運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-10-31 第17回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十一日(土曜日)     午後一時二十八分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 鈴木 仙八君       大久保武雄君    岡本 忠雄君       徳安 實藏君    南條 徳男君       山崎 岩男君    臼井 莊一君       山口丈太郎君    熊本 虎三君       館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  委員外出席者         議     員 佐瀬 昌三君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運 輸 技 師         (港湾局長)  黒田 靜夫君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  吾孫子 豐君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         日本国有鉄道理         事         (電気局長)  並木  裕君         日本国有鉄道理         事         (自動車局長) 片岡 義信君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 八月八日  委員福田繁芳辞任につき、その補欠として臼  井莊一君議長指名委員に選任された。 同月十日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として山  崎岩男君が議長指名委員に選任された。 九月十五日  委員徳安實藏辞任につき、その補欠として塚  原俊郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員山崎岩男辞任につき、その補欠として木  村文男君が議長指名委員に選任された。 十月二十七日  委員塚原俊郎辞任につき、その補欠として徳  安實藏君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員木村文男君、熊本虎三君、吉川兼光君及び  世耕弘一辞任につき、その補欠として大久保  武雄君、竹谷源太郎君、中居英太郎君及び佐藤  虎次郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員竹谷源太郎辞任につき、その補欠として  熊本虎三君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員青木正辞任につき、その補欠として山崎  岩男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月二十九日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(参議  院提出、第十六回国会参法第七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  運輸関係水害予算に関する説明聴取  株式会社鉄道会館等に関する説明聴取  国鉄職員に対する仲裁裁定に関し説明聴取  国鉄電化基本方針に関する説明聴取  国営バス民営バス免許に関する説明聴取     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  この際お諮りいたします。衆議院規則第九十四条により、国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、その内容は前国会にとりましたものに、株式会社鉄道会館等に関する事項を追加いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關内正一

    關内委員長 御異議なければ、さよう決します。     —————————————
  4. 關内正一

    關内委員長 運輸関係災害予算に関し、政府より説明を求めます。
  5. 黒田靜夫

    黒田説明員 二十八年度におきまする港湾関係災害につきまして御説明申し上げます。  港湾関係の今年度におきまする災害は、これを三つにわけて考えるとわかりやすいかと存ずるのですが、第一は六月初めに四国その他その付近襲つた号台風でございます。それから北九州和歌山方面に襲来いたしました豪雨災害、それから九月二十五日に愛知三重方面に襲来いたしました十三号台風、この三つにわけて考えたいと存じます。これらの災害港湾関係の総額は、四十八億二千万でございます。このうち二号台風によりまする六月初めの損害は、港湾につきましては比較的軽微でございまして、八千八百万の災害でありまして、一般災害復旧費負担率適用することになりまして、特例法適用いたしておりません。豪雨災害につきまして、港湾に関しまする災害は、港湾接岸箇所におきまする土砂の流入でございまして、関門、若松、小倉、戸畑、八幡その他長崎県等の港湾荷役場所土砂が流入いたしまして、これによる災害がおおむね十一億一千四百万となつております。十三号台風愛知県、三重県など伊勢湾、渥美湾付近に襲来いたしまして、港湾の施設には相当の被害を及ぼしまして、これが被害額は三十六億一千七百万円と相なつております。この三つを合計いたしまして、四十八億二千万でございます。豪雨災害と十三号台風に対しましては、災害復旧特例法適用いたされまして、国の負担率はおおむね八割と相なつておるのでございます。これに対しまして、今年度補正予算で計上いたされました額は五億一千六百万円でございます。これを三つ内訳別に申し上げますと、二号台風によりますものは八百万、豪雨災害によるものは一億一千七百万、十三号台風によりますものは三億九千百万円で、合計五億一千六百万円、これが補正予算によつて災害を緊急に復旧いたす金額でございます。そのほかに災害を受けました箇所と受けない箇所を合併施工いたしまするがために、港湾災害土木事業助成費というものが一億五千万円計上いたされまして、補正予算審議されることと相なつております。  簡単でございますが、今年度の港湾災害被害額とその復旧費の概略を御説明いたしました。
  6. 關内正一

    關内委員長 次に、民営鉄道災害予算に関する説明を求めます。山内説明員
  7. 山内公猷

    山内説明員 私から私鉄関係水害被害及びその補助等につきまして御説明を申し上げます。  まず初めに六月及び七月における大水害による地方鉄道軌道被害につきまして御説明を申し上げます。当初六月及び七月の水害額は総計といたしまして、会社の請求によりますと十億になつております。その内訳といたしましては、西日本関係で十三社、六億二千二百万円、南紀地区におきまして五社、三億一千七百万円、その他の地区におきまして十一社、六千四百万円、計約十億の被害額の届出があつたわけでございますが、そのうち今度の特別立法適用されると考えられます会社を、あの法律によりまして選定をいたしますと十一社になります。その会社要請額を集計いたしますと、八億三千百六十七万円となります。これをその後運輸省におきまして陸運局及び本省の調査によりまして固めました数字が三億六千六百八十万円、こういう数字なつております。約半額に査定をいたしたわけでございまして、それに要します補助額復旧費の五分の一と法律なつておりますので、七千三百三十五万九千円という数字なつておりまして、現在大蔵省と折衝中でございます。大蔵省におきましても、財務局を使いまして、目下関係会社被害状況について査定中でございまして、大蔵省査定が終りますと、両者合議をいたしまして、その査定額適用をいたすという段取りになつております。  次に十三号の台風でございますが、これもまだ十分調査を結了いたしておりませんが、十三号台風が非常に広地域にわたりましたために、会社被害数も非常に多いわけでございまして、三十五社、損害額は四億八千九百四十二万五千円という数字会社から報告をいただいております。ただこの今回の十三号台風によりますところの被害会社は、あの法律適用にならない会社の数が非常に多いのございまして。まだ十分調査を完了いたしておりませんが、われわれの方で一応書類上特別立法の対象になるであろうと考えられまする会社は、約七社選定をいたしておりますが、この中からもまだ落ちる会社もあるのではなかろうかというふうに考えておりまして、十分にまだ確信をもつて報告はいたしかねるわけでございますが、その数字は一応復旧費といたしまして七千六百四十九万三千円、復旧費補助は千五百二十九万八千円、このように算定をいたしております。できるだけ会社復旧を早期に終らせるという意図から、運輸省といたしましてはこの予算確定を、現在大蔵省と急いでおる段階なつておりますので、御報告申し上げます。
  8. 關内正一

    關内委員長 次に、国鉄関係災害予算に関する説明を求めます。細田説明員
  9. 細田吉藏

    細田説明員 国鉄関係災害状況について説明を申し上げたいと思います。  北九州を中心といたします西日本水害、それから南紀地方水害南山城水害、それから十三号台風、これを一括申し上げたいと思います。西日本水害といたしましては、北九州地区が最大でございまして、関門トンネル浸水という開通以来の異常な事件のほかに、鹿児島本線、長崎本線等に大きな被害があつたのでございまして、これの復旧に要する額は約四十五億円と相なつております。それから次の紀州の方の水害でございますが、これは紀勢西線が一番大きな被害を受けておりまして、関西本線紀勢東線等に及んでおるわけでございますが、これの復旧費には約十四億を要する見込みでございます。それから南山城地方水害は、木津川その他の河川の氾濫に基くものでございまして、関西本線奈良線、信楽線、草津線等の各線が被害を受けまして、復旧費は約八億でございます。  台風十三号によります災害につきましては、これは申し上げるまでもなく、北陸、関西、山陰等が非常に広範囲に及んでおります。この復旧費が約三十八億でございまして、合計いたしまして百五億円の損害なつておるのでございます。これらの被害箇所に対しまして、応急処置をいたしまして、引続き復旧工事を鋭意進めておるような状況でございまして、二十八年度といたしましては、おおむね八十九億円程度が必要ではなかろうかというふうに考えておるのであります。二十九年度にどうしても工事が残るわけでございまして、残りの十六億は二十九年度に所要の見込みでございます。  なおこれはちよつと別なことでございますが、災害に関しましてはそれぞれ必要の向きに対しまして、運賃の減免の措置をとつておるのであります。今回の災害にかんがみまして、根本的な対策が必要ではなかろうかと考えるものでございまして、この点につきましては、関係の各省と防災計画につきまして連絡をとつておるような次第でございます。  なお関門隧道浸水は、前国会におきましてもいろいろ御批判をいただきましたような事情でございましたが、影響が非常に大きい点にかんがみまして、今後は絶対にかかる事態を生じさせないように、実は現地におきまして、各方面の権威の方々から御意見を聞き、また土地の故老の方々からも意見を伺いまして、補強工事をいたしておるような次第でございまして、まだ全部完成はいたしておりませんが、二百十日に間に合うようにという意味で突貫工事をいたしまして、応急工事だけは竣工いたしておるような次第でございます。  予算につきましては、実は政府関係機関予算補正を今国会に出しておらないのでございまして、これは他の公社とも出さないことに政府として決定しておるわけであります。もちろん災害復旧につきましては、そのために工事を遅らせるというわけに参らないことは当然でございます。ただいまのところでは、今申し上げました数字はまだきわめて概算でございますから、さらに十分検討いたしまして、適当なる措置を講じなければならぬと思いますが、さしあたりましては予備費運用等によりまして、工事が遅滞するというような状況にはないわけでございまして、鋭意復旧に努力をいたしておるような次第であります。     —————————————
  10. 關内正一

    關内委員長 次に、去る第十六国会末の本委員会におきまして、株式会社鉄道会館等に関する中間報告結論を出したのであります。すなわち  一、政府においては、すみやかに日本国有鉄道に対する監督権強化並び国鉄財産管理運用に関する法制を整備するとともに、国鉄及び鉄道会館等に関し必要かつ適切な措置を講ずること。  二、国鉄においては、イ、鉄道会館との契約内容を再検討してその適正を期するとともに、徴収未済土地建物貸付料構内営業料金等はただちにこれを徴収すること。日本停車場株式会社池袋ステーシヨンビル株式会社秋葉原会館高円寺復興協力会等、いわゆる民衆駅についても同様とすること。ロ、特に財産管理に留意し、日本国有鉄道固定財産管理規程並びに日本国有鉄道構内営業規則現状に即するよう改正し、諸料金決定にあたつてはこれを適正なものとするため、査定委員会のごときものを設置すること。ハ、いわゆる民衆駅のあり方については、根本的再検討を加え、その公共性を保持せしめるため、これが監督につき特別の措置を講ずるとともに、それら会社との関係を明朗化するため、民衆運営委員会等のごとき制度を設けて、広く関係官庁職員地方公共団体代表者及び学識経験者等意見を徴して、民衆駅に関する重要事項を決定すること。  このような中間的結論を出しましたにつきまして、その後政府及び国鉄においてはいかなる処置をとられましたか、また今後いかなる方針を持つて臨まれるか、この際所見を求めるのであります。長崎国鉄総裁
  11. 長崎惣之助

    長崎説明員 過般の国会におきまして、鉄道会館の問題が非常に皆さんの論難の的になりましたことは、私どものはなはだ遺憾とするところであります。途中で私病気になりまして、当委員会にも出ることができなかつたので、非常に御迷惑をかけたと思います。その点は厚くおわびを申し上げる次第であります。  実は私出ておりますれば、申し上げようと思つたのでありまするが、打明けて申し上げますと、財産管理その他については、かなり皆さんから御指摘を受けましたような欠点のありますことは、実はその当時からはつきりいたしておつたような次第であります。と申しますことは、終戦後非常なあの混乱の時代に、いろいろな問題が鉄道ガード下に起りまして、その整理というようなことも急がなければならないと考えておりましたが、何分にも線路その他の輸送力の増強、あるいは安全度の向上ということの方が忙しかつたために、つい手抜かりになつておつたという状況でございます。その本業の方も、御承知のようにローカル線等におきましては、まだ不十分な点が多多ございます。さような次第でまことに申訳なかつたと存じております。  次に、会館自体について中間報告としていろいろ御批判を賜わりました点の一つを大体申し上げますと、財産管理につきましては、日本国有鉄道固定財産管理規程、あるいは構内営業規則というようなものにおきましても、御指摘通り現状に即さないものがありますので、その点については、現在早急に部内において検討を進め、なるべく早いうちにこれが改正をいたしまして、現状に即するようなものにいたして参りたいと存じております。また営業料金につきましても、広く部外の公正な意見を聞きたいと存じまして、さしあたり東京、大阪地区、ここは最も財産も多いし、また料金等についていろいろむずかしい問題がございますので、この両地区に限りまして、査定委員会のようなものを設置いたしまして、これは十月一日から発足をいたしておりますが、それぞれ京浜及び阪神地区における国鉄土地建物高架線下、これらを部外者使用させる等の場合には、あるいは現に使用させておるものにつきましても、関係行政機関、あるいは地方公共団体学識経験者、こういう方々委員をお願いいたしまして、その御審議を願い、もつて料金決定の公正を期することにいたしております。さらに国鉄財産管理全体については特に今後留意をいたしまして、遺憾のないようにいたすつもりでございます。  次に、国鉄使用駅をいわゆる民衆駅として建設する必要があると認めた場合におきましては、本年十月一日にこれまた設置いたしました民衆駅等運営委員会に諮りまして、広く関係行政機関あるいは地方公共団体学識経験者の御意見を聞きまして、もつて民衆駅の建設、これが運営適正化をはかり、その公共性を保持することに努めて参りたいと存じます。すでに第一回の委員会におきまして、いろいろと問題が審議されておるような次第であります。  次に、一般財産管理に留意いたしまして、国鉄の所有するおもな土地建物高架下等部外使用に関する基本事項構内営業料基準に関する事項、これらにつきましても、前申し上げました民衆駅等運営委員会にお諮りいたしまして御審議願つて国鉄財産の公正でかつ有効な運営をはかることにいたしたいと存じております。徴収未済営業料金につきましては、それぞれ八月十三日あるいは七月の二十九日、十月の十四日という日取りで、全部徴収済みになりました。なお鉄道会館を初め日本停車場株式会社池袋ステーシヨン・ビル株式会社秋葉原会館高円寺復興協力会等民衆駅の契約内容につきましても再検討を加えまして、いろいろ研究いたしておりますので、前申しました民衆駅等運営委員会の御意見等をも徴しました上で、遺憾のない処理をいたしたい処存でございます。  簡単でございますが、御説明申し上げます。     —————————————
  12. 關内正一

    關内委員長 次に、先般国鉄職員に対する仲裁裁定があり、公労法に基き政府国会の議決を求めて来られると思いますが、この件に関しましては本委員会は密接なる関係がありますので、その経過並びにその内容について説明を求めます。国鉄職員局長吾孫子説明員
  13. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 それでは仲裁裁定経過について御説明を申し上げます。  去る十月の十三日に仲裁裁定第十四号ということで、昭和二十八年度の国鉄職員賃金ベースにつきまして、裁定が下されたわけでございますが、その裁定では基準賃金は八月以降平均一万五千三百七十円に改訂する。それから最低保障額については両当事者団体交渉によつてきめる。なおこの裁定の解釈について疑義を生じ、もしくはその実施にあたつて当事者意見が一致しない場合には、委員会の指示によつてきめる、こういう主文の裁定が下されたのでございますが、昭和二十八年度におきましては、この裁定を実施いたすだけの財源がございませんので、目下国鉄といたしましては政府に対して予算補正についてお願いをいたしておる、そういうふうな段階でございます。  以上御説明申し上げます。     —————————————
  14. 關内正一

    關内委員長 次に国鉄電化基本方針について説明を求めます。長崎国鉄総裁
  15. 長崎惣之助

    長崎説明員 これから申し上げますことは、まつた日本国有鉄道自体が考えておりますことでありまして、まだ運輸大臣との御協議あるいはお話合いということはできておらないのでありますから、そのおつもりでお聞き取りを願いたいと存じます。実はこの次の通常国会あたりに出ると思いますが、御承知のように日本国有鉄道は今後継続費予算を出すのでございます。この継続費予算が出ますにつきましては、やはり三年なり五年なりの先を見まして計画的に工事が行われて参るということになるのでございますから、従つてこの五年なり三年なりの長期にわたつて計画というものが立てられるわけであります。この長期計画につきましてはいろいろと案を練り——まだ確定案にはむろんなつておらないのでございまして、先ほど申し上げましたように、運輸省との間のお話合いもできてないのでございますが、この長期計画におきましてわれわれが一応の案として考えております電化計画内容をかいつまんで申し上げますと、大体キロ数にいたしまして千五、六百キロくらいの区間電化したい、それは東海道線の現在の電化を西に向つて進めて行くと同時に、東北線あるいは常磐線というようなものが含まれておるのであります。それではこの費額はどのくらいかかる見込みかと申しますと、大体九百億くらいかかるつもりであります。それによつてそれではどのくらいの利益が上るかと申しますと、われわれの今の計算では一一%くらいの収益率があると思いますので、これはかなり有利な投資でございますから、ぜひやりたい、かように考えております。それならば大体千五、六百キロの区間電化して、年間に石炭をどのくらい節約できるかと申しますと、これは約百六十万トンほどの石炭が節約になります。詳しいことはいずれ案が固まりました際に、むろんこの委員会において詳細なる御説明を申し上げるつもりでありますが、私どもの今考えております電化計画概貌を申し上げますと、以上のような次第でございます。
  16. 關内正一

    關内委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  17. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。  次に国営バス民営バス免許に関し政府より説明を求めます。中村自動車局長
  18. 中村豊

    中村説明員 国鉄バス民営バスに対する免許方針について御説明申し上げます。いわゆるバスに二種類ありまして、第一のものは定期路線一般お客を扱うところの乗合バスでございます。第二のものは観光バスといいますか、遊覧バスといいますか、一車を貸し切つて観光目的お客様を運ぶものでございます。  第一の本来の定期バスについて考え方を申し上げますと、一般民間事業として道路運送法に基いて運輸大臣の強度な監督のもとに服しまして、厳重ないろいろの義務を持つておるわけでございます。従いましてこれは民営であつても、決して営利追求であるとか義務を怠るとか、単なる営利事業ではないので、公共事業としてその責任と義務とを十分果させるようにしておるのであります。国有鉄道がその兼業として定期バスを各地でやつておりますが、このバスにつきましては日本国有鉄道法に規定がございまして、日本国有鉄道に関連する自動車運送事業というふうに規定されておりまして、性格的には日本国有鉄道そのものと関連する路線についてだけ国鉄バスをやり得るということに、性格上の制約、制限があると思うのであります。これを昔からよく、具体的に申しますと、国有鉄道建設線先行線であるとか、代行線であるとか、短絡線培養線というものが拾い上げられておるわけでございます。今までの国鉄バスは、全部そのような性格に合致したものが許されておるわけでございます。そこで新しい免許申請国鉄バスとしてありました場合に、そのような性格に該当するかどうかをまず第一に判断するわけでございまして、そのような性格に該当しない場合には、遺憾ながらこれをお断りしておるわけであります。該当した場合に次に考慮されるのは、その地域においてどのような路線分布状態なつており、勢力分野がどのようになつておるかを検討いたします。そこにもし在来の業者、主として民営業者でございますが、そのようなものが路線網を張りめぐらしておるとか、あるいはその路線民間バスそのものがすでに存在するような場合には、さらにそこに国鉄バスを追加することについては、非常にむずかしい問題が起るわけでございます。もしその区域なりあるいはその路線民間事業の者があつて、そこが一種の勢力分野になり、そこに新しく国鉄バスを許しますと、既存の民間業者に非常に損害を与える場合には、その問題を慎重に審査しなければいけなくなりまして、道路運送法におきましては、需要供給関係というのを非常に大きな要素として、判断の材料にしております、その地区におけるお客さんがどのくらい乗るかという輸送需要量と、それに対してバス・サービスとしてどのくらいの輸送力を提供できるかというものを、相互に対照判断しまして、もしお客さんの予想される数に対してバス輸送力が少い場合には、新しく新しい事業者を入れることもできますけれども、すでに輸送力が十二分にあつてお客さんを十分に運び切つておる場合には、かりにそこが一路線に一事業者であるという形でありましても、これは新しい事業者免許しないという考え方になつております。その場合に新しい事業者国鉄バスであろうと民営バスであろうと、ひとしくこれをお断りするということになつておるのであります。そこでたびたびその場合に、輸送の状態はまあまあがまんできるものであるけれども、民間バスは利潤追求である、国鉄バスは利益を度外視するから、十二分のサービスをしてくれるから、国鉄バスに許せという現地地方民の方々の非常に熱心な御陳情があるのでありますけれども、そのような場合には運輸省といたしましては、既存の事業者のサービスの模様、たとえば運賃でありますとか、輸送力の配給状態、事業計画というものを見まして、まずまず現在の情勢においてがまんできる場合には、民営をそのまま存続さして、国鉄をお認めできないということになつておるわけであります。それ以外の場合には国鉄をお認めしておる、こういう態度でおるわけであります。  第二の観光バスあるいは遊覧バス、正確に言えば大型貸切自動車事業につきましては、これは運輸省としては従来、国鉄関係に対しては今までの定期バスよりももう少しきゆうくつな考えで臨んでおるのでありまして、いわば観光バス遊覧バスというようなものは、本来国有鉄道のやるべき使命のものではないであろう、これは民間にまかしていい仕事であろうという根本的な考えを持つております。但しその地区における民間の観光バスにおいて十分に需要に応じ切れない場合、その付近に民間の営業所がないような場合には、例外的にその付近国鉄バスの適当なものがあれば国鉄バスにお許しする、こういう態度であるのでありまして、例外的にやむを得ない場合には国鉄バスに、予備車の一部分の車両を限定しまして、また利用し得る地域、市町村を限りまして免許しておるのであります。このようなものがすでに現在国鉄の三十七営業所に対して、約七、八十両のバスをお許ししておるわけであります。定期バスに対して観光バスは、そのように一段ときゆうくつな考え方をとつておる次第であります。  簡単でございますが、基本的な考え方について御説明いたした次第であります。     —————————————
  19. 關内正一

    關内委員長 大臣の出席につきましては、昨日から申入れをしておつたのでありますが、長時間この委員会のわれわれに空白の時間を与えましたこと、この委員会軽視の態度につきましては、はなはだ遺憾にたえないと存じます。今後十分御注意を願いたいと思うのであります。  この際大臣に御説明を願いたいことは、去る十六国会末の本委員会におきまして、株式会社鉄道会館等に関する中間報告的の結論を出したのでありましたが、この問題に対しまするところの政府におきましてのその後の処置、または今後の方針等についての所見を求めます。
  20. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 おそくなりましてまことに申訳ございません。ただいまの問題につきましてお答え申し上げます。  監督権強化並び国鉄財産管理運用等に関しまする法制の整備という問題が一つあつたのでありますが、この問題につきまして種々検討をし、研究を続けておりまして、一応の草案を得ておるのでありますが、この問題に関連いたしまして、行政管理庁において監察がこの間行われました。近くまたその結論を出すことになつておりますので、それらとあわせまして、来るべき国会には法案として提出いたすように準備を進めて行くつもりであります。また法案の整備以前におきましても、現行法上におきましてできまする監督を強化いたしまするためには、日本国有鉄道法の第五十四条によりまして、重要なる事項について報告を求めることにいたしました。十月の十三日付をもつて国鉄に対しまして、いろいろな報告を求めたのでございます。業務組織の重要な変更であるとか、事業の長期的な基本計画とか、あるいは毎事業年度の年度事業計画の主要な事項であるとか、日本国有鉄道法第四十四条の規定によつて定めた給与準則であるとか、毎月の退職者の数及び退職手当額、労働協約、重要な労働情勢、営業線の貸付、鉄道、航路、自動車の別を明らかにした毎月の輸送成績及び営業成績、駅の設置または廃止及び取扱い範囲の変更並びに駅乗降口の設置、重要な列車運行計画の変更、デイーゼル動車の配置計画、重要な運送条件の変更、天災地変その他の事由により輸送に著しい障害を生じた場合の概況及びその対策、重要な工事の竣工及び営業開始の予定、停車場、港湾、河川、立体交叉等の工事公共事業費等に関連のあるものの計画、不動産、船舶、鉄道車両、自動車の譲渡及び交換、不動産、船舶、鉄道車両、自動車を担保に供すること、永久構造物を設けることを目的とする土地の貸付、重要な踏切道の種別変更の計画、重要な公示または規程の制定または変更、最後に前各号のほか異例に属すると認められた事項等につきまして、国鉄より報告をするようにということでその通達をいたしております。今までもある程度の報告はこの中で来ておつたのでありますが、あらためてこれらの条項をあげまして、報告を必ずしてもらうようにいたしたのでございます。なお当委員会の中間結論に関しまして、逐次国鉄より報告を受けることにいたしておるのであります。先ほど国鉄総裁からおそらく申し上げたと思いまするが、これは民衆駅に対する問題でありますので、公正を期するために委員会を設けるということにつきまして、委員会もすでに組織されておるというようなこと、それから大阪、東京の駅におきまして、いろいろ国有鉄道の持つておりまするものを民間に貸し付ける場合の適正なる評価をするというようなことにつきまして、評価委員会を設けたというようなこと等の報告等を受けておるわけであります。
  21. 關内正一

    關内委員長 さらに運輸大臣にお尋ねいたしますが、先般運輸大臣が旅行先において発表になられました国鉄電化の問題でありまするが、あの新聞記事によりますと、外資導入の明るい見通しがついて、国鉄電化の御方針について御抱負を述べられたようでありますが、この点についての御説明を願いたいと存じます。
  22. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国鉄電化問題は、国鉄といたしましても、電化をすればするほど経営の上にはいい結果をもたらすことは、皆さん承知の通りでありまして、私ども予算、資金の許す限りにおいて、できるだけ電化を促進いたしたいということをかねがね念願しておるものでございます。昨年、本年度の予算をつくる場合におきまして、もつと多くの予算を何とかしてこれに盛りたかつたのでありますが、なかなか思うにまかせず、今進んでおりまする東海道線の一部を継続するということ、それから山手線の貨物線の電化という程度のことがわずかに行われる程度であります。これは何かもつとかわつた方法に——というのは、もつとまとめて金を借りる道はないか。それには外資の問題ということに意見としては一致したのであります。昨年世界銀行の副総裁ガーナー氏が参りましたときに、いろいろ運輸省関係の問題につきまして、どれが一番早く外資導入ができる問題であろうかと、いろいろな問題をもつて話し合つたときに、国鉄電化が一番好ましい問題である、これはでき得る問題であるというふうな話がありました。そのときもいろいろな調査書類を出したのでありますが、その後長崎国鉄総裁がアメリカに参りました際に、さらに材料を整えて説明を加へておいてもらつたわけであります。先ごろ大蔵大臣がアメリカに参りまするときにも書類をさらに整えまして頼み、それから愛知君の一行が池田君などと一緒にアメリカへ参りますときにも、さらにこの問題に話をするように頼んだ次第であります。私がこの間新聞の諸君に話しましたのは、それができるとか何とか、そこまで行つておる話ではないので、今申しましたような意味で運輸省関係のものでは、外資導入は電化が一番できやすい問題であるから、これを何とかできるようにわれわれも努力しつつあるので、できればこういうことも順次よくなつて行くという意味で話したのが伝わつておると思います。私どもの出しました世界銀行に対する材料には、その内容は私今はつきりは覚えておりませんが、東海道本線をずつとつなぐのはもちろんのこと、九州の鳥栖まで電化する。それから東北本線は仙台まで、常磐線では上野、岩沼間、こういう計画案を立てまして、これらについての費用がどれくらいいる、これの外資を入れたいという詳しい書類を出したのでございます。これは長崎総裁がアメリカへ行つて話したときに、日本から出ておる書類はまだ一応の説明書であるから、ほんとうに世界銀行に提出する書類は、事実の内容がよろしいということであれば、金を貸した実例がある。その書類通りのものを形式を整えたらよかろうという注意までありまして、その通りのものをこしらえて、大蔵大臣に行くときに持つてつていただきました。しかし大蔵大臣の帰つてからの話では、まだそこまで話は進まなくて、ただ提出をして説明をして来たという話でありました。あとの諸君の様子はまだ承つておりませんが、日本の電気事業とあわせまして、国鉄電化には世界銀行も非常に興味を持つて見ていてくれるようでありますし、これのできることを一番に念願いたしております。もしこれができないならば、必ずしも世界銀行によらないで、外資の導入の道はないものかと、先ごろから一、二の人がそれについての話を私のところまで持つて来てくれる人もあるのでありますけれども、はたしてそこまで持つて行けるかどうか、まだ進行はいたしておらないのでございます。かりにそれを別にいたしましても、国鉄電化というものは、国鉄予算において許されます限り、これは迅速に、また各方面にわたつて手を延ばして行くべきものだと思つております。この点につきましては予算措置もありますが、国鉄総裁ともとくと談合をいたしまして、皆さん方の御後援によりまして、予算を多くとれるように一日も早くいたしたいと思つております。
  23. 關内正一

    關内委員長 この際お諮りいたします。国鉄電化基本方針に関しまして、委員外議員より発言いたしたいとの申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 關内正一

    關内委員長 御異議なければ、さよう決します。佐瀬昌三君。
  25. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 石井運輸大臣並びに長崎総裁から国鉄電化の問題について、一応構想と申しましようか、予想についてのお話があつたようでありますが、さらにこれを具体化する上において、私ども常磐線とともに東北線電化をすみやかに達成されんことを、沿線県民多数の要望に基いて今日まで当局に折衝して来た立場から、二、三の点について御質問申し上げておきたいと思うのであります。  電化の問題の隘路は、何と申しましても予算と技術の点にあろうと思うのでありますが、先ほど長崎総裁から、国鉄電化のために九百億の予算措置が必要であるという話があつたように承つております。またただいま石井運輸大臣からは、これに対し外資の導入によつて世界銀行なり、あるいは他からまかないたいというようなお話も承つたのでありますが、その点について今後の努力をお願いするとともに、私は国鉄電化政策において基本的な問題として、この際考えていただきたいと思う点は、いわゆる新線建設電化との関係であります。財政投資あるいは独立採算制等の問題と兼ね合せまして、新線の建設電化のためとの予算の配分を、従来の方針に対してこの際検討していただくことが、やがて合理的にまた経済的に電化を促進するゆえんではないかと考えるのでありますが、この基本的な問題に対して、運輸大臣国鉄総裁はいかなる御見解を持つておるか、あらためて承つておきたいと思う次第であります。
  26. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 新線建設が昨年から始まりまして、それから今日まで約三十線の新線が戦後着工された状態でございますが、今年度の予算では建設線に九十億円大体充てることになつております。これに対して電化は七十八億円充てているわけであります。新線は法律によつてきめられました百五、六十にも余る予定線の中から、今まで三十線選ばれたわけであります。本年度におきましてもそれを経済的に進行させるには、百十億円ほどの金がほしいのであります。しかし予算の振合い上九十億になつたのでありまして、自然それだけ着工が延びるということになつたのであります。電化の方も初めはもつと少い予算の割当でございましたけれども、私どもは先ほどから申しますように、電化することが非常に経営の上にも好ましいことであるし、ぜひこれをやりたいと思いまして、この際七十八億計上されることになつたのでございます。今後におきましても新線を全然やらぬというようには行くまいと思います。各種のいろいろな情勢の中でどうしてもほしいということもあるのでございますが、来年度におきまして私どもが今まで着工いたしました新線を経済的にやつて行くためには、予算として百二十億ほどほしいのでございます。本年百十億を予定して九十億になつたのでありますから、おそらく来年度はいろいろ財政上非常に困難な状態は、みなさん御承知の通りでありますから、本年通りに維持できるかも問題だと思いますが、できるだけ電化の促進という方面には、予算を多くするように努力いたしたいと思つております。
  27. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま大臣から申し上げました以上に申し上げる必要もないと思いますが、私の率直な感じを申しますと、新線建設というようなことをやつておりますのは、ヨーロツパではほとんど一国もございません。ただアフリカとかいうような未開発地帯を持つているところでは新線をつくつているところもございますが、ヨーロツパはほとんど見かけません。それに対して電化ということは非常に行われております。これは鉄道の近代化とでも申しますか、そういう面からは電化を大いにやらなければならぬということになつております。従いまして電化に関する技術上のいろいろな点の進歩も著しいし、しばしば申し上げるように交流の電化ということが中心になつて、今後おそらくヨーロツパでは交流電化が非常に盛んになるのではないかと思います。なぜ交流電化をやるかと申しますと、最初の投資額が約半分になるのであります。言いかえると、今まで一年に二百キロなら二百キロやつたものが、四百キロやれることになるわけであります。そういう意味合いにおいてどうか一日も早く日本の電化ということを進めて参りたいと思います。建設線につきましても、それでは日本はヨーロツパと同じようにいらないかと申しますと、そうではない。必要な新線の建設も私はあると思います。それらの兼ね合いをどうして行くかということにつきましては、とくに大臣とも御相談申し上げ、また一般の輿論にも聞きまして、進めて参りたいと存じます。
  28. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 御方針については私ども心から賛同いたすものであり、今後新線建設電化の方がウエートを置きかえられないように、その兼ね合いを十分御検討願つて電化の目標達成のための御努力を賜わりたい、こう考えます。  次にもう一、二点お伺いしておきたいのは、ただいま長崎総裁お話の交流と直流の問題であります。これは電化の一つのアイデアとしてまことにごもつともな御見解であり、私どももそうあるべきと思うのでありますが、ただそれには附帯施設の整備拡充とか、いろいろこれに伴う予算も相当必要ではないかというふうに思われますので、この国家財政窮乏の際には、いわば間に合わないのではないかと懸念いたすのでありますが、もしそういう点において、直流でまかなつ電化をすみやかにするということが閉却されるようなことになると、私どもことに東北本線の電化を要望しておる者の立場から言うと、懸念されるものがありますので、この点に対する総裁の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 長崎惣之助

    長崎説明員 交流の電化はすでに研究の時代を過ぎてしまいまして、ヨーロツパでは盛んにそれをやつておるのであります。今私はつきり記憶しておりませんが、一昨年くらいじやなかつたかと思いますが、ヨーロツパの鉄道の専門家あるいは電気関係の専門家が、チユーリツヒに集まりまして会議をいたしたのであります。そのときの決議では、交流の電化をやつて行くということに一応きまつております。現に交流電化は実際に行われておるのであります。その電化によりますと、今申し上げましたように設備費が直流の半分でできるのであります。でありますから二百キロのところが四百キロできる、こういうことになるわけであります。それから直流と交流をどう結ぶか。早い話が、東北本線を大宮から先交流でやつたら、上野へ入つて来れないじやないか、こういうことを非常に御懸念になつておるようでありますが、それは直流から交流へ入れるような車のエンジンをつくれば、問題は解決するわけであります。その点もすでに実現されておるように私聞いて参りました。決してそういう御不便のないように配慮をいたすつもりであります。また非常に安くできますから、従つて仕事が早く行くわけであります。使う資材も非常に少くて済む。たとえば架線などは非常に細くなるらしい。そうなれば、それのさきえの支柱がまた細くて済むというようなわけで、資材の面も少くて済む。従つて経費も安い、こういうようなわけでありますから、決して皆さんの御不便になるようなことはしないつもりでありますから、貧乏であるから、そういう金のかからないことを見つけて歩いておるようなわけでありまして、どうぞ御安心を願いたいと思います。
  30. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 予算の面また技術の面から見ましてさような意気込みをもつて、ぜひすみやかに東北線電化を実現願いたいのでありますが、大体の目標として、何年度くらいに完成できるかということの、現段階における御計画を御発表願えれば、この際御説明を願いたいと思います。
  31. 長崎惣之助

    長崎説明員 これは来年度の予算がどのくらいとれるかということとも関連して参ります。まず私の考えでは、金がたくさんあつて急速に仕事を進められますと、どこもここも手をかけるとよいわけでありますけれども、今日の国鉄の財政の現状から申しますと、やはりある線を完成する。ことに電気機関車は行動半径が非常に長いのであります。それが特徴でありまして、蒸気と違いまして長い間走れるわけであります。それが大体二、三百キロ、今までの蒸気でありますとその半分くらいというのが非常に長く走れるので、短区間電化したのではニンジンの効率が上らないということであります。従いまして、そういう面からもできるだけある程度の距離を完成して行くという考え方でありますが、さしあたり私どもは、今着手している東海道線を神戸とか、あるいはそのちよつとだんだんらいというようなところまではぜひやつて参りたい。それができたら今度は東北の方面にもかかつてはどうかというふうに考えているのでありまして、その順序がどこになるかは、来年度の予算がどのくらいもらえるかということによつてきまるわけでありますが、できるだけ早い時期にかかれるように、予算の要求等についても全力をあげている次第であります。
  32. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 一概に電化と申しましても、いろいろ内容があろうかと思うのでありますが、さしあたつてわれわれの要望してやまない点は、いわゆるの電車化であります。こ点について特段の御配慮を賜わつているかどうか、お伺いしたいと思います。
  33. 長崎惣之助

    長崎説明員 おそらく皆さんのおつしやつている電化というのは、常に電車化のことでないかと思うのであります。われわれの方としては、必ずしも電車化だけを考えているわけではございません。貨物の関係などにおきましては、電気機関車になりますと非常に強力になりますから、たくさんひつぱれるというようなこともねらつているわけであります。東京を中心といたしましたり、あるいは大阪を中心とする電化という場合におきましては、電車化ということにも十分留意しなければならぬというふうに考えております。
  34. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 私ども長年にわたつて東北線電化の要望を当局に伝えて参つたものでありますが、すでに東海道本線あるいは高崎線等の電化達成された今日、ただいまお話もあつたのでありますけれども、なるべく外資の導入あるいは予算化のために最善の努力を払つていただき、またわれわれ国会側もこれに協力いたすことをお約束いたし、常磐線並びに東北線が仲よく電化さしていただくということを切にお願いいたしまして、私の質問を打切ることにいたします。
  35. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この前の議会のときに原さんから電化問題について御質問がありましたが、地磁気研究所が常磐線沿線にあり、電化するというような声もあるが、それに対する対策はどうかというような御質問であつたと思います。この問題につきまして、私どもはとりあえずの問題といたしまして、はたして電車を通せば地磁気研究所にどう影響するか、それに影響させぬためにはどんな方法をとるべきかということを、総合的に研究する必要があると考えまして、先ごろ地磁気擾乱対策協議会というものを運輸省内に設けまして、関係運輸省国鉄、学界の人たちを委員にお願いいたしまして、ただいまそれの研究をやつております。あわせて御報告申し上げておきます。
  36. 關内正一

    關内委員長 以上の諸問題に関しまして質疑の通告があります。これを許します。鈴木仙八君。
  37. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 国鉄総裁並びに運輸大臣がお見えになつておりますから、二、三点お尋ねしたいと思います。  第十六特別国会において、本委員会で質疑の対象となりました東京駅の新本屋、株式会社鉄道会館その他の民衆駅の増営にかかわる諸問題については、国鉄輸送力が国際水準に照しても、またわれわれ国民が身をもつて体験している実情に照しても、きわめて貧弱である現状に比べて、そのような巨大な美観増進を目的とする建築物が許されてよいかどうかという、大きな政治問題の域にまで進展いたしております。一方一般社会からも、このような国鉄の本来の目的を逸脱した建造物の是非を問う声が次第に高まり、国鉄鉄道会館の最高幹部を相手取つて、日本弁護士協会理事長戸倉嘉市氏ら十五名が、東京地検に告発をいたしたと聞いております。こうして株式会社鉄道会館の問題は、日を経るに従つて消滅するどころか、いよいよゆゆしい国家問題となつて来ております。私といたしましてはこの問題だけでなく、運輸委員会にかかるいろいろの問題を、陸上、海上、航空の三方面における輸送力をいかに増強すべきかという立場に立つて検討をし、論判しているのであります、国鉄についても、今夜を日に次いで行うべきことは、国鉄輸送力の増強であります。旅客列車においても、電車においても、貨物列車においても、輸送力はまつたく行き詰まりとなり、わが国の産業、経済、文化、国民生活を混乱せしめ、発展を阻害しているばかりではなく、実はわが国の防衛力を危うくしているのであります。防衛力といい、自衛力といつても、火器を携えた部隊だけがそろえばよいのではなく、国家能力を総合した合成力であります。その合成能力のうちでも、鉄道輸送力は特に重要であります。これについては別にその点の質問のときに、運輸省及び国鉄当局に問いただしたいと決意しておりますが、すでに保安隊、海上警備隊に対して、国民は予算の五分の一を投入しても、その増強に努力することを惜しまぬ現在にありながら、ひとり国鉄が国家危急存亡のときに臨んでいるのを無視し、全力を振つて駅舎の美観を増進するなどといつてたるみ切つているのは、実に奇怪千万といわなければなりません。私が立脚しているのは、実に防衛力の一環として国鉄輸送力をいかにして増強するかにあるのでありまして、この根本に照して、株式会社鉄道会館のごときが奨励されてよいか悪いかを、前国会から論議しているのであります。  国鉄の前総裁にして株式会社鉄道会館の社長である加賀山氏は、雑誌の記事でありますから非公式ではありますが、私を軽蔑して「鈴木仙八という人は、ずつと以前に何か国鉄へ利権を持ちこんで、それをハネつけられたので、このごろになつて欝憤をはらすつもりでやつている」云々。別の雑誌、これは新聞社の週間雑誌ですが、加賀山さんがこう言つております。「今度の場合でも私は実に意外だ。鈴木仙八さんと田中彰治さんが、まつ先になつて騒いでいるが、鈴木さんは私が国鉄総裁時代一、二度、今の長崎総裁なつてからも、何かの鉄道利権を持込み、その意見が入れられなかつた。田中さんの場合でもそんなことであつた」と、こんなことを言つておりますが、私は今まで加賀山さんの前でまだ質問をしたことも何もない。実に奇怪なことを述べているようですが、彼らが私を何と言つて軽蔑し、冷罵嘲笑しているか知りませんが、私としては国鉄現状は、わが国の防衛上ゆるがせにできないとする認識に立つて一切の問題を検討しているのであります。不肖ながら鈴木仙八は国会議員として、国民の代表として、国家民族の前途を思う烈々たる憂国の信念と熱情に立つて国鉄をどう改善するかという理念からこの問題を批判をしておるので、個人の利害に立つわけではありません。一言私の信念を明確にしておきたいと思います。  第一に運輸大臣に質問をいたしますが、運輸大臣国鉄監督する立場にあるのですから、その立場から株式会社鉄道会館に対して、一体どう処置をつけるお考えですか。すでに最近の決算委員会で同会社の立花専務は、いかなることがあつても十二階建の建築物を建てると参考人供述で言つておるようですが、運輸大臣の決心は一体どこにあるのですか、これをお尋ねしたいと思います。
  38. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 鈴木君の御質問にお答えいたします。国鉄の経営から見まして、輸送力に影響を及ぼすようなことをして、そのほかのあまり急でない方面に金を使うということの好ましくないことは、全然同感でございます。私はこの会社の話が、輸送力に影響を及ぼしてまで建てられたかどうかという問題になりますと、そこらはいろいろの見方があると思いますが、輸送力はどんどん増強しなければならない、そのためにあそこの停車場をこしらえるのに金がないということから、計画されたのであると思います。でき上りました、またでき上らんとしつつありますものが、少しもあそこにふさわしくないじやないかという見方、これに対しましていろいろな論議がかわされ、社会の問題となつておる点を私も承知いたしておるのでありますが、あの会社をどうするかという問題につきましては、これは会社自体が今の世の中の声を聞いて、しかるべく処置することが第一段だと思うております。またこれとの契約その他をいたしております国鉄において、会社話合いの上で何とかかわるべき方法と申しますか、どこか改むべきものがあれば、それをどしどし話し合つて改むべきものだと思います。私どもといたしましては会社に向いまして直接どうしよう、こうしようということは、少しく僣越だと思うておりますが、国鉄関係をしておりまする、それを監督をする立場といたしまして、世間の声をよく聞きながら、そうしてそれがあまり出しやはり過ぎたような状態にこの会社の仕事がならぬように、いろいろ国鉄を指導して行くつもりでおります。
  39. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に国鉄に対して総裁に質問したいと思います。あなた方の考えは、依然として鉄道会館を設計通りやらせるのですか。この輸送力が貧弱で、鉄道営業法第六条及び第二十八条の違反事犯を日に夜に繰返させておりながら、それでもなおかつ駅舎の美観増進オンリーで断固邁進するというのですか。
  40. 長崎惣之助

    長崎説明員 私の考え方は過般来申し上げておりますように、鈴木委員のおつしやる通りでありまして、まず国鉄としましては輸送力の増強、安全度の増大ということに主眼点を置かなければならぬことはもとよりでございます。従いまして予算等の使い方にいたしましても、できるだけ建物等には使つていないのであります。むしろあまりに使つておらな過ぎて、都市計画の完成した地方の老朽、朽廃して来たような駅舎というようなものはあまりにひどいじやないか、早く建てかえろとさえいわれておるのであります。それこれいずれにいたしましても、鉄道の財政がゆたかでない、かつてのようにゆたかでないというところに、いろいろなそういう問題が起ると思います。それをどうしたら一体財政の建直しができるか。やはりものの建直しをいたしますためには、新しい投資もまた必要になつて来るのであります。そういう意味合いにおきまして、種々いろいろなことを考えてはおるのでありますが、あの会館の問題なども、実は根本の八重洲口の問題としまして、どんどん東京駅の乗降がふえて来る。何倍というようにだんだんふえて来る。さらに今日の情勢をもつてしますと、乗降客が非常にふえるというので、やむを得ずあの駅舎をつくるということを考えたのであります。ところが駅舎でございますれば、一階建くらいでたくさんであるのでございます。でありますから、むろん国鉄のやりますのは一階にとどまつておるわけであります。ところがそういう一階建というようなものをあそこにつくるということは、また一方土地の利用の面からいつて、はなはだおかしなことだ。やはり立体的に使うべきじやないかというようなことで、ああいう形になつたわけでございます。従いまして立体的に使う上の部分は、これは全部会社が自分で負担してやるのであります。決して国鉄があの費用を全部持つということではないのであります。この点はどうぞ誤解のないようにしていただきたいと思います。  なお今の設計の通り行くかというお話でございますが、ただいまのところではそのつもりでありますが、これまた時勢の変遷、周囲の情勢の変化等によつて変化を来すということも、またあり得ないことじやないと私は思います。これはしかし会社自体の問題でございますから、会社ともよく話し合わなければわからないことでございますけれども、私は永久不変にどこまでも今の設計を無理押しに押して行かなければならぬというふうな、そういう強引なことを考えるつもりは一つもございません。
  41. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に東京駅の列車、電車発着線が鉄道会館によつて現状のままで拘束されることになります。つまり八重洲口ヘもつとたくさんのプラツトホームを増設できるのに、鉄道会館が十二階建の設計であるから、駅前広場の面積のために会館の建物があとずさりして、中間のプラツトホームが少くなります。そこでこの際はつきりさせねばならぬのは、でき上つたあかつきの東京駅のプラツトホームは各線どうなるか、これを設計図面を添えて資料として出してもらいたいと思います。これをぜひ出していただきたいと思います。  中央線の電車を新橋まで延長することは、高架線の増設のため東京都庁、読売新聞別館、帝国ホテルなどが協力すれば、さほどの難工事ではないのでありますが、それを考えて東京駅の中央線電車ホームは二本にすべきではないかと思います。さらにかんじんなことは、前国会総裁がはつきり言明した京浜、山手の分離運転については、プラツトホーム二本、発着線四本を必要としますが、東京駅の改良計画ではそれが入つているのですか、そこをはつきりしていただきたいと思います。
  42. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま御要望がございました東京駅の発着線の詳細の図面を後刻御提出いたします。  なおそれに関連して、ただいま御質問がございました山手、京浜を分離した場合の線をどれだけとるかというお話につきましては、ホーム二面、それぞれわけて線路として四本使えるようなかつこうにわけたいと思います。それは設計いたしております。
  43. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 お尋ねします。さらに東京駅のプラツトホームの中には、東海道下り列車の発車線が何本できるのですか。これをいいかげんにしては困ります。あなた方サービスサービスとよく言うが、特別二等車の百六十二台だけがサービスだと思つては大違い。国鉄調査役は兼松氏を初め、みんな米国へ行つて来たはずですが、米国の大都会の終端駅、いわゆるターミナル・ステーシヨンでは、発車線が三十本も四十本もある。これは大陸横断列車、いわゆるトランス・コンチネンタル・ライナーのために、夜行列車をずつと早くから発車線にすえつけてしまうのであります。ニユーヨークでは、サニー・サイド操車場が水の便利のよい川ぶちに置いてあつて、この客車操車場で旅客列車を仕立てて、セントラル駅へどしどし送り込み、発車線へすえつけておく。機関車は発車する直前に機関庫からまわつて来ればいいので、客車、特に夜行列車の寝台車が、発車時刻のずつと前にプラツトホームに横づけになつておれば、乗客は早くからそれに乗り込んで、よしんば眠つてしまつても、知らずに発車をする。夜の十時や十一時に発車する夜行列車を、八時や九時にプラツトホームに横づけすることができるなら、乗客は道草を食わずに、早くから寝台車や客車に乗り込んで眠ることができる。これがほんとうのサービスではないかと思います。米国の大陸横断ほどでなくても、東京駅はわが国屈指の長距離列車が発着しております。到着した列車からは乗客は短時間に散つて行きますから、到着用列車ホームはたくさんはいらないと思います。しかし発車用プラツトホームは多い方がよいのであります。東京駅でも上野駅でも、石畳の上に乗客をすわらせ、料金のかかるいすを借りたりして、乗客は改札開始を待つている。これから寒さに向うのに、乗客の難行苦行は実にひどいものであると思います。駅員たちは明い事務室の中で火鉢をかかえ、ストーブを囲んで話の花が咲いているのに、みずから料金を払つて旅行をする乗客は、東京駅でさえ、冷たい石畳の上にしやがんで、子供や赤ん坊には風が当らないように苦心さんたんしております。一時間も二時間も列車を待つている。こんな非人道な光景がどこの国にありましようか。これで国家が興隆しますか。これは英国が領有したころのビルマやマレーやインドで、ときどき現出せられた光景と同じでありまして、鉄道従業員が支配者たる英国人で、乗客が被支配者たるビルマ人やマレー人やインド人であるときに、往々にして起つた状況であります。その英国人の支配さえ、第二次大戦後はなくなつたのであります。しかるに日本の国鉄は、同じ日本人でありながら、自分たちが乗客を支配しているように考えているとしか見られません。ちようどイギリス人やフランス人の植民地鉄道官吏によく似た精神状態であります。しかも国鉄に対する批判を許さないという傲慢な態度で臨んで来たために、駅舎の美観は増進したかしれませんが、東京駅の石畳へしやがんで列車を待つ乗客はふえる一方であります。根本的に列車が少いことはもちろんだが、夜行列車を尾久と品川の客車操車場から、不便な逆行で動かして来て、せいぜい十分か十五分のうちに、さあ乗れ、さあ発車するぞという勢いで取扱つている。夜行列車は発車時刻の三十分か一時間以前に発車線へすえつけておけば、乗客は早目に乗り込んで、眠ることも休むこともできるのじやありませんか。それがサービスであります。東京駅の発車プラツトホームは一体何本できるのですか。私はプラツトホームが何本も並ぶなら、八重洲口の都電の通りまでせり出して来てもかまわないと思いますが、最大限度何本増設されますか。鉄道会館の二階をぶち抜いて発車プラツトホームにする案さえ持つていないのですか。鉄道会館がなければ、発車線は一体何本できますか、これをお尋ねしたいと思います。
  44. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 これは後で図面をごらんになつていただけばわかりますように、六番、七番のホームがことしの七月から始めております。この六番、七番につきましては、その中で、線路として三本は主として汽車の発車に使いたいというふうに考えております。将来鉄道会館を存続させましても、その間になお二面ホームがとれるような余地を残しております。問題はむしろ東京駅のホームの問題がございますが、先ほどお話がございましたように、いろいろ引揚げその他の問題を考えますと、東京駅を中心としての田端、品川、そういう方面で、その間の線路の増設の方がさらに問題でありまして、この点につきましては、現在でも線路をなお山手、京浜を分離するというような措置を講ずるだけの計画は持つておりますが、それ以上に大きくするということにつきましては、現在のところ計画を持つておりませんので、それに押えられて、現在の八番、九番の余地を持つておれば、一応十分であろうと考えております。
  45. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に鉄道会館を建てる第一の目的たる美観増進について、さらに質問したいと思います。非常に巨大なものをつくればそれが美観ですか。最近藤山愛一郎さんの翻訳で刊行されたローウイという人の「口紅から機関車まで」という本を見ますと、すべての工作物において、何物にもまさる美しさを合目的性の美しさであると主張しております。かつてわが国に来たドイツの建築工芸家ブルーノー・タウト氏も、また合目的性の美を強調しております。この点は、わが国の造船工学の大家であつた和辻春樹氏も、現存している建築の岸田日出刀氏も、橋梁工学の成瀬勝武氏も、みな一流の工学者は、その建造物の目的に沿つて完成されたものが最も美しいと主張しております。フランスの建築家として有名なコルビジエ氏も、ドイツのメンデルスゾーン氏も、集合建築の設計者として著名なフリツツ・ジードルンク氏でも、みな一致して合目的性の美を、美の極致として主張しております。国鉄当局は、あらゆる努力を払つて美観を増進すると称し、これを鉄道会館建設するための金科玉条として掲げ、さながら鉄道会館の十二階建に反対する者は、東京の正面玄関を美観増進するのに反対する沒常識な、わからずやであるというふうにきめつけて、あくまでもこれを建てようという態度を堅持しておるように見受られます。すなわち美観の増進は、国鉄官僚陣営が押し立てた錦の御旗というわけであります。駅の機能には、ちやんと旅客、貨物の発着に便利で、列車の操配に便利であるべき目的があります。鉄道会館の設計は、その東京駅の目的に沿うところの、いわゆる合目的性の美観を備えているのでありましようか。私はその合目的性の美について、鉄道会館の設計を、建築工学の専門家を国会へ招いて意見を聞く必要があると思いますし、専門家の鑑定を仰ぐことも必要と存じております。ここに質問といたして、合目的性の美につき、鉄道会館ははたしてその美観となつているのかどうか、当局の存念を問いただしたいと思いますが、いかがでございましようか。
  46. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま合目的の美観というお話でございました。非常にむずかしいことでございますが、美観という見方につきましては、いろいろ人によつて意見等もあるわけであります。ただあの設計の外観ということにつきましては、鉄道建設の技師だけが考えたのではございませんので、これは先ほどお話の中にも名前の出ました岸田先生その他の御意見等も承つてきめのであります。
  47. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 さらに国鉄は、今後の営造物についても、この合目的性、いわゆるツベツクメーシツヒカイトの美しさをどうお考えですか。駅舎の美観を増進するためには、本来の急務である輸送力の増強も、車両の増備も、年間予算一百億円そこそこでおくほどの心理状態に陥つた国鉄の幹部諸君は、まれに見る狂信的な唯美主義者と見受けられますが、それならその美観そのものについて根本的な御意見を聞きたいと思いますが、いかがですか。鉄道会館はこの合目的性の美、ツベツクメーシツヒカイトの美しさを備えた設計であると、あなた方はみずから認るめことができますか。その点だれか専門家の指導を仰いで設計を見てもらつたのですか。これもお尋ねしておきたい。  次に、東京の防空上から鉄道会館は有利となるか、不利となるか。国鉄当局及びこれを監督すべき運輸省当局に答弁を求めたいと思います。防空といえば、この平和な時代にそんなことを考える必要はないという人もいるかもしれませんが、保安隊や海上警備隊を国力に応じて増強し、さらに航空保安隊も創設しようという今日、まさか防空壕を道ばたに掘るほどには至らなくとも、昔から治にいて乱を忘れずという言葉も伝わつており、われわれはいざ鎌倉のときを常に考えて、やせたりといえども馬を養い、破れたりといえども甲冑を持つているべきであつて、東京駅の本屋のごときも、既設の部分は別としても、新設の部分は、少くとも防空上の条件を考えて計画すべきであります。あの皇居を望む重要都心地区に、群を抜いて独立する十二階建の高層建築が、ただ一つだけそびえ立つた状況を想像しますと、空中を飛んで東京へ接近する飛行機からは、晴天には肉眼で八万メートルくらい、つまり八十キロくらいのところから、東京の都心部をはつきりと認定することができましよう。また曇天や夜間でも、機上に備えた電波兵器をもつて、はつきりと東京の中心を鉄道会館によつて電波反応せしめ、正確な空中攻撃を行うことができます。極端な高層建築物が防空上芳ばしくないことは、第二次大戦でも諸国で指摘されたところでありまして、フランスのエツフエル塔も、平時には見晴らし塔として大自慢でありましたが、一旦大戦に突入するや、ドイツ空軍はエツフエル塔を目標としてパリへ接近し、郊外にありますシトロエン自動車工場の上空に殺到して、これを壊滅せしめております。米国でもニユーヨークの高層建築、いわゆるスカイスクレーパーは、防空上には感心しないという批判も起つているやに仄聞しておりますが、鉄道会館のごとき独立した高層建築は、はたして国防上の利害はいかがでありましようか。万が一にも将来わが国が直接侵留を防衛せねばならぬ状況が降つてわいたときに、鉄道会館が小山、本庄、小田原あたりの上空からも判別できて、東京中心部の目標を提供する結果となるとすれば、急にはこわせないでしようから、あなた方はどう処置をとりますか。責任をだれがとりますか。鉄道会館が高くそびえ立つために、それを目標として皇居を含む東京都心の重要部を、やすやすと侵留国の空軍が爆撃すると仮定したら、それは結果としては一種の利敵行為となるのではありませんか。駅舎の美観増進に熱中するあまり、東京の重要部へ十二階建の独立高層建築物をそびえ立たせる結果となり、その動機は善良かもしれませんが、一朝事あるときに、侵略国の空軍に絶好の目標を提供し、結果として一種の利敵行為となつたと仮定したら、あなた方はどう処置をとりますか。この防空上の見地に立つて、はたして鉄道会館は有利であるか、不利であるかの判別を、起工に先立つて保安庁当局と打合せを行つたことがありますか。保安庁側の意見を聞いたことが今までにありますか。いや、これは監督の立場にある運輸大臣にも意見をただしたいのですが、以上の諸点は、首都の防空上ゆるがせにできませんから、国鉄当局、運輸省当局のしつかりした答弁を要求したいのであります。
  48. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 十一階になりますると、空から見る場合にどの程度影響いたしますか、今のお話を承る以外に私その知識がないのでありまして、実際上の問題といたしまして、東京都の防空問題になりますと、あまり自信がない答えになりまするが、東京駅の建物が十一階でできるという問題で、それが非常に目立つかというと、それはもちろん目立たないとは言えませんが、空から見る場合にどれだけ差がありますか。大阪の駅の前にも十一階がたしかできておりますが、私どもはそれほどに目立たぬように思います。東京にいたしますと、この議事堂の建物が岡の上にありまして、これだけ高い塔がありますと一番多く目立つのでありますが、これほども目立たぬ程度じやないか。まあでき上らぬと私わかりませんが、そう思つております。防空関係から申しまして、専門的にいろいろな見方がありましようが、私どもがこの間の空襲を受けた体験からいたしますと、大きい建物の地下室に入つておると安心のような気がした実例を考えますと、そこに避難するような者には、高いことは決して妨げにならいなような心持がするのであります。ただ外から見た場合にどうかというと、いろいろな見方がありましようが、大阪の例でも、私が元おりました大阪の朝日新聞社の建物も、あれは空地があるというので制限以上に建つております。それにまた航空塔が立つておりますが、実際に攻撃を受けた場合にそれが特にどうだつたということは、向うの報告があつたわけでもないのでありますが、一般に見ると、それほどに大きく影響するかどうか、これはたいへんだと思うほどには、自分の体験からだけでは思われないのでございます。なおそういう問題は十分気をつけるべきだということはもちろんだと思います。
  49. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 大臣の御答弁、どうも私は見解の相違なんで、とにかく私は大阪の建物は知らないのですが、大臣もビルかなんか建てるときに、建築基準法に非常に拘束されてお困りになつたことがあるように聞いておりますが、あれは建築基準法の三十一メートルのものが二十メートルふえておる。五十一メートルの建物はざらにありません。これは見解の相違で、しかも大臣がそういうふうなお考えで御答弁になるのはいたし方がありませんが、私どもの方はしろうと考えで、防空上これは絶対にいかぬと思う。防衛上この鉄道会館はすこぶる支障があるという考え方を私は持つておるのですが、しかしいずれにしましても、これだけの重大なるものを建てるのに、大臣の六月二十五日の御答弁では、国鉄当局から何の話も受けていないという。監督のお立場にあるあなたが御存じなかつた。そこに私どもはどうも実に奇怪しごくなるものを見出さなければならない。これは私の考え方ですが、今大臣は非常に国鉄側に立つて鉄道会館を何とかしてこのままに建てさせたいというお心持があるかもしれません。しかしこの鉄道会館はあなたに御相談がなかつたのだ、そこにどうも非常に奇怪なものが存在しているのではないかと思うので、私は現在の国鉄の機構と運輸大臣の権限に対して、こんな憎まれ口の一つもききたいと思う。しかし鉄道会館ができるとかできないとか、その建物が大きいからとかいう問題で——私はきのうの理事会に申しましたけれども、世間でいうように、何かスキヤンダルをたたき出して、五人や十人のなわつき者を出すとか出さないとかいう問題を論議しているのではないのです。私は国鉄の態度として、こういうことに忙殺されて、本来の目的を忘れていてはいけないということなんだ。ですから、きわめて巧妙な津田君が、何か国会の問題に言及し、われわれの政争の具に供するなんということも新聞社かなんかに投書したけれども、そんなことはない。私どもは政争の具に供するなんということじやない。だから私が大臣に御質問したそのあくる月の七月四日に長崎君に質問を開始しましたときから、私としてはこれはきわめて巧妙に法網をくぐつているからということが前提としてある。これは東大の法学士連中の集まりですから、なわつきをひつぱり出されるような、そんな下手はことは決してしていないと思う。しかし紙一重で世の中には法律の裏まで行くのがある。紙一重まで行くやつ、それでひつかからないやつが一番悪いと私は考える。そういうふうなことで国民が泣かされ、国家が危殆に瀕してはいけないというふうな考え方で、私はあえて憎まれ口をきいているのですから、大臣も、そういう話をされなかつた。——この間六月の二十五日の、どうもあんなものが建ちおるのはちつとも知らなかつたというあの当時のお考えで、私は大臣のお心持はよくわかりますけれども、これは十分御研究していただきたいと思います。  そこで次に、工事現状と契約の変更について質問したいと思います。工事は現在どういう状況ですか。工事費は国鉄との間に区切りをつけて精算されていますか。精算されているなら、実情はどうですか。基礎工事は原設計通り十二階建のものを支持する強度を盛り込んで進めているのですか。この点を具体的に答弁していただきたいと思います。今までに使つた作業人員の延労働量、それに対する賃金はどうなつておりますか、これもお尋ねしておきたいと思います。
  50. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 契約内容につきましては、この前の御審議を得ましたときから、細目につきましてさらに詳しく改訂すべきもの、あるいはつけ加わつたものもありますので、どの分がどうなつたという資料を手元に持つておりませんが、御意見等を承つて相当直した点もございます。また理論的に修正すべきものは修正して参つております。それから地下の工事の設計は、大体において十二階の建前で、強度を考えて仕事を進めて参つております。それから会館と鉄道との関係の金の受渡しにつきましては、これは会計検査院等からもいろいろとお話がございまして、はつきりいたしております。
  51. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 もう一、二点お尋ねをしたいと思います。東京駅の名店街と称する商店入居部分にドラツグストア、「オオモリ」という薬屋が入つている由ですが、いかなる審査基準をもつて「オオモリ」を名店として許可したのですか。この「オオモリ」は長崎総裁の縁故によるそうですが、真相はどうなんですか。国鉄幹部はそれぞれ自分の縁故者を、審査などは無視して東京駅構内へ入れているのですか。名店街の中通りに入居している栄松堂書店、中央区日本橋人形町三の六小室恵之亮というのがあるそうですが、これはいかなる審査基準をもつて名店として許可したのですか。名店街のガード寄りに割烹「北浜」というのが入居しているそうですが、どういう審査基準で入居を許可したのですか。どういう契約ですか。割烹「北浜」の経営者は、従来キヤバレーや旅館の経験は持つているのですが、割烹店として名店街に参加する資格に欠けているのではありませんか。どういう縁故ですか。名店街として維持するにはどういう審査基準で入居せしめるのですか。変更したり、交代したりするのはどうやつて許可するつもりですか。国鉄幹部に縁故があれば、優秀でなくても入居できるという業者間の風評に対して、真相はいかがですか。  鉄道会館が十二階建で、高さ五十一メートルの設計となるため、その前の広場を、法規上都電通りの南側にも及ぶ対側を必要とするようになり、その付近住民の立ちのき問題も派生することになりますが、地元民を立ちのかせても広場を獲得しようとするのですか。地元には、私の聞き及んでいるところでは、この鉄道会館のため立ちのき処分に反対する八重洲連盟というものができて、国鉄当局と交渉しているそうであります。八重洲連盟の人たちが私のところへ話に来たことはいまだございませんが、こういう紛議になりはしないかと思つて、私は前国会で対側問題を指摘したのでありますが、江藤施設局長は、広場を拡張しないと言つたり、あるいは九月十一日の決算委員会では、地元住民を立ちのかせても広場をつくると言つたり、どういう考えなのか、明確でございません。一体どういう処置をとるつもりですか。八重洲通り一帯の地元民と争つても、株式会社鉄道会館のために国鉄の権力を振うというつもりなんですか。立ちのきを命ずるには、国鉄の駅をつくるからどうしても必要であるといつて、地元住民を圧迫し、その建物は駅の建物といいながら、実は営利会社鉄道会館ではありませんか。企業の自由というなら、地元住民にも企業の自由もあり、居住の権利もあります。どうする考えですか。鉄道会館に入居する者、名義だけしか持たない者へスペースを振り向け、完成のあかつきに実際の業者人権利として譲り、高額の権利金をとらせる仕掛になつていると伝えられるが、いかがですか。営業を行う能力のない人々が、名義だけで設計上の面積を全面的に埋めてしまつたのではありませんか。この点について私はお尋ねしたいと思います。
  52. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 お答えいたします。いわゆる名店街の中でいろいろの店が出ておりますか、こういうものにつきましては、国有鉄道といたしましては全然関与いたしておりません。ただどういう種類の店が出るかというようなことにつきましては相談を受けておりますが、個々の店についてそういう店を入れろ、入れるなというようなことは、全然関係いたしておりません。  それから駅前の広場の問題でございますが、この点につきまして、鉄道会館ができるから駅前の民家の立ちのきが起るのではないかというようなことが、いろいろいわれておるのでございますが、その点につきまして、この前都の副知事が出席されまして、決算委員会の席上でもはつきり言われておりますが、八重洲口側に駅があつて現在のような乗降客がある限りにおいては、あそこに八階建ができようが、十二階建ができようができなかろうが、駅前の広場としてある程度の広さというものはいるのであるという話でございます。従いまして鉄道公館とは直接その点は関係がないわけであります。東京都の都市計画のきまつた告示されたものといたしましては、非常に広い範囲での区域の指定があるのでございますが、その後数回東京都あるいは建設省、あるいは国鉄を入れました打合せの席上では、だんだん実際問題として区域を狭めて参つておりまして、むしろ十二階の案ができますころには、一番小さい案というものが話合いとしてでき上つております。まだそれが確定いたしませんので、その区域をどういうように決定せられるかということは、これからの問題でございますが、そうした区域をきめてどう処置するかということにつきましては、これは東京都の問題でございまして、東京都からいろいろ御相談を受ければ善処したいと思います。
  53. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 この問題については、東京都の首都建設委員会でも困つておる。あなたのお考えになつておるように、鉄道会館をこしらえようがこしらえまいが、広場はつくるということは、それはそうじやないでしよう。良心的に考えてみるのですよ。うまくでき上つておるのです。それはりくつだけの話で、ほんとうはそうじやないのです。それだから今度都市計画を区画整理に変更するとかなんとか、この鉄道会館をつくるためにずいぶん苦労する向きもあるのじやありませんか。これはまだこれで終るわけじやなく、後日委員会はどんどん継続して行くのですから、また私は資料を出します。  そこで私はまだ輸送力のことについてお尋ねしたいのですが、とにかく本日は鉄道会館の問題についての質問でこれで終りにしたいと思いますが、最後に運輸大臣の防衛力と高層建築物に対する見解ですが、これについて保安庁あたりには決して鉄道会館として、これを建てるからというお話合いはないように私には考えられますが、これは一応保安庁あたりの意見も聞くことがほんとうでないかと思います。おそまきながら国鉄総裁が先ほど、現在の状態では鉄道会館に対してこれを制限する気持はない。しかしいろいろな問題が派生して来れば、またそのときには考えが違うというふうな、きわめて名御答弁でございますが、十二階建の鉄筋コンクリートの建物がすでに基礎工事がなるというものを、情勢がかわつたからこれをまた変更するということは、これは私の常識ではなかなか不可能だと思います。あめ細工や何かじやないのです。そう言えば国鉄総裁のあげ足をとるようですから、私はきわめておとなしい質問をしたいと思つて、その点には触れたくないのですが、とにかくもう一度保安庁方面に——先は気がつかないかもしれませんが、よく国家的な立場からもう一度お問合せになつて御協議することが、私は必要ではないかと思うのです。これは運輸大臣のような御見解なら別ですが、私どもはしろうとですが、そういう高いものができた場合、防空上、防衛上きわめて危険ではないかと思うのです。それでお問合せをくだすつて、相なるべくならばその結果を私どもにお知らせ願いたいと思います。私はこの点できようは質問を打切りたいと思います。
  54. 關内正一

    關内委員長 この際お諮りいたします。閉会中に各地に委員を派遣し、実地調査を行つたのでありますが、その報告につきましては、これを会議録に掲載することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。——なければ、さよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十六分散会