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1953-11-04 第17回国会 衆議院 通商産業委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 福田  一君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 永井勝次郎君    理事 伊藤卯四郎君 理事 首藤 新八君       小川 平二君    小金 義照君       土倉 宗明君    坪川 信三君       濱田 幸雄君    柳原 三郎君       山手 滿男君    加藤 清二君       齋木 重一君    始関 伊平君       川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         中小企業金融公         庫理事     中野 哲夫君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十月二十七日  委員田中龍夫辞任につき、その補欠として濱  田幸雄君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員下川儀太郎辞任につき、その補欠として  帆足計君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員川上貫一辞任につき、その補欠として久  保田豊君が議長指名委員に選任された。 十一月三日  委員久保田豊辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月二十九日  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (山手滿男君外十一名提出、第十六回国会衆法  第一七号)  硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案  (内閣提出、第十六回国会閣法第一六八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  閉会審査申出の件  通商産業行政に関する説明聴取の件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず閉会審査の件についてお諮りいたします。一、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案、二、電気及びガス事業に関する事項、三、貿易に関する事項、四、中小企業に関する事項、五、鉱業、採石業鉄鋼業繊維工業化学工業機械工業その他一般工業に関する事項について閉会審査をいたしたい旨議長に申し出たいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  4. 大西禎夫

    大西委員長 次に先国会通過成立いたしました中小企業金融公庫法に関し、先ほどの理事会におきまして御協議いたしましたように、次の諸点につき申合せをいたしたいと存じます。今お手元に配布してありまする申合せ事項でございますが、これを委員会申合せ事項といたしたいと存じますが、何か御発言はありませんか。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 議争進行について。今国会は非常に短期間の国会でございます。従つて集中されるところは御承知通り災害の面、凶作の面、こういう面に一切が集中されておつたのであります。振り返つてみてこの災害の始まりはいつか、凶作となつて現われて来たのはいつか、ただこれらは一にかかつて建設農林という問題のみではありますまいと私は思う。衆議院としてこの通産委員会がこれに並行して、中小企業者及び関連する企業に対してどのような手を打たなければならなかつたかというような、最も大きな問題が横たわつていたはずであります。しかるに今日に至るまでこの委員会が開かれなかつたという理由はどこにあつたか。われわれは常にこの委員会には協力をして参つたのであります。協力をして来るということはおのずから日本全国にあるところの企業全体をより以上の水準に持つて行きたいという心がけから、われわれは協力して来ておつたのであります。しかるに今日やつとこの委員会が開かれるというようなことであつては、われわれはこの委員会に対して協力することはできません。なぜならば、それほど委員長みずからが通産という問題に対しての熱がないとするならば、われわれは協力することはできません。この通産というのは、申し上げた通り、どんな大きな基盤を持つか、どんなにわれわれの関連する業者の人たちが悩んでいるか、すなわち参議院においては幾たび委員会が開かれているか、衆議院委員会は不必要と委員長考えるのか。一にかかつて参議院にすべてをゆだねるという御決意なのか、その点がはつきりしなければなりません。従いまして委員長のその決意あるところからまず承つておかなければならない。委員長の御答弁を願います。
  6. 大西禎夫

    大西委員長 お答え申し上げます。今まで委員会を開きませんでしたのは、今長谷川委員からおつしやつたように、本国会災害関係を主とし、建設農林に重点が置かれている救農国会だというような意味から、災害対策委員会に関連を持たれている方々、被害を受けた県の方々、そういう方々が非常に多いものでありまするから、私どもにおきましては一応そういう目安がついてからやるのが、適当であろうというようなことで、何も委員会に対する熱意がないとかいう考えからいたしたのではないのでありまして、どうぞその点御了承願いたいと思います。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 今あなたの御提案の中小企業の問題につきましても、この金融はわずか全部合せて百五十億の金融でしかない。どのくらいの借手があつて、どのくらいのものが分布されているとあなたは思うか。こんなことで今の中小企業者が救われるとあなたはお考えですか。こんな目薬程度のもので双われるものではありません。このくらいの金を出して安易な気持になるということは大きなあやまちがあるのではないか。しかもこれだけの金が出ても、われわれが考えているほど金はちつとも融資されておりません。そういうように物質によつてものが解決つくなんてわれわれは考えない。いかにして日本産業を向上させるかということについてこの委員会があるのでございます。金融なんというものは第二義的なものである。その基礎をどうやつて行くかというのがわれわれの使命であります。こういう点についてもつと委員長熱意を持つて委員会を開いてもらわなければならない。従つて政府委員の各位も、もう少しこの委員会を尊重してもらわなければなりません。あなたはどなたとどなたをきよう呼んでありますか、承ります。
  8. 大西禎夫

  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 もう委員会は始まつています。なるほど順序はあるでしよう。順序はあるが、それに関連する問題もあると思う。出られなかつたら出られないでいいが、その中でだれが出ておるのですか。そういうようなことで議事進行ができると思いますか。たとえば大臣が来ていなかつたら次官ぐらい来ていなければなりません。それが一人も来ていないのじやありませんか。こんなことでどうして開けますか。こんな熱意で、衆議院通産委員会というものはいらないんだ。全部参議院にまかしておけばいいんだというようなお考えならそれでいいかもしれません。しかしわれわれは少くとも衆議院通商産業委員として出ている以上は、それではわれわれの使命を全からしめるわけには参りません。このようなことであなたのおつしやる議事に入ろうという点について私は大いなる疑問を持たなければなりません。しかしあなたが今おつしやる通り通商産業というものは、いろいろな土台骨ができてからその上に乗ればいいんだというようなお考えに私は賛成するわけには参りません。建設農林ともどもにわれわれは並行して、この中に入つて行つて、この三つの中でわれわれが最も優位な立場において解決をつけなければならない問題であつたと私は思う。そういうような点から、これから一応土台骨ができてその上に乗つて行けばいいんだというような考えをもつてこの委員会を開くんだということになりますと、大きなあやまちがあると思う。こういうようなことであつては、私たち使命を全からしめるわけには行かないと私は信じます。よつて委員長がもう少し熱意を持つて、今後委員会運営に当つてくれるというならば、またわれわれもより以上の御協力を申し上げまして、われわれの使命を尽したいと考えます。委員長のはつきりしたお気持をお聞かせください。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 お答え申します。決して私ども熱意に欠けておるわけではないのでありまして、一生懸命熱意を示してやりたいと存じますので、どうぞ御協力を願いたいと思います。
  11. 加藤清二

    加藤(清)委員 議事進行……。ただいま先輩議員長谷川さんから言われまして一生懸命にやるという委員長お話でございますからそれを了承はいたしますけれども、今度の国会が開かれまして農林建設その他各委員会は、予算審議を前に予算に間に会うようにそれぞれの策を練つておられますにもかかわりませず、この通産委員会だけが開かれていない。こうなるとその理由が私にはわからないのでございます。風水害というのはただ農林建設だけで事が足りるものでしようか。あるいは風水害というものが中小企業の屋根の上を吹いて行くことをやめて通つて行つたというのですか。一体その点どのようにお考えになつていらつしやいますか。
  12. 大西禎夫

    大西委員長 今申しました通り予算あるいは法律案が両委員会にかかつておりますし、御承知のように特別委員会に席を持たれております委員もたくさんおりますので、まず緊急な問題の方の処置を先にして、決してこの委員会をなおざりにしたというわけではないのでありまして、片づけるべきものから片づけて行きたいということだけなのでありまして、別にほかに理由はございません。
  13. 加藤清二

    加藤(清)委員 緊急なものから先に片づけて、あとからこちらをやるというお話ですと、こちらには緊急なものがないというようなお考えかしれませんが、愛知県の風水害に関する中小企業の損害だけで五十億余ありますよ。(「委員長はあやまつているじやないか。」と呼ぶ者あり)それはそうですけれども農林建設ともども審議されているというのに、これだけが審議されないのはおかしいと思う。だから尋ねているのですよ。風水害中小企業だけをのけて通つて行つたのか、それならいいですけれども、五十億余も欠損がありますし、これは中小企業だけでなくして大企業でもいまだに風水害のおかげで工場が動いていないのがたくさんありますよ。現にアメリカと契約をした碍子の工場の日碍、伊奈製陶機場も動いておりません。すでに陳情書がわんさと出ているにかかわらず、それに対して何ら相談するどころでなく、予算の方を先に通してしまう。今からそれをやりましようといつたつて、これはまるで死んだ子の年を数えるようなものだ。今からどう審議して、ここの結果をどう持ち込もうというのですか。その覚悟がきまつておりますか。それともこれはほうつておいて、目をおおつて農林建設のおつしやる通り、意のままになろうとされるのか、一体どうなのですか。
  14. 永井勝次郎

    永井委員 しり馬に乗つて言うわけではありませんが、この議会が召集されたときに、私は委員長にさつそく通産委員会を召集して緊急の問題を審議していただきたいということを要求したはずであります。先ほど来の質疑応答を聞きますと、委員長は、この国会の召集された趣旨の救農という緊急の要件をまず片づけてという委員長の独断の考えで、召集したり、しないというようなものの判断をしようとしております。とんでもない間違いであると私は思います。そういう事柄をきめるのにはまず理事会を開いて、この国会における通産委員会運営をいかにすべきかということを理事会で諮つて理事会がそれらの委員会が済んでからというような話合いになれば、そういう取扱いをすべきであつて、これはこうすべきである、あれはこうすべきであるという委員長単独考えによつて委員会というものが左右さるべき性質のものではないと思う。だから委員会運営に対する委員長のものの考え方——これは大西委員長委員会である、おれが召集し、おれの判断で左右するのだという考えはとんでもない間違いだ。だから今後においては委員会運営について民主的な態度を確立すること、そしてすべてけじめをつけて、非公式なものを公式なものと、あるいは話合いのものと、何が何だかわけがわからなく最近なつております。委員会をこういうことでないように、もつと正確に運営をすべきが委員長としての仕事である。委員長はこのいすにすわつて高いところにいるから偉いのではないので、委員会を総括して行く立場なんです。それを間違えてはいかぬ。
  15. 大西禎夫

    大西委員長 よくわかりました。  他に何か御発言はありませんか。——それではこの中小企業金融公庫代理店についての問題は、何か御発言はありませんか。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は、この理事会申合せに対して、出席しなかつたので、とやかく言うわけではありませんが、この条文で見ますと、十一大銀行と称するものが全部復活されるやに見えます。そういうふうに了承してよろしゆうございましようか。それとも東海だとか、大和だとか、あるいは神戸だとか、この三つだけを生かそうというお考えなのか、それを明らかにしてもらわないと、この審議は進められないのじやないかと思うのですが、これをひとつはつきりしてください。
  17. 大西禎夫

    大西委員長 この前の申合せにおきましては、今あなたの言われた三つを生かすのだというのではなくて、全体として、まあ事情やむを得ないから生かして行こうじやないかというのが趣旨であつたのであります。この点について岡田君から現在の事情をひとつお話願いたいと存じます。
  18. 岡野清豪

    岡田説明員 私から現状の概略を申し上げてみたいと存ずるのであります。去る第十六回国会におきまして、中小企業金融公庫法が当委員会において御審議になりました際、当委員会におかれましては、当分の間十一大銀行その他大銀行公庫代理店にすることを見合すようにという意味附帯決議がつけられたのでありまして、私どもといたしましても、その趣旨によりまして、九月の十一日に公庫が発足いたしました直後、公庫代理店を選定するに際し、日本開発銀行が従来中小企業金融代理店としてお願いをしておりましたところの各金融機関を指定したのでありまするが、十一大銀行その他大銀行は特に除外をいたしまして、現在に至つておるのでございます。ところがその後の情勢をしさいに数字等検討を加えてみますると、大銀行は大体主として大都市に貸出し業務が集中されておるような状況にありまする結果、一番数字の率の高いのは名古屋でございまするけれども名古屋神戸、大阪、東京、横浜、その他大都会におきましては、この大銀行中小企業向けの貸出しが、大体少いところでも八割ちよつと切れる程度、多いところは九割を上まわるという状態に相なつておりまする結果、それらの大銀行から融資を受けておりまするところの中小企業者は、公庫の金を借りようといたしますれば、新たに従来取引をしておりませなんだ金融機関融資を申し込まなければならぬというところに追い込まれる。ところが金融関係から、今まで何の縁もゆかりもなかつた店舗に金融を申し込みますということはなかなか困難な実情でございす。その結果これら大都会中小企業者から非常な要望がございまして、一日も早くこの衆議院決議からはずされましたところの十一大銀行も同様に窓口にしてもらえるようなふうにしてもらえぬだろうかというような要望が非常に強かつたのでございます。その間一方におきまして、大蔵委員会等におきましても、それらの問題が論議されたようでございますが、この衆議院の各委員方々の方面におかれましても、それらの実情大分耳に入りましたと見えまして、先般十三日にお開きになりました委員会におきましては、いろいろと御検討になりました結果、私どももそばで聞いておつたのでございまするが、今お手元にありまするような申合せをなさつたというような実情に相なつておるのでございます。要するに大銀行の貸出しが大都会に集中いたしておりまする結果、特にこれらの地方におきまする中小企業者が非常に苦しい立場におるから、これを救済するという意味から申しますれば、大銀行につきまして他の金融機関と同じように公庫代理店にしてやるということが望ましいのではないかと私ども考えておるのでございます。
  19. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 現在公庫が貸し出しているところの金額、たとえば地方銀行一店当り——地方銀行といいましても支店を三十、四十も持つておるような地方銀行が大体一千万円程度の割当てでございます。この少しくらいの割当の上に、さらに大きな銀行を入れて、支店を数限りなく持つておるところの大銀行が入つて行くということになると、なお一層その金額が少くなつて行くのではないでしようか。こういうような点について、ただこの中小企業金融をするという考え方とこの考え方は、ただの売名のみにとらわれた一つの政治的な考え方であつたと私は考えざるを得ない。実質とまつたく相反しておるということになりはしないか、こういうような点等から考えて、なるべく私は今の程度の数の方がいいのではないかと思う。従つて東海だとか大和とか神戸とかいう準地方銀行的なものであるならば、これは考慮に入れてもいいんじやないかと私は考えます。しかし今急に代理店をふやしたからといつて、急に資本がふえるわけではないので、それでも長官は特に何か資本の面をふやして行くようなお考えがありましたならば聞かせていただきたい。
  20. 岡野清豪

    岡田説明員 窓口をふやし過ぎますと、一窓口当り金額が寡少になりまして、資金効率が悪くなるという点につきましては、まことに御同感と思うのでございます。しかしながら銀行と申しますれば支店がたくさんあることは確かでございますが、大体は支店で受付けました申込み本店で統合いたしまして、そこへ公庫から行つておりますところのわくとにらみ合せて操作しておるのが実情のように思いまするので、支店の数ということと、わくの問題とはある程度調和することが可能ではなかろうかと私ども考えておるのでございます。大銀行を指定した場合に資金がどうなるかという点でございますが、去る十三日に大銀行問題につきまして申合せがございまして、実施期日につきましては、臨時国会が開会されました最近の機会において決定を正式にいたすが、とりあえず準備をするようにというふうな御趣旨もございましたので、一応わくといたしましては第三・四半期において若干のものをリザーブしておるのでございます。正式に御指定がございますれば、そのとつておりましたところの金額をこれらのものに配分いたせば、他の金融機関には迷惑なしに操作ができようと私ども考えておるわけでございます。
  21. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それは非常に私はふしぎだと思う。決定を見ないうちにもうリザーブしておくと言つておる。であるから今でも現実的にそのように少くなつておる。われわれの考えから行つたらどうしてもそろばんが合わない。ところが長官はちやんととつてあると言つておる、もう決定もしないうちにとつてあると言つておる。さかのぼつて九月からのやつをもうとつてあると言う。そうすると今度新しく入つたやつを、前の九月に指定されたものと同じだけのものが取扱えるという考え方を持つておる。従つて地方銀行にしましてもどこの銀行にしても、なるほど本店決裁を受けるに違いない。本店決裁を受けるんだから、窓口行つてこれなら大丈夫だといつてつてくれるかというと決してとつてくれません。一支店に対してお前のところは五十万円とか、お前のところは百万円とかきまつておる。本店で全部集めて、そして本店で初めてそれを検討するというのじやない。長官はいつでも机の前にばかりいて、自分で金を借りに歩いたことがないからいつもそういうことになるんだ。私はそう思つておる。現実にそんなわけのものじやないのだ。そういう点について間違いがありやしないか。ですからとつておくというのが大体間違い過ぎている。長官がそういうような考えであるというところにも間違いがあるし、私はそういうふうにふやして行くということに対しては、これは大いなる疑問を持たなければならないと思う。なるほどそういうような大銀行と称するところで扱つていたというが、取引があつたという人もたくさんあるでしよう。それはまことにお気の毒だかしれない。お気の毒だかしれないけれども、その人だつて必ず今まで取引がなかつたら、取引しないというなら、その銀行をあけてもらわなければならない。その銀行取引を中止させなければならない、私はそう思う。何のためにこういうものをつくつたのか、その根本の理念に立脚して処置すべきであると私は思う。そういう点について長官はいかがですか。
  22. 岡野清豪

    岡田説明員 わくをリザーブすると申し上げたのでありますが、九月につきましてはこれはもう別途処置いたしましたので、わくと申しましたのは、第三・四半期、十月から十二月までのわくのうちリザーブしておるということを申したのであります。ちようど十月一日、すぐわくの配分をやるだけの公庫の事務的な能力がございませんで、多少ずれておりましたところに、衆議院におきまするかような御意思が大体私どもの方としても耳に入つたものでございますから、それに対応いたしましてリザーブをいたしておる趣旨でございます。この第一のアラビヤ数字の(2)を読みますと、これに対応いたしますところの何らかの用意をわれわれといたしましても準備しませんと相ならぬように存じたのでありまして、そうすることによりましてこの趣旨が円滑に参るというふうに考えた次第でございます。
  23. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 われわれが否定した、たとえば信用金庫にしたつてそうなんです。一定の限度があつて信用金庫と名があるからそれでいいという意味じやない。われわれは信用金庫という名前がついているのは全部取消さしてやりたいという考え方審議した。けれども結果になつてみると、それがとんでもない大きな間違いを起しておる。四億とか五億とかいう一つの線をきめて、それ以下のものはならぬとなつておる。私が、審議する過程に至つたときには、信用金庫という名がついて届け出ておる。これならば法的基礎を持つて届けてあるから、全部やらせるのだというような——融資金額の大小は別として、やらせるのだというふうにわれわれは考え審議した。ところがそうでない。そのほかに今度は甲とか乙というようなものがさらにある。その甲とか乙とかいうのをひとつ長官に御説明を願いたいのであります。つまり窓口へ行つたそのときに、甲にするか乙にするかという、その甲とか乙というのを私は審議しなかつたのだけれども、それはどういう意味なのか聞かしていただきたい。
  24. 岡野清豪

    岡田説明員 甲とか乙とか申しますのは、第十六国会におきまして、甲とか乙とかいう文字自体を使いましたかどうかは別といたしまして、公庫代理店を選定いたします。代理店との金の貸借のやり方をきめます方法といたしまして二通りある。第一は、代理店申込みを受けて審査をいたしまして、貸すか貸さぬかの最終決定までをして、そして公庫に連絡する方法が一一つある。もう一つ方法は、代理金融機関申込みを受けて審査をして、可否の決定はきめないで、自分の意見をつけて公庫に上して行く法がもう一つあるのだ。その二つによりまして公庫代理店との間におきますところの手数料にも差がある。また代理店公庫に対しまして貸した金がとれぬようになりました場合における責任の範囲も違うのだというようなことは、たびたび申したと思うのでございまするが、その可否の決定までやります、つまり代理金融機関の最後まで決定するものを甲と称しておりまして、それから最後の決定公庫に持ち上げるものを乙と称しておるのでございまして、これは便宜上それを甲、乙と称しておるにすぎないのであります。具体的内容につきましては、第十六国会において、今申し上げましたような趣旨のことを申し上げたと存ずるのでございます。それがすなわち甲、乙の問題でございます。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 ここに配付されました申合せ事項の一の(2)、これはどういう趣旨でありますか、委員長にお尋ねいたします。「右の実施期日は、附帯決議趣旨にかんがみ、臨時国会開会の最近の機会において決定することとし、とりあえずその準備にとりかかるものとする。」この「附帯決議趣旨にかんがみ」ということは、どの附帯決議趣旨にかんがみておるのか、これを明らかにしていただきたい。
  26. 大西禎夫

    大西委員長 今おつしやつた点は、附帯決議の中にとりあえずというような意味が掲げてありますので、そういう意味に対応して、こういう表現を使つてつたわけであります。
  27. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、この附帯決議というのは、過般の十六国会において中小企業金融公庫法を通過せしめるときに付した附帯決議趣旨でありますか。そうでなくその後における申合せ事項に対する附帯決議ですか。
  28. 大西禎夫

    大西委員長 これは十六国会で皆さんのおつけになつ附帯決議意味であります。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、その「附帯決議趣旨にかんがみ」というのは、当分の間という趣旨にかんがみてということでございますか。
  30. 大西禎夫

    大西委員長 そういうことでございます。
  31. 永井勝次郎

    永井委員 そういうことの趣旨に基いてこういうことを書いたとすれば、これはとんでもない。これはだれがどこでこういうことをしたのか知らぬが、当分ということは、何も期限を限つたことではない、次の臨時国会という趣旨である。十六国会から次の十七国会までの臨時国会までの間を当分の間と、こういう附帯決議趣旨であるという判断は、一体だれがどこでしたんですか。
  32. 大西禎夫

    大西委員長 休会中の理事会においてそういう意見が大多数であつて、そういう意味のことを文書に直したわけでございます。
  33. 永井勝次郎

    永井委員 それならば「附帯決議趣旨」なんという附帯決議に対する注釈はやめてもらいたい。われわれの決議した附帯決議というものの当分の間というのは、そういう一月とか二月とか三月とか、十六国会から十七国会までの間の趣旨であるというようなことには解釈しておらないのでありますが、それはそれとしておきます。  長官にお伺いいたしたいと思いますが、大銀行に対してわれわれは当分の間公庫金融は扱わせないと決議いたしましたことは、私自身の考え方は将来ともに絶対扱わせないんだという趣旨ではなかつた。従つて当分ということが書いてあるんだ、こういうふうに了解していますが、従来大銀行、ことに財閥銀行中小企業のための金融では決してないと了解しております。従つてこれらの大銀行地方支店というものは、地方の預金を吸収して、これを本店に吸い上げて、有利な条件のところにこの金をまわすというふうな金融のやり方をやつているのであつて地方支店はその支店窓口を通してその地域に対する金融の円滑化をはかつているのではなくして、その支店はその支店の勢力圏内から預金を吸い上げるという役割をしている、こういう一つの働きの実態から見て、これは決して中小企業のための銀行ではない、こういう了解のもとにこれらの銀行中小企業のために、もつと門戸を広く、そうして中小企業のための金融をはかつて行くような方向にしなければいけない。これは金融の面から窓口行つていろいろやつたつて有利なところに貸すのがあたりまえなんだからとうていそういう作用ではその転換はできない。従つてこういう国家機関の、国の性格を持つた中小企業金融公庫というような一つの取扱いを通して、これらの十大銀行に反省の機会を与え、そうして反省の事実が顕著になつたときに、ごまかしではなしに実際にそういう方向になつて中小企業のために役割を果すというような、そういう作用を金融を通して持つて来たときに、われわれはこれを中小企業金融公庫の扱いに指定してもいいのではないか、こういう一つの含みを持つた機動的な意図を持つたとりきめであつたと私は了解しておるのであります。ところがそれがこの決議をして間もなく、大銀行を取扱いから除外したことは非常な誤りであつた、誤謬であつた、早まつた、こういうようないろいろな意見が高まつて来たことは、私は遺憾であると考えるのであります。長官はこれを取扱わせるというのは、附帯決議の目的は十分達したのだ、こういう了解の上に立つてこういうような扱いを希望するのか。あるいはその他の条件、附帯決議は間違つていたからそれを是正するという考えに立つておるのか、あるいはそれは間違つている、間違つていないということは別としまして、たとえば大蔵委員会から申入れがあつた、あるいは銀行側から申入れがあつた、あるいは預金関係者から、中小企業者から申入れがあつた、そういうような客観情勢が現われて来たから、それに基いてこういう扱いをしようとする、こういうのか、その点を明確にしていただきたいと考えます。
  34. 岡野清豪

    岡田説明員 私ども考え方といたしましては、十六回国会におきましても、実は大銀行というものがいろいろと中小企業金融に対して欠点もあるし、また非難すべき点も必ずしもないとは言われないのではございまするけれども、この大銀行が、ともかくも貸出残高等を押えてみますると、中小企業に相当大きな役割をしておる。また商工中金の商工債の引受額にいたしましても、資金運用部を除きまするならば、この大銀行が持つておるところの債券額というものは、絶対的にずば抜けて大きいというふうないろいろな事情から申しまして、この大銀行中小企業金融上におきまするところのいろいろの欠点は、今後十分是正して行くといたしまして、ともかくはずすということは、あるいはそれにぶら下つておりまするところの中小企業者が非常なる不便を感ずるのではなかろうかと思いまするから、できることならばその是正をするということをやりながらも、代理店の中には入れていただけないかということを申し上げたのであります。私どもとしては、最初から今申し上げましたような考えを持つてつたのでございまするけれども衆議院におかれましては、ともかくその欠点なり熱意なりが不十分である点を直すまでは代理店にしないのだという趣旨から除外をされたのであります。そこで私どもといたしましても、この衆議院の意向が十分向う側に徹底いたしまして、そうして御期待のような実が上るならば、これは非常に望ましいことでありまするので、その後におきましても、中小企業庁が音頭とりをしてやつておりまする金融懇談会の席上を利用するなり、あるいは全銀協の会合に私どもちよつと顔を出しましてお話をするなりいたしまして、大銀行側といたしましても、衆議院考えられておるような点を十分直して、今後ともできる限り中小企業金融に努力をいただくように申し上げたのであります。その間一方におきましては、中小企業者として大銀行から融資を受けておりまする人たち、特に先ほども申しましたように、大都会におきまする中小企業者立場から見ますれば、いわゆる大銀行ちようど地方銀行の役割をしておるようなかつこうになつておりまするので、非常に不便であるという強い要望もございまするし、片や銀行等におきましても、従来もできるだけやつてつたのだけれども、今後一層努力して行くようにいたしたいという考え方も表明がございましたし、いろいろの点から衆議院の先般の十三日の申合せができましたような趣旨で本問題か解決さしていただけますれば、私どもとしては中小企業金融、具体的に申しますれば公庫の運用上非常に好都合であろうというふうに感じておる次第であります。
  35. 永井勝次郎

    永井委員 われわれが大銀行を取扱いにさせなかつたという私自身の考えは、現在資金源が少いのである。少い資金源でやたらに取扱いの窓口ばかり広げたというところで、実際の効果は上らない。資金源が漸次ふえて行くに従つて、十大銀行をその指定の中に加えてもよろしいだろう、現在の段階で窓口ばかり広げる必要はないということが一つ趣旨であります。それからこれは長期融資でありますから、都会における経済的な一つの活動というものは、非常に資金の回転が早い。従つて短期の金融の中において相当に活動して行く分野が広い。ところが農村地帯等における地方の経済の実情を見れば、資金の運転というものが非常におそい。従つて短期金融ではとても歩調が合つて行かない。農村地帯、その他一年に一回か二回の回転よりしないというようなところにおいてこそ、まず優先的にこの長期資金を円滑に流すべきである。しかも金融機関やいろいろな施設は非常にいなかの方に乏しい。そういう資金の回転のおそい、しかも資金量の流通の少いところ、いろいろな金融機関の設備の不十分なところ、こういうところにこういう資金を、少いけれどもこれをまず優先的に流すべきではないか。これは百三十億の財政投資といいますけれども、いろいろなものを差引けば、実際に活用できる現在の手持資金は百億を切るでありましよう。そういうようなわずかな資金を、現在やたらに窓口ばかり広げてやつても効果はない。こういうような趣旨ももちろんわれわれは考えてやつて附帯決議をしたことであつて、基本的には間違つていないとわれわれは今も考えておるし、まだその段階には来ていない。十大銀行にいろいろな機関を通して反省を与えるといつたつて——将来にその大きな期待をかけようと長官考えておるのでありますが、われわれはその反省の事実が顕著になつた場合、具体的な事例がここに表現された場合、それから取扱いさしてもおそくはないのではないか、最近扱わさないということになつてから、盛んに銀行あたりでも中小企業金融をわれわれはやる、あるいは相談に応ずるというように、非常に改まつて来ておる。こういう方向に向いて来たことは、私は大きな役割を果しておると思うのであります。まだ、長官が期待するような段階まで行かないとわれわれは考えるのであります。今言つたような長期資金の必要は、今地方の方が非常に切実に要求しているのだ、こういう判断は間違つていると考えるかどうか。中央の都市は資金の回転が早い。仕事は短期資金で十分間に合つて行く部面が相当に多い。もちろんいろいろな施設の合理化その他に対する長期資金の必要はありましようけれども、それはそれでまた別途に、中央はいろいろな金融機関なり施設なりあるいはそれぞれ系統の資本に結びついている面が多いのでありますから、そういう面でそれは補完して行けるが、いなかこそ現在長期資金要望が非常に強いのである。こういう経済的な実情判断は間違つているとお考えになるかどうか。これをひとつお伺いしたいと思います。この点については銀行局長からもひとつ御意見を承りたいと思います。
  36. 岡野清豪

    岡田説明員 一般論といたしましては、地方に比較いたしまして都会資金の回転率が早いということはお説の通りであろうと思います。しかしながらそれは短期資金の部面においてさような状態であると私は考えます。長期資金の面から申しますれば、今御指摘になりましたように設備資金等に関しては、資金の回転によつて償却が云々という点は別といたしまして、最初これを借り入れる場合におきましては、相当長期を要する点は都会もいなかも同様であろうと存ずるのであります。最近日本開発銀行中小企業向けの貸出しをやつておりました際におきましても、やはり大銀行窓口といたしまして運用をしておつたのであります。それによりまして地方並びに都会が比較的権衡を保つて貸出しがされておつたように存ずるのでございます。また大銀行公庫窓口から除外するということによりまして、大銀行それ自体に対して反省を求めるということは十分必要ではございますけれども、それと同時にほんとうに迷惑をこうむりまするのは、大銀行自体と申しますよりはその大銀行から融資を受けておりますところの中小企業者それ自体が迷惑をこうむつておるというふうに考えますると、やはりあまりそれを強調いたしますると、実は三十万以上の中小企業者がこの公庫の金、ともかくも安定した長期の金を借り得る機会に非常に恵まれないことになるという点におきまして、私どもといたしましてはやはりなるべく早く、この十三日のお申合せ趣旨によりまして、公庫窓口にこれらの大銀行も指定し得るような状態にさしていただくことが一番願わしいのじやないかと考えておる次第であります。
  37. 河野通一

    ○河野説明員 中小企業の設備資金等の長期の資金が、地方と大都会とにおいてどちらが需要度が多いか、緊急度が多いかというお話でありますが、私どもも今岡田長官からお答え申し上げました通り考えております。東京等の大都会におきましても、中小企業の長期の資金を非常に必要とする部面は相当にあるわけであります。ただ問題は、これらの政府機関たる中小企業金融公庫資金が、もつぱら大都会に集中するということであつてはいけない。従つて全国的にそれらの需要度、緊急度等をよく見た上で、都会地方との地域的な資金の適正なる配分ということは、これは十分考えて参らなければならぬと思うのであります。大都会にはそういうふうなものを出さないで、地方だけに出して行けばいいということにはならぬと私は思います。問題は資金の配分の問題ではないかというふうに考えておる次第であります。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 この問題について、なおほかにいろいろ大臣に尋ねしたいことがありますが、大臣はそう長くおられないということでありますから、残余の質問は後刻に留保いたしまして、私は本日はこの程度で終ります。
  39. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私あとで質問しようと思つておりましたが、今岡田長官の答弁の中に、私ども考えていたこととちよつと違うような答弁があつたようですから、明らかにしておかなければならぬと思うので、質問するのです。先ほど委員長から配付されました文書の中にも、大銀行に、無条件に野放しに預託するような意味にとれることが書いてあるのであります。それからさらに岡田長官の答弁を今伺つてつても、そういうようにとれたのでありますが、それはこの間の理事会でのわれわれの話合い心し食い違いがあるように私は思う。というのは、この間理事会の折に岡田長官から持ち出された意見、あるいは委員長からもお話なつた意見というのは、名古屋神戸、大阪、東京というようなところの大銀行支店中小企業者に対してその六割とかあるいは八割とかを貸し出しておる。そこで大銀行に預託されなければ中小企業者はせつかくの公庫の金を借ることができなくて困るから、ひとつ預託にしてもらいたいというような話があつたので、われわれはそういう特別の地区においてはそれは考えるべきではないかということを話し合つたのでございます。従つて今後大銀行に預託をするにあたつては、一体その銀行中小企業者にどのくらいの率を貸し出しておるのか、そこにおのずから条件がつけられなければならぬと思うのでございます。というのは、さつきも永井君から質問をしておりましたが、大銀行地方支店というものはまつたく預金の引受所みたいなものであつて、一体その大銀行が一般小市民の方から預金された金額の何パーセントを貸し出しておるか、銀行局長がお見えになつておりますから私はそれをお伺いしたい。きよう御答弁ができなければその資料をもらいたいと思うのですが、大銀行地方の一般庶民から預かつたところの預金の総額の何パーセントを中小商工業者に貸し出しておるか、これが私は問題点であろうと思うのでございます。名古屋においても、神戸、大阪においても、東京においても大銀行支店が中小商工業者にこういう金を六割、八割貸しておるといつても、一体預金の率から見てどのくらい貸し出しておるか、これがわれわれ論議をしなければならぬ大事な点であろうと思うのでございます。いわば預金は庶民から集めて、その何パーセントかを預金者に貸して、大部分は本店が大企業に貸し出しておることは間違いない。その預金者から預かつた金をどのくらい大企業に貸し出しておるのか、そういう点を一応資料として、この中小企業金融公庫の金を大銀行に野放しに預託するとなるならば、今私が申し上げ、質問しておるようなことの資料を提出してもらわなければ、簡単に野放しにしておくというわけには参らぬと思います。そこで今私が申し上げた点について、銀行局長から御答弁ができるなら、その数字を御答弁願いたい。できないとするなら、資料を出していただきたい。その上に立つてでなければ、私は全体の大銀行に野放しに預託をするということはできないと思います。従つてまずその前提条件として、資料の問題を私は要求したいと思います。  それからさきに質問しておきました、岡田長官の野放し的に預託するというお考えであるなら、この間の理事会での申合せというものと間違つておるということを、ひとつ反省していただきたい。われわれの考えは、名古屋神戸、大阪、東京等において六割、八割というものを貸し出しておるということであつたから、そういうように中小商工業者にサービスをしておる銀行地域については、考えるべきではないかというのが、われわれの申合せ趣旨でありますから、その辺お間違いのないようにお考え願いたい。もし今私の言つておることが間違いであるならば、間違いであるという御答弁をしていただきたい。
  40. 岡野清豪

    岡田説明員 大銀行の地域的な分布の問題でございまするが、今除外されておりますところの大銀行は、全部大都会本店を持つておる銀行でございます。従つて、先ほどもちよつと申し上げたのでございまするが、大都会におきましては、大銀行も一種の地方銀行的作用をしておるというようなことを申したのでございます。かような意味合いにおきまして、私どもはこの申合せ事項を読ましていただきますると、大銀行を野放しと申しまするか、要するに公庫代理店にさしていただく趣旨によりまして、一日も早からんことを熱望するというふうに申し上げたのでございます。  大銀行の預金と貸出しの関係でございまするが、預金の資料は具体的に持つておりませんけれども、現在日本銀行銀行に対しまする貸出しが三千数百億円あるというふうな状況から見まして、貸出しと預金との関係は、むしろオーバー・ローンというような言葉がありまするように、貸出しの方が多いくらいの傾向を示しておると思うのであります。その貸出しの中で、どのくらいのものが中小企業に入つておるかということを申し上げますると、全国の銀行におきまして、全部で三割六分程度のものが中小企業へ貸し出されておるのであります。特に十一大銀行を抜き出して申し上げまするならば、当該十一大銀行が貸し出す総額のうち、中小企業に出ておりまするものの率は約三割二分に相なつております。
  41. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは、委員長から出されてある、この大銀行を無条件野放しにするということは、間違いであるということになりますが、それでよろしゆうございますか。
  42. 大西禎夫

    大西委員長 この問題についてちよつと申し上げます。その当時大蔵委員会から申出がありました点も、三割以上くらい努めておるものについては、これは認めてやつてほしいと、こういう大蔵委員会の方から正式な申出がありまして、その旨を申し上げて、その根拠によつて話を進めて参つたのでありまして、私どもは三割以上の貸出しというふうなことで、お話をいたしたわけであります。ここには書いてはございませんけれども……。
  43. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは、これが三割以上であるということを、ここに明らかに委員長が提案されたわけでございますが、三割以上にするか、五割以上にするか、あるいは私がさつきから求めております資料に基いてするかは、いずれ私どもこの委員会において明らかにきめたい、こう考えますから、この点わかりました。  そこで先ほど長官から御報告されました、中小企業に対する貸出しの率の問題でありまするが、私は今ここで全体的な数字の机上論的答弁では、納得できないものがあるのです。それはたとえば名古屋なり神戸なり大阪なり東京というようなところでは、私は必ず多いだろうと思う。しかし地方都市あるいは地方郡部ということになつて来たら、問題にならないような状態になつて来るのじやないか。これは私は論ずるまでもないと思います。そういう点も私はやはり相当考えなければならぬと思うのでございます。そこで私はあまりこまかい数字を出せと言うのは、何だか意地の悪いことを言つておるようにとられても困りますから、さしあたつて地域的に見て、あるいは北海道とか、北日本とか、あるいは九州とか、中国とか、そういう地区的にわけてもよろしゆうございますが、大銀行地方で受けた預金の額と、地方中小企業者に貸し出しておる額の率が一体どういうようによつておるか、それから大都会、いわゆる神戸名古屋、大阪、東京というようなところで一体中小商工業者というか、庶民というか、そういうところから預かつておる預金と、そういう人々に対する貸出しの率とがどうなつておるか、こういう点を一応大ざつぱてよろしゆうございますから、その数字を出していただきたい。その上に立つて私はこの大銀行に対する預託をどうするかという問題を、自分の信念をきめたい、こう考えます。
  44. 河野通一

    ○河野説明員 大銀行地方支店の預金と貸出しとの問題でありますが、これは各地方によつていろいろ違うのでありますが、大ざつぱな数字は出るかと思います。ただ御案内のように、大銀行の貸出しというものは、貸出し政策から言いまして、その店舗の所在地にある企業に対する資金の貸出しが、必ずしもその地方支店ではない。これは主として大企業が多いのでありますが、その地方にあります工場とか、その下請の関係等の事業に対しては、大銀行本店金融をするということにもなつております。従いまして、ただその店の貸出しと預金との関係だけでは、その資金がどの程度地方に還元されておるかということは、必ずしもぴつたり一致しない。これは各銀行の都合によりまして、預金は各地方で集めるけれども、貸出しはその地方へ出るものは本店で貸す、あるいは大都市の総括的な店で貸すというようなことが行われておるのであります。従いまして、ただその数字だけから見て、その地方から集められた預金がどの程度地方に貸し出されておるかということの的確なる資料ということには相ならぬかと思いますが、一応大ざつぱな数字は、調べました上で出してみたいと思います。
  45. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今局長がおつしやつたような点について、私は非常に疑問に思います。本店が貸し出すとおつしやるのですが、私は本店が中小商工業者に金を貸したということは、いまだ聞いたことはない。これは私が勉強が足らぬのかどうか知ませんが、私はあまり聞いたことはありません。本店というものは、必ず大企業に貸しておるものと信じております。そこでそれならば、本店が大企業にどのように貸しておるか、あるいは中小企業の今度つくりましたこの法律のわくに入るようなものに、どのくらい貸しておるかということを、これもあわせて数字の上で資料を提供していただきたいと思います。
  46. 山手滿男

    山手委員 ぼくは留守をしておつて、こういう申合せなんかをされたことについては承知しておらないのですが、どうも中小企業金融公庫法審議いたしましたときの気分が一朝にしてうせてしまつて、こういう申合せになつたのではないかという気がいたします。中小企業金融公庫法審議したときのわれわれの気分は単なる商業的な金融をこれにさそうという考えではない、やはり中小企業対策の重要な一環としての金融政策に筋金を入れようということが私どものねらいであつた。言いかえれば、大銀行などではなかなか入りにくい、相手にされがたいような中小企業者に対して、入りやすい筋金の入つた政策金融をやろうというのが、あの当時私ども中小企業金融公庫法審議したときの気分であります。資金量を豊富に持つておる、地方でいえば県の金庫になつておる、国の金庫になつおる、そういういろいろな有利な立場にあつて資金量を豊富に持つておる大銀行が、当然相当な資金中小企業に貸しておるということは、あの当時私どもは十二分に知つてつたけれども、大銀行へ行つたのでは、資本の小さい、資力の乏しいものは、大きなこけおどしの銀行の門はなかなかたたきにくい、そこでひざ詰め談判で簡単に行ける特殊な金融機関をつくつてやろう、それがあの中小企業金融公庫法審議したときのわれわれの気分であつた。それをわずか二、三箇月の間に、一部の人の陳情があつたからといつたつて、ひつくり返すということは、私はあの当時の気分がすでに色あせたと思う。そんな金融をするのだつたら、何も中小企業金融公庫をつくる必要はない。商工中金でけつこうです。一つに統合しなさい。私はこういう申合せをして、すぐ色があせて来ることは非常に残念に思います。できるならばもう少しほんとうに実際を調査して審議すべきであつて、きようはこの際これ以上この問題は議論しないで、もつともつと中小企業金融に筋金を入れるという建前で、他の機会に審議されることを私は希望いたします。
  47. 大西禎夫

    大西委員長 本日は本問題に関しましてはこの程度にいたします。     —————————————
  48. 大西禎夫

    大西委員長 次に、大臣が来られておりますので、火力借款問題につきましての発言の通告がありますから、この際これを許します。長谷川四郎君。
  49. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は火力発電の問題につきまして二、三大臣に承つておきたいと思います。わが国の火力発電は戦争のためいずれも機械設備が非能率になつて来たということだけはよくわかります。またこういうような点とあわせ考えてみて、たとえば今度アメリカからその機械設備を借りて来るのだ、こういうことでございますが、これが目的は、つまり高圧であり、高温であり、高能率である。それがために外国の機械を入れるのだ。そこでプラント輸入するのだということもよくわかりますが、今度借り入れて来る機械はそういうような考え方から行くのとはちよつと筋が違いはしないか、こういうふうに私は思うのです。たとえば今度入つて来るのに関西電力へ二台だとか、九州へ一台だとか、こういう点は少し多過ぎはしないだろうか。つまり入れるというならば、その設備のうちの最低限だけの施設を入れて、あとは国内メーカーにつくらせてまかなうように考えた方がよかつたのじやないか、こういうふうにも私は考えます。こういう点について、大臣はどういうお考えで今度これだけのものをお入れになるかということをまずお伺いしたいのでございます。
  50. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。国内の機械製造者の保護もしくは奨励の意味におきまして、われわれといたしましては国内の製造業者になるべく注文いたさせ、同時に、そういうものを使つて行くことは、外貨の節約にもなりますと同時に、日本産業を発展させて行くことでございますから、御趣旨はしごくごもつともなんでございます。今回のものは一連のものでございまして、これである部分だけ入れ、ある部分は内地でやるという調子には行かないものと私は伺つておるのでございます。この意味におきまして、この際そういう見本的なものを外貨によつて輸入して、今後は日本でつくる、こういうことにしておりまして、今後むやみやたらに外貨によつて向うの品物を全部買つて来るというようなことには考えておらぬ次第であります。
  51. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 現に東京電力は国内のメーカーから購入して建設しようとしております。鶴見の第二火力発電所の第三号、第四号各発電機械は、今度輸入する機械と大体能率という点については異なつていない、こういうことをはつきり言うております。こういう点から考えても、私は今申し上げたように、外国から三台の機械を入れて来るということは、見本としてはちよつと考え方が違うのじやないかと思うのでございます。現に申し上げた通り、東京電力が今設備しようというのは、能率的に考えて少しも遜色のないことがはつきりとしている。また火力の借款契約の概要、こういう点から考えても、たとえば関西、中部、九州各三電力会社の火力借款の合計が四千二十万ドルとかいうことで、またこれに対して非常にきびしい条件がつけられて調印されている、こういうことは私まだはつきりわかりませんが、新聞で見るとそういうふうに非常につけられているのだということでございますから、もし大臣がそのきびしい点はどこだということを御存じならば、ぜひ御発表を願いたいと思います。たとえばその金利は最高の五分に決定したということであります。契約様式としては、世界銀行から電力会社が直接借り入れるのではなくて、日本の開発銀行を迂回して、その銀行が直接購入する。そうして購入したものを電力会社にまた貸すのだ。こういう特殊な形態を整えているようでございますが、そうなつて来ると、そこで開発銀行が中へ入つたためにまた五厘の金利がつくということでございます。従つてアメリカまで行つてこれらを折衝する費用一切から考えて行くと、相当の額の金利というものも見積らなければならないのではないだろうか。今政府が融資している金利が七分五厘だというが、七分五厘をこのごろでは六分とか六分五厘に引下げるというふうに言つております。これもまた事実か何かは知りませんけれども、そういうことを報道しておる。こういうふうに考えてみて、六分以上の金利——これが低利だとはなかなか私は申されないと思う。一つ企業体をして、これだけ大きな企業を持つて行くのに、これだけの金利を払つて行くということは、単なる会社そのものではなくて、どこへだれがその金利を払うのかということも考えてみる必要があるのではないだろうか。結局消費者が負担をしなければならないのではないだろうか、こう思うのであります。そこで世界銀行からの借入金の五分、それから今までの最高と承るところの今度の借款、こういう面について御答弁をお願いいたします。
  52. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。東京電力で何かそういう計画をしておることも伺つておりますが、これはやはり外国からものを入れるということについて、刺激されたことが一つと、もう一つはそのまねをしてやつて行こうというのでございます。ただ問題は、私はこう考えなければならぬと思います。高性能のものは実際は今買い約束をいたしましたものが、世界的に性能が一番いいという一つのこと。それから日本では事実今までそれができておらぬのであります。そこで一応外国のいい品物を入れて、そしてこれによつてつてみたい、こういうことでございますが、御承知通り日本人の技術というものは、これはりつぱなものなのでございます。りつぱなものなのだけれども、やはり何と申しますか、人がやつて、なるほど効果が上つておるという核心を見届けなければ実際はやれないようなことがあるのです。これは古い昔の話でございますが、戦時中、電波のことでございます、これは潜水艦が沈んでしまつて水の中におるのに、こちらから通信をする、これは日本の海軍の技師がちやんと理論的にもそれから実際的にも、行くだろうという確信を持つてつたのですけれども、これを実施していなかつたという例がございます。ところが陸海軍の軍人技術者がドイツへ行きまして、そしてドイツのいろいろな施設並びに新式の機械を見せてもらつたときに、そういうものがあるからどうだという電報を一本打つたそうです。そうしましたところが、海軍の技師が即座にこれを完成して、そして実は大東亜戦争のときにもそれが役に立つということを実証した。そこでそのときの技術家が私にこういうことを申しました。日本人は優秀だから十分できるのだが、しかしながらその発見発明が非常に高度のものになると、やはり最後の踏み切りの自信というものが何か欠けているのではないか。そこで人もやつているぞ、こういうことを教えてやると、そうかといつて初めて完成をしたという例があります。これはほかにもたくさんありまして、ほかの例は、いろいろ興味を持つて聞きましたからたくさん知つておりましたが、ただいま忘れてしまいました。一番最初の例はそういうことでございます。私はこの際こういう高性能なものが外国にあるのだ、しかしながら日本ではまだ自信がなくてできていないのだということがあるならば、そういうものを日本に入れて、そうして日本の技術家を刺激したらいいだろう。東電が日本に今までない外国の機械を入れて、そうして芝浦とか何とかいう方面のメーカーに対して刺戟してやらせることになるのだろうと思いますが、それの事情は私はよく存じません。  それから金利の問題でございますが、外国へ交渉に行つたり何かしていろいろ経費がかかつたろう。そういうこともやはり金利の負担になるから五分というけれども非常に高いものにつくのじやないか。その高くなつたものがいずれは消費者へ転嫁されるのじやないかというようなお説であります。理論といたしましてしごくごもつともな説でございますが、しかしこの四千二十万ドルという金額に対して、外国へ交渉に行つたり何かするくらいの費用は、これはパーセンテージとしては非常に少いものでございます。同時にこれは二十年間でございますから、その二十年間においては、たとい一厘の差でも非常に差額が大きいと同時に、年数が多いものですから、これは金利の負担においては、日本でたとい六分で開発銀行の金が貸し出されましても、たとい五厘、一分の差でありましても非常な差がつく。ことにただいまの日本の金利から申しますれば、五分でこれが契約できたということは、金利の点においては高くないという感じを私は持つております。それからいろいろ手数がかかつておるじやないか、こういうお説でございますが、御承知通りにこれはもともと日本で政府が保証しなければならぬような向うの条項がございますので、日本政府が保証するといたしますれば、直接の買入れのメーカーに保証するということは、ちよつと日本の法律上いろいろぐあいが悪いものでございますから、形式といたしましては政府機関に保証する。そして政府機関がその次の電力会社に責任を持つ、こういうふうにした方がいいというので、開発銀行というものを中間に入れまして、そしてこれに政府保証をする、そのために手順が一つふえた、こういうことでございます。  それからよく新聞あたりで、いろいろむずかしい条件だとか、ひどいじやないかということがいわれておりましたが、よく聞いてみますと、これは何も日本一国に対してやるというようなものではございませんで、もうすでに成文規定がちやんとできているそうでございます。五十何箇国の国に、どこの国に対してもやはり同じように適用するところの契約文でございますから、私はこの点において苛酷ではないこう考えております。ただ問題といたしましては、これは皆様方金をお借りになつたことおありにならないとも存じますけれども日本の内地におきましても相当な長期の金を借りて、同時に固定するようなものにつきましては、銀行は相当苛酷な条件をやつて、どうしてもその資金の回収というものを万遺憾なからしむるような条項をつけております。と申しますことは、日本で申しますれば預金者を保護するというような意味において、銀行は回収には十分な万全の策を講じて金を貸す、また世界銀行といたしましては、世界何十箇国から出し合つた金をこれまたあちこちへ貸すものですから、やはり責任上資金を大事にするという意味において、回収については十分な措置をする、これが現われて来たものと私は考えております。
  53. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私はたとえば国内の金融業者が少額の金を貸すのにも相当きついことを言つて貸しております。それに対して、どうこうという意味ではない。従つて大臣も言われているように、日本の技術向上という、日本産業の発展の上に立つてというお言葉、こういう点から来ると、同じような機械を二台、三台というようなことは大臣のお考えとは違うのじやないか。大臣の今のお言葉とはこれは相反していやしないか。たとえば日本が外国の機械を持つて来て、そうして日本人は人のものを見るとまねをするのが非常にいいのだということを伝統的に知つておるという考え方から行くということになると、そういうようなものがあるのだつたらば一台持つて来て——日本へ来てつくらせたら、日本人はもつとより以上のものをつくつて行くのだというようなことも大臣が確信があるようなお話でございます、こういう点から行くと、同じものが二台、三台というようなことは、大臣の今のお言葉とはあまり相反してはいないだろうかということを私は疑問に思います。  大臣が申されるように、火力借款の償還期限というものが三十箇年でございます。為替のレートというものは二十箇年今のままで行くか行かないかという点についても考えられなければならないと思うのであります。こういう場合に、たとえば支払いをするときに、この為替レートの変更があつた場合、たとえば為替レートが安くなつた、高くなつた、そういう場合に負担する者は、電力事業者か開発銀行か政府か、いずれの人が責任を持つてこれの負担をするのかということが一つ。またもし電力業者が全額負担をするならば、これは結局申し上げたように一般需用家に転嫁されるということも明らかな事実でなければなりません。こういうような点について、料金に関連してどういうようなお考えを持つておられるか、お答えをお願いいたします。
  54. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私が先ほど申し上げましたように、もし日本の機械業者を奨励して行くということならば、日本に一基入れて、そうしてあとはみな見習わしたらいいじやないかというようなお説でございます。しかしこれは御承知通りに今急いで電源の開発をし、同時に発電力を大いに増して行かなければならぬという速急の事態につきまして、火力発電をこの三社が急いでやろうという場合に、とても日本ではすぐにできないだろうというようなもので、自分自身の拡張計画に沿いまして必要なものだけ注文したということでございますから、この点は私の申し上げた大きな原則にははずれておりますけれども、しかし各電力会社の計画並びに日本全体の電源の供給力を早く増すという意味におきまして、会社がやつたことは、これは私は一応了としなければならね、こう考えます。  それから為替の問題でございますが、二十年の間に為替レートはちつともかわらぬということを保証しろ——まあ保証しろではございませんが、かわるかもしれぬ、そうすればよけいな金を払わなければならぬか、こういうふうなことでございます。しかし私は少くともただいまのレートは決してかえる意思は持つておりませんから、われわれが目の黒い間はそう心配ないかと思います。しかし二十年の間に為替レートがかわつて行くということは、これはいわゆる想像といたしましても理論といたしてもあり得ることであるかもしれません。しかしそのときにはやはり日本の物価がそれだけかわつているのでございますから、品物というものがちやんと厳然としてこちらに来ております以上は、その担保力もやはり増して来るわけでございますから、その点におきまして私は為替レートというものに対して今心配をする必要はない、こう考えます。
  55. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それではその担保力という言葉がありますからお話を承ります。  政府は電気料金の改訂をしなければならないだろう。しかし今年中はできない、来年度になつたならばやらなければならないというようなお言葉を大臣みずからも言つております。この電気料金の改訂の処置を政府はする、これはすなわち原価主義の料金政策上当然なことであると私は思います。従いまして電力料金の政策ということ、これは今申し上げた通り当然ではあるけれども、その場合料金を改訂るすという、またはこれの促進というものに何かこれらに圧迫があり、てこ入れというようなものがないかどうかということ。また三電力会社の事業計画の遂行上、資金の調達というものの不能な場合は、開発銀行と政府はその資金の供給を義務づけられているというふうに私は考えます。これら三社の優先融資にほかならないといえばその通りだと私は思いますが、そうなると残りの六つの電力会社、特に四国だとか北海道、こういうような収益に恵まれない会社ははなはだ不利な立場になりはしないだろうか。こういうふうにも考えられるが、その点はいかがでございましよう。
  56. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 電力料金のことにつきまして、二、三日前の新聞に一問一答の形で出ましたが、通産大臣は来年になつたら電力料金を上げると言つているということを、その通りにきめてかかつて質問が出ているように私は拝承いたします。しかし私といたしましてはこういうような考え方でおります。御承知通りに今までの設備によつて出す発力による料金というものは、これはいわゆる固定資産が非常に評価が低いのですから安く供給できるであろう。しかし新しく水力でも火力でも増設いたしますと、これに対する固定資本が相当かかつておりますから、それに対して金利とかいろいろな負担が出て来まして、当然電力料金は高くなるということはこれは大体の傾向でございます。しかし私といたしましては、もし会社の経営が何とか合理化でもでき、つじつまでも合つて行き、もしくは行き得る施策ができますならば、私は電力料金のように一方では生産のために非常なコストに影響するところの大口の電力料金を上げるということには反対でございます。また小口の消費者から見ましても、これは水と同じようなものでございますから、これを高くするということは国民生活に非常な負担をかけるわけでございますから、両方とも上げるという点においては好ましくないことでございます。そこで私はいろいろ電力会社の内容を調べさせておりますが、できるならば上げないで進みたい、少くとも本年度内は絶対に上げてはいけない、こういうようなことを考えております。そして来年になりましても、やはりいろいろの情勢の変化もございましようが、もしほかに税制措置とか金融措置とかいうようなことででも、電力料金を上げずに済むという手段方法でも見つかりますれば、それでやはり上げて行かないという方針に進んで行きたいと思つております。  それから資金調達の義務づけをされておりますけれども、これは御承知通りに各年度の計画をみな持つております。それに対しましては通産省で公益事業局がございまして、統制はいたしてはおりませんけれども、十分御相談に乗つていろいろなことに対して参画している次第でございますから、この意味におきまして、公平無私に各電力会社を同じように取扱うことにしております。そこでこの間ありましたところの会社の資金繰りについては、特に政府が借金に対して保証している会社でございますから、資金繰りにつきましては十分なる注意を払いまして、この資金調達には気をつけて行かなければならぬと思います。それかと申しまして、その会社だけが特別の災害とか、もしくはほかの会社がちつとも何にならないで、ただその会社だけが不可抗力とか何とかいうことで資金に非常に困つたという場合には、おそらくこれが適用されると思いますけれども、しかしこの会社あたりが資金繰りがむずかしくなるというときにはほかの会社もやはり同じような情勢にあるときと思いますから、そのときにつきましてはやはりわれわれといたしましては同じような態度で政府として施策をして行く。ほかの、金を借りてない今回の契約をしていない会社が不利にならないようには十分行政措置としてやつて行けると思います。
  57. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 既設の電力が一キロ一円五銭であります。新らしく今電源開発をやつているのが幾らぐらいになるかというと四円と三十幾らとかになるということを聞きました。そうなつて来ると、一円五銭対四円幾らということになると、当然値上げをしなければならないことはこれはもう争われない事実だと私は思う。であるから大臣がおつしやるようになるべく私としては国民生活を圧迫するから上げるということには賛成はしかねます。しかしながらしかねるからといつて、この会社をこのまま見殺しにすることには参らないと考えます。  もう一つ伺いたいことは、こういうように今電気事業法というものを改訂しよう、改訂することを国会提出されるというように言つておられます。そうすると今回の借款契約の成立によつて電力会社の企業形態というものは大きく変更することはできないと思います。たとえば現在の九分割を五分割にするとか、または一社制にするとか、または復元法案というようなものを提案するといつても、それらを思うようにすることが、一つの制約があつてできないのじやないか。その束縛というものがどの程度になつているか。従つてそれを受けた以上は絶対に今申し上げたような点について一つの制約があつて、何にもできないことになつていると聞くが、それが事実であるかいなや、これを承りたいのであります。従つて政府の保証契約によれば、他の外資が、政府財産というようなものになつていて、担保の設定が起つた場合は、世界銀行の同意ない限りは本債権も同順位の担保権が設定されることになつている、こういうふうに聞いております。これらに対してそれらが事実そうなつているかどうか。この政府財産の範囲は政府及び代理機関の財産を指して、また憲法の範囲内で地方の公共団体の財産にも及ぶことになつているそうであるが、そういうふうにいろいろな束縛があるのだそうです。そうなつて来ると、政府の今手持のドルというものは十億ドル以上あるというお話であるから、この千億ドル以上ある手持の中の四千ドルぐらいのものは何とかしてもらうことができなかつたか。そのできない理由をひとつお述べ願いたいと思うのでございます。
  58. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。電力料金の問題でございますが、これは詳しいことは存じませんが、旧施設の分と新施設の分は料金が違うということは事実でございます。そこで電力料金は上げぬと申しますというと、会社がつぶれてしまう、そういうようなことも御説の通り見殺しにはできない。そういうことをよく勘案しまして、そういう見殺しにはむろんしないで、そうして大衆の利益を害さないというような方向に電力料金を維持して行きたい。こう考えている次第でございまして、その点は今いろいろ各会社の決算報告とか内容とかというものを公益事業局で調べさして研究をさしております。  それから企業の形態がかわつたときにいろいろ条項がついておるようでございますが、これはこういうことだと思う。私詳しく読みましたけれども、忘れましたが、観念といたしましては、金を貸したのだから、その会社そのものの実際の形、ただいまの形をくずしてはいけない。すなわち財産を減してはいけないとか、また会社がなくなるようなことがあつてはいけないというようなことを言つているようであります。しかしそれにはちやんと向うの同意を経ればいいとか、もしくは承認を経てやるというような条項が入つておるようでございます。これは詳しくは企業局長から申し上げさしたいと思います。  それから政府の財産のことでございますが、これも新聞で大分問題になつたようでございますが、昔の例によれば、日本銀行とか地方公共団体というものがやはり政府財産と言われておるようでございますが、しかしこれはお話通りに、日本国の憲法の条章以内においての適用があるわけでございますから、日本の国にとりましてはそういうことは実効力を発揮することができないことになつておる次第でございます。この点詳しく局長の方から御説明申し上げさしたいと存します。
  59. 中島征帆

    ○中島説明員 先ほど原価の問題としまして、一円五銭と四円幾らというようなお話でありましたが、一円五銭というのは、現在の水力発電の原価でございます。四円七十三銭というのは、現在あります水火力全部総合しました原価であります。これの比較の差額が値上るということではなくて、総合原価の四円七十三銭が将来開発進行に伴つてどれだけ上るかという問題になるかと思います。その間の計算はまだ確たるものは出ておりませんが、一応それが五、六円になるということで、五年後には二割なり三割上るというふうな数字が今出ておるのであります。  それから企業体の問題でございますが、現在九社ありますのが、将来何らかの立法によりまして、また再々編成されるという場合につきまして、この契約がどうなるかということでございますが、これは現在の九つの会社のうちの三社との契約でございまして、従いましてこれがまたあらためて再編成されるというような事態になりました場合には、そのやり方いかんでございますけれども、今の三社というものがすでに一応形がかわりまして別のものになるという場合におきましては、これはやはり契約をあらためて締結しなければならぬ、こういう事態になると思います。従つてこの場合に新しい契約になりますから、もしもそういうふうな新しい法律によりまして成立しました新会社と世界銀行とが同じような内容の契約をさらに締結して更新するということの同意が行われた場合には、これは継続されるわけでございますけれども、もしも世界銀行がその際に現在の三社の承継者たる新しい会社に対しまして、さらに契約を結ぶことを承知しない場合には、おそらくはこの契約をそこで終結いたさせまして、即時弁済するだろうと思います。従つてその場合には一応従来の会社が弁済をするなり、あるいは政府がそれに対して保証債務を実行するなりして、現在の契約をそこで全部終了させてしまう、こういうことにならざるを得ない。従つてそういう結果にはなりますけれども、だからといつてそういうような結果をもたらすような新しい立法を制約するというものは何もないということをお答えいたします。  それから担保の問題でございますが、これも政府及び政府の諸機関ということになつておりまして、これには政府の補佐機関とそれから地方公共団体も含まれております。従つて政府及びそれらの諸機関の財産も政府財産と同じような考え方をもつて扱われておりますが、それに縛られる拘束の内容といたしましては、現在では何ら拘束されておりませんが、政府あるいは地方団体その他のものが、将来自分の財産を担保として外国から金を借りる場合には、世界銀行から同意があれば借りてもよろしい。それからまたもし同意がなくて、かつてに担保を提供して債務を負つた場合には、世界銀行も当然その外国の債権と同じように、その特定の担保物件に対しまして担保権を持ち得るのだ、こういうふうな条件をつけておるのであります。従つてこの点につきましても、外国から政府ないしはその物的財産を担保にして金を借りては困るということではなくして、借りた場合にはこうなるのだというふうな条件でありまして、絶対的な束縛ではない、こういうふうに考えております。
  60. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこで大臣に、先ほど申し上げた四千万ドルの借款、つまり現在国内で十億ドルの保有があるというのに、どうして四千万ドルくらいの融資ができないでおつたかという理由をお願いいたします。  それと今の局長のお話に、三社があらためて提出した場合、同意するかしないかという問題ですが、これらが提出したからといつて、おそらく同意する気づかいもあるまいと私は思う。また電力会社の物的担保を提供して直接借り入れる方法というのは、このたびは講じたいと思うんだが、はたして講じたか講じないか。従つてそれらの折衝をしたかしないか。さらに直接借り入れた方法というものは、このたびはこの銀行から取引する場合には全然認められることができないのかどうかということを承ります。
  61. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいま十億ドルに近い外貨があるから、四千万ドルくらいのものを外国から借りなくもいいじやないかというお説でございます。しごくごもつともなお話でございます。ただわれわれといたしましては、資本財というものは、できるならば長い目でなしくずし的に金を払つて行つて仕事をしたいというのが業者の希望だろうと思います。それから政府といたしましても、やはり一時にそういう金を払つてしまうということは、これは国際収支の現状から見ましても好ましくないことだと考えます。しかしそれかといいまして、この十億ドルが昔の金本位もしくは金為替本位時代の外貨というものでないことは事実でございます。むろんいつ使つてもよろしいのでございますけれども、通貨価値の維持のための通貨準備の外貨ではありませんが、しかしながら、貿易関係から見まして、もし貿易が、そんなことはないとは思いますが、ないことをわれわれは自信して経済計画を立てておりますけれども、御承知通り、今特需が一時になくなつてしまつたら、現状におきましては七、八億ドルは一ぺんでなくなつてしまうというような国際収支の現状でもございますので、できるだけわれわれといたしましてはこの十億ドルを積んでおいて、そうして今年のような非常な凶害にあうとすれば、外貨があるから、よそから苦しい思いをして借りなくともすぐ米を買おうと思えば買えるという実力だけは残しておきたいという考え方から、この十億ドルの金には手をつけないで、生産財を買うためにはなしくずしで買い、しかも外国から借り受けるという方向に持つてつた方がいいのではないかということで、これを了承したわけでございます。
  62. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は国内産業を非常に圧迫しているということはいなめない事実でなければならぬ。いろいろ大臣の御答弁がありましたけれども、たとえば大臣が言う通りに、同様な機械をこういうふうにたくさん入れるということは、まつたくそう言われても、大臣としてもこの御答弁に大きな食い違いが生じているとわれわれは思います。わずか四千万ドルの借款に対して公共的な日銀の活動まで制約して、国辱的という言葉は強過ぎるかもしれないけれども、この国辱的と言われる借款をしたというのでこれだけをやるならば、もう少し国内産業というものの面てついていま一歩考えを入れてもらつた方が、国内産業の振興という、また日本技術の向上という面に対して大きな役割を果したのではなかつたか、こういうふうに私は考えます。従いましてあとこの問題につきましては川上さんも質問するそうでありますから、一応私は以上をもつて終ります。
  63. 山手滿男

    山手委員 ちよつと関連して大臣にお尋ねいたします。  私はちようどこの火力借款に調印をするときにワシンートンにおりまして、この借款問題、それから内地で問題になつたことについて関心を持ち、現地でいろいろ調査いたして参りました。いずれ詳しいことをお話しようと思つたのですが、今長谷川さんからのお話がありましたので、関連をして一言だけ結論的に申しておきたいと思います。  今長谷川君からお話がありました通りに、この借款については国民としても考えさせられる問題がたくさんあることは事実であります。しかし私は現地におつて非常に反対的な気分で調査をしながらも、これはやむを得ないという結論を実は持つてつたものであります。その理由はいろいろありますが、ただ政府がいかにも安易に外資が入つて来るような宣伝をしているので、日本人の感覚からするならばいかにも屈辱的なものであるという感じが出て来るのでありますけれども、現地におつていろいろ調査してみますると、これは世界銀行の性格自体から来る制約であつて、これを非常な論議をしてとことんまでつつ込んで行けば、私は世界銀行からは日本融資を受けられないということになつて行くだろうというふうな気がいたしました。ただ一つ政府を責めるとすれば、今度の借款は輸出入銀行から借りる建前になつて話を進めておつたにもかかわらず、最後のどたん場になつて非常に厳格な規制を受ける世界銀行にすりかえられてしまつたという不手ぎわは、私はあくまで責めてもよろしかろう、こう思います。それから外資が安易に入つて来るという宣伝を政府がしていることについては、あくまでもそのしからざるゆえんを私は責めてもよろしかろうと思いますが、世界銀行から借りるということになれば、あの程度の制約を受けることは、不満ではありますけれどもまたやむを得まい、こう考えて参つたものであります。  そこでただ一つ、その問題と関連をして、今長谷川君が指摘をした、アメリカに十億ドル余りの外貨を日本が保有している、しかもこれらはほとんど無利子にひとしい状態で向うに預金をされて寝ているということであります。私はワシントンで池田前通産大臣にも親しく会いまして、渡邊公使など、それから向うの銀行人たちにもいろいろ会つたのでありますが、池田さんはこんなに多くの外貨を持つている日本は決して貧乏国じやないというふうな冗談まじりの話も、私に直接いたしておりました。しかもニユーヨークにこれだけの厖大な預金を持つている日本、これ以上に持つているのは英国だけだ、日本は第二位だと言うて、池田さんは私に自慢をいたしておりました。しかし私は、少し議論の観点が違つているのですが、今度向うをまわつてみて、機械技術の点、科学技術の点においては日本が非常に遅れておつて、なかなか日本の国内の簡単な技術の改善だけでは、一朝一夕には取入れられない面が非常に多い、むしろパテントを買い、そしてしつかりした経験のある、日本においてかつてまだつくつたことのないような機械は思い切つてここで政府がどんどん輸入をして、日本はその輸入をしたレベルの上に立つて、さらに新しい段階に突入して行くという産業の合理化をやらなければ、私は特に化学工業なんかについては、もう二十年も三十年も日本が遅れているような気がいたしました。日本はニユーヨークに十億ドル余りの預金を持つ、英国の次に厖大な預金者である、そういう自慢話をするのは、愚の骨頂である。今大臣お話になるように、これはあるいは朝鮮事変の済んだあと日本が貿易できなくなつたときの準備に積み立てておくのだという考えは、私はせつかくの宝を眠らしておく政治であると思う。朝鮮事変が済み、日本が世界経済の中で闘つて行くためには、朝鮮事変の特需がまだある間にこの資金を活用して、日本の科学技術、生産施設を近代化するために導入することが必要であろうと思う。外資導入は、今年世界銀行の社債は八千数百万ドルしか出されておらないが、それの半分の四千万ドルを日本にひつぱつて来たことは、煮え湯は飲まされておるけれども、私はけつこうなことだと思う。しかしそれよりも、十億ドルの資金を、いかにして日本通産大臣が活用するように政府の中で発言をして行くかということの方が、よほど大きな政治問題であるということを考えて帰りました。その点について今の大臣の見解と少し見解を異にして帰つて来ておりますので、大臣の所見を伺いたいと思います。
  64. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 国内産業をもう少し奨励したらいいじやないかという第一点の長谷川さんのお話はもつともでありましてこれはその通りです。  国辱じやないかということは、今山手さんからも助け舟が出ましたが、私は国辱じやなくて、金を借りる方では五十五箇国がすべて平等の待遇を受けるのだということで、国辱にならぬと思います。これは少し長谷川さんと御意見が違う。  もう一つ、外資導入は安易なことであるように自由党内閣が宣伝しているというようにおとりになつていらつしやいますが、しかしこれはまつたく逆でございまして、われわれは外資導入は決して安易であるとは思つておりません。安易であると思つていないから、努力して外資を導入して行きたいとこう考えている。  それから十億ドルの金は使つちやつて大いに発展したらいいじやないかというお話でありますが、これには私といたしましてはちよつと異論があるのでございます。もし十億ドルの効率をたくさん上げようと思えば、人から借りられることならうんと借りておいて、借りられなくなつた点において十億ドルを使つた方がいいのじやないかという感じがあるのです。でございますから、せつぱ詰まつて——せつぱ詰まつてというのは少し言葉が悪うございますが、米を百六十万トンも入れなければならないという情勢に立ち至つたときに、もし手元がゼロでございましたならば、外国へ行つて金を貸してもらつて入れなければならないという非常な不利があります。しかし積んであるのですから、必要とならば金はいつでも出る、ですから買つてやる、こういうようなことになりますから、この点は効率ということからは借りられるものはできるだけ借りる、同時にたまつておるものは借りられないところにこれを使つて行くということにした方が、私はほんとうはいいと思います。もう一つ、これは俗な話でございますけれども、この十億ドルというのは非常に大切な金でございますので、大事にとつておかなければならない。その点におきまして金利が非常に安いということはやむを得ないことだと思います。ごく俗な言葉で申しますと、今たんす預金なんかがたくさんございます。それは銀行へ預ければ利子がとれて増殖できるのですけれども、もし銀行がつぶれちや困るということがあるために、たんすへ入れて大事にしまつておいて、朝晩自分で見ておるということもあるのでありますから、その意味におきまして、私はこの外貨は大切にとつておいて、そうして同時に非常に大事なことに使う。しかしもし借りられることなら外国から借りたらいいと思う。  それからもう一つ、輸出入銀行から借りられれば、今度のような苛酷な条件でなしに借りられたのに、世界銀行にまわされたからああいう条件になつたのではないかというお話もございますが、これはこちらの情勢といたしましては、むろん輸出入銀行から借りたかつたのでございますけれども、向うの金融制度の建前から世界銀行に移すということになつたのでありまして、やむを得ない。向うの情勢上世界銀行に行かざるを得なくなつた、こういうことでございます。ただそのときに、よく輸出入銀行から借りられなくて、世界銀行にこんな、いわゆる世間で言う苛酷な条件でまで借りないでもいいのではないかというような説がありましたけれども、しかしもう物を注文してしまいまして、手付金も打つておるし、それからメーカーの方ではやつておるというようなことで、今引くに引かれぬ工程になつてつたものでございますので、引続き世界銀行に振りかえられましても、この借款の交渉を続けて、そうして成立させたわけでございます。その辺の事情はひとつ御了承願いたいと存じます。
  65. 山手滿男

    山手委員 世界銀行に振りかえられたという話は今お話通りでありますが、民主党政権から共和党政権にかわつて、できるだけ向うの減税措置を優先させようということからいろいろ問題が起きたのであつて、それは私承知をいたしておりますが、この借款はもう一年前からやつてつて、東京においてもいろいろ話をし、国務省は非常な乗り気でこれに話をつけてやろうということでやつてつたのでありますが、こちらの方でいろいろぐずぐずしておつたという理由があるようであります。私は今日は長くなるからその問題は触れませんが、事実それは去年の暮れまで、もう一年以上交渉しておるのですから、うまく推進しておれば輸出入銀行から借りられたであろうと思う。ただ大臣が今お話のあつた前の段階でありますが、輸出入銀行から今後はほとんど長期的なものは借りられません。これははつきり申し上げておいても間違いないと思う。綿花借款のような短期のものは借りられますが、しかもアメリカの輸出を促進するというものについては借りられるでしようけれども、そのほかのものは輸出入銀行からは、私の受けた印象では、今後長期のものはほとんど借入れ不可能である、そうすると何になつて来るかというと、MSAのような特殊な援助か、さもなくば世界銀行のようなものから入る、そういうことだけがあいておるものであろうと思うのですが、世界銀行は御承知のように資金量が非常に狭い、小さい。五十三箇国かの加盟があつて、アメリカの市場で社債を発行して、それを世界的な経済復興に使おうというのですから対象になる分野からすると資金量も非常に少い。従つて私は今後世界銀行からは借り入れる道は私はもう一件か二件もあれば、せいぜいのところであろうと思います。ところが新木大使に私が会いましたところが、日本産業人がいろいろ外資導入をしたいというのが、新木大使の机の上にはこんなにたまつている。そうしてみんな金を使つて向うへ行つて、何とかして渡りをつけたいというようなことでやつております。そうしてようやく今度の火力電力借款が一つほど成立をしたということであつて、これはわれわれも非常に責任があると感じております。そこでできるだけ借りられるものはこの際借りたらいいと思うのですが、今の十億ドルを全部使えとか、使い切つてしまえというのではない。もつとこれを動かす必要がある。これを静的に放置しておかずに、動的に活用する必要があると私は思う。朝鮮事変の特需がなくなつてしまつて、最後に米を買う金がなくなつたら、その米を買う金にこれを使おうというふうな考え方は、今日の日本の経済を担当しておる大臣のお考えとしては非常に古いと思う。日本化学工業あたりを見ましても、ドイツやアメリカの化学工業に比べるとまつたく二十年も三十年も遅れておると私は考えました。この際私は思い切つて措置をするためには、この十億ドルの一割でも二割でも動員をして、そうして思い切つてその一億ドルか二億ドルを種にしてまた数億ドルももうかるような産業政策を打出してもらわなければいかぬと思う。これは私は別な機会に大臣とゆつくりお話をしてみたいと思うのですか、建設的にそういう積極政策を大臣におとり願わなければ、大蔵大臣のように、銀行家のような経済政策を行つたのでは、私はちよつと満足できません。そういうことを関連をして申し上げておきます。
  66. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 向うの新知識を拝聴いたしまして非常に啓蒙いたされました。御趣旨を尊重いたしまして、今後の行政を担当して行きたいと考えております。
  67. 大西禎夫

  68. 川上貫一

    川上委員 私はやはり火力借款で少しばかりお聞きしたいと思うのですが、まず第一に、これで入つて来る機械類の関税がおよそ三十億くらいあると思いますが、これは免税にする予定でありますかどうか、この点を伺つておきたい。
  69. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 どのくらいの関税になりますか、私はまだよく存じておりません。
  70. 川上貫一

    川上委員 関税の額を聞いているのではない。免税にするのではないかというのです。
  71. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいまのところよく存じません。
  72. 川上貫一

    川上委員 火力借款の交渉について、岡野さんはどうもタツチしておられぬのじやないか。これは非常に重大な問題で、ことに岡野大臣は電力行政については責任の地位におられると思うのですが、これは初めの間ほとんど御承知なかつたということは与党の人も言つておるが、これはいつごろからお聞きになつたのですか。さつきから話を聞いておると、どうもよく知らぬとか、どうも新聞に書いてあつたから世界を例を聞いてみたというのですが、最初から加わつておられたのですが、どうでしようか。
  73. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 通産省としてはタツチしておつたそうですが、六月に私就任しましたので、そのときに世界銀行に転換されまして、それからよく事情を聞いておつた次第であります。
  74. 川上貫一

    川上委員 通産大臣はもう少ししつかりせぬとだめなんじやないですか。こんなものを大蔵大臣やその他のところでかつてにきめてしまつて、済んだものをあなたに持つて来て、あとでその通りつて行けというので大臣大分困つておられるのだと思いますが、今後この形ではやはりいかぬと思う。それでこういうことを聞きたいのです。世界銀行は、日本全体の電力事業の状態と政府の方針とを提出するように要求したはずであります。政府は本年八月ごろに大堀という経理長をアメリカに派遣したことがある。その時分に資料を提供したはずであります。これはどういう資料を提供したのか、その資料を国会提出してもらいたい。これがひとつ。いま一つは実際知つておるのは公益事業局長と開発計画課長と大堀経理長だけであつて、ほかの者はあまり知らぬということがあるのだが、そういうことがあるのかないのか、この点はひとつ大臣から伺いたい。
  75. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御説のように、大堀君が向うに出かけたことは事実であります。それから政府といたしまして、保証する限りにおいては、政府が相当な関渉をしなければならぬ、また注意をしなければならぬという意味において、いろいろな資料も持つてつたのでありましようが、それらのところはひとつ事業局長からお答え申し上げます。
  76. 中島征帆

    ○中島説明員 この借款問題について、私と大堀経理長と開発計画課長だけしか知らぬのじやないかということでありますが、これは全然違うのでありまして、もちろん通産省におきましては、一応三人が責任者になつておりますが、これに関しましてほかの係官も十分知つております。また上司に対しましても、その都度報告あるいは伺いを立てております。通産省部内におきましても、大体関係のあるところは上下横すべて常に問題の内容は承知をしておる、こういうことになつておりますが、ことに通産省だけでなく、窓口は外務省でありますし、直接の形式的な保証主体は大蔵省になつておりますので、従つて大蔵省におきましても開発銀行の監督者としての銀行局、それから外資という意味におきまして為替局、この二が主務局として常に問題の起きますたびに外務省並びに大蔵省と協同していろいろ作業も、協議もしております。従つて関係の官庁は、すべてこれにつきましては同じような広さと深さとをもつて関与しております。それから交渉の経過中におきまして、電力会社の諸般の計画並びに政府のこれに対しまする方針を求められたかどうかという点でございますが、これはその通りであります。大体三電力会社は、今後どういうふうな開発計画を持つているか、それをどういうふうに実行するかというふうな点、これを今度の契約面では約定計画と申しておりますが、そういうふうな計画の提出も許されます。それからそれに対しまする政府の方針と申しますのは、これは別に明らかな書面でもつて出しておるのではなくて、どういうふうにこれに対して考えるかということは、ときどき大使館からの請訓もありましたり、また大堀経理長が向うへ参りまして説明するときにも、大体これについてはこういうふうに考えておるというようなことは、口頭で説明しておるのであります。従つて別に組織的な説明書は出しておりませんが、その都度向うの了解を得るという限度におきまして、政府の考え方等は伝えておるわけであります。それから当時まで主として開発銀行が、むろん大使館を通じてでございますが、具体的には開発銀行が一応の交渉の相手方となり、さらにその説明者としてそれぞれ三電力会社の代表者なりあるいはエキスパートが行つてつたわけであります。開発銀行は、この電力政策に関しましては別に責任当局でもなし、また三電力会社というものはそれぞれいわゆる事業者として個々別々の考え方に、場合によつては行かざるを得ませんので、いろいろな将来の計画等に対しまして統一的な説明ができない。ことに五箇年計画等、全体的な計画に対しては、はつきりした説明ができないという関係から政府側といたしまして通産省から大堀経理長を派遣したわけであります。従つて行きましたときは、一応政府として、ことに通産省として、電力会社の監督なりあるいは今後の契約なりというものについて、どういうふうな見方をしておるという説明が、できるげけの十分な資料を用意したわけであります。正式にどういうものを提出したかということは大堀経理長にはつきり聞いてからでないとわかりませんが、かなりのものを向うへ提出しておりますから、それを全部ここへ出ますということになると厖大なものでありますので、その点はごかんべん願いたいと思いますが、一応経理長が出しましたものが基礎になつてでき上りましたのが、今日配付になつておると思いますところの契約の末尾にあるいろいろな契約書、これが結局日本の三電力会社で将来こういうふうな計画があるということを、世界銀行として確認した集約的なものでありまして、約定計画の出ているものがその全部であります。それからそれ以外に提出しておりまのは、いろいろなものがたくさんございますが、それを御要求でありましたら一応調べますが、非常に厖大なものになるおそれもありますので、その点ひとつ御了承願います。
  77. 川上貫一

    川上委員 そうすればどういう資料を提出したか、それを一つ正確にこちらへ出してもらいたい。それから次にちよつとお聞きしたいのは、この電力会社は世銀に事業計画というものを出しておるはずです。この事業計画は世銀と電力会社との合意で変更ができ、政府、開銀はただこれに同意を与えるだけになつておると思うのでございまして、しかもこの事業計画の内容が秘密になつておるのではないか。この事業計画書というものを出してもらいたいと思うのですが、これは出せますか。
  78. 中島征帆

    ○中島説明員 事業計画と申しておりますのは配付資料の末尾に書いてございますが、要するに約定計画といつて、これは各電力会社がどういうふうな計画を持つておるかという大づかみな計画でございます。その中に今度借款をして建設いたします火力発電所の計画があるはずでございますが、今度の借款に直接関連する火力の建設計画を抜き出して少し詳しく書いてこれを事業計画に載せております。それでその事業計画の内容はこの資料のおしまいの方に出ておりまして、これ以外には別に詳しい説明的なものはないと思います。
  79. 川上貫一

    川上委員 貸付契約の附属書の第2の(h)というところにあるはずです。この事業計画で発表できないものがある。これはどこにも発表しておらぬと思うが、そういうものがあるかないか。それだけでいいから伺つておきます。
  80. 中島征帆

    ○中島説明員 そういうものはないと思います。
  81. 川上貫一

    川上委員 これはあとでまた私の方であるということを主張して質問したいと思う。それからその次にちよつとお聞きしたいのは、電力会社は世界銀行の同意がない限り、その法人格と財産権を維持する義務がある、こういうことになつておると思うが、これでは将来日本が民主化したときにこの電力企業を国有にすることも国営にすることもできないと思う。しかしこれが十五年、二十年の間こういう拘束を受けておる。そうなつておりますか、どうですか。
  82. 中島征帆

    ○中島説明員 形式的にはそういうふうになつております。ただ先ほどもちよつと違つた質問に対して申し上げましたように、これは別に政府の方針なりあるいは立法ということで縛つておるのではなくて、契約上そういうことをしては困るということでありまして、もしそういう事態が起きた場合には、新しい企業体の契約の継続を世界銀行で容認すれば、これはまたこのまま新しい契約として存続することになります。もしも向うが同意しなかつた場合、同意しないにもかかわらず日本において別の立法によつてさらに再検討を主張するとか、あるいはお話のような国有化が行われるとなると、世界銀行としてはこの条項を動かしましてこの契約を破棄することになります。その場合には期限前でありましてもそのときまで存続しておつた三社がただちに弁済をするか、あるいは弁済ができない場合には政府が保証契約に基いて債務を実行する、こういうことになるのでありまして、立法行為その他によつてつておるということにはならない、さよう御了承願います。
  83. 川上貫一

    川上委員 これは世界銀行がそんなことを承知するはずはないから、その期間まるで押えられてしまう、こういうことに解釈せざるを得ない。  次に、日銀も市町村長も、何も知らぬ間に実際上保証人になつておる。これは払いされすればいいということを大蔵大臣は言つておるけれども、払いさえすればいいなどということは、借り金をしている者からいつたらおかしなもので、向うは払わぬと思うから担保をとる。これは保証人になつておるが、岡野通産大臣は、こういう日銀の当局も市町村長も知らぬ間に事実上の保証人になつてしまうようなことをやつていいとお考えになつておるのかどうか。  いま一つ、この電力会社ですが、これは日本産業の基幹となるものですが、これの事業計画も経理状態も何もかも全部世銀の監督を受ける、帳簿も勘定状態も報告しなければならぬ、また検査を受けなければならぬ、これではまるで日本の電力事業というものはアメリカに裸で渡したようなことになるのですが、岡野通産大臣はこれでもやはり日本の基幹産業はアメリカに従属しないとお考えになるのでしようか。これはどうも考えられないと思うのですが、通産大臣としてどうお考えになりますか。
  84. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 日銀とか地方公共団体とかいうものが国の財産というものに入るように向うの例文にありますが、しかしこれはわれわれといたしましては、日本の憲法上容認できないものはいたし方はないというおとで事が済んでいるわけですから、今後事が起きましても日銀とか市町村、地方公共団体というものがこの担保権によつて押えられるということはないはずでございます。  それから金を借りた会社に支払い能力があるかないかということを、貸した方でいつも見ておかねばなりません。これは金融の常通でございますから、これによつてアメリカ資本のために日本の事業かどうされるとかいうことはないと思います。ただ支払い能力の点においてそういうことをするだけであつて、われわれは自主的にどんな経営でもやつて行く、そうしてわれわれが簡単に片づけて行ける、こう考えますが、外国から金を借りるということに対しては、少し思い過ぎじやないかと思います。現に平和時代におきまして、いろいろな電力会社が外国から借款いたしましたのは、今とあまりかわらないような条件かついて金を借りておるわけです。それで何も日本の国をとられたとか、国の産業をその資本家によつて牛耳られたというようなことは、かつてなかつた次第でございますから、御心配は御無用かと存じます。
  85. 川上貫一

    川上委員 私は議論はいたしませんけれども、前に電力借款をしたことがあるが、あの時分の電力会社がどんなに困つたかということは、御承知通りです。この点については、時間もありませんから私は議論はいたしませんけれども、そういう考え通産大臣がやられたならば、日本は必ずまる裸になつてしまうと思う。やむを得ないことであつて、しかたがないから、借りたというならば、訳はわかるが、金を借りる場合にはあたりまえだ、国をまる裸にしてもいいのだという態度では、私は日本の独立と自由の産業を興すことはできぬと思う。私は議論はいたしません。質問を続けますが、こういうことはどうですか。中部電力の三重発電所の機械、これはGEから買うのですが、これは国産でできる。現在日立製作と三菱の二社が、東京電力鶴見発電所の機械をつくつておる。この機械は、三重発電所に入れるものと能力は同じである。価格は、比較すると国産品が安い。納期はずつと早くなるということを、去る九月末の通産省の重工業局関係の全国課長会議で、通産省当局が話しておる。こうなるのだということを言つておる。こういう事実あるかないか。こういうことを言つておることは、うそかどうか。この点をひとつ大臣にお聞きしたい。
  86. 中島征帆

    ○中島説明員 ただいまのお話は、大体事実でございます。但しそれに対して少し説明を要するのでありますが、鶴見第二発電所の火力設備を現在東電で注文しておりまして、その設備の能力ないしは性能が、大体今度入れますものとほとんど似ておるということであります。ただ、この新しい機械の製作につきましては、日立と三菱電機で請負つておりますが、いずれも火力借款の対象となつております設備の輸入に関連いたしまして、アメリカのメーカーと、この借款の問題と並行して技術提携をいたしまして、向うの特許を買い、向うの指導によつて日本でも試作するということになつたわけであります。従つて、たまたま借款によつてアメリカの機械が日本に輸入されるということと、それから技術提携によつて同じものを日本でつくつてみようということが、同時に行われた結果になつておりまして、しかもその納期は、現在のところでは大体同じような時期になるであろうと思います。それから価格は、お話のように日本の方が少し安いようでございます。ただその後の能率を考えた場合には、また別問題であります。一つは、日本のメーカーは今度こういうふうな規模の、こういうふうな程度の性能の機械をつくるのは、初めてでございますから、かなり危険も伴う。従つて試作的な意味で、かなり研究費的な費用もつぎ込もうという意気込みを示しておりまして、そういう関係から、普通のコストよりもかなり勉強して請負つておる、こういう関係がございます。ですから、現在東電との契約の価格が輸入品と比べて安いからといつて、必ずしも同様の性能のものが、今後安い値段で日本でできるかどうかということは、言えないのであります。これは今後の問題に残されておるわけであります。特に今度つくられますものは、二社とも試作の意味でかなり勉強はいたしておりますけれども、はたしてでき上つてその通りに能率を上げるかどうかという点につきましては、まだ十分の信頼は置けないという弱味があると思います。それからなお、能力の点でございますが、一応出ております数字を見ましても、たとえば中部の三重電力の設備は、同じく六万六千キロでございますが、熱効率が三〇・五%となつておりまして、鶴見第二の場合は、二〇ないし二九%ぐらいになつておりまして、ノミナルでも若干劣つた点もあります。これは設計が多少違つた点もございますから、直接比較できない部分もありますが、今度入るれ設備を目標に、各社がおのおのの輸入した特許ないしは技術提携の線に沿つて、今後試作してみよう、こういう段階でありますから、かりに火力借款が行われる……。
  87. 川上貫一

    川上委員 私の聞いているのは、そんなことじやない。通産省が、能力も同じだ、機械も日本でつくれる、価格は国産品が安い、納期も早くなるということを言つているのです。全国課長会議で、通産省自体が言つておる。あなたは今そこで説明をなさるけれども、九月末の通産省の重工業関係の全国課長会議で、通産省が言つておる。これは印刷物にまでなつておる。これはどういうことですか。これが一つ。今火力機械の製造能力は年間三百四十万キロ日本にある。これだけのものがある。本年度の受注見込を調べてみると、百三十万キロ分しかない。メーカーは非常に困つておる。ところが今度入れる機械は三十万キロのものを入れるということである。そうすると、これは火力機械メーカーの大打撃である。日本でできる。ところがこれをまた入れて来る。これはもう通産行政の上から言つたら、私はとんでもないことをしておると思う。もしそうでなかつたら、なぜ通産省の会議でこんなことを言うのか。はつきり言うておるじやないか。この点は通産大臣ははつきりした態度をしなければならぬ。通産省の中で言つておることなんです。私が言うのと違う。これはどういうことなのかということを聞かしてもらいたい。
  88. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 日本でできることはさしたい。むろん通産省の立場としましては、日本の業者にやつてもらいたいことは事実であります。重工業局でそういうことを言つたことは、実はわれわれ寡聞にして知りませんでしたが、局長があつたと申しますから、あつたでございましよう。そこで問題は需要者の問題だろうと思います。御承知通りに、先ほども申し上げましたように、日本で試作をしてやつてみるという点で、できると業者は言うでしよう。しかし使う方面から見たら、そこに幾らかあぶなげがある。納期とか能率において違いはせぬかという心配がある。そうすると、今度は使う方がこれを日本につくらせるか、外国から買つて来るかということを決定するだろううと思います。おそらくこの際は、借款で買う機械は、電力会社は、日本でもできるだろうけれども、外国で買つた方が安全確実に、しかも能率のいいものができるという確信のもとに、注文したのでございましよう。しかし通産行政といたしましては、もしそういうことがあつても、日本でできるものはやつてもらいたいという意味で、重工業局の方の自信を発表したのたろうと思います。
  89. 川上貫一

    川上委員 通産大臣説明は、ちよつとそれはいかぬです。大体この問題は、日本電機工業会は初めから反対なんです。受入れる方が、まことに外国のものを入れたくてしようがなかつたのならば、日本電機工業会はなぜ反対したか。これは全面的に反対しておる。途中から何かてこ入れがあつて、やわらいでおりまするけれども、これは輸入することに反対しておる。政府が一生懸命になつておるだけです。これはどういう関係になりますか。通産大臣は、よう知らぬのと違いますか。
  90. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 あるいはよく知らぬのかもしれませんけれども、しかし三電力会社はこの機械の需要者でありまして、これは三電力会社が買いたいというわけで、こういうことができたわけでございます。
  91. 川上貫一

    川上委員 いよいよいけない。そんなことを言うのならば、火力で一番困つておるのは、四国と北海道です。経営状態が非常にいい中部、関西、九州、こんなところに何で入れるのか。ほんとうに業者が困つておるところに入れるのならば、四国と北海道に入れるべきである。三電力会社、三電力会社と言うけれども、三電力会社だけが日本の電力会社ではない。こういう答弁をせられては、さつぱりどうにもならぬ。日本電機工業会が反対しておる。そうして四国とか北海道のように非常に困つておるところには入れない。中部と九州と関西に入れる。これは業者の希望だからというのは、それは中部と関西と九州の希望なんです。これはどこにつながつておるか。これは三菱につながつている。ここのところに入れる。そうすると大臣の答弁は、三菱がそういうことを希望しているから入れるということになるにすぎない。これはもう少し答弁の仕方をお考えにならぬといけないのではありませんか。
  92. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 何か私御質問を承つておりますと、電力の拡充をあなた方の理想通り政府が国営でやつて行くという観念が存在しているから、そういう御議論が出るのだろうと思います。もし政府がやるならば、中国とか北海道とかは足りないのだからその方にやつたらいいだろう。しかしただいまはこの九電力会社は完全なる私企業でございまして、その企業自分自身の意欲によつていろいろの方面へ発展しようとする。それが公益にもしも反してはいけないという意味において、われわれ通産省の企業局では監視に当つておるわけでありますから、あなたの説から言えば、それは国営の場合はそうでございましようが、しかし九電力会社が私企業で、自分自身の企業を維持して行くという意欲において実行して行く以上は、私はあなたの理論は成り立たぬと思います。
  93. 川上貫一

    川上委員 いよいよいけない。この借款の骨を折つたのはだれだ。小笠原君ではないか。政府は一生懸命やつておる。国営企業ではないからというが、政府が一番先に立つて、大蔵大臣がふうふう言つて、あれに判を押そうか押すまいか、判を押したら日本に帰つてつるし上げを食うかもしれないが、私は大いにかくせられるつもりで判を押しますとさえ発表しておる。政府がやつておる。こんなことではいけません。政府の政策です。政府の政策ではないと言えますか。そんなら三電力会社が世界銀行からかつてに借りたのですか。だれが一体これを一番先に言い出して、だれが骨を折つてだれが持つて来たか。政府じやないか。これはどうですか。
  94. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これは、政府ができるだけ外資が入るようにと思つてあと押しをしただけでありまして、われわれがそういうようにやつたわけではありません。
  95. 川上貫一

    川上委員 岡野さんはよほど困つておるようだから、これ以上この際言いますまい。これは非常にしんどい話だ。  もう一つ聞きます。日本開発銀行が世界銀行から借りておるのですが、世界銀行はこの債権をアメリカの銀行に売ることができると思います。これは例があるのです。たとえばオランダでもやつておる。具体的に言えば幾らでもあります。ベルギーでもやつておる。ブラジルでもやつておる。これを売りました時分には、今の実際の債権は自動的にアメリカの銀行に移ると思いますが、これはこう解釈してよろしゆうございますか。
  96. 中島征帆

    ○中島説明員 この債権が世界銀行以外の第三者の手に渡ることも一応予想しておることはございます。その場合には、今度の契約に基くいろいろな世界銀行の権利がございますけれども、それがそのまますべて第三者に承継されない。たとえば政府あるいは開発銀行あるいは電力会社に対していろいろなことを申し入れるような権限が世界銀行にはありますけれども、そういうものが別の債権者に対しては伴つてはいけないのだというような明文がございます。
  97. 川上貫一

    川上委員 世界銀行の契約が自動的に移ると思いますが、移らぬという条文がありますか。それはどの条文ですか。——わからなければ、きようはこれで留保いたします。
  98. 大西禎夫

    大西委員長 それではこの際お諮りいたします。今国会における国政調査事件といたしまして電気及びガス事業に関する事項、貿易に関する事項中小企業に関する事項、鉱業採石業鉄鋼業繊維工業化学工業機械工業、その他一般工業に関する事項、以上について国政調査をいたしたい旨の申出を議長にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。  本日はこの程度にいたし、会期が延長されましたならば、次会は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十七分散会