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1953-11-07 第17回国会 衆議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 小林かなえ君    理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君    理事 吉田  安君 理事 古屋 貞雄君    理事 井伊 誠一君 理事 花村 四郎君       押谷 富三君    野田 卯一君       林  信雄君    猪俣 浩三君       木原津與志君    木下  郁君  委員外出席者         参  考  人         (小学校教員) 長坂 重儀君         参  考  人         (無職)    綱島 和弘君         参  考  人         (弁護士)   近藤航一郎君         参  考  人         (農業)    石倉 右平君         参  考  人         (美容師)   三須喜美代君         参  考  人         (無職)    谷  千秋君         参  考  人         (国鉄職員)  秋山 重治君         参  考  人         (西本願寺富山         西別院輪番)  山本  英君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  法務行政に関連する保全経済会等特殊利殖機関  の調査に関する件     ―――――――――――――
  2. 小林錡

    小林委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関連する保全経済会等特殊利殖機関調査に関する件につきまして、昨日の委員会の決定に従い、ただいまから各参考人より本件をめぐるもろもろの事情説明、並びに体験された事実を聴取することにいたします。  議事進行について念のため申し上げます。参考人の方々は、御発言の前に私からいろいろ聞きますが、まず御身分または職業とお名前を御紹介願います。  なお衆議院規則の定めるところによりまして、発言の際はまず委員長の許可を得ることになつておりますから、御了承願います。  委員諸君に申し上げますが、便宜上私がきわめて概要を質問いたしまして、その後において皆さんからいろいろ御質疑を願いたいと思います。  また参考人委員に対して質疑をすることはできませんから、この点もあわせてお含みを願います。大体参考人は八人くらいになると思いますが、まだ来ておられぬ方もありますから、まず来ておられる方から順次お願いすることにいたします。  まず長坂重儀君にお願いいたします。住所、職業それからお名前年齢をお伺いいたします。
  3. 長坂重儀

    長坂参考人 私は山梨県北巨摩郡韮崎町二千三十九番地、長坂重儀といいます。職業学校職員でございまして、現在源小学校に勤めております。
  4. 小林錡

    小林委員長 小学校先生を今もやつておられるのですね。
  5. 長坂重儀

    長坂参考人 さようでございます。
  6. 小林錡

    小林委員長 年齢は幾つになられますか。
  7. 長坂重儀

    長坂参考人 四十六才でございます。
  8. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会に金を出されたことがありますか。
  9. 長坂重儀

    長坂参考人 あります。
  10. 小林錡

    小林委員長 いつごろ幾らくらい出しておられますか。
  11. 長坂重儀

    長坂参考人 最初韮崎保全経済会出張所ができましたのは今から三年前だと記憶いたしますけれども、その当時に五万ばかりやりました。それから順にふやしまして、現在四十万ばかりございます。
  12. 小林錡

    小林委員長 三年前といいますと、昭和二十五年ごろですか。
  13. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  14. 小林錡

    小林委員長 どういう動機で金を出すようになつたか、どういうつもりで出したのか、その事情をお話願います。
  15. 長坂重儀

    長坂参考人 私の隣にやはり少しくらいあそこの会にやつている人がありまして、その人の勧めによりまして、どうかと言いましたので、そこに行つて、なおその所長にもいろいろとお話を伺いましたところが、山梨県では平野議員もついていることだし、この会は発展途上にあつてなかなかしつかりした会で大丈夫だということで、私も少しくらいやる気に実はなつたのであります。
  16. 小林錡

    小林委員長 所長と言いますが、どこにある何という所で、それから所長名前はだれですが。
  17. 長坂重儀

    長坂参考人 韮崎町の本町一丁目に事務所がございます。
  18. 小林錡

    小林委員長 それは何という……。
  19. 長坂重儀

  20. 小林錡

    小林委員長 その所長は何という人ですか。
  21. 長坂重儀

    長坂参考人 当時は韮崎町出身の岩下寛文という人でございました。
  22. 小林錡

    小林委員長 それでその人からどういうふうに……。
  23. 長坂重儀

    長坂参考人 その人にいろいろ会事情を聞きましたところが、この会も発足以来発展するばかりで、将来性もあるから大丈夫心配するようなことはないというので、自分もそうだと思いまして、加入したわけであります。
  24. 小林錡

    小林委員長 保全経済会というのは一体どういうものだと聞いたのですか。
  25. 長坂重儀

    長坂参考人 匿名組合ということは聞きましたのですけれども、その匿名組合が商法の第何条に当つてつてということ、匿名組合というものが法的にどういうものであるかということは詳しくは知らなくて入りました。
  26. 小林錡

    小林委員長 匿名組合というものはどういうものかその所長に聞いたことはありますか。
  27. 長坂重儀

    長坂参考人 いいえ、あまり詳しくは聞かなくて、匿名組合という組合組織になつておるということだけは聞きました。
  28. 小林錡

    小林委員長 そうするとどういうものだと思いましたか。金を出せばどういう利益があると思いましたか。
  29. 長坂重儀

    長坂参考人 出資した額に応じての月々の配当が、銀行預金よりもはるかによく、しかも確実で安定性のあるところならその方がよいと思いまして所長勧めにもよりまして私も加入したわけです。
  30. 小林錡

    小林委員長 どうして利益をくれることが確実で大丈夫払つてもらえるというふうに思つたのですか。だれでもそういうことを普通言うけれども、なかなかそういう利益をしまいまで払つてくれないのが普通じやないですか。
  31. 長坂重儀

    長坂参考人 その会にもいろいろ前からの経歴を聞いたところが、だんたんにその会が発展して大きくなつて行くから、その会というものを別に不安に思い、不審に思つたのじやなくて、配当が定期の銀行預金よりもいいということで、私もそんなような考えで入りました。
  32. 小林錡

    小林委員長 定款を読んだのですか。定款を見せてもらいましたか。
  33. 長坂重儀

    長坂参考人 入つてその出資証を見たら、それの裏面に発行の日より責任を負うという条文が書いてございました。
  34. 小林錡

    小林委員長 定款といつても正しい定款じやないでしようが、そういうものを別に見たわけでもない、見せてくれと言つたわけでもないのですね。
  35. 長坂重儀

    長坂参考人 別にそういう深いことは知らなくて……。
  36. 小林錡

    小林委員長 一番初めに幾ら出したですか。
  37. 長坂重儀

    長坂参考人 五万だと思います。
  38. 小林錡

    小林委員長 初め五万、それを払つたときに何か書類でもくれたですか。
  39. 長坂重儀

    長坂参考人 出資した当時出資証をもらいまして……。
  40. 小林錡

    小林委員長 それにはどんなことが書いてあるのですか。
  41. 長坂重儀

    長坂参考人 期間は三箇月でありまして、毎月一回ずつ配当がもらえるということになつておりまして、三箇月たつて一応そこで打切るという場合には満期お金をくれる、それから継続する場合には証書を書きかえて行く、その間私の方で必要なときには満期お金をいただいたこともあります。
  42. 小林錡

    小林委員長 何かその出資証書のしまいの方に配当ですか、それをもらえるビラがついておつたようですね。
  43. 長坂重儀

    長坂参考人 そうです。配当券のようなものがついておりました。
  44. 小林錡

    小林委員長 そこに何か期間ごとに受取る額とそれから受取る日などが書き込んでありましたか。
  45. 長坂重儀

    長坂参考人 はい、日も書いてあります。それから配当額も記入してありました。
  46. 小林錡

    小林委員長 何枚ついておりましたか。
  47. 長坂重儀

    長坂参考人 三枚ついておりました。
  48. 小林錡

    小林委員長 三枚ともみな書いてありますか。
  49. 長坂重儀

    長坂参考人 みな書いあります。
  50. 小林錡

    小林委員長 そうすると必ずこの三枚はもらえるものだと思いましたか。普通はその期間が来なければ配当がもらえるかもらえないかわからないのだが、もうちやんと書いてあるのですね。
  51. 長坂重儀

    長坂参考人 そうです。その期日には配当をいただいておつたわけです。
  52. 小林錡

    小林委員長 それで必ずもらえるものだというように思つたですか。
  53. 長坂重儀

    長坂参考人 そういうことだつたです。
  54. 小林錡

    小林委員長 この金はやはり一つ銀行預金みたいなふうにあなたは考えておつたのですか。あるいは金を出して、資本を保全経済会の中心の伊藤なら伊藤という者に出してしまうという考えであつたのですか。
  55. 長坂重儀

    長坂参考人 いいえ、別に保全経済会そのもの出してしまうという考えでなくて、自分としては預金のようなつもりでやつてつて、しかも満期期間が三箇月でありますから、必要な場合には三箇月ごと満期解約になりますから、あまり長い間預けるというところじやないからと思いまして、別にその会に出すつもりではなくて、預金のようなつもりでやつておりました。
  56. 小林錡

    小林委員長 三箇月たつたならばいつでも払いもどしてもらえると思つてつたのですね。
  57. 長坂重儀

    長坂参考人 そうであります。
  58. 小林錡

    小林委員長 それで第一回のときには三箇月たつてどうしましたか。解約しに行つたですか。
  59. 長坂重儀

    長坂参考人 満期のときに、またあと三月やるかというような話もありまして、私もそのときにはさしあたつて必要でなかつたものですからずつと継続してやりました。
  60. 小林錡

    小林委員長 そうすると前の三箇月の利益は全部もらつたですか。
  61. 長坂重儀

    長坂参考人 はい。
  62. 小林錡

    小林委員長 それでますます信用したわけですね。
  63. 長坂重儀

    長坂参考人 はい。
  64. 小林錡

    小林委員長 その五万円はそのままにしておいたですか。さらに加えたですか。
  65. 長坂重儀

    長坂参考人 少しふやしました。
  66. 小林錡

    小林委員長 そのときに幾ら加えましたか。五万円の次に……。
  67. 長坂重儀

    長坂参考人 はつきり記憶がないです。
  68. 小林錡

    小林委員長 それからそういうふうに利益はずつともらつておりましたか。
  69. 長坂重儀

    長坂参考人 もらつておりました。
  70. 小林錡

    小林委員長 三月ごとに少しずつふやして行つたわけですか。
  71. 長坂重儀

    長坂参考人 そうです。
  72. 小林錡

    小林委員長 いつ四十万になつたですか。
  73. 長坂重儀

    長坂参考人 それはことしになつてからです。
  74. 小林錡

    小林委員長 ことしの何月ごろですか。
  75. 長坂重儀

    長坂参考人 七月ごろだと思います。
  76. 小林錡

    小林委員長 その金はみなあなたの月給ですか。
  77. 長坂重儀

    長坂参考人 自分不動産を少し整理したお金もありまして、その方と、それから月給の方はとても毎月というわけには行きませんから、半年とかあるいは一年たつたところでまとまつた金が出た場合に、銀行に預けるということでなくそちらの方に入れたわけであります。
  78. 小林錡

    小林委員長 銀行へ預けておくよりも利回りもいいし、大丈夫だと思つたから預けたのですね。それにはボーナスとかいうものも入つているのですか。
  79. 長坂重儀

    長坂参考人 入つております。
  80. 小林錡

    小林委員長 そうするとこれが大丈夫つぶれることもない、いつもこういう利益がもらえるものだと信じたところの一番の基礎はどういう点ですか。そういうものがあつてもときどきつぶれてしまうというようなことは、あなたは先生として考えられるでしよう。それを深く信用したというのはどういうことが原因ですか。簡単でいいですから理由を言つてください。
  81. 長坂重儀

    長坂参考人 ……。
  82. 小林錡

    小林委員長 伊藤という人を知つていますか。
  83. 長坂重儀

    長坂参考人 本人と会つたことはありませんが、話だけは聞いておりました。
  84. 小林錡

    小林委員長 どういうふうに聞いておりましたか。
  85. 長坂重儀

    長坂参考人 ……。
  86. 小林錡

    小林委員長 どういう点でそれを信用したかということを言つてもらいたい。そういうものに不安の念を起しませんでしたか。
  87. 長坂重儀

    長坂参考人 別に起しませんでした。
  88. 小林錡

    小林委員長 預けておけばきつと払つてもらえるものだと思つていたわけですね。ああいう仕事をやるものがつぶれたらどうなりますか。
  89. 長坂重儀

    長坂参考人 そういう法的のことは詳しく知らなくて、まあこの会はだんだん大きくなつて発展して行くからということでやつたわけです。
  90. 小林錡

    小林委員長 だんだん大きくなつて発展して行くからということは、あなたが人から聞いたのか、それともあなたが考えたことですか。
  91. 長坂重儀

  92. 小林錡

    小林委員長 どういうことを言つたのですか。
  93. 長坂重儀

    長坂参考人 近いうちに銀行組織にするとかいうことを言いました。もう国家的に大きな一つ経済援助を受けておる事業会社であつて、絶対に破産するというようなことはないという話もされたし、私としても一応そう考えておりました。
  94. 小林錡

    小林委員長 国家が援護するということを言つたのですね。
  95. 長坂重儀

    長坂参考人 そういうことではなく、国家的な経済事業の一翼をになうというと大げさになりますけれども、保全経済会という存在は日本の経済界にも認められておるという話もたびたび聞きまして、また最近やめられました土屋という所長になつてから、ますますそのことを力説されたものですから、私としてもこういうことになるということは全然ゆめにも知らなかつたわけでございます。所長の言うことですから、みんなたいへん信用しておつたようです。
  96. 小林錡

    小林委員長 土屋何という人ですか。
  97. 長坂重儀

    長坂参考人 敬光という人です。
  98. 小林錡

    小林委員長 今もその人は所長をやつておりますか。
  99. 長坂重儀

    長坂参考人 その人はことしの八月をもつて一身上の都合でやめましたけれども、その人も相当出資をしておりました。
  100. 小林錡

    小林委員長 あなたの近所に出資をしておる人はたくさんありましたか。
  101. 長坂重儀

    長坂参考人 あります。
  102. 小林錡

    小林委員長 どのくらいかわかりますか。
  103. 長坂重儀

    長坂参考人 六、七人あります。
  104. 小林錡

    小林委員長 百姓や学校先生みたいな人ですか。
  105. 長坂重儀

    長坂参考人 おもに農家の人です。
  106. 小林錡

    小林委員長 その後あなたはこの保全経済会が休業したということを知りましたか。
  107. 長坂重儀

    長坂参考人 ラジオで放送になるまでは全然知らなかつたわけです。
  108. 小林錡

    小林委員長 保全経済会に交渉したことがありますか。
  109. 長坂重儀

    長坂参考人 いいえ別にございません。出張所の方へは再三交渉して会の様子を聞いております。
  110. 小林錡

    小林委員長 それではあなたは出した金は一文ももらつていないのですね。
  111. 長坂重儀

    長坂参考人 利益だけもらつています。
  112. 小林錡

    小林委員長 利益は合算してどのくらいになりましたか。
  113. 長坂重儀

    長坂参考人 計算していませんので今ちよつと記憶がありません。
  114. 小林錡

    小林委員長 あなたの生活状態は楽ですか。失礼ですが、月給はどのくらいもらつていますか。
  115. 長坂重儀

    長坂参考人 大体最低生活をやつていると思つています。俸給の方も大したことはありません。手取り二万円くらいです。
  116. 小林錡

    小林委員長 返してもらえなくなつたらどうしますか。
  117. 長坂重儀

    長坂参考人 給料の方で何とかやつて行けるとは思いますけれども……。
  118. 小林錡

    小林委員長 こういうことになつた今の感想はどうですか。
  119. 長坂重儀

    長坂参考人 まあ非常に打撃を受けた心持でおります。
  120. 小林錡

    小林委員長 今まであなたが思つてつたことと大分違うわけですか。
  121. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  122. 小林錡

    小林委員長 保全経済会が正当の仕事をやつて来ておつたと思いますか。こうしてくれればよかつたとか、こうしてくれなかつたからこうなつたのだという感じはありませんか。
  123. 長坂重儀

    長坂参考人 法的に匿名組合組織というものが一応責任は免れることは今わかりましたけれども、それは法律的のものであつて、道義的に見まして、その証書にもある通り、そういうことは個人と会社とが契約を結んだ場合に責任を負うという証書が発行されている以上は、会と自分という関係はあくまでもあるということで整理してもらいたいという考えを持つております。
  124. 小林錡

    小林委員長 私一人だけで聞いては悪いから皆さんより聞きます、古屋委員
  125. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 伊藤斗福という人はどういう人かということが、勧誘するときに説明がありましたか。
  126. 長坂重儀

    長坂参考人 理事長のことは別になかつたのでございます。
  127. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どういうふうな営業をしているというような営業の具体的な説明がありましたか。
  128. 長坂重儀

    長坂参考人 それは大体ありました。
  129. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どんなふうな説明ですか。
  130. 長坂重儀

    長坂参考人 投資事業であつて、株をやつたりある事業の方に投資しておるものだということを聞きました。
  131. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 事業投資というようなわけですね。それから相当な信用を持つてつたようですが、勧誘する場合に何か印刷物のようなものを持つて来て勧誘していませんか。
  132. 長坂重儀

    長坂参考人 それはよく新聞の折込みあるいは新聞広告欄に出ておりました。私が直接入つたのは、すぐ隣の者が入つて、あそこはいいと言われたので所長のところに行つて話を聞いてみましたら、隣の入つた人言つた通りにその所長の話が合いましたからそれで入つたのです。それからずつと三年何箇月というものは順調に来て、満期ごとに必要な場合には今まで下げてもらいました。
  133. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると隣の人というのは岩下寛文ですか。
  134. 長坂重儀

    長坂参考人 その人はちよつと離れておりまして、すぐ隣というのは自分の同じ班の人であります。
  135. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 隣の者が先に金を出しておつて、その説明があつたから出したので、伊藤斗福という人の人柄も営業内容も詳しいことは知らないということですか。
  136. 長坂重儀

    長坂参考人 そのことは知らない。
  137. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それからただいま不動産を整理した金を出したと言われたが、どういうような不動産でございますか。
  138. 長坂重儀

    長坂参考人 私少し貸家を持つておりまして、その方を少し整理いたしました。
  139. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 貸家を持つてつたので、その貸家を整理した金を入れたのですね。
  140. 長坂重儀

    長坂参考人 そうです。預金より少しいいと思つて自分も少し欲を出したからいけないと思います。
  141. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 現在の経済事情社会通念から考えますと、必ず月に二分というような莫大な利益を株に投資するようなことでは得られない。それから相当な人件費も支払わなければならないというようなことをわれわれ考えますと、実際上二割以上の利益を得て確実にその利益配当してくれるというようなことは考えられないのです。相当大事な金らしいですから信用がなければ出さないと思う。ただ隣の方がやつてつたからいいとか、あるいは知つておる人が勧誘したから出すというような問題でなくて、今委員長からお聞きしたのにはつきり答えがなかつたのですが、あなたがお出しになつた四十万、これは莫大な金なんですが、これをお出しになる信用基礎はどこにあつたのですか。これだけの金をお預けになつて銀行預金よりもいい預金であるというならば、銀行よりも信用のできる基礎かなくちやならね、その基礎をあなたはどこに求めておつたのですか。
  142. 長坂重儀

    長坂参考人 所長説明によると、顧問には中野という衆議院の方もついておるし、それからとにかくこの会はだんだん発展して大きくなるばかりだから大丈夫だ、決して心配のあるようなことはないから――親戚なんかで往往中傷的なことを言つてつた人もありましたけれども、私としては、所長も、自分もやつておるから、どうかやらぬか、銀行よりもいいからやつてくれというので、そこで自分でも一応やつてもいいという考えが起きましたわけです。
  143. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、平野さんという衆議院の方もいらつしやるし所長説明では、だんだん大きくなつて来ておる、つぶれないというようなことが信用基礎になつたわけですね。
  144. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  145. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこでだだ大きくなつて行くということについての何か材料、新聞であるとか、印刷物出してあなたに説明されたのでしようか。
  146. 長坂重儀

    長坂参考人 出張所の方へ行きまして配当をもらうたびに会の話が出るのでございます。所長宣伝かたがた配当をもらいに来た人、あるいは満期解約する人に対して会の様子を話すのでございます。
  147. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 所長さんはどなたです。
  148. 長坂重儀

    長坂参考人 今まで二人で、今度は三人目ですけれども……。
  149. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 最初岩下寛文言つておりましたね。
  150. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  151. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そしてやめた土屋敬光あとの一人はどなたです。
  152. 長坂重儀

    長坂参考人 三人目の現在の所長小泉只雄という人です。
  153. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたが記憶になつておる具体的なことを今ここで――どういうような勧誘したのか、ただ大きくなつて行くのだからということだつたのか、それともかようしかじかに大きくなつておるということの説明つたのですか。
  154. 長坂重儀

    長坂参考人 こういうことを言われました。前所長土屋さんも言いましたが、保全経済会は、万一の場合の保証金として、いわゆる準備金というようなものを日本銀行当座の方へ預金してあるから、全国の出資者が一度に解約するということは一応思えないし、少しくらいの解約があつても、そこでもつて支払えるからということをいつも所長も言われましたものですから――その銀行預金当座は見ぜてもらつたわけではないのですけれども、どの所長もそういうことを口広く言うものですから、それを信用しておつたのです。
  155. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうするといろいろと勧誘したけれども、その中の主たるものは、保全経済会日本銀行保証金を預けてある、であるからわずかばかりの人が解約を申し込んで取付を食つても決して困らないような状態になつておる、だから確実だということを話されたので、それで信用しておつた、こういうことなんですか。
  156. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  157. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それからなおあなたの付近で人数であなたの知つておるのでどのくらい金を出しておるのか。
  158. 長坂重儀

    長坂参考人 三十万か四十万だと思います。
  159. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 いや、人数です。
  160. 長坂重儀

    長坂参考人 七人ばかりです。
  161. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それからそれらの知つている方たちがいよいよ満期になつたから出した金を返してもらいたいというのでもらいに行つたんだけれども、言を左右にして、大丈夫だというようなことでなかなか返してくれない、今あなたがおつしやつたようなことを言うて現金を返しておらない、こういうようなことは知つておりませんか。
  162. 長坂重儀

    長坂参考人 そういうことは別に聞きませんでした。
  163. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたの知つております人の中で、三箇月の満期が来て元金を返してもらつた人は知つておりますか。
  164. 長坂重儀

    長坂参考人 知つております。
  165. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どのくらいあります。
  166. 長坂重儀

    長坂参考人 三人ばかりおります。
  167. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その後その人は預金をしないようになつたのですか。
  168. 長坂重儀

    長坂参考人 その人はやりませんでした。
  169. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 もう一つは、最近休業してから後に、あなたのところへ何か出張所の方から弁明か説明か、それとも文書か何か行つておりませんか。
  170. 長坂重儀

    長坂参考人 通知を受けました。
  171. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その通知はどういう内容になつておりますか。
  172. 長坂重儀

    長坂参考人 今会の営業の方がまずいから臨時に休業する。またある期間を置いて再開の見通しがつくまで一時休業するということで、それも国会の方へ何だか呼びかけて立法化する、法制化するといいますか、そういうふうに今交渉しているからというような通知を受けました。
  173. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、国会の方に呼びかけておるというのは、これに対する善後措置ですか、立法化するというのですか。
  174. 長坂重儀

    長坂参考人 応急の善後処置ということでしよう。
  175. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その書いたものを持つていませんか。
  176. 長坂重儀

    長坂参考人 持つて来なかつたのです。
  177. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 要点は、国会の方に呼びかけてやつてもらうというのか、呼びかけてやりつつあるというのか、どつちのことですか。
  178. 長坂重儀

    長坂参考人 やりつつあるということです。そうして三月間くらいの間に見通しを何とかつけるから待つてくれというような通知です。
  179. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 すでに呼びかけつつある。三箇月たてば見通しがつくから、その間待つてくれ、こういうことですね。
  180. 長坂重儀

    長坂参考人 そう言つております。
  181. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ほかにはございませんか。
  182. 長坂重儀

    長坂参考人 すぐ隣が事務所ですから、通知を受取る前にラヂオで聞きましたので初めて気がついたのですが、すぐその足で飛んで行つていろいろ会様子を聞いたのです。その当時、出張所長東海総支店長会議か何かへ行つておりまして、帰つて来てからもその人から聞きましたが、今解約する人が多くて、全然出資する人がないから、欠損が小さいうちに休業して何とか挽回策を講ずるまで一時待つてくれ、総支店長会議の結果そうなつたということを、所長自身からも聞きましたし、その後私が聞いたような通知が来ました。
  183. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこであなたは、所長が言うた日本銀行預金しておるから、少しくらい取付があつても困らぬというような話に裏切られたのですね。それについてあなたはどんなにお考えになりましたか。
  184. 長坂重儀

    長坂参考人 再開できるまで少し待つてくれというだけで、待つてくれというのは十月二十四日以降ですから、十日ばかりたつたのですけれども、待つよりほかないと思います。会の不動産の明細書も通知と一緒に書いてよこしました。
  185. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 もう一つは、これは私お確かめするのですが、伊藤斗福さんという人の人格並びに力量、営業内容を信じて金を出されたのでなくして、銀行預金よりもいいから、相当な名士の方たちもついていることだから、なお日本銀行保証金も納めておるという話があつたから、それを信用してあなたは伊藤斗福という人の営業のための資本金として出したのでなくして、預け金として出したんだ、要約すればこういうふうにあなたがおつしやつていますが、間違いありませんか。
  186. 長坂重儀

    長坂参考人 そうです。
  187. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 今はどんなお考えを持つていますか。だまされたと思つているのですか、それとも自分が不覚だつた思つているのか、あなたのお考えはどうですか。
  188. 長坂重儀

    長坂参考人 会の方で何とか見通しのつくまで待つてくれというので、倒されたとは自分でも思つておりません。なお会には不動産があるという明細書までつけて通知をよこしたものですから、それが事実とすれば、最悪の場合にはそれを整理すれば幾分なりとも返つて来るというような考えを持つております。
  189. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 幾分なりということになると、現金はみなはもらえないことになりますね。
  190. 長坂重儀

    長坂参考人 もらえた方がけつこうですけれども、全部もらえなくても、幾分なりとも返つて来ることが、不動産の整理の面から言うとできるはずになつております。それが事実とすれば幾らか返つて来ると思つております。
  191. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたはだまされたと思つておりませんか。甘い口車に乗せられて自分はどうも不覚だつたというお考えはありませんか、それを聞いておるのです。
  192. 長坂重儀

    長坂参考人 別に倒されたとは思つておりません。
  193. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 だまされたと思つていないのですか。
  194. 長坂重儀

    長坂参考人 はい。
  195. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたは不覚だつたというようなことは考えませんか。最初所長の言われたことと、あなたの今のそういうような現実とは結果がまるきり違つておりますね。あなたは、出した金を全部もらえて、そして月二分の利益をもらえると信じて出したのでしよう。それが幾分しかもらえないようになつた。あなたがだまされたのか向うでだましたのか、どつちが不注意だつたのか……。
  196. 長坂重儀

    長坂参考人 通知によると、見通しがつくまで待つてくれというのです。最悪の場合のことを付記してありますが、それが、事実今後そうなつた場合に、通知通りでないとすれば自分はほんとうにだまされたと思いますが、今のところ半信半疑のような状態です。
  197. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 要するに、国会の方へ働きかけてずつとやつておるので、しばらく待てば何とかなるということならば何でもないのだという考えを持つておるわけですね。
  198. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  199. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 以上で終りました。
  200. 小林錡

    小林委員長 花村四郎君。
  201. 花村四郎

    ○花村委員 保全経済会の性格が匿名組合であることは承知しておつたという話でしたね。
  202. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  203. 花村四郎

    ○花村委員 匿名組合というものがどういう性格の組合であるかということは知つていたのですか知らなかつたのですか。
  204. 長坂重儀

    長坂参考人 知らなかつたのです。
  205. 花村四郎

    ○花村委員 どういうものであるかをだれかに聞いてもみなかつたのですか。
  206. 長坂重儀

    長坂参考人 それが、自分はあまりそういうことを研究というか関心を持たなかつたものですから……。
  207. 花村四郎

    ○花村委員 それからあなたの預けた金が五万円から三十万円という莫大な金で、しかもそれが財産の整理をした貴重な金なんだから、それを預けるにはやはりその匿名組合というものがどういうものであるかを何人かに聞いてみる必要があつたんじやないですか。
  208. 長坂重儀

    長坂参考人 自分が不覚だつたのですけれども、必要は十分あつたと思います。
  209. 花村四郎

    ○花村委員 そうするとそれはただいちずに所長のうまい言葉だけを信じて入つた、こういうわけですね。
  210. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  211. 花村四郎

    ○花村委員 それで、所長勧められたときに、あるいはその他の広告等も見たでしようがそのときに、その所長以外のだれか物知りに、こういう保全経済会というよい金融機関がある、それへ入ろうと思うが、どういうものだと言うて聞いても見なかつたのですか、相談もして見なかつたのですか。
  212. 長坂重儀

    長坂参考人 別に相談もして見なかつたのです。
  213. 花村四郎

    ○花村委員 あなたも少しどうもうかつだつだですね。それから保全経済会理事長をやつております伊藤斗福という人、これはあなたがさつき、どういう人だかよくは知らないが、また会つたこともないが、話には聞いておる、こういうことを申しましたが、話に理事長のどういうことを聞いたのですか。
  214. 長坂重儀

    長坂参考人 一昨年だか昨年だか、アメリカへ理事長が視察に行つて来て、アメリカにはそういう組織――会社というようなものがあつて、それを見て来たという話。それから、初めは関西で仏教保全経済会というものが発足であつたとかいうことを聞いて、伊藤理事長の人物そのもの、経歴は別に聞かなかつたのです。
  215. 花村四郎

    ○花村委員 経済的方面においては相当な手腕力量を持つた人であるように聞いたのですね。
  216. 長坂重儀

    長坂参考人 それは聞きました。
  217. 花村四郎

    ○花村委員 それから、あなたが入られたときに、金を五万円払い込んで出資証をもらつた、こういうのでしよう。
  218. 長坂重儀

    長坂参考人 はい。
  219. 花村四郎

    ○花村委員 それで、あなたは入るときに、匿名組合であつて預金をする考えで金を出したのだと言われたのですが、そうすると、そのときの金の受領書が預金証であるならばあなたの考えとぴつたり合うわけだが、出資証ということになると、これは預金証とは違うわけですね。そこにふしぎを持つて、その出資証をよく研究して、預金する意思のあるにもかかわらず出資証をもらつておいて、はたしてそれでよいのであるかというところまで考えなかつたのですか。
  220. 長坂重儀

    長坂参考人 その出資証を受取つたときに、これは自分考えと一応違うと思いました。しかし、その出資証の発行と同時にその期間中の責任を負うというような条文もありまして、三月間のことですから、私もまあそれじや入つてしまつた以上しようがないと思いました。三月たつたときに、いつも解約するかあるいは継続するかということを所長から聞かれたのです。それで、満期になつてから必要ならば解約するということになり、向うも満期の場合には一応渡すからということで、私ども必要なときにはもらつておりましたけれども、必要以外のときには三月で回収できるものですから、一応続けておりました。出資預金と全然根本から違いますけれども、その責任を負うという条文が載つておりましたものですから……。三月間絶対責任を負うということを確かに書いておりました、匿名組合は、法的にこれは免れるものだということを知つておれば、今の知識を持つておれば、だれが何と勧めようと全然入るものじやなかつたのです。その当時は深く知らなかつたものですから……。
  221. 花村四郎

    ○花村委員 あなたが金を出したのは、銀行預金よりもより多くの配当が受けられるということで金をお出しになつたのだが、これは利益のことを考えたのですね。その配当を受けるという利益のことを考える反面において、もしその保全経済会が損をしてつぶれた場合には、その損金はあなたが負担するのであるというようなことまで考えなかつたか、あるいは知らなかつたか、どうですそれは。
  222. 長坂重儀

    長坂参考人 ラジオで放送になるまでは、会社が破産した場合には自分が損害をこうむる、犠牲になるということは毛頭知らないでおりました。
  223. 花村四郎

    ○花村委員 知らないのですね。それからあなたが入つてから、ラジオや新聞いろいろ会社の組織内容あるいは営業状態等について宣伝をやつておりましたね。それを見たり聞いたりしたことがありますか。
  224. 長坂重儀

    長坂参考人 別に見たことはないですが、聞いてはおおりました。
  225. 花村四郎

    ○花村委員 それから先ほど顧問の話が出ましたが、平野議員ですね。そのほかにも顧問の名前が連なつておるのですが、この顧問の人々の名前に、何と申しますか魅力があつて信用したという節も多分にあるようにも思われるのですが、その点はどうですか。
  226. 長坂重儀

    長坂参考人 もう一人の顧問の方はよく存じませんでしたが、平野議員の話は最初から知つておりました。最初岩下さんからそういう話で――今も岩下さんとは同じ町内ですからときどき会つて話も伺つております。
  227. 花村四郎

    ○花村委員 それからこの保全経済会がさらに仏教保全経済会というものをつくつて、東、西本願寺の仏教に何か関係のあるようなことを宣伝しておつたのですが、それは御承知ありませんか。
  228. 長坂重儀

    長坂参考人 普通の保全経済会ともう一つ、寺の関係の方たちが入る場合には仏教保全経済会の組織の方へ入るというような、簡単な話しか聞いておりませんでした。
  229. 花村四郎

    ○花村委員 もう一点最後に――保全経済会がだんだん悪くなつて来て十数億円の赤字を出すようになつて傾いて来たということは、閉鎖をするまでは知られなかつたのですか。
  230. 長坂重儀

    長坂参考人 全然知りませんでした。
  231. 花村四郎

    ○花村委員 閉鎖になつて初めて知つたのですね。
  232. 長坂重儀

    長坂参考人 そうであります。実はあの二十四日の日にも、少し持つていたものですから、ラジオを聞きましてそんなような状態だとはゆめにも知らなかつたのです。
  233. 花村四郎

    ○花村委員 私の質問はこれで終ります。
  234. 小林錡

    小林委員長 猪俣浩三君。
  235. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 皆さんの質問で大分明らかになりましたから私はごく簡単にお尋ねしたいと思いますが、あなたがこれに出資するようになりました動機は、新聞広告か何か見てあなたから進んで出張所長である岩下のところへ相談に行つたのか、あるいは岩下あたりから外交的にあなたが勧められて入つたのか、どちらでありますか。
  236. 長坂重儀

    長坂参考人 私も早川という人の勧めによつて、一応それでは事務所の方へ行つて聞いてみようと思つて、その話を聞いた数日後だつたかと思いますが、行つて会の様子を聞いてみましたところが、隣りの人も入つているし、入つていた人の話と大体同じでございましたから、ついその会がいいと思いまして、私も入りました。
  237. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたがこの保全経済会信用された根拠につきましては各委員の質問で明らかになりましたがなおお確かめしたいと思うことは、あなたは平野力三氏と同じ選挙区ですか、違うのですか。
  238. 長坂重儀

    長坂参考人 違います。     〔「全県一区だ」と呼ぶ者あり〕
  239. 長坂重儀

    長坂参考人 間違いました、同じ選挙区です。同郷かということを聞かれたと思いまして……。
  240. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それでは同じわけですね。平野力三氏についてはあなたよくその名前や政治上の地位を御存じのはずですね。
  241. 長坂重儀

    長坂参考人 あまり詳しくは存じません。普通常識的には知つております。
  242. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そこで平野さんが顧問をやつておるということが、あなたがこの保全経済会というものを信用された一つの点であるように承るのですが、その他なおあなたが入るときか、あるいはこの保全経済会ががたがたしたあとからでもいいが、この保全経済会には相当の政治家がみな応援し関係しているのだから心配がないのだというような話を聞いたことはありませんか。
  243. 長坂重儀

    長坂参考人 聞いたことはあります。
  244. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その内容について具体的に言つてください。どういう話を関係者があなたに聞かしておりましたか。
  245. 長坂重儀

    長坂参考人 最初加入する当時にも、平野さんがついておるとか、そして顧問という格から言つてもその会の監督管理というような立場にある方だから相談役といいますか、あまり詳しいことは聞かなかつたのですけれども顧問という役はいつも相談役をやつておるのだというようなことで、別に詳しいことは知らなかつたのです。
  246. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、平野さんが顧問として監督するのだろうと思つてつたということはわかりましたが、その他相当の政治家がこれに関係しておられるようなことを聞いたと今言うのだが、それは具体的な話がなかつたですか。
  247. 長坂重儀

    長坂参考人 別に具体的なことは聞きませんでした。
  248. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 平野さんのほかにどういう話があつたのですか。その政治家というか役人というか、あれは日本銀行がついておる、あるいは大蔵省がついておる、そんな話はなかつたですか。
  249. 長坂重儀

    長坂参考人 そういう政治家がついておるという話だけは聞いたのですがそれ以上の話は聞きませんでした。
  250. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 相当の政治家がついておるという話だけは聞いた……。だれがそういう話をしたですか。
  251. 長坂重儀

    長坂参考人 今はつきり記憶にございません。
  252. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この保全経済会出張所長じやないですか。
  253. 長坂重儀

    長坂参考人 そうじやありません。出資者の一人です。
  254. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 出資者の一人がそういう話をあなたに聞かしておつたのですか。
  255. 長坂重儀

    長坂参考人 そうです。
  256. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この事件が起る前かあるいは起つてからか、保全経済会内容について、あるいは将来自分たちの預金がどうなるかについて、あなたの方の選挙区から出ている平野さんあるいは平野さんの関係の人たちに、何か聞きに行つたことはありませんか。
  257. 長坂重儀

    長坂参考人 別にありません。
  258. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたの知つている人で行つた人はありませんか。
  259. 長坂重儀

    長坂参考人 ありません。
  260. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 ではこれで終ります。
  261. 小林錡

    小林委員長 鍛冶良作君。
  262. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどから聞いておりますと、あなたは入るときには出張所長の言葉を信じて入つたので、大して事業内容及び詳しいことは知らなかつた、こういうお話でしたが、現在閉鎖してから相当あなたも関心を持つて内容を研究するようになられたろうと思いますが、今は大分事情がわかつておりませんか。
  263. 長坂重儀

    長坂参考人 何だか出張所員の話では、十二月中旬ころになつたら、国会の方で取上げていただいて何とか見通しがつくのではないかということを聞いておる程度です。
  264. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞きたいのは、仕事は実際にこういうものをやつている、財産はこういうふうに持つておる、それから日本銀行準備金を積み立てておる、こう言つてつたのが、実際にあつたかないか、そういうようなことをお調べになりそうなものだが、調べておりませんか。
  265. 長坂重儀

    長坂参考人 そこまで調べておりません。
  266. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞きたいのは、今のあなたの経済会に対する知識と、入られたときの考えと相当相違があるだろうと思う。その相違があるかないか、あつたらどういう点か、こういうことをお聞きしたいのです。
  267. 長坂重儀

    長坂参考人 匿名組合法というものがいよいよもの言うときになれば、これはどうにもならないのでしようから、全然違つたと思います。人情とか義理とかいう面から言えば、相手に何とかしてやらなければならぬ。しかし法的に言うと万やむを得ない。自分の入つたときのことを考えて、今になつて全然後悔しておるのです。これは人情問題でありまして、法的に言うとどうにもよりどころがない、頼みどころがないわけです。
  268. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今そういう感じになつておりますか。
  269. 長坂重儀

    長坂参考人 はい。
  270. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると入つたときと今とではたいへんに考え方が違つておるわけですね。
  271. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  272. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこであなたはさつき、出張所長に、銀行組織に近い大きな事業会社で、国家的に金融の一役をになつておるのだ、こういうことを言われて信用した、こう言われたのだが、それはどういうことなのか。銀行的ということはあなたの今言う匿名組合と全然違うものだとあなたは信用しておられたのじやないですか。
  273. 長坂重儀

    長坂参考人 違うものだと思いました。匿名組合というものを私よく知りませんでしたが。銀行に十五億の保証金がいつも預けてあるからというので、その点を信用して、私非常に安心しておつたのです。一度にこんなに解約になるようなことがあるとは知らなかつたのです。
  274. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうするとあなたは匿名組合とは聞かされておるけれども、銀行組織のようなものだ、こう聞かされたから、匿名組合というものの内容を知らずに、銀行預金したと同じ考えでおつた、こう聞いてよろしゆうございますね。
  275. 長坂重儀

    長坂参考人 そうでございます。
  276. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それからその日本銀行へ預けておるということは事実かどうか、現在聞いてみたことはありませんか。
  277. 長坂重儀

    長坂参考人 通知あとの方に、明細書というものが印刷されていたと思いますけれども、それによるとあるのです。動産部、不動産部とわけまして動産部の方に何十億かあつた記憶しております。
  278. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 日本銀行預金ですか。
  279. 長坂重儀

    長坂参考人 いや日本銀行ではなくて動産として……。
  280. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 金と、物の財産とは違う。
  281. 長坂重儀

    長坂参考人 いや私の勘違いで、動産といえば金のことと解釈したのですけれども、不動産部と動産部とわけて明細に箇条書に書いてあつたように思います。
  282. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは日本銀行に積立金をしておるということを信用して入つたと言われたが、その信用のポイントが現在あるかないかを調べてみそうなものですが、調べてみないのですか。
  283. 長坂重儀

    長坂参考人 私きようわざわざ上京しましたものですから、ひまの許す限りは保全経済会の方へ伺つてよく様子を聞こうと思つております。なお日本銀行の方へ十五億円の保証金が預けてあると所長が言つたと申し上げましたが、それが現在はたしてあるかどうか、一応確かめたいと思つております。
  284. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは不動産を処分したと言われたのですが、それは不動産の処分が目的だつたのか。その方が利益だと思つたから処分せられたのではないのですか。
  285. 長坂重儀

    長坂参考人 それが全然そんなことを知らなくて、当時物価はすべて統制価格と申しますか、公定価格で、これはえらい大変な話になりますけれども、家賃はほとんど修理費に追われておりまして、一年中の家賃と税金とを比べた場合にほとんどただで貸しておるような状態でございましたから、親戚の勧めによつて、とにかくこれはお金にしておいたらいいだろうと私も考えまして相談もしましたけれども、少しばかりの貸家を持つてつたものですからそれを整理して、その金を保全経済会に入れるという前もつて考えで別にやつたのではございません、その後、金があるということは隣の人にもすぐわかることですから、先生、金を持つておるのなら、こういういいところがあるからひとつやつてみないか、こういうことで、別にその金を預けて利用しようとは思つておりませんでした。
  286. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから出張所長土屋敬光という人は一身上の都合でやめたというのですが、やめるときはその人の預金を引下げてやめたのですか、それともそのままにしてやめたのですか。
  287. 長坂重儀

    長坂参考人 それは私今になつて考えますと、一身上の都合ということでやめられましたので、別にその人が今まで出資したのを解約したかどうかという点は知らなかつたのであります。
  288. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今どうですか。
  289. 長坂重儀

    長坂参考人 今も聞いておりません。少し遠方の方ですから……。
  290. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の質問はこれで終ります。
  291. 小林錡

    小林委員長 それでは長坂さんどうも御苦労さんでした。――綱島和弘君。あなたの住所、職業年齢言つてください。
  292. 綱島和弘

    ○綱島参考人 向島須崎町百二十七番地。職業は現在無職。年は三十八であります。
  293. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会出資されておるそうですが、その出資するようになつた経路……
  294. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私が直接ではありません。
  295. 小林錡

    小林委員長 それから現在までに幾らくらい出資いたしましたか。
  296. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私の死にました家内がいたしまして、私はそれに対しては最初は全然関知しておりませんでした。その当時私は学校の教員をしておりまして……。
  297. 小林錡

    小林委員長 どこの学校の教員かちよつと言つてください。
  298. 綱島和弘

    ○綱島参考人 神戸の私立高等学校に奉職しておりました。そのころに家内が非常にからだが弱かつたものですから、私がそのうち学校をやめて、しばらくそばにおつてできる仕事をするから、療養でもした方がよかろうというわけで、私が夏休みの間家内を国に、長野の方に帰しました。その間に家内が私に無断で実は三十万円長野で投資しておりました。
  299. 小林錡

    小林委員長 長野のどこですか。
  300. 綱島和弘

    ○綱島参考人 松本でございます。
  301. 小林錡

    小林委員長 そうすると経済会の支所はどこになるのですか。
  302. 綱島和弘

    ○綱島参考人 長野市になつておりました。  それでその後私は知らないでおりましたところが、からだがよくなつたというて大阪に参りまして、大阪の病院に入院しておりましたが、そのときに私に、残つているお金があるのだが、それを保全経済会に預けようということを言いました。しかし預けるというのではなくてこれは投資じやないかと言えば、そうだということでありますから、いろいろと話を聞いてみましたら、家内の友人の夫というのが保全経済会に関係しているということを聞いたものですから、その人に一応会つてみたいと言うたところが、その人が関係しておるのではなくて、その人の友達が大阪の支店長かしておられたらしいのです。その方に会いたいと言えば、それなら今夜私のうちに来るからということで紹介してもらいまして、私のうちに、私西宮におりましたが、そのころに来られました。そのときにいろいろと話をしましたところが、保全経済会匿名組合だそうだが、定款か何かあるのではないかと言えば、それはあります、一応定款というものを見せてもらいたいと言えば、今持つて来ていないけれども、店の方に来てくれればある。あくる日でしたか、私の勤務先に来られまして、その定款を見せていただきました。それをいろいろ見せていただきましたところが、事実りつぱな経済会らしいものですから、私もそれを信じまして、お前はどうせからだが弱いのだから、ひとつすきなようにするがよかろう、十二月がちようど私のやめる時期になるし、そのころに金が入ればいいのだ、わずか三月ほどだからひつかけられることもなかろうということから、実はいろいろと内容を調べましたところが、まあ大丈夫だろう、たくさん経済会もあるが、保全経済会は特に内容が充実している、またしつかりしているメンバーがそろつているというところから、私は黙認したわけなんです。
  303. 小林錡

    小林委員長 そうするとあなたの奥さんが三十万円預けたのはいつごろですか。
  304. 綱島和弘

    ○綱島参考人 あれは今年の八月です。
  305. 小林錡

    小林委員長 それは奥さんが療養先の長野でやつたわけですね。
  306. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そうです。
  307. 小林錡

    小林委員長 三十万円という相当大きい金だが、奥さんはどうして持つていたのですか。
  308. 綱島和弘

    ○綱島参考人 実は母親が死にましたときに遺産がありまして……。
  309. 小林錡

    小林委員長 奥さんの母親ですか。
  310. 綱島和弘

    ○綱島参考人 いえ、私のです。私交は早く死にましたが、母親の遺産を、私が総領なものですから全部引取りまして、それでどうにかこうにか仕事をして行こう……。
  311. 小林錡

    小林委員長 三十万円ですか。
  312. 綱島和弘

    ○綱島参考人 三十万円ではないのです。その後また四十万円しました。それが翌月の九月です。
  313. 小林錡

    小林委員長 そうすると八月に三十万円、九月に四十万円預けたのですか。
  314. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そうです。
  315. 小林錡

    小林委員長 それはあなたがやつたのですか。
  316. 綱島和弘

    ○綱島参考人 いえ、家内です。
  317. 小林錡

    小林委員長 あなたにないしよでやつたのですか。
  318. 綱島和弘

    ○綱島参考人 黙認したのです。
  319. 小林錡

    小林委員長 それはどういうわけですか。
  320. 綱島和弘

    ○綱島参考人 かつてにせよということです。家内のへそくりというわけで半分ずつわけました。その金をわけて、お前がこれをすきなようにするがよかろう、子供がおるのだし、これはお前の自由にしたらよいというので……。
  321. 小林錡

    小林委員長 そのときにあなたが調べたわけですか。黙認する前に……。
  322. 綱島和弘

    ○綱島参考人 一応調べました。
  323. 小林錡

    小林委員長 どういうふうに信じたのですか。
  324. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは先ほども参考人の方が言われていましたが、平野力三氏や早稻田柳右エ門氏などが顧問になつておるし、彼らが第一線の名前に連なつておるものですから……。
  325. 小林錡

    小林委員長 連なつておるというのは、何か書いたものがあつたのですか。
  326. 綱島和弘

    ○綱島参考人 営業案内書の中にありますし、彼らの名前の上に絶対安全、絶対有利という一つの見出しがあるし、彼らはやたらに自分名前を出すことはおそらくなかろう。相当の見識のある方ですから、つまらぬことに自分名前を利用することは許されるものではないと思いまして、一応信じたわけです。平野力三、早稻田柳右エ門という方の御人格もいろいろの方面から聞いております。もちろん伊藤斗福という人に対しては、私は全然知らない人物ですから、その方に対しての云々じやなく、経済会そのものを信じて私は認めたわけです。
  327. 小林錡

    小林委員長 そうすると政治家が二人顧問になつているという点と、それから何ですか。
  328. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それと、かの社員の話によりますと、生産事業面に相当やつている。また生産事業面だけじやなく、株式方面にも相当投資している。入丸証券とかいろいろ聞いてみましたが、そういうふうにやつております。なお政府事業にも相当出しているような話も聞きます。
  329. 小林錡

    小林委員長 政府事業に出すということはどういうことですか。
  330. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私はあのときのことは漠然としてあまりはつきり覚えておりませんですが……。
  331. 小林錡

    小林委員長 あなたが信じた点を、長い時間聞けませんから、要点を言つてください。
  332. 綱島和弘

    ○綱島参考人 生産事業をやつているということは、事業面の方に投資しているということは聞いております。もちろん不動産の方にも投資しているということも聞いております。なお株式にも投資している。それから先ほど言われたようですが、政府預金も相当金額ある。なお奨学資金を相当出しているというようなことを聞いて、また広告にも営業案内書にも書いております。奨学資金とかそういうものは、まさかうそを書くということを平野さんも早稻田さんも認めるわけはないだろうという、すべての人物を信用したのが私の……。
  333. 小林錡

    小林委員長 利益配当は何分というのですか。
  334. 綱島和弘

    ○綱島参考人 現在月二分でございます。
  335. 小林錡

    小林委員長 あなたの期間は。
  336. 綱島和弘

    ○綱島参考人 三月でございます。
  337. 小林錡

    小林委員長 両方とも三月ですか。
  338. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そうでございます。
  339. 小林錡

    小林委員長 これは三十万口と四十万口と二口ですか。
  340. 綱島和弘

    ○綱島参考人 三十万は十五万二品、四十万も二口になつております。
  341. 小林錡

    小林委員長 利益配当は絶えず間違いなくもらいましたか。
  342. 綱島和弘

    ○綱島参考人 これはすえ置きの形になつておりまして、いまだにもらつておりません。三月後に利益配当を一緒にもらう。
  343. 小林錡

    小林委員長 利益配当を一文ももらわぬですか。
  344. 綱島和弘

    ○綱島参考人 はあ、一文ももらいません。
  345. 小林錡

    小林委員長 金を出したきりですね。
  346. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そうです。
  347. 小林錡

    小林委員長 うまいことを言つてみたつて、商売というものは、ことに株式なんかをやれば、一挙にしてまるで財産を失うこともある。株式を伊藤氏がやるとか、あるいは不動産に投資するということを聞いたつて、それはずいぶんあぶないものだということを考えなかつたのですか。倒れたらどうなる……。
  348. 綱島和弘

    ○綱島参考人 倒れるといつて、大体調べてみたのですが、あの内容を聞いてみますと、すでに十六万からの投資者もいる。金額にして四十六億ほどになつている。従つて政府としてもそう簡単に――そういうふうな匿名組合で、現在こうやつて怪しいものだということが初めてわかりましたが、それまではそんなに簡単に政府としてもほつておくわけに行かないだろう、大蔵省自体も相当監督しているだろうと、私は調べはしておりませんが、そういうふうに見ていたわけです。
  349. 小林錡

    小林委員長 保全経済会ではそう言つていますか。あんたがその考えたのですか。
  350. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私がそう考えた。保全経済会理事長からその後いろいろ聞いておりますが、その当時は全然そういうことを聞いておりません。
  351. 小林錡

    小林委員長 要点だけを聞いて行きましよう。休業前に伊藤斗福に会つたここはありますか。
  352. 綱島和弘

    ○綱島参考人 会いません。
  353. 小林錡

    小林委員長 その後は。
  354. 綱島和弘

    ○綱島参考人 二回会いました。
  355. 小林錡

    小林委員長 いつといつ。
  356. 綱島和弘

    ○綱島参考人 解散の翌々朝二十六日、彼が言明をしたその日に会いましたし……。
  357. 小林錡

    小林委員長 どういう話でした。
  358. 綱島和弘

    ○綱島参考人 その日彼は、いろいろとニユース班の方が来られているし、いろいろな方面でわれわれの面接を非常に拒みましたけれども、それに対して投資者の要求の面接だということで、投資者の方がたくさん集まつて哀願しておるし、またいろいろな事情を聞いておる。あまりに女の方が多いものですから、私たちもひとつ伊藤自身から聞かなかつたら、これは話がわからぬ彼らは非常に、企画部長だとかいろいろな連中がおるが、伊藤という人間に麻痺されたような中毒患者しかいないのだ、完全に本人から聞かなかつたらわからぬからひとつ会わせてくれ。彼は、ただ休業であつて解散でないから必ず皆さんの御期待に沿うということを言つておるのですが、それに対して根拠がはつきりわからないものですから、直接面接をしました。ところが彼は現在十五日間の猶予をもらえば何とかなるだろう。それまで皆さんの御期待に沿うようにベストを尽して行きたいからしばらくの間待つてくれというので、十五日間ということを約束しまして、実はこの日はわかれました。その後彼が言うたことと現在までやつた行為というものはすべて違う、事実に反しておることがわかつたものですからその後また面会を頼み、また祕書並びにここにも来ておられるようですが、一、二の方々にも面接に行きまして会いました。祕書の方にはしよつちゆう会つております。自宅にも私は参つたことがあります。
  359. 小林錡

    小林委員長 それでどういう内容を――あなたの言うことは、ちよつと空だが、伊藤斗福理事長がどういうふうに約束して、どういうふうに切り抜けると言つたのですか。
  360. 綱島和弘

    ○綱島参考人 結局立法法処置を持つということで彼は一にも二にもそれを言いたわけです。政府は何とか処置してくれるだろうというのかその日の彼の話でした。
  361. 小林錡

    小林委員長 それはどういう理由で政府が援助するというのですか。
  362. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは、理由というのが……。
  363. 小林錡

    小林委員長 どうするということは言わぬのですか。
  364. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは、実は非常にこの場合ここで言うことは何ですか。
  365. 小林錡

    小林委員長 あなたの聞いたままを言つたらどうですか。
  366. 綱島和弘

    ○綱島参考人 彼もなかなかそういう方面に対しての運動をしておるらしいのでございます。現在おとといも先おとといもやつたということを聞いております。そういうような彼独特のゼスチユアといいますかそういうものをその日に私たちにしたわけなんです。それで私たち投資者連中も純情なまた実際そういうようなことはあぶないということを知らずに信じるような投資者ですから、彼にしつかり頼む、よろしくお願いします、しつかり頼むぞといつてむしろ激励の言葉をもつて伊藤を送つたというようなナンセンスですらも私たち見て来ました。その後の彼のやつておる行為、また理事の連中のやつておる行為というものが非常に違つておるのであります。
  367. 小林錡

    小林委員長 あなたは投資者というのは女が多いと言われたが、女の人は非常に多いのですか。
  368. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私らが今集まりましたのが大体五、六十人でありますが、半数以上が婦人の方です。特にきようも出て来られるはずでしたが、このために発狂状態になつて、来られないという方が一人おられます。その方をぜひにと思いましたが、非常に哀れで、現在御主人が肺病で倒れておる、それを何とかして救いたいという私たちのあれで声が上つたのですが、本人ですらそういうような発狂状態にあるというようなことで、きよう残念ながらどうしても一緒に来られなかつたのですが、そういうような方も二、三私の方の連盟といいますか、投資者連盟の方にそういうような声が上つております。また女の方はないしよでやつておるというような方が非常に多いものですから、特に名前の方も言わないでくれというような方がたくさん来ておるのでありまして、現在私のところに五、六十人二、三日の間に二百人ぐらい集まる予定になつております。
  369. 小林錡

    小林委員長 そういう方はどこのところを信じておるのですか。匿名契約なんか調べているのですか、ただ普通の銀行へでも金を預けるような気になつておるのですか。
  370. 綱島和弘

    ○綱島参考人 結局銀行へ預けたような気持でいたんだろうと思います。
  371. 小林錡

    小林委員長 あなたはどうです。
  372. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私はそうじやないです。三月というのですから、まさか三月後に休業するとか、つぶれることは考えらないことでして、今まで数年やつておりますし、それが偶然に三月以前に当てはまつたので、これが来年になつてつたら元金ももどつて来、利息もとつて来られたと思います。三月後に休業するなど、またあす休業するなどということは私は想像もしておりませんですから、したわけでし信じておりました。
  373. 小林錡

    小林委員長 休業を声明したその前の日だとか、そのような非常に近いときに預けた金を出した人は大分ありますか、あなたが知つているうちで……。
  374. 綱島和弘

    ○綱島参考人 出した人は聞きませんが、私の方で前日まで契約した人はおられます。
  375. 小林錡

    小林委員長 契約して金を出していないのですか。
  376. 綱島和弘

    ○綱島参考人 金はもちろん納めております。休業の月になりまして契約しておられる人もたくさんおられます。きようも来ておられますが……。
  377. 小林錡

    小林委員長 前日などという人もおられますか。
  378. 綱島和弘

    ○綱島参考人 おられます。
  379. 小林錡

    小林委員長 あなたがこれを特に信用したというのはどういう点なのですか。あなたは相当教育のある人だから何かを信用しなければ……。
  380. 綱島和弘

    ○綱島参考人 生産事業の方面に相当出資しているというような内容を聞いたものですから、それで実際に調べて見ましたら、生産事業面に出資している会社はたつた一つ冨士航空があるだけで、ほかには全然してないことが休業後になつてわかりました。その間いろいろな金を出しておりますが、調べた範囲においてはそういうような状態で、私らに宣伝されたことと実際にあることは全然違つていることがわかつたのであります。
  381. 小林錡

    小林委員長 株の売買などやつておりましたようですね。
  382. 綱島和弘

    ○綱島参考人 株も相当やつていたらしいのですが。入丸証券がつぶれる原因はどこにあつたかということをいろいろ調査しましたところが、ありました。入丸にも相当出資をしておりる。また入丸自身も保全経済会には相当動かされたというような話も聞いております。相当株の方にも出したことは聞いております。現在株はどれだけ残つているかということははつきりわかりませんが、三流株が相当あるようなことは聞いております。
  383. 小林錡

    小林委員長 林君。
  384. 林信雄

    ○林(信)委員 あとの方から聞きますが、休業後に聞かれたことは、あるいはあなたの加入された――もちろん投資者でなくては御存じないでしようが、その際聞いたことで、最近の状況では期間が来て現金をとにかく一応返す、それがどうも渋りがちであつたというようなことを何かで言つているのですが、どうですか。
  385. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私はそれはよく聞きました。契約の満期が来て金を受取りに行つたら、待つてくれという。保全経済会の本部でそう言つて、いまだにもらつてない方が二、三おるようです。
  386. 林信雄

    ○林(信)委員 あなたの御存じになつたところでは、古い者はどのくらいのときから、そういうものがはつきり残つているのですか。
  387. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そのことは私はつきりいたしませんのです。わかりませんです。
  388. 林信雄

    ○林(信)委員 ごく最近の者が大体多いようですか。かなり古くから……。
  389. 綱島和弘

    ○綱島参考人 ごく最近の方が多いようです。
  390. 林信雄

    ○林(信)委員 今度は前の方に行きますが、あなたが入られるときに、理事長だれだれということをお聞きになつたのですか。
  391. 綱島和弘

    ○綱島参考人 いえ、聞きませんです。全然聞いておりませんです。理事長という人は全然知らないわけですから、名前も知らなかつた
  392. 林信雄

    ○林(信)委員 先刻マストミという名前が出ましたが、それは今では御存じになつている。伊藤斗福と書いてある、あれは伊藤マストミと読むのですか。
  393. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そうらしいです。
  394. 林信雄

    ○林(信)委員 本人から聞いたり、名刺なりに振りがながしてあるとかいうことではないのですか。
  395. 綱島和弘

    ○綱島参考人 名刺ももらつているのですが、斗福と書いてある。それをマストミと発音するかどうか私は知らないのです。
  396. 林信雄

    ○林(信)委員 理事長名前を聞かなくても、先刻からあなたの言われるようにいろいろな投資をして、そして利益を上げてそれを配当するのですから、だれかこれを運営する人があるということは御存じになつてつたのだろうと思いますし、少しりくつが入るかもしれませんが、それだけの投資を有利にするといえば、まあ財界人であるか、そういう投資に対するヴエテランであるか、適当なる力量手腕を有しなければならないということであると思うので、そういう点についてお考えになつてだれが一体中心になつておるだろうか、あるいは理事長という名前をお聞きにならなかつたとすれば、その他の理事を想像することは困難ですけれども、理事といつたような何か運営の機構がありまして、どういう連中がどうやつて運営して行くんだというようなことについてはお考えにならなかつたかどうか。及びならなかつたとすればそれは何に原因するか、たとえば言葉は悪いのだが、たいへんうまく説明せられるのですつかり思い込んでしまつて、それまでの考えが及ばなかつたのか、非常に自分考えがずさんであつた、あまり大まか過ぎて考えもしなかつた、調べもしなかつたということになるのか。これに関してお答えを願いたい。
  397. 綱島和弘

    ○綱島参考人 今の内容につきましては、実際おはずかしい話ですが、経済会の人物、機構そのものに対しましては、今申し上げたように知りませんでした。この理事制をしかれたのは定款にもありますが、休業わずか一、二箇月前に理事制をしいたのが現実でありましてそれまでは理事制というのがなかつたんで、理事長があつて理事か、または理事がなく自分が勝手に理事長になつておるのか、とにかく休業一、二箇月前に理事制がしかれたので、その前数年というものは実際理事長というのは名だけで理事というのはいなかつた。そういうこともおはずかしい話ですが、その当時は調べていなかつた。実際の話私が信じたのは斗福自身でなく彼が経済界の方で投資しておる事業面またその背後にいる方々を信じてやつたというだけにすぎないのであります。
  398. 林信雄

    ○林(信)委員 最初伊藤斗福名前は知らなかつたけれども、証券をもらつたらそれには名前が出ておりましたね。
  399. 綱島和弘

    ○綱島参考人 出ておりました。それには完全に名前が入つております。
  400. 林信雄

    ○林(信)委員 それに理事長という名前があつたから、他に理事があると考えておつた理事組織だと考えておつた、ところが最近調査したところによれば、理事制は休業する一、二箇月前につくつたものであつてそれ以前にはそういうものはなかつたということは、結局理事長伊藤斗福が単独で独裁的にやつていたんだ、こういうことがわかつたという意味なんですか。
  401. 綱島和弘

    ○綱島参考人 その通りであります。
  402. 林信雄

    ○林(信)委員 それからちよつと方面をかえますが、理事長伊藤斗福がアメリカに参りまして、二箇月ぐらい滞在して相当の金を使つたというようなことは、いつごろお聞きになつたのですか。これに関してあなたの知られた範囲、そういうくさりをひとつ……。
  403. 綱島和弘

    ○綱島参考人 アメリカに行つて幾ら金を使つたかということを私が聞き込みましたのは休業後でありまして、ある新聞を見まして、彼がアメリカに行つて七千万円金を使つた、しかも何に使つたかそれがはつきりわからないようなことなんですから……。伊藤斗福氏に面接を願つたときにこのことを私は聞きました。そうしたところが本人はそのことにつきましては何ら一言も触れなかつた。なおその後私は理事の方に聞きました。もちろん理事の方は実際面においては私もアメリカへ行つたわけじやなし、わからないんだということで、その回答に対しては拒んでおりますが、七千万円使つた、その七千万円も一体だれの金であつたかということも――本人がいろいろとよその方でもうけたり、競馬か何かでもうけたならあれですが、そういう形跡もなし、ただこれも投資者の投資金を持つて行つて彼の遊興費か、また個人の事業面の投資か、またよそに何か買い込んでおるかというくらいの程度にしか実際の話、私想像し得ません。七千万円という金がはたして出たか出ないかということは実際の話、私見たわけではありませんが、実際にその内面に直接携わつておるいろいろな方に聞きますと、七千万円というものには何らそこに間違いはないように思われたものですから……。これは再三聞いております。なおこれはついででありますから申し上げますが、彼が自家用のりつぱな自動車に乗つて、そして休業後も大阪に行つておりまして、二、三日前帰つて参りましたのですが、そういうふうな貴重な投資金を休業後において非常に彼は使つておる。アメリカに行つて七千万円使つたと彼は豪語した。その彼に対して、自分はどうも彼の真意がわからないということを理事の方に私は再三申し上げたのです。その後現在ですら保全経済会は毎月人件費が数千万円かかるというような状態だそうですが、その金も現在どういうふうになつて行くのか実際わからない。アメリカに行つた云々ということに対しては、確実なるあれはありませんですが、アメリカに行つたことは事実なんで、その間七千万円使つたという事実は実際の話はつきりはしておりません。
  404. 林信雄

    ○林(信)委員 簡単に聞きますが、伊藤は政界方面に金を使い、またどのくらい使つておるということをあなたは聞いたことはありませんか。
  405. 綱島和弘

    ○綱島参考人 その点につきましては本人から聞いたことは一度もありません。ただ自分相当な人間を知つておる、また実際に運動しておるからしばらくの間待つてくれということだけは聞いたことがあります。政界方面にどうということは、過去において彼が要人に相当ばらまいておるということを常に言うていたということは聞いたことがありますが、それ以外のことは全然知りません。
  406. 林信雄

    ○林(信)委員 最後に一点。ちよつと話は前にもどつたような話ですが、さつき投資者、人によつて預金者と言つても同じことでしようが、これらの契約者には女が多いということを言われましたが、女とかこういうことにあまり経験のない、もつと言えばいろいろ表現があると思いますが、とにかくある程度相手を選んで募集しておつたのではないかと思われるような点はお気づきありませんか。
  407. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そういう点は全然知りません。
  408. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつきから立法化々々々と言われるが、どういう立法だと聞いておられますか。
  409. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは今までの債権者に対して絶対に補償する、全額返すという立法じやないということは理事の方も言われている。実際に今後どういうふうにして行つたらいいかという今後の匿名組合に対してのあれで、今までのあれはどうのということは――ただ向うとしては投資者に対して今不動産が三十五億ほどあるが、その不動産は今度立法されたら政府で何とか善後策を講じてくれるのじやないかというようなことは聞いておりますが、立法そのものによつて今までの投資者全部が保護され、絶対心配ないということは経済会自身としても言つてないようであります。
  410. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ、政府の援助は必ずあるというのはどういう援助だと言いましたか。またあなた方はどういう援助があるものと思つておいでになりますか。
  411. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それが非常におもしろいことでして、政府の援助があると再三言うが、政府の援助というものは一体どういうところから出るのだ、また私が大蔵省に行き、またいろいろなところで聞いたところによると、全然援助しない、絶対しないということを言うておられるが、絶対しないと当局で言うておられるのに、あなたの方では何かあるというようなことを言われるが、一体どこを根拠として言うのかということをこの間も言いましたら、理事の方が言われておりました。いや予算でもないのだ、しかしどこかからあることを私はまだ希望を持つているということを言われる。そのどこかというのは一体何か、政府のどこから出るのか、政府のへそくりというやつがあるのかねと私が聞きましたところ、いや何かあると思うということをいつてはつきりしたことを言われなかつた。そこでもう一人の代表者がおりまして、あまりつつ込んで聞くものですから、私は幸いに伊藤さんは第三国人だ、きつと朝鮮の方から援助があるのだろうから、それを言うのだろう、そんなものは私は待つておれぬということを言うて、実は現在、四、五日前の話ですが、そういうふうに何かある、政府のどこかからの援助があるというようなことを言うておられる。どうもはつきり私にはわからない。絶対に信じてはおりませんが、彼はそういうことを阿片中毒にかかつておるように何度も繰返しておるように見受けられました。
  412. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、あなたはそういうことを信じられないが、ほかの人はそういうことを今でも信じておるのじやありませんか。われわれのところに何とか立法措置を講じてくれという電報がずいぶん来ておるのだか……。
  413. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それはけさも私聞きましたのですが、請願書をきよう出す、しかも関東支部においてそれを作成する。私はもつてのほかだと実は言いました。それはいろいろそこに裏面があるのじやないか。経済会自身で冷却期間というものを設けて、それにおいて、たとえば立法化してくれという請願を出す、そうすると期限がそれだけ延びる、その間に伊藤自身が何か方法をとる、そういうふうな経済会自身の一つの方法であつて、これはおそらくそういうふうに最初にだまされるような連中ばかりですから、その上また巧妙な方法で行くと、なお一層投資家というものは――政府の方に泣きつけば何とかしてくれるかもしれない、もう損しはしないということを最近盛んに――請願書とか何とかいうものは投資者の声ではなくして、実際経済会からの煽動の声だというふうに私はけさも聞いたわけでありまして、絶対に投資者自身というものは、そういうような請願書くらいのもので返つて来るということは私は信じはいたしません。
  414. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたが入会せられるときにいろいろなことを保全会の人があなたに言つたことと、今日になつてみて違つておる点はどういうところですか。
  415. 綱島和弘

    ○綱島参考人 最初は生産事業面に、先ほども申しましたようにいろいろ出しておる。それで奨学資金も出しておる。なお一流株を相当確保しておるというようなことを言うておりましたが、実際に調べてみましたら、生産事業面に出資しておるというものは一つか二つ、それも実際利益をあげておる会社には一つもしていない。むしろおかしなところにばかり投資をしておりまして、生産事業には出していない。そうして一流株というものは現在持つていない、皆無だというようなこともわかつて、また奨学資金がどのくらいの程度出ておるかというようなことは、現在のところは一人も聞いていない。この点は私としては非常にあいまいなところですが、出ていない状態ではなかろうか。今われわれの方で調べ上げておるのはそのくらいの程度であります。その点から見て最初の話と現在の話とは全然違う、完全にだまされたということがはつきりいたしておるわけであります。
  416. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 たとえば一流会社というのは、そのとき何か一流会社名前をあげましたか。たとえば三井とか三菱とか、そういう会社に投資をしておるというふうに言つたのですか。ただ漠然として一流会社に投資しておるからというような話があつたのですか。
  417. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そのことに対して私も七の当時聞きました。一流会社というのはどういう会社かといえば、私たちの会社自身がやつておるのだというふうに、実は今申し上げましたのですか、富士航空なんか特に私はそういうふうに聞きました。一流会社、たとえば三井、三菱なんかにも投資しているのか、ええ、もちろんですというようなことを勧誘された当時は聞きました。しかしそのことは私は実際には調べませんでした。
  418. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 あなたはこの保全会が休業声明を出す直前に解約行つたことがありますか。
  419. 綱島和弘

    ○綱島参考人 三日前、ちようど二十二日の日ですか、実は学校もやめたものですから、何か仕事をしたいということで個人で解約に行きましたところが満期も近いのですから――もちろんこの規則にもあるように、個人としては解約はできない、何か事業をするか、特別の理由があれば、解約してもよろしいというようなことを聞きましたものですから、実は私の友人と三人で共同仕事をするから解約してくれということを書きましたのです。そうして書いて吉永という男ですが、その男が東京に行くからこれを出して行こうということで、その男が行きまして三日目に休業になつたわけです。
  420. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると休業になる三日前に解約行つた。ところが解約満期まではしないことに出資者証券か何かに書いてあるのですか。それは今あなたの言つたことで解約する場合もあるような約束になつておるのですか、この点をもう一点……。
  421. 綱島和弘

    ○綱島参考人 これは個人の場合は絶対に途中解約はできないというような法をとつておるらしいですが、その裏にも書いておりますが、私の証書にも書いておりますが、事業をやつたり特別の事情がある場合はできるのだということは最初に書いております。
  422. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると三人なら三人で事業をやるという場合には解約をして金をもとしてやるという話があつたので、あなた三人の名前解約行つたところが、解約ができないという話ではなかつたのですね。どういうふうな話だつたのですか。
  423. 綱島和弘

    ○綱島参考人 解約はできるという回答でありました。それは私自身聞いたわけではありません。
  424. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると解約はできるけれども、一週間ぐらい待つてくれという話でしたか。
  425. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そうでございます。ちようどそのくらい待てば何とかなるだろうということでございました。
  426. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それからあなたは伊藤斗福に二回この休業声明を出してから会われた。そのときに、どういうふうにするのだ、われわれの債権をどういうふうにするのだというふうにつつ込まれたと思うのですが、それに対して伊藤があなたに言うたことに対してさつき委員長もお尋ねになつたけれども、何だかはつきりしないのだが、とにかく待てという話をしたろうと思うのだが、どういうふうになるから待つてくれとか、何かそういう具体的な話が特にあつたのじやないか、その点をもう少しはつきりしてもらいたい。この保全経済会がどういうふうになるから、お前たちには決して迷惑をかけないから待てと言つたに違いないが、そのどういうふうになるからということを具体的に何か話をされたか。それともただ抽象的に心配するなというようなことであなた方は引下つたのか、その点をちよつと聞かしてください。
  427. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そのときは、伊藤理事長は、理事長室におきまして私ら二人に実は話をしておりましたが、私は、私ら二人にそれを説明していただいてもだめだ、投資者が許さないだろうから投資者全部の前で言うていただきたい、そういうことからいろいろと話をしましたところが、下に行くからということで、そのときに下にちようど三十人ほど来ておりましたが、その前で彼が言いましたのは、ただ、政府に実は一生懸命で話をしている、政府は必ず何とかここにおいて処置をとつてもらえる、だからしばらくの間待つてくれ。そうして、そのしばらくというても期限があるからどのくらいの期間待つのかと言つたら、三月間とみんなは言うけれども、三月ということは何らあれはないし、三月ということはあれだろうから、十五日間待つてくれれば必ず政府の折衝もうまく行く、その間この国会見通しもつくことだからはつきりするから、十五日間待つてくれということを言われて、すなわち政府の処置というものがあるということによつてわれわれは信じたわけなんであります。
  428. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、抽象的に政府が何とか処置するからもうちよつとと待てということで、具体的な話じやなかつたわけですね。国会が何とかするというのはどういう意味なんですか。
  429. 綱島和弘

    ○綱島参考人 国会が何とかする、その間に――私らもそのときは非常にうかつでしたのですが、国会が何とかするというのは、彼自身が平野力三氏や早稻田柳右エ門氏に対して運動するのか、または大蔵省自体に直接行つてやるのか、その点については私たちは何らわかりませんでした。その後私も理事や秘書の方に会いましていろいろと――もちろんこの理事や秘書の方たちは私たちに対しては当時非常に協力的でありまして、そういう措置をとつてくれてそれに対してはこういうふうな情報もあるのだということをいろいろ聞かしていただいておりますけれども、実際には今申し上げたように、彼がどういうふうにやるということに対しては、私らは知りませんでした。ただ、それだけのことをやるだけの手腕がある人間だということだけはわかりましたものですから、それを信じて帰つたわけであります。
  430. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 最後に、あなた方は有志で投資者としての何か対策の団体をつくられたかどうか、またつくつたとすればそれはどんな名前をつけられたかそれが一つ。それから、その団体にいていろいろとあなた方が話し合つたと思うが、その中に、休業声明の直前に出資したような人が何ぼあつてその住所姓名が、今すぐでなくとも調べればわかる状態になつておるかどうかということ、それが二つ目、いま一つは、先ほど話された結核の夫をかかえて何とかしなければならぬというので、四十万円のへそ繰りを預けて今発狂状態になつたという婦人の住所姓名があなたここでおつしやられるかどうか、この三つについてお答えください。私の質問はそれで終ります。
  431. 綱島和弘

    ○綱島参考人 今三つを言われましたが、その最後の方から申し上げますと、その方は黒田という御婦人ですが、住所も全部わかつております。しかし今ここでは住所はちよつとわかりませんが、時間を置きまして電話で私の方の事務所へ問い合せましたらわかります。
  432. 小林錡

    小林委員長 名前はわかりますか。黒田何というのですか。
  433. 綱島和弘

    ○綱島参考人 黒田……。はつきりいたしませんが、これは調べましたらすぐわかります。二番目に聞かれたのは何でございましたでしようか。
  434. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 休業声明の直前に出資した人の住所姓名が相当わかるだろうかどうかということ。今ここでなくても、あなたが帰つてからでもいいが、わかつたら事務局へでも知らしていただけるかどうか。
  435. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは、私のところに現在来ているのが、十人ほどそういう方がおられますが全部わかります。
  436. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 いま一つは、何か団体をつくられたそうであるが、それが何というお名前でどのくらいの人数の団体であるか。
  437. 綱島和弘

    ○綱島参考人 現在のところは投資者連盟。ただ、東京都内の投資者が非常に力がないということから、投資者連盟というものを実は佐藤という方が発起でつくられまして、日本橋の方に事務所を設けて現在やつておりますが、その人員は現在のところ六十名ほどですが、この似、三日のうちには二百名ほどになる予定であります。
  438. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 いま一点。その投資者連盟で話し合われた中に、被害者の中で相当多額の出資をしている方があると思いますが、最高どのくらいの人があるわけですか。
  439. 綱島和弘

    ○綱島参考人 現在のところは最高が三百万円です。その次が三百万円、あとは百万円以下の方ばかりであります。
  440. 花村四郎

    ○花村委員 ちよつと簡単に一、二点伺いたいと思います。あなたはこの保全経済会へ入られたのは、勧められて入つたのか、自分で進んでお入りになつたのか、どつちですか。勧められたのですか、進んで入つたのですか。
  441. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは一番最初に申し上げましたように、別に進んで入つたわけではありません。ただ、まあお前の金だからお前が自由にするがよかろう……。
  442. 花村四郎

    ○花村委員 いや、奥さんが入られたについては。
  443. 綱島和弘

    ○綱島参考人 家内は進んで入つております。
  444. 花村四郎

    ○花村委員 出張所長か何かに、勧められて入つたのか、勧められずに進んで入つたのか。
  445. 綱島和弘

    ○綱島参考人 もちろんこれは勧められて進んで入つたよう状態であります。
  446. 花村四郎

    ○花村委員 だれに勧められたか。
  447. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは支店長の友人の方であります。その方は現在横浜に来ておられます。
  448. 花村四郎

    ○花村委員 そのときにあなたは、保全経済会というものについて聞いたり調査をしたと、こう言われましたね。その聞いたのはだれに聞いたか、調査はどういう機関で調査をされたか、それを伺いたい。
  449. 綱島和弘

    ○綱島参考人 実はこの調査が実にあいまいでございます。大阪だけの前回の言では信じられない、まあ神戸にもある大阪にもあるということから、一番初めに、姫路に私が子供を連れて行つたついでに、実は昼休みに行つて保全経済会内容を聞きました。その次に聞きましたのは神戸で聞きました。みなで四つ聞きましたが、広島県の福山というところに行きましたときに、最後に、保全経済会は実際に山なんか買つておるか、いろいろと国有林の払下げとかなんとかあるが、実際にあるのだろうかというようなことを聞きました。そうしたら、いやそれは絶対です。われわれがそうやつて、この土地の人間がこの土地においてこれだけの仕事をやつているのですから、皆様には絶対に迷惑をかけるようなことはやりません。もしも迷惑がかかるようなことがあつたらわれわれは切腹問題です。こういうようなことをあつちこつちでもどこでも、言つておられました。先ほども言われましたように、絶対有利、絶対安全ということはだれしもみな信じておつたわけです。それによつて私が、まあよかろうという気持になりました。
  450. 花村四郎

    ○花村委員 その聞いた内容はいいですが、だれから聞いたのですか、その聞かれたというのは。
  451. 綱島和弘

    ○綱島参考人 今ここですぐに名前はつきりわかりませんですが……。
  452. 花村四郎

    ○花村委員 いやそれは支店長とか何とかいう、保全経済会に関係のある人ですか。
  453. 綱島和弘

    ○綱島参考人 もちろんそうです。もちろん関係のある方です。
  454. 花村四郎

    ○花村委員 それは役員とか、勧誘員とか、何かやつている人ですか。
  455. 綱島和弘

    ○綱島参考人 ええ、そうです。支店長、出張所長級の人です。
  456. 花村四郎

    ○花村委員 そういう人に聞いた。
  457. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それと、やはりよその経済会、これは株式会社の方ですが、これに私自身も少し出しておつたのですが、その会社に実は保全経済会というのは内容どうなんだ、どういうふうになつているのだと聞きましたら、それはうちの会社に劣らぬだけの内容は持つていると、ある会社が言いましたものですから……。
  458. 花村四郎

    ○花村委員 その調査というのはどこで調査をされたのですか。
  459. 綱島和弘

    ○綱島参考人 調査というのは非常にあいまいでございまして、東京に友人がおるのですが、その友人を通じまして東京の経済会の内容調査したのです。その程度です
  460. 花村四郎

    ○花村委員 それからもう一つ。あなたはみんなで七十万円になりますね。その金をこの保全経済会に出すときに、預金をするようなつもりで出したのか、あるいは匿名組合員としての出資の意味で出したのか、どちらであるか。もし前者とするならば、あなたのその金の領収証は出資証という形で出ておるわけですが、その出資証に対してどう考えられたか。それだけをひとつお聞きしたい。
  461. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私は非常に大きな気持で見ておりまして、私は前に信託に投資したことがありますが、そのときやはり同じような証書をもらいました。なお無記名定期の銀行預金もしたことがありました、やはり匿名であります。そういうことから、まあ銀行なんというものは心配ないと私は信じておりますが、それに類似したものだというふうに信じておりました。そのくらいの常識でありまして、私自身がどのくらい経済会の内容というものに対して信用しているというのではなく、証書そのものに対して不信を抱くということはさらになかつたわけです。ただ国庫債券みたいなつもりで実は安心し切つてあの証書をもらつておりました。もちろんこれは預金者ではない、投資者であるということは十分に認識しておりました。場合によつて会社がかなり損をしたら自分も損をしなくちやならない、しかしそれは正当な理由がなくてはならないということは、私はある程度考えておつたわけです。
  462. 小林錡

    小林委員長 それでは今こうなつても別にふしぎに思わないでしよう。
  463. 綱島和弘

    ○綱島参考人 いやそれは実際にそれが完全な投資であり、彼がそういうような生活をせず、現在の資産状況またその事業管理についてもやつたことが確かなものであれば、私はこれであつさりあきらめます。しかし調べたところがすべてうそだとわかれば、私は投資者の一人として許すわけには行きません。これがかりに私が最初に信じていたような匿名組合でありましたら、それは投資者としてのあきらめがつかなくてはなりませんでしようが、現在私からが調査した範囲においては絶対にそういうことじやない。絶対にということを私は申し上げるのですが、事実はそうでないということを信じておるから申し上げます。
  464. 小林錡

    小林委員長 押谷富三君。
  465. 押谷富三

    ○押谷委員 一、二点簡単に伺います。保全経済会は貸金を営んでいるようなこと、金融をやつたようなことを御承知ではありませんか。
  466. 綱島和弘

    ○綱島参考人 小さい金融をやつているということは、これは私調べませんでしたが、話は聞いております。
  467. 押谷富三

    ○押谷委員 保全経済会の直接傘下の子会社として三宅証券金融株式会社、六日商事株式会社不動産商事株式会社、こういうような金融会社を子会社に持ち、これを通じて金融をしている。こういう事実は御承知ではありませんか。
  468. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そういうことは全然私は知りません。
  469. 押谷富三

    ○押谷委員 それでは、あなたの先ほどのお話の中に、二箇月ばかり伊藤理事長がアメリカに行つている間に七千万円ばかり金を使つたというお話がありましたが、この短期間に七千万円を消費したということは、世間ではアメリカその他の外国に保全経済会の財産を分散するとか、あるいは外国に投資をするとか、こういうようなうわさをしているのですが、そういう考えを持ち、そういうねらいを持つて保全経済会責任者がほかの人たちに交渉せられたことはありませんか。
  470. 綱島和弘

    ○綱島参考人 実は先ほどもそのことについて申し上げたのですが、その七千万円という金額の程度は実は新聞で知つたのが一番最初でありました。その後七千万円ということは一体どこからわかつたものかということにつきましては、実際の話残念ながらまだわかつておりません。しかし彼は二箇月の間に七千万円使う。それは毎月飲んだり食つたりしたつて使えるものではない。何かそこにあるということは私たちとしても何とかして知りたいという考えがあるものですから、再三それはいろいろな人に聞きました。しかしそれに対しては何ら私らに安心できるような回答は一人としてしてくれない。もちろん本人もそれに対しては絶対いたしませんでした。それで私らのいろいろと想像するところによると、アメリカの何とか会社に投資したとかいうことも聞いておりまして、私帳面に書いておりましたが、これは実際の話は流言でありまして根拠があるわけではないのでありますが、そういうことも聞いております。しかしこれがどこまでも事実であるかということは私はつきりいたしません。
  471. 押谷富三

    ○押谷委員 最後に一点。今日の段階においては保全経済会の現有財産をどうして保持するか、どうして散逸を防ぎ、あるいは隠匿を防ぐかということになるのですが、そういうことについて何か話合いをされたり、考えを持ち寄つて相談をするというようなことをなさつたことはありませんか。
  472. 綱島和弘

    ○綱島参考人 その点が今実際問題として一番重大な問題でありまして、私自身が七十万円のものがせめて三十万円でも四十万円でもという希望、これはみんな持つておるのですが、実際に私たちが再三経済会に行つて尋ねますと、もう心配いらぬ、管理委員会ができてちやんと金庫の中に書類はしまつてつて、休業後はこの財産に絶対に手をつけるようなことはしないから安心しておつてくれということをすべての人に向うは言われます。実際私たちは、その後知りましたが、一対一の契約である、伊藤斗福と私たちとの契約でありまして、実際に経済会と契約したという結果になるのかならないのかということが今なお私は判然といたさないのでございますが、伊藤氏そのものが現在いろいろな方面にどういうふうにしておるということをいろいろ聞くものですから、一日も早く現在の経済会の内容をわれわれ投資者連中にはつきりしてもらいたい。ただ中におられる方はもうしばらく待つてくれ、もう五日待つてくれということを常に言われます。私自身として考えますれば、一日も早く、一刻でも早くわれわれが知りたいのは、その内容がどういうふうになつておるかということでありましてそれは常に集まるたびに相談しております。もちろんそれに対しては非常に消極的な意見ばかりで、皆さん仕事があるものですから、はつきりした積極的なことは言われないのだと思いますが、実際にその点については私ら不安に思つております。
  473. 押谷富三

    ○押谷委員 最近伝えられるところでは、伊藤理事長保全経済会の財産目録か何かを各方面に出したように聞いているのですが、そういう財産状況を明細に債権者、出資者の立場から聞かれたことはありませんか。
  474. 綱島和弘

    ○綱島参考人 そのことにつきまして私も要求したことがあるのですが、まだ現在のところでは、私の知つている範囲におきましては、一人も目録を見た者はないようです。
  475. 押谷富三

    ○押谷委員 けつこうです。
  476. 小林錡

    小林委員長 木下君。
  477. 木下郁

    ○木下委員 今話に出た管理委員会というのは、どういう連中がつくつておるのかわかつておりましたら詳しくお話ください。
  478. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私もこれを一番最初に聞いたのが、四日の日ですが、そのとききのうできたというようなことを聞きました。それは保全経済会の幹部連中すなわち理事の方々が集まつてつくつたらしいのです。その後支店長級の方も全部入れてやるというようなことは聞いておりますが、私も投資者の管理委員会か、それとも何かということはその後聞きましたが、投資者の管理委員会でなく、中の役員の方の管理委員会というものができたようです。投資者の管理委員会じやないのです。
  479. 木下郁

    ○木下委員 それであなた方出資者の連盟みたいなものをつくつて自分たちを保護しようとしておるのですが、こういう管理委員会ができて待つてくれという。伊藤も待つてくれという。その待つている間に、保全経済会の従業員が日本全国に散つてつてその日常経費が一箇月に千何百万円というような話が、さつきほかの人から出たのです。これが延び延びになれば、いよいよ破産して清算したときに、今保全経済会に残つているものからそういう連中の給料が先に引かれて、出資者は一番あとまわしになつて、もうほとんどかすになるというような点については、あなた方は考えておりますか、おりませんか。そういうことが問題になつたことがあるかどうか。もつと平たく言えば、このまま待てというのでじつと待つておれば、一箇月待ち、三箇月待つうちに、この保全経済会伊藤に使われておる人たちの給料が非常にかさむ。家賃なんかもかさむだろうが、そういうのは別として、従業員の給料だけは出資者なんかと違つて先に払わなければならぬ。なお匿名組合ということになれば、家賃なんかも先にとられて、あと出資者にわけられる。そうすると出資者の分は減つてしまつてなくなつてしまうということが問題になつておりますが、そういう点にあなた方が気がついてやつておるかどうか、この点を一点伺つておきます。
  480. 綱島和弘

    ○綱島参考人 これは一番最初に私ら考えましたことで、現在でも人件費が月一千五百万円近くもいるような状態では、何箇月も続かれてはこつちはかなわない。われわれの投資金の中からこれが払われるのに違いないのだから、早くこれは何とかしなければならないということをこの間寄合いのときも話し合いましたが、実際に私らそれを一番考えております。しかし今もお話がありましたが、一日延ばせば一日われわれの配当が少くなる、手取りが少くなるという心配は持つておるのでありまして向うが十日待てというから待つという甘い考えは絶対ありません。きようもさつそく私たちは最後のあれを実はやろうかという決意のもとにあります。もう私たちといたしましては、事ここに至りまして、内容も、政府の腹も十分わかり、絶対に一日も私たちは待つことは許されないということで、本日私はみんなに呼びかけて整理をいたしたいと思つております。
  481. 木下郁

    ○木下委員 なお一点だけ最後に聞きます。あなたは知らぬかもしれぬが、何か本願寺の大谷という人が東西本願寺を基礎にしてつくつた仏教保全会、やはりこの保全経済会と関係のあるようなものをつくつて、そうして同じやような形で金を集めておる。その仏教保全会に対してあなた方は何か交渉したことがありますかどうか。あつたらそのてんまつを知らしてもらいたい。
  482. 綱島和弘

    ○綱島参考人 私はその仏教保全会のことについては全然交渉したこともありませんし、また聞いたこともありません。ただ私は仏教というものはあつちこつちで大師講とか何々講とかつくつておる、それに類似したものだというふうな常識ぐらいしか持つていなくて、軽い気持であれを見ただけでありまして保全経済会と云々、また将来どうだろうということは私一度も考えたことはありません。
  483. 小林錡

    小林委員長 あなた今七千万円と言つたですね、アメリカへ行つて伊藤が使つた金、それは伊藤に追究したことはないですか。
  484. 綱島和弘

    ○綱島参考人 あります。
  485. 小林錡

    小林委員長 否定しませんか。黙つておりましたか。
  486. 綱島和弘

    ○綱島参考人 黙つておりました。
  487. 小林錡

    小林委員長 その七千万円使つたというのはあなたは信じておりますか。心証を得ておりますか。
  488. 綱島和弘

    ○綱島参考人 はい、これはそう信じております。心証を得ております。
  489. 小林錡

  490. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ちよつと最後に――あなたが伊藤におあいになりました前に、先月のたしか二十四日ごろ、休業の発表がありました翌日、河野銀行局長が、政府は全然これに対する援助はできないということを明言した新聞記事がございました。それをごらんになつたかどうか。もしごらんになつたとすれば、伊藤に会つてただいま言われたようななまじつかな返事であなた方が引下るわけがないと思うのですが、十五日待たせる理由についてもつと詳しい、信用すべき事実を何か伊藤から聞いておりませんか。
  491. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは私もはつきりと覚えておりませんが、そのときに彼が言つたことと、銀行局長の言われたこととは確かに違つていたことは私は知つておりました。そうして銀行局の方ではこういうふうに言うておるではないかということを私は聞きました。しかし、いやそれはそれであつて実際は必ずそれに対しての処置は講じられるということを、彼は再三言うておりました。もちろん四十数億という金を振りまわすような男ですから、何かそこに方法があるものだというふうに私は信じまして実はみんなが気勢をあげてわかれたようなわけであります。
  492. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 重ねて伺いますが、先刻しばしばあなたが申された十五日待つてくれという理由、あの具体的な事実以外にはないのですね。
  493. 綱島和弘

    ○綱島参考人 ただ政府が何か方法を講じるということをその二十人日――二十四日の休業宣言でありまして二十六日のことですから、この二日間の間に日曜があり、われわれもその内容はその後いろいろ折衝してわかつたことでありまして、その一日の間に私が全部かけずりまわつて知るということはできなかつたものですから、その二十六日の彼の言うたことを全面的に信じるということはできないにしても、まあ一応待つてみてやろうという気になつたわけであります。初めは三月と言うておりましたが、それを十五日に訂正したわけです。
  494. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると政府は援助する、何か立法措置をする、この二つのことをとにもかくにも信用して引下つたことは事実でありますね。
  495. 綱島和弘

    ○綱島参考人 その通りであります。
  496. 小林錡

    小林委員長 伊藤は政府や国会などは自分の力で何とでもなるようなことを豪語しておるということを聞いておりますが、そんなことはないですか。
  497. 綱島和弘

    ○綱島参考人 それは相当な方であるらしいことは――私も伊藤さん自身という人は知りません。
  498. 小林錡

    小林委員長 あなたの想像はいいが、あなたはそういうことは聞きませんか。
  499. 綱島和弘

    ○綱島参考人 聞きません。
  500. 小林錡

    小林委員長 それでは綱島さん、御苦労様でした。――それでは近藤さん。近藤航一郎さんですね。
  501. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 そうです。
  502. 小林錡

    小林委員長 住所、年齢職業をおつしやつてください。
  503. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 練馬区西太泉町二千七十六番、弁護士、五十七才。
  504. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会出資をされておるそうですが、いつ、どういうことから出資をされるようになりましたか。
  505. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 ことしの二月の初めに、友人に勧められまして一万円だけ入りました。そうしてそれは二箇月ですから、四月で満期になりまして、一旦返してもらいました。それから引続いてまたその一万円を、三箇月の期間出資として出しました。それは、ちようど先月の二十二日が満期であつたと思います。
  506. 小林錡

    小林委員長 それで、二十二日の満期にとりに行かれたのですか。
  507. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 いや、とりに参りません。その友人に、とることも何もまかせてありましたので、実は知らなかつたのです。
  508. 小林錡

    小林委員長 そうすると、やはり休業にかかつてあと支払いができないようになつたわけですね。
  509. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 そうです。
  510. 小林錡

    小林委員長 あなたは弁護士でおられるし、いろいろ法律問題などもおわかりだと思いますが、どうしてこういうものに投資をされるようになられたか、その点をひとつお聞きしたい。
  511. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 私は利殖ということよりも、少しく内容を知りたいという気持がかなり手伝いまして、ほんの一口、一万円だけを出資して組合員となつておれば、保全経済会のやつておること、内容などが、よくわかるであろうと思つて、入りました。
  512. 小林錡

    小林委員長 そうするとあなたは、利益配当は三箇月受けられたわけですね。それであなたが入られた動機と、それからその後今までに至つた経路からごらんになつてこの保全経済会というものは匿名組合契約だ、こう言つておりますが、はたして匿名組合契約に合致しているものであるかどうか、何かそこに実際と違つた、詐欺とか横領とか背任とかいうような、くろうとの法律の方面から見られた点で、あなたの御見解がありましたら、ひとつ忌憚なく述べていただきたい。
  513. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 かなり疑問な点が幾つかありますので、実は今研究中なんですが、一番はつきりしておることは、定款に決算は毎年五月と十一月にやるということがあります。そうしますと、ちようど六箇月で決算をしておるわけですが、その決算の報告もなければ、総会といつたよう通知も何もない。ただ損をしてももうけても、約束の二分を払うというだけです。これが私は匿名組合というものとは、かなりかけ離れた実際の仕事をしておるのだ、こういうふうに思つております。それから組合員は、営業年度の終りには、業務の状態とか、財産の状態というようなものを教えてもらうことができる、検査をすることもできる、それからまた重要な事由があれば、裁判所の許可を得てそれらのことを検査することもできるという、はつきりした規定があるのであります。これは出資者の方から要求せねばできないことでありますけれども、実際問題としては、要求をしても、こういうことを受入れるような、そんななまやさしい仕事はしておらぬ。もう鉄のとびらで非常にかたくとざされた中で、まつた自分つてな、またある場合には秘密な営業状態でありましようから、何にも知ることはできない。これが私は、表に掲げた看板と実際に行つておることとは、雲泥の相違のあるやり方だ、そういうふうに思つております。
  514. 小林錡

    小林委員長 定款を初めてごらんになつたのですか。
  515. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 いや、実は私は行かないので、私に勧めた人にお使いとして行つてもらいましたが、最初はなかなか見せてくれない。もしそういうものをあまりやかましくおつしやるならば、出資してもらわぬでもいいといつたような意味のことを言つたらしいのであります。ところがそのお使いは、いや私は本人だからしてここに来てこれだけの事業ぶりを見れば、安心して出資いたしますけれども、いま一人の友人はそういうわけに行かないので、それを安心させるためには出資証券に定款というものがあるということを書いてあるんだから、それをぜひほしいと言つて強く要求しましたところが、かなり長い時間内輪で相談をしておつたということでありますが、一時間もしてようやくのことで、これが定款だと言つて、何か刷りものを見せられた。それではそれを私にくださいと言つたところが、あげるわけには行かないが、もしどうしてもと言うなら、それでは写しなさいと言うので、写さしてもらいましてそれを持つてつて私に示されました。それで私は定款を見たと申すのでありますが、はたして現存する定款であるかどうかは、それはわかりません。
  516. 小林錡

    小林委員長 その他、あなたが投資をされた時分と、このごろになつてからの状態と、あなたの観察に大分違つた点がありますか。またこの保全経済会がどんな方面で投資をしておつたかということを、おわかりでしたら話していた、たきたい。
  517. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 これは私が調査をして根拠のあることではありませんので、すべてうわさあるいは報道機関などに現われておるものでありまするから、その確実の程度ははつきりいたしませんが、どうも保全も以前のようではない、少し内容が悪くなつた、経営難に陥りつつあるといううわさは日ごとごとに高くなつて来たようであります。それから先ほどの参考人が言われました、アメリカに資産を逃避する、ちようど支那事変の前後に上海の財閥が自分の財産を全部まとめてアメリカに逃避させてしまつたと同じようなやり方をするのではないか、その危険がある、これらは国としてことに取締る大蔵省とか、国警とか、検察庁というような方面はよほど気をつけてもらわねばならぬということを私は耳にしたことがあります。それから株式の売買だけではありませんで、ついに取引員、つまり株屋を自分から経営したり、大きな株屋をまるがかえにしてしまつて大失敗をやつた、その金は一億にも二億にも達しておるというようなことも聞きました。それから初めのころは株でも不動産でも買えばそれは一年に倍にも二倍にもなるので大きな利益配当も可能であつたけれども、このごろはその足がにぶつたのでなかなか容易には金にならない。一方毎月の約束の金利というものは払つて行かねばならぬから、だんだんと苦しくなる。いずれ何かの機会にそういう破綻を来すのではないかというようなうわさは、ごく最近といいますか、休業を発表する少し前あたりから聞いたことがあります。
  518. 小林錡

    小林委員長 佐瀬君。
  519. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 参考人は最も法的知識をお持ちの方であるので、この保全経済会の性格なり取引形態なりについて、やや法的にひとつお伺いしておきたいと思います。参考人が金を出されたのは出資ということになるのか、あるいはいわゆる消費寄託ということになるのか。いかようにお考えで出金されたのか、この点をお伺いしたい。
  520. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 出資でございます。特別に私だけが普通一般の契約とは違うのだぞという意味でなく、普通一般に保全がやつておる通りの契約の一口に入つた。ですから私は出資思つております。
  521. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 すると保全経済会は一応匿名組合であるというお考えのもとにさような出資契約をされたということになるわけですね。
  522. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 匿名組合であると思つております。但し先ほど申しましたように実際やつておることは信託業務に類似しておるとか、あるいは銀行業ですか、預金を集めるといつたようなこと、やつておることはいろいろなものに似ておつたり、触れておつたりするとは思つておりました。
  523. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 いわゆる銀行法あるいは信託法に抵触するような脱法行為を内容とする組合であつたというように観察をしておつた、かように拝承してよろしいでしようか。
  524. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 そう思いました。
  525. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 この組合の定款あるいは出資約款なんかについて、今申し上げたような各取締法上に抵触するものがあつたようであるかどうか、この点をお調べになつておれば具体的に例をあげていただきたい。
  526. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 取調べたことはありません。ただやつておることを皆さんと同じくらいな観察で、類似だとか違反だとかいうように思つておりました。つけ加えて申しますが、金融方面の行政をやつておる大蔵当局それからこれの違反を取締る検察、そういう方面がなぜもう少し早くから調査をし、あやまちのないように監督し、この種の事業がかような事態に立ち至らないようにしなかつたのであろうかということを、今ではなく、もう少し前から私はそういう考えを持つておりましたので、大蔵当局にもあるいは検察当局にもそれとなく意向を聞いたり、私の考えを申し出て注意を喚起したりしたようなことが幾たびかありました。
  527. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 いつごろです。
  528. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 いつごろといわれると、はつきりしません。
  529. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 組合が商法にいう匿名組合にあらざる性格のものである、しかしてその経営形態が、先ほど参考人が述べられたように検査とか報告とか、そういつたような約款下にきめられたことも励行されずに行われておつた、また他の参考人の言うところによると、理事会というものもかつてなかつたということになると、経営というものがいわば代表者あるいは執行者というものの組織なくして単独に、専断的に行われておつたというふうに観察されるのですが、この点についての参考人の観察はどうであつたか、お伺いしたい。
  530. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 これはもうあなたのお尋ねの通り、もう少し極端で、絶対専制といいますか、伊藤理事長一人の事業である。名前理事とか部長とか課長とか、いろいろな名前がありましても、一使用人にすぎない。まつたく個人の事業と同じようであつて、自由であり、専制であり、そうして少し不都合があるとか、自分の気に入らぬというようなことがあれば、簡単に首を切つてしまう。ここで働いている者はそれを恐れて、少しくらい言いたいことがあつても言わないというような状態であつたらしい。そうしてまたやつていることは、朝鮮の人でありまするし、ああいう経歴の人でありまするから、私はかなり秘密があつたように聞いております。先ほどとびらをかたくとざしてというのは、その意味で申し上げたのであつて、われわれ外部の者はうかがい知ることができない。たまたまこうして集まりましたから、あなたもそうですか、何という方ですかというので、出資者ということがわかりましたけれども、今まではだれだれが出資者であるか、ちようど株式会社でいうならば株主でございますね。あれは会社に行けば当然株主名簿というものは見せる義務があり、われわれに権利があるのに、この保全の場合にはさようなものは極秘でありまして、うかがい知ることができないのであります。
  531. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 商法の規定する匿名組合は、かように不特定多数の組合員を対象にしたものではないのだと私どもは思う。従つてこの種の金融機関を商法によつて律するということは非常に困難だと思うのでありますが、それは他日の立法問題といたしまして、先ほど参考人が言われたような、当局に注意を喚起したということの根拠として、何らか経営上の背信行為とかなんとか、具体的な事例で参考人が感得されたものがあれば、これも御披露願いたい。
  532. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 いや、具体的なものは持つておらないのですけれども、あの前後に雨後のたけのこのごとく、保全とか相互金融とかいろいろなものが籏出しましたので、これをこのままどうもしないで、自然に発生するがままに放任しておいたならば一体どうなるんだろうかということから、私がよけいなことですけれども、注意をしたということであります。
  533. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 時間がないから、もう一点確かめるというか、むしろ御見解を承つておきたいのでありますが、参考人も被害者の一人のようですが、現在の保全経済会の実体を基礎にして、この際各組合加盟者の損害を最小限度に食いとめるためには、いかなる法的措置が最も適切であるか、今まで関与された経験から見てそれに対する御見解を承りたい。
  534. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 先ほど木下委員からも前参考人にその点についてのお尋ねがありましたが、私はもし時間が許すならば、この点については大いに聞いていただきたいし、私も述べたいのでありまするが、時間がありませんので簡単に申し上げますと、現状のままではいけないと思います。しからばどうするか。伊藤理事長以下、現保全の経営者側の者は一旦総退陣をすべきである。そうしてこれを債権者――出資者だけでありますか、それとも他にいろいろな関係の債権者があるかもしれませんから、これを総称して一応債権者と申しますならば、その債権者がここへ全部集まりまして会議を開いてこれをどういうふうにして行くがいいかということにしたらばどうかと思う。しかし全国に散つておる十数万の債権者を集めるということは、これは実際問題として非常に困難であり、また多額の費用がいると思います。それをどうするかということで、実はいまだに私は具体的な結論を見出しかねておるのでありまするが、裁判所に破産か仮処分か、いろいろ方法はあると思いまするが、それらの手続をいたしまして、裁判所の許可を得まして、あるいは裁判所の選任によつて費用がかからないで一応これを管理してしまう。そうしてこれを再建――今のこの事業をそのままやるという意味ではありませんが、ここで財産を急激に換価することでは非常に損をいたしまして、債権者の配分は少くなりましようから、いかにして損を小さくするかというようなことについては、次に協議して行つたらいい。さしあたり第一着手としては、もうこれ以上費用をかけない。それから休業をしておるのでありまするから、事業をやらないのですからして、彼ら失敗した者の手にまかせることはない。そうしてこれは何も国のものでもなければ社会のものでもない、債権者のものでありまするから、債権者が集まつて適当な方法を考える。私はそういうことで、急いで何か手を打ちたい。お願いができますならば、この席で私は申し上げまするが、われわれに十数万の全国の債権者に呼びかける費用がないのであります。みな自腹を切つて動いておる、まことにお気の毒な状態でありまするので、費用のかからぬ方法で全国にこれを呼びかけるというようなことを、何か国会なりあるいは報道機関なり、何でもかまいませんが、やつていただける方法はないだろうか。私どもはからだで間に合うことはいたしまするけれども、これ以上金を出すことは非常につらいとみんな申しておるのであります。それから何でも一箇月本支店を合せると、人件費その他の費用が月に千二百万とか聞いております。これをこのまま何箇月もやつて行きましたならば莫大な金になります。急いで従業員を解雇するとかなんとかいうようなことにして、費用をかけないようにしていただきたい。これは私は正式に要求をしておるのでありまするが、昨日私が聞いたところによると、現金は幾らある、ありません、それでは十月の本支店の経費、それはいかにして支弁したか、それはもう休業前にそれぞれ手配をしてあつたから、十月分は滞つておりません、十一月分はもうございません、こう言つておるのであります。なければ不動産とか株券とかいうものを金にして、これは自分月給ですからみなもらうでしよう。また木によつて魚を求めるような伊藤理事長のつまらない考えの費用にこれを使われてはたまらない、どうかその辺でひとつ、委員の方にも大いにいい知恵を出していただきたい。
  535. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ちよつと一点だけ。あなたは法律家ですから承りたいのですが、出資契約というのですが、出資契約なら伊藤理事長を御信用するということがまず前提にならなければならない。それから営業の経営内容に対する相当の知識がなければならない。なお匿名組合契約ならば、営業によつて損益があつた場合には補填をしなければ利益配当をすることができないとはつきりなつておりますのに、最初から三箇月という、営業決算の出ない短期間に一定の利益をもらえるという契約をするのが、一体法律家として近藤さん……、これは佐瀬委員の、いわゆる寄託契約か、あるいは出資契約か、あるいは消費契約か、そういうような問題についての御質問に対して、出資契約であるとおつしやつているのですが、その点いかがでしよう。私どもから考えますれば、匿名組合契約でもない、出資契約でもない、かように思いますが、その点いかがでありましようか、法律の見解は。これは重大な問題なのです。
  536. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 どうも見解をここで私が申し上げるのはどうかと思いますから、お前はどういう気持でそのときに出資したかというお尋ねであるならば、寄託ではない、出資という気持で私はやりましたということであります。見解はどうかひとつ差控えさしていただきます。
  537. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 見解ということでもないのですが、出資されない場合は、われわれの常識では相手を信用するか、営業に対する信用があるということでなければ、出資が行われないのですがそのお気持を実は聞いておるわけなのです。大体相手を知つて信用するか、営業に対して成功するという信用があつたか何かなければ、何でもないのに出資をする、ただ冒頭におつしやつたように、内容を調べたいから組合員になつたのなら、これは納得が行くのですが、出資だというようなお考えでありますのだつたら、実はほんとうのお気持を聞きたいのですが、いかがでございますか。
  538. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 私は一口の一万円でございまして、どつちだつて大したことはないと思つていたのですが、一般の人のことを私に尋ねられても、私自身のことなら、どういう気持かといえば、それはお答えができます。あなたのお尋ねはよくわかるのですけれども、それじやお前はただ内部を知りたいためというと、それはそうじやありません。何も捨てるつもりでかかつたのではありません。月二分の配当はいただける、それはそういうふうに思つておりました。そこでそれなら損しても得しても二分だからして寄託じやないか、りくつでは確かにおつしやる通りでございますが、私はそうじやない、寄託じやなくして出資だから営業状態というものを報告してくれるものだ、そうしてもし二分が無理であるならば、あるいはそれはある時期にまた下げて行かねばならぬ、大いに成績が上ればまたこれは上げて行くものだ、そういうふうに私は考えておりました。
  539. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 くどいようですが、その三箇月の間にその大きな組合が組合の営業状況をまとめてそこに利益があるかないかを算出することは不能ではないかと私どもは思うのです。そこで出資利益を得るということが目的で金が出されたということになれば――どう事このところが私どもには納得行かないのですが、どうなのでしよう、三箇月以内にその利益を得るのだつたということになると、営業に対する出資という観念がどうも私どもは納得が行かないのですが、実際そうだつたのでしようか。
  540. 小林錡

    小林委員長 匿名組合としての出資という意味で聞いておられるのでしよう、あなたはただ簡単な出資考える。
  541. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 あなたのおつしやる通り三箇月で決算できません。ですから見ますと、五月と十一月と六箇月で決算するのです。ところがあの証書は三箇月で切つてありまして、希望する人はその三箇月が来ますとそれをそのまま証書を書きかえて行くだけなのです。そのかわりやめますという人は期限が来れば返す、ちよつとそこは矛盾があります。
  542. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 たしか書いてありまするのには利益配当と書いておるのです。そういうようにちやんと証書になつておりますが、しかも三箇月の間一箇月ごと利益配当金幾らという札があるわけなのです。それでただいまのお話のように営業出資したいということになると、営業はもうかつてももうからなくても初めから利益配当がきまつておるということになれば、どうも事業出資をするというような気持が私どもの社会通念として考えられないので、実は近藤さんのお気持を承つておるのですが、その点はいかがでしよう。今委員長から申したように匿名組合であるいかないかは別といたしまして、出資ということなれば出資に対する利益ですから利益を得ることが目的ならば営業に対する出資にならなければならない。そうすると今の定款に載つていまする三箇月以内で、営業に対する利益配当が、営業利益が明確にならないのに最初からきまつてつた、その点のお気持はどういうことだつたのかその点を聞きたい。法律的にひとつそれを御回答できませんでしようか。
  543. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 それを私は責めようとか何とかそういう気持じやないのです。私の契約だけは普通のとは違いますよ、私はこういう約束でこの金は出すのですよというような、そんな特別な話合いをして私は出資したのじやないのです。保全経済会が一般に向つてつておるそれに私は一口入つただけなのです。で、私の気持はどこにあつたかということになれば先ほど来申し上げておる通りであります。矛盾といえばそれは矛盾かもしれませんが、私は特別な約束をしたのじやないということなのであります。
  544. 小林錡

    小林委員長 今古屋委員からは、匿名組合契約というものは、ある人一人を信用してそうして出資をして、それによつてその出資を受けた人が仕事をして損をしたときには返してもらえぬし、それからもうかつたときには利益はもらえるということであるのだから、そこで伊藤という本人も知らぬし、三月ごとに契約は切れて、その間は必ずきまつて二分ずつの配当を受けるということでは組合契約の素質ではないという意見を吐かれるわけです。それであなたは、まあそういうことも考えられないでおつたのかもしれぬが、そういうふうに考えてみればなるほど匿名組合契約ということは言えないというような法律理論も立ちますねというようなことで、あなたはそういうところまで研究をされなかつたけれども、そういうことになるかもしれぬと、これは法律上の今の議論ですから、そういうことはあなたとしても言えるでしよう。
  545. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 議論はまあ。……。
  546. 小林錡

    小林委員長 議論ですが、あなたが法律家だから、それで今ついでに意見を聞かれるわけです。
  547. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 私はむしろ証人というような気持でここへ立つていますから、あまり議論とか見解を言えと言われると……。
  548. 小林錡

    小林委員長 裁判所の証人の証言とは少し違つて、この参考人は事実を述べたりまた意見も聞いたりしていいことになつているのですから、それであなたがそこまで研究しておられなければ、なるほど研究すればそうなるか、自分はそこまで考えなかつたと言われればそれだけの議論のものです。
  549. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 私は看板と内容とは少し食い違つておるということを知つたのです。それでいいのではありませんか。
  550. 小林錡

    小林委員長 それでいい。それだからあなたが古屋君の言うことを聞かれて、さらに研究なさつてみて、あるいは一致されるかもしれないし……
  551. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 これは信託業法類似、銀行業法類似、いろいろなことがあると先ほどから申し上げておるのはそこなんです。
  552. 小林錡

    小林委員長 あなたはそこに出資証書を持つておられますか。
  553. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 持つております。
  554. 小林錡

    小林委員長 ちよつと見せてください。――ここにこういうように利益配当の紙がみんなついている。それで普通なら、利益配当があるかないかわからなければ、そのときになつて書かなければならないでしよう。ところがこれには全部第一回は幾ら、何月幾日に渡す、第二回は幾ら、何月幾日と日まで全部書いてある。こういうふうだと、普通の人は、必ず利益が入るように信じやすいような形だと思うのですが、あなたはどうごらんになりますか。――これはみんな書いてありますか。
  555. 古屋貞雄

    古屋委員 みんなある。それを切り、まして、手形で渡す場合もあるし、現金で渡す場合もある。最近は手形で渡しておつて、現金では渡していない。
  556. 小林錡

    小林委員長 これでは必ずもらえるようになつていますね。
  557. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 現在はどう思いますか。
  558. 近藤航一郎

    ○近藤参考人 それははつきり申します。匿名組合という触れ込みであるが、実質は匿名組合とは言えない。私一はそう申しております。
  559. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その点を聞きたかつたんです。それでよろしい。
  560. 小林錡

    小林委員長 それではこの程度にとどめまして、午後三時から再開することにいたします。  それまで休憩いたします。     午後二時二十三分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十一分開議
  561. 小林錡

    小林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  法務行政に関連する保全経済会等特殊利殖機関調査に関する件について、引続き参考人各位より御発言を願うことにいたします。  石倉右平さん。あなたの住所、職業年齢をお述べ願います。
  562. 石倉右平

    ○石倉参考人 東山梨郡岡部村字山崎三三二ノ一、農、六十五歳。
  563. 小林錡

    小林委員長 村長をしておられるのですか。
  564. 石倉右平

    ○石倉参考人 いいえ。
  565. 小林錡

    小林委員長 村長をしたことはありますか。
  566. 石倉右平

    ○石倉参考人 ありません。
  567. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会に金を出されたことがあるそうですね。
  568. 石倉右平

    ○石倉参考人 はい、あります。
  569. 小林錡

    小林委員長 いつごろどういうぐあいで出資することになりましたか、その辺をできるだけ簡単に話してください。
  570. 石倉右平

    ○石倉参考人 昨年の柿が終つたころ勧めに参りました。そのとき私が入る動機は寺方さん……。
  571. 小林錡

    小林委員長 それはだれですか。
  572. 石倉右平

    ○石倉参考人 西本願寺の重役といいますか、その人から印刷物を配布してくれましたが、当県出身の平野代議士さんが最高顧問としてある、それを読みまして、これはいいことだ、今は寺も農地解放で土地はとられてしまう。どうしてあの堂を守つて行くか、これは維持会を創立して、こういう経済会に入つたらというので、私も岡部村の保雲寺の顧問を命ぜられていたので、それを研究してみました。すると私の娘で勝沼にお嫁に行つていたのがお客に来て、こういうふうにするものだからお母さん入りなさいと言うので、おじいさんどうするかと聞くから、お前らが入るならやつてみろ、悪いことでもないけれども、これは研究の余地がある、こう言つていたのです。勧誘に来た塩沢という人は元、勝沼の農業会に奉職した人で、勝沼の方のうちの娘がいつた先からの手づるで、一番先に私らのところにたよつて来たのです。それに娘にも勧められて、名前は私の名前でおばあさんが入りました。
  573. 小林錡

    小林委員長 どういう利益があると言つて勧めに来たのですか。
  574. 石倉右平

    ○石倉参考人 やはり二分の利益があるからということです。
  575. 小林錡

    小林委員長 二分の利益はきつともらえると言つたのですか。
  576. 石倉右平

    ○石倉参考人 月にはさみを持つて来て切つて、そしてそれに対する二分の金利をくれるわけですから……。
  577. 小林錡

    小林委員長 はさみを持つて来て切つてというのは、出資書についているものですか。
  578. 石倉右平

    ○石倉参考人 そうです。
  579. 小林錡

    小林委員長 それを初めに見せましたか。
  580. 石倉右平

    ○石倉参考人 そのときは毎月勧誘して入る他の人の紙を見せるのです。
  581. 小林錡

    小林委員長 あなたは初めは娘さんに勧められたのですか。
  582. 石倉右平

    ○石倉参考人 そうじやありません。娘のいつてる先の勝沼の農協に勤めていた塩沢という人が保全経済会に入つたのです。
  583. 小林錡

    小林委員長 あなたの知つた人ですか。
  584. 石倉右平

    ○石倉参考人 今は心やすくしておりますが、以前は知りませんでした。先には早川を名乗つて善光寺の町のうちに養子に行つて塩沢になりまして、甲府の出張所に勤務しておりまして勧めに来たわけです。
  585. 小林錡

    小林委員長 それがあなたの娘さんに勧めたのですか。
  586. 石倉右平

    ○石倉参考人 娘の嫁に行つたところで勧めてそれから娘がお客に来て話して、それから塩沢君が上りに来て、それから印刷物を私に提供して私も読んで、そのときには入らぬでまだ研究中だつたのです。そうしたところがおばあさんが入つたというのです。入ればいいやというわけで、
  587. 小林錡

    小林委員長 幾ら入つたのですか。
  588. 石倉右平

    ○石倉参考人 少しです。三万円です。そうしたところが今度は私らに、石倉おじいのところで入つたかと言うから入つたよ、こういう理由で入つたと言たら佐藤賞美、佐藤達治、奥村孝三などというものがみんな入つたのです。
  589. 小林錡

    小林委員長 あなたの村の人ですね。
  590. 石倉右平

    ○石倉参考人 そうです。岡部の者です。  そうすると今度こんなことになつたから、私としても責任上どうも安閑としていられぬ場合になつて来たわけです。
  591. 小林錡

    小林委員長 どういうつもりで入つたのですか。これはこんなことをして金をとられてしまうというような心配はなかつたのですか。
  592. 石倉右平

    ○石倉参考人 多少は不安があつたのですけれども、現にああやつて毎月金利をくれるというものですから、まあかたいものだと思つてつたのです。
  593. 小林錡

    小林委員長 どういうものだと思つたのですか、銀行みたいなものだと思つたのですか。
  594. 石倉右平

    ○石倉参考人 そんな気持で入つたわけです。  要するに農村の零細な金は、つまり金のある人は自分に術のある人、株を買つたり、商人にしろ物を自分で買つて利益を見るという術のある人は入らないのです。農村ではつまり自分は株を売買することも知らず、こつちに二分の利息などとはとんでもないまあ銀行に預けておくよりもということでやつたという人が多いのです。やつたというと語弊があるのですが。そうすると今度は来年度の肥料金にまごつくというわけです。みんなそれをやつてしまつた、三月たてば寒肥えを買うのに間に合うくらいに思つて出してしまつた
  595. 小林錡

    小林委員長 大体みんな三月ですか。
  596. 石倉右平

    ○石倉参考人 三月です。三月やつておけばその間に利息をもらつてまた肥料を買うときに使える、そういう腹づもりでたいがい入つた
  597. 小林錡

    小林委員長 今度は大分困つたのですね。
  598. 石倉右平

    ○石倉参考人 困りました。今年は御承知のように本県は冷害でもあり、みんな非常にぼつとしております。
  599. 小林錡

    小林委員長 よほど困つておりますか。あなたのところに苦情を言つて来ますか。
  600. 石倉右平

    ○石倉参考人 別に私も苦情を言われぬけれども、おじいさんが入つてよいと言つたから入つてばかを見たと言つています。  それから二十三日の日には岡部村の靖国会の遺族の人を九十名ばかり連れて昇殿参拝して皇居を拝見して東京駅から帰つて来たら、おじいさんラジオでこうだ、とんでもない、こう言つて、私も疲れて――ちようどだんな寺の方丈の連れがなくなつてすぐそつちに行つてしまう。それからせがれと近所の人が甲府の支店に押しかけたでしよう。それでわしが帰つて来たら勝沼の衆が四、五人、村の衆がみなうちでめしを食べていたもんでしたけれども、そんな状態だから納得したような次第で、だからできるもんでねえ。とても田舎から一々来て財産を調べるの何をとるのなんていうことはとてもでき得られないから、そこを御了承をあずかりたいと簡単に述べるわけですよ。お願いしますと。
  601. 小林錡

    小林委員長 匿名組合というようなことは知らないのですね。
  602. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ、知らぬ、知らぬ。法律家じやないから。ただ二分の金利がちやんちやんと月に来れば、その月のまかないがつく。これだけ金を寝かしておけばつくという頭で農村ではみんな入つているわけです。
  603. 小林錡

    小林委員長 三月になればまた返してもらえるといつもりで……。
  604. 石倉右平

    ○石倉参考人 そうです三月になつて肥料購入とか何とかで資金が入用で。大体農村では肥料金がおもですから……。
  605. 小林錡

    小林委員長 大体みな肥料を買うまでには払つてもらえるつもりでおつたんですか。
  606. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええそうです。
  607. 小林錡

    小林委員長 あなたの村で幾たりですか。
  608. 石倉右平

    ○石倉参考人 わしの関係しておらぬ、聞きで入つたのは佐藤達治佐藤賞美、奥村孝三。この奥村孝三はついこの間二十四万入つて、一ぺんもまだもらわぬという。それは一ぺん塩沢君が勧め行つたけれども、今度はすぐ春日居村の茂手木さんというのが出張所長で、この人が寄つて、奥村君肥料を買うまで入れとけ、必ずそのときはするからと言つて。すぐ一週間たたぬうちに休業して実にお気の毒でしたよ。
  609. 小林錡

    小林委員長 それでは利益配当も一ぺんもなく……。
  610. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ一ぺんも来ません。
  611. 小林錡

    小林委員長 二十四万円もね。
  612. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。農村では大つきいですよ。
  613. 小林錡

    小林委員長 ほかの人は大体幾らくらいです。
  614. 石倉右平

    ○石倉参考人 わし帳面につけておいたのですけれども、佐藤達治が三万円、これは二回ぶりばかり入つているのですよ。わしんとこは、地名を言つてもわからぬと思いますけれども、元笛吹川の廃河川を開墾した移住者で相当苦労してやつたんです。
  615. 小林錡

    小林委員長 みな移住者ですか。
  616. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。移住名義で土地は買つたわけですよ。非常に苦労した土地で……。
  617. 小林錡

    小林委員長 どういう金ですか、そういう預ける金は。農産物を売つた金ですか。
  618. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええそうです。
  619. 小林錡

    小林委員長 どんなものを売るのです。
  620. 石倉右平

    ○石倉参考人 やつぱしちようど砂地がありますから……。
  621. 小林錡

    小林委員長 さつまいもでも……。
  622. 石倉右平

    ○石倉参考人 いや、果実をやつております。まあ柿とかぶどうです。りんごもやつてますけど、水田もあり。
  623. 小林錡

    小林委員長 そういうものを売つた金ですね。
  624. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。佐藤達治、賞美さんが十一万、奥村孝三が二十四万、私が三万。まだほかに入つているけんど、そうおれも聞きにいかぬし、来ぬから。まあこのあれでわしが一番先に入りました。そんな関係上……。
  625. 小林錡

    小林委員長 それで休業になつてからどこかに掛合いに行つたのですか。
  626. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええみんな行きました。やつぱし甲府支店へ……。
  627. 小林錡

    小林委員長 それで何て言つていました。
  628. 石倉右平

    ○石倉参考人 やつぱしさつきの話を繰返すようですけんど、まあ三月待つてくれ、そのときまで何とか都合つけるから、と言う。行つてみましたけど甲府の出張所ぐらいじや。どのところも行けぬわけですからね。そこで中央まで出て来るということも不可能ですから結局まずく行けば泣寝入りというような状態ですね。とても資本がないのですからひまもなし……。
  629. 小林錡

    小林委員長 ではどなたか御質問がありますか。
  630. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 今の伊藤斗福さんという人は知つていますか。
  631. 石倉右平

    ○石倉参考人 知りません。
  632. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると伊藤斗福という人が保全経済会理事長で、それからどういう営業をやつているかも知りませんか。
  633. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ、知りません。、
  634. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、こういうことになるね。伊藤斗福さんのやつている営業の資本金にその金を出資したということになるか。それともあなた方は銀行に預けるよりも利潤がいいから銀行へ預ける気持でそこに預けた、こういうことですか。
  635. 石倉右平

    ○石倉参考人 まあ三月の定期で預けたような気持です。それから金利がちよつとばかしいいもんで、慾の深いところもあるけんども。(笑声)それから出してくれるという人があるからいただくというわけです。
  636. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 三月の定期預金をしたという考えでやつたのですね。
  637. 石倉右平

    ○石倉参考人 はあ。
  638. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それからなお今ちようど東京にあなたが旅行されて帰つて来たらラジオで休業の発表があつた。それから後に何か伊藤斗福さんの方から連絡がございましたか。
  639. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええありました。一ぺんわしのせがれとみんなしてついて行つて押問答したあがりに、手紙でみな書いて、まあ三月間待つてくれろ、そのうちには何とか手を打つから、政府の何とかこうとかあつたけれども、わしらにはそんなこと半信半疑で、読んでみるくらいのもので手がなかつたわけです。
  640. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その手紙の中のおもな理由とはどういうことですか。
  641. 石倉右平

    ○石倉参考人 わしは法的の解釈はできませんしね。
  642. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 いや法律ではなくてその書いてあつた内容は……。
  643. 石倉右平

    ○石倉参考人 わしの内容は、まあほんとうに忌憚なく申せば、だましているような気がしたですね。とにかく三月するうちには何とかする何とかするという雪では、われわれの零細資金はとりつくしまがないようになるとわしはこれだけ推測してそう思つております。
  644. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その何か延ばしてくれということには理由があるでしよう。
  645. 石倉右平

    ○石倉参考人 理由は内容で見れば、政府といえばまあ大蔵省とかで、それで手を打つて何とかするというよりほかには解釈できないわけです。
  646. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そういう書面が来たの。
  647. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。
  648. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 政府といえば大蔵省その他が援助してくれるということですか。
  649. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。
  650. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その相当大事な金らしいのですが、相当信用がなければとらの子のような金なんだから出すはずがないと思うのですが、何を信用してこれを出したか。そうして確実に月二分というような高い利息をもらえると確信しておつたか。その確信するにはどういうような理由で確信したか、その点をひとつ…………。
  651. 石倉右平

    ○石倉参考人 その点は外交員が来て、今度テレビというようなものかもしれませんけれども、大株主になつて、その株をえらく買つた。元株ですれば、これは利益金がどのくらい出る、そういうようなものだから、それであんた方にこれだけの配当がやれるだとこういう説明をしよつちゆう言つてました。
  652. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 今の御説明はテレビの方の株を持つたからいいというような…………。
  653. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。
  654. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その勧誘したというのは甲府の塩沢君ですか。
  655. 石倉右平

    ○石倉参考人 ええ。
  656. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それで塩沢君が行つたときに、ほかに何かあなたを信用させるような話はなかつたのですか。
  657. 石倉右平

    ○石倉参考人 別にそういうことはなかつたですね。
  658. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 政界の相当信用すべき人たちがこの経済会に関係しているのた、そういうような話はありませんか。
  659. 石倉右平

    ○石倉参考人 それはしました。とにかく顧問が山梨県下でも有数の代議士なんだから、平野力三さんが名誉顧問だから、ということは言いました。これは間違いないからというので…………。
  660. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 村で人数にしてどのくらいか知りませんが、また金額は全体でどのくらいですか。
  661. 石倉右平

    ○石倉参考人 まだ総体を調べてみません。ただ近所の組のうちだけ調べて来ました。
  662. 小林錡

    小林委員長 まだたくさんあるようですか。
  663. 石倉右平

    ○石倉参考人 これは実際いなかというものは聞くことはできないものなのですが…………。
  664. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なおあなたのお嬢さんが、勝沼に嫁に行つているのが来て話したというが、勝沼方面で担当数の人間と相当莫大な金額が出資とか出金されているというような話は聞いておりませんか。
  665. 石倉右平

    ○石倉参考人 聞いております。
  666. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 聞いておれば人数と金額はおのおのらいか。
  667. 石倉右平

    ○石倉参考人 この間私も勝沼に行つたときに、公会堂に寄つて協議したそうです。そうして一千何百万円ということを聞いておりました。
  668. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたのグループは何とか政府から援助が行われるか合法的に立法されるかして、あなた方が損が行かないように行かれるように考えているのですか。それともしかたがない、ある程度まで損をしてもいいから今ある財産でもせめてわけてもらいたいというように今考えているか希望を申し述べてください。
  669. 石倉右平

    ○石倉参考人 私はないものはしようがないのだから――伊藤斗福というようなのは初めて聞いたが、そり人が誠意を持つて全財産を理事長出したならば私は満足だと思います。
  670. 小林錡

    小林委員長 出資証書を持つておりますか。
  671. 石倉右平

    ○石倉参考人 持つております。どうぞ…………。
  672. 小林錡

    小林委員長 これはまだあと二枚とつておりませんね。
  673. 石倉右平

    ○石倉参考人 一ぺんはもらつたのですが…………。
  674. 小林錡

    小林委員長 あとはだめですか。
  675. 石倉右平

    ○石倉参考人 休業だから…………。
  676. 小林錡

    小林委員長 昨年と思いましたがことしなんですね。これ一ぺん書きかえた……。
  677. 石倉右平

    ○石倉参考人 二度目に書きかえた。
  678. 小林錡

    小林委員長 初めてやつたのは昨年の九月ごろですか。
  679. 石倉右平

    ○石倉参考人 書きかえたのは十一月かな、それでこうなつている。
  680. 小林錡

    小林委員長 よろしゆうございますね――御苦労でした。それでは三須喜美代さん。三須喜美代さんですね。
  681. 三須喜美代

    ○三須参考人 はい。
  682. 小林錡

    小林委員長 どこにお住まいか、それから年と職業言つてください。
  683. 三須喜美代

    ○三須参考人 住居は東京都江東区亀戸六丁目六十九に住んでおります。職業は現在はありません。
  684. 小林錡

    小林委員長 旦那さんは何をしておられますか。
  685. 三須喜美代

    ○三須参考人 会社員でございます。
  686. 小林錡

    小林委員長 年は。
  687. 三須喜美代

    ○三須参考人 三十歳です。
  688. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会出資をされたことがありますね。どういうことから出資をするようになつたか、そのわけを、なつたまでの様子をどういう気分でどういうふうになつたか、たれかに勧められたのか。
  689. 三須喜美代

    ○三須参考人 私は別にたれにも勧められたわけじやないですが、上野のあるデパートにそういう証券会社などの宣伝機関がありましてそこで。パンフレツトをもらつたわけなのです。それでいろいろ調べました結果、これが一番いいじやないかというあれで、初めはよく覚えておりませんが去年の夏ごろであつたと思いますけれども、初めに一万円ほどやつてみたのです。そうしましたらちやんと利息もくれますししますから、だんだん銀行の方から少しずつおろしてふやして行つてしまつたのです。そうしまして去年の夏入りましたときは利息が月三分でした。
  690. 小林錡

    小林委員長 三月契約ですか。
  691. 三須喜美代

    ○三須参考人 そうです。
  692. 小林錡

    小林委員長 それから三回とも月三分ずつ利益金をもらつたのですか。
  693. 三須喜美代

    ○三須参考人 そうです。そうしまして去年の十月、はつきり覚えておりませんがうちにはがきでもつて通知がありまして、今までは三分の利息であつたけれども、経営が困難とは言つていないが、いろいろの都合上従業員の副利施設のために三分の利息が二分になつたからという通知が来たのです。そうしまして何だか変だなとは思つていたのですけれども、契約期間が三箇月ですからすぐに解約するということはできなかつたのです。そうしましてそれからずつと三月くらい置きましてから利息もちやんとくれますし、この七月ごろでしたか一つ八万円というのがあつた満期になりましたから一度とつてみた、そうするとそつくりその場で八万円の金をくれたのです。それで三分というのは利息が高過ぎるから二分だつたらば、株だつて幾らも違わない、銀行よりも幾らも違わないからかえつて利息が低い方が確実性があるじやないかというのでよけい信用してしまつたわけです。
  694. 小林錡

    小林委員長 そうすると初め一万円かけたのがだんんだんんふやして八万円になつたのですか、八万円というのがあつたというのは。
  695. 三須喜美代

    ○三須参考人 幾日にもなつていた、いろいろなのを幾日か入れた。
  696. 小林錡

    小林委員長 名前をかえて……。
  697. 三須喜美代

    ○三須参考人 同じ名前で。
  698. 小林錡

    小林委員長 それからどうしましたりか。
  699. 三須喜美代

    ○三須参考人 そうしましたら休業宣言が二十四日だと思いましたけれども、その前の十八日だつたかと思いますけれども、その前にことしの八月の配当に対して二割の税金がかかつたという通知をもらつたのです、それで何だかおかしいから行つて聞いてみなければならぬというので、この十八日に行つて聞いたのですが、そのときに今までの利息をちやんとくれました。そのときに私もその利息に少し金を足しまして、そのときにまた三万五千円ばかり契約してしまつたのです。
  700. 小林錡

    小林委員長 新しいのですか。
  701. 三須喜美代

    ○三須参考人 そうです。契約する前に一旦利息を手元にとりまして聞いたのです。二割の税金がかかりましたけれども、これはどういうぐあいですか、こう係の人に聞いたわけです。すると今までは政府は認められていなかつた、だからとても仕事がやりにくかつた、ですけれども今度は政府も認めてくれたからそれで税金がかかると言つたのです。
  702. 小林錡

    小林委員長 税金がかかるようになつたのは政府が認めてくれた……。
  703. 三須喜美代

    ○三須参考人 認めてくれたから税金がかかるというのです。私は法的のことは何もわかりませんから、それを信用してしまつたんです。それでは確かに大丈夫なんですねと念を押したのですけれども、いや、大丈夫だというんです。
  704. 小林錡

    小林委員長 それは本店ですか。
  705. 三須喜美代

    ○三須参考人 本店です。
  706. 小林錡

    小林委員長 そうしたら一週間後に休業宣言になつたのですか。
  707. 三須喜美代

    ○三須参考人 そうです。
  708. 小林錡

    小林委員長 あなたは匿名組合契約なんということは知つておりますか。
  709. 三須喜美代

    ○三須参考人 全然そういうことは知らないのです。
  710. 小林錡

    小林委員長 何か書いたものを見たというのは、こんなものを見たのですか。パンフレツトですか。
  711. 三須喜美代

    ○三須参考人 一般に出していた。パンフレツトみたいなものです。
  712. 小林錡

    小林委員長 こういうものですか。
  713. 三須喜美代

    ○三須参考人 覚えていないのですけれども……。
  714. 小林錡

    小林委員長 こういうものじやありませんか。
  715. 三須喜美代

    ○三須参考人 そういうものだつたかどうか……。よく覚えておりません。
  716. 小林錡

    小林委員長 大体どう思つたのですか。銀行へでも金を預けるようなものか、伊藤という人に金を貸してやるのか――伊藤という人を知つておりましたか。
  717. 三須喜美代

    ○三須参考人 全然知りません。
  718. 小林錡

    小林委員長 伊藤という人を信用したわけではありませんか。
  719. 三須喜美代

    ○三須参考人 私はパンフレツトをちよつとしか読まないのですけれども、仏教の方の大谷という方も関係しているというので、うちの母が信仰していることがありますから、そういう仏を信ずる人はまさかそういうことをしないだろう、ほかの利殖機関と違つて、この経済会にはそういう仏教の方の関係もあるし、それにいろいろな事業もやつて、育英資金や何かも出しているというような話も聞きましたから、それでこれなら大丈夫じやないかというのでやつたわけなんです。
  720. 小林錡

    小林委員長 それでその後どうなつたのですか。
  721. 三須喜美代

    ○三須参考人 その後すぐに行つたのですけれども……。
  722. 小林錡

    小林委員長 かけ合いに行つたのですか。
  723. 三須喜美代

    ○三須参考人 行きました。
  724. 小林錡

    小林委員長 保全経済会の人に会つたのですか。
  725. 三須喜美代

    ○三須参考人 会いました。
  726. 小林錡

    小林委員長 だれに会つたのですか。
  727. 三須喜美代

    ○三須参考人 だれだつたか……。
  728. 小林錡

    小林委員長 伊藤本人に会つたのですか。
  729. 三須喜美代

    ○三須参考人 いいえ、会つたことはありません。見たこともありません。
  730. 小林錡

    小林委員長 それではあなたがここへ投資するようになつたのは、どういうことで特にここを信用するようになつたかと聞かれると、どう答えたらいいですか。確実にきまつただけの利益金を払つてもらえると信じたわけですか。もし向うが仕事に失敗すれば払えぬようになりますね。
  731. 三須喜美代

    ○三須参考人 初めはそれほど信用はしていなかつたのですけれども、一年以上の間、毎月行けばちやんと払つてくれますから、それでますます信用してしまつたのです。
  732. 小林錡

    小林委員長 初めはそれほどじやなかつたわけか。
  733. 三須喜美代

    ○三須参考人 はい。
  734. 小林錡

    小林委員長 あなたの出された金はどういう金ですか。月給とか何とが……。
  735. 三須喜美代

    ○三須参考人 それは主人と共かせぎしまして一生懸命ためた金なんです。
  736. 小林錡

    小林委員長 あなたはどういう方面に働かれたのですか。
  737. 三須喜美代

    ○三須参考人 実家が美容院をやつておるものですから、パーマの方をやつておりました。こちらへ来ましても実家ですから通つておりました。
  738. 小林錡

    小林委員長 ああ、そうですか。実家の方へ手伝いに行つてもらつて来る給料をためておいたわけですね。
  739. 三須喜美代

    ○三須参考人 それと、主人がかたくしてくれましたから、ほんとうに血の出るような金なんです。ただいまは健康を害していますから、働かないでうちにいたわけなんです。
  740. 小林錡

    小林委員長 全部で幾らになりますか。
  741. 三須喜美代

    ○三須参考人 全部ですと四十三万五千円になります。
  742. 小林錡

    小林委員長 どなたか御質問ありませんか。
  743. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 政府が認めるようになつたというのは、税金を差引いて払渡しをするときにそう言われたのですか。
  744. 三須喜美代

    ○三須参考人 税金を差引くからという通知が手紙であつたのです。そしてそのときは行かれなかつたのです。それでずつとこちらも行かれなかつたものですから、手紙でもつて応答したのですけれども、先月私が直接行きました。
  745. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 どのくらい税金をとられたですか。
  746. 三須喜美代

    ○三須参考人 利息に対して二割です。
  747. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 源泉課税というやつですね。そういうわけですね。
  748. 三須喜美代

    ○三須参考人 はい。
  749. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 それまでは半信半疑で金を出しておつたわけですか。
  750. 三須喜美代

    ○三須参考人 初めの半信半疑というのは、ほんとうの初めの、一万円くらいのときに半信半疑だつたのです。
  751. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 そうすると、さつきのように半信半疑で初め入つてみた、ところが利息をきちんきちんと払つてくれるので、だんだん大口の加入をするようになつたということですね。
  752. 三須喜美代

    ○三須参考人 そうです。
  753. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 ほかの人も大体そういうふうに見えるようでしたか。
  754. 三須喜美代

    ○三須参考人 私今度の事件で初めて皆さんと会つたのですけれども、うちの近所ではそういうものに入つているかいないか、全然わからないのです。
  755. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 今だまされたと思つていますか。
  756. 三須喜美代

    ○三須参考人 まだよくわからないのです。
  757. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 これに入つた動機ですね、あるいは魅力というか、どういう動機で入つたのですか。
  758. 三須喜美代

    ○三須参考人 これはおはずかしいことですけれども、私たちはほんとのバラツクの社宅に住んでいて、今はからだが悪くて休んでおりますけれども、先行きはどんな家でも自分の家に入りたい、そういう気持で一生懸命やらなければならないというので、銀行よりも利子がいいしするから、預けるときはほんとうに信用して預けたのです。絶対に大丈夫だと思つていたのです。今まで一年以上の経験からすると、とてもまじめにやつてくれたような気がするのです。
  759. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたは今病気をなさつておるそうですね。そうするとこの金がなければあなた方の生活に直接困ることになるのでしようか。
  760. 三須喜美代

    ○三須参考人 食べることはもちろんですけれども、それはほんとうに困るのです。私四年くらい前から東大に入院しまして東大の先生も見放しておるようなぐあいなんです。副腎が悪くてアヂソン氏病という病気になつてしまつて、コルチソンという薬を打てばたいへんいいという話を聞いておるのですけれども、それが一本五、六千円するのです。きのうまで寝ておつたのですけれども、まだマラリアみたいに熱がときどき出るのです。そうして近所の保険医にかかつておるのですけれども、年中のことだし気の毒になるのですか、もう一度東大に入院してよく調べてもらつたらいいのではないか、それでコルチソンも打つたらいいのではないかと言つてくれるのです。けれどもそのお金がないのです。
  761. 花村四郎

    ○花村委員 保全経済会へ金を出してから今までに金利は全部で幾らもらいましたか。
  762. 三須喜美代

    ○三須参考人 それが利息に足してまた自分のためたお金を持つて行くというぐあいですから、はつきりしたことはちよつと浮ばないのです。
  763. 花村四郎

    ○花村委員 それははつきりでなくてもいいのだが、大体初めからどのくらいもらつたろうというめどは、考えればわかるでしよう。
  764. 小林錡

    小林委員長 その利息をもらつたやつにまた金を足して入れたやつが四十三万五千円となつたのでしよう。そのもらつた金自分で使つたのがあるでしよう。
  765. 三須喜美代

    ○三須参考人 使つたのもありますし、また出したのもあります。
  766. 小林錡

    小林委員長 御苦労でした。お帰りになつてお休みください。  それでは谷千秋さんお願いします。あなたがお述べになるときには、委員長と声をかけてからお述べ願います。  あなたの住所それから職業年齢をまずお尋ねいたします。
  767. 谷千秋

    ○谷参考人 呉市吉浦中町四丁目四番地谷千秋でございます。
  768. 小林錡

  769. 谷千秋

    ○谷参考人 職業はございません。
  770. 小林錡

    小林委員長 市会議員をしておられるようですね。
  771. 谷千秋

    ○谷参考人 はい。
  772. 小林錡

    小林委員長 あなたはどういう動機で保全経済会出資をされるようになりましたか。その経過を簡単でよろしゆうございますから、どういうところから誘われて入るようになつたわけですか。
  773. 谷千秋

    ○谷参考人 私は保全経済会なるものの幹部の方に国で一番最高の国会議員である方が二名も顧問に入つていらつしやることと、それからもう一つは、人を救うてやる仏にかわるべきともいわれる東西の本願寺の連枝様が顧問になつていらつしやるので、絶対に間違いはない。なお支店にしましても、出張所にしましても、陸軍の少将、大佐、学校先生、こういうようなりつぱな方ばかりが店にいられますこと、それから経営ふりが非常に質素な、実に経費の節約をしまして、そうしてベースあたりも非常に低いベースで働いておる。こういう会社であれば間違いないと思いまして、これに最初二万円出資したのであります。
  774. 小林錡

    小林委員長 月どのくらいの利益がもらえるということでしたか。
  775. 谷千秋

    ○谷参考人 月は二分でございます。
  776. 小林錡

    小林委員長 そういう月二分の配当というようなことを、あなたは経済的にそろばんをはじいて考えてみたのじやないですか。ただ今聞いてみると、仕事をしている人がみなりつぱで、質素にやつているからということですが……。
  777. 谷千秋

    ○谷参考人 私の方は呉市のいなかでございますが、呉市にはこういう保全経済会に似た利殖機関がたくさんございまして、ある会社は三分五厘それから一年くらいなりますと五分くらいの利殖をしております。その上に東京から日光あたりへ向けて旅行をさせたりするような会社がございます。こういうような会社は私は信用ができませんから、二分くらいで、しかも幹部にりつぱな方がいらつしやるから絶対に間違いはない、かように思いまして出資をいたした次第でございます。
  778. 小林錡

    小林委員長 そういう会社は今でもりつぱにやつているのですか。
  779. 谷千秋

    ○谷参考人 ただいまのところまだ続いております。
  780. 小林錡

    小林委員長 そうすると利益配当が多いからといつて、そればかりを信用したわけではないということになるのですか。
  781. 谷千秋

    ○谷参考人 はい。多い方ではないのでございます。
  782. 小林錡

    小林委員長 そうすると、保全経済会の出す金というものが、いわゆる匿名組合契約だというようなことは承知しておられましたか。
  783. 谷千秋

    ○谷参考人 承知しておりました。
  784. 小林錡

    小林委員長 何か定款でも見たのですか。
  785. 谷千秋

    ○谷参考人 出資証書の裏に書いてございますから……。
  786. 小林錡

    小林委員長 あれは出資してからもらうわけでしよう。その前に見せてもらつたわけですか。
  787. 谷千秋

    ○谷参考人 それは入ります以前に、二年くらい前から入つておる方がございまして、その方のも見せていただきました。
  788. 小林錡

    小林委員長 そうするとあなたはいつ幾らくらい出資されましたか。
  789. 谷千秋

    ○谷参考人 昨年の初めに、ためしに二万円しまして、五月になりまして十万円を増額したのでございます。
  790. 小林錡

    小林委員長 十二万円ですか。
  791. 谷千秋

    ○谷参考人 はい。
  792. 小林錡

    小林委員長 そのほかないですか。
  793. 谷千秋

    ○谷参考人 今年の五月ごろ十万円出資しました。
  794. 小林錡

    小林委員長 二十二万円ですか。
  795. 谷千秋

    ○谷参考人 はい。それに配当をちようだいしました折に手持ちの金を集めて入れておりますから、二十五万円以上になると思います。
  796. 小林錡

    小林委員長 今度休業になつて、今のところではこれは払つてもらえるかどうかわからぬことになつたわけですが、どういうような御感想ですか。
  797. 谷千秋

    ○谷参考人 私がこのたび上京しましたのは、広島県の出資者全部の方の依頼によりまして、この際政府の方で立法処置を講じてもらつて、まず第一に伊藤氏の資産を動かせないようにしてもらう立法処置を講じていただいて、その上にまた営業につきましての法律をつくつていただきたい、こういうことで広島県下の出資者の御印をもらつて嘆願に参つた次第でございます。
  798. 小林錡

    小林委員長 理事長伊藤斗福に交渉しましたか。会いましたか。
  799. 谷千秋

    ○谷参考人 それに交渉すべく本店の方に寄つたのでございますが、伊藤理事長はおりませんでした。それから幹部の方にお会いしましたが、これも要領を得ないのでございます。
  800. 小林錡

    小林委員長 どう言つておるのですか。
  801. 谷千秋

    ○谷参考人 理事長がおられないので、どうも私としてどうにもなりません、しばらく待つていただくよりほかはありません、かように申しました。
  802. 小林錡

    小林委員長 伊藤という人を前から信用しておつて金を出したわけではないのですね。個人は……。
  803. 谷千秋

    ○谷参考人 はい。存じません。
  804. 小林錡

    小林委員長 今あなたが代表しておられるという人は幾人くらいあるのですか。広島ですか、広島県ですか。
  805. 谷千秋

    ○谷参考人 広島県でございます。広島県で、これの代表が岡村という会長ということになつておりまして、私が副会長になつておりますが、私は不幸にしまして本年の五月から肝臓病でずつと休んでおりました。このたびも上京をお断りしたのでございますが、岡村さんもやはり病気のために上京ができないのでぜひ行つてくれということで、私代理といたしまして……。
  806. 小林錡

    小林委員長 何という名前がついておるのですか。
  807. 谷千秋

    ○谷参考人 名前はございません。
  808. 小林錡

    小林委員長 広島県下で幾人ということもわかりませんか。大体の程度は……。
  809. 谷千秋

    ○谷参考人 判は千くらいあると思います。
  810. 小林錡

    小林委員長 先ほどあなたは法制化してもらいたいということを言つておられましたね。どういう意味ですか。
  811. 谷千秋

    ○谷参考人 まず第一に伊藤氏が持つております財産を動けないように取締る法律をつくつていただいて、その上に営業につきまして適当な法律をつくつてもらいたい、こういう意味でございます。
  812. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたの方にはこういう似たような利殖機関がたくさんあると言われたが、保全経済会などができる前からあるのですか。あとからできましたか。
  813. 谷千秋

    ○谷参考人 あとになつてからできました。それは契約が一年、二年、長いのは三年くらいになつております。
  814. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それでまだ一つもつまずかずにやつて来ておるのですか。
  815. 谷千秋

    ○谷参考人 はい。ただいまのところでは開業しております。
  816. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたが御上京なさる前に、保全経済会が休業を発表してから後に、伊藤斗福さんの名前で文書があなたの方に来ていませんか。
  817. 谷千秋

    ○谷参考人 文書は出しておりません。
  818. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 いや、あなたの方に文書は来ておりませんか。
  819. 谷千秋

    ○谷参考人 印刷物がときどき参つております。
  820. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その印刷物が私の手元にあるのですが、その印刷物によりますと、こういうことを書いてあるのです。いかにも本会の休業の趣旨と原因は、二十八年度の本予算の遅延と政局の不安定による経済の逼迫並びに九州風水害及び近畿各地区の災害の影響を受けたことこれが一つ、二が厖大なる不動産を持つていてもこれに対する政府融資が望めない制度上の欠陥を是正して適正なる融資を受け恒久的安定をはかるため、三、本会のごとき機関をこの際法制化し国家経済並びに公共の福祉をはかる目的をもつて政府に要請せんとするため、こういう理由で余儀なく休業をするに至つたというような、こういう書面が行つていませんか。
  821. 谷千秋

    ○谷参考人 参つております。
  822. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますとあなたの広島県などにおけるたくさんの出資者はそれができると信じて今日までそう強硬な要求をせずに、あなたを代表として上京せしめて政府に陳情せしめておる、こういうことに承つてよいのでしようか。
  823. 谷千秋

    ○谷参考人 それは一応信じておる方もございますし、またたくさんの中でございますから信じていない者もおります。全国で至るところ、どこの都市でも大体同じ事情と私は思うのでございますが、実情を聞いてみますと、傷害を受けて傷害手当をもつて加療をし生活をしておるとか、中には夫婦がわかれて裁判をしてそして子供もわけ合つて、その手切れ金と申しますか、そういう金でその子供の教育をしましたり生活をしたりというようなことで、いろいろな実に嘆かわしい問題がたくさんございますので、私どもといたしましてもそういう話を聞いておりまして、いかに病気でももうじつとしておれぬという気持で、上京して参りましたので、このたびも参考人としてここへ出てお話をさしていただくようには思つていなかつたのでございますが、東京のひざ元でこれだけ韓国人が日本で一、二を争うような大きな事業をしておりますのに、政府当局がこれを今日までほつておいたということが私は非常に嘆かわしいのでございます。
  824. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なお承りますが、先月の二十四日の朝の新聞銀行局長の河野さんから政府はこれに対して金を出すことはできない、こういうような記事が大きく発表されておるのですが、それをごらんになつておるかどうか。従つてこの保全経済会に対する考え方が政府の考えておることと、皆さんのお考えになつておることとの間に非常に大きな食い違いがある、こういうどころをお考えになつたかどうか、その上でただいま上京して政府にお願いしているのか、どうかその点をお聞きしておきたいと思います。
  825. 谷千秋

    ○谷参考人 ただいまのお説でございますが、私どもは決してこういう法律をつくつてくださいというような要求はいたしませんので、ただ全国に十五万おりますか、二十万おりますか、保全経済会を救うのでなくて、この投資者を救うてやるというあたたかいお気持で、早急にこれに対する法律を立案していただきたい。
  826. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただいま参考人がおつしやつたことは、今の法律で破産申請を皆さんがなされば全財産が一銭も手のつかぬようにする方法が今あるのです。そういうことを御存じなかつたのですかどうか。また御存じだとすれば、それを皆さん方が至急におやりになる気持があるかどうか、その点を向いたい。
  827. 谷千秋

    ○谷参考人 その問題につきましても偶然冨山の方も見えますし、宿が一緒でありまして、いろいろ協議をしたのでございますが、非常に強硬な論者と、あるいはそういうようなあまり刺激をしてその間に理事長仕事をされたのでは困るからなるべくおとなしくこれを法律によつてくくつていただく、こういうふうにした方がいいんじやないかというような考えを持つております。
  828. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 皆さんのお考えは逆なのです。これから立法処置をするということになれば、国会は本日でおしまいになるし、さような政令を出すにしても相当期間がかかりますが、今即座にあなた方がお考えになつているようなことが破産申請をすれば全国的にできるのです。隠せば伊藤をひつぱることもできるし、現場の財産を移動するとするならば、警察官に命じてこれを看視させて動かさぬようにすることもできる、そういう方法があるのです。それを至急におやりになつたらいいと思うのです。
  829. 谷千秋

    ○谷参考人 この件に関しましては、帰りましていろいろ協議をいたしたいと思います。
  830. 小林錡

    小林委員長 今あなたの言われることを聞いておると、ほかにももつと高い利息をとつておるのもあるし、なかなかまじめにやつておると言われる。それで。今あなたは大分憤慨されるのですが、何かあなたが初め思つてつたことと、今になつて食い違いがあるのですか。商売をやれば損をする者もあるし、約束をしても払つてくれないということもあるのですから、またあなたは市会議員をやられておるのですから、そこに何かがあれば別ですが、みんなまじめにやつているのがたまたま払わなかつたから憤慨するというのはどうかと思うのです。何かあなたが初め投資するときに考えたことと大分違う点があるのですか。
  831. 谷千秋

    ○谷参考人 いや、初めの気持も現在の気持もかわつておりません。この保全経済会が赤字になつた理由はどこにあるのか存じませんけれども、得心の上で入つたものでございますから、これは何とも思つておりませんが、ただいままで持つております財産の保護についてわれわれは非常に心配しておるのです。
  832. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今あなたは国会で何か法律をつくつて保護してもらいたいということを言われましたが、この保全経済会というものは政府が何らの関与もしない。あなたと保全経済会伊藤との契約である。また政府そのものが何の監督をしておる機関でもない。こういうことはおわかりでございますか。
  833. 谷千秋

    ○谷参考人 わかつております。
  834. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 わかつておる、そうすれば政府が何とかしてくれる、国会が何とかしてくれるという性質のものでないということはお考えになりませんか。あなた方個人でやられたことなんですが、その点はいかがですか。
  835. 谷千秋

    ○谷参考人 それはさように存じておりますが、あまりにも厖大な事業でございますから、この厖大な事業を、しかも韓国人が理事長になつてつておる、こういうことを続けてやらしたら、国民が大きに迷惑をする、この際これを何とかしてやらにやならぬというありがたい気持がほしいわけなんです。
  836. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これからこういうことのないようにせいとおつしやるなら聞きますが、もう済んだことなんです。これは考えがあればやらぬわけでもないが、ちよとないわけです。私の言うのはあなた方個人でやられたことだから個人の力を団結してやろう、要するに他力を頼まずにやろうという考えが起らぬかということを私は聞きたい。
  837. 谷千秋

    ○谷参考人 それは十分起つております。
  838. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点そうおつしやるのは、こんなにまでどうして政府は手をこまねいてほつておいたか、その責任もあるのだから何とかするだろうという御要求のお気持ですか。
  839. 谷千秋

    ○谷参考人 その要求にもいろいろありますが、別に私の方でこういうふうにしてくださいという要求はございません。立法につきましては法務委員のあなた方におまかせしまして、この二十万市民を救うてやることをとつてもらいたいのです。
  840. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私の聞いているのはそうじやない。金融行政を取扱つておる大蔵省が今日までほつておいたのも多少手落ちがあるだろう、だからわれわれを救えという気持があるかないかということを具体的にひとつ……。
  841. 谷千秋

    ○谷参考人 それは私の希望だけでございます。
  842. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会行つてだれかと交渉せられましたか。
  843. 谷千秋

    ○谷参考人 一切しておりません。
  844. 小林錡

    小林委員長 どうも御苦労さまでした。次に秋山重治さん。まず住所、姓名、職業年齢をおつしやつてください。
  845. 秋山重治

    ○秋山参考人 山梨県北都留郡武月町、鉄道職員、秋山重治、四十四歳。
  846. 小林錡

    小林委員長 鉄道職員とおつしやると……。
  847. 秋山重治

    ○秋山参考人 国鉄職員です。
  848. 小林錡

    小林委員長 国鉄職員ですが、どこかの駅に勤めていらつしやるのですか。
  849. 秋山重治

    ○秋山参考人 そうです。
  850. 小林錡

    小林委員長 保全経済会出資をされておるそうですが、この出資された気持はどういうふうなものですか。また金額は幾らぐらいですか。
  851. 秋山重治

    ○秋山参考人 私の住んでおります大月の出張所長は、私とお友達の間柄になつておりまして、一昨年二十六年ごろから交際しておりましたが、そのときに世間話がいろいろ出まして、話がはずむに従いまして保全経済会内容その他をお聞きする、またこちらからも聞くようになり、そこに好奇心がわいて来たわけであります。それから会社内容、今までの経歴をかなり研究しましたところ、四年、五年と長い月日を保つてつたくらいの会社では、まあこれは確かじやないか、こういうつもりで尊い金ではありましたが、二万円、二十七年の三月預けました。それから三月心々に利息をいただきまして二十八年の八月か九月、前に預けておきました二万円に月二割の源泉課税がついて来たわけです。税金方々と私たちは言つておりますが、税金がつくくらいならばもうこれは確かなものだこういう安心した気持で九月に郵便貯金から五万円下げまして五万円預け、合計七万円預けてあります。
  852. 小林錡

    小林委員長 それが今度休業してしまつたということはどういうところから聞かれましたか。
  853. 秋山重治

    ○秋山参考人 休業をしたということはラジオのニユースで、保全経済会の何々と言いましたので、自分もその気があつたものですから、ぽつとダイヤルをまわして声を大きくして聞いたところが、これは破産で休業状態になつた。これは困つたものだというわけでいましたが、やはりいなかのことで、また勤め人のことでありますから、また所長も知つておりますし、行つて聞いてみるのも何だか変な気がしまして今日に至つたわけでございます。
  854. 小林錡

    小林委員長 あなたのような国鉄等に関係しておる人で、大分同じように出資しておる人がありますか。
  855. 秋山重治

    ○秋山参考人 今までだれがどうしておるということはわかつておりませんですが、休業が発表になりましたら、あそこのブロツクが幾人、ここで幾人、それもやはりわれわれの安い給与でありますからたくさんではございませんが、一万円、五万円、多いので十万円くらいの程度じやないかと思いますが、それから国鉄へ三十二年も勤めて、一時金をいただいた方なんかも、これは確かなもんだで、預けて利息でどうこうしようという考えで、これは本人から聞いたわけではありませんけれども、七十万円くらい預けた人もあると言つておりましたが、その人なんかも将来はどうしていいかというように非常に困つておるわけであります。
  856. 小林錡

    小林委員長 あなたの知つておる人ですか。
  857. 秋山重治

    ○秋山参考人 そうです。
  858. 小林錡

    小林委員長 そうするとあなたがここへやるようになつた動機というものは、どう聞いたらいいのですか、匿名組合契約なんかよく読んで知つておられるのですか。
  859. 秋山重治

    ○秋山参考人 入るときにはやはり所長とお友達関係でありまして、その方面でなく、いろいろ世間話から始りまして、自分がこいつはもう確かなもんだ、五年も継続しておるようなものなら確かなもんだから、こういうところに預けておれば郵便局よりも利息がいい。自分が退職したあかつきには、家を建てるとか何とかいうことにも役に立つのじやないかと思いまして預けたようなわけです。
  860. 小林錡

    小林委員長 そうすると利益金は何度くらいもらつたのですか。全部受取つたわけですか。
  861. 秋山重治

    ○秋山参考人 利益金は昨年の三月からですが、五月に一回もらいまして昨年ですか、二十七年八月にもらいまして、十一月にもらいまして、二月にもらいまして、それから六月にもらつて九月にもらいに行つたときに五万円をふやしたわけです。
  862. 小林錡

    小林委員長 今はどんなふうに感じておりますか。
  863. 秋山重治

    ○秋山参考人 今のところは早く何とか結論が出て預けた金はさつそくにもとりもどしてもらいたいと思つております。
  864. 小林錡

    小林委員長 どなたか質疑がありますか。
  865. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その出張所長さんは何というのですか。
  866. 秋山重治

    ○秋山参考人 宇野さんと申しますが、名前はよく存じておりません。
  867. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 出張所に参りますと、出張所の中に、だれが行つても一応信用するような、顧問さんであるとか会長さんの名前を大きく書いて張り出しているそうですが、そういう事実はございましようか。
  868. 秋山重治

    ○秋山参考人 大月にはそういうものは書いてありませんでした。八月に私はこれをいただいたわけですが、利殖のしるべといつたものを、打つたときにいただきまして、その一ページに、保全経済会役員、顧問平野力三、早稻田柳右エ門とずつとお偉い様方の名が出ておりましてこういつたような偉い様方が顧問になつていただいておれば、まあ大丈夫だ、私は絶対あぶなくないと確信を持つて入りました。
  869. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、伊藤さんという方、並びに伊藤さんの営業、そういうものを信用してこの金をお出しになつたのでなくてやはりただいま読み上げたような、ああいうような方や、あなたの信用すべき友人が出張所長をしているので、必ず月二分の配当が受けられるというようなことを御信用になつた上でお出しになつたのでしようか。それとも伊藤さんの営業なり、伊藤さんを信じてお出しになつたのでしようか。
  870. 秋山重治

    ○秋山参考人 私は伊藤さんも存じておりませんし、保全経済会事業につきましても、内容はよく存じておりませんが、利殖のしるべに安心させるような文面がたくさんあつたものですから、この文章で行きましたら、大丈夫この保全経済会はつぶれないものだ、こういうつもりでおりました。
  871. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、銀行へ預けておくよりも利殖としてはよけい利益がもらえる、こういうようなことをお考えになつたのでしようか。
  872. 秋山重治

    ○秋山参考人 そうでございます。郵便局や銀行へ預けておると同じ気持で、ただ利息がたくさんいただけるからいい、こういうつもりでおりました。
  873. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なお先月二十四日以後、伊藤斗福さんの名前で、どういうわけで休業をするに至つたかということと、それから休業をした趣旨は、先刻私が読み上げた三項目のようなものを書かれた書面をあなた方の方へよこされてそれを御信用になつて今日までおられたのか、そういうような書面が来た事実と、それを信用されておつたかどうか、ということの二つをお答え願いたいと思います。
  874. 秋山重治

    ○秋山参考人 私のところへは書面は何も参りません。それから所長と顔知り合いでありますから、私の方からも行つておりません。
  875. 小林錡

    小林委員長 では秋山さんはよろしゆうございます。次に山本さん。――山本英君ですね。
  876. 山本英

    ○山本参考人 ええ。
  877. 小林錡

    小林委員長 住所、職業年齢を言  つてください。
  878. 山本英

    ○山本参考人 富山県上新川郡大久保町下大久保、山本英、二十九歳。
  879. 小林錡

    小林委員長 あなたは保全経済会出資をされたそうですが、その動機並びに金額等、この出資をするに至つた経路について、簡単でよろしゆうございますからお述べください。
  880. 山本英

    ○山本参考人 私は去年の九月ごろ、おじさんが富山の支店長さんと親しくしていられたために、支店長さんよりおじさんがお話を聞いて、おじさんが入つておられたから、私もおじさんのしていられるのを見て、利息がきちんと渡りますゆえに、よいものと思い、そのとき入りましたのです。それで今年の八月から代理店として支店からやつてくれないかと言われたので、私は代理店をやりました。
  881. 小林錡

    小林委員長 あなたが代理店をやつたのですか。
  882. 山本英

    ○山本参考人 やりました。私はそのとき代理店をやる前に、代理店をやつてくれと言われましたのですけれども、私としましては、代理店には非常に不可解だ、――それで長らくそれを承知しなかつたのでありますけれど、今度の西別院の近藤先生がおいでになつて、仏教保全経済会保全経済会とタイアツプしてやつておるゆえに、ひとつ世話をしていただきたいというところで、私は代理店としての行為をなすということを思いついて承諾したのであります。それで承諾したのでありますけれど、やはり金銭というものは非常にむずかしいものであつて皆さんによいといつて勧めればかえつていけない、黙つていれば皆さんが持つておいでになる。それで私は募集するということは絶対にしない方がよいと思つて。黙つておりました。現在は私は親戚から来ているお金が百二十万円、私のお金が三十万円で新戚から来ているのと全部で百二十万円あるのです。
  883. 小林錡

    小林委員長 あなたの出したのが三十万円、親戚のが百二十万円。
  884. 山本英

    ○山本参考人 全部で百二十万円です。
  885. 小林錡

    小林委員長 幾人ぐらいですか。
  886. 山本英

    ○山本参考人 人数は十人ほどですが、口数は二十幾つになつております。それで私はそのとき、仏教保全経済会として今後取扱いたい、保全経済会としては私はいやだといつておりましたのですけれど、前からの預けていたものはやはり保全経済会で、その後は仏教保全経済会になつたり、または保全経済会になつたり、いろいろ重複してわからなくなつたんですけれど、現在は私としては仏教保全経済会ならばやるというところで代理店をやつたんです。私としましては仏教保全経済会をなぜやるかという動機といたしましては、結局仏教保全経済会というものは、保全経済会の行事をやる、お金の集まつたその幾分なりともの手数料によつて仏教の振興ということと、教典の翻訳をやるという行為を行うという説明があつたために、私はそれはよい、やはり日本の宗教界は現在まつたく何らの援助がない、やはり宗教は、現在自発的な行動によるならば、ほんとうの人間というもののほんとうの宗教ができるというところで、私はやはりその行為はよいと思つて認めたのです。認めて私の手数料に当る分だけを、私は仏教保全経済会に預け、その手数料として私の村にあるところのお寺の御座とか法事とか、また子供の映画会とか幻燈会の経費に出してやろうと思つて、私は八月にやつて七千円もらつた手数料に三千円私のお金を加えて、一万円にして大久保町宗教振興会として預けたんです。私としましては何ら金をもうけようというのではなくして、日本の宗教、日本の国民のほんとうの国民精神を勃興せしめる、真の人間の精神を興させるという宗教の精神によつて私はやつたんです。私は金もうけにやつたのではないのです。
  887. 小林錡

    小林委員長 金もうけのつもりではない……。
  888. 山本英

    ○山本参考人 そうです。ですから私は堂々と、大久保町宗教振興会というもので私の手数料も預けているのです。
  889. 小林錡

    小林委員長 それじや今休業してしまつて、もし支払いができなくなつても別に不服はないというのですか。
  890. 山本英

    ○山本参考人 現在のところは私は不服はないと言えますけれども、私はきようはやはり富山県の代表として参つておりますから、富山県人がまことに悲惨な目にあつておりますから、私は富山県の代表としてきようは上つたのでありますから、私個人としてでなくて私は富山県の……。
  891. 小林錡

    小林委員長 富山県を代表している人はあなたと同じような考えじやないでしような。
  892. 山本英

    ○山本参考人 ですからその点と私とはまた違います。これは私が預けた経路であります。なぜ預けたかという原因なのです。
  893. 小林錡

    小林委員長 それではほかの人はどんな悲惨な状態ですか。
  894. 山本英

    ○山本参考人 ですからほかの人は、やはり普通前回からやつておられた行為のように、やはり保全経済会にお預けになつてお金が現在当らない。それで勧業経済会に預けているのですけれども、勧業経済会は月五分で、月五分というのは非常に厖大なものである、またその他に温泉招待というようなことをやつている、これは不可解であるというので、労災保険百万円もらつたうち五十万円を勧業経済会に預けていたのです。それを勧業経済会があぶないから保全経済会に預けるというので、三十万円引出し保全経済会に預けた。それが一箇月たたないうちにかくなつて、非常に泣いているのです。私としては私の村にその現実を見ているのですから、富山県中はそれと同じことだろうと思うのです。全体の代表としての私といたしましては、富山県全体はその人と同じ考えだと思います。
  895. 小林錡

    小林委員長 勧業経済から引出して保全経済に入れたという人は、そんなにたくさんありますか。
  896. 山本英

    ○山本参考人 そういう人はあります。そうして初めから保全経済に入つている人もあります。
  897. 小林錡

    小林委員長 富山県を代表して言われるのだから、困つた人があるというなら、どんなに困つておる人がおるのですか。あなたは代理店としてみなに勧誘した方じやないのですか。
  898. 山本英

    ○山本参考人 私は初めは勧誘しようと思つていたのですけれども、もう、これは勧誘してもだめだ、ですから結局代理店として、ただそのままいれば、皆さんが持つて来られる。預けさせてくれと来られるのを持つて行く……。
  899. 小林錡

    小林委員長 どうして勧誘してはだめだと思つたのですか。
  900. 山本英

    ○山本参考人 結局お金というものは、いわば預けてくださいということは――やはり人に自分お金を見せたくないという感情がある。ですから私を通じて預けようと思う人は私に持つて来ます。何ぼお金を預けなさいといつたところで、それは持つて来ないというところで、私は全然言わない方がいい。結局代理店として……。
  901. 小林錡

    小林委員長 それはあなたの人生観ですから、人生観を聞くわけじやないのです。富山県としてはどうなのです。
  902. 山本英

    ○山本参考人 富山県としては現在非常に弱つておるのです。
  903. 小林錡

    小林委員長 どうして弱つておるのですか。
  904. 山本英

    ○山本参考人 やはり休業になつたためにお金が返つて来ない。返つて来ないか、それとも営業をやるのかわからないでしよう。
  905. 小林錡

    小林委員長 金を預けるときに、何か考えが今と違つてつたということがあるのですか。
  906. 山本英

    ○山本参考人 そうです。
  907. 小林錡

    小林委員長 どういうところが違つてつたのですか。
  908. 山本英

    ○山本参考人 結局初めは株式投資というものだと思つていたのですけれども、休業ということになつたから皆さんがびつくりしてしまつたのです。それで店舗にかけ寄つてお金はどうだ、こうだというのです。
  909. 小林錡

    小林委員長 御質問はありますか。――鍛冶君。
  910. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 西本願寺別院の輪番の近藤という人は、どういつで聞かされたのですか。
  911. 山本英

    ○山本参考人 仏教保全経済会でそのお金を預けますでしよう。そうするとその金が結局保全経済会に来る。それでその何分かが仏教保全経済会の資金となつて、その資金を仏教の信仰のために使用する。それで仏教保全経済会というものをつくつたのです。ですから、私らとすれば決して間違いないと思つたのです。
  912. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたの言われるのは一応聞えるようだが、仏教保全経済会へ手数料が落ちるということはわかるが、そのお金保全経済会へ行くのでしよう。保全経済会というものは絶対間違いのないものだということでなかつたら、仏教保全経済会というものも間違いのないものだということにならぬ。仏教保全経済会に金が落ちるから絶対間違いのないものだということが、われわれにはがてんが行かぬ。
  913. 山本英

    ○山本参考人 その意味は私にもわかりません。
  914. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは仏教保全経済会が預かつて、そうして保全経済会へ金を持つて行くのだ、そのかわりに仏教保全経済会の預かつた手数料が本願寺へ落ちるのだからいいものだ、こう思つたのでしよう。そこまではいいけれども、それだから絶対間違いのないものだと思われたことがふしぎなんだ。もとの保全経済会が絶対間違いのないものでなかつたら、仏教保全経済会が間違いのないものだということは言えぬわけなんです。
  915. 山本英

    ○山本参考人 ですから現在のような結果になつたのです。それでわれわれは弱つているのです。
  916. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今はばかなことを信じたものと思つていますか。
  917. 山本英

    ○山本参考人 そうです。
  918. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは今、近藤さんは何か責任を感じてどうするとか、あなたは方は近藤さんを信じたのだが、どうしてくれるかということを言うて行かなかつたか。
  919. 山本英

    ○山本参考人 近藤先生は京都とかへ行つておられますから、そこまでは行けないのです。現在のところは、私といたしましては、やはり現在の財産を減らさないということですね。これが先決問題です。それで復興できるものなら復興さしてやりたい。しかし復興できないものなら、これはしようがないと思います。だから結局、財産を非常に安い経費で保管できる方法を考えたい。結局最後にどうしても合法的にならない場合には、やはり検察庁とか法務省とか最高裁判所へ出すというふうにしてやつて行つた方がいいんじやないかと思います。しかし法律的にできるものなら、やつて行きたいと思います。私は、このはめに至つた一番の原因は、源泉課税徴収の反動が来たんじやないかと思うのです。初めは源泉課税というものは政府で承認してもらつたといつてみんな本店から通知が来たものですから、大蔵省で認めたから源泉課税をとつたのだろうと思つてつたのですけれども、今ではだんだんそれが反動となつて、源泉課税をとられるということは結局大口の預金者が逃げるということによつて、どうつと来たんじやないか。大口預金者が逃げる、だから結局匿名だから、匿名を保護してくれというのじやないかと思うのです。結局大蔵省で税金とるけれども個人の名前出してくれるな、税金は大口でとる、今から考えるとそれだけの政治交渉だと思つておるのですが、事業においては何らそんな――だけれども、経営者がお金を集めることは上手だけれども、事業をやるということにおいては、私は下手だと思います。(笑声)
  920. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そんな下手なものに金を預けてしまつて、どぶに捨てるようなものじやないか、どうです。
  921. 山本英

    ○山本参考人 ですから私は、富山県の人が泣いているから、どうかして助けてやらなければならぬと思つているのです。
  922. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それであなたは富山県を代表して来たと言うが、富山県でどういうことをしてくれといつて、あなたはどういうことをしようと思つて東京へ出て来たか。
  923. 山本英

    ○山本参考人 私は委任状をもらつて来ております。
  924. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どうしてくれと言うのか。
  925. 山本英

    ○山本参考人 目的は財産管理委員会というのがあります。その財産管理の方法――保全経済会自体に財産管理委員会がありますから、その財産管理委員会に対する方法、それを聞きたいということと、再建対策委員会に対する方法、それを聞きたいということです。それから政府に対する立法的交渉いかんというこを聞きたいということで参りました。
  926. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつと今言われた財産管理委員会というものはどこにあつて、どういうことをしておるのか。それからもう一つ、再建対策委員会はどこでどういうことをしておるのですか。それは知つているのですか。
  927. 山本英

    ○山本参考人 私はわからないのです。それでそれを聞こうと思つているのです。
  928. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あるかないかわからないのか。
  929. 山本英

    ○山本参考人 はい、支店には財産管理委員会と再建対策委員会ができたからという通知が来ていますから、それを聞いて来い、それに臨時国会があるから、合法的に行くものならばその運動をしてもらいたいということなんです。
  930. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それではそういうものがあるかないか調べてみたか、それからあつたらどういうものだつたかわかりましたか。
  931. 山本英

    ○山本参考人 私はまだ調べておりませんです。
  932. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはさつそく調べてわかつたら私に聞かせてください。それともう一つは、国会が始まつておるからどういうことを国会にしてもらいたいということですか。
  933. 山本英

    ○山本参考人 私、自分だけの考えですが、やはり匿名組合法――源泉徴収の名前を出さないで、本店で控除するということになれば再建できるのじやないか。しかし現在の経営陣ではだめだ。結局経営者を切りかえて現在の経営者はお金を集める経営者であつて、ほんとうによく資金を運用するものは新しく経営者を入れた方がいい、私はそう思いました。
  934. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど私は谷君に質問しておつて、あなたも聞いておられたろうが、これは政府が関係してやつたことでもないし、大蔵省が監督しておる機関でやつたことでもない。あなた方と経済保全会とで直接やられたことだから、そのことを第三者に持つて行つてけつぬぐいしてもらおうといつたつて、それは不可能なことだ。それでまずあなた方は、あなた方の力で団結してやろうということになれば、まだ方法がある。先ほどから古屋委員も言う通りますそれから考えた方がよろしいと思いますから、これは私があなたにつけ加えて申しておきます。何か言いさえすれば、政府なり国会が助けてくれると思うことは大間違いです。
  935. 小林錡

    小林委員長 ほかにありますか。――木下郁君。
  936. 木下郁

    ○木下委員 あなたは仏教保全経済会行つたことがありますか。
  937. 山本英

    ○山本参考人 私は行つたことはありません。ことしの八月からやりましたものですから。
  938. 木下郁

    ○木下委員 その仏教保全経済会の今の西本願寺の近藤という人から話があつたのですが、仏教保全経済会の会長は東本願寺の大谷瑩潤という人がやつておる、副会長は西本願寺の連枝の大谷照葉という人がやつておる、そういうことは知つてつたのですね。
  939. 山本英

    ○山本参考人 はい、知つております。
  940. 木下郁

    ○木下委員 それで仏教保全経済経済会に集まつた金を、仏教保全経済会保全経済会との間に特約があるというので、それをそのまま今度は仏教保全経済会から保全経済会の方に出資することになつておるのですが、そういう仏教保全経済会保全経済会との間の関係は御承知になつておりましたか。
  941. 山本英

    ○山本参考人 その点は私は知りませんでした。ただ仏教保全経済会に入つた金が直接保全経済会へ行くものと思つておりました。
  942. 木下郁

    ○木下委員 直接行くというと、普通の常識からいえば、保全経済会の代理店からとつたものは直接になるけれども、仏教保全経済会の大谷という本願寺の顔役と、西本願寺のおもな人、連枝という幹部の人が世間あるいは信者に対しては相当信用のある人らしいのですが、そういう人たちの名で集まつたそのものがすぐ保全経済会に行くというのは、りくつも何もなしにただ行く、坊さんが関係して集めた金だから、坊さんはとりはせぬで、すぐ伊藤のところに行つてしまうのだというふうに簡単に考えておりましたか。それとも西本願寺の近藤から話があつて、仏教保全経済会に集まつたの保全経済会の方にまた出資しよう、そうしたらよそと違つて手数料をよけいやるとかなんとか言うて、今あなたのお話の手数料がよけい大谷の方でかせげる、本願寺の方で手数料がよけいとれるというような内輪のいい話があるならというふうにあなたは考えておりましたか。それともただ何となし仏教保全経済会の大谷さんの関係しておるもので集まつたものは、そのまま保全経済会伊藤のふところに行つてしまう、りくつも何もなしに行つてしまうと簡単に考えておりましたか、その点はどうですか。
  943. 山本英

    ○山本参考人 私がさつき直接と言つたことは誤りだと思うのですが、結局お金は仏教保全経済会へ一旦入つたことになると思います。しかしそのお金保全経済会へまた送つたことになるものと私は思つております。それで直接と言つたのです。それは私の言い方の誤りです。
  944. 木下郁

    ○木下委員 そういうふうに考えておれば、仏教保全経済会出資したいろいろの信者――富山県には多いらしいのですが、富山県の信者個々別々の人がたくさんおるのですが、それが今度こういうふうに行き詰まつて保全経済会が戸を締めた。従つて仏教保全経済会も払わぬということになると、仏教保全経済会に金を出した人に対しての第一次的な責任者は、本願寺の会長あるいは副会長というような人たちであるというふうにあなた方は考えておりますか、どうですか。その点はもう本願寺の方は御連枝だからすつぽり抜けて、責任伊藤だけに直接あるのだというふうに考えておりますか。
  945. 山本英

    ○山本参考人 私は現在それを言われまして、そうだと思いましたのですが、私は冨山県の人が行つて来い、これじやあぶない、行つて来いと言われたために、じや行かなくちやならぬと思つて来ました。ですからその点は私は考えていなかつたのです。
  946. 小林錡

    小林委員長 よくわからぬというのですか。
  947. 山本英

    ○山本参考人 はい、そうです。その点は考えていなかつた……。
  948. 木下郁

    ○木下委員 それじや、あなた方の尊敬しておるらしい、両本願寺の古い歴史を持つて、信者から見ればちよつと人間離れのした人格を持つているように思つている大谷という人たちがこういうことに顔を出して、これはとんでもないことだ、仏教の信用も落し、また世間の善良な信者に迷惑をかけておるというふうに考えておりますか、それとも大谷さんたちはどういうことがあつても別格だ、そういう人は何も責任はないのだというふうに考えておりますか、どういうふうに考えておりますか。
  949. 山本英

    ○山本参考人 私は現在言われて思いますが、やはり両会長、副会長さんは心配していただくべきものだと思います。現在私はそう思います。
  950. 小林錡

    小林委員長 関係はよくわからぬようですね。
  951. 山本英

    ○山本参考人 はい。     ―――――――――――――
  952. 小林錡

    小林委員長 この際お諮りいたします。本件は閉会中もなお審査を継続するため、その旨議長に申し出てありますが、本件が閉会中審査事件として本委員会に付託になりました場合には、さらに各方面より参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと考えております。その際招致すべき参考人並びに招致の日時等につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  953. 小林錡

    小林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時八分散会