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1953-10-30 第17回国会 衆議院 電気通信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君       菊池 義郎君    庄司 一郎君       玉置 信一君    廣瀬 正雄君       甲斐 政治君    三輪 壽壯君       三木 武吉君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金  光昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君         郵 政 技 官         (電波監理局次         長)      西崎 太郎君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 九月十一日  委員庄司一郎辞任につき、その補欠として岡  崎勝男君が議長指名委員に選任された。 十月五日  委員原茂辞任につき、その補欠として山本幸  一君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員齋藤憲三辞任につき、その補欠として福  田繁芳君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員柴田義男辞任につき、その補欠として木  原津與志君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として井  谷正吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員根本龍太郎辞任につき、その補欠として  島村一郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員岡崎勝男辞任につき、その補欠として庄  司一郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員福田繁芳君及び井谷正吉辞任につき、そ  の補欠として齋藤憲三君及び原茂君が議長の指  名で委員に選任された。 同 日  原茂君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  電気通信事業並びに電波管理に関する件     —————————————
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。去る五日理事原茂君が委員辞任されましたが、本日同君が再び委員に選任されましたので、同君理事指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  4. 成田知巳

    成田委員長 次に国政調査承認要求た関しお諮りいたします。本委員会は、本会期中、一、電気通信事業経営に関する事項、一、有線電気通信規律に関する事項、一、電波及び放送規律に関する事項、一、電気通信行政機構に関する事項について、従来通り国政に関する調査を行いたいと存じますが、衆議院規則第九十四条により、議長承認を求めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 成田知巳

    成田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお要求書記載事項については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 成田知巳

    成田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  7. 成田知巳

    成田委員長 次に電気通信事業並びに電波管理に関する件について調査を進めます。本委員会は、さき閉会中審査のため各地方委員を派遣いたしましたが、閉会中にその報告を聴取する機会がございませんでしたので、この際本国会調査参考に資するため、派遣委員より実地調査に関する報告を聴取することにいたしたいと存じます。では橋本登美三郎君よりお願いいたします。
  8. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私から第一班の調査結果について御報告を申し上げます。  先般当委員会では、全国各地にわたつて電気通信事業並びに電波管理行政実地視察いたしましたが、そのおもな目的は、まず電気通信事業におきましては、第一に、日本電信電話公社国際電信電話株式会社とに、一部は公共企業体経営に、他の一部は民営に移された事業が、その後はたして順調に運営されているかいなか。第二に、有線電気通信法並びに公衆電気通信法施行事業に及ぼした影響、特に料金値上げ影響利用率事業収益等の面にいかに現われたか。第三に、右の検討の結果から帰納し、改善すべき点はないかということであります。なおこのほか、今夏九州その他の地方襲つた水害による被害とその復旧状況調査すること等であります。また電波管理行政に関しましては、第一に、電波利用実情はどうであるか。第二に、新チヤンネル・プランに基いて周波数の割当を受けた既存及び新設放送局実情いかん。第三に、有線放送現状、特に有線電気通信法に基く施設規律状況はどうか。第四に、水害による無線施設被害及び復旧状況と、水害時の無線利用実情いかん。第五に、放送法改正問題に対する世論の動向いかん等であります。  第一班は、右の目的をもつて東北北海道の両地方について、約一週間にわたり視察を行いましたが、その間の視察の局所は、東北北海道の両電気通信局、両電波監理局を初めとして、三十四箇所に上ります。以下調査結果のうち、主要な点について簡単に申し述べることにいたします。まず電気通信事業から申し上げます。  東北北海道の両地方は、大体積雪寒冷単作地帯で、水産業及び鉱業においては見るべきものがありますが、工業はいまだその規模が小さく、全体として後進的農業地域と称し得るかと思いますが、電気通信事業におきましても、この地域的後進性が強く反映している点が、きわめて特徴的であります。地域の広大さに比較して人口密度が荒い、通信事業においても広大な地域施設は分布しておりますが利用度は低い、従つて収益率が低いというのが一般的特徴であります。おびただしい数の加入申込みの積滞を擁しながら、これを受入れるべき電話施設は枯渇し、なかんずく線路局内設備局舎等がまつたく行き詰まつているため、今後の電話拡張並びにサービス改善のためには、基礎設備長期にわたる大拡充が必要であること、そのためにはこれをまかなう長期資金調達を要すること、一方電信事業においては、宿命的ともいえる赤字解消をはからねばならないこと等の事業全国的に直面している課題も、両地方では後進的経済事情に基く採算上の難点があるため、きわめて深刻な姿をとつて現われているのでありますが、これらの事情を一々数字をあげて説明することを避けて、調査にあたり特に注意を引かれた二、三の問題について所見を申し述べるにとどめたいと存じます。  まず第一に、郵政省への業務委託の問題であります。例を東北電気通信局にとりますと、同局管内委託局の数は約千五百でありますが、これらの千五百の局が同通信局業務全体において占めるウエートははなはだ大きく、事業支出の約三一%はこれらの局へ委託業務費として義務費的に支出され、また収入においては二六%が委託局から入つて来る実情であります。ちなみに、これは全国平均に比し収入ともに約一・五倍で、東北全国第一の高い比率になつているのであります。人口密度の低い広汎な地域に散布されている通信施設運用する場合、委託局制度に依存する度合いが多くなるのはやむを得ないのではありますが、かように依存の度合い増大して参りますと、この制度自体が内蔵しているところの矛盾や無理がクローズ・アツプされて来るのもまた当然であります。  御承知通り業務委託制度昭和二十四年、郵政電通両省分離の際始められたのでありますが、当初の二省協定は、その後の実績に照してその二重管理的な点が反省され、昨年の公社設立の機に現行協定に改訂され、特定局電信電話業務は全面的に郵政省管理下に移し、委託料も手数料を加味した方式としたのでありますが、かかる改訂にもかかわらず、元来一元的に運営されるべき通信業務を、一部他の機関に委託して運営しようとする矛盾は依然として残つているのであります。管理者積極性欠除指導能力不足従事者訓練不足事業愛欠除施設保守不完全等は、委託制度の陷りやすい通弊で、これらが重なり合うとサービス低下業務不振を招来するのでありますが、これに対して電通当局は直接指導は行い得ないため、委託局業務管理真空地帯なつてしまうわけであります。委託局においては、かかる真空地帯程度の差こそあれ必ず存在するといつても過言ではなく、東北のように委託局に対する付託の幅の広いところでは、この制度の再検討直轄化促進は、当事者が真剣に考究している課題一つであります。もとより委託制度合理化直轄化促進は、東北電気通信局のみならず、公社当局の念願であり、これに対しては不断の研究を続けておられるところであろうと思いますが、いささか私見を申し述べて御参考に供したいと存ずるのであります。  まず、この制度法的根拠なつている公衆電気通信法の第七条及び第八条でありますが、これによりますと、公衆電気通信業務委託は、原則として郵便局委託する、郵便局委託することができないときに限り他委託できることになつておりますが、この原則がはたしていいか悪いかという点の検討が必要ではないかと思うのであります。委託を受ける側の郵政省としては、全面委託こま切れ委託となる点、郵政収入影響する点、幾分の不都合があるかと思いますが、もともと委託業務は漸次直轄化されて行くべき性質のものであり、また郵政財政としてもかかる委託業務に過大の期待をかけるべきではないのでありまして、郵政委託原則論を固執する根拠は薄弱ではないかと思われます。一方公社の側としては、十円の収入に十一円四十銭の委託料を支払つているといわれる不合理を合理化するために、より経済的な方法を考究するのは当然なことで、他の経済的な委託の道をとざすような規定は好ましくないのでありますから、郵政省との歴史的な因縁にとらわれることなく、再考すべきではないかと思います。直轄化については、従来一定基準以上の業務量に達した局から直轄に移す方針で処理しておりますが、前述のような矛盾や無理のある制度解消し、通信一元的運営を実現するためには消極的に過ぎる方針で、これでは東北のようなところはなかなか委託制度からは抜け切れないと思います。数局を集合して直轄局にし、そのうちの一局に共通事務を集中する方法とか、大局周辺小局大局に吸収するとか、または自動局周辺の局の市外線をダイヤル化するとか、積極的な直轄化方策をとることを希望するのであります。  第二に局舎問題、特に郵政との共用庁舎について申し上げます。局舎設備拡張の余地がまつたくなく、そのために増改築を迫られている局舎が多いことは御承知通りでありますが、今次視察で特に注意を引かれましたのは、郵政との共用庁舎に、右の理由のほか、作業環塩として不適当であるため、増改築を要するものの多いことであります。郵政側管理権を握られている共用局舎における電通側は、狭隘、不衛正等、劣悪なさ行環境の中に置かれ、ただでさえ胸部疾患に冐されやすい作業に従事する電報電話従事員のため、急速な改善の要を感じたのでありますが、共用庁舎については、そのほか郵政電通両者の新改築計画の食い違いの問題があります。電通側局舎の新改築施設拡張改善等を伴うのが通例でありますので、局舎以外大した経費を要しない郵政の場合と異なり、はるかに多額の経費を要しますので、郵政建築計算に先んじられることが多く、このため必要以上の苦痛が従事員にかかつている事例が少くないのであります。たとえば岩手県の釜石電報電話局のごときは、郵政側改築計画が先行して進捗したために、局舎電通使用部分を除いてとりこわされ、しかも早急の移転を迫られている実情であります。郵政側公社の遅々たる建設計画の進行を待つておられないことは察知できますし、また公社財政実情郵政に歩調を合せられない苦しさも了解されますので、やむを得ないとも思われますが、両者の協調によつて釜石のような事態を回避するとともに、公社としても共用庁舎については建築順位を繰上げる等の優先的な措置をとられるよう期待するのであります。  御承知通り北海道においては、北海道開発法に基く道の総合開発計画東北地方では国土総合開発法に基く北上川、最上川及び阿仁田沢地区総合開発計画が進捗いたしておりますが、これらの開発計画電気通信事業関係について申し上げることにいたします。例を北海道にとります。北海道開発が国策として取上げられ、昭和二十六年第一次開発計画が立てられるにあたり、北海道庁はこの計画の中に総額百七十四億、年額三十五億の電気通信設備拡充計画を盛り込んだのでありますが、当時北海道通信局に振り向けられていた施設拡充予算年額十億程度にすぎず、しかも事業としては年々六億余の赤字を出していた状況で、独立採算を要請されていた電通特別会計としては、自己支弁をもつてしてはとうてい実行不可能の計画であつたため、国が開発計画国策として取上げた趣旨に沿うためには、一般会計からの繰入れを受けて実行に移すべきであるとして、爾来関係の各方面と折衝を重ねて来たのでありますが、ようやく今年度に至り、保安庁経費のうちから五億円がひもつきで繰入れられたのみで、厖大な当初の計画はほとんど未着手のまま放置せられているのであります。右のような実情について考えられますのは、国の側においては、その政策遂行のために所要経費調達責任があるということと、同時に公社側には、公社使命である公共性の発揮において責任を持たねばならないということであります。通信事業由来産業先駆といわれますが、わが国の電気通信事業は戦災の復旧にあえいでいる状態で、かかる積極的使命を果すにはあまりに脆弱であるとも言えるかもしれませんが、理想としてはかくあらねばならないのでありまして、産業開発のあとを追つてただ採算大事と念じて行くのでは、国家、社会の負託にはこたえ得ないのであります。公共性企業性公社の持つ二面の性格の調和の上にあとう限り産業先駆的役割に任ずべきで、開発計画に対しても重点的に取扱われねばならないと思うのであります。  電気通信事業については右のほか、一、雪害に備えて堅牢安固な線路をつくる必要があること、二、両地方とも定員以上の職員をかかえており、ことに東北の過員率全国第一位で、過員整理の必要があること、三、多年の懸案まである石炭手当の増額及び免税の要求も、真に実情に適するよう措置を要することなどの地域的問題がありますが、これらについての詳細な説明は省略して、以下電波管理行政について申し上げます。  御承知通り地方電波監理局は、昨年の郵政省設置法改正によつて従前電波管理業務のほか、一、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社監督すること、一、有線電気通信規律し及び監督すること、という新しい分掌事務を持つことになりましたので、ここでは電波管理業務のほか、これらの分掌事務についてもあわせて申し上げることにいたします。  電波科学発達伴つて電波利用の分野は著しく拡大し、通信手段としての利用も超短波、極超短波の実用化によつてきわめて多角的となり、またその施設も激増しておりますが、東北北海道ではその地域が広大であるにかかわらず、交通通信普及が遅れているため、無線通信利用にまつところが大きく、そのため無線施設普及順位全国でも比較的高位を占めている状況であります。ことに漁業無線は、最近の北洋漁業開始、中部千島の出漁等漁業の振興によつて空前発展を示し、船舶局の数は東北八百十三局、北海道六百三十七局、両局合計千四百五十局を算し、全国の約三割という数字を示すに至つております。しかも漁場の関係から、管内の港に入港する管外の漁船も相当数に上り、これらの船に対しても便宜上検査を行つておりますので、東北北海道電波監理局業務はきわめて多忙であります。しかしこれらの電波管理業務に関しては克明な説明は省略して、以下有線放送設備放送事業つて所見を申し述べるにとどめたいと存じます。  まず有線放送施設、特にラジオ共同聴取施設についてでありますが、北海道における共同聴取施設は今年六月末現在、施設数四百九十二、加入者数七万四千八百六十二に達しております。この数は約二年前の昭和二十六年六月一日現在の施設数三百七十八、加入者数三万三千百七十四と比較して、施設数で一・三倍、加入者数において二・三倍に当り、目ざましい増大ぶりであります。共同聴取施設については、その運用に関しては、一部施設公衆通信類似行為があるほか問題は少いのでありますが、これが電気通信施設に及ぼす誘導妨害は、施設増大とともにますます増加する傾向にあり、大きな問題であります。昭和二十五年十二月の調査では、北海道電気通信局管内の回線で妨害を受けているもの百八十二回線でありますが、今年八月の調査では三百九十九回線と約二・二倍となつております。これらの妨害防止については、電波監理局はもとより、電気通信局放送局でも多大の関心を寄せ、妨害施設調査担当技術者の講習、新規工事に対する技術指導相談業務開始等、いろいろの措置を講じているのでありますが、施設者改修費負担力欠除や、監督責任の衝にある電波監理局予算不足等に災いされて、防止措置はなかなか進捗しない実情であります。すなわち共同聴取施設のうち、改修を要する線路亘長は推定約三千キロ、改修所要経費概算一億二千七百八十万円といわれますが、施設の大部分農山漁村の零細な醸金によつてつくられている実情に照しまして、一挙に一億余の改修工事ができる相談ではないのであります。また一方監督の衝にある電波監理局は、有線電気通信法施行によつて従来のような法制上の不備の悩みは解消したのでありますが、法施行のための予算定員の配分は全然ないため、調査も十分に行えず、またたとい妨害の事実を知つたとしても、現地調査や直接指導もすることができず、わずかに電気通信局放送局好意的処置を期待するのみというありさまであります。  有線電気通信法によりますと、妨害を起した場合はその施設者に対して、運用の停止また施設改修を命じ得ることになつておりますが、共同聴取施設が僻遠の農漁村で果している大きな役割を考え、また施設者経済力を顧みますときには、たとい適法であるとはいえ、軽々にとるべき措置ではなく、さればといつて適切な手段もなく、監督者はただ手をこまねいて傍観している現状であります。かような現状を見ますと、共同聴取施設については政策の再検討の時期が来ているのではないかと考えます。すなわち昭和二十六年、有線放送運用の規正に関する法律を立案の際、共同聴取施設についてはいろいろの角度から論議されましたが、その折の一般的観測は今日のような発展を予想したものは少く、従つてこれに対する施策も大体消極的かものでありましたが、現実に今日見られるような盛況を呈し、また将来の発展も見通されて参りますと、従来のような消極策は転換すべき時期に来ているのではないかと思います。電気通信局では現に妨害を起している施設改修促進するため、不用電線の払下げを行つております。施設改修促進して、一日も早く妨害解消をはからねばならないことはもちろんでありますが、これは被害者側ともいうべき電通側の受身の施策で、これよりもむしろ将来新設または拡張される施設に対する抜本的施策を早急に樹立せねばならないのであります。  これについてまず考えられますのは、従来自然発生にまかせられていたこの種の施設に対して、日本放送協会が積極的に規格施設による共同聴取普及を奨励する策に出ることであります。このためには、要すれば現在放送法で禁止さてれいる協会の機器の認定や、助成金交付等にも緩和の措置を講じ、また協会予算所要経費を計上する等の措置をとることまで考えてよろしいのではないかと思います。また北海道庁に対しても、この種の施設が道民の福祉に貢献し、特に道庁の政策徹底に寄与している功績にかんがみて、積極的にその健全な発達をはかるべきことを要請し、そのための助成金制度確立等を期待することも考えられます。ともあれ従前のような、施設設置自然発生にまかし、設置後の事故を追いかけるよう方針では、処理しかねる段階に入つていることは事実でありますから、郵政省としてもこの事態をよく認識されて、予算措置等も十分に考慮されたいのであります。  次に放送事業について申し上げます。北海道においては一般放送事業者は、北海道放送株式会社一社で、現在札幌、函館に放送局を開設しておりますが、近く札幌の十キロ増強、旭川放送局の開局が予定されておりますのが、これが実現のあかつきには、全道世帯数の七五・三%をカバーすることになります。東北は現在仙台に東北放送株式会社の三キロの局があるだけでありますが、今年八月、青森にラジオ東奥、盛岡に岩手放送、秋田にラジオ東北、山形に山形放送福島、郡山、若松及び平にラジオ福島がそれぞれ放送局の仮免許を受け、東北放送出力増強の許可を受けたので、これらが実現すると東北地方世帯の八四%が、一般放送サービス・エリアに入ることになります。NHKカバレージ北海道では第一放送九四・九%、第二放送八〇・三%、東北では第一、九六・五%、第二、八九%でありますから、カバレージにおいては一般放送NHKとはさしたる懸隔はないことになります。  さきに申し上げた通り北海道一般放送は単一の企業体東北は各県それぞれ別々の企業体経営でありますが、東北各社間には東北放送連盟結成計画が進んでおります。この計画はスポンサー、広告取扱い業者またはキー・ステーシヨンとなる大放送会社に対し、小局の利益を確保するための力の結集という点が動機となつているのでありますが、番組、二ユースの交換、共同取材共同制作等提携も、当然連盟目的として取上げられますので、いわば小ネツトワーク結成ということになります。この種の連盟前すでに北陸の三社の間で結成されたは例がありますが、東北の場合は地域が広いということのほかに、各社の間の勢力、利害関係が複雑で、複数の連盟になる可能性もあり、その帰趨は将来の全国的な一般放送ネツトワークの系統を示唆するものになるのではないかという点、注目に値するのであります。  今年夏以来数度にわたつて多数の一般放送の免許がなされたので、今年中には全国に多数のうち、小放送局ができることになりますが、これらの新設局はいずれも既設局との提携を前提として考慮しておりますから、全国的なネツトワークができるということは、今日では時期の問題になつております。ただ一般放送各社関係は、おのおのの背景となつている新聞社利害関係の複雑さもからまつていて、単純なものでないため、これが全国一つにまとめたネツトワークになるか、また二ないし三のネツトワークを形成することになるかという点、端促すべからざるものがあります。いずれにしても、全国にわたり八五%のカバレージを持つ一般放送が、一あるいは二、三のまとまつた単位として現われて来ることは疑いなく、これをNHK放送網に配して、将来の日本標準放送地図が描かれると見なくてはなりません。  かような情勢になりますと、公共放送一般放送のあり方が問題になつて来るのは当然で、前国会での放送法改正案の提案を機に燃え上つた放送法の全面的再検討の声も、ゆえなしとしないのであります。しかしながら、この問題はかつて放送法制定の際、何人も新たに生れるべき民間放送について確固たる見通しを持ち得なかつたと同様、現在三十二局の一般放送が近く約七十局と倍増しようとしているとき、この膨脹後の、さらにネツトワーク形成後の実態や、別の大問題であるテレビ事業の将来について見通しをつけることは至難きわまることでありまして、この見通しなく早々に結論を出すときは不必要な混乱を招くとともに、また日ならずしてさらに次の改正を余議なくされることになるのであります。もとより放送法の全面的改正は、将来に対する見通しとともに、放送法施行後の実績を基礎にして考究すべきもので、ただいま思いつくままに掲げてみますが、次のような諸点は忘れてならない貴重な実績であろうかと存じます。  一、公共放送、民間放送、いずれも確固たる支持を得ており、二本体制はくずすべからざること。二、聴取料制度は、国民の支持を受けており、少くとも積極的な反対はないこと。三、NHKが二十余年にわたつて築き上げた放送文化、放送技術が、わが国の放送の基礎になつていること。四、民間放送によつて地域放送が著しく充実したこと。五、広告放送の存在理由が認められたこと。六、テレビ受像機の普及が予想以上に困難であることなどであります。  とまれ、放送法改正問題は、広報宣伝の手段として、最大の力を持つ放送事業の百年の計を定める重大な意味を持つものでありますから、単に放送事業者の利害等にとらわれることなく、真に国民的立場からの検討を遂げなければならないのでありまして、たとえ相当の時日を要しても、慎重な考究の上に結論を導き出すべきであります。われわれとしても最も重要な課題一つとして、対処したいと思う次第であります。  以上で第一班の報告を終ります。
  9. 成田知巳

    成田委員長 次は原茂君。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは私より第二班の調査の結果につき御報告申し上げます。  第二班の視察いたしました地方は北陸、信越の両地方でありまして、金沢、富山、新潟、長野の各地において、所在の電気通信局電波監理局、電気通信部、電報局、電話局等二十四局、日本放送協会及び一般放送放送局八局について調査を行いましたほか、新潟におきまして青年学校向けの教育放送施設及び国警新潟地区の通信施設、長岡市におきまして中小学校向けの教育放送施設につきまして、つぶさに実情調査して参つたのであります。以下、調査の結果につきまして、その主要の点を簡単に申し上げたいと存じます。  まず電気通信事業の現況について概観いたしまするに、北陸、信越両電気通信局はその規模がほぼひとしく、北陸が電話普及率において上位を占めているほか、施設、従業員あるいは業務量等におきまして全国中第八位、第九位となつているのであります。また経営面におきましても、昭和二十七年度の事業支出事業収入との割合、すなわち収支比率は北陸が一〇一、信越が一一二でありまして、赤字経営と相なつているのでありますが、これはもとより経営担任者の責に帰すべきではなく、電気通信事業公共性からいたしまして、けだしやむを得ないことと存じます。なお当地方は七月に南信地方、八月に金沢地方、九月に小浜地方における豪雨による被害がありましたが、電気通信施設が受けました被害は、総額六千万円程度でありまして、他地方に比べて比較的僅少と申せるのであります。  次に各地を通観いたしまして、地域的に施設の不均衡がありまして、これが利用者へのサービス影響しているように感ぜられるのであります。たとえば電話の方式について見ましても、新潟を除く各県の主要都市は、少くとも共電式以上の設備を持つているのに反しまして、新潟県においては高田市外三市に旧式の磁石式が残されているような事例であります。公社計画的にこれらの改善をはかりまして、サービスの公平を期すべきことは申すまでもありませんが、由来電話局の改式等は需要の激増によつて、電話需給のバランスを失した場合、これを契機として行われるのが常でありまして、さらに地元の熱意もまたこれを促進する一大勢力となることが多いのであります。たとえば今回の視察にあたりましても、佐渡において最近委託局から直轄局に昇格したばかりの中興電報電話局に立ち寄りまして、その明るい近代的な局舎に心を打たれたのでありますが、その局舎の新築について地元の方々の多大の協力により、土地建物が提供されたものであることを聞いたのであります。  次に、電信電話業務の内容について申し上げますと、電報につきましては到達所要時間及び誤謬率は著しく改善され、特に独立屋舎等設備の完備しておる場所においては、その誤謬率は至つて少ないのでありまして、一般に取扱い数はやや停頓気味であります。電話につきましては加入者数、回線数、通話度数等において順調に増加を示しておりますが、遠距離市外通話の待時間は依然として長く、普通通話によれば金沢、新潟、長野より東京への待時間はそれぞれ五時間、十一時間、六時間を要するのであります。なお、さきごろ公衆電気通信法において制定されました夜間通話料金制による通話の利用は非常に少く、あるいは加入者に対する周知方が足りないのではないかと存ずるのであります。また公衆電話の料金収納率は依然として低く、硬貨式の急速な実施が要望されているのであります。  電話の需給の状況につきましては、富山を除く各地におきましては、大体において申込み数に見合う開通がなされておりますので、加入申込み積滞数はすえ置きの状態にあります。しかしながら残された約一万一千の積滞のうち、三箇月以内に工事可能となる見込みのものは、その約二割にすぎないのでありますから、これら固定化された積滞の消化については、一層の努力を要するものと考える次第であります。富山における積滞の増加は、冨山電話局の局内設備の行き詰まりによるものでありまして、早急に新電話局の建設を必要としているのであります。また長岡電報電話局の局舎新築並びに自動改式については、局舎分散のため事務に支障を生じていること、用地が数年前に買収済みであることから見て、これが促進をはかることが要望されましたが、特に当局においてもあと少しの出費により完成する道の開けているかかる工事は、急速に施工するよう強く要望いたします。その他小杉、長岡間市外電話線のケーブル工事も、降雪による被害防止するとともに、現在大阪まわりとなつているところの東京、金沢回線を東まわりとするため、一日も早くその完成が期待されるのであります。なお東京、長野、新潟、秋田酒田及び佐渡の各地を結ぶAM式六十メガサイクルの超短波無線装置による市外電話回線は、おのおの六千チヤンネルからなつていたのでありますが、昨年佐渡女神局の焼失によつて、目下東京、新潟及び新潟、佐渡回線は休止しているのであります。現在新潟彌彦山を中継所として二百メガサイクルのFM式回路への改装工事が行われておりまして、これが完成いたしますと回線数は一挙に倍加いたしますので、今年度に完成を予定されておりまする新潟市外電話局の整備と相まつて、新潟、長野を中心とする市外通話の疏通状態が著しく改善されるものと期待するものであります。  次に、八月一日に行われまして、電信電話料金値上げが料金収入に及ぼした影響について申し上げますが、電報は発信通数にほとんど変化なく、金額において一割二分の増収、電話は通話度数においては市内で一割の減少、市外で三分の減少でありまして、金額では市内二割五分、市外一割八分の増収となつているのであります。度数の減少は過去の例によりますと、二箇月くらいで復元するそうでありますから、大体予期せられた増収を上げ得るのではないかと思われるのであります。  PBXは公衆電気通信法によつて一般に開放されたのでありますが、現段階としては工事人の資格検定等がきまらないため、新法に基く工事はまだ実施されていないということであります。PBXの工事及び保守を公社において行うことに一元化すべきであるという声は、今回の視察においてしばしば耳にしたのでありますが、これは今後の問題といたしまして、少くともこれの工事あるいは保守は、公社の退職者にゆだねることが妥当ではないかと存ずるのでありまして、かくすることによりましてPBXの品位を高め、かつ長年電気通信事業のため一身をささげて来ましたところの公社従業員の、退職後の生活の安定をはかることができるのではないかと考えられるのであります。  次に、定員に対して現在員は僅少の過員となつておりまして、このほかに若干の臨時要員を擁しております。過員の原因としては、管理所の廃止及び電話局の自動化によるものでありますが、これは当局としては自然減によつて解消させる意向のようでありますが、施設の不備その他による従業員の労働強化になることを厳に戒むべきものと存じます。臨時要員につきましては、三年以上勤続の者が全国で六千名あるということでありますが、これらの人々に対しては公共企業体等労働関係法を適用することが妥当でありまして、すみやかな実現を期したいと存ずる次第であります。電気通信従業員の給与につきましては、公社に移行いたしました際、その改善について多大の期待を持たれていたにもかかわらず、現在なお他の類似形態を持つ民間会社、たとえば国際電信電話株式会社の給与にすら及ばぬように見受けられますのは、公共企業体としての制約があるためとも考えられますが、何としても割切れぬ感じがいたすりであります。  最近全電通労働組合から、給与ベース一万八千円への増額要求がなされ、これに対して近々公共企業体等仲裁委員会から、大体一万五千円程度の裁定が下される予定のようでありますが、公社は裁定が下されました際、その実行について最善の努力を払うとともに、今後の給与の実質的向上につきましても、公社法に規定する弾力条項等の活用により、その実現をはかるよう努力されることを切望するものであります。なお女子職員については、生理休暇に関する管理者の配慮が望まれ、また結婚後も引続き在職する者のために、託児所の設置が要望されているのであります。  今回の視察地方は気候に恵まれない地方でありますので、従業員の健康について懸念して参つたのでありますが、呼吸器疾患による長期欠勤者及び要注意者の全職員に対する割合は八%程度でありまして、他地方に比較いたしましてまず良好と申せるのであります。ただ新潟地区だけは二〇%となつておりますのは、いかなる理由によるのか、当局の深い考究と急速なる善処を要望するものであります。また職場の環境につきましても、また厚生施設につきましても、おおむね当を得た管理が行われているようでありますが、ただ独立局舎に執務する者と、郵政との共用局舎に勤務する者との間に、職場の環境について格段の差があることを痛感したのであります。特に民衆と常に接触する受付窓口が狭く、かつ開放的でないため、自然従業員の気分に影響しまして、執務に迅速を欠き、サービスにも支障を来すおそれのある事例を見て参つたのであります。少くとも今回の視察について、最新と思われました長野電報局の受付窓口程度改善されることを切望するものであります。  次に電報配達の機械化については、いまだ計画が本社で行われる段階にあるので、今後の問題として残されているのでありますが、サービスの迅速をはかるとともに、作業員の健康を向上させるため、スクーターあるいはバイク・エンジン付自転車を相当数常備して、配達能率の上昇をはかりたいものと考えるのであります。  なお、その他に調査の際気づきました点といたしましては、まず小電話局において当然複式の磁石交換機を使用すべき場合に、単式交換機を使用しているため、交換取扱いに繁雑を来し、サービスの低下を来している例、委託局において交換手の予備定員がないため欠勤者がある場合、公休日出勤を余儀なくせられ、労働強化を来す例等も見受けたのであります。一面新潟電報局においては、電報配達用としてカード式の戸口別地図を備え、配達の迅速を期しているような、もつて範とするに足る実例もあるのであります。  また信越電気通信局におきましては、業務能率向上の一対策として次のような試みを行つて業務の簡素化をはかつているのであります。すなわち第一に、小直営局の機構と事務を簡素化するため、課長等の管理職を減らし、集中可能の事務は集中的に取扱わせることとしたこと。第二に、定員三十名以下の小坂扱局における服務の合理化をはかるため、局内要員相互間に業務の融通を行わせることとしたこと。第三に、モデル局を選定してこの局長に大幅の権限を持たせるとともに、ライン間のつながりを断つて直接通信局長に直結させ、自主的経営を行わせるようにしたこと等でありますが、成果は長く注目するに値するものと考えられます。その他電話局の市外台節約のため、加入区域外にある通話局を市内台に収容し、あるいは磁石式の市外接続におきまして、発言局市外台から直接に着信局を呼ぶ、いわゆる準直送方式を試験的に実施する等のことも企てられているのであります。  次に、公社経営機構制度について申し述べます。昭和二十四年に電気通信省の発足と同時に実施されました新機構は、昨年八月公社に引継がれたのでありますが、実施以来の部内及び部外の批判にかんがみまして、昨年十一月これに改正を加え、管理所を廃止して管理段階を四段階に縮め、取扱局に局長を置くとともに、権限を大幅に下部段階に移したのであります。このことはかねてから当委員会において強く主強して参つたのでありまして、その実現を見るに至つたことに対して満足の意を表するものであります。取扱局に局長を置いたことは、従業員に一種の安定感を与えたようでありますし、管理所の廃止は贅肉を取去つたような感じさえ受けるのであります。なお現在の機能別の機構制度は、その実施が外部よりの示唆に基くものといたしましても、その利点も捨てがたいものがあるように考えられるのであります。八十年の歴史と伝統を持つ電気通信の古に経営組織に対する愛惜の念もさることではありますが、科学的経営による企業の合理化が、国民に対する電信電話サービス改善に寄与することになるならば、これの長所は生かして行きたいと存ずる次第であります。  電気通信関係はこれをもつて打切りまして、次に電波管理について申し述べます。北陸及び信越両電波監理局が管理する無線局の数は、それぞれ三百四十五局及び二百九十五局でありまして、北陸は船舶局がその六割を占めているに反し、信越は陸上局がその九割を占めているのであります。電波監理局はこれらの無線局の免許、検査、監査、無線従事者の試験、免許、放送業務の規正等の管理業務を行うほかに、電波監視業務を昼夜継続して行う電波監視部を富山に置いているのであります。電波監視の任に当る職員は、日夜見えない電波と取組んでいるのでありますが、その労苦に対する待遇は必ずしも十分であるとは言えないのであります。またその勤務に特殊技能を必要とするため、適任者を得ることも困難な事情にあるということであります。無線局が年々増加の一途をたどり、移動監視班による不正電波摘発が急務とされる今日、定員の配置及び待遇並びに監視用施設の費用については、特別の考慮を払うべきものと存ずる次第であります。  次に放送関係について申し述べます。放送用の無線設備は、日本放送協会に属するものが二十三局、一般放送関係のものが福井、北陸、北日本、ラジオ新潟、信越放送等の八局であります。放送の受信設備の普及率は、長野の七二・九%を最高とし、金沢の六一・九%を最低とするものでありまして、金沢は昭和二十七年十二月に第一、第二放送ともキロワツトに増力されましてから以来、受信不能地域はほとんど解消され、長野県の地勢による受信困難の問題も、昭和二十六年以降に飯田、伊那、小諸等の中継所が開設せられたため漸次解決せられ、木曽及び上田地方を残すのみであります。  なお各放送局とも開局以来二十年余をけみしておりますので、その後の業務の増加によりまして建物が狭隘となり、特に放送室、録音室が不足となり、なおさらに労務関係の厚生施設等、いずれも増築を行うべき時期が到来しているように見受けたのであります。また各放送局はローカル放送番組の編成にあたりまして、聴取者の要望にこたえ、番組の公正を期するため放送番組審議会を組織して、この委員には社会各層から参加しているのでありますが、さらに労働代表を委員に加え、勤労者の意見を十分に反映できるような方途を講ぜられるよう、各局に対し強く希望を申し述べておいた次第であります。なお螢光灯等のため生ずる雑音の防止対策、放送電波相互間あるいは外来電波との混信、日本放送協会の手による受信機の巡回修理の施行拡張強化すること等の問題についても、事情を聴取いたしましたことを申し添えておきます。次に、一般放送について申し述べます。本年二月に北陸、福井、北日本の三放送株式会社はラジオ北陸連盟結成いたしましたが、これはスポンサー獲得の一元化、プロの相互流用等、三局提携による経営合理化をはかるためでありまして、爾来各放送局ともスポンサー・プロには一日五、六時間となり、経営状況もきわめて順調な歩みを見せているようであります。信越放送は永野に本社を置き、岡谷、松本に中継所を置きまして、将来飯田外県内各所に放送網拡張する計画がありますし、ラジオ新潟は新潟に本社を置き、上越及び下越地方に中継所を建設中であります。スポンサー・プロはそれぞれ一日五時間半及び四時間でありまして、営業状態も漸次好転しているようであります。なお広告放送につきまして、各地で金融会社をスポンサーとする放送が行われておりますが、その放送内容が淳朴な地方民に与える影響と浸透力とにかんがみまして、一つの問題があると存ずるのであります。もちろん一般放送はスポンサーからの収入によつて会社経営を行つているのでありますから、営利を度外視することはできませんが、何と申しましても放送が持つ国有の公共性と、社会通念としての放送に対する信頼性からいたしまして、一般放送といえども放送内容について一線を画すべきでないかと存ずるのであります。これにつきまして一部放送会社から自粛の声が上つているのもゆえなしとしないのであります。それにもかかわらず、視察地方においてこの種の放送がゴールデン・アワーに行われている事実は、われわれの戒心を要するものと考えられます。  次に長野県におきましては、地勢の関係上各地にNHK及び一般放送放送局が並設されておりますが、両者の競争意識からいたしまして、放送電力の増加によつて優位を占めようとする傾向が見えるのでありますが、いたずらな増力競走はプランケツト・エリアの増加と電波の浪費となるにすぎません。小電力放送局を分散設置した方が得策と考える次第であります。なお本年八月に行われました放送電波周波数の再割当の際には、視察地方一般放送に対して有利な割当が行われ、その聴取状況が著しく改善されましたことは、電波利用の公平を期する上においてまことに喜ぶべき傾向と存ずる次第であります。  次に、新潟県で行われておりまする教育放送について一言申し述べます。この教育放送はわが国としては初めての試みであると存じますが、本年七月に青年学級向けの超短波による教育放送局が、新潟県教育委員会によつて新潟県庁内に開設され、また本年三月に中、小学校向けの教育放送局が、長岡市教育委員会によつて同市中島小学校に開設されまして、爾来順調な運用を続けているのであります。設備としては五百ワツトのFM式超短波送信機を使用し、サービス区域は局を中心として六十キロメートルであります。従つて新潟放送の区域は県の二分の一である百八十箇町村に及び、引続き彌彦山を中継所として全県に放送する計画があるのであります。なおこれらの教育放送局はいわゆる放送局でなく、無線局として許可を得ている点に特異性があると考えます。  新潟放送は、教育の対象として義務教育終了者たる勤労青少年に、基礎教科課程、職業課程、生活課程及びインフオーメーシヨンの放送を行うことを主体としているのに対しまして、長岡放送は、小、中学校の児童、生徒を対象とするいわゆる学校放送を主体としているのでありますが、その教育放送方法といたしましては両者共通でありまして、聴覚によると同時に視覚にもよらしめるため、教材及びスライド映写機等を並用することによつて一層の効果を上げているのであります。さらに録音テープを高度に利用いたしまして、放送時間外にも再生による教育を行うことができる仕組みとなつておりまして、将来はテープ・ライブラリーを設置する計画も立てられているのであります。  ただいま新潟放送は、毎日三回、一時間程度放送でありますが、さらに放送時間を増加して、各市町村に対する行政通達用にも使用することが考えられているそうであります。これが実現のあかつきには、大小自治体相互間の通達の迅速化と費用の節約等は、該放送施設費用を補つて余りあるものと考えられます。長岡放送は、市内二十二箇所の小、中学校に増幅器つきの受信機を設備しまして、これに対して放送を行うものでありまして、NHK放送が学校の教科単元と食い違いのあること、ローカル性に欠けていることなどに不満を感じまして、現実に即した独自の教育放送を始めたものであります。現在放送は小、中学校の各学年別に行い、毎日七回、一時間半の放送を行つているのであります。設備費は両者ともにおのおの二百万円、運用費はおのおの年額二百万円を計上しているとのことであります。この放送開始以来半年足らずにすぎませんので、その成績については今後の運営にかかつておりまして、にわかに予断を許さないのでありますが、注目に値する企てと存ずる次第であります。NHKあるいは一般放送が行つておりますところの教育放送と相まつて、この種の教育放送局普及発達することを願つてやまないものであります。  なお最後に、今回の視察の際各地で聴取しました電波法及び放送法に附する改正意見につきまして、その要点を申し上げます。  電波法に対する一部改正意見としては、まず無線局開設の申請にあたり、割当予定の電波を使用して、監理局が事前試験を行い、あるいは予備免許後に免許人が調整試験を行うため、電波の発射ができることを明文化すること。無線従事者の再免許申請に対して無条件で更新を認めること。標準放送受信を除く受信機の設置は届出制とすること。検査手数料を合理的に改正することなどがあげられるのであります。  また放送法につきまして、管理側の改正意見としては、現在NHKに対して指定されているラジオ受信機の巡回修理を年一回以上行うべきこと。官庁公示事項放送を行うべきこと等を明文化することなどでありますが、さらに一般放送側の意見といたしましては、次の通りであります。すなわち放送法中、NHKに関する規定を分離して単行法とするとともに、基本法においてはNHK一般放送との放送の分野を明らかにし、両者の協力によつて全国にあまねく放送を行うこと。及び一般放送事業が公共事業であることなどを明文化すること。聴取料を受信機税に改め、その収入NHK及び一般放送事業者に交付し、なお放送技術研究所等の経費にも充てること。NHKの娯楽放送番組についてその行き過ぎを是正するため、一般放送と法的に一線を画することなどであります。  これらの改正意見は、その当否は別といたしまして、今後当委員会の審議にあたりまして、参考となる点が多いものと存ずる次第であります。  以上をもつて私の報告を終ります。
  11. 成田知巳

    成田委員長 次に小泉純也君にお願いいたします。
  12. 小泉純也

    ○小泉委員 第三班の視察結果につきまして、概略を御報告申し上げたいと存じます。  第一は、日本電信電話会社及び国際電信電話株式会社関係事業経営状況であります。  公社は、さき昭和二十八年度における事業経営に関する運営方策なる総裁達を発しまして、多くの合理化、経済化の具体的対象を事項別に指示し、各機関の権限と責任に基く積極的、自主的な活動を促したのであります。従つてその現われと見るべきものが少くなかつたのでありますが、たとえば人事の面におきましては、一般的減員、特に管理段階の減員方針による社内定員制が確立され、これに伴う配置転換に努めた結果として、近畿のごときでは現に管理段階では欠員を増している状況であります。また一例を四国におけるPR運動にとりますと、本年の国民体育大会の開催に先だつて、全管内の応待改善運動を推進しておりましたが、たまたま視察当日、電気通信局庁舎の正面屋上から「祝松商優勝」と記したたれ幕が下げられていたのでありまして、ここに経営態度なり応接心理に一つの脱皮現象を認めた感じがいたしたのであります。  公社拡充五箇年計画の本年度の建設工程につきましては、各地方とも年度開始直後からの活動が活発に行われ、進捗の顕著なものが見られるのでありまして、かねて名古屋及び大阪で予定されておりました対東京の市外通話の即時化のごときも、九月一日から開始の運びになつたのでありますが、これを建設工事費に徴しますと、第一・四半期の実績として、東海のごとき合計八億二千四百万円を支出し、前年同期に比べて実に二四七%を示すものであるのであります。  各電気通信局の建設工事の年度計画額は、ただいまのところ東海三十三億円、近畿四十七億円、四国十九億円となつているのでありますが、これによつて進められようとする工程のうち、加入電話の増設数を見ますと、東海二万四千、近畿四万一千、四国五千七百となつているのでありまして、これをそれぞれの最近における積滞数に照しますると、東海では四〇%、近畿では四五%、四国では五二%の充足率を予定することになるものであります。  電話の整備拡充につきまして、資金の一部調達の道を債券の引受に求めることは御承知通りでありますが、そのうち、公募以外の方法によるものの実績といたしましては、七月末現在、東海では加入者引受一億三百六十万円、地元引受九百五十五万円を、近畿では加入者引受二億九千五百六十九万円、地元引受三千二百二十八万円を、四国では加入者引受二百万円、地元引受六千三百二十六万円をそれぞれ記録する状況でありまして、これは年間目標に対して、東海の場合をとりますと加入者引受が約二〇%、地元引受が約三〇%に当るものとなつておるのであります。  次に電話の疏通状況に移りまして、通話取扱い数の増減を有料市外通話の接続度数に徴しますると、前年に比較して東海二六%、近畿二二%、四国一六%と、いずれも相当の増加を示しているのであります。通話の待合せ時分は漸次短縮して来てはいますが、いわゆる通話完了率を見ますと、東海では八六%ないし九二%、近畿では七六%ないし九一%、四国では八九%ないし九二%となつております。  なおここで電話収入を一瞥しますと、前年に比べて東海では二五%、近畿では二三%、四国では二九%と、それぞれ増加しているのであります。  市外通話の取扱い数に比べて、電報の取扱い数の前年度比較ははなはだしく劣勢を示すのでありまして、これを有料電報の発信通数に照しますと、東海では二%、近畿では五%と増加しておりますが、四国では八%の減少となつております。もつとも電信収入としては東海二%、近畿一〇%、四国五%と、それぞれ増加を示しておるのであります。  次に国際電信電話会社大阪支社について申し上げますと、その事業施設としては、大阪市内に大阪国際電報局と窓口機関四箇所を配置し、堺市の東方に位する河内送信所と、兵庫県に置かれた小野受信所との無線設備をもちまして、現在インド、インドネシア、フイリピン三方面の電報送受に当つているのであります。東京で送受される通信が大部分政治、新聞関係であるのに対し、ここの特色は主として貿易関係通信であることでありまして、その業務の幅を会社全体から見ますと、取扱い数の点では、四二%、従業員数及び収入の点では三分の一を占める現況であります。ほかになお国際電話業務を持つのでありますが、これは取扱い数から見て、全体の一割程度にすぎないということであります。  次に第二といたしまして、最近の水害による電気通信関係被害状況及び復旧状況について申し上げます。近畿地方におきましては、七月の和歌山県及び奈良県にわたる南近畿の水害と、八月の奈良県、京都府及び滋賀県にわたる東近畿の水害と、相次ぐ二回の災害に見舞われたのであります。この二回の水害において、局舎の流失四局、電柱の流失三千二百四十三本を初めとして、局内装置、加入者宅内装置、線路等の関係におびただしい被害をこうむり、これによつて市外回線三百六十七回線、電信回線二十四回線、市内電話回線七千二百四十六回線の罹障を来したのでありまして、中でも和歌山県下の罹障率は、市外回線五一%、電信回線四四%、市内電話回線二五%を示したのであります。  この罹障回線の復旧につきましては、七月の場合では二週間後の七月三十一日までに、市外回線、電信回線の全部と、市内電話回線の九五%を回復させることになつたのでありますが、市内電話回線で残る未復旧分は、加入者住宅の復旧と関連してやむを得ず保留されているものであります。もつともこの被害通信施設の本復旧となりますと、現在のところ、奈良県については十二月末までに、和歌山県内については明年三月末までに、それぞれ完了することに予定しているのでありまして、所要経費の総額二億五百六十万円余、ほかに宿舎等付属施設復旧費約三千万円と見込まれるのであります。  また八月の場合では、市外回線及び電信回線は五日後の八月二十日までに全部開通され、市内電話回線は十日後の八月二十五日までにその六六%が回復に至つたのでありまして、未復旧の市内電話回線三四%は、大部分局舎被害に関連して開通が遅れるものでありますが、そのうち一部の回復は八月二十九日までに完了を予定されている状況であつたのであります。なおこの東近畿の本復旧までの所要額は、三千八百九十万円余と見積られるのであります。  近畿地方のこの二回の災害に際し、職員の死亡二人、和歌山県箕島電報電話局施設課員山崎勝君、京都府伏見電話局女子職員田辺正子君を出したのでありまして、まことにお気の毒にたえない次第であります。  東海地方におきましては、八月の三重県上野地区に生じた水害であります。市外回線四十八回線、国際ケーブルの浸水二箇所四十回線、市内電話回線二百回線がこれによつて羅障したのでありますが、市外回線及び国際ケーブルは二日後の八月十七日には全部仮復旧に至り、市内電話回線は一週間後の八月二十二日までにすべて仮復旧を遂げたのであります。これらの仮復旧に次いで予定される第二次の手当を通じまして、この応急措置所要経費は六百八十六万円余りと見込まれているのであります。  四国地方におきましては、七月の高知県及び徳島県の南部、愛媛県の西部の出水でありまして、佐多岬に向う愛媛県西宇和方面で国際ケーブルの浸水二十三箇所、流失二百五十メートル、この被害額五百十一万円と見積られまするもののほか、愛媛県大洲電報電話局が回線障害によつて約一昼夜の通信杜絶を来したのであります。  次に第三といたしまして、有線電気通信法及び公衆電気通信法の実施状況について申し上げます。  まず有線電気通信法について見ますと、私設電信電話の設備の自由が大幅に認められる結果として、監督行政の膨脹が必至であるとし、鉱業特設電話のごとき設備の多く存在する四国地方においては、すでにそれが現実の問題となつているというのであります。この監督事務は昨年八月から新たに地方電波監理局の所掌に加えられたのでありますが、従来これがために格別の経費の増加も定員の増加も行われず、今回の有線法施行に伴い、初めて全国総額二十三万円の旅費を支出できることとなり、東海電波監理局のごとき、管内の私設線路亘長三万三千百五十三キロメートルを有するものに対し、そのうち二万二千円が配分されたという状況であります。  公衆電気通信法につきましては、その一つは、一般に多大の関心の持たれる料金値上げ影響でありますが、これにつきましては、ただ京都地区において多少の利用減のきざしが見られるということでありましたが、一般にはまだその影響として認められるものがないという状況であつたのであります。  もう一つは、いわゆるPBXの開放でありますが、これにつきましてはすでに技術基準の認可、郵政省令の制定公布から、工事担当者認定の段階に進みまして、各電気通信局において八月三十日、一斉に認定試験執行の手はずが整つていたのであります。  次に第四といたしまして、電波管理待政について概況を申し上げたいと存じます。  無線設備は逐年増加の趨勢をたどるのでありまして、近畿管内のごとき逐年三〇%の増進率を示すのでありますが、視察地方におけるその現況を概観いたしまして、二、三顕著な事例をあげますと、陸上無線局合計千百四十九局の三〇%余りが警察用となつているのであります。近畿のごときはそれが四三%に上り、しかもその八割までが超短波設備であり、またそれの半数以上が自動車等の移動設備であります。警察用に次いで最近増加の顕著なものはアマチユア無線局でありまして、東海地方のごときは現に陸上無線局数の一九%をそれに占められているのであります。船舶内の無線局合計千百五十八局の大部分を占めるものとしては、東海、四国いずれも九〇%を越える漁業用と近畿の海運事業用七一%があげられるのであります。近畿ではまた船舶局のうち四分の一は超短波設備でありますが、さらにその九割四分がレーダー設備となつているのであります。航空機の無線局は、現在近畿管内で免許されたものが三局あるのであります。無線局以外の無線設備といたしまして、いわゆる高周波設備を見ますると、その総数において陸上無線局数をはるかに凌駕するのでありまして、その九八%まで医療用及び工業加熱用となつており、残る二%が搬送電話などの有線式通信設備となつているのであります。なおここに差加えて申し上げたいことは、一昨年四月から監督の対象となりましたいわゆる親子ラジオその他の有線放送設備でありますが、これまた設備総数として陸上無線局数を上まわる現況でありまして、そのうち最近問題の騒音原因の一つなつておりますいわゆる街頭放送設備は、多きは東海で八七%、少い方でも四国で六一%を占めているのであります。  電波管理業務につきまして無線設備の検査状況を見ますと、最近一箇年の検査件数は、前年に比べて七割九分ないし十三割五分の増加を示すものであります。この検査については法定の検査料を徴するのでありますが、それは概して検査実費を下まわるものであるといわれまして、この点について一挿話ではありますが、徴収額中七百円相当の一つの検査作業に、車馬賃のみで四千円を要する事例もあるというのであります。電波の監視状況を監視部の置かれている近畿の記録に徴しますると、運用監査の本年度第一・四半期における実績は、前年度同期に比べて執行件数が二割六分を増したにすぎないのに、事故件数が三倍半に上るものであります。同様に見まして、周波数の測定は執行件数が一分七厘を減じたのに、事故件数は五倍を越えることとなつているのであります。  次に第五といたしましては、日本協会及び一般放送事業者業務の現況であります。  まずその事業用無線設備を見ますると、その総数として東海三十一、近畿四十三、四国十五、合計八十九に上るのでありますが、そのうちラジオの標準放送局としては、東海にNHKが十局、民間放送が中部日本放送、静岡放送の二局、近畿にNHKが十一局、民間放送が新日本放送、朝日放送、京都放送、神戸放送の四局、四国にNHKが十三局、民間放送が四国放送一局、合計四十一局となつているのであります。すなわちその他の四十八局はNHKの名古屋、大阪におけるテレビジヨンの実用化試験放送関係のものと、NHK及び各放送事業者の業務運営に必要な各種の無線通信設備となつているのであります。  ラジオの利用を聴取者の普及率から見ますと、東海で七三%、近畿で六九%、四国で五〇%を示すのでありまして、全国平均普及率の六四%に比べて、その程度をトし得るのであります。四国のごときは実に全国最低位にあるのでありまして、愛媛県においては県内に五つの放送局があるにかかわらず、なお普及率は四四%にとどまるのであります。その主要原因が難聴地域の広いことにありとすれば、それの克服に適する電力、周波数等の要件がはなはだ重視される次第であります。  放送局の再免許に伴う新周波数による放送なつて、聴取状態の悪化を来した地域も少くないようでありまして、NHKの多くの第二放送及び京都、高知の第一放送、民間放送の四国放送と、それぞれの聴取区域についてこの訴えが聞かれたのでありますが、一例を香川県にとりますと、高松放送局の昼間聴区域は多少の広がりを示したのでありますが、岡山放送局の聴取区域となつている地域は、その第一について二〇%、第二放送について五〇%、それぞれ縮小を来したというのでありまして、学校放送の受信勧奨等によつて、四国管内随一の五七%という普及率を上げていた県内ラジオ利用状況に、大打撃をこうむることとなつたというのであります。なお姫路市付近が再免許に漏れたNHK放送局の廃止により不良聴の度を加え、伊豆方面、ことに伊東付近でも聴取状態の不良化を来したということであります。  なお今回の周波数の変更に伴いまして、ラジオ京都及びラジオ神戸の各送信所付近の多数聴取者のNHK放送の受信に、混信妨害を生ずることになつたのでありますが、NHK指導に努め、防止装置のとりつけ等を勧奨し、その結果ようやく苦情の申出も減少して参つたということであります。なお混信妨害の実例として、モスクワ放送がラジオ神戸に、沖繩所在のVOA放送NHKの八幡浜を妨害するものがあるのであります。  受信状態に関連して、無線通信一般に及ぶきわめて重大な受信障害の問題があるのでありますが、特にあまねく全国普及するラジオ放送、これより普及をはかるべきテレビ放送の受信については、ことにそれが深刻であるのであります。受信障害の原因のおもなるものとして、電力施設、電車線、家庭用電気機器、螢光燈、自動車、高周波ミシン、ウエルダー等があげられるのでありますが、東海、近畿両管内におきましては、かねて受信障害対策協議会を結成して、これが対策の樹立に努めているのでありますが、最近関西電力の二十七万ボルト新北陸送電線から発するコロナ雑音の防止対策につきまして、NHK、電力会社、電波監理局が共同の調査研究の結果、近く障害除去の具体的措置を施し得る運びとなつたということであります。  次に放送番組の編成状況でありますが、ラジオ放送につきまして、NHKの名古屋、大阪両中央放送局の最近の実績を見ますと、放送延べ時間一日平均約三十五時間中、ローカル番組が四時間ないし五時間、ローカル番組内容の時間比率は、報道関係約五〇%、教養約二〇%、慰安、娯楽約三〇%となつているのであります。民間放送の東海、近畿両管内の各局について見ますと、放送時間は一日平均十六時間半から十八時間、番組内容の時間比率は、報道二五%から二七%、教養一一%から一六%、慰安、娯楽五五%から六〇%、スポツト広告が〇・三%から九%という大体の状況でありまして、そのうちで商業番組の占める割合は、静岡放送の六六%を最高とし、神戸放送の二九%を最低とし、平均して四九%となつているのであります。  テレビ放送につきましては、現在名古屋に五百ワツト、大阪に五キロワツトの電力によるNHKの実用化試験放送があるだけでありますが、これによりまして現在名古屋では週三回、大阪では週二回、いずれも二時間ずつ、マイクロエーブ中継設備を通じ、東京から中継して放送するほか、名古屋では週二回一時間ずつ、大阪では週二回三時間ずつのローカル放送を実施しております。なお大阪におきましては移動テレビ設備をつくりまして、最近構成されました東京への上り中継装置を通じて、中継放送の送り出しもできるようになつております。民間のテレビ放送といたしましては、現に名古屋及び大阪において計画されるものがありまして、いずれも着々具体化されている模様であります。  次に第六として、最近の水害に対処いたしました各種無線局の活動状況について申し上げます。  放送の受信契約者の罹災に伴いまして、受信機の被害数は、近畿では、七月に九千七百八十、八月に一万一千九百四十、東海では八月に九百七十五に上つたのであります。NHKではこれが対策といたしまして、和歌山及び京都にラジオ災害対策委員会を設け、応急措置を講じたのであります。まず罹災者のおもなる避難所に電池式受信機をとりつけ、次いで電源の復旧につれてこの避難所受信装置を増加し、罹災者の放送受信に便じたのでありますが、続いて家庭受信機の回復につきまして、ラジオ商組合と共同して、各地で受信機の巡回修理を行い、また受信機の月賦販売のあつせん等を行つたのであります。なお受信料免除の処理も進められたのでありまして、その件数は合計九千五百余りと現に見込まれるものであります。  放送番組に災害状況復旧状況の報道を初め、それに関係ある各般の放送事項の盛られたことは申すまでもありませんが、大阪中央放送局では、当時放送記者を現地に派遣し、また移動無線装置のラジオ・カーを出動させるなどによつて、その取材活動に努めたということであります。通信の非常連絡につきまして、災害地中心に移動無線を配置して、通信杜絶に対応する応急措置がとられたのでありますが、これによつて電電公社は、公衆電報約一万三千通を疏通し、国家地方警察は、警察事務用五百通、一般重要通信百通を疏通し、国鉄では事業電報三千通を疏通したのであります。  東近畿の場合におきましては、国警無線及び地方建設局の無線が同様に非常連絡に当つたのでありますが、国警の無線活動は、八月の三重県の場合にも発揮され、七月の場合に木曽川水系に展開したその警戒活動は、当時相並んで行われました地方建設局無線の活動とともに、きわめて高く評価されるものであります。なおまた国警の移動無線が、七月の出水に際して愛媛県の大洲に出動して、通信杜絶の救済に当つたことも注目に値するものであります。  そのほかに、近畿地方短波非常無線通信協議会の構成メンバーの各移動無線が、南近畿の場合に、十日間にわたつて現地の通信連絡に当つた活動成果の没すべからざるものがあるのであります。この超短波非常無線通信協議会と申しますものは、近畿管内、特に大阪付近に蝟集する超短波無線の免許人を糾合して、非常連絡、混信対策、相互誘導防暑の除去、試験連絡、訓練の実施等の目的をもつて、大阪市警視庁総務部長を会長として組織されたものでありまして、ほかに電電公社、国警、国鉄、気象、地方建設局、海上保安庁等によつて結成された非常無線通信協議会というものがありますが、それとは別個に存在するものであります。すなわち非常時に備えたこの用意が、今回現実の災害に直面して成果を上げることとなつたのであります。  以上各般の状況について申し上げましたが、これを結びまして、以下簡単に列挙いたしまする立法上、行政上または業務上の改善方策についての希望または意見があるのであります。  第一は、有線電気通信法及び公衆電気通信法に関連するものでありまして、その一として、鉄道、軌道、水防、電気、消防等の事務用私設有線設備についても、届出をさせる必要があるというものであります。その二は、公衆電気通信に関する監督事務を、地方電波監理局に分掌させるようにと希望するものであります。その三は、公衆通信通信業務郵政省に対する包括的委託に関する意見でありまして、各地に欝勃たるものでありますが、それは郵政省に支払う経費の算定上、総合的原価計算を一層合理化するの要があること、及び特定郵便局の取扱いに関する協力郵政局の監督について、公社側指導力を介入させる必要があることの二点についてであります。その四は、公社拡充計画の遂行について、地方の要望、地元の協力をくんで建設工程を進められるようにと、特に地方中小都市における希望であります。そのうち高松市の負担によつて、すでに敷地も確定している高松電話局舎の建設を促進すること、香川県の多度津、観音寺方面及び高知県の窪川、中村方面における市外線のケーブル化、松山電話局の度数制実施については、今回特に地元の熱烈な要望があつたのであります。  第二は、電波法に関連するものでありまして、その一は、無線通信の障害防止について、相当具体的の規定を設ける必要があるという意見でありまして、さきに申し述べましたような障害原因にかんがみ、ことに最近大阪で国家地方警察の無線設備が、周囲の高周波ミシンによる受信障害に耐えかねて、移転を余儀なくされたというような実例に照して抱かれるものであります。その二は、周波数の割当、放送局の開設免許に関する基本方針確立の要望でありまして、少くとも見通しの可能な将来において、混信または受信状態の不良化を来すおそれのないように、確固たる方針の樹立を強く要請するものであります。その三は、高周波設備に対する行政措置について、受信障害防遏等の線を一層強く張る必要があるという意見でありまして、すでに発電機の装置にインダストリアル・テレビジヨンの設備が付属する等の現状にかんがみ、通信面、工業面双方の電波利用の共栄をはかり得るように、割当周波数の適否に関する調査研究を遂げ、高周波設備に対するその割当方針を立てることを必要とするものであります。その四は、電波監視機構の拡充を必要とする意見でありますが、それは東海、四国の両監理局にも監視部を置き、各監視部の超短波監視と不法電波監視の施設拡充強化することによりまして、あるいは国家警察等において、不法電波監視施設計画するというような、効果的にも、経済的にも不利な事態を避けることと、不法無線通信の跳梁、漁業無線通信の乱脈を防止するため、PR活動の強化を提唱するものであります。  第三は、放送法に関連するものでありまして、その一は、放送法の根本的全面改訂を主張する、主として民間側の意見であります。その二は、放送事業監督方法拡充に関する意見でありまして、番組編集の上に全聴取者の意向を公平に反映させる方途についての実質的規定、及び事業者から報告を徴し得る規定を管理行政上必要とするというものであります。その三は、放送事業者の相互協力態勢に関する、主としてNHK地方当局者の希望でありまして、協会施設放送局の良聴地域に混信地帯を生ずるような新規の民間放送開始された場合、従来協会はその救済について聴取者の理解を求め、技術的助言を与え、善後措置に努めて来たのであるが、最近民間放送局開設の趨勢では、かような混信地域が拡大されることにもなるので、この点に関する民間放送側の協力が望まれるというのであります。これにつきまして付言いたしますが、テレビ放送につきまして、今回大阪においては、新日本放送と朝日放送との共同計画が開かれ、名古屋においては、NHKと中部日本放送との一部共同の計画が聞かれたのでありまして、まことにうるわしい態勢と思われたのであります。その四は、NHK施設経営に関する地方の要望でありまして、姫路の放送局設置、高松、徳島の第二放送開始、高知の出力増加、彦根のローカル放送開始、大阪テレビ放送の時間延長等であります。このうちテレビ放送に関する要望は、特にメーカー側の声として聞かれたのであります。ちなみにテレビ受像機の製作状況に関して一言申し添えますと、当時大阪における松下電器産業視察したのでありますが、目下同社の月産は百五十台に上り、七インチ球八万九千五百円、十七インチ球二十三万円といい、さらに九インチ球を十万円程度で出したい希望であるといわれ、テレビ・パーツは、ブラウン管以外はすべて国産であら、ブラウン管は国産品より輸入品の方が四割方経済的であるということであります。  最後に今回視察の経験を通じまして、当委員会に対する私の希望を一つ申し上げたいのであります。  それは端的に申しまして、派遣委員調査には、今後現場実査の予定を多分に取入れて計画する必要があると考えられることであります。派遣委員は予定日数の制約があります関係上、普遍的に各地域に及ぶ調査をいたすためには、勢い概括的聴聞方式による場合が多くなるのでありますが、電気通信電波管理のごとき、その基礎が日進月歩の科学技術の上に築かれ、しかも関連の分野、影響の範囲が広汎であり、またそれぞれの利用形態も多種多様にわたる対象につきましては、個々目標を特定し、これに対する具体的視察が一層効果的であると思われるのであります。  調査の対象として、電波関係施設について考えましても、通信用にあつては、周波数の一波は警察力の一個中隊に匹敵し、銀行業務において月額二十余万円と評価され、その普及利用は、国土の防衛、水、火難の救済を初め、各般の生産活動の合理化、経済化の上に緊要な要件とされるのでありますが、さらに工業用に至りますと、その応用目的の拡大に半つて、資源的にもきわめて重視されることになるのでありまして、電波力は実にその偉力において原子力と並ぶものと称されるに至つておるのであります。すなわちかような調査対象に関する対策樹立について、この私の希望する調査方式は、実に派遣委員使命の重きに任ずるゆえんであると考えられるのでありますが、もとよりこのことは常任委員会としてわが電気通信委員会の特異性に基くものであり、さかのぼつては当委員会の存在の意義理由の重大性から発するものと信ずるのでありますかから、かたがた委員長並びに委員各位の御批判を仰ぎたいと存ずる次第であります。  これをもつて私の報告を終りたいと存じます。
  13. 成田知巳

    成田委員長 次に甲斐政治君にお願いします。
  14. 甲斐政治

    ○甲斐委員 四班の調査結果について御報告申の上げます。  第四班の視察いたしまして地方は、中国及び九州地方でありまして、広島、福岡、久留米、熊本、長崎の各地において、所在の日本電信電話公社電気通信局、電気通信部、郵政省電波監理局のほか、公社電報局及び電話局六局、国際電電会社の電報局一局、NHKの中央放送局及び放送局四局、民間放送局三局、総計二十局について調査を行つたのであります。  調査目的及び項目につきましては、すでに他の班からお話がありましたので略しますが、当班の参りました九州中北部地方は本年六月下旬、大水災に見舞われた関係上、この水害被害及び復旧状況に関しましては、特に重点を置いて視察いたしたような次第でございます。  調査の結果の主要点について申し上げますと、まず水害状況でありますが、本年六月二十六日から三日間にわたつて九州中部以北を襲つた豪雨は、この間に一年間の三分の一以上に及ぶ雨量を降らして、河川の氾濫、堤防の決壊、山くずれ、土砂流出等のため、田畑、市街地に総額約二千億円を越える被害をもたらしたのでありますが、九州電気通信局管内における電信電話設備もまた甚大なる損害をこうむり、管内施設のうち市外電話の四七%、有線電話の七〇%、市内電話の二三%は機能を失い、局舎、倉庫等四百五十四箇所が被害を受けておるのであります。なおそのほかに職員及びその家族の罹災も、死者十四名、負傷者六十八名、住宅四千八百戸を算する状態でありまして、われわれは深く哀悼の感を抱いておるものでございますが、これらの施設復旧には約二十億を要する広汎、深刻なる惨禍をこうむつたのであります。  しかしながら日本電信電話公社においては、九州電気通信局を中心として迅速、適切なる各種応急措置を講じて、万難を排して電報電話の疏通をはかり、また施設復旧、罹災職員の救護に努める等、全従業員が一致団結して災害と闘いました結果、よくこの非常時に際して共公事業使命を全うし、電信電話回線の回復率もおよそ半箇月にして九八%に達するという成果を示したことは、まことに欣快にたえないのでございます。ことに至るところにおいて、職員一同が一身一家の危急を忘れ、寝食を放擲して、その責務を果された多くの実例を耳にもいたしまするし、現地も拝見いたしたのでありまして、私はこの機会に関係従業員諸君の健闘に対して、深甚を敬意を表するものでございます。  今回の災害に対する応急措置として特に適切であつたと認められるものは、一、水害の情報とともにいち早く準備を整えて、雨いまだやまぬ六月二十九日には、海底線布設船海光丸に救援物資、復旧資材を積載して宇品から三角に急航せしめたほか、大阪からは機帆船、東京、広島等からは陸路により、続々に必要物資を現地に急送する等、罹災地域外からの救援が迅速、適切であつたこと。二、通信線が杜絶し、鉄道、自動車等の連絡、また寸断された災害の高潮時において、幾多の危険を冒して電報の使送をはかり、線路の修理を行い、電話交換の職場を死守する等、極力電信電話の疏通に努めたこと。三、市内電話の壊滅した都市においては、電話局の監査室等を報道、金融機関等に提供して、重要加入者の便宜をはかつたり、トラツク、バス等を巡回せしめて電報の受付、情報の宣布を行うなど、応急機宜の措置を誤らなかつたこと等をあげることができます。  九州水害電気通信事業の将来に対して幾多の教訓を残したのでありますが、その二、三を申し述べますれば、その一は、申すまでもなく災害その他の非常事態にあつては、通信の確保ということがあらゆる対策の前提をなすものでありますから、電信電話回線は災害に耐え得る安固堅牢なものでなければなりません。この見地からすれば、重要な市外線路であつていまだに裸線のまま放置されているものを、ケーブル化することの急務は言うまでもありませんが、今回の水害一つの特色は、ケーブル線路被害が甚大であつたことであります。これは九州一円のケーブルは戦時の規格工法によるものが多く、鎧装がなく、鉛被も薄く、埋没も浅く、加うるに川越しの場合鉄塔によらず、橋梁添架であつたために、橋梁の流失による切断が多かつた等の理由に原因するものであつて、ケーブル線路必ずしも安全でないことが実証されたのであります。電信電話拡充計画施行にあたつては、災害時に生き残り得るような堅牢な線路の建設ということに、十分配意しなければならないと考えます。また電力関係の設備は、地階または一階にあるのが普通でありますが、今次の水害で電力量浸水のため電源を断ち切られ、局全体が機能を失つた実例、トラツク、ジープ等の配備がなかつたため、臨機の措置ができなかつた実例等は、いずれも将来の災害対策上参考とすべきものと思うのであります。  その二は、災害時における無線通信の重要性が立証されたことであります。すなわち今回の災害では、有線通信がほとんど寸断されたにもかかわらず、福岡、熊本、鹿児島間の超短波無線電話施設被害を免れて、目ざましい活躍をしたのであります。もしこの無線施設がなかつたならば通信復旧対策ばかりでなく、一般の救済措置も著しく遅延したであろうということは想像にかたくないのでありまして、主要都市間に超短波あるいは極超短波による多重電話施設拡充し、平常は有線施設の補助たらしめ、有事の際はこれによつて通信の確保をはかることは、災害の多いわが国情に適合する方策であろうと思われるのであります。  その三は、災害時におけるラジオ放送の威力であります。関東大震災の当時、もしラジオがあつたなら、あのデマ騒ぎは起らなかつたであろうといわれるくらい、水害あるいは地震とかいうような災害時において、ラジオ放送は迅速、的確な広報活動によつて、デマの粉砕、人心の安定、応急措置の手配等に、他の追随を許さない効用を発揮するものでありますが、九州災害に際しても、電信電話網及び交通網が切断されて、新聞社の取材能力が極端に低下し、しかも輸送機関の杜絶により、せつかくつくられた新聞紙も送達の方法がなく、公衆は活字による二ユースから一切絶縁された状態にあつたとき、NHK及び民間放送各社のラジオが刻々に被害状況を報じ、各種の予報、警報を発して、被害防止、人心の安定をはかり、救援措置をすみやかならしめた功績は、きわめて高く評価さるべきであると思います。ことに今回の水害は暴風雨を伴わなかつたため、送電線の障害が比較的少く、聴取者側もまた受信機を安全な場所に移して聴取を継続したものが多かつたため、ラジオの効果をますます高からしめたのであります。また関係民間放送各社新聞社提携して、二ユースの取材に異常な努力を払い、かつ放送プロを思い切つて切りかえて、水害関係の報道に全力を傾倒し、民間放送公共性を遺憾なく発揮したことも、見のがすことのできぬ功績であります。  なお電報局、電話局に全体を統括する局長を配置することの必要は、本委員会が再度にわたつて提唱したところであり、昨年十一月一日の機構改革によつてようやく実現を見たのでありますが、この局長制の施行が、はからずも今回の災害にあたつて、局の活動を統制する上に大きな効果を上げたことをつけ加えまして、水害関係報告を終ります。  次に中国及び九州電気通信局管内電気通信事業の一般状況並びに当面する重要問題の二、三について申し述べます。  まず電気通信事業の一般状況としては、昨年八月公社発足以来、従来の国営形態よりする各種制約から離脱して事業経営ぶりが活発になり、収入も順調な増加を示し、サービスも概して向上の跡が認められるのであります。特に第十六国会における公衆電気通信法の成立と、これに伴う電信電話拡充五箇年計画承認とは、電信電話に対する国民の要望がいかに熾烈であるかを如実に示すものとして、中央、地方を通じ、公社職員に大なる緊張感と責任感とを与えたように思われます。  かくのごとく電信電話事業は、おおむね順調な進展を遂げていると申すことができるのでありますが、さらにしさいに観察いたしますれば、一、電話の開通数は逐年相当に増進し、最近では大体申込み数の三割程度を開通するに至つたのでありますが、電話架設に要する加入者負担の増高にもかかわらず、電話に対する需要は依然旺盛でありまして、加入申込みの積端数はいまなお全国三十八万、中国管内一万四千、九州管内二万九千を算しております。しかも積滞原因の九五%まではあき施設不足によるものであることは、基礎設備拡充がいかに急務に属するかを示しております。  二、市外通話度数は毎年きわめて順調に増加しておりますが、電報利用通数は、二十七年度においては前年度に比し三%ほど減少しております。これは二十六年十一月の電報料金引上げの影響によるものと認められますが、単なる一時的現象ではなく、約一箇年にわたつて利用減が続き、ようやく昨年末から回復に向つたことが注目されるのであります。  三、市内、市外通話の完了率、市外通話待合せ時分、加入者台応答秒数、電報所要時分、電報誤謬率、回線障害率等は、両電気通信局管内とも逐年堅実な向上ぶりを示していることは、多数従業員の隠れた努力の集積が実を結んだものであつて、きわめて出喜ぶべきことと思います。  四、建設工事の次年度繰越額は、国営時代にあつては二十五年度から二十六年度への繰越額七十一億円、工事費総額の四〇%、二十六年度から二十七年度への繰越額五十七億円、工事費総額の二四%というようにきわめて大きな数字を示し、常に批判の対象となつていたのでありますが、公社移行後の八箇月を含む二十七年度から二一八年度への繰越額もなお百二億円、工事費総額の二四%に達する状況であります。繰越額がこのように厖大であるということは、建設予算公社の工事能力とが不均衡なのではないかという疑問を生ぜしめるとともに、施設拡充が焦眉の急であると訴える公社の主張に矛盾する感を抱かせるものであります。本年度においては四百六十一億円の成立予算に加うるに百億円の繰越額を合せ、総額五百六十四億の建設予算と取組まなければならない公社としては、建設工事の進捗にさらに一段の努力を要するものと考えられるのであります。  次に視察区域内の電信電話事業の重要案件をあげれば、一、両電気通信局管内ともに線路、機械、局舎基礎設備につき、早急に改善を必要とするものがすこぶる多数に及んでおりまして公社が策定した拡充五箇年計画のわくをもつてしても、ようやくその半ばを満たすにすぎない状態であります。まず線路について申せば、長距離ケーブルとしては九州管内では宮崎、佐伯間のケーブル化による九州循還ルート、中国管内では鳥取、松江、浜田を結ぶ山陰貫通ルート及び浜田、広島を結ぶ陽陰連絡ルートの完成が急がれているほか、管内主要区間のケーブル化及び前にもちよつと触れました既設戦時型ケーブルの強化の必要が叫ばれております。機械については九州管内における門司、八幡両局の自動化を初めとして、両管内とも交換方式改善の必要に迫られているものが多く、そのほか町村合併の促進伴つて、電話交換局の合併を要するものも数十件に達しておるのであります。また機械収容容量が限度に達し、今後四箇年以内に増設不能となる局は中国管内十三局、九州管内十四局を算し、老朽、狭隘のため新増築を要する局舎もまた多数に上るのでありまして、電信電話事業は今後この方面に、既定計画をはるかに上まわる巨額の投資を必要とするものと認められます。  二、次に裸線、ケーブル類等通信線の盗難被害は、ますます増加の傾向をたどりまして、特に九州電気通信局管内にあつては、二十七年度被害件数五千二百件余、金額六千九百万円余に達して、同年度全国被害件数一万三千七百件余、金額一億七千四百万円余の約四割を占める状態にあり、九州管内にあつては、福岡電気通信管内被害管内全体の七割を占めております。申すまでもなく現地当局としては、警察関係と密接な連絡を保つて、期間を定めて特別警戒を行い、また警報ベル、試験器を装置する等、各種の防犯対策を講じておるのでありますが、根本的対策としては、さきに本委員会地方行政委員会に対して申入れを行いましたごとく、古物営業法を改正して、盗犯者の背後にある金属くず故買常習者を取締ることが、最も有効適切な方策と認められるのでありまして、本委員会としても最近の機会に、さらにこれが立法措置を強力に推進するの必要を痛感いたすのであります。  三、次に調査班は視察各地において、全電通労働組合支部代表者と会見して陳情を聴取したのでありますが、組合側としては、水害関係として水害復旧予算の早期配算、職員罹災家屋の復旧資金の貸付、共済見舞金増額差額の早期支給を、事業関係として拡充五箇年計画の完遂、狭隘老朽施設改善定員の増加を、待遇翼係として一万八千五百三十二円ペースの即時支給、生活補給金一箇月分の早期支給、住宅、厚生及び衛生施設の完備を強く要望し、これが実現につき国会、なかんずく本委員会の協力、支援を求めたのであります。  本委員会の意見といたしましては、これら組合側の要望は大体において適切妥当と認められるのでありまして、政府においてもでき得る限り陳情の趣旨達成に努められんことを希望するものであります。ことに水害復旧予算につきましては、本年度はひとり九州地方のみならず、各地に相次いで災害が発生いたしまして、成立予算をもつてしてはとうてい完全なる復旧は困雑であるのみならず、応急彌縫の復旧は、次の災害時に一層大きな被害を招く原因となるおそれもありますから、政府並びに公社としては、予算補正等の方法によつて必要な経費を確保するとともに、五箇年計画に対しても再検討を加え、将来の災害に備えて、堅牢な施設による復旧の方策を講じていただきたいと思うのであります。  また電信電話施設現状より推して、五箇年計画は決して過大なぜいたくなものではなく、むしろ必要の最小限度の計画であることはさきにも申し述べたところでありまして、労働組合がその完全施行を要望いたしますことは当然であります。政府及び公社当局においては、異常な決意をもつてこれが完遂に邁進せられんことを希望するのでありますが、ただこの問題に関連して目下当局において画策中と伝えられる外資の導入は、条件のいかんによつては、わが国の通信自主権を害するおそれが濃厚でありまして、本委員会としてもこれに対しては十分な批判を加えなければならないものと存ずるのであります。  電電公社職員の賃金ベース改訂の問題は、去る十月十三日公共企業体等仲裁委員会から八月以降一万五千円ベース支給の仲裁裁定があり、調査当時とは情勢を異にしておりますが、仲裁委員会公社の新賃金支払い能力を認めておること、及び公労法による紛争解決は公共企業体労働組合のスト権にかわるものであること等の理由から、本委員としてはこの裁定に対しては政府もこれを尊重し、国会もこれを支持するの態度に出るべきものと信ずるのであります。  電信電話事業関係は以上にとどめまして、最後に電波管理関係に関して簡単に御報告申し上げます。  無線局の数は最近ますます増加の趨勢をたどり、去る八月には遂に一万を突破したそうでありまして、電波法の趣旨とした電波開放の大目的がほぼ達成され、電波利用がますます盛んになりましたことは、御同慶にたえません。放送の部門におきましても、最近の著しい現象は、民間放送局の激増でありまして、ことに本年六月のチヤンネル・プラン決定を機として、民間放送局設立の機運が全国的にほうはいとして起り、十月二十五日現在、標準放送局運用中のもの二十八社三十二局、予備免許中のもの十一社十四局、申請中のもの二十二社二十七局という盛況を示しておりますことは、ラジオの効用をますます高からしめるものとして、これまた喜ぶべきことと思います。  視察地域の民間放送状況を申し上げれば、中国地方では運用中のもの、広島のラジオ中国、岡山の山陽放送の二社、予備免許中のもの、米子のラジオ山陰、申請中のもの、徳山のラジオ山口でありまして、九州地方では運用中のもの、福岡のラジオ九州、ラジオ長崎、ラジオ熊本、鹿児島のラジオ南日本、ラジオ大分の五社、予備免許中のもの、久留米の九州朝日放送、申請中のもの、ラジオ佐世保、ラジオ佐賀の二社であります。  視察調査班が民間放送側から特に陳情を受けた事項としては、一つはラジオ九州からの空中線電力増強の問題でありまして、同社が割当てられた周波数は、外国電波との混信によつて、すでに二回も変更を余儀なくされたのであるが、本年八月から使用を始めた千百九十キロサイクルの周波数も、また沖繩のVOA放送周波数千百八十キロサイクルとの混信、及びこのVOAの聴取妨害目的とすると思われる共産地区からの電波との混信を生じ、ラジオ九州の放送区域の大半は聴取不能の状態であるから、これが対策としてラジオ九州の空中線電力を、現在の十キロから五十キロへ増力することを許可されたいというのであります。  その二は、ラジオ長崎からの佐世保市に中継局設置並びに電力増強の問題でありまして、現在佐世保市に民間局設置の申請が、ラジオ佐世保とラジオ長崎の両社から出ておつて競願の形となつているが、同一県内に二社が対立競争することは共倒れのおそれがあるから、民間放送会社の許可基準は、大体一県一局にとどめ、佐世保局はラジオ長崎に免許されたい。なおラジオ長崎の空中線電力も、現在の五百ワツトを一キロないし三キロに増力することを許可されたいというのであります。  この二問題については、電波監理局としても御考究中のことと存じますが、もしすでに何らかの結論を得られておるならば承りたいと存じます。NHK業務は概して順調に進展いたしておりまして、特に申し上げることはございません。  以上をもつて第四班の報告を終ります。
  15. 成田知巳

    成田委員長 以上で調査報告は全部終了いたしましたが、飯塚政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
  16. 飯塚定輔

    ○飯塚政府委員 ただいま第十六国会閉会後における国政調査の各般にわたる御報告を伺う機会を得まして、感謝にたえない次第であります。当局といたしましても、各般わたりいろいろ御教示をいただく点が多いのでございまして、この点心からお礼を申し上げる次第でございます。ことに先般御審議をいただきました公衆電気通信法その他の成立法案の実施後における現地における御調査、あるいは国際的に最も重要性を帯びておる電波の問題等について、詳細なる御調査をいただきましたこと、さらに六月以来の水害に外してその善後処置等、種々教えられる点が多いのでございます。これらの点につきましては、当局といたしましてはすみやかに実施のできる問題は、その方向に向つて努力をいたし、改むべきものがございますならば、御教示に従つてこれを改めて行きたいと考えております。  なお特に担当官からお答えを申し上げるべき点がございますれば、この際その点については担当宮から申し上げたいと存じますが、当局として重ねてこのたびの御調査に対してお礼を申し上げる次第であります。
  17. 成田知巳

    成田委員長 ただいまの調査報告に関連しまして、種々貴重な御意見の開陳もありました。今政務次官の言われましたように、担当官から御回答があるやに承つたのですが、本日はこの程度にいたしまして、次会に郵政省側あるいは電電公社側からの意見の開陳並びにそれに対する質疑を行いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十一分散会