○齋藤
委員 ちよつとお願いを申し上げておきたいのであります。この公共
企業体の
ベース・アツプについて仲裁裁定害が出ましたことは、
NHK及び電々公社の経営に対して非常に大きな示唆をもたらすものだと私は
考えておるのであります。ただいまの質疑応答を伺いましても、
NHKの経営というものはもうクライマツクスに来てお
つて、あとどうにもならないような
状態にな
つておるのじやないかというふうにも
考えられますし、またあるいはここに大きな
企業体の改革ないしは技術的な面から推敲いたしまして、さらに大きな躍進を遂げられるものであるかというふうにも
考えられるのでありますが、いずれにいたしましても、一体この政府は電波行政をどう
考えておるか、ここに一つの大きなネツクがあるのではないかと私は思うのであります。聞くところによりますと、今度の行政機構改革に伴
つて、電波行政の機構を縮小する、地方電波監理局を統合する、いろいろなことがいわれておるのでありまするが、こういう点から
考えますと、一体今の吉田内閣というものは電波というものに対してどういう認識とどういう行政上の抱負を持
つているか、非常に疑わしいのであります。
従つてこういう点から
考えて参りますと、われわれ国民を代表する立場に立ちまして、この仲裁裁定書を中心として、将来の電波
関係ないしは通信
関係を見ますると、非常に多く
考えなければならぬ問題があると思うのであります。通俗な言葉で申しますと、私の
考えからいいますれば、有線も無線もない。たとえて申しますればマイクロウエーブによ
つて今後の電話というものが行われる。これに日本テレビ放送網が乗るということを
考えておりましたところが、きよう話を聞きますと、マイクロウエーブの拡張というものに対しては、外資導入を計画しておる者がある。そうすると、また電電公社は一方電電公社の建前で外資導入をや
つて、マイクロウエーブの完成を期する。非常に電波というものは今科学の最先端、民族の文化の最先端を行くのでありますから、いろいろな計画がいろいろな立場において行われておる。またその点におきましては
NHKも非常に頭痛はち巻をしておる点がたくさんあると私は思うのであります。結局するところ、ラジオにいたしましても、一体ラジオはどこへ行くのか、このラジオがどこへ行くのかという結論は、私はまだつかみ得ない
状態にあるだろうと思うのでありますが、こういう点をたくさん取上げて申しますると際限がありませんからやめますが、そこでひとつ
委員長にお願いをいたしたいことは、私の観点から申しますると、今日敗戦国の日本の立場において、防衛問題一つ取上げてみても、電波ほど大切なものはない。吉田内閣総理大臣と松村幹事長の一問一答をやつた戦力の問題におきましても、一体何を戦力と言い、何を戦力と言わないかというようなときに、この電波が一番大きな分野を占めるのではないか、さように私は
考えるのであります。しかるに電波行政を縮小するというような政府の
考え方がもしあつたとするならば、われわれ
委員会は結束してこの蒙を開かなければならぬ。むしろ電波行政を拡張してこそ、初めて日本の電波体制というものは整うのじやないか、さように
考えておるものであります。またそういう点から
考えて参りますると、この電通
委員会ほど欠席者がたくさんあ
つて不熱心な
委員会はない。これはどういう人選でありますかわかりませんが、
国会軽視という言葉がありますけれ
ども、およそ
国会軽視これよりはなはだしきはなし、私はそう
思つておるのであります。
委員長におかれましてはこの点もひとつ鋭く追求せられまして、今度会期が延長されるそうでありますから、この三日間において
関係大臣の出席を求め、それから全電通
委員の出席を求めて、ここにひとつ日本の電波行政のあり方をはつきりお互いに認識して、政府に対してどういう
要求をするかという根本方針をひとつきめていただきたいと私は思うのであります。
この問題につきましてもう一つつけ加えてお願いしておきたいのは、常々私が思いますることは、この電波行政というものは日進月歩、常に科学的にきわまりなき段階を急速度に上
つておるのであります。ところが電波行政は一方にあ
つては、電波機器の生産行政というものは通産省ににぎられておる。たとえて申しますれば、人体をまつ
二つにして、そして一体化したところの行政及びその発達を策しておる。まことにこの点に対しましても私は吉田内閣に対して痛憤おくあたわざるものがあるのであります。これは単なる無形の理論的反対を言うのではありません。実際口では自立経済をどうするとか、あるいは日本の体系を近代的に持
つて行くとかい
つておるが、その行政面を見ると、一方では電波行政だとい
つて許可とか何とかや
つている。一方電波機器の生産行政のごときは通産省がこれをにぎ
つておる。通産省の建前からいうと、ラジオだとかテレビの製造に要するところの資材とかあるいは金なんというものは、ずつと下積みにされておる。そんなわけで、われわれいかにここで論議を闘わしてみたところが、結局電波界の発展というものは策し得ない。電波界の発展を策し得ないところに、いかに仲裁裁定書が出て来ても、
ベース・アツプはスムーズに行かぬと私は思う。よろしく私
どもは根本問題を把握いたしまして政府の蒙を開き、お互い
委員の上に課せられたところの職責の重大なることを痛感してそして真剣に日本の電波というものに対するところの結論を出して、それによ
つてわれわれはやるべきところはやる、私は大いにそういうことをや
つていただきたいと思う。これはいろいろ議論がございましようが、この点ひとつ名
委員長はとくと御
努力くださいまして今日までの
委員会の形態ではなく、もつと真剣に、時代即応の
委員会を開催せられまして、なるべく国民の負託に沿うようにいたしたいと存じます。一言希望を述べて、お願い申し上げます。