○
梶原茂嘉君 鉱山保安法というのは私は大体詳しくは勿論存じませんけれ
ども、その保安警察的な
考え方なり制度から引継いて来たのであろうと思うのであります。最近においては
相当その範囲が広くな
つて、鉱山における
一つのまあ作業と申しますか、労働作業といいますか、そういう面まで広くな
つて来てはありはしないかと私は想像するのであります。詳しくは存じませんが、
従つてこの
法律において具体的に列挙されて行くということは、これはこれ自身として適当な
立法とも考えるのであります。併し
半面において何と申しますか、鉱山の現場においては
相当詳しい
規則があ
つたりいろいろあるわけなんです、保安業務として。而もこれは私は詳しくはないのでありますけれ
ども、職階と申しますか、人と申しますか、これに応じていろいろな責任の差があるようであります。鉱山保安法の五条ですかには広く、鉱山の
労働者は従わなければならないという漠然とした規定はありますけれ
ども、これはさしたる意味合いが現場にはなか
つたようであります。極めて簡単な事柄が現在には規定があるわけであります。ところが第三条を見ますと、何らの適用されるべき人については規定がないのであります。
従つて現実においては鉱山保安法のほうではノーマルな
状況においてはそれぞれその人によ
つての責任範囲といいますか、分担範囲というものがきま
つておるようであります。この法制には何もそれがない。
従つてこれをそのまま認めれば、別段
関係のない鉱山
労働者も、受持からいえば
関係のない者もやはりこれについては適用があるということに
解釈せざるを得ない。
従つて少くとも適用される人の面からいえば、私は現在の鉱山保安法によ
つての取締と申しますか、適用性、違法性の問題よりは、この面においては範囲が広くな
つておりはしないかという
感じがこの法文の解状であります。法文の
解釈より見ればそういう
感じがするのであります。少くとも適用せらるべき
対象は或る
程度明確にして行かないと、現在の実際よりはこのほうが広くなるという危険が多分に私はあると思うのでおります。それから四つ並べてあります事柄についても、第二条の場合に私が言いましたと同じように、それが
スト行為としての正当性をなくすかどうかはやはり
程度の問題であろうと思う。恐らく現場においてはそうだと思う。これは三条の規定、三条も、私は
一つの結果はあると思いますけれ
ども、「正常な」という言葉を使
つておる。正常というのは普通のノーマルな場合の規定だ。ノーマルな場合の普通な場合の
状況なんだ。
ストという場合は
一つの異常な場合です。その異常な場合に処するには異常な
一つの何といいますか、
程度なり範囲が必要だ。おのずから鉱山にしても
電気の工場にしても、平素の
状況と変
つて来るわけなんです。そういう場合においてなお正常な場合のことを
要求するというのは、やはり私は
立法としては一歩行き過ぎているという
感じが抜け切らない。
労働争議という特殊な正常ならざる事態に対応するような制度と申しますか、法制を必要とするのであります。保安
関係に
影響を与える
争議を
規制する、それ
自体についてはこれはそれがいかんとかどうこう言うことは私はしない。併しこの規定から来る
解釈上の拡がり、これは警戒さるべきものであろうと思う。それから見れば、この規定は一面において広過ぎ、一面においては堅過ぎる。例えば鉱物資源の滅失ですか、これだ
つて程度の問題で、多少の滅失があ
つても、直接鉱山の保安に
関係があるとは言えない。特に鉱山の保安に
関係があるとな
つて来れば、
経営者の当然負うべき責任の場合があるわけであります。その場合
スト行為としてこれで
規制して行く、而も第二条の場合に言
つたように、不作為の場合を認めて、積極的に労働をこれによ
つて強制するのであります。具体的な列挙事項についてもそれぞれ問題が私はあると思います。
対象の人についても問題があると思います。何と申しますか、
法律としてはややこう申しては失礼でありまするけれ
ども、整備されておらない憾みがあ
つて、それが将来の炭鉱における人に非常な禍いが来やしないか、そんな
感じがするのであります。なお先ほど
大臣の言われました、去年の
争議の実態から見て、
保安要員の
引揚げという指令があ
つた。
従つてこういう
立法をしたということでありますが、私
一つここに
関連してお伺いしたいのは、そういう指令のあ
つたことも事実であります。併しながら
大臣はあの指令の結果、若しあのときに
緊急調整が
発動されておらなければ、
日本の鉱山が、
石炭山があの指令によ
つて相当公共の覧点から見て憂慮しなければならないような損壊と申しますか、結果が起
つたかどうか、その見通しを私は伺
つておきたいと思います。
過日現地調査に行
つたのでありますけれ
ども、その地帯においても、頭から自分の職場は飽くまで守
つて行く、そういう指令が仮にあ
つたとしても、
自分たちはそれを実行する意思は毛頭ないというのが本当の空気であ
つたようであります。
大臣はそういう点について
労働行政の覧点からどういうふうに、あのときは
大臣は
労働大臣ではなか
つたわけでありますが、どういうふうに見通しをされたであろうかということであります。その点だけ伺いたい。