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1953-11-04 第17回国会 衆議院 人事委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月四日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 田中  好君    理事 永田 亮一君 理事 舘林三喜男君    理事 加賀田 進君 理事 受田 新吉君    理事 山口 好一君       田子 一民君    池田 清志君       石山 權作君    櫻井 奎夫君       森 三樹二君    長  正路君  出席政府委員         内閣官房長官 田中不破三君         人  事  官 入江誠一郎君         人事院事務官         (事務総局任用         局長)     大山  正君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計給与課         長)      岸本  晋君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 十月十七日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として櫻  井奎夫君議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員石山權作君辞任につき、その補欠として片  島港君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員小林進君及び石田博英辞任につき、その  補欠として岡良一君及び松田鐵藏君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十九日  委員竹尾弌君及び岡良一辞任につき、その補  欠として岡野清豪君及び長正路君が議長指名  で委員に選任された。 同月三十日  委員片島港君辞任につき、その補欠として石山  權作君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  連合審査会開会申入れの件  閉会中審査申出の件  公務員給与改訂、年末手当及び待命制度につ  いて説明聴取の件     —————————————
  2. 川島正次郎

    川島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  まず国政調査承認要求に関す件についてお諮りいたします。御承知通り委員会におきましては、国政に関する調査を行う場合にはあらかじめ議長承認を得なければならないことになつておりますので、当委員会におきましても、調査する事項公務員給与に関する事項といたしまして、議長に対しその承認方を要求いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川島正次郎

    川島委員長 異議なきものと認めます。さように決定いたしました。  なお要求書作成等については、委員長に御一任を願つておきます。     —————————————
  4. 川島正次郎

    川島委員長 赤城宗徳君から発言を求められております。この際これを許します。赤城宗徳君。
  5. 赤城宗徳

    赤城委員 地域給に関する小委員会における経過等を、一応御報告申し上げます。  地域給委員会は、去る七月一日、田中好君外九名が小委員に選定されました。同時に不肖私が小委員長に就任いたしました。爾来小委員会を開くこと十回、参議院人事委員会との打合会を開くこと三回、その間政府からは入江人事官滝本給子局長大蔵省岸本給与課長等出席を求めまして意見を聴取し、また小委員相互間、さては参議院人事委員との間においても種々論議を交えまして、勤務地手当制度の根本的な改革につきましていろいろ調査研究をして参りましたが、皆様御承知のごとく、国会といたしましては一応の結論を見出すに至りましたので、不肖当時の小委員長としてこの問題に関与いたしました立場から、御参考のために、その経過を簡単に御報告いたしたいと存じます。  申すまでもなく勤務地手当に関しましては、給与法第十二条の「勤務地手当は、生計費が著しく高い特定地域に在勤する職員に対し支給する。」という規定によつて行われているのであります。しかしながらこの「生計費が著しく高い特定地域」云々の規定は、一見明確のようでありますが、実はかなりあいまいな点もあるのであります。従つて生計費をいかに把握し、解釈するかによつて地域指定も違つて来るのであります。しかも現在勤務地手当の被支給者は、国家公務員において約九三%を占めて来たという事実は、本条が制定された当時の趣旨とは異なつ方向に動いて来て、勤務地手当支給理由が薄弱化していることを立証するものであります。さらにまた地域間の物価差及び都郡間の消費形態において、ある程度幅の狭まつている今日、非支給地を含めて現行のごとく最高二割五分、以下五分刻み、六段階の差を付することがはたして妥当であるかどうか、このことあるによつて、かえつて人事の交流が阻まれているという事実などからいたしまして、支給率及び支給地域区分現状のままに放置して行くことが、問題処理の点においてはたして適当な方法といえるかどうかを検討したのであります。しかも昭和二十六年以来国会によつて人事院地域給指定勧告に対し修正などのこともありまして、この地域給指定科学的根拠というものが薄弱化していることも見出されるのであります。  ここにおきまして、小委員会においては国会閉会中においても継続審議を重ね、委員会を開くこと十回に及び、本年八月十日、地域給制度改革に関する基本的態度といたしまして、地域給廃止を最終の目途といたしまして、第一段階には二級地までを廃止し、これを非支給地といたし、本俸及び扶養手当平均額の一割程度を本俸に繰入れ、逐次三級地以上についても今後縮小の方針をとるべきであることを決定いたしたのであります。小委員会においては、さらに具体案研究を進め、九月十一日にその試案二つを提示いたしまして、本委員会に一応報告をいたしたのであります。しかしながらこの方針を貫徹するためには国家公務員公共企業体地方公務員を含んで約百七十四億の予算を必要といたし、これと同時にアンバランス是正するといたしますならば、総額約二百億の予算がなければならない事情になります。もしもこの予算が提出され、この案が実行される場合には、当分の間支給地区分表を改訂しない方針をもとるべきであるとしたのであります。このような結論に対しては、相当政治力を必要とすることはもちろんでありますが、衆参両院人事委員会共同歩調を必要とすることにかんがみまして、参議院人事委員会協議会を持つことにいたしました。参議院人事委員会との協議会は三回にわたつて開かれたのでありますが、両院人事委員会協議会におきましては、衆議院の本小委員会案中心といたしまして活発な論義が展開され、その得失が論議されたのであります。その議論の中心で最も強く取上げられました問題は、本案に賛成ではあるけれども、根本問題の検討に終始して地域給地指定人事院勧告の遅延を見るがごときことがあつてはならないということであります。すでに十六国会の請願も三千七百余件に及んでおりますし、各地方からの陳情が日に継いで行われている事情でありますので、根本方針もさりながら、級地指定人事院勧告を急がせるべきであるというのであります。その他種々論議がかわされたのでありますが、結局次のような申合せをいたしたのであります。  すなわち現に級地指定されているものにつきましても、相当アンバランスがあるのであります。すでに本年の七月給与ベース改訂については人事院勧告がなされているのでありますが、これには地域級地指定是正は含まれていないのであります。しかも地域級地指定是正勧告が遅延されるに至つては、その影響するところが大きいので、この点人事院当局の注意を強く促したわけであります。  第二の、現行の五段階を実質的に圧縮すること。これは本小委員会決定に基いて地域給廃止方向へ進めるため、できるならば二級地以下、やむを得なければ一級地以下を廃して、漸次現在の地域給制度廃止へ進むべきことを強調したのであります。従つてここに並列した二つ方針を実行に移す場合に、種々の難関が予想されないわけでもありませんが、かりにその工作の上において、第一をまず急速に実施せねばならないといたしましても、そのためには第二の方針である級地整理趣旨従つて、なるべくこの線に持つて行けるような前進方法をとるべきことを要請するものであります。もしそうでなかつたならば、地域給アンバランス是正は、結局全部が五級地に編入されるまではとどまるところがないのであります。従つて政府はこの際思い切つて予算裏づけを持ち、九月十一日本委員会において決定されました級地廃止あるいは整理方向に、強力に推進すべきことを決意すべきものと考えておるのであります。  なお参議院人事委員会との申合せにつきましては、了解事項として三つのことがあるのであります。これを申し上げますならば、「一、ベースアツプと切離して取扱うこと。一、圧縮さいしては、実給額を下まわらないこと。一、圧縮方法については人事院検討せしめ、さらに両院人事委員会検討すること。」以上が附帯事項としての了解事項であります。第一の「ベースアツプと切離して取扱うこと。」ということは、ベース・アツプにつきましても、あるいは地域給指定につきましても、一方のみに予算を多くとつて、両方がベース・アツプ地域給も不利になるようなことがないようにという考え方であります。なお二の「圧縮さいしては、実給額を下まわらないこと。」これは相当技術的に研究を要することでありますので、両院人事委員会におきましてこの点まで研究して行く時間的な余裕がなかつたのでありますので、原則的に「実給額を下まわらないこと。」ということにいたしたのであります。なお従つて圧縮方法については人事院検討せしめ、さらに両院人事委員会検討するということであります。以上が附帯了解事項であります。  以上をもちまして小委員会としての報告を終らせていただきます。
  6. 川島正次郎

    川島委員長 赤城委員長報告承認することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川島正次郎

    川島委員長 承認することに決定いたしました。     —————————————
  8. 川島正次郎

    川島委員長 次に公務員給与に関する件を議題といたします。加賀田君。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 公務員給与は、すでに本年の第十六国会において人事院から勧告されているわけです。いろいろ今次の五つの現業三つの公社との仲裁裁定との関連の問題がありますので。政府としてこの仲裁裁定進行状態公務員人事院勧告との取扱いに関する関連性についてどう考えているか、お尋ねいたしたいと思います。
  10. 田中不破三

    田中政府委員 お答え申し上げます。過般来人事院勧告並びに三社五現業裁定が出ておりまして、政府といたしましては、もちろんこの取扱いにつきまして従来と同様十分に尊重いたして、その線に沿つて処理いたさなくてはならないということは考えているのであります。今回提出いたしております補正予算の際におきましても十分に検討を加えたのでありますが、まことに遺憾なことに財政上これに対しまして裏づけをする余地がございません。御承知通りに、災害、水害、冷害対策に対しましても、なお十分の措置が講ぜられなかつたような予算編成でございまして、そういう点から考えましても、もちろん十分にこの勧告なり裁定なりは尊重しなくてはならないという点は肝に銘じているのでありますけれども、いかんせんただいまのような実情でこれを予算化するということができなかつたのは非常に残念に思つておりますが、なお政府におきましては、十分慎重にこれを検討いたすことにいたしております。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 今次の二十八年度の第一次補正予算に対しては、何ら公務員並びに八労組の仲裁裁定に対する考慮が払われていないということであります。昨日衆議院を通過いたしました今次の予算は、そのまま通過するのではないかとわれわれは考えております。従つて政府としては、第二次補正予算という形でこれに諸般の財源処理を講ずる意思を持つているかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
  12. 田中不破三

    田中政府委員 現状におきましては、この次に行われると予想される補正予算におきましても、これを取上げることは非常に至難なようにただいまのところは思われます。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、現在のところ第二次補正予算にもこうした労働者給与に対する財源裏づけは困難だという御意見でありますけれども、今労働委員会にかかつております仲裁裁定の問題に対して、もし政府の意向に反した結果が出るとするならば、公務員に対しての給与にも重大な関連性があと私は思います。現在の仲裁裁定公共企業体労働関係法が適用される労働者と、それから同じようにアルコールその他印刷、林野あるいは郵政に働いておる職員の中でも、一般俸給表を適用されておる人と、なおさらに郵政の中では特別俸給表を適用されておる人が約二万名近くおるわけです。これは時期的に、ある八は給与ベース決定においてでも相違があるとするならば、いろいろその中で問題が起つて来るのではないかと思います。しかしながらこの仲裁裁定に対しては、いろいろ政府態度も明確にされ、それに対しての賛否も、これから労働委員会としての決定がなされると思いますけれども公務員に対しては、政府としては何ら明確な意思表示がない。そこで人事委員会といたしましても、実際問題として審議する対象というものはほとんどないような状態なんです。こういう状態仲裁裁定がもし政府意図に反した結果が生れるということになつたとしたら、これは人事委員会において審議しなくもやならない公務員ベースの問題に時期的に困るという立場から、政府はこの人事院勧告に対する態度に対して、仲裁裁定審議と並行してこの問題を考えなくちやならないのではないか、そういう点に対して政府としてどう考えておるか。     〔委員長退席赤城委員長代理着席
  14. 田中不破三

    田中政府委員 ただいまお話にありました通りに、政府といたしましても仲裁裁定の分、また人事院勧告の分、あわせて一貫しての政策を考えなくてはならない、このように考えまして、非常に苦慮いたしておるのであります。仲裁裁定だけの中につきましても、いろいろと今話されたような問題がありますし、またこの仲裁裁定一般公務員給与引上げという点につきましても、やはり政府といたしましては、関連して一体的に措置をとるという方法をとりたい、このように考えるわけであります。従いましてもともと仲裁裁定そのものにつきましては個個の企業の問題として裁定が下つておりますけれども政府として考えまするならば、ひとしく公務員でありまする関係から、何とかして一様にほぼ同じような処遇をいたしたい、こういう観点からいたしておりまするために、一層苦慮が重なつて来るわけでございます。従つてただいまお話のような事態ということになりますると、よほど政府も慎重にこれを検討し、取扱わなくちやならぬと思うのでございますが、いずれにしましても、事実その背後にありまする財政裏づけと申しまするものが、ただいまの見通しではすこぶる至難のことに思われまするので、そういうお話のような事態に立至りまするならば、またあらためてひとつ十分に政府において検討を加えなくちやならぬと思つておるのであります。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 今財政上困難だという理由が最も大きな理由だと考えますが、この八つの仲裁裁定を受けた労働者の中では、財源裏づけはできるという業態のところが、国鉄と郵政を除いてはほとんど可能じやないかということをわれわれは考えておるわけでありますけれども、そういう形でばらばらに給与ベース決定されるということになれば、これは政府としても、行政面にゆゆしき問題が起つて来るだろうと思うのです。それで今の財政上困難だというこは国家公務員に対しての御意見であるか、それとも仲裁裁定人事院勧告と双方にらみ合せて、すべてを見てそれを財政上困難だと指摘されているのか、この点に対して一応御説明願いたいと思います。
  16. 田中不破三

    田中政府委員 先ほどもちよつと私説明の中に申し上げました通りに、仲裁裁定につきましては、個々の事業を見ましたときには、必ずしも一、二の企業につきましては、現在におきまする収支の関係から見まして、財政的に編成し得ないというふうな問題のないものも御承知通りあるのでございますが、しかし仲裁裁定の中だけを考えましても、ひとしく公務員である関係から、勢い全体の財政的の考え方あるいは政治的の考え方から、ある一、二を抜き出してのみはたしてやり得るかどうか。ほかの公務員との関係もあるという点から、政府としてもただちにそれを取上げるわけには行かないというふうな考え方を持つのであります。そしてまた一般公務員につきましては、これは御承知通りに、給与引上げ総額にいたしますと、平年に換算しまして七百億以上の大きな額を要するわけです。そういたしますと今後に起りまする問題といたしましては、あるいは治山治水関係費用であるとか、あるいは防衛関係費用であるとか、その他大きな財政支出を要する事項が考えられますので、勢いそれらを一連の政策として考え合せてからでなければ、はたしてこれが盛り込み得るかどうかという点が懸念されるわけであります。従いましてそういうふうな将来起つて来まする大きな費額を要しまする事項について、総合的に十分に勘案いたして行かなければならぬ、こういうふうに考えております。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 政府としては総合的に財政面から考慮されることはごもつともですけれども、しかし勧告はすでに本年の三月の実態調査の上に立つて民間給与物価とをにらみ合せて一万五千四百八十円というのが出ておるわけなんです。従つてそのとき、十六国会では、大蔵大臣物価の上昇は横ばいだ、従つてそれと財源という問題を考えて即時実施することは困難だという御答弁であつたのですけれども、三箇月後の現在において、物価はすでに相当つておるわけなんです。それから見て人事院としては、民間給与物価とを勘案すると、新たに第二次勧告案を出さなければならないような経済情勢になつておるのではないかと思う。こういう経済情勢の中で財政上困難だという一つの理由のもとに、しかもその点に対してはいろいろ具体的な問題を提示されずに、現在の公務員生活状態を圧迫するようなことを行つておることは、これは政府として重大な責任があるのではないかと思う。従つてやはり政府としても当面の問題だけではなくして、近き将来に対してでも、いろいろな方面に対する調査あるいは検討をしなければならない使命を持つておると思う。そういう形で、やはり人事院勧告に対する態度というものは、政府としては早急に明確にしなければならない事態に到達しておるのではないかと思う。従つてただ財源が困難でどうも見通しがつかない、こういうことでは、公務員の将来の生活に対しても自信を持つて作業につくという安易感を与えることは困難だし、われわれとしては、政府としてこの人事院勧告に対する態度がどうあるべきか、どう考えておるかということを具体的に明示しなければならないのではないかと思う。もし政府として従来と同じような態度をとつておるとすれば、われわれはやはり独自の立場に立つて議員立法というような形ででも、この人事院勧告にこたえる法案を出さなければならないような状態ではないかと思う。そういうことになりますると必然的に、われわれとしてもできるだけ政府に協力的な態度をとつて問題を処理したいという気持を持つておるが、そのことが不可能な状態になるようなこともあつて、いらざるトラブルも起ることがあるのではないかと思う。そういう意味で、政府としてはやはり仲裁裁定に対する審議とにらみ合せて、この人事院勧告に対する政府としての態度を明確にすべきである。たとえば財源上困難だということであれば、ではいつこれが実現できるのか、あるいは従来も人事院勧告をそのまま百パーセント計上されたことはないようでありますが、その点に対してもどうかというような、政府態度を早く出していただきたいと思います。これはわれわれとしても強く要求いたしておきます。  それから大蔵当局にお尋ねいたしたいと思いますが、大蔵大臣は前に、期末手当については大体〇・五を出す意図を持つておるということを言明されたのでありますけれども、今次の補正予算には出ておりません。従つて第二次補正予算の中に期末手当を盛り込む意思を持つておるのか、もし盛り込む意思があるとするならば何箇月分ぐらいの期末手当を計上するつもりであるか、これに対して御意見を承りたいと思います。
  18. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。給与問題全般につきまして、ただいま田中長官からお答えがございましたように、非常に重要な問題でございまするので、この点につきましては、財源全体について慎重に検討いたしております。ただいま加賀田委員の御指摘になりました〇・五の問題でございますが、これにつきましても、もう前に大臣が申されましたように、どうしても年末までには何とか出せるような措置を講じたいということで、種々検討いたしております。ただ今回の臨時国会は、御承知のような趣旨国会でございましたので、この点につきましては補正予算に組み入れなかつたのでございますが、この次の第二次補正等におきましては、ただいまの〇・五の問題は少くとも最も優先性を持つた事柄になるように私どもも考えておるのであります。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますると、給与法によりますると十二月十五日に支給することになつております。次の通常国会、あるいは臨時国会という形になるのかもしれませんけれども、十二月十五日までに支給できる状態をつくろうとして考えられておるのかどうかということを伺いたい。
  20. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 そういうふうに運びたいと考えております。
  21. 加賀田進

    加賀田委員 田中さんにお尋ねしますが、そうしますと少くとも十一月下旬あるいは十二月の冒頭に国会を開会して期末手当〇・五に対する審議を開始しないと、十二月十五日に支給することは困難じやないかと思います。政府としてはいつごろ次期国会を召集する意思を持つているか、お伺いしたいと思います。
  22. 田中不破三

    田中政府委員 お答え申し上げます。十二月十五日の支給にさしつかえのないように運んで参りたいと思つております。
  23. 加賀田進

    加賀田委員 まだ給与の問題に対して明確になつておりませんので、われわれはわれわれとして独自にこの問題の進行を考えて行きたいと思います。  なお人事院にお尋ねいたしたいと思うのですが、国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当の問題ですけれども、これは現在北海道ではそうでありますが、本州におきましても薪炭手当支給してもらいたいという声が相当大きいのです。北海道におきましては寒冷地手当石炭手当がございますけれども、これに準じて本州の必要なところには薪炭手当を設ける必要があるのではないかとわれわれは考えておりますが、この点人事院としてどうお考えですか。
  24. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げます。北海道石炭手当がございまして、その他の寒冷地方においてある程度の暖房に要する経費がいるということは、私ども十分了承いたしておるのでございます。しかしながら現在の段階におきましては寒冷地手当あるいは本俸の一部がこれに充当される建前になつておるわけであります。この際新しく薪炭手当と申しますか、寒冷地手当相当する特別な手当を設置いたしますことは、いろいろこれによつてまた非常に給与政策上大きく問題が影響するおそれもございますので、人事院といたしましては現在のところ薪炭手当という手当を設置する意図は持つておりません。
  25. 加賀田進

    加賀田委員 それに関連いたしまして、現在地域給勧告に基いて政府から原案が出て、それが人事委員会にかけられて、国会承認のもとに実施するという建前になつておりますが、同じような手当——寒冷地手当石炭手当は、人事院勧告に基いて内閣総理大臣が独自に決定するというシステムになつておりますが、これに対していろいろ不備な点があるのじやないかと思います。特に従来石炭手当等に対しては人事院勧告をそのまま実施されたことはないわけです。政府自体で独自に考えてこれを削減して実施しておるということに対して、非常に不満な点も相当つていると思うのです。これは人事院として地域給と同じように、勧告に基き人事委員会において審議し、最終決定するというシステムにかえる意向はないか。
  26. 入江誠一郎

    入江政府委員 地域給につきましては、御存じの通り特別に地域区分あるいは支給割合につきまして法律をもつてこれを最終的に決定することになつておりますので、国会の御承認を求めますけれども石炭手当あるいは寒冷地手当その他いろいろ手当がございますが、それを一々立法その他の措置によりまして国会で御承認を得るということになることは、事務的にも非常に煩雑になるおそれもあるのではないかと思います。やはり他の手当と同様に現在の建前で参りたいと思つております。
  27. 加賀田進

    加賀田委員 もう一つこの問題について特にお尋ねいたしたいのは、現在これは手当として支給されているために税金の対象になつている。ところが石炭の金額あるいはカロリー計算として現物支給的な金額が渡つていない。これは特に高給者が税金をとられておるのではないか。たとえば三トンの石炭を手当としてもらうわけです。本人は実際税金のために三トンの石炭が買えない。これは非常に矛盾がある。この査定に対してはそういう税金も含めて査定すべきではないかと思いますが、従来はどうなつておつたかということと、そういう税金をのけた手当として考慮する意思がないかどうかということです。
  28. 入江誠一郎

    入江政府委員 この問題につきましては、大体石炭手当の金額を出します根拠は、その当時における石炭の各種の価格を標準にしておりますので、それに相応する税額だけを特に加えるという措置はいたしておりません。しかしながらこういう手当について税額を特別に考慮するとか、あるいは免税措置を講じますることは、給与全体につきまして税金問題をどういうふうに考慮するかという大きな影響がありますので、石炭手当につきましてのみ免税その他の措置をとることは非常に困難ではないかと思います。と同時に石炭手当そのものが、給与の性質といたしましてはいわゆる現物給与という建前であるか、あるいは北海道における石炭の需要額を考慮した特殊の手当と見るべきかということにつきましても問題がありまして、現実に現物を支給することができるようにいたすべき手当かどうかも問題があるのではないかと思つております。そういう意味におきまして、現在のところでは税額という問題は必ずしも給与額に加算いたさないで実行いたしております。
  29. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、大体世帯主は三トン、それ以外は一トンというようになつておりますが、これは支給される人によつて税金の割合が違うわけで、結局実質的に三トンもらう者もあれば二トンしか買えないという矛盾がやはり起つておる。これは人事院としても、北海道においては石炭をたいて暖をとるという基本方針のもとに、法の改正に対して努力していただきたいということを特に希望いたします。  それから十月三十日付をもつて人事院規則で出しました特別待命の問題ですが、一応その御説明を願うと同時に、どういう趣旨をもつてこうした特別待命制を実施されたかということを御説明願いたいと思います。
  30. 入江誠一郎

    入江政府委員 特別待命制度につきましてその概要を御説明申し上げます。  去る十月二十三日の閣議におきまして政府職員の特別待命を実施することに決定せられたのでありますが、人事院といたしましてはこの閣議決定に応じまして、一般職の国家公務員の特別待命制度を設けることになりまして、十月三十日付をもつて人事院規則を制定いたした次第であります。  その要点を簡単に申し上げますと、まず実施期間でございますが、特別待命制度を実施いたしますのは、昭和二十八年十一月一日から同十二月末日までの期間でありまして、すなわちその期間内において職員の申出に基きまして任命権者が承認を与えることによつて行われることになつております。職員意思に反しまして強制的に行いますことは現行の法規をもつてしては不可能でございます。また職員から特別待命制度の申出がありました場合は、任命権者は公務に支障がない限り承認することになつております。従いまして職員が希望いたしましても公務に支障を来すおそれがありますときは承認されないということがあり得るわけであります。また職員が特別待命の申出をいたします場合は、その期間の満了と同時に辞職することを書面であわせて申し出なければならぬことになつております。と同時にこの辞職の申出は撤回ができないことといたしております。その理由は特別待命制度は将来退職いたすべき職員に対しまして一定期間給与を受けながら勤務しないことを認め、他への転職その他身上整理のための猶余期間を与えようとするものであるため、かような措置がとられておるのであります。  次に特別待命の期間でございますが、特別待命の期間は一年を原則といたしております。しかしながらその期間満了前に職員が辞職その他の理由によりまして退職いたしましたときは、そのときをもつて終了することに相なつております。また特別待命は任命権者及び職員の双方ともに任意にこれを取消すことは、原則としてはできないのでございますが、ただ任命権者が公務のために特に必要があると認めましたときには、これを取消すことができることといたしてございます。次に特別待命中の職員に対する取扱いの問題であります。特別待命中の職員は、官職を保有いたしたるまま職務に従事しないということにいたしてありますので、従つて特別待命中の職員は職務に従事しないという点を除きましては、服務その他に関しまして他の一般職員とまつたく同様の取扱いを受けるのでございます。すなわち国家公務員法その他の法規に違反してならないことは他の一般職員とまつたく同様でございます。また特別待命中の職員給与でございますが、給与はまつたく一般職員に対する場合と同様でありまして、その期間中職務に従事しないにかかわらず、給与の減額を行わないことといたしてございます。従つて本俸扶養手当及び勤務地手当は一般職員と同様に支給せられるのでありますが、ただ現実に勤務いたしまして、その勤務実績に応じて支給せられるようないろいろな手当がございます。たとえば超過勤務手当でありますとか、休日給、その他いろいろな手当がございますが、こういう特別な手当につきましては当然支給せられないこととなつております。その他退職手当でございますとか、恩給等については一般職員と同様の取扱いを受けることになつております。  最後に特別待命制度の適用範囲でありますが、この特別待命制度は定員法の規定を受けておる職員に適用するとしてございますので、非常勤職員でありますとか、二箇月以内の期間を定めて雇用せられる職員とか、休職中の職員につきましては適用しないことといたしてございます。その他臨時的職員でありますとか、停職中の職員もやはり同様であります。
  31. 受田新吉

    ○受田委員 今の待命制度について関連してお尋ねしたいと思います。この制度をおつくりになつたことが人事院規則の立場からは、その時の政府政策の都合によつて動かされるような弊害はないかということを私は心配しておる。国家公務員法に人事院の規則をつくる場合に対して法律の執行に関し必要な事項についてそれを制定することができると書いてあるのですが、そのときどきの政府の御都合によつて人事院規則が自由に制定され、改廃されるというようなことになると人事院の権威を失墜すると思うのです。これも世上伝うるところによりますれば、吉田さんの思いつきによつてこれの調査研究を命じたということを言われておりますが、そういう時の総理や一部の閣僚たちの思いつきによつて人事院がいつも御用機関としてこびへつらうような規則をお出しになるとするならば、人事院の権威まことに嘆かわし状況だと思うのですが、この点についていかなる態度をもつて人事院は、この世上ふんぷんたる中に生れた待命制度のこの声を、なぜかくも早くお取上げになつて規則を発せられたか。その間の情勢を御報告願いたいのであります。
  32. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げます。御存じの通り現在の国家公務員法の目標と申しますか、建前は公務の民主化と公務能率の向上という点にございまして、現在任用中の職員でありましても、そこに何がしの剰員と申しますか、若干の職員を減員する余地がありとすれば、それによつて国民負担の増加を防ぐということは、これは御存じの通り国家公務員法の趣旨とするところなのでございます。大体現在毎年退職、離職いたします者が——これは年によつて若干の相違はございますけれども、三、四%、あるいはもつと多い年もあるのでございますが、この程度の職員が毎年離職をいたしておるような状況でありまして、たまたまこの毎年若干の職員が離職しておる状況から、そういうふうな離職する職員が身上整理その他のために一定期間の猶予期間を与えられまして、それによつて行政能率を阻害することなく離職し得るということが、人事院といたしましても公務員の権利を害するわけでもございませんし、むしろ公務能率を増進するゆえんではないかと存じまして、この規則を制定いたした次第でございます。
  33. 受田新吉

    ○受田委員 この人事院規則をお出しになられた動機が、これはまことに不純であるという感じがするのです。この公務員を優遇する道はこうした臭気ふんぷんたる制度によつてなさるべきでない。またやめられる方々に対する補償の問題などにおいても、こういう形のものでなされるということははなはだあやしいことなのでありますが、これが吉田さんの発言で、待命制度はどうだ、行政整理に対する便法の措置ではないかという思いつきが新聞に書かれました。そうして世の人はすでにこれは吉田さんのいわゆる思いつき制度であるという評をしております。これが即座に人事院に反響しておるという、これが私はまことにふかしぎに感ずるのでありまして、三%ないし四%退職者があるということに対する便法措置であるというような、まことに適切な措置であるというような御答弁もあつたのですが、これは基本的にこういう制度をつくることが人事院として正しいと思つてやられたのか、あるいは現在の情勢に順応するという意図があつたのか、もしこういうのが正しいと思われるならば、もうとつくにこういう制度をつくつておいて、それを使用するかせぬかは時の政府のかつてであるから、その制度だけは特に人事院としてつくつておかれるべきであると思います。総理の声明の直後にこれをおつくりになつたという因果関係を私はお聞きしておきたい。  それからこの待命制度の期間中には昇給基準の適用が引続きなされるのかどうかというようなこと、結局骨抜きにされた形にされるかどうか。それが第二。  それから第三は、これは人事院関係ではありませんが、官房副長官関連してお導ねいたしますが、この待命制度は特別職の職員に対して、現に大使、公使などでこれに該当するのがあるということでありますが、その特別職にはどういうものが待命制度の適用を受けており、また当然これに伴うて他の特別職にも待命特別職を置く用意があるのか。たとえば盛んに大臣を製造される現内閣としては、国務大臣待命制度のようなものの実現が可能であるかどうか。一般職のみに待命制度を適用して特別職は適用をしないのか。あるいはこういう制度は公共企業体職員にもこれを及ぼそうという意図があるかどうか。もし政府意図をもつてすれば、すべてのものに及ぶべきであると思うが、この点について政府はいかなる構想を持つておられるか。以上三点を二人の政府委員の方にお尋ね申し上げます。
  34. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げました通り、今回の待命制度人事院規則の制定が、政府方針決定に応じまして規則を制定いたしましたことは事実であります。しかしながら行政の能率化ということは、人事院としても、法の精神に従いまして、かねていろいろ考究しておるところでございまして、この問題が職員の権利を害することなく、行政の能率の向上に資するという点におきましては、人事院といたしましては正しいという見地のもとに実施いたした次第でございます。次に昇給でございますが、全般として先ほど申し上げました通り、特別待命中の職員も、一般の服務しておる職員と同様な待遇を受けておることになつておりますけれども、やはり一年後に退職するという一つの条件のもとに待命の状況が生じた次第でございますし、現に日々に勤務していないわけでございますので、人事管理上その他から、その間における昇給の措置はとらないという建前にいたしております。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 田中不破三

    田中政府委員 お答え申し上げます。私の記憶いたしまするところでは、ただいま待命制度のありますのは大使、公使のように考えております。そしてこの制度は、ここにあります通りに特別待命制度でございまして、それらは現状のままといたしまして、こういうふうな制度を一応考えたのであります。なおこの考え方をどういうふうな点まで及ぼして行くかという点につきましては、一般職のみならず、特別職も、またその他の公共企業体等についても、これに準じてやつて参りたい、このように考えております。ただ、ただいま例におあげくださいました国務大臣の特別待命はどうだろうかという点につきましては、もちろん考えておりませんし、これは御承知通りに、承認をいたしまして効果が生ずることになりますので、総理大臣においてその御承認はないものと思うわけでありますが、そういうふうに運用の面で実際にそういうことは食いとめ得るということに相なつております。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 人事院としてお取りになられた態度が、政府のさしずによつたものでなくして、今までも考えておつたが、ちようどいいときが来たという御答弁であつたのですが、ちようど政府が考えていたのと軌を一にしてお出しになつたことは、去る七月十八日の勧告は、十七日に衆議院予算修正案が無事通過し、その翌日勧告が出た。昨年七月三十一日に国会が終つて、八月一日に勧告が出だということに相関連して、最近どうも政府のお先棒をかつぐ傾向があつてしようがないと思うのです。この点あまりに露骨に政府のごきげんをとられる形になつておるようです。これを私は心配しておるのです。総理が一言発言すれば、踵を接して人事院規則が発せられ、衆議院参議院の動向によつて、即座に政府に阿附同調するところの勧告がなされるというような形がとられて、せつかく人事院がつくられた当時の目的をゆがめられるという結果がしばしば起つておるということをまことに遺憾に思うのでありまして、この点何らかの形で今御答弁に相なつたように、人事院としての良識でやつたものだ、政府の圧力によつたものでないという筋の通つたものでなければ、われわれは納得できないのです。従つてこの待命制度が世界各国を通じてどの国に行われ、それに対していかなる効果があつたかということも御研究されておると思う。日本国においては歴史的に待命制度がいろいろある。今田中官房副長官は、他の特別職にも及ぼすと仰せられました。それはいつごろ及ぼすものかもお伺いしたいのでありますが、保安庁職員のごときは、今戦力でない軍隊をお認めになつておる政府としては、いかに考えられるか。かつての軍隊には待命将校がおつたのであります。この待命将校に準じて、ただちに現在の保安庁職員には待命制度をおしきになろうとされるであろうと私は思うのでありますが、戦力にあらざる軍隊をお認めあそばされました政府といたしまして、保安庁職員に対する待命制度を早急に実施して、一旦緩急に備える用意ありやいなや、これに対しても御構想を伺つて、保安庁職員待命制度を実施するかどうかということについて、今申された御答弁をさらに裏づけしていただきたいと思うのであります。
  37. 入江誠一郎

    入江政府委員 待命制度は御存じの通りわが国におきましては、軍人でございますとか外交官にございまして、また多少これに類似いたした制度といたしまして検察庁関係にあるわけでございますが、今回の一般公務員に関しまする待命制度は、わが国の現状に即しまして立案いたしたものでありまして、外国の制度は詳細に調査いたしておりません。
  38. 田中不破三

    田中政府委員 お答え申し上げます。先ほど入江人事官の方から、除くものの中であるいはお話があつたと思いますけれども、保安隊及び警備隊に勤務する者はこれを除くことにいたしました。ですから大体私どもとしてさしあたりいろいろ考えられますものは、国有鉄道であるとかあるいは、電電公社というような公共企業体、こういうものについては、これに準じてやつて参りたいというふうに考えておるのであります。
  39. 受田新吉

    ○受田委員 今の人事院の御答弁の中に、検察庁関係職員待命制度があつたようなお答えがあつたのですが、判事、裁判官に待命制度があつたのではありませんか。この点待命検事というのがあつたのか、待命判事というのがあつたのですか。これは重大なことで、過去の歴史に基いてわれわれは研究せなければならぬ。
  40. 入江誠一郎

    入江政府委員 この問題はいわゆる待命と申しまするのとは少し違いますので、さつき待命的な一つの制度と申し上げたのでございますが、検察庁関係におきまして、機構改革その他の場合に、一時職員の定員ができますのを待つというような制度でございます。今回の待命制度とは趣旨が違つております。
  41. 受田新吉

    ○受田委員 政府といたしまして、この退職をしようという公務員に対する措置を、こういう形でおとりになるということは、これははなはだ不自然であることは先ほど申し上げた通りでありますが、なお職員には官庁の都合で休職にする道もあるのだし、そのほかいろいろな措置があるのであつて、これはあまり世界的にも例もないようでありますし、それからこれを一般職に適用するような、過去において前例さえなかつたものが、今回突如として出たということははなはだ不自然ではないか。しかしこれはすでに発せられておる。これは国法に基いてなされる問題ならいいけれども人事院規則にまかしてあるという点において、これは人事院としてはなはだ責任があつたと思うのであります。一ぺん出ると改めるのはなかなかむずかしいのであつて、これをお出しになる前に、少くとも国会に対する輿論などもお聞きになつて、国民の声もお聞きになつてなされるべきであつた。こういう点においてはなはだわれわれとして人事院のおとりになつたことが軽挙妄動という印象を深くしておるのであります。この点すでに出されたものに対して、私たちは一つの根本的な批判を加えたいと思います。  次は今加賀田君からお尋ねになられたことのうち、期末手当については、十二月十五日までに何とか手を打ちたいというお言葉があつたのでありますが、この一二月十五日までに手を打とうとするならば、法律改正の方と補正予算の方と両方で少くとも、いかに早く見積つても一週間はかかると思うのです。そうすると田中長官としては、召集期日はいわゆる十二月上旬というものを十五日までに間に合せようとするような措置をとろうとするならば、十二月のきわめて初めに開くことになるのかどうか、それでなければ今あなたの仰せられましたこの十二月十五日と法律に規定せられた期日に実施しようとするならば、これに間に合いません。これはたいへん大事な問題でありますが、期末手当は十二月十五日に当然間に合うようにすると仰せられるその裏には、十二月何日ごろに召集されるという見通し政府は立てておられるか、これをお伺いしたいのであります。
  42. 田中不破三

    田中政府委員 召集期日につきましては、もちろんただいま決定いたしておるわけでもございませんし、今後検討をいたさなくちやならぬと思いますが、しかしいずれにしましても、ただいまのお話のように法案の審議あるいは予算案の審議の日数も考慮に入れまして、十五日には支給ができるような日取りを逆算いたしまして召集をいたさなければならぬ、このように考えております。
  43. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、次の通常国会期末手当の審査によつて動かされるようになつておると確認していいのでございますね。
  44. 田中不破三

    田中政府委員 今度の補正予算関係におきまして、期日を争う問題はおおよそ年末手当かと思います。もちろん予算全体のそれぞれの編成についての時期というものも考えなければならないし、ただいまその中で一番期目的に考えなくちやならぬのは年末手当ということになりまして、おのずから年末手当支給日というものが基準になつて考えられる、このように考えます。
  45. 受田新吉

    ○受田委員 次は給与改訂の問題でありますが、これは政府としては目下二十九年度に考えようという御意向のようであります。人事院としてはすみやかに実施せよという御勧告があつたわけで、われわれも勧告を受けておるわけです。この御勧告していただいた中には民間給与等すでにその他のいろいろな条件を考えて一三・九%ベース・アツプをしなければならぬという御結論に達したようですけれども政府としては先国会の末期に小笠原さんから物価は横ばい状況になつて人事院がいうように値上りしていないのだ、こういう御答弁があつたわけです。これは政府人事院の見解の相違ですが、今日なお政府としては物価が横ばい状況になつておるとお考えでしようか、田中さんにお尋ねいたします。
  46. 田中不破三

    田中政府委員 物価指数その他の点から申しまして横ばい状態あるいはいささか上り気味であるかどうかという点については、私ただいまここに資料を持ち合わせておりませんし、なかなかむずかしい問題かと存じます。しかしいずれにしましても、政府といたしましては、人事院勧告そのものにつきましては十分尊重しなくてはならないという点についてはできるだけの考慮を払うという考えを持つておるわけであります。
  47. 受田新吉

    ○受田委員 この給与改訂は、従来人事院勧告があると、ただちに政府はこれに手をつけておられたわけですが、人事院勧告はこの臨時国会をおいて次の国会でやるというのですから、国会を一つ飛ばすということになるのですね。これは尊重じやなくて非常に冷淡だということがいえるわけです。その勧告が出た国会では審議が十分間に合わなかつたので、次の国会では手を打つというのが私は筋だと思うのです。それがさらに次々というふうになつて来ると、これは尊重という言葉に当てはまらないと思うのでありますが、その点政府は尊重をする意思があるならば、何らかこの際これに対してはこういう用意があるというくらいの意図を示していただきたい。たとえばどの程度のベース・アツプは考えておる。たとえば一〇%程度は考えておるのだ。これはどなたかちよつぴり政府の責任者が漏らされたのじやないかと思のですが、そういう程度の用意をして二十九年度実施ということにしておるのか、構想を伺つておきたいのであります。尊重の内容、尊重の厚さですね。
  48. 田中不破三

    田中政府委員 お答えいたしますが、先ほど加賀田委員にお答えいたしましたのと同様、ただいまのところは非常に真剣な検討を加えておるという程度でございまして、それ以上にわたつてのいろいろの構想、これはあるいは各大臣の方々においてそれぞれの個人的のお考えはあるかとも存じますが、政府考え方としてどういうふうにいたして行くか、あるいは時期であるとか、あるいは額であるとかいうその尊重の程度についての方針というものはまだ決定しておらないのであります。
  49. 受田新吉

    ○受田委員 昨年私たちの審査をする委員会において政府当局よりこの給与法関係の連絡調整的な措置をとりたいという繰返し御答弁があつた。この点につきましては、たとえば保安庁職員給与法や外務職員給与法あるいは裁判官、検察庁職員とかいうものの給与法に、すべていろいろな規定に相違があるところがあるのです。たとえば人事院の担当しておりまする一般職の給与法にはその二十五条に罰則が書いてあるのです。ところがほかの職員給与法には罰則がないのです。一般職だけ罰して、ほかのものを罰しないということはあり得ないわけです。この点については政府はその前非をお悔いになられて、これらについてはそれぞれの法律の調整をはかりたい、各省間のでこぼこを是正したいというようなことがありました。人事院の一度の勧告給与準則というようなものについては、その点ある程度職種別に連絡調整をはかろうとする意図があるようですけれども、私はあまりこれに賛意を表するわけではありませんけれども、そういう意図があるようですが、こういう点について政府としては何らかの形をもつて身分、給与関係を各省別のセクト主義から離れた大きな線でまとめておかれる必要があると思う。これはおやりになる時期が来ておると思うのです。ことに保安庁の職員などが、この際何か特権階級のような形にならぬようによほどお考えにならぬと、あの保安庁部内にあるところの武官系統の人々は、やがてわれわれの時代をうたおうとうかがつておるのですから、こういう点についてもちやんとした給与などでも押えておく、私もこの点についてはできれば保安庁へ出かけて行つて、各職員給与状況などをこの委員会調査する必要がある、これはいろいろなところに乗り込んで、そういつた不均衡を直す必要があると思つております。この点人事院は単に一般職の職員しか御担当になつておられないので、そういう基本的な立場でありましても範囲が限定されておるので、その全体を調整なさるのはやはり政府の責任になつて来るのでありますが、どうかこの点をすみやかに各省あらゆる職員にまたがるところの調整的な措置をおとりになることを要請いたしておきます。これに対して副長官から御決意が伺えるなら、はなはだ幸甚であるのであります。
  50. 田中不破三

    田中政府委員 ただいまいろいろとお話を承りまして非常に幸いに存ずるのでありますが、御指摘の通りに、一般職と特別職の関係給与の種類あるいは実質的な給与の均衡という問題については、政府は十分均衡をとつて参らなくちやならぬということを考えております。お話の中に出ましたように、給与準則等も今度いよいよ人事院としては形を整えて参つておりますが、これなども十分検討を加えておりまして、またお話の一般職、特別職間の給与の均衡調整というふうなことについても十分考慮を払わなくてはならないと思つております。
  51. 受田新吉

    ○受田委員 特に申し上げておきますが、特別職の中でいろいろな委員会委員長などというものは、ほとんど一箇月のうちに何ほども勤務しないで国務大臣級以上の俸給をもらつておるのであります。こういう職をむなしゆうする人に厚い待遇をして、一方で普通の官庁の下級職員はせつせと日々精を出して薄給に甘んじ、下級の臨時職員はいつ首を切られるかわからぬ運命になつておる。しかるに臨時職員と同じような形の、ほとんど一箇月何日も勤務されないような人々が、何々委員会委員長というような調子で高禄をはみあそばされておるということ、これは昨年も不当なやり方であるという政府の御答弁があつて、何とか早く直したいとおつしやつたが、すでに一年をけみしました。すみやかにこうした職をむなしゆうして高禄をはまれる方のそういう待遇の問題を御処理いただくことを、今度の国会に間に合うようにお出しいただけるかどうか、この点について政府の決意を伺つておきたいのであります。
  52. 田中不破三

    田中政府委員 はなはだむずかしい問題でありますが、私も十分記憶しておりませんが、いろいろお話通りに、委員会がありあるいはその他これに準ずるものがありまして、それぞれの給与額が定められております。これはあるものは法律で定め、あるものはしからざるもので定められておるというふうに、給与の定め方もその基礎がまちまちのようであります。そうして  またそのよつて来るところもなかなか、たとえば委員会につきましてもそれぞれ発生原因からいろいろの体系が整えられておりまして、給与そのものが今御指摘の通りに一様ではなくて、多種多様というふうに存ぜられます。けれどもこれはたとえば法律によるものにつきますと、法律をつくられますときにいろいろとその会の性質あるいはその会の頻繁度とかあるいは重要度と申しますか、いろいろの要素を考えられてその法律による給与ができておるものもあるようであります。従いましてこの相当多数のものにつきまして、比較的すみやかにその処置がとれるかどうかという点については、これは私もなかなか言明いたしかねるのであります。しかしいずれにしましても、御指摘の給与そのものを見ましても、多種多様であるという点につきましては、十分検討いたさなくちやならぬと思つております。
  53. 受田新吉

    ○受田委員 人事院の担当しておられる関係からいつて、この給与法には、一般職には委員、顧問、参与等の給与に関してはその勤務一日について三千円を越えない範囲で、人事院規則で定める基準で実施機関が定める給与支給するとなつております。ところがいわゆる何々委員と称する特別職の高禄をはまれる方々は、一箇月のうちに一日か二日しかやられないのがおつて、大体五千円か六千円かお払いすればいい程度のものが、七万円も八万円もおいただきあそばしておるのです。こういうことは民主主義よりも逆な方向へ行くものである。勤労せざる者に対して高禄を与えるということは、はなはだ給与体系をくずすものですよ。この一般職の給与法にはつきり書いてある勤務した日に対して支給するという線をやはり特別職にもとつて、この点そういうりつぱな基準がありますので、この一般給与法をたてにせられまして、田中さんに勇敢に今度の国会に間に合うように特別職の給与を改訂する法律案をお出しいただくことをお願いしまして、次期国会には必ずこれをやつていただくことをお願いしておきたいと思うのです。この点について御決意のほどを先ほど来たびたびお聞きしたのですが、御決意がないようです。必ずやるように努力するというお言葉をいただけば、今度の国会で大いに責任を追究するのに好都合であります。しかるべく……。  それからもう一つ、郵政省の職員の中には、最近問題になつている公労法適用者の場合と一般職の給与法の適用者の場合との間に非常な不均衡ができたわけです。一般職の方の適用を受ける係長、課長クラス以上の人々は、課長をやめてでも課員になりたいというほどの熱望を持つて、切実な問題が起つておる。この点一般職の職員給与を適用する場合に特例を設けることがいいのか、あるいは公労法の適用を受ける人々に対して、その公労法の中に一般職から何か抜き出すような法律改正をするのがいいか、いずれにしても一般職の中からこれをはみ出させれば他の省にも影響が及んで来ると思うのですが、政府はこの処理をどうなさるか。同じ職場に勤めておつて、一方は給与が高く一方は低いというのははなはだおもしろくないから、これの是正について政府の今考えておられる構想を伺つておきたいのであります。  以上二点を最後にお尋ねして質問を終りたいと思います。この点について人事院の方の御意見も伺つておきたいと思います。
  54. 田中不破三

    田中政府委員 ただいま御指摘の、たとえば郵政省におきましての給与の不均衡の問題、にれは私自身直接その衝の担当ではございませんが、御指摘の通りに矛盾を来すような結果になつておりますから、郵政大臣におきましてこの点は十分ただいま検討を加えておられるように承知いたすのであります。ことに今度の裁定の問題等にもからみますと、なおさらその取扱いが一致しておらないということで苦慮するわけであります。従いまして給与の均衡ということについては十分考えなくちやならぬというお考えを持つておられます。私たちもそう思つております。なお先ほどの問題でございますが、先ほどもちよつと申しました通りに、何しろ法律でできておるものは、国会において御審議を願つてできた各委員会その他の給与関係でございます。それぞれよつて来るところがありますし、私全部を十分承知しておるわけでもありませんし、ただちに次の国会にという御催促がございましたが、この点はどうもなかなか保証いたしかねると思います。しかし努めてお話のような方向従つて努力をいたさなければならぬということは考えております。
  55. 入江誠一郎

    入江政府委員 郵政職員関係給与につきましての人事院の見解をお答えさせていただきます。郵政職員関係の管理、監督その他の関係職員と、一般の公企労法の適用を受けます職員との給与アンバランスの問題は、結局一般公務員と公企労法関係職員との給与アンバランスの一つの現われがそこへ出ておる問題でありまして、人事院としては、もとより一般職公務員全般の給与が公企労法関係とバランスがとれますれば、この問題は解消するわけでありますから、それを希望するのでございますけれども、しかしこれが簡単に実現できないという場合に、当面の問題として郵政関係の中における人事管理上の不調和をどういうふうにするかということが問題になるわけでございますが、この問題につきましては、ただいま田中長官からもお答えがございましたが、人事院といたしましてもいろいろ検討いたしており、関係方面とも御相談いたして善処したいと思つております。
  56. 川島正次郎

  57. 舘林三喜男

    ○舘林委員 私は待命制度につきまして、ほんとうに簡単に一、二点について御質問申し上げます。この待命制度は、先ほどもいろいろ質問もありましたが、ねらうところはなかなか行政整理がむずかしい、それで何とか簡単にやる一つの手として、こんなことを考えつかれたのではないかと思う。一昨年あたりでしたか、民間の会社が企業合理化のために整理する場合に、とにかく一年くらい俸給をやつて遊ばしておいたら、非常に整理がしやすいというわけで、経済界でもこんな方法がはやつたようでありますが、多分それを総理が聞かれて、その思いつきですぐ人事院の方にこんな指令を出されたのではないかというような気がしているわけであります。そんなわけでこの趣旨はまつたく行政整理の一つのやり方と考えて行くべきであるし、私もそんな立場から質問を一、二申し上げたいと思う。  第一には、この待命制度を新しく実施することによつて国家公務員についてはことしの十二月の末日まででしたか、それまでの間に何か一つの目標をきめて、待命の希望者を募集しておられるかどうか、この点を承りたい。
  58. 田中不破三

    田中政府委員 目標を定めていたしておるわけではございません。先ほど入江人事官からもお話がありましたように、希望者についてそれをいたしたいという考え方でございまして、特にある目標を定めて、その目標に達するようにいたすというものではございません。
  59. 舘林三喜男

    ○舘林委員 この中には、来年一年間はとにかく俸給をやる、俸給の中には扶養手当とか勤務地手当も入つておる。一応役人として本俸的なもの、受くべきものは、みな受けるのでありまして、その一年の間、あちらこちらに新しい仕事を探す便宜もいろいろあるわけです。そんな意味で、私は行政整理の場合に、特別の退職金をいただくよりも、場合によりましては相当有利でないかというような気がするのです。これは一般的にはなかなかむずかしいだろうと思いますけれども、たとえば十五年か十年くらい勤務した場合、従来の行政整理の場合に特別退職金をいただくのと、それからこの場合に待命によつて、一年間ずつと勤務しないで俸給をとるのと、どちらが有利であるか、この点何か計算されたことがありますか。
  60. 田中不破三

    田中政府委員 大体におきまして、今度の特別待命制度によりまして、処遇を受ける方が、有利に考えられます。
  61. 舘林三喜男

    ○舘林委員 私もそんな意味で、いかにも行政整理を新しくやる、そのときには、非常に多額の退職金もいる、特別の退職金もいるという意味で、私はこの待命制度というものは、案外政府のお気持通り、効果を発生するのじやないかという気がするのです。いかがでしよう。もうこの制度が新聞に伝えられましてから、大分日もたつておりますし、実施されるのは、一昨昨日の一日からでありますが、相当趣旨も徹底されておるようでありますので、案外多数の希望者があるのではないかという気もするのですが、いかがですか。
  62. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げます。人事院所管の一般職員につきましては、ただいまのところ、まだ具体的な報告を受取つておりません。
  63. 舘林三喜男

    ○舘林委員 これはあと一月ばかり模様を見てから、私もいろいろ材料を整えて質問いたしたいと思つております。  次に、これはとにかく一年間は俸給をやる、その間にお前はかつてに仕事を探せという制度だと思います。そういたしますと、一年間のうちに何か仕事を探しても、それを非常に厳格に解して、その場合は当然離職すべきだというふうにお考えになるのか、とにかく新しい仕事を探すということについては目をつぶつておいて、一年間だけ俸給をやるというような運用をされるか、その点をちよつと承りたい。
  64. 入江誠一郎

    入江政府委員 一年後に退職する。その間にいろいろ個人の御都合はありましようけれども、身上整理その他の処置をされるわけでありますが、とにかく一年後に退職するということを一つの条件といたしまして、勤務に従事しないという一つの状況を承認するわけでございます。
  65. 舘林三喜男

    ○舘林委員 そうしたら、たとえば十二月の十日なら十日に待命を受けて、そうして幸いにして来年六月なら六月にどこかの会社に仕事を探して、それから先ずつとその会社に勤務するという場合に、来年の十一月の末日まで、すなわち一箇年の期間は一応待命によるところのこの規則による俸給をいただけますかどうか。
  66. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げます。この点につきましては、服務につきましては、一般の勤務に従事している者と全然同様でございますので、待命中といえども、他に職業が見つかりましてそれに従事する場合には、任命権者の承認を要することでございますし、同時に兼職は認められませんので、待命期間中といえども退職することになり、待命はその時期をもつて解消するわけであります。
  67. 舘林三喜男

    ○舘林委員 一応法律上の解釈はそうでありましようが、とにかくこの待命制度趣旨とするところは、その一年間に何か仕事を探す。その間だけは国家として生活の保障をするという意味でありますから、その就職の有無等につきましては、あまり厳格に解さないで、本人の生活をなるべく脅さないようにして、運用の妙を全うしていただきたいということを希望申し上げたいと思うのであります。  それから、大体国の方としては行政整理を非常にやさしくするという意味が一つ、もう一つの意味といたしましてはとにかくこの待命を受けた場合に、本俸扶養手当勤務地手当とこの三つはやるけれども、ここに書いてあるような他の手当はやらない。これは当然だろうと思うのです。しかしそれ以外に、私はこの待命制度のねらいといたしましては、たとえばここに一人の国家公務員がおられる。そうすると、これだけのいろいろの手当をやる以外に、たとえば消耗品とかあるいは旅費とか、たくさんの費用がいる。その節約ということが私はむしろ大きなねらいじやないかと思うのです。そういたしますと、私ちよつと参考のために、大蔵省の主計局の次長もおられるようでありますが、大体一人当の俸給、それ以外にたとえば予算として計上される旅費とかあるいは消耗品とか、あるいは電話料とか、いろいろあるでしようが、大体どれくらいになつておりますか、国家としてはこの待命制度によつてどれくらい一人について節約ができるものか、この点をひとつお知らせを願いたいと思います。
  68. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。今度の待命制度に、どういう人が志望して参るかということをつまびらかにしておりませんが、大体役人の給料が平均二十万円か二十二、三万円というところでございますが、一人前の事務官でございますと、旅費等も相当かかつております。しかしいわゆるタイピストその他、出張等のないような人もございますので、平均二、三万円から十五、六万円というところあたりが、庁費、旅費をすべて入れましたものじやないかというように思つております。従つてどういう階層の方々が待命を御志望になるかによつて、今おつしやいましたような額もきまつて来るというように考えております。
  69. 舘林三喜男

    ○舘林委員 どうせ今度の臨時国会においては、もう人事委員会も開かれませんから、この次までにいろいろ研究したいと思いますので、各委員に、この待命によつて国家予算としては——一人についてでいいですから、どのくらい節約できるかという資料を、ひとつ出していただきたいと思います。  最後にこの待命を受けた人は、国家公務員法の各省の定員内の者として一年間お考えなのか、あるいは待命を受けた日から定員外としてお考えになるのかどうか。
  70. 入江誠一郎

    入江政府委員 現在の定員は御承知通り法律できまつておりまして、待命を受けましても、定員そのものは削減されませんけれども、しかしながらその定数はこれを使用できないようにいたしまして、現実にそれだけの者が減りましたと同様な経理上の措置をいたします。
  71. 舘林三喜男

    ○舘林委員 この待命制度国家公務員についての制度であるようでありますが、私は国家公務員法と地方公務員との関係は、詳しいことは存じませんが、これをただちに地方公務員法、いわば府県の条例によつてこの待命制度を置くことについて、あるいは政府の方からある程度の示唆を与えるとか、あるいは指示をするというようなことを講じられておるのか。あるいは何も講じないけれども、県としてこんなことをやつたらいいということですか。この点の御意見はどうですか。
  72. 田中不破三

    田中政府委員 地方公務員につきましては、もちろん直接の指示というものにつきましては、できかねるのでありますが、しかし先ほどのお話にもありました通りに、政府機関以外のものについても、努めてこれに準じてやつていただきたいというふうな話合いをいたして、地方公務員についても努めてこのような考え方で、できるだけ冗費を節約していただくというふうにやつてもらいたいものだと考えております。
  73. 川島正次郎

  74. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 入江人事官にお尋ねいたします。先ほど赤城地域給委員長の方から、衆議院地域給委員会考え方及びその後における衆参両院申合せ事項というものを御報告なつたわけであります。ただいま人事院においても地域給の問題をどのように作業をしておられるか。現在の状況をお知らせ願いたい。
  75. 入江誠一郎

    入江政府委員 先ほど本委員会におきまして、御決定になりました御趣旨は、人事院といたしましては善処いたしたいと思つておりますが、当面人事院で現在やつております作業でございますが、先般来いろいろ御審議経過によりまして、いろいろ御意向も伺いましたので、またこの点は人事院の当然の任務でもございますので、地域給につきましては鋭意作業をいたしておるわけでございます。作業の内容につきましては、大体ただいま御決定の御趣旨を十分尊重いたしまして、作業をいたしておるわけでございますが、作業ができ次第地域給につきましては、御存じの通り相当財政的にある程度の見当をつけなければなりませんので、政府の方とも十分御相談したいと思つております。
  76. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうしますと、衆参両院申合せは現在の不合理を早急に是正しろというようなことを言つておるわけでありますし、衆議院の方といたしましては、将来地域給廃止するという建前からできれば圧縮して三段階にしようというような考え方を持つておるわけでありますが、どちらに重点を置いて人事院では作業しておられるか、あるいはそれを関連づけてやつておられるか、その点をちよつと伺いたい。
  77. 入江誠一郎

    入江政府委員 今のお話通りと申しますか、たびたび御指摘の通り地域給をただその現状のままアンバランス是正いたしましても、なかなか実際問題として合理的な結果が得にくいという実情がございまして、その意味においては何とかこれを整理するという方向に参らなければならぬのでございますが、と同時にアンバランスそのものも放任できないという両方の見地から、先ほども赤城委員長からお話がございました通り、単にアンバランス是正するというだけの意味にとどまらないように、将来の地域給漸減の方向に効果のあるような一つの形式において考えをまとめてみたいと思つております。
  78. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうすると、少しこまかい点に入りますが、そういう区分に沿いまして、たとえばまず第一段階として零級地をなくするというような方法も考えておられるわけでありますね。
  79. 入江誠一郎

    入江政府委員 そういう方法も考えております。ただこれが御存じの通りそれだけのことを考えましても、相当の経費を要しますので、その点は最後の決定にはまだ至らず、まだ確定的なお答えを申し上げられません。
  80. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうすると作業終了の大体のめどですが、これは御承知通り衆議院参議院に非常な陳情を受けておりまして、全国的な要望でございますが、作業中といつても大体のめどというものがあると思うのであります。大体いつごろ勧告見通しでございますか。
  81. 入江誠一郎

    入江政府委員 政府におかれて、いずれ来年度予算と申しますか通常国会予算を裸出になるためのいろいろな準備がおありだろうと思いますが、われわれといたしましてはそれに関連して、この問題を考えたいと思つております。
  82. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうすると来年度の予算に間に合うように考える、こういう意味でございますか。
  83. 入江誠一郎

    入江政府委員 人事院といたしましてはさよう希望いたしております。
  84. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 かりに人事院勧告いたしました場合に、政府はこれに対する財政上の裏づけ、こういうものを十分持つておられるかどうか、田中長官にお尋ねします。
  85. 田中不破三

    田中政府委員 先ほど申し上げました通りに、二十九年度予算の編成ということにつきましてのいろいろの大きな要素というのが輻湊しておりまして、来年度の予算編成も非常に難航を続けるものだと考えるのであります。従いましてただいまの地域給是正ということでどれくらいの財源を要しますか、またその財源がはたして来年度の予算にどういうふうに組み込み得ますか、その点につきましては、出ましてからひとつ十分検討を加えてみたいと思つております。
  86. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 この地域給勧告は、今までのベース・アツプ勧告と違いまして、これを一旦人事院勧告を出しますと、たとえば二級地なつたのが、予算がないから一級地にしてくれ、こういうわけには参らないのですよ。人事院が二級としたら二級の裏づけをしなければならぬのです。それで勧告が出ましてから十分研究しますということでありますと、非常な混乱が生じます。そういうことのないように十分人事院勧告に対しては予算的な裏づけをなさるように御努力を願いたいと思います。  次にベース・アツプの問題ですが、これはいろいろ加賀田君の方からも質問ございまして、政府の今考えておられる状況、これは私の把握したところでは、今度の補正・予算にはベース・アツプ及び三社五現業仲裁裁定を実施することが困難であるという御意向のようでございますが、その通りでございますか。
  87. 田中不破三

    田中政府委員 ただいまのところは先ほど申し上げました通りに非常に困難のように思われます。
  88. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 この問題は非常に重要でございまして、すでに人事院勧告いたしましたのは七月半ばでございます。しかもそれは三月の実態において一万五千円というものを勧告いたした。また三社五現業仲裁裁定も、これは法的裏づけのもとに裁定が下されておるわけでございます。すでに社会の実態はいわゆるインフレの傾向に入つておるのでありまして、公務員の諸君及びこれらの人たちが財政的な経済的な圧迫を受けておるということは明瞭でございます。従つてその勧告政府が実施しない、仲裁裁定もこれを尊重しないということになりますと、これはいずれも法律によつて裏づけられたものでございますから、これは政府が法律を無視したと言われても、弁解の余地はないと思うのであります。政府の方でそういう法律を無視するということになりますと、いわゆる地方公務員を含めた国家公務員、あるいはそういう人たちの中に非常な動揺を来し、あるいは不測の事態が起らないとも限らない、こういうふうに考えるのです。そのような場合は政府の責任はきわめて重大だと考えるのですが、その点はどういうふうに考えておられるか。
  89. 田中不破三

    田中政府委員 お答えを申し上げます。今お話通りに、法律に基きました仲裁裁定なんというものは、つとめて尊重しなくちやならぬということは、先ほどもしばしば申し上げた通りであります。ただいかんせんこれを実現するのに非常に苦慮をいたしておるという実情でございまして、しかしお話にもありました通りに、もともとが法律に基く仲裁裁定につきましては十分その実現に努力しなくちやならぬことは当然のことであります。ただいまも慎重に検討を加えておるところであります。
  90. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 先ほどからしばしば苦慮しておられる様子もわかりますし、慎重に検討しておられることもしばしば聞くわけでありますが、これを実現するように努力してもらわないと——ただ弁解のための苦慮であつたり、努力であつたりしたのでは、実際事態相当切迫しております。そういう現実をしつかり把握されて、その上に立つて十分御努力を願いたいと思います。  それから時間が大分経過しておりますので、重点的にお尋ねいたしますが、期末手当の問題であります。これは大体先ほどからのお答えによりますと、十二月十五日の支給期日に間に合わせるように処理する。こういう期日の点は大体了解いたしましたが、先般の大蔵大臣の言明によると大体一・五というようなものを政府では考えておるというような話でございましたが、その点いかがでしよう。
  91. 田中不破三

    田中政府委員 大蔵大臣お話の中にそういうふうな数字が出ましたようなただいまのお話でございますが、私はその点は聞き及んでおりません。大体〇・五を中心といたしましていろいろと財政面とのやり繰りを考えておるというのが実情だと思います。
  92. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 この期末手当の問題も非常に重要な問題でございまして、この期末手当政府の方で相当出して、そしてベース・アツプとすりかえて行こうという意図がありはしないかということを私ども憂慮するわけですが、期末手当というものは法律的に支給の期日がきまつております。それから支給の率も大体きまつております。そういう点からあくまでもこれはベース・アツプと別個のものであるという御判断のもとに処理していただかないと、解決がつかないのであります。その点期末手当をもつてベース・アツプにかえるというようなことのないように特に強く要望しておきます。以上であります。
  93. 川島正次郎

  94. 石山權作

    石山委員 人事院勧告があつてから日数がたつているにかかわらず実現しない、それに対して人事院が今までどういうふうな折衝ないし勧告の裏打ちとして行動したかということを一応説明していただきたい。
  95. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げます。人事院が先般勧告いたしまして以来、内閣におかれましてもその内容その他についていろいろ御研究になつておられますので、そのときどきに説明して参つておるわけであります。もちろん人事院といたしましては、なるべくこれがすみやかに実施されることを希望しているわけでございますが、大体政府との折衝経過は今申し上げた通りであります。
  96. 石山權作

    石山委員 こういうふうに勧告以後の日数が長くなるとすれば、人事院が何を一体基準として勧告案をつくつたかということにさかのぼつて問題を考えなければならぬと思う。たとえば勧告をしつぱなしで、インフレが少しずつ進んでいるような場合であつても、それで間に合うような勧告をしているのか、あるいはその基本になつている現行給与はそれで間に合つていると考えているのか、どこを一体基準にして勧告をしたのかということをもう一ぺん説明していただきたいと思います。
  97. 入江誠一郎

    入江政府委員 人事院といたしましては、勧告に申し上げている通り、今年の三月の民間給与状況及び物価の状況その他を考慮いたしまして、給与はかくあるべきであるという勧告をいたしておるわけでございます。
  98. 石山權作

    石山委員 そうしますと、今年の三月の民間の給与の平均あるいは物価の指数などをにらみ合せて現行給与の一三・九というものを勧告した。そうしますと、あの当時の数字がすでに私は過去のものであつて、その過去のものになおも現在十月まで日数を重ねたとすれば、最近における経済審議庁のデータを見ましても、東京その他の卸業の指数を見ましても、いずれのデータをつき合せて見ても物価の漸騰ははつきり示されておるのであります。三月以降からの日数、それから八月以降の物価の漸騰を考えた場合に、われわれはこの勧告をいつまでも投げやりにしておいていいものかどうかと思う。たとえば人事院は、おれたちは勧告すればそれで任務は果したというふうに考えているのか。あるいはそれを受取つたところの政府当局は、これは何も拘束力がないのだから、受取りつぱなしでよろしい、財源がないということによつてそれでよろしいというふうな考えでいるのかどうか。この点をもう少し説明していただきたいと思います。
  99. 入江誠一郎

    入江政府委員 人事院といたしましては、御承知通り国家公務員法の趣旨に従いまして、先般の勧告は、三月現在勧告いたしたわけでございますが、この勧告に基きまして政府並びに国会におかれて、この勧告をいかに処理するかについて御決定になるのだろうと思います。再勧告という問題につきましては、その後の民間給与の状況その他から申して、現在の段階におきましては、勧告を再びいたす意向は持つておりません。
  100. 田中不破三

    田中政府委員 政府勧告をいただきましてから、大分日数がたつておるという点でお叱りを受けたのでございますが、この点は先ほどもしばしば申し上げましたような事情で、まことに不本意ながら、しかし一方に勧告を尊重しながらも、その勧告趣旨に沿い得ないというような事態に立ち至つておるのでございまして、その点どうぞひとつ悪しからず御了承願います。
  101. 石山權作

    石山委員 私は官吏の身分あるいは官吏の性格、官吏の任務というものを、政府当局がもう一ぺん考え直していただきたいと思います。たとえば、われわれ何も官を尊重し民を卑下するというふうな意味でなくして、日本の行政を担当している以上、日本としての一つの方向、日本国の能率、こういうふうなものを考えた場合に、官公吏の任務というものは必然的に大衆の中心になるし、どう見ても現実的には大衆の先頭を切つているものなんです。これを考えた場合に、私たちは、たとえば最近いわれているところの道徳の問題、徳目というものが最近すたれて来たから、これをよくしなければならぬということがよくいわれておる。それを率先してやるのはだれか、企画を示す者はだれかというと、民間人ではない。やはりその中心になるべきものは、県庁の役人であり、あるいは市の吏員であり、あるいは東京の中心である官公庁の人々が、その範を示さなければならぬ。そして率先して能率的な行動を示さなければならぬ。しかしそういうことは、一生県命誠心誠意やるというふうなことでやつても、裏打ちのない、生活に常に不安を感じているような場合の行動というものは、私は長続きがしないものだと思う。私たちは、何もしいて働く者たちは特別だというふうなことを考えているのではない。今の場合は特に犠牲を要望され、耐乏生活というものを云々しなければならない時期だということはわかつておる。しかし再三人事院の方から説明があるように、勧告文は三月の民間給与の実態だということをはつきり言つておる。何も無理を言つておるのではない。民間に追従するのをやつと心がけただけのものが今回の勧告案なんだ。そういうことを考え合せて来た場合に、吉田政府自体の能率を上げる場合においても、あるいは大達文相が常に言つておるところの、徳目という問題を考えてみた場合においても、私は言葉だけではいかぬと思う。どうしてもこれに裏打ちをするような給与体系を、この場合政府は考えなければならぬ。財源がないということをよく言われておりますが、私たちの調べるところによりますと、保安隊その他の防衛費と目されるものが、去年も使い切れないほどあつた。今年度の使い量を見ても、まだたくさん残つておる。こういうふうなところには案外集中的に予算を繰入れて、しかし実際今の日本の立場中心になつて、そして少しでもいい国を早くつくらなければならないという中心になつて働く人たちに対しての心持の注ぎ方といいますか、そういうものが非常に私は薄いと思う。それにもかかわらず逆に耐乏を要求し、そして能率を上げろというのは、心理的にも非常に矛盾があるのではないか。こういう点は、政府はどういうふうに考えていろいろなことを申しているのかどうか。
  102. 田中不破三

    田中政府委員 公務員に対して、非常に深い御理解をいただきまして、ありがたくお礼申し上げます。しかしお話がありました通りに、その一面非常に責任の重大なことも痛感いたしております。お話通りに、公務員が中央、地方におきまして、率先していろいろの範をたれなくてはならないという点におきまして、自戒いたしますとともに、その職務を完全に遂行して行くというお話は、まことにごもつともでございます。ただこれに対する政府の処遇が薄きに失しはしないかという点におきまして、われわれといたしましても、もちろん国民の負担にかかることでありますが、いろいろの費用を節約いたしまして、公務員の処遇を厚くいたしたい。あるいは言葉は悪いかもしれませんが、薄くならないようにいたしたいということにつきましては、かねて心を悩ましているわけであります。しかし先ほど申しましたような事情で、せつかく人事院からの勧告が出ましても、それがただちに実施できないという、ただいまのわが国の財政の実情であります。いろいろとその他の費目についての御見解もお述べになつたのでありますが、ただいまの政府当局と見解が違つている点につきましては別といたしまして、つとめてお話のように冗費を節約しまして、処遇が薄くならないようにという点を心がけなければならないと存じております。ただ現状といたしましては、先ほど来申し上げましたような実情でございます。その点をどうぞ御了承願いたいと思います。
  103. 石山權作

    石山委員 私田中さんの言われることを全然理解しないわけじやない。よくわかるわけだが、言葉だけで理解し合つても、生活というものはそんなにゆたかにならぬ思う。われわれの望んでいるのは、言葉の美しさじやない。文字に書かれた文化というものじやない。私はもつと切実なものが、今の日本の現状にあるし、公務員の方々にもあるのじやないかと思う。その公務員には、今回の補正予算でも何も現われない。そして第二次補正予算の件になりますと、これも財源がない、財源がないというふうに言われてしまう。そうなると、口では非常に理解されたということと、現実とはあまりに離れ過ぎているのじやないか。こういうところに、私たちは公務員の方々に対する政府の理解というものは、言葉だけだと思う。もう少し実質を示す余地があるのじやないかと思う。それが全然政府にないとは私も申し上げません。この臨時国会の開かれる前に、小笠原蔵相が当委員会に来たときの話などにも、たとえば〇・五ぐらいは年末に期末手当を出さなければ、とてもおさまりがつかぬだろうというので、あの当時は、大体八十何億か見積つておられた。それが今度の臨時国会では、突如として形をかえたのかどうか知らぬけれども現われて来ない。私は災害もまことに緊急だろうと思う。しかし公務員に対する前々からの人事院勧告を見ても、これは緊急ではないというふうに言い切れないものがあると思う。勧告相当日数もたつているのでありますから、日数がたち次第、それが積み重なり次第、おとなしい者も、それから穏やかな者も、強くもなるし、いこじにもかわつて行く傾向があると思う。せつかく官公庁の方々が、一生懸命になつて勤めようとする気持をもし真実に理解するならば、政府は今回の予算にその理解しているという面を表わす必要があつたのではないか。たとえば今回の蔵相の説明を聞いても、まことに味もそつけもない予算説明をしておるこういうふうなことを見ますと、あなたがいくら口で理解されたといいましても、示された現実の予算を見ましても蔵相の演説を聞きましてもわれわれさえも納得できない。ましてじかにその身にかかる公務員の方々は、吉田内閣というよりも、全般の政治に対しての不信の念を抱くものではないか。官吏の方々に政治に対して不信の念を持たれたら、日本のほんとうの行政はそれじやどこを中心にして動いて行くかというふうに私は言わざるを得ないのではないかと思う。そういう点ではあなたの言われるその理解というものを、現実に強く表わすように政府は努力する必要が最も近くに来ているのじやないか。これ以上延ばしたら、先ほどだれかから不測の何かがあるというような言葉があつたかと思うが、そういうふうな言葉を使わなくても、だんだんうまくない傾向に追い込まれて来るのはあたりまえだと思う。こういう点をよく理解されて、特に内閣官房公務員人事の全般を見ているところなので、私はそういう点を強く要求したい。もう言葉ではない。飾つた文字の文化でもない。現実に現われたものを公務員諸君は切実に要求しているということをよく理解していただきたいと思います。  それから人事院の方にお伺いしたいのですが、先ほど入江人事官から、例の地域手当の問題につきまして、政府との予算の折衝も云々というような言葉もございましたが、人事院のあり方としましては、私はそういう点に非常に懸念を持つ。たとえば待命制度の場合にも、人事院はほんとうにその必要を感じてそういうような方法をとるならばともあれ、そうでない。そうでないとするならば、人事院がみずから人事院の権威というものをくずしておるのではないか、捨てようとしておるのではないかというふうな懸念が起るわけなんでございます。その点はいかがでございますか。
  104. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答申し上げます。実はお言葉の通り人事院といたしましては当然そういうふうにしなければならぬのでありますが、地域給につきましては、従来の沿革と申しますか、から申しまして、先ほど来お話がありました通り、これが具体的な各地域のものでございますから、一度二級なら二級というものが出まして、それが財政的な面から実現しないというときには、非常にいろいろな問題が起りますので、ベース勧告と違いまして、従来は、毎回ある程度そこに政府の方の財政の裏打ちを考慮いたしながら、総括的に政府とある程度の連絡をとりながら勧告しております。そういう意味で申し上げたのでありまして、その点は御了承願いたいと思います。
  105. 石山權作

    石山委員 待命制度でございますが、この前の人事委員会に小笠原蔵相が出て説明した場合には、待命制度というものは全然考えておらぬ、閣議にもかかつておらぬというふうに言つておつたのですが、それからわずか旬日を出ずしてこの問題が出て来たのでありますが、政府はどこをねらつて待命制度というものの作業を人事院に命じたか、そのうまみを御説明願いたいと思います。
  106. 田中不破三

    田中政府委員 先ほどもお話に出ておりましたように、おのずからなる人員の減少ということ、あるいは無理をせずに行けるようにという考え方で出て来た制度でございます。従いまして、先ほど来申します通りに、これは強制をいたすものでもなし、自発的にこの制度の特徴を見ていただいて、そうしてこれならば自分は特別待命を受けようというふうに自発的な意思が出て来るようにという考え方でこの制度ができたのでございます。
  107. 石山權作

    石山委員 これはやはり公務員の方方、官公吏の方々、合わせて大体百六十万といわれておりますが、この政府関係の方々の、つまり早くいうと一つの行政整理のかつこうになつておると思う。これはどう弁解されようと、ある相当の率を考えていられるだろと思う。その中央部の考られておる率が地方へも及ぼされて行くのではないか。たとえば今回の行政整理のねらいを見ますと、出先機関に対して相当の縮小を求めておるようでございます。そうしますと、たとえば地方の農民の中で最も活躍しておる農林の食糧関係、あるいは労働省の労働関係の者、ああいうふうな者に特に強く響く点があるのではないかというふうに憂慮しておるものであります。それから、よく何々局長達し、次官達しというふうなものは、地方へ行きますと、これは日本の一つの官吏の服務規定のよさかもしれませんけれども、これは絶対な優位を持つのでございます。これが公式であろうと、内示であろうと、内達であろうと、一応そういうふうな意思があつて中央からそういうふうな書面が出た場合、受取つた県ならば、たとえば部長とか、農林関係であれば出張所長とか、こういうふうな連中は相当強く動くのであるが、こういう方針でやろうとするのか、それともやらないというふうにはつきりここで明言できるか、これは出先官庁に対しては非常に安心感を与えたり、あるいは心配を与えたりする問題でございますから、はつきり明言していただきたい。
  108. 田中不破三

    田中政府委員 先ほども申し上げました通りに、この制度は強制はいたさない。従つてある目標をつけて、何でもかんでもこの目標に合うように特別待命制度の人数を盛れというふうな指示は絶対に与えていないのであります。従いまして、先ほど来申します通りに、まつたくの任意でこの制度をながめてもらつて、これに応じていただく、あるいは応じないという態度をきめていただきたい、こういうふうに思つております。
  109. 石山權作

    石山委員 それじや大蔵省の方にひとつ聞きたいのですが、大蔵省は何でも金ばかり扱うので、人情がないというふうにいわれておりますので、ひとつこの点お聞きしたい。今官公労その他を含めて大体四万を予定しておると言われておりますが、それで年度末までに一人五千円浮かす。計二億、その二億の金に引かされて、大蔵当局がこういう論に賛成しておるのではないかというようなことが大分いわれておる。もし財源の問題でこういうふうなことを考えて賛成されているとするならば、これは必然的に来年度は行政整理のあらしが来るというふうにわれわれは予知しているが、そういう金を意図しておるというふうに大蔵省は理解しているのかどうか。
  110. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。金ばかり扱つて人情がないというふうに言われますが、それはたいへん誤解でございまして、大蔵省は非常に人情の厚いところでありますから、その点をまずお断り申し上げます。今回の待命制度につきましては、先ほど来内閣官房長官並びに入江人事官から御説明がありました通り、いわば退職をいたしたいというふうな方々の便宜をはかる、こういうことが御趣旨かと思うのでありまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、まだ実はどの程度またどういう方方が御希望になるかといつたようなこともはつきりいたしておりません。舘林委員でございましたか、結局退職金を出すよりも金額が大きいのじやないかということでございましたが、今石山委員の御趣旨ちよつと私よくわかりませんが、場合によつては、これは金の勘定から見ますと相当持ち出しになるということも言い得るのじやないかと思います。しかしそういうことよりは、やはり人事行政その他の面からやめて行かれる方に多少でも便宜がございますれば、私どもといたしましては、そういうような金は出してもいい、このくらいの気持を持つておるわけでございます。その辺はどうも大蔵省はたいへん冷たいところだという先人主がございますれば、それはこの際御払拭を願いたいと思います。
  111. 石山權作

    石山委員 大蔵省に対してはまだたくさん言いたい点もございますけれども委員長が再々時間の切迫を言いますのでこれで打切りますけれども、私は委員長に申し上げたいのですが、期末手当の問題もだんだん近づいて来ている。ベース勧告の問題も流されそうになつている。いろいろ問題が重なつておりますので、われわれはやはり国民の代表者として、たとえばいいなら  いい、悪いなら悪いとしましても、やはり納得の行くまで論議をしなければ、ならないと思う。私は今まで人事委員会が数少く開かれているというふうな印象も少しありますので、国会が幾日延期になるかわかりませんけれども国会閉会されましても、この問題はある種のめどのつくまで委員長にも努力していただきたいし、委員の方にも出ていただきまして、もう少しこまかい数字まで出していただいて、私は継続審議することを要望しまして一応これで質問を打切ります。
  112. 川島正次郎

    川島委員長 森三樹二君。
  113. 森三樹二

    ○森(三)委員 私はこのベース・アツプの問題について御質問したいと思います。人事院は七月十八日第十六特別国会衆議院予算が通過した翌日勧告なさつた。爾来四箇月けみした今日においても、その裏づけが何らなされておらない。本国会は表面上は一応救農国会という名称でありますが、しかしなるほど災害、水害、冷害はありました。ありましたが、この公務員給与ベースの引上げということは、もう三月を基準として予定されておることである。勧告も七月十八日に出ておることです。時期的にいえば、むしろ公務員給与ベースを国民の大多数の生活を守るという観点からすれば、当然今国会に取上げなければならなかつた。しかるに政府は口を開けばお金がない、財政上の措置ができないといつてそれさえもやらなかつた。そこで私どもはきのうの予算委員会において、われわれ社会党両派でもつてあの組みかえ案を出しまして、その中にこのベース・アツプ予算というものを入れてある。やりようによつてはこのようにちやんとできる。できるにもかかわらず、あなた方がしようとしないからできない。今大蔵省の方が人情がないと言つたが、確かに人情がないのです。要するにできることをやらないのだから人情があるとは私は言えないと思う。しかも皆さんの御答弁を聞いておると、田中さんあたりでもいつでもあなたはここに来ておつて、ただおざなりの答弁をして、そうしてあしからず御了承願いたい、こういうことでは了承できません。ただあなた方は吉田内閣の番犬じやないと私は思います。やはり国民の公僕であり、国民の生活の幸福を守らなければならぬ大きな責任がある。しかるに、ただここにおいでになつて何を言うかというと、あしからず御了承いただきたい。ただそういうわれわれを瞞着——瞞着というと語弊があるかもしれぬが、そういうようなお考えでこの委員会出席されておるとするならば、私は非常に物足りないと同時に、あなたたちの言われることを信頼できないような気持がするのです。あなたが内閣官房長官という一つの大きな国家の重大なる職責であるならば、農林省関係でもつて農民の冷害あるいは水害対策を講ずるならば、あなた方自身としてもまた公務員給与ベースの問題を解決しなければならぬ重大な責任があるのです。私は先だつても東京都内のある小学校に行きましたので、昼飯時間に先生方の弁当箱をちよつとのぞいたら、ほとんどの先生方はみな麦飯ばかりです。女の先生の弁当の中にはさつまいもが入つておる。そういう事情は今日もひしひしと迫つておるのです。本来ならば当然にベース・アツプ予算というものを裏づけしてやらなければならない。金がないとは言えません。われわれ社会党両派が予算の組みかえをやつてベース・アツプ予算を組んでおる。十六国会においてもちやんと予算の組みかえができております。だからあなた方がいかに吉田政権のもとにいろいろ補佐しておるといいましても、あなた方自身がやはり担当の責任者として、公務員給与ベースというものを本国会にはどうしても出してやるべきだという強い要求をしていただかなければ、ただ向うできめたことをここに来て金がございません、あしからず御了承願いますと言つたところで、われわれはただ単にここに集まつておざなりの質疑応答をしておるわけではない。われわれはやはり国民全体の意思を反映させて、そうして予算をつけであげなければならぬという誠意をもつてお互いにやつて行かなければならぬ。あなた万はいつも、つまりわれわれが質問をし、そうしてまた追究したことに対して、何とかただその場を、この委員会の一時間なり二時間の席上をふさげばいいのだ、時間を食いさえすればいいのだというふうにしておるようにわれわれには受取れてしかたがない。それであつてはいけないのです。田中さんあたりはもつと迫力のある答弁がほしいのです。ただひとつあしからず御了承を願いますといつて大蔵大臣の受売りみたいことを言つておる事態ではないのです。農民の生活もそれは風水害で非常にひどい、冷害でひどいけれども公務員生活というものは今年の三月を基準として非常に苦しいということがはつきりわかつておるの手。とにかく昨日われわれの予算の組みかえ案は否決されました。そうして衆議院でもつて予算が通過した。そこでこれは参議院で修正せざる限りはやむを得ませんが、第二の補正予算を組んで、そうして至急公務員給与ベース改訂並びに国鉄その他の仲裁裁定を実施するのだという新たなる気魄をもつてつていただきたいと思うのですが、それに対して明確なる御答弁を願います。
  114. 田中不破三

    田中政府委員 森さんのお話一々ごもつともでございますが、しかし御承知通りに、たとえばただいま話題になつております給与ベースであるとか、あるいはそういうふうな問題につきましては、これは御承知通りに内閣の方針ということに相なります。もちろん私どもにしましても、十分これを検討いたしますことは当然でありますが、しかし決定そのものにつきましては、これは森さんのお話ですけれども、われわれに決定する権能はございません。勢い内閣としてこれにどういうふうな処置をとつて行くかということをきめるわけでございますので、どうもわれわれの力及ばずといいますか、やはり関係大臣が十分に鳩首会議されて初めて大きな方針というものが浮び出て来るわけでございます。その点をひとつ御了承を願いたいと思います。もちろん私どもとしましても、この給与問題に関しまして、このような状態になつて来たというふうなことにつきましてのそれぞれの資料といいますか、これは関係各省とも十分に集めておるわけであります。そうしてそれに基いての最後の方針が内閣の閣議で決せられる、こういうふうなことになつております。どうぞその点を御了承願います。
  115. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は先ほどあなたのおつしやつておる言葉を聞きましたときに、何でも通常国会予算には計上するというような答弁であつたかのように思うのですが、そうなのかどうか。それから私は通常国会に入る以前に臨時国会を開いて、そこで第二次補正予算を組んで、そうして公務員給与ベースやその他の仲裁裁定の実施をしてほしい。それに対してあなたがどういうふうにお考えになつておるかということをお尋ねしておるのです。
  116. 田中不破三

    田中政府委員 第二次補正予算お話につきましては、先ほども申し上げております通りに、ただいまの状態から申しますと編成はむずかしいのじやないか、とのように私は見るわけであります。それからただいまのお話の中に、来年度の予算の中にはこれが組み込めるのではないかというふうなお話でございますが、これにつきましても全然見通しはついておりません。また方針そのものもまだ決定はされておりません。私がうかがい知るところで、各大臣方にはいろいろお考えがありましようけれども、ただいまのところは組むとも組まぬとも、何ら決定がされておらないのであります。
  117. 森三樹二

    ○森(三)委員 私はさつき同僚委員の質問で、昭和二十九年度の予算の中にはぜひ入れたいというふうにあなたがおつしやつたように思うのですが、そうじやないのですか。
  118. 田中不破三

    田中政府委員 私はそういうふうに申した覚えはないのでございますが、何かのお聞き違いではないかと思うのであります。もしそういうふうな誤解を招くようなこと言つておりますと仮定いたしましたならば、ただいま申し上げました通りに、その方針は何ら決定されておらないということをあらためてここで申し上げたいと思います。
  119. 森三樹二

    ○森(三)委員 とにかく国家公務員法には人事院政府国会勧告をすると書いてあるのですが、ああいう法律は全部お認めにならないのですか。勧告があれば当然その裏づけをする義務が政府なり国会に発生しておると私は思うのですが、そういう法律は政府は一切認めないのですか、この点お尋ねいたします。
  120. 田中不破三

    田中政府委員 法律の点につきましては十分これを認めておりますし、従いまして尊重をしなくちやならぬということも先ほど来申し上げておるのであります。ただ実情はこれを具現するのに非常に至難の状態にあるという点を、先ほど来申し上げておつたわけであります。
  121. 森三樹二

    ○森(三)委員 第二次補正予算を組んで、通常国会前に臨時国会を開いて、そうしてわれわれは公務員給与ベース裏づけしてもらいたいというのですが、それはできない、しかし昭和二十九年度の本予算の中にはぜひとも実現したいと思うのだという答弁があつてしかるべきだと私は思うのですが、この点はいかがですか。ただ見通しがつかないというだけでは答弁にならないと思うのです。りつぱな国家公務員法という法律があつて、そうして政府並びに国会に義務づけられるところの勧告が行われ、しかもそれが七月十八日、通常国会が開かれるのは十二月です。それだけの時間的ずれがあつてさえも、あなたが政府の代表者としてここに臨席されておつて、それをしようというだけの希望もなく、それをしたいという願望もなく、のんべんだらりと出席されているあなたの御意思が、私にはまつたくわからないのです。その御熱意はあるのですか、ないのですか。
  122. 田中不破三

    田中政府委員 この勧告あるいは裁定につきましての尊重という点につきましては、政府はもちろん十分に熱意を持つておるわけであります。ただ見通しはどうかということになると、先ほど来申し上げておる通りであります。そしてまた私自身が申し上げておりますのも、閣議におきまして決定された問題ではありませんので、私へのお尋ねに対しまして私の感じといいますか、見通しというものを申し上げておるのであります。従いまして第二次補正予算にはどうかと言われますと、いろいろと関係大臣の話される模様を承知いたしておりますと、財源難等の点から、とても第二次補正予算には入りそうもない、私はそういうふうに観測をするわけであります。
  123. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうすれば第二次補正予算臨時国会を開いて入れることができないとすれば、少くとも通常国会昭和二十九年度本予算編成の中に入れたいという御希望といいますか、熱意があなたにあつてしかるべきだと思うのです。それはいかがなんですか。
  124. 田中不破三

    田中政府委員 政府方針としましては、先ほど申しましたように、私ども意見としてそれがきまるわけではございませんで、くどいようでございますが、閣議として決定される問題でありますので、尊重する点においてはもちろん十分熱意を持ちますけれども、しかし実際の二十九年度予算に盛るかどうかというふうな点になりますと、これは大方針として閣議で関係大臣がお考えになるわけでありまして、私として何らこれは事前に申し上げる材料もないわけでございます。
  125. 森三樹二

    ○森(三)委員 くどいようですが、閣議の決定によつてきまるのだと言われる。そんなことは子供でもわかつているんです。田中さんが今ここに政府委員として出て来ていらつしやるのだから、閣議にベース・アツプ予算をつけるように自分は努力したいと思つているとか、私はそういうふうにしたいと考えていますとか、そういう言葉だけでも出さるべきだと私は思うんですがね。あなたはそういう御希望はないんですか。閣議できまることは私も、子供でも知つてるんですよ。閣議で今のように努力するかどうかということを私は聞いているんです。
  126. 田中不破三

    田中政府委員 その点につきましては、人事院勧告についても十分尊重して、その線に沿うて努力しなくちやならぬということは当然でございます。お話通りに私自身の気持をお尋ねくださいますならば、これはそう申し上げるわけでございます。
  127. 森三樹二

    ○森(三)委員 それから大蔵省の方にお伺いするのですが、あなたは人情がおありだというのですが、ことしになつて大蔵省は公務員に対して一体何をしてやりました。それだけ人情があるなら、何をしてやつたか、それだけ答弁してください。どれだけのものを与えてやりました。
  128. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど来森先生からたいへんに御同情のある言葉をいただいて、非常に感激いたしております。私どもは主計局におりまして、毎晩徹夜して予算を組んでおるわけであります。昨日両派社会党の組みかえ案を拝見いたしまして、たいへん勉強になつたのですが、われわれとしは給与の問題は非常に重要な自分たちの問題でございますし、その点について常に重大な関心を払つておることは申し上げるまでもございません。そこで、ことしになつてから何をしたか、実際私ども毎月いただくのでありますから、それは出す方のみでなく、もらう方ではつきり覚えておりますが、御承知のように、給与の夏季手当の繰上げが行われた、これは私ども一番はつきり覚えておるのであります。本年度の予算はいろいろな経緯を経て、いわゆる暫定予算、こま切れ予算というものから、八月になつて予算がやつとできたのでありますが、人事院勧告なり、今度の裁定の問題が、この臨時国会において取上げられなかつたということは、私として非常に遺憾であります。従つて、ただいま田中長官からも申されましたように、われわれとしてはできるだけ早くこの問題が取上げられますように、私どもの担当しておる予算の面におきましても努力をいたしたい、こういうふうに思います。しからばできるのかというように詰め寄られますと、そこは私どもは一介の事務屋でございますから、先生に幾らおしかりを受けましても、これは私どもの方でお引受けしようと言うことはできない。また財源を見ましても私どもとしては、予算のいろいろの面において今日の政府の出しております予算から考えますと、非常に財源難であるということは率直に認めざるを得ない。もらう一人といたしましても、まことにこれは残念でございますが、しかし今後におきましても私どももその一役をになつておるのでありますから、できる限り財源を調達すべく努力いたしたい、この熱意においては決して人後に落ちないということだけを申し上げます。
  129. 森三樹二

    ○森(三)委員 人後に落ちないのはいいのですが、その夏季手当の〇・二五の繰上げ支給は一体だれがきめたのです。これはあなた方がきめたんじやないでしよう。国会においてわれわれがほんとうに血みどろになつて、それこそ大蔵大臣と刺し違えるほどやつて、その結局ようやく〇・二五、出ない出ないというのをしぼりにしぼつて、それで出したんでしよう。あなた方が自主的に出されたものは何もないでしよう。りんご一つもよごしていないでしよう。それで人情があるなんて言えますか。子供が泣いたら、われわれはお菓子でもキヤラメルでも買つてつているんですよ。あなたは何もやつていないでしよう。人情があると言えませんよ。
  130. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 森先生とこの議論をやつていますと、一日やつても尽きないと思いますが、予算を担当する私どもは、国家公務員生活の安定をはかるということは、基本的にインフレを防止することだと心得ております。私どもは何もすき好んで徹夜しているのではありません。インフレを押えるためにやつております。この意味におきましては、先生たちもたいへん御尽力になりまして、〇・二五についてはまことにありがとうございました。しかも私どもも身をすり減らして予算の膨脹を食いとめて、インフレが起らぬようにやつておる。このことは天下の公務員の前に、大蔵省主計局は大きな顔ができると思つております。
  131. 森三樹二

    ○森(三)委員 そういうインフレーシヨンの問題になつて来るとお互いに水かけ論になりますが、あなた方も信念を持つておやりになつておる。大蔵大臣はしばしば信念を言つておる。その信念がときどきかわるので、われわれもその信念の根拠をつかみ得ないのですが、しかし徹夜でやつていらつしやることに対してはわれわれも大いに敬意を表します。しかしはたしてあなた方の目的が達成できるかどうかということも、結果的に見なければわからないので、お互いに努力をなさつていることに対しては敬意を表するのです。しかし国家の財政が一兆億円以上になつてしまつた。なつてしまつたんですが、さて大多数の公務員諸君が去年の予算できめられた以外のものは何もいただいておらないという実情は、これは認めざるを得ないだろうと思うのです。従いまして七月の十八日に行われたこの勧告やあるいは仲裁裁定の実施というものは、これはあなた方も一方の再軍備予算の方にばかり頭が行かれているかどうか知りませんが、数字的に見ますとそう行つていると思うのですが、そうしたものをできるだけさいて、たとえば地域給のごときは、三十億でも、四十億でも出せば、相当の人々の潤いができるのです。従いましてあなた方の御努力の傾注の仕方を国家公務員の上に注がれるならば、私は公務員諸君の潤いというものがもう少し慈雨のごとき感をうけるのじやないかと思うのです。従いまして第二次補正予算が困難だとすれば、昭和二十九年度の本予算にはどうしてもこれは組み入れなければならぬものだと私は考えておるのです。大蔵当局はぜひともこの目的を達成していただきたいと思うのです。そのように私はお願いしておきます。ここでこれ以上申し上げてもしかたがない。  そこで最後に、私は入江さんにお尋ねしたいと思うのですが、塚田自治庁長官がやつておる行政改革の問題ですが、盛んに行政改革の案が出ています。人事院廃止するとかなんとかいつてつてな熱を吹いておるのですが、われわれはああいうことは絶対反対であります。あなた方はどういう御見解でありますか。国家公務員というものは、人事院があつて、あなた方の善処されることによつて生活の安定が出て来ると思うのです。ところが人事院廃止して、今度内閣の小さな機構にしてしまうというような話があります。これに対してどういう御見解を持つていらつしやるか。
  132. 入江誠一郎

    入江政府委員 お答え申し上げますが、人事院の機構につきましては、いろいろ他の行政機構と関連いたしまして新聞紙等において取上げられておりますが、実は行政管理庁あるいは政府の方面から公式にはまだ何らのお話に接しておりませんものでございますから、従つて人事院といたしましては、何らかこれが公式の問題になりますときに考えてみたいと思つております。
  133. 森三樹二

    ○森(三)委員 時間がありませんから、その程度にしておきます。  一番最後に一点だけ滝本さんにお尋ねいたしますが、私長い間北海道に行つておりましたが、北海道では全面的に石炭手当が安い。そうして税引きされるので、石炭が三トン買えない。どうしても税引きの法律をつくつてくれという強い要望がございますが、この石炭の三トン支給に対してもう少し追加をしてやつていただきたいと思うのですが、これに対する御意見はいかがですか。
  134. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 石炭手当の問題につきましては、法律の建前から、われわれといたしましてはその炭価を計算いたします場合に、現在一般に市場において購入いたします平均価格がどういうふうになつているかという点を研究して、勧告いたすことになつているのであります。ただ石炭手当を受けられる側から申しますれば、あすこに三トンとかいうようなことが書いてございますので、その三トンがまるまるもらえなければ、気持として非常にちぐはぐなものがおありになるだろうということは、われわれとして十分わかつております。ただ税金の問題になつて参りますと、たとえば現在石炭とは申しませんが、各種冬季間に採暖用の燃料を要するわけであります。そういうものが寒冷地手当なりあるいはまた本俸それ自身の中にもあるわけでありますから、そういうものにつきましては、別に現在税引きという問題が問題にされないのであります。しかしながら本質的には同じ問題があろうかと思います。むしろこの問題はいわゆる一般公務員、勤労者一般の問題ともなるかと思いますが、そういう人々の所得税の問題と非常に関連しておるのではなかろうか。われわれとしましては、やはり現実問題としまして、相当多額のものが税金として差引かれるということは、法の精神から申しますれば、少し物足らない、あき足らない点があるのでありますが、全般的にそういう問題をやはり税の問題としても考えてもらいたい、このように考えておる次第であります。
  135. 森三樹二

    ○森(三)委員 これで最後にしますが、ぜひひとつ石炭手当の増額についても人事院が御考慮願いたいということを申し上げまして、まだ質問したいことがたくさんありますけれども、時間もありませんから、きようはやめておきます。
  136. 川島正次郎

    川島委員長 山口好一君。
  137. 山口好一

    ○山口(好)委員 最後に簡単に一言お尋ねいだし、かつ希望を述べたいと思います。だんだんと皆さんの御熱心な御質問及び政府当局その他のお答えを拝聴したのでありますが、要は歳末に向いまして官公吏諸君の生活が、一面漸次上昇するインフレ傾向によりまして困窮いたしております。いわゆる年末攻勢の時期に入つておる。しかもただいま各委員から述べられましたように、いろいろな注文があります。わが委員会としましても、あの夏季の暑いところを、ほとんど毎週のように委員会を開きまして、いろいろな問題を検討して参つたことは御承知通りであります。これは問題がいろいろと輻湊いたしております。これを一時に解決することはもとより困難と思います。どうしても政府当局におかれましても、人事院その他大蔵省におかれても、一つ一つ必要なところを解決して行く、漸次解決して行くということを目ざして、いただきたいと思うのであります。われわれの要望としましては、今回の期末手当は必ず十二月十五日の支給時期に間に合わせる、これに対処して政府では第二次補正の臨時国会を開きまして、必ずこの点は解決してもらう。なお、地域給の問題でありますが、これもすでに参衆両院におきまする委員会の意向というものも明確になつたのであります。必ず近いうちにその正しき人事院勧告が示されることと思います。願わくはこれに基いて第二次の補正予算臨時国会にこの予算の提出を願いたい。その他この公共企業体仲裁裁定問題、べース・アツプの問題もあります。これも相通じて漸次一つ一つ解決をして行く、こういうふうな御努力をぜひ願いたいと思います。本日出ていらつしやる田中君その他の方方も最高の責任の地位にあられないから、これを追及いたすことは御無理と思います。しかしあなた方として所管大臣その他に十分にそういう趣旨で努力をする、こういうことは可能であります。その趣旨において今日もお答えくださつたことと思うのであります。そこで人事院関係としましては、第二次の補正予算臨時国会に間に合うように地域給に関する勧告をなされるかどうか。大体地域給に関する勧告はいつごろなされるか、この御決意を承りたいと思います。それから田中君には、私の申しましたような一つ一つ解決して行くという方針で十分御努力を願えるかどうかを明快にお答えを願いたい。
  138. 入江誠一郎

    入江政府委員 地域給の問題につきましてお答えいたします。ただいまお話の諸点、まことにごもつともでございますが、現在の作業の段階から申しまして、いわゆる第二次補正予算はいつごろになるかわかりませんけれども、第三次補正予算に間に合うように勧告をいたしますことは非常に困難ではないかと思います。結局来年度予算に間に合うようにということで、ごしんぼう願いたいと思つております。
  139. 田中不破三

    田中政府委員 山口委員からのお話ごもつともでございます。何しろ給与そのものの改正ということは非常に広範囲にわたるもので、お話通りに一つ一つを着実に片づけて行くというのが最も近道であろうとも思われます。お話通りの線に沿つて努力をいたしたいと思います。
  140. 川島正次郎

  141. 加賀田進

    加賀田委員 まず人事院に資料の提出を要求いたしたいと思います。今石山委員の質問の中で、第二次勧告案を出すことは考えていない、いわゆる第二次勧告は出さないという言明をされました。これは従来人事院の機能を十分発揮して、調査研究をなされた結果だとわれわれは考えているわけです。国家公務員法の六十七条に基いても、人事院は絶えず給与準則に対して、常時研究調査をしていなければならないということになつておる。その調査の結果、現段階において三月と現在における比較の上に立つて、第二次勧告を出す必要がないという結論を生んだのではないかと思うので、十一月現在におけるこうした調査と三月の調査との対照の上に立つて、現在勧告する必要がないという資料をひとつ提出していただきたいと思います。  それからもう一つ、地域給の問題でいろいろ論争されておりますけれども、制定された当時と現在とは、地域給の性格あるいはその対象というものが非常に異なつているのではないかと思うので、地域給を制定する基本理論を一応いろいろ研究する必要があるのじやないかということが、小委員会においても論争されまして、人事院に対して新たに地域給研究する場合の理論の組立て方を要求していたわけですが、これもできるだけ早く提出されることを要求いたします。  次に、人事委員会として労働委員会との合同審査を要求していただきたいと思います。これは今質問の中でいろいろありました通りに、仲裁裁定審議は、衆議院では労働委員会審議されることになると思います。現在私の調べた範囲でも、アルコールあるいは造兵、印刷、林野、郵政省、この五つの現業員を調べてみましても、現在の公企労法に基いて仲裁裁定が適用される職員は、約二十六万程度だと思うのです。しかしそれ以外に、一般職の職員給与に関する法律の中の一般俸給表の適用される人は約四千三百二十七人あります。なおその中で郵政省の方で特別俸給表の適用される人が一万九千四百十六人、こういう尨大な人員になつております。だから仲裁裁定決定方向というものは、この一般職の職員給与に関する法律を審議する上に立つても、重大な関連性があるので、向うとして独自に審議決定されても、われわれとの関連性においていろいろ矛盾が起るのじやないか、こういう意味で、どうしても仲裁裁定審議にあたつては、同時にこの公務員給与に対する問題との関連性を十分われわれは知る必要があるので、労働委員会との合同審査を本委員会において決定して、申し入れていただくことを希望いたします。
  142. 川島正次郎

    川島委員長 この際お諮りをいたします。今国会の会期は本日までと相なつております。委員会は、閉会中は付託されました事件についてのみ審査ができることになつておりますので、当委員会におきましても、前国会の例にならい、閉会中審査の申出を議長にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 川島正次郎

    川島委員長 御異議なければさよう決定いたします。この手続等につきましては、委員長に御一任を願います。  なおただいま加賀田委員からの御発言にありました通り労働委員会において審査中の公共企業体労働関係法に基く裁定八件について労働委員会に対して連合審査会の開会を申し入れることといたしたいとの御発議でございますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 川島正次郎

    川島委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたしました。この取扱いにつきましては委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十九分散会