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1953-11-04 第17回国会 衆議院 電気通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君    理事 橋本登美三郎 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君       菊池 義郎君    庄司 一郎君       玉置 信一君    齋藤 憲三君       廣瀬 正雄君    松井 政吉君       三輪 壽壯君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         参  考  人         (日本放送労働         組合中央執行委         員)      蔵方 兵次君         参  考  人         (日本放送労働         組合中央執行委         員長)     中塚 昌胤君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れに関する件  日本放送協会職員給与問題に関する件     —————————————
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまから開会いたします。まず連合審査会開会申入れに関しお諮りいたしたいと存じます。ただいま労働委員会に付託になつております公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、そのうちには電信電話公社に関する件、内閣提出議決第八号がございますが、これにつきまして労働委員会連合審査会開会を申し入れいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。     —————————————
  4. 成田知巳

    成田委員長 次に、日本放送協会職員給与問題について調査を進めます。  本日は参考人として、日本放送協会理事岡部重信君、日本放送労働組合中央執行委員長中塚昌胤君、日本放送労働組合中央執行委員蔵方兵次君、以上の三君が出席されております。まず協会側労働組合側より、それぞれ本問題についての御意見を伺いたいと存じます。日本放送協会理事岡部重信君。
  5. 岡部重信

    岡部参考人 本年度人件費予算につきましては、一〇%のべース引上げることに御承認を得たわけでございます。それにつきまして大略その後の経過を申し上げますと、五月に組合といたしましては、かねてより以上のべース・アツプ要求があつたのでありますが、組合としては、その要求とは相去ること遠いが、年度初頭においてはやむを得ざるものと認め、人件費予算については不満ではあるがこれを承認するということ。しかし二十八年度ベース・アツプではなおかつ低い実情にあるからして、国会における審議過程国会意見等も十分尊重して、なるべくすみやかに組合の妥当な要求にこたえ得るよう、最善の努力を払われることを要望するというような組合側意向でございます。  次いで七月に具体的の打衝につきまして、一応人件費につきまして最終的な妥結を見たわけでございます。しかしながらもともと二十八年度予算におきまして、べース・アツプに対して、二三%アツプするのがわれわれも一応妥当の線ではないかと当時考えたのでございますが、財政状況その他各種の状況を勘案いたしまして、当時の状況としては一〇%にとどめざるを得なかつたという経過もございまして、そういう経過をわれわれとしても一応考えに入れたわけでございますが、組合側としてはその後の情勢によりまして、九月に二万二千円の賃金にするようにということと、それから協会仕事が非常にふえて来ておるので二百名増員を要求して、労働過重を防ぐようにという要望があつた次第でございます。それにつきまして協会といたしましては、九月に組合から賃金引上げ要求があつたが、二十八年度ース・アツプについてはすでに七月妥結を見たものであり、爾後組合意向を尊重して、待遇改善その他の処置を講じた。それで協会の現在の財政から見て、その要求に対する原資の捻出が非常に困難であるので、組合要求には応ずることができない。しかしながらテレビジヨン、国際放送本格化等に伴うところの業務量の増加につきましては、他方業務合理化等によりまして、極力職員労働過重を避けるよう努めて来たが、なお相当数の充員を要する現状にあるので、その補充を考慮しているという回答をいたした次第であります。  はなはだ概略でございますが、今までの経過といたしましては、以上申し上げたような経過になつている次第でございます。
  6. 成田知巳

    成田委員長 次に中塚参考人にお願いをいたします。
  7. 中塚昌胤

    中塚参考人 ただいま問題になつておりますNHK従業員給与問題につきまして、岡部参考人の方から概略説明がございました。重複する点もあるかと存じますが、一応今までのわれわれ日本放送労働組合日本放送協会との間の交渉経過について申し上げたいと思います。  私たち日本放送労働組合では昨年の秋に、昭和二十八年度のべース・アツプにつきまして協会側要求を提出いたしました。これは一九%のベース・アツプという要求でございます。この一九%の中には毎年四月に行われまする定期昇給の分といたしまして、三%分が入つているわけでございます。従いまして純べース・アツプといたしましては一六%、こういう要求をしたわけでございます。その後交渉を続けまして、結局先ほど岡部参考人の方からお話がございましたように、協会の二十八年度予算人件費といたしまして一〇%のべース・アツプ、この一〇%の中には定期昇給分の三%も含まれているわけでございます。この一〇%のベース・アツプ人件費予算というものが、国会承認されたわけでございます。われわれといたしましてはきわめて不満であつたわけでございます。ことに国会審議過程におきましても、一応協会の二十八年度予算承認する。しかし協会経営者は努めて業務合理化を行い、物件費をできるだけ節減することに努力して、この不足額原資を満たすことに努力すべきであるという条件を付して、この二十八年度予算承認されたこともあつたわけで、そういう審議経過というものをも、われわれといたしましては非常に重視いたしまして、先ほどお話がございましたように、五月の初めにこの人件費総額というものは、年度当初においては一応国会承認も得たことであり、われわれとしても一応やむを得ないというふうに考える。しかしわれわれとしては二十八年度を通じてこれで満足するものではない。その後の情勢変化経済情勢変化というものが生じた場合には、われわれは年度の途中においてもあらためてベース・アツプの新しい要求を出すということを、五月の初めにも協会側に申し入れておいたわけでございます。先ほど岡部参考人の方からお話がございましたように、五月以降七月の初めに至りまする間におきまして、この人件費をどういうふうに配分するかという交渉を続けたわけでございます。そして七月の初めに、二十八年度予算に盛られた人件費の配分というものについて、一応の終止符を打つたわけでございます。その際にも、先ほども申し上げましたように、われわれとしては二十八年度はこれで満足するものではない。年度の途中においてもあらためて要求を出すことがあるということを、申し入れておいたわけでございます。その後九月の初めに、われわれ労働組合中央委員会というものを持つたわけであります。その際に二万二千円べースというものを要求すべきであるという決定をいたしまして、協会側要求書を出したわけでございます。  この二万二千円というベース算出根拠について申し上げますならば、昭和十年ないし十一年ごろの基準年度というものを見ました場合に、協会職員のその当時の平均賃金を大体七十七円五十銭というふうに見たわけでございます。これの大体三百倍というものが、現在の平均賃金であるべきである。しかしわれわれとしては一挙にそこまで回復するということが相当な無理がある。従つてせめてその八〇%というものは何とかほしいということで、二万二千円という数字を出したわけでございます。これをもちまして協会側要求を出しました。その後今日まで交渉を続けておるわけでございます。これに対しまして協会側回答というものは、先ほど岡部さんの方から御説明がありました通り、現在の協会財政というものから見て、この組合要求には応じられないというのが、協会側回答の趣旨でございます。  大体今までの交渉経過というものを申し上げまして、一応これで終りたいと思います。
  8. 成田知巳

    成田委員長 質疑の通告があります。通告順にこれを許します。原茂君。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 まず岡部参考人に先にお伺いいたしますが、組合が昨年二十八年度ベース・アツプ要求いたしました基本的な数字は、一九%アツプ要求したそうでありますが、その当時、先ほど説明によりますと妥当な要求であるというふうに御説明があつたわけであります。しかし諸般の情勢から一〇%の要求に引下げまして、妥結を見て今日に至つたという御説明でございましたが、そう心得えてよろしゆうございますか。
  10. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま御指摘パーセントの問題ですが、そのパーセントをどこにとるかということにつきましては、御承知通りCPIなり、あるいは総賃金指数とでも申しましようか、そういういろいろな要素がございますが、私どもは一応それらのものを勘案しまして、二十八年度予算編成時におきましては、たしか二三%のアツプが必要であるというふうに算出したのであります。しかし先ほど申し上げたような事情予算として一〇%のアツプにとどめた、かようなわけであります。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 第二点としてお伺いいたしたいのは、現行ベースが大体計算しますと約一万五千八百円くらいになつているそうでありますが、他の同種企業そつくり同じものはないようですが、まずあげて言いますと新聞社、それからラジオ東京日本文化放送、こういつたようなところの現行ベースがどのくらいになつておるかを、協会側でお調べの範囲でお答え願いたい。
  12. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま御指摘のように、協会のような事業というものはちよつと比較するものはございませんので、どれをどうとるかということになりますと、一応新聞あるいは一流会社とでもいいましようか、そういう点を調べましたのによりますと、この調べも実は今後の協会経理及び来年度予算編成につきまして一応早急にとりまとめましたのですから、あるいは多少誤りもありまして、国会で御答弁するのにはおそまつな材料かとも存じておりますが、新聞出版関係などにつきまして一流といいますか、主要なようなところを見ますと、二万三百円くらいになつているのじやないか、銀行も大体その程度、まあ大体において二万円を越えたところが一流会社としては多いように、私ども手元に資料を持つておるような次第であります。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 今の大体二万三百円平均という中には、新聞社その他民間放送の大きなものというのが入つておるような御説明でしたが、ラジオ東京日本文化放送というようなところのベースをひとつお知らせ願いたい。
  14. 岡部重信

    岡部参考人 私ちよつと申し上げるのが悪かつたかもしれませんが、実は新聞出版の方だけで、手元に今御指摘ラジオ東京文化放送等は持ち合せておりませんので、まことに失礼でございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 私の聞くところによりますと、民間放送の現在のベース、おもなところを言いますと、大体やはり二万円を突破して、現行ベースが二万円を上に行つております。最高は二万三千円くらい、低いところも二万円ちよつとというふうに聞いているわけです。そこでたとえばラジオ東京とか、文化放送とかと比較しましたときの、NHK職員の今やつております仕事担当内容、こういうものに何か民間放送と特別の差異があるならば、それを御指摘していただきたい。なければないでけつこうですし、同じなら同じでけつこうです。
  16. 岡部重信

    岡部参考人 特別の差異としてお答え申し上げるものといたしますれば、御承知受信料を直接職員の手でとつております関係上、そういう集金業務に従事する職員というものは、まず最も違うところではないかと思います。なお技術研究につきましては、給与の面から見れば著しい違いが出るということはないのではないかと思います。従いまして、集金業務というのが最も特色のあるところではないか、かように存じております。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、大体民間放送と比較しましても、ベース変化を与えるほどの違いはないようだ、こう聞いたわけですが、たまたまNHK職員の場合は、国家の予算に縛られまして、現行一万五千八百円というようなベースになつておることは、少し不当だと考えるわけですが、単に国家的な制約を受けるというだけで、仕事内容は同じなのに、ベースにはなはだしい差がついておるということは、少し不当であるし、何とかしなければいけないものと考慮をするわけですが、さようにお考えですか。
  18. 岡部重信

    岡部参考人 どの辺の額までにするかということについては、われわれとしても絶えず検討しておりますし、また今後も検討しなければならぬと思いますが、まだ実は経営委員会におきましても、今後の経理、来年度予算につきましての審議は、審議の回数を重ねておりませんので、個人的意見になるかもしれませんが、現在の給与というものは上げるべきであるというふうな考えを持つておる次第であります。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 よくわかりました。次にお伺いしておきたいのは、今回の予算が組まれまして、その当時予備金年度初頭に相当額あつたはずですが、予備金の額を私失念しておるのですが、どのくらいあつたのでしようか。
  20. 岡部重信

    岡部参考人 ラジオ関係につきまして五千万円の予備金を計上いたして、御承認を得た次第であります。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、先ほどの御説明で、現在のところでは二万二千円に見合う資金が困難であるという点から、そのことを目下実行することができな  い、かようなお話があつたわけですが、そこで上半期における今日までの経理内容下半期における大体の見通し、こういうふうに二つにわけて御説明をお願いしたい。
  22. 岡部重信

    岡部参考人 きわめて概略を申し上げますと、御承知通り上半期下半期におきましては、下半期の方が例年比較的支出が多くなるような実情になつております。それで上半期においてはどうだつたかと申し上げますと、上半期においてはちようど半分くらいの支出になつております。それでは下半期はどういうふうになるだろうかという見通しですが、実は本年度予備金ども非常に少いので、何かの場合が起るということも予想されますし、事業内容が、御承知通り機動性といいますか、弾力性を持たなければならぬというような点もありますので、それについてはどうすればいいかというと、まず御承知通りきわめて簡単な方法でございますが、できるだけ予算よりも収入の多くなるようにということと、支出節約をはかり得る部面についてはできるだけ支出を少くするという面でございますが、協会経理の今後の状況につきまして申し上げますと、受信料収入につきましては、当初予算よりも一億三千八百万円ほどの増収を、年度末までに見ることができるのではなかろうかという見通しを一応つけております。これにつきましてはなおもう少しの増収が見込まれたのでございますが、過般の水害によりまして受信料の減収を来したという事情もございますので、大体今申し上げたような収入の増が見込まれないのではなかろうか。それから一方支出におきましては、諸物価値上りと法律の改正というような問題でございますが、そのおもなるものを申し上げますと、電信電話料金値上り、それから水害復旧対策費用、それから地方税法改正になりまして固定資産税の賦課が認められますこと、健康保険法の一部改正に伴いまして社会保険費の超過が見込まれ、その他諸物価の高騰というものがございます。それでこのままに推移するならば、あるいは赤字を出さなければならぬのじやないかという憂いもある次第でございます。それで年度当初からいろいろの面の先ほど申し上げたような節約——これはむろん外部契約のできない面も相当でございますが、節約のできる部面で四千万円ほどの節約年度初頭から計画していたわけであります。なおその他の処置によつて年度はどうにか切り抜けて行きたい。現段階におきましては、今後の今年度見通しにつきまして、一応さような考え方もいたしておる次第でございます。なお予備金の方でございますが、予備金五千万円と先ほどお尋ねでございましたが、これについて現在一応予備金予備金対象となるのではないかというふうに考えておりますのが、郵政省にお願いいたしまして受信料郵政省の手で頂載していただく郵政委託集金というのがございますが、それが今年度におい二千四百万円ほどの金がいるのではないかということ、それから放送局の再免許といいますか、周波数の変更の費用、大阪の大電力の鉄塔の碍子の取替、それから主として北海道方面共同聴取施設に対して、施設改善をお手伝いするというようなものというので、今のところ予備金対象となつて、そういうように一応計上されておるものが、四千七百万円ほど現在すでにあるような次第でございます。はなはだ概略でございますが、お尋ね上半期と今後の見通し一端につきまして、お答え申し上げた次第であります。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいま御説明があつたわけですが、内訳がないので、個々の問題に触れることができないわけですが、そうしますと下半期支出増が相当見込まれているのと、それから受信料収入増が見込まれているのと、節約による分の相当額があるのと、それを相殺しますと、一体下半期赤字になるのでしようか、黒字になるのでしようか。
  24. 岡部重信

    岡部参考人 赤字になりますような場合は、これは何かよほどのことがない限り、国会の御承認を得て、補正予算を組まなければならぬというふうに存ずる次第でございますが、赤字でなく、これを始末して年度決算をやつて行きたい、こんなふうに現在一応考えておるようなわけでございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、下半期も大体赤字を見込まないで行けそうだ、あるいはそうしたいという程度の目算がおありになるように受取れたわけですが、上半期についてはちようど今予定の半分支出されただけで、これもそう大した問題なく、ただ水害あるいはその他の災害に対する復旧費が余分に少し出た、そういうような御説明でございました。ここで今の組合ベース・アツプの問題に当てはめてみますと、資金がないという的確な数字が今示されておりませんから、抽象論になるわけですが、大体組合の今要求しております二万二千円を計算しますと、十月から実施して約四億円が原資として必要になるわけであります。四億というものを生み出そうとするために、逆に今の上下半期ずつの計算からいつて、大約何とかすれば出せそうに私ども簡単に考えるわけです。岡部参考人のお考えでは、全然出ない、あるいは多少は出そうだ、このくらいなら出るかもしれないというよう大まかな見当がおつきだと考えるのですが、二万二千円を実施するためには四億円が必要である、四億円に対して一体どのくらいなら出せそうだという見通し、その数字を簡単に概略けつこうですから御発表を願いたい。
  26. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま申し上げた数字につきましても、一応現在算出しておる数字でございますから、むろんあとから訂正を要する数字もある、かように存じておりますが、現在におきましては一応ようやく赤字を何とか克服して行くという程度であつて、余分の経費を出すという見通しについてははなはだ見通し薄ではないか、かように考えておるわけでございます。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 二万二千円の要求に対しても、ある程度これの妥当性があるという先ほどの御説明があつたわけですが、そうは思つても現在の資金状態からこれを認めることができない。しかも大略これと似たような事業内容のところで、現行一万五千八百円ベースよりは上まわつていることを御承知になつておる。そうして何とかして出してやりたいという気持もあるかとお伺いいたしましたら、あるとお答えになつておる。もう少し真剣にひねり出してみようというお気持があれば、これだけ大きな予算の中からですから、くふうの仕方によつては出せるようにどうしても私どもには思えるわけです。そういう二つ条件、他との比較からしても、これを出してやろうというお気持があるということから勘案すると、もうちよつと熱心に調べると何か出て来るように思うのです。こまかい数字で一々お伺いして検討してみないといけないが、今の状態だと赤字を出さないというのが精一ぱいで、びた一文も出すことが困難だと思う、こうお答えになるわけですが、それでは身もふたもないわけです。何がしか出せそうだ、あるいは一億か一億くらいは出すつもりでこうこうこういうくふうをしているといつたような何かお答えがあれば、非常にいいわけです。そういうようなものの言い方でひとつお答え願いたい。
  28. 岡部重信

    岡部参考人 われわれも実は、組合から言えば非常にわかりにくいというふうにとられるかもしれませんが、相手方は不満足であつても、われわれとしては常にできるだけのことをやつて行きたいという気持においては、何らやましいところはないのでございますが、今年度内におけるところの、たとえて申しますと、電信電話料金値上りだけでも、今算定しておるのは一億一千五百六十万円ほどの赤字が出るのでございまして、増収がたとい先ほど申し上げた一億三千あつても、ほとんど全部それに食われてしまうような次第であります。例年ならばこの増収の根源をなすのは、職員労働によつて主として聴取者が集まるのでございますから、その幾分かをこれに還元するということは当然の措置であろうと存じまして、従来もやつておつたのでございます。しかし事情が、一例として申し上げたのでございますが、さような事情なので、卑俗に申しますと困り果てておるというような状況でございますが、その捻出できるならば捻出するという気持においては何らかわりはない、さようお答えしても御満足は得られないかと思いますが、心境の一端を申し上げます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 それでけつこうなんです。それ以上はおそらくお答えができないだろうと思つたわけです。そこでNHKという企業をもり立てて行くために、どうしても経営側の皆さんの努力も必要ですが、今要求を出している組合側のマツチした協力がなければ、とうていこの運営が不可能になるわけです。今岡部参考人からは、今のところ考えられないが、何とかして出そうという気持だけは持つている、こういうお答えでしたから、組合側が何か研究していると思うのですが、ここでざつくばらんに、組合の側からいつたらこういうような原資を見つけることができる、あるいはこういうふうにしてもらいたい。当然両者よく歩み寄つて、お互いの知恵を持ち寄つて経営は成り立つわけですから、遠慮なく、こういうものがあるだろうと考える、あるいはこういうふうにしてもらつたらこれぐらいが出るだろう、こういうものを原則としては建設的な意味で、ひとつ組合の側から御発言をお願いしたいと思うわけであります。
  30. 中塚昌胤

    中塚参考人 こまかい数字点等につきまして、蔵方参考人の方から説明いたしたいと思います。
  31. 蔵方兵次

    蔵方参考人 ただいま協会側岡部参考人から、本年度下半期における協会財政実情から、協会組合側要求に対してははつきりと、これこれをしたいということはお示しできないというお話があつたのでございますが、私ども労働組合といたしまして、あらゆる場合に、ある程度の生活ができるような賃金を確保してもらいたいということを考えるわけでございまして、最初に交渉経過お話申し上げた際に、中塚委員長からお話があつたと思いますが、われわれの考え方というものは、一つにはやはり社会的な水準というものがあろうと思います。その点につきましては、一般的に同種の、あるいは類似の企業状態というものを考えるわけであります。そこで先ほどはつきりとした線は出なかつたようでありますが、私ども調べたところによりますと、大体一流新聞社におきまして、朝日新聞におきましては、伝え聞くところによりますと、大体二万四千円は確保しておるように聞いております。そのほかの新聞におきましても、大きいところは、大体二万二千円あたりは現状において確保されているというふうに聞いております。それから放送界におきましても、ラジオ朝日におきましては、およそ二万五千円程度になつておると聞いておるわけであります。そのような認識におきまして、われわれとしては一つの目標といたしまして二万二千円を算出いたしたわけでございますが、また一方で労働者としては、早い機会に戦前の賃金までは確保して行きたいという考え方があるわけでございまして、このような考え方はひとりわれわれだけでなくして、官公庁労働組合の諸君も同じような考え方を持つておるわけであります。そこでわれわれは二万二千円を一つの要求の目標として出して、現実の交渉に入つたわけでありますが、しかしながらわれわれは、ただいま原委員の御指摘がありましたように、いつの場合においても一つの理想と、交渉の段階における現実の問題とは、やはりある程度の現実性を持つた考慮を払わなければならない、このように考えているわけでございます。そこで私どもは願わくば十月以降二万二千円を確保したいわけでありますが、いろいろ協会財政とか、あるいは予算国会承認という建前がありますので、一挙に下半期においてそこまでの要求というものは現状においては困難であるということは、私どももある程度感じているわけであります。そこで一つの歩み寄りの形といたしまして、私ども交渉の現段階におきましては、少しく中間的な目標に転移せざるを得まい、このように考えているわけであります。これをたとえて申しますならば、官公庁の労働組合の諸君は、一応一万八千円あるいは九千円ぐらいを最初の目標として交渉に入り、そうして調停委員会なり仲裁委員会における現実の姿として、仲裁裁定というものが大体において一万四、五千円ぐらいの線に行つているということは、現実のべースに対しましておよそ二千円程度アツプということが、社会的第三者機関が肯定した一つの考え方でありますので、私どももそのような考え方に立ちまして、当初の二万二千円というものを最終的にほしいと考えますが、現段階におきましては、およそ一万六千円弱の現在のべースに対しまして、およそ二千円上つたところの一万八千円を少し上まわつたある程度の線でもつて、もう少し具体的の話を進めて行きたい、このような歩み寄りの考え方を現実に持つているわけであります。 それでは協会財政においてそれが可能であるかどうかという問題でございますが、かりに私どものそのような中間的な考え方を採用いたしますならば、およそ一億五千万円程度の財源が下半期において確保されるならば、大体において私どもの現実的な要求にはこたえ得るものではないか、このように考えているわけであります。それで先ほど岡部参考人からは、年間を通じまして大体四千万円程度の財源は、冗費の節約によつてこれをカバーして行きたいという考え方があつたわけでありますが、私どもといたしましては、そのような考え方をさらに推し進めますならば、下半期においても一億近くの金は何とか努力できるのではないか、このように考えているわけであります。当初私ども協会財政について説明を伺つた際に、下半期においては、何ら努力をしないならば、およそ一億二千万円程度の赤が出るのではないか、このように聞いたわけでありまして、その点におきましては一つの悲観材料と考えたわけでありますが、しかし協会といたしましては、下半期で非常な努力をいたしまして、赤字だけは出さないように努力しようということをただいま伺つたわけでありますが、そのようなお考え方をもう少し推し進めまして、私どもの現実的な要求に対してます一億程度のことは可能ではないか、このように考えているわけであります。  そこでもう少し具体的な考え方をお示しいたしたいわけでありますが、残念ながら協会側からも相当つつ込んだこまかいところまではお示しをいただいておりませんので、具体的にどうこうということは、ちよつと私どもとしても責任を持つてお答えいたしかねますが、第一の点は、先ほど申し上げたように、要求の目標に対しましてやはり現実的な方向転換ということを考えまして、まず要求自体をある程度引下げる考慮をする、そうしてさらに建設的に言うならば、協会下半期財政におきまして、ある程度節約をさらに推し進めていただいて、これを実施するように協会側においても努力をしていただきたい、このように考えているわけであります。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 今組合側から、現状を考慮した結果、あるいは官公労の仲裁の線なども考えた結果、二千円アツプの一万八千円程度で今回はがまんし、協力して行きたい、こういつた御意見を初めて伺つたわけであります。この点、協会の側におそらくきようここで初めてこれも発表されたことと思うわけです。そうしますと、一万八千円ベースにしますと、その必要原資は一億五千万円になるという今の蔵方さんの御説明ですが、一億五千万円というものを先ほどの四億に比較いたしますと、大分思い切つて少くなつたわけでありますから、なおさらこの程度のひねり出しは、協会側でやつてみようとお考えになりやすくなつたと思うわけです。そこで組合側では、この原資をひねり出す方法はというと、四千万円の節約というものをもつと推し進めて、下半期において組合側も協力して節約し、一億近くは必ず出せるように考えている、こういう意見の発表が今あつたわけですが、協会側でこの点に対しまして、四千万円という先ほどの御説明を何とか一億近くにしようとすると、どんなことをしたらできるか、あるいは何をやつてもてんで一億なんというものはできないとお考えになるか、やりようによつてはできるが、逆に組合側にこういうような協力を要請し、それをやつてもらうなら一億が出せそうだ、こういうようないずれかの御意見協会側から発表していただきたい。
  33. 岡部重信

    岡部参考人 先ほど節約の額について見通しを申し上げたわけでございますが、御承知通り、二十六年度でしたかに聴取料が改訂されましたが、その後の物価は相当変動がございまして、その変動のためもあつて二十八年度、二十七年度のペース・アツプもしたわけでございます。節約につきましては及ばずながら絶えず検討している次第でございまして、この協会事業として相当の支出を要する、一例をあげますと真空管のような問題ですが、真空管の寿命を何とかして延ばすというような問題、それから中継線のまだ施設されてない局、あるいは中継線の故障の場合の措置として短波連絡というようなことを、有線の連絡以外にやつておりますが、それらにつきましても極度に、たとえば夜は短波によらずとも、何とか東京、大阪におきまして代弁もできますから、それらを受けてやるということにして、短波の使用時間を極度に圧縮するというような措置をかねがねいたしまして、たしか両方で七千万円くらいの節約をし、さらに四千万円の節約先ほど申し上げているようにしているのでございますが、節約にも申すまでもなく限度がございまして、節約のできない部面というのが当然相当部門ございますので、今後一億を節約することができるかどうかということについて、今ここでそれほどの資料も持つておりませんし、可能でございますというふうにお答えすることもできないようなわけでございますが、われわれとしましても節約できる点は、できるだけ節約してやつて行くということにはかわりはございませんので、なお数字的の検討も一応しているわけでございますので、今後もさらに検討を続けて行きたい、かように考えているような次第でございます。
  34. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ちよつと関連して……。大体原君の質疑も十分済んだようでありますから、ことに今組合側意見を聞きますと非常に妥当といいますか、穏健な主張であるし、かつまた経営者の方でも十分考慮しておるようでありますから、あまり委員会としては仲裁裁定委員会のようなことまで入ると、委員会方面からの文句もありますから、その含みをもつて処理してもらうという程度で、質疑はどうでしようか、適当なところでもつて打切つてもらつた方が……。これが記録に残つていれば、お互いに今後の交渉がやりにくくなると思うのです。そういう点からいつて、今までの話を聞いていますと、経営者側も含みを持つて今後善処しようとしておるようであるし、また組合側もいわゆる経営者の苦衷を察して、できるだけの措置を考えておるまうですから、十分に委員会の聞こうとする趣旨は徹底したように思うのです。従つて適当なところでこの問題を打切つた方がけつこうだと思います。
  35. 成田知巳

    成田委員長 ただいま橋本委員の方から議事進行について発言がありましたが、発言の内容、まことにごもつともだと思うのでございますが、松井委員の方からも質問の通告がございますので、今の橋本委員の発言の趣旨をくまれて、あと原さんに二、三質問していただきまして、松井委員にお願いします。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 大体誠意をもつて今後の折衝にまつ以外にないようですが、もう一点だけお伺いいたしておきたいのは、どうしても協会側で金がない。しかも何とかしなければならないということになると、やはり予算補正が必要になつて来るわけですが、今国会ではこれはとうてい間に合わないわけです。従つて次の通常国会なり第二次臨時国会に、これを持ち出さざるを得ないわけですが、期間的に十月から実施せよという今の要求妥結点というのは、非常にむずかしくなることが予想されるわけです。そこでもしべース・アツプができないといつたようなときに、よく慣例として行われますのは、べース・アツプに準ずる方法として一時金といいますか、奨励金といいますか、何かの形でとりあえず、十、十一、十二月の分に関するある程度妥結が見たときに、三箇月分ないしこれに見合うだけのベース・アツプした分を奨励金なり一時金なりの形で出すということがよく行われるわけですが、これは私の希望にもなりますが、国会が期間が短かい関係上、今の橋本委員の発言で両者の誠意にまつといいましても、補正予算を組んでその後にこれを実施せよというときに間に合わない場合がありますから、そういう場合の予備の手段として両者で、正式に一時金でよろしいとは言えないでしようが、そういう方法をもつてこの過渡期といいますか、中間の年末までの三箇月に対する昇給分を考慮する、こういつたこともひとつ参考にして両者でお話合いを願いたい、こう考えるわけであります。希望だけ申し上げて私の質疑を終ります。
  37. 成田知巳

    成田委員長 松井政吉君。
  38. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ただいま問題になつているベース・アツプの問題について原君から質問があり、さらに橋本君の御意見、ごもつともです。われわれ議会に議席を持つている者の立場からのみ調査を行うのでありますから、その点はごもつともだと思います。私はその立場を明らかにしてお伺いをしたいと思いますが、要するに民間の企業と違いまして、NHKの全予算はわれわれが承認を与えているものであります。従つてベース・アツプ予算その他の費用は、われわれが審議したものであります。ここに前回の国会において、経済情勢等の変動が起つてース・アツプ等をやらなければならぬときに、NHK当局はどのようにしようと考えるかということも、記録に残つてお答えもいただいているのであります。従いましてわれわれは予算審議しなければならない立場であり、予算執行に伴う監督権を持つ立場から、私は質問をしたいと考えているのであります。この立場を明らかにしておきます。  そこでお伺いをいたしたいのは、ただいま申し上げたような企業内容であり、それから国会承認予算に基いて経営をしなければならないのであります。ところがここでいつでもわれわれがNHKベース・アツプ予算審議のときに、過去の数回の国会の速記録を見れば明らかでありますが、繰返しているのは、NHKの財源というものはおのずからきまつております。すなわち聴取料を中心とした財源以外にはないのであります。そこで経営形態と、それから経営に関するべース・アツプを含む財源の問題をどのようにしたらよろしいかというのが、ただいま考えなければならない新たなるコーポレーシヨンとしてのNHK企業形態の問題になると思うのです。この根本を考えないで、毎年予算を提出して、それでやつて行けるかと念を押せば、やつて行けるとおつしやるのでありますから、われわれはそれに承認を与えておく、経済変動が起ればべース・アツプが出て来る、放送を続けていただきたいし、それからコーポレーシヨンとしての公共放送は維持したい立場から、われわれはやはり問題が起れば議会で調査をしなければならぬ。これを繰返しておるような経営形態と、それからただいまの状態でよろしいかどうかということを、われわれは掘り下げて研究しなければならぬと思う。従つてそういう根本的な問題に対する点、経済変動があつたならば、要するに議会で調査をしなくても、組合と管理者側の方における交渉において、すなおにきまりがつけ得る経営形態の研究が進められておるかどうか。この問題について最初にお伺いをいたしたい。古墳会長あるいは経営委員の責任者が来ておれば一番けつこうでありますが、きようはお見えになつておらぬようでありますので、岡部参考人の御意見でもけつこうです。たとえば理事会、経営委員会等で、そういう問題について協議をしたことがあるかどうか、根本的に考えておるかどうか、お伺いをしたい。
  39. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまのお話につきましては、あるいは放送法の改正というような問題にまで入ろうかとも存じまするが、私どもといたしましては、その問題はさておき、予算の流用というような問題、あるいは増収処置という問題について、総則において御承認をいただいておる次第でございますが、ただいまお話通り収入の根源はほとんど全部受信料であるということ、しかも逐年の物価の高騰のために、予備金がわずかに五千万円しか計上できないということ、一たび水害でもあればすぐ——今度の水害でも大体五千万円前後の損害が出ている。要するに予備金がもう少し多いということが、さしずめの問題として必要ではないかと思います。しかし予備金を聴取料によつて多くするということは、これまた不可能な問題であります。従いましてこの予備金を多くするというような問題、その他の面において物価をカバーする問題については、一応現在の受信料がはたしてこのままで行けるかどうかを、掘り下げた問題とせず、当面の問題として考えているような次第でございます。お尋ねに対してはまことに合わぬようなお答えで恐縮でございますが、一応お答え申し上げます、
  40. 松井政吉

    ○松井(政)委員 合わぬようなお答えじやなくて、全然的がはずれております。私のお伺いしておる点は、予算の流用とか、こういう問題が起つたときに予備金がないので困るだろうということではないのです。要するに収入財源としての受信料は、大体予算にうたつてある。それ以上に成績が上れば予算以上に歳入があることは当然であります。ですから、そういう問題ではなくして、ただいまのような経営形態と、今のような経営方針で、経済情勢の変動が来ても、他の産業並にべース・アツプをすることができないということの根本原因はどこにあるかということについて、理事会並びに経営委員会等で研究、協議をしたことが、あるかどうかということを聞いておる。
  41. 岡部重信

    岡部参考人 私は、根本的な問題になりますと放送法改正の問題、要するにNHKという企業体のあり方ということに直接触れる問題だと思います。それについてたびたび検討はいたしておりますが、なおいろいろな考え方があるとは思いますが、放送法が施行されてまだ三年でございますから、十分検討をした上において、あるいはよりよき形を広く深く研究した上において行うべきものではないかと、かような考えに立つている次第でございます。
  42. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私は放送法のことをお伺いしているのではないのです。そちらの方から、放送法の問題になるでしよう、こうおつしやるのですから、そういうお考えを持つのもよいでしようが、現在の放送法のまま、現在の経営形態のまま、べース・アツプ等の問題が起きても処理できるようなことを研究なさつたことがあるか、とうてい研究しても不可能だという結論が出ているのか、ひとつそれをお伺いしたい。
  43. 岡部重信

    岡部参考人 放送法ができましての当初予算は——二十五年度でございますか、これは国会関係なく、当時の設立委員においてやつたものでございますが、ただいま御指摘のような事情が多かれ少かれ起つておりましたので、逐次総則におきましてそれらを幾分でも救済するような措置を講じまして、あるいは受信料の増加の場合には予備金に振り当てて云々とか、あるいは先ほど申し上げた流用というような問題で逐次事業にマツチするよう、予算の機動性、流動性を増すように努めて来たのであります。しかし一方におきまして、それにもおのずから限度があるのではないか、国会承認を得た予算を自由にやれるといいますか、自由というと語弊があるかもしれませんが、不覊奔放にやれるというふうなやり方に、おのずから限度のあるのは当然でございまして、絶えず研究いたしまして、二十八年度におきましてはある程度の措置ができるというふうになつたような経過をたどつておるわけでございます。
  44. 松井政吉

    ○松井(政)委員 もう押問答はやめますが、それではもう一つお伺いいたします。要するに、問題はこういうことではございませんか。ただいま原さんの質問をお伺いしておりましても、最初のうち岡部さんの方では余地がないようなお答えをしているし、組合側の方から見ればやはり放送の大事なことも、NHKの性格も全部承知の上で、現実の生活としては三万二千円必要だが、現在のNHK実情から推せば、耐えざるを得ないということを明瞭に申し上げておるのです。そうしてその財源については、努力いかんでは、組合側の方は出せるだろうという考え方を持つている。それから岡部さんの方は、確答はできない、努力はするというのが精一ぱいお答えだ、こういうことですね。そうすれば、民間会社で資本家に配当しなければ怒られるという企業形態でないはずであります。予算がきめられて、その予算に基いてやはり公共性を保持するということがNHKの目的でありますから、組合も民間の労働組合とは性格が違うでありましよう。それは組合側も意識しているでありましよう。経営者もそれを意識していなければならぬはずです。そうなつて参りますと、われわれが来ていただいて参考人として調査したり、御意見を拝聴する前に、やはりNHKの性格上、すべての問題のきまりがつくべきシステムになつていなければならぬはずである。日本のように経済の底が浅い場合に、収入をふやそうとして受信料にかけて来ることは、議会では相当考慮を払わなければならぬ問題になつて参ります。同じように戦争に負けたドイツは、民間企業でさえ、利益を処分する監査委員会の中には、労働組合の代表を入れる法律ができて参加させております。コーポレーシヨンとして公共性を持たなければならない経営形態においては、労働組合の性格もおのずから規制されて来るのであります。放送を維持しなければならぬ、公共性を維持しなければならぬ、それが従業員の使命だと思わなければならぬ。性格がきまつております。そういう人たちと少くとも国会承認を与えた経営委員の諸君と、国会承認を与えた会長を初め理事当局との間に、経営の数字の食い違いがあるというようなところに、問題が起るのです。だから私は放送法の問題を言つておるのではない。そういう問題が起きたとき処理するように、組合側の代表等に経理内容、営業の実情をつまびらかに話をするような経営方針を立てたことがあるかどうかということを、お伺いしておるのです。この点について、そういう考えを持ち、あるいは理事会等で御相談したことがおありになるならば、お聞かせを願いたい。さらにそういう相談にあずかつたことがあるなら、組合の代表者から、あずかつたことがあるかないかを明確にしていただきたい。それはNHKの経営形態と放送の重要性を考える場合に、国会として承認を与えた予算でありまして、重要なことでありますから、これは両者から、従来そういうことがあつたかどうか、研究したことがあつたかどうか。あるいは理事者側から、そういう法律がなくても、団体協約の内容になくても、実際上そういう形のことが行われたかどうかということの有無について、お答えを願いたいと思います。
  45. 岡部重信

    岡部参考人 それについて申し上げますと予算につきましては、組合への諮問事項となつておりますので、毎年これを諮問しておる次第であります。なお今回の問題についても、たしか先週協会財政について、組合側説明をしておるような次第であります。
  46. 中塚昌胤

    中塚参考人 現在われわれと協会側との間に締結をしております労働協約の中に、最高経営協議会というものがございます。その中で協議事項と諮問事項があるわけであります。協会の経営方針なり予算というものにつきましては、これは諮問事項ということになつております。従いまして協会側予算を作成いたしますときに、組合側に諮問がございます。そして御承知通り諮問事項ということになつておりますので、その際にわれわれ組合側から見て、いろいろ意見は述べるわけでございます。しかし最終的には協会側考え通りやる表面的には組合意見を尊重し、参考にしてやるということになつておりますが、要するに諮問事項でございますから、最終的には協会側考えに基いてやるというのが現状でございます。  それから先ほど岡部参考人の方から、先週協会財政について説明があつたというお話がございましたが、団体交渉の際に、経理当局の方から、現在の協会経理状況財政状況について説明があつたわけでございます。しかしそれがまあ信頼の問題だと思いますが、ほんとうのものであるかどうかという点について、はつきりしたことは申し上げられませんが、要するに諮問事項ということになつておるわけでございますから、説明があつて、それを聞いて、われわれの意見を言うというにとどまるわけでございます。現在のところはそういう状況になつております。
  47. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そこで、説明を聞いたということ、説明をしたということは、両者一致のようですが、その説明と諮問関係だけではなくて、NHKの性格から推して、単にそういうことではやはりこういう問題は繰返すだけだと思うのです。そうであつてはならないので、民間企業でさえ、国家全体の経済を建て直すためには、法律までつくつて、働く者を利益配当の場合の監査機構に入れている国もある。これは日本の場合は、法律はないし、ただいまの政府の傾向では、われわれが考えてもなかなかやらぬでしようけれどもNHKの性格としては、やはりそれをやらなければ、これを繰返さなければならぬことになる。だから要求があつたときに経理内容説明するというのではなくて、組合側の完全な経営参加という言葉が過ぎるならば、それはよろしゆうございます。きめられた予算の使い方から来る労働者の待遇の問題についてのみでけつこうでございますが、そういう問題についてはやはり常置機関が必要だと思う。常置機関として、常にきめられた予算の執行の場合に組合が参加しておりますれば、たとえば経済の変動でベース・アツプをしなければならないときに、ひねり出す金があるという立場と、ないという立場に食い違いは出て来ないはずであります。そういうようにすることが、私は最も妥当だと考えますが、従来そういうことをやつたことがありますか。ないとすれば、今の問題の解決点を見出すのをきつかけに、理事者側と組合側との間に、そういう問題に対する常置機関を設置して、常に予算の執行と経済変動に伴うベース・アツプを必要とする場合に対処する待遇上の問題を討議する機関を設けて、事実上の予算執行の監査の立場に、組合側の代表が加わるという機関を設置していただきたいと希望します。従来そういうことを考えたことがあるかどうかをお伺いして、最後の方は希望でありまするから、この問題を結未をつけると同時に、その方向に持つてつていただきたいことを希望いたします。
  48. 岡部重信

    岡部参考人 先ほど中塚参考人からも予算について出ましたが、やはりわれわれとしては、最高経協に付議されました事項について、組合意向を尊重するつもりでやつている次第でございますが、組合から見れば、やはりある意味の立場の相違もございますので、不満足の点が折に触れてあるということは、これまたわれわれ了解しなければならぬことだと思います。なおこういう給与の問題については、要するに待遇の問題につきましては、全部団体交渉でございますから、団体交渉の席上たびたび計数的の問題も出ておる次第でございます。その計数的の説明について、どれくらいの程度までがいいかというような問題もあるかと思いますが、われわれとしては国会承認を得た予算であり、会計検査院の検査のある予算でございますから、格別の秘密はないのでございまして、必要な資料というものは組合に渡すことをやぶさかにしているものではないのでございます。なお御希望の点につきましては、われわれとしても十分考えて行きたい、かように存じております。
  49. 成田知巳

    成田委員長 ただいまの松井さんの御質問は、予算の範囲内で経理を実行して行く上において、労働者の経営参加制度と申しますか、経営監査制度と申しますか、そういうものを随時置くのではなしに、常置的にするということを今まで考えてみたことがないかどうか、こういうことなんだと思います。もしないとすれば、今度のこういう問題を機会に考えてみてはどうか、そういうことについて御答弁を要求しているのだと思います。
  50. 岡部重信

    岡部参考人 われわれもその問題については、今後よく検討して行きたい、ただいまのところさように考えております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほどお伺いするのを漏らした二点だけをちよつとお伺いしておきます。予備金が五千万円あるわけです。これの使い得る範囲ですが、周波数の変更、あるいは共同聴取の改善、または集金手数料の増額、こういうものに充てるというお話ですが、そのほかに、先ほど支出の増高の中で御説明のあつた電信電話料金の値上げなどは、これはもう予見し得ない問題ですから、これも当然この予備金使用に充ててさしつかえないものと考えているのですが、その点のお考えはどうですか。
  52. 岡部重信

    岡部参考人 御指摘通り予備金対象になるものだと考えております。予備金は総額五千万円でございまして、先ほど申し上げた額の概算だけでも四千七百万円をちよつと越えているような次第でございますから、予備金ではなく、増収でも振り当てなければならぬのではないかというような考え方に立つておるわけでございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 その点はわかりました。それからその次にお伺いしたいのは、協会が会計年度初頭にいつも出される事業計画の中には、能率化あるいは合理化ということをうたつておるわけですが、今までこの能率化、合理化に対して、適切などんなことを実際に実施して来たか、概略けつこうですから、項目的にお伺いしておきたいと思います。
  54. 岡部重信

    岡部参考人 おもなものと申してもこまかい話ですが、先ほど申し上げた真空管に例をとりますと、たしか二十六年度におきましては、真空管の寿命は一千時間だつたと思います。それに対しまして、いかにすれば寿命を長くすることができるかというような研究を重ね、またメーカーにおいても製作技術が向上いたしまして、ただいま三千五百時間くらいの寿命を持つことができるのであります。従つて三分の一以上の経費節減ができたというような点、それから短波につきましては、先ほど申し上げましたので重複いたしますからやめておきます。なお中継のみいたしております中継局でございますが、これを人手をなくして無人化する、自動化するというようなことであります。もつとも現段階におきましては、全然人手をなくするというわけに参りませんので、一、二の人間は配置しなければならないのですが、過去において六、七名おつたものを一、二名にするといつたような問題、それから中継線の故障の場合に備えまして、相当地区に受信機がございますが、その受信機に、これも数名の者が勤務しておりましたが、これは演奏所とある距離を隔てておる地点にあるのでございますが、それを遠隔操縦というようなことにして、経費を節約して行く、あるいは集金の能率をよくして行くというような点、それらが今私の気づいているおもな点でございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に一点だけお伺いしておきますが、今の合理化、能率化の問題は、おもに表面的といいますか、能率化の方に重点が置かれた御説明があつたわけですが、やはりこういう企業経営の重点は、お勝手の方の裏側の問題にも相当大きな合理化対象があると思います。一例をあげますと、おそらく協会には社宅があるだろうと思います。固定資産税の賦課などが今度はまた大きくなるはずなんですが、これが下期の相当の支出増になつて現われて来るでしよう。その対象になる社宅、これにだれが住んでいるかといいますと、おそらく一般職員ではなくして、局長さんあるいは課長さんといいますか、高級職員がこれにお住みになつている、こういう人たちの給与と一般職員給与と比較して、そう安い家賃で置かなければいけないほどの低賃金を押しつけているわけがない。にもかかわらず、これは私ども会社でも同じですが、高級職員に与えた社宅の家賃などは、ずいぶん古くから今日まですえ置きになつている。しかもこれに対する固定資産税の賦課が高率になつて来ても、これに見合うような家賃の値上げというものは考えられない。それが普通の今までの悪い慣習のようですが、こういうところにも、協会などは非行に多くの放送局が各地にあり、高級職員がたくさんいる。その人たちの社宅があるわけですから、皆さんのような高級職員には非常に耳が痛いかもしれませんが、やはりこういうところにも目を向けて、ただ固定資産税が高率になつたからといつて、これが支出の面で増大するだけでなくして、これをかばうための手段として、今の合理化といつた線から、現在この社宅に対する家賃が、おそらく百円とか千円どまりじやないかと思うのですが、今どこを探しましても千円というような家はないわけですから、これを適当に五千円なり一万円なり、一万円ではたいへんかもしれませんが、ある程度ここからこのぐらいの費用は出して来るというようなことを考えなければ、ほんとうの合理化じやないのじやないかと思いますが、こういう点に対しても、今後合理化に対してはお勝手、裏口にも目を少し向けて監査をして行くように希望を申し上げておきたいと思います。
  56. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私の質問したり希望したことがどうも不徹底のようでありますから、繰返して最後に申し上げておきますが、私の言おうとすることは、これは従業員の能率を上げさえすれば何ぼでも製品ができて、幾らでも収入がふえるという企業でないわけです。予算にきめられた歳入というものは、受信料が中心であることは明らかです。そういう企業形態であり、さらに一日といえども放送をとめることができないのです。それから日本における公共放送の役割というものを、ゆがめることのできない日本の状態であるということを考えなければならない。従つてそういう企業体であればこそ、日本のような労働組合運動並びに経営者の考え方といいますか、総合して非常に進歩していないと言うと語弊があるかもしれませんが、要するに先進国に比して遅れておる国であつてNHKのようなところこそ労働組合を経営のすべてのものに参加させて討議する協約上の機関が必要だ。これは先鞭をつけべきだ。このこの先鞭は日本のあらゆる公共性を持つ企業体における先鞭となつて、勢い合理的にべース・アツプの処理ができ、経営上の冗費節約のねらいどころも、群事者側と組合側一緒になつて、そこにやはり健全なる経営も形態が生れて来る。それを私は主張しているのです。NHKこそ持つて来いの経営形態でありまするから、日本の組合運動の上における先鞭をつけるという意味においても、この問題処理を契機に、労働組合側の経営参加のような常置機関をつくることが必要である。それをつくれば、ベース・アツプ等の問題を繰返して議会において調査をするということを必要としない、こういうことなんです。もしそういうものができても、議会において調査が必要になる経済事情のある場合は、補正予算を提出したらよろしい。その補正予算の可否については、われわれは審議をいたします。従つて日本の労働組合運動の面から見ても、あるいは日本の国内におけるあらゆる公共性を保持しなければならない経営形態の中においても、労働組合の経営参加というものは必要に迫られておる。NHKこそ最も適切にして、先鞭をつける絶好の企業体であるから、この問題を契機にそういうことを考えてほしい、こういうことでございます。おわかりでございましようか。そういうことを私は希望しているのです。
  57. 玉置信一

    ○玉置委員 議事進行について……。松井委員の質問というか希望の点は、よくわかるのです。私どももそういう考えはないことはないのですが、しかしただいまの御説によると、NHK当局に労働組合の経営参加を慫慂しているように聞えるわけであります。そこで国会の立場から言いますと、先ほど私はこの問題を当委員会で取上げて調査をする、審査をするということについて、あらかじめ何か理事会で決定したかということを聞いたわけですが、その後橋本委員から御意見が出て、誤解のないような質疑をするということになつたわけですが、今の御意見は、NHKだけをここで参考人に呼び出して、経営に関する参考意見を聴取するというなら非常にいいことであり、さしつかえないのですが、本日は労働組合側も出て、いわゆるベース問題について参考意見を徴するときに、たまたま経営参加の問題を慫慂されるということは、国会の立場を誤解されるおそれがありますので、私はこの委員会の一員として、今の発言に対しまして責任が持てないのです。この点を私は御参考までに申し上げて、松井委員がどういうお考えでありますか、一応責任の分野を明らかにしておきたいと思う。
  58. 松井政吉

    ○松井(政)委員 私の発言については、一切私が責任を負いましよう。私の言うのは、玉置さんも賛成だろうと思いますが、私は国会予算関係のない企業体であり、われわれが審議をした予算を執行する企業体でなければ、希望はいたしません。ところがわれわれは予算審議した責任があります。その執行機関に対する責任があります。その場合に、その責任のある企業体において、ベース・アツプ等の問題を中心として、その企業が多少でもゆるやかになつたりすることは、勢い予算審議したわれわれの責任なんです。そこでたとえば経済上の変動においてべース・アツプ等を必要とした場合には、予算審議し、経営上の問題について監査をしなければならないのがわれわれの職責であり、われわれの義務である、われわれが審議をしたのでありまするから、そういうところは、一々きようのような調査を必要としないような方法によつて予算の執行、経営の自立をはかつてほしい。そのためには、一例としてただいま申し上げたような常置機関ができれば、そういうことなしに済むのではないか。それで済まない場合は、働いている者から見ても、経営の理事者側から見ても、経営が困難になるわけでありますから、そうなれば勢い補正予算となつて、再度われわれの審議にかけられる、こういうことであります。従つてその問題については玉置さんもその通りだとお考えでございましようが、少くとも私の発言については、私は責任を持ちます。私はそういう意味で申し上げているのですから、ほかに他意はございません。そういう立場において私は希望するのであります。それが慫慂と聞えるか、あるいは希望と聞えるか、それは取り方によつて違いましようけれども、私のこいねがう点は、われわれの審議した予算であり、その過程に起きる問題が、NHKだけで処理できて、そうしてわれわれの方へ持つて来ないようにするためには、どうしたらいいか。そのためにはそういう機関があつた方がよろしいではないか。そういう機関を設置しても困難の場合は、当然これは経営上の問題でありますから、補正予算等の形になつて、われわれが審議しなければならない、こういつた経過説明しながら希望を申し上げているのであります。玉置さんもこの点については、反対も不審もないと思いますが、そういう立場で申し上げているのでありますから、その点だけを私は明らかにいたしておきたいと思います。
  59. 成田知巳

    成田委員長 お諮りしますが、玉置さんのお立場で松井委員の質問に対して、経営参加を慫慂しているのではないか、こういう御判断をなさることは、これまたもつともだと思いますが、松井委員の質問もやはりベース・アツプに関連して、現行の制度ではなかなかうまく行かないから、この機会にそういう経営参加制度を考えたらどうか、こういう御意見があつたわけです。これまたもつともだと思います。問題はやはり放送法の改正にも関連して来ると思いますので、この際もう一度岡部さんの方の御答弁があるかないか、なければその程度にしまして、その点松井さん御了承願えませんか。
  60. 松井政吉

    ○松井(政)委員 よろしゆございます。
  61. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいま松井委員から発言されたことについて、私が前提として申し上げましたことは、この問題で当委員会に両者から、公共企業体等仲裁委員会で裁定されたことについて要請書を出しておられるわけです。これに基いて両者の意見が出ておるようにもとれるわけです。これを参考に持つて来ておるわけです。この委員会に放送法改正の法律案がかかつたとき、そういう場合にたまたま経営者側である放送協会の責任者を呼んで論議することは一向さしつかえない。私はその前提で申し上げた。しかしきようはそうでなくて、両者を呼んでおる場合に、たまたま慫慂に類するようなお話をされることは、きようの論議は国会としての論議ですから、全体の責任になるわけです。そういう趣旨で御参考までに申し上げたのです。ですから、責任の分野を明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  62. 成田知巳

    成田委員長 松井さんにお諮りいたしますが、いろいろ御意見もあるようですし、岡部さんの方で御答弁がないということであれば、また別の角度から御答弁願うことにして、さよう進めさせていただきたいのですが……。
  63. 松井政吉

    ○松井(政)委員 きようは両者お寄りになつております。両者から経過説明を聴取して、それに対する質疑を行つているわけです。——裁定は出ておりましようか。
  64. 玉置信一

    ○玉置委員 裁定の参考書が出ておる。こういう陳情書が国会に出ておる。——これは電通でしたかね。
  65. 成田知巳

    成田委員長 その点は、私の方にもわかつておりますから、そこで岡部さんの方に御答弁があるかないかをお伺いしまして、その上のことにいたしたいと思います。——別に申し上げることがないそうでありますから、さよう御了承願います。
  66. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 ちよつとお願いを申し上げておきたいのであります。この公共企業体のベース・アツプについて仲裁裁定害が出ましたことは、NHK及び電々公社の経営に対して非常に大きな示唆をもたらすものだと私は考えておるのであります。ただいまの質疑応答を伺いましても、NHKの経営というものはもうクライマツクスに来ておつて、あとどうにもならないような状態になつておるのじやないかというふうにも考えられますし、またあるいはここに大きな企業体の改革ないしは技術的な面から推敲いたしまして、さらに大きな躍進を遂げられるものであるかというふうにも考えられるのでありますが、いずれにいたしましても、一体この政府は電波行政をどう考えておるか、ここに一つの大きなネツクがあるのではないかと私は思うのであります。聞くところによりますと、今度の行政機構改革に伴つて、電波行政の機構を縮小する、地方電波監理局を統合する、いろいろなことがいわれておるのでありまするが、こういう点から考えますと、一体今の吉田内閣というものは電波というものに対してどういう認識とどういう行政上の抱負を持つているか、非常に疑わしいのであります。従つてこういう点から考えて参りますと、われわれ国民を代表する立場に立ちまして、この仲裁裁定書を中心として、将来の電波関係ないしは通信関係を見ますると、非常に多く考えなければならぬ問題があると思うのであります。通俗な言葉で申しますと、私の考えからいいますれば、有線も無線もない。たとえて申しますればマイクロウエーブによつて今後の電話というものが行われる。これに日本テレビ放送網が乗るということを考えておりましたところが、きよう話を聞きますと、マイクロウエーブの拡張というものに対しては、外資導入を計画しておる者がある。そうすると、また電電公社は一方電電公社の建前で外資導入をやつて、マイクロウエーブの完成を期する。非常に電波というものは今科学の最先端、民族の文化の最先端を行くのでありますから、いろいろな計画がいろいろな立場において行われておる。またその点におきましてはNHKも非常に頭痛はち巻をしておる点がたくさんあると私は思うのであります。結局するところ、ラジオにいたしましても、一体ラジオはどこへ行くのか、このラジオがどこへ行くのかという結論は、私はまだつかみ得ない状態にあるだろうと思うのでありますが、こういう点をたくさん取上げて申しますると際限がありませんからやめますが、そこでひとつ委員長にお願いをいたしたいことは、私の観点から申しますると、今日敗戦国の日本の立場において、防衛問題一つ取上げてみても、電波ほど大切なものはない。吉田内閣総理大臣と松村幹事長の一問一答をやつた戦力の問題におきましても、一体何を戦力と言い、何を戦力と言わないかというようなときに、この電波が一番大きな分野を占めるのではないか、さように私は考えるのであります。しかるに電波行政を縮小するというような政府の考え方がもしあつたとするならば、われわれ委員会は結束してこの蒙を開かなければならぬ。むしろ電波行政を拡張してこそ、初めて日本の電波体制というものは整うのじやないか、さように考えておるものであります。またそういう点から考えて参りますると、この電通委員会ほど欠席者がたくさんあつて不熱心な委員会はない。これはどういう人選でありますかわかりませんが、国会軽視という言葉がありますけれども、およそ国会軽視これよりはなはだしきはなし、私はそう思つておるのであります。委員長におかれましてはこの点もひとつ鋭く追求せられまして、今度会期が延長されるそうでありますから、この三日間において関係大臣の出席を求め、それから全電通委員の出席を求めて、ここにひとつ日本の電波行政のあり方をはつきりお互いに認識して、政府に対してどういう要求をするかという根本方針をひとつきめていただきたいと私は思うのであります。  この問題につきましてもう一つつけ加えてお願いしておきたいのは、常々私が思いますることは、この電波行政というものは日進月歩、常に科学的にきわまりなき段階を急速度に上つておるのであります。ところが電波行政は一方にあつては、電波機器の生産行政というものは通産省ににぎられておる。たとえて申しますれば、人体をまつ二つにして、そして一体化したところの行政及びその発達を策しておる。まことにこの点に対しましても私は吉田内閣に対して痛憤おくあたわざるものがあるのであります。これは単なる無形の理論的反対を言うのではありません。実際口では自立経済をどうするとか、あるいは日本の体系を近代的に持つて行くとかいつておるが、その行政面を見ると、一方では電波行政だといつて許可とか何とかやつている。一方電波機器の生産行政のごときは通産省がこれをにぎつておる。通産省の建前からいうと、ラジオだとかテレビの製造に要するところの資材とかあるいは金なんというものは、ずつと下積みにされておる。そんなわけで、われわれいかにここで論議を闘わしてみたところが、結局電波界の発展というものは策し得ない。電波界の発展を策し得ないところに、いかに仲裁裁定書が出て来ても、ベース・アツプはスムーズに行かぬと私は思う。よろしく私どもは根本問題を把握いたしまして政府の蒙を開き、お互い委員の上に課せられたところの職責の重大なることを痛感してそして真剣に日本の電波というものに対するところの結論を出して、それによつてわれわれはやるべきところはやる、私は大いにそういうことをやつていただきたいと思う。これはいろいろ議論がございましようが、この点ひとつ名委員長はとくと御努力くださいまして今日までの委員会の形態ではなく、もつと真剣に、時代即応の委員会を開催せられまして、なるべく国民の負託に沿うようにいたしたいと存じます。一言希望を述べて、お願い申し上げます。
  67. 成田知巳

    成田委員長 私に対する御要望、よくわかりました。実は後ほど理事会を開きまして御相談いたそうと思つておりましたが、あすから引続き委員会を開きまして、ただいま御指摘にありました機構改革の問題、あるいはマイクロウエーブの問題、これを中心にして政府当局に十分質疑を展開して参りたいと思つております。なお委員の出席が悪いとおつしやいましたが、ざつくばらんに申し上げまして、電気通信委員会というものは非常にむずかしいのであります。技術的なのであります。高度の科学的な知識が必要なのであります。出席されない方はそういう点で非常に科学的知識のない人だと思つておるのであります。そういうわけでありますから、おしかりにならないで、できるだけ出席を要望はいたしますが、そういう方はみずからを卑下しておるものでありますから、斎藤さんなどが中心になつてひとつ進行していただきたいと思います。  他に御質疑はございませんか。——それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十一分散会