○
横田政府委員 前
国会におきまして御
審議をいただきました
独占禁止法の
改正法律は、その後九月一日になりまして
施行になりました。
施行に伴いまする
手続も、多少遅れたものもございますが、大体九月一日に間に合しまして、一日より
施行になりました。その後の
公正取引委員会の
仕事といたしまして、特にこの際申し上げるほどのものはないのでございますが、
前回改正になりましたおもな点に即しまして一応御
報告を申し上げますと、例の
カルテルの問題につきましては、
不況カルテル、
合理化カルテル、この二点が特に認められることに
なつておるのでございます。
前回審議の際にも私から
ちよつと予想のようなことを申し上げましたが、
不況カルテルにつきましては、現在までにいまだ一件も
申請がございません。また将来いつこれが出て参りますか、
ちよつと予測がつかないのでございます。但しこの
要件には
ちよつと当てはまらないけれ
ども、しかし何とかこの
規定に基いてある程度の
カルテルを認めてほしいというような意向は、多少耳にいたしておりますが、この
規定に基きます
申請はまだ一件も出て来ておりません。それから
合理化カルテルにつきましては、最近にまだ正式の
申請ではございませんが、
くず鉄の
購入に関しまして、特に輸入の
くず鉄に関しまして
申請が出て来る様子でございます。ただいま非公式にその
申請書につきまして、
公正取引委員会の一応の意見を聞きたいということで、
事務局におきまして今検討中でございますが、これが一件出そうに
なつているだけでございます。
あとビスケツトか何かの
関係で、やはり
合理化カルテルを認めてほしいというような話があるそうでありますが、これはまだ正式な問題として取上げられておりません。
それから
株式の保有、
役員の
兼任がゆるみました結果、いろいろな届けが出て来ております。これは
法律はゆるみましたが、
届出制度を
施行しておりますために、いろいろ今まで表に出ておらなか
つたようなものが出ているそうでございます。ことに
役員の
兼任につきましては、これは新しく
届出制度を設けたのでございますが、大分前でございますが、もうすでに二百件くらい
競争会社間の、かなり大きな
会社の間の
役員の
兼任につきましての
届出が続々と出て来ているそうでございます。ことに皮肉なことには、
法律施行前にすでに
役員を
兼任してお
つたようなものが
相当に出て来ているそうでございます。
それから今度の
改正法でむしろ強化されました点、すなわち不公正な
取引方法に関します
指定につきましては九月一日の
法律施行と同時に、
公正取引委員会におきまして、
法律に基きまして
一般指定といたしまして、一号から十二号まででございましたかの不公正な
競争方法の
一般的な
指定をいたしましたほかに、すでにそれまで旧法の
規定によりまして
指定いたされました数個の
特定の
事業に関する
特定の
取引についての不公正な
取引方法を
指定いたしました。この不公正な
取引の
方法につきましては、いろいろ問題が最近に起
つて来ております。特に
新聞紙等でも御
承知でございましようが、いわゆる
日本冶金の問題というような、
銀行が
融資をいたします際にその
融資先の
会社の
役員ついていろいろ注文をつけるという問題が、
日本冶金の問題で出て参りました。これは御
承知のように昔から
相当ある問題でございますし、今後ますますこの問題はいろいろな形で出て参ると思います。それともう
一つは最近の問題といたしまして、御
承知のこれも
新聞紙等ですでに報ぜられていることでございますが、いわゆる
親企業の
下請産業に対します
支払い遅延あるいは
下請代金を非常に不当に押し下げるというような問題が出て参
つております。この点は
中小企業庁ときわめて緊密な連絡をとりまして、昨年の暮れから実はいろいろ
調査に着手しておりましたが、今回の
独禁法改正によりまして、いわゆる
経済上の
地位の優越ということを不当に利用しまして、相手方に不当な
契約条件を押しつけるということが不公正な
取引方法として正式に取上げ得ることになりましたので、ことしの八月ごろから本格的に
調査を開始いたしました。そうして約六百社につきまして
業種にいたしまして十
業種ほど特に選びまして、
工場にいたしまして六百ほどの
工場を調べまして、いろいろな点を発見いたしたのであります。これはなかなか真実を
被害者である側が申しませんので非常にその
調査に苦労いたしましたが、大体その
調査の結果がまとまりまして、たしか十月の十三日ごろでございましたか、
中小企業庁から発表をいたしまして、パンフレツトになりまして、
中小企業庁の
振興部弘報課から
中小下請工場実態調査というようなものができております。詳しい
内容はこれをごらんいただきたいと思うのでございます。この
調査の結果、非常に気つきましたことは、いかにも
代金の
支払いが非常に
遅延しておりますこと、それがひいて
下請業者の
賃金支払あるいは原材料の
購入あるいは税金の
支払い等に非常に困
つた状態が出て来ていることがわかるのでございます。やはり
支払いの
遅延と、それから
下請代金の買いたたきと申しますか、そういうような点が特に認められまするし、
業種にいたしましても、
兵器産業あるいは
造船工業等にそれが著しいようでございます。この点はただいまの
調査に引続きまして、
公正取引委員会においてただいま
親企業の
方面の
事情を
調査しております。これも先ほどの
工場のうちから特に選びまして、その点を調べておるわけでございますが、この結果はなはだ不当なものにつきましては、
委員会としましてはただちに正式の
手続をとりまして審判をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
それから次に再
販売価格維持契約につきましては、これも先般の
改正法によりまして新たに認められました
制度でございますが、これにつきましては九月十六日に
届出に関する
規則が
公布施行となりまして、それから御
承知のように、
公取で商品を
指定することに
なつております。この
指定が少し遅れましたが、九月三十日付の
告示をもちまして、第一次の
指定をいたしました。
化粧用クリームほか十二
種類、それから
染毛料につきまして
指定をいたしましたが、これに基きましてまだ
契約締結の
届出は一件も出て来ておりません。このまだ出て来ておりません理由は、御
承知のように、これは新しい
制度でございますので、やはり
施行までには、
生産業者、
卸売業者ね、
小売業者、この各
取引の
段階の間におきまして
意思の疏通が必要でありますのと、
契約の
締結の方式とか、あるいは、具体的なことを申し摂すれば、
契約書の形式、
内容あるいは
実施の時期というようなことにつきまして、今三者でいろいろ協議をしておるようでございます。またこまかいことを申しますれば、違反をした者に対して
生産者がとります
違約金あるいは
取引停止の措置であるとか、あるいは損害賠償問題というようことについていろいろ
研究をしているようでございまして、そんなような
関係で遅れているように見受けられるのでございますが、これも大体来年の一月
あたりが
ちようど切りがよろしいということで、一月を目標に準備が進められているように聞いております。
それから第二次の
指定といたしまして、十一月十日付の
告示で
指定いたす
予定のものが、
歯みがきと
家庭用石けんでございます。これがやがて
指定の
予定でございます。もつともこの
歯みがきにつきましては、
粉歯みがきは
ライオン歯みがきが
集中度が実に八四・三%という非常な
集中率でありますので、これにつきましては
法律の
要件でございます重要な
競争が行われておるというふうに認められておりませんので、一応
予定されております
指定からはずしてございます。
それからなお現在
指定するかしないか
審議中のものは電球でございます。これは
メーカーの方からかなり強く要求があるものでございます。それからなおただいまの
状況によりまして、将来出て来そうに思われますものは、
しようゆ、医薬品、キヤラメル、乳製品でバター、練乳というようなものが問題になりかか
つて来ておる次第でございます。
以上はなはだ簡単でございまするが、
前回の
改正法に関連いたしまして、この二、三箇月の間にわれわれの
仕事としまして出て参りましたものにつきまして一応御
報告をいたしました。