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1953-11-07 第17回国会 衆議院 通商産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午後二時八分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君    理事 首藤 新八君       小笠 公韶君    小川 平二君       土倉 宗明君    山手 滿男君       加藤 清二君    齋木 重一君       松前 重義君    山口シヅエ君       始関 伊平君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  記内 角一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      吉岡千代三君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      森  誓夫君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         中小企業金融公         庫理事     中野 哲夫君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月六日  委員久保田豊辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員小金義照君、濱田幸雄君、帆足計君及び中  崎敏辞任につき、その補欠として小笠公韶君、  荒舩清十郎君、勝間田清一君、及び松前重義君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員松前重義辞任につき、その補欠として中  崎敏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出の件  電気事業に関する件  中小企業に関する件  貿易に関する件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず閉会中の審査申出の件についてお諮りいたします。先日、硫安に関する法案等閉会中審査申出の件について一応決定いたしましたが、さらに前国会より継続審査となつておりまする、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案山手滿男君外十一名提出も、閉会審査事件とされたい旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本日は、まず電気事業に関する件について調査を進めます。質疑通告がありまするからこれを許します。福田一君。
  5. 福田一

    福田(一)委員 私は電気の問題のうちで、電源開発についてでございますが、これは昨年電源開発促進法ができましたときにも一応議題になつたのでありますけれども、当時はそこまで踏み込んで考えて行く余裕もなかつたといつてよいのでありますけれども、当時電源開発をもう少しやらなければならない、それをやる主体になるものは電源開発株式会社、それから九つ電力会社、それに自家発電、それから公共団体、こう四つくらいの主体があるが、これらのものをして全能力をあげて電源開発を促進しない限りにおいては、日本の動力問題は解決することができないであろうという見地から、実は強力な電源開発促進に関する意見が、国会の内外に彌漫いたしまして、その結果として電源開発促進法が通過したような実情にあるのであります。ところが、その中でも自家発の問題につきましては、私は通産省としては、別の意味で非常に重大であると思いますことは、自家発というのは、御承知のように合理化見地において、それぞれの産業が自分の工場に直結する発電所をつくるということでありまして、通産省産業合理化という点を強調されておる面から言いますと、この意味でも特に保護を与え、あるいは助成をする、値打があるものであると私は考えておるのであります。ところが現実にその後自家発は、いろいろの資金的な意味の無理があるにかかわらず、非常な努力をいたしまして、発電計画を順次遂行いたしておる状況でありまして、今までに相当量発電計画を推進いたしましたが、今後においても、まだ相当量自家発をやつて行きたいということを考えておるのであります。若干技術的な問題になるのでありますが、これは通産省のお方はよくおわかりになると思いますけれども、実はこの自家発の場合と電力会社の場合とを比較してみますと、電力会社開発銀行あたりから社債を借り受けました場合においては、その償還期限は、三十年くらいというような非常に長期であります。ところが自家発の場合においては、開発銀行が半分、市中銀行が半分というような協調融資の形になつてはおるが、償還期限が非常に短かいというようなことになつておりますために、電気コストに及ぼす影響が非常にきついのでありまして、発電原価は非常に高くなるのであります。これは非常な矛盾である。国家として電源開発を促進するということについては、総理大臣以下大蔵大臣通産大臣、歴代の大臣がみな賛成をいたしておる。しかもあらゆる機関を動員して、電源開発会社も、九つ電力会社も、自家発も、公共団体も、いずれに対しても、とにかく電源開発をさせなければいかぬ、こう言つておるにもかかわらず、自家発の場合においては、九つ電力会社とは、その資金繰りの面において、めんどうの見方が非常に悪いということは、私は非常に矛盾があるのではないかと考える。おそらく通産省においてもその点は気がついておいでになつたであろうと思いますが、あるいはわかつてつて今日まで放置されておつたかもしれませんが、自家発の借りました資金について、開発銀行あたりから借りた金を返す場合において、何らか適当な、期限を延長するというような措置についてお考えを持つておられるかどうか。この点について通産省態度を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 古池信三

    古池政府委員 昨年電源開発促進法が通過いたしまして、これに基きまして電源開発株式会社も成立を見、また自家用あるいは公営等電源開発が着々進んでおりますことについては、ただいまお説の通りでございます。また目下のわが国現状からいいましても、電気エネルギーをすみやかに増強して、それによつて産業の進展をはかり、また国民生活を向上すべきことも、お話通りだと存じます。従いまして、通産省といたしましても、その線に沿つて極力尽力をいたして参つておるのであります。いかなる地点電源開発会社開発をし、またいかなる地点を他の電力会社なりあるいは自家用発電施設として開発するかというような具体的な問題につきましては、御承知のように電源開発調整審議会において慎重審議の上決定することになつておるのであります。そこで電源開発会社なりあるいは一般電力会社開発をいたしまする発電施設自家用として開発されます発電施設との間に、どういうような共通点があり、どういう違いがあるかということにつきまして、ごく大きな点を申し上げてみますならば、何といいましても、一般供給の用に供します電源開発会社あるいは電力会社施設は、公共的な性質が非常に多いとされておるのであります。従いまして、その収入はもつぱら電気料金収入によるわけでありまして、その電気料金に対しましては、国は相当深い監督をしておるわけでございます。従つてきわめて堅実なる事業の運営が確保し得るだけの経費と適正なる利潤は認めますけれども、その限度において料金というものは常にチエツクしておるわけでございます。従つてこれらの設備のために調達いたしました資金償還という問題も、当然電気料金収入からまかなわれるわけでありますので、できる限り利率も低く、また償還期限も長くいたしたいという関係で、現状のようなわけになつて参つておるのであります。そこで自家用施設といたされましても、発電設備のように、きわめて厖大なる資金を投入して、しかもその設備自体耐用命数というものはきわめて長く、長期にわたつて巨額の資本を固定せねばならぬということにおいては、電気事業発電設備自家用発電設備もそこに何らの差はないと存じます。そういうようなわけでありますので、自家用発電設備に対しても、できる限り事業用発電設備に準じた取扱いをしてもらうことが望ましいのであります。問題はその償還する原資がどういうところに使われておるかというところも一つ理由にはなるかと存じますが、たとえば開銀あたりから出ております資金利率について見ますと、現在は事業用の場合も自家用の場合も同一であるように承知しております。違つておりますのは、償還の年限が事業用に比して自家用が短かいということであります。この点はできる限り長い方が、自家用事業を経営される面からいつても楽であり、またそれが一般産業コストにも影響して来るわけでありますので、なるべく長期償還期限を延ばされることをわれわれとしても希望しておるようなわけであります。従つて問題は開銀経理内容等によつて、また銀行としての方針もございましようから、そういう点も十分に重視せねばならぬと考えますけれども、われわれの立場から申しますれば、なるべく利率の低い、しかも長期資金発電施設のために投ぜられるということはきわめて好ましいものと考えておる次第であります。
  7. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの政務次官の御説明によりまして、通産省としてのお考えは一応はつきりいたしたのでありまして、私はその方針については大賛成でございますから、その方針を実現していただければそれでよいと思うのであります。実はこの問題については非常に詳しいデータもありますし、こまかい数字もあるのでありますが、それを申し上げておるとあまり長くなりますので、これは省略するつもりで一般論を申し上げたんでありますが、実を申しますと、自家発の場合は三年すえ置いてから八年の間に返還する、こういうことになつております。ところが電気事業でありますと、五年すえ置いて二十五年間に返還するというのでありまして、結局において一方は三年から十一年の間にどうしても返してしまわなければならない。一方は三十年間で返せばいいということになつて、三倍くらい償還期限が長いのであります。これは私非常に問題だと思うのであります。これを原価の方で割つて行きますと、実はこの電気事業者と同じ並に三十年間で返してよろしいということになりますと、電気の一キロワツトに対する単価は一円八十六銭くらいに、山元でつく形になつておると思うのであります。ところが三年から十一年に返さなければならないということになりますと、三円九銭から八円十八銭、一番早く返すということになると八円幾らというような非常に高いものになりまして、これは火力電気の一番高い値段よりまだ高くなるのではないかというほど値段が違つて来る。このように電気値段が上りますと、せつかく自家発をつくりましても、はたしてそれが合理化に役立つか非常に疑わしいのであります。これは非常に何か不合理があるのでありまして、むしろあるいは電源開発促進法の中に、自家発やあるいは電力会社に使わした資金についても適当な恩典を与えるという一項を、今から考えますと差し入れておいた方がよかつたのではないか。あれをさえ入れておけばこういう問題はなくて済んだのではないかと思いますが、いまさらそういうことを言つてみてもしかたがありませんけれども、とにかくこういう事情でありまして、発電された一キロワツト単価も二倍から三倍くらいになる。もつとひどく考えれば四倍以上にもなるというような場合が起るのであります。電気事業者の場合と自家発をやつておる場合とにおきましては、電気事業者資本実体、それから自家発をやつておる会社資本実体というものは相違しております。従つてこれは借金でありますから、借金は返さねばならない。そうすればそういう資本の充実しておるものについての考え方というものと、それから充実しておらないというか、事業内容が違つておるためから来る返還期限の相違というものは、これはわれわれもよく認め得るのでありますが、しかし今言つたよう電源開発をやるという精神からいえばこれは一貫したものだと思う。この見地からいいますと、片方は十年間でどうしても返さなければならぬ、片方は三十年で返せばいいというのは、いかにも差がひど過ぎるという印象を私は受けるのでありまして、この点は私は、銀行局長おいでになるようでありますが、時間もありませんからしいて答弁を求めませんが、通産省の方でこの事情をよくお考え願い、公益事業局あるいは企業局等でひとつよく検討を願いまして、そして大蔵当局十分打合せをされたい。私は金利の問題も申し上げたいのですが、これはいろいろさしさわりもありますから、最小限この償還期限の問題については適当なる措置を講じていただきたいことを特に御依頼をいたしまして、私の発言を終らせていただきます。
  8. 古池信三

    古池政府委員 ただいまの最後福田さんのお話につきましては、私どもといたしましても十分大蔵省と打合せをいたしまして、できる限り御期待に沿うような線に努力いたしたいと考えます。
  9. 大西禎夫

  10. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は公益事業局の方に聞きたいのですが、電気周波数を変更しようという考え方を持つているようであります。すなわち六十サイクルを五十サイクル統一をしようというようなお考え、その方針をもつて施設の整理に当つているというようなことでございます。それは政府方針としてそれを行つているか、それとも政府が強制をして会社責任においてそれを行わしめているか。陳情がたくさん来ておりまして、たとえば茨城県の炭鉱からも陳情書がたくさん来ております。これらに対して、どちらからそういうような統一をしようという考え方を持つてしているかということを明らかにしていただきたい。
  11. 森誓夫

    森説明員 周波数統一につきましては、地域によりまして政府考え方がかわつていると申していいかと思います。すなわち九州地域におきまして大体六十サイクル統一しようとしているのですが、炭坑地帯その他重要な施設に大量に五十サイクルの系統が残つている、こういう場合にはこのサイクル統一をすることが国家的に重要性を持つているという意味で、国としてもある程度の負担をいたしまして、この推進をはかるように努めております。それからただいまお話のありましたようなその他の地域で小規模の周波数の不統一があつて、それを整理しようということにつきましては、政府がこれを強制しようということはただいま考えておりません。これは需用家電気事業者と相互の納得づくで円滑に推進できることを期待しておりまして、強く政府の側でこれを推進して行くということはただいまのところ考えておりません。従つてこれらについては国家負担を増すということもただいまのところ考えておりません。大体そういう、問題の重要度に応じまして二つの態度でもつて進んでいるようなわけであります。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると政府考え方としては、たとえばサイクル統一ということは全国一つ統一をしようという考え方ではなくて、五電気会社がある、その一つ一つにおいての統一を自主的にやらして行こうというお考えでありますか。
  13. 古池信三

    古池政府委員 御承知通りと存じますが、わが国電気サイクルは、かつて非常に複雑であつたのでありますが、漸次整理されて参りましてただいまではおよそ本州中部の富士川を境といたしまして、東はほとんど五十サイクルにまとまつております。それから西はほとんど六十サイクルにまとまつているのであります。ただ例外といたしまして、九州は、九州自体の東と西とによつてサイクルがかわつているのであります。九州の東部が五十サイクルで西部が六十サイクルとなつているわけであります。北海道におきましても少しばかり六十サイクルのところがございましたが、これは全部五十サイクル統一になつておるのでございます。関東の平地方が五十と六十とが入り組んでおります。そういうような関係上、政府といたしましては、かつてそのために調査会を設けまして、それぞれ専門の学者あるいは技術者事業の方の経験者等を網羅して結論を得たのであります。その結論によりますと、大体全国を一本にするよりも、むしろ東は五十サイクル、西は六十サイクルということに統一するのが日本現状からよかろうという結論になつておりまするので、政府もそれに従いまして、大体今申しましたようなことにしたいと考えております。そこで九州におきましては六十と五十とが相当いずれも多かつたのでありますが、漸次六十サイクル統一する方針に進んで参つて、もうあと一息ということになつております。これに比べますると、常磐地方は、電力としても九州よりもごく少いのでございます。従つてただいま次長から申し上げましたように、常磐の方は、大体事業者需用家の方のお話合いによつてきめられることにまかせたい。九州の方は多少この際国の力もできるだけ応援をして六十に統一するように進んで行きたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私はその目的には賛成でございます。しかし九州の面だけに対して昭和二十四年の閣議決定によつてその保護政策をとつておる。今日今になつてこれを統一しようというお考えのもとに、これらの炭鉱人たちが、この陳情書にもある通り、今それだけの金を醵出して入れることは非常に困るというわけでございます。しかし統一しようという考え方の根本は政府にあるということになれば、政府としてもこれらに対してもう少し考えを起さなければならないのではないだろうか。従つて消費者のみの負担においてこれを行わせるということは非常な不合理が生まれて来はしないか。九州方面の方々と、常磐、すなわち平なら平という部分的な面、そこは非常に少いから、それをお前たち会社でもつてやれということは、少しこの辺の人たちだけに冷た過ぎはしないかというように考えます。しかしそこで公益事業局としてはこういう問題に対してどういうようなあつせんをしておるか、それを承りたいのでございます。
  15. 森誓夫

    森説明員 需用者電気事業者話合いによつて周波数統一を進めて行く面につきましては、最近に至つて常磐地方一つトラブルが初めて提起されたのであります。それまでは大して問題らしいものも聞いておりません。需用家側も十分納得されて、今日まで周波数統一を遂行せられて来たのでありますが、最近トラブルがあつたようでございますが、こういうものに対しましては、われわれも電気事業者によく話をいたしまして、需用家負担を強要することのないようによく戒めておりまするし、また何か需用家に対してためになるようなことが、会社の力でできるならばやるようにということも話合つたりしておるわけでございまして、両方話合いで進めて行くことでございますので、政府としてもあまり強くどうこうということはいたしておりません。ただ需用家側にみだりに独占企業の地位を濫用しまして強制することは強く戒めておるのでございます。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 電気は五分割されたからといつて、五つの会社のものではありません。八千五百万国民のものでございます。こういうような観点に立つて、またわれわれが行う政治の上に立つて、八千五百万にひとしく政治の力がより以上よく、また国民一人一人をよりよい生活をさせるために行わなければならないことと同じこと、そういう点についてこの地方鉱山業者だけがその負担をするようにということで今持ちかけているようでございます。そもそもその発端が東電としては支店長みずからが、何とかこれはお互いに紳士的の協約をしようではないかということで始まつたそうでございます。従つて前にもやつた人もさかのぼつて同じような取扱いをして行くというようなことで、東電はあたたかい気持でいたそうです。そうすると、たまたま一箇月後の四月になりまして、東電、東北電力仙台公益事業部長、東京の公益事業部長の四者が飯坂温泉寄つて飯坂会談があつた以後というものは、非常に冷酷な態度にかわつて来て、全部消費者が持てということにかわつて来ているそうでございます。これを次長は御存じかうかど明らかにしていただきたい。
  17. 森誓夫

    森説明員 常磐地方周波数統一を実行するために、通産局が指導的立場に立ちまして、需用家負担においてこれを遂行するという方針を強行しているということは、私は聞いておりません。そういうことは何かの誤解ではないかと思いますが、われわれとしてはもしそういうことがありとすれば、これはただちに改めるべきものであると考えております。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 東電吉原地区に対する負担はどういうような経緯で紳士的な協定が成立したか、あなたは御承知だと思う。しかもそういうふうに東電がおれの方もやるから、あなたの方もお互いに紳士的にやつて行こうというときにあたつて、しかも四者が会談をした後に一変したということは許しがたい問題だと思う。こういうような点等もございますので、あえて私が云々というわけではないのですが、要はこの問題がすみやかに解決がつけばよいのである。しかもあなたの方は公益事業ということが一番先に頭文字になつている。公益とは何ぞやという点もよく御承知だと思うのでありまして、こういうような観点からあなたのところでもう一段と中に入つて両者ともこれをスムーズに解決するようにやつていただきたい。われわれがここに持つて来て事を争う問題ではないと思います。でありますから、今日あなたにおいで願つた理由は、あなた方のお力によつて両者が最初に話合つたように、紳士的にやつて行こうではないか、話合おうではないかという線にもどしてやるように、御協力をお願い申し上げたいと思うのでございます。
  19. 大西禎夫

    大西委員長 次に中小企業に関する件について調査を進めます。質疑通告がありますから、これを許します。首藤新八君。
  20. 首藤新八

    首藤委員 私は中小企業安定法並びに中小企業金融公庫交易問題等につきまして責任ある答弁を願いたいという考え方から、大臣政務次官並びに繊維局長中小企業庁長官の御出席をお願いしたのでありますが、大臣繊維局長がお見えになつておりませんが、御出席になりますかどうか、その点をまず伺いたい。
  21. 大西禎夫

    大西委員長 お答えします。大臣は今参議院の関係で出にくいそうであります。それから繊維局長はまだ来ていないそうであります。
  22. 首藤新八

    首藤委員 それではやむを得ません。今国会はきよう限りでありますから、政務次官中小企業庁長官がお見えになつておりますので責任のある答弁をお願いしておきたいと思います。  そこで、私は去る九月十三日の当委員会におきまして、金融公庫の問題に関連して、最後中小企業安定法の問題について中小企業庁長官に御質問いたしたのであります。その趣旨は、昨年の安定法がきわめて不完全であつた。率直に申して、仏つくつて魂を入れないというような非常に欠陥の多いものであつたにもかかわらず、中小企業者は当面の経営が非常に困難になつておりまする関係上、おぼれる者はわらをもつかむという考え方で、あの不完全なる法案でもなおかつ多少でも安定しはせぬかという希望と期待から、十数種の産業で八十何ぼの調整組合が設立された。そうしてそれぞれ減産——少くともあの法律で許される限りのことはやつたのでありますが、かんじんな増設あるいは新設あるいは法的根拠がある減産方法が決定していない関係上、かえつてこれがためにアウトサイダーの続出を来し、安定が不安定になつて来て、このままどうしても放任できないという急迫した事態に立ち至りましたがゆえに、本年の十六国会におきまして、ようやく新設あるいは増設を抑制いたしますとともに、アウトサイダーの進出に対しましてもまたこれを抑制する、また法的根拠をもつて減産もできるように、ようやく完全な法案ができましたので、関係中小企業者は心から喜んで、一日も早くこれを実行いたしたいという考え方で、それぞれ調整規程並びに第二十九条の命令に必要とする書類を出してあるのでありますが、一向にかんじんの命令が発せられないということで、先月の十三日の委員会で長官に対して、これらの書類が出た場合に躊躇なく命令を出してもらいたい、出すべきである、そうして一方において金融公庫からの金融を円滑にいたし、一方においてはこの種の計画経済を遂行いたし、両方相まつて、不安定な日本の中小工業の安定と堅実な発展を促すべきであるということを申し上げたのであります。それに対して長官は、タオルだけは完全な書類が出ておるが、マツチの方は不完全であるから、今その書類を返してある、いずれにしても書類が完備した以上はすみやかに御希望に応ずるという答弁をいただいたのであります。しかるに、爾来すでに一箇月を経過したにもかかわらず、いまだどの調整組合に対しても一つも二十九条の発動の命令が出ていないのであります。しかもすでに歳末を控えて金融はいよいよ梗塞して来ており、現在これら調整組合は現実に赤字の経営をいたしておるが、早晩調整命令が出て、そして業界は安定するであろうという唯一の期待から、無理に無理を重ねた経営を実は続けているのでありまして、このまま現在のような、さような命令を出さずに放任いたした場合どういう事態になるか、この点を考えますと、われわれは日本経済のためにまことに慄然たらざるを得ないような気持がいたしているのであります。そこで、本日はその後の状態がどうなつているのか、そしてこの問題に対して通産省はどういう考えを持つているのかという点をここではつきり御答弁願いたいと思うのであります。
  23. 岡田秀男

    ○岡田説明員 調整組合に関連いたしましての御質問に関してお答えを申し上げます。  調整組合の中で二十九条によりまする命令を出してほしいという趣旨の申請が出ておりますのは、タオル、マツチと、その後輸出絹、人絹の機械染色の三つでございます。われわれといたしましては、このアウトサイダー命令を出します場合におきまして、二十九条に書いてありまするような具体的な条件というものがこれらの業種につきまして現実に満足させられるような状況になつているかどうかということの判定を、各種の資料によりまして検討を加えているのでございます。業界からのお話は、いろいろと材料をもつて、一日もすみやかにこの二十九条によりまする命令を出すようにということでございます。二十九条の条文を読んでみますと、この二十九条の命令を発動いたしますのには、国内ないし国外を通じまして、全般の経済状況をよくにらみ合せまして、二十九条命令を出しませんと、その当該産業及びその関連産業の存立に対しまして非常に重大なる悪影響があつて、それを除去することができないという非常に重大なる場合においてのみ出すようにという趣旨がございます。われわれといたしましても、一方におきましては、当該業種の調整組合の方々の事情を十分尊重いたしまするとともに、二十九条の命令を出しますることによつて、国内その他に与えます影響等をよくにらみ合せまして、双方かね合いの点もございますので、今マツチにつきましては軽工業局、その他のものにつきましては繊維局と、ほとんど毎日のように資料の検討、情勢の判断に努力いたしているのでございます。漫然と日を送りますことは、非常に無責任でございますし、また業界の方々に対しましても不親切でございますので、いずれにいたしましても、早目に結論を出しますように、目下係の者を督励いたしている状況でございます。
  24. 首藤新八

    首藤委員 漫然と日を送るのでなく、その業界の実情がその発動を非常に必要とするほど不況になつているかどうか、あるいはまた関連産業にどういう影響を及ぼすものかどうかというような御調査に時間を費しているということであります。それも一応私は了承できるのでありますけれども、すでに安定法の要望が昨年来いかに強かつたか、そして日本の全般的な経済界がどういうふうな状態に置かれているか、さらにまた八十幾つ設立しておりますところの調整組合のそれぞれの業界でこの二箇年の間にどれだけの倒産者が出たか、また事実上いかに赤字経営をしているかということは、さように日時を要しなくてもそういう真相ははつきりつかみ得るのではないか。それにもかかわらず、さようにいたずらに日にちを在荷長くかけるということは、これは見方によれば、怠慢と申し上げても私は弁解の余地はないのじやないかと思うのであります。特に私が奇怪に思いますことは、大資本家の経営であるところの紡績会社、これは終戦後非常な勢いで設備の拡張をやりましたが、昨年来倒産を見るやいなや、あわてふためいて増設の抑制をやつた。そうしてその上に綿花の割当までやつた。それ以上の増設をやつても綿花の割当をやらない。完全な計画性を大資本家の紡績会社には実行いたしておる。同時にまた別個におきまして、造船会社においても、これ以上の会社の新設に対しては、全部運輸大臣がこれを許可することにするというような法案もできておるのであります。大資本家の形態であるかような企業家に対しては、実に間髪を入れず、業者の要望があればただちに適当な対策を講ずる。しかるにひとり中小企業者の血の出るような叫び、しかもそれが二年、三年続けて叫んでおるにもかかわらず、そうしてだれが見ても現在の中小企業の業態がきわめて不況に襲われていることは一点疑う余地がないのでありまして、おそらく長官も他の大企業の営業状態と、中小企業、特に現在調整組合をつくつております産業がいかに不況に襲われておるかということは十二分に御理解がついておると思うのであります。従つて大企業に対してはさような迅速な対策をとり、それ以上に必要に迫られておる中小企業者に対しては、いろいろな口実もつて日を延ばすというようなことはまつたく不公平である、むしろ不可解な態度と見ざるを得ない気持を私は持つておるのであります。そこでただいまも申し上げました通りに、各業界ともほんとうにその二十九条の命令を待ちかねておる。なぜ待ちかねておるかといいますと、先ほど申し上げましたごとく、これを適用することによつて業界が安定するであろうということから、今日まで休業しているもの、あるいはまたやつていないものがこれを新しくやろうというものが続出いたして、時期を失しますれば、せつかくこれを出してもらつても効果が非常に薄くなつて来る。たとえばマツチにいたしましても、昨年来若干の制限をやつた。ところがわずか一年の間に三十何社のアウトサイダーができた。従つて組合員が減産いたしても、それ以上にアウトサイダーが増産するというような事態になつて安定法を適用されなかつた方が現在ではいいのではなかつたかというような状態にもなつておるのであります。けだしこれは経済の原則から見てこういうようになるのがほんとうでありますがゆえに、ここはそういうアウトサイダーが出ないうちに、そう言う業界からの書類が出た場合には、躊躇なくそういう命令を出すべきだということを私は痛感いたして、実は先般もその点を強調してお願いいたしたのでありまするが、今日なおかつ同じ答弁をされることは、きわめて遺憾であります。さようなことに時日を空費することなく、現在出ております三組合はむろん、今後続出するであろうところの書類に対しましても、躊躇なく命令を出すことは当然だと思うのでありまするが、これはひとつ政務次官の方にお伺いいたします。通産省は依然として長官の言われるような態度を堅持するのかどうか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  25. 古池信三

    古池政府委員 通産省といたしましては、大企業であるからどう、中小企業であるからどうというような手心をするような意図は全然ないのであります。いずれもそれぞれ立場こそ異なれ、わが国産業の振興には非常に大きな役割をになつてもらつておるわけでありますから、中小企業の不況を打開して、これを一日もすみやかに楽に発展できるような方向に持つて参りたい、そのために幾らでもできるだけのお手助けをしたいという気持においてはごうも異存はないのであります。従いまして、ただいま中小企業庁長官から答弁いたしまたごとく、いろいろ書類の不備の点だとか、あるいは何しろ中小の企業はきわめて複雑多数でありますので、それらのもろもろの事情調査する上において、若干の時日はやむを得ず必要だろうと思いまするけれども、できるだけすみやかにそういうものをまとめまして、適切なる措置を講ずるようにして参りたいと考えております。
  26. 首藤新八

    首藤委員 さらに私は付言しておきたいと思いますのは、中小企業と言えば即金融、そこでわれもわれももこの二、三年来中小企業の金融問題についてはいろいろ推進して参つたのでありまして、今回の中小企業金融公庫もまたその一環でありまして、この中小企業金融公庫をしてできるだけすみやかに多くの効率を上げるような金融をしてもらいたいということを念願いたしておるのでありますが、この安定法に対する政府態度が、現在のような放任主義をとりますると、せつかく片方で大きな犠牲を払つて金融いたしましても、それがまつたくみぞに捨てるのと同じようなことになつて、何らの効果を示さないのであります。要するに中小企業者の現在の一番の弱点は、計画性が乏しい。そこで売れても売れなくても一定の生産を続けて行く、そこで滞貨がふえる、よつて金融が必要になつて来るでありまして、金融ができなければ投げて行かなければならぬ。金融ができればやはり生産を続けて行く。そうしていたずらに滞貨をふやして、この次に来るべきものは、深刻な投げ売りをやらなければならぬ。そうして倒産するという大体このコースは決定しておるのであります。そこでわれわれはこの乏しい財政資金を出しておるでありますから、できるだけそれを有効に働かせなければならぬ。それには一方においてある程度の計画性を加える。そういたしますればこの公庫の金融が非常に有効に働く、また公庫の金を借りなくても、一般市中の金融業者が安心して金融をするのであります。そこに初めて中小企業者の安定が期待し得るのであります。現在のような状態に放任しておきますれば、幾ら苦心して金融いたしても、それは何も効果が上らない。また同時に市中の金融機関は漸次見放して、この中小企業に対する金融はいよいよ苦しくなつて来て、金融公庫ぐらいの金融ではどうにもならぬ。まさに混乱、危機がやつて来はせぬかというようなことにも相なりまするので、しかも年末を控えておる今日このとさにこそ、かような重要な命令を一日も早く出すべきだというように考えますので、この点は政府におきましてもいろいろ他の用件もたくさんあろうかとは考えますけれども、すみやかにこの問題を優先的に取上げて、多少の欠陥がありましても躊躇なく命令を出していただくという方向に方針をきめていただきたい。これは政務次官から格関係の局に対しましてぜひとも徹底するような御処置をとつていただきたい、かように思うのであります。
  27. 古池信三

    古池政府委員 ただいまの首藤委員からのお話は十分了承いたしまして、努力いたします。
  28. 小笠公韶

    小笠委員 私はただいまの中小企業安定法第二十九条の発動要請に対する首藤委員の質問に対する岡田長官の答弁につきまして、一応重ねてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。書類が三件出て、一生懸命に検討中であるが、その検討の要点は、法第二十九条に規定する諸条件が充足されているかどうかという点において調査研究中である、国の内外、特に国外の情勢等も達観をして考えなければならぬ、こういうお話があつたのでありまするが、私が申し上げるまでもなく、第二十九条の要件の前に、法第二条によつて指定された場合——明らかに需給の均衡が破れ、または破れんとする場合においてのみ業種の指定があるのであります。需給の均衡が破れ、あるいは合理化的努力によつてこれが回復できない場合に、初めて指定業種として政令によつて指定されることになる。従いまして一条ないし第二条によつて指定されたということは、すでに需給の均衡が破れ、みずからの力によつてはその需給の均衡を回復することが困難であることを立証いたしておるものであります。従いまして第二十九条発動の要件は、第二十九条に規定いたしておりまする通り、第二十九条第一項第一号及び第二号の条件を充足するかどうかということであると思うのであります。しかして第一項第一号に規定いたしておりまするものは、アウトサイダーの活動が盛んになることによつて当該業種の需給調整を阻害しているかどうかということであります。この点は、すでに申請をいたしておりますタオルの例、あるいはその他の例において、明らかに員外者の跋扈を来さんとする事実を立証いたしておると思うのであります。はたしてしかりとすれば、第一号は当然に充足されておると見るべきであると私は思います。しかして第二号の問題も同様なことで、自己の自主的な活動においてその需給調整の目的を達し得ない場合と考えたいのであります。この両号の条件の充足を考えまするとき、私は、判断の問題はしかく時日を要する問題ではないと思うのであります。先ほど政務次官及び企業庁長官の答弁のままに受取るといたしまするならば、ここにお願いいたしたいことは、すみやかに結論を出していただくことであると思うのであります。従いまして、先ほどの長官の国内及び国外における情勢をも勘案しという条件はいらないのでありまして、単に当該業種に関する情勢並びに調整組合の内外におきまする実情の調査で十分に要件は充足し得るものと私は考えるのであります。従いまして、私は詳しくは申しませんが、法律の条章の読み方について、ぜひそういうふうに問題をしぼつて考えを願うことが大事であると私は思うのであります。  私は第二の問題としてここにお願い申し上げておきたいと思うのは、法定の要件を充足するやいなやの現実の認定は、あくまでも二定す二は四であるというふうには出て参りません。真に中小企業の状態あるいは当該特定業種の状態をいかに導いて行くかという気持が先であります。気持がはつきりその方向に向わなければ、二定す二のごとく簡単に判断することはできない性質のものであるがゆえに、結論もなかなかむずかしいと思うのであります。私はその意味におきまして、通産当局、特に幹部の方々が、中小企業の安定のために、いな日本の国の経済自立の中に占める中小企業の位置という見地から、ここにたくさんの調整組合が、今や岐路に立つておるという現実を、同情的かつ理解的にお考えになつて判断されんことを切に望むものであります。私は昨日通産大臣とこの問題について話合いをいたしたのでありますが、ぜひそういうふうにお願いいたしたいのであります。  さらに、これに関連して、背後の考え方として、通産当局は日本の国における中小企業問題が、今日のごとき人口過剰の状懸から見まするとき、日本の企業はいよいよ零細化され、いよいよ過剰になる傾向にあることは否定できないのであります。この際において、そういう事態に処する中小企業対策の基本は、自由なる競争に放任してはたして中小企業の安定ができるとお考えになつておられるかどうか。今日中小企業の中における競争は、不公正な競争にまで行つておるのではないか。いわゆる公正な競争の場を提供するために、まずある程度外部よりの統制的支援を必要とするものと私は考えるのでありますが、これらの点にいかなるお考えを持つておられるであろうか。私は中小企業対策に関する基本的な考慮の問題として、通産当局の深い御同情と、はつきりした答弁を伺いたいと思うのであります。  さらに、私は第三点として、お願いであり、また私の希望でありますが、第二十九条発動を困難ならしめておるいろいろの原因があると思う。それは、今日まで終戦直後の物資不足の状況において、統制経済から自由競争への形で今日まで動いて参つたのであります。従いまして、今日の産業政策の基本は、あくまでも自由競争を基調としております。かかる事態から、この中小企業安定法第二十九条のいわゆる員外命令を出した場合に、一波は万波を呼び、すべてのものが統制的体系に入つて来るかをおそれておられるのではないかと思うのであります。私は古いことはいざ知らず、大正十四年に施行されました工業組合法その他の組合法制におきます第八条のいわゆる員外強制命令を出した過去の事実にかんがみましても、私は必ずしも一波は万波を呼ばないと考えるのであります。ここに特にあるはつきりとしたもの、特に必要最小限度の二十九条の命令は、その程度において終るものと思うのであります。さらに阻害する原因として、役所内部の問題、あるいは経費が足りない、あるいは事務機構が整備されておらないという問題もあろうかと考えるのでございますが、これらの問題は、できるだけ私どもも協力して整備にかかるといたしましても、それは枝葉の問題であります。真に中小企業の安定確立のために必要と考えたならば、まず経済政策の確立としてのいわゆる員外統制の態度を明確に示されることが何よりも必要であると考えるのであります。  さらに、これは非常に立ち入つた話で、立法府が行政府の中のことについて申し上げるようでまことに恐縮でありますが、この二十九条の命令発動は、消費者及び関連産業に対する影響が相当あることもまた事実であります、この事実をできるだけ弊害を少くする意味におきまして、事務のとり方について統制的かつ計画的な体制をぜひお願い申し上げたいと私は考えるのであります。  以上、簡単に今日の中小企業安定法の行方、いな中小企業の岐路に立つておる現状にかんがみまして、私は以上お願いと私の疑問の一点を申し述べた次第であります。
  29. 岡田秀男

    ○岡田説明員 御指摘になられました二十九条におきましては、一つの事態が生じた場合という条件の一つといたしまして、二つの場合を想定いたしますとともに、そのような状態を放置しておいては当該業績に関係する産業やその関連産業の存立に重大な影響がある。その悪影響を除去することができないと認めるかということが、もう一つ本文の中にもあるように思うのでありまして、この意味合いは、やはり当該産業のこともさることながら、その当該産業と関連を持ちまする産業に対する関係というふうなことも十分検討を加えた上でやらねばならぬと私は考えるのでございます。ただ二十九条の命令がありますものを死文化いたしまして、漫然と引つばつて行こうというふうな意思は毛頭私どもとしてもありませんし、この中小企業の安定という事柄がわが国の経済の上に非常に重大なる問題であるということも十分承知いたしておりまして、その観点からこの命令を出すべき時期かどうかということの判断をいろいろとやつておるのでございます。ただいまのお話の中にございましたような点は十分われわれのこの検討の上に尊重さしていただきまして、一日も早く結論を出しますように、なお一層の努力を加えて参りたいと思うのでございます。  役所の内部の点の問題につきましては、これは私どもとしても不十分な点はもとよりでございますけれども、さようなことの理由によりましてほんとうに必要な二十九条の発動というものをとやかく動かすということがあつては、これは申訳ないのでございます。役所の内部の点にもし欠陥があるといたしましても、それはわれわれの努力なりまた国会あるいは予算等の面において御援助を願うなりいたしまして、補完をいたして行くということにいたしまして、それあるがゆえにこの必要なる二十九条の命令の発動を遅らす、さようなことをしては相ならぬと私どもは考えておるのでございます。  日本の人口問題が非常にむずかしい問題であり、しかもなお相当大きな比率をもつて人間がふえて行つておる。それと中小企業問題との関連、これは非常にむずかしい、重大なる問題でございます。中小企業の数と人口増加の割合はどうなるかわかりませんけれども、人口増加に伴いまして、非常に中小企業の数がどんどんふえて行くということになりますれば、国内の購買力か、しからずんば輸出が伸びて行くか、要するに日本の経済力が増大するにあらざれば、これを収容しおのおのの中小企業を安定した姿において業を営ましめるということが困難なことは論をまたないのでございます。これらの点につきましては、私どももいろいろと苦労をいたしておるのでございまするが、何分大問題でございまして、政府全体として十分御検討を願いたいと私どもも願つておるところでございます。なお今後ともその辺のことも歩わせまして、中小企業問題の解決の方向へ一段と努力をして参りたいと存ずる次第でございます。
  30. 小笠公韶

    小笠委員 ただいまの政府委員答弁の中で、政府全体としてものを考えるようにしたいというようなこと、これは本問題に関する限り国家の意思は法律として決定いたしておる。要するに発動要件をどう充足しておるかを見るだけでありまして、あくまでも行政府にゆだねられておるのでありますから、すみやかに結論を出していただくよう重ねてお願いを申し上げます。
  31. 首藤新八

    首藤委員 私はその次の質問に移りたいと思います。それは金融公庫の運営の問題であります。先般の委員会で、設備資金並びに設備に関連をする運転資金に限定するということは、法の立法精神に反するから、運転資金設備資金と同様の比重をもつて融資をしてもらいたいということを強く要望いたしたのであります。その後公庫並びに政府におきましてもこの点を御考慮されて、先般運転資金を融資するということが発表されておりまして非常に満足いたしたのであります。しかしながらこの新聞記事を見ますと、限度をおおむね百万円とするということになつてつたかのような記事を見まして、実は驚いたのでありますが、この点はどういうことになつておりますか、内容を詳細に御答弁願いたいと思います。
  32. 岡田秀男

    ○岡田説明員 中小企業金融公庫法が八月一日に公布施行になりまして、九月十一日に店開きをいたしたのでございます。何分その間の日数が非常に短かかつたので、しかも一般中小企業者のこれに対する要望が強かつたものでございますから、多少拙速という非難がありましても、ひとつ早く店開きしようという趣旨から、一応日本開発銀行が従来中小企業向けの店舗として利用しておりました金融機関の窓口をさしあたり利用することになりました。さような関係から、さしあたり、設備資金というものは店舗も慣れておりますし、また公庫におきまして何が設備資金かというふうなことを考えます上にも比較的簡単でございますので、一応設備資金ないしこれに関連するものに限定をいたしまして、しばらく一般長期運転資金に関しましては時間をおかし願いたいという趣旨でおつたのでございます。しかしいろいろと首藤先生等の強いお話もございしますし、一般中小企業者の御要望も日に熾烈でございまして、年末を控えまして一日も早くこの点を解決いたしたいと考えまして、先般長期運転資金の貸出しをいたす方針をきめたような次第でございます。その長期運転資金関係につきまして、百万円という数字を新聞紙上でごらんになりました上での御質問でございますが、何分この長期運転資金と申しますものは非常に需要が多い。そして公庫の持つております資金量の関係から見まして、一応なるべく多数の中小企業者に御利用願いたいということが一方の要請であろうかと思うのでございます。また一方におきまして広く中小企業者に及ぼすにいたしましても、経済的効果のないような点までこれが分割されては、これはまた一方この使命といたしましておもしろくない。いわゆる長期の運転資金といたしましてある程度の経済的効果は持つが、またあるところに集中いたしまして、これを利用し得る中小企業者の数が非常に減るということは避けるという意味から、一応私どもといたしましては目安といたしまして百万円というふうな見当で一応判断をいたしますれば、長期運転資金としてまずまずの経済的効果もあるようである、ある程度の中小企業者にも御利用が願える。しかしそれでどうしてもいかぬというものに対しまして、絶対にこの百万円以上びた一文も貸さぬのだというふうにすることも、これまた行き過ぎであろうと考えますので、大体の目安として百万円というものを標準にして考えたらどうかということにいたしたのであります。私どもの公庫の運用といたしましての最高限度は、協同組合等の例外を除きますれば、一口一千万円ということになつているのでございますが、これを一千万円限度まで全部貸すといたしますれば、百五十億でありますれば、千五百人の方に御融通申し上げればそれで済む。それではいかぬから、全部の方に行き渡るようにやるために、三百万円くらいを一つの目安にして貸したらどうか、こういうふうな衆議院の附帯決議があつたのでございます。設備資金につきましては、三百万円程度という目安で参りませんと、これまたあまりにも経済効果がないということに相なろうかと思うのでございます。長期運転資金につきましては、目安としては多少、それより低目にしておいても経済効果があるのではないか。また需要者の数も多いというふうな関係から、一応の目安としては百万円といたしたのでございます。先ほども申しましたように、個々のケースの実情に応じまして、それを越した金額の必要につきましては、これを考慮するというふうな建前でやつておるようなぐあいでございます。
  33. 首藤新八

    首藤委員 今長官の御答弁を承つて、新聞記事がほんとうであつたということがはつきりして参りました。私はあの新聞記事は誤報だ、多分そのようなことはあるまいという考え方をしておつたのでありますが、今の御答弁を聞いて、実は驚くのほかない気持がいたすのであります。先般も申し上げた通り、現在中小企業の金融の悩みは、設備資金にあらずして運転資金にある、かように断言してもさしつかえないと私は思うのであります。終戦後各企業体とも増産また増産、国内需要に応じて設備だけは実にすみやかに充実いたしたのでございまして、今日の中小企業の苦境は、あまりにも設備が充足し過ぎて生産過剰にあり、その過剰な物資を正当な利潤を獲得せずして販売しなければならぬというところに中小企業の共通的な悩みがあるのであります。しかもこの資金は大部分を設備へ入れてしまつた。そうして運転資金が枯渇をした結果ストツクの長期の手持ちが困難になり、その結果はやみ金融にまで手を広げなければ急場がしのげない。さらにまた物価は終戦直後から二百倍、三百倍に暴騰いたしておる。同時に、中小企業はおおむね個人である。また法人でありましても、個人と同様の内容を有するところの法人であつて、他の大企業と違つて外部から資金を集あることは困難だ。この困難を緩和するのが、公庫をつくつた一つの目的である。私が案文をつくつて昨年の十二月の国会中小企業金融打開の決議案を出したのでありますが、そのつくつた精神は、設備よりもむしろ運転資金に重点を置きたいという考え方であつたのであります。この法案が提案された当時、政府はその点に特に理解ある答弁をされておつたように記憶しておるのであります。そういう関係から、当然今度の融資は、初めから設備と同様に運転資金が融資される、むしろ運転資金に重点を置くであろうと考えておつたにもかかわらず、その期待がまつたくはずれたから先ほどの質問となつたのであります。運転資金を融資することに決定したことはけつこうでありますが、百万円ではあまりにも少な過ぎる。現在の物価、そうして中小企業の金融難の実態等から見て、百万円では焼け石に水、何も効果がないと思うのであります。せつかく融資をいたします以上は、もう少し効果のある融資をしてもらわなければ立法の精神に反して来る。現に零細企業を対象とした国民金融公庫でも二百万円が限度になつているのであります。この二百万円は、そうたくさんは融資されていないと思うのでありますが、とにもかくにも零細企業を対象とした国定金融公庫は二百万円まで融資できる。あるいはこの点について長官は、この法案は千万円まで行けるのだ、ただ目安だという答弁をされるでありましようけれども、一応目安としても百万円ということになれば、代理機関はやはりこの百万円を厳守して、それ以上の要望があつた場合にもなかなかその要望に応じない。過去の事実が明白にそういうことを立証しておるのであります。従つてこの際、運転資金をせつかく融資されるような方法を決定いたしたのでありますから、もう少し実態に即するようにその目安を引上げる、現在の状態から見れば、設備と同様三百万円くらいに引上げても決して多くない。むしろ三百万円くらいに引上げるのが当然ではないかというふうな考えを持つものでありまして、さような融資をすれば資金源が乏しいからということでありますが、私が先般も申し上げた通りに、百五十億の資金源はこれだけでとどまつておるのではなく、明年度の予算あるいはその翌翌年産予算と今後引続いて財政資金中小企業の金融の方に支出してもらいたいという気持を持つておりまするがゆえに、この際いたずらに要求を抑えて、これこれの要求よりほかないというようなことにするよりも、実相の中小企業の要求額を表に出して、そうしてこれに対して資金源はこれよりほかないのだということから、来年度の予算を要求する一つのデータ、一つの根拠をつくる。そういう意味からも、いたずらに中小企業の要求をあえて押えるべきではない、そういう点から考えましても、この際この百万円の目安は三百万円くらいに引上ぐべきだと思うのでありますが、それについてそういうお考えを持つているかどうか、答弁を願いたいと思います。
  34. 岡田秀男

    ○岡田説明員 今私の申しました長期運転資金につきましての一応の窓口に対しまする目安としての百万円は低きに失する、これを三百万円程度に引上げたらどうかということにつきましていろいろとお話を拝聴いたしたのでございます。私どもの方といたしましても、この長期運転資金につきまして、特にこれを小口にしてしまおうという趣旨からやつておるのではないのでございまして、絶対的に百万円が正しい、あるいは三百万円が正しいということも判定がなかなか困難かとも思うのでございますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、来年の三月三十一日までの間に公庫としては一応間断なく業務を続けて行く必要があるということが一つ考え方でございますし、先ほども申しましたように、運転資金に関しましては、需要者の数が非常に多いということがまたもう一つ考えねばならぬ点であろうと思うのであります。そういう点から考えて参りまして、経済効果の上らぬ程度にこれを区切つてはいけない、一応中小企業者の現在の資金状態と申しますか、それに対しまして、一年以上の長期の安定した資金が多いに越したことはございませんけれども、どの程度まで行けば一応の効果があろうかというような点を考えてみたのでありまして、いろいろの点をつきまぜて考えまして、まずまず一応百万円程度の目安で運用して行けば大過がないじやないかという結論に相なつたのでございます。大蔵省の財政金融統計月報等をにらみまして、二百万円未満、五百万円未満、あるいは一千万円未満というようなふうにわけて、各産業におきまするところの流動資産、流動負債の割合等を見て参りますると、かりに流動負債のうちから百万円落ちまして、それが安定した負債にかわるということになれば、かなりの当該会社の業務の安定ということに資し得るような数字も考えられたのでございまして、今の資金量その値いろいろの点から考えますると、百万円程度というものを一応の目安にしておくことはそう悪いことはないのじやないか、そして個々の場合によりまして、三百万円、五百万円というふうに、必要やむを得ざるものはこれを別途扱つて行く、ちようど設備資金に関連いたしまして、一応三百万円というふうな目安をつけてはおりまするけれども、具体的ケースといたしまして、それを越えて一千万円までの資金需要に対しましては、個々のケースといたしまして、処理いたしておりまするのと同様に扱うことによりまして、まずやつて行けるのじやないか、来年度かりにまた私どもは予算要求といたしまして二百億の要求をいたしておるのでございまするか、これは二百億円絶対確保いたしたいと考えておりまするが、幾ら来るかしれませんが、相当の金額が公庫に入つて参り、さらにまた再来年というふうなぐあいに、逐次公庫の資金量がふえて参る、それに伴いまして、また回収金も次々と出て来るというふうなことに相なりますれば、これはまたそのときの情勢に応じまして、逐次この目安というものも引上げて行くということにさしていただきますことが、今の資金量を来年の三月三十一日まで何とか持つて行くということについては妥当な線じやなかろうかというふうに、現在のところ私どもは考えておるのでございます。
  35. 首藤新八

    首藤委員 今の長官の御答弁を承ると、資金源が来ないから、限度を引上げれば、来年の二月、三月は休まなければならぬじやないかという点に非常な重点を置いてお考えのようでありまするが、これがわれわれの考え方と根本的に食い違いがあるのであります。むしろこの際急を要する融資がはかどつて、この資金源がなくなつた、これがために三月、三月を休まなければならぬ、私は休んでも一向さしつかえないと思うのであります。これだけのものを一日も早く適正な融資をやる、そしてそれだけに中小企業の安定に大きな効果を現わしたということでありますならば一日も早く貸して、そしてなくなつたら休む、そしてそのかわりに、これほど需要があるのだからということで、明年度予算をできるだけ多く出してもらう、こういう方向に私は熱意を傾くべきじやないかというふうにも考えるのであります。こういうことに重点を置いた考え方をするよりも、やはり本質問題に重点を置いて、そうして現在の中小商工業者の金融の困難がどの程度であるか、わずか百万円くらいで、それが非常な効果を上げ得るかどうか、これは少し御調査になつたら私ははつきりして来ると思うのであります。こういうお考え方で、もう一回私は御考慮願いたい。特に設備資金の三百万円に対しましては、国会が附帯決議をした中で、三百万円ということは決議しておるのでありまするが、運転資金については何ら立法府としては言及してないのであります。それにもかかわらず、行政の方で百万円程度にきめるということ自体に私は割切れない気持がするのであります。しかしそれはいずれでもいい。要するに本質的に実際実情に合いさえすれば、われわれはそれ以上は申し上げないのであります。ただ百万円では実情に沿わな過ぎるという気持がいたしますから、もう一度本質的な問題にさかのぼつて、実際の状況を調査して、そして再考してもらいたいということを私はお願いしておきたいと思うのであります。  もう一つお伺いしたいのは、先般私は神戸で商工中金の神戸支店に、実は知人から融資を頼まれたので、申し込んだのであります。この前も申し上げたごとく、神戸では神戸銀行あるいはその他の代理貸しが一つもないのであります。商工中金並びに相互無尽、それだけしかないので、実は商工中金に申し込んだところが、商工中金は組合あるいは組合員でなければ、公庫の金も扱えないのだということで、拒絶されたということを言つて来たのでありまするが、これにはやはり商工中金は、従来の商工中金自身の融資先である組合あるいはその組合員でなければいかぬということになつておるかどうか、この点を御答弁願いたいと思います。
  36. 岡田秀男

    ○岡田説明員 前段の百万円の点につきましては、御趣旨十分検討を加えてみたいと思うのでありますが、私たちといたしましても、一応先ほども申し上げましたように、大蔵省の統計等をあたりまして、一応検討は加えたのでございます。商工中金の問題につきましては、商工中金の基本法によりまして、中金の貸し出しそれ自体が、協同組合またはその組合員以外には貸出し業務ができないことに相なつております。公庫の代理店といたしましても、やはりその制限を受ける次第でございます。
  37. 首藤新八

    首藤委員 この問題もわれわれの考え方と相当食い違つて来るのでありまするが、もし商工中金がこの金庫の代理貸しをしながら、やはり対象が組合ないし組合員に限るということになれば、御承知通り、商工中金の自己資金の融資と公庫の融資には金利の開きがあります。当然融資を希望する方は公庫の金額を優先的に希望して来ることは、これはもう議論の余地がないと思うのであります。そういうことになりますれば、公庫の商工中金の代理貸しはスムーズに進行すると思いまするが、それだけ商工中金の融資が逆に減つて行くということになつて来るのではないか。われわれは商工中金も従来の方針通り、ますます融資を続けてもらいたい。同時にプラスして、この金融公庫の融資が完全に運営される、両両相まつて中小企業の融資が一日も早く円滑化するということを心から念願いたしておるものであります。にもかかわらず、商工中金に対してこういうことをいたしますれば、公庫の融資はスムーズに進むけれども、商工中金の融資はストツプする。要するに商工中金の融資が公庫に肩がわりされるということになりますれば、せつかく以上申し上げたような趣旨から公庫をつくりながら、結果においては、中小企業に対する融資が、商工中金の分だけが減つて行くということになりまするので、立法の精神にも相反して来る。従つて商工中金の制度そのものは、従来は組合ないし組合員に限るとなつてつたのでありましようが、この公庫のものは代理貸しでありまするから、この点はもう少し幅広くお考えつて、またそれが法に抵触するならば、この点は修正しても、やはりほかの代理機関同様、一般のものにも融資できるという方向の道を開くことが立法の精神にも合致すると思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えになるかお聞きしたいと思います。
  38. 岡田秀男

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。商工中金が公庫の代理店としての資格におきましては、一年以上五年まで金利一割の金を貸すわけであります。中金それ自体の運用といたしますれば、長期資金でございますれば、年一割三分ということに相なるわけでございます。その間金利の差のあることは御指摘の通りでございます。従いとまして、長期の金を組合ないし組合員が要望いたします場合に、まず公庫の金を貸せというように要望するであろうということも、まさに御指摘の通りであろうと思うのでございます。そうではございますが、公庫の金につきましては、最高一千万円という限度がございます。この最高一千万円と申しますのは組合員に直接貸しの場合でございますが、協同組合につきましても三千万円という限度があるわけでございます。従いまして、それ以上の資金需要がございますれば、中金自体の金を出すということにならねばならぬと思うのであります。最近公庫の代理店になりました以後の中金の状況を押えてみましても、中金に対する資金需要はやはり衰えを見せておらぬのであります。年末の金融に際しましても、昨年は年末金融として大体八十三億程度のものを出しておるのでございますが、今年はそれを相当突破する要望があるということで、中金自体の資金繰りにつきましても、目下私どもの方としていろいろとくふうをこらしておるような状況でございます。この点につきましては、中金もさることながら、たとえば日本興業銀行なんかにつきましても、日本興業銀行長期の貸出しは、年利一割二分が大体の標準に相なつておるように承知いたしておるわけでありますが、公庫の代理店といたしましての日本興業銀行は、やはり一割の金を出すということでございます。これは日本興業銀行に限りませず、信用金庫にいたしましても、信用組合にいたしましても、その他の一般の金融機関に同じ現象が全部伴つておるように考えるのでございます。ちようど国家資本によりますところの金融、中小企業金融公庫もその一つでございまするが、一般市中金融機関の補完的な金融をやるという建前から考えて参りますれば、ちよつとダブりますけれども、その穴埋めという意味合いにおきまして、その辺の運用がうまく行くのではなかろうかというふうに考えておるのであります。中金につきましても、中金本来に定められております自分の領域の範囲内におきまして、公庫の金と自分自身の金とをうまく使いわけていただきますことによりまして、中金が使命といたしておりますところの協同組合の発展を期する、組合員の繁栄をはかるという使命に邁進をしていただくことがやはりよろしいのではないか、かように考えておるのでございます。
  39. 首藤新八

    首藤委員 金利の開きがあつても、やはり商工中金の金融も従来同様伸びて行く、しかしながらこれが事実でありましても、私はこれは決して喜ぶべきことではないと思うのであります。それほど中小企業の金融難が深刻だ。金利というようなことは言つておれない。要するに、商工中金の高金利も伸び、そうして金融公庫も伸びるということに相なりますので、これは両方とも伸びるからといつて安心するのではなく、反面において中小企業者の金融難がいかに深刻であるかということについてさらに再検討を加える必要があると思うのであります。同時に、私が商工中金に対しまして組合員外にも融資の道を開くべしということを申し上げたのは、何といつても、中金は過去十五、六年の中小企業に対する金融の経験を持つものでありまして、中小企業の実態を一番よく知つておる。従つてまた融資の方も他の金融機関よりも最近は迅速になつた。そういう点から考えまして、さらにまた公庫の融資は、組合員と組合員外とかかわらず全中小企業者にあまねく恩典を及ぼすべきであるという趣旨からも、この商工中金の窓口を拡大して、一般の業者にもまた金融のできるような道を開くべきだということを申し上げているのでありますがゆえに、この点も御考慮願いたいと思うのであります。  さらにもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今度の公庫の中に自転車産業の四億というものが入つております。これは前国会で私はしばしば論議をいたしたのでありますが、本年度に限るということで、一応原案のまま通過いたしました。ところが、この自転車産業の四億の融資が十一大銀行に限られておつて、その他の金融機関は扱わない、頼みに行つても拒絶されるということをあちらこちらから陳情して参るのでありますが、この自転車産業に対する四億の融資はどういう方法になつているか、この点をお答え願いたいと思います。
  40. 岡田秀男

    ○岡田説明員 前段の商工中金の問題に関しましては、いろいろとお話がございましたが、私どもの現在の考え方といたしましては、中小企業金融専門の金融機関といたしましては、商工中金もございますし、信用組合、相互銀行等それぞれの金融機関がございまして、それぞれ自分の得意といたしまする分野における中小企業者に対する金融を担当いたしておりますので、今ただちに商工中金の営業分野を拡大いたしまして、協同組合ないしその組合員以外にまでその貸出しを伸ばすことがよろしいかどうかということにつきましては、今のところ私どもといたしましてはよう踏切りをいたさないような現状でございます。せつかくの御意見でございますから、なお十分検討を加えて参りたいと存じます。  なお自転車の問題につきましては、去る第十六国会におきまして首藤委員より強いお話がございました。その趣旨にのつとりまして、これを全然別わくといたしまして、昨年度とまつたく同様の運用をいたすことにいたしているのであります。この四億円の関係におきまして、いかなる金融機関を公庫の代理店にいたすかどうかということにつきましては、所管原局でございます重工業局の車両関係の人々に一任をいたしたのでございます。重工業局の車両課の担当の方におきましては、従来からの関係を研究いたし、また関係業者の方々の御希望その他をしんしやくいたしました結果と思いますが、これこれの金融機関にこの程度のわくをつけてもらいたいということの原案を持つて参りました。それにのつとりまして、私どもといたしましては、公庫のこの四億円に関する限りにおきまする代理店を選定いたしたのでございます。その原案によりますれば、代理店として選定されておりますものは、商工組合中央金庫、大和銀行、三菱銀行日本興業銀行、三和銀行、大阪不動銀行、富士銀行、住友銀行、神戸銀行、東海銀行、帝国銀行ということに相なつております。
  41. 首藤新八

    首藤委員 私はなお質問が三、四点残つておりますが、先般の代理金融機関の問題について至急に決定をいたしたいという御意向のようでございますから、しばらく私の質問を保留いたしまして、この問題に移つていただくことを希望いたします。
  42. 大西禎夫

    大西委員長 この際暫時休憩いたします。     午後三時四十九分休憩      ————◇—————     午後四時十一分開議
  43. 大西禎夫

    大西委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。先般御協議を願いました中小企業金融公庫の問題について、いかがとりはからいましようか。
  44. 福田一

    福田(一)委員 休憩中に理事会を開いて申し合せた事項がありますが、その申合せをこの委員会において確認をしていただくようにしていただきたいと思います。よつてその申合せの内容をこれから朗読をいたします。    申合せ   中小企業金融公庫の代理店について左の通り決定する  一、附帯決議において排除された銀行の代理店指定はこれを認め、但し右銀行は割当てられた資金を真に中小企業金融のために、金融の円滑化に資するよう努力しなければならない。なお右努力に欠くるうらみがある場合には代理店指定を取消すことがある。  二、信用金庫について    信用金庫の代理店は若干数増加することとし、これが選考については資金量の基準によることとするが、あわせて立地条件、地域の特殊性等をも考慮し、地域的な偏差やむらのないように細心の留意をすることとする。  三、信用協同組合について   (イ) さきの附帯決議では信用協同組合について、商工組合中央金庫を経由して公庫の資金を融通するような趣旨にしたが、その後の実情を勘考して直接信用協同組合を代理店に指定するようにすることとした。なおこれが選定については右の信用金庫の場合の趣旨と同様である。   (ロ) 本件はただちに実施する。  四、設備資金にのみ偏重せざること。    代理店の末端においては公庫本来の趣旨を誤解し、設備資金にあらざれば貸出しはせぬかのごとき印象を外部に与えている。これは貸付金の実態把握に便なることが原因の一端と思われるが、かかる傾向は早急に改むべきである。  以上の申合せをすることを私は提議をいたします。
  45. 大西禎夫

    大西委員長 ただいまの福田委員の御意見に対して発言の申出がありますから、順次これを許します。長谷川四郎君。
  46. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ただいま福田君の提案、まことにけつこうではございます。しかしながら中小企業金融公庫は、前国会において法律通過の際は、本院の附帯決議として当分の間大銀行は加えないということになつておるのでありまして、その後大銀行中小企業に対しましてその融資の方法につきましては幾分反省の感もあります。従いましてこの融資額と申しましようか、全融資額のうちの大体一割の程度以内を割当てて、代理店に加える措置をとつていただきたいと思うのであります。なお新規加入でございますので、本年度、たとえば十一月からこれを代理店と認めるとするならば、十一月以後の残額についての割当を確保していただきたいのであります。私はそう希望を申し上げます。どうぞ委員の皆さんにお諮りくださいまして、委員の皆さんといたしましては賛成あらんことをお願い申し上げます。
  47. 大西禎夫

  48. 永井勝次郎

    ○永井委員 ただいま議題となりました申合せ事項に対して苦手の意見と留保条件を付しまして賛成をいたしたいと思うのであります。  第一点は本件を取扱つた委員会の運営についであります。休会中継続審議となつておりました、肥料の法案について審議をすべき旨を公示いたしまして招集した委員会において、議題外のこれらの問題を申合せいたしましたことは違法であると考えますし、議会の営業上非常に失当であるとわれわれは考えるのであります。御承知のように全国的な災害が起つている、また未曽有の冷害、凶作が起つている、また国際的にはMSAの受諾の問題が起つている、こういうようなことで、国内的に見ましても中小商工業者、少くもわが通産常任委員会の担当すべき分野における大きな事件が激発しております。またMSAその他の受諾による産業構造の変貌も予見されるわけでありまして、これら当面の重要な諸問題についての審議は全然無視いたしまして、開会もしなければ議会が召集されても委員会が召集せられない、こういうようなことで中共貿易の問題も何も、この委員会で取上げなければならない問題が坂上げられないで、このようなさまつな申合せ問題に終始しているかのごとき観がありますことは、議会の委員会の運営上私はきわめて遺憾であると考えるのであります。これらのやり方は決して明朗妥当なやり方でありませんから、これらに対しては十分戒心をし、再びかくのごときことのないように希望をいたす次第であります。  第二点は、前回の附帯決議において除外されておりました銀行を新たに代理店指定にあたりましての留保条件、すなわち本公庫が新設せられました趣旨は、既設の金融機関では不十分であり、しかも既設の金融機関では中小企業者は救われないのであるから、その意味において長期資金の貸付として、また中小企業の金融を円滑にするというような趣旨をもつて、この公庫が出発したと考えるのであります。金融機関が公的な性格において運営されているならば、このような特殊の金融機関を新設するの必要はないのであります。日本における金融資本がどのような状態にあるかということは、いまさら私はここで論議する必要はないと思うのであります。今回のこの指定は、決してこれは中小企業関係者の利益をはかるものではなくて、指定を除外せられていた十一大銀行の利盛をはかるものである。この指定によつてかえつて中小企業は逆な結果が生れるものであるとわれわれは考えるのであります。この結果といたしまして、金融支配の産業系列にこの資金が投入されるでありましよう。また財閥コンツエルンの強大をはかるところの一助に役立つことであろうと考えるのであります。こういうような意味におきまして、私は基本的な態度といたしましてはわれわれは反対であります、反対でありますけれども、この委員会の多数の方々がこうすることに賛成であるということでありますから、そこでしばらくこの経過と結果を見ることといたしまして、私はここに本申合せに賛成するにあたりましては、この附帯決議の条件を緩和して、新たに指定する趣旨に反するような取扱いなり結果が現われました場合には、躊躇なくその指定を取消すという留保条件を付しまして、しばらくその経過を見たい、かように考えるわけであります。
  49. 大西禎夫

    大西委員長 加藤清二君。
  50. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は実はこの問題がここへ提起される前に、これをどうするかということについて参考として聞いておきたいことがあつたのです。従いまして、私は討論というよりもむしろ質問なのですけれども、討論の時間だとおつしやるから討論の形をかりて質問をいたしまするので、あとでお答えの必要なところはお答えが願いたい、こう思うわけなのです。
  51. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君、質問なら、討論が済んでからあとで許しますから……。  次に伊藤卯四郎
  52. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ただいま福田委員から提出されました申合せ事項について政府側に明らかにしておかなければならぬ点がございます。二つございますが、一つは先般私が十一大銀行中小企業に対してどのような貸出しをしておるかという資料の提出を要求しておきました。それがいまだありません。たとえばこの問題が本日解決したとしても、資料を提出されることはこれで済んだと考えていただいては困ります。すみやかに提出願います。  それからいま一つは、中小企業金融公庫の金の指定銀行に対する割当のわく、これをひとつ当局の方に考えがあろうと思いますが、どのようなわくをつくつてそれぞれ貸出そうとしておられるのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。  以上の点を政府側から伺いまして私はただいまの申合せ事項に賛成いたします。
  53. 大西禎夫

  54. 首藤新八

    首藤委員 私もただいまの申合せの原案に賛成の意を表したいと思います。むろん十分ではありませんけれども、業務開始早々の現在、明確な資料が乏しいうらみがありますから、一応申合せ事項を実行いたし、そうしてその間に欠陥があればさらに是正するということで、この問題に賛意を表したいと思います。
  55. 大西禎夫

    大西委員長 この問題に関し、政府の発言を許します。岡田説明員。
  56. 岡田秀男

    ○岡田説明員 ただいま伊藤委員からの御質問の点でありますが、各大銀行の大都市並びにその他とわけましての預金と貸出しの一覧表を提出するように御要求がございました。私昨日その一部をお示しいたしたのでございすが、大蔵省の方でプリントをいたしまして提出することに相なつておりましたのが、本日銀行局長に聞きますと、ちよつと手遅れをしておると申しておつたのでございます。たとい国会が済みましたにいたしましても、大至急にお手元へ届きまするようにとりはからいたいと思いますから、御了承を得たいと思います。  それから、かりに従来除外されておりました銀行等がこの公庫の代理店になりました場合に、どの程度のわくを用意しておるかという御質問の点でございますが、現在地方銀行に対しましては、おおむね十八億円程度、相互銀行に対しまして九億五千万円程度、信用金庫に対しましても九億ちよつと——この間百八十ほどの信用金庫が食われましたので、多少端数は違うと思いますが、九億円ちよつと越えるかどうか、大体九億円前後であります。それから商工中金等に十一億円、そういたしますと、この残りの点が新規に追加されようとしておりますものに当てはまるわけでございまして、七億円前後に相なろうかと思うのでございます。
  57. 大西禎夫

    大西委員長 それでは、中小企業金融公庫に関する件の取扱いにつきましては、先ほどの福田君の御発言の通りといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  それでは、次に加藤委員より質疑通告がありまするから、これを許します。加藤清二君。
  59. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 第一番に、今提起されておりまする問題は、窓口を広げよう、こういうことなのです。ところが私は、窓口を広げる前にぜひ承りたいことがあるのです。それは資金源の問題ですけれども、すでに最初百億の資金源の内容を調べました折に、二十数億は商工中金からすでに貸し出されておるものをこの財源とするのだとか、先ほど首藤さんから言われましたように、自転車の方として当然貸さなければならないものが資金源になつている、こういうことだつた。その点は大蔵省関係の人がせつかくそこにおられましたから、私はあのときに質問をやりたかつたのです。けれども、もう帰つてしまつたからしようがないが、その場合に、これでは首をつつて死なければならぬ病人に、薬は与えるけれども、ふとんを引きまくつて来て他に与えるようなものだ、こういうことだから、これは何とかしなければいかぬ、ふやさなければいかぬということで、あとで三十億追加されたということを私は記憶しておりまするが、その窓口をふやす前に、まず絶対量をふやすということを考えなければならぬが、今度のこの水害で九州地方へ十一億、それから東海地方へ七億余、こういうように出されたわけなのですが、それはけつこうなのです。これが多いとか少いとかいうことじやないのですが、その穴埋めがどうなつておるかという問題なのです。それが放任されておるとするならば、またぞろ病人の血をとつて来て新しい病人に与えるということが行われるわけなんです。そこで今度の補正予算に一体それが要求として掲げられておるのか、いないのか。それからまた窓口は今度ふやすことはけつこうですが、来年度の予算は一体どうされようとしておるのか。まずすべてのこの法律を生み、この公庫を育てようとするものは窓口をふやすことよりも絶対量が足りないのだから、三百万貸そうというところを百万のわくをかけなければならぬというようなことで、さつき首藤さんも言われたようですが、量が足りないから、そういうことがあちらにもこちらにも行われるのだ、そこで絶対量をふやすということにまず努力をすべきだと私は思うのです。  そこで窓口が今までどれだけ許されているか、その大体の数、それから今度十一大銀行がこれに追加されたら、その十一大銀行の窓口は一体幾つになるか、これをまず伺いたいと思います。
  60. 岡田秀男

    ○岡田説明員 お答えを申し上げます。現在のところ、公庫として代理店に指定いたしておりまする組合の金融機関の数は三百六十二と相なつております。内訳を申し上げますれば、商工中金並びに農林中金はおのおの一でございます。銀行が六十七、相互銀行が六十六、信用金庫が二百二十、信用組合が七、合計三百六十二ということに相なつております。今度指定をされてもよろしいというふうな御処置をいただきました大銀行関係におきましては十七でございます。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 十一大銀行といえば十一前後のことはわかつておりますが、その窓口が営業を開始しましよう。その数を聞いているのです。
  62. 岡田秀男

    ○岡田説明員 支店まで入れますれば、商工中金にいたしましても約五十ほどございまするし、それからすでに指定済みの六十七の銀行につきましても、これは数千に及ぶのではないかと思います。今度新規に加えます銀行につきましても、的確な数字はわかりませんけれども、千の単位に相なろうかと思います。
  63. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。支店の数は東海銀行だけでも百やそこらじやないのですから……。ところで、そうなりますと、私が非常に心配することは、第一に、東海銀行を許してもらいたいという声が起つて来た理由が、ないところがあり、広い地域で指定されていないところがあつたので、特にその地方で今度水害をこうむりましたところが、窓口が許されてないおかげで、名古屋の方の許された窓口に行きますと、金庫でも組合でも、それは領域が違いますというお答えなんです。それから地方銀行へ行きますと、それは本店が扱つていることで、私の方は、話は承りまするけれども、はい、よろしいということはできません。こういうことなんです。そこでこういうことを解決するには、この間もお話合いが出ておつたようでありますけれども、資本金とか預金というものはある程度少くても、その地方中小企業の方々を相手取つて専門に行つていらつしやるところに小さい窓口を開いてあげるということが、地方の実情に一層即することではないか、こう思うわけであります。十一大銀行のことはどこからどうはつばがかかつたかしらぬけれども、皆さんはたいへん一生懸命におなりになるようですけれども、信用組合や信用金庫にしても、そこへ借りに行く人は決して食い逃げはしない。むしろ食い逃げや焦げつきはおそらく十一大銀行に将来起るのではないかという心配をしている。その実例は開発銀行や、あるいは復金や、見返り資金をごらんになればよくわかる。ところで、地方の方々は近所隣りの顔見知りの人がやつている信用金庫や信用組合で借りた金を焦げつかせて夜逃げをするような人は一人もない。そこでせつかく三百万円と区切つたものを百万円というようにまたこま切れになさるようだつたら、ちようど金額としては適当になつているから、地方末端の中小企業にもよく行き渡るようにしてもらいたいものだ、こう思うわけです。ここに出ました信用組合は全国で七つしか許されていないようでございますが、これは金庫ならば支店も持つているでありましようけれども、組合というものはほとんど支店がないと心得ております。とすると、組合の方は七つだけなんです。従つてこれをもう少しふやす必要があるではないか、こう思うのですが、その点信用組合は政府の金を預託するにはあまりにも信用程度の薄いものばかりだとか、あるいは信用組合を通じて金を借りるようなやつは夜逃げをするようなやつだから、そんなやつには貸されぬというのか、それとも別に原因があるのか、この点七つで十分だとお考えになつているのか、その点をひとつお教え願いたいと思います。
  64. 岡田秀男

    ○岡田説明員 信用金庫なり信用組合なりの数をもう少しふやした方がいいじやないかというお説であります。信用金庫につきましては、先ほども申し上げましたように、二百二十という数字でございまして、なかなか思い切つた指定をいたしておるのでございます。信用金庫につきましても、信用協同組合につきましても、実は同じ目安によりまして選定をいたしたのであります。公庫といたしまして代理店をお願いする以上は、中小企業者の方に十分なサービスが行届きますような仕組みを考えますと同時に、その代理店になりまする金融機関が、ある程度の基礎を持つておるということも、やはり金融の常識として必要であろうかと存ずるのであります。今のところ一応大都会におきましては四億円程度、その他の地方においては二億円というふうな目安によりまして選びましたところ、信用組合としては七つしか選に入らなかつたのであります。実は信用協同組合も最近におきましては、地方公共団体等がかなり力を入れて、これが育成をはかつておりまするので、こういうふうなものも十分利用いたしたいという気はございます。私どもといたしましては、現在においても、非常な早さで内容の充実して行きつつある状況を見ておりまするので、これがごく短期間の間に一定のレベルまで達してくれますることを、むしろ念願いたしておるのでございます。現在の七つというものが次々に伸びてくれることを期待いたしておるのであります。さような状態におきまして、次々とこれを指定して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 一定のレベルとおつしやいますと、三億以上の預金がなければいけない、こういうことでございますか。
  66. 岡田秀男

    ○岡田説明員 現在のところでは、二億円という線を一応引いておるわけでございます。それにもう達するまぎわの協同組合もかなりございます。さような状態になりますれば、逐次これを指定して参りたい。また先ほどのこの委員会の御要望とされましても、地域的な状況等も考慮せよというふうなこともありましたので、さような点も加味いたしまして、今後の代理店の指定ということに進んで参りたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それじや二億と訂正してもいいのですが、目下のところは預金額か二億以上に達していない組合は許すことができない、こういうことでございますか。
  68. 岡田秀男

    ○岡田説明員 先ほども申しましたように、代理店をやつていただきまするのに、金融機関といたしましても、ある程度の内容の充実が望ましいのであります。やはり公庫として金の扱いをまかすわけでございまするから、ある程度の金融的な実力が整備されておることが要望されるのでございます。それの目安といたしまして、一応扱い資金量の関係地方において二億、大都会においては四億というふうな線を引きまして、ある程度機械的にやる以外になかなかやりようがないのでございます。個々の信用組合はどうかということを一々分析するということも困難でございます。さような意味におきまして、まず一応機械的に二億、四億という線で引いておるわけでございます。何もこれは法律上どうこうという問題ではございませんで、われわれの方の業務を敏速に、かつ大過なくやつて行くということを前提方針といたしまして、資金量という点を取上げておるわけであります。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これは意見の相違であればやむを得ませんけれども、内容の充実という言葉でもつてその信用程度を現わしていらつしやるようですが、私は預金が多いから必ずしもその銀行が忠実に仕事をするとは考えない。なぜなれば、開銀や復金や、あの見返り資金を焦げつかしておる相手は一体どういう相手かということをよくお考えになつたら、これはおのずから結論が出て来ると思う。からだが小さいから、預金の額が小さいから、今度の国家資金を焦けつかすということをだれが断定することができましようか。からだが大きくても、店の店舗だけはりつぱでも、焦げつきは幾らでもある。結局焦げつくことが心配だという点で、まあ許したり許されなかつたりということが行われているのだろうと思いますけれども、私はむしろ今度十一大銀行が許されるならば、おそらくそこの方が焦げつきをもつと合理的にやるだろうということをこの際懸念するものであります。なぜなれば不渡手形が月に三万件も発行されておるという点、その発行はほとんど銀行関係なんです。これと肩がわりをするということは当然考えられるのです。現に私は支店長に会つてつておるのです。それからもう一つは、悪いことをするのはやつぱり大きい銀行に多い。今後それを一体どうされるかをお聞きしたいわけなんです。この間もある相互銀行がこれを利用して、自分の店の繁昌をはかるために、預金をしたら貸してあげよう、こういうことを言うのです。きのうの長官のお話では、大金を長年貸すに当つて、きのうきよう窓口に来た者に簡単に貸すわけには行かないという話です。それはごもつともなんですが、実際問題として、借りに行つた場合にそういうことが行われて、せつかくのこの政府の預託金を自分の店の繁昌の道具に使い、過去の金融機関が融資することを困難とした対象に融資するという、その精神が薄くなりつつある。そういうものに対して手を打つに当つて、まあしばらく見よう、まあしばらく見よう、こういうことで行くならば、永井さんがどんな附帯決議をつけたつて、そんなことは一ぺん許したら処理を計したと同じて、もう一ぺんこれを取上げるということはこれはなかなかできることじやない。容易なわざじやない。その折に、一体どういうことをなさろうとするのか。この法の罰則を見ますと、公庫の職員については罰則があるようでございます。ところが、窓口を代行している方々を現に私は知つておるのですが——知つておるから言うのです。この金を貸すと、そのかわりコミツシヨンをどれだけよこせということをはつきり言つておるのです。そういう者に対して一体どうこの罰則を適用なさろうとするのか。この間の長官の答弁では、信用組合などに許すと、法第何条の罰則の適用について疑義があるというお話でございましたが、許してやつて悪いことをあえてやつている連中に対しては一体どうなさろうとするのか。将来またそういうことが起つたならば、一体これをどう取締ろうとなさつていらつしやるのか。公庫の運営をうまくやるのも、あるいはこの公庫の予算を来年からより多く取るにも、こういう欠点をいち早く見抜いて除去されるということが、まず必要なことではないかと思いまするので、お尋ねするわけでございます。
  70. 岡田秀男

    ○岡田説明員 金融機関の資金量、預金量というものは必ずしも金融機関の内容を表現するものではないというお説でございます。そういうような例もなきにしもあらずとは存じますが、預金量が多いということは、またひいては利用者数が多いということにもなろうかと思います。それやこれや考えますと、基準といたしましてなかなかそのよりどころがむずかしいものでございます。現在のところ一応機械的なものさしといたしましては、預金量というものをとる以外に他に方法がないというのでやつておるのでございます。その中におきまして、不都合なる金融機関がございますれば、われわれの資金の割当をしぼる、要すれば代理店を取消すというような方法もございましよう。あるいはまた大蔵省等におきまして銀行検査をやつておりまするし、また公庫におきましても今度の法律によりまして、代理金融機関の方へ参りまして書類その他を調べ、検査をするという権限が与えられております。さような方法によりまして、これが欠陥を是正する努力をいたしますとともに、委託を受けました金融機関の公庫の業務を担当いたします職員というものは、この委託業務に従事する関係におきましては、刑法その他の罰則について、公務に従事する者と同一の取扱いをいたすことに相なつておりまするので、刑法上の罰則がこれに加えられるわけであります。御指摘になりましたように、公庫の金を貸すことによつて、コミツシヨンをとるとかいうふうなことは、まさに代理業務の関係におきまする公務員としての違反行為に相なるわけでありまするから、刑法上、司直の手によつて処断さるべきものであろうと考えるのであります。まあいろいろやりますれば、それぞれ完璧でない点は、いずれの金融機関にもあろうかと思いまするけれども、いろいろわれわれの方といたしましては、この公庫の趣旨の徹底をはかりまして、各代理金融機関をして、公庫のねらいといたしまするところを十分にまず知らしめる、その上におきまして、なお不都合な点がありますれば、逐次、あの手、この手によりましてこれが是正をはかつて行きたいと考えるのであります。大銀行が特に不都合であるというふうな点につきましては、私どもはそれをそうだというふうには存じておらぬのでございますけれども、もしさようなことでございますれば、そのようなことがないような方策は、今申し上げましたような点によりまして是正をして参ることは当然のことであろうと存じます。
  71. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 最後に、国民金融公庫が非常に国民の間で喜ばれておりますが、これの一つの原因というものは、自分の手足を持つておられて、親心が末端にまでよく届いておるという点にあるのじやないかと思うのであります。ところが悲しいことに、生まれたばかりの中小企業金融公庫は手足を持つていない。従つて親心が末端に行くと薄らいで行く。今度の重役さん方が、盛んに説明会やら何やらやつていらつしやるようでございますけれども、それでも、せつかく御努力なさつても、その席へ来た人はわかつてつても、実際に窓口をやつている人はそれ以下の係の人たちなんですから、それらの人たちには徹底を欠くうらみは十分にあると思います。従つて今私の申し上げましたことは、公庫におられる五十七人の人ですか、あるいは岡田さんが悪いわけではなくて、その親心を知らずにやつている末端の代理業者が悪いわけなんであります。それで将来自分の手足を持つようになさるということが一番いい方法ではないかと思います。そこで来年度の予算ですが、私名古屋地方におりまして再々聞くことですが、代理店をこちらにも持つてもらいたいというような声が非常に多いのです。そこで、来年度予算にはどう組まれるか知りませんけれども、せめて大阪とか名古屋くらいには、早急に代理店を持たれるようにすることが、やがて東京でてんてこ舞いをしていらつしやる方々の、まあ過労を救うという意味にもなるんじやないかと思うのです。この際申し上げておきまするが、通産委員会で審議する金額が一千数百億あるのですけれども、ほんとうに中小企業のために与えられるという金は、ほんのわずかのものなんです。そこで少数の大企業の方へ七、八割が行つて国民の経済を担当している七、八割の人数を占める中小企業へは、残りのせいぜい二、三割、と言いたいが、もつと少い程度、この百三十億をとつてみれば、もつと少いわけなんです。来年度は、これは超党派的にできた金庫でございまするし、これの予算をふやすということならば、だれも反対しないだろうと思います。ただ大蔵省がどう言うかということが問題でございましようけれども、来年度の予算には、ぜひこれを十分に盛つて、窓口をふやすこともよろしゆうございますが、まず絶対量をふやすということに御努力が願いたい。そうしてほんとうに金庫のできることを待ちこがれていた人が、金が少いというので断わられて、あてがはずれて困つているという方々にも政府の親心の恵みがたれられるよう、ひとつこの次の予算には御努力が願いたい、こういうことの希望を付しまして、私の質問を終ります。失礼をいたしました。
  72. 大西禎夫

    大西委員長 それでは次に信用保険に関し、齋木委員より発言の通告がありまするから、この際これを許します。齋木重一君。
  73. 齋木重一

    ○齋木委員 中小企業の信用保険法の問題でありますが、まずその前に中小企業金融公庫としても、貸出し条件、担保の条件に対して、不動産その他の資産による担保というのは、どういう定義をもつて担保条件を指定するわけでありますか。長官にひとつ伺います。
  74. 岡田秀男

    ○岡田説明員 私どもの方として、一応担保として考えておりまするのは、財団の関係とか、工場抵当法によりまする抵当の関係、不動産の抵当、船舶、自動車、あるいは鉱業権でありますとか、あるいは機械、電話加入権等を譲渡する形によります譲渡担保でありますとか、あるいは市場性のあります有価証券、公社債、会社株式等を担保にいたします、要するに不動産その他の資産を担保にとつてやりますのは、さようなものを予定いたしておるわけであります。
  75. 齋木重一

    ○齋木委員 中小企業金融公庫であると、いろいろあろうと思いますが、そういうようなものがたくさんあるものが中小企業とか弱小企業とか私は言い得ないと思います。     〔委員長退席、伊藤委員長代理着席〕  それでは中小企業ということの定義は、どういう資産なり、どういう条件なりを持つておるか、またどこまでが中小企業であるかという定義をひとつ伺います。
  76. 岡田秀男

    ○岡田説明員 中小企業の定義と申しまするのは、これはまあ理論的にはなかなか割切れないのでございまするが、現在の法制上におきましては、中小企業等協同組合法等によりましては、工業においては使用人員が三百人以下、商業その他サービス業においては、三十人以下、それだけが中小企業ということになつております。それから中小企業金融公庫法におきましては、それを大体の骨子といたしまして、資本金がやや加味されておりまするが、資本金一千万円以下、これが一つであります。それからまた工業の方におきましては、使用人員三百人以下のもの、サービス業や商業でありますれば三十人以下、それから鉱業の方でありますれば千人以下、つまり主として使用人員というものを標準にいたしまして中小企業というものの定義を便宜上つけておるのが現状でございます。
  77. 齋木重一

    ○齋木委員 これは、以下でありますから、資本金で一千万円以下というと、極端に言うと一円からでもなるわけであります。それから一人使つてもいいということになるのであります。言いかえれば、半分使うわけには行かぬが、一人か二人使つておるという、こういうものにも貸せるかどうかという問題なんです。それだから問うのです。上の方はいいが、下の方は、以下といえば零から出て来るわけなんだから、以下は零から出て行くのが条件かどうかということなんです。
  78. 岡田秀男

    ○岡田説明員 中小企業の定義といたしましては、ただいま申し上げました通りでございますが、これらの中小企業者に対しまして、いかような金融措置をするかと申しますと、国といたしましては、これをいろいろな観点から処理いたしておるのであります。比較的零細な方面に対しましての国家資金の貸出しにつきましては、国民金融公庫という制度をつくりまして、事業資金につきまして申しますれば、甲乙はございますが、二十万円あるいは五十万円というふうな一応の限度をつけまして、それ以下の零細なる事業資金の貸出しに当つておるわけであります。今回問題になつておりまするところの中小企業金融公庫といたしましては、これら国民金融公庫がねらつておりまするような零細なる金融の面よりは、やや上の方を主としてねらう。しかしながら国家の金融機関といたしましては、基幹産業等に貸出しを主とすそ使命を持つております日本開発銀行がございますので、これと国民金融公庫との間にありますような中小企業者を対象といたしまして、国家資金の導入をはかろうということで、中小企業金融公庫ができたような次第になつておるのであります。従いまして先ほど御指摘になりましたごとく、どつちかといえば、規模の零細な方に属します金融は、国民金融公庫が主として担当いたすという仕組みに相なつております。
  79. 齋木重一

    ○齋木委員 国民金融公庫資金中小企業金融公庫と法制上におきまして、幾分趣を異にしておると思います。同一でないと私は存じております。それがゆえに私どもは不動産その他の担保という問題については、今、長官がいろいろな条件の上で名前を列挙されましたが、この法律自体でもう一点お尋ねしたいのは、中小企業信用保険法の保険の問題でございます。福井県等におきましては、昨年以来非常に機業界その他において問題になつて資金面のことについても大運動をやつて一億のわくをゆるめたといつておるのですが、六厘の保険料が高きに失するがゆえに、一億のわくはもらつたが、旧債償還に切りかえるということをしないで、今日までそのまま一億のわくがあるという現状であります。これは保険料六厘が高いからであります。これを引下げるところのお考えはないかどうか。
  80. 岡田秀男

    ○岡田説明員 私どもといたしましても、中小企業向けの信用保険の保険料をなるべく安くいたしたいということの念願においては、決して劣るものではないのでございまするが、信用保険は御存じの通りに特別会計を設置いたしまして、独立採算制によつてこれを運用するという建前に相なつておるのであります。現在のところ信用保険ができましてから、まだ比較的日が浅いのでございまして、さしたるデータの整備がまだ完全にできておらないのでありますが、今までのところ事故率と申しますか、保険にかけました保険事故の発生いたしました率が、約五%程度に相なつておるのでございます。そういたしますると、保険料三%ではうつかりすると特別会計に赤字が出るというふうなおそれのある状況で今動いておるわけであります。それがもう少し長い目で見ました場合に、事故率が三%を割るというふうな情勢に相なりますれば、もう即刻保険料を下げるということが可能に相なるわけであります。私どももさような時期の一日も早からんことを熱望いたしておるのであります。
  81. 齋木重一

    ○齋木委員 早からんことを祈つておると言われますが、昨年あたりから今日まで放任されておるのであります。早からんことではなく、いつごろから引下げられる見通しか、それを伺いたい。
  82. 岡田秀男

    ○岡田説明員 いつごろと申されましても、事故率が下つて来ないとやれないのであります。つまり、特別会計はなんぼ赤字を出しましてもかまわない、一般会計から赤字を埋めるのだとすれば、保険料率はなんぼでもできるのですが、それでは保険という観念は成り立たないのでありまして、保険は特別会計で独立採算をとつております。従つて特別会計の損の面に立ちます保険金の支払いをする率が、保険料より少いということになりますれば、保険料を下げ得ることになります。でございますから、いつからということは申し上げられませんが、この信用保険をやりましてから、そうまだ時間もたつておりません。もうしばらく時間がたつて、安定した事故率が具体的に出て参りまして、それが三%を割るということになれば、それに応じた保険料の引下げをやろう、こういうわけでございますので、いつからというふうなことは、ちよつと今のところ断定いたしかねるのであります。
  83. 齋木重一

    ○齋木委員 次に敦賀の不二越の工場の汚水問題についてお聞きいたしたいのであります。十六国会以来えらくやかましく私どもが言つておるのでありますが、今日監督官庁である通産省としては、不始末をやつておりますこれらに対していかなる処置をおとりになる覚悟であるか、またおとりになつたことがあるかどうか。
  84. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 不二越鉱業の敦賀工場の問題につきましては、前国会において齋木委員から御指摘をいただきました。御承知のようにこの工場は新潟県の大倉鉱山、岐阜県の平金鉱山の鉱石を原料といたしまして、これを焙焼いたしまして、これによつて出ました亜硫酸ガスから硫酸を回収する、こういう設備でございますが、どうも工場を設置いたします際に、硫酸工場という形において設置されましたために、鉱業法並びに鉱山保安法の適用外にある、こういう関係から設備による鉱害の問題につきまして、十分な措置ができなかつたことは、はなはだ遺憾であつたわけであります。しかしながら前国会においてたしかり七月の下旬に御指摘をいただきまして、ただちに鉱山局と私の方と協力いたしまして、その後数回にわたつて監督を加えておりまして、その後におきましては、前国会に御指摘をいただきました煙害の関係は、ほぼ解決を見たように考えておるわけであります。ただただいまお話のございました放排水による魚類等に対する鉱害の問題でございますが、これにつきましては、八月の初めに監督官が参りまして、そのときに十分の中和並びに沈澱の設備をすることを命令しております。なおその際会社側の中和並びに沈澱層の状況は、いわゆる素掘りでございまして、これは堤防を通して排水が川に浸透するおそれがあるという関係から、コンクリートをもつて底を内張りすることを指示しておつたわけでございます。そういたしまして、その工事は九月中に完成する、それで十分に石灰投入等をいたしまして、排水による害のないようにということを指示いたしたのでありますが、その後それによりまして、会社側で工事にかかつたわけでありますが、地盤が予想いたしましたよりも非常に軟弱でございまして、そのためにコンクリート内張りの工事に非常に時日を要しまして、現在におきましては、今月の十五日までに完成する——当初九月末の予定でおりましたのが、約一箇月ばかり延びておるわけでございます。この排水の浸透によつて相当に悪影響を及ぼしたということにつきまして、先月の二十四日に福井県知事から私の方の出先機関であります保安監督部の方に調査方の依頼がございましたので、ただちにその地区を所管いたしまする大阪の保安監督部に工場長の出頭を求めて聞きましたところが、ただいま申し上げました事情で工事の完成が遅れておるということがわかつたわけでございますが、ただいま御指摘のような点もございますので、施設の完成を一層督促すると同時に、このコンクリート工事の完成前におきましても、十分に石灰中和を行いまして、排水による害のないようにということを指示しておる次第でございます。  なおこの点につきましては、一昨日その会社の社長が現地において地元と話合いをいたしまして、排水による鉱害については、敦賀市においてどの程度の損害があつたかということを御査定を願い、その御査定の趣旨に沿つてとりあえず補償等の措置をとり、なおまたこれとあわせて漁業組合側から要望のございましたコンクリートの内張り工事は、責任をもつて今月の十五日までに完成をするということを言つております。同時に大阪の保安監督部におきましても、現状においては今月の十五日までには十分完成し得る見込みであるということを申しておりますので、これが完成いたしますれば、御指摘の点は解決するものと考えておる次第でございます。
  85. 齋木重一

    ○齋木委員 時間もありませんから簡単に申し上げます。先般来からの政府答弁はただその場のがれであります。このことは七月の本委員会において強く要求して、瀘過装置等もさせる、しますというようなことを言うておつたにもかかわりませず、今日までやらない。この濾過装置をせぬばかりに、福井県のあゆの稚魚が全部死滅したというような問題が起きて、今問題になつておるわけです。実際において、監督しているのか監督していないのか、警告を発したのか発していないのか、会社はやる誠意があるのかないのか、今日まで疑わしいのであります。だからもう少し性根を入れてやつていただきたいということを私は強く要求いたします。時間がありませんから、ただいまの局長の説明によつて一応は了承いたしまするけれども、これが完成するまでは、まだまだ私の命がある限り追究いたします。あなたの御答弁に信頼をいたしまして、一応は打切りまするが、それで事が済んだと思うと大いに間違いであることをつけ加えておきます。  それから次は輸入問題で一つあるのです。砂糖の価格が十月以来今日まで非常に暴騰に暴騰を重ねて、年末の需要期に入つて製糖会社なり商人が非常に大もうけをやつておることを当局は御存じであるかどうか、この問題をまずお聞きいたしたいのであります。
  86. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 砂糖の価格が最近若干上向いていることは存じておるのでありますが、これは御存じのように、所管が実は農林省に関係いたしておりますので、できますれば農林省の食糧庁長官なり部長をお呼び願つて十分お聞き願つたらどうかと思います。
  87. 齋木重一

    ○齋木委員 所管外とは存じておりまするけれども、砂糖を輸入するということにおいては、こちらの問題だと私どもは考えておりまするので、それに対する対策としてお考えがあるかどうかをお聞きするのであります。
  88. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 砂糖の輸入は、農林当局とも十分相談をいたしまして、こまかくはなりまするが、大体月間の輸入量七万五千トン、年間にしますと、九十万トンに相なりまするが、それをべースにいたしまして、今の輸入外貨予算を編成いたしているわけであります。この十月から来年三月までの買付け計画として四十六万トン入れる予定になつておりまして、現在まで台湾糖の七号トンをすでに許可したのであります。それから目下申請を受付けておりまするが、近くドルでキユーバ糖を十万トン買うことで目下輸入交渉中でありますので、これも近く割当をいたすことに相なろうかと思つております。あとの残りにつきましても、それに引続きましてやる予定になつております。まだ農林当局からも、この四十六万トンのものを増加するとか、あるいは六箇月間で大体四十六万トンの輸入でございますので、輸入の割当の事務上、これを十月から十二月までと一月から三月までの二期にわけてやつておりますが、来年一—三月に予定しております約二十万トンを繰上げるというふうな問題につきましては、何ら申入れとか相談を受けておりませんので、一応通産省といたしましては、この下期の四十六万トンを普通のベースで実施して行けばいいのではないかと今のところは考えておるわけでありまするが、今御指摘のように、相場が非常に上つておるということでありますれば、一—三月のものを若干繰上げてやる必要があろうかとも思いまするが、それらの点につきましては、農林当局とも十分相談をして善処いたしたいと思います。
  89. 齋木重一

    ○齋木委員 早急にその処置をとつていただかなければ、実際に大製糖会社とか東西市場におきましては、買いあさりとか、売惜しみとかいうようなことで、倉庫には山のごとくに積んである砂糖が出ないのであります。それで市場相場がどんどんと高くなつて、きようはたしか一斤七円から八円くらいは小売相場において高くなつている。ちようど十二月の需要期を目がけまして、非常な利潤追求に大会社が動いておることは、火を見るよりも明らかであります。だから一般小売商人、大衆は非常な迷惑を来しておるのであります。だから急速にこの処置をとつていただきたいことを私どもは強くお願いする次第であります。     〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 松前重義

    松前委員 私は中共貿易についてお尋ねをしたいと思います。しかしその将来の見通しとかいろいろ根本問題については、本日は時間がありませんから省きます。ただ今回向うに渡りまして折衝した結果として、日本における非常に困つた欠陥が生れて来た。その困つた欠陥について、通産省としてどのようなお考えを持つておられるかを承りたいのであります。大体ああいう国営貿易をやつている国は、御承知のようにバーターであります。物々交換の場合においては、向う側としては、国家の建設に重要なる順にこれを並べて甲、乙、丙とわけておる。その甲類に属するものは、大体機械類とか建設関係のものでありますから、わが国としては、バトル法その他によつて政府から輸出禁止にされておるのであります。これによりまして、輸出が困難になつていることは御承知通りであります。このような悪い条件のもとに貿易をしなければならない。でありますから、今回の協定においては、向う側の甲類とこちら側から出す乙類との間にバーターしよう、このようなことを向うで容認してくれたのであります。向うから鉄鉱石やその他の重要物資を出しますときに、これに見返りとして硫安その他を出す、こういうことになりますから、そこに広汎なバーターが行われるのであります。広汎なバーターが行われるとなると、一人か二人の業者では、とうていできません。鉄鋼業界あるいはその他の業界、同業組合がやろうといたしましても、大豆なんか、鉄類を扱つているところではわからないということになつて、一元化された国営貿易機関との貿易は、非常に困難をきわめるのであります。今回もその経験をつぶさになめたのでありますが、このような意味におきまして、少くとも国営貿易をやるような国に対しましては、ある程度一元化されたところの態勢がわが国にととのえられなければ、お互いに業者がかつてなことをやつて、向うと協定をいたしますときに、非常に不信を買つておることを発見いたしたのであります。これは具体的には申し上げかねますが、ある品物を向うから日本に輸入するときに、これは悪いものだからというので断られたものを、悪いといつて断らないで、高くわが国にさばいて、それが品質が悪かつたために非常に不評を買つたというようなことは、貿易を非常に妨げる。どうしてもお互いの間に、完全に一元化されなくても、ある程度一元化されたあつせん機関をつくらなければならないということを、われわれは痛切に感じて帰つたのであります。これに対して政府はどのようなお考えをお持ちであるかを伺いたいのであります。  時間がありませんから全部一括して申し上げます。第二の問題は検査機関の問題であります。国営貿易をやつている国では、検査機関は一元化されております。ところがわが国のようなところでは、同業組合などで検査機関を持つているところもありますし、持つていないところもある。持つていないものが輸出する場合においてはどうするか。この貿易協定の覚書の中において、われわれは昨年数人の方がやられたあの協定の内容では、検査は中国の機関においてやる、日本ではやらぬというふうに書いてあります。それではいかぬというので、日本の港決済というようなことでもつてやるには、どうしても日本側の検査を信頼してもらわなければならぬということで強くつつぱつて、ようやく向うは承認しましたが、向うは日本の状態をよく知つてつて、しからば検査機関はすべてのものに対してありますかと質問されたときに、われわれは答えられなかつたのであります。この問題のために、検査機関のあるものは日本の検査を信頼する。そうして決済をやろう。けれども検査機関のないものはお互いに相談しようじやないかというようなことにせざるを得なかつたのであります。これらに対して、海外貿易の不振をなる現状にかんがみまして、政府はどのような考えを持つておいでになるのであるか。これらに対して通産省として根本的な御施策を持つておられるのであるかどうか、これをお伺いいたしたいのであります。  また中共貿易の場合においては、決済の問題が残ります。わが国銀行は、中共というとなかなか信用しない。私どもが行つて見たその結果によりますれば、十分信頼し得る態勢であるということをここに明言できるのであります。にもかかわらず、日本銀行はなかなか信用しない。この決済の問題が非常に困難であり、また輸出その他の業者に対する融資等も円滑に行かないというようなことで、契約が御破算になつた例がたくさんあるようでございます。このような問題について、通産省は貿易振興の立場から、どのような考え方をしておられるのであるか。これらの三つの問題について御質問申し上げたいと思うのであります。逐条お答えを願います。
  91. 古池信三

    古池政府委員 中共貿易につきましては、いろいろ制限があるのでございますが、先般の国会におきましても、衆参両院におきまして中共との貿易促進に関する決議もなされたのでありますし、また政府といたしましても、事情の許す限り、今後大いに貿易の促進には努力をいたしたいと考えておる次第であります。今回議員の有志の方々が向こうにおいでになりまして、親しく現地の事情を御調査になり、お帰りになつて、ただいまのような御意見を伺うことは、われわれとしても非常に貴重な参考となることと存じます。  そこでお尋ねの第一点でございますが、他の国と違いまして、中共の現在の国情といたしましては、こちらから輸入したいというものに対して段階的な要望が非常にはげしいということはお説の通りであります。また日本から向うへ輸出することのできますものについても、相当な制限があるというようなわけで、中共以外の国との貿易に比較しますと、やり方に非常にむずかしい、きゆうくつな点があることもお説の通りだと存じます。そこでわれわれとしましても、中共貿易に対しては、日本の輸出態勢の整備という見地から、今お話になりましたようなことは十分考えなければならぬと思います。しからばそういうふうな総合的な輸出機関をどういう形において設けるか、これはなかなか一利一害のあるむずかしい問題でありますから、簡単にここで結論を申し上げることはできないと思いますが、まず第一に、実際に輸出の面に当つておられる人たちの意見を十分聞きまして、第一段としては、そういう輸出業者が進んで業種別にそれぞれ組合をつくるなり、何らかの提携の方法をなされば、これが一番簡単に行くだろうと思います。またその際に、国の力をそこに影響させまして、ある程度希望をまとめて行くというようなことが、策として適当であろうというようなことになれば、これも今後考えて参りたいと思つておるのであります。その御趣旨につきましては、われわれも十分了承いたしますが、今日ただいましからば具体的にこういう案を考えておるということを申し上げるまでの段階に至つておりません。  それから第二の検査機関のお話でありますが、これは中共に限らず、どこの国に対しましても、輸出品についてキヤンセルあるいはクレームというものがつくことは、非常に将来に対しまして日本の貿易上不利益でありますので、いろいろな機関については今までも手を打つて来ておりますが、今後とも検査機関の充実については十分努力をして行きたいと考えております。  第三の決済の問題については、直接担当しておりまする通商局の担当官から御説明をいたします。
  92. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 ただいま政務次官から御説明のありました点で若干補足を申し上げますと、検査機関の問題でありますが、なるほど現在輸出取締法に基きましてやつておる検査は、御指摘の通りに全部の分についてはやつていないわけでありますが、現在でも法的な検査をやつていない場合におきましても、海外の事情によりまして、国または権威ある機関の検査証明を必要とするというよう取引は多々あるわけ。ございます。それらの要望に応じまして、現在通産省が所管しておりまする工業品検査所、大体それが担当することになつております。先般調印になりました協定の品目から見ますると、大体は現行の検査機関及び工業品検査所でやれるのではないかというふうに考えております。それから決済の問題あるいは金融の問題になりますが、現在対中共との貿易につきまして特別かわつた決済方式とかあるいは金融制度はございませんけれども、一般的な輸出については輸出貿手制度、それから輸入につきましては輸入貿手制度で大体事足りるのではないかというふうに考えております。これは中共以外の地域についても同様でございます。ただ金融ということになりますと、具体的なその当該業者と銀行との関係でありますので、先ほどもお話のありましたように円滑に行かなかつたという点はございまするが、これは要するに銀行と商社の間の信用問題というか、コマーシヤル・べースに立つてトラブルでありまして、国としてこれを、銀行が貸さないものを貸せという命令もまたいたしかねる実態でありますので、具体的な処理は金融機関と当該業者の信用力の範囲内で処理していただくほかないわけであります。その他の一般的な制度としましては、今申しますように輸出貿手制度と輸入貿手制度で大体できるのではないかと考えておりますし、それから決済につきましても、現地の決済につきましては御承知のように今はポンド建のバーターか、あるいは直輸出入の方法を併用いたしておりますので、この中共貿易に限つて新しい貿手制度を考案するほどの必要はないのではないか、一般的なポンド地域との決済に準じてやればそれで十分ではないかというふうに考えておるわけであります。
  93. 松前重義

    松前委員 この問題はもう少し、通産省ばかりでなく、政府全体の決意を促さなければなりませんけれども、今日は大臣もお見えになりませんので申し上げません。但し甲類、いわゆる協定の中にある甲類物資、相手がほしがつている物資はほとんど輸出禁止になつている。これが別に戦争道具でなくても輸出禁止になつておる。御承知のように中国の建設はこれは日本の建設のぐあいとはまるで違うのであります。日本の何百倍という規模において、たくましい建設をただいまやつている案われわれは見て来ている。その建設に必要なる資材は厖大なものであります。そうしてそれがヨーロツパよりシベリア鉄道を通じて運んで来るということは相当の運賃もいるし、またシベリア鉄道のある程度の輸送力の問題もありましようし、船で持つて来てもたいへんなことであるということでありますので、向うとしては非常に甲類物資を、ことに鉄製品の機械あるいはまだその池の資材を要求いたし、それはまるでのどから手が出るように要求をいたしておるのであります。しかもそれはほとんど水利とか発電所とかの平和建設の問題が多いのであります。このような実情を見て、われわれはこちらから出すものはとにかくつまらぬ道具ばかりであつて、向うから出すものは鉄鉱石や粘結炭とか、いろいろなものを出して来るというようなことでは、まるで話にならぬじやないかというようなことを言つております。同時にまたこちらから出すものによつて価格をかえて来る。おもちやと何かとかいうものならば値段をうんと高くする、こういうような非常によそとかわつたやり方をするのであります。必要に応じての値段の決定でありますので、この辺のところを政府としては十分考えられまして、早くひとつこの機械類、鉄鋼製品類も、平和産業関係するものであるならば輸出を許可するというふうにして、この輸出の不振をを打開する必要があるのではないかというふうにわれわれは痛感して帰つてつたのであります。おそらく議員連盟でもそのような行動が来国会においてとられるであろうとわれわれは信じている。また努力するものでございますが、政府もこの点は十分お考えおき願いたいと思うのであります。検査機関やあるいはまた貿易の何らかの総合的なあつせん機関というようなものは、ただいまの答弁ではどうも満足ができません。ことに検査機関のごときは何かいろいろごちやごちやお話がありましたが、複雑なものではやはり人は了解しない。検査はどうしても人が信用し得る体制をつくつておかなくちやいけません。何だかわれわれも知らないような機関が方々にあるというようなことでは外国人はなお知らない。ことに鉄のカーテンではなお知らない。このようなことでありますので、もう少しわかりやすく、もう少しはつきりした検査機関としての看板をかけ得るようにしてやつてつていただきたいと思うのであります。また統一した中日貿易のあつせん機関のようなものを——民間だけにまかしておきまして、自主的にやれと言うても、今度の貿易協定等においてもややそれらの点でわれわれの心配した面が生れたのでありまして、向うさまもできるだけたくさん今度は持つて帰らせようというようなことを考えておつたようでありますが、いろいろ歩調が合わない点が出て来て、やはりここに何らかあつせん機関が必要である。同時に民間だけにまかしてはなかなかこれができにくい。やはり通産省あたりがあつせん役でも勤めて何らかの方途を講ずる必要があるということを痛切に感じて参つたのであります。もちろん議員連盟等においても当然これらの問題については関心を持ち、推進を惜しまないものでありますが、このようにして通産省はひとつ、共産党の国だからといつて、私は共産党じやありませんけれども、貿易について非常に冷淡であるというような態度がとられると、融資の問題にしても何にしてもおれの知つたことではないとおつしやいますけれども、しかし、その態度は少くともこれに水をかけまして、冷却させるおそれがあるというふうに思います。貿易は思想とは違うのでありますから、これはどんどんやるべきであるとわれわれは信ずるものでありますが、どうかこの点に十分な理解をもつて、早急に次の国会が開かれるまでに何らかの具体的な方途を議員連盟などとも連絡をとられまして、熱心に日本の貿易の振興に努力していただきたいというふうに希望を申し上げます。
  94. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質問がなければ本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会