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山中(貞)
委員 この問題は
復帰が実現しなければ、塚田
長官にいくらお尋ねしても隔靴掻痒の感があるので困るのでありますが、そういうことでありますならば、先ほど
床次委員から詳しく町村税の問題あたりまで論及されましたので、重複を避けまして、二、三私からお尋ねいたしておきます。
復帰がただいままでの
質疑その他によりまして、
はつきりとした見通しは、当方において十二月一日を予定しておるにもかかわらず、現在までも得られてないというのが、その最終的な結果であるように
考えます。そうしますると、それまでの間米国の軍政下にある
琉球政府を通じて遺憾なきよう
措置をしてもらいたいという希望にな
つて来るのであります。しかしながら一方においては
ダレス声明が行われました直後に、十一月一日以後の財政の交付金は一切琉球軍
政府から打切るのだという通知等も、半公式に出たとか出なか
つたとかいううわさも広がりましたくらいで、実際には米国の
奄美大島に対する軍政というものには、愛情が感じられないのであります。それはすなわち私
どもがどう受取ろうともそれは別といたしまして、少くとも占領下の土地、
住民という感情が、米国には依然として残
つておるのでありまして、
従つてそれらの
考え方の及ぼすところが行財政的に、非常な愛情のない姿とな
つて、
生活は窮乏し、あるいはまた先ほど
お話がありましたように鶏税までかけて、町村税の増収をはからなければ、財政が保てないという現状にな
つておりまするし、そうしてそういう苦しい財政をやりくりする一方においては、
住民がその
負担に耐え切れずに、要援護世帯、
内地で
考えますような要援護世帯的な
生活に転落をいたしました上に、さらに窮乏せる行財政を推持する上には、金品まで提供いたしまして、財政規模の維持をはからなければならない。こういうような非常にかわいそうな状況にあるわけであります。
従つて私は
復帰の時期については外務省に
お話を申し上げますが、その
復帰が当面さしあたり十二月一日を目標とする、こういうふうにいたしましても、具体的な確実性がありませんから、それまでに
措置すべき手があるのではないかということを
考えてみたいと思うのであります。すなわち現在の
日本の中央、
地方の
法律から
考えますと、現在のような
立場で取離されております
奄美大島に対しては、行財政的に直接手を差延べる方法は、非常に解決が困難ではないかと思うわけであります。しかしながら、これを一方において
鹿児島県の
行政当局である県庁並びに県議会を中心といたしまして、
政府の
考えさえきま
つて来れば、どんな受入れでもしようという受入れ態勢が、正式に県条例をも
つて発足いたしておるわけであります。そういたしますと、
奄美大島に対してこのような十億の
予算を伴う
復帰に関する諸
法律を提出いたしまする以前においても
現地におきましては、特別平衡交付金等の中に特別のわくを設けてもら
つて、そして直接特別平衡交付金を
現地に流すことは不可能であろうから、
鹿児島県に受取
つてもら
つて、そして
鹿児島県から
奄美大島に対して、今審議機関、あるいは受入れ団体という名称のものをつく
つておりますが、そういうものに対して交付する。そうするとその団体から直接もつとも必要とするもの、たとえば先ほ
ども床次委員が触れられましたが、南部諸島は三十年来の大旱魃によりまして、非常な窮乏
状態に陥
つておりまするし、那覇あたりから輸入して、その他の島など旱魃でないところの人たちも蘇鉄の実を食べておるという
状態である。そうすると米国の軍政の愛情のない姿をそこに示しておるわけでありますが、一方において私
どもとしては、帰
つて来るということが
はつきりしましたならば、そういうものに対して政治的に黙視できないのではないかと思うのであります。そうするとそういう
人々に対して
鹿児島県が指導性を
とつたところの食糧の応援、あるいはまた一方財政的には、七月一日に
施行しました
教育税というようなものがありまして、
奄美大島の
教育委員会は独立しておるわけであります。完全に行
財政面において独立をいたしております。ところがその
教育税は徴収困難であることが最初からわか
つておりますために、
市町村の税でありながら琉球軍
政府が徴収するという税の
施行をいたしておりますから、実際に
市町村は
教育税を
予算に組んでおりますけれ
ども、全然徴収いたしておらない。そしてそれにかわるものを徴収しなければ
教育が停頓いたしますから、
教育のために要する費用は借入金でも
つてまかな
つております。なぜ借入金なんかするんだといえば、
日本に
復帰したならば、この借入金に対しても当然国家基本的な
教育に対する費用であるから、
日本政府がめんどうを見てくれるだろう、こう思
つて借入れておる、こういう
状態であります。そういうものについて、せめて教科書あたりを
鹿児島県で購入いたしましてそして国の援助によ
つて教科書を購入して、
現地にわけてやるような方法もあるのじやないかと思うのであります。まずそういう点について担当
大臣である塚田
長官の御返事を伺いたいと思います。