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1953-11-25 第17回国会 衆議院 労働委員会人事委員会運輸委員会郵政委員会電気通信委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十五日(水曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員  労働委員会    委員長 赤松  勇君    理事 持永 義夫君 理事 山花 秀雄君    理事 矢尾喜三郎君 理事 山村新治郎君       池田  清君    黒澤 幸一君       多賀谷真稔君    井堀 繁雄君       竹谷源太郎君    山下 榮二君       中原 健次君  人事委員会    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 永田 亮一君    理事 加賀田 進君       田子 一民君    池田 清志君       石山 權作君    櫻井 奎夫君       池田 禎治君    長  正路君  運輸委員会    理事 岡田 五郎君 理事 松井 豊吉君    理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君       正木  清君    松原喜之次君       山口丈太郎君    熊本 虎三君       中居英太郎君    館  俊三君  郵政委員会    委員長 田中織之進君    理事 船越  弘君 理事 大高  康君    理事 片島  港君 理事 吉田 賢一君       伊東 岩男君    佐々木更三君       淺沼稻次郎君    土井 直作君       中村 高一君  電気通信委員会    委員長 成田 知巳君   理事 橋本登美三郎君 理事 原   茂君    理事 松前 重義君       庄司 一郎君    齋藤 憲三君       上林與市郎君    甲斐 政治君  委員外出席者         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         大蔵事務官         (主計局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         林野庁長官   柴田  栄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         郵政事務官         (大臣官房人事         部給与課長)  土生 滋久君         郵政事務官         (経理局長)  中村 俊一君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      佐方 信博君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君         労働政務次官  安井  謙君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    石黒 拓爾君         日本専売公社総         務部長     小川 潤一君         日本専売公社職         員部長     本田 榮一君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  吾孫子 豊君         日本電信電話公         社職員局長   山本 英也君         日本電信電話公         社経理局長   秋草 篤二君         労働委員会専門         員       濱口金一郎君         運輸委員会専門         員       岩村  勝君         郵政委員会専門         員       山戸 利生君         電気通信委員会         専門員     吉田 弘苗君         電気通信委員会         専門員     中村 寅市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共企業体等労働関係法第十六条第三項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(印刷事業に  関する件)(内閣提出議決第一号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(専売公社に  関する件)(内閣提出議決第二号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(造幣事業に  関する件)(内閣提出議決第三号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(国有林野事  業に関する件)(内閣提出議決第四号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(アルコール  専売事業に関する件)(内閣提出議決第五  号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(国有鉄道に  関する件)(内閣提出議決第六号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(郵政事業に  関する件)(内閣提出議決第七号)  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(電信電話公  社に関する件)(内閣提出議決第八号)     ―――――――――――――     〔赤松労働委員長委員長席に着く〕
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより労働委員会人事委員会運輸委員会郵政委員会電気通信委員会連合審査会を開会いたします。  私が本連合審査会委員長の職務を行いますから御了承願います。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(印刷事業に関する件)外七件を一括議題といたします。質疑を許します。  人事院総裁に対する質疑の申出がありますから、これを許します。田中織之進君。
  3. 田中織之進

    田中(織)委員 郵政職員に対する仲裁裁定に関連して人事院総裁にお伺いいたします。私が人事院総裁質問を申し上げるのは郵政職員のうち全逓従組に加入しておる者は、御承知のように公共企業体等労働関係法適用を受けて、今回仲裁裁定が下つておるのでございます。総裁も御承知のように、郵政省関係におきましては公労法適用外職員が、現在なお約三万人ございます。これらの人の給与改善の問題は、勢い一般公務員と同様に、人事院勧告に基いて行われなければならない建前なつております。仲裁裁定は、われわれとしてもきわめて不満足ではありますけれども、八月一日から一万四千何がしのこの前の調停案と同額の裁定が下つておるのであります。     〔赤松労働委員長退席山花労働委員長代理着席〕 この公労法適用を受けない職員は、人事院勧告による以外に待遇改善が行い得ない実情からいたしまして当然仲裁裁定と頭をそろえて最小限度仲裁裁定実施される八月一日から、先般人事院から出された給与ベース引上げ勧告実施されなければ、非常にその間に給与上のアンバランスを生ずると思うのであります。総裁も御承知のことと思うのでありますが、郵政省におきましては、本年六月一日から公労法適用者号俸是正調定案実施された関係から、公労法適用者適用外の者との間における給与上のアンバランスが生じましてそのために人事行政上からも非常に支障を来すような面も出て来ておりますので、最小限度仲裁裁定実施と同じ時期に人事院勧告実施されなければ、現在生じているこの給与上のアンバランスがなお一層ひどくなると思うのでありますが、総裁郵政関係公労法適用外職員のために、人事院勧告が少くとも仲裁裁定実施される八月一日から実施されなければならないという点について、いかにお考えなつているか、まずこの点をお伺いいたします。
  4. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げます。郵政省におきましていわゆる公労法による現業職員と、そうでない一般非現業職員との間にアンバランスの生じていることは、御指摘通りでございます。これを根源にさかのぼりますれば、そもそも現業非現業公務員との中にアンバランスがあることが、その根本原因でございますが、それはまず別問題といたしまして御指摘のようないろいろ人事行政上不便もあることと思いますので、人事院といたしましては、われわれの権限でできることはやつて、アンバランスを是正いたしたい、かように考えております。この点は、すでに衆議院の郵政委員会並びに参議院の郵政委員会からも、至急に適切な措置をするようにとの申入れもございまので、われわれといたしましては、ただいま研究中でございます。
  5. 田中織之進

    田中(織)委員 総裁の御答弁は、私の質問申し上げる点の一般的なお答えにはなつておるかとも思いますけれども、なるほど総裁の述べられたように、われわれの郵政委員会といたしましても、この点については、これを国家公務員わくからはずして公労法適用の中に置くか、あるいは国家公務員の中で、いわゆる特別職的な扱いのもとに現業特殊性を認めるかというようなことについては、人事院と連絡をとつて別途法制的な研究も続けておるわけでありますが、差迫つた問題といたしまして幸い本年の七月に人事院の一万五千四百八十円のべース・アツプ勧告も出されておる。かたがた公労法適用者につきましては、先国会国会議決を求めて参りましたところの仲裁裁定が出ております。この仲裁裁定は、御承知のように八月一日実施ということで、実施期が明示してございます。ところが、人事院勧告には、なるべく早くということで、伝えられるところによりますと、政府は一月の一日から実施するということでございますが、仲裁裁定は当然裁定通り実施されなければならない性質のものでございますから、八月一日から仲裁裁定実施されて人事院勧告適用を受ける公労法適用外人たちが、一月一日からでなければ一万五千四百八十円の人事院勧告の線までベース・アツプが行われないということになりますれば、その間の開きも生じて来るわけであります。その意味で、少くとも郵政省に関する限りにおいても、私は人事院勧告は八月一日仲裁裁定実施時期と頭をそろえる必要があると考えるのでありますが、この点について、総裁はその必要を認められておるかどうか、お答えを願いたい。
  6. 淺井清

    淺井説明員 ただいまお尋ねの問題は、要するに仲裁裁定がいつから現実実施されるかという問題に帰着するようにと思います。また、少くとも現在の建前といたしましては、郵政省のいわゆる非現業職員は、一般公務員の中に入つておりますので、郵政省職員だけに対して先にやるということはどういうものであるか、これはちよつとここでお答えをいたすわけには参らない、よく研究してみたいと思つております。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 私は郵政委員として本連合審査に参画しておるので、勢い郵政職員の問題に限局してお伺いをしておるわけでありますが、私は郵政職員の中に、たまたま功労適用の者と適用外の者とがあつて、この委員会人事院総裁が出て来てくださつておるのだ、こういうように理解しておるのであります。その意味で、一般公務員のうちで、郵政職員だけを抜き出してやれという意味ではないのであります。公労法適用者は、仲裁裁定という法の拘束力を持つところの八月一日という実施期が定められておる。ところが、人事院勧告によりますと、これはなるべく早くということで、そういう実施の期日が定められていない。私は、少くともこの段階に行けば、特に郵政省のような特殊な事情を考慮されますならば、これは最少限度八月一日から実施されるように、人事院勧告というものも実施されなければならない、こういうように考えるのでありますが、郵政職員だけ早めてやるというわけに行かないということでございますれば、仲裁裁定関係が出ておる事情も考慮されまして、一般的にあなたが出されました公務員ベースアツプも、少くとも八月一日から実施されるように頭をそろえることは、やはり官公労全体について必要な問題だと思うのでありますが、一般的にあなたが出された人事院勧告は、少くとも政府考えであると今伝えられておる一月一日でいいとお考えなつておるのか、八月一日まで最少限度さかのぼつて施行されなければならないとお考えなつておるか。
  8. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げます。お尋ねの点、まことにごもつともでございまて、われわれといたしましては、団交権を持つておる現業も、団交権のない非現業も、そこに給与改善については同じようにやつていただきたい、かように考えております。実施の時期等につきましても、これは現実に同じような時期に実施していただきたい、かように考えることはもちろんでございます。
  9. 田中織之進

    田中(織)委員 人事院総裁として公務員及びこれに準ずる人たちについてわけ隔てのない考え方は、そうあつてほしいと私も希望するものであります。そこで、総裁に次にお伺いをしたいのは、これもまだ国会が開かれてからでないと、具体的には出て参らないのでありますが、伝えられる政府人事院勧告実施の案を見ますと、額は一万五千四百八十円を一月一日から実施するということになつておるようであります。これにつきましては、地域給の問題もからんでおり、なおベース・アツプの率につきましては、人事院勧告が示しておりまする一三・九%と、それから政府ベースアツプの率との間に約五%近い開きを生じておるのであります。これは政府原案として確定したように、われわれは伺つておるのでありますけれども、かりに実施期は一月一日だといたしましても、人事院勧告通り行われるように、人事院総裁としても努力されなければならぬと思うのでありますが、伝えられる政府原案人事院勧告との間に、大きな開きがあるようにわれわれは見受けるのであります。この点については総裁はこういう検討をされておるか、この機会に伺つておきたいと思います。
  10. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げます。ただいま知れておりますところは、政府の現在までのところきめられました予算上の措置によりますれば、来年の一月一日現在におきまして人事院勧告いたしました一万五千四百八十円というベースになるということは、はつきりわかつておるのでございます。この点はわれわれが計算をいたしてみましても、大体間違いのないところだと思つております。しからばその一万五千四百八十円のべースわくの中の状況というものは、これは実はまだきまつておらないのでありまして目下人事院も参画いたしまして、作業をして、研究をいたしておるところでございます。そこで、この席上でただいま田中さんのお尋ねになりましたことに、まだ完全にお答えをする段階なつておりませんが、近く結論に達するように思つております。ともかく、このベースの中においての俸給表のつくり方というものが、人事院勧告につきましては、最も大きな要素を持つておるように思つております。それから地域給の問題とからんでおることも御承知通りでございますが、しかし、大きな方針といたしましては、現在地域給をだんだん廃止の方向へ持つて行きたいという根本的な考え方は、人事院といたしても持つておる次第でござついます。
  11. 田中織之進

    田中(織)委員 総裁は上手に逃げるわけなんでありますが、ベースは一万五千四百八十円の人事院勧告通りの線を引いておる。しかし、そのべース内訳というか、内部の問題はまだきまつておらないやにお答えになつたのでありますが、私はやはり勧告を出されるときには、それがたとえば俸給表の問題にいたしましても、また当初は、地域給の問題をからますということは、あの人事院勧告には私は出ておらないと思うのであります。地域給の問題について申しますれば、伝えられるところの政府案によりますと、一級をなくして、これを本俸へ繰入れるような形をとるようであります。この地域給を整理するということは、これは人事委員会諸君から質疑も行われることだろうと思うのでありますが、国会側が示しておる一つの案との間にも大きな開きがあるのであります。私は、やはり一応その上つらは一万五千四百八十円になつておるかもしれませんけれども、その内部が、少くとも人事院勧告を出されるときに、人事院として持つておつた案が、その後の政府事情によつて変更されるということはこれは人事院権威の上から見ても、勧告権威の上から見ても、芳ばしくないことだと思うのであります。もう少しそのベース内訳の問題、当初の人事院の意図するところが変更されようとしておるやに、ただいまの答弁伺つたのでありますが、その内容をもう少し明確にお示しを願いたい。
  12. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げますが、決してこの場で隠しておるわけではないのでありまして、実はこの席上へ参りまするまでも会議開きまして、いろいろと研究をいたしておつたわけでございまして、実はまだその内容がきまらないのに、かような委員会に出ることは、非常にいやだつたくらいでございます。これは決して隠しておるのではないのでございまして、人事院といたしましては、なるべく人事院勧告がいれられるように努力をしておるのでございます。もう一両日いたしますれば、はつきりわかるかと思つております。
  13. 田中織之進

    田中(織)委員 その点については、人事院勧告を出されるときに、人事院側として予定された内容を持つベース、しかも実施の時期については、先ほど総裁にお伺いをいたしましたように、少くとも公労法によつて団体交渉権を与えられておる公共企業に従事する職員と、最小限度頭をそろえるということのために、人事院総裁の引続きの努力を要請したいと思います。そこで、これはほかの諸君から質問があろうと思いますが、私は総裁にもう一点だけ質問いたしたいと思うのであります。これも郵政職員、特に公労法適用を受ける者にも受けない者にも関連を持つて来るのでありますが、いわゆる年末手当の問題でございます。この点については、われわれの知るところによると、夏期手当で繰上げ支給なつた。、二五のほかに○、二五を加え、○、五を今度の第二次臨時国会における補正予算でやる。そうすると、合計して一・二五箇月分の期末手当を出す。これは一部分が勤勉手当ということになるようでありますが、そういうように政府の方で準備を進めておるようにわれわれは伺うのであります。当初官公労関係労働組合側としては、最近における物価情勢、ことにこれは災害地関係等におきましては、災害に伴う食糧費等増高関係から、最小限度二箇月の要求をいたして参りましたが、けさほども電電公社の前の懸垂幕を見ますと、きわめて謙譲な一・五箇月分の年末手当をよこせ、こういう要求組合側も譲歩して参つておると思うのであります。少くとも組合側要求しておる一・五箇月分は、これは組合の方が自主的に二箇月の要求をここまで引下げて参つておるのでありますが、いろいろの事情からいたしましてことにこれは実施の時期の問題については、今政府考えておるように一月一日からでなければべース・アツプなりあるいは裁定実施されないというような、かりに政府の意図するような方向にきまるといたしますならば、それこそこの期末手当の問題は、これらの公務員にとりましては重要な問題になると思うのでありますが、一・五箇月分の年末手当支給につきまして、人事院としてはいかにお考えなつておるか、この点を明確にお答え願いたい。
  14. 淺井清

    浅井説明員 ただいまのお尋ねでございますが、人事院といたしましては年間を通じ二箇月を適当とするという勧告をいたしておる次第でございますから、残るところは一・二五――これは政府案もさようでございますけれども、まずこの程度が適当でないか、かように考えておる次第でございます。
  15. 田中織之進

    田中(織)委員 年間を通じまして二箇月分という人事院勧告は、これは出されてからその後の事情変化というものを、総裁はお忘れになつておるように私は感ずるのであります。かりに今私が申し上げるように、組合側の一・五箇月分ということにいたしましても、増加分はわずかに○、二五である。政府の方といたしまして一、二五、夏期手当で出た。、七五で二箇月、わずかに○二一五程度増加分従業員はがまんをしようというところまで折れて出て来ておるのであります。私は二箇月の勧告が出されてからのその後の事情変化というものを考慮されまして人事院として少くとも組合側要求しておる年末手当の一・五箇月分の支給について再考慮を願つて、引続き御努力を願いたいと思うのでありますが、総裁に再考慮せられる用意があるかどうか、重ねて伺いたいと思います。
  16. 淺井清

    淺井説明員 ごもつともなお尋ねでございましてもちろん公務員を保護する立場の人事院といたしましては、それはできるだけ多くと申すことはもちろんのことでございますけれども、ただいまのところ私の方といたしましては、年間を通じ二箇月分の手当支給するという勧告をいたしておる次第でございますので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  17. 山花秀雄

    山花委員長代理 ただいま国鉄関係では長崎総裁吾孫子職員局長石井経理局長、以上の方が参つておられます。発言の申込みにより順次これを許します。楯兼次郎君。
  18. 楯兼次郎

    楯委員 国鉄総裁お尋ねをいたします。国鉄裁定が出たわけでありますが、これらについての論議を繰返す必要はないと思いますが、当事者として、あなたの方は、これを完全実施するように拘束をされるというふうに私どもは解釈いたしておりますが、総裁はどのように考えておられるか、御返事を願いたい。
  19. 長崎惣之助

    長崎説明員 むろん裁定当事者の両方を拘束いたします。
  20. 楯兼次郎

    楯委員 それでは総裁はこれを実施するところの義務を負うものであると私は解釈をいたすのでありまして、具体的な手続といたしまして、当然これを実施するための補正予算を組んで、政府要求をしなければならないと考えておりますが、補正予算を組んで政府要求をいたしたかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  21. 長崎惣之助

    長崎説明員 仲裁が出まして間もなく今のお話のように補正予算を組みまして、運輸大臣提出要求をいたしております。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 裁定を完全実施するための必要なる補正予算でありますが、こまかい面は別といたしまして概略どのようなところからどういうふうに財源を捻出するのか、その点についてひとつ御説明願いたいと思います。     〔山花労働委員長代理退席田中郵政委員長着席
  23. 長崎惣之助

    長崎説明員 ごくかいつまんで申し上げます。大体完全実施するためには九十数億かかるのであります。御承知のように、今年は未曽有の大災害がありまして、水害に約百億、そのうち本年度実施しなければならぬのが八十九億、こういうような厖大な新しい要求が生れて参りましたので、まず第一に考えましたことは、三十億の昨年の運賃値上げのずれ、そのためにしました借金を返すことにしておりましたが、その借金を返済せずに延期をさせてもらう。さらに、こういう大災害がありましたので、工事費のうち、いわゆる改良あるいはとりかえなければならぬところは削減できませんが、新しく路線を敷設することに予定いたしておりますいわゆる新線建設の費用を約二十億ほどこれを来年度以降に繰延べる。しかしながら、着手する新線の予定は変更しないという建前でやつております。それでもまだ足りないので、大体六十数億の新規の借入れをしたいという構想になつております。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 ただいまの総裁の御答弁では、大体国鉄総裁としては、これを完全実施して行きたい、そういう考え方に立つて補正予算を編成され、これを政府要求したと私どもは承つておるわけでありますが、政府運輸大臣並びに関係大臣は、総裁要求に対して、いかようなる取扱いをなされておるか、回答をしていただきたいと思います。
  25. 長崎惣之助

    長崎説明員 政府のこの予算に対する措置は、まだ詳細にはわかつておりません。しかしながら、大体その要求は全面的にはいれられず、多くの削減を受けるようなかつこうになつていると承つております。
  26. 楯兼次郎

    楯委員 運輸大臣が参つておりませんので、これはあとからお聞きするといたしまして、ただいまの裁定を完全実施するために編成されました予算で、将来国鉄の完全なる運営ができるかどうか。当然総裁としては、こういう補正予算を組まれまして政府要求をいたしましたので、将来確信を持つて国鉄を運営することができる、そういう信念に立つて要求をされたと思いますが、この点についての総裁のお考えをひとつ承りたいと思います。
  27. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま申し上げましたのは、二十八年度における裁定実施に必要な措置であります。二十九年度以降については、非常な多額の金がいりますので、これをいかようにして捻出するか、いかようにして節約するか、そういう問題をもあわせて考えなければならないので、追つかけてそれを考えておりますが、これについては、単なる節約であるとかいうようなことだけでは、とうていまかない切れず、あるいは運賃の改正というところまで行かなくちやならないのではないか。非常に遺憾でございますが、でき得る限り少い運賃の値上げという面で、どうしてもそこまで行かなくちやならないのではないかと考えております。
  28. 楯兼次郎

    楯委員 そうすると、今の総裁の御答弁では、二十九年度以降についてはあまり確たる確信がない、こういうふうに聞き取れるわけであります。ただ二十八年度の裁定実施についての財源は、さしあたり出したのであるけれども、二十九年度において、もし運賃の値上げということを総裁考え通り実施をして行けば、財源はあるということになるわけでありますが、国会においてこの運賃の値上げがどういうふうに左右されるかわからない。そういう場合には、総裁としてどのように考えるか。運賃の値上げをやらなければ裁定の完全実施ができないのか、あるいは今は運賃の値上げということを希望しておるのだが、ほかに何らかの方法によつて、裁定を将来実施して行くことができるという確信を持つておられるのかどうか、この二点について承りたいと思います。
  29. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど来申し上げておりますように、裁定はかみしもを着ておるように私を厳重に拘束いたします。従いまして、今年も来年も実施して行かなければならない。その実施のために、やはり恒久的な財源を見つけなければならないと思つております。無理をいたしまして、修繕であるとかあるいはとりかえの費用を削りますれば、それは裁定実施はできます。しかしながら、一面において、公共の企業である国鉄というものを危険にさらすわけには参りません。彼此勘案いたしまして、でき得る限りの努力をいたしますが、あるいはそういう面から運賃の値上げもまたやむを得ないというようなことになるのではないか。しかし、その際におきましても、でき得る限り低率な値上げという方向に進んで参りたい。その際には国会等にもよく御説明申し上げますが、何分の御協力をお願いいたしたいと思います。     〔「わからんぞ」と呼ぶ者あり〕
  30. 楯兼次郎

    楯委員 どうも今声がありましたように、はつきりいたしません。私も声が出ませんので、はつきりいたしておりませんが、もう少しはつきり確信を持つて御答弁を願いたいと思います。運賃の値上げをしなければ、どこからこの財源をふりかえるかというような点についての確たる見通しがなければ、あなたが裁定実施して行くということをお考えになりましても、だめであるというふうに私は考えるのです。だから、その点もう一回確たる御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  31. 長崎惣之助

    長崎説明員 今年度はとりあえず借入金によつてまかなうということでありますが、これは永久にそういうことで行くべき筋合いのものではありません。従いまして、これを恒久財源に求めるということになりますれば、先ほども申しましたように、あるいは修繕とか、あるいはとりかえの費用を削るとかいうことによつてまかなうよりしようがない。しかし、そういうことをすること自体が、今度は一方において国鉄本来の使命の遂行上非常な不都合を生ずるのであります。従いまして、それらの財源については、今日のところやむを得ないところでありますが、運賃の低率な引上げということに行かざるを得ないのではないか。そのほか合理化あるいは増収対策、いろいろ講じますけれども、結局のところ百数十億に上りますところの来年度以降のベース・アツプにつきましては、遺憾ながらそこの辺に行かざるを得ないのではないかと考えます。
  32. 楯兼次郎

    楯委員 裁定が出る、ただちに運賃の値上げ、これは過去毎回繰返されて参つた点であります。私どもは各委員会におきまして、ベース・アツプをするための運賃の値上げということはけしからぬ、反対であるという意見を常に強調をいたしておりました。私が総裁に今お伺いをいたしておりますのは、あなた方は裁定が出ると、すぐ運賃値上げ考えるのでありますが、私どもに言わせますれば、もう少し国鉄の運営というものを、特に会計制度の面について根本的な対策を樹立する必要があるのではないか、こういう点を私質問をいたしておるわけでございます。特に私ども運輸委員会において常に不可解に考えておりますのは、今日二百数十の路線がある。しかもそれで採算のとれるのはわずか一割にもすぎない。あるいは各委員が熱心に新線の建設を御要請になります。私もこれは独立採算制でありますから、国鉄の当局としては、採算の合わない線は、これは新線を建設するということは不賛成でございましよう。しかし国家的の見地に立ちましたならば、これらも全然否定することはできない。しかし、今やつております新線の開発というような点は、もうかつても、もうからなくても――これはもうからないのが常識でございますが、それを国鉄の資金で建設させ、赤字の出るということを承知であなたに押しつけておると私は考えております。こういうような方式をとつて独立採算制の公社を運営して行け、こういうことがそもそも私は無理であると思うのであります。これは一つの例でありますが、こういう新線の建設については、当然総裁としては、今後この建設費ぐらいは政府から出してもらわなければ、将来国鉄の運営というものがやつて行けないのではないか、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。なお、定期旅客の運賃にいたしましても、これは社会政策上、あるいは政府の低運賃政策から行きまして、上げるということは、これはいけないというふうに私ども考えておりますし、政府もさように考えておるのであろうと考えております。これを裁定が出ると、ベース・アツプの財源にするから上げて行く、こういうことでは、インフレとのいたちごつこであつて、私どもは反対いたします。従つてこういうような国鉄の現状でありますから、当然このような新線建設であるとか、あるいは政府の政策によつて低運賃政策をしいたものについては、これは政府が補償をして行かなくてはいけない、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。特に仲裁裁定を私ども一瞥をいたしますと、今かりに国有鉄道に、先ごろの国会において制定をされました私鉄補助法が適用をされたと仮定いたしますと、ただちに本年度百五十億の財源が浮いて来る。こういうことを指摘をいたしておりますが、こういうような根本的問題について、総裁はどういうふうに考えるか。ただ運賃の値上げをやつてもらわなくては困る――こんなことでは、私は国鉄の将来に対する財務会計制度というものは確立をされない、独立採算制は成り立たない、こういうふうに考え質問をいたしたわけでありますが、この点についてはどういうふうに考えておられるか、ひとつはつきりと御答弁を願いたいと思います。
  33. 長崎惣之助

    長崎説明員 国鉄の将来の運営に関しまするただいまの御意見、まことに貴重に拝聴いたした次第であります。抜本塞源的ないろいろな方策を今後練つて行かなければならないことは、お説の通りであります。今日建設いたしております三十線が完成いたしますと、概算年々約四十五億の損失になります。しかもこの線路は、十年や二十年では営利線にはならぬと考えております。従いまして二十年後には約千億の借金国鉄が背負うことになります。しかしながら、この新線は国鉄にはまことに迷惑な損の行く線でございますけれども、日本全体から見ますれば、いろいろな物資の開発あるいは電源の開発というような面で、大きな利益をもたらすものでなかろうかと考えております。従いまして、企業としての立場から申しますと、新線建設はお断りをいたしたいのでございますが、日本全体の利益の上から見ますと、今日の日本の状況をもつてしますれば、ヨーロツパ等の鉄道とは違いまして、新線建設もまた必要なり、かように考えております。ただそこに負担の公平でない部分がある。鉄道ができて開発されれば、必ずだれかが利益を受けます。ところが国鉄は損失をする。この負担の公平ということについて、今後われわれは十分に研究をし、ある一つの案をつくりましてまた皆さんの御協力をお願いしたい、かように考えております。第二の点は、皆さんはさようでないと思いますが、よく世間の人は、国鉄は独占企業である、かように申すのであります。しかしながら、私の見るところをもつていたしますと、今や決して国鉄は独占ではない、バス、トラツクに非常に食われております。ところが、ふしぎなことに、運送業というのは、船舶は船だけを持つております、港湾は他の方がつくつて維持している。航空機におきましても同様でありまして、飛行機を持つているだけで、空港あるいはレーダーというような施設は、全部ほかの人がやつております。バス、トラツクにおいても同様でございまして、バス、トラツクを持つている、道路その他はほかの方が維持修理をしておられる。国鉄並びに鉄道というものだけは、どういうものか、今日においても全部を自分の手でやらねばならぬ。こういう点で、従来の独占企業であつた場合はそれでけつこうであつたと思います。しかしながら、今日のように情勢が大きく変化をして参りますと、それらの点においても、やはり負担の公平というようなことを考えなくてはならぬのではないか、かように思つております。なお、最後の運賃の問題でございますが、運賃はひとり定期だけではございません。貨物運賃のごときは、今日においてもまだ原価を割つているという情勢であります。しかしながら、今日の状況において貨物運賃を上げてよろしいかと言つたら、これは非常に大きな経済上の問題ではないかと思いますから、これはできるだけ低運賃で、いいサービスを提供するということが国鉄本来の使命であろうと思います。旅客運賃におきましても同様でございます。いずれも現在の物価等から見まして、非常に低率に押えられていることは、楯委員よく御承知通りであります。この面においても、やはり何らかの均衡政策をとらなければ、国鉄の前途は非常に暗濃たるものになる。しかも御承知のように、国鉄は何と申しますか、ゆつくりゆつくりと悪くなつて行きますから、あまり目につかない。そういうような面で非常に閑却される点がございます。なお、この厖大な予算でありますから、何とかなるであろうというような考え方も、往々世間の方方から承るのであります。しかしながら、これはよほど考えねばならぬことでございますので、速急にこれらの対策を立て、そうして確固たる歩みをもつて伸展して行くようにやつて参りたい根本的にはかように考えております。
  34. 楯兼次郎

    楯委員 どうも最初私が質問したのに対して、運賃の値上げを先に御回答になるようでは、ただいまあなたが回答いたした考え方は、非常に稀薄であると思います。従つて、ただいま申し上げましたような幹部の欠陥を承知しながら、荏苒日を過して参りました点について、いつも迷惑をこうむつておるのは、あなた方のところに働く従業員であると考えます。従つて、そういう点について、今後運輸大臣を通し、政府に対して、強硬なる交渉をしていただかなければ、いつまでたつても国鉄従業員は浮ばれないし、国鉄裁定というものは実施されないと考えますので、どうかこの点についての御努力をお願いしたいと思います。それから先ほど水害の話が出たわけでありますが、裁定指摘いたしておりますように、本年度、水害がなければ、国鉄裁定は完全実施することができるというふうに、仲裁委員会は認めているわけでございます。この点について総裁としては、もし水害がなければ、国鉄仲裁裁定というものは実施でき得ると考えるかどうか、この点について御回答願いたいと思います。
  35. 長崎惣之助

    長崎説明員 やはり予算の補正を要するものでありまして、そのほかに財源の若干の不足を来すことは明らかであります。
  36. 楯兼次郎

    楯委員 それでは、先ごろ問題となりました鉄道会館の問題でありますが――ほかのことは委員会が違いますので、私お伺いいたしません。あのとき一番焦点となりましたのは、いわゆる賃貸料と営業料金の問題であつたと思います。従つてこれは国鉄の財源にも関係をいたして来ると思いますので、あなた方がおつくりになりました運営委員会でございますか、これらによつて適当なる賃貸料並びに営業料金を今後徴収をして行こう、こういうことを宣明されておられるわけでございまするが、概略でけつこうでございますから、どのくらい営業料金並びに賃貸料の増収が期待できるか、ひとつ御回答願いたいと思います。
  37. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答えいたします。民衆駅等運営委員会というのは、固定財産の部外使用あるいは民衆駅の設置等に関しまする基本の考え方、どういうふうに考えたらいいかというふうなことを主として研究していただく委員会でございます。それからただいまの貸し賃等についての問題は、評価委員会がごく最近できましたので、その評価委員会で評価をしてもらつて算出するのでありまして、今日のところ、どこまで一体増収ができるかということについては、まだ数字があがつて来ておりませんが、いずれ通常国会に提出しますところの予算には、腰だめでもいいから相当の増収を見込みたい、かように考えております。
  38. 楯兼次郎

    楯委員 大体どのくらいですか、概略で……。
  39. 長崎惣之助

    長崎説明員 今のところでは、私は大体倍くらいにはできると思つております。
  40. 田中織之進

    田中委員長 楯君の先ほどの質問に関連して、庄司一郎君より関連質問をいたしたいとのことでありますからこれを許します。庄司一郎君。
  41. 庄司一郎

    庄司委員 長崎総裁のただいままでの御答弁によりますと、国鉄財政が非常な危機に瀕しておるような感じを受けてなりません。ことに前国会において、本年度内に償還すべき国鉄借金三十億でありましたか、あれを昭和三十年まで延長願う意味の法案を提案されて可決されたほどさように国鉄の財政は困難であると、私は予算委員として痛感しております。なお、年々の赤字は、今のところ九億、約十億近いものが出ておるように記憶しております。また本年度八十五億ですかの鉄道公債の件もあつたようであります。十数年前、国鉄全部の職員の数は二十五、六万人と私は覚えておりますが、終戦の直後は六十二、二万人くらいに上つたと思うのでございます。その後数回の整理等によつて現在は四十五、六万人くらいになつておるように記憶いたしておりますが、とにかく年々歳歳赤字が約十億ほど出る。私の記憶では、三士先生が大臣の時代であつたと存じますが、一般会計へ二千万円か四千万円繰入れられたことが一回だけあつたようでございます。国鉄借金がどのくらいあるかわかりませんけれども、昨年あたり百三十何億円かあつたように覚えております。そうしてそのうちの三十億を本年の三月末までに払い込む計画であつたように私は記憶しております。そこでお伺いしたいのは、先ほどの御答弁において、六十数億円はさしあたり借入れでやるというようなお答えでございましたが、従来の借金三十億さえ昭和三十年まで延長願う法案を提案されるほどの国鉄が、さらに六十数億を簡単に容易にどこからお借りになるか、あるいはその金利等はどういう関係なつておるかという点であります。
  42. 長崎惣之助

    長崎説明員 私どものお願いしました六十二億借金は、大体われわれの考えとしましては、資金運用部からお借りしたい、かように考えておつた次第であります。
  43. 庄司一郎

    庄司委員 もう一問だけ……。資金運用部の金も、従来簡易生命保険、年金あるいは零細なる郵便貯金等を通して一日平均一億円程度集まつておつたのでございますが、このごろはその方がはなはだ不十分である。現在冷害対策関係委員会等においては、七十何億しかないという悲痛な発表さえございましたが、六十何億円を近き将来において容易に借りられるお見込みがあるかどうか、念のためにもう一ぺんお伺いいたします。
  44. 長崎惣之助

    長崎説明員 まだ確たる計数上の問題は固まつておりませんが、そういういろいろな観点からでございましよう、政府としましても今度は六十数億円の借入れに応ずることはできないというふうな考え方のようであります。
  45. 楯兼次郎

    楯委員 次に三、三点方面をかえて総裁にお伺いしたいと思います。新聞によりますと、公務員の方は一月からぺース・アツプをする、但し人員整理一割を行う、こういうことでございますが、国鉄においては首切りを考えておるかどうか、こういう点を私お聞きしたいと思います。私ども運輸委員会において、いろいろ国鉄の人員を討議いたしましたときに、本年度一万六千人の増員要求をした、こういうことを記憶いたしておるわけでございますが、今度の裁定実施に伴つて人員縮減をやるのか、あるいは本年度一万六千人の増員を要求した、こういう関連性について、御回答願いたいと思います。
  46. 長崎惣之助

    長崎説明員 従業員の整理をやるということは、これは企業それ自体から見ますると、それにかえるに機械化をもつてしたいということは、一応考えなければならぬ問題だと私は思います。ところが、残念なことに、この機械化の資金すらも今日の国鉄には余裕がない。それよりも先に、ローカル線のサービスの改善その他輸送上のいわゆる改善を急速に行わなければならぬというふうな関係からしまして、人手にかえるに機械をもつてするということも、残念ながらできませんので、今後におきましては、むしろ人手を増して行かなくてはならぬのではないかと考えておりまして、整理というふうなことは今日は私は考えておりません。
  47. 楯兼次郎

    楯委員 私ども国鉄の人員については、仲裁裁定指摘いたしておりますように、大体戦前の比率を上まわるようなことはない、こういうふうに前々から承知をいたしております。特に先ほど長崎総裁が御回答になりました、三十も新線建設をやりながら、本年度は二百三十人の増員で済ましておる。私ども委員会において、これではつり合いがとれない、こう言つて主張をいたしたのでありますが、三百三十名で押えてしまつている。それからまた、われわれ現場に参りまと、休暇がとれない。非常に休暇が余つて、これの切れる期限になりますと、これをどうするのか、こういうようなことで、常に組合との紛争が起きているということも承知をいたしているわけでございますが、一体現在国鉄従業員の持つております有給休暇の完全消化ができているのかどうか。あるいはできておらないとしたならば、これは人員不足に基くものであるか、またどのくらいの消化率であるかということを、その概略でけつこうでございますから御説明願いたいと思います。
  48. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 本日は休暇の消化率や何かについてのこまかい資料を持つて来ておりませんので、あらためてまた別の機会に述べさせていただきたいと思いますが、概略を申し上げますと、完全消化ということはできておりません。消化できなかつた部分の処置については、組合との間で、長い期間にわたつてこれを消化するというような方法を協議いたして処置をしている、そういうような状態であります。
  49. 楯兼次郎

    楯委員 消化できない原因は何か。
  50. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 消化できない原因はいろいろあると思いますが、要員の配置がきゆうくつであるということも、確かに一つの大きな原因になつていると考えております。
  51. 楯兼次郎

    楯委員 それでは国鉄の人員は、休暇も消化できないくらい不足をいたしている、なお現状では、人員の削減ということはとうてい考えておらない、そういう総裁の言を確認をいたしまして、最後に一つ御質問をいたしますが、裁定が出た、これを実施することが可能であるか不可能であるかという判定でございます。認定の権利は、総裁自体として自分にあるのかないのか、こういう点について、あなたのお考えを承りたいと思います。
  52. 長崎惣之助

    長崎説明員 可能か不可能かということは、事実の認定でございますれば、予算もございますからわかるのでありますが、しかし、それは私の判定すべきものではなくて、私は当事者として裁定実施拘束されます。ですから、そういう認定は私の事実上の目で見ることはできますけれども、そういう権能はないと思います。
  53. 楯兼次郎

    楯委員 これは総裁非常に謙遜をしていると思います。とにかく自分が国鉄を運営しつつ、裁定が出た。これは実施することが可能か不可能かという認定は、あなたが自分自身にはないという、そんなことでは、私は国鉄の完全なる運営は行われて行けないと思います。どうか自信を持つて運輸大臣なり政府なりに、これは完全実施してもさしつかえない、責任を持つて国鉄の運営をすることができるという、こういう一つの意気でやつていただかなければ、四十万の従業員が私は泣くと思います。そういう意気でひとつやつていただきたいと思います。質問を終ります。
  54. 田中織之進

    田中委員長 それでは国鉄関係、はなはだ恐縮ですが、午後もまだ質疑は続行いたしますので、御了承願いたいと思います。人事院総裁に対する質疑を続行いたします。加賀田進君。
  55. 加賀田進

    ○加賀田委員 人事院総裁に御質問をいたします。今度仲裁裁定人事院勧告とが同時に示されておりますけれども、この内容には相当異なつた点があるのじやないか。と申し上げますのは、仲裁裁定は、まず一箇月平均の金額を明示して、俸給表等は団交にゆだねるような方法をとつております。しかし、人事院勧告内容は、従来の給与に関する法律案を、給与準則等を定める法律案として変更されて、給与準則を定める法律を実施することによつて三月現在で一万五千四百八十円になるというこの平均賃金が明示されたものと私は考えております。従つてその後この給与に関する法律に基いていわゆる一般定期昇給といわれている昇給が二、三回実施されたと私ども考えておりますが、そういうことになりますと、当時の勧告の中で明示されている一万三千五百八十七円の三月現在のベースというものは、現在すでに定期昇給に基いて相当大幅に上つているのじやないかと思います。もし政府考えているような一月現在でこの人事院勧告実施するとするならば、少くとも一万五千四百八十円以上に金額が高くならなくちやならないのではないかと考えておりますが、その点人事院総裁としてお考えであるか。あるいは具体的な数字を明示していただきたいと思います。
  56. 淺井清

    淺井説明員 お尋ねの点はごもつともでございまして人事院といたしましては俸給表勧告をいたし、同時に、それがおおむね幾らになるというベースを出している次第でございますから、その後の定期昇給ということがおるのはもちろんのことでございますから、それが若干高くなるように存じます。
  57. 加賀田進

    ○加賀田委員 数字的な面に対して御質問いたしたいと思いますが、八月現在で平均賃金がどれほどになつているかということと、十二月末現在で平均賃金がどれだけになつているかということ、なお一月以降この給与準則に基く法律を実施したとするならば平均どれくらいになるかということを、御説明願いたいと思います。
  58. 淺井清

    淺井説明員 技術的な問題でございすので、給与局長からかわつてお答え申し上げます。
  59. 瀧本忠男

    瀧本説明員 お答え申し上げます。あとでよく調べますが、本年の三月現在におきましては、先ほど御指摘の数字であろうかというふうに思います。それからその後におきまして昇給昇格等もございますし、それからまたわれわれの方におきまして、その後給与実施につきまして若干改正を加えた点があるわけであります。そのようなことと、またその後におきまして人員の異動もあつたわけでございますので、的確な予想というのがなかなかつきがたいのでございますが、おおむね来年の一月におきましては、一万四千百円ないし一万四千二百円ぐらいに、非現業一般職の公務員なつておろうかと思います。八月の数字も用意はしておつたのでありますが、ちよつと見当りませんので、あとでまた申し上げます。
  60. 井堀繁雄

    ○井堀委員 仲裁裁定勧告されましてから、その後政府の模様を見ておりますと、容易に勧告実施する決意がつかないかのように見受けられるわけでありますが、必ず人事院勧告は尊重するものと、われわれは期待をいたしておるわけであります。万が一にもこの期待がはずれ、人事院勧告が、無視されないまでも、軽視されるような結果になつた場合、またそういうおそれを感じてか、最近国家公務員であります職員の間には、定時退庁のごとき、いわゆる職員としての最大の能率を発揮する公務員法の目的とはそれた動きが感ぜられるわけであります。もちろん職員にとりましては、死活を制せられる問題でありますから、法の精神に規定されておりまする範囲内における権限を行使することは当然だと思う。こういう動きが今日現実の問題として感ぜられるわけでありますが、総裁はこういうものに対してどういうふうにお感じになつておいでになるか。公務員がきわめて正常に最大の能率を発揮する状態が今日認められるかどうか、もし認められぬとするならば、それは人事院勧告政府がすなおに実施する傾向が現われていないとの見解立つようにわれわれは見ておりまが、人事院総裁はこの点についてどういうふうにお考えなつておりますか、またごらんになつておるか、明らかにしていただきたい。
  61. 淺井清

    淺井説明員 御指摘の点はまことにごもつともに存じておりますが、人事院の所管いたしておりまするいわゆる非現業職員といたしましては、争議権はもとより、団交権も持つておりませんので、この人事院勧告というものを、ただ一つのよりどころとしておる次第でございます。従いまして、私どもといたしましては、この勧告をなるべくすみやかに、なるべく完全に実現させることが、ただいま御指摘のような風潮がもしありといたしまするならば、非常にそれを防止するに役立つものと考えております。ただ今回人事院勧告ベースが、来年一月一日から実施されることになつたことは、私どもとして非常に喜んでおります。ただ問題は、そのベース内容でございまして、この内容につきましても、われわれといたしましては、なるべくこの勧告の線でやれるように目下努力中でございます。
  62. 井堀繁雄

    ○井堀委員 重ねてお尋ねいたします。今私のお尋ねいたしましたのは、公務員の最近の傾向について、人事院総裁としてはきわめて関心をお持ちになると同時に、その指導に当られることは、法の精神に基くところであります。もちろん直接雇用し指導されておりますのは、各国務大臣ないし政府の責めでありましようが、法の精神は、この職員の労働条件ないし福祉に関する問題を人事院が責任を持つて指導し、お世話をする立場を規定しております。要するに国の保障に基くところの生活と福祉の問題は、人事院があずかつて責任を持つのであります。従いまして公務員の一挙手一投足については、人事院総裁としては詳細に御案内のことと思いますが、現在の公務員の行動がはたして満足な正常な姿であるかいなかについて、お尋ねをいたしたわけでありますから、ごらんになつておいでの通りお答え願いたいと思う。
  63. 淺井清

    淺井説明員 お尋ねが抽象的でございますので、こちらもお答えをしにくいのでございますが、非常に給与改善に関する要求は目下強い、そのためにいろいろの動きがあるということは同感でございます。よつて人事院といたしましては、公務員を保護する立場から、この給与改訂ということについて非常に重大なものと考え努力いたしておる次第でございます。
  64. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私の質問が抽象的とおつしやいましたが、事柄は具体的であります。すなわち給与の引上げを職員要求しておりますことは、よもや人事院総裁としてはお知りおきないとは言わぬと思う。すなわち職員の組織でありまする労働団体は、人事院に対しても正式に陳情なり要求の形が出ておる。それに基いて、あるいは参考として、人事院といたしましては、公正な判断を下して政府勧告をしたはずだと思う。でありますから、そのことを私が述べなくても、事柄は具体的であると思う。とにかく、人事院勧告についても不満足であることは、御承知だと思う。その不満足な線が、さらに政府において実施される誠意が認めがたいということを訴えておることも、よもや御存じないと言わぬと思う。もし、そういうことをお知りでないとするならば、具体的にお尋ねをいたすのであります。そういう不満の声がほうはいとして起つておる。声だけではなくして行動に移らんかなの状態にあることを御存じないとするならば、これはゆゆしい問題でありまして、御存じのはずでありますから、一番御心配をなさつておいでになるのは人事院総裁であると私は考えたから、お尋ねをしておるのであります。それが抽象的であるからということでありますならば、人事院の仕事はすべて抽象的になる。言うまでもなく公務員法の中で人事院の占める地位は、あなたもおつしやられておりますように、労働者が雇い主に対抗いたします基本的なものとしては、団結以外にないのであります。労働者が団結しないで、公正な労働条件を相手方から約束させるということは、不可能であるにもかかわらず、公務員であるからということによつて、その権利を停止し、もしくは制限を加えておるのであります。それに置きかえられておるのが人事院の制度であります。言いかえますならば、人事院公務員にかわつて団体交渉をやる、あるいは仲裁裁定にまさるところの労働条件を実施せしめる重大な責めがあるはずであります。こういう意味お尋ねをいたしておるのでありまして、私の質問が抽象的で悪ければ、具体的にお尋ねをいたしますが、賢明な総裁は私の質問に対してもつと明確な答弁がいただけると思うのであります。いま一度念のためにお尋ねをいたしておきます。
  65. 淺井清

    淺井説明員 御指摘の点、まことに御同感でございまして、そのために私どもも、さいぜん申しました通り給与改訂について全力をあげて努力いたしておる次第でございます。
  66. 井堀繁雄

    ○井堀委員 もちろん全力をあげて御努力なさつておいでになることは疑つておりません。ただ、私の懸念いたしますのは、もし今労働組合が表明しておりますことだけを参考にいたしましても、定時退庁でありますとか、あるいはその他法規に許された範囲内において合法的であつても、それは公務員法のいうところの最大の能率を上げ、正常な公務員としての奉仕の姿でなくなることだけは事実であります。これは重大問題、このことを一番責任をとつて解決の衝に当らなければならぬのはあなたなのであります。私が説明するまでもなく、法の第一条にはこう規定してあります。「職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め」――次いで三条には「その目的を達成するため人事院を設け、この法律実施の責に任ぜしめる。」ということを明確に規定してあるのであります。でありますから、政府の責任よりは人事院の責任がこれに先行して来るわけです。もし万一定時退庁であるとか、その他合法的であつても、能率に影響するような行為があり、あるいは国民に対する奉仕にいささかでも支障が起るような事態が発生いたします場合には、しかも人事院勧告が行われてそれが実施を渋つておるということのために、そういう事態が発生するということになりますならば、人事院総裁政府に対してどのような御処置をおとりになりますか、具体的に御答弁を願いたい。
  67. 淺井清

    浅井説明員 さいぜんからたびたび申しましたように、このたびは来年一月一日において、人事院勧告給与ベース政府が承認しておるわけでございますから、これは一つの進歩だろうと思つております。ただ問題は、そとしては人事院ベース内容におきまして、人事院勧告の趣旨がなるべく多く取上げられるように努力しておる、かようにお答えをいたしたいと思います。
  68. 井堀繁雄

    ○井堀委員 何回お尋ねしても、同じことを御答弁なさるようでありますが、誠意を疑うものではありません。しかし私のおそれることは、もし万一ということを言つておりますけれども、ただ万一ではありません、傾向としては、すでに定時退庁の決議が行われ、実施に入ろうとしておることは御存じだろうと思う。だから、こういう行為を一方に阻止するためには、どういうふうに御努力なさつておるかを、これこそ具体的にお答えをいただかなければ、われわれのように政府に対するいろいろな要請を行い、あるいは政府から求められて予算を審議する立場におきましては、人事院の態度それ自身が響いて来るわけでございますから、伺つておるわけであります。ただ勧告しつぱなしで、政府がやるかやらぬかは政府の意思まかせというふうに、投げやつているとは私ども考えない、何かと御折衝なさつておいでになると思うのでありますが、そういう事柄を国会に具体的に報告されることが、責任をとる人事院としての行動であると考えたから、私はお尋ねしておるわけであります。人事院政府勧告しつぱなしで、国会に対しては、勧告のそれぞれの決定書を文書によつてわれわれ受取つておるわけでありますが、それ以上のことを承知しておりませんから、お尋ねしたわけであります。こういう点について、具体的な御答弁があるべきものであります。そこで、私はやや具体的に伺いたいと思いますが、もし勧告がいれられなかつた、そのために従業員すなわち職員が、非合法になればこれは問題でありますが、合法的にすれすれの線で国民全体に迷惑を与えるような能率の低下が起つた場合に、人事院総裁としてはどのような御処置をおとりになりますが。ほうつておきますか、それとも何か善処されると思いますが、どのような善処をなされますか。
  69. 田中織之進

    田中委員長 ちよつと委員長からも人事院総裁に申し上げますが、御承知のように、官公労は非常事態宣言を発しております。ただいま井堀委員指摘せられますように、もちろん法のわく内ではありますけれども、すでに一月一日から勧告実施するという政府の態度が一応表明せられてから後に、そういう事態が現に進行しておるのであります。従つて、この事態をこのままに放置することは、国会の立場においても無関心であり得ないという立場で、井堀委員から総裁に対する決意を伺つておるのでありますから、その点に対する総裁の御所信を率直に御表明願いたいと思います。
  70. 淺井清

    淺井説明員 お答え申し上げますが、われわれは決して勧告出しつぱなしにしているのではないのでございまして、すでに一月一日からその勧告ベースはいれられておるのでございます。ただ人事院といたしましては、そのベース内容について、なるべく完全にこれが実施されるように努力をしているのでございます。なお、ただいま御指摘の定時退庁その他の事態が起るということは、まことに遺憾に存ずる次第でございますが、これは人事院として人事院の持つている仕事の範囲でしかやることができないのでありまして、人事院といたしましては、少くとも人事院ベースをなるべく完全に実施するという、この線で行きたいと思つております。
  71. 井堀繁雄

    ○井堀委員 はなはだ遺憾でございますが、私どもの責任からいたしましても、人事院総裁の最後にお答えいただきましたように、人事院の権限というものはどんなものであるかは別にいたしまして、なし得る範囲というものについても、いろいろ限度は承知いたしておりますが、しかしその責任が軽くないということだけは、これは申すまでもないと思うのであります。従いまして、人事院勧告がもし政府によつて履行されない場合には、公務員法によつて許された範囲でいろいろの行動が出て来た場合に、その責任がただちに公務員だけに、すなわち労働組合だけに負わされるというようなへんぱな輿論の攻撃やあるいは処置がとられることを、われわれははなはだおそれているのであります。言うまでもなく、人事院総裁が言うように、最善を尽したが、それがどうにもならなかつたというこの言質は、公務員にとりましては、きわめて大きな希望を打断たれることになるわけでありますから、あとは自分の力に頼るという行動が生れて来るということを、人事院総裁は十分お考えになりまして、極力その地位と力を発揮されまして、政府にその勧告実施されるように、十分な御努力をなさることを要望いたしまして私の質問を打ち切ります。
  72. 淺井清

    淺井説明員 御趣旨に従つて、十分善処するつもりでおります。
  73. 成田知巳

    ○成田委員 ただいまの質問に関連して、一、二お尋ねしたいと思います。今淺井人事院総裁は、勧告の一万五千四百八十円を、政府が一月一日から実施する腹をきめたということは、一つの進歩である、問題は内容だ、こう言われたのですが、これは淺井人事院総裁としては、何と言いますか、非常にインフニリオリテイ・コンプレツクス、劣等感に陥つていはしませんか。問題は内容だと言われたのですが、それでは一月一日から実施するという時期の問題です。勧告では、なるべくすみやかなる時期において実施しろという勧告があつたようですが、この一月一日というものが、人事院考えていらつしやるすみやかな時期だとお考えなつているか、これをまずお伺いしたい。
  74. 淺井清

    淺井説明員 ごもつともでございます。人事院といたしましては、勧告書に書きましたように、なるべくすみやかにこれを実施することを要望いたしている次第でございますから、決して早いとは思つていないのでございます。
  75. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、先ほど淺井総裁は、一月一日から実施するという腹を政府がきめたことは一つの進歩だ、問題は内容だと言つて内容だけに限定されたのですが、まず時期において非常に遺憾な点があるということをお認めになりますか。
  76. 淺井清

    淺井説明員 それはその通りでございますが、これは私から申し上げることではありませんが、国家財政の都合もあつて、さようになつたと思つております。ただ一つの進歩だと申しましたのは、そのベースの金額がそのままいれられたということでございます。
  77. 成田知巳

    ○成田委員 時期の点については非常に遺憾だ、こういうことを認められました。一つの進歩だと言われたことは、ベースの金額がそのまま認められたと、こう言われたのですが、その点について、先ほどの加賀田委員質問に対して、定期昇給が二、三回あつた、これは当然それだけのものが加味されなければいけない、こういうお話があつた。それから地域給の問題ですが、もし伝えられるがごとく五%の地域給が本給に繰入れられることになつたならば、当然それだけのものが上積みされなければならない。定期昇給の問題、地域給の問題、これだけのものが上積みになつて、一万五千四百八十円を幾らか越した金額、一万六千円になりますか、一万六千五百円になりますか、そうならなければ、内容についても進歩したとは考えられないと思いますが、いかがなものでありましようか。
  78. 淺井清

    淺井説明員 お答え申し上げます。定期昇給の問題は、御指摘通りであります。これはすなわち時期の問題と、まつたく言葉が違つただけだろうと思つております。従来の勧告につきましても、この定期昇給は考慮の外においてなされているように思います。但し、それが決していいと申しておるわけではございません。なお地域給につきましては、五段階といたしましても、四段階といたしましても、ベースの額には相違がないように思つております。
  79. 成田知巳

    ○成田委員 定期昇給の点についてはお認めになつたわけですが、地域給の点については、言葉をあいまいにされたのですが、もし五%の地域給が本給に繰入れられる、それがベースになりましてしかも一万五千四百八十円となりましたならば、これは事実上五%だけ、一万五千四百八十円の勧告が無視された、こういう結果になるのでございましようか。
  80. 淺井清

    浅井説明員 その地域給の点は、ちよつと御指摘のところと違うと思うのでありますか、要するに人事院勧告は、現行五段階といたしまして、俸給表と合せまして一万五千四百八十円、ただいま考えられておりますのは、四段階にして俸給表と合せまして一万五千四百八十円、ベースは同じでございますから、ただそのベースの中におきまして、俸給と地域給との占める割合が違つておる、こういうことになるのでございます。
  81. 加賀田進

    ○加賀田委員 お尋ねいたします。総裁答弁の中で、一月以降政府としては一万五千四百八十円を実施する。私が冒頭に質問いたしました通り、このベースというものは、給与準則を定める法律案、これを三月現在において実施する際において表われて来る金額だと思います。だから一月以降実施するといたしましたならば、私の計算では一万五千四百八十円以上の月額平均が出て来なければならない、こういう意味では、人事院としては、勧告を一月以降実施するという政府の言葉でありますけれども政府がこの一万五千四百八十円で押えたということは、内容は別といたしまして、勧告実施しておらないと私は考えておりますが、人事院ではどうお考えなつておるか。
  82. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げますが、それは要するに定期昇給ということを、見るか見ないかという差になつて参るのでありまして、さいぜんお答えを申し上げた通りでございます。
  83. 加賀田進

    ○加賀田委員 もちろん定期昇給というものは年に四回、六箇月、九箇月、十二箇月と区分されることになつております。こういう法律が現在実施されておりますので、もし政府の言明している通り人事院勧告実施するということになれは、一月以降一万五千四百八十円以上の金額が出て来なければならないと思います。従つてこうした勧告を出しておきながらも、政府はなお人事院勧告を無視するような態度をとつて一万五千四百八十円で押えられておる。この金額で給与号俸を新たに制定するために政府人事院と協議しているという総裁から今お話がありましたが、これは人事院のあり方に対して、将来非常に大きな暗影を投げかけるのではないか。人事院としては、やはりこの勧告は相当調査され、研究されて信念をもつて出されているものと私は考えます。大蔵大臣の信念であれば別といたしまして、浅井総裁としては、その変更される信念ではなかろうと思います。そういう意味では、公務員の生活を擁護する特殊な機関として制定されている人事院が、この勧告実施しないという政府の態度に対して、さらに協力的な態度をとるということは、人事院として非常にまずい点が今後起つて来るのではないかと思います。その点人事院総裁としてどうお考えなつておりますか。
  84. 淺井清

    淺井説明員 ごもつともなお尋ねでありますが、人事院といたしましては、なるべく人事院勧告が完全に実施されることによつて公務員の利益が保護せられるように、目下鋭意折衝中でございますので、まだどのような結果になるかは、今日申し上げることはできません。
  85. 加賀田進

    ○加賀田委員 べースの問題は別として、内容の問題について、今地域給質問がございましたが、人事委員は先般の国会から引続いて、この地域給の問題に対して、特に関心を深めて審議をしております。そういう関係上、地域給に対しては人事委員としては、大体の結論が見出された段階だ、これは淺井総裁も御存じだろうと思います。それはできるだけ縮小するということ、その縮小の方法は、地域給に損失を起す個所のないようにということが、その前提条件であります。政府考えておるのは、現在の限られた財源の中で、四段階に縮小する、こういうとをわれわれは聞き知つておるわけでありますけれども、そういたしますと現在の五級地あるいは四級地が損をするのではないか。もちろん無級地等は、そういう五%が繰入れられますから、地域給の財源の範囲内で保護されるということは、われわれとしては認めますけれども、五級地、四級地が実質的の損失を受けて行くのではないかと思います。そういう方法で人事委員会としては絶対に五級地、四級地に損をさせないようにということが前提条件で、特に衆議院においても参議院においても、その趣旨が徹底されておると思うのです。こういう人事委員会の意思を尊重して政府と今後折衝される意思があるかないか、淺井総裁の決意をお伺いしておきます。
  86. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げますが、御指摘の点はまことにごもつともでございます。人事院といたしましては、さきにはさまれました衆議院並びに参議院の人事委員会でおきめになりました御趣旨に従つて努力をいたしたいと思つております。
  87. 加賀田進

    ○加賀田委員 大体構想はわかりましたが、そういたしますと、もし一万五千四百八十円のわくの中で、四段階に縮小するということになれば、別の給与号俸の中に本格的に繰入れるという状態が起つて来ると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  88. 淺井清

    淺井説明員 そういう点は目下鋭意研究中でございまして、今ここですぐにまだお答えをする段階にはなつておりません。
  89. 加賀田進

    ○加賀田委員 まだ研究中で、明確に回答ができないというお答えですが、なお人事院として地域級の是正の問題に対して、強く各地方から要請陳情があると思いますし、それに基いて研究されておると私は考えますが、その研究が事務的にどの程度進行しておるか、並びにその基本を人事院として人事委員会並びにその他の要望にこたえるように研究調査されておるかどうかという点、御説明を願いたい。
  90. 淺井清

    淺井説明員 その点につきましては、両院人事委員会の御趣旨に沿うて研究をいたし、相当進めておりますが、近く開かれます臨時国会には間に合わないかと思つております。
  91. 加賀田進

    ○加賀田委員 最後に要望いたしておきたいと思いますが、やはりいろいろ、御指摘のあつた通り人事院の機構というものは、政府と協力態勢を整えるという意味の性格ではなかつたと私は思います。従つて、人事院勧告を出された以上、勧告実施のために政府に迫つて行くのが、本然の姿ではないかと思います。政府が今次一月以降一万五千四百八十円のベースで押えて、その中で操作しようという状態の中で、政府に協力態勢を整えるということは、今後の人事院のあり方に対して、非常に大きな暗影を投げかけると思いますので、従来われわれの求めている人事院の本然の姿に立ち返つていただくことを要望して私の質問を終ります。
  92. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 加賀田君の質問に関連いたしまして、人事院総裁にお伺いしますが、今の質問の要旨、ベースの中に地域給を含めておるような操作でありまして、人事院でもまだ研究中のようでございますが、衆参両院の人事委員会の決定は、附則といたしましてべース・アツプ地域給の不合理是正と申しますか、こういうものを完全に切り離すということを確認しておるわけでございますが、この点は、人事院はどういうふうに考えておりますか。
  93. 淺井清

    淺井説明員 その点はちよつとむずかしい問題かと思いますが、切り離してやるやらぬと申しますことは、どれだけ本俸へ繰入れられたか、どれだけベース・アツプされたかということが明らかになれば、一緒にやつても、別別にやつてもさしつかえないのじやないか、かように考えておる次第でございます。
  94. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 地域給勧告作業は、引続いてやつておられると思うのでありますが、これは総裁答弁によると、衆参両院のあの人事委員会の決定を尊重して作業を進めておられる、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。
  95. 淺井清

    浅井説明員 さようでございます。
  96. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうすると、この作業が完了いたしますならば、今回の、今伝えられておりますベースの中に入つておる地域給の○、五%の問題、これと別個に地域給についての勧告をなさるおつもりでございますか。
  97. 淺井清

    淺井説明員 地域給に関しまする両院人事委員会の御趣旨は二つあるように思つております。第一は、現在の不均衡を是正すること、第二は、漸次として廃止の方向に向うこと、つまり段階をつづめて行くことと、この二つであるように承知いたしておりますので、ただいま御指摘の点は、その不均衡を是正するという方の問題かと思いますが、それは御説の通り研究を進めております。
  98. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 この勧告の時期ですが、これは補正予算に間に合わないというようなお答えつたようでありますが、本予算に盛り込むというようなめどを持つて作業をしておられるのか、伺いたい。
  99. 淺井清

    淺井説明員 結果がどうなりますかは存じませんが、人事院といたしましては、そのつもりで作業をいたしております。
  100. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 以上で終ります。
  101. 田中織之進

    田中委員長 中原健次君。
  102. 中原健次

    ○中原委員 勧告は、七月十八日の日付で出されましたが、実施が一月ということになりますと、相当開きがあるわけであります。その間に物価の上昇あるいは消費物価の指数の変動、こういうものがかなりあるわけであります。それについて人事院として今、現在にどれだけの変動があり、一月では大体どれくらいの変動を見込むことができるというようなことについての御研究があろうかと思いますが、それにつきまして一応伺つておきます。
  103. 淺井清

    淺井説明員 お答えを申し上げますが、勧告実施が遅れて、勧告ベースが実現されたまでに至る物価等の変化ということでございますが、現在まで人事院が入手して得られるところの資料によりますれば、まだ再勧告をするような金額にはなつていないように思つております。
  104. 中原健次

    ○中原委員 再勧告の条件は出て来ておらない、こういうふうに御答弁になりましたが、実際を申しますと、そろいろ再勧告の用意をせなければならぬ、こういう条件が予想されておるわけであります。従つて、それだけに、かりに一月実施勧告通りに完全になされたといたしましても、もうあとからまた突き上げて来るこういう条件が、否定のできない様相を呈しておるわけであります。そうであつてみますれば、まずもつて現在の勧告内容について、これが不幸にして人事院勧告を完全に実施し得なかつたとすれば、これはまた一層たいへんなことになるのではないか、こういうふうに思うわけであります。従つてこの人事院勧告権威と申しますか、こういうことについてどのようにお考えになるか、国家財政とのいろいろな関連もあつてというふうに、非常に遠慮ぎみの御回答が先ほどから繰返されておつたようでありますが、しかしながら、人事院勧告権威といいますか、意義というものは、これはきわめて重大でありまして、ことに関係方面といたしましては、ただ一つのよりどころとしてこれをたよつておつたわけであります。そうであつてみれば、この人事院勧告が非常に軽く取扱われて行くという傾向になつて来るといたしますると、人事院としても、このままではがまんがならない、こういうことに相なるのではなかろうかと考えるのであります。従つて、この人事院勧告権威等の問題に関しまして、もう一度総裁から御答弁伺いたいと思います。
  105. 淺井清

    淺井説明員 お尋ねを待つまでもなく、われわれとしては、人事院勧告権威を保たせることは、すなわち公務員に対するわれわれの義務だと考え努力いたしております。ただ、お尋ねの点の、ただいま再勧告をしてベースの金額を上げなければならないかどうかと申しますれば、現在までのところは、再勧告をする段階ではないと思つておりますが、将来いかになるかはこれはわからない問題でございまして、物価の騰貴の傾向その他については、ゆだんなく調査はいたしておる次第でございます。
  106. 中原健次

    ○中原委員 それだけに、人事院勧告がこのように時間のずれを来しまして、その間関係方面のこうむる損害というものは非常に莫大であります。たとえば、勧告当時において、すでにこれを実施されなければならない情勢、条件であつたのであります。そうであつてみますれば、その間の時間のずれに伴つて起る生活の圧迫の取返しというものは、どのようにしてなされるか、こういうことについて何かお考えがなかろうかと思うのでありますが、一応これをお尋ねいたしたい。
  107. 淺井清

    淺井説明員 お尋ねの点は、結局われわれとしてはなるべく早く実施したいと思つているわけでございますが、これは国家の財政の都合によることになつていると思うのでございまして、人事院自身のやり方でもつてどうするという問題ではないように思つております。
  108. 中原健次

    ○中原委員 私は、むしろ人事院それ自身の責任として、その間の給与の上昇、増額のずれと申しますか、そのずれを埋め合すためのしかるべき措置が講ぜられ、考慮されなければならぬと思つている。しかもそういうことは、一応七月の実施が一月にずらされましたことから来るいわゆる生活費の補給と申しますか、そういう補給の措置は、別個に講ぜられることが私は不可能ではないと思う。たとえば、年末手当の問題等も、多少これと関連をするかと思いますが、年末手当等に関しましても、今のところ予想されるところによりますと、公務員諸君要求政府の年末手当支給予想額とは相当ずれている、開きがあると思います。たとえばこういう点についても、人事院としては別個にこれがずれを埋め合すための手当措置をお考えになることもまた一つの方便ではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、こういうことにつきましては、どのようにお考えなつておりますか。
  109. 淺井清

    淺井説明員 ごもつともなお尋ねでございますけれども人事院としては、現在の勧告以上に出ることはできないように考えております。それは政府としても、おそらくはなるべく早く実施したいとは思つておるでございましようけれども、これは、ただいま申しましたように、財政上の問題に帰するのではないかと考えます。
  110. 中原健次

    ○中原委員 国家財政の問題につきましては、これはいろいろ議論ができると思います。しかし、今ここで議論をしようとは考えぬのであります。私どもから考えますと、国家財政の都合で、この完全実施が非常に遅れたとは説明できないと思つております。むしろ十分にこれにこたえるだけの財源措置は可能であるという見解に立つのでありますが、このことにつきましては、今ここで議論はいたしません、いずれにいたしましても、私今申しておりますのは、だから、この間の時間のずれを埋め合すために、年末手当手当額を公務員諸君要求しておる額へ上げて行く、こういう措置を講ずるために特別の勧告をするということも可能じやないかと思うのであります。たとえば、全官公の要求額は二箇月。そうならば、二箇月分の実施を可能ならしめるような措置人事院としておとりになる責任がありはせぬかと思うのであります。なぜかと申しますと、七月の勧告が一月までずれて、それをまた一歩の前進とお認めになられて、まずもつてよしというふうなお考えであられたのでは、これは公務員諸君としては、大きな期待はずれになるからでありまして、この点について再度の御答弁をお願いいたします。
  111. 淺井清

    浅井説明員 まことにごもつとでありますが、人事院といたしましては、年間二箇月の手当と申しますものは、ベース金額、民間同種の手当等と見合つておる次第でございまするし、その点についてあらためて勧告するという意思は持つておりません。
  112. 中原健次

    ○中原委員 民間企業との見合いとおつしやつたのでありますが、民間企業との見合いということになりますと、なおさらのこと、これは私どものような見解にお立ちになる方が、私は妥当だと思うのであります。  なおこのような状況のもので、遅れて一月にこれを実施するとしても、その内容については、まだ必ずしも人事院としての満足の行く点にまで到達しておらないということが、ただいままでの御答弁の中から想像されるのであります。そのような状態であつてみれば、先ほど井堀委員が非常に御心配になつておられましたような、そういう非常な事態が当然そこに誘発されて来ることもまたやむを得ない、こういうことが私は言えて来るのではなかろうかと思うのであります。大体公務員諸君がみずからの労働権を主張するために、あるいは生活を守るための条件を闘い取るためのその行動が禁止されておる公務員なるがゆえに、そのすべてが人事院の一つの手にゆだねられて、みずからの手で何事をもなし得ない、こういう立場に追い込まれておりますだけに、このような不満足な結果に相なりましたからには、当然これに対して自己の生活権を守るために、やむを得ざる手段に出るのほかはない、こういうことになることは、避けられない結果ではなかろうかと私は思うのであります。従いまして、もし万一公務員諸君のこの問題に対する対策としていろいろな措置に出ました場合、それが国家、あるいは国民に対するさまざまな形での迷惑になるような場合がございましようとも、この責任の所在は、公務員諸君の側にあるのではなしに、これを実施することを容易にせなかつた、しかもこれだけの時間のずれをも何ら顧みることのない立場においてこれを非常に遅らせて参りました政府自身の側にこのような場合の責任はある、このように私どもは思うのであります。従つて、責任の所在は、このようなことから考えますと、政府みずからが招いたことである。政府自身が、かりに国民にいささかの迷惑でも与えるようなことがございましようならば、これらの責任は当然負わなければならない、こういうふうに思うのでございます。これについて総裁は、そうでないとお思いになるのかどうか、一応承りたい。
  113. 淺井清

    浅井説明員 ただいまのお言葉は、御意見として承つておきますが、われわれといたしましては、そのような遺憾なことにならないように善処いたしたいと思つております。
  114. 中原健次

    ○中原委員 そのような遺憾なことにならないようにするための対策としては、まず少くとも人事院勧告が完全に実施されることが、最低の線ではないかと思うのであります。と申しますのは、官公労要求は、むしろ――というよりも、一万五千四百八十円ではなくして、たしか一万八千八百の線であつたかと思うのであります。従つて、この組合側の意思表示いたしておりまする要求の線というものは、当然そこに科学的な基礎があるわけでありまして、ただ思いつきにこのような数字を提起しているわけではないのであります。そうであつてみれば、相当科学的な根拠の上に立つての要求が満たされておらないばかりか、非常に下まわつた人事院勧告それ自身すらが、かりに一月からそのまま実施されるといたしましても、その間に六箇月の時間のずれを伴つておるというようなことであつてみますると、当然これに対しまして自己の生活権を守るために、いや、あすの日からの仕事を完全にするために、労働再生産のために、不可避的にこのための対策を講じなければならなくなつて来るということを、私は確認するものであります。従つて、そうであれば、やはり政府としても、これらの問題については、もつと積極的な立場をとられて、できるだけこれを実施しないというような立場に立つのでなくして、このような要求に対する誠意のある対策を講じていただかなければならぬと思うのであります。もちろん今日ここには人事院総裁並びに人事院の各関係諸君がおいでになるだけでありまして、大蔵省当局並びに政府を代表する者がいないわけでありますから、この問題についての議論は差控えますけれども、いずれにいたしましても、人事院とされては相当の御決意があつてしかるべきだと私は思うのであります。ことに憲法が保障いたしております基本的な人権が、このような形で片つぱしからくずされて行く、否定されて行く、こういう過程を、今どうも進んでおるように遺憾ながら見なければならぬのでありましてそういうようなことであつてみれば、当然憲法を守るという立場から考えましても、このままで泣寝入りできない。こういうことに当然なるであろうということが予想されるからであります。  私はこれ以上総裁に御答弁を求めようとは考えませんが、このような見解から、全官公の諸君はこのように追い込まれた生活の窮迫を乗り越えるために、どうしても最低限度この人事院勧告の線をいささかも譲ることはできないでありましようし、いや全官公の要求それ自身の合理性を十分全国民に理解してもらわなければならないという立場に立つて今後の行動を進められるであろうことをつけ加えておくものであります。このことは私の意見でありますけれども、一応最後に意見を総裁に申し上げておきます。
  115. 田中織之進

    田中委員長 館俊三君。――昼の休憩時間も大分圧縮されておりますので、簡単に願います。
  116. 館俊三

    ○館委員 総裁にちよつとお尋ねをいたしておきます。さきからの各委員質問で、十分尽きておるのでありますけれども、私は念を押すために聞いておきたい。事務的な問題なんです。各委員質問に対して、最善を尽して今政府総裁は折衝中であるというお話でした。このごろ新聞を見ますと、一月から一万五千四百八十円を実施するという報道が出ておる。そうしますと、これは少しおそ過ぎたけれども、とにもかくにも一万五千四百八十円を実施するのだ、こういうのでありますけれども、それにもかかわらず、総裁政府と折衝しておられる。その折衝しておられる焦点はどういうところにあるのであるかということについてお話を承りたい。たとえば、新聞に出ておりますように、地域給を云々するという問題、先ほどからずいぶん質問がありましたが――それから定期昇給を踏み台にするというようなこと、あるいはなるべく早くというのが一月になつたというようなこと、こういう点で人事院勧告の趣旨に沿わない点がある。政府の一月一日の実施ということの中に、どういううものがあるのか。それでは人事院はうまくないので、そういう点について折衝なさつておられるのかどうか、こういうことを念を挿しておきたいのであります。そしてさらに新聞で伝えておる地域給の問題を関連させ、あるいは定期昇給を関連させておる。そういうような関連の仕方において政府は一万五千四百八十円を考えておるのかどうか。そうしてそういうことでは人事院勧告がその通りに行かないということで折衝なさつておられるのかどうか。たいへん一生懸命になつて折衝していらつしやる熱意は、先ほどから承つておるのでありますが、そういうことをちよつと念を押しておきたい。
  117. 淺井清

    淺井説明員 お尋ねの点は、さいぜんからも申しましたが、来年一月一日から人事院ベース実施するということはきまつたのでございますけれども、さて問題は、そのベース内容、たとえば、俸給表のつくり方等によつてべース内容が非常にかわつて参る。そこで人事院といたしましては、人事院勧告をなるべく完全に実施できるよう努力中である、こういう意味で申し上げたのでございます。
  118. 館俊三

    ○館委員 そこで七月に勧告をなさつた時分には、すでに一万五千四百八十円を基礎にして俸給表というものが、人事院の方で事務的に整つておらねばならないと思うのですが、その俸給表が今の政府勧告の仕方によつてもう一ぺん考え直さなければならないような状態になつておるのですか、どうですか。
  119. 淺井清

    淺井説明員 人事院勧告には、俸給表がついているわけでございますから、われわれの考えはその通りでございます。ただ、これを来年一月一日から実施いたしますについて予算上の問題があるために、その俸給表がどうなるかということが問題でございます。但し、べースはかわらないのでございます。
  120. 田中織之進

  121. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 問題を明確にするためにお尋ねいたしておきたいと思いますが、一月から一万五千四百八十円給与ベースで、しかも人事院勧告の線に沿うごとく努力する、こうおつしやつておられますが、そういう手品のようなことが一体できるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。今給与局長からの御説明によりますと、現在で大体一万四千二百円程度のべースだということである。そういたしますと千二百八十円程度しかアツプにならない。これを全然キヤンセルして、しかもこのことは当然人事院勧告に前提として含んでおるものと考えるのであります。それは本年の三月現在においての給与ース勧告されておるからであります。そういたしますと一月以降に一万五千四百八十円べースで、しかもなるべく俸給表をいらわないで、しかもその前提となる地域給をいらわないで一体できるかどうか。これは私は不可能であると思いますが、そういう努力をされてもはたして勧告通り行くのかどうか、これをお尋ねいたしたい。
  122. 淺井清

    淺井説明員 ただいまのお尋ね、ごもつともでございますが、ただ昇給の点は別といたしまするならば、われわれといたしましては、人事院勧告のようにほぼ来年一月一日に一万五千四百八十円のベースになすことができるのではないかと、ただいまのところ思つております。
  123. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 昇給の点が別ということになれば、これはきわめておかしな話です。少くとも給与というものは、ある年次に学校を出て、そして幾ら勤めた者が大体この号俸をもらう、こういうことになつてその人間がべース・アツプを受けるわけであります。そういたしますと、個々人の問題でなくて、そういう俸給に当る人はベース・アツプをすべき問題である。でありますから、昇給の問題を別として勧告通りやるということは、どうも納得行かないのですが、もう一度お尋ねいたしたい。
  124. 淺井清

    淺井説明員 ただいまの私の答えが、ちよつと了解しにくいのじやないかと思いますが、私が申しましたのは、来年の一月一日には人事院勧告いたしましたベース、すなわち一万五千四百八十円が実施されるということを申したのであります。ただ、さいぜんからだんだんと御質疑がありましたように、本来は人事院のべースは、来年の一月一日には上つていなければならないのじやないか、それは定期昇給があるからではないかというお尋ねになれば、別である、さような意味で申した次第でございます。
  125. 田中織之進

    田中委員長 それでは午後二時まで休憩いたします。  なお労働大臣は、二時から三時までの間しか本委員会に本日は出席できないというあらかじめ連絡がございますので、二時に正確に開会いたしますから御出席を願います。     午後一時三十八分休憩     ―――――――――――――     午後二時五十九分開議
  126. 赤松勇

    赤松委員長 休憩前に引続いて会議開きます。  この際委員長より一言申し上げます。本日午後二時よりただいま三時まで約一時間、政府側の出席がないので委員諸君は待つておつたのでございますが、御案内のように裁定をめぐる、あるいは給与改訂をめぐる最近の労働情勢をきわめて緊迫しております。政府においても、これが対策に慎重を期しておられると思うのであります。各委員会委員諸君といたしましても、この問題の善処方のために、それぞれ日夜寝食を忘れて対策に尽力をしております。こういうときにあたつて政府側が委員を一時間以上にわたつて委員会においてその審議を遅らすというようなことは、はなはだ遺憾に思います。ことに大蔵当局は、この問題のいわばかぎを握つている、政府の中の給与改訂問題の財源を預かつておるところの重大な責任者でありまして、特に大蔵大臣も先般本委員会に出席するよう強く要望し、それを確認して帰りましたが、今日まで小笠原大蔵大臣は出席しておりません。まことに遺憾千万だと思います。政府においては、将来こういう点を十分気をつけて、本委員会の運営に万遺憾なきを期するようにしてもらいたい。これは委員長といたしまして、強く政府に希望しておきます。  この際質疑を許しますが、ただいま出席の政府側の名前を申し上げと、安井政務次官――労働大臣は二時より三時まで出席をし、三時から労働問題臨議会を開くから本委員会に出席しがたいという申出がございましたので、これを了承したのでございますが、二時前に駐留軍側より駐留軍労務者の年末手当の問題について至急協議したいという申出がございましたので、委員長の了解を得まして、年末手当の問題につきましてただいま米軍側と折衝中でございます。この点はやむを得ない事情だと了解いたしまして、安井政務次官、それから石黒法規課長の出席を求めたのであります。専売公社から本田職員部長、大蔵省側からは正示主計局次長、岸本給与課長、なお運輸省及び国鉄側はただいまもうすでに出発をいたしまして、間もなく本委員会に出席するという予定になつております。最初に正示主計局次官に対する質疑を行いまして、この質疑が終了した後運輸省並びに国鉄公社の当事者に対する質疑に移りたいと思います。  正示主計局次長に対する質疑を許します。田中織之進君。
  127. 田中織之進

    田中(織)委員 大蔵省側に御質問申し上げる前に、労働政務次官が見えておられるようですから、裁定全般につきまして、労働大臣の責任において国会に提出されました関係から、確かめたい点があります。  三公社五現業仲裁裁定は、先国会国会議決を求められて継続審査になつておるのでありますが、その理由は、八つの裁定ともに「前項の経費は、いずれも昭和二十年度特別会計予算の歳入歳出予算に含まれておらず、給与総額については、予点総則第八条の金額を超過することは明らかであるから、これを支出することは、予算上不可能である。右に述べた事由により、本裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められる。」こういうことで、いわゆる予算上資金上不可能であるということで、いわばこの裁定について国会の不承認を求める議決政府要求して来て、現に継続審査になつておるのであります。最近になりましてこれは二十一日の閣議であつたかと思うのでありますけれども政府はわれわれ野党四派の要求によりまする第二次臨時国会に提出する第二次補正予算におきましてこの八つの仲裁裁定を明年一月一日から実施する、それに必要な予算措置を講ずるということを決定されたやにわれわれ伺つておるのであります。従いまして、これは第二次補正予算が出た場合に、当然第二次臨時国会において問題になることでありますけれども、現に不承認を求める意味において予算上資金上不可能だということの建前に立つて審議を求めておるこの案件が、やがて第二次臨時国会が開かれるならば、たとい一月一日からにしろ予算上資金上可能だということになつて出て来るということになりますと、この案を政府は撤回されて、新たに裁定実施についての議決を求める意味の案件を提出する考え方であるか、それともこれは現に継続審議中のものでありますから、本会議は開かれておりませんけれども、来るべき第二次臨時国会における本会議において、継続中の案件について政府の方で、これはいわゆる内容の修正にかかるものでありますが、修正を求めるつもりであるか。この点は、午前中から本案に対する審議は続けられておるのでありますが、これは一番重要な問題であろうと思いますので、この点について労働省側の御答弁を煩わしたいと思うのであります。
  128. 安井謙

    ○安井説明員 田中さんにお答え申し上げます。労働省といたしましては、あの仲裁裁定並びにベース・アツプにつきましても、極力趣旨を尊重する建前で、いろいろ政府部内と相談いたしました。しかし、御承知のように、現在の予算ではこれは施行することが不可能であるということで、やむを得ずああいつた案を出しまして御審議を願つておる次第であります。しかし、その後検討いたしまして、そのうち少しでもでき得るものにつきましては、極力裁定並びに勧告の趣旨に沿うように今努力しておる次第でありますので、予算上不可能であるということ、そのことは間違いないわけでありまして、あれを撤回するという形にはならないかと思います。
  129. 田中織之進

    田中(織)委員 やはり公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当すると思われる、こういうように事由書は書いておりまして、これはいわゆる予算上質金上不可能だ、こういう建前であります。これはまだ予算案が出て来なければ可能だという事態にはならない、不十分であるけれども一部でも実施しようということにならないということは、厳密には今安井政務次官の言われるようなことになろうかと思いますけれども、すでにそのことが予見さもておるという観点においては、私は、これはやはりわれわれの建前といたしましては、当然もう二十八年度の予算がきまつてからあとに起つた裁定でございますから、二十八年度の当初予算には予算上組まれていないことは明々白々なんです。はたしてそれが予算上資金上不可能であるかどうかということの検討は、もつと実質的な面から行つて、本来ならこれに必要な予算をつけて国会議決を求めるということが、この裁定の取扱いでなければならぬ。われわれは、すでに過去何回かにわたつて出されて参りました裁定が、議会の審議を経る際に、絶えず主張して参つたことでありますが、今回もそういう措置をとらずに、いわば不承認を求める形で議決案を国会に提出して、しかも継続審議中に、それが予算上も資金上も可能であるというように内容が変更するということになれば、当然提案そのものが変更になることだ。従つて、一旦撤回して新たなる提案をするか、それとも私が申し上げたような修正という形で議院の同意を求めた上で、そうした政府の現在ありのままの内容に、内容を形式的にもかえて行かなければ、私は不都合だと思うのでありますが、重ねてこの点についての政務次官の御見解を承りたい。
  130. 安井謙

    ○安井説明員 ごもつともなお話であろうかとも思うのでございますが、あの不承認の承認と申しますか、実施予算上資金上できないと申しますことは、御承知通りに、あの十六条第二項によりましても、裁定がありました場合には、ただちに、国会再開後五日以内に出す、あるいは裁定後十日以内に提出しなければいけないという政府の義務が義務づけられております。それまでにいろいろな検討が間に合えばたいへんけつこうでありますが、現状からいたしましては、どうしても間に合いませんし、また事実上予算に全部のむということは不可能な情勢にありますもので、ああいつた御審議を願つておる次第でございます。今後政府がそれをどの程度のめるかという点につきまては、目下予算上いろいろと検討を続けておりますので、予算案としてもし可能なものができますれば、出しまして、それの御審議を願うことに相なろうかと思います。
  131. 田中織之進

    田中(織)委員 この点は、ほかの委員諸君からも御質疑があることと思いますし、労働政務次官の御答弁では、まだ二十一日の閣議決定では、八つの裁定は一月一日から実施するということは確定しておらないかのごとく述べられるのでありますが、幸い大蔵省の正示主計局次長もお見えでありますから、その点についてお伺いしたいと思います。二十一日の閣議においては、この裁定を一月一日から実施するということを決定されたように、これはもちろん新聞紙の報道を通じてわれわれは承知しておるわけでありますが、政府はそういう決定をなされたのかどうか。現にそのための必要な予算案が当然次の臨時国会に提出せられるものとわれわれは予想するのでありますが、その提出の準備がどの程度に進んでおるのであるか、大蔵省側にお伺いしたいと思います。
  132. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。先ほど安井労働政務次官から申されましたように、人事院勧告あるいは仲裁裁定実施につきましては、かねがね国会の御審議中にも非常に強くこの実施についての要望があつたのであります。政府におきましても、前臨時国会においてたびたび申し上げましたように、財源上非常に困難が多かつたのでありますが、まあ何とかその趣旨を尊重するということを建前にいたしまして、鋭意検討を続けて来たのであります。ただいま田中委員が御指摘のように、先般の閣議におきまして第二次補正予算の大体の方針は決定を見たのであります。その中に、仲裁裁定並びに人事院勧告の――私どもはいわゆるベースといつておりますが、このベースを大体来年一月一日から実施するように予算を組むという方針は決定を見たのであります。
  133. 田中織之進

    田中(織)委員 そこでお伺いするのでありますが、一月一日から八つの裁定実施するといたしますと、これはそれぞれの政府機関の予算の補正という形に相なると思うのでありますが、一般会計でめんどうを見なければならないと政府が予定しておるものは、どのくらいの金額になりますか、お伺いしたいと思います。
  134. 正示啓次郎

    ○正示説明員 先ほどちよつと申し忘れたのでありますが――田中委員から申されましたように、ただいま予算編成事務がどの程度進歩しておるかという点につきましてお答えをいたさなかつたのでありますが、ただいま方針を体しまして鋭意計数を整理いたしております。ただいまの御質問につきまして、従いまして正確にはあるいは予算を提出いたした上でお答えをいたすべきかと思うのでありますが、一応の数字、これは概算でございまして、いわゆる他会計へ繰入れということを私ども言つておるのであります。この中には裁定関係勧告関係と二つ入つておりますが、大体のところ一億五、六千万円のものを、これは二十八年度中でございますが、一般会計からほかの会計に繰入れなければならないというふうに考えております。これはべース・アツプだけでございます。そのほかに、御承知のように期末手当あるいは勤勉手当関係がございます。これはこれまた概算でございますが、今会計の分が大体二億円見当というふうに考えております。
  135. 田中織之進

    田中(織)委員 私の質問は、郵政委員の立場において、郵政職員に対する裁定予算面の問題に限定いたしたいと思うのであります。裁定書にもございますように、仲裁裁定第十七号が郵政関係でありますが、全体で約四十億、三十九億数千万円の予算がいるわけであります。これはもちろん裁定か示しておる八月実施に伴うものでございますが、かりに政府の方が閣議できめたという一月一日から実施するといたしましても、郵政会計の特殊性からいたしまして、たとえば郵便貯金の特別会計等は、これは一般会計から繰入れをしなければ裁定実施できないと思うのであります。その関係は、どの程度繰入れをされることになつておるのか。さらに、この点については、実は第十六国会でありましたか、郵政職員に対する例の不合理是正のための調定案実施いたしました際にも、郵便貯金会計への繰入れだけが――これは一般会計から特別会計への繰入れをやるわけでありますが、行われておらないのであります。何か第二次補正予算内容を見ますと、そのときの五億何がしかを繰入れるようなことを、大蔵大臣が示したというようなことも新聞紙で散見をいたしておるのでありますが、そういう前の調定案のときですから、郵便貯金の関係は、一般会計からの繰入れがないために不都合を生じているのであります。今度の場合には、特にその必要があると私は考えるのでありますが、特に郵政職員関係で、予算的な措置としてどの程度のものを予定されているか、お伺いいたします。
  136. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。先ほど申し上げました繰入れ額のうち郵政はどれくらいか、ただいま内訳を持つておりませんので、後刻ただちに田中委員に申し上げます。  ただいま申されました御趣旨に対して、一応お答え申し上げますが、論定の方は、たしかこれは田中委員長は私よりも御存じなのですが、あのときに郵政の内部におきまして一応処理するというようなことになつておつたかと思うのでありますが、今回一月一日から仲裁裁定実施いたします分につきましては、この所要財源のうち、一般会計が負担すべきものは負担するという建前において積算をしているわけであります。なお郵便貯金に対しまする元加利子相当分も、今回の所要額については五億計上しております。
  137. 田中織之進

    田中(織)委員 前の不合理是正の調定案実施の場合にも、この裁定書の十五ページに書いておりますように「他の会計はそれぞれ分担分を醵出したのにかかわらず貯金特別会計からの五億円は未済となつているが、これも財源の一つに数えるべきであろう。」こういうように仲裁委員会の方では示しておるのであります。これも取扱いの点からいえば、ただいま主計局次長の述べられたように、これは御承知のように貯金に対しては、集まつた金に対する六、四%の利子補給という形で一般会計からの繰入れがなされておるので、私の記憶違いでなければ、別途予算に組み入れられておるという形のものは、この間のものの穴埋めではないかというふうに私は理解しておるのであります。この点については今度の場合、どうしても、この一般会計からの繰入れが行われないと、郵政関係仲裁裁定実施されない、大きな穴があいて参りますので、この点はひとつ明確にしていただきたいと思うのでありますが、数字の点は、お手元に資料をお持ちでなければ、後ほどでもけつこうでございます。  そこで問題がやや逆もどりする形になるのでありますが、政府の方では一月一日から実施するということであります。仲裁裁定は御承知のように八月一日実施、本来なら四月から実施すべきものを、私らの立場からいえば仲裁委員会がよけいな心配をして、政府の財政上の条件をも考慮して、八月からの実施の方が実現性があるだろう。今井仲裁委員長も、大蔵省畑でありますから、勢い大蔵省の台所の内幕がよく見えるのか、八月一日から実施ということにしておるのであります。なるほど金額の点において、二十八年度中をとる場合には、一月一日からの実施と八月一日の実施と違うと思うのでありますが、少くとも仲裁裁定というものの趣旨――これは罷業権を奪われておる公共企業体の労働者の待遇改善の最後の強権的な制度として仲裁裁定というものが設けられておる、それを尊重するという線に政府考え方を引きもとして来たとするならば、私は裁定実施の期日である八月一日にさかのぼつて実施すべきが、裁定を尊重するという精神に一番合致することになると思うのであります。一月一日からでなければこの裁定実施できないというのは、別に何か財政的な事情があるのかどうか。ちよつと問題は逆もどりした形になりますけれども、主計局次長に伺いたいと思います。
  138. 正示啓次郎

    ○正示説明員 この問題は、私がお答え申すのは不適当と思いますが、特に御指名でございますから、一応お答え申し上げます。前臨時国会において、たびたび大蔵大臣も申し、また、関係閣僚からお話もございました通り、財源の点におきまして非常に困難があるのであります。特に、ただいま田中委員長からも御指摘のように、郵政につきましては一般会計との関連が非常に多いのでございまして、その関連におきましても、一般会計の負担増ということもあわせて考えなければならなかつた次第であります。また公共企業体等労働関係法建前が、各企業体それぞれの問題ということは、法理上明白でございますが、政府の方針として、一応全体の実施時期につきまして慎重に検討が加えられた結果、今回のような決定を見たのであります。私どもといたしましては、全般的に財源的に困難であつたという事実は、まさにその通りであり、その困難な財政のもとにおいて全体の方針が今回のごとく決定を見ましたので、一応一月一日からの実施に合せまして財源を捻出した、かようにお答え申す以外にないのであります。
  139. 田中織之進

    田中(織)委員 問題は第二次補正予算の財源として専売益金の増加を七十億見込まなければならぬ。これでは全専売関係裁定のためのわずか五、六億のものを、資金上予算上不可能だというわけには参らないというところに、政府が一月一日に実施時期をずらして実施する大きな理由があるように私は見受けるのであります。問題は、先ほど安井政務次官にお尋ねしたときにも申し上げたのでありますけれども、いわゆる仲裁裁定実施された場合の予算上質金上――ともかく予算上は一応既定予算というもので、国会の承認を得たものでなければ予算にはならないのでありますが、資金上の点においては――これは今度の仲裁裁定が一番困難だといわれている。あるいは特殊な郵便物であるとか、あるいは鉄道運賃は一部値上げをしなければ、年度を通ずる裁定実施はむずかしいというような理由を裁定書も示しておりますけれども、概括いたしまして、今度の裁定は、少くとも資金的には各会計において可能であるということをそろえて、とにかく仲裁に示しておるのであります。従つて、これは公労法上の精神を理解いたしますならば、当然資金上可能なものを予算的に可能なものにするだけの努力政府になければ、私は政府みずからつくつた法律を蹂躙することになると思う。それが現に一箇月たつかたたないかの間に、今月の二十一日には予算上資金上不可能だ――それはまだ予算案が出て来ないから、はつきり言えないかもしれませんけれども、今月の二十一日には、すなわち三週間たたぬ間に、予算上資金上可能なればこそ、一月一日から実施するということが決定された。私は、もちろんそれはいろいろ財政上の最高の方針というものを主計局次長に聞くことは、無理だと思いますけれども、それにいたしましても、私は仲裁裁定というような法できめられておる、仲裁委員長がいうように裁判の判決と同等の権威を持つものが、わずか三週間の間にぐるぐるかわるような、政治的な事情によつて左右されるということは、私は、不都合千万だと思う。そういう観点から、これは当然予算が出て参りました場合には、われわれとしては、やはり法治国の国民であり、法治国の行政機関が法に準拠した形で、やはり裁判所が判決を下したものをまけてくれと言うわけには行かない。その意味で、われわれは裁定通り実施要求する方針でありますから、その立場に立つてわれわれは対処いたしたいと思うのであります。もう一点、これはかりに百歩を譲つて一月一日から実施されるといたしましても、来年度において当然問題になることでございますが、郵便貯金に対する利子補給の形で現に行つている――来年は六分三厘になるはずでありますが、それは現在すでに七分何がしについておる郵便貯金の資金コストから行きますと、とうていまかない切れない。郵便局の窓口を通ずるだけで、全部これが資金運用部の方に入つておつて、これがいわゆる国家資金、大蔵省の預金部の資金として運用されておるのであります。最近通過した第一次補正予算災害予算に関連して百五十三億は預金部資金等から工事の進行状況に応じてつなぎ融資の形で出すのだ。ところが、資金運用部のふところぐあいを追究して行くと、百五十三億どころか、五十億の金もそういう方面にまわす金がない。勢いこれは現に進められておるでありましようが、貯蓄の増強、特に郵便貯金に多くを期待せざるを得ない。これは大蔵省の全体のふところをまかなう立場において当然私は考えなければならぬ面だと思う。従つて特に貯金関係を含めたところの従業員を持つ郵政関係職員裁定実施等の問題について、私は大蔵省がけちくさい態度をとること自体が、大蔵省が予算上の資金の足りない面を、資金的にいわゆる国家資金をもつてまかなうという――これは今日財政金融政策上大きな部分を占めておると思うのですが、私はその根源を枯渇することになると思う。そういう意味で来年度においては、少くともこの貯金の利子補給の形における――今年は六分四厘でありますが、来年は私の理解するところでは六分二厘になる。それでは最近における貯金の資金コストが高くついておるという考えから見て勢い穴が明いて来ると思うのでありますが、仲裁裁定等においても、これは銀行の預金コストと比べても、権衡を失するという点が指摘されておる。なるほど私ども郵便局や銀行の預金のコストというものについても、いろいろな見方があることは承知しておりますけれども、今日銀行等が預金の吸収のためには相当大がかりな懸賞金を出したり、宣伝費を使つておる。そういうものを預金コストに入れますならば、私は決して郵便局の窓口から集めて来るところの郵便貯金のコストというものは、ほんとうの銀行の預金のコストよりも高いものではないと思う。それをやはり六分四厘、来年は六分三厘に押えるというところに、私は無理が出て来ると思うのでありますが、大蔵省は何しろ資金運用部の資金を確保しなければならない、今まゆに火のついておるような時期に、この問題について特に考慮を払う用意があるかどうか。これはひとつ当該担当官として正示次長の見解を伺いたい。
  140. 正示啓次郎

    ○正示説明員 預金部資金の一番大切な源泉であります郵便貯金の確保におきましてただいまお示しの田中委員長の御意見を傾聴いたしたのであります。われわれはこの重要性ということは、つとに感じておるわけでありまして、そのために、いつでも熱心のあまり、郵政、大蔵両当局が、いろいろ委員長の方に御迷惑をかけておりますけれども、来年度におきましてこの郵貯の原資確保について一段の努力をするということについてはむろん私どももその線に沿うて努力いたしたいと思います。ただいま御指摘の点につきましては、これは実は非常に重要な問題でございますので、来年度予算の編成事務の重要な一つの項目といたしまして、目下検討しておるような次第であります。コストの計算その他いろいろ技術的な問題もございますので、この際私からどうというようなことは申し上げかねるのでありますが、一般的に、要するに預金部資金の確保が非常に重要りであるということについては、かねがね私どももその考えをもちまして、施策をいたしておる次第でございます。この点は、いずれ補正予算が提出され、郵政書でおいていろいろまた御審議を願うわけでありますから、それらの適当な機会において、あらためて御審議を願いたい、かように存じます。
  141. 成田知巳

    ○成田委員長 お諮りしますが、ただいま出席の政府側並びに関係公社側の政府委員並びに説明員は、労働省は安第一類第十五号附属の四労働委員会人事委員会運輸委員会郵政委員会電気通信委員会連合審査会議録第一井政務次官、石黒法規課長、専費公社本田職員部長、小川総務部長、運輸省植田鉄道監督局長、国鉄吾孫子職員局長、大蔵省正示主計局次長、岸本給与課長でございますが、御質問がございますか。暫時休憩いたします。     午後三時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十九分開議
  142. 赤松勇

    赤松委員長 休憩前に引続き会議開きます。田中織之進君。
  143. 田中織之進

    田中(織)委員 それでは引続き大蔵当局になお若干の質疑を行います。郵政職員関係だけをとりましても、郵政省職員のうちには、仲裁裁定実施の恩典に浴さないところのいわゆる一般公務員が約二万数千名いるわけです。そこで、当然この仲裁裁定実施に関連いたしましていわゆる一般公務員給与ース人事院勧告実施されるということに、非常に深い関心を持つておるのであります。午前中、人事院総裁伺いますと、これまた一月一日から一万五千四百八十円の人事院勧告実施するということに政府は一歩前進しで来た、こういう答弁をなされておるのであります。ところが、裁定ベース内容については、いわゆる人事院勧告についておる俸給表通りではないように見受けられるのであります。新聞紙によりますと、俸給表につきましては、いわゆる地域給の四段階への整理の問題が関連をいたしまして、実質的には人事院勧告よりも下まわるような大蔵省の原案が出ておるように伝えられておるのであります。この一般公務員人事院勧告給与ースの引上げについて、今大蔵省で持つておる予算内容を、ひとつ御説明を願いたい。
  144. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、先般閣議におきまして、仲裁裁定並びに人事院勧告に示されましたべースを、一月一日以降実施することがきめられたということを申し上げたのでありますが、人事院勧告実施に関連いたしまして、閣議の決定の中に、いわゆる地域給の整理ということが一つの項目としてうたわれておるのであります。こまかい作業は、先ほども申し上げましたように、ただま鋭意進めておる段階でございますので、申し上げかねるのでありまして、これはいずれ予算が出てから御審議を願いたいと存じますけれども、大隊のところといたしまして、一月一日から、人事院勧告されました一般職の国家公務員に対する俸給表は、これを尊重するという建前のもとに作業を進めておる次第でございます。
  145. 田中織之進

    田中(織)委員 ところが問題は、地域給を現在の五段階を前提として俸給表はできておる。それをいわゆる一級の百分の五のところをはずして四段階にする。これを本俸へ繰入れるような形をとるような案が目下進められておるようでございますが、そういたしますと、われわれの端的な理解からいたしまして、もう本俸に繰入れるということにいたしますならば、一万五千四百八十円に約五百円余りのものが加わつたものが実施されなければ、結局、極端な言葉でいえば、無級地のところは別といたしまして、百分の五をもらつておるところは、それだけ地域給を削られたような形に実質的にはなるのではないかと思うのであります。その意味で五段階地域給を前提としてこしらえておる俸給表が、地域給の整理に伴つて四段階俸給表がかえられるということになると、問題があるのであります。  さらに、これも午前中特に人事委員関係諸君から、人事院総裁等に相当つつ込んだ質疑が行われたのでございますが、一般公務員については、いわゆる定期昇給の問題がございます。人事院瀧本給与局長の御説明によりましても、たとえば一月一日現在をとつてみますと、この定期昇給の関係を載り込みますと、ベースは一万四千百円から二百円の段階にある。そういたしますと、なるほど一万五千四百八十円を実施するといたしましても、その定期昇給の関係を考慮に入れますと、前のベースから一三・九%の上昇率を見込んだベース・アツプ勧告が、実質的には一〇%を切るアツプにしかならないという結果を招来するのであります。定期昇給によつてもらつたものは、既得権的なものでありますから、当然それは一万五千四百八十円でなくて、実質的には一万六千百円近いものにならなければ、人事院勧告通りにはならない、こういう見解をわれわれは持つものであります。これは予算が出て来たときに、ゆつくり審議してもらいましようという主計局次長のお話でありますけれども、そういう点が予算案として固まつてしまつたのでは、われわれできるだけ公務員に、少くとも人事院勧告だけは最低線として確保してやりたいという国会の立場から考えまして、大蔵省の作業が終つてしまつて、これまた多数で押し切れるということになると、国会の審議権はどこにあるかということになる。たまたまこの裁定が継続審議になつて、こうして連合審査会国会の機能として営まれておるというところに、われわれは大蔵省に、少くとも人事院勧告を尊重する、その通り実施するのだということになれば、その内容を明確にする必要があるので、重ねて伺うわけでありますが、その点をひとつ御説明を願いたい。
  146. 正示啓次郎

    ○正示説明員 先ほど申し上げましたように、こまかい議論ということになりますと、やはり俸給表を前に置いてお答えをいたしたいのでありますが、考え方といたしましては、やはり人事院勧告をどこまでも尊重するという建前は、かわつておらないのでございまして、いはゆる一万五千四百八十円べースというものを基本に置いていることにはかわりはないのでございます。ただ、今回の人事院勧告は御承知通り実施時期を示しておりません。従来は実施時期というものが示されておつたのでありますが、今回の勧告にはその点は示されておらないのであります。従いまして、一月一日に一万五千四百八十円べース建前にして進めて行くという考え方のもとに、先ほども申し上げましたような地域給の整理ということを一つの項目に取上げ、また勧告の中にも触れております通りの中だるみ是正ということも、他の一つの項目として考えておるのであります。その結果として俸給表がどうなるかという御趣旨の御質問でございますが、これは大体におきまして勧告俸給表に準拠して参り、大した狂いはないということ、これだけは一応考え方として申し上げられるのであります。ここに地域給の改訂の結果、ある者が得をし、ある者が損をするというようなことがあるのじやないかというお話は、ごもつともでございますが、この点につきましては、従来国会におかれましても、地域給の整理ということをたびたび熱心に御討議になつておられるのでありまして、たとえば、私ども東京に勤務いたしております者は、現在は二割五分の地域給をもらつておりますが、これが場合によつてはある程度減るようなことになりましても、他方においては得をする方もあられるわけであります。この点は、考え方としては、整理ということが行われる場合には、あるいはそういうことも起るということを認めざるを得ないのではないか、こう考えておる次第であります。
  147. 田中織之進

    田中(織)委員 そこで、一般公務員についてこの人事院勧告実施するために、二十八年度中の第二次補正予算に計上する予算の総額を伺わなければならないことになるわけであります。八十何億というふうに理解しておるのでありますが、この予算わくをきめて、それに俸給表をマツチさせようとする操作が目下行われているのじやないかという疑いがあるわけであります。これでは私、人事院勧告にある俸給表実施することにはならないと思う。従つて大蔵省の方としては、人事院勧告についておる俸給表通りだとすると、おそらく百億を越える金額を必要とするのではないか。それを八十何億に押えて、それにマツチした俸給表をつくろうとするから、地域給の問題なり、あるいは既成の事実として出ておる定期昇給という関係が抹消されて来るのだと思う。ことに正示次長の、一月一日に実施するのだから、一月一日までに勧告の一万五千四百八十円ベース実施されればいいのだ、こういうことではないと私は思う。問題は、本年の二月三十一日を目標として、本年二月における賃金というものが、物価の関係から見て一万五千四百八十円という情勢にあることから、七月十八日の人事院勧告がなされておると思う。従つて、人事院勧告は、すみやかに実施せよということで、次長の言われるように実施時期はついておりません。しかし問題は、勧告が出て今らすでに半年ばかりを経過して来ておる。もし勧告が、先国会で取扱われた調定案のように、翌月からでも実施されたということになれば、八、九、十、十一の間における部分が、勧告が出された以上一種の期待を持つことは当然だ。あるいは大蔵省の方は、この間物価は横ばいになつていると強弁されるかもしれませんけれども、その間における現実の物価の値上りというものがあるわけであります。これは一面大蔵省が、国税庁の方で税金の査定をする際に、物価高を見込んだ所得の増加というものを課税の基準にしておることは、まがうことなき事実でありますから、私はこの間における物価高を否定するわけには行かないと思う。また、いわゆる定期昇給の関係あるいは地域給の整理の問題についても、やはり全然ついてない。あるいは、若干の地域給のための原資を増額して行つて、少くとも既得権として今までにもらつている人たちが、正示次長の言われるようになつてもやむを得ないというような考え方でなくて、二割五分の線ですえ置かれたといたしましても、地域給のついてないところはむしろ引上げるという漸進的な形において四段階に整理しようというのが、私は衆参両院の人事委員会が決議したことだと思う。人事院総裁は、その点については大蔵省と折衝の過程において衆参委員会の決議は尊重するということを言明されておりますけれども、私らの立場からいえば、人事院勧告がすでに出ておつて、俸給表がすでにそれにくつついておるものを、この際人事院が大省蔵と何らか作業の上で話し合つているというので、午後の会議は出られないとうので、午前中無理して人事院総裁に対する質疑を済ました次第でありますから、そういうこと自体が、人事院の制度、公務員待遇改善のための制度の上から見ても不合理だと思うのでありますが、そういうような点から重ねてひとつ明確にしていただきたいと思います。
  148. 正示啓次郎

    ○正示説明員 私どももらう立場から申しますと、田中委員長の仰せられた通りに、たくさんもらうということについては、もちろん望むところでございます。先ほども、たいへんわれわれに対する御同情あるお言葉でありますが、その言葉を返すようでまことに恐縮でありますが、やはりそこに財政上非常に苦しい事情があるということは、先ほど来たびたび申し上げたように、これが何よりも大きな問題でございます。  そこで二つ問題をお出しになつたのでありますが、まず第一の昇給の問題でございます。なるほど昇給ということは、年末行われるわけでございます。従つてその昇給分をどうするのかという御趣旨かと思うのでありますが、その点は、たとえば、私ども十三級なら十三級の何号というふうに格付されておるわけでありますが、これは一定期間たちますと十三級の三号は十三級の四号ということになりまして、昇給が行われるわけであります。これは依然として行われて行くというふうにお考え願つてよいわけであります。ただ上るときには前のベースでずつと上つて行きまして、一月一日に新ベースに切りかわる。そのときには昇給した号俸で、該当号俸に切りかわつて行きますので、昇給の事実は否定されない。ただ、昇給してもらつた手取りが月割りになつておるという御趣旨は、まさにお話の通りであります。早く昇給しておつたら、早くベース改訂が行われておつたら、昇給してよけいもらつておつたであろう、その額は少いじやないかということは、確かにおつしやる通りだと思うのでございますが、昇給自体は否定することはない。すなわち現在十三級三号のものが年末に十三級四号になつたとしますと、新ベース俸給表の四号の高い方に切りかわるということになつておるわけであります。その点は一応認められるのではないかと考えます。それから、地域給の改訂の問題でございますが、これは人事院勧告には、御承知通り触れておらないのであります。われわれとしては、衆参両院の人事委員会等におきましても、従来しばしば地域給の整理ということもお話が出ておつたわけでございますが、しかし実際問題といたしますと、やはりべース改訂の際に行わない限り、実行が非常に困難でありますから、今回の改訂を機会に、非常に微温的かもしれませんが、少くともある程度の整理をしたい。こういうような気持をもつてやつておるのであります。
  149. 田中織之進

    田中(織)委員 結局その点は、いわゆる定期昇給の事実そのものは否定されないのだ。そこにベース・アツプ実施が遅れたことによる不利益の存在しておる事実は、次長の方で否定なされないのでありますが、定期昇給の関係を離れたといたしましても、人事院勧告が遅れた、少くとも七月以降六箇月の間、ベース・アツプ勧告実施されておつたならば当然受くべきものが受けられないというところに、一面今官公労要求いたしておりますところの年末手当増額の要求が結びついて来るわけなんです。従つて当然もらえるべきものがもらえなかつた。せめて仲裁裁定等と頭を並べた八月からでも実施されるということを期待しておつたものが、かりに一月なら一月ということになると、またそこにも誤算を来す。従つて一面人事院勧告実施期を、少くとも勧告が出た時期まで繰上げる、こういう切実なる要求と並行いたしまして、期末手当の問題についても熾烈な要求が出ておることは、次長も御承知通りだと思うのであります。期末手当夏期手当で繰上げ支給なつておる〇・二五の補給のほかに、新たに〇・二五を加えた合計〇・五を予算化するのだということを、新聞紙でやはり拝見しておるのでありますが、官公労諸君も、組合としては年末手当だけで二箇月を要求しておりましたものが、全専売等の関係におきましても、あるいは電電公社等の関係におきましても、一箇月半になつた。これは同時に裁定あるいは人事院勧告実施という観点と並んで折れて来ておると思うのでありますが、今政府考えておる一・二五では、その差はわずかあと〇・二五だけの問題であります。大蔵省としては、かりに大蔵省の意図するように人事院勧告が一月一日からしか実施されないということになれば、年末手当要求通り一・五箇月――これは官公労の方は当初二箇月要求しておつたのでありますが、最近における政府給与の問題を非常にむずかしくすることに対して組合の方が折れて出ておるものだというふうに理解しておるのでありますが、一箇月半の年末手当を出してやる考えはないか。またそのくらいの財源は、今の財政の上から見れば、もう微々たるものであると思いますが、その点はどうか。それから、一般公務員について一・二五箇月分を出すお考えのようでありますけれども、地方公務員に対する年末手当の財源的な措置というものは〇・二五しかなされないように聞いておるのであります。これはかりに地方公務員としても、現在の地方財政の枯渇の現状から見まして、当然やはり一般公務員並に財源的な措置を講じてやらなければならないと思います。それから裁定等が実施される企業体の関係あるいは五現業関係等については、この年末手当は一体幾ら支給する方針で現在予算を編成しておるか、この点について伺いたい。
  150. 正示啓次郎

    ○正示説明員 だんだん問題がむずかしくなつて参りましたので、これは私どもの作業が完了した上でぜひともやつていただきたいと思うのでありますが、ただ、先ほど田中委員長が御指摘になりましたように、夏期に繰上げた分をどうするかという点でございます。一応これを補填するというくらいの考え方は、ただいまのところ明白であります。あとどういうことになりますか、実は非常にむずかしい問題でございます。官公労では今おつしやられましたように一、五というふうに御要求もございますが、私どものただいま作業しております考え方としましては前年は御承知のように予算の実行上いろいろやりくりをいたしたのでありますが、この考え方はどうも予算の適正なる編成並びに実行の上から好ましいことではないのではないか。出すものはやはりはつきりと予算に計上して出すべきではないか、それに相当するようなものは、一応予算に計上せざるを得ないのではないかというような考え方を持つております。あと詳しい一般公務員と企業体との関係をどうするかというようなことは、非常にむずしかい問題でございますので、今鋭意検討を加えております。大体そういうことで一応御了承願いたいと思います。
  151. 田中織之進

    田中(織)委員 年末手当については、一箇月という法律できまつたうちで夏〇・二五を繰上、げ支給なつて現在〇・七五残つておる。それで、繰上げ支給した分については、これは当然補填をいたしまして、せめて夏期並の〇・二五を増額してもらうということになつて、一・二五、それに今正示次長も御指摘になりましたように、去年は法律によらない予算の実行上の関係、〇・二五をすつたもんだのあげく、これは予算委員会で条件がついて実質的には〇・三五をつもらつたのであります。それを合計いたしますと、組合要求している十五箇月ということにぴつたり合うわけなんであります。夏期手当は〇・二五を、これはまあ予算的な措置をとるということは、時間的な関係もあつてとにかく年末手当の一箇月の中から繰上げて支給するという、そういう趣旨であの法律ができたのでありまして、これは議会の総意でてきたのでありますから、そういう調子で、今度の補正予算の機会にやつていただくと、〇・五というものがこれは当然計上されるべきものだ。それに今次長が言われた去年の年末の予算の実行上の操作で出していただいた〇・二五を、今年はひとつ法律上、予算はつきりして出していただくということになりますと、合計で一・五箇月ということになりますので、この前救農国会の開かれたときに、実はこの年末手当の問題、あるいは仲裁裁定人事院勧告等も一挙にやつていただきたい、こういうことでわれわれは進んだのでありますが、結局救農だけに終つたわけであります。そのときにわれわれは官公労諸君に、災害に見舞われた農村の人たちに対する労働者の思いやりの気持で、二箇月という要求を引下げたらどうかということで勧告をいたしまして、労働組合諸君が聞き入れてくださつて、三箇月という要求は、現実電電公社等が一・五箇月という線まで下つて来ておると思う。現に満鉄ビルの向いのところには、そういう懸垂幕がかかつております。こういう実情にあるので、これはひとつ主計局次長も、こういうことになりますと均霑するわけでございますので、利益誘導ではありませんけれども、厖大な防衛関係の繰越金等にちよつと手をつけますならば、財政的操作は決してむずかしいことではない。この際まだ作業が続いておるということは、そういう点でわれわれが期待を持てるという意味で了解したいと思うのでありますが、いかがなものでありましようか。
  152. 正示啓次郎

    ○正示説明員 先ほどの私の言葉があるいは明確を欠いたかもしれませんが、ただいま予算に残つておりますのは〇・七五でございます。これに〇・二五をバツクいたしまして、一・〇になります。それから去年は、予算実行上出しました分は、多少これは会計その他によつても違つております、必ずしも〇・二五に行つたということは言い切れないのでありますが、大体〇・二五を目標にいたしたことは事実でございますから、一・〇に去年差繰りをいたしましたものを計上いたしますと、一・二五になります。委員長は少くとも一・二五とおつしやいましたが、そうではございませんで、その点は、私の言つたことをもう一度はつきり申し上げておきます。それから、先ほどお答えを忘れたのでありますが、――忘れたというよりは、大体そういう気持だつたものですから申し落したのですが、地方の方も、決して中央と違つたやり方というわけではないのでありまして、大体べース・アツプにいたしましても、期末手当あるいは勤勉手当にいたしまして、も、一般職の国家公務員に準じて措置をするという考え方でございます。そうしまして、それに必要なる財源措置を――これはいろいろの方法があるわけでございますが、目下鋭意検討いたしておる、こういうことでございます。終りに臨みまして、委員長は、たびたび非常に御同情あるお言葉で、たいへん恐縮であります。私どももたくさんいただきたいのでありますが、やはり金がないのであります。特に地方その他の関係もございますので、われわれとしては財源的には非常に困難だということをよく認識をいたしておるわけでございます。これ以上私を御追究いただきましても、どうもやはり私のような一事務屋には、何とも申し上げかねるのでございますので、あとはひとつ閣僚諸公と堂々と話合いを願いたい、かように考えます。
  153. 赤松勇

    赤松委員長 石山權作君。
  154. 石山權作

    ○石山委員 大蔵当局にお伺いしますが、去る十六日の人事委員会に、私たちより人事院の当局に、いろいろ地域給の問題についてお伺いをしたのであります。その場合に、人事院としましては、べース・アツプの問題もあるので、地域給云々ということをあまり論議されると、非常に微妙な段階にあるので、この地域給のいろいろな問題は少しく差控えてもらいたい、いずれ旬日を出でずして、その体系を明らかにして勧告する予定である、その勧告以前に、少くとも人事委員の皆さんには御説明を申し上げるから、それまで待つていただきたい、こういうような御答弁があつたのでございますが、先ごろの二十一日の閣議によりますと、地域給に触れておる。しかも、これがどうも私たちの仄聞するところによると、大蔵当局の意見が非常に強く入つておる。たとえば一級地をなくするとか、そうして五%を本給と繰入れる、こういうような意見が出ておるのでございます。これはいろいろと権限の問題もからみ合いまして、私たちの人事委員としては非常に重大視しておるわけでございますが、その経緯を説明していただきたい、こう考えるのであります。
  155. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。この前の人事委員会に私出なかつたので、そこの関係はよりく存じておらぬのでございますが、御趣旨は、地域給の改訂は人事院勧告をもつてやるわけではない、こういうことかと思います。この点は、私どもの見解では、もとより勧告があつてやる場合の方が普通かと考えますが、今回のように政府の決定によつてやることも、法律的にはできるというふうに解釈いたしております。
  156. 石山權作

    ○石山委員 私は法律によつてできるという解釈ということと、給与体系が及ぼす一般公務員方の気持に対して、もつと慎重であるべきだということと、政府が決定するとするならば、特に大蔵当局が決定するとするならば、金額の頭だけが大蔵当局の権限であるべきであつて、少くとも公務員給与に関する限りは、人事院がその主管であるべきだという考え方が強いのでございます。それが今申したように、やり得ないものではないというふうな解釈になりますと、これは別でございますけれども、体系においては非常な異義がある。その体系をば、担当の官庁でなく、他の官庁から指示を与えるようなやり方は好ましくない。特に権限がないように言われている――人事院がさしおかれて、他の官庁よりは権限があり過ぎると常に批判の的になつている大蔵当局が、今回そういうふうな措置に出たということは、はなはだわれわれとしては遺憾にたえないと思うので、あえてもう一ぺんお尋ねする次第であります。
  157. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げますが、これは大蔵省が決定をいたしたのではございませんので、どこまでも内閣が閣議において御決定に相なつたのであります。私どもは、その閣議決定の方針を体しまして、計数をはじいているだけでございます。この点はどうぞ御了承願います。
  158. 石山權作

    ○石山委員 おそらくそんなことだろうと思つておりましたので、それはそれでおきまして、一応そういうふうな事務当局の考え方でやつたと解釈しますけれども、今後ともそういう点では慎重に考慮されてたとえばそういう案が出て、あなた方が計数をおはじきになる場合には、人事院と打合せをする必要があるのではないかというふうに考えております。それについては御答弁は求めませんが、もう一つ、たとえば皆さんが予算をお組みになる場合に、よく十五箇月予算ということが最近提唱されております。私のお聞きしたいのは、たとえば予算上受入れられないというふうに仲裁裁定の案件を前国会政府はお出しになつた。ところが、今回政府の皆さんがよろしく勉強した結果、探し出していただいたのですが、これは一月から施行される。しかし十五箇月予算考えてみた場合には、当然二十九年度の予算を頭に置いて暫定予算をお組みになつておる。その場合に、最近非常に流布されておる問題は、一割天引きの人員整理の問題を脳裡に浮べつつ計数を探したかどうか。それから最近一年間の期限を切つたのでございますけれども、待命制度を人事院考えながら計数をはじいたかどうかということをお聞きしたいのであります。
  159. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。人事院勧告あるいは仲裁裁定実施が、平年度どのくらいの金がいるかということは、もとより計算をいたしまして、その財源の捻出の見通しも立てました上で、内閣として方針を御決定になつた。こういうふうに存じております。  なお、一割の人員整理あるいは待命制度を考慮に入れたかという御質問でございますが、これはすでに前臨時国会におきまして、石山委員の御質問に対しまして、人事委員会で内閣の所管者からも御答弁を申し上げたのであります。本年の年末まで待命の希望者を出すということが、別途実施されているようであります。これは私どもの方ではなくて、要は内閣の方でやつておられるのでありますが、しかし、実際問題といたしますと、これは実は金が減らないので、相当金がかかるのであります。私どもとしては、計算に入れたかとおつしやられるならば、むしろ待命というふうなことで相当の金がいるということを計算に入れてでないと、この予算が組めないというふうに考えましてやつております。それから、あとは政策的な御質問でございますが、これは別途にお願いいたしたいと思います。
  160. 石山權作

    ○石山委員 これはベースの問題でありますと、たとえば人事院勧告が一三・九%の上昇というと、だれしもふところ勘定は一応一二・九%上るというふうな考え方を持つのが人情だと思います。人事院が今回の給与勧告の理由の大きな二つの点を出しておりますが、一つは職務内容によつて不公平のないような職務階級を今回はあみ出したというような点を出しております。それからもう一つは、それに金額をつけてみたら、大体において去年度からこの三月まで見た民間の給与の水準、あるいは物価指数とほぼ当を得た数字になつた、こういうふうに説明をしておるわけであります。そうなりますと、今回の勧告はおおむね職階級的な勧告である。それかたとえば今の政府考えているような地域給云々の問題、あるいは中だるみの問題も全部その改訂の中にひつくるめてしまうと、これは人事院が最初考えたような職階級的なものはない。特に私の言いたいことは、非常に行政的な中においては指導的な立場をとつている、地方でいうと係長ですか、あるいは課長補佐とかいうふうな方々が、非常にみじめな目にあうのではないか。ここに給与課長がおいでになりますが、そういう形の上ではどういうふうになつているかということをひとつお聞きしたい。
  161. 岸本晋

    ○岸本説明員 お尋ねの点は、人事院勧告俸給表がそのままとられれば、中だるみ是正も行われる、職階級的な給与も行われる、それはいいのではないかという御質問でございます。中だるみ是正の点は、確かに人事院勧告俸給表で参りますとその通りでございます。今回の政府考えております俸給表も、なるべくそうした趣旨に沿つて行くようにつくつて行きたい、かように考えております。第二の、職階級的な面になるからいいじやないかという御質問の点につきましては、現在いろいろ職階級の問題につきましての批判もございますし、そうした面から、はたして適用したものかどうかということは、この際まだ確たる意見を申し上げるまでには参つておりません。
  162. 赤松勇

    赤松委員長 石山君、まだ運輸省に対する質疑通告が残つておりますので、簡単に願います。
  163. 石山權作

    ○石山委員 それではあと一つで打切ります。これは田中委員からも申されたのと同じような趣旨になると思うのですが、つまり、すべての政治というものは力関係になると思います。片方が、たとえば人事院勧告、あるいは仲裁裁定でもその通りでありますけれども、私は大体今年の三月くらいをおそらく標準として仲裁裁定も出されたろうし、勧告も出されたと思つております。そうした場合に、これが十一月、十二月あるいは一月というふうにだんだんずれて来た場合に、私はどこかでいい方を見てやる必要があるのではないか。片方が非常に大きく力をそがれたのでございますから、片方でどこかめどがないとするならば、現在行われている官公の方々の合法的な内部のああいうふうな動きも、だんだんむずかしい問題を提起するようになるのではないかという心配もございますので、どうか力関係からしても、片方を大幅に抑制したならば、どつかで許す方便を、政治的な考慮を払うことが必要ではないか。そういう点では、ひとつ大蔵当局の明敏なる批判と、それから長い間の経験を信頼いたしまして、もう一ぺんどつかに財源を探しまして、期末手当の増額を再考慮されることを要望いたしまして終りたいと思います。
  164. 赤松勇

  165. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほど期末手当の問題で、公務員は一・二五、公社関係は一・〇、こういうことについては検討中であるので深く話ができない、こういうお答えであつたと思います。ところが、今度の仲裁裁定が本委員会にかかつておりますけれども、これは政府は何も不承認の承認を求めるわけでもなく、また承認の承認を求めておるわけてもない。国会は最高の議決機関であるからしかるべく御判断願いたい、こういうことであつたと思うのです。ところが、そのうちに何か政府でも意思決定をされて国会に出されるやに聞いておるわけであります。これでは、われわれは何のために今まで審議し続けたか、まつたくわからないのであります。こういう意味において、検討中でありましようけれども、細部にわたつてお聞きしなければ審議ができない、私はかように考えまして、あえてお尋ねするわけでございます。公務員は丁二五やり、公社は一・〇、こういう差別的な根拠はどこから出ておるかお尋ねいたしたい。
  166. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げますが、これは先ほども田中委員長にも申し上げたように、いずれ各裁定につきましては、それぞれの常任委員会において御審議いただくわけであります。私ども考え方といたしましては、仲裁裁定を一応一月一日から履行できるような財源措置をただいまやつておるわけであります。御承知のように、仲裁裁定につきましては、ベースはつきり示されておりますので、そのベースを一月一日から実行するについて、どの程度の金がいるかということを主眼に置きまして、算定をいたしておるわけであります。別途人事院勧告につきましては、これまた勧告ベースを一月一日から実施するという方針でございます。先ほどの御説明は前年末の給与とのバランスを申し上げたのでありますが、たまたま人事院勧告の中にも〇・五ということがございますので、そういうことを尊重して財源措置考えた、かように御了解を願いたい。
  167. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 公社の期末手当関係は、大蔵省としてはどういうふうにお考えであるか、お尋ねいたしたい。
  168. 正示啓次郎

    ○正示説明員 その点は、多賀谷委員お詳しいのでありまして、私から申し上げるまでもなく、裁定を尊重するという方針でございますので、裁定にうたわれておらないことにつきましては、私どもはあえてこれは触れない。また裁定実施は、それぞれの企業体の経理内容によつても違うわけでございます。従いまして、ただいまのところ実際どれだけのものを、たとえば国鉄が、たとえば電電が、年末におもらいになるかということは、私どもにはよくわかりません。
  169. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 非常に奇妙なお答えでございましたが、われわれが仲裁裁定実施する場合、もしも実施しても給与総額さえ変更すれば財源はあるではないか、こういう質問をいたしますと、いや国実公務員関係もあります、その他一、二の公社の関係もございます、こういうことで逃げられて来たのであります。なるほど、裁定には期末手当のことは触れておりません。しかしながら、今度の仲裁裁定実施する財源措置としては、当然期末手当考えなければ、やはり考えられないのであります。期末手当はやらなくても、これだけ実施すればいい、こういうわけではないと思います。ですから、大蔵当局としては、当然公社の期末手当も十分考えて、そうしてこの仲裁裁定実施するような予算措置を講ぜられるものと考える。しかるに、今何か、裁定にないから関知するところではないということは、まつたく不見識な話であると思いますが、一体どういうことになつておるのか、再度お尋ねいたしたい。
  170. 正示啓次郎

    ○正示説明員 〇・二五の夏期繰上分をもどすということは、これは当然の措置として考えておるのでありますが、それ以上どうなるかについては、私はわからない、こういうふうな趣旨で申し上げたのであります。〇・二五をもどすということは、本来二十八年度の各企業体の予算に計上いたしておりました分を、夏期に繰上げましたものでありますから、それだけをもどす措置を講じました。それ以上のことは、各企業体の経理内容等によつても異なつて来るのじやないか、こういう趣旨で申し上げたのであります。
  171. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 仲裁裁定内容にないことは全然関知しない、こういうようなお答えですけれども、そういたしますと、この財源を当然予算上繰入れるにいたしまして、やはり期末手当のことを考えなければならぬと思います。何かそれは公社が自由にもどしてもらえばいいのだ、こういうことでは相済まぬと思います。今まで大蔵当局は、一般公務員との関係である、あるいはできることもあるけれども、一、二の公社ができないとかいうことで、常に他の公務員との関係を論じられて来た。ところが、ここに至つて、いや、それは公社のことであるから……、こういうことで逃げておられますけれども、私は聞くところによりますと、何か大蔵省がそれに反対しておるように聞いておる。一体こういう事実はないか。また大蔵当局としては依然としてこれを関知しないで放置されておるのかどうか、さらにお尋ねいたしたいと思います。
  172. 正示啓次郎

    ○正示説明員 重ねてお答えを申し上げますが、関知しないということではございませんで、要するに、仲裁裁定を忠実に履行するという建前予算を組むということが第一の方針であります。第二に、本来本年度の予算において計上しておつたものを繰上げ支給しておつた分については、これを補填するということも、第二の問題として考えておるわけであります。なお、多賀谷委員からたびたび御指摘のように、一般公務員と企業体の職員とのバランスを考えておるか、この前にはたびたび考えるということを言つたじやないかという御趣旨でございますが、これは内閣において考えられておると思います。
  173. 楯兼次郎

    楯委員 ちよつと関連して。今主計局次長のお話を聞いておりますと、どうもこの問題に関連して、ふに落ちないことがございますので、二点私はお伺いしたいと思います。それは仲裁裁定になるほど公社職員の年末手当がうたつてない。ところが、先ほどからあなたの答弁を聞いておりますと、裁定を尊重する、こういう言葉が盛んに出て来るわけでありますが、ほんとうにあなたが裁定を尊重するという考え方に立つならば、この公社職員にプラスをする〇・二五という年末手当については、当然裁定実施するところの、たとえば、政府の案で行けば来年一月からということになつておりますが、これを十一月からなり、あるいは十月からなり、その方向にまわすのが、ほんとうに裁定を尊重する精神である。こういうふうに考えるのでありますが、この点についてあなたの御回答を承りたいと思います。それからいま一つは、また次のような意味にもとるわけであります。それは、公社の年末手当というものる、とにかく公社それぞれいろいろな自主性があつて、その場面できめられて行くであろう、こういうような御回答もなさつておるわけでございますが、そういうような精神からいつたならば、すなわちこの裁定予算上支出可能であるとか、あるいは不可能であるというような点について、今までの経過を見ますと、あまりに大蔵省というものが、各企業体に対して容喙をし過ぎておるのではないか、こういうふうに私とれるのでございますが、この二点について、次長の見解を承りたいと思います。
  174. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答えを申し上げます。第一の点は、最初に田中委員長にも申し上げましたように、これは方針の問題でございますので、前臨時国会においては非常に困難だということを、各閣僚から繰返し申し上げたのでありますが、その後各方面の財源等も考慮いたしまして、まあ一月からならばできるということで、内閣が御判断になりまして、そういう決定をされたのでございますから、私どもはそれに従つたわけであります。その方針のもとに予算を編成しておるわけであります。第二の点でありますが、大蔵省は各企業体について、あまりにもくちばしを入れ過ぎるじやないかというお話のようでございますが、これは私ども法令によつて定められたところを実行いたしているにすぎないのでありまして、決して法令以上のよけいな干渉をいたしているつもりはございません。いずれ予算が出申した上で御判断をいただきたいのでありますが、各企業体はそれぞれ自主的に予算を組みまして、これを大蔵省とあるものは協議をいたしまして出すという所定の手続によつてやつておることでございますので、決して国会のお定めになりました法律以上に各企業体の会計の内容にわたつて自主性を干犯しておるようなことはないつもりでございます。
  175. 楯兼次郎

    楯委員 午前中に私国鉄総裁にお伺いをいたしました。そのときには裁定を尊重して、すでに大蔵省の方あるいは運輸省の方に対しまして、裁定完全実施の要請が出してある、こういうお話を聞いたわけであります。ところが、これらの案を検討されたかどうかは知りませんが、先日新聞紙上に、すでに一月一日から、あるいは年末手当については公務員一・二五、公社職員は一箇月――これがきまるかどうか知りませんが、こういうような考え方を発表されておる。こういうような関連性を見ますと、私が今申し上げましたように、すでに公社の担当者の要請を無視して、あなた方自体が自分たちの考え方において公社の要求を押えられておる、こういうふうに私とれるわけでございます。これは私一人ではないと思います。それから、あとの私の質問をいたしておりますのは、いわゆる公共企業体に対しては、自分たちでかせぎ出してその支給をせよ、あるいは職員はその支給を受けよ、こういうようにあなた方は先ほどから盛んに答弁をされております。そういうような考え方から行くならば、年末一箇月というような案を、あなた方自体が発表なさることがおかしいではないか、こういうことであります。この二点については、はつきりした御答弁をひとついただきたいと思います。
  176. 正示啓次郎

    ○正示説明員 国鉄総裁、どう御答弁をなさいましたか、よく存じませんが、幸い運輸省の監督局長も見えておりますし、あとから運輸省としての御見解をお述べになると存じます。私ども、重ねてのお話でございますが、大蔵省が決定をしたというようにおつしやられると、非常に心外なのでありまして、むろん私どもは、できるだけこの裁定を――一月からであればこれは不満だとおつしやるが、しかし前臨時国会においては非常にむずかしいということでございます。私ども人事院勧告の方で給与を上げていただく立場でございますが、やはりできるだけやつてもらいたいという、私情でなくて、そういう気持もございまして、同僚諸君とともに大いに努力をいたしたつもりでございます。その結果内閣で決定をしていただいた。むろん国会で大いに激励をしていただいて、国会の方からも政府にそういうように要望していただいた結果、それらの結果が積り積りまして一月から実行されるということになつたのであります。私どもが決定をしたとおつしやつていただくことはまことに、あるいは光栄の至りかも存じませんが、そういう力はとてもございませんので、むしろわれわれは一生懸命に頼んだというように御了解願います。国鉄総裁お答えという点につきましては、私存じませんが、完全実施ということがどういう御趣旨であつたのか、その辺のところも存じません。私どもは、運輸省当局とは予算の編成について常に連絡をとつております。場合によりまして運輸省の監督局長からお話を願います。
  177. 楯兼次郎

    楯委員 あと質問者がおりますので、もう一点だけお聞きしたいと思います。それは次長の立場から責任ある答弁は、あるいはどうかと思いますが、あの新聞発表を見ますと、年末手当について、公社職員は諸手発が一般公務員と異なつた形で支給をされるので、大体一箇月であつても同額くらいになる、こういうことを新聞で見たのでありますが、これは何を意味するのか、ひとつ次長のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  178. 正示啓次郎

    ○正示説明員 私その新聞記事は存じませんので……。
  179. 楯兼次郎

    楯委員 あなたがつくつたんですよ。
  180. 正示啓次郎

    ○正示説明員 いや、全然私存じませんのでお答えを……。
  181. 赤松勇

    赤松委員長 正木清君。
  182. 正木清

    ○正木委員 本日は運輸大臣が御出席になつておりませんから、運輸大臣に対する質問は留保いたしまして、運輸省の監督局長が御出席になつておりますので、まず事務的な点について、局長に御質問申し上げたいと思います。先ほど同僚楯君の質問に対して、長崎総裁は、仲裁裁定を尊重し、これの予算措置とあわせて災害復旧に対する予算措置も講じて運輸当局に提出をしてある、こういうような御答弁であつたと実は私は承知をいたしたわけでございます。そこで、重ねてこの点について運輸当局にお伺いしたいのですが、国鉄当局からこの仲裁裁定実施に対する予算措置と、そうして災害復旧に対する予算措置について、それぞれ監督の立場にある運輸当局は受領したのかどうか。受領したとすれば、運輸当局のこれらに対する態度はどのように決定を見たのか。しかも、その決定を見た内容等について、当然国有鉄道法に基くこの国鉄としての経理内容と直接関係があるのであるか、それに対する監督の立場にある運輸当局としての態度はどうであるか、この点をまず伺います。     〔赤松労働委員長退席山花労働委員長代理着席
  183. 植田純一

    ○植田説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘通り国鉄補正予算要求といたしまして、国鉄から運輸大臣あてに、予算要求が出て参つております。運輸大臣といたしましては、この国鉄予算を検討いたしまして、適当と思いますならば大蔵大臣に送付するというのが、現在の法制の建前でございます。いろいろ検討いたしまして――もちろん災害復旧はぜひしなければならぬ、また裁定実施ということも、この裁定の趣旨から考えまして、極力尊重すべきものである、かような見地に立つたのでありますが、その全体の資金のいわゆる見当と申しますか、相当金額いることでございますので、この点につきまして大蔵当局と打合せをし、またこういう問題につきましては、結局全体として政府の最高方針に従わなければならぬ問題もございますので、運輸省といたしましては、そういう心構えにおきまして、政府部内におきましていろいろ折衝を重ねたのでございますが、さきの臨時国会におきましては、政府としてのはつきりした態度も、また資金の目当というものもきまりませず、次の臨時国会を目当にいたしまして、さらにいろいろ検討いたしておるわけでございます。大体、先ほど来いろいろ御議論になつておりますような線におきまして話がまとまりつつある、かような状況でございます。
  184. 正木清

    ○正木委員 重ねて局長お尋ねをいたしますが、国有鉄道から提出された裁定実施災害復旧に伴う補正予算について、監督の立場にある運輸省としては、これに対して十分に検討を加えて大蔵当局と折衝をされたその結果、それが政府の最高方針として決定を見たように、ただいま承つたのでございます。そこで運輸当局がその補正予算に対する十分なる検討を加えた、その加えた内容について、運輸当局としては資金上予算上または国鉄の経理内容等から勘案してみて、どのような結論に到達して、その結論に基いてどのように大蔵当局と事務的折衝をされたか。あなたは大臣でございませんから、最高方針のことを伺おうとするのではございません、事務的な折衝のわくの範囲内において、数字をも明らかにして御答弁を願いたいと思います。
  185. 植田純一

    ○植田説明員 お答え申し上げます。補正の要因となりますところの問題は、一つは、災害の復旧でございます。また一つは、裁定の完全実施であります。災害の復旧におきましては、本年度といたしまして約八十九億いる。また裁定実施におきましても、完全実施いたします上におきましては、八十数億いる、かような状況でございます。これに対する態度といたしましつては、先ほど申し上げましたように、裁定は極力尊重すべきものであるということで検討いたしたわけでございますが、何分にもそれだけの資金は、国鉄の節約あるいはまたある程度増収ということを考えましても、資金上とうていまかない切れない、かような状態でございます。従いまして、事務的に折衡いたしました点におきましては、たとえば、国鉄の今年返還しなければならない借入金が三十億ある。これを何とかひとつかんべんしてほしいというような点等につきましても、事務的な折衡をいたしましたが、こういう決定は、すべて国全体の財政資金にことごとく連なつておりますので、この点につきましては、事務的折衡によりましては、なかなか結論が出ないわけでございます。従いまして、裁定実施に関する基本方針問題、またこの資金の調達と申しますか、どこから資金を持つて来るかというような問題、そういう問題すべて関連いたしまして、最高方針の一環といたしまして、大臣間の折衡によりましてきまつた、かような状況になつております。
  186. 正木清

    ○正木委員 今の局長の御答弁を承つておると、国鉄当局から出された補正予算はもつともであるけれども、今の国鉄の経理の内容等から見て二十八年度の当初予算の節約、それから年度内における増収等をもつてしては、とうてい国鉄から出された補正予算をまかなうことはできないんだ、そこで大臣間で最高方針として決定を見たのだ、こういうような答弁に承つたのでございます。そこで私は重ねてあなたにお伺いしたいと思いますことは、日鉄法の条項に基いて、運輸大臣が監督すべき事項の中において、第五十三条で「鉄道新線の建設及び他の運輸事業の譲受」こういう監督事項があるわけでございます。そこで、私はあとで長崎総裁にもお伺いいたしますが、私ども運輸委員会においてしばしば質問もし、本日同僚の楯君からの質問によつても明らかになつたように、この監督事項に基いて、政府の方針として、政府は年々歳々新線の建設を国鉄当局に命じておる。しかも、この新線による毎年度の損失と申しましようか、赤字と申しましようか、これだけでも四十数億に上る。しかもこの四十数億に上る赤字が、今後二十年以上継続されるであろうということは、過去の国鉄の経営の実態がこれを証明いたしております。一体この新線建設に要する費用と、それからこれから来るところの損失に対して、運輸当局はどのような考え方を持つておるのであるか。さらに、私はこれと関連して重ねてお伺いしたいことは、今日国鉄の経営をまつたく困難にしておることは、全国二百三十線に及ぶところの現に国鉄が経営しておる各線に対して、完全に収支のバランスのとれますものは一割に満たない、これも明らかになつておる。しかるに、こうした状態にある国鉄に対して、政府政府の方針として半強制的に新線建設を命じておる。こうした問題が、今日の国鉄の経営状態にどのような重圧を加えて来たか。こういう点が少くとも明らかにされない限り、問題の解決はあり得ないのではないか。こう考えるが、今日まで運輸当局はこれらの点について、この法律が改正されない前の国有鉄道法の場合に、大蔵当局とこの問題についてどのような事務的折衡をなされたか、この点についての御答弁を承りたいと思います。
  187. 植田純一

    ○植田説明員 新線建設国鉄の経営上非常な重圧となつておるのではないかという点につきましては、確かに新線建設の全部といつていいものが、なかなか採算上という点から見ますと、少くとも相当の期間は採算がとれないような状態でございます。また現在運営しております線も、ただいま御指摘になりましたように、採算の面から見ますると、採算のとれておる線が非常に少い。非常に少い線の採算をもつて全体をまかなつておるという現状であることも事実でございます。ただ、公共企業体といたしまして、もちろん独立採算ということも十分念頭に置くべき重要な事柄でありますが、同時に、必ずしも採算だけを持つて運営方針をきめるということは、公共企業体としての性質上、必ずしもそうも行かない。公共のために非常に利益するという事柄につきましては、あるいはその分だけをとつて見ますと採算が合わないような問題でも、やはりそういう全体の福祉のために実施するということも、一つの公共企業体の目的から見まして決して不都合じやない、かように考えております。もちろん程度問題でございますので、新線建設というものも、そういう意味におきまして非常な地方の要望もございますし、また大きな目で見まして、日本の産業経済の発達、資源の開発という点から見まして、必要なものもやつておるわけであります。ただ、現実にやつております状態が、はたして今日の状態において適当な程度新線建設であるかどうか、国鉄の運営上から見まして、はたして現在程度新線建設をやることが適当であるかどうかということにつきましては、いろいろ議論がございまするし、その点につきましては、運輸省といたしましても、各方面の御意見を聞きまして、いわゆる鉄道建設審議会というものをつくりまして、いろいろ各方面の意見を聞きまして、国鉄法によりますところの許可の基準と申しますか、判断の材料にいたしておるような次第でございます。そういうようなわけで、今後におきましても、さらにこの方針につきましては、十分検討をいたさなければならない。今日の国鉄の財政の状態から見まして、十分検討を加えなければならない、さらに、より一層慎重にやらなければならないということを感じておるわけであります。さてこの新線建設が、少くともそういう公共のためにやる、そのための赤字というものは一体どう考えるか、かようなお尋ねでありますが、私どもそういう観点から、実は運輸省といたしまして、新線建設の建設費は、国の出資でぜひやるようにしていただきたい。もちろん、営業の上の赤字もございますが、これは既設線の赤字と同じように、ある程度国鉄全体の運営上においてカバーすることもあるいは考えられますが、少くとも新線建設の建設費というものは、現在御承知通り国鉄自身の負担における借入金でやつておるのでありますが、そうでなくして、国の出資ということでやつていただきたい。いわば利子のつかない国の投資と申しますか、それでやつていただきたいということを、かねて主張しておるわけでございます。ただ、政府部内におきまして、この点の運輸省の主張が今日まで通つておりません。この点につきましては、はなはだ微力を感じておるのでございますが、この政府出資で新線建設をやる。政府出資ということがどうしても無理であるという場合には、少くとも借入金の利子を補給する、あるいは無利子の金を使うという方策を第二段的に実は考えておるわけでございます。こういう点につきましては、今後ともぜひこういう方向に進むことによりまして、新線建設国鉄の負担を幾分でも軽減して、しかも公共の福祉に役立つという方策をとつて参りたい、かように運輸省といたしましては考えておる次第でございます。
  188. 正木清

    ○正木委員 そこで、重ねてあなたにお尋ねをいたしますが、運輸当局の方針としては、私は一応了承できるわけでございます。このことが、一体なぜ具体的に実現できないのか。この問題は、局長にお聞きしても無理でございますから、大臣が御出席のときにお尋ねをいたしますが、たとえば、今年度の災害旧が八十九億になんなんとする数字が、先ほどあなたの答弁で明らかになつたわけでございますが、この災害復旧費に対して、運輸当局は当然大蔵当局に対して、相当強硬な事務的折衝があつてしかるべきではなかつたか。たとえば、預金部資金等における操作上いろいろの困難があつたとしても、この自然から受けた災害復旧費の約九十億を、二十八年度の国鉄予算の総体のわくで操作をさせるということ自体に、だれが考えてみても大きな無理があるのではないか。このことが大蔵当局との事務折衝において、一体大蔵当局はこれに対してどのような態度をとられたのか、この点をまずここで明らかにしてもらいたいと思います。
  189. 植田純一

    ○植田説明員 災害復旧につきましては、実は国鉄自身のいわゆる経常的収入と申しますか、そういうものでまかなうのは酷ではないか。従いまして、全体の資金計画といたしまして、もちろん国鉄の資金は国の特別の借入金等によつてまかなつておる部分が非常に多いのでございますが、そういうわくを増大する。それによりまして災害復旧をやるべきでないかというお説かと思いますが、まことにごもつともでございまして、私どもも、一応は第一段的にはそういうふうに主張をしております。国家的に見ましても、国の全体の資金の関係もございましたが、先ほども申しましたように、今年返還すべき借入金三十億、これの返還を猶余していただくというようなこと――これは消極的ではございますが、国の借入金でやつたというような面も実はございます。また予備費につきましても、これは実は国鉄の折衝によりまして、今年は年度当初に比べまして、非常にふくらんでおつたのでありますが、そういうものも財源として災害復旧に使うということで、国全体の資金上非常にきゆうくつな関係もありますので、特別に災害復旧にに対しまして、はつきりと国がめんどうを見るというような結果にはなつておりませんが、いろいろ国としましてのめんどう、たとえば返還金の免除であるとか、あるいは予備費の使用であるとか、そういうような点につきまして、ある程度のめんどうは見ておるという結果になつているわけでございまして、たとえば全部国鉄のいわゆる経営収入の負担においてやつているということではございません。幾分はそういう点がございますが、大体そういうふうなことで国全体の資金ともにらみ合せまして、国鉄にもある程度勉強してもらつて、災害復旧をやつている、さような状況になつております。
  190. 山花秀雄

    山花委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  191. 山花秀雄

    山花委員長代理 速記を始めてください。正示主計局次長は他に所用がございますので、大蔵省関係の方から、ひとつ質問をしていただきたいと思います。
  192. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほどの続きが残つておるわけですが、期末手当は当然給与総額の中に入ると思いますが、どうでしよう。
  193. 正示啓次郎

    ○正示説明員 入つております。
  194. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 入つておるとするならば、当然国会の承認がなければこれを一銭一厘も動かすことはできないと思う。ですから、期末手当がこれの中に入つているとするならば、当然公社の方でしかるべくおやりくださいというわけには行かないと思う。先ほどは、何かこの前支給した分だけ支給すればいいのであつて、それ以上のことは公社と組合側との話合いだ、こういうようなことでしたけれども期末手当として出す以上は、給与総額の中に含まれているとするならば、これは当然国会議決がなくては予算上不可能な支出であると思います。でありますから、当然大蔵当局としては考慮されておらなければならないはずでありますが、この点について再度お尋ねいたしたい。
  195. 正示啓次郎

    ○正示説明員 予算総額の牛に期末手当が入つておることは、先ほどお答え申し上げた通りでありまして、これは計数をただいま整理中でございますが、今回第二次補正予算の関連におきまして、各公社企業体の予算総則の中のいわゆる給与総額というものを、ただいま算定をいたしております。その考え方といたしまして、先ほど申し上げましたように、第一には仲裁裁定を尊重する、また夏期に繰上げました期末手当分は繰りもどす、こういうことになつておるわけであります。その他のことにつきましては、予算が提出されました上で御審議を願いたい、こういうふうに申し上げたのであります。
  196. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では、主計局次長の権限の範囲外であるから、これはどうなるか見通しがつかない、こういうことでざいますか、そう了承してよいわけですか。
  197. 正示啓次郎

    ○正示説明員 権限というむずかしい言葉でございますが、主計局次長がどれだけ権限を持つているか、実は次長という私は、局長の単なる補佐役でございますから、あるいはここで先ほど来申し上げたことは、権限の上から言うと相当問題があるかと思いますが、考え方は先ほどからずつと申し上げた通りでございます。私ども事務当局といたしまして、関係の公社なり企業体のそれぞれの監督官庁とは、いろいろ折衝をいたしまして、そういう考え方予算案を今つくつているということを申し上げたわけであります。     〔山花労働委員長代理退席赤松労働委員長着席〕
  198. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それで、次に〇・二五については、全然折衝がたいわけですか。
  199. 正示啓次郎

    ○正示説明員 仲裁裁定を実行するという閣議の方針によつて予算を組んでいるということを、繰返して申し上げておきます。
  200. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも権限があるようなないような、しかも事務当局としてはこれだけの作業をやつておるのだ、言いうこと以外にはわれわれわからないのですが、これにつきましては次の機会に大蔵大臣への質問を保留いたしまして、私の質問を打切ります。
  201. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今のに関連して、ちよつと簡単なことですが、仲裁裁定の中で、やはり団体交渉に問題を移しておる事項がかなりおるのです。その場合に、予算わくで縛つてしまうと、団体交渉がきわめてきゆうくつなものになつて、意味をなさなくなると思うのです。そういう意味で、仲裁裁定というのには、われわれはかなり幅があるというふうに理解をしているのですが、今までの御答弁によりますと、期末手当その他の予算関係で縛られる結果が生ずるのではないかと思います。そういう点どういうようにお考えでありますか。
  202. 正示啓次郎

    ○正示説明員 先ほど来お答えを申し上げましたように、第二次補正予算の一つといたしまして、予算総則の給与総額が改訂に相なるわけであります。その算定の基本の建前は、先ほど来申し上げましたように、仲裁裁定ベースを一月一日から実施するに必要なるもの、こういうことで算定をいたしているわけであります。これは国会議決によつて定められるわけでありますが、定められました給与総額の範囲内におきまして、それぞれ団体交渉が持たれるわけであります。その範囲内において、可能なるものは、団体交渉によつて実施される、かように考えております。
  203. 井堀繁雄

    ○井堀委員 仲裁裁定を尊重するという建前から行きますと――仲裁裁定は、団体交渉でと、かなり弾力のある内容なつていると思うのです。ところが、その前に予算化されてしまいますと、その予算のために団体交渉というものが、すなわち仲裁裁定によつて団体交渉の機会を、要求されたものまで縛られるという結果が生れて来るわけでありますが、その辺の関係をどういうふうに考慮されて予算化されておるかを伺いたい。
  204. 正示啓次郎

    ○正示説明員 その点、ただいま御質問のような従来と異なつた扱い方をいたしておりません、それぞれ裁定に明示されましたものは、予算化いたしておりますが、団体交渉によつてきめるべきものは従来と同じように団体交渉による、こういう建前予算を組む方針でございます。御懸念のように、予算をきゆうくつにすることにより裁定に示されましたような団体交渉の余地がなくなるというふうな予算の組み方はいたしておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  205. 正木清

    ○正木委員 私は明日出席する運輸大臣に対する質問が過半でございますが、一、二長崎総裁にも質問をしておきたいと思います。その前に委員長に私から特に一つ要求をいたしますが、本日この委員会でいろいろになりました点で、国鉄当局から運輸当局に対して、裁定の完全実施に対する補正の予算、それから災害復旧に伴うこれまた補正予算の事務的手続がとられておるわけでございまして、それに対する私の質問に、監督局長答弁では、実はその具体的な内容の計数等が明瞭にわかりません。こそで、委員長を通じて、必ずこの書類を明日の当委員会までに出すようおとりはからいを願いたい、これを委員長要求しておきます。そこで、私は長崎総裁お尋ねするわけでございますが、国鉄のこの損益勘定を見ますと、非常に重大なことを、実は政府当局がほおかむりをしているんではないか、今日までまた大蔵当局があらゆる形で国鉄当局をも苦しめて来たのではないか。それは、現在の政府の労働階級に対する労働政策の具体的な現われとして、国鉄当局の運営に現われて来ておるのではないか、こういうような考えを持ちますので、あなたから責任ある御答弁をちようだいしたい、こう思うのでございます。この日鉄法にも明らかなように、一面この第一条では、公共の福祉を増進するために国が国有鉄道の事業を特別会計をもつて経営した鉄道事業の一切を、日本国有鉄道法に基くこの企業体に経営を委託した。ところがまた、この法律の中では明らかなように、企業体として運営がうまく行くように、その予算に弾力性を持たせる一面では、こういうように法律上規定されておる。ですから、たとい公の企業体の運営を、国有鉄道でございまするあなたが責任者ですが、おまかせを受けたとされても、一面の法律条文によつては、企業体として当然成り立つような政治的措置がなされなければならない。それが、事務当局の答弁によつても明らかなように、全然なされておらない。事務当局はそのことをぜひのんで、大蔵当局と折衝して来たが、遺憾ながらそれが実現されない、こう明らかに答弁しております。そこで結論からいうと、しからば、国有鉄道として、一体企業体の中で、どのようなこの第一条に基くような努力をしておるかどうかということの結論を、私どもが明確にするためには、損益勘定以外にございません。そこであなたにお伺いしたい点は、この損益勘定の中で最も企業体としてかかるものは何かというと、人件費と物件費でございます。但し、建設勘定は別ですよ。この人件費と物件費は、戦前の比率を見ますと、戦前は人件費が五五に対して物件費が四五、こういうふうに私は承知しております。ところが、本年度になりますと、これが逆になりまして、人件費が四六に対して物件費が五五にはね上つております。いかに今日の国有鉄道が人を減らし、人件費の節約から来る節約面によつて、非常に困難であるべき国有鉄道を辛うじて経営しているかということが、この数字によつて明かではないかと想像できます。従つて、今日の四十数万に上る国有鉄道に従来している職員諸君努力は、非常に大きなものである、こう結論的に考えるが、国有鉄道の当の責任者である長崎総裁はこれを御確認なさるかどうか、またこれを否定するかどうか、あなたの所信を承つておきたいと思います。
  206. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答えいたします。物件費と人件費の割合の問題でございますが、これは戦前におきましても、ときどきひつくり返つたこともございます。物価の急騰等がありますと、人件費の方が下になつて物件費が多くなるということは、あつたのでございますが、戦後の状況をずつと見ますと、かなり物件費の高騰が急激にぐんぐん参りました結果、その比率が長きにわたつて破れておつたということは認めざるを得ないと私は思います。しかし、昨今におきましては、ただいま御指摘のように、だんだん人件費も物件費の方に追いついて来るというような方向でございまして、どうかして私はそういう方向に持つて行きたい、できるならばなるべくそうしたいと思つておりますけれども、何分にも戦争中あるいは戦後において、老朽荒廃いたしました線路、施設、車両というようなものの修理修繕は、一刻もゆるがせにできないものでありまして、思うにまかせないのはきわめて残念であります。
  207. 正木清

    ○正木委員 私は長崎総裁に重ねてお伺いするのでございますが、現在の国鉄の経理内容等から勘案いたしまして、政府が政治的に国民の福祉を増進するという理由で新線の建設を命ずる。それに対して国鉄は、運輸当局を通じて政府に折衝するが、国の出資を認めない、しかも借入金に対して利子の補給すら認めない、しかも新線建設は年々莫大な赤字を国鉄の経営面に加えて来る。しかもそればかりでなくて、ただいまあなたが御指摘なつたように、現在の国鉄全体としての資産の状態が非常に老朽化して来て、思い切つた更新をいたさなければならない時期に到達しておる、こういうふうに私は考えるのでございます。そこで、しばしばあなたの口から漏れるようでございますが、本日の当委員会においても、あなたの口から運賃値上げを必然的にしなければならないではないかのような御答弁があつたように私は記憶をいたしますが、国鉄の当の責任者であるあなたは、これらの一切を運賃値上げに求めておるのであかどうか、これをまず第一点に聞かなければなりません。そこで、私は昨年のことを考えるのでございます。昨年委員会においても問題になり、本会議においても問題になつたわけでございますが、国鉄当局としては今日あることを勘案して、他の物価と運賃等のことも勘案して、当初運輸当局を通じて政府要求した運賃値上率は二割五歩であつた。しかるに政府は国民経済に与える影響甚大なりとして一割に押えた。そして一割の予算措置を講じて議会に提出されたのでありますが、当然二割五分として要求することが正しいとして出されたものが一割に押えられ、その一切の犠牲を国鉄総裁以下四十数万の従業員現実にかぶり、しかもそのことがさらに国民全体に負わされているという現実に対して、あなたは一体今どう考えておられるのか。現在の状態で国鉄経営というものが推移するならば、取返しのつかない事態が来るのではないか。総裁としては、相当の決意を持つて運輸当局並びに政府に対して交渉される時期が当然来たのではないか、こういうように私は考えますが、あなたの御所信は一体どこにあるのか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
  208. 長崎惣之助

    長崎説明員 国鉄の将来をどうするか、という点につきましては、先ほども、ちよつと簡単でございましたが、申し上げたような次第でありまして、今日まではまた幾らか蓄積しました資産がありましたから、それをたこ配的に食べても行かれましたでしようが、交通界の現況は刻々と変化して参るのでありまして、ヨーロツパにおきましても、鉄道をどういうふうにするかという非常に大きな問題として扱われております。前者の轍を踏まないように、私は日本国有鉄道全体の経営について大きな反省をする、同時にその手段、方法というものをどうするかということを、皆さんとともに私は考えて参りたいと思います。これは私一人がいくらがんばりましても、やはり皆様のお力添えがないと、この考え方というものは私は遂行できないと思います。お説のように、昨今はやめましたけれども、フランス国有鉄道におきましては、政府が自分の政策のために運賃値上げを阻止しました場合には、それを補給する契約になつておつたのであります。今日においては、たとえば水平な平面交叉の踏切り等につきましては、その踏切りの設備費はもとより、警手の費用も国と国鉄が半々に負担しておるのであります。そういう契約になつております。なお固定資産等につきましても、国家が相当な負担をするように契約がなされております。それらの実行上の問題については、まだいろいろこまかい点がございますが、欧米においても、そういう例は何もフランスだけではないのでありまして、ベルギーにおきましても、やはり同じようなことが行われております。各国とも、やはり運賃は相当に社会政策的に、あるいは国家経済の全面の関係から押えるという傾向は免れません。従いまして、これに対して政府がある程度の補給をするという考え方もされておるのであります。私は、何もそういうような改善の資金とか、あるいは現代化の資金とか、電化の資金というようなものまでも、全部運賃値上げでカバーするというようなことは考えておりません。これは別途にまた鉄道債券なり、あるいは資金運用部の資金を拝借するなりしてやつて行きたいと思います。ただ、先ほど申しましたように、建設線の問題は、ずつと先の問題でございますけれども、これは二十年先には運賃もいろいろと劣るでありましよう、社会情勢もいろいろかわるでありましようが、かりに現在のままの姿で国鉄が参るとしますと、二十年後には大体九百億ぐらいの赤字になる。そういう状態になつたときに、これはたいへんだといつてあわててもおそくなると私は思いますので、今後もよく皆さんとともに研究もし、考えてもいただき、御協力を得て、早い時代にこの状態を何とかしなくてはいかぬ、かように考えております。
  209. 正木清

    ○正木委員 最後に、もう一つ総裁お尋ねいたしますが、総裁も御承知のように、北海道の特殊の問題として、国鉄当局は、札幌地方調停委員会の二十八年度特別寒冷地手当調停案を、いろいろのいきさつはございましたが、これを受諾をいたしておるわけでございますが、これに対する具体的な措置がいまだ講ぜられておらないようでございます。御承知かもしれませんが、この問題と同じ性質を持つておりますものの中に電電公社がございます。電電公社も同じく札幌地方調停委員会調停案を受諾いたしまして、実はすでに明らかになつておりますように石炭の単価は七千円でございます。そうして世帯主は三トン、独立生計単身者はニトンでございます。ところが現実国鉄の当局が措置をとつておりますものは、単価において六千五百円、そして現在ではわずかに一トンしか支給されておらないというのが現状でございます。さらに、同じく林野関係の公社でございますが、これまた北海道在職職員に対しましては二号俸給の特別加算という形で、現実にこれらの問題が妥結を見ておるわけでございます。しかも昨年から国鉄当局は、石炭手当と寒冷地給が仲裁裁定によりまして一本化され、定額制をとつておりますがために税金が累進課税で、控除されないために、実質手取りは扶養家族三人の者で平均二万二千円、うち石炭手当の実質手取りは一万四千円程度でございます。従つて、これでは石炭はニトン程度しか買えないのでございまして、現実に足りない部分に対しては非常な苦労をいたしておりまして、本俸の中へ食い込んで参りますことは当然です。従つて、私は総裁にお伺いしたいことは、せめても現にすでに電電公社が妥結を見た額、さらにその他の公社において実施しておる程度のことは、当然国有鉄道としては考えてしかるべきではないか、他でやつておるのでございますから……。現に私は昨晩千歳飛行場を立つて東京へ来たのでございますが、北海道は御承知のように、ほとんどラツセルが総動員されております。札幌で三尺、倶知安機関地区に参りますと五尺でございます。職員は非常な努力をしておる。ほかではすでに札幌調停委員会調停案を受諾して解決しておる、ただ、していないのは国有鉄道たけでございます。これに対して、総裁として一体どのようにお考えなつておられるのか、この点を明らかにしておきたいと思います。
  210. 長崎惣之助

    長崎説明員 北海道の職員諸君が、冬季になりますと非常に困難に打ちかつて闘つておつてくださるということは、私一昨年でありましたか、正月に北海道へ参りまして親しく拝見して参りました。その敢闘ぶりを見て、実に涙ぐましいものがありました。従いまして、北海道の職員諸君に対する寒冷地手当というようなものは、できるだけ早い時期に改善して行かなくちやならぬということは、常に心得ております。詳しい内容でありましたら、職員局長からお答えいたします。
  211. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 北海道の調停委員会から勧告がございましたことは、お話の通りでございます。ただその時期に、実はこれも今お話がございました前の仲裁委員会の寒冷地手当、石炭手当を一本化するという裁定がございました。その裁定の線に沿いまして、国鉄職員側交渉委員会の本部と私の方と交渉をいたしまして、一応の結論を出したわけなのでございますが、若干時間的に、現地と中央との間でいろいろ話の食い違いみたいなこともございましたので、御指摘になりましたような点は、私どもも十分考えてはおるのでございますが、これを実施いたしますのは、やはり給与総額のわくの上の問題になりますので、今大きな裁定問題も控えておりますし、これらの問題の実施と関連いたしまして、今後の団体交渉によつてできるだけ現地職員の期待しておりますような線に近づけるようにいたしたいと思つております。ただ国鉄の寒冷地手当は、他の公社とは全然同じというわけには行きかねると申しますか、違つた形で今までやつて来ておりますので、全然同じというわけには行かないと思いますが、今後団体交渉によつて、できるだけ早い時期に結論を出すようにいたしたい、かように考えております。
  212. 赤松勇

    赤松委員長 それではこの程度にとどめまして、明二十六日午前十時より引続いて本連合審査会を開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十一分散会