○三橋
政府委員 今の御質問はご
もつともでございまして、私もその点はいろいろと
検討したのでございますけれども、できることならば今の
お話のようなことにすることは私は当然だと思います。ところで、御
承知の
通りに、遺族に年金を給されますいわゆる援護法でございますが、その援護法の規定と、それから恩給法の規定とを振り返
つて見ますると、その間に必ずしも同じでない点が多たあるのでございます。御
承知かと思いまするが、遺族年金は、遺族年金を受けられる方がどういうような刑に処せられた方であ
つたといたしましても、刑に処せられたいかんを問わず、その刑期のいかを問わず、遺族年金を給せられるようにな
つていたのじやなか
つたかと思うのでありますが、恩給法におきましては、いわゆる恩給権を喪失するような刑に処せられた方には扶助料は給さない、こういうふうにな
つておるのでございます。その点を
考えますると、必ずしも遺族年金を給される方そのままが扶助料を給せられる方として一律に取扱うということもできかねる。そこで、その点はまず第一に明らかにしなければいけないということになるわけでございます。それからまた、遺族年金の取扱いにつきましては、遺族年金を給される遺族の方に対しましては、年金を受ける順位というものが全部同じような順位でもらえるようにな
つております。すなわち、未亡人がおられますと未亡人、そのお子さん――小さいお子さんがおられると、お子さんにも同じような順位で給せられるということにな
つております。ところで、恩給法の扶助料におきましても遺族の範囲がきま
つておりますが、その範囲の中における遺族で扶助料を受けるについては、その順位がきま
つておるわけでございます。すなわち、未亡人たる妻が第一順位者でございます。それで、小さいお子さんがおられても、お子さんには、お母さんがおられる間はもちろん扶助料は出ません。ただ遺族扶助料に割増しの金額が給される。すなわち、これを加給と申しておりますが、お子さんは加給を受ける原因にはなるというふうにな
つておるわけであります。こういう点がまた違
つて来ております。また、祖父とか祖母とか、つまり戦死者のお父さんお母さんがおられて、その方が未亡人と生活を共にされているという場合でございますと、その方につきましては、援護法におきましては遺族年金が給せられるわけでございます。ところが、扶助料の方におきましては、扶助料を受ける資格があるという場合がありましても、扶助料そのものはないわけです。すなわち、未亡人がおられる以上、未亡人に扶助料受給権があるのです。そして、その資格のある方々につきましては、未亡人と
一緒に生活をされておりまするならば、未亡人に給せられる扶助料の金額に割増しの加給の金額が給されるということにな
つております。そこで、その戦死された方のお父さんやお母さんが、従来
通りの遺族年金を受けたい、こういうような御
意思であられるならば、その
意思を尊重いたしまして、その
意思に従う。しかしながら、将来扶助料をもらわれる順番が来たときには、その権利は放棄してもらう、こういうような取扱にな
つておる等、いろいろ複雑な事情がございます。従いまして、今中川
委員の
仰せられることは一応ご
もつともでございまするけれども、すぐそのまま、遺族年金を給せられている人イコール扶助料を給する人ということはなかなか行きかねる点がございますので、その点、ひ
とつ御了承置きを願いたいと思います。
それから、その次に、今度は請求書の問題でございますが、請求書につきましては、これにはいろいろと添付書類がございますが、その添付される書類につきましては、これは、遺族年金を請求された際に出された書類で、恩給請求をされる際に利用し得るものは、もちろん利用していただくことはけつこうなのでございます。私、実際事務当局としてたいへんこれは言いにくいことでございますが、いろいろと
関係者に聞きましたところでは、結局、厚生省の職員のところで、この書類は利用し得る、この書類は利用し得ないとい
つて、書類について
一つ一つ判断をして、利用し得るものをか
つての請求書の中から引抜かなければいけないことになるわけです。そういうことから判断いたしますと、実際の問題といたしまては、われわれ中川
委員の
仰せられることもご
もつともと思うのでございまするけれども、実際は、私の方へ
出して来られる場合におきましては利用するといいことはなかなか困難である、こういうふうに
考えておるところでございます。御趣旨はよくわかるのでございますけれども、実際の事務に当
つているところにおきましてはなかなか困難なことであるようであります。もしもそれをやりますると、たいへん手間どりまして、かえ
つて受給者の方々に御迷惑をかけることになるのじやないかということも懸念される次第でございます。そういうことも聞いておる次第でございます。