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小笠委員 私はただいまの
中小企業安定法第二十九条の発動要請に対する
首藤委員の質問に対する岡田長官の
答弁につきまして、一応重ねてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。書類が三件出て、一生懸命に検討中であるが、その検討の要点は、法第二十九条に規定する諸条件が充足されているかどうかという点において
調査研究中である、国の内外、特に国外の情勢等も達観をして
考えなければならぬ、こういう
お話があ
つたのでありまするが、私が申し上げるまでもなく、第二十九条の要件の前に、法第二条によ
つて指定された場合——明らかに需給の均衡が破れ、または破れんとする場合においてのみ業種の指定があるのであります。需給の均衡が破れ、あるいは
合理化的努力によ
つてこれが回復できない場合に、初めて指定業種として政令によ
つて指定されることになる。従いまして一条ないし第二条によ
つて指定されたということは、すでに需給の均衡が破れ、みずからの力によ
つてはその需給の均衡を回復することが困難であることを立証いたしておるものであります。従いまして第二十九条発動の要件は、第二十九条に規定いたしておりまする
通り、第二十九条第一項第一号及び第二号の条件を充足するかどうかということであると思うのであります。しかして第一項第一号に規定いたしておりまするものは、アウトサイダーの活動が盛んになることによ
つて当該業種の需給調整を阻害しているかどうかということであります。この点は、すでに申請をいたしておりますタオルの例、あるいはその他の例において、明らかに員外者の跋扈を来さんとする事実を立証いたしておると思うのであります。はたしてしかりとすれば、第一号は当然に充足されておると見るべきであると私は思います。しかして第二号の問題も同様なことで、自己の自主的な活動においてその需給調整の目的を達し得ない場合と
考えたいのであります。この両号の条件の充足を
考えまするとき、私は、判断の問題はしかく時日を要する問題ではないと思うのであります。先ほど
政務次官及び企業庁長官の
答弁のままに受取るといたしまするならば、ここにお願いいたしたいことは、すみやかに
結論を出していただくことであると思うのであります。従いまして、先ほどの長官の国内及び国外における情勢をも勘案しという条件はいらないのでありまして、単に当該業種に関する情勢並びに
調整組合の内外におきまする実情の
調査で十分に要件は充足し得るものと私は
考えるのであります。従いまして、私は詳しくは申しませんが、
法律の条章の読み方について、ぜひそういうふうに問題をしぼ
つてお
考えを願うことが大事であると私は思うのであります。
私は第二の問題としてここにお願い申し上げておきたいと思うのは、法定の要件を充足するやいなやの現実の認定は、あくまでも二定す二は四であるというふうには出て参りません。真に
中小企業の状態あるいは当該特定業種の状態をいかに導いて行くかという気持が先であります。気持がはつきりその方向に向わなければ、二定す二のごとく簡単に判断することはできない性質のものであるがゆえに、
結論もなかなかむずかしいと思うのであります。私はその
意味におきまして、通産当局、特に幹部の方々が、
中小企業の安定のために、いな
日本の国の経済自立の中に占める
中小企業の位置という
見地から、ここにたくさんの
調整組合が、今や岐路に立
つておるという現実を、同情的かつ理解的にお
考えにな
つて判断されんことを切に望むものであります。私は昨日
通産大臣とこの問題について
話合いをいたしたのでありますが、ぜひそういうふうにお願いいたしたいのであります。
さらに、これに関連して、背後の
考え方として、通産当局は
日本の国における
中小企業問題が、今日のごとき人口過剰の状懸から見まするとき、
日本の企業はいよいよ零細化され、いよいよ過剰になる傾向にあることは否定できないのであります。この際において、そういう事態に処する
中小企業対策の基本は、自由なる競争に放任してはたして
中小企業の安定ができるとお
考えにな
つておられるかどうか。今日
中小企業の中における競争は、不公正な競争にまで行
つておるのではないか。いわゆる公正な競争の場を提供するために、まずある程度外部よりの統制的支援を必要とするものと私は
考えるのでありますが、これらの点にいかなるお
考えを持
つておられるであろうか。私は
中小企業対策に関する基本的な考慮の問題として、通産当局の深い御同情と、はつきりした
答弁を伺いたいと思うのであります。
さらに、私は第三点として、お願いであり、また私の希望でありますが、第二十九条発動を困難ならしめておるいろいろの原因があると思う。それは、今日まで終戦直後の物資不足の状況において、統制経済から自由競争への形で今日まで動いて参
つたのであります。従いまして、今日の
産業政策の基本は、あくまでも自由競争を基調としております。かかる事態から、この
中小企業安定法第二十九条のいわゆる員外命令を出した場合に、一波は万波を呼び、すべてのものが統制的体系に入
つて来るかをおそれておられるのではないかと思うのであります。私は古いことはいざ知らず、大正十四年に施行されました工業組合法その他の組合法制におきます第八条のいわゆる員外強制命令を出した過去の事実にかんがみましても、私は必ずしも一波は万波を呼ばないと
考えるのであります。ここに特にあるはつきりとしたもの、特に必要
最小限度の二十九条の命令は、その程度において終るものと思うのであります。さらに阻害する原因として、役所内部の問題、あるいは経費が足りない、あるいは事務機構が整備されておらないという問題もあろうかと
考えるのでございますが、これらの問題は、できるだけ私どもも協力して整備にかかるといたしましても、それは枝葉の問題であります。真に
中小企業の安定確立のために必要と
考えたならば、まず経済政策の確立としてのいわゆる員外統制の
態度を明確に示されることが何よりも必要であると
考えるのであります。
さらに、これは非常に立ち入
つた話で、立法府が行
政府の中のことについて申し上げるようでまことに恐縮でありますが、この二十九条の命令発動は、
消費者及び関連
産業に対する影響が相当あることもまた事実であります、この事実をできるだけ弊害を少くする
意味におきまして、事務のとり方について統制的かつ計画的な体制をぜひお願い申し上げたいと私は
考えるのであります。
以上、簡単に今日の
中小企業安定法の行方、いな
中小企業の岐路に立
つておる
現状にかんがみまして、私は以上お願いと私の疑問の一点を申し述べた次第であります。