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1953-11-07 第17回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 平井 義一君    理事 八木 一郎君 理事 鈴木 義男君       津雲 國利君    永田 良吉君       長野 長廣君    船田  中君       山崎  巖君    高瀬  傳君       粟山  博君    下川儀太郎君       島上善五郎君    冨吉 榮二君       辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (恩給局長)  三橋 則雄君         行政管理庁次長 大野木克彦君  委員外出席者         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田邊 繁雄君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  行政機構に関する件  恩給に関する件     —————————————
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより開会いたします。  本日は行政機構に関する件及び恩給に関する件について調査を進めます。まず恩給に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。辻政信君。
  3. 辻政信

    ○辻(政)委員 最近郷里をまわつてみまして感じたことは、せつかく政府遺族老齢軍人恩給を支給しようとして、その予算が計上されておりながら、その交付される手続業務等が渋滞をしておりましていつもらえるかわからない、こういうことに非常な心配を持つておりますが、私が直接見ただけでも八十を過ぎた老齢軍人病気へたばつてしまいまして、恩給はまだかと言つて死んだ例があります。恩給はまだかというのが最後言葉であつた。この実情をごらんになつて事務当局としてはいかにしてこのような気の毒な人を国家の恩典に一日も早く浴させるかということについての事務進行現況について伺いたいのであります。
  4. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今辻委員からの御質問でございますが、まことにごもつともな御質問だと思います。私たち事務に携わつておるものといたしましては、一日も早く恩給受給者手元に差上げるように努力はいたして来ているのでございます。また私ばかりでなく、私の同僚の諸君も非常に努力してくれておりますが、今お話のような状態があり、今お話のような人が出て来ているということはまことに遺憾に思いますし、また申訳ないことだと思つております。でき得るだけ努力はいたしております。それならば現在どういうような現況になつておるかということでありますが、それについて申し上げますと、最初に私の方で手をつけましたのは増加恩給受給者傷病者恩給でございます。この種増加恩給受給者恩給につきましては、大体現在の受給者はだれだれであるということも私の方にわかつておりますし、またその住まわれておる現住所もはつきりわかつておりますし、支給郵便局はつきりわかつておりますし、それからまたたいへんお困りになつておるということもわかつておりますから、また手続その他からいたしまして一番手取り早く着手されるところのものでございましたので着手いたしまして、大体十月にもらわれた方もあられましようし、あるいは十月を過ぎて今おもらいになつておる方も大分あるのではないかと思つております。従いまして増加恩給受給者方々数万人につきましては、大体全部恩給を支払つてしまつておると私は承知いたしております。もちろんあるいは若干の方は残つておるかもしれませんが、私の方からは全部支払いすべき手続をとつてしまつております。それからこの方々に支給しますいわゆる家族加給でございます。先般の国会におきまして妻の方に対しましても特別なおとりはからいをしていだたくような法律改正がございました。ところでそういうような方方に対する加給につきましては、まだいたしておりません。それは基本となりますところの恩給金額増額措置だけはすみやかにやる方がいいのではないか、こういうようなことで、その措置をいたしますために、とりあえず今申し上げますように増加恩給基本額だけを法律に基いて増額改定をいたしまして、そうして御本人のところへ通知をいたして、それから扶養家族関係からしますところの加給金額改定につきましては御本人からの申出によつて手続を進める、こういうことにいたしておるところでございます。今その申出がどんどん集まつて来ているような状況でございますが、これは若干あとに延びるかと思います。それから老齢未亡人等で、かつて普通の扶助料をもらわれていた方でございますが、これらの方は、今まで一度も恩給扶助料をもらわなかつた方々で、数万人ございます。そういう普通の扶助料受給者方々に対しましても早く差上げなければいけないという見地に立ちまして、それからまた数もそう多くございませんので、こういう方々に対しましては局といたしましては新しい法律に基きますところの支給金額計算書をもうつくり上げてしまいました。それからまた索引カードでございまざすが、かつて恩給をもらわれた方々はどういう方々であつたかということは台帳には書いてございますけれども、その台帳整理いたしまして索引のできるような態勢にしておかなければいけない、そういうような準備は十月の末にほとんどまつたく終つてしまつております。それから普通恩給でございますが、かつてこの普通恩給をもらわれた方は御承知通り該当者の数が六、七十万あつたと思つております。この六、七十万の普通恩給既裁定着につきましては、新しい恩給金額計算までの準備態勢はまだでき上つておりません。しかし台帳索引カードの作成とかその整備とかそういう事務は一応全部先了いたしております。それから戦死者遺族扶助料をかつてもらわれた方でございます。そういう方の名簿は四十万余りあるかと思つておりますが、こういうような方につきましては索引カードはすつかりできておりますが、整理が少し残つておりますが、これも来週の初めには全部完結する予定でございます。しかし新しい恩給金額計算書は、まだ全部完結するまでに至つておりません。そこで私どもとしてどう考えておるかと申しますと、恩給請求があつた場合においては、すでに恩給を給せられておつた方につきましては今申し上げましたような事情でございますから、新しい金額計算もできておる方につきましては新しい金額計算によつた金額をお手元に差上げるようにすることはもちろんでございますけれども、そういうことのできない方につきましては仮払い金額をきめまして、そのきめたものを通知いたして、早く金をお支払いする、そうしてはつきりした金額計算は引続いて行いまして、それができ次第あとからおつかけて恩給証書をお送りするとともにお払いをする、こういうように今のところでは考えておるところでございます。それからまた非常に仕事を急ぎまするというと、恩給証書をつくつて、そしてお手元に差上げておりますと、とかく遅れがちになります。従いまして、今度は裁定告知書という簡単な通知書をつくりまして、郵政省の方に、金を支払う方に通知するときに、一緒に複写をつくつておきます。それを御本人の方にお送りいたしまして、それを郵便局に持つて行つていただきますならば、扶助料なり恩給が支払われる。こういうふうにとりはからいまして、あと恩給証書はおつかけてお送りする、こういうような態勢をとつておるところでございます。それから厚生省におきましても、今非常な努力をしていただきまして、私どもの方に書類を進達する上におきまして、万全と言いますと言い過ぎかもしれませんが、非常な努力をしていただいて、準備を進められておるところでございますので、全部が全部年内に書類をつくるということは不可能でございましようけれども、でき得る限り厚生省においても努力されて、進達書類を私の方に届けていただくようになつておるわけでございます。厚生省関係につきましては、ここに局長もおられますから、あるいは詳しく御説明があるかと思いますが、今私の局の方におきます現状を申し上げますと、そういうふうな状況でございます。
  5. 八木一郎

    八木(一)委員 参議院の委員会から、十分だけ時間を借りて抜けて来ましたので、意を尽しませんが、私の質問いたしたい点は、別途質問書によつて回答を要求いたしております非公務傷病者等に対する処遇是正に関する件を主として起ります。問題は、私の調べによりますと、復員局の受理総件数は非常にたくさんあつて軍関係だけでも百七十万件、あるいはそれ以上に達しておる。そのうちで、援護法改正措置によつて適用増加となりました二万件が目下審査に大車輪であるが、大部分が未整理である、こういう状況であります。そして援護法規定に基いて、資格がない、こうして却下されたものは約二千件、これは主として内地勤務者と、自己の責任に帰する傷病死である、こういうことになつておりまするが、このすでに資格がないということによつて却下いたしました二千件の中にも、立法精神と照し合せますると、満足することのできない、法の前に平等という原則、憲法の精神に照して、どうかと思う点がないでもありません。しかし私が主として伺いたいのは、残りの全部、今審議中の——援護法関係から行きますると、援護審査会審査中に属するものが、いかにも苦心されておる実情はよくわかりますけれども一つ一つケースが違つておるので、一々御調査を願つておる。それを調査すればするほど、私はどうも理解に苦しむ点が出て参るのであります。そこで質問書といたしまして、三点を上げたのでございます。  その第一点は、軍隊勤務における結核胃潰瘍脳溢血等を、公務傷病とみなすという点であります。これは今度の大戦争実情にかんがみまして、内外の軍隊を区別せず、また先にこれら傷病者に対して転免役資金等を下付した例もありますので、これを恩給法上の公務傷病者として取扱うか、もしくは援護法の対象とするかという点については、よく心して取扱わなければならないと思います。現にこれから漏れるかどうかという状態で、調査中だという時間が長くなればなるほど、その遺家族の関係者はいたたまれなくなりまして、市町村の世話課の窓口に行つたり、ない旅費をくめんして県庁の方に行つたりしても用を果さないで、私どものもとに、法の精神はどうなんですかと尋ねて来られる方に接しますると、私は慎重の上にも慎重に考えなければならぬが、基本的な考え方としては、軍隊に徴用されたり、赤紙で呼びつけられたときに、軍医検査をして、軍医検査が終りますと、編成動員の一員に加えて、長官は厳粛に、諸君の命は今日限り預かつた、こういうような形において連れて行かれて勤めた。その途中においてできた病気が、たとい胃潰瘍が出て来たからといつて、それは軍隊に来る前のものだとか、あるいはその病気結核であつてどうだとかこうだとかいうようなことを、非常に不完全な証明書類等を基礎にいたしまして、冷酷な取扱いをされることは、非常に留意しなければならないと思うのであります。それは生れながらに持つてつた病気だから、やむを得ないというような取扱いにされた一、二の関係者は、死亡したときの状況を知つておる戦友を連れたり、隊長を連れたり、あるいは病院の日誌を持つて来たり、あるいは隊長の読み上げた弔辞を持つて来たりして、ありありとこういう姿において、ともかく国のために黙つて死んで行つたのだ、この姿を見届けておる実情がわかつておるのに、どうして取扱い官庁においてはわかつてつもらえないのだろうかと、訴えて参つております。私の常識をもつてすれば、かくのごときものが、書類審査上で数が多いのだから、一件や二件はあるかもしれぬが、これは立法精神を遠ざかつたところに、俗に言う茶畑に入つたために、とんでもないこまかなところにとらつわれて、大局を失つた扱いになつておるのじやないかということを憂えておりますが、それが一件や二件じやない。私の関知しただけでも、前内閣委員長をやつたためでもありましようが、全国から私のもとに泣きついて来る姿を見まして、これはどういう扱いをなさろうとする段階におられるか、詳しく国民の前に納得の行くような御説明がいただきたい。これが第一点であります。  第二点は、軍役中爆風だとか、あるいはその他の衝撃を受けた者が、その後内部疾患を発生した場合のごとき、特に因果関係がありと認めて、これを公務傷病死とみなすというこの問題であります。これも経験のない近代科学戦が人体に及ぼす影響といたしまして、学者は複雑微妙な説明を加えて、機械的な判定をするのには非常に惑わされております。これが多分にあるのであります。かような問題を、現行法取扱い上におきましては、いかに因果関係等を取結んでお取扱いをなさるかということを、お尋ねしたいのであります。  それから第三点は、終戦の詔勅前後における自決公務死亡とみなす点であります。これは私の調べによりますと、憤死とみなされる方が数百名あります。数も調べてあります。当時の厳正な軍律と特異な環境のもとに、軍人の本領としてみずから命を絶つた。忠誠を国家にささげたこれらの人々の処遇につきましては、この二つの法律案においては、どういうお取扱いをいたしておるかという点。以上三点を、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  6. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 援護法関係につきましては、あるいは援護局次長から御答弁があるかと思いますが、私は恩給局の問題についてのお尋ねにつきまして、お答えをいたしたいと思います。  第一点の問題でございますが、これにつきましては、私はこのように考えておるものでございます。今のお話を伺つておりますと、まことにごもつともと思われる点もあるのでございますが、今後肺結核でなくなられた方の遺族方々から、恩給請求があるかと思いますが、これらの方々請求に対しましては、大東亜戦争の苛烈になつて来た時を、そうなつて来る前の平時の状態と申しますか、あるいは満州事変とか、支那事変というようなときにおける日本の状態と、同じように考えて取扱うということは、無理な点が多多あるのではなかろうかと思つておるところでございます。今では結核の患者もずいぶん少くなつたようでありますけれども、かつて結核病気と申しますれば、国民病と言われるように、広く国民の各層にあつた病気のように伺つております。また、結核菌も、何も軍隊内だけにおる病菌ではなくて、軍隊外にも結核菌はおりました。あちこも結核菌というものは浮遊しておりました。従つて軍隊において結核に感染していたものか、あるいは軍隊に入る前に感染したものであるか、そういうことも、やかましく言えばむずかしいものだつたと思います。また軍隊におきましては、集団生活をする常として、軍隊に服務する人の健康が相当留意されていました。そして定例的な集団的検診も、体格検査も行われて、そういう病気に対しましては、早期に発見して、早期に治療するというような方針をもつて、できるだけの手を軍隊でも尽されておつた時代も私はあつたと思うのであります。従いまして、そういうようなことを考えますと、そういうときに結核になられた方方までも、すべて軍隊が悪かつたから結核になつたのだといつて、何もかも軍隊の責めに帰するということも、なかなかむずかしいこととも思われます。従いまして、かつて時代におきましては、軍隊に勤務されておつて結核になつたからといつて、すぐそのまま公務のためといつて取扱うこともできなかつた点も、多々あつたのではないかと思います。しかしながら、大東亜戦争が非常に苛烈になつて参りましてからは、今申し上げましたようなことも、十分に軍隊においてできないというような事態が起つて来たところもあります。たとえば沖繩最後近くになりましたときにおいては、いろいろ聞いていますところでは、おそらく戦地状態と同じではなかつたかというような気がするのでございます。そういうことを考えてみますと、必ずしもずつと昔の平和——平和というのではありませんが、戦禍が内地に及ばなかつたようなときと、同じような態度をもつて処理して行つていいかどうかという点は、事務当局としては非常に苦慮しておりますが、今後のこういう病気でなくなられた方々に対する取扱いについては、専門医の方々ともたびたび意見を交換いたしまして、常識ある取扱いをするように、努めることにしております。しかしそれならば、何もかも、結核を認めるか、あるいは認めないかということになつて来ますと、軍隊内に発生した結核を、何もかも軍隊における公務に起因したものとして認めることも、むずかしい場合もあるいはあるかと思いますけれども、今具体的にこれを全部認める、全部認めないというようなことは、ちよつと私としてはここで言いかねるところでございます。とにかく今お話のようなことをよく意に休しまして、常識あるような取扱いをして行きたいと思つて起るのでございます。  それから第二点の問題でございます。第二点の、爆風等衝撃によつて内部疾患を生じて、それでもつてなくなられたというような方に対しての取扱いでございますが、そういうような方については、私は当然公務のためになくなつたとしての取扱いをできる場合が、多いのではなかろうかと思つておるところであります。軍隊に勤務しておつて、おるいは敵の爆弾が破裂して、その爆弾爆風によつて内部疾患を生じて、その内部疾患から起つて来るところの病気がひどくなつて、なくなられたという場合があるとしますならば、これは認められるべきものではなかろうかと思つておりますけれども、これは具体的な事例につきましては、専門的な意見も聞かなければいけませんが、今のお話を伺いましたところにおいては、私の気持としてそういう感じがするのであります。  最後に、自決者取扱いでございます。私は自決された方々につきましては、いろいろな場合を伺つておるのでございますが、実は具体的にいろいろとはつきりしたものをつかみ得ないでいるところでございます。今後あるいは恩給請求されて来るようになりますと、関係官庁からもいろいろな書類が出されまして、はつきりした認識を深め得るかもしれません。私はこれも一概に自決された方全部を、恩給法上の公務のためになくなられた方として取扱い得るかどうかということについてはいささか躊躇せざるを得ない点があるのであります。あの終戦のときだけに限つてそういう取扱いをせよという意見もありますけれども、しかしもう一歩調べなければいけない点があるのではなかろうかという気もいたしまして、一概にすべてをそういうような取扱いにし得るかどうかについては、疑いを持つております。まだ私は十分な確信を持つておりません。それならば、部分的にでもできるかどうかという問題になりますけれども、部分的につきましても、はつきりした書類を手に入れまして、判断しているわけでもございませんので、確信を持つておりません。しかし非常にお気の毒であつて、ほんとうに何とかしなければならぬのではないかという心持を、話を伺つただけでも、しておることだけは、はつきりここで明言し得るところでございます。
  7. 八木一郎

    八木(一)委員 第一点のお答えは、お考えのほどはわかりますけれども、援護的な指置を講ずべきであるという原則に立つた、信念に基いた御処理をなさつておるかどうかというところに、どうも疑念を持つのであります。ことに軍隊の入隊前か、あとか、その病気のもとをただしてどうというような詮索をしておるということが、私は間違いじやないかと思う。先ほども申しましたように、当時の言葉で言えば、しこのみたてとしてお役に立たない者は、血判を押して従軍させてくれと言つても、お前はからだが悪いから使うわけに行かないのだといつて、即日帰郷で帰しておる。軍医軍医責任において、誇りにおいて、神聖なる統帥の業務として、ここで右か左かをきめるのだといつてきめて、悪い者はどんどん即日帰郷で帰しておいて、そのあとがいわゆる戦時勤務になつておるのですから、その後に起きた病気が、どうのこうのということを詮索して、それで公平を期そうと思うところにとらわれ過ぎて、扱いをしておるのではなかろうかというところを、私としてはおそれる。もしそういう点について、立法精神に疑義があり、法律規定にわかりにくい点があるとお認めならば、その点を指摘していただいて、法律問題として、改正等にも研究を加えなければならぬと思いまするが、この点については、どうお考えになるか、伺いたい。
  8. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 援護法的な立場においてのいろいろな御意見につきましては、援護局の方からお答えを願うことにいたしまして、私は恩給法法律的な問題についてどうかということの御質問に対してお答えいたします。  恩給法におきましては公務により傷痍疾病にかかつて死んだ場合において公務扶助料が給せられることになつております。法文には公務により云々ということが書いてあります。従いまして私たちといたしましては、その法文を無視して恩給取扱いをするわけには行かないと思います。そこで問題は今の八木委員法律改正というお話でございますが、そのよしあしは別といたしまして、かりに軍隊内において結核になつたものであるとするならば、その時期のいかんを問わず、また在役期間いかんを問わず、原因いかんを問わず、恩給を給するというような規定がつくられるとするならば、それはもちろん八木委員の言われるように、すべて軍隊において発病した者は公務との相当の因果関係があるなしにかかわらず必ず公務扶助料が給せられるということになるかもしれませんが、そういうような法律改正ができるかどうかということについてはとくと研究を要するものがあるのではないか、こう思つておる次第であります。
  9. 田邊繁雄

    田邊説明員 戦没者遺族弔慰金、年金の裁定状況について、まず御報告をいたします。十月十一日現在で裁定になりました戦没者柱数は百八十二万八千九百五十三件であります。却下になりました件数が二万四百八十三件、この却下になりました件数の中で死亡した原因公務傷病にあらずとして却下された者の総数は一万三千七百六十五件、そのうち戦地関係の者が二千四百七十八件、内地関係の者は一万一千二百八十七件となつております。  次に援護法公務傷病解釈の基準についての御説明を申し上げます。御承知通り援護法はいわゆる軍人に関する恩給の復活するまでの間の暫定的な措置として立法せられたことから考えまして、援護法公務傷病範囲恩給法公務傷病範囲と一致すべきものであるという見地から解釈をきめておる次第でございますが、御承知通り恩給法では多年の裁定実績というものがございますので、われわれの方ではその実績というものを一応基本に置きまして、同時に大東亜戦争特殊性ということも十分加味考慮いたして裁定行つておるような状況でございます。われわれの気持といたしましては先ほど三橋局長からお話のありました通り戦地における傷病につきましてはできるだけ広範囲にこれを解釈するように取扱つておるのでありまして、裁定実績もわれわれの取扱いの方向を具体的に現わしておると考えております。ただいろいろのむずかしいケースがありまするが、これらの点につきましては、今後も恩給局の方と密接な連絡をとつてこの間に食い違いのないようにいたしたいと考えております。
  10. 稻村順三

    稻村委員長 塚田国務大臣が非常にお忙しいそうでございますので、塚田国務大臣に対する質問を一応受けまして、三橋恩給局長には居残つていただきまして、御質問を続行して行きたいと思います。高瀬委員
  11. 高瀬傳

    高瀬委員 実は私はこの行政制度改革に関する小委員会委員に選ばれておるのでありますが、今後審議を継続するにつれていろいろ問題があると思うのですが、根本的にこの際塚田大臣に伺つておきたいことは、この行政制度改革に関する塚田大臣基本考え方、特に行政審議会の答申をいかに考えておるかということ。それからもう一つ、この別表にありますように総司令部、またはその指示によつて設置された行政機関、これが非常にたくさんあります。しかもこれはアメリカ的考え方でできた機関もたくさんあります。特に私自身の考え方としては、これらのいろいろな総司令部の指令によつて設置された機関に対する根本的な考え方。それから占領治下において税制といわずあらゆる国内機構というものがアメリカ的に改革されて、たとえば国有鉄道のごとき機構も実際の民情に即しない点がたくさんございます。これは一に鉄道だけでなくいろいろな行政機構においてアメリカ的感覚からとり行われた行政の運用というものが非常に日本の実情に沿わず、また能率を阻害しておる点があると思うのです。従つてこれらの総司令部の指令によつて設置された行政機関、それからその意味を全般的にアメリカ化した行政の運用、こういうようなものについて根本的にどんなことをお考えになつておられるか、それを伺つて今後審議の参考にいたしたい。かように考えます。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 行政整理に関しましての大体の基本考え方は、先日本委員会においてちよつと申し上げたのであるいは重複する部分があるかもしれないと思うのでありますが、大体のものの考え方は、やはり今の日本の行政機構は中央及び地方を通じて、もちろん公共企業体も含めての意味でありますが、必ずしもそれらの仕事をやつて行くに最小限度の必要数でもつてしかも最高の能率があげられて運営されておるとは考えられない。相当数人間も整理し、機構ももつと簡素にしても能率をあげて、国民のための便益をもちろん今までよりも減らすことなく一層果して行くことができるはずであるという基本考え方に立つておるわけであります。そこでどういう面から検討すべきかということを考えておるわけでありますが、まず第一には、今国もしくは地方公共団体がやつておる仕事で、はたして国または地方公共団体の手で今後もやつて行かなければならない仕事はかりが行われておるかどうかということを考えておるわけであります。これは事務整理と申しております。その考え方の中にただいま高瀬委員が御指摘になりましたように、今の日本のやつておる仕事の中には、占領政治の治下においていろいろと新しくアメリカ的なものの考え方で必要とされて起つて来たものが相当あるものでありますから、そういうものも一緒に考えておるわけです。そういうような考え方も含めて、今申し上げますように事務整理をする。それからそれに関連しまして今の機構そのものがはたして適当であるかどうかということをもう一つ考えておるわけです。どうも今の機構、ことに部、課、係、それぞれ今の給与法の建前で行きまして課長であり、係長であることが給与に特別な扱いが得られるようなかつこうになつておるためにどうしても不当にそういうものがふえる傾向が非常にある。そこで部をきめ、課をきめ、係をきめますと、どうしても人間がそこに固定するわけであります。そうしてその部の仕事はこういう仕事、その課の仕事はこういう仕事というように職制上きめてしまいますと、人間が固定して、最高能率が、固定されておるために発揮されなくなる。そこで部課というものはできるだけ整理をし、少くしてしまつて人間を自由に動けるようにしておきますと、仕事の必要、それから繁閑度に応じて能率的に運用ができる、そういうことを考えられますので、部課の検討は、なるべく簡素にして、部課の数を少くするということを頭に置きながら検討てしおるわけであります。その場合同じような仕事を縦にもしくは横に重なつてつておるようなものがあれば、もちろんそれはどこかにまとめてしまう、そういう構想をやつております。そういうようにして事務整理し、機構を簡素にして、その面から余剰な人間がありはしないかということを検討する。  それからもう一つ、実はこれは先日申し上げなかつたかと思うのでありますが、官庁事務は年々同じ仕事を大体やつておるのでありますから、仕事が始まつたときにおきましては、なるほどある程度の機構というものが必要になり、ある程度の人間が必要であつた。しかしそれが例年の仕事として繰返して行われるようになると、当初必要とされた人間が必ずしも長く必要であるということにはならないと思う。ところが今までの人員の採用の仕方でありますとか、あるいは部課のきめ方などを見ておりますと、新しく起きたときにつくつた機構、定員というものを長くそのままにほつておくという傾向が非常に強くなつておる。そうして年々同じ仕事をやつているという意味において、だんだんその仕事にもなれて来られて能率も上るし、また上げるべきであるから、そういうものは相当数今の事務整理や機構の簡素化とは別に、能率を上げて行くという意味においてある程度の減員というものが考えられるのじやないかということも考えておるわけです。そういうように多方面から考えてみまして、むだなものをこの際切つて行く、そういうのが今の構想の大体の筋であります。  なおこまかいことを若干申し上げますならば、今度の改革において考えておりますのは、中央と地方、その中央と地方も、国の中央の機関と地方の出先機関、それから国の機構と自治団体の機構、そういうものにおいて縦に重複しているものがあればこれを除く、それから国の各省相互間あるいは各部相互間において、横に共管でもつてじやまになつておるものがあれはそれを除く、それから地方の出先機関のうちでは、単に中央と地方との間の連絡、取次の機関にしかなつておらないものは原則としていらないのじやないか、もし残して置くとすれば、国の権限を相当数地方に委譲して、出先機関が相当程度独断専行でもつて処決できるような機構にして、それたけ国の中央の方を減らして行く、こういうように考える。最後にどうしても残りますものは、一つの省の出先機関はなるべく一本にまとめて、幾つにも別れておつて、少くも庶務、会計、そういう系統の事務が重複して行われておる面のむだを省く、そういうようなことをいろいろ考えておるわけであります。  大体それだけ申し上げたら基本の構想は尽きておるかと思うわけでありますが、なおまた御不審の点があつてお尋ねがあれば、重ねてお答え申し上げることにいたします。
  13. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは政府の根本的な行政機構改革に関する案というものはいつごろできるのですか。
  14. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは事務の運行の状態でありますが、これもこの間ある程度申し上げたのでありますが、まず第一段におきましては、先ほどお尋ねの行政審議会の答申をどういうぐあいに扱うかということでありますが、御承知のように行政審議会は行政管理庁に附置されておりますので、必要なときに必要な事項を諮問して意見を聞くという諮問機関になつておりますので、今度の機構改革に対する構想について諮問をしておつて、この間回答を得たわけであります。私も拝見いたしまして大体りつぱな考え方であると考えておりまするので、あの線に沿うて、やはり答申されておる面は構想を考えたいと考えておる。そこで今は内閣に置いてあります臨時行政機構改革本部におきまして、その答申を基礎にいたしまして、今申し上げたようないろいろなものの考え方にのつとつて、現在の機構の検討をいたしておるわけであります。出先機関、附属機関の検討は一応終りまして、今、国の各省、中央の機関の検討をいたしておるわけでありますが、これが終りましたら、終り次第にこれを各省別にわけまして、各省と個別折衝をする。個別折衝である程度各省の意見がわかり、そうして取入れるべきものは取入れるとして、そこで一応の改革本部の案がまとまつた機会に、内閣にかけて閣議決定を仰ぐ、そういうような手はずにいたしておりますので、大体予定通り行きますならば、今月の終りごろまでには閣議決定を仰ぐところまで行くのじやないかと考え、それくらいを目安に作業を進めておるわけであります。
  15. 高瀬傳

    高瀬委員 特にこの行政機構の改革に関連して、人員の整理ということが何か先行しておるような感じを受けるのです。よく新聞なんかで見ますと、毎日のように待命制度がどうのこうのといろいろ出ております。特に若い人なんかは、ほかに就職する前提として待命をして、あるいはお嫁に行く準備をするとか、いろいろ出ておるのですが、一体あれはほんとうに吉田さんが考えてあなたにやれと言われたのか、あなた自身の独創で待命制度がいいとお考えになつてああいうことをやつておられるのか。これはちよつと簡単なようですが、われわれ非常にふかしぎな現象だと思つておるのです。ですから長官一体その点はどういうことなんですか、聞かしていただきたい。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点も先日ちよつと申し上げたのでありますけれども、そもそも総理がこういうことをお考えになられたのは、元の日本の官庁機構の中に、官吏分限令というものによつて官庁事務の都合で必要があるものは政府の一方的な考え方でもつて官吏を休職にすることができる、こういう考え方があつたわけであります。その考え方で今度の行政整理も行えないだろうかということがそもそもの起りであります。実際の行政整理をいたします場合に、ある程度案がまとまり、従つて不要な人間が出た場合に、それを整理する場合にはどうしてもそういう考え方が必要になりますけれども、そういう構想を頭に置いて、今のこの法制を検討いたしました結果、現在の公務員法の建前では立法措置がなければできないということが明らかになりましたので、これはかりにやるとしましても、機構改革のいろいろな法案を御審議願うときに一緒に立法措置をして、そのときでなければできない、こういうことになつたわけであります。そこでそれでは今どうだろうかということでありますが、現在の情勢で私どもの目から見れば、やはり今度の機構改革の結果やめていただくことになるような人たちが相当出るだろうという見通しがある。またそういうような見通しで、個々の各省の現在お勤めになつておる人たちの間に今度の整理のときには、やめてもいいというようなお考えの人たちもあるのじやないか、そういうことが大体想像されますので、これらの考え方が合致して早くやめるということであれば法措置を伴つたときにやろうと考えておるその待命制度を、期日を繰上げて今からやつてもいいのじやないか、そういうような構想で今度のあの閣議決定になりました待命の機構というものが考えられたわけであります。従つて今度のあの閣議決定の待命は、待命を希望される方の希望と、それから官庁側においてのそれに対しての承諾と両方が条件になつて、それが合致したところで待命というものをやる、そのかわり一度待命になつた場合には、早く職を探して適当なところに早く身をおちつけていただくために、職につかれるまでの間は一応今のままで俸給その他の給与は差上げておいて、そのかわり早く就職の道を探していただきたい、こういう考え方になつておるわけであります。従つて今度そういうぐあいにしてやめられますと、一方官庁の側では、そのやめられたものについての定員は、それだけ——定員法はまだ直つておりませんけれども、とにかく使用しない。従つて今度の改革のときには使用しないで、その定員は全部落す、こういうことにして事実上今の定員が削られたと同じ形になる、こういうように措置をいたしております。それから結婚期を前に控えた若い婦女職員に利用されるようになつておるというような考えもありますが、また実際問題としてそういうこともあり得ると思うのですが、ただ結婚が正式になされた場合には待命をどうするかというのでありますが、この場合には私といたしましては、婦人が結婚されれば一応おちつくところにおちつかれたのでありますからという考え方で、これを就職されたと同じようなくらいの考え方で、この機会に離職をしていただこう、こういうように考えておるわけであります。
  17. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの待命の制度というのは、人を減らすというそのことの目的は、それで完全に達するかもわかりません。私どもの昔から聞いているところでは、待命というのはあまり働けなくなつた外国の大使とか公使とか、ああいうのをすぐやめさしてはかどが立つからしばらく金をやつてつておけというので待命という制度をつくつた、こういうように了解しているのです、ところがただいまのようなふうに行きますと、人が減ることは減りますけれども、若い優秀な人があつちへ行くこつちへ行くといつて、職を探すためにやめてしまえというようなことになると、役所の中に相当精神的な動揺を起して——古いのがやめて行くならがまんしようという点もあるでしようが、若い者で優秀な人などがやはり精神的な動揺を来して、それではおれもこの役所はあまりおもしろく思つていないのだから、ひとつ待命になつて職探しでもやろうということになると、それがしよつちゆう来て、わいわいやられたのでは、それは事務の能率どころではなく、まつた行政機構の改革などというものの一つの撹乱分子になるのではないか。これは新聞でよくやじつてありますけれども、担当問題じやないかと思うのです。吉田さんはどう考えておられるかわりませんが、塚田長官の御意見、これはまことに大切だと思うのですが、いかがですか、
  18. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは有能なのがやめて有能でないのが残りはせぬかということであります。けれども、双方の合意でやる今度の待命の行き方というものは、どちらにいたしましても暫定的な妥協的なものでありますから、徹底してないという面のそしりは免れないのでありますが、しかしそういうおそれがある場合には、待命の願出があつても許可をしないという行き方もできるわけであります。なおいよいよ正式に待命ということにきまりました人たちは、出て来てまた部内を撹乱するというようなことがないように、待命になつてからはもう出て来てはいけない、出て来ないという建前にいたしております
  19. 高瀬傳

    高瀬委員 そうしますと、今の人員の整理というものは、たとえば停年なら停年以上になつた人は、何割なら同割やめてもらうということは、行政管理庁では各省に割当てたり命令はできないことになつておるのですか、私どもその点がよくわからないのですが、どうですか。
  20. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 今度の待命の考え方からはそういうことはできないのであります。しかし行政整理をいよいよやる場合にはそういうような措置がいると思うのでありまして、結局構想ができますと、部課が整理せられて、どうしても余剰人員が出て来ますから、その場合には立法措置を伴つた強制力のある待命というものを考えなければならぬ、こういうように思います。
  21. 高瀬傳

    高瀬委員 そうしますと人は減るけれども事務の能率という観点からの行政整理とか、組織の簡素化にならぬと思うのです。だからこんなことをやつて、ただ官庁を撹乱するのは行政管理庁だという、まるで組織撹乱あるいは事務能率減退の元凶に塚田大臣がなりはせぬか。私は今初めて伺つただけで非常にびつくりするのですが、やはり政治というものは、順序があるのではないかと思う。だからやつぱり若くて思想の動揺しないものは、できるだけその役所になれさせて、訓練をして、ずつと役所を盛り立てて行くようにしなければ、何が何だかわからぬことになつてしまつて、変なものじやありませんか。
  22. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 どういうお気持でお尋ねになつておるのか、今の閣議決定の建前の場合には、そういうおそれのないように、任命権者が承諾をしなければ待命にならぬのでありまして、いよいよ強制的に今度待命ということになるのでありまして、つまり行政整理立法措置が行われますときには、こちらで適当に人員を判断し、ある縮小さるべきわくに従つて、どういう内容でどういう人にやめていただくということを判断をして、おやめ願うということになるので、そういうおそれはまずないと考えておるわけであります。
  23. 高瀬傳

    高瀬委員 そうすれば、将来行政整理については何らかの根本方針を立てて、甲に待命制度のみによらず、ある程度まで老朽者、能率の上らない者を整理するという場合に特殊な立法措置をおやりになる意思がおありになるわけですか。
  24. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それは老朽者をどうとかこうとかいうこともあるいは考えるかもしれませんけれども、そういうものは立法措置ということではないと思うのです。立法措置としましては、やはり先ほど申し上げました事務整理、機構の簡素化というものの両面から出て来て、機構で法律関係ある分は法律を直す、それから定員がいよいよどれくらい減らしてもいいということになつたら定員を直すというようにして、それと合せてそういう場合に出て来た余剰人員は、本人が希望しない場合でも、待命の形で辞職を勧告することができるという形になつて来る、こういうように考えております。
  25. 稻村順三

  26. 島上善五郎

    ○島上委員 行政機構改革についてただいま御答弁がありましたが、終戦後アメリカの占領軍の指示もしくは指導によつて膨脹した部分もあることは事実ですが、同時に日本の民主化の強い要請によつて膨脹した部分もある、こう考えられます。よく日本の民主化に行き過ぎがあるのだという言葉を聞くのですが、長官は日本の民主化にも行き過ぎがあつて、もう少しもどさなければならぬ、こういうお考えを、行政機構改革に際して考えられておるかどうかということをまずお伺いいたしたい。
  27. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 結論として確定的にあるというようには考えておらないのでありますけれども、しかし世間にもそういう声があるし、自分もそういう疑いを持つておる、従つてそういう考え方で、ことに占領治下においてできた機構については十分検討しなくちやならぬのじやなかろうか、こういうように考えておるわけであります。
  28. 島上善五郎

    ○島上委員 どうも私どもの新聞等に報償されるものから来る感じでは、日本の民主化も大分行き過ぎておるから、もう少しもとにもどさなければならぬというような考えが、政府に相当強いのじやないか、それがたとえば地方制度改革に対しても、地方の自治権をもつと圧縮しよう、地方議会の権限を縮小しよう、地方の知事の公選制をやめようというような形にだんだん出て来るような気がしてならぬのですが、地方制度に対しては、どういう方向で改革しようとお考えになつておりますか。
  29. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これに日本の政治のあり方を民主的にやるということと、今いわゆる民主的な制度として行われておるものをそのままやつて行かなければならないということと、必ずしも同じではないと思うのでありまして、民主化の方向というものは、占領以後の、日本の将来の政治の方向として、これは絶対に後退もしくは反対の方向に進んではならないものであるということは、自分もよく考え承知をしておるのでありますけれども、しかし民主化を進めて行き、今の民主化の程度を維持して行くためには、必ずしも今の機構でいいかどうかという検討は大いになされてしかるべきであると思うのであります。そういう意味におきまして、今度の地方制度改革におきまして、地方制度調査会から答申をしていただいたのでありますが、私は制度調査会がいろいろ結論を出していただくときの問題が非常に大きな問題であり、中には基本に触れる問題もあると考えますから、将来を遠く見通した理想的なものの考え方というものと別に、当面改革を必要とする面についてだけとりあえず御答申を願えればけつこうである、なおその機会に将来の方向もお示し願えれば、それも頭において今後の運営をやつて行く、こういうようにお願いもし、従つて今度の答申におきましては、大体そういう構想で、当面答申を必要とすべき事項ということになつて出て参つておるので、私はあの答申の方向については、大体意向は自分も賛成であり、一致しておりますので、その線に沿つてぜひ進めて行きたい、こういうように考えておるわけであります。
  30. 島上善五郎

    ○島上委員 この答申の線に大体賛成だというお考えですが、この答申の中には、私どもも傾聴すベき点もあると思います。たとえば行政事務の縮小、行政の方向として、占領下に始められた施策で、独立後のわが国の国情または国土にふさわしくないものと認められるものとして、括弧して、「産業、労働、厚生及び文化行政等にその例が多い。」、こうあるのですね。そうしますと、現在の産業、労働、文化、厚生等に対してその例が多いということは行き過ぎが多いというふうに解釈してもいいと思いますが、これは非常に大きな問題で、私どもから見れば行き過ぎが多いどころではなく、足りないところが多過ぎる、こう思つておるのです。こういう考えからすると、きのうも私ちよつと聞きましたが、労働省なんというのはやめちまつたらいい、厚生省もいらぬじやないか、文化なんというものはあまり重きを置かぬでもいい、戦時中の一億一心的な思想がこの中に潜在しているような気がしてならないのです。その労働や厚生、文化に対してはどうもサービスが多過ぎるから、行き過ぎが多過ぎるからもつと縮小しよう、こういう考えかどうか。これは答申した人の意向を聞かなければわかりませんが、長官はその点に対してどのようにお考えになつておりますか。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私はその面についても、今後大いに検討しなければならないと思つておるのであります。かりに現在のような労働それから社会福祉、そういう面において国がめんどうを見るにいたしましても、必ずしも今のようなああいう錯雑した、入り乱れた機構でなくてもいいんじやないか、もう少し簡素な形にしたものがあるのではないか、こう考えております。この問題は島上委員の立場から、そういうふうに非常に御懸念になつての御質問と思います。また別の立場の方々から別の御意見があるんじやないかと思うのですが、皆さんの御意向も十分に察知いたしまして、適正な案をまとめたいと思つております。
  32. 島上善五郎

    ○島上委員 そういうこととも関連するのでありますが、先般保安庁の前田次官が参議院の答弁に、陸海空三軍の統合本部の設置を研究中であるという注目すべき答弁をされておりますが、これにたいへんな問題だと思います。憲法にももちろん抵触しますし、そういうことを、長官が知らぬ間に一保安庁でもつてつてにどんどん進めるということに、少くとも今日ではあり得べきことではないと考えます。長官も陸海空三軍の統合本部——参謀本部のようなものを復活しようということについて研究をされておりますか。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 今の行革の仕事としましては、先日ちよつとお答え申し上げましたように、一応保安庁の機構というものは別の観点から、別の要請に基いて政府において考えられておるものでありますから、直接には考慮はいたしておらぬ問題であります。また政府がいよいよ最終的に決定をいたします場合には、それらの保安庁機構についても保安庁の案をもとにして、政府として適正妥当な案を得ると思うわけでありますし、また政府としての結論を得ます場合には、私も行政管理庁長官として、国務大臣の一人として、おそらくそういう決定に参加することになると思うのでありますが、今の段階では、そこまでは行つておらぬとお考え願いたい。
  34. 島上善五郎

    ○島上委員 どうも私は、労働とか厚生とか文化とか国民にサービスする方面を縮小して行つて、統合本部を設ける、軍の方面を拡張して来る、そういう方向であるように思われてしかたがない。これは具体案が出て来なければそういう論議はできませんが、そういう方向のように思われる。占領中にアメリカ的な勧告あるいはアメリカ的な要請によつてやられたものを、大いに日本的にするということは私ども大体においてけつこうだと思います。しかし今また新たにアメリカ的な要請が出て来ておることも事実なんです。それはMSAに関連して三十二万五千の軍をつくれとか、池田さんが行つてもう少しまからぬかという談判をしておるようですが、日本の自衛軍をワシントンから要請されるということはずいぶんおかしな話であります。それは今度木村長官が来た際にするとしまして、どうも新しいアメリカ的な要求に毅然として日本が対処して行くという気構えをもつて行かなければ——せつかく占領中アメリカ的要請によつて行き過ぎがあつたその部分だけ是正しようという体裁のいいことを言つているが、新しいアメリカ的要請、MSAを中心とする要請に対して、長官ははつきりとした、腰抜け追随ではなしに毅然たる態度をもつて、日本的な考え方で行政機構改革を進めて行くというお考えがあるのかとうか、抽象的な言葉答弁はもうわかつておりますが……。
  35. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それは御指摘を待つまでもなく日本の行政機構、ことに独立国である日本の行政機構は、独自の判断においてやるべきであり、私どもは国の防衛機構というものは国のあり方そのものから出て来るのであつて、むしろ現在の行き方が幾らかアメリカ的に、もしくはアメリカの意見が入つていると思われるのは、現在防衛機構が、アメリカ軍がなお駐屯しておるという形で実質的にアメリカ的になつているものを、独自の独立した機構に切りかえようとする段階に起いてそういうかつこうが見えるのでありまして、どこまでもものの考え方は独自の判断で、決してアメリカのさしずによつてつて行くものではないというかたい決意を持つております。
  36. 島上善五郎

    ○島上委員 行政機構改革といいますと、役人の首切りを政府ではいつでもまつ先に考えておるのです。しかもその首切りの際には、天引き一割、二割首切りといつたような、先ほど来の答弁とは実態はかなり食い違つたやり方を今までやつておるのです。ところでこの答申案にも書いてありますが、「無差別天引整理は行うべきでない」、それはそれでいい、「行うべきでないが、」として「各府省庁に対する共通の整理率による整理定員を予定する。」、これは一体何を言うのか。無差別天引き整理をしてはいけないが、各省に対しては共通の整理率によつて整理定員を出す。(「つり合いをとれということだ。」と呼ぶ者あり)そういうふうに無差別はいけないが、整理率を共通にやれという矛盾した考えがある。この考えを是認すれば、結局は無差別天引き整理ということになる。そういうことに堕する危険性が多分にある。私はそう思いますが、役人でも自分が若くて役所なんかつまらぬからといつて、進んでほかの職を求めて行くような人の場合と、そうでない場合もありましようけれども、役人が整理によつて首切られた場合には、平つた言葉で言えば、あまりつぶしがきかぬものですよ。役人の失業問題というのは非常に深刻なのです。そうかといつて、役所におつて相当の地位にあつた者が職安に行つてニコヨンをするわけにも行かぬでしようし、これは非常に深刻なのです。この実態は長官も御存じだと思う。こういうことに対する失業対策というものを真剣に考えないで、首を先に切つてしまつて、切つたらどうにかなるだろうというような考え方が今までの政府の施策の中に見られた。今度はそういう点に対して真剣に失業対策をお考えになつておるかどうか、考えておるとしたらその構想を承りたいと思います。
  37. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは過去の整理の場合にも、全然考えておらなかつたという島上委員の御意見通りでは必ずしもないと思つておるのでありますが、十分でなかつた面もかなりあつたのではないかと思う。また職を離れた方が新しい就職の困難にあうということはわかるのでありますが、これは日本国全体の国力が衰えており、産業が振わないという問題が基本原因をなしておるのでありまして、解決はその方向において総合施策を立てて考慮しなければならない。どうしても新しい就職が得られない者は、社会保障その他によつて救済しなければならない。そういうことは考えながらも、とにかく現在の国の機構が国の力に必ずしもマツチしておらない、そうしてまた国民の立場からも、必ずしもこのままにほうつておかれてはよくないのであるというような意見であるならば、それはそこを直して、そこから出て来る今御指摘のようないろいろな問題は、別の面で考慮する、こういうことに行かなくちやならないと考えておるわけであります。  具体策はどうなのかということでありますが、これはまだなかなか具体策をここで——これだけの人間を吸収しますというような案は、これから整理の話が出て来るにつれて労働省あたりの御意見も伺いながら、並行して立てて行かなければならないと考えておりますが、まだ今の段階ではそこまではでき上つておりません。
  38. 島上善五郎

    ○島上委員 どうもその答弁を聞きますと、首切りの方が先行しているんです。待命制度というようなものは一種の首切りであります。失業対策とか失業救済の方の具体策は、これからおもむろに各方面にはかつて研究する。これでは今までの政府のやり方と大差がないのです。こういうことではいかぬと思いますが、これは意見になりますから……。  最後に私は希望しておきますが、この年末を控えて失業問題、社会不安等がだんだん深刻になつて来て、政府は当然やるべきベース・アツプもほおかむりして、だんだん社会不安が深刻になつて行くというような状況のときに、大量首切りをやるぞというだんぴらを官公吏に対して振り向けているというかつこうなんです。そうでないとおつしやるかもしれませんが……。そこで私どもが要求したいのは、行政機構改革に対する抽象的な、改革するするということではなくて——抽象的な言葉に関する限りは、単に行政機構を改革するということだけでは反対する者はなかろうと思う。その内容、少くともその要綱だけでもいいから早く示して、国会における審議並びに国論に問うという措置を早急にやつてほしい。それが出ましてからまた大いに賛否の議論もありましようし、職者の意見もありましようから、早くやつていただきたい。そうして行政機構改革とは役人の首切りだということにならないように、それをわれわれはひとつ要求したいと思います。
  39. 稻村順三

    稻村委員長 ほかに御質疑はございませんか。     —————————————
  40. 稻村順三

    稻村委員長 なければ、先ほど恩給に関する件についての質疑を続行いたします。辻委員
  41. 辻政信

    ○辻(政)委員 三橋局長先ほどの御答弁で、増加恩給に関する手続が促進されたことはたいへんうれしいことであります。局長は御令弟を戦場になくされまして、遺族のお気持はわれわれ以上に深刻に御理解の方であります。その方がここまでこぎつけていただいたのでありますから、もう一ぺん国家のあたたかい気持で、一日も早く遺族老齢軍人の方に及ぼすよう努力していただきたい。四百五十億というこの予算は、非常に苦しい中から無理をして出された国民のあたたかい気持であると思います。これから先は一に事務当局責任に百パーセントかかつておる。そこで私の最も心配いたしておりますのは、このせつぱ詰まつた年の瀬をどうして暮すかということであります。遺族には労働者のようにボーナスがない、ストライキができないのである。肉身を失いながらストライキができない。そういう点から今後の事務処理を考えてみると、二つの着眼点があると思う。  まず第一には、書類の調整、審査というものをできるだけ簡略にしていただく、それが第一であります。遺族について申しますと、すでに五万円の公債を支給されるときにその資格の有無については、はつきりした一つの検討がなされておる。それに該当する者は新しく手続をやらないでただちに公務扶助料の仮払いをやらす、書類あとから提出してよろしい、こういうふうにしていただく。また老齢軍人に対しましては相当階級に応ずる基本給をまず仮払いしておきまして、勤続年限その他による増減はあとから是正して行くという方法をとられたらどうか、この点が第一点であります。  第二点は復員局その他の事務当局の手不足という問題と、居残り料に対する予算の問題であります。先日も第一復員局行つて実情を聞きますと、とうてい年末までにはおぼつかないという告白であります。その原因は人が足りない、また五時から退庁する、それを十二時まで延長させると、そこに居残り勤務をやらすための手当が必要である。そういう予算がないために、動きがとれないということがあつたのであります。  いま一つの問題は、戦地でなくなつた人の病状を査定する主任者が第一復員局では一人しかいないのじやないか。その一人も現に保安庁に勤めておつて、一週間に一回復員局に出て来て、そうして山のように積み重なつた書類の判定をなさる。これでは一体どうして一日も早くという遺族気持にマツチできますか。そういうところから見て、ほんとうに役人が国家の温情を一日も早く恵まれない人たちにやろうという魂からすべてを検討し直していただいて、近く政府においても考えておられる第二次補正予算で、そういう欠点があつたならば是正する処置を今から講じていただくことをあらためてお願いしたいのであります。
  42. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今の御意見はごもつともな御意見でございます。二番目に仰せられました老齢軍人恩給につきまして、特別な措置をするということにつきましての辻委員の御意見に私は同感でございます。大体事務当局としましては、そういうような措置をするほかに早くやる方法はないのじやないかと思います。先ほど辻さんが申されました概算払いというのは、結局そういうにとに帰着すると思います。ささいな点につきましては違つていることがあるかと思いますが、大体大づかみのところは間違いないと思います。  それからその次の書類の調製を簡略にするということでありますが、先ほどお話になりましたところでは、遺族年金をもらつておる人にそのまま扶助料を出すようにしたらどうかということでございます。私もできることならそうしたいのはもちろんでございます。それにつきましてはいろいろ検討して来たのでございますが、実は遺族年金と扶助料とは法の建前が違つておりまして、辻委員も御承知のことと思いますが、遺族年金を給せられる遺族には順位がありません。同じ順位でもらうようになつていると思つております。扶助料を給せられる場合においては遺族の間に順位がありまして、まず未亡人たる妻がもらう、その妻に子供がある場合におきましては、扶助料側増し、加給を受ける原因にはなりますが、平等にもらうということにはなつていません。ところが遺族年金におきましては、これが金額は別として平等にもらえるようになつておる。また支払いにおきましても、扶助料の場合にはまとめて権利者に払うことになつておりますが、遺族年金の方におきましてはばらばらに払われ得る、こういうことになつているようでございます。従いまして妻と子供の場合におきましては割合にわかりやすいといたしましても、父、母とそれから未亡人、こういう場合におきましては父、母、未亡人は遺族年金では権利者としてばらはらにもらつてつたというようなことも起つて来るわけでございまして、截然とすつきりしたよい案ができればよかつたのでありますが、実は案ができなかつたために、今辻委員の仰せられましたように一律に遺族年金をもらつている者がすなわち扶助料をもらうということにはできかねたのでありまして、意に満たないことになつているのでございます。しかしこのことにつきましては、遺族年金については昨日も援護局の方から説明がありましたように、法規に照して非常に厳格に書類を取扱つておられるということでもありまするし、それからまた調査どもよくされているとのことでございますので、大体の方向といたしましては、遺族年令をもらつておられる未亡人でありますならば、これは大体扶助料の行く者として書類は案外早く片づけられて行くものではなかろうかと思つているのであります。
  43. 辻政信

    ○辻(政)委員 先ほどの手不定の問題と居残りについて、この点はどうですか。
  44. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 その点につきましては、確かにお話のようなことがございます。私の方としては申し出るつもりにいたしております。今のところ職員を数百名使つておりますが、長期間にわたつて居残りをさせるわけにも行きませんので、実は事情の許される範囲においてやつているところでございますが、書類が殺到して参るようになりますれば、恩給局だけでも相当の超過勤務手当を出すような措置を請じなければならない、こう思つておりますので、今起話のようなことにつきましてはいたしたいというふうに考えております。
  45. 辻政信

    ○辻(政)委員 とにかくこの年末を迎えて、遺族やそういう人たちを首つらさぬようにしてもらいたい。それで結論としてお伺いしたいことは、あなたが事務の中心としてやつておられて、年末までに老齢軍人遺族に対して何十パーセント行き届くかというお見込みでありますか。それを伺いたい。
  46. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 恩給局に出されましたところの書類を処理します能力の問題であると思います。その点につきまして申し上げれば大体御了解願えると思いますが、私の方に多いときには年末近くにおいては一日に一万件ぐらいの書類が送られることになるのではないかと思います。それで一万件の書類が送られた場合に起きまして、その一万件の書類が、あるいは普通恩給ですでに恩給を給されておつた方の場合、あるいはまた普通扶助料ですでに恩給を給されておつた方の場合、そういうような方の場合でありますと割合に簡単に書類が片づくように私は考えております。初めて扶助料を給せられるというような方の場合でありますと、場合によりましては今のような既裁定の方と同じような取扱いにはできないと思います。そのような点がありますので事務処理につきまして早く済む場合とそうでない場合と若干の差ができて来ると思います。しかしながら私の今の計画ではどういうことを考えておるかと申しますると、最もはなはだしく多く書類が来る場合におきましては、一日一万件ぐらいは来るかもわからないと思います。と言いましても、これは大まかに申しましての話でありますから、実際は七千件から一万件ぐらいと私は思つております。そのようなたくさんの書類を毎日々々処理するのには一体どうしたらいいかについて実は苦慮しておるわけであります。既裁定書類ばかり来ますならば、割にたやすくさばかれ、又さばかなければならない。それからまた未裁定の方でありましても、先ほどから話しましたように、特別に問題がなくて簡単に済まされるならば、どこどこで、たとえばガダルカナルにおいて戦死ということがわかつてつて、そうして遺族扶助料をもらわれるような方であるというようなことであつて、在職年数の計算というものはあとまわしにしておいて、そうして基本的な金額でもつて計算して行くとしますならば、割合に簡単に金額計算ができるのではないかと思います。そうして精算の方はあとまわしにします。こういうような措置をいたしまして、件数が相当殺到しても何とか処理をせねばならぬ考えで、そのような態勢に持つて行くように努めて、ほとんど毎日のように居残りをしてやつて実行案を練つておるわけであります。それでどこまで確実にやれるかということについては断言し得るまでにはでき上つておりません。しかしそれをやり通さなければならないということでやつておるということだけははつきり申し上げておきます。
  47. 辻政信

    ○辻(政)委員 そこで問題があるのであります。一日一万件の書類審査が非常に困難であるとすると、大体百八十万の書類が出ることになりますから、全部終るまでには少くとも百八十日かかる。それではとうてい間に合わない。それでこれを切り抜ける方法は府県に責任を持たせればよい。府村の世話課では調べておりますから、これに仮証明書を出せば仮払いをする。あと書類で精算して間違つたらまたとるという方法もある。全国の百八十万のものに一応目を通さなければならぬ、これはやめてもらいたい。年末までにこれをやらなければならないためには府県に責任を持たす。府県が責任を持つて、該当者であるという証明をしたならば、書類審査あとにして必ず年末までに仮払いをやる。この点についてほんとうに考えていただきたい。それは現在の施行細則とかなんとかでできなければ、できるような施行細則をおつくりにならなければならぬ。一日に一万しか処理できないならば、全部のものをやるにはどうしたつて百八十日かかる。そこを私は申し上げたいのです。ほんとうにこれはお願いします。
  48. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今の御意見は私の方におきましてもいろいろと検討はいたしました。ところで実際において今申し上げましたような援護法のように、一律に、死亡された方に対して、遺族年金のごとくに遺族に対しまして妻は幾ら、子供に幾ら、それをぴしやぴしやと割りつけるような金額のきめ方になつておれば非常に簡単であつたかもわかりませんが、そうでないようなことになつておりますために、はたして府県だけでやれるかどうかということにつきましては、私たちに非常に危惧の念を持つたわけであります。そういうことにつきましては実際今辻委員のおつしやいますことはごもつともでありますようにも聞き受けますけれども、今特に辻委員仰せられますごとくに、府県に割当ててしまいますことはいたしかねますので、そういう御意見のありますことは重ねて私の方でよく承りまして研究をさせていただきたい、こう思つております。
  49. 稻村順三

    稻村委員長 辻委員質問と関連して、島上善五郎君と平井義一君から関連質問の通告がありますので、これを許します。島上善五郎君。
  50. 島上善五郎

    ○島上委員 終戦後引続いて日本に居住しております韓国人並びに臺灣人がわずかではあるがおるはずだと思いますが、その数がわかればそれをお聞かせ願いたいのであります。こういう人人は、改正恩給法の適用もないし、援護法も適用されてないというので非常に生活に困つている人がある。これに対して何らか救済方法をとる必要があろうと思いますが、何かお考えになつておるかということをお聞きいたしたい。
  51. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 今の御質問の人員でございますが、突然の御質問で資料を持つて来ておりませんので、たいへん失礼でございますがお答えいたしかねます。またそれに対する対策としてはどういう対策を考えておるかという御質問でございますが、恩給法上において恩給を給するというようなことは現在の段階においては結論を得ておりません。
  52. 島上善五郎

    ○島上委員 それはわかつております。これに対して何か救済援護の方法が必要であろうと考えますが、何らこれは法律上手のつけようがない、現行法ではどうにもならぬからしようがないといつて放置しておくのか、今後何らかの手を打つお考えがあるかどうか。あなたが答弁するのは適当であるかどうか問題はあろうと思いますが、それに対して政府は何か考えておるかどうかということを聞きたいわけであります。
  53. 田邊繁雄

    田邊説明員 私その傷痍軍人の二、三の方にお目にかかつたのでありますが、まことにお気の毒であります。終戦前に軍人恩給裁定証書を持つていながら講和後国籍を離脱したというので、受給権がなくなつて恩給裁定証書が無効になつたのであります。韓国に帰つた方もございますが、内地におる人たちだけでも何とかしてほしいということを言つておる。御同情にたえないが、現在の恩給法では、御承知通り国籍を離脱したら失権することになつておる。失権したものは復活いたしませんので、恩給を給する道はない。従つて法律の改正が必要だろうと思います。援護法との関係は、御承知通り援護法は、恩給が復活するまで一年間まかなうという建前ですべて法律ができておりますので、どうしてもそこの根本のところを考えなければならないのではないか、こういうように思つておるわけであります。内閣の方として外国人の恩給受給者の問題をどうするかということを御検討いただくように希望しております。
  54. 稻村順三

    稻村委員長 平井義一君。
  55. 平井義一

    ○平井委員 援護庁の田邊次長に聞きたい、戦死者には先般一金五万円の弔慰金を差上げたのでありますが、先ほど八木さんが言われたように、一たび軍隊に召集されて、国のために尽して死んだという人に対しては戦地を問わず、内地を問わす、とにかく軍服を着て死んだという人には、これは額は申し上げませんが、将来幾ばくかの弔慰金をやる考えがございませんか。その点をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  56. 田邊繁雄

    田邊説明員 私ども裁定をいたしております実感といたしまして、公務傷病という範囲からはずれて来る人がどうしても出て来ることはやむを得ないと思います。遺族の心情を考えますとまことに御同情にたえないのであります。また戦争中にそういう方々に対してどういう制度があつたかと申しますと、それぞれやはり何らかの処置がなされておつて、一時金のようなものが差上げられておつたのであります。従つてどもといたしましては予算的処置が許しますならば、国家として何らかの弔慰の意を表するような措置を講ずるようにいたしたい、かように考えまして研究もいたしておる次第でございます。御了承願います。
  57. 平井義一

    ○平井委員 今の答弁で大体その意思のあることをわかりましたが、とにかく兵隊に行つて死んで、うちの人はやはり国に命をささげた、こう考えておるのに、隣のむすこはもらつたが、うちはだめだというようなことで、しかもそういう人に限つて家庭が非常に困つておる。そこでぜひともごく近き将来にこの措置をとつて、みんなにこの恩典を与えていただきたい、これを強く要望いたしまして私の質問を終ります。
  58. 稻村順三

    稻村委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、この際お諮りいたします。閉会中、行政機構に関する小委員会に参考人を呼ぶ必要が起るかもしれませんが、その場合の参考人の決定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 稻村順三

    稻村委員長 それではさよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十二分散会