○三宅
委員 副
総理及び
大蔵大臣にもこの点については御
答弁を求めたいのでありますが、あとに進みまして、最後に御
答弁を求めます。
狭い国土で食糧を自給いたしまして、金肥による土地の荒廃を堆厩肥でも
つて防ぐ、そうして零細農業の収入を酪農業の導入によ
つて立体化してふやすということは、明治以来理論としては唱えられて来たところなのであります。しかるに今日まで有畜農業がほとんど見るべき進歩を遂げなかつた原因は、どこにあるかということを
考え
てみる必要があると存ずるのであります。農民の立場から見ますれば、今日までのばかげた
政府の施策は、百姓を愚弄しておるとしか
考えられないのであります。すなわち広川君な
どもそれをやられたのでありますが、牛を飼え牛を飼へとい
つて勧めまして、奨励金まで出しますから、それで飼いますと、すぐ飼料が上
つて乳の値が下
つてしまう。損をしますからばからしくてやめてしまう。四、五年た
つて減りますと、また飼え飼えという。飼うと飼料が上
つて乳が下るという状態を続けまして、一定の水準から
一つも上らずに伸びたり減つたりして、もうけるのはばくろうだけというばかげた政策が、明治以来今日まで続いておつたのであります。私は牛乳が一定の限度以上に消費がなかつたという事情の中には、
一つは何と申しましても、
日本の経済的な
関係がありまして、いいと思いながらも、やむを得ないものがあつたと存じます。その制約とともに、第二には食嗜好の制約があつたと思うのであります。近ごろはそういう者はありませんが、牛乳のにおいをかぐと、なまぐさくて頭が痛くなるというような者が、今まであつたのでありまして、嗜好の変化があつたと思うのであります。この際千七百万人の児童に牛乳を飲ませるということになりますならば、これこそ私は
国民全体の食嗜好の変化になりまして、尋常一年から九年間牛乳を飲んでお
つて、それが親にな
つてまた牛乳を飲むようになる。しまいに八千万の
国民が皆牛乳に対する嗜好を感ずるようになりましたときに、初めて私は、
ちよつとふえたらば値段が下るという基盤がなくなると思うのであります。従いまして、私はこの際
政府といたしましては、ばくろうだけをもうけさせるような政策でなしに、乳牛の大量輸入をやりまして、農家に貸しつけるという制度をや
つて、子が生れたら返させるという制度をひとつ大量的にや
つてもらいたいと存ずるのであります。そこで第二は、外麦のふすまは廉価配給をする、そうして飼料を安く出すという線、さらに有畜農業を農村に導入いたしますためには、土地改良をやりまして、農繁期のピークに労力が払底しないように、機械化をやるべきことでありまして、有畜農業はすなわち土地改良と農業機械化を並行いたして来るわけであります。そうして労力の按分をはか
つて、裏作肥料をつくるという行き方をとらなければならない、と存ずるのでありまして、こういう点について、ひとつ私は、食生活改善
運動を中核といたし、米が楽に出て来て、消費者もよろしいという線をうんとやられ、同時にその中核になりますのは、学校給食
運動であり、これに関連をいたしまして、有畜農業の農村への導入と土地改良、農業機械化という一連の政策を総合的に行うことによ
つて、この機会に外国食糧に依存する態度をやめなければいかぬと思うのであります。私はその土地改良等の増産
運動と、同じウエートを食生活改善
運動につぎ込まなければ、いつまでたつた
つて、土地をふやしました
つて食糧は足らぬと思うのであります。この点はこの際申し上げておきますけれ
ども、農林
大臣は御
承知でありましようが、農家の配給は完全米食で、農家は一日に四合であります。従いまして、法律的に許されました範囲において一石四斗五升を一年に食べておる勘定になるのであります。町は、東京において十五日で二合七勺でありますから、一年に四斗七升しか一人が米を食わぬ勘定になるのであります。
従つて足らぬから、やみ米を買う。農村においては、たしかにそれだけではまだ足らぬので、もう少しよけい食
つておるのであります。栄養的に、食嗜好的にその点がかわ
つて参りますれば、——私はきようはここに統計を持
つて来ておりますけれ
ども、簡単に申し上げますれば、農民の人口、生産者人口三千万程度で約三千六百万石の米を食
つておるのが食糧統計に出ております。都市の消費者は五千数百万人で、三千二百万石しか食
つておらないのであります。
従つて、食生活をかえまして農民の過食による点を直すと同時に、都市にももう少し出して、二十日配給の程度はできて、あとは楽にや
つて行けるという線をこの際どうしても
考えなければ、
日本の食糧問題の解決は私はあり得ないと思う。五億数千万ドルの輸入、外貨の中で一番よけいの食糧輸入をや
つてお
つて、百二十五万も人口がふえて、毎年四千万ドルずつ食糧輸入をふやして行かなければならぬという状態については、この機会に本格的に建直すべき段階であると
考えるのでありまして、
政府自体が、これは農林
大臣一人の力でできやしないのですから、あらゆる力を集中いたしまして、この際
日本の
経済自立の根幹であるこの食糧を、食生活改善と増産
運動との並行においてやるという決意を内閣としてもされるべきであると存ずるのでありますが、この点について御所見を承りたいとお思います。(拍手)