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長崎説明員 国鉄の将来の運営に関しまするただいまの御意見、まことに貴重に拝聴いたした次第であります。抜本塞源的ないろいろな方策を今後練つて行かなければならないことは、お説の
通りであります。今日建設いたしております三十線が完成いたしますと、概算年々約四十五億の損失になります。しかもこの線路は、十年や二十年では営利線にはならぬと
考えております。従いまして二十年後には約千億の
借金を
国鉄が背負うことになります。しかしながら、この新線は
国鉄にはまことに迷惑な損の行く線でございますけれ
ども、日本全体から見ますれば、いろいろな物資の開発あるいは電源の開発というような面で、大きな利益をもたらすものでなかろうかと
考えております。従いまして、企業としての立場から申しますと、
新線建設はお断りをいたしたいのでございますが、日本全体の利益の上から見ますと、今日の日本の状況をもつてしますれば、ヨーロツパ等の鉄道とは違いまして、
新線建設もまた必要なり、かように
考えております。ただそこに負担の公平でない部分がある。鉄道ができて開発されれば、必ずだれかが利益を受けます。ところが
国鉄は損失をする。この負担の公平ということについて、今後われわれは十分に
研究をし、ある一つの案をつくりましてまた皆さんの御協力をお願いしたい、かように
考えております。第二の点は、皆さんはさようでないと思いますが、よく世間の人は、
国鉄は独占企業である、かように申すのであります。しかしながら、私の見るところをもつていたしますと、今や決して
国鉄は独占ではない、バス、トラツクに非常に食われております。ところが、ふしぎなことに、運送業というのは、船舶は船だけを持つております、港湾は他の方がつくつて維持している。航空機におきましても同様でありまして、飛行機を持つているだけで、空港あるいはレーダーというような施設は、全部ほかの人がやつております。バス、トラツクにおいても同様でございまして、バス、トラツクを持つている、道路その他はほかの方が維持修理をしておられる。
国鉄並びに鉄道というものだけは、どういうものか、今日においても全部を自分の手でやらねばならぬ。こういう点で、従来の独占企業であ
つた場合はそれでけつこうであ
つたと思います。しかしながら、今日のように情勢が大きく
変化をして参りますと、それらの点においても、やはり負担の公平というようなことを
考えなくてはならぬのではないか、かように思つております。なお、最後の運賃の問題でございますが、運賃はひとり定期だけではございません。貨物運賃のごときは、今日においてもまだ原価を割つているという情勢であります。しかしながら、今日の状況において貨物運賃を上げてよろしいかと言
つたら、これは非常に大きな経済上の問題ではないかと思いますから、これはできるだけ低運賃で、いいサービスを提供するということが
国鉄本来の使命であろうと思います。旅客運賃におきましても同様でございます。いずれも現在の物価等から見まして、非常に低率に押えられていることは、
楯委員よく御
承知の
通りであります。この面においても、やはり何らかの均衡政策をとらなければ、
国鉄の前途は非常に暗濃たるものになる。しかも御
承知のように、
国鉄は何と申しますか、ゆつくりゆつくりと悪く
なつて行きますから、あまり目につかない。そういうような面で非常に閑却される点がございます。なお、この厖大な
予算でありますから、何とかなるであろうというような
考え方も、往々世間の方方から承るのであります。しかしながら、これはよほど
考えねばならぬことでございますので、速急にこれらの対策を立て、そうして確固たる歩みをもつて伸展して行くようにやつて参りたい根本的にはかように
考えております。