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1953-11-01 第17回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月一日(日曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 本間 俊一君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 中村 梅吉君       相川 勝六君    植木庚子郎君       迫水 久常君    庄司 一郎君       中村  清君    羽田武嗣郎君       船越  弘君    八木 一郎君       吉川 久衛君    小山倉之助君       櫻内 義雄君    古井 喜實君       伊藤 好道君    上林與市郎君       横路 節雄君    和田 博雄君       小平  忠君    河野  密君       木村 武雄君    森 幸太郎君       尾崎 末吉君    小林 絹治君       鈴木 正文君    富田 健治君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       山崎  巖君    稻葉  修君       河野 金昇君    河本 敏夫君       青野 武一君    井手 以誠君       辻原 弘市君    福田 昌子君       稲富 稜人君    加藤 鐐造君       三宅 正一君    吉川 兼光君       黒田 寿男君    福田 赳夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  岡野 清豪君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 木村篤太郎君         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         人  事  官 神田 五雄君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局長)  坂田 泰二君         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十月三十一日  委員武藤運十郎君及び河野一郎辞任につき、  その補欠として上林與市郎君及び木村武雄君  が議長指名委員に選任された。 十一月一日  委員伊藤好道辞任につき、その補欠として  辻原弘市君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)  昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和二十八年度特別会計予算補正(特第1号)を一括議題といたします。本日、補正予算両案の内閣修正について本院の承諾がありましたから、この際その修正について政府説明を求めます。大蔵大臣小笠原九郎君。     —————————————
  3. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 昭和二十八年度補正予算修正につきましては、すでに本会議において概略説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、あらためてその内応を御説明申し上げます。  まず冷害等対策費増額修正であります。すでに今回の補正予算におきまして、冷害対策費として七十億円を計上いたしておるのでありますが、諸般の事情を考慮いたしまして、さらに四十五億円を増額修正することといたしました。  すなわち第一に、農林漁業金融公庫出資金を十五億円増額補正予算における追加額を二十五億円といたしました。  第二に、災害対策予備費を三十億円増額し、補正予算における追加額を四十五億円といたしました。これらの増額により、さらに冷害等対策の万全を期した次第であります。  次に農業保険費追加額減額修正であります。農業共済保険特別会計繰入れを四十五億円減額し、農業保険費不足補填のための追加額を八十五億円といたしました。なお、これに従つて農業共済保険特別会計予算補正に所要の修正を加えることといたしました。  最後に、今回の修正冷害対策の充実に伴う補正内容の一部の修正でありまして、これにより一般会計予算補正歳入歳出総額に何ら変更を加えるものではありません。  以上をもちまして、補正予算修正内容説明といたす次第であります。
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは質疑を継続いたします。櫻内義雄君。
  5. 櫻内義雄

    櫻内委員 私は改進党を代表いたしまして総括質問をするものでございます。  ただいま大蔵大臣政府修正提案説明をお聞きしたのでございますが、本会議におきましてお触れになりましたが、この委員会の席上におきましては、風水害対策の件について何らお触れになつておらないのでございます。そこでひとつ確認をしておきたいのでございますが、先般の三党の協定に基きまして、風水害対策に対する国庫負担となるべきものは千五百六十五億円を基準とするということになつておると思うのでございます。しこうして、この千五百六十五億円の算数をいたしましたのは大体十月初頭とかように思うのでございますが、その点を確認することと、この国庫負担に対する本年度災害補助割合というものは三割であり、明年度五割、三年目に二割ということであろうと思うのでございますが、この点もはつきりしていただきたいのでございます。しこうしてこれに伴いますところの不足額は、これを融資に仰ぐということになつておると思うのでございますが、その融資につきましては、復旧事業進行に伴いまして、その心要に応じて実情調査の上、運用部資金等より融資するということであつて、その額は、実際上の数字で表わしますと、百五十七億円となると思うのでございますが、以上の諸点につきまして、大臣の御確認を願いたいのでございます。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 櫻内委員の御質疑お答えいたします。  十月五日現在のところで査定いたしましたものによりますと、国庫負担分は千五百六十五億円となるのでございますがなお査定の進行に伴い若干の移動のあることは、あらかじめ御了承を願いたいと存じております。  次に年度割は、年々大体三、五、二を基準とする考えでございます。  さらに初年度の三百億の計上不足分について、数字は百五十七億と今おつしやいましたが、あるいは百四十四億円というような数字も出ておりましてその点はつきりいたしませんが大体の数字はその通りであると了承いたしております。その融資につきましては、個々の工事の実際の進行状況につきまして実情調査いたしました上で、預金部資金を差繰りするなど、誠意をもつてこれに善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  7. 櫻内義雄

    櫻内委員 冷害対策費増額修正支出内容につきましては、後刻わが党の委員よりさらにお尋ねすることといたしまして、今回の臨時国会は、言うまでもなく八月十日に野党四派より成規の手続によりまして、水害対策MSA援助等重要案件に関して開会を要求いたしたのでございますが、政府が九月中の召集を渋つておる間に、八月十四日の近畿水害あるいは九月二十五日の台風十三号水害が起り、かつ収穫期を迎えての東北、北海道を中心とする冷害による一大凶作の事実が判明いたしたのであります。水害地は申し上げるまでもなく、一道二府二十四県にわたりまして、冷害地の主たるところか一道十五県に及ぶのであります。その被害額は最近の集計によりますと、水害関係は七千億円にも及ぶといわれ、また冷害による農家の減収は、関床県調査集計によりますと、千三百億の減収といわれるのでございます。羅災者への影響はまことに甚大であつて、心から同情にたえないものがございますが、しかるにようやく開かれました今国会劈頭補正予算案に対する大蔵大臣の御説明は、まことに遺憾に思うのでございます。補正予算はとりあえず緊急に支出を要する災害対策費等に限定してこれを提出したのであるが、政府は本年度補正予算及び明年度予算の編成については、右の基本的な考え方を貫き既定経費節約をはかつて財政規模の圧縮に努める所存であると言われておるのであります。それで基本的な考えはどういうことなのか調べてみますと、国際収支の赤字を続けるときは、経済自立の達成が不可能となるので、通貨価値の安定を確保し、物価騰貴による実質的な国民生活の低下を防いで経済基盤を確立すると言われるのでございますが、この見解全国被害を受けた国民からいたしますならば当を得ないのであります。災害に対する復旧冷害に対する救済等のための急速なる支出補正予算計上いたしまして、明年度予算には治山治水その他の根本的な対策により再び災害の起らざるように、あるいは冷害に対処する万全の用意をするということでありますならば、納得が行くのでございます。そこで総理はこの異常なる災害に直面してどのようなお考えを持つておられるのか、たとえば一方において思い切つた行政整理を断行いたしまして行政簡素化する、それによつて行政費節約をする、不急の費用支出を圧縮する、他方におきまして水害に対処する植林事業ダム建設による電源開発等を主とする治山治水対策をするとか、また冷害の経験を生かしまして、食糧増産対策を立てるというような、災害に対する基本的なお考えがあつてしかるべきと思うのでございますが、その点をまずお聞きしたいのでございます。
  8. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたします。災害応急処置についてはこのたびの補正予算でもつてまかなう。また災害の原因をなす治山治水等恒久対策については、治山治水審議会でありますか、ここで恒久措置をどうしたらいいかということをただいま研究いたしております。またお話行政整理はあくまでもいたして、不要の支出は慎む、また冗員も慎む、また行政簡素化もいたす決心でおりまして、今着々準備を進めております。
  9. 櫻内義雄

    櫻内委員 首相お答えによりますと、行政費節約等についていろいろお考えのようでございますが、どうも今回の予算を通じて考えますに、大蔵大臣は五百十億円というわくに非常にとらわれたという感じが深いのでございます。今総理の言われましたように、本年度予算の上から不急不要の費用節約するとか、行政費節約をするという熱意がありますならば、もつと災害冷害に対する復旧救済費用計上ができたと思うのでございます。まことにその点は残念でありまして、本予算を見ましても、一般公共事業費の七百十二億円、官庁営繕費の三十三億円、問題となりました国際航空会社への十億円の出資ども考えられるのであります。また各省の雑件千十五億円等からいろいろ考えますならば、財源は求められると思います。ところが五百十億円というものに何のためにとらわれたのかわからないのであります。かりに既定経費節約をするならば、大臣の一番おそれられた総わくが一兆円を越すという心配はない。九千九百九十九億円というような数字にされたのでございますけれども、この点についての大臣のお考え方を一応参りたいのであります。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 九千九百九十九億円というのは偶然の数字でありまして、私は一兆円にとらわれたものでないということは先刻申した通りであります。但し今お話のような点がはたして財源としてやり得るかどうかという点につきましては、私どもは現在の段階において許し得る財源をすべて計上した次第でございまして、これは櫻内議員もよく御承知のことと思います。さきに二割あるいは一割五分等各省の旅費その他を削つておる関係もあり、さらに今回も大体において補助金その他につき一割ないし五分ずつ削つておるような関係もありまして、今後行政整理進行に伴いましてこれはもう少し捻出し得ると思うのでありますが、ただいまのところはあれが精一ぱい財源だと考えております。     〔委員長退席小峯委員長代理着席〕 従いまして財源の許す範囲にて計上した次第であることを御了承願いたいと思います。
  11. 櫻内義雄

    櫻内委員 大蔵大臣はたしか九月四日から九月二十五日まで御旅行されておつたのであります。そういうようなことから今回の災害予算に対する御準備不足のように考えられるのでございますが、一応今のお答えで次の問題に移りたいと思います。  災害冷害復旧に対しまして、世間では、保安庁費防衛支出金の千二百三十四億を削減するとか、あるいは大蔵大臣の御答弁にもございましたが、前年度安全保障費の残額八十一億円が使えるということでございますが、そういうものを財源にしろという論議が盛んでございます。それとともに、首相の日ごろからの御見解からいいますならば、自分経済力に伴つて漸増的に自衛力を増加するのであるということを常に強調せられております。しかるときにことしのような災害がございまして、わが国の経済力が低下して来たということになりますと、ただいま世間でいわれるような防衛費を削つて災害費にまわせということも当然のように思われるのでございますが、こういう点についてはどういうお考えを持つておるか。私どもの立場からいたしますと、第一には災害地におきまする治安の維持。災直後に保安隊が出動いたしまして、罹災者救済や防災に努力せられ、多くの人々に感謝せられたのでございますが、最近の九州方面実情というものは、共産党の地下運動が非常に活発であるといわれております。あるいは現在の日本の置かれておる国際環境考えてみまするに、中共ソ連また韓国、そういうところに善良なる漁民が拉致されたり、また漁船が拿捕されておる事実は枚挙にいとまがないのでございます。あるいは竹島は韓国によつて一方的に自国領であると言われる。また豪州政府は大陸だなに対する漁業を禁止する等の状況でございます。さらにはMSA交渉の進展に伴いまして、防衛力増強が要望せられておるのでございますが、防衛費の削減というよりも、実質的に自衛軍備を確立すべきだと考えさせられるわけでございます。こういうような内外情勢に対する首相の見方なり、各国よりの外交上の圧迫にどう対処せられて行くかということをお伺いしたいと思います。さらには経済力に伴う漸増方式ではなくて、自主独立国家としての自衛力確保なり、治安に対する万全策をとらざるを得ないと思うのでございますが、総理の御見解を承りたいと思います。
  12. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。ただいまの防衛費は最も必要な限度において支出いたしておるので、これをもつて現在の国力に相応し、また必要即応した経費である、必要やむを得ざる経費であると考えておるのであります。また国力が充実すれば漸増するということも考えておりますが、現在はこの程度にとどめたい心組みで考えております。
  13. 櫻内義雄

    櫻内委員 この際に大蔵大臣にお聞きしたいのでございますが、大蔵大臣は、きのう本会議の席上におきまして、八百板君の防衛費を削れということについて、これは外交上の条約によつて信義上削れないというような御答弁でございました。この御答弁重要性を持つております。というのは今世間では、この自衛力増強というのが何か押しつけられたものではないかというような見方が多いのでございます。そういたしますと、大蔵大臣の昨日の御答弁は、いかにもそれを裏書きするように条約上やむを得ずやつておるのだという御答弁でございましたが、この際に御見解を承りたいのであります。
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 最初に先ほどの櫻内さんのお尋ね保安庁費の問題についてお答えしたいと思います。保安庁費は、ただいまのところ、先般も相当削つておりますので削る余地がないように存じます。安全補償費は、ただいまの計算では約八十一億円ほどは残る計算に見えますが、これは今向う交渉中でございまして、向うの方で施設等を必要としますればこれが使われることにも相なりますので、実はまだはつきりいたさないのであります。従つて今のところこれは予算計上して審議にかけることはちよつとむずかしゆうございます。それから平和回復善後処理費の方は、先ほどいろいろ申し上げましたような支出をしまして、大体七十億円を出しましても何ら支障がない見込みでありましたから予算計上したような次第であります。  昨日申し上げました意味は、日本自衛力漸増ということはそういうことをお約束したのであるから、この線に沿うことは国際信義の上から必要であるということを申したのであります。従つてそれに伴う各種の経費の節減は、現在のところいかがかということを述べた次第でございます。
  15. 櫻内義雄

    櫻内委員 総理大臣から内外情勢に対する御見解を承れなかつたのでありますが、この際犬養法相お尋ねしたいのでございます。水害地、特に九州方面治安は十分確保されておるかということが第一であります。特に日共軍事組織化が非常に拡充せられておるということを聞くのであります。九州方面におきましては中核自衛隊が入り込んで活動いたしておるということでありますが、これらの点についてお聞きしたい。  ついでにもう一つ。いわゆる基地問題でございますが、紛糾いたしました内灘問題に引続いて、なお全国の至るところに見られるのでございますが、これらの基地問題について、日共反米運動というものがその背後にあるようなふうに見られるのでございます。一般的な反米運動反米思想状況等をもあわせてこの際お聞きしたいのであります。
  16. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えいたします。九州方面水害に伴いまして日共活動状況はどうであるかというお尋ねでありますが、私ども実は心配いたしまして万遺漏なきように手配をいたしております。人心の安定につきましては、今櫻内さんの御指摘になりましたように、保安隊活動というものが庶民階級に非常にマッチいたしまして、まずこれが庶民階級心理作用にたいへん役立つたと私は思います。御指摘日共活動のことを調べて参りました。御承知のように、今また御指摘のように、中核自衛隊活動も相当活発でありまして、この人たちは、こういう運動を「水害闘争を全国民的政治闘争へ」というスローガンでやつておりまして、ある場合には建軍闘争という言葉を用いて起ります。それで水害地を視察いたし、復興とか応急手当手伝いをしまして、その際にそこに住んでおる人たち不平不満を聞いて、これというのも政治が悪いからだという方向に持つてつておるように思われます。これは天災でなくて人災であつて人災のよつて来るところは政治が悪いのだという方向に持つてつておるように思います。これらの破壊活動関係派遣隊員の数から申しますと、九州方面には延べ約二千六百行つております。山陽、岡山、京都、東京あるいは広く関西などで、名前遊撃隊とか救援隊とか派遣工作隊とかいう名前を使つております。その次に起りました和歌山県方面水害にも、かかる種類の派遣隊員の数が約延べ千二百、これも工作隊とか救援隊とか、そういう名前を使つております。水害地の人人々は当初警戒をいたしまして、中には、こういう工作隊が来たのに対して、宿を貸さないで野宿をさせるというような傾向も出まして大体警戒ぎみでありました。ところによつては非常によく手伝つてもらつた関係上、宿を断るのをだんだんゆるめるというような傾向もあつたように思います。大体そのようなふうでありまして、このような努力の割にはこの個々工作隊遊撃隊の横の連絡に統一を欠いている気味がありまして、それほど効果があつたように思われませんが、なお十分これは今後も警戒して情勢を観測いたしたいと思います。  基地にからまるいわゆる反米思想の趨勢というものは、簡単に結論を申し上げますと、大体内灘問題が頂上でありましてあれから下火になつたとは一概に申せませんが、内灘問題の一番騒がしいときがトップであつたということは言えると思います。今年の八月ごろ、朝鮮の休戦協定の成立が七月二十七日でありましてその直後から彼らの標語がはつきりして参りまして、従来使いませんでした反米、反再軍備というような言葉を使うようになつております。地元の人は、初めは基地そのものについてすこぶる興奮状態でありましたが、露骨な反米運動とからんで来て、多少警戒ぎみ心理作用もそこに住んでいる人に起つております。一方では、私これは非常に憂慮いたすと申しますか、心にとめて研究しなければならぬと思うのでありますが、今度は方針をかえまして、基地でもつてつて洗濯物手伝いをする、黙つて自転車の修理をするというふうで、無条件に献身的に住民の手伝いをして、さようならも言わずに帰つて行く。つまり報酬を期待しないで帰つて行く。こうなりますと、地方の淳朴な人の心にはやはり打たれるものがありまして、私はちようど中国共産党がことに中支那方面で人民の人望を得た時代のやり方を思い起させるのでありまして、こういう工作については政府としましても十分に注意してまた自分たちやり方についても十分反省して対策をする必要がある、こういうふうに考えております。
  17. 櫻内義雄

    櫻内委員 外務大臣木村保安庁長官にお聞きしたいのでありますが、木村長官は昨日の本会議海上警備隊任務を強調せられましてあたかも李ラインに事ある場合には警備船を出動させるというような口吻でございますが、実際そういうことが可能なのであるかどうかという疑問を持つのが一つであります。それから現に伝えられるところによりますならば、以西底びき網、またまき網漁船等の集団が無理を冒して出漁するというのでございますが、そういう場合に、事実危険はないものか、もし危険があるならばその出漁をさしとめるのであるかというような点をお聞きしたいのでございます。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。私の申し上げたのは、一体警備隊はどういう任務を帯びているか、これであります。保安庁法第六十五条によりますと、海上における人命、財産が危殆に瀕し、また治安が著しく危殆に瀕するような場合においては、警備隊は出動することができるとなつておるが、その出動の時期については慎重に考慮しなければならぬと考えております。いわんや事国際上に大きな影響を持つておるのでありますから、李承晩ラインの問題は軽率に私は言えないと思います。そういう任務は持つておる。但しこれはどういう処置をとるかということについては、われわれは分に考慮して、万違算のないように処置をいたしたいと考えておる次第であります。
  19. 櫻内義雄

    櫻内委員 外務大臣にお聞きいたしますが、韓国日本代表部設置の通告を十月二十三日にせられましたが、その結果はどうなつておるのかということをお聞きしたいのであります。それに加えまして、十月十二日現在の韓国拿捕漁船は四十五隻、船員四百一名が拉致されておるわけでありますが、これらの動向は動であるのか。それから中共、台湾、ソ連への拿捕船あるいは漁民の数がおわかりでございましたら、後日でもけつこうででざいますから、お聞きしたいのです。これらの点についてお伺いいたします。
  20. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 代表部の問題につきましては、昨年四月の終りに条約が批准できましたときに、韓国代表部日本に置くかわりに、日本代表部韓国に置くという原則において、こちらも向うも認めまして、韓国代表部日本に置くことにいたしたのでございます。従いまして、日本代表部が当然向うに行くわけでありましたが、当時あそこは戦争の最中でありまして、また避難民が多かつたり、治安が十分でなかつたりするので、しばらく猶予をしてもらいたいという話でありましたので、これはもつともだと考えまして、その後そのままにしておつたのでありますが、今度韓国に捕えられました漁夫等の保護にも必要でありますので、あらためて申し出たわけであります。しかしまだ回答には至つておりませんので、先般も、ごく最近でありますが、再び督促をいたしております。漁夫の方につきましてはこの三つにわけて、数字はあとでお届けいたしますが、韓国側では先般こちらの申入れに対しまして、差入れだけは受取るということでありましたので、さらにそれにつけ加えて、世話をする人間その他漁夫の方の代表者も行きたいということをつ申し入れておりますが、これはまだ返事は来ておりません。そこで片方差入れにしましても急ぎますから、交渉交渉といたしまして、差入れの手続きの話を今いたしております。国民政府の方につきましては、これまた外国の大使館を通じて話をいたしておりますが、中共側についてはどうもはつきりいたしておりません。これはまだちよつと時間がかかるのじやないかと思つております。
  21. 櫻内義雄

    櫻内委員 先ほど来、内外情勢につきまして個別的に多少お聞きしたのでございますが、幾多憂慮する問題があると思うのでございます。この際防衛費に対する確たる見通しを持たねばならないと思うのでございますが、残念ながらMSA交渉に伴つて、米国が日本防衛力増強を要望しており、三十五万説などが流布せられるのでございます。昨日の新聞によりますと、十月三十日の池田・ロバートソン共同声明によりますと、自衛力増強について憲法、経済、予算等その他の制約があることを認めるが、それらを十分考慮しつつ増強促進の努力を続けるようにといわれております。     〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕 そこで外相にお聞きしたいのは九月三十九日に池田自由党政務調査会長が愛知大蔵政務次官を帯同せられて渡米せられました以後、全国民はこの池田一行の言動に非常に関心を持つておるわけでございます。ところが国会におきましては、一昨日来首相は池田氏は自分の個人の使いとして日本実情説明と、アメリカの実情を知るために行つたのであるとのみ一言われておるのでございますが、しかし何といつても現吉田内閣の与党たる自由党の政調会長のことでもあり、かつロバートソンとの共同声明は、言うまでもなく非常な重要性を持つておるのでございます。なかなか納得が行きかねるのでございます。共同声明について外務省には電報でも入つておるのかどうか、あるいは東京において両国政府の代表がさらに協議を行うということになつておるのでございますが、外務省として正式のMSA交渉を開く意味であるのか、また池田氏は個人の資格だとはいいながら、この共同声明に盛られておる幾多の重要問題について、日本は今後それに対する責任を持つのか、あるいは東京での会議においては束縛を受けるのか、というような大まかな点だけ外務大臣にお聞きしたいのであります。
  22. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 池田特使との話合いの共同声明はごらんの通りでありまして、双方の考え方の具体的に書面になりますのはあれだけであります。あの声明には、冒頭に書いてあります通り、これはエキスプラナトリーという字が使つてありますが、お互いに検討を進める意味の話合いであつて協定等には何ら達するものではないということがはつきりいたしております。つまりいろいろ日本とアメリカとの間の関係の問題について、腹蔵ない意見の交換をいたしたのであります。そこでその結果と申しますか、あるいは初めからそうではあつたのでありますが、MSA交渉にいたしましてもそれに関連して途中から出て参りました例の五百五十条の小麦の買入れ等の問題につきましては、東京で話合いをいたすつもりでおります。
  23. 櫻内義雄

    櫻内委員 総理にお聞きしたいのでございますが、ただいま一応のお答え外務大臣から受けたのでございますが、私が一番懸念をいたしますのはあの共同声明は今後日本外交交渉の上において責任を持たなければならないのかどうかということでございます。これは個人として行かれて話合いをしたというわけではございますが、すでにあのような共同声明になつておるという場合には、いろいろとこれは束縛を受ける。それが国際信義上当然なこととなつて来るような気がするのでございます。そこで首相のこの点に対する御見解を承りたいと思います。
  24. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。束縛というとたいへんかどが立ちますが、互いにその話し合つたことについては責任をとる、あるいは実行に移すということの努力はいたさなければならぬはずであります。責任をとるというと話がかたくなりますが、互いに道徳的の責任といいますか、とにかく池田特使が言われたことは政府としては尊重する。またロバートソンの言つたことについては米国政府は尊重するということは、これは当然のことであります。
  25. 櫻内義雄

    櫻内委員 ただいまのお話はまことに重要性があるのでございまして、従来池田特使はまつたく個人的な旅行であるというふうに政府国民に言つておつたのでございます。しかしながらただいまの首相言葉からいたしますならば、明らかに池田特使が重要なる使命を帯び、予備交渉に当つておつたということが明らかになるのでございます。これらの点につきましては、今後私どもとして種々追究をいたしたいと思うのでございますが、私としてこの際さらに進んでお聞きしたいことがあるのでございます。それはまず第一の点といたしましては、それは前国会で非常に論議の対象となりました木村長官の警備計画試案はどうなつたかということでございます。それとただいま特殊の使命を帯びて渡米されました池田氏は、日本の防衛計画の三案をお持ちになつたということが、伝えられておるのでございます。その三案というのは保安庁の試案なのかどうかということでございます。さらには現在すでにわが国の自主的な防衛計画がおできになつておると思うのでございますが、この池田氏の携行せられた防衛計画案に伴つて、以上の点を長官からお聞きしたいと思います。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。私は池田君に増員計画なるものを託した覚えは毛頭ありません。おそらく池田君が独自の考え方で増員計画を持つて行つたものと思います。私はかつて試案なるものをつくつたことがあります。しかしその後情勢の変化に伴いまして、これはいろいろ考えさられることがあるのであります。昨日も申しました通り、この増員計画を立てるについては、あらゆる情勢を分析いたしまして、これを熟読翫味いたしまして、万違算のない防衛計画を立てなければならぬ。ことに来年度なんかどうするかということにつきましては、募集その他の点についていろいろさらに慎重研究を続けて参りたい。まだ成案を得るに至つていないのであります。
  27. 櫻内義雄

    櫻内委員 これは防衛計画の問題にからんででございますが、池田・ロバートソンの共同声明の中には、明らかに駐留軍が引揚げることが書かれておるのでございます。このことはすでに去る十月八日でございましたか、米国におきまして池田氏は、在日米軍の五箇年以内引揚げのことを非公式に言われたと報道せられ、また木村長官もこれにつきまして、それは当然のことであるということを新聞紙上で語つておるのでございます。この場合に、先まどの首相の言明によりまして、われわれとしてもアメリカに対する道徳上の義務を持つということになつて来ますと、ここに駐留軍の引揚げということは、明白なる事実となつて来たと思うのでございます。さらには、先般いわゆる吉田・重光会談におきましても、駐留軍の漸減に応じてということを言われておるのでございます。この場合におきましてこの池田・ロバートソンの共同声明、あるいはそれに伴う駐留軍の引揚げの明白な事実ということを考えて来ると、ただいまの木村長官の防衛計画に対する御答弁はふに落ちないのでございます。もとより私どもは、アメリカに強要せられてわが国の防衛計画を立てるというような、そういう考え方は毛頭持つておらないのでございまして、政府においては当然すでに計画を持つておられるものと思うのでございますが、これらの点につきまして首相のお考えを承りたいのであります。
  28. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。米国の駐兵ということは、永遠にするという考えは毛頭ないのみならず、互いになるべく早く引揚げたいという考えを持つておるのであります。ゆえに実情が許すならば、また日本防衛力が充実するならば、即時にでも互いに撤退する、したいという考えを持つておるのであつて、この点については相互の意思は一致しておるのであります。つまり必要に応じ、また万全の策を講じて米国軍がなるべく早く引揚げよ、引揚げたい、これは相互の意思の合致しておるところであり、従つてこれが池田・ロバートソンの共同コミュニケの中にも入つておるのであります。
  29. 櫻内義雄

    櫻内委員 この際、重ねて総理にお聞きしたいことは、重光総裁との会談の際に、国力に応じて長期の防衛計画を樹立するということを明らかにされておるのでございます。そうなりますと、すでに御用意があるのか、あるいはこれから準備されるのか。こういうことを考えますときに、池田氏の渡米後における行動等から考えますならば、明らかに政府としては一つの方針がなくてはならないと思いますので、その点を明らかにされたいことが第一であります。  それからもう一つは、長期ということは非常に抽象的でございまして、これはどの程度の期間をお考えになつておるのか。これはひいては明年度予算に大きな影響もあることでございますので、重ねてお聞きをするのでございます。
  30. 吉田茂

    吉田国務大臣 政府の方針は絶えず申しております通り国力の増加に従つて防衛力を増す、漸増する。漸増をするに従つて米軍は引揚げる、その方針はきまつておるのであります。しからばどういう計画を今持つておるか。防衛計画にしても——あるいは防衛計画のごときは、これは国外の状況にもよることであり、国内の情勢にもよることでありますから、時々そのときの事情に応じて増減することは免れないところであります。でありますから、政府としては今申したような方針で、防衛計画についてはその年々において計画を立てる。しかしながら遂に、日本は独立した以上は、みずからの力で日本の独立を守る。この方針は動かさないものでありますから、終局においていかにすれば——またどの程度の防衛を必要とするかということについては、種々研究しております。しからばここに具体的に示せとおつしやつても、ただいま示すことはできませんが、計画がないか、研究がないかといえば、研究を進め、計画はされつつあるのであります。
  31. 櫻内義雄

    櫻内委員 実は、先ほど冒頭に申し上げましたように、今回のような異常な災害に直面をいたしましたときに、国民の中からは期せずして、国費の五分の一を占めるところの防衛関係費をこの際は削減してでも、この回復に努めてくれという声があるために、ここにいろいろお聞きしておるわけでありますが、大蔵大臣はただいまの首相のお言葉のようなことで、明年度予算等におきまして災害費等の関係の紛淆を来さずに、十分その予算編成に当れるのかどうか。明年度予算の編成につきましては、この防衛費なり、また災害費の増額などが、非常に大きな重点をなすと思うのでございますが、大蔵大臣はいかがでありましようか。
  32. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 二十九年度予算につきましては、まだ検討中でございますが、仰せのごとくに防衛費も若干はふえるのではないかと思われますし、また自然にふえて来る、たとえば恩給が平年度化する等のものもあり、そこに今の災害費等も——来年度は重点的に災害費等を盛らなければならぬと考えておるのであります。さようないろいろなことから見まして、明年度予算にはよほどな財政上の均衡を得るための努力が払われなければならぬと考えておる次第であります。従いまして相当根本的な考え方で、来年度予算編成に臨まなければならぬと思つ  ておりますが、ただいまのところまだ補正予算を出しておるところで、二十九年度予算編成方針はとりきめておりませんから、大体の私どもの感じだけを申し上げた次第であります。
  33. 櫻内義雄

    櫻内委員 この際重要なことをひとつお聞きしたいのでありますが、それはいわゆる吉田・重光会談の際のお話合いが、駐留軍の漸減や、あるいは長期の防衛計画の樹立、あるいは保安庁法の改正等に触れておるのであります。世間ではこの会談の結果に基きまして、この場合憲法との関係はどうなるのかということが種々論議せられておるわけでございます。そこで首相としては、こういうようなことからは、憲法の改正は必要がないものとお考えになりましようか、その点をお尋ねしたいのであります。
  34. 吉田茂

    吉田国務大臣 憲法の範囲内において漸増をはかる考えでありますが、それは、ただちに憲法を改正するというような考え方は——また憲法に抵触するような漸増はいたさないつもりでおります。
  35. 櫻内義雄

    櫻内委員 独立後の新たなる情勢に対処して、憲法を全面的に改正したらどうかということが、盛んに言われるわけでございます。また昨日総理は本会議の席上で、必要が起れば憲法の改正をするのにやぶさかでないということをお答えになつておるのでございますが、御承知のように、憲法改正は国会総員の三分の二の賛成を得まして、国会がそれを発議して、国民投票によるわけでございます。そうなつて参りますと、この三分の二の総員の意見の一致を見るということについては、きようやるからさあ憲法改正だというわけには行かないと思うのございます。そういうことから考えて行きますと、首相としても行く行く憲法の改正は必要だということをお認めになつておる。かように考えますときに三分二の意見をまとめるという上からも、当然政府または国会に憲法調査会等のようなものの必要が起きて来ると思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
  36. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。憲法は万世不易とは申せませんが、必要に応じ、事情に応じ、内外情勢に応じて改正をすることを必要とすることは、申し上げるまでもないのであります。しかしながら今日においては研究はいたしますが、憲法のごとき根本法は、軽々しく改正いたすべきものではございませんから研究はいたしますが、今ただちに憲法改正に着手するという考えは持つておりません。
  37. 櫻内義雄

    櫻内委員 最近財界方面あるいは新聞論説等に見られたところでございますが、インフレをおそれて補正予算に対してきわめて冷静なる批判があるわけでございます。大蔵大臣もまたこれを受けて提案説明答弁に際して、非常にインフレを懸念せられて、安易なる経済を営み、国際収支の赤字を続けるときには、経済自立が不可能となると指摘せられまして、財政面からのインフレ要因を排除すると主張せられ、あるいは経済基盤の確立のために、通貨価値の安定を確保することを主張せられるのであります。その結果は、災害冷害復旧対策費に対して、できるだけ圧縮をするように見受けられるわけであります。迅速なる災害復旧によりまして麦の増産をする、あるいは明年の稲作の作付の支障のないように努力することによりまして食糧増産をする。その結果、輸入食糧をできる限り減少いたしまして、国際収支を健全化する、これが経済自立を促進すると思うのでありますが、この点はいかがであるかということであります。災害復旧費を出し惜しみまして農地の復旧ができない、明春の作付が間に合わないということになれば、それは食糧の不足となり、これによつて食糧の値上り、物価高を来すことは常識であると思うのでございますが、大臣のインフレに対する考え方は財政面、金融面から起ることを警戒して、諸施策を講ぜられ、それとともに生産コストの低下をはかる、輸出の振興によつて防ぎたい、かように言われておりますけれども、そういうことをもしお考えになつて来るならば、その前提としては資金や重要資材をどうしても計画的に必要部面に流して行かなければならないと思うのでありますが、この努力が足りないのであります。不急不要の方面に資金、資材が流れたり、無計画な工場設備の拡充、ビルディングなり享楽設備の建築が盛んに行われるかと思うと、一方におきましては、思い切つた復旧事業なり食糧増産を行わずに、官僚行政の弊害たる積極性のない事務的、総花的な使い方で、しかもテンポの緩慢なことによつて、貴重なる資金、資材が有効に使われない。そういうことからむしろインフレ要因が起きて来ると思うのでありますが、大臣としては、このインフレについてどうお考えになりますか。
  38. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 インフレ問題につ  いての御意見は、大体私と同じようなぐあいに考えられるのでありますが、私が昨日申し上げました通り、財政面、金融面の両方からインフレ要因を断つことに努力することはもちろん、基本が産業の振興等であるから、生産の増強等をはかることについて——従つてこの朝鮮事件後怠られておつた産業の合理化、近代化等を十分はかつて行き、コストの低下をはかる。現在でも日本の商品が国際的に割高でありまして、これで輸出の増進を望むことは無理でございますから、一方においては産業投資を相当活溌にして、基本産業等をつちかうとともに、地方昨年も五千万ドル入れましたが、優良機械等を入れて産業の合理化、近代化等に努める、こういうことに努力いたしております。すべてインフレ防止はただ一つの政策のみではやれないのでありまして、あらゆる総合的な対策を必要とするので、特に今仰せになつたような、食糧その他の増産をはかつて、国内自給度を高めるということは、きわめて必要なことでありますので、これに対する措置は講じておるのでありますが、ただ災害対策等につきましても三百億、四百億、今度で五百億になるのでありますが、一口にそう申しましてもそれにもいろいろ限度があります。経済問題はすべて程度の問題で、それが物の需要、人の需要となるものが短期間に行われますことは、ひいてはインフレになることは御承知通りでありますので、やはりその金が効率的に使われるということでなければならぬと思うのであります。一時的に物を需要し、人を需要するということは、資金が効率的に使われず、しかもインフレに持つて行かれるおそれが多分にありますので、私ども少しもないがしろにしてはおりません。災害対策等について十分のことをいたしたいと思いますが、これだけの大きな災害を短期間にすぐ片づけようとするのは、日本の財政事情から見て困難である。従つて財政上措置のとり得る限度で、これを行つて行くということにいたしたいという考えから、今度のいわゆる災害対策諸費を五百億円計上いたしたことは御承知通りであろうと思います。
  39. 櫻内義雄

    櫻内委員 どうも今のお話お話として、一通りそのお話はわかるのでありますが、実際は大臣どうでありましようか。今の状況というものはデフレ要因の方が多いのではないかと思うのであります。世界景気の後退によつてまさに日本の輸出不振は非常なものであります。農村不況による購買力の低下、それによる内需の頭打ち、あるいは生産の過剰、合理化の進展で雇用の減少を来しておるわけであります。最近における繊維商社の倒産であるとか、不渡り手形の増加であるとか、あるいは金融引締めの結果、下請け工場たる中小企業者へのしわ寄せ、最近における不健全金融機関であつた保全経済会等の破綻等から見て、年末の金融逼迫を非常におそれるのであります。もしインフレ要因があるとするならば、むしろそれは政府行政面にあると思います。たとえば火力借款に伴つて電力料金を値上げしようとか、鉄道運賃の値上げを御計画になつておるとか、あるいはまた先般行われた電話料金の値上げ、また二重米価をわれわれは主張しておるのでございますけれども、明年一月より消費者米価を上げようとしておる。非常にインフレの要素というものが政府の方にあると思うのでございますが、今後これらも政府やり方一つによつてインフレを起す、そういうような点からすれば、どうしてもここに低物価政策というものをお考えになつていなければならないと思いますが、その点はいかがでありましようか。
  40. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 昨日も本会議場で申しましたごとく、ちよつとデフレ的な部面も見られるのではありますけれども、大きく見ますと、御承知通り日本の鉱工業生産は戦前の四割七、八分から五割くらい増産になつております。しかも日本の輸出はどうかというと、まだ四割足らずであります。すなわちこの鉱工業生産の増加しておる部分は、言いかえますと国内での消費になつておるのでありまして、従つてこのことはいわゆるインフレの原因であるインフレのもとであることはよくわかるのであります。従いまして国際的に日本の品物が国際競争力を持つところまでは、どうしても行かなければならぬというふうに考えられるのでありまして、従つてどもはさつき申し上げました通り、これに対するいろいろな努力をやつておる次第であります。  なお低物価政策の必要についてお話がありましたが、これはまつたく御同感でございます。
  41. 櫻内義雄

    櫻内委員 大臣の言われておることは、どうもはつきりと受取れないのでございますが、それではお尋ねしたいのであります。農村の購買力は明らかに低下しておると思うのであります。たとえば今年の供出予定量は二千五百五十万石だ。しかしこれがかりに二千万石しか供出されないとすれば、その場合農村に落ちる金は供出の面からは相当減つて来る。これを全般的に見ると、昨年度に比較いたしまして、全国減収が一千万石と大まかに考えますと、それに伴う減収は、豊凶係数等によつて今後のバツク・ぺイを考えまして約二百億円くらいはもどるとしても八百億円、非常な減収となると思うのであります。それからこの不況に伴いまして外米を買いつける、外米が今年は大体百六十万トンと言われておるのでございますが、それは昨年に比較いたしまして七十万トン、四百六十二万石ほどこれがよけいになるわけであります。このために外貨として出て行くものは四百六十二億円、これは外為会計としては国内の円を吸い上げるわけでございますから、これら両方の面から行けば、大きなデフレ要素がここにあるわけでございます。従つてこの災害復旧なりあるいは冷害救済等に伴つて、農村振興対策にここで二百億や三百億円の金が流れたといつて、決してインフレになるとは思わないのでありますが、この点いかがでありますか。
  42. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 米の不作、農作物の不作による減収、並びにそれに伴つて外からの米麦等の買入れによることが、一つのデフレ的な原因になることは御指摘通りでございます。しかしながら、御承知のごとくに本年の予算は、全般的に見ましてさきに御指摘になりましたように、千三百億円からの政府資金散布超過になつておりまして、従つてそれをもつてただちにデフレ傾向云々ということは申しにくいと思うのであります。但し全局から見まして、農村の方は今年は非常に不作でありますから、その点今お話の点等も見受けられるのでありますが、また全般に見ましてさような傾向はない。鉱工業生産が増大している点等から見ても、私はなおインフレの気があつて、これに対する対策は必要なりということを痛感しておるものであります。
  43. 櫻内義雄

    櫻内委員 散布超過につきましては、大臣みずからがそれに極力手を打たれて、四、五百億円にとどめるということを言われておるので、会の千二、三百億円になるということは、私にはちよつとふに落ちないのであります。今回の災害予算を通じまして一番残念に思いますことは、それでは今から実際に農村の方にはどれくらいの金がまわつて行くのだということを計算してみますと、三百億円の補正計上と、既支出分の三十一億円あるいはつなぎ融資で百八億円等が出たというようなことを勘案してみますと、これは二百八億円です。これを十月の半ばから明年の四月の半ばまで六箇月間に使つて行くということになりますと、災害県は一道二府二十四県、これもそのほかにもありますが、主たるものはそうです。それに割ると月に一億三千万円くらいしか渡らないのです。これを三党の話合いで融資も合せて考えても二億三、四千万円しかならない、こういうことになつて行くのでございますから、そこで大臣の御説明がありましたように、工事の種類あるいは緊急度合い等によつて、これを極力重点的にやるということは承知するわけでございますけれども、しかしながら今の数字から言えば、末端に至ればまつたく軽少なものになつてしまうということから、今回の融資を大体百五十七億円程度をするということを、先ほどのお話大臣から言明せられておるのでありますが、これを出し渋らずに、また有効適切にぜひ使われるようにしなければならないと思うのでございますが、この辺の点はどうでありましようか。どちらかというと、大臣の当初からのお考え方からいうと、融資もできるだけこれを使いたくない、というのは資金運用部の金がないということから、これを渋ろうというようなお気持に立つておると思うのでありますが、そういうような誤解のないように、ここで明らかにされたいと思うのであります。
  44. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今政府資金の散布超過が四、五百億にとどまるように予想しているというお話でございましたが、これは昨日私がお話申し上げたうちの言葉でさように御了承くださつたかと思うのでありますが、実はそれはその節に申し上げました通り、米なり農作物の不作で、国内での米穀代金が払われざること、並びに海外から米、麦等食糧品の輸入がふえること等でそうなるということを、一つの原因として御説明申し上げておりますから、これはひとつお含みを願いたいと存じております。  さらに今の点でございますが、これは預金部の現状から申しますと、さような百五十七億というような資金を現在のところ手元に持つておりませず、また三月末までに持つ見込みがございません。従いましてまた私どもといたしましては、預金部等よりというふうにいたしまして、極力ごく必要な、そうしてそれが工事の進捗上欠くべからざるものにつきましては、よく実情調査しました上で、預金部の資金の余力ある場合はもちろん預金部の資金、預金部の資金の余力ない場合は、あるいは公募公債等をごあつせんすることでやりたい、そこが等という字が特に入つている意味でございます。ここに誠意を持つてやることにはかわりはございません、御了承願います。
  45. 櫻内義雄

    櫻内委員 大臣の御答弁はどうも不十分であると思うのであります。私どもとしては、むしろ融資措置の限度は、政府の資金繰り上げやむを得ず言  つているわけでございますが、ほんとうを言えば、工事がとぎれて、そのためにこうむる損害が大きいのですから、それが事業には三割といつてつても、どうせ千五百六十億円というものは三年にわたつて政府負担しなければならぬ、それを有効適切に使うということについては、すみやかにこれをやるという方がどれほど効果があるかわからない。これはことに食糧増産に通ずるのでございます。ところが今回の補正予算を見ると、実に残念なことは、この予算書にも明瞭に書いてございますが、二十億円余という食糧増産費を片方で削つておる、そうしておいて今度この措置をする、こういうことはどうしてされたのか、まつたくふに落ちないのであります。私どもとしては、この災害予算を通じまして農民の救済をする、復旧をするというよりも、もつと一番大きなことは、食糧増産をどうするのだというところに重点があるのでございまして、これらの点については政府においては十分御考慮を願いたい思うのでございます。   時間がございませんのでこれをもつて終ります。
  46. 倉石忠雄

    倉石委員長 横路節雄君。
  47. 横路節雄

    ○横路委員 私は日本社会党を代表いたしまして総括質問をいたしたいと思います。  今度提案されました補正予算はその前提としてやはり昭和二十九年度日本の防衛計画、その内容が一体どういうものであるか、さらに公務員の年末手当、あるいは給与ベース、あるいは政府でもいろいろ考えられている義務教育費国庫負担金等に対する第二次補正が一体どういう大きさであるか、こういう問題の関連なくしては、私は今回出されたこの補正予算についての検討はできないと思うのであります。  そこで私は吉田総理大臣に第一番目にお尋ねいたしたい点は、本補正予算は、来年度日本防衛力の規模をどういうようにするかということによつて定められておると思うのであります。この点については、一番はつきりいたしておりますのは、緒方副総理は、去る二十二日午前十時半から開かれた参議院の水害地緊急対策特別委員会において、従来の同委員会におけるいわゆる緒方災害対策本部長の言明との食い違いを矢嶋委員長から追究されまして、こういうように答弁されているのであります。災害対策費の圧縮は次年度防衛力漸増を考慮してのことであると答弁されまして、しかもさらに言葉を継いで、アメリカの国内情勢が駐留軍を長く置くようにはなつておらない、従つて年度予算編成に備えて防衛力漸増の必要が生じ、大蔵省はそのための財源として剰余金二百億その他を考慮しているために、災害対策費  を切り詰めるようになつたのである、こう答弁いたしておるのであります。私はこの点は、緒方副総理の特に災害対策本部長としての二十二日の参議院におけるこの答弁は、この通り答弁されていると思うのでありますが、吉田総理におかれましては緒方副総理同様に今回の災害対策費につきましてなぜこれを切り詰めたか、この点が緒方副総理のように、やはりアメリカの駐留軍が長く日本にとどまることを許さないために、大蔵省はそのための財源としての剰余金二百億その他を考慮するために切り詰めたのかどうか、この点まず吉田総理お尋ねいたします。
  48. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私の……。
  49. 横路節雄

    ○横路委員 総理に聞いておる。
  50. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私の参議院における答弁について御言及がございましたから、その点をはつきりいたしておきたいと思つております。  それは前年度剰余金を補正予算に使うか使わないかということに関連して起つた質問に答えた点と思うのでありますが、私は今御引用になりましたのは、私の答弁そのままではないように感じられます。私はこの補正予算、その中の災害予算わくをきめるのには、二十九年度予算まで見通しを持たなければきめられない。そこでアメリカの情勢等から先ほど総理大臣も言われましたように、駐留軍の漸減ということも考えられますし、それに関連をして日本防衛力の漸増ということも考えられます。そこで二十九年度予算を見通した場合の財源考えますと、防衛それから災害災害に関連いたしまする治山治水、そういうものが二十九年度から二十八年度の補正を関連いたしました予算の重点になる。そういうことを考えまする場合に、財源が非常に困難になつて来るから剰余金も第一次補正には使い得ない事情にある。これは、財政法から申しましても、剰余金は次の次の年に使うことになつておるのでありますが、場合によつてはそれを使い得る場合もあろうかと考えます。でありますが、そういう二十九年度まで見通して予算わく考える場合にそれは使い得ない。そこで災害に関する国庫負担の総額は動きませんけれども、それを第一次補正、すなわち二十八年度予算にどれだけを計上し得るかということにつきましては、二十九甲斐の予算まで見通さなければならない。そういう意味でお答えしたその中から御引用になつたものと考えます。
  51. 横路節雄

    ○横路委員 やはり緒方副総理は私が申し上げたような内容についてお答えをしているわけであります。すなわちどういう内容であるかといえば、来年度防衛力というものがどの程度であるか、そういうことを抜きにしては考えられないので、従つて災害対策費についてはそれによつてやはり切り詰めなければならないのだという結論に達する。私は吉田総理お尋ねいたしたいのでございますが、吉田総理もただいま緒方副総理からのお話はともども同じ席において聞いているわけでございます。従つて吉田総理はやはり同様に今回の災害対策費につきましては、御承知のように、衆議院、参議院の両方の水害地緊急対地委員会におきましては国庫負担の額は千八百億である、その約三対五対二を第一年度の三として、五百四十億については下らない、  しかも御承知のように、つなぎ融資としての百八億については本年度は引上げないのだ、これが各党一致いたしました衆参両方の水害地緊急対策特別委員会におけるいわゆる申合せでございます。それが今日大蔵大臣から御提案になりましたような点につきましては、やはり吉田総理も同様にこの防衛力漸増に備えてこういうようになさつたのかどうか。総理大臣の所信を承りたいのでございます。
  52. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。防衛力漸増ということは、政府として一定の方針として考えておりますが、しかしながらそのために日本の財政をひつくり返すような、あるいは日本の経済を崩壊するような防衛費は決して組まないつもりでございます。結局財政全部から考えてみて均衡を得た防衛計画を立てる考えで、ただいませつかく研究いたしている次第であります。
  53. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私は重ねて総理大臣お尋ねいたしたいのでございますが、先ほど櫻内君の質問に答えて、吉田総理は昨日までのいわゆる池田・ロバートソン会談、ことに三十日に発表になりました共同声明に関する池田勇人氏の資格に関しまして、本会議におきましては個人の資格であるからとやかく言うべきではないというお話でありましたが、きようの櫻内君の質問に関しましては、池田・ロバートソン会談におけるところのいわゆる内容については、やはりこれを実現するためにそれぞれ努力をするような、拘束される内容を持つているのだという御答弁がございました。そうなると私は総理お尋ねいたしたい第一点は、すなわちこの防衛力に関するところの日本負担金というものは、この共同声明の中では米国側の負担を軽減するため日本防衛力を強化する必要があることについて意見の一致を見た、こう書いてあるのであります。従つてこれは一体米軍側の負担を軽減するためにおやりになるのかどうか、この点を第一番にお尋ねをいたしたいのでございます。
  54. 吉田茂

    吉田国務大臣 これは米国の財政負担を軽減するためのみではないのであります。しかしながら米国政府は現在財政の緊縮をはかつているときでありまして、これにわれわれが協力するということは、あたかも日本経済自立に対してアメリカが協力していると同じ意味において互いに協力して行くべきものである、こう考えているのであります。しこうして池田君の資格は従来申している通り、私の個人外交使節として行かれたわけであつて、代表者として交渉に当つたのではありません。互いに意見の一致を見たことを見たと言つているのであります。
  55. 横路節雄

    ○横路委員 私はさらに吉田総理お尋ねいたしたい点は、意見の一致を見たという点につきましてはやはり同様、これが東京において今後この両国政府の代表を交えての会談が続行されると共同声明ではつきりうたつているのであります。そこで私は個人の資格といいましても、自由党総裁の吉田さんの個人の資格という場合と、内閣総理大臣である吉田さんの個人の資格という場合と、これは拘束力が違うのであります。そこで私は第二の点でお尋ねいたしたい点は、この共同声明の中で、この会議に出たものはすなわち日本の憲法上の問題、経済上の問題、予算上その他の制約があるけれども、しかしこの会議において米国は米国議会の承認を条件として、日本の陸海空の部隊の装備に要する主要品目を提供し、その編成を援助すべきことを米国側会議出席者は申し出た、こうなつているのであります。そこで私は総理大臣お尋ねいたしたい点は、ただいままで自衛力の漸増という場合には、いわゆる保安隊すなわち陸上部隊を増強するかのような印象がともすればあつたのであります。しかし今回の池田・ロバートソンの共同声明においては明らかに日本の陸軍、海軍、空軍の部隊の装備に関する主要品目を提供して、その編成を援助すべきことを申し出た、こうあるのでありますが、そうすると同じ自衛力の漸増といたしましても、ただいままでは保安隊、地上部隊が主であるものを、今度はやや形の整つた空軍、海軍といいますか、飛行機も持つた、軍艦も持つたという自衛力の漸増になさるのか、その点についてお尋ねをいたします。
  56. 吉田茂

    吉田国務大臣 今日ただいま日本の防衛はどうしたらいいか、日本の防衛が日本を防衛するに足る機械力、その他の海陸空三軍の設備を將来どういうふうにしなければならないかという全般の見地から、今日においては空軍とかあるいは海軍力とかいうようなものを持つておらなければいけないということは、これは常識的に想像し得るのであります。それをどうするか、將来どう持つて行くか、どれだけの計画にしたらいいかということを今保安庁においては研究を進めております。ゆえに將来は結局日本においても空軍を持ち、日本においても軍艦を持つ。しからば現在はどうするかということについては、主として陸上部隊の増強、漸増という点において考えております。これがどれだけまで増強するかということについてはただいま保安官においてせつかく研究しております。しこうしてアメリカ側はその場合にどうしてくれるか、互いに気持を話し合つたのでありまして、これは条約上の義務とか何とかいうものではなくして、いわゆる説明でありまして、日本側としてはこれだけのことをしたいと思つている、またアメリカ側はこれだけのことをしてもらいたい、またアメリカ側はこれだけのことをする、という気持を話し合つたのであります。ゆえに話し合つたからこれをもつてただちに請求するという考えではないのであります。
  57. 横路節雄

    ○横路委員 吉田総理お尋ねいたしますが、ただいまの御答弁で明らかに総理大臣は、やはり池田・ロバートソンの共同声明というものは、ただ単に個人の資格ではなくて、お言葉の中にありましたように、日本政府——但しこの点については、これがいわゆる協定とか条約とかいうものではないけれども日本側の意向はこうである、アメリカ側の意向はどうか、こういう点についてお話合いをなされたことについて、私は、ただいままで本会議における吉田総理の、池田さんは個人の使節であるというのとははつきり意味が違うように考えます。そこで私は総理に重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、総理はよくこの予算委員会で、いわゆる自衛力が漸増して、漸増して、その極限に至れば即駐留軍が撤退する、そうするとその駐留軍が撤退するときには即憲法改正であり、即再軍備である、こういうことになるのであります。そういたしますと、これは七月八日の私の予算委員会における質問にも総理お答えなつたのであります。きのうも須磨彌吉郎氏の質問に総理お答えなすつておるのであります。そうすると、ここに自衛力の漸増というものは、アメリカ駐留軍の撤退というものを企図したいわゆる自衛力の漸増である。そういうことになれば、一体今日アメリカの駐留軍は日本に何万おられるのか、そうしてその点については、日本政府との間にこの駐留軍の兵力についてはどういう協定をなさつておるのか、この点が明確でありませんと、ただ単に自衛力を漸増して、漸増して、やがてそれが極限に至れば、駐留軍が撤退するのだ、こういうことでは、ちよつと国民が納得しかねますので、この際総理から一体どの程度駐留軍がいられるのか、お答えいただきたい。
  58. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は専門家ではありませんから、何万日本に陸上部隊があつたら駐留軍がいらなくなるかということは言えませんが、しかしこれは常識の問題であります。必要のないにもかかわらず、米国軍が駐留するはずもなし、米国軍としてはなるべく早く引揚げたいということをしばしば言明いたしておるのであります。米国軍の駐留部隊を計算に入れますが、結局日本防衛力は、日本みずから自己の計算においてなすべきものであり、そうしてこの漸増が遂に戦力になれば、憲法改正ということになりましようが、しかしながら戦力に至れば、米国軍の撤退を求めるというのではありません。日本防衛力は、日本みずからの手によつて漸増して行く。そうしてこの漸増が、米国軍の駐留を必要としないときになれば、これは米国軍もみずから喜んで撤退いたします。撤退いたしたいために、日本防衛力の増加を希望いたしておるのであります。この点は漸増したら米国軍が帰るかというのではなくして、日本の漸増は日本の自己の計算においてなされるのであります。でき上つたものを米国軍から見て、必要がないと考え、また日本軍から見ても必要がないと考えられた場合には、すなわち米国軍が引揚げるときである。日本防衛力に何らの欠陥がないというときにおいて引揚げるということになるのであります。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 私吉田総理お尋ねいたしたいのですが、実は七月八日の日に、私ちようどこの予算委員会の席で総理お尋ねいたしたのであります。ちようど今と同じような問題ですが、そのとき総理は、アメリカ駐留軍の駐留を必要としないとき、そこまで自衛力が漸増したときにそれはすなわち軍隊であり、性格がかわるから、憲法を改正するという御答弁をなすつておるのであります。そういたしますと、ただいまのお話では、自衛力が何ぼ漸増してもアメリカ側で、何としてもこれはどうもさつぱりアメリカの期待するようなものにならないのだということになると、やはり総理がお考えになつておる憲法改正というものは、アメリカ側の判断によつて、一体五年でも、七年でも、十年でも延びるということになるのではないでしようか。憲法を改正するか、再軍備するかということは日本自体の問題であると私は思うのですが、この点に対する総理のお考えはどうでございますか。
  60. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本自衛力を漸増して、そうして常識から考えてみても、日本国民から見ても、アメリカ軍がいらないということになれば、アメリカ軍は当然帰ります。五年、七年になるにもかかわらずいてもらいたいと言うはずもなし、またいたいと言うはずはありませんから、これは常識でお考えになつてくだされば、御心配のようなことは断じてないと私は考えます。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 私は、木村保安庁長官お尋ねいたしますが、先ほど総理お話で、保安庁に、いわゆる日本の防衛計画といいますか、自衛力の漸増について、陸海空といいますか、そういうような点について検討を命じている。(「研究だ」と呼ぶ者あり)いや、検討を命じている、そういうお話でございますが、その点についてその通りであるか。  それからもう一つ第二の点は、木村保安庁長官は、今日の保安庁法を改正なすつて保安隊任務の中に、国内の治安確保だけでなしに、明確に直接侵略にも対処するものであるというように、保安庁法を改正なさる意思があるか、改正なさる意思があるとすれば、その時期はいつか、この点についてお尋ねいたします。
  62. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。保安庁において将来のことを考慮して、いわゆる空、海のことも考えております。従いましてそれらの点について、せつかく今検討中であります。なお保安庁法改正の問題については、ぜひとも保安庁法を改正いたしまして、内地の治安確保とあわせて外敵に対処し得るようにしたい、こういう気持を持つて今せつかくこの点について検討いたしております。まだ成案を見ておりません。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 その時期は……。
  64. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その時期はまだわかりません。しかし至急に私は成案を得たいと今せつかく検討中であります。
  65. 横路節雄

    ○横路委員 私は岡崎外務大臣お尋ねをいたしたいのですが、外務大臣は六月二十六日、予算委員会の席上におきまして、六月二十四日に岡崎外務大臣が、MSAの援助を受けたいが、一体次の諸点についてはどうかということをアメリカに質問をされまして、二十六日の午前八時半に回答があつたから、ぜひただいま発表したいというので、実は発表があつたのでございます。その中で岡崎外務大臣が、MSAの援助を受けることについて、明確に懸念されて質問している点は、すなわちMSAの援助を受けても、新しい軍事的な義務は負わないと思うがどうかという質問に対して、その通りであると明確にアメリカ側は答えられておるのであります。そういたしますと、特に新しい軍事的な義務は負わせない、従来のいわゆる日米安全保障条約の中にうたつている日本の軍事的な義務以外にないというのであります。そういたしますと、ただいま保安庁長官は、保安庁法を改正いたしまして、保安隊任務は国内の治安確保以外に、直接侵略に対処するものであるというように、できるだけすみやかにこれを改正したいと言う。このことは私は新たなる軍事的な義務だと思う。この点については岡崎外務大臣は、その後一体今国会におきましても、MSAの援助に関する外交交渉の報告を、本会議においても、本予算委員会においても明確にされておりませんので、その点はどうなつておるか。  さらに第二の点につきましては、日本の自立経済達成のために、アメリカ側は日本に対していろいろないわゆる障害になるような点についてはしないといつておる。ところがこの池田・ロバートソンの共同声明においては、朝鮮における政治的解決がつくまで、対中共貿易に高度の統制を維持することの重要性を両国会議出席者は認めたとある。そうするとこれは明らかに六月二十六日本委員会において外務大臣が発表されました、MSAの援助を受けるための、いわゆるこの回答とは、私は大分意味が違うと思うので、その点はどうなつておるか、ぜひこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  66. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 軍事的義務というのは、MSAの五百十一条のC項に、特にミリタリー・オブリゲーシヨン、軍事的義務、こういう字があるのであります。従いまして誤解を招くといけませんから、軍事的義務というこの言葉は、特に私は報告の中にも五百十一条のC項と述べております。いわゆる軍事的義務とは何であるか、それは安全保障条約によつて日本がすでに負つておる義務以上を出ないであろう、こういう質問をいたしまして、向うでその通りだと言いましたから、この五百十一条のC項によりまする、いわゆる軍事的義務というのはそういう意味である、そういうことを申し上げたのであります。なお保安庁で研究されておりますという保安庁法の改正等は、何も先方にこれをやらなければいけないというので義務を引受けたわけでもなんでもありませんで、これは前から御説明通り、安全保障条約締結の当時から、間接、直接の侵略に当るために、日本自衛力を漸増するということは、義務ではありませんがうたつてあります。その趣旨で政府はずつと来ておるのであります。なお池田・ロバートソン会談の例の中共に対する輸出の統制、これはMSAに関連して話をいたしておるのではありませんで、これは国際連合の決議に基きまして、国際連合に参加しておる各国がやつておることであります。これは政治会議が円滑に進みますれば、そういうこともなくなるかもしれませんが、ただいまのところはまだ予断を許しませんので、国際連合の決議はそのままになつておるわけであります。従いまして、日本もその決議の趣旨に基きまして、中共貿易に対しては統制をいたす、こういうことになつております。
  67. 横路節雄

    ○横路委員 私は保利農林大臣に、池田・ロバートソン共同声明の中にはつきりいたしておりますところの、いわゆる「両国会議出席者は相互安全保障法第五百五十条の規定に基き日本に供給すべき物資の額は五千万ドルを目途とすることが適当であるとの意見の一致を見た。これに従い日本に供給される農産物の日本国内における売上げ代金たる円貨は」云々となつておりまして、この五百五十条による小麦の買付に対してであります。この点に対しましては、いわゆる池田・ロバートソン共同声明によつて明らかになつておるが、保利農林大臣はこの点をすでに御存じなのかどうか。たびたび本会議等におきましても、いわゆる食糧の需給計画等からいつて、ぜひ大量にアメリカの小麦を放出したいということを言つておるのでありますけれども、農林大臣としては、この相互安全保障法第五百五十条に基く小麦の買付、この点についてはどうなさるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  68. 保利茂

    ○保利国務大臣 食糧計画の中で、外麦につきましては、本年度の当初予算一で計画をいたしておりましたように、来年の四月までに小麦で百五十七万トン、大麦で五十万トンの買付計画を持つておつたのであります。しかし、今日の食糧事情にかんがみまして、外米の輸入拡大をはかりますとともに、麦の消費状況にもかんがみまして、麦につきましても輸入計画を立てておるわけであります。しかしお話MSAの援助による農産物、これはおそらくお話のように、ほとんど大部分は小麦が占めておると思うわけであります。それにつきましては援助の手段方法でありまして、その内容につきましては、ただいま、外務大臣がしばしば申し上げておりますように、具体的な折衝事項としてお話を願つておるのであります。それによりまして私どもとしましては、来年の四月までに、当初百五十七万トンの小麦の輸入計画を二百万トンにふやしたい。むろん四月以降につきましてもふやす考えでおりますけれども、さしあたり今会計年度におきましては、そういうふうにふやしたい。その中にMSAが入つて参るということになれば、これは少くとも外貨を支払わずして確保することができるわけでございますが、但しその積立てる対価、その処分、使用方法等について、ただいま両国間で交渉が行われている、こういうように御了解を願いたいと思います。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 だんだんこういうように質問をして参りますと、池田・ロバートソン共同声明というものは、これはまつたく個人の資格でなくて、日本の内閣の各関係閣僚は、十分御承知のようであるとしか私どもには思えないのであります。従つてどもは、やはりこの共同声明の内容というものについては、この際、本来から行けば吉田総理あるいは岡崎外務大臣から、その経過の内容等について私は全貌を明らかにすべきであると考えるのであります。しかし私は、今農林大臣お話なすつた点については、やや意見の違いがあると思うのでございます。御承知のように、この相互安全保障法の五百五十条によりますと、小麦の買付はアメリカの最高価格でもつてわれわれは買付をしなければならないのであります。実際にこれを買うのはみな国民なんです。そうすると、最高価格で向うから買いつけたものを、いわゆる国内の価格でもつて売るということになれば、当然そこに輸入食糧に対する補給金を考えなければならぬのでありまして、この点については、いわゆる第二次補正とでも申しましようか、この次の補正でおやりになるお考えがあるのかどうか、その点についてお尋ねをいたしたいのであります。円貨につきましては、これはもう明らかにわれわれもあなたも御承知のように、日本がかつてにできるものではないのでありまして、従つて輸入食糧に対する補給金というものを、新たに考えるかどうかという点についてお尋ねいたします。
  70. 保利茂

    ○保利国務大臣 誤解があるようでございますが、私は池田氏がどういうふうな話を具体的にされたか、農林大臣として何もあずかつておりませんから存じません。但しMASの関係において、アメリカの農産物が幾らか援助されるであろうということは、所管大臣として外務大臣からもよく聞いております。その意味において承知いたしております。しかし今お話の点等がございますから、ただいま両国間に、そういうことのないように、話を進めていただくことを希望しているのであります。
  71. 横路節雄

    ○横路委員 私は大蔵大臣に対して次にお尋ねいたしたいのでございますが、実際考えてみますと、二十九日の本会議、三十日の本予算委員会で、大蔵大臣から財政演説があつて、きようの本会議で、さらにきようの予算委員会で、修正についての提案説明がありました点については、これは本会議で十分討論をしたようなかつこうですから、私は別に聞きませんが、財政上の措置についてこれからお尋ねします。何としてもこれは政府としては重大な責任があると私は思うのであります。それは、先ほど総理大臣あるいは保安庁長官等にお尋ねした防衛規模の問題、あるいは冷害対策その他と同様に、予算全体をなすものでありますから、第二次補正の点についてお尋ねいたしたいと思います。  そこでまず第一点は、いわゆる義務教育費国庫負担法の特例法案が、先般の国会でだされながら、これは政府与党の委員長である文部委員会が、ろくろく審議をしないで、この法案が流れた。これは大蔵大臣御存じの通り、一ぺんも審議していないのです。そこで、このために四十八億の財政上の負担をしなければならぬのですが、今度の予算の中にはそれが全然ないのであります。この点についてはどうなさるのか。  それから第二の公務員の年末手当につきましては、御承知のように〇・二五をすでにさきに支給しておりますので、この点については、何ぼ何でも財政措置をしなければならぬ。新聞等によれば、大蔵大臣は国家公務員については〇・五、いわゆる八十八億を支給するとかいつているけれども、この点についてはどうなさるのか、まずこの二つの点についてお尋ねいたしたいと思います。
  72. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 第一のお尋ねの点につきましては、今国会は災害対策を目的としておるのでありますから、これを計上しませんでしたが、しかし義務教育の半額負担が富裕県に行つているということは、どうも今日の日本の事情から見て感心できないことと考えますので、次の国会には改正案を出したいと考えております。  さらに、ただいまお話の年末手当の点でございますが、御承知の〇・五は計上いたしたいという考えでおりますが、まだ第二次の補正予算としましては、それぞれいろいろな点もありますけれども、大体において必要やむを得ざるもののみにとどめたいという考えを持つておりますので、正式に御返事は申し上げかねますが、計上いたしたい所存であります。
  73. 横路節雄

    ○横路委員 私は人事院の総裁にほんの簡単にお尋ねいたしたいのですが、いらつしやいますか。
  74. 倉石忠雄

    倉石委員長 神田人事官がおります。
  75. 横路節雄

    ○横路委員 神田人事官にお尋ねしたいのですが、その前に労働大臣に先にお尋ねします。休会中に、すでにもう八つの現業官庁については、それぞれ仲裁裁定が出たわけでございます。しかも公労法によつて、これは少くとも国会が開会されてから五日以内に出さなければならぬ。五日というとどういうことになりましようか、あしたになりますけれども、そうすると、この八つの現業官庁に対して出ました仲裁裁定についてはどうなさるのか。これは私は大蔵大臣にあとで御答弁を願いますが、その点私は先に労働大臣お尋ねします。
  76. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 お尋ねの三公社、五現業の仲裁裁定につきましてでありますが、これは国会開会五日以内というただいまのお話のような規定になつております。労働委員会の方とも相談いたしまして、明日提案いたすことにいたしております。内容は十六条一項に該当するものと思われまするので、十六条二項の規定によつて、国会の御審議を願うことにする考えでおります。
  77. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣に重ねてお尋ねしますが、この仲裁裁定については、当然これは法の建前上実施しなければならぬのです。この点について労働大臣としては、審議を願いますということは、ぜひこれが実施されるように審議してくれというのか、ただこういう仲裁裁定が出ましたから適当に御審議くださいというのか、その点は労働大臣としてどうなさるのか、労働大臣としての決意といいますか、その点をお尋ねします。
  78. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 お答えいたします。政府といたしましては、仲裁裁定は尊重すべきものだと考えております。但し予算総則第八条の規定によりまして、給与総額を越えることになつておりますので、国会の御審議を煩わしたいということであります。
  79. 横路節雄

    ○横路委員 人事官にお尋ねします。七月十八日に人事院が勧告いたしました公社員に対する一万五千四百八十円ベースについては、政府に対してその実現方を一体どういうように要請されたのか、勧告のしつぱなしなのか、その点についてはどうなつておるかひとつお答えをいただきたいのであります。
  80. 神田五雄

    ○神田政府委員 お答えいたします。人事院といたしましては、七月十八日に今おつしやつたようなベースの改訂問題を勧告いたしたのであります。このことにつきましては、一日も早く実現していただきたい、そういう考えを持つておりますので、その後におきまして、あるいは政府に、あるいは政党に、あるいは国会に、いろいろな方に説明いたしまして、一日も早く実現するように努力して来たつもりであります。まだ今後も努力するつもりであります。
  81. 横路節雄

    ○横路委員 人事官に重ねてお尋ねいたしますが、五月の二十八日の予算委員会で、私は浅井人事院総裁にぜひひとつ早く給与ベースは勧告してもらいたい、こういう話をしました。ところが人事院総裁は、この点については公務員の生活実態の調査もさることだが、いわゆる国家財政とのつり合い上、勧告はしたけれども実施できないというようなものは勧告したくないので、国家財政上の総体のわくから実施できるというものに対して勧告したいので、ただいま検討中だというお話があつたのであります。そういう御答弁で七月十八日に勧告があつたのですから、当然人事院としても、そう政府の方からむげに一万五千四百八十円は、これはてんで実施できないんだぞという、こういうものでなしに、あなたたちの建前としては国家財政上からやれるという総体的な立場でおやりになつたと思うのですが、その点はどうなつておりますか。
  82. 神田五雄

    ○神田政府委員 私は新米でありまして、あまり詳しいことを知りませんので、浅井総裁の答弁は全然知つておりませんが、しかし、とにかく人事院といたしましては、ことに民間給与の調査につきましては、五千の業種の十万人の人について研究調査したというように、非常な努力をいたして、現在の人事院の陣容においては、最も妥当な、最も合理的な、最も実際的な案を勧告したつもりでおりまして、その実現については今後も努力したいと思います。
  83. 横路節雄

    ○横路委員 農林大臣お尋ねしたいのですが、やはり今度の第二次補正といいますか、この次に問題になることは、私は米価の問題だと思うのでございます。そこで当然この点については農林大臣としてはいろいろ考えられまして、大蔵大臣との間に折衝していると思うのです。この米価の問題はどうなつておるか。今日の風水害の問題並びに冷害凶作の問題等について、やはり農民が重大な関心を持つておるのは、この米価の問題でございます。ぜひ農林大臣からこの点どうなつておるか明らかにしていただきたい。
  84. 保利茂

    ○保利国務大臣 生産者米価につきましては、米価審議会の御答申もあり、それに基きましてできるだけ尊重いたして、すでに決定をいたしておるわけであります。従いまして生産者価格は決定済みでありますが、なお凶作係数につきましては、従来こういうことをやつたことがない。従つて算定方式が定まつていない。算定方式については、米価審議会の意見を聞けという、米価審議会の決議があつたのであります。従つて米価審議会の議長に対して、すみやかに算定方式の意見を出してもらいたいということで、ただいま米価審議会の方にお願いをしております。米価審議会議長の方から御意見がありますれば、それをもとにいたしまして決定をいたしたい。これだけが未確定のものでございます。  消費者価格につきましては、私どもといたしましては、やはり農家から買い入れまする価格に所要の経費を加えまして、消費者に御負担を願うということが一番妥当だと考えるのでございますけれども先般の国会でも申し上げたかと存じますが、あるいは参議院でありましたか、今年の食糧事情は皆さんの御承知通りであります。このいろいろの要素がきわめて複雑でございますし、従いまして本年の食糧事情に応じまして消費者米価をきめなければならぬ、こういうことでただいま研究をいたしておるわけであります。
  85. 横路節雄

    ○横路委員 農林大臣の今の豊凶係数についてお尋ねいたしますが、これは米価審議会の会長が決定した通りおやりになるという意味の答弁でございますか。その点について明らかにしていただきたい。
  86. 保利茂

    ○保利国務大臣 米価審議会におきましては、審議会議長が、これは非常に専門的なものになつておるようでございますから、それぞれの専門家を小委員に委嘱されて小委員をつくられる。そうして算定方式をきめられる。その結論に対してはできるだけ尊重するつもりであります。
  87. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣お尋ねいたしますが、昨年の第十五特別国会においても、年末において中小企業に対してそれぞれ年末の金融措置をしたわけであります。ことしは御承知のように、風水害並びに冷害、凶作のために、中小商工業者も、いわゆる売払い代金は非常にたまつております。そういう点で当然長期の転運資金とか、そういう点について考慮しなければならぬし、ただいま農林大臣お話になりました米価の豊凶係数の問題もございますし、人事院勧告並びに仲裁裁定等の点もあるのでございますが、この第二次補正に対するところの、大蔵大臣としての財源の見通し、それからこれに対するところの大臣のいろいろなお考えはどうか、この点やはり明らかにしていただきたいと思うのであります。
  88. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 第二次補正予算財源等につきましては、このごろタバコなどの収入が相当ふえているので、専売益金五十億円くらいが見込まれるでありましよう。なお補助金その他の削減あるいは経費のうち不用になる分等がございますので、そういうようなものを一応見込んでおるのでありますが、ただいまのところまだ正確な数字を得ておるわけではございません。そういうものをできるだけ高くいたしたいと考えおる次第であります。従つてどもの方といたしましては、この財源に基いて必要やむを得ざる支出についての考慮をまたいたしたい、こう考えている次第でございます。
  89. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣に私はお尋ねをいたしたいのですが、きようの本会議予算修正に関する提案の中で、三党協定従つてというお話がございました。そこで私はこの補正予算修正に関するところの三党の協定文の内容について、まず大蔵大臣お尋ねをしたいと思うのであります。ここで重大なる問題になりますことは、すなわち今次災害国庫負担分は千五百六十五億円であり、そうしてその年度割は三・五・二を基準とする。この点は主計局長は先般のここにおける説明においては、初年度二割だといつておるけれども、これは修正なつたから責任は追究しませんが、三・五・二である。そうして初年度分は三百億を計上する、残余は復旧事業の振興に伴い、その必要に応じ、いわゆる実情調査の上資金運用部資金等より融資する、この点が問題でございます。そうして三党間の問題としては、災害復旧費の不足額は百四十四億三千万円で、これに充てる財源については、大蔵省の資金運用部資金より確保するとなつているのであります。そこで私は大臣お尋ねをしたいのですが、今日一体資金運用部資金はどうなつておるのか。それからただいまの三党間の協定であるという百四十四億三千万円については、明確に資金運用部資金からやるとなつておるが、一体今日の大蔵省における資金運用部資金の残からそういうことができるかどうか。その点明らかにしていただきたいのです。
  90. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまお話の資金運用部の関係について少しく数字を申し上げますと、先ほど申した通り、百五十七億を資金運用部のみで弁ずることはできないのであります。従つてどもが資金運用部などよりというふうに言つてあるのはその点で、その点で融資をあつせんする等の場合があるから、それを申しておるのであります。それを少し数字的に申し上げますと、本年度の資金運用部の運用計画は、当初千五百八十億円の運用を予定しておつたのでありますが、災害関係等によつて、百八億円の地方債の引受けが追加されました。そのほか特定道路特別会計に対して、一般会計貸付金の肩がわりが十二億九千万円、それから特別鉱害復旧事業特別会計に対する貸付金が一億二千万円、こういう点等で、合計百二十二億を追加運用することといたしておるのであります。これに対して原資の方は、郵便貯金の当初計画以上の増加見込みが六十億円、その他の資金増が三十八億、大体九十八億円と見込まれておるので、差引不足額二十四億円だけ翌年度への繰越金が減少することとなるのでありまして、本年度末の繰越見込み額は百二億円に減少するというように一応推定されるのであります。ただいま貯蓄奨励等について全力を尽しておりますから、多少これがふえることはあろうかとも考えますが、今までの成績等から見て、それもあまりに多く期待できないのじやないかと考えますので、今全力を尽してこの原資増加方について努力をいたしておる次第であります。
  91. 横路節雄

    ○横路委員 ただいま大蔵大臣からのお話のように、資金運用部資金の来年度への繰越しは百二億である。そうすると、ただいまお話の百五十七億については、三党協定の資金運用部資金等と「等」を入れてあるのだというのですが、それならば、百五十七億の融資の内訳についてお話をしていただきたいと思います。この内訳はどうなつておるのか。資金運用部資金で何ぼやるのか、その他で何ぼやるのか。そうでなかつたならば三党の協定年度末までの融資はでたらめであるということになる。ぜひこの点を明らかにしていただきたい。
  92. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今百五十七億と言われましたが、この点は実は横路氏も御承知のごとくに、最高額をきめたものであつて個々の工事の進行状況について実情調査の上に、預金部資金を差繰りするなど、できるだけのことをすると申しておる次第でありまして、預金部資金がそういうふうに増加する場合におきましては、預金部資金のみでも差繰りができますが、今申し上げた通りの事情のもとでは、預金部資金のみでは一応弁ずることが困難なので、等その他と入れておる次等でありますが、現実に問題をよく申し上げた通り個々の事業の進行状況にかんがみて、これを精査した上やるのでありまするから、金額の点はただいまはつきりいたしませんが、今百五十七億と申し上げたのは最高限であります。
  93. 横路節雄

    ○横路委員 では大蔵大臣お尋ねいたしますが、百五十七億は最高限であるというのならば、最低限は何ぼか。大蔵大臣としては、最高限を百五十七億ときめた以上は、最低これだけはやるという最低限があるはずである。最低限は幾らであるか、ぜひ明らかにしていただきたい。
  94. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 個々の事業の進行状況を精査することになつておりまするから、さようなことは今日より予断することはできません。
  95. 横路節雄

    ○横路委員 私は自治庁長官にお尋ねしたいのです。この風水害並びに冷害凶作に対しては、当然これは地方自治体の負担になる分が、私たちの聞いておるところでは約百八十六億の負担であるという。そのうちかりに六十億を単独事業の振りかえでやつても、なお百二十六億、そのうち八十三億については、これは資金運用部資金から借りるという。四十五億については公募公債でやるという。そうすれば、百五十七億のいわゆる三党協定のほかに、八十三億の地方に対するところの地方債の資金運用部資金からやる分がある。四十五億は公募公債だ。そういうことになつたら、一体百二億のこれの翌年度への繰越しが枯渇するではございませんか。一体この点自治庁長官は、どうなつているのか明らかにしていただきたい。
  96. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 このたびの災害に伴う中央においての予算措置に伴い、地方負担分の増加いたしますもの、及び災害に伴う減収、そういうものをひつくるめまして、地方の負担増加として中央から地方に措置をしてやらなければならない分は、御指摘通り百八十六億であります。そのうち単独事業の二十八年度予算当初において予定しておりました分から振りかえます分は四十億でありまして、十八億は特別平衡交付金から、従つて起債でめんどうを見ますものは百二十八億、そのうち八十三億は、御指摘通り、これは預金部資金の資金裏づけのある起債、四十五億は公募債、こういうことになつております。この四十五億の公募債につきましては、実は災害地にこの公募債を割当てるということに非常に消化困難があると考えられますので、全体として地方が持つております公募債の総わく約二百億のうちでこれを消化いたしまして、災害地方にはなるべく公募債の割当が行かないように、こういうふうに措置をいたすつもりであります。
  97. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣お尋ねをしたいのですが、大蔵大臣、これは数字が合いますか。今自治庁長官は、お話のように八十三億は資金運用部資金の裏づけだという。翌年度への繰越しは百二億しかないという。八十三億だつたら、あと十九億円しかないのですよ。それを一体三党間の協定でいかに最高限度が百五十七億だといつても、まさか最低が十九億というような三党の協定をしたものとは私は思わないのであります。従つてこの点はどうなつているか。これがはつきりしていなければ、大蔵大臣がきようの本会議で、三党の協定従つて提案をしたということは意味をなさないのであります。従つて誤りであるならば、誤りのように、この資金運用部の資金の計画についてあらためて提案されたいのであります。
  98. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 誤りではないのでありまして、先ほど百八億を地方の起債その他に振り向けてある。百八億中八十三億の分を含んでおるのであります。それはさつき申し上げましたから、とくとごらんください。百八億ということを申し上げておるのであります。そのうちに八十三億を含んでおるのであります。
  99. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣お尋ねしますが、そうすると大蔵大臣は、百二億は——八十三億の中に百五十七億も含んでおるという意味ですか。私の言うのは地方債の八十三億ですよ。これと百五十七億との関連について、私の誤りであれば、誤りでもいい。しかしその差についてはどうなさるのですか。
  100. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 その点はただいま申し上げた通り災害関係等により、今回百八億円の地方債の引受云々ということも申し上げた通りでありまして、今回の災害関係等による百八億円のうちに八十三億を含んでおつて、あとの計画とは何ら相違はございません。百二億というのは一番しまいに残る来年度数字の見込みを申したのであります。
  101. 横路節雄

    ○横路委員 私は大蔵大臣お尋ねしたいのですが百五十七億はこれは最高限度だというのですが、最低は何ぼなんですか。しつこいようですが、もう一ぺん聞きます。これは非常に大事なことですから……。百五十七億についてはどうなさるのですか。
  102. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは先ほども申した通り個々の事業の進行状況に応ずるのでございますから、最低額を申し上げようがございません。
  103. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣お尋ねしますが、そうすると三党協定の第四番目の、但し本件に限り例外的に年度末まで利子補給あるいは免除の措置を講ずる、利子補給はするのでございますか。三党協定ではつきりと……。
  104. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 利子補給の問題は、私どもは大体そういうふうに了解しておりますが、しかし数字等が固まつておりませんので、その線で行くということだけを申し上げておきます。
  105. 横路節雄

    ○横路委員 農林大臣お尋ねしたいのですが、今回の冷害対策の問題ですが、食糧増産費を二十億削減してその財源に充てているのです。一体農村関係では開拓事業を今度六億見た。しかし節約は六億一千五百九十四万二千円、土地改良費は九億六千五百万見たというが、これまた節約が十億五千九百六十八万五千円、治山事業については三千万見たというが、これは吸上げの方が一億一千五百万、林道については二億見たというが、吸上げは二億一千八百四十三万六千円、漁港については二千五百万見たというが、吸上げは一億六千三百二十八万円なんです。そうすると、今回の冷害対策費用というものは、食糧増産の費用全部を削つて、これを全部吸い上げて、ただ肩がわりしただけというふうにしか思えないというのであります。そこでもしも農林大臣が、いやそれは違うということになるならば、今回あらためて提案されました予備費の内容について詳細にお話がなければ、この東北、北海道等に対する冷害対策は、いわゆる一般の食糧増産の費用を削つて、それをただ冷害対策費に振りかえただけにすぎないと思うのですつが、どうでございましよう。
  106. 保利茂

    ○保利国務大臣 食糧増産対策費を削つて、冷災害対策にまわしているから、同じことをやつているのではないかというような御意見が相当出ております。本来食糧増産の必要なることは何人も異論のないところでございます。従つてこの中から経費節約をはかりますことは、忍びざるものがございますけれども、同時に既定経費の中から財源をしぼり出すということになれば、すでに事務費におきましては相当の節約がなされている。どうしても事業費に手をつけざるを得ない。事業費の大きいものはやはり公共事業費と食糧増産対策費であります。しかも本年度予算の成立がたいへん遅れている。食糧増産の大事なことはもとよりでありますが、しかし同時に冷害地災害地対策はさらに緊切なものがあるわけてあります。その中から繰延ベ等によりまして、節約のできる限りの分をとにかくまわすということは、これはやむを得ざる財政的事情から来る自然の結果で、まことに遺憾ではありますが、私はやむを得ないと存じております。  そこで今回修正がせられました。冷害対策としましては、七十億円を予定せられておつたのが、百十五億になるわけであります。しかしこれは冷害地対策を講じまするが、その大部分は食糧増産につながるものと私ども考えて、またそういうふうに予算の実施をなさるべきものと考えております。
  107. 横路節雄

    ○横路委員 農林大臣お尋ねいたしますが、農林省の予算を削減したうちで非常に重大なのは、いわゆる試験機関の費用を削減した点でございます。この点は農林大臣も東北地方へおいでになられて、いろいろ品種の点で、ことしのような寒冷度の低いときにちやんと成功した品種がある。こういつた試験機関の費用について削られているが、この点についてはどうなさるのか。  さらにもう一つは、北海道等においても明らかになつておることは、せつかく農林省がここ数年間やつて参りました温冷床の苗しろ設置費を今年は削つたために、現に北海道では莫大な被害を受けておる。こういう点については、どうなさるのか。その点もあわせて、重大な点でございますから、お尋ねをいたします。
  108. 保利茂

    ○保利国務大臣 試験、研究の必要のあることは、今回の冷害のあとにかんがみましても、さらに必要を感じております。従いまして、この予算にも、たとえば藤坂の試験場でありますとか、そういうところの拡充施設の所要経費計上いたしております。また温冷床の問題につきましても、これはり復活するようにいたしたいと考えております。
  109. 横路節雄

    ○横路委員 私は建設大臣、これは開発庁長官と同じでありますから、お尋ねいたしますが、建設省関係の方で冷害の方に道路事業五億、河川の災害復旧五億となつておりますが、公共事業の方で道路事業を調べても十億七千四百三十九万削つている。河川の災害については六億二千二百三十万削つている。これまたせつかくの公共事業をやつておきながら、これを削つてやるということはどういうわけなのか。  それから開発庁長官にお尋ねしたいのですが、せつかく北海道に割当になつた九億三千二百十七万の開発予算を削つている。こういう点も一体冷害対策費用として一方では削つて一方でやつている。これでできているということは私は言えないと思うのであります。  なお時間がございませんから、私は重ねてもう一つ、建設大臣でなしに文部大臣に一緒に質問しておきます。文部大臣に、冷害凶作、水害等、特に冷害凶作地帯に対しての学童の問題について、一昨日予算委員会でも相当質問がございましたが、いわゆる小麦、それからカン詰、脱脂乳等に対しては、この十一月一日から来年の端境期の四月三十一日まで、三分作以下という特殊なものに関しては無償配付をすべきだと思うのでございますが、この点について御答弁願います。
  110. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 節約の点についてお話がございましたが、これは先ほど農林大臣も申し上げましたように、今回やむを得ずいたしたのでございます。ことに北海道につきましては、私も北海道開発長官として北海道の特殊性を考えて、公共事業費を減額することははなはだ遺憾に思つたのでございますけれども、全般的に行われたので、やむを得ずさようにしたのであります。ただ節約については幾分北海道については、その率が少くなつていると考えております。
  111. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 お尋ねのうちの学校給食の問題でありますが、一昨日お答え申しました通り、ミルクにつきましては無償配付の手当がついております。それから小麦、パンにつきましては無償配付をしたいつもりで、ただいま大蔵省と折衝しております。但しその見通しについては、まだはつきり申し上げるまでになつておりません。カン詰については考えております。
  112. 横路節雄

    ○横路委員 これで私の質問を終ります。
  113. 倉石忠雄

    倉石委員長 三宅正一君。
  114. 三宅正一

    ○三宅委員 前国会の最初の会期延長前の最終日前日七月三十日、われわれはMSA問題のその後の経過にかんがみまして、ほんとうに問いただしておかなければならぬ問題が多々あることを考えまして、各党共同で話をいたしまして、与党も承知をし、総理大臣承知をいたしまして、各党代表が一時間ずつ質問をすることになつたわけであります。しかるに芦田君と和田君の質問が済みましたあと、三木武吉君、私の質問に対しましては、何らのあいさつなしに逃げてしまつて、とうとうあの国会末期の混乱を起したわけであります。私は吉田総理大臣の世界観であるとか、その生活態度につきましては、われわれと立場の違うことを、もとより認めておるのでありますが、イギリス流の紳士として、少くとも公党が約束したことを黙つて逃げるというような、そういう態度をおとりになる方ではないと考えておつたのであります。その点はなはだ遺憾でありまして、冒頭にそれを申し上げておく次第であります。その後日来交渉はだんだんと進行もいたし、さらにいろいろ日本側の意見とアメリカ側の意見と、食い違う点があつて、池田君が総理大臣の私設の特使として行かれましたことは御承知通りである。しこうしてこれに対しまして個人的なお使いであると言つておられますが、今も総理大臣お答えになりました通り総理の特使として政務次官その他を帯同して行つておるのでありまして、国際的に話のつきましたことについては、日本がこれを責任を持つてできる限り良心的に遂行しなければならぬことは、申すまでもないところであります。しかるに昨日発表になりました日米交渉の声明書は、非常に重要なる内容を含んでおるのでありまして、だからこそ私どもは七月三十日に、この点を追究をいたしておきたかつたのであります。その内容については声明書を中心にして横路君が質問されましたので、その結果について、私は特に重大であると考える点について、だめを押しておきたいと思うのであります。その結果はいろいろの新聞にも発表になつておるのでありますが、われわれが池田特使の交渉の結果において、第一に判断いたしますることは、日本側は日本防衛力増強について法律的、政治的、社会的、経済的、実際的制約があることを強調、共同声明にもこれをうたうことを要望したが、この点で失敗をいたしておるのであります。年間の継続的援助を要望したが、確約を得ることができなかつたのであります。この点は実に重大であつて、アメリカ側ではMSA法それ自体を、一九五五年に廃止すると言つておるのでありまして、うかうかとのつかかつてやつたが、あとは援助が切れて、それでこじきが馬をもらつたよりも困るというような状況になる危険性が、多々あるのでありましてなかなかこの点を明白に暴露いたしておるのであります。  しこうして第三には、本年度の対MSA援助及びその他の援助の全額を知りたいと申し出たが、この点についての回答が得られなかつたのであります。  そうしてその次には、日本防衛力増強に対する考え方が、新聞の伝うるところによれば、日本側は十八万の案、アメリカ側はダレスがしばしば言うておる通り三十五万——三十二万五千人の案と対立のまま、この点についても話がきまらなかつたようであります。  しこうしてその次には、経済援助すなわちEAA及び防衛援助を要望いたしましたが、これまた遂に成功しなかつたようであります。  しこうしてその次には、対日海外買付についても、買付の規模を具体的に知りたいと希望したにかかわらず、これが明らかにならずじまいになつたようであります。  さらにその次には、MSA法第五百五十条による小麦の買付の売上げ円は、日本側は日本防衛力増強に使用することを希望したが、海外買付、アメリカが日本の品物を海外に売るための買付に使われるという点も入つて来ておりまして、この点についても日本の要望が通らなかつたようであります。  しこうして中共貿易の制限問題に関しては、日本は西欧並の取扱いを要望し、朝鮮における政治的解決がつくまでは、高度の対中共貿易の統制維持に同意せざるを得なかつたのであります。  そしてガリオアの処理については、アメリカ側から積極的に切り出されて、しかし文書漏洩等のことがあつて、非常な受身になつて、むしろ不利益な結果になつてつて来たというような点が、結局今度の交渉の結論であつたと考えるのであります。私はこういう大きな問題に対しまして、明らかに個人の使いとはいいながら、国の運命を左右いたしまするがごとき問題に対して、出しました限りにおきましては、その経過につきましても、アメリカ側において共同声明を出しておるときに、岡崎外務大臣が国会の議場においても一言もこれに触れない、総理大臣もこれに触れないというような態度は、いつものことでありまするけれども、実にけしからぬ態度であると考えるのでありまして、国会や国民の耳をふさいでおいて、既定事実をつくり上げて、わが国の運命を一方的に方向づけるというようなやり方というものは、いかに総理大臣が主観的には善意でありましても、それこそフアシヨ独裁のやり方言ると、われわれは考えるのであります。(拍手)総理大臣の所見を承りたいのであります。
  115. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたします。まず第一にお答えいたしますことは、私が約束して逃げたというお話でありますが、私は逃げた覚えは毛頭ないのであります。またMSAの問題についていろいろお話でありますが、池田君は私の個人の特使として行つておることは、これば事実であります。いかに何と言われても、これは私個人の代表であります。従つてお話のような交渉、たとえばこじきが馬をもらうというような交渉は断じていたしておりません。それからまたこまかいいろいろなお話でありますが、中には単に新聞の情報をそのまま、お伝えになつておるようであります。たとえば漏洩事件のごときは、特に問い合せましたが、何ら根拠のないところであります。詳細は外務大臣からお答えいたさせます。
  116. 三宅正一

    ○三宅委員 前国会において約束を裏切つた覚えはないと言つておられまするけれども、この点は水かけ論になるし、重要な会議において、こんな点で時間をとることを私はやめまするけれども、実に遺憾であるということを申し上げておきます。  そこで私はきようは凶作問題及び災害問題に関する問題を主として、やりたいのでありますから、憲法問題その他につきましては、別な機会に譲るといたしまして、池田交渉を通じまして現われて参りましたわれわれの杞憂する五、六の点につきまして、総理大臣の所見をただしておきたいと存ずるのであります。  第一は、アメリカが日本MSA協定並びに日本防衛力増加について、非常に熱心な態度で日本に臨んでおりまするその意図を、どう判断しておられるかという点であります。日米交換文書におきまして第五一一条(a)第三項の軍事的義務の履行に関し、日本の場合は日本が日米安全保障条約のもとに、すでに引受けている義務の履行をもつて足れりるとするものである、自衛のため以外に日本治安維持の部隊を使用することを要求しているものではないと言うているか、しかも防衛力漸増の義務だけは、明らかに負わされているのであります。しかもアメリカ案におきましては、公然保安隊という名の軍隊と言いまして、今日の保安隊自体を軍隊と規定をいたしておるのであります。そして駐留軍の引揚げと、これに代替することを期待しておるのみならず、ダレス氏は上院の外交委員会での証言によりまして、将来太平洋同盟に持つて行くということを予定し、アレキサンダー・スミス下院議員は東亜の治安を守る中核体として、日本軍隊に期待すると言うておるのであります。援助につられまして、だんだんと深入りをして行きまして、結局アイゼンハウアー政権が、アジアはアジア人に守らせるという立場に立つて自分の国の予算を削減し、自分の国の軍隊を引揚げましたあとは、アジアを台湾政権や李承晩政権やないし濠州その他と軍事同盟にひつぱり込んで、アジアにおける防衛の中核体として、日本軍備増強をやらせようという意図は、アメリカにおける要路の発言によつて、今日におきましてはきわめて明白であると考えるのであります。私の心配することは一歩踏み込みますと、吉田総理の意図いかんにかかわらず、だんだんとそういうことに引きずり込まれてしまうという危険性があるのでありまして、この点について総理大臣の所見をただしておきます。
  117. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。米国立てはいろいろな希望も政策もありましよう。また日本としても、政策もあれば希望もありますが、アメリカが熱望したからといつて、ただちにその通りにわれわれが引きずり込まれるということがあるかないか——断じていたしたくないと思つておりますから、今後の成績をごらん願います。
  118. 三宅正一

    ○三宅委員 吉田総理大臣がダレスの三十五万人説等に対しまして、ある種の抵抗を示しておられることは私もこれを認めます。しかしながらヨーロッパにおけるNATOの実例を見ましても、だんだんと深間に追い込められて、そして軍備がだんだん大きくなつて、その軍備費の負担に困つておるという事例を、私どもは世界の実例として見なければならぬと存ずるのであります。  この際アメリカ政府の一九五二年の報告について申し上げます。NATO諸国は一九五〇年度において、軍事費を四十億ドル使つておるのであります。一九五一年度においては九十億ドル使つておる。一九五三年度においては百四十億ドルにふえておるのであります。しかるにアメリカの援助は毎年六十三億七千万ドル程度にとまつておるのであります。従いまして三年前に四十億ドルであつた軍事費が三年後には百四十億ドルになつたにかかわらず、アメリカの援助は相かわらず六十三億七千万ドルにとまつているというのであります。ヨーロッパにおきまして非常な苦悩を与えておりますことは御承知通りであります。日本が深入りをいたしまして、だんだん吉田総理のその主観的意図にかかわらず、こういう状態に追い込まれているヨーロッパの実例というものを、総理大臣はどうお考えになるか、この点を承りたいのであります。
  119. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたしますが、ヨーロッパにおける実情が、ただちに日本に適用されるかどうか。ヨーロツパにおいて、だんだんヨーロッパ諸国がアメリカの援助を受けたために深入りをしたと言われますが、日本の防衛は日本みずからが決定をいたすべきことであるということは、ダレス氏もアイゼンハウアー氏も明らかに言つておられるのであります。NATO協定があるゆえに、日本も同じ轍をふむであろう、それはふまないかもしれませんから、その点はよく私の主観的観念以外に、客観的にもそういう間違いをいたさないつもりでおりますから、どうぞ御安心を願います。
  120. 三宅正一

    ○三宅委員 私は吉田総理の主観的意図は疑いません、しかしながら客観的にそういう状況に追い込まれることは、ヨーロッパのごとき戦勝国であつて、アメリカに占領されておるという惰性のない国においても、そういう状態であつたことは、真剣にひとつ総理大臣もお考えを願いたいと存ずるのであります。  さらに第三番目の問題として、MSAの援助がわが国の産業構造をいびつにしてしまうという危険性について、おもんぱかつておられるかどうかということを、総理大臣に私は問いたいと思うのであります。最近のニユーステーツマン・アンド・ネーシヨンという雑誌において「英国死滅の途」ということを貫いておるのであります。その中におきまして「現在の規模で国防支出を続けて行くと、気のついたときには、われわれは再軍備のために死んでいたことになるであろう。」ということを言うておるのであります。そうしてその説明といたしまして、国防企業には二百十五万人が吸収されていて、労働人口の一〇%は民間輸出産業からこれに転用されている、今ではセンチュリオン型のタンクが三千万ポンド輸出されて、ウイスキーにとつてかわつて唯一最高のドル輸出品となつている。アメリカの気まぐれに翻弄されて、わが国の産業を兵器の製造販売というかたわの生産構造に持ち込んでしまつた、これを通常産業構造に直すためには、非常な時と犠牲とを負わされる。英国経済死滅の道だと言つているのであります。これは単にイギリスだけの悩みであるとは存じません、被援助国共通の悩みであると存ずるのであります。日本のような弱小なる敗戦国が、いかに主観的にがんばりましても、こういう状態に追い込まれるという危険性について、深刻におもんばからねばなりませんことは当然であります。単なる言葉じりの答弁でなしに、ひとつこの点について総理の所見を、さらにただしておきたいと存ずるのであります。
  121. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本として、日本の自衛あるいは日本の経済独立あるいは防衛態勢を誤まるようなことのないようにすることは、政府の当然の責任であります。あなたの議論は伺つておきますが、かくのごとき事態に日本が追い込まれないように、極力努力いたすつもりであります。しこうして追い込まれたときは、あくまで吉田内閣を攻撃していただきたい。
  122. 三宅正一

    ○三宅委員 年齢のすでに老齢になつておられる吉田内閣を、失敗したあとにいかに糾弾いたしましても、吉田さん自体を糾弾いたしましても問題にならない。私はまじめにこの点をヨーロツパの例を参照して申し上げておるのでありまして、本気にひとつ聞いていただきたいと存ずるのであります、さらに私はこのMSAの援助で、域外調達ということに対しまして、非常に大きな期待をかけておられるようでありますが、MSAで輸出軍需産業を興すといたしまして、これまたわが国の基本産業でありまする電力の開発であるとか、ないしは鉄、石炭の合理化にまわす金がなくなつてしまう。食糧増産の金がなくなる。今度の国会で明白になつたように、災害復旧国土保全の金もなくなることを、私ども心配いたすのであります。国の蓄積いたしまする資本の量というものはさまつておるのでありまして、たとえば火薬や、弾薬等の単純兵器産業でありましても、設備投資に五百五十億必要であると言われておるのである。飛行機におきましても軽飛行機は月産二百五十台が、商業的なベースに合うのだそうでありますが、域外発注のために月産二百五十台の軽飛行機をつくるといたしまして、設備投資二百五十億を要します。その他少くとも千二百億の設備投資が必要になつて来る。しかるに日本の産業を合理化いたしまするためには、鉄石炭、電力、造船等の、その前にやらなければならぬところの仕事がたくさんあつて、これに設備資金を投じなければ、わが国の産業の合理化はできない。土地改良に入れなければ食糧の自給態勢はできない。しかるに、MSAに入ることによつて、こういう方に金をとられてしまうという状態になりますならば、それこそわが国の産業は実にいびつにして、災害の絶えざるひどい国にならざるを得ないと、私は考えるのであります。この点についても私は区々たる数字説明を聞くのではない。総理大臣、経済のことはわからぬでも、常識で考えて、日本の蓄積において、こつちへこれだけの金をまわせば、あつちへまわらぬということはきまつておるのであるから、総理に対してこの点についての御所見を承りたい。
  123. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 MSA関係につきましては、なるほどそういう域外発注というものも、当然要求されますけれども、これはやはり日本の全体の工業水準から見まして、ある程度の兵器なり軍需なりの産業もある万が、私は平均しているとも考えますし、またこれについては関連産業も非常にたくさんあるのであります。そこでただその資金の関係では、なかなかむずかしいものがありましようから、この資金についてはまた別にMSAの中におきましても、ある程度の交渉をいたしておりまして、日本の今持つている資金以外の方法も、あるいは考えられるのじやないかとも私は思つております。但しこれはただいま交渉中であります。
  124. 三宅正一

    ○三宅委員 総理答弁を求めます。もう少し丁寧に答弁してください。
  125. 吉田茂

    吉田国務大臣 丁寧に答弁いたしますが、お話ももつと具体的に願いたいと思います。よその国の例をもつてただちに日本の国を律するということは私は当らないと思います。ゆえに私は、事実の問題については、外務大臣がよく知つておりますから、外務大臣をして答弁さしたわけであります。
  126. 三宅正一

    ○三宅委員 ただいまの輸出軍需産業の問題につきましては、私は外務大臣何も知らぬと思うのであります。経済に関する問題であつて、知らぬでもよろしい。政治というものは、何もかも吉田総理が知つておるわけではない。しかし政治を大局において判断いたしますれば、こういうことになるがということを、私は憂慮して申し上げたのでありまして、もう少し丁寧に御答弁を願いたいと存じます。  その次の問題といたしましては、中共貿易がまた制限をされる、この点につきましても、MSAの被援助国に対する不利な貿易の制限という点につきまして、今度も実質におきまして池田君はもつと範囲を広げてもらいたいという交渉をしたのが、ああいう声明になつておると思うのであります。こういう点について、MSAというものの影響が実に深刻なものである、マイナスの影響が非常に大きいものであるという点について、私はもう一ぺん総理大臣考え直してもらわなければならぬと存ずるのであります。  中共貿易のことはそれだけで答弁を求めずに、さらに私は、国の主権が脅かされる危険性があるということについて、これまた私の老婆心であるかもしれないけれども、注意を申し上げたいのであります。MSAの援助を通じまして、国の主権が脅かされますることが、弱小国ほど顕著であることは明白であります。イギリスやフランスのごとき強国におきましても、このMSAの援助によりまして、非常に国の主権が脅かされるという点について、不満を持つておるのであります。私はきようはこまかい事例を申し上げませんけれども、たとえばアメリカの買付物資について、明らかにその本国のものよりも安い契約ができたのを、アメリカ側がかつてに本国へ持つてつてしまつたとか、いろいろの主権に関しまする脅かされがあるのであります。いわんや日本のような弱い国、その弱い国ほどこの点が危険だと思うのでありまして、この点について総理の所見をお伺いします。
  127. 吉田茂

    吉田国務大臣 もしお話のように、MSAに入つたがために主権を侵害せらるるというような場合があれば、政府MSAに入りません。
  128. 三宅正一

    ○三宅委員 ただいまこういう点の不安があれば、MSAに入らぬと言われたのでありますが、現実に私は憲法違反の問題等を別にして、こういう危険な点が実に多く現われつつあると考えておるのであります。さらによその国の例と言われますけれどもMSA援助を長く受けたヨーロッパの問題について、さらに申し上げますならば、ヨー  ロッパにおいては、保守党のチャーチル総理大臣までが、最近は援助よりも貿易へと言うておるのであります。すなわちMSAの援助を受けることによりまして、先ほど申し上げましたような多くの主権に関する問題、あるいは産業構造のいびつ化の問題、いろいろの問題が出ておりまして、むしろ共和党のアメリカの政府が関税等の引上げ等をやめて、そうして関税引下げによる貿易を、もつと盛んにしてくれた方がいいという立場をとつておるのであります。私はそういう意味におきましても、なおさら憲法で軍隊を持つことを否定されておる日本におきまして、経済援助であるとか、技術援助等につきましては、これはもとより早く復興するために受けるべきでありますけれども、この軍事援助一本の現在のMSAについては、断るべきであると考えておるのでありまして、ヨーロッパ等における動向にかんがみて、この点について総理の所見をただします。
  129. 吉田茂

    吉田国務大臣 MSA協定は、まだでき上つておらないのであります。従つてでき上つた後において、十分論議していただきたいと思うのであります。
  130. 三宅正一

    ○三宅委員 MSAの援助ができてしまつてから、これをどうこうというわけには行かない。実質問題として、その既定事実をどんどんおつくりになつておるのでありまして、その点がけしからんと言うのであります。私どもは民主国といたしまして、国民の多数が選挙において承知いたしますならば、これに服します。しかしながら国会の論議もせず、国会に報告もせず、既成事実をつくり上げて行きつつあるという点、その点が私は大きな不満なのでありまして、その点は吉田総理は、悪かつたらあとからこわすと言つておりますけれども、これはこわせないことは、吉田さんのような外交の専門家は、よくわかつているはずであります。これは深入りすればこわせないのが実情でありまして、一ぺん入つてしまえばこわせないのであります。従つて私はこれらの点について慎重なる考慮をしなければいけないということを申し上げておるのであります。  再々新聞が、吉田さんがアメリカにお行きになると書いておりますが、アメリカに最近においてお行きになるお考えがありますかどうか、お伺いいたします。
  131. 吉田茂

    吉田国務大臣 MSAに入れば、これは結局国会の協賛を経なければなりませんので、その場合に議会において慎重に審議され、MSAに入ることによつて国権を侵害するとかあるいは日本の経済がそのために崩壊するとかいう場合においては、諸君においてこれを否決せられればよいのであつて、われわれが今日既成の事実をつくつたところが、国会が協賛しないような——国会を通過しないような協定はできないはずであります。これは申すまでもないことであります。  私のアメリカ行きについては、まだきめておりません。
  132. 三宅正一

    ○三宅委員 吉田総理が、民主陣営の一環として、日本がアジアにおいて平和と繁栄のために努力するという立場をおとりになつておることについては、私はこれを疑いませんけれども吉田外交が向米一辺倒の外交であつて、ほんとうに自主性がないということについては、大きな遺憾を感ぜざるを得ないのであります。私どもがアジアの情勢を見ておりまするときにおいて、日本において反米空気が非常に起きておりますことも、御承知通りであります。その責任の一半は、私は吉田内閣の負わなければならぬところであろうと考えるのであります。しかしてアジアの全般にわたりまして、その反米の空気が今横溢しつつあるという事実は、友好国として吉田さんなどは、特にアメリカに対して反省を求められる必要があろうと存ずるのであります。どの点において、アジアがアメリカに対して、非常な不満を感じておるかと申しますならば、第一は、アメリカの対外政策において、時として現われまする自国本位的な動きの、その清算を要求する空気だと存ずるのであります。この点が第一であります。第二はアメリカが強いという思い上り、一切を力関係において解決しようという態度がすなわちアジアにおける反米の空気となつて現われておると存ずるのであります。第三は、アメリカの力主義的考え方から、アジアに対する認識をアメリカが間違えておると私は存ずるのであります。アジアに対する認識を、力主義的な考え方からかえなければ、アジアにおけるほうはいたる反米の空気というものは大きな火となつて吹くだろうと私は心配をいたしておるのであります。アジアにおける真の問題は、貧困と後進性に悩む社会的矛盾の解決でありまして、この問題の解決のないところに、いかなる多額の軍事援助によるも寸毫の防衛力も作出し得ないことは、蒋介石政権が中国からおつばらわれた事実によつても明白だと存ずるのであります。友好関係も出て来ない。米国は、真の防衛力は社会、政治、経済の統一ができて初めて生れるということを知るべきであると存ずるのであります。アジア諸民族に根強い反米感情は、この米国のアジア政策を本能的に見抜いているからでありまして、こういう点についてアメリカ自体が反省し、しこうして日本政府がアメリカに対しまして、自主的立場においてこういう態度をその友人としてかえさせなければ、私は日本がアジアにおいて孤立することを免れ得ないと考えるのでありまして、この点について総理の所見を承りたいのであります。
  133. 吉田茂

    吉田国務大臣 吉田内閣の外交が向米一辺倒であるというのは、あなたの御議論である。われわれはそう考えておりません。またアメリカの外交政策に対して、アジアにおいていかに考えられるか、アメリカの外交政策を、日本が改めるように勧告すべしという御議論のようでありますが、私は他の国の外交には干渉いたしませんのみならず、向米一辺倒でありますから、米国の外交を非難し、もしくは弁護をして説明する責任を私はとりません。     〔発言する者あり〕
  134. 三宅正一

    ○三宅委員 みずから向米一辺倒を肯定されたようでありますが、そういう態度こそ、実に私はまずい態度だと思うのであります。私は、ほんとうに吉田さんが民主主義の勝利を、民主主義の安全を考えますならば、私の質問に対して、もう少しまじめな態度でお聞きを願いたいと思うのであります。しこうしてアメリカに対しましても、私は友好的立場をおとりになれば、そういう態度をアメリカに反省を求めることが、すなわちアジアに対するアメリカの政策を成功させることであると思うのであります。要するに、私は総理MSAの問題についてさらに伺いますけれども、大局的に見まして、ヨーロッパにおきましてもバターか大砲かということで非常に悩んでおるのであります。そうして最近の世界情勢のもとにおいて、この点につきましては、防衛力増強の速度をゆるめておりまして、軍縮的な方向に向いておることも御承知通りであります。ヨーロツパでさえもバターか大砲かという段階にありますときに、日本国民が生きて行かなければならぬバターの問題と、国土復興の問題とが控えておるのであります。日本においてはまず国民を生かし、そうして国民がともかく生きて行ける段階になつたらば、戦争以来放置されておりました国土の荒廃を復興するということが、まずやらなければならぬことでありまして、われわれは、日本はバターか大砲かなどという段階ではなくて、バターか災害復旧か大砲かという段階だと存ずるのであります。こういう意味におきまして、国の大きな動かし方といたしまして、まず再軍備よりも国民生活の安定、再軍備よりも国土の復興という点に重心を置かれて行くことが当然の話でありますので、そういう点につきましても、私どもは軍事的な援助はお断りになつて、そして経済自立の線だけでお行きになることを勧めざるを得ないのであります。この点についてもう一ぺん御答弁をお願いいたします。
  135. 吉田茂

    吉田国務大臣 先ほど私が向米一辺倒であるから米国の外交は弁護しないと言つたように、お聞きになりました通りであります。私は向米一辺倒でないから、説明も弁護もいたさない、そう申し上げておきます。  またただいまお話の、再軍備かバターかというお話でありますが、再軍備はいたさないつもりであります。国土の保全なり、あるいは治山治水については、できるだけのことを政府はいたすつもりでおります。
  136. 三宅正一

    ○三宅委員 時間の関係もありますので、MSAに関する憲法論その他は、きようはこれを省略いたします。今日の災害と凶作を控えまして、日本の食糧事情が非常に深刻であることは申すまでもないところであります。やみ米が三百円に上つたり、農村自体で、凶作地帯は飯米がないという状態でありまして、わが国の食糧需給をどうするかということについては、非常な御苦心があろうと存ずるのであります。先般政府は閣議におきまして、本年産米の不作に伴う食糧対策要綱を決定されたのであります。新聞によりますれば、その第一は、米麦の大量輸入の実現をはかり、これに必要な外貨を確保する、第二は、供出の促進をはかり、本年度の端境期をわせで埋め合せるためこれに必要な種もみの確保に努める、第三は、粉食の普及など、食生活改善を積極的に推進するという三大項目を決定されたようであります。私は、この際建設的な立場に立ちまして、ことしこそは日本の食糧事情を、災いを転じて福となしますところの建設的施策をやらなければならぬ年であると存ずるのであります。私の信ずるところによりますれば、食生活改善を中心とする積極的な施策によりまして、米食偏重の日本人の食生活を改善いたしますとともに、米作中心の日本農業を、米麦二毛作と酪農導入の立体農業に革命するところの大経輪を実現するところの、ある意味においては天の与えた機会とわれわれは考えまして、災いを転じて福となすところの契機としてこれをとらえなければならぬと存ずるのであります。その視野に立ちまして、供出、配給、それから政府の農業政策全般に関しまして、政府の所見をただしたいと存ずるのであります。その第一は、日本人の食生活の現状を政府は認識しておられるかということであります。日本人の食生活が米食偏重でありまして、栄養的にも、澱粉質の含水炭素分を取過ぎまして、脂肪、蛋白、カルシリム、ビタミン等に不足しておることが、日本人全体としての栄養的な現象だと思うのであります。特に農民の栄養におきましては、ほとんど米食一本でありますので、いわゆる一升飯を食うという言葉がございますが、この米を食い過ぎて脂肪、蛋白をとらないという関係から、栄養不良と胃拡張を兼ね備えるというような不健全な食生活をやつております。大飯を食べますから排泄物も多くて、胃腸障害と痔が農村において一番大きな病気であることは、指摘されておる通りであります。その結果が、過重な肉体労働との関係もありまして、農民に早老現象の顕著なることも御承知通りだと存ずるのであります。純粋な米作地帯に最も脳溢血の現象が多いことも、医学者が指摘しておるところであります。従つて農民に脂肪と蛋白質をもつととらせますれば、自然に米の食い方が減ることは、農繁期におきまする共同炊事の例がよく示しておると思うのであります。本来五回飯を食います一番忙しい時期に共同炊事をやりまして脂肪、蛋白も適当に補給をいたしますと、四、五日はよく食いますけれども、しばらくたつと米の食い方がうんと減りまして、しかも疲労はしないという状態になつておることは、御承知通りだと思うのであります。私は今年の凶作を前にいたしまして、飯米にも不足する凶作地帯の農家には、麦の大量貸下げをやらなければいけない、早く貸下げをやることを要望しておる。またその他の農民も、米の供出を都市の消費者に対する友愛の心理からできるだけよけい出したいのでありますから、麦の豊富を望んでおるのであります。従いまして、米と麦との交換比率をうんと農民に有利にいたしまして、麦を安く、そうして米を出せば非常に有利だという形にいたしまして、一粒でも多くの米を都市の消費者のために出してもらうという施策を講ずべきでありますし、同時に製パン施設でありますとか、製麺施設というようなものをどしどし農村につくらせねばならぬと存ずるのであります。大臣は御承知でありましようが、福島県の農協婦人会が一日一食はパンと麺類にしようという決議をいたしまして、全県的運動をやつております。実に下から起きました尊い運動だと私は思うのでありますが、そのために、製パン施設を県内にだんだんつくつてもらいたいということを、農協婦人会が要求しておるのであります。資料としても出ておりますが、岩手県におきまして、農協を中心にしてパン焼き工場をつくりました結果が、小昼などにコッペ・パンを持つて行つたりいろいろいたしまして、だんだんとパンを食うところがふえて来ておるのであります。こういう事情にかんがみまして、私は食生活改善を中心にいたしまして、農民の健康をよくしながら、もつとよけい米が出る施策を考えるということが、今日の配給における一つのキー・ポイントだと思うのであります。しこうして、政府は安心を与えるためであろうと思うのでありますが、百六十万トンという莫大な外米輸入を考えておられるようでありますが、四百万トンしか国際市場に出ておらない米を百六十万トン、去年よりもまた五、六十万トン多くの買付に出ますれば、まずくて腐つた米をたくさんしよい込まなければならないし、非常に高い米を買わなければならぬことになると存じますので、できる限り米の輸入をやめて麦にかえまして、そうして食生活改善運動との関連において需給を考えるべきであると思うのでありますが、この点についてまず農林大臣の所見を伺つておきます。
  137. 保利茂

    ○保利国務大臣 私は、御所論につきましてはまつたくその通り考えております。私も東北地方をまわりまして、やはりいろいろの貴重参考になることを見聞いたして参りました。秋田の知事が申しておられましたが、やはり秋田県は、例を申し上げますと、漫談的になつてはなはだ恐縮でありますが、全国で高血圧が一番多い。それは、結局御指摘のように蛋白、脂肪を摂取する量が少くて、ほとんど米食を中心としてやつておるからだそこで、今回の凶作に対して供出に協力して行くという上からと、農民の健康を保持するという二つの面から、県知事以下全県庁職員が、麦食運動を展開している、そういう趣意にこたえまして、今回の供出に対しましても、農家にできるだけ——保健上からいつても、また特に単作地帯の農家には麦がないわけでありますから、そういう農家に対しましては、特別の価格で精麦を払い下げて行く。二十キロ八百円、これも今日市中で五十三円とか五十五円とかいう価格になつておるわけでございますが、それを八百円で払い下げてやる。そういうことが、供出農家の供出意欲に対しても、相当こたえ得たと私は思つておるわけであります。山形でありますとか、秋田でありますとか、あるいは新潟でありますとかの農家から供出に非常に御協力をいただいて、御承知のような成績をすでにあげていただいておるという状態にかんがみまして、まさに、この機会こそ、米食偏重から麦食へ重点を置いて考えて行くべきときであるということを、かたく信じております。今回の補正予算の中におきましても、わずかではございますけれども、少くとも八百町村に製パンなり製麺なりの施設を持つていただいて、それを補助するような経費計上いたしておるわけでございまして、結論的に申しますれば、日本の食糧問題は、麦にウエートを置かずして解決することは全然できないという考えは、私も強く持つておるわけであります。
  138. 三宅正一

    ○三宅委員 現在東京その他の消費府県の米の配給は、月十五日でありまして、せめてその十五日の米食率を維持したいということは、これは当然の話であります。しかしながら、現在でも東京の十五日の米のうち五、六日が外米であります。そのうちには準内地米もありますが、これが百六十万トンなんという米を入れまして、実際は外米が半分だ、十五日のうち八日は外米で、しかも黄変米を食わせるということでありますならば、価格さえ安く下げますれば麺類、麦類の方がよろしいのであります。パン食の普及を阻害しておる大きな原因の一つは、食生活の関係もありますけれども、米を食うよりもパンを食つた方が高いというところにあるのであります。この点についても、施策をお考え願わなければならないと存ずるのであります。そこで私は、外米の輸入はやめて麦をよけい入れる、すなわちもし百六十万トンを予定されておるならば、百六十万トンのうち百万トンは麦に切りかえる、六十万トンくらいのものはなるたけよい米を入れられるということが、価格操作の上からいつても得であろうと信ずるのであります。その程度にいたしまして、内地の米が凶作とはいいながらもなお出やすいような、すなわち消費者の負担を軽くし、出やすいような施策をこの際真剣に講ぜられることが必要であると存ずるのであります。昭和二十七年度中の実績に徴しますと、外米はCIFトン当り二百十三ドルに値する。ところが小麦はトン当り九十四ドルにすぎないのでありまして、一トンで二百十三ドル、九十四ドルの差があるのであります。製品の歩どまり等を考慮に入れまして、トン百ドル麦の方が安いといたしまして、しかもふすまの関係もございますから、結局百万トンの外米の輸入を麦にかえますれば、歩どまりの関係で百二十八万トンになりますが、百二十八万ドンを百万トンの米のかわりに入れますと、一億ドルの外貨が節約できると存ずるのであります。外貨におきまして三百六十億円の節約は、日本国際収支の上におきましては非常な大きなことなのであります。しかして、昨年の例によりますれば、外米は高いから、輸入補給金をまずい外米に一トン二万三千五百円出しておられるようであります。小麦の方は千二百六十八円にすぎませんから、その差額、いわゆる税金で出します補給金の差額が百万トンについて二百三十億程度に私の計算ではなるのであります。そういたしますと、大体五百九十億から六百億の金が百万トンの米を麦にかえることによつて節約できるのであります。私のこの際提案いたしたいことは、この金をもちまして小中学校全部に完全学校給食をやられたいということであります。そしてこれを無償でやる。しかもその差額は、ひとつ消費者に対する廉価配給を認めてやるという施策を、この際ひとつ大蔵大臣もおられますけれども考えを願いたいと存ずるのであります。今日小中学校の生従は、教員を加えまして一千七百万人おるのであります。八千五百万の人口に対しまして、たまたまちようど二割であります。二割の伸び盛りの子供がパンを食べるということになる、一食パンを食べることになれば、これは確かに大きな供出余力が出て来るのであります。農村に対しましてもこれを普及させる、そして中学校にもやらせる。できるなら高等学校までやりたいが、小中学校だけで人口の二割、千七百万になるのである。これは米と麦との百万トンの差額でもつて、あとから計算を申しますが、十分に出て来るのであります。この際ちよつと数字について申し上げますと、現在文部省がやつております小学校児童に対する完全給食は、一人一食十八円四十六銭の予算でやつておりまして、パンとミルクと副食物を食わしておるのであります。そのうち、パンの原料である原料小麦の半額でありまする二円八銭を国が負担をいたしておるのである。これをこの際農村まで押し進めまして、そうして中学まで押し進めますと、小学校が千百五十六万人で、中学が五百三十八万人でちようど千七百万人弱でありますが、これに完全給食をやらせる。そうしてその費用は国が負担をいたすのである。その財源は、今申しました通り、差額で六百億あるのでありまするから、幾ら金がいるかと申しますと、小学校の生従に一日七円五十三銭、ミルクとパンをただでやりまして、それから中学校の生従に一日九円二銭あります。これを一週間に九日、月二十日、一年十箇月給食いたしまして、その費用が二百七十億九千百七十六万円にすぎないのであります。六百億近くの差額が出ておるのでありますから、あとの三百億を消費者に廉価配給したらよろしいのである。この結果、児童の親たちが弁当のおかずの心配をしなくてもいいというだけでも、実に大きな母親に対する負担の解放であると私は思うのであります。農村の供出は、子供が学校でただでパ  ンを食つて来るということになりますれば、供出の余力が出て来ることになるのであります。子供の食嗜好の変化が、日本人を米食偏重から解放することになるのであります。そうしてさらに一千七百万人の牛乳を需要する人口が出て参りますことは、わが国畜産及び酪農に安定した大衆的基盤を与えるのでありまして、わが国農業に革命的な変化を与える基盤となることと思うのであります。もちろん当分は生乳はありませんので、四百万石しか出ておりませんから、今のように輸入粉乳によらなければなりませんけれども、漸次日本の農村のつくつた乳に切りかえて行くということになれば、実に大きな乳に対する基盤ができまして、わが国に酪農業を導入いたしまする経済的な基盤になると考えるのであります。この意味におきまして、私は副総理にも承りたいのでありまするけれども政府はこの際ろくな金を災害対策にも出しておらないのだし、凶作対策にも出しておらないのだから、せめて日本中の小中学校の子供が昼飯だけはパンと牛乳が無料でもらえる、しかも国の負担一つもありやしない。無料でもらえるという一つくらいの善政をしくために、このくらいはこの際やるという答弁をしていただきたいと存ずるのであります。
  139. 保利茂

    ○保利国務大臣 三宅さんの御所論の通りに、私は全体の生産者も消費者も、そういうふうな考えを強く持つていただくことができましたならば、非常に仕合せだと思うのであります。私どももまたそういうふうに持つて行くように努力いたします。現在小学校、保育所に対して原料麦の半額を負担をしておるわけですが、これは御意見も私どもも十分尊重いたしまして、漸次拡大をして参るようにいたしたいと考えております。ただそこで——こういうところでまたよけいなことを申し上げるかもしれませんけれども、もつと麦を安くして、この際ひとつ麦食が普及するようにという考えで私の頭も支配されておるわけです。そこで矛盾を感じますのは、いわゆる二重米価論であります。米の価格を押えておくということ、しかも品質粗悪な外米でも、とにかく米を確保しなければならぬというような実際の事情に、非常な悩みを感じておるわけであります。麦食普及につきましては、この機会にさらに一段の努力を払うつもりでございます。同時に、今後の食糧事情にかんがみまして、小麦粉や小麦の価格の安定に対しましては、格別の注意を払つて参るつもりでおります。
  140. 三宅正一

    ○三宅委員 副総理及び大蔵大臣にもこの点については御答弁を求めたいのでありますが、あとに進みまして、最後に御答弁を求めます。  狭い国土で食糧を自給いたしまして、金肥による土地の荒廃を堆厩肥でもつて防ぐ、そうして零細農業の収入を酪農業の導入によつて立体化してふやすということは、明治以来理論としては唱えられて来たところなのであります。しかるに今日まで有畜農業がほとんど見るべき進歩を遂げなかつた原因は、どこにあるかということを考え  てみる必要があると存ずるのであります。農民の立場から見ますれば、今日までのばかげた政府の施策は、百姓を愚弄しておるとしか考えられないのであります。すなわち広川君などもそれをやられたのでありますが、牛を飼え牛を飼へといつて勧めまして、奨励金まで出しますから、それで飼いますと、すぐ飼料が上つて乳の値が下つてしまう。損をしますからばからしくてやめてしまう。四、五年たつて減りますと、また飼え飼えという。飼うと飼料が上つて乳が下るという状態を続けまして、一定の水準から一つも上らずに伸びたり減つたりして、もうけるのはばくろうだけというばかげた政策が、明治以来今日まで続いておつたのであります。私は牛乳が一定の限度以上に消費がなかつたという事情の中には、一つは何と申しましても、日本の経済的な関係がありまして、いいと思いながらも、やむを得ないものがあつたと存じます。その制約とともに、第二には食嗜好の制約があつたと思うのであります。近ごろはそういう者はありませんが、牛乳のにおいをかぐと、なまぐさくて頭が痛くなるというような者が、今まであつたのでありまして、嗜好の変化があつたと思うのであります。この際千七百万人の児童に牛乳を飲ませるということになりますならば、これこそ私は国民全体の食嗜好の変化になりまして、尋常一年から九年間牛乳を飲んでおつて、それが親になつてまた牛乳を飲むようになる。しまいに八千万の国民が皆牛乳に対する嗜好を感ずるようになりましたときに、初めて私は、ちよつとふえたらば値段が下るという基盤がなくなると思うのであります。従いまして、私はこの際政府といたしましては、ばくろうだけをもうけさせるような政策でなしに、乳牛の大量輸入をやりまして、農家に貸しつけるという制度をやつて、子が生れたら返させるという制度をひとつ大量的にやつてもらいたいと存ずるのであります。そこで第二は、外麦のふすまは廉価配給をする、そうして飼料を安く出すという線、さらに有畜農業を農村に導入いたしますためには、土地改良をやりまして、農繁期のピークに労力が払底しないように、機械化をやるべきことでありまして、有畜農業はすなわち土地改良と農業機械化を並行いたして来るわけであります。そうして労力の按分をはかつて、裏作肥料をつくるという行き方をとらなければならない、と存ずるのでありまして、こういう点について、ひとつ私は、食生活改善運動を中核といたし、米が楽に出て来て、消費者もよろしいという線をうんとやられ、同時にその中核になりますのは、学校給食運動であり、これに関連をいたしまして、有畜農業の農村への導入と土地改良、農業機械化という一連の政策を総合的に行うことによつて、この機会に外国食糧に依存する態度をやめなければいかぬと思うのであります。私はその土地改良等の増産運動と、同じウエートを食生活改善運動につぎ込まなければ、いつまでたつたつて、土地をふやしましたつて食糧は足らぬと思うのであります。この点はこの際申し上げておきますけれども、農林大臣は御承知でありましようが、農家の配給は完全米食で、農家は一日に四合であります。従いまして、法律的に許されました範囲において一石四斗五升を一年に食べておる勘定になるのであります。町は、東京において十五日で二合七勺でありますから、一年に四斗七升しか一人が米を食わぬ勘定になるのであります。従つて足らぬから、やみ米を買う。農村においては、たしかにそれだけではまだ足らぬので、もう少しよけい食つておるのであります。栄養的に、食嗜好的にその点がかわつて参りますれば、——私はきようはここに統計を持つて来ておりますけれども、簡単に申し上げますれば、農民の人口、生産者人口三千万程度で約三千六百万石の米を食つておるのが食糧統計に出ております。都市の消費者は五千数百万人で、三千二百万石しか食つておらないのであります。従つて、食生活をかえまして農民の過食による点を直すと同時に、都市にももう少し出して、二十日配給の程度はできて、あとは楽にやつて行けるという線をこの際どうしても考えなければ、日本の食糧問題の解決は私はあり得ないと思う。五億数千万ドルの輸入、外貨の中で一番よけいの食糧輸入をやつてつて、百二十五万も人口がふえて、毎年四千万ドルずつ食糧輸入をふやして行かなければならぬという状態については、この機会に本格的に建直すべき段階であると考えるのでありまして、政府自体が、これは農林大臣一人の力でできやしないのですから、あらゆる力を集中いたしまして、この際日本経済自立の根幹であるこの食糧を、食生活改善と増産運動との並行においてやるという決意を内閣としてもされるべきであると存ずるのでありますが、この点について御所見を承りたいとお思います。(拍手)
  141. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 今年の冷害凶作は国として非常な不仕合せな出来事でありますが、いわゆる災いを転じて幸いにするという意味からも、この機会に食生活改善ということに全幅の努力を捧げるべきであると考えます。ただいま三宅委員お話になりましたことは、私も非常に傾聴いたしておつたのでありますが、食嗜好におきましても、われわれ自身の家庭を顧みましても、すでにわれわれと小さな子供との間にはよほどかわつてつておる。これは社会的にそういう変化が起りつつある。そういう点からも、今日は、食生活の改善をする上におきまして抜本的に研究、検討をすべきときであると考える次第でございます。
  142. 三宅正一

    ○三宅委員 もう時間が参りましたので、いろいろまだ残しましたけれども、あと一、二点について申し上げた、いと存ずるのであります。本来私は、この救農国会でありますので、冷害対策、それから災害対策の問題についても相当質問をいたしたかつたのでありますが、それは省略いたします。ただ、今度の冷害凶作にいたしましても、また災害凶作にいたしましても、天災か人災かという議論が非常に行われておりますが、私は政治災、人災に関する部分が非常に多いと思うのであります。たとえば昭和二十五年に小規模の土地改良を打切りましたということや、山村における温水ため池などをつくることをやめてしまつたり、いろいろいたしましたことが、今度の冷害凶作の大きな原因になつておるということを一つ指摘いたしましても明白だと思うのであります。北海道においてかつては一億の助成をし、その次には五千万円の助成をいたしました温冷床の施設にいたしましても、これをやめた年に非常な凶作が来ておるというようなことは、私は明らかに政治災であると存じておるのであります。こういう点について指摘すれば限りはありませんけれども、時間の関係で私はこれはその程度に指摘いたしまして政府の反省を求めておきますが、さらに申し上げたいことは、今回の大凶作が農村にどういう影響を及ぼしておるかという、その施策について政府は今日考えておらぬ。ただ救農土木事業だとかなんとかいうことだけ考えておつてもいけないのであつて、社会的面から凶作対策について考えておく必要があると思うのであります。今回この凶作が第一に農村に与えました影響は、貧農、富農の階級対立が明白になつて来たという事実であります。この点は自由党内閣に大きな責任がありますが、広川君が昭和二十七年度産米について基本米価を七千五百円にされまして、いろいろのえさで農民に供出をさせましたが、追加供出奨励金は一万五千円になつております。従いまして、基本米価七千五百円は生産費を割つておるが、供出余力のない貧農は生産費を割つた値段をもちまして供出をやる、そして富農だけが一万五千円とれるというこの階級的な米価政策というものが、農村の階級対立と階級分化を非常に大きくしていることは明白だと思うのであります。しかもこの大災害によりましてその貧農、富農の階級分化の傾向というものは非常に大きく急激に露呈しつつあると存ずるのであります。今にしてこの対策を怠りまするならば、再び地主制度の復活が来るのみならず、農村に富農とルンペンができる。富農はおりませんけれども、貧農、零細農というもの、ルンペン的農民というものが出て来るという危険性をわれわれは考えなければならぬと存ずるのであります。この点につきましては、たとえばすでに民間におきまして、長野県の農業協同組合連合会が零細農に対する特別な資金のわくを一億五千万円設けまして、一軒一万円ずつでありますけれども生産資金を出しているが、春の冷霜害の対策にいたしましても、保証人がいるとかなんとかと言うているから小さい百姓には行かないのであります。その米価の恩恵も小さい百姓には行かない。高米価政策で農村を維持しようと思つたら間違いで、これは大きな百姓だけであります。その下に百姓に対する施策をほんとに考えなければいけない。その意味におきまして、第二の傾向といたしましては、山村開放をやつておりませんから、里山におきまして山を持つている地主、——そういう山村地帯は耕地が少いから、原木代等の値上りによりまして、封建的隷属関係が山村に残つておりまして、小さい百姓はますます貧乏になつているという現状であります。国有林の払下げはやつておりますけれども、民有林の原木が上るために、里にいる炭焼きというものは非常に不均衡な待遇をこうむつておるのであります。ほんとうに農村のことを地について考えられまするならば、米作地帯における零細農のことを考えると同時に、里山の民有林地帯における炭焼きに対しましても、価格高騰を何らか制限するところの一つの特別立法を農林省としてはお考えにならなければいかぬと思うのであります。土地のやみ売りが最近非常に激増いたしておりまして、農民が最後に売り払うものは結局娘と土地しかないのでありますが、その娘と土地も失いつつあるという、こういう社会的な事例について目をおおつて、そうして、財閥の圧迫があつたり、財閥の大きな口ききがあれば、凶作対策冷害対策にはインフレに籍口してほとんど金をまわさない。そうじやなしに、ほんとうに国民の生活が安定した上に立つてこそ自衛力が培養せられるのであつて、今日こそ日本の国は再軍備よりも国民生活の安定、しかして、再軍備よりも冷害対策、国土保全という方向、国の方向をそこへ持つてつて行かなければいけないと私は思う。小笠原君にいたしましても、保利君にいたしましても、農村のことがわかつている人がそういう努力を忘れておられまするところに、自由党の階級的本質があると私は考えておるのでありまして、こういう点についての施策がありましたならば、時間がありませんから私はこれでやめますけれども、承つておきたいと存ずるのでありまつすり。
  143. 保利茂

    ○保利国務大臣 今般の広汎にわたる冷害並びに凶作地帯の累次の災害に伴いまして、農家の現金収入は相当全体としては激減をすると思います。一応の計算では、むろんこれは責任ある数字をもつて申し上げることはできませんけれども、およそ見込みとして見込めますのは、かりに昨年に比べてことし農家が売るものとしてどのくらい減収を来しておるか、これは米につきましてはおよそ六百七、八十億、差につきましては百七、八億、雑穀、いもにおきまして百七、八億と見積るのが妥当ではなかろうか、およそこういうところではなかろうか。これはお話のように、村内における階級的と申しまするよりも、むしろ地域的に農業所得収入の状況は今年は著しくでこぼこを生じている。従つてその村なら村においての収入にでこぼこがあるということでなしに、地域的に収入のでこぼこを生じている、こう見なければならぬのじやないかと思います。そこで一番大切なことは、収入の激減をいたしておる地帯に今回の冷害対策を重点的に行う、そうしてあるいは経営を維持いたして参りまするための営農資金の融通につきましても、たとえばお話のように、娘を売るとか、土地を売るとかいうような事態を起さないように、営農資金を融通したいという趣意でございますから、そういう趣意を十分達しまするように努力をいたして参るつもりでおります。
  144. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまの三宅委員の説は、まことに傾聴いたしました。私はいわゆる酪農を取入れての立体的農業、及び農業の機械化、及び各種の食生活の改善、並びに農業の根本諸政策に関する御意見には、御同感の点が少くなかつたのであります。ただ私が申し上げたいのは、いわゆるインフレというものは、これは各業種を問わず、各年齢を問わず、八千五百万国民全部に及ぶものでございますので、従つてこの害を受けざるように、一面インフレを防止しつつ、でき得るだけの財政的措置をとりたい、このことを申し上げておきます。
  145. 倉石忠雄

    倉石委員長 中村梅吉君。
  146. 中村梅吉

    中村(梅)委員 私は総理大臣に対する質疑を保留して、明日の適当の機会に委員長から許していただくという御了承が願えるならば、これから他の大臣に対する質疑を継続いたしたいと思います。  まず第一に私が質疑を試みたいと思いますのは、補正予算支出面については、わが党はやはり三党協定に参加して承認をいたしておりますので、支出の面についてかれこれ異議は申しません。但し財減関係については、たとえば運用部資金の問題にしても、その他政府から出されておる資料を見ましても、若干の疑義がもりますから、この疑義について、私は財源関係についての質疑をまずいたしたいと存じます。  政府からいただきました資料を見ますと、いろいろな費目について自然増収を見込んでおるのでありますが、このうち二、三の疑問のある点を指摘いたしますと、たとえば関税の収入が三十三億六千余万円自然増収が見込まれております。現に貿易は非常に不振で減退をしつつあるにもかかわらず、何ゆえに三十三億六千余万円の自然増収を見込むことができておるのであるか、この三十三億の自然増収についてまず第一に伺いたいと思います。
  147. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 中村君にお答えいたしますが、関税において三十三億六千四百万円の自然増収を見込んだのは、当初予算においては奢侈品の輸入抑制の趣旨等によりまして、関税課税物品の輸入を比較的控目に見込んでおつたのでありますが、最近における関税の収入実績は、九月末までに百三十八億六千四百万円と相なつておるのでありまして、今後における課税物品の輸入の抑制を考えましても、年度内にはこの程度の自然増収を見込むことができるのでございます。
  148. 中村梅吉

    中村(梅)委員 そういたしますと、当初予算編成の際には、一口に言えば過少評価をした、こういうことに承つていいかと思うのですが、次にこれに関連をいたしまして、砂糖消費税が三十六億以上自然増収ということに見込まれておりますが、急にそう砂糖の消費が激増するとも思われないし、ことに砂糖の輸入については、ちやんと輸入計画があつて、それが基本になつておるはずだと思うのですが、この数字についても一応御説明が願いたいと思います。
  149. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 砂糖の消費税におきまして三十六億三千二百万円の自然増収を見込んだのは、御指摘通りでありますが、これも当初予算においては本年度の課税見込量を八十万トン程度と見ておつたのであります。ところが最近における課税の実績を見ますと、前年度の砂糖輸入計画による分が相当本年度に遅れて入つておりますこと、及び国内における砂糖消費が順調に伸びておる、こういつたようなこと等で、この程度の増収を見込むことができることに相なつたのであります。
  150. 中村梅吉

    中村(梅)委員 次に法人税についてでありますが、法人税については八十億の自然増収を見込まれております。一体現在の経済情勢、産業界の情勢、これらから見て、むしろ法人税は減少する危険性があるのじやないだろうか、ことに日銀の高率適用による資金の収縮ということがはなはだしく産業界に響いておりまして、このために御承知通り手形の不渡りは続発する、中小企業者の倒産は激増しておる、こういう現状にありますから、法人税の増収ということはどういう根拠によつてここに見込まれるようになつたものか、それを承つておきたいと思います。
  151. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 中村君も御承知のように、法人税で二十八年度の収入となるのは、三月の決算期と九月の決算期との分についてであります。当初予算におきましては、多少会社業績の経過などを見まして、千六百八十八億円を計上いたしておりましたが、三月決算の分についてみますと、すでにその数字は課税の実績に現われておりますし、また九月の決算につきましても、ただいまいろいろおもなところを調べておるのでありますが、あまり業績の低下を見ておらぬのであります。従いまして、主要会社について一応の調査を試みたところでは、これらの数字から検討してみまして、予想したほど実は悪くなつておらぬ。もちろん今中村委員の言われたように、今後には多少さようなこともあるかと思いますが、ただいま申しました通り、法人税の本年度課税になるのは三月決算、九月決算でありますので、この実情から見まして八十億円程度の増収を見込むことは適当だ、かように考えている次第でございます。何かよく世間で水増しをしておるんじやないかといわれますが、さような事実はございません。
  152. 中村梅吉

    中村(梅)委員 ただいまの点につきましては、われわれ初め一般世上で心配をいたしますのは、結局無理な財源調達をいたしまして、課税基準を認定する上において水増しをやつて、結局水増しによる苛酷な徴税が行われるのじやないだろうか。この点が最も危惧されておるところであります。従いまして、政府がこの八十億の自然増収を見込まれたことをかれこれ否認をしようというのじやありませんが、この八十億の自然増収を見込んだことについて最も妥当な説明をこの機会にいただいておくということが、一般世上を納得せしむるゆえんではないかと私は思いますので、繰返してこの点について大蔵大臣の御答弁を煩わしておきたいと思うのであります。  次に引続いて私の伺いたいと思いますのは、先ほど横路君からも御質問があつたようでございますが、どうも明確にはならなかつたように私は伺いました。それは資金運用部資金の問題でございますが、この百五十七億の將来捻出については、あるいは予算貯金の奨励をこれからやつて大いに集めるのだというようなお説もありましたが、一体そういうたよりないことでわれわれはこの政府の言明を信頼することはまことにいたしかねるのでございます。ことに三党協定の折衝をいたします際にも、わが党の根本君は、これが一時の言いのがれになつては一大事である、だからよほどはつきりした内容の説明を伺わなければ賛同できないと最後まで強硬に主張されたような次第で、従いまして私はこの資金運用部資金の運用計画というものは、一応われわれは受取つておりますが、この計画を見ますと、これは政府が三党協定をのまれる以前の計画表でございますから、これは自然修正が行われるのだと思うのです。しからばこの資金運用計画というものは、どういうように修正されて、どういうようにその百五十七億は捻出をされるのか、この点につい  て明確な政府の態度をひとつ承つておきたいと思うのであります。
  153. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点は、先ほど横路議員の御質問にお答えした際に申し上げました通り、今回の災害関係等で百二十二億円を追加運用する等のことがございまして、結局今後ふえる原資との関係を織り込みましても、翌年度への繰越金は三十五億前年度よりは減少するというぐあいであつて、本年度はその繰越金は百二億円と見込まれるのでありますが、しかしさつき申し上げた通り、貯蓄の奨励、あるいは懸賞付証票等をやるというような方法を講ずることによつて、あるいはまた上期において存外貯蓄の伸びが悪かつたときは、下期に来ると伸びること等もありまして、全年を通ずると大体よくわかるのでありますから、運用部の資金計画としましては、百五十七億は出ないということは、私が繰返し申し上げた通りであります。従いましてその資金運用部についてできるだけの措置はとるけれども、等という言葉を入れてもらわないとやれないというような実情になつておることは、御了解がいただけることと存ずるのであります。
  154. 中村梅吉

    中村(梅)委員 百五十七億は捻出困難であるという御説明でありますが、しからばこの運用計画の將来の改善によりまして、どのくらい捻出のできる見通しを大蔵当局は持つておられるのか。ことに世上問題になりますのは、運用部資金から百五十七億を出すと政府が言明された結果、どの費目が削られるだろうかということを非常に心配をいたしておる。そういう世上に及ぼす影響もありますから、私はこの際運用部資金から百五十七億は出せなくても、たとえば百億出せるとか百二十億出せるとかいうようなめどについて、具体的に大蔵大臣の御所見を承つておきたいと思うのであります。
  155. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、本年度災害のために出ます金は相当巨額なものでございまして、過去の実績によりますと昨年は非常に災害の少い年でございましたが、その年で工事の進行しておるのが二割三分であります。平生の少し多い年でも二割以上にはなつておりません。従いまして個々実情についてよく調査いたしますれば、百五十七億が全部必要であるとは私ども考えておりませんが、しかしどの程度の金額になるかということは、これは実情に応じてよく調査いたしました上で、工事進捗上ぜひとも必要であるものについて出したい、こういう考え方であります。従いましてただいまのところその事柄がはつきりいたしておりませんので、金額について申し上げられませんが、またかりに資金運用部の手元で不足する等の場合にはいわゆる公募起債等の方法があり、それについて措置をとる等のことも考えられますので、今後まだいろいろ資金運用部の計画も立てなければなりませんが、ただいまのところその程度で御了承願うほかないと存じます。ただ私が申し上げておきたいことは、これは誠意をもつてやりたい、工事の進行というものはぜひとも必要である、工事にさしつかえるようなものについてはこれは誠意をもつてやりたい、特に再び災害が起つて来るような懸念のあるものについては、再災害防止の見地からこれをやることは、どうしても工事の進捗上必要なことであると考えております。
  156. 中村梅吉

    中村(梅)委員 本来ならわれわれといたしましては、明確な資金運用計画をちようだいいたしまして、しかる後にわれわれの態度を決定すべきが本意なのであります。しかしながらただいまのところ大蔵大臣は明確な数字を申しかねるというお話でありますから、これ以上無理な追究をすることを私は避けたいと思います。政府は現在手持ち公債で処分し得るようなものでも持つてつて、それによつて將来もし万一まかなえない場合には、この補正予算について政府が言明せられた百五十七億の融資捻出については必ず断行するという決意を持つておられるかどうか、従つてその前提として手持ち公債の関係等を承つてみたいと思うのであります。
  157. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 百五十七億は最高限であるということは、繰返しお話申し上げた通りでありまして、あとは実情に即して個々の工事状況を取調べてこれをやる次第でございますから、金額ははつきりいたしません。  なお手持ち公債は、おそらく来年度の償還分がありますが、これは見込めませんが、あるいは百二、三億あるのではないかと考えます。しかしこれを売つてどうこういたしますことは、ただちにいわゆる赤字インフレのもとをなすことになるので、私どもとしてはこの公債を売るということは考えていないので、従つて財源の範囲で補正予算を編成いたしましたことは、中村議員よく御承知通りであります。
  158. 中村梅吉

    中村(梅)委員 この点に関連してもう一点伺つておきたいのは、今回の政府の運用計画を見ますと、災害復旧の地方負担財源として融資するために百八億円の増加をされております。これは地方財政を助けるという意味で融資をされることはまことにけつこうでありますが、問題は、このほかに地方債引受けの財源として充てられておる金額は、この表によりまして現われておるものが六百九十五億円、そのほかに簡易保険の関係から出るものが百九十億円、公募債によつてまかなわせようとしておるものが百八十億円、合計いたしますと大体千六十五億円ほどになるようであります。この一般の地方債の金額というものは、現在の地方財政の実情から見れば非常に大切なものであつて、今日地方財政はまつたく困窮のどん底にあると言つていい、これ以上もし圧迫を感じ、逼迫を来して参りますならば、地方財政は崩壊の運命をたどるような段階に今来ておりますので、この地方債の約一千億の金額には、たとい百八億円を災害関係融資源として見積られても、さかれるようなことはないだろうかという点が一般地方自治体の最も憂慮しておるところだと思うのです。この点について大蔵大臣の言明を承つておきたいと思います。
  159. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 八十三億円は追加になるわけでございまするが、詳細のことは政府委員から答弁させることにいたします。
  160. 坂田泰二

    ○坂田説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、今回資金運用部から百八億融資いたしますが、これは災害関係におきまして八十三億の増加、その他二十五億のものが、実は前回の国会できまりまして、老朽校舎等のために増加いたしたものであります。これはその当時は、資金運用部の計画がございませんので、公募ということに一応なつておつたのでありますが、今回これを資金運用部の引受けに振りかえたわけであります。従いまして公募のわくは百八十億円、それから地方債のわくは今回の災害関係といたしまして八十三億、ほかに公募が四十五億、こういうふうになるわけでございます。ただいまの資金運用部から百八億を出すために地方債のわくがそれだけ減少するといいますか、食い込まれる、こういうことはないわけであります。
  161. 中村梅吉

    中村(梅)委員 了承いたしました。  そこで私は財源関係についてもう一点伺いたいと思います。政府のとられておる今度の態度は、掘り下げて議論をすれば際限はございませんが、相当無理があると思うのです。こういう無理をして財源を捻出するということよりは、あるいは自然増収にいたしましても、まだ年度末に近づいておるわけでもありませんし、明確な、寸分間違いのないという見通しは困難だと思うのです。ですからむしろこれらの自然増収であるとか、あるいは、資金運用部の資金であるとかいうようなものは、できるだけ第二補正の方にまわして、第一補正の今回の補正には、最も確実である前年度剰余金を財源に充てるということの方が私は妥当であつたのだと思うのです。それが逆になりまして、無理な財源をここに計上して、第二補正を将来の財源にしよう、こういう行き方には私はどうも納得ができないのであります。  続いて申し上げますが、もう一つは、大蔵当局はしきりにインフレの懸念ということを、あらゆる機会に強調されております。この点に政府が努力されることはけつこうでありますが、問題はインフレというものの原因——私どもは専門家ではありませんが、大体私はインフレの原因というものは、通貨の膨脹ということが一つと、物価の高騰ということが一つだと思うのです。この二つが大体インフレの原因である。しかるに政府は通貨の収縮にのみ努力して、物価の高騰という方をどうも忘れているのではないだろうかと思うのです。たとえば最近における日銀の資金収縮にいたしましても、資金を収縮するということは、通貨収縮の面においては、インフレ防止の一手段にはなるでありましようが、これを収縮する結果、一般企業者というものは、銀行融資がだんだん圧迫されて行く。その銀行融資が圧迫された結果は、市中の資金を求めなければならない。個人金融をかりに受けるとするならば、今の世の中ではどんなことをしても、月に五分とか一割の金利である。この高い金利を使つて、ことに中小企業者は、事業をやらなければならない。何といつても銀行金利というものは、企業を営む者の資金としては、最も金利の安いものである。金利の安いもので生産をして初めて物価は下る。ところが、その安い金利の銀行資金を収縮してしまつて、そうして企業を営む者に、その補填を一般金融、高利の金融に求めさせるということでは、結局するところ、私は物価の高騰は必然的だと思う。物価が高騰して来るならば、いくら資金の収縮をやつてみたつて、物価高騰の悪循環の結果は、インフレを惹起する。こういうことになると思うのですが、最近における日銀の高率適用、資金の収縮の問題について、一体大蔵大臣はどういう目でこれをながめておられるか、また監督の責任のある大臣として、どういう考えを持つておられるか、この点を伺いたいと思います。
  162. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私どもが自然増収について見たのは、分類所得にいたしましても、あるいは砂糖消費税、関税等はただいま御説明申し上げた通りでありまして、これは実際から見て、そういうふうに見えるから、これを計上したのであります。二十七年度の剰余金が御指摘のごとくに四百二億、財政法上二百億円ほどは見えるのでありますが、しかし、これを見ることは、私は繰返し申します通り、要するに二十六年度の剰余金を今年に計上し、さらに二十七年度の分を計上することになつて、いわば二年分を計上することになり、ひいて二十九年度予算編成を困難にするのみならず、それがインフレを助長する要因になると考えられるので、私どもとしては、これを計上しなかつた次第であります。さらに、今御指摘のごとくに、インフレというものは、一方では金融面のみを収縮してもいかぬではないか。私どもは、さつきも申し上げました通り日本の財政資金の散布超過が、計数的に見ますと、千三百億といつたように考えられるので、諸般の政策をとつておるのでありますが、やはり金融的措置をとりませんと、いわゆる財政金融の一体化をやりませんと、インフレになるおそれがあるので、それをやつております。なおそれでは金利が高くなつて生産コストが高くなるではないか。生産コストを高めるのに、金利が働いていることはお話通りであります。しかしながら、生産コストの最も高い原因は、何と申しましても、朝鮮事変以後の安易な経営になれて、企業の合理化、近代化等を怠つた点が主であり、またよく私が申しますように、物の生産が非常に多く行われているにかかわらず、輸出すべき品物の方は非常に輸出力を減じている。一方は五割もふえているのに、一方は四割も足らぬというような状況となつているようなことでありまして、根本としては、何としてもあらゆる面からインフレ克服をやらなければならぬのであります。ひとりこれは財政面のみでも足りません。もちろん金融の面でも、生産の面でもやらなければなりませんが、昨日私が申し上げました通り、通貨の安定ということは、あらゆる経済現象の一つのシンボルとして現われるわけでございます。あるいは国際収支の改善も一つでありますが、すべての政策の現われが通貨の安定として国内的にまた国際的に現われる次第でございます。従いまして、私どもはただいまとりつつあるインフレ対策をもつて十分とは存じませんが、国民各位の協力を得るならば、これをもつて処理し得ると考えております。
  163. 中村梅吉

    中村(梅)委員 私のお尋ねしようとした要点からは、どうも大分御答弁がはずれておるように思うのであります。日銀の現在の資金収縮というものは、あれでいいのかどうかということを伺いたい。
  164. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 現在日銀はおそらく三千五百億円くらいのオーバー・ローンを擁しておるでございましよう。しかし日銀におきましても一方正常なものにつきましては、御承知のごとくに貿易その他の手形等については、今度公表しております通りに、各種金利引下げのことをやつております。ただその経営の無理なものにつきましての処置をとつておるのであります。私どもは時期的に申しますと、たとえば政府資金が散布超過になるときに日銀がこれをすい上げる処置をとる、一口に言うと馬と人と一体になつたようなかつこうになるとよかつたが、いくらか日銀の緊縮の方が先走りしているのではないか、こういう点はございますが、方策といたしましてはそれでよろしいと考えております。  なおさつきちよつとお話が出るかと思いましたが、やはり年末金融の中小企業等に対するもの、これはいろいろ処置をいたすことはここではつきりと申し上げておきます。
  165. 中村梅吉

    中村(梅)委員 ただいま大蔵大臣の言われたように、おそくら日銀の資金収縮は今年度予算がずれて、遅れましたために、政府資金が下半期に一挙に放出をされる。これに見合つた処置として行われたのだと私は思うのですが、政府の財政資金の散布というものは、そう一ぺんには行き渡りませんので、大体このにらみ合いというものがきわめて微妙であり、大切であつたと思うのです。どうも日銀の今回の処置は、若干私はその見合いというものについての見当が違つておりはせぬだろうかという点を痛切に感じておつたのであります。この点について、大蔵大臣がそういうような若干の懸念をお認めになるならば、市中の現状というものとにらみ合せて、もう少し妥当な処置をとつてもらいたいということを要望いたしまして、この点は終りたいと思います。  次に私の伺いたいと思いますのは、二十九年度予算と今年度予算との一貫性についてであります第二次補正予算は、新聞紙上では拝見をいたしましたが、一体どれくらいの金額を第二次補正に見込まれておるのか。それと今回の補正との関連、二十九年度予算との関連、これについて大蔵大臣の率直な見通しなり見解を承りたいと思います。
  166. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大体第二次補正予算には、御承知のように、たとえばあの超過供出金四百円等を、これはぜひ一般会計に入れるという当時の申合せもありまして、一般会計より支出することに相なつておりますから、そういうものも、数額はよくわかりませんが、かりに一千八百万石と見ますれば、七十二億円ほどいるかと思います。そのほかなお郵政その他にいるものもございますので、かれこれ大体二百十億か二百十数億に達するものが一応見込まれるのであります。それに対する財源関係等はただいま考えておりますが、私どもは、この財源関係にも無理のないよう措置する考えでおります。ただいかなる場合にも補正予算の本質にかんがみまして、やむを得ざる必要  最小限度のものにとどめたい、かように考えておるのが根本の考え方でございます。さらに二十九年度予算は、先ほども申し上げました通り、この防衛費、いわゆる防衛諸費も若干ふくらむということは避けがたいのでございましようし、恩給等が自然に平年度化されて増加するのが二百億円もありますし、いわゆる災害対策費等、来年度は相当巨額の計上を見なければなりませんので、そのほかにもずつと自然に今までのなり行きを見て参りますと、相当巨額のものに上ります。先般一応各省からの分を集計いたしましたところ、防衛関係の、たとえば保安庁その他の費用千三百数十億円を除きまして、これはすえ置きと見まして、一兆八千数百億の要求があつて、合計二兆円を越しておるような事情であります。今の千三百数十億円のいわゆる防衛費保安庁費その他と見ますと、これは二兆円を越しているような要求額であります。従いまして根本的にいろいろな問題を考えなければ、とても二十九年度予算編成には至りがたいと考えております。しかし一方に何と申しましても災害対策はやらなければなりません。また災害の起つておる元である治山治水に関する分は、根本的に考えなければなりません。そういうこともございまするので、目下いろいろ苦心検討しておる最中でございまするが、まだ結論的な輪郭を得ておりませんので、これは他の機会に申し上げさしていただきたいと思います。
  167. 中村梅吉

    中村(梅)委員 大蔵大臣は、最近伺いますと、予算が総花化しておる、何とかこれを重点的に改善をしなければならないということを、非常に痛感をされておるようであります。まことにけつこうなねらいであると思いますが、問題は今回の補正の財源についてもそうであります。来年度関係、第二補正の関係から見ましても、私は何十年来ない未曽有の大災害をこうむつた、この大災害を解決するために、また困窮しておる国民を立ち上らせるために、思い切つた処置が必要である、こういう意味から言うならば、この機会こそ私は政府が財政整理を断行する絶好のチャンスだと思うのです。私はそういう意味で、ことに今度の補正の財源にいたしましても、こういう自然増収というような無理なものをはじき出しておやりになるよりは、政府が十分に努力されて、不要不急の経費に思い切りなたを振つて、そうしてこの災害復旧のための、あるいは冷害農民を救うための財源を、十分に、こういうけちな出し方でなく、思い切つて出された方がいい、こう考えるのであります。     〔委員長退席小峯委員長代理着席〕 こういう機会でもなければ、なかなか財政整理の根本的な行き方というものはできないものだと思うのです。これこそ私は天災であると同時に、財政整理の絶好のチャンスだと思う。かような意味において、私は財政整理を政府としては思い切り断行して、来年度災害に関する三・五・二の五の割合の経費も欠けるところなく十分に出して、災害復旧をやつてほしいものだ、こう考えておるのでございますが、財政整理についていろいろ政府は現にやりつつあるようでありますが、見ておれば、まことに姑息な手段のように思われます。これについて財政を担当しておられる大蔵大臣としては、どのくらいの腹構えを持つて臨まれる御決意であるかを伺いたいと思うのであります。
  168. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 財政当局といたしましては、徹底的な財政整理を要望するわけでございますけれども、しかしこれがただちに財源化されて、またどのくらいの程度実行されるかは、目下それぞれ主管者においてこれをやつておりますから、それを見た上で、いろいろ意見を述べたいと考えております。ただ御承知のごとく、やりましても、その年のものはすぐになかなか予算の方にはそう大きな影響をもたらさぬことは、退職慰労金その他の問題があることで、よく御承知のことと存じます。なおすべてのものについて重点的にこれを行い、そうして少い資金を効率的に、また国の金を十分有効適切に使いたい。私どもがよく言われておるのは、公共事業費や食糧増産対策費が、会計検査院指摘のごとくに非常に濫費されておる、こういう事実を、私どもは会計検査院からたくさん受けておるのでありますが、ひとりそういうことのみではございません。もう少しやはり根本的にやらなければならぬものがたくさんあると思うのであります。従いまして今年度この補正予算に出しましたものでも、たとえば住宅公庫出資などは、減すことは社会上どうかという考えを持ちましたが、現実に金が余つておる、そうして仕事をするにも、契約上何らさしつかえなく予定計画ができますので——現実金がなければ見込まない、こういうように考えるのでありまして、財源その他の捻出には、かなり苦労しております。同時に今仰せになつたことは、まことに御同感でありまして、こういう機会こそ行財政の根本的整理をなすべき時期であると私ども考えておる、この決意をもつて運用に臨みたいと思つております。
  169. 中村梅吉

    中村(梅)委員 大蔵大臣が財政整理について熱意を持つていらつしやることは、われわれも了承いたします。ただ財政の整理を行い、あるいは冗費を節約して、重点的に、最も効率的に国民の血税を使つて行こうとするならば、これは私は政府の当路者としても、身をもつて範をたれなければならぬ性質のものだと思うのです。そんなことを言つていいか悪いかわかりませんが、たとえば総理大臣の目黒の公邸にいたしましても、おそらく一年に一千何百万円かの経費がいるでしよう。一体目黒の公邸がなければ総理大臣の職務は遂行できないのかどうか、あるいは農林省の九段上の官舎が再築をされましたが、聞くところによれば、事実かどうか知りませんが、渋谷の前の浅倉邸の官邸も使つていらつしやるようで、そういうように一体総理や各大臣が、一つあれば間に合う官邸を二つも三つも持つような仕方をしておつて、それで徹底的な財政整理ができると思うか、こういう点を私は言たい。大蔵大臣がほんとうに熱意を持つて、身をもつて財政整理をやり、国民の血税を重点的に使おうとするならば、総理に進言して、目黒の公邸をやめさせるくらいの熱意を持つてつていただきたいと私は思う。この点について、簡単でけつこうですから御所見を承りたい。(拍手)
  170. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 それは、私どもが目黒の公邸という問題を直接申し上げるほどのこともございませんが、あれがたとえば外国の使臣その他に対していかに多くの働きをしておるかということは、これは中村議員も御承知のことと思います。しかしながら政府は身をもつて範をたるべきものである、こういうことについてはまつたく同感であります。
  171. 中村梅吉

    中村(梅)委員 あと外務大臣等に対する質問もございますが、総理の質問と関連がございますから、私は時間を残しまして、きようは大蔵大臣に対する質疑だけで私の質疑を終つておきたいと思います。
  172. 小峯柳多

    小峯委員長代理 それでは午後六時三十分から再開することとしまして、暫時休憩いたします。午後五時四十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕