○小泉
委員 第三班の
視察結果につきまして、概略を御
報告申し上げたいと存じます。
第一は、
日本電信電話会社及び
国際電信電話株式会社関係の
事業経営状況であります。
公社は、
さきに
昭和二十八年度における
事業経営に関する運営方策なる総裁達を発しまして、多くの
合理化、経済化の具体的対象を
事項別に指示し、各機関の権限と
責任に基く積極的、自主的な活動を促したのであります。
従つてその現われと見るべきものが少くなかつたのでありますが、たとえば人事の面におきましては、一般的減員、特に管理段階の減員
方針による社内
定員制が確立され、これに伴う配置転換に努めた結果として、近畿のごときでは現に管理段階では欠員を増している
状況であります。また一例を四国におけるPR運動にとりますと、本年の国民体育大会の開催に先だ
つて、全
管内の応待
改善運動を推進しておりましたが、たまたま
視察当日、
電気通信局庁舎の正面屋上から「祝松商優勝」と記したたれ幕が下げられていたのでありまして、ここに
経営態度なり応接心理に
一つの脱皮現象を認めた感じがいたしたのであります。
公社の
拡充五箇年
計画の本年度の建設工程につきましては、各
地方とも年度
開始直後からの活動が活発に行われ、進捗の顕著なものが見られるのでありまして、かねて名古屋及び大阪で予定されておりました対東京の市外通話の即時化のごときも、九月一日から
開始の運びに
なつたのでありますが、これを建設工事費に徴しますと、第一・四半期の実績として、東海のごとき合計八億二千四百万円を支出し、前年同期に比べて実に二四七%を示すものであるのであります。
各
電気通信局の建設工事の年度
計画額は、ただいまのところ東海三十三億円、近畿四十七億円、四国十九億円と
なつているのでありますが、これによ
つて進められようとする工程のうち、加入電話の増設数を見ますと、東海二万四千、近畿四万一千、四国五千七百と
なつているのでありまして、これをそれぞれの最近における積滞数に照しますると、東海では四〇%、近畿では四五%、四国では五二%の充足率を予定することになるものであります。
電話の整備
拡充につきまして、資金の一部調達の道を債券の引受に求めることは御
承知の
通りでありますが、そのうち、公募以外の
方法によるものの実績といたしましては、七月末現在、東海では
加入者引受一億三百六十万円、地元引受九百五十五万円を、近畿では
加入者引受二億九千五百六十九万円、地元引受三千二百二十八万円を、四国では
加入者引受二百万円、地元引受六千三百二十六万円をそれぞれ記録する
状況でありまして、これは年間目標に対して、東海の場合をとりますと
加入者引受が約二〇%、地元引受が約三〇%に当るものと
なつておるのであります。
次に電話の疏通
状況に移りまして、通話取扱い数の増減を有料市外通話の接続度数に徴しますると、前年に比較して東海二六%、近畿二二%、四国一六%と、いずれも相当の増加を示しているのであります。通話の待合せ時分は漸次短縮して来てはいますが、いわゆる通話完了率を見ますと、東海では八六%ないし九二%、近畿では七六%ないし九一%、四国では八九%ないし九二%と
なつております。
なおここで電話
収入を一瞥しますと、前年に比べて東海では二五%、近畿では二三%、四国では二九%と、それぞれ増加しているのであります。
市外通話の取扱い数に比べて、
電報の取扱い数の前年度比較ははなはだしく劣勢を示すのでありまして、これを有料
電報の発信通数に照しますと、東海では二%、近畿では五%と増加しておりますが、四国では八%の減少と
なつております。もつとも電信
収入としては東海二%、近畿一〇%、四国五%と、それぞれ増加を示しておるのであります。
次に国際電信電話会社大阪支社について申し上げますと、その
事業施設としては、大阪市内に大阪国際
電報局と窓口機関四箇所を配置し、堺市の東方に位する河内送信所と、兵庫県に置かれた小野受信所との無線設備をもちまして、現在インド、インドネシア、フイリピン三方面の
電報送受に当
つているのであります。東京で送受される
通信が大
部分政治、新聞
関係であるのに対し、ここの特色は主として貿易
関係の
通信であることでありまして、その
業務の幅を会社全体から見ますと、取扱い数の点では、四二%、従業員数及び
収入の点では三分の一を占める現況であります。ほかになお国際電話
業務を持つのでありますが、これは取扱い数から見て、全体の一割
程度にすぎないということであります。
次に第二といたしまして、最近の
水害による電気
通信関係の
被害状況及び
復旧状況について申し上げます。近畿
地方におきましては、七月の和歌山県及び奈良県にわたる南近畿の
水害と、八月の奈良県、京都府及び滋賀県にわたる東近畿の
水害と、相次ぐ二回の災害に見舞われたのであります。この二回の
水害において、
局舎の流失四局、電柱の流失三千二百四十三本を初めとして、局内装置、
加入者宅内装置、
線路等の
関係におびただしい
被害をこうむり、これによ
つて市外回線三百六十七回線、電信回線二十四回線、市内電話回線七千二百四十六回線の罹障を来したのでありまして、中でも和歌山県下の罹障率は、市外回線五一%、電信回線四四%、市内電話回線二五%を示したのであります。
この罹障回線の
復旧につきましては、七月の場合では二週間後の七月三十一日までに、市外回線、電信回線の全部と、市内電話回線の九五%を回復させることに
なつたのでありますが、市内電話回線で残る未
復旧分は、
加入者住宅の
復旧と関連してやむを得ず保留されているものであります。もつともこの
被害通信施設の本
復旧となりますと、現在のところ、奈良県については十二月末までに、和歌山県内については明年三月末までに、それぞれ完了することに予定しているのでありまして、
所要経費の総額二億五百六十万円余、ほかに宿舎等付属
施設の
復旧費約三千万円と見込まれるのであります。
また八月の場合では、市外回線及び電信回線は五日後の八月二十日までに全部開通され、市内電話回線は十日後の八月二十五日までにその六六%が回復に至つたのでありまして、未
復旧の市内電話回線三四%は、大
部分局舎の
被害に関連して開通が遅れるものでありますが、そのうち一部の回復は八月二十九日までに完了を予定されている
状況であつたのであります。なおこの東近畿の本
復旧までの所要額は、三千八百九十万円余と見積られるのであります。
近畿
地方のこの二回の災害に際し、職員の死亡二人、和歌山県箕島
電報電話局
施設課員山崎勝君、京都府伏見電話局女子職員田辺正子君を出したのでありまして、まことにお気の毒にたえない次第であります。
東海
地方におきましては、八月の三重県上野地区に生じた
水害であります。市外回線四十八回線、国際ケーブルの浸水二箇所四十回線、市内電話回線二百回線がこれによ
つて羅障したのでありますが、市外回線及び国際ケーブルは二日後の八月十七日には全部仮
復旧に至り、市内電話回線は一週間後の八月二十二日までにすべて仮
復旧を遂げたのであります。これらの仮
復旧に次いで予定される第二次の手当を通じまして、この応急
措置所要経費は六百八十六万円余りと見込まれているのであります。
四国
地方におきましては、七月の高知県及び徳島県の南部、愛媛県の西部の出水でありまして、佐多岬に向う愛媛県西宇和方面で国際ケーブルの浸水二十三箇所、流失二百五十メートル、この
被害額五百十一万円と見積られまするもののほか、愛媛県大洲
電報電話局が回線障害によ
つて約一昼夜の
通信杜絶を来したのであります。
次に第三といたしまして、
有線電気通信法及び
公衆電気通信法の実施
状況について申し上げます。
まず
有線電気通信法について見ますと、私設電信電話の設備の自由が大幅に認められる結果として、
監督行政の膨脹が必至であるとし、鉱業特設電話のごとき設備の多く存在する四国
地方においては、すでにそれが現実の問題と
なつているというのであります。この
監督事務は昨年八月から新たに
地方電波監理局の所掌に加えられたのでありますが、従来これがために格別の
経費の増加も
定員の増加も行われず、今回の有線
法施行に伴い、初めて
全国総額二十三万円の旅費を支出できることとなり、東海
電波監理局のごとき、
管内の私設
線路の
亘長三万三千百五十三キロメートルを有するものに対し、そのうち二万二千円が配分されたという
状況であります。
公衆電気通信法につきましては、その
一つは、一般に多大の関心の持たれる
料金値上げの
影響でありますが、これにつきましては、ただ京都地区において多少の
利用減のきざしが見られるということでありましたが、一般にはまだその
影響として認められるものがないという
状況であつたのであります。
もう
一つは、いわゆるPBXの開放でありますが、これにつきましてはすでに技術基準の認可、
郵政省令の制定公布から、工事担当者認定の段階に進みまして、各
電気通信局において八月三十日、一斉に認定試験執行の手はずが整
つていたのであります。
次に第四といたしまして、
電波管理待政について概況を申し上げたいと存じます。
無線設備は逐年増加の趨勢をたどるのでありまして、近畿
管内のごとき逐年三〇%の増進率を示すのでありますが、
視察地方におけるその現況を概観いたしまして、二、三顕著な事例をあげますと、陸上無線
局合計千百四十九局の三〇%余りが警察用と
なつているのであります。近畿のごときはそれが四三%に上り、しかもその八割までが超
短波設備であり、またそれの半数以上が自動車等の移動設備であります。警察用に次いで最近増加の顕著なものはアマチユア無線局でありまして、東海
地方のごときは現に陸上無線局数の一九%をそれに占められているのであります。船舶内の無線
局合計千百五十八局の大
部分を占めるものとしては、東海、四国いずれも九〇%を越える
漁業用と近畿の海運
事業用七一%があげられるのであります。近畿ではまた
船舶局のうち四分の一は超
短波設備でありますが、さらにその九割四分がレーダー設備と
なつているのであります。航空機の無線局は、現在近畿
管内で免許されたものが三局あるのであります。無線局以外の無線設備といたしまして、いわゆる高周波設備を見ますると、その総数において陸上無線局数をはるかに凌駕するのでありまして、その九八%まで医療用及び工業加熱用と
なつており、残る二%が搬送電話などの有線式
通信設備と
なつているのであります。なおここに差加えて申し上げたいことは、一昨年四月から
監督の対象となりましたいわゆる親子ラジオその他の
有線放送設備でありますが、これまた設備総数として陸上無線局数を上まわる現況でありまして、そのうち最近問題の騒音原因の
一つと
なつておりますいわゆる街頭
放送設備は、多きは東海で八七%、少い方でも四国で六一%を占めているのであります。
電波管理業務につきまして無線設備の検査
状況を見ますと、最近一箇年の検査件数は、前年に比べて七割九分ないし十三割五分の増加を示すものであります。この検査については法定の検査料を徴するのでありますが、それは概して検査実費を下まわるものであるといわれまして、この点について一挿話ではありますが、徴収額中七百円相当の
一つの検査
作業に、車馬賃のみで四千円を要する事例もあるというのであります。
電波の監視
状況を監視部の置かれている近畿の記録に徴しますると、
運用監査の本年度第一・四半期における実績は、前年度同期に比べて執行件数が二割六分を増したにすぎないのに、事故件数が三倍半に上るものであります。同様に見まして、周波数の測定は執行件数が一分七厘を減じたのに、事故件数は五倍を越えることと
なつているのであります。
次に第五といたしましては、
日本放
協会及び
一般放送事業者の
業務の現況であります。
まずその
事業用無線設備を見ますると、その総数として東海三十一、近畿四十三、四国十五、合計八十九に上るのでありますが、そのうちラジオの標準
放送局としては、東海に
NHKが十局、民間
放送が中部
日本放送、静岡
放送の二局、近畿に
NHKが十一局、民間
放送が新
日本放送、朝日
放送、京都
放送、神戸
放送の四局、四国に
NHKが十三局、民間
放送が四国
放送一局、合計四十一局と
なつているのであります。すなわちその他の四十八局は
NHKの名古屋、大阪におけるテレビジヨンの実用化試験
放送関係のものと、
NHK及び各
放送事業者の
業務運営に必要な各種の
無線通信設備と
なつているのであります。
ラジオの
利用を聴取者の
普及率から見ますと、東海で七三%、近畿で六九%、四国で五〇%を示すのでありまして、
全国平均普及率の六四%に比べて、その
程度をトし得るのであります。四国のごときは実に
全国最低位にあるのでありまして、愛媛県においては県内に五つの
放送局があるにかかわらず、なお
普及率は四四%にとどまるのであります。その主要原因が難聴
地域の広いことにありとすれば、それの克服に適する電力、周波数等の要件がはなはだ重視される次第であります。
放送局の再免許に伴う新周波数による
放送と
なつて、聴取状態の悪化を来した
地域も少くないようでありまして、
NHKの多くの第二
放送及び京都、高知の第一
放送、民間
放送の四国
放送と、それぞれの聴取区域についてこの訴えが聞かれたのでありますが、一例を香川県にとりますと、高松
放送局の昼間聴区域は多少の広がりを示したのでありますが、岡山
放送局の聴取区域と
なつている
地域は、その第一について二〇%、第二
放送について五〇%、それぞれ縮小を来したというのでありまして、学校
放送の受信勧奨等によ
つて、四国
管内随一の五七%という
普及率を上げていた県内ラジオ
利用状況に、大打撃をこうむることと
なつたというのであります。なお姫路市付近が再免許に漏れた
NHK放送局の廃止により不良聴の度を加え、伊豆方面、ことに伊東付近でも聴取状態の不良化を来したということであります。
なお今回の周波数の変更に伴いまして、ラジオ京都及びラジオ神戸の各送信所付近の多数聴取者の
NHK放送の受信に、混信
妨害を生ずることに
なつたのでありますが、
NHKが
指導に努め、
防止装置のとりつけ等を勧奨し、その結果ようやく苦情の申出も減少して参つたということであります。なお混信
妨害の実例として、モスクワ
放送がラジオ神戸に、沖繩所在のVOA
放送が
NHKの八幡浜を
妨害するものがあるのであります。
受信状態に関連して、
無線通信一般に及ぶきわめて重大な受信障害の問題があるのでありますが、特にあまねく
全国に
普及するラジオ
放送、これより
普及をはかるべきテレビ
放送の受信については、ことにそれが深刻であるのであります。受信障害の原因のおもなるものとして、電力
施設、電車線、家庭用電気機器、螢光燈、自動車、高周波ミシン、ウエルダー等があげられるのでありますが、東海、近畿両
管内におきましては、かねて受信障害対策協議会を
結成して、これが対策の樹立に努めているのでありますが、最近関西電力の二十七万ボルト新北陸送電線から発するコロナ雑音の
防止対策につきまして、
NHK、電力会社、
電波監理局が共同の
調査研究の結果、近く障害除去の具体的
措置を施し得る運びと
なつたということであります。
次に
放送番組の編成
状況でありますが、ラジオ
放送につきまして、
NHKの名古屋、大阪両中央
放送局の最近の実績を見ますと、
放送延べ時間一日平均約三十五時間中、ローカル番組が四時間ないし五時間、ローカル番組内容の時間比率は、報道
関係約五〇%、教養約二〇%、慰安、娯楽約三〇%と
なつているのであります。民間
放送の東海、近畿両
管内の各局について見ますと、
放送時間は一日平均十六時間半から十八時間、番組内容の時間比率は、報道二五%から二七%、教養一一%から一六%、慰安、娯楽五五%から六〇%、スポツト広告が〇・三%から九%という大体の
状況でありまして、そのうちで商業番組の占める割合は、静岡
放送の六六%を最高とし、神戸
放送の二九%を最低とし、平均して四九%と
なつているのであります。
テレビ
放送につきましては、現在名古屋に五百ワツト、大阪に五キロワツトの電力による
NHKの実用化試験
放送があるだけでありますが、これによりまして現在名古屋では週三回、大阪では週二回、いずれも二時間ずつ、マイクロエーブ中継設備を通じ、東京から中継して
放送するほか、名古屋では週二回一時間ずつ、大阪では週二回三時間ずつのローカル
放送を実施しております。なお大阪におきましては移動テレビ設備をつくりまして、最近構成されました東京への上り中継装置を通じて、中継
放送の送り出しもできるように
なつております。民間のテレビ
放送といたしましては、現に名古屋及び大阪において
計画されるものがありまして、いずれも着々具体化されている模様であります。
次に第六として、最近の
水害に対処いたしました各種無線局の活動
状況について申し上げます。
放送の受信契約者の罹災に伴いまして、受信機の
被害数は、近畿では、七月に九千七百八十、八月に一万一千九百四十、東海では八月に九百七十五に上つたのであります。
NHKではこれが対策といたしまして、和歌山及び京都にラジオ災害対策
委員会を設け、応急
措置を講じたのであります。まず罹災者のおもなる避難所に電池式受信機をとりつけ、次いで電源の
復旧につれてこの避難所受信装置を増加し、罹災者の
放送受信に便じたのでありますが、続いて家庭受信機の回復につきまして、ラジオ商組合と共同して、各地で受信機の巡回修理を行い、また受信機の月賦販売のあつせん等を行つたのであります。なお受信料免除の処理も進められたのでありまして、その件数は合計九千五百余りと現に見込まれるものであります。
放送番組に災害
状況、
復旧状況の報道を初め、それに
関係ある各般の
放送事項の盛られたことは申すまでもありませんが、大阪中央
放送局では、当時
放送記者を現地に派遣し、また移動無線装置のラジオ・カーを出動させるなどによ
つて、その取材活動に努めたということであります。
通信の非常連絡につきまして、災害地中心に移動無線を配置して、
通信杜絶に対応する応急
措置がとられたのでありますが、これによ
つて電電
公社は、公衆
電報約一万三千通を疏通し、国家
地方警察は、警察事務用五百通、一般重要
通信百通を疏通し、国鉄では
事業用
電報三千通を疏通したのであります。
東近畿の場合におきましては、国警無線及び
地方建設局の無線が同様に非常連絡に当つたのでありますが、国警の無線活動は、八月の三重県の場合にも発揮され、七月の場合に木曽川水系に展開したその警戒活動は、当時相並んで行われました
地方建設局無線の活動とともに、きわめて高く評価されるものであります。なおまた国警の移動無線が、七月の出水に際して愛媛県の大洲に出動して、
通信杜絶の救済に当つたことも注目に値するものであります。
そのほかに、近畿
地方超
短波非常
無線通信協議会の構成メンバーの各移動無線が、南近畿の場合に、十日間にわた
つて現地の
通信連絡に当つた活動成果の没すべからざるものがあるのであります。この超
短波非常
無線通信協議会と申しますものは、近畿
管内、特に大阪付近に蝟集する超
短波無線の免許人を糾合して、非常連絡、混信対策、相互誘導防暑の除去、試験連絡、訓練の実施等の
目的をも
つて、大阪市警視庁総務部長を会長として組織されたものでありまして、ほかに電電
公社、国警、国鉄、気象、
地方建設局、海上保安庁等によ
つて結成された非常
無線通信協議会というものがありますが、それとは別個に存在するものであります。すなわち非常時に備えたこの用意が、今回現実の災害に直面して成果を上げることと
なつたのであります。
以上各般の
状況について申し上げましたが、これを結びまして、以下簡単に列挙いたしまする立法上、行政上または
業務上の
改善方策についての希望または意見があるのであります。
第一は、
有線電気通信法及び
公衆電気通信法に関連するものでありまして、その一として、鉄道、軌道、水防、電気、消防等の事務用私設有線設備についても、届出をさせる必要があるというものであります。その二は、公衆電気
通信に関する
監督事務を、
地方電波監理局に分掌させるようにと希望するものであります。その三は、公衆
通信通信業務の
郵政省に対する包括的
委託に関する意見でありまして、各地に欝勃たるものでありますが、それは
郵政省に支払う
経費の算定上、総合的原価計算を一層
合理化するの要があること、及び特定
郵便局の取扱いに関する協力
郵政局の
監督について、
公社側の
指導力を介入させる必要があることの二点についてであります。その四は、
公社の
拡充計画の遂行について、
地方の要望、地元の協力をくんで建設工程を進められるようにと、特に
地方中小都市における希望であります。そのうち高松市の負担によ
つて、すでに敷地も確定している高松電話
局舎の建設を
促進すること、香川県の多度津、観音寺方面及び高知県の窪川、中村方面における
市外線のケーブル化、松山電話局の度数制実施については、今回特に地元の熱烈な要望があつたのであります。
第二は、
電波法に関連するものでありまして、その一は、
無線通信の障害
防止について、相当具体的の規定を設ける必要があるという意見でありまして、
さきに申し述べましたような障害原因にかんがみ、ことに最近大阪で国家
地方警察の無線設備が、周囲の高周波ミシンによる受信障害に耐えかねて、移転を余儀なくされたというような実例に照して抱かれるものであります。その二は、周波数の割当、
放送局の開設免許に関する基本
方針確立の要望でありまして、少くとも見通しの可能な将来において、混信または受信状態の不良化を来すおそれのないように、確固たる
方針の樹立を強く要請するものであります。その三は、高周波設備に対する行政
措置について、受信障害防遏等の線を一層強く張る必要があるという意見でありまして、すでに発電機の装置にインダストリアル・テレビジヨンの設備が付属する等の
現状にかんがみ、
通信面、工業面双方の
電波利用の共栄をはかり得るように、割当周波数の適否に関する
調査研究を遂げ、高周波設備に対するその割当
方針を立てることを必要とするものであります。その四は、
電波監視機構の
拡充を必要とする意見でありますが、それは東海、四国の両監理局にも監視部を置き、各監視部の超
短波監視と不法
電波監視の
施設を
拡充強化することによりまして、あるいは国家警察等において、不法
電波監視
施設を
計画するというような、効果的にも、経済的にも不利な
事態を避けることと、不法
無線通信の跳梁、
漁業無線通信の乱脈を
防止するため、PR活動の強化を提唱するものであります。
第三は、
放送法に関連するものでありまして、その一は、
放送法の根本的全面改訂を主張する、主として民間側の意見であります。その二は、
放送事業の
監督方法の
拡充に関する意見でありまして、番組編集の上に全聴取者の意向を公平に反映させる方途についての実質的規定、及び
事業者から
報告を徴し得る規定を管理行政上必要とするというものであります。その三は、
放送事業者の相互協力態勢に関する、主として
NHK地方当局者の希望でありまして、
協会の
施設放送局の良聴
地域に混信地帯を生ずるような新規の民間
放送が
開始された場合、従来
協会はその救済について聴取者の理解を求め、技術的助言を与え、善後
措置に努めて来たのであるが、最近民間
放送局開設の趨勢では、かような混信
地域が拡大されることにもなるので、この点に関する民間
放送側の協力が望まれるというのであります。これにつきまして付言いたしますが、テレビ
放送につきまして、今回大阪においては、新
日本放送と朝日
放送との共同
計画が開かれ、名古屋においては、
NHKと中部
日本放送との一部共同の
計画が聞かれたのでありまして、まことにうるわしい態勢と思われたのであります。その四は、
NHKの
施設、
経営に関する
地方の要望でありまして、姫路の
放送局設置、高松、徳島の第二
放送開始、高知の出力増加、彦根のローカル
放送開始、大阪テレビ
放送の時間延長等であります。このうちテレビ
放送に関する要望は、特にメーカー側の声として聞かれたのであります。ちなみにテレビ受像機の製作
状況に関して一言申し添えますと、当時大阪における松下電器
産業を
視察したのでありますが、目下同社の月産は百五十台に上り、七インチ球八万九千五百円、十七インチ球二十三万円といい、さらに九インチ球を十万円
程度で出したい希望であるといわれ、テレビ・パーツは、ブラウン管以外はすべて国産であら、ブラウン管は国産品より輸入品の方が四割方経済的であるということであります。
最後に今回
視察の経験を通じまして、当
委員会に対する私の希望を
一つ申し上げたいのであります。
それは端的に申しまして、
派遣委員の
調査には、今後現場実査の予定を多分に取入れて
計画する必要があると考えられることであります。
派遣委員は予定日数の制約があります
関係上、普遍的に各
地域に及ぶ
調査をいたすためには、勢い概括的聴聞方式による場合が多くなるのでありますが、電気
通信、
電波管理のごとき、その基礎が日進月歩の科学技術の上に築かれ、しかも関連の分野、
影響の範囲が広汎であり、またそれぞれの
利用形態も多種多様にわたる対象につきましては、個々目標を特定し、これに対する具体的
視察が一層効果的であると思われるのであります。
調査の対象として、
電波関係の
施設について考えましても、
通信用にあ
つては、周波数の一波は警察力の一個中隊に匹敵し、銀行
業務において月額二十余万円と評価され、その
普及、
利用は、国土の防衛、水、火難の救済を初め、各般の生産活動の
合理化、経済化の上に緊要な要件とされるのでありますが、さらに工業用に至りますと、その応用
目的の拡大に半
つて、資源的にもきわめて重視されることになるのでありまして、
電波力は実にその偉力において原子力と並ぶものと称されるに至
つておるのであります。すなわちかような
調査対象に関する対策樹立について、この私の希望する
調査方式は、実に
派遣委員の
使命の重きに任ずるゆえんであると考えられるのでありますが、もとよりこのことは常任
委員会としてわが電気
通信委員会の特異性に基くものであり、さかのぼ
つては当
委員会の存在の意義理由の重大性から発するものと信ずるのでありますかから、かたがた
委員長並びに
委員各位の御批判を仰ぎたいと存ずる次第であります。
これをも
つて私の
報告を終りたいと存じます。