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1953-11-02 第17回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二日(月曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    河原田稼吉君       山中 貞則君    山本 友一君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    伊瀬幸太郎君       大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         外務政務次官  小滝  彬君         検    事         (法務大臣官房         調査課長)   位野木益雄君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         大蔵事務官         (財務調査官) 金子 一平君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十月三十一日  委員山中貞則辞任につき、その補欠として吉  田重延君が議長指名委員に選任された。 十一月二日  委員吉田重延辞任につき、その補欠として山  中貞則君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等  に関する法律案内閣提出第四号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。まず最初に総括的な質疑を行うことといたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。なお、ただいま政府委員として出席をしている人々は、塚田国務大臣、小瀧外務政務次官林法制局次長小林自治庁行政部長石井南方連絡事務局長鳩山大蔵主計官、以上の人々でありますからさよう御了承を願います。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 今回ダレス氏の声明によりまして、奄美大島日本復帰することになりましたことにつきましては、現地住民はもとよりわれわれもまことに御同慶にたえない次第であります。この復帰に関しましての必要な措置、とりあえずの必要な応急措置に対しまして法案が提案されましたが、この法案を審議するにつきまして、一応政府の御所見を伺いたいと思うのであります。  第一に、ダレス声明以後今日まで、必要なものに関してそれぞれ日米両国間において交渉があつたことと思うのでありまするが、その交渉経過に関しまして一応承りたいと思うのであります。現地様子を伺いますると、現地アメリカ軍当局におきましては、大体十一月一日を復帰目途といたしまして、いろいろの事務取扱つてつたかのような様子が見えておりまして、この印象が強く現地住民に及んでおりますので、地元住民といたしましては、それに対応してそれぞれの公私の引継ぎ準備というものをやつておるようであります。従つて、もしもこの予定が遅れまする場合におきましては、これに伴いましていろいろの支障が出て参ります。個人経済はもとより、金融的におきましても大きな問題があり、いわんや行政的の問題につきましても影響があるのであります。もとより行政方面につきましては、当然アメリカ政府責任といたしまして、適当なる措置を講ずることと思うのでありまするが、金融方面あるいは個人生活の問題になりますると、実はなかなかそうは参りません。結局期間かずれた空白だけは、一応非常に地元か苦しむということが今日予想されておる次第であります。すでに十一月一日の復帰は多少延びるのではないかということが明らかになつておりまするのですでに現実の形におきましてこの遅延によるところの空白、この空白によるところの経済的悪影響が出ていることは御承知通りだと思うのであります。なお岡崎外務大臣も、すでに、非公式ではありまするが、十一月一日ぐらいの復帰を予想して、お話があつた報道が出ております。これに対しまして官房長官は、多少延びるかもしらぬということで、引続いて否定しておられるのでありまするが、これがまた地元に対しまして非常に影響を与えておるのであります。御承知通り、一日も早く復帰を要望している際でありますので、この復帰の時期がいつにきまるかということは、今後のあらゆる施策の中心であるし、また地元といたしましては待望の的であるわけであります。これに関しましてどんなふうな御所見を持つておられるかということにつきましてまず承りたいのでのります。これは自治庁長官がおわかりならばけつこうでありますが、外務当局から責任を持つてお答え願えればお答え願いたいと思います。あるいは長官からおわかりの限度におきましてお話をいただきまして、あと外務省からさらに伺いたいと思います。
  4. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 外交折衝の面でありますので、私も十分よく承知しておらぬのでありますが、大体承知しておる範囲でお答え申し上げて、あと外務省からお答え願うことにいたします。復帰の時期につきましては、御指摘のように、最初確かに十一月一日くらいという考え方が、沖繩並びに奄美群島現地においてあつたことは御承知通りであります。ことに、何でもアメリカ側予算を十月一ぱいの分を組んでおるというようなことも流説に伝えられまして、そういうことが原因で、そういううわさが一層真実性があるものというふうに、おそらく考えられておつたのじやないかと思うのであります。しかし日本政府といたしましては、その前から、十一月一日から引継ぎを受けるということはとうてい困難でないか、諸般事情が熟さないのではないかということで、なるべく早く返還を受けられるようにしたいという考え方でやつておりましたけれども、なかなかまだうまく運んでいないという状態であります。現在のところでは、できるならば十二月一日を目標にして、なるべく引継ぎを受けられるならばという考え方でやつておるわけでありますが、諸般事情がその時期までに十分熟しますかどうか、なるべく早い機会引継ぎを受けて、ただいま御指摘のような、現地における延び延びになる混乱を、なるべく少くしなければならぬということは私ども考えているわけであります。先日の床次委員の御質問のときにも、ちよつと申しげたのでありますが、その後私どもいろいろ調べてみますと、確かに現地にいろいろな面の混乱が出おりまして、しかもこれは政府の手で必ずしも措置できない面のものがある。措置できないからといつて、ほうつておくことができない混乱がいろいろ出ておるということも多少うなずかれます。その後アメリカ側との折衝におきましては、そういう事情も十分考慮して、アメリカ側として最大限の手を打つてくれるようにということは、折衝に際して向うへ申入れをいたしておる、こういう段階でございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 アメリカ側に、引継ぎ遅延による混乱が生じないように、御交渉中であるということを承つて安心いたしたのでありますが、この点は、特に十分な措置がこの委員会において協定せられまして、両国いずれかの政府責任におきまして、遺憾のないように処置をとつていただきたいと思う次第であります。この点は特に交渉委員会におきまして、十分な責任のもとに、ひとつ具体的に手落ちのないようにお願いいたしたいと思う次第であります。特に、今回予算が提案せられておりまするが、この予算はいつの移管目途として提案されたかわかりませんが、一応予算説明を見ますると、これは善後措置となつておりまして、移管せられた後の必要経費措置するがごとく見えるのでありまして、ただいまのお話のように、移管の時期が遅れました場合におきましては、アメリカ政府が十分なことをするとは一応考えられまするが、しかしアメリカ政府責任範囲内においてできないような問題も、いろいろ社会現象としてあると思うのであります。いわんやアメリカ政府措置が、われわれの日本内地行政立場から見て不十分であるという場合におきまして、従来からすでにアメリカ政府の支出しておりまする行政費は、日本政府行政費と比べて、著しく差があることは明らかでありまするが、かかる場合における処置に対しまして、われわれ受入れ側立場から申しますると、必要な経費現実移管せられた後だけに支出するということは、あまりにもきゆうくつな考え方であると思うのであります。むしろ移管前におきましても、必要な措置がありまするならば、これは金融面において立てかえるなりあるいは他の形において物として現地に出すなり、何らかの措置ができるのじやないか、こういうことも考慮して、善後処置をとつていただくのがいいと思うのでありますが、今度の善後処置というのは、あるいはそういう意味ででもお考えになつているかとも思いまするが、あるいは形式的に復帰後でなければ支出できないというかたいものであるかどうか、実情に即した善後措置として、これが考慮せられておるかどうかということについてお尋ねいたしたい。そういうことになつておらなかつたならば、ぜひ両国交渉委員会経過等に対応して、必要な措置がとられるようにお考えを願いたいと思うのですが、この点大臣のお考えを承りたいと思います。
  6. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 大体今度の国会に提出いたして御審議願つております予算は、四箇月ということを目安にいたしておるわけであります。従つて十二月一日に引渡しを受けるということになつて、さしつかえないわけでありますが、ただその点がはつきりいたしませんので、今度は一本にして出してありますことは、御承知通りであります。従つて時期的にも、それからして内容の費目別にも、まだはつきりといたしてはおらないわけであります。ただその引渡しを受ける前の、いろいろな混乱が出て来る地元の需要をどうするかということでありますが、私ども考え方といたしましては、引渡し以前に発生いたしましたいろいろな必要経費でありましても、それが行政措置として国の手でめんどうを見れる性質の費用でありますならば、最大限にこれはめんどう見る、こういうようにいたしたいと考えるわけであります。
  7. 床次徳二

    床次委員 長官のお考えは大体わかりましたが、一例を申し上げると、今年は非常な旱害があるわけでございまして、この旱害に対しまして、食糧を確保しなければならぬということは当面の急であります。実は十二月以後になりましてその措置を講じましたのでは、間に合わない。すなわち来たるべき植付の麦の種さえも現地にはない。またそれに対する必要な肥料もないというような状態が現に迫つておる。かようなことを承りますとこれは引渡し前でありましても、日本アメリカか、いずれかが見なければならないものだと思うのであります。こういうことは一例でありまするが、よく委員会におきまして検討せられて、いずれかの政府において万全の措置を講ずる。しこうして実は、これは来年度以後の問題になるものと私は思うのでありますが、この点につきましては、私は予算において十分な考慮が必要だと思うのでありまして、どうも政府が計上せられました予算の中には、かかる意味措置が欠けておる。単なる行政費の受渡しであるかのように見られるのであります。今度の法律におきましては、もとよりその面が主として書いてあるようでありますが、この点は大きな欠陥ではないかと思うのでありますが、その点特に大臣において御考慮いただけるものと考えてよろしゆうございますか。
  8. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはおそらく予算を編成いたします場合には、そこまで考えが及んでいなかつたかと思うのでありますが、考え方といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、引渡し以前のものでありましても、それが現実に非常に支障を生じておつて、今後の住民生活に非常な混乱を起すということでありますれば——引渡し以前にはもちろん日本政府の単独の措置としてはできませんけれどもアメリカ側十分話合いをいたしまして、場合によれば何か物の形でこちらから持つて行つて、それが現地に渡るように、琉球政府の手を通じて何とか措置をするということも考えられますが、とにかく現地住民支障混乱のないように、最大限措置はいたすように努力いたしたいと思います。
  9. 床次徳二

    床次委員 次に伺いたいのは、今度の法案にありまするごとく内地適用しております法律引継ぎ地方適用するわけでありますが、この時期はできるだけすみやかに、しかも現地の方々が内地におりまする者と同じような生活程度ができるように、できるだけすみやかに努力するということがわれわれの希望だと思います。従つて法律適用の時期は早い方がいいわけでありまするが、現実の問題といたしまして、行政機構はもとより不十分であると同時に、現地住民経済力等におきましても、なかなか困難なものがあることは、御承知通りであります。これを一面充実、豊富にしながら、法律適用をしなければならないのでありますが、何分にも内地との懸隔がはなはだしい。これを補いますためには、相当多額経費を必要とすると思います。すでに三年計画等によりまして、あるいは適当な年次計画によりまして振興計画が同時に考えられておると思いまするが、政府におきましては、かかる特別なる施策を裏づけといたしまして、法律適用をなさる考えであろうと思いまするが、この点に対して御答弁いただきたいと思います。  なお現在の行政機構を受入れて、最小限度範囲内においてそれを活動させておるというのでは、なかなか円満なる実施が困難である。できるだけこれを拡大いたしまして、少くとも内地並の組織にまで早く持つて行つて、そうして運営させなければ、なかなか行政機関としても動けない、活動が徹底しないという向きが少くない。むしろ住民が窮迫しておるという点を考えますと、内地以上の多額普及宣伝等のことも必要であろうと思いますが、そういうことも十分考慮しておられるかどうか伺いたいのであります。
  10. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 とりあえず引継ぎに際しましては、一応今度の法措置をいたしました通りにいたしておるのであります。しかしこういう暫定措置は長くやるという考え方は毛頭ございませんので、できるだけ短い期間に白紙の姿にもどしたいというように考えておることは、床次委員考え方とまつたく同じであります。そうしてそれをいたしますのには、経済その他の実質的な情勢が整つて行くということとにらみ合せなければなりませんので、そういうことを頭に置きながら、必要な財政面措置、そういうものをいたして、そういう機運が熟するというように馴致いたしまして、そうしてなるべく早く内地と同じように扱う、こういうようにして行きたいと考えております。なおこの行政機関のあり方についてでありますけれども、一応今の構想といたしましては、現在のまま、あまり大きな変革を加えないで引継いでおきまして、国の今企図いたしておりまする行政機構改革と歩調を合せ、にらみ合せて、なるべくこれも早く今後恒久的にあるべき姿にして改革を行いたい、こういう考えであります。
  11. 床次徳二

    床次委員 各種法令は、大体半年以内に実施することを目途として、政府考えておられるようでありまするが、地元事情によりましては、なかなか半年以内においては適用しがたいものもあるかと思うのであります。この法案等におきましては特別の事情があるものにつきましては、六箇月を経過した後におきましても、施行が遅れてさしつかえないという道が開いてあるようでありまするが、政府におきましては、大体どういうふうなものが特別なる事情ありとして施行を延期し得るか。この点地元といたしましては、相当関心の多いことでありまして、大体の考え方が承れれば承りたい。
  12. 林修三

    林政府委員 一応私からお答えいたします。一応この法案を見れば御承知のように、第一条の第二項に約二十数件の法律をあげておりますが、大部分は租税関係法令でございます。あと数件別のものもございます。いずれにいたしましても、こちらの建前といたしましては、奄美群島復帰した後六箇月以内に、大体の準備ができるのではないかというので、一応この二項の規定を置いたわけでございます。はたしていろいろここにあげております法令が、その期間内に実施できるかどうか、これにつきましては、やはり復帰前後を通じまして現地事情を各所管当局におかれまして調査の上、きめることになろうと思うのであります。ただいまのところ、この法律は六箇月を越えたということをはつきりきめたものはまだ実はないのであります。今後の事情いかんにとつてきめられることではないか、かように考えております。
  13. 床次徳二

    床次委員 現在実施しておりまする法令は、当分の間実施せられるというのがやむを得ない現象だと思いますが、一例を申しますと、たとえば税法のごときものでありますが最近承るところによると地元地方税等においては、非常にたくさんの税種目があります。個々の家畜等に対しましても、一々これが税の対象になる。また教育を実施いたしまするために、教育特別税があるようでありますが、これまたいろいろ財源をあさつておるという形でありまして、税法上から見ますと、その負担はとても内地市町村の比ではないように思います。かかる状態に対しましては、でき得る限り内地と同じような意味において負担せしむることを考えます場合は、相当の減税をしなければつり合いがとれないということになるように思うのであります。今回復帰後の地元の町村の実情から見まして、その負担力に相応したところの税というものに軽減をするお考えがあるかどうか。ぜひそういうことをやつていただきたいと思いますが、この点政府当局のお考えを承りたいと思います。
  14. 林修三

    林政府委員 国税に関しましては、大蔵当局から御答弁いたすのが至当だと思うのでございますが、ただいまちようどおりませんので、便宜法制局の私からただいま大体聞いておりますところだけをお答え申し上げます。地方税につきましては自治庁行政部長からお答えいたします。国税につきましては、御承知のように、大体ただいまのところでは、奄美群島におきましては、直接税は現在施行されておりますのが、内地に比べて非常に高いようでございます。間接税はむしろ逆に実はこちらの本邦でやつております方が高いものが多いようでございます。そこで大蔵当局といたしましては、直接税の所得税なり法人税は、なるべく早く内地のものを持つて行つた方がいいのではないか、かような考えをとつておるようでございます。間接税につきましては、ただちにこれを内地並に引上げることは、非常に不可能または困難であろうということで、まだいろいろ案を練つておられるようでございます。たとえば出港税のごときものをとつて奄美群島鹿児島県なり内地との間に税法上の混乱が起らないようにする。これは偶然沖繩県に昔そういう制度があつたのでございます。現地において特別に低い税率で間接税をとる、こういうことも考えておられるようでございます。なお詳しいことにつきましては、大蔵当局からお答えがあると思います。
  15. 小林與三次

    小林説明員 地方税の問題につきましては、私から御答弁申し上げたいと思います。地方税につきましても、今お話通り内地税制とかわつていろいろなことをやつておりまして、内地でとつておらない各種の税金を現にとつておるのでございます。こうした内地でとつていないような特別均衡のとれないような税制は、すみやかにやめる方法をとつて、適当な措置を講じたい、そういうふうに考えております。
  16. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたように、内地と比べて特別高いものにつきましては、ぜひこれを軽減するというようにしていただきたい、そしてその不足は他の財源をもつて補うように御処置をいただきたいと思う次第であります。それから次に承りたいと思いますのは、施行の時期を現地に合せるために延期せられるというに、いろいろと配慮いたしておりますが、法律によりましては、多少現地に対して特例を認めなければならぬものができるかどうか。あるかもしれないと思うのでありますが、そういう点に関しましては、今後どういう処置をとられるお考えか、承りたいと思います。
  17. 林修三

    林政府委員 この案に対する考えといたしましては、法律全体を当分現地事情に応じまして、施行を延期すべきものにつきましては、二条の一項に掲げてあるのでございます。その以外にも、大体本邦法令をかりにそのまま施行いたすにつきましても、そこにいろいろの暫定措置なり経過措置考えなければならないものが、実はたくさんあるわけでございます。いろいろの人の資格に関する問題でありますとか、登記、登録に関する問題でありますとか、あるいは今までの許可、認可等に関する問題、あるいはその他いろいろの各般の事項につきまして、そういう問題があるわけでございます。そういう経過措置なり暫定措置につきましては、大体各法令ごとに調べ上げまして最後の第十条に基きまして、政令または最高裁判所規則によつて措置考える、大体かようなふうに考えておるわけであります。これによりまして今後の引継ぎの状況、あるいは現地実情に応じまして、適切なる暫定措置なり、経過措置がとれるように配意しておるつもりでございます。
  18. 床次徳二

    床次委員 政令によりまして今後の措置をとられることにつきましては、この際やむを得ないことと思うのであります。できる限り実情に合うように政令をきめていただきたい。本来から申しますならば、政令によることは決して好ましくないのでありますが、しかしやむを得ないことでありまして、遺憾のない政令が行われるように、私ども念願しておる次第であります。次にお尋ねいたしたいのは、この法案におきましては、当然内地法律奄美群島に今後及ぶという建前になつております。従つてこのいわゆる復帰意義ということになると思うのでありますが、自治団体であるところの県との関係につきましては、ほとんど関係規定がないのでありまして、これをいかように考えておられるか。国の立場におきましては、この際完全に日本領土権に基くところのいわゆる行政権というものが、本法によりまして及んで行くというふうに解しておられると思うのでありますが、県という自治団体に対してどのように考えられるか。市町村に関しては一応規定があるようでありますが、県との関係が明瞭でないので、この機会復帰ということの意義、それから県との関係につきまして御説明いただきたいと思います。
  19. 小林與三次

    小林説明員 県の方との関係のお尋ねでありますが、われわれの考えといたしましては、もともと奄美諸島は鹿児島県に所属しておるわけでありまして、それで今度完全な領土権が回復すれば、当然そのままの状態鹿児島県に復帰する、こういう見解をとつておるわけであります。それで府県とのつなぎの問題につきましては、特別の規定を設けてないのであります。ただ今の府県に関して、たとえば県会議員の問題とか、そういう問題で特例を設けなければならない問題がございますが、これは政令実情に合うように措置する考えであります。
  20. 中井一夫

  21. 北山愛郎

    北山委員 これは一昨日の委員会で質問しましたのですが、この復帰についての外交交渉経過並びにもしもその交渉について障害があるならば、その障害等について説明が願いたい。こういつたことで、実は委員長もこの問題は一番大事な問題であるから、きようは外務大臣出席をしてもらつて説明してもらうという話でございましたが、今の塚田大臣の御説明によりますと、一応十二月一日を目途としておるが、どうもそれも心もとないというようなお話でございまして、まことにその点が不明確だと思うのであります。これは現地の方々が一番関心を持つておる復帰の時期の問題であり、かつ私どもがこの法案を審議する、あるいは予算を審議するというようなことに関連しても一番大事なことじやないか、こう思うのであります。従つて八月の十日でありましたか、本会議でもつて外務大臣がこの報告をしまして、そうしてただちにアメリカの大使館と交渉するのだということを、はつきり言明をされたわけでありますから、その後の外交交渉についてひとつ具体的にここでお話を願いたいことを要望いたします。
  22. 小滝彬

    ○小滝政府委員 八月八日の声明がありまして以来さつそく事務的な打合せをして、一日も早くこの復帰現実の問題として実現するように、在京大使館を通じ、またワシントンの日本の大使館を通じて、先方に交渉して来た次第でございます。ただこの問題は国務省限りの問題ではなくして、国防省にも関係があり、その他にも関係がございましたために、事務的な点の話合いで、時間をとりましたために、まだ最終的な段階に至つていないのははなはだ遺憾に存じます。しかし日本の方でも受入れ態勢を整えて、向うの方で最終的にきめましたならば、さつそくこれが実施できるようにしようというのが政府考えであります。幸いにして今般議会においてこの法案を御承認いただきまするならば、これも非常にいい理由になりますので、日本の方はいつでも受入れられる態勢になつておるからという趣旨でもつて、在京の米国大使館並びにワシントンの日本大使館を通じまして、強力に交渉して、一日も早くこれが実施に移るように、最善の努力をいたしたいと考えております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、こちらからは早く復帰手続をしてもらいたいというような正式交渉は、なさつておるということなんですか。
  24. 小滝彬

    ○小滝政府委員 正式交渉をいたしております。
  25. 北山愛郎

    北山委員 それに対してアメリカ側からは、何か正式意思表示があつたわけでありますか。先ほど国防省と国務省の意見が違うような、管轄が違うというようなお話でありましたが、そういうようなことは一体何によつて判断されるのであるか。単に想像であるか、あるいはそういうふうな国防省との意見が違うからとか、あるいはその手続がまだ済んでおらぬからというような話合いの上で、向うからそういう話があつたわけでありますか。
  26. 小滝彬

    ○小滝政府委員 これはワシントンにあります日本の大使館からも話しまして、いろいろ促進方を申し入れましたところ、技術的な問題、たとえば現地の通貨の処理であるとか、あるいは債権債務の処理、また米国側が今後継続して使用することを、希望する施設はどういうものかというような点については、もちろん主義上は返すということは一日も早くやりたい、国務省として発表いたしました以上返すということは、方針として決定しておるけれども、これらの問題について、軍側とも話合いをしなければならないので、事務的な点でおそくなつておるけれども、一日も早く解決するように国務省としても努力しておるということをわが方の大使館へ申して来ておる次第であります。
  27. 中井一夫

    中井委員長 北山君、ちよつと御相談しますが、実は塚田国務大臣が他の委員会から出席を盛んに要求されております。つきましては、できまするなら、あなたの外務省に対する質問をあとまわしにせられて塚田国務大臣に質問を集中せられたいと思いますが、いかがでしようか。
  28. 北山愛郎

    北山委員 了承します。
  29. 中井一夫

    中井委員長 それでは山中君。
  30. 山中貞則

    山中(貞)委員 塚田長官に限つてですか。
  31. 中井一夫

    中井委員長 はあ。
  32. 山中貞則

    山中(貞)委員 この問題は復帰が実現しなければ、塚田長官にいくらお尋ねしても隔靴掻痒の感があるので困るのでありますが、そういうことでありますならば、先ほど床次委員から詳しく町村税の問題あたりまで論及されましたので、重複を避けまして、二、三私からお尋ねいたしておきます。復帰がただいままでの質疑その他によりまして、はつきりとした見通しは、当方において十二月一日を予定しておるにもかかわらず、現在までも得られてないというのが、その最終的な結果であるように考えます。そうしますると、それまでの間米国の軍政下にある琉球政府を通じて遺憾なきよう措置をしてもらいたいという希望になつて来るのであります。しかしながら一方においてはダレス声明が行われました直後に、十一月一日以後の財政の交付金は一切琉球軍政府から打切るのだという通知等も、半公式に出たとか出なかつたとかいううわさも広がりましたくらいで、実際には米国の奄美大島に対する軍政というものには、愛情が感じられないのであります。それはすなわち私どもがどう受取ろうともそれは別といたしまして、少くとも占領下の土地、住民という感情が、米国には依然として残つておるのでありまして、従つてそれらの考え方の及ぼすところが行財政的に、非常な愛情のない姿となつて生活は窮乏し、あるいはまた先ほどお話がありましたように鶏税までかけて、町村税の増収をはからなければ、財政が保てないという現状になつておりまするし、そうしてそういう苦しい財政をやりくりする一方においては、住民がその負担に耐え切れずに、要援護世帯、内地考えますような要援護世帯的な生活に転落をいたしました上に、さらに窮乏せる行財政を推持する上には、金品まで提供いたしまして、財政規模の維持をはからなければならない。こういうような非常にかわいそうな状況にあるわけであります。従つて私は復帰の時期については外務省にお話を申し上げますが、その復帰が当面さしあたり十二月一日を目標とする、こういうふうにいたしましても、具体的な確実性がありませんから、それまでに措置すべき手があるのではないかということを考えてみたいと思うのであります。すなわち現在の日本の中央、地方法律から考えますと、現在のような立場で取離されております奄美大島に対しては、行財政的に直接手を差延べる方法は、非常に解決が困難ではないかと思うわけであります。しかしながら、これを一方において鹿児島県の行政当局である県庁並びに県議会を中心といたしまして、政府考えさえきまつて来れば、どんな受入れでもしようという受入れ態勢が、正式に県条例をもつて発足いたしておるわけであります。そういたしますと、奄美大島に対してこのような十億の予算を伴う復帰に関する諸法律を提出いたしまする以前においても現地におきましては、特別平衡交付金等の中に特別のわくを設けてもらつて、そして直接特別平衡交付金を現地に流すことは不可能であろうから、鹿児島県に受取つてもらつて、そして鹿児島県から奄美大島に対して、今審議機関、あるいは受入れ団体という名称のものをつくつておりますが、そういうものに対して交付する。そうするとその団体から直接もつとも必要とするもの、たとえば先ほども床次委員が触れられましたが、南部諸島は三十年来の大旱魃によりまして、非常な窮乏状態に陥つておりまするし、那覇あたりから輸入して、その他の島など旱魃でないところの人たちも蘇鉄の実を食べておるという状態である。そうすると米国の軍政の愛情のない姿をそこに示しておるわけでありますが、一方において私どもとしては、帰つて来るということがはつきりしましたならば、そういうものに対して政治的に黙視できないのではないかと思うのであります。そうするとそういう人々に対して鹿児島県が指導性をとつたところの食糧の応援、あるいはまた一方財政的には、七月一日に施行しました教育税というようなものがありまして、奄美大島教育委員会は独立しておるわけであります。完全に行財政面において独立をいたしております。ところがその教育税は徴収困難であることが最初からわかつておりますために、市町村の税でありながら琉球軍政府が徴収するという税の施行をいたしておりますから、実際に市町村教育税を予算に組んでおりますけれども、全然徴収いたしておらない。そしてそれにかわるものを徴収しなければ教育が停頓いたしますから、教育のために要する費用は借入金でもつてまかなつております。なぜ借入金なんかするんだといえば、日本復帰したならば、この借入金に対しても当然国家基本的な教育に対する費用であるから、日本政府がめんどうを見てくれるだろう、こう思つて借入れておる、こういう状態であります。そういうものについて、せめて教科書あたりを鹿児島県で購入いたしましてそして国の援助によつて教科書を購入して、現地にわけてやるような方法もあるのじやないかと思うのであります。まずそういう点について担当大臣である塚田長官の御返事を伺いたいと思います。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 予定よりも遅れましたために、いろいろな混乱が生じておるという事実も認められますし、それによつて非常に住民が窮乏しておるということも考えられますし、またこれをそのままほつておくという考え方は、毛頭持つておらぬのでありますけれども、しかし何にいたしましても、まだ返還を受けておりませんのでありますから、直接日本政府が、たとえば国という形でなくて府県という形の手を通しても、これに手を差延べるということは、やはり遠慮するのがいいのじやないか。ですからして、かりにそういう場合にどういうぐあいに措置をするかということであれば、いろいろな困難な事情を、今返還の折衝交渉いたしておりますので、その交渉の段階において、こういうぐあいになつておるからして、われわれの方でまたお力添えをしていい面があればお力添えもするが返還を受けるまでは、ひとつ何とかアメリカ政府においてめんどうを見てもらいたい、というように問題を持つて行つて解決して行きたいと考えておるわけであります。それから交付金の話を承つたのでありますが、今政府委員から聞きましたところでは、十一月以降もアメリカ側としては、一応そういう話は問題になつたことはありますけれども、交付金が打切られておるというわけではなしに、やはり返還があるまでは、今までのようなぐあいに措置はされておる、こういうように景気をいたしております。  それから今いろいろ御指摘になりました点のうちで、将来当然日本政府になればめんどうを見てくれるから、今借りて済ましておくのだという考え方が、確かに現地に出ておるかと思うのでありますが、これは私どもとしては問題によつてよく検討して、判断を誤らないようにしなければならぬと思うのでありますが、返還前に、当然今の財政状態でまかなわるべき性質のもの、従つてまた住民が当然負担されてしかるべきものが、もう日本に帰るのだから、帰れば日本がめんどうを見てくれるのだからというように考えて、とるべき税もとらないで、そういう問題があとに持ち越されておるということがありますときは、そういうものまであとになつてつて来てからめんどうを見るということは、日本の国内の事情との均衝という考え方からいたしましても、私どもとしてはとりたくない。少くとも帰つて来た以上は、日本内地の人たちと同じく公平な立場において、当然政府がめんどうを見べきもの、そういうものは返還以前に生じたものでもめんどうを見るがそうでないものはやはり住民負担においてやつていただきたい。こういう考え方を自分としてはいたしております。
  34. 山中貞則

    山中(貞)委員 担当大臣でありますから、微妙な点はすぐ心配されますが、そうじやないので、そういう点がうかがえるのは教育税がたつた一つであります。というのはそういうことまでしなければ、長官も写真あたりでごらんになつ機会があると思いますが、全部の校舎が壁もございませんし、全部つつかい棒がしてある。あるいは名瀬市内の子供たちははだしであります。これは暖かいからでなく、足を保護するものを買うだけの収入が所帯に許されないということでありますから、そういう意味で最低の必要な教育を維持するためにたつた一つなんですが、そういう苦しい借入金でやつておるという事実は御記憶願いたいと考えるわけであります。私が申し上げるのは、直接国や県や、いわゆる日本の行政府が、復帰前の形のもとに置かれておる大島の現地に、財政的にも行政的にも手を差延べろ、こういうことではございません。それは困難でございましようから、鹿児島県でそういう困難を何とか排除してもらいたい、こういう希望のもとに県と県議会が中心になつて、いわゆる民間団体と申しますか、奄美大島日本復帰対策委員会というものを、条例でもつて正式に法的な根拠を持つ委員会をつくつておるわけでありますから、できますならば、最低の額を特別交付金として鹿児島県にまわして、そして県は条例で認められたその委員会に補助をいたしまして、その委員会は全額そのまま教科書とかあるいは食糧とか、そういうものを買つて現地に送る、こういうことを申し上げたわけであります。こういうことができるかできないか、お尋ねいたします。
  35. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 そういう形式のものは、自分としても必ずしも不可能じやないのじやないかと考えておりますし、できるならばそういう方法をとりたい、こういうように考えておるわけであります。それからなお現地が非常に窮乏しておるということは、私どももよく承知をいたしておりますので、そういう面におきましては、いよいよ復帰いたして以後は、できるだけ大蔵省側の了解も得て、少くとも内地並に何とか暮して行けるようになるまでは措置をして行かなければならぬ。生活保護の面も、相当要保護家庭というものがあるのではないかということを考え予算の中にはそういうものも考慮に入れながら、予算は組んでおるわけであります。
  36. 山中貞則

    山中(貞)委員 その点について蛇足ながらつけ加えておきますと、先般鹿児島県会議員一行が五名だけ、現地に受入れ態勢の調査に参りましたが、そのときもたまねぎや、あるいは米、麦全部自分の食べるものは計算いたしまして、船に、積み込んで持つてつたような状態であります。これだけつけ加えておきます。それから次には十億円という今回の予算措置でありますが、これについて先ほどちよつと明らかにされました点は、四箇月予算である、こういう程度でございましたが、私どもが概略十億円の内容について検討いたしてみますと、ほぼ受入れた際の行政面のいわゆる人件費を中心にいたしました予算であるように考えますが、ただちにいわゆる復興あるいは救済という面についても考慮が払われている面もあるのかどうか、その点をお教え願いたいと思います。
  37. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 本年度は、何にいたしましてもまだ年度の中途であり、今年はあと四箇月ということになりますので、非常に大がかりな復興というところまでは行つておらないと思うのでありますが、またそこまでは行けないと思うのでありますが、しかし最小限度の今までの行政状態をそのまま維持して行く程度ということではないと考えられます。現に今まで琉球政府の治下におりましたときに、どれくらいの予算があつたかということを考え、それからして今度組みました予算というものの大きさを考えますと、日本政府が引継ぐことによつて、国のめんどうを見る面がやはり相当大きくなる。大ざつぱに記憶しておりますところでは、今まで琉球政府の治下の予算では一億八千万、三億足らずの予算であるというふうに聞いておりますので、かなりめんどうを見られる面があるのじやないか、こういうふうに思つております。
  38. 山中貞則

    山中(貞)委員 本年度そういう配慮に基いて十億が計上されたことは、けつこうなことだと思いますが、さしあたり三十九年度、来年度から、これをただ毎年心々の義務的な支出でなくして、計画を持つて予算を運用していただく気はないだろうかお伺いしたいのです。戦前は御承知のように、昭和十年度から十箇年計画を立てまして、国が高率の特別補助をいたしまして、大島郡の振興計画というものを立ててもらいました。そして金額におきまして、現在で約四十億円の金になるかと思いますが、鹿児島県を通じまして、鹿児島県の予算の中に大島郡の特別会計というものを設置いたしまして、この会計だけはまつたく県の収支を度外視いたしまして、国、県の特別補助、ほとんど全額に近いものでもつて、工業、土木その他の事業を営んで、振興のための道をあけておつたわけであります。それがせつかく着々実績をあげておりましたものが、終戦、管理、しかも管理されました以後八年間によりまして、まつたく昭和十年の振出し以前の状態にかえつているのであります。今日国家財政は、その昭和十年当時の財政のあり方と基本的な規模において異なりますし、方式も異なりまするから、困難かとは存じますが私ども考えたい点は、せつかくの振興計画が戦前においても適用されておつたような地帯であるので、ましてや今日の窮乏状態からすみやかに立ち上らせもして、窮乏から救い上げ、そして再建のために日本の国民と一緒に歩かせるためには、どうしても計画的な予算措置、あるいはまた予算の方式というものが必要かと思われるのでありますが、こういう明年度あたりを第一年度といたしました三箇年ないし五箇年あるいは十箇年という振興計画等について、配慮願えるかどうかお伺いしたいと思います。
  39. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 大体御指摘のような考え方で、二十九年度以降におきましては、相当長期の年度計画を立てまして、復興に努力いたしたいと考えております。ものの考え方といたしましては、今生活に非常に困るから、生活保護でめんどうを見ておく、また最小限度行政費を出しておくというような考え方ではなしに、しばらくそういう形でめんどう見ているうちに、だんだんとその土地そのものに産業も起り、そうして住民生活が一般的に引上げられて行く、そうして国の手がだんだんと生活保護などの面で、めんどうを見ないでいいようになることを目標にして考えておるわけであります。
  40. 山中貞則

    山中(貞)委員 お忙しいようでありますからここらで打切りますが最後に県会議員の選挙でありますが、これは本法律の中にはどこにも発見できませんので、政令で定められると思うのでありますが、実際の選挙に関する定数等の問題等は、県条例におゆだねになるつもりですか、お伺いしておきたい。
  41. 小林與三次

    小林説明員 ただいまお尋ねの県会議員の問題につきましては、基本だけは政令で書きまして、具体的の問題は県条例にゆだねたいと思います。県条例にゆだねられ得る特例だけを政令で書いてわくをきめたいと思います。
  42. 山中貞則

    山中(貞)委員 塚田長官にはまだあるのですけれども、時間がなさそうですから打ち切ります。
  43. 門司亮

    ○門司委員 この機会に聞いておきたいと思いますが、私おそく来ましたから、どなたかからお聞きになつたかとも思いますが、実は十月二十七日の朝日新聞の記事によりますと、奄美大島の問題について、閣議で総理大臣から今度の行政改革の一つのモデル・ケースとしてこれを扱つたらどうかという意見があつたやに聞いております。従つてこれを長官は聞かれて、そういうふうにお考えになつておるのかどうか、この機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  44. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはモデル・ケースというほどの感じではないのでありますけれども、こういうように私は閣議での総理の発言を伺つておるのであります。今奄美大島が帰つて来ると、当然いろいろ行政機構をまた考えなければならぬが、今国でいろいろの機構の改革考えておる際だから、一度今の日本のあり方と同じようにしてしまうと、今度かりに国の方が改革できる場合に、それと一緒にするのに非常に無用な混乱ができるから、できるならばそれまでというよりも、そういうことを頭に置いて、今度の機構のあり方を当面考えておくように、こういうことであつたのです。そこで私といたしまして、それはまさにその通りだと考えますので、今いろいろな機構の検討をいたしておるのでありますが、今の考え方といたしましては、当面できるだけ現状のままで、手を加えないでおく、そうしてどうしても措置しなければなりませんものは措置をいたすつもりでおりますが、そうでないものはできるだけ先に延ばしておいて、近く国のあり方も大体きまりますから、そのきまつた考え方と歩調を合せて、奄美大島行政機構もつくりたい、こういうような考えで進めておるわけであります。
  45. 門司亮

    ○門司委員 きわめて抽象的な御答弁でございましたが、まだ別に逐条審議に入つていないようでありますから、申し上げる段階ではないかと思いますが、この条文をずつと見て参りますと、ことに四条のごときは明らかにそういう要素が出ておるのであります。そうしてここに書いてありますように、「奄美群島における国の行政事務は、政令で定めるものを除く外、政令で定めるところにより、鹿児島県知事又は政令で定める鹿児島県の機関をして行わせるものとする。」こういうように書いてありまして、この場合においては「主務大臣又はその委任を受けた職員は、政令で定めるところにより、その所掌する事務につき、国の行政事務の委任を受けた機関を指揮監督することができる。」こう書いてあります。この四条は私は明らかに内地の今の行政機構とかわつた行政機構が行われるものであるということを、ここにはつきり現わしておると思う。従つてこの中の政令その他というようなものを、大臣は忙しいというお話でありますから、あまりここで一々追究することはいたしませんが、この四条は今の御答弁をそのまま受取つてさしつかえがないのではないかというように、私は考えるが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  46. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 そのように考えておるのでありますけれども、ただこれは法律全体がそうでありますが、ことにこの条項はほんの暫定的な考え方としてでありまして、長くこういうような状態でほつておくという考え方はないのでありまして、ほんとうに国の機構改革の線が出て来ましたら、そのとき一緒に本来のあり方にもどしたい、こういうように考えております。
  47. 門司亮

    ○門司委員 問題はそこにありまして、鹿児島県知事が行う一つの行政区画の中で、従来の鹿児島県と異なつ行政のあり方になるように、この条文を読むと、私ども考えられるのであります。そういたしますと、これは明らかに一つの特殊地帯ができ上つたということに面つて、総理大臣の言うモデル・ケースであるという感じがわれわれにはするのでありますが、しかしそのことについて一々こまかい事務的のことはあとにまわしまして、そうなつて参りますと、財政上の問題がただちにこれにからんで来るのであります。そこで、財政処置として今十億の金がどう使われるかはつきり内容が示されておりませんのでわかりませんが、もしおわかりでしたら、あとで書類ででもよろしゆうございますから、十億の金はどういう形において使うかということをお示しを願いたいと思います。もう一つこの機会に財政についてお聞きをしておきたいと思いますことは、大島の現状が——従来から大体このくらいのものが年度予算の中に補助されておつたということも一応考えられるのでありますが、しかし今の大島の現状というものは、戦争中の長い間の空間と、さらに占領後における一つの投げやりと言つては言い過ぎかもしれませんけれどもアメリカとしても一応のラインの中に入れてはいるが、しかし大して利用価値のない所であつたと私は考える。従つてそれほど気をつけていろいろな施設はしなかつたと思う。だから今日の奄美大島の財政状態というものは、そういうものが約二十年近く累積された結果、ここに非常な窮乏を来しておると思う。従つてこれを普通の考え方で処理することは大きな誤りではないか。だからどうしても奄美大島をこういうモデル・ケースのような形で、行政的に行おうとされるということになつて参りますと、財政的にも当然これは考えられる。なぜかといいますと、出先機関がかなり集約されるように聞いておりますが、出先機関がかなり縮められて参りますと、やはり地方経費というものは、それに相応するものがなければならない。国が行政的に干渉するかわりには、やはり財政的に幾らかの事務的の費用は出しておるのでありまして、従つてその国の出先がだんだん少くなつてということになると、地方経費はだんだんふえて来なければならぬことは当然だと思う。そういうことを言うのです。その点から考えて参りますと、この十億という予算はきわめてわずかな予算であつて、陳情書にもありますように、とうていこれは大島の諸君の納得し得る数字ではないと思う。従つてここで長官にお聞きをしておきたいと思いますことは、そういう長い間累積された財政の赤字を、少くとも元に復することのために、政府は一体どのくらいの計画をお立てになつておるかということであります。今の十億はさしあたりだというお言葉でございますが、それにいたしましても大体政府の予定として、たとえば小学校を内地並の小学校に復帰する、あるいは道路にいたしましても、民生関係にいたしましても、内地と同じような形に一応これを復帰したいということになつて参りますと、大体どのくらいの費用がここに必要なのか、そういうようなことの大よその目安がついておりますならば、ひとつ御発表願つておきたいと思います。
  48. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 貨幣のことで一言伺いたいのですが、十億の関係の内容はいろいろありますが、現在使用しておる奄美大島における紙幣というのか、交換券というのか、要するに米国等の管理のもとに使つております金、その関係の内容も十億の中に含むのか含まないのかも、あと説明していただきたいと思います。
  49. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 初めの門司委員のお問いに対してお答え申し上げます。私ども今まで市町村その他の自治団体の財政に赤字が累積しているというような話は聞いておらぬのであります。従つてそういう措置は当面しておらぬのでありますが、しかし非常に財政が窮乏しておるためにやるべきことをやらなかつた、そういうことは当然考えられます。またその点については約二十年も投げやりにされておつたのではないかという御意見ですが、私どももそう思うのであります。従つてその面は産業の面それから自治団体でいろいろ措置いたしますのに、たとえば学校でありますとか道路でありますとか、そういうものも次年度以降におきまして復興計画というものを立てまして、逐次内地並の線にまで持つて行くように努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。なお佐藤さんからお尋ねの点についてはこちらから……。
  50. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまの通貨の問題についてお答えいたします。通貨交換に要します経費、つまり事務費は約二千万円くらいかかるだろうと思いますが、この事務費は十億の中に入つております。
  51. 門司亮

    ○門司委員 今の長官の話ですが、そういう抽象的なものでなくて……。それでは私突つ込んで聞いておきますが、大体内地並というよりも、むしろ学校は学校らしい学校にするということでありますが、それなら大島の復興について、一体概算どのくらいの費用がいるかということが、大体おわかりになつておりますか。私がこういうことを聞いておりますのは、さつきも内訳を出してもらいたいと申しましたが、予算が一本で出て来ておつて、これは各省別にわかれていない。だからどこにどれだけ使われるのか見当がつかない。だからどうしてもわれわれとしてはその内容を知つておかないと予算を十億できめていいんだか、二十億できめていいんだか見当がつきやしません。従つてさつき申し上げましたようにどのくらいの額になつておりますか、ひとつはつきりと数字的に御答弁願つておきます。
  52. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 ただいまの十億円の内訳の問題でございますが、実は先ほども自治庁長官からたびたび御答弁がありましたように現地の機構の問題その他、それから引継ぎの時期がいつになるか、それから引継ぎにつきましてただいまアメリカ側折衝中でございまして、いわばその内容が確定いたしません部面が、はなはだ多いのでございます。従いまして政府といたしまして何らかの予算措置をとりまして、引継ぎなつた場合にただちに受入れができるというような態勢を示す必要があるという点から、一応の所要額を概算いたしまして、十億円というものを一括して大蔵省所管に一応計上いたしまして、予算措置をとりたい。それで細目につきましてはなお今後の調査にまちまして最も緊要な部面から金が使えるようにいたしたい、こう存じております。その十億円と見当をつけました点につきましては、一応私どもとしての単なる概算にすぎないのでありますが、御参考までに申し上げたいと思います。まず現地政府機関並びに大島支庁というような形になると考えられますが、支庁に要します経費でございますが、これは両方合せまして約二億円、こう考えております。それから市町村に対する交付金、それから義務教育関係でやはり負担しなければならぬ、こういつた金が両方で約一億円程度かかるのじやないか。あと残りました約六億程度の金が、現地の振興費と申しますか、たとえば生活保護でございますとか、教育施設の改善でございますとか、あるいは港湾施設、道路等の整備、それから航路の拡充と申しますか、あるいは産業の振興、こういうような経費に約六億程度を、この具体的な計画はまだきまつておりませんので、一応その程度の金をとつておきますれば本年度としては十分ではないか、こう考えておるのでございます。その他引継ぎに伴いまていろいろ現地の選挙、各地の選挙とか、あるいは人口の調査とか、いろいろ臨時的な業務が必要になつて来ると思われますので、その他一億円程度の金はリザーヴとして必要じやないか。この程度の計算をいたしたわけであります。それで一番重要な問題は、現地の御要望などを勘案いたしますと、学校の教育施設の問題と存じます。私どもにいただきました資料によりますと、小学校、中学校の児童、生徒数が四万四千二百六十名となつております。これは内地並の基準でこの坪数をはかりまして約三万坪の面積が必要なのでございます。その中で現在校舎として使用可能であるというのが約一万坪、ちよつと手直しすれば相当使えると思われるものが約一万坪ございまして、この二万坪を国の援助によつて今後何とかしてもらいたい。内地の学校に比して非常に貧弱な面積でございます。そのような面積につきまして木造とブロツク建築、なるべくブロツク建築を現地にはやつて参りたいと考えておりますが、木造七割、ブロツク建築三割程度の比率で、もし建築すると約八億円の金がかかるのであります。そうした三年計画でやるといたしますと約二億八千万円程度の金が必要ではないかと思います。まずこのようなことを、なるべく早い機会にやるべきだと考えておりますが、本年度は一応十二月から発足するのでありまして、このような建築工事がどの程度急ぎまして急速に達成できるかというような技術的な点については、私どもとしてもまだ自信がありませんので、一応計画の数字としてお聞きいただきたいと思うのであります。
  53. 門司亮

    ○門司委員 そういうものを全部ひつくるめて、どのくらいの金がいるかというその概算はわかつているでしようか。
  54. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 私どもとしては約六億円程度いると思つております。
  55. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことを聞いておるのではないのです。私の聞いているのは、さつき申しましたように、たとえば五箇年計画なら五箇年計画でやられる概算の総額は、どのくらいのものがあればいいかということであります。どのくらいのものを大体お見込みになつておられますか。
  56. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 財政当局といたしましては、今後調査によりまして年度計画をきめる建前で参りたいと思つておりますが、一応の目安といたしまして十箇年計画——昭和十年からの第一次十箇年計画それから第二次十箇年計画が計画としては過去においてあつたのでございます。その計画は約四十億円、今日の貨幣価値に換算いたしまして約二十億円程度であります。一年割にいたしますと約四億ということになります。
  57. 門司亮

    ○門司委員 どうもはつきりわからぬのですが、それは大蔵省が十箇年計画を立てたときの一つの計数であつて、さつき言いましたようにこれがモデルケースというようなことになつて参りますと、そういう計画は一応かえなければならぬのじやないかと考えられるのです。だからこれは自治庁長官はつきり聞いておきたいと思いますが、自治庁のお考えとしてはどのくらいまで金を出すか。金を出すかというと多少言い過ぎるかもしれませんが、どのくらいまでめんどうを見て行かなければならぬかということの目安は立つておるだろうと思うのですが、その目安が立たないで、ことしはこれくらいでよかろうということでは、大島の住民諸君としては、なかなか安心が行かないことじやないかと思うのです。もう少し親切な態度が政府には必要ではないかというふうに考えますので、長い間苦しんで来た大島の人たちの気持になつて考えますと、やはり明るい気持を与えて、やるということから、政府考えておりますことを、この際ひとつはつきり表わしてもらいたい。抽象的なことではなくて、おそらく政府としてこういうことをするという案があると思うのです。またなくてはならぬと思うのです。だから十年計画、二十年計画というのでなくて、一応どのくらいのものをここに政府としてはめんどうを見るということを、島民に安心を与え、明るい希望を持たせるために、この際長官から見通しを承つておけば、非常に私ども幸いだと思います。
  58. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 考え方といたしましては、私も門司委員とまつたく同じ考えでありまして、長い間ほうつてつたのでありますし、またもともと復興計画を持つておりましたのが中絶しておりましたので、どうしてももう一度それをやる。またその場合に、必ずしも過去にそういう計画であつたから、そのままでいいのだというふうにも考えておりませんので、今日の日本状態とにらみ合せ、新しく計画の立て直しをしなければならぬと考えます。何にいたしましても現地調査が十分できませんので、この間相当たくさんの人が相当長い期間行つてつたのでありますけれども、調べて来たことは当面どのくらいの措置をする必要があるか、またどのくらいの金を必要とするかということにとどまるようでありまして、今後その調査に基いて計画立案しないと適切なものが出ないのじやないかと思いますので、ただいま鳩山主計官から申し上げましたように、実際はどのくらいの金がいるということの予定はまだまつたく立つておらぬわけであります。しかし立つておらぬということは考え方として理解がないのだ、もしくは同情がないのだということではないのでありまして、むしろそれとは逆に、よく調べた上で十分な措置をする、とりあえず来年の三月までは、最小限度必要なものプラス約六億の復興経費というものを計上しておいて、そうしてその間に計画を立てて、二十九年度以降において本格的な復興に乗り出す、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 どうも私には今の長官の御答弁はほんのお座なりの答弁に思われて、私どもそのまますぐ受取るわけには行きませんが、どうでしよう、いろいろ計画書はあるようでありますが、さつきから何度も申し上げておりますように、もしモデルケースというようなことをお考えだとするならば、やはり政府は即急に案を立てておやりにならなければ、昔考えられたようなことそのままがここに書かれておる、書かれておるというより今のお話でありますが、そういうことではいけないと思う。これについては政府としては、十分に調査をされたものがどこかになければならぬと思うのです。もう一度話をもとにもどすようで恐れ入りますがさつきから申し上げておりますように、それならばモデル・ケースとして第四条に掲げられておりますもの、これはあとで逐条審議のときに聞こうと思つておりましたが、内地行政とかわつた行政を行おうとされておりますものについて、政令で定めるというようなものを、鹿児島県知事に対して移管されるということになつておりますが、これの範囲でももし今おわかりになつておるなら、教えていただきたいと思います。
  60. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 門司委員の御質問を伺つておると、モデル・ケースという考え方が、あるいは私の考えておるのと少し違つておるのではないかと思うのですが、当面の措置としてとりあえず今のままで、なるべく引継いでおきたいという考え方を持つておるだけでありまして、それから先をモデル・ケースという形で、内地のものと違つた扱いをするという考え方には、今必ずしもなつておらないわけであります。内地行政機構改革の数字がきまりましたら、それと同じような歩調にする、従つてそれによつて特によけいな財政措置をしなければならないということは、私の考え方からは出て来ないのであります。しかし復興のために相当金をつぎ込まなければならないということは、今御指摘通り私も同感でありますので、この第四条の関係とは別に関係はない、こういうように考えておるわけであります。今お尋ねの第四条によつて行政機構を、当面どういうふうに改革するつもりなのかということでありますが、これはいろいろに考えておりまして、一つの案としましては、実は奄美の支庁いろいろな国の行政事務をとりあえず全部やつてもらつて、国がそれぞれの出先を持たないように、また直接交渉しないで当面して行くという方法が、今のところ一番いいのではないかということを考えておるわけであります。しかしそう考えながらも、法的ないろいろな制約や、今とうていそういうことにはできかねる面があると思います。たとえば裁判関係などは、とてもそういうわけに行かないのではないかと思われますので、そういう最小限のものだけは分離をしてしまうという構想でおるわけであります。
  61. 北山愛郎

    北山委員 塚田長官にお伺いします。先ほどのお話復帰の時期は、一応十二月一日を目途にしたと言われたのですが、しかしそれについてもまだはつきりした根拠がないというような情勢でございます。そこで現地事情からいえば一日も早い方がよろしいという事情であるようでありますから、この法律でもつて、あるいは法律が足らなければこれを改正してもいいと思うのですが、部分的に特に財政上の援助だとか、そういう問題について正式に復帰前に措置をするということが、一つの経過的な便法として考えられないかどうか。この復帰の時期というのは、私のお伺いした範囲内では、いつになるかちよつとまだあてがつかないと思うのであります。ですからそれ以前に特に財政援助の面において、この法律適用して行くというような方法がとれないか、かりにこの法律施行の日を政令で定めるといたしますと、「復帰に伴い、」というのは、復帰以後において、この法律適用すると一応解釈されるのですが、しかしその施行の時期を早めますと、部分的に第十条でもつて、必要な措置がとれるのではないかというようなことも考えられるわけであります。もしも復帰が遅れるというような場合には、そういう措置をお考えになつておられるかどうか、この点をお伺いします。
  62. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいまの考え方といたしましては、そういう考え方でなしに、復帰が遅れることによつて、だんだんと混乱が増すからして、復帰は遅れないようにという方向で、今いろいろ折衝その他を進めておるわけでありまして、今国会に、非常に短期間であつたのに予算案と法律案を取急いで提出いたしまして御審議願いましたのは今出しておかないと、かりに十二月一日というときに受入れ態勢が間に合わない。従つてアメリカ側の十分な了解が得られたにもかかわらず、日本の受入れ態勢が間に合わないために遅れるというようなことになつてはならないからというので、多少予算面など内容もまだはつきりいたさない面もあつて、また機構の面においてもそれから政令考えなければならない面もありますが、とりあえず国会に法案を提出いたしまして御審議を願つておる、こういう考え方でありますので、私どもとしてぜひ十二月一日、この点についてある程度アメリカ側もその線に合うように、努力してくれているようでありますから、おそらくできるのではないかと思いますし、そのつもりで努力をいたしております。従つて遅れた場合にどうするというようなことは今考えておらぬのでありまして、考え方として考え考えられないことでなし、なおまた非常に遅れるということであれば、何らか措置考えなければならないことでありますが、ただ何らか措置考えるといたしましても、なかなか帰つて来ない、従つて日本行政権というものが及んで来ないというところに行政措置の形でもつて手を打つて行くということは、法律をかりにつくりましても、法的措置を御検討願つても、どうもできにくいことじやないかと私としては考えますので、その点はなおまた法制局関係からでもお聞きを願いたいと思うのであります。従つて今私としましては復帰前にかりに措置をしなければならないものがあるとすれば、アメリカ側と話合いをして、アメリカ側の手を通した何らかの事実上の措置というものを考えるべきじやないか、こういうふうに思つておるわけであります。
  63. 山中貞則

    山中(貞)委員 外務次官にお尋ねいたします。ただいままで各委員から塚田長官に対して質問が行われたのでありますが、これはすべて復帰の早かれと念じ、そうして復帰後の処置あるいは復帰までの処置についての御質問でありまして、要はいつ復帰をするかという問題が、この問題の根本であります。そこで私は本来ならば大臣にお伺いしなければならぬと思うのですが、次官にお伺いしたいと思います。  先ほども床次委員からも一応御質問があつたようでありますが、私さらに御質問申し上げたいのは、この問題は単にいわゆる事務的な問題、あるいは行政手続交渉の問題、そういう具体的な問題を超越して、国と国との外交、あるいは大きく言えば国と国との感情の問題に大きな影響があると思うのであります。  それからアメリカは北大西洋憲章によつて、領土並びに住民に対する考え方を、はつきりと世界に宣言しておるわけでありますから、今日まで理由不明なる状況において軍政をしいておつたことすら、まことに私は遺憾であり、そうしてまたアメリカの標榜する人道主義の立場にも、いささか疑問を生ぜざるを得ないような失政であるとすら考えるのであります。それが幸いにして遅ればせながら、ダレス長官声明によりまして、復帰ということが確定したわけでありますけれども、その後荏苒日をむなしゆういたしまして今日まで参つておる。これは単に現地住民の焦躁感、虚無感というものに拍車をかけるばかりでなく、直接間接関係のある国、あるいは民族に対して、直接にはアメリカまた日本政府というものに対する考え方が、非常に刺激をされて来るのではないかと私は心配するのであります。従つてまず返して、それから具体的な手続等を話合うことの方が必要ではないかとすら考えるわけであります。そこでこの復帰促進については、政府はもつと腰を強くいたしまして、直接自分たちが進んでこれを実現せしめる努力をしてもらいたいと思うのであります。政府が今までそうであつたとは申しませんがアメリカの意思が決定するまでそのままほつておきますれば、はたしていつになるか私は非常に疑問だと思うのであります。今日この問題に対する日本国民の意思、あるいは国会の態度というものは、すでに再三の議決によりまして、あるいはまた政府としては、今回の具体的な予算措置等によりまして、明らかにされておるわけでありますから、折衝を担当する外務省としては、どんな強腰で折衝いたしましても、さしつかえないと思うのであります。もちろん外交上の一連のできごとでありますからその他の問題においては強腰で出られない場合もあるいはあろうかと思いますけれども、少くとも領土並びに住民を本来の国家、国民の中に呼びもどす、迎え入れるということについては他のすべてのものを超越して交渉してもよい問題だと、私は確信するわけであります。そこで先ほども質問があり、答弁がありましたが、はつきりしませんのは、ダレス声明後何回交渉が持たれたか、そして積極的に日本政府としては、いかなる機関あるいはだれが責任者になつてどこを対象にして何回の交渉が行われ、その経過はどうであるかということでありますが、先ほどよりいま少しく明らかに御説明願いたいと思います。
  64. 小滝彬

    ○小滝政府委員 この問題につきましては、アメリカとしては返すということは決定しているわけであります。でありますからして、むしろ事務的なことはあとにしてはつきりその点を実施に移すということだけでも、まずやつたらというのが山中委員考えだと思います。しかし具体的な事項を伴わないと、先ほど長官からもお話がありましたように、行政的の措置がとれないというような点もありますので、私どもとしては、具体的に向うと行政上のとりきめができることを一日も早からしめんとして、これまで交渉して来た次第であります。幸いにして今度この法案も通るようになれば御指摘のようにより以上の強腰で交渉できるのでありまして、これは他にひつかかる問題があつて、遠慮しなければならぬという問題も全然ございませんから、できる限り御趣旨に沿うように、さつそくワシントン及び東京において交渉いたしたいと考えます。これまで一体どの程度やつたかというお話でありますが、本日はだれも事務官が来ておりませんので、回数算を詳細に申し上げることのできないのを遺憾に思います。岡崎大臣からも申入れをしておりますし、随時欧米局長及び奥村次官からも話合つております。ワシントンでは新木大使、ことに武内公使がこの問題を再三取上げたことは、電報でも承知しているような次第でありまして、日本側としては一日も早くこれを実現したい。向うも主義上何も反対しているわけでもない。これはレツド・テープでけしからぬというおしかりを受けるかもしれませんが、国防省などの関係もありますので、軍人さんあたりでその施設を持ちたいといういろいろな意見も出たりして、そうした面で事務的な点が遅れて来たわけであります。しかしこれだけ日本の方でも熱意を持つて全部の受入れ態勢を整えるということになつておりますから、この議会の状況もワシントンの方にも電報を打ちまして、この法案が通過したら、それが実行に移されるように強力に発足いたしたいと考えている次第であります。
  65. 山中貞則

    山中(貞)委員 ただいま外務次官から積極的にやるのだ、そうしてこの問題に関する限り他に遠慮しなければならないあるいは考慮しなければならないひつかかりというものも、全然ないという、まことに希望に満ちた、そうして積極性のある答弁を聞きまして、私は満足であり、喜びにたえません。従つてもう少しお尋ねしたいのは、この復帰に対する交渉について、その主導権はいずれにあるかという問題、すなわち復帰について向うが話合いをしようということが連絡があつて、こちらから責任者が行つて話をされるのかあるいはこちらから復帰促進について申入れをして会合をされて、現在こういう段階だから、早くしてもらいたいというような考え方でおられるのか、いわゆる日本政府が積極的にこれの主導権を握つて行ける段階にあるかどうかを聞きたいのであります。というのは現在鹿児島県は、自分たちの県内のことでありまするから、いろいろな視察あたりもどしもどし行わなければならない状況に置かれておりまするが、アメリカの方では旅券の交付等の許可についてもなかなか強腰を示しまするし、また国会議員であつても沖繩経由では行かせない、あるいは行つておりました者にも、その言動のいかんによつては退去命令をちらつかせるとか、いろいろ芳しくないことがあるのであります。一方においてそういう状況を見ておりまする住民は、一体われわれは、アメリカが返すと言つたにもかかわらずいつまでも帰れない、そうすると日本はわれわれをあたたかく迎える気があるのかどうか、あるいは鹿児島県あたりは昔のように財政の負担も伴う、そうして現在は貧乏県で、受入れるということにおいて一層負担になるから、受入れるのを喜ばないのかと、無理もないことでありますが、そういう猜疑心まで起りかけているのであります。従つて私は、政府が公式にこの問題について、向うの住民が納得できるような方法をとられなければならない段階に来ているとさえ考えるわけであります。そこで先ほどの御言明の通り、積極的でありまするならばまことにけつこうでありまするが、その積極性は日本政府が主導権を持つた積極性であるのか、あるいは万やむを得ず日本政府は従属的な立場における積極性であるのか、お示しいただきたいと思うのであります。
  66. 小滝彬

    ○小滝政府委員 本来は平和条約第三条の末項によりまして、先方が行政立法及び司法上の権利の全部及び一部を行使する権利を持つているのであつて、平和条約ではそういう権利を持つことが認められているが、それを向うの方から自発的に放棄しようとして来たものでありますから、なるほど法律的には申出に関する限りは、向うが主導権を持つてつたと申しますか、そういう立場にあつたわけであります。しかし一度そういう決定がわれわれの方に示されて手続しようという段になりました以上、われわれは当然こちらの方から積極的に申入れをして促進させるということについては遠慮する必要はないわけであります。ことに、私は先方政府の内部のことをとやかく言おうという趣旨はございませんけれども、重大なる関心を持つていらつしやるこの委員会に申し上げまするならば、国務省の方はおそくなつてまことに済まぬというようなことも言つているわけでありますから国務省の協力を得まして、先ほど申しましたように、現地軍あたりというものは、どこの国でも政府の財政策と必ずしも一致しないような行動がありがちでありますが、そういうことのないように、十分国務省と協力して、これが一日も早く実現できるように、主導権を持つて向うへ交渉いたしたい考えであります。
  67. 山中貞則

    山中(貞)委員 非常にけつこうな答弁であります。その通りお願いしたいと思うのであります。そこで財政的に、一応十二月一日からをめどとして予算が提出され、法律が出されているわけでありますが、その見通しは、先般は十一月一日という見通しにしたわけでありますから、今度の十二月一日という見通しはいかなる考え方のもとに打ち出されたものであるかいわゆるその基礎と申しますか、そういう考え方の確定して来たゆえんというものを、はつきりしてもらいたいと思います。
  68. 小滝彬

    ○小滝政府委員 仰せの通り、最初は十一月一日を目途にしてやろうということで、向うと話合いましたけれども、先ほど申しましたような関係で、十一月一日までにはどうしても間に合わない、そこでわれわれとしては非常に残念でありましたが、できるだけ早くという趣旨で、それでは十二月一日というのを目途にして、われわれの方も準備するから、アメリカ側もぜひそのようにとりはからつてもらいたいということを申し入れたのに対しまして、先方としては、日本の方がそういう希望で進められるならば、自分の方も十二月一日に先方側の話合いが完了して、その手続ができるようにしようという意思表示がありましたのでこれは政府間の約束ではありませんが、そういう意思表示がありましたので、われわれの方では十二月一日を目途として準備を進めておるような次第であります。
  69. 山中貞則

    山中(貞)委員 ただいまのお話で、向う側の、いわゆるアメリカ政府内の話合いをそのころまでにつけて実現しよう、こういうことになつたということですが、そうすると遅れたのは、一にアメリカ政府内の国務、国防両省の見解の調整ということが重点だということが、判明したわけでありますが要はこの十二月一日という、これは一応の目途だということが今明らかになつたのですが、十一月が十二月に延びますことの影響よりも、十二月が年を越えるという影響は、非常に大きいことは記憶していただきたいと思うのであります。これは単なる手続その他だけで割切れないいわゆる住民感情が、年を越すということ、あるいは年末年始の金融界などの混乱というものが、予想以上のものがあろうと考えまするので、この十二月一日ということは、あとしばらく時期もあるわけでありますから、ひとつ積極的に十二月一日が確定するという言明が一日も早いことを、私は希望するものであります。今奄美大島現地からこういう電報が参つたのですが、「復帰実現来年持越しの報に郡民悲嘆深し、その出所、理由御調査の上御一報を煩わしたし。」こういうように一喜一憂しているわけでありますから、この点を……。
  70. 小滝彬

    ○小滝政府委員 御趣旨に沿いまして一日も早くこれが実現するように、最善の努力をいたしたいと考えております。なお年を越さなければこれが実現できないのではないかという報道は、どこから出たのか存じませんが、私がそんたくいたしますところによりますと、一昨日の参議院の地方行政委員会におきまして私の方の課長が、事務的に時日をしきりにお聞きになるから、事務官として時日を約束することができぬというような趣旨のことを言つたために、そういう報道が出たかとそんたくいたします。しかしそういうことのないように最善を尽して参りたい、かように考えております。
  71. 山中貞則

    山中(貞)委員 それであればけつこうですが、現地は今のところ政治的に琉球軍政府につながつておりますから、向うの意向がすぐこういう電報になつてたびたび参るのであります。でありまするから、念のために参議院における課長の言明あるいは答弁だけで出て来たことであればけつこうでありますけれどもアメリカ政府あたりの意向が琉球の軍政府あたりを通じて流れたものではないかということも、御調査願いたいと思います。そういうことのないように善処を希望いたしまして、これで打切ります。
  72. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとお諮りしますが、この程度で総体の質問を一応終えて、これから逐条審議に入るというようなことでいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中井一夫

    中井委員長 それではさようにいたします。なおこの機会にちよつと申し上げておきますが、法務委員会と選挙の委員会から共同審査の申入れがあります。それにつきまして大体あしたの十時からやりたいというのが、両委員会の意向でありましてこれが最も最近の時間のようであります。もしさようにいたしますると、こちらの逐条審議がまだ終らざるうちに連合審査というようなことになるのでありますが、そういうことでもよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中井一夫

    中井委員長 それではさようなことに御承認を得たとして進みたいと思います。     —————————————
  75. 灘尾弘吉

    灘尾委員 逐条審議に入る前に、ちよつと一点だけお伺いしておきたい。復帰とか返還とかいう言葉がこの問題について使われておる。これがいよいよアメリカとの間に話合いが成立いたしました場合においては、どういうふうな形式で表現せられるのでありましようか、その点お伺いしたいと思います。
  76. 小滝彬

    ○小滝政府委員 返還あるいは復帰と申しましても、先方が今平和条約三条によつてつておる権利を一方的に放棄することでありますから、これは国際条約というような形式をとるのではなくして、行政上の手続をきめるところのとりきめというかつこうで、向うの方からこちらに対する申入れをし、こつちがそれを受諾するといつた形にいたすと考えております。そのほか文字というようなものについては、先方とも話合わなければなりませんので、いまだ確定しておりませんが、法律の性格から申しますると、そういうような行政上のとりきめ、平和条約第三条に基くところの行政的なとりきめというかつこうで進みたいという趣旨でございます。
  77. 中井一夫

    中井委員長 それでは先ほどの申合せによりまして、逐条審議に移ります。奄美群島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律、第一条。
  78. 灘尾弘吉

    灘尾委員 第一条で、「この法律は旧鹿児島県大島郡の区域で北緯二十九度以南にあるものの復帰に伴い、」こういう字句を使つておるのでありますが、この「復帰」という言葉の法律上の御説明を願いたいと思います。
  79. 林修三

    林政府委員 「復帰」という言葉は、実は今御質問がございましたように、多少法理的と申しますか、一般的にわかりやすい言葉を使つた、多少率直に申しますと、そういうことでございますが法律的に申せば、これは平和条約の第三条に基きまして、米国政府行政、司法、立法上の権限の全部または一部を持つておる。これを向う側が放棄をする、こういうかつこうで、それによつて日本側が従来そういうもをの除いた意味領土権を持つていたわけでございますが、それが全正面的な行政、司法、立法権を行使する権限を回復する、そういう意味であると存ずるわけでございます。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾委員 そうしますと、平和条約の第三条に基いて立法権、司法権、行政権の全部または一部が向うに行つておる、その関係において、それだけがこちらからはずれておるというようなお考えのようであります。従つてとりきめが成立すれば、当然にすべての権限が回復せられる、そういうふうに解釈してよろしいと思います。そうであるといたしますならば、この「旧鹿児島県大島郡」とありますが、この「旧」という言葉は必要なのでございましようか、どうでしようか。
  81. 林修三

    林政府委員 これも確かに御指摘通りの感じが実はいたすわけでございますが、ここに書きましたのはやはり一応今立法、司法、行政領土権は、もちろん失つてはおらないという考え方でございますけれども、一応立法、司法、行政の実際上のそういう権限の行使が、今奄美群島におきましては行われておりません。そういう意味におきまして、何と申しますか、多少くだいた言葉で申せば、事実をわかりやすくする意味で、実は「旧」という言葉を入れたわけでございます。さよう御了承願いたいと思います。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾委員 そういたしますと、いわゆる旧鹿児島県大島郡の区域がこの法律施行に伴つて、当然鹿児島県の区域に帰つて来るのでございましようか。
  83. 林修三

    林政府委員 これは先ほど自治庁の小林行政部長からもお答えいたしましたと存じます。大体私ども考えといたしましては、やはりこの大島郡というのは、従来鹿児島県に属しておりましたし、やはりそれは領土権としては失つてはおらない。従つて当然鹿児島県の区域になる、かように考えておるわけであります。
  84. 灘尾弘吉

    灘尾委員 領土の関係においては問題はないと思うのでありますが、国の行政区画という関係におきまして、これが一鹿児島県に入るということになることはどういうことなんでしよう。
  85. 小林與三次

    小林説明員 われわれの考えといたしましては、領土は日本の領土であつたと同様に、この地域は当然鹿児島県の所属に属しておつたわけでありまして、それは事実上行政、立法、司法の権限が行使できなかつたというだけでありまして、これが回復すれば当然に従前の地位がそのまま回復される、こういうふうに考えております。
  86. 灘尾弘吉

    灘尾委員 よろしゆうございます。
  87. 中井一夫

    中井委員長 第一条、よろしゆうございますか、もしよろしければ第二条に移ります。
  88. 門司亮

    ○門司委員 食管を入れてくれというような注文があつたのだが、これはどうなんです。
  89. 林修三

    林政府委員 政府部内として相談をいたしました場合までは、食糧管理法の施行をただちに停止する必要があるかどうかにつきましては、実はそこまで考えておらなかつたわけでございますが、一昨日でございましたか、現地からそういう要望がございまして、実はこの法令につきましても、なお今後その施行を停止すべき法令をやはり現地事情に応じましてあるいは御希望等を考えまして、どうしても必要であればこの二条一項の一十六号によりましてさらに政令で、そういうものを指定し得る道を開いております。従いましてそういう問題がいろいろ現地の状況を見まして、どうしても必要となれば、そういう特別の法律につきましては、さらに施行を停止する方法もあり得るわけでございます。
  90. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つ聞いておきたいのですが、この法律の第二条の冒頭に「それぞれ政令で定める日までは施行しない。」、こう書いてあるのですが、法律の全体をずつと見ますと、この法律には「当分の間」ということがたくさん書いてあるのです。それで実際からいいますと、一つの時限法であるような、ないようなことになつておるのです。これはあとで四条のところで聞きたいと思うのですが、この場合も法律の体裁から行けば、もしこの政府原案をそのまま認めるとすれば、ここもやはり法律の体裁をそろえておいたらどうかと思うのですが、その辺はどうなんですか。
  91. 林修三

    林政府委員 この法律は第一条なり題名をごらんいただきましてもおわかりと思います通り、大体奄美群島日本側の行政権、司法権、立法権のもとに立つことに伴います暫定措置を、実はあくまできめたつもりでございます。従いましてこの個々の条文でごらんいただきます通り第二条等は一応「左の各号に掲げる法令は、それぞれ政令で定める日までは施行しない。」という意味で、やはり暫定措置を書いてあります。四条とかその他の条文では「当分の間」というようなことを書いております。もちろん暫定措置という意味で、この法律施行されております間という意味でございまして、その意味におきましては、これは決して恒久法ではないという考えでございます。ただ四条ではそういうことは考えられないと思いますが、たとえば九条等で、国庫補助なり国庫負担金の特例を認めております。これも「当分の間」と書いてございますが、こういうものにつきましては、あるいは恒久措置といたしましては奄美群島につきましては、特別立法をいたす措置があろうかと存じます。そういうものはそういうもので、またもう少し考究の上で、来るべき通常国会等におきまして、個々の法律につきまして特別な規定を設ける必要があれば、そういうものは恒久立法としての形で考えたい。これは暫定措置として考えておる次第でございます。
  92. 門司亮

    ○門司委員 私が心配いたしますのは、それはそれでいいのですが、四条のところで聞きたいと思いましたことは、往々にして法律というものは延びるのです、それでこういうように「当分の間」と書いてあると、いつまで延びるかわからないという危険があるのです。たとえば地方財政法などもこういう文字を使つておるところは、依然として当分の間なんです。ちつとも新しい法律が出て来なければこれを改革しようともいたさない。だからこういう法律をこしらえられるには、これが暫定法であるなら暫定法のように、法律を通じてずつと限られたらいいのではないか。財政措置も大体さしあたりのものだということで、本年度内だというようなことに実はなつておるように、私どもも今まで財政問題で聞いております。そうすればこれは時限法としての一つの体裁を整えた方がいいのではないか、こういう趣旨で聞いたのであります。
  93. 林修三

    林政府委員 あるいはそういう御見解まことにごもつともでございますが、やはり私どもといたしましては当然これは暫定措置考えておりましてこれを恒久化いたします際には、たとえば四条についてもかりに大島の行政機構をほかの地域とかえるということになりますれば、これは当然各省設置法なり、自治法なり何なりに、そういうことをうたい込むべきで、当然そういうことを予定しておるわけでございます。法制当局といたしましては決してこれをそのままずるずるとやるつもりは実はないわけであります。しかしこれをかりに時限法といたしまして、何月何日までしか効力を有しないというときにも、あまり実はきゆうくつな感じがいたすわけでございまして、そういう恒久立法になさりますまでの実は暫定法、そういう意味でこういうかつこうをとつているわけであります。もちろん通常国会等におきまして、おのおの恒久措置として必要がありますものにつきましては、おのおの法律にそれを盛り込むという考えでいるわけであります。適例を申せば第五条でございますが、第五条が実は簡易裁判所の設立を書いております。これは実は「当分の間」と書く必要はないのでありまして大体これは恒久的に簡易裁判所は、当然少くとも名瀬、徳之島に置くということでありますが、しかし法律全体が暫定法ということで書いてあるので、当然通常国会におきまして下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律を改正しまして、それに盛り込むつもりでおります。ほかにつきましても恒久措置がきまれば、そういうことをいたすつもりで知ります。
  94. 藤田義光

    ○藤田委員 第二条の問題でございますが、そういたしますと第一項、第二項に関連して読みますると、どうしても第四条あたりとは違つた性格で、第四条は六箇月以後、六箇月を経過いたしましても当分の間くらいで押し切られる、しかし第二条にあげてあります二十六項目の方に関しては施行後六箇月を経過してなおきまらぬ場合は、自動的に適用しようという方針でありますかどうか、その点ちよつとお伺いしておきたい。
  95. 林修三

    林政府委員 この第二条の法令の事項でございますが、やはりこれは奄美群島本邦行政権、司法権、立法権のもとに帰属しました以上は、日本法令を、あるものを適用施行しないということは非常に変則な措置であります。もしも特例を要しまするものならば、法律をおこしらえになつて書くのがほんとうであろうと思います。従いまして第一項、第二項は当然第三項に関連いたしまして、その間は従来の琉球政府法令なり向うの軍令をそのまま法律として効力を持たせるということは、非常に変則的なものでありまして、そういう意味におきましてこれがやはりあまりいつまでも長くそのままほうつておくのは適当でないであろう、従つて一応六箇月を切つたわけであります。四条の方につきましては、もちろんこれも暫定措置としてここに書いてあるわけでございます。先ほど自治庁長官からもお話ございました通りに、今考えておりますこの国内の行政機構の問題、こういうものと見合つてやりたいというようなお話でございます。当然そういう時期までにはこの四条でも新しい立法に乗り移るものと、かように考えているわけでございます。ただその時期につきましては、多少そこまで切らなくても当然そういうことを予定されておりますので、実は時期を切らなかつたわけであります。
  96. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでお聞きしたいのでありますが、この司法、立法、行政の全面的な施行をしなければ、日本国の領内にあります変則的な状態であるという御答弁でございますが、奄美大島はいろいろ見聞するところによりますると、非常に経済力が低下してしまつております。従いまして内地と同じような国税法あるいは地方税法を適用するということは、住民負担にたえないじやないか、そういう意味で六箇月間の期間を見まして何か修正適用というようなことでも研究されておりますかどうですか、その点をお伺いしたい。
  97. 林修三

    林政府委員 これはあるいは税に関することにつきましては、各専門家当局からお答えいたした方がいいのかもしれませんが、一応私からまとめてお答えいたします。第二条の第一項は、ごらんになります通り二十六法令があがつておりますが、大部分は税法なのでありまして、税法につきましてはただちには施行いたさずに、少くとも六箇月間は現在あります琉球政府で行われておりました税を、そのまま適用いたそうし、しかしそれについても四項等におきまして非常に日本内地に比べて重いものにつきましては、特例措置をいたそう、こういう実は考えになつております。税につきましては当然少くとも六箇月間は、そういう措置をいたしてまた将来の問題といたしましては、昔は沖繩県につきましては出港税という制度があつた、そういうものがかりに必要であれば、こまはやはり恒久法として砂糖消費税なり、酒税法にそういうものを盛り込むということも、必要に応じて当然考えられるであろうと思う。ここでは暫定的に六箇月間から六箇月間を目標としての暫定措置をとられているわけであります。当然その件につきましては、おつしやる通りの税の特例措置はあり得ることになつております。
  98. 藤田義光

    ○藤田委員 私はこの問題は、たとえば地方財政法とかあるいは平衡交付金法の問題、この地方自治体の財政的な軸心をなす諸法令、この問題に関連しても、非常に微妙な影響がある問題ではないかというふうに思つております。従いまして財政措置ということが地元民といたしまして、非常に真剣な関心を呼んでおるのではないかと思うのです。たとえば戦争前に内地に凍結されております資産はどうするか、あるいはガリオア資金の問題等で、御存じの通り三千万円という肥料代金等がそのままになつておるというような問題、こういう問題と現地経済力の問題、これに関連せしめまして、この際国としてはよほど慎重に財政措置等も考慮すべきではないかというふうに考えております。非常に問題がぼやけておりますが、立案された当局として何か御研究がありましたかどうか、お伺いしたい。
  99. 小林與三次

    小林説明員 ただいまお尋ねの点、特に府県並びに市町村の団体の財政上の問題につきましては、お尋ねのごとく従来非常に疲弊いたしておりますし、住民生活が疲弊しておる関係上、団体の財政力につきましても、これは相当考慮しなければならないことは明瞭でございまして、われわれといたしましても税法なり財政法なりの適用につきまして慎重に考慮するとともに実質的に島民の需要を内地並に十分にまかなえるような財政措置につきましては、遺憾のない措置を講じたいと考えておるのでございます。
  100. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、この法律施行されました場合、われわれが特に自治庁のさしあたつての問題でお聞きしたいのは、平衡交付金法に基きまして来春早々には、特別平衡交付金の配分等が考慮される、これは全国一万の自治体が一番関心を持つておる財源でありまして、こういう特別平衡交付金の配分等に関しまして、特に今年は災害がひどかつたために、非常に大きい問題が起きはしないか、そういう場合は現在の平衡交付金法の関連を、どういうふうに処理して行かれるつもりでありますか、これは財政部長からの御答弁がいいと思いますが、お見えになつておりませんから、立案の衝に当られた人で、何かちよつと話題が出ておりましたらお伺いしたい。先ほどの政府委員の答弁では、通常国会ではまた研究するというようなお話がありましたので、そのとき問題は処理されるかもしれませんが、しかしその前に一応御研究願つておいていい問題ではないかと思いますが、お調べがあればどなたでもけつこうです。
  101. 小林與三次

    小林説明員 ただいまのお尋ねの問題は、奄美群島復帰に伴う善後処置十億のうちに出ておりまして、一般の内地の平衡交付金は奄美群島につきましては全然考えておりません。
  102. 門司亮

    ○門司委員 せつかくおいでになつておるから、あなたの方にちよつと聞きたいのだが、例の刑罰の関係です。それは講和条約と同時に内地では特赦が行われたのですが、この適用は一体どういうふうにされますか。
  103. 林修三

    林政府委員 これは実は一昨日提案理由の説明に続きました細目の説明で御説明いたしたのでございますが、この法律は御承知通りに刑罰法令のことにつきましては実はほとんど触れておりません。ということは、この考え方を御説明いたしますと、従前の琉球政府なり軍令に基きまして刑を受けて、現に執行中のもの、あるいはまた違反行為をしてなおまだ捜査中であるとか裁判中のもの、これにつきましては一応全部従来の刑罰法令は失効させるという考えでございます。従いまして一応それは全部釈放し、あるいは手続をそこでやめてしまう、但しそれではまた一方におきまして現地の治安の問題もございますから、それにつきましてはいわゆる刑法等につきまして、外国において犯罪を犯した者におきましても、日本人である限りは処罰のできる罪があります。自然犯のうちの相当大きな部分を占めております。これにつきましてはその法律によりまして、もう一ぺんこれを再起訴するということを考えておるわけでありまして、これは復帰と同時に現地にあります裁判機関なり、検察機関を充実いたしまして、そういうことにおきまして現地の治安上も支障ないようにし、一面において従前の向う側の法令なり軍令に基く違反として拘禁されておつた者等については、そういうことが継続しないようにする、大体こういう考えでおります。
  104. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、それについて新しい法律か何かお出しになりますか。
  105. 林修三

    林政府委員 今申しましたことを実行するにつきましては実は何も法律はいらないのでありまして、向う側の法令はこの二条の三項、三項へあげます以外は当然に日本については適用がなくなるという考えでございます。外国犯罪については刑法がございます。それによつて、時効にかかつておらない限りは当然日本の裁判所なり検察官において処理し得る、かように考えております。何らの法律措置はいらないと存じております。
  106. 門司亮

    ○門司委員 ごくまれな例だと思いますが、日本では昨年の四月二十八日ですから、これはその前の日本の刑法その他に触れたようなものがあると思いますし、いろいろな問題があると思います。従つて恩赦というものは遡及してまで考えられるかどうかということですが……。
  107. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいまの点でございますが、内地の裁判をすでに受けておつた人で向うに行つている人がいる、そうして昨年の恩赦というふうなものには、具体的な適用を受けられなかつたというような方があるかもしれないのであります。その方については当然何らの法律措置を要せずして属人的にこの前の恩赦令を適用するというふうに考えられますので、別に不公平なことは起らないと考えております。
  108. 中井一夫

    中井委員長 それでは第三条に進みます。
  109. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと委員長、これはだれか大臣に来てもらわないと困るんですがね。これに書いてある別表の改正時期というのは一体いつごろになるのですか。今の公職選挙法に書いてある通りに解釈すればよろしゆうございますか。
  110. 金丸三郎

    ○金丸説明員 公職選挙法の別表の備考欄ですかに書いてございますように、この次のときは昭和三十年の国勢調査が行われました後が予定されておるわけでございます。
  111. 門司亮

    ○門司委員 ここに問題が残されるのではないかと思います。ちようど法律に書いてある通りに行けば、今お話通り三十年になる、これは間違いないと思うのだが、その間に選挙を何回やるかわからぬ。従つ私は法の建前から行けば、むしろこの点は次期選挙には四百六十六人の現行にもどす方が理論的ではないかと思います。四百六十七人にふやすということは単なる一時の便法だと思います。そうして別表改正のときにまたふやすという意思があるなら、私はむしろ今なら今選挙して、次の改選期までにそれを認める方が合理的ではないかと考えるが、それはどうなんですか。
  112. 金丸三郎

    ○金丸説明員 私も立て方といたしましては、御説の通りそのようなことも確かに道理があると存じます。ただ現在の奄美群島住民の人口が各府県に配当いたしております衆議院議員の定数の配当の基礎に全然入つておりません。今度復帰に伴いまして新しく二十万以上の人が入つて来られるわけでございますから——そうして衆議院議員一人当り平均十五、六万に当つております。優に一人の代議士を出し得る力が奄美群島にあるわけでございます。そういたしますと、次の総選挙で現在の別表通りになりますと、全然配当の基礎数になつていないままで、三人の代議士を出さなければならないというのでは酷ではないかというふうに考えますので、やはり私どもは全体といたしまして別表が構成されるとき、大島の基礎人口を入れまして配当し直すというときまで一人ふやしておきました方がよろしいんじやないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  113. 門司亮

    ○門司委員 問題はそこに残されるのでございますがそうすると三十年には全国的に議員の配置を変換しなければならぬ。あなたの今のお説のように人口を基準にするということになると、大体現行の配置だけでも十七万いくら、約十八万になると思いますが、そういたしますと、今でも十六の各選挙区における議員定数の異動が行われなければならない。だから三十年には必ずそれをやるというような腹案がなければ今のような答弁はできないと思う。政府は三十年には今の議員定数をそのまま残しておいて、そうして人口に按分したもので必ずやり得るという御確信があるのですか。それまでにやるおつもりですか。これは非常にむずかしいデリケートな問題を持つております。私はそういうことを心配するから聞いているのです。
  114. 金丸三郎

    ○金丸説明員 選挙区の定数を昭和三十年の国勢調査あとで必ず配当をし直すといふことは、現在のところは考えておらないと思いますが、これは非常に大きな問題でございまして私の一存で申し上げかねると思いますが、現在のところそういうことははつきり申し上げるまでに至つておらないと存じます。
  115. 門司亮

    ○門司委員 私はそれはほんとうは大臣に聞きたかつたんですが、大臣が出て来なければ話がわからぬと思うのです。単なる便法だとすれば、私は次期の選挙でもこれはいいのだというふうに考えられる。今のようなお話で、三十年の別表改正のときだということになると、当然今でも十六箇所異動しなければならぬ。従つてはつきり言えば東京の一区でありますが、現在五名のところが七名になるようなことができるのです。人口基準で行けば、鳥取県が四人のところが二人か三人になるでしよう。人口を六十万しか持つておりませんから、四人はとれないでしよう。三人になるでしよう。そういうことで行きますと、十六箇所の異動を行わなければならぬということは現在明白でしよう。それを行わないで、ここだけがどうも二十万あるのだから一人ふやしておくのだ、それをかりに二十万あるからといつて鹿児島県の第三区に持たしても人間の異動をしない限りは現在鹿児島県の第三区は三人です。別表を改正しなくても同じことです。別表に予定しなかつたというために一人ふやすというなら、あくまでこれは便法でありまするから、次の改正期までこうしておくというておいて、現在復帰したと同時にやはり代表者を出し得る道を開くことは、私はけつこうだと思うのだが、その次はずつとこれを連続しておいて、そうしてその理由は現在人口が幾らだから当然出せるから出すのだということになると、どうしても三十年にはかえてもらわなければ私はその理論は通らぬと思うのです。その意思がなくて、こういうことをするということは、そのときになつてまた問題を起すと思う。これは一体どういうふうにお考えになりますか。
  116. 金丸三郎

    ○金丸説明員 確かにお説のような点はございますので、そういう点は私も御同感でございますけれども鹿児島県の現在の人口に大島の人口を加えまして、そうして、現在は昭和二十五年に国勢調査がございましたから、それによつてかりに各府県ごとに新しく配当いたし直してみますと、鹿児島県は十一名にふえるのでございます。従いまして昭和三十年に別表の改正があるかないかは、私ここで申し上げかねますけれども、現在二十五年の国勢調査人口で配当いたしますと、鹿児島県は一人ふえて参るわけでございます。それは当然第三区、従つて大島関係の人口の復帰に伴うものと考えられまするから、そのような意味におきまして実質を考慮いたしますると、一人ふやしましてこの次の別表改正まで待ちます方がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  117. 門司亮

    ○門司委員 私は今の理論ではどうしても承服しがたいのです。そうだとするならば、さつき申し上げたように、東京はたしか四人ふえる、北海道が二人ふえます。神奈川県一人、愛知二人、大阪が四人ふえます。それから福岡が一人ふえるのですか、これは大体数字ははつきりわかつておる。私は選挙に関する特別委員会にちよつとおりましたから、その点はかなりよく調べております。従つてもし今のあなたのような御議論なら、今おかえになつたらどうです。東京のように当然七人出せるものを三人しか出していない不合理がはつきり現存しておる。みな十八万なら十八万を基準にしてわけられておるならあなたのような議論も立つかもしれないが、現実においてどうにもならぬところがある。横浜の例をとつてもここの選挙区では人口百万を越えております。それでもやはり定員は四人しかおらない。それは当然三十甲なら三十年にかえるということが前提になつておればそれでいいと思う。目安がついておればそれでいいと思う。そうだとすれば、やはりこの場合も次の改正までということで、鹿児島県第三区は割は悪いだろうが、しかし他にもそういうところが一六箇所、実際にあるわけでございます。決してないわけではありません。従つてやはり同じような形にして行くというなら、これは現在代表が割当ててなかつたところに当然代表者を出すべき資格といいますか、人口を持つておるから、そこから出そうという便法は私は承認できる。それはけつこうだと思うのです。しかしそれを一応承認されたが、次に別表はいつ改正されるかわからぬということになると、鹿児島県の第三区だけ特別に、永久に認める、永久にという言葉は少し言い過ぎかもしれないが、認めることになるので、それでは内地としてもなかなか簡単に片づかないと思う。従つてこの点は、やはりそういうことにこだわらないで行つた方がいいのじやないか。そうするなら次期改正までいこういう形で行つて行くというとの方が、どこまでも便法である以上はそうしてもらつた方がいいのじやないか。これはよつぽど考えてもらわぬと、かなり大きな問題を起しますよ。  これは自治法などでもそうなのです。市に合併された場合には、それから議員を出して来る。次期の改正のときにはかえられるのです。その次には定数がかわつて来るからやむを得ず一つの選挙区が与えられたとすれば、区制をしいておるところは一つの選挙区が与えられるが、区制をしかなければ勢いその市の全体の定員の中に入つて来るのであつて、決してそこから特別なものを出すというような方法は考えておらない、やはり次の改正の場合にはかえられるようになつておる。これは私は選挙法としては正しいと思うのです。だから次期別表までというようなあてがない——あてがないといつては悪いかもしれないが、法律にはあてがあるように書いてあるから、一応三十年という解釈ができると思うが、現実に聞いてみれば三十年にやるかやらぬかわからねということになつて、あてがないということになるが、そういうことを認めておくのがいいか悪いかということです。
  118. 金丸三郎

    ○金丸説明員 合併によりまして人口の異動があつたりします場合には、やはりすでにございます法律範囲内における人口の変動でございますので、特別に多くするということはあり得ない。それから選挙区の人口に異動がございますので、現在では五年ごとに議員定数の変更を行うのを例とする、こういうふうになつているわけであります。これはどちらかと申しますと、通常の事態における調整でございます。今回の大島郡の復帰と申しますのは、いわばそういう人口を全然考えないで、配当してございます基礎数でございますので、全体の調整が行われるときまで行つていいじやないか。ほかの内地の一般の場合の人口の異動は五年ごとで行う。それまではいたし方ない。それはそういう前提に立つて立法が行われておりますけれども、大島郡の復帰は、異常な事態のもとで復帰して参るわけでございますから、公職選挙法の従来のわくだけで、必ずしもまかなわなくてもいいのではないか。法律に昭和三十年には行うということが書いてございますから、私から必ず行うとか、行われるであろうとは申し上げかねますけれども、やはり公職選挙法にこのように規定してございます以上は、それをまず尊重いたしまして、とのように措置いたした方が適当ではないかというふうに考えるわけでございます。
  119. 門司亮

    ○門司委員 大臣でありませんから、あまり聞くことは遠慮した方がいいと思うのですが、実際は法律通りに行けば、三十年とはつきり書いてある。しかし片方に選挙法改正の特別委員会ができておつて、ここではできるだけ近い機会に別表の改正といいますか、選挙法の改正をしたいという考え方を持つていると思う。また持たなければならぬと思う。さつき申し上げましたように非常に大きな不公平がある。そのことのために当然そういう意見が出て来ると思うから、そういうことを私は聞いてみたんだが、三十年にもどうなるかわからぬということなら、私としてはあくまでもこれが便法であるとするなら、次期改選までということでなければ筋が通らぬと思う。これ以上押問答はいたしません。私はそう考えております。
  120. 中井一夫

    中井委員長 それではその程度にいたしまして、第四条に進みます。国の行政事務の委任に関する規定であります。
  121. 北山愛郎

    北山委員 この国の行政事務のことなんですが、これは現状における奄美大島の国の行政事務に当る部分といわゆる市町村等の自治的な公共事務、あるいは市町村行政事務といいますか、そういうものも内地にはあるわけなんですが、そういうふうな関係は、日本内地の状況とひつくらべてみて、著しく違うという点がないですか。そうでないと、この国の行政事務というものを単に政令の方で、一方的にきめてしまうということになると、今の日本の国内のやり方と非常に違う規定を、政府政令でもつて一方的にきめてしまうというような危険があると思うのですが、その辺はどうでしよう。
  122. 小林與三次

    小林説明員 今お尋ねの問題でございますが、市町村府県並びに国と三段階ありますが、市町村府県及び国との関係におきましては、実は内地と実体上の制度として大してかわりがありません。市町村のものは内地通りに全部なるわけです。この規定はそうでなしに、現在府県の段階におきまして、向うは今琉球政府一本でございまして、そこで琉球政府市町村と、こうなつておりまして、その琉球政府の段階に、日本でいえば日本の中央政府の仕事と府県庁の仕事と両方一本になつてつているわけでございます。その関係におきましてその仕事をすぐにわけた方が都合がいいかさしあたりはそのまま一本でやつた方がいいかというところで、こういう問題が起つたのでありまして、この市町村に関しては御心配のような点が全然起らないように思います。
  123. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、ここの行政事務という意味は、今日本国内で行われている普通の行政事務範囲考えて行くというわけでございますか。
  124. 林修三

    林政府委員 もちろんこの第四条で書いております国の行政事務という意味は本法の政令における国の行政事務意味でございます。
  125. 門司亮

    ○門司委員 ここはさつき大分大臣に聞きましたから、あまり聞きたくはないのですが、これは事務当局で大臣の構想されているようなことを考えられて、こういう条文になつていると私は思うんだが、もし行政の簡素化その他をお考えになつているということがあるとするなら、おわかりになりますか。どの範囲をこのようにしようという……一。
  126. 林修三

    林政府委員 それは先ほど塚田長官から御説明した範囲を出でないのでありまして、事務的にはそれ以上まだきまつておらないということで、御了承を願いたいと思います。
  127. 中井一夫

    中井委員長 それでは簡易裁判所の設定、第五条、それから裁判所職員の定員、第六条、同じような問題でありますから、一緒に審議を進めます。  御質疑がございませねば、民事訴訟等に関する経過措置、第七条。  ございませねば、市町村及びその機関等に関する経過措置、第八条。
  128. 門司亮

    ○門司委員 これはおそらくあしたの文部委員会との間で問題になると思いますが、「教育区の消滅」と書いてありますが、これは向うでこしらえた法律だからこちらではやらない、こういうことですか。
  129. 林修三

    林政府委員 当然おつしやる通りでございまして、教育区というものは当然なくなると考えております。ただそれに伴いまして職員の引継ぎと財産の引継ぎの問題がどうしても起りますのでそれだけをここで整理する。教育区はほつとけば当然なくなるという考え方でございます。
  130. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、この場合の農地委員関係はどうなりますか。これはやはり市町村関係行政委員会として当然認められると思いますが、これは一体どうなるかということ。それからもう一つは、これは経過措置でありますが、今の現行法から言いますと、市には警察を持たなければならぬということになつておりますが、そういうものについてはやはり内地と同じような取扱いになるわけですか。
  131. 林修三

    林政府委員 今御指摘になりました農地委員会は、御承知のように農地法で規定いたしております。警察につきましては警察法でございますが、一応警察法、農地法はそれぞれ復帰の日から施行することにはなつております。但し今の公安委員会なりあるいは農地委員会をただちに設けることを強制するかどうかということにつきましては、これは暫定措置なり経過措置で、多少政令でそこに含みを持たせるということも考えられているわけでありますが、御承知のように公安委員会につきまして、内地におきましても新しく市になつた場合には、ただいまのところは議会の議決によつて行うこともできるようになつております。そういうことも参考にいたしまして、公安委員会なり農地委員会なりを、いつから設置するかということにつきましては、暫定措置あるいは経過措置として十条の規定によつて処置されることではないかと存じております。
  132. 中井一夫

    中井委員長 それでは負担金または補助金の特例、第九条。
  133. 門司亮

    ○門司委員 これもやはりあいまいな法律ができておりますから、今の警察法の問題と同じことですが、市になつた場合、町村であつたときに警察を持たなかつたものは、市になつても持たなくていいのですが、そういう問題と、こういう政令にまかせるということは、この法律の最後だから申し上げておきますが、ほとんど全部が政令にまかしてあつて法律では明瞭になつていない。一体こういう建前がいいか悪いかということなんです。これは法の建前上一体どうなんです。政令にまかせるということになると、法律でただ奄美大島復帰に関する法律をこしらえたというだけであつて、内容はわからないんだ、政令で役人にまかしてあるんだということになれば、議会の審議はただ法律をこしらえてやつてあとは官僚にまかしておくんだということになりますが、内容は幾らかわかりますか。
  134. 林修三

    林政府委員 これはおしかりを受けたわけでございますが、もちろんもう少し内容が確定いたしますれば、当然法律に書くべき事項が、いろいろたくさんあるわけでございます。御承知のように実は復帰の時期等に関し、あるいは実施細目につきましては、先方とも打合せ中であります。また国内におきましても、実際の行政措置等につきましては、まだ予算等もただ大わくで入つておるようなかつこうで、実際にどうやつて行くかということにつきましては、まだ打合せ中であります。ただ御承知のように一応十二月一日というようなことが目標になつております関係で、やはり内地法律が一応受入れ得る態勢ができておりませんと、向う側との交渉につきましても、やはり強く言えないというような関係で、やはりこの際いつでも日本側としては向うが返して来れば、この処置ができるのだということを示す必要がございます。そういう意味で、どうしても時期的に、今度の国会で御審議を願わなければねらないというようなことになつたわけであります。従いまして、どうしても今後の事態に応じまして、ある程度こういうふうな経過措置を講じなければならないということもどうもやむを得ないことでございまして実はこれは御了承をお願いできるのではないかと感じておるのであります。ただいろいろ今のお話に出ました公安委員会なり、農地委員会等につきましても恒久的に奄美群島におけるものをどうするかということになれば、もちろん法律で書くべきことと思いまして、それは警察法なり農地法なり、あるいは奄美群島に関する恒久的な特別法をつくるという問題であろうと思います。これは暫定的に、さしあたり向う側から行政権なり司法権が返つて来た場合に、どういう形で受入れるかということの暫定措置——きわめて制限された範囲のことでありまして、その範囲では事情やむを得ず、これはやはり政令に御委任を願わなければぐあいが悪いのじやないか、こう考えているわけでございます。
  135. 床次徳二

    床次委員 第七条の二項でありますが、あるいは質疑があつたかもしれませんが、その終りに「その効力を有しない。」と書いてありますが、これは遡及して参りますか、あるいは単に将来に向つて効力を有しないと解すべきものか、伺いたいと思います。
  136. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 現地の裁判としては有効でありましようが、内地の裁判としていかに認めるかというのがこの七条の条文でありますが、向うの裁判でも内地の公序良俗に反するような内容のものは、これはその効力を認めて行くわけにはいかぬだからそれは効力を認めないことになるという趣旨であります。
  137. 床次徳二

    床次委員 非常にわかりにくいのでありますが、一応この二項で参りますると、「効力を有しない。」というから、遡及して効力を有しないというふうに見ていいかと思いますが、なおこの場合におきましては、一応何らか無効であるということを確認するための行為が必要であるかどうか、そういうことを要せず当然に無効であるというふうに解せられるのでありますか。しかし何が公序良俗に反するかということは何かの認定がなければならぬ、そういう事柄を要するかどうか伺いたい。
  138. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 さつきの点をちよつと補足いたしますると、内地立場から見ると、これは認めないのですから、遡及的にも認めないわけであります。  それから効力を判定する機会があるかどうかということでありますが、これは御承知のように、現行の民事訴訟法におきましても、外国裁判の効力というものは、一定の条件のもとに効力を認めておりまして、その判定は執行の場合を除きましては特にいたしておらないのであります。こういう条件があれば効力を持つという規定になつておるのであります。ただ執行の場合につきましては、そういうふうな条件を備えているかどうかということを、執行裁判所に判定させるということに現行の民事訴訟法ではなつておりますけれども、この法文におきましては、その手続をとることは省略いたしたのであります。それは現地法令も、それから裁判所の実情等も見まして、あらためて判定しなくてもいいのじやないかというふうな考え方から、そういうようなことになつているのであります。
  139. 床次徳二

    床次委員 ただいま抽象的なお言葉がありましたが、公の秩序、善良の風俗に反するものというのは、どういうものを予想しておられるのですか、多少の例があれば承りたいと思います。占領行政下でありますので、軍事裁判あるいはその他簡単なもので行われたものもあるかと思います。こういうものにつきましては、これに該当するものがあるようにも予想されるのでありますが、多少の例がありますれば伺いたい。
  140. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいまの点につきましては、公の秩序、善良の風俗という言葉は、現在の民事訴訟法にそういう条項がございまして、その字句に覆つたのであります。その内容といたしましては、たとえば法律上禁止されている犯罪行為をすべきことを命ずるという場合がこれに当るというふうなことが、教科書あたりに一二出ておるのでありますが、現地の裁判で現実にそういうふうな内容の裁判があつたということは、現在のところあまり想像ができないのであります。ただ万一そういうふうなものがあつた場合には、これは認めるわけに行かないというので、念のために規定したのであります。  現地の裁判が軍の命令等で歪曲されたというふうな事態があるかという点でありますが、この点は幸いにして何らそういう事態がないようであります。
  141. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 それでは今床次さんのお問いになつた例として、こういうふうに聞いていいのですか。現地裁判所の確定の裁判で、猥褻の行為があつたから、そういうことについて損害賠償の訴えを起し、その損害賠償の訴えは現地で裁判が確定した、いわゆる猥褻の行為のために損害を幾らよこせという請求をして、現地裁判ではこれを認めて何万円払えという判決があつた。しかしながら、そういう裁判が確定しておつても、この法律によつて効力を認めない、こういうふうに明らかにしたわけですかどうですか。
  142. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 私の説明が不十分でありましたが、御指摘のような場合にそれを認めないというような趣旨ではないのでありまして、判決の主文の内容自体が、たとえばある犯罪行為をなすべし、刑法の条文に該当するような事態の内容の行為の給付を命ずる判決、そういうような場合をさしておるのであります。これは、もうほとんど想像できないのでありますが、万一そういう判決があればということであります。
  143. 中井一夫

    中井委員長 それでは進みます。必要な経過措置等の政令等への委任、第十条。
  144. 門司亮

    ○門司委員 これは最後でありますから、簡単に聞いておきますが、さつき申し上げましたように、ここで全部が政令に委任するということをはつきり書いておりますが、何でもかでも政令でやられる官僚にはきわめて御都合のよい法律ができたわけです。それはそれとしまして、問題になりますのは、これは自治庁からはつきり聞きたいのですが財政処置その他は必ずしも予算の面では十分でないと私は思います。従つて問題がはつきりして来れば、次の機会と申しますか、たとえば補正予算があるいは組まれるかもしれません。それからさらに来年度の予算も提出される。そういう機会には、やはり十分なる処置をとられるという御意思があるかどうかということでありますが、この点をひとつ自治庁から聞いておきたいと思います。
  145. 小林與三次

    小林説明員 われわれの考えといたしましては、今年度内ならばこの程度の予算なら、何とかなりはせぬか。今お話通り、来年度以降の問題につきましては、これはあらためて基本的に考えて、必要な経費を計上する、こういうふうに考えております。
  146. 床次徳二

    床次委員 十条で見ますると、法令の中にいろいろと特例を設けることも、第十条の三号でもつてできるように思われるのであります。たとえば第九条のごときは、これは負担金、補助金に対して、政令特例を認めるということが特に書いてありまするが、一般的の法律に対する特例は、やはり十条でもできる、さように解していいと思いますが、いかがですか。
  147. 林修三

    林政府委員 この第十条の二号三号に書いてありますが、経過措置いわゆる従前のたとえば医者の免許なら免許を、日本の医師法による免許と見なすとか、そういうことは当然必要だろうと思います。あるいは第三号でそういう経過措置と多少離れますが、たとえば一定の事項につきまして、今まで日本では登録、登記を必要としていたけれども現地では今まで登録、登記を要しなかつた。こういうものにつきましては、ある期間免除する。こういうことに対する法律措置は当然原則としてできるという考えであります。その範囲はこの二号、三号の範囲を出るものは、もちろんできないわけでございますが、やはり復帰に伴つて必要な措置あるいは経過措置、そういうことでございまして、従いまして九条は多少そこを逸脱いたしますので、第九条は別に書いて規定したわけでございます。
  148. 床次徳二

    床次委員 たとえば漁業法のごときものも、漁業調整委員の選挙という規定がありまするが、ああいうものはすぐにはここに出ない、これは単に前の第二条によりまして施行期日を延ばしておくというよりも、あるいは選挙ということをはぶいて、適当な措置をするというような特例を置くことがいいかもしれないということが現地では言われております。そういうふうなものは、やはり経過的なものとしてここに考えて、三号なり二号なりに該当するものとして扱つてよろしいか。
  149. 林修三

    林政府委員 私はさように考えております。さようなことがまず前提でさせる考えで、これを書いたつもりでございます。
  150. 床次徳二

    床次委員 少し前にもどるようでありまするが、これに関連しておりますが、第二条の二項の特別の事情ある場合というものは、ただいまの規定と比べましたときに、どの程度の解釈をしていいかという点があるわけでありまして、いろいろと現地事情のあるときは、相当広くこの現地の特殊事情というものを考慮して、やはり延ばし得るのではないか。第十条との権衡から見るとそれだけの例外を認めてもいいのではないかというふうに思われまするが、この点どの程度の幅でもつて、第二条を考えておられまするか。第十条等から見ますと、二条の二項というものは実は相当広くしていいのではないかというふうに考えられます。原則から見ますと、六箇月が非常に強く出ておつて、特別の場合が非常に狭く見えるのですが、実は特別の場合を相当広汎に認める趣旨であるというように解してよろしいか。
  151. 林修三

    林政府委員 事情によりましてはそういうことが必要だろうと思うのでございますが、ただ気持といたしましては、第二条の一項は日本本邦法令施行しない。その間の空白は三項で琉球政府法令なり軍令を施行するような状況になつております。本邦法令としては非常な変則措置であります。十条の方で参りますれば本邦法令法令関係でございまして、ここで特例を書くということでございます。そこは時期的にもそれほど強くしぼつておらないのであります。実は二条の二項は、気持といたしましては、多少そういう気持があつたのであります。しかしおつしやいます通りに、気持といたしましては、もちろんこれを相当広く考えなければならぬ事情もあると思います。一応気持はそういう意味本邦法令が原則として、そこに行く建前にして、なお経過措置が必要なものは、むしろ十条の経過措置でまかなつた方がいいのではないかというようなことで、二条の二項は強くしぼつておるわけであります。そういう気持の問題であります。
  152. 北山愛郎

    北山委員 十条の一号、通貨の交換でございますが、現在のB円の一円が日本円の三円に相当するというふうに考えます。実際に通貨の交換をなさるような場合に、今までのこのような公定の率によるか、あるいはまた現在の物価関係、そういうものを考慮して別個の立場から計算して、この交換の比率をきめるかどうか、その考え方をお伺いしたいと思います。
  153. 金子一平

    ○金子説明員 お答え申し上げます。ただいまの通貨の交換の比率でございますが、これは前に十島村が返りましたときに、三対一でB円一に対して日本円が三の割合で交換されておるような実情でございます。おそらくそれと同様の交換比率になろうかと思うのであります。問題はやはり外交交渉の問題でもございます。向う側との話合いで、最終的な決定が行われる、こういうことになろうかと思います。
  154. 北山愛郎

    北山委員 これは規定の上には直接関係はありませんが、この大島には国有財産が相当あるようであります。現在どのように管理されておつて、それが現状のままで引継がれるかどうか。出国有財産の状況を伺います。
  155. 金子一平

    ○金子説明員 国有財産は、ただいま琉球政府の管理下にはございませんで、アメリカの民政部の直接の出先機関が大島にございまして、そこで管理いたしております。大体私ども現地で見ましたり聞きました範囲におきましては、日本の国有財産はそつくりそのまま特別売払い処分をやつたというようなことなしに、管理されておるようであります。
  156. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいのは、今表をもらいましたが、ちよつとふに落ちない点があるのです。ここに書いてあります一億五千二百五十九万B円、これを日本円に直しますと四億五千七百万円になります。これはおそらく当時の奄美大島における現金の高だつたと思うのですが、これはそうなのですか。そうだといたしますと、大島の住民の持つておりました現金でない預貯金というものがほかにあつたはずです。それはおそらく日本政府に、たとえば鹿児島県なら鹿児島県の農協に預けてあつたものが私はあると思う。それらのものに対しては、これは当然凍結されておりますから返されると思いますが、その場合に占領された当時のままで返されるのか。今の時価に見積つてお返しになるのか。これは住民たちにとつては、かなり大きな問題です。昔の六百万円なら六百万円というものを、農協に預けてあるそのままの姿で返されたのでは、今の貨幣価値からいうと使いものにならないことになるのではないかその辺の考慮を政府は払うつもりがありますか。
  157. 金子一平

    ○金子説明員 ただいま表にありました一億五千二百万これは三倍ということではございませんで、初め交換いたしましたときは、B円と日本円を一対一で交換いたしております。一億五千二百万円当時の金があつたということでございます。  後段でお話の、当時の凍結資産をどうするのか、こういう問題でございますが、これは日本復帰いたしましたならば、さつそく解除したいという考えでございますが、その場合のその単位の計算を現在の時価でするか、当時の円でするか、これはなかなかむずかしい問題でございます。私の考えでは、当時の十万円の債券はやはり十万円の債券として返さざるを得ないのじやないか、かように考えておる次第でございます。
  158. 門司亮

    ○門司委員 大体常識的にはそう考えられるのでありますがそうなりますと、ここにおりまする人たちの損失というものは、かなり大きなものになりますね。これは凍結されたということのためにそういうような事態が起された。占領されたためにそういうことになつた。従つてその責任は国が負うべきだ。国がそういう責任を負うべきだということを考えて参りますとやはりこれは何らかの措置をとるべきではないかというふうに考えられるのであります。単にこれは満州あるいは朝鮮その他においでになつた方の資産が凍結されたという問題ではなくて、これは私は相当考慮してやる余地があるのじやないかというような気がするのですが、何らかの便法は考えられないですか。
  159. 林修三

    林政府委員 今お話がございましたが、一応形式的に申せば、やはり満州や朝鮮にあつたもの、あるいは戦後に、たとえば旧円として凍結された債権とか債務とか、そういうものと形式的には同じだということを言わざるを得ないのであります。ただ特別の措置をするということになれば、やはり特別の立法なり特別の財政措置がいることと存じまして、これはやはり相当考究すべき問題じやなかろうか、相当考慮を要する問題じやなかろうか、私ども立場としては、今にわかにお答えができないことではなかろうかと存じます。
  160. 中井一夫

    中井委員長 一応これをもちまして本案の逐条審議は終了したものと承知してよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 中井一夫

    中井委員長 さように決定いたします。  つきましては、明日午前十時から、選挙に関する委員会と法務に関する委員会との連合審査をいたしますが、できるならばその後ただちに本案の採決というところまで参りたいと思うのでありますが、いかがでしよう、そういう進行の程度でよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 中井一夫

    中井委員長 それではそういうことにいたしますから、何とぞ各党におかれましては、その御用意をお願いいたします。     —————————————
  163. 中井一夫

    中井委員長 この際お諮りをいたしたいことがあります。すなわち連合審査会の件についてでありますが、目下審査中の本案につきまして、法務委員会及び選挙法改正に関する特別委員会よりそれぞれ連合審査会を開会したい旨申入れがありましたが、両委員会と連合審査会を開会するに御異議はありませんか。正式にひとつ御意見を伺います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めさように決定いたします。連合審査会は先ほども申し上げましたように、明三日午前十時より開会いたすことにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時五十四分散会