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1953-07-26 第16回国会 参議院 労働委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十六日(日曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            伊能 芳雄君            田中 啓一君            宮澤 喜一君            吉野 信次君            梶原 茂嘉君            阿具根 登君            吉田 法晴君            上條 愛一君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    労働省労政局長 中西  實君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    労働事務次官  齋藤 邦吉君   —————————————   本日の会議に付した事件電気事業及び石炭鉱業における争議  行為方法規制に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。本日の案件は電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案予備審査)、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案予備審査)でございます。先ず電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案を議題に供します。ちよつとお待ち下さい。先ほど懇談会のときにお話を申上げた件でございますが、当労働委員会に本国会中に請願並びに陳情になつておりまする事件が若干ございます。これについて当労働委員会に付託されておりまするので、審査の便宜のために各派より一名ずつ委員をお選び頂きまして小委員会を設けたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さよう取り運ぶことにいたします。本法案に御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 吉田法晴

    吉田法晴君 実は昨日質問通告をいたしまして、総理大臣法務大臣通産大臣の御出席願つたのであります。まだ御出席がございませんが、その点どういうようになつておりますか、一応御報告願いたいと思います。
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) お答えをいたします。吉田総理大臣は御都合がつかないので出席をされないそうであります。それから緒方総理予算委員会におられるそうでありますが、向うが終り次第来られるそうであります。それから法務大臣通産大臣予算委員会出席中であります。  以上であります。
  6. 吉田法晴

    吉田法晴君 この法案は十五国会、それから十六国会の……十五国会は劈頭でなかつたかと思いますが、総理大臣施政方針演説の中にも入つていることでありまするので、緒方総理が代りをせられるということでは私としては了承しがたい。御出席のない大臣に対する質問は留保しながら質問を続けたいと思います。要求をいたしました大臣が全部御出席でございませんので、或いは質疑をして参ります際に多少の不便があるかと思うのでありますが、労働大臣が当面の責任者として応今まで質問にも応じておいでになりましたし、法案提出者として或いは政府を代表してその点は答弁を願いたいと思います。  この法案には、総理大臣施政方針演説を聞きましても、それから法案提案理由の中にも、或いは政府から頂きました逐条解説等にも幾多の前提がございます。事実的な前提或いは法律上の前提がございます。これらの前提が崩れますならば、恐らくこの法案は成立の余地がないだろうし、恐らく国会においても否決になることだと考えるのでありますが、その前提が崩れ去りたならばということにつきまして包括的な質問をしても、これはお答えは困難であろうと存じますので、一つ一つ質疑を続けて参りたいと考えます。  第一点は、昨年の秋の争議、特に電産、炭労争議が大きな影響国民経済生活に与えたという点にあるのでありますが、なおその責任労働者に転嫁されておるわけであります。一方的に労働者責任とせられておると私は今まで聞いて参つたんであります。昨年のスト長期化責任の一斑が資本家、特に日経連にあつたことは、これは事実だと思うのでありますが、その資本家日経連責任をお認めになりますかどうか、先ずお伺いします。
  7. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この法案趣旨につきまして先般来から申上げておるのでございますが、私もしばしば申上げました通り、この法案責任追及というようなことによつてできておるのではございませんで、本来不当であり、或いは昨年の争議を通じて社会通念上非であるというものが成熟し、これは不当とすべきであるということになるに至つた考えるものをここに明確化するという、こういう趣旨でございます。従いまして今の責任論というものにつきましては、当局としはいずれにも責任の問題について深く言及することを避けたいと考えておます。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 只今労働大臣答弁でございますが、総理大臣施政演説の中にも、それから提案理由説明の中にもスト影響という点があり、それから今のお言葉の中に本来違法の行為があつた云々ということ等がございます。そこで私も、或いは輿論もその点を感じまして、先般来の公述等においても、公述人の中からこれに関連する発言がなされておるのであります。もう少し具体的にそれではお尋ねをいたしますけれども、例えば昨年の争議長期化一つ原因でございますが、政府のほうではあたかも争議長期化原因、それからその最後にとられました、或いは保安要員引揚げであるとか、或いは電産の場合にはそうでございませんでしたが、停電スト或いは電源スト等を電産の責任に帰せられておるわけであります。そこで実体上私は、言葉の上では責任をいずれにも問うてはおらんと言つておられますが、論議は責任を問うておる結果になると思うのであります。例えば電産の場合にも統一交渉が拒否されたとか或いは労働条件の低下が提示された、或いは組合切り崩し意図が提示された、炭労の場合には賃金切下げ案が出された、或いは四十数日間交渉が拒否されたといつた事態は、これは明らかに電産、炭労責任ではございません。これらについての資本家側或いは日経連というものの責任というものをお認めにならないのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  9. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 昨年の争議経緯に関しましては、私どもはこれは一つ占領が非常に長きに亘つて、その占領が終結した。そこで非常に解放感といいますか、独立したということの意識の発生に伴つて生じた一種のレジスタンスといいますか、そうしたような気持が非常に澎湃として起つて来た。そこで争議に際しましても、従来とかく司令部が介入して来てやつて来たのだから、ここで両方で以て飽くまで自主的にといいますか、自分たちの力だけで以て一つ争議をとことんまで解決するようにしようと、こういう気持が強かつたということがそもそも長期化原因ではなかろうかと、こういうふうに考えております。責任いずれにありやということにつきましては、先ほども申上げました通り、私どもは事実を見るだけでありまして、責任ということについては言いたくないと、こう考えております。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではこの法律制定の動機、経緯等に関連して参りますけれども、これは昨年のストの最中にこういう法律ということは考えられたかどうかはわかりませんけれども、こういう法律が、言い換えますならばストを制限する法律或いは組合を弾圧する法律考えられたという事実を知つておられるかどうか。これは或いは当時労働大臣労働大臣でもございませんでしたし、或いは御存じでないかも知らんと思うのでありますけれども、隣りに坐つて昨日等も答弁に従事しておられます労政局長は、当時中労委事務局長をして、その点御存じであると思うのでありますけれども中労委有力メンバーにおいても、このストをやらせておる、或いは電産をして停電ストをやらして、その停電責任組合側に直接あるなしということは別問題にいたしまして、ストをやらせて、そしてストを制限することを考えておるということを電産は知らんのだと、こういうことを言われたということを私ども聞き及んでおります。或いは、名前は挙げませんけれども、当時労働省関係においてもそういうことが言われて参つてつたのであります。そういう事実について労働省知つていなかつたかということについて、或いはこれは労働大臣でないほうが事実の問題については適当かと思いますが……。
  11. 中西實

    政府委員中西實君) 当時労働省といたしましてそういうことを知つてつたかどうかははつきり存じませんけれども、当時あの新聞等におきましても、はつきり申してもいいと思いますが、改進党あたりはそういう意図をお持ちになりまして、中労委にも意見具申に見えましたし、恐らく労働省その他関係方面にもそういつた意見具申をして歩いておられたのでなかろうかというふうに考えております。
  12. 吉田法晴

    吉田法晴君 国会内のことを尋ねておるのではないので、若し労働省の中の当時の記録というものをお持ちにならなかつたとするならば、今労働省局長としてでございましようけれども、事実としてそういう話が、或いは民間といいますか、日経連或いは政府その他において考慮をせられておつた云々という問題についてお尋ねしたのでございます。御答弁が頂けるならばこの席で……。
  13. 中西實

    政府委員中西實君) 当時あの最中非常に困つたものだということで寄り寄り労働省なり或いは中労委等あたりでも話は出ておりましたけれども、これは先ほど申しましたように改進党あたりからそういつた要望が出まして、それについてやはり消費者側或いはその関係当事者双方それぞれ意見が述べ合われておつたという事実は知つております。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 満足な答弁が得られませんが、それでは具体的にもう少し伺いたいと思うのでありますが、昨日私どもが頂きました労働専門委員室から提出してくれた資料によりますと、この法案ができた概要、いきさつが書いてございます。これには中山中労委会長任意仲裁制度考えておるという記事が朝日新聞に出た。それからこの記事を契機にして労調法の改訂或いは電気事業法鉱山保安法等特別法で規定するというような意見等が新聞紙の報道にあつた。以下戸塚労働大臣が一月二十七日閣議の席上、基幹産業ストに何らかの対策を講ずるための具体策研究中であるとの発言があつた等々の記事が書かれております。これは或いは正面切つてお話を願うことになると、それは過程にはいろいろな意見があつたけれども、こういう意見になりましたという答弁が予想されますが、一応この法の建前といたしまして、そういう紋切型の答弁でなくして、この法案提出までの労働省考え、或いは関係者の、ここに出ております関係者でありますが、そういう人の意見を加えて、法案策定までの経緯について簡単に承わりたいと思います。
  15. 中西實

    政府委員中西實君) 昨年の二大ストが終ります最後段階あたりから、更に終りましたあと、あの苦い経験によりまして、いろいろと行われました二大ストについての批判がなされました。そうして結局社会の感覚から申上げましても、何らかの措置を講ずる必要がある。あの済みました直後国民大多数が感じましたことは、電産においてああいつた第三者にばかりひどい影響のあるような争議行為はこれは争議行為としても困るものだ。更に石炭につきましては保安放棄という未だ曾つて全国的にそういうことの予想されなかつたああいつた手段もこれは困る。その二つの点につきまして端的に規制も必要であるという気持澎湃として起つたことは事実であります。大分日にちがたちまして、我々はその感じが薄らいでおりますが、当時を思い起しますと、強くその感じがいたしたのでございます。それで政府としましても、この二大スト経験に鑑みまして、こういつた基礎産業についての争議方法規制について措置をすべきものだという方針が決定になりました。そこで労働省としましてこれの立案に着手し、大体の構想ができましたところで公聴会を東京、大阪、福岡と開きまして、輿論の趨勢を確かめまして、大体妥当であるという確信を得まして前国会に提案されたわけでございます。  大体いきさつはそうでございます。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 大変公式的なこの法案提出趣旨と申しますか、そういうのを伺いましたが、私が今伺つておるのはそういうことではない。この法律を作るまでにいろいろなされました苦心或いはどういう構想があつたのか、こういう点についてお尋ねをしておるのです。手許資料がなければ、一つつて至急願います。例えば一月二十七日に戸塚労相閣議の席上で、基幹産業ストに何らかの対策を講ずるために具体策研究中であるという発言をされたと報ぜられておりますが、当時労働省研究されておつた案は、特定の基幹産業職権調停の途を開く、或いは現行の争議行為予告期間の十日を延長して、その間に労働委員会強制的調整を行う等の内容を主としたもので、その後に発表されたスト規制法案とは趣きを異にしたものであつた。こう報告がされてあるのです。その点から考えまして、中西労政局長が今答弁せられるように、初めからこういう法案労働省で用意されたとは私ども承知いたしておりません。或いはその当時労働省関係の高官でありますが、我々は、こういうスト方法という言葉であるけれどもストを禁止するような、限制する法律には反対である。労働法関係として立案しなければならんというならばそういうことで考えたいという御意見等もあつた。それらの、或いは違憲と考えられたかどうかは知りませんけれども法案における弱点というものが、附則の第二項ですか、三年間に限つて云々となつたものだと考えるわけです。顧みてこの法案提出前のいろいろな構想についてここで承わりたい、かように考えるわけであります。
  17. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 私から当時の、法案ができまするまでのいきさつを簡明にお答え申上げます。  昨年の電産、炭労という未曾有の争議がありましたときに、国民各階層からそれぞれ相当なる批判がなされておつたことは十分承知いたしております。一方におきましては、こうした争議は全面的に早急に禁止すべきである、こういうふうな意見も出たことも承知いたしております。更に又中山中労委会長がそうした意見を発表されたのかどうか存じませんが、新聞紙上に伝えられたことも承知いたしておるわけでございます。そこで労働省事務当局といたしましては、いずれにせよ昨年の電産、炭労争議に関連いたしまして、例えば炭労保安要員引揚げというものは、現実は行われませんでしたけれども準備指令が出たことは事実であつたわけでございます。当時政府におきましては、労調法第三十六条の規定を待つまでもなくこれはすでに違法であると声明をいたしたのにもかかわりませずこういうことがあつた。そして又炭労指導者の方々におきましては、政府が違法であると申しましても、合法的であるという向きもあるんだ、何とかこういう点はならんものであろうかということで考えて参りました。更に又電産につきましてはスイッチ・オフは違法であるという解釈をとつておりましたが、当時は御承知のように旧公共事業令が失効いたしておりました関係等もありまして、取締という面ができなかつたかも知れませんけれども、違法なる争議手段というものが果していいであろうか。組合法第一条第二項において、正当なる争議行為争議行為のうちにもさまざまあるが、その正当なるものについて違法性が阻却されるのであつて、違法なるものはやはり組合法の保護は受けないんだというふうな感じを持つて、何とかこの違法なる争議行為、これだけは一つ明確化する必要があるんではないだろうか、先ほどから大臣が仰せられましたように、労使紛争の解決には政府は介入しない、これは私らが当然そういう方針で来ておりましたので、労使紛争に介入するのではなくして、正当ならざる争議行為というものだけは一つ御遠慮願いたい、こういつたふうな気持でこの電産、炭労争議行為方法について実は検討いたしておつたわけでございます。お手許労働委員会専門員室でお作りになりましたと称せられる一月二十七日付の戸塚労働大臣閣議の席上で発言と、こうありまして、当時労働省では職権調停の途を開く、予告期間云々とありますが、全然労働省事務当局におきましてはこういうことは考えておりませんでございました。私ども事務当局最初の案は間違いなく……、この附則の点は先般の衆議院で追加せられたのでありまして、間違いなく労働省事務当局最初に起案いたしました唯一の案は第一条から第三条のみであります。なお第一条から第三条までの間におきましては、公聴会の御意見によつて直した箇所もあります。或いは法制局等におきまして字句の整理をいたしたものもありますが、私が労政局長を拝命いたしましたのは一月の二十日頃だつたと思いますが、少くとも私は作りました事務当局最初唯一の案は第一条から第三条までこの法律案内容であつたということをはつきり私は申上、げることができると思います。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君 大臣お尋ねいたしますが、只今答弁等はこの法案提出に当つての私は政府態度だと思うのです。先ほど大臣争議について労使いずれの責任もとりたくはないという話だ、これは公式的な御発言だと思うのでありますが、にもかかわらず、争議責任を結果から言いまして組合側だけに負わせようという態度であるということは私ども今の答弁を聞いておつても肯ける。なお労働省は、労働大臣労働委員会発言された内容を見ましても、サービス省だということを言つておられますが、そのサービス省労働者サービス省からいつの間にか資本家サービス省になつておりますが、あの際の発言はこれはいずれにも労使双方或いは国民にもサービスする、こういう趣旨のように聞くのでありますが、労働省労働者のためにサービスをしようという精神が初めからなかつたのだ。或いはこの法案を作るに当つても、初めから今までの労働関係法従つてその改善をしようとするのじやなくして、こういう争議権規制することを初めから考えたとするならば、私は労働省の存在の意義がなくなつていると考えるのです。労働省使命が……、或いは労働行政担当責任者として果してそれでいいものと考えておられるか、改めて一つ御見解を伺いたい。
  19. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 昨年の争議に当つて、それを又顧みて、労使いずれの側にもその責任を追及しようという考えでこの法律案を提出されたのじやなく、そしてこの法律案は、むしろ争議行為としてでも不当である、違法性の阻却されないという範囲を明確にいたしたものであるということを私は申上げましたが、そのように私は考えているのであります。  労働省サービス省であるということにつきましては、私はそのように言葉通り考え、又今後もそういうふうに実行した参りたい、こう考えておりまするが、私は労働関係というものは労働関係だけ特に引き出して見るものではなくて、やはり社会全般との関係がある。そして雇用関係言つてもこれはやはり時代的な変遷があるのであつて、現在におけるいわゆる労使という名前で呼ばれておりますが、経営者におきましても或いは組合側におきましてもそれぞれの社会的な職能を持つている。そしてその任務を通して社会繁栄に貢献しようという意図を持つているだろうし、又そういうふうにしなければならん職能を持つているのだ、こういうふうに考えているのであります。そこで私は労使双方がその職能を通して社会繁栄国民の幸福に貢献するようなそうした態度のとられることを希望いたしまするし、又政府としてもそういうことがなし得るように持つて行かなければならない、そういうことが政治である、こういうふうに考えているのであります。労働省サービス省だというのは、そうした全般関係考慮して、労働者においてもできるだけその生活内容を豊富にし、又社会的貢献をなし得るような立場を十分に作つて行く、こういうことが労働省使命である、こう考えておるのであります。
  20. 吉田法晴

    吉田法晴君 労働大臣の基本的な態度に関連をいたしますが、伺つておりますと、労使関係をそのときの社会の中において確立して参るのが、或いは安定を図つて行くのが労働政策任務だ、或いは労働大臣としての任務だ、こういう御答弁だと思うのですが、吉田総理大臣施政方針演説につきましても、スト規制法に関する、この法律に関する演説のほかには、失業対策について若干触れられただけにとどまりまして、実際に労働者生活の安定或いは保障、その他労働政策については何ら触れられておらん、かように感ずるので、或いはその点はそこに、今お手許に出しておられるようでありますが、労働大臣就任早々労働委員会等に出て来られてお話になりました点等に鑑みましてもその感がするのでありますが、労働大臣は第一労使関係について考えます場合に、これに社会的な事実関係でありますが、労働者資本家と比べてみて、労働者資本家に対して弱い地位にあると考えておるのか、どうもむしろこの対等という言葉に隠れて、社会的に見ても同じ地位にある、かように考えておられるかと思うのであります。それであるならば、これは労働政策なんというものは必要はなくなつて来る。或いは極端な言い方で言うならば、或いは労働者がどういう低賃金に置かれようとも、或いは失業の機会を与えられようとも、或いは憲法に保障した健康的で文化的な生活を恵まれておらなかろうとも、それは労働大臣の知つたことではない、かようになつて参るのであります。その点についてはどういうふうに考えておられまするか、お伺いしたい。
  21. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 総理大臣の今国会におきまする施政方針演説というものは、あれはやはりこの二十八年度の編成した予算を今回改めて編成と直して出しましたもので、それを中心として特に特徴的と見られることについて話をするということでございまして、尤も労働問題ばかりではありません。厚生問題についても或いは農林業についても表現が不十分である、もつとこれを入れてくれという希望は各閣僚からあつたのでありますが、新たに特にこの点を予算上に盛つて、明らかにこれだけのものが変つておるという点を強調するということで、時間も限られておる演説でございましたので、それにおきまして失業対策費のことでこれに触れたという程度にとどまつたのでござまして、決して労働政策全般について考慮が足らんからお話がなかつたということではないと私は考えております。  なお、労働者経営者地位相関関係でありますが、労使対等立場に立つて交渉する、こういう考えを持つて行くことは当然でございますが、さればとて労使が全く社会的に対等立場にあるかどうかということにつきましては、私はここに最高裁の判例を引きましてお答えに代えさして頂きたいと思います。これは昭和二十二年三百十九号、同じく昭和二十四年五月十八日大法廷のものでございます。「勤労者労働条件を適正に維持しこれを改善することは、勤労者自身に対して一層健康で文化的な生活への道を開くばかりでなく、その勤労意欲を高め、一国産業の興隆に寄与するゆえんである。しかるに勤労者がその労働条件を適正に維持改善しようとしても、個別的にその使用者である企業者に対立していたのでは、一般に企業者の有する経済的実力に圧倒せられ、対等立場においてその利益を主張し、これを貫徹することは困難なのである。されば勤労者は、公共の福祉に反しない限度において多数団結して労働組合を結成し、その団結の威力を利用し必要な団体交渉をなすことによつて、適正な労働条件の維持改善をはからなければならない必要があるのである。憲法第二十八条は、この趣旨において企業者勤労者、すなわち使用者対被使用者というような関係に立つものの間において、経済上の弱者である勤労者のために団結権ないし団体交渉権を保障したものにほかならない。」、私はこういうことであろうと思います。
  22. 吉田法晴

    吉田法晴君 それはまさにその通りであると思うのですが、小坂労働大臣はそういう考えと同じく考えるということを聞いたのでありますが、自分はその通り考えておると、こういうお話でありますが、実際にここに出て参つております法律にいたしましても、経済的弱者、この労働者が団結権を憲法上保障される或いは争議権を保障される、然るにそれを一部でありますけれども、奪う法律を出して、そしてそれ以外に労働省としては考えることがなかつたと言われるから、そういう原則的な問題については労働省考えておらんではないか、こういうことを申上げておる。判決を引いて、判決の内容は正当だと思うのでありますけれども、問題は今のやつておられます労働省労働政策、或いはこの法律労働省が出して来られました点に関連をして、こういう態度はとられておらんじやないか、こういうことを申上げておく。
  23. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 労働者ストライキ権を制限するものといたしまして、労調法三十六条の場合におきましても安全保持の施設の正常な維持又は運行を阻害するという行為はできないことになつております。労組法一条二項におきましても正当なる争議行為でなければ労働法上の保護或いは刑事上の免責というものはなし得ないということを規定しておるのでございます。そうしたようなこのストライキに関する権利というもの、これは無制限にあるものではなくて、やはり公共の福祉との調和においてある、こういう考えでございますので、ここに御審議を願つております法律は、そうした争議権公共の福祉との調和を図る、こういう趣旨でございまして、ストライキ権を奪うという考え方ではないのでございます。
  24. 吉田法晴

    吉田法晴君 法理論はあとで申したいと思います。それから総理大臣施政方針演説に関連いたします吉田内閣の労働政策の面の制度全般に関する分もこれは他日に譲りたいと思います。問題は労働大臣お尋ねしておるのでありますけれども、経済的弱者である労働者生活を、憲法にいう健康にして文化的な生活を保障するために団結権或いは団体行動権等が認められておる。それが労働組合法なり或いは労働関係法を以て保障されて参つたのであります。そこで昨年の争議について或いは労働者だけの責任を問おうというのでなければ、労使双方責任を問うというのが若し本当であるとするならば、私はこういう労働争議方法等を規制する法案を作るべきだという或いは一部の意見がありましようとも、意見が出て参つたとしても、労働者の国結権或いは団体行動権等は守るべきである。そして最後まで労働省は支持されるのが私は労働大臣使命であろうと思う。労働省の私は任務だと思う。それが先ほどから伺つておりますというと、労働省も団体行動権を否定することに初めから賛成であつた、こういうことをお話になりますので、それでは労働省としての使命は或いは存立の意義はないじやないが、こういうことを申上げておるので、その点に関して、若干その法理論はあとに譲りたいと思うのでありますが、その労働省立場については是非はつきりいたしておきたいと思うのであります。  なおその他に問題がございますけれども、それは逐次御質疑をいたして行きたいと思います。  まあ今のような問い方をすると、又前のような御答弁が予想されますので、一つ関連をしておりますが、例えば労働争議が成るべくないようにということを或いは労働大臣として考えられるかも知れない。併しその争議が成るべく起らないようにと希望するのは、争議原因である或いは賃金生活、これについて考えるのが私は労働大臣責任だと思うのでありますが、例えば賃金の問題についても、日本の中小企業、或いは日本の労働者全体もそうでありますが、賃金の低さ或いは生活水準の低さから考えるならば、或いは最低賃金法を考えるとか或いは社会保障制度の確立のために努力するというのが労働大臣としての責任だと思うのであります。それらについては何ら考慮せられず、労働大臣の抱負の中においてもコストを引下げなきやならん、従つて云々ということが書いてございますが、コストを引下げるということにおいて、今の吉田内閣の政策の中で、そのコストを引下げる経済政策の中で賃金の切下げということに若し唯一使命労働大臣考えられるとするならば、私は労働大臣の存在の意味はないのじやないか、こういうことを申し上げておるわけであります。関連して御答弁を頂きたいと思います。
  25. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は賃金切下げがいいということはちつとも考えておりません。できるだけ生活内容を豊かにでき得るような賃金をとつて頂くように政策全般を推し進めるべきである、こう考えております。
  26. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちよつと関連してお尋ねしておきたいと思うのでありまするが、先ほど齋藤次官の答弁に関連いたしまして、このスト規制法案というものは当初から労働省事務当局において立案された案であつて事務当局としては参議院の労働委員会の専門委員等から出された資料等は全然関知をしていない、こういうような趣旨答弁がなされたわけであります。火のないところに煙は立たないのであつて、当時の新聞紙の伝えるところ等が何ら無根であるということは、我々今日の新聞に関する常識からしても妥当でないと考えているわけであります。時の官僚というものは常に残念ながら権力者の走狗に過ぎないのであつて、みずから意図するところが如何にかかわらず、常に権力の支配と指導に服するのが、これは如何なる国の官僚においても共通な現象であります。従いまして私は先ほど齋藤次官の答弁というものは官僚の性格を如実に物語つたものとしか見受けられないのであります。この資料にもありまするが、二月の五日には労働省の福田、寺本両次官、自由党の政調会並びに与党の労働委員、参議院の緑風会、民主グラブ各代表が折衝して、この法案についての検討を万えているわけであります。試みに二月六日の朝日新聞でありまするが、この「記者席」の記事を拾つて見ますとこういうことが書いてあるのであります。「公共事業に対するスト制限立法で、五日労働省寺本次官らが自由党と話合つた。何分、首相が施政方針演説で公言した以上、大幅スト制限をやれ、というのが与党の意向。労働省側は小幅制限論で対立。事務当局は、昨年の「労闘スト」で手を焼いて消極的になつている節もあるが、寺本次官が「ステップ・バイ・ステップ」といつているところをみると、次の国会あたりでもう一段の制限を加えたいようでもある。」、こういうようなことが載つておるわけであります。試みに然らば首相の演説というものはどういう内容であつたかと拾つてみますると、本年の一月三十日吉田首相は第十六国会明けの開会に当り、施政方針演説をやつておりまするが、その内容の中にこういうことが書かれておるのであります。「昨冬行われた電産、炭労の両ストは、我が国において空前のものであつたばかりでなく、外国においても多くその例を見ない長期大規模のものであり、幸いにして潰滅前一歩にこれを収拾し得たのでありますが、而も、その一般国民生活に与えた脅威と損害とは実に甚大なものがあります。政府は、今回、この種スト影響を少くするために、公共的性質を有する産業の争議に対し適当の制扼を加えることを考え、今国会中に提案する所存であります。」恐らくこの首相の演説が与党諸君を拘束して、更に労働省の官僚に指令をしてこの法案を立案になつたと、かように考えるわけであります。専制君主国家においては、君主の意思というものが絶対であるということは、これは歴史的に明らかにされておるわけであります。吉田首相を専制君主などとは申したくもありませんし、さようなことは申しませんが、少くとも吉田ワンマンであり、首相の一言によつてサービス省であるべき労働省もその本質を失つておるというのが今日の実態であります。こういうことを考えて参りましたときに、吉田首相のこの演説のこの文句が立法の根源になつておると、私はかように考えざるを得ないのであります。一体労働省というものはサービス省であると申しておりまするが、私はこういう言葉を今日の労働省が使うということはちよつと不似合であり、おこがましいと考えております。  先ほど吉田君から、吉田首相じやありません。(笑声)吉田君が、一体今回のこのストを契機としてスト規制法案というものが提案されたのであるが、これは労働者側のみの責任を追及しておりやせんかと、こういうようなことが中心となつて今まで論議が交わされたわけであります。これに対しまして労働大臣は、昭和二十二年の最高裁判所における判例を引用いたしまして説明をなされておりまするが、その言葉そのままを労働大臣はよく噛みしめてやつて頂きたい、こういうことを申上げざるを得ないのであります。と申しますのは、今回のスト規制法案というのは、御承知のごとく労働者争議権を或る意味においては禁止、大幅に制限しておるということであります。労働者の団体行動権の基本的な権利としての争議権、これが十分に保障されて初めて労使対等の原則が確立され、労働者立場地位も保障されておるわけであります。然るに労働者の権利のみを一方的に制限しておる。憲法によつて保障された労働者の権利というものが大幅に制限されておる、禁じられようとしておる。それでなお且つ一方的でないとあなたは考えておるのか。御承知のように争議というものは労使関係の主張の不一致、これから来ておることは明らかであります。而も昨年末の争議の経過を振り返つてみた場合に、経営者側の、使用者側の責任というものは、使用者側の態度というものは全然この法案の中には考慮されていない。出し得ないのであつたか、出す余裕がなかたのか、こう申しますならば、明らかにこれは電気事業においても石炭事業においても十分に余裕はあつたし、高率配当もやつておる、儲けておるけれども、それは出したくない。若しこういうような私企業において労働者争議権というものを制限するならば、結果においては政府みずからがこの法律を通じ使用者側の利潤を、儲けを更に保障してやるに過ぎない結果になつておる。こういう理窟が賢明と言われておる小坂労働大臣にわからんはずはない。一体小坂労働大臣は、先ほど来の答弁を聞いておりまするが、あなたは自分の良心に恥じないかと、私はこう尋ねたいのであります。それでもなお且つ使用者側の責任をあなたは考えていないのか、これで労使の均衡というものが図られるのか、これを私はあなたにもう一遍聞きたいのであります。吉田首相の意思のみが大事なのであるか、或いはその背後にある日経連或いは石炭産業或いは電気経営者の利益を図るのが労働省サービス省としての役割であるか、それとも本当に労働法に保障されておる労使対等の原則を立法の上においても行政の上においても保障することによつて労働者地位を向上させることがサービス省としての労働省の役割であるか、小坂労働大臣の御意見を、もう一度御答弁を要求すると共に、齋藤事務次官は果して、先ほど答弁をまあ繰返すでありましようが、(笑声)立場上止むを得ないと思いますけれども、もう少しあなた方も強く一つ主張するところは主張し、権力に媚びず、時代の風潮に押されずやつて行くことが必要であるということだけを申上げておきたいと思います。
  27. 寺本廣作

    ○寺本広作君 一身上の弁明を一つ許して頂きたい、答弁の前に。  只今田畑委員が読上げられた新聞記事の中に、私がステップ・バイ・ステツプということを言つたという記事があるという話がありました。新聞記事にはその通り書いてありますが、その新聞記事は全くの誤りであります。私は同じ新聞で二度そのことを書かれて大変迷惑をいたしております。いい機会でありますので釈明をさして頂きます。  その新聞に書いてあります通り、当時二月の初め大幅制限か小幅制限かということで意見があつたことは本当であります。その意見があつたの労働省の記者クラブの諸君が新聞を扱われる、記事を扱うのに見当違いの記事を書かれては困ると思いまして、オフ・レコードで記事クラブでその折衝状況を内論に話をしたのであります。その際政府部内でステップ・バイ・ステップと言われた人があるそうだということを私が話したのを、その特定の新聞が私の話として書いたものであります。全くの誤りであるということをここで申上げておきます。
  28. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 私の名前が出ましたので、その当時のことをはつきり申上げたいと思いますが、私はたしか一月十六日ぐらいに労政局長を拝命いたしたわけでありますが、その以前にすでに労政局内におきましては昨年の電産、炭労の議についていろいろ検討を、検討と申しますか、争議行為方法等についていろいろ研究をいたしておつたわけでございます。御承知のように争議行為というものは無制限なものではないのであつて、飽くまでも正当なるもののみがいわゆる違法性を阻却されるのだ、而も政府が違法だとこういう声明を出してもなお且つ準備指令を出すと、こういう事態が果して国民立場においていいであろうか、こういう気持が実は労政局の事務当局内におきましてもいろいろ意見が出ておつたのでございます。そういうふうな研究の結果は、私ども局長でありますから、当然当時の労働次官なり或いは労働大臣にも申上げます。労働大臣としても又御意見をお持ちになつておられれば、又それで一つお互いに話合いをするということで、大臣といたしましては当時の閣議の席上でいろいろそうした旨の御発言をなさつたものと私どもは承知いたしております。この労働委員会専門委員室なるものによりまして、わざわざ念入りに註とありますが、一月二十七日の註とありますが、こういう註のごときものは、少くとも私が労政局長として一月十六日以降おります限りにおきましては全然ありませんでございました。全然ありませんでございました。私ども唯一最終の案としてこの三条の案というものを考えたわけでございます。勿論この案を考えまするまでに関係各方面からいろいろあります。いわゆる大幅制限と申しますのですか、小幅制限と申しますか、いろいろありました。これは後にも公聴会におきましても電産、炭労のみならず、或いはガス、日通、私鉄等にも拡がらしたらいいだろう、こういう説も出たことがあります。併し私どもといたしましては、昨年の電産、炭労という苦い経験に鑑みまして、本来申しますれば組合の良識によつてなさるべき争議行為方法でありますけれども、どうしてもそれが国民経済なり国民の上に非常に大きな影響を及ぼす、こういうことは一つ国民的な立場で御遠慮を願いたい、これだけは一つ労働省としてなすべきことではなかろうか、かように私ども考えたわけでございます。即ち先ほど申上げましたように、労使紛争の解決に関与するのではなくして、国民立場においてこういう余り不当なる争議行為だけは御遠慮を願いたい、これは私はサービス省たる労働省におきまして労使にそれぞれ必要なる資料を提供するのが任務でありますけれども。それと同時に国民立場においてこうしたことはなすことが必要である、かように確信をいたした次第でございまして、総理から今までやれという命令を受けたことは私は承知いたしておりません。こういう案を中心として閣議で御検討なさるのでございまして、そしてきまつたものと私ども考えておりまして、この案は、私どもといたしましてはこの三条というものが最良にして唯一の案であつたということをはつきり申上げたいと思います。
  29. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 吉田総理施政方針演説が契機になつてこの法律が出たのではないかというお話がございましたが、私はさようとは考えておりません。勿論私は当時閣僚ではございませんでありますが、私の最近閣内に入つてから見た感じからいたしますれば、決して総理というものはそうした独裁的な傾向を持つておらん人のように考えております。今事務次官からお話もありましたが、やはりそうした案が閣議に出て、閣議の了解、承認の下に施政方針演説の中にそれが織り込まれてある、こう思つておるのでありまして、何かワンマンという者が、非常に独裁的であるためのワンマンのような見解もあるようでありますが、どうもそういうわけではないのであつて、最近の新聞にも出ておりますが、いわゆるY項吉田追放と、これはY項の該当者であると見られた福島君が調達庁の長官になりましたので……これはもう決して吉田さんは、そういう人によつてどうこうする人ではないので、むしろ周りがあれはY項だと言うので……、そんなことはないので、非常に民主的な人である、こう思うのですが、むしろ周りがそういうふうにする。ワンマンというのは強いて、私はちよつとかけ換えのないという意味のワンマンではないかと思います。  スト禁止につきまして、非常にこういう法律を出すということは良心に恥じないかというようなお話もありましたが、私はそうは思つておりません。本来違法である、社会通念上不当であると考えるものについてはこれを明確にする必要があるということは当然だと思います。先日の、日は忘れましたが、毎日新聞の夕刊に下のほうに小さく出ておりました。「東独で至極あつさりスト禁止。共産国ではストの必要がないほど幸福だから禁止するのだ——進歩的評論家。」というのが出ておりましたが、私はストライキというものはそんな、これだけが万能であるというふうには考えておらない。ストライキを万能と考えることは、今の進歩している現今の社会通念からいたしますると、ストライキの、こうした違法である争議手段にまで訴えないで問題を解決して行こうというところに私は労使双方の進歩がある。できればそうしたよい慣行を盛り立てて頂きたいものである、こう考えておる次第でございます。
  30. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 労働大臣お話を聞いておりますとどうも腑に落ちない。この法案を提出される理由について極めて遺憾な点があるのではないと思われる。労働大臣は、労働者生活を豊かにするためのサービス省労働者である、労働条件改善のために努力するのが労働省である、こういう話である。ところがこの法案を出されるに当つて労働大臣は、国民輿論も多数がこれを非とし、そうして又非とする社会通念が成熟している、こういうお話をなされた。輿論とか或いは社会通念等の問題につきましては、あとで又私の番のときにお答えを願うといたしまして、その場合果して労働者側、いわばこの法案の一番対象となる、一番利害関係の多い労働者方面の意見を聞かれたかどうか、勿論法案の大網ができたあとにおいては労働省等においても公聴会をやられていることでありまして、労働者意見は聞かれておると思いますが、この法案の作成過程において果して労働者意見を聞かれたかどうか、このことをただ一点だけお尋ねいたしたいと思うのであります。
  31. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) これは事実問題でありますから私からお答えいたします。  これは現に非公式には何度か関係労働組合の方、それから大臣或いは次官、局長、会つております。なお公式には公聴会を閣きまして、これには関係の電産、炭労委員長を初め、労働組合側の代表者が公式に意見を述べております。十分意見は聞いたというように考えております。
  32. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は公聴会でその労働組合側の代表者の意見を聞かれたということは、これは何も否定するわけではない。ただ先ほどからのお話を伺つておりますと、何か労働者側のほうの意見は聞かれずに、ただ漠然と輿論がこれを非としておるのだとか、社会通念が成熟してこれを非とするに至つたのだ、こういうようなお話を伺つておる。その点について果してこの法案に利害関係を持つところの労働者意見を前以て聞かれたかどうかということをお尋ねいたしておるのであります。
  33. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 労働者意見を聞いたかというお話でございますが、私は労働大臣になりましてから、個人的に相当数の御意見を聞きました。或る場合は反対する人が多かつた。併し中には止むを得ないじやないかという考えの方もありますが、そういう方の話によりますと、やはり公式の大衆討議の場合におきましては止むを得ないじやないかという意見はつぶされてしまう、だから自分らは結局反対せざるを得ん、だが心底を言わしてもらえば止むを得んですねというような意見もございました。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連して御質問申上げますが、今労働大臣が、かかる状態が起らないように労使双方の話合いできめてもらいたい、こういうことを言われたと思うのです。どこの労働組合でもああいう問題の起ることを誰も好んでおる者はございません。再三言われておるように労働組合員、労働組合は一日でも一時間でもストライキをやることは避けておる。それがああいう大きなストライキにならなければならなかつた原因を探究されたことがあるかどうか。ただ現状のみを見て、そうして輿論だということをおつしやつておりますが、輿論につきましては、只今質問にもありましたように、又まだ質問も持つておりますからあとに廻すことにいたしまして、労働大臣にその見地から見て御質問申上げたいのは、五月の二十九日の労働委員会において就任の挨拶のときの第一声が、「経済の直立と産業の興隆を図りますためには、何と申しましても職場におきまして生産に携りまする労働者生活を安定し、労働能率を高揚しなければならない、」こういうことを言つておられるのですね。先ほどの第一問と今の私が申上げました労働大臣の就任の挨拶の労働者生活の安定をどう考えておられるか、この一問を大臣に御質問申上げます。
  35. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えを申上げます。私も労働争議というものは資本家が非常に無理解な場合に起るか、又労働者が非常に強い要求……強いと言いますか、到底不可能であるという要求を掲げた場合に非常に激化するものであるから、できるだけ話合いで双方とも理解と納得をし合う協力態勢を作るような平素の折衝、お互い労使双方において、同じ会社に働くのでありますから、その間に意思の疏通を十分にして行くということを望んでおるのであります。従つて争議というものは、これは十八世紀、十九世紀の資本家気質というものを成るたけ持たんで、やはり社会通念がだんだん変つて参りまして、社会的な慣行も変り、社会的な良識も変るのでありますから、それに副うて労使双方ともできる限り今の国情を十分認識し、世界経済におきまする日本の地位、又日本の立場というものも考えながら、お互いに協力して話合つてつてもらいたい、こういう考え方を持つておるのであります。  そこで私として皆様に御挨拶をいたすときにも、只今お話のございましたような私の意見を聞いて頂いたわけでございまして、そうした前提の中におきまして、できるだけ一つ労働者諸君の生活内容を豊富にし、勤労することによつて日々楽しく生活できるような環境を作るということをやつて参りたい、こういうふうに思つておるのであります。その通り現在も考えております。ただ炭鉱において保安要員引揚げというようなことは、これはもう実際考えられないことなんです。戦前の常識として考えられない。又戦後においてもそういうことは到底考えるべきでないという方が多いと思うのであります。にもかかわらず、又政府もこれを労調法三十六条を待つまでもなく違反であるという声明までしておるのに、なお引揚げ準備指令を出すということはちよつとこれは困るので、こういう争議行為方法は御遠慮願いたい、こというように解釈法規を明示しておくということは、決して私の前段に申上げた考え方と背馳するものではない、矛盾するものではない、こういうように考えておるわけでございます。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 その問題はあとで十分御意見をお聞きしたいと思いますが、私が質問しておるのは、当時の労働者生活が安定しておつたかどうか、安定しておる、そういう必要までないというお考えかどうかというのと、それから社会通念ということはもう数十回大臣の口からも聞いておりますが、社会通念というのは、自分の御都合のいいときばかり社会通念という言葉を使われるのかどうか、例えば労働者生活の安定の問題と炭鉱業者が日本の長者番附の一番から十番まで、長者番附の上部におる。それが社会通念であるかどうか、この両者を対照してお話を伺つておるわけですから、はつきり御答弁願いたい。
  37. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 労働者諸君の生活が炭鉱と言わず、全般に安定しているとは考えておりません。できるだけこれを安定するようにするということが労働者諸君自身の問題でもあり、又政治に携わる者の務めでなければならん、こう思つております。併し昨年の争議のあとを見て、大体あそこまでの引揚げ準備指令を出すまでに至らなくても、或る程度の賃金の改訂は無論あつたでございましようし、又引揚げ準備指令が出たということが現在の賃金をきめたということと直接の関連はないと私は思つております。なお後段の長者番附の最高位を炭鉱業者が占めている、これはどうかということでございますが、私は余り極端な金持のできることは趣味としても好みませんし、或いは社会的にもよくないと思つております。でありますが、大体生活し得る収入というものを賄つて行くようになるのがいいと思つておりますが、炭鉱の場合は、これは会社組織でなく、個人業者なんでございます。会社でございますと、別に大会社でなくても……個人経営であるために、その所得というものが全部炭鉱業者の所得となる。こういうふうな関係から長者番附の先に出るものがあるのじやないか、こういうふうにも見ている次第であります。  社会通念とは決して一方的なものでなくて、客観的に妥当なりと認識されて社会通念というものは存在する、こういうふうに思つております。
  38. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちよつと先ほどの私の質問に関連するわけでありますが、私新聞記事をここで取上げましたところ、当時の寺本次官から事実無根であるかの御発言があつたわけでありまするが、私この際明確にしておいて頂きたいと思いますことは、私が先ほど読み上げましたこの記事内容は、全部事実無根であるとおつしやるのか、それとも最後の寺本次官がステップ・バイ・ステップと言つたところが事実無根であるとおつしやるのか、その辺を明確にして頂きたいと考えております。更に私は労働省サービス省であるといたしますならば、殊に又現在取上げられております問題が、労使関係の紛争議の調停に関連して出て来ている問題といたしますならば、当然に私は中央労働委員会等意見を尊重して、そうして聞くべき意見は労働施策の上に反映するのが少くともサービス省という名前を冠するならばふさわしい態度であると考えております。更に又私は労働省の施策の貧困を補なうためには、少くとも労働法学者等の意見を聞いて、こういう重大な立法については誤りなからしめるのがそのとるべき手段であると考えております。一体労働省はこういう中労委意見を聞くとか、或いは又労働法学者を中心とする学識経験者の意見をどの程度これを立法化に当つて取入れたのか、単に当時のあのストに対する反撥の素朴なる感情、而も我々が結果から判断いたしますならば、経営者政府が暗黙の意思の提携によつてこういう世論を掻き立てて、その素朴なる感情を利用してこの法案を立案したに過ぎないと考えているのであるが、私はそういうような態度が一体労働者サービス省としての名にふさわしいかどうか、こういうことを承つているのであります。少くとも当事者である労働組合意見を聞き、労組の意見を聞くのが立法の過程において要請される政府側のとるべき態度であると考えております。然るに使用者の声みは異常に取上げながら、労働者意見は何ら取上げていない、ここに私は問題があると考えております。小坂労働大臣はそういうような点についてどうお考えなさるか、これが私の質問の主眼であります。  あなたの吉田ワンマンに対する見方というものは、正にさればこそ首相の厚遇を受けている小坂さんだというような印象を受けますが、そういうふうなことでは国民に対し申訳がないのであります。あなたの国民というものは一体どういう階層を含んでおるのか、私は疑いたくなるのであります。小坂労相の一つ答弁を願います。
  39. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この法案の策定に当つて中労委意見を聞くべきではないか、こういう御意見と承わりました。中労委は御承知のごとく、元来何かの争議のダースが出た場合にこれを調停する機関でございまして、その調停に対しては非常に権威を以てやつて非常に勉強になつて頂いて感謝しているのでありますが、こうした法案につきまして、中労委を構成する個人個人の意見を聞くということは、私はその職務から見て如何かというふうに思つております。無論政府態度といたしましては、労使双方意見並びに一般の中立の意見を聞くということが必要であろうと思います。そうした趣旨から、先ほど労政局長も申上げましたが、一般の、何と申しますか、この種の争議手段から生ずるところの影響をこうむる第三者の意見というものを聞くことが政府態度としては必要であると思います。それで中労委労使双方並びに公益でございますので、その公益はその労使双方の同意を得て選ばれる公益でありまして、そういうものに特にこだわるというよりも、もつと広い範囲で承わるということが必要であろう、こう考えております。
  40. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 法案立案に当りまして事務的な立場でちよつと申上げますと、いろいろ審議会を作つてやるというやり方、これも一つあります。やつた例もございます。更に又審議会は開かないで、公聴会を開いてやるという場合もございます。或いは全然そういうような特殊なものはやらないという例もございます。この場合におきましては、御承知のように、すでに現行の組合法第一条二項の争議行為違法性の限界を定めるものでありまして、特に国民的な立場において、いわゆる公共の福祉の面において判断すべきものが非常に多いと考えまして、この際といたしましては、公聴会におきまして労使双方並びに公益、一般の消費者の方々の御意見をまじめに承わりましようということが必要であろうと考えまして公聴会を開いたわけでございます。公聴会におきましては労使双方、電産、炭労の各当面のお力にもお越し頂いたわけであります。更に学識経験者の中には、中労委委員立場としてでなく、中労委委員をされております藤林さん等の御意見等も十分承わりました。文学者の中にも賛成の方あり、反対の方あり、そういういずれにも片寄らず、身近な労使双方、一般の方々の御意見によつて慎重に考えて見ようということで公聴会を東京、大阪、福岡、三カ所開いたわけでございます。公聴会におきまして多少字句等濫用される虞れがあるというので直した点もあるのでありまして、公聴会意見を十分尊重いたしまして立案いたした所存でございます。
  41. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私の一身上の弁明について田畑委員からのお尋ねでありますが、その新聞記事を詳細に私記憶いたしておりませんが、その新聞記事の中で大幅な制限、小幅な制限ということが書いてあるのは間違いがないと思います。総理施政演説で御承知の通り非常に制限の強い意見が打出されておりますので、それに対して小幅制限が対立しておるということは間違いないと思います。但しステツプ・バイ・ステツプと言つた人は、その人の名前もオフ・レコードでお話したのでありまして、私がさような馬鹿気たことを言うはずはございません。
  42. 田畑金光

    ○田畑金光君 わかりました。了承。
  43. 上條愛一

    ○上條愛一君 私は一点だけ労働大臣にお伺いいたしておきたいと思うのであります。それは本法案を出した理由は、国民経済と国民の日常生活に与えた脅威と損害とが甚大であつたからこの法案を出したと、こういうことであります。それならば労働省というものは、労使関係を公正に調整するということがその任務であると考えるのでありますが、若しこの法案を提出する理由の重大な一つがここにあつたとするならば、緊急調整というものは、私ども反対いたしましたけれども政府は押切つてこれは議会を通過いたしているのであります。その緊急調整の目的は「国民の日常生活を著しく危くする虞があると認め事件について、」これを適用すると、こういうことになつております。若し電産、炭労スト国民経済と国民の日常生活に重大な脅威と損傷を与えたからこれを出すというならば、その争議最中において政府は適当な処置をするということが、これは当然な労働省責任であつたと私は考えるのであります。然るにこのような重大な国民生活に脅威を与える争議が続行されているにかかわらず、政府は何らこれに対する処置を講じなかつた。殊に緊急調整というものがそのためにあつたにかかわらずこれを行わなかつたというのはどういう理由に基くかという点であります。而も労働大臣提案理由一つには、労使関係の問題は、労使の自主的な交渉解決によつて行われるのが望ましいということを挙げて、併しながら政府としてはかかる基本原則のみを固執し、徒らに手を拱いて当面の緊急の問題に対して必要な策を怠ることは許されないと考えるからこの法案を出したのだと、こういうことであります。このような緊急なる問題があつて、手を拱いてはおられんからこの法案を出したというならば、このような事件を生んだこの争議最中になぜ手を拱いて見ておつたかという問題であります。端的に私がこれを結論的に申上げますならば、労働大臣はこのような重大な争議が行われつつあるときに何らの対策を講ぜず、緊急調整というものがその目的のために政府が作つたにもかかわらず、これすら用いずして手を拱いておつて、そしてこれが終つたときにこれを禁止するという本法のごときを提出するということであれば、これは労働省というものは全く必要がない。(「その通り」と呼ぶ者あり)罰則だけが労働省任務であるならば、これは法務省に任しておけばいいはずである。(「その通り」と呼ぶ者あり)労働省任務というものはそうではない。このような重大な国民生活影響を及ぼすような争議に対しては、これを未然に防ぐか、又その経過中において適切なる処置をとるということが、これが労働省任務でなければならない。労働大臣はこの二つの争議に対してどのような考えを以て拱手傍観しておられたか、責任はなかつたか、又責任は十分果したか、こういう点について労働大臣のお考えを承わつておきたいと考えるのであります。
  44. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 緊急調整というものは、御承知のごとく適法に行われる争議の継続中、この規模が大且つ長期に亘るために国民の日常生活国民経済に重大な危殆の状態をもたらすということの虞れが現実に存するほど来たときに発動されるのであります。(「その虞れはなかつたかね」と呼ぶ者あり)従つて昨年の争議に際しまして石炭事情が極度に悪くなりまして、これじやこの項に該当するということが認められましたので緊急調整の発動を見たのであります。(「電気の場合はどうだ」と呼ぶ者あり)電気の場合もその準備をいたしておりましたが、部分的に妥結の兆候が見えて参りまして、その必要もないというふうに考えられましたので、これは最後まで出さなかつたのでありまするが、見込み通りその必要を見ずして終つたのでありまするが、まあこういう争議経験に鑑みまして、これはもう適法の場合にはそうであるのでありますが、この炭鉱の保安要員引揚げとか、それから一般の給電指令所の職場放棄、それからスイツチ・オフ或いは電源スト停電ストというものは、これは争議の正当なる手段ではないということを明確にして置く解釈をここに助走したほうがよろしいと、こう考えましてこの法律案が提案されるようになつた次第でございます。その間の責任をどう考えるかということでございまするが、その後各方面の方の御意向によりますると、やはり争議中に政府が介入するということをできるだけ避けた方法、あの際のとつた方法というものはよかつた、そういう御意見が多いようでございます。
  45. 上條愛一

    ○上條愛一君 もう一点だけ承わつておきます。今の労働大臣の御答弁だと、このような重大な国民生活影響を及ぼすものであつても、これは政府は見送つておくことが賢明な策だと、こう言われるのであるか、一体緊急調整なり、労働省のその仕事というものはそういうものではないのであつて、この労使関係が自主的に解決をせずして、これが国民生活に重大な脅威、影響を及ぼすというようなものに対しましては、これは法律の許す範囲において労働省が善処すべきものである。然るに善処せずして、重大な脅威を与えているのを手を拱いて見ておつて、そうして争議が終つた後において重大な脅威と損害を与えたから本法を制定してこれを取締るというがごときは、これは労働省として、労働省に対する国民の信頼に応えるゆえんではなかつたと思う。でありまするから、これは労働省としては十分その職責を果さなかつたものであると我々は考えますが、この点を明確にして頂きたいと考えるものであります。
  46. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 昨年の争議をあれほどまでに長期化させ、あの程度の深刻な打撃を国民並びに国民経済に与えないようなことが争議の良識として望ましかつたと存じます。而もその結果に鑑みて、ああいうようなことが今後絶無とは言えないという現実の虞れも考えられるという段階でありまするので、やはりこういうものは違法であるという枠を掲げて、この程度は御遠慮願う、そうして他の方法において十分その間の話合い或いは折衝、或いはストライキ等によりましてその労使間の均衡を保つて頂くほうがより適当であろう、この考えまして本法案を提案した次第でございます。労働省といたしましては、この法律法律といたしまして、勿論他に労働政策を諸般の点について進めまして、日本の労働者諸君の生活の安定を図るためにでき得る限りの力をいたす考えであります。
  47. 上條愛一

    ○上條愛一君 甚だ不得要領で、私のあれは満足いたしませんけれども、いずれ私の時間になおこの点は明確に御質問したいと思つております。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 大体のお約束の時間が過ぎまして、ここで委員会閉じて頂くことだと思うのです。労働政策、或いは本法律案を出されました労働大臣責任追及中に質疑が終りますことを非常に残念に思いますが、ただ二、三点今までの御答弁に関連して明らかにしておきたいと思います点だけを質疑とを許して頂きたいと思います。  それは先ほど中西労政局長からは専門員室から出しました資料について、労働専門員室、称せられると言われましたか……労働専門員室提出の資料と称せられるというお言葉がございまして、この資料について信憑性を疑われる発言中西労政局長からございました。齋藤次官からも同様な言葉がございましたが、私どもの審議をいたします際に労働専門員は私どもの援助をしてくれるこれは公式の機関でございますから、それが出しました資料について、その権威を全く冒涜されるということになりますと私ども考慮せざるを得ないので、重ねてこれを労政局長と事務次官から答弁を求めます。
  49. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 私の申上げました気持は、一月二十七日の戸塚労相閣議の席上云々、そこでその註のところでございます。註が、当時労働省研究されていた案は趣を異にしたものと言われていると、この断定されているわけです。どうもこの点が私にはどういう資料をえにして出されたものか解しにくい点がありましたので、勿論表題には参議院労働委員会専門員室とありますから、私はそう思います。思いますが、この点が如何なる資料でこう断定されておられるのか、資料の根拠がはつきり明確を欠きましたのでそう申上げたわけでございまして、間違いなく専門員室の編纂であることは私もさように承知いたします。
  50. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は中西労政局長であると思いましたが、次官はと称せられり云々ということで、資料全体について、この資料の権威と申しますか或いは信頼性について侮辱をしたものでははいという御趣旨であるという点は認めますか、と称せられるということで以て概括的にこの全部について侮辱でなければ何と申しますか、権威を傷付けるもの、あとの委員会の審議日程等は、これは逐一検討をいたしておりませんけれども、速記録から摘要したものであろうと考えます。これが間違つておるかどうか知りませんけれども、と称せられる云々ということで、全体について権威を傷つけられるのなら私ども考えなきやならない、その点重ねて。
  51. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 私はこの資料につきましては権威があるものと思います。思いますが、何しろ私は今頂きまして、今一月二十七日だけを見ただけでございまして、あと二月五日……まあ私は権威があるものと思いますが、何しろ今見たばかりでございまして何とも申上げられんと思います。私は侮辱などするようなつもりは毛頭持ち合わしておりません。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは重ねてお尋ねいたしますが、二十七日の註のところだけは事実と相違しておる、他の点については、戸塚労相の二月二日でありますか、三日でありますか、印刷が不鮮明でありますけれども、記者団会見等も、恐らくこれは新聞からとつたものかとも思うのでありますけれども、それらのものを含んで他の点についてはその通りであると、こういう工合に言われるのでありますか、二月二日の点等についても御見解がございましたら重ねて伺いたい。
  53. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 二月三日は記者会見で言明とあるのでありまして、恐らく何かの新聞に出ておりますることを根拠として引かれておる限りにおいては私は正確だと思います。それから二月五日、あとは読みませんとちよつとここで何とも申せませんが、少くとも私は一月二十七日の註だけは、これはちよつと如何かと存じただけでございまして、そのほかにつきましては権威を以て御研究をなされた資料だとは存じますが、何とも読んでおりませんので申上げるわけには参らんと思います。
  54. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 そこまでお話が出ましたので、私もえらいこだわるつもりはございませんでしたが、この資料につきましてこの資料の編集の責任につきましてお尋ねをいたしますが、委員長に念のためお伺いいたしますが、この専門員室という資料の、内容ではございません。内容についてはいろいろな人がいろいろなこと言つておる。又新聞がこういう報道をしておるというその信憑性ではなくて、その編集の責任者は専門員室でありますから、専門員が御責任考えてよろしうございますか。これは念のために伺うので、多分そうだろうと思いますから、そう推定して、専門員に……。
  55. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと申上げます。スト規制法は、宮澤君も御承知のように、十五国会においては参議院のほうで殆んど審議をしていない。衆議院だけで審議をし、而も解散ということによつて、どこまで審議されたのかよくわからない。従つて専門員のほうで衆議院のいろいろなこと等が研究がまとまつておれば一応ガリ版刷にでもしておいてくれたらどうだということを私は顧みました。恐らくそれによつて専門員のほうでは日頃集めておつた資料をガリ版刷りにしたことだろうと、こう考えます。
  56. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 それではガリ版刷りになさいましたという専門員に一つお伺いをいたしますが、只今問題になりました労働次官その他政府委員との問題の箇所は、何々と「趣を異にしたものといわれている。」、これは「いわれている。」ということは、誰の意見でありますかはつきりはいたしません。これははつきりしないのではつきりお書きになつた、そういうことであろうと思います。その他につきましてもこの資料新聞等かなり引用して、ソースを明らかにしておられますが、そこで専門員に伺いますが、閣議内容閣議の席上で誰がどういうことを発言したということは、これは閣議が公の機関でありますから公の意味で伺いますが、公には一切外部に漏らされておらん、そういう建前である、そういうことを専門員御承知でありますかどうか、先ず伺いたい。
  57. 磯部巖

    ○専門員(磯部巖君) 只今この資料について御質問でございますが、この資料を作りました経過につきましては、委員長から今御説明になつたとおりで御了承頂けたかと思うのであります。程度も従つて、命によりまして本国会においてこのスト規制法案の審議をなさいます必要上最も便利だというふうなものを作りたいと思いまして、大体前国会における衆議院における討論の大雑把な摘要と、それから公聴会における発言の要旨を作りまして、それを何と申しますか、表書きというふうな意味で、粉の法案のできました経過につきまして私どもの得られる限りの限度のソースを選び出しましてここに作つたわけであります。従いましてここに朝日新聞が一番初めに引用してございますが、又ほかの、一々ソースが示してはございませんが、これはそれぞれソースがあるのでありまして、若し必要がございましたらば、又いつでも現物を持つて来ましてお目にかけますが、只今の御質問のありました閣議内容は、勿論公表されるものではございませんので、私どもとしては、どうしても新聞その他の刊行物に頼るほかはなかつたというわけでございます。
  58. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 こういう厳密なことを私実は申上げるつもりはなかつたわけでありますが、先ほど大変にややこしい問題が起つておりましたので、一言申上げておきますが、こういうものが出ますと、やはり各委員これに勿論信憑性を置かれて、それに従つて議論を進められるわけで、私の伺いたいのは、あちこちに誰々、何次官が記者会見でこういうことを言つた。或いは新聞紙上にこういう意見を発表したと、こういう書き方がしてございます。これは大変に正確でよろしいと思いますが、その中でただ一つ、一月二十七日に戸塚労働大臣閣議の席上でこういう旨発言した、「発言」と書いてある。これは明らかに他の場合に比べますと、専門員におかれて、この編集者におかれて、そういう発言があつたということを御存じでおつしやつている、そういうふうにしかここが読めませんので、これは私、これ以上追及いたしませんけれども、少くともこの資料の信憑性を、非常に厳格な意味でおとりになるならば、その範囲においてその程度においてこの資料には欠陥がある、そういう意味のことを一言今後のことがございますので申上げておきます。
  59. 吉田法晴

    吉田法晴君 資料の点で、大変宮澤さんから文句が出ておりますが、恐らく閣議内容等についてもこれは新聞記事だろうと思うのです。それで私ども関連いたします電産争議経緯その他から考えましても、私ども相当関与して事実も知つておりますが、併しなお新聞記事を一年間遡つて調べるということは大変なことでございますので、こういう取りまとめをしてくれたということは大変私ども有難く思つております。ただ問題は……その信憑性云々という点につきましては、これは論議をすればおのずからわかつて来ることでございます。その点は私どもの審議を折角助けようという専門員に対して、若しお叱りであるならば、そうでないように一つお願いをいたいたいと思います。(「ちよつと関連して……」と呼ぶ者あり)  ちよつと今まだ発言をしているのです。それから先ほど寺本委員から一身上の弁明として発言中に、ステップ・バイ・ステップの議論があつたということは、お話のようにまあ寺本委員のお言葉をここでとりますこともどうかと思いますけれども、私どもも多少実態を知つておりますので、先ほど労働省の建前からして、只今までの労働法を守つて行く、或いは憲法に保障された労働団体権を守るために労働省が努力をして行くべきではないか、然るに初めからこういう案でございます……、これは提案理由説明以後の説明としてはわかりますけれども、併しそこに私は労働省の当然のあり方と背反するところがあるのではないか、こういうことで御質問を申上げておりましたが、先ほど来の経過については、事務次官はそういう意見はなかつた労働省は初めからこの三条、三年間という点は衆議院で修正されたのだけれども労働省には初めから別に案がなかつた考えがなかつた、案じやなくても考えもなかつた、こういうお話でございましたが、大臣としてそれで間違いがないかどうか、なお或いは今すぐに御答弁を頂いてもかまいません。或いは後刻御答弁を頂いてもかまいませんけれども、そういうように責任を以て言い切れるかどうか、その点を一つ重ねて念を押しておきます。
  60. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 大幅か小幅かという考え方は人によつていろいろあるのじやないかと思いますけれども、私当時のことは知りません。併し次官が言われたように、最終の案というものはこれしかないということと御承知願いたいと思います。今後の問題でありますが、今後これを他産業に拡大する意思があるかないかということは、本会議でも私御答弁している通り、拡大する意思はありません。併しステップ・バイ・ステップとか、大幅とか小幅ということは、この際の論議の対象外において頂きたいと思います。
  61. 田村文吉

    ○田村文吉君 私も今宮澤君が言われましたように、この資料をそう重く考えて議論するということはどうかと考えておつたのでありますが、この資料を元としていろいろな論議をなさるということでありますと、一面私は緑風会の立場からこの資料が正確でないということを一言申上げておきたい。と申しますのは、二月五日に、「自由党政調会並びに与党労働委員、参院緑風、民主クラブ各代表と折衝の結果、次の見透しを得た。」、こういうことが書いてあるのでございますが、緑風会では代表としてかようなことに参加しておりません。或いは一、二の人か或いは又労働委員でおありの方が、或いはそういうことについてお話なすつたことがあるかも知れませんけれども、それは私存じませんが、少くも緑風会の代表者としてはかようなことにはタッチいたしておりませんから、どうかそういう点について私はこういうことを余り重い資料として考えると面倒になるから、強いて私は申さなかつたのでありますが、今宮澤君の言われているように軽い意味でこれは扱つておこうじやないか、多少のミステークもある、新聞の記事をそのまま載せたこともある、こういうような程度に解釈すれば、新聞の記事つていつでも誤りがないとは言えませんので、今朝の新聞を御覧になるとわかるのですが、或る新聞には私どもの同僚議員である梶原君がスト反対と見出しに書いて、中を読んで見ると鋭い質問をした、こういうことになつているので(笑声)、こういうことは誠にニュース・ヴアリューからいつたスト反対と書いたほうがいいかも知れませんが、実際の問題には触れていない、こういうような点がございますから、それは又新聞は新聞としての、ここにおいでになるでしようが、労働専門員としてはそれを全面的に取上げて、これはこうだというふうに断定的なように見える虞れのある資料としてお出しになることはどうか、こういう点でこれは軽く扱う、こういう意味で一つ今後処理して頂きたい。(「賛成々々」と呼ぶ者あり)
  62. 田畑金光

    ○田畑金光君 資料についていろいろお話がありまするが、この資料をどう評価するかということは、これは各議員の良識であり、議員の見方だと考えております。ただ私は折角専門員の各・位が努力されてこれだけ資料をまとめられたという努力と、いろいろ評価において或いはこの資料の事実認定等については見方もありましようけれども、私はこういう資料が与えられたということは、今後の審議の上に一つの大きな輪郭、方向を与えたということにおいて私は十分にその努力に敬意を表してよろしい、こう考えているわけであります。例えば先ほど私当時の寺本次官に対しまして、この記事内容についていろいろ問合せましたところが、ステップ・バイ・ステップということは言つていないけれども、大幅のスト制限と小幅の制限論が対立したということは事実である、こういうふうな明快な当時の次官から話があつたわけであります。私の先ほどお伺いしたのは、いわゆる一月二十七日のこの記事でありまするが、閣議の席上の発言というものは恐らくこれは新聞から来た取材だと考えております。が併しサービス省といわれている労働省がその本来のあり方からするならば、少くともこういう一方的な責任を追及するというか、挑発的な立法に初めから賛成するはずはないと思う。良心を持つているならば……。そこで私は少くともこの本日与えられた資料、そして当時の情勢等から勘案したとき、労働省側としては或いは中労委意見を聞く或いは学者の意見等も聞いて、憲法学者等の意見も十分に取入れられて、そうしてできるだけ小幅の、而もこれは労働三法内における、労調法内における問題として処理して行こう、こういう考え方が私は常識的ではなかろうか。結論においては先ほど労働大臣の言うように、こういう大幅なスト立法というものに立ち至つたであろうけれども、少くともその過程においてはそのように労働省側としても小幅の調子でやつて行こうとする意図があつただろう、こういうことを私は先ほどお尋ね申上げておるのであつて、そういう観点からいたしましても、私はこの資料というものは十分に役割を果しておる。飽くまでもこの評価と運用については議員の良識に待たねばならん、かように考えまするが、どうかそういう意味において労働専門委員室等が積極的な資料を提供するために一つつてもらいたいということを要望いたしまして、私のこの問題に対する考え方を申伝えておきます。
  63. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどから御議論が出ておりますけれども、私どもとしてはこういうふうに考えております。役所としまして一つ法律を立案いたしまする場合には、いろいろな場合を想定して、こういう場合にはどうなるか、こういう問題についての考え方はどうだろう、そういうことを議論するのは当然のことでございまして、その結果集約されたものがこれである。今大幅じやないかということをおつしやいましたが、私は小幅であると考えていまして、これ以上大幅にする意思はないと、こういうことを申上げておるのでありまして、さよう御了承願います。
  64. 田畑金光

    ○田畑金光君 労働大臣に確認を願つておきたいと思うのですが、先ほどの御答弁の中に、他の産業に対しては絶対にこういうような立法措置はやらんと、こういうようなお話がありましたが、他の諸産業に対しては絶対にやらんというような御説明お話であつたが、さように解釈してよろしうございますか。
  65. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は一時言つたことはその通りであると考えます。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほどの点押問答になりますし、私どもの認識が違うという点だけ申上げて、二点だけお尋ねをいたします。  それはこの法律を作るについて労働組合の代表の意見を聞いたかという堀君の質問に対する答弁であつたのでありますが、個人的に会つた、その中には止むを得ないと言つた者もある、こういうお話でありますが、労働大臣に就任されて間もなくこの委員会に来られて、労働大臣の抱負を語られました際、阿具根君の質問に答えて、労働界における指導者たちのお考えもいろいろあることでございましよう、そういうこともいろいろお伺い云々と書いてございます。その際はつきり労働界における指導者たちのお考えを聞きたいと、こういうことでありましたが、それは先ほどお話のあつたような個人的に会つて意見を聞くということであつたのか、それが一つと。それから先ほど新聞記事を引いて、ドイツのこれは一般的な争議権でありますか、或いは電気或いは炭鉱企業だけであつたか知りませんが、ドイツには争議権がないという御認識であるのかどうか、実際に行われておらんということは極めて明瞭であり、或いは極めて稀であるということは知つておりますけれども法律でも認められておらんという御認識であるのかどうか、その辺二点だけお伺いいたします。
  67. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私が労働界の方々とお会いするというのは、個人的にも又公式にもという意味であります。これは公式ということになりますかどうですか、日は忘れましたが、皆さんお集り頂きましていろいろ御懇談したこともございます。  それから第二点でありますが、私は新聞に書いてあつたということを御披露したので、恐らく吉田さんも御覧になつておるのじやないかと思う。夕刊の短評でございますが、東独、東ドイツではあつさりスト禁止と書いてありました。あとでよく調べてみます。それに附加えて、確かに民主主義の国ではストライキを必要としないほど非常に豊かになつておる、それは進歩的批評家であるならばという意味ですか、棒を引いて進歩的批評家と、こう書いてある、それを御披露しただけで、これは新聞に書いてあることでありますから皆さんお読みになつていることと思います。
  68. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 先ほどの田畑委員の御質問に関連してお伺いしたいのです。他産業については今回の法律のごとき制度を絶対に及ぼさないということを田畑委員が念を押されて、大臣は確答されたのであります。絶対及ぼさないと言われる根拠の考え方は、電産及び石炭の場合についてはこれは断然必要である、他産業については国民経済に如何なる影響を与えても及ぼさないという根拠の考え方であります、私腑に落ちないのでありますが、今後そういう必要が起れば、この法案を出す以上、同じようなケースが起れば、例えばガスについて大規模なストが起つた、そうするとやはりこういう制度をとることを少くとも考えるのだという段階になるのじやないかと思われるのでありますが、将来のことでありますけれども、絶対に行われないと言われる根拠なり理由を一つお聞きしたいと思います。
  69. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は今日只今の段階においてそう申しておるのであります。私は今お話のございましたようなガスであるとか、そうした関係組合の良識を期待しております。こういう問題が出たのも、ああいう争議があつて政府労調法第三十六条を待つまでもなく違法であるという南明を出しても、なお且つ保安要員引揚げを指令するというような現実の事態に鑑みまして対策をとつておるのであります。従いまして私の立場としましては、これは一回言つたことはもう飽くまでもその通りであると考えておりますが、将来そういう事態が起きまして、何ともしようがなくなつたら、これは私としてはしないということを飽くまでも言切つてやるよりしようがないと思いますが、そういう事態が起きないように期待するし、関係組合の良識を期待しているということが根拠と言えば根拠であります。私としては飽くまで他産業には及ぼさぬということを一回言つた以上、これは私としては政治家の良心と立場においてやるべきことではないと考えております。私はいたしません。
  70. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 これ以上私はとやかく申上げることはございません。ただ良心の問題が主体とすれば、やはりこういう場合にはこういう態度をとる、こういう制度をとると言うことのほうがむしろ良心的ではないかと考えております。それから他産業についてはその組合の良識を信頼する、従つてこういうケースは恐らく起らんだろうというお話でありますが、私もそう期待するのでありますが、そうだとすれば、例えば炭労なり電産についてはその指導層といいますかが違法だといわれることを強いてやれと言つている。だから出さざるを得ないのだ。言い換えれば炭労及び電産の良識に対する不信がこの立法の理由であるというふうに見ていいですか。
  71. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 不信ということになると問題になると思いますが、決してそういう不信を私は持つていないのであります。ただ現実の必要からこの法案を提案していると、こういうふうに御了承願いたいと思います。  これはなお他産業において非常に反対されるのは、これが自分のほうに及ぼされるのじやないか、スト権を漸次制限して行くというような考え方を政府が持つているのじやないか、こういう点が他産業、何も関係のない産業においても反対をされる根本の原動力になつていると思います。私は私個人としてそういうことはいたしませんから、そうした組合の各位の良識と納得を得たい。良識に期待してその納得を得たい、こう考えているのであります。
  72. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 もう一言だけ、それは結構でありますが、無論この法案を立案された政府立場から言えば、同じようなケースが起つて、例えばガスならガスについてそういうケースが起れば、これはこの種の法制によつて制限せられる危険はあるぞ、従つてそこに良識的な行動が必要だ、これは私望ましい態度ではないかと思います。そういう人々が非常に危険視して心配しておることは、これは当然なんであります。その心配をなくするためには、むしろ私の言つたような今考え方なり態度がむしろ常識的じやなかろうかと思うのであります。これ以上この点については申上げません。
  73. 田畑金光

    ○田畑金光君 この際一言だけ、これは寺本当時の次官にお尋ねするということは誠に気の毒ですが、去る二十三日の公聴会の日に電産の代表の神山君が公述したその言葉の中にこういうことがあつたわけであります。只今の問題とも非常に関連いたしますので、当時労働次官でおいでになられた寺本さんが電産の幹部の諸君をお呼びになりまして、神山君もその一人だつたそうでありまするが、政府意見としては強い単独立法によるスト禁止法というものを立案しようとする意図があつて、私としても非常に困つておる立場にあるのだ、ただ私としてはこの際組合の諸君がストをやらんというような声明を出すとか、こういう明確な意思表示があるならば、私個人としては命を賭けても、職を賭けてもこの法案を提出させんように努力をする、責任を持つてそれは約束できる、こういうような御趣旨発言があつたということが公述の言葉の中にあつたわけであります。私はこれは、まあこれから寺本さんに当時のことを承わつておきたいと思いまするが、当時の寺本次官を中心とする労働省の人がたは恐らくこういう気持ではなかつたろうかと、こう私は見ているわけであります。殊に先般の参議院における本会議において労働大臣に改進党の石川議員から質問をなされております。その質問の中にも、関係労働組合がこの際こういうストはやらんというような自粛の声明を出した場合には労働大臣はどう対処するかというような質問に対しまして、そのような事態があつたならば十分に考慮すると、こういうような答弁があつたわけであります。これについて私追つて正確な資料によつて労働大臣考え方、態度というものについては追及したいと考えておりまするが、私はそれは後日に譲りたいと思います。ただ当時の寺本次官がそのようなことを発言なされたということを承わつておりますので、この際寺本さんの当時のことに関して一言だけ承わつておきたい、かように考えます。
  74. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は二十三日の日に休みまして、神山氏の話は直接聞いておりません。いずれ速記録を読んでからお答えいたします。
  75. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ちよつと労働大臣に、今梶原君の質問に対する御答弁の中でただ一言だけお尋ねいたしたいと思うのでありますが、小坂労働大臣は、自分としては他産業にはこういうようなスト規制法案を作るつもりはない、個人としては出さないのだ、こういうお話があつたのであります。私どもは小坂労働大臣を小坂個人として見ておるのではなくして、吉田内閣の労働大臣として質問をいたしておるのであります。個人としてという意味はどういう意味なのか、他産業には及ぼさないということは、あなたは労働大臣としての地位ではなくて、小坂個人としてそういうお気持なのか、それとも吉田内閣の労働政策方針としてそういうようなものはやらない、こういう点なのか、その点を確かめておきたいと思いますので、お尋ねしたいと思います。
  76. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどの梶原委員に対する答弁は小坂個人の気持を申上げたのであります。今御質問がございましたので、改めて吉田内閣の国務大臣として意見を申上げます。  この法案は、御承知のように社会通念上本来不当であるというものをここに明確にする、或いは社会通念上非であるとせられたものが不当である、社会通念の成熟によつて確認せられるものをここに明確にする、こういう趣旨でございます。只今のところ、こういう争議方法については不当であるという概念によつて明確にされたものの現実の必要から来ておるものがこの二点であると思います。他の問題はすべて仮定であります。仮定の問題に立つていろいろ法律を出すとか出さないとかということはすべきでないと考えますから、私としましては現実の問題になつておるこの二点以外に考えていない、こういう私としては……誤解でありますからそれは取消しますが、労働大臣としまして、ここに問題になつておるこの二点以外に考えていないということを、こういうことを明確に申上げておきたい。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうすると労働大臣お尋ねしますが、あなたは、私が先ほど確認の意味において御答弁を求めたところが、あなたは先ほど何とおつしやいましたか。
  78. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その通りであると申上げました。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 今堀君からの質問は、個人としてか国務大臣としてか、或いは吉田内閣の労働政策として、今後の労働施策の方針としてであるかどうかということを質問したわけであります。一小坂個人を我々は問題にしておりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)一小坂なんか我々の眼中にはないのであります。(笑声)本当ですよ。(笑声)吉田内閣の労働大臣として我々はあなたの答弁を聞き、あなたの答弁を我々は十分に尊重しておるわけであります。そうして又批判をしておるわけであります。従つて私が先ほど確認を求めたのは、少くとも国務大臣としての小坂労働大臣先ほど発言に対する確認であり、そのことは吉田内閣の労働政策に対する今後のあり方についての私は確認を求めたのであります。然るにあなたの今の答弁というものは、先ほどの話は個人の言葉である、こういうようなことでは、一体我々のこの貴重な時間を費して、法案の審議を通じ、吉田内閣の労働施策を問い質そうとすることは無意味になつて来るわけであります。少くとも私が先ほどあなたの答弁で確認をしたことは、労働大臣としての小坂であり、吉田内閣の労働方針を忠実にやつて行こうとする小坂であるという言葉に私はこれを承わつたのでありますが、今のお話はそれを更に否定されたのであります。もう一度私は確かめますが、国務大臣として……。(国務大臣小坂善太郎君「否定はしておるませんよ」と述ぶ)
  80. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 発言中です。
  81. 田畑金光

    ○田畑金光君 国務大臣としての小坂が、他の諸産業等についてはこういうスト制限立法というものは毛頭考えていない、飽くまでもそのようなときには責任を賭しても防止するという、こういう意味で先ほど発言なされたのであるかどうか、もう一度明確に御答弁を願います。
  82. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 明確に申上げておるつもりであります。結論をお聞き下されば同じことを申しておるのです。私は他産業には及ぼさないということを明確に申しておる。なおその理由として理由を申上げたところが、その理由について今度は違うことを言つているようなお考えを持つたようですが、よくお聞きになつて頂けば、私の答弁は少しも違つていないということを御了解願えると思います。
  83. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は労働大臣言葉は詭弁だと思う。なぜかならば、田畑君の、質問に対してはつきりと確認されたわけであります。それが故に梶原議員は、若しも他産業がこういうことをやつた場合にはやりますということを言うのが親切ではないかということまで突込んでおられる、それに対してあなたは、あとで堀議員の質問に対して、個人であるということを答えられておる、小坂個人であるということをこの委員会で一方的には国務大臣の小坂として答弁し、一方では個人小坂として答弁する、そういう不謹慎な答弁があつていいものかどうかお尋ねします。
  84. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 本委員会におきまする答弁は、個人の気持において答弁した場合も国務大臣として言つた場合も同様である、こう考えております。個人の場合というのは、更に私の真情に触れて申せば、こういう意味であります。
  85. 阿具根登

    ○阿具根登君 然らば梶原議員の御質問に対する労働大臣答弁国務大臣としての答弁考えてよろしうございますね。
  86. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そうお考えになつても結構であります。ただ個人の気持も含めて申上げたのが、個人としてということであつたかと思います。私が個人という字を使つたから個人と言うてお答えしたのでありまして、なお正式に国務大臣としてもう一度言い直せと言われれば、国務大臣としてという言葉を使つたのであつて答弁についてはすべてここで言つたことについては責任を持つ考えであります。
  87. 吉田法晴

    吉田法晴君 発言は速記録に取つてございますから、あとで調べなければならんと思う。私は先ほど梶原氏に答弁された中には個人としてと言われたことははつきり聞いております。個人としてここに来てもらう必要はありません。そこで速記を調べてこの点については十分の一つ検討を頂きたいと思う。
  88. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) どういう意味でございましようか、私の個人としてという言葉を使つたのはいけないということであるならば、個人の気持を申上げたものでありまするから、真情に触れて申上げたつもりで個人と言つたのでありますが、それがいけなければ、ここで申しておることは私の国務大臣立場で申上げておるということでありますから、国務大臣立場を構成するものはやはり個人の気持というものも入つて、その意見国務大臣意見になるのであります。そういう意味で申上げたので、別にそのことを深くお考えになるほどのことはない。決してそういう間に詭弁を弄して私も自分の責任を回避しようというようなけちな考えは毛頭持つておりません。
  89. 田畑金光

    ○田畑金光君 私はもう一度小坂労働大臣国務大臣としての小坂さんに一つお尋ねしておきまするが、あんたは今後例えば今言われている私鉄とか或いは水道とかガス、こういうようなその他の公益事業といいますか、こういう諸産業についてはこのスト規制法案のような立法を制定する、こういうことは吉田自由党内閣の労働方針としてもやらないということを明確に言明された。こう承わつたわけでありますが、さように確認してよろしうございますか。
  90. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 現在そのようなことは考えておりませんから、さよう御了承願つて結構であります。ただ、私はこの委員会というものはできるだけ細かくといいますか、自分らの考えというものを率直に申上げて、その間の質疑応答を通して十分に理解を深めるということが委員会の本質であつて紋切り型の話ならば、これは本会議でやるべきであつて委員会の特性というものは正にそういう点にあると思うのでございます。そこで非常に私としても自分の気持を率直簡明に申上げたのでございますから、この間の誤解があれば一つ払拭して頂きまして、私も別にいろいろな言い回しをして、将来の重大な政策についてとかくの逃げを打つというような考えはありませんことを御了承願います。
  91. 田畑金光

    ○田畑金光君 紋切り型の本会議における答弁ではこれは何も問題の究明ができないのです。委員会においてこそ根本的な問題にも触れることができるのであります。殊に私たちが今スト規制法案を審議しておりますけれども、この法案の審議の過程において、必ず現在取上げられおる問題かが質問し、労働大臣の所信を明らかにすることを要求すると思います。これは根本的な問題に触れて来るのであります。而も委員会を通じてこそ政府方針が明らかにし得る機会であります。でありますから私はこの際明確に労働大臣の御答弁を要請したいと要求するわけでありますが、現在の段階におきましてはというような意味の言葉がありましたが、そうしますと現在はその他の産業には及ぼさん、将来はあるかも知れんというような御意見でありまするか、お考えでありまするか、もう一度御答弁をお願いします。
  92. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私ども法案のこの段階において審議されておる問題、私ども考え方というのは、この法案の御審議願つておるこの環境といいますか、今日の段階ということがすべての場合基礎であると考えております。
  93. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私が問題を提出しまして大変紛糾しまして申訳ないのです。併しこのことは非常に重要なことなので、私はお尋ねしたわけなんです。私はなぜ個人としては出さないという問題をお尋ねしたかというと、私どもあなた個人がここへ出て、そして答弁されるのを聞いておるのではないのであります。それから又政府委員の方々も個人的にはこの法案に反対の方もいられるかも知れません。併し政府委員としてあなたを補助するという意味において出ておられるのであつて、いわば吉田内閣の一員並びにその補助員としてのお話だと私どもは伺つておるわけであります。だからこそ我々は質問するわけなんです。ところがあなたは個人としてという言葉を吐かれた。それで私は問題にした。それから又個人という言葉を更にもう一つ深めて行きますというと、あなたは吉田内閣がいつまで続くか知りませんが、或いはその労働大臣をやめられることがあるかも知れない。終始吉田内閣の労働大臣として就任されているという保証はないだろうと思います。そうしますとあなたが個人としてという言葉を吐かれることによつて、次の労働大臣が又どういう措置をとられるとも限らん。こういうような懸念も起つて来るわけです。私どもとしては従つて吉田内閣の労働政策方針として、今後とも他産業に及ぼさんという言明を私はあなたからお聞きしたいわけなんです。只今田畑君の御質問の現段階においてはというお話がありましたが、確かにこの法案は現段階において政府のほうでは必要とされるということで提案されたのだと思いますが、梶原君の質問は、現段階というばかりでなくて、今後電産、炭労ストと同じような事態が他産業にも及んだ場合にどうか、こういう質問をされた。ところがその場合にも私個人としては出さないつもりであります、こう答えられた。ですから私どもはその点極めて重大な問題であり、はつきりさせておかないというと、この法案の審議にも差支えが起るのではないか、こういう意味でお尋ねしておるわけであります。もう一度その点について労働大臣の御答弁を煩わしたいと思うのであります。
  94. 田村文吉

    ○田村文吉君 私も確かに労働大臣が個人としてという言葉をお使いになつたと思うのであります。速記を拝見しないとわかりませんけれども、各委員がおつしやる通り、個人としての見解をお聞きになつているわけじやないのでありますから、私は言葉のはずみであつたろうと思いますので、個人としてという言葉が若しありましたらば、労働大臣もさつぱりと一つお取消しになることが正当であるかと考えます。
  95. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 個人としての言葉が大分問題になつておるのでありますが、私も個人としてという言葉を聞いた記憶があるのであります。併し質疑応答の全体を聞いて行けば必ずしも個人として云々ということを取上げて論議する必要も私にはないように思うのであります。ただ問題の所在は、田畑委員から今後他産業に対してかかる法制を及ぼすのかどうかということについて大臣は否定的のお答えをされた。更にそれを田畑委員が再確認する意味で質問をされて、それに対して重ねて大臣は否定的の答えをされた。それについて私は或る疑義を感じて、この法案政府方針が正しいとすれば、当然にそれはやはり他産業においてもそういう事態が起つて、そこにその適法性といいますか、それを明確にする必要が起つて来たとすれば、適当な措置をとることがむしろ合理的じやなかろうかという趣旨でまあお尋ねしたのであります。それについて堀委員から再度の質問があつて労働大臣としてははつきりと御答弁になつた。私は堀委員に対する国務大臣としての、これは特に国務大臣としてと言われたのであります、その答弁で一応はつきりしたと実は思つておるのであります。堀委員に対する国務大臣答弁から推せば、将来においてはこういう法制がないとは言えないように私は受取つておるわけであります。
  96. 吉田法晴

    吉田法晴君 私どもまあ先ほど聞いた印象では、田畑君には国務大臣として、それから梶原委員には個人の心境を披瀝して御答弁になつた。それをあとでお取消になりましたが、それも個人として、それは大臣としての個人としての云々という御答弁もございましたけれども、少くとも私がさつき聞きましたのと食い違いがございます。  それからもう一つ本会議では紋切り型の質問しかできないから委員会において打ち融けて個人の意見も混じえて御答弁をいたしたい、こういう本会議とそれから委員会との答弁態度の食い違いもございます。これらの点は一つ速記録をよく調べて私どもは明日もう少し明らかにいたしたいと思います。その点を、もう時間も一時ですから、この辺で一つ休憩して、速記録を調べぬことにはどう言うたと言つてもどうにもなりませんので、明日に持ち越されんことを提案いたします。
  97. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 個人としてという言葉が非常に問題になつておるのでございますが、先ほども申上げ、又梶原委員からも御発言がございましたように、ここには個人はないのであります。私は個人ということは認めますし、個人ということを言つても、これは国務大臣としての立場言つておるということを、従つてその責任があるということは認めておるのであります。その間に答弁も別のことを言つていないと考えております。ただ深い意味で自分の気持まで披瀝するという気持で言つたので、むしろ非常に懇切丁寧になり過ぎて却つて誤解を生じたと思うのでございます。只今吉田委員からお話がございましたように、本会議の場合と少しも食い違いはないと考えます。これは本会議軽視であるとかそんなことを言い出されては困るので、そういう気持は毛頭ございませんので、訂正さして頂きます。そういう気持が若しございますれば釈明いたしておきます。  なおもう一言申上げておきますが、先ほど委員お答え申上げたようなことを最終の答弁とお考え願いたいと思います。そのほかいろいろ申上げましても、言つておることは拡張しないということとちつとも変つていないのでありますから、それも細かく申上げますと、堀委員に申上げたのが最終的の答弁と、こう御了承を願いたいと思います。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 答弁が終始一貫しておるか、食い違つておるか、或いは本会議を軽視されたか委員会を軽視されたか、その辺はわかりませんが、速記録によつて詳細に検討して、明日その点について明らかにすることを緊急提議いたします。
  99. 田中啓一

    ○田中啓一君 問題をいろいろに取上げていらつしやいますが、私が大臣から御答弁中に受けた印象はそうではございません。大臣が個人とおつしやつたのはどうもこういうことだろうと私は思う。(「大臣から聞いたからもういいですわ」と呼ぶ者あり)つまり……、(笑声)よろしくないので、明日問題にするとおつしやる。その際に……私の印象は、どうやら労働大臣たる小坂さんはそういうふうにお考えになつて飽くまでもそうしようと思われても、内閣全体なり党なりから拡大しろという強要を受けた場合にはどうなるかというようなところまでお考えになつて……、その場合はこういうことだつたと私は思う。(「そういうことじやない」と呼ぶ者あり)まあないとおつしやるならそれも御印象だと思いますが、私の受けた印象はそういうのではないので、私はそういう意味で個人という言葉が出たのであろう、こういう私は印象を受けておりますから、御参考になろうと思いますから、私の印象を申上げておきます。
  100. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時十七分散会