますので、仙山線のほうまではちよつと手が伸びかねる。奥羽線も無論改良しなくちやなりませんが、電化までは進んで参られないというのが国鉄の現在の資金上その他の面から考えまして経過の現状でございます。
  32. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 今幹線と言われましたが、表日本のほうの幹線をお考えになつて裏日本のほうの幹線をお考にならないのでございましようか。
  33. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今申上げましたように、奥羽線勾配変更或いは操車場強化、或いは羽越線北陸線勾配変更操車場強化ということについても考えております。それはこの計画の中に入れるもりでございますが、遺憾ながら電化までには進んで参れないということを申上げたつもりであります。
  34. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この幹線ということはよくわかりますが、表日本裏日本、そのうちの表日本のほうだけをやつて行こうというお考えなのでございましよう。私はやはり表日本裏日本も同様にこの幹線として考えるべきではないかというように思うのでありまするが、裏日本のほうはこれはもう取除きでございますか。
  35. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私の申上げる言葉が足りなかつたかと思いますが、必ずしも我々は東北本線だけを云々するということではないのでありまして、只今申上げましたように奥羽線におきましても或いは羽越線におきましても北陸線におきましても、その強化勾配変更或いは輸送力の増強ということには十分な計画を立てて今後五カ年間くらいの間に着々進めて参りたい。かように考えておりますので、いわゆる裏日本幹線を閑却しているという次第ではございません。
  36. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) もう一つ私がお伺いいたしたいのでありますが、過日国鉄総裁特別列車に乗つて東北のほうに来られました。新聞の報ずるところで見まするというと、まるで大臣も及ばないようなすばらしい特別列車に乗つて見えた、この人民に与えたところの印象は甚だ芳しからざるものであると思うのであります。これは専門の立場から申しましたならば、インスペクシヨン・カーであるというてお逃げになるかも知れませんけれども特別車に乗つて旅行するというのは日本においては天皇陛下だけである。私は国鉄総裁がそういうふうな特別列車に乗つて来るということは少し遠慮してもらいたいと考えておるものでありまするが、国鉄当局の御所見を承わりたい。
  37. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 特別列車と申されますが、特別列車ではないので、いわゆるインスぺクシヨン・カーなんでございますが、その後いろいろの世論に鑑みましてそれを利用することをやめております。
  38. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 国鉄総裁ともなつておられますると、おつしやる一言が地方民に非常なる影響を与えるものであります。例えば釜石と、あの山田線の寸断いたしましたのが、今日もなお完成せられずにおるわけでありまするが、このときに国鉄総裁としていろいろなことを言われた、それが地方民の非常な憤激を買つておるということを御承知でいらつしやいますか。
  39. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 山田線の復旧につきましては着々工を進めております。憤激を買うようなことを私は申した覚えはございませんので、そういうことは存じておりません。
  40. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 私は御参考のために申上げておきますが、よくもこんな不経済なところにかけたものだということを国鉄総裁として言われた。よくもこんなところに、こんな不経済なところにかけたものだ、それを言われたというのであの地方の人民の非常な憤激を買つてつたのでございます。それで私はやはり総裁ともなられたかたは一挙手一投足にお気を付け願いたいと存ずるものであります。これを以て私の質問を終ります。御参考までに申上げておきます。   —————————————
  41. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。御質疑のおありのかたは順次御質疑を願います。
  42. 大和与一

    ○大和与一君 総裁にお尋ねしたいと思いますが、裁定のことをたくさんお尋ねしたいことがありますが、その前に調停について、北海道の石炭代について先にお尋ねしたいと思います。  人事院の勧告では炭価一トン六千九百円を必要とするというふうに政府、国会に勧告しております。これは今年支給された石炭手当は一トン六千五百円ということになつております。これを六千九百円とする考え方があるかないか。若しこれをやるとしたら金額は僅か四千万円程度でいいわけだと思いますが、これに対してどのようにお考えになつているか、お尋ねいたします。
  43. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) お答えいたします。寒冷地手当につきましては、今度仲裁裁定に伴うベース・アツプが行われるといたしますれば、当然寒冷地手当として必要と思つておりますが、それが確定いたしましたならば支給して行きたいと考えております。
  44. 大和与一

    ○大和与一君 現地の調停委員会では六千九百円でよかろう、世帯主は三・五トン、独身者は一・五トン、こういうふうにきめられて勧告があつたと思いますが、こういうことを十分御承知だとすれば、ベースは上つても上らなくても一体そういうふうなことをするお考えがあるかどうか、それを一つお答え願いたい。
  45. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) 石炭手当の分といたしましては、現在の予算上は六千五百円ということになつておりますので、それ以上今の事情では支給する考えは持つておりません。
  46. 大和与一

    ○大和与一君 北海道は御承知のように今日の放送なんかでも六十センチも雪が積つている。こういうふうに非常に苦労していると思うのです。又電通あたりでは実質的に七千円支給しているということも十分御承知だと思うのですが、そういうことをすべて百も承知だけれどもなお考える余地もない、こういうふうにおつしやるわけですか。
  47. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) 考える余地が全然ないという断言した意味ではありませんが、現在の予算上からはそういうものを今のところ支給する考えは持つていません。
  48. 大和与一

    ○大和与一君 これは一つ是非ともベース・アップがあれば必ずやる、こういうことは言明できるわけですね。それがない場合に、今のところは考えられんとおつしやるけれども、これは是非一つ考えるというふうな考え方に立つてもらつて、そういう意味の御発言を頂きたいと思うのですが……。
  49. 長尾頼隆

    説明員(長尾頼隆君) いろいろ検討は勿論いたしますが、その上でその辺は答えさして頂きたいと思います。
  50. 大和与一

    ○大和与一君 石炭代につきましてはこれで終ります。  裁定問題でありますが、今まで裁定が過去十回出て、それで緒方副総理の私の質問に対する御答弁としては五回完全に実施した、こういうふうに言つておられますが、総裁はどのようにお考えになつておりますか。
  51. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 何回でどういうふうになつているか詳しいことはわかりませんが、私が総裁に就任して以来は完全に実施されたとは考えません。
  52. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると一部実施ということは完全実施ではない、こういうふうにお考えになつておるわけでございますね。
  53. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 仲裁の当事者としては、仲裁裁定そのものが期間或いは金額等について完全に行わないということは私は完全な実施ではないと思つております。
  54. 大和与一

    ○大和与一君 最近国鉄では現下国鉄経営の動向と近い将来の方向、こういうパンフレツトを出された。その中で生産性の点から見れば輸送量は戦前の二・八倍もあるのに対し、職員数は二倍でとまつているので一人当りの生産性が戦前の水準を超えていることを物語つておる、こういうふうに書いてあります。一方仲裁委員会で当局が主張した内容を理由書で見ますと殊更に生産性は戦前を超えていない、こういうふうに主張しておると思います。これは明らかに矛盾しておるのであつて国鉄の労働者の賃金を財源を理由にして低く抑えよう、こういうふうなお考えを持つていることになるのじやないかと思いますが、如何ですか。
  55. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 最近労働の生産性ということが頻りに問題になります。この労働の生産性というものを国鉄のような、というよりも鉄道のような非常な複雑なもの、それについて何を基準にしてきめるべきかということはいろいろそれは議論があると思います。或いは人トンキロ、輸送数量というものを基準にしてやる、或いは列車キロ、いろいろな見方があるのじやないかと思います。殊に大和さん御承知のように国鉄は工場も持つております。そういうふうないろいろなフアクターを考えて見ますと、何によるべきかということは実に議論もあり、見方によつては今おつしやつたように大体戦前の水準に近付いておるのじやないか、或いは多少超えているのじやないかというような見方も出ましようし、或いはフアクターの項目のとり方によつてはそうもならないというようなことでありまして、我々としても非常にそのいずれをとつてどうコンバインしてこれを行くべきかということについては十分な研究途中であります。いずれそういうことはだんだん研究されままして当を得た私は回答が追々出て来るのではないか、かように考えております。
  56. 大和与一

    ○大和与一君 まあ研究途中だから一つは今申上げた二つの内容についてちぐはぐなことがあるわけですが、これはどちらのほうが正しいわけですか。
  57. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今申上げましたようにいずれも多少の理由を持つておるのでありまして、いずれを非なり、いずれを是なりとすることの結論は容易でないということを考えております。  なお先ほど申落しましたが、そういうことを楯にとつて組合職員の給与を抑えるというふうなことは考えておりません。いわんや今次裁定があの通りつておりますから裁定に服するのは至当でございます。
  58. 大和与一

    ○大和与一君 それではパンフレツトのほうが少しはこれは書き方が足りない、こういうふうに理解をしてよろしいでしようか。
  59. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) まあ二つの見方ができるとお受取り下されば結構じやないかと思います。
  60. 大和与一

    ○大和与一君 そうするといずれも正しいというわけですか。
  61. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) いずれも正しくなくて、いずれも正しいということになりますので、(笑声)結局これは見方が二つも三つも出て来るのでありましてどれをとつて全体を包括して行くのか、個々部分をとると又別の部面が出て来るのではないかと思います。
  62. 大和与一

    ○大和与一君 それは一応わかるのですが、これはフアウンデーシヨンですから、それがちぐはぐになつているということはよくないから、適当なものであればそういうふうなお話もわかるのですけれども、片一方はこれでなつていると言うし、一方はいやいないと言うし、相当はつきりした対決した形になつているのですから、どちらかに整理してもらわなければならんと思います。どうも今の総裁の答弁はいずれも正しくもあり正しくもないというので、もう少し発言を整理してもらいたいと思いますが、ややパンフレツトのほうは世の中に媚びておるというか少しそういうようなゼスチユア的な言い方をしているでしようがね。或いは裁定のほうは少し厳しく書いたというか、対組合との関係も考慮して書いたということになるのか、どういうことになるのでしようか。
  63. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 裁定の理由書の中にも的確な判断を下すべきでない、これが究明は主として当局の今後の努力に待つほかないと思う云々とあるので、裁定の面におきましても、そのいずれが是なりや、不可なりやという判断に迷つておられる。それほど労働生産性の判断というものは私は非常にむずかしいと思うのであります。従いまして只今申上げましたように、なかなかどちらがどうで、どちらがこうだというようなわけには行かない。まあ併し私は達観してやや戦前の水準に近付いているのではないか、なお今後の努力によつてはここにもございますように戦前の水準に対してはなお若干の距離ありと判断される、こういうようなことを国鉄裁定で申しております。これがまあ今のところはそんなところじやないか。もう少し頑張れば戦前の水準に達するというふうに私は達観いたしております。
  64. 大和与一

    ○大和与一君 それじや今の結論からすれば、パンフレツトの水準を超えているということは、これは書き過ぎだというふうに理解をいたしてよろしうございますね。
  65. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) さようでございます。
  66. 大和与一

    ○大和与一君 今までの裁定で国鉄当局は他公社に比較して財源事情を理由にして極力ベース・アツプには反対する、こういうような態度をとつて来られたと思う。このことは昨年の裁定の理由書に国鉄当局に誠意なしとこういうふうな主張も裁定の理由書の中にあつたことを覚えております。今度現行の国鉄貸金が実質上他公社と比較して一番低いということは仲裁裁定委員会も認めておるところですが、こういう点はどのようにお考えになつておりますか。
  67. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私ども先ほども申しましたように職員の給与を成るべく抑えつけてそうして上げないようにするというような考え方は持つておりませんが、ただ残念ながらこれには給与の改善をしようというには財源が必要なのであります。然るにこの財源の大宗であります収入、輸送収入面というものは一般国民経済の動向或いは社会政策的な面というところから物価水準に比べますと、極めて低く低位に抑えられている。これも併しながら日本の現在の情勢においてはその方向としては私は止むを得ない方向でもあろうと思いますけれども、余りに低く抑えられ過ぎているのじやないかということを私も痛感する次第であります。そういうふうなわけでございまして、非常に苦しい立場に入つておるのでございます。止むを得ず給与その他、何と申しますか、国民一般に対するサービスそれ自体すらも十分に私はやつて行けないということは非常に遺憾でございますが、結果がそういうふうになつて来てしまうということなのであります。
  68. 大和与一

    ○大和与一君 一番低いことを認めておる、それを上げようという気持は勿論ある、こういうふうにおつしやるわけですか。
  69. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これも又一つの見方でありまして、必ずしも一番低いということではないと私は思います。併しながらいわゆる戦前の状況等から認識をいたしますれば、私はまだまだ改善の要ありと、かように考えております。
  70. 大和与一

    ○大和与一君 それではそういうことが十分わかつておりながら、他公社とのいろいろな比較、こういうことを初めから頭に入れ過ぎて、そうして当然要求すべき、或いは当然受諾すべき裁定案などに対しても、どうも困る困ると、こう言つて逃げておるわけですが、そうでなくて、それを受けるという態度で一応受ける。ではその財源をどうするか。こういうことは次の問題になつて来ると思うのですけれども、そういうふうな基本的な態度で今後は臨まれたいと思いますが、如何ですか。
  71. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私も全く同感で、裁定が下りましたら、それを十分に実行し得るような方向に進んで参りたいと、かように考えております。
  72. 大和与一

    ○大和与一君 昨年の理由書に国鉄当局は誠意がないと、こういうふうに書いてあつたのですが、今年はその点は十分に反省をして裁定に対して意見を述べられたということに確信がございますか。
  73. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 御承知のように、調停案が出た当時からいたしまして、金額については尤もだと思うから、これを受諾してよろしい、併し資金、その他の点を考えると、この実行上非常に困難ありと予想される、そういうふうに答えておるのでありまして、金額の点については裁定は調停と同じでございます。従つて私はその精神においては同様に考えております。
  74. 大和与一

    ○大和与一君 理由書の三項で、調停案に対して基準賃金の額はおおむね了承とこういうふうに回答をなしたように書いてあります。資金上、予算上不可能であつても、十六条によつて調停に応じられる権能を与えられておる。おおむね了承と言うなら、なぜ調停案を受諾しなかつたか。いろいろな理由があろうとも雇用者としての責任で、権限を以て、誠意を以てやると、今のようなお答えがあつたとすれば、当然おおむね了承というところまで気持が進んでおつたならば、調停案は受諾されて然るべきではなかつたか。これについてどういうふうにお考えになつておしりますか。
  75. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 金額の点においては只今お話通りでございますが、何分にも財政的に見まして資金の見通しがつかないという点で、軽々に受諾できないということを申し上げているのであります。
  76. 大和与一

    ○大和与一君 そうするといろいろと今までおつしやつておりますが、おおむね了承ということは、やはり受けなかつたわけですね。只今その点において誠意に欠くるものというか、もう一段当局のほうでこれを受けるという決断をすれば、今までいろいろとお話があつた気持であれば、当然受けられたと思うのですが、もう一遍一つその点どうしても受けられなかつた理由について、おおむね了承という回答をしておりながら、受けられなかつた理由について、もう少し明確にお答えを願います。
  77. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 先ほども申上げましたように、金額それ自体については大体適当であろうと考えるが、併しそれを実施しますに当りまして、財政上の実施の自信を持てないという点がお断りした理由でございます。
  78. 大和与一

    ○大和与一君 今度の裁定は八月頃までの物価状態を考慮に入れて出されたと思うのですが、その後急激な物価の高騰というようなことがあつて、生活上この裁定では職員の生活は非常に困難である、こういうふうに考えられますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  79. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 裁定が出ました際に、その内容についてこれが適当であるかないかというようなことは、私は遠慮申上げたほうがいいのじやないかと思います。
  80. 大和与一

    ○大和与一君 裁定そのものに対して言うのではなくて、実際に八月以後の物価の状態がどんどんと上つて来ておる。こういう事実に対して職員の生活がこれでよいと思うか、非常に困難になつて行く、こういう事実に対してどういうふうに思われるかというのです。
  81. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 職員の給与はよいほどよいのでありまして、私はそれを望むものでありまするが、併しながら給与というものそれ自体について、物価との関連も無論ございますけれども、生計費というものと無論関連がございますが、場合によると或る期間それを忍ばなければならんということもこれは又止むを得ない実際の状況ではないかと、こう思います。
  82. 大和与一

    ○大和与一君 現実の生活が苦しくなる、こういうことが当然常識的にも考えられるので、その職員の生活状態が、八月以降の物価の高騰によつて、数学的に言えば一割だから一号五百円ということになりますが、とにかくそれによつて非常に困難になるということをお認めになるかうかどということを聞いておるのであります。
  83. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今申上げましたように、そういう場合も私はあると思います。あると思いますが、これは止むを得ないものでありまして、物価が上つたからすぐ収入が増加するというように行かない場合も私はあり得ると思う。
  84. 大和与一

    ○大和与一君 収入の増加することを聞いておるのではなく、又裁定そのものについて聞いておるのではなくて、生活が本当に苦しくなるということを現実に認められるかということです。今までよりも必ず苦しくなるということははつきりしておる。
  85. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは物価がはね上つて来て生計費に非常に大きい影響を与えれば当然生活は苦しくなります。
  86. 大和与一

    ○大和与一君 公安官或いは鉄道用地、ガード下問題、こういうことについて裁定或いはその組合側からも何年も前から当局に対していろいろと主張をしております。これに対して当局はどうもそれに対する処理が十分でない。こういうふうに考えるわけですが、裁定にも、見るべき成果のないことを、三思に値いする、こういう強い言葉で言つておるのですが、公安官についてはどのようにお考えになつておりますか。
  87. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 公安官という名前ではありませんでしたが、又そうして専門のものではなかつたが、兼職で警察権を行使するというようなことは昔からございますことは御承知通りであります。それから公安官の現在の仕事の内容というものは必ずしも警察のお手伝いをするというようなことだけではないのでありまして、鉄道本来の業務があります。併しこれについては順次いわゆる警察のお手伝いをするような部面は、これは何と申しますか、治安のおさまるにつれて私は縮小して行くべきものであると、かように考えております。
  88. 大和与一

    ○大和与一君 この公安官というのは、初め作られるときは、必ずしも警察的な要素を持つていなかつたと思うのです。終戦直後の混乱時代に旅客輸送、生命とか荷物を安全に輸送する、これだけの意味であつたと思いますが、その後公安官が大分幅をきかして、警察には成り切らんくせに、いろいろとまあ国鉄の仕事の内容、或いは検察的なことでも何でもかんでも公安官が今やつておる。こういうような気持がするわけなんですが、これは大分本末を穎倒しておると思う。そうなると当然公安官は戦後の混乱時代が収まつて来たら、それは性格が変るべきものだ、前と同じように或いは貨物をとられないように、荷物もなくさんようにとかいう、そういうようなことを主としてやる仕事に当然置替えられるのが当り前だと思うのです。そういうふうにはなかなかならないで、どうもその公安官が何か検非違使的な存在である、外部的にもそういうふうな印象を非常に強く受ける。それをまあ今度は本来の鉄道の仕事に置替えさせる、こういうことは賛成なんですが、そういうことはどの程度にお考えになつておるか、或いはこれを今後どのように扱つて処理して行こうと考えておられるか、そういう点をお尋ねします。
  89. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) おつしやる通りでございまして、私は戦後の混乱が収まるに連れて背のような姿にだんだん帰つて行かなくちやならん、そうしていわゆる大和委員のおつしやるような検非違使的なと申しますか、警察のお手伝い的な仕事というようなものは漸次矛を収めるということの方向に行くべきものと考えておりまして、そういうことを急速に研究もし、措置もいたして参りたいと思います。
  90. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると今までは公安官は検非違使的な仕事、内容を持つてつたと、こういうふうにお認めになつたわけだと思います。これが若し本来の姿に帰る場合にどれくらい節約されるかといいますか、或いはこれを全部本来の姿にうまく収めて行く、こういうふうな自信といいますか、お考えがおありになるかどうか。
  91. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 一つの制度ができますとそれを置替えてそうして別の方向に向けるということは御承知のように非常にむずかしい処理の問題でありまして、殊にこれが人的構成が主となつておる場合、人的な構成が主流をなしている場合には、その取扱は慎重を期さなければならないと思つております。従いましてこれをどう扱うか、どういうふうに一体収めて行くかということについては、慎重に私は研究もし、又実際的にこれも実態に即した方法によつて行かなきやならんと、こう考えております。
  92. 大和与一

    ○大和与一君 そうするとまだ成案はないのですか、検討中ということなんですか。
  93. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) できるだけ今縮小というようなことは、一歩々々縮小して行こうというようなことについては考えております。全体的にどうするかという案は今日のところではでき上つておりません。
  94. 大和与一

    ○大和与一君 それをまあ変更、変えて行く場合にどれくらい節約といいますか、そういうふうなことができるかというお考えですか、経費の面その他を考えて大まかに……。
  95. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 金額の面その他どれだけの節約ができるかということについても、まだはつきりしたことはございませんが、これを全然廃止してしまうというような考え方はございません。やはりその内容をなしている仕事というものについては必要欠くべからざるものもございますので、経費としてはそう多額のものを見ることはできないと思います。
  96. 大和与一

    ○大和与一君 必要欠くべからざるものとはどんなものですか。
  97. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 先ほどお話の構内の警備でありますとか、或いは荷物事故その他の事故の取扱とかいう事務をやつておるのが大部分でございますから、これはなかなか経費は減つて参らないと、かように考えております。
  98. 大和与一

    ○大和与一君 まあこういうふうないろいろな問題を組合からも提起してあるし、又裁定にも書いてあつたわけですが、この際一つ国鉄経営の合理化或いは健全な経営の発展、こういうことのために組合と一つ恒久的な協力態勢といいますか、そういうふうなものをお持ちになるようなお考えはありませんですか。
  99. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そういう制度として、そういうことをやるべきかどうであるかということについてはなお今後の研究の課題になると思いますが、双方がお互いに研究し合つて意見を述べ合うということについては私は何も異議はございません。ここでちよつと申上げておきますが、過日来いろいろ高架下の使用等については問題はあつたのでありますが、実はこれは率直に申上げますと、本来の業務、つまり輸送業務それ自体が戦後まだ満足に行つていない。幹線についてはいささか旧に復したような状態もありますけれども、大部分のローカル線について今日のところまだできていないというような情勢でありますために、それと同時にこの戦後における非常な混乱の結果、まあ高架下の使用その他についてもいろいろな混乱があつた。然るにこれを整理のいとまなしに今日に至つているというのが現状でございます。今後速かにこれに対する対策を設けまして、整理もし、又使用料等についても改善を図つて行きたいと思つて着々これを今進めているところでございます。
  100. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると今の協力態勢の組織ということは、制度としては持たなくても、組合として適時適切にいつでも話合いをする、意見を聞くということは決してやぶさかではなくて、それは例えば定例的であつてもよろしい。こういう程度に解してよろしうございますか。
  101. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私は組合のかたがたの御意見を聞くということについてはいささかもやぶさかではございません。
  102. 大和与一

    ○大和与一君 もうちよつとそれを突込んでお尋するわけですけれども、制度としてということではなくて、まあ定例的にそれじや月に一回とか、二回とか経営の合理化というか、健全なる発展のために一つまあ集まつていろいろと意見の交換をし合おうじやないか、こういうことでよろしいのですね。
  103. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そういうこともあり得ると思います。
  104. 大和与一

    ○大和与一君 それから鉄道及び高架下の今度は急速な整備ということは、大体期間的にどれぐらいな目安でおやりになることになりますか。
  105. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) その期間は成るべく早くいたしたいのでありますが、もうこれはよく御承知通りでありまして非常に混乱をしている。而もあそこの中には造作がしてあり、なかなか私はこの整理が非常にむずかしいのじやないかと思います。それと更に私の一番恐れているのは火災であります。一旦あそこに火災が起つたというような場合、神戸の高架線のごときは非常に危険でありますので、その予防その他のことを先ずやらなければならん。それの何と申しますか、資金をどちらで出すか、買取るものが出すのか、或いは国鉄が出すのかといういろいろな研究問題がございまして、事実に即して、実際によく通暁して取扱にかかつて行かなければならない。これはひとり国鉄の職員だけでできるかできないか、更に専門見地から研究しなければならないのかということもいろいろ考えられますので、只今承知のように、新聞等にもありますように、民衆駅等とありますが、あれは民衆駅だけではないのでありまして、そういうような問題についてもいろいろ専門のかたがたの御意見を聞いて基本方針をきめて参りたい、かように考えております。
  106. 大和与一

    ○大和与一君 大体それをまあ今年の大体いつ頃というような、いつ頃までに一応整備をして、やはり実行にかかるとか、そういう目途がないとなかなか今までもそういう点が社会的にあつちこつち聞かなければならんというようなこともあつて、きまらなかつたと思うんですが、取りあえず余りに不当であるというようなことになれば、その点は取上げて直すということはできると思うんです。そのできる目安をどの期間までにお考えになつているか、或いはそういう決意をお持ちになつておればはつきり言つて頂きたいと思います。
  107. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私は希望は基本的な方針というものは一、二カ月の間に大体の大綱をきめて行きたいと思つております。そうして直ちに実行にかかるわけでございますが、その実行のほうがいつ完了するかということについては、これは私は相当時間を要するのじやないかと思つておりますけれども、できるだけ早く拙速主義で整理して行く、一応整理して、そうして更に再整理が必要であれば再整理をするのがいいのではないか、かように考えております。
  108. 大和与一

    ○大和与一君 補正予算の要求で借入金六十二億を出しているが、これについてはどのように考えておられるか。ということは、これを裁定に使うつもりか、水害に使うつもりか、こういう点を一つお伺いしたい。
  109. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これは両方に使わねばならんのでありまして、いずれをどうというような資金上の差別はしておらない。資金は一本としてこれを経費に振向けるということになろうと思います。
  110. 大和与一

    ○大和与一君 二十九年度の予算要求がすでに行われたと思いますが、一万五千三百七十円で編成されているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  111. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 二十九年度の予算につきましては只今大蔵省と事務的な折衝をしておるのでありまして、まだ的確なことを申上げられませんが、無論裁定が下つた以上、二十九年度におきましても一万五千三百七十円で要求いたすつもりであります。
  112. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、その財源はどういうふうになつているのですか。
  113. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) その財源につきましては目下いろいろと検討考究中でありまして、或いは経営の合理化、或いは増収というようなことを考えられますが、どうしてもいかなければやはり運賃値上げの止むなきに至るかも知れないと思つております。
  114. 大和与一

    ○大和与一君 一万三千四百円で計上して別に給与改訂に対する経費として一万五千三百七十円とした場合の予算が出されておるのじやないかと思うのですが、これをまあ運賃値上げの約一五%といいますか、そういうふうなことで行う考え方でないかと思います。なぜそのような要求方法をするのか、新規事業をやめても一万五千三百七十円とした予算を計上すべきではないか、裁定に拘束されるということは二十九年度の予算要求の場合にも当然要求されなくちやいかんじやないか、こういうふうに考えますが、如何でしようか。
  115. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私は二十八年度において裁定が実施されるものと考えておりますから、二十九年度は実はその二十八年度に行われる基準ベース、基準賃金というものの単価として計上するのが本当ではないかと思つております。
  116. 大和与一

    ○大和与一君 それに対してまあ運賃値上げのことも考えておられるわけですか。
  117. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 運賃値上げということは成るべく避けなくちやならない問題でございます。併しながら財源がない場合においては止むを得ずそういうことになる虞れは十分にございます。私はどうもそういう方向に行かざるを得ないのじやないか、そう考えております。
  118. 大和与一

    ○大和与一君 先ほどの六十二億の借入金のときに、裁定にも水害にも使う、こういうふうにまあどつちか甲乙はない。これはまあ片一方に使うということは絶対ないというふうに考えてよろしうございますか。
  119. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私の頭の中では資金は一本でありまして、これをどちらに使うというような区別をすることは非常に困難じやないかと思います。
  120. 大和与一

    ○大和与一君 区別をすることは困難ということは、裁定も水害も必ずやらなくちやならん、こういうことになれば両方に必ず使われる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  121. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは人々の内容的な見方の問題でございまして、どつちをどつちにすると考える人もありましようし、増収の分は水害に使うんだとか、或いは増収の分は裁定の実施に使うんだとか、いろいろ解釈によつて異なるだろうと思いますが、いずれにしてももう水害と裁定の実施をやれば当然資金が不足になりますから、これを補填する意味において今年度は借入という方法で行きたい、こう私は今要求を申上げておるのであります。
  122. 大和与一

    ○大和与一君 国鉄当局が大蔵省に対して今までも努力はしておられたと思いますが、どうも私たちの知る限りではなお一層の努力が望ましい。まあ逆に言えば大変その点が足りないんじやないか。例えば専売公社の秋山総裁でしたか、あの方なんかが大蔵省に対しても或いは国会とか政党に対しても十二分にいつも国会に来ておつてそうしてどんどんやつてつた。こういうことをまのあたり見ておるわけです。又企業体の内容が違うから結果論だけではいい悪いは決して言えませんけれども、努力がどうも不十分でなかつたか。ましてや鉄道会館の問題なんかあつていろいろと御苦労はされおると思いますけれども、これによつて当局が何か意気銷沈してさつぱりもう元気がない、正しく要求すべきこと、或いは裁定は完全実施しなくちやいかん、こういう不退転の決意を持つて大勇猛心でやつてもらわなければ、全四十万国鉄職員も非常にこの点を心配しておるわけです。そういう点はいささかも会館問題その他によつてそういう心構えというか、いわゆる当局の大蔵省、政府に対する闘いがこれによつては微動だもしない、こういうふうに言明をなし得る自信があるかどうか、お尋ねいたします。
  123. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 鉄道会館を中心としていろいろ財産の管理についての御議論を拝聴したのであります。これにつきましては、先ほども申上げましたように、率直に申しまして私は違法もなければ不正もないが、事務的な手落ちはあつた、手抜かりはあつたということは率直に認めております。これによつて我々がいわゆる大和委員のおつしやる意気銷沈してすべてまるで茫然自失しておるというようなことはございません。これを整理し、これを飽くまでも健全なものにして、一方においては国鉄本来の使命を速かに達成して国民の信頼をかち得るように邁進して行きたい、そういう決意においては少しも変りません。いわんや裁定の問題等についても飽くまでも私は裁定の完全なる実施を希望して止まないのであります。その点の努力はできるだけ払うつもりでおります。
  124. 大和与一

    ○大和与一君 具体的にはそういうふうな御決意は曾つてもあつたし、今日もあるわけだと思いますが、ちよつとまあ一例を挙げたように、専売公社の秋山総裁の努力はこれはまあ万人認めるところであります。従つて一つそれに劣らない具体的な行動を以てお示しを頂かなければその言明は反古に等しいということになると思いますから、是非お骨折りを頂きたいと思います。  それから今まではさつきお話があつたように裁定が完全実施されたことはない。それで今度又裁定が実施されないかも知れんというふうな非常に困難な情勢であることを考えられるわけですが、裁定が全く無視された。今までも完全実施でない。完全実施でないということと無視されたということはまあ同義語だと私たちは判断をいたしますが、それに対して組合なり職員がどうしてもこれじや堪えられんということで起ち立つて是非ともやつてもらいたい、こういうふうな悲願を達成するための行動をするわけですが、それに対してはどのようにお考えになつていますか。
  125. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 我々は我々の側として当事者の一方として飽くまでも裁定の実施を政府に要望する努力を払う、職員側におかれてもそういう希望を持つて熱心に努力をするということは当然でございます。その結果、私は大和さんのおつしやることがどういうことであるか存じませんが、両者の努力の結果裁定が希望通りに実行されることを望んで止まないのであります。
  126. 大和与一

    ○大和与一君 今までも政府から当局に対して、若しも裁定が実行されない、こういうふうな場合には一体どういうふうなことになるだろうか、こういう意味の質問というか、意見を求められたこともあると思います。それに対して若しも全然或いは裁定にしても或いは夏季手当にしても年末手当にしてもこんなに政府は聞いてくれなければ私のほうじや責任を持てない、こういうふうな意味の御発言もあつたこともあると思います。それに対していつも当局はそういうふうに組合なり職員に対してまあそれはあとは知らんことでどうなるかわからん、こう言つて突つぱなしたような恰好になるのじやないかと思うのですが、裁定が全く無視された、そういうふうな場合に、やつぱりそれと同じような気持で当局としてはもうあとはしようがないのだ、裁定の通るまで大蔵省に対して努力をすることは一応やるが、それから先はお前さんはあつちのほうの道を行けばいいので、おれは高見の見物だ、こういうふうな恰好に、ちよつと言葉は強いけれども、恰好になるのですか、若しも今度裁定が全く実施されない、こういう場合に、それはしようがない、こう言つて手を供いて、総裁はおらなくちやいかんのか、その点お伺いします。
  127. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私はそういう事態がないことを希望しておるのであります。そういう場合に立至つた際にどういうふうな方向に進むべきかということは、その際のいろいろの事情、いろいろな情勢というものもございましようから、その情勢に従つて私は健全な判断をして参りたいと思います。
  128. 大和与一

    ○大和与一君 裁定を完全実施しないことは公労法違反だと思いますが、如何ですか。
  129. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私は労働法規には余り詳しくないのですが、財政上、資金上、予算上の問題で、これは国会の御判断に待つように政府は提案しているように思いますから、違反ではないと思います。
  130. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、裁定が実施されなくてもいいと、こういうようなことになりますか。
  131. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これはどうも私からお答えするのはどうかと思います。私は裁定というものは実施しなければならん、又その裁定に従うべき地位にございますから、これに対しては何ともお答えができません。
  132. 大和与一

    ○大和与一君 八公社のうちで六公社は自己資金で賄える、こういうようなことが大体言われておりますが、そうするとほかの公社で仮に一つでも、アルコール専売なんかは二千万円くらいでできちやうらしいのですが、そういうような場合に国鉄としてできなくても、ほかのことはほかのことでしようがない、国鉄ができなかつた場合にただしようがないということでなくて、総裁なりのその場合の決心といいますか、そういうことではどうしても我慢ができんからどうする、こういうふうな何かお考えがありますか。
  133. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 非常に突込んだ御質問でございますが、私はひとり取残されて、それでいいものだとは思つておりません。やはり世間の道と申しますか、同じ公務員に準ずるもの、或いは公務員が一つだけ取残されて、あとは実行されるということは、非常に事態は重大だと考えております。
  134. 大和与一

    ○大和与一君 自己資金で賄える部分が明らかにあるのに、完全に無視された、こういうふうな事態が起つた場合にやはりこれ又総裁としては、仕方がない、それに対して職員がどうしても我慢できないといつて、非常に激しい闘争をする、そういう場合にその闘争に対して、これ又一応規則とか、そういうものにきめられた通りにやつぱり考えなくちやならん、こういうふうなお考えをしておられますか。
  135. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私は今日においてそういう事態が起らないことを切望し、又起らないように努力するのが私の任務である、かように考えております。
  136. 大和与一

    ○大和与一君 如何にそういうふうにお考えになつても今までの実績が、お話があつた通り完全実施は一回もない、又今年は殆んど完全に無視される、こういうふうな事態すら起るかも知れんという心配がある、そういうふうなときに、その可能性は極めて大であると思う。それをただ職員だけにおつかぶせておかなくて、殆んど完全に無視される、こういう場合に当局として、或いは総裁として、ここに相当重大なお考え、或いは打開する捨身の行動といいますか、そういうこともなくちやいけない。これは個人的なことでなくして、飽くまでも政府に対して、国会に対して、それを翻意させるということになるのですが、それに対してどの程度の具体的な見通し、或いは目標をお持ちになつておるか、お伺いいたします。
  137. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 今日のところではまだはつきりした見通しはございませんので、できる限り……じやない、絶対にそういうことが起らないようにこれはひとり政府だけじやない、あらゆる方面に私は働きかけて参りたいと思つております。
  138. 大和与一

    ○大和与一君 今日はこれでお話を終ります。
  139. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 今のに関連して総裁にお尋ねいたします。  今あとから来てちよつとお聞きしておつたのだが、公労法違反にはならないと思うが、裁定の実施については努力……裁定は実施しなければならんと考えておると、こういうふうに総裁が言われたと思いますが、その通りですか。
  140. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 今日裁定の実施については政府から只今御審議にあずかつておるような御提案がございます。その国会の御意思に従つて今後は行動しなければならん、こういうふうに考えております。
  141. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると今の大和委員の質問にお答えした裁定は実施しなければならないと考えておる……あなた自身としては裁定は実施しなければならんと考えておる、こういうことですね。そうすると更に労働組合は労働組合として裁定実施のためにいろいろな運動をする、そうして或いは総裁は裁定を実施するよう自分は要請をするのだと、こういうことを言われたと思いますが、その通りでございますか。
  142. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 仲裁裁定の当事者としての私は絶対に仲裁裁定に従わなければならんのでありますが、その裁定の実施につきまして政府が只今御審議になつておるように国会に提案をいたしております。従いまして今後その提案が如何に決定されるかということによつて、私の何と申しますか、行くべき道がきめられて行くのじやないか、その道程において先ほども申しましたように、あらゆる努力と申しますか……というものを払わなければならんと考えております。
  143. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 勿論総裁の言われるように、最終的な決定は国会で決定せられるわけですが、その間においての実施をするように努力をするというふうに私は聞いたのですが、そのことはやつて頂けるのですか。
  144. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これは裁定の当事者として当然やるべき義務があり、それに従うべきだと思います。
  145. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると今度出ておる裁定の数字が妥当なものであるかどうかという点に対して、大和委員が聞かれたのですが、私ももう一遍念を押しておきたいのですが、その点どういうふうにお考えになつておられますか。
  146. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 基準ペースの一万五千三百七十円というものについては、これは調停がありました際に、その金額はおおむね妥当ではないかと、かように考えておつたわけであります。ただ先ほど大和委員からも御質問がございましたが、それならなぜ裁定を受諾しようとしなかつたのか、その点は係今度一歩顧みまして、それを実施する財政上の問題、財源の問題、資金の問題、そこに困難がございましたから、それはできなかつたということであります。
  147. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうしますと、総裁のお考えは、出た数字は妥当なものと考えるけれども、今の国鉄現状から予算の措置、資金の措置が困難と考えるので、返事ができない、こういうふうに聞えるのですが、その通りですか。
  148. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 調停の場合はさようでございます。今度の裁定は絶対のものでございますから、これは妥当も何もない、内容について批判を許さないものだと私は考えます。
  149. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 批判を許されないということは、これは当然なことだ、こういう御解釈ですね。
  150. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 裁定はこれは我々絶対に服従しなければならないものであります。
  151. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうするとこれは私どもが言う必要のないことで、当然おわかりになつておることなんですが、これは国鉄ばかりではなくて、他のあらゆる事業にも当てはまりましようし、民間事業にも当てはまりましようが、これは往々あることでありまして、実際にはやらなければならんのだ、これだけの金をやらなければ生活の安定がつかないし、事業の運営も円滑に行かない、能率増進もできないのだ、けれども一面において予算がないためにできない、こういうことが多く言われておるのだが、併しやれないということで、やれなくてよいということと、又絶対にやらなければならんということの二つの問題が出て来ておるのであります。而も今度の裁定のような場合には、現在の物価指数から見てあなた自身も妥当と考え、裁定というものは当然なことだと我々も考える。又一般の運輸委員会の皆さんがたもお考えになる最低限度のものであるということを考えれば、先ず基本方針としては、国鉄の総裁の場合は、これは実施するという腹がまえを以てかかつて頂かなければならんのではなかろうかというふうに、私は考えるが、この点どうですか。
  152. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは今申上げておりますように、一旦仲裁の裁定がありました以上、これは私どもを拘束するわけでありますから、もう議論の余地はないと思います。
  153. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうしますと、私はこの法案は、ここでいろいろ議論が何か結論に早く行くような感じになるのだが、どうして先ず予算を生み出すかということの研究を十分して頂かなければならないだろうし、又国鉄総裁がお考えになるところの、予算のやりくりと、それから第三者がわきから見て、あそこに予算一つあるではないか、或いはあの点を改善したならば、予算が出て来るのではないか、というような問題が起きて来て、それらが解決つくならば、これは議論なく実施できるという、私は問題ではなかろうかというふうに考えるのですが、そこでまあこれが無理だとか、何とかいうことになれば、ほかの産業等の指数の比較であるとか、或いは物価指数に応じた今の最低の指数がどうかというようないろいろな厄介な問題が起きて来ますが、私の今お伺いした埓内では、総裁が認めておる限りには、国鉄の幹部の皆さんも、みなそういうふうな認めかたをしておると思いますので、やりたい、そしてやらなければならん、こういう考えは大体一致しているのではなかろうかというふうに考えるのですが、そういうふうに考えてよろしいわけですね。
  154. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) たびたび申します通り、裁定には議論する余地なしに、我々は拘束されるのでありますから、これはもうやりたい、やらなければならんということになると思います。ただ資金上、予算上云々でそれが問題になつておると、こういうことであります。
  155. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 よくわかりましたから、あとはそうすると、予算資金上私は申しましたように、どういうところから出すかという問題に入つて行くほうがいいと思いますので、私は今日はその点はあえて要求いたしません。
  156. 大倉精一

    ○大倉精一君 いろいろ質問があつたので、私はちよつとだけお聞きしておきたいのですが、大体大和君の質問並びに重盛君の発言で、総裁は大体この金額も妥当であるし、完全実施をするように努力をしたいという工合に今お答えになつておるのですが、そこで完全実施をする側の努力というのは、具体的にはどういうような面に、どういう努力をしようとなさつておるのかどうかということを、具体的に一つつて見たいと思います。
  157. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 先ず第一に、二十八年度につきましては、補正予算の要求をいたしました。それについて只今資金の問題、財源の問題、いろいろなことについて、運輸省と個々に検討を重ねておるわけであります。又大蔵省等に対してもいろいろと御相談をしている。更に進んでは国会にもお願いをせねばならんというような場合が起ると思います。そういう次第でありまして、大体の方向はまあ予算上、資金上の問題に、今重盛委員からお話がありましたように、主としてそこにかかるわけでありますから、そういう面で措置いたしたいと考えております。
  158. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで予算上、資金上という言葉があるのですが、先ず第一番に国鉄自体として借入金、或いはその他の方法によつて、その資金によつて賄う方向に先ず私は努力をしなければならんと思うのですが、その点はどでございましようか。
  159. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) できるだけ自己資金で賄いたいと思うのでありますが、としても今年度は風水害その他のこともございまして、非常に巨額な金が必要であつたものでございますから、やはりここでどうしても借入金……、他人の力による借入金というものに頼らなければ、どうしても実行できないのであります。これはひとり風水害がなかつたらそういうことができるのかというお問いもあるのかと思いますが、それを合せてお答えいたしますと、その点がなくても、風水害が仮になくても、資金上、自分だけでは賄えないような状態でございます。
  160. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは私ども国鉄のこの財政内容がよくわからんのですが、大体現在お考えになつておる自己資金で賄えない部分、いわゆる賄えない部分というのはどのくらいな金額になるのですか。
  161. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 今運輸大臣にお願いしておる計画によりますと、今後更に六十数億の借入金をしなくちやならんのであります。
  162. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで先ほどのお言葉の中で、この裁定を実施するに当つて、場合によれば国鉄経営の合理化とか、或いはそういうようなことも考えて、資金運営に努力したいというお言葉があつたように伺うのですが、まあ合理化というのは最近において、一つの合言葉になつておるのですが、国鉄の場合におけるところの今お考えになつておる合理化という、具体的内容の、どういう点を合理化するという工合にお感じになつておるか。その合理化の具体的な内容ですね、お考えになつておる内容というものを一つ聞かして頂きたい。
  163. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) いろいろな方面で、いろいろな細かいこともやつておりますが、大きなものは動力費の節約であります。燃料費の節約であります。石炭の節約であります。これによつて十数億出て参ります。そのほか細かい分もいろいろとございまして、相当の金額を期待できるわけであります。更に今年度は一般会計の節約に伴いまして、本来は二十億の予備費でありましたものが、すでに三十数億の予備費をもらつておりますから、これも使えるわけであります。その他、併しながら、更に三十億、実は今年は……、去年借金をいたしました。その借金というのは去年の運賃値上げが遅れましたために三十億の穴があいた、それを埋めるために、三十億借金を……、一般会計でやつたか、資金運用部でありましたか……、から借りておる、それを返さなければならない。そのまま返すのも場合によつては……、じやない、是非一つ繰延べてもらいたいというような、他人を相手にしたような話はあるのであります。その上に六十数億の借金を借りなければならんというような……、状況を大きく申しますと、そういうことであります。更に建設線におきましても、相当な繰延べをしなければ賄えないというような状況でございます。
  164. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで端的にお伺いしたいのですが、最近この合理化ということが、いわゆる人員整理というものを必ず含んでいるというような傾向にあるのですが、この人員整理というような面についてはお考えになつておるか、なつていないか。
  165. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 人員の整理はすでに相当の数を整理いたしまして、十万を超える数になつておると思います。一時非常に膨張した時代から見ますと……。今日の業務量から見ますと、もはや限度に達しておりまして、今後業務量が殖えて参りますると、むしろ増員をしなければならんじやないかと考えております。
  166. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしまするというと、この現在国鉄においては合理化、即ち人員整理というものはすでにもう不可能な状態になりまして、むしろ増員しなければならんというような傾向にあるという工合にお答えになつた考えてもよろしうございますか。
  167. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 人員整理の問題は非常にデリケートな問題でございます。併し企業経営という面から見ますれば、場合によると、機械化をいたしまして、人員整理をするということ、そのほうが有利なこともございます。国鉄においても、そういう面も相当ございますが、併し、その機械化をするために資金が要る、その資金さえも今非常に窮屈であるというのでありますから、今後はまあ機械化ということよりも、むしろやはり人手が足りない部面を、人手を以て埋めなければならないというほうに、ここ暫らくはなるのではないかと思つております。
  168. 大倉精一

    ○大倉精一君 何かその辺もどうもはつきりしないようなんですが、結論として人員整理を考えていない、こういう工合に私は確認してよろしうございましようか。
  169. 大和与一

    ○大和与一君 四日の本会議で、私は大蔵大臣に水害復旧費約九十億、これが若し国威負担ができれば、裁定もできると思いまして、質問をしたところが、私の質問に対して答えがなくて、右派の下條さん、この人に対して大蔵大臣が、ちよつと正確じやないのですけれども、特別会計だからそんなことはできない。何かそういうふうな言い方をしたと聞きましたが、それを御存じかどうか。或いは御存じだとすれば、その国庫負担について全額、或いはその半分でも、何かを出してもらいたい。こういうふうな努力は今までどのようにされたかお伺いしたい。
  170. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) まあそういう内容までについていろいろお話することはどうかとも思いますが、私はどうもまあ特別会計だからやれないという法律があるのかも知れませんですが、たとえ法律がありましても、私はやはり水害災害というようなものについては、而も常非な大災害でありますから国が多少の面倒を見ることは当然ではありませんか。いわんや先ほど大倉さんに対してお答えしたように、三十億の借金を無理々々やらなければならないというようなことは余りにむごいやり方じやないでしようかというようなことまで言いまして、是非一つ何とかしてもらわなければ困ると言つて、いろいろ談判といつちや言葉は語弊がございますが、申しておるところでございます。
  171. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。
  172. 一松政二

    ○一松政二君 長崎さんに伺いたいのですが、今年の予算節約で修繕費というものも三十五億円ですか、削られておるといつて国鉄としては買いたい物も買えない、修繕も予定のものができないという状態のように承わつたのですが、そうですが。
  173. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 当初予算節約を命ぜられましたから、そういう嫌いはございます。
  174. 一松政二

    ○一松政二君 そうするとつまり国鉄のごとき厖大な、そうして現金収入を伴つておる企業体でございますから無理をして出せば一時的にはできますが、その無理は必ず将来に尾を引く。これは例は違いますかも知れませんが、ボロ会社が借金をしながら労働組合にせがまれて、そうして給与を遮二無二払わなければストライキをするとか、いろいろなことで、心ならずも或いは又労働組合に多少経営費を食われたりしてだんだん会社を詰らして行つたりした場合もなきにしもあらずだ。そうすれば給与の面だけ考えれば誰しも恵比須顔をして人に喜ばれることを好まないものは私はないと思う。そこでその企業経営の健全化、将来長きに亙つて健やかな経営をやつて行くということが経営者の任務でなければならんが、ただ国鉄のごとき最近いろいろ御意見もあるように、運賃も予定の通り上げておるわけではないので、上げることもなかなかいろいろな関係でむずかしい。従つて仮に何とかせびり出せばその当座はそれだけのものが捻出せるかも知れないが、それは必ずあとでそれだけの害を経営上に及ぼすという問題も起ろうかと思うのです。そこでこの裁定の実施は絶対やりたいんだという気持もわかるし、又やつて欲しいという側もわかると思います。非常に困難な問題がぶつかつておるわけですが、国鉄のごとき大きなものは二年や三年無理をやれば修繕する所をほつたらかしておいても動かんわけでもないし、それは将来災いを招くかどうか、そこが非常に苦心の要るところだろうと思つて私は御心配いたしております。で、ただ単に今年の予算が捻出せないか、捻出せるかという点だけで私は裁定が実施できるかできないかということを検討することは、私はそれ自身が甚だ不健全じやなかろうかと思うのです。殊に国鉄が戦前の健全さを取戻すためには二千億円も一応要る。それも殆んど手が着かないまま、一部はやつているでありましようが、その問題もそのまま解決できずに年々年々裁定々々で余儀なく行つておる。これはまあ日本国全体がそういう問題にぶつかつておるのだから、どこかで行詰りはしないかというのが我々の心配しておるところなんで、こういう企業体で、そうして日本全体の経済にひどい無理がある、そのうちの厖大ないわゆる国鉄というような企業はその国の無理を当然或る程度背負つて下さるのだから国鉄経営にも無理がある。従つてそのうちの従業員に対してもその無理を或る程度忍んでもらわなければならない場合が起つて来ると思うのです。この毎年々々これが裁定が繰返えされて、そうして一般会計から補充するか、運賃の値上げによるか、税金で取るか、別な形の運賃値上げという又別な一つの、税金じやないけれども日本経済に影響を及ぼすものがある。それで毎年々々私はこの裁定を繰返すということは私はこれは止むを得ないと言えば止むを得ないのですが、できることなら避けて欲しいと思つているのだが裁定が下つている以上はあなたとしては守らなければならん、非常にむずかしい場面に立つているのですが、今年の予算をいろいろな節約をやればできんことはないと言いますが、すでに削られている予算で買いたいものも買えず、修練したいものも来年に繰延べるという状態で、それはそのままにしておいて、今度は給与だけの金をひねり出して来るというところに無理がある。その点に対してはどうお考えでありますか。
  175. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) お話一々御尤もでございまして、私どもは当面本年度はともかく何とか借金して賄つて行くという考えでありますが、お説の通り借金で以て経営をしようというような行き方では非常に不健全でありますが、この際それ以外にどうしてもちよつと考える方法がないものでありますから、止むを得ず考えているわけであります。それで一番やはりしつかりと恒久的財源を見出して行かなければならないのは来年度からの問題であります。これについて常々私は運賃値上げによるか、或いはその他合理的な方法等を応用して儲けられるような手段で行くかと、そういうことをいろいろ考究し、運輸大臣に御相談もいたしているわけであります。ただ悲しいかな電化のようなもの、これは非常に割合はよろしいのであります。ところがやはり資金その他の関係上思うように進んで行かない。デイーゼル・カーの問題もこれはやれば必ず成績はよくなつて、業績は好転して行くと思うのですが、これについてもなかなか困難がある。更に少し余計なことを言わして頂けば、新線、新らしい建設線というものはこれはまあ電源開発でありますとか、或いは国土開発という面から私は必ずしもこれを全面的にいけないというわけには公共企業体である以上言えないと思うのでありますけれども、これはやはり殆んど全部赤字線でありまして、今日の予定では今やつております三十線できますと、およそ年々五十億くらいの赤字を負担しなければならんというふうに考えております。これは恐らく十年や、二十年では黒字には転換しない。仮に二十年としますと、そこにもう一千億の赤字を背負わなければならないというので、非常にそういう点で、機会がございましたら、私こういう席上でなしに、とくと御懇談申上げて、どういうふうにそれではして行けばよいのか、国鉄というものの行き方というものをどう考えればいいかということをよくお聞き取り願つて、御批判を願い、御意見を聞かして頂きたい、こういうふうに考えております。非常に私は前途を、何といいますか、悲観ではありませんが、何かここに手を打てば私はうまく行くと思いますが、何か手を打たん限り、お話のように毎年ベース・アツプだ、裁定だということ、或いは新線はこれもやりなさい、あれもやりなさいということ、而も電化は成績を向上させるのだが、それはなかなか思うように行かないというような諸点、特に一つ御留意願いたいのは、よく今までは鉄道は独占企業である、国鉄は独占であるというふうにお考えになりましたけれども、今日では独占ではないのであります。バス、トラツクに非常にやられて、陸、海、空の三方面から挾撃を受けておるわけであります。ところがこれは非常に面白いことは、運送業というものは、海運においては船だけ持つておればよい。あと港は全部他人様が作つてくれる。飛行機輸送も飛行機だけ持つておれば空港その他は他人様が造る。バス、トラックも同様でありまして、バス、トラツクを持つていれば道のほうは他人様が造る。鉄道だけはどういうことか全部自分で負担しなければならない。大蔵大臣はそういうことをおつしやつたかどうか知りませんが、今大和委員お話だと、特別会計といいますか、独立採算だからこの問題は補助ができないのだと、どうもそこいらに何だか割切れないものを感ずるのであります。何かそういう点で一つ一つの方策を練つて頂いたらどうか。現にヨーロツパの国ではそういう点が問題になりまして、国家相当国有鉄道の面倒を見ておる例があるのであります。そのような方策についても若干なりともやつて頂かないことには、これはとんでもないことになるのじやないか。まあ来年度の予算あたりまでにいろいろと御考究、お力添えを願いたいと思うのであります。
  176. 一松政二

    ○一松政二君 御苦心のほどは私もおよそ想像がつくし、大体憂いを同じくしておるものでございます。これは日本の国全体について私最も憂えておる点なのであります。今日のような無責任な、殆んど国民全体の個人々々に至るまでが非常に無責任に亙るような考え方に大体なつておる。そうしてもう或る意味においては国民的に或いは麻ましておる。保全経済会みたいなものが起つても、他人に金を任しておいても、そいつに何ら危険を感じない人が国民の中にたくさんいる。類似の金融機関なども随分たくさんあるのですが、昔なら取付けが必ず起つておる。それがさほどに感じないほど殆んど自分の財産を擁護するすべも、何か他人がしてくれる、自分自身の財産についても無責任になつておるような私は気がしておる。従つて日本の国民経済自身の行方を非常に私は心配しているんだけれども、どうにもならんで、まあ我々もその水に押し流されて、場合によつたら或る意味においては絶望感を抱きながらもその日を過しておるというようなことを言わない限りでもない。みずから恥ずるわけなんですが、これは国鉄の問題ですけれども、私は裁定に特に関心を持つておるのは、日本国民経済自身の行き方に問題があろうと思う。その縮図が国鉄へ来ておる。それは一つや二つの企業は、或いは公共企業なら公共企業体一つや二つ或いは三つや四つは、ただそれの経済の取り方如何によつては、そういうことはできるでしようけれども日本国全体としたら日本国の経済に裁定を下すものはいないんだ、日本の国はこれだけの賃金をその国民に与えて、これだけの標準によつて生活をすべしという裁定を下して下さる世界の法廷はどこにもないし、その財源を日本に恵んで下さる篤志家も世界にはないわけです。それだが国の中には法律があつて、そうしてそういうことを言えばまあ何とかせなければならんということになるが、併しそれはやがては国全体に及んでしまう。そうすると、国全体に及んでしまつて、そうして国が貧乏をして、戦争に敗けてこれはもう貧乏になつておるのですから、国全体の我々の考え方が、戦前の生活の水準が、許されるはずはない。これを許そうとすればそれに相当するだけ我々は働くか、働いて物を作り出すか、或いは生活程度を切下げて戦前一人で食つていたものを戦後は敗けて貧乏になつたから二人で分けて食うか、積極的に行くか消極的に行くかどつちかでなければ、この解決方法はないと思います。それで一番これは気の毒だけれども、国の資源というものはそいつはどうにもしようがないですから、人間が一応凌ぐよりほかに私は方法がないと思う。従つて国鉄のような問題の場合には、やはりその難関を切抜ける期間というものは、この従業員が知つておる。経営の合理化その他できるだけのことは無論やらなければならないけれども、それから生まれて来る給料が思うように取れないということは、これは私は或る程度ひとり国鉄の従業員だけでありません。日本国民全体がこれを忍ばなければ私は解決はつかんものだと思うのです。その縮図がすでに国鉄に来ておる。従つて国鉄を五年か十年でこれを食い潰そうと思えば食潰せる。やりたいことをやらずに、そうして食つて行けば、何年かにはなるけれども、先ほど申したようにそれは恐ろしいことなんであつて、どうにもこうにもならんようになる。私はまあ日本国がそうなりはしないかと心配しておるんですが。そこでまあ私は今さつきのあなたのお考えのように、これはやはり早く、できるだけ早く、もつと抜本的に考えなければならんと思う。この企業体のあり方、及び今後の又今までの新線その他国鉄経営状態からいつて、それと日本の財政も今日まで来ればもう糸を引張つたようなつちまつて、今までは個人が貧乏して国が税金をとり上げても、幾らかゆとりがあつたけれども、それも食い潰してしまつた今日なんですから、過去二、三年の行き方は将来二、三年はこれをやつて行けない実情にあると思うんです。従つてこういう国鉄の苦しい状態に追い込まれて買いたい品物も買えない、修繕も繰延べなければならん、従業員は従業員で裁定の問題にぶつかつておる。そうして前途は私は決して明るいと思いません。むしろ暗いと思いますから、やはりこれをそのまま行なつておることは、やりたいことをやらずにそうして食つて行けば何年かにはなるけれども、先程申したようにそれは恐ろしいことなんであつて、どうにもこう無責任のことなんです。これは私がさつきから言つておる通り、国全体が恥じるほど国全体が無責任になつておる。やはりこういう機会を捉えて、長崎さんはまあ国鉄関係に立つてどうしたらいいだろう、このまま行けばこう行詰る、こういう状態になつておると、声を大にして関係当局者或いは国会に、私は近頃流行の白書でなくて——白書ではなかなか読むだけではぴんと来ないものなんです、やはり党派を超越して、こういう問題を、このままその場さえ過ぎればいいという行き方が、今までの無責任な……私もその無責任の一人に数えられるわけですが、お互いに無責任になつておるが、どこからかこういう問題は一つほごして行く努力がお互いに必要なんじやなかろうかと、まあ考えるわけなんです。先ほどそういう問題で触れられましたから、私はそういう機会をおこしらえになつて、できるだけそういう問題をこういう機会にさらけ出して国民の前に私は訴えてもらいたい。そうして今の電化の問題、その他についてもこれは非常に国内で資金の捻出方法がなければ外資によるなり、何なりしてそうして金がないから仕事をしない、仕事をしないと失業者が起るが失業手当は出さなければならん、遊んでおつて食わせなければならん、国民が遊んでおつて食うほど馬鹿らしいことはないわけなんです。お互いに何らかの形においてこれは親類縁者でもあれば個人が負担するか、国が負担するか、社会が負担するかしてやはり何らかお互いに餓死させてはならんのですから食つて生きているわけです。その間に遊んでる人があつてそうしてやるべき仕事は山ほどあるのにやらないでいるほど国家経済として私は一番不経済なことはないと思う。国鉄ども私は新線の問題などについても四国にこの間行つたときに自分自身の考えをぶちまけて、そうしてあなたがた自分で線路を造るだけの勇気を出しなさいと言つて話して来たこともあるのですが、何らかこれはお互いにただその場限りの財源を捻出すればそれで事足れりと……それでとつて見て仮に十円の価格でも搾りとつて見ても搾り滓がなければもう搾れないのです。今のような状態で行けば何年かどころかもうたつた今でも搾れなくなります。でありますからもう三年も五年もこういう状態をずつと毎年々々続けて行けば国家財政にもそういうゆとりがない、鉄道もそういう状態になつて来ております。どうか一つそういう私は裁定を考えるのにもう一歩掘り下げてそういう、これはあなたじやございませんが、仲裁委員にこういう裁定をなさるその前提に立つて私はものをお聞きしたいと思つているけれども今日はまああなたがその席に坐つていらつしやるから国鉄に限つておりますけれども、どうか一つそういう機会にその熱意を持つて一つ緒をできればほぐす、或いは緒を与えて皆に重大なる関心を持たせるように呼びかけて頂きいと思います。以上の質問を以ちまして今日のところはこれで私の質疑を打切つておきます。
  177. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御発言がございませんければ本案は本日はこの程度にして次回に譲りたいと思います。   —————————————
  178. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に重盛君からの運輸一般事情に関する調査に又帰るわけでありますが、質問の通告がございますので運輸一般事情に関する調査をもう一度議題といたします。
  179. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私は私鉄の関係のことをちよつとお聞きしたい思うので簡単でございますが……。
  180. 前田穰

    委員長前田穰君) どうぞ。
  181. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 十六国会でこの運輸委員会で決定いたしました私鉄補助法がその後実際運営についてどのようなふうになつているか、いわゆる予算措置はどうなつているか、或いは又現実にどことどこへあの補助が実施せられたか、この点がおわかりになつており出したらお答え願います。
  182. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) お答えいたします。現在あの法律に要請されまして政令及び省令を制定中でございまして、この件につきましては財政当局との協議も十分遂げる必要がありますので現在大蔵省と協議中でございます。それと並行いたしまして予算も大蔵省と協議いたしているわけでございまして、先般国会で成立いたしました際におきましても、できるだけ早く予算化しろというお話がございましたので、運輸省といたしましては先回の国会に補正予算といたしまして要求をいたしたわけでございます。御承知通り予算の状態でございまして、遺憾ながら補正予算には取上げられる段階にはなりませんでした。現在二十九年度の予算といたしまして、あの法律に基きますところの新線補助、赤字補助及び改良補助、利子補給につきまして、大蔵省と今折衝の段階でございます。
  183. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 何か私はあの法律を作るときに、今年の予算は若干あるやに聞き、そうして今年は大体北海道方面だけをこの予算に当てはめるんだということを聞いたのですが、あなたのお話を聞いておると、そういうことはできないということになつたということですか。
  184. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) あの法律の附則にもありますように、北海道予算につきましては、二十八年度成立した予算そのままを北海道の会社に適用するということでございます。そうしてその予算は残つております。落されたわけではございません。
  185. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それは行つているんですか、使つてない……。
  186. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) まだ支出にはなつていないと思います。先般の行政部費の整理で一〇%節約を受けました。まだ支出には至つておりません。
  187. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 もう一つお聞きしますが、西日本水害による私鉄の損害に対して、私よく文章を読んでおらんが、何か五分の一の損害補償を政府が負担するということを聞いておりますが、その通りでありますかということ、そうしてこの通りとすれば、大体どこにそれが出されたかをお聞きしたいと思います。
  188. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 今のお話通りでございまして、昭和二十八年六月及び七月における大水害並びに同年八月及び九月における風水害による地方鉄道等の災害の復旧のための特別措置に関する法律が、前臨時国会に成立いたしまして、これは六月下旬から七月までの間の西日本水害及び南畿の水害と今回の十三号水害に適用になることになつております。適用会社といたしましては、現在まだ大蔵省と折衝中で、最終的のお答えはちよつとまだいたしかねるわけでございますが、現在大蔵省に要求をいたしております会社といたしましては、福岡県におきまして、門筑土地鉄道、熊本県におきまして熊本市交通局、熊本電気鉄道、山鹿温泉鉄道、長崎県におきまして島原鉄道、山口県におきまして防石鉄道及び船木鉄道、和歌山県におきまして有田鉄道、御坊臨港鉄道、野上電気鉄道となつておりまして、北海道の士別軌道も運輸省としては現在大蔵省に要望中でございますが、この件につきましては災害立法が北海道に適用になるかどうかということによつて大蔵省はきめたいと、これは実は静岡県の大井川鉄道が問題になつたわけでございますが、この大井川鉄道は七月二十日のあの風水害によりまして橋が落ちたわけでございます。ところが当時静岡県下には被害がなかつた。大井川の本流の流心にその橋が入りましたために大井川鉄道は甚大な影響を受けまして、運輸省といたしましては要求をしたわけでございますが、衆参両院の水害対策委員会におきまして、今回の特別立法は通常の場合には補助金を与えないのに、特別に国家が与えるのであつて異常なる風水害のみに適用すべきである。一般に水害のない所に、その会社に水害が起つたということは、災害が起つたことは事実として認めるが、本法の適用の範囲外であるというお話で静岡の大井川鉄道が落ちました。その関係がございまして北海道も地域的に各特別立法によりましての政令で地域を指定するようでございます。他の政令との振合いによりましてほかの法令で認められたならば認めよう、ほかの法令で落ちるようであつたならばあの法律による大水害とは言えないので、一つ保留さしてくれ、こういうようなお話でございまして、省としてはできるだけ士別軌道も入れて見てくれと要求いたしておりますが、法律の精神上ちよつと保留をされておるという状態になつております。  それから十三号台風も続いて御説明をいたしますと、十三号台風は非常に関係しておりますところの地域が広かつたために、三十五社も多くの鉄道がこの被害を受けたわけでございます。ところが御存じのように関西地区を主としておりますのと、名古屋鉄道の沿線が非常に多かつたために、あの法律では自力復旧能力のありますところの大電鉄には適用されないということになりまして、或いは京阪神急行電鉄でありますとか、大阪市電でございますとか、京都市電でございますとか、京阪電軌道でありますとか、名古屋鉄道、それから近畿鉄道というような大きな会社の被害が相当つたのでございますが、これが補助の対象になりませんので、現在七社程度のものが考えられておりますが、御承知のように十三号台風はまだ発生いたしまして間のないことと、受けました会社の規模が小さいので、まだ詳細な資料が来ておりません。それで的確にこの会社が対象になるだろうということはここでまだ申しにくいのでございますが、一応書類上拾いまして、この程度の会社が対象になるかも知れないというような大まかな会社の名前を申上げますと、滋賀県におきまして江若鉄道、京都におきまして奈良電気鉄道及び北丹鉄道、和歌山におきまして有田鉄道、これは南畿の水害に会い、今回の水害に会つております。静岡県において大井川鉄道、福井に参りまして福井鉄道、高知の土佐電気鉄道、七社、一応補助額を一千五百二十九万八千円と作業いたしておりまして大蔵省に通知しておりますが、小さい会社で二、三まだ報告が遅れまして見なければならないのではないかと数字上考えられるのがありまして、十三号台風におきましてはまだ確たる会社名及び数字を申述べるには、もう少し時間を借して頂きたい、かように考えております。
  189. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 大体わかりましたが、そうするとまあこの十三号台風も同じように扱うけれども、実際には殆んど適用しないように、成るべく除外してしまう、こういうことなんですね、お話を伺つていると……。
  190. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 十三号台風は全然同じように取扱うわけでございまして、大電鉄といいますか、自力復旧能力のある大電鉄になすべきではないということは水害対策委員会で非常に強く要請されている点でございまして、参議院におきまして水害対策委員会におきましては附帯決議にもなつておりまして、前の六月下旬及び七月におきます災害におきましても京阪鉄道でありますとか、或いは大きいのは西日本鉄道というような会社も一億五千万円もの損害を受けたのでありますが、除いております。査定の基準といたしましては両災害とも同一基準ではじく、そういうふうに考えております。
  191. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それで結構でございますが、そこでお願いしたいのでございますが、今お聞きしたようなものを資料としてできましたらば厄介でも、あとで結構ですから作つておいて頂きたい。どことどこが十三号台風に該当して五分の一もらえる。それから西日本風水害に対してはどことどこだというようなものを、若しできましたらそう急がんでも結構ですからお作り願つて一部頂きたいと思います。
  192. 東隆

    ○東隆君 今の士別の問題ですが、それは何ですか、七月末だという意味ですか。
  193. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) そうではないのでございます。
  194. 東隆

    ○東隆君 それとも何か条件がありますれば、その条件を満足すれば対象になる、こういう意味ですか。
  195. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 士別軌道は非常に微妙なときに水害に会つたのでありまして、今回は七月、八月になつておりましたから、たしか七月三十一日のぎりぎりから八月にかけまして被害になつておりまして、初めそれが問題になつておりましたのですが、今回八月以降のものもこれに入りましたので、形式的な条件は十分それで満足されるということでございます。士別軌道が問題になつておりますのは、北海道に例えば農林関係の特別立法、或いは建設関係の特別立法というものが地域的に適用になるものもあり、ならんものもあるという今度の政府の取扱のようでございまして、その点我々のほうも各省に連絡いたしているのでございますが、そうなりまして、そういつた地域にほかの特別立法が適用がないというようなことになれば、いわゆるこういうふうな特別立法によつて補助するだけの大水害が起らなかつたのだということになるので、私鉄においてもこの法律を適用すべきではないのではないかというのが大蔵省の言い方なのでございます。大体静岡県のときにも同じような議論が行われたわけでございますが、今回の特別立法は非常に異常な水害だけに適用される特別立法である。ですからほかの特別立法の適用されないような地域において起つた私鉄の損害についても、この特別立法の適用をすべきではないというような議論があるわけでございます。
  196. 東隆

    ○東隆君 士別は士の士別のほうでしよう。あそこは水害の相当ひどい所でですが、農業関係のほうの立法の地域の指定にはたしか入つているはずです。それでたばこだの何だの北海道にない所は、そういうものは当然これは問題にならないのですが、建設関係、それから農林漁業関係、そういう方面の特別立法、これは大概あそこは入つていると思います。
  197. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 今のお話のように私ども考えておりまして、士別軌道につきましては適用方を要請いたしているのでありますが、で、御参考までに申上げますと、他の法令におきましては県別に今度は指定されておりません。町村別で非常に細かい指定の仕方をいたしております。それで士別につきましてもそういう細かいやり方をしてはどうか、これだけを県別は困るのではないかというお話がございますが、御承知のように各県に跨がるような会社もあり、又非常に続いているものを地域別にとるということは困難でありまして、特別にこの士別につきましては県別にとつているのでございます。
  198. 東隆

    ○東隆君 それはたしか三ヵ町村に跨がつている軌道です。それで政令の地区になつていると思います。
  199. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 現在大蔵省で各省のものを査定をいたしておりますので、ほかの政令の指定になつておれば我々のほうも指定されるということに了解はいたしております。
  200. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんね。他に御発言ございませんければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会