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1953-11-28 第17回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十八日(土曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 坊  秀男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 春日 一幸君    理事 山本 勝市君       黒金 泰美君    宮原幸三郎君       三和 精一君    福田 繁芳君       本名  武君    久保田鶴松君       柴田 義男君    井上 良二君       島村 一郎君    福田 赳夫君  委員外出席者         外務政務次官  小滝  彬君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      一萬田尚登君         参  考  人         (全国地方銀行         協会会長)   龜山  甚君         参  考  人         (全国相互銀行         協会常務理事) 島崎 政勇君         参  考  人         (全国信用金庫         協会常務理事) 安武 善藏君         参  考  人         (東京都信用組         合協会会長)  佐々田三郎君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月二十八日  淺香忠雄君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  参考人より意見聴取の件  金融に関する件  国有財産に関する件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事淺香忠雄君が一昨二十六日委員辞任に伴い、理事が一名欠員となつておりますが同日淺香忠雄君が再び委貞となられましたので、淺香忠雄君を理事に指名いたしたいと存じます。この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、淺香忠雄君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、お諮りいたします。今日は日本銀行総裁が十一時十五分までしかおられません。そこで最初日本銀行総裁より、最近の金融状況並びに年末金融見通しについて御意見を伺うことにいたし、その後御質問に移りたいと思うのです。今質疑の通告は五人ございます。まことに恐縮でありまするが、なるべく五分くらいに要約してお願いしたいと思います。それでは一萬田日本銀行総裁にお願いいたします。
  5. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 たいへん時間がないようですので、私も四、五分の間に、今日の金融情勢並びに年末金融についての状況を御報告申し上げます。  従来金融政策といいますか、二十七年度会計年度までとつてみますと、日本経済のあり方は、輸出を振興して行つて国民を養つて行くというのが基本であります。ところが御承知のように、終戦後の生産の諸条件が諸外国に比べて非常に悪いのであります。それで物価自然国際物価に比べて割高であるので、これを是正して行くというのが一番大事な線であつたのであります。と同時に、昨年秋くらいから貿易情勢が一層悪くなつたのでありますが、一応二十七年度会計年度をとつてみますと原因についてはいろいろ考えなければならぬ理由があるのでありますが、国際収支は、九億五千万ドル程度受取勘定で、ともかく国際収支が受取り超過にある間に、今申しました国際物価に対して割高であるこの物価を是正して行く。そうしてそういうふうな国際収支状況下においては、なるべく生産コストを下げて、物を安くつくることを可能ならしめる。従つて物を安く売つて生産が継続して行ける。単に物の値段生産コストにかかわらず下げるという行き方では、とても国民を養うに足る生産の持続ができない。つくれば損をする、こういう状態、それではいけないという考えで、生産コストを引下げる。言いかえれば、当時唱えておりました合言葉は、産業合理化であつたのであります。合理化ということを金融的に申し上ぐれば、金融を質的に規正して行く、合理化に役立つ資金は、なるべくめんどうを見よう。しかし資金量全体はやはり足らぬから、従前のような規正を加えて行く、こういうのが従来からの行き方であります。ところが昨年の秋から、国際収支は漸次悪化をして来た。ことに最近、今私の申し上げる数字は、九月末の数字を今なお記憶に持つておるのでありますが、それによると、今年はもう九月末で、国際収支はすべてを入れて一億二千万ドルくらい支払い超過、昨年はその当時同期におきまして三億四千万ドル受取り超過、今年と去年では四億五、六千万ドル国際収支が累増という状況、今後輸出が漸次よくなると思うのでありますが、それにしても平常の、言いかえれば冷害、風水害による食糧輸入を特に必要ならしむる点を除外いたしましても、通常の貿易におきましても、結局本年は八千万ドル程度支払い超過ということであります。そうしてみると、年度末を比較しても、昨年に比べると差引一億五、六千万ドル国際収支が悪いということ、さらに先ほど申しました食糧輸入が特に追加される必要がある。これを加えると、おそらくどんなに有利に考えても、来年の三月に終る会計年度では、私の推算では、やはり一億五、六千万ドルの赤字が出るだろう、こういうふうな状況であります。そうして世界的に見ると、世界は今日いわゆる和平攻勢、言いかえれば経済問題を中心にして闘争が展開しておる。戦略的な物の需要が減つておる。これは言いかえれば、世界各国貿易によつてそれぞれの国を立てて行き、国際収支均衡をはかる。こういうふうな事態では、国際的に物価が下つて行く。またそういう努力をあくまで続けておる。ところが今言いましたように、日本の現実では、国際収支がそういうふうに悪化を見つつあるにかかわらず、物価関係から見ると、国際物価に比べて日本物価が高いのに、さらに世界が下らんとしているのに、日本は上りつつある。本年に入りまして、すでに卸物価では五分見当は本年の初め以来騰貴、今日に至つては一割以上が騰貴しておる、こういう状況であります。しかも目先物価は下つて行くという安心のできる条件は何一つつていない、こういう事態である。言いかえれば、日本経済貿易に依存して、世界経済と密接な関係にあるにかかわらず、世界経済が左の方向に進みつつあるのに、日本経済は右の方に走らんとしておる、また走りつつある。何としてもこれをこのままにしておくわけには行かない。ここでどうしても反対の方向に行きつつある情勢ストツプする必要がある、こういう見地から、先般来金融面におきまして、従来の合理化という見地、質的な資金というふうな見地からだけではいかぬ、従来のような資金を出しておくことはできないという意味で、今度は量的な調整に重点をかえたわけです。これがずつと最近来、いわゆる日本銀行金融の引締めという言葉で示されておる金融状況でございます。なぜそうするかといえば、経済的にいつても今日の入超、いわゆる輸入は非常に増加しておる、他面において物価が上つておる。今申しましたことは、言いかえれば、国民所得以上に投資が過当に行われておる結果、過当に消費がある。このことを意味するのであります。言いかえれば、国民所得以上にそういうことをやつておるからそうである。そこで、ここでもつと引締める必要があるということになるのであります。これが今日の金融基調であります。  そこで年末金融に参りますが、年末金融については、細心の注意をもつて――最初は、そういうふうに金融基調が量的に移行しておりますので、十分な注意をもつて対処しておりまするが、しかしみんなが年末金融については注意払つて、かつ社会組織の上において弱いという意味から、特に負担が過重されるであろうということが予見される中小企業については、また格段な措置を、たとえば私の方では来月の初めごろに、由来大中企業ということになりましようが、こういう企業が下請に対して未払いになつておる、こういうものについて払つていただくように、そういう措置金融的にもとることにいたして、それらに対する準備もほぼ整つておるような状況であります。さらにまた信用保証協会等の保証しておる手形が、金融界において割れるような措置も講ずる。また他方政府資金にいたしましても、米は不作でありまするが、最近の供出状況は決して悪くないと私は考えております。米もすべての地方がみな一様に悪いというのではない、豊作地方も少くない。しかるに米の値段も上つておるというので資金的な面から見ると去年に比べておそらく米の買上げ代金においては、政府から出た金額は二百億以上多いのであります。それだけ米の代金に関しては、資金的に見ると去年よりもたくさん市場にも出ておるこういうような状況になつておる。むろん今後において、経済全体が違つたつておる方向に走りつつあるのをストツプさせる。同時に引きもとして、国際的な動きと歩調を合せて、そうしてこちらが遅れておるのだから、なるべくかけ足で従来の遅れをとりもどして行くという方向に向わなくてはならぬのでありまするから、全般にわたつて苦しいということは、申すまでもありませんが、ともかく年末金融につきましては、十分注意払つておりますから、それほど特別に困る、特別にいろいろな事態が起るということはなくして行けるという考えであります。  これだけ申し上げます。
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 日本銀行総裁に対する質疑は今のところ五人でございますが、佐藤觀次郎君から発言を許します。佐藤觀次郎君。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今、日銀総裁の一萬田さんからお話伺つたのですが、毎年今ごろになると年末金融がやかましくなつて、われわれ地方から出ておる代議士として、非常に現在の事情が、ことしは特に経済事情が悪いので倒産のうき目を見るような状況もちよいちよいございまして、どういうようなことになるかというふうな不安な空気が一般に非常に流れておるわけであります。そこで今一萬田さんのお話のように、日本経済世界経済の一環としての日本経済でございますから、むろんそういう点はわれわれも考えておりますが、特に今年度において、こういうような逼迫しておる経済状況に対して、特別な年末金融をやつて行かれるのかどうかということが、質問の第一点でございます。  それからもう一つの点は現在日銀銀行券発行高が相当多いということも、われわれは知つておりますが、しかし日銀はことし引締めをやる。引締をやるというのは、日銀のいつもの口ぐせでございますけれども、しかし今年度特に昨年度と比べまして相当多くの引締めをやるかどうか、これはわずか三十二、三日のことでございますが、そういう点に対する総裁の御意見を承りたい。この二点を一萬田総裁に御答弁を願いたいと思います。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 年末につきまして今年特に考えておることは、先ほど申しましたように、私のところとしては、中小企業がどうもやはり社会組織のうちで弱い層である。そうしますと、一般にこういう状況下において受ける苦痛以上に弱いところに重圧が加わつて行くというおそれがある。そういうふうな点は、やはり金融的にも除去して行く、金融的にそういうものが加われば除去して行く。たとえば一番私の有効に考えるのは、またはつきりしているのは、大きな企業が力が強いというので、中小企業のやるものを納入期受取つて、その代金を十分払つていない。こういう事態は、私は、非常にはなはだもつて経済的におもしろくないと思う。信用というものをまつたく無視しておる。こういうものは、そういうふうな社会情勢から来る面に対して金を流してやる、こういう措置をとる。それから組織的、制度的には、信用保証協会等保証業務をやる。これは大体地方銀行さんが九割程度割引される。こういうふうな手形は、本年年末にかけて地方銀行等十分割引を可能ならしめるようにひとつ措置したい。そういうふうなところで、今日において、年末なるがゆえに特に季節的に必要な資金はすぐ年初に返るので、こういうふうな資金について不足させるようなことはしません。これはしかしもう普通の金融である。特別な措置でも何でもない。いつでもそうあるべきだと思う、特別な考え方としては、今根本的な点からすれば、私はあまりここで弱い線を出すということは、これは避けなくてはならない、こう考えております。
  9. 千葉三郎

  10. 柴田義男

    柴田委員 日銀総裁に伺いますが、私ども、中小企業の問題がいつも大きな問題となつて論議されておりますが、中小企業特殊性から考えまして、インフレ要因と、それからデフレ要因と平行線的な状態において、最も困るのは中小企業である、こういうふうにわれわれは考えておりますが、これに対しまして日銀といたしましては、中小企業に対するほんとうに率直な何か具体策を立ててくだすつておるかどうか、この点を承りたいと思います。  もう一つは、インフレ状況は、御承知のように、財政規模が非常に膨脹して参りまして通貨の発行高が多くなつて来ると、当然でありまするけれども、単に日本経済日本経済だけで行けないということは、先ほどの御説明でもわれわれも十分わかるのでありますが、国際収支バランスは、お見通しといたしまして、こういう状態がどれだけ、何年くらい続いて行くのか。私どもは、アメリカ依存経済ではなしに、これをただちにかえる方法考えて大いに主張しておりますが、日銀総裁として、お見通しといたしまして、何年くらいこういうような国際収支赤字状態が続いて行くと考えられるか、この二点を最初に承りたいと思います。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 中小企業に対する対策というものは、これは非常に私の考えでは多岐多端にわたつておることであると思う。ある一つの、たとえば金融措置中小企業が救われるとかどうというふうな簡単な問題ではない。ただこういうふうな金融情勢下において、中小企業に特に金融面から、その性格から重圧が加わつて来る、あるいはまた不合理に取扱われておる、こういう点については、先ほどからも繰返して申しますように、金融上あるところに流れて行く。この点私の一つ中小企業に対する考えを申し上げますれば、むろん企業が非常に多いとか、いろいろな問題が企業自体の場合にも大いに問題があるのでありますが、しかし金融的にいつて中小企業に対して単に金融の便をはかつて中小企業がうまく行くと思われるのは、私は非常な間違いであると思う。そういう場合は、単に救済には一歩も――一歩もというのは少し言い過ぎかもしれませんが、中小企業自体の改善にそれほど役立たない。私の考えでは、金融的に考えても、やはり中小企業をよくするためには、中小企業マーケツトを与える。言いかえれば、中小企業製品が売れて行くそのマーケツトを与える。同時に、流通過程において中小企業製品を扱うものがあつて、そうしてその中小企業製品がうまく流通に行く。ごく端的に言えば、これは全体の財政、あるいはいろいろな方面を考えなくてはならないから、そうしろとか、そうすればいいというのではありませんが、たとえばマーケツトを与えるという意味において一例をとつて申しますると、そのことがはたして今うまく該当するかどうかということは、これはそれぞれの方に考えていただかなければなりませんが、たとえば庶民住宅というようなものがつくられると仮定いたしますれば、これについては、私は、中小企業マーケツトを与えることに非常に役立つだろうというようにも考えている。マーケツトに役立つて中小企業製品が売れれば、自然金融自体もついて行くし、中小企業自体も強化される。つくつたものが売れない、売れるようなものがつくれないかというような事態、あるいは、つくつてもそれを売りさばくマーケツトがないとすれば、大企業国際市場においてマーケツトを持たずして輸出が振興するということは不可能だというようなこと、これと同じような形なんでありまして、そういう事態について、内外の市場について、中小企業マーケツトを十分見出してあげるというような措置が非常に基本的ではないかと、こういうふうに思います。  それから国際収支に関するお話についてもう一つ答えなくてはなりませんが、これはいろいろ御意見もありましようが、払の考えでは日本自分の力で人口問題を――八千五百万の人口があり、そうして例年百三十万から百五十万の増加入品を持つているこの人口、そうして日本産業構造というものが、いいとか悪いとかいう批判を超えて、従来満州まで入れて、しかも南方や今日の中共、中国というような市場を入れて一つ産業構造が形成されていた。国内的には、これはいいか悪いかは別でありますが、いろいろ三井、三菱とかいうような大企業形態がここに完備していた、そういうふうな形でおつたのでありますが、これが戦争に負けたということで、大きなたくさんの領土が全部なくなつてしまつて、そういう企業形態はもうばらばらになつてまつた。全体として産業構造ばらばらになるばかりでなく、個々の企業ばらばらになつて経営者はみな一時なくなつてまつた。そこで、文化国家というようなことも、デモクラシーというようなこともむろんけつこうでありますが、同時に、こういうふうな貧乏のどん底のときに、依然としてやはり金持ちと同じような程度に働くような仕組みになつている。こういうようなことを考えてみた場合に、そう一朝一夕自分の力で十分食えるようになるということは、これは考えにくいことであります。これはあくまで努力をしなくてはならぬが、なかなかむづかしい。これは、食えるためには貿易に依存しなくてはならない。ところが世界的に見て、今日なお、そうこの貿易が伸張されるというような客観情勢ではない。かりに日本の商品がよくて値段が安いにしても、場合によつて輸入制限を受ける、なかなか伸びない、こういうふうな状況下にあるのであります。これはむろん自立経済に向つて行かなくてはなりませんが、そう一朝一夕には行かない。これを可能ならしめるのは、これは私の見解でありますが、要するに、東南アジア諸国といかにしてすみやかに親善関係に出て、いかにして経済的な結合を可能ならしめるかというところにあるのであつて、そうなつて初めて自分自分めんどうを見れる。それまでは、どうしても日本経済は何らかの形において、むろん物をくださいとばかり言うのじやありません。トレードの形でも、ビジネスライクでもよろしいのでありますが、それが日本経済に役立つような意味において、ビジネスライクの援助といいますか、協力というものをどうしても国際的に見出さなくちややつて行けない。こういうのが見解で、従つて自分自身の力だけで見ると、そういう援助がないとすれば、当然赤字が続くと見なくちやなりません。ごく概略でありますが……。
  12. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ重ねて伺いますが、ただいまの御説明で、われわれの考えておることも大分わかつて来たのでありますが、要するに中小企業生産の増強をはかりますると、それに並行してマーケツトを与えなければならぬ、これは当然わかるのでありますが、ただ現在の情勢下にあつて中小企業だけが大きな犠牲を払わなければならない、こういうことはあり得ないと思うのです。これに対しまして、たとえば今度の予算措置が非常に遅れましたことも大きな原因だと思います。こういう実態を全然抜きにしまして、ひとり金融だけを徹底的に引締める、こういう方途がはたして日本の現状の経済情勢下にあつて妥当であるとお考えでございましようか、その点を承りたい。  もう一つは、ことに最近地方銀行その他の金融機関に対する政府預託金引揚げを強行しております。新しくは五十五億を今度預託をしようという計画がございまするが、この中に地方銀行が入つておりません。こういう、われわれしろうとから見ますると非常に不公平なような扱いを大蔵省当局が立てておりますので、昨日もこれに対しまして大蔵大臣のお考えを承つたのでありますが、これらに対する総裁のお考えを承りたいと思います。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 先ほど申しましたように、中小企業中小企業たるがゆえに特に重圧が加わるという点、非常に御心配のようでありますが、その点にもまつたく同感であるので、先ほどからしばしば申したように、そういう点は金融面からも排除して行く、そういう具体的なことも申し上げておいたつもりであります。まあそういうふうで、ひとつ御了承を得たいと思います。  それから金融引締めについてのお話、この点についても、先ほど若干説明を申し上げたのでありまして、大体において国際収支が受取り勘定であるということを一応の目安にして、その間において日本産業をできるだけ合理化し近代化して、そしてこの受取り勘定が、今日はたとえば特需とか、進駐軍の落すお金ということでカバーされておりますから、これは永続性がない。しかしそういう面でも十分国際収支バランスをとれ、受取りである間に、そんなものを使つて日本産業を近代化して行こう、いわゆる合理化して行こう、そうしてそういうものがなくなつた場合には、日本産業自体で大いに輸出してかせいで、国際収支バランスをはかつて行く、こういう以外に方法がない。またこれが一番いいという考え方で、従来いわゆる合理化ということを中心にした金融措置とつた。ところがそうした場合に、日本経済というものは――これも各般事情から生ずるのであります。ひとり金融だけではない。政治がむろん一番中心でありまして、日本国民の心構えもむろんありましよう。日本経済がどう向いて行くかということ、そういうふうないろいろな根本的な原因からして、日本経済ひとり世界経済違つた方向に走る。この事態はどうしても捨ておけない。従つてこれにストツプをかける。そのストツプのかけ方も、決して一朝一夕に突然にやつたのではない。たとえば私の方でやつたの高率適用である。高率適用という手段以外にないのでありましてそれには徐々に何回にもわたつて引上げて来ておる。ただ最近の高率適用が、相当きびしい段階に来たということは言えるのであります。そういう状況考えて、政府財政資金が払い超になる十月を特に選んで、それを実施している。そうして現在の情勢下においてできるだけの配慮は加えておるつもりであります。  それから政府預託金に対する問題は、大蔵大臣から御説明があつたとすれば、その通りでいいと思いますが、先ほど申し上げましたように、今日金融重点が量的な方向に移つて来ておる。従つてそういう全体の量的関係を見つつ、預託金の方の引揚げもする。しかしこういう点については、今後の他の政府の払い状況、あるいは予算執行状況等々からお考えになつて預託金については、むろん各般情勢に適応するような考え方もあり得るだろうと私は考えておりまして、特に中企業等については、大蔵省も新たに十五億以上の金を入れるというようにもなつているので、その辺のことも示されているように私は考えます。
  14. 千葉三郎

  15. 本名武

    本名委員 一萬田総裁にお伺いいたしますが、先ほど冒頭のお話の中に、今日の日本金融体系の、あるいは金融措置の誤れる方向を是正しなくちやいかぬ。従来は質的な面からこれを行つて来たが、量的にかえたい、こういうお話であります。これは常識的にも理論的にもまことにうなづけることでございますが、今日の実情は、必ずしも質から量にかわつた現況が、均衡のもとに行われておらないのであるが、今後においても、さらにそれが極端になるのではないかという心配がございます。その一つの例といたしましては、最近のいろいろな情勢から、各種の銀行ともにそのように感ずるのでありますが、まず第一に貸出しの傾向が極端にかわつて来た。その一、二を申し上げれば、従来は信用で貸していたが、このごろは不動産ないしは証券の担保貸しでなければいけない。あるいはまた設備資金合理化資金というものはなかなか貸し出しにくい。あるいはまた大銀行においては、旧財閥系の企業が徐々に集中されつつある。そこに金融の安定性を求めて、その方面に貸出しをしたくなる。あるいは優良な貸出先を一生懸命金融機関があさつて、探してそこに集中したがる。さらにまた、貸出しが大口化されまして、しかも短期に回収のできるところに向いたい、こういう傾向は私は否定できないと思う。もちろんそのことによつて、そのしわ寄せと申しますか、金融上犠牲をこうむるのは中小企業であろうことは申すまでもないことであります。このような傾向下にあるときに、先ほど言われたいわゆる重的な制限をこの上なさるということは、今日においてさえそのような傾向にある場合に、将来はおそらくもつと極端になるのではないか。従つて常に苦境にある中小零細企業というものが、一層深刻な金融難に陥ることは容易に予測されるのであります。そこで日銀としては、今後こういう私どもの心配する金融の傾向を、どの程度に本質的に是正される御意思があるかないかということを、まず第一点にお伺いいたします。  その次に、これはよく言われることですが、私まだ実際に数字上の統計をとつていないので、たいへん失礼ですが、通念的に大体地方資金というもの、いわゆる中小企業者の多い地方資金というものが非常に流れて、中央に集中されている。しかもその中央に集まつ資金が、先ほど申し上げたような傾向に貸し出されている。こういう欠点をどうしても是正する必要があろうと思います。これらについて、総裁の御意見を承りたい。  それからもう一つは、散布超過を御心配なさつて、当初は二千二、三百億の散布超過があるという予想のもとに、相当の引締めをなさつたのでありますが、今日の金融状況、特に財政投資の面から考えましても、この引締めをやるべきである、さらに財政資金引揚げ、たとえば預託金引揚げなどという問題が常に先行いたしまして、実際必要なときにはもう金はない。これを逆に引揚げなりあるいは引締めというものを、散布されてから後にやるならば、ここに金融の混乱、特に零細企業への混乱というものは未然に防げるのではないかと思うのでありますが、この順序といいますか、引揚げないしは引締めの時期というものを誤ることによつて、非常な混乱に陥るのではないかと思います。この点について御意見を承りたいと思います。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 まず金融の引締めを今日どの程度まで考えるか、今日の金融の引締めすら非常に苦しいじやないか、こう言われる。それは前に比べると苦しいのに間違いないのでありますが、先ほどからくれぐれも申しますように、今日のあり方というものは、要するに国民の所得以上にインヴエストし、消費をしておるという状況である。これをどうしても是正しなくては、インフレになることは間違いない。インフレはよろしいという観点に御立脚ならば、私はいろいろ言えると思うのでありますけれども、それではいけない。それから特にどういう程度にオーバー・インヴエストであり、オーバー消費であるかといえば、それはたとえば国際収支物価に現われるのでありますが、国際収支においては、先ほど申しましたように、会計年度をとつて、去年の三月から今年の三月の受取り超過が九千万ドル近かつたものが、来年の三月には、どんなに見ても一億五千万ドル以上の払い超過になる。そうすると、今年の国際収支は、去年よりも二億二、三千万ドル食い込みをして来る程度悪化しつつある、こういうような状況下であります。これをこのままやつて行けばどうなるとといえば、まずまず物価が騰貴し、ますます国際収入の赤がふえるという以外の何ものでもない。そうしてその結果は、輸入代金がありませんから、原料その他の輸入もチエツクしなければならぬ、そうすると、また生産が少くなり物価が上る、これでは国民生活を養うゆえんではないのでありまして、どうしてもここは、こういう事態において方向転換をしなければならぬ。これは日本が自給自足ができるような国柄――ただ未開発ではあるが、自給自足のできるような資源を持つておる、いわゆる収支のバランスをとつておる国であるといたしますならば、それは時間をかけてやれば、いろいろとやり方はあるのであります。ところが日本はそういう資産勘定がない国で、一に国際貿易に依存して原料を輸入してやつておる。言いかえれば、商業的な方法においてのみ――のみといつては悪いのですが、それに多く依存して国が養われて行くという状況下にあるのでありますから、どうしても日本の商品が、十分この国際市場で競争をし得るという価格になるように持つて行くことが、絶対に必要であると同時に他の方法によつて貿易をさらに伸張せしめる。ただ私がこの際申し上げたいことは、そうであるからといつて、何か金融は独創的に自分自身でやる、そうして自分自身でそういうことをすれば、万事が解決するというように考えておるのではないかというような誤解があれば、それはひとつ直していただきたい。そういう誤解があるから、お前のやることはどうも行き過ぎだ、こういう行き過ぎがあるじやないかとおつしやるのでありますが私は今、国の金融政策で一応逆勢に向つておる勢いをできるだけ弱めるという程度しか考えていないが、これをさらに向きをかえて、世界経済はこう向いておるが、日本経済はこう向いておるから、それをとめて、さらに向きをかえて、そうしてこれに追いつくためにはそれは金融だけではいかぬ、それには大きな施策がいる。あるいは財政経済政策、あるいは国民生活全般にわたつて、ここで新たにそういう事態をよく認識して、いかに踏み出して行くか、たとえばかりに来年度の、二十九年度予算において非常に放漫な――そういうことはありません。大蔵大臣予算編成方針から見ても、きわめて超均衡予算を組まれておる、非常にけつこうなことです。そうなくちやならぬ。ここで超均衡予算を組まれると、初めて日本経済というものはいい方向に向きをかえることができる。だから金融だけで何もかもやるというような、またそういう大それたことをやると間違いがある限界が常にある。そういう意味で今日の政策をお考えくだされば、御理解ができるだろうと思うのであります。  それから地方資金が中央に集中する傾向がある。これは私どもふだんから注意しておることであつて地方資金が集まるということは、むろん中央から地方資金が流れて行くという関係もありましようが、しかしいずれにしても、地方にそういう資金が一応集まるだけの経済活動が背景にあると見なくちやならぬ。そうすると地方に集まつ資金はまず地方資金の需要に充当して、そうしてその余剤資金をまた中央に返す、こういうふうにやるがよろしい。こういうことはもうほとんど伝統的な――むろんこれは戦時中のああいう経済体制では別でありますが、普通の経済においては、常にそういうことを心がけておるわけでありまして、もしもそれが不十分である点につきましては、地方銀行さんにも十分お願いをしたい、かように考えております。  それから引締めの時期については、先ほど申し上げましたように、こういうふうなことをやる場合にはできるだけ摩擦を少くしたいということを念願しておりますから、考えられる範囲内においても少くする。言いかえれば引締めはなるべく財政資金の散超を見つつやる。ですから、たとえば私どもが十月から始めたにしても、お前のやり方は少し遅過ぎるではないか、なぜもう少し早くしないかといつてもむしろ非難されるくらいでありまして、私はそういうことも十分承知しておるのでありますが、なるべく摩擦を少くしたいという念願から十月から始めたいこういうわけであります。
  17. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつと日銀総裁にお願いいたします。実はお約束の時間が参つたのですが、まだ質問者が三人ありますので、もし願えるならばもう十分間延期願いたいと思います。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 けつこうです。
  19. 本名武

    本名委員 どうも時間が経過して申訳ありませんが、もう一点だけ非常に大事なことなので、特に総裁から直接お伺いしたい。いろいろ申し上げたりお伺いしたいことがあるのですが、それはまた他の機会にいたします。最近私ども見たり聞いたりするのですが、日銀の機構運営について巷間いろいろ伝わつておるのです。日銀の本質的な性格、目的というものを考えますときに、私どものつたない考えでは、国家の金融政策中心となつて、中正公正な金融政策を立てるのが日銀の使命でなければならぬと思いますが、もちろんそれには政府との関連もございましよう、あるいはまた国際情勢経済情勢もございましようが、いずれにいたしましても、これを堅持することが日銀の本来の使命でなければならない。ところがこの日銀法が昭和十七年に制定された。もちろん戦争中でございますから、幾多の欠陥がある。終戦後においても二、三回改正されました。特に二十四年に政策委員会の制度が設けられまして、それぞれ政策を中心として日銀は活動して来た。ところが伝えられるところによりますと、政策委員会が今度は廃止になつて政府の機関の一部になると聞いておる。これがほんとうかどうか、そういう御計画があるかどうか。またさらにそのことがほんとうであるとするならば、政府日銀の中枢をなすところの政策委員会を牛耳るということは、まさに政治的な金融体制がここにでき上るのではないかという懸念も持たれるのでありますが、それらに対しての総裁の御意見を承りたいと思います。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 一国の中央銀行がいかにあるべきかということについては、私もまつたくお説の通り同感であります。ただ具体的に今日本銀行の機構についてどうこうというお話がありましたが、それは私はまだ存じません。ただしかし政府にせよ、日本銀行にせよ、常に自分の規模がよりよくなし、先ほど申しましたように、中央銀行はいかにあるべきかというその線に沿うてよりよくするためにはどうしたらいいかという研究をすることは、よいことだと思います。そのことはあると思いますが、具体的に今どうこうということは何もありません。
  21. 千葉三郎

    千葉委員長 春日君。
  22. 春日一幸

    ○春日委員 いつも日銀総裁は時間が短かいので、中央銀行として国民のための金融がいかにあるべきかという根本義に触れて深くその論議をしたいと思うのですが、いつも立話みたいなことになつてしまつて、これでは話ができない。委員長並びに日銀総裁におかれては、この次の機会に、もつとしんみり深く掘り下げて話のできる時間を持つてもらいたいと思います。  そこで立話の質問でありますが、年末金融として日銀でお考えになつておる、信用保証協会の保証をした手形日銀の担保手形にして割引をするというようなことでありますが、大体日銀で計画されておりますところによると、年末までにこの割引額というものをどの程度考えておられるか、どの程度まではそういうような方法によつて特別の金を流すことができるとお考えになつておるか、この点についてちよつとお伺いいたしたい。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 この信用保証協会の保証手形は、現在地方銀行にある。ここに龜山さんがおられるから、いずれあとからお話があると思いますが、おそらく九〇%前後地方銀行がお持ちであります。それは地方銀行がいかに中小企業に熱意を持たれておるかということの一つの証拠になるのですが、それが日銀にどれほど持ち込まれるか、これは地方銀行資金繰りの問題になるのであります。ただ私としては、それほど持つておる地方銀行資金繰りでお困りになる場合には、その担保手形をとつてやろうという、こういう考えであります。別に金額幾らということも考えておりません。これは地方銀行資金繰りを見て、足らないところは日本銀行へ持ち込む、こういうようなことであります。
  24. 春日一幸

    ○春日委員 それは、結局年末の資金量が全般的に見て足らないので、政府か、あるいは日銀の貸出しか、いずれによつて資金を確保しなければならぬわけでありまして、そういう場合に、今まで日本銀行の担保資格を持つていなかつたものが幸い新しくここで資格を生じて、日銀がそれを担保として金を流そうという新しい試みがここにされようとしておるわけであります。それに対してどの程度の額が年末までに流されるか。ということは、私どもは預金部資金の預け入れ、財政余裕金の預け入れ、あるいはさらに日銀のそういう貸出し等とを考えて、年末の資金量を概算的に考える場合、どの程度のものがそこに流れ出るかということを、やはり資料として知りたいと思うのでありますが、地方銀行が持つて来れば割るのであつて、持つて来なければ割らないというのでは、資料の参考にならない。大体あなたの方で計画があるでありましようが、どの程度のものを持ち込んで来るという想定のもとにそういう計画をされんとするのであるか、これを御答弁願いたい。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 私今実はその数字承知をしておりません。私は方針として、持つて来れば担保にとるという方針を持つております。その点についてはこれは地方銀行さんが、九割もお持ちになつているその手形を、この資金状況ではどのくらいぐらい日本銀行にお願いしなくちやなるまいであろうということは、むしろ目算があるでありましようから、ここに龜山さんがおいでになつているので、これは龜山さんにお聞きになつていただきたいと思います。
  26. 春日一幸

    ○春日委員 龜山さんにも伺いますが、ただいま総裁は、結局現在の産業経済の行き詰まりの根源は、有効需要というものがない。しよせんは金融政策も、あるいは生産合理化の諸政策もいろいろ考えられるであろうが、最終的にはつくつた品物が売れる、こういう態勢をつくり上げなければならぬということで、これはわれわれと同じ意見であります。そこで、そういう問題は言うべくしてなかなか総合的な解決は困難であろう思うので、一つ一つ処理して行かなければならぬが、とりあえず日程に上つている問題としては、中共貿易の問題があろうと思います。先般国会からも中共貿易視察団が参つて、出入り六百億の商談をして来たが、これに対して、伝えられるところによると、金融機関がこの取引に対して協力をしない。これはあなたの所管ではないかもしれないけれども、結局中共における四億八千万人を対象にしての輸出、その見返りとしていろいろな原材料の輸入、こういうところからつくつた品物が動くという態勢、すなわち有効需要確保の道は、こういう面をも一の突破口としてだんだん開けて来るものであり。またその手法こそ講じなければならぬ問題であろうと思うが、金融機関をして、こういう中共貿易としてせつかくとりきめられたところの取引に対して、協力をせしめるための適当な措置ということについて、どんなことを日銀総裁はお考えになつているか、ちよつとひとつお漏らしを願いたいと思います。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 金融機関を、そういう点について協力させる措置ということでありますが、問題は、金融機関をそういう点に協力させる措置というよりも、この問題にもう少し大きくかつ深いのでありまして、一体中共貿易をどうするのかということを、基本的に政府としてきめなくちやならない。そこで政府でそういうふうな基本線がきまれば、また考えることもできる、こういうふうに私は考えております。今日では、政府の方針に十分従う範囲内においていろいろ考えております。これはひとつ国会で大いにやつていただきたいと思います。
  28. 春日一幸

    ○春日委員 そのことは当然国会の問題であるのだが、それはバトル法の関係もあり、その他経済、外交全般につながる問題であつて、冒頭に申し上げたように、総合的な解決をされなければならぬわけであります。しかしながら、そのことは非常に時間がかかるから、一つ一つ問題を能率的に処理して行くという、こういう技術的な考え方において、とりあえず日程に上つている中共貿易に対して、金融機関がやはりその取引が完遂できるような協力態勢が必要であろう。こういうぐあいに申し上げているのだが、これに対して国会で処理してくれと言つても、そんなことは教えてくれなくてもわかつておるので、もう少しあなたの親切というか、責任というか物事をまとめる御答弁を願つておきたい。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 つい言葉が過ぎたかもしれませんが、それは取消します。要するに、個々の問題として個々をまず解決して、それからやつてつたらいいじやないかという考え方、これは意見の相違でありますが、私はそれには同調ができない。そういうふうに軽く個々にやつて行くのには、あまりにも重大な問題を持つている。それで、根本の問題が解決をしなくては、やはり技術的に個々をたとえば金融面からどうするこうするとかいうふうな行き方は、適当じやないと思います。これは私の意見であります。従つて意見の相違はあり得ると思います。
  30. 春日一幸

    ○春日委員 もつと日を改めて、ひとつしんみり一日やれるようにしてもらわぬと、立話のようなものでは何にもなりませんよ。
  31. 千葉三郎

    千葉委員長 承知いたしました。福田繁芳君。福田君にお願いしますけれども、開発銀行に対する質疑は、総裁が帰つてから後にしていただきたいと思います。
  32. 福田繁芳

    福田(繁)委員 せつかく委員長から私に御指名くださいましたので、一萬田総裁にごく簡単に一言御質問したいと思います。私はご承知のように改進等に所属しておりますので、一萬田総裁金融政策には全面的の賛意と敬意を表しているわけなんであります。  そこで一言、先ほど総裁のおつしやつた言葉の中に、年末金融はとくと関心を持つて、ことに細心の注意を持つてこれに善処いたしておるという、非常にお心強い話を聞いて意を強くするのであります。ちよつと私伺いたいのでありますが、本年は御承知のように、当初の予算が遅れたのに端を発しまして、次々災害が重なりまして、相当この年末の金融は行き詰まるのじやなかろうかしらということをわれわれ懸念いたして、議会が休会中にあるにかかわらず、この問題を毎日この通り審議いたしておるのであります。そこで、たしか一昨日でございましたか、同僚議員から銀行局長に対する質問にもあつたわけなんですが、政府のいうところの、正当のルートに乗るところの金融機関以外の金融、これが破綻に直面いたして、その余波を受けまして、聞くところによると、中小企業に非常に貢献しておりまする相互銀行、あるいは信用金庫、こういつたところの金繰り操作が非常に困難になつて、これまた聞くところによると、手形交換所の決済にも相当御苦心されておられるように聞いておるのであります。願わくば、残る一箇月の年末に不祥なことが起らなければようございますけれども、もし相互銀行なり信用金庫にさようなことがありとするならば、それこそせつかくの一萬田総裁の庶民金融政策というものが水泡に帰しはしないか、こういうことを懸念するのでありますが、日銀総裁としては、相互銀行なり信用金庫にはそういう憂いがあるものかないものか、もし事実たとい一行にしろそういう不祥事件が起るかもわからないような場合には、これに対する救済策を持つておるかという御意見を伺つておきたいと思う。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田参考人 御質問の点については、私としては最大の注意を持つて、そうして今お話なつたような事態が発生しないようにして行く、こういうふうにひとつ御了解を願います。
  34. 福田繁芳

    福田(繁)委員 発生しないように御注意、御監督くださることはけつこうでございますけれども、こういつたことがもし発生して、それから後ということは非常に収拾がつかぬことになり、それが及ぼす影響は甚大でございます。御専門家でございますので、大よそ相互銀行なり信用金庫において、どういう部門にどういう波瀾をはらみつつあるかということがおわかりであろうと思いますから、どうぞ押し詰まる年末にそういつた波瀾が大きくならぬように、今から御善処と、しかるべき御救済の御決心をしていただきたい。これを強く私はあなたに要望いたしておきます。
  35. 千葉三郎

    千葉委員長 なお本日は龜山、島崎、安武、佐々田四君がお手元に掲げました紙面の上に載つておりますが、そのほかに日本開発銀行理事中村建城君ぞ御質問のほどをお願いいたします。本名武君。     〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕
  36. 本名武

    本名委員 私は全国信用金庫協会常務安武さんにちよつとお伺いいたします。新聞の報ずるところによりますと、私どもが特に最近心配しておりました先般の保全経済会のあの騒動の余波と申しますか、あれに関連したような事態が一般の正規の金融機関に及ばないかということを非常に心配しております。ところがたまたま京都の某信用金庫が、遂に支払いを停止したとかいうことが報ぜられております。これは念を押すまでもなく、新聞を信頼いたしまして、おそらく事実と考えます。しかし事はなかなか簡単な問題ではないと思います。そこで私は一、二協会としてのお立場で伺いたいのでございますが、当局、特に日銀のこれに対する批判の第一点は、経営がずさんであつたからこのような事態を招来しにのである、従つて責任はおのずから業者、金庫側にあるという考えであります。それからもう一つは、政策委員会での意見としては、日銀の取引先ではいから、これに対して何とすることもできない、今のところは静観しようというようなことを言つておるようであります。これは日銀側の意見として、一応こういうことを言うのは当然かもしれませんけれども、ただこれによつて起きるところの今後の問題を心配するのであります。たとえばこういつた事態の救急策として、別わくで日銀から融資を受けたいという希望を述べられておりますが、これは今お話のように、日銀はただちに応ぜられないとしうことのようであります。まさしく経営がずさんであつたのかどうか。また別わく融資を受けなければ、こういう場合には再起できないかどうか。さらにまた、日銀の取引先でないから何ら国家的な、あるいは日銀金融対策の上で救済策がとられないとするならば、今後同様に信用金庫を信頼して、幾多の預金をしておる者に相当の不安を与えるだろうと思います。これらに対して、協会としてはどういう御態度で臨まれるのかということを伺つておきたいと思います。
  37. 安武善藏

    ○安武参考人 御指摘の京都の某信用金庫の問題につきましては、昨日新聞の報ずるところになりまして、皆さんにたいへん御心配をおかけいたしました点を、最初におわび申し上げる次第でございます。  京都の問題の中心は、京都の金庫の一支店におきまして、大口の預金者が預金をあつせんいたしました。このあつせん者が預金を再々持つて来るので、金庫の方に顔が通じまして、そのあつせん者の依頼によりまして、ある繊維会社に最初は少額の貸出しをなしたのでありましたが、それが行き詰まりまして、結局一方大きな預金を持ち込まれておりますので、それを一応の見合いにだんだん出して参つたというようなことから端を発しまして、相当の金額がこれに固定をするということに相なりました。従つてこの預金が最近はあまり伸びておらない関係から、手元が苦しくなりまして、支払い資金、あるいは新しい貸出し資金に行き詰まつたというような事態を起したのでありまして、その意味におきましては、御指摘のように経営者がそうした時期におきまして、一つの商社に金庫としては望ましくない金額をつぎ込んだというところに破綻の原因があるわけでございますので、経営のずさんと指摘されてもやむを得ないと考えております。しかしながら、これは別段保全経済会のように休業をし、店を締めておるわけではございませんので、そうした状態になりましても、預金者として、あるいは一般大衆の動揺はさして見られないのでございまして、きのうの情勢までにおきまして、新聞に出ましたあとにおきましても、大した預金の引出しということは見られないで、午前中にわずかに二十数万円引出したということで、きわめて平穏であります。そこでこれの更生策として、あるいはこういう問題が起りました場合の対策といたしまして、ただちにこれは日銀資金を導入いたしましてこの経営を回復して行くということは、われわれの場合におきましては、個々の金庫の直接の取引はございません。しかしながら、全国の金庫が寄つてつくりましたところの全国信用金庫連合会があるのでございまして、これが日銀と結びついておるわけでございます。従つてまず一つの金庫の問題でございますので、さしあたつては直接日銀さんにお願いをしなくとも、当連合会が持つております資金で一億のクレジツトを結びまして、支払い資金なり、今後の経営改善に充てるという態度をきめまして、すでに実施をいたしておるわけであります。当該金庫におきましては、それだけの担保なり、あるいは貸出しの余裕を持つておらないものでございますから、近隣の、京都にあります有力な四金庫が共同いたしまして、共同防衛というような形で四金庫がこれに協力いたしまして、そうしてこれの更生に当つておるような現状でございます。そこで今後こういう問題に対しましては、まず第一番に、私どもが連合会をつくつておる趣旨からいたしまして、また連合会の使命からいたしまして、各会員金庫の資金の融通と、そうした不測の場合におきまするバツクをするというのが連合会の役目でございますので、連合会がみずからの力によりまして可能なだけの資金なり、あるいは施策を講じまして、これを防止するということに当るべきであるというふうに思つております。ただ現在連合会の実情からいたしますと、設立なお四年程度のものございまして、たとえば農業協同組合における農中のような、強力な態勢になつておらないのは、残念でございます。従つて現在では、連合会の強化ということに各金庫、われわれ協会としても全力を上げてそうしたいというふうに考えております。特にこうした経営の不始末から起りました問題につきましては、これを普通の資金コストにおいて資金を融通するということになりますと、どうしても連合会としても、そう不始末をしたものにどんどんしりぬぐいをするという余裕はございませんので、こうした場合の措置といたしましては、連合会を中心として一種の預金保険というような制度を考えまして、各金庫が可能な、あるいは応分の積立てをいたしまして、ひとつのプール資金をこしらえ、そしてそれを動員したらということで、過日の協会の方の常務会においては決定をいたしまして、現在各金庫に呼びかけておる次第でございます。こうした例は連合会のない時代におきましても、福井の震災のときにおきましても、あるいはその他のときにも、各金庫が協力をした実例を持つておりますので、各金庫も非常にこの点では神経をとがらしたことと思いますのでで、みんなが翕然として相携えてこの危機を乗り切るということに、決意を新たにしておるように考えておりますし、ぜひとも早くそうしたいというふうに考えております。こうした制度ができますれば、これに対しまして今後日銀なり政府なりが適当な施策を加えていただくということになりますと、金庫の個々の経営はあるいはまだ弱い面もあるかもしれませんが、連合会を通じまして、一貫して金庫経営の向上なりそうした不祥の問題の防止に当り得るというふうに確信いたしております。
  38. 本名武

    本名委員 今詳しく内容を伺いまして、実は安心いたしました。非常に強力な、自主的な対策をおとりになつておるので、非常に喜びました。ただこういうふうに金融事情か逼迫して参りますと、当事者は、特にあなたは御関係なさつているので、若干希望的な観測に立つておられやしないかという心配も起つて参りますので、金庫に直接出資している出資者のみならず、関係のない一般人も一応これに関心を持ちます。そうでなくとも、通貨に対する不安の念、不信の念の強いときに、こういう事態が一部の金融機関から起るということは、社会的にいつて非常に大きな問題だと思います。そこで今後におきましても、そうした心配をかけない態勢が整いつつあることを伺つて安心したのですが、もう一度、今後信用金庫としてこうした事態は他の金庫には絶対に起き得ないということを、確信を持つて言明なされるかどうか。なされるとするならば、もう一度その言明を承つておくと、この委員会を通じて一般に流すことができると思います。
  39. 安武善藏

    ○安武参考人 現在私どものところに入つておりますニユースでも、まだ一、二の金庫が最近の資金繰りから非常に窮境に立つておる例もあるのでございますが、それらは京都の場合に比べますと、程度もそう深くないので、連合会がそこまでの措置――今度一億の措置がとれるかとれないかは、かなり連合会としては悩みといいますかずいぶん議論をしたのでございますが、最終的に、金庫の一角に破綻が起るということは、これは金庫の信用保持というのみではなくて、御指摘のように、あるいはこれが全金融機関に波及する金融混乱の火元になるということに思いをいたしまして、連合会がそこまでの措置とつたわけでございますので、現在現われております幾つかの事例につきましても急速に手を打ちまして、それを新聞等の発表、あるいは一般大衆に知られないうちに処理をするということで、善処いたしておる次第でございますので、私どもといたしましては、万全を期しまして御心配のないように努めたいというふうに考えております。
  40. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 柴田義夫君。
  41. 柴田義男

    柴田委員 地方銀行協会長さんがお見えになつておりますので、伺いたいと思います。地方銀行は、これは銀行として地方中小企業が一番たよりにしておる銀行でありますけれども、私ども大蔵委員会で、地方銀行状況というものを本日初めて資料をいただいて伺つたわけでございますが、われわれ大蔵委員会等にこうした地方銀行の実情をなぜもつと早い機会にお知らせ願えなかつたのか、これを非常に遺憾と思つておるのであります。私ども地方におりまして、一番たよりになつておるのは地方銀行である。しかもその地方銀行が、年末の金融対策に対しまして、末端ではそれはいろいろと具体的にお考えでありましようが、根本的な態度というものがさらにわからなかつた。こういうことはわれわれも非常に遺憾と思います。昨日も大蔵大臣、あるいは銀行局長等に質問いたしましたが、一番大きな問題となつておりますのは、今の政府預託金の問題であります。これは昨年の暮れから見ますと、三分の一に減少されるような方途を大蔵当局は講じておる。これに対して議論はいろいろございますけれども、現実の問題として、これは地方銀行にも相当預託してもらいたいということを、われわれは訴えておるのであります。こういうことに対しまして、預託金というものはいらないのかどうか、地方銀行の責任者として承りたいと思います。
  42. 龜山甚

    ○龜山参考人 お答えを申し上げます。地方銀行の実情につきまして、当委員会等にもあまりこれまで実情をお知らせをしていないということについての御注意をいただきまして、この点私どもとしても十分の手を尽しませんことを、まことに遺憾と存じますので、これからは、せいぜい地方の実情も国会の方にも申し上げることにいたすことにいたします。地方銀行は、中小企業の方面の融資については、今新しく申し上げませんでも、私どもは先ほど総裁からもお話がありましたように、信用協会等を使いましても、約九〇%を使つておる。なおまた資金全体から申し上げましても、六〇%を十万円以下の中小企業金融に充てております。それ以上の金にいたしましても、地方の事業は、やはり澱粉であるとか、酒の資金であるとか、米のいろいろ配給等の面についての分であるとか、相当の金額に上つておりますが、こうしたものは今の千万円以下の中には含まれておりませんので実際はもつとずつと多い金額が地方の方に出ております。いわゆる地方産業資金として、地方銀行は全面的にこれに融資をしおります。われわれは地方産業が興りませんと、地方銀行の存在もなくなる。いわゆる生命線でありますので、地方産業に対しましては、全力をあげて地方銀行としてはこれに融資しておるのであります。今お話の年末金融に対しましても、私どもはこれにどうして対処するかということに、いろいろ手を打つておるのであります。今御指摘の預託金の問題でありますが、預託金は非常に政府引揚げられておりますので、この預託金地方銀行金融の操作において大きなウエートを持つておりますので、この預託金はぜひ私どもは続けて、もつとほかと同じように預託をしてもらいたいということは、地方銀行一般の考えであります。ことにこの年末に際しまして、ことしは供米等につきましても、いつもの年よりも非常に遅れております。ことに米の作柄が、いいところもありましようが、全国的に概して悪い方面が多くて、いい方面は供米も順調に進んでおりますが、悪い方面は非常に遅れておる。こういうようなことから、地方銀行の方に還元して参ります金が、今年は従来に比しまして非常に不均衡であります。こういう点から、政府預託引揚げられるということは、年末金融に対しても非常に影響するところが大きいので、ほかの信用金庫、相互銀行、その他の方面に出ますのと同じように新たなる預託をしていただきたいというので、われわれ先般大蔵省の方にも陳情をしてありますが、どうか中小企業金融緩和のためにも、地方銀行にこれをまわしていただくように、この機会に私ども皆さんにもお願いを申し上げたいと存じます。
  43. 柴田義男

    柴田委員 重ねて伺いますが、本日いただいた資料を拝見いたしましても、八千七百五十億余の九月末の預金に対しまして、七千四百億余貸し出しておりますが、この比率を見ますと、八五%の貸付が行われておる。しかもこの九月末の預金というものは、大体窓飾り預金等も多少含まれておるということも想像しなければなりませんので、十月の末日、あるいは十一月の末日になりましたならば、この預金の状況はどういう方向をたどるでございましようか、情勢判断をいたしますと、農作物等が金になりまして、たとえば十一月等は多少の預金増加がはかられるとわれわれしろうとでも考えますが、十二月に行きましたならば、これに相当大きな狂いが来るのじやないか、こういうことが想像されるわけであります。こういう場合に、この年末金融対策に対しまして、根本的にどういう対策をお立てになつておるのか、この点をひとつ承りたい。  もう一つは、先ほど政府預託金の問題で、大蔵当局には相当実情を訴えておられるようでありますけれども、私ども地方におつて見受けるのでありますが、銀行の幹部諸君はほとんど官僚依存であるように見受けられる。たとえば末端の財務局の一官吏が旅行しましても、地方銀行の頭取を初めとしまして出迎えに出て、大騒ぎをやつており、むだな費用が相当かかつておるということは、もうまざまざと見受けられるのであります。これに対しまして銀行協会の指導者といたしまして、そういうことが常に繰返されておるのかどうか、また今後こういうようなことがないようにすることをお考えになつておるのかどうか。まつたく目にあまるものがある。たとえば地方の財務局の局長などか出ますと、大臣でも旅行されるように銀行関係者は大騒ぎをやつて、宴会等に莫大な費用を使つておる。一面日本の金利の状態を見ますと、相当に高金利であり、中小企業が金利の負担に非常に困つておる。こういう場合に、そういうむだな経費を地方銀行等は使つておらぬのかどうか、この点を承りたいと思います。
  44. 龜山甚

    ○龜山参考人 第一番の年末に際しての預金の見通しでありますが、年末に際しまして預金が減るというような感じは、別段ただいまのところいたしませんが、しかしながら年末は例年の通り資金の需要は非常にふえて参ります。ことにことしのようないろいろな金融状況から、中小企業の方にしわ寄せが来るであろうというような点もありますので、この点従来よりも一層年末には資金の需要が非常にふえるのじやないかと考えております。これに対しまして、たとえば大口の貸出しの方は幾分詰めても、中小の方にまわすということを各銀行ともいたしましても、それでもまだ十分に行かないと思いますので、この際預金を一層ふやして行こうということに、従来にも増しての努力をしなければなりません。この点は各銀行とも十分預金の増加をはかつて行きたい、かように考えておりますが、そういたしましても、なお政府預託金というようなものをこの際ふやしていただければ、これらに対しても非常な好結果をもたらしますので、この点私どもは政府に対しましても要望をいたしておるわけであります。  なお地方銀行の職員が、いわゆる官吏等に対しまして過度の待遇をするというようなお話もございましたが、私どもの協会といたしまして、さようなことがあつてはならぬことは十分承知しておりますので、もしそういうようなことがございますれば、私どもは極力そういうことのないように注意もいたしますし、そういう心がけをいたしたいと思います。
  45. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ伺いますが、地方銀行の一貫した方針というものはあるでありましようが、最近新聞雑誌等を見ますと、たとえば選別融資をやるとか、系列融資をやるとかいうような方針のもとに、非常に融資対象の厳重な選別をやつておる。そういたしますことによつて中小企業が行き詰まりの状況であるということを報じておりますが、そういう選別融資、あるいは系列融資というようなことを地方銀行の方針としておとりになつておるものでしようか、その点を承りたいと思います。
  46. 龜山甚

    ○龜山参考人 お答え申し上げます。今お話地方銀行の融資の分につきましては、御承知の通り利子規制の線が出ておりますので、こういう線に沿うてやつておりますことは当然でありますが、特別ほかに何か系列であるとかいうように、特にそういうことについてやつておることはございませんで、利子規制に基いての融資の方針はその通りやつておるわけであります。さようにひとつ御了承願いたいと思います。
  47. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 坊秀男君。
  48. 坊秀男

    ○坊委員 全国相互銀行協会の島崎常務理事さんに一点簡単に伺います。相互銀行の内国為替取扱いの問題につきましては、前国会におきましてこれの法律案を本委員会で審議いたしまして、国会を通過したのでございますが、そのときわれわれ委員といたしましては、相互銀行に内国為替を取扱わせるということはこれは趣旨において非常にけつこうなことだ、但しこの特典を二、三の相互銀行に限るということは、これは非常によろしくないでき得る限り多くの相互銀行にこの内国為替を扱わすように持つて行きたい、こういうような趣旨でこの法案を審議したのでございますが、同時に現在のところ、この為替の集中決済の機関が日本銀行になつておりますから、相互銀行に単にこの為替取扱いを許可しても、その前提として日本銀行と相互銀行との間で取引ができていなければその実を上げにくい、こういうような趣旨で、大体この相互銀行資金量というものを標準にして為替の許可もするし、それからこの平仄に合せて日本銀行でも取引を始めるというような趣旨であつたのでありますが、その後この法律が実施されまして以来、全国の相互銀行の中で、内国為替の取扱いについて許可申請をどれくらいの銀行がしておるか。また当時日本銀行と取引をやつております相互銀行は全国でたしか二つか三つしかなかつたと思うのでございますが、この為替取引と関連いたしまして、日本銀行と取引を始めるようになつた相互銀行がその後あるのかどうか。またそういう銀行が近い将来にできて来るのか。つまり日本銀行との取引を日本銀行に対して申し入れておるような銀行があつて、そしてそれが近く実現するようになつておるのかどうかといつたような、相互銀行の内国為替取引についての法律が通過して以来今日に至るまでの経過について、ちよつと御説明を願います。
  49. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。内国為替の問題は、前々の国会で皆さんに非常に御努力願いまして、その後おかげをもちまして、この為替の認可は大体店内為替と他店為替の二つにわかれておりますが、店内為替については、今日では各銀行大部分がすでに認可になつております。それから他店為替につきましては、現在認可になつているのは七十行のうち十七、八行でありまして、残る銀行も極力内部の整備態勢に移つて、できるだけ早く大蔵省の認可を得たいと努力中でございます。それから日本銀行との取引でございますが、これもわれわれ相互銀行は、その中央機関を日本銀行にするという従来からの方針でありまして、最近になりまして、日本銀行においては六行を追加いたされまして、現在九行が日本銀行と口座取引いたされるようになりました。残る相互銀行についても、われわれ協会ももちろんこれについて努力しておりますし、また各相互銀行日本銀行の本支店の方に対しまして、できるだけ早く実現するように非常に努力しております。これもまた来年になりますれば、ある程度増加するのではないか。日本銀行の方でも、相互銀行の方との取引については了承するが、そう急にはできない、徐々にひとつ考えて参りたいというので、日本銀行としても、また来春になればある程度考え願えるのではないかと思つております。それから内国為替の他店為替をやりますれば、究極の目的は集中決済に入ることでございますが、この点についても日本銀行としては、この集中決済は全部の銀行さんとの共同責任もあるから、他店為替をやつたその結果いかんによつてさらに考えるから、しばらく時期を待つてくれというような意向のようでございます。
  50. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 福田繁芳君。
  51. 福田繁芳

    福田(繁)委員 先ほどから同僚議員から本日の参考人でありまする龜山さん、島崎さん、安武さんのお三方に対する質問が続行されたのでありますが、このお三方に対して、私は関連して順を追うて若干質問いたしたいと思うのであります。  まず第一番に、龜山さんに伺いたいと思うのでありますが、申すまでもなく地方銀行というものは、地方開発に非常に貢献されておられる、その職責の重大であるという意味合いから、当委員会に対してしばしば政府預託金の増額、あるいは引揚げの延期方について懇請をされておりますが、先ほど申しました地方開発に対する責任が重大であるということは感を同じくしますので、われわれも極力それには協力して参つたつもりなのであります。そこでちよつと私からあなたの方に伺いたいのでありますが、きようお見えになつておりますお三方は、いわゆる大蔵省の監督下にあります正常の金融機関である、私は実はかように考えております。仕事は地方銀行であり、相互銀行であり、信用金庫であろうとも、大蔵省の監督下の正常の金融機関である、これはひとしく言えると思うのであります。さようでありますから、この三つの正常の金融機関はお互いに協力して、一店舗たりとも脱落者を出さないようにしてもらえるだけの心構えがあるかどうか。言いかえれば、もし正常の金融機関である信用金庫一行下も脱落せんとするような場合には、正常の金融機関自体に対する国民信用、信望が落ち、ひいてはそれが不安のまま、正常機関以外の金融機関が跋扈して思わぬ不祥事件が起つて来る。言いかえれば、これは国民の預貯金を供託するのに非常に支障を来して来るかう、そういうことは絶対にないだけの心構えをしてもらいたいということを要望して、その御決心があるかないか。同時にもつと具体的に言いますれば、相互銀行なり信用金庫なり地方銀行にいたしましても、私たちの手元に参つております資料の内容を見ますると、龜山さんの統轄しております全国地方銀行協会の内容が一番ゆたかなわけなんです。そうすると、あとの二種類の大蔵省の監督下にありまする正常の金融機関にもし万一のととがありますならば、代表的の気持を持つてこれを育成強化するだけのお心構えがあるかどうかということを、まず龜山さんに伺つておきたいと思います。
  52. 龜山甚

    ○龜山参考人 金融機関が最も強固な基礎を持つておるものでなければならぬということは、申すまでもございませんので、それがために正常な金融機関におきましては、融資の面においても、経営の面においても、これらの線に沿うように十分努めております。今御心配になりますような点はないことを私どもは期待申し上げますし、またそう信じております。われわれ地方銀行といたしましては、ずいぶん長い歴史を持つており、この非常な経済界の荒波を経て来て今日残つておるのが大部分の地方銀行でありますので、そういう点につきましては、私どもは自信を持つて十分御期待に沿い得ることだと思います。従つてほかの金融機関に対しましても、それぞれ預金関係なりの関連を持つておりますので、そういう面を通じて十分の力をいたしまして、おのおのの面でスムーズに事が連ぶようにということを念願しておりますが、そういう程度におきまして、各金融機関はりつぱにやつて行ける。かように考えております。
  53. 福田繁芳

    福田(繁)委員 次に、島崎さんに伺いたいのでありまするが、全国相互銀行協会に加盟しております相互銀行は、数にしまして大体幾行くらいありますか、それを伺つておきたい。
  54. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ただいま七十行相互銀行がございますが、全部協会に加入しております。
  55. 福田繁芳

    福田(繁)委員 加盟銀行が七十行あるということはわかりましたが、決してこれは不祥なことを予期して心配して質問を申すのではありませんが、あるいは失礼かもしれませんが、伺いたいのであります。先ほど本名君と安武さんとの質問の中において、京都の某信用金庫の不祥事件を中心にしての質疑があつたのを、あなたもお聞きくださつたと思います。ああいつた信用金庫協会が防衛態勢と申しますか、安武氏の言葉では共同戦線を張つて一つの脱落者も起さないという意味で横の連絡を非常に密にとつておられる。これは金融、ことに庶民金融の業者として、われわれ耳を傾けていたく感心いたしたのでありますが、あなたの方の相互銀行協会もそういつた組織と心組みを持つておられるかということを伺いたいと思います。
  56. 島崎政勇

    ○島崎参考人 お答えいたします。そういう事態がないことをわれわれは常に心がけておりますが、もしそういう状態が万々一来たという場合に、どういう態勢をとるかという点でございますが、私たちは日ごろそういう点について、取引普通銀行、それから究極は日本銀行にこれを頼むという心構えで、日常から経営の内容を、日本銀行の本支店とよく連絡をとつて、批判を受けている。それで最悪のときは、日本銀行が必ず救済するという意向をたびたび当局の方で漏らしておりますし、過般の九州地区の災害におきましても、日本銀行は特に相互銀行を全部お呼びになつて資金対策について十分考慮するという意向もございますし、そういう場合には、その取引銀行あるいは日本銀行において、相当私は積極的にやつていただけると思います。また同時に、こういうことは非常に時間をたつとぶものでございますので、そういう事態に間に合わないときは、同業一体と申しますか今のところ組織的にはなつておりませんが、気分としては同業一体でこれが救済に乗り出そうという空気は、各会員にございます。
  57. 福田繁芳

    福田(繁)委員 大体地方銀行協会と相互銀行協会の両責任者からそれを聞きまして、われわれも非常に意を強くいたしまして、こうして本日諸君が来られて、政府預託金に関連するところの御高見を伺つて、われわれも十分協力いたそうというだけの決心が実は強固になるわけでございます。どうぞそういつた場合には、決してそういう不祥事件を起さないように、大乗的にお互いに大蔵省の監督下の正常な金融機関であるということを御認識されて、そういつたことを起さないように万般の注意を願いたいと思うのであります。  それからもう一点伺いたいのでありまするが、実は先般御承知中小企業金融公庫というものができまして、そうして諸君の窓口を拝借いたして営んでおるわけでありますが、当委員会がつい三、四日前から連日年末金融という議題についてやつておるときに、しばしばこの問題も出て来るわけであります。中小企業金融公庫は、窓口を諸君の店を拝借して一定の危険負担も諸君の方にさせて、その代償として手数料を差上げて、事実上公平にこの最も大事な中小企業の育成強化を国費をもつてつて行こうという意味合いで、中小企業公庫と諸君の方と代理契約を結んで、代理事業をやつてもらつておるわけであります。しかるところこの委員会が始まつて、各党派の委員がいろいろ通産省なり大蔵省なり、あるいは中小企業公庫の坂口総裁などに質問をいたしておりますのを私静かに聞いておりますのに、代理店事務を始めて非常に日が浅い関係かもわかりませんけれども、せつかくの代理店三行諸君のおやりになつていることが、露骨に言いますと法の精神を大分蹂躙しておる。もつと露骨に言いますると、代理契約を蹂躙しているきらいが多分にあるという質疑が毎度繰返されているのでございます。卑近な一例をとつて申し上げまするならば、相互銀行の場合には、かつて自分の方の無尽契約に参加してない新しい申込者には、絶対に金を貸さない、あるいはまた中小企業金融公庫の窓口としてわれわれは金を貸せるのだから、早うこの無尽に入れ、信用金庫の場合にも、早う出資を持てということを道具にして、どんどん御自身のお店の仕事の拡張にこれを使つて、実際問題として中小企業者が金を貸してもらいたいというので無尽契約に入り、信用金庫ならば、その株を持つて窓口に申請に行くと、あなたの方は取引が浅いからとか、あるいはまたもうすでに自分たちの方の旧来の取引のみにおいて割当金額をオーバーしているのだというような言辞でそれが拒否されて、その批判が各委員から出て、本委員会をにぎわしているわけなんです。言いかえれば、われわれがつくつた法律を根本的に蹂躙されている傾向があるのでございます。もしさようなことがあるとすれば、今日御承知のああいつた代理店の数が多いために、これをいかに縮小するかという関係になるので、もしそういつたところの代理契約を蹂躙している傾向があれば、即座にそれを理由にして代理店を停止したらどうかという強い要望も実は出ているわけですが、御三行の諸君は各支店の窓口の方に対して、この約款を十分徹底するように御伝達をくださつてあるものかないものかということを、まず龜山さん、さらに島崎さん、安武さんの順位で簡単にお答えを願いたいと思います。
  58. 龜山甚

    ○龜山参考人 今お話の点、われわれの協会といたしましてはこの中小企業金融公庫の設立の趣旨にかんがみまして、十分これは活用して行けということを、今私どもは全般の銀行によく申しておりますので、さようなことはないと信じておりまするが、なおそういうお話がありますれば一層注意いたします。ただこの際一言申し上げておきたいと思いますのは、まだ創立早々でもあるのでしようが、金融公庫の金がわれわれの銀行にずつと来ます金額が非常に少いのであります。もつと多くそれを増してもらう。それにはやはり政府の方でこの方面の資金を余分にまわしてもらわなければ、限度を拡大できませんのでありますから、私どもは、むしろもう少し政府の方で中小金融公庫の方の資金を潤沢に、もつと増してもらいたいということを念願しているわけであります。どうぞよろしくお願いいたします。
  59. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ただいまの点につきまして、私の方ではそういう間違つた、あるいはお客さんが不満を抱くようなことがないように、実は事務担当者を東京の方に全部呼んで特に協議したこともございます。そういうことを私も実は聞きましたのですが、また逆に、そういう誤解を受けるから、従来のお得意さんには一切出さない、新規な人に出す。こう言つてそれはかえつて不公平じやないかというような逆のおしかりを受ける相互銀行もございました。ただ要は、これを道具に使うしというようなことがありますれば、今後各相互銀行ともそれについて十分注意して行きたいと思つております。
  60. 安武善藏

    ○安武参考人 信用金庫の立場からつ申し上げますが、両氏から御答弁されましたように、私どもといたしましても、代理契約なり、公庫の業務方法の趣旨に反した形においてやることについては――十分事務的にも、あるいは各理事者にも連絡をいたしましてやつておりますので、なおそういう点がございますれば、今後とも注意して行きたいと思います。ただお断り申し上げたいのは、信用金庫の場合は、会員でなければ貸せないという代理契約になつておりますので、貸します場合には、どうしても会員になつていただかなければできないのでありますから、この点は御了承を願いたいと思います。  それからさらに龜山さんの方からお話がありましたように、金庫の方の数が相当ふえた関係もありまして、現在金庫でもらつておりますのは、三百万ないし二百万円というわくであります。ですからこれは公庫の趣旨に沿いまして、設備資金等に出しますれば、一件か二件、あるいは一件も貸せないというわくでございますので、従つて窓口へお見えになりましたたくさんのお申込みをどこに貸すかということで、むしろ悩んでおるというのが現状でございます。この関係は相互銀行にいたしましても、地方銀行におきましても同様だと思いますが特にわれわれの方では、与えられましたわくがそういう程度でございますので、問題にならないわけでございます。それでむしろ金庫側からいたしますと、それだけの資金もないのにどんどん宣伝されて、実は迷惑をするという気持さえ露骨に言つているぐらいでございますので、その点はひとつ資金をずつと増していただかなければならぬ、こういうように痛感する次第でございます。
  61. 福田繁芳

    福田(繁)委員 それでは代理契約の約款を各支店長の方へ十分徹底させるようにしてもらわなければならない。もちろん額が少いのは、新聞で委員会の空気を御承知の通りに、毎日々々問題になつておるのです。いかにしてそのわくをふやすかということを言うのですけれども、それより前に、中小企業公庫法を根本的にかえて、代理店をむしろ皆さん方に御遠慮してもらつて国民公庫へ持つてつた方が能率的ではないか。不平不満も聞かなくなり、皆さん方にも迷惑をかけなくていいのではないかという空気が実はこの委員会で圧倒的になつておるわけであります。しかしあの法律は議員立法でもございますから、朝令暮改の弊を残してはいけないから、できることならばこれは予算を増額させて、そうして約款通りにすくすくと発達させるということが議会人としてとるべき道ではなかろうかというような空気も、実は出ておるわけであります。勢い総額が少いということもわかります。なかんずく今の内閣は、安武君がおつしやつたごとく、中小企業金融対策ということであの法案をつくつて、どこへでも幾らでも金を出すということの宣伝に使うたこともわれわれは認めることができる。それはそれとしておいて、扱うところの窓口自体が約款なり法案を根本的に蹂躙せぬように徹底さしてもらわぬとぐあいが悪い。皆さん方の御職務柄、当委員会の速記録は毎日御見聞になつていらつしやると思います。今度の四日間もこの問題が出ないということはない。各党派から不平の声が出るわけです。どうぞ代理契約というものを十分末端の出先機関に徹底させるようにして、われわれがあの法案をつくつたところに錦上花を添えるように、操作を誤らないようにやつてもらうことを私は念願して、質問をほかの人に譲ります。
  62. 柴田義男

    柴田委員 今の福田委員の御質問、御意見等で十分中小企業公庫に対する当委員会の態度等は御了承願つたと思いますが、実際の問題といたしましては、たとえば本日御出席くださいました各参考人の方々が、そういう御方針をもつて指導されているわけでしようけれども、末端に参りますと、全然それが行われていない。その現実の状況が、六十六億九千万円の公庫の貸付の方針もきまつてまつた。しかるに現実に貸付が行かれた分が十三億八千万しかない。なお私ども末端におつて中小企業の業者と接しておるのでありますが、たとえば地方銀行でも、相互銀行でも、あるいは信用金庫でも、お願いをして窓口が受付けてから一箇月たつてもそれが具体化しない、そういう不在をわれわれは非常に聞くのであります。貸付ができないものであるならば、さつさと断ればいい。貸付が行われるのであつたならば、さつさと一週間そこそこで具体的に貸し付けてやつてもらいたい。なるほど先ほど信用金庫の方からの御説明の、三百万か二百万しか一つの金庫に来ないということも私どもは知つているのであります。その三百万でも二百万でも現実にわくのある範囲で非常にてきぱきと事務処理をやつて、貸付の態度をはつきりしてもらいたい。貸してくれるのか貸さないのか、なま殺しの状態というものは精神的な苦労は非常に多い。われわれ中小企業をみずからやつてつて、そういうことをはつきりと感ずるのであります。そういう点を、単に方針はこうであるということでなしに、末端まで浸透させていただくように本日の各参考人にお願いするのであります。  次に、銀行当局に伺いたいことが一点ございます。最近地方銀行その他の金融機関大蔵省銀行当局から検査をされる。そういうことが例年繰返されておりますが、何名くらいいらつしやるものかわれわれわかりませんが相当長い期間かかつておる。そしてりつぱな旅館にふんぞり返つてとまつてつて、そしてどういう程度まで内容を調査するものか。銀行局の総務課長がお見えのようでありますので、簡単でよろしゆうございますからお知らせ願いたい。私どもの聞いている範囲でありますと、いろいろ企業状態に対しても干渉されている。しかし企業そのものに対して、地方の末端の金融機関自分のところで貸付の対象としてよいから貸しているものに対しましても、はたしてその企業内容に対しましても干渉されるのかどうか、この点を承りたいと思います。
  63. 大月高

    ○大月説明員 ただいま実施いたしております銀行検査の方式でございますが、相互銀行信用金庫も同じような考え方でやつておるわけであります。特に検査官は、現在大蔵省銀行局には百二十名ばかり置いてございます。それから地方の財務局にほぼ同数ばかりおると思いますが、それが手わけいたしまして、全国の正規の金融機関の検査をやつておるわけでございますが、その検査の方針は、主眼とするところは、最終的に預金者の保護ということになるわけでございます。預金者の保護ということは、要するに銀行の運用いたしております資産が健全であるということを常に見てまわつているわけでございまして、重要なる運用資産である貸出しに最も重点を置いておるわけでございます。従つて先ほどお話のございましたように、銀行がいいと思つて貸しているものに対して一々検査をするのかというお話でございますが、検査官が参りますと、一件々々の貸出しについて精密なる検査をいたすわけでございます。これを四つの種類に分類いたしまして、十分これは安全な貸出しだ、あるいはこれは利息の払いが遅延しておる、やや警戒すべき貸出した、あるいはこれは固定してしまつてつて、さらに程度の悪い貸出しである、それから最終的には、どうしても償却をして切り捨てなければ銀行の資産として計上しておることは不健全である、こういう判定を下すわけでありまして、それによつて税務当局と交渉いたしまして、不良なものは切り捨てる、健全な貸出しの方に一件一件新しい貸出しを向けてもらうように、こういうような指導をしておるわけでございます。そういう意味において、一件々々の貸出しを十分に見ておるわけでございます。  それから検査官が地方に参りまして、旅館にとまつておるというお話でございますが、御存じのように、検査の旅費は予算関係もありまして非常に少うございますので、一般の旅館にとまつて暮しておつたのでは、たいていの場合旅費に赤が出る。そこで地方にございます財務局とか、国税局の寮にとめてもらつて検査をやつておるのが大部分でありまして、仰せのように、ぜいたくな検査をやつておるという例は絶対にない、こう申し上げてさしつかえないと思います。
  64. 本名武

    本名委員 相互銀行の島崎さんにちよつとお伺いしたいのでありますが、ここに相互銀行協会の会長名において大蔵委員長あてに御要望が出ておりますが、その中にこういうことが書かれております。「貸金業者中株主相互金融を営む者がありますが、これに対しても貸金業等の取締に関する法律の適用または改正して取締りの強化をはかられたい。」こういうことがございます。この法律の適用または改正して取締りの強化をはかられたいという言葉でありますが、これは一体どの程度に改正し、どの程度に強化するという意味なのでしようか、それをちよつと伺いたい。簡単に御説明願います。
  65. 島崎政勇

    ○島崎参考人 このことは、結局大蔵省がこの貸金業法をつくつたのだが、その運用については何も規定してない。そういう関係上、株主相互はほとんど全国に営業所を持つてしまつておる。しかも新聞広告によつてつておる。貸金業本来の行き方については、われわれとしては残しておいてもよいというような考えを持つております。が、株主相互については、今後これをやる場合には、区域を非常に縮小してもらう。たとえば相互銀行においても、営業区域というものが規定してある。信用金庫あるいは信用組合においては、なお小さな範囲に営業区域というものが定款に規定してある。そうすれば、株主相互そのものはさらに縮小した区域内において――これを正常なものであるとすれば、これはある程度やむを得ないのではないかというような考えを持つております。同時に株主相互がたくさんの店舗を持つということも、これは貸金業そのものからしてもやれるものではないので、原則として店舗は一箇店でやつてしかるべきではないかという気持を私は持つております。もう一つは何々相互、こう言われると、相互銀行と文書においては違いますが、電話あるいは口頭で申す場合には、これがほとんど同一に聞える。ですから、今後は株主相互は相互という名前をひとつとられて、他の適当な名前でやつて行かれることがお互いのために混淆しないでよろしいのではないかと思います。
  66. 春日一幸

    ○春日委員 龜山さんに伺いますが、ただいま日銀総裁に伺いましたいわゆる信用保証によるところの貸出しに対する手形、これが今回日銀の担保手形になり得るそうでありますが、これによつて日銀から大体どの程度の借受がさらに加え得るか、その金額をひとつお示し願いたい。
  67. 龜山甚

    ○龜山参考人 ただいまお尋ねの件につきましては、先ほども私ちよつと申し上げましたが、地方銀行といたしましては、全国に店舗が散在しております。この年末につきましても、供米が非常に進んでおるところもありますし、またそうでないところもございます。従つて金の入つて来る面も、地方によつて非常に違います。でありますから、今信用保証協会の手形を割引きましたのを担保にして日本銀行から借りることを要せないところも相当あるのだと思います。またそれを必要とするところもございますので、それらの点を一々調べて行くということもできかねますので、どれくらいの金額という全体のものをまとめてお答えすることはまことに困難な状況でございます。これが幾らをということもちよつとお答えしかねる点でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 地方銀行協会からだつたと思いますが、やはり貸出し資金が非常に足りないので、年末金融のための資金源として、政府において相当の措置をしてくれという強い要望が出されておると思うのであります。それくらいあなたの方が資金源が足らなければ、結局こういうような国会内における年末金融促進のための強力な要望に基いて、政府一つでも二つでもそういう特例を講じようとした場合、どの程度資金が導入されるか、こういうようなものをやはり協会で当然一つの資料として一応の数字を把握しておられることが必要であろうと思います。あなた方が国会並びに政府に対してそういう要請をされる上からは、こうすればこのくらいの金が入るというようなことくらいは、やはり数字を握つておいてもらわないと、われわれとしては非常に困るわけだ。その点ひとつ御調査の上、文書でよろしゆうございますから御提出を願いたい。  それからもう一つ伺いますが、信用保証協会が全国にたくさんございます。これらの出資金並びに見返りのための地方公共団体の預託金等がございましようが、保証のために貸出してもらいたい。そのために地方公共団体から相当の預託金並びに出資金があろうと思いますが、これの全国の総計、保証協会の出資金並びに預託金の総額、これがおわかりになつておりますか。
  69. 龜山甚

    ○龜山参考人 今ここではわかりませんが。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 そこで今度は信用金庫並びに相互銀行の責任者にお伺いをいたしたいのでありますが、この信用金庫と相互銀行は、保証協会の保証融資を相当やつておられると思うのであります。そこで銀行側は、今回これが日銀の再割担保手形として認められる措置が新しく講ぜられようとしておるのであります。ところがあなたのやられた措置は、これはあなた方自体が手形の集中決済をやつていないという立場において、日銀のそういう特例措置が講じられようとしておるにもかかわらず、せつかく保証協会の保証融資に応諾しておるにもかかわらず、その手形は使い道がないのであります。当然あなた方はこれに対して同等の取扱いを受けるか、あるいは同じ効果を現わすような措置政府に要求されることが必要であろうと思うが、これに対して何か考えられておるところがあるかどうか、これは私の一つの私見でございますが、たとえば保証協会の分に対しては、政府に対して特別の領託を要求するか、これにかわる何らかの措置があつてしかるべきであろうと思うし、そんなような方法を通じてでもあなた方の資金源を確保して、そうして最終的には中小企業の融資に充て得るような措置をあなた方が講じなければならぬと思うが、これについてどんな考え方をお持ちであるか、御意見を伺いたい。
  71. 安武善藏

    ○安武参考人 信用金庫の場合は、先ほどもちよつと別な問題で申し上げましたように、連合会がございますので、連合会が日銀に保証協会の保証分についての貸出しを認めていただきますので、まず第一番に個々の金庫が保証協会の保証によつて出しました貸出しを、連合会に持ち込んでおります。これは現に東京あたりでも相当進んでおりますので、現在連合会の方で資金の余裕が五十億くらいございますから、その範囲で、資金が必要でありますれば、一応連合会がそのめんどうを見ております。さらにその連合会は、その資金が不十分になりますならば、今の地方銀行がおやりになるような要領で日銀に持ち込む、こういうようなケースで考えておるわけでございますが、現在まだ連合会から日本銀行の方に持ち込んだ例はございません。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 連合会と日銀とは取引がありますか。
  73. 安武善藏

    ○安武参考人 連合会と日銀とは、一応当座の取引を結んでもらつております。
  74. 春日一幸

    ○春日委員 従つて手形の再割ができるわけですね。
  75. 安武善藏

    ○安武参考人 これはまだそこまで実際やつておりませんし、再割なりをやるという、あるいは連合会が日銀から借り入れるという確証は得ておりませんが、当座の取引を結んでおりますので、これは必要があればやるということをおつしやつておるようでございます。
  76. 春日一幸

    ○春日委員 これは、私どもが国会内において中小企業融資の資金源確保のための強力な論述をいたしておりますが、しよせんはあなた方金融当事者においてもこの趣旨に協力を願わなければならぬと思う。そこで地方銀行に対して日銀がこういう特例を考えるということは、これはチヤンスであると思うので、あなたは幸いに日銀と口座があるならば、地方銀行に対して与えているところの措置と同じような措置をこの際講じられるように、ひとつ日銀と折衝されて、当面資金が必要でないと言われているけれども、そんなことではあり得ないと私は思う。現在金詰まりのために困つているということは一般的な要望である。しかもあなた方から引揚げを待つてくれというそういう強い陳情書も国会内において数回にわたつて提出されております。従つてあなた方が資金源を確保することのためには、みずからも立ち上つて、その日銀との間に必要な交渉をされることは当然であろうと思うし、そのことは全国中小企業に対して責任を果されるゆえんであろうと思うので、この機会にひとつすみやかに日銀と交渉され、その結果についてなお本委員会に御報告を願いたいと思います。  それから相互銀行の方はどうです……。
  77. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ただいまのところ、日本銀行と取引しているのは九行でございますが、実際面はこれは当座取引だけでございまして、かりに保証手形がそういう状態にしても、日本銀行としては目下のところこれについて取引に応ずることができない状態になつております。ひとつこの点について明日でも日本銀行と交渉して何らかの善処をいたしたいと思います。
  78. 春日一幸

    ○春日委員 次にお伺いいたしますが、私が先般ちよつと大蔵省の資料によつて調査をしたところによりますと、相互銀行、それから信用金庫、この金融は本来は中小企業金融であり、庶民金融の任務を負うものである。そこに融資のウエートを置いてもらわなければならぬと思います。ところが実際的には、これはたまたま大企業に、しかも厖大な一括融資をいたしておるところが間々を見受けられるわけであります。昨日の新聞報道によりましても、京都において一つのパニツクの寸前の危機にある信用金庫がありましたが、これなんかは大きな業体に対して数千万というまとまつた融資をしており、その対象が金詰まりになつたということで、その余波をこうむつておるようでありますが、私が先般調査したところによりますと、一軒における信用金庫並びに相互銀行の融資の大体三割程度が三百万円以上の融資、さらに相当パーセンテージが五百万円以上の融資、こういうことになつておるのでございます。私はこのことは非常に遺憾であると思う。三百万とか五百万とかいうことは、千万円以下の融資が中小企業融資であるというこの定義から考えますると、あるいはこれをもなお中小企業金融とは言えるかもしれませんけれども、しかしながら本来のあなた方の使命というものは、もう少しそのポイントが下であつてよいのではないかと思います。多数の人にその資金を均霑せしめるという意味合いにおきましては、三百万円以上、五百万円以上という融資がその貸付総額の相当のパーセンテージを占めるということは、やはりあなた方の立場においての大企業偏重というそしりを免れないと思います。私は名古屋でありますが、名古屋におきましては、最近大きなビルデイングが建ちました。それに対して相互銀行が何千万円の融資をしておる。あるいは最近大きなレクリエーシヨンのスケート・リンクができた。それに対して信用金庫が何千万円という融資をしておる。こういうことであつては、われわれ国会側の協力というものは、さらに批判検討を要する内容が幾多伏在をしておるのではないかと思うのでございます。  そこで私は両協会の運営を通じて少くともあなた方金融機関の持つておられる使命は、そういう何千万円というような融資、それは当然手数がかからないで利益も上るでありましようけれども、そういうようなものは極力抑制するという方向へその運営の主導性を持つてつてもらわなければならぬと思いますが、これに対して両者はどういうふうにお考えになつておりますか。この機会に御答弁を願います。
  79. 島崎政勇

    ○島崎参考人 相互銀行の性格からして、これはあくまでも公共の金融でなければいけない、そういう点から、法律では自己資本の一割といつてあるが、実際は大蔵省より、最高は少くとも一千万円を越えてはいけないという特別の通牒も出ている次第であります。  ただいまの先生の御質問に対しては、私はよく存じていないのですが、おそらく名古屋のある相互銀行がビル資金に貨しているというのは、私の感じでは、あそこに本店を移したいという考えで、あそこを借りるためにやつているのではないかと思つておりますが、全体の相互銀行としては、あくまもこれは、あまり大口にならないように、これは実際から行きましても、私の方の資料では相当小さくなつております。全国的に平均しましても、現在では一件当りが十四万五千円程度でございまして、大蔵省の、あるいは法の趣旨に従いまして注意しているのではないかと思います。またかりにそういうものがある場合は、大蔵省の検査によつて十分措置されておりますので、そういうそしりを受けないように注意して行きたいと思つております。     〔淺香委員長代理退席、佐藤(觀)委員長代理着席〕
  80. 安武善藏

    ○安武参考人 信用金庫の場合も、先ほど島崎さんから御説明がありましたように、政府の方針なり、あるいは信用金庫の使命なりは同様でございまして、御指摘のようなものがかりにあるといたしますれば、これは問題でございますので、私どもよく調査いたしまして、善処したいと思います。特に先ほど御指摘の京都の信用金庫の破綻に対しまして、特に大口融資が――たといそれが法的に認められております融資でありましても、こういう場合には非常に注意しなければいけないということで、きのうもこれは文書でございましたが、特に指令をいたしまして、そうしてこれが是正、抑制を促すということにいたしたような次第でございまして、今後も御指摘のようにいたしたいと考えております
  81. 春日一幸

    ○春日委員 銀行局に伺いますが、火災保険会社の損害準備金の積立て、これはたしか三百億ないし三百五十億あつたと思いますが、これは現在どういう方向へ運営されておるか、おわかりになつておればちよつとお知らせを願いたいと思います
  82. 大月高

    ○大月説明員 私、直接の所管でございませんので、保険会社の責任積立ての運用策は存じませんが、大体におきまして有価証券の投資に向けておるのが主となつておるはずでございます。株式なり社債なり、一部国債を保有しておると思います。それで貸付にこれを使いますときには、一件々々必ず大蔵大臣の承認を要することになつておりますので、きわめて例外的な事例として貸出しに使つている場合がある。その金額はそう大きなものじやなかろうと想像いたしております。
  83. 春日一幸

    ○春日委員 そこでこの金融保証協会の保証融資正でありますが、これは第十六国会において金融保証協会法が遂に法制化されまして、もう支柱も確立したわけであります。そこでお願いをしたいことは、地方銀行、つまり県の保証協会、市の保証協会がこれを保証したところで、貸倒れの心配はないが、貸す金はこちらのものだ、従つてその金がないので貸出しができない、こういうことで、せつかく保証したものもなかなか融資に応じていただけないような面が多々あるのでございます。そこで今回政府の方もこれの再割をして、資金源について格利の措置をしてみよう、こういうところで、その信用はずいぶん高められておるのでございますから、保証協会が保証をした分については、むしろ百パーセント融資できるように、地方銀行協会並びに信用金庫の全国の協会や、相互銀行の全国の協会を通じて、ぜひともその地方において保証したものは百パーセント貸出しして行く、こういうような面から、ひとつ金融の公共性というものを打出して行つてもらいたいと思うのであります。これは今回日銀の施策によりまして、資金源も考えるということでもあるし、さらに私が考えたいことは、今この火災保険の準備金なども三百五十億もある。それと積立て、いろいろ加えて五百億あると私は思いますが、この大部分の金というものは、この中小商工業者が出した火災保険料の積立金でございます。従いまして、これは今後あなた方相互間における交渉によつて地方においてとにかく保証をしたところの融資に対しては、この火災保険の金をその融資源として活用する等のことも私は考え得ると思うのでございまして、単なる不動産融資や証券融資ばかりにこれが使われておるとういことは、すなわち中小企業者の出した金が大企業の側に流されてしまつておるということになり、今日この火災保険会社の保険金運用に対して向けられておる批判に対して、やはりこれを調整し得る一つの事柄にもなろうと思いますし、保証協会法も立法化されてさらに一歩前進してその担保手形の資格もここに持ちつつあるのでありますから、どうかひとつこの三機関において、今後はそういうようなとりまわしを願うように御検討、善処願いたいと強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  84. 井上良二

    ○井上委員 この際ちよつと二、三伺つておきたいのは、市中銀行地方銀行、同時に各信用金庫、相互銀行、これらの各金融機関は、昨年暮れからことしの今ごろまでに銀行の人員をどのくらいふやしていますか、今おわかりでしたらお知らせを願いたい。同時に、給与べースはどういうことになつておりますか。他の産業との関係を知らせてもらいたい。昨年暮れから今年になつて新しく支店、出張所等を設けたものはありますか。これもおわかりでございましたら、今伺いたいと思います。もしそれぞれの関係においてまだわかつていないというのなら、ひとつ銀行局の方でとりまとめて資料として提出を願いたいと思います。
  85. 龜山甚

    ○龜山参考人 今のお話は、今ここで数字を申し上げるほどよくわかつておりませんから、あとで申し上げることにいたします。
  86. 井上良二

    ○井上委員 次に、中小企業金融公庫から各地方銀行並びに相互銀行信用金庫等に割当てられました預託の金額はどのくらいなのでしようか。といいますのは、昨日大蔵大臣は、すでに中小企業金融公庫の資金は全部各窓口業務を取扱う金融機関に割当をして金をやつておる、こう言つておりますので、あなたの方でおわかりであろうと思う。それぞれの関係においてどのくらい割当を受けておりますか。それをひとつお知らせ願いたい
  87. 龜山甚

    ○龜山参考人 お答え申し上げます。地方銀行といたしましては、少いところでは一行については五百万、多いところで三千万見当でございます。一行につきましても、皆非常にたくさん店がありますから、これを各店に振り当てますと、先ほど申しましたように各店としてはきわめて小さな金額になるのであります。
  88. 井上良二

    ○井上委員 総額をお知らせ願いたい。地方銀行全体で何ぼ行つておるか、それはわかりませんか
  89. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ただいまの御質問は、われわれ金融団体には公庫から絶対に内容についてお漏らし願えないのでありまして、公庫の方からお聞き願いたいと思います
  90. 井上良二

    ○井上委員 それぞれの協会で、末端の方からこれこれの割当があつたという報告があなたの方に来ませんか。それはかつてにどうやろうと、全然中央の協会、あるいは統率をしておるところのあなた方の方としては、そういうことまで干渉して必要な資料を集めようとしないのですか、そうしなければ、あなたの管轄に何ぼの割当が来ておるか、それからまた政府預託が何ぼされるか、これで一体年末金融なり、または問題の中小金融に対して資金源が余るか足らぬかということがわからぬじやないですか。それをあなたがわからぬというのはちよつとおかしいじやありませんか。
  91. 島崎政勇

    ○島崎参考人 今回の政府指定預金については、各行ごとに明細にわかつておりますが、初めの中小金融公庫の代理店による貸付のわくは、各相互銀行は幾ら、地方銀行は幾らというふうに、われわれには公庫の方からお考えになつておらないという点であります。
  92. 井上良二

    ○井上委員 お教えになつてくれなくても、あなた方としては、当然事務をうまくやつて行くために聞いて知つておく必要がありましよう。これは当然であろうと思う。これはまた非常にあなた方の方の窓口のサービスの上に重要な資金源であるから、相互銀行なら相互銀行の管轄にどのくらいの一体割当を受けておるか、これがわからなければ、傘下の各機関にそれぞれ指令を出して調査をしてもすぐできることです。それをやらずに資金源が足らぬとか、減つたとか言つたつて話にならぬ。そしてそれがわかつていないようなことで、かつてにあなた方がその金を傘下の各機関にそれぞれの処分をまかしておくというようなことになると、今春日君も申したように、それはほんとうに困つておる零細な中小金融に使われずに、どつちかといえば非常に信用があり、かつそんなに火のつくように金融に困つていない大資本といいますか、一千万円以上の資本の法人会社に利用される危険がそこに起つて来る。それをあなた方が知つておらぬということはどうかしておる。あなた方に中小企業の末端におけるいろいろの指導、または援助がうまくできぬということになるなら、これはいつそのこと、そういうところに預託するのをやめてもらつて政府機関の国民金融公庫にこれをまわして、国民金融公庫の支店、出張所を各地に設けてやらした方が、ずつと効果的ですよ。そんなだらしのないことをしてもらつてつたのでは話にならぬですよ。そうお考えになりませんか。責任をもつと考えてやつてもらわぬと、これは大事な問題です。どうお考えですか。
  93. 安武善藏

    ○安武参考人 ただいま御質問になりました信用金庫の場合の十二月から九月までの職員の増加は、十二月末が二万九百三十四人、九月末が二万七千五百六十人、従つて六千六百三十六人九箇月間に人員が増加いたしております。それから店舗の方は、本支店合せまして、昨年の十二月末が千六百五十四、九月末が千九百八十、従つて三百三十六の店舗の増加でございます。給与の方は、ちよつと持ち合した資料がありませんので、後刻調べまして御連絡申し上げます。  それから先ほどの公庫の方の総体の金庫に対しますわくは、先ほど島崎君から申し上げましたように、公庫自身としては総額をお示しにならないので、各金庫に対する割当の額を一応調査しておりますが、正確なところはよくわかりませんが、九億ちよつと上まわつておる程度信用金庫でございます。それから一金庫に対しますものは、一番最高が千五百万、最低が二百万、こういう状況でございます。
  94. 龜山甚

    ○龜山参考人 先ほどお尋ねの点につきまして、私は各行のものは五百万ないし三千万と申し上げましたが、全体では、これも正確な報告がありませんのでしつかりしたことはわかりませんが、概算といたしましは、地方銀行としては、十八億くらいと考えております。
  95. 井上良二

    ○井上委員 問題は、あなた方地方銀行並びに相互銀行信用金庫というようなものに法律上この制度を認めて、特に政府預託を受ける機関として中小金融並びに庶民金融の任務を負わしているわけでありますが、ただいま春日君からも質問がありましたように、これは十六国会でも問題になりまして申し上げたのでありますが、大体一千万円、従業員三百人以下という中小企業に資し付ける金額が非常に少い。これは銀行のコストの関係からそうやつているのですか、それともそれから下のものは信用がないということになつておりますか。何べん言うても一口百万円以下の少額金融というのは、少しも率が高くなつて来ない、逆に一千万円以上の方の率が多くなつて行く。これはもちろんインフレ関係もあつて物価の値上り等の関係もございますから、一概には申されませんけれども、庶民金融の任務、中小金融の任務を背負つているということになりますならば、かりに三千万円の金があつてもこれを三百万円ずつに割るか、あるいは五十万ずつに割るか、どれだけ多くの人が助かるかということを考えずに、単にコストの関係から、回収可能なりと絶対信用のできる相手だけを選んでやるという行き方をされましたのでは、これは民間金融としてはそれでいいかもしれないけれども、国の金融政策としては、特に日本のように零細業者の非常に多いところでは、一方やみ金融がかくのごとく急速に燎原の火のごとく発展しているこの事実を見て、われわれは正常な金融機関、正常な金利によつてこの問題を解決したいと考えておるのに、その正常な金融機関が正常な金利によつて正常な貸付が行われないということになつて来ると、別個にわれわれは国民金融倉というようなものをもつと拡大充実してやるような方法でもせなかつたならば、これは困りはせぬかという考え方が起りますが、これは率直にあなた方の御意見を聞きたい。
  96. 龜山甚

    ○龜山参考人 今少額の金融について不十分じやないかというお話でおりましたが、地方銀行といたしましては、ただいまお手元に差上げました表にもございますように、五十万円以下のものは、口数では八五%になつております。金額では二八%、千八百四十億貸しております。ウエートから申しましても、貸出額の二八%がこういうふうに出ておりますので、ともかくこの方面は尽力しておるつもりであります。しかし不十分な点は、これからも一層注意いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思つております。
  97. 島崎政勇

    ○島崎参考人 相互銀行といたしましては、中小企業金融公庫の金は、大体一行が三百万から三千万円程度しか来ておりません。そうすると、お客の要望が非常に多いので、これを百万以下五十万、三十万、こういう点についてできるだけひとつ融資をするようにしてほしいということは、相互銀行全体の要望でございますが、金融公庫としては、法人は二百万から三百万程度を出してくれ、こういう要求のようでございますし、もつとわれわれとしては、少い金であるから、一人でも多くお客さんにこれが行き渡るという方向に持つてつてもらいたいということを、常に公庫に対して要望しておる次第であります。
  98. 安武善藏

    ○安武説明員 ただいまの御質問にありましたたとえば百万以下の貸出しについての貸す制御力がないのかという御質問でございますが、金庫の場合は、段階別の数字を持ち合わしておりませんが、百万円以下の貸出しをとつてみますれば、九十数パーセントを占めておりまして、単に信用力がないから貸せないというようなことは毛頭考えておりません。巷間金庫や相互銀行がそれに振りかわりましてあと、どうも高いところばかりねらうという御批判も聞いているのでございますが、私どもといたしましては、下を忘れるなということは、常々協会といたしましても、また業界の経営者といたしましても、それを念頭に置いてやつているわけでございます。なお一般的なこういう不況の状況になりますと、信用力の不足が当然つきまとつて参りますので、先ほどから春日先生からも御指摘になりました保証協会なり、あるいは保険というような制度を百パーセント活用いたしまして、そうしてそれらの信用力の足りない面については、これをそういう形で補完をしてもらつて、さらに貸して行くという努力をしておる次第でございます。
  99. 井上良二

    ○井上委員 もう一点。これは銀行局の方へ伺いたいのですが、かつて復興金融公庫というのがありまして、この金融公庫の業務を引継ぎました開発銀行においては、復興金融公庫から引継ぎました貸付金の処分は一体どういうことになつておりますか。そしてそれはどういうぐあいに取立てられ、処分をされておりますか、おわかりでございましたら御説明を願いたい。
  100. 大月高

    ○大月説明員 復興金融公庫から中小貸付として出しておりましたものは三百万以下の貸付でございまして、それが開発銀行ができましたと同時に全額引継ぎになつております。現在はそれを一般の原則によりまして取立てを行つておるわけでございますが、このたび中小企業金融公庫ができましたに伴いまして、先般政令を出しまして、今月の三十一日付をもつて中小企業貸付に属するものを全部中小企業金融公庫へ引継いだわけでございます。その引継ぎました債権は、従来と同様な原則でこれを取立てて行く、中小企業金融公庫の仕事としてやつて行く、こういうことになつております
  101. 井上良二

    ○井上委員 私の聞いておりますのは、復興金融公庫から開発銀行が何ぼ引継いだか、そしてさらに今お話のところによると、中小企業金融公庫に中小企業関係資金を引継いだ、こういうことですが、どのくらい引継いだのか、開発銀行が復金のものを全部引継いだように私伺つておりますが、その引継ぎました総金額、そしてそれを中小企業関係中小企業金融公庫へ、あるいはまた農林関係は農林漁業金庫といいますか、それぞれの機関にわけて引継いでおりはせぬかと思うが、それの回収状況はどうなつておるかということを聞きたい
  102. 大月高

    ○大月説明員 ただいま具体的な数字を持つておりませんが、数日前にこの委員会の御要求によりまして、多分書面でもつて出しております。もし新たな要素を入れましてつくる必要がございましたら、御要求によりまして新たにつくりまして提出いたしたいと考えております。
  103. 春日一幸

    ○春日委員 銀行局にお伺いしますが、あなたの方が信用金庫、相互銀行信用組合へ指定預金をされる場合には、何を基準にしてされておりますか。
  104. 大月高

    ○大月説明員 主として資金量を原則にいたしまして、資金量何億以上何億以下のものには幾らという基準を立てまして、その原則によつて……。
  105. 春日一幸

    ○春日委員 それを具体的に何億以上は何パーセント……。
  106. 大月高

    ○大月説明員 今具体的に数字を持つておりませんので、必要でごさいましたならば、書面をもつてお答え申し上げます。
  107. 春日一幸

    ○春日委員 そこで今資金量預託されておりますが、預託を通じて、これらの中小企業金融機関をやはり指導育成して行くという立場において私が考えることは、この預金量を基準にするということは適切ではないのじやないかと思うわけでおります。ということは、私どもの調査によりますと、ただいま島崎さんも、それから安武さんも百万以下にウエートを置いておるというお話でございますけれども、実際はそういうふうに行つていない節があるのであります。そこで預託を通じて百万以下の中小企業の融資にこれらの金融機関がウエートを置かざるを得ないような方向をとつて行くためには、これは百万円以下の総融資額を対象として政府の指定預金が行われて行くならば、これらの機関は、やはり政府資金を導入する一つの手法として、そこへウエートを置きかえて行くのではないかと私は考えるのであります。この問題はいずれ深く御検討を要する事柄でありましようので、これは御検討を願うことにいたしまして、私が申し上げておくのは、今までは大体預金量の一割を基準とする預託のように聞いておりますが、今後はひとつ百万円以下の総貸出金に対して何パーセント、こういうようなぐあいに行けば、これらの金融機関重点がそこへ置きかえられるのではないかと思います。これは参考として意見を申し述べますので、ひとつ十分御検討を願いたいと思うのであります。  それからこの機会に大蔵当局に要求いたしますが、現在相互銀行並びに信用金庫において三千万、五千万、七千万、一億という巨額の融資をいたしておることは、私どもも的確な資料を握つております。こういうことは、やはり信用金庫なり相互銀行なりの使命性格からかんがみましてふさわしくない行き方であろうと思いますので、ひとつあなたの機関を通じて、すべての信用金庫、相互銀行にわたつて一千万円以上の貸出しをしておるものがどの程度あるか、これを御調査の上、本委員会に資料として御提出願いたい。  それからさらにもう一つの資料でありますが、現在この地方銀行協会から提出された資料によりますと、なるほど相互銀行の一企業当りの貸出額は十五万であり、信用金庫、信用組合の場合は二十二万九千ということになつておりますが、これも私どもといたしましては、なお信憑性を欠くような感じがいたしますので、この資料についても、大蔵当局として、もう一ぺん中小企業貸出しの一企業当り貸出し金額を資料として御調査の上、御提出をお願いしたいと思うのであります。この機会に申し上げておきたいのは、当然これは一企業当りということになりますので、一口当りということではないから、その心配はないといえばないのでありますが、しかしながら関連事業、あるいは第三者名義、いろいろな方法があろうと思いますので、他の名義を使用して、実際上は資金がその企業体へ導入されて行く、こういうようなものについても十分注意を払われてその資料を御提出願いたいと思うのであります。以上三つの資料、特に信用金庫並びに信用組合、さらに相互銀行において一千万円以上の融資をしておるもの、これをひとつ資料として御調査の上御提出を願いたいと思います
  108. 大月高

    ○大月説明員 ただいまの御要求になりました資料は、早急につくつて提出いたしたいと存じますが、ただ最初の問題につきましては、現在まで通牒によりまして、相互銀行及び信用金庫につきまして、一千万円以上の皆出しをやらないようにという指導をいたしておりますので、現実にどの程度あるかという報告をかりに求めましても、正確な報告がはたして出て来るかどうかということについては、十分確信がございません。しかしまた検査をやるといたしましても、金融機関についてはなかなかやりにくいのでございますが、少くともできる限りの方法をもちまして、できる限り正確な調査をして提出いたしたいと存じます。  それから第二の点につきましては、従来もいわゆる名寄せにつきましては、いろいろ検討いたしおりますが、何か方法がむずかしくて、実質はなかなか把握しがたい結果になつております。現に各種の方面の統計におきましても、名寄せをもつて統計をとつたものはございません。あらためて御要求がございましたので、方式を考えて調査いたしたいと思いますが、これは若干の時日がかかりますので、御了承願いたいと思います。
  109. 春日一幸

    ○春日委員 あとの資料は時日がかかりましようが、これは零細金融に対する一つ金融政策を樹立する上におきまして、やはり欠くことのできない資料と思いますので、ぜひとも的確な資料をおつくりを願いたい。それから前の資料の、一千万円以上の融資の報告を求めてもなかなか提出しないだろうというお話でありますが、これはあなた方の末端機関である財務局に通牒をされれば、その地方に百も三百もそういう信用金庫や無尽会社があるわけではありませんから、それは監査をされればすぐわかります。どこへ貸しておるかということをわれわれは知ろうとしておるのではない、一千万円以上の融資を総資金量に比べて大体どの程度つておるかということを知りたいと思うのでありますから、これは決して困難ではない。すべからくただちに財務局に通牒を発せられて、各機関を監査され、一千万円以上融資されたものについて報告させればそれで十分でありますから、それはさつそくやつていただきたいと思います。
  110. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は昨日も同僚井上君と銀行局長の質疑に関連して、実は官房長か銀行局長に聞きたいと思つてつたのですが、今承りますと、総務課長が来られておるそうですから、総務課長がもし知つておるならば聞かしてもらいたいと思います。  銀行局がこういつた直接監督指導をしておるところの金融機関に対しては、その監督指導精神といいますか、そういつたことは至つて公平しごくにやつておらなければいかぬと私は思うのだけれども、事実そうおやりになつておるかどうか、まずこの点をお伺いいたしたい。
  111. 大月高

    ○大月説明員 大蔵省の行政の中でも、特に銀行局のあずかつております行政は機関行政でございまして、個々の銀行なり相互銀行なり信用金庫を扱うことになりますので、私たちの観念といたしましては、ちようど人事をやつておると同様な観念をもちまして、最も公平に、かつ実情に合うということを原則としてやつております。
  112. 福田繁芳

    福田(繁)委員 わかりました。先ほど春日、井上君から資料を要求しておりましたが、われわれが金融係で国政調査に参つたときに、よくあちこちでいろいろな所説を承りますので、そういつたことを正しく一般もわれわれも認識いたし、また下国民にこれを伝達いたしたいためにこの資料を求めるのであります。第一番に、今まで銀行局に籍を置いておつたところの諸君で地方銀行、相互銀行信用金庫に今在職されておる方は、銀行局のどこにおつた人がどういう銀行に行つておるかということの一覧表を出してもらいたい。その次は、かつて大蔵省に籍を置いておつた方で、これまた地方銀行、あるいは相互銀行信用金庫のいわゆる金融機関に入つておられる方は、これまた何局の者が何人ここに入つておるかということを一応聞かしてもらつて、私が第一番に質問いたしたところの大蔵省の指導精神というものと、国政調査に参つてあちらこちらで聞くことの正しい判断にしたい、また検討を加えてみたいと思いますから、恐縮ですが、その資料を御用意願いたい。
  113. 柴田義男

    柴田委員 銀行局長に伺いますが最近中小企業の行き計まつておる一つ原因といたしまして、各銀行等であるいは相互銀行もこれに同じでございますが、商手を割引きました場合に、大体常識として三分なり五分なりの歩積みを積まされておるというような現状であります。そして末端の金融機関の貸付課長のもとには、大きな箱があつて、歩積みを預かつてつて、相当大きな金額になつておる。今同僚の議員から伺いましても、はなはだしきに至つては一割くらいの歩積みをとつているというような銀行がたくさんあるそうでありますけれども、銀行局から検査をなさいました場合に、こうした方面に対しましては、何らかの指導方針をとらないのかどうか。これははたして正当なものであるかどうか。こういうことがやはり中小企業の金詰まりの非常に大きな比重をなしておるのではないかとわれわれは考えますが、これに対するお考え方と、これはいいのか悪いのか、こういうことを承りたい。
  114. 大月高

    ○大月説明員 ただいまお尋ねの問題は、一般にわれわれは両建預金の問題として従来から議論して来て参つた問題でございまして、一般に両建預金を悪いと言い切るわけには行かないと思います。一般の商慣習といたしまして、商手をかりに割引きました場合に、その商売から生じます利益の一定割合率を積み立てておきまして、その高手の期限が参りました場合にこれを払う、こういうような習慣は昔からございます。その他かりに相当巨額の借入れをいたしますような場合には、定期預金を担保にして借りるということもございまして、そうなりますと、預金と貸出しとの一定部分がやはり両建になつておる、こういう現象も起きるわけでございます。われわれが取締つております両建は、企業の発意によりまして、どうせ金を返すので、その準備に積んでおく、あるいは本来の商取引の関係で必要である預金を担保として入れておくというようなことでなくて、企業の意思にかかわらず、貸す方の金融機関の強制によりまして、一定の割合の預金をしろということを言う、あるいはこれは何箇月間引出さないようにするという約束を無理にさせて預金さす、こういうことを取締つておるわけであります。この一年来、その観点をもちまして各種の取締りの通牒も出し、具体的の指導もいたしております。検査の際におきましても、この点は検査の一つ重点としてやつております。最近預金の伸びが若干悪いというようなこともいわれておるのでありますが、その両建の関係が減つておる点も一つのポイントかと思います。できる限り正当ならざる両建の関係を絶滅いたしたい、こういうことを一つの方針としてやつておる次第でございます。
  115. 春日一幸

    ○春日委員 その問題はずつと前国会以来やかましく本委員会が指摘いたしております。歩積み、それから両建定期、こういうことで銀行が非常な利潤を得ておるということはいなみがたい事実なんです。指導とかなんとかいうなまぬるいことでは、もはやこの悪習は修正されないと思う。これは今にして立法するか、何か法律によつて規正せなければならぬと思います。手形を割るときに、それに対して歩積みをするとか、あるいは保証協会が保証をするものですら、それに対してやはり一定の定規を強要いたしておることは事実であります。あなたの方が少数の監理官をもつて監査するとか指導するとかいうようなことでは、とてもそういう悪風習は矯正することはできないと考えますので、これを銀行局において十分ひとつ御検討願いましてあなた方の方で立法せなければ、議員立法か何かで当然これは処理をせなければならぬと思いますが、ひとつそれに対するいろいろな資料を御提出願いたい。これは何回われわれが申し上げたところで、大銀行、それから信組、相互銀行にも通じての問題であろうと思いますが、あくまでこの歩積みと両建預金というものを解消して、もつとほんとうに融資金額というものの稼働能率を高めることのために何らかの施策が必要であろうと思いますので、当局においても十分御検討おきを願いたい。以上要望しておきます
  116. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員長代理 年末金融対策に関しての問題につきましては、参考人の方々よりいろいろな御意見を承りまして、大体これで終了したわけでございますが、参考人の方々には、非常に御多忙のところ御出席くださいまして、本委員会の審査の上に多大の参考になりましたことを、委員長より厚くお礼を申し上げます     ―――――――――――――
  117. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員長代理 次に、国有財産の管理状況に関する件を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。宮原幸三郎君。
  118. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 国連行政協定の早期調印が伝えられております。第十八国会に承認を求める方針で、外務当局が調印を急がれたというような事実もわれわれの方に伝わつて来ておりましたが、それはやや延期されておるようであります。いずれにせよ早期調印の時期が迫つて来ていることは、おそらく外務当局でも御異議はないだろうと思います。ところで国有財産管理の問題がこの国連行政協定の最も主要な内容をなしている関係上、私はこの委員会に外務御当局の御出頭を願いまして質疑をいたそうというのであります。ただ本日は、時間の都合で大蔵当局に対する質問は後日に保留いたします。主として外交関係のことについての御質疑をいたしたいと思います。  第一に伺いたいことは、外務当局は国連軍が占領中より引続き継続使用いたしております基地の施設の使用状況、これについて十分な御認識があるかどうか、こういう点であります。私は十月九日に議員連盟の一行とともに旧軍港市基地呉市を調査いたしました。その結果厖大なる百万坪の中に、わずかに英連邦軍は数十の兵員を収容いたしております。そのうちで特に一例を申し上げれば、旧海兵団地域は日本軍隊が一万人を収容していた区域でありますが、その中にわずかに六百人の英連邦の軍隊が駐留しておるというような状態であります。厖大な区域を少数の部隊によつてこれを濫用しているという実例は、管財出張所の所長が当時われわれに、その旧海兵団地区の前面を通過する際に指摘したところでありまして、これは確実な証拠があります。そのほか例を申し上げればたくさんありますが、時間の都合で、これは主として大蔵当局に後日質問をしたいと思うのです。それで実地調査を市の側なり大蔵省側がなされましたり、また外務省が現地に出張された場合でも、その実地調査を拒否同様な、また妨害同様な態度で英連邦が取扱つたというのは、これは外務省はお調べくだされば自然におわかりくださるだろうと思います。そういう状態であります。こういう施設が放漫濫用と申しますか、そういう状況にあることを十分御認識かどうか、これが質疑の基本になるわけでありますが、時間の都合上、質疑を一度に並べて御答弁を願つた方がよかろうと思いますから、次の質問をあわせて申し上げます。  この施設濫用につきまして、国連軍の基地である呉地区におきまして、呉市議会、呉市理事者らは県庁と合同して引揚げ対策協議会を結成して、国連軍が引揚げる場合における三万一千三百名の失業者を救済するために、工場誘致を必要とする建前から、余剰施設の急速返還の具体的明細書を添付して、政府及び英連邦に強行かつ執拗に陳情、請願を反覆しております。これはすなわち国連軍の横暴及び政府のある意味においての無能に対する厳粛なる抗議と見られないこともなかろうと思います。この基地の運動活動はいろいろな経過をたどつておりますけれども、昨年独立直後から展開されている問題でありますが、その一々は時間の都合で一応省略します。政府はあの基地の施設濫用状況とこの基地の住民の陳情、請願等を勘案して、この基地の要請を適当であり、当然であると認められ、かつその要望の実現に協力をいたされなければならぬと思うのでありますが、国連行政協定を外務省でお取扱いになる場合、外務省の今日までのその態度、行動、処理、そういうものについて、この基地の施設の供与の問題についての実績をお伺いしておきたいと思います。それからあとで質問することにします。
  119. 小滝彬

    ○小滝説明員 施設の状況につきましては大蔵省、また労務関係については特別調達庁と連絡をとりまして、今その報告を受けている次第であります。仰せのように、呉地区の例をとりますれば、余裕があり過ざるのではないかという点は、私どもも同様に感じております。ただ先方といたしましては、何としてもこの協定をつくらなければならない、それができましたならば、はつきりした施設のとりきめもできるという建前をとつておりますことと、従来朝鮮戰線に出たり入つたりするので、一時はあいておつても、これは恒久的なものではない、こういうことを主張しておりましたが、近く政治会議も開かれるようになりましたら、情勢もわかるでありましようから、御指摘のような点につきましては、ぜひ国連軍側との交渉においてこちらの主張を十分に徹底させまして、このような非難さるべき点がないようにとりはからいたいと考えております。また現地側の要望も私どもよく承つておりますので、これもぜひそういう政府側の怠慢と見られることのないようにいたしたいということから、今国連軍側と交渉いたしておりまするが、御承知のように、率直に申しまして、刑事裁判権の問題だけは切り離して協定いたしたのでありまするが、他の問題については日本側と先方と意見がわかれておるのでありまして、この点で交渉が長引いて来たのは非常に遺憾であります。しかし協定ができましても、すぐ本文に施設の内容を書くのでなくして、その附表に載せることになりますので、この基本的な協定さえできたら、今御指摘のような点も早急に解決するだろうと存じます。御承知のように、日本の方で国有財産を無償で米国側に提供しておるのに対して、国連軍側に対しては異なつ措置をとりたいという、これは日本財政的な立場の主張もございまして、その辺の調整が十分できていないために、また先方はあくまで米軍並にしてもらいたいということを主張しておりますために今日まで延び延びになりましたが、先ほども御指摘の通り、大部日本側の立場もはつきり整いまして、近く交渉いたしましたならば、この長く続きました交渉も解決すると思いますので、その際ぜひ皆様の現地の要請に応じたような施設区域をできるだけあれし、また返還できるものは即時に返還してもらうという方向へ持つて行きたいと今努力中でございますので、その点御了承願いたいと思います。
  120. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 政務次官の御配意のあるお気持はよくわかるのですが、現実ではどうもそれが日本側と申しますか、政務次官個人と申しますか、その希望意見に終るのではなかろうかという杞憂を、ただいまの御説明を聞きましても持つものであります。なぜかといえば、すでに第十八国会において承認を得るという趣旨で調印直前までお運びになつたという現在の段階におきまして、何らこの問題が解決されていない、されていないで調印をなさる、ここに楽観論があり過ざる、こう私は思うのであります。まあしかしせつかくの御答弁でありますから、どうかその御答弁の通り、それが希望意見に終らないように御処理を願いたい。  次にお伺いしたいのは、国連軍が施設を継続して使用しておりますが、その使用権の根拠であります。外務大臣は、吉田・アチソン交換公文によつて、国連軍は一方的意思で占領時代の施設を継続使用する権利を享有すると解釈していらつしやると、これは政府の一部から伝えられております。その吉田・アチソン公文には、用語といい、字句といい、必ずしも明確ではないと思うのでありますが、外務省として、かくのごとき解釈をなさる根拠をここに御明示願いたい。  それから、引続き質疑をしますが、十月三十一日の本院外務委員会において岡崎外務大臣は国連軍に対しただいま政務次官の御答弁の中にちらとありましたように、米軍と均等待遇を与えるようにしてはどうかと研究中であると言明せられておりました。現在のごとく施設の放漫濫用のままに、いわば横暴の行動態度のもとに均等待遇を与えてはならぬと思うのでありますが、いかがでありますか。すなわち余裕施設の返還というがごとき自粛を先決せられるべきものであろうと私は思うのであります。国連軍の協力という国策に順応して最大の好意ある待遇を与えるのにやぶさかではないのがわが国民の態度でありますが、この国民に対し、顧客にすぎない国連軍側の猛省を促さなければならないのではないでありましようか。国連軍の出ようが鬼であろうが蛇であろうが、こちらだけが仏様でいなければならぬというのは、これはすなわち軟弱外交であるという非難を受けても弁解の余地がないのではなかろうかと思うのであります。それから、朝鮮事変が再発するその予備施設に厖大な区域を保留しておくのだというような口実を、あるいは国運軍側が言つているのではなかろうかという想定がせられるのでありますけれども、それは単に口実にすぎないのであつて、余裕施設のうちで即時返還し得ない特別の事由あるものは、かりにここに予約をとることもできないことはなかろうかと思うのであります。こういうことについての政府の御配意はどうでありますか。まず一応これだけを御答弁願つて、なお一、二点申し上げたいと思います。
  121. 小滝彬

    ○小滝説明員 今使つておりますのは、御指摘の吉田・アチソン交換公文にありますように、国連協力の線でありまして、この使用を許す協定ができてない場合は、従来の条件で使うということになつておりますので、あの公文に根拠を置いているわけであります。これが早く協定ができましたならば、また新しい条件で使用権を規制するということもできたのでありますが、その後協定が非常に長引きましたためにこういうことになつた次第であります。そこでその次に、十月の末の岡崎大臣の、国連軍に対してもなるべく均等待遇を与えたいという気持でこの問題を推進しているという言明と、この施設の濫用との関係はどうかとおつしやいますが、この岡崎大臣の申しました点は、そういうような施設をどうするかというのではなくして、先ほどもちよつと言及いたしましたように、財政的な負担の面から見て、国連軍に対しては有償で提供しようという政府内の議論がいろいろありましたが、しかし外務当局の立場から言うと、はたしてそれがいいかどうかということについては検討を要する点があるというように考えたからであります。刑事裁判権の問題だけ切り離して向うが日本側の要求に応じたということは、国連軍側から言えば、一つのきめ手をとられたようなものでありまして、従来は刑事裁判権について日本の広汎な権限を認めないという態度であつたにもかかわらず、先方はこれだけを引離して日本へ譲歩したというような関係もありまするし、また、なるほど国連軍は、条約上あるいは法律上と申しますか、立場は異なつており、国連軍がいるのは日本の国連協力の立場からしているものであり、米軍の方は、安保条約によつて日本の防備ということを主としているもので、立場は違うようでありますが、しかし安保条約の第一条をごらんになりましても、まず第一には、この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに外部の国による教唆または干渉によつて引起された日本国における大規模の内乱及び騒擾を鎮圧するために置く、こう書いてありまして、その目的から言えば大きな相違はないわけであります。ことに国連軍側から言えば、なるほど日本は施設区域を提供してくれたかもしれないが、一面から言えば、特需というようなものがあつて経済的に事実上便益を受けているのみならず、政治的な立場からいつても、韓国の状態悪化するということは日本にただちに影響することであつて、この国連軍の協力というもの、国連軍があそこで戰つたということは、日本にとつて最も重要なことであり、日本は受益者の立場にあるというような考え方も持つているわけであります。しかも同じ国に外国の軍隊がおつて、協力関係にある両方の軍隊にかわつた待遇を与えることがはたして正しいかどうかということは考えなければならぬ。またかりに異なつた待遇を与えるのが正しいといたしましても、もしそれを固執してばかりおつたならばいつまでもなかなか問題が片づかない。現に呉あたりからも、電気、ガス税をどうしてくれるかというような陳情が盛んに来ておるのであります。そこで、ある程度まで互譲妥協の精神を持つて、そうして国連軍にも均等待遇を与えたらどうかということを大臣が申されたわけでありまして、この施設の個々の問題につきましては十分検討して、そうして余裕施設は返すようにしなければならぬ。もし行政協定と同じようなとりきめができまするならば、行政協定の第二条にもありまするように、始終この施設の状況を検討して、必要でないものは日本側に返すことが規定されておりますから、こういうとりはからいもできますが、基本的な協定ができていないので、向うはそのできる前に返すと、協定交渉上にも不利であるというような考えも持つておりますために、御指摘のように、今までわれわれから見ては必要以上のものを持つているにもかかわらず返してもらえなかつた。その点は、あるいはわれわれが責任をとるべき点であろうと考えます。しかし先ほどから再三申しますように、国連軍に不必要なものを与えようとしているのではないのでありますから、今の協定ができましたならば、さつそく米軍に対すると同じように、合同委員会において話合いをしまして、できるだけ使用施設及び区域を限定して、現地の方の御期待にも沿うようにいたしたいと考えます
  122. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 私は与党の立場で、普通ならばまことに発言がつらいのでありますけれども、きようはそういう拘束を多少脱線するかもしれませんが、ただいまの政務次官の御答弁は、現実と非常に遊離しておると思う。日米合同委員会ができて、アメリカははたして日本にどれだけの施設を返還したか。それから後にも、基地の問題は各地に起つておる。だから行政協定に調印した後に、委員会ができて、それで施設の開放を期待するということは、子供だまし同様なそしりを免れないのではなかろうか。この際、あとであとでというので調印をしますと、アメリカのまねをして、施設の保有を依然として継続することは、火を見るよりも明らかであります。これは私が断言しておきます。この際解決しなければ、外ぼりが埋められ、内ぼりが埋められ、本丸の行政協定だけ残つても、それが何になる、こう私は考えます。あまり私が申し上げますと何ですから、この辺でやめますが、政府もその点を慎重に敏感にお考えを願いたい。相かわらずのようなことをやつては、私は国連行政協定そのものに反対し得ない与党の立場ではありますけれども、しかしながらいかなる行動をとるか、私は行動の自由を保留したいと思います。  それから、あとわずかの項目でありますが、時間をとりますから簡単に申します。この国連協定の問題のうちで、非常に重要な問題があります。ことに革新政党の側から見られて非常に重視せられているのであります。それは英連邦労務者の問題です。これは絶対間接雇用を実現してもらわなければならぬ。国連協定のこの労務問題は、国連軍が米軍と均等待遇を欲するならば、また岡崎外交が国連軍に均等待遇を与えるならば、当然米軍並でなければならぬ。しかるにもかかわらず、その労務管理方式は米軍並でない、いわゆる直接雇用の形式をとろうということになりかけておるのでありまして、進駐軍一万の労務者は、このために決死の覚悟で政府に要請をいたしておりますが、政府はその労務者の代表に対して、面会さえもろくにしないという実情がある。それはここにその名前の指摘いたすだけの資料を持つておりますけれども、まあこの辺は遠慮いたしておきます。万一間接雇用が拒否せられるがごとき場合があつたならば、これは米軍と国連軍とが均等待遇というよりも、むしろ英連邦の主張を米軍以上に通してやるわけになるので、米軍以上の優待ということになる。それで英連邦は管理費六千万円の負担が過重であるというので、その責任を免れようとしておると伝えられておりますが、これははたして真相でありましようか。基地呉だけでも、一万名の労務者の死活問題である。米軍労務者に比して差別待遇を甘受させなければならぬのでありましようか。管理費の問題のいかんにかかわらず、それを英連邦が負担するしないの問題はいずれにせよ、国内において負担なさろうが、それは第二の問題とわれわれは考えたい。絶対に間接雇用を実現してもらわなけれでならぬと思いますが、これに対する御見解はいかがでありますか。
  123. 小滝彬

    ○小滝説明員 子供だましのようなことを言つてはだめだということを宮原さんから承りますことは、はなはだ心外でありまして、合同委員会は何をしたか、その後基地問題が起つておるじやないかとおつしやいますけれども、基地問題が起つたということは、合同委員会がいかに民主的にとの問題を取扱つておるかということの証左であります。事実その後減つていないじやないかとおつしやいますけれども、昭和二十七年四月二十八日、これは平和条約の実施された日でありますが、そのときに、一般施設として千六十六件ありましたのが、本年の四月二十八日には七百十九件に減つておる。そうして本年の十一月三日現在をとりますと、それが少しふえておる。これをすぐそれだからけしからぬじやないかとおつしやるでありましようが、それはレーダーの基地がふえたということが重大な問題でありまして、これは何も軍隊だけでなしに、平和のためにも必要なものでありまして、この実績から見ましても、単にもう三百以上一般施設の数が減つておる。個人の住宅の例をとりますならば、昨年の四月二十八日に千七百五戸あつたのが、この十一月三日の数をとれば、二十戸になつておる。当然かもしれませんけれども、今何も合同委員会はしていないとおつしやるから、合同委員会はこれだけの実績を上げておるということを申し上げるのであります。でありますから、そういう委員会というようなものが設けられましたならば、とりはからいが実際的に遂行できるのであります。吉田・アチソン山交換公文の線で行つたならば、従来のものはそのまま使うことになるので、今の交渉が片づけばこうした問題も片づきますし、それから合同委員会にかけたからかえつて悪いとおつしやる先ほどの御発言に対しては、実はこういう問題もあるから、合同委員会にかけたらずつとよくなるということを申し上げたいのであります。  もう一つは、労務者の問題、間接雇用にしたい、これは当然であります。そうなれば、そういうように今のやり方をかえるわけでありまして、現在ああいうようになつておるのは、イギリス側が財政的な負担を出し渋つておるということは、まことにその通りでありまして、イギリスは非常にすべての費用を節減したいという態度をとつておりまして、そうした問題もありまして、今直接雇用の形式になつておるために、いろいろの問題を生じておりますが、これは必ず調達庁を通ずるところの間接雇用になつて、米軍と同じようなああいう基本契約のようなものをつくりまして、これまでのようなごたごたのないようになるであろうということを私どもは期待しておる次第でございます。  なお面会をしなかつたというお話、これは調達庁であるか、外務省であるか存じませんが、そういうことのないように、そうした点は十分注意させるようにいたしたいと考えます
  124. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 最後に、ただいま与党の宮原の質問としては、はなはだ遺憾であるというような御答弁でありましたが、与党の宮原がこれほどの発言をいたしますのは、よほど問題が重大であり、かつ切実であるということをお考え願いたい。  それからもう一点申し上げておきたいのは、合同委員会ができれば余裕施設は返還でさるというお見通しでありますが、十一月二十八日のきよう、政務次官がそういう御発言をなさつたことをよく御記憶を願いたい。その通り実現しなかつた場合についての政務次官のお考えを、よくこの際確認をいたしておきます。  それから最後にお尋ねいたしたいことは、余裕施設の返還といい、間接雇用の問題をたな上げして国連行政協定に調印してはならない、こう私は考えるのであります。伝えられる国連行政協定早急調印の情報というものは、こういう問題をたな上げすると同様の結果になるのでありまして、まことに遺憾に存ずるわけであります。政府は本件の特異性をよくお考え願いたいのです。すなわち国連行政協定といえば国際的であり、日米以上に広汎な観念を予想させるようでありますけれども、実は呉基地に限つての問題といつては過言でありましようけれども、国連の基地というものは国内に至つて少いのでありますから、全国的見地からとかく閑却されやすということを念頭に入れて御処理願いたいのであります。大の虫を助ければ、小の虫を殺してもいいというような考え方であつてはならないであろうと思う。従いまして国会の中におきましても、比較的輿論があるいは低調であるかもしれません。外務委員会で、アメリカと均等の待遇を与える趣旨で検討中だという外務大臣の御説明に対して、外務委員会がまことに了承した空気であつたかのごとく外務省では解釈せられているということが伝わつておりますけれども、それは私が外務委員会の委員をいたしておりませんから、あるいは了承に近い線が出たかもしれませんが、これはなかなか了承できる問題ではなかろうと思うのであります。ことに私及び本日私の質疑をお聞きくださる同僚の方々の空気をお察しくださいましても、この問題はそう簡単な問題でないということの御認識を仰ぎたいのであります。基地呉市は屡次の陳情、請願を反復して参りましたが、万一その要望が無視たな上げされましたままに国連行政協定が調定されたならば、おそらく不平不満が勃発して反対ののろしが上り、あるいは第二の内灘問題まで進展するやも保しがたい状況でありまして、実に一触即発であります。本日知事会から十五名の多数の方々が憂慮のあまり上京をいたしまして、この委員会に傍聴をせられております。もしこの問題が大の虫を助けるために小の虫扱いをせられるようなことがあつたとしたならば、これは政府として相当の事態が発生して、その発生の責任は政府にありということになるのではないかということを憂慮いたすものであります。政府は、この基地住民のこの場合における立場から見れば、国民の輿論を尊重し、これを忠実に実現する誠意と決意とをお持ち合せになつておりますか、最後にお尋ね申し上げます。
  125. 小滝彬

    ○小滝説明員 現地で非常に切実なる要求があるということはその通りでありまして、私どもは決してこれが地域的に広くないから閑却しておるのではなくして、すでに御承知のような事情で交渉が長引いたことを遺憾といたしておるものでございます。先ほどの間接雇用の問題、また余剰の施設の返還の問題につきましては、先ほど私が申し上げましたようなラインでぜひ解決することを期待いたしておるのであります。もちろん朝鮮の政治会談というものは非常な頓挫をして、重大なる情勢の変化があるというようなことになれば、これはまた別の話かもしれませんが、まず現状で推移する限り、そうした御期待に沿い得るものと信じております。ただこういうような要望があるにもかかわらず、その要望をたな上げして、すなわち間接雇用の問題であるとか、余剰施設の返還ということをはつきりきめないで協定を締結したならば、それは重大なる失策であるというような御指摘でございましたけれども、この点につきましては、実は現地からいらしつた方にもよく御了解を願いたいと存じますが、これをきめるのは、実は日米行政協定と同じようはやり方といたしますと、二十六条にも書いてある、こういうやり方でやろう、そうなれば日本側が承知しなければ一方的に強制するというのでなしに、話合いでやるという仕組みになつておる、それによつて個々のものを詳細検討してやるわけでありますが、もしこれをあらかじめ予約的にして、その上で調印するということになれば、その問題が紛糾するためにまた長引く、長引けば結局吉田・アチソン交換公文のラインによつてやられるということになつて、現状はいつまでも長く続くということになりますから、この点はやはりこういうかつこうをつけた方が日本のために有利であろうと私どもは考えております。なるほど内灘問題であるとか、久里浜の問題であるとか、あの辺はまことにお気の毒で、何とかかえようと、まだはつきりした話合いもついておりませんが、それは別の場所を千葉県で出すならばそこへ移してもよいというぐあいに、お互いの話合いで行くことができるのでありまして、その点は現在のようにそのままに押えているんだというやり方よりもずつと改善して来るということは、これは宮原先生に対してのみならず、現地の方にぜひ御了解を願いたい点であります。もちろん御指摘のように、私どもは誠意をもつてぜひこれは一日も早くやらなければならない、それができないようであつたら、野党の方からもこれは政府の黒星として大いに非難せられるでありましようから、私どもはぜひこれを一日も早く解決したい誠意と努力を捧げることを皆様に申し上げまして先ほど申しました点を御了承を賜わりたいと思う次第でございます。
  126. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員長代理 次会は公報をもつてお知らせすることにいたしまして本日はこの程度で散会いたします。     午後二時八分散会