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1953-11-06 第17回国会 衆議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)     午後三時九分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君    理事 足鹿  覺君 理事 川俣 清音君    理事 安藤  覺君       尾関 義一君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    佐藤善一郎君       福田 喜東君    松岡 俊三君       松山 義雄君    山中 貞則君       加藤 高藏君    吉川 久衛君       井谷 正吉君    芳賀  貢君       山本 幸一君    中澤 茂一君       日野 吉夫君    中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  篠田 弘作君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十一月五日  委員伊藤好道君辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員林讓治君、佐藤洋之助君及び松野頼三君辞  任につき、その補欠として佐々木盛雄君、尾関  義一君及び山中貞則君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 十一月五日  東頸城郡冷害地域指定請願塚田十一郎  君紹介)(第四四号)  凶作に伴う東頸城郡国民健康保険事業救済に  関する請願塚田十一郎紹介)(第四五号)  東頸城郡冷害対策確立に関する請願塚田十  一郎紹介)(第四六号)  長野県の冷害対策確立に関する請願原茂君紹  介)(第五五号)  同(井出一太郎紹介)(第六四号)  坂元村の冷害対策確立に関する請願庄司一郎  君紹介)(第五七号)  熟田村の冷害対策確立に関する請願黒澤幸一  君紹介)(第五八号)  栃木県の冷害及び昭和二十九年度積雪寒冷単作  地帯予算対策に関する請願外四件(黒澤幸一君  紹介)(第五九号)  大瀁村の水稲冷害対策確立に関する請願塚田  十一郎紹介)(第六九号)  東頸城郡外二箇郡の冷害対策確立に関する請願  (塚田十一郎紹介)(第七〇号)  北秋田郡の農業災害対策確立に関する請願(石  山權作君紹介)(第七二号)  冷水害及び食糧対策確立に関する請願矢尾喜  三郎紹介)(第七六号)  岩手県の冷害対策確立に関する請願北山愛郎  君紹介)(第八三号)  昭和二十八年産米供出期限延期に関する請願(  伊東岩男紹介)(第八九号)  の審査を本委員会に付託された。 同日  東北地方冷害凶作に対する対策確立に関する  陳情書  (第八〇号)  冷害対策に関する陳情書  (  第八一号)  農業災害補償制度国営化実現に関する陳情書  (第八二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十八年における冷害による被害農家に対  する資金融通に関する特別措置法案内閣提  出第二号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三号)     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたし、審査を進めます。  両案に対して御質疑はありませんか。——別質疑もないようでありますから、これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  この際お知らせいたします。昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対しまして、金子與重郎君より、改進党、左右両派社会党、分自党の共同提案にかかる修正案提出されております。その内容はただいま各位のお手元に配付いたしておる通りであります。  これより本修正案について提出者趣旨弁明を求めます。金子與重郎君。
  3. 金子與重郎

    金子委員 私はいまお手元に配付いたさせました修正案に対しまして、自由党を除く各派を代表して趣旨弁明を試みんとするものであります。  まず修正案を読み上げます。     昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対する修正案    昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案の一部を次のように修正する。  (1) 第二条中「農業協同組合」の下に「(副業資金のうち薪炭原木購入資金及び炭がま構築資金については農業協同組合又は森林組合)」を、「副業資金」の下に「、家畜維持資金」を加える。  (2) 第二条第一号中「損失額基準として政令で定めるところにより算出される額」を「損失額から冷害を受けた農作物等に係る農業災害補償法昭和二十二年法律第百八十五号)による支払共済金の額若しくはその見込額を差し引いた額」に改め、同号中「いずれか低い額」の下に「(牛又は馬を所有する被害農家に貸し付けられる場合にあつては、その額に更に三万円を加えた額)」を加える。  (3) 第二条第三号中「開拓地区で」の下に「その区域内における農作物冷害による減収が平年における収獲量の百分の二十をこえたるもの又は」を加える。  (4) 第三条第一項第二号、第四号、第六号及び第八号中「農業協同組合」の下に「又は森林組合」を加える。  (5) 第四条第一項中「百五十億円」を「二百二十億円」に改める。 今次冷害に対しまして、政府はいち早く営農資金貸付法案提出して参り、われわれは熱心に今日まで審議を続けて参りました。本案は、被害地農民が一日も早くその成立を待ち望んでおるのであります。しかしその内容は、最も実際に適応し、完璧なものでなければなりません。かかる見地より本法を見まするに、われわれの当初の意図に反し、なお不完全なものであります。よつてわれわれは次の四つの大きな修正を施したいのであります。以下その修正点を御説明いたします。  修正点の第一は、森林組合に対しても薪炭原木購入資金及び炭がま構築資金貸付業務を取扱わせようというのであります。次に本法により貸付ける営農資金のうちに、家畜維持のための資金を明記いたしたのであります。  第二の修正点は、被害農家に対しまして貸し付ける金額についてであります。第二条第一号に対して二つの修正を施したいと思うのであります。すなわち同号はこの修正により、七百万頭ないし八百万頭程度の大家畜に対する維持資金が確保されるものと信じます。  第三の修正点といたしましては、本法により貸し付けられまする資金利率は、すでに御承知のごとく六分五厘、五分五厘、三分五厘の三種類でありまするが、この最後最低利率を適用される場合の条件といたしましては、政府原案におきましては、「市町村又はその耕地面積が十町歩以上である開拓地区農作物冷害による減収が平年における収獲量の百分の三十をこえる耕地合計面積がその区域内における全耕地面積の百分の十若しくは百町歩をこえる区域内において農業を営む被害農家に貸し付けられる場合」と相なつております。しかしこの規定によりましては、低率適用地域より漏れる町村の相当多く生ずるおそれがありまするので、この際、市町村またはその耕地面積が十町歩以上ある開拓地で、農作物冷害による減収が平年における収獲量の百分の二十を越えるものに対しても同様な取扱いをいたそうとして修正いたしたものであります。  第四の修正点は、本法により貸付けを受ける経営資金総額限度は、原案では百五十億円と相なつておりますが、冷害対策に対する政府よりの財政支出金の総わくが、当委員会の十月二十付附帯決議の線よりも減少をみており、また家畜維持資金貸付額も増加する予定でありますので、それらの諸点を勘案いたしまして、二百二十億円を妥当なる線と考え、さように修正をいたしたのであります。  なお以上のほか前述の修正点に伴い若干の修正をいたしました。私の提案いたしまする修正は以上の通りでございます。何とぞ御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に付します。討論の通告がありますので順次これを許します。芳賀貢君。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 私はただいま議題に供されました昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案修正部分を除く政府原案賛成し、残余部分にはこれを反対し、野党共同提案による修正案に対し日本社会党を代表して賛成討論を行わんとするものであります。  冷害対策につきましては衆議院農林委員会においても昭和九年以来のかつてなき冷害凶作に対し問題の緊急性不可欠性の上に立つ基本的な対策として農林省所管緊急冷害対策費予算、百十億以上営農融資額二百億の必要なることを決議し、政府に提示し、その実現を要求いたしたのであります。しかるに保守三派の妥協によつて超党派冷害対策根本原則は一方的に破壊され、農林省所管冷害対策費に九十五億に圧縮され、政府原案による営農資金融通額はこれまた百五十億という数字に変貌せしめられたのであります。  御承知のごとく冷害凶作による被害実態は、北海道を初め東北、関東、甲信越の二十道県余に及び、十月十五日現在政府の発表する予想収穫高は五千三百四十八万石でありまして、前年度の実収高に比して実に一千三百万石の減収であります。しかも一道二十府県に及ぶ冷害地域減収量はこの七五%に及び、一千万石にも達するのであります。これを損害額に評価いたすならば、畑作の被害を加えると一千数百億に及び、そのことごとくは、農家経済に与えた収入の減収による被害であります。  かくのごとき冷害実態の把握の上に立脚いたしたる場合、保守三派によつて支持された冷害対策予算の九十五億はいかに寡少に失し、ただいま審議中の法案融資額百五十億がいかに妥当性を欠くかが明白になるのであります。さらにこの営農資金の大部分は本年度の農業手形貸出額二百六十数億のうち冷害地域の、しかも積雪寒冷単作地帯中心としてその七〇%、百八十億程度が用いられておるという事実にかんがみた場合、その大半は被害農家農家の返済に充当せられることすら予想せれるのであります。われわれはかかる冷害地実情認識の上に立つて以下修正案賛成するおもなる理由を申し上げます。  すなわち政府原案によれば、資金融通最高限度北海道二十一万円、府県十五万円と指定しておるのでありますが、われわれは被害農家牛馬等維持資金融通を認め、一頭につき三万円を外わくとして追加し、北海道においては二十三万円、府県においては十八万円を実質的に融資を行うべきであるのが第一の点であります。  次に融資対象となる損害額算出基準については、本年四月、五月の凍霜害例等もあり、原案に付随して予定する政府案には損害総額から共済保険を引き、さらに米麦の安売りによる差額を引きたる額に三〇%を乗じて得たる金額損害額より差引かんとしつつあるのであります。かくては被害農家中特に零細農家の場合においては、実質的にこの融資の恩恵を受けることができなくなるので、修正案によれば損害額から農業災害災害補償法の定める共済保険金をのみ差引いた額を損害額として被害零細農家に対しても実情に即した貸付を行わしめたのが第二の点であります。  次に地域指定を受ける場合にあたりましては、政府原案は三割以上の減収面積が一割を越え、または百町歩を越える場合のみであります。今次の冷害の様相の広汎な性格にかんがみ、地域指定により生ずるアンバランスの弊を防止する意味においては、区域内の農作物減収が平年作の百分の二十を越える場合をも基準の中に加え、運営の適正をはかるべきであるのが第三の点であります。  第四の点は融資の総わくの問題でありますが、農林委員会決議に基く融資所用額は二百億の線でありましたが、これはまつたく冷害対策予算農林省所管百十億の場合における所要額であり、予算が九十五億に圧縮された場合救農事業並びに種子確保等の国の支出は激減して、そのしわ寄せは当然営農融資に依存せざるわ得ないのと、被害農家家畜維持資金の一頭三万円を外わくとする場合は、推定七万頭として二十一億の融資測の増加を当然必要とするのであり、ここに政府原案百五十億を二百二十億に修正する必要性が認められるのであります。  以上をもつて主要なる賛成理由を申し上げたのでありますが、二百二十億の資金源を中金を初め農林金融のみに依存するの、政府が従来とられたる無責任なる態度に対して重大なる反省を求めあわせてこの修正案の通過によつて冷害凶作の犠牲のもとに呻吟する被害農家生産力維持災害の克服の道が開かれんことを望んで賛成討論といたします。
  6. 井出一太郎

  7. 日野吉夫

    日野委員 私は日本社会党を代表いたしまして、今議題になつております昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対する四党共同提案修正案に対して賛成の意を表するものであります。  大体今国会救農国会と銘を打たれているのでありまして、私たち農林委員として、この休会もほとんど休まず各地を調査し、いろいろの角度からその対策を研究し、その結果積み上げた二十四項目の決議ができ、これを裏づける予算として委員会が百十億の決定をいたしたのでありますが、これはいろいろの経過をたどりまして、満場一致の農林委員会決定に対して若干の不満を残して、一昨日本会議決定されてあるのでありますが、しかしわれわれはやはり救農国会と銘打つた以上、農民にこたえるものがなければならぬ。あくまで踏まれてもけられても災害農民のために最後の奮闘をして、救農国会有終の美をなそうじやないかというので、しばしばここで論議を進められ、この線に各党それぞれ苦労されて、きようここに参つたと思うのでありますが、そうしてでき上りましたこの修正案は、簡単に申し上げますけれども、二百二十億の融資というものは決して私たちは大きいものではないと思うのであります。大体きよう発表になりました作報数字を見ましても八三%、そういたしますと、大まかにはじいても今年は五千三百九十五万石千百五万石の減収ということになろうかと思うのであります。これらのものに対する営農資金の二百二十億というものは、きわめて少きに失するけれども、今日の政治情勢、いろいろの角度から、今日二百二十億という修正決定をみたということは、一応救農のための国会最後の検討の数字を出した、こういう意味において——いろいろ論議の中にインフレを引起すとか予算措置ということが問題になりましたけれども、これは二百億に対してきわめて少額の利子補給でまかなえるのでありまして、しかも今ただちに予算措置を重大に考えなくてもいい、賢明な一つ方法でありまして、二百二十億という線ができたことを非常に喜ぶものであります。この点に対してまず賛意を表する。  もう一つは、従来被害農家が百分の三十を越えるときという点がありましたが、これが百分の二十に引下げられたということで、広汎な農民対象にして営農資金を供給することができるという点において、これは従来の救済立法よりはるかに前進したものとして、全幅賛意を表するものであります。  なお残余の点は提案者説明によりまして省略いたしますが、全面的にこれに賛成をいたします。全体の予算に対しましては不服の点がありますけれども、災害農民のために、われわれはあくまでやつて行かなければならぬひとつの義理も感じますので、今後の救農対策の研究において十分この法案を生かし、なおこの金額と今年の凶作の状況をにらみ合せますと、不足の点があるであろうと思いますので、その場合はまたさらに超党派修正をも考える。そうして救農国会の名において農民の期待にこたえよう、こういう意味において、本案に対して全幅賛成を申し上げて討論を終ります。(拍手
  8. 井出一太郎

  9. 安藤覺

    安藤(覺)委員 私はただいま上程となりました内閣提出昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対しまして、自由党鳩山派を代表し、各党共同提案になりまする修正案を付して原案賛成の意を表するものであります。時間も切迫いたしておりますので、以下きわめて簡単にその理由を申し述べたく存じます。  すでに御承知のごとく、わが国は今まさに内憂外患こもごも至るの言葉通り、外にあつて李ライン、アラフラ海の問題、内にありましては、まさに実りの秋として万民ことごとく鼓腹撃攘の時でありますにもかかわらず、今秋以来の相重なりまする天候異変は、ついに数十年来の凶作をもたらしたのであります。ここにおきまして、これが対策樹立のために、各党の間におきまして翕然として臨時国会招集の声が高まりました。政府もまたこれに応じて本国会を開くに至つたのであります。しかるところ、世人はこれを呼んで救農国会と申すそうでありますが、今国会の真実の性格は、単に救農というがごときことだけではなく、むしろ来春以後における食糧の再生産増産対策樹立のためのものであらなければならない思うのであります。もししかりといたしまするならば、この救農という言葉に現わされるところの、困窮する農民を救うということだけでなしに、この農民を救うことによつてそこにより大きなる生産が約束されるという建前において、すべての施策が樹立されなければならないと思うのであります。この意味におきまして、政府提出のもろもろの案に対しまして検討いたしまするとき、幾多欠けたるものがございます。ここにおいて、各党の間において慎重検討いたしましたる結果、先ほど提出に相なりましたるところのものをこれに信正加味いたしますことによつて、さらに画竜点睛をいたすことの結果と相なり、再生産をさらに強く約束させる結果と相なりますることを思いまして、私は心からこの修正案賛意を表するものでございます。  以上簡単でございますがこれをもつて私の賛成討論といたします。(拍手
  10. 井出一太郎

    井出委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案について採決いたします。まず金子提出野党各派共同にかかる修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  11. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて修正案は可決いたされました。  次にただいま修正と決しました部分を除く原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  12. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案修正案のごとく修正すべきものと決しました。  引続き農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  13. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決すべきものと決しました。  この際、足鹿覺君より昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対する附帯決議に関して発言を求められております。これを許します。足鹿覺君。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま修正議決いたされました昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対する附帯決議を、野党四派を代表いたしまして提案をいたします。初めに案文を朗読いたします。   昭和二十八年における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対する附帯決議案  一、本法により被害農家が借入れた資金については、自作農創設維持特別会計が現に行う農地買入売渡方式による金融制度を速かに再検討し、政府資金による新制度確立を図りたる後、同制度による資金をもつて借換えを可能とする措置を講ずること。  二、資金貸付に関する手続については、農業手形に準ずる等によりこれを極力簡素化し、融通の円滑を図ること。  三、冷害等災害対策に要する農協系統内部資金金融措置については、万一系統資金が逼迫し、又は本来の業務支障を来たす等の場合においては、速かに政府資金融通等適切なる措置を講ずること。  四、本法規定に基く副業資金のうち薪炭原木購入資金及び炭がま構築資金貸付けるに当つては、被害農家農業協同組合より貸付を受けざる地区について森林組合がこれに当ること。 であります。  簡単に御説明を申し上げますと、第一の附帯決議は、現在の自作農維持資金は、わずかに反当五千円にすぎないのでありまして、農地金融の現状にかんがみました場合に、まことに実情に遠いものがあるのでありまして、この点に政府十分注意をせられまして、今後新たなる自作農維持資金等をめぐる金融制度を再検討せられまして、政府資金による新制度確立をはかられたいというのが第一項の趣旨であります。  二の資金貸付簡易化の問題でありますが、春の凍霜害の際のいわゆる融資の状態を聞いてみまするのに、春の凍冷霜害資金がごく最近まで貸付を完了しなかつた事実等があるのであります。いかにりつぱな立法を起しましても、現実に農村に実際すみやかに、簡潔に、これが行われないときにおいては、空文にひとしいことになるのでありまして、そういう点については、今次冷害深刻性等をよくお考えになりまして、たとえば農業手形に準ずる等、極力簡素な融通方法を行われて、円滑にこの資金が活用せられるように、政府においては政令案あるいは省令案等に依存される場合、起案される場合には、慎重なる配意をしていただきたいというのが第二項の趣旨であります。  第三の農協系統内部資金金融の問題でありますが、現在この厖大な冷害金融あるいはその他の災害金融は、あげてその中心系統農業協同組合に求めておるのであります。なかんずく冷害についての金融は、そのすべてが系統農業協同組合資金に依存をいたししおるのでありまして、現在は資金はきわめて潤沢でありますが、今次冷害が順次深刻化し、来年の三、四月の端境期に至りまするや、おそらく農家の貯金の払出し等は著しく増加いたすことが予想いたされます。こういう事態に処して、今後の農業協同組合内部資金の逼迫や、あるいはそれに基く本来の業務支障を来すことのないように、また本冷害資金系統金融機関を通じて、所期の目的を完全に達成できるがごとき措置を講じ、たとえば政府資金融通あるいは預託金預託額増額等、適切な措置政府はすみやかにとるべきであるということの趣旨であります。  第四の附帯決議は、今回の冷害金融はその本来の趣旨が、冷害を受けた農家に対し、系統農業協同組合を通じて、その資金を貸しつけることになつておるのであります。たまたま山村あるいは農山村におきまして、薪炭原木購入資金あるいは炭がま構築資金等について、被害農家貸付を受けようといたしましても、その地区農業協同組合がきわめて弱く、貸付を行うことが得ざる地区等もあるやにうかがわれるのでありまして、そういつた地区に対しては森林組合がこれに当ることができるがごとく先刻の修正によつてうたわれたのでありますが、これはあくまでも今回の冷害金融あるいはその他農村金融は、系統農業協同組合がその系統組織をあげて資金を運用いたすのでありまして、現在預貯金を取扱つておらない森林組合が、かかることに関与することは必ずしも適当とは考えられないのでありますが、以上述べましたような特別な条件、特別な地区等については、森林組合にもその利便をはかつて冷害農家融資を受けるのに不便のなからしめる配意をもつて附帯決議を付し、本法森林組合をして副業資金中特に薪炭原木及び炭がまの構築資金について取扱わせることについては、この附帯決議の四項の趣旨を十分くんで運営をせられんことを、ここに附帯決議として提案をいたしている次第であります。  この附帯決議案は、野党四派の共同提案に基くものであります。完全なる意見の一致を見た附帯決議でありまして、本法案の運用上きわめて重大なる点でありますので、委員長を通じ、政府にこの附帯決議趣旨を十分尊重し、実行せしめられるよう、決定の上は御善処、おとりはからいをお願い申し上げる次第であります。
  15. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの足鹿君の提案に関して御意見があれば発言を許します。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 井出一太郎

    井出委員長 別に発言もないようでありますから、これより授決いたします。足鹿提案になる附帯決議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、この附帯決議を付するに決しました。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました両案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。  この際政府側から発言を求められております。これを許します。篠田農林政務次官
  19. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 ただいま御決議になりました昭和二十八年度における冷害による被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案に対する修正案、これにつきましては、政府といたしましては、資金の面について非常に困難であるということは、依然としてかわりはありませんが、御決議になりました以上は、御決議趣旨を尊重し、誠意をもつて財源措置について努力いたしたいと思います。次の附帯決議につきましては、これも御趣旨に沿うよう努力いたす考えであります。
  20. 川俣清音

    ○川俣委員 今政務次官から努力するという御答弁でありましたが、私はあえてしつこくこれを問うわけではありません。しかし法律なつた以上、その執行者は政府ですから、努力するのは当然なことです。あえて努力という言葉を使われることでなく、衆議院の院議を尊重する建前から、やはり実行に移されることが必要でないか。衆議院は立法機関でありますから、執行機関である政府は、立法機関の決定したことに対しまして実行の責任があるものと考えますので、おそらくそういう意味での御答弁だと了承してよろしゆうございますか。
  21. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 その通りであります。
  22. 井出一太郎

    井出委員長 本月はこれにて散会いたします。     午後三時五十一分散会