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1953-11-07 第17回国会 衆議院 農林委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午前十一時五十九分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 川俣 清音君 理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       福田 喜東君    松岡 俊三君       松野 頼三君    松山 義雄君       加藤 高藏君    吉川 久衛君       齋藤 憲三君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中澤 茂一君    日野 吉夫君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  安田善一郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局長)  大坪 藤市君         農 林 技 官         (農業改良局農         産課長)    岩永 達夫君         農 林 技 官         (畜産局衛生課         長)      齋藤 弘義君         農 林 技 官         (林野庁林政部         林産課長)   田中 重五君         特許庁長官   長村 貞一君         通商産業技官         (石炭局技術課         長)      八谷 芳裕君         通商産業技官         (特許庁審査第         二部長)    大野  晋君         通商産業技官         (地質調査所燃         料部石炭課長) 須貝 貫二君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十一月六日  委員尾関義一君及び山中貞則辞任につき、そ  の補欠として佐藤洋之助君及び松野頼三君が議  長の指名委員に選任された。 同月七日  委員佐々木盛雄君、加藤高藏君及び中村英男君  辞任につき、その補欠として林讓治君、齋藤憲  三君及び久保田豊君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員林讓治君及び齋藤憲三辞任につき、その  補欠として佐々木盛雄君及び加藤高藏君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月六日  長野県の冷害対策確立に関する請願中澤茂一  君紹介)(第九三号)  栃木県の冷害及び昭和二十九年度積雪寒冷単作  地帯予算対策に関する請願外一件(黒澤幸一君  紹介)(第九四号)  上江川村凶作対策確立に関する請願黒澤幸  一君紹介)(第九五号)  富士吉田市の冷害対策確立に関する請願古屋  貞雄君外四名紹介)(第九六号)  長野県の冷害対策確立に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一〇八号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一一〇号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一一一号)  北佐久郡の冷害対策確立に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第一一二号)  南佐久郡の冷害対策確立に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第一一三号)  内山村の冷害対策確立に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一一四号)  南相木村の冷害対策確立に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第一一五号)  東塩田村の冷害対策確立に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第一一六号)  南牧村の冷害対策確立に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一一七号)  三井村の冷害対策確立に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一一八号)  中佐都村の冷害対策確立に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第一一九号)  軽井沢町の冷害対策確立に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第一二〇号)  茨城県の冷害対策確立に関する請願加藤高藏  君紹介)(第一二二号)  広島県の昭和二十九年度積雪寒冷単作地帯予算  対策に関する請願高津正道紹介)(第一二  三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧問題に関する件  林業に関する件  畜産に関する件  土地改良に関する件  閉会中審査に関する件  農業災害補償制度に関する小委員会、造林及び  治山治水に関する小委員会設置に関する件(請  願及び陳情書は別紙)   請願  一 長野県の冷害対策確立に関する請願(倉石    忠雄君紹介)(第一号)  二 同(小川平二紹介)(第八号)  三 同(松平忠久紹介)(第九号)  四 冷害による北海道の各土地改良区の歳入欠    陥補てん資金融資に関する請願小平忠君    紹介)(第四号)  五 冷害対策確立に関する請願佐藤洋之助君    外一名紹介)(第五号)  六 菊沢村の冷害対策確立に関する請願黒澤    幸一紹介)(第六号)  七 新潟県の冷害対策確立に関する請願渡邊    良夫紹介)(第七号)  八 栃木県の冷害対策確立に関する請願黒澤    幸一紹介)(第一〇号)  九 群馬県の冷害対策確立に関する請願(五十    嵐吉藏紹介)(第一一号) 一〇 岩手県のいもち病対策確立に関する請願(    鈴木善幸紹介)(第一三号) 一一 岩手県の冷害地救済対策確立に関する請願    (鈴木善幸紹介)(第一四号) 一二 堺田部落被害農家大柴山地内炭材払下げ    に関する請願牧野寛索紹介)(第一六    号) 一三 岩手県の被害農家土地改良事業費償還金    免除に関する請願鈴木善幸紹介)(第    一七号) 一四 北海道土地改良事業及び災害復旧事業補    助率引上げに関する請願小平忠紹介)    (第一八号) 一五 茨城県の救農土地改良事業実施に関する請    願(佐藤洋之助君外二名紹介)(第二八    号) 一六 伊具郡外三箇郡の救農土地改良事業実施に    関する請願内海安吉君外二名紹介)(第    二九号) 一七 冷害対策としての阿武隈川下流改修工事促    進に関する請願内海安吉君外二名紹介)    (第三〇号) 一八 被害農家救済対策としての自作農創設維持    資金増額等に関する請願渡邊良夫君紹    介)(第三一号) 一九 被害農家救済対策としての諏訪開拓幹線第    一号道路開通に関する請願原茂紹介)    (第三二号) 二〇 青森県の冷害対策確立に関する請願淡谷    悠藏紹介)(第三三号) 二一 三本木国営地区冷害対策確立に関する請    願(淡谷悠藏紹介)(第三五号) 二二 山形県の冷害対策確立に関する請願松岡    俊三紹介)(第三六号) 二三 冷害対策に関する特別措置法制定請願(    助川良平紹介)(第三七号) 三四 栃木県の冷害及び昭和二十九年度積雪寒冷    単作地帯予算対策に関する請願黒澤幸一    君紹介)(第四一号) 二五 東頸城郡冷害地域に指定の請願塚田十    一郎紹介)(第四四号) 二六 凶作に伴う東頸城郡国民健康保険事業救    済に関する請願塚田十一郎紹介)(第    四五号) 二七 東頸城郡冷害対策確立に関する請願(塚    田十一郎紹介)(第四六号) 二八 長野県の冷害対策確立に関する請願原茂    君紹介)(第五五号) 二九 同(井出一太郎紹介)(第六四号) 三〇 坂元村の冷害対策確立に関する請願(庄司    一郎紹介)(第五七号) 三一 熟田村の冷害対策確立に関する請願黒澤    幸一紹介)(第五八号) 三二 栃木県の冷害及び昭和二十九年度積雪寒冷    単作地帯予算対策に関する請願外四件(黒    澤幸一紹介)(第五九号) 三三 大瀁村の水稲冷害対策確立に関する請願(    塚田十一郎紹介)(第六九号) 三四 東頸城郡外二箇郡の冷害対策確立に関する    請願塚田十一郎紹介)(第七〇号) 三五 北秋田郡の農業災害対策確立に関する請願    (石山權作君紹介)(第七二号) 三六 冷水書及び食糧対策確立に関する請願(矢    尾喜三郎紹介)(第七六号) 三七 岩手県の冷害対策確立に関する請願(北山    愛郎紹介)(第八三号) 三八 昭和二十八年産米供出期限延期に関する請    願(伊東岩男紹介)(第八九号) 日程追加  一 長野県の冷害対策確立に関する請願中澤    茂一紹介)(第九三号)  二 栃木県の冷害及び昭和二十九年度積雪寒冷    単作地帯予算対策に関する請願外一件(黒    澤幸一紹介)(第九四号)  三 上江川村凶作対策確立に関する請願(黒    澤幸一紹介)(第九五号)  四 富士吉田市の冷害対策確立に関する請願(    古屋貞雄君外四名紹介)(第九六号)  五 長野県の冷害対策確立に関する請願羽田    武嗣郎紹介)(第一〇八号)  六 同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇九号)  七 同(羽田武嗣郎紹介)(第一一〇号)  八 同(羽田武嗣郎紹介)(第一一一号)  九 北佐久郡の冷害対策確立に関する請願(羽    田武嗣郎紹介)(第一一二号) 一〇 南佐久郡の冷害対策確立に関する請願(羽    田武嗣郎紹介)(第一一三号) 一一 内山村の冷害対策確立に関する請願羽田    武嗣郎紹介)(第一一四号) 一二 南相木村の冷害対策確立に関する請願(羽    田武嗣郎紹介)(第一一五号) 一三 東塩田村の冷害対策確立に関する請願(羽    田武嗣郎紹介)(第一一六号) 一四 南牧村の冷害対策確立に関する請願羽田    武嗣郎紹介)(第一一七号) 一五 三井村の冷害対策確立に関する請願羽田    武嗣郎紹介)(第一一八号) 一六 中佐都村の冷害対策確立に関する請願(羽    田武嗣郎紹介)(第一一九号) 一七 軽井沢町の冷害対策確立に関する請願(羽    田武嗣郎紹介)(第一二〇号) 一八 茨城県の冷害対策確立に関する請願加藤    高藏君紹介)(第一二二号) 一九 広島県の昭和二十九年度積雪寒冷単作地帯    予算対策に関する請願高津正道紹介)    (第一二三号)   陳情書 一 冷害凶作対策特別措置実施に関する陳情書    (第一号) 二 同(第二号) 三 同(第三    号) 四 同(第四号) 五 同(第    五号) 六 同    (第六号) 七 同(第六号) 八 冷害防止対策に関する陳情書    (第八号) 九 同    (第九号) 一〇 冷害対策に関する陳情書    (第一〇号) 一一 救農対策実施に関する陳情書    (第一一号) 一二 同(第一    二号) 一三 凶作対策実現に関する陳情書    (第一三号) 一四 北海道冷害凶作対策実施に関する陳情書    (第一四号) 一五 昭和二十八年供米並びに米価に関する陳情    書    (第一六号) 一六 同(第一七号) 一七 冷害凶作地供出米対策等に関する陳情書    (第一八号) 一八 稲熱病等被害対策に関する陳情書    (第一九号) 一九 同(第二〇号) 二〇 冷害による晩秋蚕に関する陳情書    (第二一号) 二一 冷害蚕糸対策に関する陳情書    (第二二号) 二二 農業共済金支払特別措置に関する陳情書    (第二三号) 二三 凍霜害都道府県市町村に対する特別平衡    交付金等増額に関する陳情書    (第二四号) 二四 凶作対策のため湿田単作地域農業改良促進    に関する陳情書    (第二六    号) 二五 積雪寒冷単作地帯冷害対策に関する陳情書    (第二七号) 二六 冷害凶作対策特別措置実施に関する陳情書    (第二八号) 二七 凍霜害、風水害並びに冷害等対策に関す    る陳情書    (第二九号) 二八 東北地方冷害凶作に関する対策確立に関    する陳情書    (第八〇号) 二九 冷害対策に関する陳情書    (第八一号) 三〇 農業災害補償制度国営化実現に関する陳    情書    (第八二号)     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。林業に関する件、畜産に関する件について質疑の申出があります。これを許します齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤委員 私は委員長のお許しを得まして、これから農林省関係三つ四つの問題を提出いたしまして御質問を申し上げたいと思つておるのであります。この委員会救農国会中心でありまして、冷害凶作に関するいろいろな問題を大方処理せられましたことにつきましては、私も非常に感謝と敬意を表しておるのでありますが、私のこれから御質問申し上げようとする諸点は、直接冷害凶作には関係はございませんが、農業恒久対策の部門から考えまして、多少関係があると考えますので、ちよつと御質問申し上げる次第であります。  第一にお尋ね申し上げたいことは私の聞いております範囲内では、日本木林というものは、今日の速度をもつて伐採して参りますと、二十年くらいたつともうほとんど木がなくなつてしまう。しかもその中でまき、炭に使うところの木林は年額一億万石くらいある。であるからどうしてもこの際薪炭をもつと高度の利用面活用してなるべくこれを亜炭に切りかえなければ、日本林野行政としては非常に大きなデツト・ロツクに突き当るのではないか、こういうことを私は聞いておるのでありますが、この間に対する御当局の御説明をお願いいたしたいと思います。
  4. 田中重五

    田中説明員 それでは林野庁から御答弁を申し上げます。仰せの通りに日本森林資源は、戦争中並びに戦争直後の過伐濫伐によりまして非常に荒らされておりますと同時に、戦前持つておりましたところの樺太という森林の宝庫を失つたというような関係がございます。一方戦後の戦災復興については、年々厖大な木林薪炭を必要とするというような点から、木材薪炭需要供給のバランスが相当に破れているというのが、偽らざる実情でございます。このアンバランスをいかにして調整して行くかということにつきまして、これは林野庁としての重要な施策でございますが、そのためには森林資源維持培養をはかりまして、でき得る限りにおいて急速にこれが増強をはかるということ、また特に荒廃しておりますところの里山と申しますか、既開発林われわれは申しておりますが、この部分森林をでき得る限り休養させるために、また奥地の未利用森林に対してこれを急速に開発いたしまして、ここを利用することによつて利用森林利用を極力高めて行くという政策をとつております。さらには海外から外材を輸入するということも、国内森林資源維持温存のために、今日としてはやむを得ない措置かと存じております。  最後に今御質問の点でございますが、木材にしろ薪炭にしろ、これの消費節約をはかる、つまり利用合理化と申しておりますが、でき得る限りその木材薪炭使用の原単位を切り下げるということ、あるいはまた木材薪炭以外の資源にその材料を求めるということ、また木材にあつては、それの耐用年数の延長をはかるということ、特に不足しておるところの針葉樹温存をはかるために、針葉樹に比べますればまだ余裕のあるところの濶葉樹にこれを切りかえるということ、すべてこれを利用合理化と申しておりますが、そういう施策も最も重要な一つでございまして、これまたわれわれといたしまして極力推進いたしておるところでございます。今お説の薪炭材料としての亜炭の問題でございますが、亜炭につきましてもわれわれといたしましては、これを薪炭代替資材と考えまして、それの活用を考えております。御承知のように亜炭は、その持つておりますところのカロリーが比較的低いということ、また風化しやすいということ、そういういろいろな欠点があるために、一般食品工業あるいは繊維工業、その他ふろ屋とかそういうところでの燃料といたしましては、相当量消費はされておりますが、これがまきあるいは木炭材料として使用される段階にはなお至つていないのでございます。そこでこれが活用をはかるために具体的な例を申し上げますと、たとえば今東京に品川燃料株式会社というのがございますが、それが宮城県の古川におきまして、亜炭を別用して亜炭ブリケツトというものを考案いたしまして、これを木炭代用に使う、あるいはまき代用に使うということを考えております。まだこれが製品となつて市販されるのは今年の末ごろかと考えられますが、これが考案の非常な重要性を考えまして、開発銀行から三千万円の長期融資をするというようなことで、これの生産増強をはかつていただとくいうようなことも、亜炭の重要な利用方法であると考えて、われわれ推進いたしている次第でございます。  なお御承知かと存じますけれども、一応申し上げますと、この亜炭を一旦粉にいたしまして、一定の成型機によつて圧力をかけまして、一つのブロツクにこれを仕上げる。そうすることによつて亜炭の持つておりますところの水分、あるいは灰分を除く。一方カロリーを高めまして、大体本炭の持つておりますカロリーが七千カロリーでございますが、ほぼ同程度にこれを高めることによつてりつぱに木炭代用をなし得るという見通しのもとに、こういうものの生産を考案しているのでございます。これが今後普及して参りますことによつて相当量木炭並びにまき節約ができるのではないかというふうに考えております。
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員 貴重な時間でありますから、なるべく簡潔にお答えを願いたいと思います。地質調査所からもおいでを願つておるのですが、そのまきに炭に亜炭というものが、もし技術的にかえられるとした場合に、この亜炭埋蔵量というものは非常に大きな問題になつて来ると思うのですが、これは地質調査所としてはどういうふうな調査過程におられ、どのくらいな埋蔵量を今国内に持つておられるのですか、ひとつ簡単に。
  6. 須貝貫二

    須貝説明員 地質調査所から御返答申し上げます。実は地質調査所といたしましては、まだ終戦後間もないので、御承知のように、日本においては石炭調査というものをあまり重きを置いておきませんで、主として北支那満州方面主力を注いでおつたような状況であります関係上、十分まだ石炭調査をやつておらなかつたのであります。終戦直後、これは総司令部の意向もありまして、さつそくとりかかりましたのですが、何しろまだ経費の点とかあるいは日数の関係上、完結を見るに至つておりません。終戦直後は粘結炭主力を置きまして調査した関係上、亜炭の方まで手が届いておりません。そして御承知のように、ことしの春エカフエ会議がございまして、極東各国地質関係あるいは石炭鉱業関係専門家が集まりまして、特に低品位炭の問題について討議されたのであります。で、次第に亜炭に対する関心は、ただいまのお話のような薪炭代用としての見方、あるいはその他の工業用品、あるいは電力化に関するような、そういつた面から非常に問題になりつつありますので、地質調査所におきましても、今後亜炭を十分調査しなければならぬというような見解をとつて、着々それに進みつつあります。  ただいままでにわかつております日本埋蔵量を簡単に申し上げますと、これはちよつとデータが古うございまして、昭和二十五年くらいまでのデータをもとにしておりますが、大体大ざつぱに申し上げまして、全埋蔵量が二十億程度に考えております。ただいまなお石炭局におきまして、全国の埋蔵炭量を五箇年計画でもつて調査いたしております。ただいま石炭の方は大体終りまして、ことしあたりから亜炭の方の埋蔵炭量を詳しく調査しております。従つてもう一両年の間には、はつきりした見通しが出ると思いますが、ただいま私が申し上げましたのは二十四、五年くらいまでのデータから申し上げるのでありまして、二十二億。これを地方別に大体申し上げますと、北海道においては約一億トン、東北地方が一番多うございましてこれが十四億程度、関東、信越地方が約三億、次に二番目に多いのは名古屋、美濃、あの辺を中心といたしましたところの一億八千万トン、あとはみな千万トン台でございまして、九州方面は御承知のように比較的少い。そのうち比較的精度の高い調査、つまり二十二億のうち比較的安全に見込まれる量と申しますと、それは約二億トン、そのうち実際に商品として市場に出せるものは、大体この半分くらいと見ていただければけつこうだと思います。何しろ先ほど申し上げましたように、地質調査所におきましては、製鉄用とかあるいはそういつた結炭をおもに調査しておりました関係上、亜炭はこれからというような段階でございまして、ただいまの段階では正確な数量を申し上げかねるような状態でございます。
  7. 齋藤憲三

    齋藤委員 私も、亜炭重要性にかんがみましていろいろ調べたことがあるのですが、今日の地質調査段階では、ほとんどまず当てずつぽうの数字を並べたというだけにすぎないので、はたして日本には二十二億トンあるのか、二百二十億トンあるのか、これはさつぱりわけがわからないような状態でありますが、それはそれとして、田中課長に簡単にお伺いいたしたいと思うのですが、林野庁としては、その薪炭国民生活に及ぼす重要性と、それから現在ある立木というものをにらみ合して、これは絶対的に亜炭まき及び木炭というものは切りかえなきやならないという立場に立つて、今林野行政というもののその部面をやつておられますか、また将来おやりになろうと思つておられますか、その点簡単に……。
  8. 田中重五

    田中説明員 今お話の絶対的にというお言葉でございますが、そういうところまで突き詰めては考えておりません。われわれとしては木炭まきにかわるべき燃料としては石油こんろなり、あるいは今の亜炭なり、その他もろもろの資源についてこれを活用して、そして薪炭に切りかえて行きたいというふうに考えております。
  9. 齋藤憲三

    齋藤委員 薪炭は暖地においてはさほどの影響がございませんけれども、北海道東北生活には非常に大きな影響がある。今年のごときは、産地において木炭は四貫俵四百五十円くらいの値をしている。そうしますと、冬季間五箇月ないし六箇月の生活には非常に大きな影響を持つて来るのでありまして、寒冷地手当冬越資金というようなものの要求の大部分は、薪炭というものを目がけて要求をされる。でありますから、この際ぜひとも低廉な亜炭まき及び炭の代用たるところの研究を急速におやりくださいまして何とか急速に切りかえが実行できるようにおとりはからいを願いたいと思うのであります。私の知つております庄内地方において、亜炭木炭代用に、いわゆるコーライト式なものに切りかえようという目標で、いろいろ研究をしている工場を視察いたしましたが、これは簡単なかまの装置で木炭の大体二倍くらいの高温を持ち得るというような成功を収めているところも多少あるようであります。ただいかにもこういう点に対して強力な行政措置がない。各人が山を掘つてつて来てかまをついて焼いてこれを売つて行くという、そういうことの運転資金などというものは、ほとんど望みがないのでありまして、もし林野庁として、どうしても林野行政建前から、将来まきとか炭というものはぐんぐん値上りをする、これは押えようがない、需要供給関係でどうしても押えられないということであれば、一般生活の安定という建前からぜひとも低廉な、しかも適切な燃料供給ということも考えて行かなければならぬ。これは決して林野庁だけの問題じやない、またいろいろな方面にも関係があると思いますが、その根本は林野庁にあるのでありますから、この点十分にお考えを願いたいと思うのであります。  同時にもう一つお伺いしておきたいのは、スエーデンあたり状態を聞きますと、今日でもスエーデンのチヤーコイル・アイアンは、ドイツその他のいわゆる最高級の鉄材の原料になる。そういう点から考えますと、国策として思い切つて木炭というものは、チヤーコイル・アイアンを製造するということならば、一俵六百円しようが、七百円しようが、おそらくこれは引合うのではないか。これは多少専門的になりますが、あの一世を風靡したドイツのウイルベルグ式の低温還元鉄というものも、これは木炭でやつて行けば最高級の鉄ができるということはわかり切つている。そしてスエーデンはそれによつて外国貿易も非常に盛んにやつている。そういう点から考えますと、木炭というものは、単にあれだけの炭材をあれだけの炭にして、そうして家庭においてぼかぼか燃やしてしまうということは、私どもの考えからしますと、これほど国家資源をむだに使つているものは珍しいと考えておる。そういう点から、ぜひとも木炭を大切に扱つていただきたいと思うのであります。こういう点について何かお考えになつたことがありますかどうか、これもひとつ簡単に伺いたい。
  10. 田中重五

    田中説明員 今のお話はまつたくのところ御説の通りでございます。木炭まきに切りかえる資源としては、われわれとしてはあらゆるものを採用して行きたい。亜炭は非常に厖大な数量が埋蔵されているという面から、極力これを取上げて行きたいという一つの方法として、亜炭利用等について先ほど申し上げたわけであります。今後も極力亜炭利用について研究等を進めて行きたいという考えを持つております。
  11. 齋藤憲三

    齋藤委員 なお私の調べましたところによりますと、亜炭の中でも無機質亜炭がいい。そこで亜炭はどうもうまく燃料に還元できないというので、特に無機質亜炭調査を先決問題としてやつていただきたい。これは地質調査所と御連絡をとられまして、急速に亜炭燃料化ということを計画していただきたい。  もう一つこの際つけ加えて申し上げておきたいことは、これは地質調査所にも関係がありますし、通産省あるいは郵政省関係いろいろあると思いますけれども、日本の無機質亜炭の中に〇・〇二ないし〇・〇三くらいのゲルマニウムが入つておるということが——このゲルマニウム金属というものは、私から申し上げるまでもなく、九九・九九……と九が九つないし十つけばグラム七千円といわれておる。一匁二万八千円、なぜこれは一匁二万八千円もするかというと、このゲルマニウム工業というものが確立されたために、一切の電波界、通信界というものに革命が起きているわけなんです。アメリカは、昨年の調べによりますとアメリカの総力を結集しておる。十トンほしいというのでやつたけれども、とうとう一トンしかとれなかつた。それで日本亜炭の中にはこのゲルマニウムを相当含んでおるということが目標となつて、いろいろ研究も進められておるようでありますけれども、私の調査いたしたところによりますと、どこの亜炭にゲルマニウムをどれだけ含んでおるかということについては、まだちつとも見当がついておらぬようであります。これは地質調査所の方の重点的な問題になるのでありましようが、こういう点に対しましても、ひとつ思い切つた調査をやつていただかなければなりません。そこで私の聞いたところによりますと、九九・九九のところまでは今日本でゲルマニウムがとれる。九九・九九で一グラム六百円する。もつと技術が進んで九九・九九と九が十もつくと、グラム七千円もするというような貴重な国家資源であつて、これが今世界的に大きな需要の面にさらされておるというときに、亜炭がどれだけ日本にあるかという埋蔵量もはつきりしないというようなことは、われわれ国民としてちよつと承服できないところなんであります。ですからその点につきましても、徹底的な調査と、それからそういうふうな貴重な軽金属が含まれておるかどうかということの分析と、もしそういうものが発見されたならば、これをどうやつて摘出をするかということの研究をしていただきたい。こういうことを総合的にやつていただきたいということをお願いしたい。  それからもう一つそれに関連してお願いいたしたいことは、木炭をつくるときの煙を、あのまま空気中に逸散してしまうかということです。かつて戦時中に松根油の製造をやりました。そのときには松根油はとれないで、その副産物の木醋液というものが多量にとれた。これは一時農作物に被害があるから流してはいけない、穴を掘つて埋めろというので、われわれは穴を掘つてあの木醋液を全部埋めたのであります。しかしながらその後の研究によりますと、木醋液というものはPH試験をやりましても中性だ。これを糞尿に入れますと、尿がただちに分解をいたしまして、臭気がなくなる。寄生虫卵も死ぬ、大腸菌もチフス菌も死ぬ。ただこの中に棲息するものは硝化バクテリヤであるという非常に大きな貴重性が現われたのであります。きようは私のお願いいたしました農林省の畜産局の衛生課長もお見えになつておるかと思いますが、家畜の糞尿にしろ、人間の糞尿にしろ、日本の現実の状態において、これを処理して衛生的に使用するということになりますと、非常に多くの処理費を使うか、ないしはこれを分解して人畜に害を及ぼさざる程度にまで処理する方法というものを案出しなければならぬ。今日のごとく農村においてDDTをまけとか、BHCをまけということになつたら、農村は搾取の対象になる。そうでなく、あの炭をつくるときに出る煙を簡単に自然冷却をすることによつて——私が秋田県の林政課の技師とともに実験をいたしましたのでは、冬山では大体四貫目俵の白炭をつくるときに、あの煙の冷却によつて一斗から二斗出る。大体ボーメ二度であります。その木醋液を使用いたしまして糞尿の分解及びこれを肥料に用いて行くということになりますと、ここに参考書がございますが、これは寄生虫の卵も死ぬし、大腸菌、チフス菌も死ぬし、臭気もなくなるし、それから木醋液を家庭にまきますと、のみ、しらみも出ないし、豚舎であろうが、牛舎であろうか、馬小屋であろうが、ことににわとりを飼つておりますときには、羽虫なども全部これで死ぬ。ですから四貫目俵で今概算大体一億三千万俵くらい炭が出ておるそうであります。これは一俵から一斗の計算でいたしますると、大体一千三百万石、一升三十円に換算しますと、三百九十万円というものが炭焼きの副産物として出て来る。木醋液を分析しますとアセトン、メチールアルコール、それから酪酸、クレゾール、その他十数種類が含有されておる。これを工場でもつてあの程度につくれといつたら、一升何千円かけてもあの自然現象によるところの混合率は出て来ない。そこでひとつお願いいたしたいのですが、私は秋田県だけは農事試験場及び衛生試験所その他においてこの木醋液の実験は全部完了しておるのでございますが、この木醋液というものをひとつ農林省のどこかで研究実験をしていただくわけに参らぬのかと思うのであります。これは畜産課長にお願いするのがいいか、衛生課長にお願いするのがいいか、どこにお願いしていいか、私にはよくわかりませんが、こういう点に対しましてお考えをひとつ伺いたいと思います。ゲルマニウムとかそういうものはおわかりにならぬということでありましたら、それでよろしいのですが、林野庁田中課長は炭をつくるときにそういう煙を空気中に逸散させないで、それを有効に活用するというようなことに対して、林野庁として何か御措置がないかどうか、この点をお伺いいたします。
  12. 田中重五

    田中説明員 今の炭がまの出す煙を木醋液に回収するということにつきましては、御承知のように戦時中におきまして相当奨励したという実例がございます。また国有林においてはこれを枕木防腐剤として使つたという実例もございます。それで回収する設備はきわめて簡単だということも記憶しておりますので、今お説のような肥料の方に非常に貢献するということならば畜産、農事試験場等との緊密な連繋のもとに、そういう研究林業試験場として進めて行きたいというふうに考えております。
  13. 齋藤憲三

    齋藤委員 実は糞便処理の実験は今秋田駅でもつてつております。それから国鉄にこの間要求いたしまして、近く田端駅の公衆便所でもつて試験をやる、私どももできるだけ努力をいたしておるのでありますが、なかなかうまくつぼにはまらぬのです。それで実際木醋液を使用してみますと、これは日本の糞便というものはこれ以外に処理する方法はないと思つておる。これは実に的確に処理ができる。そして農事試験場の試験結果によりますと、これは肥料価値に影響がないということになつておりますけれども、実際だいこんなどの試験をやつてみますと三割くらい増収になる。ですからこの点はぜひとも大きな建前から、一升三十円くらいに買つてやれば、炭を焼く農民というものはこの方がもうかつて来るのではないかと思うのです。冬山ですと、白炭をやりますときにボーメ二度ですと大体六百円とれる。しかもこれは簡単な設備で、土管を三本くらいつないで、そしてその上は私がやりましたのは青竹の節を抜いて土管に差込んで、そして煙はなるべく青竹を伝わるようにして土管に穴を明けておくと、自然に通つて来る。それが炭四貫目とれるうちに木醋液が二斗とれる。かりに一斗とれても一升三十円に買つてやれば三百円の副収入があるわけですから、今日のごとく冷害凶作によつて農家の現金収入を一円でも多くしなければならないというときには、これを買つてやると買つてやらないとでは収入に非常に大きな差が出て来るわけです。またこれは実にもつたいないことだと思うのです。あの煙を冷却してとれる木醋液というものは、とうてい人工的にはできないのだと思つておるのですから、これをひとつお願いをして、特に強調しておきたい思います。  それから次に伝貧のことで簡単に御質問申し上げたいと思います。これはこの間私が北海道に参りましたところが、北海道の各処において涙ぐましい陳情を受けたのであります。と申しますのは伝貧馬の強制検診をやりますと、ずいぶんだくさん伝染性貧血症が出て来る。そうすると馬を飼つている方では気がつかないでいるものを、ひつぱつてつて血液をとつて検診をして、そして真症馬ときまると、そのままうちに帰さないで、そこでもつて撲殺の手続がとられてしまう。やられる方は泣くに泣けないという陳情であつたのでありますが、しかしこれは伝染病としてこれ以外に方法がないとすればやむを得ないのでありますが、実際を聞きますと、いかなるりつぱな馬でも、これを八万円としてその八掛で六万四千円、共済金を払いもどすということだそうです。その六万四千円もいつ来るかわからないというようなことなのでありますが、簡単にお答えを願いたいことは、伝貧馬というものは今一体どういうふうな状態になつておるか、またこれに対してどういう対策をお考えになつておるか、これをひとつつておきたいと思います。
  14. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 ただいまお話のありました馬の伝染性貧血でありますが、これは簡単に申し上げますと、濾過性病毒によります馬の慢性の伝染病でございます。それで主な症状は、これにかかりますと血液にある成分が破壊されて貧血が起ります。そうして弱りまして参つて行く。この病気の特性としまして、非常に慢性に来る場合と非常に急性に来る場合とがございます。非常に慢性に来る場合でありますと……。
  15. 齋藤憲三

    齋藤委員 いや、そういうことは書いてありますからいいのです。私のお伺いしておりますのは、伝染性貧血症の状態ではなくて、農林省の畜産局としては、この伝染性貧血症というものは撲殺する以外に手はないのか、どんなりつぱな馬でも伝貧ときまれば、これを直るか直らないかということの診断をしないで、いきなりそれを撲殺してしまわなければならないことになつておるのか、絶対にこれは直らないものとして取扱つておるのか、それともこれをなおるかもしれない、あるいはなおす方法があるかもしれないとして、治療を加えるということは考えていないかどうか。
  16. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 世界的にどこでも共通でございますけれども、現在の学問の限度から申しますと、治療は、絶対に効果がない、治療法がないということになつております。ほうつておきますとこれが伝染いたしますので、法律によりますと、その発生した状況によりまして地方長官が殺処分を命じ得ることになつております。
  17. 齋藤憲三

    齋藤委員 これは濾過性病源菌で、電子顕微鏡でようやく発見されたとか発見されないとかいつて騒いでおる状態だと聞いておるのであります。ただ私の聞いて来た話ではございまするが、馬の伝染性貧血くらい簡単になおる病気はないのだということを言う人がある。これはひとつ聞いていただきたいのですが、もしそういうことを言う人があつたら、これは当局として一体どうお取扱いになりますか。必ず伝貧はなおるのだ、こういうなおす方法があるのだと言う人が出て来た場合には、それは当局としてどうお取扱いになりますか。
  18. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 私どもは専門家としてそういうものは信用できないということでございます。世界的の学問で認められたもので、これはいわゆる技術的の問題でございますが、学問的に世界の学界で、伝貧はなおるのだということがはつきり認められない以上は、なかなかそれを取上げるわけに行かないということでございます。
  19. 齋藤憲三

    齋藤委員 話は違うのですが、過日私は北海道の大沼公園に参りましたらば、あそこの大沼の村長さんが非常におもしろい人で、これはなしの新品種をつくつております。それで私が参りましたときには、長十郎なしと西洋なしのかけ合せを私は食べさせられたのでありますが、そのときの話で、私のところにはりんごとなしの交配種ができました、これは世界の学説では絶対にできないということになつておるのです。それで日本の学者もたくさん見えられまして、世界の学者はできないということになつているのだが、事実できておるのだからこれはどうもしかたがない、そうかなと言つて帰られるということであります。私は何もこれは奇矯を好んで申し上げるのじやないのであります。世界の学説でもつてなおらないことになつているのだから、いくらここでなおるんだ、なおす方法があるんだと言う人が出て来ても、これを取上げないということは、それは取上げられないのか、そういう実験をしてみるという権限を与えられていないのか。そういう人が出て来たら、一体どうするのですか。実際私はこれを調べてみますと、昭和二十六年においては、北海道では、四万五千頭の貧血馬があるのであります。大体これは北海道、青森、秋田、岩手くらいは強制検診をしておるでありましようが、その他は強制検診をしておらないでもつて昭和二十六年には約八千五百頭の伝貧というものが出ておるのであります。これをもし一頭十万円としますと、八億五千万円というものが農家のふところからまず一時に消えるということになります。私はこれはある意味において重大問題だと思うのであります。ことに秋田県の畜産課長に聞きましたらば、これは急性の伝染のおそれのある伝貧馬である。慢性の伝貧馬を調べたら、これは幾らあるかわからないという話だつたのでありますが、かくのごとき根本的に解決されざる恐るべき病源菌があるんでは、いくら馬産を奨励しても、これは徹底しないと思う。現に北海道に行つて、りつぱな馬が伝貧でもつて屠殺される、あとはどうしても馬を買う気にならない、こういう話を聞くのであります。でありまするから、もしここにある一つの理論をもつて、伝貧ぐらい簡単になおるものはないのだ、あるいは一週間、十日間くらいでなおるのだという実験方法を持つ人が出て来たならば、いや世界の学説ではなおらないことになつているのだから、君の意見は絶対だめだと否定なさるのか、そうではなくて、君の意見は喜んで実験するというお建前になつておるのか、それをひとつ承りたい。
  20. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 もちろん、そういう者が、今のようなお話ですと、最初のお話とはちよつと違うようでありますけれども、ちやんと根拠のある学問的な実験で、こういうふうにやればなおるんだという実証をあげて来られる方があれば、喜んでわれわれは、それを学問的にほんとうになおるのかどうかを確かめた上で、それがはつきりすればすぐ実際に移したい。われわれとしては何か方法がないものかと思つて一生懸命苦労しておるわけであります。喜んでそういうことはやりたいと思つております。
  21. 齋藤憲三

    齋藤委員 あれは、大体真性伝貧として決定するには、何人の獣医の共同検診が必要なんでありましようか。
  22. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 別に何へというふうにきまつておりません。地方長官の命ぜられました家畜防疫委員が検診——検診方法も省令できめてありますが、それによりまして検診されまして、判定が病気ときまつたものが屠殺されるわけであります。
  23. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと、そういう実験は、あえて中央でやらなくても、地方でもできるわけですか。なおるとかなおらないとかいう……。
  24. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 病気の実験をやるについてのやり方でございますか——それは御承知のように、この実験をやりますのは非常にむずかしい。簡単になおるような、ひよつとしてなおるようなものがあるかもしれませんが、原則的に申せば、われわれとしては非常にむずかしい。現在の学問においては非常にむずかしい実験であると考えております。それからなおこの病気の性質上、なおつたのかなおらないのかという判定が非常にむずかしいという点がございます。そういうような関係で、その実験をいたしますのに非常に長い期間がかかるということが出て来ますので、その間、実験をします馬を管理する上に十分に注意して管理しませんと、よそへその病気のもとを飛ばすというおそれが出て参ります。それでこの研究をやります際には、そういうような危険のないような条件をくつつけて、そうしてやるということにしてありまして、それに対しては、その研究をしたいということでもつて畜産局の方に相談に来てもらつて、そうしてやつてもらうことになつております。
  25. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと、県の畜産課あるいは県の畜産試験場等において畜産局と相談をした上で、適切な方法であるならば、地方においてもそういうものの実験はやれるということですね。
  26. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 そういうことであります。
  27. 齋藤憲三

    齋藤委員 それでは、時間がないようですから伝貧はこのくらいにして……。
  28. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと私関連して。伝貸馬の問題が出ましたので、関連して委員長から伺いたいと思います。ごく最近の年度、たとえば昭和二十七年でよろしゆうございますが、伝貸馬の撲殺処理等のために国はどのくらいの予算をさいておりましようか、これを伺います。
  29. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 二十八年度の予算総額を申し上げますると、各家畜、いろいろな伝染病がございますが、それに殺命令を出します。それによつて手当金を出します予算総額が約三億一千万円であります。そのうち伝貧の分が二億四千万円になつております。これが予算でございますが、二十七年の実績を申し上げますと、二十七年の頭数は八千百七十五頭でございまして、支払いました手当金が二億五千九百万円になつております。これはもちろん殺命手当だけでありまして、そのほかに国が払いますいろいろな検診に要する費用でありますとか、死体の処理の費用とか、そういうものがこのほかにございます。
  30. 井出一太郎

    井出委員長 もう一点伺いたいのですが、それらの基礎法規になつております法律は何でありましようか。これが第一点。それから殺処分に付した伝貧馬の肉、これは衛生上は人間が食用に供してもさしつかえないのだ、こういうふうに聞いておりますが、それらの肉はいかなる方途に用いられておりましようか、これを伺います。
  31. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 この基礎になります法律は、家畜伝染病予防法でございます。それから殺しましたあとの肉であるとか皮であるとか、そういうものの利用は、この伝染病予防法によりまして利用し得ることになつております。これはその病馬を処理いたしましてその肉、皮、毛等を利用し得ることになつております。昔はこれが非常に山奥であるとか、あるいは利用施設のないところで処理される場合が多かつたわけでございますが、最近はできるだけこういうような、ただ殺されて利用しないで埋められてしまうとか、あるいは焼かれてしまうとかいうことを少くしまして、できるだけ利用させようということで、かたがた検診がまとまつて検診されますので、病馬もまとまつて出るようになつておりますから、なるべく屠場とかそういう所へ送りまして、そして肉あるいは皮その他が利用できるような方法を講じております。現在園として利用されます用途は、安い製品のハム製品であるとか、あるいは肉そのものもそのままで、屠畜検査員の検査に合格しましたものは、生肉で利用され、あるいはカン詰にも利用されます。
  32. 井出一太郎

    井出委員長 衛生上人体には無害である、こういうことから一般市場に伝貸馬の肉が出ておるわけでございますが、私仄聞した話ですが、北里研究あたりで、この伝貧に対する治療法としての血清が研究されておる。これがもし完成されるならば、まさに伝貧馬に対する画期的な発明であるやに聞いておるのでありますが、畜産局の方では、そういう情報について何らかお知りになつておりましたら、その範囲においてお話を願いたいと思います。
  33. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 その血清とか予防注射液とか、あるいは治療薬とかそういうものの研究は、各方面でやつております。北里ではむしろ治療法を現在研究しておるのでございます。しかしどこの研究所も、現在はつきりとこれならばというようなところまで、治療法でも、あるいは血清療法でも、あるいは予防液でも、見当をつけるまでの研究が進んだというところはございません。
  34. 井出一太郎

    井出委員長 先ほど伺つた数字によりますと、昭和二十七年度だけでも支払われた手当が二億五千九百万円、これは非常に厖大な額だという印象をわれわれは受けるわけであります。それでこれだけの費用を国が使つておる以上は、この一部分なりを割いて、あるいは別途の予算でもいいのですが、伝貧対策としての治療法の研究等に意を用いられる、こういうお考えはありませんか。
  35. 齋藤弘義

    ○斎藤説明員 われわれは大分前からそういうような意図を持ちまして、しばしば予算措置要求しておりますが、今までうまく行かないでおります。二十九年度には、やはり国立の伝染性貧血研究所を建てるという新規予算を提出しております。現在大蔵省でもまだきまつておりませんけれども、財務当局の方には要求書を出しております。
  36. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまの委員長の御質疑の中にもありましたが、私は帯広の畜産大学に参りまして、学長に会つたのでありますが、伝貧に対して畜産大学としてどういう考えを持つているかと聞いたところが、これはどうにもしようがないので、文部省から三百五十万円の補助をもらつて、今ようやく電子顕微鏡を注文したところだ、何とかことし中には電子顕微鏡をつけたい、こういうような話であつたのであります。そうしますと、畜産局としてはいろいろやつておられるだろうし、またいろいろなところで研究をしておられると思いますが、四千数百頭も出した北海道では、畜産大学においていまだ伝貧に対してはその程度のことしかできておらないということは、委員長の言われる通り私は重大問題だと思う。それでありますから、この際お願いをいたしておきたいことは、伝貧によつて屠殺してしまつたあとの処理、たとえばそれを八万円と踏んで、その八掛を共済金として支払う。それも実際の話を聞くと、六箇月たつたら来るのか、八箇月たつたら来るのか、ほとんど今ではめどがないという話でありますが、こういう払うべきものはさつそく払うと同時に、伝貧の処理に対して万全を期するように、ひとつ何とか徹底した治療方法を考究すると同時に、広く伝貧に対して、これは農家もいろいろ考えているようでありますし、また地方々々の獣医も、一生懸命になつて研究をいたしているようであります。電子顕微鏡でなければわからないような瀘過性病源菌というものは、今日の医学の対象になつているけれども、これはまだ的確な治療がわからない。しかし必ず人知の進歩は、この治療対策が発見されるものだと私は思う。しかし、その治療対策というものはどこにあるか、これは一つの発見であり、発明でありますから、何人がこれを発見し、何人がこれを発明するかわからないのである。世界の学説ではなおらぬようになつているかもしれないけれども、それは発見、発明によつて治療できるかもしれないと思いますから、この際大いに胸襟を開いて、そういうことの申出があつたならば、できるだけ畜産局の予算措置において地方と交渉せられて、この実験を命ずるという態度をとつていただきたいとお願いするのであります。  同時にもう一点、それは救農対策として問題になつております客土でございますが、私の観点からいたしますと、客土をやらせます場合に、客土そのものが問題だと私は思つているのであります。結局土地改良ということになりますと、暗渠排水ないしはその他のいろいろな観点から土地改良というものが考えられますが、結局土地改良の重点というものは、土質というものにおちつくのじやないか。すなわち、地方というものをいかに増強するかというところに、土地改良の本筋があると私は思うのであります。そうなりますと、その客土をする土質そのものに非常に大きな重点が払われなければならぬのじやないか、そう思うのでありますが、それにつきまして秋田県は積寒法によりまする土質改良の方法として、秋落ち水田に褐鉄鉱を入れておるのであります。これは農林省としては一〇%以上水酸化鉄を含むものを含鉄肥料として取扱つておられるというのでございまするが、これに対して何かお考えがありましたら、承つておきたいと思います。
  37. 岩永達夫

    ○岩永説明員 ただいま客土の問題が出たのでありますが、お説の通りであるのであります。ただいま秋落ち水田の客土の褐鉄鉱のお話が出ましたが、一般の客土は、農林省の内部機構の問題で農地局でやつておりまして、改良局でやつておりますものは、例の耕土培養法に基いて秋落ち水田の改良として含鉄物資を入れることに対して補助金を出しておるわけであります。その秋落ち水田改良対策用の含鉄物につきましては、耕土培養法に基きまして補助金交付の対象となるものは褐鉄鉱、沼鉄鉱、鉱津、鉄粉及び岩石の風化物で鉄分を百分の十以上含有するものと規定しておるわけであります。ただ耕土培養法では仕事を非常にこまかくやりまして、農地試験場から対策調査、いわゆる土地を見に行まして、そこで五反歩に一点ずつ土地を選びまして、どういう土であるかということと、ここにはどういつうものを入れて、さらに肥料はこういうふうに使いなさいという処方箋を書きまして、指導して来ておりますが、資材の種類が非常にまちまちでありますし、また土壌の性質もありますので、秋落ち水田の改良に使う含鉄物は、その地方で都道府県の試験した結果、その効果があるということを確認したものでなければならないという規定をつけ加えております。原則としては鉄分一〇%以上あれば、対象として一応考えられるわけであります。
  38. 齋藤憲三

    齋藤委員 鉄分一〇%以上含むということになりますと、私そこに非常に疑問があるのです。水酸化鉄、Fe203という形ですと、これは私たち田に非常にきくと思いますけれども、その他の形における鉄ですと、そういう効果がないのじやないだろうかと思うのですが……。
  39. 岩永達夫

    ○岩永説明員 Fe203だけではありません。全部です。
  40. 齋藤憲三

    齋藤委員 全部ですか。そうしますとFe203ということはいわゆる水酸化鉄として天然の土壌に含まれている形のものがきくのであつて、その他のものはあんまりきかないのじやないかと考えておるのです。それは山形県の話を聞いたのですが、Fe203の形でも褐鉄鉱、沼鉄鉱と称せられる水中で手で握ると全部コロイド状に溶けてしまうものでなければ効果がない。水中でもつてこうやつてもどうしても溶けない形になつているものは、いかに含鉄肥料を田の中に投入してもだめなんであります。だからいわゆる自然的に発生したところの褐鉄鉱、そういうもののいわゆる鉄バクテリヤで形成せられたところの、水中で手でもんでいればコロイド状に還元する鉄でなければ、耕土培養としての秋落ち対策にはならないのじやないかということなんですが、そういうことを御研究になつたのでありましようか。
  41. 岩永達夫

    ○岩永説明員 一応秋田水田を見ますると、大体鉄が流れて、なくなつている。そこで硫酸アンモニアのような肥料をやりますと、硫化鉄が固定されないで、硫化水素になつて、根がいたむということになりますので、もちろん、お説のように、コロイド鉄が最もよく、要するに、土の中で硫化鉄として固定されなければいかぬということになる。今まであちこちで鉄関係の試験もやつておりますが、中には効果のない場合も若干ございます。全部を平均いたしまして約一割の増収であるということであつて、中には資材の関係あるいは受け入れる土壌の性質できかないという問題が出て参ります。一応耕土培養で補助金を出す場合には、都道府県で試験してその地帯についてはよかろうというところにしか補助金を出さないわけでります。一応県で試験いたしました成績もございますので、そういうことで、間違いのないものから補助金の対象として取上げたいと思います。
  42. 齋藤憲三

    齋藤委員 委員長もこの問題を聞いていただきたいが、今お話を承りますると、秋落ち水田に褐鉄鉱を入れると、平均一割の増収になるという。今日農林委員会においていろいろ増産の問題をお考えになつておられましようけれども、秋落ち水田に対して的確に一割増収になるという方法は私はないと思う。非常に大きな問題である。もし含鉄肥料を田に入れて、秋落ち水田で一割の増収を確保し得るという計数的な結論が出たならば、これは農業政策としてこれに重点的な一つのウエイトをかけるということが私は考えられると思うのでございます。私は今ここに秋田県の報告を手に入れていますが、これによりますと、大体二割八分、三割、そういうような秋落ち水田の増収を確保されている。これはふしぎだと思つている。今、課長のお話のように、一割ということになりますと、増産目標として非常に大きな役割を果すと思うのでありますが、今秋落ち水田に入れる含鉄肥料というものはどれだけ見込まれておるか。幾らでもあるというのですか、それともこれは日本としては局限されたものであるというのでございますか、どつちでございますか。
  43. 岩永達夫

    ○岩永説明員 それは褐鉄鉱の資源としてあるかというお話でございますか。
  44. 齋藤憲三

    齋藤委員 含鉄肥料として何万町歩分やれるかということです。
  45. 岩永達夫

    ○岩永説明員 含鉄資材の方は当分不足しないと思います。私どものやつているところでは、秋落ち水田の面積を約六十万町歩と押えている、そのうち鉄の欠乏によるものが四十万町歩。耕土培養法では町村を指定いたしまして、その指定町村をやりますと、その指定の範囲その他で脱落するものがありますから、その七割の二十八万二千町歩というものを一応事業対象として、これを昭和三十三年までの年次別でやつているわけであります。これをやりますに、現在におきましては、資材の面ではそれほど不自由はないと考えております。この中にはもちろん褐鉄鉱ばかりでなく、例の沼鉄鉱も入つております。それから肥鉄土というようなものも資材として考えております。
  46. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうするとその四十万町歩の鉄分の欠如した田に含鉄資材をやつて、そういうふうに行くか行かないかわかりませんけれども、平均一割の増収ができるとすると、一町歩から二十石とれると換算いたしまして大体八十万石増収になるということになる。今日秋落ち水田に対して含鉄資材を投入するということで八十万石増収が的確に計数上に現われて来るということは、私は農業対策として大間額だと思うのです。なぜかと申しますと、戦後三千億の増産費を使つて、八十万石が必ずつかみ得たという計数は私は出ておらぬと思います。ですから、農林省としても、客土をやる場合に、鉄分を含んだ客土を秋落ち水田の鉄分の欠如しておる所にやるということにしていただきますには、私は国土総合開発の建前からいつても、そういう土をたくさんどこかから見つける地質調査というものもこれに伴つて活発化して来なければならぬと思うのであります。その点はいかがでございますか。
  47. 岩永達夫

    ○岩永説明員 ただいま私は耕土培養だけに限定してお話を申し上げたのでありまして、耕土培養で秋落ち水田の客土だけに使つております金額というのは、耕土培養全体の二十八年度の予算額が一億八千二百万円でありますが、そのうち秋落ちの補助金というものは六千九百万円、年間事業量が一万三千二百五十町歩。私の方の計画は、土壌の検診と申しまして、一々農家の土壌を調べて、それに合うような含鉄資材をきめてやつておるものですから、人の関係で仕事が非常にまどろつこしいのであります。このほか例の積寒地帯の客土事業というものが農地局にありますか、これは大いに鉄を含んだ赤土を客土していただきたいということをわれわれ農地局に申し込んでおります。その点ひとつ御了承を願いたいと思います。
  48. 齋藤憲三

    齋藤委員 含鉄に限らず私がお願いを申し上げておきたいのは、私の観点から参りますと、今はすべて元素の時代に来ているのじやないかと思うのです。他の戦力に関係する生産面を考えてみましても、あるいは原子力を考えてみましても、全部元素の時代に来ておる、というより放射能的な時代に来ておるのではないか。農業形態、農業経営の方法も、水準を上げるには、どうしても元素を考えて行かなければならぬ時代に来ておるのじやないか、そう思うのです。ですから、土壌の改良をやる場合にも、耕土培養をやる場合にも、鉄分幾ら、アルミナ幾ら、泥マンガンを触媒として幾ら入れなければならぬ、そういういわゆる元素的な考えを一つ研究部面に加えていただかなければ、ほんとうの増収を企図する農業経営の実際の部面が出て来ないのじやないか、そう考えておるのでありますから、その点もひとつよくお考えくださいまして、今後のそういう方面に対しての特段の御研究、御配慮を願いたいと思うのであります。と同時に、含鉄資材を使うことが、農林省としては増産対策として決定的なことになつて、これをずつと長く継続せられることになつておるかどうか、それを最後に承りたい。
  49. 岩永達夫

    ○岩永説明員 御趣旨につきましては、その点で進めて行きたいと考えております。  なお耕土培養事業の方は、先ほど申し上げましたように約二十八万町歩を昭和三十三年までで一応終るという考え方になつております。しか、耕土培養は一度鉄を投入いたしておきましても、何年かたちますとまたもとにもどる危険がございますので、こういう問題は、将来において、もう少し研究の進展とともに続けるかどうか考えて行きたいと思います。私どもとしては大いに続けたいと思つております。
  50. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもありがとうございました。まだ御質問申し上げたいことが残つておりますけれども、貴重な時間ですから今回はこれで終ります。     —————————————
  51. 井出一太郎

    井出委員長 これより請願審査に入ります。現在本委員会に付託になつております請願は本日の日程に掲げておきました三十八件及び昨日付託となりました十九件、合計五十七件であります。これより請願日程二十八件及び昨日付託の十九件を日程に追加して一括議題といたし、審査を進めます。  まず審査方針について諮りいたします。各請願の趣旨は、先般来付託議案の審査委員派遣による現地調査の結果、十分了承の上委員会審査に当つて来たことは御承知の通りであります。従いまして本委員会におきましては、各請願について趣旨説明の聴取等のことは省略いたしまして、ただちに採択いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。それではこれより採択いたします。日程第一より第一二、同じく第一四より第三七、追加日程第一より第一九に至るまでの各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおただいまの請願中米価問題に触れる点等のあります分は、一応米価審議会との関連もございますので、本委員会としてはその分については留保したいと思いますが、御了承願います。  次に日程第三八は、すでに政府の行政措置によつて趣旨が達成されておりますので、これは議決を要せざるものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なおその他の請願につきましては暫時延期いたします。     —————————————
  55. 井出一太郎

    井出委員長 引続き陳情書の取扱いについてお諮りいたします。本委員会に送付になりました陳情書は三十件であります。その陳情の趣旨も、文書表によつて承知の通り、おおむね先ほどの請願と同様でありますので、今後ともこれらの趣旨は十分に農政の上に反映せしめて行く意味において、陳情書は了承ということにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからうことにいたします。  なお本日議決いたしました請願に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  58. 井出一太郎

    井出委員長 なお本委員会の閉会中審査に関しましてお諮りいたします。今国会も本日をもつて終了することになつておりますが、閉会中も引続き委員会を開会いたしまして、冷害対策、食糧問題等の緊急問題及び前国会以来の懸案となつております法律案、農業災害補償制度の再検討の件等について審査を続ける必要があろうかと思います。つきましては、一、現在本委員会に付託になつておりますところの臨時硫安需給安定法案、二、食糧問題に関する件、三、畜産及び蚕糸に関する件、四、土地改良及び治山治水に関する件、五、農業災害補償制度の改正問題を含めての農業災害対策に関する件、以上の点につきまして、議長に対し閉会中審査の申出をいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  60. 井出一太郎

    井出委員長 次に小委員会の設置に関しましてお諮りいたします。ただいま閉会中審査事件として申し出ることに決しました農業災害補償制度改正問題及び治山治水の問題に関しましては、従前通り小委員会を設けてこれが調査に当らせたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。なおその小委員及び小委員長の選任につきましては、前国会通りといたし、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  暫時休憩いたします。     午後一時三十二分休憩      ————◇—————     午後三時二十八分開議
  63. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  食糧問題に関しまして議事を進めます。人造米の件について質疑を行います。芳賀貢君
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 当委員会におきまして先日来最近話題になつておる人造米の問題を取上げて審議を進めて来たわけでありますが、先日食糧庁長官との間における質疑の過程を通じて、まだ解明せられない点が若干ありますので、本日幸い特許庁長官の御出席も願いましたので、これらの点について若干の質疑を行いたいと思います。  まずお尋ねしたい点は、現在人造米の生産は、一応その生産の計画が立てられ、ようやく軌道に乗ろうとしておるような状態でありますが、問題の中心になるのは、何としても現在人造米をつくる場合において、いわゆる松浦式なるものの特許権の問題でございますが、現在製造せられているところの人造米は、聞くところによりますと、この松浦式の製法によらなくても優秀なものがつくられておるという。こういうことが非常に問題として取上げられておるわけであります。たまたま政府は、この人造米の生産に乗り出す前提として、松浦式の特許権を借り上げるために、一年間二千五百万円を支払うという契約をまず結んだのであります。さらに実施権者に対しましては、この半額の一千二百五十万円を一年を期限として支払う、こういうことにいたしまして、特許権を借り上げて、そうしてまず特許権にからまるところの業界に対する一つの暗雲を払うというような意図であるというふうに察せられるわけであります。問題は、現在つくつておるところの人造米は、松浦式の製法に依存しなくても優秀なものができるという点に問題があるわけでありますが、特許庁におかれましては、これらの点に対してどのようなお考えを持つておられるか、まずお伺いします。
  65. 長村貞一

    ○長村説明員 実は特許庁では、特許発明の審査、登録ということをやつておりますが、その発明が実際世の中にどういうふうに工業化されておるかという問題につきましては、調査等は実はあまりしておりません。従いまして、人造米の問題につきましても、幾つかの人造米の製造方法によつて現に製造が行われておるようでありますけれども、現に行われておりまするそれぞれの人造米の製造の実態につきましては、これをつまびらかにいたしておりませんので、ただいまの御質問に対しまして、的確なお答えもいたしかねるかと存じますけれども、一応私どもの方でわかりまする限りにおきまして、申し上げてみたいと思います。  御承知と存じますけれども、人造米という定義の問題がまずあると思います。これは別に人造米とはこういうものだという明確な定義等も法令にあるわけではございませんで、おのずから常識的に、米にかわつて米のような形をした食糧をつくるというふうにでも考えますか、そうしますと、人造米の発明というものは前からかなりございまして、従つてこの特許権も前から相当つたのであります。ところが特許権の期間が満了するというようなことで、それが多く消滅しまして、現在権利としてございますものが十二ございます。この十二と申しますのは、今申しましたように人造米というものを考えまして、権利を数えたわけであります。権利の標題というのはおかしいですが、特許発明の名称として人造米の製造法と銘打つておりますのは三件くらいありますが、実質的に人造米の製造法と考えられますのは十二あるわけであります。これはいずれも人造米の製造方法に関するものでありますので、これによつていわゆる人造米ができると思うのであります。現に世の中で行われております人造米が、このいずれかの方法によつておるか、あるいはこの以外の方法で行われておりますかは、先ほど申しましたような事情でございますので、私の方でははつきりわからないのでありますが、単に人造米をつくるということを考えました場合、今申ましたように、権利としてもすでに十二あり、いろいろな方法で人造米ができるということは、お答え申し上げることができるのであります。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私も専門的によくわからない点があるわけですが、たとえば、松浦式の人造米をつくる場合において製法の中に特に大豆の粘稠液を用いるというようなことが表記されておるわけでありますが、もしこの大豆の粘稠液というようなものを用いないで人造米がつくられておる場合においては、これはいわゆる松浦式の特許権に抵触するものでしようか、その点を……。
  67. 長村貞一

    ○長村説明員 あるやり方が特許権の権利に入るかどうかという問題は、非常にむずかしい問題であるわけであります。これにつきましては、御承知のように現在の特許法では、権利範囲確認の審判というものによりましてこれをきめるということになつております。従いまして、ある方法がある特許権に触れる、——逆に言うと、特許権というものはこういう範囲のものだということを確定いたしますのは、確認審判の審決あるいはそれに関しまする判決が確定いたしませんと、内容はこうである、従つてこれは触れるということを申し上げかねますので、明細書の記載等には今お話のような点もございますし、その他の点も書いてございますが、御指摘の点に触れなければ権利をのがれ得るかどうかということは、審決を見ないではちよつと今私ここでお答え申し上げかねます。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点が非常に複雑なことになる理由でないかと思うわけでありますが、長官も言われたように、すでに公示になつておるものもある。もつとも人造米をつくつても、原料といたしましては、くず米であるとか、そば粉あるいは澱粉であるとか、こういうような単純な原料の混合によつてできるようなことになると思いますけれども、そういう場合において、その解釈のわくを非常に広義にする場合においては、ことごとくが特許権の侵害というようなことになると思いますが、人造米の問題は、御承知のように今年の何十年来にないような異例の凶作、災害等によつて国内においても、平年よりも米の減収だけで一千二百万石にも及ぶ、こういうような異例の災害の中において、国民の食生活を何とか保持しなければならぬという考え方から、政府当局においても人造米の製造というものが考えられたと思うわけであります。だからこの人造米をつくる動機が、国内における社会不安を一掃して、そうして国民生活の安定を少しでも保とうという意図に出ておる場合において、これらの製法によらない、大豆粘稠液等を使つておらない現在の製法に対しては、これはおそらく権利の侵害にならないのではないかというのが、しろうとと申しますか一般的な解釈としては、どうしてもそういうことに落ちやすいわけでありますが、この点を特許庁において権威ある確認をしていただくことによつて、諸般の問題が相当すつきりして来るのじやないかと思うわけであります。この解釈につきまして、たとえば食糧庁の中にある農林省の食糧研究所におきましても、これに対する非常に広義な解釈を行つておるように見られるのであります。参考に申し上げますと、特許権については、人造米が注目を浴びて以来いろいろ問題があつた。これを老婆心までに説明すると、今までの人造米の特許には、役に立つものと役に立たぬものとある。これを明白にわけ、検討整理したが、要するに合成米は澱粉、小麦粉、砕米を原料として、これを混合し、幾多の工程を経て製造されるのであつて、この場合原料の一部を変更したり、または新たに原料を加えても、特許をのがれることはできない。また一部の工程を変更して特許をのがれることもできない。特許庁の見解としては、製造工程におもな流れがあり、その流れに入つて来る以上、多少工程や原料に変更があつても、できた製品が同一の品質のものであれば、同じ方法によつたものと認定されると言つている。ということをこの食糧研究所の鈴木技官は言つておるわけであります。こういうことにいたしますと、たとえば現在の人造米がいわゆる大豆粘稠液というような特殊のものを用いないでつくられておるといたしましても、このわくに当てはめて、主たる工程がそうである場合においては、それはやはり権利の侵害であるということで行く場合においては、今後おそらくこの人造米に関する限り、新たなる発見とか、この製造に対して寄与できるよう発見というものは、なかなか認められないというようにも考えられるわけでありますが、その点に関する御免解を伺いたいのであります。
  69. 長村貞一

    ○長村説明員 ただいまの食糧研究所でございますか、その御見解というのは、奥は私今初めて伺つた次第でございます。抽象的には、一つの特許の要点に触れている以上は、それにカバーされるということは言えるのでございますが、問題は、具体的に何が要点かという問題になると思います。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、現在の制度においては確認審判の審決で結論を出します以外にはございません。現に実は今この審判手続をやつており、確認審判を求められておりますので、こういう際でもございますから、できるだけすみやかに審理いたして、結論を出したいと思つてつているわけでございます。これは御承知の民事訴訟法の手続をそのままとりまして、民事裁判と同じような手続で審判手続を進めて結論を出しますので、すぐに右から左というわけに行きませんで、若干手間どつておるのでございますが、できる限り十分審理を尽しまして、しかも早く結論を出したいと思つているわけでございます。  なお人造米につきましては、製造方法の出願が六十件余り今日現にあるわけであります。過去におきましても相当数の権利がすでに存在しておつたことは、先ほど申し上げた通りでございます。そのほかに六十件余り現在出願がありまして、これについても審査を進めておるのでありますが、結局これは個々の案件について比較検討しまして、その差異ありやなしやを確かめましてつ新規性を認められるならばこれを許すということになりますので、その一つ一つについて比較判断しなければならないものでございますが、なかなかこれにデリケートな問題でございまして、抽象的、一般的に幅がこうであるとか、あるいはこの範囲のことは触れるとか触れぬとかいうことも、ちよつとお答え申し上げにくい問題と思つております。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらにこの食糧研究所において、今新しい製法を考案して、これも食糧庁長官のお言葉によると特許を出願中であるというふうにも聞いているわけでありますが、これらの審理といいますか、検討は、相当時間的に長くかかるものであるか、またこういうような食糧事情の中において、食糧庁の研究所が行おうとするような出願に対しては、すみやかにこれを審査するというようなお考えであるか、その点はどうですか。
  71. 長村貞一

    ○長村説明員 特許の審査は、御承知の特許法で先願主義になつておりますので、お出しになりました順序に従つてやらなければなりませんから、特に食糧庁だからと申しまして、それだけ抜き出して早くやるわけには行かないのでありますが、全般的に、この人造米等は今お話のような問題にもなつておりますので、審理は十分急いでおります。いつまでにという日を確約申し上げることはできませんが、比較的早い時期に、食糧庁の出願を含めまして、他の出願についても結論を公表することができると思います。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 可及的すみやかという時期は、大体どのくらいかかるのですか、何箇月くらいか、あるいは何年もかかるのか、伺いたい。
  73. 長村貞一

    ○長村説明員 これはこういうふうになります。出願がございまして、審査をして、もし許可できぬものでございますと拒絶査定ということをいたします。もし特許庁の見るところでは許可し得るのではないかということになると、出願公告というものを決定いたしまして、一般世の中にこれをさらすわけであります。それがありましてから二月内に、どなたでもあれは許してもらつては困るのだという異議のある方は、異議の申立てをしていただきまして、またそれについて審理をして、最終結論を出すということになつております。今申しました、もし許しがたいものであれば拒絶査定、もし許す方向に行きますれば出願公告の決定、これがまず第一段階の処分であります。この処分は今の人造米につきましては何年、何箇月ということでなく、おそくも年内に、今申しました六十件全部というわけには行きませんが、早いものにつましては結論が出せると思つております。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに確認審判と言われますが、これの手続は、この審判が終るまで侵害とみなされるような製造はまつたくできないものであるかどうか、そういう点は自分たちにはちよつとわかりかねるので伺いたい。
  75. 長村貞一

    ○長村説明員 現在の制度によりますと、特許権の侵害につきまして、特許権者がいろいろな方法でこれを防衛するわけであります。一つは今申しました確認審判を求めまして、自分の権利の範囲はこれだけだと主張する。この確認審判は、そのほかに特許権者から権利を侵害しているぞとねじ込まれた方から、侵害しておらぬのだ、自分のは権利をはずれているのだということで求めることもあるわけですが、この方法が一つの方法、それから一般の司法裁判所に特許権者からいきなり民事裁判を提起して損害賠償を求める、あるいは特許権侵害の刑事訴訟を検察庁に申し込む、告発するという、司法裁判の系統で行くのと、両方ございます。そのほかに御承知の、たとえば一般の民事訴訟として、司法の法で仮処分のような手も一般問題としてできるわけであります。従いまして御質問の趣旨がちよつと何でございますが、確認審判の結論が出ませんでも、現実の製造はやろうと思えばやれるわけであります。確認審判の結果あるいは権利の範囲に入つているのだ、入つていないのだという結論が出ますと、それによつて大きな影響が出ますので、自然足踏みするというか、そういうことになります。これは民事訴訟でやる場合でも同じでございます。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらにこれはお答えがむずかしいと思いますが、先ほど申し上げた通り、今政府が三千七百五十万の松浦式特許権に対する借上料を払つたというようなことは、やはり当然そうしなければ、今の過程においてこの人造米の普及ができないかできるかという長官の御判断、これは参考まででいいのですけれども、おありになれば聞かしていただきたいと思います。
  77. 長村貞一

    ○長村説明員 これは特許庁からお答え申し上げるのはいかがかと思うのですけれども、御質問がございましたので申し上げます。人造米に関しまする特許権は現にあるわけであります。これは確かな事実であるわけであります。農林省がある方針を持たれまして、その方針に従つて人造米の製造を急速に奨励なさるとした場合に、その方法と同じようなと申しますか、言葉は不正確でありますが、非常な関連のあると思われる特許権があると認められるならば、急速にこの人造米の製造を奨励されるという立場から、いろいろな意味におきまするトラブルを行政的にお避けになるということで、適当な処置をおとりになるということは、特許庁といたしましても決して御反対申し上げる筋はないと考えております。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の最初から申し上げておりますのは、政府が借り上げて眠らしたところの特許権は、すでにこういう製法によらなくても今できておる、まつたくこの製法によつておらぬという事実の上に立つた場合にも、政府がなおそのような多額の借上料を払う必要があるかどうかというところに発しておるわけです。なお、大豆の粘稠液を使用するというのが一つの特徴になつているわけですが、これと類似の製法は、大正五年の十月ごろ大豆の粘稠汁というような——汁と液ですから大体かわりないと思うのですが、こういつた形の出願が出ておつて、これが公知、公用になつておるということを聞いておるのです。そういうことになりますと、ただ名前が大豆の粘稠液と粘稠汁との差だけなんですが、これらがいずれも現在の製法の中においては用いられておらない、これらの必要性がまつたくないというところまで製法が進んでおり、これを用いていないという製法において、まだこの中に特許権が生きているということにはならぬと思いますが、これらの問題を取扱われた大野部長が出席されておるようでありますが、できれば大野審査第二部長お話を伺いたいと思います。
  79. 大野晋

    ○大野説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。先ほど長村長官から御回答申し上げたように権利確認審判によらざる限り、はつきりしたことは全然申し上げられないのでございまして、審査当時といいますと、御承知と思いますが、大体審査官の——私ら指導はいたしますが、審査というのは、一応審査官の独自の立場で審査する建前になつております。従つて、その場合の審査官の判断によりますので、審判官と同様、一応請求の範囲により要旨を確認はして許すのでありますが、普通は請求範囲のものが出願前公知でなければ許す、要点は請求範囲に書いた通りということになります。大体私はそういうふうに考えております。従つて請求範囲同様のものは、当時文献になかつたということで、特許されたのでございます。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに大野さんにお伺いしますが、先ほど私が読んだ合成米についてという食糧研究所の発表した鈴木技官のあの言葉は、特許庁の大野部長の解釈がこうであるというような意味の敷衍らしいわけですが、大野部長は、やはりこれに対してこういうようなお考えを持つておられたかどうか、あわせてお伺いしたい。
  81. 大野晋

    ○大野説明員 鈴木技官のお書きになつたものは、私も長官と同様に、存じておりませんので、それをお書きになる前提において、私は全然お会いしておりません。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 実はこの点が巷間にいろいろ流布される問題になつて来ると思うわけであります。そういうことが、今日の長官並びに大野部長の御発言によつて明確になつた場合、何かその研究一つの意図をもつて世間に発表しておるということになると——これは民間における業者等がこういうことを表明するのはさしつかえないとしても、少くとも政府機関の立場にある者が、このような見解を表明することは、非常に軽率なことであるとも考えられるのではないか。何とかこの問題が、一日も早く根本的に解明せられて、この取扱い方針が確然となるということでなければ、食糧庁において、この人造米の問題に相当苦労されて乗り出しても、国民は、それほどこれに対する信頼とか期待を寄せることができないような状態になるのではないかと思うわけであります。食糧庁長官も見えておりますが、長官の御見解はどうでありましようか。
  83. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの鈴木技官のお話、私も間接に、何か講演会か座談会のときに、個人的にいろいろ質疑応答したとき、そういう意味のことを言つたということを聞きました。これにつきましては、その表現の点につきまして、相当誤解を招くおそれがあるということで、ただちにその上長でございます桜井さんが誤解を招かないようにということで、あとでその点を言いかえたというふうに承知いたしておるわけであります。たまたま鈴木技官が話のついでに、表現上おかしい点があつたということで、その指導役であります桜井氏が、そういう意味ではないと訂正したいというふうに私は承知いたしております。しかしながらそういう誤解のあるようなもの等につきましては、これは十分注意をいたしたわけであります。なおわれわれといたしましては、この人造米の特許の問題につきましては、特許庁と申しますか、特許の審判その他の状態を十分伺わなければならないということで、その点からいたしまして、先日も申し上げましたように、契約等について慎重に考慮いたしておる次第であります。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 当農林委員会としては、これらの当面しておる大きな問題、特に世間の一部から疑惑をもつて見られるような問題に対しては、やはりその根本を明らかにすることの必要を感じておるわけでありますが、ただいまの特許庁長官あるいは大野部長の御見解等によつて、やや今後の帰趨が理解できるように私は考えておるわけでありますが、これは食糧庁長官としても何らかの形式をもつて、これにからまる疑惑を一掃するというようなことを、適当な機会に行われる御意思はありませんか。
  85. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この特許権の問題につきましては、われわれとしても慎重に取扱つておるわけでございます。そういう誤解のないように従来ともに注意いたして参つたのでございますが、今後も注意いたして参りたい。また同時に、そういう誤解がありますれば、われわれとしてもその誤解を解くべく十分に努力をいたしたい、かように考えております。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なお先日私は発言いたしておりますけれども、この製造を進める場合においても、一部の業者の企業の独占化というような傾向が絶対起きないようにすることと、また政府が保管しているところの原料の払下げ等をする場合においても、これはやはり機会の均等というような意味において、ある程度普遍性を保つという配慮も必要じやないかと思いますし特定の業者に特定の廉価をもつて原料を払い下げる、しかもその製品に対しては、何ら規制するところがないというような場合においては、結局そこに利潤の追求という問題や、利権問題等が必ずつきまとうということは、これは想像にかたくないわけであります。この問題はあくまでもわれわれも十分今後注目して行きたいと思いますが、断じてそういうことのないようにしていただきたいのであります。さらに特許庁におかれましても、こういう問題の渦中に置かれた特許権等の問題でありますからして、一日も早く現在出願されておるところの問題であるとか、また抗争中の問題に関しましては、なるだけ短期に結論を出されまして、かかる問題が暗影を長く引くようなことのないように、御処理願いたいということを切に希望するわけであります。これ以上話を深めると、特に何らかの考えがほかにあつて、この委員会が動くのじやないかという疑義も出ないとも限らぬので、私の質疑は、この辺でとどめることにいたします。
  87. 足鹿覺

    足鹿委員 私は芳賀委員質問に関連して食糧庁長官に伺いたいのでありますが、合成米の製造を三月末までに五万トン計画されておるようでありまして、それに基く澱粉等の払下げを安くして行こうというお考えのようでありますが、その五万トンの製造をするために、政府所有の澱粉等売渡しに基く差損金といいますか、それはどの程度お見込みになつておるのでありますか。またそれは食管特別会計のどういう項目からどういう手続によつてお出しになろうとするのでありますか。その辺の政府が奨励せんとする価格対策上の方針なり、具体的な内容を聞かしていただきたい。
  88. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの現実の問題といたしましては、五万トンの製造計画をもつておるわけであります。大体私たちの考えといたしましては、年間三十万トン程度の設備をつくることを一つの目標といたしておるわけでございますが、五万トンくらいの設備が三月末にはできるだろう、こういう見通しなのでございます。現実にその製品を五万トン三月末に生産計画としてつくる、こういうわけではないわけでございます。ただ五万トン程度の設備が三月末にはできるのじやなかろうかという一つ見通しだけでございます。それが第一点の質問に対してのお答えでございます。  第二点の澱粉の問題でございますが、足鹿委員も御承知のように、現在政府は二千万貫の澱粉を持つておりますけれども、このうちさしあたり使い得るものはばれいしよ澱粉だけだろうと思います。かんしよ澱粉につきましては、なお精製その他の必要があろうかと思います。脱色等につきましてもまだ検討する余地がありまして、いろいろ技術的に検討をいたしておるわけでございまして、さしあたり人造米に使い得るものはばれいしよ澱粉かと思つております。ばれいしよ澱粉につきましては、政府は現在二百万貫程度つておるわけであります。現在われわれといたしましては、特に澱粉につきまして安く払い下げるということは考えておらないわけでございます。ただ今後合成米のコストを計算いたしまして、ほぼ内地米程度になるようにいたしたい。その際におきます原料価格がどうなるかということを検討いたしておるわけでございます。具体的に、今の市況の価格から見まして、特に澱粉を安くしなくてもやれるのじやなかろうか、これは原価計算の問題をさらに検討いたさなければなりませんけれども、現在の澱粉の市況からいたしますと、そういうことになるのじやなかろうかというふうに現在考えておるわけでございます。ただ御承知のように、人造米の生産につれまして、ばれいしよ澱粉の需要が相当高まつて参る、そして市価が相当つて参るということになりますと、原料価格との関係がどうなるかというふうな点を、さらに検討いたさなければならないと思いますが、われわれといたしましては、できるだけかんしよ澱粉を使つて参ることが必要であろう、早急に砂を脱くということと、脱色をするということの技術を完成いたしまして、これによつてかんしよ澱粉を使う方向に持つて行くことが必要じやなかろうかというふうに現在考えておるわけでございます。現在工場もまだごく少数でございますし、これに対しましては、現在まだ澱粉を払い下げたことはございません。従いまして、今後できる工場のできぐあい等を見ながら、その点を検討いたして参りたい。現在具体的にこういう価格でこういうふうに払い下げるということは決定いたしておりません。
  89. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、政府が奨励をするということは、澱粉等の業者への売却について、別に財政負担等をも考えてこれを安く製造し、市販に供するということではないのであつて、ただ今問題になつておる人造米に関して、財団法人日本合成米協会等について後援をされたり、またいろいろな特許権の買上げの問題等を通じて、一応これの普及に乗り出して行くということでありますか。ただわれわれの聞いておるところによりますと、今の澱粉市況から見まして、普通の配給米が来年から一キロが七十三円五十銭になるといたしまして、大体これは、農林週報に出ておる経済審議庁筋の見解でありますが、七十三円六十二銭くらいにつく、小売価格は百円前後だと伝えられておる。そうしますと、今度また米の消費者価格が相当引上げられるのではないかとも仄聞しておりますが、そういう高いものを手間をかけてこれを売りつけて行くということでは、これはそう大した意味のある仕事ではないというふうに思われる。問題は、政府の手持ち澱粉のはけ道、また農産物価格安定法等によつて今後も買い上げるであろう澱粉等の処理をお考えになつた場合に、若干の財政負担も用意の上でこの奨励に乗り出しておられるのではないか、そういうふうに伝えられておるのでありますが、今の長官の御答弁では、別に財政負担はやらない、まあやるとしても今後検討しなければわからないというような話でありますが、もし財政負担を政府が覚悟の上でおやりになるということになりますと、これは一つの企業に対して現金で補助するのではなくて、物の払下げ、売却を通じて相当援助することになりまして、相当国策的な意味もこれに含まれて来る。従つてその面からこの特許権をめぐるいろいろな紛争もさらに拡大して行くということが予想されるのであります。そういうことについていずれ財政負担等をおやりになる場合は、国会の意思も求められるでありましようし、そう軽率には私はできないことだと思いますが、財政負担はしません、こういうふうにはつきり御答弁になつたものとして了承してよろしいでしようか。
  90. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまも申し上げましたように、現在の小麦粉の価格及び澱粉の価格との関係、それから合成米についての末端価格との関係が考えられるわけでありまして、われわれといたしましては、そういう財政負担なしに、企業の合理化によりまして配給米程度に持つて行くことが理想でございます。ただ先ほども申しましたように、非常に澱粉等の市価が高くなり、それにつれて合成米の末端価格が高くなるというふうなことになりますと、これの関連におきまして、ただいま足鹿委員お話がございました澱粉等の払下げについても考えなければならないわけでございますが、現状の考え方からいたしますと、そういう必要なくしてやり得るのじやなかろうかというふうに考えておるわけであります。もう一つは、われわれといたしましても、かりにこれを廉価販売をするということになりますと、これが横流しされるというようなことがあつたり、国家が財政負担をやりながら他に転売される、あるいはまた価格が適正に守られないというようなことがあつても困りますので、そういう点について十分研究いたしたい、かように考えておるわけでございます。従いまして現在におきましては、これを絶対的にそういう形でやるというのではなく、情勢を考えまして検討して行きたい、かように考えておるわけでございます。
  91. 金子與重郎

    ○金子委員 関連の関連になりますが、大切なことだから食糧庁長官に申し上げておきますが、今足鹿委員質問に対する答弁で、澱粉を特に食管会計を赤字にして払い下げる意思はない、今の状態ならばそれで行けるだろうということになると、かりに澱粉が少し値上りした場合、あんな割高な澱粉は人造米には使わない方が得だということになりますと、少くとも人造米で澱粉を消化するということの意味はなくなつて来る。私どもは人造米に対してはいろいろの疑義がある。疑義はあるけれども、ただ一つの頼みは、今栄養価値はあるけれども、嗜好上食う方法として困つておる澱粉を——ほかの用途の点からいつても困つていると言つてもいいと思うのです。しかしながら一方日本の食糧生産という大きな立場から言うと、この畑作に対する一反歩当りのカロリーを一番生産させるということになると、安全策であり、しかもカロリー生産の多いところの根菜澱粉というものに依存するということは、将来大きな国策的な問題だと思います。それに依存すればするほど今食糧庁が頭痛はち巻になつておる、あの価格安定法で出て来る澱粉というものの処理に困つて来る。この窮余の策として、ひとつこれを人造米というような形において人間のカロリーに消化できるなら、これも一つの方法だというところが、われわれの見た人造米に対する魅力なんであつて、それ以外にただ粉であるべきものを固めて食うということだけならば、そんなに人造米の方に力を入れるということはぼくらに考えられない。だからわれわれが期待しておるのは、いわゆる澱粉をいかにして人間のカロリーにうまく行けるかということに一番期待しておるわけです。それからもう一つ、それのもとというものは、日本の食糧の自給態勢の確立というものを、麦と米だけでは依存できない。一番安全策のいも、いわゆる根菜澱粉というものをどうして自給自足の中に入れるか、そこに隘路があるから、たまたま人造米というものができたからそれならばと思つて期待しておるのに、今度は澱粉というものが割高で、政府も財政処置をしない。そうすると業者はあんな高いものを入れないで、売れるのだから小麦粉だけを使つて、あるいは一部くず米を混合して、人造米をつくつて売るということになると、かんじんのいも類の解決方法としては人造米というものは何も役に立たない。もう一つ逆な面から見れば、それならば澱粉を政府が財政的に一年に若干の量の赤字を生んでみたところで、これだけの食糧というものを、自給態勢の確立をするためならば補助金をさえもあれだけ出すからには、私どもは金を出すのに対して少しもやぶさかであつてはならぬと思う。出してもいいと思う。出すとすればさつき足鹿君が言われたように、それも特定な企業者に対して——利益追求を目的とする企業者に対して特定な政府の赤字をそこへ出して行くということは今度は逆な面から言うと非常に困る。こういう二つのジレンマに陥る。ですから、そこで今あなたは、食糧問題に火がついたからそれというような考えでものを考えて、今の人造米というものを考えていらつしやるだろうけれども、そうでなしに、もう一つ日本の食糧自給態勢というものの上に、いも類の占める地位というものをどこへ置こうか。それを達成するために一つの方法論として人造米はどうかということになると、当然国として私は赤字を出してもいいと思う。しかしながらその赤字が結果において消費者のためにならずに、一部企業者のためになるような赤字の出し方では絶対困る、こういうふうに考えるのですが、その点に対してどういうふうに考えられますか。
  92. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 私が申し上げましたのは、あるいは言葉が足りなかつたかと思いますが、現在の規格におきましての小麦粉、澱粉及び砕米というような形になつておるわけであります。この混合割合というものは特定できないということに考えておるけわです。ただ仕法として澱粉三割ないし四割を入れることを構想として持つて行きたい。その場合における小麦粉と澱粉との価格がパーになればそういうことが非常に行くのではなかろうか。現在その点につきましては、大体パーになるような形になるのではないか。大体こういうふうに考えておりますのと、全般的にもちろん金子委員お話のように、当初食糧研究所でこの研究を始めましたのは、澱粉の消化から始めたわけであります。従いましてだんだんに生産が進みまして合理化されますと、その面におきまして相当の澱粉の消化ができるのではなかろうか、かように考えているわけであります。ただその工場の合理化の進む度合いと、それから澱粉価格と申しますか、仕法の割合及びその価格との関係を、末端の人造米価格との関係をどういうふうに調整して行くか、こういう問題になるかと思います。
  93. 金子與重郎

    ○金子委員 それは今はパーだというふうな考え方だけれども、将来を考えてごらんなさい。将来小麦粉は世界水準が安くなつて参りますよ。いも類澱粉は、あれだけの加工過程をつけて行きますと、おそらく高くなる可能性の方が強い。一方小麦も下つて来ますから、その場合に貿易本位で行けば、いもをつくらずにやれ、食糧を買うのが得だということになると別ですが、私どもはそう考えておらない。そこで政府は、今こうだということでなしに、今度小麦の方が下つてくれば、今度は澱粉は使わない方が得だということに自由企業であればなる。そうなつ来ればそのときの人造米というものは、要するに広義の食糧自給態勢いわゆるいも類澱粉をいかにして食糧の線に乗せて行くかという私どもが今期待していることとは、だんだん遠くなつて行くが、そういう場合にどうするかということです。
  94. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 その場合に、基本的には現在の人造米のコストはだんだん下つて来る。しかしそのコストの下り方と、ただいまお話のございました小麦粉と澱粉の差ができて、そのコストの下り方以上にできた場合にどうするか。こたはやはり農産物価格安定法の規定にもございますように、新規用途の開拓としての売却ということは考えなければならぬ。ただその場合におきまする措置について、末端価格との関連においてどういうふうに処置するかというような問題がございますので、現在もいろいろその点を検討いたしておるわけでございます。
  95. 足鹿覺

    足鹿委員 私は最後にお尋ねをして品おきたいのは、来年の三月末までに五万トンを計画しているということは、先刻長官の御答弁で明らかになりました。そこでこの五万トンを生産して行く場合に、澱粉の払下げ価格がいろいろな場合を考え、大体現在の市販の小売価格を百円前後といたしますと、人造米の原価を七十三円六十二銭程度のものから澱粉の価格を逆算してみますと、五十一円六十三銭くらいになるようであります。これを政府の財政負担が幾らくらいになるかと言いますと、二億八千八百三万七千円程度になります。でありますからこれよりはずつと澱粉の価格を下げなければ、人造米の市販価格というものは下らない。これを下げようとするならば、政府がたとえばキロ当りの標準を三十五円四十銭くらいにした場合の政府の財政負担はどれくらいになるかと言えば、五億九千万円程度になるようであります。そうしますとこれは莫大な金額であります。それだけのものを市価よりも——市価は若干の高低があるでしようが、政府が財政負担をして、これを特定業者に売渡しをすることになりますと、それだけ自由なる澱粉の市場価格を圧迫する結果になると思う。政府のよき意図であろうと何であろうと、一方においては農産物価格安定法に基いて澱粉の買上げをやる。ひいていもの価格の安定を期していながら、逆に政府が買上げたものを特定な業者であろうと何であろうと、政府がこの財政負担をして放出をして行くことになると、それだけ市況を圧迫しないではこれは意味をなさない。従つて市況がそれだけ引下げられるという結果になる。農産物価格安定法の精神とはまつたく背馳した結果になると私は思う。一体こういう点をどう処理されるか。企業の合理化であるとか小売価格の適正化であるとか、そういつたことを幾らおつしやいましても、それは私は不可能なことだと思う。なぜならば、現在の麦はどうですか。六十億ないし八十億の補給金を出して、政府がこの精麦業者や製粉業者に払下げをして、それから先は自由価格であるから、何らこれを取締る方法というものはない。すでに本年の三月の麦類の価格のピークと去年の麦類の統制撤廢のときとを比べてみますと、実に一俵について三百八十円も現に業者が利益しておつても、食糧庁は何ともこれを取締ることはできないじやないですか。いや標準店をつくつて、そこへお客を吸収して、適正価格をつくるくらいの生ぬるい処置ぐらいしかできないじやないですか。結局それは特定業者をもうけせしめることになり、ひいては農産物価格安定法の精神と背馳した処置をとらなければ、この人造米のコストというものは下らぬじやないですか。澱粉を消費するのがこれが主たる目的であるならば、そういう結果にならざるを得ないのです。私は、そういつたことに対して十分なる見きわめもつかずして、すでに政府が奨励の態度をきめることによつて、先日から川俣委員等からも問題になつておる、政府の政治的な力によつてこの問題が大きく取上げられておる。しかも政府は知つておるか知らないか知りませんが、いわゆる財団法人日本合成米協会なるものをつくつて、小浜八弥氏でありますか元農林官僚をその会長にいただき、そして入会金、権利金として三十万円づつだかを現に徴収しておるそうであります。そういつたことになつて、非常に利権的なものを政府の政治的な力によつて、だんだんこれをでつち上げて行く結果に事実なつておるのです。あなたは、政府の財政負担を伴う澱粉の放出等は今のところ考えておらないと言われますが、ではこれを放任しておいてこのコストが下るということになれば、澱粉を消費せずして小麦粉に依存をして行く場合、小麦粉に依存をするならば、別に人造米などというものをつくらなくてもよろしい。戦争中や戦後の食料不足のときやつた、そうめんを切りきざんで米にたいて食べればよろしい、うどんを切つてこれを米にまぜて食べればそれで足りるのです。別に人造米だなんていうことをやらなくても私は足りると思う。問題は澱粉なのです。政府の財政負担を伴わずしてコストが下るということは、企業の合理化以外には何ら今のところ手段はないのです。そこに私は大きな矛盾がありはしないかと思う。長官はこの点どういうふうに御解釈になりまするか、私はこれがだんだん発展して行けば、当然政府は財政負担を伴う澱粉の放出をしなければならないようなところに追い込まれて行くに相違ない。そうなれば結果においては農産物価格安定法の精神を蹂躪するような結果を来し、澱粉の市況を政府の放出によつて圧迫する結果になり、自由なる価格形成を阻止する結果となるじやありませんか。それはひいて農民のいわゆるいもにはね返えつて来ることは明らかだと私は思う。そういう点についてどういう御所見でありますか。まだ私はいろいろとお尋ね申し上げることもありますが、川俣委員が先刻から特許庁長官にお尋ねがあるそうでありますから、この一点を私は前谷長官にただしておきたい。この問題はそう簡単に解決さるべきものではない。もし政府がやるならば、少くともいわゆる適正なる品質のものが適正なる価格でもつて、最終的に消費者の口に入るという保障のない限り、この問題に対しては政府がいたずらに乗り出すべき筋合いのものじやないと私は思う。私の考えでありますが、その点について農産物価格安定法との関係において、長官はいかような御所見を持つておられますか、それをお尋ねして、私は一応打切つておきます。
  96. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。その前に足鹿委員から、今度設立いたしました合成米協会に加入金をとるというお話でございましたが、こういうことはございません。これはあるいは別の団体のお話じやなかろうかと思うのであります。今回設立いたしました合成米協会につきましては、これは現在検査によつてつて参ります、検査の手数料と政府の補助ということも考えておりまするが、まだ設立いたしましたばかりで入会金をとるとかいうことはいたしておりません。それは別の団体があるいはあるのかとも存じます。  それでただいまの問題につきましては、小麦粉におきましては、現在二十二キロでいたしますると、工場着で千百円といたしますると五十一・六三銭くらいになる、澱粉を十貫当りにいたしますと千八百七十五円ということになる、大体同じ価格でもつてほぼつり合いがとれておるのじやなかろうか、かように現在は考えておるのであります。ただお話の通りこの澱粉の人造米に対する払下げの問題と、それから農産物価格安定法の調整の問題、これは御指摘のように、この運用を誤りますると、現在におきましては法律の趣旨を没却することになつては困りますから、その調整をいかにするかということが非常に重要な問題かと思つております。われわれといたしましても、価格安定法の趣旨を没却するような方法によつてこの原料払下げをやつて行くという考え方はいたしておらないわけであります。ただ工場の原価につきましても、今後の企業合理化によつてだんだん下つて行くのじやなかろうか、そういたしますと澱粉工場の設立と同時に澱粉の用途の拡大にもなる、合理化が進みますにつれまして、消費者の需要のいかんにもよりまするけれども、現在の状況におきましては相当の需要があると考えられまするので、そういう点から行きますると澱粉に対する市場の新規の販路の拡大になるということを期待いたしておるわけでございまして、御指摘のように農産物価格安定法の運営の問題と、政府の払下げの問題とはこれは非常に重要な関連がございますので、われわれといたしましては、農産物価格安定法の趣旨に反するような運営はいたさないという考え方で検討いたしておる次第でございます。
  97. 井出一太郎

    井出委員長 川俣清音君。
  98. 川俣清音

    ○川俣委員 私は数点にわたつて長村特許庁長官にお尋ねいたしたいと思います。私は特許に関して実はあまり十分な知識を持つておりませんのでありますから、そういう観点でひとつお尋ねいたしますから、御答弁願いたいと思います。国内の禁止品に加工したりあるいは品質処理をするような特許申請があつた場合、無条件で特許決定が行われるのであるかどうか、この点を伺います。
  99. 長村貞一

    ○長村説明員 国内の禁止品というお話でございまして、これは御承知の特許を与えるかどうかといいますることは、特許法で、こういう場合には拒絶すべしということが法定してございまして、その場合にだけ拒絶すべき理由ありとして拒絶するわけであります。禁止品につきましては特別の規定はありませんけれども、いかなる意味におきましても絶対に使えないというようなものがもしあるのでありましたならば、それを元にして何かするということは私は考えられないと思います。
  100. 川俣清音

    ○川俣委員 たとえば麻薬のようなものも、これは使用禁止ですが、麻薬を使つて薬をつくり上げるというようなことは、やはり使用の禁止になると思うのです。こういうことは無条件でやはり特許決定されるのですか。
  101. 長村貞一

    ○長村説明員 今の設例でございますと、非常にいろいろな場合が想像されると思います。たとえば麻薬を使いまして医薬品をつくるということがあります。ところが医薬品は特許の対象になつておりませんので、その意味からこれは特許の対象にならないということになるわけであります。
  102. 川俣清音

    ○川俣委員 特例で医薬品等は特許の対象にならないということになりますと、国民生活に非常に関係の深い主食などについての特許というようなものについて、将来特許法を改正する御用意があるかどうか。もう一つは、もし特許法を改正しなかつた場合においては、法律でそういうものを禁止することが考えられなければならぬと思いますけれども、特許法を改正した方がよろしいか、あるいはそういう製造品を販売することを禁止するような法律の方がよろしいか、どちらを適当と考えられますか。
  103. 長村貞一

    ○長村説明員 ただいまの特許法ではこういうことになつております。先ほどの御設例で医薬品、それから飲食物でありますが、主食に限りませず、こういうものは現在の特許法では特許しないということになつております。ただこれは飲食物それ自身を特許の対象としないというだけでありまして、その飲食物をつくるつくり方につきましては特許になる余地があるわけであります。
  104. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると飲食物を特許の対象にしないという意味の根拠はどこにあるのですか。
  105. 長村貞一

    ○長村説明員 これは私の解釈でございますけれども、御承知のように飲食物というようなものは人の生存の根本と申しますか、これを特定の者に独占させるということは、制度としてもはなはだおもしろくないということから、飲食物それ自身は特許しない、ただつくり方でありますならば、二つ、三つあるいはそれ以上にもあり得るわけでありますから、方法の方は特許する、こういうことであります。
  106. 川俣清音

    ○川俣委員 私はそこに重大な問題の要素があると思うのです。特に主食に類するようなものについて、今日日本国内食糧事情が非常に緊迫いたしておりますときに、それにつけ込んで行われるような特許というものは、非常に好ましくないと私どもは考えますけれども、長官はどのようにお考えになりますか。特許法の上からでなく、行政官としていかような見解を持つておられますか。
  107. 長村貞一

    ○長村説明員 特許をするかどうかという問題は、結局新しい発明、考案を考えました場合に、それの根本的な奨励策としてこれに特許権を与えるかどうかという問題になると思うのであります。今申しました飲食物それ自身とか、あるいは医薬品とかいうようなものそのもの自体を特許いたしますことは、先ほど来申し上げましたようなわけで非常な弊害もありますのですが、その方法につきましては、これを特許すること自身は私はさしつかえないのじやないかと思います。この権利行使の面で、たとえば権利濫用とかいうものが起れば、これはまた別でありますが、特許すること自身はさしつかえない、かように考えております。
  108. 川俣清音

    ○川俣委員 たいへん問題ははつきりして参りました。そこで犯罪を伴うような条件が含まれている特許申請に対しまして、やはり特許を与えるような御方針でしようか。それ自体に犯罪を伴わなければ完成できないような条件を十分含んでいる場合においても、なお特許申請がある場合に許可を与えますかどうか。
  109. 長村貞一

    ○長村説明員 抽象的なことになりますが、もしお話のように、それ自体に必ず犯罪行為を伴うようなものでありますならば、これは公序良俗に反しますから、もちろん特許すべきものでないと考えます。
  110. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、この特許の申請のあつた時は、米の統制のされていなかつた時代であつたかとも思うのですが、その後米の統制が行われましても、依然としてこの特許権というものはそのまま存在してよろしいものであるかどうか、考慮されなければならぬとお考えになるかどうか。
  111. 長村貞一

    ○長村説明員 特許当時におきましては、何らの統制的な措置もなくて、その後統制的な各種の政策が出ましたために、それを自由に使うことができなくなつた時代に、そのまま特許権を生かしておいていいかどうかというお話だろうと思います。これは私は特許権を実際に行使いたします場合には、今の統制その他の方面から非常な制限ができて参りますけれども、特許権それ自身はいいのじやないか、それを行使するについて、そこにいろいろな問題が別個に起つて来るのじやないか、かように思います。
  112. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、米穀の統制法規があつた場合もなかつた場合も、特許決定については何らの制肘を受けるものではない、こういうふうにお考えですか。
  113. 長村貞一

    ○長村説明員 特許それ自身につきましては何らの差別はないと思います。それを今度現実に行使する面につきましては、これは別だと思います。
  114. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、特許というものが国内におけるあらゆる法律に超越してなお許可されるというようなことは、私はどうも特許法の行き過ぎだというふうに思いますけれども、これに対する御見解はどうですか。
  115. 長村貞一

    ○長村説明員 私の申上げ方があるいは不十分かもしれませんが、もとより今の御説明のように、特許いたしました時には何らの障害がなかつた、特許したその後に今仰せになりましたような障害が起つた場合に、すでにある特許権をそのまま生かしておくかどうか、これは生かしておいてさしつかえないということを申し上げたのであります。私は必ずしも特許というものがあらゆる法令に優先しているものとも考えられないのではないかというふうに考えております。
  116. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで私は一つ例を出して申し上げます。これはくず米ですから、あなたはちよつと簡単にお考えになりましたが、もしもほんとうの米に加工を加えたり、あるいは変質させるというような特許が行われてそれを行使しようとする場合に、ほかの法規からは制約を受けるけれども、特許権の面からは何ら制約を受けないというふうにお考えになりますか。そうしますと今後法律をつくるときにおきましては、やはり特許権を押えるような条項をつけて行かなければならぬということになるのではないか、立法論としては重大な立場に置かれると思いますのでお聞きしておる。
  117. 長村貞一

    ○長村説明員 今の場合は、私はかりに特許権はそのままにありましても、その特許を実施いたします、つまり実際につくる場合に米を使えない場合があろうと思います。それを押し切つて特許権があるからつくれるということを申し上げたのではないのであります。特許権はあるけれども、それは眠つておると申しますか、権制はあるけれども実際はそういう統制があれば動けないという状態になるとこう思つております。
  118. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、特許権があつても動けないということになると、特許権の上にあんまり権利が発生したり、あるいは特許権が高価に価値づけられたりするようなことはないというふうに見込んでよろしゆうございますか。
  119. 長村貞一

    ○長村説明員 これも抽象的にはなかなかお答えしにくい問題ではありますが、特許権の価値と申しましても、別にマル公があるわけでもございません。その時々それが問題になりました時期に、いろいろな情勢から判断してきめられるわけでございますから、勢い自由闊達にその特許権によつて思うままにつくれるかどうか、あるいはそれに対する需要があるかどうかということが勘案されまして、おのずからある結論が出るのではないか、かように考えます。
  120. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、今米穀の統制を受けておりますことは、毎日食膳に上る主食の状態から十分御承知だと思います。それらの国民生活の上に非常に重大な影響を及ぼし、国の利益の上に非常な利害が伴う特許権が今問題になつておるわけです。これが単なる嗜好品でありますとか、あるいは日常生活に直接関係のないものであつたり、あるいは自由販売品であつて、受益大衆の対象にはなつていないようなものでありましたならば、あえてここにおいでを願つてこの上論争を繰返す必要はないのですけれども、国民が非常に注目しておる今年のような凶作の中において、国内の食糧事情が非常に逼迫しており、かてて加えて外国から百六十万トンも高価な外米を買つて来なければならない、しかもその外貨手当も十分でないという中において、いかに特許権とはいいながら、国民のその日その日の生活に非常な影響を与えるようなもの、こういうものを特許の対象とすることについては、私は一応特許法を改正する必要があるのではないか、または別な面において、特許法の行き過ぎを是正するような法律を立法府としては考えなくてはならぬというようなことになると思うのであります。それで先ほど来お尋ねしているのですが、どちらが一体よろしいとお考えになりますか。特許行政をつかさどつておられます長官としての御見解を承りたい。それが一点です。  もう一点お尋ねしたい。今特許権の価値という問題が出て参りましたが、特許権の価値というものは、その特許を使用する場合において満たされる客観的な条件が備わつておるかどうか、または需要があるかないかというようなことによつて権利の価値が算定されるようであります。これに権利侵犯の問題が起きた場合においては、特許庁がいずれ算定されると思うのでありますが、こういう禁止品を含んでおる場合においては、先ほどの御答弁ではほとんど無価値だということでありますが、この点についてもう一度詳しく御答弁願いたいと思います。
  121. 長村貞一

    ○長村説明員 御質問の第一点でございますが、先ほど申しましたように、たとえば強力な統制でもありまして、物をつくるのに非常な制限を受ける場合に、その制限の対象となつているものを特許していいかどうか、あるいは特許権を生かしておいていいかどうかという点であります。これにつきましては私は、特許するあるいは特許権をそのままにしておく、それはそのままでいいのではないかと思います。といいますのは、特許権がある、特許されておるということで、他のあらゆる法令の拘束を排除して無条件に物ができる、事業ができるわけではないのであります。特許法は他の統制法規と並立して動くわけでありますから、特許権があるといいましても、もし他の強力な統制法規がありましたならば、それに規制されつつ物が生産されますれば、決してこの意味で特許権がオール・マイテイーとは申せませんから、これはしようがないじやないか。のみならず現在の特許法でも、特許、発明は公益上必要なときはその特許を収用する、土地の収用と同じようなこういうものがございますから、それによりましてまた処置するということも制度的には可能でありますから、特許するあるいは特許権を生かすこと自身はそのままでよろしいのじやないかと私は考えております。  それから第二点の特許権の価値の問題であります。実はこの問題は、特許庁としましては直接にタツチいたしません問題でございますから、特許庁長官としてお答えすることは適当でないかと思いますので、さつき実は常識的なことを申し上げたにすぎないのであります。特許権について権利の範囲はこうだということをきめます場合、その価値がどうだということには触れませんので、私どもの方では、特許庁の仕事としてそれに対する完全なる見解は持てないわけでありますが、ただ先ほどお尋ねがありましたので、常識的にさような問題をお答えしたわけであります。
  122. 川俣清音

    ○川俣委員 非常に明瞭になりました。国の利益または国民の利益に反して特許が実行される場合においては、その救済規定があるそうでありますから、日本の目下の状態におきましては、何といいましても食糧から来る不安が治安の上に及ぼす影響、あるいは国の総体の財政の上に及ぼす影響が非常に甚大であります。国の行政の一部を担当しておられまする長官といたしましては、国民の利益擁護のために一つの救済手段をとられるような処置が望ましいと思うのであります。今その方法があるそうでありまするから、そういうことによつて特許権のたな上げをしていただきますならば、国の利益ばかりでなくて、目下の困窮いたしておりまする国民の生活のために、御配慮願いたいと思うところでございます。一応これだけをお尋ねいたしまして、特許庁長官に対する質問は終つて食糧庁長官質問を進めたいと思いますが、もしも私以外に長官に御質問がありますれば、その人に譲つてもよろしゆうございます。
  123. 長村貞一

    ○長村説明員 ただいまのお言葉承りました。先ほど私申し上げましたことにつきまして、あるいは申し上げ方の不十分な点があつたかと思いますから、ちよつと補足させていただきます。それは、さつき私は公益上必要があつた場合には土地の収用と同じような収用ができると言いましたが、確かにその通りであります。ただ御承知と思いますが、もとよりこれはただでは参らぬわけでありまして、適当な補償は法律上つけなくちやならぬことになつております。それを申し落しましたので、念のためにちよつと申し上げておきます。
  124. 川俣清音

    ○川俣委員 そうなると問題なんです。さつきあなたは権利の算定やなんかはあなたのところでやられるとおつしやつたから、それではこれはもう無価値なものと見て決定できるのだ、こういうふうに実は私は思つたのです。もし価値があるのだということになりまして、その価値の中には禁止品が含まれておる、統制品が含まれておるという場合には、これはやはり無価値なものになるのじやありませんか。
  125. 長村貞一

    ○長村説明員 この特許の収用従つてそれに関する補償という問題は、実は今まで一回も起つたことがない問題であります。これは問題が起きましてから検討しなければなりませんが、お話のようにいろいろな情勢は考えなくちやならぬと思つております。ただ特許の収用等をいたします場合の補償の問題は、もし万一そういう事態が起りまするならば、それぞれの手続に従つて主務大臣の方からの請求によつてやるわけでございますが、たとえば特許権を収用しようとする方と、収用される方とで補償についての一種の話合いがまとまつておりますればそれによるというような規定もあるわけです。さような事態が起りまする場合には、またお話のようなことを考慮して行きたいと思つております。
  126. 川俣清音

    ○川俣委員 それでもう一つどうしてもこれはつけ加えておかなければならぬ。この特許の中にかんしよ澱粉とか、ばれいしよ澱粉というものが含まれておるのですか。ただ澱粉ということになつております。特許局では澱粉というとどつちでもお使いになるかもしれませんが、農業化学の上からはかんしよ澱粉とばれいしよ澱粉とは明らかにわかれておる。また人造米の構成の上からも、かんしよ澱粉とばれいしよ澱粉とは同じ合成の場合でも非常に大きな実質的変化を起すのであるが、この点を考慮されておるのかどうか。この二点をお尋ねいたします。
  127. 大野晋

    ○大野説明員 個々の場合によつて、私の方で大体許されておるのは、お読みになるとわかりますが、かなりいろいろな澱粉の例はあげてあるかもしれませんが、大体そこへ書いてある通りというふうに解釈していただきたいと思います。
  128. 川俣清音

    ○川俣委員 私特許のあれを今ここに用意しておりませんので、実はかんしよ澱粉か、ばれいしよ澱粉かというふうにお聞きしたのでありますが、手元にもし資料がございましたならば、それに基いて御答弁願いたいと思います。
  129. 長村貞一

    ○長村説明員 ちよつと明細書を持つて来ておりませんので……。
  130. 川俣清音

    ○川俣委員 続いて伺います。特許庁はあらゆる知識の人で構成せられておると思います。おそらく農業化学についても農業技術についても、その方面の権威者がおられることだろうと思うのです。そういう面から見ますと、かんしよ澱粉か、ばれいしよ澱粉かどつちか明らかになつていなければ、この特許申請というものは十分でないと私は思うのであります。先ほど食糧庁長官から御答弁がありましたように、目下の状態では、かんしよ澱粉を入れる場合はほとんど考えられない、今後相当研究を重ねて行かなければ実際問題としてできない状態なのです。従つてばれいしよう澱粉というふうになつておればこれは別問題でありますけれども、単なる澱粉というようなことでありますと、この決定に少し誤謬があつたのではないか、こういうふうに思いますが、その誤謬が発見された場合はいかなる御処置をおとりになるのでありますか。
  131. 長村貞一

    ○長村説明員 今の具体的な特許権の澱粉がどつちに入るかということは、私明細書も持つておりませんし、また技術者でもないので責任をもつて申し上げかねますが、澱粉という字が使つてある場合に、それがお話の二つの種類のうちのどれか一つに限定されるかどうか、これは明細書の記載の例を全部判断して考えなければならぬことだと思つております。誤謬がありますかどうかもそれに従つて判断しなければなりませんが、これらは先ほど申しましたように、確認審判が出ております。それによつて権利範囲の確認審判を進行中であります。確認審判の審決によりまして、その権利範囲がはつきりするのであります。その過程で明らかになるのではないかと私は想像いたします。
  132. 川俣清音

    ○川俣委員 その点は、もしもかんしよ澱粉を使いますならば、私どもあの申請の内容をはつきりつかんでありませんが、あの申請の内容のようなものが出て来ない、こういうことになる。そこで申請によつて、決定にあたつて誤謬があつたのではないか、こういうふうに申し上げておる。ばれいしよ澱粉を使つた場合には、おそらく申請のような結果が出て来た。かんしよ澱粉を使われるとすれば、あのような説明の結果は現われて来なかつたはずだ。従つてただ漠然と澱粉と掲げたことによつて決定されたのでは、誤謬があつたのではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点はどうですか。
  133. 長村貞一

    ○長村説明員 その内容につきましては私申し上げかねますが、その誤謬と申しますか、もしさような御指摘のことがありますれば、記載が不十分であつたということだろうと思います。明瞭な記載がなかつたために誤解を生じたということであろうと思うのでありますが、いずれにしましてもこれらのことは、権利の範囲がどうかということでありますならば、今の権利範囲確認審判でできまするし、もし非常な間違いがありまして、許すべからざるものを許した、本来無効になるべきものを誤つて許したということになりますれば、無効審判によりましてこれを無効にするという方法もある。この無効審判の請求も現にあるわけであります。その審判も今審理を続けております。
  134. 金子與重郎

    ○金子委員 その無効審判の問題ですね。今出ておるそうでありますが、こういうことを政治的に解決せよという意味ではありませんけれども、たとえば普通の民間の何かのメーカーとメーカーとの間に、無効審判が出たという場合にはそれでよろしゆうございますが、食糧の問題というのは、今国をあげての一番大きな問題です。そこで今この特許の問題をめぐつて国会で問題になつておることも、これは政策上大きな問題です。従つてそういう審判は、非常に事務などが多端でしようけれども、もつとスピーデイに解決するという方法を御考慮になつておりますか。
  135. 長村貞一

    ○長村説明員 審判の結論につきましてはこれは、別問題なのです。お話の趣旨は早くやるようにということだろうと思つております。私もまことに同感でございまして、実は審判の請求がありますとすぐ審判の手続を開始いたします。ただ御承知のように、これは民事設訟法の準用によつてやりますので、相手方の答弁とかいろいろなことがあり、やはり民事訴訟法の定めるところによつて一定の手続をとらなければならない。それをとりつつもできるだけ早くやるように指示はいたしております。
  136. 金子與重郎

    ○金子委員 そうするともちろんそれは裁判のような形式をとるのでしようが、そうすると控訴、控訴として行けば一年くらいはずれるということでしようか。
  137. 長村貞一

    ○長村説明員 審判に不服があれば抗告審判に参ります。それに不服があれば東京高等裁判所に控訴される。それに不服があれば最高裁判所へ行きますので、そこまで行くと時間がかかるわけであります。
  138. 金子與重郎

    ○金子委員 それでは期間はやはり裁判と同じようにないということですね。
  139. 中澤茂一

    中澤委員 ちよつと関連して——この特許の中心というものは、やはり大豆の粘稠液というものが中心になつておる。これは事実使つていないということが立証された場合、一体この特許権というものは効力があるものですか、どうですか。
  140. 長村貞一

    ○長村説明員 今の御質問の趣旨は、特許に使つてないというのは、現に特許権者がそれを使つてないということですか。ほかの者が製法にこれを使つてない、こういう意味ですか。
  141. 金子與重郎

    ○金子委員 そういう意味です。
  142. 長村貞一

    ○長村説明員 これは仮定でございまして、もし今御指摘の点がポイントでありますならば、それを避けてつくつておりますれば触れないわけであります。
  143. 中澤茂一

    中澤委員 そうすれば人造米の製造を松浦式だと言つてつておるのを、スパイが入つてすつかり製法を調査して来るとする。ところがこれは事実使つてない、そういう場合一体使つてなくともそういう特許というものははたして有効なものかどうか。製法に事実使つてない。特許だけはとつてあるのです。
  144. 長村貞一

    ○長村説明員 これはやはり仮定を設けないといけませんので、お話の点が特許のポイントであるということを仮定しての話になるわけであります。それが要点でありまするならば、それを使つていないならば、これは特許権があるにかかわらず、特許の方法を実施していないということだろうと思います。それが要点であればで、これはたとえであります。
  145. 中澤茂一

    中澤委員 一体澱粉または穀粉を大豆粘稠液で練る。そうすると一切の人造米というものは澱粉、穀粉に全部触れて来るのですか。
  146. 長村貞一

    ○長村説明員 そうなりますとだんだん特許権の内容の問題になりまして、これは私先ほども御質問があつて申し上げたのでありますが、具体的な特許権の範囲はこれだけだ、お示しの点が特許の要点になるかどうかということは、確認審判の審決が出ないと申し上げかねる現在の制度になつておりますので、この点は、今審判をやつておりまして、間もなく審決が出ると思いますから、そちらに譲りたいと思つております。
  147. 中澤茂一

    中澤委員 その審判の結論はいつごろ出るのですか。
  148. 長村貞一

    ○長村説明員 先ほど御質問がございましてお答えいたしましたが、審判の請求がありまして、ただちに今手続を進行しております。これが今言つた訴訟手続によりますもので、手続的な手間が少しかかつております。いつということははつきり申し上げられない問題であります。
  149. 金子與重郎

    ○金子委員 ちよつとわからなくなつて来たのですが、そうすると今長官のおつしやるのは、たとえばその部分を使うとか使わぬとかいう問題が出ておりましたが、それは結局特許権の請求の範囲の中の問題であるとどうしてそれを確言されないのか。この請求の範囲というものを特許として認めるということになつたら、その範囲にあるものは、あなたの方で特許権を認めるときにどれとどれの部分というものがはつきり出ておるのではないかと思いますが、それに疑義が出るという意味ですか。
  150. 長村貞一

    ○長村説明員 御承知のあの特許明細書の内容は、発明の具体的な内容とか特許の範囲とかいろいろ詳細な規定があるわけであります。これを全部包括して判断いたしまして、そのポイントがどこにあるかということをきめなければなりません。特許の請求の際の範囲がどこにあるかというお尋ねでありますが、文句はいろいろ書いてある。しかしその文句の解釈はやはりしなければならぬ、そういうことがありますので、先ほど申し上げたようなお答えをしたわけであります。
  151. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは最後のだめ押しをして私の質問を終りたいと思いますが、食糧庁長官に対する質問は留保いたしておきます。先ほどからるる申し上げたように、国民生活に多大な影響のある問題でありますから、これを収用する等の行政措置について、行政官として十分研究願いたいということを申し上げたのですが、この研究をすみやかに当委員会に御説明願う機会を得たいと思うのです。それによりまして国民生活擁護の上から、また日本の食糧政策の上から、別な立法措置をとらなければならないと思いますので、すみやかな行政的な措置に対する態度を御表明願いたいと思います。
  152. 長村貞一

    ○長村説明員 承りました。ただこの収用の問題につきましては、御承知の通り主務大臣の請求があつて私どもの方ではいろいろそれに手をつけておるのでございます。その点お含み願います。
  153. 中澤茂一

    中澤委員 一つだけ前谷さんに伺いたいと思います。今確認の何かをやつておるということですが、三千七百五十万円貴重な税金を出して買うわけですね。確認のそれが確定するまでは、おそらく金は出さないでしようね。その点を伺いたい。
  154. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。これは契約をいつから実施し、人造米の生産をいつから実施するかという時期の問題に関連いたしますが、もちろん実施するまでの間におきまして確定審判が出れば問題ないと思います。これはこの前も御説明申し上げましたように、そういう事案がありますので、これを月別の形において進めて参りたいと思います。
  155. 中澤茂一

    中澤委員 いま一問前谷さんに伺いますが、もしその確認訴訟が無効になつたというか、その判決が松浦式に不利になつた場合に、それ以前に支払われた月ぎめの特許使用料というものはどうなさるおつもりですか。
  156. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。これは裁判の問題でございますが、そのとき以前のものにつきましては、やはり権利はあつたということになるのではなかろうかと思います。その以後の問題じやなかろうかと思います。
  157. 中澤茂一

    中澤委員 それでは話がおかしい。特許権があつたということで七万五千両ずつ払つて、その米をつくるんですよ。ところがこれがいよいよ判決を見てだめだということになつたのですよ。そうするとそれ以前に払つたものは特許権がなかつたものに払つたということになるのです。それは当然そうでしよう。国の財政、血税をそんな特許権のないものに出して、そこまではあつたのだから払うのだということは、まつぴらごめんこうむりますよ。
  158. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。結局、法律的に特許権が判決の時期になくなるか、あるいは前にさかのぼつてなくなるか、こういう問題に関連すると思います。その判決の内容にもよると思いますが、そういう点についてはよく検討いたしたいと思います。
  159. 川俣清音

    ○川俣委員 重大なことですよ。変質するような米の特許権を高く買うような措置を講ぜられるのですか。これに変化を与えあるいは加工して処理するような特許権を持つておる人が、米を買つてそして処理した米を、またあなたは買上げるために、集荷のためにそれを権利をつけてお買上げになるということが考えられますか。今くず米を配給することによつてこの権利の価値が上つて来ておるでしよう。これはきのうからたびたびあなたに説明した通りですよ。自分で価値づけて自分でその権利を買うということは、どうも常識として考えられないのですよ。食糧庁長官が権利を与えて、権利を与えたためにさらに権利が高くなつたその権利をまた自分が買う、そんなことは常識で考えられますか。ちようど米と同じですよ。農民が米に加工を加えて高くなつたものをあなたは高くお買いになりますか。そういうことがたやすくできるというふうにお考えになることが、どうも私ども納得行かないのですが、どうですか。
  160. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 問題がちよつと違つてつたかと思うのでございますが、従来からの川俣さんの御主張の、権利の価値というものが何から発生したかということは、いろいろ見方があろうかと思います。つまりくず米を配給するから価値が出たというふうにも考えられますし、またその価値の増加ということも考えられると思うのですが、同時にまたそれが売られるから価値が出たのだ、これは価値の内容が何から出て参つたかということは非常にむずかしい問題じやないか、いろいろ議論があり得る点じやなかろうかと思います。
  161. 川俣清音

    ○川俣委員 これはおそらく科学的な意味からいうと、砕米も普通の米穀も同じでしよう。おそらくそれは区別がないと思う。今の澱粉の問題と同じように、かんしよ澱粉かばれいしよ澱粉かという区別がつかないように、砕米であろうと普通米であろうと同じであろうと思います。米をどんどんつぶして行つて、そうしてそれが非常に販売力があるからということで盛んに人造米ができ、その権利が非常に高くなつたからということであなたはそれをお買いになりますか。日本の米をつぶして人造米にして、非常に需要が多いし、それの価値が上つた、権利が高くなつた、それをお買い上げになるというお考えですか。それは食糧行政の上からいつて大きな問題ですよ。その点がどうもわからないのです。食糧行政の上からいうと、あなたの権益を侵されてつくられておるのですよ。むしろ権利の侵害をあなたの方から述べなければならぬと思います。辨償を請求しなければならぬのに、賠償金を払うというのはどうも私おかしいと思うのです。当然取締らなければならないものを取締らないで、取締らないでおくために権利が発生した、その権利を高く買うということはどうも理解ができない。おそらく一般の国民も理解ができないだろうと思いますが、どうですか。
  162. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。もちろん砕米につきましてこれを自由に出すわけではないのでありまして、結局政府が砕米につきましてこれを買い上げ、配給するほど人造米の需要がなく、またそれが必要でないということを考えますればこれは配給しないということになる。しかし生産されたものが消費者にも喜ばれ、一般的に社会的に需要があるという場合には、その需要に対してやはり政府としてある程度の工場に対する配給をやる。ただこれは無制限に自由にやるというのではなくして、政府の統制下のもとにおいて配給をやる。これはほかの場合におきまして、砕米の需要があつて必要がある場合に、その生産工場に対して配給をいたしておるという場合と同様なことになろうかと思います。
  163. 川俣清音

    ○川俣委員 どうも食糧庁長官の考え方は私ら一般の者には理解できないのです。一年に十石よりもくず米を配給しないということになると、その特許権というものはほとんど無価値にひとしいものになる。こんなに権利が厖大に、一台に対して六十万円とか八十万円とかもとるというような問題は起つて来ないと思います。食糧庁では、今幾らでも人造米がほしいために幾らでも配給をしよう、こういうことを予想してこの権利が生れて来ておると思います。その高くなつた権利を食糧庁が買われた、こういうことになる。その間配給の量がふえればふえるほど権利が高くなる、その高い権利をあなたがお認めになつてお買いになるということになる。食糧庁長官が、人造米に関してくず米は配給しない、取締るというように言明してごらんなさい。あすからこの松浦式の権利というものは無になります。そう思いませんか。あなたが配給しないと言つたら無価値になるというようにお考えになりませんか、その点をお尋ねいたします。
  164. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 食糧の配給といたしましては、もちろん不必要な用途に配給するわけはないわけであります。結局政府としては必要な用途に対して配給をいたすわけであります。従いまして現在におきましては、人造米を生産させることが必要だという考え方のもとに一定数量配給するという形になつておるわけであります。
  165. 川俣清音

    ○川俣委員 私の聞いておるのは、今あなたが人造米についてくず米を配給しないということを言えば、あすからこの権利はほとんど無価値になるとお認めになりませんかどうかということなんです。人造米が必要だからくず米を配給するかしないかということを聞いておるのではないのです。
  166. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。もちろん生産の問題でございますので、政府がこれを配給いたさないということになりますと、そこに価値の変動があろうかと思います。しかし政府といたしましては、やはり人造米の生産につきましてはこれを進めて参るという考え方でおりまして、これに対しては一定量のものを配給するという考え方をいたしておるわけであります。
  167. 川俣清音

    ○川俣委員 私がお尋ねいたしておるのは人造米の政策をお聞きしておるのではない。権利の価値をお聞きしておるのです。あなたが配給しないと言うことで多少どころではない効果がある。取締るとなつたらおそらく——今日やみを取締るということで、この間からやみ価格が安くなつておる。これは多少ではない。相当の効果が上つておるということをあなた自身がおつしやつておる。多少どころではない効果が上つておる。それと同じように、この人造米に流れて行くところのくず米、あるいはくず米と称して米粉にして輸送されることも禁止する、こういうふうになつて参りますれば——今あなたが、あなたの方の配給だけで人造米がつくられるとお考えになるならば、これは大きな間違いです。あなたの未端の機構が、米粉として売られておることを阻止しておるではありませんか。取締つておるではありませんか。どこに行つておるかというと白玉粉、人造米に流れて参るでしよう。それを取締るということになつたならば価値が下つて来るとお考えになりませんかどうか。ほとんど無価値になるでしよう、こうお聞きしておるのです。
  168. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 無価値になるかどうか、この点は相当問題があろうかと思いますが、価値が下るといいますか、現在の価値とそのときの価値とが原料の入手状態によつて工場の運営その他の関係からいたしますると影響がありまするので、そういう関係からいたしますと、価値が下るということは考えられると思います。
  169. 井出一太郎

    井出委員長 この際委員長より政府当局に対し一言いたしておきたいと考えます。  人造米の問題について本委員会においてしばしば議論がでておりましたことは、食糧庁長官も御承知の通りであります。現下未曽有の凶作あたりまして食糧問題が緊迫しておることは申すまでもない点でありまして、これが対策について政府も腐心されておるところであり、本委員会においても重大な関心のもとに熱心な審議が行われて来た次第であります。政府が食糧対策の一環として人造米を取上げ、その量産をはかろうとすることは、本委員会においても種々批判の声が出ましたように、まだ検討の余地があろうと考えられるのであります。一応われわれとしては、政府が善意で進めておられるというふうに解して、あえてただいまこれを阻止しようとするものではありませんが、世人も非常に注目しておるところでありまして、以下申し上げる点を十分慎重御配慮願いたいと思うのであります。  それは先ほど来問題になつておりますように、特許の問題をめぐつて何らかのトラブルのあるようなふうにも承知しておりますし、また先ほど特許庁長官の御答弁の中にも、確認審判がまだ出ておらぬということでございます。これはひとつ特許庁長官にお願いしたいのですが、できるだけスピーデイに処理していただきたいと思うのであります。あるいはまた先ほど来の論議にありましたように、ある特定の独占産業によつて人造米が支配されるというような場合に、そこに何らかの利権的なにおいがするというようなことも本委員会で指摘をされた点でございます。さらに澱粉払下げの問題に関しましては、農産物価格安定法の持つておりまする精神と背馳するような面が出はしないかという杞憂もあるわけでございます。従いまして先ほど川俣委員から御発言のありましたように、本委員会といたしましては閉会中も継続審査に付したいと考えます。先ほどの委員会において食糧問題に関する件、こういうことで継続審議をすでに決定いたしましたから、その範囲において扱いたいと思います。どうかさようにひとつ御了承を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十八分散会