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1953-07-25 第16回国会 参議院 労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十五日(土曜日)    午後三時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            伊能 芳雄君            田中 啓一君            宮澤 喜一君            吉野 信次君            梶原 茂嘉君            阿具根 登君            吉田 法晴君            上條 愛一君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    労働省労政局長 中西  実君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電気事業及び石炭鉱業における争議  行為方法規制に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の案件は、電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案予備審査)、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案予備審査)でございます。先ず電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案を議題に供します。本法案に御質疑のおありの方は御発言を願います。
  3. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私はスト規制法案に関しまして、先日の私の質疑を続行いたすわけであります。  今朝来の本委員会に関しまする議事の取廻しについての御相談の結果から見ましても、恐らく私に与えられてある時間は本日の午後の時間に限られるであろうと遺憾ながら思うのであります。従いましてできるだけ簡明に且つ簡単に質疑をいたしたいと思うのであります。なお、私の質疑には法務大臣なり通産大臣の御出席を頂きまして御質疑をする必要があるのでありますけれども、これも時間の関係等で遺憾ながら後日各大臣が本委員会出席される機会があろうと思いますから、その機会関連をいたしまして質疑をいたすことをお許しを願いたいと思います。  なお資料でありますが、先般もお願いしたかと思いますけれども、昨年の電産争議及び炭労争議によりまする国民経済に与えた影響損害というものについては、政府として調査がお済みのことと存じまするから、これは適当の機会に御提出を願えれば結構かと思います。  先般の私の質疑に対して労働大臣は、昨年の電産争議に対しては政府としては労使の間には介入しないことを以て妥当とするという方針で進まれたやに聞いたのであります。従つてかかる場合を予想して発動されたと思われる繁急調整も、電産争議についてはそういう意味合いで発動されなかつたように思うのであります。この政府態度も、これは是認し得る態度かと思うのであります。一点伺いたいのは、昨年の電産争議結末であります。妥結であります。あの妥結について政府は大体あれで妥当というふうに見ておるのかどうか、その点を先ずお伺いいたします。
  4. 中西実

    政府委員中西実君) 電産の最後は、結局調停案に対する細目の点について斡旋案が出ました。それを最後労使が受諾いたしまして解決したわけであります。内容について、あれでよかつたかどうか、今にわかには論じられませんが、長時日に互つて当時の労使事情を十分勘案して中労委会長斡旋委員としておやりになりましたが、恐らく当時の事情といたしましてはあれ以外に解決方法はなかつた、又結論としましても、あれがやはり客観的に見まして一応妥当だというふうに考えるよりほかないのではなかろうかというふうに考えております。
  5. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 そうしますると結局昨年の電産争議については政府としては不介入態度をとりまして、国民生活なり国民経済に異常な損害を与えたけれども、それを見ながらも先ず先ず妥当な結末を見たということであります。そういう政府態度なり見解であるにかかわらず、争議終つて間もなくこういうスト禁止法案が現われた。この法案が現われるについて労働省当局としては労働組合側と申しますか、労働者方面にこの立法をするについての協議なり懇談なり、そういう措置をとられたかどうか、その点を一つ伺いたい。
  6. 中西実

    政府委員中西実君) 先ほどちよつと私の申しましたのは、解決しました条件についてのことを中心に申上げたのでございますが、只今お話では、争議全体を通じてああいつた状況が続き、そうしてこの解決至つたのがどうかということに重点がおありのようでございます。この点につきましては、私どもこの当時も電産関係の従来からのストにつきましては遺憾である、従つて最後段階におきましては、実は緊急調整発動はされませんでしたが、そのことは十分に研究いたしまして、考えてもおつたわけでございます。たまたまあの最後段階におきましては、電産において相当地方におきましてすでに争議をやめておつたところもございましたし、間もなく片付くのではないかという見通しもございましたので、とうとう発動はせずに、石炭だけの発動で終つたわけでございます。ただああいつた長期の電産ストで、やはり国民全体の気持としまして、又我々関係者としましても、何とか争議方法に関しては考える必要があるということは十分に感ぜられたのでありまして、あの争議の終りました直後、終始斡旋に当られました中山中労委会長もこの公益事業、特に電気事業争議についていろいろ感想を漏らしておられるのでありまして、何かやはりそういう方法についても考える必要があるようなことも言つておられました。そこで結局当時の輿論なりを拝見いたしまして、全く当時輿論といたしまして、電気のあのスト、それから石炭保安要員引揚げ、これは何としても争議方法として日本の現状においてこれを規制する必要があるということを察知いたしまして、昨年以来それを考え、今年の二月になりまして公聴会を開き、更に一般意向確めましてこの立法に及んだわけでございます。
  7. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私の前段に御質問いたしましたのは、昨年の電産の争議に対して政府のとられた態度及び方針と申しますか、それは政府としてはおおむね妥当であつたと思われるかどうかということなんであります。これは先般来のお話によつて争議自体は遺憾と考えられたでしようけれども政府のとつた態度は是認されるということであつたかと思うのです。それから第二段に私伺いましたのは、一般意見とか公聴会とかいうものではなくて、こういう重大な労働者の運命に関する法案を立案するについては労働組合方面意向というものを十分打診し、十分協議される措置をとられたかどうか、これをお伺いしたわけであります。  今までの経過を御答弁によつて見ますると、私は今般のこのスト規制法案提案理由で言われておりまするところに多分に腑に落ちないものを感ぜざるを得ないのであります。提案理由には、労使関係の事項につきましては法を以てこれを抑制規律することはできる限り最小限とし、労使の良識と健全な慣行の成熟に委ねることが望ましいことは言うまでもない、併しながら政府としてはかかる基本原則のみを固執し、徒らに手を供いて当面の緊急の問題に対して必要な施策を怠ることは許されないと、こう言つておられるのであります。結果から見ると非常に異様な感じを与えられるのであります。終つた途端に、政府はそういうふうな態度を是認されながら、徒らに手を拭くわけではないと、何と申しますか、威丈高に叫んでおるような感じがいたしまして、その間どうしても納得の行かない私は気持がするのであります。その間の考え方と申しますか、見方について大臣から一つお話し頂きたいと思います。
  8. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答え申上げます。  労使間の相互の要求中心としてのいわゆる争議行為に対して政府介入するということはできるだけ避けまして、その間に十分理解納得を得て妥結に至ることを期待するという政府態度は先般来申上げておる通りであります。昨年のあの争議が起きた最中におきましての政府考え方、又今日に至りましてもその考え方につきましては変つていないのであります。併しああいう争議自体が起きること、そのことの国民経済全体に及ぼす影響というものに対しましては、これは何らかああいう争議自体について、少し争議行為方法というものを考える必要があるのではないか、こういうことで、この法案提出の動機は尽されておるわけでございます。従来とも占領軍当局がおりましたときには、その介入があつて何らかの妥結に至つておるという面もある。そこでそういうものが全部なくなつた際において、この労使間の慣行というものが十分成熟していないときにおいて、本来不当であり、又社会通念があの争議によつて成熟して、こういう争議行為は好ましくない、不当であると、こう考えられるに至つたと思われるようなものについては、これは一つこの法律によつてその範囲を明確化いたしておきたいと、こういう趣旨である次第でございます。
  9. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 次に私は各条に入つて行きたいと思います。第一条の問題でありますが、電気事業石炭鉱業特殊性が調われておるわけであります。勿論自然的、経済的、社会的の特性のあることは、これはもとよりであります。又国民経済なり国民生活に重要な関連のあることもその通りであります。併しながらそのためにこれらの事業に働いておる労働者に対してその労働争議方法規制するわけでありますが、私はこの第一条に言われておる政府考え方に一点大事な点がミスされておりはしないか、見逃されておるのではないかという感じがするのであります。それは何かと言いますと、これらの特殊性は勿論是認されるわけであります。国民経済なり国民生活に関する関連性も是認されるのでありますが、ただ政府として見逃しておるのは、日本におけるこれらの事業体プライベート私企業体であるということが、これを立案する上において考慮から抜けておりはしないか、単にこれらの産業の持つておる公益性という面のみが強調され、対象になつて、その経営の実態というものがプライベート私企業体であるということが軽く考えられたか或いは見逃されたのではないかという感じがするのであります。勿論あのときは、恐らくこの法案の立案については早々の状況であつて、慎重に考究する時間がなかつたことはわかりまするけれども、非常に大事な点が私は検討を怠つておるという感じがするのでありまして、一つ労働大臣の率直な御見解を承わりたいと思います。
  10. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この法案の中に規定しておりまする石炭鉱業並びに電気事業というものに対しての特殊性そのものについてはお認め頂いたと存じまするが、これが公共企業体でない私企業であるという点を見逃しておるというお話があつたのでありまするが、このお考えは、恐らくこの業種に対しての争議行為方法規制することと、これらの産業特殊性自体との関連についてであると思います。この法案において石炭鉱業特殊性を謳つておりまするゆえんは、これは石炭鉱業特殊性もそうでありまするが、この法案関連するのは、その石炭鉱業争議におきまする一部分、つまり保安要員引揚げということについてこの法律はそれを禁止しておるのであります。なおこの電気事業につきましても、この公共性そのものについては非常に特殊な高度のものである。そうしてその事業の持つ主体が非常なエネルギー源である。又その電気というものの持つ性質が、貯蔵がきかんとか、生産即消費であるというような点について特殊性を謳つておるのでございまするが、こういう点は、私企業ではございまするが、電気につきましては公共事業令という法律によつて承知通り規制されておるのでございまして、他の一般私企業とはややその趣きを異にしておるという点を考えておる次第でございます。
  11. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私の質問が少し不注意であつたのであります。石炭鉱業電気産業とを区別して御質問すべきだつたのであります。主として私は電気産業重点をおいたのであります。この一条の観念からすれば、むしろ現在の私企業経営体であり、而も公益事業としての特別のカテゴリーに入つておること、これは大臣の言われた通りであります。この法案を通じての狙い、考え方から言えば、これはむしろ私企業体に置いておくべきものではなくて、公共企業体と申しますか、そういう方面に持つて行くという思想と申しますか、考え方ではなかろうか、かように私は感じたわけであります。その点を御質問したわけであります。  それからやはり電気事業特殊性についての政府考え方の問題でありますが、大臣はしばしば停電ストなり電源ストというものについては、これに従事をしておる人数が全体の労働者の中で極めて少いということを繰返し強調されておるのであります。私はその意味が那辺にあるのか、なぜそれをそう強調されるか、実は了解に苦しんでおるのであります。大臣一つ見解を承わりたいと思います。
  12. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどの私のお答えも不十分であつたかと思いますが、電気事業は非常に公益性の強いものであるから、これはむしろ公共企業体的な性格のものにすべきではないか、その経営形態をそうすべきではないかという御意見が一部にあることも承知いたしておるものでございますが、これはやはり我が国の持つ非常に大きな天然資源一つでございまして、これの相当の規模の開発を迅速にしなければならん、又そうした開発をする一方、できるだけ消費面においてもこれを国民の間に広く利用できまするような方式をとらねばならんということから考えてみますると、私ども考え方からいたしますると、やはり個人創意工夫或いは責任、そうしたイニシアテイブを尊重するというほうが、そうしたまだまだ多く開発すべきものを持つておる電気事業については私企業的な経営方式のほうが適当ではないか、こう考えておるのでございます。  なお只今の御質問の少人数という点でございますが、これは私どもは大体二割程度従事者がこの規制対象になる、こういうふうに承知をいたしておるのでございます。その人々が自分たち経済的要求を貫徹するための争議行為として行われるこの種の争議の及ぼす全般の国民経済に対する比率と申しますか、比重と申しまするものは、その目的手段影響均衡性を失していると、こういう点から特殊の性格を持つものであろうと、こういうふうに考えますので少人数ということを申上げておる次第でございます。
  13. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 前段公共企業体の問題でありますが、私は公共企業体が適当だということを申しておるわけではないのであります。この案に現われたように、公益性が強調されて、それに従事しておる人が争議行為ができないというところまで持つて行く考え方からすれば、これは公共企業体に持つて行くむしろゆえんではないかということを伺つたわけであります。  それから今の人数少いという点でありますが、ちよつとまだ了解しかねるのであります。その争議行為とそれが与える結果、その間にバランスが取れない、均衡を失するという点はまあ暫らく別といたしまして、そうじやなくて、人数少いということをしばしば提案理由のどつかにも書いておると思いますが、そういうことを述べられておるのであります。その真意がわからないのであります。言い換えますると、人数少いということは、だからこうしていいという一体筋道が出て来るかどうかということであります。
  14. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この本法案の第二条に掲げまするような争議行為をなします場合、これに携るところの人員というものが全電気産業労働者中の少数者に過ぎないということを申しますることは、少数であるということと同時に、少数であります人たち争議行為の、国民全体の生活、即ち中小企業、或いはもつと広く申しまして国民公共の福祉というものに対する影響が非常に広汎であるということと同時に、これによりましてこれらの労働者の失う賃金、又その使用者の失う料金収入電気供給の停廃によりまして需用者が不可避的にこうむりまする物質的な或いは又精神的な損失に比べまして、極めて僅かなものでありまして、その点が他の争議行為方法と全くその類いを異にする、そうして電気事業の持つところの公共性に非常に背反する争議手段と考えねばならんと、こう考えておるのでございます。昨年のスト中の賃金支払いを差引きましたものは全体で……、争議中の賃金不払いという原則から申しますと、その間の賃金は払わないのでありますが、全体で三億円という様子でございまするので、そのうち二千八百万円が電源関係である、こういうように聞いておるのでございます。即ち非常に目的手段均衡性を失しておる、そういうふうに考えるのであります。
  15. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 目的手段均衡性の問題は、これは又別にいろいろと検討されるべき私は問題だと思います。併し人数少いということ自体は、少いからどうこうということは私はあり得ないのではないかと思う。争議行為をそれらの人に対して制限する、或いはそれらの人に対して争議行為の殆んど全部をなくするということを肯定されるには、その人数が多いとか少いとかということは、これは問題でないと思います。憲法の趣旨は、勿論各個人個人権利を保障するのであつて人数が一人だから或いは二人だからその権利を制限してもよろしいということには、これは毛頭なつて来ないのであつて労働行政の観点から言えば、その間人数の大小に区別をおくべき筋はあるまいということを私は聞かんとしたのであります。  それから今大臣の言われました、電産争議に関しての電気産業内部における損失と、第三者外部における損失との比較の問題でありますが、これも提案理由説明にも書かれており、しばしばこのことは実は述べられておるのであります。併し私はこれに対しても或る異様な感じを持つのであります。電産争議においては内部における損害は、労働者方面においてもそれから経営者方面においても極めて少いと、害を受けるのは第三者である、無事の多数の国民であるということをあたかもそれが当然なごとく言われておること、これに対して私は奇異の感じを抱くのであります。政府は電産ストのうちの停電ストスイツチ・オフでありますか、これについては正当な争議行為ではない、違法の争議行為であるということをかねがね言われておるのであります。若しそうだとすれば、電産という一つ企業内部における違法行為によつてつた外部に対する損害であります。これは普通の観念からいつてもコンペンセイトは当然されるべきものではなかろうかと思う。労働組合が違法の労働争議をやつた、それに対して需用者側損害賠償請求を当然できると私は思うのでありますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  16. 中西実

    政府委員中西実君) 労組法八条によりまして、正当な労働組合の活動、特に争議行為によつて損害が出ましても請求はできないという原則がございます。従つて正当な争議行為につきましては免責になります。これは条文には「使用者は、」ということになつております。第三者損害をこうむりましても、今までの大体の解釈では、やはり正当なものについては損害賠償請求はできない。こういうことになつております。そこで電気の場合に、果して正当かどうか、我々は従来ともスイツチ・オフ等は、これはもう明らかに違法な行為であることは検察当局承知しておりますし、電気その他のものにつきましては、我々は非とは考えてはおりましたが、その点は正当かどうかはつきりしておりません。
  17. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 八条でありますか、八条の半面解釈から言つて需用者は違法な労働争議に対しては損害賠償請求権はある。違法かどうかについての問題は勿論あり、これは裁判所の問題であろうと思います。併し少なくとも政府はこれまでの説明におきましては、スイツチ・オフ等停電ストは、これは正当な行為とは認めがたい、違法であるという態度を表明されておつたのであります。従つて需用者損害をこうむつたとすれば、当然に組合に対して賠償ができるであろう、そうだとすれば一般需用者は電産、企業体内部における違法行為から発生した損害でありますから、私は当然会社に対し、その企業体に対してこれは損害賠償請求はできるであろうと私は思うのであります。これまで何らそういう措置はとられなかつた。ここに私は一つのこれは政策としてのミスがあると思うのであります。そういう措置をとることなしに、単に電産内部においては損害少いのであつて労働組合も少しも損は生じないし、企業者も何ら損を認めない、受けるのは国民一般だけであると言つてですよ、そのままにされておるところに問題があると思うのであります。御承知のように昨年の電産争議関連して主婦連合会においては料金不払運動を起したのであります。私もその趣旨には共鳴した一人であります。多くの家庭においては共鳴したのです。併しこれを若し実行するというと、このことにつき又会社のほうから、お前のところは電気を当分とめると言われると、これは動きが取れないというので、恐れをなしておるのです。必ずしもあの運動は効果を上げなかつた。これは私通産省の問題かと思いまするけれども、例えばこの不当行為による停電があれば、或る程度の基準を設けて、その料金は払わなくてもよろしい、これは内容は別として、そういう考え方が若しこれまで採用されておつたとすれば、恐らく電産の組合の側においても、或いは会社の側においても、争議をやることについてある程度の慎重さといいますか、考慮をめぐらしたに違いない。それに対して何ら政府としては考えることなしに、従来の普通の場合の料金規則ですか、それをそのままにしておいて、多くの損害が起つても、これは当然であるからというような態度をとり、それをれいれいしく出しておられるのであります。私は非常にそれを遺憾に思うのであります。あの料金規則等はそういうケースを予想しておらない。従つてそういう場合における特別の措置をとれば、成るほど国民に与えた損害はそれで全部補償されるわけには行かんでしようけれども相当軽減されたかもわからない。半面において会社にしても組合にしても、相当の反省が行われたであろうかと思うのであります。私は料金制度等について、これは通産省の問題であり所管でありましようけれども労働大臣としては相当関心をお持ちになつて然るべき問題じやなかろうかと思います。それらについての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 本条に違反する行為がなされました場合、この法律を御可決願いましたあとにおきましては、当然これは不当な争議行為を行うものであるということが明確になるわけであります。従いまして損害が発生したときは損害賠償請求は免れないわけでございますし、なお場合場合によつては刑罰を受けるという、適用は受けるわけでございますけれども、そういうことが従来非常に不明確であつたということは争われないと存じます。従来このスイツチ・オフは違法であるということは確定しておつたのでございますし、又その場合もあつたのでございますが、国全体といたしまして、この終戦後の混乱期以来、何となくそういう惰性が今日に至つておるものと考えられるのであります従いましてそういうことをこの際明確にすることによりまして、只今梶原委員御指摘の料金政策問題等につきましても、これとやはり並行して考えられるべきものでございます。私も梶原委員の御主張の非常に妥当な点が多いと考えまするので、私も十分関心を抱いております。  ただここに規制いたしておりまする争議行為方法によらなくても、先ほど申上げましたように大多数の基幹産業労働者とか或いは電気事業従事する労働者という者は争議権を持つのでありますし、交渉としてはこれによつて特にアン・バランスになるという事態はないように私ども考えておる次第でございます。
  19. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 大臣のお答えの点は、遺憾ながらこの法案が通過いたしますれば、私の申したようなケースは起らないのであります。言い換えれば停電というものはなくなるのであります。従つて停電から来る損害、それをどうこうするという問題も、これも全面的に解消されるのでありまして、これまでそういう措置がとられなかつたことに対して私は遺憾に思うのであります。そういう組合はもうなくなつちやう、そういう必要性もなくなつた、むしろそういうことを講じて、あの争議をもう少しく妥当な、社会全体から見て妥当な争議に持つて行くということのほうが私は賢明だと思いますけれども、その途がここで閉ざされたわけなんであります。  それから第二条に関する問題でありますが、法律的の若干の疑問であります。細かくなりまして恐縮でありまするけれども、これは将来裁判上の問題にもなろうかと思うので、一応明らかにしておきたいと思います。停電ストというのは、これはスト行為は大体性格上不作為ということで参つて、それらに対して停電ストというものは作為の行為であるから違法であるという解釈が行われております。それから電源ストに対しては、これは労働争議の覧点から言えば本来不作為のものである。その通りであるから従来そこに一つの問題があつた。ところが昨年のスト状況及び結果から見て、大臣の言葉を拝借すれば、社会通念上非とすることに相成る、こういうふうに承わつておるわけであります。私はこの不作為の行為についてこの社会通念を持つて来られたこと、その点に……、これは少し理窟ぽいですけれども、了解しがたい点があります。国民の何と申しますか、社会通念としては、停電それ自体に、こつちはやり切れないというような通念があると思うのであります。法律的に分解されて、政治的、法律的に分解されて、スイツチ・オフはこれは積極的な作為行為であるから違法である……、不作為ではあるけれども、これを社会通念上それが非となる、こういう御説明でありますけれども、やはり作り上げたような感じが私はするのであります。これは或いは裁判所の将来問題になるかもわかりません。一つ法律的の覧点からの御回答を願いたいと思います。
  20. 中西実

    政府委員中西実君) お話のごとく、最高裁の判例におきましても、争議は本来労務不提供がその姿だということは言つております。併しながら不作為の行為と言いましても、そこに結果におきまして公共の福祉なりに非常な危害を及ぼすような場合には、やはり争議行為として正当性を欠くに至つているということはあり得ると存じます。例えば現行の労調法三十六条の、保安安全施設保持の業務、これは停廃してはならない、つまり不作為であつてもやはりそれは違法であるという例もございました。従つて不作為といえども、それによつて生じます効果が、或いは結果が非常に公共の福祉に危害を及ぼすという場合には、やはりそれが違法であろうというふうになる場合を当然考えていいのじやないかと思います。正にこの第二条はこういつた覧点から考えておられるわけであります。
  21. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私の懸念は、この電産における何と申しますか、作為、不作為、それを区別して論じて行くところに無理がありはしないかという点であります。鉱山における保安関係は、これは別途の意味からして不作為であつても、それがその正当性を一つ失格するということになると私は思うのであります。電産の場合においては、通常の私はこれはケースと思います。公益性は別として……、公益性を持つならば一身分関係であるとかいろいろな点で変つた一つの基準に入つて行かなければならない。そうでなくて一般労働者という覧点において、これは不作為であるけれども社会通念上非としておるというところに、将来私は問題が残りやしないかということを懸念したわけであります。それから労調法の三十六条との関係でありますが、これ必ずしも明確でないようであります。三十六条は、スト規制法案が仮に出ないとすれば、或いはこれが出る前において、一体三十六条は電気産業に関して現実に適出される場合があるのかないのか、この点を一つ伺いたいと思います。電気事業に適用される場合があり得るのかどうか。
  22. 中西実

    政府委員中西実君) 電気供給の場合についてもやはり三十六条の適用のある場合がございまして、例えば工場の安全保持にその電気供給が不可避なのであるという場合には、これを停廃するというのは、やはり安全保持に入るということに従来は解釈をとつております。
  23. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 そうしますと三十六条はですね、電気産業内部における保安施設ですか、安全施設ですか、だけに限らずに、他の産業部門内の安全施設を、電気産業面からの供給如何によつて脅かすという場合も当然含むと、こういう解釈でありますが、それに対する判例があるかどうか、これを一つ伺いたい。
  24. 中西実

    政府委員中西実君) 判例は今ちよつと記憶ございませんが、解釈としてはおつしやつた通りでございます。
  25. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私その解釈には非常に常識に遺憾な点、無理な点があると思いますけれども、すでにそういう御解釈であるとすればそれで結構であります。  それからいま一つは、公共事業令八十五条ですか、八十三条、八十五条との関係であります。これの本法との関係はどうなりましようか。
  26. 中西実

    政府委員中西実君) 八十三条のほうは、いろいろな施設を積極的に破壊する等の行為を伴つてやる場合であります。従つてこれは従来とも争議行為といたしましても、そういつたいわゆる暴力行為を伴う違法な争議行為ということで、八十五条のほうは、争議行為としてやつた場合に、果してこの八十五条に言う「正当な」ということになるかどうか、この点について実は疑問があつたわけであります。それを今回の立法によりましてはつきりと範囲をしよう、こういう関係になつておるわけであります。
  27. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 そうしますと、八十五条の適用に関しましては従来の解釈必ずしも定まらなかつた。本法によつて、正当でないということが本法でいわれて、その反射といいますか、によつて八十五条が適用されるというふうになる。従つて今度はこの第二条のストには当然に八十五条の罰則、三年以下の懲役ですか、これは当然適用されると、こう見ていいわけですね。
  28. 中西実

    政府委員中西実君) 法律関係はそういうことになります。
  29. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 法務大臣は、私衆議院の速記をちよつと読んだだけでありますが、これまでの法制なりにおいて違法と思われるものがあつたと、それを今回の立法によつてその枠をはつきりしたのだと、違法であるけれどもはつきりしなかつたものをはつきりさすんだという趣旨の答弁をされ、労働大臣もいつかの機会にそう言われたと思うのですが、結局煎じ詰めますと、新らしく附加わつたのがいわゆる不作為による電源スト、これが新らしくとにかく違法となつて登場したと、こう煎じ詰めるとなるのですが、大体それでいいのですか。
  30. 中西実

    政府委員中西実君) 従来から違法のものをここにはつきりすると申しますと少し又違つて参りますが、二条で申しますと、スイツチ・オフは従来からもこれは違法であつた。給電指令所等の職場放棄も違法であつた。ただ、おつしやいました電源ストについては、従来我々は非だとは思つておりましたが、そこのところははつきりしなかつた、その点をはつきりしたことと、もう一つは、逆に事業主のロツク・アウトといいますか、これも我々は非とは思つておりましたが、それもはつきりしなかつたのでありますが、これも今回これによつて違法であるとはつきりしたわけであります。
  31. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 二条の規定を見ますと、電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為をしてはならないという規定になつておりますが、この直接というのはどういうことを意味するのか。間接でですよ、間接で、この電気の正常な供給に障害を及ぼす場合があり得るのかないのか。若しあり得るとするならば、その場合は停電等が起つても、それは本法の適用外と、こうなるのか、その点を一つ……。
  32. 中西実

    政府委員中西実君) 具体的な例として適切かどうか存じませんが、間接と申しますと、例えばすでに相当いたんでおる、併し今急にこれを取り替えなくてもいい、本来ならばやはり事業主は取り替えるであろう、それをスト中、その行為は、修理の行為はしない、これは結局間接でございまして、そのために電気の供給が、品物を、部分品を取り替えたよりも悪くなるとしましても、それはここに言う直接ではない。直接というのは、一番端的なものはスイツチを切りますのが、これが一番直接でございます。只今言いますように間接の影響が及んで来るもの、それの極端なものは事務スト、これも長くなりますれば勢い第一線の電気供給の直接の業務に響いて参ります。それあたりはこの第二条にかかつて来る、かように考えます。
  33. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 それは解釈の問題で、これも後日問題が起り得る可能性があると思いますけれどもスイツチ・オフあたりのごときは、そのスイツチ・オフ行為電気の正常な動きがとまるということとは直接結び付きがあるものであります。併しながら例えば電源ストということになりますと、これは完全な不作為である。不作為からこれが直接に電気がとまるということは必ずしも起つて来ない。間接的に起り得ることはあるかも知れない。併しこの前の、去年の争議の実例からいいましても、或る発電所においては適宜職場放棄をした。それに対して直ちにそれに代る人員を整備して電気の正常な供給を続けて行つた。この職場を適宜放棄することによつて直接には何も影響を与えておらない。従つてこれは冷静に言えば、今の不作為による例えば電源ストのごときはこれに入らないという解釈は、私は成り立ち得るのじやないか、かように思うのであります。「直接」と書かれた以上は、当然に間接的の場合はいいと言わざるを得ない。電源ストのごときは、まさしくこれは間接である。何も正常な運転を、供給をとめるつもりでも何でもない。会社のほうでは人が待機しておつて、それに引き継いで、引き渡して職場を去る。発電は従来通り動いておる。そういうことを考えれば、それがこの二条に当然適用があるということは私は言えないのじやないか。従つて直接という言葉をあなたははつきり出される以上は、不作為のような場合はこれは入らないという解釈は、半面から出て来る可能性は多分にあると私は思うのであります。それから、これは少し理窟ぽくなりますけれども、間接にでも事務スト停電が起つて来るということが予想されれば、何故その場合に、それではそれをとめないか。国民生活に与える影響というものはどういう原因であろうが同じである。事務ストの場合において停電が予想されるとすれば、これはやはり法制としてはとめるという措置を当然とるべきじやないか、少し理窟つぽいですけれども、そういう感じがするのであります。
  34. 中西実

    政府委員中西実君) 「直接」の解釈でございますが、私どもは、この電気の正常な供給というものをとめる場合は、もう最も極端にこれを阻害する行為でございますが、電圧サイクルが変調するというのも、これは直接に障害を及ぼすものである。そこで電源関係で代りを出す、例えば会社側があとで引き継いでやれば影響はないのじやないか、こういうことでございますけれども、たまたまそういう場合もございましようけれども、現に、大体そのつもりで会社が従来電源ストの場合に努力したでございましようが、到底手が及ばないでやはりほうぼうで停電が起つた、こういうことでございまして、たまたまそういうふうに救われる場合があるかも知れませんが、やはり電気の正常な供給に障害を生じ得る行為はすべてこの公共の福祉に反するのだという、この法の建前から行きますと、たまたまそういつた救われる場合ということを予想しますよりは、やはり客観的に見まして、必ず電気の供給に障害を来たすような行為は、これはしてはならないということにしておきませんと、結局電気の正常な供給が確保できない、こういうふうに考えられます。従つてどもが直接と申しますのは、やはり直接に電気の供給に従事しておるところの人が職場から退去するようなことはやはりこの第二条にかかる。又、機械によりましては、三十分或いは一時間はそばを離れておつていいが、長時間離れますれば必ずやはり正常な供給に影響があるということは、これはもう必至でございます。やはり電源にそういつた影響を及ぼすような職場放棄はこれは二条にかかる。それから二番目の、事務ストによつて間接にやはり電気の供給に影響が来るというような場合、これは結局その場合は例の労調法の緊急調整措置して行くべきである。この法律は、争議行為としてやつてはいけない、つまりそういうことは違法性がとにかくあるというものの範囲をはつきりしたものでありまして、それ以外の行為をやつて、而もそれが結果において公共の福祉に大きな障害を及ぼすということになりますれば、緊急調整方法によつて措置するということになるのじやないかと思います。
  35. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私はその電源ストはとめなくてもいいということは言つておるわけではないのでありまして、「直接」とあれば、解釈上及ばないじやないかということを言つておるわけでありますが、お話のように長期に亘り大規模になれば、会社側はなかなか手が廻りかねる。これは私は現実の問題であろうと思うのであります。短期であつて規模が小さければ、これはこういう影響を及ぼすことなしに電気の正常なあれは続いておるわけなんです。それは現実によつてつて来るのである。当然に電源ストライキによるああいう行為電気の供給に支障をすぐに来すのだという結論は、論断は少し早計じやなかろうかと、こういうわけであります。それから事務ストのほうの場合において、それが長期に及んで停電の結果を見るような場合には繁急調整発動するのだという御趣旨であれば、同じことが私は電源の場合にも言い得るのでありまして、電源の場合にこれを社会通念として非として取上げられる、それは国民に与える損害も大きくて、公共の福祉に相反するからという理由だと、その理由は事務ストの結果においても同じであると思います。一方で繁急調整でやるのだということであれば、どつちだつてできないというはずは少しもあるまいと、こう思います。  それから、時間が少いのでありますが、憲法の問題についての大臣の御所見を伺いたい。本法に関連して憲法違反であるとか或いは違反の疑いであるとかいう論議が御承知のように極めて盛んなんであります。勿論この法案を立案されたのでありまするから、憲法にはもとより抵触しないというお考えであろうと信ずるのであります。その憲法に抵触しないという政府の論拠を簡明に一つお話を願いたいと思います。
  36. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) もとより私ども只今お話のございましたように、本法は何ら憲法違反にあらずという考え方をとつております。その二十八条におきまして「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」、こういう規定になつておりますが、この団体行動をする権利一つ方法としてのストライキがあるのでございまするが、こうしたものを広汎に含めましたものといたしまして、憲法第十二条及び第十三条においてこの「生命、自由及び幸福追求に対する国民権利については、公共の福祉に反しない限り、」又「公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」、こういう規定がございますのでありまして、この間に争議権とこういうふうな調和を図るということは当然だろう。第二十八条も当然十二条、十三条の規定を予想して書かれておるものであると、こういうふうな考え方を持つております。
  37. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 それは結構でありますが、二つ問題があるかと思うのであります。一つは、この電産の発電所なり、変電所で働いておる人に対してはこれは政府はしばしばスト行為の一部の制限であるということを言つておられるのでありますけれども、これは明らかにそういう人々に対しては全面的に争議行為を禁止するということは、これは明らかだと思うのであります。あとのいろいろのあらゆる集金ストであるとかそれから検針ストであるとかいうことがあるじやないかと言われておりますけれども、これは一つのカムフラージユの議論に過ぎないと思う。明白にこれは争議行為が、いわゆるストというものはあり得ないとはつきり観念したほうが私はいいと思うのであります。そういたしますると、この作為の場合によると一応理窟は立ちますけれども、不作為の場合においては労働が或る意味においては強制される結果になるわけであります。これは例えば三条の鉱山保安の関係の場合とか或いはその人の特別の身分に関する場合とか、特別の職種といいますか、仕事の特別の性質に関する場合とかいう場合においては当然あり得ると思いますけれども、単にこの電気産業のそういう工場に働く労働者ということを対象にして考えますると、憲法に抵触するじやないかという一つの疑問があるのであります。私、憲法学者でも何でもないので、今の問題は疑問であります。それについても一つ見解を聞きたいと思います。
  38. 中西実

    政府委員中西実君) 現場の者について全然争議権がないというお話でございましたが、実は今仰せになりましたように公務員その他身分的に禁止されておる者につきましてはそうでございますが、この電気産業につきましては、たまたまこの電気の供給に障害を及ぼす行為をしてはならない、こういうことで、労働者自身につきまして争議権の停止があるわけでございません。例えば現場におきましても動いてない機械の修理、又特に発電所におきましては定期的に手入れをいたします、そういうのは業務停止をいたしましても別に直接障害の及ぶ行為じやございません。やはりスト行為としては残つてはおるわけでございます。そこで憲法十八条との関連かと存じまするが、ここにございますのは「奴隷的拘束を受けない。」、又「意に反する苦役に服させられない。」というのでございまして、争議行為は自由なる契約によつて雇用されておる、その雇用の継続を前提として、併し労働条件をもつとよくしてくれ、こういうので争議行為があるわけでございます。従つて勿論その間に不満はあるでございましようけれども、併し退職の自由はこれはあるわけです。かかるものにつきましては最高裁の判例におきましても違反でないということをはつきり判示しておりまして、我々もこれは強制労働ではないというふうに解釈いたします。
  39. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私この問題については先に申しましたように疑問を感ずるだけでありますが、積極的な行為をとめるのでありまして、これは一応肯けるのであります。不作為なのであります、問題は。而も不作為を、何もしないことをいかんというのでありますから、半面においてどうしても働かざるを得ない、働かなければ三年以下の懲役に、公共事業令の八十五条、あれが出て来て、働かなければあの罰則に触れるということなんであります。この点は私どうもあの憲法の条項がそこまで考えておるかどうか、これは私も疑問なんでありまして、疑問でありますけれども、不作為に対してそれをとめることによつて働くことが強制される、働かなければ八十五条が適用になつて刑罰が課せられるということは、これは苦役に当るかどうかは別といたしまして、これが妥当の法制かどうかについてはやはり多大の疑問があると思うのであります。  それからなお憲法の問題でありますが、先般どつかの委員会でしたかに、七月十五日に法務省の刑事局で、交付された「基本的人権と公共の福祉」という題で書類が配布されておるのであります。御承知かと思いますが、全体を読みますとこういうことであります。  「わが憲法上、基本的人権と公共の福祉のそのいずれを優位とみるべきかについては、争いの存するところであるが、その争いのよつて来るゆえんは、一は基本的人権が公共の福祉という名の下に不当に制限されることを恐れ、他は基本的人権の濫用によつて公共の福祉が侵害されることを恐れる結果に外ならないのであつて、この両者は、いわゆる上下の関係に立つ観念でもなければ、また互いに相容れない命題でもないと考える。けだし、基本的人権の保障を無視して公共の福祉ということはあり得ないし、また基本的人権の行使が公共の福祉に反する限りにおいては、それはもはや権利の濫用であつて権利の行使とはいえないからである。すなわち、はじめからこの両者の優劣をきめてかかることは、きわめて危険であるばかりでなく、憲法の真意にもそわないのではなかろうか。われわれが憲法の規定から汲みとることので送るその建前は、憲法は、この二つの命題を同格のものとして、その抑制均衡というか、あるいはその調和というか、そのバランスによつて真の民主主義的正義を実現しようとしているということである。  したがつて、われわれにとつて重要なことは、この両者のいずれが優位の関係に立つかの問題ではなくて、この両者の調和点をどこに求めるかの問題である。しかして、これは、けつきよく具体的な事情の下における両者の価値判断に帰する問題であるから、あくまでそれぞれの具体的な事情に即して合理的に決定しなければならないが、その方向としては、公共の福祉による基本的人権の制限は、真にやむを得ない事情がある場合に、その必要の最小限度にこれをとどめるようにしなければならないということになると思う。」という文章が出ておるのであります。  この末段の「その方向としては、公共の福祉による基本的人権の制限は、真にやむを得ない事情がある場合に、その必要の最小限度にこれをとどめるようにしなければならない」ということであります。これは恐らく法務省の刑事局から出ておるのでありますが、政府としての見解はあると思いますので、その点についての御見解を聞きたいと思います。
  40. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 基本的人権と公共の福祉との関連につきまして、これを如何にその場合々々に当てはめて判断するかということにつきましては、やはり社会通念上この場合は公共の福祉との調和を図る意味において基本的人権が或る程度規制されねばならないとか、こういう判断が出て来ると思うのであります。刑事局長もおりましたが、法務大臣が先般の衆議院の労働委員会におきましての本案件についての判断は、まさにこの場合はそうした制限は妥当であろう、こういう見解でありました。
  41. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私も憲法に保障されておる労働者権利及び争議権というものと公共の福祉との間に適当な一つの調和点と申しますか、均衡点と申しますか、これがあるべきであろうという考えを持つておるものであります。併しながらこの均衡点というものは、この刑事局の文書の末尾にあるように、単に観念的に比べてどうこうすべきものではないのであつて、新らしい憲法の精神といいますか、趣旨から見れば、飽くまでやはり而も明白な一つ観念で、公共の福祉との関連においては公共の福祉というものが、堪え得る一つの限度のところに私は調和点を求めるというのが憲法の趣旨であろうと思います。恐らくそうしてそのことはこの刑事局の言つておるところと大差は私はないと思うのです。そういう観点から私はこの二条を考えてみますると、憲法に違反しておる疑いが私自身には極めて明白なのであります。強いのであります。憲法違反ではないかとひそかに実は恐れておるのであります。  今度の立法趣旨にもたびたび繰返されたように、昨年の労働争議の結果が非常に長期に亘り、而も国民生活を脅威し、非常に大きな損害国民経済に与えた。従つて社会通念はこれを非とし、従つて政府はあの争議の結果から見て、これは公共の福祉に相反するのではないかという観点からこの法案を立案されたのであろうと思うのです。昨年の争議の実例と照し合せれば、私必ずしもそれが不当とはこの際言うつもりはない。併しながらあの結果と比べて初めて考え得るのであつてそうだからといつてこの二条に言つておるように停電ストなり或いは電源スト全部をとめてしまおうという合理性が一体どこにあるというのか、私の疑問なのであります。  過去においてしばしば停電があつた。その場合に必ずしも……、これはいつも公共の福祉に反するのだという社会の通念なんだが、だからといつて当時の政府にしてもそれから労働大臣にしましても、これは公共の福祉に反するのだから、こう結論すべしという見解は持たれなかつたろうと思うのであります。国民も又同様であります。従つて私の疑問は、なぜ電産に関する、電気の供給に関する事業について、すべてストツプしなければいけないのかということであります。私は、仮に停電ストであつて一分間の停電をやる、或いは電源ストであつて多少電灯が暗くなつた、こういうふうな停電なり、そういうふうな電圧を多少変えて行くというふうなことが、これは私はよくわかりませんけれども労働争議における一つの作戦であろうと思う。一つ手段に過ぎないと思うのです。何が故に一分間の停電国民の福祉に重大な影響を及ぼすか、電圧が低くなつてちよつと今電気が暗くなつた、これがどうして国民公共の福祉に、それをとめなければいけないほどの大きな関連性があるか。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこに私は非常な疑問を感ずるのであります。そういう場合においてすらなおこれをとめるということは、私は憲法の保障している点から見て、政府公共の福祉というものを濫用しておると言わざるを得ないのじやないかと思います。そういう感じが非常に強いのであります。なぜ程度によつて、この刑事局の言つておるように、その程度によつて考えるべきじやないか。何でもかんでもとめてしまう、一分間の停電もいけません、電圧を下げてもいけません、これは公共の福祉に反するのだということは、この立法の体裁及び立て方から言えば、私は憲法違反の懸念が濃厚であると私には思えるのです。その点についての一つ大臣の御見解を伺いたいと思います。
  42. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 基本的人権は勿論それを閑却すべからざる問題でありますけれども、第十二条、第十三条の制限があることは御存じの通りであります。従いましてこの法案におきましても、争議行為は、勿論制限ということは必要にして且つ最小限度にとどめましたつもりでおります。  ここで第二条によりまして規定されておりまする停電スト電源ストの場合でございますが、スイツチ・オフに関しましては、これは我々もうすでに違法であることは明白であります。ただウオーカー・アウトの場合でございます。給電指令所のウオーカー・アウトというものは、一般にこれがスイツチ・オフと同様の効果をもたらすものであるということについては御異議がないと思います。ただ問題は電源或いは変電所の場合でございます。その場合もウオーカー・アウトというのはどの程度影響を及ぼすかということにつきましては、いろいろな見解もあることだろうと存じますけれども、私は争議行為方法として、そうした争議行為というものがここまではよくて、ここまではいかんということになつて参りますれば、争議というものは一つの非常に緊迫した状態下に行われるものでございまして、その範囲の明確な規定ができ得るほどでございますれば、又昨年のごとき争議も起らなかつたかと存じまするので、この際はやはりこうした争議行為というものは困るというその社会通念を素直に受けて立法するという態度以外にとれないのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
  43. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 緊急調整を見ますると、緊急調整相当慎重な何と申しますか、内容を持つて発動する態勢になつておるのであります。極めて内容は私慎重な内容を持つておると思うのであります。言い換えれば、それが非常に国民経済影響を与えて行く、これ以上持つて行くとすればそれは由々しいことであるというので、公共の福祉のための場合に発動するということはあると思う。社会通念から言いましても、極く僅かな停電とか電圧関係であれば、これは社会通念から行つてもこれが非であるということにはならないと思うのであります。昨年ああいう規模が大きかつたから大臣も言う通りに、それは社会通念は非とするに至つたということを言つておられる。その通りだと思われるのであります。そうだとすれば、軽度のものもこれを禁止するというところに、私は憲法の保障の条項と見合つて一つの問題があると、かようにどうしても思うのであります。又先ほど大臣の言われたように、この程度をうまく区別して行くということは困難だと言われるのでありますが、私は困難はわかります。わかるけれども、だからといつて全部とめてしまうのだ、全部ストツプしてしまうのだということは、こういう社会的の現象、労働争議のような一つの現象に対する態度といいますか、措置としてはこれは無理であつて、もともとそういう複雑な態様そのものに、それに対処する措置緊急調整内容にあるように又一つの困難ではあるけれども、面倒な措置となること、これは止むを得ない。程度を区別することは法制上困難だと思うが、これは私は工夫をすればできないわけのものではない。而もこれが憲法の保障するところに背反する疑いがあるとすれば、政府としては慎重に私は考慮されて然るべきことではなかろうかと、かように思うわけであります。時間の関係がありますので先に進みます。残念でありますけれども、第三条の関係に移ります。  提案の趣旨を見ますると、第三条を立案されましたゆえんも、昨年の炭労スト国民生活を脅威して、国民生活に大なる打撃を与えた。だからこれを立案したのだということが繰返し強調されておるわけであります。併しながら若しその観点から立案されるとすれば、言換えれば去年の炭労スト国民生活を脅威をし、国民経済に非常な影響を与えたから、それで電産と同じく第三条においてスト行為規制するのだということであれば、これは炭労ストそのものを規制しなければ辻褄が合わないのであります。そのことに触れずに保安施設、保安要員関係だけを対象にしておられるのであります。これは提案の理由乃至御説明と見合つて私腑に落ちないのであります。その点を一つ説明願いたいと思います。
  44. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 只今のお答えに入ります前に、先ほどのお答えを少し補足して申上げますが、電気の場合、御承知のように、特殊のエネルギーでありまして、瞬間的に広汎に電気の及ぼすところの影響というものは広く拡まるのであります。僅かな電気であると申しましても、その瞬時に国民生活に、国民経済に及ぼす影響があるのであり、又その争議目的というものと手段の不均衡性というものから見ましても、必要最小限にこの第二条に規定してある直接障害を生ぜしめるものということになつておるわけであります。  それから更にこの三条につきましては、これは只今お話にございましたように保安法規の場合でございまして、これは申すまでもなく人命に対しましては労調法第三十六条の考えでございますし、それから保安関係につきましては鉱山保安法に規定されておる問題でございまして、それを明確にここに確認をする、こういうことをする場合には鉱山保安法、労調法三十六条なりに当るところの行為であるということを明確に解釈法規として謳つてあるのでございます。それではなぜここに一緒にするかということでありますが、これは昨年の争議の際におきまして保安放棄の準備指令が出たということがございますので、こういう法律を明確化することによりまして、まじめな労働者諸君がそういつた則を侵すということのないように明確な解釈を下す必要があろうと、かように考えましてこの規定をいたした次第でございます。
  45. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 前段お話の、手段目的との均衡の問題、それから電気特殊性と申しますか、広きに亘るという点のお話でありましたけれども、だからといつて全部を禁止しなければならないということには私はやつぱりならんと思います。成るほど昨年の規模は大きかつた、併し常に電気争議というものは大きい、必ず長期に亘るのだということにはこれはならない。飽くまで法務省の言つておるように現実の問題において比較をして、公共の福祉の点はむしろ一歩下つて、堪えるところまで堪えて行くというのが私は憲法の趣旨であろうと思います。それから言えば極く些細な場合まで電気の性質論を以て云々されることはこれは如何であろうかと思います。  それから鉱山の保安関係について、一つのこれまで不明確であつたものをと申しますか、これまで違法であつたものを更に確認して行く、これをとやかく言うわけではありません。併し特にスト規制法の中にこれを入れて、その入れる理由として、昨年の炭労ストの及ぼしたる大きな影響というものを正面に出して、それを説明理由にしてここに入れて行かれるという真意が私には納得できない。去年の緊急調整発動について電産関係では、先日も御質問したのでありますが、政府は慎重な態度でこれを見送つた。それはそれで一つの私は妥当性がないわけではないと思う。併しながら炭労関係ではそれを発動された。炭労の与えておつた影響損害の調査を見ればわかると思いますけれども、そう大きな違いはなかつたと思います。電産の場合と炭労ストの場合なかつたと思います。片つ方において緊急調整発動される真意が奈辺にあつたかということに私は一脈の疑問を感ずるのであります。と申しますのは、保安要員の総引揚げというふうな声が出て、それに応じて緊急調整発動されたように私には受取れるのであります。或いはそうでなかつたかも知れません。若しそうだとすれば、緊急調整発動の真意は鉱山の保安ということを防衛するために発動したというふうにも解し得るのであります。これは或いは邪推かも知れません。併しながら今回この法律でやはり保安関係が出て来て、ますますそういう感じを強くするのであります。むしろ立法論から言えば、鉱山保安法で明確にするということのほうが私は性質からいつて妥当だろうと思います。これは一つ政府立法に関する考え方であります。直ちにそうでなくちやならんというわけのものでは私はないと思います。今大臣の言われましたように現在の鉱山保安法ですか、それによつてきめられておる事柄、現在の鉱山保安法が労働争議の場合において正当ではないとしておる範囲とは、この新しい三条における範囲とはこれは一致するものか、開きがあるのか、その点を一つお示し願いたいと思います。
  46. 中西実

    政府委員中西実君) 鉱山保安法は鉱山の保安につきまして、人に対する危害、鉱物資源の保護、鉱山施設の保全、鉱害と四つの項目につきまして詳細な規定を設けておるのでありますが、そのうちで本法案の第三条では、争議行為としてここにございますように人に対する危害、これは全部でございますが、鉱物資源の保護にいたしましも、それの「滅失若しくは重大な損壊」を結果するような行為、それから鉱山の重要な施設につきましても、荒廃を来たすような行為ということで、鉱山保安法所定の行為すべてをしてはならないというのではございません。ここにございますような人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃、それと鉱害、この結果が生ずる行為だけを禁止しておるわけであります。
  47. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私の御質問いたしましたのは、現在の鉱山保安法において労働争議が起つた場合に、保安関係でその正当性を阻却されて違法になるという現実の範囲ですね。それとこの三条に列挙されておるものとは一致しておるのか、食い違いというか、開きがあるのか、こういう点であります。
  48. 中西実

    政府委員中西実君) 従来からもここに列挙してありますようなことはこれは労働争議としてもやつてはいけない、人に対する危害の分は労調法三十六条によつてすでに規定の面は、行為の面からと或いは施設保持という面からと若干規定の体裁は違いますが、目的範囲は大体同じである。そのほかの行為も、従来から労組法一条の二項の正当な行為ではないと解されておると思うのでありまして、それをこの際に明確にしたいというだけでありまして、一応解釈としましては大体従来からのものと同じであります。
  49. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 鉱山保安法というのは私は大体詳しくは勿論存じませんけれども、その保安警察的な考え方なり制度から引継いて来たのであろうと思うのであります。最近においては相当その範囲が広くなつて、鉱山における一つのまあ作業と申しますか、労働作業といいますか、そういう面まで広くなつて来てはありはしないかと私は想像するのであります。詳しくは存じませんが、従つてこの法律において具体的に列挙されて行くということは、これはこれ自身として適当な立法とも考えるのであります。併し半面において何と申しますか、鉱山の現場においては相当詳しい規則があつたりいろいろあるわけなんです、保安業務として。而もこれは私は詳しくはないのでありますけれども、職階と申しますか、人と申しますか、これに応じていろいろな責任の差があるようであります。鉱山保安法の五条ですかには広く、鉱山の労働者は従わなければならないという漠然とした規定はありますけれども、これはさしたる意味合いが現場にはなかつたようであります。極めて簡単な事柄が現在には規定があるわけであります。ところが第三条を見ますと、何らの適用されるべき人については規定がないのであります。従つて現実においては鉱山保安法のほうではノーマルな状況においてはそれぞれその人によつての責任範囲といいますか、分担範囲というものがきまつておるようであります。この法制には何もそれがない。従つてこれをそのまま認めれば、別段関係のない鉱山労働者も、受持からいえば関係のない者もやはりこれについては適用があるということに解釈せざるを得ない。従つて少くとも適用される人の面からいえば、私は現在の鉱山保安法によつての取締と申しますか、適用性、違法性の問題よりは、この面においては範囲が広くなつておりはしないかという感じがこの法文の解状であります。法文の解釈より見ればそういう感じがするのであります。少くとも適用せらるべき対象は或る程度明確にして行かないと、現在の実際よりはこのほうが広くなるという危険が多分に私はあると思うのでおります。それから四つ並べてあります事柄についても、第二条の場合に私が言いましたと同じように、それがスト行為としての正当性をなくすかどうかはやはり程度の問題であろうと思う。恐らく現場においてはそうだと思う。これは三条の規定、三条も、私は一つの結果はあると思いますけれども、「正常な」という言葉を使つておる。正常というのは普通のノーマルな場合の規定だ。ノーマルな場合の普通な場合の状況なんだ。ストという場合は一つの異常な場合です。その異常な場合に処するには異常な一つの何といいますか、程度なり範囲が必要だ。おのずから鉱山にしても電気の工場にしても、平素の状況と変つて来るわけなんです。そういう場合においてなお正常な場合のことを要求するというのは、やはり私は立法としては一歩行き過ぎているという感じが抜け切らない。労働争議という特殊な正常ならざる事態に対応するような制度と申しますか、法制を必要とするのであります。保安関係影響を与える争議規制する、それ自体についてはこれはそれがいかんとかどうこう言うことは私はしない。併しこの規定から来る解釈上の拡がり、これは警戒さるべきものであろうと思う。それから見れば、この規定は一面において広過ぎ、一面においては堅過ぎる。例えば鉱物資源の滅失ですか、これだつて程度の問題で、多少の滅失があつても、直接鉱山の保安に関係があるとは言えない。特に鉱山の保安に関係があるとなつて来れば、経営者の当然負うべき責任の場合があるわけであります。その場合スト行為としてこれで規制して行く、而も第二条の場合に言つたように、不作為の場合を認めて、積極的に労働をこれによつて強制するのであります。具体的な列挙事項についてもそれぞれ問題が私はあると思います。対象の人についても問題があると思います。何と申しますか、法律としてはややこう申しては失礼でありまするけれども、整備されておらない憾みがあつて、それが将来の炭鉱における人に非常な禍いが来やしないか、そんな感じがするのであります。なお先ほど大臣の言われました、去年の争議の実態から見て、保安要員引揚げという指令があつた従つてこういう立法をしたということでありますが、私一つここに関連してお伺いしたいのは、そういう指令のあつたことも事実であります。併しながら大臣はあの指令の結果、若しあのときに緊急調整発動されておらなければ、日本の鉱山が、石炭山があの指令によつて相当公共の覧点から見て憂慮しなければならないような損壊と申しますか、結果が起つたかどうか、その見通しを私は伺つておきたいと思います。  過日現地調査に行つたのでありますけれども、その地帯においても、頭から自分の職場は飽くまで守つて行く、そういう指令が仮にあつたとしても、自分たちはそれを実行する意思は毛頭ないというのが本当の空気であつたようであります。大臣はそういう点について労働行政の覧点からどういうふうに、あのときは大臣労働大臣ではなかつたわけでありますが、どういうふうに見通しをされたであろうかということであります。その点だけ伺いたい。
  50. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 昨年炭労の争議の際に緊急調整を出しましたのは、あれは保安要員引揚げ準備指令が出たこととは直接の関連はないことは御承知通りであります。当時非常に石炭の供給不足を来たしまして、列車は終戦直後の状態に戻る、或いは家庭のガスがとまるというようなことで、これは国民の日常生活に重大なる危険をもたらすものであるということで緊急調整発動したわけであります。鉱山の保安要員引揚げ準備指令が出たということはその通りでありますが、いわゆる鉱山の緊急調整とは無関係でございまして、幸にいたしまして争議は終熄したのでございますが、只今お話のように本来保安要員引揚げということはすべきでないという健全な考え方がありますことは、非常に私どもとしても結構なことだと考えております。むしろそういう考え方があるだけにこういう法律によつてこの点を明確にしておくことが、却つて親切でないかとすら思うのでありまして、そういう考え方があるにもかかわらず引揚げ準備指令を出すというようなことがございましたならばなおのこと、これを明確にすることが別に労働者諸君に対する圧制とも思われませんし、そういうことはいかんことである、あればあるだけいかんと規定しておくこともよろしいのではないかと考えております。
  51. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 第三条の関係は別にして、この附則のことを聞きたいと思います。この附則を政府の原案としてお出しになつた大臣の真意、考え方、これを伺いたいと思います。  この前の国会で改進党が修正した、これはわかります。それを政府提案として政府自身が提出されたお考えの、その基礎ですね、それを一つ伺いたい。
  52. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お話のような経緯があつたことはその通りでございまして、併し政府としましても、或いは与党といたしましても、その修正に同調したのでございますし、我々又現在この法案提出するに際しましての考え方の基礎といたしましては、この法案は申上げたように解釈法規でございまして、こうしたことはよくない、不当であるということの社会通念が成熟しているにもかかわらず、やはり争議という興奮状態からするところの炭労の保安要員の引揚であるとか或いは電源ストが行われるということは、その特殊の状態によつて争いの過程に生ずることでございますので、こうしたことは明確にいかんということを社会通念を明確化しておいて、そうして三年の間にそういう考え方一般によく理解されるということを期待しようという意味でございます。大体私どもとしては、三年の期間を以ちまして、その間に労使のこうした争議方式を除いて、それぞれ十分な理解と納得を得るという協議方式のよき慣行が成熟するというふうに考えております。
  53. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 よき慣行の成熟を、この三年間これによつて規制するというお話は、私腑におちないのであります。それはそれでいいと思いますが、私の伺いたいのは、三年後にこの法律の運命は国会の手にあるわけであります。国会がどうきめるかによつて存続をしたり或いは効力を失つたりする建前になつているのであります。私は国会が国会独自の覧点から判断をしてきめて行くことは、これは国会の職能として、役割として当然であろうと思う。併し私の言いたいのはそれではないのであります。労働大臣としては労働行政の責任を行政府として持つておられると思うのであります。行政府として持つておられる。三年先にこの法律をどうするか、効力を失わしたほうがいいのか、或いはこれを存続して行つたほうがいいのかということは、行政府として十分に判断をし、方針をきめて行くということが、私行政府の当然の責任であろうと思うのであります。それを全部国会に任してしまうということは、労働行政の責任者として、行政府の覧点からいつて私は極めて軽卒である、極めてみずからを軽んじ、みずからの責任を軽く見ることではないかという感じがするのであります。私は遺憾千万であります。これが国会において改進党で又改正されるということなら、これは国会の責任でありますから、それはそれでいいのであります。政府みずからが、行政府みずからがこの法律案を出されることについては私は胴におちない。こういう立法例は私寡聞にして未だ曽つて知りません。例があればお示し願いたい。実はやはり新憲法も、行政と司法と立法の三権分立の建前をとつているのであります。私これは政府みずからが行政と立法を混淆する一つの行き方であつて、あえて憲法違反とは申しませんけれども、憲法の精神を少くとも尊重しないといいますか、ふみにじるといいますか、ということであり、行政府大臣としては、私これは新大臣のために遺憾に思うのであります。まじめな意味で遺憾に思うのであります。それはどうするかは、そのときに政府としてのイニシアがあつて然るべきである。それでなければ今後労働行政の持つて行き方響についても困りはしないか。三年先はどうするか、国会に任すということを今ここで政府の提案になつてきめるということは、私は非常に今後の労働行政のために実は悲しむものである。大臣の御見解を伺いたい。
  54. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私はこの法案内容というものは、世界各国においてすべからざる争議とされておるものをここに特に列挙した、こういうふうな考え方を持つております。従いまして三年の期間ということは、むしろ私ども政府の責任を規定しており、三年の期間内にああした争議行為をしなくても済むような労使間の了解と協力と申しますか、そうしたような慣行を作ることに努力することが、私ども労働行政に携わる者の責任である、かように考えておるのでございまして、何もこれを禁止すればこれでよろしいという考え方ではないのでありまして、アウト・ルールのものは暫らく御遠慮を願う、併しその代りできる限り労働者諸君の納得を得るようなよき労働行政を行い、又経営者側にもそれが……、経営者労働者も相携えて、これは社会的な機構であるという自覚を盛り上げるような努力を持つべきものであると考えております。  三年後にどうするかということでございますが、その三年の間にそうした慣行が成熟しているかいないかということが問題で、私はその意味においては政府が責任を持つということであります。その際にはやはり政府としてのイニシアはとるべきものであると、こう考えております。
  55. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 これは大臣としては当然そうお考えになるべきものであろうと思うのであります。又そうなければならんと思うのであります。併しながらこの附則を見れば、そのイニシアを政府自体が捨てておるということを私言つておるわけなんです。そのことは、如何にも立法と行政との間の混淆と申しますか、があるんであつて、問題であるということを言つたのであります。その気持は、大臣の御答弁によりましても私には解消しないのであります。  なお二点本法に関連しての労働行政考え方について伺いたいと思います。私この間これは現場を僅かの時間でありましたけれども拝見したのであります。従来石炭なり電産等については詳しい経験も知識もないのでありますが、ただ昨年占領から解放されて独立後、石炭鉱業にいたしましても電気産業にいたしましても、日本の基幹産業は非常にその脆弱性を露呈して来たことは、これは覆うべくもないのであります。その脆弱な基礎の上に争議が行われて、分配に対する争いが行われておるわけです。私分配関係争議の必要性もわかつておるつもりでありますけれども、むしろそれと同じく石炭産業から言えば、石炭産業の基盤自体がだんだん弱まつて行きつつあるんではないかという感じがするのであります。電気産業についても同様であります。どうしても労働行政の覧点からいつて、単に労働争議といいますか、そういう面だけでやつてつては、この基幹産業の脆弱性から来るいろいろのしわがそこに集つて来て、常にみじめと申しますか、非常に困難な立場に労働行政が立つて行く。労働大臣とされては、やはりこの基幹産業についても産業自体の再建、或いは産業自体の今後の持つて行き方等についても、労働行政の観点から私は相当強く発言されていいんではないか、そうしなければこれはやり切れないんじやないかという感じを非常に強く持つたのであります。電気の場合についても私は同様だと思う。合理化を図るにいたしましても、それを受入れて行く面、或いは金利の補給の点その他の面から申しましても、そういう面を解決して行かなければなかなかこれは本当のものに労働行政自体がなつて行かないという感じを素人ながら受けるのであります。それらの点についての大臣のお考え、なお、これは三条に関連するのでありますが、ちよつと私疑問に思うのであります。第三条は労働行政からいつて非常に重要な問題であることは、これははつきりしております。併しながら鉱山保安法は通産大臣の所管である、鉱山保安法関係で一連の何といいますか、監督施設が現場まで一貫しているのであります。そこに働いている人をスト規制ということで、鉱山労働者をしてこの法律上の義務と申しますか、これで尻押しをして、鉱山の保安の面を完遂して行くということならば、私は少くともこの鉱山保安法のごときは、又その施行規則と申しますか、その一連の関係、表書面から来る監督行政、それは当然に労働大臣にあるのです。当然にその責任を分担されて然るべきだ。鉱山保安については通産大臣に任して、そうして労働行政の観点からそこに働いている労働者ストをとめて行くということならば、これはやはり労働行政の監督からいつてよろしくないのじやないか、少くともこういう第三条のような立法をする以上は、私は堂々と鉱山保安法関係及びその一連の行政について労働大臣が当然その責任の一端を分担されるということが私は望ましいのじやないかと思うのであります。そこらについての一つ見解を伺いたいと思います。
  56. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 労働行政というものが一般産業政策と無関係にあるとは決して言い得ないということは、御意見通りであると私も思つております。ただ今までの労働行政というものは、とかく労働争議のあとを追つて、それを解決することが労働行政であるごとく印象を一部に与えるような態度もあつたと思いまするし、それからなお職業安定関係にいたしましても、一般産業から来るしわを労働行政において引受けて、その雇用関係斡旋するということにとどまつているというふうな面もあつたと思うわけであります。私はそれではいけないというふうに考えておりまして、もつと広い国政の全般に亘つて、あらゆる問題が人に関する問題でありますから、労働行政というものは或いは通産政策或いは建築政策或いは農林政策という面にまで関係して、全体の国土総合的な見解から、そうした見地に立ちまして労働者の全体の問題をいろいろな関連において解明して行かなければならんというふうに考えております。  なお第三条の関係でございますが、これは御承知のごとく労組法第一条二項の違法性の争議行為であれば阻却されるという、この場合には阻却されるという範囲を明確にしたものでありまして、この範囲におきまして鉱山保安法の所定の罰則が適用される、こういうことであります。併し只今お話のように全然鉱山保安の業務ということについて私どもは無関心であり、通産省の所管に全部任せるということは問題であると思いますので、御意見の点は十分今後において考えまして、調整をして参りたいと思います。
  57. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 数日前に参議院で工業及び商業における労働監督に関する条約の承認があつたと思いますが、労働行政から鉱山等に対しては、やはりその観点からの監督といいますか、これは現在あるのでありますか。
  58. 中西実

    政府委員中西実君) 一切の監督なりは通産省のほうがやつております。基準法その他基礎的なものはやはりこちらの法令としてやつております。
  59. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私時間の関係もありまして、非常に急いだのでありますが、なお質問いたしたい事柄も少くないのであります。併し恐らくは明日以降に行われます当委員会の審議のいずれかに関連することが多くあると思うので、その際に若し時間が許せば適当な関連質問をお許し願うということといたしまして、お許し願いまして私の質問はこれで打切ることにいたします。
  60. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今梶原君から一番最初に法務大臣並びに通産大臣に対する発言の保留がございましたから、只今の御要請は善処いたします。  それからこの際、関連しまして一点私労働大臣に伺つておきたいのは、先ほどの梶原君の最初の御発言の中でありますが、電気事業私企業におくべきものではないか、公共企業体のようなものにおくべきではないかという御発言のありましたお答えに対しまして、理由を挙げて、電源の開発或いは又電力消費の効用の面から私企業が望ましいと、こういうことをおつしやつたのでありますが、実はそのままの論争が昨年の国会で展開されましたのでございます。それは政府が、形は株式会社でありまするが、政府出資の電源開発株式会社というものを新らしく作られて、これがなければ電源開発はできない、こういうことで相当自由党は野党の反対を押し切つてそれを成立せしめたのでありますが、その間の関係はどういうことになりますか。
  61. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私企業でありましても、近代的な企業形態になりますると、非常にその規模も大きくなつて参りまするので、この資金の使用というものについては巨額なものを要することは申すまでもないのであります。一般の金融市場においてその資金を調達するほうがよいか、或いは一時的に非常に国家的な要請が強く、その開発の緊急を要望せられている場合におきましては、その国家の資金を或る程度活用するほうがよろしいかという問題に関しましては、そのときそれの判断があるべきだと思いますけれども、私は国家の資金を使うというものを、必ずしも企業形態をこれを公企業なりと断ずるものではないというふうな見解を持つております。要するに私企業の特徴というものは、それは経営する者が絶えず自分の責任と判断において非常に敏活に行動し得るということにあろうかと思つております。私ども考え方によりますれば、目下の電源開発等についても国家の資金を多く要するけれども、これの責任といいますか運営の中心というものは私企業的なものであるべきである、こういうふうな考え方であります。
  62. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私の御質問したことと違うのでありますが、只今あなたが述べられたような理由では、国家資金を私企業に流すことも必要だが、それでは工合が悪いので、政府出資の電源開発会社を作つてやらなければならん。こういうことが主目的で、そこで私の質問には答えておられないわけです。もう一度重ねて質問しますが、その点は労働大臣の御所見は御所見としまして、非常に重要なことでありますから、いずれ又他の所管大臣に私は質問しなければならないと、こういうふうに思うわけでありますが、もう一度だけ……。
  63. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府出資であるということと他の資金を使うということと、その間においてどちらがいいかということは、そのときの事情できまることだろうと思いますけれども政府が直接投資するとか、或いは開銀で投資するとか、いろいろ方法はあるのであります。併し今の御質問の点につきましては先ほどのお答えでお答えになつているのだと私は考えておるのでありますが、どういう点ですか、今の電気事業私企業でないという御見解であるのですか。
  64. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いや、あなたがおつしやつたことは、この電源開発を促進するためにはやはり私企業のほうがよろしいのだというお話をしているわけです。これは間違いないと思います。ところが現実に政府のやつておることは、電源開発を促進するために政府で作つた、殆んど実質的にはパブリツク・コーポレーシヨンと同じ形をとつている電源開発会社で電源開発をおやりになつている。これはお話に矛盾がありはしませんかということを私はお伺いしておるのです。
  65. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどのお答え通り、電源開発株式会社でございまして、政府機関ではない、公共企業体ではないのでございますから、その間の矛盾はないと思います。
  66. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私はそれ以上議論しようと思いませんが、それはまさに、私は詭弁であると思う。総裁は政府の任命であります。全くの国策会社であります。完全な私企業ではありません。この点は御答弁は要りませんけれども只今の小坂労働大臣の御説明では私は納得をいたしません。いずれ又所管大臣質問いたします。
  67. 田中啓一

    ○田中啓一君 私が質問をしようと思つておりました点は実は殆んど梶原委員から、殊に梶原委員の中ほどの御質問で尽きておりますので、従つてもはやただ一点だけお質しをいたしまして、私は一応本日は……尤も関連質問とは別であります。  それはこの附則の問題でございますが、附則の二の書き方は、何か政府法律案提出権というものを放棄したかのごとき議論が行われたやに聞えましたのですが、私はこの附則で、ただ政府は三年たつた場合には存続するという議決を求むるなり、存続しないという議決を求むるなり、議会は又その反対の議決をするなり、普通の法案提出と同じことであつて、さような手続をしないとこの法案はそこからもはや法律でなくなる。何か大分むずかしいことをやつておるのでありまして、書き方は私ども法律の期限はいつまでとすと書いてあるように思われるのでありますけれども、何か又いろいろこういうふうに書かんと、ことわりを尽さんこともあるかと思いまして、そこは私はよく研究しておりませんから、申上げないのでありますが、ただこの際お質ししたいのはこれで以て労働行政、殊にこのスト規制等に関する政府立法権を放棄されたというふうには私は考えておりませんのでありますが、如何でありますか。
  68. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどの私のお答えが或いは不十分であつたがために、そうした御懸念があるかと思います。三年後のイニシアを政府がとると私は申したのでございますが、この法案にもございますように、この法案を存続させるかどうかについて国会の議決を求めなければならない、こういうふうに書いてあるのでございます。即ち政府といたしましては、その存続については国会に対して議決を求める、その場合存続させるかさせないかということを国会が議決をされるということでございまして、政府はそうしたイニシアをとつておるのでございます。
  69. 田中啓一

    ○田中啓一君 私はそのときの議決の求め方が、存続するという議決をしてくれとか、存続しないという議決をしてくれとかいうふうにおやりになるので、何もなくて如何いたしたものでございましようか、よろしくというのでなかろうと思うのでございますが、どういう恰好になるのでありますか。
  70. 中西実

    政府委員中西実君) これはこの法律を存続させるかどうかについてでありまして、場合は三通りあると思うのであります。つまり存続させてもらいたいという政府のイニシアを出す場合、それから存続さしてもらいたくない、廃止してもらいたいということ、それからどちらにいたしましようかと、こういう、まあそれを聞いてくれという場合とあるわけでございまして、いずれの場合もでき得る、そういうわけでございます。
  71. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 今田中委員からの御質問で、私が或いはこの条文を読み方に過ちを犯しておつたかもわかりませんが、なお一応よく読みまして、別の機会に或いは釈明をすることがあるかも知れませんので、御了承を願います。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 関連でございますが、只今労政局長は三つの場合があつて、どちらにするかとおつしやいましたが、そういう議決を求める方式がございますか、御説明が多少不十分であつたかと思いますが……。
  73. 中西実

    政府委員中西実君) 分けて申せばそう三つあるということでございまして、結局三番目の場合は、これは、政府に意思が、イニシアを放棄した出し方でございます。場合としましてはやめてくれ、それから或いは存続さしてくれ、この二つがあるわけでございます。
  74. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 梶原さん、それから田中さんの御質疑は一応お済みのようでございますが、私は審議上必要な資料の要求をいたしたいと思うのですが、如何でしようか。実は政府からいろいい説明を聞くのでありますが、その当否を判断すべき資料というものは一つも出てはおりません。そこで少し書類件数は多く出るかも知れませんが、一応審議の参考となるべき資料について最善の努力を払つて提出を願いたいと思うのであります。特に事実につきましては、これは論議を進めて参りますについても、抽象的な論議ではこれは仕方がないと思います。早急に審議に間に合うように御提出を願いたいと思います。  第一は労働運動の中で、特にストの歴史的な実情でありますが、第一として、世界の主要国における年次別のストの件数、参加人員、特に公益事業については産業別にその件数、それから人員を分けて頂きたい。  それから第二は、日本の部であります。年度別にストの件数と参加人員、特に公益事業関係について、或いは炭鉱、基礎産業ということで出されておりますが、他の公益事業或いは基礎産業について関連のありますものは、鉄鋼、ガス、私鉄等々についても御公表願いたいと思います。  それから第三は、炭労、電産等のストにつきましては、スト要求、それから争議の経過の大要、或いはその要求はどういう成果となつて現われたか、それから労働条件或いは賃金、それからちよつと順序が顛倒いたしましたけれども、炭労、電産等、公益事業関係労組或いは基礎関係労組の組合の変遷、それからその系統別、それから動向、動向というのは運動方針に現われていると思うのですが、動向、組合員数。  それから四番目になるかと思いますが、その賃金、特に炭鉱、電産でありますが、年度別に、産業別は勿論でありますが、職種別に分けて頂きたいと思います。それから基準外賃金を含んで、産業賃金等も出ておりますが、これでは実態がわかりません。そこで産業別、職種別の賃金を入れるのはかまいませんけれども、裸の基準外賃金を含まない賃金を出して頂きたいと思います。それから職種別と申しましたのは、炭鉱においては坑内直接夫、坑内間接夫、坑外職員、こういうように分けてもらいたいと思います。それから電産関係につきましては発電関係、発電設備、或いは送電設備の関係、或いは変電所関係、変電設備、それから配電設備、それから業務設備等に分けて頂きたいと思うのですが、それは或いは電産の場合に一本になつておるところもあるかと思います。その辺は私細かく実情を知りませんが、分れておる職種別の欄を設けて……。
  75. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 職種別は何ですか、人間ですか、賃金ですか。
  76. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 賃金です。それから特にその表の中で終戦後の実態は、さつきは年度別ということを申上げましたが、その年度別、これは前と比べて戦後の賃金等も見るわけでありますので、それが見得るように、比較考量し得るように御配慮願いたいと思います。それから、それは戦前等のことを申しましたのは、戦前においてスト権が十分なかつたために賃金が低かつた、或いはその後戦後十分な組合の発展に従つて労働条件、賃金の向上等が図られておると考えますので、それがわかるように願います。  それから今委員長から労働者数の話がありましたが、それはあとで申します。それから、次は生産量、それから能率等であります。戦前、戦争中、戦後、それを産業別に年次別にその生産量と労働者数、これは条件を揃えてもらわなければならん、職員等を含む含まん等の点は揃えて頂きたいと思います。従つて生産総量と労働者数を見ますと、一人当りのパーセントの能率が出て参る。  それから、六番目でしたか、経費を、電産の場合には各社別、それから炭鉱の場合はこれは地方別、或いは大中小といつたような区分になるかと思いますが、その経費、総経費、それからその内訳として、労務費、それから材料費といいますか、原料費といいますか、原材料費、これは割合が大体一定しておると思うのです。その他経費、それからその単位当り、これは前のは生の数字でありますが、それを、石炭でいいますとトン当りということになるわけでありますが、電気の場合にはキロワツト・アワー当りということになりますが、単位当り、それから収支の決算表、これは年度別、それからその各社別という点は炭鉱と電力と違うと思いまするが、その点は前と同じでありますが、収支決算表、そして利益と配当。  そから労働者数は言つたと思いますが、スト影響であります。この点は多少私実情に疎いので、或いは様式等は御訂正をされてもかまいませんが、昨年のストの前の実態を、昭和二十六年四月以降二十八年の月別発電量、発生電力量火力、水力、それから自家発の関係は出たり入つたりしておりますが、自家発の関係も入れて、二十六年四月から二十八年四月まで月別に出してもらいたいと思う。それが昨年の九月から以降ストに入りましての発電量と比較せらるべきものだろうと思います。  なお、発生電力量とそれからそれが送られて行く途中のロスがあるだろうと思いますが、需用端の電力量、業務用電力の大品、小品と、それから大口電灯、従量灯と定額灯と分れると思いますが、その需用端の電力量の内訳を御表示願いたいと思います。これは私ども北海道に参りましても或る発電所で見ますというと、スト影響はそれほどでもなく、北海道全体としてどうであつたかということを調べようと思つて、現地の会社にも頼んで統計を願うようにしておいたのでありますが、スト影響がどういう工合に発生電力量に、或いは昨日、一昨日いろいろ議論されました需用者側において、消費者側においてどういう工合に現われたかという点を見るためであります。  そこでその細かい内訳になりますが、この業務用電力に対する内訳を、私の考えではスト前の月の総量、一日の平均と、スト中の一カ月の総量、それは一々各月の額というものを出すとわかるのではないかと思うのでありますが、そういう状況がわかり得るものでよろしうございます。それからその中には緊急停電の態様がなければならないと思うのであります。緊急停電の態様を九月以降十二月まで渇水停電と、それからストによる停電等を明らかに分けて表示して頂きたいと思います。  それからスト影響が各産業にどういう工合であつたか、東電は二日と数時間と言われましたが、中小企業の代表は渇水停電影響も入れて考慮しておられるように存じましたので、その点を具体的に損害等をお出し願いたいと思います。或いは納期の遅れたものがあつたり、製品の不良化したものがあつたり、或いはその設備の破壊したものがあつたということにもりなますが、その影響を受けた点、受けたほうの具体的な実態をお出し願いたいと思います。  それからストの人員でありますが、参加人員を各社別に先ほど申上げました、これは恐らくおわかりだろうと思うのでありますが、発電設備、送電設備、それから変電設備或いは配電設備等、細かく分けて人員を書いて頂きたい。それからそれは総人員に対する何パーセントかということも、それぞれのところで出して頂きたいと思います。  それから電産関係について争議中の紛争事件を、これは或いは超訴された事件等もあるかと思いますが、それ以前の紛争事件もあると思います。その紛争事件の具体的な件数、内容、それからそれが判断になつて現われておる分があると思いますが、各級裁判所の判例、それから上告控訴中のもの、それから一審係属中のもの、それからロツク・アウトの事件については戸畑発電所のロツク・アウトの事件があるということでありますが、その内容……
  77. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  79. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それからあとは炭鉱の保安関係であります。保安要員と考えられておるもの、これはストに入つた分ではありませんよ。それを地方別、規模別、大中小とこう分けたとして……、それから従来考えられておつた保安要員という者が坑内においてどの程度あるか、それから坑外、それから福利厚生関係職員、非組合員等あると思いますが、その人数、それからそれのスト中の実態、これは保安要員として、例えば一万の従業員の中で三千も出た例もあります。それからこの間北海道に行つて見ますと、馬屋の番人も保安要員に出ております。ですからそれの実態、これは実際に日別によつて違うようでありますから、日にち別にお出しを願いたいと思います。これは電産の場合でありますが、これは総数をこうして分けてとるのですが、それでは実際に十分の論議ができないかと思うのですが、一例だけは北海道で持つて来たのですが、具体的な例をお出し願いたい。それから電産の場合と同じでありますが、スト中の労使の紛争事件、裁判事件がありましたらその内容と判決、係争中のもの、先ほど申上げましたが、そういうものをお出し願いたい。  細かくはあとで打合せますが、以上の資料についてお出しを頂きたいと思います。
  80. 田畑金光

    ○田畑金光君 今吉田君からいろいろ資料の要求がありましたが、大体それで提出されるものならば、実態はつかめると思うのですが、今の中でちよつと私聞いていて、これはどうしてもと思うものが二、三ありますので、ちよつと要望申上げたいのですが、特にこれは石炭関係ですが、昭和二十四年以降の出炭、送炭、貯炭、これは殊に私は最近の六月末までのやつがほしいのです。出炭、送炭、貯炭の状況、並びにこの石炭がどういうようなふうに産業別に日本石炭というものが使われているかというような問題、更に御承知のごとく石炭産業に投資されておる毎年の融資額というか、このような点も同時に一つ出してもらいたい。それから殊にこれもやはり二十四年からを一応お願いしておきたいのですが、重油、それから外国炭の輸入の状況、並びにその価格、更にそういうものがどういう用途別に振り向けられておるか、この点の資料、それからもう一つは、これは昭和二十四年以降の、今吉田君から言われました各種の重要基幹産業等における争議に際して政府がいろいろ通牒や指令等を発しておる。或いは地方の基準局長或いは知事からの問合せに対して労政局長、労働大臣名において各種の通牒を発しておる。こういうような関係通牒書類、こういうようなものも同時に御提出つておきたいと考えるわけです。一応追加申上げますと、さつきの吉田君の要求の資料のほかにこれだけの資料を是非とも提出して頂きたいと考えるわけです。
  81. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど申上げたのは恐らくおわかり願つておると思うのですが、労働者数とそれから能率といいますか、パーセントを出しますのに、これは重要産業について出したのですが、電気石炭についてはこれも出してもらわなければなりませんが、というのは総人員について、或いは採炭夫当りといいますか、その辺の出し方は大体出ておるのですから、それを地方別に出すかどうかという……各社別或いは規模別に出すかどうか。それから外国の事例についてストの点だけを出しましたが、産業別の賃金労働者数、それから公益事業、公務員、公共企業体及び基幹産業一般産業に分けて賃金一つお出しを願いたい。
  82. 井上清一

    ○井上清一君 この資料は先ほどから伺つておりますと、大変尨大な資料で、而も会期がもう一週間という際に大変尨大な資料を御要求になつたようですが、いろいろ承わつておりますと、なかなか大事な資料もあるようでありますが、併しこれは吉田委員個人として御要求になつたものでございますか、委員会として要求するのでございますか、それらによつていろいろ考えてみなければならんと思います。又吉田委員として御要求になつておるにしても、これは大変常識的に考えてみましても、中には一、二カ月も要するものも、統計に一カ月も要するものも私はあると思います。なお政府の手持の資料からは出せないようなものもある。民間のいろいろな業態を細かく調べた上でなければ作れないような資料もあると思う。今になつて要求なさるのはどういう意思かちよつと忖度しかねるのでありますが、審議に付された当時において、本法案が審査に付された当時において御要求なさるのならともかくも、ここでかかる尨大な資料を要求されるということは私は委員会としてこれを要求するということもどうかと思います。その中で例えば緊急にこれは必要なものである。それからできるものについては私は必要があればそれは止むを得んとは思いますけれども、非常な承わつておりますと尨大な資料の要求でありまして、私はこれは如何かと思います。これを若し委員会でお取上げになるということであれば、それは私どもは非常に如何かと思います。この点を一つはつきりして頂きたい。
  83. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は井上さんがいつから政府委員になられたかお伺いしたい。まだ政府は返事をしておられん。あなたはいつから政府委員になられたか。これだけの資料が欲しいと言つておられるのに、まだ資料をこれはできるとかできんとかいうことも言つておられんのに、あなたは代弁しておられるのは、いつから政府委員になられたかお伺いしたい。
  84. 井上清一

    ○井上清一君 私はいろいろ資料の要求を承わりまして、私は実に尨大な資料で実はびつくりしたものですから、私は委員としての立場において、委員会として要求するのであるか或いは又個人として要求するのか、それらの点について委員長に伺つておるのです。
  85. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 井上さん、何ですよ、審議のために必要な資料として私ども要求したいと思うのです。あなたは尨大な資料とおつしやいますが、労働省には労働統計調査部という部があるのです。課ではない、部があるのです。ですからそこには基礎資料があるはずなんです。ないとすればこれは労働省の私は怠慢だと思う。そういう意味で何も尨大な資料だからどうのこうのということには私はならんのじやないかと思う。我々は慎重にも慎重を重ねてこれは審議しなければならん義務があるわけですから、従つて資料等も遺憾のないようにしたい、こういうわけなんです。
  86. 井上清一

    ○井上清一君 私は資料の必要があることについては否定するものではありません。必要によつては極めて大事です。ところが今まで審議がずつと進んで来ておる今日において尨大なる資料を御要求なさるということには、私はその意思等も私はわかりかねるわけなんで、必要な資料につきましては皆さんと御協議した上でこういうものはできる、いついつかまでに大体できそうだということが見当がつくだろう、又できる見通しが立てば要求にやぶさかではありません。
  87. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 労働省には先ほど申した通り労働省統計調査部というのがあるのですよ。労働統計に関する必要なものを集めておられるわけです。従つて恐らくは吉田君の要求された資料の中にはその基礎資料になるようなものはお持ちだと思う。それを更に再調査されて出されれば私は十分じやないかという工合に考えるわけです。
  88. 田村文吉

    ○田村文吉君 今資料の提出要求があつたようでありますが、審議の必要上必要なものはこれは揃えて頂くということは結構だと思うのです。併し今ちよつと、私は別に政府委員でもありませんけれども、常識的に承わつたところによりまするというと、例えば私企業である石炭業者の各炭鉱の原価を知り、或いはそれの占める労務費を知りたい、かような要求を今お出しになつても、これは事実上、又私ども常識として不可能です。そういうふうに考えますので、この問題はその資料を要求なさる方としては、できるだけ資料がほしい、こういうお気持もわかるのでありまするから、この問題は委員長政府と、それから資料御要求の方々で一応あとで御懇談を頂きまして、明日どれどれの資料をどうしても必要であるか、或いはそういうようなことは不可能であるかというようなことについては明朝御決定頂く、それまでに御懇談頂くということにいたしたらどうでしようか。
  89. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 提案者として、これは提案理由説明を見ましても、電気事業石炭産業の両ストライキは非常に大規模なものであつて国民経済国民の日常生活に与えた脅威と損害は実に甚大なものがあつたのでありますと書いてあります。私は昨日の公述でもありませんが、これだけのことを書いて出されるなら、その実態は当然私は政府が出して来るべきものだと思う。或いは今日漸く専門員の方から参考資料をもらいましたが、これは専門員の部類ですが、これは政府なら政府が審議を願うならば、それに必要な提案理由説明を裏付ける具体的な資料は当然初めから出して来るべきであると思う。それを私どもが漸く出したからといつて、それが早い遅いという筋合のものでは決してないと思う。  それからもう一つ田村先生から御質問でございましたが、個別にお前のところの経費の内容がどうこうということになれば、これはこの種の御批判があるかも知れないけれども、私どもの知つております限りでは地方別にちやんと出ておるのです。それから総体のものは石炭協会から出ておる、これは月刊の雑誌にも出ておる。当然地方別或いは大企業別と、こういうものが出ておるかどうかは各地方にはあると思う。私不可能を求め、或いは私どもの枠を踏み越えて要求をしておるというつもりは持つておりません。それから殆んどこの大部分というものは、政府において恐らく手持であろうと思う。労働省が若し持つておられなければほかに持つておるところがあります。或いは中には具体的なストの人員というようなものはこれは一かたならんものがあると思います。併し総人員等はわかつておる。個別的なものは、これは私ども現地に行つてみましたけれども、そういうものがなければ保安要員が入つておるのは実際どうかということもわかりません。  それから具体的に見えました発電所等の例でも、実際にそのスト影響がどれだけあつたか、或いは渇水停電影響がどういう工合にあつたか、それが昨日の話にしても、資料がなければこれは論議が進みません。実際にそういう点で資料を要求いたしましたので、その点は御了承を願つて一つ御賛成を頂きたいと思います。
  90. 田村文吉

    ○田村文吉君 そこで私は申上げましたように、そういう資料が果してこの皆さんの御審議に間に合うように出し得るかどうか、こういうような点からしまして、私は政府にはできるだけ親切に出せるものは出してくれ、こういうふうになさるようにお願いしたいと思うが、それについては委員長と資料提出要求者と、それから政府とで御懇談を頂いて、そして明朝これこれの資料について提出を求めることにしたと、それでこれを委員会の議に諮つて御決定願う、こういうふうに願いたいと私は思います。
  91. 寺本廣作

    ○寺本広作君 吉田委員からこの法案を慎重に審議した上でということであつて、尨大な資料の要求があつて、それがとても出し切れないだろうという批判が自由党のほうから起つておりますが、吉田委員要求も、国会法、又は参議院規則に基き報告、又は記録の提出を求めるという法的根拠に基いた要求ではなかろうか、こう思います。でありますから只今田村委員から言われた通り委員長、それから要求者、でき得れば理事の人も入れまして、政府がどの程度要求に応ぜられるか、その懇談をされて、その結果我々にお知らせ頂くようにお願いしたいと思います。
  92. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は私意見を申上げるわけではありませんが、井上君から非常に尨大な資料なので提出不能のような発言がありましたけれど私は労働問題についてのこんな資料は大体知つております。例えばあすこの中にあつて非常に明細な資料がありますけれども、そういうものは中央労働委員会にちやんと整理されてあります。又されておるはずです。その他労働省においても相当な資料がありまするし、電気事業関係する内容のものは、これは通産省で、公益事業局が電気事業の直接の監督機関でありまして、ほかの省で見られないような細かい資料を集められているはずでございます。従つて私は必ずしも全部が不可能なものではないと考えます。そこで田村委員のおつしやつたような工合にお任せ願えれば、資料提出者の要求相当充たされるところの資料が急速に間に合い得ると考えます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ではさように決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会