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1953-11-07 第17回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    前尾繁三郎君       山本 友一君    吉田 重延君       橋本 清吉君    藤田 義光君       北山 愛郎君    井手 以誠君       山田 長司君    伊瀬幸太郎君       大矢 省三君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         議     員 芳賀  貢君         国家地方警察本         部警視長         (刑事部長)  中川 薫治君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         参  考  人         (日本炭鉱労働         組合三池炭鉱労         働組合長)   宮川 睦男君         参  考  人         (日本炭鉱労働         組合岩屋炭鉱労         働組合長)   井手 定雄君         参  考  人         (佐賀国家地         方警察隊長)  金堀 一男君         参  考  人         (福岡国家地         方警察隊長)  長野  實君         参  考  人         (警視庁刑事部         長)      古屋  亨君         専  門  員 有松  昇君     ――――――――――――― 十一月七日  委員滝井義高君及び横路節雄君辞任につきその  補欠として井手以誠君及び山田長司君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月六日  昭和二十八年における冷害により被害を受けた  地方公共団体起債特例に関する法律案(吉  川久衛君外二十三名提出衆法第八号) の審査を本委員会に付託された。 十一月五日  奄美大島祖国復帰後の特別復興措置に関する陳  情書外一件  (第八四号)  奄美大島復帰に関する陳情書  (第八五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出に関する件  昭和二十八年における冷害により被害を受けた  地方公共団体起債特例に関する法律案(吉  川久衛君外二十三名提出衆法第八号)  警察に関する件(岩屋炭鉱等関係事件及び保全  経済会に関する件)  地方財政に関する件  陳情書日程追加  一 奄美大島祖国復帰後の特別復興措置に関す    る陳情書外一件    (第八四号)  二 奄美大島復帰に関する陳情書    (第八五号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。
  3. 門司亮

    門司委員 会議に入ります前に、委員会も大体きよう限りだと思いますので、一応委員会結末をつける意味におきまして、せんだつて委員会において保全経済会の問題で、政府意見がまとまつておらない、いわゆる大蔵省意見法務省意見がまとまつておらなかつた、そうしていずれがこれを所管し、いずれがこれを取扱うかということについても、十分な話合いができていないようでありますので、私といたしましては、その際この問題について政府のいずれの機関がこれを担当するのか、ひとつ明確に政府当局話合いをしてもらいたい、そうして意見の調整をして、なお問題について所管の官庁がわかれば、それによつて十分聞きただしたいということを注文をいたしておきましたので、ひとつこの機会に政府当局を一応呼んでいただきまして、そうして大蔵省でこれを取扱うべきものであるか、あるいは法務省がこれを処理すべきものであるかということの、政府部内の意向をひとつこの際聞きたいと思います。きよう公報には載つていないようでありますが、さつきも申し上げましたように委員会の最後の日でありますので、一応の締めくくりをしておきたい、こう考えておりますので、委員長においてひとつしかるべくとりはからいをしてもらいたい。それから、もう一つつけ加えておきたいと思いますことは、保全経済会から大蔵省並び警視庁方面には、何か書面が出ておるようなことがあるのであります。ことに私どもの手元にも一応の書面が参つております。これは匿名でありまするので、名前が書いてありませんからだれが出したのかわからぬが、しかし保全経済会関係書類であることには間違いがございませんので、一応それらの面を十分に私どもは知りたいと考えておりますから、この際警視庁の万にもひとつ来ていただいて、そうしてどういう状態になつておるか、このことを聞きたいと思う。これはきわめてわずかな時間でもけつこうだと思いますが、一応呼んでいただいて、一応の結末だけをつけていただくように、ひとつ委員長においておとりはからいを願いたいと思います。
  4. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの御意見は了承いたしました。そこで当委員会出席を求むべき政府当局ですが、法務大臣ではいかがでしようか門司さん。
  5. 門司亮

    門司委員 これは、私がこの間聞きましたのは、大蔵省法務省か、いずれかがこれを主管すべきであるということです。両方張り合つてつたのでは権限争いになる。とかく官僚はなわ張り争いをして物をとりたがるものだが、この場合はちつともとりたがらないで、いや向うだ、こつちだということで一向はつきりしません。この委員会でも皆さんお聞きのように、どつちが主管してやるのか、わからなかつたような状態です。従つて政府内部意見がまとまつておれば、法務省であつてもあるいは大蔵省であつても、私はけつこうだと思います。それはひとつ事務当局と打合せをしていただいていずれかにきまつた上で——あるいは両方きまつていないというならば、両方来ていただく以外にないと思います。
  6. 中井一夫

    中井委員長 それでは大蔵大臣法務大臣両方呼ぶことにいたしましようか。
  7. 門司亮

    門司委員 けつこうであります。
  8. 中井一夫

    中井委員長 向うできまつておれば、どちらでもけつこうでありますが、それではただいまの門司委員の御要求により、小笠原大蔵大臣犬養法務大臣、その上に国警の方から国警長官もしくは刑事部長出席を要求いたすことにいたします。
  9. 門司亮

    門司委員 警視庁の方がいいと思います。うわさによると警視庁にそういう書類行つているということでありますから、真偽を確かめておきたい。
  10. 中井一夫

    中井委員長 しかしきようの問題もありますから、来るか来ないかわからないが、警視庁刑事部長と、国警刑事部長両方を呼ぶことにいたしましよう。突然だから来られないかもしれないが、さつそく手配いたしましよう。  それでは本議題に入りまして申し上げます。まず警察に関する件について、調査を進めることといたします。すなわち伝えられるところによりますと、九州岩屋炭鉱において、労組間の対立があり、それに伴つて傷害事件か惹起されたそうであり、十四名の検挙者を出したとのことでありまして、さらに警察取調べ後、自宅において自殺をした者もあるとのことであります。しかしてその検挙にあたり、警察側に行き過ぎと思われる行為があつたのではないか、また取調べ自殺したとのことであり、これはからだには外傷はないとのことでありますが、この間に何らか行き過ぎたる取調べがあつたのではないかということが伝えられておるのであります。また大牟田の三池炭鉱においても、労使間の交捗過程において、警察側が行き過ぎたるやり方を組合側に与え、検束者を出したという話もありますので、警察に関する問題といたしまして、本委員会の所管するところでありますから、その真偽を確かめるために、日本炭鉱労働組合池炭鉱労働組合長宮川睦男君、日本炭鉱労働組合岩屋炭鉱労働組合長井手定雄君、佐賀国家地方警察隊長金掘一男君、福岡国家地方警察隊長長野實君、この四人の人々に出席を願い、参考人として、いろいろお聞きすることになつた次第であります。井手君、何か御発言ございませんか。
  11. 井手以誠

    井手委員 自殺事件まで起きました岩屋炭鉱の問題につきまして、金掘国警隊長にいろいろお尋ねいたしたいと存じますが、その前に組合長お尋ねいたしたいと思います。事件輪郭をつかむ上に、事件発生までの状態を、簡単に御説明願いたいと思います。
  12. 井手定雄

    井手参考人 六月二十六日に水害がございまして、岩屋炭鉱の私たち組合員は、大体千二百七十名おりましたが、全鉱が水没状態になりまして、一時操業停止という状態になつたわけでありまして、これにつきまして、会社側としては、千名近い鉱員を一時解雇して、そうして失業保険をとらせて、生活を維持させようという提案が団体交渉でなされたわけであります。これにつきまして、私たち企業整備であるから反対である、あくまでも会社生活保障をすべきだというような争いが続きまして、七月の二十二日に至りまして、会社側としてはどうしても失業保険をとれという、私たちは働く職場もなく、なお生活保障の問題については、会社側交渉がなかなか進まない、いつ再開されるかもわからないような状態の中で、職場を奪われた私たちは、やむを得ず失業保険金をとる手続をとつたわけでございます。そうして、岩屋炭鉱が一日も早く復旧して再開をし、全員職場につけるように会社側交渉を続けて参つたわけでございます。会社としては、この再開にあたつて、みずからの負担の少い方法で、一方においては労働者に犠牲をしいて、再建をはかろうという形が現われて参りまして、組合との間に紛争が起つたわけでございます。その間、八月の十六日に第二組合が結成されまして、対会社との交渉がこの第二組合によつて相当阻害された状態に陥つたわけでございます。この紛争過程の中で、私たちは何とかして第二組合を統一して、会社と早く元の岩屋にしなければならないということを念頭に置きまして、日夜努力して参つておる状態の中で、労務主任の中野という人は岩屋は近く廃山になるから、あなた方が張つているピケツト・ラインは何にもならなくなるから解いたがよいだろうと、こういうことを十八日、十九日の二日間にわたつてピケ隊言つたわけであります。当時坑内は約九〇%近く復旧ができておりまして、近く再開されるという実情にあつたわけでございます。高倉鉱業の約五〇%近い出炭を持つ岩屋炭鉱をそう簡単に廃山することは考えられない。これは単なる組合に対するいやがらせであり、組合内部撹乱であるというような、ピケ隊に対する侮蔑的な言葉に対する憤りが、一つの抗議という形で現われて参つたわけでございます。大体簡単に要約いたしますと以上でございます。
  13. 井手以誠

    井手委員 検挙が行われました二十三日の未明ですか、百数十名の武装警官組合事務所組合長宅などを急襲した。労使の問題について事件は十九日に起つているのに三日も過ぎて、しかも未明に襲つたというふうに承つておりますが、これも簡単でよろしゆうございますので、その辺の状況をお知らせ願いたいと存じます。
  14. 井手定雄

    井手参考人 九月十九日に、今経過を申し上げました原因から労務事務所の前で、派生的に問題が惹起したわけでございますが、当時午後三時半ごろでございましたが、それからずつとこの陳謝の問題で、私だけあとから参りまして当事者と話合いをやつている過程の中で、夕方の八時ごろから推定約百四、五十名だつたと記憶しておりますが、武装警官が各所に待機をして、現在の組合統制上に非常に疑問を持つので、解散を命じようと思つているがどうかということを、私を呼びつけて話があつたわけでありますが、私たち自主統制解散をするということで、その日は解散をしたわけであります。解散をした時間は二十日の午前二時三十分ころだつたと思います。それから約三日間たちまして、二十三日の午前五時を期しまして、私の宅と、組合事務所管理人である中江さんの宅と、それから組合事務所と、検挙された十一名の被疑者の家を捜索されました。私は組合事務所に行こうと思いましたけれども、同時刻に私宅に捜索を受けましたので、約四十五分ばかり遅れて組合事務所行つたわけであります。組合事務所行つたところが、武装警官推定約六、七十名だつたと思いますが、当時大雨が降つておりまして、全部雨ガツパを着ておりましたが、鉄かぶとをかぶつて、こん棒を持つて、ずつと組合事務所を取巻いて入れなかつたわけであります。私は、だれの立会いで捜索をしているか、私は組合長であるから入れてもらいたいということを要望いたしました。しばらく待つてもらいたいということで取次されまして、約七、八分たつてから組合事務所に入つたわけであります。ところがちようど青年部員が当直をいたしておりまして、それを立会いにして、相当数書類が大体押収されておつた。それとはち巻やメガホンや腕章等も集めてあつたので、これは事件とは全然関係のないものと私は判断するので、組合運動を弾圧するような形に拡大して、こういう物品書類を押収することはわれわれとしては納得が行かないので、それについては置いて行つてもらいたい、押収してもらつては困る、しかも当時組合内部情勢から、大会決定を確認する意味で、委任状というものをとつてつたわけでありますので、委任状をとられてはわれわれとしても困るので、組合運動にも重大な支章を来すから、この点は置いて行つてもらいたいということを、たびたび要請いたしましたけれども、一応関係書類として持つて行く、帰つてよく調べて、返してもさしつかえないというようなものであるならばただちに返すが、この捜査令状従つて、私たち命令を受けてしておるので、その命令範囲内で持つて行く必要に迫られておるから、自分の独断でこれはいい、あれは持つて行くということはきめられない、上司命令で持つて来いと言われているので持つて行くということで、朝方七時ごろまでかかつて、いろいろな物品を押収された状態でございます。私の家には約五名警官の方と私服の方と見えました。それから各被疑者の家には十一箇所にわたつて、地域的にもずつと離れておりますし、わかれて捜索をいたしております。一例をあげますと、その捜索の内容は、ここに起訴されております草野久作という家あたりでは時計の中を見たり、畳をはぐつて捜索をしたりしておるという状態で、私たちから判断いたしますと、ただ単なる派生的な傷害事件に関する捜索でなくて、何か非合法的な組合捜索するような、また当時の警察の行動からいつて一つ機動演習みたいな感じを、われわれとしては受けたわけであります。当時いろいろ話を聞いておりますが、第一回、第二回と武装警官約百五十名ずつぐらいで十九日、二十三日に来ておるわけでありますが、佐賀県管内の伊万里地区方面からも動員されて来ておるという状態で、私たち組合運動に対する一つの介入であり、弾圧であるというふうに、われわれ判断いたしまして、いろいろこれが対策を立ててやつて来たわけでありますか、当時の捜索実情といたしましては、今報告したような実情であります。
  15. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとお尋ねいたしますが、今の家宅捜索の起つた原因になつた事件は、組合員間の傷害事件なんですね。
  16. 井手定雄

    井手参考人 そうです。
  17. 中井一夫

    中井委員長 それが被疑事件、こういうわけですね。
  18. 井手定雄

    井手参考人 私たちはそういうふうに判断いたします。
  19. 井手以誠

    井手委員 続いてお尋ねいたしますが、警察取調べ中に、髪をつかんで非常に暴行を加えたとかなんとかいろいろ聞いておりますが、その点について組合長は承知しておるかどうか、お尋ねいたします。
  20. 井手定雄

    井手参考人 その前に一言したいと思いますが、今度の事件は完全に派生的な問題でありまして、組合が指令したり動員したり、そういうことで発生した事件とは全然違いますので、その点御了承願いたいと思います。  藤原辰次辻信太郎野中幸造の三人起訴されておりますが、相知警察署において取調べを受けた際に髪毛を押えつけられて、白状しろ、お前の言つておることは全部証拠があるからわかつておるぞ、うそばかり言うな、こういうことで髪毛ひつぱられた。それから辻信太郎に至りましては頭をなぐられておる、こういう事実がはつきりいたしております。それから白尾泰造氏の取調べについては、隣の部屋取調べを受けておりました辻信太郎藤原辰次が非常に大きな声でどなられて怒られておつた。それが隣の部屋取調べを受けておる自分たちがびつくりするくらいに大きな声だつた、便所に行くときにその声を何回も聞いた、こういうこともはつきり申しております。その後藤原辰次佐賀に行きましたときに、検事名前は忘れましたが、辻信太郎を調べた検事が、お前はおれたち暴力行為をやつて強迫的に取調べをしたということを新聞記者言つたろう、こういうことを言つたそうでありますが、おれはそんなことをした覚えはないと言うので、藤原君が、あんたはなぐつたり頭の髪の毛をひつぱつたじやないですか。こういうことである検事の立会いの前で、半時間ばかし論争しておりました。そういうふうな苛酷な取調べが大体なされておるということは、事実として立証いたします。
  21. 井手以誠

    井手委員 起訴状によりますと、多く住居侵入になつておりますが、私が聞いたところによりますると、相手方は組合の役員である、その用事で行つて、しかも奥さんに断つてから入つたというふうに承つております。その点組合長としての当時の模様をお尋ねしたいと思います。
  22. 井手定雄

    井手参考人 大体当時は岡という第二組合教宣部長の家に、書記長森下という人が遊びに行つてつたわけでございます。大体話を聞きますと、森下をこちらに呼んで来るという予定で行つたそうでありまして、結果的には二人とも参つておりますが、家に行きますと、ちようど奥さんがおられまして、ごめんください、失礼します、よろしゆうございましようかと言つたところが、奥さんがよろしゆございますということを言われたので入つた。そうしたところが主人である岡君が、かつてに入つてもらつちや困るじやないかと奥さん言つた。ところがほかの人は、奥さんの了解を求めて入つたのだから、まあ、そう言わぬで、とにかく話だけ聞いてくれというような意味で入つております。その点は裁判でも明確になると思いますが、断わつてつたということをみんな言つております。
  23. 井手以誠

    井手委員 そこで事件の大体の輪郭がわかりましたので、国警隊長お尋ねしたいと思います。事件が起きましてから四日目に至つて、労働問題について、またその労働問題が組合統制をとつて、またそれを炭労の九州地方本部交渉権委任を受けておるというこの状態にあるのに、四日目に至つて、しかも早朝、多数武装警官を動員しなければならなかつたか、どうしてそういうふうに多数を動員したか、その理由並びにどういう理由逮捕状をお出しになつたのか、その二点をお尋ねいたします。
  24. 金堀一男

    ○金掘参考人 お尋ねの第一点についてお答えいたします。警察が多数の警察官を動員いたしました理由といたしては、あの十九日の晩における不法行為は、ここにおられる井手組合長その他県会議員の方々も、相当努力をされてとめられたにもかかわらず、いわば組合統制範囲を越えて行われた事案であります。従つてわれわれとしても多勢の警察官を動員することはあまり好ましくないことで、できたらばそういうことは避けたい、こういうことは十分考えておつたのでありますが、すでに組合統制力限界を超えた事案が起つておる。従つて一、二の私服警察官逮捕に行くということは、かえつて事案を起させ、場合によつては、われわれとしてもあまり歓迎しない公務執行妨害、こういうような事案をさらに誘発するおそれがある、こういうことで不測の事態が起らないようにという意味で、多数の警察官を出したわけでございます。  お尋ねの第二点は、どういう理由逮捕状を出したか、こういうことでありますが、十九日の夜に行われました不法事犯は大体大別して三つほどあります。勤労課長梶畑という人に対する暴行傷害事件、それから先ほど話がありました岡、森下に対する住居侵入並びに不法逮捕暴行傷害、強要の事件、それから第三の、平松という第二組合員に対する暴行傷害事件、こういつた事案が、内偵の結果明らかになりましたので、逮捕状を請求いたしたわけであります。
  25. 井手以誠

    井手委員 多数を動員した理由として、十九日の集合が統制限界を越えた、こういうふうにおつしやつておりますが、そのときには大したこともなく、翌朝未明に散会しておるのであります。そういう円満に無事に散会したものであるのに、それをどうして統制を越えたといつて、四日目に至つて急襲されるという、その理由が納得できないのであります。重ねてお尋ねをいたしたい。
  26. 金堀一男

    ○金掘参考人 十九日の事案は、私どもといたしましては、これは警備捜査上の技術上の問題でもありますが、できましたら円満に早く事態を平静にもどしたい、こういうことで、警備措置として早く事態を平静にもどすということに主眼を置いておつたのであります。従つてわれわれの方の解散命令組合執行部の方の努力によつて事態が一応平静にもどつた、こういうことであつたので、当日はその日に行われた不法事犯——これについてわれわれもある程度の輪郭知つてつたのでありますが、まだはつきりしない点もあるから、今後の捜査をまつて研究しよう、こういうことで当日は引上げたのであります。
  27. 井手以誠

    井手委員 組合員が自主的に統制をとつて解散をしたのに、統制を越えたという点は、いかにおつしやつても納得できないのであります。組合員大会の決議によりまして団体交渉をしておる者に、逃げも隠れもしない者に、難をさくに牛刀をもつてするように、武装警官を多数配置して未明にやる。私どもの考えによりますと、もう日にちもたつておる、冷却期間も過ぎたような時期になつてやるならば、警察に出頭を求めても逃げ隠れするようなことはなかろうと考える。それを百五十名も動員する。そういうのが今の警察の正しい行き方なのか。やはり逃亡のおそれがあるのか、その点は私は重要な点だと思いますので、重ねて伺いたい。
  28. 西村力弥

    西村(力)委員 答弁の前にちよつと関連して。先ほど国警隊長のお話の中に、二、三の私服の人が行つて逮捕するというようなことになれば、かえつて事が紛糾し、公務執行妨害というような新しい事犯が構成されるようなことになると考えられて、大挙動員の形態をとつたのだという御答弁があつた。ところが今は、まだその事情が明確にならないから、内偵を進めてそのうち処置するというために、その際は退散をした、こういう答弁なんです。そこに私たちは非常な問題点を感ぜざるを得ない。先ほどの答弁では、私服暴行容疑者逮捕することはうまく行かないからというのですから、そのときに明らかに暴行容疑者逮捕するという意思がある。しかるにそのあと、大挙出動の際においては、内偵を進めてからやるのだというわけで退散した、こういうわけで、これははつきりとそこにあなたの立場が矛盾しておるということを、私たちは感ぜざるを得ない。そこの矛盾というものはどういうことになるか、ひとつ御解明願いたい。
  29. 金堀一男

    ○金掘参考人 逃亡のおそれがあつたという心配で多数の警官を動員したか、こういうお尋ねでありますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、多数を動員いたしまし理由といたしましては、われわれとしても好ましくない公務執行妨害、そういつたことが起らないようにということが主眼点でありまして、また逃亡のおそれがあるかないかということよりも、大勢の中でしかも深夜に行われた事案でありますし、お互いが通謀されると証拠を隠滅される、こういうおそれもあつたので、深夜に一斉に検挙するという方法をとつたのであります。  それから第二のお尋ねの、矛盾があるというお話でありますが、十九日の晩にわれわれがわかつておりましたのは、ある程度どういつた不法事案が行われておつたかという輪郭がわかつてつたのでありまして、だれがどういう不法事案を起したか。またその証拠関係がどうなつておるか。こういうことについては、深夜でもありますし、はつきりした内偵ができておりませんのでわかつておらなかつた。三、四日たちまして、その点の証拠が大体固まりましたので、逮捕状を請求した。従つて十九日の警察の態度としては、警備的な措置に重点を置き、二十三日の方は検挙に重点を置いた、こういうことになつておるわけであります。
  30. 井手以誠

    井手委員 そういう場合に、だれが起したかわからないので、内偵のために日にちがたつたということでございますが、それが現行犯でないものならば、またその争議が団体で行われておるということを考えます場合に、これは任意出頭などによつてやる方が、かえつて公安上穏便な措置ではないかと私は思う。多数の武装警官を配置して威力をもつてやるということが、むしろ私は公安上不測の事態を招来するのではないか、こういう考えを持つておるのであります。おそらく私はそういう考えを持つた人が多いだろうと思う。挑発するような態度をとるよりも、もうすでに日にちもたつておるから、また内偵を進めるという事情からいいますれば、大体見当がついているならば、出頭を求めるという行き方の方が、私は公安上正しい行き方ではないかと思う。その点についての隊長の考えを承りたい。これは最近よくそういう事件がありがちであります。この前にも電産事件というものがあつて、同様な行き方が行われた。あの佐賀の封建的な地帯において、それほどしなくてはならない情勢なのか、私はさようには考えないのであります。公安上いずれが正しいか。多数武装警官を配置してやることがいいのか、あるいはただいま言つたように、任意出頭の形式でやらせるという行き方の方がいいのか、その点の御見解を承りたいと思います。
  31. 金堀一男

    ○金掘参考人 私どもといたしましても、できたら任意出頭でやるということの方が好ましいのであります。従つて事件の性質にもよりますが、大体任意出頭でやるということが、われわれ捜査の原則みたいになつておるのでありますが、十九日の事案は御承知のように深夜多数の中で行われておる事件であります。従つて、一応われわれが被疑者として推定いたしております人々の間に、もしも通謀その他が行われれば証拠を隠滅されるおそれがある、こういうことで一斉に検挙するという方法をとつたのであります。  それから多数の警察官を動員したということについてのお叱りでありますが、これは私どもとしましては、使わないに越すたことはないのでありまして、われわれとしては一応動員はいたしましたが、現場から相当離れた劇場の中に秘匿しておりまして、現場にはその中のごく少数の者しか出しておりません。しかも、当時の事情を御理解願いますために私から申し上げておきますが、武装警官という言葉を使われましたが、当時、これはすべて私の一存で、拳銃は持たせておりません。制服だけで出しております。
  32. 井手以誠

    井手委員 証拠隠滅のおそれがあつたという理由を申されましたが、証拠隠滅であるならば、組合統制によつて解散した直後でも、あるいはその翌日でもできるはずのものである。しかるに四日目に至つて一斉検挙を行うというのは、矛盾しはしないかどうか。もし証拠を隠滅するということを防ぐためなら、そのほかにどんなことでもできるはずです。それを四日目に至つて一斉検挙するというなら、証拠隠滅という理由は私は成立たぬじやないかと思います。それが第一点。  それから、多数の警官を配置した。機動演習みたいな配置振りであつたと聞いておりますが、そういう配置について、今隊長がお考えになつて、ああいう多数の警官を配置して、このように事件が拡大したことについて、正しかつたとお考えになつているかどうか、反省する余地もあるとお考えになつておるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  33. 金堀一男

    ○金掘参考人 第一の御質問の点についてお答えいたします。四日目に至つて一斉検挙したということは、証拠隠滅の点からいうと矛盾していはしないか、こういうお話でありますが、私ども逮捕状を請求いたします場合には、はつきりした証拠その他の見通しをつけてでないと、新刑訴法の精神その他から見て、われわれとしては逮捕状の請求ができない、こういう事情になつております。従つて十九日の晩に警備部隊を出動させましたが、その日は大体どういう輪郭の不法事案が起つているか、こういうことはわれわれとしてはつかんでおりました。しかしながら、だれが具体的にだれをどういうぐあいになぐつたか、どういう不法事案関係しているか、証拠関係はどうなつているか、こういうことがわかつておらなかつたのであります。それが四日目に至りまして、大体われわれの方でもそういつた点について、はつきりした確信を持てるに至つたのでやつたのであります。従つて証拠隠滅という点についての矛盾はないと私は考えております。  それから、あれほど多数の警察官を出して、君は現在反省していないか、こういうお尋ねでありますが、当時としては、私は周囲の事情からして、やむを得ない事情で、あれだけの警察官を出しました。そのことについては、警備並びに緊急措置としては、隊長として当然の措置ではなかつたかと思つております。
  34. 北山愛郎

    ○北山委員 関連して……。私は現場の詳しい事情はよくわからないのですが、ただいま関係者からお伺いした範囲でもつて、第三者的に考えてみると、先ほど隊長さんのお話の中で、十九日の事件というのは、これは組合の組織的な行動としてじやない。いわゆる統制力を失つたような状態における、いわば偶発的な事件としてその事件が起きたんだ。傷害事件のようなものでありますが、そのような事件が起きたのだということを認めておられる。そういたしますならば、その後数日たつてから、二十三日かに組合の本部を、証拠を得るために、証拠隠滅を防止するために捜索をしたということは、一体その晩の事件というものが偶発的な事件であつたということをお考えになつてつて、しかも組合の本部に証拠を求めるというのはまことに矛盾じやないか、一体どういう証拠を、組合の本部において求めたのであるか、もしもこれが組合の初めから計画された行動であり、それが何らかの文書に残つておるというように推定されるような事犯であつたならば、それは組合の事務所に行つて証拠隠滅を防止するということもあるでしようが、隊長さんが初めに言われました通りに組合の組織的な行動でなかつたということを認めておられる、しかも組合本部に証拠を求めに行つておられるということは何か非常に矛盾であり、しかもそこには時間的な関係もあり、第三者が考えますと、むしろそれが遇発的な事犯であるから、疑いのある個々の人についてこれを捜査すべきであつて組合というような組織体の行動ではないのであるから、そこをしかも大勢で事務所を調べるというような行き方は何か行き過ぎじやないか、公平に考えてそのように思うのでありますが、いかがですか。
  35. 金堀一男

    ○金掘参考人 御説の通り私は十九日の暴行傷害等は、組合執行部の方で、あらかじめ謀議をされて計画された傷害事犯だとは思つておりません。ああいつた混乱した空気の中で、異常な興奮の中に偶発的に起つた事件だということは、私も多分そうだろうとは思つております。しかしながら最後に至りまして、これは岡、森下に対してでありますが、組合執行部の方も入つておられるようでありますが、いわゆる強要をして、第二組合から脱退し、権限を委任するといいますか、委任状その他の書類を強制的に出させておるのであります。従つてこれは強要罪になるわけでありますので、われわれとしても立件して、検察庁に送致しております。この書類組合にある、おそらく当時の事情としては第一組合から第二組合に対して、そういつた脱退届、委任状をとるということが組合の活動として行われておつたようであります。最後の目的はそこだつたのではないか、従つて暴行傷害というような事件は、偶発的に起りました事件ではありますが、そういつた証拠書類組合にある、こういう見込みのもとに私どもとしてはやつたわけであります。
  36. 井手以誠

    井手委員 その点は先にお伺いしたいこと思つたことでありますが、今の組合襲つたことについてもお尋ねいたしますけれども、その前にもう一つお伺いしておきたいことは、あの多数の警官を動員したことは、やむを得なかつたという先刻の御答弁でございましたが、それでは任意出頭でも解決できなかつたか、今日顧みてそうお考えにならないか、その点をお伺いしたいと存じます。
  37. 金堀一男

    ○金掘参考人 任意出頭でよかつたのではないかというお尋ねでありますが、任意出頭ということでありますと、本人の意思によつて出て来る、出て来ないということが決定されるわけであります。従つて十九日の夜の事案というものは非常な深夜、しかも多数の間で行われた事案であつて、その被疑者同士が通謀するというようなことが起りますと証拠が隠滅される、こういうことで一斎に検挙することが捜査技術上、私どもとしては必要と思つて、ああいつた措置をとつたのであります。
  38. 井手以誠

    井手委員 今後のこともございますので、さらに念を押してお尋ねしたいと思いますが、こういう事件については、多数の警官を動員してやることが今後も考えられるのか、努めて穏便に、できるならば任意出頭の形式で行こうというお考えなのか、この点はつきりした態度を御宣明願いたいと思います。
  39. 金堀一男

    ○金掘参考人 私どもといたしましても任意出頭で済めば、それに越したことはありません。従つて今後起ります事案につきましても、先ほど新刑訴の精神と照し合せて申し上げましたが、できる限り任意出頭で進めて参りたい、こういうぐあいに思つております。現に岩屋事件につきましても、最初こそ十一名の被疑者証拠隠滅その他の必要があつたために、強制捜査という方法を用いましたが、第二次的に三名ほど検挙いたしましたときは、任意出頭で呼び出して、そうして来ていただいて調べておる、こういう状況になつております。
  40. 井手以誠

    井手委員 佐賀県の方においては一年ほど前ですか、隊長がプラカードを持つて組合運動を偽装する、こういうようなかつこうで演習を行つて、非常に奇異な感を県民に与えたことがあるのであります。さきの電産において参議院候補にまで立つ者を、多数で未明に襲つた、このときも組合その他を多数の警官捜査したという事件があつと。今また岩屋においてこういう多数の警官を動員したという事件、これは公安上必要だ、隊長としてそう言わざるを得ないかもしれませんけれども、そういつたことは、よその県ではあまり見受けない。よく私ども方々に参りますと、よく佐賀県ではそんな事件が起るな、東京地方ではそういう暴行のようなことは再三起きておる、しかしそれも穏便に行われておるのに、佐賀県は非常に大きく取扱われる、こういうことをよく言われるのであります。この点は後刻もお尋ねしますけれども、人権尊重の立場からも、また周囲をあまり騒がせないことからも——やはり証拠隠滅という言葉ではいろいろ申訳もありましようけれども、極力最小限度の人数をもつて、穏便に事件を解決して行くことが、私は正しい行き方だと思つております。これについては特に隊長の御注意をお願いしたいと思う次第であります。  そこで続いてお尋ねいたしますが、ただいまは委任状云々の言葉がございました。ただいまも北山委員から出されたように偶発的なこの事件について、なぜ組合長宅なり事務所を襲われたのか、そうしなくてはこの暴行事件捜査ができないのか、この点を、先刻ちよつとお触れになりましたけれども、大事なところでございますので、お尋ねいたしたいと存じます。
  41. 金堀一男

    ○金掘参考人 先ほど私この点についてはちよつと触れておきましたが、事件そのものは、先ほど申し上げましたように傷害とか暴行とかは、偶発的な事件だとは思います。私自身もそう考えております。しかしながらああいつた事件の最後に行われた、先ほど申しました強要罪でありますか、これに関係しておる証拠書類が、組合の活動として、当時そういつたぐあいに第二組合から第一組合への脱退状、委任状というものが組織活動化して行われておつたこれはやはり私は組合活動として行われておつたということが、はつきり言えるのではないかと思うのであります。従つてわれわれとしてはこれは強要罪になると思つたのですが、岡、森下から出させた証拠書類組合長宅なり、あるいは組合の事務所にありはせぬか、こういうことでわれわれとしては捜索をやつたわけであります。
  42. 井手以誠

    井手委員 今強要というお話がありましたが、いろいろ報告は承つておりますが、強要だということは私初めて承つたのであります。組合長お尋ねいたしますが、何かそういう委任状の強要のようなことはあつたのでございますか。
  43. 井手定雄

    井手参考人 当時捜索を受けたときには、二百八十名の委任状を大体とつてつたわけでございますが、その二百八十人のうちの約二百四十人分ばかり集めておりました。ずつと各執行部の者とか、組合員の協力を得て、各家庭等をまわりまして、よく事情を説明して、組織という一つの問題に対する啓発運動かたがた、ぜひとも組合は一本化して行かなければならないから、第二組合に入つて組織の力を二つに分断するということは、われわれとしてとるべき措置じやないから、ひとつもどつて来てもらいたいというような意味と、それからもどつて来る上においては、現闘争委員会交渉権をまかせるということを、ひとつ了解してもらいたいというような意味で、示談で話をしまして、ずつと印鑑をもらつて来たわけであります。ところが大体第二組合の幹部の十二、三名の方は、特にもどる意思がないというふうに、こちらの方でも判断いたしまして、なかなか挑発的にいろいろ言われるものですから、みんなが一応は行きましたけれども、結局判を押してくれない、こういう状態の中で、ちようどその事件労務事務所前の集合の場所に、岡君のうちに遊びに行つてつた森下君がおるということで——委任状を書かせる目的で来てもらつたのではありません。大体一時間半くらいは質疑応答という形で、例を申し上げますと、あなたは第二組合書記長であるが、こういう大きな問題が起きていて、組合員は、家族を含めて五千の者が、会社に早く岩屋再開してもらいたいという一つの闘争をやつている中で、会社の御用幹部になり下つてやることは、労働者の裏切り行為ではないかというようなことを質問し、それに対してあの人たちはあの人たちなりの見解を答えて、約一時間半ばかり質疑応答を繰返しております。そうして最終的に、ある第二組合組合員にいつの間にかなつていた人の奥さん——こういうことがあるわけでございます。第二組合というものは当時二十九名で結成いたしまして、それによつて規約その他をきめて、そしてその二十九名がずつと働きかけて、会社の職制の圧力その他を利用して、勢力の拡大をはかつたわけでありますが、当時組合費を引いてもらわないようにするために印鑑を押してもらいたいとか、山を一日も早く再開するために印鑑を押してくれといつて、第二組合の幹部がとつた印鑑が、結局はいつの間にか第二組合員になつてつた。それで、うちのお父さんは第二組合員になることは絶対いけないということを言つておるのに、あなた方は今の岩屋炭鉱鉱員労働組合の方に、うちのお父さんは脱退したという通告をしておるそうですが、これは私たちをだましたのではないか、こういつたような質問がなされたのであります。これについて森下氏は答え切らずして躊躇した、こういう形の中で質疑応答等が繰返されて、はつきりした第二組合の性格が暴露されたわけであります。そういうようなことで質疑応答をやつておりましたところが、あまりにも曖昧模糊とした形の中で、結局は行詰つて答えないというような形になりまして、みんながわあつと立ち上つて、もんだといいますか、わつしよいわつしよいというような形で、直接にたたくとか、なぐるとか、けるとかいうことはいたしておりませんが、そういう形が派生して参つたのであります。委任状をとる目的ではなくて、質疑応答をやつて、よくわかつてもらつて、私たちの陣営に帰つて来てもらうというので目的でやつたことでございまして、そのときにちようど委任状を持つて来ておつた組合員が、ついでに委任状に判を押してもらおうということで差出したのが当時の実態でございまして、書かぬとお前はなぐるぞとか、またもむぞとかそういうことで条件をつけて、またおどしをかけて印鑑をつかせた委任状ではないと私は思います。
  44. 井手以誠

    井手委員 隊長にお尋ねしますが、組合が闘争のために一本にならなければならぬことは、申すまでもないことでありまして、それを勧誘したり相談することはこれはあたりまえだと思う。どこに強要の容疑があるのか。隊長はどの点をさして強要と言つておるのか、お示しを願いたい。それによつてまたお尋ねしたいと思います。
  45. 金堀一男

    ○金掘参考人 平穏な状態で、相手の納得によつて脱退状なりあるいは委任状をとる、これはもちろん強要ではありません。組合の活動としてそういつたことをおやりになるのは、これは私も当然だと思います。それに関して警察がとやかく申すということはないと思いますが、十九日の事案において岡、森下からとられました委任状なり脱退状は、一応二人を引きずり出しておいて、大衆の面前で——これは見解の相違もありましようから、今組合長暴行、傷害その他はやつておらぬというお話がございましたが、私どもの見方としては、もむという言葉で言われましたが、やはりその間暴行、傷害が行われておる。従つて、最初断つたにもかかわらず、お前たちはさからうかというようなことをいつて、さからえばまたもむぞということを暗示しながら押させた委任状、脱退状は、これは私は強要だろうと思います。
  46. 門司亮

    門司委員 お話を聞いておつてちよつと聞きたいことがあるのです。今の隊長の発言は非常に重大でありまして、法律論としての解釈から来れば、あるいは強要であり、あるいは恐喝であるというような問題がないではないという解釈が、あなたの方にはできておると思います。しかしこのことは、大体警察行政自体が事件を挑発して、事件をでつち上げる——というと言葉が少し過ぎますが、こしらえて行こうという考え方であるとするならば、警察行政の一つの大きな誤りです。警察行政としては、多少の行き過ぎはありましようとも、多少の間違いがあろうとも、これはほとんど紙一重の問題であつて、やつておる方はそう考えておらなくても、受ける方がそう受ければ、そういうものができ上るのでありまして、それをさらに初断ずるのは警察の見方であつて、私はその点は非常にむずかしいと思う。やつておる者は脅迫しているつもりでなくても、受ける方がこれを脅迫と受ければ脅迫となるのであります。その辺の警察行政は非常にむずかしいのである。従つてこういう争議が一つの団体の中で行われておりまして、これは社会問題ではございますが、実際は一般社会の問題と、おのずから解釈は違つて来ると思う。これを一般社会の問題と同じように解釈するということになると、ややもすると警察の権力が、労働者の持つております組合の機能の中に入つて来るという一つの危険性を持つておる。私は問題の焦点はそこにあると思う。従つてどもといたしましては、今のあなたの御答弁のように、われわれはそう解釈するのだ、組合側はそう解釈しないのだというようなことで、議論をしておつては、いつまでたつてもらちがあかぬ。私はこの際はつきり聞いておきたいと思いますことは、警察行政としての建前が、一体労働争議に対しては、いかなる態度で臨まれようとされておるか、組合はおのおの自主制を持つておりますし、また争議の場合は全部の労働者の利益のために、どういう闘いを進めて行くかということについては、これは戦術上の問題もありましようし、その中には秘密もありましよう。必ず秘密がないわけには参りません。従つてその秘密の事項というものが、外に漏れたり、あるいは何かするようなことがあつてもなりません。しかし、そのこと自体は、決して対社会の秩序を乱すようなことではなく、会社との間の戦術の問題であつて、私は決して社会に出る問題でないと考える。そこで問題になりますのは、この問題もやはり今の組合長のお話を聞いておりますと、組合側では、別にどうしようという意見はなかつたので、偶発的にそういう問題が起つたのだとすると、これは、偶発的に起つたものとして処理されるのが正しいのではないかと思う。これを、どうも強要するような意図があつたのではないかということで、組合の内部まで行つて証拠書類を探して来いということは、偶発的な事件とすればそういうことはないはずだ。もしもそういうものがあつたとすれば、私はこの事件だけでは済まないと思う。私の聞いておきたいことは、このことについて、警察側は一体どういう方針であるかということです。このことは次に出て来るであろうと思いますが、この事件に関しましては、いかなる状態があつたか知りませんが、とにかく自殺者を一人出している。この問題は見のがすわけには参りません。捜査の方針が行き過ぎであるから、こういう問題が起るのであります。労働運動をする上においては、第一組合の諸君が第二組合の諸君を説得をして、そうして自分たち組合の中に入れて、争議を有利に展開して行くということは、組合として当然とらなければならぬ一つの段階である。私も労働組合自分一つつていますから、われわれも争議をやつたところで、そういう問題が起ればやらざるを得ない。たまたまあなた方の方から見て、その行為が脅迫だということで処置されることになると、組合活動というものは、実際できなくなる。私は組合活動を正しく認識して行こうとするならば、そういう法の末端にこだわらないで、争議自体が円滑に片づくという方向に向う方がいいのではないか、こう考える。あなたの今までの答弁を聞いておりましても、何か非常に法の末端にこだわつているような感じがするのでありますが、この際率直にあなたの方のこういう労働争議に対する取締りの方針というものは、一体どういう方針で臨まれているのか、その方針を一応この際聞かしていただきたい。
  47. 金堀一男

    ○金掘参考人 今門司委員からお話のありました通りでございます。私どもといたしましても、労働運動なり労働組合運動に対しては、それが正常な形で行われ、また多少法にすれすれのところまで来ておる場合がありましても、われわれは干渉しない。できる限り労働者の権利を尊重して行くということにつきましては、私どもとしても毛頭異存はありません。そういつた方針でやつて来ております。現にこの岩屋の問題につきましても、十九日の事案が起ります前に、私どもが厳格に法を適用すれば法に触れるというような事案が一、二起つております。その場合におきましても、組合の幹部の方に来ていただくなり、あるいは九炭労から見えております責任者の方に来ていただいて、こういつた事案は少し行き過ぎだから、ひとつ組合統制のもとに行き過ぎのないようにやつてくれ、こういうことをしばしば警告して、今までそうした事案の起らないように努めて参つておるのでございます。十九日の事案につきましては、われわれとしてもしもこれを黙過するということになれば、治安維持の責任者として、かえつていけないという気持で、われわれとしては、泣いて警察権を発動した、こういう事情であります。
  48. 門司亮

    門司委員 心情はよくわかりますが、心情と実際は、かなり大きな食い違いがあると思う。その食い違いの一点は、さつき申し上げましたように、この事件には、一つ自殺事件を出している。その裏には、やはり警察の行き過ぎが必ずあつたと思う。人が一人死ぬということは、そう簡単に死ねるものじやない。そうして、この事件は、人の死ぬほどの事件じやないと私は思う。事件自体を考えてみますれば、十九日に起つた事件と申しましても、委員長のお話を聞きますと、たまたま来ておつた人があつて、そうしてその人について——これは当然あることなんです。われわれとしてもやることです。たまたま会つた場合に、幹部の諸君がそういう話をすることは、けしからぬじやないかということは、これは鋭い対立をしております——おのおのの生活権を守るという最終の段階でありますから、かなり深刻な対立をしております。そういうときの議論というものは、かなり熱情的になるのはさまつている。それからできた一つの派生的な問題であつて、もし警察が今のお話のように、派生的な問題であるから、派生的な問題として処置をしようということだけでありますならば、私はこういう自殺事件は起らなかつたと思う。傷害事件の場合、派生的な問題であつたならば、その裏にどういうものがあるかということで、被疑者の父母を証人にするということはあり得ないと思う。実は今聞いて驚いているのです。これはよほどの事件か、証拠はつきりしてなければ、そういう問題について、一体裏で何を考えたか、子供のやつたことを親が知つてはいないか、ということで呼び出すことは、私はできないと思う。従つて、この際聞いておきますのは、組合側が第二組合員を説得するために、何らか警察の考えておりますような——悪くいえば陰謀だといいますか、組織的のそういう計画があつたかなかつたか、その証拠を一体警察側は持つておられるかどうかということであります。
  49. 金堀一男

    ○金掘参考人 今の質問の要旨が、ちよつとわかりにくかつたのですが……。
  50. 門司亮

    門司委員 もう一度申し上げますが、私の聞いておきたいと思いますことは、この事件が起つて、われわれとしてはこの事件一つの偶発的な事件だと考えております。警察は、どう考えておるかわかりません。従つて、偶発的なものであるならば、背後関係というものはないわけです。ところが、警察側としては、この事件は背後関係があるとして、組合内部の捜索が行われている。さらに被疑者の親が証人に呼ばれている。従つて明らかに、警察側としては、これは偶発的な事件ではないという断定のもとにやられたものと私は考えます。そこで、偶発的な事件でないという断定をされた証拠というものを、警察側は十分おにぎりになつているかどうか、もしそれがあるならば、この機会にひとつ発表していただきたい、こういうことです。
  51. 金堀一男

    ○金掘参考人 先ほど私もその点について触れておきましたが、十九日の事案暴行、傷害——組合長の言をかりますとそうでないというお話でありますが、私どもは、そういうぐあいに考えております。その事案は、ああいつた混乱した異常な空気の中に行われた事案でありまして、偶発的なものだと思つておるのであります。従つて組合執行部なり幹部の方々が、あらかじめ陰謀を計画してやられた事案ではないと思つております。ただ最後に私が申し上げましたように当時第一組合で、第二組合から脱退させる脱退届をとる、あるいは委任状をとるということが行われておりまして、最後に、やはり岡、森下——これは暴行傷害を受けた被害者であります、これからとられておる。この行為は、やはり、組合の当時の行き方として、そのこと自体は、多少計画性があつたのではないか——計画性があつたか、どうかということについては、多少私も言い過ぎかもしれませんが、少くとも組合の活動として行われたのじやないかと思います。
  52. 門司亮

    門司委員 その点は非常に重要な問題ですが、私が、さつき申し上げましたように組合の争議の中には私は当然そういうことが考えられることだと思う。従つて、そのこと自体は、法の解釈から行けば、あるいは違法であるかもしれません、他人に強要することはいけないということがわかつている以上は、どんな強要でもいけない。しかし、組合というものは、そういうものであるということは、大体あなた方もこれは了承されているはずだと思う。第三組合ができれば、組合の争議が不利になることはわかりきつている。従つて、有利にしようと思えば、何らかの形で——あなた方の方でいえば脅迫かもしれないが、片方では説得だという。説得と脅迫とどこが違うかということになると、これは本人の受ける感じでありまして、なかなかそう簡単に問題は片づかないと思う。従つて、もし警察がそういう感じで、事件は偶発的な事件であるが、しかし偶発的な事作を起した原因がここににあるのだというようなお考えであるとするならば、そうしてこれが行われたとするならば、これは、われわれの感じからすれば警察権行使の行き過ぎだと思う。これは少くとも争議を理解し、労働組合の行動を理解したものであります以上は、偶発的の問題として傷害事件が起つておるのでありますから、これは当然傷害事件として取上げるべきである。しかし、組合一つの行動であるということについては、これはある程度見るべき筋合いのものであつて、さつきから申し上げておりますように、一つの行動であつたからといつて、それが悪いというりくつは、私はどこにも立たないと思う。人を説得して悪いというりくつはどこにも立たぬと私は思う。だから、これは明らかに一つの行き過ぎだと思いますが、もしあなた方がこれを行き過ぎではないとおつしやいますならば、重ねてお尋ね申し上げますが、一体この自殺者の自殺した原因、だれがどういうことをしたから、自殺したのであるかということが、もしおわかりでありますなら伺いたい。その原因警察によつてかなり探求されておると思います。しかもこれはこの事件関係しておりますから、一体どこに自殺者の原因があつたか、おわかりならばお伺いしておきたい。
  53. 金堀一男

    ○金掘参考人 被疑者の一人に白尾昭義という人があります。この人のお父さんの泰藏という人、この人は、実は警察の方の参考人として呼んだのではありません。正確な日はちよつと記憶いたしませんが、二十六日か七日に、唐津の地検の方でお調べになつてつたのでありますが、その日にきよう白尾昭義の両親を呼んでくれ、こういう連絡が相知地区署にあつたわけであります。従つて警察としては、駐在所を通じて連絡をして、相知署に来ていただいた。見えたのがたしか九時ちよつと過ぎだと思つております。報告によりますと、そういう時間になつております。それで見えたということを小宮という副検事に連絡いたしましたところ、ほかの参考人を検察庁の方で調べるから、済まぬが、警察の方で下調べをちよつとやつておいてくれ、こういうお話だつたのであります。警察としましては、丸山という係長が——これは刑事係長であります。当時の事情を明らかにするために、少し詳しくなりますがお話申し上げますと、部下の藤森という巡査部長に——これは水害関係で、この前私の表彰も受けておるりつぱな警察官です。この男に、被疑者の白尾昭義という人は、自分はその暴行をやつたときに現場にいなかつたということで、アリバイを主張しておつたのであります。当時におけるアリバイとして、家で食事をしておつた、こういうことを言つておるわけです。それで両親を呼んで、両親の供述をそのまま録取するにとどめて、その矛盾を突いたりするようなことはするな、あとの被疑者の調べに、むしろ両親の供述をそのままとつておいた方が有利だからということで、十時ごろから、たしか十二時ちよつと過ぎまで調べておるような状況であります。十二時過ぎましてから、ちようど食事の時間になりましたので、署の方では、両親別々に調べておつたのでありますが、老人のことでもありますし、署で食事をとらせようかと思つたのでありますが、食事をしていらつしやい、検察庁の調べは一時過ぎになるから、こういうことで部外に出しまして、両親そろつて食事に行かれたような状況であります。帰られたのがたしか一時三十分か四十分ころだと思います。それから検察庁の方の調べが始まつて、私の報告を受けた範囲では、五時ころ小宮副検事の調べが済んだということであります。ところが済んでから、まだその奥さんの方の調べがしばらくかかつてつたということで、自殺された白尾泰蔵氏は、約一時半から二時間くらい、署の行整室でタバコを吸いながら待つておられた。その間の態度は、平然としておつて何ら平素とかわるところがなかつたという報告を私は受けております。それから七時過ぎになりまして調べが一応終り、警察の車で相知署から佐賀の方に帰る車があつたので、従つて、相知から岩屋まで歩きまして、私も正確な時間はわかりませんが、おそらく三十分くらいかかると思いますが、老人夫婦のことではあるし、警察の車に乗つて行つたらどうですか、こういうことで岩屋まで便乗させて、そこでおろしたのであります。その間、帰つて参りました警察官から話を聞いてみますと、車内で警察官と冗談を言つてつたくらいで、何ら平素とかわるところがなかつたという報告を私としては実は受けておるような状況であります。従つて警察取調べが苛酷であるとか行き過ぎであるとか、何か肉体的に暴力を加えたことは毛頭ないと、私は確信いたしております。
  54. 井手以誠

    井手委員 その人権蹂躙の問題は、後刻さらにお尋ねすることにいたします。  この偶発事件の問題でございますが、その委任状とともに、ポスターであるとか、メガホンであるとか、はち巻とか笛とかいろいろなものを押収されて、直接暴行事件なら暴行事件関係のないものを押収された、私はこの点が非常に不可解なのであります。もし直接暴行の容疑があるというのならば、それに直接関係するものでけで私はよいと思います。こんなメガホン、はち巻筆争議に必要なものまでも押収するということであれば、これは明らかに組合に対する弾圧である。組合の活動ができないように警察がやつたと言われても、しようがないことだと思うのであります。そこでなぜそういうように書類とか、九州の炭労の腕章とか、はち巻とか、いろいろなものを押収されておるのか、それは暴行事件に直接関係があるか、その点をお伺いいたします。
  55. 金堀一男

    ○金掘参考人 押収捜索にあたりましては、もちろん直接証拠になるものが主になるわけでありますが、間接に証拠として有用なものも、やはり押収捜索の対象になるわけであります。しかし私どもといたしましては、なるべく組合運動その他に必要なものは、たとい多少のそういう関係がありましても持つて来ない、こういうことでありまして、当日押収捜索が済みましてからも、私は捜査課長にそのことを特に注意いたしまして、——これはもちろんはち巻や腕章等関係があります。間接証拠として、当時どういう状況のもとに犯罪が行われたか、不法事犯が行われたということを証拠立てる意味では、私は間接的な意味では関係があると思いますが、しかしながら、そういう組合運動に直接必要なものまで、多少の関係があるからということで持つて来ることは、いかにも組合弾圧というようなことに印象づけられるからすぐお返ししろ、こういうことで、はち巻や腕章は私は返させたつもりであります。
  56. 井手以誠

    井手委員 隊長のお言葉と実際とは違つておるようであります。腕章を返したとおつしやいますが、そういうものを押収したというところに私は問題があると思います。暴行関係のない九州の炭労の総務の腕章、あるいは指導本部の腕章、あるいは八百八十何枚にも上つておる委任状、そういういろいろなものを押収するところに、組合弾圧とか、この際ひとつというような気持があつたじやないかと私は思うのであります。なるべく穏便にやりたいというあなたのお考えと、実際行われたこの捜査と大分違うと思います。こんなものを押収して、この偶発事件にどんな価値があるか。今間接証拠だとおつしやいますが、ただいままで押収しました腕章類は、間接証拠にはならないと思います。返還したからよいではないかということでは済まないと思います。この点は明らかに私は組合弾圧だと思いますが、隊長はどういうふうにお考えになつておるか。そういうものを押収したことは正しいかどうか、そういう点をお尋ねいたします。
  57. 金堀一男

    ○金掘参考人 この点につきましては、私先ほど申し上げた通りでございまして、はち巻も腕章も全然事件関係がないということはないと実は考えております。たとえば被疑者がどういう腕章をはめておつたかということになりますと、これも直接証拠一つになろうかと存ずるのであります。あるいはあの犯罪が非常な混乱と興奮した空気の中で行われたものという状況を示す、間接的な証拠にもなろうかと私は思うのであります。しかしながら先ほど申しましたように、そういうような今後の組合活動なり、労働運動に直接必要なものは、警察にとつて関係はあるが、なるべくそういう印象を避けるという意味で、お返しした方がいいというものは、すぐ返せといつて返さしたわけであります。
  58. 井手以誠

    井手委員 非常にこの点は無理がある。行き過ぎがあると私は考えます。しかし隊長としては、そうだとはおつしやりにくいでありましようし、心ではそうお考えになつておるだろうと存じますので、私は行き過ぎがあつたというふうに考えまして、これ以上追求はいたしません。しかしこの逮捕された理由と起訴の理由とが少し違つておるように、私は考えるが、その点をひとつ御解明を願いたい。
  59. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと井手委員に申し上げますが、時間もすでに十二時を過ぎましたし、なお午後ほかに本委員会で調査をすべき案件が、三池炭鉱事件としてあることは御承知の通りであります。願わくはひとつ質問の要領を——委員会としましては、警察の事務取扱いに関する妥当性を中心として参るのが本筋と思いますので、事件の内容自体に入るようなことになりますと、いささか委員会としては、いかがなものであろうかとも思われます。願わくはそういう点にひとつ論議を集中されて、簡明に一応の質疑応答が進みまするよう、格別の御配慮を願います。
  60. 井手以誠

    井手委員 最終日でございますので、議事進行には極力協力いたしたいと存じます。ただそういつたことをお尋ねしなくては、核心に触れませんので、お尋ねを申し上げておるような次第でございますので、努めてそういうふうに、議事進行に沿うように質問申し上げますので、御了承いただきたいと思います。  ただいまお尋ねしましたことについて隊長のお考えを伺いたい。起訴理由逮捕された理由とは、違つておるように考えますが、かわつておりませんか、かわつておりますか。
  61. 金堀一男

    ○金掘参考人 実は私、警察隊長会議へ参つて、突然こちらに参つたものでございますから、検察庁がどういう理由で、どういう罪名で起訴しておるかということについては、実は詳細に存じ上げておりません。従つてこれは一般的な問題として御答弁申し上げますが、警察逮捕状を請求いたしますとき、それから送ります場合と、あるいは検察庁で起訴される場合との罪名が、多少違うことはあり得るわけであります。従つて検察庁の方としていろいろ公訴の維持上、あるいは公訴の進め方によつて多少そこに法律技術的な問題で、起訴の罪名が違うことも、これは一般問題としてあり得るわけであります。
  62. 井手以誠

    井手委員 詳しくは承知しないということでございますので、私はこの点に疑義を持つておるのでございますが、承知しない、今詳しくわからないとおつしやれば、別の機会に譲りたいと存じます。  そこで続いてお尋ねしますが、二見という執行委員が、所用のために佐賀行つたとき、警察署員が佐賀駅に待機しておつて、ただちに連行したということがございますが、これはどういう理由でおやりになつたか、お尋ねしたい。
  63. 金堀一男

    ○金掘参考人 二見という闘争委員をしておられる方のようであります。この方がたしかあれは勾留理由開示の裁判の日だつたと思います。それの傍聴のため佐賀駅に着かれたときに、任意出頭で国警本部まで来ていただいた事実があります。これは先ほど申し上げました強要罪と関係があるということで、なるべくならば任意出頭でやろうという御趣旨にも沿つておると私は思うのであります。任意出頭で来ていただいて調べたのであります。ただ当日二見氏は、勾留理由開示の裁判に立会いたい、こういうお話でございましたので、警察ではその調べは本格的にはいたしておりません。従つてすぐ裁判の日にお帰しして、そして翌日は何かさしつかえがある、こういうことでありましたので、たしか翌々日に相知署に来ていただいて、取調べたような状況になつておると、私は記憶しております。
  64. 井手以誠

    井手委員 いろいろお尋ねしたいことがございますが、時間も何でございますので、かんじんの点に触れてみたいと存じます。相知署におきまする人権蹂躙の事件でございますが、先刻も質問なり答弁がありましたようにひどいことが行われておる。たとえば髪を握つてなぜ白状しないか、証拠はちやんとあがつておるといつて、ときには頭をたたかれた、こういうことがはつきりいたしておるのであります。時間の関係がありますので私は詳しくは申しませんけれども、確かに辻信太郎であるとか、あるいは藤原辰次とか、こういう者に対してはひどい暴行が行われておる、これは隊長も御承知でございますか、お尋ねをいたします。
  65. 金堀一男

    ○金掘参考人 この件につきましては県会でも一、二、そういつた御質問がありましたので、その都度、実は私どもといたしましても責任を持つて調べております。しかしながら御指摘のような暴行や、その他肉体的なあれを与えたことは、われわれの調査ではありません。
  66. 井手以誠

    井手委員 警察の調べでは、そういう事実がないとおつしやいますが、本人が弁護士と立会いで供述したところによりますと、辻信太郎あるいは藤原辰次などに対しましては、髪を握つて、なぜ言わないか、ちやんと証拠はあがつておる、こう言つてたたかれたということを、はつきりと申しておるのであります。それでもなおやはりそういうことはなかつたとおつしやるのでございますか。隊長はその係の警察官を呼んで、直接お聞きになつたのでございますか、その点承りたいと思います。
  67. 金堀一男

    ○金掘参考人 私が県会で御質問がありましたときの、そういうひどい取扱いをしたということは、確かに野中被告に関する取調べのときだつたと思います。従つて藤原、辻については、まだ実は調査しておりません。私が県会で質問がありまして今まで調べた範囲では、野中幸造、それからもう一つ二つあつたと思いますが、その範囲では全然そういうことがありませんので、藤原辰次辻信太郎に対してもそういうことはあつてはおらないだろうという——これは私の推測であります。しかしこれは帰つてから調べてみてもいいと思います。
  68. 井手以誠

    井手委員 県会でも非常に問題になつたのを、ただ野中それがしだけだというふうに限定しておつしやるのは、どうかと思うのであります。やはり全般的に、たとえばあとで申しまする白尾泰蔵の自殺事件にまで至らしめたことがあつておるならば、全般的にお調べになつておるのが隊長としての務めだろうと私は考えるのであります。御存じないとこうおつしやるならば、後日ひとつ十分御調査を願いたい。これは明らかに本人が供述しておりますので、こちらでは暴行されたというふうに考えておるのであります。ここまで話が出た以上は、徹底的な調査を私は要望する次第でございます。そこで先ほど時間までおつしやいましたが、白尾泰蔵は長時間調べられた。非常にやかましく言われておる。怒声と申しますか罵声と申しますか、その取調べ警官か何かはつきりしませんが、取調べる方の声が隣室までわんわん聞えた、こういうふうに言つております。これは何人もそう申しておりますので間違いないと存じます。そして本人は残念という二字をガラス窓に書いて自殺いたしておりますが、これは取調べが苛酷であつたために残念であるということで、自殺したものと考えるのでありまして、そういう捜査の段階まで引起したことについて、国警隊長はその取調が苛酷であつたとお考えになつておるか、それともなお適正であつたとお考えになつておるか、この点をお尋ね申し上げます。
  69. 金堀一男

    ○金掘参考人 白尾泰蔵氏の取調べ状況につきましては、先ほど詳細にお話を申し上げた通りであります。なお御参考のために申し上げておきますが、えらい大きな声で取調べた、こういうことでありますが、警察取調べました十時から十二時過ぎまで、女の子が一、二回お茶を持つて行つておるわけでありますが、その間私の調査では幹部の当直室で調べておるようでありましたが、大きな声を出したというようなことは全然聞いておらない、警察側の調査ではこういうぐあいになつております。  それから白尾泰蔵氏の自殺は、取調べが苛酷であつたから死んだのではないか、こういうお尋ねでありますが、これについては、私ども警察取調べが苛酷であつたから死んだ、こういうぐあいに考えておりません。私どもは個人としては白尾泰蔵氏がなくなられたことに対しては、衷心から哀悼の意を表するにやぶさかではありませんが、警察取調べが苛酷であつたことが原因で死なれたということについては、私はそういうふうに思つておりません。
  70. 井手以誠

    井手委員 残念という字を書いて、なくなつたということについて、別の関係自殺されたとはどうしても考えられないのであります。非常に小心な正直な人でございまして、直接被疑者でもない、参考人で呼ばれておつて、そして残念の字を書いて死んだということであれば、だれが考えてもひどく取調べられたことが、原因になつておると考えるほかはないのであります。隊長は調べのこととは関係がないとおつしやるのでございますか、関係があるとお考えになりますか、いくらかひどかつたから、そういうことになつたのだろうというふうにお考えになつておりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  71. 金堀一男

    ○金掘参考人 白尾泰蔵氏の自殺された原因その他については、警察取調べが苛酷であつた、それが原因であつたと、私は先ほども申し上げましたように毛頭考えておりません。
  72. 井手以誠

    井手委員 どうも納得しかねるのであります。調べられてから自殺したのに、そういう関係はない、また声が隣室に開えるようなことはなかつた、一方では多くの人がこの事件についてそうであつたと言ておる。ただ一方の警察官の言い分だけお聞きになつて、そのことを主張されることが、隊長としていろいろな県内の批判の焦点になつておる問題について、正しい立場であるかどうか、非常に疑わざるを得ないと思うのであります。佐賀県ではこの事件が非常に関心を持たれておる。警察取調べがひどかつたからこうなつた、こう言つておるのに、ただ自分の方ではそうでない、ああでないということだけでは、ほんとうの警察隊長としての治安の任務は確保できないのじやないか、一般から疑われるということではいけないと思うのであります。そこで割切つた説明が必要であると考えるのであります。やはり行き過ぎであるというお考えならば、将来注意するということで認められることが正しいんじやないか。あくまでも自分の部下の報告だけを主にしてとられるということは、どうかと考えるのであります。隊長は、ほかからもそういう事情について調査されたことがあるか、ただ部下から報告を求めただけであるか、その点をお尋ねいたしたいと存じます。
  73. 金堀一男

    ○金掘参考人 この事件が起りまして、実は二十八日の日に、警察の内部に警察の規律その他について信賞必罰の見地から、監察官という職がございますが、これをやりまして調査さしております。この報告によりますと、そういつた行き過ぎはないという報告を私受けております。そう申しますと、同じ穴のむじなでないかというおしかりをあるいは受けるかもしれませんが、管区本部から捜査課長が、たしか二十九日に見えて調査をされ、それから警備課の白浜警部が、これはたしか十月に入つてからだと思いますが、やはり見えて調査をされております。その結果も、私が聞いたところでは警察取調べに行き過ぎがあつたというようなことは聞いておりません。しかしながら、これはわれわれの内部だけの調査でありますので、いろいろ御疑問もあろうかと思います。従つて私といたしましては、第三者的な立場で、たとえば人権擁護局あたりで御調査になることについては、むしろ観迎するところであります。
  74. 井手以誠

    井手委員 この人権蹂躪については、同じような問答になりますので、これ以上はお尋ね申し上げません。組合の方では、すでに告発もされておりまするし、また隊長としても内部に対していろいろ御訓示もあつておることと考えられますので、人権蹂躙問題は、別の機会に譲りたいと存ずる次第であります。一応これで私は質問を終りたいと存じますが、ただいままでお尋ねいたしましたことからいたしまして、あの偶発事件に対して多数を動員し、組合まで襲つて多数の書類を押収し、物品を押収したということは、警察取調べに行き過ぎがあつたとしか私には考え得られないのであります。また炭鉱の問題は、やはり炭鉱を復興することに主眼を置かねばならない。それは家族を加えますと五千人に近い直接の関係者がある。また地方の農村にとつても、元の商人にとつてもこれは大きな関係がある。それをただ警察の立場からばかり、あるいは逃亡のおそれがあるとか、あるいは何のおそれがあるということで——万全を期する、これは言葉はいろいろありましようけれども、私は警察の立場ばかりでなさるものではないと思う。要は復興の問題だ。組合員も、あるいは起訴された人も、これはどうなるかわかりませんけれども、いずれも私は復興を念願としてのことであると考えるのであります。それをこのような事件まで引起すということについては、私は十分警察としてはお考えを願いたい。将来こういうような問題について、中小企業が非常に困つて来る、従つて労働者も困るということであれば、今後こういうふうな事件も起らないとは限らないのであります。あるいはそういうことが多く起ることを多くの人は心配しておるのであります。よほど今後の問題についてはお考えをいただかなくては、かえつてやられたことが逆のことになりはせぬかということを、私はおそれるのであります。実はもつと聞きたかつたのでございまするが、時間の関係もありますので、以上をもつて私の質問を終りたいと存じます。
  75. 中井一夫

  76. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど井手組合員は、このたびの警察官の動員は、機動演習のようなぐあいに見受けられると言われた。そういう印象を与えるような動員なんかというのはまさに行き過ぎであつて、困つたことだと思うのですが、そういう印象を受けた理由を、ひとつお話願いたいのです。
  77. 井手定雄

    井手参考人 一年ばかり前に、大体井手代議士から話がありましたように、プラカードを持つた一つ組合組織といいますか、そういうようなものを擬装した形の中において、演習といいますか、そういうものがなされておつたという事実も聞いております。それからこれはある警察官の個人的な意見でございますが、とにかくこの問題で実際われわれはもうつけものも食わずで、腹が減つてしかたがない、こうまでせぬでもいいのになあというようなことまで言つている人もあつたし、結局終つてからでも、一つの行進といいますか、各所に待機しておつた警察官の方が武装して、あれは一個分隊か一個小隊か知りませんけれども、四五十人並んで、みなが引上げたあと私たちが掃除をしているところを、軍歌高らかにずつと通つて行かれる。あつちこつちで待機している態勢が、私たちから言わせるならば、問題そのものの解釈でございますけれども、百五十名もの動員をしなければ、こんな検挙ができない、またああいう一つの広場に集まつている組合員解散そのものもできないというふうに、あまりにも組合に対して、組合がよほど暴徒であるというような解釈のもとにやられておるのではないかと思います。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 何人に一人くらいですか。
  79. 井手定雄

    井手参考人 あのとき集まつているのが五、六百人だつたと判断しております。五、六百人に対して百五十人近い武装警官でございますので、それで割れば大体四名に一名くらいになるのじやないかと思うのですが、伊万里からも来られているとか、小城、唐津、佐賀というような地区署から、全部集まつておられるとか、そういう話を聞きまして、あまり人数が多過ぎるものだから、一つの演習かなというように感じたのです。うちの組合員の数に対して、あまりにも武装警官の数が多過ぎるものですから、ほんとうにわれわれを解散させたり、またいろいろ問題が起きたときに、さつと来て問題を処理するためのものか、何か威嚇的なものか、われわれとしてはあまりにも大大的な動員に対して、一つの疑問を持たざるを得なかつたということです。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 確かに組合員四名に一名の武装警官——そうではないというようなことを、先ほど申されましたが、鉄かぶとをかぶり、ピストルを持ち、こん棒を持つて、四名に対して一名というようなものを動員するならば、これは演習ではなく威嚇だと私は断ぜざるを得ないのです。それでこういう組合運動が起き、ぎりぎりの段階に来ると、相手側でいろいろ組合執行部に対して脅迫をしたり、暴行を加えたりするような事件がまま起きるのですよ。岩屋の方においてはそういう事件が起きていたかどうか、それに対する警察の取締り、そういうものはどういう事情にあつたか、伺いたい。
  81. 井手定雄

    井手参考人 私は、九州本部の幹部の方三名一緒に会議しているところに、第二組合の有力な幹部でございますが、その人があばれ込んで来て、火ばちを投げようとしたので擦過傷を負つた事実もありますし、組合員を、総会でものの言い方が悪かつたといつて帰つておるのをあとから行つて引倒してげたでなぐつたり、私自体も呼び出されまして、うちの組合員ではありませんけれども、私は関連性があると判断しておりますが、私に対して、組合問題を原因にした形の中で合法的に、組合には関係のない問題だというふうに断つた形の中で、ちよつとしたあんちやんでございますが、ドスを持つて来て、私は恐喝された事実もあります。そういうことにつきましては、所轄関係警察の方がおいでになつて取調べをされております。そしてそれを相知地区警察署長に提出する、署長がどういうふうに判断されるかその結果によるけれども、一応取調べもしたり、手続もとつておるから、警察が取上げられなければわれわれとしては告発いたしますということまで言つて、ぜひとも取上げていただきたいと言つた、そういう事件が起きたことがあるわけであります。それからもう一回あるわけです。何かはつきりわかりませんけれども、ほうちようかドスみたいなものを持つて、うちの組合員を多数の中で殺傷しようとした、それをとめて引きもどしたという事実があります。そういう事件が起きて調べてあるにもかかわらず、全然取上げられない。そして一方の私たちの問題は、事件の起きた四日目には、ただちに一斉検挙をしておる。相知地区署における取調べ状態は、うちの組合員行つて、いろいろ取調べられているその検事とか、刑事の横に第二組合の幹部がおつて、これは保護を求めた形で警察におつたわけですが、いろいろ横から口を出して、警察の者か、保護を求めている者かわからないような状態つた。そしてあまりにもなれなれしい態度で警察に出入りするし、また取調中にも私たち組合員に対して、いろいろいやなことを言うことから判断いたしました場合に、どうも警察と第二組合の幹部と会社側自体が、おかしいというような疑惑も持つたような事実もあるわけでございます。大体以上のような状態でございます。
  82. 西村力弥

    西村(力)委員 新しい非常に重要なことをお聞きしたのですが、取調べの席に第二組合の人を同席さして、そうして発言を許すということはどういうことか、その点お話願いたい。
  83. 中井一夫

    中井委員長 西村君。今の御質問は、実は今まで聞いているうちで、一番重大だと思うのです。だからあとでそれを詳しくお聞きになることにして、実はさつきから警視庁刑事部長の古屋君がずつと来ているわけですが、静岡に出張せねばならぬことになつているのだそうです。それでできるならこの際繰合せて、この人を例の保全経済会の問題で、取調べることにしたいのです。いかがでしよう、御承知願えませんか。     —————————————
  84. 中井一夫

    中井委員長 それでは門司君、今申し上げた通りです。あなたの質問をしてください。  警視庁刑事部長古屋亨君。この古屋君は説明員でも政府委員でもございませんから、これを参考人として取調べることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 中井一夫

    中井委員長 それでは参考人として取調べをいたします。門司亮君。
  86. 門司亮

    門司委員 この機会に聞いておきたいと思いますことは、保全経済会の内容でありますが、これは巷間非常にいろいろな問題が伝えられております。そして私どもの手元には匿名で、内容はこの問題をもしこれ以上追究するということは書いてありませんが、この問題がもし暴路されたら、こういう結果になりはしないかということで、こういうふうに二枚にわけてたくさん書いてあるのです。これは匿名でありますから別にどうということはありませんが、聞いてみると各代議士にみな行つているらしいのです。従つて匿名の手紙を私ここで取上げてどうこう言うわけではございませんが、こういう怪文書が出ておりますので、警視庁あるいは国警としてはこれに関連して、何か保全経済会の方から届いたといいますか、書類が参つておるような事実があるかないか。
  87. 古屋亨

    ○古屋参考人 保全経済会の問題についてでありますが、実は休業までは投書その他は一件もございませんでした。休業後本日まで投書は八件参つております。その内容につきましては、いろいろな新聞に出ているような問題もありますし、その他の問題もございますので、その投書に基いての調査はいたしております。それからお話の点は保全経済会から、何かこちらに書類とか申立てがあつたかということですか。
  88. 門司亮

    門司委員 そうです。
  89. 古屋亨

    ○古屋参考人 その点につきましては一昨日警視庁の方に、国警の方にも同様の文書が参つておりますが、保全経済会の休業当時の資産内容につきまして、保全経済会の方から参考に書類が届いております。その内容につきましては、私の方でいろいろの調査上必要がありますので、一応書類を受領いたしまして、現在それについて私の方で調査をするという考えでありまして、確かに保全経済会から資産内容についての書面を、一昨日の夕方受領したことは事実であります。
  90. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと門司君……。なお国家地方警察本刑事部長中川董治君も出席をしておられます。
  91. 門司亮

    門司委員 それで私さらに聞いておきたいと思いますことは、その内容は保全経済会発足当時からの今日までの資産内容というか、取扱いに関してであるかどうかということです。
  92. 古屋亨

    ○古屋参考人 休業当時における資産内容でございます。
  93. 門司亮

    門司委員 これは休業当時における資産内容ということになりますと、新聞その他にも書いてありますから、まるきり新聞と同じであるかどうかということはわかりませんが、それについてもしあなたの方で公開していただければ非常にけつこうだと思いますが、もししていただけなければ、警視庁としては、それを基礎にして、どういうことをお調べになる腹であるのか、これも少し無理であるかもしれませんが、もしこの機会にお話ができたら、ひとつしておいていただきたいのです。
  94. 古屋亨

    ○古屋参考人 休業当時の状況でありまして、実は私の考えといたしましては今これを公開するよりも、私の方で内容を検討するということが、いろいろな面から有効であると考えております。現在その書面によりまして、相当大量のもので、具体的なものが相当ありますので、私の考えではこれを公表するよりも、資料として私の方の調査の対象として考えて行きたいというように考えておりますので、今ただちにこれを公表するという考えは持つておりません。
  95. 門司亮

    門司委員 そうすると、国警の方ではどうなんでしようか、同じような書類行つておるという話ですが、これについて特別の方針か何かおありでございますか、警視庁と同じでございますか。
  96. 中川薫治

    ○中川説明員 国警に対しましても警視庁とまつたく同じ文書が届いております。内容は先ほど古屋刑事部長から申された通り、休業当時に伊藤理事長としてお考えになつていらつしやる資産は、別表のような状態である、こういうことを参考までに届ける、こういう内容であります。その別表が比較的枚数のあるものでございまして、それを私保管しております。これにつきましては、保全経済会の主たる営業区域は警視庁の管内でありますが、全国各地に出張所と申しますか、支店と申しますか、営業所がございますが、国警関係警視庁関係両方協力いたしまして、事案の真相を発見いたすように努力いたしたいと思います。別表の問題も古屋刑事部長からお話がありましたように、事案の真相を明らかにするための一つの資料であると思います。もちろんすべての資料ではございませんが、一つの資料でございますので、警視庁と連絡を密にしてやつておりますが、それもただちに発表するよりも、私たちの職務活動の一つの資料として活用をするのが有効ではなかろうか、かように考えております。
  97. 門司亮

    門司委員 私はその点に一つの疑問があるのです。保全経済会自身は、今までここで私どもが聞いております範囲、それからさらに法務委員会等の状況を聞いてみましても、大体法にはあまり触れていないというようなことが、よく言われておる。私どもといたしましては法に触れていないとは思えないのであります。たとえば預金行為でないといわれておりますが、事実上は預金行為であつたと解釈すべきだとわれわれは考えております。さらに金融関係にいたしましても、特定の小さな金融業者を通じてということになつて、伊藤個人がその金融会社に投資したのである、その金融会社からさらに融資したのであるからということが一応考えられる。あるいは証券にいたしましても、証券業者を通じてやつてつたから、これも個人の経済行為だ、大体今まで大蔵省関係あるいは法務省関係の諸君に聞いたのでは、そういう答弁をなされております。もしそうだとすれば、何も国警警視庁に収支決算書のようなものを出す必要は毛頭ないと思う。数字を書いたものを預けて、一体何になるかということです。しかしそれが出されたということは、その裏に資産内容はこうである——それは私どもの手元に参つておりますものもいろいろ書いてあります。見方によつては、これ以上つつくとこういうことになるぞというようなことがかなり書いてありますが、そういう意図のもとにこれが行われたとすれば、きわめて悪質であると、私どもは解釈せざるを得ない。従つて当局としてはそういう書類を受けとられて、その感じはわれわれはさき申し上げたような感じを受けるのでありますが、ただ解しかねるのは、正常な行為であり、正常な状態にあるというなら、何も好んでその当時の資産内容というものを、当局に出す必要は私は毛頭ないと思う。これが出たということについて、書類をごらんになつて警視庁なり国警なりで、その意図がどの辺にあるかをもし気づかれておつて、それの発表ができるなら、ひとつ聞かしておいてもらいたいと思います。
  98. 古屋亨

    ○古屋参考人 実はお話のように私もその書類が突然届けられまして、その前に新聞社の報道員等からいろいろ聞いて参りましたが、全然知らなかつた書面が来て受取りまして——その書面は実は先ほど中川部長からお話がありましたように、一つの資料としてこれを受付けないで、お返しするという手もございますけれども、私の方ではいろいろ判断しました結果、むしろ実はどういうわけでその資料が私の方へ届けられたかという点につきましては、私も門司委員と同じようによくわからない。ただその資料について、今後の調査の対象になる点もあるだろうと考えまして、その資料が唯一のものであるとは考えておりませんが、一つの資料として今後至急検討を続けて行きたいという意味において受取つたのであります。先方の方がどうして関係方面、数官庁にこういうような書類を持つてつたか、ちよつと私どももその点は了解できない点があるのでございますが、受取りまして十分調査の資料として、検討して参りたいという考えで、一応受領したような次第であります。
  99. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいことは、先ほど申し上げましたように、問題が全然法には触れないのだという建前にあるのだから、何も収支決算書を警視庁へ持つて行つたり、国警に持つてつたりする必要は毛頭ないのであつて、おそらくその資料の内容というものは、私どもの手元に参つておりますこの書類の裏書きをするようなものであつて、もしこれがつぶされるということになれば、結局関係したものとか、さらにこれに類似しておる多くのものがあるので、単に保全経済会だけの問題ではない、さらに大きな金融の恐慌が来るであろうという一つの社会的のねらいと、もう一つは伝えられておるところによりますと、相当政党方面に献金をしておるので、これらも一応暴露することになると——それが罪になるかならないかは別の問題であつて、個人が個人に献金をするのは別に罪になるとは考えない。しかしそれは別として、政界における一つの問題として、大きな波紋を描く、私はこういうことを、きのううちに帰つて手紙を受取つてから実は感じたのであります。従つてこの意図のもとにやはり警察関係にも出されておつて、これ以上つつくとこうなるぞという、ある程度の意図が私はあるのではないかというように感じられるのです。従つて私は警視庁あるいは国警にお聞きしておきたいと思いますことは、かりにそういう意図であつたといたしますなら、これは一つの怪文書みたいなものであつて、そういうものの中に警察関係が巻き込まれるということも実はどうかと思いますが、しかし一旦そういうものが出ております以上は、やはり警察当局としては、ある程度の捜査が進められるべきであるとわれわれも考える。従つてこの事件に関して警察当局としては、徹底的という言葉はどうかと思いますが、最後までそういう資料に基いて保全経済会というものがどういう実体であるかということの究明をなさろうとする御意思があるかどうか伺いたい。
  100. 古屋亨

    ○古屋参考人 実は今資料のお話がございましたが、私どもは数ある資料の一つ、つまり参考として受取つておるのでありまして、これを私どもが今日までいろいろ検討しておりまする調査の資料、その他投書もまだ参りつつありますので、それらと比較検討いたしまして、その結果もしもいわゆる刑法違反という点が出て参りますならば、もちろん私どもは公正な捜査の見地から、それについて措置をしたいというふうに考えております。この資料がどういう目的であるか、私もよくわからない点がありますが、これを調査の有力な一つの資料として、この資料と、私どもの検討しております資料その他今日まで新聞、雑誌その他いろいろ出たり、あるいは定款その他調査をしておりますので、それと比較検討し、あるいはその他皆様からいろいろの投書が参つておると思います。それらもいただきまして、公正な見地から検討を続けまして、もしそこに先ほどお話のような刑法に反するようなことが出て参りますれば、これは当然私どもの職務として調査から一歩入りまして、措置をいたしたいという考えでおります。
  101. 大矢省三

    ○大矢委員 私どもこの間いろいろ法務省並びに警視庁から聞いておりますと、この種の匿名組合というものは、告発がなければどうすることもできぬのである、こういうことで私どもきわめて歯がゆいような感じがしておりましたが、新聞によりますと、四国のどなたかが告発された。それから新聞には資産内容が出る。あの匿名組合というものは理事長、組合長といいますか、その責任者の個人の資産になつてしまうというのですから、この間にどういうことでもできはしないか、従つてこういう問題があつて、告発があり、しかも資産内容までが新聞に伝えられ、また直接警視庁並びに国警に届けられたならば、ただちに発動して、先ほどから問題になつておる証拠隠滅等のことがないように捜査して固めておかないと——ある、ないは別ですが、一日も早く被害者も少くあるいはそういう財産を隠匿しないうちに、何らかの手を打つ必要があると思う。どうもわれわれ見ておりますと、歯がゆいような感じがします。どうして一体そんなに漫々的でおられるのか、何かそこに、やつてみたけれども法的に問題にならぬようだから、そんなものは、ばからしいからということで、きわめて消極的じやないか、これは単に個人の問題でなしに、これだけの多くの、十五万人という人が関係をし、しかも類似のものが相当ありますから、この際徹底的にやるならやる。その跡始末をなおさら一日も早く明らかにすることが、当局の最もとるべき手じやないか、こう思つています。今聞いてみましても、何かこれを材料にしてぼつぼつ調べようかというような感じを受けるのです。あるいは適当にやるという決意があるのかどうか知りませんが、刑法上の犯罪云々ということを言われる、またその真相を明らかにすることは、それは業務を干渉する、そういうことをするとかえつて行き過ぎだ、それはできませんと、この間からしばしば言つておる。だからそういう告発がある、本人もむしろ調べてもらいたいというわけだから、それ以上に財産があつて被害がなければ、これ母上けつこうなことはない。もつと積極的にやる意思があるかどうか、この点をこの機会に表示を願いたい。いやそれはまかしてもらいたい、大いに積極的にやるというのでありますか、今聞いておりますと、どうも至つて熱意がなさそうに感ずる。それは何か原因があるのか、あるいはそういう手紙が来た、あるいは政党関係があるので躊躇しておられるのか、そういうことに関係なしにやつてもらいたい、どういう関係かお聞かせ願いたい。
  102. 古屋亨

    ○古屋参考人 お答えいたします。私の言葉が不十分で、非常に熱意のないようなおしかりを受けて申訳ございません。相当ページに上る資料がありまして、これは全国的にまたがつております。従いまして警視庁といたしましては国警と十分連絡を密にとりまして、東京内におけることはもちろん、私ども十分積極的に調査をいたします。  それから告発のお話がございましたが、実はこれは四国のある県で、私も新聞で存じておる程度でありますが、おそらく全国的な関連のある問題であると思つております。告発の具体的内容は、まだ新聞以上は存じておりません。これはおそらく最高検関係へその書類が出て検討し、私どももいろいろ調査は長いことやつておりますので、決して外部関係とか、そういうことによつて絶対に支配されないということを申し上げます。ただ御承知のように私どもの犯罪捜査という見地におきまして、いやしくも法律に反していると認められる点がありますれば、それによつて公正に仕事を行つて行きたいと考えておりますので、決してぐずぐずしているとか、あるいは熱意がないとか、あるいは政党関係があるから遠慮しているとかいうことは、絶対にありませんから、その点は御了承願いたい。
  103. 大矢省三

    ○大矢委員 いま一つお尋ねしますが、最近地方行政の改革の中に、自治体警察国警の連絡がどうとかいうことが、しばしば議論になつておる。今度そういう告発が地方にあつて、そうして国家警察から自治体警察警視庁に、管内に保全経済会の本部を持つておるから、その本部の捜査その他について、何か事件関係して連絡があつたのか、あるなしにかかわらず自発的にやられたのか、実際はどういうのか、その実情をひとつ……。
  104. 中川薫治

    ○中川説明員 国家地警察と自治体警察との連絡関係は、御案内の通り法律にも明記してありますので、十分連絡をとつております。問題になりました保全経済会のことにつきましても、実は休業の発表されましたのは、比較的最近でございますが、その以前からも、この団体も含めてこうした種類のものについては、国警、自警の連絡は文書でもやつておりますし、打合会等でもやつております。ことに今回休業が発表された後におきましては、いろいろ投書も頻繁になつておりますので、そうした点は密接に連絡をいたしております。告発関係は、高知県の告発は検察官の方にありまして、これは検察庁から連絡を受取つております。それからもう一つは北海道で、これは私の方に告発があつて、これを正規の告発として処理するためには、所轄の警察の方で告発調書との関係がございますので、それを電送便と申します最も早い通信方法で北海道へ送りまして、告訴調書をとりまして、告訴調書に基きまして、営業所所在地の管轄の警察署と十分連絡をしてやつて行く、そういう正式の書類が来てから、もちろん連絡いたしますが、その前におきましても、いろいろなことで連絡して、個たにやつておりますから、その点は御安心になつてけつこうです。
  105. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとお尋ねいたしますが、将来の防犯的の立場から立法を考えるということは、国民の熾烈な要求だと思うのです。先般門司委員がこの点につき政府関係者に問われたのも、ここから出ているわけです。その後政府部内でそのことにつき御協議等がありましたか。
  106. 中川薫治

    ○中川説明員 問題になりました匿名組合、またこういつた主として民法、商法の契約関係を活用しての事案に対する行政立法の問題であります。過般の当委員会におきましても、いろいろ御意見を私ども拝聴しましたが、行政立法の問題も、ずつと前から、この問題が起る以前から大蔵省関係者その他、私どもも参加しておりますが、いろいろそういう立法の問題について、常に論議しているのですけれども、既存の行政立法との関係において、なかなか成案が出ない、これが今日の状態であります。ここで問題が取上げられた後におきましても、寄り寄りそういうことについて研究しておりますが、正式の打合会という段階にまでは、まだ行つていないことを申し上げておきます。
  107. 中井一夫

    中井委員長 もう一つお聞きしますが、この問題については、大蔵省の銀行局長は、業者擁護のような立場をとつていると私どもは思う。はなはだけしからねと私どもは考えている。法律上の形式だけを見て、ほんとうの実質を見ない、まつたく犯罪人が犯罪の容疑をのがれるために言うことを、大蔵省銀行局長が言うておるように私どもには聞える。そういう点について、あなた方の糾明捜査について、銀行局長はいまだに協力する態度を示しませんか。
  108. 中川薫治

    ○中川説明員 大蔵省、ことに銀行局の過般の御答弁その他に関連をして、御感想ないしこれに対する御質問でございますが、大蔵省もいろいろ御研究の結果の御発言であろうと思います。私が主管している問題につきましては、犯罪ということを拠点にして、いろいろ仕事をして参りますので、犯罪ということになりますと、何と申しましても刑法、刑事訴訟法という、いろいろ手続法も含めた段階を要するのありますが、こういう犯罪という角度を若干離れて、行政的に事が解決されて行くことは、私どもはむしろ好むところでございますから、常々そういう意見を、今回の問題になる以前から持つてつたわけであります。大蔵省にもいろいろ大蔵省の見地からごらんになつてのお考えがあろうと思いますけれども、これはわれわれ部内連絡で努力いたしたいと思います。大蔵省の態度もいろいろお考えの結果だと思いますので、ちよつと私として何とも申し上げにくいのですが、私どもは犯罪捜査関係を拠点として仕事をしておりますけれども、さらにそれと関連を持ついろいろな行政立法についても、十分関心を持つておりますから、そういう点も、いろいろ政府機関の連絡の際、その他の機会において、十分努めて参りたいと思います。
  109. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの問題について、関連して伺いたいと思いますが、ただいま大矢委員からいろいろ質問がありましたけれども、この問題をほうつておかれると、経済界に多少変動があるだろうと思われることも考えられますが、それと同時に、今幾つかある、やはり同じような種類のものも、自然の形で、おそらく今年の暮れごろまでには、ばたばた倒れて行くだろうと私たちは考えます。ことにこの点については、営業を許さなくしてしまうものなら、早くこれを許さない方針をとつて取調べ当局もそれについては慎重を期して、早く取調べていただいて、幾らか残るだろうと思われる財産を、庶民階級に一応わけてやる、こういうような方法をとる必要があるのではないかと思うのです。もしこれをほうつておかれるならば、人件費とかその他の諸掛りのために、自然の形で、ちつともわけることができないで、野たれ死にする形になつて行つて、非常に気の毒な事態が発生するだろうと思うのです。こういう点について、当局ではどんなふうにお考えになつておられますか、忌憚のない御意見を伺いたいと思います。
  110. 中川薫治

    ○中川説明員 まことにごもつともなことなんですが、いつも私がここで繰返すわけですけれども警視庁にいたされましても、われわれ国家地警察におきましても、犯罪捜査という、犯罪ということを中心にしていろいろな活動をいたすものですから、その活動につきましては一定の限度がある。ただいま御質問の点、財産保全とかそういつた点につきましては、債権者の申立てによる破産の宣告とか、そういつた手段ということに現行法上はなろうと思いますが、そういうことの犯罪を離れて、一般国民の方々、債権者なりの方々自身で御活動願うことが、法制上の建前だろうと思います。そういう建前を推進するについての行政処置とか何とかいう問題になりますと、われわれ犯罪を中心に、詐欺があるかどうかということを、一生懸命にやつている人間がやるのはどうかと思いますので、そういつた関係のものは、かねてからみな非公式には言つておりますけれども、そういうことは部内的にもいろいろ研究いたしたいと思います。そういたしましても私どもの問題は、この種の問題に関しましては、詐欺罪があるか、その類似の犯罪があるかどうか、それを明らかにする、その確信ができたら、強制処分にする、逮捕するなり、差押えをする、それにはもちろん裁判官の許可をもらう、こういうような犯罪関係の活動になりますので、どうしても刑事訴訟法の手続に従わなければなりませんから、いろいろじれつたいというお感じを持つことはもつともだと思うのですが、御了承願いたいと思う。お話の点は、現行法上は、債権者がみずから権利を守るために、たとえば破産宣告の手続を進めるというようなことになるかと思いますが、そういう問題につきましては、行政指導の問題があるとすれば、他の機関においておやり願うのが適当だと思いますので、そういう点は御了承願いたいと思います。
  111. 山田長司

    山田(長)委員 今の問題以外のことについて、おいでになつておるついでに国警の方にお尋ねしてよろしいですか。
  112. 中井一夫

    中井委員長 お進めください。
  113. 山田長司

    山田(長)委員 おいでになつておるついでですから、ひとつ刑事部長からでもお伺いしたいと思います。  それは最近地方警察が背後にあつて糸を引いて、警察協力会とか、あるいは警察自警団連合会とか、あるいは警友会とか、こういう機構をこしらえて、その機構がほとんど半強制的に各町村から寄付金をもらつておる。そして自転車を買う経費だとか、あるいは警察署員が地方へ転勤するときの経費であるとかに使われる、そういう例が非常に多いわけです。私はここに幾つかの例を持つて来てお話するのですが、最近に至りましては、落語家をひつぱつて行つたり、あるいは浪曲家をひつぱつて行つたりしまして、まつたく空名の警察自警団という団体をこしらえて、これが小さな九箇町村で百五万円の金を集めております。そして税務署には三十万円のお金を納めておるようでありますが、それらの経費は何に使われるのかということを追究したら、警察で自転車を購入する経費なのだ。こういうことを、自警団の人たちが申立てをしておる。こういう例は国警として、ほかの地方にあるかないか、それからこんなことを黙認しておかれるのかどうか、一応これを伺いたいと思います。
  114. 中川薫治

    ○中川説明員 警察の寄付金の問題と承るわけですが、警察の仕事を遂行する上におきまして、寄付金をとるということにつきましては、お説のように非常に弊害を伴いますので、寄付金をとらないで、なるべく国家地警察においては国費、市町村警察においては当該自治体の費用、こういう建前で一貫するように、私たちの各関係部局でも、常に指導いたしておるのであります。さらに別に民間活動として防犯活動とか、そういつた面の活動をする自発的な団体ができておりますが、本来の防犯活動とか民間活動をなさるにつきましてのいろいろな活動は、これはむしろ助長すべきであります。そういう点につきましては、弊害を除去するということにつきまして細必の努力をしながら、そういう防犯団体の育成について側面的に協力する、こういう二つの筋をもつてつておりますが、問題はその二つの筋を徹底してやつて参りまして、それが徹底すれば問題はないと思うのでありますが、比較的国費がきゆくつであつて、ともすると犯罪捜査活動ないしはそういう警察活動について、どうしても必要なものであるが、国の予算では買えない、ところが今防犯団体の費用を警察が使うことによつて、有効な警察活動の足しになるという場合におきまして、若干関係府県におきましては、そういう道もとつていることを三、三聞いております。それに対します私どもの心構えといいますか、考え方は、さきに申しました二つの筋を徹底することを最終目標としながら、真にやむを得ない面につきましては、弊害の起らないようにということを、常に念頭に置きながら、必要上やむを得ずこれを黙認するといいますか、そういつた形になつておるかと思いますが、この対策といたしましては、必要な費用の正規の支出につきまして努力をし、そういう弊害につきましては、常に細心の努力を払うことによつて、だんだんになくして行くように、いつも苦慮しておる次第でありますが、そういう努力を今後も続けて参りたいと思つておるのであります。
  115. 山田長司

    山田(長)委員 警察官が、つくられておる団体の役員になつて、しかもその役員が給料をもらつておるという事実があるわけでありますが、こういう場合において国警としてはどういう御処置をお考えでしようか。私たちは、公務員、特に警察官というものは、ほかの団体に常任書記などという形で入る筋のものではないと考えておるのですが、この点について一応伺いたいと思います。
  116. 中川薫治

    ○中川説明員 まつたく同様に考えております。現職の警察官が、これはもちろん国家から俸給をいただいておるのですが、それ以外に常勤して民間団体から俸給をもらうということは適当でございません。従いましてそういう事案がありました場合におきましては、それぞれそれに対する必要な処置をとることになると思いますが、もしそういう事案がありましたら、後ほどお教え願いますれば、そういう方針でやりたいと思います。
  117. 山田長司

    山田(長)委員 実はそのことにつきましては、ここで全貌を明らかにすることは差控えますが、一応協力会というものをこしらえて、その協力会の会則の中に、警察協力会で集められた金については、常任書記の警察の警部がこれに当るという意味のことが書いてあります。実に最近の地方警察の腐敗堕落というものは、言語に絶するものがあるわけであります。それでしかも、これをよく集める役割をする人たちは、いろいろ破廉恥で警察にぶち込まれておる人のもらい下げをやる。それが大きな顔役的な役割をして、しかも警察とこれが連絡をとつてもらい下げをやる。まことに私たちもには理解できないことでありますが、そういう事態が現実にあるわけであります。これは私の県だけのことじやないと思うのでありますが、これについて全国的に国警は綱紀粛正の意呼で、何か徹底した指令をお出しになる意思がありますか、どうですか、ちよつと伺いたいと思います。
  118. 中川薫治

    ○中川説明員 警察官の綱紀粛正につきましては、常に警察幹部の念頭を離れぬ問題でありまして、綱紀粛正につきましては、大いに積極的努力をするとともに、細心の注意を払つて、綱紀がゆるまないように従来もやつたつもりでありますが、今後につきましても大いに努めて参りたいと思います。  それから先ほどお話がありましたが、報酬を得ないで防犯団体その他に関して、世話役になつて常任幹事をするということは、団体の性質によつては適当な団体もあろうかと思いますが、常に実費支弁でなくて給料をもらつておるということになりますならば、まつたく適当でないので、そういうものがありましたならば、よく徹底的に調査いたしたいと思います。またそういう事案がありましたならば、後ほどお教え願えれば適当な処置をいたしたいと思います。
  119. 山田長司

    山田(長)委員 たいへん御親切な答弁があるので、調査をして来てお伝えをするには、非常に張合いがあるわけでありますが、私は資料を全部調べてみまして、各町村に防犯関係の経費として集められておるもの、あるいはこういう設備をするからということで集めておる金、たとば幻燈機械をこしらえる、あるいは捜査の経費のために必要だから助成費を出してくれ、あるいはフイルムを買う経費として金を出してもらいたい、あるいは警察大学に派遣するために経費が必要であるからということで出してもらう。それから自警団の育成整備のために必要であるということで、一つの小さな郡でありますが、その郡で集められている金が何百万という金になつているわけでさす。  それからもう一つはつけ加えて申し上げるのですが、一つの犯罪がありましたときに、その犯罪を捜査するために、かなりの警察官が動員されてその捜査に当るために、その犯罪を警察に届けると、今盗まれた金高のものよりも、はるかに多くのものが警察官が来て食われてしまう、こういうことで、私の郷里などでは最近あき巣でいろいろなものを盗まれたり、あるいは米倉から米を持ち出されたり、あるいはほしたもみをそのまま持つて行かれたりすることが枚挙にいとまのないほどたくさんあつても、ちつとも届けないわけであります。こういう状態でいつまでもほつておかれますと、とにかくどろぼうをしなければ損だという印象を非常に与えていると思うのであります。こういう点について、一体大きな事件のときに捜査経費というものは、どんなふうに処理されておるのか、これはなかなか御苦労の点があつて、大きな捜査をされるのには容易ではないと思うのですが、これはあなた方の立場にも立つて考えていることなるでありますから、何かそういう点について参考になることがありましたら、お話になつていただきたい。
  120. 中川薫治

    ○中川説明員 犯罪捜査に当るに必要な経費といたしまして、あるいは旅費だとか捜査費は国の予算においても組まれておるのであります。ところがその額が正直に申しますと、そう必要に充てるに十分だとは申しかねますので、非常に各府県ともきゆうくつな状態でありまして、たとえば出張をいたしましても旅費が非常に少い。それから場合によつては旅費をもらわないで活動している。こういう警察官が多いということも実情でございます。そういつた点には、私ども警察幹部といたしましては、そういう必要な予算の計上について、最善の努力を大いに払つて参りたいと思うのであります。この点どういたしましても、実際必要な場合であつて費用がない、こういう場合に、これは好ましくないことでありますけれども関係の公の性質を持つ機関等から、そういつた費用の出費を若干仰いで、目的を達する部面もあるのでございます。それが度を越えまして、先ほど御指摘になりましたように、犯罪がありましたときに、何か会合のための経費を出さないと届けを受理しないとか、それほどまでしないにしても、届けを出すと、そういう負担がかかるということになりますと、これは非常によくないことでありますので、先ほども申しましたように、綱紀の粛正につきましては十分努力をして参りたいと思うのであります。  ことに一般国民の方々が犯罪の被害を受けました場合、これを警察に早く届けてもらう。届けてもらわなくても犯罪の捜査活動はしなければなりませんが、どうしても被害者の届けが有力な手がかりになりますので、いろいろ届けをやつていただくということにつきましては、いろいろ機会に宣伝もいたしますし、そういうような連絡も関係町村等を通じましてやつております。御指摘のように、何か届けるとたいへん費用がかかるからというような気運ができますと、まことに申訳ないと思いますので、そういうことの絶滅を期するために、今後とも大いに努力して参りたいと思います。
  121. 山田長司

    山田(長)委員 これも参考までに申し上げるのですが、警官が米をもらつて歩くとか、あるいは移転するときに転勤料を村から集めて行くというようなことは、一応常識的なのですが、最近に至りましてはこういう警官があることを、ひとつ御承知おき願いたいと思います。町にパチンコ屋を開いている業者があるわけですが、その業者のところを私服で次々歩いて、その警官がたまが出ないじやないかと言えば、私服で来ておるが顔がわかつているので、その人が来るととたんにたまが出て、その人が何べんやつても当るようにしてやる。そうして品物を持たしてやるということがある。これは私たちにはまことに理解できないようなことですが、これは最近地方に非常にふえているわけです。それほど地方の警察官が堕落しているわけで、私たちとしては見のがせない事態なので、このことを付言しておくわけです。そういう点で地方自治体が中央から非常に財源をとられ、さらにそれが今度逆にしわ寄せされて行つて、地方財源に響いて来ているこの事実を見て、地方自治体の町長なり村長なりを参考に呼んで、あなた方にお会いさせたいと思いますが、お会いになつてとつゆつくりとその点について聞いていただけますか。私たちとしては、最近の地方自治体のあり方というものを見ておつて、実にお気の毒でしかたがないのですが、この点についてひとつお話を伺いたい。     〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕
  122. 中川薫治

    ○中川説明員 私ども綱紀の粛正につきましては、部内において監察官を設け、いろいろな機会に幹部がこれを監督して、綱紀の粛正の徹底を期しておるのであります。ことにそういつた関係の町村長なり、そういう人たちのお教えをいろいろ聞いて、相協力してりつぱな警察をつくつて行くことについては、ほんとうに熱意を持つておりまして、町村長たちが、警察をよくしていただくという見地から、いろいろおつしやつていただくことは、まことに歓迎すべきことでありますので、大いにおつしやつていただきたい。われわれも町村長さんの言われる以外に努力しなければならぬことは当然でありますが、さらにそういう関係の方々とお会いしてお話を聞きまして、りつぱな警察をつくることについて、大いに努力したいと思つておりますので、お話を聞くことは大歓迎であります。
  123. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 このままで暫時お待ちを願います。     〔西村(力)委員長代理退席、委員   長着席〕
  124. 中井一夫

    中井委員長 ただいま犬養法務大臣が他に格別の用件のありますのを、特に繰合せて本委員会に御出席になりました。実は委員長自身法務大臣にお目にかかり、そうしてこの出席を要求したことになつておるのでありますが、法務大臣は代議士の諸公と大切な問題につき当時御相談中であつたのであります。その間を押して御出席を願つたのでございますから、大臣に対する御質疑につきましては、きわめて簡潔にしていただきたいと思います。政府委員室で他の諸君は大臣を待つておられるわけでありますから、この点特に御配慮を願います。  門司君。
  125. 門司亮

    門司委員 この機会に大臣にお聞きをしておきたいと思いますことは、この委員会で二回にわたりまして例の保全経済会のことについて、取締りの問題に関連いたしまして、いろいろ質問をいたしたいのでございます。その際はつきりいたしませんのは、一つの法律がありまして、その法律に基く一つ行為が行われておつて、それから来るこういう問題について一体所管が法務省であるのか、あるいは大蔵省であるのか、どちらかはつきりせずに決定しておらない。大体こういう答弁があつたのであります。従つてその際にも申し上げておいたのでございますが、こういう問題についてどちらが取締りといいますか、めんどうを見るべきであるかという所管を、ひとつ政府の方できめておいていただきたい、こういうふうにお願いしておいたのであります。その結果おそらく私は大臣の方まで御相談があつたと思いますが、そういうことについて政府内の意見がしつかりまとまつておるか、これをひとつ聞いておきたい。
  126. 犬養健

    犬養国務大臣 法務省といたしましては、この種の違法行為に立ち至つたものは、もちろん取締ります。しかしそれより根本問題として、こういう不正規ないかにもたくさん利子をつけて、元利返してあげるといつたようなことで、不特定の多数者から金を預かるということを、こまかいりくつに拘泥しないで、そういう事柄をどうやつて取締るかという問題で手をつけております。大蔵省大蔵省なりの理論、法務省も法律屋の集まりですから、またなかなか理論がありますが、そういうことは末の末にしたいと私は思つております。かりに内閣あるいは法制局で、法務省でこれをやれと申されますならば、私は翌日からでも引受けたいと思つております。ただ法務省の立場といたしましては、匿名組合というものについて、問題の保全経済会が純粋の形の匿名組合であるかどうか、多少疑問を持つておるのであります。私どもの観念における匿名組合というものは、大体人数がそう大勢でなくて、砕けて言えば気心が知れていて共同出資、共同経営という感じ、もうかつたらわけ合う、これが匿名組合でありますが、十五万人もいて伊藤斗福の顔も知らなくて、どういう運転をしておるか知らないが、とにかく年に九割六分利息がつく、元も来る、それでは預けようじやないかということでは、どうも私どもの常識から来る匿名組合とぴつたり来ない。また匿名組合ではもうかつたときわけるというのですが、これは初めから月八分——おしまいには二分になりましたが、それにいたしましても初めから約束するような形になつておる。こういう意味からいつても、匿名組合という観念と違いますので、そこで法務省意見といたしましては、広く不正規の受信業務を取締るという立場で、ものを考えてみたいと思つております。不特定の多人数からの受信行為、すなわち受信行為と申しますと、申すまでもなく金銭、または有価証券を受入れて、後日金銭を支払い、あるいは有価証券を引渡す債務を負担する行為で、それが預金であろうと、貯金であろうと、掛金であろうと、借入金であろうと、出資、信託その他何らの名義をもつてするを問わず信用授受の経済的性質を有するものを継続的に行つている業務を一般に禁止して、許される場合を制限列挙したらどうだ、これで手をつけているのでございます。これは公の談合ではございませんが、大蔵大臣に立話的にこの話をしまして、異存がないようであります。また予算委員会で私が今門司さんにお答えする通りのお答えをして席に着きましたときに、大蔵大臣が広く不正規な受信業務を取締る、そういう行き方が一番無難でいいというようなことを私に言つておられました。この線でやつてみたいと思つております。それが法務省がいいということなら、翌日から法務省はお引受けいたします。どうも事柄上これは広い意味での金融政策じやないか。だから大蔵省がいいということなら大蔵省でやる。譲り合つているのでなくして、私の方はいつでも引受けるような態勢はとつているのであります。ただ不似合いのものをお引受けするかどうか、不似合いか似合いかは内閣できめてもらう。こういう態度をとつております。
  127. 門司亮

    門司委員 私もちよつとさつき皮肉を言つたのでございますが、どうも官僚というものは往々にして仕事をとりたがるものですが、この仕事に限つてどうも両方でわけ合つているので、はなはだ国民としてふに落ちないように思つております。今の大臣の答弁では閣議できめたいというような話でございますので、私は大臣を一応信頼いたしまして、閣議で早急にひとつきめてもらつて、そうして国民の疑惑を十分糺明していただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  次にもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、これは大臣にお聞きすることは無理かとも思いますが、伊藤何がしという人が、あの休業を発表いたしましたときにも、これは政府の責任であるかのようなことを言い、さらに今被害を受けております多くの加盟者に対しましては、必ず法的措置が講ぜられるのだから、安心してもらいたいということを大体言つているようであります。そうしてそれらの根拠に基く怪文書がここに参つておりますが、これを読んでみますと——ここで朗読することは時間もございませんから一応避けておきたいと思いますが、いろいろやかましいことが書いてあるのでありまして、自分としてはできるだけ早くアメリカ投資銀行の例にならつて、そうして積極的に保全経済のみならず同種企業に対する法制化を要望して来た、そうして昨年の八月国会の解散前にも、当時自由党の首脳部と、これには書いておりますが、正式に党の政務調査会で取上げることを条件にして、というようなことを書いておりますが、そうしてなおその次の文字には、多額の政治献金をした、しかしこれが一向に法制化されていない。その次には、さらにこのことのためには改進党あるいは社会党右派までも、そういう文字を使つて書いておりますが、こういういろいろな運動をしたが、法制化されるはずであつたが法制化されないという不満が述べられている。これは匿名でありまして、これがどこから出たのか名前が書いてありませんからわかりませんが、そういう手紙が私の手元に参つているのであります。これはおそらく代議士諸公には全部来ていると思います。そこでこの際聞いておきたいと思います。もし法務省の内部あるいは政府の内部に、これらの問題について法制化されなければならないではないかというような御意見でも、今日まであつたかどうかということであります。
  128. 犬養健

    犬養国務大臣 保全経済会ではございませんが、類似の何とか経済会という問題がありまして、そのときに政治家ではありませんが陳情を受けたことがあります。そこでそのころはそろそろ保全経済会そのものもあやしくなつて来たような感じを受けましたので、一体こういうものをどういうふうに扱つているか、大蔵当局にも問い合せ、いろいろ尋ねたのですが、そのときには一度たりともこれは何かの保護処置をしなければならぬという議論は一つもございませんでした。むしろこれは気の毒であるが、どれか一ぺん傷がつかないと目がさめないのじやないかというような、ごく常識論がほとんど全部でございました。従つて政党の政調会がこれを法制化するといつたような話は、私が法務省について耳が遠いことになるかもしれませんが、かつて聞いたことがございません。またこれは多少別個なことになりますが、とかく政治家に念を押してあるから、大丈夫だというような、世間に相済まないというような態度をとらない彼の態度に、非常に私は考え違いだと思つております。
  129. 門司亮

    門司委員 それでは最後にもう一言だけ聞いておきたいと思いますが、大臣の御意向はわかつたのでございますが、大臣非常に忙しいところですからこれだけにいたしますが、先ほどから聞いておりますと、警視庁あるいは国警の方にも、どういう必要があるか、私にはわかりませんが、保全経済会の収支といいますか、財産の状態が報告されているということを私は承つております。従つてその内容はどうなつているかということもよく知りませんが、これらのものを総合して参りますと、かなり裏には政活的な意図があるのじやないかということが、われわれには想像できるのであります。われわれの手元にこういう脅迫じみたものが参つておりまして、もしこれがこのまま救われないでいるならば、同類の系統を持つものについては非常にたくさんある、その金額は大体三百億くらいに上るだろう、これがこげつきになつて経済恐慌を来すであろう、さらに政治献金は一億五、六千万円党主脳部約八十名に出している、これを暴露することによつて、政界に一大疑獄図を展開するであろうということが、実は書いてあるわけであります。これを読んでみまして、さらにこれが警視庁並びに国警の方に、その内容財産といいますか経営の内容が、私どもから考えると報告する必要はないと考えるが、これが報告されているというようなことを考えて参りますと、さらに裏には大きな政治的な意図を持つたものではないか。しかもこれは一方的な意図であつて、決して正常なものとは私ども考えておりませんが、こういう事態になつておりますので、ひとつ法務省といたしましては、閣議の決定があれば、むろんどちらかで十分お調べになることと思いますが、しかし法務省自身の立場としても、裏に何かへんな脅迫がましいことがあつて行われております以上は、はつきりした態度で臨んでいただきたいと思うのでありますが、この点に対する大臣の御答弁を、最後に願つておきたいと存じます。
  130. 犬養健

    犬養国務大臣 これはかなり政治というもの全体の信用に関係いたしますので、徹底的にこれを明白にすることはむろん明白にしなければならぬと思います。国会政治というものの信用に関係する問題でありますので、そこに私は主として重点を置いております。     —————————————
  131. 井手以誠

    井手委員 大臣お忙しいようでございますから、一言お尋ねいたしますとともに要望申し上げたい。本日はさきに大臣が直接御相談しました佐賀岩屋炭鉱事件で、佐賀県の国警隊長並びに組合長を呼んで、いろいろ事情を聴取いたしましたが、暴力行為の容疑があるという偶発事件について、事件のあつた数日後に組合を急襲する、あるいは組合長の宅を急襲する。事件に直接関係のない者にまで及びまして、しかも武装警官を多数配置するというようなことについて、私どもはこういうことは客観情勢から行けば、組合弾圧になるというふうに考えます。いろいろな書類は押収され、あるいは物品を押収されて、直接関係のないものも押収されて、非常に組合の活動に支障を来しているということを考えますと、弾圧だと考えるのであります。私どもはこういう事件についてはやはりできるだけ最少限度の人数で、できれば任意出頭の形式で、もし暴力行為の容疑があるとするならずお調べになることが、正しいのではないかという考えを持つているのであります。この種事件が最近方々に起きておりますので、しかも起きていることに対して、多数の警官が動員されている。それが国警と検察当局と一緒にやられているということを考えまして、この際大臣からこういう問題について、できるなら任意出頭でやりたいならやりたいという御所信を承りますと同時に、岩屋炭鉱事件について多数を動員したことが非常に行き過ぎであり、また取調べられた容疑者の父が、あまり苛酷な取調べのために死んだというようなこともあつたのであります。髪をひつぱられる。あるいはこぶしでこずかれる、こういうことを何人も申し立てておりますが、こういつたようなことがあり、容疑者の親で呼ばれた者が残念という二字を書いて自殺したという事件まで起きておるのであります。地元その他各方面から聞きますと、非常に行き過ぎであつたということが定評になつております。従つてこういうことになりますと、検察当局に対する一般国民の信頼が薄らいで来る、あるいはあれは会社と一緒になつてつたのじやないかという疑惑すら生じて来るということでは、私は非常に遺憾なことだと存じますので、その点を要望申し上げますとともに、法務省内部においても、国警隊長その他はそういう事実はないと申しておりますけれども、たくさんな人が証拠立てており、一般の人もそう申しておるので、そのままで看過できない問題でありますので、御調査を願いたいと存ずる次第でございます。
  132. 犬養健

    犬養国務大臣 原則として、たとえば四国における一両年来のスイツチ・オフ事件などは、できるだけ任意出頭の形をとつてつて参りましたことは御承知の通りであります。本件がどのくらい警官が出て、どういうふうであつたか、これは私今詳細に承知しておりませんので、さつそく調べたいと思つております。ただ国警もしくは検察庁が会社側と何かあるというようなことは、私も信じておりませんし、またかりにそういう疑いをかけられましたときは、この前の前の国会でしたか、一つ佐賀県にありましたときも、さつそく私は現地に問合せをしております。私の主義としては絶対にそういうことを避けておるわけであります。  それからスト規制法の実際の運用に関しましても、これは国会で非常な論議のあつた問題であるし、であるから実害のない者に神経質に、いろいろなことをしないようにということを、特に私名をもつて全国次席検事会同で訓示を与えております。また公安関係検事にも同じような趣旨の訓示を与えておりますので、この運用は私がどういうところに重点を置いておるかわかつておると思います。本件のことは、実はまだよく具体的に存じませんから、さつそく現地に照会して調べてみたいと思います。
  133. 中井一夫

    中井委員長 これをもつて休憩をいたします。     午後二時二十四分休憩      ————◇—————     午後三時五十九分開議
  134. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 休憩前に引続き開会いたします。西村君。
  135. 西村力弥

    西村(力)委員 お忙しいところを遠くからおいでを願つて午前中お待ちを願つたのですが、福岡県の三池の炭鉱の組合長さんにちよつとお尋ねしたいのですが、現在の組合会社側との間で交渉を持たれておる、その間警察側が大挙して、ある偶発というか、そういう事件に対して出動されたということを聞きまして、われわれから見ますと非常に行き過ぎが多い。それでその間の事情をお聞きしたいと思つておいで願つたわけですが、皆さん事情をおわかりにならない点が多いし、私も十分承知しておりませんので、簡単に事情を御説明願いたいと思うのです。
  136. 宮川睦男

    宮川参考人 三池炭鉱の労働組合組合長宮川です。ただいま御質問がありました現在の三井鉱山の首切りの問題について、この問題に関連して大牟田において、警察官が出動し、若干の事件が起りまして、十六名の検束者を出したうち五名が起訴され、あとの者は一応釈放になつておりますが、この問題についての概要を御説明申し上げたいと思います。  三井鉱山が、労働組合に相談もなく、一方的に四千五百六十六名という大量の人員を解雇した。この問題に端を発しまして、九月四日にこれが効力を発しておるわけでありますが、その後依然としてこの対立状態が続いております。会社側が一方的にこのような措置をとつておることは、労働協約やあるいはその後締結いたしました覚書によりましても、企業の合理化については十分組合と話し合わなければならないにもかかわらず、一方的に義務づけて四千五百何がしを首を切つておる。こういう状態の中にあつて組合としては非常に条件の悪い抗内で作業をしておるにもかかわらず、経済情勢の若干の変動、あるいは貯炭というような状態理由に、一方的に大量な馘首をやられるということでは、とうてい労働者が安心して働くことができない、こういうことで、鉱山保安法にきめてありますところの坑内労働者一人一人が守らなければならない事項を完全に守ろうではないかということで、これを指令して全員が申合せをいたしまして、保安法の完全実施ということを行つたわけであります。そういうことを実施した関係上能率は低下いたしました。従つてこの能率の低下に基いて、会社側は賃金を差引くという措置に出て来たわけであります。しかし賃金を差引くということは間違いではないか、法律で当然守らなければならない事項を完全に守つたので、能率が下るということは当然であつて、これは会社の施設その他が完全でないので下るのであるから、当然ではないかということを申したわけであります。賃金の協約に基いて、会社の責により能率の上らなかつた場合には、補償をするという労働協約がありますので、この項を適用して補償すべきであるという団体交渉の申入れを行つて、十月の八日から団体交渉に入つたわけであります。  その大要は文書になつておりますが、組合はあくまで法律を守るので、守つたがゆえに賃金が下るということはあり得ない。遵法闘争の闘争という字をかぶせようがかぶせまいが、鉱山保安法には個人々々が守らなければならないということが規定してある。そういうことを完全に申し合せて守ろうということを行つたのに対して、賃金を差引くという法はない。これに対して会社は、遵法闘争という名前がついているので賃金は払わない。こういう論争を繰返したわけであります。  同じ三井鉱山は九州に三山ありまして、三池、田川、山野、北海道に三山ありまして芦別、砂川、美唄、計六山が全部集まつて三井鉱山になるわけでありますが、他の五山は遵法闘争による賃金は差引かないということで全部払つておる。しかるに三池一山だけがそういうふうに差引を行うということを主張して譲らない。他の鉱山がいかに払おうとも三池においては支払わないということを強硬に主張いたしました。  この団体交渉には、組合員並びに家族が非常なる関心を持つておりましたので、多数の方が心配をして、組合交渉団に対する激励と、会社に対する抗議の意味を兼ねて、各地域と、あるいは職場と婦人団体等が逐次激励あるいは会社に抗議のデモをやつて団体交渉の席上にたくさんの人が交互に参つたわけであります。その都度交渉員はその大衆に対して、会社側の態度、組合の主張、こういうような経過を逐次報告をいたしておりましたが、大衆は会社側の一方的な強硬な主張に対して、非常に憤激をいたしまして、会社が誠意を示すまでは帰らないというような情勢にもなつて参りまして、その数も千、二千、三千と逐次多くなつて参りました。  その交渉が八日の午後二時五十分から始まりまして、途中でちよつと休憩いたしましたが、夜の十時半ごろまで続きました。十時半ごろになりまして、どうしても会社の強硬な態度が依然としてかわらないというので、書記長以下三名が中間報告に席を立つて出たわけでありますが、その間に会社側よりしばらくの間休憩をしたいという申入れがありまして、一旦休憩に入りました。会社側はあらかじめ用意してあつた控室に行き、組合側交渉委員組合の控室に帰つたわけであります。その間中間報告をして書記長以下が会場に入ろうとしたときに、周囲にたくさん詰めかけておつた大衆の中に一緒について入ろうというけはいがありましたので、それを阻止いたしましたところ、玄関口で戸がしまつたのでそのまま引上げた。さらに中間報告に出た執行委員から、交渉委員は中に入つてくれという連絡があつたので入ろうとした際に一緒に、人員は確認しておりませんが、数名と思われる者が入つて憤慨しておつたので、そこで傍聴させるということで、中に数名入つた模様でありますが、そのとき会社は休憩室におるし、組合側組合の休憩室におつて団体交渉の会場はからであつたのであります。たまたま永吉人事係長というのがその廊下の付近におつたが、それがつかまつて、お前の会社の態度はけしからぬではないか、大衆の前で説明しろといつて連れ出された。そのとき本人は行く行かないで、ばたばたしたそうであります。見ておりませんが、それが連れ出されて組合のニユース・カーのところまで連れて行かれた。その間約三十メートルあります。夜中の十二時でありましたか、大衆が千、二千とおるニユース・カーのところまで連れて行く間に、若干負傷をしたということでありますが、大衆が非常にたくさんおりましたので、どこでだれがどうしたというようなことはだれもわかりませんが、ニユース・カーの中にそのまま入れておいたわけであります。そのとき百五、六十名くらいだと思いますが、警察官が出て参りまして、前方に進み出て、組合員がたえずたくさん集まつている門の前に、逆にピケを張るようなかつこうになつて来たわけであります。それで警察組合話合いをして、穏便に話をしようではないかということで、一定の線に双方引くべきであるという話合いがついて、引きました。その後警察の警備課長から永吉人事課長を返してもらいたいという要求がありまして、ニユース・カーの中におるそうだからということでありますので、それではさつそく返しましよう、そのかわり警察も全部引揚げてもらいたいということで、返すことと警察が引揚げるということで話合いが円満につきまして、書記長行つて組合のニユース・カーの中から大衆の中を通つて会社側に永吉人事係長を返す。警察はそのまま引揚げたわけであります。しかるにその後会社側は、永吉人事係長が若干の負傷をしたということを理由にして、団体交渉を拒否いたしました。われわれは組合の責任において統制をとる、暴力行為は絶対に起さないから、団体交渉をするように主張いたしたわけでありますが、会社はただ単に暴力行為が若干あつたということを、一つの大きな理由に取上げて、団体交渉に対する自分たちの態度に対する反省などをするということもなく、団体交渉でどうにもならないというための口実として、永吉人事係長の事件をことさらに誇大に計画して断つているというふうにわれわれ感じました。その後組合がいくら団体交渉を要求いたしましても、団体交渉はしない。従つて大衆はますます団体交渉をしないとはおかしいじやないかということで、次から次へとふえまして、もちろん交代して帰る人もありましたが、その数はずつとふえて参りまして、その翌日までもさらに続いたのでありますが、会社側は絶対に交渉はしませんということを理由に、奧の一室にとじこもつて出て来ない。こちらから行つていくら催促をしても出て来ない。そうするうちに九日も過ぎるという状態はなりまして、九日になつても依然として会社側は強硬な態度で、団体交渉をしないと言つておる。われわれは団体交渉をするまであくまで待つということで、両方に対峠しておつたわけでありますが、九日の夜を過ぎまして、十日の午前零時二十分に市警と福岡国警が約五百名と想定されますが、参りまして、組合の代表と話合いをしたい、こういう放送でありまして、組合の方もただちにそれに応じて、交渉団を派遣したわけであります。交渉団の中にはちようどそのとき参議院議員の阿具根登氏もおりまして、先頭に国警の方と市警の方の代表の方と交渉いたしたわけであります。組合側の主張は、あくまでもこれは会社側が強硬に団体交渉をしないと言うから大衆は帰らないだけであつて、われわれは絶対に暴力行為をしようということは考えてないし、責任を持つて統制をとるので、こういう労使間の問題に警察が介入してもらいたくない、こういうことを主張いたしました。特に国警に対しては、大体われわれに対してどう考えておるのか、暴徒だと考えておるのかどうかという質問もいたしております。国警の持つて来た装備を見ますと、あるいは防毒面、このようなものを持つておるということも明らかになりまして、催涙ガスをまくつもりであつたろうと想像されます。われわれを暴徒を考えているのかどうかという点を追究いたしたのでありますが、何名ここへ来ておるということについても答えない、そういういろいろの質問に対しても答えられないという状態でありましたが、市警の岩本主任に一応中へ状態を見に来てもらいたい、そして会社側がどのように強硬な状態をとつておるので大衆がおこつておるのか、われわれの要求がどのような内容であるのかという点を確かめてもらいたいということで、交渉団とともに岩本主任——隊長でありますが、参りまして、入りましたのですが、その席上、円満に会社側団体交渉をするならば、暴力というようなことは当然考えられないし、また会社側が誠意を見せれば、大衆も円満に解散するだろう、こういうことで内容を十分調べてもらいたいということで来ていただきまして、会社側の方にまず当つてもらいたい、会社側にも団体交渉をするようにひとつ勧めてもらいたいということで、岩本主任も会社側に参りまして、それを申し伝えたそうでありますが、会社側団体交渉をする意思はありません、組合の方にそう伝えてください、こういう状態であつた。岩本主任もそのとき組合の方に来まして、実は組合の方の実情会社に話しましたが、会社は巨体交渉をする意思はありません、断つてくれということであります。警察の主任にに対してそういう会社側の態度であつた。そのときには岩本主任も若干不愉快な感じであつたというふうに漏らしておりました。それで、もう一時間ほど時間を与えますから、できるなら組合会社で自主的に交渉を持つようにしてもらいたいということで、岩本主任は帰つたわけであります。その後何ぼ会社側団体交渉の要請をいたしましても、全然聞く意思がなかつた。それから経過いたしまして、十日の午前五時二十分ころに警察隊のニユース・カーから放送が開始されました。その放送の概要を申し上げますと、現在組合のとつている行動は心情は察するに足るが、法のもとに許されることではない。すみやかに解散をされたい。応じられない場合は、実力を行使せざるを得ないので冷静な行動を希望する。こういつた放送が警察際の方から開始されたわけであります。これに対して組合側は、かかる事態の起つた原因並びに本団交における会社の不誠意は当然責めらるべきである。われわれは暴力をもつて警察を迎える意図は毛頭なく、ただ権力と金力なきものは、憲法二十一条、二十八条に保障される同志愛と団体行動権によつて、自己と家族を守る以外に道のないことを知るがゆえの行動である。警官隊の賢明なる了解を期待する。従つて民主的なこの労使間の問題・労働組合のこの問題に対して警察権力が介入することは非常にまずい結果になる。決してわれわれは暴力はいたしません。団体交渉をしたい。こういう意思のほかはないのであつて警察が入ると、かえつて困難が起るであろうということを再三マイクで繰返して申し上げ、警察とのマイク応答も四、五回行つております。われわれとしては警察官が来た際も、決して警察に挑発されるような行為をしてはならない。われわれの行動が正しいのだという確信と信念を持つて、われわれの主張を最後まで貫く、こういうことを警察の方にも訴えておつたわけであります。しかるに、なかなか時間がたちましたが、そのまま対峙した状態でありましたが、午前六時ごろ警官隊は一応全部引揚げました。しかしこれは警察署に待機しているという状態が情報でも入つておりまして、目の前に見えないだけで、前の状態とかわらないのではないかという印象を、われわれも受けましたし、また会社側警察が待機しているから絶対大丈夫だということで、さらに強硬な態度をもつて団体交渉を拒否し続けている。遂に十一日の朝までたつても、会社は絶対に団体交渉をしないということで、組合の方は次から次へと大衆が押し寄せて、多いときは七千から一万近くの人が集まつたのではないか。徹夜して三日三晩ほとんど三千人を下つたことがないと考えておりますが、十日の夜から十一日の午前にかかるころにおきましては、婦人の方などは帰つてもらいたいと組合から呼びかけをいたしましても帰らない。徹夜でかがり火をたいておつたような状態であります。しかし会社の方としても強硬な態度でありまして、組合としてもこのままの状態を続けるということは、今後さらに不祥事を招くおそれがあるのではないかということになりまして、最終的には午前五時に一応解散をするということにしました。この間にあつて福岡県の労働部長あるいは大牟田労政事務所長等のあつせん、あるいは職員組合の幹部のあつせん等もありましたが、事態は全然進展しておりません。こういう状態の中で三池の状態が終始いたしまして、警察官の出動によつて、さらに会社側は強硬な態度に出たということが、われわれとしては強く感ぜられますし、正面衝突こそしなかつたけれども、あの中に出動されたということは、やはり労働組合運動に対しての介入であるとわれわれは考えております。それと同時にその日起つた問題に関連して、これは国警ではありません、自警でありますが、十六名の検束者を出しております。これもその後起訴に五名なつておりますが、あとは釈放されております。しかしこの中のひどい例を申し上げますと、炭坑の三番方で上つて来て何も御飯を食べておらない、一晩中寝ずで仕事をして家へ帰つて来たとたんに、食事も与えないで、あるいは着がえもさせないで、そのまま警察にひつぱつて行く、このようなむちやなことをしている点もあります。それでわれわれとしては、あのような状態の中にあつて、催涙ガスまで持ち込んで国警が出動しなければならなかつたかということが、非常にわれわれとしては疑問に思つておりますし、こういう点は十分究明して、今後の正常なる労使の運営ということに対する警察権力の介入ということは、かえつて事態を悪化させるだけであつて、何の効果もないというふうに感じております。  これが大体三池炭鉱に起きた八日から今日に至るまでの経過であります。
  137. 西村力弥

    西村(力)委員 長々とお話をお聞きしましたが、警察官が出動したときは、大体五百名くらいだつたが、そのときの大衆の自然に集まつた数はどのくらいですか。
  138. 宮川睦男

    宮川参考人 概算でありますが、二千五百から三千でありますが、数ははつきりしておりません。
  139. 西村力弥

    西村(力)委員 それから十六名が検束されたということですが、それはどういう容疑で検束されたのですか。
  140. 宮川睦男

    宮川参考人 詳しい事情はわかりませんが、八日の夜永吉人事係長を連れ出したときの団体交渉をしている屋内に入つたということが、不法侵入というようなことで検束されたように聞いております。また暴行容疑だということも聞いております。
  141. 西村力弥

    西村(力)委員 その永吉係長ですか、その人が暴行を受けたということですが、その暴行を受けて、何か傷でも負つたということを、皆さん御承知なんですか。
  142. 宮川睦男

    宮川参考人 若干暴行を受けたろうということを、組合知つております。しかしそれはどこでどうなつたのか、その点はどこでも確認をしておりませんので明確ではありませんが、その後ニユース・カーから会社側に帰るときには、書記長がついて、組合のニユース・カーから三十メートルぐらいの、大衆のいるところを通つて会社帰つておりますが、帰つたとたん医者を呼んで、三週間以上の負傷を負つているということで、担架で病院に連れて行かれたそうでありますが、その後面会謝絶ということで全然会つておりません。今まで炭鉱における傷害は、大小合せれば相当数でありまして、大分負傷した人たちも、私たちはしよつちう見ているわけでありますが、面会謝絶というような負傷をしたことは、坑内においてもあまりないわけです。それが面会謝絶ということで、だれも会われないのです。病棟の入口に係員が二人ついておつて、入れさせなかつたそうでありまして、医者の診断書によると、三週間ということになつているそうでありますが、組合としては、三週間ということを医者に確認もいたしておりませんし、どの程度の傷かということを、間接的に聞いた程度で、全然直接見ておりません。
  143. 西村力弥

    西村(力)委員 それから住居の不法侵入ですが、こういう容疑もかけられたということになつておりますが、その人々は、そのようなぐあいに強引に拒否するものを押しのけて、そして入つたのかどうか。また入つた家あるいは箇所というものは、通常組合員の人が入つているところか。またその日は、団体交渉の連絡員とかで、当然通らなければならぬところを通つたのか。そういうようなことについてひとつお話願いたいと思います。
  144. 宮川睦男

    宮川参考人 その日入つたの会社の建物でありまして、その交渉している会場と廊下との間が、二十メートルくらい廊下があつて、その会場に行くわけでありますが、そこには団体交渉員のメンバーだけでなく、新聞記者、あるいはカメラマン、あるいは大衆も押し寄せておりましたので、連絡員等は、常に連絡のために、自由に入つたり出たりはしておりました。そのときも、執行委員が中に入つて行くあとについて行つたので、入れないような状態にはなつていなかつた。通常連絡員は、しよつちゆう入つてつたような状態でありまして、しかも大衆が全部押し込むというようなことのないように、特に注意して、前の方には、そういうことに注意をしている人間まで立てて置いたくらいでありまして、連絡員程度はしよつちゆう入つたり出たりしているような状態で、通常入り得る状態でありました。
  145. 西村力弥

    西村(力)委員 相当大衆が動員されたようですが、その大衆を組合統制下に掌握する自信というものは、組合長初め幹部におありですか。
  146. 宮川睦男

    宮川参考人 それは完全に自信を持つておりましたし、常に統制を守るように指示もいたしておりましたし、当時の行動隊長にも、それを指示いたしておりましたので、確信を持つております。なおそれと関連するわけでありますが、七千名程度だつたと思うのですが、三日三晩も寝ずでやつて、最終的に会社が強硬な態度をとつたにもかかわらず、組合の指令に従つて解散をしているところを見てもわかるように、組合は最初から自信を持つて統制するという確信を持つておりました。
  147. 西村力弥

    西村(力)委員 この事件が発生してから大分あとになつて検挙されておるわけですが、先ほど岩屋検挙の場合ですと、非常にものものしい状況にあり、またその押収品目あるいは捜査箇所なんかも行き過ぎが非常に多いというぐあいにわれわれは考えたのですが、三池の場合、その捜査のときにはそのようなぐあいに、やはり一つ一つ関係を持たない箇所あるいは物品、そういうものを捜査したり押収した、こういう事例はございませんか。
  148. 宮川睦男

    宮川参考人 三池の場合は山本豐、池田昭二、一番最初と最後に書いてある二人のうちを家宅捜査されております。山本豐氏のうちは奥さんの里を捜査しております。奥さんが里帰りをして子供が生れたばかりでありました。その奧さんの里を捜査されております。その奧さんの里はげた屋をやつておるのですが、げたの仕入れ台帳まで調べられたということで、奧さんが泣いて非常にくやしがつた。何の関係があつて仕入れ台帳まで調べなければならないかといつて、泣いて組合に来られたという状態もあります。それから池田昭二氏のうちも家宅捜査されております。特別押収されたという内容は聞いておりません。
  149. 西村力弥

    西村(力)委員 その後もいろいろ組合側としては会社側と折衝を続けられたと思うのですが、この検挙の後、組合執行部参考人とか、あるいはそのほかのことでしよつちゆ呼び出すなり、あるいは警告をするなり、さまざまそういうぐあいに断続的に警察の方が、組合のいろいろな行動に干渉がましい動きをしておるというようなことはございませんか。
  150. 宮川睦男

    宮川参考人 山本、古賀、松原三名があげられてから、ほとんど連日のように組合組合長書記長教宣部長、支部長が警察もしくは検事に呼ばれて、毎日のようにいろいろ事情聴取を受けております。組合業務の非常な支障になつたということも種々あります。その後二十六日に勾留理由開示の裁判も行つておりますが、その議事録はまだ届いておりませんので、ここに持つて来ておりませんが、よろしかつたら、後ほどでもまとめて差上げたいと思います。
  151. 西村力弥

    西村(力)委員 検束された人々十六名なのですが、そういう人たが特定の政党に所属しておる、そういうことが明確になつておる者はごいませんか。あるいは社会党に所属する、あるいは共産党に所属する、あるいは労農党に所属する、まあ自由党に所属するというようなことはないでしようけれども、そういうのはございませんか。
  152. 宮川睦男

    宮川参考人 政党所属は明確になつておりません。この中で確実というのは、私は山本豐君は社会党員にいうことは承知しておりますが、あと社会党員であるかどうかということが明確でないわけです。政党所属は大体あまり明確になつておりません。
  153. 西村力弥

    西村(力)委員 いろいろ今後も関連してあなたにお伺いする場合もあると思うのですが、次に国警隊長さんにお伺いしたいのです。国警隊長さんはいつ御就任なされたかわかりませんが、この福岡地区の隊長に就任されるには、あそこは鉱業地帯で炭鉱の多いところであつて、労働運動はまことに熾烈であり、国警任務の相当ウエートを占める点が、その関係にある。労働組合の運動に対する対策というものは、そういう点にあるのだということを、一応予想して行かれたのじやないかと思う。実際そういうぐあいに予想して行かれまして、その後責任をとられてずつと事件にあつてみますと、その予想というものと実際というものが、どういうぐあいに合つておるか、あるいは予想に反して労働問題に対する警察行政というものが実に困難であるか、あるいは予想に反して大したことはないというふうなことになるか、そういう点、隊長さんの自己の責任をとられるお心構えというものを、そもそもの出発からどういう立場で行かれたかという点についてのことでございますが、お話を願いたいと思います。
  154. 長野實

    長野参考人 ただいま、私が福岡県の国家地方警察隊長に就任をしてから、炭鉱の問題についてどういうふうに考えておるかというお話のようであります。私は福岡県の国家地方警察隊長に任命されまして約二年ちよつとになるわけであります。その間ひとり炭鉱だけではありません。いろいろ労働争議その他の問題は、たくさんあつたわけでありますが、特に今のお尋ねのような、非常にむずかしいとか、非常にやさしいとか、予想と今とがどのくらい違うかということは、特に申し上げかねるわけでありますが、場合によつては非常にむずかしい問題もあるし、あるいは場合によつてはむずかしくない問題もある、こういうことでごかんべんを願いたいと思います。
  155. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうぐあいにしてずつと仕事をなさつてつたわけですが、スト規制法というものが成立した。そういうことはあなた専門家であるから、どういうことを目ざしてあのスト規制法が強行せられたかおわかりだと思うのです。それであの法が成立した後、各署長さんとかそういう方々に、その後の労働対策として何か指示をなされたというようなことはございませんか。
  156. 長野實

    長野参考人 スト規制法の成立についての通知は、各署にいたしておきました。こういうものが出ておるという通知はいたしておりまするが、特にスト規制法ができたから、どうこうという特別な心構えというようなものを、特別に会議を開いて指示をするというほどのことをいたしたことはありません。
  157. 西村力弥

    西村(力)委員 それではこのたびの三池鉱業所の国警の応援出動、そのことに何人ぐらい動員せられたか、あるいは大牟田市警から応援出動の要請があつたのは、何日の何時ごろであるか、その二つについて、ちよつとお話を願いたい。
  158. 長野實

    長野参考人 大牟田の市の公安委員会から県本部の方に要請のあつたのは、記録によりますと、多少の時間のずれはあるかもしれませんが、十月九日金曜日の午後五時半過ぎに、市の公安委員会から二百名程度の応援を頼む、こういう要求があつたのであります。
  159. 西村力弥

    西村(力)委員 それじや何名応援に出動せられましたか。お話をお聞きしますと、そのときの国警側の指揮官である人は、何名連れて来たかわからないということを申されておりますが、実際そのようなぐあいに動員せられるものか、何名でもいいから来いということになるのかどうか。その日何名出動されたか、お答え願いたいと思います。
  160. 長野實

    長野参考人 こちらから出動いたしました人数、応援にやりました人数は、私服の技官なんかもおりましたが、それを入れまして二百十六名と存じております。
  161. 西村力弥

    西村(力)委員 二百十六名というのは、その後の調査によつてわかつたものだと思うが、当夜の国警の指揮官は何名であるかわからないということを言つた。そういうことに対して隊長として、当夜の掌握の仕方が万全であると考えるかどうか
  162. 長野實

    長野参考人 私この問題について今考えますのに、おそらく当時国警警察官を率いて行つた者といたしましては、ある程度の人数を知つてはおつたでありましようが、当時の状況であるいはそれを伏せておきたい、こういう気持でついそういう話になつたのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
  163. 西村力弥

    西村(力)委員 それじや伏せておつたという必要性はどういう点にあるのか。人数を知らせることができない。そのときは組合の幹部が詰問し、あるいは阿具根参議院議員が詰問した。こういうことに対して人数を伏せなければならぬという理由はどこにあるのか。
  164. 長野實

    長野参考人 おそらくその前夜に暴行事件が起つておるというような関係もあり、しかも当時においては相当の人数が行つておりました関係上、相当たくさんの組合の方々がそこらへ集まつておられたというような関係もあつて、万一の事態ができては困るというような気持もあつたでありましようし、そういう意味で特に説明しなかつた、こういうことであろうと思います。それからもう一つ、これは私自身がそう思うのでありますが、おそらく私の方から応援にやつたというのは、皆様方の御承知のことと思うのであります。大牟田市の公安委員会から応援の要求が参りましたので、県本部といたしましては一応大牟田に近い隣接の署に、それぞれ何名ずつ行つてくれということでやつたわけであります。それは一斉に一つの隊というものをつくつて向うへ行つたわけではないのであります。ある署——署の定員の少いところでは十二名、ある署では三十名ばかり行くというように、こつちから電話でそれぞれその署署に命じまて、大牟田へ直接行くように指示をいたしたはずであります。そうしてその全体を締めくくる意味におきまして、こちらから同じく機動隊の隊長が出かけて行つたということになつておるのでありますが、行つたのは大牟田市の警察署まで行つたわけであります。  それからただいまの御質問の点で、阿具根参議院議員あるいは労組の委員長の方などとの問答があつて、それで答弁をしなかつたというか、知らないということを言つたのか、あるいはそこに言葉の食い違いがあつたかもしれませんが、私が先ほど推察したのは一つの推測でありまして、もう一つの推測から言いますと、そのときは国警警察官だけがそこへ行つたわけではありませんので、大牟田市の署でおそらく編成をして行つたんじやないかと私は思うのであります。そこで何名来たかというときに、国警が何名来たか、あるいはどこが何名来たかという言葉の食い違いがあつたかもしれないのでありますが、そこらの点はただいま私が一応推測いたしただけでありまして、いずれの推測が正しいか、今ちよつと申し上げかねるような実情でございます。
  165. 西村力弥

    西村(力)委員 私はしろうとですからお聞きするのですが、この応援出動の要請があつた場合には、無条件に、もちろん警察法の何条かによつていろいろ状況とか必要事項を通知して、要請するわけだろうと思うのです。そういう場合にそれを断るというのは絶対にできないのですか。
  166. 長野實

    長野参考人 そういう場合においては、その市の公安委員会が必要があると認めて要求をしておるのでありまして、人数の点でこちらに非常なそれ以上の大きな事態があつてちよつとそれだけの人数を出せぬとかなんとかいう場合に、何とかこれこれの人数にしてくれというような交渉をする場合はあり得るのであります。ほかにこちらに大きな事件があるわけでもないときに、何ぼにしてくれとか、こちらが必要性をそうやかましく言うべき筋合いでない、こういうふうに思つておるわけであります。
  167. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう要請があつたときに、最後的にそれでは応援出動をせよというぐあいに決定し、それを指令したのはあなたでございますか。
  168. 長野實

    長野参考人 そうです。
  169. 西村力弥

    西村(力)委員 それらの警察の人たが、完全武装、すなわち催涙ガスを携行して行つたという事実、その状況判断はどういう立場でなされたのでありますか。
  170. 長野實

    長野参考人 当時の私自身の考え方をひとつ申し上げておきたいと思うのでありますが、市の方から応援要求がありましたので、国警といたしましてはそれを充足するように人数をきめまして、その人数を市警の指揮下に入れるために応援の要員を派遣いたした、こういうつもりであつたのであります。当時において市署の方から拳銃は夜間のことでもあるし持つて来ない方がいいだろうという話がありましたから、拳銃については全部はずして行かせたつもりであるのであります。それからそのときに、大牟田署の周辺の署は、それほど大きな警察ではありませんので、筑後の警察署の人数を出したのでありますが、そのほかにまとまつておるものといたしまして機動隊というものを県に持つておりますので、それを出したのであります。機動隊の一部にはそういうふうな特殊な装備をしたものを持つておりましたので、そのままそれを持つて行つたというかつこうであつたと思うのであります。
  171. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど夜間でもあるし、特にピストルをはずさして行つた。それほどまでに慎重に扱われている方が、催涙ガスが携行することを見のがされている。これほどの注意をされるならば、催涙ガスの用意も、当然その人々はして行くべきかどうか伺いを立てるか、あるいはみずからそれを置いて行くか、いずれかするではないかと思われる。なおその催涙ガスを持つて行つたことは、もし警察隊がほんとうに実力行使をやつた場合には、どういう結果になるか。すなわち当日の大衆の集まつているところは山の上であつて、夜間にそういう実力行使が発動されるとするならば、婦女子をまじえた何千人という人々が、まつたく言語に絶する阿鼻叫喚の状態が現出せられるだろうと思うときに、はだ寒い感じがするのであります。市警の隊長においてはそういう状態を十分承知されているので、せつかくピストル携行をとめられた。その注意があつたとするならばなぜ催涙ガスの携行も一言注意せられなかつたか。単にこれは度忘れしたんだ、そういうふうに御答弁になるかもしれませんが、何らかそこに私としては割切れないものがあるのです。その点についてお聞かせを願いたい。
  172. 長野實

    長野参考人 私自身は特にそれを持つて行くなということをとめなかつたのでありますが、そこで機動隊の方では、一部の者がいつも出動する場合にそういうものを持つて行く係がおつたから、それが行つたようなかつこうでありましようが、しかし私自身の考え方といたしましては、そういうものが必要でないかあるかということになるならば、一応全部の者が市の警察へ到着いたすでありまして、それから現実においてはその市の警察の指揮下において出て出く。現実に出て行つた場合においても、国警の応援に行つた者ばかりが出て行つたわけではありませんので、市警の方からも行つておるでありましようし、そのほか荒尾の市の方へも応援を頼んでおつたのであります。荒尾の市の方からも応援をいたしておる。これらの警察官も出て行つておる。これらをどういうふうにして、今度は警察署から現場の近いところまで出動させる場合に全員を出動させるか、あるいはその出動する場合の武装についてはどういうふうにするか、あるいは警察官のその付近の配置はどういうふうにするかということは、これはまつたく市警の指揮下においてやられることであります。おそらく絶対に必要がないということであれば、そこでまあそれは持つて行かずに警察署へ置いて行くべきだというようなことも考えられたのではないか、こういうような考え方もありまして、特に市警の方から夜間のことであるから拳銃は持つて来ぬ方がよかろうというような意見もあつたから、拳銃だけは一応とりはずさせた。そのほかのことについて特に特別の指示をしなかつた、こういう考え方であつたのであります。
  173. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、これは市警の責任で最後はどのような装備で現場に行くか、あるいは何名出動するかということになるのであつて、私の方の責任ではない、このようなことになるようでございまするけれども、しかしいかに指揮が市警に入りましても、国警と市警の関係でありまして、装備云々まで指導することにはならないというぐあいに考えます。事実その通り最初に出発の際にあなたからピストルを置いて行け、このように指示されておるのでございまして、すべてを大牟田市警の責任である、このようなぐあいには私はならないと思う。それはそれとしまして、ただ実際現場の状況を判断せられまして、催涙ガスを持つて行くことがこの際必要であつたか、あるいは正しかつたかどうか、その点に対する御判断を、ひとつお聞かせ願いたい。
  174. 長野實

    長野参考人 現場まで持つて行くのが正しいかどうかという問題になると、またこれは私先ほど申し上げたような関係になるのでありますが、私自身が特に注意しなかつたので、自然持つて行つたというかつこうになつたかということは、まことにそういうことであつたと思うのでありますが、当時の状況の前、応援要求をする前のことからいいますと、大体前日以来、先ほどお話もいたしましたように、最初のころから二千名あるいは二千五百名、三千名という労働組合の方々がそこへおられる。そうして前夜にはそういう傷害事件も起つておる。また今晩へたなことになつて、そういうことが起つては困るんじやないかというので、おそらく大牟田市警からそういうことも兼ね備えて、応援の要求があつたと思うのであります。私自身といたしましては、特にどうしても持つて行つてはならないというほど強い気持がありませんでしたために、ついそれを特別にとめなかつた、こういう感じにしかすぎないのであります。
  175. 西村力弥

    西村(力)委員 いろいろ直接責任でないという立場の人に来てもらつて、お忙しいところ御苦労願つたのですが、五時半から六時くらいの間に出動要請があつた。そのときにはいろいろ相談をされる時間もあつたでしようし、それからそれを指令してその必要人数の集合を求める時間もあつたろうし、また各方面から大牟田まで急行する、その時間もあつたであろうし、その間時間的に五時間そこそこで、全部が大牟田に応援に到着し得られるということは、私はむずかしいように思われる。聞くところによりますと、福岡から大牟田までは五十キロ以上ある、こういうことでございますが、そういうことにいろいろに思いを及ぼすと、国警としても要請のある前に、相当そのことを予期して待機しておつたような姿勢、そういうことはございませんですか。
  176. 長野實

    長野参考人 そういうことを予期して待機したという事実は絶対にありません。実は私は五時半ごろに私のうちへ帰ろうとしておつたのであります。そこへ応援要求が来たのでありまして、それじや応援要求が来た目上は、大牟田市にそれをやらなきやいかぬということで、やるとすれば筑後の地方の近いところから先に出すべきである、同時に急ぐのであろうから機動隊も出してやろう、こういうことであつたのであります。  そこで警察官の到着しておる者は、ばらばら——ばらばらというのではありません。各署ごとにあるいは十二名あるいは二十五名というふうに、近いところから近いところから到着いたしておる、こういうような状況であります。一番近いところを言いますると、大牟田市からおそらく自動車で三十分かからない瀬高というところに、三山地区警察署というものがございます。それから同じような地域に西山門地区警察署というものがあります。大牟田市に一番近い久留米以南の署及び久留米の両わきにある署、こういうような署ばかりをちびちび出して行つたのであります。もう一つはまとまつておるものとして、すぐ招集しなくてもちやんとおる機動隊というものを出す、こういうことで機動隊が行きましても——大体大牟田までは私らがもし行くとしますと二時間くらいで必ず行く、こういう気持でおるのでございます。それまでに事前に集めておつたということは、絶対にないわけであります。
  177. 北山愛郎

    ○北山委員 私はきわめて大ざつぱな点を二、三警察隊長にお伺いしたいのですが、このような種類の労使紛争と、それから警察権というような問題は非常にむずかしい問題の一つのケースじやないかと思うのです。それで先ほどお伺いしますと、組合員の方々も家族とともに、これは生死をかけての必死の問題だというふうにうかがえるわけなのでありまして、自分生活を守るためのぎりぎりの闘争の形だ。こういうような労使間のいろいろな問題について、警察が関与する場合、警察の実力の介入によつて、こういうような問題が解決され得るものかどうかというような点についての御見解を承りたいのであります。そのほかにもピケツトの問題であるとか、工場のロツク・アウトの問題であるとか、いろいろあるようでありますが、その一つの例のようでありますが、労働者自分生活自分の力によつて守らなければならぬ、法律上の保護がないというような場合に、このようなかつこうが出て来るわけなんです。そこへ警察が入つて行くというかつこうになるのですが、そういう場合に実力行動によつて、問題の解決ができ得るものかどうか、そういうことについての一つの御見解を伺いたい。
  178. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員長代理 ちよつと北山さんにお諮りいたします。ただいまおいでになりますのは、福岡国警隊長長野参考人でございます。
  179. 北山愛郎

    ○北山委員 福岡の隊長に……。
  180. 長野實

    長野参考人 私自身は警察がむやみに労働争議そのものに介入して、それで解決するとは絶対に思つておりません。労働争議というものは労使間の両方の問題であつて警察がそれにむやみに手出しをするということは絶対に避くべきものである。そうして労働争議そのものに介入するということは絶対にいけないことだ、こういうことで今まで私自身は考えておるのであります。ただその間にそれに派生をいたしまして、特別な不法行為が起るとかいうことになれば、そのときにそれだけは排除して行かなければならぬ、こういう気持でおるのであります。
  181. 北山愛郎

    ○北山委員 確かにその通りだと思うのですが、しかしその起り得べき不法行為というものを排除する、あるいは事前に予防するということが、このような労使間の問題については、普通の他の犯罪と違つて労使間の紛争に伴つてつて来るということでありますから、その不法行為を予防しようという行動が、ひいては労使間の紛争そのものに介入して行くというような、実際上の影響が起つて来るのではないか。そこで具体的なこのケースについて見ますと、私ども考えられますことは、要するに先ほどの組合長さんのお話などから伺いましても、団体交渉再開すれば、その群衆が立ち去るということを言つておるのでありますから、会社側に対して、団体交渉をしなければ警察としてはここから立ち去るわけには行かないのだというようなことで、警察としての措置がとれなかつたかどうか、というのは、そういうような不法事件を予防する一つの手段としては、この際第三者の立場からいろいろ考えてみますと、とにかくどういう結果が出るかわからぬとしても、団体交渉再開すれば、とにかく一応の解決の糸口が見える、そういう場合に、警察一つの仕事として団体交渉会社に大いに督促をする、これが一つの予防の方法じやないか。それでなくて出て来たときに、一つ暴行事件なり、そういうものをその都度処理するのだというのでは、この種の事件については、警察の仕事としても非常に不完全じやないかと思うのです。そういうような見地から、そのように介入するというのは、行き過ぎであるかどうかお伺いしたいと思います。
  182. 長野實

    長野参考人 お尋ねの問題は非常にむずかしい問題であり、なかなかデリケートな問題でありまして、お答えになるか、ならぬかわかりませんが、ただいまの具体的な問題の場合は、私が聞いておるところによりますると、現場で組合長なりあるいは参議院議員の方と、現場の警察官とがいろいろ問答やら何やらをやつてつたのでありますが、そのいろいろの問答の中に、組合の方からも、とにかく自分たちの方は、団体交渉をいつやるということを言つてくれさえすれば、それがきまれば解散してもいいというような話もあつたのであります。そうして初めはこつちとして——こつちという言葉は語弊つがありますが、市の警察としては、自分たちがそれを伝えるとか何とかいうわけに行かぬかもしれぬ。それは直接やつたらどうかというような話があつたのだろうと思います。ところが会社の方がなかなかそれにも会わぬというようなかつこうがあつたので、その意向を市の警察官の方でありますが、現場におつた人が直接組合側の意向を会社の方へ行つて伝えた。そうして会社の意向が、またこつちへ返つて来ておる、こういうようなかつこうがあるのであります。あまり深入りをして、どんどん会社にどうしてもやれというようなことはなかなかむずかしい、デリケートな問題でありましようが、事態不法行為にわたらないように、双方の問題を緩和するについては、しかも労働争議にものすごく介入したということにならない程度においては、ある程度の申入れをしておる、こういうことは事実であろうと思うのであります。
  183. 門司亮

    門司委員 関連して聞いておきたいのですが、これは問題の焦点が、争議に対する介入であるかないかというようなことになると思いますが、私はお昼前の佐賀の隊長の金掘さんに、もう一度最後に聞いておきたかつた帰つてしまわれたので聞かれませんでしたが、一応国警本部の方に聞いておきたいと思います。取調べのときに、両方組合員がおるときに取調べるというようなことは、事実上の問題として私は行き過ぎだと思うのです。取調べをするというときは、利害関係のないようなところで聞かないと——あの警察の行き方というものは明らかに行き過ぎであつて、何らかの意図があつたものとしか考えられない。従つてその問題が一つ。  それからもう一つは、今長野君からいろいろ話されておるようでありますが、いずれにいたしましてもこの問題は傷害容疑であり、それから不法侵入である、こういうことで検束したということなのですが、こういう問題はこれはひつかければどこにでもひつかかる、大した問題じやない。しかも争議自体が、なぜこうならねばならなかつたかということの裏には、私はこれは臆測かもしれませんが、結局警察がたくさん動員して出掛けて行つて、引揚げるには何らかかつこうをつけなければ帰るわけには行かないというようなことで、警察の体面上少し無理と知りつつやつた仕事ではないかと思います。そうでなければこういうように日を置いてやるはずがない、傷害事件が九日に起きておつて検挙が十三日、そうして問題が起きたのは大体八日か十日の間である、不法侵入というのは現場でやれば歩行犯でやれる、決してやれないわけではない。どうも私の考え方から見ると、佐賀事件にしても、両方ともどうも大がかりでやつたものであるから、引揚げるには、何もなかつたのではぐあいが悪いので、何かでつち上げなければぐあいが悪いので——でつち上げるという言葉はちよつと語弊がありますが、どこかにひつかけなければ警察が出て行つた面目がないというようなことで、私はやられたような気がするのですが、従つて一体国警本部としては、こういう争議に対する警察官の行動については、どういう訓示というか、通達がされておりますか。それをはつきりと聞かしていただきたい。
  184. 山口喜雄

    ○山口参考人 岩屋炭鉱取調べにつきまして第一、第二組合の双方の者を、同席さして調べたということでありましたが、その点は私の方で調査いたしましたが、さようなことはないのであります。ただこういうことは考えられると思うのであります。それは一方の言い分がこうである。片一方の言うことはこうであるというような場合に、両方の者にそれぞれ供述をさせて行くという場合は、これは考えられ得るのであります。これはしかしながらきわめて例外中の例外であると私どもは考えておるのであります。  それから大牟田の事件でありますが、これは九日の朝早く、一時過ぎごろに人事課長に対する暴行傷害事件が起りまして、それからあと依然として事態が続きますので、その応援要請があつて出たのであります。そうして当時の状況として、先ほどお話がありましたように、数千の組合員が前にがんばつておられるというような事態のもとで、証拠関係もありましようし、その場でただちに検挙するというのは、ますます紛糾を見るようなことにもなりますので、証拠を固め、そうして事柄を平穏に運ぶために、後日になつて検挙をいたしておるのであります。これは労働争議等の場合におきまして、私はそういう方法がよろしいと考えておるのであります。  なお労働争議一般に対しまする警察の態度と申しますか、警察のとるべき方針といたしましては、これは絶えず本部長官を初めといたしまして、一線によく伝えておるのでありまして、労働争議に介入をしてはいけない。介入するというような感じを双方いずれかに与えるようなことがあつてもいけない。ただしかしながら不法事犯が起りました場合には、これは警察当局としてそれに対する適切な措置をとられなければならない。その場合におきましても、もちろん争議に不当に介入する、あるいは一方に味方をするような感じを与えないようにということは、これは絶えず口をすつぱくして注意をしておるのであります。この点につきましていろいろと問題が各地に起つておるのであります、が私どもといたしましてはそういう気持でやつておるのであります。従つていろいろな争議等があります際に、警察の立場といたしましては、どうぞ不法事犯の起らないように、不法事犯が起らなければわれわれといたしましては、特に関係するところはないのであります。不法事犯だけは起していただきたくないということを、常々組合あるいは会社の方に申しておるのであります。
  185. 門司亮

    門司委員 前段の佐賀の問題でありますが、まれのうちのまれだということであります。私もそうだと思います。おそらく警察で対決させるというようなことは、警察行為はつきりした行き過ぎです。そんなことはわれわれにも考えられない。これはあるいは検察当局がやるか、あるいは裁判所でやるか、これはやむを得ないと思いますが、その場合でも、できるだけそういうことのないように進めて行くことが当然の処置である。これは何といつてもそこで片方を威圧することに間違いない。正常な取調べではない。そういうことをあえて行つておる警察の心理は一向わからない。だからさつきのような質問をしたのであります。争議に対しては、私はこの前も申しているように、問題は普通の社会一般に行われるような、社会全体に影響を及ぼすような事犯ではないのであります。たとえば一つ限界の中で行われている一つ行為であつて、決してこれは社会のありふれたいろいろな遺恨であるとか怨恨であるとか、あるいは不正露な行為によつて行われた、普通の犯罪と同じように考えることは間違いだと思う。一つのものの中で行つている行為であつて、決してほかに波及すべき性質のものではないし、またその事態が終れば同じ組合員同士であり、同じ会社に働く者同士であれば、おのずから和解できる問題であると思う。従つてこれを普通の犯罪と同じようなものの考え方で、取締ろうといたしますれば必ず無理が起こる。われわれの考及ばざるような無理が必ず起る。  従つて私はもう一つ聞いておきたいと思いますのは、こういう事犯に対して、国警本部としては今お話のように、あとから検挙すればいいのだ、その方が大体穏やかに治まるのではないかというような考え方はできます。われわれも長い間争議をやつて行きまして、その経験は十分持てるほど持ち、わかつております。よくわかつておりますが、問題は傷害事件その他についても一方から告訴があつたとか、あるいは何とかというようなことになれば、これは当然行われなければならない。この場合も告訴があつたかないかということは私ども聞いておりません。ただそういう事件があつたから——不法侵入にいたしましても、一体会社がそれで告訴をしたかどうか、こういう問題もやはり考え合わせなければならない。この点はあとで聞いておきたいと思いますが、会社側はそういう告訴をしているかどうか、それに基いてやつたかどうか、ただそのときにそういう事犯があつたから、これを一つの刑事事件として取調べるという、警察のものの考え方でやつたのかどうか。争議自体に対する警察の介入というのが、非常に問題を紛糾させるものであることはわかり切つている。問題は出動の範囲というか、あるいは限度の問題ですが、ここにも書いてありますように、出て行くことになりますと、装甲車を先頭にして、何か大がかりで戦争するような形で出て行く。一体そこがいいか悪いかということです。そこで大きな事犯でも起るとか、あるいは一つの社会騒擾事件として起る内乱、騒擾という言葉を使つておりますが、この場合の騒擾事件というのは、社会に及ぼす騒擾事件とは違う。従つてそういう重装備の形で出て行くということが、一体いいか悪いかということですが、これについても国警本部としてどういうものの考え方で、今まで指示されて来たかどうか。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員   長着席〕
  186. 山口喜雄

    ○山口参考人 警察が出ます場合には、最小限の警察官あるいは装備をもつて解決するというのが警察の建前であります。ただいま装甲車というようなお話がございましたけれども、これは警察で部隊を輸送いたします自動車を持つているのであります。それに乗せて出て行つたことと思うのであります。なお先ほどの大牟田の場合には、暴力行為等の法律違反で検挙をいたしておる。これは傷害を与えております、そういう関係でございます。  それから午前中ちよつと御質問がございましたが、岩屋炭鉱の第二組合側が、第一組合側暴行傷害を与えられました事件につきましては、三人調べまして一人は起訴、不起訴がいまだきまつておりませんが、あとの二名につきましては、一人は傷害罪で警察といたしましては送つております。一人はすでに略式で罰金二千円の確定判決を受けております。
  187. 門司亮

    門司委員 大体これで私の質問は打切りたいと思いますが、さつきから申し上げておりますように、この際厳重に警告を発しておいてもらいたいと思いますことは、この種の問題について警察の行き過ぎと思われる行為について、この場合でも、もう少し時間があつて緻密にやれば、相当な資料が出て来ると思うのです。それの一つは、さつき申し上げましたように取調べ自体にしても、誤まつた取調べがされておる。これについては国警の本部から佐賀国警隊長に対して厳重に申し込んでおいてもらいたい。将来こういうことが必ずあると思う。そういう間違つた取締りについては、ある場合にはこちらから少し問題にしてもいいと思うのです。それからもう一つの問題は、先ほどからいろいろ長野君との間に質疑応答があつたと思いますが、争議行為というものは、これからだんだん世の中がこういうふうになつて来るとあると思います。その場合の警察の態度としては、国警の隊長から特にこういう不祥事件というか、警察と争議団との間にごたごたの起らぬように、ぜひ厳重な通達を出しておいてもらいたい。これはあなた方から言うと、傷害罪があつたから取締るのだ、あるいは不法侵入があつたから取締るのだということになりますが、会社側から言わせますと、ある程度団交を拒否する、そうすると必ず問題が起る、そうすれば警察が出て来る、それによつて労働組合側は必ず取締りを受けるであろうという物の考え方が非常に強いと思うのです。だから必要以上の組合に対する会社の攻勢が出て来ると思う。その必要以上の会社の労働組合に対する攻勢、見方によつては今のお話のように、警察は傷害罪であるから、これを刑事事犯として取締るのだというが、事実上の問題としてはやはり会社一つのそうした陰謀というか、物の考え方に警察が踊らされた形が出て来ないとも限らぬと思う。こういう形が多いと思う。この場合五百人の警察官両方で動員した、とこう言うのですけれども、その事態に私直面しておりませんから、動員することがいいか悪いかということは判断できませんが、しかしこの事態から物を考えて、そしてこういう問題が国会の問題にまで持つて来られるということについては、私は必ずしも正常な事態ではなかつたと思うのです。労働組合の諸君といえども、われわれにこうした書類を出して訴えられております以上は、自分行為が悪かつたということになつておれば、こういう訴えはなかつたと思う。やはり警察に行き過ぎがあるからこういう問題まで来たので、こういう点についても十分将来の問題として、気をつけていただきたいということであります。この点については繰返して申し上げますが、そういう間違いのないようにしておいてもらいたい。  念のためにもう一言申し上げておきますが、往々にしてこういう間違いがあるのであります。これはよけいな話でありますが、私が関係しております争議でも、これとまつたく逆なことがあつて警察名前はここで申し上げることはどうかと思うから申し上げませんが、実際はピケラインを張つておるところに、前の晩から仕事をしていた諸君がおる。その前の晩から仕事をしておつた諸君は、ピケラインを通らなければうちへ帰れない。帰ろうとすれば、ピケを張つておる連中は必ずしも顔見知りの連中でないから、工場の中から出て来たというので、昨晩からもぐつてつたのじやないかという誤解で、トラブルが起きて困るということで、警察側に注意してもらいたいという電話があつた。ところがピケラインで問題が起つたということで武装警官が出て行つた。出て行つたことのために問題が起つておる。労働組合の方じや何が何だかわからぬ。どこからだれがそんな電話をかけたのか、労働組合はそんなことは考えていなかつた。とにかく問題が起つておるというので武装警官が出て行つたので、何しに来た、いやこういうことだというので押し問答して問題を起し、私自身が解決してやつたということがある。警察自身が非常に争議に敏感になり過ぎておる結果が、かえつて事業主に利用されて、というと言い過ぎかしれませんが、事業主側に大きな利を得せしめるような結論になるということで、従つて警察は何か会社側のスパイであるか、あるいは会社側の味方であるかのごとき誤解を招いておることがたくさんあるのであります。従つてこの点については、こういうことのないように、国警から十分に注意してもらいたいと思います。
  188. 山口喜雄

    ○山口説明員 ただいまの点は、私どもといたしまして十分に注意をいたしておるのであります。そういうような場合もあり得るかと思いまして、ふだんから、会社側から連絡があつたのですぐ行くというようなことでなしに、警察の独立の立場から判断して、ほんとうにやむを得ない場合に出動をするようにということを、常々申しておるのでございます。今回の大牟田の事件につきましても、ただいま組合側からいろいろとお話がございましたが、また一方の側からは、ここに長野隊長がおられますが、当時の警察のとりました処置は、はなはだ手ぬるい、福岡県の隊長は何をしておるのだというようなことも言われておるのであります。警察といたしましては、どういうことを言われましても、われわれとしては中正ね警察として進んで参りたいと思つて努力をいたしておるような次第でありますが、お話がございましたような点は、よく注意をいたしたいと思います。
  189. 中井一夫

    中井委員長 他に御質疑はございませんか。——なければこれにて本問題については一応終了することといたします。御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 中井一夫

    中井委員長 この際参考人の各位に申し上げます。  本日は長時間にわたりまして、たいへん御苦労さまでございました。委員会を代表しまして、厚くお礼を申し上げます。どうぞお引取りくださいましてけつこうであります。     —————————————
  191. 中井一夫

    中井委員長 これより昨六日本委員会に付託されました昭和二十八年における冷害により被害を受けた地方公共団体起債の特別に関する法律案を議題といたします。  まず提出者よりその提案理由の説明を聴取いたします。芳賀貢君。
  192. 芳賀貢

    ○芳賀貢君 ただいま議題となりました昭和三十八年における冷害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  御承知のごとく本年の冷害による被害はまことに激烈でございまして、農作物の著しい収穫減少により農家収入の激減が予想されるのであります。これに伴いまして地方公共団体の財政収入の減少となることはもちろん、これら被害農家救済のために財政負担の増加もまた著しいものがございます。加えてこれら冷害被害地域の地方公共団体は、いずれも農村経済に基盤を置くものでありまして、その財政負担力は爾余のものに比して特に脆弱なのでございます。  それゆえ今般の大水害または風水害地方公共団体に対し、起債特例措置を講じましたと同様の特例措置を講じまして、これら地方公共団体の財政の健全化に資したいと存じ、ここに本案を提出いたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。     —————————————
  193. 中井一夫

    中井委員長 次に地方財政一般に関しまして調査を進めることといたします。質疑の通告がありますからこれを許します。門司亮君。
  194. 門司亮

    門司委員 この機会に聞いておきたいと思いますが、今出ておりますこの法律案にも関係がありますが、一体起債の状況といいますか、十分可能性があるかどうかということについて、ひとつ現実に急がなければならない問題として、聞いておきたいと思いますことは、これは文部委員会でも問題になつて、大蔵当局との話合いがされておる、こういう話であります。私はきようも文部省の当局に会つて話を聞きますと、大体大蔵省との間に折衝しておるという話であります。内容は三十九年度、いわゆる来年度に中学校の子供が非常に与えるということであります。従つてこれの学校をどうしても建築をしなければならぬということ。ことにこれを五大市関係からいいますと、大阪市は大体二万人くらいの子供がふえるだろう、各都市とも大体一万内外の子供がふえる、そうすると六万くらいの子供が与えるということになります。そうすると今の状態では、中学校の二部教授をかなりたくさんやらなければ追いつかなくなる。従つてこれを解消するためには、建築が間に合うか間に合わないかということは別の問題として、約二十億あまりの財源がなければこれの解消ができない、こういうのですが、これに対して文部委員会では、大蔵省関係との間で、これを公募公債で大体何とかしたい、こういう意見のように私たち聞いておるのでありますが、しかし公募公債といつても、昨年の公募公債の成績も、必ずしもいいわけではございません。おそらくこれが起債として許されるといたしましても、なかなか消化するには困難だと思うのであります。この問題について自治庁としては、大蔵省との間にそういう話合いをしたことがあるかどうか。それから同時に公募公債その他でこれが実現するような可能性があるかどうか、この辺の見通しについて、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  195. 後藤博

    ○後藤政府委員 実は今御質問の中学校の問題でありますが、これは十月の中旬ごろ、卒然として私どものところに五大市の教育委員会の方々がおいでになりまして、その際に初めて私聞いたのであります。その後市当局にもいろいろお話を聞いておるのでありますが、二十九年度の中学校の増設の問題というのは、私は現在のあわてた問題ではなくして、数年前からわかつておる問題ではないか、それを今どうしてこういうことになつたのかと、いろいろ事情も聞いたのであります。しかし当面しておる問題でありますので、私どもといたしましては、公募公債の方法しか現在はないと思います。ともかくも大蔵省に補正予算として要求しようというので、四十億の要求をいたしておつたのであります。ところが御存じの通り災害だけに限られましたので、この問題は第二次補正の方に移つてつております。私どもといたしましては、地方団体といたしましては、どうしてもつくらなければならぬものであると思いますので、起債でもつて——政府資金による起債が一番いいのでありますが、それができなければ、公募債でもつてやるという言うにしておりますが、ただその場合に、従来の六・三制の中学校の場合には、半額が国庫負担ということになつております。その半額の国庫負担というものを約束してもらいたいということを、文部省に申し入れております。文部省が来年度において——本年度補正予算でとつてもらえば、一番いいのでありますが、とれなくても来年度支出してもかまわぬから、半額だけは国庫負担をしてもらいたい。もしもそういう約束ができるものであるならば、私どもは今起債大蔵省と折衝してつけてもよろしい、ここまで話が参つておるわけであります。それはごく最近の話でありますが、それについて文部省はまだ返事をよこしておりません。公募債の方法につきまして、最初に私どもに教育委員会の方々がおいでになりましたときは、PTAから公募するというような話もあつたのでありますが、これは現在の住民負担が相当重いときに、PTAから公募するというのは非常に困難でないか、また適当じやないじやないか。その際にいろいろ公募の方法があるのでありますが、一応そのPTAが銀行なり自分たちの会員から借りて建てて、そのものを来年度になつて、市町村に売り渡すような形式も一つの公募の方法ではないか、そういう意見もありました。しかしそういうややつこしいことをやらないで、私どもとしては市町村自体が公募して、そうして公募で建てて、その半分については来年度文部省が負担金を出すということであれば、私どもはこの問題を大蔵省に真剣になつて折衝してもよろしい、こういうふうに私どもは考えておるのであります。文部省からその回答がありましたら、私どもさつそく大蔵省話合いをいたしたいと思つております。それから第二次補正予算にも、私どもそのために起債を要求いたしたいと考えております。文部省も補正予算に出したか出さないか、私どもはつきりわからないのでありますが、ぜひ出してもらいたい、国庫負担分を補正予算に要求してもらいたいということを、強く私どもこの間申し上げたのであります。そういう経過になつております。
  196. 門司亮

    門司委員 私がきよう文部当局に会いましたときには、大蔵省はつきりしない。文部当局の意見としては大体二十億ぐらいのものがさしあたり必要だからそれの半分ぐらいに裏づけのある資金運用部資金を出してもらいたい。あとの十億ぐらいはあるいは公募でやれるかもしれない、こういう交渉をしておるという話であります。ところがこれはほんとうかどうかわかりませんが、文部委員会での大蔵当局の答弁では、公募公債か何かで、大体そのくらいのものは引受けるというような話があつた、こういうことなんです。そうだとすると、今のあなたの方の答弁は、何だかばかに手遅れのような気がするのです。向うの話が少し進んでおるように私どもは聞いておるのですが、その辺どうなつておりますか、あなたの言うことがほんとうなのか、向うの話がほんとうなのか。
  197. 後藤博

    ○後藤政府委員 新聞にそれに類するようなことがちよつと出ておつたのですが、まだ確かめておりませんけれども、私どもは公募でやるのであれば、話はつくと思つております。ただ公募でやりますと、普通の単独事業になりまして、そうしてこれまでたびたびあつたのでありますが、単独事業になつて全額地方が負担しなければならぬというかつこうになります。これでは困るのでありまして、半額だけは国が持つということに、従来からなつておるのであるから、半額だけ国が負担するという約束をしてもらいたいということを申し入れておるのであります。やるとすれば一応全額今年公募をやる、政府資金が出ればそれに越したことはありませんが、そうして半額の分だけは約束してもらいたい、こういうように私ども申し入れておるのであります。ところが半分という大蔵省と文部省との間の折衝が、どうもうまく行かないのではないか、それで全額を公募でもつて引受けてもらうように、大蔵省に話をしておるのかとも思います。その辺のところはまだよく確かめておりません。
  198. 門司亮

    門司委員 この問題は単にこれだけではございませんで、学校建築についてこの際もう一つ聞いておきたいと思いますのは、建築だけには半分助成するとか、いろいろ問題がありますが、学校を建てるには敷地がいるでしよう。その敷地の費用はちよつともめんどうを見ないで、これは起債ではなかなか許可してくれないですから、仕事をしようとすると、学校の建築は非常に困難性がある。これらはやはり地元負担にかなり大きな影響を持つておる。地元から敷地を持つて来れば、学校を建ててもいいというようなことを当局は言つておる。それで地方の住民として、かなり大きな教育費の負担を背負わされておる。しかしこれは教育のことであるから、地元で学校を建ててもらうためには敷地だけは何とか地元で寄付しよう、こういうことになりがちです。従つてこの起債の問題についても、単なる建築だけでは——学校は敷地がなければどうにもならぬのです。従つてこれについては自治庁としての将来の考え方でもよろしゆうございますが、敷地を含んだ一切の建築費というようなことを考えられないかどうか、この点をひとつこの際聞いておきたいと思います。
  199. 後藤博

    ○後藤政府委員 お説の通りでありますが、私どもが聞いているところでは、国の負担区分をきめますときに入つていないのであります。従つて半額は地方起債でやる、こういつたかつこうになつておりまして、一番最初の認証と申しますか、それ自体の中にも入つてない。建築費だけだということになつておりますので、そのもとの、たしか法律じやないかと思いますが、そこからかえてもらわなければいけないのじやないかというふうに私ども考えております。ただ非常に具体的な問題としては、土地の買収とか、そのほかのいろいろな問題があると思いますが、もう少し単独事業の起債の幅があれば、そちらでつけ足すということも一つ方法だろうと思います。しかし現在の単独事業の幅が非常に狭いものでありますから、その中で支出することができない、こういう事情であります。もう少し単独事業の起債の幅が大きければ、それまでも見てやれるのじやないかと私どもは思つております。
  200. 門司亮

    門司委員 この問題は相当差迫つている問題であつて、実際から言うと、今のお話のように、われわれも今ごろそんなことを言つて来たつてしようがないというような気はするのですけれども、いずれにしても来年の四月以降にはかなり子供がふえるのでありまして、われわれがごく概算をしても、一つの中学校に大体二百五十人平均くらいふえるのじやないかという気がするのです。そうするとどうしても一つの学校で五教室くらいを増築しなければ、大体入り切れないということになると思うのです。それで議論は別にして、第二次補正予算で、一体自治庁としては、さつきのようなお話の見通しがつくかつかぬかということであります。これは見通しがつかなければ、公募債として全額やるということになりますと、市の負担は非常に大きなものになるのです。やはり国が少くとも半分くらいは出してくれるという建前でないと、市費の負担はえらいことになる。ところが市側としては入れるところがないから、中学校の二部教授をかなりやつているようですけれども、二部教授というのはあまり体裁のいいものでもないし、事実そういうことはできません。従つていやが応でも増築をやらざるを得ないという形になつて来ると、市費の負担は非常に大きなものになつて来るので自治庁としてはそういうことに確信があるかどうか、はつきりしておいてもらいたいと思います。
  201. 後藤博

    ○後藤政府委員 政府資金によりましての起債というのは、私どもちよつと現在の預金部の状況から見まして非常に無理ではないか——まあしかしもちろん一応要求はしてみるつもりでおります。市町村の起債はできるだけ預金部資金でやりたいと思つております。ことに義務教育費につきましては、できるだけ預金部資金でまかなつて行きたいという気持でありますので、要求しておるのであります。しかし現在の預金部の原資の状況から見まして非常に無理ではないか、かように思いまして、できなければ公募でもしかたがないというふうに考えております。できなければ、どうしても公募で幾らかでも埋めて行かなければならぬ、こういうふうに現在考えておるのでおります。
  202. 門司亮

    門司委員 どうも公募で全額負担だということになると、さつき言いましたように市の負担は非常に多くなるのです。そうしますと今でも赤字をたくさん持つております地方自治体が、その上にまた赤字を持つということになる。国で当然処置しなければならないものが、こういう形で出て来るということになると、私はあとにかなり大きな悪例を残すと思う。財政がないからと言えば、地方団体は背に腹はかえられないということで、自費でやるだろうということになるので、地方の財政にかなり大きな悪影響を持つと思う。だからこの点につきましては——きようは大臣に来ていただければけつこうだと思つたが、おいでになつておりませんけれども、これは政治的にも相当大蔵省にかけ合つてつてもらい、あるいは文部省と連絡をしてやつていただかぬと地方の自治体は非常に困るのであります。なおそれまでしか話ができていないというならやむを得ぬと思いますが、ひとつぜひこの問題については努力をしていただいて、そしてそういうところに負担をかけないようにできるだけやつていただきたいということを、この機会に要望だけいたしておきます。
  203. 中井一夫

    中井委員長 北山君。
  204. 北山愛郎

    ○北山委員 この際に例の町村合併促進の予算折衝の状況をお伺いしたいと思うのです。
  205. 後藤博

    ○後藤政府委員 行政部でやつておるものですから、私はよく知らないのですが……。
  206. 北山愛郎

    ○北山委員 それじや話にならない。     —————————————
  207. 中井一夫

    中井委員長 それではこの際日程追加についてお諮りいたします。すなわち去る五日本委員会に送付ありました奄美大島祖国復帰後の特別復興措置に関する陳情外一件、文書番号八四号及び奄美大島復帰に関する陳情、文書表番号八五号を日程に追加して、議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、日程に追加いたしました。  両陳情書の趣旨について申し上げますと、奄美大島の復帰受入れに対し特別復興措置等、万全の措置を講ずるよう、格別の配慮を要望するという趣旨であります。これはまことに妥当な趣旨でありますので、本委員会として了承することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     —————————————
  210. 中井一夫

    中井委員長 閉会中の審査申出の件についてお諮りをいたします。すなわち今国会も本日をもつて終了することに相なりますが、本委員会の重要なる使命にかんがみ、地方行政の円滑なる運営を期するため、閉会中も継続して審査をいたしたいと思います。すなわち地方自治法の一部を改正する法律案地方財政再建整備法案、昭和二十八年における冷害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案、地方自治及び地方財政に関する件、警察及び消防に関する件について、閉会中も継続して審査いたしたいと思いますので、この旨議長に申し出たいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
  212. 北山愛郎

    ○北山委員 前に委員会で火力借款のことについて御質問したわけでありますが、その資料も要求してございます。あれが問題になりますのは、要するに外資受入れに対する政府保証の特別措置に関する法律というのと、二十八年度の予算総則にきめられているあの事項によつて、契約をされた世界銀行と政府との保証契約、この保証契約が、法律から逸脱しているのではないか、要するに政府あるいは地方公共団体等の財産権の制限というようなことをやるのには、別途の法律なり、その他の国会の議決等が必要ではないかというような法律的な問題でございますが、それについてやはり学者、専門家等の意見を聞きたい、かように考えるわけであります。それで憲法、財政法その他そういう法令に反するのではないかというような事件でありまして、非常に問題は地味でございますが、しかし私どもとしては、地方公共団体の財産権というようなものに対する制約というような点から見ましても、非常に重要ではないかと思いますので、どうぞ閉会中に、適当な学者あるいは専門家等の意見を聞くような機会をつくつていただきたいとお願い申し上げます。
  213. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。その点につきましては理事会に諮りまして、これを進めることにいたします。  なおこの機会に申し上げたいことのございますのは、奄美大島への視察でありますが、どうも衆議院は費用等につき、はなはだ乏しい状態であり、従つて衆議院からその費用等を支出せしめることに困難があるようであります。従いまして、もしおいでになるならば、自費でおいでくださるより道がないことになりました。委員長といたしましては、先般の委員会の決議もあり、また事柄の窮迫いたしておるのにかんがみまして、この国会が終りましたら間もなく奄美大島に参りまして視察をして参りたいと存じております。二十日ごろに予定をしておりますから、もし御希望がありましたら、御同伴をいたしたいと存じます。あらかじめ申し上げておきます。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五十一分散会